○後藤田国務大臣
岡田さんの御
指摘は私は一つの御
意見だろうと思うのですね。仮に四%自然退職があるならば補充はその半分にしなさい、そうなれば、五年たてばこれぐらいの削減ができるではないか、これはごもっともだと思うのですね。政府も、この定員削減は従来からそういうやり方でやった時期があるのです。しかしながら、やってみるとなかなか実効が上がらない。それはなぜかといいますと、政府のそれぞれの機構の中にどうしても
増員をしなければならない面があるのですね。例えばお医者さんであるとか看護婦さんであるとか、あるいは税務
職員であるとか、あるいは学校の先生方であるとか、こういった職場はどんどんふやさなければならないわけですね。そこで、一律の削減、一律の不補充というのは実際問題として合わないのです。一方には削減をどんどんやっていいところの役所もあるといったようなことでございます。そこで、その後そういうやり方を改めまして、そうして今やっているように要削減部門は思い切って削減を出してもらう。しかしながら要増強部門ですね、それについては十分査定をしながら最小限のものは認めていくといったようなことで、政府全体としての削減をどの程度にしていくか、ネット減ですね、そういうやり方でやってきておるので、私は手法としてはその方が現実的ではないのかな、こう思います。ただそのやり方が、今回田さん御
指摘のように国民サイドに立って見れば、四千名弱ネット減を出したところで、公務員の総数が八十万ですか九十万程度おる。しかも準公務員まで、
地方も全部入れればこれは五百万を超すわけですから、そんなのは手ぬるいじゃないかとおっしゃるのも、これは私はもっともだと思いますね。
そういったようなお考えから、むしろこの際総定員法を思い切って削減したらどうだ、こういう御
意見が出てくるのですね。ただ、その際には行政サービスというものをどのように見るのか、これを落としたのでは、これはまたかえって逆な結果になりますからね。そういうようなことで、あれは
昭和四十二年でございましたかね、あの総定員法が制定になったのが。それ以来、先ほど
局長が申しましたように、ネット減が一万六千、学校の先生その他の要
増員部門をのけますと五万数千名の削減ということになっておるわけでございます。そこで、そこらを頭に置きながらむしろ総定員法自体をこの際縮減したらどうだ。殊に総定員法と現実の定員ですね、これは少しすき間があるのですよ。それなら、そのすき間だけは落としたらどうだという御
意見もあります。しかし、それをやりますと、年度当初と年度の終わりと、やめる人が出てきますからそこで調整数というものが要りますから、そういったようなことで今どれぐらい開いておるかといいますと、すき間が一万二千三百九十六人おるのです。だから、平たく言えばこれだけ切ってしまえばという
意見もあるのですけれ
ども、ところが、年度当初のすき間は八千六百五十八人しかないのです。そういったようなことがございますので、現時点でこの総定員を削減するという考え方は実は持っておりません。といいますのは、今度
地方事務官の改革がありますね。そうなると、たちまちこれはどうなるのか、今、
地方事務官は総定員法の枠外でございますから。それ以外に新設の医科大学、こういったものもみんな枠外にありますから、こういったことを考えますと、今直ちに総定員法の削減をやるという考え方はございませんので、その点はぜひ御
理解をしていただきたい、かように思います。