○安倍国務
大臣 先ほどから申し上げましたように、私は交渉に行ったわけではありませんが、しかし、農産物問題も相当差し迫っております。御承知のように、三月三十一日にこれまでの協定が切れるわけですから差し迫っております。それで、新しい協定を結ぶかどうかということについて、これまで
日米間で何回かにわたって熱心な論議が行われていることも事実であります。私はそういう
背景を踏まえて、この問題が
アメリカにおいても非常に政治的に象徴的な問題になっておるし、また
日本においても非常にセンシティブな政治的な問題になっているけれども、これは三月三十一日に切れるのだから、
日米間で円満にこれを処理しなければならない、これが
日米間に非常に悪い影響を与えてはいかぬ、こういうことで
アメリカとも話をしたわけでございます。
その
背景として、例えばブッシュ副大統領との間においては、
日本が一方的に譲るべきだという話がありましたので、それはできないということもお話をいたしました。そして、この農業問題あるいは農産物というのはどこの国でも保護政策をとっておる。
アメリカだってそうだし、
日本だってそうだし、ヨーロッパだってとっておることであるし、ヨーロッパとの間には、御存じのような補助金の問題をめぐって米欧間で大変な対立もある。あるいはまた、
島田さんも保御承知のように、ガットができるときの状況を見ても、
アメリカは十二品日を先にウェーバーでとっておる。こういうふうなことも話をいたしまして、お互いに農産物については保護政策をとっておるので、どちらか一方が正しくて、どちらか一方が悪いということではなくて、やはり話し合いでこれは解決をしていくべきだということを強調もいたしました。そして、それには今の
アメリカが一歩も譲らないということではこれは解決できない、こういうことも主張したわけです。
私は、
アメリカ側の非常に大きな進歩――進歩といいますか、主張を捨てたわけではないのですが、
アメリカは少なくともこれまでは自由化をあくまでも主張して譲らなかったわけですね、自由化が大前提であったわけですが、この自由化についてはちょっとこれを横に置く。決して主張を捨てたわけではないのですが、自由化は横に置いて、
日米間の協定を枠の問題で片をつけよう、こういうところまで
アメリカが交渉の態度を変化させたということは、私は
アメリカとしてはそれなりの前進であると思うわけです。
しかし、それについても、
アメリカの言っておることを聞きますと大変な開きが
日本との間にあるし、一方的に
日本の譲ることを頑固に主張している。これでは到底だめだ。ですから、あなたの方ももう少し弾力性を持って歩み寄ってこなければ、
日本も歩み寄りようがないじゃないか。
日本だって一歩も譲らないということでもないでしょう。しかし、あなたの方が歩み寄って来なければ
日本だって歩み寄ることができない、だからもう少し懐を開いて、弾力的にひとつ対応してくれればこの問題は解決する道も開けてくるんじゃないだろうか、こういうことを私は率直に話をいたしまして、その結果
アメリカも、それでは弾力的にひとつ対応しましょう。そして、今の農産物交渉は中断をしておりましたが、先ほどもお話がありましたように、周辺部分についてよそれではもう一度交渉を再会してこの問題も片づけようということで、この前から議論が行われておりまして、いよいよこれから本格的な核心の部分に交渉としては入ってくるんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。これにつきましては、もちろん農林水産大版が
中心となられてこの問題について、今の
日本の農業は農業としての限界があるわけですから、そういうものを踏まえて
日本と
アメリカとの間で交渉がこれから行われるようになる、こういうふうに思っておりますし、私は、今の
日米関係から見まして、長い間の懸案でございますから、何とかこの懸案が冷静な話し合いの中で、お互いに歩み寄って、そして円満なうちに解決することを望んでおるわけであります。