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沢田広君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表して、ただいま
議題となりました
酒税、
物品税、
石油税三
法案について、
反対の
立場から
討論を行うものであります。
そもそもこれらの
増税は、
公約のまず
違反であるばかりでなく、全く必要のない弱い者
いじめの
増税であります。一歩譲ったとしても、去る
減税小委員会で国債によらないと申し合わせたことを
理由としているが、
増税対象が根本的に誤っていることを指摘しておかなければならないと思います。
「入るをはかって出るを制す」、一般的には暮らし、
財政の常識であります。
歳入を大切にしない傾向は極めて危険であります。
高度成長のようなときはそれでもよかったかもしれません。しかし、
歳入をおろそかにしたため安易な
借金に依存をして今日の百二十兆円にも及ぶことになり、赤字はどうにもならなくなったことが証明をいたしております。まさに「シカを見て山を見ず」というのがこの
実態であります。
借金にはそれだけの
理由はあるかもしれません。言うならば、結局は泥棒にも三分の理屈の論理の
範囲を出るものではないと言われるでありましょう。(
拍手、発言する者あり)放漫と安易、
酒税ではありませんが
高度成長に酔った結果であり、
自民党の
政治責任は極めて大きいと言わなければなりません。(
拍手)
当時も今日も国の
財政は「出るをはかり入るをはかる」と言われてきました。入ること、すなわち
財源をつくることを怠り放置した結果であります。
財政の
原則は、釈迦に説法ではありますけれども、最小の経費で最大の効果を上げることに努めることであります。大企業のためにあるいは
選挙を有利にするためにと思われる
自民党本位の理不尽な政策がとられてきたこと、またとられようとしていることは許されるものではありません。
大きな
増税、小さな
減税、弱い者
いじめの諸
施策、湿った景気、雇用、
国民はいら立ちと暮らしの困窮を訴えているのが現状ではありませんか。
政府・
自民党には聞こえませんか、この訴えが、この声が。重税に対する
不信感は一層募るばかりであり、
重圧感、
不信感、
不公平感に
政治不信を増大させるばかりであります。結果的には、
民主主義そのものの危機を招くことになります。この意味からも、平和への志向、
国民生活の充実は極めて重要であります。
税務調査がもし
スピード違反の取り締まりのように運が悪かったとの声になったとき、いや、なりつつある今日、税に対する権威を失い、信頼をなくし、ただ苛斂誅求の悪政しか残らないことになるでありましょう。
以上、
歳入の
重要性、歳出の
慎重性を求めたのであります。
法案について、若干
反対の
趣旨を明らかにしておきたいと思います。
物品税は
大型、
中型、
小型と……(発言する者あり)物を言うなら、こっちへ来て言え。それぞれの場所で言明しておりますが、
大型はやらない、
直間比率は
是正する、
小型なら、
中型ならと言う。しかし、だんだん肥大化して、性格も質も量もふえて、当初のものとは猫変じてトラになり、
日常生活必需品に拡大されて、それでもなお
小型、
中型だと厚かましくうそぶいている
中曽根内閣の本質を感じさせるものがあるのであります。
国民もまた、その危険を肌で感じているのであります。
今までにも、武器の輸出に、
増税なき
再建に、核の持ち込みに、「初めは処女のごとく終わりは脱兎のごとし」と言います。軍拡から一転して教育にと、その本体を保護色的に変えていく、まさに
風見鶏的才能を持っておられるものと存じます。しかし
国民は見抜いております。だから
伯仲国会をつくったのでありますが、現在は裏切られております。それがだれであるか、御
承知のとおりであります。
また、酒は
勤労大衆の労働の泉であり、今日の
経済成長をなし遂げた大きな
要因の一つでもあり、このことを否定される人はないでありましょう。つらい仕事の中に心を、体をいやす、そしてまた、あすに精いっぱいの働いた結果ではないでしょうか。今回の
増税分三千五百億円、余りにもひどいではありませんか。
特級、一級、二級の
級別の
是正検討、
中小の
醸造業者の
健全化、品質の管理、
販売方法、
大衆的ビール、従量、従価の
見直し検討、改善すべき点は多いのであります。弱い者
いじめの悪税であることに変わりありません。せっかくの
減税もこれらの
増税でマイナスになってしまうことになります。生きた
減税にならないのであります。まさに羊頭を掲げて
狗肉を売るという新法であると言い得ましょう。
今日の酒の
消費量は実に八百万キロ
リッターになり、五年前は六百五十四万キロ
リッター、この間百四十六万キロ
リッター、二二%もふえているのであります。各家庭でいいますと毎月一斗、一升瓶で十本飲むことになります。健康への
配慮も必要な問題として十分な
配慮が必要になっております。
ビールは今や
大衆化をし、
日常生活品となっております。西欧型に近づいているのが実情であります。その半分が
税金だと聞くと、泡が原価で中身は
税金と、迷いと怒りを感じることでありましょう。(
拍手)一瓶で二十五円、ちりも積もれば大変な
負担となるのであります。
ほかに
財源はないのだろうか。ノーであります。三兆円にも及ぶ交際費、六億人にも及ぶマル優預金、十九兆円にも及ぶ各種準備金、それぞれ一〇%としても三兆円近い
財源は生まれるのであります。ただ取らないだけであります。
石油税にしても、備蓄を名目としつつ
石油、LPガスなど新たな
課税をするものであり、結局は
国民大衆に押しつけられるものであります。
これら三税は、いずれも
実施時期が九月、十月、早くて五月であります。なぜ急ぐのでありましょう。いかに
政府に提案権があるといっても、冒頭に提出をしてきた
政府の
姿勢は提出権の乱用であり、断じて許されるものではありません。(
拍手)関税など日切れ
法案がつかえているから早く成立させなければならないなどと全く手前勝手な論理を展開していることは、まことにけしからないものだと思います。
物品税、
酒税、
石油税増税とかけて何と解くかと聞きました。泥棒猫と解いたとそう言うでありましょう。その心は、目ざとく、安易に手近にあるものからつかみ食いした
法案であると言えるからであります。私も、
政府のこの
増税案がこの言葉に象徴されていることを感ぜざるを得ません。
この審議に当たって、我が党を初め各野党からも多くの貴重な提言がありましたが、
政府はついに何もそれを取り入れるところもなく多数で押し切ったのであります。多くの
国民の皆さんとともに、引き下げのために今後も努力しなければならないと決意を新たにするものであります。
国民の顔を逆なでするようなこの種の提案は断じて
承認できないことを申し添え、三法
反対の
討論といたします。各位の御
賛成を切に願うものであります。(
拍手)