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1984-02-22 第101回国会 衆議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年二月二十二日(水曜日)     —————————————  議事日程 第六号   昭和五十九年二月二十二日     午後一時開議  第一 地方交付税法の一部を改正する法律案     (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十八年度特別会計補正予算(特第1号)  日程第一 地方交付税法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  農業共済保険特別会計における農作物共済及   び畑作物共済に係る再保険金支払財源の不   足に充てるための一般会計からする繰入金に   関する法律案内閣提出)  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置   法の一部を改正する法律案内閣提出)、物   品税法の一部を改正する法律案内閣提出)   及び石油税法の一部を改正する法律案内閣   提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時九分開議
  2. 福永健司

    議長福永健司君) これより会議を開きます。      —————・—————
  3. 古賀誠

    古賀誠君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十八年度特別会計補正予算(特第1号)、右両件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 福永健司

    議長福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、日程追加せられました。     —————————————  昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十八年度特別会計補正予算(特第1号)
  6. 福永健司

    議長福永健司君) 昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十八年度特別会計補正予算(特第1号)、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。予算委員長倉成正君。     —————————————  昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)及び   同報告書  昭和五十八年度特別会計補正予算(特第1号)及   び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔倉成正登壇
  7. 倉成正

    倉成正君 ただいま議題となりました昭和五十八年度一般会計補正予算(第1号)及び同特別会計補正予算(特第1号)につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  この補正予算両案は、去る二月八日本委員会に付託され、十日に竹下大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、昨二十一日及び本二十二日の両日質疑を行い、本日質疑終了後、討論採決をいたしたものであります。  まず、補正予算概要について申し上げます。  一般会計予算につきましては、歳出において、災害復旧費追加給与改善費及び義務的経費追加など合計九千三百二十七億円の追加を計上いたしておりますが、他方既定経費の節減、予備費の減額などにより、合計四千七百二十九億円の修正減少を行うことといたしております。  歳入においては、昭和五十八年分の所得税減税を含む租税及び印紙収入の減収四千百三十億円を見込んでおりますが、一方において、税外収入の増加、前年度剰余金受け入れ合計四千二百七十八億円を計上するほか、建設公債四千四百五十億円を追加発行することといたしております。  この結果、昭和五十八年度一般会計補正予算総額は、歳入歳出とも、当初予算に対し四千五百九十八億円増加して、五十兆八千三百九十四億円となります。  また、歳入のうち、公債金総額は十三兆七千九百億円となり、その依存度は二七・一%となっております。  特別会計予算につきましては、一般会計予算補正等に関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計厚生保険特別会計など十五特別会計について所要の補正を行うことといたしております。  なお、一般会計及び特別会計において、総合経済対策の一環として、一般公共事業に係る国庫債務負担行為三千九十一億円を追加計上することといたしております。  次に、質疑のうち、主なものについてその概要を申し上げます。  まず、「五十八年度の実質経済成長実績見通しは、外需寄与度が当初よりも倍増しているがその要因は何か。それが五十九年度の経済成長にどうはね返っていくのか。また、国内経済環境が非常に安定してきている中で、一人当たり雇用者所得見通しはどうか」との趣旨質疑に対し、政府から、「五十八年度の経済は当初よりも外需寄与度が若干大きくなり、内需が二・二%、外需が一・二%、合わせて三・四%成長を想定している。五十八年度の外需が高まったのは、アメリカ経済回復を契機に我が国貿易が予想以上に伸びたという背景がある。五十九年度においては、内需寄与度は相当高まり、外需寄与度は相対的に下がると見ており、内需が三・六%、外需が〇・五%という見通しである。また、五十八年度の一人当たり雇用者所得は、当初見通しよりも若干下がって三・五%の見通しだが、五十九年度は四・七%を想定している」旨の答弁がありました。  次に、「日米経済摩擦のポイントは、昨年二百十六億ドル、本年三百億ドルを超える対米黒字と、アメリカ失業問題であると思うが、これをどう解決していくのか」との趣旨質疑に対し、政府から、「日米間の社会的習慣経済発展段階相違等から貿易摩擦が起こる可能性は否定できない。原因一つは、日本輸出力が強いことにあるが、一面、日本の市場が閉鎖性を持っているとの非難がある。問題は、起こっていることよりも、起こったことに対する解決の方法を知っているということで、今後とも日米間で協調し、相談しながら、輸出に対する自粛自制措置等を適切に行うとともに、資本、金融等自由化を促進するというさまざまな組み合わせで解決したいと思っている」旨の答弁がありました。  また、「日米間の貿易摩擦の解消は、小手先の交渉だけではなく、根本的には我が国内需拡大を図ることにあると思うが、政府のこれに対する具体的な考え方はどうか」との趣旨質疑に対し、政府から、「基本的には円を強めに持っていくことと内需拡大だと思う。内需喚起については、昨年十月に総合経済対策を策定し、今回これに関連する補正予算審議をお願いしているところである。このように内需喚起をさらに力強くやりたいと思うし、金融制度弾力化も適正に行い、また民間の活力の強化、利用ということで公有地積極的開発にも乗り出し、総合的な政策を運用して内需喚起に努めたいと思う」旨の答弁がありました。  以上のほか、シーレーン防衛公約の有無、昭和五十年の航空交通管制に関する合意内容等日米安保体制に関する問題、教育改革のための新機関設置、青少年の非行対策等教育問題、地方交付税交付金性格及びそのあり方等地方財政問題、人事院勧告及び人事院制度男女雇用平等法の制定、環境影響評価法案及び湖沼法案の再提出問題、関西国際空港の建設問題、その他国政の各般にわたって熱心な質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。  本日質疑終了後、両案を一括して討論に付しましたところ、政府原案に対し、自由民主党・新自由国民連合を代表して松永光君から賛成日本社会党護憲共同を代表して清水勇君から反対公明党国民会議を代表して斉藤節君から反対民社党国民連合を代表して木下敬之助君から反対日本共産党革新共同を代表して瀬崎博義君から反対の意見が述べられました。  討論終局後、引き続き採決を行いました結果、昭和五十八年度補正予算両案は、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  8. 福永健司

    議長福永健司君) 両件につき討論の通告があります。順次これを許します。清水勇君。     〔清水勇登壇
  9. 清水勇

    清水勇君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました五十八年度補正予算二案に対し、反対討論を行います。(拍手)  この際お許しをいただき、討論に先立って、今次五九豪雪できょう現在五十八名の方々がとうとい一命を亡くされたわけでありますが、深甚な弔意をあらわすとともに、御遺族の皆様並びに多大の被害に遭遇をされました豪雪地の皆さんに心からお見舞いを申し上げる次第でございます。(拍手)  補正予算二案に反対する理由は、以下四点にわたって申し述べますが、この二案は、軍事費を突出させたままとし、国民生活を圧迫し、財政再建を後退させる国民犠牲行革路線に基づいた補正案だからであります。  理由の第一は、本格的な五十八年度内の減税実施せず、国民の期待を裏切ったことであります。  政府は、五十八年度、一千五百億円の所得税減税でお茶を濁しました。しかし、これでは独身者千円そこそこ、標準世帯でも四、五千円の減税にしかならず、税負担を軽減する実効がないばかりか、景気浮揚に役立つ規模のものでないことは言うまでもありません。これは、政府与党たる自民党が野党と国民に対して行った公約の明白な背信であります。(拍手)  すなわち、自民党は、国民の強い減税要求を前にして、昨年二月二十六日与野党幹事長書記長会談において、国会内外の世論を強く考慮して、景気浮揚に役立つ相当規模の大幅な減税を五十八年度中に実施することを誓約いたしました。加えて、政府に決断させる自信があるとまで言い切ったのであります。したがって、この時点で、国民が一兆円以上の所得減税の五十八年度実施を期待したのは当然であります。にもかかわらず、これを平然と裏切る自民党は、公党として不見識であり、与党としての責任を厳しく問われなければなりません。  同時に、この与野党合意につき、三月一日衆議院議長は、「減税問題については、与野党合意趣旨にのっとり、これの実現のため、政府は最大限の努力をすることを確認すること。」との見解を表明したのでありますが、この議長見解を無視した政府の態度は、国権の最高機関である国会の権威を冒涜するものと言わなければなりません。  政府自民党による五十八年度本格減税の不実施は、勤労国民に不公平な重税を押しつけてきた上に、公党間の約束を破り、議会制民主主義に背反するものであって、日本社会党は到底容認することができません。これが第一の反対理由であります。  第二の理由は、人事院勧告完全実施を行わなかったことであります。  人事院は、五十八年度において六・四七%の給与引き上げを勧告したのでありますが、政府はその三分の一にも満たない二%だけ引き上げ、四・四七%を実施していないのであります。二年連続の政府暴挙により、例えば年収四百万円の公務員は年十八万円もの給与をカットされているのであります。しかも、人勧値切り凍結は、公務員を苦しめるだけではなく、年金の据え置き、民間賃金抑制に波及し、国民生活を圧迫し、内需中心経済回復をおくらせたことも、また明白であります。この際、人勧値切りを改め、人事院勧告を直ちに完全実施し、そのための予算を計上するよう、強く要求するものであります。  言うまでもなく、政府人勧を勝手に値切ることは、憲法及び労働基準法の精神に違反する重大な不当、不法な行為であります。賃金は、使用者の恣意によって決められるものではありません。労使間の契約によって決定されるものであり、それを担保するのが労働基本権であります。政府がこの代償措置たる人事院制度を守れないのなら、必然的に労働基本権回復されなければならぬ性質のものであります。したがって、人勧に対する不当措置を含む補正予算反対せざるを得ないのはけだし当然であります。  第三の理由は、補正予算二案が年金福祉引き上げなど必要な経費を計上していないことであります。  五十八年度当初予算編成に際し、我が党は、厚生年金国民年金等物価スライド老齢福祉年金の月額三万円への引き上げ等不可欠最小限社会保障の確保を政府要求し、あわせて予算組み替え動議提出いたしました。しかし、政府年金福祉という切実な要求を冷酷にも拒否したのであります。五十八年度消費者物価政府実績見込みによっても二%上昇しますから、年金福祉は確実に二%の切り下げになるのであります。同じ政府見込みは、財産所得が七・二%、企業所得が四%、一人当たり雇用者所得も三・六%ふえるとしております。こうした中で、なぜ年金福祉生活する老人、母子世帯障害者だけが実質生活を切り下げられなければならないのでありましょうか。私は、このような弱者切り捨て不公平拡大をもたらす補正予算案には何としても賛成することができません。  第四の反対理由は、補正予算二案が経済回復をおくらせ、財政再建を後退させている点であります。  補正による公債金収入は四千四百五十億円ふえ、公債依存度は二七・一%と当初予算より〇・六ポイントふえることになります。振り返って、近年、補正予算における国債発行追加が行われておりますが、これは財政上の原則を損なうものであり、改められなければなりません。かくして、補正予算基本的性格は、当初予算と同様に、国民犠牲行革路線に基づくものと断ぜざるを得ないのであります。  そこで、政府は、このような財政方針補正予算を根本的に改め、不公平税制是正等により財源を確保して、年度内に本格的所得減税実施不要不急経費並びに軍事費削減福祉教育の充実を柱とした補正予算編成替えすべきものであります。  以上の理由から私は補正予算二案に反対を表明し、討論を終わります。(拍手
  10. 福永健司

    議長福永健司君) 斉藤節君。     〔斉藤節登壇
  11. 斉藤節

    斉藤節君 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題になりました昭和五十八年度一般会計補正予算案及び同特別会計補正予算案に対し、反対討論を行うものであります。(拍手)  中曽根内閣は、昭和五十八年度予算案編成するに当たり財政再建を進めると宣言し、超緊縮予算編成したのであります。その内容は、国民生活と関連の深い歳出予算を大きく削減したものでありました。言うなれば、すべての人々が幸福になり、同時に社会も繁栄するという政治理想とは全くかけ離れた弱肉強食的な予算編成が行われたのであります。真の政治理念なき為政による結果が、今日のように失業倒産を高水準のままに推移させ、社会的に弱い立場の人たちを窮地に追い込んでいると言っても私は言い過ぎではないと思うのであります。(拍手)  また、私は、このような事実が教育の荒廃や顔を覆いたくなる犯罪事件の数々、聞くにたえない破廉恥的行為などの横行にも相通じていることを指摘せざるを得ないのであります。五十八年度補正予算案内容においても、根底に真の政治理念のなさを残念に思うものでありますが、以下、本補正予算案反対する主な理由を申し上げます。  その第一の理由は、本補正予算案には景気浮揚に有効な具体策が盛り込まれていないことであります。  我が国経済は、徐々に景気に明るさが見え始めていることは確かでありますが、それは多くが外国への輸出に支えられたものであり、国内の需要、いわゆる内需低迷は依然として続いております。内需低迷は、失業倒産に拍車をかけることになり、また税収伸び悩みをももたらし、財政再建をさらに困難に陥れているのであります。中曽根総理は、昨年一月の施政方針演説内需主導景気回復公約されました。残念ながら、この公約は看板倒れに終わっていると言わざるを得ません。  目下の課題は、消費を拡大し、内需を活性化させ、本格的な景気回復実現し、我が国経済安定成長の軌道に乗せることであります。本来であれば、総理公約を果たすためにも、本補正予算案においても、我々がかねて主張してきたように所得税住民税大幅減税一般公共事業追加措置などを講ずるべきであります。積極的な景気対策を欠く本補正予算案は到底認めることはできません。  反対する第二の理由は、五十八年中に大幅減税実施するという与野党合意政府自民党が一方的に踏みにじり、所得税のみのわずか一千五百億円のミニ減税にとまってしまったことであります。  五十三年以来、本格的な減税が見送られてきた結果、家計は大幅な実質増税を迫られ、年々苦しい状況に追い込まれていることは多くを言うまでもありません。中曽根総理は、五十九年度は大幅減税実施すると胸を張っております。しかし、五十八年中に大幅減税を行うという与野党間の合意はどうなったのでありましょうか。与野党間の合意を踏みにじるという暴挙は、議会制民主政治の否定にもつながりかねないものであります。しかも、五十九年度における減税は、我々の要求額を大幅に下回る上、減税財源として、事もあろうに酒税、物品税引き上げなど大幅増税を強行しようとしていることであります。大幅減税の速やかな実施を願う国民の声を聞き入れることなく、国民生活実質増税を押しつけ続けてきた政府責任はまことに重大であります。実質増税個人消費の停滞を余儀なくし、景気回復をおくらせてきたことも同時に追及されなければならないのであります。  本補正予算案反対する第三の理由は、人事院勧告を無視し、国家公務員給与引き上げを大幅に抑制していることであります。  言うまでもなく、人事院勧告国家公務員労働基本権制約に伴う代償措置であり、人事院勧告大幅抑制人事院勧告制度そのもの形骸化にも通ずると言わざるを得ないのであります。私が重視するのは、人事院勧告大幅抑制国家公務員生活水準を低下させるだけでなく、地方公務員年金恩給生活者にも影響を及ぼすことであります。私は、一方では公務員実質削減によって総人件費抑制を図りながら、あくまでも人事院勧告制度完全実施要求するものであります。(拍手)  最後に、本来政治国民がその所を得て、一人も漏れなく自己の生活を楽しむのが理想であります。歴史的に見ても、悲しみや苦しみが一国に充満し、平和と幸福を失った国民ほど哀れな存在はありません。政治経済教育も文化も、すべて人間が幸福になるための営みであります。なかんずく、政治国民の一人一人の生活に直接結ばれているものでありますから、平和と幸福の実現唯一最高の目的として実践されなければなりません。残念ながら、中曽根総理の目指す方向はその反対であると断ぜざるを得ません。  以上申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手
  12. 福永健司

    議長福永健司君) 木下敬之助君。     〔木下敬之助登壇
  13. 木下敬之助

    木下敬之助君 私は、民社党国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和五十八年度補正予算二案に対し、反対討論を行うものであります。(拍手)  我が国経済は、ようやく景気回復方向にあるとはいうものの、中小企業中心とする企業倒産は、昨年は前年比一一・八%増の一万九千百五十五件と過去最高を記録し、また失業率も二・六%と過去最悪であります。実質賃金伸び悩みとともに、国民生活に大きな不安を与えております。さらに、内需の冷え込みの影響国内面だけにとどまらず、経常収支大幅黒字対外経済摩擦を激化させてまいりました。  その一方で、財政破綻はますます進行し、「増税なき財政再建」は今や空文と化し、「財政再建なき増税」に変質しつつあります。経済成長の鈍化によって税収は著しく伸び悩み税収欠陥は五十六年度が約三兆三千億円、五十七年度は実に約六兆一千億円となり、五十八年度においても二千六百億円の不足が見込まれております。その結果、赤字国債発行額はこの三年間六から七兆円と横ばいで、財政再建が進んでいないだけでなく、国債費が九兆円と、社会保障費と並んで一般歳出のトップを占めるまでになってしまったことは周知のとおりであります。  こうした景気回復の立ちおくれ、雇用不安、対外摩擦財政破綻はいわば一連の悪循環であり、その主たる原因が、金がないから何もしないという政府縮小均衡型経済運営にあることは明らかであります。  我々は昨年来政府に対し、こうした縮小均衡型経済運営をやめ、一方において一兆四千億円の所得減税実行、下期三兆円規模公共事業追加なと思い切った積極経済政策実行し、それによって大幅な自然増収を確保するとともに、他方において抜本的な行政改革を進め、それによって「増税なき財政再建」を達成するという拡大均衡型経済運営への転換を強く要求してまいりました。これしか景気回復と「増税なき財政再建」を真に実現する道がないからであります。しかし政府は、こうした我々の主張に耳をかさず、大蔵省主導による帳じり合わせ優先の縮小均衡型経済運営に終始し、その結果、五十八年度は三%台の低成長にとどまったことは極めて遺憾と言わざるを得ません。  この補正予算案も、この縮小均衡型路線から一歩も出ておりません。  すなわち、第一に、大幅な所得減税を見送ったことであります。「減税景気浮揚に役立ち得る大幅な規模とする。」という与野党間の合意がなされたにもかかわらず、年内減税はわずか千五百億円にとどまったことに対して、我々は、公党間の信義からしてもこのような暴挙を断じて容認できないことをここで改めて申し述べておきたいと思います。(拍手)  第二は、公共事業の思い切った追加がなされなかったことであります。我々は、景気回復に弾みをつけるため、三兆円規模追加が必要であると考えますが、政府は、事業費ベースで一兆八千八百億円にとどまり、しかも、その半分は国庫債務負担行為地方単独事業で、見せかけの実効性の乏しいものであり、極めて不十分、不徹底な措置と言わざるを得ません。  第三は、人事院勧告を無視し、これを一方的に抑制、カットしている点であります。すなわち、平均六・四七%の引き上げを求めた人事院勧告を大幅に削り込み、平均二%の引き上げにとどめたことであります。これは五十七年度における人勧凍結に続く暴挙であり、労働基本権制約代償として設けられている人事院勧告制度のまさに根底を揺るがすものであると言わざるを得ません。また、人事院勧告の大幅な削り込みは、これと連動する多くの人々にもしわ寄せがされております。年金恩給生活者などがそれであり、その影響はまさに甚大であります。  むしろ、今ほかにやるべきことがたくさんあります。一つは、公務員定数削減を初め、補助金整理合理化特殊法人の統廃合、地方出先機関整理など行財政改革を徹底することであります。もう一つは、租税特別措置を初めとする既存の税体系における制度上、執行上の不公正の是正を行うことであります。これらが極めて不徹底であり、抜本的なメスが入っていないのであります。  本補正予算案には、特に、以上述べましたような重大な欠陥があると言わなければなりません。  我々は、政府がこの際、一日も早く縮小均衡型経済運営から拡大均衡型経済運営に転換し、日本経済潜在的成長力を引き出し、景気回復本格化と「増税なき財政再建」達成への道を選択されんことを強く要求し、私の反対討論を終わります。(拍手
  14. 福永健司

    議長福永健司君) 中川利三郎君。     〔中川利三郎登壇
  15. 中川利三郎

    中川利三郎君 私は、日本共産党革新共同を代表し、補正予算二案に対し、反対討論を行います。(拍手)  昨年末の総選挙において、中曽根内閣自民党に対する国民の厳しい審判が下されました。これは、田中問題に対するけじめをつけなかったことは言うまでもありませんが、同時に、レーガン核戦略に追随した軍備拡張路線、さらに臨調行革路線を突っ走り、国民生活にとことん犠牲を強いる中曽根政治全体に対する国民の断固たるノーの意思表明であったこともまた明瞭であります。(拍手)  政府は、補正予算案編成に当たって、何よりもこの国民の声に謙虚に耳を傾け、軍事費財界奉仕の不公平にメスを入れ、大幅所得減税を初め国民生活を守る緊急対策をこそ実行に移すべきだったのであります。  ところが、政府補正予算は、軍事費の上積みと福祉切り捨てをさらに進め、これを大軍拡、大増税福祉総破壊の来年度予算につなげようとするものであります。まさに、国民世論を一切無視して恥じない中曽根政治を象徴するものであり、断じて認めることができないのであります。(拍手)  以下、反対理由を具体的に述べます。  第一は、当初予算での三年連続の軍事費異常突出に何の反省もなく、補正予算でさらに軍事予算を六十八億円も上積みしていることであります。  このことは、アメリカ要求する一千海里シーレーン防衛を国策扱いし、「防衛計画大綱」の水準を達成しても、シーレーン防衛の能力ができるとは一概に言えないと強弁する中曽根内閣の軍拡最優先の姿勢が顕著にあらわれたものであり、断じて容認することはできません。それとは対照的に、国民の安全と安心にとって不可欠な消防施設整備費、気象庁観測予報業務費などの災害対策予算が、またもや軒並み削減されたことは絶対に許せないのであります。  反対理由の第二は、国民の最も切実な要求一つである大幅所得減税を見送ったことであります。  政府補正に盛り込まれた年度内減税は、総額でわずか千五百億円。国民の最低限度の要求である一兆四千億円の十分の一にすぎません。景気浮揚に役立つ相当規模減税を繰り返し言明し、国民を欺いた中曽根内閣責任は極めて重大であります。  総理は、昨年、減税額が国民要求からかけ離れていることをみずから認めつつも、来年度の本格減税につながるものだと強弁してまいりました。ところが、今国会に出された来年度減税案なるものは、その方式が富める者に手厚く、貧しき者に乏しい極めて不公平なものであるばかりでなく、財源対策を口実に、減税額をも上回る大増税国民に押しつける驚くべき代物でありました。増税せずの総理発言は全くその場しのぎであり、国民はまたもや欺かれたのであります。  今国会総理は、大型間接税導入は考えていないと答弁しております。しかし、過去の実績を見るならば、また自民党首脳や大蔵大臣が繰り返し導入検討を表明していることを見ても、これを疑ってかからざるを得ないのであります。為政者が倫理感覚を欠如させたとき、国民がこうむるものは災厄だけてあります。私は、このことを改めて指摘し、総理に警告をするものであります。  反対理由の第三は、今回の補正によって国民生活に新たな打撃が加えられることであります。  公務員給与については、政府は五十七年度の完全凍結に引き続き、今回の補正でも六・四七%の勧告に対し、わずか二%しか措置せず、二年連続して人勧制度を踏みにじりました。しかも、人勧無視は、福祉教育切り捨ての格好の口実ともされております。年金、恩給の物価スライド見送りを補正予算でもそのまま引き継いだ上に、来年度は五%近い物価上昇に対して二%分しか計上せず、お年寄りの暮らしに大きな苦しみを強いているのであります。社会福祉施設整備費も一挙に三十億円の大幅カットであります。私学助成に至っては、来年度の大幅カットを先取りする二十一億円の削減であります。  さらに、景気対策をうたいながら、中小企業倒産が史上最高を記録している中で、もともと乏しい中小企業対策費を三十五億円も削減し、また、畜産振興費、農蚕園芸費の大幅カットで農家経営の困難に拍車をかけていることは、政府の心配する景気対策なるものが大企業にとってのそれであり、国民生活は一切眼中にないことを明確に示していると言わなければなりません。  以上が、反対理由であります。  私は、軍備拡張、国民大収奪の中曽根政治と対決し、平和と暮らしを守るために全力を尽くす日本共産党革新共同の決意を改めて表明し、討論を終わります。(拍手
  16. 福永健司

    議長福永健司君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  17. 福永健司

    議長福永健司君) 両件を一括して採決いたします。  両件の委員長報告はいずれも可決であります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      —————・—————  日程第一 地方交付税法の一部を改正する法   律案(内閣提出
  19. 福永健司

    議長福永健司君) 日程第一、地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長大石千八君。     —————————————  地方交付税法の一部を改正する法律案及び同報   告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔大石千八君登壇
  20. 大石千八

    ○大石千八君 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会におきましての審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  ただいま可決されました補正予算におきまして、昭和五十八年分の所得税の特別減税措置及び自然減収により、所得税が減額補正されることとなっておりますが、これに伴い、地方交付税が当初予算計上額に対して八百三十二億円減額されることになります。  しかしながら、今日の地方財政は、このような地方交付税総額を減額できるような状況にありませんので、この地方交付税の減額分八百三十二億円につきましては、国税三税の昭和五十七年度の決算に伴う精算増加五百九億九千八百五万円と特例加算三百二十二億百九十五万円によってその全額を補てんすることとしております。  本案は、このうちの特例加算について定めるもので、その内容は、昭和五十八年度分の地方交付税について、総額の特例として加算すべき額を三百二十二億百九十五万円国の負担において増額するものであります。  本案は、去る二月八日当委員会に付託され、昨二十一日田川自治大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  21. 福永健司

    議長福永健司君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  22. 福永健司

    議長福永健司君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      —————・—————
  23. 古賀誠

    古賀誠君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出農業共済保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  24. 福永健司

    議長福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、日程追加せられました。     —————————————  農業共済保険特別会計における農作物共済   及び畑作物共済に係る再保険金支払財源   の不足に充てるための一般会計からする繰   入金に関する法律案内閣提出
  26. 福永健司

    議長福永健司君) 農業共済保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長瓦力君。     —————————————  農業共済保険特別会計における農作物共済及   び畑作物共済に係る再保険金支払財源の不   足に充てるための一般会計からする繰入金に   関する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔瓦力君登壇
  27. 瓦力

    ○瓦力君 ただいま議題となりました農業共済保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  この法律案は、昭和五十八年度におきまして、北海道を中心に低温等による水稲、小豆等の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済保険特別会計の農業勘定の再保険金の支払いが増大し、その支払い財源に不足が生じる見込みでありますので、これに充てるための資金を同年度において、一般会計から、同特別会計の農業勘定に百十五億六千二百七十六万三千円を限り繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、この一般会計からの繰入金につきましては、後日、農業勘定において決算上の剰余が生じた場合において、同特別会計の再保険金支払基金勘定へ繰り入れるべき金額を控除して、なお残余があるときは、当該繰入金に達するまでの金額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。  本案につきましては、本日竹下大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を終了し、直ちに採決いたしました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  28. 福永健司

    議長福永健司君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 福永健司

    議長福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      —————・—————  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措   置法の一部を改正する法律案内閣提出)、   物品税法の一部を改正する法律案内閣提   出)及び石油税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明
  30. 福永健司

    議長福永健司君) この際、内閣提出酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣竹下登君。     〔国務大臣竹下登君登壇
  31. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  まず、酒税法の一部改正について申し上げます。  昭和五十九年度の税制改正におきましては、国民各層の強い期待にこたえ所得税大幅減税を行うとともに、現下の厳しい財政状況をこれ以上悪化させることのないよう、社会経済情勢の変化に対応した税制の見直し等により最小限必要な増収措置を講ずることとしております。  酒税につきましては、そのような税制改正の一環として、物価水準の上昇等に伴いその負担水準が低下してきていること等に顧み、従量税率の引き上げ等を行うことといたしたものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、酒税の従量税率の引き上げを行うことといたしております。  すなわち、ビール及びウイスキー類特級について、その税率を一九・五%程度引き上げることを基本とし、その他の酒類については、最近における各酒類の消費及び生産の態様等を考慮して、引き上げ幅につき所要の調整を行い、それぞれ一四・八%から三四・五%程度引き上げることといたしております。  第二に、清酒等についてアルコール度数による減算税率が適用されるアルコール度数の下限を引き下げるほか、免税酒類の表示制度を廃止する等制度の整備合理化を行うことといたしております。  次いで、清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部改正について申し上げます。  清酒製造業におきましては、昭和五十九年七月から昭和六十四年度を目標年度とする第四次近代化計画の実施を予定し、経営基盤の一層の安定に努めることとしておりますが、今回、このような清酒製造業の自助努力を実効あらしめるため、日本酒造組合中央会の事業範囲の拡大等を図ることとしております。  第一に、昭和五十九年七月一日から昭和六十四年十一月三十日までの間に清酒製造業を廃止する者に対し、給付金を給付することとともに、これに係る納付金を清酒製造業者から徴収することができるよう措置することといたしております。  第二に、近代化事業の運営に必要な経費財源をその運用によって得るため、近代化事業基金を設けることができるよう措置するとともに、国は、同基金に充てる資金を無利子で貸し付けることができるよう措置することとしております。  次に、物品税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  物品税につきましても、さきに申し上げた今次の税制改正の一環として、最近における消費の実態及び課税物品相互間の負担の権衡等に顧み、課税対象の追加及び税率の引き上げ等を行うことといたしたものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、録音用または録画用の磁気テープ、ビデオディスクプレーヤー等の物品について、所要の経過措置を講じた上、新たに課税対象に加えることといたしております。  第二に、小型乗用車及びカークーラー等の税率を一%、軽乗用車及びライトバン等の税率を〇・五%それぞれ引き上げることといたしております。  第三に、テレビの難視聴解消に資することとなる衛星放送受信用テレビジョンチューナーについて五年間の課税の特例措置を講ずるほか、物品税の納税手続を簡素化する等制度の整備合理化を行うことといたしております。  次に、石油税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  石油税収は、一般会計を通じ、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計に繰り入れられ、石油及び石油代替エネルギー対策の財源となっておりますが、昨年三月の原油価格の低下等に伴い大幅な減少を来しております。  しかしながら、現下の厳しい財政事情のもとで、石油及び石油代替エネルギー対策の着実な推進を図っていくためには、今後とも財源の安定的な確保が要請されるところであります。  このような状況に顧み、石油及び石油代替エネルギー対策の歳出内容を厳しく見直した上で、石油に係る税負担状況等に配意しつつ、石油税の税率を若干引き上げるとともに、課税対象の追加を行うことといたしたものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、原油等に対する税率を、現行の三・五%から一・二%引き上げ、四・七%とすることといたしております。  第二に、いわゆるLNG等の液化ガスを含むガス状炭化水素を課税対象に追加し、その税率を一・二%とすることといたしております。なお、このほか課税対象の追加当たりまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上、酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措   置法の一部を改正する法律案内閣提出)、   物品税法の一部を改正する法律案内閣提   出)及び石油税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  32. 福永健司

    議長福永健司君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。渋沢利久君。     〔渋沢利久君登壇
  33. 渋沢利久

    ○渋沢利久君 私は、日本社会党護憲共同を代表いたしまして、酒税法一部改正案、物品税法一部改正案、石油税法一部改正案、いわゆる増税三法の上程に関連いたしまして、総理並びに関係閣僚に若干の質疑を行うものであります。  税に対して国民の関心が高いのは、その国民生活、企業経営等に与える影響の大きさからいたしまして当然のことでありますが、それだけに税に対する国民の信頼を保つことが、税を審議、決定する国会、すなわち議会制民主主義への信頼を保つことでもありまして、国会政府責任であります。「増税なき財政再建」の旗も高らかに、選挙に際しては減税だけを約束して、選挙が済めば増税抱き合わせに変質するなどという、いかにもこそくな政治手法は、総理国民の税と政治に対する信頼を損なうだけであります。(拍手)税の議論は、そういう意味でも国会の力関係を超えて国民の理解と信頼を高めるものでなければならないと思うわけでありまして、以下簡潔な質問をいたしますので、明確で誠意のある御答弁を求める次第であります。  言うまでもありませんが、税にとって最も重要な原則は公平の原則であります。公平な税制は、社会的公正あるいは社会正義の実現にとりましてまた不可欠であります。ところが残念なことに、五十九年度税制改正案は、まず第一に、税負担を著しく不公平なものとしていることであります。すなわち、政府減税を今次税制改正の表看板に据えようといたしておりますけれども、その実態は、増減税ゼロどころか、石油税増税を加えて名実ともに増税であります。しかもその増税は、高額所得者を中心にいたしました所得税減税財源を酒税、物品税、自動車関係諸税の間接税に求めたところに何よりの特徴があります。具体的な数字で見てみますと、一世帯当たり、酒税で八千五百五十六円、自動車諸税で五千円、物品税で千三百三十四円、一万五千円の増税であります。この増税額は、ちなみに年収三百万円のサラリーマン家庭の所得税減税額に匹敵するわけでありますから、言いかえますと、この層以下の低所得者にとりましては、所得税減税額を間接税増税額が上回る明らかな実質増税であります。その負担が逆進的となることは言うまでもないわけでありまして、政府は、不公平税制是正を求める国民世論に背を向けて、なぜこのような税制の原則にもとる不公平の拡大を行おうとするのか、これはひとつ総理にその御見解を承りたいところであります。(拍手)  第二に、景気政策との関連についてお尋ねをいたしたいと思います。  五十九年度税制改正が昨年の与野党合意を尊重するものでありますならば、当然景気回復に役立つ内容のものでなければなりません。しかし、事実は、さきにも述べましたとおり増税であり、河本経企庁長官がエコノミストに発表いたしました論文そのままの表現で言えば、一兆円減税をして一兆円増税をするということは余り効果がない、こんなややこしいことはやめてしまった方がいいと、こう河本さんに批判をされるほどの中身であります。こうして間接税の増税に加えて各種公共料金の値上げによりまして、内需中心である個人消費にマイナスに作用するおそれが大きいと考えざるを得ないのであります。  例えば、どの新聞もその調査の結果を明らかにいたしておりますが、間接税と公共料金の引き上げによりまして、一世帯平均三万四千円の負担増になると伝えておりますように、圧倒的部分の勤労者家計で随意支出の圧迫、すなわち実質購買力の低下は避けがたいのであります。一方で内需拡大をうたいながら、他方で間接増税と公共料金の値上げによって個人消費を抑圧するというのは、これは大きな矛盾と言わなくてはなりません。この財政政策景気政策、なかんずく個人消費への影響についてどうお考えか、経企庁長官と大蔵大臣のそれぞれの御見解を承りたいのであります。  第三に、今後の税制改正との関連について一、二お尋ねをしたいと思います。  一つは、いうところの直間比率の問題であります。  総理も蔵相も経企庁長官も自民党首脳も、声高に間接税割合を引き上げる直間比率の是正を主張しておるわけであります。日本の直接税割合七一%、数字はうそを言いません。なるほどイギリス、フランス、イタリアなどに比べてやや高い数字であります。数字はうそは言わないが、しかし、うそつきは数字をよく使うともいうのであります。その国の直接税割合の高いのがなぜ問題なのか、なぜ是正が必要なのか、何らの根拠も明確にならないままに、七一%は高いという主張と是正論だけが先行して正当化されようとしているように見えるのであります。日本は高いと言いますけれども、アメリカはさらにはるかに高いじゃありませんか。直間比率は、その国の歴史、国民性、それに経済運営や財政政策の結果としてあらわれるものでありまして、もともとあり得べき直間比率などというものは存在しないのであります。総理の御意見を承りたいと思うのであります。(拍手)  これを要するに、直間比率の是正論は、応能累進、公平の原則が貫かれている直接税から、所得の低い層には重い負担を強いるほかなき間接税の増税にその比重を、税収構造を大きく変えることによって、一層税の不公平を拡大するという性質のものだと言わざるを得ないのであります。(拍手)いずれも税の基本に触れる問題でありますから、総理の明確な答弁を承りたいのであります。  次に、大型間接税の新設についてお尋ねをいたします。  昨年十一月に総理にあてて提出をされました政府税制調査会の答申は、「間接税体系の合理化を図るため、物品、サービス等に係る課税ベースの拡大等について検討すべきである」と述べております。この表現は大型間接税の採用を提言したに等しいものであります。大蔵省の中期財政試算も大幅増税の必要性を示唆し、自民党首脳も大型間接税導入検討のアドバルーンを揚げておるのであります。総理の諮問機関が総理に対して行ったこの提案に、総理は基本的に賛成なのか賛成でないのか、実施の時期や形態を別にいたしまして、やるべきものだとお考えになっておるかどうか、まずその基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思うのであります。  ところで、政府は、原油価格の値下がりと需要の減退による石油税の収入不足約一千億円を補うために、現行の税率三・五%を四・七%に一・二%引き上げるといたしております。しかし、石油税の大半は石油備蓄のために使われている現状を見るときに、その必要性があるかどうか極めて疑問を持たざるを得ません。また、石油関係税は大変複雑な上に、その八〇%が道路整備に使われております。今回の値上げの根拠と、石油諸税全般の見直しの意思ありや否やをお尋ねいたしたいと思います。  最後にお尋ねします。  我が国の税制にはさまざまな不公平が存在をいたしております。なかんずく利子配当その他のキャピタルゲインについての課税は目に余る高額所得者優遇でありまして、私は、我が国税制の恥部とも言うべきキャピタルゲイン課税の抜本的見直しを要求するものであります。同時に、当面の措置として、利子及び配当の源泉徴収税率、源泉分離課税の徴収税率をおのおの五%引き上げ、有価証券取引税の税率を二倍にするということで、言うならば七千億円の増収が可能であります。政府さえその気になれば、間接税増税でビールやしょうちゅうをいじめなくとも、所得税減税財源を確保することは十分可能なのであります。(拍手総理並びに大蔵大臣のお答えをいただきたいのであります。  我が国財政の現状を見るとき、財政再建のために、税制の抜本的な見直しと改革が必要なことは言うまでもありません。問題は、改革に当たっての理念であり、内容であります。大型間接税導入に安易な活路を求めるのではなしに、不公平税制と言われるすべての根っこにメスを入れて、全面的な見直し、洗い直しに勇気を持って取り組むことが国民の信頼をつなぐ税制改革の新たな一歩であろうと申し上げ、総理の所見をただして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  34. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 渋沢議員にお答えをいたします。  まず、減税の真意いかんということでございます。  今回の所得税及び住民税減税は、初年度一兆一千八百億円に及ぶ大規模かつ本格的な減税でありまして、それはさらに回復しつつある景気をより確実に回復させるものと期待されております。  酒税等の税率引き上げ等は、減税を一面行いつつ、財政事情をこれ以上悪化させないという見地からやむを得ない措置として行ったものであり、それは一昨年来、与野党間の話し合いにおきましても財源を確保してという、そういうことで減税を行うことになっておった次第であり、我が党からすればこれは公約実行であります。特にサラリーマン減税、中堅サラリーマンに重点を置いた減税を行おうという趣旨からこれを特に行った次第であります。(拍手)  直間比率の問題につきましては、あらかじめその特定の目標を設定して、専らその観点からのみ税体系を論ずることは適当ではございません。やはり直間比率の見直しというよりはむしろ税体系全体の見直し、そう言う方が当たっていると思います。このような税体系全体のあり方につきましては、究極的には国民合意と選択によって決められるべき問題であると思いますけれども、政府としては今後とも検討を続けていく考え方であります。  次に、いわゆる大型間接税につきまして御質問がありましたが、政府としては、これを導入する考えはございません。  有価証券譲渡益金課税につきましては、税制調査会の中期答申の考え方に沿って、引き続き幅広い角度から検討していく予定でございます。  次に、不公平税制に関する御質問がございました。  不公平税制是正という言葉が、もし企業関係の租税特別措置の見直しを意味するものでございますならば、その主要な項目のほとんどにつきましては改善措置を講じておるところであり、さらに合理化を進める余地はかなり限られているものと考えます。また、利子配当課税の見直しを意味するものでありますならば、これは、いわゆるグリーンカード制廃止の問題との絡みもあり、今後検討課題でございます。いずれにせよ、これらは現段階では適切な減税財源とはなり得ないものでありますが、幅広くさらにこの問題については検討を続けてまいる所存でございます。  以下の答弁は、関係閣僚から御答弁を申し上げます。     〔国務大臣竹下登君登壇
  35. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問にお答えいたします。  まず、政府は公共料金の値上げの問題と個人消費の問題をどう考えておるか、こういう御質問であります。  この問題は、個人消費という問題は、消費の態様等によって異なりますので一概に申し上げることは非常に難しい問題であります。五十九年度におきましては、物価の安定と景気回復に伴う所得増及び所得税等の大幅減税の効果等もございますので、消費の着実な伸びが見込まれる、このように認識をいたしております。  それから次の問題は、石油税増税の根拠はどうか、こういうお尋ねでございます。  石油税収は、昨年三月の原油価格の低下等によりまして大幅な減少をもたらしたわけであります。この厳しい財政事情のもとで、石油及び石油代替エネルギー対策の着実な推進を図っていくためには、今後とも財源の安定的な確保が要請されておるところであります。  こういうような状態に顧みまして、したがって、この代替エネルギー対策等の歳出内容は厳しく見直した上で、その上で石油に係る税負担の状況等を配慮しながら石油税の税率を引き上げますとともに、いわゆるLNG等の問題につきましてこれを課税対象に追加をした、こういう内容でございます。  それから石油諸税の見直しの問題を御指摘になりました。  この各種石油製品等の消費に着目して受益者負担的な観点から課せられておるものが、いわゆる揮発油税であり、航空機燃料税であり、石油税、まあ言ってみればこれこそまさに使途が特定されておる、こういうものであります。こういう諸税の今後のあり方につきましては、石油に係る税負担水準のあり方や道路整備、エネルギー対策等の財源問題との関連等、それこそ広範な角度から検討を要する問題でございますので、今後とも各方面の意見を承りながら総合的に検討する課題であるというふうな認識を持っておるわけであります。  次に、キャピタルゲイン課税の問題についての御指摘がございました。  有価証券譲渡益につきましては、有価証券取引を把握する体制が十分整備されないままに総合課税に移行する場合には新しい不公平を招く、こういう議論がいつでもございます。段階的に課税の強化を図っていくのが適当でございまして、今後具体的にどのような改善の方策が考えられるか、検討を行うべき課題であるというふうに税調からも、先ほど総理からお答えになりましたように、中期答申で考え方をいただいておるわけでございますので、引き続き幅広い角度から検討していかなければならぬ課題であるというふうに考えております。  それから減税財源をいわゆる不公平税制の見直しによって捻出しろ、こういう御指摘でございます。  何としても、今度の酒税、物品税、これの増税は、所得税大幅減税を行いながら財政事情をこれ以上悪化させない、こういう見地から必要やむを得ざる措置であるという意味で御理解を賜りたいところであります。  財源不公平税制是正によるという考え方は、これは不公平税制というのは、そもそも使う人によりましてさまざまな意味を持っております。したがって、私どもといたしましては、従来、不公平税制という言葉が企業関係のいわゆる租税特別措置というようなものを意味しておるという前提に立ちますならば、それこそ昭和五十一年以来その主要項目はほとんど改善措置を講じておりますし、これ以上合理化するという余地はかなり限られておるという状態にございますけれども、五十九年度においてもその縮減を行うこととしておるところであります。したがって、いわゆる不公平税制という問題は、主観によって異なりますものの、これからも税制全体については絶えず整理合理化していかなければならぬという基本的な考え方に立っておるわけであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣河本敏夫君登壇
  36. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 税の問題は、経済政策と非常に密接な関係がございますので、私の立場からも大変関心を持っておりますが、今回の増税減税景気対策上どう考えるかということでございます。  今回の措置は、増減税とも、三百兆という国民経済規模から見ますと規模が比較的小さい、こういうことで、国民経済には若干の影響はあろうと思いますけれども、その影響というものはそんなに大きなものではない、このように考えております。そこで、やはりこの際税制の抜本的な改正が景気対策上必要だ、このように判断をいたしまして、一連の考え方を大蔵大臣と自由民主党の政策責任者に提案をいたしまして、目下検討していただいておるところでございます。
  37. 福永健司

    議長福永健司君) 大蔵大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。大蔵大臣竹下登君。     〔国務大臣竹下登君登壇
  38. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) ただいまの減税に対する御質問につきましての答弁につきまして、私の方から正確に補足をいたします。  まず、この財源問題と申しましたのは、これは昭和五十七年十一月十九日、与野党の専門家の皆さん方において構成されました大蔵委員会減税問題に関する特別小委員会の中間報告の中に、「そのための財源は、赤字国債によらないことにも意見の一致をみた。」こう書いてあるわけであります。そして、「減税のための財源として種々の税目を対象に真剣な議論をしてきたが、今日に至るも合意することができなかった。」これが一つ正規な文書としてあるわけであります。  その次が昭和五十八年三月二日、これは衆議院予算委員会におきまして、内閣官房長官の発言として委員各位にも配付したものでございますが、  「景気浮揚に役立つ相当規模減税実施するための財源を確保し、所得税及び住民税減税についての法律案を、国会提出するとの確約があったことは承知をいたしております。政府としても、これを尊重いたします。」これが正規なお互い交換した文書であります。  そしてただいま問題になっておりますのは、私もその経過を逐一承知しておりますが、五党幹事長・書記長会談の回答事項、五十八年九月九日、このときに、減税法案は十月下旬に政府をして提出させる、減税景気浮揚に役立ち得る大幅規模とする、実施は年内とするという当時の幹事長さんのお答えではないかと思いますが、このお答えの前段になります権威ある院の各種委員会なりで答弁したものを敷衍してまいりますならば、財源という問題は絶えず議論をされておった問題であります。(拍手、発言する者あり)     —————————————
  39. 福永健司

    議長福永健司君) 柴田弘君。——柴田弘君。(発言する者あり)柴田弘君。     〔柴田弘君登壇
  40. 柴田弘

    ○柴田弘君 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題となりました物品税法、石油税法の一部を改正する法律案並びに酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案について……(発言する者あり)
  41. 福永健司

    議長福永健司君) 静粛に願います。静粛に願います。
  42. 柴田弘

    ○柴田弘君(続) 内閣総理大臣並びに大蔵大臣、経済企画庁長官に質問をいたします。  まず、率直に申し上げまして、政府の五十九年度税制の改正案は、一言で言って財源あさり以外の何物でもありません。所得税住民税減税を取り上げたものの、その見返りとして酒税、物品税、自動車関係税、法人税の引き上げ、さらに所得税住民税の最低税率の引き上げまで画策をしているのであります。     〔議長退席、副議長着席〕政府は、こうした増税理由として減税財源の確保を挙げているのでありますが、私は、「増税なき財政再建」という大原則に反する政府増税路線を断じて許すことができないのであります。まして、総理は、昨年末の総選挙において、何回となく増税は行わないと明言をされたはずであります。にもかかわらず増税を行うのであれば、これは国民に対する完全な背信行為であります。  総理、私はあえて申し上げたいと思います。私は大反対でありますが、今回の税制改正の後には大型間接税の導入が懸念をされております。今国民は、みずからのあすへの生活設計に大きな不安を強めているのであります。私は、政治を志す一人として、国民に対する責任感から、この政府の大増税路線に大きな憤りすら感ずるものであります。まず総理の率直なる御答弁を承っておきたいのであります。  さて、我が国はようやく景気回復の過程にあるとはいえ、地域間、業種間格差が拡大し、特に内需中心とする地域や業種では極めて厳しい景況が続いております。また、この三年間も続いた低成長は、国民生活に対し失業者の増加、中小企業倒産の続出、財政再建の後退、貿易摩擦の再燃など多くの弊害をもたらしておりますが、その解決の方途はいまだ明確になっておりません。したがいまして、私は、五十九年度の税制改正は景気回復をより確かなものとし内需主導安定成長実現することに最大の力点を置くべきであると考えるものであります。目標とする実質成長率も、大蔵省の中期財政展望などは、四%台の成長では実質的に財政再建は不可能とするものであります。財政再建の推進のためにも五%程度の成長を確保することが必要であります。幸いなことに、五%成長への条件は、世界経済景気回復、物価鎮静、内需の自律回復傾向など今整いつつあります。残る課題は、総理の決断とリーダーシップであります。五%成長を目指し、政策転換を図るべきであると考えるものであります。総理の明快な答弁を求めるものであります。  また、この景気回復に欠かせない重要な政策減税であります。  景気回復に役立つ相当規模減税実施与野党合意であり、国民周知の政府公約であったはずであります。平年度ペースにして所得税三千億円、住民税一千億円の減税政府減税案に上乗せし、合計一兆四千億の減税実施されることを強く求めるものであります。国民的な立場に立った誠意ある総理答弁を期待するものであります。  さて、間接税増税は直ちに物価上昇をもたらし、景気に水を差すことは明白であります。また、国民は六年ぶりの減税に大きな期待を寄せておりました。もし、このまま見返り増税が強行されるならば、減税の効果を相殺するばかりか、国民政治への不信と怒りはますます増大することは必至であります。国民政治に対する信頼を取り戻すためにも、総理は英断をもって財政の帳じり合わせのための安易な間接税三法の増税を撤回されることを強く要求をするものであります。総理、いかがなものでありましょうか。  さらに、私は、岐路に立つ我が国経済について経済企画庁長官に質問をいたします。  まず、当面する内外の経済情勢から見て、我が国経済の潜在成長力はどの程度のものとお考えになっているのか。来年度の経済財政対策で果たして我が国成長能力は十分に発揮できるのかどうか。循環赤字と言われる景気低迷による財政赤字は解消しているのかどうか。まだ残っているとすれば、果たして昭和五十九年度はどの程度になる予想であるか。具体的にお示しをいただきたいのであります。  また、長官は、景気浮揚のための積極財政財政再建のための緊縮型財政かの選択課題に対し、どう認識をされ、その克服についての手順と方策をどのように考えていらっしゃるのか、この際、御見解を承っておきたいのであります。  以上、企画庁長官に対する質問は、五十九年度財政経済の運営の審議の上においても、あるいはまた中期の展望を踏まえて極めて我が国経済財政運営にとって重要なものでありますので、誠意ある率直な御答弁を期待するものであります。  次に、私は、財政再建に対する総理の看板でもあり、総選挙中には臨調答申を守り増税を行わないと公約をされておりました「増税なき財政再建」についてお伺いをいたします。  臨調答申には、「「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらないことあります。しかし、五十九年度の租税負担率は二四・二%であり、五十八年度の補正ベースに比べて〇・三%も上昇いたしております。この上昇分を国民所得で試算をすると七千百億円になり、酒税三千二百億円、物品税三百五十億円、法人税四千三百億円などの増税額に相当するものであります。  総理、これによって明らかでありますが、酒税、物品税などの増税は租税負担率の上昇をもたらす新たな措置であることは間違いないのであります。本当に、臨調答申はもとより、総理公約に反しないものとお考えなのでありましょうか、納得のいく答弁を求めるものであります。  また、国民は、「増税なき財政再建」に対する総理の解釈がさまざまに変化し伝えられておりますので、理解に苦しんでおります。この際、総理の考えておられる「増税なき財政再建」の定義を明確にしていただきたいのであります。  中でも、所得税減税の見送りによる実質増税によって租税負担率の上昇があった場合はどうか、新たな税制上の措置には五十九年度のような既存税制による増税を含むのか含まないのか、具体的な御答弁を承りたいのであります。  仄聞するところによりますと、自民党では、この四月から大型間接税の導入を含めた直聞比率の見直し作業が進められるということでありますが、この作業は総裁として要請されたものなのか、また、総理は、あくまでも「増税なき財政再建」を堅持され、六十年度以降大型間接税は導入しないのか、この際、国民の前にはっきりと明言をしていただきたいのであります。(拍手)  次に、大蔵大臣にお伺いをいたします。  減税財源の確保、財政再建の推進は、税制改正においてまず不公平税制是正が優先をされなければなりません。しかし、政府の姿勢は、政府税調答申にもありますように、常に「初めに大型間接税の導入ありき」であります。この「初めに大型間接税の導入ありき」に政府が固執をしているために、税制改正が、不公平税制是正はもとより、景気浮揚にも財政再建にも中途半端に終始をいたしているのであります。  政府税制調査会の中期答申でも、今後の税制改正について、単に大型間接税の導入に限らず、利子配当課税、法人税、事業税、キャピタルゲイン課税、資産課税、納税環境の整備など数多くの税目について課題が提示をされ、審議が行われております。  私は、戦後税制の見直しの視点からも、すべての税目の洗い直し、その意義、問題点などをメニュー化し、税制改正についての複数のシナリオを提示し、その中から国民合意を形成されることを提案をいたすものであります。大臣の御所見を承っておきたいのであります。  次は、利子配当所得に対する課税制度についてであります。  この課税制度の動向については、大型間接税と並んで国民から極めて強い関心が寄せられております。政府税調も、この問題の結論を夏までには出すものとしております。大臣は、六十一年度に凍結が解除されるグリーンカード制度の復活が可能であるとお考えになっているのかどうか。また同時に、六十年度税制改正において何らかの措置をされるのか、あわせて御答弁をいただきたいのであります。  また、六十年度以降、大型間接税の導入や給与課税などによって公的年金などを含む社会保障費財源としての福祉税の創設が伝えられておりますが、政府は本当に着手をされるのか、大臣の御所見を伺っておきたいのであります。  以上、私は、国民の最も関心のある問題に絞って質問をいたしました。  総理、申すまでもなく、政治国民のためのものであります。そして、その国民の立場から見れば、「増税なき」とは、減税はしても増税はしないということではないでしょうか。政府経済財政運営に誤りなきことを心から願うとともに、重ねて一兆四千億円の大幅減税実施と間接税三法の増税の撤回を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  43. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 柴田議員にお答えを申し上げます。  まず、五%台成長を目指すこといかんという御質問でございます。  五十九年度におきましては、世界経済は、原油価格の安定、物価の落ちつき等を背景に引き続き回復が期待されているところであります。国内経済は、同じく物価の安定、企業収益の改善等によりまして、景気回復を支える要因は依然継続して、景気は上昇に向かうものと期待されております。  政府といたしましては、行財政改革を着実に推進しつつ、国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図ることとしており、内需中心として実質で四・一%程度の成長を見込んでやっております。これは大体、昨年夏つくりました「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、この線に沿って今実行しておるものなのでございます。  次に、所得税住民税減税について御質問をいただきました。  今回の減税は、初年度ベースで約一兆千八百億円という大規模な本格的な減税実行したものであります。景気はいまや回復しつつありますが、今回の措置がそれをより確実ならしむることを期待しておる次第であります。財源面からの制約からして、今回の減税規模財政状況を見ますと精いっぱいのものであると考えております。  次に、間接税増税の問題でございますが、今回は、所得税減税を行いつつ、財政事情をこれ以上悪化させないという見地から、必要かつやむを得ない措置として実行したものでございます。間接税の税率引き上げ消費に及ぼす影響はおのずから限られたものがあると考えられます等から見て、今回の大幅な所得税減税の効果と合わせた場合に、全体としては経済にプラスの影響を持つと期待されております。  なお、酒税、物品税増税消費者物価への影響はわずかなものであると考えており、これらの三税は撤回する考えはございません。  次に、租税負担率と「増税なき財政再建」の考え方でございます。  昭和五十九年度の租税負担率は二四・二%となりまして、五十八年度補正後のベースに比べまして〇・三%上昇しておりますが、これはほとんど税の自然増収によるものでございます。自然増収によって租税負担率が上昇することは、臨調答申の「増税なき財政再建」には反しないと考えております。  臨調答申は、お示しのとおり、「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たって、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率(対国民所得比)の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらないということを意味していると考えております。  いわゆる大型間接税については、これを実行する考え方はありません。(拍手)     〔国務大臣河本敏夫君登壇
  44. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する第一の御質問は、我が国の潜在成長力をどう見るかということでありますが、潜在成長力の計算方法につきましては、統一された手法がまだ確立されておりません。したがいまして、これまで政府では具体的に数字をもって計算したことはありませんが、しかし、経済の基礎的な条件を先進工業国と比べてみますと、どの国に対しましても日本の基礎的条件の方がすぐれておる、私どもはこのように判断をいたしております。したがって、先進工業国の中では一番高い潜在成長力を我が国は持っておる、このように判断をしておるところでございます。  そこで第二の問題として、五十九年度の経済政策をどうするのか、我が国の潜在成長力をどう高めていくのか、こういうお話でございますが、五十九年度の経済政策の基本方針といたしましてこれまで政府が確認をいたしました対策といたしましては、まず物価の安定を維持するということが第一であります。第二には、経済の情勢に応じて財政と金融政策を機動的に運営する、こういうことであります。それから第三には、対外経済摩擦を速やかに解消いたしまして自由貿易体制を維持していく。以上三つのことを確認をいたしておりますが、これからの経済の動向に即応いたしまして適切な対応策をとってまいりたい、このように考えております。(拍手)     〔国務大臣竹下登君登壇
  45. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問にお答えをいたします。  まず、税制調査会の中期答申におきまして、財政改革を進めるに当たって歳出抑制努力と並行して、歳入面においても社会経済情勢の変化に対応して、より公平かつ厳正な税制とするよう、税体系のあり方について検討をしていくべきである、こういうことが指摘されております。したがいまして、税負担税体系のあり方というのは、公共サービスのあり方とともに、究極的には国民合意と選択によって決められるべき問題でございますが、これからも国会の議論を通じたり、各層の意見を聞きながら、幅広く検討していく課題だというふうに理解しております。  それから利子配当所得に関する問題でございますが、この問題は税調では、多数の貯蓄者及び貯蓄取扱機関等に関係するほか、金融市場に大きな影響を与える問題である、したがって、今後なお時間をかけて検討を進めることが適当である、こうされながらも、一方で、ただグリーンカード制度凍結期間との関連から、できれば今年夏ごろまでに結論を得ることが望ましい、このように言われておるわけであります。したがって、これこそ今後の税調の審議、御検討の状態の推移を見ながら、これにはそういうことを念頭に置きながら対処していかなければならぬ課題だというふうに認識をいたしております。  それから、福祉税構想というのは、これはいわゆる福祉税と言われるような新税は、今具体的に検討を行っておることも全くございません。強いて申すといたしますならば、ある商業紙に雇用税的な発想でそういうことが出ておったことがございますが、幅広い角度からの勉強の課題としては受けとめられますけれども、今日、まだ検討したことが全くございません。  それから循環赤字、いわゆる構造赤字という問題、これは確かに、「現在の一般会計赤字は、仮に経済が完全雇用状態にあったとしても相当程度縮小するといった性格のものでないことに留意する必要がある。つまり景気回復しでもかなりの財政赤字が残るという意味で、いわば「構造的赤字」ともいえるものである。」という御指摘は経済白書でございますが、構造的赤字と循環的赤字という対比で行うということは、なかなか難しい問題であるというふうに考えます。したがって、これからいわば財政改革を強力に推進して体質改善を進めていくという必要があろうというふうに理解をいたしております。(拍手
  46. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 総理大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣中曽根康弘君。     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  47. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 先ほどの社会党渋沢議員の御質問に対する私の答弁中「与野党間の話し合いで」と申し上げましたのは、大蔵大臣から補足答弁がありましたように、昨年九月九日の幹事長・書記長会談において財源確保に関する文字があったという意味ではございません。
  48. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 玉置一弥君。     〔玉置一弥君登壇
  49. 玉置一弥

    ○玉置一弥君 私は、民社党国民連合を代表し、ただいま議題となっております酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案並びに石油税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係各大臣に御所見をお伺いいたします。  私は、来年度予算について国民中曽根内閣に求めたものは、第一に、国民の重税感、税に対する不公平感を解消すること、第二に、速やかな内需主導型の景気回復実現国民生活の安定を図ること、第三に、国家的課題である財政再建に向けて着実な第一歩を踏み出すことの三つであったと考えます。  中曽根総理が昨年十二月の総選挙の際に打ち出された来年度予算編成構想は、この三つについての総理のお考えがそれなりに示されたものでありました。しかるに私は、このたびの来年度政府予算案を見て、中曽根総理が、構想における国民への公約をことごとく打ち破り、国民の期待を大きく裏切ったことを知り、大いなる失望の念を禁じ得ませんでした。  その公約違反の第一は、増税を行わないとの公約にもかかわらず、減税財源確保の名のもとに減税総額を上回る国税約一兆円の増税を行おうとしていることであります。  第二は、行革に政治生命をかけると言い続けてきたにもかかわらず、公務員定数の削減地方公務員給与是正など本来の行財政改革には十分着手していないばかりでなく、健保の改悪や児童扶養手当制度の後退など行革を口実とした福祉の切り捨てを図っていることであります。  第三は、赤字国債の極力大幅削減公約にもかかわらず、予算案では一兆円の減額予定を大幅に下回り約半分の五千二百五十億円の減額にとどまっており、政府財政再建に対する熱意が極めて疑わしいことであります。  第四は、公共事業の適切な確保の公約にもかかわらず、来年度一般会計公共事業関係費は二%削減され、景気回復を妨げるものとなっていることであります。  以上のように、総理のこれまでの重要な公約がほとんどほごにされていることは到底容認できません。特に減税との抱き合わせであれば酒税、物品税、自動車関係諸税などの大幅増税を行っても増税でないとの中曽根流の解釈は、国民を欺く詭弁と言わざるを得ません。このような政治姿勢に終始する中曽根内閣の目指す財政再建は、「増税なき財政再建」ではなく、まさに「増税による財政再建」と言わなければなりません。  総理は、さきの施政方針演説において「増税なき財政再建」の方針を明言されず、その後の国会審議においてもあいまいなままに終始し、さらに竹下大蔵大臣与党幹部の方々などは、六十年度以降における大型間接税の導入を示唆されるなど、国民に大きな不安を与えていることは極めて遺憾であります。  政府は今回、減税財源確保の名のもとに酒税、物品税を初めとする約一兆円の増税を強行されようとしていますが、中曽根総理は、減税減税と言いながら、増税税収増加として逃げておられるのであります。私は、総理が何と弁解されようとも、約一兆円もの増税は、国民の目からは増税以外の何物でもなく、「増税なき財政再建」の方針は、既に五十九年度から崩れたと考えているのでありますが、総理はいかがお考えでありましょうか。  また、中曽根流の解釈によるところの「増税なき財政再建」の方針は六十年度以降も堅持していかれるつもりなのか。その場合の「増税なき」の定義は何なのか。今回総理が言われたところの、いわゆるでこぼこ調整は「増税なき」に反しないのか。さらに、六十年度は大蔵省の試算によると約四兆円の財源不足となりますが、EC型付加価値税あるいはかつての一般消費税(仮称)などの大型間接税の導入を直間比率の名のもとに実施するつもりかどうか。これについて、総理の御所見を求めます。  また、竹下大蔵大臣は、物品、サービス等に係る課税ベースの拡大等についての検討をうたった昨年の政府税調中期答申について、この趣旨に沿って検討を続けていかなければならない、検討しないと非礼に当たる旨の発言をされておりますが、六十年度以降の大型間接税の導入に対していかがお考えでしょうか。  先日の本会議答弁の中で竹下大蔵大臣は、国民社会保障税負担を西欧諸国より低いところに抑えると答弁をされたと思いますが、現在の我が国国民所得に対する社会保障税負担率は、合計で三四・三%であり、アメリカ三七・七%、イギリス五一・〇%、西ドイツ五一・八%、フランス五八・六%であると言われております。どのレベルにお考えか、また、現在からその時点までの負担増加は何によって対応するおつもりか、明確な御答弁をお願いいたします。  さらに、河本経済企画庁長官は、さきに来年度税制改正について、増税幅の圧縮、投資減税実施、大衆課税の抑制を主張されましたが、この点についての真意をお伺いいたします。  また河本長官は、かねてより四兆円程度の大幅所得減税とそれによる景気回復後の間接税の増税による直間比率の見直しを提唱されておりますが、これについての詳細なる御所見とその実現のための今後の対応についてお伺いをいたします。  次に、酒税法の改正案についてお伺いいたします。  政府が、今回の改正案において、税負担の軽減を求める多くの国民の声を全く無視し、ビールを二〇%、ウイスキーを二〇%から三〇%、清酒を一五%から二〇%と大幅な増税を強行し、お酒を愛する国民を失望させるようなことは到底容認できません。  昨年の政府税調中期答申において、酒類間及び級別間の税負担格差の縮小並びに価格帯の広い酒類についての従価税の適用範囲の拡大が指摘をされておりますが、これを受けて政府はどのように対処をしていかれるのか、大蔵大臣の御所見を求めます。  次に、物品税法の改正案についてお伺いいたします。  昨年の政府税調中期答申においては、物品税の課税対象について、新規に開発された物品、その使用、消費の実態やそれからもたらされる便益等から見て税負担を求めることができると認められる物品などに範囲を拡大していくことの必要性が指摘されておりますが、物品税消費税に置きかえるのか。今後物品税を拡大する際、「担税力に着目して」とあるが、担税力算定をどうするのか。大蔵省の独断と恣意で決定される危険性があります。また、そのもたらす諸般の影響を十分考慮すべきだと考えますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。  今回の酒税及び物品税引き上げが及ぼす影響についてどのようにお考えでしょうか。個人消費消費者物価等に与える影響についても御所見を賜りたいと思います。  次に、石油税法の一部改正案について質問いたします。  石油、LNG等は我が国産業を支える源であり、そのコストの低減は安定確保と並ぶエネルギー政策の最重要課題であります。しかるに、今回政府が講じようとしている石油税の増税は、エネルギーコストの上昇をもたらし、景気回復に水を差すものであります。政府は、安易な増税に走る前に、エネルギー対策の重点化、効率化を徹底すると同時に、一般会計に留保されています石油税収五千億円を、石油税創設の本旨からして全額石特会計に返還すべきであります。留保財源について政府昭和五十九年度に六百七十億円の返還を行うこととしておりますが、今後五千億円全額を石特会計に返還するのかどうか。返還するとすれば何年で措置するのか。大蔵省内部では、あれは北方領土だ、沖縄だと意見が分かれているようでありますが、大蔵大臣の具体的な答弁を求めます。  また、今回の石油税の引き上げは、原油価格の下落、量の減少のため、エネルギー対策のための引き上げということでありますが、今後原油価格上昇、量の拡大があったときには石油税の引き下げが行われることになるのか、確認をしておきたいと思います。  最近の石油系エネルギーの使用量は、国民の省エネルギーに対する工夫が効果を上げ、また景気低迷が長く続いてきたため、やや減少しているようでありますが、今後のエネルギー確保のためには、政府がそのときの財源状況によって代替エネルギーの開発の進度を変えてはならない。また、これからのエネルギーコストの低減のためには、石油産業の構造改善にも取り組んでいかなければならないと思いますが、通産大臣はどのようにお考えになっているか、御所見をお伺いいたします。  最後に、五十八年度、五十九年度の所得減税については、日本経済に占める個人消費のウエートを無視し、勤労者の生活実態を十分把握していないものであることを申し添え、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  50. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 玉置議員にお答えをいたします。  まず、増税の定義の問題でございますが、臨調答申におきまして「増税なき財政再建」と申しておりますことは、当面の財政再建に当たっては、何よりも歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての国民所得に対する租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、こういうふうに意味しておりまして、不公平税制是正とかあるいは自然増収による率の向上とか、そういうような問題は、この中には含まれていないというふうに考えております。この解釈は、瀬島臨調委員が参議院の参考人として参りましたときにそのように言明していると記憶しております。  次に、「増税なき財政再建」でございますが、何よりも制度の徹底した見直し等によって厳しい歳出削減を基本として取り組むべきものであり、「増税なき財政再建」はそのための重要なてこになっておると考えております。また、各種の公共サービス等の確保は国民の負担に裏づけられるものであることにかんがみまして、歳入面においても社会経済情勢の変化を踏まえ、公平、適正な税制のあり方について検討を行う必要があるように思います。  昭和六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するというこの目標達成は容易なものではないとは思っておりますが、しかし、国民各層の御意見を伺いつつ、財政改革に最大限の努力を傾倒して、これを実現する考え方であります。  次に、大型間接税の問題でございますが、この大型間接税を行う考えは持っておりません。  残余の答弁は、関係大臣から答弁させていただきます。(拍手)     〔国務大臣竹下登君登壇
  51. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。  大型間接税の問題については、総理からお答えがございました。私どもがいつも申し上げておりますのは、今後の税体系のあり方について税制調査会から中期答申をいただいております、その線を踏まえまして、私どもは絶えず、この税負担及び税体系のあり方について、国会の議論等を中心にし各方面の意見を伺いながら幅広く検討してまいりたい、こう申し上げておるところであります。  それから二番目に、酒税についての税負担格差の縮小等の問題についての、御意見を交えての御指摘でありました。  税調の中期答申は、今後「酒類について適正な税負担水準を確保するための見直しを行う際には、酒類間及び級別間の税負担格差の縮小を図ることが適当である。」このように指摘されております。今回の改正におきましては、これを踏まえて、小売価格に占める税負担割合の低い酒類ほど従量税率の引き上げ幅を大きくすることを基本方針といたしまして、各酒類の消費及び生産の態様に配意をしながら、引き上げ幅につき所要の調整を行ったわけであります。  それから課税方式について、「当面は、税負担の公平の観点から、価格帯の広い酒類について従価税の適用範囲を拡大していくことが適当である。」こう中期答申で指摘されておるわけでございますが、その産業に及ぼす影響等なお検討すべき問題がありますので、今後の課題として、今回はこれは見送ることにしたわけであります。  それから税制調査会の中期答申の物品税に関する考え方、意見を交えての御質問でございました。  これは税制調査会では、最近における消費の実態等を踏まえ、課税対象を拡大していくことを検討する必要があるという指摘がなされております。これは、今までどおり新規に開発された物品等を積極的に課税対象に取り入れていく、そしてその使用、消費の実態やそれからもたらされる便益等から見て税負担を求めることができると認められる物品を課税対象に取り入れる方向で検討するということは、これからも同じであります。が、きちんと御指摘のありました、その際、大蔵省の独断と恣意が働いてはならぬぞ、それから産業、経済に及ぼす影響等は十分配慮しろよ、そのとおりであると思います。  その次は、租税負担社会保障負担の私の答弁等を参考にしての御質疑でございましたが、「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」これにおきまして述べておりますように、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめるよう努めることとし、その方向をお示ししたところであるわけでございます。しかし、国民負担水準の目標数値というのは、これは究極的には政府部門と民間部門における資源配分をどうするか、こういうことになろうかと思いますので、結局は、年々の予算編成過程における国民の選択を通じて明らかにされていくべきものであって、あらかじめこれを固定的に考えることは難しい問題だ。  そこで、かなり低い水準、こういうことの表現でございますが、かつて臨調等における議論の過程において、かなり低い水準とは、例えば四〇%とか四五%とかいった水準を想定する等の意見があったということは聞いたことございますけれども、政府としては、今後こういう議論は、それこそただいまの御議論を通じたり、まさに幅広い意見に耳を傾けながら、一体国民の選択が那辺に存在するかということを見きわめていく課題であるというふうに考えております。  それから、一般会計に留保されておる石油税収の問題についての、これも御意見を交えての御質問でございました。  実際問題、積立金のような形で現実の資金として存在しておるものではないわけでございます。したがって、繰り入れ未済額の繰り入れの問題は、厳しい財政事情のもとで、各年度の予算編成において、他の歳出との均衡等に配慮しながら、石油対策にどれだけ要るかということを決めていく課題であろうというふうに考えておるところであります。  それから、今後のいわゆる石油税等が原油価格の低下とか輸入量の減少によって振幅がある、その場合どうするか、こういうことでございますが、これは、まさに石油及び石油代替エネルギー対策に係る財政需要や石油に係る税負担状況等に配慮しながら適正な水準を求めていくべきものでありまして、そのときどきに応じて適切に判断すべき問題であります。今そういう大きな変化というものを前提に置いて、固定的な物の考え方は持っておりません。  それから、今回の酒税、物品税増税個人消費あるいは消費者物価に与える影響等でございますが、今回の酒税、物品税増税は、一方で所得税の大幅な減税、そういうことがございますので、酒類は特殊な嗜好品であって、しかも今回の増税を小売価格上昇率で見ると非常に低い。それから今回新たに物品税の課税対象に加えた物品はごく狭い範囲だ。したがって、総じて、今回の増税個人消費に与える影響はおのずから限られたものであります。したがって、酒税、物品税増税消費者物価への影響は、酒税で〇・一二%程度、それから物品税で〇・〇一%程度というふうに見込まれておるところでございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣小此木彦三郎君登壇
  52. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 玉置議員にお答えいたします。  近年の我が国石油産業をめぐる環境は一段と厳しさを増し、石油業界の経営体質は一層悪化しており、我が国の主要なエネルギー源たる石油の安定供給を図る上で、御指摘のとおり石油産業の構造改善は緊急の課題でございます。  このため、石油製品の需給動向に対応し、これまで石油各社において過剰設備の処理の実施等経営の合理化に努めておりますが、当省といたしましても、設備構造の高度化、元売企業の集約化等石油産業の構造改善対策を一層推進していく所存でございます。  二番目の質問は、一時的な石油需給の緩和等に惑わされず、代エネ対策を着実に進めていくべきではないかという御質問でございますが、国際石油需給は一時的に緩和基調にございますが、中長期的には非常に逼迫化いたしておるのでございます。また、我が国のエネルギー供給構造は、石油依存度及び輸入依存度が極めて高い水準にあり、依然脆弱でございます。石油代替エネルギーの開発導入は長期のリードタイムを要することでもあり、今後とも計画的かつ着実に推進する所存でございます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣河本敏夫君登壇
  53. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する御質問は二つございますが、その第一は、五十九年度の税制審議の際に増税幅の圧縮、特に大衆課税に対する増税幅の軽減、それと投資減税実施、この主張をしたそうであるが、それは何のためであるか、こういう御質問でございますが、それは経済政策上必要である、このように判断したからであります。(拍手)  それから第二の御質問は、私が四兆円の所得税減税を主張しておるが、その真意いかん、こういう御質問でございますが、私は、先ほども御答弁を申し上げましたように、大蔵大臣と自由民主党の政策責任者に対しまして、税体系の根本的な見直しということについて、経済政策の立場から若干の提案をいたしまして御検討をお願いしておる、これはそのとおりでございますが、その中には所得税大幅減税という項目がございますけれども、数字は申し述べておりません。その御指摘になりました数字は、別の場所で私に対しまして所得税大幅減税とはどういうことか、こういう御質問がございましたので、一例を挙げまして、昭和四十九年に我が国では一兆八千億の所得税減税をしたことがあるが、それは今の経済規模に直すと約四兆円になりましょう、これは一つの参考です、こういうことを申し上げたことはありますが、今党と内閣で検討していただいております税の根本的なあり方につきましては、具体的な数字を挙げないで、大幅減税ということで今御研究をいただいておるところでございます。(拍手
  54. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 簑輪幸代石。     〔簑輪幸代君登壇
  55. 簑輪幸代

    ○簑輪幸代君 私は、日本共産党革新共同を代表し、酒税法等一部改正案、物品税法一部改正案及び石油税法の一部改正案など、いわゆる間接税増税三法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。  まず最初に、五十九年度の税財政全体に係る問題についてお尋ねいたします。  総理は、すべての家庭が夕げの明かりに家族の団らんのひとときを過ごし、あすへの希望を語り合える世の中をつくることが政治責任だと言われました。ところが、五十九年度予算案は、国民に軍拡、福祉の切り捨て、増税を押しつけるもので、その内容を知れば知るほど、その国民犠牲の大きさに驚きと憤りが広がっています。あすへの希望どころか、逆に核戦争の不安や今後の暮らし、老後の不安を訴える人がふえるばかりではありませんか。  家計簿調査によれば、税金、社会保険料、各種公共料金の値上げは、特に収入の低い層に重い負担となっており、妻がパートや内職で家計を支えている世帯がふえてきています。税金調査の結果、ある人は、容赦なく取られた税金が私たちの生活の潤いとなって戻り、年ごとに住みやすい国になるならともかく、軍備増強に回って社会保障も先細り、このまま黙々と税金を負担し続けるほど愚かしいことはないと痛感しましたと訴えています。  今回、七年ぶりの本格減税と言われても、同時に間接税などの見返り増税と公共料金値上げによって、年収三百万円以下の標準世帯では減税を上回る負担になっているのです。他方、大量国債発行のもとで国債を保有する大資産家や大企業には、利払いの形で国民から集めた税金が流れ込んでいます。  また、初年度八千七百億円の所得税減税は、政府が試算したこの六年間の実質大増税約四兆八千四百億円から見ればその二割にもならない上、十五年ぶりに最低税率を引き上げ最高税率を一挙に五%も引き下げるという、不公平この上ない金持ち減税ではありませんか。これでは貧富の差は拡大する一方です。  総理は、一体、財政の所得配分機能をどのように考えておられるのでしょうか。また、今回の税制改正が国民減税要求にまともにこたえたものになっているとお考えでしょうか。私は、特に低所得者に減税効果が大きい方法で、五十九年度所得税住民税合わせて二兆円の減税実施要求いたします。(拍手)また、パート、内職の非課税限度額、自営業者の専従者控除は、せめて百二十万円まで引き上げるべきです。あわせて総理の誠意ある答弁を求めます。  次に、減税財源一つとして、法人税の税率引き上げと欠損金繰り戻し還付制度が二年限りとされ、延納制度が廃止されたことは納得できません。大企業優遇の退職給与引当金の是正など不公平税制是正に手をつけず、長期不況のもとで経営難にあえいでいる中小企業へ負担を押しつけるのはもってのほかです。  今回の措置によって中小企業の負担は一体どれだけふえるのでしょうか。また、今回二年間の時限措置にしたのは大型間接税導入を見込んだものと言われ、さらに法人税増税の見返りに投資減税が上積みされ、大銀行の特定海外債権への一部損金算入化を認めるなど、現行の大企業への恩典拡大さえ行うに至っては全く言語道断です。二年限りの時限措置にした理由と、二年後の財源手当ては一体どうするのかについて、関係大臣の答弁を求めます。  第二に、酒税、物品税、石油税など間接税三法案について伺います。  総理は、総選挙中、でこぼこ調整はするが増税はしないと公約しました。今の税体系の中で、総理の言うでこぼこの具体的内容は一体何でしょうか。それと、今回の改正でどう措置したのか、今後残されている問題は何か、国民によくわかるようにお示しいただきたいと思います。(拍手)  いずれにしても、今回の増税約一兆円の半分以上が逆進性の強い間接税なのです。これは所得の低い者ほど増税になり、減税に何ら浴しない生活保護世帯や母子家庭など最も困難な世帯からももぎ取ろうとするやり方であって、断じて許せません。(拍手)これでは、真に福祉の必要な人々には手厚い施策をとると総理自身が国民に約束したことさえ投げ捨てているではありませんか。税負担感がないからと安易に間接税増税を行うことは、税の不公平を拡大することになり、著しく不当です。  次に、酒税は今回一斉値上げで約二〇%上げようとしていますが、一体酒税は低過ぎるというのでしょうか。小売価格に占める酒税の負担は、昭和五十年の三〇・一%以来上昇し続け、最近では三八%に達しています。今改正後には、ビールは四九%、ウイスキー特級五〇%、清酒特級で四〇%程度と、半分は税金を飲むことになるのです。庶民のささやかな歓談の友である酒は、たばこに次いで逆進性が強いもので、安易に取りやすいところから取る典型です。酒税負担は一体どこまでいくのか、その限界について、この際明確に答弁いただきたいと思います。  酒類の中で、洋酒等のはんらんで需要が年々減ってきている清酒醸造業は、地方の零細な造り酒屋を中心に転廃業がふえています。日本の味、伝統産業である清酒業界をめぐる現状認識と、その振興策をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  物品税については、これまで奢侈品、比較的高価な便益品、趣味・娯楽品という基準で課税してきたといわれています。ところが、さきの政府税調中期答申では、消費の持つ担税力に着目するという物品税基本的性格に立ち返る必要を説いています。これは物品税基本的性格を根本的に変えるもので、極めて重大問題です。  課税対象として従来考えられなかったOA事務関係機器への課税拡大が検討されたり、従来は外されてきた全自動でない電気洗濯機にまで課税するなど、今回、新たに個別消費税としての性格を変質させ、生活必需品にまで課税する方向は、際限なく課税対象を広げるもので、何の歯どめもないではありませんか。対象をどんどん拡大して、いわゆる課税ベースの広い間接税につなげていくのではありませんか。一体、物品税の課税対象基準について今後具体的にどう考えていくのか、大蔵大臣の明確な答弁を求めます。  次に、平年度一千三百四十億円の石油税増税は、いずれ製品価格に転嫁され、最終的には国民が負担することになります。その増税分も入った石特会計予算の半分以上が国家備蓄増強関係費で占められています。  今日、石油事情は大きく変わり、当初予定されていた我が国の石油消費量は、日量百万キロリットルから五十四万キロリットルに激減しているのです。備蓄基準は現状でもIEA基準の九十日分を上回っており、加えて、民間に今ある約一千万キロリットル分の空きタンクの活用などを考えるならば、今増税してまで国家備蓄基地の建設を急がなければならない理由はないと思いますが、その必要があるのでしょうか。  第三に、中曽根内閣財政改革路線と、急浮上してきた大型間接税導入問題について伺います。  渡辺自民党幹事長代理の六十年度大型間接税導入表明とその後の議論は、政府自民党財政改革路線の本音が国民への大増税であることを改めて示しています。五十九年度税制改正による物品税の課税範囲の拡大、そして中小零細業者、農民への記帳義務、総収入金額報告制の導入などは、その布石と言えるものです。既に政府税調も、課税ベースの広い間接税の導入の検討を提言し、竹下蔵相も、機が逐次整備されてきている、避けて通れない検討課題だと言明しています。また、今国会提出された「財政の中期展望」は、財政破綻の実態を示すと同時に、大型間接税導入の意図を露骨にあらわしたものではありませんか。  一方、政府与党内で、この五十九年度予算成立後、中長期の財政再建プログラムとともに直間比率の見直しなど今後の税制のあり方が検討されることになっていること等を見れば、中曽根内閣のもとで「増税なき財政再建」から大型間接税導入への路線転換が大きく進められようとしていることは明白です。(拍手)  総理は、六十年度大型間接税導入について、幹事長代理の個人的見解だ、考えていないと言っていますが、国民は不安をぬぐえません。今回の減税を上回る増税実施赤字国債の借換債の発行措置など、総理を初め政府国会のこの場で何回も何回も約束し国民公約してきたことが平然と破られているではありませんか。(拍手)  総理、この場で改めて、五十九年度はもちろん、六十年度以降についても大型間接税導入はしないと明言すべきです。今考えていないとだけ言って先で平気で覆すという不誠実な態度は国民政治不信を深めるもので、絶対に許されません。率直かつ誠実な答弁を求めます。  日本共産党革新共同は、福祉目的税などの名称や形のいかんを問わず、大型間接税導入に断固として反対です。総理が進めている財界主導の臨調行革だと私どもが批判している当のその財界首脳の稲山経団連会長は、現行の税制について、税はすそ野から、もっと大衆から広く取る方法に改めていくべきだと述べていますが、総理も同じお考えなのでしょうか、お伺いいたします。  今、中曽根内閣は、軍拡、大企業奉仕のために、福祉の全面的制度改悪と大増税を同時に強行しようとしています。この道は国民を戦争に巻き込む危険を増大させ、経済財政危機を一層激化させて、国民の暮らしを破綻させるものです。  私ども日本共産党革新共同は、軍拡から平和・軍縮への根本的転換、二兆円減税を初めとする国民生活を守る予算への転換、そして大企業奉仕の仕組みにメスを入れ民主的行政改革を進めるという三つの転換を掲げています。  真にあすへの希望が語り合える平和で豊かな社会を切実に願っている国民に対し、誠意ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇
  56. 中曽根康弘

    内閣総理大臣(中曽根康弘君) 簑輪議員にお答えをいたします。  まず第一に、所得の分配機能の問題でございます。  所得の分配機能につきましては、我々も非常に重要視をしておる次第で、特に社会的弱者に対する福祉施策の充実等につきましては、きめ細かい配慮を今までもやってきているところです。あるいは医療制度あるいは教育費等につきましても同様であり、いわゆる所得税率の刻み方をごらんになりましても十分御理解いただけることであると思います。なお、今後とも必要な施策については適切な配慮を行ってまいります。  防衛費についていろいろ御言及になりましたが、自分の国は自分で守るのは当然ではないかと私は思っております。(拍手)共産党でも中立自衛ということを言っていらっしゃいますね。中立自衛となるとひとりで守るのですから、今よりはよっぽどお金がかかることになるのじゃないかと私は思います。  次に、間接税、公共料金について御質問がございました。  今回の酒税、物品税等の税率引き上げ等は、これは所得税の大幅な減税実施いたす関係上、財政事情を勘案いたしまして、必要やむを得ない措置として実行したものであります。  また、公共料金につきましては、経営の徹底した合理化を前提として、受益者負担を原則としつつ、物価や国民生活に及ぼす影響等も配慮して厳正に取り扱うこととして、そして特にやむを得ないものについてこれを適正化すべく努力してきたところでございます。  所得税減税につきましては、一兆千八百億円に及ぶ本格的な大規模なものでございます。現在の財政事情は歳出の約二五%を公債発行によって行っているというこの厳しい情勢のもとで、ぎりぎりの努力をしたとお考え願いたいと思うのであります。  さらに、所得税減税を行え、あるいはパート、内職の非課税限度等の御質問がございましたが、所得税につきましては先ほど申し上げたとおりであります。なお、配偶者控除の受けられるパート主婦の給与収入限度額を八十八万円に、また、白色申告者の専従者控除を四十五万円に、それぞれ引き上げた次第でございます。  でこぼこ是正の問題がございましたが、これは、臨調答申の線に沿いまして、国民所得に対する租税負担率を変えない範囲内において調整を認めていただいておるわけでございます。そういう範囲内の措置として、今回一部の間接税等につきまして増収を図ったということでございます。  大型間接税については考えておりません。(拍手)稲山さんの御発言について御言及がありましたが、稲山さんは何を言ったか知りませんが、いわゆる大型間接税というようなものは考えていないということを申し上げる次第です。  残余の答弁は、関係大臣からいたします。(拍手)     〔国務大臣竹下登君登壇
  57. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 法人税の税率上げと欠損繰り戻し還付制度の廃止等についての御質問でございました。  法人税の税率引き上げの幅は一・三ポイントでありますが、中小法人に適用されます軽減税率の引き上げ幅は一ポイントにとどめております。そのほかに、中小企業に対しては投資促進税制の適用を新たに認めるなどの配慮を加えておるところであります。  欠損金の繰り戻し還付制度の適用停止につきましては、別に欠損金の繰越控除制度があります。また、解散とかあるいは営業の全部譲渡等、欠損金の繰越控除制度では救済できない場合には、従来どおりの繰り戻し還付制度の適用を認めることとしておりますから、新たな負担をお願いするという性格のものではございません。  法人税の延納制度の廃止は、基本的には納税の時期の変更にすぎないというふうに御理解をいただきたいと思います。  次の、法人税の税率引き上げを二年限りの時限措置とした問題についての御質問でございます。  税調答申で「法人課税の負担水準については、既に相応の水準にあるが、総体としてみた我が国企業の国際競争力や主要諸外国における法人課税の負担水準からみて、厳しい財政事情の下で」「若干の負担の増加を求める余地も残されているのではないかと考えられる。」そういう答申がございます。そこで「特別の財政需要等に応じ臨時の措置として対処する際は別として、主要諸外国と比較してあまりかけ離れたものとなることは国際競争力の観点から好ましくないであろう。」こういうふうにも書かれておるわけであります。  それで、若干の負担増をお願いすることとしたわけでございますが、実効税率がこれまでの最高の水準に達することでもありまして、今後の財政事情の推移のほか、経済動向等を見定める観点から二年間の臨時措置とした、こういうことでございます。したがって、期限到来期には、その際の経済動向、財政事情を考慮して、税制全体の見直しの中で検討さるべき課題であるというふうに理解をいたしております。  それから酒税の負担の逆進性の問題でございます。  この酒税というのは、致酔飲料としての特殊な嗜好品である点に着目して課税をするものでございます。今日、一方で所得税大幅減税を行いながら、これ以上財政事情を悪化させないということから、過去に比べ税負担率が低下している酒類に対して負担の増加を求めることにした、こういう措置でございます。今後さらに負担の引き上げを求めるかどうか、それはそのときどきの財政事情、酒税負担の状況によって検討されるべきものでございます。  それから、清酒産業は危機に瀕しておるという、お酒屋さんを御心配しての御発言でございましたが、確かに伸び悩み等多くの問題を抱えておりますが、このために、従来は原料面とか需要面で多くの問題を抱えておりますが、健全な発展を期待して、今回は、税率面での配慮とかあるいは近代化に対する支援指導、清酒業安定法の近代化事業の充実強化等によってこれに対応していきたいということでございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣小此木彦三郎君登壇
  58. 小此木彦三郎

    ○国務大臣(小此木彦三郎君) 簑輪議員にお答えいたします。  我が国は中東の石油に大きく依存しておりまして、その中東の情勢は依然として不安定であります。また、我が国の備蓄水準が欧米先進諸国における備蓄水準に達していないところから、引き続き民間九十日備蓄を維持するとともに、三千万キロリットルを目標とする国家備蓄を着実に推進していく必要があります。  以上であります。(拍手
  59. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  60. 勝間田清一

    ○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十七分散会      —————・—————