○
稲葉(誠)
委員 刑事
局長、この前僕はちょっと言うのを間違ったことがあるので、訂正させてください。あなたが岐阜の検事正から来たと僕は言ったでしょう。あれは間違い。佐賀の検事正から来たので、この機会に訂正させてください。いや、僕もそれが気になっていたんだよ。後で気がついたのだけれ
ども、間違っていた。
今あなたは、株のことは詳しくないと言うけれ
ども、これはおかしいですよ。資本主義経済の悪をあれするのが検事の仕事なのですよ。ほかのことは警察に任せておけばいいのよ。そうでもないけれ
ども……。だから、一番の大きな問題は、株の操作の問題なんですよ。これは検事もわからないのですよ。まず警察がわからない。兜町の中央警察に行ってごらんなさい。あそこへ行くと、いろいろな相談に行くのだけれ
ども、株のことよくわからないものだから、そんなのだめだとかなんとか言って、みんな結局うまく受け付けてもらえないわけだ。
刑事
局長が株のことわからないのじゃ困るので、あなた、一番詳しく専門家になって特捜部を指揮してもらわなければ困るのだよ。ここに犯罪の巣があるのですよ。これは総裁選挙でも何でも、みんなこれなんだから。ここから金が出てくるのですから。去年の総選挙のときの金はここから出ていると言われているのですよ。
今、私、読んだでしょう。実はこれは日刊ゲンダイに出たやつですよ。「総裁選にからむ政銘柄の玉移動が始まっている」というので、ここへ電話してくれって書いてある。政治部、投資ジャーナル。投資ジャーナルというのは中江ですわ、今問題になっているかいないか知らぬけれ
ども。
加藤というのはあれになっていますけれ
ども。あなた、
加藤の
事件だって所得税法違反だけでしょう。証取法違反でやってないでしょうか。これは検事自身も、こういう
事件にかかわっている検事は特捜部の中でも二、三人でしょう。だから、とても手が回らないのはわかるけれ
ども。
実は、ここへ私が電話するわけにはいかぬから、ある人に電話してもらった。そして全部テープにとってもらった。約二時間。そこで出てまいったのが政治銘柄の問題ですよ。証券新聞ではみんな出ているのですよ、みんなじゃないけれ
ども出ているわけですね。一番大きなのはアラビア石油の問題です。テープの中に、アラビア石油の問題が出てくるんだ。アラビア石油が、
最初、去年六月ごろ千七百五十円だったのですよ。いいですか。六月十一日に千七百五十円、これが九月になって七千五百円に上がっているのですよ。
だから、ほかの石油会社もみんな上がったのかと思って調べたわけですよ。
日本石油と帝国石油を調べた。そうしたら、
日本石油の場合は、七月十一日が九百八十八円。九月も大体同じぐらいですね。それから帝国石油が六月十日が七百三十三円、九月が八百十四円水準なんですね。それで、去年の七月、八月、九月にアラビア石油の出来高が物すごく多いのですよ。これはすごいのですよ。それで十二月に総選挙があったわけでしょう。この二時間
余り聞いた中で、出てくるのですよ、アラビア石油がこういうふうに上がった、これは株価操縦だとはっきり言っているのですよ、この会社の人が。そこへ出てくる名前は越山会の人がやったんだ、こう言っているのですから。
この証券のいろいろな新聞なんかに政治家が絡んでいるということが出てくるのですけれ
ども、これは確かに、アラビア石油というのが中国との提携や何かがあって、渤海湾の石油の問題ですか、そういうようなものがあって、ある程度高くなるのはわかりますよ。ここに全部とってみたのです。物すごいのですよ。千七百五十円が六月十一日、二千八百円が七月二十七日、九月六日が七千五百円ですね。それからぐっと下がっちゃうのですよ。多少上がったりあれしますけれ
ども。出来高は七、八、九と物すごく多いのですね。
これは株価操縦だということをはっきり投資ジャーナルの人が言って、そして勧めているのですよ。こういう株を、政治銘柄を教えるから、だから十万円払って会員になりなさいということを言っているわけだ。これは僕のところにテープがありますけれ
ども。だから、こういうような形で行われているわけですよ。これは事実
関係をよく調べてください。
確かに、今私が言った百二十五条の相場操縦の禁止のところの条文というのは難しい条文ですよ。
目的罪になっていますわな。重要な事実の不開示等、いろいろなことがありますけれ
ども、
目的罪になっていますから、確かに難しい。これは警察の方に聞くと、とても難しくてできないというようなことも非公式に言うのです。非公式に言ったことをここで明らかにして悪いけれ
ども、そういうふうに言うのですね。
ですから、いかに何でも、アラビア石油がこんな上がり方をするわけはないですよ。非常におかしい。しかも、この投資ジャーナルでは、政治銘柄で越山会が入ってやったのだからというようなことをはっきり言っているのです。そういう点、私は資料は幾らでも提供しますから。そして、それらの人が、日にちは言いませんけれ
ども、ある特捜のところへ呼ばれていますからね。呼ばれているというのは、告訴人側が行って
事情を説明することになっていますから。そういうような状況がありますし、あしたの十時、テレビの宣伝をしては悪いから、あるテレビと言っておきますけれ
ども、あるテレビで、「兜町の犯罪」というのを書いた人の経済ジャーナルが出るわけです。そしてこの
関係が説明されるわけです。そうすると、被害者の人がどんどん殺到して、問題がさらに大きくなってまいります。
五十条は、断定的な判断をしてはいけないことになっているわけですね。五十八条は、虚偽表示あるいはインサイダー取引などをしてはいかぬ。百二十五条が仮装売買、相場操縦の禁止。二十八条、のみ行為。これは中江という人のやっている東京何とかという、二つの会社がありますね、これ以上言いませんけれ
ども。二つの会社がのみ行為をやっているということはもう常識的なことになっておるのじゃないですか。そういうような点な
ども十分調べていただいて、そしてこの証取法違反というものに対する十分なメスを振るってもらいたいと私は思うのです。
それでないと、
日本の政治はよくならないのですよ。政治献金が低く抑えられたでしょう。金額が低くなっちゃったから、みんな株でやっているのですよ。株でやったから、今は総裁選が始まるから、株がまた出始めているのですよ。既にこういう広告が出ているのですから。「総裁選にからむ政銘柄の玉移動は始まっている」と、堂々と出ているのですから。一日出ているのじゃないのです。二日も三日も出ているのですから。そしてその株をうんと上げておいて売っちゃうわけですよ。売っちゃったころ、下がってくるころに一般の人が買うわけだから、損しちゃう、こういう仕組みになっているらしいのですよ。
いずれにいたしましても、そういうような点を踏まえて、皆さん方の方で証券取引法の違反についてはしっかりとした対策を練ってもらいたい、こういうふうに私は思っておるわけです。
そこで、大蔵省にお聞きをするのですけれ
ども、SECというものが
アメリカにはありますね。
日本でも証券取引法があるわけでしょう。証券取引法は、もちろん国内経済のあれと同時に、投資者保護をうたっているわけですね。それで
日本の証券取引法と
アメリカのSECのやっていることは一体どこがどう違うのか。
日本の場合、
アメリカの証券取引法をそのまま写したのでしょう。私もSECへ行きましたよ。あれはロッキードのときに行った。ワシントンの郊外、遠いところにある、大きな建物ですけれ
ども。SECと大蔵省の証券局と、一体どういうふうに組織が違うのか。
アメリカの場合は、行政
委員会で独立した組織ですね。それから
日本の大蔵省の証券局というのは、一体証券会社に対してどういうような監督をしているのか、どこに
問題点があるのか、こういう点についてひとつ御説明願いたいと思うのです。