○林(百)
委員 私たち共産党の
調査団は、実は六月の五、六、七日、福島市、白河市、それから郡山市等へ行って福島交通の問題についていろいろと
調査をし、さらには裏磐梯の国立公園へも行きまして
調査をしてまいりました。殊に新白河における担保のための土地というのも見てまいりましたけれ
ども、全く担保力のないようなものを日債銀に担保として提供して、約七百億近くの金を借りているということもわかってまいりました。
しかも、この問題は、使途不明金がここにもありたすように約百億、これを初めのうちは小針氏
個人が政界の工作に使ったんだ、おれのところへは政界のこれこれの人たちが出入りしているんだということで、これはマスコミにも書かれておりますが、元総理が三人、現総理の名前も出しておりますでそれから、現大臣の名前も二人ほど出ています。自民党の幹部の名前も出ております。
我々は、政界の浄化が今国民から強く求められているときでありますので、これはこのまま放置できないということで、マスコミも非常に熱心にこれを追及して
調査しておりますので、私たちもこういう
調査をし、さらに商法で言う特別背任に該当する嫌疑が濃厚だということで、去る六月六日には、福島地検へ我々が
調査に行ったついでに検事正に会いまして、検察庁の権威にかけても十分な
調査をするように申し入れました。それから、帰ってまいりまして六月十二日に、東京に福島交通不動産の本社がありますので、東京地検の検事正にも申し入れをし、同時に、福島と東京との両方に関連しておりますので、その調整をするようにといって最高検の次長検事にも申し入れをしてまいりました。
そういう
関係からして、我々が特別背任の嫌疑を深めました第一は、ここに①と番号がありますように、美福が五十円株を七百五十倍の三万七千五百円で二十八万四千株発行して、百六億五千万円の払い込み金を福島交通不動産から受けているということなんですね。七百五十倍も、五十円株をそんな不当な株価で、しかもここにありますように累積赤字が三百四億、負債が七百八十五億と言われている福島交通不動産が、そんな美福の株を二十八万四千株も引き受けて百六億五千万円もの金を美福へ払い込むということは、福島交通不動産の社長である小針氏が、同時に自分が社長である美福の利益を図ったものであって、これは明らかに背任の構成要件に該当するのではないかということが
一つであります。
第二は、福島交通不動産のバランスシートを見ますと、役員従業員長期貸付金が十三億九千万、雑費が三億九千万とありますが、この役員従業員長期貸付金というのは、ほとんど小針氏
個人あるいは小針氏の身内の二、三の者へ貸し付けた疑いが濃厚で、従業員や職員には貸し付けておりません。そうすると、福島交通不動産の役員従業員貸付金十三億九千万、雑費三億九千万というバランスシートヘのこの金額、これは自分の利益を図って福島交通不動産に不利益をこうむらせた。
判例等で見ますと、商法四百八十六条の「会社二財産上ノ損害ヲ加ヘタルトキ」というのは、現実に損害を生ぜしめた場合はもちろんですけれ
ども、そればかりじゃなくて、実害発生の危険を生ぜしめただけでも財産上の損害と認定されるという非常にシビアな判断が下されているところを見ますと、三百四億の赤字、七百八十五億の負債を持っているものが、役員の長期貸付金に十三億だとか、あるいは七百五十倍もの株価で美福の株を百六億円も出して買い取るとかということは、これは明らかに商法四百八十六条の特別背任に該当するのではないかというように思うわけですね。
それから、マスコミの報道するところによりますと、政界工作に使われたと思われるものが約百億あると言われますが、一体政界工作でどういう使い方をしたのか、あるいは自分が懐に入れておるのか、この点も明確にする必要があると思いますね。場合によっては横領が成立し、あるいは贈賄が成立し、あるいは特別背任が成立する可能性がありますので、これもどうしても調べていただかなければならない。
それから、福島交通不動産が、そういう膨大な赤字と負債がある中で、四億六千万の手駒酒造という酒造会社の増資をいたしました。ところが、この手駒酒造の株式九万九千六百株を全部小針育英財団にそのまま寄贈している。三百四億円もの赤字のある会社がこのような四億六千万余の手駒酒造の増資をして、しかもその株は全部小針育英財団に贈与しているということは、小針育英財団というのは
理事長は小針氏ですから、自分の利益を図って福島交通不動産に不利益を与えたということが十分言えるのじゃないかと思うわけです。
それから、この①のうちの、先ほど申しました美福へ福島交通不動産が百六億五千万の、一株七百五十倍もの株価で株を買って払い込んだ金が、実は五十億近くが――今度はアメリカ美福といって、日本の税務署では手が出ない、あるいは日本の国のいろいろな政府の規制を避けるための隠し財産としてここへ五十億流したのじゃないか。そのとき美福はこの百六億五千万のうちの五十億円をアメリカ美福へ流し出し、十八億九千万円をアメリカ美福が増資をしている。要するに美福とアメリカ美福の間にも資産隠しの疑いがある。
時間がありませんので、私の方でマスコミでいろいろと報ぜられているところを――しかも特別背任あるいは贈賄あるいはそのほかの不正な財産上の操作をしていた、横領というようなこともあるでしょうけれ
ども、そういうような役員従業員長期貸付金あるいは使途不明金等について非常に大きな疑いがあるので、そこで私たちは政治家の名前も出ている際でもあるので、政界を浄化するという意味で、そしていろいろの帳簿上の操作もしているようでありますので、速やかに帳簿上の証拠の保全もしなければならないでしょうし、捜査もしなければならないだろうということで、福島地検の検事正、東京地検の検事正、最高検察庁の次長検事にも申し入れをしたわけですが、その後、かつては毎日というほどあらゆるマスコミに書かれていたこの重大な問題、明らかにこれは捜査の端緒があると見ていいと思いますけれ
ども、検察庁としては、この福島交通不動産あるいは美福、福島交通の問題あるいは小針氏の問題等について、どういう対処をしているのか、ひとつ御報告願いたいと思います。