○稲葉(誠)
委員 だから、私が言ったように、高裁に行くとその
裁判官の力量がわかるのですよ。和解にすればその力量がわからないわけですよ。だから、和解にしよう、こういう動きが強くなってくるのです。今、あなたが力量がわかると言った。じゃ、地裁の所長は
裁判官の力量をどうしてわかっているのですか。あなた、それが第二カードの裏の所長の
意見のところにちょっと書いてあるのじゃないですか、その
裁判官はどの程度の力量だということが。そうでしょう。力量という
言葉をあなたが言われたからそういうふうに次の質問が出てくるのです。言われなければしょうがないけれども、そう言われた以上は次の質問が出てくるのですよ。だから、みんな第二カードというものを非常に気にするのですよ。気にするのは気が小さい
裁判官だ、けしからぬというかもわからぬけれども、そういうふうに気にするのですね。ここで議論するのも、内部のことですから
余りあれだと思いますがね。
それから、さっきの質問の中で出てきましたね。高裁の
事務局長は、条文では
判事を充てるとは書いてないわけですね。ところが
判事を充てる。なぜかと言えば、答えは簡単でしょう。高裁管内の
裁判官の人事を扱うんでしょう、
事務局長は。そうすると、
判事から見れば、
事務官が、
判事でない者がおれたちの人事を扱うなんて何事か、
裁判官でなければあれだということで
裁判官を充てているのが実情じゃないんですか。そうでしょう。まあ答えはいいですけれども、そういうふうなことなんですよ。
そこで、皆さんおそろいですから
余り聞きませんが、実はこういう話があるんですよ。私、非常に感心しましたエッセイがあるんです。二つお話しします。
一つは、山形の
裁判所の所長をやっておられ、それから甲府に来られた方で、それが勉強会を
裁判所の中で開いておられて、守衛さんが
書記官試験に受かったというんですね。廷吏さんじゃないんです、守衛さんなんですね。
試験に受かったというので、
自分のところでできた山芋かなんかを提げて所
長官舎にお礼に来た。暗記したような
言葉をずっとしゃべって、そしてお礼して帰っていったという非常にいいエッセイですね。私は、ほのぼのとしたエッセイだと思ったのですが、そういうふうに勉強会なんかやって、みんなで仲よくやって勉強して、非常に一生懸命やっている所長もおられるわけですね。
ただ、私は、所長というものの役割に疑問を持っているのですよ。所長というのは果たして必要なのかどうか、一体何をやるんだろうかということを私は疑問に思っているのですけれども、そういうふうなエッセイがありまして、非常に打たれたのです。
もう一つこんな話があるのです。この話で終わりにしますけれども、
修習生が
裁判官の官舎に日曜ですか遊びに行ったわけですね。そうしたら、昼間だったのですけれども、そこからネズミが出てきたのですよ。
裁判所の官舎からネズミが出てきたのです。
修習生は驚いたんですね。そうしたら
裁判官が言ったというんですね。
裁判官の官舎で昼間ネズミが出てくるくらいのことで驚いて、そんなことで
裁判官になれるかと言ったというんですね。
修習生は非常に感心しまして、これは本当にいい
裁判官だと感心したというお話なんです。それはつくったような話ですけれども、本当の話ですよ。その
裁判官は非常にいい人でしてあれでしたけれども、そういうふうな官舎でも何でも、一体
裁判所はもっとしっかり予算を取るように、さっきも出ましたけれども、二重予算の
制度もあるわけですから、もっと活用するようにしたら私はいいんだと思うのですが、その点どうも少し遠慮がちではないか、こういうふうなことを
考えますね。
こういう二つの話、エピソードと言えばエピソードですけれども、前と後の話とちょっとつながりませんけれども、お話をさせていただきたい、こう思ったわけです。
いろいろ問題がありますけれども、この
裁判所職員定員法の一部を改正する
法律案、これは九名をふやすということだけの法案ですから、これで質問を終わります。まだほかにたくさんいろいろ質問したいことがありますけれども、別の機会にさせていただきたい、かように思います。
終わります。