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1984-08-03 第101回国会 衆議院 文教委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年八月三日(金曜日)     午前十時三十四分開議 出席委員   委員長 愛野興一郎君    理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君    理事 白川 勝彦君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    臼井日出男君       榎本 和平君    北川 正恭君       河野 洋平君    二階 俊博君       葉梨 信行君    町村 信孝君       松永  光君    木島喜兵衛君       佐藤 徳雄君    田中 克彦君       中西 績介君    池田 克也君       伏屋 修治君    滝沢 幸助君       藤木 洋子君    山原健二郎君       江田 五月君  出席国務大臣         文 部 大 臣 森  喜朗君  出席政府委員         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房総         務審議官    齊藤 尚夫君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省教育助成         局長      阿部 充夫君         文部省高等教育         局長      宮地 貫一君         文部省学術国際         局長      大崎  仁君         文部省体育局長 古村 澄一君         文化庁次長   加戸 守行君  委員外出席者         人事院事務総局         任用局企画課長 大城 二郎君         法務省刑事局刑         事課長     北島 敬介君         厚生省保健医療         局結核難病課長 窪木 外造君         厚生省保健医療         局監理課長   羽毛田信吾君         厚生省社会局更         生課長     池堂 政満君         食糧庁業務部需         給課米流通消費         対策室長    平野  愃君         食糧庁業務部買         入課長     森元 光保君         会計検査院事務         総局第二局文部         検査第二課長  倉田 建司君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二日  辞任        補欠選任   藤木 洋子君    津川 武一君 同日  辞任        補欠選任   津川 武一君    藤木 洋子君 同月三日  辞任        補欠選任   稻葉  修君    松永  光君 同日  辞任        補欠選任   松永  光君    稻葉  修君     ――――――――――――― 七月二十六日  大幅私学助成等に関する請願外一件(村山喜一  君紹介)(第八八〇七号)  私学助成増額実現等に関する請願天野等君  紹介)(第八八〇八号)  同(木島喜兵衛紹介)(第八九四二号)  私学助成充実に関する請願志賀節紹介)  (第八九〇五号)  岩手大学リモートセンシングデータ解析セン  ター設置に関する請願志賀節紹介)(第八  九〇六号)  私学助成増額に関する請願外一件(佐藤観樹  君紹介)(第八九〇七号)  大学院生研究生学術研究条件改善等に関す  る請願藤木洋子紹介)(第八九四三号) 同月二十七日  大幅私学助成等に関する請願嶋崎譲紹介)  (第九〇一六号)  同(馬場昇紹介)(第九〇一七号)  同(田中克彦紹介)(第九一四九号) 同月三十日  四十人学級実現に関する請願菅直人紹介)  (第九一八八号)  同(工藤晃紹介)(第九二七四号)  教育職員免許法等の一部を改正する法律案反対  等に関する請願瀬崎博義紹介)(第九一八  九号)  幼稚園教育予算増額に関する請願江田五月  君紹介)(第九二七〇号)  同(滝沢幸助紹介)(第九二七一号)  公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関  する請願藤木洋子紹介)(第九二七二号)  私学助成増額に関する請願網岡雄紹介)  (第九二七三号) 八月一日  教育職員免許法等の一部を改正する法律案反対  等に関する請願滝沢幸助紹介)(第九三八  六号)  四十人学級実現に関する請願河上民雄紹介  )(第九三八七号)  同(小澤潔紹介)(第九四一六号)  四十人学級実現等に関する請願山原健二郎君  紹介)(第九四一四号)  私学助成増額に関する請願外一件(網岡雄君  紹介)(第九四一五号)  公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関  する請願葉梨信行紹介)(第九四一七号)  同(佐藤徳雄紹介)(第九四四九号)  同(馬場昇紹介)(第九四五〇号) 同月二日  大学院生研究生学術研究条件改善等に関す  る請願山原健二郎紹介)(第九五一二号)  大幅私学助成等に関する請願外一件(佐藤誼君  紹介)(第九五二二号)  同(山原健二郎紹介)(第九五一四号)  幼稚園教育予算増額に関する請願池田克也  君紹介)(第九五一五号)  公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関  する請願有島重武君紹介)(第九五一六号)  同(池田克也紹介)(第九五一七号)  同(山原健二郎紹介)(第九五一八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 八月二日  私学助成に関する陳情書外一件  (第四三四号)  義務教育施設等整備充実に関する陳情書外一  件  (第四三五号)  四十人学級早期実現等に関する陳情書外一件  (第四三六  号)  教科書無償制度存続に関する陳情書  (第四三七号)  国立小山工業高等専門学校電子制御工学科設  置に関する陳情書  (第四三八号)  教育職員免許法改正反対に関する陳情書外一  件  (第四三九号)  大学進学奨学金制度改善に関する陳情書  (第四四  〇号)  大阪府南河内郡の葉室一須賀古墳群保存に関  する陳情書  (第四四一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 愛野興一郎

    愛野委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 最近の文部省大学などの不祥事件は、我々国会としましても、二度とこういうことが起こらないように徹底的に審議、議論する必要があると私は思います。そういう大事な問題でございますので、恐らく本国会では最後質問になるかと思いますけれども、その点に絞って質問を申し上げたいと思います。  まさに最近の文部省大学等不祥事件というのは目に余るものが実はございます。私、記憶をたどりますと、何も最近だけではないようでございまして、念のために文部省に、昭和五十五年度以降五年間、文部省とか大学等をめぐる不祥事件というものを、新聞等に報道されましたものをまとめてひとつ持ってきてくれないかということを実はお願いしたのですが、ここにそれをまとめて持ってきていただきました。これを見て私は、文部省全然反省してないんじゃないか、見た瞬間に実はそういうぐあいに思いました。五十九年度のところを見ますと、たった二つしか書いてないのですね。  まず第一の問題は、東京大学で、「山中湖畔で行われた新入生歓迎オリエンテーションにおいて、学生六人が無断で三人乗りのボートで湖に乗り出したところ転覆して五人が死亡した。刑事民事責任は問われていない。」これが一つ。  二つ目が、今度の文部省大阪大学をめぐる問題。この二つしか出ていないのです。  そこで、私は、これだけじゃない、あれだけ毎日のように新聞に出ているわけですから、念のために調査してみたわけでございます。非常に重大なことですので、ちょっと申し上げてみたいと思うのです。  まず、七月九日、中曽根逮捕から始まります大阪大学並び文部省本省文化庁にかかわる不祥事件が大きく問題になっているわけです。それから、七月十九日、東京工業大学の受託研究費問題が起こっております。企業からの委託研究費大学会計を通さずに直接やみ運用をした、こういう事件でございます。  七月十五日には、慶応大学、これまた受託研究費流用事件が起こっておりまして、藤岡元理工学部教授企業からの委託研究費を五十八年秋の学部長選挙工作に流用した疑いが出ておるわけでございます。  ずっと後ろの方からいっておるわけですけれども、六月二十三日には、自治医大の教授等八人が報徳会宇都宮病院系列医療施設で無届けアルバイト勤務、高額の謝礼を受け取ったとして、この癒着問題が出ておるわけでございます。  六月十七日には、京都産業大学補助金不正受給の疑惑が出ておるわけでございまして、これは弁護士開業兼職教授専任教授として偽った問題でございます。  六月六日には、九州芸術工大大西助教授出張先の韓国から覚せい剤密輸容疑で逮捕されておりますが、これは不起訴になっておるようでございます。そういう問題が出ました。  六月五日には、昭和大歯学部における五十七年度入試に際して、第一次試験の不合格者受験生数十人がやみ追加合格問題として発見されております。  六月四日には、独協医大において、五十七年から五十九年度入試に際して、裏口入学あっせんと称して複数受験生の父母から一人当たり千五百万から三千万の裏口入学資金を集める入試ブローカーの暗躍した問題が出ておる。  五月三十一日には、昭和大歯学部における五十八年度入試に際して、受験生答案用紙が四科目中二科目分が紛失し、同一問題で再試験が行われて合格をしておる、こういうことが報ぜられておるわけでございます。  五月二十五日には、医療法人報徳会宇都宮病院患者殺人事件に関連して、東大精神科助教授等の同症例研究会謝礼金受領に関して厳重注意処分が出たということが出ております。  五月十二日には、学校法人立教学院事業部幹部職員の五千万着服事件が出ておる。  四月二十八日には、東邦大でJICAと私学振興財団から補助金を二重取りした、こういうことが出ております。  四月九日には、東北福祉大における入試合否判定に際し、教授会の議を経ずして一部の幹部による判定が発覚、正規の学校会計預金口座のほかに隠し口座があることも発覚した。数えれば切りがないように、たくさんの大学並びに文部省をめぐる不祥事件が出ておるわけでございます。  五十五年から言いますと、まだいっぱい、ここにこんな厚いぐあいに出ているのだけれども、こういうことを放置しておいて、もう文部省あるいは大学教育を語れないのじゃないか、このぐらい国民の信用は失墜しておると私は思いますし、ましていわんや、真理とか真実とか正義とか道徳とかということは、このままの状態では語れないところまで来ておる。もう本当教育職業倫理といいますか、モラルといいますか、ほとんど感じられないわけですね。こういうところは、確かに文教の府というのが腐っている、そういううみがこんなぐあいにして今度出てきておる、そこまで深刻に考えなければいけないのじゃないか、私はこういうぐあいに思います。清潔な文部省、清潔な教育界、これは文教行政の命だと私は思うのですよ。そういうところでこういう状況が起きているわけです。  文部大臣にお尋ねしたいのですけれども、こういう腐敗した文部省というのはもう、なくしてと言うと言い過ぎになりますけれども、そういう気持ちで新しく教育省というのをつくるのだ、そういうような気持ち反省する必要があるのではないか、私はこういうぐあいに思いますけれども、この一連の不祥事件等についての文部大臣の御意見、御感想、さらに反省言葉をまず聞きたいと思います。
  4. 西崎清久

    西崎政府委員 事実関係につきまして、先に私の方からお答えを申し上げます。  先生の方からの御要望によりまして資料を差し上げたわけでございますが、昭和五十年度からということでの御要望でございまして、私ども、かなり事案を拾いまして、できる限りということで差し上げたわけでございます。  御指摘のとおり、五十九年度限りで申しますと、先生指摘のようないろいろな事案があるということは事実でございます。この点につきまして私ども考えますのは、文教行政にかかわる分野というのは大変広うございます。これは大学から幼稚園までというふうな学校段階もございますし、国立公立、私立と、学校以外にもいろいろな分野がございまして、私ども文教責任を持つ立場から申しますれば、それぞれの段階、それぞれの分野においてあるべき姿としての整序された運営が行われることを望むわけでございますし、その責任を持つのが文部省であるということは御指摘のとおりでございます。  ただ、遺憾ながら御指摘のような事象が起きておることについては、その都度、私どももその事態改善努力をし、反省を促し、改善努力を願っておるわけでございますが、にもかかわらずこのような事態が多数起きておることにつきましては、私どももその都度の努力とともに、今後それぞれの分野ごとの問題として、例えば国立大学ならば国立大学のあるべき姿、私大ならば私大についての教学あるいは運営理事的な立場の方々の運営についての責任の持ち方とか、それぞれの立場立場における分野ごとの指導について、省内で十分検討努力いたさねばならない課題であるというふうに受けとめておるわけでございます。  若干一般論で大変恐縮ではございますが、事実関係につきましては先生指摘のような事象が起きておることは事実でございます。
  5. 森喜朗

    森国務大臣 今、馬場さんからいろいろと具体的にも取り上げられまして御指摘をいただきました。文部省そしてまた教育界全体が、いろいろな意味でいささか社会をにぎわすといいましょうか、御迷惑をおかけするという事態が確かに今現象として非常に多いというふうに私も受けとめて粘ります、こういう時期であればこそ、なおのこと文部省が毅然としなければならぬ、これは言うまでもないことであろうというふうに思います。  今回の問題につきましても、いろいろな原因等が考えられるわけでございますが、事実関係につきましては捜査当局にお願いをいたしておりますが、それよりも、いわゆる人事管理の面、あるいはモラル公務員としての心構え、さらに予算事務体制、あるいはまた契約事務処理体制、こうした分野につきまして、たびたびお答えを申し上げておりますように、今検討委員会で細かな分析等もいたしております。私は、少し早めるように、こうしたことをいつまでも研究しておるだけでは国民に対しての責任は果たせない、できるだけ早くひとついろいろな工夫もしてみて、新しい文部省として二度と、今先生もお話しになりましたように、二度と起こさせないという仕組みを考えることがやはり重要であろうということで、今急いでその検討を加えているところでございます。複数部局によるチェックシステムの活用でありますとか、人事管理におきます同一ポスト在職年数、これなども、非常に細かな専門的なところも、特に予算の場合は、先生も御承知のように、文部省予算というのは大変細かでございます。他の省庁とも若干違う面でございますので、専門性が必要だということも逆にこうした形で出てきたわけでございますが、こうした検討などの改善策をできる限り早くまとめて国民の前に明らかにする、そして、まさしく先生から御指摘のように、教育界として、文部省として指弾を受けるようなことのない体制をつくることがまずこの際第一でございまして、そのことに今鋭意努力をいたしておるところでございますので、その点につきましてぜひ御理解をいただきたい、こう思います。  省員一丸となりまして、私も、省の皆さんにもいろいろな角度で、いろいろお目にかかる機会のたびにそのことを申し上げ、早く国民信頼回復を取り戻そうじゃないか、こう呼びかけているところでございます。私といたしましても不退転の決意で努力を重ねてまいりたい、こういう所存でもございます。  なお、もちろん、本人も含めまして、事態のある程度の解明ができました段階で、文部省全体、私も含めまして、その責任態勢は明らかにしなければならぬ、こういう考え方でございます。教育界全体、いろいろな意味国民の極めて関心事の多い事柄でございまして、そういう意味で、理由というものは私は問う必要はないわけでありまして、こうした空気になっておるということ自体、文部大臣を中心にして、文部省がやはりその気持ちをしっかりと通ずるように持って、もって範を垂れるということがより大事であろうというふうに考えております。  いろいろ御迷惑をおかけし、特に文教関係をする国会先生方に対しましては、本当先生方にも御迷惑をおかけしているというような感じも私は感じておりまして、この点につきましても深くおわびを申し上げる次第でございます。いましばらくお待ちをいただきまして、名誉回復ができますように最大の努力を具体的に国民の前に明らかにする、私といたしましてもそういうことも十分考えておりますので、しばらくの間御猶予をいただきたい、このように考えております。
  6. 馬場昇

    馬場委員 官房長の弁解を聞いたのですけれども、私は、五十五年から五年間分を書いてきてくださいと頼んだのですよ。私が調べたのでも、ことしだけでも十四、正あるのです。あなた方は何だ、たった二つしか持ってきていない。専門家でしょう。そして本当反省しておるならば、何でこんなに隠すというか、これは隠ぺいするというような感じじゃないですか。本当反省しておるならば、全部書いてきてくださいと言ったならば、調べられるはずなんですよ。なるべく隠そう隠そうとするような根性がこんなところに出てきているのです。十四、五もあるのに二つしか持ってこないというのは、一つ国会をなめている、そういう何かおごり高ぶったような、反省のない姿勢が一あなた方は、その都度その都度努力していると言うけれども、ことしになってからも十四、五回こういう不祥事は出ている。その都度努力したならばこういうことは起こらぬはずでしょう。全く言葉だけあって本当反省がないのですよ。そういうことを強く申し上げておきたいと思うのです。  そこで、具体的に、今大臣からも幾つ改善すべき問題として指摘されたわけでございますが、幾つか申し上げてみたいと思うのです。  まず、文部省会計課予算班を舞台にして、今、中曽根鳥野見田中が逮捕されておるわけでございますが、この事実関係というのは今捜査中ということですけれども、この原因というのもここで何回か議論されました。もうそれは繰り返して聞きませんけれども公務員モラルということは当然問われなければならない問題ですが、大学を含めて文部省構造的な汚職事件だと見なければ本当対策はできないのではないか、私はこういうぐあいに思うのですけれども、それについての御見解をお聞かせください。
  7. 西崎清久

    西崎政府委員 御指摘の今回の事件にかかわる原因と背景の問題でございますが、中曽根経理部長鳥野見主査田中文化庁会計課長の三人にかかわる問題として考えます場合、私どもとしては、まず第一に、公務員としての服務の基本と申しますかモラルと申しますか、個人として守るべき規範において職務の問題としては大変遺憾な点があるということを申し上げざるを得ないという点がございます。  それから、先生指摘構造的ということでございますが、私どもはこの三者が互いに連携をしてというふうにはまだ認識をしておらないわけでございまして、この点については今後の捜査当局のいろいろな事実関係調査にまつわけでございます。しかし、私ども反省をいたします点といたしましては、総括予算班主査というポストにあった人物が二人続いておるという点、それから中曽根経理部長予算班主査であったという点などを考えます場合、やはり予算班におけるあるいは大学における経理部長との連携におきまして、全体の職務執行のプロセスにおいて、我々がこれからも気をつけ、十分反省をし、職務執行において個人の恣意というよりは組織としての意思決定でこれがいろいろな意味でチェックされ、適正な処理と判断ができるようなシステムをこれから構築しなければならないという点を強く感じておるわけでございます。  私どもは、そのような意味におきましてとらえておりまして、これは先生がおっしゃいます構造的という御趣旨とはちょっと違うかもしれませんが、私どもとしては組織流れの中で意思決定が十分適正に行われるような、二度とこういうことが行われないような、これからの改善策を十分検討してまいりたい、こういうふうな意味でとらえておる次第でございます。
  8. 馬場昇

    馬場委員 こんなに重大な事件を引き起こしておって、何かあなたの答弁を聞いておると、あなた自身文部省も全然反省しておるというような感じがしないのです。例えば言葉をもてあそんで、構造的汚職じゃないかと言うと、構造的とは考えませんけれども組織流れの中で起こったことでございます。組織流れの中というのは構造じゃないですか。そしてまた、今の発言を聞いておりますと――あなたのところの会計課予算班で起こったのですよ。もう本当にどんなに反省してもし切れないことだと私は思います。そういう中で、たびたび聞くのですけれども、この事件真相はみんな今捜査中でありますから、こういうことでしょっちゅう答弁されます。あなた方は今、世論というもの、国民の目というものを本当におわかりになっているのですか。  例えば、各新聞社社説でほとんどこの問題は取り上げられました。その社説見出しは、「文部省汚職土壌を一掃せよ」、あるいは「文部省汚職の根を絶て」、あるいは「文教行政中枢部腐敗が巣くっておる」、こういう見出しでずっと出ておって、そして結論は、どこの社説も、このことは国民気持ちと思うのですが、この構造汚職腐敗の根をえぐり出して実態を明らかにして、反省をして立ち上がるべきだ、こういうことを国民はひとしく求めておるのです。そういう中で、文部省自身がこの問題の真相をえぐり出して、そこから反省をしなければならないので、捜査当局捜査当局なりに事件としてやっているでしょう、あなた方はあなた方なりに事件真相を明らかにしなければならないと思うのです。  反省が足らぬからちょっと聞いておきますけれども、では、最近ほかの省庁本省課長がつかまったということがありますか。どう理解しておられますか。
  9. 西崎清久

    西崎政府委員 大変厳しい御指摘でございますが、最後の端的な御質問については、私ども承知いたしておりません。  それから、前段の方の厳しい反省が足りないではないかという御指摘でございますが、私どもは、事件発生以来、捜査当局との御協力という意味で独自の調査を差し控えておったわけでございますが、先般、法務当局の御答弁もあり、私ども独自の調査を現時点で差し支えない範囲で先週末から開始いたしました。各大学に対しまして、オリエンタルマシンから購入した機種あるいは数、その契約方式金額等を、これは電話連絡を緊急にいたしまして、ただいま全体の取りまとめをいたしておるわけでございます。  今後は、この点につきまして、個別の大学における契約状況とか、その契約においてオリエンタルマシンとの契約内容その他、いろいろと個別に詰めてまいるというふうなことを通じまして、私どもの今回の事件についての事実関係の把握と、これからの事態改善についての方策を詰めてまいりたい、こういうふうな作業を早速始めておるわけでございます。  さらに、捜査当局捜査が行われておるということを申し上げておる意味は、やはりこの点は、それぞれ三人から私ども話を聞かなければならないということでございまして、仮に三人が私どもと接触できる時期が来ましたならば、三人からも事情を聞くつもりでございます。その中で、三人のリレーションの関係とか先生指摘構造的な要素というものがどういうふうになっていたかということなども、私ども反省として事実関係を確かめてまいりたい。私どもは、独自の調査を積極的にやるという構えは十分持っておるつもりでございます。
  10. 馬場昇

    馬場委員 中曽根とか田中とか、こういう者が何をしたかということは、今警察でやっているでしょうし、あなた方も後で調べるとおっしゃいますけれども、問題は、この土壌、何でこんなことが起こるかという土壌の調査をきちんとやらなければだめですよ。そしてもう一つは、こういう者には灰色というのがついているわけです。灰色というのは警察当局その他では調査が十分できない、立件できないという面もあるわけですね。あなた方だって、例えば鳥野見がつかまったときに、あなた方の中でも田中課長に対していろいろうわさが出ておる、田中課長を呼んでどうなんだということをお調べなさっておる。田中さんはそのときに、全然事実無根です、そういうことは無礼な悪質なデマだと言って上司に答えておる。たくさんのこういう調査もなさっておる。そしてうわさに上っておる人もいろいろおるわけです。  そういうときにはどこの社会でも、そういううわさとかデマとかがあったときには、呼んで聞くとか何かするはずです。そして、灰色と言われるものはあなた方の手であるとかないとか、事件をはっきりさせなければならぬ。その背景の土壌というのもはっきりさせなければならないと思うのです。そして、やるときには、あなた方は警察ではないのだから、本当教育の府ですし、教育の論理あるいは倫理、そこでもって調べて事実を明らかにしなければならぬと思うのです。  これを押し問答しておっては時間がありませんけれども、あなた方この間、予算事務処理体制改善検討委員会というのをおつくりになったですね。これが今何をやっているかということは、この間からいろいろ三部会を設けたとかなんとか聞いておりますが、一つだけ答えてください。この検討委員会というのは、今回の不祥事の解明を文部省自体でする、その機関としての任務も与えられておるのですか、おらないのですか。
  11. 西崎清久

    西崎政府委員 今回の事件にかかわる事実関係原因、背景につきまして調査をいたしますとともに、今回の事件を契機としました予算事務処理の問題、人事管理の問題、大学の管理運営なり、本省におけるいろいろな組織のあり方の問題を今後の問題として改善検討をする、こういう意味でとらえておるわけであります。
  12. 馬場昇

    馬場委員 灰色という言葉を使いましたけれども、例えば報道機関なんかにもきちんと出ている。オリエンタルマシンがこういう大学にワープロを納入した、大学の名前まで、例えば弘前、東北、山形、大阪外語、神戸商船、九州大学、佐賀大学、こういうぐあいに出ているわけです。この部分について文部省で、今言った大学、あるいはほかにもつかまえておられる大学もあるかもしれませんが、そういう大学について事情聴取をなさいましたか。
  13. 西崎清久

    西崎政府委員 前回の委員会で集中で御指摘いただきましたときは、捜査当局との関係で私ども大学との接触を控えていたという状況でございまして、私どもが五十八年度に追加予算としてワープロ関係で配分をした大学が十九大学あるということで、この十九大学のうちオリエンタルマシンとの契約を行った大学が何大学であるかということは私どもも承知をしておらなかったわけでありますが、私どもは、先週末から公式な調査として、電話連絡によりまして十九大学以外に九十五大学大学につきまして調査を開始いたしました。現在私どもが把握しておりますのは、この十九大学のうち十大学オリエンタルマシン社と契約をしていることがわかりました。そして、追加予算配分で行っていない大学のうち四大学オリエンタルマシン社と契約をしているという実情をつかんでおります。したがいまして、五十八年度におけるオリエンタルマシン社とのワードプロセッサーに関する契約を行った大学は、現在合計で十四大学ということになっておるわけでございます。
  14. 馬場昇

    馬場委員 その十四大学について、例えばオリエンタルマシン社の辻何がしが言った、どういうことでそれを買うようにして、どういうぐあいに予算請求した、そしてこういうぐあいに返ってきた、そういう事実関係まで調査をなさっておるかどうかということと、もう一つは、医療機器の問題がまた別にあるわけで、これもいろいろ言われております。そういう中で国立病院関係もいろいろ言われておるわけですけれども、そういう国立病院関係調査をなさっておるかどうかということについてお聞きしたいと思います。
  15. 西崎清久

    西崎政府委員 現在十四大学につきまして私どもが把握しておりますのは、ワードプロセッサーの購入台数全部で九十四台、それから金額にいたしまして一億五千万円余という契約金額になっている、そしてそれが随意契約か指名競争入札契約がという区分の実情、あるいは値引き率、これは把握をいたしました。そして、先生のお尋ねのその個々の大学がどういう経緯でオリエンタルマシン社と契約するに至ったかという実情は、今後私ども捜査当局との関係におきまして個別に呼びまして調査をやるつもりでおります。そこはやはり今回の事件のポイントになろうかと思いますので、私どもは十四大学につきましては厳密に個別調査をする予定でございます。  それから、第二の医療機器に関します問題は、ごく最近に新聞報道で、田中総括予算班主査との関連で、大阪大学薬学部、奈良女子大学等に係るものとして贈賄者の逮捕が行われたということを耳にしており、まだ捜査当局からの連絡は私ども受けておりませんので医療機器についての具体の調査はまだ実施いたしておりませんが、この点につきまして、捜査当局との関係におきまして私ども事実関係を把握した上で、医療機器についての問題がこれでいろいろと課題として挙がってまいりましたので、この点についても検討をいたしまして、調査をどの範囲で行うか、どういう方法で行うかにつきまして十分検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  16. 馬場昇

    馬場委員 先ほども言いましたように、国民は、構造汚職だから本当にその根をえぐり出して実態を明らかにして、そこで根を絶ってしまって、今後再びこういうことが起こらないようにしなさい。教育の府が国民に物すごく信頼を失っているわけですから、実態を隠ぺいしたらそれこそ全く信頼回復ができない、そういう気持ちで今私が見ましたところ、まだ非常におくれておる、真剣さが足らぬ、こういうぐあいに思いますので、ぜひひとつ、国民の期待に沿うように、文部省みずからの手で実態の根をえぐり出していただくこともお願いしておきたいと思います。  それから、先ほど文部大臣も言われましたが、こういう不祥事の防止対策、これはもう、片一方実態を明らかにしながら、この防止対策というのもゆるがせにできず、すぐやらなければならぬと思うのですが、その中で、人事配置ということをさっき文部大臣もちょっと言われました。例えば、新聞報道等によりますと、ノンキャリア組の人は同一部署に非常に長い。だから、仕事は非常にエキスパートになるけれども、業者等との癒着が起きやすい。こういうことはだれが見てもはっきりわかるわけでございます。  しかし、その前に、今キャリア組だとかノンキャリア組だとか、こういうことで人事をやっておるというところにも問題があると思うのです。例えば、逮捕されました田中とか等について、あなた方の中の上司の方々が、例えば彼はノンキャリア組では最優秀な人であったとか、あるいはノンキャリア組では最高のポストまで到達した立派な人物だとか。これは文部大臣、大事にキャリア組、ノンキャリア組、そうした差別、そういう構造、私はその中からこういう汚職というものも生まれる余地があると思うのです。こういう人事管理ということについてやはり考えなければならぬ。  例えば、文部省に課が四百六十ある。課長ポストは全部キャリア組だ。文化庁に十一課長ポストがある。その八つまでキャリア組だ。このキャリア、ノンキャリアの差別人事、そういう中から、さっき言った長くなると停滞もあるし汚職構造も出てくる、その辺の大事については再検討する必要があるのではないか。これはどうですか、大臣
  17. 西崎清久

    西崎政府委員 ちょっと先に事実関係で……。  本省で申しますと、課長ポストは局付企画官、課付企画官を含めまして八十二ございまして、そのうちノンキャリア組の課長さんが二十五名おるのでございます。私どもとして、課長はキャリアでなければならないという仕組みではなくて、成績評価と能力評価ということで登用人事が行われておるという事実関係だけ先にお答えをさせていただきます。
  18. 馬場昇

    馬場委員 今官房長から答弁がありましたが、大臣、これはどこの省庁も大体そういうことがあると思うのです。これは政府全体、特に文部省ではこのキャリア、ノンキャリアの差別人事というものが長い歴史の中にあるわけです。これはやはり改善する必要があるのではないかということで検討していかなければならぬ問題だと思うのですが、大臣どうですか。
  19. 森喜朗

    森国務大臣 今、馬場さんが御指摘になりましたように、やはり長い歴史みたいなものがあるのだろうと思います。私もこうして直接役所の立場に入ったのは初めてのことでございまして、キャリア、ノンキャリア、そう大きな違いも隔たりもないわけだし、また省内も、全体は皆さん非常に上手にやっていらっしゃいます。そういう現実を見ておりますと、そうした人事の異動等については、一々キャリア、ノンキャリアとそう考える必要はないなという感じは私自身もいたしますが、今先生からございましたように、やはり長い間のそういう歴史的な慣行みたいなものもあるんだろうと思うのです。  ですから、これは文部省のみならず、役所全体がこれから考えていかなければならぬことだと思います。また、同時に、社会全体も少しその辺の仕組みを、学歴社会といいましょうか、そうしたことも考えていかなければならぬ大事な時期だ。今お願いをいたしております臨時教育審議会での議論も、教育の諸制度を検討していくためには、社会全体の受け入れ体制ということも、これは全く関係なしには検討できない。私も、この学歴社会の是正というものが一番新しい教育改革の柱として御検討いただきたい事柄の一つであろう、こういうふうに期待もいたしているところでございます。文部省にとりましては、できる限りそうしたことで実力を生かしてもらえるように、そして仕事を通じて本当に自分の能力を発揮でき得るように、そして国民の期待にこたえられる行政府であるように、そういうふうに私自身も心がけて人事等についても指導していきたいと考えております。
  20. 馬場昇

    馬場委員 今、大臣もくしくも言われて、私も言おうと思ったのですが、やはり教育改革という中で、学歴社会というものが教育荒廃の原因にもなっているわけですし、そういう中で、キャリアとかノンキャリアとかということが差別的に人事等で行われておることはよくないことです。学歴社会をなくそうと思うならば、まず、教育改革を唱える文部省自体が他の省庁に率先してそういう差別的な人事をしない、また、こういう事件もあった直後でございますので、ぜひ真剣に取り組んでもらいたいと思うのです。  それから、もう一つの問題は、保留予算の執行体制です。  これは保留予算そのものが問題だと思うし、この保留予算予算班が握っておって、それで大学を支配するというようなことなきにしもあらず、いや、またそれがそういう汚職を起こしたわけでございます。この点につきましては、保留予算が、この事件の起きた当時から、五十五年からでいいですから、毎年どれくらい額があって、それが各大学にどう配分されていったか、こういうことについてまず資料をひとつ出していただきたい。それを見てまだ大いに議論もしなければならぬと思いますが、ここで議論する時間がありませんので、資料を出していただけるかどうかを官房長に。それから大臣には、この保留予算制度というのはちょっと検討すべき課題だろうと思いますので、この不祥事件防止対策一つとしてこれは完全に検討すべき問題だ、改善すべき問題だと思いますが、それについての大臣答弁をお願いします。
  21. 西崎清久

    西崎政府委員 国立学校特別会計に係ります当初予算配分以外の留保を行った上でさらに配分をする予算につきましてのお尋ねでございます。  資料に関しましては、事項がたくさんに分かれますことと、それから、大学関係九十五もございますし、その事項と大学との組み合わせでできるだけの資料を調製すべく努力いたしますが、若干その点でお許しいただかねばならないところがあろうかと思いますし、できるだけ御趣旨に沿う留保予算に係る資料はつくらせていただきたいと思っております。  それから、留保予算そのものにつきまして、私ちょっと余計なことを申し上げておしかりを受けるかもしれませんが、大学における教育計画の進行とか、退職手当とか、人件費とか、災害とか、年度途中に生ずるいろいろなことがございまして、留保予算そのものについての必要性は、国立大学運営についての問題を円滑に処理するという意味で私どもは必要であると思っております。要は、その執行の仕組みとかあり方という点について改善すべき点はなきやということは、私ども十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  22. 森喜朗

    森国務大臣 留保予算につきましては、今官房長が申し上げたとおりでございます。  基本的には、先生も御専門でお詳しいだろうと思いますが、要は、国立大学等の研究体制がスムーズにできるように、また、普通の役所の機構と違いまして、大学というものの自主性、そうしたことの信頼感の中でこうした制度をこれまで採用してきているわけでございます。  こういう事態が起きますと、確かにこの問題はいかがかという議論は出てきますけれども、本質的には、やはり大学の研究体制というものを考えていく、あるいはまた、今官房長から申し上げましたような理由等を考えますと、意義ある、やはりこういう予算の効率的執行という面から見ますと、一つの考え方としては、必ずしも悪いというふうには断定はできないだろうと思うのです。ただ、この制度、予算の仕組みについて、もう少しお互いにチェック体制がより効率的にでき得るようにこの仕組みを考えていかなければならぬと思っております。したがって、検討委員会の三つの部会の中の一つには、このことを十分検討していこうということで、今解明すると同時に新しい万全の措置を考えよう、このために、言葉はよくありませんけれども、角を矯めて牛を殺してしまうようなことになってもいけない、逆に言えばまた、本省から大学に対するそういうチェックが余り厳し過ぎても、かえって研究、学術を進めるということでいかがなものかということにもなるのではないかという心配もいたします。要は、効率的に使われて、そして大学の自治や自主性というものが尊重できるような体制がどうあるべきであろうか、こういうことを今急いで検討させておるわけでございます。  当面、追加配分の審査決定に当たりましては、原則といたしまして、すべて関係局課との合議あるいは定期的審査会議等によって慎重に行おうということを、今私どもとしてはお互いにそのことについて決めているところでございます。いろいろと御指摘いただきました点、大事な点でございますので、十二分に慎重に、そしてまたできるだけ早くいい改善策を考えてみたい、このように考えております。
  23. 馬場昇

    馬場委員 物品購入費の留保予算予算額の二三%もある。これが、額の問題もですが、ひもつきという格好でやられておる。それが今回の不祥事を生んだ。やはり真剣にこのことは考えなければならぬ問題だと思います。  それから、もう一つの問題で、国立大学の特定教官に対する特定寄付金の問題、いわゆる奨学寄付金の問題ですね。これは五十八年度の奨学寄付金は約二万三千五百二十五件あって、約百四十九億円ある。私の調べでそうなっておりますが、新聞等にもいろいろ出ましたように、その使途にとかくうわさが広まっておるわけです。ここで、大学の自治もございます、そういう中ですけれども、こういういわゆる特定寄付金の使途について疑惑のないような使い道をするという対策をやはり大学は立てなければならないし、文部省もそれに援助しなければならない、こういうぐあいに私は思います。この辺についての答弁をまず聞かせていただきます。やるかやらぬか、それだけでいいですから、簡単に答弁してください、時間がありません。
  24. 大崎仁

    ○大崎政府委員 いわゆる寄付金も含めまして、民間研究資金の大学関係の受け入れにつきましては、最近種々問題もございましたので、大臣の指示を受けまして、省内に学術国際局担当の官房審議官を長といたしました検討会議を設置しまして、現在望ましいあり方についての検討を進めているところでございます。
  25. 馬場昇

    馬場委員 事が起こったときに、事実は解明しながら、やはり責任はきちっと明らかにする必要があると思います。最近どこかの国鉄で係長さんがやみ昇給をしていたのが出ておりまして、直ちに国鉄当局はそのときの上司を免職にしておる、こういう新聞記事も読んだわけでございますが、私は、この文部省大学関係につきましての一連の汚職事件、これに対する監督上司の責任というものも非常に大きいと思います。そしてまたそのことが、その事件とともに、教育行政に対する信用を失墜した責任も実に大きいわけでございます。私はこのことについても詳しく具体的に質問をしたかったわけでございますけれども、時間が余りございませんが、そういう点について、そのときの上司がおるわけです。だれが上司でどこまで監督管理の責任があるのか。大臣、この事件に対する管理責任というのは大体いつごろ明らかになさいますか。
  26. 森喜朗

    森国務大臣 私といたしましては、こうしたことはできるだけ早く責任態勢というものを明らかにすることが常識的であろうというように考えております。ただ、今捜査が進んでおる段階でございますし、その辺の状況ももう少し捜査当局等の報告も受けてというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、責任態勢につきましては明確にいたしたい、こう考えております。
  27. 馬場昇

    馬場委員 これはやはり教育行政の信用を失墜したわけですから、ぜひ責任を明らかにしなければならない問題だと思います。  次に、さっき大臣も言われまして、私も非常に大切なことだと思うのですが、こういう不祥事件が起きますと、その防止策として、一方にいろいろやらなければならぬという問題がある、そういうときに、片一方には大学の自治というのがあるわけです。その大学の自治を防止策だといって侵害するということがなきにしもあらず、そういう心配も実はあるわけでございます。  少なくとも、私は、こういう問題はまず第一義に、上からの支配ではなしに、横からの自治あるいは大学独自の自浄努力、そういうことで防止策をやるべきだと思います。そういう意味におきまして、こういうことが二度と起こらぬように不祥事件の防止策を各大学ごとにつくらせる。お互いが自治の中で考えてつくっていただきたい、こういうことを大学に指示、指導し、文部省等の自治の侵害がないような形で防止策をつくらねばならぬと思うのですが、これに対する大臣のお考えはいかがでございますか。
  28. 西崎清久

    西崎政府委員 先生指摘のとおり、私どもとしては、大学の自治は極めて大切に尊重するということが前提になるわけでございますが、一方、会計法令に基づく予算処理という観点から申しますと、国の予算の誠実な執行、適正な執行という要請がございます。その両者の調整と整序ということが課題でございますので、今回の事件に絡んで、この点を強調する余り大学自治との関係が不整合になるようなことは私どもとして当然慎むべきでございますので、御指摘の点は留意しつつ、改善策検討をしてまいらねばならないというふうに考えております。  それから、大変恐縮でございますけれども、先ほど御要望のありました留保予算に関する資料の点でございますが、五十七年度、五十八年度の留保予算に関する資料はすべて今捜査当局に提供しております。したがいまして、それが返ってまいりますのにかなり時間がかかりますので、物件費、人件費、文教施設費とかそういうような形での総額は決算で押さえられますので、とりあえず先生の方には、そのような意味での、今資料があります範囲内での留保予算に係る数字をぜひ早目にお届けしたいというふうに努力させていただきたいと思います。
  29. 馬場昇

    馬場委員 押収されておりますものははっきりしないわけですが、五十五年、五十六年とか押収されていないものがあるかと思いますから、あるところはぜひ具体的に出していただきたいと思います。  最後になりましたが、大臣、あなたは今、本当教育改革ということに取り組んでおられまして、臨時教育審議会の法律も出して、国会で精いっぱいの議論をしておるわけでございます。私は、この場所でも大臣に、教育が今荒廃している、しかしなぜこんなに荒廃したのか原因を明らかにし、荒廃させたところの文部行政あるいは財界、そういうものの責任を明らかにする、その上で教育改革を議論しなければいけないということを質問したことがあるわけです。そういう点で、今腐敗しうみが出ているわけですが、この手術をしなくてどんなに教育改革を議論したって絵にかいたもちになってしまう、こういうぐあいに私は思います。これを子供や学生が見た場合に、子供というのは大人の社会を映す鏡だと言われているし、大人の後ろ姿を見て育つと言われておる。教育の府の文部省がこういう汚職をやっていることは学生とか子供の目にも映っているわけです。そういうところの責任を明らかにしなければ教育の荒廃はよくならないと私は思います。  そういう中で、例えば田中角榮さんの問題についても一つ責任がとられていないという現状が今の政治の中にあるわけです。さらに、その田中さんの影響を受けて中曽根総理大臣は今政治をしている。その中で中曽根さんが教育改革を一生懸命にやっている、こういうことですが、森さんはまだ非常に若いし、そして本当に純粋な気持ち教育改革に取り組んでおられます。  そこで、あなたの教育改革に対する情熱というのを国民の側から見た場合に、まず本当に、大人の社会、政治の社会、政治倫理というものにあなたが強く立ち向かって、そういう中から今度はまた教育というものの改革をこうしたいと、両方に向かってあなたが努力しなければ、国民本当教育改革とは信用しないんじゃないか。そういうことで、政治倫理の確立、そして文部省腐敗汚職というものの責任をきちっと明らかにする、それが教育改革の第一歩じゃないか、私はこう思うのですけれども、それについての大臣の御答弁をお聞かせいただきたい。
  30. 森喜朗

    森国務大臣 最近におきます教育荒廃について、さまざまな指摘がございます。その理由というのはまたいろいろあろうと思います。ここで一つの問題だけに偏った御答弁を申し上げるということも、かえって御迷惑だろうというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、政治全体が何といいましても国の基本でございますし、国民に信頼の持たれない政治というのはあり得ないわけでございます。その点につきましては、政治に対する国民の批判という問題も我々は十分に受けとめておかなければなりません。しかしまた、国民生活の平安、繁栄、教育制度も含めながら日本の政治全体に対する政治家としての責任も日々遂行していかなければならぬ、そういう立場の中で私どもも一生懸命努めているところでございます。  文部省におきましても、こうした不祥事が起きましたことについては冒頭申し上げたとおりでございまして、私としても、一日も早く信頼を回復したい、そのことと、また新たなる将来に向けての教育に対する展開というものについての責任も明確に進めていかなければならぬ、こういうふうに私は考えております。したがって、馬場さんから御指摘がありましたように、まさしく文部省が信頼をされなければならぬ、その信頼回復のための努力を今最大限に急ぐというのが私のとるべき一番大事なところであろうと考えております。そしてまた、先ほどもちょっと触れましたように、捜査当局等のある程度の報告といいましょうか、その状況等も見きわめながら、文部省全体としての責任も明らかにしていきたい、このように考えているところでございます。  私自身、このことにつきまして極めて残念に、そしてまた本当に遺憾のきわみに存じております。だからこそ、なお一生懸命教育改革への努力を怠ってもいけませんし、また、政治家として、政治全体が国民の信頼を引き続き保たれていくように最大限の努力をしていかなければならぬというふうに考えております。先生からいろいろとおしかりもいただき、御質疑をいただきましたことは、御忠告、御激励でもあろうというふうに受けとめて、一生懸命やらせていただきたいと思います。
  31. 馬場昇

    馬場委員 森さんとは長いつき合いでございますし、森さんの人格も人柄も知っているわけでございます。  今、教育改革を手がけておられるわけですが、田中角榮さん、中曽根康弘さんに対して、政治倫理をあなた方がはっきりけじめをつけなければ本当教育改革はできないのですよと、そういうようなことを国民の前に明らかにされますと、森さんがやっている教育改革というのは本物だと国民は思うと考えるのです。そういう点で、政治倫理の確立についても頑張っていただきたいということを要望申し上げまして、時間が過ぎましたので、私の質問を終わります。
  32. 愛野興一郎

  33. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、連日新聞にも掲載されております学校給食米に臭素が検出をされたという諸問題につきまして、幾つかの点をお尋ねをいたしますから、与えられた時間が少のうございますので、端的に質問もいたしますし、長い答弁は必要ありませんから、端的にひとつお答えをいただきたい、こう思っているわけであります。  まず第一に、学校給食米の供給ルートが一体どういうふうになっておられますのか、明らかにしていただきたいと存じます。
  34. 古村澄一

    ○古村政府委員 学校給食米の供給ルートとして考えられますのは二つございます。一つは、市販のお米屋さんから学校が買うというルート。それからもう一つは、日本学校健康会が供給いたします米を学校に入れていくというルートでございます。  それで、日本学校健康会が取り扱っております供給ルートといたしましては、健康会が食糧庁、いわゆる各県の食糧事務所から玄米を購入いたしまして、鳩精工場で精米にして、それを学校に持っていくというルートになるわけでございます。  今申し上げましたように、二つのルートがあるというふうに御理解いただきたいと思います。
  35. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 新聞に報道されました、千葉県我孫子市立第四小学校の給食米五十グラムを任意サンプルとして採取をし、東京都内の民間会社に分析を委託した内容が詳細にわたって報道されておりますが、その事実を知っておられますか。
  36. 古村澄一

    ○古村政府委員 存じております。
  37. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 分析結果はどういう結果が出たのか、お示しください。
  38. 古村澄一

    ○古村政府委員 我孫子市の調査によりますと、学校給食用の米穀から一八ppmの臭素が検出されたというふうに聞いております。
  39. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私の調べでも同じであります。この問題は、単に我孫子市で検出をされました問題だけではなくて、日野市の問題についても同様な状態であり、そしてまた、本日の読売新聞にも東京の八王子の学校給食米から高濃度の臭素が検出されたという記事が出ているわけであります。かなりいろいろな問題が内在をしていることは間違いないのでありますが、それでは一体、臭素が検出された原因は何だとお考えですか。
  40. 古村澄一

    ○古村政府委員 臭素というのは大体自然界に存在しているものでございまして、特に海辺に近いところには臭素がたくさんあると言われております。問題になりますのは、古米の虫を殺すために薫蒸したときに薫蒸剤が残留して臭素が残る、そのことについて問題が発生いたしたわけでございまして、厚生省と農林省との間のお話では、五〇ppmを超える米については問題があるというふうになっているというふうに聞いております。
  41. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これは、米不足の問題が先般国会内でも大変大きな議論になった際にも明らかにされて、つまり国連食糧農業機関、そして世界保健機構の関係から、食品規格で残留量を五〇ppm以下と定めていることに対しまして、五月に農林水産省が五〇ppmを超すものは出荷をしないことに決めた、このように農林水産委員会等でも議論されていることを私は承知しているわけであります。  御承知のとおり、臭素は大量に摂取すると、吐き気が起きたり、あるいはまた昏睡状態が続いたり、幻覚が生じたりということが医学的に実は解明されているそうでありますが、きのう発売されました週刊新潮にもその点が詳しく実は掲載をされているわけであります。  その真偽は別にいたしましても、このように臭素が入った学校給食米を食べさせていることによって、中学校の生徒たちが幻覚症状を起こして校内暴力にまで発展しているのではないかなど実は冷やかされているのであります。これは笑って済まされない非常に重要な問題じゃないか、私はこう思っているのであります。  厚生省は五月二十八日に調査をしたはずであります。そのデータを私はいただきましたが、その結果どういう結果が出されましたのか。そして、五十三年産米以下五十八年産米に至るまでの調査結果のデータがおありでしたらお示しください。
  42. 森元光保

    ○森元説明員 お答えをいたします。  五月二十八日に厚生省におきまして農薬残留部会が開催されまして、その際に農林省と厚生省が共同で調査をいたしました三十検体につきましての検査結果が提出されたというふうに聞いておるわけでございまして、その結果、三十検体のうち一検体に五〇ppmを超えるものがあったというふうに我々は承知しているところでございます。
  43. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 五十四年、五十五年、五十六年、五十七年、五十八年についてはどうなんですか。
  44. 森元光保

    ○森元説明員 五十四年産米の検査につきましては、五月末在庫が約一万七千トンございまして、これにつきましては、五十三年産米と同様に、残留臭素が暫定基準に適合しているかどうかを確認しながら売却をしているということでございまして、現在、七月末までにこの暫定基準に適合するものといたしまして食糧事務所に通知した数量が約二千トンございます。  それから、五十五、五十六、五十七年産米につきましては、食用として予定しているものはほとんどもう在庫してございませんので、現在まだこれの売却をしておらないというような状況から、臭素の検査は行っておらないというような状況になっておるわけでございます。
  45. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そういたしますと、今お答えになりましたとおり、五十五年から五十七年にかけてほとんど在庫がない。そしてまた、あったとしてもそれはわずかなものであって、北海道に約百トン程度のものがある。しかし、それはカドミ米でありまして、食糧庁からそういう報告を私は受けたのでありますが、それはあくまでも工業用ののりに使用するものだという説明であります。事実がそうであったにしても、いわば在庫がほとんどないという状態からは古米が出回るはずが実はないのであります。そして、主に五十三年産米から検出をされているというのは周知の事実でありますが、実はある消費者グループのお母さんたちが私のところに資料を持ってきてくださいました。大臣、ひとつこれを見て鑑定をしてもらいたいのでありますが、この五つの紙カップの中にはお米がそれぞれ入っております。これには二割とか五割とか一割とがそれぞれ混今されているわけであります。私も農業の経験があるわけでありますが、だからといいまして、どれが一体五割の光なのか、どれが一体二割の光なのか私にはちょっと区別がつきません。まあひとつ参考のために今やりますからちょっと見てください。クイズを提供しているわけでありませんで、数字が挙げてありますが、これは五十三年産米で臭素が検出されたお米であります。委員長、興味がおありでしたら後でごらんください。  この数字の一は二割混米されているのです。ところが、見た目ではわかりません。それから、この数字の二は標準価格米だそうであります。それから、三と記されている内容は、これは実は五割入っているのであります。一割入っているのと五割入っているのを見比べても、ちょっと私にはわかりません。今大臣もわからないと言っておりましたけれども、大方の方はわからないのじゃないかと思うのであります。それから、四は一〇〇%五十三年産米であります。そして、この五つのカップの中で一番混合されていない、つまり一割しか入っていないのはこの数字の五なのであります。これを私がわざわざ当委員会の中でお示しいたしました理由というのは、つまり、学校に納めるお米は見ただけではわからぬ、こういうことだろうと思うのであります。それだけに、与えられたそれぞれの人たちが一体どういうルート、手続で子供たちに安全な米を食べさせるのかという重要な問題をこのお米の中から判断することができるのではないか、こう実は私は思っているわけであります。  先般、米不足の問題が提起されましたときに、私は選挙区に入りまして社会党の調査団を組織していろいろ調べてまいりました。確かに五十三年産米は何回か薫蒸されて臭素が検出されたという事実も明らかになりました。しかし、新米と言われる五十八年産米は実は一度も薫蒸された例がないのであります。専門家から言わせると、自然に臭素が検出されることもあるのだそうですが、それは極めてわずかなのであります。そういたしますと、私はここでいろいろな疑問を持たざるを得ないわけであります。  そこで、文部省にお尋ねをいたしたいのでありますが、過般、我孫子市内の消費者グループの皆さんが七月二十三日農林水産省と文部省を訪れたはずであります。その際に、「学校給食用米の臭素検出に関する要望書」を提出いたしまして、その中身、私もいただきましたが、「東京都の衛生研究所の検査では、五十八年産米からは、臭素は検出されておりませんので、我孫子のこの給食用米には、古米の混米があったものと思わざるを得ません。」「基準値以内の臭素であっても、発育途上の子ども達に食べさせることは、断じて許されません。」と締めくくっているのであります。至極当然な要望の内容であると私は理解をしているわけでありますが、このような消費者グループの皆さんの主張に対して、文部省は一体どのように理解されておりますか。
  46. 古村澄一

    ○古村政府委員 我孫子第四小学校のお米から一八ppmの臭素が検出されたという情報を聞きましたので、文部省といたしましては、直ちに日本学校健康会に対して調査を行わせました。日本学校健康会は、千葉県の食糧事務所、千葉県の教育委員会等の立ち会いのもとに、同じ我孫子市立第四小学校のお米のサンプリングを行いまして、日本穀物検定協会に検査を依頼いたしました。その結果、米は新米であるという検定結果がなされ、臭素につきましては三ppmの検出がされました。この量につきましては特段健康の問題としては問題ないというふうに理解いたしております。
  47. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 しかし、あなた、先ほど一八ppmが検出されたという事実経過をお答えになったでしょう。だから、自然臭素が仮にあったとしてもほんのわずかである、これは農業の専門家が言っているわけなんであります、ほとんど出ないもの、出ても最高五ppmぐらいである。人によって物の言い方は違うかと思うのでありますが、常識的な判断では私もそうだと実は思っているわけであります。ところが一八ppm、それは五〇ppm以下であって人体に影響がないと言いながら、明らかにこのことは古米が混合されたがゆえに一八ppmの臭素が検出されたと理解するのが当たり前なんですよ。それを週刊誌でも「古米を混ぜるのは常識」だという見出しが出ているわけなんです。ところが、文部省もおわかりのとおり、「お米に関する八十四講」というのが出ていまして、この中には農水省が答えとして出しているわけであります。食糧庁はわかっているのだと思いますが、文部省は知っていますか。
  48. 古村澄一

    ○古村政府委員 私は承知いたしておりません。
  49. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それじゃ、私の方から教えます。「学校給食用には、どのような米穀が供給されていますか。また、学校が買入れる価格はどうなっていますか。」という設問に対して、農水省の答えは、「学校給食用米穀は、一・二類四〇%、三類六〇%を基準とし全量新米で供給されています。」と断定しているのであります。どなたに聞いても同じような答えてあります。  そうすると、私が先ほど申し上げましたように、五十八年産米は一度もガス薫蒸されておらない。薫蒸されていないから臭素は検出されないのです。これは当たり前のことなんです。ところが、我孫子市の場合一八ppmが検出されたということは、明らかに古米が入ったと理解せざるを得ないじゃありませんか。どうですか。
  50. 古村澄一

    ○古村政府委員 米飯給食を始めます当初五十一年から農林省と文部省の協議によりまして、学校給食については新米を使うということで、食糧事務所を通じて新米を供給してもらっているのが現状でございます。したがって、私たちは我孫子市の第四小学校の米を調べましても新米であったという結果を得ていることは先ほど申し上げたとおりでございます。
  51. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも答えがかみ合いませんね。新米だと断定するのになぜ一八ppm出たのですか。食糧庁どうですか、常識的に判断して答えてください。
  52. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  今文部省からお答えがありましたように、私どもすべて新米を学校健康会を通じて供給しております。我孫子市の件につきましては、臭素米の混入の疑問があった関係もありまして、私ども文部省と相談しながら、学校健康会、それから教育委員会、それから食糧事務所合同で調査をいたしましたけれども、ちょっとくどくなりますけれども、まずやりましたのは我孫子市立第四小学校に置いてありますサンプルを入手しまして、新鮮度判定と私ども言っておりますが、新米、古米の判定をする、それから残留臭素量の検定を行う、それからその玄米の薫蒸状況を確認する、それから搗精工場がございますから搗精工場の立入調査を行っております。その結果はいずれも新米と判定されております。古米の混入は認められておりません。それから、臭素につきましても、我孫子市立第四小学校のものは三ppmでございます。それから、当該原料玄米はすべて薫蒸されていないということが確認されております。また、搗精工場における搗精も極めて適正でございまして、私どもはそれらのことを確認したわけでございます。
  53. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 おかしいじゃありませんか、新米だ新米だと言って、新米は一度も薫蒸してないのが大体全国的な通例ですよ。文部省だって、食糧庁だって、調査した結果新米だと言ったら、出るはずがないじゃありませんか。出るはずがないのになぜそれじゃ一八ppmが出たのですか。その原因は何だと思いますか。そんな答えでは納得できません。
  54. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  私どもの方の調査は、報道された結果に基づきましてまた教育委員会から入手した資料に基づきまして、現物を確認するということでやらさせていただいておりますが、今までの先ほど申し上げた調査結果ではそのような事実でございます。
  55. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そんな答えがありますか。それじゃ一体、一八ppmは何で出たと思いますか、あなた新米だとおっしゃるなら。文部省でもいいんだ、両方から、新米からなぜ一八ppmが出たとお思いですか。その原因は何だと思いますか。納得のいくように、しかもわかりやすく答えてください。そんなことで国民が納得できると思いますか。
  56. 平野愃

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  新米か古米かの鑑定でございますけれども、これは酸性度指示薬、時間の経過に従いましてお米が酸化するということで、酸性度でチェックできるわけでございますが、それに基づきまして鑑定した結果、完全な新米でございます。
  57. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 新米だと言うならそれでいいでしょう。だから、私が聞いているのは、新米から臭素が出るはずがないのになぜ一八ppmが出たのか、その原因は何ですかと質問しているのですから、私の質問に答えてください。答えになっていないじゃない。
  58. 古村澄一

    ○古村政府委員 一八ppmの検出というのは我孫子市がおやりになった調査結果で、その結果が新聞に報道されましたものですから、したがって、私の方としては調査に入ったわけでございます。そして、私の方の調査としては三ppmということでございますので、その一八ppmとの差は何だと言われても、なかなかこれについてはお答えしにくい問題であるということであります。
  59. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、我孫子市が行ったものだから信用できないという話だったら、これはまた論争は別になりますよ。我孫子市が日本食品分析センターに依頼をして分析結果を出してもらったのです。それには明らかに一八ppmと出ているのですよ。ちょっと見せてください、証拠書類がここにあるんだから。(資料を示す)私は推定で物を言っているのではないのですよ。だから、新米だと言い張るなら、新米の中からなぜ一八ppmが出たのか、その原因は何なのかを明らかにしてくださいと言っているのです。皆さん専門家でしょう。そんな国民をごまかすような答弁じゃ納得できませんよ。  私の別な資料では、これは日野市の例でありますが、学校給食材料納入業者からの米を検査したら、一三ppm出ているのですよ。同じもので九ppm。東京都の学校給食会の米からも七ppm出ている。ところが、市内の小売店二カ所をやった結果、検出されていない。学校・給食米からだけ臭素が検出されて、そして市内の小売店からは一件の検出もないのですよ。なぜ学校給食米からだけ臭素が検出されているのですか。国民が納得いくような答弁文部省と食糧庁やってください。そんなことでは納得できないよ。(「休憩しろ」と呼び、その他発言する者あり)
  60. 愛野興一郎

    愛野委員長 佐藤君に申し上げます。  佐藤君の資料とそれからまた文部省、農林省で調査した資料と食い違いがありますので、佐藤君の質問は休憩後再開後に十分間保留をすることといたし、佐藤誼君の質疑に入ります。
  61. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それじゃ、質問を留保しておきますから、ひとつ十分かみ合うような、そして国民の皆さんが非常に心配しているこの学校給食米について安心できるような資料を提供することを条件として、質問を留保いたします。
  62. 愛野興一郎

  63. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 最初に、委員長それから事務当局にお願いしておきたいのですが、私の質問時間が何分までになるのか、それをひとつ精査をして、私に早く教えてください。それをまず最初にお願いします。  それでは、質問を行います。  私は、今まで三回にわたり鹿児島県阿久根中学校の業者テスト処分事件について質問をしてきました。その中で、業者テストとは何かということについて、文部省は次の点を強調して述べております。これは今までの三回にわたる議事録をもとにして述べているわけでございますから、よくお聞き取りいただきたいと思うのです。  その業者テストとは何かということについて強調し述べている点がまず六つあります。その第一点は、業者が問題を作成しているということ。二番目は、採点処理を業者が行っているということ。三番目は、その結果をそれぞれの学校に送付するということ。これは五十八年七月二十七日の議事録二十一ページにそれが記載してありますからごらんになっていただきたいと思います。次に四番目は、進学の時期にテストが集中するということを述べております。つまり三年生。それから五番目は、志望校選定つまり進学のために資料として利用しているということ。六番目は、その資料は偏差値によって序列化された資料であるということ。後に述べた四、五、六の点は、昭和五十九年七月十八日、この質問の議事録の二十二ページから二十三ページに載っているはずでございます。  次に、鹿児島県で実施している標準学力テストというのは何か。その特徴についていろいろ述べておりますが、次の三点を私としては特徴的な点としてとらえて申し上げたいと思う。  その一つは、一人一人の子供が何点取ったかということとは違うということ、これが一つ。二番目は、進路指導であるとかそれから子供たちの学力を個別に認定するための手段というようなものには使っていない、これを強調しております。それから三番目は、個別の生徒の評価をするようないわゆる業者テストとは異なるという、以上三点を述べております。つまり鹿児島県で実施している標準学力テストは業者テストとこの点が特に違うということを言っております。一人一人の点数が何点ということを評価することとは違う、進路指導には利用しない、それから個別の生徒を評価するような業者テストとは違う、こういう趣旨のことを言っているわけです。  この点について、私は議事録に照らして今申し上げたわけですが、そのとおりと理解していいですか。
  64. 高石邦男

    ○高石政府委員 大体においてそのとおりだと思いますが、なお、ニュアンスの違いその他によって若干の受け取り方の差があるのではないかと思っております。
  65. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それでは、それに基づきながら質問を続けます。  文部省答弁の中で次のようなことを言っているのです。「業者テストというものと、それから鹿児島県がやっている標準学力検査、これは別に考えているわけでございます。」こういうふうに述べておるのは、先ほども述べました昭和五十八年七月二十七日の議事録に載っております。そして、それに関連する質問答弁をずっと総覧いたしますと、標準学力検査は、実施している形態、目的、利用から見て、業者テストとは全く異質のものだということを主張しております。つまり、私がここで強調したいのは、鹿児島県でやっている標準学力検査はいわゆる業者テストとは全く異質のものだということを極めて強く主張している、こういうことです。しかし、果たしてそういう主張が妥当なのかどうかということに私は疑問を持っている。私の見解からいうと、鹿児島県で実施している標準学力テスト、私たちは通称業者テストと呼んできましたが、いわゆる業者テストそのものだとは申しません。しかし、鹿児島県で実施している実態に即して言えば、あり方論とかこういうふうに「目的」に述べているとかそういうことではなくて、標準学力テストは業者テストと多くの共通点と類似性を持っているということをむしろ強調されるべきではないかと私は思うのです。したがって、今日の教育の荒廃と言われる現状に照らした場合には、業者テストに見られるいろいろな問題は同じような意味で標準学力テストにも見られるのではないかと私は考えるわけであります。  きょうは時間が制約されておりますので集約的に申し上げますから、後で答弁をしてもらいますが、そこで、業者テストと鹿児島で実施している標準学力テストの共通点、類似性について考えてみたい。共通点、類似性があるのかないのか。つまり、業者テストと言われるものと、あなた方が異質だと答えるまた主張している実際に鹿児島県で行われている標準学力テストの共通点、類似性があるのかないのか。そこで、あなた方は、業者テストは業者が問題を作成したということを述べているわけです。その点、鹿児島の標準学力テストではどうなっているのか。今私が言った意味はわかりますか。つまり、業者テストは業者が問題を作成したのだということを言っているけれども、それでは鹿児島の標準学力テストは業者が問題を作成しているのか、していないのか、こういう問題です。  同じような意味で私は事実に即して述べていきます。この鹿児島県で実施している教研式標準学力テストは、財団法人応用教育研究所学力検査研究部が作成したものであるということは事実であり、この点はこの前の答弁でも局長はそのとおりと述べておりますね。つまりこのテストです。このテストをつくったのは財団法人応用教育研究所学力検査研究部だということですね、これは認めておりますから。これが業者テストという範疇に入るのかどうかということでございますが、これは、この前言いましたけれども昭和五十一年八月の文部省の職業教育課の業者テストの用語の定義を見れば、これが業者がつくったテストに入ることはもう間違いないと思うのです。後で述べてください。  次には、採点処理を業者が行うというのが業者テストだと言っていますが、鹿児島の実施している標準学力テストはその点どうなっているか。これは昭和五十八年七月二十七日、その質問に対する答弁で、初中局長は、七二・三%業者が処理しているということを言っております。そうでしょう。また、私たちの実態調査でも、業者が処理をして、今文部大臣見ているようですが、こういう形で全部業者がテストを処理して学校に配っております。業者処理になっております。あなたもそれをそのとおり、七二・三%がそうだと答えております。  次に、業者テストはその結果はそれぞれの学校に報告をするのだということを言っている。じゃ鹿児島の標準学力テストの場合はどうなっているか。同じように、こういうような形で得点、偏差値、全部詳細にわたって記録をしている。言うならば、業者が採点処理した結果ということで学校に報告しているのはこれを見れば一目瞭然です。特に鹿児島県で使っている教研式テスト、これですね。このテストを販売し、採点の処理をし、テスト料をもらい、採点処理の料金をもらっている、そういう会社はどこかということです。これは株式会社教育応用研究所です。この会社は鹿児島市上之園町十七の十一というところにあります。電話番号もわかっておりますし、社長の名前もわかっております。鹿児島ではここが扱っているのです。具体的には今申し上げたようなことで、集金もここでやっております。一教科九十円、採点処理七十円ということで、ここに金が入るわけです。  次に、この業者テストは進学のための資料にするものである。その点、鹿児島県の標準学力テストは進路指導には使っていないということを述べております。これは同じく五十八年七月二十七日の質問に対してそういう答弁をしております。これはこの事実を見れば明らかです。つまり、それは進学のために十分使っているし、またそれを一つのねらいにしているということは、皆さんに、文部大臣、それから局長に渡しました資料を見れば明らかですね。これはこの前も質問で明らかにしましたから、これ以上申し上げません。  つまり、鹿児島県の高尾野町教育委員会の「標準学力テストの実施について」、その「目的」を見れば、今申し上げたように進学のためのねらいであり、またその資料にも使っているということは明らかだと思うのです。また、実際私たちが鹿児島に行って各学校等の実態を調べてみると、これが進路指導等に使われていることは事実です。むしろ、三年の場合にはいろいろな資料がたくさんございますけれども、一、二年生でありますとそういう序列化された資料がないものですから、これを進路指導なり三年に当たっての進学指導なり父母との面談の場合に一つの資料として使っている、こういうことは明らかですから、今申し上げたように、鹿児島の場合には進路指導などには全然使ってないんだということにはならないと思うのです。  次に、業者テストは偏差値によって序列化された資料であるということを述べています。これも同じく昨年の七月二十七日の答弁の中にそれがはっきり出ております。それでは、鹿児島で実際に行っている標準学力テストはどうかということになれば、先ほど見たとおりですから、むしろ偏差値によって個人学級、学年も全部詳細に序列化された資料になっております。  しかも、もう一つの問題は、鹿児島の場合には、つまり鹿児島の標準学力テストは学級、学年単位のデータで、子供個々の評価はしていないというふうに述べております。これは昨年の同じく七月二十七日の議事録に記載されておりますから、よくごらんになっていただきたいと思います。これを事実に即して言えば、これは学級、学年はもちろんのこと、個人にわたるまで、個人の得点、偏差値が全部出ております。これは文部大臣並びに局長に渡した資料から見れば明らかだと思うのです。これは時間もありませんから申し上げませんが、その中身はごらんになればわかります。  以上の点から見ると、鹿児島の標準学力テストは、業者テストと異質のものだというよりは、むしろ共通点、類似性が多いということの方が、鹿児島県で行っている標準学力テストの実態に即して言えば、その方がとらえ方としては至当だと私は思うのです。したがって、冒頭述べたように、業者テストが持つ教育上から見た弊害は、これは皆さんの通達の中にも出ているわけですね。だから、業者テストはやめなさいとか、それなりの扱いをしなさいということを言っているわけです。この業者テストの持つ弊害というのは、今申し上げたような共通点、類似性からいって標準学力テストにもあるという、このことを私たちは主張したいし、私はそう思うのであります。したがって、この点は、この標準学力テストを見る上での非常に重要な点だと思いますから、今まで三通私質問しておりますから、今の点、集約的に申し上げましたから、ひとつ答弁を願いたいと思います。
  66. 高石邦男

    ○高石政府委員 結論から申し上げますと、いわゆる業者テストとして文部省が、追放、是正をすべきだ、こう言っている内容と標準学力検査は別でございます。鹿児島の場合は、あくまで標準学力検査という範疇の中でとらえられているわけでございます。このことは、実は鹿児島県教組が出している「教育鹿児島号外」一九八四年四月一日号でも、「標準学力テストの押しつけ排除」という表現を使い、そして一方においては「市販テストの廃止」「業者テスト・順位序列の廃止」ということで、鹿児島県の組合自体も標準学力テストといわゆる業者テストは区別したふうに受け取られる記述を号外の中で流しているわけでございます。したがいまして、鹿児島県で行っているその標準学力検査のまず基本的なことは、どういう目的でどういう方法で実施するかということが出発点だと思います。したがいまして、鹿児島の標準学力検査は、その実施主体は市町村の教育委員会並びに学校が正規の授業時間を利用して、そしてテストをする。しかも、それは年一回しかも一学期というような形で実施をするということでございます。  そこで、その実施をする試験の問題、そういうものは一体だれがつくったものか、それが民間の会社によってつくられた内容が利用されている。そして、採点その他の処理が業者によって処理されているということは事実でございます。それからなお、学級とか個別の教科ごとの偏差値、そういうものが個別の表で出されている、これもそのとおりでございます。  ただ、これは具体的に利用する場合には、それぞれの学校の指導計画を作成する場合、それから具体的に教育を展開する場合の授業展開の改善に役立てる、それから個別には、その担任の先生ないしは教科担任の先生が、その子供の現在持っている学力の度合い、それはこういうテストで出ますので、こういう面がおくれている、こういう点についてもっと勉強するようにという、個別指導に利用するというような形で使われているというのが報告として述べられておりまして、あくまで進学のための業者テストとして行われるいわゆる業者テストとは基本的に性格を異にするというふうに思っておりますので、その点の類似性という観点での形態論から議論されるとそういうような御指摘もございましょうけれども、あくまで、その目的ないしは利用の基本的な考え方というような内容から考えますと、標準学力検査といわゆる進学のための業者テストは別であるというふうに理解しておりますし、鹿児島の場合は標準学力検査として実施されたものである、こういうふうに理解しているところでございます。
  67. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 別だということと区別をしている、こういう言葉を使っていますけれども、業者テスト、標準学力テストは、これは名前、使っている言葉が違いますからね。  ただ、もう一つの問題は、業者テストはこうであって、標準学力テストはこういうねらいと目的と利用をされているという、またそれはねらいだということを言っておりますけれども、私は実態に即して言っているわけです。この点をあなたはごっちゃにしているのじゃないかと思うのです。つまり私は、業者テストそのものだということを言っているわけじゃないのです、標準学力テストは名前も違いますから。ただしかし、あなた方が指摘している業者テストはこういうものであって、そしてこういうところが特徴であって、こういう問題点があると言っているのでしょう。これはずっと通達の中にも出ている。それに沿って私は言っているのです、議事録に沿って。沿って言うならば、実際に行っている鹿児島の標準学力テストは、業者テストとあなた方が言っているところと実質的に非常に共通しているのじゃないか、問題点も共通しているのじゃないかということを、私は事実に沿って言っているわけです。確かに、標準学力テスト、これを行っているねらいということを教育委員会は次のように言っております。  これは「県教委だより」ですね。それは、テストの結果によって「教育課程の適切な編成と実施、指導法の改善等を図ることは」以下云々ということで、それが一つのねらいだと言っております。これは確かに文言として書いてありますからね、ねらいということで。ところが、実際このとおりになっているのかどうかということを私は指摘したい。それは、先ほど言ったようなことでいろいろございますけれども、例えば実際行っているところの高尾野町の教育委員会が実施に当たっての目的をどうとらえているかと言えば、これは時間がありませんから繰り返しませんけれども、「公立高校入試結果資料からみて」云々、ずっと行きまして、しかも「個に徹した学習指導資料として」「学力向上を促すことを目的とします。」とある。ですからこれは、高校入試ということは常に頭の中にあるし、そのことも頭の中に入れた学習指導であるということははっきりしているわけですよ。あなた方は現場まで行かない人でありますけれども、実際現地に行ってみれば、ほとんど使っていないところもあるし、学習指導などというものにほこりが立っているところもありますよ。しかし、使っているところは、今申し上げたようなことで進路指導なり、二年生、一年生のときには資料が少ないですから、ここで使っているという実態が明らかです。  また、教育委員会等のレベルの議論を聞いてみると、これは、私ははっきり証拠を持っていませんから、議論の結果私の得た推定でありますが、データが全部県教育委員会なり地教委なりに集まっている。そうすると、このとおり個人から学年から学級全部一覧表になって出るでしょう。そうすると、学校相互の学年の比較、学級の比較、学校で言えば個人同士の比較、全部出てくるわけです。そうすれば、当然このデータは、学校、学年、学級相互の比較ということでとらえられて、しかもそれが相互間の競争をあおるというところまで悪用されているという実態が明らかなんです。ですから、あなたが言われるように、県教育委員会はこの標準学力テストはこういうねらいで持っているのですということは言っておりますよ。しかし、実態は今私が述べたようなことになっている。それは、いみじくも業者テストが問題だと言われている点に非常に類似しているわけです。ですから、あなたが、こうなるはずだという議論や、こうなっているのが建前だという議論ではなくて、実際に私が行ってみるとこういうふうになっている。しかも、それは業者テストがこういう範疇に属し、こういう点が問題だということに非常に実態が類似しているということを、あなたの述べた議事録と実態とを合わせながら私は何項目かについて言ったわけです。その点から言うならば、全く異質だ、異質だというのがとらえ方として至当なのか。私は全く業者テストと同じだと言っていませんよ。同じだと言っていませんけれども、問題にしようとする業者テストと、実施の仕方も実態も非常に共通点を持ち、そしてまた類似性を持っているというふうにとらえるのが、とらえ方としては至当ではないかということを私は主張しているのです。どうなんですか。
  68. 高石邦男

    ○高石政府委員 やはり意見が分かれるところでございまして、業者が問題をつくっている、それから採点を業者がやっているとか、そういう面でとらえれば今おっしゃるとおりでございます。私は終始、業者テストといわゆる標準学力検査は違うということを述べてきたつもりでございます。(佐藤(誼)委員「実態に即して言いなさいよ」と呼ぶ)だから、実態に即しても申し上げておりますが、具体的なそういうデータが出て、それをもとにして具体的な指導計画をつくる際、そして具体的に指導をする場合、そして個別の生徒に対して指導をする場合、そういうものが十分に使われている。しかも、それは一年、二年、三年、年一回、しかも一学期というような実態で、調査するテストのおのずから利用できる限界というのはそこに力点があるわけです。したがいまして、高等学校進学を上げていくというために市町村教育委員会が必死になって努力をするのは当たり前のことでございまして、そのために大いに所管の中学校にハッパをかけるということは当然あり得ることだと思うのです。そういう形の中で、中学校先生方がそれぞれに、一年、二年、三年の授業展開をする際に、しっかりとしたデータの上に立って指導をしていく、その基礎として標準学力検査が使われている。これは全国的に使われておりまして、この標準学力検査が使われている率が一番高いのは山形県でございまして、九五%以上はこの標準学力検査が利用されているわけでございます。
  69. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私は、山形県が使っている、使っていないとか何も言っていませんから、それはあなたの答弁の勝手でございますけれども。  それで、いみじくもあなたは業者テストということに関連して、この前こういうことを言っているのですよ。「鹿児島県で実施している標準学力検査は、まさに統計的な数理処理をいたしまして、当該学校の第何学年はどういうような地位にあるかということを把握し、それをもとにして今後の教育に生かしていこうというような意味で実施しているわけで、進路指導であるとか、それからその子供たちの学力を個別に認定するための手段というようなものとして使っていないこと言っているのです。いいですか、二十二ページにあるのです、このとおり。あなた、言っているのです。そういうもので個別の生徒を評価するようないわゆる業者テストと異なるということをここで言っているじゃないですか。私は、こういうあなたが答弁したことと実態に合わせて言っているわけだ。その都度いいかげんなことを言ってもらっては困るのです。  こういうふうに言いながら、実際は高尾野町では、先ほど言いましたような、「目的」はこういうようになっているし、実態は、進学指導にもあるいは進路指導にも使っている。こういうことに対してあなたは、進路指導なりあるいは進学指導に使うことは十分あり得るじゃないか、それをまたそういうことにしておって学校先生方が指導することは十分あり得るのだ。しかも、それを利用することもあるということを言っているけれども、これはあなたが昨年の七月二十七日に答弁したこととは全然違うのですよ。あなた、そのことは矛盾として感じませんか。だから、こういう事実に即して言えば、あなたの答弁は誤っていることを私は言っているわけだ。そこはどうなんですか。
  70. 高石邦男

    ○高石政府委員 今ここで申し上げているような立場答弁をしてきたつもりでございます。もしそういうように受け取れない答弁があったとするならば、それは非常に不正確な答弁をしたということになるわけでございますが、全体として常に申し上げてまいりましたのは、標準学力検査といわゆる業者テストは違うということを申し上げてきたつもりでございますし、いわゆる進路指導の、進学のためにどこの学校へ行ったらできるというような業者テスト、これは三年生を中心にしてかなり高い頻度で何回もテストが行われて、そこから出される序列化、そういうものがいわゆる業者テストでございまして、鹿児島県で行っている年一回の標準学力検査は、学力を向上させるという意味での基本的なデータとしては十分利用されていかなければならないし、利用価値のある内容であると思うわけでございますが、ストレートに進学に結びついているというふうには理解していないのでございます。
  71. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 あなたは、異質だ、違う、区別するというこの点だけを強調しておりますけれども、実態は、あなたが答弁されたことに沿っていっても、鹿児島県で実際行っている標準学力テストの実態からいっても、業者テストと非常に共通点と類似性を持っているし、弊害という点からすれば、この標準学力テストについても十分留意をしなければならぬという、この点は常識的に出てくる線ではないか。まあ、あなたが抗弁されれば別ですよ。そのことに固執されて抗弁されれば別です。しかし、私はそれ以上追及いたしません、これは議事録としても残るでしょうから。  そこで、問題は、業者テストの持つ教育的弊害は何かということを考えなければならぬのではないか。業者テストが悪い悪いという、あるいは何とかそれについて扱いを適正なものにしなければならぬということは、教育的弊害があるという観点だと思うのです。そこで、業者テストの持つ教育的弊害は何かというと、端的には次の二つだと私は思う、それはたくさんありますけれども。ペーパーテストとそれによる偏差値で児童生徒を序列化することだと思う。簡単に言うと、一点刻みでずっと点数を出している。これが、よく言われる知育偏重の教育を助長したり、ペーパーテストによる序列、すなわちそれが全人格的な序列に転化していくといいましょうか、そういう問題を提起するという、極めて非教育的なものにつながっていくという点で、この序列化を主なるねらいとして材料を提供しようとする業者テストが問題になるのだ、こういうことだと思うのですよ。それから、もう一つの問題は、偏差値によって序列化したデータを進学の振り分けのために利用する、これは表裏の問題、表裏一体の問題でありますけれども。あえて私は指摘するならば、この二点だと思うのですよ。こういう点から業者テストは問題がある、こういうふうに言っているんだと思うのです。  この業者テストに対しては、昭和五十一年の八月文部省の職業教育課、昭和五十一年九月文部省初中局長の通達、昭和五十八年十二月今度は事務次官の通達ということで、学校における適切な進路指導ということで業者テストの行き過ぎを戒めているわけですね。戒めている根拠になっているのは、今申し上げたような点を教育的に問題だということで指導しているし、また、業者テストが問題だと言われる点はその辺にあると私は思うのです。  そこで、確かに、このような弊害は、今私は序列化と振り分けのための指導という二点を述べましたけれども、これが業者テストに代表的にあらわれていることは御案内のとおりです。しかし、それはそのことだけに限定されたものではないと思うのですね。確かに、業者テストに今のような点は集中しますけれども、これは例えば学校のテストにだってあるわけだ。学校外の、例えば業者テスト以外のいろいろなテストもありますから、もちろん塾のテストでもあります。予備校のテストはいわんや。つまり、そういう業者テストに見られるところの偏差値の序列化、振り分けのための資料というのは、業者テストだけにあるのではなくて、今申し上げたようなテストにはずっと普遍しているわけです。  それから、もう一つの問題は、業者テストというと進学のことを考えますね。三年とか進学の学年、確かにその学年に集中します。しかし、それはその学年だけに固有の問題じゃないですよね。もう、入ったときから、一年、二年から、三年の進学を考える。次の学校に、つまり、中学校から高等学校に行けば、次に大学のことを考える。そういう意味では、御承知のとおり過熱した受験競争の中で、すべての学校が予備校化し、日常的に今の序列化のためのテスト教育が行われ、それがあらゆる面に波及していって、そして塾産業を生み、多くの偏差値万能、落ちこぼれという問題まで波及しているわけです。  だから、私が言いたいのは、この業者テストに見られる教育的弊害というのは、確かに業者テスト、しかも進学という年に集中的にあらわれるけれども、ここに固有の問題ではないということです。確かに、ここにあらわれるから弊害を除去しなければならぬというけれども、今申し上げたように、教育のすべてと言っては語弊がありますが、主要なテストには共通している問題である。三年だけでなくて、もう学校に入ったときからそういう問題になっている、こういうとらえ方をしてこの問題を考えなければならぬのではないかと私は思うのです。そうしないと、専ら異質論だ、区分け論だということで、業者テストだとか三年生だとかここを幾らいじってみたって、今持っている問題点、つまり偏差値による序列化のいろいろな問題点、振り分けのための資料、輪切り、こういう問題の核心に触れるものが出てこないと思うのです。だから私はこの問題を取り上げているのです。そういうとらえ方をぜひしてもらいたいなと私は思うわけです。  そこで、今のような観点で見たときに、鹿児島県で実施している標準学力テストは、今申し上げたような業者テストに類似した弊害を持っていると私は思う。ちょっとくどいようですけれども、業者テストの弊害といえば、つまり偏差値による序列化、そのデータによる進学等の振り分け。こういう点に集中的にあらわれる業者テストに見られる弊害というのは、鹿児島県の場合にもこれに類似する点があるのではないか。それは、先ほど言いましたように、民間業者に依存して実施している、あるいは個人学級、学年にあらゆる側面から得点、偏差値でずっと序列化している。むしろ業者テスト以上に偏差値でもって全国レベルで詳細にわたって序列化している。これはデータを見れば明らかです。しかも、そのデータは個人学級、学年の比較競争に現に利用されている。あなたがもう一度鹿児島へ入って実態を調べてもらいたいと私は思う。  それから、もう一つは、テストの目的が入試とのかかわりで明示されている。これは先ほど言った高尾野の中に明確にありますね。そして、実際は進路指導に利用されている点などを見れば、非常にくどく申し上げましたけれども、偏差値による序列化、しかもあらゆる学年から進学指導が行われている実態に印すれば、当然、これは進学のためのデータとして、あるいは振り分けのためのものとして、輪切りのためのものとして、ストレートではないけれども、そういうベースをずっとつくっているという点では、全然問題がないとは言い切れないと思うのです。そういう点でこの問題を重視して見なければならぬのじゃないか。このことから見て、業者テストに際立っている偏差値による子供の序列化、そのデータによる振り分け、輪切り指導に、あなた方が異質だ、別だと言うところの標準学力テストも相通ずるものがあるというふうにとらえるのが至当だと私は思うのです。  御承知のとおり、特に今日、偏差値万能の偏差値教育が問題にされ、しかも偏差値より人柄、入試事項の緩和などが教育改革の中心として叫ばれているときに、もう一度繰り返すようですけれども、この標準学力テストは全国レベルで偏差値による序列化を行うものであり、これは今求めている教育改革の方向に逆行するものではないか、改革の方向に進めようとするものとは少なくとも方向が違う。さらに、これは、文部省が出した偏差値重視の進路指導の是正、このことにも方向としては沿わないのではないか、私はそう思うのです。これは業者テストとは別だ、異質だというだけでとらえて、そこでちょん切って終わりの問題ではないだろうと思う。今教育改革を進めようとするときに、今のような掘り下げ方の中で、業者テストも問題にするが、この標準学力テストについてやはり問題にする必要があるのではないか。特に、それが教育行政当局、つまり公的な力、県教委、地教委が画一的にしかも強制的に進めている点は特に問題があると私は思います。しかも、あえて言うならば、このような標準学力テストは業者テストとは異なる、異質であるというそのことを、調査不十分のまま事実に基づかないで強調し、それを容認しようとする文部省の態度に私は納得ができない。しかも、このような問題の多いテストの実施を教職員の意に反して強制し、職務命令を出すということは、極めて問題があり、不当不法な内容を含んでいるんではないかというふうにも考える、やり方として。  そこで、私は、この辺で文部大臣に、鹿児島県で実施しているこの標準学力テストが、我々が今問題にしている業者テストの弊害、この点とのかかわりで問題がないのか、それから、今私たちが臨教審法案などを議論しながら、国民の期待にこたえてこの教育的弊害を改革していかなきゃならぬ方向にこれがマッチしているものがあるのかどうか、これにプラスしていくものであるのかどうか、この辺の基本的見解について、文部大臣の所見を聞いておきたいと思う。
  72. 森喜朗

    森国務大臣 いろいろとお話を承りました。先ほどから局長も申し上げておりますように、業者テストとこの標準学力テスト、調査とは異質なものである。これは先生のお尋ねの中にもそういうふうにお話をいただいております。同じ質のものであって、そしてそのことで偏差値を求めて進路指導をしていくというようなことでこの調査をしているわけではないのであります。実際にいいか悪いかという問題については、いろいろな議論をまた別の角度でしなきゃなりませんが、あくまでも、先生方におかれては生徒の学力の実態というものを把握したい。結局、その調査をやってそれで進路指導をするというのではなくて、やはり最初の段階で承知しておく、同じ県内におきます他の学校の学力の状況というものも承知をして、子供たち、生徒たちを指導していきたい、こういう気持ち、願いからこの調査を行っているものでございます。そういう意味では、先生も御質問の中でお触れになっておりますように、全く質も目的も違うものだということはぜひ理解をいただきたいと思うわけでございます。  しかし、確かに、一つの制度とは言えませんけれども、こういう仕組みでも方法でもやはりひとり歩きしていく場合があると思います。これは気をつけていかなければならぬことだと思います。そういう意味で、先生から御指摘のように、文部省としては、十分に教育委員会でその目的そしてねらっているものは何なのかということはよく熟知をしてもらう、実際に教育委員会が承知しておっても現場へいけばまた変わってしまうというようなことがあってはいけない。これを私はひとり歩きという表現をしたわけでございますが、そういう意味では、これを実際に調査をする、それを進めるところには、十分の配慮、心配りをしていかなければならぬだろう、先生のお話を承りながらまた局長答弁を聞きながら、私はそんな感じを非常に強く持ったわけでございます。  業者テストの弊害は先生二つ挙げておられました。生徒を序列化する、そしてその偏差値を進路指導に利用する、これは断じてならないことである。そのとおりだろうと私も思います。そういう意味で、子供たち、生徒たちの進路指導、将来に向けての考え方、これについては、もちろんそれぞれの能力、個性、希望というものがあるわけですから、それを多様に見てあげる、このことは私は絶えず国会を通じても申し上げてきているわけでございます。学校段階だけでは解決しようと思ってもなかなか難しい面がたくさんございますので、新しい教育改革の中の最大の課題として、学歴社会全体を打破するということからこうした問題に取り組みを合いたしておるわけでございまして、そういう後段の部分につきましては、まさに先生の御指摘のとおりであろうというふうに私ども考えております。そういうお考えを正しく学校の中に生かしていく、先生のためにも、御苦労をいただきますが、やっていただきたいということから、教育改革をぜひ進めていきたい、議論をしたいという考え方を持っておるわけでございます。  先生の御指摘をなさいます、実態に即してごらんになってという面でのお考えの御披瀝、文部省といたしまして、局長から申し上げておりますはうに、当初の学力検査というもののねらい、ここにはかみ合わない面が多少あるのかもしれませんが、その点につきましては文部省としても十分注意、指導をしていかなければならぬだろうというふうに、私はお話を聞いておってそんな感じを持ったわけでございます。
  73. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 文部大臣答弁を私はすべて納得しているわけじゃございませんが、それなりにわかる点はあります。ただ、はっきりしているのは、文部省と言ってもいいですけれども答弁を聞いていると、標準学力テストと業者テストは違うという点だけを、形とあり方論で違うという点だけを強調して、業者テストはこういうところが問題があってだめなんです、しかし標準学力テストは違うんだから問題はないんです、こういうようなとらえ方をされますと、実態に即して見た場合に、そういうとらえ方は不適切ではないかということを私は特に強調しているわけなんです。だから、私はその点、業者テストを問題にしているのですから、この標準学力テストもその点で共通点や類似点、特に問題がないのか、こういうとらえ方で、実態を調査しアプローチしていくということが重要ではないか。特に、鹿児島県では全県で行われて、しかもこのことに関連して処分まで出た問題ですから、そういう紋切り型で事の処理に当たるということは、私は文部行政に当たる者としては懐が極めて浅いし、とらえ方としては間口が狭いのではないかというふうに思います。まずその点を指摘しておきます。  それから、もう一つは、大臣も特に強調されている点でありますが、この標準学力テストはいわゆる業者テストとは違うという点で、客観的にその子供の学力の位置等を把握して学習指導なりあるいはカリキュラムの編成に使う、そういう趣旨で言われていると思うのですが、つまり、客観的にその子供の学力の位置を調べるというか、これは学習指導をしている限りは、テストの評価と指導というのは表裏の問題ですから、それは私は否定するものではないのです。ただ、問題は、そういうことでやるのだけれども、実は偏差値を利用して、そのペーパーテストでだあっと序列化して、その子供がその目的に向かってどの程度到達したかという個々の生徒の到達点をあらわすのではなくて、五百人なら五百人いると、その子供はそのうちの何番目にいるかということだけが強調されてしまう。しかも、全国レベルでそれが偏差値という形に序列化される。そして、それ自身がさらにまた一歩進めば、その子供のペーパーテストの順位なんだけれども、それがあたかも全人格的な評価のようにひとり歩きをしてずっと序列化してしまって、そして末端にある者はもう浮かぶ瀬もないというような形の弊害があらわれてくるというところに私は問題があるというふうに見ているわけです。標準学力テストは、今文部大臣が言うような形に必ずしもなっているのだろうか。今私が述べたような形の弊害の方がむしろ大きくなってきているのではないか。しかも、それは学級とか学年とか学校とか地域ではなくて、全国的にその位置が明示されていきますから、そういう点は十分留意をしなければならない点ではないのか。特に、今日どなたも問題にしているように、偏差値よりは人格、しかも学歴社会が引き起こしているところの受験競争、受験地獄、それに関連して出てくる偏差値万能、これを何とかしなければならぬという今日の状況では、その点はみんなで考えなければならぬ点だということを、私はこの際特に強調しておきたいと思います。  最後に、今申し上げたような多くの問題を抱えているこの標準学力テストが、繰り返すようでありますけれども、公の力を背景にして、しかも強制的に、しかも業務命令まで出して行われているということは行き過ぎではないか。この前も私はこの点について述べましたから、時間もありませんので詳細は言いませんけれども、この前は、業務命令を出した根拠ということで地公法三十二条、学校教育法二十八条、処分をした理由というので地公法二十九条一項一号、二号ですか、このことについて述べております。このような法的根拠を援用してまで命令を出し、処分をしていくというのは、今のような問題点を持っている標準学力テスト、しかも今のような形でやるということは行き過ぎではないか、限界を超えているのではないか、せいぜいやるにしても指導助言の域を超えることはできない分野ではないのか。  特に、この前も言いましたけれども、教師の身分というのは、まあ裁判官ほどではないにしても、職務にかかわってそれなりに守られている点があると思うのです。これは多く語りません。教育基本法十条はもちろんのこと、学校教育法二十八条でも例えば教諭は教育をつかさどるとなっておりますけれども、戦前の国民学校令においては御承知のとおり校長の命によりということが明示されていたけれどもこれは外されているわけです。これはなぜであるかということは多く語る必要はないと思います。これは教育の自主性であり、教師の自主性と創造性に基づく教育という観点を重視すればこそ、校長の命によりというのを外しているはずです。それから、御承知のとおり、教師は教壇に立って子供に教える、具体的に言えば教科を教える場合免許状を持たなければ立てないのです。どなたでも立てるわけじゃない。そういう面では免許状主義をとっております。つまり、それは教師の専門性を重視し尊重するという建前からです。  ですから、このような標準学力テスト、つまりそれは教師のすぐれて学習指導、しかもそれは教師の自主性と専門性の中で行われるそういうものについて、こういう秒で指導助言の域を超えて命令を出し、処分をするということは、どう考えても私は不法であり不当であると言わざるを得ないのであります。  そして、このことは特に、きょうは十分触れる時間がありませんけれども、五十八年度末、つまり昭和五十九年四月一日の人事異動を見ますと、阿久根中学校の異動などは、それぞれ事情を聞けば個別的に理由があるというふうに述べていますけれども、本人の意に反して、他に比べて非常に大量の人が異動されている。しかも、その異動までに至る状況をつぶさに見ますと、この大事についてまでかなりやはり地域で署名運動を起こしたり、いろいろな意味で圧力を加えたり、そういう経過があるのです。ですから、ここまでこういう問題が波及していくということは、私は教育の問題を超えてまさに大きな問題を提起しているのじゃないかということまで言及しなければなりません。  特に、この人事異動の点については、きょうは時間がありませんから、不十分なままにやりとりいたしますと人に傷つく場合もありますからそのことは触れませんが、いずれにしても、標準学力テストは多くの問題を抱えておりますし、しかも指導助言の域を超えて業務命令を出し、処分をしたということは、どうしても行き過ぎであり、今日教育改革が叫ばれているときに、むしろこの問題は大きな問題を提起しているという点で重視をしなければならぬのではないかということを私は考えるわけであります。  この問題は、私は短い時間、長い時間、いろいろやりましたけれども、きょうで四回目になります。一応ここで区切りをつけておきまして、いずれまたこの問題は質問するかもしれませんが、ただ、私はこの問題を殊に取り上げてここで議論を四回もやったということは、処分されたというこのことの重視もさることながら、繰り返すようでありますけれども、今国民の間には教育の荒廃が問題にされ、何とか教育改革をしなければならぬ、しかも偏差値より人柄、人格というこういう問題が提起されていることに深くかかわっていると思いますので、私はこの問題についてむしろ文教委員会で議論したいという点で四回も取り上げたということを最後に申し添えて、私の質問を終わります。
  74. 愛野興一郎

    愛野委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十五分開議
  75. 愛野興一郎

    愛野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤徳雄君。
  76. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 まず冒頭に、私は、午前中に発言いたしました北海道の問題について若干勘違いがありましたので、その点議事録の修正をお願いいたしたいと思いますが、北海道に百トン程度しか残っていない、それがカドミ米だ、こう申し上げましたが、カドミ以外のお米であるということでありますので、その点について議事録の訂正をお願い申し上げたいと思います。  さて、午前中に引き続きまして再質問をさせていただきますが、調査の結果新米であるというお答えなのでありますが、新米だとすれば臭素が出るはずがない、なぜならそれは薫蒸がないからだという主張を私はしたはずであります。そのところをいま一度お答えをいただきたいのでありますが、新米にもかかわらず一八ppm、三ppmでも違いはありますけれども、私の調査では一八ppm、我孫子市の場合一八ppmが新米から検出されたというのは到底考えられないことなのでありますが、どういう原因なのか、断定できないにしても、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  77. 古村澄一

    ○古村政府委員 先ほど御説明いたしましたように、我孫子市においては一八ppmの検出をし、日本学校健康会においては三ppmの検出をしたという、この差の問題でございますが、我孫子市が調査を依頼いたしましたのは日本食品分析センターでございます。そこでやります調査方法といたしましては沃素滴定法という方式でございます。それから、日本学校健康会が調査を依頼いたしましたのは日本穀物検定協会でございまして、ここでやりました方式といたしましては灰化比色法という方式でございます。まずその検定の方法が違うということがございます。  したがいまして、今後この問題につきましては、我孫子市が日本食品分析センターに送りました米をもう一回日本学校健康会の方にいただきまして、それをもう一回検査をする。そして、日本学校健康会で検査いたしました米を日本食品分析センターの方に送って、両方きちっと検査をして、その差の問題については鋭意検討を進めていきたいというふうに思っております。
  78. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも私の質問に答えてくれないのですよ。もちろん今の中身についても必要な事項でありますが、文部省にしても食糧庁にしても、新米だというお答えでしょう。新米の中には臭素が入っていないはずだ、それが一八ppm出たという原因は何でしょうかということを聞いているのですから、明快に答えてください。
  79. 古村澄一

    ○古村政府委員 したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、我孫子市で検定いたしました米そのものを再検定いたしまして、それが新米であるかどうかということも十分調査すべき問題であるというふうに思います。
  80. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その発言はちょっと局長重大ではありませんか。食糧庁は新米であると言っているのですよ。あるかどうかを検討するということになったら、午前中の答弁とは食い違いが出てくるのではありませんか。だから私は――もういいです。食糧庁に聞きます。  そうしますと、何遍も言いますけれども、新米の中から一八ppmというのが出ましたから、一八ppmと使わせてもらっているのでありますけれども、臭素が出るはずがないのに出たというのはどういう原因なのでしょうか。どういうことが考えられますかということを聞いているのです。答えてください。
  81. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  通常、新米から検出される臭素の量というものは数ppm程度以下というのが我々の聞いている数字でございますけれども、今文部省からお答えがありましたように、検体を取り寄せて分析するということでございますから、すべての事項を含めて分析をお願いするということになると思います。
  82. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも私の質問に答えてくれないようですね。いま一度言いましょうか。そんなことを聞いているんじゃないのですよ。現実的に一八ppm検出された。しかも新米であるというお答えでしょう。出るはずがないんですよ、薫蒸してないんだから。あるいは自然臭素であっても、今おっしゃったように、専門家から言わせればせいぜい五ppm以内くらいだろうというのが一般的通則ですよ。しかし一八ppmというのは異常じゃありませんか。  それで、きのうの新聞を取り寄せて研究してみてください。東京新聞の夕刊ですよ。「八王子市 基準に近い四〇ppm」ですよ。これだって、農林水産省の答えは新米を使っているはずだという言い方でしょう。その事実は、私はこの部分についてはわかりませんけれども、しかし大体常識的に考えられるのは新米だ。そうだとすれば、八王子で四〇ppmも出るはずがないじゃありませんか。だから、この問題は後にしても、とにかく我孫子市において一八ppmが出たというのは、出るはずがないのに現実的に出ているんだから、その原因は何だとお思いになりますか、こういう質問です。納得のいく答えをしてください。
  83. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  我孫子市教育委員会がどういうサンプルをどういう形で分析を依頼したのか、実物がどういうものであるかということを、先ほど文部省からお答えしておりますとおり、取り寄せて分析するということでございますから、私どもその結果を待って判断したいと思います。  ただ、私ども基本的に考えておりますのは、新米からの臭素検出量というのは、先ほどもお答えしましたように、数ppm以下ということでございますので、我孫子市の学校から私どもが確認した数量も三ppmという数字でございますので、基本的には私どもの判断は、適正にお米の供給が行われていることと考えているわけでございます。
  84. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私もこだわるようでありますが、その点は、我孫子市だけの問題ではなくて、全国的な学校給食米に対して重大な影響を及ぼしますから、私は食い下がっているわけであります。  それじゃ、我孫子市の問題は抜きにしましょう。一般的に言います。仮に新米に臭素が入ったとしても五ppm以下である、今お答えになったとおり、そのように理解をいたします。ところが新米から、一八であろうと二〇であろうと臭素が仮に検出された、こういうことを想定したとすれば、その原因は何だと思いますか。我孫子に限定しません、一般的に聞いているのです。
  85. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  私ども、先ほどからお答えしておりますように、数ppmをはるかに超える数字というのは非常に想定しがたい数字でございますので、まさに一つ一つ検討してみなければその結果が非常にわかりにくいということで、そういうものが起こり次第というんですか、起こった都度、確認調査をやらせていただいております。先ほどありました八王子についても、今文部省と相談しながら事情を聴取しようということでやっております。
  86. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そんなことは答えにならないでしょう。あなた自分が答弁していることに矛盾を感じないんですか。  それじゃ、明確に事例を出しましょうか。四〇ppm出たというのは、原因は何ですか。答えてください。
  87. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  きのう東京新聞の夕刊でそういう報道がございましたので、実は、きのうから東京食糧事務所を通じまして八王子の関係者、それからお米を納入した業者もおられますので、そういう方々から事情を聴取しているところでございます。
  88. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そんなこと聞いているんじゃないんですよ。これに出ているでしょう、四〇ppmが検出された。検出された原因は何だと思いますか。いいですか、皆さんの午前中の答えは、五十五年、五十六年、五十七年はほとんど在庫がありません。在庫がないところから検出されるはずがない。五十八年産米だってもうないでしょう。そうだとすれば五十三年産米ですよ。これは薫蒸をやっているのです。だからppmがいっぱい出ているじゃありませんか。だから、四〇ppmが出るというのは一体何が原因かということなんです。新米から出るはずがないでしょう。ないはずなのに、我孫子は一八だけれども、八王子は四〇。その原因は何ですか。明快に答えてください。
  89. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  まさにきょう調査を開始したところでございます。できればそういう関係者から事情を聞きまして、その原因を特定させていただきたいと思いますけれども、現段階ではまだはっきりいたしておりません。
  90. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうもすりかえているのじゃないでしょうか。これは二〇であっても三〇であっても四〇であっても結構だと言っているのですよ。臭素が出たというその原因は何なんですかということを聞いているのです。何遍同じことを言わせるのですか。そんなことで納得できませんよ。あなたのようなお答え国民が納得できると思いますか。ますます不安を感じるのじゃありませんか。子を持つ親の立場に立って、きちんとした責任ある答弁をしてください。官僚的な答弁は要りませんよ。明快な答えをしてください。
  91. 平野愃

    ○平野説明員 お答えをいたします。  八王子の関係者からの事情聴取はまさに開始したところでございますけれども、私ども調査の中身につきましては、例えば精米の仕立て方、五十三年産米の混入の可能性も含めて調査させていただきたいと思っております。
  92. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 もう時間がありません。非常に残念なのでありますが、私はそういうことじゃ納得できません。今の文部省にしろあるいは食糧庁の答弁にいたしましても、これがずっと公表された場合には、本当に子供を持つ親の立場に立ては、不安が増大するに遠いない。だから、その不安を解消させるためにも、この文教委員会責任で解明をして、そしてこういうことが二度と起こらないようにしなくてはいけないのじゃないか、私はこういう気持ちから心配して言っているわけなんです。それは調査をしてもらうのは結構でありましょう。しかし、極めて常識的な質問をしているのですから、常識的な答えをしてもらえばいいのですよ。四〇ppmが何が原因で出たのか。皆さん知らないはずはないでしょう、専門家なんだから。最後にその点だけいま一度聞いて、締めくくります。  新米から出るはずがない。せいぜい出ても五ppm。四〇が出るというのは異常でしょう。これは何年産米からだと思いますか。
  93. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  学校給食に使っているお米につきましては、先ほどから文部省お答えしておりますように、私ども文部省と協力しながらいろいろなサンプルをとりまして分析をしております。八王子の件についても同じように、五十三年産米の混入も含めて関係者から事情を聴取しているところでございまして、その辺の事実究明については全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。
  94. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今になって、最後段階でそういうお答えがありましたけれども、五十三年産米を使わないとこんなのは出てこないのですよ。これは文教だけでなくて、農林水産委員会だってこんな議論は何回もやっているのですよ。当たり前ですよ。常識なんですよ。  そうすると、学校給食米に新米を提供しなければいけない原則があるが、実は混今されている。しかも、その混合の中身というのは、食糧庁からお答えいただきましたように、五十五年、五十六年、五十七年は在庫がない、したがって、五十三年産米を入れたという疑いが濃い、こういうことになるじゃありませんか。そうなったら、事はまさに我孫子市の問題だけではなくて、流通機構全体にわたって極めて重大な問題がこの中に含まれているということを指摘せざるを得ません。  文部省は、我孫子市を含めまして、八王子の問題も出ていますし、全国的な問題にもこれから発展するでしょうが、再調査をして、これからどういう方向をたどるのか、最後にひとつ文部大臣からお答えをいただきたいと思います。
  95. 森喜朗

    森国務大臣 お話を伺っておりますと、大変重要な問題でもあろうと思います。また、食糧庁の方も推測でここで物を言うということは、やはり本人たちもある意味では専門的な立場でもないわけでございますので、いろいろと先生の御想像の上での御質問というのは十分わかりますが、それを受けてそのままお答えするということも、かえって責任が明確になるというものでもないと思いますので、極めて重大な問題の御指摘でございますので、文部省、食糧庁、十分調査をさせていただきたい、このように私から指導いたします。
  96. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そうすると、今の大臣お答えでは、再調査をする、こういうふうに理解をいたしますが、よろしいですね。  最後に、委員長、非常に時間が限定されて残念でありますが、この問題の処理については、理事会等でもひとつ十分検討をいただいて、しかるべき措置をひとつ委員長に取り計らっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  97. 愛野興一郎

    愛野委員長 本問題は、生徒児童の健康の確保に関する重大な問題でありますから、後日、理事会においてその取り扱いを検討いたします。
  98. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これで終わります。
  99. 愛野興一郎

  100. 池田克也

    池田(克)委員 きょうは一般質問ということでございまして、今国会文教問題は、我が国の行政、特に政治課題のうち一番大きなテーマとして取り上げられてまいりまして、会期末を控えて最後の機会かと思います。  最初に、臨教審の経過について、参議院でもいろいろ議論されてきたようでございますが、二つばかり大臣にお伺いをしたいと思っております。  端的にお伺いしますが、臨教審の国会の同意人事という問題が具体的に進められておると思いますが、今国会、つまり八日を会期末とする今国会でのメンバーの同意というのはどのように進んでいくのでしょうか。報ぜられるところによりますと、無理であるとか、あるいは一日あればできるとか、いろいろ言われております。私も、真剣にこの問題を考えて今国会を過ごしてまいりました。成り行きについて大きな関心を抱いておりますので、率直にこの問題についてお聞かせをいただきたいと思います。
  101. 森喜朗

    森国務大臣 臨時教育審議会設置法案につきましては、先般、衆議院の諸先生方からいろいろな角度から御質問等ちょうだいをいたしまして、衆議院で実りの多い論議を深めることができまして、一部修正も加えられまして、今参議院で審議をさせていただいております。  今具体的なお尋ねでございましたけれども、ただいまのところも、ちょうど参議院の内閣委員会でたしか参考人の意見聴取ということを精力的にやっていただいております。私といたしましては、人事の同意をどうするかとかどのように考えておるかとかということは、今の段階お答えを申し上げるということは、参議院で審議をしていただいているというお立場上も考えますと、このことについて申し上げるということは、とり方によっては国会を軽んじたというふうにも見られるという御指摘があるやもしれませんので、これについては今私から考え方としての意見を述べるということは差し控えたいというふうに考えております。  ただ、私としても、教育改革の重要性、また国民の要請も極めて高い、関心が極めて深いということから、一刻も早い法案の成立を期待いたしておるわけでございまして、成立ができ次第、直ちに委員任命についても可能な限り速やかに国会の同意を得たい、このように今希望をいたしておる、この程度のお答えにさせていただきたい、こう思います。
  102. 池田克也

    池田(克)委員 メンバーあるいは会長の人選についていろいろ御意見があったと思います。私どもも、委員会でもあるいはまたその他の機会でも要望してまいりました。教育現場あるいは父母の代表をぜひ入れてほしいというふうな要望もしてまいりました。あるいはまた、海外での生活の経験者、最近では帰国子女の教育あるいは海外における日本人学校のあり方、あるいは語学教育の今後の展開などを見ますと、これもかなり大きな要因ではないかというのが私どもの部内の検討の中で出てきたわけでございます。最近では有識者はおおむね海外へ出ていらっしゃるので、有識者を選ばれればその中に含まれるという意見もあると思いますが、ぜひ御留意をいただきたいというふうに思っているわけでございます。また、男女の比率の問題、以前大臣からも、年代的に老、壮、青と申しましょうか、バランスのいい人選をしたいというふうな答弁も伺っております。それについて私は賛成でございますが、会長の要件として、教育現場を全く経験しない方というのはいかがなものだろうか。いわゆる臨調の場合には、経済界の指導者をもって今日までやってこられたわけでございますが、数々の見識、敬服する点は財界人はたくさんあると思いますが、事教育現場に関しましては、新聞報道や自分の若かったころの教育経験というものをもって今日の教育現場は推しはかれないのではないか。そうした気持ちもありまして、でき得れば教育現場に明るい人をもって中枢のかなめとしてほしい。あるいは官僚出身者は、どちらかというと、失礼な言い方かもしれませんが、着実ではありますが大胆な改革案については消極的だという説もあるやに伺っておりまして、そうした点なかなか難しいと思いますけれども、今後人選について慎重を期していただきたい。  先ほど大臣答弁を伺っておりまして、参議院の審議の経過があるから、それを軽視することになるので、法案成立以後の動きについてはこの場では何も言えない、こういう御意見でございまして、私もそれは十分理解をいたします。しかし、伝えられるところによりますと、国会の会期はあとわずかですので、さあ、仮にぎりぎりで通過した、一日かそこらで人選をする、ぽんと出してくる、もう既にできているのなら別でありましょうけれども、私ども関心を持ってきました関係上、やはり十分な検討というものがあってしかるべきでありますし、全く密室の中でいろいろ議論をしてぽんと結論が出てくる、これは、今日まで臨教審のあり方について公開を要求してきた私どもとしては余りなじまないやり方になるわけでございます。そうすると、臨時国会状況あるいは次の通常国会状況等を考えますと、なかなか難しい一つの谷間に差しかかっているような状態でして、臨教審、せっかく大きな期待をしょって進もうとしている状況でございますので、人事の問題、メンバーの問題等について一つの方向性、この間十一項目でしたか、大臣から伺っておりますけれども、きょうこの場で、今の一つの方向性、あるいは参議院の審議について配慮しつつも、合成立を目前にしているぎりぎりの状況の中で、御感想でも結構ですし、今日までの大臣の私的な構想でも結構ですし、お聞かせをいただければと思います。
  103. 森喜朗

    森国務大臣 大変大事な御質問でございますが、先ほど申し上げましたような今大事な時点であるというふうにも判断をいたしておりまして、一日も早い、でき得ればきょうにでも成立をさせていただきたい、そうすれば直ちに人選に入りまして、国会の同意を会期末までにちょうだいをしたい、こういうふうに政府としては希望をいたしておるわけでございます。しかし、今先生も極めて具体的に、現実に会期末を目前にいたしておりますから、希望と理想とはまた現実では違った面もあるわけでございまして、仮に事前に同意が得られないということになりましたならば、法律の規定によりましては事後承認を得るということになるわけでございまして、その節、事後承認が得られないということになれば、これは委員を罷免しなければならぬことにもなるという、事の重きを私ども十分考えて、委員の選任に当たっては万全の配慮をしなければならぬ、いろいろな意味で細かな留意をしておかなければならぬ、こういう趣旨であると私どもは理解をいたしておりますので、こうしたことを十分配慮して人選をしなければならぬというふうに考えております。  御意見としては、次の国会の同意を得る、それまでというような御意見もございますけれども、今池田さんもまさしく御指摘がございましたように、国民の皆さんから見れば一日も早いこの問題への取り組みを期待いたしておるということも私どもも肌に感じてわかるわけであります。お立場がいろいろ違いましたけれども、どの政党の皆さんも、この法案を審議している過程の中で、やはり教育に対する改革といいましょうか、教育に対しての将来への方向づけ、これはどの党も緊要な政策課題であるというふうに私も受けとめさせていただきました。そう考えますと、法律では三年の期限ということになっているわけでございますので、その間有効適切に、可能な限り速やかに答申を取りまとめていかなければならぬということもございますので、そういう意味では一日も早く審議会を発足させていただきたい、そして審議を開始したいというのが、政府としての気持ちであるというふうにこの時点で申し上げさせていただきたい、こう思うわけでございます。  なお、人選等につきましては、今先生からもお尋ねございましたが、内閣委員会での審議が始まりました前半のところでございましたか、公明党さんの鈴切先生からも、具体的にどういうことを基準に考えているのだというお尋ねがございましたので、その節、当時としての私の意見を七つぐらいの分野のことを申し上げました。この人選の基準につきましては、当然、国会の論議を踏まえるということで、政府としてはそういう姿勢を貫いてまいりました。その後、熱心な御論議等もいただきまして、各先生方の御意見等もちょうだいをしながら、私なりにまたさらにいろいろな分野についての検討も加えまして、ちょうど最終段階で、たしか今御出席の江田さんの御質問だったと私は記憶いたしておりますが、その際に、先ほど先生ちょっと例を挙げられました国際的な視野とかいろいろな面で、大体十三ぐらいの分野が考えられるのではないかということを申し上げたわけでありますが、そうした中から人選をさせていただきたい、こう考えているわけでございます。  そして、当然のことながら女性に加わっていただくということも十分留意をしなければならないところであろうとも考えておりますし、また年代別にも、かなり長期的な計画ということにもなりましょうし、またこれを政策として具現化していくにもかなり長期のプロセスが必要だろう、こう考えますと、参議院でもある先生が、二十一世紀に行っても証言ができる人がいなければだめですよとまで、そういうお話もございましたので、そういう意味では、年代別のところも十分配慮をして人選をしなければならぬ、この点の留意もいたしておきたいというふうに考えております。  なお、会長についての考え方も先生からお示しをいただきました。大変重大な問題でございますが、必ずしも教育界でなければ教育のことはわからないということでもございません。幅広くいろいろな識見を有する方々の御議論をおまとめをいただくということでございますので、必ずしも教育界でなければならぬというふうにも私ども――一般論ですよ、一般論として考えられるわけでございますし、また一方におきましては、いろいろな複雑な教育制度の仕組みのことでもございますから、やはり教育のことについて精通をされている方が御意見をおまとめになっていくということも、一つの見方としても非常に大事な点であろうというふうに考えております。当然総理が任命をいたすわけでございますので、それまでの過程で私の意見を聞いていただくということにもなっているわけでございますので、私もできるだけ国会の論議、各先生方からいろいろなお話をちょうだいいたしましたそういう御論議を、私どもとして十分に整理をいたしまして、文部大臣としての考え方も総理に進言をさせていただいて、適切な方をぜひ人選をさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  104. 池田克也

    池田(克)委員 丁寧な御答弁をいただきましたが、参議院で諮問内容について三項目ほど答弁が出たようでございます。私もこの問題は前々からお伺いしてまいったところでございますので、新聞に報じられましたその三項目ですかとあわせて、諮問を長期的と短期的と二つにお分けになるのかどうか、この辺も諮問問題が出てきた折にお尋ねをしたいなという気持ちがございます。  私、前にも申し上げたことがあると思いますが、臨教審の三年の流れの最終の一つの大きな項目はそうなんでしょうが、それが待てない、かなり緊要な課題も幾つか出てきているように思いますし、中間答申もできるような体制になっているはずでございますので、大臣から、中期あるいは長期というふうな分けた諮問がなされるのかどうか、その辺をお聞かせいただければと思います。
  105. 森喜朗

    森国務大臣 まず第一に、長期、中期あるいは短期的なことというふうに分けて諮問をするというような、今のところはそういう考えはいたしておりません。  審議の諮問内容につきましては、これは国会で設置法が成立をさせていただいて国会からお許しをいただいたその時点で総理にお考えをいただくということでございますが、当然、その諮問内容につきましては、国会の論議等も十分踏まえてお考えになることになりますが、国会の論議一つ振り返ってみましても、大変な大きな事柄がたくさんございましたので、私からも、これはやはり基本的なあるいは包括的な諮問内容になるのではないかというふうに予想ができます。  なお、審議事項につきましては、もちろんその諮問内容に基づいてお選びをいただくわけでございますが、これは審議自身で会長と二十五名以内から成ります委員の皆さんで御相談をいただいて、そして御論議をいただくということになろうかと思います。  今、先生指摘がありましたように、私が参議院の段階で何か具体的なことを述べたようだがということでございますが、再三、審議事項についてあるいは諮問するバックグラウンドといいましょうか考え方について示せということでございましたので、私は、衆議院、参議院、あるいは予算委員会、本会議、内閣委員会文教委員会等を通じて各先生方から御質問をいただいた中で、これはやはり臨時教育審議会などで御検討をいただくことにふさわしい課題でありましょうと申し上げたことなどを、実は自分なりに事務局でまとめさせてみまして、そのまとめた事項を総理に、国会の論議というものはこういうものでございましたということで、私はきのう国会答弁をさせていただきました。  その三つ、詳細は、事務当局が私の答弁を中心にしあるいは総理の答弁を中心にまとめたものでございますので、今全部私の頭に入っておりませんが、基本的には、学校教育そして教員の資質向上という一つの分け方。もう一つは、いわゆる生涯を通じての教育の機会、そうしたものをどう充実、確保させていくのかというようなこと、特に広く我が国の社会に存在をいたしております教育の諸機能全般の活性化、そうしたことの方途を探求することが一つの大事な課題と考えます。もう一つは、学歴社会をぜひ是正したい。先ほどの佐藤誼さんの御質問の中にもございましたように、生涯にわたる学習機会をどのように充実、確保していくかということの課題、大体この三つのような改革の基本的な課題というものを国会答弁を中心にして私は私なりにまとめました。このことをきのう国会答弁をさせていただいたものですから、それがきょうの新聞にも一部出ておったような気がいたします。
  106. 池田克也

    池田(克)委員 ありがとうございました。  臨教審の問題、私どもも、日夜いろいろな方々からのお問い合わせもあり、本当にこれをもって日本の教育を大きく変えていきたいと強い願望を持っておりますので、これからもまた折に触れていろいろ提言を申し上げていきたいと思っております。  問題を次へ移したいと思います。  人事院の方においでいただきましたので、順序を先にいたしまして、この問題をお尋ねしておきたいと思います。  問題は、私六月二十日にこの委員会答弁をいただかないまま、指摘をするにとどめたテーマでございます。大学卒業生の就職と企業あるいは官庁というふうな問題でございます。随分古い話になるかもしれませんが、四月二十七日のサンケイ新聞に「通産省が〝青田買い〟」、こういう記事が出ております。この新聞の報道によりますと、「二十六日昼、東京・本郷の東京大学で、通産省のエリート官僚が、来春卒業する工学部学生を集め、早々と〝就職説明会〟を開いた。」こう報ぜられているわけです。また、五月二十七日のサンケイ新聞には、同じく「労働省 率先垂〝犯〟?!青田買い 京大でOBが説明会」という記事が出ている。三月の下旬には、各省庁の人事担当者が集まって、国家公務員試験の受験者についても民間の就職協定同様、十月一日以前には一切学生の各省庁訪問や官庁からの働きかけはしない、こう申し合わせたとあるわけなんです。この報道の真偽の問題についてはともかくとして、私は一応この報道を前提としてお伺いしたいわけなんですけれども、こういう申し合わせがあり、また現実に四月、五月に官庁と学生とのそうした接触がある、こういう問題、現実問題だろうと思いますけれども、これは人事院としてどのように見ていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  107. 大城二郎

    ○大城説明員 大学卒業予定者の就職問題につきましては、先ほど先生のお話にも出てまいりましたように、ことしの三月二十八日に各省庁の人事担当課長会議におきまして、求人求職秩序の維持についてということで申し合わせをしていただいたわけでございます。その中ではいわゆる十-十一協定に協力する、それから協定の趣旨に沿った対応を各省庁でしていただくということで、民間と歩調を合わせて求人求職秩序の維持に官庁も努めていこうという申し合わせをされたわけでございます。したがって、私どもは、そういう方向に各省が努力していただくということを働きかけてまいっているわけでございますが、お話のようなことが起こったようでございまして、その事実関係としてはいろいろよく糾明しないところもあるようでございますけれども、私どもといたしましては、とにかくこの申し合わせの趣旨が徹底するようにしていきたい。申し合わせの中でどういうことがそれに反するのかというようなことを追及するということではなくて、とにかくこういう趣旨に沿って進めていくということで、いやしくも官庁の側でこの申し合わせあるいは民間の協定の趣旨に反するというようなことが疑われるようなことがあってはいけないのではないか、そういう趣旨で対応してきておりまして、その後、五月九日にもいわゆる就職説明会への派遣の問題につきまして、各大学の要請に対して各省庁が個別に対応することは適当でない面もあるということで、試験機関である人事院がそれを受けとめていこうということで各省の御了解もいただいているわけでございます。私どもとしては、そういう姿勢をもって申し合わせの趣旨が徹底されるように努めてまいりたいと考えております。
  108. 池田克也

    池田(克)委員 よくわかりました。くれぐれも、学生生活非常に貴重な四年間であります。で、さかのぼっていけば切りがないことでございます。いい人材を欲しい企業あるいは官庁が次々と早目早目とさかのぼっていったあげくには、もう入学した時点からそれなりの進路が決まる。決まる人はいいのですが、決まらない人は大変な苦しみと申しましょうか、いろいろ状況が出てくるわけで、そうした学生生活を、私ども関心を持つ者としては、ぜひとも今の御答弁のような形で再度各官庁との連絡をお願いしたいと思っているわけでございます。  同じような問題がいわゆる私大にもあるいは一般企業との間にもあるわけでございまして、文部省におかれましても、いわゆる教育を取り扱っている官庁でありますので、卒業生を送り出した後については知らないということではなしに、やはりこの夏も暑い中を学生諸君はそれぞれ平生とは違ったようないでたちで各会社、先輩を歩いておられる。私は、そういうものも一つの大きな人生の勉強、修業だと思う反面、何とかもう少しそれぞれが学生生活をエンジョイした後にすきっといかないものか、そんなふうに思っておりまして、これは文部省としてどのような対応をなさるのか、どの部局がこれに対応しておられるのか。私自身もこの問題について文部省とやりとりするのは初めてなんですけれども、先般もたしか育英会の問題を審議した折にこの問題を取り上げた経緯がございますので、大学を所管される高等教育局長から、この問題についての現在の認識あるいは対策についておありでしたらお伺いできればと思います。
  109. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 学生の就職協定についての対応のお尋ねでございますが、就職協定につきましては、先生御案内のとおり、昭和五十七年度以降は労働省が中央雇用対策協議会の決議に加わらないということになりまして、大学側、企業側の両当事者によります、いわばそういう意味では監視役抜きの自主的な協定ということで運用いたしておるわけでございます。そこで、五十七年度は、当初協定違反が出るのではないかと心配をされたわけでございますが、大学側、企業側とも就職協定の重要性を十分認識いたしまして遵守に努めていただいた結果、例年よりはよく遵守されたと評価いただいているかと思います。  五十八年度でございますけれども、十月一日以前に、企業研究という名のもとに会社等に就職している、ただいまお話にありましたような大学のOB等を訪問するということが、一部大学の指導のもとに相当行われたことがございまして、内定が早まったと指摘されるような若干の乱れというものが見られたわけでございます。このような就職協定の遵守状況を踏まえまして、五十九年度でございますけれども大学側が十月一日以前のOB訪問の奨励の自粛を申し合わせるということをいたしまして、企業側も十月一日以前は学生と合わないことを申し合わせ、さらに、ただいま人事院からも御説明がございましたけれども、各省庁の人事担当課長会議でも、この協定に協力をしていく、さらに、ただいま一部OB訪問というようなことが報道されたこともございまして、上級職の試験の説明については人事院がまとめて窓口になるというようなことで、いろいろ対応をしてきておるわけでございます。私ども、自主協定になりましてから以後のことはただいま御説明をしたようなことでございまして、就職協定全体が守られてまいりますように、その点は大学側の指導も十分いたしておりますし、また、ラジオ、週刊誌の政府広報その他あらゆる機会を通じまして、その周知徹底を図っているところでございます。いずれにいたしましても、大学側、企業側双方が守っていただくことで対応していかなければなりませんし、先ほど御指摘のございましたような、一部の官庁に大変遺憾な点がありましたことなど、これらの点についても、今後十分私どもとしては、本年度さらに就職協定について新たな改善策を対応しておりますことなどを各大学にも一層徹底いたしまして、就職の機会が各学生均等になりますように、積極的な姿勢で対応したい、かように考えております。
  110. 池田克也

    池田(克)委員 ありがとうございました。就職の問題、今非常に重要な時期でもございますし、くれぐれも学校での学生生活を乱さないようにしていきたいと思っております。  問題を次へ移してまいりますが、著作権法の問題で文化庁いらしていたらお願いをしたいと思います。  著作権法問題は、今国会いわゆる貸与権が新設されましたレコードにまつわる問題が出てきたわけでございますが、著作権法の改正以後、いろいろと附帯決議をつけたのですが、次に残された問題は、私先般の著作権審議でも申し上げておきましたけれども、いろいろコピー公害等出ております。  端的に伺いますが、今文化庁として著作権法が抱えているあるいはその運用が抱えている問題は何と何であるか、認識をお伺いしたいと思います。
  111. 加戸守行

    ○加戸政府委員 先般の法改正に際しまして、当文教委員会からも附帯決議をちょうだいしました各般の事項でございますが、具体的に申し上げますと、一つが、私的録音録画問題ということでございまして、現在家庭等で行われております大量な録音録画の実態にどのような形で対応していったらいいのかという問題がございます。  それから、二つ目が、現在複写関係、特にゼロックス等の機器が普及してまいりました。こういった実態に対応いたしまして、権利者サイドで集中的権利処理機構をつくって対応しなければならない、そういう考え方で、今実際に権利者団体側の動きがございます。そういった様子も見詰めながら、よりよき体制の確立という方向へ向かっての指導助言の問題がございます。  それから、最近出てまいりました問題としましては、御承知のように、ニューメディア、データベース等の新たな著作物利用手段がございますので、そういったものに関連いたします著作権問題というものを十分分析いたしまして、今後の遺漏なき対応を期したいという問題もございます。  それから、同じく附帯決議の中で指摘されております隣接権条約への加盟問題も、現在著作権審議会等で検討いただいているわけでございます。  そのほか、運用の問題といたしまして、現在カラオケ問題が実務的な問題として、権利者、使用者間におきますいろいろな話し合いの途中段階でございまして、そういう実務面への対応の問題等もございます。  そのほか、積み残された課題はたくさんございますけれども、大きく申し上げますと、今の問題が主として当面文化庁として対応を迫られている問題と理解いたしております。
  112. 池田克也

    池田(克)委員 今指摘されましたように、非常にたくさんの問題が横たわっているわけでございます。  端的にお伺いしますが、法律には「書籍又は雑誌の貸与による場合には、当分の間、適用しない。」除外規定をもって法律として成立を見ているわけでありますが、この「当分の間」という期間が、私の承知している範囲におきましては、集中的権利処理機構の設立まで、こういう状況になっているように私は理解しておりますが、それでよろしいのでしょうか。
  113. 加戸守行

    ○加戸政府委員 著作権法改正案を当委員会におきまして御審議いただきましたときに、私どもの方から申し上げましたこの「当分の間」の附則四条の二を設けます趣旨は、一つは、貸し木薬といいますのが長い歴史の中で今日までまいった問題でございまして、現時点で特に大きなトラブルを生じているわけではないという事柄と、貸し本業自体が命まで伝統的に続いてきたものを一挙にすぐ権利対象にすることがどうか、また貸し本屋さんの理解も得られにくいのではないかというので、もう少し時間をかけたらという意味合いが一つございます。それから、今の貸し本業肉体が特に経済的に大きな利益を上げ、かつ逆に著作権者側に多大の損失を与えているという実態のようにもまだ見受けられていない、そういった問題が二つ目。それから三番目が、先生指摘なさいましたように、それでは権利処理をする場合に、権利者サイドが一本化されて能率的、効率的にすぐ一定の料金でライセンスが得られて貸し本業を営めるというような権利実務処理体制にあるかといいますと、そこのところがまだ集中的権利処理機構ができていないというような、三つの問題を含めまして、「当分の間」という規定の理由を当委員会で御説明申し上げたわけでございます。  今後の問題といたしますれば、とりあえずは、今申し上げた貸し本業に対しましても、権利を動かして、それで一定の料金で集中的な窓口で円滑に権利処理が行われ得るような見通しが立った時点が、この附則四条の二の削除の時点ではないかと現在考えているような次第でございます。
  114. 池田克也

    池田(克)委員 今お話しのとおり私も認識しております。集中的権利の処理機構をつくるのは非常に難しいのじゃないか。これは業界の皆さん方、いろいろ聞いてみますとまちまちなんですけれども、本来著作権というのは、権利者が私的にこれを主張する、私的に保護する建前のものであるわけですから、これに行政がどういう手をかすことができるかなかなか難しい問題があると私も思うのです。しかし、集中的権利処理機構というのは、音楽の場合のJASRACに匹敵するものだと思うのですけれども、毎日毎日多量につくられていく出版物あるいは著作物、それをどういう形で集中的処理機構をつくっていくのか、これはこれから議論されていくのだと思うのですが、これについて文化庁としてはどういう援助あるいは推進をするのか、今日の対策、対応につきましてお伺いをしたいと思います。
  115. 加戸守行

    ○加戸政府委員 本年の四月に文化庁に設けました関係識者によります協力者会議から、集中的権利処理機構のあり方につきましての御報告をちょうだいいたしまして、それを受けて、本年の六月に日本書籍出版協会の中に、集中的権利処理機構実行委員会というような形で準備態勢を整えるための組織ができ上がりまして、今そこで鋭意具体的な方法論等を検討していく段階に入ったわけでございます。もちろん、集中的権利処理と申しましても各般にわたる事項がございますので、当面はまず被害の大きい学術文献といったものの複写に対応する問題が中心となりまして、また周辺の文芸問題も含めまして、とりあえず今緊要性が迫られておりますような分野についての権利処理の一致した協力した体制づくりというものの検討準備段階に入ったというような状況でございますし、これに対しまして文化庁としても実務的な観点からの指導助言を十分行ってまいりたいと考えている次第でございます。
  116. 池田克也

    池田(克)委員 そういうような権利処理機構の設立と相まって、欧米で既に具体化しておりますが、複写機器に初めから、これを償うと言っては大変語弊があるかもしれませんが、本来コピーの種類は何らかの著作物を複製することによってその使命を全うする機械でありますので、好むと好まざるとにかかわらず、著作権の侵害、あるいは許諾があってもそれに関する何らかの報酬というものがそこに出てくるわけですから、何度も何度もこの問題は指摘がされておりますが、複写機器に一定の賦課金というものをかけてこれを処理していく、こういう考え方は常にまつわって出てくるわけでございます。これはいろいろ他の産業界とのすり合わせになってくると思いますし、文化庁だけがこれについて何がしかの特定の予断はできないかもしれません。しかし、私は、この著作権というものを守る、そして著作者の意欲を失わせない、あるいは出版社が生き生きとそうした著作物や文化的な創造物をつくっていくためには、文化庁はむしろ、多分通産省なんかと相対することになると思うのですが、そうした複写機器についての賦課金というものについて積極的な姿勢をもって御研究になることがいいのじゃないかという感想を持っているわけですが、今の時点でこの問題についての御認識を伺いたいと思います。
  117. 加戸守行

    ○加戸政府委員 機器に対します課徴金の問題といたしましては、既に一九六五年に西ドイツが録音録画機器に対します課徴金制度を取り入れておりまして、その後一九八〇年代に入りましてオーストリア、スウェーデン、ハンガリー等がいわゆる生テープ、録音録画の機材といったものに対します課徴金制度を導入いたしております。現在、世界の趨勢といたしまして、アメリカあるいはフランス等も同様な方向の法改正等の案が検討されておりますけれども、いずれもが録音録画機器あるいは機材でございます。  具体的に申しますと、録音録画の場合には、ほとんど著作物そのものを録音し録画するというのが圧倒的な比率であるという面が一つございます。一方、これに対しまして複写機器の場合には、必ずしも著作物だけではなくて、会社の業務用に自分の会社でつくったものを自分でコピーをとるとか、いわゆる著作権の及ばないものを複写する分野というものも相当ございます。それから、現在の観点から申し上げましたときに、複写機器そのものへの課徴金制度を録音録画機器と同様な観点で考えることが果たして妥当なのかどうか、そういった意味の議論もあり得るところでございます。まだ国際的にも複写問題につきましては、こういった集中的権利処理機構といたしまして、例えば西ドイツのボルトであるとかアメリカのCCCといったような集中的権利処理機構による、団体によって包括的な徴収をするシステムというのはとられておりましても、機器そのものに対する課徴金制度というのは、複写の分野ではまだ議論としては熟していない、あるいは録音録画に比べましても若干問題があるというような状況が、現在の国際趨勢と把握しているわけでございます。  もちろん、その問題、先生指摘なさいましたような事柄もいろいろ究極的なターゲットとしては考えられ得る問題といたしましても、当面、我が国におきましても、まず録音録画問題を解決することが先決ではなかろうか。その後に今の複写問題に関する課徴金制度というのが検討段階に入る可能性はあり得ると考えている次第でございます。
  118. 池田克也

    池田(克)委員 わかりました。この問題、ずっとお伺いしていけば随分時間がかかるのですが、一つどうしてもお伺いしたいのは実態調査なんです。これは何度も何度もいろいろな観点からいろいろな機関で実態調査が行われているのですけれども、私、不勉強かもしれませんが、文化庁が音頭をとられて大々的に日本のコピー公害の実態を調べる、こういう例を余り聞いていないのです。今後これから著作権問題は数々出てくる、非常な文化、知的産業の発展とともに出てくる可能性があるわけでございますので、一度、著作権の利用状態や、あるいは侵害と言ってはなんですけれども国民の中には侵害しているという意識がなくて平気でやっていることがあるわけでして、何でこれがいけないのというような話も聞くわけでございます。そんな点から、実態調査というものについてはどんなお考えを持っていらっしゃるのでしょうか。
  119. 加戸守行

    ○加戸政府委員 コピーがはんらんしているということが言われるわけでございますが、コピーの被害の実態等具体的に今文化庁として調査したことはないわけでございます。ただ、この集中的権利処理機構に関します御議論をちょうだいしました段階におきまして、ちょうど五十七年の末から五十八年の春にかけまして、幾つかの公共的な図書館あるいは企業内図書館あるいは大学図書館等におきまして、それぞれ自主的に御調査いただいた幾つかのデータを参考にさせていただきながら、複写問題の実態というものを踏まえた御議論の前提とさせていただいた経緯はございます。非常に限られた数の図書館での実態でございますが、例えば一般的に申し上げますと、企業内図書館では年間百万枚程度のコピーが行われている、大学図書館等では年間十万枚程度のコピーが行われているとか、あるいはコピーの対象となりますのが、学術文献あるいは継続的な刊行物というものが圧倒的に多いとか、あるいは外国の文献がかなりシェアを占めているとか、そういうものはございますけれども、いわゆる全国的な調査でもございませんし、数限られたものでございますが、およその趨勢、方向というものは理解しているわけでございます。  ただ、今後集中的権利処理機構を設立して具体的な徴収に入りますためには、一体どの程度の利用率であるのかということを当然知った上での、例えば使用料金の交渉ということにもなるわけでございますから、その段階におきまして相当程度の実態というものを把握しなければ、具体的な料金の折衝に入れないという問題もございますので、そういった意味におきまして、当然に、コピーに関します今の、少なくとも図書館あるいは企業等の大口のコピーの実態というものは把握できるものと考えております。
  120. 池田克也

    池田(克)委員 図書館等をベースにして調査するのは結構なんですが、私、文部省の中だけでもコピーのノートをつけて、自分たちが書いたものをコピーする場合あるいは何らかの著作物をコピーする場合、なかなかそれは難しいところなんですけれども、しかし、官庁で一つのモデルとして、そういう著作権意識というものを全職員が持つ、こういう運動があってしかるべきじゃないかなというふうに思うのですよ。文部省だとちょっと大きいかもしれませんが、まず文化庁から、置いてあるコピーに一つ一つ全部つけてみて、何らかの著作物をコピーする場合にはそれに印をつけていく、一年間でも一月でも機会を設けてやってみるべきじゃないかと私は思うのですが、やったことありますか。どうでしょうか。
  121. 加戸守行

    ○加戸政府委員 私ども、役所におきますコピーといいますものの大部分が、役所関係内で書きましたいろいろな書類等のコピー、あるいは既存の過去の役所内の書類のコピーであるとか、あるいは国会答弁資料のコピーであるとか、言うなれば著作権を対象としたものは極めて限られているのではないかと想像いたしますが、先生せっかくの御指摘でもございますので、私ども、まず著作権謀だけでも、本当に著作権のあるものを著作権謀でどの程度コピーにするのかということは、これから具体的な形でそういうようなデータを少なくとも内部的には持ってみたいと思います。
  122. 池田克也

    池田(克)委員 著作権問題、折に触れてお伺いをしてきたのですけれども、非常に大きな問題でございます。また、関心も次第に大きくなりつつあると思っておりますので、ぜひこの点を、まず著作権課からということですので、私ども大賛成です。官庁の中にあるいは図書館の中に著作権意識というものを持たせていく、非常に大きな運動ですけれども、大事な無体財産権の保護ということで進めていただきたいと思います。  それでは、著作権法の問題を離れて、時間がございませんが、最後に、教材と教具の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。  教材と教具の問題は、私以前から関心を持っておりました。例えばそろばんの問題を何回かごの席でも申し上げたわけでございますが、教育がいろいろと問題になっている中で、子供たちが勉強についていけない、こういう話がたくさん出てくるわけでございます。ついていけない子供たちが家庭においてあるいは学校において、欲求うっせきした不満というものが非行、暴行になってあらわれる、若干こういうデータもあるわけでございますが、勉強するのは塾で、学校は遊ぶところ、友達をつくるところなんという状況になってきて、率直に申し上げて、学校の教え方に問題があるのじゃなかろうか。免許法も今国会に提案されたわけでございまして、先生方の資質の向上、こうした問題は重要な問題でございますが、それと並行して、教材を適宜に使って教育を推進していく、これもまた非常に重要なポイントではないか。私が調べた中では、教員の資質向上とあわせて教材教具の適切な使用あるいは購入という問題が並列して出てきているように私は認識しておりますが、この認識は正しいかどうか、お伺いをしたいと思います。
  123. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 私も詳しいことを承知しているわけではございませんけれども先生指摘がございましたように、教員の問題というのは非常に大きい問題でございますが、それとあわせまして教材教具を適切に整備しておく、これが教員の教育活動を助ける大事な役割を果たすわけでございますので、御指摘のように大変大切なことだと思っております。
  124. 池田克也

    池田(克)委員 時間がございませんので、私が調べた範囲ですけれども、五十一年十月六日に教育課程審議会が「教育課程の基準の改善について」、こういう文書で一つの指針を出しているわけでございます。この五十一年十月六日の指針を見ますと、「教員の指導力の向上はもとより、教材・教具の改善、学習指導の評価の研究、更には教職員組織改善、施設設備の整備などが積極的に進められなければならない。」たくさんいろいろ挙げられている中なんですけれども、私が指摘をしたいのは「教材・教具の改善」、改善という前にこれを現場で使いこなしていくという問題になるわけでございます。  そこで、端的にお伺いをしますけれども予算措置の中で第二次教材整備十カ年計画というのが五十三年からあった。これは非常に期待を寄せられまして、学校にもいろいろと設備整備がなされました。理科の実験であるとか掛け図であるとか、場合によってはもっと光学的な機能を有したスライド、あるいはさらに新しい形のもの、次々取り入れられて、十年間で約四千六百億円を投じて教具教材を整備する、こういう方針が昭和五十三年から出ていたようでございます。大臣にもこれはぜひ御認識を、していらっしゃると思いますけれども、持っていただきたいのですが、カリキュラムの改定に伴いまして片っ方ではそうした教具教材を使って、今子供たちはいろいろ関心が散らばっておりますので、単に先生が黒板の前で子供たちに力説してみてもなかなかそれについてこない面もあるのではないか。やはり先生方にも頑張っていただくと同時に、そうした進歩した器械をあとう限り導入して、子供たちに楽しく興味を持って勉強をわからせていく、こういう器械というものは非常に大事だと私は思う。  ところが、五十三年にそういうのが設立されて順調に毎年一〇%ずつ予算増額されていたようなんですけれども、行財政改革ということから、五十七年から一〇%、五十九年は一五%減りまして大変厳しい状況である。今までこの委員会でも、四十人学級の問題であるとかあるいは先生方のお立場あるいは学校の整備、いろいろと議論されてまいりました。私はそれも当然大事なことだと思うのですけれども、こうした教材教具というものを、行財政が厳しいからといってせっかく伸ばしてきた予算をとめて、そして子供たちがどういう状況になっていくのか、これは大変問題ではないか。大臣も、閣議でも文教予算は他と違ってもっと出すべきだということを主張されているように思うのですけれども、ぜひここで指摘をしておきたいのは、教材教具が、五十七年から五十八年、五十九年と一〇%、一五%と、他の予算の減額にも増して大変大きな比率で減ってきている。この状況はこれからさらに続いていくのかどうか。この問題についての担当局長の御認識をまず伺いたいと思うのです。
  125. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 先生の御質問の中にもございましたように、教材教具の整備につきましては、教職員の人件費、校舎や屋体等の施設費、そして教材教具の整備費、義務教育関係の経費としては非常に大事な三本柱の一つをなしているものでございまして、そのために国庫負担の制度もあるわけでございます。  そういった中で、第一次の教材整備計画が、昭和四十二年から五十一年まで十年間かけまして、総額で千六百億くらいの計画でございましたけれども、無事達成をすることができました。一番基礎的な部分についてはこれで一応そろったということになっておるわけでございます。その後引き続き、これの更新のために必要な経費と、さらにより高い水準を目指した教材教具の整備ということから、第二次の計画を五十三年度からスタートさせまして、先生指摘の四千六百億余りという総額の計画が当初は無事に計画どおり動いておったわけでございますが、お話にございましたように、五十七年度以来、国の財政が非常に厳しくなってきたという状況のもとで、若干削減を余儀なくされ、計画が停滞しつつあるということは事実でございます。  ただいまも申し上げましたように、私ども大変大事な経費だと考えておりますので、国の財政の状況は非常に厳しい中でございますけれども、そういった中でどの程度できるか、これからの予算編成の作業の中での話になるわけでございますが、そういう基本的な精神を踏まえながら最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  126. 池田克也

    池田(克)委員 教員養成大学の問題になるのですが、高等教育局長お帰りになっていますね。阿部局長のところでわかるかもしれません。  教員養成大学でもこういう教材の使い方について当然必要な措置が必要だと思うのです。――済みません、事前に申し上げてなかったかもしれませんが、今教材教具の問題なんです。教材教具の予算が減額されていると同時に、教育工学というのでしょうか、いろいろな器材を使って教育を進めていく。この教員養成大学でのカリキュラムについても、講座の充実あるいはそうした方向が今後望まれるのではないか、こういう認識を私は持ちまして、現状あるいは今後の問題について二音局長からお伺いしたいと思うのです。
  127. 宮地貫一

    ○宮地政府委員 教育学部の教材研究その他の面での指導面でどういう対応をしておるかというお尋ねかと思いますが、具体的にはそれぞれ各国立大学教育学部の準備状況に応じてでございますが、教育工学センターでございますとかあるいは教育実践センターというものを置きまして、具体的なあるいは実践的な教育を積極的に進めていくということで対応しておるわけでございます。予算的な制約もございまして、まだ各国立大学教育学部全体には及んでいないわけでございますが、計画の進んでおりますものから順次、可能な範囲内でそれらのセンターの整備に取り組んでいるわけでございます。今後ともそれらの点については十分意を用いてまいりたい、かように考えております。
  128. 池田克也

    池田(克)委員 ありがとうございました。  まだいろいろとお伺いしたいことはたくさんございますけれども大臣、いろいろお聞きになっていらっしゃったわけでございます。あえて答弁をお願いしませんが、諸般の事情いろいろおありだと思いますが、教材教具も十分に予算をつけていただいて、わかりやすい、子供たちが喜々として勉強にいそしんでいけるような状況をつくっていただきたい。要望を申し上げまして終わらしていただきます。ありがとうございました。
  129. 愛野興一郎

    愛野委員長 中野寛成君。
  130. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 最初に、阪大汚職関係について少し、前回もやりましたけれども、補足してお尋ねをしたいと思います。  文部省の中がどうなっているのかいろいろと勉強してまいりましたが、大臣文部省会計課の中に四三会という会があることは御存じですか。
  131. 森喜朗

    森国務大臣 どういう会か私は承知いたしておりませんでしたが、先般、先生でしたか、実際には国会では質問されませんでしたが、そういう御質問があるのではないかという御通告がございましたので、そのときに初めて四三会という会を事務当局から聞きまして、そういう会があるということは承知をいたしております。
  132. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それじゃ、官房長にお聞きいたしますが、どういう会でございますか。
  133. 西崎清久

    西崎政府委員 御指摘の四三会は、文部省会計課予算班の出身者だけでOBを含めて構成されておりまして、全体で百数名が参加しております親睦団体でございます。組織といたしましては極めて非公式なもので、予算班の同窓会と申しますかOB会というふうな形で、親睦を深めるというふうな性格の会でございます。
  134. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ここにその四三会の名簿をいただいておりますが、随分そうそうたるメンバーが会員でございますね。  予算班いわゆる現役の名簿がここから始まるわけですが、その一番トップが総括予算班主査である鳥野見主査の名前から始まっているわけです。その前のページを開きますと、ここに田中そして中曽根という名前が出てくるわけであります。この三人が総括予算班主査、これまで歴代、三代の主査になるわけですね。新聞報道ではいろいろと、悪のトリオみたいなことで、ずっと引き継がれていったみたいなことが言われておりますけれども、実際上はこの田中という人がなかなかできる方で、現在の予算班の皆さんをむしろ指導して、今日の優秀な予算班機構というか、そういうことに大変功績があったというふうなことも聞いております。それはそれですばらしいことだと思うのですが、こういう事件が起こってみますと、こういうことが一つ一つそういう悪いことまでをも広めていくもとになるのかなというふうに思えて、大変残念でなりません。  この四三会というのは、恐らく今官房長お答えのように親睦団体なのであろうと思います。しかしながら、このメンバーをずっと見ますと、これは全く意味なしにここに並んでいるのをぱっと目がついたところだけ言いますと、例えば福井医科大学事務局長、名古屋大学経理部長、長崎大学事務局長、神戸大学事務局長、静岡大学事務局長、こう並んでいくわけですね。それからまた、次のページあたりに参りますと、さきに逮捕された文化庁会計課長、大分大学会計課長、横浜国立大学事務局長、宇都宮大学経理部長大阪大学経理部長――大阪大学経理部長中曽根武です。山口大学主計課長東京大学主計課長、佐賀大学主計課長、こう並んでいくわけです。  そうすると、結局、各大学文部省のいろいろなそういう機関の会計関係はこの四三会のメンバーで占められている。この会が同窓会か何かで会を開きますと、ようようとみんな手を挙げて握手して、そして仲よしで肩をたたき合って和気あいあいということになるんだろうと思うのですね。それが今回この歴代、三代にわたる主査のもとにいろいろな作業、工作をしていくのに役に立っている、こういうことではないだろうかと思うわけです。この三人というのは、まさに中曽根経理部長から始まって、それが鳥野見田中、こう続いていくわけで、結局なるべくしてなったような感じがしてなりません。  と同時に、その名簿を見させていただき、今日までの経緯をずっと見てまいりますと、ああなるほど今回逮捕されたこの三人が中心なんだな、それ以上もし広がるとしてもこの三人に手伝わされた人はいるかもしれないけれども、言うならば中心は三人だなというのがよくわかります。だから、多分文部省の中でこれ以上この事件は広がらないであろうと私なりに想像をいたします。しかし、いかれるべきところは全部いかれた、こういうことだと思うのです。もしこれからこの事件を契機として将来こういうことが再び起こらないようにするためには、この制度にメスを入れる、この四三会にメスを入れるという意味ではなくて、四三会も含めてこの予算班のグループ、一つの大きな部屋の中に五つの班が同居し、そしてその中でお互いにかばい合い、そしてどこかへ転勤してもこういう会をつくって親睦を深め、連携を深め、いわゆる予算班一家みたいな形でいろいろなことができるというところに問題があったのではないか。考えようによれば、文部省らしい仲むつまじい会だなと見えなくもありません。しかし逆にこう分析する人もいます。ノンキャリア組が、あの予算班の部屋の中で同じかまの飯を食った仲間がキャリア組に対抗をし、そして自分たちの仕事を、また権益を、いろいろなメンツを守っていくためにこういう会ができて、そしてこういう事件の温床になっていったのではないか。私もそういう感じがいたします。ここにメスを入れなければどうにもならぬだろうと思います。今どのようにお考えでございましょうか。
  135. 西崎清久

    西崎政府委員 先生指摘の四三会自体の問題といたしましては、上から申しますと七十蔵に達するようなOBの方もいらっしゃいますし、現役に至るまでかなり幅広い同窓的な人たちが入っておるわけでありまして、その会自体の親睦的な性格はそれなりにあり得ると私どもは思うわけでございますが、問題は、御指摘のとおり、国立大学の事務局の中枢にある、例えば経理部長、主計課長、経理課長というふうなポストにおいてこれらの人たちのみによっていろいろな仕事が左右されるという実態がもしあるとすれば、それはいささか問題ではないか、いささかというよりも大いに問題ではないか、こういうふうな御提言かと思うわけでございまして、私ども人事管理の問題といたしましては、従来から会計課あるいは人事課、総務課、官房の出身者、それから大学局の出身者、それから各局の出身者、各国立大学における幹部の人材配置については、できるだけのバラエティーに臨む配置に努力はいたしますが、やはり経理関係という特殊な予算あるいは会計経理の事務におきましては、その道での長年の経験ということが重視されるということもありまして、御指摘のような四三会のメンバーが非常に多くそういうポストについておる、こういう実態があることは事実でございます。  そういうふうな点から今回の事件を顧みまして、私ども省内の検討委員会人事管理に関するあるいは服務に関する部会におきまして、今後の人事管理の問題として、予算班以外に例えば会計課で言えば執行部門の班がございます。総務班とか管財班とか経理班とか用度班を含めまして、執行部門と予算部門との交流の問題とか、会計経理に関する部門と大学局あるいは各局との交流、あるいは大学における経理部門と病院とかいろいろな研究所の交流、そのような面をいろいろと検討いたしまして、今後の人事管理のあり方についての検討課題を詰めてまいりまして、改善努力したいと考えております。
  136. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ここに田中容疑者に関連した報道があるのですが、これはきのうの朝刊ですけれども、部下に四百万円預けるという見出しで実は記事が載っております。結局、この四百万円の札束は田中容疑者の部下が大阪地検特捜部に先月二十九日に紙袋に入れて届けているわけですね。この部下の方がどの方かは知りません。また、知っていてもここで言おうとも思いませんが、その代理の人が紙袋に入った札束を大阪地検特捜部に届けだということです。ずっと今日までの調べでいきますと、このオリエンタルマシンだけではないのですね。この逮捕された電子科学の小野寺という人からのものもあって、この小野寺という人がまたきのう逮捕されたということでますます広がっていくわけです。先般も申し上げましたけれども、結局、この予算班の部屋の中で現金の受け渡しが行われる。部下がこういうお金を預かっている。そしてまた自宅にはたくさん贈り物の山がある。その贈り物の山は押収されていますよね。そういうことをその部屋の人たちが知らないはずがない。そうとしか思えない。だから結局、そういうふうにお互いにかばい合うという麗しい友情が悪い方向に使われてしまうと大変なことになる。こういうことではないかと思います。  そういう意味で、三人が逮捕されたけれども、この三人だけの問題ではない、やはり全体的な問題に発展したな、よくよく調べてみると文部省予算班の体質になっていたんだなというふうに思わざるを得ません。私は十分な対策が必要だろうというふうに思います。大臣も、ひとつこの際、十分な御指導と御監督をそのすばらしいバイタリティーでやってもらいたい、こう思いますが、大臣から一言お聞きしたいと思います。
  137. 森喜朗

    森国務大臣 中野さんの今の御指摘の点、いろいろございました。確かに、会計課予算班は大変幅の広い極めて奥の深い非常に専門的な大事な職場でございます。端的に言えば、まさに一年間の教育行政全般を把握するというくらい大きな仕事でございますから、文部省にとっても大事な職場でございます。  確かに、今御指摘がございましたように何人かの名前が上がっておりました。だからといって、予算班全体を、会計の仕組み、構造全体をそのように見ていただくということは大変これは遺憾なことでございまして、先生もよくおわかりのとおり、一番苦労の多い、極めて難しい専門性を持っておるその職場に働く諸君がたくさんいる。確かに今いろいろなものがあったり、世の中の慣習上常識を超えていない範囲であればその点はいろいろな判断の基準というものもあるでしょう。しかし、全体をもってそういう構造があるのではないか、そういう体質があるのではないかというふうに見られる面は、私はやむを得ないとは思いますが、すべてをそういうふうに見ることは余りにも酷であり、そしてまた私にとりましてもやはりかわいそうだという感じもいたします。しかし、先生がこのことについては極めて以前から関心を持って御注意をいただいたことは私どもよく承知をいたしております。したがいまして、職制上、構造上そういうことになり得るのではないかということに対する払拭はしなければならぬだろう、これは今急いでたびたび申し上げておりますような三つの分科会の中でそれぞれの機能を調査をし、そして、間違ってもそういう指弾を受けないようにしなければならぬということで取り組んでいるわけでございます。問題の改めるべきところは改めて、そしてまた反省すべきところは反省をして、まさに文部省国民の信頼を回復するように一日も早い解決をしたい、そのように私も取り組んでおるわけでございます。  ただ、そうしたことが予算班のところから出たという事実は事実として認めますが、そのことによって、会計の諸君たち全体がそのような機構の中にいるんだ、そういう体質の中にいるんだということの御判断はどうぞひとつ避けていただきたい、そのことを私は特に先生にもお願いを申し上げて、先生指摘をなさる意味は私は十分承知をしておりますから、私どもとしては解決を急いで面目を一新できるようにいたしたい、このように申し上げておきたいと思います。
  138. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 最後大臣がおっしゃられたことについては、我々ももちろん留意をしたいと思いますし、真剣にまじめに取り組んでおられる方か圧倒的に多いことは私も率直に認めたいと思います。それだけにこの事件が残念でなりません。さて、次に私は、この事件の中心になりましたオリエンタルマシン社の取引が大変各役所にまたかっていることは前に指摘をいたしましたし、各省庁にもお尋ねをいたしました。そういたしますと、大変真剣に受けとめて早速調査をして、この調査も随分膨大な資料の中から調査をされたのだろうと思うのでありますが、あえてそれをして私のところに資料を届けてくださった。  その内容を若干申し上げたいと思いますが、ます、大蔵省関係につきましては、このオリエンタルマシンからは、五十六年度に五千百万円、五十七年度が三千九百万円、五十八年度が三千四百万円、これはシュレッダー等の事務機器、また消耗品が中心であります。私、大変興味深いと思いますのは、五十六年度五千百万、それが三千九百万、三千四百万とだんだん少なくなっていったのですね、大蔵省については。  これに引きかえまして、ちょうどそれと入れかえになるような形で、今度は厚生省ですが、厚生省の場合にはまさにワードプロセッサーであります。五十七年度には二台、三百三万六千円、五十八年度には一挙に九台に伸びまして千三百二十九万六千円というふうに伸びてきているわけであります。このほとんどは国立病院、療養所のものであります。五十七年度の二台、これは国立浜田病院と岡山病院。そして五十八年度の九台は、国立弟子届病院、鳴子病院、郡山病院、米子病院、福山病院、呉病院、そして国立療養所の医王病院、東名古屋病院、柳井病院、こういうことです。厚生省からもきょうお越しいただいていると思いますし、よくこれは御調査いただいたものだと敬意を表したいと思いますが、しかし、これは今回の事件があり、そして私がお願いをしてこのことがわかりました。これを一見して、果たして文部省にだけこういう汚職にまつわるようなお金が払われて厚生省は無事であったのかというふうに、まず最初に念頭に浮かぶ疑問がそこであります。厚生省が怪しいと言っているのではありませんけれども事件事件だけにそういうふうについつい勘ぐらざるを得ない、こういうことであります。恐らく、大阪地検の方もオリエンタルマシン社のいろんな書類等をすべてと言っていいほど押収されたわけですから、こういうことについても調査をされているのではないかというようにも思うのでありますけれども、これは一見してちょっと異常だ。そして、何の関係もなしに、これだけの全国にまたがった病院にあのオリエンタルマシン社の社長以下の極めて数少ない社員でこれがどうしてできたんだろうというふうに思ったりもいたします。これについて厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  139. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。  先生今御指摘のございましたように、私ども国立病院、療養所関係で問題のオリエンタルマシン社からワープロを購入いたしております台数十一台、その点はそのとおりでございます。なお、私ども国立病院、療養所全体でのワープロの保有台数が二百六十九台五十八年度末でございまして、五十七、八でふえておるではないかという御指摘を今いただきましたが、実はオリエンタルマシン社の関係について二台、九台というふうに五十七、八年、そのことも事実でございますけれども、実は、全体の購入につきましても、私どもワープロを入れてこういう機械化、省力化を図ろうという機運が国立病院、療養所全体にあれしましたのが大体その時期でございまして、ちなみに申し上げますと、今申し上げました全体二百六十九台持っているうち、五十六年度以前から持っていたものが十五台しかございませんで、実は二百五十四台が五十七年度、八年度と全体購入いたしてきているものでございます。したがいまして、五十七年度が七十九台、五十八年度が百七十五台、総体数につきましても、その間に省力化あるいは事務の合理化という観点から国立病院、療養所へワープロを導入してまいった、その中の十一台がオリエンタルマシン社であったというのが事実でございます。  それで、この間のことにつきまして、先ほども先生の方から御紹介をいただきましたように、私ども先生からお尋ねをいただきましたことで、実は改めまして全国の国立病院、療養所に照会をいたしまして報告をさせたのでございますけれども、これを導入した契機は、やはり全体の定員等もなかなか厳しくなってまいりましてできるだけ省力化をしていかなければいかぬ、あるいは事務全体の合理化ということを病院経営のためにやっていかなければいかぬ、こういうことから、省力化をするために一般の事務経費等の節減をいたしまして逐次買っていったというのが実態でございます。その間の会計法規等に照らしました実態につきましては、適正に行われているという実態になってございまして、私どもの総合的な判断としては、私どもに関する限りは問題はなかったのではなかろうかというふうに判断をいたしておる次第でございます。
  140. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 結局、同一の業者でございますから、全体の一部であることはわかりましたけれども、同じ手法をとるということは十分に考えられるわけであります。文部省と厚生省のこういうものを取引する場合のシステムもまた幾らか違うようでございます。しかし、こういう事件に関連をして十分に慎重に調査をされ、今後ともそういう事件になるようなことがないようになお一層御注意をいただきたいというふうに思います。この件については終わらせていただきます。  次に、時間の都合でちょっと急ぎますが、法務省刑事課長さんお見えですからちょっとお聞きをしたいのであります。  各新聞等の報道を見ましても、今回は事務局だけが逮捕され、そして問題になっているわけですけれども、ここに「医学部教授を接待中曽根ルートとは別に」とか、「教授にも接待攻勢辻が各学部の数人に」とか、こういうのが全部各紙に載っていますね。「教官ら連夜の宴また教授も接待」と、こうくるわけですね。これは「医薬品納入でも疑惑 指摘に医学部教授」、こう出てくるわけです。これは新聞記者が勝手に捏造して書いたわけでもない。それなりに、捜査に当たっておられる方々へのそれこそ夜討ち朝駆けの取材の中で、それなりの判断となる感触を得てこういう記事になっている。また同時に、そういう教授等へも、うわさされる人たちにはある程度取材に当たるというふうなこともあるようです。私が聞きますところでは、ある新聞社新聞記者に対して、おまえのところの新聞にA教授とかなんとか書いてあったけれども、あれはおれのことかと言って高笑いをしたとか、またそういうふうなことがいろいろと話がある。私の友人からこの前電話もありまして、それに近い話を聞いたりいたしをした。しかし実際は逮捕その他へ広がっていくということはないわけです。これはないことが大変いいことです。それは後ろめたいことや悪いことがなくてそういう事件にならないということを私も願ってやみません。しかし、ここまで来ますとやはりどうしても我々は疑いを持たざるを得ません。今日まで幾たびか指摘をいたしました大学人の体質、そういうものを直接この目で見ているがゆえに私は心配になってくる。これもまた加えて申し上げておきますが、それこそ清貧に甘んじてまじめに研究に没頭されていらっしゃる先生方もたくさんいらっしゃることは承知の上であります。そういう方々が多いがゆえに、一部のそういう教授または教官がいることを私は残念でならないから申し上げるのであります。しかし、ここでそれはなぜだとこうお尋ねしても御答弁にならぬだろうと思いますから、一般論としてお聞きいたします。  この前、重松教授ですか自殺をされました。大変残念なことです。この先生も大変まじめだったということなんですが、この予算委員会のメンバーであられたということであります。この先生のことについて聞くのではありません。一般論としてお聞きをいたしますが、職務権限の絡みがあるんだろうと思います。こういう医療機器その他事務機器に至るまで、こういうものを大学に購入する場合に、例えば機種選定委員会だとかいろいろな機関があるように聞いております。そのメンバーである先生方がこういう買収等々にもし応じたとした場合にはどういうふうになるのでしょうか。
  141. 北島敬介

    ○北島説明員 御指摘の点は、大阪大学附属病院の予算委員会のメンバーにどういう権限があるかというふうなことかと思いますが……(中野(寛)委員「それには限りません、一般論として、ほかにも機種選定委員会とかいろいろあります」と呼ぶ)私どもそういう予算委員会なるものの詳細を把握しておりませんので、そのメンバーにいかなる権限があるかというふうなことはちょっとお答えいたしかねます。
  142. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 権限があるかどうかわからないということで、それ以上お聞きしてもお答えにならぬのか知りませぬけれども大学の教授が、大学のこういう機器を買うときに、その選定委員会で機種が決められるとするならば、その機種選定委員会委員には職務権限がありますか、ありませんか。
  143. 北島敬介

    ○北島説明員 繰り返しで恐縮でございますが、その実情をよく承知しておりませんので、当たるとも当たらぬとも言えないと思います。
  144. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 それでは、もう一つ聞きます。  「大阪地検特捜部に収賄で逮捕された阪大経理部長中曽根武をはじめ、約八十人にのぼる全国の大学関係者や医師らに」今回の贈賄で逮捕された医療機器メーカーのフクダ電子の人が、「二部上場予定の同社の株を一人ほぼ千株ずつ譲り渡していたことが二十五日、明らかになった。この株は来春二部上場されることになっており、すでに大幅に値上がりし、それぞれ数十万円の差益を得ている。」こういうのが具体的に報道されております。これも今回の捜査でわかったことのはずであります。これは現金でもありませんし、接待でもありませんが、この場合は贈賄の対象になりますか。
  145. 北島敬介

    ○北島説明員 現在、大阪地検ではこの一連の事件の全容解明に努めておるところでございまして、お尋ねの株の引受権と申しますかそういうものを与えたというふうな新聞記事も当然承知しておるものと思いますが、何分現に捜査中の事件に関連することでございますので、端的にそれが当たるか当たらぬかということは御勘弁願いたいわけであります。  一般論といたしまして、わいろというものは、ただいまおっしゃいましたように、必ずしも金銭とか物品に限るわけではないわけでありまして、要するに、職務行為の対価として供与される不正の報酬、いわばそういう利益に当たればわいろの客体となり得るということでございます。お尋ねのような新株の引き受けというふうなことがそれに当たるかどうか、これはまさに事実関係を詰めた上でなければ判断できないことであろうと思います。
  146. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 いずれにせよ、たとえ株であったとしても現金の授受と同じだということ、それだけの意味があるということであります。  全国の大学関係者八十人にと、こう明確に書かれているわけであります。これは一つ新聞だけ書いているわけじゃないですね。各紙が書いている。それはそれなりに特捜部その他への取材の中で感触を得て書かれているわけです。  で、一方、職務権限があやふやで問われないとか、十分な証拠固めができないから起訴されない、または逮捕されないとかいろいろなことの中で、結局この事件が、特捜部の御努力にもかかわらず、そういう法律上の制約その他いろいろなことから、逮捕とか起訴とかに至らない部分、いわゆる灰色の部分が出てくるわけです。これは結局、自浄作用を働かせて大学努力して直していく以外にないわけですね。  例えば、この事件が一段落したとしましょう。そうしたら、おれも危ないと思ったけれども、おれのところは手が伸びなくてやれやれ助かった、途端に開き直って、見てみろ、我々は何をしたって大丈夫なんだということになって、またこれが今度逆効果になって事が広がっていくことを私は大変心配をいたします。これについては、まさに大学自身が注意しなければなりませんし、また文部省が十分注意をしてその指導に当たらなければならない、こういうふうにも思うのであります。これらのことについてどのように把握し、そしてどのようになさろうとしておられますか。
  147. 西崎清久

    西崎政府委員 御指摘の点で私どもまず第一に心がけなければならない点は事実関係の解明でございます。これは捜査当局でも鋭意御尽力いただいておるところでございますが、私どもとしては、それぞれの当事者に係る契約関係、その意思決定のプロセスというものを、現在書類が大学及び私どもの手元にないという状況でございますので、また手元に戻るときにおきまして、書類に基づく事実関係の把握と意思決定流れを確かめまして、どこに遠因ありやという点を十分見きわめて、その点についての解明をまず図るという点が第一着手でございます。  それから、それを踏まえた上で各大学大学の数で申しますと九十五大学あるわけでございますから、今回関係が出た大学以外に、これらについての物品購入なんかの事態はたくさんあるわけでございますから、今回の事件を頂門の一針として、改善を図るべき点については全大学に周知徹底を図る、改善すべき点は改善を図るというふうな作業をいたさねばならないわけでございます。  私ども作業の順序といたしましては、最初に申し上げました書類関係の事実を把握した上で改善をということでは間に合いませんので、書類関係の問題は書類関係といたしまして、全体の構造の中で契約事務のあり方、意思決定流れというものについての検討を開始しておるわけでございます。したがいまして、その点については一般的な問題として早急に結論を得た上で、各大学のしかるべき者の参集を求めて協議をし周知徹底を図るというふうな作業をし、このような事態が二度と起こらないような改善策を講じてまいりたい、全大学について考えてまいる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  148. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 全大学についてそういう対策調査を講じていくということでありますから、私はそのことを期待したいと思います。  先般も指摘いたしました脱税のこと、リベートのこと、アルバイトのこと等々あらゆるものを含めて、やはり教育家、教育者としての立場大学人が心得えてくださるということが、これからの日本の社会をより正しく構成していく上においてどうしても欠かすことのできない大切なことである、こういうふうに思うわけであります。そういう意味で、私は、今回の事件がある意味での一つ大学の正常化の大きなきっかけになることを期待したいと思います。  先般も、むしろ一部の教授が開き直って、やるんならやってみろ、それならそれでこっちにも考えがあるぞというふうな感じで、中野のやつ、あいつの身辺調査を一回やろうか、そして何か出てきたらそれを暴露して、次の選挙でひとつあいつを引っ張り落としてやれ、こういうふうな言い方をして息巻いている、注意しろよという話が友達から私のところへあったわけであります。それはどの教授だと言って私も聞きましたけれども、それだけは堪忍してくれと言って言いませんでしたけれども、しかし、もしそれが真実だとするならば、何の反省の色もない、むしろこの事件で名前が挙げられなかったことによって、結局自分らは将来ともに安全だという気持ちの中で、開き直るだけではなくてなお一層こういう体質を蔓延させていくということになりかねない。私はそれが一番恐ろしいことだと思うのであります。こういう事件が起こった、我々も反省して、二度と再びこういうことを、自分はもとよりのこと仲間からも出さないようにと、みんなで心がけ合う気をつけ合うことによってこの事件意味が生きてくる、こういうふうに思うのであります。そういう意味で、官房長からも御指導がありました。この前は高等教育局長からも十分大学側に注意をいたしましたということの御答弁もいただきました。そのことが功を奏することを心から念じてやみません。  あとほかの問題で、厚生省社会局からも来ていただいたのですが、時間の関係質問に至りませんでした。お許しいただきたいと思います。また機会を改めてお尋ねしたいと思います。  以上申し上げましたけれども、ひとつ大臣の方からも厳しくそのことを今後とも御督励をいただきたいと思います。最後に一言……。
  149. 森喜朗

    森国務大臣 中野さんは、この問題につきましてはしばしばこうした大きな問題として出てくる以前から警鐘を乱打していただいておりまして、そのゆえんは、まさに文部省また大学教育はとても大事である、そういうお考えの上に立っての私どもに対する御注意でもあったというふうに私は承知もいたしております。いろいろと御指摘いただきましたことは、大学教育、そしてまた文部省全体としても、まさに国民の模範にならなければならぬ立場でもございますので、今後とも十分に指導してまいりたいと考えております。
  150. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 終わります。
  151. 愛野興一郎

  152. 山原健二郎

    ○山原委員 また嫌な質問幾つかしなければなりませんが、きょうの質問と幾らかダブる面がありますけれども真相を明らかにする意味答弁をいただきたいと思います。  八月一日、医療・理化学機器製造販売会社の取締役小野寺幸雄氏が逮捕されましたが、この被疑事実は何か、法務省の方に最初に伺いたいのです。
  153. 北島敬介

    ○北島説明員 八月一日に逮捕いたしました電子科学株式会社取締役小野寺幸雄の事件でございますが、これは、既に収賄容疑で逮捕されております田中潤佑に対しまして、理化学機器を大阪大学等に購入してもらうための予算措置などに関し有利便宜な取り計らいを得たことの謝礼などの趣旨のもとに、合計二十万円を贈賄したというのが被疑事実でございます。     〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
  154. 山原健二郎

    ○山原委員 大阪地検が佐賀大学に対しまして、経理部長、経理課長、経理課用度係、その他の関係者五名を呼びまして、事情聴取したということが言われておるわけでございます。さらに、最近、東北関係大学から参考人でしょうか関係者を呼びまして調査されたということをお聞きしておりますが、現在、この事件文部省関係の方が三名、それからいわゆる贈賄側の方が三名逮捕されておりまして、またこれが一層広がるのかどうかという心配もしているわけでございますけれども、こういう調査の結果、文部省並びにこれら関係大学事件が広がる様相があるのかどうか、法務省としてその点はいかがでしょうか。
  155. 北島敬介

    ○北島説明員 本件の捜査に必要な範囲で各大学関係者等も必要に応じて取り調べておるものと思いますが、現在直接捜査の対象にしております事実以外の事実に及ぶのかどうかというところは、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、これまでの経過からも御案内のとおりかと思いますが、捜査の過程で新たな看過しがたい犯罪事実というものが、嫌疑が明らかになってまいりました場合には、適切に対処してきたと考えておりますし、今後も同様であろうと思っております。
  156. 山原健二郎

    ○山原委員 今も質問が出ましたが、小野寺逮捕に関して次のように報道されております。「田中を逮捕した先月二十四日、文化庁会計課田中の自宅を捜索、メモ帳や住所録、手帳を押収した際、予想に反し業者の名刺はほとんどなかった。不審に思って追及した結果、田中が逮捕前に約四百万円を部下に預けたことを自供。部下が札束を持って大阪地検に出頭してきた。」こういう記事があるわけでございますが、こういう事実はあるのでしょうか。
  157. 北島敬介

    ○北島説明員 そのような報道がなされておることは承知しておりますが、そういう事実があるかないかということは、これもまさに捜査の経過、内容に関することでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  158. 山原健二郎

    ○山原委員 「さらに押収したメモ帳や住所録を慎重に点検した結果、いずれも記述が清書したように整っていた。田中を追及したところ、田中は、業者の名刺を事前に捨てたり、メモ類を改ざんした事実を認めた。」こういうふうに出ておりますが、この点についても恐らくお答えは一緒かもしれませんけれども、一応そういう事実はあるのか、お聞きしておきます。
  159. 北島敬介

    ○北島説明員 恐縮でございますが、お答えはいたしかねます。
  160. 山原健二郎

    ○山原委員 文化庁会計課の自席やとなっておりまして、文化庁会計課の自席等が捜査されたということは文部省の方は事実として承知しておると思いますが、それはいかがですか。
  161. 西崎清久

    西崎政府委員 事実として承知いたしております。
  162. 山原健二郎

    ○山原委員 大臣も、捜査当局に協力してその解明を待つということを言われておりますし、また官房長もそういうふうに今までの質疑に対して答弁してきておりますが、今私が読み上げました報道を見まして、今法務省の方からお答えがあったように捜査上の過程においてそういうことはお答えできないということですけれども、この報道関係を見ますと、ただ捏造した記事であるとは思われません。そういう点から状況判断してみますと、文部省全体とは申しませんけれども、何となく文部省自身の中に、証拠を隠滅するといいますか、証拠隠しに協力している部分があるのではないかということをこの報道の上からは感ぜざるを得ないのですけれども、そういう事実はありませんか。
  163. 西崎清久

    西崎政府委員 私どもは、従来からお答えいたしておりますように、捜査には全面的に御協力するという立場で資料その他はすべて提供させていただいておりますし、先生が御懸念のようなことは私どもは全くいたしておらないということを申し上げたいと思います。
  164. 山原健二郎

    ○山原委員 そういうことで捜査当局から注意を受けるというような事実はなかったですか。
  165. 西崎清久

    西崎政府委員 私は承知いたしておりません。
  166. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省全体としてそういう事実はなかったと判断してよろしいでしょうか。
  167. 西崎清久

    西崎政府委員 私は現在承知いたしておりませんし、そういうことはなかったと信じておる次第でございます。
  168. 山原健二郎

    ○山原委員 これもダブる質問でございますが、医療機器メーカーのフクダ電子にかかわる件についてですが、今中野さんからお話がございましたけれども、いわゆる大阪地検特捜部の捜査の結果、贈賄で総務部長が逮捕された医療機器メーカー、フクダ電子が、同社の優良株をかなり多数の大学関係者や医師に譲渡していた事実が明らかになったと言われていますが、これはどういう大学、また何人にこれが譲渡されていたか、また文部省本省関係者がこの中に含まれているかどうか、そういうことについて文部省はお調べになっているでしょうか。
  169. 西崎清久

    西崎政府委員 先ほども指摘があり、ただいまも先生から御指摘がございます株の問題につきましては、本日私は初めてお聞きする話でございまして、全くそのような点については私どもは念頭になかったことでございます。したがいまして、そのような事実がどのような状況にあるかということは従来も調査いたしていないというのが現状でございます。
  170. 山原健二郎

    ○山原委員 法務省の方はこの事実については、先ほどお答えがあったように思いますけれども、詳細に報告はできませんでしょうか。
  171. 北島敬介

    ○北島説明員 先ほども答弁申し上げましたように、現に贈賄で勾留中の被疑者にかかわる事実でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  172. 山原健二郎

    ○山原委員 捜査中のことで明らかにできないという点はわかりますが、フクダ電子から医療機器を購入している大学関係者に同社の株が譲渡されている事実そのものはあったのではないかというふうに報道の関係を見ますと思われますが、そういう事実そのものもお認めになりませんか。
  173. 北島敬介

    ○北島説明員 今捜査の対象にしております事実以外のことに及ぶわけでございますので、そういう新聞報道がなされておることは捜査当局としても十分念頭に置いておるものと思いますが、捜査当局におきましてその事実に関してどの程度把握し、またどう対応するのかというふうなことについてはお答えいたしかねます。
  174. 山原健二郎

    ○山原委員 これはもうちょっと詳しく申し上げてみますと、フクダ電子は来春にも二部上場企業になる予定で、株価は現在破格の値上がりをしているということでございます。新聞報道によりますと、一人当たり約千株程度譲渡され、この間だけでも数十万円の差益が見込まれる、二部上場された後にはさらに大きな差益が見込まれる、優良で普通一般の人はよほどのコネがないと入手は難しいと言われております。この確実に大きな差益を生む優良株が約八十人の大学関係者、医師に譲渡されていたと報道されておるのでありますが、これがもし事実とするならば、その規模からいっても極めて重大な事態だと思うのでございますが、この点についてどのような見解を持っておられるか。重大な問題として見ておられるかどうか。今お尋ねがありましたが、また一般論として、現金授受でなく、こうした差益を生むことが確実な優良株の譲渡ということが贈収賄容疑の取り調べの対象となるものなのかどうか、この点について御見解を伺っておきたいのであります。
  175. 北島敬介

    ○北島説明員 一般論ということではございますけれども、やはり現に捜査中の事件に関連することでございますので、このフクダ電子の関係でどうこうということはお答えいたしかねるわけでございますが、全くこの件を離れた一般論といたしましては、先ほど申しましたように、現金とか物品とか供応接待とかそういうものに限らず、いわば職務行為に対する不正の報酬と認められる程度の利益性のあるものであれば、わいろの対象になり得ると考えます。  ただ、その株式の引き受けという、有償の譲渡であろうと思いますが、その差益が確実に見込まれるとか、あるいは一般的には極めて入手困難であるというふうなことでございますが、そういう点が確かにわいろの対象になる利益になり得るかどうかということのポイントにはなろうかと思いますが、そこはやはり事実関係を十分詰めた上でなければ、そのわいろに当たるとも当たらないとも言えないであろうというふうに考えております。
  176. 山原健二郎

    ○山原委員 もうこれ以上お尋ねしませんけれども、こういう報道が行われるということは必ずしも風聞によって書かれたものではないと思います。そういう意味では、上場会社の株の譲渡ということになりますとこれはかなり重要な中身を持っている、しかも広範にそれが譲渡され、しかも普通の人には手に入らないという場合においては、私は捜査当局としてはかなり重要な関心を持つべき内容のものではないかと思いますが、その点についてもお答えはできないと考えてよろしいでしょうか、あるいは重要な関心を持っておるというふうに把握してよろしいでしょうか。
  177. 北島敬介

    ○北島説明員 重要な関心を持っておるかどうかということをお答えすることは、ちょっとそのこと自体がお答えしにくいわけでございますけれども、そういう報道がなされておるということは捜査当局も十分承知しておるところでございますので、その実態に応じて適切に対処するものというふうに考えております。
  178. 山原健二郎

    ○山原委員 会計検査院の方にお見えいただいておりますのでお伺いしたいのですが、私の方から調査をお頼みしてあったと思いますが、東北大学、九州大学のこの機器購入に当たっての値引き率は何%ぐらいになっておるでしょうか。
  179. 倉田建司

    ○倉田会計検査院説明員 東北大学につきましては、私ども大阪大学事件が報道されました以降に実地検査をいたしております。  値引き率についても承知しておりますが、先生の申されました二件でございますが、ちょうど二〇%というぐあいになっているかと思います。それから、九州大学の三件につきましては、同じようにそのうちの二件が二六%、もう一つが九%程度になろうかというふうに考えております。  ただいま実地検査の済んだところと、それから事件の報道されました前にやったところと、手元にある資料が別々でございますけれども、証拠書類等でなお精査しておると。ころでございます。
  180. 山原健二郎

    ○山原委員 私がいただきました、文部省の方で調査をいただいたワープロ購入実績調べ、これは電話照会によるものでございますが、実は私ども調査をしました大学名を挙げたところでは値引き率が大体五ないし八%になっておりまして、今東北大学が二〇%、二割ですね。それから、今おっしゃったように、九州大学の場合が二六%。そういうことで、一応確かめたくて今お尋ねしたわけですが、会計検査院も、ことしだけでも弘前、岩手、東北、東京外語、大阪外語、和歌山、神戸あるいは九州大学というふうに実地検査を行っておりまして、そのワープロの機種の購入期日など、調書を持って帰っておるとお聞きするわけでございますが、それは資料としてございますでしょうか。
  181. 倉田建司

    ○倉田会計検査院説明員 ただいま詳しいデータは手元にございませんですけれども、私ども大阪大学事件が報道されましてからというもの、こういった物品の調達関係につきましても鋭意検査をしておるところでございます。
  182. 山原健二郎

    ○山原委員 このように値引き率が追加予算の場合でオリエンタルマシン社から購入した場合は五%という、これは会計検査院の調査でも書類として随分出ていると思います。  それで、これはある大学の場合ですけれども、こういうやりとりがなされているんですよ。学部事務長から担当者に対して、オリエンタルマシンのワープロを購入したらどうか、いい会社だというふうに話が出まして、担当者が、何%の値引きですか、こう言って聞きますと、事務長の方が、五%引きだ、担当者の方が、いつもは回ないし五割引きで買っているのに五%引きではばかばかしくて買えないじゃないかという話が出ております。結局、その学部はオリエンタルマシン社のものは買わなかったのですけれども、本部はこの場合十台買っております。つまり、通常では競争が激しくてかなりの値引き率があるわけですが、それがオリエンタルマシン社との契約では五%引きに値段としてははね上がるということですね。何と考えてもこれは不思議な操作がなされておるわけでございまして、これに気がつかなかったということも不思議なんですが、同時に、これらの機器類全部、会計法、会計令から申しまして、いわゆる入札行為が行われなければならぬ金額でありますのに、全部随意契約ということになっておりますが、これについては、会計検査院としては不思議に思われない、当たり前のことだというふうに受け取っておるのでしょうか。
  183. 倉田建司

    ○倉田会計検査院説明員 値引きをしまして買うのが通常の慣行みたいになっておるという種類の物品の調達につきましては、実にいろいろな要素のものが加味されておるわけでございます。思い切って新しい機種を導入しようとする場合でありますとか、使いなれしておるということで従来型のものをあえて購入する場合でありますとか、予定価格を組みます場合に契約時点から納入に至るまでの日時をどのくらい見ておるか、そういったいわゆる契約履行期間の長短、こういった問題、いろいろな要素のものが複合されて割引率という形であらわれるものでございますが、先生申されましたように、本来ならば競争契約に付して購入するというのが建前ではございますけれども、ユーザー側から見まして、どこそこのメーカー、どこそこのどういった製品というふうに指定してまいりますというと、場合によりましては随契でやらざるを得ない、そういった面もあるやに見受けられます。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 今の会計検査院の方のお答えですけれども、例えば文部省調査だけ見ましても、これは明らかに会計令に違反しているのではないかと私は思うのですが、それは随所に見られるんですね。例えば百六十万円を突破している随意契約というのは、ちょっと例を挙げてみますと、弘前の場合が、五十九年の三月一日、ことしの三月に購入した東芝JW-二D、三台購入しておりますが、一台が二百三十五万八千円、購入金額が七百七万四千円、これだけの高価なものの購入。それから、岩手大学が五十九年の三月十日にTOSWORD JW-七Dというもの四台、一台二百三十五万八千円、購入金額が九百四十三万二千円。秋田大学の場合も同じような状態です。山形大学の場合もそうなんですね、これは金額にして八百六十四万。さらに挙げると、金沢大学の場合は五十八年十一月二日にシャープWD-二四〇〇、購入金額が二百三十二万七千五百円。こういう状態ですけれども、こういうものも随意契約で会計法上あるいは会計今上許されるものと考えてよろしいのでしょうか。
  185. 倉田建司

    ○倉田会計検査院説明員 三台とか四台まとまって購入し得る状況にあるにもかかわらず競争入札に付さずに三件、四件の随契で購入したということでありますと、適切でないということになるわけでございます。まあ一般論お答え申し上げることになると思いますが。
  186. 山原健二郎

    ○山原委員 そういう意味では、会計検査院としては今度の問題についてはかなりの関心を持っておるというのでしょうか。何かお聞きしておりますと、随分ずさんなこともできるんだなという感じもするんですね。その辺はどうですか。
  187. 倉田建司

    ○倉田会計検査院説明員 私どもも、この問題につきましては重大な関心を持って検査に当たっておるところでございます。特に随契でやらざるを得ないという面につきましては、随契のメリットを最大限に発揮しているか、享受しているか、そういう点につきましても見ておるつもりでございます。
  188. 山原健二郎

    ○山原委員 今後も、調査された結果不正であるというようなことが明確になりました場合には、例えば公表するとか、そういう適切な措置というものはおとりになるのでしょうか。
  189. 倉田建司

    ○倉田会計検査院説明員 ただいまいろいろな事例につきまして相互に比較検討中でございます。途中で公表されてはという御趣旨かと思いますが、途中で公表するという例は今までもございませんし、実質上いろいろ手続も踏まなければいけませんし、不可能に近いのではないかというふうに考えております。また、いろいろ公表するといたしましても公平を期さなければいけないということで、相当難しい問題があると考えております。
  190. 山原健二郎

    ○山原委員 例えばこれはある大学、A大学とししておきましょうか、ワープロ以外にもオリエンタルマシン社との契約を条件にしまして追加予算が約束をされている例が幾つかあります。それから、例えばコピー機、エービックス三三〇〇MR、これが九十二万三千円とか、コンピューター、東芝トスバック・システム・ファイブ二五というのが、これは当初はこの大学の場合IBMかあるいは富士通のものを入れようと思っていたわけですが、結局は今度の事件のように業者を指定させたため東芝しかなくて、結局購入したものが、これはどういう関係か知りませんけれども、中途半端のものが入ってしまったというようなことが関係者から出てきているわけです。  それで、文部省の方にお願いしたいのですが、いわゆるワープロ機器だけではなくて、五十七年、五十八年追加予算オリエンタルマシン社と契約した全機器、また医療機器について、どの会社のどの機器を購入したかという関係資料、これを出してもらいたいと思いますが、それは官房長できますでしょうか。     〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 西崎清久

    西崎政府委員 先生今お手元でごらんいただいております資料は、先週からの国会審議の経緯を踏まえまして、先週末に電話による公式調査として、オリエンタルマシン社から購入したワープロに限りまして、五十八年度の全九十五大学に関する調査ということでございました。ただいま先生指摘の、年度を少しさかのぼり、かつワープロ以外の事務機器に幅を広げて調査をするという点については、私どももかねてその点についても調査をいたさねばならぬというふうには考えておるわけでございますが、各大学におきまして若干資料をいろいろ捜査当局に御提供申し上げておるという状況や、私どもの方の資料もそういう点では現在手元にないという状況のもとでございますので、正確な資料として調製できる時期とその内容につきまして現在明確には申し上げかねるわけでございますが、方向としましては、そのような調査が当然必要であるということの認識のもとに作業を進めてまいるというふうに申し上げられようかと思います。
  192. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省も、いわゆる昭和五十八年度決算に係る国立学校等に対する文部省実地監査を行っているわけですね。これは前に指摘したとおりですが、例えば秋田大学とか金沢大学とか佐賀大学とかいうようなところに対して数名の方たちが実地監査に入っておりますが、こういう実地監査の中で、いわゆる不正であるとか疑惑であるとかあるいは不正常であるとかというようなものが全く発見できなかったのですか。官房長、どうですかね。
  193. 西崎清久

    西崎政府委員 御指摘の点、実地監査は春、秋という二回に分けまして、検査院御当局が全体、各年金大学に検査に赴くことが難しいという状況のもとで、私どもが自主的に実施をしているというふうな性格のものでございます。  この点につきまして、本年六月の初旬に監査で関係大学に赴いておりますが、オリエンタルマシン社からワープロを購入した大学もその中に含まれておったわけでございます。六月十八日でございましたか、中曽根経理部長逮捕前に大学に赴いた調査におきましては、その点についての状況を把握することが結果としてはできていないということでございました。  それから、金沢大学につきましては、たまたま監査に赴いた際に、新聞報道によりまして中曽根経理部長逮捕というようなことが承知できましたので、この点につきまして、金沢大学についてはオリエンタルマシン社からの購入状況については事情を聴取したという結果が私どもの方へ上がっております。
  194. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間がございませんので……。  今度の事件は、文部省関係三名の方が逮捕されておるわけですが、予算編成、予算配分といういわば文部省の心臓部において、残念ながら歴代の主査といいますか、そういう方が関係をしておる。しかも単年度の事件ではなくて何年間にわたっておる。しかもそれが受け継がれておる。その中で、例えばオリエンタルマシン社の場合を考えてみますと、五百万円以下の取引しかできないものを、大阪大学の場合では六千万円の取引がなされている。これは会計法上どうなのかという問題も出てまいりますし、また、文部省のいわゆる行政官庁報告、あるいは官庁綱紀の粛正についての通達、あるいは綱紀粛正についての閣議の決定、また三年以上も同一職に在職をさせてはならぬという問題についての違反行為、これは責任としては、逮捕されておるのは三名の人でございますけれども、そういう幾つかの点から見ますと、文部省責任も非常に重大なものがあると私は思います。  この点で、中曽根田中鳥野見、こういう人たちの上司は一体だれなのか。例えば予算執行あるいは追加予算の執行に当たりだれが許可を与えるのか、あるいはだれが判をつくのかということについてはお答えできると思いますが、その関係はどういうふうになっていますか。
  195. 西崎清久

    西崎政府委員 文部省内部の関係で申し上げますと、総括予算班主査の上司は会計課の副長、課長、それから官房長、次官というふうに上がってまいるわけでございます。最終的には文部大臣、こうなるわけでございますが、官庁の意思決定として、文部省としての予算配分その他全体の方針につきましては次官、大臣までの決裁ということがあるわけでございますが、内部の文書処理規程、決裁規程におきまして、例えば留保予算の配分というふうな内容について申しますと、支出負担行為の計画の示達というふうなことになっておりまして、決裁上は会計課長専決というふうな取り扱いになっておるわけでございますが、しかし、官房長、次官といえどもその点についての監督の立場にあるわけでございまして、その点は今後とも十分反省をし、留意しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  196. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間がありませんけれども、結局決裁の判をつくわけですね。それはやはり書類を見ないで判をついていくのでしょうか。大阪大学の場合だけ考えましても、六千万円の機器購入でしょう。それが何の疑問もなしに判がつかれるという、しかもそれが何年間にわたるということは普通の場所ではちょっと考えられないことなんですよね。それが行われたのはなぜかという問題についてはどういう御見解を持っておりますか。
  197. 西崎清久

    西崎政府委員 大阪大学につきまして、契約についての責任者は事務局長が支出負担行為の担当官としてこれを行うわけでございます。したがいまして、私どもが今後事実解明のための調査として心がけなければならない点は、やはり事務局長の決裁というものと、それから経理部長を経由したということでございましょうが、そのあたりでの意思決定と書類上の流れと現実の処理がどういうふうに行われたかということは、私どもは事実関係の解明の問題として十分意識をし、調査をしてまいりたいと思っておりますが、現在、原議書が手元にないというのが大阪大学における実情でございまして、今後十分詰めてまいりたいというふうに思っております。
  198. 山原健二郎

    ○山原委員 どうも不思議でしょうがないのですけれども、できたことは仕方がないんだということで過ごせるものでもないと私は思います。やはり、行政機関の事務機構のあり方としての欠陥があればそれはもちろん正さなければなりませんし、判のつき方が十分な精査なしに判をつかれたということもあり得るとは思いますけれども、しかし、これは単に逮捕された人だけの問題ではない、構造上の中身を持っておると思います、汚職とかそういうこととは別にしましても。それはどうしても文部省は正さなければならぬことで、その意味では、今度の事件は余り報道もされておりませんし、世間の人も、まあこれはこれで消えていくんだな、三名の方が逮捕されてそれで終わりだなという空気もないとは言えないと思うのです。けれども、それで済ましてよい問題かということになりますと、これは文部省は相当襟を正さなければならぬ問題だと思いますね。  それからまた、しかもそれがちょうど時を同じくして、皮肉と言えば皮肉でありますけれども、二十一世紀に向かっての教育大改革をやる、まさにその法案が、いわゆる臨時教育審議会という法案が今、国会にかかって、しかも会期末は八月八日というこの最終段階の重大な時期にこれが出たということについては、これは本当を言えば、文部大臣があの法案を取り下げてでも、この一連の事件を解明をして、国民におわびをして、改めて出直す。教育改革について本当に真剣に国民的合意を得ようとする構えがあるならば、それだけの決意があってもしかるべきだ。文部大臣責任のとり方というのはまさにそういう厳しいものだと私は考えておるわけでございますが、この点について文部大臣の御見解を最後にお伺いをしまして、私の質問を終わりたいと思います。いかがでしょうか。
  199. 森喜朗

    森国務大臣 いろいろと御指摘をいただきましたことは私どもといたしまして謙虚に耳を傾けております。それだけにかえってまた、できたものはしようがないという考え方は持っておりません。私を初め一人一人が、日々本当に恥ずかしい思いをいたしながら、文教行政に取り組んでいるわけでございます。私どもは今捜査当局だけに、もちろんお任せをいたしておりますが、文部省独自といたしまして、こうしたことが二度と起きないような体制にぜひ改善をしたい、このように最大の努力をいたしております。  そのことと教育改革一これはまた、国民が求めておる極めて幅の広い、そしてまた各政党もすべて教育に対する大きな関心を寄せております大事な時期でございます。私ども心を新たにいたしまして、このこともまた文部省としても大きな、また内閣全体として大事な仕事であるというふうに受けとめて、なお一層努力をしていかなければならぬ。  それにいたしましても、文部省が名誉を回復することももちろん大事なことでございます。御指摘をいただきましたことに十分注意をいたしながら、なお一層努力をしてまいりたい、このように申し上げておきたいと思います。
  200. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  201. 愛野興一郎

  202. 江田五月

    江田委員 延長国会もいよいよ大詰め。しかし、臨教審の法案がまだ参議院で攻防が続いて決着がついていないということで、そういうときにまたこのあり得べからざる事件が起きた。大臣、御苦労なことでございます。  参議院の方の臨教審の審議に差し支えない範囲で、しかし、若干聞いておきたいと思うのですが、この臨教審の委員の任命、今はまだ国会開会中ですし、審議中ですから、この国会中にということになるのでしょうが、しかし、どうも、閉会中ならば任命をしてその次の国会で事後的に同意を得なければならぬことになるのじゃないかということも言われておりますが、その人選は、開会中であろうが閉会中であろうが、いずれにしてもやらなければならぬ。その人選について、これは法案によりますと、「文部大臣の意見を聴いて、内閣総理大臣が任命する。」ということになっているわけです。この文部大臣の意見具申というのは、総理の方から、こういう人でどうだろうかということになるのですか、あるいは文部大臣の方から、こういう人でいかがですかと、こういくのですか。これはどうなるのですか。
  203. 森喜朗

    森国務大臣 今、先生からお尋ねの際にもお話がございましたように、ただいま臨時教育審議会設置法案が参議院で審議を、きょうも恐らく参考人の意見聴取をしていただいております。きょうにでも何とか国会の御意思をいただきたいというふうに私ども願っておるところでございます。したがいまして、まだ国会の判断が出ていない際に軽々に人選についてのお話を申し上げることは、極めて僭越であろうというふうにも考えておるわけでございますが、お尋ねの点を一般論として申し上げてまいりますと、総理への意見具申は、国民各界各層の意見が反映されますように、このことを基本といたしたい。したがいまして、国会でもまた先生にも御答弁申し上げましたように、父母や教師等の各分野、あるいは年齢構成、世代間のバランス、あるいは女性の登用などに配慮をいたしながら、個別に具体的に行うということになろうかと思います。法案が成立をいたしました後に、今申し上げましたような基本的な考え方に沿いまして文部大臣としての考えを固めたいとまず考えております。そして、必要に応じまして文部省の事務当局の意見なども聞くことを考えておるわけでございまして、事は教育改革に関することでございます、文教行政の任にあります、またこの法案の担当大臣として閣議でも決定をいただいております私でございますので、そういう中で、今申し上げましたような事柄も十分留意をしながら、私の方である程度の御人選を申し上げ、そして総理に意見具申をするというふうに考えております。
  204. 江田五月

    江田委員 個別、具体的に文部大臣の方で人選をして、それを具申する、法案成立後に考えを固めるということで、もちろん、これはいろいろな人からいろいろと意見をお聞きになるわけでしょうね。その場合に、いろいろ新聞報道などで言われておりますが、何か政党の意見も聞く、各方面から推薦をいろいろ受けると、もう文部省レベルとして選べるのは二十五人のうち十人ほどしかいないのだと言って嘆いたとか嘆かぬとかいうようなことも新聞に書かれておったやに記憶しておるのです。そういう人選の手続、段取りというのがベールの中に包まれてしまっておるという気がするのですが、これはもうちょっとオープンにできないものなんですかね。
  205. 森喜朗

    森国務大臣 入選は慎重にいたさなければなりませんし、また、たびたび申し上げておりますように、国会で長い間、こうして衆議院、参議院を通じて各先生方からのいろいろ御質問も交えながら御意見も付されておるわけでございます。そうした国会の論議というものも十分踏まえながら私が判断をいたすということであろうと思っております。
  206. 江田五月

    江田委員 今の状況で言いますと、これは国会開会中には同意を得るというのが困難で、事後的な同意ということになるケースもあり得るかと思いますが、私どもが賛成をいたしました修正部分ですとそれが可能にはなっておるわけですけれども、しかし、恐らく余り好ましいことではないのだろう。日々継続して行われる行政について、その継続性が途絶えると困るので、国会閉会中も人選だけは行える、ただし後に同意を得なければならぬ、そういう場合ならいざ知らず、本件のように新たに事を始めるという場合に、閉会中にもかかわらず任命をしてしまって後に同意というのは、余り好ましくないのだろうと思いますが、それてもやむを得ない場合もあろうかと思います。しかし、そういう場合にも、事後の同意となった場合に、国会の同意を得る前に答申を得るというようなことがあると、これはちょっといかがなものかなという気がするのですが、そういう事後の同意ということになった場合に、国会の同意を得る前に答申を得てしまうというようなことはあるのですか、ないのですか。
  207. 森喜朗

    森国務大臣 今の場合は仮定のお話でございますが、当然、委員会でどのように審議をし、どのように――例えば、中期、長期あるいは短期の中間的な答申というようなことなども想定をして今先生お尋ねになったのだと思うのですが、そういう先生のお立場でのお尋ねでございますが、これはやはり、会長を中心に委員の皆さんで、どのような論議を深めるか、あるいはどのようなプログラムでいくかということも、当然審議会でお決めをいただくということであろうかと思います。  しかしながら、現実の問題として、委員の任命についても可能な限り速やかに国会での同意を得たいというふうに私は願っておりますが、仮に事前に同意が得られないということが出てきた場合には事後承認を得るということが法律で規定されているわけでございますので、そういう点につきましては、仮に事後承認を得られないということになってまいりますと、これは罷免をしなければならないということになりますから、その点、私といたしましては、その辺のことを十分に留意しながら人選をしなければならぬということになります。しかし、設置法そのものは三年間の期限でございまして、一日も早い審議を始めて、そして可能な限り速やかな取りまとめをするということがやはり国民の期待にこたえることであろうというふうにも考えております。したがいまして、確かに、同意を得ないままに仮に答申することはいかがなものかというふうなお尋ねでございますが、具体的にそのようなプログラムになるとは我々は考えられませんけれども、今先生のそうしたお話が、御意見があるということなども十分に審議会の皆さんが参考にされて運営をされるということになろうかと思います。いずれにしても、運営の細目といいますか規則は会長と審議会の皆さんでお決めになるということでございますので、十分留意されることであろうというふうに思います。
  208. 江田五月

    江田委員 間違いのない運営をお願いしたいと思います。  大臣も参議院の方の様子も気になられることでしょうから、もう一点だけ、ちょっと別の話ですがお伺いをして、後脚退席願うこともやむを得ないかと思いますが、その話は、実は著作権法の改正のことであります。  技術革新によって新しい事態が著作権周辺に登場してきている。これにどう対応するかということが著作権法の関係者にとって恐らく焦眉の急の課題になってきていると思うのですが、この春、貸しレコードの関係では著作権法の改正をいたしました。しかし、これは貸しレコードというほんの部分的な事柄に対する対症療法的な改正で、もっと大きな対応が必要、とりわけコンピューターソフトについて、これは本格的な取り組み、検討をしなければならぬと思うのですが、大臣にこの点だけ伺っておきます。  コンピューターソフト関係についていろいろ意見があるようですけれども文部省サイドで、これは著作権がコンピューターソフトに成立をするんだ、したがって、著作権法の改正ということでこれに対応していくんだ、そういうお考えは堅持されておるのかどうか。各省との関係で、どうもそのあたりももううやむやになってしまっているということはないのかどうか、この点を伺っておきます。
  209. 森喜朗

    森国務大臣 コンピューターのみならず、私ども、この著作権に係ります現行法制定後十四年を経過いたしたわけでございますが、確かに、世の中の科学技術の進歩は目覚ましいものがございまして、当時として予想しなかった制度上の問題がたくさん生じておる、これも先生もう十分御承知で御指摘をいただいていることでございます。したがいまして、この辺の課題につきましては、著作権審議会において順次、小委員会を設けて検討いたしておりまして、それぞれ、緊急を要しあるいはまた客観情勢の整ったものから、制度的な対応を含めて、法律等も含めた必要な措置をいたしているところでございます。  今お尋ねをいただきましたコンピューターソフトウエアにつきましては、私どもとしては終始、これはあくまでも著作権の法律で守られていくべきものである、また国際的にもそのような考え方を各国もとっておるわけでございます。なお、来年二月には国際委員会でこのことについて検討いたし、判断を下すということでもございますが、私どもといたしましては、従来とっておりましたように、こうしたコンピュータープログラムにつきましてはあくまでも著作権法で守っていくものであろう。今お尋ねのようにいろいろな御意見はございますけれども、私どもとしてはこの考え方を続いてとっていく、こういう考え方を申し上げておきたいと思います。
  210. 江田五月

    江田委員 どうも大臣ありがとうございました。次の気になるところへどうぞお出かけになってください。  新聞でセンセーショナルに、「著作権法か新立法か」、文化庁と通産省が対立して「縄張り争いの面も。」これは大分古い、ことしの二月十五日の新聞ですが、この通産省との差というのは一体どこにあるのか。これは裁定制度をどうする、登録制度をどうするというようなこともありますが、そういうことじゃなくて、物の考え方の基本として、通産省の方はプログラム権とかいうようなことを言っているようですが、例えば、人格権であるとか環境権であるとか日照権であるとか入浜権であるとか、今までの時代にそれほど考えられていなかった権利が、しかし事態の推移とともに、新たな権利として法的確信によって人々に支えられる状態が出てきた。どうもそういうような意味でのプログラム権というものの生成ということを考えておるようでもないようで、そうすると、しょせんこれは著作権の一つの対応としてのことを考えておるのかなというように感ずるのです。これは通産省に例えばいいのですが、文化庁としてプログラム権というものを一体どういうものとして把握をされていらっしゃいますか。
  211. 加戸守行

    ○加戸政府委員 文化庁立場といたしますれば、人間の思想、感情を創作的に表現したものが著作物であり、それを著作権によって保護するという考え方で申し上げますれば、コンピュータープログラムも人間の思想を創作的に表現したものであるという考え方に立っているわけでございます。  一方、通産省の考え方といたしましては、コンピュータープログラムがいわゆる産業技術、コンピューターの利用技術であるという点に視点を置きまして、そういった産業財としての保護というのが従来の著作権思想あるいは著作物理論には適合しないということで、いわゆる現在の著作権法制というものがコンピューター利用技術になじまないという観点から、プログラム権という御主張が出てきたわけでございますが、従来の工業所有権といった領域のものでもないし、著作権といった領域のものでもない、第三の権利だということの御主張をされてまいりました。  当方といたしましては、そういった新たな分野での新たな権利の創設ということが、国際的にも存在しない、あるいは従来にないもの、独自な制度をつくるということは不可能ではございませんけれども、法理論的にもいかがかという問題もございますし、また実体的にも、プログラム権法の内容というものは、大体それほど著作権法のエリアとはかけ離れた考え方ではないし、具体的なプログラム権で規定しようとしている中身も実質的にはほぼ著作権法の領域と共通しているものではないか、そういう考え方で、当方は著作権法によるべきだという主張をしたわけでございまして、考え方はいろいろ差はございますけれども、実体的には私ども、もちろん保護期間を長くする、短くする、裁定制度を導入する、しないという実体的な問題はございますけれども、理論としましては、それほどの差のある権利の性格ではないのではないかというのが当方の理解でございます。
  212. 江田五月

    江田委員 産業経済活動の新しい展開の中から出てきた新しい法律関係の態様であるということ、それはそうとしても、産業経済活動であるということと著作権ということは相入れないものだというわけでもないし、やはり新しい時代における著作権というものの新たな展開の一つの態様だということだろう、それがゆえに、従来の著作権法をそのまま持ってくるというのではなかなかなじまない点があるから、改正が必要だということだと思うのです。  今までの著作権の公表後五十年あるいは死後五十年というのではいかにも長くて、今のこのコンピューターソフトウエアの目覚ましい変化、発展という時代には、とても五十年なんというのはなじまないのではないか、そういう意見もあるようですが、これはいかがですか。
  213. 加戸守行

    ○加戸政府委員 文化庁としましても、五十年の保護期間を主張いたしました理由は、日本が加盟しております国際的な著作権条約でございますベルヌ条約が五十年を最低の保護期間として規定しておることに基づくわけでございまして、著作権のエリアでまいります限り、条約を改正して保護期間の五十年が、例えば現在でも既に写真の著作物あるいは応用美術の著作物については二十五年でよいという規定もございますし、コンピューターの利用実態等を踏まえた上で保護期間の短縮ということは条約上可能でもございます。そういう意味で、国際的なコンセンサスとして条約の改正というのがあり得ると私は考えておりますが、少なくとも現在のまま、五十年ということが義務づけられている時点では、当面五十年でいくべきではないか。その後、国際的ないろいろな御相談の上、大勢が保護期間の短縮に向かうならば、我が国としてもそれに同調することはやぶさかでないと思いますが、それは将来の立法論と申しますか、条約改正論の話であろうかと考えております。
  214. 江田五月

    江田委員 もうそれほど時間がありませんが、その他の著作権法関係の今の課題、一つは例の賦課金制度、これは先ほども同僚委員からの質問の中で、書籍のコピーに関する質問がございましたが、書籍に限らずいわゆるホームテーピングについて、一体ビデオデッキをどうするのかという問題があるわけで、この賦課金制度は一体どうなっていくのか。  それから、映画の頒布権を一遍見直していかなければならぬのではないかということが、五十八年七月二十六日の著作権審議会第一小委員会審議の中で出ているようですが、映画も八ミリ、十六ミリ、あるいは何ミリ、そういうフィルムにでき上がった映画だけではなくて、最近はビデオディスク、ビデオテープ、ビデオで映画がどんどん出回っていく、そして貸与という形がいろいろなところで出てくるわけで、この映画の頒布権はどう見直されていくのか。  それから、データベース、ニューメディア、これも新しい検討が始まっているようですが、どうなっていくのか。  それから、もう一つ、著作隣接権条約への加盟の問題、事柄がたくさんあるのですが、一つ一つ簡単で結構ですから、お触れ願って御答弁いただければと思います。  とりわけ一つだけ。ビデオについて、これは貸与、レンタルという業態、裁判例も出ているようですが、このビデオという形になっている映画について、貸与という業態は成立させる方向で指導していくのか、それともそういうものは成立させないのか、これはどうなんでしょう。その点は具体的にお尋ねいたします。
  215. 加戸守行

    ○加戸政府委員 五つの御質問がございました。  第一の、課徴金制度等の問題でございますが、著作権審議会の第五小委員会におきまして五十六年の報告をちょうだいしまして、五十七年にこの問題に関しまして懇談会を設置しまして、現在既に十六回の会合が持たれておりますけれども、この懇談会におきまして、課徴金を一つの方向、一つの解決の手がかりといたしました議論が進められている段階でございます。  それから、第二の、映画の頒布権の問題でございますが、先生指摘のように、昨年の第一小委員会での課題として積み残されているわけでございまして、なおこれは特にビデオ関係のものを中心といたしましたいわゆる映画の特性としての従来の伝統的なフィルムを前提とした頒布権をそのままでいいのかどうか、なお慎重に検討すべき課題だということで積み残されているわけでございます。  それから、第三の、データベース関係でございますが、これにつきましては、著作権審議会に三月でございますが第七小委員会を設置いたしまして、分科会をもう二つ設けまして、ニューメディア関係、それからデータベース関係、この二つの分科会のうち、ニューメディア関係は既に四回、データベース関係は六回の審議を重ねておりまして、特にデータベースの方は、実態認識を踏まえた法律議論の段階にまで入っていっている状況でございます。なお精力的に検討いただきたいと考えております。  それから、第四の、著作隣接権条約加盟の問題でございますが、当文教委員会におきます附帯決議も受けまして、早速本年の五月に第一小委員会でこの著作隣接権条約加盟の問題の審議をスタートさせました。ただ、御承知のように、一九六一年の隣接権条約はまだ二十六カ国の加盟でございまして、アメリカ、フランス等の有力国が入っていないという状況もあり、またそういった実態を踏まえて、十年後の一九七一年にそのうちのレコード部分だけ抜き出しました海賊版レコードの防止条約ができましたけれども、そちらの方は既に三十七カ国になっているというようなことから見ますと、隣接権条約へはなかなか入りにくいという国際的な傾向も若干あるのではないかという視点もございますが、なお鋭意御検討をお願いしたいと考えている次第でございます。  それから、第五の、ビデオレンタル関係でございますが、先般新聞報道でも出ましたが、こういったビデオレンタルについての監視機構というものが設立されましたけれども、これの趣旨は、要するに、適法に契約を結んでレンタルすることは認めていこうというのが業界の方向でございまして、無断レンタルを防止しようということでございますので、正常なルートで正常な料金を払って営業として行うということは、基本的に権利者側も認める方向であろうと理解しております。
  216. 江田五月

    江田委員 終わります。
  217. 愛野興一郎

    愛野委員長 次回は、来る七日午前十時五十分理事会、午前十一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会