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森国務大臣 大変山原
先生に気にさわることを言うかもしれませんが、山原
先生よりも私の方が戦後の
教育を実際受けてきたのです。私は
小学校二年生になるまで戦前
教育です。そして、戦後がらっと変わったわけです。いい悪いを言っているのではなくて、その体験者なんです。だから、環境や政治やいろいろなことで
教育が変わると、本当にいろいろな
意味で
教育を受ける
子供たちは困るなという、私はそういう
感想を持っておるのです。
先生も
先生というお
立場でいろいろ
感想はお持ちでしょうけれ
ども、私は実際、
教育を受けてきたわけですね。今までこのことが正しいと思って教えられたことが全部違ったのですね。そういう
意味で、私
たちは非常にある
意味では被害者だ。こう
考えております。
無理な戦争をして、そして世界からある
意味では制裁を受けた。そして戦後、新しい民主
教育になる、そして自由と平和というものを大事にする、民主主義というものを大事にする。これは私はすばらしいことだと思うのです。そのことについて、私はためらいも何もないのですが、我々がその当時から聞いてきた経過、あるいはアメリカの
教育使節団が
昭和二十一年三月に来て
日本に
教育制度をしいた、その経緯は、いろいろなところで本を読んだり、いろいろな人の話を聞いておりますから、やっぱり押しつけられたというふうに当時として
考えざるを得ないのじゃないでしょうか。
日本は戦争に敗れたんですから、私はいたわけじゃありませんけれ
ども、そんなことをアメリカに物を言えるというような
立場で
日本はなかったと思うし、当時おられた方々の
お話は、個人的に名前を申し上げるのは失礼でありますから申し上げませんが、当時
文部省におられた方の
お話をその後自民党の中で講演として伺っても、私はやっぱりそういう形があったのだなというふうに
感じます。
だから、そういう
意味で、私はすべてアメリカから来た今の
制度が悪いということを言っているのじゃないのです。国会の中で一番与野党の皆さんの
議論になるところは、また野党の皆さんもいろいろなことをおっしゃいますが、今の
日本の
国民の
年齢構成を
考えてみても、もう
昭和生まれは八割でしょう。そして、民主主義と平和というものを大事に
考えてきた人
たちの方が圧倒的に多いのです。戦争を求めたり、徴兵
制度をやったり、戦前に回帰して復興させようなんて
考えている人が、今の若い世代にいるはずがないのです。一番大事なのは、むしろ戦争を体験した人
たちの観念が一番大事なんでしょう。戦争を体験した人
たちは、主義主張は違っても、与野党を問わず、戦争などはしちゃいかぬと一番
反省している
年齢層じゃないでしょうか。この皆さんがいろいろな
意味で、
制度的にも政治の上でもブレーキをかけておられて、私は今の健全な
日本の政治体制になっていると思うのです。
ですから、私はそういう
意味で、単にアメリカに押しつけられたものはいかぬとか、そういうことを申し上げているわけじゃありませんが、たまたま今
先生がおっしゃったように、量的拡大はよかったけれ
ども、そのために質的な改革に矛盾が起きた、こう私がたしか申し上げたことが、今
先生から御指摘がございましたけれ
ども、確かに量的拡大してみんなが
教育を受けられるように広げていった。その結果、例えば高等
学校でもそうでしょうし、
中学校でもそうでしょう。大量に入れるようになった。入れるようになったために能力といりもの、恐らく人それぞれによって、これは差別ではなくて能力の差異があるのは当然ですね。それが同じような中で、民主主義
教育——差別
教育をしてはならぬぞという土俵の中で量的拡大をする中に、勉強をもっとしたいと思う人が、ある
意味では足どめを食わされている面もあるだろうし、本当はついていくのがつらくて、やりたくないと思う子を無理して
現場に入れて
教育の土俵の中に
議論をさせるから、突っ張ってみたり
先生に対するいろいろな
意味での対応が出てくるという面がある。民主主義
教育というのは大事なことだけれ
ども、そういうところは少し逐次改善をしていかなかったら本当に
教育というのは行き届かないんじゃないだろうか、憲法にも「能力に応じてこと書いてあるはずなんだから。そこのところを、民主主義あるいは自由主義、平和主義ということに余りにもこだわり過ぎて、そういう中に矛盾が出てきておることが、やっぱり今日の
教育の荒廃の
一つの
原因になっているのではないか、私はこのような
考え方を持って、そのとき自民党の中で講演をした次第であります。