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森国務大臣 まず、田中さんから今いろいろと、私に対して御激励をいただくという
意味でも、大変温かい御
発言をいただきまして、むしろ私は恐縮いたしております。私も決して年齢的にはそんな
ベテランの域でもございません。ただ、ここにいらっしゃいます馬場さんや木島先輩、
中西さん、同じように私も
国会に出てまいりまして、内閣の方の、
政府の仕事をしている以外はほとんど
文教委員会に籍を置きながら仕事をいたしてまいりましたので、そうした方々と同じように、
日本の
教育について一番
関心を持ち、そしてまた心配もしてきた一人でございます。
総理が、かねてから
教育改革をしていきたいというお
気持ちがあることは私も承知をいたしておりましたし、これは何も
総理だけではなくて、どの政党、会派も問わず、今の
政治にかかわり合いを持つ
皆さんはみんな
日本の
教育についての御
関心は大変深いし、そしてまた
教育に何らかの改善を進めていかなければならぬ、ある
意味ではまた改革も進めていかなければならぬ、
立場は違えども、みんなそういう
考えを持っておられることであろうと私も思います。
また、そういうことが、先般行われました総選挙に際しましても、あるいはまたその前に行われました
地方選挙や
参議院選挙を見ましても、どの政党のどの会派も、どの候補者も、
教育問題をやはり政策の中に入れておられない方はない、こう申し上げてもいいかというふうに思います。
先生も今度こうして
国会にお出になりましたまでの間、もちろん県の
委員長として御活躍をなさっておられたわけでございますが、その間は町
会議員もおやりになり、あるいは県議会の副議長もおやりになり、十分
教育の問題についてやはり
関心を深めていらっしゃっただろうと思います。そういう
意味で、
教育改革全体に今取りかからなければならぬというそういう
気持ちに、
皆さんも、
立場は違ってもお
考えは私どもと同じであろうというふうに
考えるわけでございます。
私も短い経験ではございますけれども、この
教育制度を見直していくことは、もう少し今までの視点と違って長期的な問題として、あるいはまた
政府全体としてとらまえていく、こういう姿勢が必要ではないだろうか。そして、中教審の問題とのかかわり合いあるいは
総理のお
考え、いろんな形の中で私
自身も随分悩んでもまいりましたし、また
日本の
教育をよりよきものにしていきたい。少なくとも、今私どもがちょうど生きている
日本の国を構成している人口の構成比率といいましょうか、そういう
意味から見ますと、確かに
昭和生まれは非常に多いわけでございますけれども、戦前の
教育を受けた方、戦後の
教育を受けた方、そしていろいろな
意味で、やはり民主主義
教育、平和あるいは自由、こういうものを尊いと
考えておられる方がこれだけ定着をしている今日の中で、やはり
日本の
教育をみんなが正しく理解をしていただく、あるいは
議論をし合っていくちょうどいい時期に来ているんじゃないだろうか、単に戦前のものはすべて悪いということではなくて、やはり戦前の
教育の中にまた失ったよきものもあるはずでありましょうし、また戦後新しく得たものの中では現実の問題としてそぐわなかったものもあるだろうし、少しは反省を加えなければならぬものもあるでありましょうし、そういう面で総合的にかつ幅広く
考えていく場合には、先ほども触れましたように、
政府全体がこの問題に取り組むことが重要ではないか。そしてまた、そのことが
国民的な要請にこたえる一番大事な課題ではないだろうか、こういうふうに私は
考えます。
したがいまして、ここまで田中さんの御心配があったのかどうか、お尋ねには入っておりませんでしたけれども、これまでの
文教委員会あるいはまた予算
委員会の中で
議論に出ましたが、中曽根さんのいわゆる戦前回帰志向みたいなものに対する非常な危機意識を持っておられたこともまた事実でございましょうし、あるいはまた
教育に対して
文部省固有あるいはまた中教審というものがあるではないかというようないろいろな
意見もございましたし、特に
社会党さんを初め日教組の
皆さんも、
文部省というものをとても大事にしてくださった。このことはいろいろなところで、
新聞等に出ておりまして、私も本当に感謝をしているわけでございます。
そういう
意味で、この設置
法案をいろいろ検討している中で、
教育基本法や憲法を大事にしよう、そして
文部大臣、
文部省というものを大事にしようという
総理のお
考え方も、私どもと一致をいたしました。そういう中で、今度
政府全体として
総理大臣の諮問機関として臨時
教育審議会の設置を
お願いいたしたわけでございまして、いろいろと
先生から御指摘あるいはまた御注意等もいただきましたが、そうしたことも踏まえながら、本当に二十一
世紀の
日本にふさわしい
教育のあり方を、多くの
皆さんの御論議を深めながら、現世に生きる我々の大きな
責任として、ちょっときざな言い方かもしれませんが、次代の
子供たちへの贈り物として、我々
政治家がこのことだけはしっかりと今検討する一番いい時期に来ておる、このように私は
考えておるところでございます。