○芝田説明員 お答え申し上げます。
他用途利用米制度は本年度からスタートをしたものでございまして、確かに今まで非常になじみのない制度でございますので、なかなか御理解いただけない点もあるかと存じます。
この制度の趣旨は、
我が国の水田の生産力を維持する上におきまして、価格の低い米を提供することができればさらに主食用以外にも米の消費需要を開拓できるという点に着目いたしまして、生産者団体等とも話し合いの上で設けられた制度でございまして、御
指摘のように、主食用米と他用途利用米を品種的には特に区別はしておりません。将来にわたりましては、他用途利用米に適した多収品種、少々味の点に問題があっても収量の多い品種というようなものの開発も研究を進めておりますが、現状におきましては、そういうような品種的なはっきりした区別はございません。
そういう
意味で、主食用の米を加工用に回すことがうまくいくのかどうかも含めて非常に御疑問があるところかと思うわけでございます。その
意味で、もちろんいろいろ
議論があったわけでございますが、現在は、これの生産、流通につきましては、特に流通につきましては、一応自主流通米に準じまして生産者と実需者との間での契約によりまして流通させることにしておりまして、これに対しまして
政府は必要な規制を加えるとともに奨励、助成を行うというシステムになっているわけでございます。
現実にそうなりまして、どんなふうに生産されて、どんな仕分けで流通するのかということにつきましては、圃場の特定ということ、つまりこの田んぼは主食米、この田んぼは他用途利用米というようなことは行っておりませんで、量的に各農家にどれだけという割り当てになっているわけでございます。そして、主食用米は
政府買い上げなり自主流通という形で米の生産という中になるわけでございますが、他用途利用米は一応転作作物の内側という扱いになっているわけでございます。そして、生産されたお米につきましては、検査の
段階で主食用と他用途利用米というものを区別することになっております。これは検査を請求いたします生産者の申し出によりまして、検査に当たりましてはもちろん同じように等級をつけるわけでございますが、等級とともに他用途利用米である旨の証印を評票に打つという形でこれをはっきりわかるように区別してまいる、その後の流通は、今申しましたように、契約に従いまして加工業者に流れるということにしているわけでございます。
次に、先生の御
指摘は、そのような制度は制度として、そのような他用途利用米というものでなしに、主食用米の中で古い米を加工原材料用に回すことにすればそのような制度は必要ないのではないかという御
指摘かと思うわけでございます。
これにつきましては、御存じのように、加工原材料用の米と申しますものは、
我が国で過剰米が問題になります以前は輸入に頼っておったわけでございます。と申しますのも、何分にも
我が国の生産されますお米と海外のお米との価格の差もございますし、加工用には海外のお米でも足りるということから、そのような価格の安いお米を求める実需業界の要請によりまして、食管法上もこれを認めて輸入しておったわけでございます。しかし、過剰米が生じましてからは、その処理の一環として輸入をやめまして、過剰米の古くなったものを加工原材料用に売却いたしておったわけでございます。そこから御推察いただけますように、非常に大きな価格差がございますが、過剰米は処分ということでございますのでそのような価格差が問題でなしに、損失覚悟で処理してきたわけでございます。今後過剰米がなくなった
段階でこれをどうするかということを
議論した
段階におきまして、また輸入に戻るのか、いやせっかく
我が国の生産力の高い水田があるのだからこれを活用して、いささか価格は低くてもこれを供給していく、国も助成するが生産者もある程度価格を我慢して供給していくのかという決断を迫られた形で
議論の末に、価格が主食用米に比べまして少々と申しましょうか、少々ではないかもしれませんが、我慢していこうということでスタートしたわけでございますので、その間の価格差は本質的に存在するわけでございます。
そうなりまして、おっしゃいますように過剰米が存在しておりますればそれをもって充てていくことになりますが、意識的に過剰米を生み出してこれに充てていくということにつきましては、過去の過剰米処理が非常に大きな財政負担をしております経験からいたしましてもなかなか
国民の納得も得られないということでございますので、意識的に古い米をつくっていくというわけにはまいりませんし、また先生のおっしゃるように、意識的でなくても、自然にある程度古米、古々米が生ずるであろうという、そのような量的に不確かなものに頼っていくわけにまいりませんし、一方におきまして、再び過剰米処理を繰り返すことのないように食管制度を運用していきたい、いかねばならないと
考えておりますので、そのような古いお米がこれから大量に生ずるというようなことは我々としてはあってはならないと
考えておりますので、これに頼ることは非常に難しいかと
考えております。