○河本国務大臣 予算編成は、普通の年ですと十二月に終わります。このシーリングというのは恒例に従いまして八月末に各省から概算要求を出しますので、その概算要求の出し方についての
一つの
基準を設けるということでありますので、最終的な
政府の予算にそれがそのままなるということではございません。例えば
昭和五十二年末に
昭和五十三年の予算を編成いたしましたが、そのときには五十二年の八月に決めました概算要求をはるかに上回って、消化できる最大限の予算を組んだ、こういう例もございます。したがって、経済の動向を見まして、最終的にこの十二月になりませんと、予算がどういう姿になるかということはわかりませんが、しかし現段階における議論としてはそれなりに大切な議論だ、私はこのように考えております。
そこでこの根底に横たわる問題は、
一つは先ほど申し上げましたように、日本の黒字幅が非常に大きな
数字になりつつある、五十九年度の貿易の黒字、それから経常収支の黒字幅の
見通しにつきましては一月にその
見通しを発表したのでございますが、その後一月、二月、三月、四月、五月とここ数カ月間の経常収支、貿易収支の黒字の動向を見ておりますと、一月に発表いたしました
昭和五十九年
見通しをはるかに大きく上回る気配でございます。このままの
数字が続きますと相当巨額の黒字になるのではないか、このように考えておりますので、やはり国際社会における有力な経済大国といたしまして、世界全体に対する影響等も考えなければなりませんので、先ほど申し上げましたような二つの対策も真剣に検討してみる必要があると私は思います。
それからアメリカの一−三月の成長の実績が発表になりましたが、発表の回を追いましてだんだんと上方に修正されまして、最終的には年率に直しまして九・七という
数字になっております。それから四−六も相当低くなるのではないかという話も一時ございましたが、これも昨日の発表を見ますと、五・七という実質成長が可能である、こういうように発表されております。そうしますと、年度間を通じてアメリカの成長は相当高いものになる、このように思われますし、かねがね私が申し上げておりますように、経済の基礎的条件は日本の方がアメリカよりもはるかにいいと私
どもは考えておりますので、条件の悪いアメリカが相当高い成長をして、条件のいい日本がそれよりも低い成長しかできないということはやはり何らかの
問題点があるのではないか。やはり日本の持っております潜在成長力が十分発揮できるということになりませんと、先ほど御
指摘のございました
国民生活も向上できません。
したがって経済の最大の柱である消費も伸びない、こういうことにもなりますし、
国民生活が向上いたしませんと、それを無視して国際社会に貢献をする、対外援助をするということにも当然抵抗が出てくるであろう、このようにも思いますので、やはり私は今の経済の
状態を考え、またアメリカの動きなどを参考にいたしまして、日本としては日本の持っておる潜在成長力が十分発揮できるような政策をこの際断行する必要がある、このように考えております。
そういう
考え方を背景にいたしまして、さて当面のシーリングをどうするかということでございますが、せっかくきょうから
関係者の間で議論が始まったわけでありますから、経済企画庁の方から議論の始まったそのときに意見を言うことはちょっと差し控えまして、まだ四十日ばかりございますから、その間適切な
判断をしたい、このように考えております。