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山田(岸)
政府委員 それでは、
昭和五十九
年産米穀の
政府買い入れ価格につきまして、本日
米価審議会の方に
諮問いたしましたので、その内容について御説明させていただきます。
まず最初に「
諮問」、それから「
諮問についての説明」を朗読させていただきます。
諮問
昭和五十九
年産米穀の
政府買入価格について、
米穀の
需給の
均衡を図るための
対策が行われている
需給事情に即応しつつ
生産費及び
所得を考慮して
決定することにつき、
米価審議会の
意見を求める。
昭和五十九年七月二十四日
農林水産大臣山村新治郎
…………………………………
諮問についての説明
米穀の
政府買入価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、
生産費及び
物価その他の
経済事情を参酌し、
米穀の再
生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その
算定については、
昭和三十五年以降
生産費及び
所得補償方式により行ってきたところであります。
米穀の
政府買入価格につきましては、近年の
米穀の
需給事情を考慮して、
昭和五十三
年産以降抑制的に定めてきたところであります。また、一方で
水田利用再編対策及び米消費
拡大対策を中心とする各種施策を通じて米
需給の
均衡を回復するための努力が続けられております。
しかしながら、当面の米
需給の実情は、四年
連続の冷害等の影響による米の減産等のため、決して
ゆとりのある
状況とはいえないものの、依然として
生産調整を行わなければ
需給の
均衡が図れないという
状況にあります。
また、米の管理に係わる
財政運営も、
国家財政が一層厳しい
状況にある中で、困難な局面に直面しております。
今後の米の管理におきましては、以上のような
事情に対処して、当面の米の安定供給を図りつつ、米
需給の
均衡の回復に努めるとともに、各般の面にわたり合理化努力を行っていく必要があるものと
考えられます。他方、
農家経済を取り巻く最近の厳しい諸
事情の下で、
稲作の
生産性の向上に努めるとともに農業
生産の再編成に取り組む
農家の意欲に及ぼす影響にも何らかの配慮を払う必要があると思われます。
本
年産米穀の
政府買入価格につきましては、以上の
事情を総合勘案の上、現下の
米穀の
需給事情に即応しつつ、
生産費及び
所得補償方式により
算定することとしてはどうかということであります。
それでは、お手元にお配りしておりますところの「
昭和五十九
年産米穀の
政府買入価格の試算」という
資料につきまして御説明させていただきます。
まず、
資料に入る前に
算定の基本的な
考えについて申し上げさせていただきたいと思います。
本
年産米穀の
算定に当たりましては、基本的な
考えとしまして、五月二十五日の
米価審議会において採択されました
米価の
算定に関する
米価審議会小
委員会報告の趣旨及び前広米審での御論議をも踏まえまして
算定を行っております。
すなわち、
算定方式としましては、
生産費及び
所得補償方式によることとしておりますし、対象
農家の平均
生産費について、物財、雇用労働費など実際に支払う
費用については
生産費調査結果を
物価修正するとともに、家族労働費については
都市均衡労賃で
評価がえし、この
評価がえ
生産費を平均単収で除して、求める価格、いわゆる米全体の
農家庭先価格でございますが、それを
算定しております。
具体的な
算定の主要点について申し上げますと、まず
生産費の対象
農家のとり方であります。
当面の米の
需給は、四年
連続の不作によりまして決して
ゆとりのある
状況と言えるものではありませんが、依然として
生産調整を行わなければ
需給の
均衡を図れないという
状況にあります。そこで、このような
生産調整を行わなければならないという
事情を
米価算定に反映させることといたしまして、
生産費対象
農家のとり方につきまして、
農家を
生産費の低い順に並べ、その累積
生産量が潜在
生産量に対する
需要量の比率になるまでの
農家をとっております。
その場合、この比率を求める際の
需要量につきましては、
水田利用第三期
対策における
主食用等の
生産予定量をとっております。また、それは御案内のとおり千九十万トンでございます。
また、潜在
生産量につきましては、第三期
対策における潜在
生産量を次のように修正しております。すなわち、第三期
対策における水稲の潜在作付面積には、
転作の円滑な推進という見地から、永年性作物、林地、農業
生産施設用地などが含まれているほか、永年性作物等につきまして、
転作奨励金が支払われなくなった後におきましても、
転作面積としてカウントする面積、いわゆる定着カウント面積と呼ばれているものでございますが、それが含まれておりまして、その意味では、第三期
対策における潜在作付面積のすべてが水
稲作付可能な水田というものではないと
考えられます。
そこで、この場合におきましては、第三期
対策における潜在
生産量からこれらに係る
生産量を控除します。また、第三期
対策の潜在
生産量には他用途利用米
生産予定量が含まれておりますので、
需要量の
考え方と整合させるため、さらに他用途利用米予定量を差し引くこととしております。
具体的には、こうした
数字につきましては、潜在
生産量は全体で従来から千三百八十万トン、こういう
数字が唱えられておりますが、今回の計算によりましては、永年性作物等の分といたしまして十一万トン分、他用途利用米の
生産予定分といたしまして二十七万トン分、以上を千三百八十万トンから控除いたしまして千三百四十二万トンを計上しておるわけでございまして、この千三百四十二万トン分の千九十万トンの比率でございまして、八一%になるわけでございます。
次に、主な
算定要素のうち、まず家族労働費の
評価についてでございますが、これは家族労働費の
評価に用います
都市均衡労賃のとり方につきまして、基本的には五十六年以降のとり方と同様に、常用労働者五人以上千人未満の規模の製造業の賃金につきまして、都道府県別の米販売量ウエートにより加重平均した賃金という
考え方に立つていますが、この賃金をそのままとりますと、本年の場合も昨年と同様、前年の適用
労賃に比べて極めて低い伸び率になります。
そこで、このような急激な変化をそのまま
米価に反映させますと、
農家の
所得等に与える影響が大きいものがある、このように
考えられますので、これを緩和するため、昨年の場合と同様に、米販売量をウエートとする平均賃金について労働者数をウエートとする平均賃金の上昇率を用いて調整する、いわゆる賃率調整と呼んでいるものでございますが、それを取り入れておるわけでございます。
それからまた、自作地の地代の
評価につきましては、昨年までの
算定におきましては旧統制小作料の水準によるという
考え方をとっておりましたけれ
ども、これにかえまして、土地資本利子という
考え方に立って行っております。そうして、その場合の元本
評価は固定資産税
評価額によっておるわけでございます。
ちなみにその実額を申し上げますと、固定資産税
評価額は、
昭和五十八年度の一般田につきまして七万六千五百二十五円、十アール当たりでございますが、そういうことに相なっておりますし、利率といたしましては、十年の利付国債の応募者利回り七・四五八%を採用しているわけでございまして、この辺につきましては、八ページの方に詳細に書かれておるわけでございます。
それでは、お手元の
資料に入らせていただきまして、若干説明させていただきます。
お手元の
資料の第一ページには「求める価格」Pの算式が書かれております。この価格は
農家の庭先段階での全平均のお米の価格でございまして、この数式に書かれておりますCといいますのは十アール当たり
評価がえの
生産費でございます。その中身につきましては後段の方に説明が載っておりますが、価格
決定年の前三年の各年の米販売
農家のうち
生産費の低いものからのその累積
生産数量比率が価格
決定年の
米穀の
需給事情を基礎として定める比率になるまでのものの十アール当たり平均
生産費について、家族労働費については
都市均衡労賃により
評価がえし、物財、雇用労働費については
物価修正する等、価格
決定年に
評価がえしたものでございます。
それから分母の方にございますHでございますが、これは十アール当たりの収量でございまして、三カ年の平均をとっておるものでございます。
それに六十を掛けましたものが、いわゆる六十キロ当たりの
評価がえ
生産費から求める価格になるわけでございます。
具体的にその
数字を二ページの方でごらんいただきますと、求める価格は一万八千八十四円になるわけでございます。この価格に運搬費を足しましたものがいわゆる基準価格となるものでございまして、一万八千二百六十一円でございます。
この基準価格を基礎といたしまして各個別の価格が算出されるわけでございます。個別の算出価格といいますのは三ページの方に掲示をされておりますところの類別、等級別
政府買い入れ価格でございますが、これを計算する際のいわゆるへそになる価格でございます。
その価格につきましては、先ほど求められました基準価格に類なり等級の格差を加除いたしまして、さらに歩どまり加算、これは引くわけでございますが、それによりましてウルチ軟質三類一等裸価格、こういうものが求められるわけでございます。
4に書いてありますのはウルチ一-五類の一、二等平均、包装込み、
生産者手取り予定価格でございます。これが基本価格と言われておりまして、前年の基本価格一万八千二百六十六円に比べまして二百六十五円の額によりますところのアップになる一万八千五百三十一円でございまして、
アップ率は一・四五%になるわけでございます。
この価格は、ウルチ軟質三類一等裸価格に従来と同じような計数を加除いたしまして、等級間の格差なり、また類同の格差、歩どまり加算、包装代、こういうものを加除いたしまして求められるわけでございます。
三ページをごらんいただきますと、先ほど申し上げましたへそ価格、三類の一等のところに出ておる価格でございますが、これを基準といたしまして類別格差と等級別の格差で開いていきまして、一類一等なり、二類二等なり、それぞれの価格が
算定されるわけでございます。なお、類別、等級間格差は前年どおりとしておるわけでございます。
大体、はしょって御説明させていただきましたが、以上が今日
米価審議会に
諮問をさせていただきました内容でございます。