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1984-07-05 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月五日(木曜日)     午後一時六分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    高橋 辰夫君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       羽田  孜君    保利 耕輔君       三池  信君   三ッ林弥太郎君       山崎平八郎君    上西 和郎君       島田 琢郎君    田中 恒利君       細谷 昭雄君    松沢 俊昭君       安井 吉典君    駒谷  明君       斎藤  実君    水谷  弘君       神田  厚君    滝沢 幸助君       玉置 一弥君    津川 武一君       中川利三郎君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         食糧庁長官   松浦  昭君         通商産業省基礎         産業局長    野々内 隆君  委員外出席者         議    員  松沢 俊昭君         大蔵省主計局主         計官      小村  武君         厚生省保険局保         険課長     伊藤 卓雄君         厚生省年金年         金課長     山口 剛彦君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ――――――――――――― 委員の異動 七月五日  辞任         補欠選任   新村 源雄君     島田 琢郎君   神田  厚君     玉置 一弥君   菅原喜重郎君     滝沢 幸助君   津川 武一君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     新村 源雄君   滝沢 幸助君     菅原喜重郎君   玉置 一弥君     神田  厚君   中川利三郎君     津川 武一君     ――――――――――――― 七月二日  米の輸入反対等に関する請願(津川武一君紹介)(第七二一五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月三日  農畜産物輸入自由化枠拡大阻止に関する陳情書外二件(第三六六号)  農畜産物輸入自由化枠拡大対策に関する陳情書(第三六七号)  農畜産酪農経営改善強化に関する陳情書(第三六八号)  水田利用再編対策の推進に関する陳情書(第三六九号)  昭和五十九年度畜産物価格等に関する陳情書(第三七〇号)  蚕糸・畜産業振興に関する陳情書(第三七一号)  昭和五十九年度産サトウキビ最低生産者価格に関する陳情書(第三七二号)  林業振興に関する陳情書外一件(第三七三号)  近海漁業経営安定対策に関する陳情書(第三七四号)  ハマチ養殖事業安定化対策に関する陳情書(第三七五号)  奈良県におけると畜場建設計画反対に関する陳情書(第三七六号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第四三号)(参議院送付)  農産物自給促進及び備蓄確保のための農業生産振興に関する法律案安井吉典君外八名提出衆法第二八号)  総合食糧管理法案安井吉典君外八名提出衆法第二九号)  農民組合法案安井吉典君外八名提出衆法第三〇号)  昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出第四五号)  米の安全性需給安定に関する件      ――――◇―――――
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、玉沢徳一郎君外四名から、自由民主党・新自由国民連合日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党国民連合及び日本共産党革新共同共同提案による米の安全性需給安定に関する件について決議すべしとの動議提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。玉沢徳一郎君。
  3. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 私は、自由民主党・新自由国民連合日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党国民連合及び日本共産党革新共同を代表して、米の安全性需給安定に関する件の決議案趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     米の安全性需給安定に関する件(案)   最近における米の需給ひっ迫に際し、政府過剰処理の対象としてきた昭和五十三年産米主食用としても売却するにいたったが、昭和五十三年産米は、たび重なるくん蒸によって臭素の残留が明らかとなり、加工原材料用米不足が予測されるにいたったことから、政府は、韓国産米の充当によってこの事態に対応するという方針を決定した。  本委員会は、このような事態に対処するため、米問題を農政上の最重要課題として取り上げたが、これに対応する政府具体的施策は、未だ必ずしも十分でないのが現状である。  また、米の需給がひつ迫し、国民食糧行政に対する不信と不安を招いたことは、まことに遺憾である。  よって政府は、このような事態を招いた責任を厳しく反省し、このような事態を二度とくりかえすことのないよう左記事項の実現を図り、食糧行政に万全を期すべきである。     記  一、多年にわたる農薬のくん蒸の結果、昭和五十三年産米において五OPPMを超える臭素の残留する米が相当量に達しているという現状にかんがみ、これについて早急に完全な検査を行い、今回定められた基準を超えるものについては、主食用加工原材料用として市場においても販売されることのないよう措置すること。    また、暫定基準についても国民食糧安全性確保の観点から法律上の基準とすることを検討すること。  二、国民主食であり、かつ、わが国農業基幹作物である米については、その供給外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、国内生産による自給方針を堅持すること。  三、米の需給事情ひっ迫にかんがみ、今後の需給操作に万全を期するとともに、米の需給事情に的確に対応しつつ、需給計画について必要な見直しを行い水田利用再編第三期対策転作面積緩和については弾力的に対処すること。  四、ゆとりある需給計画のもとに国民主食安定供給確保するため、不測の事態に備えた米の適正な在庫の積増しを行い、備蓄体制の確立に努めること。   右決議する。  以上の決議案内容につきましては、本委員会中曽根総理大臣出席を求めるなど、四日間にわたる集中審議を通じ、委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手
  4. 阿部文男

    阿部委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、討論の申し出がありますので、これを許します。日野市朗君。
  5. 日野市朗

    日野委員 私は、日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党国民連合及び日本共産党革新共同各党を代表いたしまして、本決議案について意見を申し述べます。  これまで米政策をめぐっては大きな二つ流れがあったのであります。一つは、米の生産力を抑制し、水田利用再編対策を進め、低米価政策を貫こうとするものでありました。もう一つは、長期的国内食糧自給の見地から、生産力を維持し、減反には反対し、米価引き上げを主張するものでありました。このような大きな二つ流れが相交わることなくこれまで論争を続けてきたところでありますが、このたび韓国米輸入事態を迎えて、本委員会においては四日間にわたる集中審議を行い、真摯な議論を行った結果、本決議を取りまとめるに至ったのであります。  この決議を取りまとめるに至るまでには、各党それぞれ見解を持ちながら、お互いに痛みを分かち合い、同時に、二つの相反する政策が今ここで交錯し合う場を持ったというべきでありましょう。ある意味においては、歴史的な決議と言ってもよろしいのではないかと思います。この決議は、各党互いに不満を残しながらの和解であります。行政担当者としては、この決議案が生まれるまでの苦悩を思い、決議を十分に尊重していただきたいと思うのであります。  この決議に文章化されなかったとはいえ、次の諸点が真剣に考慮されたということ、このこと々行政担当者には銘記をしていただきたいというふうに思います。  まず一つは、米の過剰時代というものは既に去つたのではないかという認識であります。現に韓国米日本に持ち込むという事態が発生していろわけでありまして、この韓国米日本に持ってくるということは、名義のいかんを問わず、他国の米が生産調整を行っている日本に入ってくるということを意味するのであります。政府外国米輸入は行わないとする答弁とは食い違っているのでありまして、まことに遺憾であると言わなければなりません。  次に、いわゆる減反政策及び低米価政策でありますが、米の生産力を余りにも低下させてしまったということについて、我々は深い反省をしなければならないと思います。世界の食糧事情を見てみますと、今我々日本は飽食の時代を生きているのでありますが、いつ飢餓が我々を襲うかというおそれは、我々は常に心していなければなりません。それに対する備えは常に万全でなければなりません。国民が営々たる努力をもってつくり上げてきた生産基盤を縮小するということはまことに愚かなことではなかろうかと思うのであります。減反政策、低米価政策、これは変更されるべきではないかと思料いたします。  この審議の過程を通じて非常に大きな問題点となったのは、他用途利用米制度であります。そして同時に、青刈り稲を完熟させるべきであるとの議論も激しくなされました。そして他用途利用米及び青刈り完熟米については、これを主食用として買い入れ施策をとれという主張が強力になされたところであります。やがて米については、主食用についてすら事を欠くという事態は決して架空のものではないということを我々は認識せざるを得ないと思います。  それに関連して、備蓄は、制度としてこれを確立すべきであるという議論も真剣になされたところでございます。  さらに、五十三年産米の処置につきましては、いささかも国民に健康上の不安を与えてはならいというのが我々の共通の認識であります。これをいかに誠意を持って処理するかということについては、行政は非常に大きな責任を課せられたと言ってよろしかろうというふうに思います。  今、各地で米価大会が行われております。いずれも外米の輸入に抗議をし、米価引き上げを強く求めるものであります。また、農業団体も、米政策への激しい憤りを表明しているのであります。この農政当局者生産者との乖離は、日本の国にとってまことに不幸なことと言わなければ九りません。この分裂している国論、これを速やかに統一する必要があろうかと思料いたします。この決議は、国論の統一、それに向けて一つの指針を与え得るものである、こういうふうに考えるのでありますが、農水省は十分にこの決議を尊重し、その精神を酌んで今後の農政の展開を行われたい、このように思料いたします。  よって、この決議には賛成をいたします。(拍手
  6. 阿部文男

    阿部委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  玉沢徳一郎君外四名提出動議のごとく決すろに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 阿部文男

    阿部委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。山村農林水産大臣
  8. 山村新治郎

    山村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、今後鋭意努力してまいります。
  9. 阿部文男

    阿部委員長 なお、ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  11. 阿部文男

    阿部委員長 次に、内閣提出参議院送付肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。山村農林水産大臣。  肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載
  12. 山村新治郎

    山村国務大臣 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  肥料価格安定等臨時措置法は、肥料価格の安定を図るため、その取引を適正かつ円滑にするのに必要な措置を講じ、あわせて肥料輸出を調整するため、その輸出体制整備するものとして、昭和三十九年に制定されたものであります。自来、今日に至るまで、肥料価格の安定及び肥料輸出調整を通じて、農業及び肥料工業の発展に多大の貢献をしてまいりました。  この法律は、昭和五十九年六月三十日までに廃止するものとされておりますが、最近における我が国農業及び肥料工業をめぐる状況にかんがみ、肥料価格の安定を図るため、なおこの法律存続する必要があると考えられます。  すなわち、農業においては、農産物需給緩和、諸外国からの市場開放要求高まり等内外の厳しい状況に適切に対処する必要があります。このため、土地利用型農業体質強化等により農業生産性向上を推進するとともに、昭和五十九年度から実施される水田利用再編第三期対策等により、地域の実態に即しつつ需要の動向に応じた農業生産の再編成を進めることとしております。これらの施策を強力に推進し、あわせて農家所得確保を図っていくためには、農業生産基礎資材である肥料価格を安定させることが従来にも増して必要となっており、現行価格取り決め措置存続が強く要請されております。  一方、肥料工業は、累次の石油危機による国際競争力低下等によって構造的に困難な状況に陥っております。このため、特定不況産業安定臨時措置法に基づく諸対策に引き続き、昭和五十八年から、特定産業構造改善臨時措置法に基づき、アンモニア、尿素等製造業について、大幅な過剰設備処理等内容とする第二次の構造改善を進めているところであります。肥料安定的供給確保されるためには、肥料工業経営の安定が不可欠であり、この構造改善に加えて、現行価格取り決め措置存続がこの方面からも求められております。  以上申し述べました理由から、この法律が廃止するものとされる期限を昭和六十四年六月三十日まで五年間延長することとし、本法律案提出した次第であります。  なお、肥料輸出調整措置につきましては、肥料輸出が大幅に減少したこと等により、日本硫安輸出株式会社昭和五十七年に解散したことから、今回の改正に当たって、その関係規定を削ることとしております。また、これに伴い、法律の題名を肥料価格安定臨時措置法に改めることとしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  13. 阿部文男

    阿部委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
  14. 阿部文男

    阿部委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま趣旨説明を聴取いたしました本案について、参考人出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  17. 阿部文男

    阿部委員長 次に、安井吉典君外八名提出農産物自給促進及び備蓄確保のための農業中産振興に関する法律案総合食糧管理法案及び農民組合法案を一括して議題とし、提出者から趣旨説明を聴取いたします。松沢俊昭君。農産物自給促進及び備蓄確保のための農業生産振興に関する法律案総合食糧管理法案農民組合法案本号末尾掲載
  18. 松沢俊昭

    松沢議員 農産物自給促進及び備蓄確保のための農業生産振興に関する法律案、それから総合食糧管理法案農民組合法案の三法案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、提案趣旨につきまして御説明を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、我が国農業は、米を初め果樹、牛乳、豚肉など主要な農産物に対して生産調整が強化され、生産農民は、厳しい生活の中で農業の将来に深刻な不安を抱いているのであります。しかも、これに追い打ちをかけるように貿易摩擦解消理由としたアメリカの圧力に屈し、オレンジ、牛肉の輸入枠を大幅に拡大したのであhます。この政府措置は単なる輸入枠拡大にとどまらず、実質的な自由化への道を開いたものと言わざるを得ませんし、我が国農業に深刻な打撃を与えています。  こうした我が国農業縮小合理化方向の中で、我が国食糧自給率、中でも食糧基本とも言うべき穀物自給率は年々低下の一途をたどり、先進工業国でも例を見ない三〇%を割るような事態を迎えているのであります。しかも、我が国食糧の柱とも言うべき米は、十数年にわたる減反政策の失敗と四年連続の冷災害によって需給が温迫し、本年の端境期は、韓国米輸入や本年産の米の早食いによって乗り切らなければならない状態に入っております。このため、本日、本委員会では米の安全性需給安定に関する決議がなされたことは御承知のとおりであります。しかも、本年も気象庁の長期予想によれば冷害は必至と言もれ、それが現実となった場合、米不足はますます深刻化すると見なければなりません。八〇年代は食糧不安定時代を迎えると言われているとき、生産農民農業生産希望を持ち、食糧自給率向上を図り、国民食糧を安定的に供給することが我が国の最重要課題であり、さきに本院で与野党一致可決された食糧自給力強化に関する決議か具体化する方向でもあります。  このため、我が党はかねてより食糧自給促進備蓄のための農業生産振興法案をもって食糧自給率向上のための計画的農業生産備蓄を図り、総合食管法案をもって米麦飼料穀物を加え生産者価格を保障し、適正な流通管理に当たり、農民組合法案をもって生産農民希望を持って農業生帝に従事できるよう団結権団体交渉権を保障するなど総合的な法体糸整備して、さき国会提案いたして御審議をお願いしておりましたが、解散、総選挙のため廃案となりましたが、我が国農業をめぐる情勢はますます厳しく、農業再建食糧自給向上のため再び提案いたす次第であります。  以下、三法案趣旨を御説明いたします。  第一に、食糧自給促進備蓄のための農業生産振興法案であります。その基本的な考えは、目的でも明らかなように、国民主要食糧を長期的・安定的に供給するために計画的生産を行うことにあります。そして、主要食糧とは、米・麦等穀類を初め畜産物果樹野菜等国民基本食糧としております。そして、基本食糧であります穀物自給率を十カ年計画で七〇%まで高めることを前提としております。このため、国、都道府県市町村段階でそれぞれ農畜産物自給促進備蓄計画年次別に定め、それに従って農業生産体制整備強化を図り、また、食糧備蓄は、米・麦類食用穀物消費量の六カ月分、飼料穀物は三カ月分とし、もって国民に対する主要食糧の安定的な供給を保障することとしております。  次に、総合食糧管理法案であります。  第一は、本法案で管理する主要食糧は、米穀麦類のほか、トウモロコシコウリャン等食糧とし、総合食糧管理体制を整えることとしたことであります。これは、国民の食生活の変化により動物性たんぱく質の摂取が増加し、その家畜飼料となる穀類を野放しにしておくことができない状況になってきたとの判断によるものであります。  第二に、米穀管理制度を民主化したことであります。まず米穀政府買い入れにつきましては、生産振興法によって定めるところによって生産された米穀生産者売り渡し申し込みに応じて買い入れなければならないものとし、その買い入れ価格農民組合法によって設立された農民組合の代表と政府との協議によって定めることとしております。その協議が難航した場合は価格等調整委員会であっせん、調停、仲裁により決定することとしております。また、米穀売り渡しにつきましては、食料用として売り渡す場合は、配給計画に従って売り渡し、その価格は家計の安定を図ることを旨として定め、国会の承認を受けるものとしております。飼料用として売り渡す場合には、畜産業の安定を図ることを旨として定めることとしております。  第三は、米穀需給が逼迫し供給が困難になつた場合、生産者に対し生産した米穀政府に売り渡すべきことを勧告することができ、勧告に応じて政府米穀売り渡した場合、出荷協力交付金を交付することができるものとしております。  第四は、麦、大豆、トウモロコシコウリャン等管理制度を新設したことであります。その買い入れ売り渡し生産者価格の決定につきましては米穀の方式を準用するものとし、特に飼料用につきましては、畜産経営の安定を図ることを目的としております。  第五は、政府みずからが行う主要食糧輸出入は総合食糧審議会意見を聞くものとし、輸入に当たっては国内生産を阻害することのないよう、また輸出に当たっては開発途上国の通常の輸出を阻害することのないよう配慮して行うよう規定整備を図ったことであります。  次に、農民組合法案であります。  まず第一に、本法案目的にもありますように、農民が団結し自主的に農民組合を組織し、農産物を初め、農業用資材価格団体交渉によって定めることとし、農民の社会的‘経済的地位向上を図ることを目的としております。  第二に、農民組合は、市町村区域農民組合都道府県区域都道府県農民組合連合会全国区域として全国農民組合連合会を組織する三段階制をとっております。  第三に、農民組合には法人格を与え、登記するとともに、行政庁の認可を受けるものとし、社会的位置を明確にしたことであります。  第四は、交渉等事業として、まず組合員が生産する農産物価格について、政府地方公共団体またはこれに準ずる者との交渉、また、社会的、経済的地位向上を図るための交渉を行えるようにしたことであります。また、政府等管理農産物以外についても、価格取引条件等について団体協約を締結できることとし、農業用語資材価格取引条件等についても同様の措置をとれることとしたことであります。政府管理農産物については、総合食糧管理法案によっても明らかなように農民組合との団体交渉によって決定されることになっておりますが、他の農産物農業用資材、社会的、経済的地位向上のための団体交渉につきましても、当該事業者等誠意を持って応じなければならないものとして応諾義務を課しております。  第五は、組合員の資格であります。  市町村にあっては、耕作、養畜、または養蚕の業務を営む者、またはその配偶者、または同居の親族とし、すべての農民に資格を与えております。  第六は、農民組合設立に当たっての条件であります。  まず、市町村農民組合を設立するには市町村区域内で十五人以上の発起人を必要とし、組合員資格のある者のうち都府県にあっては十アール、北海道にあっては三十アール以上の農地で耕作を営む者及び養畜、養蚕の業務を営む者の三分の一以上が組合員とならなければならないとしております。また、都道府県農民組合連合会全国農民組合連合会は、資格を持っている者の三分の二以上が会員にならなければならないものとしております。  その他、本法案に必要な法制の整備を行っております。  以上が我が党提案法律案趣旨及び主たる内容であります。  何とぞ賢明なる各位から慎重な御審議を賜り、速やかに可決されるようお願い申し上げまして、提案理由説明にかえます。  以上でございます。(拍手
  19. 阿部文男

    阿部委員長 以上で各案の趣旨説明は終わりました。
  20. 阿部文男

    阿部委員長 次に、内閣提出昭和四十四年昨以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
  21. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 農林年金年金額の改定に関する法律につきまして、若干御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、今回の改正内容につきまして二つ三つお尋ねをしておきたいと思いますが、第一は、年金額の改定を三月と四月の二つに分けて行うわけでありますが、その理由は一体どういうことなのか、この点をお尋ねをしておきます。
  22. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  農林年金年金額の改定につきましては、従来から恩給並びに国家公務員等共済制度その他の共済制度と同様に、前年度の公務員給与の改善を基礎として実施をしてきておりまして、時期につきましては、昭和五十二年度以降、昭和五十七年度は例外でございますが、それ以外は原則として四月に実施をするのを例としてきたところでございます。  昭和五十九年度におきましては、恩給の改定が実は一カ月はみ出しまして、五十九年三月から恩給が改定をされました。それに伴いまして、共済年金のうち恩給に連動している旧法組合員期間に係るものにつきましては、これとあわせて三月から改定ということになりました。新法の組合員期間に係るものにつきましては従来同様四月からということにしたわけでございまして、共済グルプの一員でございます農林年金といたしましても、共済グループ全体のそういう決め方にならいまして三月、四月ということにいたしたものでございます。
  23. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 この農林年金の場合、旧法と新法の関係がありますので、恩給と共済の二つで従来もやっておるということでありますが、これはやはり根本的にいろいろ問題があると思うのですね。最近、恩給の改正も単なる物価スライドといったようなものだけではなくて、制度そのもののある意味では骨格に触れるような内容も含まれておるわけでありまして、共済組合制度と要素的には違う側面があり、恩給のアップに従って共済を上げていくということになっていくと、共済制度そのものと本質的に触れ合う面がある。そういう意味から、国家公務員共済組合審議会などでも、余り好ましいことではない、こういう答申がなされておるわけでありますので、二つに分けるなどというようなことではなくて、やはり一緒にやっていく、こういう形で取り組むべきである、私はこう思っておるわけでありますが、御意見はいかがでしょうか。
  24. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  これは先生には全く釈迦に説法でございますが、御承知のように農林年金制度は、農林漁業団体の職員が隣近所を見渡して、せめて村役場、町役場の職員と同じ程度の年金制度の恵沢を受けたいという大変な願望がございまして、そういう願望に支えられて厚生年金から分離独立してできた制度でございますので、宿命的に公務員の共済制度と横並びということが規矩準縄になってくるというのは、発生史的に見てやむを得ざるところがあるというふうに思うわけでございます。  そこで、農林年金が独立いたしました当時の公務員の共済制度というのは、先生御承知のように、任官しておる官吏に相当する者については恩給、それからそうでない雇員の人たちに対して共済制度があって、そういう状態のものと横並びに制度をつくって発足をいたしました。後ほど、共済制度の改革によって任官をしている人たちも吸収されるようになってから以降はいわゆる新法ということでございますから、それまでの期間の部分について、これを全部新法並みにしてしまうということにつきましては、私ども自体でどうこうということよりも、発生史的な経過から申しましても、公務員共済の方でまずそういうことができるかどうかという問題に先に逢着するわけでございまして、私は、現下の情勢から見るとどうもこの問題は大変難しい問題で、ちょっと手がつけられそうには思いにくいというのが偽らざる感想でございます。
  25. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それぞれたくさんありますから、一つ二つ政府の考えを聞いていきたいと思います。  遺族年金の最低保障を八月に再び引き上げるということになっているわけですが、これはどういう理由ですか。
  26. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  これは遺族年金の最低保障額とそれに寡婦加算を足しまして、合計したものを退職年金の最低保障額と比べてみる、これが従来からいろいろな比較の仕方で一つの尺度になっておるわけでございますが、現状ではこれが八一%でございます。しかるところ、三月から最低保障額を二・一%引き上げるということをいたしますと、その結果、今申し上げましたパーセントが実は八〇・七%ということになるわけでございます。私どもといたしましては、現在のこの八一%という遺族年金の最低保障額プラス寡婦加算額の退職年金の最低保障額に対する割合、この割合は維持したいと思いまして、そうするとそのためにまたちょっと最低保障額を引き上げなければいけないわけでございますが、その時期を八月ということにして、八月にもう一遍ちょっと最低保障額を引き上げまして、八一%という割合を復元するということにしたいというふうに思っておるわけでございます。  この八一%に復元するための二度目の最低保障額の引き上げというのは、これは元来いつやるべきものであるかということについて、さしてルールめいたものがあるわけではございませんので、最近の財政事情から見て八月からということにさせていただこうということにしておるわけでございます。この八月からということは、各共済制度共通にそういうことにしておる次第でございます。
  27. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 標準給与を四十二等級に区分をしておりますね。これの根拠は一体どういうことなのか。農林年金の場合、下限の該当者はどれほどおるのか、お知らせいただきたいと思います。
  28. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  標準給与の下限の決め方につきましては、農林漁業団体における組合員の現実の給与水準を適正に反映するということがまず基本でございますが、特に下限につきましては、従来から下限の該当者が全組合員の多くても一%台であるということを目安にして、それで同じ標準給与制を採用しております私学共済とのバランスとか、国家公務員の給与とか、そういうことをにらみながら決めておるわけであります。  具体的には、国家公務員給与の下限でございます行(二)の俸給表の五等級一号俸というのを使っておるわけであります。行(二)の五等級一号俸が、五十八年の国家公務員給与の改定によりまして七万五千百円から七万六千六百円に引き上げられたということで、それに合わせまして農林年金の標準給与の下限を七万五千円から七万七千円ということにしたわけでございます。この七万五千円から七万七千円というのは、同じ標準給与制を採用しております共済グループに属しております私学共済についても同様のことをやろうといたしております。  それで、どの程度の該当者がいるかということでございますが、五十八年度末現在で見ますと、総組合員数四十八万五千百九十二名でございますが、その中で、今度定めようとしております新しい下限七万七千円の金額以下の者というのは三千三百十五名でございまして、総組合員中わずか〇・七%ということでございます。
  29. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 三千三百十五名、〇・七%とおっしゃるわけですが、実はこの〇・七%の三千三百十五名という人が七万五千円以下ですね。農林漁業団体の職員給与の問題は、やはり全体的に水準がまだ低い。大分接近はしてきましたけれども、非常に低い層がまだ残されておるというところが実は問題点なんであります。そういう七万五千円以下の大変低い皆さんが七万五千円を基準にした標準給与をとられると、必然的に掛金というものが高くなっていく、こういう心配が考えられるわけでありますが、この点をどういうふうにお考えになっておるか。三千三百十五名と言われろこの人たちに不当な掛金というものが出てくる、そういう心配があるように思うのです。これはむしろ下の、例えば五万円とか五万五千円とかいら層が相当おるわけですよね。相当と言ったって比率はそんなにたくさんないかもしれないけれども、現実にはおるわけです。ところが、私学にしても国家公務員共済にしても、底値を置いたら、底値以下なのは農林年金ほどいないと私は思うのですよ。だから、農林年金一つの特殊性なんで、そこのところをこの四十二の等級区分の中でもっと下げるところは下げて、そして掛金率も出して、適正な保険料を出していく、これがやはり農林年金の実態に沿うあり方だ、こういうように思うわけですが、いかがですか。
  30. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。新しい標準給与の下限以下の者が本年三月末で三千三百十五名というふうに今申し上げましたが、実は標準給与というのは、若い人にとっては、退職年金をもらうまでの間は掛金とだけリンクしているので、標準給与が上がって悪いことこそあれいいことはないと考えられがちでございますが、障害その他の場合には若いうちでも標準給与がむしろ給付とリンクする場合もあり得るわけでございます。  それから、これはかなりいろいろな方がそういうふうにおっしゃっておるのでございますが、標準給与の最下限というのが現実には農林漁業団体の給与決定に当たってもむしろ底上げ的効果を持っておる。要するに、農林年金の標準給与の下限よりも低いというのは幾ら何でもひどいじゃないかというようなことを団体交渉の席上おっしゃると、使用者側もぐっと詰まって、それじゃそこは多少手直ししようかというふうに働く場合もかなり多く見受けられるので、そう悪いことばかりではないのである、公平に見てそう思っていらっしゃる方が多いというふうに私は思っております。  それから、標準給与の下限を下回る職員が多いのは農林漁業団体の特殊事情ではないかというお話がございますが、実は先般も私学共済の法律案が文教委員会審議されました際に、社会党の湯山先生が、ミッションスクールで奉仕的に仕事をしておられるシスターの方々とかそういう例をお挙げになりまして、標準給与の下限を下回る人が多いのは私学共済の特色であるということを力説をしておられまして、私は、必ずしも農林漁業団体に限ったわけではない、農林漁業団体の場合の三月末現在で〇・七%というのは、無視していいとは思っておりませんけれども、そう多い数字ではないというふうに思っております。
  31. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 湯山さんのことを言われるとこっちも痛いんだけれども、ミッションスクールのは奉仕的なあれで、いろいろ言ったって常識的に農林漁業団体、特に森林組合とか、農協は最近多少あれしておるらしいけれども、それでも弱小農協、それから漁協、こういうところへ行きますと田舎の端で、給与水準は非常に低いですよ。これはお調べになったら数字は出てくると思いますが、いろいろ言ったって学校などは国の管理体系の中に入っておるのですから、私はやはり農協等でいろいろ雑務をしていらっしゃるところの方がずっと低い人がたくさんあると思うのです。問題は、実態に沿ってやってあげられた方が、局長のように人のいいのは、これだけ最低のあれがあるのだからそこへそろわなければいかぬじゃないかと言って経営者を追いまくってくれるというのも見方でしょうけれども、実態論として五万五千円や六千円なり、私はきょうここへ数字を十分準備していないから数字も持ってきておりませんが、そういう人がたくさんあればそれなりの標準給与を一斉にしいてもらうのが妥当ではないか、こういうふうに私は思いますので、今後検討していただきたいと思います。  それから、五十六年度改正の際に、行革関連特例法によって五十七年から五十九年まではいわゆる公的年金の定率補助率を一八%掛ける四分の一削りましたね。これは返すということになっておるわけでありますが、一体総額どのくらいになっておるのか、これは返すのか返さぬのか、大蔵省も来ておると思いますが、農林省の方からお答えをいただきましょうか。
  32. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えをいたします。  行革関連特例法に基づきまして農林年金に対する補助金の縮減された金額を申し上げますと、五十七年度分、これは決算ベースでございますが、四十五億円でございます。五十八年度分、これは予算ベースでございますが五十三億、五十九年度分が六十億、計百五十八億円ということに相なっております。  それで、返していただくときには当然これにまた利息をつけていただかなければいけないということになります。この補助金の縮減額の支払いにつきましては、行革関連特例法の第七条第二項の規定によりまして、農林年金の財政の安定が損なわれることのないように特例適用期間経過後において国の財政状況を勘案しつつ措置するということに規定されておりまして、農林水産省としては、縮減額はもちろんのこと、今申し上げましたように利息の分も含めて補てんをしていただくということで、特例適用期間経過後の返済方法について財政当局と折衝してまいりたいと思っております。
  33. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 大蔵省はどうですか。
  34. 小村武

    ○小村説明員 ただいま経済局長から御答弁がありましたように、行革関連特例法による年金国庫負担額の減額分につきましては、その運用利息分も含め、将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後におきまして国の財政状況等を勘案して繰り入れに着手するという考えでございます。
  35. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 この返済方法は金利をつけて返していくということですから、そういうように理解いたします。  その金利でありますが、各年金の運用金利は年金の基金なり事業団なりでそれぞれ若干ずつ違うと思うのですけれども、例えば農林年金の場合は運用利回りというのがあるわけですが、そういうものに基づいて金利をつけて返すということになるわけですか。  もう一つ、返済の仕方ですけれども、一括返していくのか、何年間か区切って返していくのか、そういう問題はどうですか。
  36. 小村武

    ○小村説明員 お答えいたします。返済の方法あるいは返済の期日等につきましては、国の財政状況等も勘案する必要もございまして、現時点では明確に申し上げることはできませんが、農林省とよく相談して、今後検討してまいりたいと考えております。
  37. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 今、年金関係ではこれは一番大きな問題ですから、後で多分同僚の皆さんからも御質問されると思いますので、まだ若干問題が残っておりますが、次に移ります。  公務員の定年制が施行されることになったのでありますが、農協における定年延長については農林省の行政指導も行われておると思いますが、最近の状況はどういうふうになっておるのか。先ほど来の決議にも関連するわけでありますが、どうも最近農業状態が余り芳しくございませんで、農協の経営も非常に厳しくなってきておる。そういう背景なども加わって、この定年制の延長問題が現在の農協の経営状態からしてなかなか前向きに進まぬという話もちらほら聞くわけであります。六十歳定年ということで、役場なりその他関係機関、民間団体を含めて大体そういう方向を向きつつあるわけでありますが、この定年制の延長の問題と、農林年金の財政問題というものもある意味では非常に関連が深いわけでありますが、どういう行政指導をせられてどういう状況になっておるのか、この際明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  38. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  農林漁業団体の年金につきましては、御高承のとおり退職年金の支給開始年齢の段階的な引き上げに伴いまして、私どもといたしましても当然定年の延長をもって対処していかなければならないと考えまして、農協につきましても、森林組合、漁業協同組合等につきましても、それぞれ各担当局長において定年の延長について繰り返し指導か行っておるところでございます。  それで、一番最近の農協中央会の調査によりますと、単位団体のレベルでの定年が、男子の場合で平均をいたしまして五十七・八歳、女子の場合で五十六・七歳ということでございまして、農協中央会がその前に行っております五十四年の調査に比較いたしますと、それぞれ〇・二歳程度の伍長になっております。それで、定年は確かに延長されつつはあるわけでございますが、残念ながらその延長の速度は必ずしも満足すべきものではないというふうに私どもも思っておりますので、今後とも引き続き定年延長については強力に指導してまいりたいと思っております。
  39. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これは強力に指導したいということですから、局長、あなたとこの問題でやりとりするのはこれが最後になるのじゃないかと思うのだけれども、これはもう少し強く、農協はそれぞれ形態があるわけだから、確かに経営権というものは単協なり連合会なりが持っておるわけですが、やはり全国的にこういう波になっているわけですから、特に年金の財政上の問題もありますが、ぜひひとつ行政当局としては関係機関と十分連絡をとって、多分何年間かごとにこういう計画でというものまで相談をせられたことがあるというふうにも聞いておるわけですが、情勢は確かに経営的に今非常に厳しいからちょっと足踏みをしていくという客観情勢にありますけれども、あるだけに、ひとつ強い姿勢で臨んでいただきたい、こういうふうに考えます。  それから、ちょっとこれからは公的年金制度改革の問題を御質問させていただきます。  厚生省が中心になるのじゃないかと思いますが、この国会でも国民年金、厚生年金の問題が出ておるわけでありますが、八つの公的年金制度を一本化していく、こういう方向に向かっての動きが出ておるわけであります。この際、この公的年金制度改革のねらい、趣旨、考え方、こういったようなものについて、これは厚生省だと思いますが、まず最初に明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  40. 山口剛彦

    ○山口説明員 私ども、今国会に厚生年金国民年金、船員保険、厚生省が所管をしております三年金制度についての改革案を提出をいたしまして御審議をいただいておりますが、そのねらいとするところは、現在の年金制度は今までほぼ順調な発展をしてきているというふうに考えてよかろうかと思いますけれども、将来この制度のままで我が国が大変な高齢化社会を迎えます二十一世紀を迎えるということについては、これは幾つかの問題があるというふうに判断をいたしております。  いろいろございますけれども、大きく言いまして二つの大きな問題がある。  一つは、現在、年金制度が七つの制度に分立をしているということに伴いまして、各種の不均衡あるいは財政的にも経済、社会の諸変動に対応できないような制度が出てくる。この辺のところを公的年金制度全体として整合性のとれた安定した制度にしていかなければならない。そのための再編成ということが一つの大きな課題ではないかというふうに考えております。  それからもう一つは、年金におきまして最も大事な要素だと思いますが、給付と負担との関係、皆年金のもとで年金の平均の加入期間がどんどん延びてまいりますので、今のような年金額の計算の仕組みをそのままにしておきますと、給付と負担面のバランス、はっきり申し上げまして、将来の若い人たちの負担が大変過重になってくる。その辺のところを、給付と負担のバランスをとるという観点に立って、将来に向けて軌道修正をしていくということが年金制度の安定のためにどうしても必要じゃないかというふうに考えております。  そのために何をするかということでございますが、第一番目の問題、第二番目の問題、両方関連をいたしますけれども、基本的には現行の分立をしている制度に共通の基礎年金という考え方を導入をいたしまして、公的年金制度全体の安定性、公平性というものを確保してまいりたい。また、給付と負担のバランスという面につきましては、将来に向けて給付水準を適正化をするということによりまして、将来の負担面の軽減を図っていく。そういうことで長期的に見てバランスのとれた年金制度にしていきたい。大略申し上げますと、以上のようなねらいのもとに今回の改革に私ども取り組んでおるということでございます。
  41. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これだと非常に大きな問題で、これから数年間、これは全部の国民に共通する問題でありますから、我々も独自に検討させていただいておるわけでありますが、問題は、この七つの制度の分立、分かれておるものを一本にしていくというか、不均衡を是正していくというのだが、どこにそろえていくのか。真ん中にやるのか、下へやるのか、上へやるのか、こういう問題から始まって、給付と負担のバランスをとるということなんだが、現実問題としては、いわゆる給付が薄くなって負担が重くなる、こういう心配が既に出てきておるわけであります。その辺の問題は、これからこの委員会でも、私ども、幾つかの農業関係の年金制度を持っておるわけでありますから、ひとつ議論を詰めさせていただきたいと思いますが、一つの重要な問題として、今も御指摘になりました共済制度における基礎年金の導入という問題が、既にこの国会でも、国民年金、厚生年金の改正の中で出てきておるわけでありますが、共済制度における基礎年金の導入についての今後のスケジュールというか、どういうふうにこれを計画されていくのか、こういう問題が明らかになっておりましたらお示しをいただきたいと思います。
  42. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  本年二月二十四日でございますが、「公的年金制度の改革について」という表題の閣議決定が行われております。その閣議決定の中の第一項は、ただいま先生御指摘のございました、本年において講ぜらるべき国民年金、厚生年金保険及び船員保険制度についての措置が書いてございます。基礎年金の導入というのもこの部分でございます。それで、閣議決定の第二項におきまして、「昭和六十年においては、共済年金について、上記の基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正を行う。」というのがございます。第三項で、「上記1及び2の改革は、昭和六十一年度から実施する。」ということでございます。したがいまして、六十年度中に基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正について法律案を用意して御審議を煩わし、六十一年度から実施できるようにする、そういうことでございます。  しからば、基礎年金を導入する等の改革の趣旨に沿った制度改正というのを共済年金についてやるとすればどういうことになるかということについて、私どもとして検討に取りかかっておるところでございますが、私どもといたしましては、農林年金の沿革なり実情なりを十分踏まえた上で、他の制度との整合性にも配慮をしながら検討を進めていきたいというふうに考えておりますが、検討すべき事項としては、おおよそ次のようなものがあろうかと考えております。  一つは、共済年金制度における基礎年金の仕組み、設計をどうするか、また制度上どう位置づけをするか。第二に、報酬比例部分、いわゆる二階建てと言われている部分でございますが、これの設計を一体どういうふうにするのであるか。また、職域年金部分をどういうふうに構成するか、共済制度の加入者の配偶者の取り扱いをどうするか、支給開始年齢、年金計算の基礎となる給与の計算方法等支給要件をどうするか、給付額の算定方法とかスライドあるいは国庫助成のあり方等を含めて財政をどうするかというようなことが検討されるべきであろうというふうに考えております。  私どもといたしましては、こういう検討を進めるに当たりまして、私どもの独善に陥ることたく、農林漁業団体の事業主の皆さん方あるいは組合員の皆さん方の御意見を十分承りながら、コンセンサスが形成されるような仕方で検討を進めでいくべきものであるというふうに考えておりますので、そのために、非公式でございますが農林年金制度に関する懇談会を開催して関係者の御意見を伺うこととしておりますので、この場を利用して十分御意見を伺いながら誤りのないように検討を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  43. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 六十年度から準備して六十一年から実施するということになりますと、これは余り時間がない。こういう状況でありますから、今言われたような問題、これは農林年金だけではなくて共通の問題もあると思うし、農林年金独自の検討をしなければいけない問題もたくさん出てくると思います。  いろいろ問題はたくさんあるわけですが、私け特に一つだけ強く要求しておきたいと思うのですが、現在既に年金を受けておる人の既得権というものですね、こういうものがこの改定の中で侵害をされるというか、マイナスになっては大変だと思うわけでありますが、この年金受給者についての保障については、具体的に年金額が下がりはせぬかという心配がある。これは物価等の上昇に応じて自動的に上がっていくということでありますから、実質的に下がることはないのか、あるいは併給調整などというのも行う心配がないのか、こういう問題があるわけでありますが、この点についてはどういうふうに考えてよろしいか、お答えをいただきたいと思います。
  44. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 六十年度に行われるべき制度改正、六十一年度から実施される制度改正について検討するに当たりまして、私どもといたしましては、既に年金を受給している方々の既得権につきましてはこれを尊重していかなければならないというふうに考えておりまして、私どもの共済グループのこの制度改正に対する一つの尺度となるであろうと思われます今回の厚生年金国民年金の関係の制度改正でも、私どもが伺っておるところでは既裁定年金については従来どおりとされておるようでございますので、私どもとしても当然そういう既得権尊重という考え方に立って検討を進めていくべきものであるというふうに考えております。
  45. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これは、全体の年金のバランスをとっていくという意味で、厚生省の方はどういう制度、仕組みの中でこれに取り組もうとしていらっしゃるわけですか。
  46. 山口剛彦

    ○山口説明員 先ほど局長からも御答弁がございましたように、まず私どもは、先ほど申し上げましたようなねらいのもとに厚生年金国民年金制度改正をいたしたい。そのときに、基礎年金という考え方のもとにまず制度体系の再編成をいたしたい。給付と負担のバランスをとるための改正をいたしたい。  その後、先ほど御答弁がございましたように、共済年金につきましてもこの趣旨に沿った改革をしていただきまして、大改革でございますので、二年後の六十一年の四月から私どもの制度も実施をすることにいたしておりますので、その時点に合わせて施行をするという段取りで、私どもの期待といたしましては、今回の厚生年金国民年金、船員保険の改革の趣旨に沿った改革をぜひ共済年金の方でしていただいて、公的年金制度全体の整合性がとれるような仕組みにしていきたいというふうに願っております。
  47. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それでは、これは後でちょっと御質問せねばいけないわけですが、各共済年金制度それぞれで今日の段階では整合性のとれるような制度の改革条件づくりをやっていくというふうに理解してよろしいわけですね。
  48. 山口剛彦

    ○山口説明員 今回の基礎年金という考え方でございますけれども、先ほどちょっと触れましたように、現行制度の仕組みをそれぞればらばらに考えているという点については問題がある、それを私ども一元化と言っていますが、将来一元化をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。そのときに各制度を全部一本にしてしまうという考え方ももちろんあろうかと思いますけれども、基礎年金という考え方は、各制度それぞれ分立をいたしておりますが、その中でも共通にやっていける部分というのがあるではないか、その共通にやっていける部分を基礎年金という考え方で構成をいたしまして、そこには全国民が加入をして全国民で支えていく、そういう制度にしていったらどうかというのが基本的な考え方でございます。  したがいまして、私どもの期待といたしましては、共済組合もぜひその基礎年金の構想に乗っていただいて、その部分については文字どおり全国民が加入して全国民が支えていくという制度にしていきたいというのが基礎年金の考え方でございます。ただ、各制度独自にいろいろ特色、沿革等もございますので、各職域等の特性のある部分につきましては、俗に言えば基礎年金の上に上乗せをいたします二階の部分、場合によっては三階の部分というようなことでそれぞれの制度が工夫をしていったらどうか。基本的にはそういう考え方で私どもは考えております。
  49. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それは大体わかっておるのですよ。基礎年金は一緒にして、後はそれぞれの職域なり歴史なりを勘案した二段構えの年全体制を考えていきたいということですね。  そこで、基礎年金を導入した場合の国庫補助はどういうふうになりますか。今までと大分変わりますか。
  50. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 私どもの共済グループについて、基礎年金の仕組みが導入された場合に国庫補助をどうするかということはまさにこれから検討すべき問題でございますが、厚生年金国民年余の方につきましては厚生省からお答えするのがいいのでしょうが、基礎年金の方の部分に国庫補助は集中するのであるという考え方で整理をなさっておるわけでありますけれども、それに完全に右へ倣えして、共済グループの方は二階建てで一切国庫補助がなくなってしまうのかどうかということは、これはまだ検討の緒についたばかりでございますから、今の段階ではまだ何とも決まっていないという状態でございます。
  51. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 ここのところがどういうふうになっていくかということで、今度新しく考えられておる、二段と言っておるし、私どもの方は三段といったようなことを言っておるわけでありますが、そういう年金の質の問題が出てくると思うのですね。せっかくここまで持ち上げてきた年金制度全体が後退する、そんなものにさせてはいかぬわけでありますので、その辺は今後これからの一番大きな問題になろうと思いますが、これまでの歴史、これからの社会保障というか、こういう年金制度の持つ重要性、こんなものを考えて、この年金制度の取り組みについては腰を入れてやっていってもらいたいと思います。  まだ若干時間がありますから、今お話のありました公的年金制度の改革について、本年二月二十四日の閣議決定、この項目の中で、もう一度はっきりさせていただきたいわけでありますが、この四項で六十一年度以降において「給付と負担の両面において制度間調整を進める。」こういうことになっておるわけですが、「制度間調整を進める。」というのは具体的にどういう意味なんですか、読み方によって内容がいろいろ出てくると思うのですけれども。これは厚生省ですね。
  52. 山口剛彦

    ○山口説明員 先ほど来御指摘のございます閣議決定によりまして、公的年金のこれからの改革の内容と手順というものを決めておるわけでございますが、先ほど御説明がありましたように、五十九年に私ども厚生省が所管をしております三制度について基礎年金を導入をするという考え方に立った制度改正をし、六十年にその趣旨に沿った共済組合の改革をしていただくということがまずございます。その段階で、共済組合制度と厚生年金国民年金とのいわゆる一元化に向かいまして、その結果を見なければまだ具体的なことは言えませんけれども、年金制度の整合性あるいは公平性という意味で前進が相当図られるというふうに私どもは期待をいたしておるわけでございます。  しかし、六十年の共済制度の改革によりまして、厚生年金国民年金等公的年金制度全体としての整合性のとれた改革が一遍に完成するかということになりますと、それはもう少し時間をかけてやる必要があるのではないかということで、六十年のその共済組合の改革を見まして、残った部分につきましては六十一年以降制度間の調整をさらに進めまして、最終的には七十年に公的年金制度が全体として整合性のとれた一元化というものが完了するような体系に、段階的に改革に取り組んでいこうというのが政府基本的な考え方でございます。
  53. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 「制度間調整を進める。」ということを受けて、「これらの進展に対応して年金現業業務の一元化等の整備を推進する」、こういうことになっておるのですが、この「年金現業業務の一元化等」というのは具体的にはどういう内容ですか。
  54. 山口剛彦

    ○山口説明員 今申し上げましたような制度改革を進めてまいりますと、その制度運営をしていく、具体的には被保険者の管理あるいは年金の裁定、支払い等、あるいは制度の企画も含まれるかと思いますが、そういったいわゆる現業の業務、あるいは行政機構についてもどうするかという問題が当然付随して起こってくるであろうということでございます。その辺のところの改革は、まず制度を全体としてどうしていくのかということを進めながら、その制度改革の内容に合わせて、業務処理面あるいは行政機構という面でも、抽象的ですけれども一元化をしていくという方向で考えていきたいということでございます。
  55. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 引き続いて「昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」ということになっておるので、これはざっと言えば、今ある年金制度、七つ八つというのですが、これは全部一つの、例えば年金会計なり年金の仕組みなり、そんなものにして、年金省というようなものができるか何か、そういうことまで考えておるわけですか。そうではなくて、先ほど来言われたように、農林関係の共済制度、国公、地公、私学といろいろありますね。そういうものの中で、基礎年金というか、それを共通の舞台装置をしていく。そしてそれぞれは独自であるけれども、実態的には、給付なり掛金なりそんなものについてのバランスというか、均衡状態はとらしていくというような形の制度の二元化なのか。全部一緒にしていくというようなところまで考えておるのかどうか。ここのところはどうですか。
  56. 山口剛彦

    ○山口説明員 年金制度の一元化ということで大変抽象的な表現になっておりますけれども、今御指摘がございましたように、私どもも、この一元化という概念、言葉を非常に広い意味で使っております。公的年金制度全体として整合性のとれた形にする、その具体的な方向についてはこれからさらに詰めてまいるわけですけれども、全部一本にしてしまうというのももちろんあろうかと思いますが、先生御指摘のような、ある程度の分立というものを前提にしながら、全体としての整合性、公平性を図っていくということも当然考えられる方向であろうかと思います。  いずれにいたしましても、そういう広い概念での一元化、具体的には、公的年金制度全体として整合性のとれた安定した制度にしていくという方向を目指しておるという考え方でございます。
  57. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 残すものもあるが一緒にするものもある、こういうことですか。
  58. 山口剛彦

    ○山口説明員 その点につきましては、これから共済組合の関係の省庁とも将来の方向について十分詰めてまいらなければならないと思いますが、そういう意味ではあらゆる可能性があろうかと思います。
  59. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 今、田中先生の御質問を伺っておりまして、ちょっと私からもお答えをしておいた方がよろしいのではないかと思うので一言申し上げますが、二月二十四日付の閣議決定でございますが、これは共済グループ全体といたしましても、共済グループの中での国公、地公、私学、私ども、それぞれごとにまたそれぞれの沿革なり財政事情なり、いろいろな特殊事情がございます。 〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕 現在のところ、はっきりした形でこういう改革をやりたいという成案を得ておりますのは、第一項に書いている部分だけでございます。それで、共済グループについてどうするかということについては、現在のところまだ到底検討の半ばに来たとも言えないような状態であるわけでございます。  したがいまして、二月二十四日の閣議決定というのはそういう検討の進捗状況を踏まえて決められることを決めてあるということでございますから、先ほど厚生省の方からの御答弁の中にもございましたけれども、例えば一元化という言葉も関係者の間では十分多義的なものであって、厚生年金国民年金以外については検討の状況がまだ成熟しておらないという段階で、決めても先々の検討の進め方について不必要に手を縛られることにはならないということを確めながらこの閣議決定の文書はできておるわけでございます。したがいまして、具体的にどれが残ってどれがなくなるというふうに思うかということをお尋ねいただきましても、必ずしもはっきりしたお答えができないといいますか、むしろ私どもとしては農林年金の関係者の意見を十分聞かせていただいて、コンセンサスづくりが進まないうちに早まってある特定の方向を決めてしまうということは避けたい、十分に御意見を伺いながら決めていきたいというふうに思っておるわけでございます。  差し当たり、私どもといたしましては、六十一年度から実施すべき事項について検討を急がなければならないという段階でございますので、そういう意味では、二月二十四日付の閣議決定の殊に第四項に関する部分につきまして十分に具体的なお答えがいたしかねておるという事態は、かえって、官僚独善に陥ることなく十分御意見を伺ってから決めてまいりたいという私どもの態度のあらわれであるというふうに御了解いただきたいと思う次第でございます。
  60. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これからの年金制度のあり方は本当に大問題でありますし、私どもが関係している農林年金制度の問題についても、お互いに大変長い間、ともかく追い越せじゃなくて追いつけというところで、この制度をつくってから、毎国会国会を通しても、それぞれの政党段階でも、先頭を走るグループに追いつこうということであくせくやってきたわけでありますが、この段階でまかり間違って何かわけのわからぬものにまとめられてしまうということも大変だと思うのです。これは、それぞれの党でも年金のあるべき姿ということで検討が加えられておりますが、私どもはこの農林年金あるいは農業年金、こういうものをつくって育ててきた立場からも、この歴史をきちんと押さえて、なおまだ足らないところがあるわけでありますから、それをきちんと整備をしていく、そういう方向に向かって、しかも今新しい国全体の将来の社会保障というか、年金制度の体系の中での位置づけがどうあるべきか、こういう視点に立って農林年金制度というものを考えていかなければいけないと思っております。  そういう意味で、最後に、私は大臣からもこの問題についての御決意をお聞きいたしたいと思うし、それから農林年金については、例えば組合員それから団体関係、関係諸機関ですね、こういうものの意思の疎通といったようなものがほかの年金制度などに比べるとまだ体制としてもおくれておる。今言われた懇談会というものを、やっと昨年でしたか、私どもも強く要請をしてつくられて、最近会合が重ねられておるようでありますが、他の年金制度では審議会といったようなきちんとした行政的なものが既につくられておるわけでありますから、できるだけ早く、農林年金のこの体制の中で、公的年金全体のあり方の中で、どういうように位置づけて、どういうものを検討していくべきかということについての関係者のコンセンサスを深めなければいかぬ。そういう意味では、懇談会でやっていくのがいいのか、もっときちんとしたものをつくっていくのがいいのか、こういう問題も含めて御検討をいただきたい、私はこういう気持ちでございます。  この点も、もし局長の方で御意見があったら、あなたが残っている間にせめてこの問題できちんと城をつくってもらいたいと思うわけですが、鳥長からお考え方をお聞きし、大臣から、公的年令制度移行の中で農林年金制度についての農林省としてのお考えを最後に承って、質問を終わりたいと思います。
  61. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  大所高所の話は大臣からしていただくといたしまして、一つは、今話題になっております懇談会でありますが、懇談会を開催するに至りました五十七年、当委員会に今回と同様の趣旨法律案の御審議を煩わせた際、当委員会でいただきました御示唆によるものでございまして、その際も審議会という話は話題になったわけでございます。私どもとしては、こういう行政改革の御時世でございますので、設置法を改正して審議会を設けるというようなことが現在の風潮になじむというふうにも思いにくいと思っておるわけでございますが、現在の懇談会は幸いにして委員の皆さん方の大変積極的な御協力をいただいておりまして、実は私どもも、かえってかみしもを着ていないだけ格式張った審議会でない方が実態的にはいいのではないかという感じがしておるような次第でございまして、この懇談会は農林漁業関係者の間での年金問題のコンセンサスづくりについては有効に機能しておるし、今後も有効に機能するように運営をしていきたいというふうに思っております。また、そこに関係者はそれぞれ御出席をいただいておるわけでございますが、その背後には団体の側でも推進協議会というようなものをおつくりになっておられまして、そういう中で意見の交換をなさった上で、それを踏まえて御出席をいただいておるようでございますから、そういう意味でも、私どもは現在の懇談会は大変有効なものであるというふうに思っております。  それから、今後の年金制度改革について、その中での農林年金の位置づけという問題でございますが、私どもといたしましては、先ほど来お答えの中でも言及をいたしておりますように、この制度が発生史的に大変関係者の皆様方から愛着を持たれておる制度であり、またそういう愛着に支えられて、農林漁業関係の皆様方から非常に手厚い御支持をいただいて運営をされてきた制度であるということはよく了解しておるところでございまして、そういうことを抜きにして、何か機械的にほかの制度と抱き合わせてしまうようなことを軽軽に行うべきものではないということはよくわかっておるつもりでございます。今申し上げました懇談会の場を有効に活用しながら、コンセンサスづくりを経て態度を決めていきたいと思っておる次第でございます。
  62. 山村新治郎

    山村国務大臣 農林年金制度の重要性については、十分認識しておるつもりでございます。ただ単に一緒になるというのがいいかどうか、これらにつきましては特に関係団体、農林漁業団体において、農林年金対策推進協議会が中心になっていろいろ協議しておるようでございますが、これらの関係団体の御意見も十分よく聞きながらこれに当たってまいりたいというぐあいに考えます。
  63. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長代理 細谷昭雄君。
  64. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 ただいま田中委員からの質問がありましたが、私の質問もかなりダブっておるようでございまして、前の答弁を踏まえながらさらに深めたい、こんな立場で質問したいと思います。  五十七年、五十八年と二年間年金が据え置かれましたけれども、受給者、特に年金だけに頼るという方々もあるわけでございまして、こういう方方からしますと極めて不当で冷たい措置であったというふうに思いますので、私どもとしましては今回の改定は当然のことであるというふうな受け取り方をしておるわけでございます。  そこで若干の質問をしてみたいと思いますが、まず二年間制度改善がなされなかったという理由はどんな理由でございましょうか。
  65. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  昭和五十七年度は、当委員会で御審議をいただきまして年金額の改定を行いました。一年お休みということになりましたのは、昭和五十八年度でございます。御高承のとおり、実はこの年金額の改定は給与法改正にあわせて行うということにいたしておりまして、ちょうど五十八年度お休みというのは、人事院勧告が出たにもかかわらず給与法の改正が行われなかったということの反映としてそういうことになってしまった。  それで、これは冷たいではないかというお話でございますが、一つは、先ほど来申し上げておりますように、農林年金は発生史的に見ましても地方公務員の共済制度に、せめて地方公務員並みにという願望に支えられて出てきた制度で、公務員スライド的な運営をずっといたしてきておるわけであります。それで、公務員共済の方について見ますと、現職の公務員の給与の改正が行われないというときに、年金受給者と現職の公務員との間のバランス問題があって、現職の公務員の給与が上がらなければ年金額の改定もそれにバランスを合わせざるを得なくなってしまう。そういうことのはね返りとしてこういう事態に立ち至ったわけでございまして、その制度が置かれておる約束事の世界のロジックとしてはやむを得なかったことであるというふうに私は思っておるわけでございます。
  66. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 二年間据え置かれたものとして考えました場合には、二%というのはいかにも少ない。なぜ一体二%なんですか。
  67. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 この二%と申しますのは、公務員のベースアップのパーセントにスライドしておるわけでございます。それから、その前五十八年度一年間お休みというのは、公務員の給与が上がらなかったということに対応しているわけでございまして、五十八年度に一年休みましたということも、それからまた今回御審議を賜っておりますものが二%であるということも、いずれも給与法横並びということでございます。
  68. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 確かに五十七年度の行革関連の場合の農林水産委員会における附帯決議にもありますが、「既裁定年金の改善については、公務員給与の引き上げに対応した自動スライド制の導入を検討すること。」というようになっておるわけであります。したがって、今局長が答弁されましたとおり、公務員給与がアッブしなかったので結局はしなかったということによると思うわけですね。二%というのは昨年それだけのパーセンテージで上がったからそれにスライドするんだ、こんなことだと思うのですが、それでよろしいですか。
  69. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  70. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 問題は、農林年金の場合は改定指標が決まっておらないというところに一番基本的な問題があるのではないかというように思うわけでございます。例えば厚生年金の場合は指標がございまして、あのとおり物価スライド、法律できちっと物価スライド制によってアップするということになっているわけです。  改定指標が決まっておらないという問題については、一体どうお考えですか。
  71. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  共済年金の場合、これは共通の問題でございますが、年金額の計算の仕方に御承知のとおり共済方式と通年方式の二通りございまして、共済方式でやる場合と、それから通年方式の場合の給与比例部分、それから旧法の最低保障額の改定、これにつきましては、年金額改定法によって年金額改定の基礎となっている標準給与を前年度の国家公務員給与の引き上げ率を基準として引き上げるということをその都度お願いしておるわけでございます。それから通年方式の場合の定額部分、それから新法の最低保障額の算定の基礎となっております定額部分、これにつきましては、ただいま牛生の御指摘もございましたように、物価指数が五%を超えて動いた場合には政令でやるということになっておるわけであります。  ただいま先生がおっしゃいましたように、現行法で制度としてきちんと法定されておりますのは消費者物価指数が五%を超えて動いた場合ということでございまして、給与法に比例して動かす方の部分はその都度法律案の御審議を賜っておりますけれども、給与法準拠であるということはルールとしては十分定着をしておるというふうに私は思っておるわけです。それ以外の尺度を従来用いたことはございません。  従来から御批判がございますように、それだけ定着してきているのであれば、その都度法律案審議国会を煩わせることなしに政令限りで処理できるような制度にしておいたらいいではないかという御批判につきましては、これはいろいろ議論がございますけれども、確かに従来から御決議もございまして、私どもも身に覚えがございますが、給与法準拠という尺度であるという意味では、改定の物差しがないということではないというふうに思っておるわけでございます。ただ、それをあらかじめ法定しておいて、その都度は法律案を出さずに政令でやれるようにしておいたらいいではないかということについては、それは確かにおっしゃるとおり、そういう御議論はあろうかと思っております。
  72. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 公務員ベア方式というのは慣例なんですね、今言ったように。定着してはおるけれども、これは慣例です。それに比べて、厚生年金の場合はきちっとした物価スライド方式をとりましてやっておる。どちらがいいのかということは、来年から予想されます共済年金の統合問題でもついて回る問題だとは思うのです。したがって、そのことについては一番最後に局長のお考えをお聞かせ願いたいと思うのです。  問題は、公務員ベアがこのように何回も抑制されてくるという現在の状況からしまして、年金生活者の皆さん方にとっては非常に不安なわけであります。したがって、私はこの際やはりそういうきちっとした改定指標というものを、例えば今の習慣化しておる公務員ベアでもいいのです、一々国会を開いて皆さん方がこういう年金をやらなくてもいいようなものを今後検討する時期に入っておるのではないか、こんなふうに思うわけであります。特に経済が低成長期に入っておるということからしまして、年金生活者の皆さん方は非常にこのことに対する不安を持っておると思うのですよ。したがって、まずこのような慣習を法律としての改定指標にしても結構ですし、何にしてもいいのですが、今後こういうふうな点では検討する御意思がないのかどうか。これは、局長は恐らく年金問題についてはきょうくらいで答弁する機会がないのじゃないかというふうに言われておるのですが、そういう意味でも、これからの問題ですので、佐野局長が今考えられておる点、責任者として考えられておる点をひとつ率直にお答え願いたいと思うわけであります。
  73. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  年金額の改定の指標につきましては、恩給及び国家公務員等共済組合が現職公務員と退職者との均衡を図るということで公務員給与の上昇率を用いておりまして、農林年金も含めて共済グルーブがこれに倣って公務員給与の上昇率を用いて改定をしておるわけであります。  それで、公務員給与の場合には民間の賃金に準拠して公務員の待遇改善を図るということで改定が行われているわけでございまして、公務員の給与に準拠して年金額の改定が行われておる共済制度におきましては、これは物価上昇率のような客観的な指標による自動スライドとはちょっと性格を異にするところがある。厚生年金の場合には一たん決めた年金額が実質的に目減りするのを防止するということでございますが、公務員給与にスライドしていく場合には、実質的価値が目減りするのを防止するということ以上の効果を持ち得るわけでございまして、その点ちょっと性格を異にするように思っておるわけでございます。  そういう中で、農林年金について公務員給与に合わせて年金額を改定するということが慣行としてほぼ定着しておりますから、これを自動スライドということにしてはどうかという御議論は確かにあるわけで、当委員会でもしばしばそういう御議論があったわけでありますが、一つは、各般の均衡を勘案した上で年金額の改定率を決めるということは、それ自体一種の政策判断でございまして、どうも掛金の納付義務とこの点は相並んで法定する必要があるというふうに考えられるのではないか。それから、法律上政令委任する旨の規定を設けることはあり得るわけでありますが、その場合にも、先ほど申し上げましたように、公務員給与の改定率が政策判断の結果であるという性格を持っておりますので、物価上昇率のような客観性のある指標でないと、どうもそのことが政令に委任していいものかどうかということについて必ずしも明らかでないというふうに考えられます。  それからもう一つは、この問題は何と申しましても国家公務員共済その他の共済制度との均衡を図るという必要がございますので、私どもだけで先走ってどうこうと言いにくいという問題がございます。  それから、ちなみにもう一つ、蛇足でございますが、実は物価スライドと申しましても、例えば本年の場合、五十八年度中の物価上昇率が一・九、それから前年度、一年お休みした年の分が二・四でございますから、両方合わせても四・三でございまして、物価上昇率が五%を超えないと自動スライド規定は発動しないわけでございます。それではあんまりだということで、今回御審議を賜っております国民年金法等の一部を改正する法律案の中に、本年度の特例といたしましてスライドと申しますか、従来物価スライドで処理をしておった部分についてもアップをするための条項、条文が入れてあるわけです。ということは、最近のように物価が鎮静してまいりますと、物価スライドという仕掛け自体が従来考えられておったほど御利益がある制度ではなくなっておるということでも同時にあるというふうに思っておる次第でございます。
  74. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この問題については、できれば一々国会にかけなくても政令でできるような、そういう指標をきちっと設けておった方が本当は年金の皆さん方にはいいと思うので、今の佐野局長の答弁もありましたが、一番最後で結構ですから大臣から御答弁願いたい、こういうように思っています。  次に、四つの共済がある、そのほかに厚生年金その他あるわけですが、この農林年金の報酬や退職年金の額はどうも大変低いわけですね。例えば私学共済は報酬月額は二十二万四千五百四十八円に対して、農林年金は一番低くて十八万四千六百五十三円、それから退職年金についても、私学共済が百五十八万一千五百八十二円に対して、農林年金が百三十万七百六十円と、これは厚生年金も含めまして最高と最低を今言ったわけです。このように、ほかの四つの共済、厚生年金に比べても大変報酬月額もそれから退職年金額も低い。この位置づけはそのとおりですね。
  75. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 今先生の引用なさいました数字は、そのとおりでございます。
  76. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 そこで、この低額の理由なんですが、先ほども田中委員の質疑の中にもありましたけれども、局長としては、率直に言ってこの低額の理由というのをどういうふうに考えられておりますか。
  77. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 一つは、平均組合員期間が短いということがあるのではないかというふうに思っております。先生、今退職年金の既裁定者分百三十万一千円という数字を引用なさいましたが、この百三十万一千円をもらっておる人たちの平均組合員期間というのは二十四年、国家公務員共済の三十年、地方公務員の三十年に比べてかなり短くなっておる。最近になって平均組合員期間がだんだん延長してまいりまして、昭和五十七年度の新規発生者分だけについて見ますと、平均組合員期間が二十六年、したがって平均の年金額も百六十一万二千円ということになっております。しかし、それにいたしましても、例えば農林年金が二十六年で百六十一万二千円であるのに、私学共済は平均組合員期間が二十五年で百七十五万七千円であるというような、そういう比べ方ができるわけでございまして、まだ農林年金の関係者の給与水準が低いのではないかという議論が成り立ち得ようかと思います。  それにつきまして私どもが理由として考えておりますのは、一つは、給与の地域差ということがあるのではないか、それで相当部分が説明がつくのではないかというふうに思っております。先ほど来申し上げておりますように、農林年金は、制度発足以来、せめて役場の職員並みにというのが農林年金をつくり出す一つのエネルギーとしてあったわけでございますけれども、最近の時点で町村役場の職員の給与と農林漁業団体の単位団体レベルでの平均給与とを比べますと、まさにぴったり同じといいますか、町村役場の職員の給与を一〇〇といたしますと、給与月額で申しまして、単位団体の平均が九九、一〇〇対九九ということで、町村役場の職員の給与とはほぼ見合う水準に達しております。したがいまして、例えば農林年金と私学共済との対比において、平均組合員期間に差がないのに年金が低い、そういう事情は恐らく給与の地域格差に由来するものであろうというふうに考えておりまして、そういう地域格差という要素を除外して見れば、ほぼ遜色のない水準なのではないかというふうに思っております。  ただ、そうは申しましても、私どもといたしまして、農林漁業団体の職員の給与の改善についてもうこれ以上何もすることはないというふうに思っておるわけではないわけでございまして、農林漁業団体の給与改善を図るためにはまずその経営改善が必要だというふうに私どもとしては考えておりまして、経営改善のために事業運営の効率化、財務の改善、組織機構の整備等によって経営基盤の強化を図っていくべく、各種の指導助成を行っているところであります。  また、農林漁業団体もその点はそれぞれ自覚をしておられるわけでありまして、全国段階の団体で、指導機関としての立場から、給与等について適正化の指導を下部に対して行っているような実情でございます。
  78. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 局長、大変親切御丁寧な答弁でいいわけですが、時間がございませんので、ちょっと簡潔に御答弁願いたいと思うのです。  問題は、今局長がお話しのとおり、これも附帯決議にあるのです。「農林漁業団体の経営基盤の強化に努めるとともに、これら団体職員の定年制の延長等雇用条件の改善が図られるよう適切な指導を行うこと。」こういう附帯決議がありまして、今局長が触れられたようなことだと思うのですが、農協は確かにそうだと思うのです。私も、農協は、今局長がお話しのとおり、次第に役場職員との賃金の差というのは現実に縮めてきておる、これはそのとおりだと思います。私もそれは大変いいことだと思うのですが、問題は、土地改良それから漁業協同組合、こういったところです。  土地改良は、この前の土地改良法の改正のときに私は特に申し上げましたが、大変に低い状況でございます。したがって、土地改良関係につきまして、これは土地改良を指導されております構造改善局長から、具体的にどういう指導をされておるのか、これをお聞きしたいと思うのです。
  79. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  結局、土地改良の職員の給与の問題というのは、勤務形態の問題ということに帰着するだろうと思います。御案内のように、土地改良の職員の中には、若いときから専門家として常勤している方もかなりございますが、ある程度他の職業に従事した後、その経験を生かして、いわばある程度の年配に達してから参加している方と、もう一つは、常勤制というか、勤務時間による拘束が非常に少ない雇用形態というのがございますし、さらにもう一つは、一部には単純作業というふうな面もありまして、そういう意味で、普通の経済活動の部分と違いまして、給与の水準も違うが勤務の形態が違うという特殊性がある点は御理解をいただく必要があるのではないかと思います。
  80. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 どうも低いということをお認めのようでございますが、統合の問題だとか、国家的なそういう援助を与えていくということなんかも含めまして、構造的な意味で、やはり今後かなり強力なてこ入れが必要じゃないか。ただ、賦課金だけに頼るという土地改良区職員の今の状況をあれしますと、この引き上げについてはかなり難しいのじゃないか、こんなふうに思っておりますので、局長が今お話しのとおり、この点はひとつ強力なてこ入れをぜひお願いしたい、こう思っております。  それから、漁協関係は水産庁がこの指導監督の立場にあるわけですが、漁協関係はどうでしょうか。どういう措置をとられてきたのか。
  81. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 水産庁から出席しておりませんので、適宜かわってお答えをいたしますが、漁協の場合には、確かに総合農協に比較をいたしますと給与の面で見劣りがすることは事実でございます。率直に申しまして、農協と比べれば漁協の経営基盤の脆弱さということは紛れもない事実でございまして、これは、農協が収益部門として一番頼りにしている分野で漁協の方ははるかに立ちおくれているわけでございます。そういう経営基盤に由来するものでございますから、そういう狭隘な経営基盤にふさわしいようなそれぞれの部門ごとの合理化に努めていく以外には何とも即効的な対策のあり得る事態ではないと思うのでございますが、水産庁とも十分連絡をとりまして、漁協の経営基盤の拡充についてはなお一層努力をしてもらうように、先生の御懸念の趣旨はよく伝えておきたいと思います。
  82. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 新聞辞令でありますが、佐野局長は今度は水産庁の長官になられるそうですので、ぜひとも今の件につきましては、漁協の体制強化という点と、職員の皆さん方が本当に勇躍して業務に邁進できるような、そういう待遇の面からもひとつ考えていただきたい、こういうふうに強く要望をいたします。  それから、恐らく林野庁が森林組合を担当しておると思うのですが、森林組合も大分統合が進んでおりましてよくはなっているのですが、これまた問題なんです。したがって、林野庁としましても、このような雇用条件その他について森林組合をどのように指導されておるのか、今までの経過と結果をお知らせ願いたいと思います。     〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 申しわけございませんが、林野庁も本席に出席をしておりませんので……。
  84. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 はい、結構です。大臣からでも結構ですから、ぜひ林野庁長官にもその点を十分お伝え願いたいと思います。  私たち、そういう実態からしますと、下部の単協なり土地改良区なり森林組合なり漁協、これが非常に問題であると思うのです。県の連合会に参りますと県の職員と大体同じになるのです。もちろん中央の方にいきますともっとよくなると思うのですけれども、やはり末端の経営規模ないしは経営能力の非常に小さいところは、どうしても職員そのものがそれぞれ漁民なり農民なりのそういった賦課金というものによって賄われておるという点からしまして、雇用条件についてもまことに地域格差がありますし、男女の格差もかなり大きいというふうにも思いますし、雇用形態も非常に臨時が多いわけであります。こういう点から、実際に農林年金の恩恵に浴することができない職員もかなりおるということも事実であります。この点も含めまして、そこに働いておる皆さん方がいわばひとしく雇用条件が向上され、年金の福祉にも浴することのできますように今後一層の指導をお願い申し上げたい、こう思います。  それから、次の問題に入りたいと思いますが、まず退職年金の最低保障というのがございます。今回はこれが引き上げられるわけでありますが、私たち素人には大変わかりにくいことは、一つは、旧法年金者の受権者の数は一体何人おられ、新法の年金受権者はどれだけおるのか、そしてその年金の現在のアップがどれだけ違うのか、この三点について最初に質問いたします。
  85. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  旧法の適用を受けております受給権者の数が全体で千六百四十名、うち退職年金が百四十八名、障害年金が百六十三名、遺族年金が千三百二十九名ということでございます。  それからアップ率につきましては、全部給与法準拠ということで一律でございますから。
  86. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 もう一つは、新法の年金者の数と、それから、今のアップ率で最低保障の金額がどれだけ違うか。
  87. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 新法の受給権者の総数が九万五千二百六十四名でございまして、うち退職年金が七万四十二百八十六、障害年金が二千五百六十四、遺族年金が一万八千四百十四でございます。  それから、どれだけアップするかというお話でございますが、六十五歳以上の者の旧法の退職年金の最低保障額は、現在七十九万二百円でございます。それが三月から八十万六千八百円になります。六十五歳未満の者……(細谷(昭)委員「これはいいです。あと新法の最低保障」と呼ぶ)新法は、先ほど申し上げましたように国民年金法等の一部を改正する法律案が御可決いただければ、それに基づいて政令で措置するアップでございますが、現在、七十四万四千円の者が七十五万四千八百円にアップするということでございます。
  88. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 旧法適用年金者は、農林年金そのものが新法にかわるときの時期が遅かったこともありまして、これははっきり言うと当時の農林省の手落ちじゃないかと思うのですが、今局長からお話があったようにたった千六百四十名なんです。したがって、大変少ない方でありますので、せめて厚生年金並みの最低保障額を適用すべきではないか、こう思うのですよ。千六百四十名というまことに少ない数、しかも、言うなれば農林水産省の適用の仕方がおくれたこともありましてこういう問題が生じておると思うので、この点、今回の法案改正ではできないと思うのですが、今後の課題としてこれに取り組むつもりはございませんか。
  89. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 先生ただいま御指摘の、農林年金の場合に旧法から新法へ切りかえる時期がおくれたという点につきましては、確かにそういう経緯があったことは事実でございますが、私の方といたしましては、旧法適用者について新法適用者との間の比較で不利になるという事態をできるだけ改善をしたいというふうにはもちろん考えておるわけでございまして、ただいま申し上げました数字からもおわかりいただけますように、六十五歳以上の者につきましては既に旧法の最低保障額の方が上回っておって、新法適用者でも逆転するのは困るという意味で旧法の最低保障額が適用されているような状態になっておるわけでございます。六十五歳未満の者につきましても新法の最低保障額に対する旧法の最低保障額の割合というのは逐年向上をしてまいっておりまして、五十年代の初めには七四・何%という水準でございましたが、本年度におきましてはこれが八〇・二%にまでなる予定でございます。五十八年度の段階では七九・七%でございました。  私どもといたしましては、今後とも旧法の最低保障額と新法の最低保障額との格差をできるだけ縮めていくということについては、引き続き努力してまいりたいと思っております。
  90. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 今回、寡婦加算額が据え置かれておるわけであります。これはどういう理由でしょう。
  91. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  寡婦加算額は、この前引き上げましたのが五十六年でございますが、五十五、五十六と二年間の改正によりまして、それ以前の水準に比べますと画期的に引き上げたわけでございます。五十四年六月改正の時点で、例えば六十歳以上の寡婦加算は四万八千円でございましたが、それが五十六年四月の改正で十二万円ということでございます。それから、子供二人を有する寡婦の場合、五十四年六月の改正時点で八万四千円でございましたものが、現在二十一万円になっておるわけでございます。  これだけ大幅なアップを行ったものでございますから、それを引き続きさらにどんどん上げていくということについてはいろいろバランス問題もございますので、その後寡婦加算のアップは行っておりませんが、先ほど田中先生からの御質問にもお答えいたしましたように、その結果遺族年金の水準が下がるということになっては困りますので、それは遺族年金の最低保障額をアップするということによって対処をすることにしている次第でございます。
  92. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 わかりました。つまり、八月の遺族年金の絶対保障額再引き上げということはそういうバランスをとるためということですが、やはり何といいましても年金といいますのは、もちろん年金受権者本人の生活というのが基本なわけですけれども、その本人が亡くなった場合、やはり残された寡婦はもう大変だと思うのです。そういう意味で、バランスということもありますけれども、ぜひこういう面も今後とも十分に手厚い対策をひとつとっていただくように私自身としても要望いたしたい、こういうふうに思います。  次に、大変細かい問題なんですが、先ほど行革関連特例法の問題が出ました。それでお答えがあったわけですが、重複を避けまして、いわゆる行革関連特例法によって三年間公的年金の定率補助率一八%の四分の一が切り下げられた、これによって具体的に支障が出たと思うのですが、主な支障というのはどういうところですか。
  93. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、特例期間経過後適切に減額された分の補てんが行われれば、農林年金制度の運用には支障を生ぜずに済ますことができると考えております。だから、減額分の補てんのやり方次第でありまして、補てんのよろしきを得れば大丈夫だと思っております。
  94. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 今お話がありましたとおり、これは補てんされればできるということでありまして、恐らくこの三カ年間このまま黙って補てんされないとすれば、当然これの帰結するところはそれぞれの共済組合の事務運営その他にかかってくるということ、ひいては受権者そのものに負担がかかってくるということになろうかと思うのです。  そこで、大蔵省に聞きたいのですが、先ほどもお答えがありましたが、六十年度は減額措置を絶対にやめるのかどうか、まずこの点の確約をしていただきたい、こう思います。
  95. 小村武

    ○小村説明員 先生御指摘のとおり、行革関連特例法は五十九年度まででございます。五十九年度におきまして特例公債脱却という目標が当時ございまして、五十七、五十八、五十九の三カ年について特例を講じたわけでございます。現時点の財政状況を申し上げますと、五十九年度赤字公債脱却という目標は達成できなかったわけでございまして、目標が六十五年まで延びた。当然行革関連特例法も財政再建期間の延長に応じて延びるかというと、そうではございませんで、今後どういうふうにするかという点につきましては、六十年以降の財政改革等も勘案いたしまして、今後関係方面と御相談していく問題かと存じております。
  96. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 この点につきましても、大臣からひとつ御決意をお聞きしておきたいと思うのですよ。これは一番最後で結構なんです。今言ったように、どんどん赤字公債の返還がおくれていくと自動的にそういうふうになるということになりますと、三カ年のがさらに六カ年にも延びていくということにもなりかねないわけであります。そういう点では極めて重大な問題だというふうに思いますので、これは農林年金だけではないわけですが、特に農林年金を所管されております大臣として、大蔵当局に対してのいわゆる御決意のほどを最後にお聞かせ願いたい、こう思います。この問題はまた後から同僚議員から質問があると思いますので、これにとどめておきたいと思うのです。  次に、これはわかるかどうか、私自身も皆さん方の手元にそういう資料があるかどうかわかりませんが、農協とか土地改良とか漁業協同組合、森林組合、こういうところに常勤役員、常勤組合長がおるわけです。この常勤組合長は、定款によりまして理事の中から選出されるということになっているわけですね。ところが、選挙ですので、たまに、非常に数は少ないと思うのですが、一期やった、二期やったということで交代される場合があるわけです。その場合は国民年金から農林年金、農林年金からさらに国民年金、こういうふうに変わるわけですね、その方々は。そして、国民年金の上乗せ部分であります農業年金、この農業年金はその組合専従役員をやっておる期間は結局は停止といいますか、権利がなくなってしまうわけです。したがって、国民年金に復帰した場合、これは期限切れという形でせっかくの農業年金のいわば適用を受けられないという方々が現におるわけであります。したがって、そういう方方の数が一体どれくらいおるのか、農協関係、土地改良区その他、四つの団体がありますけれども、おわかりになりましたら数をお知らせ願いたいと思います。
  97. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  そういう事例があることは聞いておりますが、ちょっと数のところまでは来ておりません。御指摘があれば少し調べてみますが、そう多くはないと思います。
  98. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 これは土地改良区とか森林組合とか漁協は非常に少ないと思うのです。問題は農協なんですが、農協は調べておりませんか。
  99. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、全部を含めてまだ数としては把握しておりません。ただ、農協の場合でもそう多くはないと私は思います。
  100. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 私も非常に少ないと予想するわけでありまして、まずその人数を調査していただきたいということが一つ。  それから、たしか出稼ぎ等一時的に農林漁業を離れる人方のためには、農業年金、これを言うなれば一時停止、それで復帰するという制度があるわけです。こういう制度がありますので、今言いましたような非常に少数の、専従役員をやりましてそのためにいわば農業年金の適用を除外されてしまうという方々に対してぜひとも同様の措置がとられるように調査をした上に検討を願いたい、こういうふうに思うのですが、この点はいかがなものでしょう。
  101. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  細谷委員の御指摘のうち、まず数の問題につきましては調査をしてみたいと思います。  それから、短期出稼ぎ者同様の処理ができないかという御議論でございますが、これは農村社会の実態からいって心情としては私非常に理解できる点はあるのでございますが、なかなか制度的には難しいという御理解を賜りたいと思います。と申しますのは、一つは、農業年金国民年金の付加年金として構成されて、本体のいわゆる老齢年金を主体にし、老後保障を中心にした国民年金と団体共済との間には、厚生年金同様通算があるわけでございますが、政策年金としての問題になってくると性格が本質的に違うという点がある。それから二番目は、この話はやはり厚生年金の場合と兼ね合いで考えていかざるを得ないという本質があるのです。  そこで実態はどうであろうかということでいろいろ私も計算をさしてみたのです。これは実は、はっきり申し上げると不利になる場合と有利になる場合とがあるのです。御案内のように、最近農協の職員で常勤役員等の方はかなり給料を取っておられます。そこで、農年の脱退時に農業年金の所定の保険料納付済み期間を既に有している、そういう場合については経営移譲年金をもらえますので、単価の高い厚生年金と通算して考えますと、むしろ金額的には農業年金継続加入の方がかえって不利になる数字が出てくる場合があるのです。御指摘になりましたのは、要するに所定の保険料納付期間である二十年をたっていない場合につきましては、これは農協の組合長さんとしての給料の多寡によりますけれども、脱退一時金で処理されまして、後で経営移譲年金をもらえなくなるという場合が出てきて、その場合は不利になる。  要するに、前者の場合は一般的にはむしろそういう救済の必要はないし、後者の場合でも不利になる場合と有利になる場合があるわけでございまして、必ずしも一律に言いがたい点があるのです。こういう点はなかなか難しい問題でございますが、冒頭申し上げましたように、農村社会の実態からしていろいろ勉強してみなければならないと思いますが、制度の仕組み自体が違うし、基本的には厚生年金との関係の問題をどう考えるか、いわば団体年金はそのアナログで考えざるを得ない本質があるということは御理解賜りたいと思います。
  102. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 ひとつ人数を含めまして、現行運用の中でできないかどうか。もしできないとすれば、今局長のお話がありましたとおり有利な場合と不利な場合がある、その不利な場合に限ってでも何らかの新たな措置ができないかどうか、こんな点も含めまして調査をしていただけないか、これを要望したいと思うわけであります。  時間がございませんので、最後の質問に移りたいと思います。  先ほど、公的年金制度の改正が来年行われる予定だということで田中委員の質疑もございました。多くの現在年金を受けられておる方々が、来年は自分たちも含めて変わるのじゃないかと大変御心配になっておる向きが多いわけであります。端的にお聞きしますが、来年の公的年金の改正は現行の受権者に対してはどんな影響を与えるでしょうか。
  103. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  まだ検討は進んでいるわけではございませんけれども、既裁定年金については手を触れるべからざるものであるということは、検討に入る前提であると思っております。
  104. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 例えば今回の公的年金制度に準じて来年四つの共済が年金統合ということになりますと、ことしの年金制度と関連しまして一体農業年金はどうなるのか。つまり、存続するのか、それともこの際検討せざるを得ないのか、そこら辺についてどうお考えでしょうか。
  105. 森実孝郎

    森実政府委員 各種公的年金の改正ということを前提にいたしまして農業年金の姿をどう考えるかについては、現在研究会をつくって検討していただいております。私どもの基本的姿勢は、構造政策の推進上も、それから現に農村社会にようやく定着しつつある実需の実態からいっても、どういう形で構造政策に資するよう存続するかという問題だろうと思っております。
  106. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 大変重要な問題であると思います。既得権という、現在入っている人方と今後加入する人方とはおのずと違ったものが出てくると思うのですが、少なくとも現在加入しておる方々が不利になるような改正は絶対に避けるべきである、これだけは強く要望していきたいと思います。  最後になりましたが、大臣にお伺いしたいと思います。  今までいろいろ年金問題についてお尋ねしてまいりましたが、一つは、私はどうしても、その都度こういう年金がどうだということで、はっきり言えば金額については決まり切ったこと、このことを国会審議という形でやるということについては、いろいろな点でいわゆる受給者にとってはかなり問題が出てくる場合が多かったわけであります。国会が開かれなければ年金は上がらないということでありますので。したがって、あくまでも指標の決定ということが極めて重要ではないか、こういうように思うわけです。その点についての今後の局長のお考えは先ほどお伺いしました。大臣としてどういうふうなお取り組みをするつもりなのかということが一つ。  それから、行革関連につきまして、先ほど大蔵省では、極めて見通しとしては不確定要素が多い。したがって、まだ関連大臣がおるわけでありますけれども、農林年金を所管する農林水産大臣として御決意のほどを承ると同時に、年金問題について、来年はいわゆる共済年金の極めて大きな改正が行われるわけでありますが、年金そのものを今の制度よりも悪くするということでは、何としても我々としても賛成できないわけなんです。そこら辺、全体の高齢化社会ということに向かっての年金制度という問題がございますので、いろいろ財政的な問題もあろうかと思うのですが、大臣のこの点についての御決意のほど、この三点についてお伺いしたいと思います。
  107. 山村新治郎

    山村国務大臣 農林年金におきます年金額の改定率、これにつきましては公務員給与の改定率によるということがルールとして定着しておるというような状況でございます。今先生おっしゃいましたように、これを法律によらないで自動的にスライドするというような仕組みが可能かどうかということでございますが、これにつきましては、共済年金を扱っておる関係省とひとつ相談いたしまして検討してまいります。  それとまた、二つ目の、特例適用期間経過後の補助金縮減分、そしてその金利収入相当分の補てんにつきましては、ひとつ財政当局と力いっぱい頑張ってまいります。少なくとも、今ある農林年金制度というものよりも悪くなるような改正はしないようにしたいというぐあいに考えます。
  108. 細谷昭雄

    ○細谷(昭)委員 終わります。  どうもありがとうございました。
  109. 阿部文男

    阿部委員長 上西和郎君。
  110. 上西和郎

    ○上西委員 私は、農林年金の質問の冒頭に、健康保険のことに関して少しくお尋ねをしておきたいと思うのであります。  御承知のように、農林年金は厚生年金から独立をするその時点で、現行四つある共済年金制度の中でただ一つ短期給付を持っていないという、ある意味では異常な形でスタートをしております。したがいまして、現実に長期給付だけの年金、こうなっておりますので、少しく厚生省側にまずお尋ねをしたいのであります。  順次お尋ねをしてまいりますが、一時期、厚生省は組合管掌健康保険をつくることについて大きくブレーキをかけた時期がありました。現在、そうしたことについてはどのような姿勢でおられるのか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
  111. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、ある時期健康保険組合の設立についてやや消極的な時期がございましたけれども、今日におきましては、健康保険組合の持ちます小規模集団による利点、効率性、こういったところにも着目いたしまして、この認可については積極的な立場で対応いたしておるところでございます。
  112. 上西和郎

    ○上西委員 私、それでちょっと農水省の方にお尋ねしたいのでありますが、そういう時期があった。そうすると、私みたいにずっと地べたをはいずり回っていた男からの見方で申し上げますと、お上の態度、その方針不変と思い込むのが庶民大衆の気持ちでありました。私調べてみましたら、約四十八万人の農林年金の被保険者のうち組合管掌健保に入っているのは二十三万人台だ、半分以下だ、こう聞いておるのでありますが、その中に、一回やったけれども厚生省からだめだ、こう峻烈に拒否をされた、その体験をお持ちのところが、その衝撃に耐えかねて、その後組合管掌健保の設立とか加入とか、そういうことにためらいがあるのではないか。せっかく厚生省が今のお答えのようなことになっているならば、農水省としては農林年金の被保険者に組合管掌健保の設立、加入、そうしたことについて積極的指導をなさるべきだと思いますが、そのあたりはいかが相なっておりますか、局長、お答えいただきたいと思います。
  113. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 私どもといたしましては、従来組合健保の設立を企てて厚生省から阻止されたということについて、私どものところへァピールをしてきたという例は寡聞にして聞いておりませんので、そういう事態があったかなかったか、つまびらかに存じておりませんが、御参考までに、農協系の健康保険組合で一番最近に設立されておりますのは五十五年六月でございます。五十年代に入りましてから設立されたものが五つほどございまして、五十五年以降なぜ途絶えたのかというのはよく存じませんけれども、特に私どもとしてはそういう苦情は従来耳にはせずに来ております。
  114. 上西和郎

    ○上西委員 事情はわかりました。ただ、私が冒頭申し上げましたように、厚生省が一時期極めて厳しい条件を与えて、それによって結果的には組合管掌健保の設立を断念させるという時期があったことは厳たることでありますので、どうか農水省としても、農林年金を通じまして組合管掌健保を設立するような、極端に言えば、わかりやすく申し上げますと促進をしていく、そして短期の部面でも農林年金の被保険者が救済されていく、こういうことについて積極的な指導と助言を賜りたい、このことを、あと数時間でポストをお離れになられまして改めて要職におつきになる佐野局長に心からお願いを申し上げたいと思うのであります。
  115. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 大変僭越ながら、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。  先ほど、私、ある時期消極的に対応したということを申し上げましたけれども、これは時期によりまして、実は健保組合というのは大体におきまして企業活動をベースとしたものでございますので、時期時期の企業の活動とかそういったもの、あるいは先行きその企業の消長をどう見るかというようなこともございまして、特に健保組合の場合は経済的な安定性というのが問題になりますから、非常に厳しく収支率等を見るという時期もございました。その結果として設立が厳しく受け取られたということがあるかもわかりません。  それから、実は農協の団体につきましては、大きなところはかなりできておりますが、先生の御地元の鹿児島の方からも、五十六年ですか、一度お話を伺ったこともございます。ところが、収支率といいますか、基本的には所得が非常に低い地域でございますので、組合の設立の認可基準の、いわば人数という点では十分満たすわけでございますけれども、やはり収支率が非常に悪い。つまり、これは御案内のとおりでありますが、標準報酬が非常に低くて、全国平均の三分の二程度ということですので、保険料率が逆に非常に高くならざるを得ない。そういうことで法定給付のほとんどにそれを食われまして、事務費にもなかなかお金が出ない。まして保健施設事業などはなかなかできないというようなこともございまして、具体的な数字をいただいた上で検討していろいろそういった問題点を申し上げたところその後話が来てないというふうに経過報告を聞いておりまして、あえて抑えつけたというような、こういった事例ではございません。  なお、私ども、先ほど申し上げましたように、健保組合につきましてはできるだけ創意工夫をいたしてやっていくというのが今後の我々の健康保険に対する考え方で、ヘルスを守っていく上でも非常に大事だということで、現在健康保険法にも取り組んでおりますところから、積極的に認可していく考えは持っております。ただ、基本的には財政的な基盤ということはどうしても見逃せない問題でございますので、そこのところはひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  116. 上西和郎

    ○上西委員 厚生省側からさらにお答えがありましたから、私、逆に率直なお願いを申し上げておきます。  それは、組合健保に対する事務費補助、月間の補助金は今二十三円でしょう。年間三百円に足らぬわけでしょう。それだけしか出さずにおって、厚生省くらい組合管掌健保に介入している団体はないという極めて不愉快な体験を僕は幾つか持っているのです。僕は組合健保の議員を長年やりましたから、何でそんなに厚生は首を突っ込むのか、内政干渉甚だしいという体験を持っているわけだ。だから、今あなたがおっしゃったことは、おっしゃり方はわかるのです。しかし、現実に受けとめているのはだめだということなんですよ。厳しいんです。だから私はぶつけておきますけれども、私の調査では、たしか今わずか二十三円ですよ。年間三百円足らずの事務費を出しておいて、いや付加がどうの、いや保険の負担率を経営主と被保険者でどうせいのああせいのと言って、余りにも小さなことまで介入し過ぎているという感を私は深く持っております。  ですから、今お答えがありましたから逆にボールを投げ返しますと、どんどん設立を進めたいというのならば、少々の収支率などについては、組合健保ができて、そしてさらに内部体制が固められて健康診断その他が進んでいけば収支率は当然改善されていくわけでありますから、どうかその辺についてはおっしゃった言葉どおりのことが現実に推進されるように、私は心から要請をしたいと思うのであります。
  117. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 健保組合の運営につきまして役所の方でかなり干渉がましいことを言っておるような御指摘でございますけれども、実は健康保険組合というのは、これも御案内のとおり、いわば健康保険事業政府管掌保険に代行するような形でおやりいただいておるということでございますので、単に事務費に若干の補助金が出ているから干渉しているということではなくて、やはり公的な立場でのお仕事をお願いしたいということでいろいろ申し上げておるわけでございます。ただ、申し上げ方について、余りにも細かいことを言い過ぎて組合の創意を失うというようなことはないように、これは厳に気をつけなければいかぬと思いますし、私ども今後そういうふうに指導してまいりたいと思います。  ただ、基本的にはやはり財政基盤、みんなが保険料を出し合って育てていく組合でございますので、それがだめになったら困るわけなんで、そこのところはやはり慎重に見たい。  それからなお、健康保険組合についても弱いところもあります。したがいまして、そういったのをお互いにカバーし合う共同事業というのが、これは健保連という団体を中心に行われておるものですから、そういった点におきましても、今後、従来やや足腰が弱いなと思うようなところでも認めていくということは考えていかなければいかぬのではないかというふうに考えております。
  118. 上西和郎

    ○上西委員 お答えいただいてありがとうございます。今のお答えどおりの運用ができている、こう私は信じまして、農水省側の一層の指導と助言を重ねてお願いを申し上げておきます。  健康保険についてあと二つお尋ねしたいのですが、一つは被扶養者の認定基準です。  私、ここに「農林年金」の二十五周年特集号、三月号を持っておりますが、これの五十ページの最下段に「年金受給者が配偶者やご子息等の健康保険の被扶養者になられる場合、その適用の基準は、退職年金は八十万円未満(六十五歳以上は百三十万円未満)が目安となっているのに対して、障害年金は百三十万円未満まで被扶養者になれることになっています。」ということは、当然遺族年金その他もこの基準に入る、こういう考え方でよろしいのですか。
  119. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 そこの通知によりましては、障害年金ということで書いてございますので、そこまでは含まれないということでございます。(上西委員「遺族年金は」と呼ぶ)遺族年金はそこでは読めないということでございます。
  120. 上西和郎

    ○上西委員 ちょっと課長、私がお尋ねしたいのは、退職年金ならここまでだ、障害年金なら百三十万円だと出ているが、遺族年金は金額的にどうなるのですかということです。
  121. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 農協関係の方でお出しいただいた通知というのは私の手元にないものですから、被扶養者認定基準としてちょっと判断できないのでございますけれども……。
  122. 上西和郎

    ○上西委員 「農林年金」に書かれているのは、さっきから言いますように農林年金は短期は持っていないのです。これは「農林年金」の相談センターが加入者からの質問に対して答えている文章で、当然被扶養者認定基準に基づいて書いている、こう思うのですが、念のためだから、遺族年金なら幾らまでか、こうお尋ねしているわけです。僕は被扶養者認定基準について質問をするということは通告してあるので、明確にお答えいただきたいと思うのです。
  123. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 大変失礼しました。障害年金以外の年金受給者ということですから、九十万円未満の基準の対象に含まれます。
  124. 上西和郎

    ○上西委員 そこで問題が出てくるわけであります。厚生省は五十二年四月に保険局長通達で被扶養者認定基準の大変な改悪をやった。これはあえて厚生省がやった罪悪とまで私は言いたいのであります。だから、結果的に公務扶助料をもらっている方で被扶養者から追い出された方がここ数年続出しているのです。この五十二年四月以降ですね。  つかぬことをお尋ねしますが、大臣は靖国神社に中曽根内閣の一員として御参拝になる予定ですか。お考えはどうでしょう、参考にちょっとお尋ねします。
  125. 山村新治郎

    山村国務大臣 私は九段宿舎で毎日お参りしておりますので、別にそんなに深く考えておりません。
  126. 上西和郎

    ○上西委員 大臣、それから関係の皆さんにも申し上げたいのです。私はおじが二人戦死をしました。そのうち最初に戦死をしたおじは、日支事変の私の鹿屋の市では第一号の戦死者で、市民葬第一号になっている。私の家内の兄はレイテで空中戦で体当たり散華をした陸軍の操縦将校でありましたが、身近にそうした者を持っている。そうすると公務扶助料が出ますね。そうしますと、これは今百四十万になったけれども前はもっと低かったから、公務扶助料をもらっている者は五十二年四月時点で、極端に言えば全員被扶養者からはじき出されて国保加入を余儀なくされたのです。遺族年金しかり、障害年金しかりです。そうして、公務扶助料をもらっているお母さんが亡くなって、若くして未亡人になった方が今度遺族年金でもらう。同額ですから、同じなんですね。息子を亡くしたお母さんが公務扶助料をもらっていて、それもはじき出された。では、亡くなって今度は未亡人になった、軍国の妻と言っていいでしょう、戦死者の未亡人は遺族年金をもらうが、同額です。そうするとやはりはじき出される。こういうことが現実に行われている。そしてそのことは、農林年金の被保険者の方々にも同等に打撃を与えているのです。  ですから、私は、まず厚生省側に、この被扶養者認定基準、大蔵省は非課税、非所得扱いをしている。にもかかわらず厚生省は、入ってくる金は全部収入だ、実収入だという形ではじき出しているこのあしき保険局長通達を撤回するお考えはないのかどうか、このことについてちょっとお尋ねしておきます。
  127. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 被扶養者認定基準のとらえ方でございますけれども、現在は被保険者と同一の世帯に属している者につきましては、認定対象者の年間収入が九十万円未満、認定対象者が六十五歳以上の老年者あるいは厚生年金による障害年金の受給要件に該当する者については百四十万というような基準がございまして、なおかつ、そういう人たちが九十万円未満であって、それを養う方が年間収入がその方の倍以上というような場合、それはその方にかかっている、つまりその方によって生計維持をしているというような関係を読んでおるわけでございます。  したがいまして、そういうときに被保険者つまり扶養する方と被扶養者との関係、これは生計維持関係でどうしても見るわけでございますから、そこのところを所得という形でひとつ判断するということでございますから、やはり実所得で見るのが妥当であろう、これを非課税所得であるから、それを例えばゼロという形でやりますと、また非常に逆転現象が出たりしまして奇妙なことも起きますので、その辺はやはり実収入で比較して、なおかつ生活の実態を考えて、生計維持関係があるかどうか、全体的な要素も照らしまして判断をするというのがこの通知の趣旨でございますので、撤回することは考えられないということでございます。
  128. 上西和郎

    ○上西委員 農水省の側も、そうしたあしき通達が流され、結果として四十八万人の農林年金の被保険者がその通達のために大変な打撃を受けている、この現実をとらえていただいて、大臣を先頭に、こういう通達は撤廃をする。しかも、御承知のように国民健康保険税は暴騰していますからね。ことしは三十五万でしょう、最高が。去年までは二十六万だったけれども。ぐんぐん上がっている。そしてお国のためにとうとい命をささげた方方の御遺族などがどんどんはじき出されていく、こういうことが現実にございますので、農水省も厚生省に改善を迫り、農林年金の被保険者を救済していく、こういうことを私は強く要請したいのであります。そういった意味で、大臣が毎日朝晩御参拝なさるのも結構ですが、あわせましてそういうことをやると、ああやはり男山村よくやったと英霊が安んじられるのではなかろうか、こう思いますので、ぜひお願いをしておきます。  三つ目は任意継続の問題ですが、農林年金の任継の組合員数は現在どのくらいありますか。
  129. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  五十七年度末におきまして、二千九百四十五名でございます。
  130. 上西和郎

    ○上西委員 それでは厚生省側にこれをお尋ねしたいのですが、ざっと三千名近い方が農林年金の任継に入っている。この方々は当然健康保険の方も任継を希望されておる、常識的に考えまして。そうしますと、問題が出てくるのですね。農林年金の任継の方は前納が認められるでしょう。念を押しておきますが、局長、保険料の前納は任継の場合認められますね。
  131. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 御指摘のとおりでございます。
  132. 上西和郎

    ○上西委員 そうしますと、問題は、健康保険の方は前納を認めないのです。毎月十日までに最寄りの社会保険事務所に持参をするか払い込むか、極端に言うと一日おくれたら即座に資格喪失なんです。なぜ厚生省は-農林年金のことを言いましたが、厚生年金も一緒なんですね。厚生年金では前納を認める、健康保険では毎月払いだ、こういうような極めて不可解な処置をとっていて健康保険法の改定なんというのは聞こえませんの伝兵衛さん、こう私は申し上げたいのですが、これを改善する意思ありゃ否や、これをお尋ねしたいと思います。
  133. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 御案内のように、法二十条の任意継続の被保険者につきましては、保険料納付の義務が毎月十日までに納入することということになっております。  それで、年金の方との比較におきまして前納制をなぜ認めないというお話でございますが、これは同じ任継といいましても、健康保険の場合と年金の場合とでは若干性格を異にするというのが基本にございまして、私どもとしては一括払いという制度、前納という制度を設けておらないわけでございます。つまり、任継制度というのは再就職までの一時的な足踏み状態で、この間に再就職までの間を従来ある保険者の中でカバーしていただこうという制度でございますので、またいつ復活するかわからないということもございます。また、場合によっては結婚されるというようなこともありますし、被扶養者になるということもあるわけです。そういうことで非常に事態が変わりやすい。あらかじめ納めておいても、また返す手続というようなこともなかなか煩瑣であるというようなところから、従来健康保険法におきましては前納という制度を設けてきておらないところでございます。  ただ、任継制度というのが特に高齢者のために活用されておるというような実態から、最近、一括納入を認めてもいいのではないかという御希望があることは十分承知をいたしております。ただ、健康保険法の現在の建前からいいますと、現場の方で、有無を言わさずとおっしゃったのですが、正当な事由があればこれについては若干緩和できるような法律規定が先般入っておりますので、その辺で窓口の緩和を図りつつも、なお、今御要望のような点がどういう形で事務的にもうまく乗って処理できるか、今後検討させていただきたいと思います。
  134. 上西和郎

    ○上西委員 今後検討したいとおっしゃいましたから、これ以上ここで追及しませんが、今の任継は、厚生年金の任継だって農林年金だって一緒でしょう。仮に再就職したら、前納しているのを精算しなければいかぬわけでしょう。  私は、当選してみてつくづく思うのです。各省庁の皆さん、国家公務員としての誇りに燃えて、日本のために国民のためにお仕事をなさっているとかたく信じて疑いません。だから、任継を認めているのなら、健康保険だって厚年と同じように前納させる。そうして、煩瑣とおっしゃったけれども、国民の暮らしを守ってやらなければいかぬ。あなたは正当な理由とおっしゃったけれども、天変地異なら別。私が知っている限りでは、例えば子供さんが急病だ。夫婦で嫁ぎ先まで見舞いに行って手当てして帰ってきて、行ったら日にちがおくれた。所長さん以下、大変お気の毒ですがだめです、こうなっちゃうのです。正当な理由なんというのはなかなか通りにくいのが現状なんです。  だから、同じ厚生省だ。健康保険法のこれだけの大改定をやろうとしている。あなた方はこうしたことについて、きちっと整理をした上で国民にその信を問うという姿勢を、ぜひとっていただきたい。そのことが結果的に農林年金の被保険者に大変なことを及ぼしていくわけでありますから、ぜひ前向きに、かつ迅速果敢にお取り組みを重ねて要請をしておきます。  次に、年金の関係で、以下年金の方に移らせていただきますが、先ほど来それぞれ委員の方からありましたように、今や年金統合法が時の話題の焦点になってきております。この年金統合法に対して、農林年金としてはどういう姿勢で基本的に対応されようとしておるか、そのことをまずお尋ねしたいと思います。
  135. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  先ほども御答弁申し上げたことでございますが、実は六十年度改正、六十一年度施行が予定されております措置は、今般御審議を賜っております厚生年金国民年金の方において行われております基礎年金導入等の改革の趣旨に沿った改革をまず実施するというのが六十年に行われるべき制度改正の趣旨でございます。  そこから先の六十一年度以降の制度間調整、七十年度までの一元化というのはもう一つ先の長期展望になるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、まず六十年度に行うべき制度改正についてどういうふうに取り組むかということをこれから検討に入りつつある段階でございますが、先ほど来申し上げておりますように、基礎年金の導入と申しましても、それが一体いかなる仕組みでっくられるべきものであるかということについては、いろいろ検討すべき問題がございます。私どもといたしましては、基礎年金の導入という形で少なくとも制度の一部分については言うなれば画一化、標準化と申しますか、そういうことは進むわけでございますけれども、農林年金制度制度発足の経緯に根差してそれ以来ずっと関係者の皆様方のたゆみない努力によって維持されてきた制度でございますので、そういう状況下におきましても、この制度が従来果たしてきた役割、歴史、現状というものを十分踏まえて、関係者の皆様方のコンセンサスを図りながら制度改正に取り組んでいくべきものであるというふうに考えておる次第でございます。  七十年度に展望されております一元化という問題につきましては、今この段階で具体的な姿を云々するのは尚早であるというふうに存じておりますが、私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、一元化とは申しましてもそのありようは非常に多義的なものでございまして、その中で十分関係者の御意向を酌みながら対処していくことができるというふうに思っておりますし、そうしたいと思っておりますが、同時に、高齢化社会の進展の中で給付と負担の長期的な均衡を図るという大眼目につきましては、農林年金にとりましても避けて通れない課題でございますから、その点については関係者の皆様の十分な御理解を得ながら対処していかなければならないというように思っております。
  136. 上西和郎

    ○上西委員 少し具体的なお尋ねをいたします。  現在の既裁定の退職年金受給者の中で原則共済方式と特例通年方式との比率は、農林年金の現実はどのくらいになっておりますか。
  137. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  通年方式が八割ということでございます。
  138. 上西和郎

    ○上西委員 通年方式が八割、多分そうだろうと私も思っておりました。大体地方自治体でも七〇%は通年方式なんです。ところが、現在は八割、通年の方が高い、そういう通年方式をとっている方々が、今度の年金統合法が仮にあのまま通ったと仮定しますと、それからあと裁定を受ける新規の受給権者の方々は、若干の時間の幅はかけますけれども、結果として通年方式は大打撃を受けますから、これから先農林年金の被保険者に大変な悪影響を及ぼすのでありますが、そうした点についてのお考えはいかがなものか。
  139. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  まず第一に、六十年度に行われます改正は、いずれにいたしましても既裁定年金の受給権者につきましては手をつけないという考えでおりますから、その点については御心配のようなことはないというふうに思います。  それから、今後の問題につきましては、二月二十四日の閣議決定では基礎年金というものを導入するという、そういう制度の改革の趣旨に沿った改革を行うということでございまして、それ以上のことは現在の段階ではまだ何も決まっておらないわけでございますから、これにつきましては各方面の御意見を十分承りながら検討してまいりたいというふうに思っております。
  140. 上西和郎

    ○上西委員 ずばり申し上げまして、現在社会保険事務所に働いている方々の中では、窓口に見えても年金統合法の説明をしたくない。説明をしたら、今四十代くらいの方々はずっと厚年を掛けていって将来六十でもらう年金というのが、極端なことを言うと、今二十五年から三十年くらい掛けていて例えば四十八とか五十で出る年金額よりか、基礎年金は別ですが、本人の老齢年金に関する限り下回るということが出てくるわけです。そんなことを言ったら大変だということで、社会保険事務所に働いている方々の泣きどころになりつつある。これは少なくとも今起きている正しい一つの現象でありますから、率直に申し上げておきたいのであります。  そうすると、今おっしゃったように基礎年金云云とある。ところが、基礎年金五万円というのは、極論すれば三十六年四月一日から国民年金の保険料を完納している方が五十九年度の金額で五万円だ、こういうふうになっているのであります。したがって、みなし期間などを使ってこの保険料をこのごろになって納めたとかなんとかという方々は五万円どころじゃない、下手すると一万円も出ないのじゃなかろうか、こういうことになってきますので、余り安易に年金統合法の幻想に文字どおり幻惑されないように、やはり農林年金の被保険者のいい意味での既得権を守り抜くということできちっと年金統合法に対応いただきたい、私はこういう考え方を持っているのでありますが、その点については局長いかがでしょうか。
  141. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 繰り返しになりますが、現在閣議決定で決まっておりますところから申しますと、年金一元化というのは七十年というずっと先の目標でございまして、私どもがさしあたり検討すべき目標の六十年度改正というのはそのよほど手前にあるわけでございます。その段階で骨格が明らかになっていることといえば基礎年金ということでございます。  私どもといたしましては、今後の年金制度の改革の検討に当たりましては、負担と給付との長期的均衡を念頭に置いて高齢化社会に備え得る体制を整備するということにつきましては、農林年金についても当然避けて通れない課題であるというふうには思っておりますけれども、さりとて共済グループとしての独自性あるいは共済グループの中での農林年金の特殊な経緯なり現状なりを没却して機械的にこれをくっつけてしまうというような、そういう処理の仕方をすべきものではないということは十分わきまえておるつもりでございます。
  142. 上西和郎

    ○上西委員 お考えはわかりました。ぜひそうした考え方を堅持をされて、柔軟に対応されることを重ねて要望しておきたいと思います。  次に、障害年金の問題ですが、現在は障害年金は退職後ということが給付条件でございましょうか、念のためお尋ねします。
  143. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 仰せのとおりでございます。
  144. 上西和郎

    ○上西委員 そこで、私はお願いをしたいことが出てくるわけであります。今さっき質問しました任意継続加入制度というのは、共済年金には本来なかった制度なんです。厚生年金の発展的な形で出てきた農林年金の独自のものとして、厚生年金の第四種被保険者のものが農林年金に認められている。だとするならば、障害年金の給付も在職中に支給していいではないかと私は言いたいのであります。先ほど来我が党の委員の方々からそれぞれありましたように、農林年金の適用事業所の労働条件は必ずしもハイレベルではございません。いろいろ事業体、地域によってはまだまだその地域のレベル以下のところもある。こういう中で障害年金の給付条件を満たすような体の状態になっている方々に給与とは別に厚年と同じように障害年金を併給をしていく、こういうことについてはどのようにお考えなのか。
  145. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  厚生年金の場合の障害年金は、障害を受けてもそのまま在職しているという場合について、退職しなくても受給されるということになっておるのは御指摘のとおりであります。それからまた、退職して厚生年金の傘の下にある別の会社へ就職しても受給される。これはいずれもその場合には障害に伴って給与が相当下がるということを念頭に置いてこういう仕組みになっているものというふうに考えております。  農林年金の場合には、先生御指摘のように、これは農林年金に限りませず各共済制度共通でございますが、給付の要件として退職ということがございます。障害年金に限らずすべてそうでございますが、在職中は給付をしないということになっておるわけでございます。  それで、この点は厚生年金に比べたら農林年金の方が不利だから、厚生年金に合わせて退職を要件とすることなく給付を行ってはどうかという御指摘は、確かにごもっともだろうと私も思います。ただ、私どもが心配をいたしておりますのは、ここで厚生年金と共済年金の方と比較をいたしまして、それで有利不利を論じて、その不利なところは厚生年金の方に合わせろという議論を展開いたしました場合に、実は共済の方が有利なところもいろいろあるわけでございます。そういう共済の方が不利なところだけつまみ食い的に直すというのはけしからぬというような反撃が当然また予想されるわけでございまして、そういう反撃に遭遇して有利なところも不利なところも全部そろえてしまったら、結果的に最後は利害得失がいかなるものに落ちつくのだろうかという点について、私どもとしては心配な点がございます。でございますので、先生御指摘の問題も、私どもとしては、今度の公的年金制度改革の問題の一環として、最後に結果的に損になっちゃったということにならないようなことを確かめられる環境のもとで検討するということにさせていただきたいと思います。
  146. 上西和郎

    ○上西委員 今、佐野局長のお答えの中にありますように、私はこういう言葉は好きじゃないのですけれども、よく官民格差と一言で言われますね。私は、制度間の不公平、矛盾だ、こういう表現をとるのが好きなんですが、この中でたった一つ民官の矛盾がこれなんですよ。いわゆる共済年金のたった一つ厚生年金に劣るところと言ってよいでしょう。障害年金の在職中に給付しないというやつですね。国家公務員とか地方公務員とか、法律で一応の身分が保障され、賃金も一応のところまで保障されている方々が、万やむを得ぬ、恩給制度の残滓といいましょうか、そういった形で、退職しないと障害年金を出さないということについては、それが一理あるということを私は認めないわけではありません。ただし、農林年金はあくまでも厚生年金から独立したものでしょう。極端に言えば、根っこは厚生年金と同根でございますね。だから任継を認めているんだ。だとするならば、ほかのいいところは共済年金と合わせてしまう。ただし、この一つについて、障害年金に関してだけは、いろいろな御配慮もあると思いますが、ぜひ農林年金の加入者の方々のためにも、その方々の幸せを守るためにも、障害年金の在職中給付ということについて御努力あらんことを重ねて要請をいたしておきたいと思います。  それから、遺族年金の問題です。  今度の年金統合法案の中で一つ大きな問題になってくるのは、重度の障害の状態にある子供さんは、現在、遺族年金の受給権が年齢にかかわらずございます。これが打ち切りになりますね、年金統合法案の中で。これについて少しひっかかるものですから、何か農林年金という立場でお考えがあるならばお示しをいただきたい。
  147. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 今回、厚生年金の方で重度の障害者について先生御指摘のような問題が起こっておりますのは、私どもとしては伺っている話でございますが、厚生年金は、従来、農林年金と同様に、重度の障害者については年齢制限がなかったわけでございますが、今度改正でそういうことになさる御趣旨は、逆に言いますと、二十歳以上の障害者の方には今度基礎年金が支給されるという事態に対応して、その間の調整としてそういうことをなさったのであるというふうに伺っているわけであります。したがいまして、そこで先生の御心配は、共済グループの方も基礎年金制度を導入するということになれば当然同じようなことになるのではないかという御懸念であろうというふうに了解いたしますが、この点につきましては、共済年金制度の中に基礎年金を導入していきます際の検討課題として、私どもの方が果たして厚生年金の方に追随しなければいけないものであるのかどうか、うちの方はまた別だという理由がうまくつくれるものかどうか、そういうことを障害者である遺族の皆様方の生活実態なども十分勘案しながらよく研究をさせていただきたいというふうに思っております。
  148. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  では、次の問題に移りまして、農林年金自体の問題として二、三ここでお尋ねしたいのであります。  第一点は、最低保障額の問題です。  これはどう見ても少な過ぎると私は思うのですよ。今、国民年金でも厚生年金でも最低保障額は年間ざっと五十六万円でしょう、拠出制の場合。これらについて、何か意識して二つに分けてしまって、絶対最低保障額とかなんとかいろいろ表現はありますが、余りにも少な過ぎるのではないか。そうした意味合いで、この最低保障額について底上げし、改定をされる意思ありゃ否やということを含めて御見解を承りたいと思います。
  149. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 最低保障額につきましては、従来からその都度、最低保障額の引き上げは図ってきたつもりでございまして、私どもといたしましては、今回御審議をいただいております法律案の中にも、先ほど来申し上げておりますように絶対最低保障額のアップを織り込んだ上で御審議をお願いしておるわけでございます。  それから、新法の最低保障額につきましても、物価スライドそのままであれば今年度は最低保障額の改定が行われないところを、国民年金法等の一部を改正する法律案の中で、特例で、物価スライドに見合ったものを最低保障のアップを行うようにするための条文を入れた形で御審議を煩わしておるわけでございまして、私どもとしては、今後とも最低保障額の引き上げについては十分心を用いてまいりたいと思っております。
  150. 上西和郎

    ○上西委員 お答えはお答えなりにわかるのですが、他の共済年金あるいは厚生年金国民年金と横並びに検討したときに、この最低保障額は妥当とお考えですかということを重ねてお尋ねしたいと思います。
  151. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  例えば厚生年金の場合と比べてみますと、新法の最低保障額七十五万四千八百円ということで、これは妻子がいない者にかかる厚生年金の最低保障額六十七万八百円に比べると、これを上回っております。しかし、奥さんと子供がいらっしゃる場合、厚生年金は奥さんの扶養手当が十八万円、子供が六万円というのがついておりますために共済年金の新法最低保障額を上回ることになっておりますので、その点については、妻子がいる場合について計算いたしますと、厚生年金の最低保障額を下回っておるということは自覚はいたしております。
  152. 上西和郎

    ○上西委員 佐野局長、自覚をなさっておられるのならば、ぜひ後任の方にその旨をしかと伝えて、最低保障額を他の年金に比べて遜色のないものにする、これはおれの置き土産だ、こういうことで、せひ花も実もある経済局長としての最後をお飾りいただきたい、このことをお願い申し上げておきます。  次は、標準報酬の下限の問題であります。  先ほど私たちの前の委員の方々からもありましたが、農協がようやくどこの市、町でもまあまあのところまでいったというような現実ですが、漁協、森林組合、そうしていきますと、まだまだ社会水準を大きく下回っているところがたくさんある。したがって、この標準報酬の下限だけは現行で据え置いていいのじゃないか、率直な意見としてぶつけ、これだけは上げないでほしい、こういうことなんですが、御見解を。
  153. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  先ほどもお答えいたしましたように、今回お諮りしております下限は、国家公務員の給与法の行(二)の一番下の端というものに合わせてあるわけでありますが、従来から該当者一%見当というのを一つのめどにしておるわけでございます。それで、その尺度に照らしてみますと、今回御審議を煩わしております案でいきまして、下限該当者が〇・七ということでございますので、従来からの歴史的な比較から申しますと、今回お諮りしております法律案の中に記載されております標準給与の下限というのは、該当者は相対的に見れば決して多い方ではない。漁協云々の話は、確かにそういう問題が存在することは承知しておりますけれども、従来の下限の決め方の延長線上から見て、私どもとしてはごく控え目なものであるというふうに思っているのでございます。     〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
  154. 上西和郎

    ○上西委員 先ほどお尋ねしたときに、現に受給されている方々の八〇%が特例通年方式をとっているということは、逆に言えば、それだけ農林漁業年金の方々の在職中の標準報酬が低いということの証左であると私はあえて断言をしてはばからないのであります。受給者の方々でさえぐっと低いのだ。そうすると、現に働いている方々の中でまだまだ低い方々がたくさんいらっしゃる。そうしますと、確かに該当する方が一%か、そういったことになるかもしれませんが、その一%の方々に温かい目を注ぐのが行政であり、政治ではないでしょうか。そうした意味合いで、この下限の引き上げについてはぜひ再考をお願いしたいと思うのでありますが、いかがですか。
  155. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  今回お諮りをしております標準給与の下限の数字は、言うなれば横断的といいますか、ほかの共済も同じ数字でお願いをしているところでございまして、特に従来と比べて該当者が多いわけでもございませんので、ほかの共済とのつき合いを、この際特に今度はつき合わないことにするということが主張できるような数字ではないというふうに思っております。  それから、先ほども申し上げましたように、世間では普通標準給与の下限の引き上げというのは、農林漁業団体の職員の給与改善という効果もあるというふうに言われておりますので、私どもといたしましては、今回お諮りしております数字でひとつ御了解をいただきたいと思っておるところでございます。
  156. 上西和郎

    ○上西委員 ただいま最後の方におっしゃった給与改善につながる、そのことに力点を置いての下限引き上げであるならば、私はあえて異を唱えません。農林水産省の持つ絶大なる権限、これを一〇〇%生かされましてそうしたことをぜひ関係する団体に窓通していく、このことを私は強くお願い申し上げておきたいと思うのであります。  次は、加入団体の問題であります。  農林漁業年金に加入をしたいと申し出ている団体はすべて網羅され尽くしているのか、俗っぽい言葉で言うとまだ落ちこぼれの団体があるのかどうか、この辺の実態についてお答えいただきたいと思うのでございます。
  157. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、一応この制度でカバーすることを相当とする農林漁業団体はカバーし尽くしておるというふうに考えております。ただ、現実に若干話題になっているものがないわけではございません。話題になっているのは何かと申しますと、各県にございます農地保有合理化法人を入れたらどうかということが時々話題になります。  ただ、これは話題になりますので私どもも実情を調べてみたのでございますが、農地保有合理化法人というのは、どちらかと申しますと実態は地方公共団体の外郭団体という色彩が強いものでございまして、人的構成から見ましても、県庁の職員が出向をして農地保有合理化法人の仕事をしているというのが実態であるという場合が多いわけでございまして、農林漁業団体であるという意味では確かに入れてもよさそうな感じがするわけでございますけれども、どうも実際の人的構成から見ると、それになじまないように思っておりますので、これが落ちるといたしますと、あとは特に思い当たるものはないというふうに思っております。
  158. 上西和郎

    ○上西委員 今のところ思い当たるものはないとおっしゃいますが、やはり広い世間でございますから、もし今後、賢明なる佐野局長の目をもってしてもひょっとして見落としたものが出てきたときは、ひとつよろしく御配慮をいただいて、なるべくそうした方々を幅広く包含して、大きな意味で農林年金の基盤を拡充強化していく、このことをあわせて御要請申し上げておきたいと思います。  次に、農林年金とは直接関係ないことになるかもしれませんが、ここで山村大臣に所信を伺いたいことがあるのであります。それは何か。兵役期間の取り扱いであります。  勝ってくるぞと勇ましく、歓呼の声に送られて出ていった、戦い済んで捕虜収容所にほうり込まれて、ようやく日本に帰ってきた。この間の兵役期間について、国家公務員と地方公務員共済、この両年金を除いては一切今通算が認められていない。農林年金もその範疇に入るのであります。したがいまして、国家公務員と地方公務員の方々は、少なくとも兵役期間については、最高限四十年という制限があるにせよ、生かされている。ところが、同じように日本のために、国民のために命を投げ出して戦ってきた方々が、その勤めたところが民間企業であった、農協であったというだけのことで、兵役期間は一切見られていない。こんな不公平はないと思うのであります。  中曽根さんが盛んにいろいろなことをされますが、あんなことをするよりか、少なくともあの戦争で大変な犠牲を払ったすべての国民が加入しているすべての年金で、兵役期間を、一定の制限、四十年なら四十年の制限を設けてもいいでしょうが認めていく、そして、その原資は軍人恩給の方から出していく、こういうことについてはいかがお考えでしょうか。大臣は私より年が若うございますから、現実に軍人としての御経験はないと思いますけれども、少なくとも昭和一けたは一けた、あなたも戦争の惨禍は十二分に御理解いただき、身の周辺にたくさんのそうした方々を御承知と思います。それらの方々を救済するために、まず農林年金に兵役の通算を認めさせる、こういうことを大臣として大英断をもって関係省庁に当たる御決意ありゃ否やを含めまして、御見解をいただきたいと思います。
  159. 山村新治郎

    山村国務大臣 今御質問にありましたとおり、公務員共済年金制度、これ以外には、国民年金、厚生年金、私学共済、農林年金、これが民間であるということで保険料や掛金に応じた給付を行うということで、社会保険制度としては恩給期間たる兵役期間を通算して給付を行うことは困難だということでございますが、私個人といたしましては、当然恩給期間というものを入れるべきだと思います。  ただ、社会保険制度として難しいということでございますが、今何か総務長官の私的諮問機関であります戦後処理問題懇談会等で検討されておるということでございますが、私としては積極的にこれは何とか-これは農林年金だけということにもいかないようでございます。国民年金、厚生年金、私学共済、これらを担当する各省庁とも相談いたしまして、ひとつ頑張ってやっていきたいと思います。
  160. 上西和郎

    ○上西委員 今は亡き佐藤元総理が、かつて沖縄の復帰なくして日本の戦後は終わらない、こういう名キャッチフレーズで御活躍なさったことを私記憶しておりますが、少なくとも社会保障制度あるいは公的年金制度でこの兵役期間の取り扱いの解決を見ずして年金統合法とかなんとかということは、とてもじゃないが議論すること自体おこがましいのではないか。二十一世紀のビジョンとかいろいろなことを言われますけれども、まず現実に数百万人いる、言うならば戦争の犠牲者、こういった方々を年金制度の中でも救済していく、このことは現実に与えられた私たちの任務ではないでしょうか。そうした意味合いで、大臣の今のお答えどおりの御活躍、御健闘を心から御期待申し上げておきたいと思います。  農林年金の最後のところで、ちょっと実物を出してお示ししますが、これは重度心身障害者日常生活用具の給付事業の一端を担う、視覚障害一級、二級の方が交付を受けられる視覚障害者用時計であります。マイクを通してみます。この時計は、このボタンを押しますと時々刻々視覚障害者の方に伝わるのであります。このように置いておけばいいわけですね。もう一つ、行動する方はこれでいいのです。これは厚生省がやっている制度であります。  ところが、これを案外知らないから、私、昨年選挙直前の三カ月間、私の居住する鹿屋市だけでこの時計を三十一個もらってあげました。その中に農協勤務の幹部職員のお姉さんがいたのであります。農林年金加入の方は、姉にこういう時計をもらってくださって大変ありがとうと私に感謝の言葉を申し述べられ、そしてそのお姉さん、私よりも若うございますが、その方からも涙ながらに電話をいただきました。  ところが、「農林年金」を私何冊か見たり、あるいは後から御質問しますけれども、農業年金の「のうねん」などを見ますと、そういうことが一言半句ないのです。そして編集後記あるいは中には、これは一つのプライドがあって結構だと思うのでありますが、この「農林年金」の編集に携わっている者は年金制度に詳しい、こういう言葉なども散見されます。それなりに見識あることで結構だと思うのでありますが、私が申し上げたいのは、そうした農林年金の長期の給付の問題だけではなく、せっかく日本政府が設けている社会保障や福祉の制度についてもこうした雑誌などを通じて広く知らしめていくことをぜひ怠りなくやっていただきたい。そして、知らないために、無知なるがゆえに結果的に損をしている、そうした方々が少なくとも農林年金の被保険者、加入者の中からはゼロになっていく、こういうことをぜひ実現をしていただきたいというお願いを私は心から申し上げまして、また、本日をもって局長の職を去り、改めて要職におつきになる佐野局長に、そのことを含めてぜひ後任の方にしっかりと引き継ぎをされますことを心から祈念をし、農林年金に関する質問をここで終わり、以下、農業年金の方に入らせていただきたいと思います。  農業年金についてお尋ねをいたします。  まず第一は、何といっても保険料の大変な増高であります。本年四月から、トータルで月額一万二千七百五十円でございましょう。こんな金は、他の厚生年金だったらざっと二十四、五万の標準報酬の方になっていきますね、労使折半ですから。現実に農業の方々が大変な目に遭っているのに、この保険料が年々ウナギ登りに上っていく。もちろんあしきは国民年金の保険料のアップもありますが、農年の方のアップ率を含めて大変なんです。これらについてはいかがお考えなのか、まずこのことからお尋ねしていきたいと思います。
  161. 森実孝郎

    森実政府委員 まず数字で申し上げますと、夫婦二人の国民年金の保険料を加えますと、農家としての保険料負担は月額一万八千九百七十円ということになります。しかし、年金額も制度の改善充実により増加しておりまして、現在の時点で約十年で申しますと、平均の年金月額は五万三千円ということになっているわけでございます。  年金財政の長期収支の均衡という視点から再計算いたしてみますと、五十六年度のベースでは八千五百六十七円を設定する必要が農業年金自体にあったわけでございますが、急激な負担増を緩和するという意味で、五十七年一月の時点の五千百円から毎年四百円ずつ上げていくという体制をとっているわけでございます。そういう意味におきましては、いろいろ御議論はあるでしょうけれども、農業年金制度自体はまだ完全な給付段階にはなっておりませんし、また、全体の年金財政の収支状況は非常に難しい状況にあるという点から見て、こういう緩和措置を講じたということを御理解賜りたいと思います。
  162. 上西和郎

    ○上西委員 これは、それ以上ここで突っ込んでもどうということにならないでしょうから、現に加入している方々の負担の限界を超えつつあるこの保険料の増高に最大限歯どめをかけていただきたい。とりわけ付加掛金四百円をばっちり強制加入させているのですから、こういった点については農林水産省としても厳しく対処をしていただきたい、こう重ねて申し上げておきます。  次は、経営移譲年金に関して幾つか具体的な問題提起を含めてお尋ねしたいのであります。  まず第一点は、私、最初の農林水産委員会の質問のときに申し上げましたが、経営移譲年金の資格条件の緩和はどうしてもできないのか。農業経験を一年に短縮をする、あるいは第三者に貸し付ける期間を五年間にする。そうでしょう、極端な言い方をすると、実際、経営移譲年金は五年しか出ないんだから。それを、どうしても十年間貸し付けろ、こんなことをやるから農業委員会泣かせになってしまう。現実に五十八年、去年一年間を見たって、相当多数の方が農業年金をもらえないまま六十歳を超えているはずであります。そうした現実に即して、そういったことについて具体的な取り組みはできないのかどうか。局長、どうでしょう。
  163. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  二つの点の御指摘があったわけでございます。  まず、経営移譲の要件を緩和できないかどうか。  これは、使用収益権の設定という道を開くことによって大棚に受給者の範囲が現に広がったという事実があることをまず御理解賜りたいと思いますし、また、そのことによって実は年金収支の状況が非常に悪化してきているということは事実でございます。農業年金を将来とも安定した制度として定着させるためには、長期的な財政収支としてどこまで成り立っていくのかどうか、それからもう一つは、時代の進展に応じて、構造政策純化ということが農政で叫ばれている折、いわゆる構造政策上の効果を厳格に発揮できるように考えるべきではないかという問題があります。この二つの問題は、他の条件を固定して考えるならばむしろ非常に厳しく考えろという議論になるだろうと僕は思います。しかし、年金制度というものは、既に発生している既得権もあるわけですし、ある程度定着している実態もあるわけですから、そこはやはりそうドラスチックなことはなかなかできるものではないし、またやるべきではないだろう。しかし、逆に言うと、今申し上げた前提があるということであれば、私は、緩和という問題は一般論としてなかなか難しい点があるということは御理解賜りたいと思います。  そこで、特に第二点として使用収益権の存続期間を十年から五年に短縮する問題でございます。  これは、実は上西委員のおっしゃったこともよくわかるわけでございますが、裏返して申し上げますと、経営移譲年金は五年間が限界なわけでございますから、むしろ六十五歳以上になってからの農業経営の再開を誘発する、つまり、言葉は悪いかもしれませんけれども、制度の本旨を損ねた脱法的な行為が行われるということにもなるわけでございまして、そこら辺の兼ね合いが非常に難しいという問題があることは御理解賜りたいと思います。それからまた農地法自体についても、御案内のように賃貸借の期間が十年以上のものについては許可を要しないということで、やはり農業経営としては十年たっかどうかということが一つの安定のメルクマールになっているという、そういう制度的なバランスもあるということは御理解を賜りたいと思います。
  164. 上西和郎

    ○上西委員 農業年金の収支が悪化しているということをおっしゃいましたけれども、もとをただせば加入目標が当初二百万人だったのでしょう。それが今百万を割っているわけでしょう。そういうふうな農業政策をやってきたんじゃないですか、大臣、局長と、私は逆に反間したいわけです。現実に二百万人の加入者が実現しておれば、農業年金は少なくとも当初の計画でいけば今のような収支の状況にはなかったはずだと、私は計数的には素人ですけれども、あえて申し上げたいのですよ。日本農業政策の貧困の結果として、加入者が当初目標の二分の一以下に落ち込んでいる。そのことについて責任とかなんとかじゃありませんけれども、現実にそういったことがあるのではないかという意見を私は持っております。局長は首をひねっておられますが、やはり分母が大きいほど制度はいいわけですから、そういう意味で、素朴な意見でありますが、申し上げておきたいと思うのです。  次は、具体的な問題になります。  このごろ五十代で死ぬ方がどんどんふえている。昭和一けたぽっくりなんて言われまして、私などもそれに該当する年齢なんでありますが、農業年金加入期間中にあとわずかで亡くなる、あと三年か五年というところで亡くなるという方が随分出てきていると思うのです。そういうときに、奥さんが農業を引き続きやっていくようなときに、残期間奥さんに加入を認めて、合計で奥さんに将来経営移譲年金を出す、こういったことについてはお考えはいかがでしょうか。
  165. 森実孝郎

    森実政府委員 農業経営の実態論から奥さんの地位をどう見ていくかということは、各般にわたってあることは私も承知しております。  ただ、御案内のように、年金の受給資格というのは一身専属的な法的地位というふうに見ざるを得ない本質があるわけでございます。そういう意味におきましては、奥さん自身は実は自分自身が国民年金に加入して受給者になることができるわけでございまして、私、その点はなかなか難しい問題点があるのではないだろうかと思います。  ただ、釈迦に説法でございますが、もう既に被保険者が死亡した場合には脱退一時金と同じ死亡一時金が遺族に支給される制度農業年金はなっていることは御理解賜りたいと思います。
  166. 上西和郎

    ○上西委員 釈迦に説法とおっしゃるけれども、私もまだ素人でございますから、何といったって農水省きっての切れ者の森実局長には到底及びませんから。  そのことについては、難しいかもしれませんが、ぜひ御検討いただいて、農業をやって奥さんもずっと国民年金だった、そういう場合に御主人が資格期間を満たさずに亡くなった場合に、脱退一時金とかなんとか言わずに、残期間を奥さんに加入を認めて、そして合算して農業年金を渡す、こういうことについてぜひ前向きにお取り組みをお願いしたいと思います。  具体的な問題で、寡婦年金の創設は考えられないか。今私が申し上げたのは、年数を満たさない場合に残された奥さんに引き続き継続加入を認める。今度の場合、加入期間を満たしていた、そうしてもらわないままに亡くなった場合は、国民年金の寡婦年金的な発想で経営移譲年金の二分の一を六十から六十五歳まで未亡人に支給する、また現に六十を過ぎて経営移譲年金をもらっていた場合でも、残年月分の受給資格がある部分については奥さんが六十から六十五になったときに寡婦年金的な発想でせめて二分の一支給する、こういうようなお考えはお持ちにならないかどうか、お尋ねしたいと思います。
  167. 森実孝郎

    森実政府委員 寡婦年金の問題につきましては、農業年金制度成立以来あるいは改正ごとに方々から御議論をいただいている問題でございまして、私どももいろいろ検討はしていることは事実なんです。  ただ、これも繰り返して申し上げて恐縮でございますが、国民年金の付加年金という制度になっている。そして農業者の妻の老後の保障は、私が申すまでもなく国民年金により処理することになっている。もし妻が六十五歳に達する前に夫が死亡したときは、基礎年金である国民年金に母子年金なり寡婦年金という遺族補償がある。そういう中でさらに農業年金に寡婦年金を押し込むということは、保険制度の論理から見てなかなか難しい点があるということはひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。     〔玉沢委員長代理退席、上草委員長代理着席〕
  168. 上西和郎

    ○上西委員 局長がおっしゃることは、それなりに私も理解できないでもないのです。ただ、現実に一万二千円を超える保険料が毎月徴求をされている。そして、あげくの果てに一円ももらわない、あるいは受給開始直後に亡くなってしまう。そうしたときに、残された未亡人になった奥さんに経営移譲年金の部分について寡婦年金的な発想はどうかということを、私は素朴にボールを投げておりますから、ぜひ御検討いただきたいと思うのです。  次は、先ほど細谷委員からも質問したことでありますが、農協の常勤役員だけじゃなくて、進出企業が結構ございますね。地方に、農村地帯に進出した企業、中小企業その他を含めて、そういうところが今不景気のあおりで倒産する、あるいは引き揚げる。そうしたときに、二年、三年、ああ、いい工場ができたと言って農家の方々が、農業年金加入だった方がそこへ働きに行くと、当然のことながら社会保険適用、自動的に農業年金脱退。そしてぽしゃった。そしてまた再び国民年金に返ったときに、わずかそこの三年、五年のことで農業年金の方に何にもなくなる、こういうことが現実にあるわけです。ですから、私、農林団体の常勤役員のこともさることながら、そうしたことも踏まえて、その期間、例えば農林年金に入っていた期間あるいは社会保険適用事業所に勤務した期間等について国民年金のみなし加入期間的な発想は検討できないのか。その期間をみなしとして与える、受給資格として認めていく。ただし、年金の計算は保険料納入期間にとどめる。こうしたことは、厚生省のすばらしい知恵をおかりになってでもぜひ実現をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  169. 森実孝郎

    森実政府委員 いろいろ御指摘を受けます点について、必ずしも前向きでない答弁ばかりを申し上げてはなはだ恐縮に存じておりますが、確かに上西委員御指摘のように、いわゆる農林年金との関係だけではなくて、やはり基本的には厚生年金の関係をどう見るかという問題だろうと私も思います。  しかし、御存じのように、農業年金自体が国民年金の付加年金として仕組まれておりまして、制度としては全く農業年金には通算ということは論理的に出てこないという問題があること。それから短期の出稼ぎ者等につきましては、実は現行法でも農村の出稼ぎの実態に着目して解決している部分があること。それから、実は先ほどもちょっと申し上げましたが、まだ加入期間が短い。いわば広い意味での経過期間でございますが、農業年金自体がかなり定着して長期のものになれば、私はその問題は実質的には解決する場合がかなりある。特に具体的な問題としては、厚生年金を受給する場合、給与のベースが非常に高いような場合はトータルとして見ると有利な場合も考えられる、こういったいろいろな点から見まして、なお検討しなければならない課題とは思いますが、今の年金収支の状況なり制度の特殊な性格から見て、なかなか難しい点があることは御理解を賜りたいと思います。
  170. 上西和郎

    ○上西委員 局長のお答えは、先ほどから申し上げますように大変苦渋に満ちたお答えだ。私が申し上げることはよく理解できながらも対応できないもどかしさすら感じるのでありますが、そうは言っても、こうした制度基本的にどう加入者をよくしていくかということがなければ絵にかいたもちに終わると私は思うのです。そうした意味合いで、なかなか難しい条件はおありでしょうが、加入者、被保険者の立場で率直に要望をぶつけているわけでありまして、ぜひ前向きにお取り組みをいただきたい、このように考えます。  次は、前回も申し上げたことであります。今度「のうねん」に相談コーナー的なものが設置をされて、これは森実局長がそれこそ果敢に実行に移されたことだと改めて敬意を表しますが、あと一つ、せっかくきょうは厚生省もお見えでありますが、国民年金の給付の問題についてもっとページを割いてでも知らせるべきではなかろうか。農年の給付関係だけではなくて、国民年金、とりわけ障害年金、寡婦年金、遺児年金、こうした問題等についてもっときめ細かく「のうねん」等を通じて伝達をいただきたい。  というのは、先ほど寡婦年金とかいろいろおっしゃったけれども、御不幸があった、そうすると地域の有力者、町内会の役員、民生委員等が来て、ああ金が要るだろうと言ってばっと走っていって市役所、町役場で死亡一時金をもらってくるのです。国民健康保険の埋葬料をもらってきちゃう。そして、あしたの坊さんのお布施はこれで足りるだろうとやっちゃう。その場はありがたい。四万か五万あるから、ああ助かったとなる。ところが、それをもらっちゃったら寡婦年金はもらえぬのです。十分御承知と思います。この選択制をとっていることが厚生省けしからぬと私は言いたいのだけれども、答弁は結構です。そういったことがあるので、選択制になっていることも踏まえて、農年加入者は即国民年金加入者だ、このことを徹底的に御理解いただいて、他の制度国民年金制度について「のうねん」等を通じてより一層きめ細かに周知徹底を図っていただきたい、こう考えますが、いかがでしょう。
  171. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘の点は、私も全く同感でございます。やはり付加年金でありますが、国民年金自体を十分理解していなければこの問題も理解していただけないわけでございますから、御指摘の点は、役所といたしましても農業年金基金といたしましても十分検討するよう心がけさせたいと思っております。
  172. 上西和郎

    ○上西委員 あわせまして、私それこそ地べたをはいずり回ってきておりますから、あちらこちらで聞くのは、経営移譲年金をもらうときに、極端な言い方をすると贈与税をふんだくられた、こういう声をしばしば耳にするのであります。農業年金の係の方とか農業委員会あたりに行くと、いやそれは事実上免税措置があるんだ、こういうことになるのですが、例えば満五十九歳になった方方はわかるわけですから、そういった方々に何らかの形で、経営移譲年金を受給される、名義変更のときに贈与税等がかからない制度があるんだということを、裁定を受ける以前に何とか知らせる方法はとれないのかということがあるのですが、いかがでしょうか。
  173. 森実孝郎

    森実政府委員 ただいまの件につきましては、実は私、上西委員から御質問の通告を受けまして、事の意外に驚いております。  もう私が申すまでもなく、後継者移譲につきましては、農地の全部及び採草放牧地の三分の二以上を一括して推定相続人の一人に贈与した場合については徴収猶予があり、さらにそれは相続猶予にリンクして、二十年間農業経営を維持した場合においてはいわゆる大幅に相続税が減免されるという形になって、この制度はそれなりに定着してきていると思っております。  それから、第三者に移転する場合につきましては譲渡所得になるわけでございます。これにつきましても、実は五百万円の特別控除が認められておりまして、多くの場合はほとんどこれでカバーされている。市街化区域の農地あたりでどう考えるかという難しい問題はありますが、カバーされているという実態にあるわけでございます。  その意味で、なおそういう実態があるのかどうか、私も十分把握いたしまして、これは農業委員会が主としてPRに当たっている仕事でございますから、農業委員会にも考えていただいて、そういう相続税制の優遇の実態については、よく理解をしていただくように努力いたしたいと思います。
  174. 上西和郎

    ○上西委員 農水省がそうした努力をなさったことを、私、何も否定しているのじゃないのです。しかし、結果として現実に贈与税をふんだくられていると私が言ったのは、やはり頭に来ておるわけですよ。経営移譲年金をもらうために子供に譲ったのにこうなっちゃうので、その辺きめ細かな、より具体的に、しかもそれが加入者に広がっていくような手だてを、それこそ迅速に実現されますことを心からお願いしたいと思います。  私、最後に、森実局長に一言御要望申し上げて質問を終わらせていただきますが、私は、初当選でございます。忘れもしません、四月四日の夜、阿部委員長委員長就任レセプションに参加をしたときに、私、新参者でありますから、ずっとこう杯をして回っていたところ、向こう側から、一滴もアルコールを飲まない森実局長がジュースを持って私のところにおいでになった。政府高官が、と思ってびっくりしました。何でしょうか、先生、農業年金をよくしましょう、どんどんおっしゃってください、できることは何でもやりますとおっしゃった。私、そのお言葉はいまだに耳にこびりついているのであります。これほど農業年金を理解し、改善に意欲を燃やしている森実さん、惜しくもきょうを限りにそのいすをお去りになる。私、ある意味では極めて残念な思いがいたしますが、少なくとも森実局長がお持ちになった農業年金をよくしていこうというその烈々たる気迫が後任の方にばっちりと伝わるように、すばらしい事務引き継ぎをして、今後そのことが農水省の中で花開くことを心から御期待を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  175. 上草義輝

    上草委員長代理 関連して、松沢俊昭君。
  176. 松沢俊昭

    松沢委員 三人の同僚議員の皆様の方からいろいろと御質問がございましたので、私は、今までの質疑の中でまだ理解しにくいところの問題がございますので、それにつきまして御質問いたしたいと思います。  一つは、公的年金制度の改革について閣議決定がございますね。そこで、国民年金だとか厚年だとかいうものは五十九年から今行われているわけでございますが、共済関係は六十年でその基礎年金の導入を図る、そういう改革をやれ、そして六十一年から実施する、こうなっているわけであります。これは、基礎年金は財源の面において三分の一は国の方で補助をして、三分の二は年金そのものが出す、こういうことになるのですか、どうですか。
  177. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  今回御審議をいただいております厚生年金国民年金制度改正の法律案におきましては、国庫補助については国民年金法において支給する基礎年金の方に集中することになっておりまして、厚生年金保険法における給付については補助をしないことにな。ているわけであります。  それで、共済年金の方で基礎年金を導入することにした場合にそれに伴う国庫補助をどうするかという問題でございますが、これは農林年金のみならず公的年金制度の国庫補助のあり方についての全体的な検討も必要であると考えておりますけれども、現在のところ、二月二十四日の閣議決定では何も決まっておるわけではございませんので、私どもといたしましては、農林年金制度の独自の背景、沿革、過去の経緯とか財政事情というものも十分踏まえて、農林年金制度の安定的な運営ができるように周到に検討してまいりたいと思っているところでございます。
  178. 松沢俊昭

    松沢委員 文書がこれだけしかないと思いますから、細かいことはこれを見てもわかりませんし、局長の方でもそういうところはまだわからぬと言われれば、まるっきりだれもわからぬということになるわけでありますが、大体の目鼻というのはつけてかかっていかなければならぬと思いますので私聞くのですけれども、今、農林年金の場合においては国の方から一八%の補助がありますね。基礎年金というものができると、その基礎年金というのは国民年金、厚生年金、いろいろなところに全部でき上がってしまうわけですから共通してくるわけでしょう。基礎年金は全部同じになるわけでしょう。だから、国民年金そのものが基礎年金になるということになれば、それに準じたものが農林年金の中にもでき上がる、こうなるのじゃないですか。そして、そのほかにいわゆる二階と言った方がいいですか、その上に農林年金というものが重なる、こういう格好になるのだと私は思いますが、どうですか。
  179. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  基礎年金というのが各制度横断的なものになるのか、それぞれの制度の中に基礎年金というものがあるのかということも、二月二十四日の閣議決定では別に何も決めているわけではございませんので、私どもとしてはそれもこれから検討すべき問題であると思っておりますので、今の点はこれからの検討結果次第でございますから、今ちょっと何とも確定的には申し上げかねるわけでございます。
  180. 松沢俊昭

    松沢委員 六十一年度から基礎年金を導入するというふうにこの閣議決定には出ているわけですね。そして、そういうものができ上がっていってから、各制度がありますから、その給付と負担の両面において違っている面を調整して、昭和七十年を目途にして公的年金制度の全体の一元化を完了させる、こうなるわけだから、最初は基礎年金、そして基礎年金を合併して一つのものになるとか、そういうことは別としても、基礎年金というのはどの年金も大体同じ年金になっているのじゃないか。  その上に、例えば農林年金の歴史もありますし、それから体系もあるわけであります。あるいはまた地方公務員なら地方公務員の場合においても、その年金の歴史と体系があるわけであります。したがって、それを一遍に一緒にするというわけにいきまぜんから、まず基礎年金で基礎の方を一応勢ぞろいさせて、そしてその次には今度は七十年を目標にして、制度間の違っている面の調整をやって全体の一元化を図るというのが要するにこの文書の趣旨なんじゃないですか。どうですか。
  181. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  六十年度に行われます改正が、今回の厚生年金国民年金制度改正、すなわち基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿ったものであるということは、閣議決定でも既に決まっておることでございますから、六十年度に行われます改革がそういうものであるという意味では先生御指摘のとおりでございます。  それから、閣議決定の最後の項目にございますように、長期的には、すなわち七十年度までには一元化を展望する、そういう展望のもとで六十年度の改革が行われるということも先生御指摘のとおりでございます。
  182. 松沢俊昭

    松沢委員 どういうふうにどうなるということを具体的に今説明せよと言っても、まだそれは決まっていないんだ、これはわかりますけれども、今私が申し上げました趣旨がこの文書だ、こう解釈して差し支えないですか。
  183. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 先ほど申し上げたとおり、基礎年金を導入する等の趣旨に沿った改革が六十年度に行われるということはまず間違いないわけでございます。それから、閣議決定の第四項に書いてございますように、七十年度までには一元化をするということも間違いはございません。
  184. 松沢俊昭

    松沢委員 私もどうもよくわかりませんけれども、答える方もまだはっきりしないようだから、これはどうしようもない話だと思いますけれども……。  関連して質問いたしますけれども、五十六年に行革国会が開かれまして、行革関連の特例法ができて、そして農林年金に対しまして一八%の財政補助があったのを、その四分の一をカットした。これにつきまして、私も五十六年十月十九日に連合審査に加わりまして、当時の亀岡農林大臣それから渡辺大蔵大臣、それぞれの方々に対しまして質疑をやっているわけでございます。  結局この質疑の中でやりとりがあったのは、法律の中に、二つの財政を考えながらやってみるということなんです。一つは国の財政、それからもう一つ年金そのものの財政、どっちのためにもなるようにどっちも考えながらうまくやっていくんだ、こういうふうな文章がこの法律の中にあるわけであります。そこで、このときにおきましては国家財政の再建は五十九年を目標にしてやっていく。でありますから、五十七、五十八、五十九と三カ年間四分の一のカットをやるが、これは年金から金を借りたという受けとめ方でいって、そしてその借りた金に対しましては利子をつけてなします、こういうことを答弁しておられるわけです。そこで、それじゃ返す場合における利息というのは一体どうなるのだ、六十年から返すのかということでいろいろ議論いたしましたけれども、返す時期というものはいわゆる年金の財政安定が損なわれないという期間内に返しますということに実はなっているわけであります。この際、亀岡農林大臣は農林年金の場合においては昭和七十年ころまでは心配なく年金運営というものがやっていかれる、こういう見通しである、こういうことも答えておられるわけであります。  そこで私はお聞きしたいわけでありますけれども、今佐野局長といろいろやりとりをやりましたが、七十年を目途にして公的年金の一元化を政府は目指しているわけです。一元化ということは、全部同じような状態にしようということを目指しているのだと私は思っているわけです。結構なことでありますけれども、これはまた非常に難しい話だと私思います。しかし、そういうような方向でいっているときにおきまして、財政再建が五十九年で予定どおり再建がなってしまえばよかったわけでありますけれども、これがなすことができなくなって、今では六十五年ということになるわけですね。そうすると、この三カ年間で約百六十億円くらい貸したことになっているわけです。その金はいっ、利息をどの程度にして払ってもらうつもりなのか、財政の再建の見通しが狂ってきた時点でもちろん大蔵省とお話をされたと思いますが、それらの経過につきまして御説明を願いたいと思うわけです。
  185. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  今松沢先生の御質問がございましたが、松沢先生の御質問のときの議事録を読んでおったのでございますが、それによりますと、当時の渡辺大臣は「仰せのように、三年先になったら確実に財政がよくなるかというと、わからない、これはわかりません。したがってはっきり書けない。」返し方ですね。「財政が確実によくなれば一度に返すということもできるでしょうが、そのときの財政事情を勘案をして、年金財政にも支障を来さないようにしながら、財政当局の事情もごしんしゃくいただいて、一度に返すか、何年かけるかというようなことをそのときに決めさしていただきます、こういうことなので、わざとそこははっきりと固定的に書かないで、そのときの財政事情を勘案しながらお返しをする、こういうことになったわけでございます。」というふうに答弁しておられるわけです。  私どももまさにそういうことであるというふうに思っておりますので、これから財政当局との間で御相談を進めていかなければいけないわけでございますが、私どもといたしましては、年金財政に支障を来さないということは国の財政事情云々ということのためにないがしろにされていいことではございませんので、あくまでも年金財政の健全性を維持するという見地に立って財政当局と御相談をしてまいりたいというふうに思っております。
  186. 松沢俊昭

    松沢委員 これについて、大蔵省はどんなお考えなんですか。
  187. 小村武

    ○小村説明員 行革関連特例法に基づく年金国庫負担の減額分及びその利息分については、先ほど経済局長からも御答弁ありましたように、将来にわたる年金財政の安定を損なわないよう、かつ特例適用期間経過後において国の財政状況を勘案しつつ、できるだけ速やかに繰り入れを行うということを繰り返し御答弁申し上げているところでございます。
  188. 松沢俊昭

    松沢委員 私の心配するのは、六十年から手をつけて、六十一年から年金の中身は変わっていくでしょう。農林年金の中に基礎年金というものができることになりますか、あるいはまた基礎年金というところに連合した一つのものができ上がるのか、それはよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても今の農林年金制度とは中身が変わってくる。そうすると、例えば基礎年金のところに国庫補助が仮に三割入ることになると、今までの一八%というのはそれでも返してよこすことになるのか、こっちの方に出したからこっちの方は削るのだということになるのか、そういうところに私は非常に疑問を持つわけなんであります。  年金問題は、つまり金の問題なんでしょう。だから、日本の平均寿命はうんと延びまして、老後保障をやっていく。金を出す方法としては、掛金を上げるかどうかという問題が一つあるでしょう。それから、給付の年齢を引き上げるかどうかという問題が一つある。それから、給付額を引き下げるという問題も一つあると思うのです。それともう一つは、国の方の財政援助という問題、この四つが絡んでいると思うのであります。そういう点からいたしまして、返す返すと言っていながら、年金制度内容をこういうふうにして変える、ああいうふうにして変えるということで、七十年までのうちにまるっきり変わってしまった、それで一八%返すつもりであったのも変革する中で返したのか返さぬのかわけのわからぬ結果になるおそれがあるのじゃないかということを心配して私はお聞きしているわけなんであります。そういう点はどうなんでしょうか。
  189. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  特例法によりまして縮減された金額が幾らであるかを計算するにつきましては、一八%をベースにしてそこから起算して幾ら縮減されたかということを計算するわけでございますから、今後予定されております年金制度改革でいかような事態が起こりましようとも、特例期間について縮減された金額の計算の起算点がそれによって動いてしまうわけではございませんので、その点は先生御心配のような事態は起こらないはずだというふうに私は思っております。
  190. 松沢俊昭

    松沢委員 じゃ、確認しますけれども、基礎年金というものを導入して、基礎年金に対して財政的な補助が仮にあった、そして基礎年金ができ上がつた、しかし貸した金は貸した金なんだから、基礎年金に補助があったとしてもそれは別問題だ、一八%の四分の一貸したのだから、総額にして百六十億、しかも年々分けて貸しているわけです。年々だから、年ごとに金利も下がってくるでしょう。それじゃ、そのものは返してもらうのだ、こういうはっきりした確認はして差し支えないですね。
  191. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  特例法の七条一項によりますと、「特例適用期間における各年度に係る農林漁業団体職員共済組合法第六十二条第一項第一号の規定による国の補助については、同号の規定にかかわらず、同号に掲げる額の四分の三に相当する額を当該補助の額とする。」ということでございますから、これは、この規定によって縮減された金額が幾らであるかということが今後の年金制度改革によって動くいわれはないというふうに考えております。
  192. 松沢俊昭

    松沢委員 金額というのは毎年出しているのだから、それはわかりますよ。要するにそれを返してよこすのかよこさぬのか、こういうことであって、しかもそれはカットしたのですよ。カットしたのを、借りました、貸しましたというその当時の大蔵大臣と農林大臣が国会で確認し合っただけなんです。だから、貸したところの証文というのはあるのですか。
  193. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  それが第七条の第二項でございまして、第七条の第二項によりますと、借りた金額というのは、「特例適用期間における各年度に係る農林漁業団体職員共済組合法第六十二条第一項第一号に掲げる額と前項の規定により現に補助した額との差額」というふうに書いてございますので、これは法律に書いてあることでございますから、これ以上確かなことはないと思っております。
  194. 松沢俊昭

    松沢委員 それじゃ、それを農林大臣はいつ返していただくというお気持ちになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  195. 山村新治郎

    山村国務大臣 行革関連特例法によりまして五十七年から五十九年にかけての補助金縮減分について、農林年金の財政安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ適切な措置を講ずることとなっておるということでございます。  そこで、私といたしましては、当初からの考え方を変更することなく、金利をつけて縮減分はお返しいただくというつもりでございますし、今後も財政当局とその線で折衝してまいるつもりでございます。ただ、国の財政状況を勘案しつつ考慮するということもございますので、私としては、大蔵省許してもらえるなら早速返していただきたいという気持ちでございます。
  196. 松沢俊昭

    松沢委員 少なくとも六十一年から年金内容が変わってくるわけなんです。特例法から言うならば来年から返済期に入るわけですから、やはり六十一年度前に返還してもらっておくのが一番心配ないじゃないか、こう思いますが、どうですか。
  197. 山村新治郎

    山村国務大臣 大蔵省と交渉してみます。
  198. 松沢俊昭

    松沢委員 ぜひ交渉していただきたいと思いますが、大蔵省の方は、六十五年まで再建の見通しがっかぬ財政の状況だということになると、そういう交渉をやった場合においては、それにもかかわらず、それはそれとしてやはり三カ年間借りたのだから、六十年から返済期に入っているわけだから、六十一年で返してくれ、こうなれば、返しましようという状況ですか。そういう態度で臨まれるのですか。どうですか。
  199. 小村武

    ○小村説明員 特例期間経過後速やかにお返しをするということでやっておるわけでございますが、反面、国の財政状況も勘案しつつということでございまして、残念ながら今明確にいつからお返しをする、減額分を補てんするということをお答えできるような状況ではございません。
  200. 松沢俊昭

    松沢委員 いつ返すなんということは、ここではなかなか答えが出てこないと私も思っております。思っていますけれども、年金改革はどんどんやれやれで、金は返すんだと言いながら、七十年が過ぎてしまったら、借りたんだかもらったんだかわからぬ状態が必ず来るのではないかと私は思うのですよ。だから、そこで何回も何回も同じことを念を押しているわけなんです。  やめますが、農林大臣、とにかく佐野さんは佐野さんで今度水産庁の長官なんであります。きょう一日限りでありまして、こう責めてもどうしようもないと思いますけれども、農林大臣は厳として農林大臣なんでありますから、そういう点、近近にまた一般質問をやりますので、それまでの間に、大蔵省と、その辺どうなるんだか、それからもう一つは、基礎年金を共済年金の中に導入せいということは、一体どういうことをどういうふうにしてやれということなのか、そういう点をはっきりと答えるようにしておいていただきたいと思いますが、どうですか。
  201. 山村新治郎

    山村国務大臣 早速大蔵省の方の感触を探ってまいります。
  202. 松沢俊昭

    松沢委員 じゃ、これで終わります。
  203. 上草義輝

    上草委員長代理 次回は、来る十日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会      ――――◇―――――