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1984-05-17 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十七日(木曜日)     午後二時一分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君 理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       高橋 辰夫君    月原 茂皓君       中村正三郎君    野呂田芳成君       羽田  孜君    保利 耕輔君      三ッ林弥太郎君    山崎平八郎君       金子 みつ君    串原 義直君       新村 源雄君    田中 恒利君       細谷 昭雄君    安井 吉典君       駒谷  明君    武田 一夫君       水谷  弘君    神田  厚君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  山村新治郎君  出席政府委員         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         農林水産政務次         官       島村 宜伸君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         食糧庁長官   松浦  昭君         林野庁長官   秋山 智英君         林野庁次長   後藤 康夫君         水産庁長官   渡邉 文雄君  委員外出席者         公害等調整委員         会事務局総務課         長       紀 嘉一郎君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         厚生省薬務局安         前課長     小宮 宏宣君         林野庁業務部長 田中 恒寿君         商産業貿易         局農水課長  土田 清蔵君         気象庁予報部長         期予報課長   朝倉  正君         気象庁海洋気象         部海務課長   小長 俊二君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 五月十七日  辞任           補欠選任   松沢 俊昭君       金子 みつ君 同日  辞任           補欠選任   金子 みつ君       松沢 俊昭君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
  3. 田中恒利

    田中(恒)委員 実は私の選挙区でもあるわけでありますが、愛媛県北宇和郡津島町の国有林の中で、十三年前の昭和四十六年に、今非常に問題になっておりますダイオキシンを含んだ除草剤ブラシキラー乳剤が埋められておった。これがマスコミを通じて最近表に出たわけでありますが、この問題につきまして林野庁は、どういう経過でこういうことになったのか、現状はどういうふうになっておるのか、とりあえずまず状況を本委員会に御報告をいただきたい、こういうように思います。
  4. 秋山智英

    秋山政府委員 先生今御指摘の事案につきましては、高知営林局全林野四国地方本部との間におきまして2・4・5T除草剤の当時の処分方法をめぐりまして話し合いが行われておったわけであります。新聞報道によりますと、五月九日に四国地方本部関係者愛媛大学助教授同行のもとに現地に入りまして埋没箇所発掘を行ったことが発端となっております。
  5. 田中恒利

    田中(恒)委員 それで、それからどういうふうな現状把握をしていらっしゃるわけですか。
  6. 秋山智英

    秋山政府委員 営林局といたしましては、この発掘の情報を十二日の夜に入手いたしまして、翌十三日に早朝から愛媛県の関係機関同行を得まして現地に参りまして現状把握を行ったわけであります。また同時に、各営林局に対しまして当時の処理状況把握するよう指示いたしまして、当時の関係者からの事情聴取などによりまして現在調査を行っているところであります。それからさらに、十六日には林野庁担当官を二人高知営林局に派遣いたしまして、高知営林局のこの問題に対しましての処理状況について現在調査に当たらせている最中でございます。
  7. 田中恒利

    田中(恒)委員 長官は、林野庁営林局営林署を通してこういう事態が引き起こされた、問題の発端はそこにある、このことは確認していらっしゃるわけですね。
  8. 秋山智英

    秋山政府委員 高知営林局からの報告によりまして確認をしております。
  9. 田中恒利

    田中(恒)委員 私はこの問題を十二日に知りまして、早速現地へ飛びまして現地発掘箇所も私なりに見てまいりましたし、関係者のいろんな意見もお聞きしてまいったわけでありますが、正直言いまして、ダイオキシンというものがベトナムの枯れ葉作戦などで非常に怖いものだ、こういう印象が強くあるものですから、現地では大変な混乱状態になっておるわけであります。例えば飲み水を飲んではいけないのか、こういう声も起きておりますし、現地住民の間では、そういえば体がおかしいのもこれが原因でなかったのか、こういう形で次から次へといろいろな声が広まっておるというのが現状であります。  これを埋めたところは八面山の八合目あたりでありますけれども、確かにそこから下に部落がありますし、川がありますし、十三年前に埋めた一斗缶が腐って出てきておるわけでありますが、そこから原液は確実に土壌を通して何らかの形で下へ流れておるわけですね。そして、その部落から二キロほど下へ行きますとダムがありまして、これがこの地方飲料水を供給する山財ダムというダムになっておるわけです。そういう状況を見ると、営林署なり営林局なり林野庁というものは、山を守らなければいけないのにどうもむしろ山を破壊しておるじゃないか、こういう形で、今日現地でもそういう認識が強まっておりますが、実は最近のマスコミの論調を見まするとそういうものがずっと広がりつつある、そんな心配をしておるわけであります。また事実、後でまたいろいろ御質問するわけでありますが、なぜあの山の中にこういう恐ろしい薬を埋めたのか、この問題を明らかにしなければいかぬと思っておるわけです。  この点についてはこれまで既にいろいろ調査をせられておるわけでありますが、現地把握された状況をもう少し細かく知らしていただきたいわけです。
  10. 秋山智英

    秋山政府委員 現地状況の前に若干経緯を申し上げますと、御承知のとおり四十六年に2・4・5Tの除草剤につきましては催奇性について疑問を生じたためにその使用中止いたしまして、直ちに通知の上、さらに連絡のあるまでかぎのかかる倉庫等に厳重保管するよう実は指示した経緯がございます。その後、同年十一月に、セメントなどと練り合わせましてコンクリートの塊といたしまして、水源あるいは民家から離れたところの土中埋没処理するように通知したわけでございますが、高知営林局の場合には、それ以前に関係機関の指導を得ながら埋没処理をしたという経緯がございまして、現在鋭意その現状把握しておる最中でございまして、その把握につきましてはまだ時間がかかるものと思いますが、できるだけ早く把握したい、かように考えておるところでございます。
  11. 田中恒利

    田中(恒)委員 その辺もちょっと細かく聞かなければいけないわけですが、ともかく林野庁は何をしておるのか。もう既に十日くらいになりますけれども、私ども聞くと、調査をしておる。その調査の結果も、実は的確になかなか報告がない。時期がいつであったとか量はどうであったとか、やっておるとかやってないとか、正直さっぱりわからなくて、私もこちらへ来て林野庁から相当細かいいろいろなデータを集めたいと思いましたけれども、なかなか思うようになりません。  しかし、ここで明らかにしておきたいのは、林野庁が、農林水産省がこの問題を引き起こしたということの責任の所在はまず第一に明確に確認をしておきたいと思います。これは大臣が来てから大臣に尋ねますが、政務次官、それは構いませんね。
  12. 秋山智英

    秋山政府委員 この問題に対しまして、安全問題は極めて重大でございますので、私ども、林野庁挙げましてこの問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  13. 田中恒利

    田中(恒)委員 それで、現地で出先は大体何をしておるのか。今言われたように、十二日に調査に行っておる。調査も、保健所や町やそういう関係機関皆さん一緒にやっておるわけですね、あなたの方から頼むということでやったのでしょうが。それから後は、現地では大変なパニックのような空気が出ておりまして、いろいろな人もお見えになるし、マスコミは入る。ところが、水は大丈夫なのか、あれはどうなのかというのだけれども、そういうものを今処理しておるのは地元の町、愛媛県、それからこの問題について調査をしてほしいと言われた愛媛大学立川教室がやっておるわけです。  国有林を管理する林野庁農林水産省は、あなたの調査というのは、いつ、どこで、昔、十三年前何をやったかという調査をしておるので、現場で大混乱を来しておるこの事態の中で、当面何をしなければいけないかということについての具体的な対応は私は余り耳にしてないわけですが、そういうことをやらなければ、現地では、林野庁はこんなことをしてかして、こんな大騒ぎになっておるのに一体何をしておるのだろうかということになるわけなんです。だから、それぞれの分野はありますけれども、健康診断もやってくれということで津島町は一斉に住民健康診断をやると言っておる。県は水をとって帰って県の段階でできる水質調査をやろうとしている。林野庁は当面のこの事態の中で現地に対して一体何をやっていこうとしているのか、その面が非常に不明確であります。この辺は何かお考えがあるわけですか。
  14. 秋山智英

    秋山政府委員 これは安全問題にかかわる点もあるわけでございますので、私ども、宇和島現地におきまして関係機関に御協力をお願いいたしまして、先生から今お話ありましたように水質調査とかあるいは土壌調査、さらには健康診断などもお願いしておるところでございます。と同時に、私ども、これからのそういう調査とあわせまして、立川先生その他学識経験者方々にも指導いただきながら、住民方々不安解消に努力をしていかなければならぬということで、現在いろいろと施策を立てておる段階でございます。
  15. 田中恒利

    田中(恒)委員 あなたの方からこれもするあれもするというようなことで起きておるのじゃないので、現地住民の方から体が心配だ、水は大丈夫なのか、検査を早くしてくれということで、住民に一番近い町村なり県の方から動きが今出てきておるわけなんです。私は、そういう問題も含めて林野庁一緒に一定の責任を担いながら進めていくというふうに理解してよろしいですね。
  16. 秋山智英

    秋山政府委員 一緒になりまして現在対応しているところでございます。
  17. 田中恒利

    田中(恒)委員 この問題は、後で大臣がお見えになってからも重ねて大臣意見を聞きたいと思いますが、問題は、今も長官お話しになりましたように四十六年四月六日に中止通達を出しておる。そして十七日に、農政局長名で「有機塩素系殺虫剤等処分について」という通達を出していらっしゃる。そして二日後の四月十九日に、林野庁長官が2・4・5Tの在庫品の取り扱いについて、ともかくかぎのかかるところでしばらく保管しておけ、こういう通知を出しておるわけですね。この後に、七カ月おくれて林野庁長官の名前で廃棄処分方法について通達を出しておるわけですね。  この通達の受けとめ方で、現地が、当時、十三年前でありますけれども、今だんだん明らかにされてきておるのは、私も現地へ行ってどういう埋め方をしておるのか発掘現場を見て理解をいたしましたけれども、どうも農政局長通達に基づいて廃棄方法がなされておる節が非常に強い。専門家もそうおっしゃるわけですね。そうすると、農政局長通達でどうもなされたということでありますが、この通達のいろいろな細かいことは申し上げませんけれども、こんなものを農政局長であろうがセメントでいろいろしょうが、山のああいうところへそっと隠すような形で埋め立てるということ自体が正しかったのかどうか、私どもは今なお疑問に思っておるわけですよ。当時はこういう方法でやればいいだろうということであったんでしょうが、恐らく全国各地の奥山に、方法はさまざまであったかもしれないけれども、当時使用中止になった農薬が、特に山林関係農薬は一斉に埋められておるわけですね。私は、そういう取り組みが山を守るという視点に立って正しかったのかどうか、実は今なお疑問に思っております。思っておりますが、そのことを今さら蒸し返してもいけませんが、ともかく四月六日から通達がぱぱぱっと出て、そして十一月の通達の間に七カ月も期間を置いて処分方法が出されなかった。これが一つの問題だと思うのですよ。これはなぜか、お調べになりましたか。
  18. 秋山智英

    秋山政府委員 四月に中止の指示を出しまして、十一月にセメント等練り合わせコンクリート塊として水源民家等と離れたところの土中に埋没するように通知したわけでございますが、これにつきましては関係機関とやはりいろいろと専門的に内容を調査検討する期間が十一月までかかりましたものですから、その間につきまして完全にこれを保管するように、そういう通達を出して指導しておったわけであります。
  19. 田中恒利

    田中(恒)委員 宇和島営林署津島町の国有林の中へ入れた時期は、大体いつごろと推定をせられておるわけですか。
  20. 田中恒寿

    田中説明員 大体十月の初旬のころというふうに推定されるところでございます。
  21. 田中恒利

    田中(恒)委員 そうすると、長官通達に基づいてなされたのではなくて、それ以前の、これは林野庁なのか保健所なのか、あるいは農林省の今の蚕糸園芸局ですか、そういうものなのか、何かはかのものに基づいてなされたと理解してよろしいわけですか。
  22. 秋山智英

    秋山政府委員 先生お話にございました農政局長の「有機塩素系殺虫剤等処分について」という通達が四月十七日に出ていますが、これは2・4・5T除草剤廃棄処分を直接指定したものではございません。当時、高知営林局廃棄処理につきましては、関係機関と相談の上、当該通達参考にしたのではないかというふうに考えられますが、その辺の事情につきましては現在現地に派遣して調査しておる最中でございます。
  23. 田中恒利

    田中(恒)委員 状況調査が遅いよ、長官。こんなことはすぐにわかるんですよ。私は明くる日行って、現地にこれを埋めた人にも会って、どういう状況でこの作業をやったか思い出してくれということで、確かにいつであったかということは何かぼんやりしてわからない、ただ、余り寒いときではなかったと思うというようなことは言っておりました。  それから、当時の営林署職員の方が、今はもうやめられている人がほとんどでありますけれども、あの山へ何時にいてくれと言われて軽四輪か何かで行ったんだ、そうしたら営林署のトラックがもう既に来ておった、だから営林署のだれか役職の方が来ておって、そしてここに穴を掘ってこれを埋めよということで作業をやった、作業をやったのはたしか三、四人おったと思う、埋めた個数は大体十二、三ぐらいだと思う、埋め方は一メートルか一メートル五十センチくらい掘って、下にビニールなりそれから石灰をまいてやった。こういう状況は、私は行って半日もかかればわかるのです。それをまだ調査中だ調査中だと言われるところに、この問題に対するおたくの方の受けとめ方にまだはっきりしない面を私は感じるわけでありますが、そういう状況でなされている。  特に、当時のいろいろな状況は、もう既に御承知のように公害国会が行われて、そして国会決議などを見ましても、この種の農薬についてはもう中止をせよということになって、その処置がいろいろなされておる。そして外では、特に林野に働く労働者の諸君はこれを吸ってきたわけですから、この状況を聞きましたら、今これほど問題になっているものを当時噴霧機で噴きまくって、この粉を、後でこれは粉から液になるわけですけれども、全部吸っているのです。そして、口の中が甘ったるくなって昼飯が食べられないという状況が来たものだから、このころに私の宇和島営林署の中でも、組合の方から署に対してこの薬は大丈夫なのかということで団体交渉で何回か議論されておるわけなんです。当時、あなたのところは人畜に被害なしと言明しているわけです。  後から申し上げますが、高知営林局四国地本との間で昨年秋ごろから話がありますね。五回やっている。これでも同じことをやっているのです。だから、この問題は新聞にぽんと出たからわかったということではなくて、既に高知営林局なり宇和島の場合は、その当時からみんな覚えているのですよ、その当時の関係者は。そういういきさつの中でなされた情勢があるわけです。  とすると、今長官はいろいろな関係団体と話をするので相当長い期間が要ったとおっしゃるわけだけれども、こんな毒物の処理にそんな七カ月もかからなければ通達ができぬという状況ではないはずだと私は思うのです。もっと急いで、外も騒いでおるし、国会の中でも問題になって、国会決議も御承知でしょう。ここで農薬取締法審議をなされて、衆議院も参議院もやっている。参議院なんか、きちんと2・4・5Tは速やかにやめよという決議をしているわけです。そういうものを受けての状況でありますから、七カ月ものんびりしたというところにこの問題の発端があるわけだし、周辺からこれをどうするんだ、危ないじゃないか、こういう話が世論として高まっておったときでありますから、それはできるだけ早く処理しなければいけないということになって、たまたま農政局長から出た通達に基づいてやった、こういうことになっておるのじゃないかと思うのです。  そういう意味では、当時のことを、もう十三年前のことを蒸し返してあなたにいろいろ言ったっていけぬといえばいけぬけれども、組織ですからはっきりさせておかなければいけませんが、こんなに遅く林野庁長官処分通達が出るなんというのは、当時の状況からいったら常識では考えられない。だから、私は専門家関係機関との話でこんなに長くなったということでこれを理解するわけにはいかないわけです。何かそのほかに理由がありますか。
  24. 秋山智英

    秋山政府委員 先ほど申し上げましたが、四月に中止しましてから十月に至る間、農政局初め厚生省関係機関と専門的な措置につきましていろいろと打ち合わせた結果、十一月にこれが出たというふうに承知をしているところであります。
  25. 田中恒利

    田中(恒)委員 そうしたら、十一月に出た長官通達で、これは高知の場合もそうですが、全国の場合にそういうふうに処分したのかという確認もやっておりませんか。  高知の場合は、この間まで通達に基づいてやったので何も間違ったことはしていない、こういうふうにおっしゃっておるわけです。宇和島営林署の署長さんも、まだ今お元気ですけれども、この方も言われるとおりやったのですと言い切っておられるわけです。宇和島営林署は間違ってやったのではなくて、これは局の方から必ずこういうふうにしなさいという通達が来てやっておるのです。そして、十一月にあなたの方からこういうやり方でやれといって、コンクリで埋めなければいけない、いろいろな土とまぜなければいけない、こうやっておるわけですから、そういう形でやったということを点検したのか。あるいは高知の場合は、先にやっておれば、その通知が行ったらやったところはもう一遍やり直す、こういうことも考えられるわけであります。問題は結果でありますから、結果は、間違ったやり方でやっておるものだからこんな形で問題が大きく広がってきたわけでありますが、その辺の状況はまだ把握されておりませんか。
  26. 田中恒寿

    田中説明員 高知営林局におきまして長官通達が参る前にそういう在庫処分をいたしましたのは、当時の関係者からいろいろと事情を聞いておるところですけれども、保管しているうちに缶に腐ってくる分なども出てきた、あるいはこれは除草効果の大変高い薬でございましたので、保管しているうちに黙って使われてしまうのではないか、それから、催奇性の疑念なども言われておりましたので、なるべく早くそういう危険性がないように処置するのが当然ではないかというふうな意見高知局としてはだんだん傾いてきた。  その際に、先ほどお話のありました塩素系殺虫剤処理方法がありまして、猛毒の一番強い殺虫剤についての処理方法を、この除草剤は三月までは普通物でございましたので、当時もまだ普通物的な感じを持っておった職員も多かったかと思いますけれども、催奇性によって劇物に変わったわけでございますが、殺虫剤についての処理方法参考にしてやることによりましてこれは万全であろうということで処理を行った。その後、約一月いたしまして、林野庁長官からのコンクリート化通達が参ったわけでございますけれども、それよりも塩素系殺虫剤に対するやり方の方が十分な方法であると当時考えたのではないかというふうに今推察されるところで.ございます。
  27. 田中恒利

    田中(恒)委員 長官通達が守られたかどうかということについての確認はされてなかった、こういうことですね。
  28. 田中恒寿

    田中説明員 その前の方法によりまして処置をいたしまして、その結果は営林局で全部回答をとった形跡がございます。そのようにして終わって、新たな長官通達によるやり方確認はいたしておりません。
  29. 田中恒利

    田中(恒)委員 この問題は、林野庁としては長官通達でこういう処分をしなさいということが決まったはずですから、それは確認せずに前のものでしておったというのも、何かよく理解できません。  この問題は、あなたのところは新聞でやられてびっくりしていろいろ調査しておると言うのだが、高知営林局管内で起きたことでありますけれども、四国のこの高知営林局では、この問題についての組合と当局との間の労使の話し合いが昨年の八月から既に五回にわたってなされておるわけです。私も組合皆さんにも事情をいろいろお聞きいたしましたが、聞いてみると、この四十六年に処理するときに、全林野組合は、これは自分たちが最大の犠牲者ですから、だからこの農薬をきちんと廃棄処分することに自分たちを立会させてくれと言ったけれども、あなたのところはそれはさせないということであったので、依然としてこれがどういうふうに処分されたのかということは問題であった。たまたまいろいろな話も出てきて、特にダイオキシンの問題が相当大きな問題になったので、去年の八月からこの問題であのときにどういう処分をせられたのか調査があったら知らせてくれ、こういう話をしておるわけでしょう。そうしたらあなたのところは、やろうかという答弁もしておる。当時の高知営林局でこのことに関係した人が何人かいらっしゃるようでありますが、そしてやるとかやらぬとか言いながら、結局何となく最後の方はあれはもう打ち切りだ、こういうことで話が詰まっていないのです。  ですから、これは八月から九月、十一月、そしてことしの四月、ことしの四月の段階では、マスコミがこの問題をずっと取材し始めてきておるという状況の中に置かれておるわけです。だから、高知営林局はこのことについては相当前から、この問題が非常に大きな問題になってきっつあるということを承知しておったはずなんです。それを林野庁長官は御存じでしたか。今は、何かそんな話があったというようなことを言っていらっしゃるわけだけれども。
  30. 秋山智英

    秋山政府委員 私、実はその報告を受けておりませんでした。新聞に出まして初めて知ったのが実情でございます。
  31. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは高知の問題だけですか。
  32. 秋山智英

    秋山政府委員 そうでございます。
  33. 田中恒利

    田中(恒)委員 高知以外にはこの問題は起きないということですか。
  34. 秋山智英

    秋山政府委員 現在、各営林局にその当時どういう方法でこれを措置したか調査中でございますが、現在報告を受けておる局におきましては、十一月以降の林野庁長官通達に基づいてやった報告が来ているのみであります。
  35. 田中恒利

    田中(恒)委員 十一月以降にやった報告が来ておると言われるわけですが、十一月以降にやったのとそれ以前にやったのと、どういうようにわかるのですか。
  36. 秋山智英

    秋山政府委員 昭和四十六年十一月五日に林野庁長官通達で出しておりますが、これにつきましては薬と土壌を混合してブロックにしてそれを地中に埋めろというようなことを初めとしました幾つかの指示事項がございますが、それに基づいてやっておるわけでございます。
  37. 田中恒利

    田中(恒)委員 林野庁報告が来ておるのはどことどこですか。
  38. 田中恒寿

    田中説明員 当時、全国的に薬剤が使用されたわけでございますが、関係書類が保存年限の関係でほとんど廃棄されておりまして、全国的に調査いたしておりますのは、当時の関係者からの聞き取り、個人的なメモあるいは印刷物等最大限あらゆるものを収集いたしまして当時の実情を把握しておるところでございます。  まだ二、三集計不可能がございまして、全体像を押さえるまでにはまいっておりませんけれども、大体九十営林署程度につきまして行われたということでございまして、もう余り日を置かずその実態については把握できると思っておりますが、その現在まで集まりました範囲内におきましては、ほとんどの署におきまして長官通達を受けましての処理方法処理をしておるように承知をいたしております。
  39. 田中恒利

    田中(恒)委員 それは恐らく営林署の署長から報告が来て、その報告書だけでしょう。実際に長官通達をした、例えばコンクリで埋めておったかどうかといったようなことを確認していないでしょう。もう既に木が生えておるとか、どこかわからないとか、そんな報告ばかりじゃないですか。
  40. 田中恒寿

    田中説明員 そうではございませんで、実際にそこで穴を掘ってそういう作業をした作業員の人方の、まだいらっしゃる方も相当いますので、聞き取りとか、あるいは課長として立ち会ったとか、当時いろいろ問題にもなりましたので、鮮明に覚えている職員もいるわけであります。そういう全体的な聞き取りの中で、現地を掘らずともこういう方法処理したということがほぼ確実に推定できたものを集計しているところでございます。
  41. 田中恒利

    田中(恒)委員 林野庁の今までのお話を聞くと、この問題の取り扱いは高知営林局が一歩先んじて長官通達前にやったので、その他の地区はほとんど長官通達に基づいて厳正な処理をしておる、こういうふうな御答弁だと理解をしてよろしゅうございますか。
  42. 田中恒寿

    田中説明員 現在までの掌握するところでは、そのとおりでございます。
  43. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは昔の話ですから、今細かいデータをそろえて、こうじゃないか、こうじゃないかというようなわけにはいきませんけれども、私どもが聞く範囲においては、まだまだその他の地区でも同じような形の処理をしておるところがあると聞いておる。きょうは、けさの東京新聞を見ると、青森と岩手でもずさんな埋設をやっておるということで、ここには大きな見出しで「一カ所で千二百キロも」埋めておるという。長官通達ではたしか一カ所で三百キロまでというふうになっておると思いますが、長官通達と既に違った形のことがなされておるという報道もきょうはなされておる。  私どもは実はそのほかにもいろいろ同じようなものがあるというふうに聞いておるので、これは何も高知営林局だけが先んじてやったものではない、こういうように理解をしておるわけでございますが、これほど関心が高まっておる問題でありますから、いずれこの問題については事実が明らかになっていくと思います。思いますが、あなたの方も決してきちんとしたものの結果ではないと私は思っておりますし、どう考えても高知だけがそんなに先駆けてやったということじゃないと思うので、これは速やかに全国的に正確な調査の必要があると思いますが、それらについてはどのような手を打たれておりますか。
  44. 秋山智英

    秋山政府委員 この問題につきましては、各営林局に的確に調査するように指示はしておりますが、やはり十三年前のことでございますので、書類がなかなか見当たらないという件もございまして、先ほど業務部長も申し上げましたとおり、関係者方々の当時の記憶によらざるを得ないところもございますし、いろいろの方法を講じましてこれは調査をしなければならない、かように考えておるところであります。
  45. 田中恒利

    田中(恒)委員 資料がないというのも、この前ここで例の福島交通の問題のときも同じような意見が出ていろいろ混乱をしたわけでありますが、都合のいい資料は出しても都合の悪い資料は出さぬということじゃ困りますよ。これは十三年前で、私ども自体も当時公害国会土壌汚染の法律の審議に加わった立場でまだ鮮明に浮かび上がることが多いわけでありますから、そんなに昔のことではありませんし、問題が非常に鋭角的に出てきておった問題だけに、調査をすればそんなに長くかからないうちにまとまるはずだと思っておるのですけれども、いつごろまでに大まかな輪郭がわかりますか。それは我々にも知らしていただかなければいけませんから。
  46. 田中恒寿

    田中説明員 多少精度には問題がございますが、大方の数字といたしましては来週前半くらいにはまとめられるものと考えております。
  47. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは、高知営林局の管内で、昭和四十六年四月に使用中止になったときに2・4・5Tが残量としてどこの地区にどれだけ残っておったのか、このことをひとつお知らせいただきたい。
  48. 田中恒寿

    田中説明員 高知営林局では、署長会議等を開きまして資料の収集等指示を徹底いたしておりますけれども、まだ完全な集計が私どもに参ってございません。
  49. 田中恒利

    田中(恒)委員 しかし、これは新聞にはもう非常に細かく出ておるのですよ。言えないですか。
  50. 田中恒寿

    田中説明員 こちらの資料と突合いたしまして、いろいろ外に出ました数字との乖離の理由等がなかなかつかめない、自信を持った数字とするためにもう少し調査をいたしたいということでございます。
  51. 田中恒利

    田中(恒)委員 これはあなたのところの内部資料で、高知営林局除草剤の署別の昭和四十六年四月五日の高知営林局造林課のデータですが、きちんとこれは載っておるじゃありませんか。これは示されぬのですか。出ておるじゃないですか。これは粒状のものが千二十キロ、乳剤が二千七百リットル、宇和島は乳剤が三百二十リットルですよ。これは署ごとに全部出ているじゃないですか。これは高知営林局の資料でしょう。
  52. 田中恒寿

    田中説明員 申しわけございませんが、私といたしましてはそれを直接見て照合いたしておりません。担当が現在数量をチェックしておるところでございますが、いろいろな資料の数字が突合性にちょっと問題がございまして、そこを詰めたいということでございます。
  53. 田中恒利

    田中(恒)委員 詰めたいと言ったって、何を詰めるのか。そしてちゃんと、この薬剤の測定試験はこういうふうにやって、こういうふうに使いなさい、こういう林業試験場のやり方の指導要領ですね、そんなものと一緒にきちんとありまして、ともかく四国営林局管内では今問題になっておる乳剤は二千七百リットル残っておるわけなんですよ。  私のところの今問題になっておる宇和島は三百。この三百のうち今表に出ているのは恐らく二百ぐらいのもので、あと百は出ていない。まだどこかほかのところにあるんですよ。今出ているのは三本ですけれども、しかし、その周辺に埋めた人の証言を聞くと十二、三本埋めたと言うんだから、恐らく二百リットルぐらいになるでしょう。あと百ぐらいはどこかへやっておるわけですよ。  それからこれを見ると、例えば窪川なんかは六百四十、宇和島の倍以上あるわけですよ。これがどこへいったのか、こういう問題は調べられておるわけですか。
  54. 田中恒寿

    田中説明員 当時のそういう在庫と処理方法別の数量をできるだけ正確に押さえる作業をしておるところでございます。それを調べておるところでございます。
  55. 田中恒利

    田中(恒)委員 調査調査で、この問題は毎日本安を重ねておるわけでありまして、林野庁がまだどこの署にどれだけのものがあったのかもわからぬ、こういう状況では、手を打つといったって打つ手もないわけなんですよ。そんなことじゃないと私は思うのですよ。なぜ明らかにしないのか、別なお考えがあるような気がしてなりませんよ。私が持っているのは、当時の高知営林局の造林課の資料ですよ。そしてあなたの方は、どれだけあったのかというこの資料をお示しになったのでしょう、林野との交渉の中にも。この問題を取材しておるマスコミの諸君も、皆これを持っておりますよ。あなたの方もこれだけやったと言ってお示しになったんでしょうが、高知営林局との交渉で。何でそれをここで言えないのですか。その言えないというところに問題があるわけなんですよ、長官
  56. 秋山智英

    秋山政府委員 私ども今現地に専門官を二人派遣しております理由は、その数値について現地で十分確認をするということが非常に重要でございますので、現在その確認を急いでおるわけでございますので、若干時間をちょうだいいたします。
  57. 田中恒利

    田中(恒)委員 高知営林局の管内で残量がわからぬということですが、これは高知だけじゃなくて、全国でこの農薬をストップをさせた、使用中止、こういうことになったわけですが、その時点で2・4・5Tが全国でどれだけあったのかということはわかっておったはずだと思うのです。これは林野庁じゃないですか。農蚕園芸局、小島さんのところですか。
  58. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 この2・4・5Tは林業用の除草剤として登録したものでございますので、大きく分けますと国有林と民有林関係とあるわけでございます。当時の民有林関係の流通実態はほとんど当用買いに徹しておるという状況でございましたので、いわゆる在庫保有というふうな形のものはほとんどないという状況でございます。その意味におきまして、他の有機塩素系の農薬につきましては、使用中止とともに残量の処分の問題について措置を講じたわけで,ございますけれども、国有林以外の民有林関係在庫処分につきましては、格段の措置をすることなく終了をいたしておるわけでございます。
  59. 田中恒利

    田中(恒)委員 昭和四十六年に2・4・5Tが使用中止になって、その意味の通達も出されておるわけであります。ところが、これがやはりその後も使われておるのですよね。四十八年にも出荷の記録が残っておるわけでありますが、これは一体どういうことなのか。使用をやめなさいと言っておるのに、それが使われておる。私はこれは実はいろいろ聞きましたが、民有林にそういうものがあったという話も聞いたが、国有林はなかったのか、これも心配でありますが、2・4・5Tというものの使用中止が決まっておりながらなおその後この薬剤が出回っておるということについては、どういうふうに農林水産省の方で把握をせられて、どういう指導をせられてきたのか、この機会に明らかにしておいていただかなければいけないと思うのです。
  60. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 2・4・5Tが農薬として初めて登録されましたのは昭和三十九年でございますが、本格的に使用されましたのは、大体四十四年、四十五年、四十六年まで使用実績があるわけでございます。農薬の方の統計は大体暦年で調べておるわけでございますが、使用中止いたしました翌年、昭和四十七年におきましては出荷の実績もゼロとなっておりまして、通達は完全に守られておるもの、かように理解をいたしておりましたが、昭和四十八年のメーカーから取りました出荷の報告の中に、一件だけでございますが、2・4・5Tも含んでおります農薬の出荷実績が、有効成分換算で約一トン、製剤にいたしまして約五十一トンほどの出荷実績が出てまいりました。  これはおかしいのではないかということで当時調べてみましたところ、この出荷しました農薬は2・4・5T剤も有効成分として二%ほど含んでおるわけでありますが、塩素酸ナトリウムを主成分とする除草剤でございまして、当時の関係会社におきまして使用中止の対象農薬ではないという誤解をして出荷したもののようでございます。これは明らかに通達に反することでございますので、早速厳重注意を与えまして、その後におきましてはこの種の薬剤の出荷実績は一トンもございません。したがって、四十九年以降におきましては製造出荷の実績はゼロ、こうなっておるわけでございまして、四十八年のわずか一件ではございますけれども、これだけの量が出荷されたことについては大変遺憾なことである、私どもとしてもかように考えております。
  61. 田中恒利

    田中(恒)委員 今問題になっておる2・4・5Tがこういう状態で中止後も非常に出回っておったということも一部あるわけであります。そして、この問題が今津島町の発掘を契機にしく国民全体の間にこれは一体どういうことかという不安を非常にまき散らしておるわけでありますが、この2・4・5T並びにこれに含まれるダイオキシンについて、厚生省はこのダイオキシンというものについてどういうふうな所見というか、理解をしていらっしゃるのか、この機会にお示しをしていただきたいと思うのですが。
  62. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 御質問のダイオキシンの件でございますけれども、2・4・5Tという除草剤の不純物に含まれているという話は聞いておるわけでございますが、2・4・5Tそのものにつきましては農薬として農林水産省の方で許可しておるということで、その実際の規格等でどの程度不純物として含まれているかということにつきましては厚生省の方で承知していないわけでございます。  ただ、ダイオキシン一般の問題といたしましては、いろいろ化学物質を取り扱う立場から毒性等の一応の調査は行っているわけでございますけれども、ダイオキシンというもの自体は塩素のつく位置によりまして七十数種の異性体がございまして、それぞれによって毒性値が違ってくるということが言われております。ただ、その中で2・3・7・8に塩素のつきましたテトラクロルジベンゾパラジオキシンというものにつきましては非常に毒性が強いということで、これは急性毒性が非常に強いということ以外に催奇形性とか発がん性等にも毒性として問題化されておるという点を承知しております。
  63. 田中恒利

    田中(恒)委員 私ども素人でありますから、私自体はわからないわけでありますが、この問題が起きてから専門の先生方やいろいろな文献などをそれなりに読ましていただいておるのですが、どうもこのダイオキシンというものについてはまだわからない分野が相当あるようでありますし、特に我が国はこれの研究体制が非常におくれておる。理論的にも究明しなければいけない分野が非常にある。しかし、どうも国際的に、これからの新しい日本の環境問題を考える場合に、このダイオキシンが人体や環境に与える影響というのは非常に大きい、こういうことになって非常に注目をされておる命題のようであります。  そういう意味で、この問題についての基礎理論の展開を軸にしながら、研究体制の問題から始まって、特に飲み水の問題、それから土壌汚染の問題、さらに今問題になっておるのはたしかごみ処理場ですね。いわゆるごみ焼却をめぐってこれが出てくる、火災で出てくる、コンデンサーなどが非常に大きい、こういうようないろいろな問題があるようでありますが、こういうものに対して、厚生省はこれについての解明に向かってどういうように努めようとしていらっしゃるのか。  それからこれは環境庁も、この問題が起きまして環境庁の立場で地域の環境調査というか、環境を保持するためにどういうお考えを持っていられるのか。  この機会に、あわせて両省から御見解をいただきたいと思うわけです。
  64. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  厚生省といたしましては、ただいまお話ございましたように、廃棄物の処理に関しましてダイオキシンが大きな社会的な問題になっておりますので、当面、廃棄物の処理に際しましてダイオキシンが発生する可能性の指摘に対しまして適正処理確保の観点から取り組んでおるところでございます。昨年、五十八年十二月に学識経験者によります専門家会議を設置をいたしまして、現状の評価及び今後の廃棄物としての取り組みについて検討していただいておりまして、近く専門家会議の取りまとめがまとまる見込みでございます。今後、その検討結果を踏まえまして所要の施策を実施する考えでございます。  なお、飲料水あるいはその他各方面にわたる問題でございますので、厚生省の中でも関係部局にまたがっておる問題でございますので、そういう認識のもとに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  65. 大塩敏樹

    ○大塩政府委員 お答えいたします。  ダイオキシン問題は、先ほど来お話ございましたように、枯葉剤として使用されているということのほか、イタリアあるいはアメリカにおきまして事故あるいは廃棄物の不適切な処理等によりまして重大な健康障害を生じているという実例がございます。幸い我が国におきましては現在のところそういった被害実例はございませんが、最近さまざまな形でダイオキシンが環境を汚染しているのではないかという懸念が指摘されているわけでございます。  環境庁といたしましても、こうした有機塩素化合物全般につきましてどのように安全点検を進めるかということを検討を進めておりますが、今回の2・4・5Tの問題につきましては、先ほど来お話ございましたように、林野庁を初め関係機関調査が現在なされておりますが、その結果を伺って、環境庁といたしましても、特に公共用水域の水質保全を所管する立場から、この問題について適切な対応策をとりたいと考えております。
  66. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間が参りましたので、まとめて問題を指摘をしておきたいと思うのですが、大臣長官からも一緒に後で御答弁いただきたいのです。  大臣見えになる前に、もう既に大臣承知のようなダイオキシンが私の地区で発掘されまして、現地は大変混乱をいたしております。この問題は、明らかに十三年前にさかのぼりますけれども、林野庁がそこに埋めたということであります。そのことから現地でいろいろなパニックのような状態が起きておることも事実でありますが、これはここだけでとどまらずに、全国的に、やり方はいろいろ差はあるようでありますが、百カ所以上の地区に同じような危険なものが埋められておるというのが現状であります。これはなくなっておるのじゃなくて、形を変えて土の中に入り、水の中に入り、海の中に入り、環境を悪化をさしておるわけでありますから、この問題の責任はひとつ農林水産省で明確におとりをいただいて、関係機関と連携をとりながら、十分に関係地区や町村や県などの期待にこたえるような方策をとっていただきたい。このことについて、この問題をめぐっての大臣の御所見をひとつお伺いしたい。  それから長官には、今まで議論をいたしてまいりましたように、当面現地では水は大丈夫なのか、土は大丈夫なのかという不安があるわけであります。これについては、町村などは既にいろいろな手を打っておるわけでありますけれども、ひとつ林野庁も、ただどこにどれだけ薬があってどういう埋め方をしたかというような林野庁の業務に関する調査だけではなくて、この問題が巻き起こした現地のこういう切実な住民の声にこたえるような態度や内容をこの際明らかにしていただく必要があると私は思いますから、この点をぜひやっていただきたい。それから、健康の問題であります。これは、一つは関係地域の住民の、この地域に御代ノ川というところがありまして、過疎でありますからお年寄りばかりであります。そういう皆さんも、自分の体について非常に不安が広がろうとしておるわけであります。  この問題と、特にこれは専門の学者の皆さん意見を聞いても指摘をされるわけでありますが、当時このダイオキシンを使った諸君、これはつまりあなたの部下であります。こういう諸君の健康問題が大変憂慮すべきことではないか、もしこれが大変な事態を起こすのであれば。事実、私はこの二日間ぐらい、私自体は東京におりますからできませんが、私の秘書が当時この作業に当たった諸君を一軒一軒訪ねております。いろいろな事情を聞かしておるわけでありますが、昨晩も遅く電話がかかりましたが、言うのは、みんな体を痛めておる。特に肝臓、肝硬変、中には亡くなった人も何人かありますが、それはこのことと結びつけたくありませんが、ただ、何となく全体がやはり体の不調が起きておるということを実は聞きまして、非常にはっとしておるわけであります。  この問題の研究者の一人である立川先生などとのお話の中でも、実はこれは非常に心配しなければいけない事態なんだ、こういう話がありました。これは林野庁としてどういうふうに、この当時この薬をまき散らしたことによって起きておる諸君についての健康の把握をせられていくのか、このことを指摘をいたし、そして、全体としてやはり薬剤というもので山を荒らしてきておるのじゃないのか。もう少し薬剤の使用については、それは今までもそのたびごとに御心配せられてきたわけでありますけれども、私は改めてやはり薬剤散布というものについて、これが確かに作業は効率がいいのでしょうけれども、そのことによって山が荒れ、自然生態が崩れておるのじゃないか。松くい虫などの問題で私たちが指摘をしたように、やはり薬剤の中に問題が起きておるのじゃないか、こういう指摘を我々はしてきたわけでありますが、この問題を契機として、改めて今林野庁が使っておる薬剤の点検なり、あるいはできるだけ薬剤を使わない方法でできないのか、こういう問題について詰めていただきたいと思っておるわけであります。  以上の点について大臣長官から御答弁をいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  67. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいままで政府委員からいろいろ答弁いたしましたとおり、当時の処理状況につきまして調査を進めておるところでございますが、しかしまたその処理状況だけではございませんで、水質土壌、これらについてもあわせて調査を行うということで、これを一部分ということではなくて、全国的に調査したいというぐあいに考えております。  また、出てきました結果を踏まえまして、関係機関とも相談しながら、何にしても地域住民皆さん不安解消が第一でございますので、それに全力を挙げてまいります。
  68. 秋山智英

    秋山政府委員 基本的考え方につきましてはただいま大臣が申し上げたとおりでありますが、さらに補足申し上げますと、現地の実態を十分調査しまして、当時農薬を散布した方々の健康等についても事情聴取を十分いたしまして、それに対しまして適正に対処してまいりたい、かように考えております。  それから林地除草剤使用でございますが、私ども、現在、松くい虫あるいは除草剤につきまして農薬取締法関係法令を十分遵守しまして、使用者の安全の確保、一般への被害防止等には十分配慮の上やってまいるわけでありますが、これにつきましてはさらに徹底してまいりたいと思っております。
  69. 阿部文男

    阿部委員長 小川国彦君。
  70. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今、田中委員から猛毒除草剤の問題について現地からの生々しい問題の提起があったわけでありますが、私どもは、これがかなり毒物、劇物であるということで、これが全国的に広がるのではないかと非常な懸念を感ずるわけであります。  まず厚生省の方に伺いたいのですが、これが人間にどういう被害を与えるのか、ダイオキシン等を初めとするこの猛毒除草剤は人体にどういう影響、被害をもたらすか、この点について御説明願いたいと思います。
  71. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり、2・4・5Tの除草剤につきましては厚生省の方で劇物指定を行っておるわけでございます。その中の不純物としてダイオキシンというものが含まれておると言われておるわけですが、この農薬の認可につきましては農林水産省の方で承認、許可を与えておりますので、その2・4・5Tという物質の中でどの程度この不純物が入っておるかということは厚生省の方でも承知してないわけでございます。一般にダイオキシンと言われるものにつきましてはいろいろな種類がございまして、塩素の化合物の位置によりまして毒性が違うわけでございますが、2・3・7・8に塩素がつきましたダイオキシンについては、一般に非常に急性毒性も強いし、あるいは催奇性、発がん性等も問題になっているというふうに承知しております。
  72. 小川国彦

    ○小川(国)委員 農水省の方では、これはどういうふうに把握されておりますか。
  73. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 この2・4・5Tがまだ有効に登録されておりました当時、2・3・7・8ダイオキシンの問題が生じまして、2・4・5Tを有効成分とする薬剤、たしか有効成分三・八%ぐらいの製剤でございますが、それにつきまして2・3・7・8ダイオキシンが含まれておるかどうかという分析を農薬検査所で実施いたしております。当時の有効な限界値と申しますか、三・二ppmまでしか調べられないという状況でございましたので、そのときの調査によりましては2・3・7・8ダイオキシンは含まれてないという結論でございます。もちろん、調査自体の当時の分析精度の問題がございますし、さらに、最近のようにppbとかあるいはpptというふうな単位まで測定することができましたならばどういう数値が出てきたかということは、今日の時点では何とも申し上げられないわけで,ございます。  ただ、ちなみに2・3・7・8ダイオキシンの毒性と申しますか、同じダイオキシン仲間で1・3・6・8ダイオキシンというのがあるわけでございますが、それと対比してざっと申し上げますと、まず急性毒性、これは体重キログラム当たりどれくらいやったら半分死ぬかという半数致死濃度みたいなものでありますが、2・3・7・8ダイオキシンではマウスで百七十五マイクログラム体重キログラム当たりとなっておるわけでありますが、1・3・6・8ダイオキシンになりますと、これが二百万マイクログラム体重キログラム当たり。それから慢性毒性でございますが、これは2・3・7・8ダイオキシンの場合には〇・〇一マイクログラム体重キログラム当たりパー・デーということでございます。それだけやりますと死亡率が増加したり、発がん性が認められる。それに対して1・3・6・8ダイオキシンになりますと、二十万マイクログラム・パー・キログラム・パー・デーということで、同じダイオキシン仲間でもこの2・3・7・8ダイオキシンというのがずば抜けて急性毒性及び慢性毒性が高い、催奇形性についても同じような、非常に際立った高い数値をあらわすものというふうに理解いたしております。
  74. 小川国彦

    ○小川(国)委員 今、急性毒性の問題、それから慢性毒性の発生のおそれの問題、いずれにしても創業、劇物であって、しかも、それが当時の分析では分析不能な分野もあったということでありますから、これから起こる事態、いろいろな被害というのも予測できない、非常に恐ろしい問題点を含んでおるのではないかというふうに思うのです。現在、愛媛大学における調査が行われておりますが、農水省なり厚生省なりで、これは国立の大学あるいはまた研究機関、あるいはまた国立の衛生試験所、そういうところにおいてこれらの関係地域の水あるいは土壌を集めまして、そういうものから慢性ないし急性毒性の実態について調査に取り組む、こういうお考えはありますか。
  75. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 先ほど来申し上げておりますが、今日では2・4・5T自体は製造販売ともに完全に中止しておるわけでございます。登録自体も既に切れております。したがいまして、この2・4・5Tそのものを入手いたしまして、それを今日の検出限界値で改めて調査をすることは事実上不可能であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、問題になっておりますような、過去において地下に埋めましたようなものの中から周辺に何らかの影響が出てくる、またその残量も手に入れられるというふうな事態がございますれば、その時点において考えてみたいと考えております。
  76. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明いたします。  ただいま、2・4・5Tの方につきましては愛媛県の衛研の方で分析をするということ、それからダイオキシンについては愛媛大学の方の御指導を得るということでやっておりまして、今のところ、それでできるというふうな感触を得ておりますけれども、いろいろ難しい問題が起こったり、また県の方から要請がございましたら、おっしゃるように協力体制を組んでやるようにいたしたいと思っております。
  77. 小川国彦

    ○小川(国)委員 林野庁長官、今厚生省の方でも水質なり土壌調査については協力するという考え方を持っているのですから、これに対しては、林野庁としてもこれを要請して一日も早く実態究明のためにこういう協力体制をやるべきだと思いますが、いかがですか。
  78. 秋山智英

    秋山政府委員 現在調査しておりますが、実態を踏まえまして、関係機関に協力をお願いしてまいりたいと思っております。
  79. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それから、全国の九十営林署処理の実態把握をされるというのですが、この報告は当委員会にいつごろできますか。
  80. 秋山智英

    秋山政府委員 現在鋭意調査中でございますので、できるだけ早くまとめまして、場合によっては部分的になるかもしれませんが、報告をさせていただきたいと存じます。
  81. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ちょっともう一遍、時期的にはいつごろですか。
  82. 秋山智英

    秋山政府委員 来週中には報告できるように鋭意努力をしてまいりたいと思っております。場合によりますと、若干おくれる部分が出てまいりますが、その部分はまた後ほどということになりましても、来週にまとまる部分につきましては報告をさせていただきたいと思います。
  83. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それの報告を待って我々もこの問題に対処していきたいと思います。  いずれにしても、飲料水なり土壌を伝わって、飲み水から植物、生物を伝わって流れてくる人体への影響というものは恐るべきものがありますので、これはひとつ早急な全国的な報告を来週中にまとめられるように、大臣の指揮で全体の報告を来週中にまとめられるような御指導を願いたいと思いますが。
  84. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 全力を挙げてやらせておりますが、今長官が申しましたように、来週中にも全部調査結果を御報告というような形をさせたいと思いますが、もしできなかった場合は、これだけはできませんがというようなことになりますが、ほとんどのところはできるのじゃないかと思いますので、できるだけ努力させてやらせるようにします。
  85. 小川国彦

    ○小川(国)委員 もう一つ、千葉県の鬼泪山の〇・三九ヘクタールの国有林の中で学術参考保護林を伐採されたということなんですが、この指定解除の理由と、払い下げ先と、払い下げ価格はお幾らになっておりますか。
  86. 秋山智英

    秋山政府委員 けさ新聞に出ましたこれにつきまして、東京営林局から報告をとったわけでございますが、解除の理由につきましては、当該林分が百五十年生以上になりまして、最近樹勢の衰えが目立ってきている、学術参考保護林として保護していくことが難しくなってきたということ、それから、ほかの地域にも同様な杉の林分がありまして、保護林として設定をしておく必要性が乏しくなったということでこれを解除したわけであります。  これにつきましては五十八年八月、九月にかけまして伐採をしておるわけでありますが、伐採量は三百八十六立方メートル、二百二十一本でありまして、これは直営生産によって実施をいたしまして、大部分公入札で販売をしておるわけであります。  跡地につきましては、できるだけ早く杉を植栽する計画になっております。
  87. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この問題については、同僚の吉浦委員現地でいらっしゃるので、またお尋ねがあろうかと思いますが、払い下げ価格はお幾らぐらいになっているのですか。それから払い下げ先は。
  88. 秋山智英

    秋山政府委員 現在、払い下げ価格はまだ調査しておりませんので、至急調べまして報告をさせていただきたいと思います。
  89. 小川国彦

    ○小川(国)委員 いずれにしても、これについての払い下げ先、払い下げ価格を後ほど当委員会の方に御報告願いたいと思います。
  90. 秋山智英

    秋山政府委員 調査の上、報告させていただきます。
  91. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、私は、オレンジ輸入割り当ての問題について質問をいたしたいと思うのです。  この問題につきましては、先般来日米交渉が行われている中で、国内の割り当てを受ける商社、このあり方の問題について再三当委員会その他の委員会でただしてきているところですが、オレンジ割り当て商社、百二十一社申請があった。これの中で申請がなかったのが三社で、百十八社が申請があったということですが、この数字は間違いございませんか。
  92. 土田清蔵

    ○土田説明員 ただいま先生の方からお話がありましたとおりでございます。
  93. 小川国彦

    ○小川(国)委員 百二十一社のうち三社申請しなかった。これは、恐らく申請できる資格がないとお考えになったところが辞退した結果であろうと思います。百十八社が申請をなすったわけでありますが、現在通産省としては、これらのうち会社の存在自体が問題があるとして割り当てをしなかった商社が六社あるというふうに伺っておりますが、これはそのとおりでございますか。
  94. 土田清蔵

    ○土田説明員 ただいま先生の方から、今回割り当てをしないことに決定いたしました社が六社あるというお話でございましたけれども、確かに割り当てをしないところは六社ございました。  ただ、その六社につきましては、一社を除きますと決して幽霊会社とかそういう話ではございませんで、それぞれ別の商売をやられているところでございまして、なぜ割り当てをしなかったのかということでございますけれども、いずれも自己の名と計算において輸入業務を行っていないことが明らかになったということで、今回、私ども、六社につきましては割り当てを行わないことにしたわけでございます。
  95. 小川国彦

    ○小川(国)委員 一社を除いて幽霊会社でなくということなんですが、その一社はどういうことなんでございますか。
  96. 土田清蔵

    ○土田説明員 一社につきましては、先般の予算委員会で小川先生の方から御指摘がありましたところでございまして、すでに過去におきましてその会社は一度解散しておりまして、数年たちましてからまた復活の登記をやってきている、そういう企業でございます。
  97. 小川国彦

    ○小川(国)委員 さらに、百十二社の中で百二社に割り当てをして、残り十社について保留の措置をとったと伺っておりますが、なぜ保留というようなあいまいな措置をおとりになったのか。
  98. 土田清蔵

    ○土田説明員 今回留保いたしました企業は確かに先生がおっしゃいますように十社でございますが、今回留保いたしました企業はいずれも自己の名と計算において輸入業務を行っているということは間違いないところでございます。そういう意味では特段に問題はございませんけれども、IQ制度をより適正に運用する、こういうような趣旨から、先般来この委員会でも御説明申し上げておりますように、私ども本年度上期分から、実績配分主義をとって輸入割り当てを行っております品目につきましては割り当て審査方式を改善いたしまして、より厳格な審査を行うこととしたわけでございまして、それに伴いまして、今回の割り当てから加重された要件を申請者に課しております。  このため、加重された要件部分、具体的に申し上げますと、一つは独立した企業としての客観的な要件とでもいいましょうか、独立した事務所あるいは専従の役職員がいるかどうか、そういったようなことを一つの要件として課しておりますし、それから第二の問題といたしましては、IQ枠がいわゆる利権的取引の対象となることを防止する、こういうような観点からIQホルダー間のいわゆるダミー関係を今回から排除するということといたしましたので、これらの要件、あくまでも今期から新たに加重された要件でございますけれども、そういう要件を満たさないものにつきましては、今期限りの特別な措置というようなことで、一定の是正期間を設けまして、その期間内に是正がなされてくれば割り当てを行う、そういう意味で保留というような措置を講じているところでございます。
  99. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その前に、ちょっと、先ほど六社ですね、私の指摘したところほか五社というのですが、私の指摘したところはたくさん会社があるので、社名を挙げていただかないとわからないのですが、どういうところが六社指名停止になったのか、名前を挙げていただきたいと思うのです。
  100. 土田清蔵

    ○土田説明員 割り当てをいたしませんでした企業名についてでございますが、その中の一社は先般先生が御指摘いただきましたコスモフルーツでございますが、ほかの五社につきましては、今回割り当てを行わなかったといいますのが、いわゆる社会的に糾弾されてもやむを得ない、こういうようなことが問題となりまして私ども割り当てを行わなかったのではございませんで、割り当てをしなかったということ自体でもう十分その企業に対します制裁措置がとられたものというふうに私ども考えておりますので、公表は差し控えさせていただきたいと思います。
  101. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは公表を差し控えたいと言いましても、百十八社の中で六社指名をしなかったには、それなりの相当な理由があって皆さんは指名をされなかったと思うのですね。そうすると、それはどういう企業であったかということを名前を挙げていただきませんと、我々はいろいろな社名を挙げて問題点を指摘してきた。その指摘したことに対して、皆さんの方で社名を挙げないということですと、では指摘したうちどれが事実であって、どれは皆さん調査の結果適正であったかということの判断ができないではないですか。  私は具体的に当委員会でも何回も社名を挙げて言っているので、やはりこれは国の割り当て制度、国が行っているのですから、その割り当て商社名というものは、今回こういうところは外しました、あなたがおっしゃるように、それは行政的な措置かもしれません。行政的な措置でいいのですから、行政的な措置としてこういうところは今回割り当てをしませんでしたということは、はっきり自信を持っておっしゃっていただきたいと思うのです。
  102. 土田清蔵

    ○土田説明員 先ほども申し上げましたように、六社のうち先生の方から御指摘がありましたのはコスモフルーツ一社でございます。あと残りの五社につきましては、私どもの調査の過程で、自己の名と計算において輸入業務を行っていないということがはっきりした企業でございます。  繰り返すようでございますけれども、こうした企業はいずれも中小零細企業でございまして、それぞれ別の商売をやっているということで、個別企業まで挙げますと、場合によりますとその企業のイメージを悪くしたり、あるいは取引に悪影響を与えるといったようなことがございますので、公表することはいかがかというふうに私どもは考えております。
  103. 小川国彦

    ○小川(国)委員 企業のイメージに悪い影響を与えるからとおっしゃるが、そういうことではないのだというふうに前段ではおっしゃっているのですよね。単なる行政措置だというふうにおっしゃっていながら、企業のイメージに悪い影響があるから出せない。悪い影響があるというのは、やはり悪いからなんでしょう。悪いから指名しなかったわけですよね。そういうところを、やはり行政的にいい悪いをはっきり言っていかないと、皆さんの行政がいつまでも乱れていると思うのですよ。これはやはりきちっと、私が指摘したのは一社だけで、あと五社は皆さん調査した結果出てきたのでしょうけれども、それも我々が指摘して皆さん調査したからこそ出てきたわけで、これでこういうところが出てきたということは、はっきりおっしゃって当然ではないのですか。
  104. 土田清蔵

    ○土田説明員 確かに先生のおっしゃることも私ども十分理解はいたしますけれども、そもそも論になって大変恐縮でございますが、いわゆるIQ物資の割り当てにつきましては、先生も御案内かと思いますけれども、国内生産者の保護という観点から数量を制限しているというのが一方でございまして、一方、国民生活に必要な物資ということで、私どもから見ますと割り当て量の確実かつ安定的な輸入を確保するということが必要である、そういうふうに考えているわけで、ございます。  そういう意味で、経験と能力のある輸入実績者に対しまして実績に応じた割り当てを行っているわけでございますが、私どもが貿易管理令などを運用いたします上で基本としておりますのは、海外の供給者から買いましたものが、国内の流通業者へ手渡されるまでの過程におきまして、何か問題があるかどうか、具体的に言いますと、割り当て量が全部消化されているかどうかということ、あるいは確実かつ安定的に輸入されているかどうか、あるいは貿易秩序の面で何か問題がないかどうか、こういうようなことでチェックをしているわけでございます。  今回の事例につきましてそういったようなことを見てまいりますと、割り当てをしなかったところにつきましては、確かに先ほど来申し上げておりますように、自己の名と計算においてその企業は輸入業務を行ってきておりません。つまり、ほかの企業がその企業の名を使いまして輸入業務を行ってきている、そういう意味で若干問題がなきにしもあらずでございますけれども、いわゆる枠の売買等によりその企業が利益を上げているとか、あるいは物の流れ等を見ます限り、流通が阻害されているとか、あるいは国民生活に何らかの影響が出ている、こういうような事実があれば別でございますけれども、本件につきましては、少なくともそういう意味で社会的に糾弾されるような事実というものはございません。単にほかの人がその割り当て枠を使って物を入れていた、そういう意味では流通上は特に問題となるような事態が起こってきていない、そういうことでございますので、今回の割り当てをしないということでその企業に対しましては十分おきゅうを据えたことになるのではなかろうか、これ以上公表することによりまして社会的に糾弾しなければいけない、そういうふうな事例ではないというふうに私どもは考えているわけでございますので、何とぞ御了解いただきたいと思います。
  105. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、これは承服できないと思うのです。ですから、これは委員長にもお願いをしたいと思うのですが、当委員会におきまして、これは後ほど理事会ででも、こういった役所がおきゅうを据えたんだ、それで終わりということじゃなくて、国会で指摘された問題について、きちんとその結果を報告するという義務があると私は思うのですね。ですから、これは、私、通産省と今このことで繰り返していても時間がありませんから、後ほど当委員会において検討していただきまして、ひとつ提出を求めていただきたいと思います。
  106. 阿部文男

    阿部委員長 この問題については、理事会で検討いたします。
  107. 小川国彦

    ○小川(国)委員 通産省、あなたの方で頑強に出さないと言うのですが、それではもう一つ。皆さんの方で百十二社のうち百二社に割り当てをして、今の割り当てをしなかった六社は別になっているわけですね。さらに十社は保留という措置をとっているのですね。  ところが、皆さんが出された通商弘報に「オレンジ・タンジェリンの輸入割当てについて」という、五十九年四月六日の通商産業省の指示があるわけですね。この内容を見ると、「株式上場会社にあっては直近一カ年の有価証券報告書及びLCの写し等直近一カ年のオレンジ輸入代金決済の事実を証する書類、その他の者にあっては登記簿謄本、事務所の不動産登記簿謄本又は賃貸借契約書の写し、役職員の源泉徴収票の写し、納税申告書の写し、決算報告書、LCの写し等直近一カ年のオレンジ輸入代金決済の事実を証する書類を各一部添付すること。」そして、株式上場会社にあってはオレンジ担当役職員のみを記せばよいということで提出を求めているわけですね。弘報の中には、法人登記の可否、役員構成の可否、親会社、ホルダーか非ホルダーか、独立の事務所の可否、株主構成の可否、専従の役職員の可否、独立の会計処理の可否、判定の可否、会社としての実体なし、他のホルダーの支配あり、こういうようなことを、通産省の採点方式まで掲載しているわけですね。  この書類提出期日は五十九年四月十二日ということになっているのですよ。四月十二日までの時点に書類が提出できなかったこの十社を、皆さんの方では欠格事項がある商社であるのにもかかわらず、なぜ保留などというあいまいな措置をとったのか。さっきおっしゃった自己の名と計算においてはわかりますよ。しかし、皆さんの方では三年前にも企業の実態調査をしているわけですね。全事業所を回って、割り当てをするとき調査をしているわけです。そのときに、事務所を持ち、専従役職員を持っているかということは、皆さん三年前に調査なすっているのですよ。そういうことをやっておきながら、そういう実体がなかった幽霊会社、事務所が存在しない、専従役職員がいない、それからダミーである、こういうような実態が現実に存在するのにこの十社については保留で、一カ月か三カ月のうちに是正措置をとれば割り当てをするというのでしょう。大変な皆さんの行政の片手落ちだと思うのですよ。なぜこういう保留の措置というものを認めたのですか。  それからもう一つ言うなら、ダミー会社というものがこの十社の中で六社ございますよね。このダミー会社に対しても皆さんの方は保留措置を認めているのですよ。じゃ、ダミー会社が、皆さんが保留措置をした間にどういう会社をつくるとお考えになりますか。またダミー会社をつくるのは決まり切っているんじゃないですか。これはどういうふうに是正されるというふうに思っていますか。保留措置というのは、通産省が政治的圧力か業界の圧力に屈したか、いずれにしても極めて異常な措置だと思うのですよ。どういうわけでこういう保留措置をおとりになったのですか。それから、保留措置をとったところに今後割り当てをするというお考えがあるから保留をしたんだと思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  108. 土田清蔵

    ○土田説明員 ただいまの御質問でございますけれども、先生御案内のように、私ども、IQ物資の割り当てを行うに当たりましては、従来、自己の名と計算において行ってきたかどうかということのみを、書類といたしましては輸入承認証というものをとりましてチェックしてきております。それが今回、先生の方からいろいろと御指摘を受けまして私ども調査しましたところ、チェックが不十分であったというようなことで、今回から方式を改めることにしたわけでございますけれども、少なくとも自己の名と計算において行っているかどうかということが今後の割り当てを行います際にもやはり基本となってくるものというふうに私ども考えております。  特に、先ほども申しましたように、今までは自己の名と計算において行ってきたかどうか、それだけでやってきておりまして、五十九年度の上期の割り当てからいわば加重要件というようなことで、客観的な企業の独立性の問題であるとかあるいはダミー関係というものを問題にしてきているわけでございます。そういう意味で、私どもの今までのIQホルダーに対しますチェックが甘かったということであれば、確かにそうだったかもしれません。私ども、その批判につきましては甘んじてお受けするつもりでございますけれども、今後は少なくともそういうような世間に誤解を招くようなことがないようにというようなことで、今回からいろいろと提出していただきます資料もふやしましたし、資格審査そのものもかなり厳格にやってきているわけでございまして、今までのやり方から今回の厳正なやり方に移行しますに当たりまして、やはりある程度の猶予期間を置きませんと、流通上もいろいろと混乱を招くというようなこともございますし、私どもの行政の甘さを指摘されればそれまでのことになるわけでございますが、今までIQを持って輸入業務を行ってきている、何か問題のあるようなことをしていればこれはまた別でございますけれども、その間に特段の問題も起こさず、むしろ国内販売を一生懸命手がけてこられている、そういうような人たちに対しまして、今回の新たな、しかも突如としました加重要件でもって一気にあなたには割り当てを与えませんというようなことはいかがかというふうに考えまして、今回は特別に猶予期間というものを設けたわけでございます。  したがいまして、今回だけの特別の措置でございまして、下期以降につきましては、かかる要件を満たさない企業につきましては、私ども初めから厳格に対処する所存でございますので、何とぞ御了解いただきたいと思っております。
  109. 小川国彦

    ○小川(国)委員 了解できませんですね。一方は自己の名と計算において輸入をしていなかったからだめだというのですよね。そういう人たちも、いや我々だって猶予期間を置けば、これからは反省して、今度は自分の名と計算においてやりますよ、こう言うと思うのですよ。この人たちには反省の期間も猶予の期間も与えないではっさり切ったわけです、六社は。もう片方は事務所もなかった、専従役職員もいなかった、親会社の副社長が兼務で社長になって、事務所も同じところにあった、ダミーであった、皆さんはダミーだと指摘をしながら、こちらの方は一カ月か三カ月猶予を持って直せばそれは認めますというのは、あなたの方のやり方としてはいかにも不公平な行政じゃないですか。  それからもう一つ。そうすると、あなたの方は、この十社は猶予期間を置いて、一カ月か三カ月のうちに事務所をどこか見つけてきた、専従の役職員を置いた、一応親会社と手を切った格好をした、また別の人間を集めてきてダミーの会社をつくった、そうしたらそれに割り当てをしようというのですか。この十社には割り当てをする考えを持っているのでしょう。その枠は日米交渉で決まる今度の一万一千トンの中から割り振ってやろう。このことから伺いたいのですが、日米交渉で決まる一万一千トンの中からこの保留の十社に割り当てるしか枠はないのでしょう。
  110. 土田清蔵

    ○土田説明員 ただいまの先生の御質問、何点かあろうかと思いますが、まず、今回私ども保留をいたしました企業に対しましては、是正すべき点を是正してきますれば割り当てを行う予定にしております。先生お話の中で私ども考えておりますのは、先生は自己の名と計算において行っているかどうかにつきましても、ほかのダミー関係あるいは企業としての独立性の問題につきまして留保するならば留保すべきだというようなお話でございますが、それにつきましては、今までもそうでございましたし、これからもそうでございますけれども、あくまでも自己の名と計算で行ってきたかどうかというところが貿易を管理する上の基本になるところでございまして、今回留保いたしました企業はいずれも自己の名と計算で今まで輸入業務を行ってきているということは、私ども今回の調査あるいは審査を通じてはっきりさせているところでございます。その上で今回新たな要件を課しているということでございますので、新たな要件部分については若干の猶予期間を置かせてもらったということでございます。  それから、今回留保しました企業につきましての割り当て分をどこから捻出するのかということにつきましては、この割り当てを留保しました企業の分は先日私どもが輸入発表いたしました六万九千トンの数字の中に一応含めて考えておりまして、こういうことはなかろうと思いますが、仮に十社が十社全部要件を満たしてこなかったということであれば、その分につきましては既に割り当てを行っております企業に対しまして再配分をする、こういうふうに考えております。
  111. 小川国彦

    ○小川(国)委員 そうすると、もう皆さんは今度の一万一千トンじゃなくて、従来の八万二千トンの枠の中の六万九千トンの中で割り当て枠をしてある、その発券をしてないだけで枠はもうこっちに用意してある、こういうことですか。
  112. 土田清蔵

    ○土田説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  113. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、行政のあり方として全く片手落ちだと思うのですよ。私は、十社認めたなら六社認めろと言ったのじゃなくて、皆さんが自己の名と計算によってやっていなかったというので六社を切った。切ったのなら、なぜこの十社を、ダミー六社を含めたところを残したのか。  これはもうあなたの方から出してこないのだから、私の方で名前を申し上げた方がいいと思うのですが、私ども業界の方からいろいろ伺うと、まず六社というのはコスモのほかに三京商事とか日乾、日新食品、こういう名前が挙げられてきているのですよ。それからもう一つ、あなたの方で一カ月の猶予期間を与えたものは、私どもが指摘してきたウラセ、第一通商、ロイヤル・オーバーシーズ、竹田興産、こういうようなところが専従の役職員がいない、それから事務所がないということで是正猶予を与えた。あと、三商貿易とかオーシャンとか相互貿易、大阪青果、京都南部青果、竹田興産、こういうところが全部ダミーということで挙げられているわけですが、皆さんはこれにダミーだから割り当てをしないという措置を一遍とったわけですね。  例えば具体的に一つ名前を挙げれば、スマルと三商貿易というのがありますね。業界第二位のスマルが自分のところの同じ事務所の中に三商貿易というのを置いて、副社長を社長にして、社員は全部スマル貿易の社員にはなっている。それで電話も同じところに並んでいるのですよ。番号をちょっと違ってかければどちらも出てくるようになっている。電話に名前を書いているだけで、会社は同じところにある。これを皆さんは是正してこいと言うのですが、どういうふうに是正してこいというふうに御指導なさっているのですか。
  114. 土田清蔵

    ○土田説明員 私ども、例えばダミー関係にある企業に対しましてはダミー関係を排除するようにというふうに指示しているだけでございまして、具体的にどういうような措置をとってくるのかは企業の方に考えていただく、こういうふうに考えております。
  115. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは大臣も、それから農林省の農蚕園芸局長さんも、他省のことだと思わずに、通産省の農水産課長がやっていることだけれども、大臣がさんざんアメリカに行って苦労してきたオレンジの割り当てをこれから行うに当たっての通産省の姿勢の問題ですから、よく聞いていただきたいのですが、今のダミー会社、親会社があって自分の子会社をつくっているわけです。このダミーの関係を切れ、改善してこいと言われても、例えば私が資本を出資し、自分が輸入する割り当て数量の一部を子会社の名前で輸入させて、実績をつくらせてきた子会社ですよ。このダミーの関係皆さんが排除してこいと言っても、今度こちらに全然関係のない人を頼むか、こっちの社員がばれちゃったから違う社員に今度おまえら子会社をつくれ、一時うちの本社を離れたことにしろ、資本はそのまま引き継ぐのだからそれで申請しろということになるのですよ。あるいは会社の別の人じゃないとまずいから、今度は別のところの奥さん方を集めて会社の体裁をつくって、それで持ってこいということになる。  どういうふうにあなたがお考えになったって、この関係は切れないですよ。あなた方が割り当てをしないという以外に、このダミーを切る方法はないと思いますよ。常識で考えたってそうでしょう。今まで出資して会社をつくって、実績があるのだから、その実績のあるダミーの関係を排除してこいと言ったって、排除のしようがないですよ。どこかにつくった会社は必ずその親会社の影響下に最終的には入るということですから、そういうダミーをつくってきたところをきちっと正す以外にないのじゃないか。そうじゃないと、どうしたって六社切ったということは片手落ちになる。そうじゃないでしょうか。
  116. 土田清蔵

    ○土田説明員 繰り返すようなことになるかもしれませんけれども、今回留保いたしました企業は、仮にダミー関係にあるといたしましても、あくまでもそれぞれの企業が独立しまして自己の名と計算において輸入業務を行っているというところでございまして、確かに先生おっしゃいますように、ダミー関係を切れというふうに私ども言いましても、企業から見ました場合にはなかなか切れないこともあろうかと思います。しかし、そこのところは、従来その企業が自己の名と計算において輸入業務を行ってきていれば、それについて私どもが今回割り当てを行いませんというのはいかがかというふうに考えているわけでございまして、これからの問題といたしましては、確かに先生おっしゃいますように、ダミー関係がはっきりすれば即時に切っていくということになってまいります。
  117. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、どう考えたってそんな手品のようなことはできないと思うのですよ。ここにいる皆さんが冷静に私の話とあなたの答弁とを聞いていたら、あなた方のところでこれを正すということをやっていかないと、このダミーは切れないですよ。だから、例えば一カ月の猶予を与えた四社にしても、三カ月の猶予を与えた六社にしても、業界第一位の藤井治商事との取引関係がある会社とか、それから第二位のスマルとのダミーの関係にある会社とか、こういうところが全部保留になっているわけですよ。それであなたの方はもう枠も用意してあるのだ、一カ月か三カ月で何とかうまくごまかす答案を持ってこいということですよ、これは。  例えば藤井治商事と一番取引の深い会社だと言われる東京第一通商なども、私も現場まで調査に行った。この会社の登記簿謄本では練塀町三番地、ここにはもちろんない。それから千代田区神田平河町一番地、ここも尋ねて行ったけれども、ないのですよ。事務所もないのです。電話もよその事務所に一本預けてあっただけで、専従の役職員もいなかったのですよ。そういう幽霊会社に、あなたの方は業界第一位の藤井治商事と取引のあるところだから、私はどういう圧力をあなたの方にかけてきたかわかりませんよ、想像の以外でないけれども。そういう幽霊会社のような形のところを、猶予期間を与えるから事務所をどこか借りてこい、それから専従役員もつくれ、そうすれば一カ月たったら割り当てをやるよでは、私はあなた方が自己の名と計算でやってなかった六社を切った筋道というのは立たないと思うのですよ。この人たちだって、あなたの言うように猶予期間を与えてくれるならば、もうこれからは絶対自己の名と計算でちゃんとやりますからやらせてくださいと言うに決まっていると思うのですよ。自己の名と計算だけがあなた方の唯一のルールであってはならないと思うのですよ。やはり幽霊会社に対しても、同じきちんとしたルールでダミーに対しても当たらなければ、通産省の割り当て行政というのは私は正されないと思うのですよ。いかがでしょうか。  農水省の方の皆さんも、お聞きになっていてこの割り当て方式がこのままでいいというふうにお考えなのかどうか。局長さん、大臣からもちょっと見解を承りたいのです。
  118. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 前にも申し上げてあると思いますが、農林水産省といたしまして、国内農業の保護という観点から、総枠の問題でございますとかあるいは季節枠をどうするかというふうな問題、あるいは国内の流通問題についていろいろ関心を持っておるわけでございますが、商社別の割り当てのルールということになりますと、これは各物資を通じて通産省の方でやっておるわけでございますので、私どもとしてもいろいろ関心は持っておるわけでございますけれども、具体的にああせよこうせよということを申し上げる立場にはないわけでございます。大変通産省も御苦労してやっていらっしゃるということはよく承知をいたしておりまして、お役に立つことがあればやることについてはやぶさかでございまぜん。
  119. 土田清蔵

    ○土田説明員 先ほど東京第一通商につきましての問題が提起されておりましたが、これにつきまして若干御説明させていただきたいと思っております。  と申しますのは、実体のない企業であるかどうかという判断は、確かに先生がおっしゃいますように、なかなか難しい判断になろうかと思います。ただ、東京第一通商について申し上げるならば、確かに前社長が亡くなるまでは事務所もある意味でははっきりしていなかったということもございますし、それからまた専従の役職員もいなかったということも、これまた事実でございます。ただ、この企業につきましては前社長のほかに二名ほど役員がございまして、この二名は兼務ながらも東京第一通商の主たる株主でございまして、やはり主たる株主が自分の企業をいかに盛り上げていくかといったようなことで、兼務ながらも一心に東京第一通商の事務をやっていたわけでございますし、それからまた税務署に対します申告もほかの一般企業と同じようにやっているし、決算等につきましても当然のことながらしっかりした決算をやっている。こういうような実態を考えていきますと、東京第一通商が本当に幽霊法人であるというふうに言えるのかどうか、非常に難しい問題かと思います。  ただ、確かに先生がおっしゃいますように、客観的に見ましてこういうような企業としての実体がないと疑われるような企業に対しましてIQ枠を与えるのはどうかというような問題、こういう問題はあろうかと思われますが、それにつきましては、今回の私どものIQ割り当てに当たりまして、客観的にも企業としての実体を備えてきてくださいということで、いわゆる自己の名と計算において行っているということははっきりしているわけでございますけれども、やはり世間様が見ました場合に、企業として客観的にどうもあそこのところは実体があるのかどうかよくわからぬ、税務申告等はやられているけれどもよくわからぬというような疑いを持たれるということは、私どもの本旨ではないというようなことでございます。そういう意味で、今回はそういうような企業に対しまして、少なくとも自己の名と計算において行ってきたということは明らかでございますので、むしろ客観的な実体を整備してきていただきたい、こういうようなことで留保してきたわけでございます。
  120. 小川国彦

    ○小川(国)委員 あなたは第一通商のことも机の上ではおっしゃっているけれども、私は現地に行ったのですよ。この登記簿謄本に載っている平河町一番地、探して訪ねたけれども、一番地のどこに事務所があるのかわからない、看板が。訪ねていったら——加藤会計事務所だとあなたは言うんでしょう。  では、ちょっと伺いますが、この会社の所在地は今どこにあるのですか。
  121. 土田清蔵

    ○土田説明員 私どもお話し申し上げましたのは、野原税理士事務所かと思いますが……。
  122. 小川国彦

    ○小川(国)委員 それはいつから野原税理士事務所にあったのですか。
  123. 土田清蔵

    ○土田説明員 私どもが調査しましたところによりますと、ことしの二月まで神田平河町の方にございまして、その後神田練塀町の野原税理士事務所があるビルに事務所が移った、こういうふうに私ども調査をいたしております。
  124. 小川国彦

    ○小川(国)委員 野原事務所に移ったのは、私どもが調査に行ってから移ったのですよ。私が行ったときは航空貨物会社のところに電話が一つあるだけで、そこにだれもいないのですよ。頼むと、航空貨物会社が出てくるのですよ。いや、うちには電話が置いてあるだけで、社員もいなければだれもいないんだと言うのですよ。それもあなたの方で言うんなら、平河町一番地には航空貨物の会社に電話が一本あっただけなんです。僕らが指摘してから今度税理士事務所につくったというのでしょう。そういうところをごまかしてやってきているところを、あなたの方は野原税理士事務所に事務所があったんだから認めようというのでしょう。筋が通らないのじゃないですか。僕らが指摘したときにはなかったんですよ。  平河町一番地のところにだれがいて、会社の事務室があったのかどうか、ちょっと教えてもらいたいのです。
  125. 土田清蔵

    ○土田説明員 確かに先生おっしゃいますように、平河町の方の事務所に看板が掲げられていなかったことは事実でございますし、それからまたある航空運輸会社の人が連絡員という形でもって東京第一通商の事務をとっていたことも事実でございます。  ただ、東京第一通商の連絡員ということで置かれていた人は、必要に応じましてその会社の役員の方には事務等の連絡をしていたわけでございまして、あくまでも事務所がはっきりしなかったというだけで企業としての実体がないんだというふうに断定するのはいかがかというふうに考えているわけでございます。
  126. 小川国彦

    ○小川(国)委員 あなたがおっしゃるように、真剣に兼務している役職員がいるなら、なぜ自分の会社へその事務所を持っていかないのですか。やはりダミーだから気が引けるから、そういうところに置いてあるわけでしょう。兼務している人が皆、片方は国内向けの青果物の卸業者であったり、片方は割り当てを受ける輸入会社の支店長が兼務している、そういうようにごまかしてやっているからこそ、そんなところに電話一本ほうりっ放しで置いて、これは会社だ、こう言っているのですよ。これはあなたと議論していてもらちが明かないのだけれども、そういうところをあなた方が保留にして、日にちが来たら割り当てをしようというやり方は、私は適正ではないというのですよ。だから、そういうところ全体を見直すべきだ。  それから、農林大臣一行がアメリカに行って苦労してやってきた、それが今度一万一千トンもこういうところへ、あなた方がこの十社の保留を解除してみんなダミーを認めていけば、そこへまた割り当てがいくわけなんだ。農水省の特殊法人の中央競馬会が一億円の裁判を起こしている相手が取引したり影響力を持っている業界第一位のこういう会社に、また割り当てをやるわけなんですよ。だから、これは日本の貿易政策のあり方としてももう考え直すべきなんじゃないか。私はあえて今この十社を指摘して言っているけれども、この割り当て制度というものをこういうふうに続けていると、こういうようなごまかしが必ず続く。はっきり言っておきますが、この十社のダミーをあなたが言うとおり排除した会社をつくらせたって、あなたがほかのところへ行ったにしても、もう一遍この委員会で私が指摘する会社が必ず出てくると思いますよ。逆立ちしたって、今のダミーを排除して違う会社をつくれるはずがないですよ。切った会社ができるはずないですよ。  そういうことを考えれば、農水省も、多少のことじゃなくて、関税をかけるなり、そういう制度をきちっとつくって、こういう輸入農産物に対して関税をかけても、今度のことで大打撃を受けた日本のかんきつ生産農民に課徴金でもかけて回してやった方が、こうした商社にわけのわからない形で割り当てをしていくよりもすっきりするのじゃないか、私はこういうふうに思うのですよ。それが農政じゃないか。通産省の貿易局がこれを握る、こういった形の割り当て行政をいつまでも続けていくのはもう考え直すべきときが来ているのじゃないか。あるいはこの割り当て行政というものが、本当に果物を輸入している人たちに公平に割り当てていくというなら、利権化しないから生だいいんですよ。今までのように机一つ、電話一本でごまかしてきたような、たくさんつくられてきたダミーをいつまでも存続して、そこにまた割り当てを重ねていって大きくしていくというやり方は、もう是正すべきじゃないか。  藤井治商事に割り当てをしていること自体だって、農水省が金を返せと裁判を起こしている相手に、大枠はうちの方で小枠は通産省だと言うけれども、割り当てを続けていること自体、これもすっきりしない一番大きな問題だと思うのですよ。私は根はそこにあると思っているのです。根がそこにあるから、こういう十社の保留の問題が現象として出てくる。告発をして裁判までやっている中央競馬会を初めとして、こうしたダミーの問題について、オレンジの輸入割り当て行政というものを農水省も通産省も真剣に考えて、もうこの辺で出直しさせるという時期に来ているのじゃないかと私は思うのですが、その点いかがでしょうか。  ひとつこれは大臣からも、毎回申し上げていますけれども、山村農水相にもこの問題について関心を持ってもらって、通産省とも検討をされて、こういった割り当て行政をどうしたらなくして、日本のかんきつ生産農民の生活なり権益を守るという方向にこの問題を変えていくことができるか、その点を伺いたいと思うのです。
  127. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私としましても、大いに関心は持っております。ただ、一つおわかりいただきたいと思いますのは、例えば、このたびの日米農産物交渉に関しまして、通産大臣から、オレンジはこれぐらい、牛肉はこれぐらいというようなことを言われれば、これは恐らく怒ると思います。我々に輸入枠を与える権限があるからこれぐらいにするということになるとやっぱり怒ると思いますが、同じように、一応今権限が向こうにあるという状況でございますので、公的にどうこうと言うことは、これは私の口からどうこう申せないわけでございますが、大いに関心は持っております。
  128. 小川国彦

    ○小川(国)委員 園芸局長さんもひとつ……。
  129. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 この割り当て制度というのは、商品の特性に応じましてそれぞれ最善と思われるような方式をとっているわけでございまして、オレンジのようにそれ自体が最終商品であるというものにつきましては、ただいまのような商社割り当てという制度が商品の適性には一番合っておるというふうに考えておるわけでございます。  牛肉のように例えば事業団のようなものをつくって、そこで一元的に輸入し、利益が出ればそこが取得をするということはどうかという意味もあろうかと思いますけれども、御承知のように牛肉の場合には国内の価格安定制度がございまして、輸入牛肉の売り買いを通じて安定帯の中に価格を落ちつかせるという操作をやっておるわけでございますが、国内のかんきつの出回り総量と輸入オレンジの量、あるいは季節の異なりというものを考えますと、輸入オレンジをもって国内産かんきつの価格操作をやるということはなかなか難しゅうございます。また、単純に差益徴収だけを目的とする仕組みを考えるということにつきましては、現在アメリカ側の方では、割り当て制度の撤廃もそうでございますけれども、門戸開放、より自由な市場ということを強く迫ってきておる状況でございますから、そういう自由な貿易を阻害するような仕組みを新たにつくるということにつきましては、新たな貿易紛争の種をまくという問題にもなりかねないわけでございます。  その意味で、現在の仕組みについてはそれなりの合理性はあるものと私どもは考えておりますけれども、ただいま通産省からいろいろお答え申し上げておりますように、その中に含まれておりますいろいろな問題というのは、是正すべく御努力願わなければいかぬ問題である、かように考えております。
  130. 小川国彦

    ○小川(国)委員 最後に、通産省、今私が申し上げた点について今後どう取り組むお考えがあるのか、それを伺って終わりたいと思います。
  131. 土田清蔵

    ○土田説明員 私どもが現在行っておりますIQの割り当て制度そのものが現時点におきまして最善のものであるというふうには、私ども当然のことながら考えておりませんで、確かにいろいろと直していかなければならないような点は多々あろうかと思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、私どもの貿易管理上の基本といいますものを考えましたときには、IQ物資につきましては、やはり割り当てられた量を確実かつ安定的に輸入をする、これが基本でございますので、そういったような観点から私どもいろいろと割り当て制度というものも考えておりまして、そういう観点からしますと、ベストでないけれども、今の割り当て制度といいますのは、基本的にはどうもやむを得ないといいますか、ベターなのではなかろうか。ただ、先生からいろいろと御指摘がありました点等も踏まえまして、私どもといたしましても慎重に研究していきたい、かように考えております。
  132. 小川国彦

    ○小川(国)委員 終わります。
  133. 阿部文男

    阿部委員長 武田一夫君。
  134. 武田一夫

    ○武田委員 まず最初に、高知県の高知営林局ですか、宇和島営林署管内の愛媛津島町の国有林野内から大量に流出しました除草剤の問題について林野庁にお尋ねをしたいと思います。  いろいろと新聞で報道されておるわけでございますが、我々はその域でしかうかがい知れないわけでありますが、林野庁としてこれまで調査した結果、判明している事実についてまずひとつお知らせ願いたい。  それから、その時点でいかなる対応を今日までなさってきたか、今後どういうふうな対応をしていくか、この点について長官にひとつお尋ねをしたいと思います。
  135. 秋山智英

    秋山政府委員 今回の事案につきましては、高知営林局全林野四国地方本部との間で2・4・5T除草剤の当時の処分方法をめぐりまして話し合いが行われてきたところであります。その間におきまして、新聞報道によりますと、五月九日に四国地方本部関係者愛媛大学の助教授の同行のもとに現地へ入りまして埋没箇所発掘を行ったところに端を発しておるところでございます。  営林局といたしましては、この発掘の情報を十二日の夜に入手いたしまして、翌十三日の早朝から愛媛県の関係機関の御協力をいただきながら現地に参りまして現状把握を行っているところであります。また同時に、各営林局に対しましても当時の処理状況把握するように指示をいたしまして、当時の関係者から事情聴取等によりまして現在調査をしているところであります。また、十六日には林野庁担当官を二名高知営林局に派遣いたしまして、高知営林局における処理状況につきまして現在調査に当たらせておるところでございます。
  136. 武田一夫

    ○武田委員 これは、聞くところによると非常に猛毒性のダイオキシンということで、昭和四十二年から四十六年ぐらいまで使っていたということですから、相当量のものが使われた。私もこの間、私の管内なものですから青森営林局に聞いたところ、その当時にもかなりの数量が残っていたということなんですが、どの程度の量が全国的にあったものか、そういうものは今のところまだ把握できてないものですか。
  137. 秋山智英

    秋山政府委員 除草剤の2・4・5Tにつきましては、国有林におきまして、昭和四十二年から四十五年にかけまして、五万二千ヘクタールを対象としまして約七十四トンの2・4・5Tが散布されています。
  138. 武田一夫

    ○武田委員 この処分方法が非常にまずかったのだということでありますが、林野庁通達による処分が守られていなかったというような報道でございます。その当時の書類等は五年保存でなくなっているということで、これから調査するにしても、当時立ち会った方々の追跡調査をして事情を聞くとか、その方法によって林野庁もいろいろとお考えだと思うのですが、事実を掌握をして、その事実をいつごろまでに公表することができるかということなんです。この点はどうでしょうか。     〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕
  139. 秋山智英

    秋山政府委員 2・4・5Tの除草剤につきましては、灌木あるいはつる類などを対象にして昭和四十二年から使用されたわけでございますが、催奇性に疑問が出たということから、四十六年の四月に各営林局使用中止通知をいたしました。追って連絡するまでかぎのかかる倉庫等に厳重に保管するように指示をしたわけであります。その後、関係省庁とこの処理につきまして方法を検討いたしまして、同年の十一月に、セメントなどと練り合わせましてコンクリートの塊としまして、水源地あるいは民家等から離れたところの土中埋没処理するように通知したわけであります。  高知営林局におきましては、当時、関係機関と連携の上、十一月の林野庁通知以前に土中埋没処理をしているわけでございまして、これらの事情につきましては現在調査しているわけでありますが、十三年前の古いことで書類がなかなかないこともありまして、関係皆さんに一々尋ねながら対処をしておるわけでございます。私ども、これはやはり重要な問題でございますので、できるだけ早く、まず全国的な調査もしてまいりたいと思っているわけでございます。来週中には私ども極力努力をして把握したいと思いますが、場合によって全部がとれない場合には、その段階で判明し得るものを御説明申し上げたいと思っております。
  140. 武田一夫

    ○武田委員 これが、言われるようにもしかなり危険なものでありまして、その周辺の住民等々に影響があるということになれば、これは一大事だ。その安全性、その影響というものをしかと関係機関調査等もさせていると思うし、しているんだと思います。現地で出てきたもの、そして水質検査などもしているようでありますが、これに対して、状況によって安全であれば何も掘り返す必要もないし、またせっかくそうしたところにあるものですから、そのままにしておけばいいのですが、問題は、最初は現地で流れ出た、そして水等にどういう影響があって、現地住民にどういう影響があるのかということを早目に調査することが、まず先決問題だと思うのです。この点についてはどういうふうな手を打っているか。
  141. 秋山智英

    秋山政府委員 現在、関係機関と連携をとりながら、現地におきましては水質調査あるいは土壌調査をお願いすると同時に、また健康診断等も地元にお願いしているわけでございます。私ども、これらの問題については、関係機関とも連携をとりながら、まずは実態をよく把握して、その不安をなくす方向で努力していかなければならない、かように考えているところでございます。
  142. 武田一夫

    ○武田委員 きょう、環境庁と厚生省皆さん来ていると思うのですが、両省庁ではこの事態に対してどういうふうな対応策をなさっているか、お尋ねしたい。
  143. 大塩敏樹

    ○大塩政府委員 お答えいたします。  環境庁といたしましては、現在の知見では最も有害であると言われておりますダイオキシンの環境汚染問題については非常に重大な関心を持っているわけでございまして、この点につきましては、私どももこういった問題に取り組む体制についても検討しているわけでございますが、今回の2・4・5Tによる環境汚染問題につきましては、現在のところ、林野庁初め関係機関におきまして、廃棄処理されました周辺の水質あるいは土壌調査が行われるように伺っております。  これが一般環境と申しますか、広く環境汚染につながるかどうかにつきましては、現在行われております調査の結果を伺って、環境庁としても必要な調査を含めた対応を考えていきたい、かように考えている次第でございます。
  144. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明申し上げます。  厚生省といたしましては、飲料水という観点で愛媛県に対しまして関係の地域におきます水道水、それから水道を使っておらないところでは飲料水の安全性を確認するための措置を講ずるよう指示いたしまして、愛媛県におかれましては水道水源調査、それから水道を使っておらないところは沢水でございますので沢水、これは御代ノ川という本川、それから沢水をとっております支流、それからダムの貯留水、それから浄水場に入りました後の処理した水、これにつきまして調査をしておりますが、具体的には農薬関係、2・4・5Tにつきましては愛媛県の衛生研究所、それからダイオキシンがあるかないかというようなことにつきましては愛媛大学の御指導を受けてやるように伺っております。
  145. 武田一夫

    ○武田委員 これは、総力を挙げてやらぬと大変なことになろうと私は思うのです。それで、実は私はこのことでいろいろと聞いたら、ダイオキシンのいろいろな研究というのは余り日本でやらなかった。それで、そういうことを研究している学者さんも余りいないのだ。ですから、愛媛大学立川先生に頼るしかないのだというようなこともお聞きしました。  そこで、ちょっと私疑問に思うのは、四十六年四月六日「2・4・5T除草剤使用について」という長官通達を出していますね。その中で「2・4・5Tについては催奇性について疑問があり、現在世界各国において調査検討が行なわれているところである。 わが国においても調査が続けられているが、現在これらの結果が明らかでないこともあり、」云々中止することにしたという通知で、この後、これについてどうなのかという結果は出てこなかったわけですか。四十六年、既に十何年ですね。この間の、これは間違いなく大丈夫なものであるとかどうなんだという、そういうものはどうだったのですか。この点答えてもらいたいのです。
  146. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 2・4・5Tの問題というのは、これはアメリカ軍がベトナムで使いまして、この薬剤の中に不純物として2・3・7・8ダイオキシンが含まれている。これは大変毒性の強い物質として知られているものでございまして、それが含まれておっていろいろな災いの種になっておるというふうな問題意識から、疑わしいものは使わぬ方がよろしいということで使用中止ということにいたしたわけでございます。  なお、この薬品が使われておりました時点におきまして、農薬検査所がこの2・4・5Tの中に2・3・7・8ダイオキシンが含まれているかどうかということについて検査をいたしたわけでございますが、当時といたしましては検出限界値が三・二ppmぐらいまでしかわからぬということもございまして、当時の判断としては2・3・7・8ダイオキシンは含まれていないというふうに判断をいたしたものでございます。  その後、四十六年に使用中止ということになりまして、当然のことながらメーカーも製造販売を停止いたしましたので、その後におきまして我が国において2・3・7・8ダイオキシンが含まれているかどうか判断をすべき材料がなくなってしまったわけでございまして、現時点で改めて検査、分析をするという方法がない、こういう状況のまま今日に至っておるわけでございます。
  147. 武田一夫

    ○武田委員 厚生省にちょっと聞きます。  現在、我が国におけるダイオキシンの規制値、基準というのはあるのかどうか。また、このものについての研究というか、そういうものの状態はどうなっているのか、ちょっと聞かせてもらいたい。
  148. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 厚生省所管の化学物質を規制する法律としまして、毒物及び劇物取締法、それから化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律という、二つの法律がございます。ただ、これらの法律は、いずれも非常に製品として流通している化学物質を規制するという建前で法律の枠組みがなっております。したがいまして、御指摘のようなダイオキシンというものにつきましては、その製品自体が非常に流通しているものではございませんで、過去に化合物の中にごく微量含まれていたかどうかというようなものであるということ、それから当初入っていないもので燃焼した後に生成するというような、副生物として出てくるというような性格のものでございますので、現在の法体系の中では規制対象外、規制し得ない物質という形で取り扱われております。
  149. 武田一夫

    ○武田委員 私は、かつてのカネミ油症事件を思い出します。いろいろと世界的に毒性を注目されながら、事件が起こって初めて問題になるような、あるいは問題にするような−もしこれが何のことなく、流出もなく、それで自然と流水等によってそういう事件が起こったらどうなるか、そういう重大なことを考えますと、今研究する材料がないし、研究も余りやってないということは、これはとんでもない怠慢だと私は思うのです。もう十三年ですよ。その間、総力を挙げてこういう問題に取り組んで、万全を期して安全を確認し、安全を宣言するような努力というのが林野庁にもなかったし、厚生省等もそういうための努力をなさってなかったんじゃないか、こういうことを思うときに、私は非常に心配でございます。  これは余り研究者はいないというのです。それから、今言ったように研究する材料が日本の国にない。これは外国でアメリカが開発したものだから、アメリカの資料とか、アメリカのそういう材料が大体信用するものの大きな材料だ、こういう話も聞いているのでは、これは全国各地、どういうところに埋められてどうなっているのかわからぬけれども、それがたまたま今回のように地域住民に水として入って、これは宇和島部落では沢水を飲んでいる方が百世帯くらいいるというのでしょう。そういうところがあちこち出てきて、もしこれが調査研究の結果有害なものであって、体内に悪影響をあらわすことが五年、十年となって出てきたらどうするかを考えたら、ぞっとするわけですよ。  この点で、私は、万全を期して、この安全性の確認を早急に総力を挙げてやると同時に、今後こうしたことが二度とないように、しかと行政指導をしながら対応しなければならない。一本の通達でもって、処分通達でもって事を済ませるというようなこと、その結果が五年たったら書類の上でも何もないというようなことでは、これは済まされない問題だと私は思うのですが、その点についての大臣の御見解をひとつお尋ねをしたい。
  150. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 今まで政府委員の方からいろいろ御答弁申し上げましたが、宇和島だけではなく、全国的にどういうような廃棄処分をしたか、その調査をさせております。そしてまた、そのほかの水質また土壌、これらの調査も行われておるようでございますが、聞くところによりますと、地元の保健所等の御協力もいただきながら、健康診断そのほかもやっておるようでございます。  いずれにしましても、この結果を踏まえまして、関係機関とよく相談もしながら、何にしても早急に地域住民の不安というものを取り除くというのが第一であろうと思います。努力してまいります。
  151. 武田一夫

    ○武田委員 これは例えば岩手県また青森県、特に岩手県などは、雫石に三千九百四十キロ、久慈は六百四十キロ、川井三百七十五キロ、岩泉千九十五キロ、このようにかなりのものが各地域にあるわけですが、そういうような地域の方々はえらい不安ですわ。それは現地の流出したところの皆さん方の心配も不安も大変なものだけれども、これは新聞に出ておりましたよ。その周辺の方々の不安、心配は大変なものです。これは一日も早く総力を挙げて安全性その他対応に万全を期していかなければいかぬ、そして地域住民の不安の解消に取り組まなければいかぬ、こう思うので、その点は重々お願いを申し上げます。  いずれいろいろな調査等々が出てくるわけですから、その際またいろいろとお尋ねをしたい、こういうふうに思います。この問題はその辺にしておきたいと思います。  それから次に質問したいのは、最近の異常天候、異常気象の問題です。これは、あちこちの農家の皆さん方に会いますと、こういう異常気象というのは見たことがないと、大変な心配です。特に東北はもう四年続けて冷害。特に表日本はさんざんな目に遭った。米がやられた。そういうことで、この異常低温、異常気象の問題について聞きたいと思うのです。  いろいろな事実を申し上げますと、最近では、岩手県の場合は五月十五日ですか、例年よりも十度低い異常低温注意報が出されている。宮城県でも同じような状態。八戸周辺では、寒さのために魚が窒息して浮上してしまった、そのために手づかみにとって非常に喜んでいたなどという話を関係者から聞いている。それから山形県は、農協中央会が既に異常気象対策本部を設置しました。五月になっても気温は上がらず、米だけでなくサクランボ、桃、リンゴ等への影響も心配。開花が非常におくれている。栃木県や群馬県あるいはまた埼玉県などの麦は減収、そして品質の低下は避けられない。各地にそういういろいろな心配事が出ているわけでございます。  最初に気象庁に伺いますが、今後の気象の状況をどういうふうに把握されているものか、そして今後農作物、特に稲作等に対する影響はどういうものか、この点についてひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  152. 朝倉正

    ○朝倉説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、本日も正午の気温を見ますと、仙台では平年より六度も低いという大変に異常な状態でございますけれども、この低温の状態もほぼ峠を越しまして、今回の低温に関する限りは来週ぐらいからはほぼ平年の気候の状態に戻るのではないかというぐあいに見通しております。  ただし、ことしの異常気象の状態というのは例年とかなり違っておりまして、冬以来かなりの寒さが続いておりますし、引き続きこの傾向というのは、梅雨に入りましてからも変動の大きい特性というのが続こうかと思います。六月に入りますと、六月の下旬ぐらいから七月半ばごろまでにかけまして、再び北日本や東日本では平年に比べますと低温の状態が繰り返されるのではないかというぐあいに見込んでおる次第でございます。
  153. 武田一夫

    ○武田委員 農林水産省としては、こうした事態に対して現在のところどういう対応をしているか、その点について。
  154. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 本年の場合、特に稲作につきましての気象による影響は、豪雪及び融雪遅延によりますところの苗代作業のおくれでございますとか、あるいは本田の作業にもおくれの傾向がございまして、田植えの最盛期ということで比較をいたしますと、東北地方は軒並み三日ないし五日のおくれというふうになっております。それから、もちろん山つきの地帯などにおきましては十日以上のおくれというところもあるわけでございます。それから、今気象庁の方からお話ございましたように、田植え後の天候といたしましても比較的低い地域が多いわけでございまして、そうなりますと、田植え以降の生育がおくれるという問題が出てくるわけでございます。  従来、そういう気象の変動が冷害ということにつながります場合には、稲作の発育のどういうステージで低温に見舞われるかということによりまして、生育の例えば幼穂形成期でありますとかあるいは出穂の時期でありますとか、いろいろ重大な時期があるわけでございますが、そういう時期にどんな天候が重なり合うかということによって問題が顕在化しておるわけでございますので、今後の気象の推移につきまして細心の注意を払いますと同時に、それぞれの気象変動に応じた適切な技術的な対応が可能となりますように、都道府県農業改良普及所それから農業団体等につきまして指導してまいるつもりでございます。  また、一部苗代作業が融雪遅延で非常におくれましたところにつきましては、苗代作業のために必要な除雪あるいは共同苗代育苗施設等の助成をいたすことといたしておりまして、現実にその助成に乗る方向で現地の対応が進められておるわけでございます。  また、ごく最近起こった問題といたしまして、麦作につきましても最近の低温によりまして発育がおくれているという問題がございますので、一部麦の後に稲作が入ります地域では、麦のおくれによる田植えのおくれという心配が出てきております。地域によりましては、この際麦を犠牲にして田植えに入るといったところも、面積はそう多いものではございませんが、出ておるという状況でございまして、やはり稲作をより重点的に考えていくという対応が現地においては強いようでございます。
  155. 武田一夫

    ○武田委員 そのほか、要するに果樹の作業と稲作がぶつかる地域、特に青森などはそういう傾向も出てきましたね。そうすると、労働力の問題、いろいろな問題で支障を来すこともあるわけですから、現地状況等を各都道府県等からよく聞きながら、対応できるものはきちっと対応してほしいと思います。でないと、非常な御苦労を農家の皆さん方は背負うことになると思うので、その点は、局長、ひとつよろしくお願いしたい、こう思います。  それで、今から心配しているとどうかと思うのですが、今度消費者から言わせますと、ことしもし米がとれなかったらどうするのだというのがまた返ってくるわけです。大丈夫か食糧庁さん、こうなるわけです。長官は大丈夫だ、こういう顔をしていますが、先日も大阪の方から電話が来まして、米屋さんのようですが、今大変だ、政府米の五十三年の古々米が一万一、二千円だったのが一万五千円に上がっちゃった、それでも手に入ればいい方だという話。それから、その米もストレートで出ている傾向もある、だから食堂に入るとちょっと臭みがあるなというような感じもすると言う。どうもそういうことで、業者さん等も最悪に備えていろいろと工作をしている嫌いもある。この点で、消費者の皆さん方は万が一ということを考えているようであります。私も考えています。  というのは、昨年、私は四年続きの冷害があるということも考えなくてはいけないのではないかと言ったら、いや絶対ないという答弁をいただきまして安心しましたら、案の定、安心したのが失敗のもと、苦労しました。ことしは安心しちゃならぬと思って、この問題は、やはり倉庫を全国的に調査でもして、米は間違いなくこのとおりあるのだということを発表でもしないと、あちこちで大変なそういう投機的な話も出てくる。心配です。大阪というのは一番敏感なんでしょうね。大阪から電話が来まして、来てくれというわけです。うちの地元の議員に実情を調査してくれと頼んでいるわけでありますが、長官、今後どういうふうに食糧庁として対応していくか、万々が一の場合を考えておかなければいかぬということも踏まえて、ひとつ答弁をいただきたいと思うのです。
  156. 松浦昭

    ○松浦政府委員 五十九米穀年度の需給につきましては、再三当委員会で御答弁申し上げておりますように、五十八年産米が残念ながら四年続きの不作で一千三十七万トンでございましたが、これに加えまして前年産の米の持ち越し十万トン等も含めまして一千六十万トンの供給力がございまして、これに対して需要量が一千五十万トンと見込まれますので、一応この米穀年度は十万トンを翌米穀年度に持ち越せるということで、基本的には問題がないと考えているわけでございます。     〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕 ただいまおっしゃられますように、何分にもゆとりのある需給操作をいたしておるわけではございません。私どもといたしましては、やはり真の需要に見合った形で、しかも全国期間むらなく計画的にお米を売却していくというきめ細かな操作をいたしながら、流通業界の方の御協力も得ましてこの問題に対処していくという姿勢でございます。  ただ、ただいまおっしゃられました五十九年産米は、五十九米穀年度の端境期がどうなるかということと、それから六十米穀年度がどうなるかということに当然極めて大きなかかわりがあるわけでございますが、私ども、ただいま農蚕園芸局長から御答弁申し上げましたように、生産当局の方で、大臣のおっしゃっておられますたくましい稲づくりの運動ということも官民一体で協力し合いながら、基本技術の励行ということで、多少の天候の不順がございましてもこれを乗り越えて生産をしていただくということで御努力をお願いしている次第でございます。さような意味で、これからの端境期というものも供給力をきちんと確保して、五十九年産米で十月までに大体四百万トン程度の集荷が新米として見込まれますので、これを機動的に活用しながら五十九米穀年度の端境期を越えていく。さらに六十米穀年度につきましては、御案内のように、私ども第三期の水田再編対策の中で四十五万トンの在庫というものを持つようにゆとりのある計画をいたしておるわけでございます。ある程度までの天候の不順な状態がございましても、この四十五万トンはバッファーに使えると考えております。さような計画と、さらに先ほどからの稲の生産の確保、この二点から六十米穀年度も供給の不安がないように対処していくという方針でございます。  なお、ただいま五十三年産米の価格の問題に先生ちょっとお触れになりましたけれども、恐らくこれは自由米市場での売買ではないかと思います。私ども、一万四、五千円程度で自由米市場で五十三年産米が取引されているという新聞記事は読んだことがございますが、何分にもこれは自由米市場、やみ米の問題でございますので、性格上なかなか実態の把握は難しいかと思います。私どもが承知いたしておりますのは、正規の卸売業者が小売業者に販売している五十三年産米の価格は、大阪においては一万一千円から一万一千百円程度でございまして、五十八年産米も含めまして最近安定した価格で一応推移しているところでございます。やはり問題は不正規の流通にあると考えますので、私どもといたしましては、五十三年産米は外食産業用等の業務用米ということで、実需者の希望に応じましてこれを供給していくということでございますので、あくまでも卸が小売に対しまして適正に販売していくということでこういうことに対処をしていくように指導してまいりたいと考えております。  さらに、何かにおいのある米があったというお話でございますが、私ども米穀の保管管理につきましては日常から倉庫内の通風換気あるいは環境整備等を行いまして、米穀の品質は十分に保持するように努力をしてまいっているわけでございまして、五十三年産米につきましても、最近の保管技術の向上によりまして主食用としての品質は十分に保持されているものと考えております。たしか五十三年産米につきましては先生も御試食いただいたと思うわけでございますが、確かに一部五十三年産米で古米臭が強いものもあるのではないかと考えまして、通常の供給の米よりも若干劣る点は否めないと考えるわけでございます。やはり基本的に申しまして、販売の段階でこれをきちんと調製していくということが必要でございまして、五十三年産米を精米にする場合には通常の場合よりも搗精度合いを上げるといったようなことで対応しております。それからまた流通の業者の方々では、やはり消費者の嗜好ということは当然考えられるわけでございまして、余りひどい米は流通されないはずだと考えております。ただ、御指摘のような点もございますれば、私ども十分に配慮いたしまして、品質面でも問題のないように五十三年産米を売却していくつもりでございます。
  157. 武田一夫

    ○武田委員 全国の倉庫の中にどの程度の米があって、どのように動いているのかということで前にも当委員会でいろいろと論ぜられまして、その実態を渡してちょうだいと言ったら、ちょっとしたものは出していただきましたがね。私は今出せとは言わないけれども、我々は米の消費拡大を毎年訴えてきまして、それは運動は進めております。先日も消費拡大の議員連盟の我々集まって、皆さん方おいでいただけなかったのですが、長官がおいでいただいて、一生懸命やっておるわけです。余り消費拡大をやるとどうなんだという心配もしているのです、正直言いますと。  そういう意味で、たとえ万が一最悪の事態が来たとしても、今の食用としているものは、現在消費している分だけは大丈夫あるんだという確固たるものをやはり我々一般国民が知らぬと、そういう投機とか変なものに巻き込まれるというのは明らかなんですようちの方の自主流通米だって、これは高く売れますし、引っ張りだこ、そういうことになりますと、中にはしかと倉庫にしまって、放出しない。ありませんなんて言って、高くなったとき放出するなんて言われたら、これは消費者の皆さんはえらいことです。でなくても四月から消費者米価、米の値段が上がっているということだけでもこれは相当深刻な問題ですから、こういう意味で、私は、万全の体制の中で食糧の安定確保、米は間違いなく大丈夫だということをやはり事実を通して示さなければいけないと思っています。米屋さんである大臣はやはり一番おわかりだと思うのですが、消費者等のつながり、そういうことで、大臣からこの点についてひとつしかとした御見解をちょうだいしたい。
  158. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいま食糧庁長官から需給関係について御心配のないようにしてあるということを申し上げましたが、特に前年までの四年続きの不作ということがございました。たくましい稲づくりというものを提唱いたしまして、そして、確かに四年不作の一番大きなのは天候不順というのがあるでございましょうけれども、しかしまた稲作技術というものを励行していなかったというようなこともあるのじゃないかということで、たくましい稲づくりを提唱いたしまして、官民一体となってということで、農業者の代表の皆さん、そしてまた都道府県代表の知事会代表、そして市長会代表、町村会代表、それらの皆さんにお集まりいただきまして、たくましい稲づくりの御協力方をいただいておるところでもございます。今後も少なくとも主食たる米の安定供給にはいささかも消費者の皆さんに御心配をかけないようにやってまいりたいと考えております。
  159. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつ万全を期して対応に当たってほしいと思います。  次に、流氷の問題です。  これも異常気象の一つのあらわれだろうと思うのでありますが、宗谷方面で流氷による被害が出ておるわけでございます。稚内などでは、ここは流氷の常襲地帯ですけれども、ことしは四回も流氷が接岸し、大きな被害を出している。昆布、アワビ、ウニ等に約四億円以上の被害が出ているということでございまして、我が党では現地調査団を送りまして、二日間にわたって現地調査と、関係者皆さんからいろいろと状況を聞いて、いろいろな要望や陳情も受けてまいりました。この間、大臣に、代表がその中身を報告しながら、七項目でしたか、申し入れをしたところでございますが、私はこの問題について二つ早急に対応してほしいと思うことがございますので、この場で水産庁、大臣の対応についてのお考えをお聞かせいただきたい。  一つは、昆布の養殖施設、ウニの採苗施設の復旧は秋口までに何としてもしていただきたい。でないと、来年の仕事に大きな差しさわりがあります。  もう一つは漁業共済についてですけれども、昆布の養殖施設を共済の対象とすることが必要ではなかろうか。これは今なってないわけでございますが、この点についてやはり制度の充実を期してほしい。  この二点につきまして特にお願いを申し上げ、御答弁をいただきたいと思います。
  160. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 御指摘のように、本年に入りまして二月から三月にかけまして、大変発達しました低気圧の関係で従来入ってこなかった太平洋岸あるいは日本海に、利尻、礼文にまで流氷が来たわけでございます。その関係で、現在中間的に私どもの手元に各種の被害の情勢報告が入っております。私どもといたしましては、先般担当の振興課長現地に派遣しまして、現在現地に出向きまして道と共同で被害調査の現実の把握に努めておるわけでございますが、総体といたしましては、担当課長の帰りましてからの報告等を聞きまして、道庁とよく相談をしながら対策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただいま御指摘の二点につきましてお答えを申し上げますと、まず養殖施設の被害でございますが、養殖施設のみならず、各種の農林水産業の施設の災害復旧につきましては一応のルールができておるわけでございます。例えば共同利用施設の場合であれば災害復旧の暫定措置法に基づく助成、あるいは個人の受けました施設被害である場合には公庫の融資というような制度がもう既にできておるわけでございます。なるべくその復旧を急ぐべきであるという御指摘はそのとおりでございますので、担当課長が帰りましたら道庁等とも相談しまして、これらの施策をなるべく早く活用いたしまして施設の早期復旧に努めたいというふうに考えております。  もう一点の御指摘である昆布養殖についての共済制度でございますが、先生御案内のように、昆布につきましては天然の昆布採取業というのが主たるものでございまして、これについては昔から共済制度があるわけでございます。養殖の昆布の共済につきましては、生産金額の補償方式に対する要望が強かったということがございまして、二年前の昭和五十七年の制度改正によりまして新たに昆布養殖を漁獲共済の対象にしたばかりでございます。昆布養殖の場合の養殖施設につきましては、通常災害による事故の可能性がほとんどないということ、そのためにこれに対する希望も非常に少なかったということが五十七年の制度改正のときには背景にあったのではないかと思うわけであります。今後、昆布の養殖施設を共済の対象にするかどうかということにつきましては、御案内のように共済といいましても一種の保険でございますので、保険の仕組みをつくります幾つかの原則がございます。まず希望が非常にある、一定の加入数量が見込める、あるいは同じ保険需要を持つ一定の母集団があるとか、その事故の発生についての蓋然性が数字的に把握できておる、こういうような幾つかの前提条件がございます。そういったことが十分把握できるというような見通しがつきました段階におきましてその制度化がなされるべきものであるというふうに考えているわけでございますが、今回のこういった災害等のこともございますので、その検討につきましては少しく作業のスピードを上げたいというふうに考えています。
  161. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 流氷による被害につきましては、前々から心配しておったところでございます。せんだって武田さんを初めとする議員団の皆さんからの陳情もお受けしました。現在、水産庁の振興課長現場へ派遣しております。これらの被害の調査を行っておりますが、帰りましたら早々に、これらに対する早期復旧という線で、できるだけのことはしてまいりたいというぐあいに考えております。
  162. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつよろしく御配慮いただきたいと思います。  次に、ノリの問題ですが、私の宮城県は、仙台湾の中で松島、塩釜地域の皆さん方はノリを仕事としている方もいるわけですが、どうも不作で、騒いでいるけれども、原因がさっぱりわからぬと言うのです。何年たってもらちが明かぬ。それは下水の汚水処理のまずさではないかとか、あるいはまた気温がどうとか、近くにある工場の廃液がどうとか、いろいろあるのですが、一向にらちが明かぬ。どこの学者さんにどうなんだと聞いても、意見がばらばら。これはどういうふうな対応で救済するかというので、私も頭が痛いのですが、水産庁も頭が痛いのではないかと思う。しかし、これはほうっておくわけにいかぬのです。  去年の暮れでしたか、私は海に出まして、漁民の方々現地を見てまいりましたが、場所によっては非常によくつく。しかしながら、場所によっては全く脱落してどうしようもないというところが広がってきている。生活のかかっている方が多い。これはほうっておくわけにはいかぬ。中にはノリの脱落以上に自分が脱落しちゃっているという方もいて、気の毒です。施設に高い金をかけているものですから、えらい借金を背負っている。これは水産庁として、対応としてどう考えていろのかということです。  そこで、長官から答えてもらう前に、公害等調整委員会からきょうおいでになっていますね。このために仙台で訴訟も出ているでしょう。要するに、仙台市を相手取って、仙台市の汚水が原因だとか。だから、べらぼうな補償ではなかったかなという気がしているのですが、長い争いをしてきた。こういうようなことが出てくる。そこに何人かの先生が行って、この原因、結果等々いろいろ調査しながら、判定を下したりするのでしょう。判定が下されない場合はお金でもって、要するに漁業権を買い上げて、それで勘弁してくれやというケースに乗った方もいるように伺っている。  公害等調整委員会の皆さん方のところに行っているこういう実態はどういうものか、まず聞かしていただきたい。それに対してどういうふうな答えというか、対応をしているのか。そしてその後に水産庁長官から、対応についてのお考えを聞かしていただきたい。もう一問やるものですから、時間がないので、ひとつ簡潔に。
  163. 紀嘉一郎

    ○紀説明員 お答え申し上げます。  当公害等調整委員会は行政委員会でございますが、準司法的な仕事をしております。我が公害等調整委員会にかかっている事案は、昭和五十六年十月二十七日に、仙台市から、仙台市漁業協同組合の主張します南蒲生下水処理場の排水の影響によるノリ等被害の債務は存在しない、そういう旨の調停申請が出されたわけでございます。  当委員会としましては、調停を進めるよう努力しておりますが、一方、仙台市漁業協同組合から仙台地裁に対しまして、仙台市を被告としまして下水処理場からの排水の増量禁止を求める訴訟が提起され、これは昭和五十七年五月でございますが、現在係属中であると聞いております。  仙台市からの調停申請に対しましては、仙台市漁協としましては当面その訴訟に力を注いでまいりたいという意向が示されておりますので、当委員会としましては市と漁協、両者の対応を見ながら調停を進める所存でございます。
  164. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 松島湾と仙台湾の湾の奥の方で、昭和五十四年の秋ごろから養殖ノリにつきまして、私ども芽落ちと言っておりますが、脱落といいますか、減少が生じておりまして、そのためにその地域での収穫量の減少とか次期作の種苗の確保について支障があるという報告を受けております。  このために、五十四年度から宮城県にノリの安定化対策本部というものがつくられまして、私どもの東北区の水産研究所と宮城県の水産試験場と地元の漁業関係者等によって被害原因の究明の作業が行われておるわけでありますが、まだ確たる原因がつかめておられないようでございます。湾の奥の現象でございまして、先ほど先生おっしゃいましたように、地区によってはよくできているところもあるようでございますし、湾全体の生産量といたしましてはさほどの変化が見られないわけでありますが、地区によりましては非常に激甚なものがあるように聞いております。  現在、原因につきましては科学者の方がいろいろなことを言っておるわけであります。一部にはつぼ状菌ではないかという説もあるようでございますし、あるいは生活排水が原因ではないかということを言う方もおられるわけでありますが、いずれにしましても、水産研究所、国の機関関係者を、なるべく早く原因を究明して原因に応じました対策が講じられますように、さらに督励をいたしたいというように考えております。
  165. 武田一夫

    ○武田委員 これは、今一つ例が出ているわけですけれども、またそういう裁判問題にまで持っていくなんということになっちゃったらえらいことだなという気がしてなりませんで、我々はそんなことにならぬように、いろいろと皆さん方の御意見やら関係機関に働きかけて、総力を挙げてどういう原因なのかということを究明しながら対策が打ち出せないものかといって努力しているのですが、地元の人は、水産研究所ですか、水研のデータなんかも信用しないのです。というのは、それが間違いないものだと言っても、さっぱりらちが明かないものですから、ほかの大学の先生のところに行って頼んで見てもらうとまた別な原因だ、こういうように金をかけてやっているわけです。  ですから、国としましても、権威のあるそういう水研究、またその状況をよく調査する一つのしかとしたプロジェクトチームみたいなものでもつくって究明に当たりながら対応してほしいと思うのです。そうでないと、これはますます広がっていくような気配がします。そして、それにしがみついて生活をやっている方々が仙台漁協のような対応をしてこられたらこれはまたえらいことだなということがひしひしと感じられるものですから、ひとつ十分にこの点の事情を踏まえての対応をお願いしたい、こういうふうに思います。  時間ですので、最後に林野庁長官にもう一度お願いをしたいのです。  栃木県塩谷郡塩谷町というところの産業廃棄処理場建設の問題ですが、これは五月十五日の毎日新聞にあるのですが、県の対応が課によって随分違う。長官新聞記事を読んでいるのじゃないかと思うのですが、森林法に定めてある森林計画地域に指定されている地域の場合は、一ヘクタール以上開発する場合には都道府県知事の許可申請が必要とされている。これを建設する業者が二・○六ヘクタールの面積のところを埋め立てて、そこに処理場を設置するということなわけですね。ところが、現実に今工事が進んでいるというのです。聞いてみたら、一期、二期、三期に分けて、一期が〇・八七というのだから、これは許可がなくてもいいんだというようなことで、県の森林土木課がこれを認めたというのだね。ところが、環境整備課は、工期を分けようとも二ヘクタールとしての埋立地だからそんなものは認めるわけにいかぬ。林野庁の計画課は、県が最終的な開発規模が二ヘクタール以上になっているのを知って申請取り下げを認めたとすれば問題だ、こう言っているわけです。  だけれども、現実にもう工事をやっている。地元の住民は、この地域は奥に水源地があり、その下には優良な農地があるということで反対している。何か非常にちぐはぐな対応を感ずるわけでありますが、私はしかとした行政指導の上においてこうしたちぐはぐな対応というものを指導すべきでないかと思うのです。どうでしょうか。
  166. 秋山智英

    秋山政府委員 御指摘の問題点につきましては、ただいま栃木県から事情を聴取しておるところでございます。いずれにいたしましても、これは森林法に照らしまして私ども適切にこれから対処してまいるということで取り組んでまいるつもりでございます。
  167. 武田一夫

    ○武田委員 この問題は相当地元で問題になっているようですので、後でまた大きな問題として出てくると思うのです。ですから、十分に現地状況を掌握し、適切な対応をして、おかしなことにならぬようにひとつやってほしい、このことを要望しまして、時間ですから終わります。  どうもありがとうございました。
  168. 阿部文男

    阿部委員長 津川武一君。
  169. 津川武一

    ○津川委員 武田委員は、異常低温、それから流氷、そういうことに対する対策を質問しましたが、私も引き続き北海道、東北地方における異常気象、その中でも海水の異常低温、暖流の動きなどを中心に、被害がかなり出ておりますが、まだ被害の現状も明らかでないので、第一報的な質問をして、さらに事態が進んだならば質問を繰り返してみたいと思っております。  せんだっての五月十一日、青森県主催で、東北、北海道の行政や試験研究機関一緒になって対策を協議しましたが、そのとき一致して要求されたことは、漁業情報サービスセンターの漁況海況情報サービス事業の拡充という言葉で表現されております。青森県の現地からの報告によりますと、観測を始めたのは昭和二十四年、それ以来の記録を破る一番低い海水面の温度になっている、こういうことでございます。  そこで、北海道、東北などで海面水温の異常低下や黒潮、対馬暖流、津軽暖流などに異変が起きておるようですが、この状況を、気象庁、ここでお知らせ願いたいのであります。いつごろからこうなって、さらに今後の見通しがいつごろまで続くのかなこということもあわせてお知らせ願えればありがたいと思います。
  170. 小長俊二

    ○小長説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  御案内のように、一昨年から世界的な異常海況ということで、エルニーニョという現象が発生しておりました。これは太平洋の赤道海域東部に発生する現象でありますが、それに関連いたしまして、我が国の近辺の海流にも若干の異常が認められまして、特に日本近海の海面水温はやや低目に経過しておりました。その状況がまだ後遺症的な形で現在も続いておりまして、特にことしの三月、四月、五月の状況を踏まえてみましても、平年よりもマイナス五度も低いというような海域が三陸沖を占めております。  それから、漁業にもかなり影響があると思われます百メートルの水温を見ますと、ことしの四月の状況は、気象庁がこういうことを始めて以来、先ほど先生の方から二十四年という御発言がございましたが、昭和二十六年以来一番親潮が沿岸沿いに南下しているという状況が観測されております。  この状況につきましては、もうしばらく、最悪の場合には夏八月くらいまでは続くのではないかという予想をいたしております。
  171. 津川武一

    ○津川委員 大臣も聞かれたように、この状況は八月ころまで続くという大変な状態なので、お忘れなくひとつ心にとめておくようお願いします。  そこで、こういう中で対馬暖流、津軽暖流、黒潮の動きを去年あたりとことしを比べて少し教えていただければと思います。
  172. 小長俊二

    ○小長説明員 お答えいたします。  黒潮に関しましては、東海道沖で大きく蛇行するという、いわゆる冷水塊が存在するという形が数年来持続して続いております。それから対馬暖流が日本海に入りましてからは、例年と比べまして蛇行する場所がかなり異なっている。蛇行する場所が異なるということは、水温の高い低いの場所が異なるということにもつながるわけですが、そういう状況が続いております。それから津軽暖流が、平年の状態でありますと、津軽海峡を越えまして日本の三陸沿岸沿いに南下する形が非常に強く見られるわけですが、ことしはそれがやや弱い、そういう形であると思います。
  173. 津川武一

    ○津川委員 八月まで続くということでございますし、被害も出ているようでございまして、そこで皆さんが国に対して特別にこの間の会議で要求されたのは、人工衛星情報の北部海域での拡充強化、関係省庁の共同研究による異常冷水温の原因究明と予察技術の開発、こういうことがかなり具体的に求められておりますが、ここいらはどうなっております。
  174. 小長俊二

    ○小長説明員 お答えいたします。  気象衛星ひまわりの資料で、北の方、オホーツク海から三陸沖のあたりもかなりの資料がとられております。このほかに、アメリカの打ち上げております軌道衛星のノア、これから一日に二回ずつ資料を取得しておりますが、それらを含めた海面水温情報というものを、海面からの放射温度という形で十日に一回ずつ私たちも速報しております。  それから、組織については私存じませんので……。
  175. 津川武一

    ○津川委員 そこで、海面海水の異常低温、それから暖流、海流などの変化、なぜ起こるかでございますが、皆さんが出しております「異常気象レポート84 気象庁編」というのを見て少し教えていただきましたが、例えば海洋について「海流は、地球上の熱の南北輸送に大気とほぼ同等の寄与をしている。しかし、一般に海洋と大気のかかわりは相互に複雑であり、その実態は十分には解明されていない。  今後、海洋と気候との関係を明らかにするためには、海面や表層の水温分布の定常的な把握、海流による熱輸送過程、更には深層水をも含めた海洋の循環機構の解明などが急務である。」こんなふうに言っています。  この本を見ますと、異常気象、低温はなぜ出るかについてはかなり解説し、資料もあるのです。海の温度がなぜ低いのかということに対しては研究も解説も余りない。ここが私は不思議でしょうがない。そこで、気象庁として、これだけ出てきましたし、八月まで続く、去年あたりから出ている、この海の気象に対して根本的な立て直し、追求、やり方、機構も整備しなければならないと思いますが、この点はいかがでございますか。
  176. 小長俊二

    ○小長説明員 お答えいたします。  世界的に見まして、海洋の資料は非常に偏在しておるということと、いまだにたくさん要望されているということがございまして、海上におけるプラットホームあるいは衛星などを利用しまして取得する方法が国際的に広く研究調査されておる段階でございまして、私たちもその一端を担ってたくさんの資料が取得できるような方法を望んでおります。  それから、表層水温などの変動機構でございますが、これは大気との相互作用ということでございます。まず海面から熱の形で大気に供給される、大気から運動量、要するに海流を起こすことと判断していただいていいと思うのですが、そういうものの形で大気から海の方にエネルギーが供給されるという形で相互作用を行っておりまして、それから南北の熱輸送に関しましても、特に太平洋なんかは北極の方まで海がつながっておらない関係もありまして、中緯度くらいまでは海洋が熱を運ぶ量が非常に多くて、中緯度で海洋から大気の方に熱を渡しまして、そこから先は大気の方がたくさん北に運ぶ、そういう形で地球上の熱バランスがとれておるということは大体定性的にわかっております。  ただ、それを定量的にやる研究はこれからの学問でございますが、一昨年来盛んに言われましたエルニーニョ現象が、東太平洋の赤道海域で起こっております状況の水温のパターンで数値実験をいたしました結果なんかを見ますと、海面水温の影響が非常に気候変動に大きな影響を与えておるという結果は、まだ研究の中途でございますが、出ております。
  177. 津川武一

    ○津川委員 せっかくエルニーニョ現象に触れたのですが、それが大気の温度に影響すると書いてある。エルニーニョ現象がなぜ起きているのかということをこの本でも触れてないので、やはり海洋の気象観測は徹底的に進めていただかなければならない、そのようなことを要求して進めていきます。  そこでこの本ですが、結論のところに「まとめ」として「日本の気温一九六〇年代の高温期は終り、一九七〇年代の北日本等の一部にみられる低温傾向はしばらく続くが、やがて全国的にゆるやかに上昇するであろう。」これは北の方はしばらく続く、こう指摘している。ところが、海洋の異変に対してはどうなるかの予報、予測をしていないのでございます。この点の予報をぜひ確立していただきたい。  何か答えることがあったら答えてくださって、答えることがなかったら、私、要求にとどめておきます。
  178. 小長俊二

    ○小長説明員 簡単にお答えしたいと思います。海洋の観測それから研究自体が大気に対してややおくれをとっておるということは事実でございまして、そのためにそういう予測方法がおくれている、これもまた事実でございます。御指摘のとおりであると思います。  それで、私たち気象庁の人間といたしましても、海面水温の予報を何らかの形で出したいということで頑張っておりますが、現在までのところはかなり定性的な形で冬に暖候期の海面水温の予報というのを出しております。これは主として冷害なんかに対する農業的な意味で出しておりますので、もう少し広い範囲、北西太平洋全域ぐらいにつきまして、せめて旬単位あるいは月単位の予測ぐらいはぼちぼちできるのではないかという技術的な進歩がございますので、庁内でそういうことをやれるように今検討しておるところでございます。
  179. 津川武一

    ○津川委員 まさに私の問いたいところに答えてくれました。その何らかの形で予報したい、ここのところが、予報があれば対策の骨子が出てくる。皆さんからいただいた気象庁の「全国海況旬報」、非常に苦労されて丁寧に書いて、四月上旬、中旬、下旬、比べてみたら動きがよくわかりました。しかし、これは後の記録が非常に大事だから、ぜひ欲しい。こういうものを四月上旬、下旬と書いたら、もう一つ、五月の上旬、中旬どうなるんだろうという予報的なものが出ないか。気象通報には毎日の天気予報は出るが、海洋気象の予報というのはなかなか出ない。これがあったならば、我々は対策は非常に大事だと思うのですが、この予報できる体制に対して取り組んでおられるのだったらまた話していただいて、これはぜひ進めていただきたいと思うわけであります。
  180. 小長俊二

    ○小長説明員 技術的な裏づけということが大切なんでありまして、一応そういう取り組みは行っております。  それから、ただいまのあれで、大体上旬の水温を用いて下旬の水温を予測するというような方法を一応考えております。
  181. 津川武一

    ○津川委員 気象庁に対する質問はこれで終わりますので、気象庁の皆さん、お帰りになってくださって結構でございます。ありがとうございました。  そこで、こういう状態の気象状況に対しまして、これも現地からの報告でございますが、青森県だけではこのためにヤリイカ、アワビ、サザエ、ヒラメに影響が出ており、潜水調査では大戸瀬地区、これは西海岸でございますが、最近へい死したと見られるサザエが約七割を占めておる。この状態が八月まで続くということになりますので、このために北海道、東北の魚介類や海藻が受けておる被害に対して把握している分だけ、水産庁からお答え願います。
  182. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 先ほど先生もお触れになりましたように、五月十一日に北海道、東北六県の関係者と、私どもの役所からは資源課長等担当が出席をいたしまして情報交換をやったわけでございます。  その結果につきまして御報告を申し上げたいと思います。  ことしの異常な低水温によるのではないかと思われます漁業への影響といたしまして、北海道周辺では、流氷によりまして、従来流氷の来なかった太平洋側あるいは日本海の利尻、礼文島に流氷がかなりあらわれまして、昆布を中心としましてかなりの被害が出ておるのではなかろうか。現在、詳細は調査中でございますし、先ほど申しましたように私どもの振興課長が北海道に行っております。詳細につきましては帰りましてから私どもも承知をいたしたいというふうに考えるわけであります。  三陸、常磐関係でございますが、青森県を中心にいたしまして日本北部沿岸海域におきましては、二月から四月にかけまして、ただいま若干先生もお触れになりましたようなアワビ、サザエ、アマダイ、クロダイ等につきましてのへい死、あるいはマダイ、ウマヅラハギ等の仮死状態での漁獲というような現象が一部に見られておるようでございます。また岩手県では、これは全体の収穫には余り影響がないのでございますけれども、ワカメに穴あきの症状が見られるというような報告があったようでございます。  いずれにしましても、被害数量等につきましては現段階ではまだ十分に把握されていないということでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。ただ、一部の地区を除きましてはそれほど多くないのではないかという一応の報告となっております。  また、日本海側でございますが、山形、青森県等につきましてヤリイカ、三陸、常磐のコウナゴ、カレイ、マス等につきましての不漁が報告されております。しかし、最近になりましてから、水温が上がってきたせいではないかと思われますが、ヤリイカ、コウナゴ等の漁獲が順調に回復に向かいつつあるという報告もございます。  他方、三陸、常磐では、通常でございますとさほどとれませんオキアミが例年になく多く漁獲されまして、また、一部の県ではスケトウダラ、マダラなどが豊漁であるというような報告もございます。  また、日本海の西部海域では、昨年の十二月にマイワシがかつてないほど多く漁獲されたというような、プラスと申しますか、従来にない現象の報告もあるわけでございます。  今のところ、まだ、ただいま申しましたような概略的な御報告しかできないわけでございますが、概観いたしますと、北の方ではへい死あるいは魚体の小型化というようなものが被害として認められる反面、北方系の魚種が従来になく多くとれるというようなことではないかと思います。  今後につきまして私ども心配しておりますのは、スルメイカ、イワシ、サバ、カツオというような、従来であればかなり北上するべき魚種の北上がおくれるのではないかということを若干心配いたしております。  私、きょう出がけに、ごく最近の状況はどうかということを念を押してきたわけでありますが、最近になりまして水温が順調に上昇過程に入ったというような報告もあるようでございますので、いずれにしましても、各県との連絡を緊密にとりながら今後の状況をウォッチしてまいりたいというふうに考えております。
  183. 津川武一

    ○津川委員 そこで、南の方には消えるべき魚がまだ残っていて、北の方が非常にぐあいが悪くなっているというわけですが、今水産庁長官も言われたように、全体としてまだ状況把握が極めて不十分なので、やはり全貌の把握を急いで、必要な対策を立てていただかなければならないと思います。現に、北海道からは養殖施設の復旧、それからウニ、アワビの種苗の配付、青森県からはアワビ、サザエの種苗の確保、こういう点が要求されておりますし、各県から、情報がよくわからないので全貌を明らかにしてほしい、こういう状況でございます。  しかし、いずれにしても八月まで続くこの状態なので、大臣に、この状態に対してどう考えて、何か対策をしようと考えておるか、この点を質問させていただきます。
  184. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 私といたしましても、今回の異常海洋気象につきましてはかねがね心配していたところでございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、現在、水産庁振興課長現場へ派遣いたしましていろいろ調査を行わせております。この調査の結果を見まして、関係各県と相談いたしまして、何とかこの振興策を図っていきたいというぐあいに考えております。特に、二百海里海域の規制の強化、また燃油価格等の高騰、そしてまたその上に水産物の需要の伸び悩みというものがありますときに、沿岸漁業というのはますます重要になってくるものでございますので、厳しい財政下ではございますけれども、各般の施策を講じてまいりたいと思っております。
  185. 津川武一

    ○津川委員 大臣の答弁に即して頑張っていただくように、水産庁にお願いします。  そこで、先ほどお話しした調査を早目に全面展開するということ、これに対する方針、第二には養殖施設の復旧対策、それからアワビ、サザエなどの種苗の確保、配給、こういう具体的な三つの点の施策をひとつお知らせ願います。
  186. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 物理的な意味で、今回の場合ですと流氷でございますが、施設災害が生じた場合には、先生よく御案内のように各種の制度ができております。その運用を急ぐということだろうと思います。  特に、個人の養殖施設の復旧につきましては、秋口までに急いでほしいというような要望も具体的に来ておるようでございますので、道庁等ともよく相談をいたしまして、資金需要等を早目にっかみ、農林公庫等とも連絡をとって、なるべく地元の要望に間に合うように急ぎたいと思っております。  それから、全体の調査を急げということでございます。  もう御指摘をまつまでもないことでございまして、ただ海の中の漁獲でございますので、ある魚種の漁獲が減ったのが低温のせいであるのかどうかというのがなかなか判断しにくいということもあるわけでございます。しかし、それはそれといたしまして、全体の動きとして今回の冷水が沿岸漁業あるいは沿岸漁家の経済にどういう影響を与えたかということを視点に置いた調査ということをやってみたいというふうに考えております。調査の結果に応じまして、関係県とも相談の上適切な対策を講じるというのは当然だろうと思います。  それから種苗の手当てでございますが、御案内のように、アワビ等につきましては個々の漁家で種苗生産をやっているのもあるいはあるかもしれませんが、一般的に言えば、県ないしは地元の市町村のいわゆる栽培漁業センター等でやっておりますものがその大宗を占めるわけでございます。その施設でできましたものも、ルールとしまして大体はその地元を中心に配付するということが中心になるわけでありますが、一つの県の種苗を他の県に回すということはなかなか現実問題としては難しいかと思いますが、これも、県等の要望を聞きまして、あっせんの労をできるだけとっていきたいというふうに考えております。
  187. 津川武一

    ○津川委員 漁獲共済に対してもう少し詳しく尋ねようと思っていたのですが、時間がないので……。しかし、八月まで続くということなので、次々に魚に被害が出て、また次の魚に移りますので、共済の立場からもひとつ全面調査を進めておいて、共済の施行に遺憾のないように期していただきたいのでございます。その次は、漁獲共済の場合、漁家ごとに共済をやっているが、例えばヤリイカという単品、サザエという単品に、陸上のお米や果物みたいに単品に共済を適用するようなことを考えていただきたいと思うのです。これは答えはもらいません。また後でそういう点で御相談に、お願いに行きますから検討していただければいいと思います。  最後に、被害者の救済の一つとして借金なんです。このごろ魚が思うように値上がりしない。漁油がうんと高い。いろいろなことから、漁業家の借金がかなりふえております。そこで、借金取り立てに耐えられないので、やはり長期低利の資金というものに道を開いてあげなければならないのじゃないかなと思うのです。新しく融資をするといっても、漁業家の皆さんはもう御免だ、もういっぱいだ、そういうことがありますので、既存の借金に対する救済策を講じていただく。と同時に、酪農農家に対する災害対策の特別資金というものなんかを支度願えれば漁業家は大いに助かると思うのですが、この二点を答えていただいて、質問を終わります。
  188. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 災害を受けました漁業者が、さらに従来ございました負債が固定化する、ないしはふえるという御心配があるわけであります。そのための制度といたしまして、水産の場合には、一般的には、特に中小漁業者の場合に国際的な影響等も考えた場合の対策といたしまして、経営維持安定資金ということで旧債の借りかえ資金の用意はございます。しかし、そういったものを発動するのか、今回のように沿岸の場合には公庫の中にございます沿岸漁家の災害が生じた場合の負債整理みたいな資金を活用するのがベターなのか、そういったことも含めまして、関係県の資金需要の調査等も踏まえながら、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  それから、これは後でいいというお話でございますが、単品の共済ということにつきまして若干申し上げさせていただきますと、率直に言いましてなかなか難しいということは先生御案内の上でおっしゃっておられるのだと思いますが、共済、保険いずれも一定の蓋然性に伴う災害蓋然率の把握、一定の母集団等々の仕組みとして欠くことのできない要件というものがあるわけでございます。そういったものができれば単品共済もあり得るのかもしれませんが、なかなか難しい問題だということは御理解いただきたいと思います。
  189. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  190. 阿部文男

    阿部委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会