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森実政府委員 まず第一の、員外の受益者をどうインクルードしていくかという問題でございます。
この問題については、実は員外受益者の賦課
制度という
制度がございますが、受益者が特定の個人、企業で明確な場合等については可能でございますが、一般市民のように不特定多数の場合は非常に作動しにくい。そういった点で、実はやはりそういった多
目的化して
農業のウエートが下がったものについては、市
町村管理に移管するという問題が基本にあるだろうと思います。現に大都市周辺ではかなりそれが進んできておるわけでございます。
それからもう
一つは、やはり多
目的排水等の機能に着目して、一般の
地域住民を代表する形で市
町村に
一定の費用の肩がわりをしていただくという問題でございます。今回の
土地改良区と市
町村協議の
制度に知事裁定
制度を導入し、またこれに対応いたしまして統一的な
指導方針を
考えているということも、まさにこういった流れの中でとらえている問題として御理解をいただきたいと思います。どうやってその
実績をうまくつくっていくかという問題でございます。
次に、
土地改良区の合併による基盤強化の問題でございます。
土地改良
事業も実は戦前の水利組合法の時代と違いまして、非常に多様なものを持っております。したがって、例えば
農用地造成もございますし、圃場
整備もございますし、農道もございます。そういった点から申しますと、
行政区域
単位のものとやはり水系別
単位のものに分かれてこざるを得ない
実態があるわけでございます。私ども、今実は合併の促進を進めておりますが、
実態をまず先に申し上げますと、大体過半、五割前後が水系別の合併でございまして、あとは
行政区域
単位の合併に相なっております。私ども、やはり本来の水利
事業につきましては、ただいま
委員御
指摘のように、水系別合併ということは一番正しい方法だと思います。
ただ、これはなかなか難しい問題がありまして、はっきり申し上げますと、上流と下流の慣行水利権の対立というものが水利秩序の基本にあるわけでございまして、俗な言葉で言うとけんかの当事者に合併しろという話になりまして、なかなかうまくいかないので腐心している点があるわけでございます。しかし、気持ちとしてはまさにそういうことは私どももそう思っておるわけでございまして、合併の促進については十分御
指摘の点を頭に置いて配慮してまいりたいと思います。
次に、
土地改良区の職員の身分の安定に関する問題でございます。
お言葉を返すわけではございませんが、やはり受益
事業として受益者の負担金で賄うということは基本論としてあるだろうと思います。しかし、今
委員御
指摘のように、
土地改良
事業、特に用排水施設というものは、
農業水利
事業、慣行水利権との結びつきで生まれたものであっても、単なる用排水
事業ではなくて、生活用水という側面や
地域社会の保全というものに役立っている側面があるわけでございます。
実は
土地改良区に対する
助成というのは、かなり今日市
町村から広範に行われているのは事実でございます。やはりそれぞれの
地域社会に果たす役割の程度に応じて、
地域社会の全体の問題として市
町村が合理的な
助成なり援助を行うということは、私は適切なことだろうと思います。一挙にそれが国の
助成に結びつくかどうかという問題はございますが、私どもやはりそういった市
町村の
助成、あるいはかなり広域のものについては県の
助成も一部で行われているわけでございまして、そういった
実態も十分精査いたしまして、国としてもどう
考えるかということは、やはり次の
段階における検討課題ではなかろうかと思っているわけでございます。