○小川(国)
委員 私は、具体的な問題に入って伺いたいというふうに思うわけなんです。
補助金
制度の中で、
土地改良とか構造改善
事業で生産基盤を
強化する面というのは、具体的にその成果というものがある程度見られるわけなんですが、いろいろな
機械、
施設に向けての補助金というものは、農水省が確かに今までの補助金をメニュー方式に変えたということで一歩前進したようには思うわけなんです。
しかし、これを食事に例えますと、今までは農水省の補助金というのはフルコースの洋食を食べるようなもので、嫌いなものがあろうとなかろうとフルコース全部食べなければいけない。
機械も、十種類だけではなくて十五種類も二十種類も、この一通りのセットをそろえなければ補助金は交付できませんよ。おなかがいっぱいであっても、おなかがそんなにすいていなくてもフルコース食べさせる。それがメニュー方式になって、極端な話が、どんぶり
一つ、おしんこ
一つ、みそ汁だけでもいいですよというふうに農民の選択に任せてきた。これは一歩前進だと思うのですが、ただしかし、今の補助金の
実態を見ると、例えば同じ天どんを食べるにしても、お年寄りの食べる天どんと、子供の食べる天どんと、御婦人の食べる天どんと量の大小があるわけですね。ところが、補助金というのは農林省が全国一律の規格でやっていますから、余り食べたくない年寄り、子供にも一人前持っていく。私は、こういう形の補助金がやはり多いと思うのです。
畑作地帯の例えば野菜
振興事業の最近の一例で見たら、これは農協主体でやっているところなんですが、トラクター、フォークリフト、土壌消毒機、こういうのをセットで申し込んだ。大体国が六分の一、県、
市町村が六分の二、農協が六分の三というような負担割合なんですが、土壌消毒機一台買うのに、例えば四十万円のを五台最初希望した。しかし、消毒機というのは、自走式で引っ張る
機械がついたものなら四十万円だけれ
ども、
農家が持っているトラクターの後ろにつける部品としての消毒機なら半分の二十万円で買える。だから、四十万円のを五台買うよりも二十万円のを十台買うのに変えてもらえないかという話をしたところが、やはり農水省の方では、いや
機械だけ与えたって
機械がひとり歩きするわけじゃない、引っ張る
機械とセットでなければだめだということなんだそうです。ところが、土壌消毒というのは、地中に打ち込んでいくのは、個々の
農家が持っている
機械で引っ張って、分散して、時期もずらしてやった方がよかったんだ。しかし、農水省の補助の形でいくと、やはり既定のものを買えということになっている。
あるいは水田地帯の方で、今
土地改良に対して、コンバイン、トラクター、田植え機、こういうようなものをセットで協業組合をつくったところに補助していく。あるいは大きいところでは、トラクター、コンバイン、それから畝立て機、ライムソワー、ロータリー、格納庫、砕土すき、いろいろセットでいくわけなんですが、最近の傾向は、
農業専業の人たちが協業体をつくってそこに補助金をやるのじゃなくて、大半が兼業の人たち。それからまた、自分の持っている農機具が償却年限が来てしまった、ここで買いかえようと思ったところへ、農水省の
指導で協業体をつくればこれだけのセットの
機械補助があるというのでそれに飛びついていく。しかし、
現実に兼業でほとんど固定的な職業を持った人が七、八割を占めているところに、トラクターやコンバインを協業体に与えていっても果たしてだれがオペレーターになるのか、そういう問題が今の補助形態の中にかなりあるように私は思うのです。ですから、こういうのは長期低利なものに変えていく必要があるのじゃないだろうか。融資に切りかえていく必要があるのじゃないか。こういうものの補助のあり方というものをもう
一つ考える必要があるのじゃないか。
それから、
農家で言えば
農地の取得資金、これが今非常に困難な時代に来ていると思うのですね。私
ども、かつて、米作
日本一と言われた石川県の竹本平一さんに来ていただいて、いろいろ国
会議員の仲間でお話を伺った。最近も私現地に行ってきましたけれ
ども、息子の敏晴さんという方が大変
努力をして
後継者として頑張っておられる。この人の
農業実例なんかを見ますと、昭和四十年に二・八ヘクタールだった。五十九年の現在は六・一ヘクタールと、三・三ヘクタール耕地を
拡大しているのですね。それから請負耕作と言って、四十一戸から借りた田んぼが十ヘクタール、それから
作業請負をしているのが十戸から三・五ヘクタール、全部で十九・六ヘクタールやっているわけですね。だから、農水省や朝日新聞が
日本一にされた、水田
農業のいわばともしびのような、灯台のような存在の
農家だと私は思うのです。
ここが
規模拡大をやる一番のポイントは、やはり
農用地を買うことなんですね。自分の
農用地を買う。私も現場に行ってみたのですが、借りている人の田んぼは、土を入れて土を豊かにすることができる、土壌の改善ができる、堆肥をつくって入れていくこともできる。しかし、畝を崩したり、外形的な形状を壊すわけにはいかないのですね。今あの辺は
日本水田の発祥の地とかで、大体石川県の平野は二百坪単位の一区画になっているのですね。そうすると、構造改善でいけば、今はそれが九百坪ぐらいの水田にできるわけです。しかし、借りている田んぼや
作業を請け負っている田んぼの畝を壊したり変えることはできない。そうすると、やはり
土地は自分のものでなければ自分のやりいい
農地にはならないのですね。こう
考えると、
農地の
規模拡大というのは、買える力があれば、やる意欲のある人にはできるだけ
農地を買えるというふうにしていかなければならない。
ところが、その資金が五年据え置きで二十五年償還ということですが、利子が五年据え置きの
期間は四・五%、それから二十五年の償還
期間では五%なんですね。せめてこれをヨーロッパ並みに、五十年の
期間で二%ぐらいの金利にならないかというのが竹本さんの持論だったわけですよ。私はこれに共鳴しているのです。そして外国の
農用地開発、三菱とか三井とか、例えばスマトラの原野にトウモロコシをつくる農場をつくった。このときに農水省が、国際
振興事業団でしたか、ああいうところから貸している利息というのは大変安いのですよ。海外
事業団なんかが貸している利息は〇・何%ですね。そういうように、商社が海外で
農地をつくるのには五年据え置き十五年償還の〇・〇何%というような金を貸しているのです。
日本の
農家は、今何百万とする
農地を一代で返すのは無理な時代だ。やはり二代、三代くらいのことを
考えてやって、五十年二%ぐらいの
農地取得資金というものを
考える、そのくらいの目標に向けての
努力をひとつやるべきじゃないか。ですから、兼業の
農家に無理無理セットで買わせていくような補助金があるならば、そういうところに振り向けるべきじゃないかと私は思うのですが、これは
大臣、
局長あわせて、それぞれ御見解を承りたいと思います。