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島田(琢)
委員 私は、ここで今までの質疑を通して問題点を明確にしておきたい。
先日、甕林政部長と私が決算
委員会でこの質疑をやりましたときは、保安林ということを一切言いませんでした。私もその後の
調査で保安林に指定されているということがわかったのであります。それで、冒頭お聞きいたしましたように、これはごく最近保安林として指定されたものではなくて、
昭和二十六年に既に指定されていた。そして、この保安林整備法は、先ほど長官から安井
委員の質問に対しても答えておりますように、二十八年に成案を得、二十九年の国会に提出された。私がこの間指摘をいたしました当該林地は交換の時点で既に保安林だったということであります。
林政部長はこの事実を隠して私に答弁をされたのか。勘ぐりに過ぎると言われるかもしれないが、那須の国有地とこの関川村の民有地との交換に当たっては、不当な坪当たり単価が設定されている。それは那須の方はできるだけ安く評価をし、新潟の関川村の民有地はなるべく高く単価を設定することによって等価交換をやろうとしたのであります。極めて作為的なのであります。だとすれば、保安林には
一定の規制がある。今お話に出しておりますように、森林法の規制に基づいて別表の一によって厳しく規制を受けている。当時は今よりもゆるかったとはいっても、保安林に対しては
相当制約があるわけです。民間の持っている人にとってみれば、こんな制約のある山はなるべくどこかへ売ってしまいたい、処分したい気持ちがある。だから、そこに小針暦二氏は目をつけたのであります。
政治家が裏でサゼスチョンを行った、この事実は明らかであります。ところが、事もあろうに林野庁は当時のその交換に当たって保安林であることを
承知でやったとしたら、行政の
責任は免れないばかりか、法律上にも問題が出ると私は思う。
というのは、答えてもらおうと思っておりましたが、あなた方の答弁を待っていると時間がかかり過ぎてしまいますから、私の方で
一定のあれを出します。わかり切ったことですから。
今度の保安林整備法によりますと、もう三十年経た今日も
一つも変わっていないのですが、第四条、保安林というのは買い入れを原則とするとなっているのです。ただし、
一定の条件が満たされれば交換もあり得る。しかし、国としては保安林についてはあくまでも買い入れを原則とするとなっているのです。第五条の制約条件が満たされればあるいは交換をするという場合もあり得るが、しかし、今度の事案は明らかに交換という条件には合致しないのです。それを無理やり交換したのです。だから、保安林というのが表に出てくれば評価も安くなるし、不利になるから、保安林を伏せて
一般林ということでこの等価交換を切り抜けようとされた形跡が明瞭であります。極めて作為的である。二十年前のことだから、今の皆さんに直接の
責任を追及しようという気持ちは私は本当はないのです。しかし、この間の甕林政部長の答弁といい、今日まで二週間を経たこの間において、私に対して約束をした資料の提出に対してさえも二転、三転、うその上にうそを重ねている。これでは私としては、大事な保安林整備法、この法案の審議はできないのであります。
例えば、私は、当時等価交換に当たったときの一件書類を提出するように求めました。それはないと言うのです。だれが考えたってこんなばかな話がありましょうか。それでは、かって民有に帰していた山であったとしても沿革が
一つもわからないじゃないですか。民有林時代にこの山のどんな手入れが行われ、どのような
状態で推移してきたかという歴史的な沿革というものがわからなければ、国有林に帰属してこれから保安林として、
一般林として整備を図っていこうとする場合でも、昔のことがわからなくてどうして整備計画が立てられますか。それを、ないと。だんだん詰めていったら、林野庁にはないけれ
ども出先の前橋営林局にはあるかもしれぬという
報告であります。冗談じゃない。地球の上からなくならなかったら、林野庁にはなくたって林野庁の所管するどこかにあるはずだ。明確に前橋営林局が今度の問題になっているわけでありますから、そこになければ村上営林署の出先になくてはならないはずのものであります。それがなかったら施業計画を進めることもできなければ、あの山をどうするかという計画も成り立たないのです。
つまり、今度保安林整備法の延長を皆さん方は提案されているが、先ほど安井
委員から十年間の延長で皆さんが考えているような保安林整備ができますかと言ったら、長官はまことに自信なさそうに、成果を上げるよう努力したい、こう言いました。何回こんなものを繰り返したって、皆さん方勝手に自分たちの解釈で別表の正確なる行為もなされないとしたら、これは政令だからあなた方の考え方に何ぼでも直せる。こんなものだったら、保安林の整備法そのものを直したって何の役にも立たぬではないですか。こういういいかげんな保安林の整備をこれからも続けていくというのだったら、この法案は直す必要はないと私は思います。直したって
意味がないのであります。そういうことを今度の国有林の等価交換に当たって持っている問題点としてここに明確に指摘しておきたいと私は思うのです。
大臣、今の話を聞いてどう感じますか。