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1984-04-03 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月三日(火曜日)    午前十時一分開議  出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 小川 国彦君    理事 日野 市朗君 理事 吉浦 忠治君       小里 貞利君    鍵田忠三郎君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       山崎平八郎君    島田 琢郎君       新村 源雄君    田中 恒利君       細谷 昭雄君    安井 吉典君       駒谷  明君    武田 一夫君       水谷  弘君    神田  厚君       菅原喜重郎君    津川 武一君  出席国務大臣        農林水産大臣   山村新治郎君  出席政府委員        農林水産政務次        官        島村 宜伸君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        林野庁長官    秋山 智英君        林野庁次長    後藤 康夫君  委員外出席者        農林水産委員会        調査室長     矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   松沢 俊昭君     島田 琢郎君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     松沢 俊昭君     ————————————— 四月二日  食糧の輸入依存反対に関する請願外一件(新村  勝雄君紹介)(第一八七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第三三号)  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二六号)  国有林野法の一部を改正する法律案内閣提出  第二六号)  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。山村農林水産大臣。     —————————————  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定   措置に関する法律の一部を敏正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 山村新治郎

    山村国務大臣 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に医する港津に 農林水産業施設災害復旧事業についての国庫補助制度を設けることにより、農林水産業の維持と経営の安定を図る上で大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、沿岸漁場整備開発進展といった最近における農林水産業動向法律制定以来の物価上昇等により、本法の災害復旧制度には実態にそぐわない面が生じてきており、このような状況を踏まえて、災害復旧制度改善運営合理化を図るため、今回の改正案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、最近における農林水産業動向を踏まえ、国が災害復旧事業費の一部を補助する農林水産業施設として沿岸漁場整備開発施設を追加するとともに、共同利用施設所有主体として営利を目的としない法人を追加することであります。  第二に、法律制定以来の物価上昇等を踏まえ、災害復旧事業対象とする工事費用最低額を一カ所当たり十万円から三十万円に引き上げることであります。  第三に、災害復旧制度運営合理化を図るため、災害にかかった箇所が連続している場合において、一カ所の工事とみなすことができる間隔を、五十メートル以内から百メートル以内に拡大することであります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  4. 阿部文男

    阿部委員長 以上で本案の趣旨説明は終わりました。
  5. 阿部文男

    阿部委員長 次に、内閣提出保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案国有林野法の一部を改正する法律案及び国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。山村農林水産大臣。     —————————————  保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案  国有林野法の一部を改正する法律案  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する   法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  6. 山村新治郎

    山村国務大臣 保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  現行保安林整備臨時措置法は、昭和二十八年の大災害を契機に、山地災害の防止を主目的として保安林を計画的に整備するため、昭和二十九年に制定されたものであります。その後、水需要の増大や都市化進展に伴う森林水源涵養機能保健休養機能等発揮に対する国民的要請等に対処して保安林配備促進を図るため、昭和三十九年、四十九年の二度にわたりその有効期間が延長され、今日に至っております。この間、保安林配備については全体的にほぼ当初の目標を達成する等相当成果をおさめたところであります。  しかしながら、なお保安林配備を積極的に進める必要がある地域も多く存在することに加え、近年、林業をめぐる厳しい環境のもとで、造林保育伐採等の必要な施業及び管理が適切に行われていないこともあって機能が低下している保安林が増加し、山崩れ等山地災害の発生の危険性が高まるという新しい事態も生じております。殊に、都市化進展等に伴い山地山ろく地帯での開発が進んだ地域等にあっては地域住民安全性確保等の面で保安林配備及びその機能確保が早急に必要とされている等、保安林整備に対する国民要請が強まっております。  政府におきましては、このような保安林に係る諸情勢変化等にかんがみ、保安林整備臨時措置法有効期間を延長するとともに、機能が低下している保安林について所期の機能確保するための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農林水産大臣は、指定目的に即して機能していない保安林特定保安林として指定することができることとしております。  第二に、都道府県知事は、特定保安林指定されたときは、地域森林計画において、その区域内の特に整備を必要とする森林を要整備森林として定め、実施すべき造林等施業方法及び時期等を定めなければならないこととしております。  第三に、都道府県知事は、要整備森林またはその立木に関する権利移転等協議に関する勧告を行うことができることとしております。  第四に、要整備森林について地域森林計画に定める施業方法等に従って実施される立木伐採については、森林法伐採許可は要しないこととしております。  第五に、以上の措置を講じた上で、保安林整備臨時措置法有効期間を十年間延長することとしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。  国有林野法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  国有林野は、我が国森林面積の三割、国土面積の二割を占め、林産物の計画的、持続的な供給国土保全水資源涵養等公益的機能発揮、農山村地域振興への寄与等そのときどきの国民要請に応じつつ、社会経済上重要な役割を果たしてまいりました。  近年、都市化進展経済社会安定化等に伴い、緑資源確保に対する国民的要請が一段と強まっておりますが、特に森林造成にみずから参加し、あるいは林業に対する投資を通じて森林造成に協力したいという機運が国民の間に高まっております。  一方、国有林野資源の現況を見ますと、特に人工林において、いまだ生育途上にある三十年生以下の森林が多く、今後、相当期間にわたりその育林に多額の費用を必要とする状況にあります。  政府におきましては、このような情勢に対処して、国民の参加による国有林野整備促進するとともに、あわせて、生育途上にある人工林の育成のための資金確保にも資するという観点から、今回、国有林野に分収育林制度を導入することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農林水産大臣は、国有林野について、樹木共有持ち分の対価及び育林費用につき国以外の者に負担を求め、伐採時における収益を国とその費用負担者とが分収することを内容とする分収育林契約を締結することができることとしております。  第二に、分収育林契約目的たる樹木は、国と費用負担者との共有とし、その収益の分収は、樹木持ち分割合により行うこととしております。また、共有となった樹木については、分割請求はできないこととしております。  第三に、分収育林契約内容存続期間解除等について所要規定整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  国有林野事業は、昭和二十二年以来特別会計により企業的に運営されております。この間、それぞれの時代における社会的、経済的要請にこたえて、林産物の計画的、持続的な供給国土保全等公益的機能発揮地域振興への寄与等の使命を果たしてまいりました。このような中で、国有林野事業経営構造悪化傾向をたどるに至ったため、昭和五十三年度以降、国有林野事業改善特別措置法に基づき、昭和七十二年度までに経営健全性を確立するという目標のもとに、改善計画に即してその改善を進めてきたところであります。  しかしながら、その後の国有林野事業をめぐる情勢を見ますと、諸経費の節減等により、その改善について一定成果を上げたものの、木材価格の下落、低迷等により国有林野事業財務事情は一層悪化するに至りました。このような情勢のもとに、臨時行政調査会林政審議会答申等を踏まえ検討を行った結果、改善措置の一層の拡充、強化が必要であると判断されるに至り、その改善措置の一環としてこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、現在、昭和五十三年度以降十年間となっております改善期間を、昭和五十九年度以降十年間に改め、この間について新たな改善計画を定めることといたしております。  第二に、今後急増することが見込まれる退職手当財源に充てるため、借入金をすることができるようにするとともに、その利子財源に充てるため、一般会計から所要繰り入れを行うことができることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  7. 阿部文男

    阿部委員長 引き続き、各案について順次補足説明を聴取いたします。秋山林野庁長官
  8. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、保安林整備計画計画事項整備であります。  特定保安林を計画的に指定するため、農林水産大臣が定める保安林整備計画計画事項として、特定保安林指定に関する事項を追加することとしております。  第二に、特定保安林指定地域森林計画変更等であります。  農林水産大臣は、保安林整備計画に基づき、指定目的に即して機能していないと認められる保安林で、その区域内に造林保育伐採その他の施業を早急に実施する必要のある森林、すなわち要整備森林があるものを、都道府県知事協議の上、特定保安林として指定することができることとしております。  都道府県知事は、特定保安林指定されたときは、地域森林計画を変更し、当該保安林指定目的に即して機能することを確保することを旨として、要整備森林所在、実施すべき造林保育伐採その他の施業方法及び時期等を追加して定めなければならないこととしております。  また、地域森林計画を立てる場合も同様としております。  第三に、権利移転等協議勧告であります。  都道府県知事は、森林法規定に基づき、要整備森林について地域森林計画に従って施業すべき旨の勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わないときは、その者に対し、都道府県知事指定する者と要整備森林またはその立木についての権利移転または設定につき協議すべき旨を勧告することができることとしております。  第四に、保安林における立木伐採許可特例であります。  保安林における立木伐採については、森林法規定により個別に都道府県知事伐採許可を要することとされておりますが、要整備森林については、地域森林計画において施業方法及び時期を定めることとしておりますので、これに従って実施される立木伐採については、個別の伐採許可は要しないこととしております。  第五に、保安林整備臨時措置法有効期間の延長であります。  保安林整備臨時措置法は、本年四月三十日限りで失効することとされておりますので、その有効期間昭和六十九年四月三十日まで十年間延長することとしております。  以上をもちまして保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。  国有林野法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、分収育林契約の締結についてであります。  国有林野に生育している樹木は、国有財産法上の行政財産であるため、国以外の者と共有することはできないことになっております。したがって、国有林野に分収育林制度を導入するためには、国有財産法特例として、当該樹木について共有することができる旨の規定を設ける必要があります。  第二に、分収育林契約内容についてであります。  分収育林契約においては、契約目的たる国有林野所在対象とする樹木の態様、契約存続期間費用負担者持ち分割合費用負担者が支払うべき額、育林方法伐採の時期等を定めなければならないこととしております。  第三に、分収育林に係る民法特例についてであります。  分収育林契約安定性確保するため、その契約対象となっている樹木については、民法第二百五十六条の共有物分割請求規定の適用を除外することとしております。  第四に、分収育林契約存続期間及び解除についてであります。  分収育林契約存続期間は、当該契約対象となる樹種の伐期等を考慮して六十年を超えることができないものとしております。また、農林水産大臣は、国または公共団体において分収育林契約対象である国有林野公共の用に供する必要が生じたときは、分収育林契約解除することができることとしております。  なお、今回、分収育林制度を導入したことに伴い、現行部分林契約という名称を分収造林契約に改める等規定を整理することとしております。  以上をもちまして国有林野法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。  国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、改善期間昭和五十九年度以降十年間に改めることといたしておりますが、これにより、現在、昭和六十二年度までとなっている事業施設費の一部の一般会計からの繰り入れ等措置は、昭和六十八年度まで延長されることとなります。  第二に、この新たな改善期間における新たな財政措置として、一定退職手当財源に充てるため、借入金をすることができることといたしております。この借入金は、現在行っております事業施設費についての借入金とは異なり、その資金の性格から改善期間に限って行うことといたしております。  また、この借入金については、事業施設費についての借入金とみなし、その限度額は、予算をもって国会の議決を経なければならないこととするとともに、その償還金及び利子は、国債整理基金特別会計繰り入れることといたしております。  第三に、この借入金につきましては、その利子財源に充てるため、改善期間において、予算の定めるところにより、一般会計から国有林野事業特別会計国有林野事業勘定に繰入金をすることができることといたしております。  以上をもちまして国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。
  9. 阿部文男

    阿部委員長 以上で各案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  10. 阿部文男

    阿部委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。野呂田芳成君
  11. 野呂田芳成

    野呂田委員 秋田県は全国で有数の木材県でございますが、最大功労者秋田藩の家老の渋井直光という男だと私は思っております。彼は「国の宝は山なり、されどもこれを伐り尽くすときは用をなさず、伐り尽くす前に備えおくべし、山の衰えは国の衰えなり」こう言っておるわけでありまして、林野行政に携わっている人はひとしくこの警告に耳を傾けなければいかぬ。「国の宝は山なり、山の衰えは国の衰えなり」こう言っているわけであります。日本人工林面積が一千万ヘクタールを超えておりますけれども、その九〇%が戦後の植林でありまして、この面積は実にオールヨーロッパからソ連を抜いたヨーロッパの戦後の人工林面積に匹敵するわけでありまして、そういう意味では、林野行政に携わっている皆さん方の功績を私は高く評価しているわけであります。  しかし、二千年の歴史を見ましても、今地球の上では毎年一千九百万ヘクタールの森林が壊滅している。実に我が国国土面積の半分強である。しかも、アメリカのレスター・R・ブラウン農務省顧問によりますと、地球の上では毎分二十ないし四十ヘクタールの森林が壊滅していくという、実に驚くべき調査結果が発表されているわけであります。そう考えてみますと、森林を守るということはいかに大変なことかと我々も思うわけでございます。  一方、我が国におきましては、木材需要停滞とか木材価格低迷ということで除間伐は進まないし、山は荒廃のおそれを深めている、木材産業も大変厳しい環境にある、こう見ますと、林野行政というのは今一番厳しい環境に立たされていると私は思うのであります。でありますから、お互いに今直面している問題に真剣に取り組んで、一刻も早くこれを解決していくことが林野行政に携わる者たち最大の、しかも喫緊の要務だと私は思うのでありますが、そういう観点から少し御質問をしてみたいと思います。  まず第一に、ただいま述べたように木材需要停滞とか材価低迷ということで大変苦しんでおる木材産業振興というものについて、ひとつ長官の御所見を伺っておきたいと思います。
  12. 秋山智英

    秋山政府委員 我が国森林資源整備充実いたしまして、そのあらゆる機能をフルに発揮するためには、まずは山村経済振興が必要であります。したがいまして、それにはとりもなおさず木材需要拡大木材生産活性化ということが重要だろうと私は思っております。  そこで、私どもといたしましては、木材需要拡大するということが極めて重要でございまして、その大宗を占めますところの木材住宅建設促進するということがやはり重要でございます。これまでも木造によりますところの公営住宅建設促進を一層進めてまいるということやら、農林省を初めとしましての補助事業におきまして、この木材利用拡大促進するような方法まで取り入れてやってまいっておるわけでございまして、さらに予算面では、特に最近は間伐材等も多くなっている関係もございまして、木材利用技術開発普及、さらには流通近代化というふうなことをするために、流通加工施設整備拡充というようなことも実は進めておるわけでございます。現在なかなか木材関連産業は厳しい中でございまして、五十七年、五十八年におきましては、これからの木材に見合った形で木材産業再編整備ということで進めてまいっておるわけでございますが、さらに私ども、今後はその木材関連産業を、特定地域を拠点として生産流通合理化するような形でこれを進めてまいろうと思っております。  同時に、一方におきましては、木材需要拡大という面から、従来どちらかと申しますと消費者の方々に木材利用をより一層理解してもらうための推進体制がおくれておりましたので、新たにそういう木材普及、啓発、展示を行うための木材利用促進体制整備事業ということを進めると同時に、さらには日本住宅木材技術センター等におきましての技術開発等を進めてまいる。さらには、これからの木造住宅を生産するに当たりましては、プレカット方式によりまして合理的な生産確保体制をつくることが極めて重要でございますので、そういう意味本質住宅材流通を高度化する事業等も進めてまいる。一方におきまして、これに関連いたしまして、各種の材の流通加工が合理的に進みますように国産材産業振興資金制度を積極的に進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
  13. 野呂田芳成

    野呂田委員 今長官が言われましたが、私は、この苦況打開のためには需要拡大もやらなければいかぬし、国産材振興にも意を用いてもらわなければいかぬ。あるいは企業体質改善ということも意欲的にやってもらわなければいかぬと思います。  特にきょうは、木材需要拡大という観点から少し伺ってみたいと思うのでありますが、私は、過去六年間自民党の木造住宅議員連盟事務局長をやってきました。そこで木材需要拡大という観点から何か寄与できないかということで寄与してきた結果、いろいろなことが私はできたと思っております。例えば従来耐火住宅でなければ公営住宅には補助金がつきませんでしたが、木造公営住宅にも補助金がつくように改めさせた。あるいは、今全国でかなり普及をしてまいりましたが、間伐が進まないということで間伐材を何とか需要を喚起しようということで、今全国で、建設省にも話しまして、道路工事をやるときここから先入るなという鞍馬がありますが、あの鞍馬間伐材でやってもらったり、あるいは北陸地建でも東北地建でも、特に木材都市の能代でもやっておりますが、防雪さく間伐材で今やっております。それから静岡の掛川の駅前広場のところには、木造のれんがを広場に敷き詰めているなど、かなり新しい試みを進めてきたつもりであります。これは、しかし残念ながら林野庁のペースで需要拡大したのではなくて、林野庁以外のペースでやってきたわけであります。  こういう問題について、林野庁、需要拡大という観点から何か新しい考えをお持ちかどうか、まずその点について伺いたいと思います。
  14. 秋山智英

    秋山政府委員 木材需要拡大のためには、私ども、今先生御指摘ございましたが、木材関連産業あるいは住宅産業等をより振興させるためには、やはり関係行政機関、特に建設省初めその他の関係の省庁と連携をとりながら進めてまいってきておるところでございますが、特にこの二、三年木材需要停滞にかんがみまして、まずは木材そのものの理解が一般の方々にされてない面がございます。例えば木材が火に弱いとかいうふうなことがございますが、これは御承知のとおり、木材自身は一定の、例えば三十分で十八ミリ燃えますとあとは黒くなって中の材を保護するというようなこともありますし、知恵を絞りますと耐火性の住宅もできるわけでございます。また一方、地震に弱いということもございますが、しかし、過去の各地震で見てまいりますと、一定の重量におきましての木材とコンクリートの建物ですと木材の方が強いというデータもございますし、居住性の問題におきましても、日本のような湿度の高いところではむしろ木材がいいとか、いろいろございますが、そういう面での理解が必ずしも十分でございませんので、これまでも日本型住生活研究会等を通じましてそういうものを研究した成果をPRするというようなこともやっております。  それから今度は、具体的に需要拡大をするための方法として現在までやっておりますものを申し上げますと、これは建設省と十分連携をとっておるわけでございますが、まず木造住宅公営住宅建設促進につきましては年々とふえてまいってきておりますし、それから三階建ての木造住宅建設促進につきましては、簡易構造設計基準というのを建設省の方と連携をとりながら、これが一応実行を見ておるわけでございます。したがいまして、そういうものがこれからの具体的な需要拡大につながってまいっておると思います。  それから、最近は集成材が大分発達しておりますので、大断面の構造用の集成材を用いた大規模の体育館等の建設につきましては、従来十三メーターという制限がございましたが、これを緩和するとかいうようなことで、体育館とかあるいはロッジとか、その他にこれが積極的に使われ出しております。  いずれにいたしましても、私ども、需要開発につきましては、もちろん建設省と共管でございますところの日本住宅木材技術センターで技術開発をすると同時に、さらにこれからも関連の省庁と十分連携をとりながら進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  15. 野呂田芳成

    野呂田委員 今長官がおっしゃられたようなことはこれからもひとつ意欲的にやっていただきたいと思いますが、私は、需要拡大という観点から見れば、角度を変えればもっといっぱいあると思うのです。  例えばスイスとかオーストリアに見られるように、道路の案内板なんというものはほとんどが丸太であります。ああいうもので美しい屋外広告をつくってくれれば建設省では道路占用を意欲的に許可をしてもいい、こういうことを言っております。また、幼稚園や保育園や小学校なんというものはむしろ木造の校舎で、廊下なんかは子供にとっては木造の廊下の方がずっと骨や体育の発達のためにいいという医学的な実験結果もあります。なぜそういうものを、たかだか二階や三階建ての建物を鉄筋コンクリートにしなければいけないかということを、文部省や何かとよく相談してみる必要があるのじゃないか。あるいは、木材業者が首をつる寸前だと言って議会で決議をしている地方議員の宿舎なんかを、木造でやらないで鉄筋でつくっている県がたくさんあるわけですね。議会でそういう決議をするぐらいならば、自分たちが泊まる宿舎ぐらいは木造でつくったらどうか。五階も十階も建てるわけじゃありませんから、せいぜい二階か三階なんですから、そういうこともあるだろう。あるいは、営林署も含めてでありますが、林野庁や営林局をやれとは必ずしも言いませんが、出先の営林署や事務所なんというものは、まず陶から始めよで、なぜ木造でやらないのか。ほとんどが鉄筋で、最近若干出てきましたけれども、それも申しわけ程度にやっているだけですね。以下、農林省関係の出先機関を見ても同じことが言えるし、国や地方公共団体の出先機関で何も高層にしなくてもいいようなところは木造でいいじゃないか、こういうふうに考えないと、言葉だけでは需要拡大しないと私は思うのです。  そこで、林野庁自体は営林署のようなものはできるとしても、大部分が各省の所管にわたる問題ですから、本当に木材不況というものを打開しようとするならば、ここで林野庁が音頭をとって、各省に木材需要拡大の各省連絡会議のようなものを設置して真剣に取り組んでいただきたい、私はこう思うのでありますが、この点について、きょうは大臣のかわりに政務次官が出ておられますから、政務次官の所見をひとつ伺っておきたいと思うのです。
  16. 島村宜伸

    ○島村政府委員 大変すばらしい御提言だと思いますし、私どもも鋭意検討さしていただき、また参考にさしていただき、今後に処したいと思っております。
  17. 野呂田芳成

    野呂田委員 今政務次官から、賛成で検討したいということがありましたが、これは至急にやらないといかぬと思うのです。むしろ林野庁が遠慮しているのでありまして、建設省あたりは道路の鞍馬とかあるいは防雪さくとかあるいは舗道に木造れんがを使うとか、どんどんと積極的に、むしろ向こうが進めておるわけですね。案内板だって、きれいなものをつくってくれれば道路占用を意欲的にやりますよ、こう言っているわけですから、需要拡大を担当する林野庁がここでふんどしを締めて積極的にやってもらわなければいかぬ。  そこで、もう一回、林野行政の最高責任者である長官として、この問題についての決意のほどをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  18. 秋山智英

    秋山政府委員 ただいま政務次官が申し上げましたとおり、この需要拡大をするに当たりまして、私どもがもちろん中心になるわけでございますが、これを利活用する分野でございます建設省、文部省その他の関係省庁と十分連携をとってこれまでもやってまいったわけでございますが、まだ不十分な点が多々ございますので、ただいま御指摘の点につきましては、関係省庁で需要拡大のための会議につきまして今後検討させていただきます。
  19. 野呂田芳成

    野呂田委員 我々もできる限り応援をしますから、ぜひひとつ各省連絡会議の具体化を図っていただきたいと思います。これは要請をしておきます。  次に、今提案されました国有林野事業改善特別措置法の一部改正法案についてお伺いしたいのであります。  まず最初に、今回、改善期間を延長して抜本的に改善計画を見直さなければいけなかった理由についてお伺いしておきたいと思うのです。
  20. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林野事業におきましては、五十三年に国有林野事業改善特別措置法を成立させていただきまして、それに基づきまして国有林野事業改善に関する計画を策定しましてこれまで実行してまいったわけであります。私ども、事業各般にわたりまして鋭意改善努力を進めてまいったわけでありまして、私どもとしましては一定成果は上げてまいったというふうに理解をしておるわけでございますが、先般の林政審議会の答申でも述べられているわけでございますが、五十五年の秋以降の木材価格の低落あるいは低迷、さらには国有林の資源的な伐採量の制約がさらに強まったというようなこと、また事業の能率の向上を鋭意努力してまいりましたが、まだこれが不十分であるというようなことがございまして、材木の需要は年々悪化を見ているわけでございます。  今後の国有林野事業状況を見てまいりますと、伐採量がやはり落ちていくということもございますし、木材価格そのものもそう大きな伸びは見られませんので、木材を主体とする林産物の収入の伸び悩みの問題あるいは退職者がこれから十年間相当急増することに伴うところの退職金の経費増、さらにはこれまで経営改善の特別措置法に基づきまして改善計画をやっておるわけでございますが、その間に借入金をいたしておりまして、累増した長期借入金の支払い利子あるいは償還金の増大というようなこともございまして、今後とも極めて厳しい事業の見通しとなっているわけでございます。  そこで、このような情勢から見てまいりますと、現行改善計画の抜本的な見直しと新たな政策展開なしには、昭和七十二年度までに国有林野事業の収支の均衡を回復することによりまして経営健全性を確立することは極めて困難であると判断いたしまして、今回その改定を行うということで御審議いただいておるところでございます。
  21. 野呂田芳成

    野呂田委員 お話しのとおりだと思いますが、従来木材価格は年率五%程度に見込んでおったはずであります。それが思うようにいかないということが大きな理由となってくると思うのです。そうすると、木材価格低迷需要拡大に大きく影響されるわけであります。需要拡大ということになると、一番問題になるのは住宅戸数が幾らかということが大きなファクターになってくると思うのでありますが、しからば、この改善計画では住宅建設戸数を計画期間内に幾らに見込んで成り立っているのか、その点について伺いたいと思います。
  22. 秋山智英

    秋山政府委員 私どもの木材価格の見通しにつきまして、住宅戸数を今後どういうふうに見込むかというような試算は実はしてございません。過去から現在におきますところの木材価格の上昇、それに見合う経済の伸び等の関連からいろいろ推定しますが、今後の住宅戸数が何ぼかというような見通しは立ててございません。
  23. 野呂田芳成

    野呂田委員 そういうことであれば、皆さんのこの計画は残念ながら従来のトレンド計算で積み上げていると思うのです。そういう傾向は、トレンドはトレンドでありますけれども、これからもそういうトレンドでいくという保証は何もないわけでありますから、やはり補正係数として当然住宅の建設戸数とか、そういう重要なファクターの積み上げ作業をやってトレンド計算を補正しないと、どうしても計画にずれが出てくるのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  24. 秋山智英

    秋山政府委員 現在の木材需要構造というものがここ四、五年相当変化してきているというふうな非常に難しい状況もございますし、建設省自身も住宅の長期見通し等につきましてなかなか長期にわたります見通し等もいただいておりませんので、私どももやはり過去から現在までのトレンドを踏まえ、また経済の伸び等を見通しながら幾つかの試算をしているというのが実態でございます。
  25. 野呂田芳成

    野呂田委員 ぜひひとつこの計画を練る場合に、住宅戸数というものをもう少し、単なる過去の傾向値を使うのではなくて、これから先の見通しですから、建設省とも相談しながら住宅戸数なんか使って補正係数を使ってほしい、私はこういうふうに要請しておきます。  その場合に私は大変大事だと思いますのは、世界の先進国を見ますと、世帯数を住宅戸数が上回ってしまった国家、先進国は大体そういう格好になっております。日本の場合は世帯当たりの住宅戸数というのは一・〇八戸になっておりますから、上回ってしまっております。そういう場合には、大体世界の傾向として、住宅の新築戸数というのは総人口の一%、こういうことで出ております。仮に日本が一億二千万の人口だとすれば百二十万戸が限度であるということになるわけでありまして、百十万戸から百二十万戸ぐらいがこれからの一つの傾向として客観的に言えると思う。  ただその場合に、私は住宅戸数だけを使って補正しろということを今申し上げようとしているわけじゃありません。自民党も大変強力に推し進めておりますのは、住宅のリフォームの関係をどう見るかということであります。今日本の固有の事情として外国の先進国と構造的に全く違う点は、この点はぜひひとつ長官に意識していただかなければいかぬことでありますが、木造住宅で二十年以上たった戸数がもう一千万戸になんなんとしている。これが今改築を待ち、模様がえを待ち、修理を待っているわけでありまして、これが五十五年は五兆円でありましたが、五十八年は大体八兆円になろうとしております。一、二年後にはこれが十兆円市場になるわけでありまして、こういうことを考えれば、役所の見通しが新築戸数だけに着目していろいろな積み上げ作業をやっている、そしてトレンド計算をやっているということは根本的に誤りがある。これはむしろ建設省に指摘しておきたいのでありますが、そういうものをある種の材料にして改善計画を積み上げるということは大変な狂いが出てくると私は思う。だから、この改善計画をつくるに当たりましてそういう住宅のリフォームの要素というものをどういうふうに考えているのか。あるいは全く考えないでトレンド計算をしたのか。そういうことであれば私は計画そのものにかなり疑義を持つものでありますが、この点について御見解を承りたい、こう思います。
  26. 秋山智英

    秋山政府委員 戦後建てられました住宅につきましては、今先生御指摘のとおり大変増改築の時期に来ておりますので、私どもも、今後の木材需要を見通すに当たりましてはやはり増改築の動向というものも十分踏まえていかなければならないと思っておりまして、日本リフォームセンター等のこれからの活動とも十分連携をとりながらこれからの需要開発をしていかなければならぬと思っております。  ただ、今回の国有林野事業の七十二年の収支均衡ということは、現行法律におきましてもそうでありますが、国有林野事業の収入支出が均衡することをめどといたしましていろいろの条件を基礎としてやっておるわけでございますが、木材につきましては過去三十年におきましては大体六・五%程度の伸び率でございますが、ここ六、七年で見てまいりますと二・七というふうなことでございまして、木材需要の見通しに当たりましては幾つかの試算をしておりますが、十年を超える大変長期に対しましての見通しについては、木材のみならずあるいは賃金の問題それから諸経費の問題その他各種の変動因子がございますので、試算はございますけれども、私どもといたしましては今申し上げましたような木材需要動向を踏まえての国有林の収入を考える。国有林の収入につきましても従来の販売方式をさらに合理化をいたしまして、販売区域拡大あるいは長期の契約による計画販売あるいは採材を合理化することによりましての売り払いの収入の増加というような各種の因子を含めながら考えてございますので、増改築それだけでというような形でなくて、一応木材需要全体の過去のトレンドと今後の見通しというような形の中で計算しておりますので、そこを御理解いただきたいと思います。
  27. 野呂田芳成

    野呂田委員 私どもは、国有林の重要さを考えますと、本音としてはもっと一般会計からの導入を強化してもらいたい、あるいは財政投融資をもう少し多くしてもらうとか、あるいは利子補給ぐらいは考えるべきじゃないか、こう思うのでありますけれども、国家財政を考えるとそういうことも言えません。  皆さんが財政当局と苦労してまとめた案でありますから、それはきょうは言わないことにしますが、しかし、将来というものを考えてこれからの十カ年間の改善計画をつくるとすれば、いろいろな要素を考えてトレンド計算をしたと言うけれども、やはり何となく肝心なところがかなり傾向値だけでなぞられてしまっているのではないかという危惧の念を私は持っているのです。これは、これから計画を吟味する非常に重要な要素になってくるはずでありますから、今申し上げたようなことについてはひとつ真剣に検討してもらいたい、こういうふうにきょうはとどめておきます。  それから次に、定員の問題でございますけれども、林政審の答申にもありますし、それを受けた形で、閣議決定でも要員を昭和六十三年までに四万大規模にしたいということになっておりますが、これはこういう会計も苦しいさなかでもありますし、財政の合理化、効率化を始めるということにおいては、私は皆さんの自助努力というものに対して高く評価をいたします。しかしながら、今五万五千を四万に切り下げるような合理化を行って、先ほどから長官が言われる重要な国有林野を本当に守ることができるかどうか、こういう重大な使命を達成するに支障がないのかどうか、そういう点についてひとつ伺っておきたいと思います。
  28. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林野事業の持っております使命を十分に果たしていくためには、まずもちまして経営健全性を確立するということが不可欠でございまして、これまでも経営改善には鋭意努力してきたわけでございますが、今後とも一層この改善努力を重ねていかなければならぬと思っておるわけでございます。特に、現在の財務事情を見てまいりますと、業務収入で人件費を賄い得ないというふうな、そういう厳しい財務事情に実は置かれておるわけでございます。  したがいまして、こういうもとにおきましては、やはり組織、機構の簡素化、合理化、要員規模の縮減という問題は、私ども避けて通れない問題だというふうに考えておるわけでご一ざいまして、この問題につきましては、臨時行政調査会林政審議会でも強く求められているところでございます。  しかしながら、一方におきまして、やはり財務事情が悪いからといって国有林の管理、経営をゆるがせにすることはできないわけでございますので、私どもは今後作業能率の向上あるいは事務の改善合理化等によりまして能率的な事業運営をすると同時に、緑資源確保国土保全等のこういう森林の持っております公益的機能発揮に遺憾のないよう、国有林野事業の使命を達成するのに遺憾のないように鋭意自主的努力もしていかなければならない、かように考えているところであります。
  29. 野呂田芳成

    野呂田委員 ぜひひとつ、要員が減ったから国有林の管理に手落ちがあったということのないように、一生懸命精進していただきたいと思うのであります。  そこで、経費の節約がなされ、要員の節約がなされた。しかも臨調とか閣議の決定を見ますと、さらに六十年の三月末までには営林局の一局の統廃合をやる、あるいは六十二年度末には十九の営林署の統合をするというようなことになっておりますが、これは大変なことだと思うのです。思いますが、これは先ほども言った趣旨でぜひひとつ合理化は進めていただかなければいけません。  そこで、それはそれでいいわけでありますけれども、営林局なり営林署というものは自分ひとりで仕事をやってきたわけではなくて、開闢以来周辺の人たちの有形無形の支援と協力によって、あるいは理解によって進められてきたという長い歴史があります。そういう観点から見ますと、単に役所が国有林野事業のサイドの都合だけで組織の改革を進めるというようなことでは、これは大変大きな問題になると思うのです。  そこで、局署の統廃合に当たっては地元関係者の声に十分耳を傾けて、その十分な理解を得て行っていただきたい、こういうふうに我々林業の盛んな県に住む者としては心から要請しておきたいのであります。ひとつこの点に関する所見を伺っておきたいと思います。
  30. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林野事業経営改善をより積極的に、むしろ改善というよりは改革という形で健全性確保するように努力するためには、やはり組織、機構の簡素合理化というのは私ども避けて通れない道であるということでこれまでもやっておりますが、さらにこれからも進めてまいるつもりでございます。  今御指摘もございましたが、国有林野事業は地元の所在の市町村とは極めて密接な関係がございまして、私どもこれから改善合理化を進めるに当たりましては、やはり地域の方々の理解を得られますように努力しながら、また、地元に対しまして国有林野事業機能の低下、サービスの低下を招くことのないように、十分配慮して実施してまいりたいと考えております。
  31. 野呂田芳成

    野呂田委員 次に、国有林野法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。  昨年、民有林について新たに分収育林制度を導入して森づくりへの国民参加、こういうことは私は大変結構なことであったと思って喜んでいるわけであります。このたびさらに今度の改正案で分収育林制度を国有林にも広げようという趣旨でありますから、これについてぜひひとつ実現して充実していただきたい、こう思います。  そこで、まず、この分収育林を国有林にも導入する意図、目的、具体的内容等について伺っておきたいと思います。
  32. 秋山智英

    秋山政府委員 最近、御承知のとおり緑資源確保の問題につきましては国民的な要請が高まつてきておりまして、森林造成にみずから参加するとか、あるいは林業に投資をしながら森林造成に積極的に参加していきたいというような方々も出てまいっておるわけであります。また、国有林の現在の森林資源状況を見てまいりますと、まだ伐期に到達しない三十年生以下の森林が約八割を占めているような状態でございまして、この資源事情で最近伐採量は低下しておりまして、経営悪化の一因にもなっておるわけでございます。  私ども、このような実態を踏まえまして、緑資源整備についての国民的要請にこたえると同時に、現在の国有林の資源事情を踏まえまして、生育途上森林の段階におきまして収入も上げられ得るような方法を考えたわけでございまして、昨年民有林において育林分収制度を導入したわけでございますが、これが各地におきまして積極的に参加する方々も大分出ておるようでございますし、今申しましたような理由から、ぜひとも国有林についても国民の皆さんに御理解をいただきながら森林造成するというような面からも、これを進めてまいろうと思っておるわけでございます。  特に、今回考えております仕組みは、国有林の杉、ヒノキの二十一年生から三十年生くらいの中齢林の人工林につきまして、現在の評価額とこれから育林管理をするに必要な費用について一部を国民負担してもらいまして、その樹木共有をしていただく、そして伐採時に収益持ち分に応じまして分収するという制度でございます。  具体的に、私ども各営林局におきまして杉、ヒノキなどの人工林のうちの中齢級の人工林から選び出しまして、原則として一口五十万円で広く公募によりまして契約の相手方を決めまして、この対象林分の態様あるいは持ち分割合育林方法伐採期等を定めて契約を締結する。契約の後におきましての今度は伐採までの保育管理は、すべて国におきましてこれを行い、販売したときにおきまして国と費用負担者持ち分割合に応じまして収益を分収する、そういう考え方でございます。
  33. 野呂田芳成

    野呂田委員 御案内のとおり日本国土の七割が山でありますし、大部分が木でつくった家に住んでいるわけでありますから、日本ほど森林国民の生活のきずなの深い国は少ないと思うのです。したがって、これからこの制度をたくましく前進させていくために、私は、全国民的な理解と協力を得る必要がある、国民に親しまれる国有林のイメージアップを図る必要があると思うのです。  ところで、今長官がおっしゃられたように伐材収入の対象となる五十年以上のものがたった八%しかない。逆に言えば三十年以下のものが八三%であって、収入の平準化という点から見ればこれは大変危機的な状況であるわけですね。こういう国有林会計を維持していくためには、収入の平準化ということが大きな問題になる。こういう面からも、この分収育林制度というものは本当に真剣に育てていかないといろいろな意味でのパンクがやってくると私は思うわけです。そういうことをぜひ皆さんに強く御認識を賜って、一生懸命やっていただく。と同時に、分収育林は将来どの程度に広めていくつもりなのか、その点について伺っておきたいと思います。
  34. 秋山智英

    秋山政府委員 分収育林を進めるに当たりましては、これを国民の皆さんに御理解いただくということになりますと、対象とする林分の立地条件と申しますか、その自然的な立地条件あるいはその地理的な立地条件等を踏まえながらこれを検討していかなければならぬと思いますし、今先生御指摘のように、長期的に見まして国有林野事業の自己収入の平準化、安定化ということを考えながらこの範囲あるいは規模を検討しなければならぬということでございます。  これにつきまして、私どもまず五十九年度から実施するわけでございますが、まずは五十九年におきまして、各営林局でそれぞれ、初めてでございますので一ないしニカ所ぐらいに相なろうと思いますが、適地を選定しながら、さらには応募の状況を踏まえてこれは決めてまいりたいと思っておるわけでございます。やはり国民の皆さんが一緒になって山づくりをするということでございますので、それに合った立地条件、それから要望、さらにはその手続等も十分踏まえて実施が円滑にいくように検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  35. 野呂田芳成

    野呂田委員 この制度の推進に当たっては、先ほども言ったとおり国民的な参加が不可欠だと思います。しかし、第一義的には何といっても地元の協力と理解が大事である。そこで、この制度を成功させる一つの重要なかぎは地元振興にいかに寄与するかという政策なり配慮だと思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
  36. 秋山智英

    秋山政府委員 国有林野事業をこれまで管理運営してまいります過程におきまして、地元の、所在の市町村住民の方々と非常に密接な関係がございます。これまでも地元の市町村の地域の方々の経済振興あるいは生活の安定という面には十分配慮してきたところでありますけれども、今度の新しい育林分収の推進に当たりましても、私どもその点は十分踏まえていかなければならぬと思っております。今回の育林分収そのものが広く国民の参加を求めてまいりたいという考え方でございますけれども、やはり地元の方々の意向ということを十分踏まえなければいかぬわけでございますので、その実施に当たりましては、地元からの要望がある場合にはそれにこたえ得るような方法も仕組みたいということで現在検討しておるわけでございます。  この育林分収を進めるに当たりましては、また都会の方々が山村に来まして、山村の方々と都会の方々がお互いに交流し合う場も出てまいってくるわけでございますので、その場合におきましての地元の方々の意向も踏まえて地域振興にも寄与し得るようなこと、また国有林野事業につきましての御理解を十分いただけるようなことも考えながら、また地場の資源を有効に活用するためにどういうふうに国有林が対応していったらいいかということも十分検討して、地域活性化に寄与できるような方法をこれからも検討してまいりたい、かように考えております。
  37. 野呂田芳成

    野呂田委員 せっかくの新機軸でありますから、地元の振興とか地元の活性化に本当に寄与するような運営に努力をしていただきたいと思います。  それでは次に、保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案に関連してお伺いしたいと思います。  森林は、よく言われるように国土の保全とかあるいは水源の涵養あるいは生活環境の保全とか、重要な公益機能を有しておるわけですけれども、なかんずく保安林の持つ機能、これは大変重要なものがあると思うのであります。今、保安林指定はちょうど国土面積の二割、我が国森林面積の三割に及ぶ七百七十六万ヘクタールに及んでおります。この果たしてきた成果は大変大きいと思うのでありますけれども、しかし、ざっと考えてみますと、まだまだ必要なところに指定漏れが大分あるような気がいたします。今度のこういう改正を契機に、必要な保安林指定というものを至急にやっていただきたい、漏れなくやって国土の公益機能発揮するようなものにしていただきたい、こう思うのでありますが、その点についての所見を伺います。
  38. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林配備につきましては、これまで保安林整備臨時措置法に基づく整備計画に基づきまして計画的に進めてまいってきたわけでございますし、また、その機能についても十分発揮できるように措置してまいったわけでございますが、ただいま先生御指摘ございましたが、最近の都市化進展などに伴いましてさらにきめ細かい保安林配備をしていかなければならぬというふうな要請がございます。と同時に、一部の保安林におきまして機能が低下している面が出てまいっておりますので、これらのところに十分配慮した一つの対応をこれからしてまいらなければならぬと思っておるわけでございます。  きめ細かい保安林指定となりますと、これは国土保全上、土砂流出と申しますか、土砂防止という面からの指定、また国土保全の中で水資源の涵養という面からの指定、さらには最近、いわゆる住民の方々の保健の面から必要な保健保安林指定と、いろいろの配備をこれからしていかなければならぬわけでございますが、これらにつきましては、十分そのニーズに合った、きめの細かい指定をこれからしていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  39. 野呂田芳成

    野呂田委員 私は、先ほど、漏れている保安林を適正配置するようなことを急ぐべきだというお話をしましたが、今度はその逆でありまして、逆というよりは別の観点から物を言わなければいかぬのでありますが、今長官も触れたように、せっかく指定した保安林が大変機能が低下しちゃって、八十九万ヘクタールもどうも低機能のまま放置されているという実態があるわけですね。これはやはりゆゆしき問題だと思うのですね。今回のこの措置でそういう低機能のまま放置されているものについて本当に保安林としての果たす役割を十分に発揮できるようなことになるのかどうか、その所見についてひとつ伺いたいと思います。
  40. 秋山智英

    秋山政府委員 指定しました保安林機能の低下が、最近の林業停滞と申しますか、あるいは林地の移動等によりまして出てまいっておるわけでございます。  そこで、ただいま先生のお話に出てまいりました機能の低位の森林が八十九万ヘクタールというわけでございますが、これは私ども全国森林につきまして機能の低位の森林を抽出調査によりまして推計したものでございまして、内訳は民有林が五十五万ヘクタール、国有林が三十四万ヘクタールというような結果になっているわけでございます。この機能の低位という中の森林を分析してまいりますと、亜高山地帯に存在する森林と申しますか、これらは現在以上になかなか機能が向上し得ないと申しますか、いわゆる森林限界地に近いところの森林と申しますのは現状を維持していくことが精いっぱいのところでありますが、これらについてはこれから積極的に施業をしていく対象から外しているわけでございます。  それから、保安林の広い面積の中に点々とございます機能の低い林分というのは、全体的に見ますと大きな支障を及ぼさないということでありまして、今後機能が低くて積極的な対応によってその機能を向上していかなければならぬという森林について見てまいりますと、民有林におきましては約三十五万ヘクタールあるわけでございます。これらの森林につきましては、まず機能回復の措置といたしまして考えておりますのは、崩壊地あるいは傾斜が急なところでございまして、森林所有者の森林施業によりましてこれを回復することが困難であるとかあるいは適当でないというものについては、これは治山事業、水源林造成等によりまして対応していこうと思っておりますが、これが約二十二万ヘクタールぐらいあると見ております。  それから、そのほか森林所有者の森林施業によりまして機能が回復できると見ております森林、これが今回の法改正の特定保安林の中で地域森林計画によりまして要整備森林として造林その他の施業をなされるものでございまして、これらのものにつきましては今回御審議いただく制度改正によりまして機能回復を図ってまいりたい、かように考えているものでございます。
  41. 野呂田芳成

    野呂田委員 私たちは、本来ならば、今度のこの法律は、過去二回十カ年計画を改定してきてなおおびただしい機能低下の部分があるわけでありますから、本当は恒久法にしてこれを整備してもらいたいというのが当然議論として出てくるわけですが、今の長官の決意を聞いておりまして、あと十年延ばせばこれは完全に機能低下を回復して新たなものの整備もできるという強い決意でありますから、それに期待して見守っていき、協力していきたいと思います。  最後に、保安林に関連して一つ伺いたいのであります。  今、都市の緑地につきましては、森林を含めて建設省が都市緑化基金というものをやって、十数億の基金を持ってそれに対処している。あるいは環境庁がナショナル・トラストの構想を持って同じようなことをやろうとしている。ところが、保安林についてはそういうものがないということは、私は大変遺憾だと思うのです。  今度の日本海中部地震において私はしみじみ感じたのでありますが、科の町の能代市は大変な津波に襲われましたが、この能代の海岸で津波被害から免れたのは、あそこに日本で誇り得るような保安林があつくその一角だけはつつがなかったわけですね。はしなくも保安林の重要さというものは大変防災に役立つということが検証されたと私は思うのです。それだけに、保安林というものの整備を進めなければいかぬ、こう思うのです。ところが、そういうものについて必ずしも国の予算も十分じゃないし、国民の理解と協力というものもまだ乏しいと思うのです  この点について林野庁としてはどうお考えか、まず長官から所見を伺いたいと思います。
  42. 秋山智英

    秋山政府委員 保安林整備に対しまして、受益者によるところの費用負担あるいは地域の住民の方々の自主的な協力、参加によりましてその内容をよくしていくというのは、私も基本的に非常に好ましいことだと考えておるわけでございます。ただ、これを今度広く一般に広げていくという場合におきましては、現在私どもいろいろと検討しているわけでございますが、受益の範囲の確定をどうするかという問題、それから受益の程度の定量的な把握をどうするかというような非常に難しい問題が実はございます。地域の事情に応じましてこれを助長していくことが望ましいと現在考えておるわけでございますが、これまでも林野庁におきましては、その森林の持っております公益的機能の計量化の方法であるとか、あるいは主要流域における上流地域費用負担の状態であるとか、あるいは下流地域の受益の実態であるとか、あるいは森林整備公益的機能の増進効果の関連等、いろいろと技術的な調査につきましては、実はもう十年近く調査をしてまいっておるところでございますが、私どもさらに今後これらの検討を重ねてまいりまして、今後の保安林整備管理のあり方に資するような方法でさらに一層積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  43. 野呂田芳成

    野呂田委員 最後に政務次官にお伺いしますが、私は今、イギリスのナショナル・トラストでも、これは人口に膾炙された制度ですが、保安林も含めた森林の買収等につきましてもナショナル・トラストがちゃんと機能しておるわけですね。外国でもそういう制度があるし、都市の緑化とか環境庁が所管するようなものについてもそういうことができてくる。しかし、本当の意味国民の生命、身体に大きな影響を持っておる保安林についてはまだないということは私は大変遺憾だと思うのです。今長官も認められたとおり、いろいろな法律上の因果関係が乏しいとか、いろいろあると思うのですね。例えば下流の人に法律的な拘束を加えようとしても、ダムのような施設と違って法律的な因果関係も薄いとは思いますけれども、しかし国民の方は一歩進んでおりまして、例えば木曽三川のようにいつも被害をこうむっておるようなところは水源基金を設置してくれているわけですね。上流に保安林を涵養したい、あるいは福岡のように水源が枯渇するところは水源林基金というものをやっている、広島の太田川でもやっているというふうに、幾つかそういうものがある。あるいは金を出さなくても、下刈りをやったりして役務の提供をやって保安林に協力している人たちもいるわけですね。だから、そういうものの芽を育てていかなければいかぬ。何でも新しい制度をつくるというのは生づめをはがすような難しい問題が山積しているとは思うのでありますが、それを乗り越えて保安林整備基金とかあるいは水源林基金のようなものをぜひ設置して保安林整備にもっと積極的な姿勢を示すべきじゃないか、こう思いますが、ひとつ政務次官の所見を伺いたいと思います。
  44. 島村宜伸

    ○島村政府委員 野呂田先生の今の御指摘、私も全くそのとおりだと思います。この点につきましては、林野庁の関係者その他とよく検討を進めてまいりたいと考えます。
  45. 野呂田芳成

    野呂田委員 ぜひひとつ前向きに検討して、近い将来に制度として発足できるようにお願いをして、質問を終わります。     —————————————
  46. 阿部文男

    阿部委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております各案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕