○
石川(弘)
政府委員 実は、需給実勢
方式というのは再
生産確保をしていないという御
指摘でございますけれ
ども、需給実勢
方式の真の意味は、要するに過去かなりの期間に市場で形成されました
価格の中で、いわばそういう安定帯
価格の中で
変動しているということの中で
生産は順調に拡大をしてきている。それから
消費も順調に伸びてきているという
事態をとらえまして、非常に極端な言い方をすれば、本当に再
生産が確保できなかったのであれば拡大はするはずがない。それから
価格が物すごく異常である。例えば、低過ぎるということはないのでしょうが、高過ぎるということであれば今度は
消費が伸びるわけがない。そういう前提に立ちまして、要するに
水準としての
幾らの
価格を支持するかということよりも、よくあります
価格の
変動をなるべく小さくすることによって
農業経営を安定させようという趣旨でございます。
今回の
審議会でも、なぜ所得補償
方式をとらないかという御質問もあったわけでございますが、これは所得補償
方式で何か
政府が買い上げるという性質のものよりも、自由に
価格が形成されて、しかもそれが
生産者のためにも再
生産できるようにすると同時に、
消費者にとっても安定的に
消費が伸びるという
水準という手法でございますから、この
方式が例えば破綻になるとき、極端に言いますとこういう
価格でつくっていると
生産者はもう
生産をしなくなる、あるいは
消費者の方として
消費が減退してしまうというような
状態のときにはいろいろ考えるべきことはあろうかと思いますが、私は現時点では有効に働いてきたのではないかと思います。
それからもう一点御
指摘の、過去において例えば牛は七年豚は五年間にできた、要するに実勢
価格を中心に、これは
生産費で動かすわけでございますけれ
ども、そういう
方式がメリットを先取りしているのではないかというお話でございます。こういう
算定方式下においても順調に経営が拡大していく、これはもちろん
生産者の御
努力によることでございますが、拡大をしてきてそれなりの利潤を上げてきているということは、決してそのメリットのすべてが先取りされるというようなことではございませんで、
消費者も逆に言いますと安定
価格で
消費を伸ばすというメリットもありますと同時に、
生産者にとっても経営拡大のメリットは出ているのであろうと思います。
したがいまして、今
先生の御
指摘のように、何か
方式によりまして
決定的に
農家の人が
不信感を持つということではございませんで、むしろ私は、
農家の
方々にとって余りにも他のものに比較して安定帯の
価格が変わらないでずっと来ているということについて、諸物価高騰の折からなぜこういうものの
価格が上がらないのかというような御質問はよく受けるわけでございます。ここは私
ども毎々申し上げておりますとおり、牛肉あるいは豚肉につきまして
生産者の
方々の大型化、あるいは経営の合理化という中で
価格を安定的にしたことが
消費も伸ばしてきた。また、そういう
価格も安定して、
国内生産を
努力していただいているからこそ、何度も申しますように
国内の合理的
生産を
基礎として、足らざるものは
外国から入れるという今の
方式をとっているわけでございます。国際
価格に比して割高だという
国内の批判もございますけれ
ども、やはり
生産者のそういう
努力で安定している、この
価格水準が安定しているということをもって
消費者の
方々にも理解をいただいていることでございますので、私
ども確かに
水準を比較的長く据え置いてきておりますけれ
ども、こういう
価格帯の中で御
努力いただいて
国内生産をやはり維持していく。そうでありませんと、よく言われますように、どんなに高くても
国内でつくればいいのかという御批判があるわけでございますので、私はそういう
生産者の方の御
努力を期待しておるわけでございます。