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1984-03-29 第101回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十九日(木曜日)     午前十時三十二分開議 出席委員   委員長 阿部 文男君    理事 上草 義輝君 理事 衛藤征士郎君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 吉浦 忠治君       小里 貞利君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       高橋 辰夫君    野呂田芳成君       羽田  孜君    三池  信君      三ッ林弥太郎君    山崎平八郎君       渡辺 省一君    上西 和郎君       串原 義直君    新村 源雄君       田中 恒利君    細谷 昭雄君       松沢 俊昭君    安井 吉典君       駒谷  明君    斎藤  実君       武田 一夫君    水谷  弘君       神田  厚君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣        農林水産大臣   山村新治郎君  出席政府委員        農林水産政務次        官        島村 宜伸君        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産大臣官        房総務審議官   塚田  実君        農林水産大臣官        房審議官     田中 宏尚君        農林水産大臣官        房審議官     中野 賢一君        農林水産省畜産        局長       石川  弘君        林野庁長官    秋山 智英君  委員外出席者        農林水産委員会        調査室長     矢崎 市朗君     ————————————— 委員の異動 三月二十九日  辞任        補欠選任   駒谷 明君     大久保直彦君 同日  辞任        補欠選任   大久保直彦君    駒谷  明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(畜産及び蚕糸問  題等)  畜産物価格等に関する件  蚕糸業安定的発展に関する件      ————◇—————
  2. 阿部文男

    阿部委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村源雄君。
  3. 新村源雄

    新村(源)委員 政府は、昨日、畜産振興審議会に対しまして、昭和五十九年度加工原料乳保証乳価並びに限度数量について諮問をいたしました。残念ながら、今日非常に厳しい経営状態に耐えながらこの決定を大きな期待をかけて待ち望んでおったわけですが、あの答申内容酪農民に大きな失望感を与え、中には農業の前途に希望を失う者が出るのではないか、こういうことを大きく懸念するものであります。この価格限度数量決定基本をなしているのは、今日、乳製品国内自給度がわずか五〇%程度よりないというところから依然として輸入優先態度が変わってない、国内酪農を守ろうという態度がこの数量の中から認められない、こういう気がしてならないわけでございます。  そして、昨日、答申の中に六点にわたって建議がなされております。したがって、農林省はこの建議内容を踏んまえて今後酪農振興に積極的に取り組んでいく、こういう本来ならば大臣決意をお伺いしたいところでございましたが、大臣出席でないので、政務次官の方からこの決意についてお伺いしたいと思います。
  4. 島村宜伸

    島村政府委員 御指摘の点につきましては、振興策について万全の対策を組んでいきたい、そう考えております。
  5. 新村源雄

    新村(源)委員 そこで、この答申の六項目の中で特に第四項目に、「国産ナチュラルチーズ振興策につき、速やかに検討すること。」となっております。  ナチュラルチーズの現況につきましては、私から申し上げるまでもございませんが、現在このナチュラルチーズを製造するのには原料乳が約十倍かかる、こういう点から見ましても、今後の酪農拡大生産のために非常に大切な部門であろうというように思っておるわけでございます。さらにまた、近年この消費が著しく伸びておりますし、今後も拡大するものとの見通しであります。すなわち、昭和五十七年の総消費量が九万八千トンでありまして、過去十カ年間のうちに年率七%ずつの消費拡大がされております。しかし、残念ながら、九万八千トンも消費がされておりながら、国内生産されるものはこのうち一万六千トンよりないわけでございます。そしてチーズ消費の動向としては、例年ナチュラルチーズプロセスチーズを混合したものを食べておりましたが、最近はナチュラルチーズを直接消費をする、こういうことで、これまた過去十カ年間に大体三九%ずつ伸びてきておるわけです。しかし、これに対して、この部門においても輸入が約十倍伸びてきている、こういう情勢になっております。こういう情勢の中で、国内乳業メーカーは積極的に施設の増強をして消費に対応していこうとしておるわけです。  こういう中で、ナチュラルチーズの持っている課題といたしましては、一つには自由化品目であります。そして常に外国のものと競合している、さらには最近の円高及び海外値下がり傾向等赤字生産が心配される、こういうことでありますので、建議内容から見ますと、何らかの対策を施さなければ国産ナチュラルチーズを安心して生産できるという体制にはならないわけですが、これについてどういう対応をされようとしておるか、お伺いいたします。
  6. 石川弘

    石川(弘)政府委員 御指摘チーズ国内生産でございますが、先生指摘のありましたように、我が国の酪農製品につきましては、一般論としましては一元輸入国家管理をやっておるわけでございますが、そのうちナチュラルチーズにつきましては、御承知のように国内生産がほとんどございません。そういうことから、既に開放しておる品目でございます。その後、国内プロセスをつくる原料といたしまして、やはり何と申しましても新鮮な国内生産ナチュラルチーズが必要だということもございまして、そういう関税割り当て制度で向こうのものと抱き合わせでやるという形で生産が伸びてまいりまして、五十八年度には一万五千数百トンまで生産が伸びてきておるわけでございます。  この間、国内メーカーといたしましては、プロセス原料ということだけではなくて、先生今、御指摘のように、そのまま食べる、要するに直ちに食用に回すナチュラルチーズにつきましてもいわゆる研究開発に努めますと同時に、新しい製品開発にも努めてきたわけでございます。五十六年、七年ぐらいのことで申し上げますと、いろいろ為替相場の問題とか外国原料価格の問題とかいうようなことがございまして、国内生産がある程度力がついてまいりました。逆に、外国原料だけに頼っている方々は非常にお困りになったというような事態もあったわけでございますが、最近は原料価格問題とかあるいは為替も円が強いというようなことがございまして、比較的安いものが入りやすい環境になったということから、今御指摘のありましたように、国産ナチュラルチーズをつくっているメーカー等について何らかの施策が要るのではないかというお話がございまして、昨日も審議会の中でそういう論議が行われ、建議が行われているわけでございます。  かつて、ナチュラルチーズ振興策としましては、為替変動というのが大変大きいから、為替変動について何らかの措置がとれないかというようなことが論議されたこともございますが、為替変動ということになりますと、ナチュラルチーズだけでございませんで、ありとあらゆるものにそういう問題があるわけでございますので、当時国産ナチュラルチーズ振興策の中で考えられました基金構想が、一応考えられながら実行されなかったという経緯がございます。外国におきましても、輸出国側としまして、国内のいろいろな政策についても重大な関心を持っておるということも事実でございます。しかしながら、私どもとすれば、やはり国産ナチュラルチーズがある程度安定して国内でつくられるということは必要だと考えておりますので、建議の趣旨も踏まえまして、どういう姿があり得るかというようなことを早急に検討を始めたいと思っております。
  7. 新村源雄

    新村(源)委員 そうすると、国内ナチュラルチーズ生産について円高あるいは海外値下がり、こういうものについて早急に対策を講ずる、こういうように理解をして差し支えないわけですね。
  8. 石川弘

    石川(弘)政府委員 何かそういう値下がり分の補てんとか円の変動を補てんするというような施策はとりがたいと思っておりますが、国内ナチュラルチーズをつくるということについてどのような形にあることが長期的に安定するかというような観点で、いろいろと方策につきまして検討をしてみたいと思っております。
  9. 新村源雄

    新村(源)委員 それでは、これは酪農の将来にわたる非常に重要な部門になってまいりますので、ぜひひとつ適切な措置を講じてもらいたい。さらにまた、この問題については今後も畜産局と具体的な問題で詰めてまいりたい、こういうように存じまして、この問題については以上で終わります。  次に、これは去る二十七日の農林水産委員会におきましても質問をしたわけですが、どうも時間の関係で、すとんと落ちなかった面があるわけでございます。これは、基準取引乳価決定するいわゆる算定基礎の中で無脂固形分あるいは全固形分脂肪率、こういうものが今日の牛乳の品質と実態に合っていない、そういう数値をそのままずっと当てはめて基準取引乳価算出基礎にしておるわけです。こういう点については、農林省が膨大な機構を持っていてずさんだとは言えないわけですが、一体なぜこれを現在の乳質に合った基準に当てはめられないのか、この点についてお伺いしたい。
  10. 石川弘

    石川(弘)政府委員 御指摘の点は、乳脂肪基準とか無脂固形分基準をどう考えて取引をしているかということかと思います。  基準取引価格算定するに当たりましては、御承知のように乳脂肪についての生乳取引基準を一応三・二%ということにやっておりますし、それから無脂固形分につきましては八・三六%を基準として算定をいたしておるわけでございます。乳脂肪につきましては、御承知のように三・二、これを上回るものが相当ございます。そこで、三・二を上回る部分につきましては取引の中で乳業者から生産者に支払うという取引慣行があるわけでございまして、北海道で申しますと〇・一%上がりますごとに一円というのをやっているわけでございますし、そういうことで乳成分が向上した部分が実質的に生乳取引の中で支払われているというのが実態でございます。無脂固形分につきましては、かつていろいろ論議がありまして、御承知の四十八年度に、かつて八・一%ということで計算いたしておりましたものを八・三六%に上げたわけでございますが、これもすでに御承知のことと思いますけれども、その後ちょっとその基準より下がってきたというようなこともございまして、きっちり大体こういうところまで来てしまったということはなかなか言えないという状況にあるのではなかろうかと思います。  実はそういう間に、畜産振興審議会等でも御議論になりまして、私どももこの算定に関する基本的な考え方というようなことをいろいろと論議した経緯もございますが、これは先生よく御承知のように、牛をどんな条件で飼うかというようなこと、それから季節の問題もありまして、ある程度変動を伴う性質のものでございますから、そういうものが全段的に安定的になった上で、さらにそれを上回るものはどのような取引形態にするかというようなことをやらなければいかぬと思っております。無脂固形分につきましては、やはり相当高いものが出てきておるわけでございますので、これは乳脂肪加算と同様に取引当事者におきます実態的な話し合いということは私どもも望ましいことと考えておりますので、そういう実態を踏まえながらこれからいろいろと検討を進めていきたいと思っております。過去におきまして検討したことが直ちに実行できなかったということにつきましては、その検討の対象となった事態の中でいろいろと安定性を持って論じられない事態があったわけでございますので、私どももそういう過去の経験に徴しましても慎重な立場検討しなければいかぬと思いますが、そういう検討は今後も続けるつもりでございます。
  11. 新村源雄

    新村(源)委員 局長も御案内のように、以前は乳牛改良方向というのは高脂肪脂肪の高い、そういう牛群をつくることに重点を置かれてきたわけです。ところが、ここ数年前から脂肪だけではだめだということで、いわゆる無脂固形分の高いもの、こういうものが今乳牛改良方向になっておるわけで、こういうことについては農業団体もあるいは生産者もこの改良に全力を挙げておるわけです。  ところが、農林省当局としてはそれなりの考慮を払われてきたとおっしゃっているのですが、ここに北海道酪農検査所のずっと昭和四十六年当時からの資料があるわけです。これで見てまいりますと、一時的には多少下がることもあるけれども、全体としては無脂固形分は着実に高まってきている。特に昭和五十六、五十七、五十八、こういうようにずっと高まってきておりまして、昭和五十七年度におきましては八・五二、それから五十八年度におきましては八・五四、こういうように、政府基準取引乳価基礎算定に使っております八・三六から見ますと実に〇・一六%の上昇を見ておるわけです。今、実質的には単協組合員の間ではこれが取引数値になっておるわけですが、乳業生産者団体の間ではこれはなっていない、こういう矛盾があるわけです。したがって、この〇・一八%を金額に直すと、実際として今組合員と農協間ではどのくらい払われているかというと、大体八十一銭払われておるわけです。  したがって、これだけのいわゆる歩どまりのいい、質の高い牛乳生産する、そのためには農民が一生懸命努力をしておる、こういうものをやはりどこかで吸収しなければならぬ。吸収しなければならぬということになりますと、やはり乳業メーカー生産者団体との間で取り決める実取引乳価の中でこのことが取引実態としてあらわれてこなければ、生産者にその分だけ還元することができない。いわゆる生産者努力をその面で認める、こういうことで昭和五十九年の、本当は私は昭和五十八年度の取引分につきましてもこの分だけ改めて追加払い方式乳業さんに要求すべきである、こういう見解を持っておるわけですが、これも含めて、政府はこの実取引価格の交渉に当たっては、この分が十分配慮されるように乳業メーカーあるいは生産者団体に勧告すべきである、こういうように思うのですが、この点についてはどうですか。
  12. 石川弘

    石川(弘)政府委員 今先生の御指摘がありました点は二つあるかと思いますが、一つは、北海道において無脂固形分水準がかなり高いところへいっているという御指摘、これは私ども算定に使っておりますものより高いというのは事実でございます。私ども算定をいたします場合に、やはり全国に出てまいりますので全国水準をとらなければいかぬわけでございますが、全国水準で申しますと、やはり現段階でまだ〇・一ぐらい北海道との数値の違いがございます。そういうことで、全国水準が上がってくるということは結構なことでございますけれども、そういうものをもとにして考えなければいけないというのが一つでございます。  それからもう一つは、先ほどもちょっとお答えしましたように、今先生の御指摘のあるように、北海道である程度高い無脂固形分を含んだ牛乳を使って加工原料乳をつくっていくわけでございますが、先ほど脂肪で申しましたように、脂肪は三・二を超えます分について当事者間、生産者メーカーとの間である種の脂肪加算をしておるわけでございます。私どもは無脂固形分につきましても、これと同様に乳価の中に反映させることにつきましては当事者間で十分話し合いの上実施されることが好ましいと考えております。
  13. 新村源雄

    新村(源)委員 好ましいと考えているという第三者的な立場ではだめなんですよ。やはりこういうことで算定をした政府責任があるわけですから、北海道と本州との差別もおっしゃいましたが、それは確かに全国的な配慮は必要でしょうが、御案内のように、北海道は八〇%が原料乳であるわけですね。それだけに、非常に重大な比重を持っている。そういうことから見まして、やはり農林省立場メーカー及び生産者団体にその実情を勧告すべきだ、こういうことを端的にお答えいただきたい。
  14. 石川弘

    石川(弘)政府委員 乳価問題につきましては、脂肪分加算とか無脂固形分のほかに、今までいろいろな形で実はメーカーとの関係で一種の奨励措置等がございました。私どもは、国の制度としてどういうような考え方をするかというところにつきましては、法律上きちっと制度としてやっているわけでございますが、この種の問題につきまして、価格水準等も含めて、政府幾らにすべきだとかあるいはどうすべきだと言うのは、これは商取引に余り介入し過ぎるのではなかろうか。私どもは、そういうことは、今私が申しましたようにそういうものの格差格差として認めることは適切である、こう言っているわけでございますから、これが私ども基本姿勢でございますので、生産者団体なりメーカーが私どものそういう考え方に従ってやっていただくのは結構でございますが、水準幾らであるとかあるいはこういう形にしろと私どもが申すべき筋合いのところではなかろうと思っております。
  15. 新村源雄

    新村(源)委員 これは非常に重大なところで、農林省生産者が一生懸命になってつくった牛乳を、これは幾らだということで責任を持って決めるわけでしょう。決めたところに、なおそういう農民立場から見ればまだ良質のものを売っているということが明らかになっているわけですね。ですから、そういう面だけは明確に、こういうようになっております、そしてこれは実取引段階で実現するようにと言うことぐらいは、決めた農林省責任としては私は当然だと思うのですが……。
  16. 石川弘

    石川(弘)政府委員 それは、私ども格差格差として当事者間で詰めるのは適切だと申しているわけでございます。問題は、それに介入してまいりますと、幾らがいいとか、そういう論議の中まで私どもが入りがたいということを申し上げているわけでございます。
  17. 新村源雄

    新村(源)委員 そうすれば、こういう問題が含まれているということをメーカーそれから生産者団体に明確に示すことはいいわけですね。
  18. 石川弘

    石川(弘)政府委員 既にいろいろな場で、私どもはそういう格差なるものを正当な格差として受け入れることは適切だと申し上げております。
  19. 新村源雄

    新村(源)委員 この問題につきましては、いわゆる乳業者生産者団体等との話し合いの中で、もし必要があればこれは当然農林省見解を求める、こういうことが出てくるかと思いますが、そのときはぜひ農林省はこの実情を正しく両者に伝える、こういうように強く要請をしてこの問題を終わりたいと思います。  次に、これは長い間問題になっているわけですが、保証乳価を決める段階労賃評価部分がございますね。労賃評価部分では、飼育労働原料乳生産地域の五人以上の製造規模を持っているものの賃金、それから飼料生産労働原料乳地帯農家臨時雇用賃金、こういう格差がついておるわけですよ。かつては飼料収穫は、端的にコーンなんかで言いますと、女でも子供でもかまを持って刈って、これを馬車に積んでサイロの付近に持っていって切り込む、こういう単純な労働であったわけです。ところが、最近はそうではなくて合理化されて、一流のオペレーター機械の操作をしなければ、一たん誤ると大変なことになるという危険も伴う高度な技術が必要だ、こういう状態に変わってきておるわけです。これを依然として臨時雇用労働力で試算をしているなどということは、時代認識欠除も甚だしい、私はこういうように思うのですが、この点についてはどうですか。
  20. 石川弘

    石川(弘)政府委員 御指摘農村雇用労賃といいますのは、臨時の日雇いとかいう、そういう労賃ではございませんで、農村部におきます製造業建設業運輸通信業農業林業漁業の六種の労賃基礎といたしまして、当該農村地区における標準的な労賃水準ということでとっております。したがいまして、例えば農業賃金ということになりますと、その地帯機械オペレーターを使ってやるような農業ならそういう農業賃金水準が反映されるわけでございまして、私どもは特に低いものをとっているという意識ではございません。
  21. 新村源雄

    新村(源)委員 しかし、実質的にはそういう高い質の労働力であれば、これは時間当たり賃金格差が出てくるというのはどういうことなんですか。
  22. 石川弘

    石川(弘)政府委員 御承知のように、片側の管理労働の方の中で五人以上の工場労働を含めます算定をいたしておりますので、その方が数字として高く出ているということでございます。要するに、片方はそういう製造業賃金評価がえをしているということでございます。
  23. 新村源雄

    新村(源)委員 農林省の提示されました資料から見ますと、飼育労働の時間当たり賃金は千百九円ですね。それから飼料生産労働賃金は九百九十三円。こういうように大体百十数円の時間当たり格差が出ている。これは私は今回の算定基準の中でぜひとも改善をして飼育労働費と同一なものにすべきである、農民立場から見てもこういう格差を残しておくということは容認できない、こういうように思うのですが。
  24. 石川弘

    石川(弘)政府委員 生産費所得補償方式という中で幾らかのものを評価がえをするというのは、本来幾ら賃金であるべきかということが言えない場合に、他にどういうものと類似をしているだろうかということでとってまいりまして評価がえをするわけでございます。  私どもこの水準というものは決して不当に低いような水準とは考えておりませんで、現にそこに行われております今の六種の事業、農業とか林業とか漁業とか、それから今言いました運輸通信業その他の方々賃金水準がそういう賃金水準だということでやっているわけでございます。したがいまして、こういう物の考え方は私どもとすれば現にここ長い間とってまいっておりますし、それからそういう水準自身は実は例えば毎年毎年引き上がってくるわけでございますから、その引き上がってくるものを評価がえに使っているという意味で、算定上は農家方々に有利に働いているのではなかろうかなと思っております。
  25. 新村源雄

    新村(源)委員 局長のそういう御答弁も、これは一つの理屈としては聞こえるのですが、実際に飼料生産労働をしている者は、即やはり飼料栄養価等を配慮しながら、非常に高度な、特にアメリカなんかの牧場主というのはもう飼料収穫の時期をいつ決めるのだということが最大技術だとされておるわけですね。そういう最大技術を要するものの時間当たり賃金格差をつけておく、こういうことは、これは数字的にはそれほど大きく変わってはきませんが、これはぜひとも統一したものにしてもらいたい、こういうことを強くひとつ要請をして、これは主として昭和六十年度の算定の場合における考え方として、局長、ぜひそういうようにしてもらいたいのですが、どうですか。
  26. 石川弘

    石川(弘)政府委員 算定要素といいますものは、なかなかこれは重要な問題でございまして、算定要素にどういう数字を使うかということを前もってお約束をするわけにはまいらないわけでございます。  私ども算定要素につきましては改善をしながらいろいろな安定性を求めているわけでございまして、毎年毎年の事情で余り大きく算定要素を変えますことは、算定方式自身不信感を抱かれるという問題があろうかと思います。いろいろな御意見があることは事実でございまして、例えば片方片方二つ合わせてその差が余り多過ぎるということでございますと——今先生が御指摘のように飼育管理労働とそれから飼料の農作業とは余り変わらぬという御指摘でございますと、むしろ似通ったものは何かというような発想になるわけでございまして、それが直ちに製造業労働賃金に合わせろということにならないかもしれないと思っております。したがいまして、私どもこの扱いにつきましては御指摘がありましたことは十分熟知をいたしておりますが、これは慎重に臨むべきことではなかろうかと思っております。
  27. 新村源雄

    新村(源)委員 局長、あなたのおっしゃっていることはもっともらしく聞こえるのですが、今生産現場は非常な勢いで変わっておるわけですね。もちろん、みだりにそういう基礎的な数値を動かすということについては、それはそれなりのまたいろいろな考え方が出てくると思いますが、しかし、実態に合うという方向をとっていくことが一番適正じゃないですか。今回のこの乳価算定基礎になっておりますいわゆる北海道酪農主要地の六%の伸びというのは、私どもは実際の現場から見てそのことについては非常に承服しがたいものがある。しかし、あなたの方は統計情報部という機能を持ってお調べになっているんだから、これはそれでやむを得ないと思っている。そういうことですから、そういう数字が動いていくわけですから、そういう動いていく事態に対応していくというのは当然でないのですか。今の考え方についてはちょっと私は承服できません。
  28. 石川弘

    石川(弘)政府委員 先生のような御指摘がありますと同様に、私ども畜産振興審議会等では安易にその算定方法を変えるなというおしかりも受けているわけでございます。それは何かと申しますと、やはり算定方式が非常に恣意に映るのではないか、そういう算定方式基礎を動かしますときにはかなり慎重な検討をしてからやるべきだという御議論も大変多うございます。  先生のおっしゃっている御趣旨は、端的に、私の理解では、要するに管理労働飼料作との間に余りに差があり過ぎてはおかしいという御指摘かもしれません。そういう意味で、そういうものをとらえた中間的なものもあり得るというのも一つのお考えかと思いますが、そうでない御議論も実はあるわけでございまして、私ども皆さん方の御議論をいろいろ聞きながら勉強はしてまいりますが、来年こうするとかこんな方向で行くとかお約束することができないということを申し上げているわけでございます。
  29. 新村源雄

    新村(源)委員 この問題は、後日にまたひとつ局長さんといろいろ意見の交換をしたいと思います。  次に、限度数量の問題ですね。時間がないので端的に申し上げますが、御案内のとおり生産者団体は今年は二百四十万二千トンを必要だ、こういう強い要請だ。しかし、残念ながら政府は二百二十二万トンといういわゆる小刻みな上げ幅にとどまっておる。これは、もしこういうことで二百四十万トン出てまいりますと、約十八万トンというのは本当に安い牛乳を搾らなければならぬ、こういうことでございますので、政務次官に、予算も三億円も浮いておるし、それにもうちょっと足してぜひともこれから発表されるまでに二百四十万トンを確保してもらいたい、こういうことを強く要求いたしまして、なお関連質問がありますので、答弁をいただいて関連質問をいただきたいと思います。
  30. 島村宜伸

    島村政府委員 ただいまの新村先生の御質問にお答えいたします。  昭和五十二年度以降、生乳の需給は大変過剰な状態にあるわけであります。そこで、五十四年度から生産者団体は自主的な計画生産を実施するなど、苦い経験をしたわけでございますが、需給が好転いたしました昨年度におきまして、過去四年間据え置きました限度数量を二十二万トン増の二百十五万トンにいたしたことは御高承のとおりでございます。  そこで、最近は乳製品価格がいささか軟化ぎみでありまして、在庫も増加の状況にあるわけでございますが、再び過剰に陥るおそれがあることから慎重な配慮が必要だと私どもは判断をいたしておるわけでございます。また、特定乳製品需要の中には、ヨーグルトの生産に脱脂粉乳を使うなど、本来生乳等で賄い得るにもかかわらずコスト等の関係で特定の乳製品に向けられている需要が相当程度見込まれるわけであります。このようなものまで限度数量の中に組み入れて不足払いの対象とすることは法の本旨とするところではありませんので、また、国民経済的な意味合いからもむだでもありますので、消費者になるべく自然に近いものを摂取してもらうという方向に反しないためにも、この点は私どもの考えをこれからも進めていきたい、そう考えております。  以上の点につきまして慎重に検討いたしまして、二百二十二万トンと試算しておるわけでございますので、審議会答申を踏まえてこれからも適正に決定してまいりたい、そう考えるわけでございます。  しかし、お申し越しの趣旨に関しましては承りましたので、これからもよく検討させていただきたいと思います。
  31. 新村源雄

    新村(源)委員 この限度枠については、次官の表明のとおり、ひとつ実態に即する、これからそういう配慮をしてもらう、こういうことを強く期待をいたしまして私の質問を終わり、関連質問に移りたいと思います。
  32. 阿部文男

    阿部委員長 関連して、安井吉典君。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっと関連して伺いたいわけでありますが、昨日、政府の公社現業の職員に対する年度末手当が決定しました。ところが、国鉄と林野だけは後回しとされたわけであります。国有林野の再建のために働く職員の給与がまだ決まらないということは、直接関係を持つ我が委員会といたしましても見逃すわけにはいきません。これは財政当局の関与もあると思いますが、農水当局としてももっと熱意を持って取り組むべき問題ではないのかということを、次官と林野庁長官に伺いたいと思います。  まず林野庁長官
  34. 秋山智英

    ○秋山政府委員 国有林野事業に係る職員の年度末手当につきましては、年度内に決着をつけるべく、現在、最終の詰めをしておるところであります。私といたしましても、職員の期待にこたえ得るように最大努力を続けてまいりたいと思っておるところでございます。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 関連ですし、きょうは畜産の審議の段階ですから私は多くは申しませんけれども、政務次官、ぜひこの問題は、早急にと言ったってあした三十日、あさって三十一日ですから、年度末と言ったってぎりぎりなのですね。きのう電電、専売は〇・七カ月分ですか、これで決定しました。そしてほかの現業の方も〇・一カ月上乗せして昨年並みに、郵政は〇・五八カ月、印刷は〇・四八カ月、造幣も〇・四八カ月というふうに決定しているわけです。  これは、赤字経営だから国鉄と林野は別なんだという論理があるいはあるのかもしれないと思いますけれども、私は、国有林は赤字だから、そういう厳しい状態にあればこそ、そういう厳しい状態から再建するために職員が意欲を持って立ち上がれるようにしてあげるということが必要ではないかと思います。そうでないと、もう赤字でだめなんだ、それじゃ働く気がなくなるというような、そういうばかげた対応は誤りだと思います。再建のために一生懸命に頑張るんだという職員を励ますような、そういう立場で、労組ともほかの方はきのう調印が終わったわけですから、ひとつ納得できるような決定を急ぐべきだと思いますが、どうですか。
  36. 島村宜伸

    島村政府委員 ただいま安井先生指摘になりましたとおり、職員の期待にこたえ得るように最善を尽くしてまいりたいと存じております。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 終わります。
  38. 阿部文男

    阿部委員長 武田一夫君。
  39. 武田一夫

    ○武田委員 私、養蚕の問題と畜産酪農の問題を何点か質問したいと思います。  まず最初に、きょうは大臣がおいでにならないということで次官おいでですが、次官にお尋ねします。  山村農林水産大臣は、就任のあいさつの中で、明るい希望に満ちた農林水産業農村建設実現のために頑張るという決意を表明しているわけです。大体、春先は農家方々は非常に憂うつですよね。きょう、あとあした、あさってと三月、あとはまた六月になると生産者米価の問題、毎年これから一生懸命仕事をやろうというときに、やる気を起こさせるような動きが最近さっぱりないわけですね。ことしも今の状況では丸々ない。それじゃいつになったら大臣決意をしておるような明るい希望のある農村ができるのか、つくろうとしておるのかということを、次官は次官の立場でどういうふうに考えていますか。その点からひとつ……。
  40. 島村宜伸

    島村政府委員 お答えをいたします。  山村大臣は就任早々から、自分の基本的な姿勢はあくまで日本の農業を守ることだ、そういうことを申し上げておるわけでありますが、その背景は、いわば農民の皆さんが将来に期待を持ち、希望を持ち、そしてまたそういう背景から後継者がきちんと育ち、あるいは農業を受け継ぐということに対して腰の引けないような、そういう配慮をめぐらすという姿勢に貫かれておるわけでございます。そういう意味で各般の施策を今進めつつある段階でございまして、そのうちに徐々に御期待にこたえ、また実感としてそういうものをお認め願えるのではないかと私は考えております。
  41. 武田一夫

    ○武田委員 徐々にと言っても、どのくらいの期間の徐々になのかですな。畜産価格にしても、それから蚕糸価格にしましても、特に今から、最初に養蚕農家に対する今後の対応について質問するのですが、十年間ずっと見ていると、養蚕の場合なんか半分ぐらいに減っているわけですね。また今度は、聞くところによると、二割五分ですか、生産調整をしなさい。じゃ、それによって収入が減ったところを何で補ってくれるんだ。何もないんだ。それじゃ、これまで日本の伝統的な地域産業として、いわゆる地場産業的に、苦労の中でしっかりと頑張ってきた人たちはどうするのですか。輸入の問題もこれあり、転作するにしたって、もうそういう地域はだめ。しかも、桑などは永年性作物ですから、一たん打ち切ったらもとに戻らない。徐々につぶすつもりか。それじゃ明るい農村、希望ある農村なんてできやしないじゃないですか。  この点からまずお答えください。
  42. 中野賢一

    ○中野政府委員 お答えいたします。  養蚕業につきまして御指摘があったわけでございますが、養蚕業は確かに戦前に比べまして農業生産全体の中におけるウエートが大変低下してきておるわけでございます。しかし、農山村におきましては、農業経営上最も重要な作物の一つでございます。そこではいろいろほかの作物との複合経営等も行われておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在持っております繭糸価格安定制度の運用を通じまして養蚕農家の保護育成を図ってきたわけでございます。  しかしながら、最近における蚕糸業情勢を見てまいりますと、残念ではございますが、生糸の需給の不均衡が非常に目立っておるわけでございまして、極めて厳しい情勢にございます。今回、今御指摘もございましたように繭の減産、前年の五十八年に比較いたしますと約二二%程度の減産ということになるわけでございますが、目標の生産量としては四万七千五百トンということで、これは全養連の皆さんともよく相談をいたしまして、これだけの目標で来年も生産したらどうかということに決めさせていただいたわけでございます。  この減産でございますが、あくまで現在置かれております生糸の需給バランスの崩れ、その結果によります在庫が今事業団に十七万五千俵ございますが、そういった圧力の回避といったことを考えまして、やむを得ず減産の目標を立てまして実施いたしておるわけでございます。これも、このまま放置いたしておきますと繭糸価格の安定制度そのものがおかしくなるという危機意識から、生産者側とよく相談をいたして決めさせていただいたわけでございます。  この厳しい環境は当分続くかというふうに考えられますが、いずれにいたしましても、蚕糸業の健全な発展を図りますため、高能率な養蚕地域を対象に生産性の向上対策であるとかといったことを実施をいたしまして、足腰の強い養蚕産地の育成を図ってまいりたいというふうに考えております。
  43. 武田一夫

    ○武田委員 生産調整するための減収というのは生活に大変影響を与えると思うのですが、場合によってはつぶれてやめる人も出てくると思うのです。そのときにそれを何で補ったらいいのか。おのおの考えなさいというのでは余りに冷たいと思うのですが、何かやってくれますか、どうですか。
  44. 中野賢一

    ○中野政府委員 これまで、例えばミカンでございますとか牛乳の方にも例がございますが、具体的に生産調整いたしました場合に、その直接的な減収の補てんということは実際には行っていないわけでございます。したがいまして、今回の繭の減産につきましても、それに基づきます具体的な減収につきましての直接的な補てんということは現在考えていないわけでございます。  ただ、確かにその分だけ労働の時間等の手間があくわけでございまして、より上質な繭をつくるとか、それから複合経営も行われておるわけでございますので、そういったほかの部門の方の経営をより強くするとか、いろいろな手だてがあるかと思いますけれども、蚕業改良普及員でありますとか農業改良普及員等を通じまして、経営の強化についてはさらに指導してまいりたいと考えております。
  45. 武田一夫

    ○武田委員 話を聞いていると、ますます明るい希望が消えうせていくような話ばかりですが、これは大事な産業です。かつては日本は世界一の絹の輸出国でございましたが、そういう大事な産業の明かり、ともしびが消えるような大変な危機なんですよ。確かに体質強化や経営の合理化等も必要ですが、それはやってきているのです。自分たちが言われずに毎年生産調整もやってきているわけですから、そんな通り一遍でなく、在庫が十七万五千俵ですか、あるとかなんとかということだけで、現実の生産農家が苦労していくということにもう少し思いをしていかぬと、見ていると特に年とった方々が非常に多いですよ。ですから、そういう姿を見ていると後継者なんかとても跡を継ごうとする気にもならない。ほかに余った時間を使えなんと言っても、雇用だって今なかなか厳しいし、使ってなどくれませんよ。そういう条件をちゃんとつくってくださいよ。減収した分に見合うだけの環境整備に力を入れておかないといかぬと思うのです。  次官、その点はしっかりしてもらわないと、ますます低迷です。私はその点お願いしたいと思いますが、どうですか。
  46. 島村宜伸

    島村政府委員 養蚕業もまた農山村の農業経営上極めて重要な作目であるという認識を私たちは持っております。そういう意味で、今は確かに需給のバランスが大きく崩れて、在庫がこれからいや増すばかりでございますので、今審議官から御説明したように、全養連ともいろいろお話し合いをして、今般前年度比二二%減という生産にとどめていただくような話し合いになったわけでございます。  実情の厳しさや養蚕業の今置かれておる状態の厳しさというものは、私たちも本当に身の縮む思いがするわけでございまして、その点は十分養蚕業の立場にも立って将来的な展望を開いていきたい、そう考えております。
  47. 武田一夫

    ○武田委員 畜産酪農の問題についてもまず価格が据え置き、繭糸価格も据え置きなんでしょう。限度数量を上げろと言えば、七万トンやったから満足。今後、こういう状況で畜産酪農農家は希望を持った仕事ができるか。できるならばできるという証拠と根拠をちょっとしゃべってもらいたいと思う。
  48. 石川弘

    石川(弘)政府委員 まず酪農で申しますと、御承知のように大変苦しい生産調整の期間が過ぎまして、その後過剰がなくなって乳製品価格がある程度安定してきた。そういう中で、御承知のように、昨年、一昨年、価格はわずかではございますが上昇をさせております。それから限度数量は今年は二百二十二万トンと、ことし七万トン上げる予定で今御審議をお願いしているわけでございます。そういう意味で、酪農の環境は明るくなってきているのではないか。これは製品だけでございませんで、市乳価格につきましても、下がっておりましたものが改善されているわけでございます。  問題は、そういう意味で順調な回転をなさっている方はいいわけでございまして、私ども数字では、経営の中で改善の兆しが一番見えておりますのは、例えば問題になります借入金も一頭当たりのものは減ってきております。特に五十八年につきましては、条件がようございましたので経営各指標がすべていい方に出てまいっております。問題は、多額の負債を抱えました特定の農家群につきまして容易ならざる事態でございますので、これも御承知のように五十六年以降負債整理等をやっておるわけでございます。  それから肉用牛で申しますと、肥育経営につきましては五十八年はかなりいい姿になってきておりまして、各種の指標もよくなっておりますし、規模の大型化も進んでおります。逆に今までよかった繁殖経営につきましては、五十七年以来の価格の低迷が続いておりますので、繁殖農家については大変苦境に立っておると思っております。したがいまして、構造的な大型化の話もありますけれども、とりあえず子牛価格を戻すための施策を集中的にやっております。  今後もそういう形を続けることによって、何と申しましても畜産酪農の世界は需要が若干ずつでも伸びている、要するに、物を減らしているのではなくて伸ばしている産業分野でございますから、各経営体の方々が経営の体質強化に努めていただいて、よりよい展開をしていただきたいと思っておるわけでございます。
  49. 武田一夫

    ○武田委員 政府のいわゆる価格据え置きという諮問について、生産者団体は、再生産の確保の保証はないという観点から、三つの点から問題点を指摘していますね。  一つは、去勢和牛肉その他去勢牛肉は生産費パリティ方式で、豚肉は需給実勢方式を採用、いずれも昨年どおりの方式算定している。これらの方式はいずれも農家が過去において実際に販売した価格基準にしており、再生産ができるという裏づけはなく、また所得を補償するという考え方に依拠しない算定方式であるというのが第一点ですね。第二点は、牛肉の算定方式では、供給事情が輸入に大幅に依存している場合でそれが価格算定には反映せず、国内の牛肉生産の強化にはつながらない。また、算定の中で価格決定年の生産費を推定するのに、過去(去勢和牛肉その他去勢牛肉七年)の実質生産費による傾向値を用いているが、これでは生産性向上のメリットは農家に還元されない、これが二点。三点目は、生産性向上メリットの還元問題は豚肉の算定方式でも同様で、農家にメリットが帰属しない。  こういう算定を取り上げまして、いずれにしても政府の試算の問題点を指摘しながら、農家の皆さん方は納得できないという一つの根拠としての説明をしているわけです。これは、そういうことはないと農家の皆さん方が納得できるようなこれに対する回答をひとつしていただきたい。
  50. 石川弘

    石川(弘)政府委員 実は、需給実勢方式というのは再生産確保をしていないという御指摘でございますけれども、需給実勢方式の真の意味は、要するに過去かなりの期間に市場で形成されました価格の中で、いわばそういう安定帯価格の中で変動しているということの中で生産は順調に拡大をしてきている。それから消費も順調に伸びてきているという事態をとらえまして、非常に極端な言い方をすれば、本当に再生産が確保できなかったのであれば拡大はするはずがない。それから価格が物すごく異常である。例えば、低過ぎるということはないのでしょうが、高過ぎるということであれば今度は消費が伸びるわけがない。そういう前提に立ちまして、要するに水準としての幾ら価格を支持するかということよりも、よくあります価格変動をなるべく小さくすることによって農業経営を安定させようという趣旨でございます。  今回の審議会でも、なぜ所得補償方式をとらないかという御質問もあったわけでございますが、これは所得補償方式で何か政府が買い上げるという性質のものよりも、自由に価格が形成されて、しかもそれが生産者のためにも再生産できるようにすると同時に、消費者にとっても安定的に消費が伸びるという水準という手法でございますから、この方式が例えば破綻になるとき、極端に言いますとこういう価格でつくっていると生産者はもう生産をしなくなる、あるいは消費者の方として消費が減退してしまうというような状態のときにはいろいろ考えるべきことはあろうかと思いますが、私は現時点では有効に働いてきたのではないかと思います。  それからもう一点御指摘の、過去において例えば牛は七年豚は五年間にできた、要するに実勢価格を中心に、これは生産費で動かすわけでございますけれども、そういう方式がメリットを先取りしているのではないかというお話でございます。こういう算定方式下においても順調に経営が拡大していく、これはもちろん生産者の御努力によることでございますが、拡大をしてきてそれなりの利潤を上げてきているということは、決してそのメリットのすべてが先取りされるというようなことではございませんで、消費者も逆に言いますと安定価格消費を伸ばすというメリットもありますと同時に、生産者にとっても経営拡大のメリットは出ているのであろうと思います。  したがいまして、今先生の御指摘のように、何か方式によりまして決定的に農家の人が不信感を持つということではございませんで、むしろ私は、農家方々にとって余りにも他のものに比較して安定帯の価格が変わらないでずっと来ているということについて、諸物価高騰の折からなぜこういうものの価格が上がらないのかというような御質問はよく受けるわけでございます。ここは私ども毎々申し上げておりますとおり、牛肉あるいは豚肉につきまして生産者方々の大型化、あるいは経営の合理化という中で価格を安定的にしたことが消費も伸ばしてきた。また、そういう価格も安定して、国内生産努力していただいているからこそ、何度も申しますように国内の合理的生産基礎として、足らざるものは外国から入れるという今の方式をとっているわけでございます。国際価格に比して割高だという国内の批判もございますけれども、やはり生産者のそういう努力で安定している、この価格水準が安定しているということをもって消費者の方々にも理解をいただいていることでございますので、私ども確かに水準を比較的長く据え置いてきておりますけれども、こういう価格帯の中で御努力いただいて国内生産をやはり維持していく。そうでありませんと、よく言われますように、どんなに高くても国内でつくればいいのかという御批判があるわけでございますので、私はそういう生産者の方の御努力を期待しておるわけでございます。
  51. 武田一夫

    ○武田委員 農家の皆さんは、政府のかかわるこの農産物価格につきましては、財政的な理由から常に、最近特に抑え続けられてきたという不満と不信とが渦巻いているわけですね。そういう中でまたこういう状況であれば、本当にその不平というか、不満というものがさらに大きくなっていくんじゃないか。いろいろと努力しています。見てみますと、北海道から東北からずっと見ましても、それは一部には変なものがありますが、大方は皆さん方が懸命にやっている中でのこうした対応というのは、やはり生産農家に対する意欲の問題、また地域に与える、環境に与えるそういう一つの雰囲気としても非常に寂しいものがあるし、不安なものがあるわけです。ですから、私は、こういう方々、しかも今はそれに貿易摩擦の問題でしょう。ちょっとそういう話が出ると牛の値段が下がってしまうというような、物に来るわけです。  ですから、そういう環境があるということを局長も次官もおわかりだと思うのてすか、やはりこういう状況の中でも頑張っていけば、明るい、希望のある畜産酪農経営ができるんだというものを示してやらなければならないと思うのです。それはどうですか。こういうものでひとつ頑張っていただけば、皆さん方の経営もよくなって生活も大丈夫だ、だからこういうふうにすべきだ、したらどうでしょうかという、そういうものがありましたら、ひとつ。
  52. 石川弘

    石川(弘)政府委員 昨年当委員会で御審議いただきました酪農及び肉用牛生産振興に関する法律というのは、大家畜を飼っていらっしゃる方々にとって、こういうことを目標にやっていただきたいというようなことであの法律を制定いただいたわけでありますが、昨年十月にそれに基づきます基本方針というものを定めております。これは地域によりまして、大型経営の場合あるいは複合経営の場合、いろんな形の目標を示してございますが、現在各県あるいは市町村におきまして、それに基づいた市町村計画なり都道府県計画を立案中でございます。  そういうものを一つの指標にいたしておりますので、そういう指標に従いまして、私ども価格という形ではなかなか、価格引き上げという形での生産対策というのは現時点では容易にとるべきことではないと思っておりますけれども、周辺のいろんな生産対策なり構造対策なり、そういうものを使いまして生産者方々生産安定がなるべく早く実現するように、そういうつもりでやっております。
  53. 武田一夫

    ○武田委員 時間がないので、次の問題に移ります。  先ほど局長のお話があったように、多額の負債を背負っている方々がこの世界には出ているわけですね。最近、予想以上に東北も多いわけです。夜逃げしたとか財産処分したとか、土地の流動化ができたというので喜んでいると、それは大体借金のカタに取られた、それで土地が流動している、そういう結果が多い。宮城県の場合は、土地流動の五十%から六十%がそういう状況のところがあるというケースもある。  農家の資産及び借入金等のいわゆる経営の実態を見てみますと、五十六年度はあるわけですが、五十七年度は、数字はわかりますか。
  54. 石川弘

    石川(弘)政府委員 手元にございます数字で申しますと、これは酪農経営の負債でございます。ただ、負債といいますのは何も返せないという意味じゃございませんで、残高があるというわけでございますから、固定化負債という意味ではございませんが、牛一頭当たり幾らというのが一番勘定しやすいものですから、それで申しますと、負債額ですから借入金とか売り掛けまで突っ込んだ数字でございますが、全国でならしまして、五十六年度が一頭当たり五十八万四千円でございます。それに見合う五十七年度の数字は五十三万五千円でございます。
  55. 武田一夫

    ○武田委員 五十六年度の場合を見ても、例えば単一経営の酪農の場合、東北は負債額が平均して七十万六千円、借入金が六十二万円。それから北海道の場合は百六万円の負債額、借入金が九十七万四千円。貯蓄額などを見てみますと、北海道は四十一万五千円、東北は五十七万円。この数字だけでも、単一経営の場合、特に厳しい状況ですね。  それで、今農家の皆さん方に対しては、こうした状況に対して、農協を中心としましていろいろと負債整理等の指導をしながら対応はしているわけですけれども、こういうような対応を国として考えてもらえないかという要望があるので、ちょっと聞いてもらいたいのですが、一つは、過度の負債整理のためのいわゆる不動産譲渡、そのための所得税の免税というものをひとつどうなんだ。それからもう一つは、離脱農家に対する特別融資を講ずるような考えはないものか。いずれにしても、負債整理のために財産を処分しても、それに所得税がかかって大変だ。離脱してそういう職業から離れようとしても大変な環境にある。そういう方々を救済する方法を国としてひとつ考えてもらえないか、そういう一つの要望。それから、経営の改善のためのいわゆる長期低利の特別融通措置の拡充の問題。それから、農業信用基金協会等への保証基盤の拡充という問題によって、そうした経営の改善、負債対策というものを国はひとつきめ細かにしていただけないものか。我々としても一生懸命そういう負債農家に対する指導監督等はしているのだけれども、いかがなものかという要望があるのですが、これに対していかがお考えですか。
  56. 石川弘

    石川(弘)政府委員 最初御指摘の所得税免除というお話、私も税金専門家でございませんが、所得税の免除というような一要するに負債返済のために不動産譲渡をしたからといって特別控除するという制度は税法上ないわけでございますけれども農業経営に損失を生じたという場合には、経営で生じた損失を譲渡所得高その他の所得から、損しているのですからまず控除をするということ。それからさらに、控除後も損失、これは純損失になるわけですが、純損失が残る場合は、青色申告をなさっておれば、確定申告によって、その年以前三年以内の各年の純損失を控除してもよろしいということになっておりますし、その他の場合は、農地保有合理化等のために農地等を譲渡いたしました場合は五百万円までは特別控除という制度がございます。ですから、そういうものに乗るものにつきましてはそれなりの手当てがあるわけでございます。  それからもう一つ、やめられる方といいますか、そういう方のサイドから何か融資制度がないかというお話でございますが、御承知のように、現在は、そういう離農なさる人から土地等を買います形、要するに相手方に金をつけるという制度があるわけでございまして、それにつきましては自創資金を使うというのが普通の形でございます。  それから、御指摘の負債整理につきましては、五十六年から開始しておりまして、既に相当額貸しておりますが、五十九年度におきましても必要なもの、これはだんだん相手方の数も減っておりますし、借入額も減ってきておりますが、そういうものは融資するつもりでございます。  それから、それに絡みまして、酪農関係、肉用牛関係でそういう制度制度といいますか、いろいろな資金を借りておりまして、それが償還不能になって県の農業信用基金協会なり中央の農業信用保険協会などにいろいろと問題が起きるという事態につきましては、既に必要な助成を県あるいは中央の基金にいたしておりますので、そういうものをもって充てたいと思っております。
  57. 武田一夫

    ○武田委員 時間の都合でそれだけにして、最後に和牛の子牛価格安定事業についてお尋ねします。  一つは、今年度の補てん支払い額というのはどのくらいと見ているか。県の財源の状況はどういうふうになっているか。それから、財源が底をついているということで、借り入れを希望している実態はどうなっているのか。それから、価格が低迷し続けていって万が一補てんの財源が底をついたときに、いわゆる基金が底をついたときに、事業団が昨年など金を回しますね、そういう余裕があるものかどうか、その点について。
  58. 石川弘

    石川(弘)政府委員 子牛につきましては五十七年以降低迷をいたしておりまして、昨年秋以降少し回復の兆しがございますけれども、まだ十分ではないと思っております。五十七年度に補てんしました額が百十七億ぐらいでございますが、五十八年に入りましても、上期で百十五億補てんをいたしております。下期もほぼこれに見合った程度の資金が出るのではないかと思っております。  交付準備金につきましては、それなりに今まで県も積んできたわけでございますが、低落が大変激しい、あるいは量の多い県につきましては、従来積み立てました資金だけでは十分でない事態がありますので、こういうことも頭に置きまして、昨年の価格決定の際に、中央の、要するに全国肉用子牛価格安定基金協会に交付準備金を補完するための資金を準備いたしてございます。融資財源は現在四十四億ございまして、これは昨年金利も無利子にいたしまして、償還期限八年、据え置き期限うち四年ということにしてございますので、もし県で交付準備金がなくなればこの金を無利息でお貸しをするという形でやりますと同時に、それから県の基金を積み立てますためには、ことしの予算で三十数億のものを用意いたしておりますので、これをさらに積み立てていただくということになろうかと思います。  何せ昨年の法律改正で、この子牛価格安定制度は法律上の制度にしてございます。今までは民法法人でございましたので、資金がなくなればもう仕事ができなくなるのじゃないかという御指摘がよくございましたけれども、私ども法律上の制度に格上げをしておりまして、必要な原資を供給するつもりでございますので、安心をしていただいて、極力子牛価格が早く安定するようにしていただきたいと思っております。
  59. 武田一夫

    ○武田委員 現状で県の財源が厳しいのでちょっとふやしてもらいたい、そういうのは出ていますか。
  60. 石川弘

    石川(弘)政府委員 既に数県からそういう中央の資金の融通を受けたいという話が来ております。
  61. 武田一夫

    ○武田委員 今後価格が上昇するというような様子は、今のところないと私は思うのです。そうすると、長期的にこれが続いた場合に、五十八年の九月から十二月にかけて肉用子牛価格の安定を図るための緊急対策が実現しましたね。それで切り抜けましたね。そういうようなことも頭の中に入れておかなければならないという、そういう事態もあり得るのじゃないかと思うのですが、それくらいの一つの万全の対応の中でこの事業に安心して取り組めるような対応というのは今のところ考えておりますか。
  62. 石川弘

    石川(弘)政府委員 今回の価格決定の際に肉用牛、特に子牛問題につきましていろいろな施策が必要かと思っておりますが、例えば五十三年という御指摘かと思いますが、どういう施策をつくるかにつきましては目下検討をいたしておりまして、なるべく早く結論を得たいと思っております。
  63. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたけれども、いずれにしても非常に厳しい状況の中で苦労しておりますので、きめ細かに、その場当たりでなく、長い一つの期間の中での対応を十分、そして現実に一つ一つ的確な対応をしていただきたい、このことをお願い申し上げます。  これで質問を終わります。
  64. 阿部文男

  65. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私たちは、きのう、国民食糧の安定的供給と畜産酪農の経営安定を図るために、大臣畜産価格に関する申し入れを行ったわけでございます。六項目にわたって行っております。しかし、きょう大臣のかわりに次官が出席でございますので、私といたしましては、この中で、特に畜産及び酪農の経営の安定を図るため、また体質強化を図るために一貫生産体制の確立を推進するとともに、そのための金融措置を充実させること。さらに、国有林野等の畜産的利用の拡大と、国内飼料生産振興を推進し、飼料の自給率を向上させること。次に、固定負債の累増に見られる経営の悪化に対処するため、長期低利の融資措置を講ずるとともに、信用保険機能を充実していただきたい。この点について、まず次官に私の方から強く特段の配慮をするように申し入れておきます。  次に、質問でございますが、政府諮問によりますと、加工原料乳の保証価格につきまして前年度並みに据え置かれた数字が出ているわけでございます。このことは先ほどの質問の中にもいろいろ触れているわけでございますが、いわゆる政府諮問の九十円七銭と、生産者側から要求されているのが九十九円七十五銭でございます。このことをいろいろ調査しまして、私といたしましては、この生産者側の要求保証価格を妥当なものと見ているわけなんでございますが、ただ、こういう保証価格を設定する、そのことは畜産物の価格安定等に関する法律と加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づいて、毎会計年度、当該年度開始前、三月末に、指定食肉の安定上位価格、安定基準価格加工原料乳の保証価格基準取引価格限度数量、それから指定乳製品の安定指標価格畜産振興審議会の意見を聞いて定めるということになっているわけでございます。  そこで、この算定の根拠になっているのを指定食肉に見ますと、基準期間の農家販売価格生産費指数、需給調整係数を乗じたものを枝肉価格に換算し、通常の変動の上限下限をとって算定するということになっているわけでございます。この通常の変動の上限下限をとるというのは、これは政治的配慮でございますからいいわけでございますが、生産費指数なんかをとる方式あるいは係数、こういう経済的な判定は一緒に合わないといかぬじゃないか。また、従前にこれを十分に検討し合って合わせてこないと、結局生産者側は自分に有利な価格を提示する、いわゆる要求価格とする、政府幾らでも安い方の価格を提示するのだというと、どっちが本当なのか。お互い、生産者側の方は欲望があるから余計な計数を出してくる、政府は金を出したくないから小さく見積もるという、こういう単純な疑問がわいてくるわけでございます。価格そのものの決定はあくまでも政治的決定でございますから、これは大いに討議すればいいのですが、こういういわゆる経済指数にかかわる問題は、やはり従前に何とかこれを合わせておいてもらわぬと、やりとりも不毛のやりとりになつていくんじゃないか、こう思うわけでございます。  そこで、これは政治に対する信頼を取り戻すためにも大切なことでございますし、また、これは一般消費者に対しての理解を示す上にも大切なことでございますので、この点の配慮について、政治の信頼を取り戻すという立場での今後の対応をどのように政府は持っているのか、それをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  66. 石川弘

    石川(弘)政府委員 今御指摘の事柄は、農業団体等が要望をなさいます算定方式政府がとっております算定方式の違いが調整できないかということかと思います。  まず肉について申しますと、政府がとっております算定方式はいわば需給実勢方式と呼んでおりまして、過去において市場で形成されました実際の価格をもとにいたしまして、それにその期間における生産費の変化を見ましたものを枝肉換算をいたしまして、そこで中心価格を求めまして、それに平均の変動率、ワンシグマで一三%でございますが、一三%ずつ上に行ったり下に行ったりするということが過去の経験からあり得ますので、その上限価格、下限価格をつくるという方式でございます。豚もそうでございます。  それに対しまして農協等の要求は、牛肉、豚肉につきましてもいわば生産費所得補償方式ということで、生産費を出しまして、農民の所得が確保される、それは後から申します乳価と同じように、どういう賃金水準労賃水準評価されるかということでやっておりますが、そういう評価の仕方をも含めまして、全く違った方式でやっているわけでございます。  これにつきましては、私どもは、自由な価格で市場流通する牛肉なり豚肉につきましては、生産費所得補償方式という方式よりも現状の需給実勢方式の方がすぐれているということでとっておりますので、毎年関係団体から価格決定前に御要請がありまして私どもも議論を闘わしておりますが、これはお互いの主張に違いがございますので、実はなかなか調整がつかない。しかしながら、価格水準としては決して大きいものではないわけでございます。  その次に、酪農の方でございますが、酪農の方は、私どもも一種の生産費所得補償方式を使っておりまして、これにつきましては農業団体もそういう方式をとっております。この場合に、先ほども御議論にありましたように、例えばどんな賃金水準評価がえをするのかとか、あるいは自分の資本利子を幾らに見るのかとか、あるいは例えば地代みたいなもの、自分の土地には地代は要らないわけですが、自分の地代にもそれだけ利回りがあるという意味で、どれくらいの地代の利回りを見るかという評価の方法につきまして若干の違いがございます。それから、もちろんとっております標本農家は、私どもは統計情報部の数字を使いますし、農業団体自身は独自の御調査による数字をお使いになりますから、そういう格差がございます。  したがいまして、私どもは、要求の時点でどうこうというのではございませんで、実はかなり早い段階からそういう生産者団体の方とお話し合いをする機会を持っておりますので、率直に申しますれば、私どもの言い分も聞いていただいていると同時に、私どもは向こうがどういう形で要求をなさっているかというのも熟知をしているつもりでございます。したがいまして、方式を合わせるわけにはまいりませんが、お互いの主張がどういう主張であるかはよくお互い承知しながら価格決定に向かって努めているというのが現状でございます。
  67. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今の畜産物に対しての価格決定については、輸入攻勢も大変ある中で、また常に日本の農家生産費は高くついていく関係もありまして、お互い保証価格等の決定にはしのぎを削るわけでございます。ただ、畜審から二十七日に答申がありましたのを読みますと、建議の中で「現行の算定方式における算出の方法につき検討を加えること。」ということがあります。この現行の算定方式における算出の方法の検討というのを政府はどのように受け取っているわけでございますか。
  68. 石川弘

    石川(弘)政府委員 これは、算定方式に問題があるという御指摘ではございませんで、算定方式は需給実勢方式をとるわけでございますが、実は先ほど申しました七年間なら七年間に実現しました価格生産費の移り変わりを反映させますための算式がございますが、その部分が実は、わかりやすく申し上げますと、生産費と申しましても、例えば労働費とかいろいろな資本装備の関係の費用とかいろいろあるわけでございますが、そういう費用自身が七年の間にずんずん移り変わってまいるわけでございます。そういういわば構成比が変わるということと、七年間もとりますと、その間にインフレ効果とかいろいろなことがございますので、そういうものをどう調整するかという大変細かい計算の仕方につきまして、委員の中から、大変わかりにくいのではないか、もうちょっとわかりやすい算出方法ができないかという御指摘がありました。  私どもも、七年という期間を引っ張りまして、しかも各種の構成要素を変動させるものですから、なかなか御説明しづらい算出方式でございましたので、これはもう一考すべきかと思っております。具体的にどう直せばおわかり願えるかというところまで詰めておりませんが、そういう問題でございます。
  69. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 一考を加える御意向があるようでございますので、一考を加えるとき、今の私の質問の方向を何とかひとつ参考にしていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、二十八日の畜審からの答申でございます。そこで「政府諮問に係る保証価格等及び限度数量については、最近における牛乳・乳製品の需給の動向に慎重に配慮しつつ、審議の経過を踏まえて適正に決定すること。」となっております。この決定につきましては、やはり政府としては諮問どおりの決定をなされるわけでございますか。それとも、今本当に事情が苦しいわけでございますので、せめて限度数量なりに配慮を加える考えはないか、このことをお聞きいたします。
  70. 石川弘

    石川(弘)政府委員 私どもは事務的には、こういう御答申をいただいているわけでございますので、政府内部で検討を進め、それから与党の方にも御相談をして決めるという通常の決め方を考えております。
  71. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 限度数量にも実は差があるわけでございます。また、五十八年度は四百六十五億ほど政府も金を出しているわけでございますので、苦しい事情はわかるわけなんですが、やはり酪農家も今必死になって国際競争力をつけるためにも、また酪農の体質強化を図るためにもがんばっているわけでございますので、据え置きの保証価格でございますなら、ぜひとも限度数量だけでも拡大を私としては要望する次第でございます。  次に、蚕糸関係に移りたいと思います。  我が国の蚕糸業は、今本当に大変な危機に直面しております。かつては日本経済の発展に多大な貢献をしてきたわけでございますが、最近の内需の大幅な減少と輸入品との競合により、また糸価の低迷あるいは事業団の在庫も増加するという厳しい事態に直面しているわけでございます。しかしまた、先ほど答弁がありましたように、我が国の山村地帯、ことに平地から離れた地域ほど桑園造成がまだ存続しておりまして、その地域の中心産業となっているのも養蚕業の実態でございます。  そこで、政府は農政全体の中で今の養蚕業をどのように位置づけているか、また将来どのように位置づけようとしているのか、この点についてお聞かせいただきたい、こう思うわけでございます。
  72. 島村宜伸

    島村政府委員 お答えをいたします。  先ほどもこれに関する御質問があったわけでございますが、養蚕業は戦前に比べまして農業生産全体の中におけるウエートは大変低下をいたしておりますが、そうは申しましても、山村及び農山村におきまして農業経営上極めて重要な複合作目の一つであるという認識を持っておるわけでございます。そこで、繭糸価格安定制度の運営等を通じまして養蚕業の保護育成をこれからも図っていきたい、そう考えておるわけでございます。  しかしながら、最近における蚕糸業をめぐる情勢は御高承のとおり大変厳しいわけでございまして、生糸需給の大幅な不均衡に見られるように、極めて厳しい情勢と申し上げるべきだと思います。  このため、今回、養蚕業の保護及び繭糸価格安定制度の維持を図るための臨時応急の措置といたしまして、繭の減産を行うことといたしました。生産者団体とも十分協議を申し上げました上で、昭和五十九年度の目標数量を四万七千五百トンといたしたわけであります。そして、その円滑かつ確実な実施についての指導を推進しているところでありまして、他方、厳しい条件下において蚕糸業の健全な発展を図るために低コストの養蚕経営の確立等に努めてまいりたい、そういう考えでおるわけでございます。
  73. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 そうはいいましても、今年度二二%の減反でございますか、二四%と承知していたのですが、このような減反を指示をされますと、養蚕農家はもう将来に全く希望を失っていくわけでございます。それで、今これにかわる新しい指導作物その他考えましても、急にはよき指導作物を選定することも無理だと思うわけなんでございますが、今の在庫をこのまま続けますと、これまた大きな政府の赤字要因になるわけでございます。  そこで、この養蚕農家のこれからの改良、あるいは上蔟その他のいろいろな指導を加えて、今後さらにどのくらいの生産低減がなされていくか。最近ずいぶんこの養蚕業の進歩発達のあることを認めるわけでございますが、さらにこういう進歩発達の技術指導についての将来の方向をひとつお聞かせいただきたい、こう思うわけでございます。
  74. 中野賢一

    ○中野政府委員 お答えいたします。  御案内のとおり、養蚕業につきましては動物が相手でございますので、非常に手間暇がかかるわけでございます。それからもう一つは、桑をつくりまして、その桑を動物に食わせるという二重の過程になります。  したがいまして、今後の養蚕といたしましては、その桑の生産性を上げるということが一つ。それから、いわゆる蚕を飼う段階労働生産性を上げるということが基本であろうと思っております。したがいまして、例えば稚蚕につきましては共同飼育を進めるとか、さらに壮蚕につきましては新しい上蔟方式を用いました近代的な経営を進める、そういったことを助成等を通じまして奨励をいたしておるわけでございまして、現在一トン農家といった規模の大きい農家が育っておりますけれども、そういう規模の大きい農家を育てるということで努力をしてまいりたいと考えております。
  75. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれも政府の指導のいかんに養蚕農家の将来がかかっている面が大半でございますので、技術指導の点におきましてもぜひ特段の配慮をお願いしたい、こう思うわけでございます。  それから、自給飼料生産についてお伺いいたしますが、肉牛生産において自給飼料農家経営に対するところの比率を政府は大体何%ぐらいに指導していこうとしているのか。私はこの前も御質問したわけでございますが、この自給飼料の問題については、ぜひ政府として六〇%以上の基準を立てて指導をいただきまするように要望するわけでございます。  次に、今本当に農家は厳しい状態に置かれております。それで、負債整理資金は去年は百四十億円が一応予算化されているわけでございますが、これは六十年までの暫定措置のように覚えておりますが、この負債整理資金の今後の方針について、これは農家にとっては大変有益な資金制度でございましたので、将来の不安を取り除くためにぜひともこの枠拡大と期間の延長をしていく、そういう方針を打ち出せないかどうか、お聞きする次第でございます。
  76. 石川弘

    石川(弘)政府委員 負債整理資金につきましては、御承知のように、多額の負債を抱えております農家群につきまして、経営を改善する、それは単なる農業経営だけじゃございませんで、家計も含めて改善していただくという前提で資金制度を設けまして、内容的には、三・五%という金利だとか、あるいは償還期限二十年というような長い資金を用意したわけでございます。幸い、これを三千戸を超えます農家群に今やっておりますけれども、その中で順調に経営が改善されて、酪農負債整理資金をさらに借りなくてもいいという農家も約一割ぐらい出てきております。しかしながら、やはり負債の深度の深い方につきましてはさらに貸し付けをしなければいかぬということもございますので、各県と相談をいたしておりまして、五十九年度にも必要なものは貸し付ける予定でございますが、五十九年度は五十八年度に比べて必要額は多分減額されてくるのではなかろうか、私ども県等からの報告によりますとそのように感じております。  これはお約束として六十年までやることになっておりますので、五十九年度の貸し付けの結果を見ながら、六十年までは引き続きやることを予定いたしております。
  77. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 肉畜経営改善資金、昭和五十七年だけの単発の資金制度がとられたのでございますが、状況によってはまたこういう資金の発動ができるのかどうか、このこともお聞きいたします。
  78. 石川弘

    石川(弘)政府委員 五十七年度の価格決定の際に肉畜経営改善資金を設けましたのは、御承知のように、その時点で比較的子牛価格の高いものを入れました肥育農家群が一般論としまして大変収支が悪いという状況もございました。そういうことがございましたので、肉畜経営改善資金を設けまして、必要な借りかえと経営の指導、それから、この場合は農協の運営等につきましてもいろいろ問題がありますので、関連します農協の指導も行いまして改善をしたわけでございます。  その後の経過を見ますと、御承知のように、子牛価格が下がってきます中で肥育農家群は比較的経営状態がようございます。一般論とすれば特段の資金を必要とする事態にないわけでございますが、特に負債の累積が多いというような個別の農家につきましては、御承知のような自作農維持資金を貸し付けるというような形のものはやっております。現段階で特段に一般的な意味の負債整理資金を創設する必要はなかろうと思いますが、個別の対策を行いながら内容を詰めてまいりたいと思っております。
  79. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 やはり私は何といいましても自給飼料の確保が今後畜産農家の経営の死命を制してくる問題だと思っておりますので、再度、自給飼料の確保について政府の方針をお聞かせ願いたいわけでございます。また、どのような具体策をとっているのか。
  80. 石川弘

    石川(弘)政府委員 草食性家畜につきましては、特にこの飼料自給度を向上しますことが経営安定につながるわけでございますので、一般的な政策を申しますと、草地改良のような公共事業、これは量的に拡大をいたしますと同時に中身の面でも改善をすべきものがあろうと思っておりまして、五十九年度は、団体営草地改良につきまして一種の調整係数というのを用いまして、いわば新規投入はそれだけ負担が多いわけでございますから、そういう多い負担には負担率をなるべく上げてやることによって農家の負担を下げるという手法をとりましたり、あるいは草地の再整備についての助成事業を新たに起こすようなことをしております。  それから、草地管理のための施設、これはサイロとか、あるいは例えば御承知の草地管理用機械といったようなものにつきまして無利息の資金制度を創設いたしまして、なるべく金をかけないでそういう自給飼料を利用できるような体制をつくるということも考えております。  それから、長期的には、毎度申します酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本方針の中で自給度を上げるような目標を掲げ、今言ったような施策とあわせて粗飼料の給与率を上げたいと思っております。
  81. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、時間が参りましたので、最後に、融資制度の対応だけは十分に対応できるような施策をお願いいたしまして、質問を終わります。
  82. 阿部文男

    阿部委員長 委員各位に申し上げます。  山村農林水産大臣出席が予算委員会の関係でおくれておりますので、山村農林水産大臣出席されるまでいましばらくお待ち願いたいと思います。      ————◇—————
  83. 阿部文男

    阿部委員長 この際、玉沢徳一郎君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。日野市朗君。
  84. 日野市朗

    ○日野委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、畜産物価格等に関する件について、その決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する件(案)   最近の我が国畜産業をめぐる情勢は、実質所得の伸び悩み等による畜産物需要の伸びの鈍化や肉用子牛価格の不安定な推移等に加え、牛肉等に対する諸外国からの市場開放の要求が一段と強まるなど、内外ともに極めて厳しい事態が続いている。   よって政府は、当面する昭和五十九年度加工原料乳保証価格及び豚肉、牛肉の安定基準価格等の決定等に当たっては、左記事項の実現に努め、我が国畜産業の発展と経営の安定に万遺漏なきを期すべきである。           記  一 加工原料乳保証価格については、過去五カ年にわたる生産調整の経過を踏まえるとともに、生乳の再生産の確保を旨として適正な水準決定すること。    また、五十九年度加工原料乳限度数量については、最近における乳製品の需給・価格動向を勘案して適正な水準決定すること。  二 豚肉、牛肉の安定基準価格等については、畜産農家の再生産の確保を旨として適正な水準決定すること。  三 肉用子牛価格の低迷の状況にかんがみ、価格安定対策の充実強化に努めるとともに、肉用牛生産振興のための施策を積極的に推進すること。  四 牛肉等の輸入自由化・枠拡大の要請に対しては、国会における農林水産委員会の決議並びに申し入れの趣旨に従い、畜産農家が犠牲となることのないよう対処すること。    また、調製食用脂等乳製品輸入については、国内生乳需給に悪影響を及ぼすことのないよう引き続き秩序ある輸入を指導すること。  五 酪農負債整理資金については、実情調査の上、必要に応じて継続貸付を行うとともに畜産関係諸資金制度の充実を図ること。  六 飲用牛乳流通の正常化のための行政指導を引き続き推進するとともに、消費拡大対策を充実すること。  七 粗飼料自給率の向上を図るため、草地開発事業を計画的に推進するとともに、未利用山林原野等の畜産的利用の促進を図ること。    また、耕種農家畜産農家の連携による粗飼料等の効率的な利用を促進すること。  八 飼料の需要に対応した安定的供給を確保するため、飼料穀物の計画的な備蓄積増しを推進するとともに、配合飼料価格安定基金の財源の充実を図ること。   右決議する。  以上でありますが、決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位も十分御承知のところでありますので、その説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いいたします。(拍手)
  85. 阿部文男

    阿部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  玉沢徳一郎君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 阿部文男

    阿部委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。      ————◇—————
  87. 阿部文男

    阿部委員長 次に、田名部匡省君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同・公明党・国民会議民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による蚕糸業安定的発展に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。小川国彦君。
  88. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、蚕糸業安定的発展に関する件についての決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     蚕糸業安定的発展に関する件(案)   最近の我が国蚕糸業を取り巻く情勢は、世界的な絹の供給過剰の中で、国内における絹需要の大幅減退、海外からの強い輸入攻勢を背景として、糸価が長期にわたって低迷し、蚕糸砂糖類価格安定事業団の在庫が十七万五千俵に達する等極めて厳しい事態に直面している。   よって政府は、繭糸価格安定制度の趣旨を体して、生糸及び絹製品輸入秩序化に万遺漏なきを期し、昭和五十九年度の繭糸価格決定に当たっては、左記事項の実現に努め、伝統的民族産業である蚕糸業安定的発展に遺憾なきを期すべきである。           記  一 養蚕農家等の経営状況を踏まえ、再生産可能な繭糸価格の実現に努めること。  二 生糸及び絹製品輸入については、これが国内需給に悪影響を及ぼすことのないよう次の措置を講ずること。   1 生糸及び絹製品の二国間協定の締結に当たっては、事業団の過剰在庫を考慮し、適正な輸入数量とすること。   2 絹糸及び絹織物の輸入については、現行の輸入承認制及び通関時確認制等の厳正なる運用に努めること。  三 絹需要の一層の拡大を図るため、新規用途の開発、普及を積極的に推進するとともに、絹製品に至るまでの流通改善に努めること。  四 繭の生産調整に当たり生産性の高い養蚕経営を確立するため、各般にわたる適切な対策を講ずること。   右決議する。  以上でありますが、決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の十分御承知のところでありますので、その説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いいたします。(拍手)
  89. 阿部文男

    阿部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  田名部匡省君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  90. 阿部文男

    阿部委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。     —————————————
  91. 阿部文男

    阿部委員長 この際、ただいまの両決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。山村農林水産大臣
  92. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の我が国畜産業及び蚕糸業をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ、十分検討いたしてまいる所存でございます。
  93. 阿部文男

    阿部委員長 なお、ただいまの両決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 阿部文男

    阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る四月三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会