○澤田
政府委員 お答え申し上げます。
金利の自由化というのは、国内的にも国際的にも要因が高まってきて、避けられない
状況であろうというふうに思っております。したがいまして、
郵便貯金といたしましても金利の自由化に前向きに取り組まなければならないというふうに
考え、いろいろ検討いたしているところでございます。
先ほどからお話がございました大口、小口の議論についてでございますけれ
ども、我が国においては
郵便貯金を含めて幾らからが大口であり幾らからが小口であるという決めがまだないわけでありますが、非課税貯蓄の範囲のものを小口ととってみましても、
先生御
指摘のように預貯金の総額の六割を小口が占めておる。これは、ある意味では我が国の特性であろうかと思うわけでありまして、これを圏外に置いての自由化というのは自由化とは言えないであろうし、また、これも
先生御
指摘のとおり、本来得べかりし金利というものが自由化によって得られるということでございますので、自由化に対応して積極的に小口についても自由化に向かわせていくという仕組みを考ていかなければならないだろうというふうに思うわけであります。
特に、自由化という場合に、アメリカの例を見ましても、今までの規制金利商品から自由金利商品に預金なり何なりがシフトしていってしまう、そこで、規制金利で縛っておいても預金が集まらなければ金融
機関は商売にならないわけでありますから、規制を外していくというのが自由化対応の問題であるわけであります。我が国においてもそういうような動きというのが現に起こっておるわけであります。さらに、これからを眺めてまいりましても大量の国債発行というのが続くであろう、あるいは償還期限が二年未満というような期近債というようなものが六十年には三十兆近くにもなるであろう。こういったものは当然一年、二年の預貯金との競合を来すわけでありますし、なお、既発債の銀行窓口での取り扱い、ディーリングというようなものもこの六月ぐらいから始まるという話もございます。そういったようなことを踏まえますと、新しい自由金利的な商品というものもさらに開発されていくのではなかろうか。そういったものに、規制をいたしておりましても資金が自然とシフトしていくであろう、これをとめるわけにはいかないから、どうしても自由化というものが必要なのではないかということだろうと思うわけでありまして、規制の枠の中に閉じ込めておけるならばそれはいいわけでありましょうけれ
ども、そういったことができないから的確な自由化対応というものが必要であろうということでございまして、特に我が国における貯蓄の構造から見ましても、小口というものを大口の自由化とそうタイムラグを置くということはできないのではないか。むしろ閉じ込めるという方策をいつまでもとっておると、かえって金融秩序に混乱を生ずるのではなかろうかという気がするわけであります。
なお、小口というのが手間がかかるとか、小口商品については金利の乱高下というものに余り左右されない方がいいということから、小口はなるべく後にというような議論も出ているようでありますが、これは規制をしてそうするということではなくして、自由化をして、そして顧客のニーズに合った商品を金融
機関が開発をする、それをお客様が選ぶということで対応すべきが本筋であろうというふうに思うわけであります。
また、
郵便貯金が我が国において小口の個人の預金の中で相当のウエートを占めておるということで、この金利のあり方というものが金利の自由化の一つの前提になっているというような議論も間々お聞きするわけでありますけれ
ども、金利の自由化という場合には、昨年の十月、アメリカあたりでも金利の自由化がほとんど完成をしたわけでありますが、西ドイツあたりにおいても既に随分昔から金利の自由化はされているわけであります。これは、市場実勢というものを踏まえて、各金融
機関の経営戦略も織り込んで、合理的にそれぞれの金融
機関が決めるというのが自由金利、金利自由化における金利の決定だろうと思うわけであります。商品も金利もどこかで規制をするということは、まさに自由化とはなじまない話であろうと思うわけでありまして、何か
民間の金融
機関の金利に
郵便貯金の金利をリンクさせるとか、あるいはどこかで一元的に決めるということがなければ自由化というものができないんだという議論は、自由化という
概念と全く相矛盾する
概念であろうと思うわけであります。
郵便貯金も市場実勢を踏まえて合理的な金利をつけられるような仕組みを、これは私
ども、
郵便貯金自体としても
考えなければならない点がございます。
現在、
郵便貯金の資金の運用は、資金運用部に一元的に運用されている政策的な金利で決められているわけでありますけれ
ども、預金金利の方に自由金利をつける、片方、はいり口と申しましょうか、運用の方は低く政策的に抑えられているということでは自由化対応はできないわけでありますので、入ってくる方の資金の運用の面につきましても自由化対応ができるように、市場実勢というものが反映できるように、国債を
郵便貯金資金で
郵政大臣自身が運用するというような道を開く必要があるだろうということで、そういうことについての要求もし、また御理解をいただくように、これからもいろいろ努力をしていかなければならないと思うわけであります。
いずれにいたしましても、個人の健全な資産形成のために、
郵便貯金といたしましても的確な自由化の対応をとらなければならない、こういうふうに
考えているところでございます。