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三浦(久)
委員 総務長官が期待されるのは結構ですけれ
ども、
現実はあなたが期待したようにはこの
法律では動かない、このことを私ははっきり断言をしておきたいと思うのです。まさにこれは抜け道だらけのざる法です。私は、ざる法と引きかえに女子についての時間外労働、休日労働、これを強制し、さらに深夜業についても従来よりもその対象をうんと拡大をしているわけですね、このことは女子についても長時間労働に道を開くことになりまして、日本全体の
労働者の長時間労働にますます拍車をかけることになってくるだろうと思うわけであります。現在でも日本の
労働者というのは年間一人当たり二千時間を超えておるわけです。ですからアメリカやイギリス、西ドイツ、フランス、こういうところなどよりも男女ともにはるかに長い労働時間であります。こういう今の
労働者の実態から見れば、深夜業とか残業、こういうものを規制すべきだというふうに思っているわけですけれ
ども、今回のこの法案要綱の
措置というのはこれに逆行しておるというふうに言わざるを得ないと思っております。
特に雇用平等法との関係でいいますと、女性にとって長時間労働とか深夜業というものがいかに女性の健康に大きな否定的な影響を及ぼすかということですね。このことは男に対する影響よりも大きいわけです。今労働省は、女性保護の問題については、母性保護と女性保護とを意識して分けられておりますね。そして、母性保護の方は拡充するけれ
ども、女性保護の方はもうどんどん削減していくんだ、こういう方針をとられておりますけれ
ども、しかし私は、女性保護というものは母性保護とそんなにぴしっと隔離できるようなものではないと思うのですね。私は、やはり依然としていわゆる母性保護も含めた女性保護の機能を存続させる必要性というのは今もあるというふうに思っているわけです。
それで、労働
基準法研究会第二小
委員会専門
委員報告によっても、これはもう労働省もよくおわかりです、ここに本を持ってきておりますが、ここでも、女子の残業とか深夜業というものがその健康をどんなにむしばんでいるかということが指摘されていますね。時間がありませんから、一つ一つ具体的に
お話を申し上げることはできません。私はそういう
意味で、今この労働
基準法の大幅な改悪をやって、長時間労働、休日労働、深夜業、こういうものを女子にもさせようとしておりますけれ
ども、こういうことを現在以上にやれば女性の体に及ぼす影響は非常に大きい、そして、ひいてはそのことが母性機能というものまで阻害していくのだということをここで指摘をし、この労基法の改悪案の撤回というものを強く
要求をいたしたいというふうに思います。
それで、
人事院来ておりますね。
人事院規則の一〇—七は、女子職員及び年少職員の健康、安全及び福祉について定めております。私が危惧するのは、労基法の改悪の
方向と同じ内容で
人事院規則一〇—七の改悪をするのではないかということなんですね。
なぜそういう疑いを持つかといいますと、今回の労基法の改悪というのは、既に一九七八年の十一月の労働
基準法研究会報告が
出発点となっておりますが、
人事院も、それからちょっとおくれて一九八一年の三月、女子
国家公務員の保護
規定を見直すために、女子職員の健康・安全管理
基準研究会というものを設置をして、その見直し作業を開始して今日に至っているわけです。
研究会の審議内容というのは、これは一切明らかにされていないわけでありますけれ
ども、予算
委員会に提出された資料によりますと、五十七年、五十八
年度で合計九回
会議が行われている。研究会要綱の
目的というのは、「女子職員の健康、安全に関する諸
制度、諸
基準の
あり方について検討を行う」というものであります。そして調査研究事項は、「危険有害業務、深夜勤務等勤務時間及び母性保護(生理休暇、保育時間を含む)」というものなんですね。明らかに今度の労働
基準法の改悪と軌を一にしているのではないかという疑いを私は持たざるを得ないわけであります。そしてこれは私だけではなくて、
国家公務員の女子
労働者、さらに地方
公務員の女子
労働者も、
人事院がこの
人事院規則一〇—七をどういう
方向で扱おうとしているのかということに大変大きな関心を持っている問題です。ですから、この一〇—七をどうしようとしているのか、
人事院総裁の御見解を承りたいというふうに思います。