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1984-04-17 第101回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十七日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 片岡 清一君    理事 池田 行彦君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 松浦 利尚君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       石原健太郎君    上草 義輝君       内海 英男君    大島 理森君       奥田 幹生君    鍵田忠三郎君       菊池福治郎君    塩川正十郎君       月原 茂晧君    林  大幹君       山本 幸雄君    上原 康助君       元信  尭君    渡部 行雄君       鈴切 康雄君    山田 英介君       田中 慶秋君    柴田 睦夫君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      後藤田正晴君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         行政管理庁行政         観察局長    竹村  晟君         外務大臣官房審         議官      山下新太郎君         運輸大臣官房長 松井 和治君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 康雄君         運輸大臣官房審         議官      丹羽  晟君         運輸省海運局長 犬井 圭介君         運輸省船員局長 仲田豊一郎君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 棚橋  泰君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省航空局長 山本  長君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   矢部 昭治君         外務省経済局海         洋課長     斎藤 正樹君         建設省道路局国         道第二課長   福井 迪彦君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         長       佐々木峻一君         日本国有鉄道技         術開発室副技師         長       真下 育幸君         日本国有鉄道新         幹線建設局工事         課長      福岡 祥光君         日本国有鉄道電         気局信通課長  村上 春雄君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         内閣委員会調査         室長      緒方 良光君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     松田 九郎君   鍵田忠三郎君     渡辺美智雄君   田名部匡省君     田村  元君 同日  辞任         補欠選任   田村  元君     田名部匡省君   松田 九郎君     上草 義輝君   渡辺美智雄君     鍵田忠三郎君 同月十四日  辞任         補欠選任   田名部匡省君     奥田 幹生君 同月十七日  辞任         補欠選任   三浦  久君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     三浦  久君     ————————————— 四月十六日  元従軍看護婦の処遇に関する請願(小川仁一君  紹介)(第二八一七号)  同(中村重光紹介)(第二八一八号)  同(松浦利尚君紹介)(第二八一九号)  同(村山富市紹介)(第二八二〇号)  同外一件(渡部行雄紹介)(第二八一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)      ————◇—————
  2. 片岡清一

    片岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  3. 元信堯

    元信委員 先日の質問のときに一部留保をしていたところがございますので、その部分について質問をさせていただきたいと思います。  電電公社に伺いますけれども東海道山陽新幹線車内電話通話サービス対象範囲現行二十五の駅でやっておいでになると思うのですが、これをすべての停車駅に均てんをした場合に、何都市拡大をして、その加入台数は何台ふえるのか、それは現行台数に比べて何%であるのか、まずその点、お答えをいただきたいと思います。
  4. 寺島角夫

    寺島説明員 現在、東海道山陽新幹線停車駅のある都市サービスをやっておりませんのが小出原等都市でございます。  それで、この七都市エリア拡大いたすといたしますと、約四十万加入というものが新たなサービス対象となるわけでございまして、現在の対象地域が千二百六十万加入でございますので、それが千三百万加入になる、こういうことでございます。
  5. 元信堯

    元信委員 パーセンテージにして何%になりましょうか。
  6. 寺島角夫

    寺島説明員 現在、千二百六十万と申しますのが、全国の加入数から見ますと大体三〇%をカバーいたしております。それに対しまして四十万ふやしますと、約一%ふえると考えております。
  7. 元信堯

    元信委員 過日の御答弁では、これを全停車駅所在都市に均てんすることによって、現在でもかなり高い話中率といいますか回線がいっぱいで使えない、この率がもっと高くなる、こういうようなお話でございました。  きょうは具体的に数字を挙げてお答えをいただきたいと思いますが、今私が申しました全停車駅所在都市に均てんした場合に、今平均でどれくらいの話中率が何%に上がるのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  8. 寺島角夫

    寺島説明員 現在の全線の話中率でございますけれども、約五三%というふうに推定をいたしております。これが先ほど申し上げました全停車駅までサービスエリア拡大いたしたとして話中率がどうなるかという推定をいたしますと、約二%上がりまして五五%になるというふうな推定を現在いたしております。特に現在でも静岡から東京間というのは話中率が大変高いわけでございますけれども、ここは現在六〇%程度考えておりますが、これもやはり二%程度上がりまして、この範囲は六二%程度になるのではないか、かように推定をいたしております。
  9. 元信堯

    元信委員 平均で二%といいますと、五十回に一回ということでございます。ここら辺になりますと判断の問題になりますが、五十回に一回話中率の確率が上がるのと、現在は特定都市においては全くこのサービスが受けられない、ここのところをどう見るか、この問題だろうと思うのです。  ここのところは今急にということにはならぬかと思いますが、もしこういうふうにサービスを均てんした場合に、新たに必要な経費はございましょうか。
  10. 寺島角夫

    寺島説明員 拡大をする場合の経費という点にお答え申し上げますと、今七都市について拡大をするということにつきまして新たな投資等を必要とするものではございません。
  11. 元信堯

    元信委員 全くお金もかからない、しかも五十回に一回今までよりもかかりにくくなる、こういうことでございます。そのことによって今全くサービスから疎外されておる幾つかの都市、その中には工業都市としてかなりの規模の都市もあるわけでございますから、私の選挙区にございます浜松市もそうでございますが、これからますます需要が拡大していく中で、どうもいつまでも施設が更新されるまでは取り残されるというようなことのないように、ぜひひとつお願いをしたいと思うわけでございます。いかがでございましょうか。
  12. 寺島角夫

    寺島説明員 先生お話のような趣旨は、沿線の方その他を含めましていろいろな方からお話も伺っておるわけでございますけれども、基本的に私どもといたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、現在でも話中率が五〇を超えておる、二回に一回かからないような状況がさらに悪くなるということにつきましては、消極的と申しますか、これ以上悪くしては困るという気分が強いわけでございますけれども、また一面、悪くなるといっても少し悪くなる程度ではないかという考え方もあることも理解ができるところでございます。率直に申し上げまして、そういうことで今まで消極的と申しますか、大変難しいというお答えをしておったわけでございますけれどもお尋ね趣旨を含めましてもう少し勉強させていただきたい、検討させていただきたい、かように考えております。
  13. 元信堯

    元信委員 大変前向きと一応承っておきたいと思うわけでございますが、国鉄さんの方はこれで御異存ございませんね。
  14. 村上春雄

    村上説明員 異存ございません。
  15. 元信堯

    元信委員 ありがとうございました。問題は、電電公社腹一つということでございます。ごくわずかの全体の皆さんには確かにサービスの低下になるわけでございますけれども、それによって永遠に、永遠にと言うとなんでございますが、今の施設を使っている限りはサービスから除外をされている利用者もあるわけでございまして、大変強い要望もございますので、ぜひ前向きにおこたえをいただきますように御検討お願いいたしまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  16. 片岡清一

  17. 小川仁一

    小川(仁)委員 今回の陸運局海運局統合は、実際仕事をしている人は減らなくて、局長が一人減る、こういう結果になるのでございましょうね。
  18. 松井和治

    松井政府委員 今回の陸、海運局統合局長が一人減る、これは御指摘のとおりでございます。  職員についてはどうかというお尋ねでございますが、私ども定員削減計画を着実に進めておりますけれども、五十九年度におきまして地方運輸局定員は七名の減になるわけでございます。ただ、他省庁からの部門間の配置転換が六名ございますので、差し引き一名の減にとどまるというような結果になったわけでございます。
  19. 小川仁一

    小川(仁)委員 これ以外に運輸省あるいは国鉄等で、仕事の方の人は減らさなくとも、管理職局長クラス、そういう上の方を減らすという形での合理化といいますか、整理方向考えておられましょうか。
  20. 松井和治

    松井政府委員 今回の運輸省組織改正は、地方の陸、海運局だけではなくて本省機構改革も同時に行うわけでございます。本省機構改革におきまして、政令職を二つ減ずるというような措置をとることにいたしております。
  21. 小川仁一

    小川(仁)委員 国鉄の方にちょっとお伺いいたします。  国鉄一つ体制をつくっているようでございますけれども、例えば国鉄が始まったときからの各課の一覧表業務態様みたいなものを入手をしてずっと検討いたしておりましたが、現行組織の中で鉄道管理局東京三つございますが、こんなのは一つにするという考え方はございますか。
  22. 須田寛

    須田説明員 お答え申し上げます。  国鉄東京の三鉄道管理局は、昭和四十四年であったと思いますけれども、従来の東京鉄道管理局三つに分けた経緯がございます。分けましたときには、やはり当時の東京鉄道管理局が非常に膨大でございまして、現場管理あるいは現場の末端までのいろいろな営業活動等に不行き届きな点がございましたので、これを分離いたしまして管理適正化を期したものでございまして、その後十数年経過をいたしております。一応当時はそれなりに効果を上げたというふうに考えておりますけれども、やはり国鉄全体の組織簡素化という問題が今非常に大きな課題になっておりますので、その中で管理局問題につきましても検討してまいりたいと存じております。ただ現時点におきまして、東京管理局をどうするかということにつきましてはまだ成案を得ていないというのが実情でございます。
  23. 小川仁一

    小川(仁)委員 本社業務の中で見てみますと、建設局新幹線建設局施設局とこういった局が三つもございますが、こういうのも一人の局長さんで指導できるのじゃないか。あるいは貨物がぐんぐん減ってきますと、旅客と貨物を含めて営業といった形での整理とか、あるいは私鉄なんかはみんな運転局工作局みたいなものが一緒に営業されているという傾向もございますので、こういったものも含めて、いわゆる頭でっかちの指導体制というものを整理する中から、国鉄の運営なり官僚化なりを直していくことが非常に大事だと思いますが、この点についてはいかがですか。
  24. 須田寛

    須田説明員 御指摘のような組織簡素化につきましては、現在いろいろ国鉄経営形態を御審議いただいております監理委員会の方からも御指摘をいただいておりますし、また運輸省その他関係の御当局からの御指導もいろいろございますので、現在、本社機構あるいは地方機構を含めまして抜本的に見直しをする作業はいたしております。いずれにいたしましても、新幹線建設局一つをとってみましても、現在まだ工事最盛期にあるような状況もございますので、個々の局をどう統廃合するかにつきましては成案を得ておりませんけれども国鉄経営改善上の非常に大きな課題として受けとめて、検討いたしておるところでございます。
  25. 小川仁一

    小川(仁)委員 前向きに検討しておるようですから、その成果を見守りたいと思います。  国鉄で一番大事なのは現場でございまして、国鉄管理職の数が多過ぎる。聞きますと、大体五万人の管理職で、現場が二十九万人ぐらい。これでは六人に一人が管理職管理職の方は仕事はなさらないとは青いませんけれども組織機構やいろいろなものを見ておりまして、どうも頭でっかちという感じがするのです。現場の方がむしろいろいろな業務のところで十分な整理がついていない面もありますけれども、こういう点は中央段階においてお考えを願いたい。  例えば工事費にしても、かつては一兆円を超えていたのが今はその半分ぐらいになっているという実態でしょう。そうなってきますと、新幹線建設局云々というお話がありましたけれども、さっき申し上げた三つの局なんというのは、事業の量からいっても非常に検討されるべき性格のものだと思います。余り下の方を合理化するのに急であって、隗より始めよという点をお忘れになっておられては非常にいけないと思います。私も今の国鉄再建ということに考えを及ぼしますと、みんなを気持ちよく働かせるということが大事だと思いますから、そういう配慮も含めながらひとつ御検討願いたい、こうお願いをしておきます。  さて、きょうの読売新聞に、第二次の地方交通路線整理問題、来月中に一括して承認というふうな記事が出ておりましたので、それに関連しながら、岩手県の岩泉線について運輸街並び国鉄大臣等のお考えをお聞きしたいと思います。  御承知のように岩泉線は、長い間国鉄予定線として存在していたのが、地元の協力でやっとでき上がった線でございます。今回廃止対象にはなっておりますけれども廃止バスを通して代替をする、こういうふうにお聞きしておりますが、そういう計画でございましょうか。
  26. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 岩泉線につきましては、先生だたいま御指摘のとおり第二次地方交通線の中に入っておりまして、国鉄から運輸省に対して廃止路線としての承認申請が出されておるところでございます。  廃止対象として検討することについての承認申請でございますが、これにつきましては関係の知事さんの御意見があれば申し出ていただいて、審議の上運輸大臣が決定するということになっております。それで、廃止対象路線になりました場合には、地元において地方公共団体などの関係者にお入りいただいた協議会をつくりまして、何らかの形で鉄道から転換するという方向について御討議をいただくということになっております。  方策といたしましては大きく申し上げまして、今先生のおっしゃいましたように、鉄道としての特性のない路線でございますのでバス転換していただくということが第一でございますが、地元としてどうしても鉄道として存続したいというような場合には、三陸鉄道のごとく第三セクターというような形で御存続いただく、それぞれに対して国が所要の措置をする、こういうようなことを一応検討対象としておるわけでございまして、そういうような中で、地元協議会において転換方策について詰めていただく、こういう手順になっております。
  27. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、これはバス転換するというのではなくて、あなた方の指導方向としては第三セクター方向というふうにお伺いしていいわけでございますか。
  28. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 第一の方策としてはバス転換をしていただく、しかし、どうしても地元鉄道として存続をしたいという御希望がある場合には、第三セクターのような形で国鉄から切り離した形で存続するということもあり得る、そういう中で地元で御検討いただく、こういうことでございます。
  29. 小川仁一

    小川(仁)委員 今までの進行過程を見ておりますと、国鉄はあそこにバス試みに通してみて、バス運行ができるというような方向をお出しになっているようでございますが、そのバスを通す道路というのが国道三百四十号線と称する道路でございます。三百台の国道でございますから申し上げなくてもその状況はおわかりと思いますが、改良率が九・五%。ですから、ほとんど未改良状況でございます。  この道路状況を申し上げてみますと、最も幅員の狭いところが二・五メートルしかないのです。それから、そういう狭い道路ですから、待避所といいますか待機所といいますか、車と車が交換をする際の待避する場所もほとんどない。しかもそういう細い道路が最大で千四百メートルも続いている。しかもあそこにある浅内というトンネルは、車両通行禁止、高さ禁止をしております。二・七メートルでこれを禁止をしている、こういう状況なんです。  そういう状況のところを国鉄バス試みに走らせてみられたそうでございますが、その結果どういう結論を得られておりますか、おわかりでしたらひとつお話しを願いたいと思います。
  30. 佐々木峻一

    佐々木説明員 岩泉線の場合、代替輸送道路があるかないかということをまず確認をいたしまして、そして代替輸送道路があることを確認をいたしまして、大臣の方に第二次特定地方交通線としての選定の申請お願いしたわけでございます。  その際に、代替輸送道路の要件といたしましては、運輸省の告示に基づきまして確認をしたわけでございまして、その場合に道路台帳あるいは道路現況図というものによりましてバス運行可能であるかどうかということを確認をしたわけでございます。さらにバスの走っておらない区間につきましては、今先生お話しのように実際にバスを走らせまして、特段の問題がないということを確認をいたしまして申請をしたという次第でございます。
  31. 小川仁一

    小川(仁)委員 さっき私が申し上げた幅員二・五メートルとか、浅内トンネルは二・七で高さ禁止しているとか、待避所がないとか、こういうことも御存じでございましょうか。
  32. 佐々木峻一

    佐々木説明員 道路台帳によりましてはその点は三メートル以上の幅員があるということを確認できたわけでございますけれども、その後そのような御指摘もございまして確認をいたしましたところ、幅員が二・五メートルの狭いところ、それから浅内トンネルにつきましては高さが低いというふうな点も承知をいたしております。さらにまた待避所につきましても、非常に狭隘なところで待避をしているということも承知はいたしておるのでございますが、そういう中でバスを走らせまして、特段運行支障がないということの中から申請をした次第でございます。
  33. 小川仁一

    小川(仁)委員 建設省の方にお伺いしますけれども、私は今ここでバスを走らせることについて非常に危険じゃないかということを申し上げたくているわけですけれども特段支障がないというのですが、国鉄がおやりになったバスはBU15KP型バスというのですが、こういう言い方でいいのですか。これを見ますと、幅が二・四五メーター、長さが十メーターちょっと、それから高さが三・一八メーター、こういうバスでございますが、まず国鉄さん、このバスを将来やろうとするときには運行するつもりでございますか。
  34. 佐々木峻一

    佐々木説明員 試走させましたバス先生指摘のとおりでございますが、こちらの輸送量からいたしまして、この大型バスではございませんでもっと小型のバスで十分対応できると考えておるところでございます。
  35. 小川仁一

    小川(仁)委員 建設省の方にお伺いしますけれども道路法の第四十七条三項、これは高さの制限でございますね。それから車両制限令の六条の車体の幅の制限、同じく第九条の路肩通行制限、こういったようなものがございますが、こういったものを考えながらさっき言ったような状況国道バスを通すことについてどう判断されておられるか、お聞きをしたいと思います。
  36. 福井迪彦

    福井説明員 お答えをいたします。  先生指摘の背の低いトンネル通行につきましては、道路法第四十七条第三項の規定に基づきまして、通行禁止または制限をすることができることになっております。しかし、同法第四十七条の二第一項の規定に基づきまして、車両構造等が特殊であるためやむを得ないと認められるときには、必要な条件を付して通行を許可することができることになっております。  また一方、幅員の狭小な道路につきましては、車両制限令第五条、第六条で、通行する車両の幅の基準が定められております。この基準に適合しない場合でも、車両制限令第十二条の規定では、道路管理者車両構造等が特殊であるためやむを得ないと判断した場合には一定の条件を付して通行を許可することができる仕組みになっております。  以上でございます。
  37. 小川仁一

    小川(仁)委員 原則的な法規と今御説明された例外的な方法とあるわけでございますが、人間を乗せて走るバスでございます。しかも御承知のようにあの豪雪地帯でございます。道路は物すごいヘアピン状況でございます。したがって、ただ単に幅とか高さとかというものを例外措置があるからやることができるという物の言い方だけでは、乗っている人間安全性というものは心配ないと言い切ることができないと思いますので、警察庁の方では、こういうふうな道路を実際ごらんになってないでしょうけれども豪雪地帯ヘアピン道路、しかも今言ったような基本法律では禁止というかやめなければならないような状況道路例外措置によっておやりになるということに対して、交通上の問題からどんなふうにお考えでございましょうか。もしお考えがありましたらお知らせ願いたいと思います。
  38. 矢部昭治

    矢部説明員 ただいま先生お話しございました岩泉線廃止に伴います国道三、百四十号線における代替バス運行の問題につきましては、地元岩手警察としてはまだ正式な相談は受けていないという段階でございますが、現場における道路幅員であるとかカーブであるとか勾配の形状であるとか、今のトンネルの高さ制限とか、道路環境に種々の問題がある、こういうことで、岩手警察といたしましてはこういったいろいろな問題点を踏まえて対処していきたい、こういうことでございます。
  39. 小川仁一

    小川(仁)委員 いずれにしても大変問題がある道路なわけでございますが、運輸大臣おわかりと思いますけれども、結局鉄道廃止しようとすれば、あの地帯バスに頼る以外方法がないわけでございます。それで、国道三百四十号線が人間を運ぶのに十分なという状況ができるように、ひとつ建設省や何かの方にも廃止に伴う一つ措置として大臣お話しをいただきながらこの問題を考えてまいりたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  40. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 岩泉線につきましては、先ほど申し上げましたように、ただいま国鉄から廃止対象線として承認申請が出ておるという段階でございます。運輸大臣承認いたします基準といたしましては、バスの輸送の可能な代替道路があることということが条件になっております。国鉄の方では先ほどの答弁にございましたように一応代替する道路があると認めて申請をしてきたものと私ども考えておりますが、先生ただいま御指摘のような件につきましては岩手県知事から全く御同様の御意見が出ておりますので、それらを踏まえまして、現実に当たりまして十分な調査をいたしました上、廃止対象線区として承認するかどうかを決めたい、このように思っております。
  41. 小川仁一

    小川(仁)委員 ここに私たちとそれから村で試走しましたときの状況の写真がありますので、ちょっと大臣ごらんをいただきたいと思いますが、非常に危険な状況でございます。  そこで建設省、この三百四十号線、幅員を広げる等のことを直轄略業としておやりになる計画はございますか。
  42. 福井迪彦

    福井説明員 既に御案内と思いますけれども、一般国道三百四十号は、岩手県陸前高田市を起点にいたしまして青森県の八戸市に至る路線でございます。今問題になっております国鉄岩泉線と並行いたしますのは、そのうちの新里村茂市から岩泉町落合までの三十五・七キロでございまして、その整備状況は、先ほど先生指摘のように改良率で申し上げまして九・五%という状況でございます。  この区間の改良計画でございますが、現在、一次改築事業といたしまして、新里村におきましては刈屋工区で四・二キロの事業を進めております。また特攻、特殊改良第一種事業といたしまして、新里村の日向工区〇・七キロと岩泉町の大渡工区〇・六キロを国庫補助事業で事業を促進しております。さらに、新里村から岩泉町に至ります押角峠付近につきましては、建設省において直轄で道路の調査を実施中でございます。  いずれにいたしましても、この路線の重要性から見まして、直轄、補助あわせまして事業の促進を図りたいというふうに考えております。
  43. 小川仁一

    小川(仁)委員 そこで大臣、ひとつお考え願いたいんですが、この鉄道路線を直ちに廃止されますと、今言ったような状況バス代替輸送が非常に不安で、不完全な道路状況の中を走らなければならない、こういう状況がございます。  岩泉というのは、地図等で御説明申し上げればいいですけれども岩手の県北、北上山脈内のポケット地帯に存在しまして、国鉄が唯一の交通機構。特に夏は、竜泉洞といったような日本でも一、二と言われる鍾乳洞等があって、観光客も今度の第三セクターの開通に伴って多いんですが、冬になりますと豪雪地帯交通が大変不便になる地帯でございます。盛岡から直接の道路もございますが、冬になりますとここも往復朝晩一便というふうな格好になってしまうといったような地帯でございますので、バス代替にするにいたしましても、道路が整備されて安全な運行ができるというまでひとつ鉄道廃止を御容赦願いたい、こういうお願いが多分岩手県や地元から来ていると思います。あの地権、御承知地帯でございますだけに、直ちに廃止といった形ではなくて、代替輸送バス路線ができ上がるまでは廃止を待っているような方向での御検討をぜひお願いをしたいと思いまして、御意見を伺いたいところでございます。
  44. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 既に御承知のとおりでございますが、再建特別措置法というもので、ローカル線に対する扱い方というものが法律で決められて、政令で定めた範囲内ではこういうやり方をするということになっておるわけでございます。この法案が国会を通過する時点でも非常にいろいろ問題になったのでございます。実際問題として今、第一次についても第二次についても、バス路線に比較的簡単にかわるところと、またかえることを地元でも納得なさってもう既に実現をしたところもあるわけでございます。しかし大体僻地が多いですから、道路の事情が悪いというようなことでなかなかそう簡単にいかないというところも、ここに限りませず全国的に見ても相当あるわけでございます。  そこで、私ども公共交通機関という立場を考えなければいけませんから、何が何でもがむしゃらにどんな状況になろうとも線路を引っぱがしてしまうんだ、法律が決めているんだからということは私はとるべきではない。そこでこの法律にも決まっておりますような協議会というものがございますので、これはやはりお互いに十分話し合っていただいて、そしてバス転換ならバス転換に移るということでなければ、交通機関と地区の住民との間に非常に救いがたい溝ができるということは感心したことではございませんので、そういう点について十分相談をし、一〇〇%納得がいかなくても、まずやむを得ないではないかというようなところまでは話し合いをしていただくというのが法律の本旨だと私は思っておるわけでございます。  そういうことでございますから、テーブルに着いていろいろ話し合っていただく。例えばバスに移る場合には、どうしたら安全になるのか、この程度なら辛抱できるのかできないのかということで、むちゃくちゃな無理をしてはいけない、私は率直に言いましてこう思っておるところでございます。
  45. 小川仁一

    小川(仁)委員 大臣として地域住民との対話の中でお考えになるというそのお気持ちはよくわかりましたが、岩手県の第三セクター三陸鉄道にいたしましても、積極的に指導によって手がけていったわけでございます。できるものはできるという形でやっているだけに、この岩泉線というのは、事実さっき言った道路状況でございますから、特に冬場になりますと大変な道路になってまいります。東京の皆さんは冬の道路を余り御理解いただけないと思いますが、特に押角峠を中心にしたヘアピン道路と雪、雪崩、これは大変な道路でございます。それだけに、どうか建設省としてもこの道路を直轄事業として積極的に進める、そういうものとタイアップしながら、大臣言い方をすれば岩泉線の線路を引っぺがす時期を慎重に御検討願いたい、こういうふうにお願いをしてこの問題を終わりたいと思います。  続きまして、第三セクター問題でお伺いいたします。  岩手県の南リアス、北リアスと称される第三セクターができ上がりました。地元は非常に喜んでおります。しかし、翌日から妙にさめた感じもまたする乗客状況でもございます。と申しますのは、一つは運賃が在来線に比べて一・五倍というふうな形の高さがございますし、それからレールがつながっているのに一々乗りかえなければならないという不便があるわけでございます。国鉄を利用の方は、乗りかえがどんなに心理的に嫌なものか、おわかりだと思います。  一つの例で言いますと、あの線の八戸から立ちますと久慈でおりて、そこで違った駅舎でそれぞれ必要な場合は乗車券を買って、今度は民間の久慈から宮古までの線に乗る。それから宮古へ着きますと民間の第三セクターの駅におりて、それから乗りかえて今度は国鉄の駅へ行って列車に乗る。そして釜石へ着きますと国鉄の駅におりて、今度は民間の駅に行く。その次が大船渡でまた同じことを繰り返す。端から端まで通るのに、こういうふうに何遍も乗りかえなければならない。そうなりますと、国鉄を利用しようにも乗りかえが嫌だというふうな心理状態もはっきりあるわけでございまして、そんなことを考えてみますと、相互乗り入れといいますか、そういうことはできないものでございましょうか。これができますと第三セクターももう一つ発展する要素があると思う、だけに、お聞きをいたしたいと思います。
  46. 須田寛

    須田説明員 先生指摘のように、現在は北、南の各リアス線とも相互乗り入れは行っておりませんが、会社側の御計画といたしまして、七月から北リアス線は盛岡まで、それから南リアス線は一関まで直通運転をいたしたいという御要望が参っております。私どもの方も、今先生おっしゃいましたように、夏のお客様の多い時期でございますので非常に結構なことだと考えておりまして、現在実現する方向で詰めておる、こういったような状況でございます。
  47. 小川仁一

    小川(仁)委員 東北新幹線を利用していますが、大宮の乗りかえで一遍がぐっと来る感じがあるわけです。まして、さっき申し上げたように、四十分か一時間おきに乗りかえているのじゃどうにもなりませんから、これは今言った二本だけじゃなしに、例えば縦貫で八戸から気仙沼までといった乗り入れもひとつ積極的に指導し、御検討願いたいと思います。今のは新幹線へつなぐ一関と新幹線へつなぐ盛岡の場合で、これだけでは海岸の住民たち、特に青森の八戸中心にこれが岩手を通って宮城の気仙沼に至る縦貫道の意味がなくなってしまいますので、こっちの方をどうお考えで、どう御指導なさいますか、お考えを伺いたいと思います。
  48. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先生指摘のように、三陸鉄道が開業いたしまして問題点一つは、両側が国鉄線で真ん中にまた国鉄線が挟まっておる、こういう特殊な形になっていることだと思っております。したがいまして、当面は、先ほど国鉄の方からお答え申し上げましたような直通乗り入れをまず検討し、将来の問題としては、今先生指摘のような点も含めましてどのような相互直通乗り入れができるかということを検討していくべきだと思っております。  ただ、まだ開業したばかりでございますし、技術的な問題その他、相互に国鉄との間で詰めなければならない問題、さらには三陸鉄道の側の技術的な受け入れ態勢等、まだまだこれからいろいろ検討しなければならない時期でございますので、そこらを踏まえまして、将来的にはできる限り便利な交通ができるように指導してまいりたいと思っております。
  49. 小川仁一

    小川(仁)委員 くどいようですけれども、これは本来的に三陸海岸を縦貫するのが目的でつくられた鉄道でございますから、営業上新幹線とのつなぎを先におやりになるのも当然でございましょうが、ぜひ八戸−気仙沼間を、これは仙台までつながりますけれども、積極的に御指導願いたい。とにかく真ん中に国鉄が入って民間が両中間にあってという、今後第三セクターが生まれたとしてもこんな形の路線が生まれる可能性はないのじゃないか。もしあるとすれば、そういうものを含めて相互乗り入れという問題を検討しなければ鉄道を使わなくなってしまいます。こういう、国鉄もそして民間の鉄道も第三セクターも成功していくという観点で、積極的な指導国鉄の側にお願いしたい。レールはつながっているのです。別にブレーキがかかっているわけでもないし、とめ金があるわけでもないから、すっと行けるのです。東京なんかは私鉄と国電との乗り入れ等が全部できておりますだけに、これは地元課題としてぜひお願いしたいと申し上げて、御検討お願いしておきます。  なお第三セクター問題についてお聞きしますが、今、東北でもう一つ第三セクター課題があるようでございます。丸森線でございます。この丸森線を第三セクターとしておつくりになる御指導状況がございましょうか。
  50. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 丸森線につきましては、既に開業いたしました部分と工事が凍結になっておる部分があるわけでございますが、既に開業しております部分が地方交通線廃止対象になっておるということで、地元公共団体等が入りました先ほど申し上げました協議会におきまして、これの転換問題についていろいろ御検討がなされまして、その結果、在来線部分、既に完成しております部分、それから新しく建設される部分を含めまして第三セクターとして経営する方向でいきたいということで合意がなされ、関係の会社が設立をされたという段階でございます。
  51. 小川仁一

    小川(仁)委員 丸森線というのはAB線ではなくてCD線です。したがって、国鉄としてはそんなに損害をもたらすような路線でもないわけでありますが、私の聞いたところによりますと、この丸森線を第三セクターに移すための条件として、工事を全部行って全線開通をさせるという条件と、電化工事も行う、こういう条件が設立の条件として付されて第三セクターがつくり出されたというふうに聞いておりますが、事実でございましょうか。
  52. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、第三セクターをつくって丸森線をやりたいというお話地元協議会で合意をされたわけでございますが、その協議会の合意をされました会合におきまして、地元を代表して宮城県側から、丸森線を第三セクターで引き受ける場合には全線を完成させてもらうこと、それから電化をすることということが将来の希望である、こういうことの御表明があったということは事実でございます。  ただ、この問題につきましては、私どもとしてもいろいろ検討しなければならない問題もございます。運輸省国鉄側としてはそれらの点についてはいろいろ問題点がございますという御説明を申し上げ、最終的に合意されましたのは、第三セクターとしてこれを引き受ける、そしてその他の問題については今後検討する、こういうことが最終合意でございまして、したがいまして、正式に電化をするということが決まっておるとか、そういうことではございません。
  53. 小川仁一

    小川(仁)委員 いろいろ検討しなければならないということの中に、福島交通が五一%の持ち株を持っている、今新聞をにぎわしている小針さんとかという社長さんがそんな持ち株を持ってこの第三セクターを運営するということも検討の材料の中に入っておりますか。
  54. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 第三セクターでお引き受けをいただくという場合の第三セクターのあり方は、これは一義的に地元が御判断になることでございまして、どのような第三セクターをつくるか、例えば三陸鉄道で言いますと地元市町村とか関係銀行等が御出資になって会社をおつくりになったわけでございますが、そのほか似たような会社をあちこちで御設立になっておりますけれども、どのような株主構成にし、どのような会社にするかということについては、地元で合意をされることというふうに考えております用地元でいろいろ御協議になった結果、今先生のおっしゃいましたように地元福島交通が五一%の出資をする会社が設立された、こういうふうに受けとめております。
  55. 小川仁一

    小川(仁)委員 それが指導上の検討の中に入っているのかどうかということを聞いたのです。検討する材料の中に入っているのかどうか。入っていなければ入っていないで、お答え願っていいです。
  56. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 その際には、既に会社は今申し上げましたような形で設立されるという前提で地元から第三セクターで引き受けたいというお話があったわけでございまして、したがいまして、その時点では株主構成その他はもう地元で合意をされておりました。なお、その後、阿武隈急行という会社として既に設立をされておるわけでございます。
  57. 小川仁一

    小川(仁)委員 経過を知った上で、あなた方がこれからそれを許可し運営していくいろいろな材料の検討一つにこのことが入っているかと私は聞いただけなんですよ。福島交通が持ち株五一%持ってこれに乗り込んできたことが検討対象になっているのか、一切問題ないのか、どちらかということを聞いているのです。
  58. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、既に会社の構成は決まっておりましたので、今後具体的に詰めるという中身の中には会社の株式構成の問題は入っておりません。
  59. 小川仁一

    小川(仁)委員 既にできておりまして、また逆に、過去のことの方が今問題になっているわけです。国鉄の新白河駅前の広場の問題等もあるので、検討の材料になっているかどうかということをお聞きした。そのことは問題がないとおっしゃればそれまででしょうが、やはりいろいろ考えてみなければならない面があると思います。  それで、これは国鉄が今まで開業している分を第三セクターに貸す場合は有償ですか、無償ですか。それから、新たに工事をする分は当然建設公団にやらせると思いますが、建設公団がつくったそのものを、やはり補助金等でつくらせて無償で貸与するという形態をおとりになりますか。電化工事についてはどうですか。
  60. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先生指摘のように、既に建設されている部分はCD線として有償資金で建設されております。したがいまして、現在は開業しております部分には国鉄は借料を払っております。これを第三セクター転換いたします場合には、御承知のような第三セクターという性格から見て、これに有償資金の部分の借料を支払っていただくということは非常に難しい問題であると思っておりまして、本件については初めてのケースでございますので、今後その取り扱いについて政府の部内で早急に詰めたい、かように思っております。
  61. 小川仁一

    小川(仁)委員 三陸鉄道の方は無償でございますね。こっちはまだ有償か無償か、新しい部分は決めていない、こういうことですか、今の御答弁は。
  62. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 ちょっと答弁を落としましたが、今後新しくつくります部分につきましては無償資金で建設をする、こういう予定になっております。既に建設しております部分に有償資金が投下されている、こういうことでございまして、今後の建設は無償資金で行うことになるというように考えております。
  63. 小川仁一

    小川(仁)委員 おおよその補助金見積額、幾らぐらいでございますか。
  64. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 今後の所要資金といたしましては、約六十億ぐらいというふうに考えております。これは無償資金で建設をいたしたいと思っております。
  65. 小川仁一

    小川(仁)委員 人の口には戸がたてられないものですから、いろいろのお話が東北地方を飛んでいるようでございます。それだけにこの第三セクターに対する対処の仕方、十分に細心の注意を払ってお仕事をなさった方がいいのではないかということを念のために申し上げておきます。  同時に、これだけお金を無償で出すのなら、あの線、そんなに悪い線じゃなくて、開通するとかなり人の乗る線ですから、国鉄そのものがやったって構わぬじゃないですか。開通した後の結果の予想を含めて見ると、これは国鉄で運営してよろしいと思う線なんですが、開通後にこれを国鉄から外したということ、ここの点についてどうしても脇に落ちないので、その点御説明いただけるなら御説明をお願いしたい。
  66. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 丸森線は、先生承知と思いますけれども、そもそもは東北本線のバイパスのような形で建設を始めたわけでございますが、その後、東北本線そのものの複線、電化の方が先にできたといういきさつがございます。したがいましてCD線でつくったわけでございますけれども地方交通線になった、こういうことでございます。既に開業しております部分の平均乗車密度が千人を切っております。御承知のように、四千人以下の線は鉄道特性がないということで、鉄道以外、国鉄から切り離すということでやっておるわけでございまして、したがいまして新線部分が開通いたしたといたしましても、それが四千人を超えるような乗車密度になるということはまず難しいというふうに私ども考えております。その意味では、何らかの形で他の輸送体系に切りかえるという方針で臨んでおるわけでございます。
  67. 小川仁一

    小川(仁)委員 第三セクターでこれから運営をして、いろいろ問題が出てくると思いますけれども国鉄運賃値上げを先取りしたような格好で高運賃になりますし、さっき言ったように民間と国鉄のつながりもまたいろいろ問題があります。しかも、かなりの資金を無償という形で民間会社に出してやられる、こういうことをしてまで国鉄が民間に路線をやらせるあるいは運営をさせるということに対して、国鉄というものが持つ公共性からいうと、特に丸森線などは疑問を強く感ずるわけなんです。一体国鉄というのは何だったろうか、こう考えてみますと、今度の廃止路線を見てみますと、実は企業あるいは地域の開発、そういったようなものを中心にしてつくられた路線が企業や地域開発がなくなってくると廃止をされる、こういう傾向があるようでございます。例えば北九州の炭鉱路線なんかはそのいい例でございます。国鉄というのは企業のために存在したのか、地域開発の、その地域の資本のために存在したのか、そしてその地域における住民の福祉といったようなものは四千人以下とかいう形の中で切って捨てていく、あるいはその路線自体が、今言ったように国鉄が無償でお金を出し、さらに五年間も損失額の二分の一は補償するという形でその企業を助けていく、こういったような形で検討されていくと、国鉄の公共性というものに対して非常に疑問を抱かざるを得ない。資本がその土地から撤収すればその路線はなくなるんだ、こんな国鉄というのはありますか。本来の国鉄の意義は、申し上げるまでもなく地域の文化交流、経済の交流を含めた人間間の交流が中心だと思うのに、今のやり方は何か資本家のためにやっているという感じが非常にするわけですが、そういう点について大臣、もっと住民ということを大事に考え地方路線の今後の廃止問題を含めた協議会にお臨み願いたい、こう考えるのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  68. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今の御質問は、もう国鉄の問題の基本的な考え方の問題でございまして、非常に重大な問題点を含んでおるわけです。根本問題を含んでおるわけなんです。国有鉄道の公共性ということを非常に重んずれば、今やっておる政策というものはいろんな点で考え直さなければならぬものがたくさん出てくるわけです。  例えば最近認可いたしましたが、ローカル線の運賃を特別に高くする、これが臨調の答申にもございますし、国鉄監理委員会の勧告もありましてやるわけですけれども、公共性という立場からいうと、国有鉄道の運賃は総合原価主義で全国一律の方がいいじゃないか、これは長年やってきたことでございますね。ところがそうなっておりません。今丸森線のお話がございましたが、これらについても同じことが言えるわけなんです。  私は当初からのいきさつをよく存じておりますが、本来丸森線というのは東北本線の勾配緩和、線路改良という意味を含めて計画されたわけです。ところがその後、東北新幹線が開通することによりまして東北線の改良というものの意義が非常に違ってきたわけですね。そこへ工事も遅々として進んでおらない。半分開通した。そのところでいわゆる鉄建公団のAB線なりCD線なりに対してもう投資をやめようじゃないか、国有鉄道の公共性の見地からいえばそういうものは続けてやってもいいわけなんですが、公共性公共性といっても、これだけ借金がたまって、これだけ赤字がふえてきて、一般会計にまで悪い影響を及ぼすのでは、これはやはり相当公共性を犠牲にしても国鉄の経営を守っていかなければ大変じゃないか、こういうことから話が起こってきておるわけなんです。  私などは元来は国有国営論者だったわけですけれども、これは国有国営でなくて企業体というものでありますので、余り借金がふえ、これだけ赤字がふえたのでは、多少の公共性を犠牲にしても国鉄の企業を守らなければならぬ、こういうところからいろいろな問題が起こってきておるわけなんでございます。そこで、公共性を徹底させようといたしますれば、赤字が出たら国が面倒を見る、徹底的に面倒を見るということなんですが、その面倒を見るのにも限界があるということで、ある程度犠牲にしてもできるだけ経済性というか企業性というものを考えてくれ、こういうことから今の建設線の廃止ども起こったわけなんです。そういうことでございますので、公共性の見地から見ると大変遺憾な点が多いわけでございます。  そこで、どの辺までならば認められるのか、どの辺は犠牲にしてもやむを得ないのか。先ほど私がバス転換の問題について地元の皆さんとのことを申し上げましたのは、そういう点一々皆限界点なんです。ですから、丸森線なら丸森線について言いますならば、丸森線の今できているものは中途半端ですから、これはもうやめようじゃないか、線路は引っぱがしてしまおうじゃないか、必要があればバスを動かそうじゃないかという考え方一つあるわけです。ところが、それを第三セクターにしてやっていただけばこれは続けてやろう、そしてある程度の金も出そう、地元の皆さんのためには鉄道が動いた方がいいから、そこで宮城県知事も福島県知事も一生懸命になってやられたわけなんで、先ほど福島交通の話も出ましたが、福島交通が第三セクターにしてくれと言ったわけではないのでありまして、両県の知事さんが相談をして、何とかこれは生かそうじゃないか、そしてどうせいい線ができるのだからつながせようじ中ないか、それをやるには、専門家である福島交通にも出資もさせるし、やらせたらどうかということで第三セクターというのは始まった、こういうふうに実は思っておるわけなんでございます。  そういうことでございますが、しかし、それじゃこれからつなぐというためには投資が要りますね。この投資を一体すべきかどうか。電化をする、その電化をすべきかどうかというようなことは、国鉄の企業性と公共性の両方の立場から慎重に検討しなければならない、こういうことになるわけなんでございます。実は福島交通がいろいろ問題が出ておりますから、これがまた余分なものが入ってきたので、あなたは考慮に入るか入らぬかと言われたのですが、これは今いろいろ言われておりますね。ですが、こんなものはいや全然問題にしなくてもいい、別に検討するなどということを言っちゃいけない、それも考えなければいけないのです。福島交通が入ってきてどうしようとしておるか、それは、我々は福島交通をもうけさせたりするために投資を重ねたりいろいろするということではいけないのです。あくまでも知事さん相手の話で、福島県知事、宮城県知事相手にこの投資を一体どうするのか、電化をどうするのかというようなことは考えていかなければならぬということなのでございます。  これは少し具体的な例を申し上げた方がいいと思いましたので申し上げたのですが、総じて申し上げて、臨調の路線監理委員会路線というものが、国鉄はこれだけ借金をしてサラ金のようになっておるから公共性はある程度犠牲にせよ、そう言うと極端でございますが、犠牲にしてでも立て直しをしなさい、私をして言わせますと大体そういう路線になっておるのです。そういう路線ですから運賃の地域差をつけたりいろいろなことになっておるわけでございまして、この点のところで議論をしていきますと、どちらも議論が成り立つのです。国有鉄道は国のものである、公共性を本位に考えるべきであるというふうにもしお考えであるとすれば、それはそれなりに一つの傾聴すべき意見だ。しかしこの辺へ来ると、累積債務が二十兆円も超えるような状況になりますと、合理化をやる、ある程度の犠牲はやむを得ない、こういうところでございまして、その議論は根本の問題にわたるわけでございます。それを具体的にどうやったらその調和点がとれるか。私は、公共性を全然無視するというような考え方ならばこれはまた問題にならないと思いますので、そこのところが実際の行政あるいは国有鉄道の運営として現在苦労しておるところであり、今後もどうするか大変苦労が多いところである、こういうふうにお答えする以外にないのでございます。
  69. 小川仁一

    小川(仁)委員 ただいまの大臣の長時間のお話を聞いておりましていえることは、例えば、岩手県では原敬がつくった路線を鈴木善幸さんがつぶすのかといったような話が出てくるわけです。どちらも総理大臣をなさった方なわけでございます。それだけ政治家に対するこういう課題への期待が強いわけです。事実、今まであった線というのは政治家の皆さんがいろいろ地域を考えておつくりになった線です。ですから、臨調路線もあると思いますが、同時に日本の国の政治家全体の責任もあるということをお考えの上で、公共性という問題を十分にお考え願いたい、こう申し上げて終わりたいと思います。
  70. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私ども運輸大臣は、限界はございましょうけれども、公共性を守るという見地で考えていかなければならないと思っております。  それで、政治家が、与党と言わず野党と言わず、鉄道に対していろいろな御要望がございますね。例えばローカル線をそう簡単にやめちゃいかぬとか、あるいはこの新線は続けてやるべきだとか、いろいろございます。私は、国民の皆さん、地区の住民の皆さんから熱烈な要望があるからこそ、与党と言わず野党と言わず反映しておるのだと思うのです。単に票を集めるためにどうこうと言ってよく新聞に悪口を書かれますけれども、住民の皆さんは鉄道は生命線だと思っておるのです。ですから引いてもらいたい。せっかくできたものをはいでもらっちゃ困る、これは切実なものがあって、それが政治家に反映しているんだと思うのです。ですから私ども役所としましては、臨調のおっしゃること、行革の線も守らなければなりませんが、その中で公共性を守るということに私どもの使命がある、その調和点をどう見つけていくかということだ、かように考えております。
  71. 小川仁一

    小川(仁)委員 終わります。
  72. 片岡清一

    片岡委員長 山岡英介君。
  73. 山田英介

    ○山田委員 運輸省設置法の一部を改正する法律案審議でございますが、私は基本的にはこの改正法案賛成でございますものですから、あえてその中で一、二点御質問をさせていただきたいと思っております。  特に今回の改正法案の主要な柱といいますか、従来は陸海空などそれぞれ交通機関別に、いわゆる縦割りというのでしょうか、そういう横との調整がもう一つとりにくいような形で運輸行政がなされてきていた、それが今回のこの改正で、総合的な運輸行政を目指して機構の再編をなさるということだろうと思うわけでございます。  そういう中で、特に海運局陸運局一つにいたしまして地方運輸局という形になるわけでございますが、そこで実際には海運局の庁舎と陸運局の庁舎、これがほとんどの場合、別々に存在をして所要の行政をなさっていたわけでございます。それを統合して地方運輸局ということになさる。海運局陸運局それぞれに地方運輸局という本局の看板というのでしょうか、そういう表札をかけられる、これは全省庁眺めてみても非常に珍しい形なのではないかという気がするわけでございます。したがいまして、国の機構というものは、国民にとってはわかりやすいものでなければならないだろうという観点も実はあるわけだと思いますので、その二つに本局が置かれたような形をとることを今後どうなさるおつもりであるのか。  あるいはまた、地方運輸局には局長さんが一人ということ、次長さんも一人できるそうでございますが、いずれかの本局、いずれかの庁舎に局長さんがいらっしゃるわけですね。すると、他方の庁舎には局長が不在というような形の中で、職員の皆さんの士気だとか、あるいは運営管理といっていいんでしょうか、そういう面で支障などないのかどうか。  あるいは運輸省が設置をされて以来最大の規模の機構改革だということでございますが、さきに各委員からも指摘があったかと存じますけれども、ブロック機関について九つ以上あるところはできるだけ全国を八つに統合再編すべきである、そういう答申も出ているわけでございます。そういうことも踏まえまして、今回のこの機構の改革をどのように運輸省として位置づけをなされまして、今後国民の信頼を一層から得ることのできる運輸行政を進めていこうとなさっておられるのか。基本的な部分につきまして大臣から御所信をお伺いしたいと存じます。
  74. 丹羽晟

    ○丹羽(晟)政府委員 お答え申し上げます。  地方海運局陸運局統合いたしまして、地方運輸局を設置したいということで御審査をお願いしておるわけでございますが、これは地方におきます海系の事務、陸系の事務、そういったものを総合的にいたしまして効率化を図りたい、中央の方におきましても、運輸行政の中で、いわゆる縦割りという形をできるだけ横割りの形で全体の総合交通政策を考えたいということが基本的な出発点でございますので、地方におきましてもできる限りそういう点を実現したいと考えているわけでございます。  それで、ただいま先生指摘の諸点がございますが、まずは、今地方の局の庁舎につきましては、新潟を除きましては陸運局海運局の庁舎がそれぞれ別個でございます。それでこれを統合するに当たりまして、庁舎事情というようなものが今必ずしもいいわけではございませんものですから現在の庁舎をそのまま使わざるを得ない、こういう事情がございます。したがいまして、現在の庁舎に、海でいきますと運航部、船舶部、船員部、陸でいいますと鉄道部、自動車部、整備部、そういったものがそのままの形で残っていくという形で当面は処理する、こういう形になるかと思いますが、この点につきまして、こういう形の統合をするということにつきましては地元関係の皆様にもいろいろ周知徹底しておりますし、今後もそういうことで御迷惑をかけないように、わかりにくいことがないように、混乱を招かないように努めてまいりたいと思います。  また、先生指摘のとおり、局長は運輸局長一人になるわけでございますので、できる限り局長の権限は次長以下の方に内部で委任いたしまして、局長の肩の荷をできるだけ軽くするようなことを考えまして、両庁舎に局長が、毎日というわけにはいきませんが、必ずいられるような形を考えまして、局長仕事は両庁舎で処理できるように、こんなふうに考えております。  それから、八ブロックの関係の御指摘もございました。私どもの方といたしましては現在九つの運輸局ということで考えておりますが、これにつきましては政府の閣議決定が先日ございまして、それでおよそ二年くらいの間を検討期間といたしまして今後検討するという形になっておりまして、この辺につきましては、統合後の実態とか、具体的には新潟運輸局の問題になるわけでございますが、新潟運輸局のあり方、そういったようなものを踏まえまして慎重に考えてまいりたい、かように私ども考えております。
  75. 山田英介

    ○山田委員 結構だと存じます。  せっかくの機会でございますので、私は、通勤通学輸送にかかわります、特に首都圏、東京圏の鉄道の輸送網といいますか鉄道網の整備に関連をいたしまして、具体的に幾つかの大きな重要な路線を例として挙げまして、提案やらあるいはまた若干の質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  と申しますのは、当委員会は内閣委員会でございますけれども、通勤通学時においては本当に大量の通勤客の皆さんが毎日、しかも広域的に移動なさっている。繰り返されている。例えば、混雑度とよく言われますけれども、二〇〇%も超えるということになれば車内においてかなりの圧迫感がある。二五〇%も混雑度が数えられるようになりますと、列車、電車が揺れるたびに体が斜めになりましてもとに戻らない、手も動かすことができない、そういう状態になるわけでございます。毎日毎日そういう極めて大変な通勤の事情のもとで、ある意味では、東京そして東京の近県、この首都圏の通勤客、そういう皆さんによって日本経済の極めて大きな部分あるいはまた極めて枢要な部門が担当なされているというようなことを考えてみますと、実は個々の路線を挙げまして具体的に御意見を申し上げたりあるいは国鉄御自身、運輸省御自身のお考え方を聞いてまいりますことは大変大きな意味があると私は思っておりますものですから、ここで具体的に何点か取り上げさせていただきたいと思っております。  一つは、新金線という貨物線が首都圏にございます。御存じのとおり、これは総武線の新小岩と常磐線の金町を縮んでおります、現在は貨物専用の路線でございます。運輸省が昨年十二月に運輸経済年次報告を出されておりますが、私はしっかりと拝見をいたしました。その中でもはっきりと指摘をされているわけでございますが、四十七年三月の都市交通審議会、これは現在運輸政策審議会に引き継がれているわけでございますが、この答申第十五号に、昭和六十年度における予測人口というものが出されているわけでございますが、五十五年度の国勢調査の人口がこの昭和六十年度の予測人口を既に上回っている方面というものが首都圏にあるわけでございます。これは年次報告に指摘されているとおりでございますけれども、例えば千葉県の北西部、それから埼玉県の東部につきましては、既に五十五年国勢調査時点でこの答申第十五号で予測した六十年度の人口を大きく上回っているという推移があるわけでございます。千葉県の北西部とか埼玉県の東部というのが、常磐線とか総武線とか、あるいはこれから申し上げますけれども、民有鉄道の東武伊勢崎線とかあるいは東京の外環状線でございます国鉄の武蔵野線とか、こういうものがまさにこの方面に当たる重要な基幹鉄道、こういうことになっているわけでございます。方面別混雑率の推移をずっと図表にされたものを資料としていただいております。ここでは五つの方面につきまして混雑率の推移が出ておりますけれども、これを見ましても、千葉県あるいは茨城県、ただいま申し上げました千葉県の北西部が含まれてまいります。それから東埼玉という方面、これが今申し上げましたような武蔵野線だとかあるいは伊勢崎線だとか新金線だとか、こういうものが運行されている方面になるわけでございます。  そういうことで、これからの旅客鉄道の整備という方向性を考えました場合には、特に年次報告でも指摘をされておりますように、千葉県の北西部であるとかあるいは埼玉県の東部とか、こういう方面の旅客鉄道網の整備というものを運輸省としてもあるいは国鉄としても特に重点的に図っていかなければならないのではないかと私は思うわけでございますが、この点、いかがでございましょうか。
  76. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 東京圏の通勤輸送にかかわります混雑状況がどのようになっているかは、今先生が御指摘のとおりと思います。それで、このような通勤輸送の混雑を解決していくということは運輸省にとっては極めて重要な課題になっているわけでございます。そういうことで、東京圏全体の鉄道の混雑緩和、そのための鉄道網の整備につきましては、現在、運輸政策審議会で検討し、審議願っているところでございます。  そこで、東京圏の混雑状況の中で一番問題になるのは今お話しのような千葉、茨城方面あるいは東埼玉で、これまで鉄道の整備に伴いまして混雑率が東京全般としてはやや緩和の方向になってまいったわけですが、昭和五十年以降徐々に徐々にこの方面の混雑率が非常に強くなっている。そういう状況がまた、今回の運輸政策審議会の諮問を緊急にやられなければいけないという背景になっているわけでございます。私ども、そういった混雑解消問題について早く見通しをつけるということをぜひともしたいと思って、できるだけ早く審議会の答申をいただきたいというふうに考えております。
  77. 山田英介

    ○山田委員 ただいま申し上げましたような大変厳しい、ある意味では社会問題化している通勤地獄とも言われているような状態でございます。そういうことで私は、新金線の旅客化という問題を今テーマに取り上げさせていただいているわけでございますけれども、当然東京圏全体の鉄道輸送網整備という全体観に立ちましてこの新金線の位置づけをしていかなければならないのじゃないかと思っておりますが、特に千葉県北西部あるいは埼玉の東部というように考えた場合に、この新金線の旅客化というのが極めて大きな意味合い、役割を果たすのではないかと考えられます。  仮に、これの旅客化を御検討いただくということに当たりましては、ぜひ総武線の秋葉原へ向けての乗り入れも考えていただく必要があろうかと思いますし、あるいはまた、いわゆる常磐線の金町から、東京の外環状線としての位置づけがされている国鉄武蔵野線への接続、乗り入れというものもワンセットで御研究をいただくことができるならば、総武線、常磐線、これはまさに千葉、茨城あるいは千葉の北西部という方面を担当する極めて重要な二線でございますので、こちらの混雑の緩和にも非常に大きな役割を果たすことができるだろうと私は思っております。  それからもう一つは、やはりこの方面の国鉄の武蔵野線でございますが、現在、東京都へ向けての通勤客のほとんどの皆さんというのは、民鉄線の東武伊勢崎線を利用しまして入ってくるわけでございます。これがまた大変な混雑です。したがいまして、仮に新金線が旅客化されて武蔵野線まで若干の建設延長していただき乗り入れが可能になる、あるいはまた先ほど申し上げましたように総武線から秋葉原へ、中央線の方へ出ていかれるという路線が仮に実現をしたとすれば、これは全部民鉄に流れていた、取られていたと言ったら語弊がございますけれども、そういう利用客、通勤客の大きな流れがこの国鉄の新金線の旅客化された路線を通って東京へ出てくる、取り返すという言い方はおかしいかもしれませんが、非常に大きな部分を国鉄が期待できる。それから、背後地というのでしょうか、その周辺の潜在的な鉄道に対する需要というものは物すごく強く高いものがございます。そういう皆さんがこの旅客化された新金線を利用していくということが考えられますものですから、これは先ほど御答弁をいただきましたけれども、現在鋭意審議中でございますこの運輸政策審議会の答申に、新金線の旅客化、そして総武線への乗り入れ、それから武蔵野線への接続、乗り入れ、この点につきましてはぜひ反映をさせていただけるように運輸省にもお願いをしておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  78. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ただいま、千葉県、埼玉県の交通事情の緩和のために、新金線の旅客線化ということを核としてその周辺の整備をするという御提案があったわけでございますが、全体の路線構想を具体的にどうするかというのは、今運輸政策審議会では人口全体のあり方に見通しをつけ、さらに各事業者等あるいは各県からあり方について要望をヒアリングしているというまだ段階でございますので、実際にどういう路線が一番合理的かということは、これから審議に入っていくということでございます。  ただ、今お話がございました、金町から新小岩へつなぐこの貨物線を旅客線化するということは、既設線の活用という点ではコストの点その他から見ましても非常に有効であると思います。そして、特にこれが常磐線の混雑緩和に非常に有効になるという点もまた評価されるだろうと思いますが、ただ、新小岩から先どうするかということは、総武線に対して圧力がかかるという問題もございます。これをどういうふうに避けるのか、あるいは金町から先を一体どういうふうに考えるかなど、いろいろな問題がありますので、全体としてこの付近にどういうネットワークをつくったらいいかということはもう少し検討さしていただくことが適当かと思っております。
  79. 山田英介

    ○山田委員 運政審の審議状況、現状につきましてはお話を伺いましてよくわかりました。それを踏まえまして、ぜひその答申にこの新金線の旅客化の問題につきましては反映をさせていただきたい。私の要望でございますので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  関連して、例えば田端操−大宮操間のいわゆる貨物線、おかげさまで本年二月一日東北、高崎線の旅客乗り入れを実現していただいたわけでございますが、本当にありがとうございます。例えばこの間の貨物の本数を新金線の貨物の本数と比較をしてみましても、五十九年二月のダイヤ改正では田端操−大宮操間の貨物列車というのは上りで二十二本、下りで二十四本、それから新金線の上りが二十二本、下りが二十一本、新金線と田端操—大宮操間の貨車の運行本数というのはほぼ同じぐらいというふうに見てよろしいかと思います。それだけで申し上げることは僭越かと思いますけれども、しかし現実に大宮操−田端操間の貨物線路に高崎線、東北本線の旅客の乗り入れが実現をした今日、新金線におきましても乗り入れが全く困難であるということにはならないのだろうと私は思いますものですから、この点もひとつぜひ参考にして踏まえていただきまして、運政審の答申に反映をさせていただけるように運輸省としても特段の御努力をお願いしたい、重ねて申し上げたいと存じますが、実際にこの新金線を管理といいますか運行されておられます国鉄としては、この問題をどのようにお考えでございましょうか。
  80. 須田寛

    須田説明員 お答え申し上げます。  新金線につきましては、首都圏の周辺に残されました数少ないルートといたしまして大変有効な役割を持っているということは先生も御指摘のとおりでございまして、私どもも同感に存じます。  ただ、幾つか問題がございますのは、現在新金線は単線でございます。それで四十三本の貨物列車を動かしておりますので、これに増車を乗り入れるということにいたしますと複線化の問題が出てまいります。その場合、線内にございます踏み切りをどうするかというふうな新金線自体の問題、あるいは貨物列車との調整の問題が幾らかございます。それから、先ほど運輸省の審議官からも御答弁がございましたように、根元になっております常磐線、それから総武線がかなり混雑をした線区でございますので、そこに新たに新ルートでお客様が流入するということになりますと、それをどのようにさばいてまいるか。例えば都心の方に持ってまいるにいたしましても、現在の総武線ルートに乗り込むということは非常に難しゅうございますので、どのように都心へのアプローチをつけるか、そういったような幾つかの問題がございます。  したがって、本件につきましては非常に重大な関心を持ち、かつまた非常に有効に使うべき線区だということでございますけれども、その辺につきましては運輸省の御指導もいただきながら、他の交通機関とのバランスも考えながらそういったターミナルなりルートの問題をもう少し勉強しなければいけないと思っておりますので、先生の御趣旨も十分に体しましてこれから勉強してまいりたい、このように考えております。
  81. 山田英介

    ○山田委員 常務理事の御答弁、大変結構だと思うのですが、単線というふうにおっしゃいましたけれども、実際には複線の用地が確保されているかと存じます。それから、国鉄の北局のお考えかと存じますが、ことしの二月のダイヤ改正、魚物の大改正をやったわけでございますが、それで四十何本、上り下りで今運行されているわけですけれども、一年、二年後というふうに将来を展望しますとさらに大幅に本数が減ってくるのではないかという見通しも北局の方ではお持ちのようでございますものですから、その辺も長い期間かけて先の話ということではありませんで、これは当然運輸省にもお願いしたいと思っているわけですが、国鉄もひとつ本格的な御検討をできるだけ早日に開始をしていただきたいと思っておるわけであります。勉強なり研究なりなされているということは私もよくわかるような気がいたしますが、そこにとどまらず、ただいま常務理事が御指摘なさいましたように、首都圏に残された極めて数少ない、活用の仕方によっては大変大きな効果をもたらす鉄道一つである、最後の一つであるとおっしゃったかどうかちょっとあれですけれども、そういう重要な路線でございますので、本格的な御検討の開始をできるだけ早くしていただきたいと思いますが、恐れ入りますがもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  82. 須田寛

    須田説明員 運輸省当局の御指導もいただきながら、先生指摘のように本格的な勉強を進めてまいりたいと思います。
  83. 山田英介

    ○山田委員 時間が少なくなってしまったのですが、あわせで私は、東京圏北口の輸送形態の問題について改めてお伺いをしたいと思っております。  東北本線、それから高崎線、これらはいずれも、東北本線の場合には東京と青森とをつなぐ鉄道の中でも一大動脈というふうに位置づけることができると思いますし、一方の高崎線につきましても新潟と東京を結ぶもう大幹線鉄道であるというふうに私は思っているわけでございますが、この東北本線、そして高崎線の近距離、中距離列車を利用して東京圏の北口から東京そのものへ流入してくる、移動してくる通勤客の大きな波が実はあるわけでございます。  大宮−東京間といいますか赤羽間、この辺が輸送力が小さい、パイプが小さいということで今まで大きな問題があったわけでございますが、先ほど申し上げましたように貨物線の高度利用といいますか多角的な利用ということで、一部非常に大きな効果は山始めておるところでございます。  そういう中で来年の三月開業を御予定なさっております通勤別線でございます。大宮と池袋を赤羽経由でつないでいきます通勤別線、これは通勤通学輸送の問題には大きな効果を発揮する、そういう大変期待をされている通勤別線でございますが、実は高崎線の宮原駅が始発駅になり、そして赤羽−池袋と運行されるわけでございます。そういう歴史的な役割を果たしてきた高崎線ということも踏まえまして、通勤通学輸送改善のために、技術的にもあるいは財政的にも、それから常識的にもと言ったら語弊がありますが、通勤別線に高崎線の旅客を乗り入れさせることは不可能ではないのではないか、これは実現可能なことではないかと私は思っておりますものですから、その点国鉄のお考えを伺いたいと存じます。
  84. 須田寛

    須田説明員 通勤別線につきましては最終的な輸送形態の詰めをまだいたしておりません。これから始める段階でございますので、決定的なものではございませんが、先生指摘のように線路はつながっておりまして、乗り入れが可能な構造にすることを計画いたしております。  ただ現実の問題といたしまして、開業日に乗り入れをするかどうかということにつきましては、実はまだいろいろ問題があるわけでございます。それはなぜかと申しますと、いま御指摘のように通勤別線は池袋まで赤羽線を使って乗り入れてまいるわけでございますが、現在、赤羽線のお客様の状況、特に混雑状況からいたしますと、今の四枚ドアの国電型の電車を使わざるを得ないのではないかというふうに思っております。そういたしますと、高崎線に使っております中距離型の三枚ドアの電車とは性能上非常に違った姿のものになりますので、ちょっとその辺の調整をどうするかという問題がございますので、これからもう少しお客様の流れあるいは開業の具体的な時期が決まりました段階での輸送計画を詰める中におきましてその辺は詰めなければいけないと思っておりますので、ちょっと乗り入れの問題につきましてはまだペンディングという状況でございます。  ただし、宮原での接続、連絡等は十分考慮をいたしまして、スムーズな乗りかえをしていただけるような、こういったことは必ず実施をしてまいりたい、こう思っております。
  85. 山田英介

    ○山田委員 私も通勤別線開業時期の来年三月に固執をすると申しますか、どうしても間に合わせていただきたい、そういうつもりで申し上げたわけではございません。間に合えばこれにこしたことはないわけでございますけれども、御答弁を伺いますと、乗り入れは可能な構造になっている、しかし乗り入れさせるかどうかについてはペンディングである、こういうことだろうかと存じます。  首都圏の北口の輸送形態、これはかつては五方面作戦と申しますか、そういう位置づけをなされて北口の輸送形態も御研究なされておられる国鉄でございますので、通勤別線への高崎線旅客の乗り入れは、これは時代を画する、高崎線の鉄道としての歴史を画する大きな出来事になろうかと存じますし、あの沿線の皆さんの期待も非常に大きいかと存じますので、来年の三月に間に合わせろということに私は固執はいたしませんけれども、乗り入れが早口に御決定をいただけるようにぜひ前向きにお取り組みをいただきたいと存じますが、重ねて御答弁をお願いしたいと存じます。
  86. 須田寛

    須田説明員 お客様の流れその他を十分検討いたしまして、全体としての通勤のお客様に最も御便利な形態にするべく、先生指摘の御提案のものも含めまして勉強を深めてまいりたいと思います。
  87. 山田英介

    ○山田委員 ただいまの御答弁を踏まえまして、私は先ほど指摘を申し上げましたように、この高崎線、東北本線というのは、いずれが重要でいずれが比較して重要でない、そういうことは言えない、甲乙つけがたい非常に重要な幹線鉄道でございますので、高崎線と東北本線の整備ということにつきましては両者のバランスを極めて大切にしていただいて、そうしてこの輸送力の整備を図っていただくべきが筋であろう、私はそのような考え方に立っておるわけでございます。  それを踏まえまして、高崎線につきましては前向きな御答弁をいただけたと私は理解をいたしておりますけれども、東北本線の場合には、せっかく今度既設貨物線を高度に活用なされて、赤羽どまりではございますけれども、これもまた一つの大きな、国鉄史上と言ったら大げさになりますが、いや決して大げさではないと思います、そういう全国的にも初めての実施がなされたところでございます。東北本線につきましてはこの貨物線を活用していただいて、そうして、田端付近からずっと迂回をしてまいりますけれども、池袋へとこの貨物線路がつながっているわけでございますので、上野方向一方方向だけではなく、新しい時代の東北本線あるいは高崎線という角度から、これをひとつ副都心方向へも、高崎線の通勤別線乗り入れとバランスをとった形でぜひともこれも前向きに御検討、そして実施の方向を目指してお願いしたいと思っているわけでございます。  さきの衆議院予算委員会分科会でもこの問題で細田大臣ともやりとりをさしていただいたところでございますが、大臣のお考えも、貨物、旅客、いわゆる既設鉄道の上手な組み合わせとかあるいはまた工夫の仕方によって非常に大きな輸送改善ができるのではないか、こういう御意見をお持ちである、そういうような御答弁をいただいてもおりますものですから、高崎線の通勤別線への乗り入れ、それにバランスをとった形で東北本線の客車は、現在の京浜貨物線と申しますか、この貨物鉄道を使って副都心方向への乗り入れもぜひ実現をさせていただきたいと御要望申し上げる次第でございます。  これはいずれも極めて重要な歴史のある高崎、東北本線でございますので、大臣、ひとつ今までの論議を踏まえて前向きな御答弁をお願いしたいと存じます。
  88. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私個人のことを申し上げてはなんですけれども、終戦画後に現在の東京鉄道管理局に相当する上野管理部長をやりました。私は鉄道では東京鉄道局にずっといた者でございますし、特に旧上野、要するに東北本線、高崎線、常磐線方面の担当を長くやっておった者でございます。  新小岩−金町線につきましては、私は若いときは千葉の鉄道管理局におったわけでございますが、私鉄であれば新小岩−金町線はあんな格好をしていなかったと私は思うのです。私は前から言っておるのです。私鉄だったらあれはもうとっくに複線電化をして、旅客輸送をあわせてやっておったと思います。これは国鉄であるからやれなかったんだ、これは前から私の持論で言っておることで、あなたの御意見非常に結構でございまして、敬意を表します。もちろん問題点は総武線にも常磐線にもございますし、須田常務が言ったようなことだろうと思います。  それから高崎線と東北本線の通勤輸送について、今あなたがお述べになったことについては非常に大局的な立場に立った結構な御意見だと思っております。そういう方向で恐らく運政審の答申も出ることであろうと思います。とにかく東京の北東部といいましょうか北、これが非常に今通勤で欠けておるところでございますので、そういう点から力を入れてまいらなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  89. 山田英介

    ○山田委員 細田大臣の大変前向きな御答弁、感激をいたしております。ぜひひとつよろしくお願いを申し上げます。  時間もありませんが、最後に武蔵野線の位置づけを須田務理事にも前回私お伺いをしたわけでございますが、東京の外環状線とか、あるいはまた、貨物輸送でスタートしたけれども、近年お客さんが非常にふえてきて国鉄としても輸送改善に非常に力を尽くさなければならない重要路線一つである、そういう位置づけをなされておられるわけでございますが、それにしては、五十九年二月一日のダイヤ改正におきまして山手線初め東北、高崎、常磐線、総武線、内房線、何とか線と首都圏の主要な国鉄が、増発とか増結とかあるいはまた列車を電車化するとか、全部輸送改善されているわけですが、武蔵野線だけが全く取り残されたという印象を持っておるものですから、何か御事情があるのか。重要な路線だと位置づけている割には扱いが随分冷たいじゃないかという感じも受けるわけでございます。  したがって、そういう事情があるものですから、つい一カ月、二カ月前にダイヤ改正をなされたばかりでこんなことを申し上げるのはなんでございますが、六十年三月が次期のダイヤ改正時と伺っておりますので、武蔵野線の総合整備という観点、先ごろ私お話をるるさせていただいたところでございますが、それもぜひ参考にしていただきたいと思っておりますが、並行してといいますかその前段階でと申しますか、そういう経緯も踏まえて今回武蔵野線だけが外された何か特段の御事情があれば伺いたいと思いますし、あわせて、来年三月の次期ダイヤ改正時には沿線の住民の皆様も大変熱望されておりますので増発ということをぜひお願いをしたいと存じますが、その二点につきまして御答弁を伺いまして、質問を終わりたいと存じます。
  90. 須田寛

    須田説明員 武蔵野線におきましては確かに五十九年二月は増発をいたしませんでしたが、その前は五十五年、五十七作、五十八年とダイヤ改正の都度実は増発させていただいたわけでございます。したがいまして、今回は若干列車の配列を並べかえる程度で確かに増発がございませんでしたので、先生指摘のような地元に若干御不満があることも承知いたしておりますが、確かに重要路線になってまいりました。それから住宅も張りついてまいりましてお客様もふえてまいりましたので、現在大変いい乗車状態と申しますか御利用状態でございます。したがって、今まだ詰めてはおりませんけれども管理局の方で六十年の春には何らかの増発を含む改善というのを検討しているというふうに聞いておりますので、もうしばらくお時間をちょうだいいたしたいと思います。
  91. 山田英介

    ○山田委員 ありがとうございました。終わります。
  92. 片岡清一

  93. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最初に委員長にお断りしておきますが、十二時十分から科学技術委員会理事会がありますので、それまで質問を続けさせていただいて、そこで中断させていただきたいと思います。あとは本会議終了後引き続きやりたいと思います。  まず運輸大臣にお伺いいたしますが、この運輸省設置法の一部を改正する法律案の提案理由の中に「国際的な相互依存関係の深化等に伴う国際関係に十分配慮した運輸政策の推進」、こういうことがうたわれておるわけでございますが、この「国際関係に十分配慮した運輸政策」とは一体具体的にどういうことを指しているのか、御説明願いたいと思います。
  94. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 このたびの設置法では、運輸省の国際関係事務が非常に重要になってまいったものでございますので、運輸省組織改正といたしますと国際運輸・観光局というようなものをつくってこの問題に対処したいということを基本的に考えているわけですが、このたびの設置法の考え方でもそういう事実の認識を前提にしているわけでございます。  それで、現在の我が国の状況を見ますと、我が国経済は世界経済に非常に大きく依存している。そしてまた、世界経済自身が非常に長期に停滞化し、先進国相互間でもあるいは南北間でも国際関係が非常にふくそう化しております。そういう意味では世界的な調整ということが極めて切実な状況になってきております。我が国が国際社会の一員として自由社会の中で非常に大きな大国として成長している今日、その果たすべき役割は非常に大きいわけでございます。国際運輸の分野におきましても、我が国が世界の経済あるいは世界の交流の中で果たすべき役割を十分認識して、そのような日本のあり方というものを十分に念頭に置いてこれから多角的な国際運輸活動を展開していく、こういう基本的認識を持っているわけでございます。
  95. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今官房審議官からいろいろお答えをしたとおりでございますが、海の関係、空の関係、それから観光関係を国際問題としてつかまえる、今まではばらばらにやっておりましたが、日本の国際的な地位が向上しましたから国際的な問題として、そういう視角から取り上げていく部局をつくって強化をしてまいりたい、こういうことでございます。
  96. 渡部行雄

    渡部(行)委員 しかし、これ何か大山鳴動ネズミ一匹みたいな感じなんです。形容詞は非常に大きく書いているけれども、結局とどのつまりは国際観光局というようなものに縮まっているような感じがするのです。国際運輸となればやはり空の運輸、海、大体こういうものに集約されていくと思うのですが、その際に一体海と空をどのように立体的に考えていくのか、体系的に考えていくのか、これが運輸大臣の政策となって出てこなければならないと思うのですが、その辺はいかがなものでしょうか。
  97. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 国際運輸・鶴光局におきましては、今お話しのような海運問題あるいは国際航空問題というものを、挙げて一体の局として総合的な視点から展開していくということでございますが、海運と航空の関係というのは、特に旅客ではなくまず貨物の流動という点から申しますと、これは現在の世界経済あるいは日本を中心とする国際取引のあり方が大きくこれを決めていくわけでございます。事実、世界の経済の中で、高付加価値の商品が非常にふえております。これらは非常に軽量でかつ取引が敏速を必要とされるということで、航空のウエートが年々増加してくる。国際航空の需要増大というのが全般的な方向で、そういう国際航空あるいは海運を通じまして世界的な貨物の流動のシステムというものを合理化していくということが強く要請されてくるわけでございます。そういう意味では、例えばフォワーダーというものを中心として国際航空と外航海運というものを組み合わせて利用していくというのがこれからの民間の活動の基本でございます。運輸省としては、そういうような国際的な運輸活動の展開の容易なシステムというものを考えていくというのが政策の基本であろうかと思います。
  98. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は大臣に聞いているのだよ。大臣が一番偉いんだから、大臣のその遠大なる構想をひとつ聞かしてください。
  99. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 失礼しました。  今御質問にありました、これは観光局になってしまうんじゃないかというようなお話は、私はとんでもない話だと思っております。観光の方が小さいのでございまして、国際航空と特に外航海運という運輸省の表看板のようなものがこの局にはあるわけでございます。簡単に申し上げれば、例えば語学の点やあるいは情報の収集の点やいろいろな点でも、国際的なエキスパートを国際運輸・観光局へ集めるという仕組みにいたそうというわけでございます。  しかし、それをつくったから全部一遍に何かが変わっちゃって非常によくなるかどうかというようなことは、考え方でございましょう。考え方でございますが、少なくとも、今貨物について総務審議官から申しましたが、やはり統一的に国際的な物を見るという視覚ができるということは大事なことじゃないか。  しかし、これから組織をつくり直してつくり上げていくわけでございますから、経過的にはいろいろぎこちない点があったりすると思いますけれども、国際運輸政策という言葉があるかどうかわかりませんが、そういう面を確立するという考え方で、まあ抱負は、大きな抱負を持ってつくろうとしておるものでございます。
  100. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今、日本の国際航空運送の中で一番大きな問題を抱えているのは、日米間の民間航空運送協定の問題だろうと思うわけです。これは昭和五十八年十二月の日米航空ホノルル協議で、昭和六十年九月まで日米間の利益の総合的均衡を実現するための改定協議を数次にわたって行うことが合意されておるわけです。その第一回目の会議が本年三月二十七日より三十日まで東京において開催されたわけであります。その際、日本側は総合的権益の均衡と適正な運送力秩序の確立を図ることという二点について強く主張されたと聞いておりますが、その具体的な内容についてお聞かせ願いたいと思います。
  101. 山下新太郎

    ○山下(新)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、三月二十七日から四日間ほど日米の航空協議を東京で行った次第でございます。その際、日米両国間の航空権益の総合的均衡と、両国の航空関係の基礎になっております航空協定がございますが、これの全般的見直しということを基本的目的として開いたわけでございます。  私どもがこの三月に行われました交渉で米側に提示いたしましたのは、総合的な権益の均衡を図るのに日本側としてどういうことを考えているかという、その考え方を申し入れたわけでございます。  詳しいことは、実はいまだ交渉中でございまして、差し控えさせていただきたいのでございますけれども、限目となります点は、路線権の問題、以遠権の問題につきまして均衡化を図り、もう一つ、輸送力の問題につきまして何らかの調整を図る方途を導入すること、これを米側に提示した次第でございます。  これに対しましてアメリカ側は、基本的な考え方が自由競争というところにあるわけでございまして、そういう立場からいろいろ検討するのかと思いますが、次回の協議が九月にアメリカで行うことに予定されておりまして、そこで私どもの提示しました考え方にアメリカとしての公式のコメントを行っていく、こういうことになっているわけでございます。  それ以降、さらに明年になりますが、現在予定しておりますのは、二回ほど話し合いをしまして、航空権益の日米間における総合的均衡を図る、そのために粘り強く私どもとしては交渉をやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  102. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、日本側の主張に対してアメリカの主張は一体どういうふうになっておるのか、その中身について明らかにしていただきたいと思います。  一九四四年にシカゴで開かれた国際民間航空会議で、アメリカは互いの国の間で自由に商業航空の行えるよう五つの空の自由を主張したと承知しておりますが、現在もその主張は変えていないでしょうか。その辺について御説明願いたいと思います。
  103. 山下新太郎

    ○山下(新)政府委員 先生の今御質問になりました第一点でございますが、三月末に行われました交渉に関するアメリカ側の回答というのは、実は私ども考え方を米側は聞いて帰りまして、それでこの九月までに慎重に検討した上で返事をする、こういうことになっておりまして、公式のコメントと申しますか意見の表明は正確に申し上げますとなかった、こういうことだと存ずる次第でございます。  第二点でございますが、確かにおっしゃいましたように、一九四四年十一月でございますが、シカゴでアメリカが招請をした五十二カ国ほどの国際民間航空会議が開かれたと承知いたしております。この会議におきまして、アメリカは空の自由化ということを主張しまして、このアメリカ側に対しまして英国を初めとするヨーロッパの国々が空の秩序を主張したというふうに聞いております。その結論と申しますか結果といたしまして、国際航空に関する基本原則を言うなれば整理統合するということが図られまして、国際民間航空機関、通称ICAOと称しております国際機関を設立する国際民間航空条約、いわゆるシカゴ条約でございますが、これがつくられまして、さらにまた、御承知のいわゆる五つの空の自由と申するものがございますが、それらに絡んだ協定等がつくられた次第でございます。  現在アメリカは空の自由に関してどんな態度をとっているかという点でございますが、米国のこの点に関する基本的な姿勢には変化はございませんで、国内的にはいろいろディレギュレーション、規制の緩和、こういったような政策をとっているというふうに理解いたしております。
  104. 渡部行雄

    渡部(行)委員 午前中の分はこの程度でやめさせていただきます。どうもありがとうございました。
  105. 片岡清一

    片岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後三時二十分開議
  106. 片岡清一

    片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡部行雄君。
  107. 渡部行雄

    渡部(行)委員 前に引き続いてお伺いいたしますが、総合的権益の均衡というのは具体的にどういうことを指しているのでしょうか。
  108. 山本長

    山本(長)政府委員 いろんな面にわたりますが、基本的に申し上げますと、いわゆる路線権と言っておるものが一つございます。相手国に乗り入れる時点の権益、これが相手国が日本に入ってくる権益とバランスを保つというのが一つ路線権の権益の均衡ということになろうかと思います。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕 もう一つは、以遠権の権益の均衡というのがあると思います。これは、相手国に乗り入れてからもう一つ第三国へ運輸権を行使するという権益でございます。こういった相手国へ行ってさらに第三国へ行くという場合の運輸権というものもお互いの国で約束した範囲内において権益を行使するということになっておりますから、そういった権益のバランスということが権益の均衡ということに該当すると思います。こういった面につきまして日米間に均衡を失する点があり、これの均衡を保つ必要があるという点から、日本側は主張しているわけでございます。
  109. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この路線権と以遠権についてですが、確かに路線についてアメリカの五社が入ってきて、相当日本市場に大きな影響を与えていることはよくわかります。また以遠権についても、アメリカは完全に無制限という形なのに対して日本は強い制限を受けておる。これはつまり、日本が敗戦国という弱みをそのまま現在の条約に残されているのではないか、こんなふうに考えられるのですが、その点はいかがでしょうか。
  110. 山本長

    山本(長)政府委員 これはアメリカ側からの見方と日本側の見方が違っておりますが、私たちは当然日本の立場に立って物を考えますときに、先生おっしゃるように、戦後のアメリカの国力、経済力、政治力というものが世界を圧しておった、そういった背景のもとに協定が締結されたという、そういう時勢の背景があろうかと思います。それがすべてと言えないかもしれませんが、先生おっしゃるようなアメリカと日本との戦後における関係というものがやはり反映しておるのではないかというふうに考えます。
  111. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この日米航空協定というのは、今一番大事なのはいかにして日本が独立国家としてのその人格を確保するか、つまりアメリカとどうして対等の立場でこの条約を眺めることができるかという状態をつくることだろうと思うのです。そういう点で、今まで日本の側はアメリカとの摩擦を恐れる余り言いたいことを言わないできたのではないか、こんなふうに考えられるのですが、その点はいかがでしょうか。
  112. 山本長

    山本(長)政府委員 この日米の航空協定改定交渉というものは、昭和五十一年以来長きにわたる交渉でございまして、間に中断があり、あるいは暫定協定の取り決めがありしながら、未解決の問題でございます。中断があり、あるいは暫定協定というふうなことで、その時点においてお互いが主張し合っておる中で、全般的には合意に至らないまでも、そのときにおいて当面の問題を解決し、必要な権益を交換するということで今まで来ておるわけでございます。  先生おっしゃる、日本側が言うべきことを言ってないのじゃないかというふうな御質問でございますが、これは基本的にいまだ未解決であるということこそやはり日本側が言うべきことを言っておるということでございまして、アメリカ側も忌憚なく意見を言うというところにお互いの考え方に相違があり、まとまってきてないということでございまして、私はこの十年近くの交渉を振り返ってみまして、日本側が言うべきことを遠慮しておるというふうには考えておりません。
  113. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ただ、アメリカの言うことにも一理はあるように思うのですよ。空の自由化ということ、確かにこの広い空を飛ぶのに制限を加えるというのは何か不合理な感じもしないわけではないのです。問題は、日本側の運送秩序の確立というこのことが具体的に説得力をどう持つかということだろうと思うのです。  そこで、今のような日本航空一社によって運航が支配されておるという環境の中では、なかなか自由競争の原理の上に立った説得力というのは出てこないのではないだろうか。つまりほかの、例えばイギリスは三社以上であり、アメリカはもう五社も日本に入ってきておるわけです。そして、フランスやカナダその他の国も大半二社でやっておる。日本だけが日本航空一社に絞って、この独占を保証しておると言った方が適切だと思いますが、こういうところで説得力を欠いているのではないか。つまり日本の国内においても二社で競合し合い、あるいはそれ以上でも構いません、そういう一つの民主的なというか自由な活力を引き出すという方途を講じながら、そして空のいわゆる無法状態ではなくて秩序ある運航ということで説得を図っていくことが大切ではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  114. 山本長

    山本(長)政府委員 御質問の、アメリカは日本に入っている会社が五社であり、日本は日本航空一社であるという点はそのとおりでございますが、そういった国際航空運送事業を行う自国の企業の数のいかんによって国と国との間の先ほど申し上げました航空の権益の交換というものに影響をするというふうにはちょっと考えられないのでございます。航空の権益の交換というものは、日米間ではお互い意見の相違があるわけではございますけれども、しかし基本はあくまでもその均衡を保って権益を交換し合うということになっており、大部分の国におきましてはそういう形で二国間の協定が成立し、比較的問題なく運用されておるわけでございます。  先生のおっしゃる国内におけると申しますか国際に出る国内の企業の数の問題というのは、国と国とが航空権益を交換し合ったその権益の行使を一社でやらせるか、二社、三社で行うことにするか、こういう問題でございます。確かにアメリカは複数の、というよりは比較的多数の企業を国際企業として進出を認めているというアメリカのこのやり方というのは、世界的に見てそう多い例ではございません。ヨーロッパ諸国におきましては、ドイツ、イタリア、スイスあるいはオランダ等におきましては政府出資による一社体制というのをとっておりますし、先生の御質問の中にございましたイギリス、フランス両国は二社体制をとっております。しかし、この場合にも、路線を分け合いまして、そこで自国の企業が国際線の運営において競争し合っているという状態ではございませんで、地域を分け、路線を分けて、そして分担し合って英国、フランスでは今まで複数体制をとっている、こういう状態でございます。  国際航空企業というのは、御存じのように、自国の企業と他国の企業の激しい競争場裏にあるわけでございます。そういう競争場裏において自国の企業の数をどうするかというのは、先ほど先生がおっしゃいました権益の交換という問題とは別次元の問題ではないかと考えます。
  115. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私が先ほどイギリスが三社と言ったのは、「季刊おおぞら」という一九八一年の夏季号に書かれているのを読んで、そこで「三社以上ある国が、米、英の二カ国となっている。」と書かれているので、そうするとこっちの本が間違っているわけですね。  それはともあれ、今お答えの権益の交換だから一社でも構わないんだというお話ですが、それでは、日米間の輸送実績というものがあるわけです。時間がありませんから一番近い年度のを参考に申し上げますと、昭和五十七年度に四百九万人を輸送しているわけですが、その中で日本企業つまり日本航空は百六十九万人、四一%です。これは一社でそういうことです。アメリカは百八十九万人、四六%、第三国が五十一万人、一三%、こういうふうになって、しかもアメリカの百八十九万人は数社で分けるわけです。五社で分けることになるかと思いますが、そうすると、日本航空の一社の実績というものは群を抜いているのじゃないでしょうか。  しかも、私はこういうことを聞いているのですよ。あるとき、日本の高官が外国に行こうとしたときに、日航を利用しようとしたら非常に高い。そこで、たまたま全日空がそれを引き受けようとしたら物すごく安かった。それを聞きつけた日本航空は、今度値段を下げて、それでその飛行機で行ったという話を聞いているのですが、そんな簡単に値段を上げ下げされていること自体が、市場独占と言っても過言ではないと思うのです。  私たちが独占をしておると言うのは、つまり、飛びたい者がいるのにおれが飛んでいるのだからおまえは飛ぶ必要がないというこの感覚が独占であると思うのですよ。もっと本当に国民に奉仕する、そして国民のニーズにこたえるという姿勢があるならば、運輸省としても二社競合させるなりあるいは三社競合させるなり、いろいろな方法サービスの向上を図っていく、これが本当の運輸行政ではないでしょうか。これは大臣、どういうふうに思いますか。
  116. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答え申し上げます。  日本の航空が戦後一時途絶えておったのは御承知のとおりでございます。日本の空が、日本の空でなかったわけでございます。ようやく認められて、日航というものが海外に飛ぶことになったわけでございますが、御承知のように当初、政府が相当援助をしなければこの会社はやっていけないということで、出資をしたり補助金を出したりいろいろして育ててまいった、こういう経緯があるのでございます。もちろん、当時国際線二社というようなことは到底考えられないという状況下にあって、今日までずっと来ておる。したがって、現在の我が国における航空の基本方策としては、近距離のチャーター便を除きましては海外航空は日航一社にいたしておるわけでございます。  これに対して、今あなたのおっしゃいましたような点からもう一遍見直したらどうか、こういうことなんでございます。私は、時代はもうどんどん変わってきておりますから、中長期的には十分研究しなければならぬ問題だ、かように思っております。しかしながら、これだけを切り離して検討するわけにはいかない。日本航空は日本航空で国際航空をやらせておるかわりに、また一方で国内では非常な縛りをかけておるということになっておるわけでございまして、国内線では全日空と東亜国内航空の二社を相当優遇しておるといいましょうか、路線を余計持たせて余計飛ばせているわけですね。日航は幹線だけをやらせておる。こういうこともあわせて、航空一本として、航空憲法と言われておるような航空の現在の基本方針自体をいろいろな角度から総合的に見直していかなければならぬ、こういうことでございます。これは、私どもとしては絶えず勉強させていただいておるところでございまして、今おっしゃったようなこともこの研究の対象一つというふうに私は考えておる次第でございます。  なお、アメリカとの関係につきましては、かつて明治維新の後、条約改正というのは日本の非常に大変な問題になったわけで、明治政府で大変な苦労をしたことを我々は歴史で読まされるわけでございますが、日米間の航空協定の改定ということはいろいろな点で日本がハンディキャップをしょっております。といって、この航空協定を破棄して白紙から出直すということも、これはなかなか策を得たものではございませんので、粘り強く、我が方が少しでも有利になるように続けてやっておるという実情でございます。この最後に申し上げた件は、先ほどお話がいろいろございましたものに対して、私の感じておりますことをつけ加えて申し上げたわけでございます。
  117. 渡部行雄

    渡部(行)委員 日本とアメリカとの関係では、企業や便数や機種は双方とも一応制限なくふやすことができることになっていると言われておりますが、これは今も変わりありませんか。
  118. 山本長

    山本(長)政府委員 輸送力の設定の仕方の問題でございますが、航空協定におきましては、両国企業が提供する輸送力について問題があるときには政府において協議ができることになっております。しかしながら、それは事後で、いわゆる事後審査主義というふうに印しておりまして、事前においてそれのチェックはしない、こういう建前になっております。  現実におきまして輸送力について、先生先ほど申されましたようにアメリカ側と日本側とにおいて、都市によって違いますけれども、アメリカ側が優位に立ちあるいはお互いにバランスしている、そういう経過がございますけれども、特にその輸送力の設定について今まで政府間において大きな問題として取り上げたことはございません。事実上は、企業において自主的な判断に基づき輸送力を設定しておる。その輸送力の設定の中に便数、機材というものが含まれておる。こういう状態でございます。
  119. 渡部行雄

    渡部(行)委員 いわゆる路線の問題にしても以遠権の問題にしても、何かアメリカのある社では値引きをして、例えば南米あたりに行くのに非常に安く上がる、こういうようなことも実際に聞いておるのですが、そういうものに対してはどういうふうに具体的には対処するおつもりですか。
  120. 山下新太郎

    ○山下(新)政府委員 先生ただいま御質問になりましたことは、四月一日から、ユナイテッド・エアラインというアメリカの企業がございますが、これが運賃の値下げをいたしました。それの関係かと存じますが、ユナイテッド・エアラインがこういう措置を行うことを出しましてから、ノースウエスト航空も実は似たようなことをまねして始めているわけでございます。ここで考えられております値下げのやり方は、自分の会社の太平洋線に飛んでおります飛行機に日本発の旅客が乗る場合に、アメリカ国内に着きまして以降かなり低い価格で運賃を計算する、そういう特別割引運賃をやっておりまして、これが果たしてどういうことなのだということで私どもも問題意識を持ちまして検討した次第でございます。  それで、先ほど申し上げましたように、乗れますのが要するに自社の太平洋線に乗る者であるという点で排他的でございますし、かつまた日本の指定航空企業、すなわち日本航空になりますが、これがこういった措置に対抗して何かやり得る措置があるかと申しますと、日本航空におきましてはいろいろ検討はしたようでございますけれども、どうも妥当な方法がないといったようなことがございますので、私どもといたしましては、航空協定で言います協定業務を運営するのに公平かつ均等な機会が言うなれば損なわれている、さらにまた我が方の指定航空企業に対して不当な影響を及ぼすおそれがあるというふうに考えまして、航空協定上問題があるのじゃなかろうかというふうに考えまして、先月の末でございますが、アメリカ政府に対してそういう申し入れをいたしました。かつまた同時に、この時期でございますが、午前中も申し上げました日米間の航空協議をやっておりましたので、その場ではございませんが、その機会を利用しまして非公式に私ども考え方を申し入れた次第でございます。これにつきましてアメリカ側はできるだけ早く検討して結果を連絡してくる、こういう形になっている次第でございます。
  121. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題はそろそろ終わりたいと思いますけれども、この航空運輸というものを海運業と比べた場合、私は非常に不公平と不平等があるというふうに思えてならないわけですが、幾ら空の運輸とはいえ、権益の交換だから一社だけでいいのだ、それをまた国家が保障し支援していくことの方がいいのだという理屈は、私は国民に向かった言葉としては受け取れないわけでございます。国民の側から言うと、二社、三社が競合し合ってその運賃をお互いにできるだけ下げていく、そうしてなおかつこの乗客に対するサービスを図っていく、こういうことが一番大事ではないだろうか。飛びたい者は飛びなさいという姿勢が政府によって保障されることが本当の意味で自由な活力を引き出す大きな基礎ではなかろうか、こんなふうに考えるのですが、大臣は、この点海運と比べてどのようにお考えでしょうか。また、このような状態については今後どういうふうに対策するおつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  122. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 海運と航空は沿革を非常に異にしておるわけでございます。ですから、海運でお互いに複数の会社が日米間の航路をそれぞれ走っておるからといって、それが航空にすぐ適用されるということはなかなか難しい。日米航空協定をつくったときに、アメリカは多数の社が、五社今入っておるわけですが、航空の力からいい、実力からいって圧倒的に当時、今もややそうですけれども、今よりもはるかに圧倒的に向こうが強くて、こちらが弱くて、こちらはそれこそひ弱な状況である中で結ばれた航空協定であり、そして航空政策もそういう線に沿ってできたものだと思うのでございます。ですから、先ほど申し上げましたように、海運との関係はともかくといたしまして、海外の航空会社が二社であるべきかどうかということは、これはおっしゃるような理屈も確かに成り立ちます。ですから、私どもはこの点については研究する値打ちの十分ある問題だ、かように考えておるわけでございます。  ただ、私が先ほど申し上げましたように、国際航空を二社なら二社にするということだけを切り離してやるというわけにはまいらないのでございまして、航空政策全体の見直しをしなければなりませんので、これは非常に複雑な利害関係がいろいろ各社にあるわけでございます。それぞれのところが成り立つようにしてやる、そして国民の皆さんの利益にもこれが合うということをしなくちゃならぬ、こういうことだと思うのでございます。したがって、御意見は非常に貴重な御意見として私ども承らせていただく、こういうことでございます。
  123. 渡部行雄

    渡部(行)委員 確かにこれだけを切り離して考えることができないのはわかっておりますが、問題は、総合的にだれから見ても不公平あるいはちょっとおかしいんじゃないかと疑ぐられるような格好だけは直していただきたいと思います。  外務省関係の方はもうお帰りになって結構でございます。どうも御苦労さまでした。  そこで、最近我が国の外航海運業が、定期船、不定期船、タンカーの三営業部門の業績が急激に悪化しつつあると言われております。これはなぜかというと、発展途上国の追い上げに遭って苦しんでいるというのがその理由のようでございます。また、その他いろいろな問題があるのも承知しておりますが、こういういわゆる海運情勢の変化については今後どういうふうに対応しようとなさっておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  124. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 外航海運をめぐる国際的な関係は非常に変化をしてきております。御承知のように、太平洋におきます日米の海運問題というのは、先般も日米の海運協議をいたしましたように、海運同盟の問題あるいはアメリカの海事法の問題、そういうことで日本の外航海運の運航体制というものが一つ問題になっているということもございます。また南北の関係では、定期船同盟憲章条約というものが批准の課題になっているように、どのような関係で今後南北海運関係を確立していくかということが我が国を取り巻く大きな海運の状況でございます。  また、我が国海運の主体的な状況について見ますと、戦後集約化いたしまして今日まで発展してまいりましたが、既に集約化は二十年たっております。この間に一体各国の状況に十分フォローしていけるようになったのか、世界的な海運の不況というものに当たりまして我が国の海運の国際競争力を強化しなければならぬという問題が出てまいります。これらの問題に対処するには、海運の活性化ということがまた一つ課題になっておるわけでございます。そういう意味で、海運業の体質を見直していくということも重要な課題となっているわけでございます。  こういうことが現在の外航海運をめぐる諸問題でございます。
  125. 渡部行雄

    渡部(行)委員 海運業界の活性化ということは、どういう方法によって活性化を図ろうとしておられるのか。また、海運業界の今日のような状態は、構造的な欠陥によるものか。もしそうだとすれば、その構造的な問題にメスを入れる必要があると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  126. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 どのように海運業を活性化するか、そういう方策につきまして現在海運造船合理化審議会に諮問しており、具体的な方策検討している段階でございます。  ただ、申し上げられることは、海運の自主的な力をどうやって引き出すか、そういう意味で、先ほど申し上げました現在の集約体制というものがいいのかどうかということもございます。あるいは国の計画造船、利子補給というような制度を通じまして海運について監督してきたやり方を、もう少し考えてみる必要があるかどうかというようなこともございます。そしてまた、今日の海運業が招いておる現況につきましては、これは世界的なオイルショック以後の海運不況、結局海上貨物の量が経済の成長に比べまして非常に不均衡になってきた、こういうことが原因でございまして、特にタンカー部門を中心としてまず不況が起きまして、次いで不定期船部門について不況が起きております。そしてついに今日は三部門不況というような状態になっておりますが、これは非常に大きな世界経済と世界海運とのギャップというように構造的には理解すべきことだと思いますが、結局これにどのように海運企業が対応していくかということが今日の課題になっているわけでございます。
  127. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どう対応していくかということで終わられたのではちょっと困るのですよ。こういう方法で対応していきます、そうでないと結論が出ないわけですね。こういうふうに困っているからこういうふうに対応していきたいと思うと言って初めて問題がはっきりするわけで、こういうふうに困っているからどう対応していったらいいだろうかでは、これはちょっと私ども受け取れないですね。だから、そこをひとつ説明してくれませんか。どういうお考えがあるのか。
  128. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 具体的にどのように対応していくかということは、国側の問題でもあると同時に海運企業側の課題、問題でもあります。現在海運造船合理化審議会では、海運企業側が今後一体どのように道を開いていくつもりか、まずこれをヒアリングして、これをベースに議論を闘わすということで、海運企業側が、例えば現在の海運に特化した企業のやり方を多角化する、関連の事業にもう少し出ていくというようなことによっても海運企業の対応があると思いますし、また日本を中心とする貨物のみに従事しているというような体質を三国間輸送にまで広げていくというようなことによって対応することもあります。あるいは企業のコストをミニマムにするためにいろいろな費用構成の改善をしていくということもございます。いろいろな方法を組み合わせまして、海運企業の活性化というのを海運企業がそれぞれに置かれた立場で解決し、選択していくということが必要な対応だと考えております。
  129. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、海洋法条約についてお伺いいたします。  我が国は昭和五十八年二月七日に海洋法条約に署名をいたしておるわけですが、この条約は六十カ国の世界の国々の批准がなされて、その後一カ年経過して発効するというものであるわけです。現在わずかに九カ国しか批准した国はありません。この発効まではなかなか見通しがつかないのではないかと考えられるわけですが、我が国はいつごろ批准しようとしておりますか、その見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
  130. 斎藤正樹

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  ただいま国連海洋法条約について御質問がございましたけれども、政府といたしまして現在この条約を基本的には批准する方向で諸般の準備を進めているところでございます。  我が国の批准の見通しについて御質問がございましたけれども、政府としましては、この条約の性質上、国際社会の大勢がこの条約を受け入れるということがまず必要だろうと考えますので、先進国あるいは発展途上国双方がこの条約に対して批准する態度としてどういう態度をとるか、こういうこと等をも見きわめつつ、我が国の批准についての最終的な態度を決めていきたいと思うわけでございます。  ただいまその具体的な準備につきましては、この海洋法条約というのは非常に包括的な条約でございますので、関係省庁も非常に多岐にわたっております。そういう関係省庁の間で、自分の所管している関連の国内法とそれからこの海洋法条約との整合性をあらゆる角度から今検討している段階でございまして、具体的にいつ批准するということの見通しは非常に困難でございますけれども、先ほど申し上げましたように関係国の批准に対する態度等国際関係を見きわめつつ我が国の批准の態度を決めていきたいと考えておるわけでございます。
  131. 渡部行雄

    渡部(行)委員 関係国の、先進諸国の態度を見きわめながら対処する、こう言われておりますが、日本は、二百海里排他的経済水域というものを見た場合に、その中で実際にカバーされているのは魚だけ、漁業水域暫定措置法によって魚だけしかカバーされていない。その他の問題は全然野放しになっておる。そしてこれをどうするんだと言うと、それは海洋法で何とかカバーしたい、こういうことを外務省のある人は言っておるわけです。そうすると、今答えられたことは全くそういう問題に関心がないじゃないか、こんなふうに思われるのですが、大体こういうものについてはいつも日本は卑劣だと私は思うのですよ。人の出方、人の顔色を見て自分の腹を決めるなんていう、そういう外交姿勢が私には許せないのです。これは軍縮においてもしかりですよ。日本は核の洗礼を受けた国として当然調印しなければならぬようなものにも逃げて退席したりしておる。今度は、今そういう海洋法でカバーしなければならないことを知っていながら、これは外国の出方を見てそれから対処しましょう、そういうものじゃないと思うのです。もっと外交に信念と確信を持って、そしてこれで世界を推していこう、そういう迫力のある外交が展開できませんか。そういうお考えにはなれないですか。答えてください。
  132. 斎藤正樹

    ○斎藤説明員 ただいま、二百海里の海底資源の探査開発あるいはその一部であります漁業水域の暫定措置法、あるいはまた外交政策の一環としてほかの国の態度を見るという御指摘がございましたけれども、先ほど私が申し上げましたように、この国連海洋法条約というのはまず国際社会の大勢に受け入れられるということが必要だろうということで、ほかの国がどういう態度をとるかということも一つの要素として見きわめるということが必要だろうと申し上げたわけでございます。  他方、二百海里の排他的経済水域の制度につきましては、先ほど先生指摘のとおり、二百海里の水域の漁業資源につきましては、我が国は漁業水域暫定措置法で既にカバーしております。この二百海里の天然資源、これは生物資源と非生物資源両方含めますけれども、生物資源につきましては先ほどの漁業水域でカバーしておりますが、非生物資源、すなわち特に海底資源でございますが、この海底資源の探査開発につきましては、一つは排他的経済水域の制度、それからもう一つは大陸棚の制度、この両方の制度でカバーされることになっているわけでございます。  政府としましては、この二百海里の海底資源の探査開発、先ほど申し上げました経済水域の制度と大陸棚の制度を我が国としてどういうふうに適用したらいいかということにつきまして、あらゆる側面から今慎重に検討しているわけでございます。
  133. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 一般的にあなたのおっしゃるようなことが多いと思いますね、条約の批准についての日本の態度は。こういう点は心していかなければならぬと一般論としては思います。  この海洋法、私も長年いろいろ関係しておりますが、非常に関係するところが多いものですから、あっちこっち突っかかったりいろいろしておるわけです。そういうこと自体も、研究研究と各省がいろいろな立場からいろいろ言っておるわけですよ。そういうものもできるだけもっと早くしてもらわなければいかぬ、かように思っております。
  134. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは大臣、非常に御理解ある御答弁、ありがとうございます。  そこで、今二百海里排他的経済水域というこの思想は、大体世界的に確立したと見ていいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  135. 斎藤正樹

    ○斎藤説明員 ただいま御質問ありました排他的経済水域の制度が世界的に確立したかどうかという点についてでございますが、我々国際法的な観点から述べさせていただきますと、我々の態度というのは、この排他的経済水域が一般国際法上確立する方向にあるというのが我々の認識でございます。
  136. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、これにはいろいろな問題が絡まってくると思うのです。先ほども言われましたいわゆる海底資源、鉱物資源その他あるでしょうが、あるいはスペースの問題、あるいは十二海里という領海と経済水域の関連の問題、さらにはこの二百海里の経済水域と他国の二百海里経済水域が交差した場合、その際に領土問題等にも発展しかねないような要素があると思うわけです。こういう非常に複雑な問題を抱えておりますから、これらに対して何らか国内法的にもある程度整理する必要がないだろうか。これからの十年か十五年か先を見通してその対応策を講ずる必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、その点はいかがなものでしょうか。
  137. 斎藤正樹

    ○斎藤説明員 ただいま御質問のありました排他的経済水域が隣国とお互いにぶつかるというような場合にどうするかということでございますが、海洋法条約の七十四条にそういう場合の境界の画定の仕方が規定してございます。簡単に申し上げますと、そういう排他的経済水域の境界画定は、衡平な解決を達成するために国際法に基づいて合意によるということでございます。したがいまして、将来排他的経済水域を設定する場合には、必要に応じ隣国との境界画定の問題が起こり得るということになります。
  138. 渡部行雄

    渡部(行)委員 海洋法はまだ批准もしていないのですから、海洋法を引き合いに出すこと自体私はナンセンスじゃないかと思うのですが、やはり海洋法がそういう問題をカバーできるとすれば一日も早く批准するように努めていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  139. 斎藤正樹

    ○斎藤説明員 国連海洋法条約の批准につきましては、先ほど申し上げましたように関係省庁の間で問題が多岐にわたるものでございますから、批准の方向で鋭意準備中ということでございます。先生の早く批准すべしということも我々念頭に置きまして、関係省庁での準備作業を進めてまいりたいと思います。
  140. 渡部行雄

    渡部(行)委員 よろしくお願いします。今の外務省の方はもういいです。  そこで、この法律案に関する資料の中で、大臣が提案したその説明中、「高度化・多様化する利用者ニーズに対応した地域交通の確保」と言われておりますが、具体的にはどのような対応を指すのか、御説明願いたいと思います。これは大臣が説明されたのですから、大臣、ひとつよろしくお願いいたします。
  141. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 まず、大臣の前に一言申し上げさせていただきます。  御承知のように、地域につきましては都市交通その他新しい需要というのがどんどん出てきております。私ども、地域交通局をつくりまして地域交通におきますいろいろな旅客に対するサービスの向上というものを考えておるわけでございますが、具体的には、スピードの問題あるいは快適さの問題、乗り継ぎの利便の問題、そういったような多様な要求が逐次出てきている、こういう状況に対応していきたいということでございます。
  142. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 地域交通で一番重視しなければならぬものは大都市、それからこのごろは拠点都市を中心にしました都市交通、これは大変な混雑、そして大変な需要だと思うのです。これに対して、高速鉄道、地下鉄あるいはモノレール、新交通システムあるいはバス、こういうものをどういう組み合わせにしていくのか、これは非常に大きな問題だと思います。  それからもう一つは、逆に過疎地域の問題、過疎地域の交通をどうやっていくか。これはローカル線をどうするかという問題、いわゆる過疎バスの問題をどうするかという問題、こういったような問題があるわけでございます。そういったような問題を総括的に表現——そのほかにもあると思いますけども、主として今申し上げたようなことを総括的に表現したあいさつであるというふうに御理解賜れば幸いだと思います。
  143. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、国鉄から廃止申請が出されている赤字ローカル線の第二次選定分三十二線について、関係道県の知事から意見書が提出されたと思いますが、現在時点でどれだけ出されておるでしょうか。
  144. 永光洋一

    ○永光政府委員 十七のうち十四知事から出て、残り三県、具体的に申しまして、北海道、福岡、佐賀がまだ出ておりません。
  145. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、この十七のうち十四県から出されておると言われましたが、その十四県の中でこの第二次ローカル線廃止に賛成の県はどれほどありますか、また反対はどれほどですか。
  146. 永光洋一

    ○永光政府委員 一応、皆存続を求めております。
  147. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは大臣、まあ大臣と言うのは大臣を尊敬しておるからでございますから、悪く思わないでください。(細田国務大臣「私ばかりしゃべると政府委員がしゃべれないから……」と呼ぶ)大臣、御苦労かけますけれども、とにかくそういう意味でございますので、よろしくお願いします。  そこで、今お聞きしますとほとんど全部反対だ。県知事の意見書というのは県民を代表する意見なんです。県知事一人の意見ではありません。だとすると、これは県民ニーズのあらわれだということになります。つまり、地域住民のニーズであるということですから、これにこたえるとなると、これは第二次ローカル線の廃止は撤回するのがこたえる唯一の道ではないでしょうか。
  148. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 県知事なり市町村長なりが直ちに鉄道の線路の撤回に賛成をするという場合はほとんどないと思います。鉄道の線路のあるところの地区の住民の皆さんは、道路もあり鉄道もあった万がいいに決まっておりますから、賛成をなさる方は極めて例外的な万であると言わなければならぬと思います。  そのでんをそのまま用いますると、国権の最高機関である国会、立法機関である国会でお決めいただいた法律の方がおかしくなるのでございまして、これは特別措置法というものでローカル線対策、社会党や野党の方はあるいは反対であったのではないかと思いまするけれども、その法律で、一定以下の、政令で定めるもの以下のものについてはこういう手続で協議会をつくりなさい、そして二年たって話がまとまらないときはこれはバスに代行を国鉄が出願をするということにしなさい、こういうふうに法律で実は決めたわけなんですね。でございますから、その手続でやっておるわけでございます。したがって、知事さんから反対が出ましても、これは私ども、知事さん、あなた変なことをおっしゃるな、間違ったことをおっしゃるなというようなことをあえて言うわけにはまいりません。それはもう当然そういうふうに出るのだと思います。  しかし、先ほど私がどなたかにお答えを申し上げましたが、要するに公共性と企業性とのはざまに立ってどうするかということなんでございます。したがって、指定をしたら直ちにやめるということではないのでございまして、どういうふうに合理化ができるのか、合理化して、国が補助金を出しあるいは県なり市町村も多少の銭を出しても赤字の鉄道をやっていくことがいい、第三セクターである場合もありましょう、あるいは株式会社である場合もありましょう、あるいは国有鉄道が続けるという場合もあり得るかもしれませんが、そういうことをよく御相談いただく、いや、これはまあバスにかえてもやむを得ないだろうというようなことを御相談いただく、その前提として一応の御意見を承る、手続としてそういうものがある、そういうふうに私は理解をいたしております。
  149. 渡部行雄

    渡部(行)委員 法律ができたのだから仕方がない、そこでつまり、そういう一つの政府方針と国民サービスの間に立ってどう調整するかというのが問題だと言われております。もちろんこれには議論すれば限りがありませんけれども、私どもは法律そのものが国民に背を向けたものであって、これは反国民的な法律であるという観点で見てまいりましたからなおさら言えるわけですが、文章が余りきれいに書かれ過ぎているから、やはり政府は考え直したのかなと、そんなふうに思われるのですよ。つまり、住民のニーズにこたえて地域の交通を確立するんだというと、ニーズにこたえるということのウエートが非常に強くなってくるわけですから、そういう点で私は非常に期待したわけですが、法律が一つの防波堤になって、どうも第二次赤字ローカル線の廃止は何とかやめさせるわけにはいかないようです。  そこでお伺いしますが、国鉄からの廃止申請大臣は来月中に一括承認する方針を固めたということをこの新聞は報じてわるのですが、それは事実でしょうか。
  150. 永光洋一

    ○永光政府委員 先ほど申しましたように第二次地方交通線の知事の意見照会が実は昨日四県につきできまして、それで残るところが三県ということで、そういうニュースを新聞の方でとりまして、大体において知事の意見が出そろった、それで運輸省もそろそろ調査をするらしいということで五月ごろには承認をするのではないかと考えでのことではないかと思います。我々としましても、法の手続上の一つの過程でございますので、さらに現在まだ意見をいただいてない知事さんの方にもお願いしまして手続を進めたいと思っておりますけれども、けさの新聞のように決めたということはございません。
  151. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今ニーズにこたえということでございますが、鉄道線路をはがして、そのかわりにより便利なバス運行する方が住民のニーズにかなう場合もあり得るわけでございます。現に第一次の指定のものについていろいろな答えが出始めておるわけです、何線かはバスにかえるとか。所によっては、バスにかわったためにかえって便利がよくなったと言って喜んでおられる向きもあるということでございます。それから、ある場所においては第三セクターにして鉄道の線路を残そうじゃないか、そのかわり徹底的な合理化した運営をしてより便利のいい、それこそ地方のニーズにこたえる鉄道にして、乗客をもっとふやしていって赤字を最小限度にし、場合によっては黒字にしようじゃないか、こういう相談ができて第三セクターにしようじゃないかというところも出てきておるわけなんでございます。  私どもは、どういう形にするかということを御相談いただくテーブルに着いていただくということを望んでおるわけです。話がまとまらないときにどんどんやってしまうのかどうかという問題は残されておるわけですが、これについては、少なくとも十分慎重でなければならぬと私は思っております。ところが、この言い方がなかなか難しいのでございまして、もう慎重にやりまして、大体やめたくないわけですから、いや話がつかなければやりませんよと言ってしまうのだと全然話がつかなくなってしまうわけです。その辺は、地元の住民の皆さん方の御意見は慎重に取り扱わなければならぬ。そういうことでお互いによく話し合いをして、わかる話にしていただきたいということを私は申し上げておるわけでございます。
  152. 渡部行雄

    渡部(行)委員 バス転換してよかったと喜んでいるところもありますが、逆にそういうことを押しつけられて泣いているところもあるわけです。  そこで、具体的に申し上げますけれども国鉄特定地方交通線廃止転換に対する今後の対策について、相当慎重に微に入り細にわたって考えていかなければならないのではなかろうか、私はこんなふうに思っておるわけです。それというのは、国鉄では一キロメートル当たり三千万円の転換交付金を出すのだからそれでよいだろうという態度がありありと見えるわけであります。現実は地方自治体泣かせの最たるものであると言っても過言ではなかろうと思います。  その実例を申し上げますならば日中線。特定地方交通線廃止転換に伴い、鉄道敷を道路に改修し、また関連する道路の整備等を計画見積もりをしたところ、転換交付金を全部使い果たした上、なおかつ足りなくて、市の持ち出し分が喜多方市で四億八千万円にもなるということです。これでは、地域住民からすれば、鉄道はなくなったわ、市費の持ち出しは市民が背負い切れないほど莫大なことになるわで、踏んだりけったりの日に遭っていると言っても過言ではありません。  そこで政府は、その分を起債でやりなさいと言われておるようですけれども、起債は三年後から返済しなければならないわけであります。そうすると、わずか四万足らずのこの小さな農村都市といいますか喜多方市で、どうして約五億にも上る金の返済ができるだろうか。私は不可能だろうと思います。これは国が特別交付金なりその他、何らかの救済措置を制度としてつくり上げなければ、この問題は解決されないのではないだろうか。  第一次廃止線はおろか、第二次廃止線には、こういう問題がそのまま手つかずに置かれますと一斉に不満が爆発するものと思うわけであります。大臣はこのような実態に対しどう対処なさるおつもりか、所信のほどをお聞かせ願いたいと存じます。
  153. 永光洋一

    ○永光政府委員 日中線の具体的なお話でございますが、地元の御要望は承っております。  この線もそうでございますが、一般的に、ローカル線につきまして廃止代替バスにしようといたしますときに、当然鉄道敷についてどうするかということが一応話になるわけでございますけれども、この場合は、鉄道敷につきまして払い下げを受けて活用するといいますか、何らかのかっこうでこれを地方で御利用しようというお考えのようでありまして、それに対しましていろいろな整備とか跡地の問題でお金がかかるということでございますが、一応我々としましては、定期の補助なりバスの購入費あるいは地方のそういう代替施設整備なりにつきましてキロ当たり三千万ということで国からの補助を考えているわけでございまして、確かにそれぞれの地方の実情に応じまして若干のいろいろな過不足はあるとは思います。ただ、そういう形で鉄道敷を引き受けて何かやろうということで地元の方がお取り組み願うということでありますれば、現段階におきましては我々としては、その地方の財政状況等を考えながら地方の方でその活用方なりをお考え願うということで、キロ当たり三千万円の範囲内でお願いいたしたいと考えております。
  154. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お話を承ると、その点は地元としてはそういうふうにお考えになると思うのですが、立派など言っていいかどうか知らぬが、道路ができるわけです。残っておるわけなんです。金をむだにかけているわけではない。  だから、数億という金が行っておるわけです。そこで、線路を引っぱがす方の金ではこれだけしか出せませんよ、こう言っておるのでございまして、もしその道路の整備に実際に金がかかるということであれば、これは別な、面倒をどう見るかという問題で解決していかなければならぬ問題だと思います。国鉄の財政からそれ以上のものをどんどん出して道路をよくしていくという話にはならない。しかし、政府は一体でございますから、大蔵省なり自治省なり建設省なり、どうするかということについてはいろいろ考えなければならぬじゃないかとおっしゃれば、それはそのとおりだと思います。
  155. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも国鉄さんのお答えは、鉄の中で生活しているせいか、かたいことばかり言ってさっぱり粘り気がないですな。大臣のようなお話をされるとちっとはこっちもいい気分になるのですが。大臣は政策の最高責任者であり、しかも赤字ローカル線廃止に対する国鉄申請承認した責任者として、この問題はぜひひとつ政策的に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、こういうものがあるのです。第五回日中線特定地方交通線対策協議会会議録というものをよく見てみますと、喜多方の市長が最後にこういうことを言っているのです。   日中線廃止という国の基本方針をうける場合何億もの負債が出る。その償還については只今県から発言のあった方法で努力してもらう、というところまでは理解できる。   しかし、最終的に地方自治体に負担がかかる、ということになった場合、市なり村なりの現職の責任者としてわれわれは住民にあわせる顔がない。   前回も云ったが、地方自治体に対してはこのために生ずる負担はかけてはならないのだ、という方向を打ち出すことが国鉄ローカル線廃止に伴う基本であり、一番大切なことであるということを再度申し上げて今後の努力をお願いする次第である。こういうふうに述べておるのです。これについては、   この問題については、当協議会会議として書面をもってその意を中央に伝えることとする。   なお、これについては事務局で書面を作成のうえできるだけ早く取り進めることとする。というふうになっておりますが、この手続は既になされていると思いますが、どうでしょうか。
  156. 永光洋一

    ○永光政府委員 恐らく、その述べた趣旨の結果としてはこのことではないかと思いますが、五十九年三月十五日に日中線特定地方交通線対策協議会会議より要望書として私の方に、  四月一日からバス輸送に転換することで関係者の合意を得ました。   この協議の過程において、現行制度では日中線廃止に伴い必要となる道路整備等の経費地元地方公共団体で負担せざるを得ない現状にありますので、これを救済するため国において何らかの制度を設ける必要があるとの主張がなされ、この必要性について国に要望することについて当協議会会議において意見の一致を見ました。したがって、特段の配慮をお願いいたします。  こういうことを我々としても受けております。このことだと思います。
  157. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、時間が余りありませんから次に移りますが、今度、第二次赤字ローカル線の廃止申請の中に会津線が含まれておるわけです。これについては、野岩線を福島県と栃木県が主体となったいわゆる第三セクターが引き受けることになった、その前提には国鉄会津線の存続が当然視されていたということであります。これはどんな素人が考えても、私は何回か同じことを言いますが、この会津線を廃止すれば、ちょうど橘をかけて中途からそれを断ち切るというようなものになってしまいますから、そうなるとせっかく野岩線を通しても、これは全くその意味が、もう半減どころじゃない、なくなってしまうぐらいの重大な問題なんです。しかも、野岩線は電化のできるような路線として今どんどんと建設されておるわけですが、会津線は、路線は既に古く、線路は老朽化して、汽車の速度は出せないというような状態なのでございます。しかも、これを廃止して仮に第三セクターなりその他の民間会社なりに譲るとしても、この問題は日中線のように切り捨て御免で廃止するということは絶対しないという中で地域住民と話し合うという姿勢が出てこないと、これはますます県側を硬化させてしまうのではないかと心配するものでございます。この点について、大臣、ひとつそのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  158. 永光洋一

    ○永光政府委員 野岩線を第三セクターで、AB線凍結いたしておりましたものを一昨年から再開をいたしましたのは、輸送密度としては二千人は超えないけれども地元で第三セクターとしてやろうというときは一応これに応じようということで再開をいたしたわけでございます。会津線の存続を前提有無という考えは面接にはないと我々は解しております。  ただ、現実にその会津線が鉄道として残るか残らないかということは、会津地方と首都圏を結ぶという一つ交通系絡としましては大きな違いがあるわけでございますし、したがって会津線も、我々の考え方では、二千人を超えない他の地域との関連からいいますと特定地方交通線として対象になる場合には、これは現在建設を進めております中間の野岩線と含めて考えていただけないだろうかということを我々としては一応気持ちの上に置いておるわけでございますが、現在、福島県からは御意見が出まして、そして今先生がおっしゃいましたような趣旨で会津線は残すべきではないか、こういう御主張はなさっておられます。したがいまして、我々としては、今後、それを承認対象とした路線としまして協議会がつくった上で地元とよく相談をしてまいりたいと考えておりますが、現段階におきましては、いわゆる新線部分も第三セクターとしてやっておりますので、会津線につきましても、その鉄道をどうするかということを協議会の上でいろいろ御議論になるときに、野岩線と含めた形でいろいろ御議論願えればと、こういうふうに考えております。     〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今の鉄監局長の答弁で大体私の答弁要らないと思いますけれども、会津線というのは第二次指定の中でも特別な地位にあるところだと思います。それは今も説明がありましたように、野岩線をつくったのは、会津から下野へ結ぶという意味での野岩線の新設だったわけです。ところが、会津線については一定の法律に基づく政令の範囲内でいくと対象路線になる、特定交通路線になる、こういうことでとにかく挙がっておるわけですね。しかし一方で、野岩線を第三セクターがやるということが出てまいっておるわけです。そこで単純に、あれが途中で切れておる線でなくなって、状況が変わるということが考えられる、こういうことでございます。ですから、第三セクターができる、その上において会津線がどういう地位にあり、どういう輸送量を示し、どういう形にする方がいいかということを考える、こういうことだと思います。ほかの地域にはちょっとない特別な線の形をしておる、私はさように思っております。
  160. 渡部行雄

    渡部(行)委員 今鉄監局長は、二千人を超えない、そういう路線だからというようなことと、会津線は野岩線の前提ではない、こういうふうに言われましたけれども、それは確かに四角四面に押していけばそういう理屈になるかもしれませんけれども、そういうことを言えばこれは地域住民は怒ってしまいますよ。野岩線と会津線というのは全くつながっている同一線なんですからね。しかも会津線というのは一応西若松駅からになっているけれども、会津若松駅から滝ノ原までが会津線というふうにみんなは受けとめているわけですよ。したがって、野岩線が開通した暁には二千人を突破することは間違いないと大方みんな踏んでいるわけですよ。だから、その一番大事な野岩線を通すか通さないかでこの会津線が生きるか死ぬかが決まるのですよ。そこで私は、せっかく野岩線を生かしたならば、そこにつないである会津線をなぜ生かさないかということを言っているわけです。  それを生かすには今の路線ではどうにもならない。やはり野岩線の延長としてその路線が立派に改修され、あるいは乗りかえなしで運行できるというような条件をつくらなければ、お客さんは乗りませんよ。今、交通の非常に激しい、しかも交通災害が非常に多く出ておる中で、できればみんな国鉄に乗りたいのですよ。列車に乗りたいのです。これはほとんど事故がないからですよ。ところがそれを乗らないで、マイカーとかほかの運送手段を使うというのは、国鉄のダイヤの組み方や運営の仕方が余りにも官僚的であり、サービスが悪いからなんです。これは会津線の、合わずか三十六キロですか、その間の時間帯見てくださいよ、ものすごい時間がかかるわけです。約二時間もかかるのですからね。そういうことをやっておれば、口で国鉄再建などと言っても国民は信用しませんよ。  そういうことで、この問題はすぐに一括承認などということをしないで、もっともっと地元とひざを突き合わせて話し合い、そして本当に住民のニーズにこたえ、なおかつこれからの未来の交通体系をつくっていくためにはどうあるべきかということを考えるならば、私はそんな画一的な答弁はできないと思うのです。この点いかがでしょうか。
  161. 永光洋一

    ○永光政府委員 今、一つの問題としまして、野岩線ができ上がった場合に会津線のお客さんがふえるではないか、それで二千人を超すかもしれないではないか、こういうお話がありました。  この承認をするに当たりましては、これは法律にございますが、特定地方交通線のいろいろな基準なり条件がございまして、その基準なり条件を満たしておれば承認をする、非常にかたい話で恐縮でございますが、そして承認した路線特定地方交通としてその後どうしようかということでお話し合いになる、こういう段取りでございまして、その中で、輸送密度が仮に基準年次に低くても、新しいそういう交通の需要ができて二千人を超すという見通しが非常に確実であれば、その線の承認については基準に該当するかどうかという問題になると思います。  現時点におきまして、国鉄申請のときに仮に野岩線ができても二千人には至らないであろうという推測を立てて承認をしておるわけでありまして、我々としても、この線について基準に該当しておるかどうか、代替道路等は別としまして、例えば輸送密度なりについては承認する前に精査をしなければならぬ、こういうふうには考えておりますが、一般的に申しまして、会津線自体の取り扱いは他の交通線と具体的に事情は違うわけであります、特殊なところがございますが、しかし現在法令に定められております基準に適合するかどうかということを判断して処理させていただきたい、かように考えております。
  162. 渡部行雄

    渡部(行)委員 国鉄へはこのくらいにして、次は、過疎の進行あるいはマイカーの普及、これによってバス事業の経営が非常に悪化して、地域住民の日常生活に欠かせないバス運行継続が困難になっておるわけです。国の要綱に基づいて予算補助を行っており、県及び市町村もその一定割合を負担することになっております。しかしながら、現行の補助制度は五十五年から五十九年度までの時限措置でありまして、かつまた運輸省の要綱というだけではいろいろと将来に不安が残るというものでございます。そこで、これをひとつ制度として法制化する必要があると考えるわけですが、これを制度化するお考えはないのでしょうか。  またさらに、乗車密度が五人未満の第三種生活路線については、要綱により路線ごとに三カ年で補助を打ち切ることになっておりますので、この補助期限の延長を行う必要があると思いますが、これについて大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  163. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 地方バス路線につきまして現在補助制度をしておりますが、この補助制度につきましては、私ども非常に基本的な過疎の足を確保するというために重要な制度だと考えております。したがいまして、この補助制度の継続についてはぜひ努力していきたいというように考えているわけでございまして、その制度化につきましてはそういう方向を今後とも検討していきたいというふうに考えております。
  164. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大臣のいないところでは質問しません。——今質問中に大臣御用足しに行かれたようで聞いておられなかったようですが、これは法律の問題ですから、私の言わんとすることは、つまり今の過疎バスに対して現行の補助制度が五十五年から五十九年度までの時限措置であるために、これを要綱というものから制度としての法制化をお願いできませんかということが一つ。  二番目は、この乗車密度五人未満の第三種生活路線については要綱で路線ごとに三カ年で補助を打ち切る、こういうふうになっておりますが、この補助期間を延長していただけませんか。これは大臣腹一つである程度とうにかなると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  165. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私の選挙区の方も大変な過疎でございまして、もう全部過疎バスで、補助金でやっておりまして大変です。おっしゃられるとおりだと思っております。ただ、法律にすることは政府の中に難点が多いようです。今のような財政状態ですので、財政当局が非常にやかましい。しかし、これはシビルミニマムですからどうしても守らなければならぬのだというふうに私自身は思っておりますから、頑張ります。
  166. 渡部行雄

    渡部(行)委員 立派な御答弁どうもありがとうございました。  そこで今度は、東北新幹線の問題についてお伺いいたしますが、これは上野乗り入れが完成されて開業されるのはいつでしょうか。
  167. 須田寛

    須田説明員 お答え申し上げます。  現在鋭意工事中でございまして、まだ工事の工程その他に不確定要素が若干ございますので現時点で何月というところまでは申し上げかねますが、明年春ということで今鋭意努力をいたしておるところでございます。
  168. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、これは陳情みたいになりますが、上野乗り入れの際にダイヤをふやしていただきたい。それは「あおば」をぜひ増発させていただきたいということです。  その理由の第一は、まず地元の要請が非常に強い。第二には、福島県の県南部の開発が急速に進んでいることでございます。こういう問題で、ひとつ何とかならないでしょうか。
  169. 須田寛

    須田説明員 現在「あおば」は大宮発の時点におきまして十往復運転をいたしております。今御指摘がございましたように、上野開業になりますと現在在来線に乗っておられるお客様も当然新幹線を御利用いただく方がさらにふえてまいると存じますし、新幹線の効用が高まるわけでございますから、当然お客様がふえてくると存じます。したがいまして、「あおば」も「やまびこ」も、新幹線全体といたしまして増便をする方向でこれからダイヤを詰めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  170. 渡部行雄

    渡部(行)委員 その点よろしくお願いします。  そこで、新幹線の上野開業になった場合、在来線の特急はどういうふうになりますか。
  171. 須田寛

    須田説明員 今申し上げましたように、在来線の特急、急行を御利用いただいておりましたお客様のかなりのものが上野開業の際は新幹線御利用に移るものと考えております。したがいまして、全体といたしまして輸送力のバランスをとる必要がございますので、昼間の特急、急行列車につきましては現在のあり方を見直させていただきまして、原則として新幹線の御利用をお願いしたい、かように考えておりますが、細部はまだこれから詰めるところでございます。
  172. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、昼間の特急は見直すが、夜の特急は手をつけないということですか。
  173. 須田寛

    須田説明員 夜行の特急につきましては、青森でございますとかあるいは奥羽線を回りまして秋田、さらにその先の方まで行っておりますかなり長距離列車が東北本線には走っております。したがいまして、これは新幹線が上野開業になりましてもお客様の質がそれほど変わるとは思われませんが、ただやはり昼間の列車のスピードが速くなりますと、夜行列車のお客様が昼間の新幹線等にお移りになる場合も考えられます。したがって夜行列車につきましては、ある程度現在の系統、つまり列車の立て方は維持いたしたいと思っておりますが、本数をどうするかにつきましては、もう少しこれは研究をいたしたい、かように考えております。
  174. 渡部行雄

    渡部(行)委員 なるべくそのダイヤの見直しの際には、やはり地域化民の要望を大切にしていただきたいと思います。  そこで、東北新幹線と今までの関西方面に走る新幹線とが、東京と上野の間がぷつんと切れておるわけです。これは私は、この高速交通時代としては一番重要な部分が欠落しておるというふうに考えられるわけで、この点は皆さんの立場からはどういうふうに考えておられますか。
  175. 福岡祥光

    ○福岡説明員 ただいま東京−上野間についてお尋ねでございますが、私ども工事を担当する者といたしましては、現在、東京−上野間につきましては上野開業後おおむね二年ぐらいおくれて開業させようということで鋭意工事を進めてまいっておりまして、用地買収につきましては約九〇%、それから工事につきましては総延長の五四%程度着手をしておる段階でございます。  ただし、五十九年度の予算、編成に当たりまして、昨年夏の再建監理委員会の緊急提言もございまして、五十九年度の予算は用地買収費あるいは対外協議でぜひ必要なものに限った、極力抑制した予算になっております。したがいまして、東京開業は、五十九年度の予算だけで決まるわけではございませんけれども、当初の予定よりはある程度おくれざるを得ないというように考えております。
  176. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私どもも予算を取るべく極力頑張るつもりですが、国鉄当局も早く東京開業ができるように御努力を願いたいと思います。  さてそこで、最近国鉄では宮崎でリニアモーターカーの実験をされてきたわけですが、これが実用化するのはいつごろでしょうか。
  177. 真下育幸

    ○真下説明員 先生お話しございましたように、現在国鉄が宮崎で実験を進めております超電導の磁気浮上式鉄道では大変高速の走行が可能だということとか、騒音、振動が少ないとか、あるいは航空機に対しまして消費エネルギーが比較的少なくて安全であるというようないろいろな特徴を持っておりますので、国鉄では新幹線の次の世代の鉄道として開発を進めております。  今の見通してございますけれども、技術的に実用化のめどが得られますにはあと若干の年月を必要とすると考えております。(渡部(行)委員「その若干というのは大体……」と呼ぶ)数年だと思います。
  178. 渡部行雄

    渡部(行)委員 数年というのは、常識的に言うと五、六年ということで理解していいでしょうか。  そこで、私は大臣にお伺いしますが、今これから日本の交通全体を考えるときに、しかも役所も今度は政策に重点を置くということで整備されるわけですが、そういう中で五、六年で実用化されるというリニアモーターカー、夢の交通機関とも言われるこういう一つの運送手段ができるとなれば、それらを交通体系の中に入れてどういうふうに日本の交通全体を調整していくのか、あるいは体系化していくのか、こういうことが今から考えられてしかるべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  179. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私も先般宮崎の現地に行って見てまいりました。直線だけでございますけれども、なかなか快適でございますし、あれならば事故も考えられない、大変結構にでき上がっておると思っております。しかしながら、専門家に伺いますと、まだ実用化をするには技術上の解決をしなければならぬ点がいろいろあるようです。ポイントの問題でございますとか、いろいろな問題があるようでございます。そこで先ほどの御答弁があったと思うのですが、これは大きく言いますと二十一世紀の乗り物でございます。  では、そんなものをどうして研究するかということなんですが、これは、科学技術というものはかなり先を見ながらやっていかなければなりませんので、なけなしの金を使って経費を出して研究を続けてもらっておるわけなんでございます。私ども考えは、これが技術的に完成されるとなれば、一体どこで試行といいましょうか、対象として実際にやったらいいのか、これをもう少し私どもいろいろ考えてみなければならないと思っております。余り近いところでは役に立ちませんけれども、それにいたしましても、これが本当に有効に役に立つ、試験的であってしかも実用的であるというようなプロジェクトとしてどこにどういうふうにしてこれをやったらいいかということが今後の研究の対象になると考えておるのでございます。  ただいまよく言われますことは、中央に東海道をもう一本引くときには必ずこれにしたらどうかと言われておるわけでございますが、現在の国鉄の財政なり国の財政ではそういう大プロジェクトは今のところなかなか望むべくもありませんので、もう少し技術的に完成したら、試験を兼ねた、そして実用にもなるという利用の仕方を何か考えていかなければならない、かように私どもは思っております。
  180. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最後に、ちょっと一言お聞きします。  今度の運賃改定でございますが、私はどう見てもこの運賃改定というのは合理性に欠けておると思うのです。短い区間で非常に高くなったり長い区間で安かったり、あるいは乗り継ぎすると安くなって、長く乗ると高くなる、こういうような区間がたくさんあるようです。これは朝日新聞にも出ておりましたから読まれたと思いますが、大体こういう場合の運賃の計算方法というのは、国鉄の場合運賃法で決まっておるわけですね。それで計算すると、どうしてもこれは違法ではないかと考えられる。それかと言って、先ほど大臣が言われたように、国民に対するサービスということを考えた場合と国鉄の財政を考えた場合、非常にそこに問題がある。それは確かにわかりますが、ただ、うまい乗り方として、途中で切符を買いかえることによってぐっと値段が安くなる。本来ならば、短い区間をプラスしていくと長い区間よりは高くなるのが普通なんです。  例えば薬を買うにしても、百粒入りの薬と千粒入りの薬では、一粒当たりの値段にすると干粒入りの薬の方が安いんですよ。これはお葉子だってそうなんです。大体物の値段というのはそういう仕組みになっておる。ところが、国鉄さんだけは百粒入りの方が安くて、そして千粒入りの方が高い。これはちょっと不合理じゃないでしょうか。このことをひとつお聞かせください。
  181. 須田寛

    須田説明員 今先生指摘のように、長い距離をお乗りになりました場合の運賃が、途中で打ち切りましておりて乗った場合に比べてかえって高くなるというふうな御指摘、確かにございます。これは従来の運賃制度の中でも実はあったのでございまして、端数処理をいたしますことと、それから運賃にキロ刻みというのをつくっております。例えば五キロ単位なり十キロ単位なり同じ運賃にしてずっとキロを重ねてまいります、これは私鉄さんもそうでございますが。そういう制度をとりますと、どうしてもそういったような場合ができる。特に今回の場合は地方交通線の特別運賃のようなものをお願いいたしましたので、ややそれが数のケースとしてふえてきたということは事実でございますが、ある程度そういうことは運賃に避けられない面がございます。  それから、先般新聞に報道されておりましたのは、所定の運賃のほかにいろいろ割引の、企画商品と言っておりますけれども、周遊券的なものがございますが、それを一緒に紹介されたものでございますから、先生おっしゃるように、若干誤解を受けたのかもわかりませんが、運賃はあくまで運賃法に定められました所定の計算方法でつくっておりまして、先生のおっしゃるような不合理なものではないと私ども考えております。  ただし、今申し上げましたような、お客様から見で非常に違和感を生ずるような現象があるということは決して好ましいことではございませんので、できるだけこれからも機会をとらえましてそういったことの是正を図りますと同時に、またそういったことが起こりませんようにいろいろ制度上の工夫は十分いたしてまいりたいと思っております。
  182. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  183. 片岡清一

    片岡委員長 柴田睦夫君。
  184. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 運輸省設置法改正案の審議ですが、国鉄に関連して幾つか質問したいと思いますので、時間が遅くなっておりますのでできるだけ結論的にお答え願いたいと思います。  まず成田新幹線の問題です。この成田新幹線というのは四十九年二月に着工して、東京−成田間の六十五キロの鉄道を、当初は五十一年に完成する予定でありました。この間に八百二十八億円が投資されておりますが、完成した工事は路盤の八・七キロメートルと空港の駅だけであるわけです。五十二年十一月にこの新幹線計画が棚上げされておりますけれども、借入金などに対する利息は五十七年度分で四十八億円に上っておりまして、いわば浪費の典型だと目されております。  この原因は、何といっても地元の住民や地方自治体との合意も得ないで運輸省が一方的に工事を進めていったということにあると思うのですが、運輸省としてはこの問題について、要するに住民などの合意を得ないで工事を進めてきたこと、そこからこの浪費が生じておりますが、この浪費の責任をどのように認識されておるのか。このことをまずお伺いします。
  185. 永光洋一

    ○永光政府委員 成田新幹線につきましては、今先生が言われましたように、四十六年に基本計画、整備計画を決定しまして、四十七年に工事実施計画を認可いたしまして、その後着工を進めたわけであります。  まず、成田の空港の工事とあわせて手戻りにならないようにということで、空港の下のいわゆる駅の施設から始めたわけであります。それから本線等につきましても測量等を進めておったわけでありますが、東京の江戸川の反対だとか、あるいは五十年になりまして市川市なり船橋の方から環境問題等でいろいろな御意見が出てまいりました。  こういう大きなプロジェクトにつきましては、手戻りとならないところから工事を始めながら沿線住民の御理解を願いつつ進めていくというのが普通でございますが、本線につきましては地元の御反対が五十年以降から非常に強かったということで、したがって、我々としましても、やはり何とか空港のアクセスはやっていかなければならないし、また千葉の通勤通学輸送網の充実という問題もあるので、何とか打開の道はないかということでいろいろ苦慮しておったわけでございますが、五十二年ごろから、いわゆる新高速鉄道計画というようなものを考えまして、その方向に沿っていろいろ計画を練っておるという段階でございます。
  186. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 結局、最初新幹線ということで計画をした、そのために全面的な反対が起きた、こういうことであるわけで、今言ったように、通勤通学というものが新幹線では問題にならないということから来ているわけです。それで、今言いましたように、ともかく大変な投資をしながら全然この工事が進んでいない。実に着工してからでも十年たっている。こういう状況で、現在でもまだ見通しが立てられないという状況、これはやはり行政としての誤りがある、この責任は非常に重大だと思うわけです。  この成田新幹線の計画田村運輸大臣のときに要するに棚上げされました。しかしその予算は、年々少なくなってはいますけれども成田新幹線として計上されておりまして、五十八年度も五十九年度も十億円ずつつけられているわけです。新幹線が通らないのに新幹線予算がついている。これは工事の施工認可がそのまま残されているということに原因があるわけです。これは財政浪費の問題だけではなくて、法律上の面からもやらなければならない問題があると思います。いわゆる田村構想、これは五十二年十一月で六年以上も前であるのに、法的には何ら新幹線計画を白紙撤回するということをしていないわけですが、なぜ六年間もたっているのに法律上の手続は行われていないのか、また、これからいつになったらこの新幹線計画取りやめの法的手続が行われるのか、お伺いします。
  187. 永光洋一

    ○永光政府委員 確かに五十七年までに五百七十七億という建設資金を投じておるわけでございまして、ただ、先ほど申しましたように、空港の駅あるいはその周辺の土屋までの投資でございまして、新幹線が非常に難しいという局面になりましたときに、この投資を何らかの形で空港アクセスと通勤通学輸送の目的を達成するために活用したいということで、五十二年からいろいろ、先生がおっしゃいますように六年間ということでございますが、考えておるわけでございます。その間若干の予算を公団につけておりますが、これはいわゆる全体の工費の中での環境整備とかあるいは残工事的なものでございます。  そして五十二年以降では、我々としてもいろいろ検討したところで、先生も御存じと思いますけれども、空港のアクセスのいわゆる八十島委員会というのをつくりまして、そこでいろいろな検討をしていただき、結果として現在、委員会ではA案、B案、C案という、いわゆる国鉄線によるところの新しい高速鉄道あるいは地元の民間鉄道をほぼ糾合した形でのB案という鉄道、それからA、Bとは別に、やや暫定的ではあるけれども、現在建設をしておるところの空港線と総武線をくっつける考え方、こういう考え方で、いずれか行政的に判断すべきである、こういう御判断をいただいたわけであります。  その後我々としてもさらにそれを詰めるべく、現在いろいろ広範な角度から検討をいたしておる段階でございまして、確かに時日を要しておりますけれども、我々としても何とか、この空港駅及び土屋までの投資に対しまして責任を感じて、この活用方について鋭意努力をしているところであります。
  188. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 要するに現在は、成田新幹線にかわってA案、B案、C案、この三案が提案され、またそれも研究をされているようです。東京から成田間のアクセスというのは、これは千葉県の通勤通学ラッシュの緩和に役立つものでなければならない。もともとの計画である新幹線であれば、これは通勤通学ということにはほとんど使えないということですから、この通勤通学のラッシュ緩和、そういうことに役立つことがこの千葉県の現状から一番必要でありますし、そういう点からまた沿線住民を初め地方自治体の合意、これは新幹線計画で失敗しているわけですから、これを当然前提として進めなければならないと思うのですが、基本的にそういう方向で進まれるのかどうか、お伺いします。
  189. 永光洋一

    ○永光政府委員 今後こういう鉄道を建設していきますにつきましては、地元と十分調整を図り、地元の御意見を伺いながら建設を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  190. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そこで新幹線計画なんですけれども、高速鉄道あるいは通勤通学に使えるような鉄道をつくる、そういうことを研究するということと新幹線というのはまた別だと思うのですが、この新幹線計画の凍結と田村運輸大臣のときに言われましたけれども、これはもう新幹線としてはやめるということは今言えないのでしょうか。このあたり大臣に言ってもらった方がいいと思うのですが。
  191. 永光洋一

    ○永光政府委員 当該成田新幹線は、鉄道建設審議会で基本計画あるいは整備計画をお決めいただいて、一応その答申に基づいているわけでございます。それで考えてみますと、この新幹線は空港のアクセスということで一応その審議会の議を経て計画をつくったわけでございますので、仮に現在凍結という形になっておりますが、いずれかのときにこの新幹線を凍結でなくて整理するということであれば、それは行政としましても、通勤通学輸送は別としまして空港のアクセスをどうするかという展望のもとに成田新幹線のことは考えるということではないかと思いますので、当面は凍結でございますが、今申しましたようにA案なりあるいはB案なりでアクセスなりの問題に見通しがついた上では、何らかの形で成田新幹線に付言していかなければならない、このように思っております。
  192. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に首都圏における通勤通学の問題ですけれども、この前、国鉄の方から「主要線区における混雑状況の推移」という資料をいただきましたが、混雑の緩和という面から見ますと現在の輸送力改善の程度ではとても間に合わない状況で、やはり引き続いて混雑度が高くなってきているということがこの資料からもわかるわけです。  そこで、きょうは常磐線の問題ですけれども、千葉ニュータウンまでの北総開発鉄道開通によりまして松戸駅への乗り入れや、それから沿線近辺の住宅建設などが進む、そして常磐線沿いの茨城、千葉での人口が急増いたしまして、常磐線の混雑はまさに有名になっているわけです。そこで常磐線の柏駅、松戸駅などの混雑を解消するためには、どうしても第二常磐線の開通が必要であるというふうにみんなも考えております。  そこで、第二常磐線を含む首都圏の通勤通学輸送の問題は運輸政策審議会で検討されているというふうに聞いておりますけれども、この答申というのはいつまでに出されるのかお伺いします。
  193. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 今お話のございましたように、東京圏の鉄道綱の整備につきましては運輸政策審議会に東京都市交通部会を設けまして審議中でございますが、私どもといたしますと、今年中にぜひ結論を出して答申をいただきたいというように考えております。
  194. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 この前、国鉄東京鉄道管理局で、第二常磐線は国鉄の経営力、体力ではどうしても無理だ、こういうふうに聞いてきたのです。現在の国鉄の経営力からいってこの第二常磐線を国鉄がつくることは不可能だというような発言だったのですけれども、これは、第二常磐線建設に国鉄はもう加わることができない、運輸省こういう方針でしょうか。
  195. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 国鉄の財政状態が非常に厳しいことは御承知のとおりでございます。ただ、国鉄の中でも東京間というのは非常にいい地域でございます。そういうことでございますので、具体的に第二常磐をつくるのはどういう事業主体がいいかということは、国鉄がやるということも一つ考えられるわけでございますが、また一方、実際に第二常磐をつくるに当たりましては今までと同じような財源なり何なりの形でやれるかどうか、非常にいろいろな形での負担という問題も出てまいります。そういう意味では民間なり地元の力というものも考えて考慮に入れていく必要もあるかもしれません。そういう意味で、どういうふうに事業主体をやっていくかということは、基本的な考え方はこれから審議会でもひとつ議論していただこう、ただ具体的には、今言ったような事情を考慮して国鉄も含めてどういう事業主体が担当するか、これから考えていくということになろうかと思います。
  196. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 第二常磐線をつくるについて国鉄が加わるかどうか、これは別といたしまして、いずれにしろ、第二常磐線が開通して今混雑で苦しんでいる人たちが利用できる、そういう時期が来るにはまだ相当時間がかかると現状からは考えられます。  それまで待っていたのではとても間に合わないというのが現状であるわけですが、この第二常磐線ができて現在の常磐線の混雑が解消されるようになるまでの間の現在の混雑状況を緩和するために、何らかの対応策を講ずる必要が現実にあると思うわけです。そういう点で、常磐線の増結だとか増発あるいは千代田線の増発について何らか対策がとられ、また計画を持っておられるのか、そういう中身と見通しについてお伺いしたいと思います。
  197. 須田寛

    須田説明員 常磐線につきましては特に通勤時間帯の混雑が激化をいたしておりまして、大変お客様に御迷惑をかけて恐縮をいたしております。  今御指摘がございましたように、幾つかの計画を今実行に移しているのでございますが、具体的には明年の春を予定いたしておりますけれども、現在まだ十二両で運転をいたしております中距離電車、つまり上野から出まして土浦、水戸の方に参ります電車、これが大変混んでおるのでございますが、これの十五両化を決定いたしまして、現在その準備に着手をいたしております。  その後の措置でございますけれども、現在快速電車がまだ十両で走っておりますので、これを増結して十五両ぐらいにしたらどうかとか、あるいは今お話がございましたように、これは営団地下鉄さんと御相談をしなければいけないのでございますが、営団地下鉄さんの方へ入っていく方についての何らかの増強措置ができないかとか、あるいは駅のコンコースの拡幅でございますとか、そういったようなハードの面での措置ができないだろうかとか、第二常磐線まではかなり時間がございますので、その間の対策につきましていろいろ検討いたしてまいりたいと思っておるところでございますが、現在はとりあえず中距離電車の十五両化につきまして鋭意推進をいたしておるところでございます。
  198. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そうしますと、中距離電車の十五両化というのは来年の春、要するに六十年三月、科学万博がありますけれども、そのときまでに実現するということでしょうか。
  199. 須田寛

    須田説明員 そのとおりでございます。
  200. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 快速が非常に混雑して、これは極立っているわけですけれども、今快速についても十五両編成化の計画をされておられるそうですが、快速を十五両にするために具体的に現在どんな問題を解決しなければならないのかということと、あわせて、十五両編成ということになればホームなんかの関係も出てくると思いますけれども、この十五両編成化の前に十二両編成で走らせることによってラッシュの混雑緩和を少しでも早く解決できるのじゃないか、こういう意見も地元などからよく聞くわけですけれども、この点についてのお考えをお伺いします。
  201. 須田寛

    須田説明員 快速の十五両化を実施いたします際には、まずホームを延ばす必要がございます。それは三河島と南千住と天王台という駅がございますが、この駅の現在十両対応でございますホームを十五両にしなければいけません。それから車両を約三十両購入する必要があるわけでございます。このホームの延伸と申しますのが非常に都心の住宅密集地での難工事でございまして相当な工費がかかります。四十億ぐらいかかるのではないかというふうに聞いております。それから車両を三十両増備いたしますことにつきましてもやはり三十億程度経費を伴いまして、また車両基地の増備等も必要でございますので、これはなかなかの大プロジェクトになってまいるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、とりあえず決定をいたしております中距離電車の十五両化をまず急ぎまして、もう少し様子を見まして今の次のプロジェクトへの決断をしたいと考えておりますので、快速の十五両化をいつから実施するかというところまではまだ成案を得ておらないというのが現状でございます。  それから、十二両化にしたらばどうかという御提案がございますが、確かにそういったものも車両数をセーブする意味におきましては過渡的に意味合いがあろうかと存じますので勉強の対象かと存じますが、ホームの延伸工事をいたします際に、十二両分の工事をいたしまして、さらにまた十五両の工事を継ぎ足すということになりますと非常に手戻りなりむだが多いわけでございます。したがいまして、その辺のことも考え、かつお客様の動きも考えまして、そういった過渡的な措置をとることがいいのかどうか検討しなければいけないと思っておりますので、その辺につきましてはまだもう少し詰めてみなければいけない、こういったような状況でございます。
  202. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に増発の問題ですが、昭和五十七年十一月の調査結果なんですけれども、朝のラッシュ時に常磐線快速は十両編成で運転時隔が六分、それから常磐線緩行は同じく十両編成で運転時隔が三分十秒となっております。これは現在も変わらないかと思いますが、この点確認をしたいことと、それからこの運転時隔では快速についてはさらに増発することができるのじゃなかろうか。快速の朝のラッシュ時の混雑で、柏だとか松戸駅でおくれが出ます。おくれが出ますとまた混雑がひどくなる。列車の本数をふやすことによって輸送力を高めれば、駅の混雑も緩和されるのではないかと思うわけです。そういう意味で、中距離電車も含めて朝の七時から八時の間では四分に一本であるわけですから、増発の余地がまだあるんじゃないかというように思いますが、この点、いかがでしょうか。
  203. 須田寛

    須田説明員 常磐の快速線は中距離電車とそれから快速電車を同じ線路で逆転しておりますが、朝一時間の一番ピークのときの運転時隔は三分三十秒間隔で現在運転しております。お客様のごらんいただきます時刻表は分単位になっておりますので、四分というふうに出ているところがあるかと思いますが、厳密には三分三十秒間隔でございます。実はそれ以上に詰めるということは極めて困難でございます。  と申しますのは、日暮里でございますとかあるいは北千住のようにお客様の乗りおりの非常に多い駅のホームが一面しかございませんので、もっと時隔を詰めます際には、そういう駅のホームを両面使いまして、ちょうど新宿駅のように右ホームと左ホームを交互に使いながら発着をするというようなことが必要でございますが、日暮里にはそういう設備が現在ございませんので、これ以上時隔を詰めるということは非常に難しゅうございます。上野につきましても折り返しの制約がございますので、先ほど申し上げましたような増結で対応するということでないとちょっと増発は不可能ではないか、こんなふうに考えております。
  204. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 増発ということは現状では非常に難しいということと、全く不可能だという問題があるのですが、それは全く不可能だという意味ですか。
  205. 須田寛

    須田説明員 ラッシュのピークの、一番列車の入っているところは不可能でございます。したがって、これから仮にやるといたしますと、この二月の改正でやりましたようにラッシュの前後の時間帯でございますね、例えば少し早目の時間とかややラッシュより遅くなった時間、そういうところに増発をいたしましてラッシュのお客様を誘導するという方法しかないわけでございます。実はその方式でこの二月には二本増発をしたわけでございますが、お客様を誘導すると申しましても、それぞれ御都合のいい時間帯というのがあるわけでございますから、時差出勤その他を極力お願いして効果的に活用するという意味では一つの施策でございますが、決定的な対策にはなり得ないというふうに考えております。
  206. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それでは夕方のラッシュの問題ですけれども、普通は午後の五時から七時半までラッシュ時間だというように考えられるのですが、常磐線の現状を見てみますと、夜の十時までラッシュという状態が続いているというように言われております。調べてみますと、中距離電車を含む快速電車は八時台には五本、九時台に五本、十時台に四本であるわけです。こういう状態でありますと、最近は残業も非常に多いし、遅くまで働く勤務時間などがありまして遅い時間に帰らなければならない通勤客が多いわけで、今の程度では通勤客の輸送をさばき切れないというような状況も生まれていると思うわけです。この時間帯での増発は可能ではないかと思いますが、いかがですか。
  207. 須田寛

    須田説明員 朝のラッシュに比べまして列車本数は少のうございますから、増発そのものは不可能ではございません。ただ問題は、首都圏周辺の各線区にすべて、先生の御指摘がございました夜の二十時、二十一時前後の、いわゆる通勤のやや遅いお帰りの時間の増発につきましては相当熾烈な御要望がございます。したがいまして常磐線ももちろんそういう御要望があることは十分承知をいたしておりますので今後の課題として勉強させていただきますが、各線ともそういう御要望がございますので、その辺をもう少し見きわめまして、各線のバランスをとりながら、常磐線につきましても明年以降のダイヤ改正の際に検討を進めてまいりたい、かように思っております。
  208. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 明年以降のダイヤ改正のときごろまでに検討する、その検討する順番といいますか基準というのは、どういうことになるのですか。
  209. 須田寛

    須田説明員 やはりその時間帯にどれくらいお客様にお乗りいただいているかということ、それからそのお客様の質、遠距離のお客様であるのか近間のお客様であるのかといったこと、それからその時間帯にほかの特急、急行列車がどういうふうに入っているかというふうなことがございまして、一律の基準というのはございませんけれども、こういうことにつきましてはある程度首都圏の各方面のバランスをとりたいというふうにも考えております。しかし全体として前向きに取り組むということは申し上げておきたいと存じます。
  210. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次は常磐線の松戸駅の問題ですけれども、松戸駅のラッシュ時には、千代田線、新京成線、それから快速電車との相互の乗りかえ、こういういろいろなことが重なっておりましてホームや階段などの混雑が非常にひどいわけで、駅の人たちに聞いてみても本当に事故を心配しながら運転したり駅に立ったりしておられますし、通勤者ももちろんそのことを非常に心配しているわけです。その乗りかえのための通路がホームの上り側にも一本必要になっているのじゃないかと思います。  五十九年度から二カ年の事業として、松戸市が六億七千万円の費用をかけまして自由通路であります跨線橋をつくって、その一部を松戸駅と接続する計画が立てられております。工事国鉄が行うと聞いておりますが、この事業を行うに当たって、今の松戸駅のホームの混雑、乗りかえの混雑を考慮して国鉄も同時に、乗りかえ用の通路など駅の混雑を解消するための施設の改造を現状から見れば行わなくちゃならぬのじゃないかと考えます。駅の混雑解消のための改造計画が必要だと思うのですけれども、この改造計画というのはどういうふうになっているのか。
  211. 須田寛

    須田説明員 ただいまお話がございましたように、現在松戸市と自由通路の設置につきまして詳細の設計上の協議をいたしておりまして、これは近々まとまりまして着工できると思います。松戸市が御負担いただくということでございます。  ただその際に、お客様のコンコースの流れも相当変わってまいりまして、松戸駅自体といたしましては構内の流動がかなり緩和される効果はあろうかと思いますが、何分にも自由通路でございますので、その自由通路から面接ホームにおりていただくということにいたしますと改札口を一体どのように設けるかというふうな問題がございまして、ストレートにそのままホームにおりていただける、つまり乗りかえ通路にそれがそのまま使えることにはちょっとなりにくい状況にございます。したがいまして、今いろいろ協議の中で検討しておるわけでございますけれども、今の松戸の駅の線路の上にございます本屋、つまりコンコースあるいは改札口のございます橋上の駅舎でございますけれども、これとどのように結びつけるかということであろうかと思います。それをうまく設定ができますれば先生のおっしゃいますような乗りかえ通路の緩和にもこれが役立つと思っておりますので、やはり松戸駅の乗りかえ混雑というのは大変なものでございますから、極力お客様の御迷惑を軽減するためにそういう方向で詰めたいと思っておりますが、今、詳細協議中、こういった段階でございます。
  212. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それで十分であるということにはならないかと思いますけれども、そのことが乗りかえの混雑緩和のために役立つように国鉄当局もリードをして、松戸市と十分協議してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  いろいろお聞きしますが、混雑緩和の問題とともに、通勤者から最終電車の延長問題についてもいろいろと強い要望があるわけです。首都への通勤圏のうちで、鉄道が整備されてきてはいるのですけれども、終電が比較的早いため、残業なんかで遅くなった場合にタクシーの利用を余儀なくされて、その費用の負担も非常に重いものになっているというような路線があるわけです。  常磐線に接続しております武蔵野線の場合、新松戸駅発の上り電車は最終は二十三時二十分で、常磐線の終電車零時五十六分新松戸着、下り各駅停車ですけれども、この終電車よりも一時間半以上も早いわけで、流山からの通勤者は武蔵野線の最寄り駅であります南流山駅を使うわけですけれども、そこからではなくて新松戸駅からタクシーを利用しなければならないという状況であるわけです。そういう中で、この三月に流山市議会では全会一致で武蔵野線のダイヤ増発と終電時刻延長を求める意見書を採択して、内閣総理大臣運輸大臣国鉄総裁あてに提出されております。  この問題について善処していただきたいと思いますが、現在の考え方を伺いたいと思います。
  213. 須田寛

    須田説明員 武蔵野線は貨物のバイパスルートであったわけでございますが、住宅の発展がございまして、今旅客路線として非常に発展をした外環状線になってきていることは事実でございまして、先生指摘のような終電車の延長、増発の御要望は十分に承っておるつもりでございます。ただ若干、終列車の延長につきましては、これは各線から御要望がございますけれども、駅の勤務の体制を相当変えなければいけない場合がある。それから、その割に御利用の実態が望めないと申しますか、昼間の列車ほどの御利用が望めないというふうなこともございまして、ややこれにつきましては慎重な対応をせざるを得ないというふうに実は考えております。したがいまして、今の御要望のあることも十分承知をいたしておりますし、これからの御利用の実態等を十分見きわめまして今後の問題としては検討させていただきたいと思っておりますが、今すぐいつにという、ちょっとそこまでの計画を今まだ持っておりません。
  214. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それからもう一つ、総武線の外房線、内房線について、千葉駅からの最終便を二十三時台に延長してほしい、増便してほしいという要望が非常に強いわけです。同じ東京通勤圏では通勤時間はほぼ同じであるわけですけれども、終電については、外房線、内房線、それからさっき言いました武蔵野線といったところは、そのほかの路線と比べても早く終わっておりまして、便利さという面では取り残されている状況にあります。そういう点で、ほかの路線との比較においてもこういったところは終電の延長と増便を進めるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  215. 須田寛

    須田説明員 武蔵野線の場合と同ケースでございますが、実は内房線は今回のダイヤ改正で最終が二十三時になっておりますが、外房線は先生指摘のように二十二時二十五分でございますので、かなり早いということは事実でございます。これも大変御要望が多いことを承知いたしておりますし、また御利用の度合いもかなりふえてまいっておりますので、今後の御利用状況を見きわめながら、先生のおっしゃるような方向も含めましてもう少し勉強させていただきたいと思います。
  216. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それからもう一つ、これから夏に向かってまいりますが、総武線の冷房化の問題です。この冷房化は総武線で早くから問題になっておりまして、また、それぞれ努力もしていただいてきたところであります。今では総武線の場合、快速で一〇〇%、各駅停車で六一%となっているわけですが、この総武線の外房線、内房線の冷房化率はどうなっておるでしょうか。  それから、大体これは乗っていても非常に少ないという感じですけれども、外房線、内房線の冷房化をどの程度進める予定であるか。要するに一〇〇%冷房化してほしいわけですけれども、そういう方向に向かってどういう計画を持っているのか、お伺いしたいと思います。
  217. 須田寛

    須田説明員 千葉から出ております内房線、外房線、それから千葉以東の総武線のローカル電車の冷房化率は、千葉から折り返しをしております列車で申し上げますと一四%でしかございませんので、先生がおっしゃいますようにかなり低いという御印象は確かに事実でございます。  ただ、この地域につきましては、東京の方から、つまり横須賀線から直通をしておりますいわゆる十一両編成の中距離型の電車が乗り入れをいたしておりまして、それらが大体二〇%程度の本数上の割合を占めておりますので、そういったものを計算いたしますと、千葉から内房、外房あるいは千葉以東の総武の方へ御利用いただきます場合の冷房化率は、大体三割程度には現在のところなっております。  私どもは、大都市近辺のこういった中距離電車につきましては極力冷房化率を上げてまいることで努力をいたしておるところでございますので、今後改造の都度あるいは新製車両と置きかえます都度に冷房化率は逐次上げてまいりたいということで、これからも取り組んでいくつもりでございます。
  218. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 きょうは運輸省設置法の一部を改正する法律案審議でありますので、法案について余り質問をいたしておりませんが、ちょっと私どもの見解を申し上げますと、本法案というのは、結局は臨調の答申に基づいて運輸省設置以来の大規模な機構改革が今度行われることになりますし、その一環の法案であるというように考えております。この機構改革というのは、政府は国鉄解体によって国鉄の再建路線を進もうとされておりますし、また地方バスや民営鉄道などの路線廃止、あるいは中小運送業者の切り捨てといったような国民犠牲、財界奉仕の運輸政策をより効率的に推進する、そういう機構改革であるというように考えているわけです。本法案による陸運、海運両局の統合も結局はこの一環であり、新設されます地方運輸局は、交通の公共性を否定的に取り扱って、不採算路線切り捨てを中心の柱とする地方交通政策の推進のための地方の中核機関になろうとするものであると考えております。それは、これまで以上に地方バスや民鉄路線の切り捨てあるいは中小運送業者の切り捨てなどで重要な役割を果たすことになるというふうに見ているわけです。こういう点から、私どもはこの法案には反対をいたします。  このことを申し上げまして、質疑を終わります。
  219. 片岡清一

  220. 松浦利尚

    松浦委員 まず、公正取引委員会の佐藤経済部長にお尋ねをいたしますが、御承知のように一九七九年九月にOECD、経済協力開発機構理事会が「競争政策と適用除外分野又は規制分野に関する理事会勧告」というものを採択いたしました。これを受けて公正取引委員会が、昭和五十七年八月に「政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度の見直しについて」の概要を発表されたわけでありますが、まず、このOECD勧告を受けて以降の我が国の状況について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  221. 佐藤徳太郎

    ○佐藤(徳)政府委員 御説明申し上げます。  今先生指摘のとおりに、五十四年にOECDの理事会勧告が出まして、私どもとしましては、このような勧告もありますし、また政府規制制度というのは企業の自由な活動を抑える一面も持っておるものでございますので、そのものについて競争政策の観点から見直すところはないかということで勉強してまいりまして、お話のとおり五十七年に私どもの報告書というものを出したわけでございます。その際にも、関係の各省庁に対しましては、私どもの意見も御参考にしつついろいろ御検討いただくことを希望するということを申し上げておったわけでございます。  それから、私どもといたしましては、こういう問題はもちろん行政管理庁と非常に関係がございますものですから、昭和五十五年から行政管理庁との間で合同検討会議というものを設けておりまして、そこで私どもの調査結果を申し上げたり、行政管理庁のおやりになっていることについていろいろ御説明を受けたりということをやっております。  それからまた、当時ちょうど臨調がございましたものですから、この報告書の内容につきましては臨調にも私どもとして御報告申し上げて、私どもの御意見もかなり入れていただいた御報告が出たというぐあいに考えております。  大体そんなところでございますが……。
  222. 松浦利尚

    松浦委員 時間がありませんから私の方から申し上げますが、この公正取引委員会が出された概要によりますと、五十七年六月現在で公正取引委員会確認した政府規制法律は、百七十三件であるあるいは百七十四件とも言われておるのですが、その数は今日も変わっておらないのかどうか、これが第一点。  それから第二点は、産業大分類に従って昭和五十年産業連関表の生産金額から政府規制分野のウエートを試算しておられます。この数字を見ますと、これは五十年現在ですから、今日では政府規制枠というのはもっと大きくなっておると思うのでありますが、全産業の生産金額を累計いたしますと、三百二十五兆四千七百九十五億円。これに対して政府規制分野の生産金額は百三十四兆八千三百七十七億円、ウエートにして四一・四%に上っておる。金額的には相当大幅な変動があると思いますが、このウエートについてはこの数字とほとんど変わらないのかどうか。この二点について簡単に御答弁ください。
  223. 佐藤徳太郎

    ○佐藤(徳)政府委員 今の御指摘の点は先生お話しのとおりでございますが、これは五十七年八月の私どもの報告書を出しましたときに調査いたしまして、その後トレースした調査はいたしておりませんので、法律の数あるいは今のウエート等新しい時点は持っていないわけでございますが、ウエートにつきまして言えば、割合としてはそう大きな変化はなかったのではないだろうかと思いますけれども、現時点では調査してはございません。
  224. 松浦利尚

    松浦委員 さらに、OECDのこの勧告を受けてアメリカを初め西ドイツ、イギリス、そういった国々は政府規制枠というものをどんどん解除して自由化の方向をたどってきておるのでありますが、各国の状況について、ひとつ簡単に御説明をいただきたいというふうに思います。
  225. 佐藤徳太郎

    ○佐藤(徳)政府委員 時間の関係がございますので簡単に申し上げますが、御存じのようにアメリカはこの点非常に力を入れてやっておりまして、七八年以降について国内運輸関係で言いますと、国内航空業、国際航空業、トラック運送業、鉄道業、バス事業等につきまして、参入規制について緩和したり、あるいは料金制度について一定の幅の中では自由に料金を変更できるような制度に直したりということで、規制緩和を図っておるわけでございます。  それから、イギリスにつきましては、御存じのように民営化を非常に大きな柱としておりまして、運輸関係で言いますと、英国航空あるいは英国国鉄の子会社につきまして民営化を図るような措置をそれぞれとっております。それから政府規制の関係では、急行のバスサービスについての参入規制の大幅緩和等を行っておるわけでございまして、イギリスは民営化を主体に規制緩和を図っておるというぐあいに考えておるわけでございます。そのほか、EC等でもいろいろ規制緩和について検討中であるというぐあいに聞いております。  以上でございます。
  226. 松浦利尚

    松浦委員 公正取引委員会は、我が国の運輸省関係の政府規制については、今日どういう状況をとろうとしておるというふうに理解をしておられるのか、把握をしておられるのか、その点をお答えください。
  227. 佐藤徳太郎

    ○佐藤(徳)政府委員 先ほど御説明いたしました五十七年八月に私ども報告を出しておりますが、その中で運輸系統につきましては、通運事業、トラック運送事業、ハイヤー・タクシー事業、航空運送事業、海上運送事業、それから港湾運送事業、倉庫業、その点についてお話し申し上げております。  それぞれについていろいろ私どもの調査の結果を明らかにしておりますけれども、大きな点で言えば、戦後といいますか、非常に運輸に対する事情が変わってきておる。自家用車が非常にふえておりますとか、あるいは国鉄の比重が非常に下がっております、あるいは内航海運も下がっておりますというようなことでいろいろ事情が変わっておりますので、そういう事情変更というものを現時点でどう評価なさるのか、政府規制をなるべくなくして自由化するという方向でどう考えておられるのか、その辺をお考えいただいたらどうかという点が一点でございます。  それから料金的な規制の問題につきましては、企業間の取引というのは企業に任せてもよろしいのではないだろうかという考え方を出しておりますが、一方、消費者との取引の料金につきましては、消費者に対する配慮もございますので何らかの規制が必要であるといたしましても、例えば最高限度制度というようなことで料金規定の中でも何か自由化が図れるような、そういうことも考えられたらどうでしょうかというようなことを報告書の中で申し上げているということでございます。  そのほかございますが、概要はそういうところでございます。
  228. 松浦利尚

    松浦委員 行政管理庁長官がおいででございますから、お忙しいそうですから冒頭御質問してお引き取りいただきたいと思うのです。  御承知のように、今公正取引委員会から御報告がありましたように、OECDの勧告に従いましてOECD加盟国は、後から具体的に取り上げてまいりますが、それぞれ自由化の方向をたどってきております。ひとり我が国だけがこの勧告のらち外にあるということは許されない時代化今日来ておると思うのであります。このOECD勧告というのは、簡単に言えば政府が抱えておる許認可制度というものをもっと縮小して団間活力を活用していくべきではないか、そういう意味で今日ここにも一つの法案が出され、それぞれ政府も努力をしておられるのでありますが、将来の方向として、このOECD勧告についてどのように受けとめておられるのか、基本的なお考え方をお聞かせいただきたいのが第一点。  それから第二点は、今公取の佐藤経済部長からもお話があったところでありますが、実は我が国の対応が非常に遅いために、例えば昭和五十七年の公正取引委員会の報告でありますが、この報告でいきますと金融・保険・証券業は一〇〇%政府規制の枠内、それから運輸・通信関係は九四・三%が枠内。御承知のように今アメリカから金融・保険・証券の自由化が迫られて、円ドル委員会が持たれておる。あるいは通信関係についてはVANの問題等を含めてアメリカから極めて強い自由化の問題が求められてきておる。あるいは農林水産業については牛肉、オレンジ等の輸入枠の拡大や自由化が迫られてきておる。一方的にアメリカ側から、極端に言うと私は外圧だとこう思うのですが、そういうものが来て初めて慌てて対応をする。常に後手後手に回るために、大変な国内の産業そのものについて影響を与える状況をつくり出しておるわけですね。ですから、そういった外圧によって自由化するということじゃなくて、もう少し政府自体がこういう世界の趨勢というものに対応する政策というものがあっていいのではないか、こういうふうに感ずるのですが、この二点について長官の御答弁をお受けいたしたいと存じます。
  229. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 御意見のようにOECDの勧告は、事業規制、これは当初設けるときはそれなりの必要性があり、また役割を果たすわけですけれども、それでは今どうかというと、必ずしも妥当性がないではないか、その上にかえってギルド組織みたいなものができて、あぐらを組んでいるというようなこともあります。もう一つは、規制によって達成ができる利益と規制に要する社会的、経済的、行政的コストとの比較、これもやはりやらなければならない。同時にまた、同じ規制でも厳しい規制もあれば緩やかなものもある。状況の変化によっては緩やかにしなければならない。一般的なこういったOECDの勧告を受けて、同時にまた第二臨調からも、これの許可認可は思い切って整理しなさい、そして民間の負担の軽減とかあるいは行政の効率化、そういったようなことを考えなければならぬではないかということで、政府としても真剣に取り組んでいるのです。  従来からもやっておりましたが、第二臨調が調査したときに、日本の役所というのは許可認可が大変数が多くて、大体一万件を超していると思います。そのうち臨調が各方面からの不満とかあるいは要望をとりました場合に、五千件が想上に上がった。ところが、同じそういった要望なり不満でも見方が違う立場でダブっているのがありまして、大体二千五百件ぐらいが臨調として調査の対象に挙がって、各省から事情を聞いて審査が行われた結果、とりあえず二百五十数件でしたか、それを早急に是正すべしということになりまして、政府として取り組んでおるのですが、五十九年度の改正で、大体七割弱は廃止をしたりあるいはまた規制を緩和したりということにいたしております。  まだ残っております。それからまた、臨調から今申し上げましたようないわゆる、言葉は悪いですけれども、指名手配を受けていない許認可が幾らでもありますから、これらも含めまして、行管庁としては五十九年度中に監察をもう一遍やるつもりでございます。そして、できる限り各省の御理解を得た上で、ぜひこの許認可の整理だけはやりたい、こう考えているのです。  ただ御案内のように、日本の役人というのは、予算の折衝と権限の問題だけは戦をしたら負けてくるなといったような古い体質が依然として残っておる。同時にまた許認可というのは、各省の公務員にとってはまさに権限そのものになるわけでございますから、この実施には相当な抵抗があることも事実でございます。しかし私どもとしては、やはり今日ここまで来れば、OECDがおっしゃるように先進国すべてがいろんなイデオロギー的な物の考え方を離れて、こういった際には何といっても民間の活力をふやさにゃいかぬではないかということで、御質問の中にありました対外問題ももちろんありますが、要するに自由な競争をやっていくということが結局は経済のすべての活性化につながるのだからといったOECDの物の考え方、同時にまた第二臨調も同じ考え方でございますから、私どもとしては、相当抵抗がございますけれども、これは何としてでも各省の御協力と各省大臣の御理解を得て逐次やっていきたい。  それでは一体今どうなっておるかといいますと、今のように整理はしておるのです。しかし、新しい法律ができるたびに新しい許認可ができるわけです。総数は、残念ながら減っておりません。こんなことでは行政改革の実は上がらない。したがって、もはややる必要のないものはどんどん廃止をして、そして同時に、新しく許可認可をやらなければならぬものについてもやはりこれは厳しい審査というものを経なければならぬ、かように考えておるわけでございますので、政府としては全力を挙げて取り組みたい、私どもはこう考えておりますので、御理解を仰ぎたいと思います。
  230. 松浦利尚

    松浦委員 行管庁長官、お忙しいそうですから、どうぞ、結構です。  私は今OECDの問題を取り上げてなぜこう申し上げたかといいますと、許認可という枠組みの中で温存されておりますと、今度の円ドル委員会で自由化を迫られておる金融問題、七兆と言われておる海外に蓄積されておる円、あるいはアメリカの年金関係の総額が三河兆近くある、そういったものがどんどん自由化されて、慌ててこちらの方が対応を出していっても経済摩擦というものが拡大をするだけであって、我が方の対応は後手後手に回ってしまう。私は、アメリカ側の大変な無理解あるいは外圧というものを決して容認しないし、激しい憤りを感ずるわけであります。  この問題をめぐって、今運輸省についても相当な経済摩擦が対外的に起ころうとしてきておる。先ほど同僚委員であります渡部委員からも指摘がありましたが、まず航空関係をとってみましても、アメリカは、このOECDの勧告を受けまして、一九七八年航空規制緩和法、七八年十月に発効いたしたのでありますが、参入規制の緩和、自由に入ってきてよろしい、あるいは標準料金の五〇%以内の引き下げあるいは五%以内の引き上げについては規制はされない、こういう法律を既につくり上げておるわけであります。我が国と直接関係のあります国際航空業につきましても、一九八〇年国際航空輸送競争法、これは同体二月発効でありますが、料金規制の緩和、国際航空業に関しても標準料金水準の五〇%以内の引き下げ及び五%以内の引き上げについては規制をされない、こういう法律をもう既にOECDの勧告を受けて整備してしまっている。  ユナイテッド・エアラインズが御承知のように大変な料金の値下げをしました。IAT協定というものがある。IATA加盟国である。しかし、現実には東京—アメリカ間の航空運賃には手を加えずに、国内のサービスによって実質的には我が国の日航の航空運賃に影響を与えるような状況が生まれてきているのです。これを外圧として相手側に話をしてみても、いや、東京—アメリカ間については日航と何ら変わりありませんよ、国内については自由に料金がやれるのですからということで、恐らくユナイテッド・エアラインズに続いてアメリカの各航空会社が一斉にこういう方向をとるでしょう。日航はどうするのですか。三〇%の政府の出資を受けて、独占をしてぬくぬくとやっておる。一方では、アメリカはこの国内法の整備に従って自由に参入して、どんどんとサービスを提供している。日本の国民に日航を使ってもらいたいという気持ちは我々にある。しかし、料金が安いから向こうに流れないという保証はない。ということを考えるなら、この際、今すぐというわけにはまいりませんが、将来の方向づけとしては、我が国の航空業のあり方についてもダブルトラッキングとかあるいはトリプルとか、そういった方向に行かざるを得ない、そういう宿命にある。そういう問題について山本航空局長はどのように理解をされるのか、あくまでも現状のやり方で対抗できると思っておられるのかどうか、そのことをお尋ねした上で、運輸大臣の方から明確にお答えをいただきたい。簡単で結構です。
  231. 山本長

    山本(長)政府委員 アメリカの航空行政でいわゆる規制緩和政策というものがとられておるわけでございますが、OECDの勧告との関係もあると思います。これはDECDの勧告があったからアメリカがそうしたという直接的なものであるか、むしろアメリカの考え方というものもこのOECDの勧告の中に相当入ってきておる、こういうふうな相互関係があるのじゃないかと思います。  まず、ユナイテッドの航空運賃の問題について申し上げますと、確かにアメリカの国内の航空運賃というものは、平たくいえば極めて自由である、自由に設定できる、こういうことになっておるわけです。ユナイテッド航空が、アメリカの一地点から自社に乗った場合に、約百十五ドルということで四ポイントあれできるということでございますけれども、アメリカの国内の運賃としてそういうふうなことができるというのはこれはアメリカの自由でございますけれども、この運賃問題というのは、自分の航空路線、特に日本から乗った国際旅客に対してだけ極めて安い運賃を適用する、そういう運賃も類似のものが既にあるわけでございますけれども、非情に極端に安いということが一つと、もう一つは、自社に乗った場合にのみ適用できる、こういうところが非常に影響が大きいわけでございます。国際運賃で、西海岸へ行く運賃と東海岸へ行く運賃と日本からのものを比べてみますと、約六百ドルくらいの差がありますけれども、ここで百十五ドルといいますと、約五百ドルの差が出てくるわけであります。日本の金額にいたしまして約十二万ぐらい。  こういう運賃が設定されることについて、日本国としてはとやかく言うべきものではないのかもしれませんけれども、しかしながら、それが極めて特定の、つまり自社の利用者のみに適用される、ほかの会社に乗った者には適用しないというところがやはり一番問題ではないか。日米間で航空企業が競争を通じて発展をしていくということが航空協定のねらいでございますけれども、余りにも公平を害する、あるいは公平な機会の均等を与えられないということについてやはり問題ではないかという観点から、我々はこれについてアメリカ政府に対して適切な措置を講ずるように要請をしたところでございます。これについてアメリカ側からは、検討の上可能な限り早くアメリカ側の考え方を述べる、こういうふうに申しておりますので、私たちはそれに基づいて対応いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、日本の国内における航空政策のあり方として、アメリカのような考え方を導入した競争政策あるいは自由化政策というものについて考えるべきでないか、こういうお話でございますが、航空行政につきましては、やはり安全ということと良質で安定したサービスの確保という観点から、現在、参入の規制なりあるいは運賃の規制というものをやっておるわけでございます。しかしながら、航空輸送につきまして非常に需要の多い、いわばパイプの太い路線につきましては、複数社の参入というのを国内的にはやっておるわけでございます。具体的には、一番パイプの太い路線は幹線でございますけれども、幹線のほとんどはダブルトラッキングということでやっておりますし、その内でもさらにパイプの太い路線につきましては三社の競争、三社参入という体制で現在やっておるところでございます。またローカル線につきましても、需要の多い、パイプの太い路線につきましては逐次ダブルトラッキングというものを進めてきたわけでございます。現在空港の事情が非常に窮屈でございまして、東京も大阪も一便も増便できないような情勢でございますので、この競争政策といいましょうか、ダブルトラッキングというものの実現について制約があるわけでございますが、基本的には、空港事情あるいは需要の観点から条件が整えはこういったダブルトランキング政策というものを逐次進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  国際線につきましては、国際競争という非常に激烈な競争場裏の中でやっていくというところから、日本の経済力を集中してこれに当たるという意味で日本航空の一社体制というものをとっておるわけでございますけれども、これにつきましても、先般貨物専用機による輸送につきましては、貨物専用会社の新規参入を認めるというふうな措置をとったわけでございます。私たちといたしまして、アメリカのようにディレギュレーションというものを急速にとることは国内的にはなかなか難しいと考えておりますけれども、しかしやはり競争というものを航空の中にも導入していくような方向で行政をやっておるつもりでございます。
  232. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、今お聞きになったとおりですが、アメリカ側が日本の要求をのむとは考えられません。むしろ時がたてばたつほど、日本から乗ろうとする日本人がアメリカの航空会社に奪われていくという結果になると思うのです。そういう問題について真剣に考えないと、日航自体が空気を運ぶという事態になってしまうのですよ。むしろ国際線にも国内線にも競争条件を導入して、どんどんお客さんを日本の航空会社が吸収していく、そういう対応をしないともう時代おくれだというふうに思うのです。私は、今すぐせよと言うのではない、そういう方向に向かって運輸行政、航空行政はあるべきだ、そう主張しておるのですが、大臣、どうでしょうか。
  233. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 先ほど来、OECDの勧告から発しましていろいろな御意見がございましたが、私は分けて考えなければならぬと思っております。  一つは、許認可というものをもっと減らすということが一つの大きな目標でございますが、この点につきましては私どもはできるだけのことはやらなければならぬ。第一今度の機構改正そのものが、中央地方を通じて許認可官庁から政策官庁に運輸省を脱皮させよう、こう言っておるわけでございまして、これまでもやっておりますけれども不十分だと思いますから、これはやらなければならない、かように思っております。  それから、航空のいわゆる自由化といいましょうか、四十五年の閣議決定、四十七年の運輸大臣通達というもので航空に対する基本原則、航空憲法のようなものが決まっておるのでございますが、先ほど申し上げたように、いろいろな角度からこれについては検討をする必要がある。ただ、国際線を複数にするということ、貨物についてはやりましたが、それだけを切り離すわけにはまいりません。全体として日本の航空行政がどこに行くべきかということで、今お話しになった御意見、また先ほどの質問者の御意見等も十分参考にさせていただいて考えてまいらなければならぬと思っております。  今度のユナイテッドの運賃の問題は、その問題とは関連はありますけれども別の問題で、例えば日本の飛行機が西海岸まで運ぶ、それが向こうの国内線については非常な差別待遇をされるということでございますので、これは、アメリカの航空当局で制肘を加えていただかなければ、これをやられたのでは手の施しようがない、こういうことになると思っておるわけでございまして、厳重に抗議を申し込んでおりますし、向こうもまじめに取り上げていただいておると思っております。どのような方法がとれるかというところは、アメリカはああいう自由自在といったような国でございますのでなかなか難しいと思いますけれども、これは何としても英米法のいわゆる衡平の観念からもやってもらわなければいかぬし、日米航空協定の中からも考えてもらわなければいかぬ、かように思っている次第でございます。
  234. 松浦利尚

    松浦委員 今大臣が言われたことをアメリカ側が聞いてくれればいいのですが、アメリカ自身は既にこういう法律を整備した上でサービスをやっておるわけですから、これは恐らく日本の要求を、国際関係でありますから聞こうとはするでしょうけれども、実行は難しい。結果的にアメリカの各航空会社が全部ユナイテッド航空に右へ倣えする、そういう法律体系になっておるわけでありますから。さあそうなったときに、指をくわえてこれは失敗だったというようなことのないように対処していただきたい、これが私の申し上げたい希望であります。期待、可能性ではなくて、そういうことにならないようにぜひ御配慮いただきたいというふうに思っております。  次に、運輸省は許認可官庁から政策官庁に脱皮をするということだそうでありますが、私もぜひそうあってもらいたいというふうに思います。あとたくさんあるのですが、時間もありませんから、二つの問題に焦点を絞ってお尋ねをいたします。  その一つはトラックに対する料金規制の問題、料金体系の問題であります。今、貨物料金については、あってはならないことでありますけれども、宅配便というものが非常に急激に発達をいたしまして、御承知のように運送会社が荷主の争奪戦を開始いたしまして、ダンピングというものがどんどん行われておる。あるいは下請等に過酷な下請料金で物を運ばせる。サービス競争ではなくて、まさしくダンピング競争、そういう状況が醸し出されておるわけであります。  確かに認可料金はありますけれども、実勢価格との乖離というのが非常に大きい。これを一体どうするのか。これはあくまでも許認可対象として認可料金でなければならぬと言うなら、違法をしておるのは取り締まればいい。ところが取り締まろうとはしない。ますますダンピングは進む。これは一体今後どうなさろうとするのか。  アメリカは参入も自由、すべて自由という形でレーガンになってから法が改まりました。このトラック業界の荷主を奪い合う、奪い合うためにダンピング競争をする、こういう今日のあり方についてどう思っておられるのか、どうしようとしておられるのか。もうここで料金は自由化させる、ダンピングするなら自由化させるんだ、そういう方針をおとりになるのか、それとも今後も料金規制という形で続けられるのか。簡単で結構ですから、そのいずれを選択しようとなさるのか、お答えをいただきたい。
  235. 角田達郎

    ○角田政府委員 運賃の規制の問題でございますが、ただいま先生、アメリカのトラックにつきまして運賃は自由、参入は自由というお話でございましたが、私どもの調査によりますと、確かにアメリカは八〇年の法律によりましてトラックの運送事業についての規制を緩和いたしました。しかし、参入規制、運賃の規制という基本は維持しております。その参入規制についての要件を緩和し、運賃についての幅を大きくしたということでございます。それからヨーロッパ諸国におきましても、イギリス以外は、フランス、ドイツにおきましてはやはりトラックの運賃というのは定額で決めております。  私どもは、先ほど先生からお話がございましたように、今や我が国の物流の中で相当な地位を占めておる、大切な役割をしているトラック運送事業が、荷主の奪い合いで運賃のダンピングをし、それがまた労働者にはね返って正当な賃金を労働者に払えないということは非常に遺憾としているところでございまして、その辺のところにつきましては私どもとしてはいろいろな手を打っておるわけでございます。陸運局、陸運事務所に輸送監理官というようなものを置きましたり、また、各県のトラック協会に輸送秩序指導員というものを置いて、協会と我が方と力を合わせて業界が認可運賃を守るように指導をしているところでございますし、また、荷主の方にも認可運賃を支払っていただくような御理解をいただくために荷主懇談会を各県ごとにトラック協会が非催して開催するとか、それに陸運局あるいは陸運事務所の職員が参加して荷主の理解を得るというようなことでやっておるわけでございまして、確かに先生がおっしゃいましたような事態はございますが、それを是正するというような方向で努力をしているわけでございますので、この点、御理解をいただきたいと思います。
  236. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 私は、全日本トラック協会会長も長くやりました。これは大変な問題なんです。  そこで、認可運賃というものがなかったら一体どうなるか。認可運賃よりも安いというのは、業者が荷物を引っ張り合うためにダンピングしている場合もございますが、荷主さんから強制的に言われておるのもあるのです。それは両方あるのです。ですから、認可運賃がなければ、これはそう言っては極端でしょうが、どこまで下がるかわからない。ということは、トラック業者そのものが荷主に対して非常に弱い立場にあるわけでございます。したがって、少しでも安い方にやるぞということをやればどんどん落とされていくという可能性が強いということになりますと、そうでなくても今トラックの従業員の労働基準関係などは一体これでいいのかどうか、あるいは騒音、振動の公害等に対する措置もこれでいいのかということが問題になってきておるところでございますから、私どもは、今自動車局長の言ったような、認可運賃を守られなくてじれったいし、これに違反をしたものをどうこうするというときには公正取引委員会にひっかかったりいろいろな難関がございますけれども、やはり認可運賃をつくってそれを守ってもらう、また業者もそれぞれ自粛して守るという態勢だけは崩せないんじゃなかろうか、実際問題として非常に難しい問題でございますが、そのように思っております。
  237. 松浦利尚

    松浦委員 非常に難しいことではあるけれども、やらなければまた外圧がかかってくる可能性すらあるのですね。  御承認のように、これは日経新聞ですが、「海運もか!日米経済摩擦」というのが先般大きく報道されたわけですね。これは御承知のように、発展途上国が中心になりまして定期船同盟行動規範条約、同盟コードというものをつくった、四・四・二の原則を守れ。ところがアメリカ側は四・四・二の原則を拒否する、盟外船、海運同盟に入らない船についても日本はその活動を排除しないようにせよ、こういう要求を突きつけて、途上国とアメリカとの板挟みになっておる。またコンテナにつきましても、御承知のように背の高い規格外の、アメリカが使っておるコンテナについて認めよという要求すら出てきておる。こういう状況が次々に外圧としてアメリカから寄せられてくる。そのたびごとに対応を迫られる。  ここに海辺局長がおいでかどうかわかりませんが、御承知のように合理化審議会において海運の構造的問題点についてるる、「シッピング」というのによると、海運局長は六つのことを述べておられる。なぜ早く手を打たなかったのか。外圧がかかってきて慌てて、さあ大変だ、こうだこうだというときにアメリカからどんどん要求が出てくる。さあ外務省やれやれと言ってもアメリカという外圧に耐えられず、こちらの整備ができないうちにどんどん押し込められてしまう。トラック業界だって、ないという保証はない。  私は大臣の言われることはよくわかります。しかし、難しいから、頭の痛いことだからということでこの問題は解決できる問題ではない。規制がいいなら規制というものをやはり守らせるというその原則をつくり出しておかなければならない。しかし片一方で公正取引委員会というものがあってなかなか難しい、それもよくわかる。ところが実質的には、ダンピングという形でサービス競争、料金の自由化政策というのが料金体系という規制があるにかかわらず行われておる。外圧がかかってきたときにどうするのですか。私は運輸大臣の言われることをよく理解もします。難しいことであることも事実。しかし早急に解決しなければならぬ重要な問題だと思うのですが、大臣、どうです。
  238. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今の自動車の問題については、おっしゃるとおりなんでございます。ですから、全力を挙げていわゆる輸送秩序を確立するということをやらなくちゃいけない。口先だけじゃだめなんで、いいかげんなことでまあ何とかなるだろうというような程度の問題ではない、かようには考えます。かような問題については、海運局長からお答えをいたしますが、焦眉の急でございますので、海造審で早く答申をいただいて早く手を打ちたい、こう思っております。
  239. 松浦利尚

    松浦委員 局長、言いたいことがあるでしょうが、海運局長のを読みましたし、大臣の御答弁とまた同じようなことを言われるでしょうから、もう結構です。また言いたいときは別の機会に言っていただきます。  いずれにしても、今私が申し上げたのは、アメリカという巨大企業がアメリカの国内だけではなくて、虎視たんたんと日本に経済進出をねらってきておる、そのことを抜きにしてはもう今日、日本の行政あるいは日本の業界というものは成り立たない時代になっておるのですよ。国内の競争から国際の競争という枠組みの中に投げ込まれようとしておるのですね。(「もう投げ込まれた」と呼ぶ者あり)今、もう投げ込まれたという不規則発言もありましたが、まさしくそのとおりです。ぜひひとつそういう点について早急に対応策を考えていただきたいというふうに思います。  これと同じようなことがタクシーにも起こってきておるわけですね。これももう時間がありませんから私の方からどんどん申し上げますが、昭和五十二年度に公正取引委員会運輸省との間で行政調整というものの約束事がなされておる。地域的に全部一括申請さしてはいけませんよ、一括申請は認めない、個別に申請させなさいよと。ところが、御承知のように京都にあるタクシー会社があります。料金値上げのときに、私は料金を値上げしたらお客さんを取られるから料金は値上げしたくない、こう言って料金値上げを拒否したところが、この京都のタクシー会社にいろいろ話を進め、行政を進めて、そのタクシー会社も右へ倣えで後から料金値上げの申請を出した。ところが、想像したとおりお客さんが減った。さあ、今度は料金を値下げしてください、こう言って申請したら、値下げはだめだと言って値下げをしない。  今までは同一地域同一料金。ですからどのタクシーに乗っても同じ地域であれば同じ料金、そういう行政指導が行われてきたのです。料金の認可が行われてきた。ところが御承知のように、今日ではこの京都のこういうタクシー会社がおるために同一地域同一料金体系に崩れが生じまして、六大都市の値上げができずに、二つの都市しか料金の値上げの認可をしておらない。現実的には同一地域同一料金という今までの許認可のあり方についてはもう崩れが来ておるのじゃないか。これはこれから一体どうしようとしておられるのか。やはりタクシーもトラックと同じように運輸省が古い形の許認可料金で抑え込むということではもう対処し切れない時代に来てしまっているのではないか。こういう問題についてどうお感じになっておられるのか。もう時間がありませんし、運輸委員会大臣の出席を待っているそうでありますから、政府委員の方は簡単にお答えいただきたい。
  240. 角田達郎

    ○角田政府委員 簡単にお答えいたします。  確かに京都はMKの問題で運賃の申請がおくれております。しかし、名古屋、神戸につきましては申請が出まして、今運賃改定の作業を進めております。  私どもは、同一地域同一運賃の原則について今のところまだ崩れが起きているというふうには認識しておりません。これは利用者サービス、それからタクシーで働く運転者、労働者の賃金、これを守るためにもやはり同一地域同一運賃の原則は守っていかなければならないと考えております。
  241. 松浦利尚

    松浦委員 局長、今労働者の賃金、待遇を守る、こう言われましたが、料金値上げをしたときに一体その料金値上げした分が労働者の方の賃金に還元されたというふうに、正確に幾らくらい還元されたという資料はお持ちなのですか。
  242. 角田達郎

    ○角田政府委員 今具体的な数字は持っておりませんけれども、これは趨勢的に見まして、タクシーの運転手の賃金というのは過去に比べて運賃改定の都度、それは大きな著しい上昇ではございませんが、徐々に向上していることは確かでございます。
  243. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、タクシー料金の許認可のあり方についてももう一遍見直すことが必要なときにもう来ているのじゃないですか。政策的にどうするこうするというのは別、こういう料金を認可するとかなんとかということから、やはり政策官庁に脱皮するなら、もう少し政策的にタクシーのあり方についても御検討なさる時代に来ておるのじゃないでしょうか、どうですか。
  244. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 今は、京都の問題ではおっしゃるようないろいろな矛盾が起こってきておるわけですね。ですから、おっしゃるようにやり方について見直す時期に来ておるかもしれません。私はそう思います。  しかしながら、タクシーの運賃が全然野放し、自由だということになりますと、お客さんは大変迷惑なのじゃないでしょうか。高く取られたり、場合によってはダンピング的に安く取られたりするようなことになるのじゃなかろうか。新しい時代に対応するような、今京都で起こっているようなことも考えに入れながら、どういう方式がいいかということを再検討する時期だ、こう思っております。
  245. 松浦利尚

    松浦委員 大変生意気なようなことを言って恐縮ですが、何%の値上げについては各社ごとにやりなさい、料金の何%引き下げについては各社ごとにやりなさい、アメリカがやっておるような航空運賃のような発想があっていいのだと私は思う。みんな一緒という感覚ではもう許認可は崩れてしまう。MKが出さぬ限りは認可料金というのは出せないわけであります。そうすると、公取が指摘しているようにまた強引にMKに料金値上げせい、料金値上げせいという過剰行政指導をせざるを得ない、こういうことになると思うのですよ。もう時間が来ますので簡単に。
  246. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 あなたの御意見も貴重な御意見として承りまして、今後いろいろ再検討する一つの材料にさせていただきます。
  247. 松浦利尚

    松浦委員 この法案に関連をして幾つかの問題をこれから御質問いたしますが、その前に国鉄の方、大変長い間迷惑をかけました。  私のところも廃止路線がたくさんあります。きょう知事から富崎県東京事務所を通じて反対だという意見書を提出いたしまして、これからいよいよ特定地方交通線として協議をされるのでしょうが、そのことはおきます。  ただ、一つだけお尋ねをしたいと思うのでありますが、実はこれは新聞のコラム、ばかばかしくて腹が立つやらというコラムなのですが、二月のダイヤ改正で、今まで四時二十八分に宮崎を出発して県北に行く「にちりん」という特急があったのでありますが、これが廃止になりました。そして、県北延岡の方まで、八十キロぐらいでありますが、この時間帯で特急に乗ろうとすると「彗星」しかないわけです。ある県会議員がこの「彗星」に乗りました。ところが、始発の都城駅で寝台が組み立てられておったわけですね。組み立てられておったけれども知らずに乗ったら、おりるときに、これは寝台特急ですから寝台料金を払ってくださいと言われて五千五百円別に取られたというのですね。確かに寝台特急ですから寝台が組み立てられておる。人は乗っておらない、空気だけ。しかも、夜ではなくてまだ午後四時半ごろの時間帯であります。既に寝台は組み立てられておる。延岡に行くのに乗ったら五千五百円寝台料金を取られるのですから、一切もう乗らない。結局、今まで非常にお客さんの多かった宮崎−延岡間の「にちりん」が廃止になったために国鉄離れが起こってきておる。最後にこの記者は、「規則だけをタテにとった国鉄の説明だが、何とかならないのかと言いたい。」前の方には「腹が立つやら、バカバカしいやら……」。まさに国鉄らしい国鉄だと思うのです。  私は国鉄に対して非常に同情的な立場に立っておる議員の一人です。こういうのは規則を盾にするのじゃなくて、一時間ぐらい乗れるように改めることぐらいは考えたらどうでしょう。たった一時間。寝台が汚れるかもしれない。前の一車両については寝台を組み立てずにそういうお客さんを運んで、その後おりたあたりで組み立てるぐらいのことをしてお客さんを吸収するということに努力をしなければ国鉄離れというのは続くのじゃないでしょうか。これはここに書いてあって規則でだめだ、こういうことですから、ここに立たれたらだめだという御返事が返ってくると思いますね。そうでない御返事ならここに来ておっしゃってください。
  248. 須田寛

    須田説明員 現在の私どもの方のお約束では先生おっしゃるとおりでございますが、実は寝台車を、寝台をセットいたしません区間、つまり朝でございますと七時ぐらいで寝台の使用時間が終わりますのでその後、夜でございますと午後六時ごろから寝台のセットをいたしますのでその前の間は、極力御利用いただく意味で寝台料金をちょうだいしないで乗っていただいている扱いはしているわけでございます。ただ問題は、これは寝台御利用のお客様には余り評判がよくないわけでございまして、できるだけこういうのは避けるという御意見がそちらの方から出てくるわけでございまして、なかなかその辺の兼ね合いが実は難しゅうございます。  実はこの「彗星」につきましては、延岡着が十八時ちょっと過ぎておりましたものですから、始発から寝台をセットしておりますのでそういう扱いはしておりません。ただ、今先生もおっしゃいますように、やはりかなりきめの細かい扱いが今後国鉄営業にはぜひ必要だと思っております。季節によりましてはお客様の込むときもございますので、その時期は寝台のお客様優先で御遠慮いただくこともあろうかと思いますし、また、すいておりますときは先生おっしゃるように何らかまた乗っていただくような手当ても必要だと思っておりますので、その辺のお客様の動きにもう少しきめ細かく対応することができないかどうか、現地の管理局ともう一度よく相談をしてみたいと思っておりますので、しばらくお時間を御猶予いただきたいと思います。
  249. 松浦利尚

    松浦委員 全くばかばかしいことですから、大臣から答弁は求めません。ですから国鉄当局で、お客さんが離れないようにもっともっと、簡単に言うとコンピューターというのがあるわけですから、寝台がどれくらいあいているかというのはコンピューターでわかるのですよ。何のためにコンピューターがあるのですか。それならコンピューターなんか初めから要らないんだ。そういう点も頭に入れてぜひ御配慮をいただきたい。これはもうばかばかしいですから大臣の答弁は求めません。ぜひ、今言われたように前向きに検討してください。  この法案について、少し時間をオーバーしますけれども、お許しをください。  その一つは、海運局陸運局統合していく、一つの局にしていくわけですが、そのことについては理解できますが、調査室の皆さんに、一体距離がどれくらい離れているかを調べていただきました。調査室の皆さん御苦労してつくっていただいたのですが、九州の運輸局は、実は今の海運局陸運局の間は七十九キロも離れておるわけです。これ、書類を決裁するときに一体どうなさいますか、どんなふうにやられるのですか。こんなに離れておるのです。こういう問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  250. 丹羽晟

    ○丹羽(晟)政府委員 お答え申し上げます。  陸運局海運局の距離につきましては、短いところ、長いところ、いろいろございますが、一番長いのが先生ただいま御指摘の北九州市と福岡市の海運局陸運局の間の距離でございます。約七十九キロということでございますが、私どもは、そこで行政行為を行います場合の内部の事務手続につきましてもいろいろ考えております。  それで、今考えておりますのは、局長は一人でございますので、局長の権限はできるだけ次長以下、内部の下の方へ専決をいたすような形で権限委任をいたしまして、それで局長の肩の荷をできるだけおろすような形にいたしまして、それでも局長がしなければならないという仕事は残るかと思いますので、その必要なときに応じまして局長が北九州市側の海運局とかあるいは福岡市側の陸運局とかそういうところに行って、その必要な決裁なり必要な仕事はしていくというようなことを考えております。
  251. 松浦利尚

    松浦委員 これはもう法案として出されておるし、私たちも別段反対はいたしませんけれども、行革だ行革だ、だからしなければならぬということで無理してただ看板の塗りかえだけやって、行政サービスを徹底するんだと言うけれども、逆にサービスが、こんな距離のあるところで書類の決裁などをするのはやはり行政的には大変なマイナス面というのも出てくるのですから、そういう点はただ単に行政改革だ行政改革だということだけで対処することはどうかというふうに私は思います。しかし、出されておるのですから、私たちは基本的には賛成をするつもりでおります。しかし、そういう点は今後の問題として、行政管理庁長官おられませんけれども運輸大臣、ちゃんとしっかり、余り妥協せぬように頑張ってくださいよ。
  252. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 九州につきましては、福岡に陸運局、それから北九州市に海運局というわけなんでございますが、海運関係は関門港を控えて門司にあることの方が非常に便利が多いということで、北九州の市長さん初め、そういう合理的な理由をもって一本にすることについて非常に強い御反対、またそういう御説得があったわけです。我々としては、できれば役所は行政機構の上からいえば一本になった方がいいに決まっています。しかしながら、九州はそういう特殊な事情がありますので、今おっしゃったような、悪くならないように、能率が下がらないように、一緒になったための不便がないようにするという妥協の方法を講ずる以外にはなかった、こういうことなのでございます。  それから、その他の地方で二つの役所がある、先ほどの御質問もいろいろありましたが、これはとりあえずとにかく二つのものを一つにする、しかるべき時期にはこれを一本にしていく、しかしながら、今一遍に庁舎を建て直したり何かするというわけには、これはそれこそ行革の精神にも反しますから、そういう気持ちでやっておるということで、御趣旨なりあなたの精神は生かしていく、こういうつもりでございます。
  253. 松浦利尚

    松浦委員 看板の塗りかえということだけだ、こういうふうに思いますので了解をいたします。  それと関連をしてではありませんけれども、船舶職員法第二十九条の三、外国船舶の監督規定について簡単にお尋ねをしてみたいと思うのです。  一九七八年、昭和五十三年六月のロンドンで船員の訓練及び資格証明並びに当砥の基準に関する国際条約が採択されまして、参加七十二カ国でありますが、昭和五十七年の九十六国会で国内法の一部が改正をされました。したがって、船舶職員法第二十九条の三によって外国船の監督を規定されることになりました。入港する外国船舶の数を調べてみましたら、年間に一万六千隻近くあるわけでありますが、これは運輸省の方にお聞きをいたしましたら、この外国船舶の監督規定について法の整備はあったけれども、職員の配置は全くない。  運輸省では一体、外国船舶の監督官というのですか、名称ははっきりしませんが、外国船舶の監督官という新しい制度についてどういう人員配置をするのか。行革関連だから人をふやすことはできないからということで人はふやさない、しかし法律は改正した、一万六千隻の外国船の監督はしなければいかぬ、一体これはどういうふうに対応をしようとしておられるのか。もう時間も来ましたからひとつ簡単にお答えください。
  254. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 先生指摘のように、STCW条約関連で新しい法律が制定されまして、昨年の四月から施行されているわけでございますが、これに対する対応といたしましては、船員労務官というのが各海運局及び海運監理部、海運局の支局に配置されております。これは本来の業務は船員法関係の労働関係の監督でございますが、この労務官を中心といたしましてその他の地方海運局及び支局等の職員もあわせましてSTCW条約関係の法の施行を実施したいという体制を今とっております。  それで人員の方でございますが、これは御承知のとおり予算的にも非常にきつい面がございますが、毎年わずかでございますが増員をいただいておりまして、現在合計百三十一名おります。今まで五十八年、五十九年におのおの三名ずつの増員を実現しておりまして、五十九年度にはさらに三名の増員を予定しております。また、この海運局に駐在いたします船員労務官とあわせまして、海上保安庁にはこの種の船舶の監督業務に当たることができ石海上保安宮が全国で五千八百六十人おります。海上保安庁の現場職員とこの船員労務官が両々相まって、今後の外国船の監督体制をさらに充実強化したいと考えております。
  255. 松浦利尚

    松浦委員 大臣、今お聞きになったとおりなんですが、少なくとも労務官というのは、我が国の船員の労働条件保護の問題について任務についておるのですね。ところが今言われた外国船の監督官制度というのは、要するに外国船について監督をする権限を付与されるわけでありますから英語が堪能でなければならない。下手をすると国際問題になる、トラブルが起こってくる、場合によっては訴訟問題にもなる、そういう状況なんですね。しかも九十六国会では私たちは条約を批准をして法律の改正を現実にやっておる。大臣、行政改革で確かに人が多いのを減らさなければならぬ。しかし、行政改革といえども人が必要なところはふやさなければならぬのです。しかもこれは対外国の問題ですから。そういう意味では先ほども大臣前向きな答弁なさいましたけれども、労務官をこれに振り当てるというのではなくて、一万六千隻も入ってくるのですから、そういう仕事を与えた海上保安庁としては日本海、太平洋をめぐりまして過重な負担を負うことになりますよ。ですから、そういう問題についてはぜひひとつ人員をふやす。私は、何もたくさんふやすというようなことを言っておるつもりはない。しかし、少なくともこういう対外国の問題については積極的に人をふやす努力を、大臣ならやれるでしょう、あなたは実力者だから、実力持っているのだから。ぜひひとつお願いいたします。
  256. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 大変御親切な、申し入れのような質問をいただきまして大変感謝いたします。私どもは、新しい制度に対応するように人的な整備をいたさなければならないと思っております。数だけではなくて、質の問題も非常にあると思いますので、訓練を十分いたして支障がないように極力いたしたい、かように考えます。
  257. 松浦利尚

    松浦委員 もうこれで終わりますが、大臣、訓練もしてもらいたいが、人をふやしてくださいね。人をふやすということの前提に立ってもらわぬと、過重になるだけです。ぜひひとつ大臣、前向きに答えてください。
  258. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 仕事がふえたところは人を張りつけなければいけません。しかしそれはほかを減らして持っていくというのが行革の精神、そして訓練をするということだ、かように思っておるのでございます。新しい仕事ができて、人を張りつけなければならぬところを張りつけないでやるというわけにはまいらない、そういうふうにお考えいただきたいと思います。
  259. 松浦利尚

    松浦委員 いま少し理解できませんけれどもね。人を減らして、その人たちをそちらに回すというようなことを大垣が言われましたけれども、そんなに運輸省は人が余っているのですか。そうじゃないでしょう。新しい分野ができたときにはある程度人はふやす、たくさんふやすということを言っているのじゃないのです。それぐらいのことは言っていただかないと、行政改革のやられっ放しじゃないでしょうか、運輸省は。答弁してください。
  260. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 仕事がやれるようにいたします、ということでございます。
  261. 松浦利尚

    松浦委員 終わります。
  262. 片岡清一

    片岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る十九日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五分散会