運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-04-12 第101回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十二日(木曜日)     午前十時八分開議 出席委員   委員長 片岡 清一君    理事 池田 行彦君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 松浦 利尚君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       石原健太郎君    内海 英男君       大島 理森君    菊池福治郎君       塩川正十郎君    月原 茂皓君       林  大幹君    山本 幸雄君       上原 康助君    角屋堅次郎君       元信  堯君    渡部 行雄君       鈴切 康雄君    山田 英介君       田中 慶秋君    柴田 睦夫君       三浦  久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 細田 吉藏君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         外務大臣官房審         議官      山下新太郎君         運輸大臣官房長 松井 和治君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 康雄君         運輸大臣官房審         議官      丹羽  晟君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省航空局長 山本  長君         海上保安庁次長 山下 文利君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  稲葉 清毅君         防衛庁防衛局運         用第二課長   上田 秀明君         防衛庁経理局施         設課長     大原 重信君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  大場  昭君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  田中  滋君         防衛施設庁施設         部施設取得第二         課長      小澤 健二君         沖縄開発庁振興         局振興第一課長 内田 陽一君         沖縄開発庁振興         局振興第三課長 藤森 研一君         通商産業省立地         公害局保安課長 谷   仁君         運輸省航空局技         術部運航課長  前原 隆久君         運輸省航空局管         制保安部長   平井磨磋夫君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       小山 昌夫君         労働省労政局労         働法規課長   廣見 和夫君         労働省労働基準         局安全衛生都労         働衛生課長   福渡  靖君         建設省計画局宅         地開発課長   三井 康壽君         建設省道路局道         路交通管理課長 横内 正明君         建設省道路局企         画課長     鈴木 道雄君         建設省道路局国         道第一課長   杉山 好信君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     岩瀬 虹兒君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     太田 知行君         日本国有鉄道経         理局長     室賀  実君         日本国有鉄道電         気局信通課長  村上 春雄君         日本電信電話公         社業務管理局長 神林 留雄君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大久保一男君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   宇都宮 寛君         内閣委員会調査         室長      緒方 良光君     ————————————— 四月六日  旧軍人恩給改定等に関する請願池田行彦君紹  介)(第二二一七号) 同月九日  旧軍人恩給改定等に関する請願宮下創平君紹  介)(第二二八八号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願(林大幹君紹介)(第  二三三一号) 同月十一日  元従軍看護婦処遇に関する請願足立篤郎君  紹介)(第二四〇三号)  同(小沢貞孝紹介)(第二四〇四号)  同外三件(吉田之久君紹介)(第二四〇五号) 同月十二日  旧軍人恩給改定等に関する請願市川雄一君紹  介)(第二五六六号)  元従軍看護婦処遇に関する請願安倍基雄君  紹介)(第二五六七号)  同外一件(池田行彦紹介)(第二五六八号)  同外一件(市川雄一紹介)(第二五六九号)  同(平沼赳夫紹介)(第二五七〇号)  同(山原健二郎紹介)(第二五七一号)  同外一件(内海英男紹介)(第二六八三号)  同(菊池福治郎紹介)(第二六八四号)  同外一件(國場幸昌紹介)(第二六八五号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願足立篤郎紹介)(  第二五七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)      ————◇—————
  2. 片岡清一

    片岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団理事大久保一男君及び首都高速道路公団理事宇都宮寛君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片岡清一

    片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 片岡清一

    片岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  5. 元信堯

    元信委員 きょうは、運輸大臣を初め皆さん大変御苦労さまでございます。審査対象となっております議案に関連をいたしまして、この際、運輸省所管業務について幾つか御質問を申し上げたいと思います。  まず運輸大臣に伺いたいわけでございますが、一昨日、国鉄運賃値上げ答申がございました。国鉄を取り巻く環境がますます厳しくなっている中での大幅な運賃値上げ、とりわけ格差運賃導入など、批判も非常に厳しい答申であろうかというふうに思いますが、この答申を受けて、そして運輸大臣としてはさらに国鉄サービス向上を図る責務がおありだろうと思います。そういうお立場から、今後のサービス向上に向けてまず運輸大臣の御決意を承りたいと存じます。
  6. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答えいたします。  一昨日、運輸審議会から国鉄運賃に関する答申をいただきました。ただいまのところ、これから物価問題閣僚会議に諮りまして、できますならば二十日から実施をいたさせたいと考えておる次第でございます。  御質問にもございましたように、今回初めて地域別格差運賃導入することになりました。これにつきましては国会の中でも、特に予算委員会中心にいろいろな御審議、御意見のあったところでございます。また、運輸審議会の中でもいういろ反対の意見等もございました。もうこの問題については長い乙と実は国会の中で、特に運輸委員会中心に議論をされておるところでございまして、いろいろな御意見があるわけでございます。私なども画一運賃主義でずっと通ってきたものなんでございますが、御案内のように臨調の答申が出、さらに再建監理委員会からの御勧告がございまして、国鉄経営という面から見て、特に競争という面から見て、都会地私鉄国鉄と比べると国鉄が高い、地方に行くと逆に私鉄の方が高い、こういった競争というような面から考えて格差運賃をとるべし、こういうことで、初めてこれを実施をいたすということに踏み切って、答申も、申請に対して若干の修正はされましたけれども、そのまま認めるという答申をいただいたわけでございます。  そこでこの問題につきましては、私ども正直なところを言いまして、どんな結果が出るかということにつきましては非常な重大な関心を持っております。特に地方ローカル線につきましては、そうでなくても客が非常に減っておるところでございますので、この結果さらにこれが輪をかけて影響を及ぼすのじゃないかというような心配も実はないわけではございません。ローカル線については今度の改正で五十億ほどの増収をこの格差運賃で考えておるわけでございますが、これがどうなるかということにつきましては、重大な関心を持って今後見守りたいと思っておる次第でございます。  なお、運賃改定は実は五年間連続でやりまして、昭和五十八年度はこれをやらなかったわけでございます。五十九年度は二年ぶりでございまして、私自身余り値上げをすべきでない、国有鉄道値上げをすべきではないじゃないかという意見を個人的には持っておるわけでございますけれども、どうしても予算編成上やむを得ない、千八百億ほどの足らないところを埋め合わせなければならぬということで、こういうことになったわけでございます。  御質問の御趣旨はよくわかりませんが、あるいは間違っておるかもしれませんけれどもサービスをどう考えるかということでございまして、この点につきましては運賃改定があったからどうこうということじゃなくて、国有鉄道サービスというものについては国民皆さん方の非常な批判を浴びておるところでございますので、職場規律を確立する、それから何よりもかによりも旅客、荷主に対するサービスというのは国鉄の本来の使命でございますので、労使一体になってこれに全力を挙げてもらうということ、これは運賃改定いかんにかかわりませんけれども、特に運賃も上がるというような時期でもございますので、さらにその点は力を入れてまいらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  7. 元信堯

    元信委員 私がサービスのことを申し上げましたのは、単に職員接客態度であるとか、そういうことを言っているのではなくて、国鉄の基本的な考え方と申しますか姿勢と申しますか、いま少し具体的に申しますならば、今大臣もお話しございましたように、特に地方ローカル線格差運賃導入をされて、さなきだにお客の少ないところへさらに客離れが生ずるのではないか、五十億の増収も画餅に帰すのではないかという危険もあろうかというふうに思うわけであります。  そこで私申し上げたいのは、国鉄再建に向けて、国民利用者皆さん、特にローカル線皆さんからはもっと利用しやすい国鉄にならないものかという提言というのが国鉄には数多く寄せられているというふうに思うのです。これに対して、再建が至上の課題である、そのためには一にも二にも営業成績だというふうに言われているわけでございますけれども、しかし、その中でやはり国民国鉄に対する再建への提言といいますか知恵と申しますか、いろいろな形で寄せられると思うのですけれども、こういうものに対して、大臣、積極的にこれを受けとめて国鉄経営改善のために資するものは受け入れる、こういうところをひとつ決意を表明をしていただきたい、こう考えて申し上げたわけであります。いかがでしょうか。
  8. 細田吉藏

    細田国務大臣 ローカル線サービスの問題ということでございますと、もっと申し上げることがあるわけでございます。私どもの方へ、これは大臣になる前からそうでございますけれども大臣になりましてからも、特にローカル線の問題について陳情の方が非常にたくさん見えます。そういう方々がおっしゃることは、国有鉄道は、運賃の問題は別にしまして、列車を数を減らし不便にする、初列車をおくらせる、終列車も早める、昼間は二時間も三時間も列車をなしにする、サービスを下げておいて、それで乗らないようにしておる、今度の運賃がそれに加わるわけですが、そうしておいて、乗客が少ないからこれをやめるのだ、まことにけしからぬことではないか、こういう陳情がもう圧倒的に多いわけでございます。なるほど、いろいろな場所によって違いますけれどもダイヤを見ますと、おっしゃるようなことが確かにあることはもう間違いがないのです。ここで終列車がもうちょっと遅く出せればもっと客が乗る、あるいは本線との接続がもっとよければ客がふえるという可能性がある、私は相当余地があると思います。  ただ問題は、この点について私は国鉄に厳重に注意をしておりますが、現在の人間の数、職員の数、現在のダイヤ操配だけでそれができるものなら、これはやらなくてはいかぬ。ところが、どうしてそういうふうになっているかということをよく探ってみますと、これは決定的なサービス改善することができない隘路みたいなものがあるわけでございます。それは何かといいますと、これは私をして言わせますと、現在の国鉄勤務体制というもの、これは団体協約によって決まっておる。この勤務体制というものを相当フレキシブルに考えていけばそういうことが可能になるわけですけれども、これを厳重に守るということになると、例えば便利にしよう、サービスをよくしようと思うと増員を要する、人をふやさなければいかぬ。人をふやすということになりますると、少々収入が上がりましても支出の方がさらにより大きいものになる。そのためにローカル線は、陳情の方がおっしゃるように、不自由に不自由に、不便に不便になるようになっておる。構造的にそうなっていると私は思っております。  そこで、これを救うにはどういう方法があるかといいますると、私は、幹線あるいは電車区間、そういうような非常な繁忙な、列車の込んでおるところと、あるいは私どもの田舎にもありますように、一日に列車が五回だ、六回だ、七回だ、十回だというようなところとは勤務の態様が違うわけですから、私は特別な考え方でこれは別に分けて勤務条件というものを変えていくのが至当なことではないか、こういうふうに思うのでございます。今、実はそういう方向において国鉄努力をしていただいております。  しかし、私は本来的に言いますると、これは今のままの国鉄対例えば国鉄労働組合国鉄動力車労働組合、こういう一本の団体協約の中ではなかなか難しいんじゃないか。しかしできないことではない。この中でもローカル線については特別ないろいろな扱いをして、人をふやさなくても増務というようなことで、勤務時間を延長するというようなことでそれだけの手当てをすることによって、仕事がそれだけ密でない粗いわけですから時間的に延ばしてそういうことにすればいいわけなんです。そういうことをぜひ考えてもらいたい。これをやらなければ幾ら便利にしたいといっても実は便利になりません。終列車を遅く出せといっても出せません。ですから、そういう方向ローカル線については考えてもらわなければならない、かように思っておるのでございます。  私個人の見解では、ローカル線については国鉄むしろ子会社にして、自由自在に列車がどんどん頻発できるように便利な地方民のための鉄道にするということが一番いいのではないかと言って、私の本などにも書いておるわけでございますが、一遍にそこまでいかなくても労働協約そのものをもっと弾力性のあるものに変えるということによってサービスが胸上できる、このように考えております。
  9. 元信堯

    元信委員 労働協約を弾力的にやることによってサービス向上ができるということだそうですが、きょうは国鉄からも来ていただいておりますので、せっかくですからちょっとそのことも聞いておきたいと思いますが、そういうことを具体的に国鉄当局としては国鉄労働組合その他に提案するなり、そういう具体的な働きかけというのはやっているのか、やっていればどういう対応になっているのか、その辺についてまず伺いたいと思います。
  10. 竹内哲夫

    竹内説明員 ただいまお話しの国鉄職員勤務の問題でございますけれども、これは、私ども国鉄をできるだけ効率的に運営するという観点からいたしますと、やはり弾力的な対応が可能になるようなものにしていかなければなるまいというふうに考えております。  具体的な事例といたしましては、この三月三十一日に動力車乗務員勤務について、組合との間に従来ありました内達一号という勤務に関する基本の協約があったわけでございますけれども、これを組合との間の合意によりまして、弾力的なシステムに運営が可能になるような勤務ダイヤが組めるような改定をいたしたわけでございます。これによりますと、従来、勤務時間を四十時間というような問題、あるいはその中におきますいろいろなハンドル時間だとかあるいは準備時間だとか、いろいろな区分けによりましてそれぞれの勤務時間が換算されるような仕組みを持っておったわけでございますけれども、今回は全部それらを見直しまして、行路といたしましては四十時間を超えて乗務行路が組めるというようなことも現実に進めておるところでございます。  こうしたものを基礎といたしまして、国鉄勤務全般にわたってやはり従来問題でありました非常に硬直化しておるということによります弊害というものを労使双方協議をして改善をしていこう、こういう機運に現在のところあるわけでございまして、今後、動力車乗務員以外の分野におきましてもなおそういう線に沿いましてやってまいりたいというふうに考えております。
  11. 元信堯

    元信委員 この動力車乗務員との内達一号というのは、国鉄には動力車関係だけでも随分組合があるように聞いておりますが、これは全部についてそういう合意に達したわけですか。
  12. 竹内哲夫

    竹内説明員 動力車乗務員に関しまして一番大きいウエートを占めておりますのは動力車労働組合、それから国鉄労働組合でございます。このほか鉄道労働組合、これら各組合との間に合意が実は成立をいたしたわけでございまして、私どもとしましてはこれは大変画期的な事柄であるというふうに考えております。
  13. 元信堯

    元信委員 国鉄再建へ向けて労働組合もそれぞれの立場努力をする、労働条件を守りながら国鉄再建に協力するということで、そういう環境は整いつつあるというふうに承りました。  そこで、そうなりますと国鉄の側で、労働の側からは一応前進があるとして、例えばこういうことをちょっと聞いたわけです。特定地方交通線指定されているところは、たとえサービス改善のためとはいえ一切新しく投資をするということはできない、さらにまたダイヤ編成がえもできない、こういうのが国鉄の基本的な方針であるというふうに聞いたわけですが、その点は大臣、いかがでしょうか。
  14. 永光洋一

    永光政府委員 お答えいたします。  特定地方交通線は現在、法律上四千人ということになっておりますが、二千人未満の、いわゆる鉄道としての特性が国民経済的に見て非常に少ないという線につきまして指定をいたしまして、バスに転換するなり、あるいは地元の御要望があれば地元として鉄道を第三セクター等におきまして維持するという形で転換を図っておるところであります。したがって、そういう政策を遂行しておる段階におきまして新しい投資というのは、よほど安全とかあるいは取りかえとかということを別にいたしますれば、差し控えておると思います。  ただ、輸送力を例えばもう一便ふやしてみたらどうだろうかというようなお話が協議会等でございました場合には、やはりそういう地元要望に応じて多少の輸送力増強をするというような例は、現在の特定地方交通線についても地元との話し合いてやった例がございますので、その点についてかたくなな行政をやっておるということではないと思います。
  15. 元信堯

    元信委員 問題は、その協議会が発足してからでは手おくれであるというのが地元の認識だろうと思うのですね。  そこで伺いたいのは、そういう協議会というところまで行かないまでも、これは大臣のところへも各地から随分そういう要請というのはあると思うのですね、そこまで行かない段階対応することによって国鉄利用増進が図れるのじゃないかと。いろいろなことを考えておられると思うのですが、その段階での対応について承りたいと存じます。
  16. 細田吉藏

    細田国務大臣 今、鉄監局長からお答えさせましたが、私をして率直に言わせますと、協議会を始めるということに対する不信感があると思っておるのです。始めたらもう見切り発車で決められちゃうぞ、そういう感じがあることは否めないと思うのです。私はこれはまことに遺憾千万なことなんでありまして、協議会を開いていただいて、国鉄はこうすればもっと便利になるじゃないか、もっと収入がふえるじゃないか、こういう列車をつくれば、こういう簡単な設備でもやれば、大きな設備はだめですけれども、やればもっともっとふえるじゃないか、そうすればいわゆる廃止対象になっている線よりももっと交通量がふえてくるじゃないか、こういうような話を徹底的にしていただきたいのですよ、本当は。協議会というのはそういうために開かれるものだと私は了解しておるのでございますけれども、どうもそうじゃなくて、やめるための協議会なんだ、だからめったに協議会には乗っかっちゃいかぬぞ、こういうお気持ちがあると思うのです。私は、都道府県知事やなんかが見えていろいろなことをおっしゃる方には、そういう話をしているのですよ。ですから、やってくださいよ、いい方法があるならその方法をとらせるように国有鉄道に言ってくださいよと。国有鉄道の側からは、いやそうするにはこれだけ人が要りますとか、今内達一号の話がありましたが、あれは内達一号だけでもうんと違います。人をふやさなくても列車をふやせるという可能性内達一号が変わるだけでも随分出てきます、今まで内達一号で縛られておりましたから。だから、むしろ不信感をなくしてそういうことを協議会でやってもらう。それで、一般の皆さんも、自分たち鉄道として、もっと便利にしろ、こうすればできるじゃないかというふうなことを言っていただきたい。もちろん鉄道自身も、これは商売ですから本当は考えておるはずだと思うのでございますけれども、なおいろいろ地方皆さんから御意見があれば、それを承りながらやっていく。できるだけ便利な鉄道にして、なおかつ乗られるか乗られないかということ、そういう努力はしなければいかぬ、こう思っております。
  17. 元信堯

    元信委員 協議会の性格が廃止を前提としない、大臣、そう力説をされるわけでございますが、その前の政府の答弁の中にも、とにかく廃止に決まっておるものだから一切投資はしないのだ、枯木に水はやらないというようなニュアンスのお言葉があるわけでございます。したがいまして、どうも大臣そうおっしゃいましてもなかなかそこまで、本当に鉄道の一日も長い存続を望む立場からいたしますと、はあさようでございますかというわけにはやっぱりちょっといかないだろうと思うのです。したがいまして、そこへ引きずり込まなければ話をしないよということですと、今の段階で自治体の側、地元の側では、そんなことにならぬようにしている。そこまで来なきゃ話をしないと言っていますと、そこのところに大きなギャップができてしまいますから、これはぜひ大臣の側でも受けとめて、その前の段階十分鉄道有効活用をする、そのためにできることはやる、この姿勢で臨んでいただくようにお願いをしておきたいと思います。  時間の関係がありますから次にまいりますが、特定地方交通線の問題に入ってまいりましたが、新聞等の伝えるところによりますと、第二次指定分の知事の意見書がぼつぼつ出てきているようでございます。現在の状況と第二次選定分の今後の取り扱いについてどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
  18. 永光洋一

    永光政府委員 第二次につきましては、御案内と思いますが、一昨年の五十七年十一月に国鉄の方から、いわゆる基準に合致していると思われるということで承認申請が三十三線につきまして出ておりました。これを受理いたしまして、関係十七道県知事に対しまして御意見をひとつお伺いしたいということで、承認申請に当たっては一応法律都道府県知事意見を聞くということになっておりますので、手続の一環としまして照会を行っておりますが、これまでに岩手県ほか十県から意見書が出ております。十七のうちいわゆる本土からは全部一応意見が出ておりまして、北海道と九州の関係知事さんからはまだ意見が出ていない、こういう状況になっております。非常に長い期間かかっておりまして、その間いろいろな事情があったと思いますけれども、残りにつきましてもぜひ御意見をいただいて手続の処理を進めたい、こういうふうに考えておる段階でございます。
  19. 元信堯

    元信委員 本土というのは本州という意味ですか。(永光政府委員「はい」と呼ぶ)  北海道と九州からは出ていない中で、実はこれにつきましても、意見を出すことが、意見意見として、それがそろった段階でまたこれをしおにどんどんやられるのじゃないかという気持ちがあるので、存続の希望の強いところほど出しかねているという現状ではないかなというふうに承知をしておるわけです。  そこで、先ほどの大臣の御答弁にもございましたけれども意見を徴する、それから協議会において十分協議をする、そういう環境になっていないことをこれは示していると思うのですが、そのためにも重要なことは、その協議が調わないままに廃止ないし転換に踏み切るという、いわゆる見切り発車ですね。これがちらつかされておりますと、どうしても手続面で抵抗せざるを得ない、必ずしも納得がいかないままに地方意見というものが押し切られる、そういう危惧がこれに反映されているというふうに思うわけであります。ですから、これはもう徹底審議をして、地元との間に十分の合意を得てこれを進める、こういう立場がこれからのお話し合いを実りあるものにしていくために前提として重要であろうかと思いますが、大臣、その辺いかがお考えでしょうか。
  20. 細田吉藏

    細田国務大臣 御案内のように、法律では、意見が調わないときには、やめてバスにかえるという申請を国鉄がして、それを運輸大臣が認めるという形になっておるわけでございます。したがって、そういう心配が出ているわけでございます。でございますから、建前そのものは法律が決めておるところでございますので、これは法律が決まるときに非常な御意見があったわけです。野党の側から、特に日本社会党さんを中心にして修正案もたしかお出しになった記憶もあるのでございますが……。  そこで、法律としては一応そうなっておるわけでございまして、やめないでもいいんだというふうに言い切ることは、私は法律がそうなっている以上はできないと思います。ただ、実際の問題は、線路は生きておりますからね。それ以上に地区の住民の皆さんは、それは死活問題と言うと少し大げさですけれども、非常に重大な問題でございますから、少なくとも行政としてこれは軽々に扱うわけにはまいらない、十分な配慮をいろいろな角度からしなければならない。単純に、時間が来た、それ、ぱあっと出発しちまえ、こういうものではないというふうに私は理解をしております。  ただ、法律の建前はそうなっております。そこでいろいろ問題が難しくなってきておる。こういうことでございますので、おわかりいただけますかどうですか、私は、生きた政治、生きた行政でございますから、そのようにどんどんやっちまうということは適当であるとは考えておりません。十分慎重に扱われるべきものであると考えておる次第でございます。
  21. 元信堯

    元信委員 これは、一私がわかるかどうかという問題ではなくて、結局、大臣と申しますか国鉄を含めた当局の皆さんの腹というものを地方自治体がどういうふうにわかるといいますか、読むといいますか、そこのところにかかってくると思うのですね。もし今おっしゃったようなことであれば、どんどん意見書も出てくれば協議会も開かれると思うのです。それが現実にそうなっておらぬところに、そうはおっしゃってもなかなかわかりがたい何物かがあるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思うわけです。  そこで、少し具体的な問題に入ってまいりますが、第二次選定分の中に二俣線というのがございます。これは私どもの選挙区に、両端は入っておりませんが、途中は通っておるものですから重大な関心を持っておりますが、この問題につきまして過日静岡県知事からも意見書が出たと思います。この意見書について、大臣、ごらんになったと思いますが、どういう御感想をお持ちになりましたか、まず包括的に伺いたいと思います。
  22. 永光洋一

    永光政府委員 静岡県知事から御意見をいただきましたのが三月三十日でございます。  この概要といたしまして、私ども詳細に拝見をいたしたのでございますが、やはり鉄道の存続を強く訴えられておりまして、その鉄道自体を全体の地域の総合的な交通体系の中で把握すべき問題であるというようなことが主な基本になっております。  それ以外に、いわゆる浜松地域におきますところのテクノポリス等を含めた地域の開発というような観点からこの鉄道はやはり存続が必要であるという鉄道の必要性等を述べられ、さらに代替道路等についても、必ずしも十分な代替道路の機能がないのではないかというような御提言があっております。  我々も、先ほど申しましたように十県につきまして意見が出ておりまして、できれば今月中に各十七道県の意見がそろいましたところで並行的に各県にヒアリングに参る、あるいは現地調査を行って、十分それぞれの県の知事さんの御意見対応する形で調査なりをいたしたい、かように考えておりまして、今後適切な処理に取り組みたいと考えております。
  23. 元信堯

    元信委員 私、承りたいと申しましたのは、どういう御感想をお持ちになったかということでございまして、中身なんか伺わなくてもよく存じております。  大臣、ごらんになりましたか。静岡県知事の意見をごらんになっていれば御感想を、こういうことでございます。
  24. 細田吉藏

    細田国務大臣 拝見いたしております。  大体出ております御意見というのは、知事さんが申し合わせをしておられるというふうにさえ思われるくらい、ほとんど同じようなことが出ております。しかし、これはごもっともな話でございまして、申し合わせしなくても、ローカル線を守る立場からいいますとこういう御意見が出ることは、私も地方自治行政もいろいろ関与したことがございますが、当たり前だと思っております。つまり、外すことは困難だよ、一口に言えばそういうことなんでございます。道路は整っていない、あるいは今後いろいろ開発をしたいと思っておるところだ、あるいは県内の今後の計画に大きな支障がある、大体もうそういったようなことになっておるわけなんでございます。  ですから、そういうことでお出し願ったわけですから、まだ出すところまでいっていないところも北海道初めあるわけですが、お出し願ったということはその御意見は十分承るということで、御相談をするという程度でなければこの問題は解決しないと思うのです。私はそう思っております。
  25. 元信堯

    元信委員 どこでも同じだというのが御感想、そういうふうに承ったわけでございますが、そうかもしれませんが、必ずしも山本知事はどこでも同じというつもりで言ったんじゃないというところもあるわけでございます。特に浜松を中心といたします静岡県の西部地域はテクノポリスに真っ先に指定をされたところでございまして、これから高度情報都市づくりに向けてやろうというやさきに、主要な交通路であります鉄道廃止をされるというのは、計画全体に水をかけられた、こういうふうに思うわけであります。  確かに二俣線の現況を見てまいりますと、御存じのとおり二俣線は戦争のときの交通途絶を予想いたしまして東海道線の浜名湖、天竜川の長大橋の迂回線として建設したものでございますから、戦争のないときにはそんな交通量がないのは昔からそうであったわけでございますけれども、これから新しい地域の発展の真ん中を通るものとして、現在の交通量は確かに千人強と私ども承知しておりますが、将来においては地域の基幹輸送路になるのではないかと考えられます。したがいまして将来の問題を踏まえてこの二俣線の問題は考えるべきではないか、現状だけではなくて、これから大発展を予想される地域の中の鉄道ということで別の角度で考えるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 細田吉藏

    細田国務大臣 同じと言いましたのは、それぞれの特殊な事情に応じてですが、同じところは、線路を引っぱがすことはいけないよということが同じだということでございますから、理由はそれぞれ違いますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  私はこの際根本的に申し上げておきたいのでございますが、ローカル線というのは大体三つの方向に行かざるを得ないのじゃないかと思っております。一つの方向は、やめてバスにするというものでございます。現にそうなった線も幾つか出てまいっておるわけでございます。大体短い路線でその近くに立派な道路がある、乗客もそう多くない、だんだん減っていくというところについては、この場合でもバスもあり鉄道もある方がいいには違いないけれども、これは鉄道として置いておくことは無理かな、バスにかえた方が、北海道の白糠線などはそうですが、むしろフリクエントサービスになっていいというので、むしろバスに取りかえられるべき線というのが一種類あると思うのです。それからもう一つは、二俣線がそれに当たるかどうかわかりませんが、将来性の問題があるのじゃないか。全体の交通体系から見て国有鉄道がやるべきではないか、今の状況はなるほどこういう状況であるけれども、これはこういうふうに変わるのじゃないかということから、国有鉄道経営のやり方を考えながら国有鉄道がやはり維持すべきではないか、そういうものもあり得ると思うのです。それからもう一種類あるわけです。もう一種類あるのは、バスにかえることはできない、しかし国有鉄道経営しておっては、今の大きな経営の中の一部としてやっていくにはどうしても赤字が大きいし、非常に困る、そこで第三セクターとかいろいろな特別な形の、別なより合理的なより経費が少なくかかるようなやり方、そして場合によってはより便利にする鉄道というものにするために、国有鉄道から切り離してその線路は残す、鉄道としては残す、地方鉄道として残すという考え方、この三つになると思うのでございます。  そこで、二俣線はあれだけの長大なものでございますし、私も若干土地の状況も知らぬわけでもございませんから、恐らく第一のものにはなかなかなりかねるのじゃなかろうか。結局第二か第三かという問題について、今後の静岡県の計画やら国土計画やらいろいろなものとあわせて十分考えていただくということになるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  27. 元信堯

    元信委員 二俣線は、さっき私が申しました、大臣も御存じのとおり、主要な線路を迂回している線路なんですね。したがいまして、今バスに転換するとかなんとか申しましても、今の迂回路をそのままバスに転換してもとても採算はとれないだろうと思わざるを得ないわけです。現実に浜松を中心として放射的なバス路線はたくさんございますし、民鉄もあるわけでございますから、ここのところは将来の問題、大きな地域開発の中にくっつけて考えていただかなければならぬし、そのことは恐らく将来の国鉄のためにも今やめると大きな損失をもたらすのではないか。こんな重大なところに鉄道があったのを引っぺがしてしまったということになりますと、地域開発にとっても損だし、国鉄にとっても損じゃないかというふうに僕は思うわけです。  それで、この前の当委員会におきまして、これは戸塚先生の方から御質問がございました新幹線の掛川駅問題に関連をするわけでございますが、二俣線というのは掛川から東海道線と分かれているわけでございまして、今一方において新掛川駅を新設をしようというときに、そこを起点に出発をする二俣線を廃止するということになりますと、これは新掛川駅についても大きなマイナスになるのじゃないかと思うのです。せっかくそこまで乗ってこようという人が、線路がなくなりますと多くの人はバスで浜松に行ってしまうのです。浜松から乗ることになって、掛川から乗る人がなくなってせっかくの掛川駅がしぼむじゃないかと思うのですが、どうですか。
  28. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  今先生おっしゃいましたように、掛川に新幹線の新駅をつくってほしいという大変強い御要望がございますことは承知をいたしておりますが、これにつきましては、まだいろいろ技術的な問題等の検討もございますので、結論は出していないというのが実情でございます。仮にそういう新幹線の新駅ができた場合といたしましても、これまでの東海道・山陽新幹線の例で申し上げますと、比較的距離の短いそういった接続線区につきましては、割合新幹線のお客様のフィーダーサービスとしての御利用の度合いが比較的少ない、やはり自動車なりバスなりで御利用いただく場合が非常に多いというケースがございますので、必ずしも駅ができたといたしましても矛盾はいたさないと思います。  ただ、先ほど来お話しございますように二俣線をどうするかということは、これから協議会でいろいろ御相談をいただいて、より地域に密着した輸送としてどうしたらいいかということを御協議いただくわけでございますから、その中で今の新幹線の駅が仮にできた場合どういうふうなフィーダーサービスをするかという問題も含めて御議論いただけると思っておりますので、その対応を見ながら私どもまた対応を検討してまいりたい、かように考えております。
  29. 元信堯

    元信委員 この際お願いをしておきたいと思いますのは、掛川新駅の問題、新幹線の問題と二俣線の問題がセットで考えられると、どうも何かおかしくなるのじゃないかというふうに思うわけです。したがいまして、仮に二俣線が存続が難しいということになりましても、そのことが掛川駅の障害になったりしないようにしてもらわなければいかぬと思いますし、それと局時に、裏返した形で東海道新幹線の掛川新駅をつくるのであれば二俣線はあきらめてもらいたいというようなことをまさかおっしゃらぬと思いますが、大丈夫でしょうな。
  30. 須田寛

    ○須田説明員 やや性格の異なる問題かと存じますので、あくまで二俣線問題は二俣線、掛川新駅は掛川新駅であろうかと存じます。むしろ今申し上げましたように、その輸送体系をどうするかという中で地元の皆様でこれらを総合的に御勘案いただくべき問題かと存じますけれども国鉄として、何もバーターとか取引とか、そういうふうなことを考えてはおりません。
  31. 元信堯

    元信委員 しかと承りました。  それで、二俣線の存続極めて厳しい状況にあるというふうに私どもも思わざるを得ないわけでございますが、その点に絡んで、ちょっと国鉄バスのことについて伺っておきたいと思うのです。  と申しますのは、今飯山線の中部天竜、それから佐久間、水窪、二俣線の遠江二俣を結びまして国鉄バスが走っております。遠江二俣営業所が設置をされておりますが、国鉄バスというのは国鉄の路線を結ぶ補完的なものだというふうに承知をしておるわけでございまして、飯田線と二俣線を結ぶのが国鉄バスの使命であるとすると、片っ方の二俣線が倒れてしまいますと宙ぶらりんになるわけですね。そういうことから将棋倒し的に二俣線が倒れたら今度は遠江二俣自動車営業所がなくなるのじゃないか、あるいは奥の方に移転をしたりして、これを機会に国鉄バスすら失われるのではないかという危惧が住民の中に非常に強いわけでございますけれども、その点について国鉄はどういうふうに考えているか。住民の足を守るという立場で、その二俣線の問題と国鉄バスの問題は無関係であるのかどうか、そこのところを伺いたいと存じます。
  32. 須田寛

    ○須田説明員 今先生の御指摘がございましたように、遠江二俣から水窪、中都天竜の方に参っておりますいわゆる天竜線という国鉄バス路線がございますが、これをつくりました経緯は、今お話のございましたような補完あるいは新線建設の先行といった意味合いがあったように聞いております。ただ、現状におきましては既に天竜川沿いの地域の皆様方の地域の足というふうになって定着しておると考えておりますので、私どもは二俣線が今後どうなるかということのほかに、天竜川沿いのバス路線沿いの皆様方の地域の足をどうするかということで考えるべきだと思っておりますので、二俣線が今後どのようになるかということについて、関係はございますけれども、二俣線が仮にバス転換になったといたしましても天竜線の使命が変わるものではございませんので、天竜線沿線の皆様方の御利用の状況等を見ながらこれからも運営をいたしてまいりたい。  ただ、バスにつきましては全体といたしまして効率化という別な面での要請がございますけれども、二俣線の転換と天竜線の経営という問題につきましては、必ずしも二俣線がバスになったから天竜線をやめるとかあるいは廃止するとか、そういうこととは関係ないと申し上げておきたいと思います。
  33. 元信堯

    元信委員 それはそういうことでよく承りました。  それで、二俣線関連でもう一線佐久間線がございます。これは遠江二俣から将来は中部天竜までということで新線建設の手がついておりまして、途中横山までの約七〇%ぐらいは工事が終わっておるわけでございますが、この前の国鉄再建論議以来工事がストップしたままになっておるわけでございます。これは二俣線からずっと立ち上がっていく線でございますので、二俣線が存続できないということになりますと前途極めて厳しかろうと思いますが、いかがですか。
  34. 永光洋一

    永光政府委員 先生がおっしゃいましたように、佐久間線につきましては二俣線から分かれておる線で、現在工事中ということでございますが、他のAB線二十四線ございますが、いわゆる国鉄ローカル線対策との整合という観点から、五十五年からいわば工事を凍結しておるという状況になっております。今後そういうものをどうするかということで、現段階におきましては、そういうAB線の凍結中の中でも、地元で第三セクター等国鉄と切り離してやっていこうというものにつきましては取り上げた形で建設を再開いたしております。  ただ、先生が今おっしゃいました佐久間線につきましては、二俣線との兼ね合いがございまして、二俣線の取り扱いをどうするかということが今後の協議会なり地元とのお話し合いで進められていくわけでございまして、その取り扱いいかんによっては確かに鉄道と接続をしないような形になることがあり得ると思います。したがって、いろいろな解決方法があると思いますけれども、現段階において凍結されておる佐久間線を国鉄線として建設することはなかなか難しい問題だと思いますので、もしその点につきましてさらに再開ということになりますれば、あるいは地元でやっていこう、あるいは二俣線ともどもやっていこうというような話も可能性としてはあるのではないかと思います。  ちなみに、御存じかと思いますけれども、三陸鉄道につきましては既存線はいわゆる地方交通線として指定を受け、さらに新線部分がそれに接続いたしておりましたが、地元の方で既存線と新設部分と合わせた第三セクターという形で建設が完了したケースもございますし、地元の問題で二俣線をどうするかという協議段階におきまして、佐久間線の取り扱いにつきましてもいろいろ議論があるのではないかと思いますが、現段階においてその線自体を国鉄線としてつくるということは、他との整合等から非常に難しい問題ではないか、こういうふうに考えております。
  35. 元信堯

    元信委員 おっしゃるように佐久間線、なかなか厳しい状況だと思いますが、もしこれで再開されないということになりますと、地域に対していろいろな影響が出てくるわけでございます。田んぼの中に土手を築いて築造した線路用の用地もございますし、こういう問題がこの次に発生してくるだろうと思うのです。佐久間線なんか、そう言っちゃなんですが、多少川の中へ橋脚をつくってさらしものにしているとかその程度で、まあそう大したこともなかろうと思いますが、先日、私は名古屋へ参りまして南方貨物線というのも見てまいりました。九五%ぐらい完成して、例の五九・二のダイヤ改正で用がなくなってそのまま放置をされているわけでございます。AB線どっちにいたしましても、全国に随分こういう放置施設ができるわけでございますけれども、特にこういう都市の中に、あるいは用地を強制収用で手に入れたものもございまして、膨大な工事費をかけて都市景観上も異様なものが残るということになるわけでございます。こういうものについて今後国鉄としてはどう処置をされるつもりか、そのことを承りたいと存じます。
  36. 細田吉藏

    細田国務大臣 今おっしゃったようなAB線、名古屋の貨物線のお話もございましたが、やりかけて中途でストップになっておるところ、全国には数十カ所ございます。この問題については、どうするかという基本方向がはっきりいたしますれば——とりあえず今のところはストップしておるわけでございます。でございますから、その時点のそのままの状態でストップしておる、そのために非常な迷惑がかかったり、それから土地買収に応じたが結局何の役にも立っていないとか、いろいろ問題があるわけでございます。したがって、時期は今はっきり申し上げるわけにはいきませんが、どういうふうに結末をつけるのだという見通しをはっきりさせまして、そして一カ所一カ所どういうふうに整理をしていくかということをやっていかなければならないじゃないか。簡単に申しますと、この線路は続けてやるならやる、これはやらないならやらない、やらない場合にこれをどう撤去して、土地はどういうふうにお返しするかというようなことを一つ一つ結末をつけていかなければならないと思っております。私の郷里などにも今、やりかけて随分長い間はったらかされているところがありましていろいろ問題になっておりますので、事情はよく承知しておるつもりでございます。
  37. 元信堯

    元信委員 その方向がつけばということでございますけれども、そんなにのんびりしていられる問題じゃないと思うのですね。特に大都市の中にああいう膨大なものをつくってそれを放置しておる、しかも、撤去をするとおっしゃいますけれども、この撤去についてもべらぼうなお金がかかるだろうと思うのです。現在の赤字国鉄がそんな金を出すということは、マイナス投資ですから到底考えられません。ぜひ早急にこの辺の処置方、方針を立ててもらいたいと思うのです。そのうちなんということには到底ならないと思います。  これをなるべく利用してということでございますが、先般、名古屋の鉄道理局長にもお目にかかって、南方貨物線、これはせっかくできたので、あと幾らでもないので旅客輸送の方に転用してはどうかということを申し上げましたけれども、あんなところをやったってもうかりゃしませんよということでせせら笑うようなもので、とてもかっつくような話ではございません。地元ではそういうことはさらさら考えていなくて、環状線を建設するのが先だよということをおっしゃっていましたけれども、そうだとしますと、全然方針は出ないわ、さりとて本来の目的には使われないわという状態で、これからずっとさらしものにされる可能性があるわけですね。かつてバベルの塔というのがあったそうでございますが、途中までつくりっ放しにして、それがさらしものになった。後世の人間に人知の限りを教育的に示した、こういう装置だそうでございますが、これは国鉄におけるバベルの塔になるのではないかというふうに思われるわけであります。したがって、今大臣のお話のあったようにそのうちということじゃなくて、明確に日を切って方針を立てて、あんな不細工なものを放置をしない、活用する、こういう方向でぜひお取り組みを願いたいと思うわけであります。  次へ参ります。二俣線に接続する東海道線のことについて、幾つかサービス改善の観点から承りたいと存じます。  在来線の利用度を上げようということで、いわゆるシャトル便と申しますか、静岡を中心に行ったり来たりする便をこの前のダイヤ改正でおつくりになって、それはなかなか好評のようでございます。国鉄の最近のヒットではないかと私どもも思っておるわけでございます。ただ、それに車両を大いに食われてしまいまして、周辺の通勤電車が物すごい混雑を来すようになったわけでございます。シャトルの区域から離れたところですね。こういう問題が出ておりまして、そのためには車両配置等を変えて、周辺のラッシュを緩和させなければならぬと思います。さらにまた、浜松を中心にしてもこういうシャトル便の増設の要望も強いわけでございますけれども、今起きております問題、それから将来の問題について方針を承りたいと存じます。
  38. 須田寛

    ○須田説明員 先生御指摘ございましたように、二月のダイヤ改正から静岡を中心といたしましたローカル列車の増発をいたしまして、データイム待たずに乗っていただけるというサービスをさせていただいたわけでございますが、列車編成がえをいたしましたので、今御指摘のように確かに一部の地域で従来よりも混雑が増したところがございまして、若干御苦情があることは事実でございます。  特に、今御指摘があったと思いますが、東海道線の島田から西の地域、掛川方面から朝、静岡に御通勤になっている方々から、従来の十二両編成が十両になったということで大変込むという御指摘をいただいております。  ただこれは、私どもといたしましては、静岡−島田間という静岡に近いところの方が混雑度が高かったものでございますから、実は編成を短くして生み出しました車両で島田−静岡間は朝一本増発をいたしました。したがいまして、全体としては同じ輸送力なんでございますが、島田以西につきまして若干御不便をかけていることは事実でございます。  それから、データイムの列車におきましても、一部非常にいい時間帯にありますものにつきましては従来の六両が四両になったことによって混雑がかえってふえたということもございまして、若干御苦情がございます。ただ、私どもまだ実施をいたしまして一カ月でございますので、もう少し様子を見きわめたいと思っております。  それから今御指摘のございました島田以西の通勤につきましても、今まで座席にお着きになられた方が今度は座れなくなったということは事実でございますが、定員を一割くらいオーバーしている程度、程度というと大変失礼でございますけれども、それほどのところまでまだ行っておりませんというのが実情でございます。したがいまして、もう少し様子を見きわめまして、このサービスを維持いたしながら、できたら、きめの細かい操配が可能であれば込んでいる列車の方の車両の編成ももう少し考え直すことも考えてみなければいけないと思っておりますけれども、もう少し様子を見させていただきたい、こんなふうに思っておりますので、しばらく御猶予をいただきたいと思っております。
  39. 元信堯

    元信委員 様子を見るのはいいですが、私ども承ったり承知をしたりしているところでは、とても一割なんてものじゃない。朝の国電ラッシュ並みにぎゅうぎゅう押し合いへし合いでなければ乗れやしない、こういうふうに承っております。ですから、様子を見ると言うのでしたらぜひ現場で、単にならした数字ではなくて実態をよくごらんになっていただきたいと思うのです。矛盾は、そういうシャトル便をつくったことによって近距離の通勤の方は確かに非常に楽になった、ところが、長く乗っていなければならぬ遠距離の人がかえってえらくなったというところに最大の問題があるわけでございますから、これはぜひ早急に対策を立てていただく、そういうことでお願いをしておきたいと思います。  それから、今度は新幹線のサービスの問題について、これは前にも問題になったことがあるやに聞いておりますけれども、新幹線内の公衆電話サービスの問題について承りたいと思います。  この新幹線の公衆電話サービスは、現在、東海道・山陽新幹線におきましては、地域によりまして受けられたり受けられなかったりする、こういうところがございます。一方、新しく建設されました東北、上越新幹線においては、もう全国どこからも直接通話ができるようになっておるわけでございまして、サービスに格段の差が生じているわけであります。特に東海道・山陽新幹線につきましては、新幹線の停車駅があるにもかかわらずそこの地域と通話ができないという地域があるかと思えば、逆に新幹線の駅がないところでも通話ができる、そういうのも不公平と言っていいのかどうか知りませんが、そういう問題がありまして、実際かなりの不便を来しているわけでございます。  私どもの選挙区の浜松市も、人口五十万の、東海では名古屋に次ぐ大きな都市でございますけれども、電話サービスがないということで大変な不便を来しておりまして、浜松市議会あたりからも陳情が出ているやに聞いておりますが、現状について、それからこのサービスのアンバランスの解消をどういうふうに図っておいでになるのか、そこを承りたいと存じます。
  40. 神林留雄

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、現在、東海道・山陽新幹線の公衆電話サービスの通話対地、通話できる範囲というのは限られております。これはどういうことかと申しますと、この通話の方式から若干御説明しなければいかぬのですけれども国鉄さんが列車運行用にお使いになっておられる通信設備、こういったものを私ども言うならば借用いたしまして、これに一般の公衆通話を乗せておる、こういう関係でやっておるわけでございます。現在、このために使わせていただいております回線数が六回線、まあ六回線といいましても全区間ではなくて、八つのブロックごとにその六回線が使えるわけなんですが、したがいまして六、八、四十八の通話が同時にできる、こういう関係になるかと思いますが、こういう格好でやっております。いずれにしても回線が非常に限られているものですから、通話がふえますと回線がふさがる、こういう状況になるわけでございますね。  現状を見ますと、全線平均いたしまして通話の話中率といいますか、これが大体五〇%を超えております。特に東京、大阪という大変通話の需要が多い地域では、これはもう六割を超えておる、こういう現状に今なっておるわけでございますが、まさに通話対地を限定しておりますのはそういう状況に根差しておるわけでございまして、現在、御指摘のとおり通話を提供できる地域というのは、五十年三月山陽に延びた段階でのひかりの停車駅と各地方の県庁所在地、こんなふうになっております。  なお、とまらないところでも使えるところがあるというのは、電話のネットワークの仕組み上、同じ局番、市外局番を回さないでかかる地域というものがあるわけですね。そういうところは物理的に規制する手がないということもございまして一部の地域が入ってございますが、基本的にそんなような格好で私どもサービスを提供させてもらっております。  これをふやすということは、ますますかからない、現在がからないことによる御苦情というのは大変多くございまして、かけさせてくれ、対地にしろといういろいろな御要望とともに、今あるところでかからないというものも大変出ておりますので、現状ではちょっと今のサービス対地といったものを広げていくというのは別の大きなサービスの問題を生じてくる、こう思っております。したがいまして、先生の最後の御質問に対しては、結局設備をふやすといいますか、回線数をふやすという手が言うならば決め手になるのではないか。別の言い方をいたしますと、これしかないのではないか、こんなふうに思っております。
  41. 元信堯

    元信委員 国鉄の施設を電電が借りてやっているということだそうでございますから、これは国鉄に承らなければならぬと思いますが、今言ったような、一つは既存の施設の話中率というのですか、使えないという率が非常に高くて不便を来している。それと、先ほど私も申しましたように地域的に非常な不公平が生じている。これは国鉄の施設を直さなければだめだということでございますけれども国鉄としては、この施設の改善についてどういう計画をお持ちでしょうか。
  42. 村上春雄

    ○村上説明員 お答えさせていただきます。  ただいま電電公社の方から御説明ございましたように、今このサービスエリアを拡大するあるいはもっとかかりやすくするというためには、国鉄の通信設備でございます列車と地上を結びます無線設備を増強しなければいけないわけでございます。現在、先ほど御説明がありましたように六回線ということで、今のサービスを維持するということもなかなか難しくて、国鉄の方にもいろいろと苦情が寄せられているという実態でございます。  国鉄といたしましても、このサービスエリアの拡大、さらにたくさんのお客様が利用される中でなかなかかからないという実態を改善するということは大変大切なことだというふうに考えておりまして、昭和五十四年には二回線の無線回線の増設をやっております。ただ現在の設備ではこれ以上の増強ということは無理でございまして、これを改善するとすれば、まだしばらくは使えます現設備を、車上も地上も全部あわせまして取りかえなければいけないということでございまして、莫大な設備投資が必要だということでございまして、その辺を御理解いただければというふうに思っております。  以上でございます。
  43. 元信堯

    元信委員 片方において新線の東北と上越が一〇〇%、しかるにこっちの方は五〇%以下というようなことになりますと、これはそういうのんびりしたことを言っておれる状況ではない。これは我が国の新幹線の機能としてもどうしても改善をしていただかなければならぬというふうに思うのです。これは更新をすれば莫大な銭がかかる、また銭がないという話に行きつくのだろうというふうに思いますが、しかし、施設といっても一遍施設したら未来永劫使えるわけでもございません。いずれ更新というときもあるわけでございますけれども、繰り上げて更新をするなりしてぜひサービスを均てんするようにお願いをしたいと思うわけですけれども、この更新の計画、繰り上げの可能性、そういうものについてどうお考えでしょうか。
  44. 村上春雄

    ○村上説明員 東海道新幹線の列車無線設備につきましては、御承知のとおり十九年前、昭和四十年に使用を開始したわけでございまして、そのころは列車の本数、お客様、サービスエリアが東京と名古屋と大阪市内だけということで、御利用される方は非常に少なかったわけでございます。そういったことで計画をしていたわけでございまして、その後の情報化社会ということで電話機の台数も非常にふえたという中で、今非常に御不便をおかけしているという段階でございます。  国鉄といたしましても、新しく設備する場合は、東北、上越新幹線のように十分な回線を電電公社さんの方へ提供するようなことで計画をして今運用しておるわけでございますけれども、この東海道新幹線の通信設備と申しましても、まだ使えるわけでございます。これが老朽に達しまして、使えなくなって取りかえをしなければいけないという時期におきましては、そういったような事柄も重要な事柄として設計の前提にしていきたいというふうに考えております。  なおこの問題については、部外の方々の御指導も得ながら、純粋に技術的な面からの勉強を現在やっておるという段階でございます。
  45. 元信堯

    元信委員 もう国鉄も新幹線開業以来十九年間ということでございます。かなり長く使っているわけでございまして、そろそろ更新の時期じゃないかと思うのです。その更新を早めれば事は済むわけでありますから、ぜひお考えいただきたいと思うのです。その更新の時期等についてはどんなふうになっていますか。
  46. 村上春雄

    ○村上説明員 お答えいたします。  一般的には、今までの経験から申しますと、ああいった通信設備の場合は大体二十数年というような段階までは使えるということでございます。
  47. 元信堯

    元信委員 二十数年といえば、来年で二十年ですからぼちぼち更新の時期に入っているわけです。しかも、耐用年数はそういうことかもしらぬけれども、今現実に大変な不便が生じている。しかもサービスにアンバランスが生じている。電話なんというのは附属的なサービスだというふうに考えるのは、今や時代おくれです。電電さんもそういうふうにお考えだと思う。これは必須のサービスだということでぜひお考えを願いたいと思うのです。  そこで大臣、こういう状況でありますから、更新時期ももう何年かというところまで来ておるわけでありますから、思い切って更新を早めてこのサービスの均てんを図られるようにぜひやっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  48. 細田吉藏

    細田国務大臣 大変大切なことなんでございまして、新しい東北、上越新幹線よりも東海道新幹線の方が状況が悪いということについては、御説のようにかえる必要があると思います。  そこで、具体的にどうするかということにつきまして、今ここで私は御返事を申し上げるだけの自信がございません。必要度につきましては、もうおっしゃることに私も全面的に賛成でございますので、国鉄の方、それから電電公社あるいは郵政省に、そういう技術的な面も含めまして検討させていただくということでお願いいたしたいと思います。
  49. 元信堯

    元信委員 ぼちぼち飛行機からも電話で通信をするという時代になりつつあるわけであります。大臣、御存じですね、飛行機からも電話で話ができる。この時代に、新幹線に乗ってしまえば耳は聞こえないのも同然というようなことでは、ますます飛行機に取り残されていってしまう。今に新幹線の客離れの要因にもつながりかねない、こういうことになろうかと思うわけであります。したがって、大臣、この問題を検討していただくとすれば、もう二十年も使ってきた装置ですからいいかげんに償却も済んでいるわけであります。しかも既に時代の要請にこたえられなくなっている装置でございますから、なるべく早く更新をするということでぜひ御検討を願いたいと思うのです。いいですね。  それで、もう一遍電電公社に伺いたいと思うのですが、先ほどの電電さんの御説明では、要するにこれ以上加入台数をふやすと、加入台数といいますかサービス可能なところの台数をふやすと、ますます話中率が上がるからできはせぬ、こういうことだそうでございますが、念のため、現在の加入対象になっている局というのですか、ゾーンというのですか、そこの加入台数というのは何台くらいございますか。
  50. 神林留雄

    ○神林説明員 現在、東海道・山陽新幹線のできる通話対地の分と全国の加入数との対比を見ますと、カバー率といいますか、できる対地が二九%、約三割、こういう格好になっております。(元信委員「何台がと聞いておるのです」と呼ぶ)加入数が五十八年末で全国で四千百五十万加入ございますが、接続可能地域の台数は千二百十三万加入、厳密に言いますと二九%、これがカバーできる範囲でございます。
  51. 元信堯

    元信委員 それで今、ひかりの停車駅の局のみということですね。ひかりの停車駅というのはどういう意味がよくわかりません。それも後で説明していただきますが、仮に新幹線の停車駅があるところだけを全部カバーすると何台になるのか、そのことによって話中率はどれくらい影響を受けるのか、そこのところを御説明いただきたいと思うのです。
  52. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えします。  現在の通話対地が決まったのが五十年三月でございます。ひかりの停車駅と申し上げましたのは、その時点における通常的なひかりの停車駅ということでございます。  それと、今とまっておるところを全部というのは、私、手元に具体的な数字を持ち合わせておりませんが、全体的に私どもとして仮に全国対地、要するに東北、上越みたいな格好でやったらどうなるかというざっとしたラフな計算をやっておりましたけれども、これは区間によって当然違うわけでございます。通話が大変多いところと少ないところ、大体七〇から九〇ぐらいの話中率になるのではないか、とりわけ九〇という方は通話の需要が一番多い東京−大阪間、こんなような大変ラフな試算でございますけれども、一応いたしてみました。
  53. 元信堯

    元信委員 私が承りたいのは、全国を一斉にやるということを言っておるのではなくて、少なくとも各駅——通常のひかりの停車駅というとどういう意味がわかりませんが、私の浜松だってひかりはとまるわけでございます。朝晩一本ずつではございますが、停車駅だと思っているわけでございます。そういう意味もありまして、少なくともとまる各駅だけには、いろいろ連絡の都合などもありましてどうしても電話することが多いと思うのです。しかもその台数というのは、今、大都市と言われるところはほとんどもうカバーされているわけですね、あと中小都市だけが残っているわけでございまして、恐らく加入率でいけば何%でもないと思うのです。ですから、それが話中率に対する影響というのもそんなに大きなものではないと思うのです。  今問題なのは、全体の話中率もそうですけれども、これは設備改善をしなくてはならぬということでありましたから、せめてサービスの均てんという観点が大きな問題になってくると思うのです。そういう意味で、このサービス対象を、少なくとも今とまる駅のあるエリアを全部カバーしたときに全体で何%台数がふえて、そして話中率にどういう影響があるか、ここのところをもう一遍承りたいと思うのです。
  54. 神林留雄

    ○神林説明員 今、手元に細かい対地別の加入数があるのですけれども、きょうはそこまで計算してまいりませんでしたので、また別途その辺のところの見通しを立てて先生に御連絡いたしたいと思います。
  55. 元信堯

    元信委員 御返事でなくて、この問題はちょっと留保しておきたいと思います。このところは、数字を知ればいいというのじゃなくて、考え方の問題がありますから、後から数字を報告してもらって、もうちょっと議論したいと思います。  それでは、電話の問題を終わりまして、運輸省所轄の運輸行政に関連いたしまして、トラックターミナルのことについて簡単に承っておきたいと思います。  五九・二のダイヤ改正以来、道路輸送に対する依存率がますます上がるばかりでございまして、道路はまるでトラックだらけという状態が続いています。加えてトラック業界の熾烈な競争もございまして、労働条件は悪化する一方、主要な幹線では、夜などはトラックが路肩へとまっておって、それで夜を過ごすといいますか寝ておる。国道一号線なんかはびっしりでございまして、それに追突いたしまして起きる事故も決して少なくはないわけでございます。したがって、このトラックターミナルの増設につきまして、業界からも、またトラック労働者で組織しております団体からも要望が非常に強かろうと思います。  東名高速道路の浜松西インターチェンジの周りに道路公団が五万坪にも及ぶ土地を確保されまして、これは区画整理区内でございますけれども、浜松市に委託をいたしまして大変な苦労のあげくに取得した土地であるわけでございますが、現在これが全く未利用になっている状態でございまして、地元でも、どうも当初の計画どおり使わぬのなら別の利用の方法もあるのではないかというふうに考えているわけです。一方において、こういうトラックターミナルに対する非常に大きな要求がありながら、ここのところが着手されておらぬというのはまことに奇異に思うわけでございますが、いかが相なっておりますのか、御説明を願いたいと存じます。
  56. 大久保一男

    ○大久保参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、東名高速道路の浜松西インターチェンジの近くに約十七ヘクタールの用地を道路公団といたしまして確保し、トラックターミナルとかトレーラーヤード等の設置につきまして検討を進めておるところでございます。  この事業化のためには、高速道路と周辺地域におきます貨物輸送の動向を慎重に見きわめる必要もございますとともに、トラックターミナルとしての機能を十分発揮するに必要な周辺の道路整備の進捗状況とか、あるいはこの事業の経営に重大な影響を及ぼすと思われます近隣の専用トラックターミナルの稼働状況等をも十分勘案することが必要でございます。公団としましては、目下浜松市等とも協議の上、事業化の方向で検討を進めておるところでございます。
  57. 元信堯

    元信委員 これは一たんは計画があって取得をされたと思うわけでございますが、それについていまだに協議というようなことになっておりますのは大変不都合であるというふうに思うわけであります。浜松テクノポリスの中心的な地域になっているところでございます。その周りの流通基地として大きな期待があるわけでございますから、なるべく早く地元との間の協議を完成させていただく、そのためには、区画整理の実施の順番なども出てくるわけでございますから、早急に協議を詰められますようにお願い申し上げておきたいというふうに思います。  それでは、ちょっと留保したこともございますので、以上をもちまして私の質問を終わります。
  58. 片岡清一

  59. 市川雄一

    市川委員 運輸省設置法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。この法律案を拝見いたしまして、海運局と陸運局を統合して地方運輸局ということなのですが、私、公明党の立場で行革は推進する、こういう立場で見ましても、これを行革という視点で見て果たして今回の組織の改編がどういうメリットを生んでいるのかあるいは行革効果を上げているのか、非常に理解に苦しむところでございます。まずその点をお答えいただきたいと思います。
  60. 松井和治

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  運輸省の地方ブロック機関といたしまして陸運局と海運局が分かれて存在しておったわけでございまして、全国にそれぞれ九つずつ置かれておりましたものを、今般、臨調答申を受けましてこれを九つの地方運輸局にするということで、これはいろいろかなり困難な問題が伴ったわけでございますが、思い切って統合を図ったわけでございます。  その結果どういう効果が生まれたかという御質問でございますが、確かに定員の面を調べてみますと、定員の面では地方陸海運局を統合し七名の減になっておるのでございますが、別途他省庁配転ということで他省庁から六名の人間をいただくというような措置がございましたので、差し引きいたしますと一名の減にしかならないということでございます。  また組織の点につきましては、局長が二人おりましたものが一人になるという、これは非常に大きな変革でございますが、その他の部、課につきましては数に増減はないわけでございまして、そういう意味で目先の効果はないではないかという御指摘かと思いますけれども、私どもといたしましては、陸運局、海運局という別々の地方支分部局を合体いたしまして、地方の運輸行政を効率的に、かつ総合的に行うというところに最大のメリットがあるというふうに考えておる次第であります。
  61. 市川雄一

    市川委員 統合なさるということ、その努力そのものは評価するのにやぶさかではありませんが、しかし建物はもちろん、性格からいって別々、今の御答弁を伺っていて局長が一人減るのが大きな変化、しかし次長という形で当然お残りになるわけでしょうし、やはり国民というサイドで見ますと、これはお役所内部の何か組織の改編をやっているというふうにしか受け取れない。こういう点が行革という視点から照らしてはっきりと一歩前進なんだ、こう何かぴんとこない、そういう感じを受けてならないわけです。  臨調の答申では八ブロックということだったと思いますが、今回は九ブロックにとどまっているわけです。その辺は、今後八ブロックの方向へ持っていくお考えなのかどうなのか、いかがですか。
  62. 松井和治

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  臨調の答申地方ブロック機関をできるだけ統合できるものは統合するという一つの方向が出され、その方向に従って先ほど御答弁申し上げましたように陸海運局の統合に踏み切ったわけでございます。また臨調答申では、ブロックの数につきましては、全省庁のブロック機関につきまして八ブロックを目標として整序を図るというふうな指摘がなされておるわけでございます。私ども今般の陸海運局の統合に当たりまして、先ほど申しましたように全国九つずつの陸海運局を統合し九つの地方運輸局にするということがこの統合という一つの大きな事業をなし遂げる最も現実的な対応だということで九ブロックにする要求をし、査定当局にもお認めをいただいたところでございます。  ただ、御案内のように、本年一月の閣議決定によりまして、この各省のブロック機関の数につきましてはおおむね二年をめどとしてさらに検討を加えるということが決められております。私どもも、陸海運局の統合後の実態等も十分勘案しながら、さらに検討を進めさせていただきたいというふうに考えております。
  63. 市川雄一

    市川委員 これは五年、十年たって、将来庁舎が古くなってきた、建てかえなければならない、その場合も、やはり例えば関東運輸局を例に考えてみて、陸の中心は東京、海の中心は港のある横浜、結局はこういう形でいくことになるのではないかなというふうに思うわけですね。そうすると、従来どおり今後も、組織は統合されても、行政サービスという問題もあるのでしょうけれども、建物は別々、そういうことですか。」
  64. 松井和治

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  私ども、今般の運輸局の設置につきまして庁舎問題というのは非常に大きな問題でございましたが、もちろん直ちに庁舎を統合するというような事情でもございませんし、また、御指摘の海の行政が港に中心を置かざるを得ないというような事情もございまして、地方運輸局のことしからの発足に際しましては、庁舎は従来どおり陸運庁舎と海運庁舎に分けて執務をするという体制をとらざるを得ないわけでございます。  今後の庁舎の問題をどうするかということにつきましては、これは地方地方によってかなり事情が違うと思います。例えば名古屋とか広島とか高松というようなところは陸、海運局とも同じ市に所在をしておりまして、ただ庁舎が別々の庁舎になっておる。こういうところにつきまして将来合同の新しい庁舎をつくるというような計画があるかないか、そういうようなことによって事情が異なってくると思います。庁舎が新しいものができましてそこに統合することが妥当だというふうな判断をしたところにつきましては、将来庁舎を合同していくということは当然考えられる方向ではないかというふうに考えております。
  65. 市川雄一

    市川委員 先ほど、統合によるメリットという点でいわゆる政策面の連携ということを言っておられたと思うのですね。確かに、統合したことによって海と陸のばらばらというか縦割りの行政が一つに統合された、したがって海陸を両方にらんだ形での連携的な政策がとれるということは理論的には理解できるのですけれども、具体的にはどういうことを考えているのですか。
  66. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 このたびの地方運輸局を新たにつくりましたときに、行政の展開といたしますと、統合のメリットを最大限に生かすために企画部というのをつくりまして、ここで従来陸運局、海運局次元ではできなかった総合的な運輸行政を進めていきたい。具体的に申しますと、地域交通の総合計画的な推進ということで、地域交通計画を現在でも陸運局でやっておりますが、さらに海を含めた視点からこれを進めていきたいということもございますし、最近のように物流がいろいろとニーズが高まってまいっております。こういう問題については、海と陸が一体となって行政を進めていく必要がございます。事実、事業者の段階でも海陸の連絡ということが非常に密接に行われておりますので、運輸行政の方からむしろ積極的な対応を進めていくということも必要だろうと思っております。  また、地場産業の振興というような問題もございますし、運輸行政については、これから地域の開発、地域の能力を高めるという意味からいろいろな要望が出されているわけでございます。航空についても港湾についても、そういうものを含めまして地方で運輸に対する期待が非常に多いわけでございますので、運輸局としますと、これらを総合的にニーズを吸い上げまして省全体としてどういう行政を展開していったらいいか、そういういわば各地域における探題として機能していくというような側面も考えられるわけでございます。従来の陸、海運局に分立していた時代と違いまして、新しい対応ということを目指して私どもは進めていきたいと思っております。
  67. 市川雄一

    市川委員 地域の物流を含めて、陸と海別々だったものが統合されて、関連づけた形で考えていきたい、それは非常に結構なことなんですが、それを本当に具体的に生かしていただきたいと思うのですね。  そういうことで、関連してお伺いしたいのですが、今、陸と海という形の統合が行われたわけですけれども、関西新空港の建設とか羽田空港の沖合移転とか、こういうことが話題に上がっているわけです。当然空という問題が起きてくるのじゃないかと思うのですね。陸と海、さらに空、この三者を統合する形での物流というものも当然考えなければならない時代が来ると思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  68. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 陸海空の総合的な輸送の合理化と申しますか、新しいシステム化という問題は御指摘のとおりでございます。今申し上げました地方運輸局の段階ではとりあえず陸海という地域的な輸送の問題に対していくわけですが、全国的な次元から申しますと、陸海空あわせてやっていかなければならないということで、ひとまず中央の方で対応したい、そういうことで今回貨物流通局というものをつくって、これによって総合的な運輸問題を扱っていきたい。  具体的に申しますと、現在、トラック輸送なりそういうところから航空貨物への転移ということがどんどん行われておりますし、また外航海運から国際航空へ貨物が移っていくということも時代の流れでございます。こういったものを円滑に進めるためのフォワーダーの育成とかいったことがさしあたりの行政の課題となるわけですが、中央の貨物流通局を中心としまして、航空局と連携をとりながら、あるいはまた国際運輸・観光局と連携をとりながら総合的な施策を進めていきたいと考えております。
  69. 市川雄一

    市川委員 関連しまして、地方事務官、自動車の検査登録、輸送管理業務に携わっている事務官を今回の改革では国に引き揚げる方針のようですが、地方分権という観点から考えまして、あるいは行政の簡素化という観点から考えても、批判が非常に強いと思うのですが、この辺、運輸省としてはどういうお考えですか。
  70. 角田達郎

    ○角田政府委員 地方事務官の問題は、先生御案内のように、私どもの陸運関係の地方事務官と厚生、労働地方事務官と、三種類の地方事務官の問題がございますが、陸運関係の地方事務官の問題につきましては、臨調の最終答申におきまして、まず一つ、検査登録の事務については運輸省においてやる、したがってそれに従事しておる地方事務官は運輸事務官とする。それからもう一つ、陸運事務所でやっております事務は、この検査登録のほかに輸送行政の事務がございます。この輸送行政の事務は、運輸省、陸運局、陸運事務所という一つの系列で実体的には行われておりまして、具体的に陸運事務所でやっております事務は、例えばタクシーの増減車の問題であるとかトラックの増減車、それからバスの休止の許可とか、そういうようなことで非常に末端の現場的な輸送行政の事務を行っております。この輸送行政の事務につきましても、現在陸運事務所でやっております事務は全部運輸省の事務として、それに従事しておる地方事務官は運輸事務官とする、こういう臨調の答申が出されたわけでございます。  この答申に基づきまして、閣議におきましても、この臨調の答申の趣旨を踏まえた方向で解決を図る、こういうような閣議決定がなされまして、私どもとしてはその方向に沿って法案を準備し、ただいまの国会に御提出を申し上げておる状況でございます。
  71. 市川雄一

    市川委員 次に、設置法に関連しまして、トラックの問題についてお伺いしたいと思います。  二月十七日の予算委員会で、たしか伺いました。それは、現在トラックの運送業はトン数で国内貨物輸送量の約九〇%を占めておるわけです。しかも、物流の中で飛躍的な役割を果たしておるわけですが、その大半が、九八%がまた中小零細企業であるということであります。したがって、中小零細企業のトラック運送業者によって我が国の物流体系の中では動脈的な役割を担われておる。  しかし実際問題、荷主とトラック運送業者の間に認可運賃という問題がございます。運輸省は運賃を認可する。しかし実際、荷主は運送業者に認可運賃を払わない。一方には過当競争という問題があって、ダンピングが行われている。ですから、認可運賃の約七割ぐらいのお金しか運送業者に払われない。  そういうことから起きてくる弊害は恐らく運輸省も頭を痛めていらっしゃると思いますが、過積載あるいは運転手のオーバーワークによる事故、それからこの間予算委員会で指摘をいたしましたように、中小企業の経営者が従業員に法定福利費を計上しない。厚生年金、健康保険、失業保険、労災保険は、人件費に占めておる割合が大体一三%から一四%が正常な値です。しかし、神奈川県のトラック協会が自主的なアンケート調査をした結果では、三石柱のうち約一三%近い会社がこの法定福利費を計上していない。これはアンケートに答えただけではなくて、答えた会社に対してトラック協会の幹部が実際に電話なり直接赴いて、法定福利費を計上していないという事実を確認している数字ですから、いいかげんな数字ではないわけです。こういう問題をこの間予算委員会で問題提起をしたわけです。  要するに、なぜ運賃を認可しておるのか。認可した以上は、ある程度これが守られなければならないと思うのですね。上限一〇%の調整の幅があるにしても、七〇%を切ってしまっておる。そこから今申し上げたような、運輸行政でいろいろな意味で問題が起きておるわけです。過積み、あるいは運転手を二人置けばいいものを一人しか置かないとか、一人の運転手の労働時間が一日十六時間とか十八時間とか、非常に長くなる。居眠り運転事故、あるいはそこで働いておる人たちの法定福利費が削られる。弱い人のところへ全部しわ寄せがいく形で運賃が払われないということが、トラックの運転手さんとか従業員とかにそういう形で全部あらわれてくる。あるいは交通事故という形で社会に問題を起こしておる。これはいろいろな側面がありますが、きょうは別の側面からお伺いしたいと思うのです。  一つは、過当競争というものを秩序のあるものにしなくてはならないと思うのです。一定の条件のもとにフェアな競争が行われるということが望ましいわけでして、全く条件を無視した競争というのはまずいと思うのです。そういう側面で考えまして、今経営が困難となって事業を休止している事業者は事業休止届を義務づけられておりますが、休止届を出している事業者、運送業者、こういう実態把握はどうですか。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕
  72. 角田達郎

    ○角田政府委員 輸送秩序の問題は、私どもにとりましても非常に重大な、大切な問題であるというふうに考えております。先ほど先生のお話ございました法定福利費が計上されてない事業者、これにつきましては、ただいま調査を実施中でございます。  それから今お尋ねの、事業を休廃止をしている事業者がどのくらいあるかということでございますが、昭和五十七年度の数字を申し上げますと、事業を廃止した区域トラック事業者は百五十九事業者でございまして、また、事業を廃止ではなくて休止した区域トラック事業者は九十事業者、こういう状況になっております。
  73. 市川雄一

    市川委員 この問題は、御承知のようにいろいろな問題があるわけです。私たち考えてみて、認可運賃をやめたらどうなんだ、全くの自由競争にしてあげたらどうなんだ、こう運輸省に言いますと、運輸省はそれはまずい、運賃は認可しなければまずい、こう言うわけです。運賃を認可するということは、恐らく社会的妥当性というものを計算の根拠に置いて、社会が納得するというそういう論拠があって計算された運賃だと僕は思うのです。したがってこの運賃は、少なくとも適正な利潤というものを含んではいるでしょうけれども、社会的に納得されるという前提で計算された認可運賃。その認可運賃が、一〇%の許容範囲はあるにしても、これがさらに二〇%を割って七〇%、こういう事態を放置していいのかということです。  したがって、じゃ認可運賃を自由化してしまえばいいじゃないですか、こう言うと、それはまずいと言う。今度は逆に、それではダンピングをどうするのか、荷主の方に対してもっと払うように運輸省が呼びかける、これも運輸省としては限界がある。それでは輸送秩序の方、業界側の自主的な努力というものをもっと育ててあげる、こういう方にもっと力を入れるべきではないかということを申し上げると、なかなか実効のある措置というものがとられない。これでは何年この議論をしていましても百年河清を待つような議論になってしまうのですよ。したがって、何か一つやれば全部が改まっていくというものではありませんけれども、できるところからやっていく、そういったくましい実行力というか、そういうものが欠けているように思うのですが、大臣、まず所感を伺いたいと思うのですが、いかがですか。
  74. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は、かつてしばらくの間、全日本トラック協会の会長もいたしたことがございまして、このトラックの運送秩序の問題というのは運輸行政の中で一番大きな問題の一つであり、また、解決困難な問題の一つであると思います。今市川議員のおっしゃるとおりの問題でございます。  そこで、免許をやめる云々という話がございますが、免許をやめたのではこれはとても収拾がつかないような状況になるのでありまして、むしろ今新しい免許をとめるべきではないか、新規参入をとめたらどうかという説の方が有力なんでございますが、全然参入をとめるといことも、これは非常に問題がある、こういうことでございます。  長くなるとなんでございますから要点だけ申し上げますと、私は、この自動車の問題というのは、高度経済成長の中でここまで来ております、道路の改良もございました、今日まで来て大変大きなシェアを持つようになりましたが、非常に大きな問題を抱えておると思います。それは何かといいますと、幾つもあるのでございますけれども、特にいわゆる労働者の賃金問題あるいは労働基準関係の問題ですね。この問題は、突っ込んでいきますと大変問題をはらんでおるわけでございます。非常に過大な長時間労働をするとか、いろいろな問題がございまして、事故につながったりいたしております。それからもう一つの問題は、騒音公害、振動公害、いわゆる環境問題でも、これは今はどうやらやっておりまするけれども、これ以上どんどんトラックがふえていくということになりますと、この方面からの問題もやかましくなってくるのではなかろうか、こう思うのでございます。この二つの問題は経営にとっては非常に決定的な大きな問題でございまして、今運賃ダンピングは御承知のようにございますが、足の引っ張り合いをして運賃を安くしておったのでは、この二つの問題は解決できない。結局、弱い者が倒れていく。一方で非常な数の者が倒れていって、一方で新規参入の者がまた出てくる、こういう形になってまいる、そういう格好をいたしておると思うのでございます。  そこで、私ども何としても一番大事なことは、認可運賃がせっかくあるのでございますから、この認可運賃の収受というものをみんなが力を合わせてやる。ところが、なかなか力を合わせないのでございます。向こうさんがこれだけいただいておるものなら、自分の方としてはさらにこれを割り引くという形で、業界の中での競争というものが過当になっておる。生きるか死ぬかという格好でやっておる。それに対しましてまた荷主さんの方も、つけ込むと言うと言葉は悪いのですけれども、とにかく安ければよかろうでやっていかれるということでございますので、この認可運賃を収受するということを守っていく、公取の問題もございますけれども、詳しいことはやめますが、これを守っていくということが一番手始めにやっていかなければならぬ問題だと私は思います。  それからもう一つの問題は、私は常に自動車業界の皆さんにはこれを申し上げておったのですけれども、トラック運送業という商売をやっておれば、原価が下がる、コストが下がる、これには、こういう情報化時代でございますから、実車率を上げるといいましょうか、行きの荷物に対して帰りの荷物をいろいろな情報を総合的に収集しまして扱っていく、そういうことについてまだまだ力の入れ方が足りない。  トラックの問題は、本当にこれからという感じでございまして、行政としましてもそういう方向で大きく指導していかなければならないと存じておる問題でございます。生易しい問題ではないのでございますけれども、これはとにかく丁寧に、辛抱強くやっていかなければならない問題だと思っております。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 市川雄一

    市川委員 新規参入をやめなさいということを言ったのではなくて、認可運賃をやめたらどうかということを申し上げたのです、誤解のないように。  例えば、私鉄なんかも認可運賃ですね。言ってみれば、国鉄も含めて、私たちが乗るときに、高過ぎる、嫌だと言って払わない、こういうことと同じなんですよ。ですから、運賃を認可している以上、認可した運賃が適正に収受されるように努力する、またそれが適正な水準で運賃収受が行われていく、これをキープさせていく、これは運輸省に大きな責任があると私は思うのです。それが七〇%なんというところまで落ち込んでいる。かつては六〇%なんという事態もあったわけです。しかし運輸省は、商取引でございますからといって逃げてしまう。商取引であるならば、なぜ認可運賃という制度を持つんだ。資本主義の原理に照らして、それなら自由にさせればいいじゃないか。需要と供給の関係にさせるべきじゃないのか。  認可運賃を一方に持つ、しかもそれが過当競争の原因をつくっているわけです。認可運賃がなければ、これはある意味では逆に過当競争の歯どめになるのじゃないか。例えばオイルショックで、今大臣から話の出ました空荷の問題が大きな問題になった。東京から青森までトラックで行っても、帰り空車で帰ってこなければならない。帰り空荷が多くなりましたので、とてもこの運賃では運べませんということでみんなが辞退し始めた。荷主側は慌てて、いや、お金を払うから行ってくれという形の時期がある時期あったわけです。ですから認可運賃というもの、これはどうも私には理解できない。運賃の認可をやりながら実際にはそれが守られてない。守られてないことによって大きな弊害が社会的に起きている。にもかかわらず、運輸省はこれに対して実効のある措置がとられない。これはやはり相当意識を変えていただいて、本気で取り組んでもらわないとならない問題だと思います。  具体的に問題を提起したいと思います。道路運送法の十九条では、一般自動車運送事業者は陸運局へ提出した事業計画の内容の業務を行う義務があり、これに違反した場合は運輸大臣が、提出したとおりの事業計画を実行しなさいということを命令することができる。また十八条には、事業計画の変更をする場合はその認可を受けなければならないということが義務づけられていると思うのです。  ことしの二月、同じく神奈川県のトラック協会で千七百三十八社の事業者を対象にして、運輸省に提出された事業計画どおりの条件が備わっているかどうか、こういうアンケート調査をしたわけでございます。その場合に、営業所や車庫等が運輸省がこれでよしとした免許基準に違反している会社が四百四十一社、こういう実態があらわれてきたわけでございます。その四百四十一社の中の内訳を見ますと、協会の指導に対して改善を約束した事業者もいますけれども改善指導にも応じない、したがってやむを得ず陸運局へ協会が申告をする、そういう申告を要する事業者が二十四社。その内容は、営業所及び車庫がなし、営業所を持ってない、車庫も持ってない、それから有蓋車庫なしというのがもう一種類、それから営業所及び車庫が無認可、それから営業所のあるべき場所にマンションが建設されているという会社、それから車庫はあるのですが、車庫の賃貸借の契約がない。結局、営業所及び車庫がなしというのがこのアンケート調査では一番多かった。営業所も車庫も持たない。認可を受けたときには持っていたのですが、営業所をマンションにして使ってしまう、車庫もマンションにして使ってしまう、そういう業者と、まじめに営業所と車庫をきちっと持って商売をやっている人とでは、全然競争条件が変わってくるわけです。ですから、一つはこういう条件をしっかりさせることも、業会の過当競争を自粛させていく道になるわけです。  まずこういう実態を御存じですか。御存じですかと言うと、神奈川県で調べたことですからあれですけれども、こういう実態のあることについてどういう感想をお持ちになりますか。
  76. 角田達郎

    ○角田政府委員 事業計画につきまして、すべての事業者の方々がそれを守って、ただいま先生がおっしゃいましたような営業所とか車庫、こういうものはきっちりその条件を満たしておる、一〇〇%の事業者がそういう状態であるというふうには私ども思っておりません。区域トラック業者三万五千おりますが、残念ながらそのうちの一部に、そういう守るべきものを守らないでいいかげんな営業をしておられる事業者がおられるということは確かに事実だろうと思っております。私どもは、先生からただいま御指摘ございましたように、事業者は守るべき基準をきっちり守ってフェアな競争をしていただかなければいけないと思っております。そういうことにつきまして、まず事業者の方自身の自覚が必要だろうと思いますが、私どもは私どもなりにいろいろな努力をしておるわけでございまして、そういう事業計画等につきましては、事業の監査とか、協会の輸送秩序改善指導員にふる調査、こういうものを通じましてその実態の把握に努めておるわけでございますし、また営業所の新設、移転、増車等の事業計画の変更の認可に際しましても、必要に応じチェックを行うように努力をしているわけでございます。  ただ、そういう努力をしているわけでございますが、まだそういう体制がなかなか十分ではないということでいろいろ御指摘もございましたし、我々も努力いたしまして、協会の輸送秩序改善指導員、現在全国で百十六名ございますが、これを四十七名、各県一名ずつふやすということで、五十九年度からは百六十三名にする、こういうことも協会と相談して計画しておるわけでございます。また、我々の輸送監理官、これも五十九年度は二名ほど増員いたしまして、できるだけの努力をこれからやっていかなければならないというふうに考えております。
  77. 市川雄一

    市川委員 感想を聞いたわけですから、遺憾であるとか、感想を聞かせていただければよかったのです。  そこでお伺いしますが、運送事業免許を取得するときは条件が非常に厳しいですね。厳しく審査していますね。実際問題、車庫があるかないか、営業所があるかないかということを審査して——私たちのところにも、何とか早く免許を取れるようにしてほしいという陳情がたくさん来る。しかし、陸運局はかなり厳しい審査をしておられますね。厳しい審査をなさっていることは非常に評価をするのですが、一回許可しちゃったものは今度はチェックしない、そこがトンネルになっているわけです。  例えば構造改善事業で、住宅地域にトラックがある、朝早くトラックを運転する、一時間ぐらい前からエンジンを温めなければならない、住宅地域で大型のトラックがエンジン始動させる、うるさくてしょうがない、苦情が出る、したがって、その苦情をなくすために近代化資金で工業地域の方へトラックポートをつくって、何社かが集まってそこへ全部トラックを移す。そして地域住民の批判が起きないように、公害をなくすように、これは事業者としてはかなりお金がかかるわけですよ。自己負担がかかるわけでしょう。ところが、一方ではそんな車庫だとか営業所をマンションだとか何かにしちゃってやっている事業者がいる。そういうお金を負担してないのですから、競争すれば当然こっちが勝つに決まっているのです。ですから、こういうことをもっとしっかりやることが、まじめにやっている人が浮かばれてくる、こういうことにも通ずるわけです。  今申し上げた問題点ですが、認可する、運送事業免許を取得するときには大変厳しい審査をするけれども、一回収得した者に対しては非常に野放し的な傾向がある。協会が自主的に点検して、余りひどい事業者は陸運局へ申告する。しかし、これも実際二、三年かかってしまう。ですから、前にも申し上げましたけれども、運送免許取り消し処分を受けたけれども車両は未処分というケースが多いわけですね。運送事業の免許は取り消された、しかし車両は未処分、その車両は東京のものが九州で車検を受けたりして、その車両を貸したりあるいは車両を自分が運転しながらお金を稼いだり、いわゆる監理行為の伴わない車両が走っているわけです。こういうことだって、輸送課と連携してチェックしますと言うのですけれども、実際はどこで車検されても今の状況ではそんなチェックができるわけがない。実際できないと思うのです、チェックは。  それからまた、先ほど申し上げた営業所や車庫をマンションにしちゃって、本来なら、法律ではそこは車庫になっていなければならない、ところが地価が非常に高い、車庫で使うよりもマンションにした方がいい、そういう形でマンションにしてしまう、こういうことだって今実際問題チェックができないわけです。こういうことが適正な競争を妨げているわけですよ。こういうことについて、言いわけをお聞きするのではなくて、具体的に今後こういう形でやります、何か効果が上がりますという御答弁をいただきたいのですけれども、いかがですか。
  78. 角田達郎

    ○角田政府委員 車庫、営業所のチェックでございますが、先ほども申し上げましたように、私どもだけの体制ではなかなか十分なチェックは不可能だと思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように協会の輸送秩序改善指導員を増員してそういうものの手をかりるとか、あるいはそれ以外にも協会のいろいろな能力を活用するとか、そういうことでやっていかなければならないと思います。  それから、今先生おっしゃいました免許取り消しあるいは廃止した事業者の青ナンバーの車が走っておる、それは非常に遺憾な状態でございます。それをチェックする方法でございますが、これも私どもの方でやるといたしますれば、輸送課の方で事業廃止をした業者のナンバーを正確に把握して、これを登録の方に持っていって登録の方で、電算機で今処理していますから、要注意というような符号をそこにつけておけば十分チェックできるはずでございますが、いずれにいたしましても数が多いものですから、そういう事業廃止あるいは休止した事業者の車についての把握、整理が正直に言いまして第一線の陸運事務所で十分やられておりません。したがって、先ほどのような現象が起きるわけでございます。これをやはり徹底をしていきませんと、先生がおっしゃいましたように公正な競争条件はできてまいらないわけでございますので、もう一度その辺のところを十分検討いたしまして、協会の能力を活用できる部面があれば協会の能力も活用しながら、その辺のところをこれから体制を整えていかなければならないと考えております。
  79. 市川雄一

    市川委員 余り具体的じゃないのですけれども、事業計画の変更のときは免許を認可したときの台帳と照合するだけ。ですから実態が台帳どおりになっていなくても、その台帳と照合しているからこれはチェックができないわけですね。事業計画の変更が出てきたときに現場へ行ってみれば、ああマンションになっているということはわかるわけですけれども、台帳では車庫になっているわけですから、台帳と照合したのではこれはチェックにならない。  したがって、例えば、トラック協会には近代化資金という何億というお金を国から助成で出しているわけですよね、実際問題。ですから協会側ももっと自主的に、そういう秩序をつくりたいという気持ちは持っているわけですし、運輸省としてもやりたい、手が足りないということなのですから、もう少しやれるのじゃないかなという気がしてしょうがないわけです。例えば、事業計画の変更届のときに車庫の土地の登記簿謄本を添付させるとかあるいは賃貸契約書をつけさせるとか、あるいは地域のトラック協会なりが事業計画が台帳どおり確保されていることを立証する書類を例えば添付させるとか、何かそういう、事業計画の変更時のチェックがトンネルになっていることが今のような実態を一つは生み出しているわけですから、事業計画変更届のチェックをきちんとやるという方法をお考えにならないと、これはいつまでたってもバケツの底に穴があいているという感じになると思うのです。どうですか、その点。何か具体的にやりますか。
  80. 角田達郎

    ○角田政府委員 まさに先生が御指摘されたとおりでございまして、その辺のところのチェックを十分にしなければいけないと思っております。そのために協会の活力を私どもとしても利用させていただく。その協会に対しまして、それではどういう手当てがあるかといいますれば、ただいま先生おっしゃいましたように、運輸事業振興助成交付金というのが交付されておりますので、やはりこういうものの活用もしながら、協会と私どもとで力を合わせでそういう体制をつくっていく必要があろうかというふうに考えております。
  81. 市川雄一

    市川委員 今後の行政に期待をしたいと思います。  車庫の問題で、東京陸運局のケースで申し上げますと、陸運局の一般区域貨物自動車運送事業免許申請事案の処理方針によりますと、必要とされる車庫面積は、二トンを超える車両では一台当たり二十八平米、二台で五十六平米、七・五トン以上のものに対しては三十八平米、二台で七十六平米という基準があるわけですが、特に有蓋車庫については、保有する車両の最大なものの二両が収容できるものということになっているわけですね。保有している車両のうちの最大なものの二両分が収容できる百蓋車庫を持てと。陸運局の方針は、そうすると二台で五十六平米。ところが、住居地域では建築基準法の基準で有蓋車庫は五十平米に抑えられておる。こうなりますと、住居地域では建築基準法の五十平米ですから、陸運局の言う五十六平米というのは守れないということになるわけです。  これは政策的な誘導で、住居地域からなるべくそういう自動車を引き離そうという政策判断があっておやりになっていることだろうというふうに理解しているわけですから、そのことはそのことで私たちも理解はできるのです。しかし、そのことによって、市街化調整区域に一般区域貨物自動車運送事業者も加えてもらいたい、そうしないと陸運局で言うような有蓋車庫がつくれないという問題が一つあるわけです。この問題は建設省だと思うのですが、運輸省はどういうお考えですか。積極的にこれを建設省に働きかけて進めていきたい、こういうお考えなのかどうか。それから建設省のお考えもひとつ伺いたいと思います。
  82. 角田達郎

    ○角田政府委員 市街化調整区域内の開発行為の制限の問題でございますが、現在のところは、路線トラック運送事業につきましては適用除外になっております。先生御指摘のように、区域トラック事業者がこの適用除外になっておりませんので、なかなか思うとおりに車庫ができないという事情は確かにございます。私どもは、今お話しの点につきましては、建設省とも十分協議をいたしまして、前向きで検討を進めていきたいというふうに考えております。
  83. 三井康壽

    ○三井説明員 お答え申し上げます。  ただいまの市街化調整区域におきます一般区域貨物自動車運送事業に関しますいわゆる区域トラックの事業用施設の許可の問題でございます。運輸省の方から御答弁がございましたけれども、一般路線貨物自動車運送事業につきましては、いわゆる路線トラックにつきましては開発許可は要らないわけでございますけれども、区域トラックに関しましては許可をとっていただく、こういうふうになっているわけでございます。  その理由でございますけれども、開発許可が不要とされております都市計画施行令二十一条では、公益上高い必要性があるものを不要許可にしておるわけでございまして、路線トラックと区域トラックを比較してみますと、路線トラックの方が定期定路線運行する、そして複数の荷主の方々から積み合わせ貨物を運送するということによりまして広く不特定多数の荷主の方々の貨物を運送するというのに対しまして、区域トラックの方は、原則として積み合わせ運送というのを禁止されておりまして、個々の運送行為に着目いたしますと特定の荷主の方の貨物のみを運送する事業であるということから、公益上差があるというために差があるわけでございまして、区域の方は許可をとっていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  84. 市川雄一

    市川委員 運輸省が建設省に働きかけるということですから、公益性ということを今おっしゃっておりましたが、特定の方の荷物を運ぶ、そういう意味では、タクシーも特定の人しか運ばないと思いますね。したがって、これは物流の主役を果たしているという意味においてはかなり公共的な役割を果たしていると思うんですね。その点を建設省の方も十分に御考慮をいただきたいと思います。  次に、運送業者が自分でトラックを分解整備する、そういう整備工場をきちんと持っている、自前の整備工場をきちんと持っている、しかも、自家用だけをちゃんとやる整備工場である。その整備工場は、ほかの車を注文をとって整備するというわけではなくて、自分の自家用のトラックの整備をする工場を持っている。この整備工場の許可を受ける場合も、いわゆる営業用の自動車整備工場並みの厳しい条件をクリアしませんと認可がおりない。  それで、そういう厳しい条件をクリアして自家用の整備工場を持った。その場合は、有蓋車庫を持てという、これは免除してもいいのじゃないかというふうに私は思うんですね。そういう整備工場、有蓋ですよ、そこで分解、点検、整備をしているわけですから。それを持っているにもかかわらず、またそのほかに有蓋車庫を持てというと、どう考えても、だれが考えてもちょっと屋上屋ではないのかな、こういう気がしてならないわけですが、実際は、まじめにやる方は、こういう問題が相当業界の秩序改善の壁になっているわけですね。一方ではでたらめに、車庫をマンションにしちゃおうなんという極端なのがいるかと思えば、一方では、そういう整備工場を持ちながら、もう一つ有蓋の車庫を持たなければならないという条件を満たそうとして非常に苦しんでいる。こういう実態もあるわけです。これは非常に極端過ぎるのじゃないか。むしろ実質で考えた場合に、仕業点検、終業点検のための有蓋車庫というのは、事実上整備工場で行えるわけですから有蓋車庫を持たせる必要はないのではないのか、いきなりは無理かもしれませんが、むしろそういう方向に持っていくべきではないのか、こう思いますが、その点についてはどうですか。
  85. 角田達郎

    ○角田政府委員 自家用の整備工場をお持ちのトラック事業者というお話でございますが、分解整備をやる以上は認証工場としての認証をとらなければなりませんので、それなりの基準要件に合致していませんとそういう整備工場は認証工場として認められない、こういうことは確かでございます。  それからまた、トラックの事業者としては、運行前の点検とか簡単な整備を行う、そういう必要のために有蓋の車庫をある程度持たなければならない、これは道路運送法からの要請でございまして、それが果たして有無相通じて両方に使用できるかどうか。その辺のところは、片方で車の整備をやっておりますれば、こちらの方のトラックが仕業点検をやろうとしましても場所が埋まっているというようなこともございましょうし、一般論としてはそれを有無相通ずるような形で御使用なさるというのは私は無理ではなかろうかと思います。  ただ、個々のケースによりまして、いろいろ有蓋車庫の基準について私どもの陸運局の方で基準条件を定めております。その条件と整備工場とどうやって融合させるか、個々のケースにつきましてはその実態を踏まえて検討をさせていただきたい、かように考えております。
  86. 市川雄一

    市川委員 個々のケースについては実態に即して対応なさる。ということは、ある程度弾力的に運用します、例えば実態が、今局長さんがおっしゃられたような、車庫として使おうと思ったら整備の車が入っているというようなことのない実態である、その場合はある程度柔軟に対応します、こういう意味でございますか。
  87. 角田達郎

    ○角田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、整備工場の使われ方、それから整備工場と車庫との区分、その辺の面積、その辺よくケースごとに実態を把握して、支障のないものは認めていくというような運用について検討をしてまいりたい、こういうことでございます。
  88. 市川雄一

    市川委員 次に、危険物の積載車の通行制限についてお伺いをしたいと思います。  現在、道路法施行令第十九条の八に基づいて公示されている水底トンネルにおいては、危険物積載車両の通行制限が行われているわけです。実際問題、例えばLPガスタングローリー、川崎のコンビナートから出発をする。一日約二千台のタンクローリーが川崎のコンビナート地区から出ているわけですが、このうちの三分の一強の約七百台のタンクローリーが、東京を経て千葉県や東北あるいは北陸方面に向かっているわけでございます。ところが、まず高速一号羽田線の羽田トンネル、これはタンクローリーの通行は禁止されているわけです。したがって鈴ケ森インターに入るために迂回をしなければならない。このため一般の市街地をタンクローリーが数珠つなぎになって鈴ケ森まで行くわけですね。川崎インターで乗っていけば約十分で鈴ケ森へ着くのが、迂回をしますから相当渋滞をして一時間くらいかかってしまうということで、実際タンクローリーの運転者さんや業界の方々は非常にその問題に実は頭を悩ましているわけでございます。  もちろんトンネル内で事故があった場合に困るということが通行制限の理由だろうと思うのですが、また逆に考えてみますと、そんなにトンネルの中で事故があったら危険だと思われている車を、首都高速を通さないために一般の民家が密集している地域の方へ七百台も誘導してしまうという結果を招いているわけです。これが例えば、一般の国道一号線とか何かを走るわけですから、じゃもし民家の密集地域で事故があったらどうするんだという議論も成り立つわけでございます。しかもこれは朝出てくるとき数珠つなぎになっている。これはやはりある程度考えなければならないところへ来ているのではないのかという気がするわけでございます。  まず、議論の前提として通産省に伺いますが、通産省の方ではタンクローリーについての安全性はもうかなり高くなった、接触事故、衝突事故、横転事故があっても直ちに爆発とかそういうものにつながらない、そういう安全性はかなり高くなったという御免解をお持ちかと思いますが、その辺のことについて通産省の見解を伺いたいと思います。
  89. 谷仁

    ○谷説明員 タンクローリーなどによります高圧ガスの輸送につきましては、高圧ガス取締法の規定によりまして、省令で定める保安上の必要な一定の技術基準に従って行わなければならないということになっております。  具体的に申し上げますと、一般高圧ガス保安規則等におきまして安全弁あるいは緊急遮断装置の設置等タンクローリーの容器の構造上の基準が定められております。そのほか、例えば警戒標の掲示でございますとか消火設備の具備、あるいは一定量以上の高圧ガスを輸送する場合におきましては資格を持った方に同乗していただく、そういうことでございまして、輸送方法につきましての安全基準を定めておりまして、これによりまして高圧ガスの輸送における事故防止安全対策をとっておるところでございます。
  90. 市川雄一

    市川委員 通産省の方、通常の運転走行中の接触、衝突、転倒事故があってもタンクローリーの安全性は万全である、こういうふうに言えますか、どうですか。
  91. 谷仁

    ○谷説明員 先ほど御説明申し上げましたように、タンクローリーに積みます容器の構造上の基準、それから実際に移動いたします場合のいわばソフトウエアと申しますか、そういう基準について十分の対応策をとっておるところでございますが、輸送上の離散、一種の交通事故と申しますか高圧ガスを輸送する場合の事故というのは、過去タンクローリーについて見ますと、四十九年以降十二件ほどの事故がございます。そういう面から考えまして、私どもといたしましても、先ほど申し上げましたようにハードウエア、ソフトウエア両面におきまして十分の対策をとっておるところでございます。
  92. 市川雄一

    市川委員 十分の対策をとっておる、こういうことなんですね。通産省の方ではやっておられるわけです。  そこで、先ほどは東京方面のを申し上げたのですが、千葉方面に行く場合も東京港トンネルが通行禁止、このため都心の渋滞地域をやむなく迂回する。これは都心の渋滞地域ですから、もしここで事故があった場合の危険を考えますと、危険であるという前提に立つならば渋滞地域も非常に危険だと思うのですね。水底トンネルだけが危険だという理由はないのではないかという気がするわけです。  こういうことでございますので、通行制限の見直しということを検討すべきじゃないかと思うのですが、これは公団でしょうかね、建設省、公団、この点についてお伺いをしたいと思います。
  93. 横内正明

    ○横内説明員 お答えいたします。  御指摘のように、水底トンネルや長大トンネル等につきましては、一たん事故が発生しました場合には非常に甚大な被害が発生する可能性があるわけでございますので、トンネルの構造を保全したり交通の危険を防止するという観点から、道路法によりまして、爆発物等の危険物を積載する車両の通行を禁止し、または制限することができるということになっているわけでございます。  具体の通行制限の実施につきましては、個々のトンネルによりまして構造等が異なりますために、個々の道路管理者が警察機関、消防機関、その他関係機関と協議する等十分に検討いたしまして、危険物の種類とか、それから積載できる車両の種類、積載の方法等について定めまして規制を行っているわけでございます。建設省といたしましては、今後とも御指摘のような車両の安全性等も勘案をしながら、適正な運用が図られるよう関係道路管理者を指導してまいりたいと考えております。
  94. 市川雄一

    市川委員 道路公団、お見えになっていますか。
  95. 宇都宮寛

    宇都宮参考人 ただいま建設省の課長さんから御答弁がございましたように、首都高速道路の水底トンネルで危険物積載車両を巻き込んだ交通事故が発生した場合には、人命とか産業活動あるいはトンネルの構造等に重大な影響があるわけでございます。それで、かねがね公団といたしましては、その危険防止につきまして特に慎重を期する必要があるわけでございまして、学識経験者等あるいはまた関係の行政機関の御参加をいただきまして審議会を設けております。その審議会の御意見を伺った上で必要な通行禁止制限を講じておるところでございます。  ただいま先生からお話のございましたように、LPガス等について、最近の輸送技術あるいは容器、車両構造等の改善に応じて適切な措置をとってしかるべきではないかという御意見でございますが、現在の規制を定めましてから期間も若干経過しておりますが、まず第一には先ほどの通産省の技術基準というものの見直しが先行するかと思いますけれども、とりあえず関係の業界等の事情をよく伺いまして、また関係の行政機関等の御意見も伺った上で適切な処理をいたしたいというふうに考えております。
  96. 市川雄一

    市川委員 時間があれば理屈を申し上げたいんですよ。トンネルを守ることが大事なのか。通産省の見解は、通常の運転中あるいは衝突、横転、接触事故があっても、ソフトウェア、それからハードウェア、両面で万全でございます、そういう見解。しかし建設省と公団は、もしトンネルでタンクローリーの接触事故なり何なりがあった場合は爆発する、人命、動脈上と、こう言う。じゃ、都心のビルが密集して人が大勢歩いていた、そこにマンションが建っていた、そこは爆発しても全然何でもないのかと言うんですよ。そんなことはないでしょう。この理屈もおかしいと僕は思うのですよ。都心ならいいんだ、トンネルならまずいんだ、どういう理屈なんですか。これを建設省と公団に伺いたい。  トンネルさえ守ればいいのか。むしろ、トンネルを守るために、危険な車、あなた方が危険だとしている車を一般の民家人家、渋滞都心部へ行列で追いやっている、ばらまいている、こういう結果に逆になっている。むしろ、トンネルを通過させればタンクローリーは早い時間で目的の地域に行く。それを通行制限するためにわざわざ民家の多い方へ迂回させていく、こういう結果を招くわけです。こういうことを考えますと、今の理屈は全然成り立たないと僕は思う。反論があったらしていただきたい、建設省と公団。
  97. 横内正明

    ○横内説明員 お答えいたします。  トンネルの通行制限を行うことによりまして都心部の交通量が多くなるという面は確かにあろうかと思います。しかしながら、水底トンネル等につきましては、一たんそういった爆発事故等が発生いたしました場合には、日本坂トンネル等で見られますように非常に被害が甚大になるわけでございまして、やはり安全性を第一義に慎重の上にも慎重に対処していかなければならないという考え方で現在の規制を行っているわけでございます。
  98. 市川雄一

    市川委員 日本坂トンネルはタンクローリーじゃありませんよね。じゃ都心部で起きる事故は構わないのかと言うんですよ、建設省。それを僕は聞いているわけです。トンネルの中は困る、じゃ渋滞地域の都心部でタンクローリーが事故を起こすことは全然構わないのか。そういう配慮は全然しないのか。どうですか、建設省の方。
  99. 横内正明

    ○横内説明員 もちろん、都心部で事故が発生することに対しまして、それを構わないと申し上げているわけではございませんし、そういう制度の建前でもないわけでございます。ただ、繰り返しになりますけれども、トンネルの場合には、一たん事故が発生した場合に、その事故の大きさが極めて大きくなるということがございますものですから……(市川委員「冗談じゃないよ。トンネルだけ大きいわけじゃない。都心部だって大きい事故になるじゃないか。何を言っているのか」と呼ぶ)はい。そういうふうな制度の建前から、水底トンネルに対する規制を行っているということでございます。
  100. 市川雄一

    市川委員 課長さんをお呼びして、課長さんをいじめるのはちょっと恐縮なんで、大臣とかというレベルで考えていただかなければならないと思うのですが、ぜひ建設省と道路公団の方でこの問題は前向きに御検討、見直しをいただきたいと思うのです。トンネルが重要だということはわかりますよ。だけれども、都心部だって、住宅密集地だって事故が起きたら大変なことになりますよ。だから、通産省の方はそういうことは兵庫県の事故以来ハードウエア、ソフトウエアでかなりやってきているんだ、こういう通産省の安全管理をなさっているところの見解もあるわけですから、どうぞ前向きに御検討いただきたいと思うのです、道路公団、建設省含めて。いかがですか。
  101. 宇都宮寛

    宇都宮参考人 まず、事故の発生の危険性でございますけれども、これは釈迦に説法になるかと思いますけれども、上部が開放された道路上よりはトンネル内の方がいろいろの条件によりまして事故の発生の可能性が高いということは、過去の経験の示すところでございます。  それからまた、何回もくどいようでございますけれども、上部が開放された道路よりは、上に多量の海水がかぶっている、あるいは川の水がかぶっているというようなところの水底トンネルにおきましては、先ほどからもお話のございましたように、一たび事故が発生すれば極めて重大な結果が生ずるであろうことは容易に想像できることであろうと思います。  ただ、先生の御指摘でございますので、先ほども申し上げましたように関係の業界からもよく意見を伺い、あるいはまた学識経験者、関係の行政官庁ともよく御相談をいたしまして、必要があれば適切な処置をしたいというふうに考えます。
  102. 市川雄一

    市川委員 首都高速道路危険物取扱審議会の委員、いわゆる学識経験者がお入りになっていらっしゃるわけですが、その学識経験者の方の意見も、実は私がこの質問をするに当たって聞いたわけです。要するに、学識経験者というのは学者さん、それは幅広い知識を持っておられるかもしれませんが、実態は余りよく御存じじゃない方が多いわけですね、書物の上のことは詳しいけれども世の中のことはよくわからないという方も中にはいらっしゃる。そういう方々の意見ですと、このままいくと何でもかんでも規制するという方向へいくのではないのか。それはちょっと私たちの立場では言えないことだけれども、やはり実際に道路を使用している人たちもこの審議会のメンバーに入れて、道路を使用して規制されている側との意見交換というものも必要ではないですか。そういう意見交換の中で、建設省、お上という形で上からこうなったんだぞという形で押しつけるのではなくて、そういう対話をして納得をさせる、このことについては納得をした、この辺は改善しよう、そういう意味からも、この審議会の委員に実際規制を受けている側の代表を入れるとか何か、そういう措置はとれないのかどうか、その辺はどうですか。
  103. 宇都宮寛

    宇都宮参考人 ただいまの審議会の構成といたしましては、学識経験者のほかに関係行政機関の職員の方に御参加をいただいておるわけでございます。先生のおっしゃる御趣旨の点につきましては、関係行政機関の職員の方々が、もちろんこれらの方々は国民全体の利益というものを第一義的にお考えになる立場にございますけれども、規制を受ける側の利益ということも十分御考慮をいただけるものというふうに考えまして御参加をいただいているわけでございます。
  104. 市川雄一

    市川委員 それでは、ぜひその点を御要望申し上げたいと思います。  次に、運輸省にお伺いしたいと思います。  現在、神奈川県から羽田空港へ行くのは非常に不便なんです。浜松町まで出てモノレールに乗るか、国電で蒲田まで行って、蒲田でバスに乗るか、横浜駅でバスに乗るか、とにかく川を渡っていくのは大変なんです。自家用車で行っても非常に渋滞をしている。例えば横浜から羽田空港へ今バスが出ておりますが、このバスの利用状況を見ますと、年間二百五十万人、一日約七千人の人がこのバスを利用して羽田へ行っている。そういうことから、今の羽田空港が沖合に移転した場合、神奈川県、横浜、川崎、新羽田空港、いわゆる羽田アクセスを強く神奈川県も横浜市も川崎市も望んでおるわけです。そうして運輸省の方にそういう働きかけをしておると思いますが、運輸省の方ではいわゆる羽田アクセスについてどういう受けとめ方をされておるのか、それを伺いたいと思います。
  105. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ただいまの羽田空港へ至る鉄道要望につきましては、神奈川県を初め横浜、川崎の各市からもお話を承っております。実はこの問題につきましては、横浜、川崎を含みますいわゆる東京圏の交通問題、特に鉄道網の整備につきまして、現在運輸政策審議会の東京圏都市交通部会というところで審議を行っているところでございます。この問題は現在関係の都府県からいろいろと意見を聞いております。そういうことで、また中の都会で今審議を進めているわけでございます。  お話しの路線は、確かに羽田空港と神奈川県をつなぐ重要な線になるわけで、できますれば、神奈川県からのアクセスの利便が非常に増進されるということもまた御指摘のとおりでございます。そのようなことはございますが、現在全体の交通の需要、将来の人口の動向等を今調査中でございます。また、具体的な線の整備につきましては非常に難しい問題がございます。特に都心の区域では非常に土地の高騰なり、あるいは住民の協力の問題とか、あるいは郊外におきますとまた採算性の問題とか、いろいろ問題がございますので、現実にそれぞれ利便が増進されるからといって直ちにこれを具体的な路線として建設することが適当だというふうにもまいりません。実際に現実性があるかどうかということも十分に検討していかなければならないわけで、そういうことを実際の問題を個別に詰めている段階でございます。審議会としますとことしじゅうにでも結論を得たいというふうに考えておるわけですが、先ほど申し上げましたように、実際に神奈川県なりそういう要望を十分勘案しながら具体的な答申をいただきたいというふうに思っているわけでございます。
  106. 市川雄一

    市川委員 ぜひその審議会において一定の位置づけが得られますように御要望申し上げたいと思います。  時間が大分なくなってきているのですが、最近首都圏の通勤地獄というのは、サラリーマンにとっては朝夕非常に容易なことではないわけですね。私も時々、田園都市線の溝の口の駅から表参道で千代田線に乗りかえて国会議事堂前、これを使うわけですが、非常に込んでいるわけですね。かなり勢いよく体当たりするようにして乗らないと乗れないというような状況で、五十五年度分が五十七年版の都市交通年報で出ていますが、南武線の矢向−尻手間が二一九%の乗車率、京浜東北線で大井町—品川間二四八%、小田急線世田谷代田—下北沢間で二〇五%、東横線が祐天寺−中画黒間で二〇八%、京浜急行が戸部−横浜間で一七五%、横須賀線が保土ケ谷−横浜間で二一三・七%、こういう乗車率であるわけです。  これはもう大臣も御承知のとおり、都心の地価が上がって郊外に安い土地を求めて住宅ができた。マイホームもあれば団地もあると思うのです。その結果みんな郊外へ出た。郊外へ出たのですが、それがまた通勤で戻ってこなければならない。これが通勤ラッシュを生み出した一つの社会的な要因だと思うのです。同時に、住宅政策としては郊外に伸びていたにもかかわらず、通勤という問題、新しい輸送路をどう確保するかという問題が立ちおくれていたのではないか、こういうふうにも思うわけです。したがって、当面、個々の線路については複々線化とかいろいろな問題はあるのですけれども、やはりこれは長期的な立場で、首都圏の通勤通学の足をこれからどう確保していくのか、つくっていくのか、こういう問題だと思うのです。そういうことについて運輸省は今痛みを感じて取り組んでいるのかどうかということをよく通勤者から聞くのです。これは将来このままずっとほったらかしなのか、いつまでもこうやって込んだ電車に乗せているのか。しかも、運転手が乱暴ですと急停車しまして、ぐっと前へ来ますと、壁際にいますと胸の骨が折れるような圧力がある。荷物を持っていますと自分の手がどこへ行っているんだかわからない。ですからそういう意味で、実際に毎日通勤地獄で痛みを感じている人たちのそういう痛みを何とかしよう、どうするんだという、何かトータルビジョンというのかトータルプランというのか、そういうものをやるお考えはありませんか。あるいは今やっているとしたら、それをもっとスピードアップする。どうですか。
  107. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ただいまのお話、まことにもっともでございます。私も毎朝先生の言われるような痛みを感じながら通勤している一人でございます。運輸省としましても都市交通、特に首都圏の交通混雑を緩和するということは運輸行政の最大課題の一つだと考えているわけで、そういうことから東京圏の都市交通部会をつくりまして、そこで急いで東京圏の交通緩和、鉄道網の整備をどうするかということを現在各県からヒアリングをし、また各事業者の考え方を聞き、大至急その結論を出しまして建設を促進するということをしたいわけでございます。  ただ、そういう要望を聞く一方、具体的にどうやったらつくれるか、そしてまた、建設コストを抑えながらやっていけるかということは非常に難しい問題でございます。こういう制度的な問題等も含めまして、これから早く結論を出し、対策を実施していきたいということを痛感している次第でございます。
  108. 市川雄一

    市川委員 本当に早く具体的なものを考えていかなければならないと思います。  時間が来ていますので、あと二点お伺いしたいのですが、一つは、横須賀市東逸見町、国鉄横須賀駅裏の国道十六号線の横須賀トンネル、これは上下二車線なんですが、このトンネルだけが上下一車線になっているわけです。したがって、これが非常に渋滞するわけでございます。しかもこの地域は約七つトンネルがございまして、トンネルの中へ入りますとラジオが全然聞けないわけです。交通情報も入ってこない、何も聞こえない。暗いトンネルの中でじっと待たなければならない。したがって、七つあるトンネルの中でこの横須賀トンネルだけが一車線になっているために十六号線のこの部分が非常に渋滞して難儀しているわけですが、この二車線化という問題と、トンネルの中にアンテナ装備をしてラジオが聞けるように直す、これも要望が非常に強いわけですが、この辺についての見通し、お考えを承りたいと思います。  あともう一点は、新鶴見操車場、ことし二月のダイヤ改正で、新鶴見操車場のヤード機能が廃止された。この跡地の利用について地元川崎市も副都心構想などで非常に大きな関心を持っているわけですが、この跡地の利用についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、地元側の要望をお聞きになるお考えがあるのかないのか。それから、どのくらいの面積が跡地利用可能面積として出てくるのか。跡地利用が可能になるのは大体めどとして何年ぐらい先なのか。あるいは今伺ってもお答えが出るかどうかなんですが、開発の手法として都市再開発法を使うのか、区画整理法ということになるのか。実はこんなことをもうちょっと順を追ってお伺いしたいと思っていたのですが、今申し上げた点をお答えいただきたいと思います。
  109. 杉山好信

    ○杉山説明員 先生、今十六号線の横須賀付近のトンネルの問題につきまして、二点御質問がございました。  まず第一点の横須賀トンネルの拡幅の計画でございますが、先生御指摘のとおり二車線と狭いわけでございまして、渋滞を起こしております。当面、直ちにというわけにはまいりませんが、すぐの問題としましては、今十六号のバイパスとしまして横浜横須賀道路を建設しておりますが、これが今、逗子の沼間まで約十九キロ供用しております。さらに南へ七・五キロ延伸しまして、横須賀市の衣笠までの区間につきましては、今月の二十七日に供用する予定でございまして、このバイパス延伸区間というのがお説のトンネルに対応するバイパス区間ということになるわけでございます。現実の横須賀トンネルにつきましては、現在、拡幅計画につきまして技術的な調査を行っておりまして、今後付近を通る鉄道との関係の問題とか、あるいはさらに工事中の自動車交通処理の対策の問題も含めまして拡幅事業化に向けまして、さらに調査を進めてまいりたいと考えております。  それから第二点の、トンネルの中でのラジオが聞けるようにというお話でございますけれども、このトンネル内でもラジオの受信ができる設備につきましては、私どもラジオ再放送設備と呼んでおるわけでございますが、建設省の道路トンネル非常用施設設置基準がございまして、この基準におきましては、トンネル内の火災その他の非常の際の危険防止と事故の拡大防止という観点から、道路管理者から道路利用者にカーラジオを通じて音声で情報提供を行うという非常用の施設として位置づけておるわけでございまして、一般国道におきまして、一般的に交通量の多い長大トンネルについて設置するということにしておるわけでございます。御質問のございました十六号の七本のトンネルの区間、約三キロ区間ございますけれども、ここに七カ所のトンネルがあるわけでございますが、個々のトンネルにつきましては、最小七十五メーター、最大でも延長が二百六十メーターで非常に短いということで、この再放送設備を設置する考えはないわけでございます。  なお、すべてのトンネルでラジオが聞けるようにするということは非常に望ましいことではございますけれども、こう言ってはなんでございますが、現下の厳しい財政状況のもとで、このような中小トンネルにまでサービス施設として設置するということは困難であると考えておりますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  110. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 新鶴見の操車場は、ことし二月のダイヤ改正によりまして、貨物輸送をヤード系集結論送から拠点間直行輸送方式に転換いたしましたので、ヤード機能が原則として廃止されるしとになりました。この廃止されました部分は、主として本線に抱き囲まれております中の仕分け線群でございまして、しばらくの間は貨車の留置のために使用する予定でございます。この跡地の利用につきましては、地元の公共団体等を中心といたしました新川崎駅周辺地区整備計画調査委員会において基盤整備の方策あるいは開発の基本構想等の検討をしていただくことになっておりますので、その具体的な活用につきましてはその推移を見つつ策定をしてまいりたいと思っております。  どのくらいの面積が発生するかということでございますが、操車場の現在あります面積は八十四万平米ほどございますけれども、そのうち、今申しましたように本当にあいてくる部分はいろいろ整理をしてみませんとわかりませんが、大体三分の一程度であろうと思われております。  それから、地元の御要望につきましては、この委員会の中には地元の公共団体の御参加をいただいておりますので、その審議の中でいろいろな御要望を承っていくことになると思います。整備の手法につきましても、この委員会の中で重点項目の一つとして取り上げていただいておりますので、そこで御議論いただくことになると思います。  なお、何年先になるかということにつきましては、今申しましたように、整備の方向が決まりませんとちょっとこの段階ではまだ申し上げることはできない状態であるわけでございます。
  111. 市川雄一

    市川委員 海上保安庁の方、お呼びしていたのですが、大変失礼いたしました。  以上で終わります。
  112. 片岡清一

    片岡委員長 上原康助君。
  113. 上原康助

    ○上原委員 質問に入る前に、委員長に一言苦言と要望を申し上げておきたいのです。  私の質問時間は、二時間なんですね。きょう、本会議もありますし、ちょうどいろいろ関連するので、途中でとぎれても質問がやりづらいし、調査室の皆さんも飯を食べてない。ここの委員部の皆さんも飯を食べてない。こういう人道的なことは少しお考えになったらどうかね、内閣委員会は。私は随分長くやっているのですが、こういう運営の仕方というのは余り前例がありませんので、ひとつ理事会あたりで検討していただいて、こういう変則的な運営はないように強く求めておきたいと思うのです。
  114. 片岡清一

    片岡委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  115. 片岡清一

    片岡委員長 速記を始めて。  上原君。
  116. 上原康助

    ○上原委員 そこで、大臣いらっしゃらないのですが、きょうは、この法案につきましては既に御指摘があったかもしれませんが、私たちも賛成でありますし、またこれまで運輸当局あるいは地方皆さんや関係者といろいろ協議をして一部改正になったようでありますから、その点はさておきまして、せっかくの機会ですから、私はかねがね空の問題について若干お尋ねもしてまいりましたが、特に復帰後この方の沖縄の航空交通管制というか空の問題、時間があれば陸の問題、バス企業のあり方等、あるいは空港整備の問題等について触れてまいりたいと思いますので、関係者もひとつ誠意ある御答弁をお願いしたいと思うのです。  そこでまず最初に、一九七二年五月十五日に沖縄の施政権が返還されたわけですが、その時点から今日まで、沖縄の航空交通管制について日米間でどういう取り決めがあったのか、あるいは政府間の了解事項、運輸省と防衛庁、そのほかにもあるかどうかわかりませんが、そういうことについてそれぞれ具体的にお答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕
  117. 山本長

    山本(長)政府委員 昭和四十七年に沖縄が復帰になりまして、航空関係でアメリカまたは自衛隊との間の取り決めと申しますかについてでございますが、自衛隊との関係におきましては、那覇空港が復帰後第二種空港として日本政府が管理するということになりましたが、同時にやはり自衛隊が沖縄において活動の基地を持つ必要があるというところから、那覇空港につきましては、運輸省設置管理の第二種空港ということではありますけれども、自衛隊もこれを使う、共用するということになったわけでございます。そういった共同で使うということ。それから、あの空港の中にいろいろな施設が当時ございました。現在もございますが、空港の区域の中にあります諸施設につきまして自衛隊あるいは民航側がどの施設を使うという取り決めを行い、あるいはその施設についての維持管理はそれぞれ管理するところが維持管理をする、あるいは双方この空港の運用については十分協議をして行っていこうという取り決めを自衛隊といたしたのでございます。  米軍との関係におきましては、当時沖縄の飛行情報区というものが米国管理でございましたけれども、これは復帰に伴いまして当然に日本の飛行情報区となるわけでございますが、これは東京飛行情報区という太平洋をずっと管理いたしております飛行情報区がございますが、それと別個に沖縄の情報区というものを設置する、あるいは当然復帰に伴いまして那覇空港の航空交通管制業務等につきましては日本政府が行うということでございました。  ただ、この管制業務に関しまして、那覇空港の管制は日本側で行う、また若干の経過を経てから後は、日本国政府の準備が整ってからは航空路の管制は当然日本国が行うということになったのでございますけれども、この那覇空港の周辺におきましては複数の空港がございまして、共同の進入管制を行わなければならぬという技術的な管制上の問題がございまして、進入管制業務につきましては当分の間米側が行うというふうになったのでございます。  さらにまた、管制を移管することに伴って日本国の政府職員が現地においていろいろ訓練をしなければならぬということについての訓練協力の取り決め、こういった取り決めが行われて現在に至っておるところでございます。
  118. 上原康助

    ○上原委員 そんな長々したことを聞いているのではないですよ。ひとつ簡潔に。  まず一点は、沖縄の航空交通管制に関する合意昭和で言うと四十七年五月十五日、円来合同委員会承認、これはその後改定あるかないかということ。  那覇飛行場の使用等に関する協定、四十七年十一月七日、これはその後どうなっているか。  三点目、那覇飛行場の運用等に関する暫定了解事項、四十七年十一月十三日、これはたしか運輸省と防衛局長ですね。  四点目、那覇空港における航空局及び在日米軍間の暫定共同使用に関する協定、四十九年十月八日、これは現在も効力があるのかどうか。私はないんじゃないかと思うのだが。  五点目、一九七五年五月八日の航空路管制に関する協定、第三百十六回合同委員会合意事項。  この五点なのか、ほかにもあるのか、この中でその後改定されているものはどれどれなのか、またそのままなのはどれなのかを聞いているのです。外務省も来ているでしょう。
  119. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 ただいま先生おっしゃいました五つの項目でございますが、私、手元に持ってきておりますのは、四十七年五月十五日の、最初におっしゃいました沖縄の航空交通管制に関する合意書がございますが、それ以外のことは、申しわけございませんがちょっと手元にございません。
  120. 上原康助

    ○上原委員 それ以外のことは手元にないと言ってさ、ぼくがきょうこういう質問をするということは、きのうたくさん来て聞いていったですよ。だから幾つあるのかと聞いているんじゃないですか。何ですか、そういう言い方は。はっきり答えなさい。
  121. 山本長

    山本(長)政府委員 はなはだ申しわけございませんけれども、私、先生の現在御質問になりました五つの協定につきまして、外務省と同様手元に持ってきておりません。基本になりますところの沖縄における航空交通管制に関する米側との協定、それから、先生の五つの中の一つにございました那覇空港の管理に関する協定というものは、現在もあり、生きております。  ただ、管理に関しましてはその後、当初のものは復帰直後の施設の使用区分等についての事柄が当然協定の中にあったのでございますけれども、隣接する米軍の基地の返還ということに伴いましてその土地を空港の地域内に取り込むというふうなことをいたしておりますので、基本的な四十七年の協定それ自身は変わって、おりませんけれども、防衛庁との間におきましてその後の土地の返還に伴う取り決めを行っておるということでございます。
  122. 上原康助

    ○上原委員 外務省、あなたは四十七年五月十五日のことだけ、航空交通情制の合意事項だけ言ったのですが、そのほかには何があるのですか、アメリカと取り決めてあるのは。私が言っている件数が合っているのかどうかもわからないの。そういうことで管制ができるのですか、運輸省も外務省も。もう少しはしゃんとしたことをやってみたらどうですか。
  123. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 先ほど申し上げました四十七年五月の沖縄の返還に伴います沖縄における航空交通管制に関する合同委員会合意が沖縄の関係ではございますが、そのほかに合同委員会における合意を経ました航空交通管制に関するものといたしましては、五十年五月に改定合意が行われております。それ以外に、先生たしか全部で五つおっしゃったと思いますが、私どもの方で取り扱っております合同委員会レベルでの議論の中には上がってきていないと了解いたしております。
  124. 上原康助

    ○上原委員 たしか重要なのは、四十七年五月とさっき言った七五年五月ですね。合同委員会はそれ以外にはないですか。この二点ですか。これは確かめておきます。
  125. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 返還以前の合意をおっしゃってはおられないんだと思いますが、返還以降の時点におきます航空交通管制に関する合同委員会レベルの合意といたしましては、先ほど申し上げました二つでございます。
  126. 上原康助

    ○上原委員 そこで、まずはこの復帰時点で取り交わしたものから入ってみたいと思うのですが、さっきも航空局長、いろいろ御答弁があったのですが、この復帰時点における航空交通管制に関する合意について、これまで日米間で改定をするためにあるいは改善をするために検討したことがあるのかどうか、その点もお答えください。
  127. 山本長

    山本(長)政府委員 先生がおっしゃる合意につきまして、実務者レベルにおける意見交換ということはあるわけでございますけれども、日本国と米国という関係においてこれを基本的に改定するとかというふうな意味における交渉というものは現在までございません。
  128. 上原康助

    ○上原委員 外務省はどうですか。
  129. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 私が知る限りにおきましては、航空交通管制に関する合意改定に関しましては、少なくとも合同委員会レベルには上がってきていない次第でございます。
  130. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、後ほど聞くのですが、ACMIの設置との関連において航空路の整備とかウォーニングエリアとかあるいはアルトラブとか、そういういろいろな問題が出て、皆さんはそういうことは日米間で話し合って解決をするようにということを今日までしばしば答弁をしてまいりましたね、運輸省も外務省も。今の御答弁とは食い違いますね。はっきりさしてください。
  131. 山本長

    山本(長)政府委員 先生の御質問のACMIの問題あるいは航空路の再編に伴う沖縄地区における訓練空域の問題等については当然日米間の合意に基づき決められることでございまして、これは現在なお合同委員会の検討マターということで、最終的な結論がなされていないわけでございます。  先生おっしゃる航空交通管制に関する四十七年の合意との関連でございますけれども、これは復帰に伴うアメリカが行っておりました管制の移管、それから同時に、米側がなお行う管制業務というふうなものについて合意をしたものでございまして、先生がおっしゃるACMIの新たな問題あるいはVORの航空路の設定に伴う訓練空域の問題は新たな問題といたしまして、この四十七年の合意とは別個の問題といたしまして、これは日米合同委員会で将来合意がなされるべき問題である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  132. 上原康助

    ○上原委員 どうも私の理解が間違いなのか、ちょっと疑問に思うのですが、そうしますと今の局長の答弁ですと、ACMI設置というのは皆さんは航空交通管制業務とは関係ないとおっしゃるの。あるんでしょう。冗談じゃないよ、あなた。この第三条の三項には何と書いてありますか、復帰時点。
  133. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 今おっしゃいました三条三項との関係以前に、ACMIの問題と合同委員会合意の関係をちょっと御説明させていただきたいと思うのでございますが、ACMIにつきましては、現在それをどうするかということで日米の関係当局の間で検討を行っていることはもう御承知のとおりでございます。それがいつの時点で必要な合同委員会での合意の問題として上がってくるかということは、いまだ私どもちょっと申し上げる段階にないわけでございます。かつまた、そこでできましたACMIの設置に関する合意がどういうことになるかが、したがってまだわからないわけでございますけれども、それができ上がりました暁に、航空交通管制にかかわる先ほどから御議論のございました合同委員会合意との関係はどうなるかということは、そのでき上がりましたACMIの設置に関する合意の内容いかんによるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、それができましてからそれの関係を必要あれば検討する、こういう手順になるかと考えておる次第でございます。
  134. 上原康助

    ○上原委員 どうも答弁が混線しているから、私の方もちょっと質問が先になったりしているのですが、問題点は今二つある。局長の答弁が、航空交通管制業務とACMIは別個のものです、新たなものですとおっしゃるから、関係あるのでしょうと私は言っているわけです。それが一つ。  もう一つは、第三条の三項についてどうかということを聞いてもすぐお答えになれないようでは、本当に困るんだ。これはあくまで暫定期間でしょう。そういう基本的な問題について今日まで何回か議論してきたけれども、どうやっているかと聞くと、基本的な問題は何ら今日まで話し合いをされていないと。そうすると沖縄の空なり日本の空なりというものは、アメリカに使いたいようにやってくださいと言っているのと全く同じじゃないですか、そういう答弁は。そこいらをもう少し政府としてどうやってきたかということを私はお尋ねしているのであって、はっきり説明してくださいよ、その点。ACMIの件は後でじっくり聞くよ。
  135. 山本長

    山本(長)政府委員 航空交通管制に関しましては、日米間の合意は、先ほど申し上げましたように日本国が管制業務を行うということが原則でございますが、具体的には那覇空港の管制というものは、空港管制というものを日本国が実施し、それから航空路管制につきましては、これは約二年後であったと思いますけれども、その合意に基づきまして、合意実施事項として日本側が実施をした。現在行っている。それからさらに進入管制業務につきましては、先生の御指摘の項目でもございますけれども、日本国の準備が整うまでは、かつアメリカ側が必要と認める場合には実施をする。また、アメリカ側が、それが必要でなくなったときには日本に返す。そのときには日本の準備を整えた上で日本が引き取る、こういうふうな中身でございます。  ACMI問題など、あるいは航空路の問題は後でと、こういうことでございますけれども、これは管制業務と非常に関係のある問題でございます。これらの件に関する管制業務につきましては、現実にその日米間の合意に基づいて行っておるところの、分担して行っております管制業務の分担に従いまして、その中で安全と円滑な航空の流れを確保するという目的に向けて管制業務をお互いに実施をしていく、こういうことになるものと理解をいたしておるのでございます。
  136. 上原康助

    ○上原委員 那覇飛行場は、確かに管制業務は日本側が行っている。それはわかる。しかし、実際にネックになっているのは何かということは理解しておられるのでしょう。嘉手納飛行場中心に半径五十マイル、久米島飛行場中心に三十マイル、九十キロの円内は全部アメリカに実権を握られているわけでしょう。進入管制業務だけではないわけでしょう。そのことの改善についてどういうふうな基本的なことを今日までやってきたかということを私は聞いているんだ。  しかも、第三条の三項には、「嘉手納飛行場及び那覇飛行場の周辺における航空交通の安全運航上の必要性に鑑み、これら飛行場に対する進入管制業務は、単一の施設が実施すべきであることについて相互に同意する。」これはそうでしょう。嘉手納と那覇間はわずか二十キロぐらい。普天間と那覇は十二、三キロでしょう。ここまではわかる。だが、「従って合衆国政府は、日本国政府がこれら飛行場に対するレーダー進入管制業務を行なうことができるまでの暫定期間、これらの飛行場に対する進入管制業務実施するものとする。」こういう規定がある。私は、これはかっても指摘をしてきた。  このことについて運輸省、日本政府、外務省を含めて、暫定の期間は一体いつまでですか。未来永劫ですか。少なくとも十年余りもたったら、こういうことについてできるのかできないのか。やらなければいけないのは、皆さんの当然の職務じゃないですか。責務じゃないですか。そのことは今大きな支障を来しているんだ。これを、どうなっているかということを先ほどから聞いている。全くないということは、今まであなた方が国会で答弁して、ACMIにかんがみていろいろ返還させたり改善措置をとってきているということは、公式の場で間違いの答弁をしたということになりますよ。はっきりさせてください。
  137. 山本長

    山本(長)政府委員 先生のおっしゃるように、進入管制業務につきまして、今現在におきましても米軍が行っているという実態でございます。これにつきましては、先生の御質問の御趣旨のように、日本国政府に引き継ぐというところが基本的な合意になっておるわけでございますが、これは先生も御存じのように、この那覇空港を中心とする地域において複数の空港があり、一元的に管制を行う必要があるというその技術的な面については、先生も御理解のとおりでございます。  私たち、この日本の中におきます管制業務、管制体制というものの充実につきまして今まで精いっぱいの努力をしてきたのでございます。この点につきましては、若干国内的な事情も御説明をいたしたいと思うのでございますけれども、この日本国を覆うレーダー網というものが雫石の事故のときには、ごく、箱根にレーダーがあったのみでございます。その後、これについて管制業務の充実ということでレーダー網の整備、それからVOR網の整備ということで、我々はこの施設の建設、要員あるいはその要員の訓練ということについて大わらわになってきたのでございます。一方、さらに那覇における進人業務についても返還を将来受けなければならぬという問題を抱えながらも、こういった国内のその他の安全、焦眉の安全体制の面につきまして精いっぱいの努力を続けてきたのでございます。運輸省の定員は減っておりますけれども、航空の定員はこういった面について毎年大幅に伸ばしてきていただいておるような現状でございます。  このレーダー網の整備というものについて我々は大わらわできたわけでございますが、この体制も徐々に進行いたしまして目標に近づきつつある段階でございます。今後ともこの航空保安体制につきましては整備を進めなければならず、また、なおレーダー網の整備につきまして手がけていかなければならぬ面がございまして、これらについての要員の確保、訓練等についてもなお相当の業務量がございますけれども、目標に逐次近づいてきたというふうな時点でもございます。したがいまして、今後の必要な要員の確保、訓練の見通し等をも、これは国内的な問題でございますけれども、これを勘案しながら、沖縄の進入管制の移管の問題につきましても我々真剣に今後検討していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。  対外的なことだけじゃなくて、対内的な内部の事情も若干御説明申し上げましたけれども、そういった戦後の新しい仕事でございますので、我々この新しい仕事の体制に向けて全力を挙げて取り組んでまいり、ようやく仕事が進んでまいりましたので、こういったなお懸案の米軍関係の業務の引き継ぎの問題につきまして今後真剣に検討していかなければならぬ時期に差しかかっておる、こういうふうに思っておる次第でございます。
  138. 上原康助

    ○上原委員 そんな逆に陳情するような釈明じゃいかぬですよ。私が聞いているのは、あなた進入符制業務だと言うのだが、発着する飛行機だってそうでしょう。普天間飛行場と嘉手納飛行場に発電する飛行機に影響を与えないために、一体那覇空港に発着する飛行機というのは高さをどれだけに抑制されていますか。そういう制約を受けているわけですよ、ずっとずっと今日まで。皆さん、本当に民間優先の航空管制になっているのですか。そういう基本的なものは何一つ改善されていないのじゃないかということを聞いているのですよ。いつまでそういったことを続けるのですかと聞いているのです。しかも、日米間では今まで基本的なことは全然話し合っていない。  じゃ、あなたは今そういう御答弁をなさいましたが、確かに、私が前に聞いたときに、進入管制業務を日本側が引き継ぐには人材確保の問題がある、レーダー整備の問題がある、施設整備を含めてでしょう、そういうものを整備をした上でアメリカ側に申し入れるということを言ってきました。しかしもう十年以上たっている。今の段階で日本の技術あるいは人材、そういう施設、レーダーを含めて米軍が持っているものよりはむしろ優秀なはずです、関係者の意向を聞いても。それをやる意思がありますか。あなたの答弁は、三条三項にあることについて、暫定的期間だからこれを日本側に返せと米側と正式な交渉をする御意思があるということですね。はっきりさせてください。
  139. 山本長

    山本(長)政府委員 これを引き継ぐためには、日本側として相当な準備と体制を必要とすると考えております。またこういった、広域管制と申しておりますが、複数の空港の進入を一つの機関で行うというふうなシステムにつきましては、日本国においては現在ございません。米軍が行っている嘉手納RAPCONでございます。そういった意味におきましても、我々いわゆるコモンIFRと言っておりますけれども、こういった業務につきまして相当慎重な準備が必要であると考えております。  先ほど申し上げましたレーダー網の整備、まだ手がけなければいかぬものが若干残っておりますけれども、私たちといたしましては、この合意というものがあり、日本の管制でもって一元的に将来は日本の空をカバーしていかなければならぬというふうな気持ちでございます。この点につきましては、基本的な考え方というのは四十七年のとき以来変わってないわけでございます。その辺の準備、体制等も見ながら我々として対処をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  140. 上原康助

    ○上原委員 一歩突っ込んだ話になると、またそういうふうに逃げの答弁になる。じゃ、いつまでかかるのですか。何を準備なさるの。どういうものが準備できれば返還しなさいと言えるのですか。  これは大臣もよく聞いておいてください。十年たってもできないのを、これから何カ年たったらじゃできるのですか。暫定期間というのはいつまでですか。何名の管制官が必要なんですか。どういうレーダーが必要なんですか。どういう施設が必要なんですか。そのことについてアメリカ側と話し合ったことはあったのと言ったらないと言う。返すように努力はしていますと言う。具体的にどういうものが必要で、いつまでだったら返せるというはっきりした考え方というものが皆さんのところになければいかぬでしょう。そういう哲学とか魂を持たぬでおって、いつまでこういうふうに勝手にさしているのですか。大臣もこれははっきりお答えくださいよ。アメリカ側は返す意思は恐らくないわけでしょう。ないから、皆さんこういうふうに言を左右にしていつまでものらりくらりとしている。国民を欺くのももうほどほどにしなさい。この件、はっきりさしてください。
  141. 山本長

    山本(長)政府委員 先ほど申し上げましたように、管制業務というものにつきましては、私たち日本側の航空体制といたしましてやはり日本国全体を見て進めていかなければならぬという状態でございます。大変に要員の確保、訓練というものに時間と労力がかかるわけでございます。現在なおレーダー網の整備といたしまして、沖縄の北にございます奄美のレーダーが五十九年に完成をいたしまして、これらについての要員の訓練、それから道東、中国、道央とございます。我々といたしましては、こういった日本側の体制というものも考えながら、かつまた沖縄における進入管制業務も将来は日本が返還を受け日本が実施しなければならぬということについては合意のとおりでございますので、この辺の国内事情、それから国際事情というものをあわせ考えながら対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  142. 上原康助

    ○上原委員 確かにそういう全体的なあれも必要でしょう。私が聞いているのは、それじゃいけないんだよ、あなた。そんな弁解はもういいと私は言うのです。後で聞きたいのですけれども、合同委員会における協議事項を明らかにしなさいと言ったら、それは何か機密とか漏えいとか変な理屈をつけて明らかにしない。明らかにされているものだけは守りなさいと言うのです。日本側がやるべきことはちゃんとここに書いてあるんだから。  復帰時点における航空交通管制に関して取り決めがあって、その中で日本側が引き受けるべきものについてはもう十年余りたっているのだから、これはいつまでにやるのですかと聞いている。できるのですか、できないかと聞いている。それを聞いたら奄美のレーダー、北海道のレーダー、当たり前のことじゃないですか。これを引き受けるために、管制官を何名養成するために皆さん努力なさってきたの。そういうことはやらぬでおいて、突っ込んだ語を聞こうとしたらそういうことじゃ、大臣いけませんよ。このことについて、運輸省として今後これを引き継ぐために米側とどういう段取りをするか、明確な御答弁をこの件について大臣から求めたいと思います。
  143. 細田吉藏

    細田国務大臣 ちょっと中座をしておりまして、質問の初めの方を承りませんで大変失礼をいたしました。お聞きしておるうちにだんだん明らかになってまいりました。  沖縄の空が、内地の空と違って一般的に言いましてアメリカの支配下にある、そういうことにつきましては、このよって来るゆえんは別としまして、沖縄の皆さんには非常に御迷惑をおかけしておることになっておる、かように思っております。私は、外務省の話はどのように答弁があったか存じませんけれども、この問題は相手のある話でございますので、すっきりすんなりとアメリカが管制業務の一切から手を引くということは、実際上の問題としては至極簡単な問題ではないと承知しております。これは客観的にそうだと思っております。日本が日米安保条約のもとにありますので、どうしても辛抱しなければならぬ面があることはやむを得ないと思うのです。  ただ、沖縄の皆さんのお立場から考えると、その中でももっとやれることがあるのじゃないか、もっとやるべきことがあるのじゃないか、こういう点につきましては、私どもこれまでの努力について必ずしも万全であったとは言えない点もあるのじゃなかろうかと思います。そういう点については今後努力してまいりたいと思います。
  144. 上原康助

    ○上原委員 予鈴が鳴りましたので、午後の私の質問の冒頭までに運輸省と外務省がもう少し調整して、この件についてお答えください。  大臣おっしゃること、私は少しはわかる。しかし、私は沖縄の立場だけで聞いているのじゃないのです。沖縄へ行くのに沖縄県民だけが飛行機に乗っているのじゃないのです。年間二百万人行くのです。日本の空なんだよ。そこでこういう取り決めがなされておって、基本的なことはまだ話し合いをしたことがない、これではいけないわけです。アメリカが安保条約に基づいて返還しないというなら、皆さんはここに書いてあることは改めなさい。できもしないことをできるかのように、インチキ運輸行政はよしなさい。国会をもう少し権威あるものにしてください。こういう問題で何回やりとりしてきたのだ。  したがって、このことについて、復帰時点でここで日米間で合意したことについてできるのかできないのか、できない理由は何なのか。軍事優先だからできないということをアメリカが言っているのじゃないかと私は思うのだが、皆さんはそうは言わぬでしょう。そのことについて、いいですね、外務省と運輸省が詰めて、もう一遍このことについて日本政府としてアメリカ側とどういうふうな交渉をしていくのか、解決のめどはいつなのか。冒頭お答えできなければ、私はまた理事会を開かせますよ。委員長、いいですね。
  145. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 はい。それでは、上原議員の御発言のように詰め合わせをしていただきます。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十二分休憩      ————◇—————     午後三時十一分開議
  146. 片岡清一

    片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、先ほどの上原委員の質疑に関連して、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣
  147. 細田吉藏

    細田国務大臣 進入管制業務の返還問題につきましては、先ほど答弁をいたしましたが、日本側の受け入れ体制の検討が必要であり、現段階におきましては公式な申し入れは行っておりませんけれども、実務者レベルにおける双方の意見交換の場におきまして昨年の末米側の意向打診を行っているところであります。米側としては、重要な問題であるので慎重に検討したいということでございました。  運輸省といたしましては、今後日本側における受け入れ体制、米側の意向を踏まえて対処してまいりたいと存じます。
  148. 上原康助

    ○上原委員 休憩中に運輸御当局として御努力をしたことについては一応敬意を表します。  そこで、もう少し積極的にこの問題を解決するために御努力を願いたいわけですが、外務省も今運輸大臣がお答えになった方向努力いたしますね。
  149. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 私どもといたしまして、運輸省に対してできるだけ御協力申し上げることは無論のことでございます。  それから上原先生御指摘の御意見、これを十分踏まえさせていただきまして、日本側としまして適切な対処ぶりを含めましてアメリカ側と話をしてみたい、かように考えております。
  150. 上原康助

    ○上原委員 この航空管制業務が移管されてからもう満十年以上経過しております。復帰してこの五月で十三年目に入ります。合意されたことがちっとも進まないではいけないわけですから、その点ぜひ御留意をいただいて解決をしていただくように、いろいろ問題があるということは私もある程度理解をしているつもりでありますが、日本側が、政府努力をすることによって改善できないことでもないと思いますので、特に要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、このことと関連をするわけですが、軍用空域の件についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  このこともこれまでも何回か、私もある程度聞いてまいりましたし、またほかの委員会でもしばしば聞かれていることでございますが、いうところのウォーニングエリア、それから最近になって明確になりましたアルトラブ、こういう米軍専用空域というものは一体どういう法的根拠に基づいて設定をされているのか、まずこのことから明らかにしていただきたいと思います。
  151. 山本長

    山本(長)政府委員 空域の提供問題は、水域、陸上の場合と同様でございますが、日米のいわゆる地位協定に基づきまして日米協議の上、合同委員会の場において合意をされたというところに従いまして空域を提供する、こういうことでございます。
  152. 上原康助

    ○上原委員 地位協定に基づいてなされている、その基本は安保条約だということでしょう。確かにウォーニングエリアは復帰前からあったわけでありまして、そういうことになっているかもしれませんが、アルトラブの設定はどういう法的根拠に基づいてなっているのですか。
  153. 山本長

    山本(長)政府委員 お答え申し上げます。  アルトラブと申しますのは航空機の運航に伴いまして一時的に空域を留保するものでございます。ある一定の空域及び高度、空域の経路というものを留保いたしまして、他の航空機がそこに入らないようにするという措置でございまして、それをアルトラブと申しております。  これにつきましては、日米の航空交通管制に関する合意に基づきまして、米軍用機の行動のため空域の一時的留保を必要とするときは日本側が所要の調整をなす、こういうことで、しかし十分な時間的余裕を持ってその要請を日本側当局に行う、こういう日米間の航空交通管制に関する合意に基づいて行っているというところでございます。
  154. 上原康助

    ○上原委員 航空交通管制に関する合意というのは、いつのものですか。
  155. 山本長

    山本(長)政府委員 この合意昭和五十年六月のものでございます。
  156. 上原康助

    ○上原委員 そこで、まずウォーニングエリアからいきましょう。ウォーニングエリアは復帰時点で幾つあって、現在は幾つあるのか、これまで変化があったのかどうか。
  157. 前原隆久

    ○前原説明員 現在十六カ所でございまして、当初から十六カ所沖縄地区にございます。
  158. 上原康助

    ○上原委員 現在十六カ所、これはいつかも聞いたんだが、ウォーニングエリアとレンジエリアはどう違うのかということです。沖縄にも一カ所はレンジがありますね。この区別はどうなんですか。もしはっきりしたお答えができればやっていただきたいと思うのです。
  159. 前原隆久

    ○前原説明員 特に私どもの方では性格を区別いたしておりませんけれども、ともに米軍の訓練空域として使用していると承知いたしております。
  160. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、日本側の意思によって、日本側が航空路の航空管制上非常に問題があるとか、あるいはまたその合意時点と今日、その経過を踏まえ、今日の時点における使用目的が合致しないという場合はウォーニングエリアは変更できる性質のものなのか、どうですか。
  161. 前原隆久

    ○前原説明員 私どもの民間航空につきまして、必要な場合にはその変更等を申し入れることがございます。
  162. 上原康助

    ○上原委員 これまで何回申し入れたことがあるのですか。
  163. 前原隆久

    ○前原説明員 現在、事務レベルでは交渉をいたしておりますけれども、正式にまだ交渉はいたしておりません。
  164. 上原康助

    ○上原委員 外務省の見解はどうですか。
  165. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 今航空局の方から御答弁ございましたように、適宜必要に応じて調整することは十分可能であろうかと考えます。
  166. 上原康助

    ○上原委員 可能である、申し入れている、しかし正式には申し入れたことはない、どうも少しおかしいですね。いずれにしても、日本政府の意向によっては変更は可能なんだね。航空局長、変更することはできるわけですね。また、日本側はその意思もあると理解していいですか。
  167. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 ちょっと舌足らずだったかもしれませんが、法律的と申しますか、地位協定等との関係で申し上げますと可能であろうと申し上げた、そういう趣旨でございまして、ある意味で合意でございますから、合意の相手方であるアメリカ側とそういう了解が成立しなければ、その意味では一方的にこちらで変えられるという趣旨で申し上げたわけでない次第でございます。
  168. 上原康助

    ○上原委員 後で具体的に提案しますが、そうしますと、ウォーニングエリアは復帰時点から十六カ所あった。現在も変わっていないわけですね。だから、皆さんは変更を申し入れてないわけだ。変わってない。大きくなっている。  一方のアルトラブは、私の記憶ではたしか一九七五年五月八日の日米合同委員会合意だと見ているのですが、このアルトラブが出てきたのは昭和五十年以降ということになりますね。そう理解していいですね。さっきの答弁はそうだった。
  169. 山本長

    山本(長)政府委員 私は、先生からその根拠ということでございますので五十年六月と申し上げましたが、アルトラブという管制上の一手法と申しますか、こういうアルトラフという管制の方式と申しますか、こういうものはそれ以前からあったものでございます。
  170. 上原康助

    ○上原委員 じゃ、何カ所あるのですか。流動性型と固定型がありますね。流動性のものは幾つで固定型は幾つあるのか。あなたの答弁は、ちょっとこっちが一歩段を踏み出すと変わったりするから困るんだよ。復帰時点にアルトラブがあったとすると、どのくらいあったのですか。外務省も運輸省も、本当にそういうことを何かよくつかんでいないのかね。
  171. 山本長

    山本(長)政府委員 おしかりを受けて申しわけございません。準備不足と言えばそのとおりでございますが、アルトラブと申しますのは、飛行機の運航を行いますときに、その空域と経路を一時的に留保いたしましてはかの航空機のそこへの進入を防止する措置でございまして、これは大部分が一時的なものでございます。先ほどのウォーニングエリアといった訓練空域とは違いまして、大部分が一時的なものでございます。  ただ、先生、何カ所ということで御指摘でございまして、ちょっと今何カ所ということを持ち合わせておりませんけれども、通常割合定型的に行うアルトラフについては、実態として固定的な経路についてアルトラブが設定されている例もございます。
  172. 上原康助

    ○上原委員 それで、五十年以降そういうのが新たにできたと理解せざるを得ないわけですが、そういたしますと、復帰時点で十六カ所のウォーニングエリアがあって、さらに、固定的であろうが一定期間であろうが流動的であろうが、ある一定期間米軍の空中給油あるいは演習によってアルトラブができて空域がブロックされて、それだけ民間飛行が排他されることは間違いないわけだ。復帰時点よりもさらにこのアルトラブの設置によってより沖縄の空域が狭くなっていることは間違いないと思う。その点認めますか、どうですか。
  173. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  協定によって定められているアルトラブが約六カ所ございます。そのほか、ある程度取り決めをして随時使用しているのが九カ所、さらに流動的なものがございます。
  174. 上原康助

    ○上原委員 だから、六カ所あって、さらにまた臨時に九カ所もある。六カ所に九カ所足したら十五カ所だ。そうすると、ウォーニングエリアは十六カ所ある。もちろんそれはダブる面もあるのですが、それだけ民間機は、一定期間であろうが高度であろうが制約を受けるとすると、飛行に支障を来すということは常識的に考えてあり得るわけでしょう。そのことは皆さんも御専門家としてお認めになりますかと聞いているんだ。
  175. 山本長

    山本(長)政府委員 他の航空機、つまり民間機というものをその経路なり時間帯入れないという意味でございますから、そこで制限を受けるということは事実でございます。
  176. 上原康助

    ○上原委員 そこで、では時間もいろいろありますので、支障があるということは認めたので、ウォーニングエリアの方からまず行きましょう。アルトラブのこととも関連するのですが、ここでちょっと委員長に、運輸大臣にこの図をちょっと見せていただきたいと思うのです。  ウォーニングエリアは十六カ所をできるだけ縮小、縮減、排除してもらいたいわけですが、議論をかみ合わす意味でひとつ取り上げておきたいわけです。W178、伊江島、これは使用高度制限が海面、一万五千フィート、178Aは一万三千フィート、それぞれ運用時間というのがあります。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕  そこで、この使用目的は米空軍空対地訓練となっています。外務省も防衛庁も来ておられると思うのですが、今米軍の空対地訓練をする機種が沖縄にありますか。
  177. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 御質問の趣旨が沖縄におきます米軍の使用しております空対地の射爆撃訓練のことかと思いますが、そうだといたしますと、先ほど御指摘ございました伊江島の訓練区域、さらにまた鳥島訓練区域あるいは久米島、さらにちょっと外れますが、黄尾嶼、赤尾嶼等がそういうものとして考えられております。
  178. 上原康助

    ○上原委員 鳥島は後で聞きますから、私は伊江島の178と178のAに限って質問している。現在の使用はどうなっているのですか。これは施設庁来ているでしょう。幾ら基地でも一定の制約があるわけです。使用目的というのが、日米間で取り決めがあるわけです。この空対地の訓練場として現在はどうなっていますか。
  179. 田中滋

    田中説明員 伊江島補助飛行場におきます空対地射爆撃場の米軍による訓練回数につましては、数年前までは相当激しい訓練密度、回数において行われたと承知しておりますが、現在は米側の沖縄に配備しており、かつ伊江島を使っての空対地訓練をやる飛行機の種類、型式あるいは訓練のあり方等が影響しているものと考えられますが、最近は毎月数十ソーティー、数十回の回数であると私どもは聞き及んでおります。
  180. 上原康助

    ○上原委員 聞き及んでいると言って、それは確実なのか。空対地訓練は今やっていないのじゃないか、実弾射撃は。かつてのようにF4がいないわけでしょう。だから機種を聞いたのだよ。この主力戦闘機がF4からF15かわったわけでしょう。F15こういう訓練はしませんよ、むしろあれは迎撃機だから。だからそういったいろいろな空域というものを、むしろ空中戦、ドック・アンド・キャットというのをやっていると思うのです。だから当然四、五年前からここは遊休化している。大臣、外務省、皆さんは、明らかに使用目的が消滅といったらあれなのだけれども変わっているわけだから、そういうところについてはなぜ返還を求めるとか空域を改善するとかいう努力をやらないのかというのが私の趣旨なのだよ。  そこで、今例を挙げましたが、これでは余りわかりませんから、いかに沖縄の空が——アルトラブも六カ所が固定化で九カ所が臨時でしょう、十五カ所。ウォーニングエリアが十六カ所、それにACMIがくっつくわけでしょう。まさに空は地獄もいいところよ。僕もかつてやったことがあるので、わかりやすいように図面をいろいろつくってみましたが、これを見ると幾ら安保を認めるとか地位協定を認めるとかいう人だって少しはうなずいてくれると思うのですよ。大臣、この図面を見てください、後であなたのところに持っていきますから。  これが沖縄本島でしょう。これが嘉手納空軍基地ですよ。ここが那覇。ここが今私が取り上げている伊江島の訓練空域になって、ここは常時飛行できないわけです。これが本部半島。那覇空港から飛び立つと、この飛行機は北西に飛ぶときはこう飛んでいけば一番飛びやすいのだが、しかしできない。ここを迂回するか、あるいはここしか飛べないということになっている。こういうものはみんな訓練空域です。しかも、今度新しくACMIをここにつくろうと言っているのでしょう。このダイダイ色がアルトラブですよ。固定化されたもの。これがいわゆる流動化した空域。見てごらんなさいよ。幾ら空の空間とはいえ、飛行機は袋小路のところを本当に道を探して飛んでいるようなものです。  大臣、これを見てください。だから、皆さんが日米合意に基づいてああいう進入管制権の問題を含めて本当に沖縄の空の安全性を考えるというのであるならば、これだけ危険な状態に置いておいたら——復帰時点はこういうのはなかったのだ。復帰時点であったのはこれとかこれとかこれとか、こういう青いのでやっている。一九七五年以降こういうアルトラフとかいろいろなものが加わって、ますます安全性の面においては大変な状態に置かれているのが今の空の実態なのです。ちょっと大臣に見せてやってください。これをごらんになれば素人だって、大臣に素人と言うのは失礼ですが、見てくださいよ。それほど過密な状態になっているのですよ。だからアルトラブ、ACMI、この赤いのは、運輸省も外務省も見ていただきたいのだが、まさに銀座の一等地を売って、皆さんがあの黄色い線で後で返そうというのは、西表の山の中の荒れほうだいの土地を買ったようなものだよ。それで空域の返還を求めていますなんて言えた柄ですか。どこの政府かと言いたい。銀座の一等地を売って田舎の山林を買うようなことで面積のつじつまだけ合わせてみたって、それは安全性の確保にはならないのじゃないですか、これから見ても。私はそのことを言っているのです。  そういう意味で、これだけ過密の状態になって、しかもここは心臓部。現在は空対地訓練はやっていない。とするならば、この伊江島の空域ぐらいは返還を求めてはどうなのかと言うのです。これは、きょうはそこまで触れられませんが、伊平屋の飛行場立地の問題とも関連して、これがあるからできなくなっている、もし全面的に返還できないというならば、高度の調整ぐらいはできるでしょう、一万三千フィートとか一万五千フィートとか。なぜそういうできる範囲の努力さえもやらないかということに対して、安保を認めるとか認めないとかその議論は別におくとしても、日本政府が本当に主体的に空の安全ということと航空管制をやるという御意思があるとするならば、こういう問題はアメリカだって理屈が通れば聞きますよ。この際、このことについては真剣に受けとめていただいて、先ほど、変更を求めることはできないことじゃない、やる御意思もある、そうするならば、まずこういうところからお考えになってみたらと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
  181. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃる御趣旨は非常によくわかります。沖縄の空がある意味では狭められてまいっておるということは、緊張した国際情勢を反映したり、いろいろなことだと思います。日本の民間航空路のためには非常に遺憾な状態になるわけでございます。  では、お話のように事務的には全然努力してないかということでございますが、そうではないのでこざいまして、事務レベルにおきましては、いろいろなことに対応して向こうに対して要請をいたしておるということでございます。しかしながら、これについてはなかなか厳しい回答しかはね返ってこないというのが大体の今までの実情のようでございます。  おっしゃるような御趣旨はよくわかりますので、特に伊江島の問題なんかについてもそういう御発言がございましたが、私どもとしては今後さらに努力をしてまいらなければならない、幾ら強くてもはね返されてもやっていくことはやってまいらなければならない、主張すべきものは主張しなければならぬ、かように思っております。
  182. 上原康助

    ○上原委員 確かにそれは事務レベルでいろいろ積み上げなければいかぬでしょう。専門家が、日米合同委員会に諮る前に民間航空分科委員会があるわけですから、技術的にそこで詰めるでしょうが、しかし最終的に決断をするのは政治家ですよ。運輸大臣、あなたですよ。外務大臣ですよ。事務当局だけにやれやれと言ったってそれはなかなか容易じゃないですよ。それが政治であり、本当の航空行政じゃないですか。  そういう意味で、今私がこれだけ具体的に問題を指摘し、また皆さんも、そういう制約を受けておるということ、非常に支障があるということは、これはずばり言えないかもしれませんが、御専門家は内心冷や冷やしながらお仕事をなさっていると思うわけです。そうであるなら大臣、防衛庁長官をなさっておったこともあり、あなたのお人柄もわからぬわけじゃない。もう少しこの伊江島の問題については、さっきも申しましたが、伊平屋の航空路の飛行場立地の問題とも関連をして大変支障を来しているわけです。したがって、現在遊休化している状態においては、この訓練空域については運輸省も外務省もひとつこの際アメリカと議題にのせてやってみるという程度の決意を明らかにしていただかないと、二時間質問する意味がないじゃないですか。どうですか大臣
  183. 山本長

    山本(長)政府委員 大臣の先ほどの御答弁を補足する意味も兼ねましで御答弁申し上げます。  私たち管制を預かる者といたしまして、アメリカと実務者のレベルにおきましていろいろ話をいたしております。先生御質問の伊江島空港周辺の空域につきましても、その返還または削減に関しまして、高度も含めまして相手方の意向の打診を行ったところでございますけれども、現在の使用状況につきまして私たちつまびらかではございませんけれども、米側といたしましては、現時点では返還あるいは削減等は困難である、こういうふうなことを申しておるのでございます。  運輸省といたしましては、むしろこの空域の有効利用といいましょうか、使ってないときには民間航空にも使わせるというふうな調整ということによりましてでも、民間航空に使用できるように調整を進めてまいりたい。最終的には返還、削減ということが一番望ましいと考えておりますけれども、やはり相手のあることでございますので、実現性という意味で、そういった調整によりまして民間航空にも使えるというふうな措置を講じられるように調整をしていきたいと考えておるところでございます。
  184. 細田吉藏

    細田国務大臣 つけ加えて申し上げます。  上原先生の先ほど来の御質問は、日本の民間航空路をなるべくゆったりさせたい、安全にしたいという御意向で、ある意味では我々に対する応援なんですから、国会でもこういう意見が強く出されている、現実にこうなっているということで、私たちさらに努力をさせていただくということにしたいと思います。
  185. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそうしていただいて……。私が期待しているというか望んでいるほどの答えじゃないのですが、しかし私は、これは何も聞かなければぶん殴ってでも返させていくと言っているのじゃないのですよ。しかし、取り決めがあっても改善できる提案もしないで、話し合いもしないで、それでは返るか返らぬかもわからぬじゃないですか。その点をぜひ理解をしていただいて、しかも私はこれは遊休化していると思っている。そういう意味で、大臣の御答弁もありましたので、ぜひひとつ解決できる面から改善をしていただきたい。  このACMIも、最初は伊江島のここに持ってこようとしたわけね。ここはまさに心臓部だから、そこまではということで運輸省もここに持ってきた。ここだって銀座の一等地ですよ。沖縄県で言うと国際通りの一等地だよ。ここを与えてこんなところを返されたって、こんな黄色のところあっちこっち端っこを返されたって意味ないのだよ、正直申し上げて。こういう図示をしないで議論をすると、みんなおわかりでないからなかなかぴんとこないかもしらぬが、実際そうなんだよ。これでは、空域は与えた分は返してありますなんて言ったって始まらない。こっちを与えるぐらいならこっちは返せ、なぜ皆さんが言うギブ・アンド・アークで行けないのですか。大臣、私はそのことを言っているのですよ。日本政府だっていろいろ事情があってここを与えるのだから、それなら伊江島の空域ぐらいは今使っていないのだから皆さん返しなさい、それならこっちも協力しましょうという、それが本当のパートナーシップじゃないですか。なぜギブ・ギブ・ギブだけして、こっちの方は、こういうところは返されたって余り意味がないのですよ。専門家の方々もそう言っている。どうか、そういった実態というものを御理解いただいてこの問題の解決にひとつ御努力を重ねていただきたいと思います。念を押すようで恐縮ですが、いいですね、運輸大臣
  186. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃる御趣旨は非常にごもっともだと思っておりまするので、できるだけのことはしなければいかぬ。ただ、そういうことは申しわけになりませんが、向こうの事務レベルはまた事務レベルで非常に強い。現状そうなっている、そこまで持っていくんでもかなり努力はしているということだけは、私は申し上げておきたいと思います。しかし、努力が足らぬとおっしゃれば、実績がもっと上がらなければ言えませんから、そういう点は十分心してやらなければいかぬと思っております。よく御趣旨は了承しておりますから……。
  187. 上原康助

    ○上原委員 これからどれだけ御努力なさるか、経過、結果を見ながら、またさらに要望なりいろいろ提起をしていきたいと思います。  そこで、ACMIの件については分科会でもお尋ねいたしましたし、航空分科委員会では大体合意を見て、あとは恐らく日米合同委員会で最終仕上げをする段階だと見ているのですが、このことについても、最終的にはもう少し今指摘した問題をひとつ考えていただきたい。私たちは、そういう立地をさせることには絶対反対なんですが、それだけ言っておっても始まりませんので、そこで、いつごろ決着づけるのか、日米の合同委員会で最終結論を出すのか、おわかりであればお答えいただきたいということ。  もう一つ、マスターズテーションは当初は沖永良部に置くということだったが、マスターズテーションはなくなったのか。それと、ACMIの設置との関連において硫黄鳥島には全く関係なくなったのかどうか。この点はぜひ二つ確認をしておきたいと思いますので、お答えください。
  188. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 先生おっしゃいました最初の点につきまして、ちょっと私から御答弁させていただきます。  合同委員会にいつかけるかという点を最初におっしゃったと思うのでございますが、ただいまACMIに関しまして関係御当局でいろいろ協議をしておられまして、関係御当局と申し上げますのは、合同委員会の系列のサブの委員会がございますが、民間航空分科委員会あるいは施設分科委員会、そういったところでございます。そこでの検討が済みましてから私どもの方の合同委員会に上がってくるというのが普通の形でございます。私どもとしまして、いっそれが合同委員会のレベルに上がってくるかということをちょっとまだ申し上げ得ない、要するに承知していない状況でございます。
  189. 田中滋

    田中説明員 ACMIシステムの設置に伴います。そのシステムの一部としましてマスターズテーションの設置場所でございますが、このマスターステーション及びそれと一環をなします追跡ステーションにつきましては、ACMI空域におきまして訓練を実施いたします航空機の位置、姿勢等を常時地上から追跡、把握あるいは指導する必要がありますので、五個公海上に設置するというわけでございますが、その場所としましては、ACMI空域としまして新設される空域の直下でございます。  なお、先ほど硫黄鳥島につきましてお尋ねがございましたが、米側の現在の計画によりますと、硫黄鳥島の土地及びその上空といいますか空域を使用する計画はございません。
  190. 上原康助

    ○上原委員 ですから、沖永良部には当初計画はあったけれども、これはなくなったというふうに理解していいわけですね。
  191. 田中滋

    田中説明員 当初の米側計画と申しますかによりますと、硫黄鳥島に関連してその周辺空域を利用するという計画がございましたが、その後、米側におきましてそのACMIシステムの計画を修正いたしまして、その修正案によりますと、硫黄鳥島に関連する土地及びその周辺の空域を使うという計画にはなっておりません。
  192. 上原康助

    ○上原委員 あなたは少しまだわからないのか、あるいはわかっておって言わないのかしりません、私の質問には答えていませんが、要するに硫黄鳥島は使わぬということだけははっきりしました。  そこで、大臣いろいろ御努力なさるということはおっしゃいましたが、はっきりしたところまでいきませんが、こういう状態であるということで、ぜひやっていただきたいと思います。  では、そこで働いている管制官の皆さんはどういう状況に置かれているのか、これがまた問題なんですね。これだけの制約を受けながら民間機を安全に運航せしめる、コントロールするというのは極めて神経を使いますね。私はいろいろ聞いてみたりしているわけですが、大変な厳しい条件下で仕事を余儀なくされているという状況なんですね。  問題はいろいろございますが、管制官は今何名おって、県出身者が何名で本土関係者がどのくらい、どういう分布になっておるのかということが一つ。それと、那覇だけじゃなく沖縄に任命されてからどのくらいでまた転勤とか異動、そういうものをやっているのか、その実情についてまず簡潔にお答えいただきたいと思います。
  193. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  沖縄に勤務いたします職員につきましてのローテーションでございますが、管制官を含めまして、原則として三年以内ということで配置転換を行っております。  沖縄に在勤いたします管制官の総数は、約百八十名でございます。沖縄出身者の数はちょっと手元に持ってまいっておりませんが、非常に少ない状況でございます。
  194. 上原康助

    ○上原委員 非常に少ない。三分の一弱、約四分の一程度だと聞いております。全体の運輸関係の職員が五十八年度でたしか五百八十人くらいですか、そのうち県出身者が百四十二人、本土関係者が四百三十八人で、率にすると二五%程度、こういう状態なんですね。しかも今おっしゃるように、これは管制官ばかりじゃなくして公務員全体に言えることなんですが、大体三年ローテーションということになる、こういう状況です。  そこで、きょうは管制官の職務状況を例にとってお尋ねするわけですが、管制官が一人前というか通常の業務に従事するするには、どのくらいの期間が必要なんですか。
  195. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 管制官には航空交通管制部に所属する職員と空港事務所に所属する職員がございます。それらによりまして訓練の期間は変わってまいりますし、どちらからどちらに転勤するかによっても変わってまいります。短くて五、六カ月、それから特に管制都の技能証明を取るということになりますと大体十一カ月から十二カ月くらいの期間が要る、こういうのが実情でございます。
  196. 上原康助

    ○上原委員 確かに、一般的に短くて五、六カ月、大体十一カ月、十二カ月、まあ一年ですね。  そうしますと、三年で、何か管制官というのは、例えば羽田なら羽田に勤務すると、羽田でまた新たに訓練を受けなければいけないようですね。那覇に行くと那覇で訓練を受けなければいけない。成田へ行くと成田、千歳は自衛隊だからあれだけれども、福岡へ行くとまた福岡で、こういうようなシステムになって、要するに地域主義というのか飛行場主義というのか、立地主義なんだな。そうしますと、あなたがおっしゃるように短くて六カ月、通常で一年、しかも三年でローテーションしなければならないとなると、短い人が大体二年半、長い人となると一年以上訓練を受けて、実際に仕事につくのは正直申し上げて一年程度ということになってしまうわけですね。いろいろ聞いてみたのですが、例えば航空保安大学を出て基礎試験を受けて就職した段階では、六カ月は絶えず助言者がいなければいかないというわけですね。十二カ月はさらにまた「マニュアル一部」とか「マニュアル」あるいは「慣熟」というのがあって、それが十二カ月かかる。航空レーダーを実際に扱うころまでにはさらに十八カ月かかる。トータルすると、本当にレーダー管制までやるには二十二・五カ月も要するというんだね。そうすると三年の任期ならほとんど訓練で終わってしまうわけですね。それで一人前だという段階でまたほかの方へ転勤せざるを得ないという状況が出てくるわけですね。だからそういう面でも、管制宮の皆さんとか航空業務に携わっている皆さん勤務状況は緊張のし通し、あるいは絶えず人員が不足がちであるという状況があると思うのです。  なぜそうなっているかというと、今度は人事院の問題になるわけですが、三年のローテーションというのは、規則をいろいろ調べてみますと、調整手当が支給されるのが大体三作というふうになっているようですね。今の調整手当というのは、御承知のように東京その他大阪近郊は大体九%つけられている。甲地、乙地が六%、三%ですか、そうなると、やはり九%もらっている人は、その手当が削られるものだから、手当を削られると大体普通の人で月額にして三万円、それは期末手当そういう面にも影響しますので、年間にすると三十万から三十五万になるようです。それだけダウンすると、やはり生活設計が立たなくなるという面をそれぞれの公務員は抱えてそれぞれの任地に行っているわけです。  こういうことをいろいろ調べてみますと、この調整手当の問題は、昭和四十二年にできて四十五年に法律が一部改正をされているようですが、沖縄が復帰をしたのが四十七年だから、沖縄は全くこれはらち外にされている。ここらの問題を少し人事院なりあるいは運輸省としても御検討いただいて、今の激変緩和措置でそういうことをやって、それならこの調整手当期間を四年にしたり五年にしたりすればいいのではないかという意向もないでもないわけですが、そうすると今度はまた、同じ仕事をしておっても調整手当をもらう方ともらわぬ方の格差が何年も続くとそこにまたフリクション、摩擦が出てくるわけですね。これもやはり公平の給与体系というかそういう面から問題がないとは言えない。だから、何らかの形でこれを改善しないと、今の勤務状況全体を含めて人事交流というものがなかなかうまくいかないのです。  この実態についてどういう御認識を持っておられるのか。また、解決方法はお考えなのかどうか。運輸省と人事院にお聞かせいただきたいと思います。
  197. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 先生御指摘のとおり、沖縄の勤務者は三年程度でどんどん転勤をしておるというのが実情でございまして、もちろんその理由といたしましては、長期在任するということについては人事上の問題もあるわけではございますが、一面、御指摘のように三年の調整手当というようなこともございまして、その期間を過ぎてなお勤務をしてくれということで職員に協力を願うということについては若干いろいろ問題もあるということは事実でございます。
  198. 斧誠之助

    ○斧政府委員 お答えいたします。  今先生からお話がありましたように、異動保障というのは、生活の激変緩和ということで保障措置を設けておるわけでございます。片一方、調整手当につきましては、これはそれぞれの地域の民間給与、生計費、物価、そういうものの差がありますので、地域間調整という意味で調整手当が設けられておるわけでございます。したがいまして、各地域に調整手当をつけるかつけないか、あるいはどういう地域につけるかつけないかということになりますと、今の三原則に適合するかどうかということで評価するほかないわけでございます。  異動保障はもともと激変緩和と同時に、次第に任地になれていただいて、その土地の生活になじんでいただく、その期間も必要であるという意味も入っておりまして、そういう意味では調整手当が三年間であるからして赴任期間も三年間であるという、実際の人事管理上からなかなかそこのところは難しいのでしょうが、制度上はそこまで考えておるわけではないということを御了解いただきたいと思います。
  199. 上原康助

    ○上原委員 それは、給与法とか人事行政立場からいうと、今あなたがおっしゃることが筋かもしれないです。しかし、人事行政で給与担当官はそんな不人情ではいけませんよ。もちろん三年でいいと言っているわけではないので、激変緩和措置として三年を限度としてやっているというのは、私もちょっと勉強してみたのでわかるのだが、しかし、実際にそういう調整手当の問題等があるから三年で次の職場に行きたいというふうになっているわけですよ。そのことの改善措置をそろそろ考えてみなければいけないんじゃないですか。  確かに、この調整手当を支給する地域の条件としては、民間における賃金、物価及び生計費が特に高い地域、それでこれを甲地、乙地に分けてあるようです。しかも私がさっき指摘しましたように、この調整手当の具体的な支給地域については四十二年の調整手当の創設の際にいろいろ本委員会でも附帯決議などがつけられて、余りいじらないということで今日に至っているようですが、民間との賃金較差という場合は、大都市周辺は確かに大企業も多いし、賃金のベースは高いでしょう。それは否定できない現実です。だが一方、物価及び生計費の問題になると、必ずしも大都市だから物価及び生計費が高くて地方都市は安くて済むという理論にはならぬと思うのです、生計費という面からね。そういう面からして、この調整手当というか特効で該当しない面については何らかの新たな手当制度を設けるか、こういう時勢だからなかなかそれも難しいとは思いますが、これは人事院も運輸省ももう少し自分たち職員のことを考えていただいて、何らかの手だてをやらないと困るのです。  それで沖縄の例を言いますと、まず日本一電気料金が高いということです。それから国鉄がない。私はちょっと勉強しているのですが、何回か公務員の皆さんやいろいろな本土から沖縄に行っておられる方々から言われるのですが、普通の地域なら一日の交通費というのは二千円かどんなに高くても三千円くらいで済むというのです。本土の都道府県に出張して公務員が仕事をする場合は大体二千円平均でいく。しかし沖縄では、そういう二千円というあれが全然立たないようですね。まず鉄道がないからバスに乗っても相当取られる。あるいは場合によってはタクシーに乗らなくてはいかぬ。だから全然基準がないというわけです。そういう面からしても、実際に公務員の諸君が仕事をなさる場合、あるいはこっちから出張するという場合だって、相当の悪いインパクトを受けている。  かつて、佐藤さんが人事院総裁をしておられたころから、亜熱帯手当をどうするかということで一時相当前向きに検討しておった。だが、だんだん行革やら何やら公務員いびりするものだから消えてしまって、もうどうなっているかわからなくなっていますが、そういう総合的な面を考えて沖縄に勤務をしている公務員の皆さんの生計費の問題とか手だてということをやっていただかないと困るのです。  特にその中でも管制官の皆さんにとっては大変な状況で、さっきも言ったが、ああいう厳しい環境下で管制業務をやらなければいけないという二重、三重の制約と負担がある。ここは、六十年の公務員制度全体の見直しの中でやるのか、あるいは今回の人事院勧告の中で検討してみるのか、いろいろ方法考え方はあると思うのですが、さっきのような余りしゃくし定規のお話でなくして、解決策はどんなものなのか、改めて御所見を聞いておきたいと思うのです。
  200. 斧誠之助

    ○斧政府委員 沖縄に勤務する職員につきましては、復帰後特地勤務手当、これは本島以外の島の分ですが、ここに新たにつけましたり、あるいは割り増しをしたりという措置をとってございます。それ以外には何も特別な措置はとっていないわけでございますが、従来から、亜熱帯手当あるいはそれが無理なら何らかの方法で考えられないかということで、ずっと長期間にわたって要請を受けておるわけでございますが、今先生がおっしゃいましたように、電力の単価が非常に高いというようなことも人事院ではわかっております。それから通勤につきましても、本土の地域に比べますと、バスでございますので相当多額の通勤費がかかっておるという実情もわかっております。  問題は、人事院でございますので気分で措置するというわけにまいりませんので、何らかのデータが必要であるということで、要請される方の側にもひとついいデータがあったら欲しいということは人事院の方からもたびたび申し上げているわけでございますが、我々の方としましても、民間の企業におきますところのいろいろな給与上の措置ということも調べております。それから生計費面での他の地域との比較というものも行っております。現在までのところなかなかいいデータというものが見当たりませんで、これはそういうことで放置しているわけではございませんで、毎年のようにそういう問題は調査しておるわけでございますが、変化がなかなか見られない、なお今後も研究を続けたいということでございます。  それともう一つ、航空管制官につきましては、これは沖縄だけではないのでございますけれども、調整額というものが八%ついております。他の職員よりは八%増しの給与をもらっておるというような措置はしてあるところでございます。
  201. 上原康助

    ○上原委員 確かに管制官は職務上そういう特殊手当がつけられていますね。ですから、それも職務柄当然というか、そういった保障をやらなければいけないという建前からそうなっていると思うのですが、何としてもここいらは解決する方向にやっていただかなければいかぬわけだ。  では、調整手当の三%にも沖縄は本当に該当しないのか。四十二年、四十五年の段階では全然らち外にされているわけだから。あるいは六%に該当するかもしれない、今やってみると。さわるとうるさいからということで復帰前にできた法律の恩典を全く受けないということでは、これは困るわけだな。ですから、そういう調整手当の面での解決策があるのかどうかが一つですね。今おっしゃるような新たなデータがうまく収集できれば、それを基礎に制度化していくということもできないことではないでしょう。しかし、それには時間がかかると思う。そういう面ができるのか。  もう一つは、あなたがおっしゃるように、特地手当とおっしゃいましたが、これも確かに南大東とか西表とか、離島とか測候所ではついているはずだ、ついていますね。これが沖縄本島ではないのですね。離島なんですよ。離島の離島なんですよ。それではこういった管制官の皆さんとか全体的なカバーはできない。そういう問題があるということは、御認識もいただいておりますので多く申し上げません。  そうしますと、あとは特殊勤務手当でできるのかどうかという問題がありますね。確かにこれはまた特定の職種ですからなかなか全体的にカバーできない面があるわけですが、管制官の場合は、ついておってもそれを改善することができるのかどうかという面、あるいは調整手当をもう少し緩やかに、必ずしも三年と言わず、どうしても残って仕事をしたいという人々に対しては、もう少し本人の意向を入れて運用面で緩和措置をとるとか、こういうことは私はできない相談ではないと思うのです、やりようによっては。運輸省はそのくらい、ほかの空域をいじる面では悪知恵も働かすのに、こういう面ではもう少しいい知恵を出してもいいのじゃないですか。  だから、そういうようなことで今いろいろ支障というか非常に不満を持っておられる、あるいはもう少しおりたくてもやはり調整手当の問題等があってなかなかそうはいかないということで、非常に腰が落ちつかないわけですよ。落ちつかないとなると、それだけ管制業務の不安全性というものが出てくるわけですよ。生活の面と仕事の中身というものは密接不可分なんですよ。衣食住足りて礼節を知るとおっしゃるでしょう。もちろんそれと性格は違いますが、その意味でも私はこの面はぜひ御検討いただいて何とか改善をしてもらいたい。もちろんこれは、俸給調整額というのがあるから、調整手当でたくさんやってもまた調整される、いろいろな問題がなかなかしち面倒なところがあるかもしれませんが、今の状態でこれを放置しておくわけにはまいりませんので、改めてここいらの問題について、仕事の安定性という面、それから安全性という面、継続性という面からしても、何とか改善策をおとりになっていただきたいと思うのです。きょうは官房長は来ていないか、航空局長でもいい。もう一遍給与局長のお答えも聞いて、最終的には運輸大臣決意もお聞かせいただきたいと思います。
  202. 山本長

    山本(長)政府委員 御指摘の点、私たちも非常に頭を痛めておる点でございます。管制官といった専門職種につきまして、御質問の中にもございましたけれども、現地出身者が極めて少ないというところから、東京なり大阪なりプールとして相当多くいる職場からそこに派遣をする、そこにローテーションが生ずるわけでございます。人事管理上やはりその人の生活あるいは家族等との関係から現在三年ということでローテーションを組んでおるわけでございますが、御指摘のように、手当の観点からの問題というものもそこにございまして、三年ということでおおむねローテーションを組んでおるわけでございます。  この問題につきましては、調整手当の問題あるいはちょっと御質問の中にありましたような新規の手当の問題、いろいろ議論をしてまいっておるところでございますが、給与制度という体系の中でやはり解決をしていかなければならぬ問題でございます。私たちといたしましても非常に頭の痛い問題でございますし、また先生おっしゃるように、遠隔地から行っておる人たち、あるいはその現地の人たちとのバランス、双方を考えながら、何とか解決策を見出していきたいというふうに考えておるところでございまして、運輸省だけでというわけにはいかない問題でございますけれども、関係省庁とも十分協議いたしまして、御理解を願いながら解決の方法を早急に見出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  203. 細田吉藏

    細田国務大臣 申し上げるまでもなく、航空は大変な急速な発達、進歩を遂げておるのでございます。その間にあって、沖縄に限らず航空管制宮の仕事というものは大変なきつい仕事で、一つ誤ると刑事責任まで問われるというような非常に危ない、責任の重い仕事をやっておるわけでございます。  そういった意味で、勤務体制、昇進、給与あらゆる点についてよくよく考えていかなければならぬ問題である、こう思います。航空の便数がふえたりいろいろいたすことでしわが管制官に寄るという状態は放置できない問題であるというふうに考えておる次第でございます。特に沖縄につきましては、先ほども私は申し上げましたが、特別な管制事情であることも私どもはよく承知しております。これらの点についてさらに政府部内、また人事院の方でもお骨折りをいただくように努力してまいりたい、かように思っております。
  204. 斧誠之助

    ○斧政府委員 いろいろ御指摘のありました手当別に、ちょっと人事院の立場を申し上げておきます。  まず調整手当でございますが、これは現在、見直しの課題の一つになっております。四十二年に現在の調整手当ができましたときに、御指摘のありました附帯決議がありまして、地域はいじらないということで現在まで来ておるわけですが、世の辛いろいろ変化しておりますので、必ずしもその当時の状況が、各地域別に見た場合、同じであるとは言えませんので、それは検討したい。その場合、つけるところがありますけれども、変化しているからはぐところもありますよというような問題がありまして、地域の問題は、地方団体、職員、それから先生方も、附帯決議がついておるぐらいでございますので非常に関心が高い部分でございますので、おいおい御相談を申し上げたいと思っております。  それから異動保障でございますが、これは最初半年であったわけです。それが一年になり二年になり三年、こういうことになってきたわけですが、三年でも先ほど先生御指摘のような現地職員との摩擦というようなものもあるやに我々の方に耳に聞こえてくるわけでございます。どのくらいの期間が異動の保障としていいのかというのはなかなか難しい問題でございまして、半年、一年、そのころは大して現地職員との間にそごは来さなかったのですが、期間が延びるに従って現地職員からのそういう不満の声も出てくる、こういうことでございますので、なかなか三年を動かすというのは難しい問題を含んでいるのではないかなという気がいたします。  それから、見直しの中で、実は航空管制官には新しく専門技術俸給表というものをつくってそれを適用したらどうだろうかということを今検討しております。それは、今行政職(一)で処遇しておるわけですが、そうではなくて専門官として処遇して、そして行政組織のようなポストにこだわって格付をするのではなくて、もうちょっと専門官としての格付方法はないかということで検討しておりますので、その面は運輸省ともよく相談しながら進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  205. 上原康助

    ○上原委員 人と金の絡む問題はなかなかややこしいということは私もわかるのですが、しかしこれは解決しなければいけないですよ、異動保障期間の問題にしましても。ですから、見直しの段階でいろいろ御検討なさると思うのですが、見直しというのが後ろ向きであってはいかぬですね、少なくとも斧さん。ぜひひとつ、専門職という格付で新たな給与表というものも一案でしょうが、これもまた改悪になってもいかぬし、そういうことはぜひ御留意をいただいて、少なくとも四十二年段階でできたときは沖縄は全然対象になっていないわけだから、これを入れることにはここにいらっしゃる方みんな賛成ですよ。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕  問題は六%入れるか九%入れるかだけのことであって、そういうことは私はやろうと思えば十分できると思いますので、亜熱帯手当問題はまたこれから人勧の中身なども出ましたらそういうところでおいおいさらに議論を深めるものとして、きょうはこの管制官の皆さん条件というものを例に出しながらお尋ねしましたが、ぜひひとつ運輸大臣もそういう御決意を述べましたので、運輸省も特に御努力をいただきたいと思いますし、また人事院もやっていただきたい。私、かつて刑務所職員勤務時間の問題を取り上げて、あれなども本当にひどいですよ。しかし、だんだん今全国的に改善されています。やろうと思えばできるのです。一つ一つやっていただきたいということを重ねて強く申し上げておきたいと思います。  もう時間がなくなりましたので、きょうはあとは那覇飛行場の軍民共用の問題とかあるいは飛行場整備の問題等についてもお尋ねしたかったのですが、前段でちょっと時間がかかりましたから、それはまた後日どこかでやるといたしまして、最後に一問だけ、沖縄のバス問題、これは運輸大臣がおられるから、ちょっと御理解をしておいていただきたいと思うのです。  春闘も、昨晩というか、けさ私鉄大手の方が決まって、大体大手の方は山を越したようなことで、ストなしで労使の理解を得て合意を見るというのは我々も望むところなんです。しかし私は沖縄のバス問題というのは、今のような状態ではどうにもならないと思うのですね。これは、きょうは多くは申し上げられませんが、五十五年ごろから大変な状況が出て、その都度春闘時には反復的にストライキをするとかあるいは合理化を強行するとかやってきて、今度、事もあろうに春闘要求したら逆に三万円の賃金カットをやるという回答しかやっていないわけですね、一部のバス企業は。  なぜそうなるかというと、これはいろいろ経営者の姿勢の問題なり能力の問題等あると思うのですが、これまで合理化もやってきたのですよ。経営陣も経営陣なりの努力も私はしてきていると思う。それでもなおできないというところは何かというのは、やはり沖縄の置かれている環境なり道路問題なりあるいは基地の問題ともこれはすべて無関係でない。そういう面からすると、やはり公共交通機関の確保という面で県民の足の確保を、六十二年の国体というようなことを考えると、これは労使間の問題として県任せ、企業任せというわけにいかないのじゃないですか。そういう意味で昨年来私も、具体的に県に対しても企業に対しても、もちろん組合にも相談をし、陸運局にもいろいろお願いをして要望をしてまいりました。だが、今年は去年よりもより悪化する方向にあるんですね。そういう意味で、ここいらでひとつ抜本的な公共交通のあり方というものと県民の足の確保ということで政府のお力もかりにゃいかぬと思うのですが、それに対するお考えと、何らかの対策を講ずる立場にあるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  206. 角田達郎

    ○角田政府委員 沖縄のバス問題の重要性は、私も、昨年沖縄の四社のバスが相当長期にわたってストをした関係上、また先生からもいろいろな御意見もいただきました関係上、よく存じ上げている次第でございます。それから、まさにこの問題は沖縄のバスの、四社ございますが、この路線の競合問題にもひとつ大きな原因がございます。乗車密度としては、路線の編成が当を得れば採算にまだ乗るような状況でございますので、その辺のところをどうするかがやはり私ども基本の問題だろうと思っております。  先生からも昨年いろいろな御提案がありましたし、そういうものを受けまして、現地では沖縄総合事務局がバス問題四者協議会というのをやっております。それから沖縄県としては沖縄県バス問題対策協議会というのを開催いたしまして、今いろいろな検討を重ねているように私どもも聞いておりますし、逐一その審議の状況は私どもも報告は受けて存じ上げております。  ただいまの状況では、バスの路線の再編成問題あるいはバスの運営主体の問題、その辺のところでいろいろな御意見が各方面から出まして、それをどうやってまとめ上げるか、こういうようなタイミングであろうと私どももわきまえております。そこで初めて皆様方の、関係者の方々の合意が得られ、一つの方向が打ち出されましたときに国としてなすべき対策が出てまいりますれば、私どもとしてもこれは最大の努力を払って県民の足を確保するためにやっていかなければならぬ、かように考えております。
  207. 上原康助

    ○上原委員 これでもう時間ですから終わりますが、いま御答弁ありましたように、運輸大臣、一言お聞きになっていただきたいと思うのです。  これは、六十二年に国体があるわけですね。一方、きょうモノレール問題も取り上げようかと思ったが、それが六十四年ないし六十五年ごろ、一部は六十二年開通になるかもしれません。私は、これは非常に懸念をしているわけです。それが開通された場合に、バス企業に及ぼす影響。日本全国を含めて地方交通機関のあり方というのは大変難しい。わかりますけれども、しかし鉄軌道がないということと、ああいう狭っこいところで道路整備がまだまだ、なされつつあるにしても、車両の路面という面では類似県と比較して非常に低い。しかし、バスの利用者という面では、本土の地方が一〇〇であるなら沖縄はたしか一五三ですよ。利用者というのは多いわけです。バスか自動車しかないのです。あとは自分の足で歩く以外にないのです。そういう面からすると、これは本当は政策の欠陥なんだよ。だから、そのことで大臣もひとつ留意をなさって、今お答えもありましたが、ぜひこの問題についても早目に解決していただくように要望申し上げて、大臣の御所見も聞いて質問を終わりたいと思います。
  208. 細田吉藏

    細田国務大臣 全国的にバスの問題は非常に大きな問題になってまいっておりますが、沖縄につきましては特にいろいろな特殊事情がございまして困難な問題であり、そして他の県よりもより重要な問題になっておることをよく承知いたしております。したがって、いろいろな面からこれらの問題について取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  209. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますが、開発庁、防衛庁、来ていただきましたが、きょうはもう時間がありませんので、どうも失礼しました。終わります。
  210. 片岡清一

  211. 田中慶秋

    田中(慶)委員 運輸省設置法の一部を改正する法律案の関係で質問させていただきたいと思います。  海運局と陸運局の統合という関係でありますけれども、これらの統合の関係というのは特に臨調との絡みだという説明を聞いているわけですが、これらについてどのように反映をされているかということを、まず一点、お聞きしたいと思います。
  212. 松井和治

    ○松井政府委員 今回の運輸省の機構改革は、ただいま先生お話しございました地方の陸運局と海運局を統合して地方運輸局とするという地方組織の改革のほかに、実は中央組織の改革も行うことにいたしておるわけでございます。  臨調の答申におきまして、「変化への対応」と「総合性の確保」を重視して組織を見直すようにという臨調の基本的な考え方が示されておりますが、私ども、今回の中央地方を通じましての機構改革というのは、臨調の答申の基本理念を踏まえたものというふうに考えておるところでございます。  すなわち、本省の内部部局につきましては、運輸政策局、国際運輸・観光局、地域交通局、貨物流通局というような、従来の縦割り組織にかえた横割りの部局を設けまして、運輸行政におきます各分野の行政ニーズに機動的かつ総合的に対応できるような組織をつくるというのが第一点でございます。  また、お尋ねの地方支分部局につきまして、従来別々の仕事をいたしておりました陸運局と海運局を統合いたしまして地方における運輸行政の総合化を図るということ、さらに企画機能を充実するというような改革を計画したわけでございまして、その意味で私どもは、この臨調答申の趣旨を十二分に外し、それを具体化するものというふうに考えておる次第でございます。
  213. 田中慶秋

    田中(慶)委員 基本的な考え方は今説明を聞いてわかるわけですが、ただ、一つには先般もヒアリングその他の中で、行革の関連で人員削減の問題やら、あるいはまた、海運局と陸運局あるいは本省関係でこれらの設置法が改正することによって具体的には例えば人員というものがどのような形で削減をできたのかどうか、こういう問題と、もう一点は、逆に、せっかく組織の変更なりこういうものが検討されたわけですが、しかし業務は何ら変わってないのじゃないか、こんな気もするわけです。これらについての考え方なり、あるいはまた、今そういう人員削減を含めてどの程度進まれているかという問題について、お答えをいただきたいと思います。
  214. 松井和治

    ○松井政府委員 御承知のように、運輸省全体といたしまして第一次から始まりまして現在に至る毎年の定員削減計画というものがございまして、省全体の定員の一定の削減を行うわけでございます。ただ、お尋ねでございますので、いわば今回の機構改革に関連してという観点から人員の削減の面を見てまいりますと、地方組織を除く中央組織におきましては、前年度に比べまして二十二名の減ということになっております。また、地方組織、陸海運局について見ますと七名の減でございますが、ただ、地方の今回新しくできます運輸局の場合には、部門間配置転換という、他省からのある程度の人間を受け入れてほしいという御要望がございまして、これが六名ございますので、それを差し引きいたしますと一名の減ということになるわけでございます。  御案内のように、地方の陸海運局の仕事のかなり大きな部分は、交通機関の安全を検査し、あるいは船舶にいたしましても自動車にいたしましても、その安全面の行政というものが非常に多いわけでございます。一般の行政事務の部門では実は二十名の減を立てておりますけれども、車検場のコースの増加とか検査場の増設とかいうような施設の増加に伴いまして一定の人間の増員が必要になるわけでございまして、今度そういう仕事の内容から見た増減で申しますと、一般業務で二十名の減であり、施設増に伴う増員十九名ということで、先ほど申しました差し引き一名の減、こうなるわけでございます。  また事務の関係で、私どもかねてより許認可事務を整理するということで措置をいたしておりまして、昭和五十五年の閣議決定で運輸省関係では二百五十件の許認可事務を整理するということが定められましたが、そのうち既に二百四十四件は手当て済みでございます。また、臨調の最終答申におきましてそれと別の二十件の指摘がございました。これは現在までに十五件実施済みでございます。さらに、この新しい機構改革が完成いたしました暁におきまして、事務の合理化ということについてもなお検討を加えていきたいというふうに考えております。
  215. 田中慶秋

    田中(慶)委員 現実的には、今のお答えでも明らかなように、人員の削減というのはほとんどされていないわけです。こういう問題が、一つには行革、臨調という旗頭をしているわけですけれども、内部的には統合したにもかかわらず何ら人員の削減その他について行われていないと言っても過言ではない、こんなふうにも思いますし、あるいはまた許認可事務等の問題についても、先ほど御指摘申し上げたように、業務は何ら変わっていないんじゃないか、こういうこともよく言われております。そして現在、特に許認可の中においてではどういう点が目立って改善されたのか。例えば本当に複雑、煩雑、なおかつ許認可そのものが大変大きく変わったのか。今あなたは安全であるとかいろいろなことを言われて説明されておりますけれども、現実に指導を受けている立場の人たちが、この許認可業務といいますか、もっと簡素化していいじゃないか、もっと手続的にも省略されていいじゃないか、こういうことをよく言われております。それが真の行政改革だと思うのです。ところが逆に、業務は何ら変わっていないような感じを受けておるのですけれども、その辺はどうですか。
  216. 松井和治

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  今回の運輸省の行政機構改革は、ただいま先生御指摘の運輸省が非常に許認可が多い、許認可中心行政をやっているではないかという御批判にこたえるという面がございまして、できる限り今後許認可を見直し、簡素化できるものは簡素化して、政策中心の官庁への展開を図っていきたいというのが一つの大きなねらいでございます。したがいまして、現在既に省内においても各分野の今後の行政手法のあり方につきまして鋭意研究を進めておりますが、先ほど御答弁申し上げましたように、これまでの整理は整理といたしまして、今後さらにどのような簡素化が図られるか、十分に検討をいたしたいと思っております。  ただ、運輸省の許認可と申しますものの中には、大別して事業に対する規制もございます。その事業に対する規制と申しますのは、事業の運営に対する規制が一つございます。さらには安全に対する規制がございます。それからもう一つは、最近の環境問題を反映いたしました公害防止というような観点からの規制、これらがそれぞれ大まかに言えば三分の一ずつぐらいあるわけでございまして、なかなかこういう安全、公害面の規制というようなものを簡素化するというのは難しい面もございますが、なおその点も含めまして十分な検討をし、合理化の方向での努力を続けていきたいというふうに考えております。
  217. 田中慶秋

    田中(慶)委員 一月二十五日の閣議決定でも、すなわち運輸省の組織の統廃なりあるいはまた今度の改革というものが、六十年末までという一つの限定された中で閣議決定されているわけです。ですから、今政策中心としてそれぞれのものを行うということでありますけれども、現時点においては許認可業務がほとんどであります。例えば安全の政策というものがどういう形の問題であるか、例えばこれだけ死亡事故が大きくなっているにもかかわらず、ではそれは現実には運輸省の管轄かどうか、あるいはまた道路の問題をとっても、建設省との横のつながり、いろいろな問題があるわけです。現実にはそういういろいろな連携というものがとれていない問題で政策中心の課題を行っていくということでありますけれども、今私が指摘するように、現時点では許認可を中心とする業務でありますから、では来年六十年末には具体的にどのように脱皮できるのか、そういうことを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  218. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ただいま官房長から、新しい機構改革の一つのねらいが、許認可行政がかなりのウエートを占めていた運輸行政から新しいビジョンをつくりまして、そのもとに新しい行政手法を考えながら進んでいくという方向を申し上げたわけでございます。正直のところを申しまして、許認可行政と一口に申しましても、官房長から申し上げましたように、個々の免許事業という形で事業の参入規制あるいは事業運営の運賃認可とか、あるいは約款の認可とかいう手法を通じての事業の適正な運営を見ていくという部分と、安全行政環境行政というような面からの許可行政というものもかなり多くの面を占めております。  そこで、今後の行政手法の問題としては、私ども、一つは事業の活性化ということをぜひ達成していく必要がある。それは二つの面で必要なことと理解しているわけで、一つは、今私どもの預かっております運輸行政をめぐるいろいろな環境、運輸事業の環境が変わってきております。産業構造の大きな変化、ニーズの変化ということに対応して事業が新しいサービスを提供していく、そのための創造力をぜひとも増進するということが必要です。そのためには今の免許事業のあり方がいいかどうか、これは大いに考えていく必要があるということでございます。しかしまた一方、運輸事業の基盤の強化ということもそういう意味では必要でございます。その点から一体どういう対応をしていくかということもまた必要なわけで、私ども、こういう新しい対応のために行政の進むべきビジョンをつくるということを示して、そのビジョンのもとにどういうふうに誘導していくか、そういった手法を中心にしていきたい。  そういう手法が中心に位置しますと、許認可のあり方、特に免許制のあり方というものがおのずから位置づけられてくるだろうというように考えているわけですが、この作業はなかなか大変な問題を含んでいると思います。非常に性急なことをしますと、またそれはそれで摩擦が起きます。特に多数の中小の運輸事業というものもございます。そういったもののあり方も含めて、これから免許行政の見直しということに着手していこうと考えておるわけでございます。
  219. 田中慶秋

    田中(慶)委員 言わんとしていることはよくわかるのですけれども、普通は一つの政策ビジョンがあって、これに基づいて行政機構はこういうふうに改革しますよということが先のような気が私はするのです。ところが今は違うのですね。こういう形で統合したり、そういうことが先行してビジョンがおくれているわけですから、そういう点では現に安全の問題にしてもサービスの問題にしても大変おくれているし、逆に、臨調とか行革とかそういう名をかりての単なる統廃合にしか、あるいは改正にしかすぎないのじゃないか。例えば、人員はこれだけ削減というか、わずかな削減でありますけれども、海運局と陸運局が統合することによって逆に諸経費はどのくらいかかるのですか。例えばそれぞれの印刷物が変わってくる、いろいろなことを含めてどれだけかかるか、答えていただきたいと思う。それが本当の行革がどうか。
  220. 松井和治

    ○松井政府委員 五十九年度の予算と五十八年度の地方運輸局の予算を比較いたしますと、これは一般会計ベースでございますが、五十九年度におきましてトータルで三億六千六百万円の減ということに相なっております。ただ、陸の場合には自動車検査登録特別会計がございまして、これは自動車の増加に伴う増が見込まれておりますので、これはちょっと別にさせていただきたいと思います。  なお、統合に伴いましてごく事務的な経費といたしましては、例えば判こを新しくつくらなければいけないとか、そういう細かい事務経費の一時的な増加というものは当然必要でございますが、これはちょっと今数字を宙に覚えておりませんが、地方陸海運局でたしか何百万というオーダーだったと思いますが、そのような一時的な経費は別途計上いたしております。
  221. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、設置法がせっかく改正をされる、やはり政策中心としたこれからの行政を行っていくということであるから、そういう点では許認可業務その問題についても、より簡素化なり、あるいは立場を変えて言うならば相手側の立場に立った行政をもっともっと推進する必要があろうと思うのです。しかし、現実には今その辺が大変欠けていて、どちらかというと運輸行政はむしろ許認可行政だ、こんな悪評があるくらいですから、ぜひその点を考慮しながら積極的な取り組みをしていただきたい、こういうふうに考えるわけですけれども、その辺についての見解をお伺いしたいと思います。
  222. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  今回の機構改正で中央地方を通じて減る人間の数が非常に少ないじゃないか、あるいはいわゆる許認可行政について考え直すと言うけれども、その方が先ではないかという御意見でございます。なるほどごもっともでございます。  しかしながら、私はこういうふうに考えていただきたいし、こういうふうにやりたいと思っております。と申しますのは、今度の中央の改正は、先ほど官房長から御報告申し上げましたが、言うならば明治以来やってきました自動車、自動車は明治には少なかったのでしょうが、鉄道鉄道、海運は海運、自動車は自動車、こういうことで、ずっと昔のことからいえば、陸は鉄道省という役所、海と空は逓信省という役所、それがある時期に一緒になって運輸省になったわけでございまして、それも組織としてはそのままになっておるのでございますね。それを今度一遍ぶち壊して、そして中央の機構を組み直す。そこで、今までとかくマンネリズムに陥りがちな、惰性でずっとやってきた仕事をここで見直すという前提として今度の機構改正があるのだ。したがって、これがこのままで、いろいろな業法がございますが、業法も見直しをしないでそのままいくのだったら機構改正を何のためにやるかわからないということだと思うのでございまして、この機構改正をやることによって、これまで惰性で来ておるいろいろな業法とか免許、許可認可、こういうものを新しい角度から見直していく。局の編成が違ってまいりますから、今までですと例えば海はどうなっているが陸はどうなっている、運賃については空はどうなってこれはどうなっている、そういうことを見直していくということで意義があるので、むしろ問題はこれから実際上の許認可を減らすとか定員を減らしていくということをやっていかなければならぬ。言うならばその仕掛けといいましょうか仕組みといいましょうか、前段を今度の機構改正では思い切ってやるということだと思っております。  なお、地方につきまして、地方運輸局というふうに、陸運局と海運局二つが一つになるということはどうだろうかというような、ちょっと私の聞き違いでなければなんですけれども、何かそういうふうに伺ったようですけれども、私は、この二つのものが一つになるということは、とりあえず今すぐの見たところは局長が一人減って次長ができるくらいのしとかもしれませんが、非常に大きなことだと思っております。例えば総務関係の仕事だとかいろいろな仕事については減らし得る可能性が大きく出てくるということで、これを両方一遍にやれば一番よろしいのですけれども、なかなか両方一遍にできないということなので、私は、仕事減らしということのためには今後の行革の大きなステップであるというふうに考えておる次第でございます。
  223. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣が大分自画自賛のような形で述べられておりますけれども、例えば現実には海運局と陸運局というものが今まで二つあって、それがスクラップ・アンド・ヒルドという形になって一つになられた。しかし、実際の業務はやはり二カ所でやるのですよ。そんなことを考えたときに、そういう混乱を来すことのないように、こういうことを心配しているわけですから、ぜひそういうことを含めて支障のないように。  特に、例えば企画部が新たにできましたよ。しかし、現実にはそこの業務規定とか業務内容とか業務権限は、聞いても不透明というか不明確なんですよ。そんなことを一つとっても、少なくとも物を一つにやるのであれば、一つの組織体があって、職務分掌があって、そこにはいろいろなことが細部にわたって今までの支障を、スクラップ・アンド・ビルドと言っているんだから、こういうものが不要である、こういうものが必要である、こういうことをただされてそういうものが新たにできるのが当たり前だと思うのです。私はそう信じているし、そうあるべきだと思っているのです。ところが、そうじゃない。少しずつやってみてとかいろいろなことをやられているので、本当の行革といいますか臨調の精神にはほど遠いのではないか、私はこういうふうに考えているわけです。  今二つ一緒にされたことは、私は反対するわけでも何でもないのです。ただ、それがより効果が出るように、あるいはまた利用者の立場に立って混乱を来さないように、サービスがより向上するように、そういう趣旨で申し上げているのですから、ぜひ誤解のないようにしていただきたいし、皆さんの説明があったわけですけれども、私は基本的にはそれとは考え方を異にしております。皆さんは、組織をまずつくって、その中で何とかしようということですけれども、そうじゃなく、明治時代からある組織であるならばいいものも悪いものも当然そこにはもう出ているわけですから、それを特定要因図じゃないですけれども全部分析をされて、そして廃止するもの、つくるもの、そしてより具体的にこういう形の中での組織、機構改革に伴って、より国の指針というものが明らかになるものだと思います。はっきり言って、こんな考え方で民間の、あるいはそれぞれの企業経営なんというのはできませんよ。ですけれども、許認可とか国の公の仕事だからまたこの辺で甘んじていられるのではないか、こんな言葉さえあるわけですから、そういうことのないようにぜひしていただきたいと思いますし、私が申し上げた見解について考え方を述べていただきたい。  同時に、この考え方について行管庁はどのように評価され、そしてこれからどう取り組もう、指導しようとしているのか、加えて考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。
  224. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃっております趣旨はもう十分わかりました。また、よくわかります。  大変じれったいような感じの話だとごらんになるかと思うのでございますが、実質的な仕事減らし、許可認可の整理、そういうものについてやり方がまだ足らないじゃないか、そっちの方こそむしろ先にやるべきではないかということでございますが、これは並行してやっていくというつもりでおりますし、また臨調からもいろいろな方面で、そういった方面の答申も受けておるわけでございますので、そういう方向で今後ともやってまいるつもりでございます。
  225. 稲葉清毅

    ○稲葉説明員 行政管理庁の稲葉でございます。  私ども行政管理庁といたしましても、今後の行政改革の進め方につきましては終局的には先生と同じような考え方で臨んでおるわけでございます。ただ、組織の改革が先かあるいは中身の見直しが先かというような話になりますと、これはいわば卵が先か鶏が先かというようなことになりますが、臨調答申にも示されておりますとおり、組織の改正につきましては、国の出先機関につきましては近年における交通通信の著しい発達あるいは事務の機械化、近代化の進展あるいはその他の行政需要の変化、そういうことに対応して、ともかく当面同一省庁で複数のブロック機関を持っているものにつきましては統合してください、具体的には運輸省の陸運局、海運局を統合しろ、こういうような答申もございました。そして、ただいま運輸省の方からもお答えになりましたとおり、今後統合した後に、いわば新しい皮袋に新しい酒を盛るようにさまざまな新しいビジョンに基づいた新しい対応が出てくる、このように行政管理庁といたしましては期待している次第でございます。
  226. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今それぞれ大臣からも御答弁いただきましたけれども、例えば全国を八なり九ブロックに分けられておりましたね。それは、今日のように交通あるいは運輸行政が発達しているときと、以前のそれこそ何日がかりでいろいろな仕事をする、こういう時点と、時代のギャップがあったと思うのです。ところが、今これだけ交通網が発達したりいろいろなことをしておるわけですけれども、そのブロック制度のあり方、八ブロックがいいのか九ブロックがいいのかあるいは五ブロックがいいのか、それは別問題として、今もこのブロック制をしかれているわけですけれども、今このブロック制の中で、例えば九地方運輸局あるいは八ブロック制の問題一つとっても、このブロック制という問題についてどれが正しくてどれが悪いという結論は今出ないと思うのですけれども、将来ともこのブロック制についての御検討をする考え方があるかどうか。
  227. 松井和治

    ○松井政府委員 今回の運輸局の設置に当たりまして、九つの陸運局と九つの海運局を統合するわけでございます。私どもも臨調答申が八ブロックを目標としてブロック機関の数の整序を図るという考え方があることはよく承知いたしておりますけれども、陸運局と海運局という非常に古くからの別々の組織を統合するというかなり大きな事業でございまして、現在の九つのブロックをそのままにして統合するというのが最も現実的であるということで、今回の九運輸局の設置という案にいたしたわけでございます。  特に私どもの、ほかの八ブロック制をとっておりますところと違いますのは、新潟の運輸局だろうと思います。これは秋田県、山形県、新潟県、長野県という本州の豪雪地帯の三分の二を占める地域が管轄区域になっておりまして、また国道も鉄道もその四県に縦に走っておるわけでございまして、非常に地域的な関連性も強いということから、従来どおり新潟つまり日本海側にブロック機関の一つを置くという考え方を踏襲したわけでございます。  そこで、本年一月の閣議決定におきまして、この各省のブロック機関の数の問題についてはなおもう少し時間をかけて検討するということが閣議決定に盛られております。私どもこの新しい運輸局の実績を踏まえまして、今後十分な検討をしていきたいというふうに考えております。  なお、先ほどの御答弁の際に、私、地方運輸局設置に伴うごく事務的な一時的な経費として何百万のオーダーというような御答弁を申し上げましたが、調べましたところ、九運輸局で約五千万の一時的な事務経費を五十九年度予算に計上いたしておりますので、訂正をさせていただきます。
  228. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これから検討されるということですから、今ここでこれ以上詰め狂いわけですけれども、ただ本当に政策的な組織に見直しをするということであるならば、私はむしろ、現在九あるものを五にするとか、これが本当の組織の見直しであり改定だと思うのです。特に明治時代、大正、昭和、それぞれ交通の発達というのはあったと思いますけれども、昔のその時代と今の時代では、交通機関その他の問題一つを考えてもあらゆる問題が時間差を含めても近くなっていると思うのです。そんなことも含めて、これからの検討というものをより積極的に進めていただきたい、こんなふうに要望しておきたいと思います。  そこで、実は海上保安庁の関係になるわけですけれども、海上保安本部に行管庁から、少なくとも今度の部局の改善についてどのような勧告を具体的にされたのかどうか、そして、それに伴って今回の機構改革で具体的にどういうことを行ったかどうか、この辺について御答弁をいただきたいと思います。
  229. 山下文利

    山下(文)政府委員 今回いただきました勧告は、海上保安庁の地方支分部局でございます管区海上保安本部から始まりまして、海上保安部署、航路標識事務所、工作所、これらほとんどすべての機関にわたりまして、その業務実施体制のあり方から始まり業務運営の方法に至るまで、幅広い御指摘をいただいておる内容でございます。  その内容につきまして、現在検討をしてできるものから実施に移す方向で検討しておりますが、ちなみに、御指摘をいただいておる中身の航路標識事務所の統廃合につきましては、直ちにこれを実施に移すということで本年じゅうに四カ所実現したい、このように考えておる次第でございます。
  230. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしてもそれぞれ七月一日をもって施行される具体的な方向であろうと思いますから、利用者の皆さん方に支障のないようにするということが一つと、もう一つは、どうしても組織改革、機構改革になってまいりますと、権限とかいろんな形の中で不明瞭な点がありますから、サービスの低下ということがあるわけでございますので、そういう点のないようにぜひ内部で御検討していただきたい、こういうことを要望しておきたいと思います。  運輸行政に関連してでありますけれども国鉄の問題について若干触れてみたいと思います。  御案内のように、今国鉄は独自の立場で行革を行って今日まで参りました。それで現在、既に一万人以上の余剰人員が出ているということもそれぞれ報道されたり、あるいはまた承っているわけですけれども、行革あるいはまたそれぞれのこういうとらえ方の中で私なりの考え方を申し上げるならば、余剰人員がこれだけ出るからという一つの前提で配転計画をされたりあるいは教育をされたり、新たな方向というものが何か検討されるのだと思うのです。ところが先般もお聞きした中では、逆に現在、余剰人員が出た後にその人たちに対する再教育を行っているやに承ったわけですけれども、それでは全般的な士気とかいろいろなことを含めて、改革に対する国鉄全体としての職員に対するモラールの問題も含めて大変低下をするのではないか、こんな心配があるのですけれども、これらについての考え方を述べていただきたいと思います。
  231. 太田知行

    ○太田説明員 余剰人員の出てくる構造からまず御説明申し上げたいと思います。  五十八年度は、合理化目標、当初の経営改善計画を二倍近くふやしまして、二万八千九百名という数字を掲げてスタートいたしました。国鉄業務の全般にわたってこの合理化を実施したのでございますけれども、中でも五十九年二月一日のダイヤ改正、私どもは五九・二ダイヤ改正と言っておりますが、この五九・二ダイヤ改正の占めるウエートが非常に高こうございまして、約二万人を超すウエートを占めておったわけでございます。ということは、年度の途中で各項目について合理化をやってまいりますが、二月一日に至りまして大体その年度目標の大半をそこでクリアした、こういうことに相なるわけでございます。一月三十一日までは前の方式で仕事をやってまいりまして、二月一日を期して新しい方式に切りかえる。そこで二万八千九百名、ほぼそれに等しい数が業務と人間とのチェーンが切れる、関連が切れる、つまりその一日を期して約三万人近い人数の者が余剰に相なる、こういう次第でございます。  そこで、今お話の中にもございましたように、この事態を想定した事前の対策いかんということでございましたけれども、まずそういう構造でございますので、この活用対策というのはどうしても二月一日以降に持ち越さざるを得ない構造が一つあるということでございます。それから規模のお話もございましたけれども、そういうことで一時期、二月一日以降恐らくその三万人を前後する余剰人員を抱えたのでございますけれども、私どもの方は年度末にいわゆる特別退職というものを実施しておりますので、五十八年度の年度末特退者が発生いたしましてその三万人を埋めていく、こういう構造に相なっております。  ただいまのところ、まだ年度がかわりまして日が浅いものですから、正確に合理化人員が何名であったか、そして特退人員が何名であったか把握し切っておりません。したがって、現在どのくらいの数の余剰人員がいるかは定かではございませんけれども、一つの見方、考え方といたしまして、約三万人近い合理化、そして特退人員は従来の傾向から二万人前後かと見ますれば、約一万人、従来からの持ち越しなどを勘案いたしますれば一万人強、こういうことに相なろうかと存じております。  そこでこの二月一日以降、一方ではその特退者の出るところへ余剰人員の配置がえをする作業をやる一方、教育でありますとかセールスなどに向けました活用ということに力を注いでまいりましたが、そういう人間の移動、シフトが大体落ちついてまいりましたこの四月以降、新年度を迎えましてさらに知恵を出し工夫を凝らしながら、この余剰となった人員の活用を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  232. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それぞれの説明で二月ダイヤ時点での現状はわかりましたけれども、しかし先般の国鉄値上げというものは、四月以降でしょう。そうですね。値上げするたびにどれだけの経費がかかるのだ、どれだけのものが要るのだ、こういうことがはっきりするわけでしょう。そうすると、三月末現在、そういうことがわからないでそういうことをされるわけですか。人員がはっきりわからないと今述べられましたよね。一万人かもわからない。一万五千人かもわからない。例えば一万人だと、一人年間五百万だとしても五百億ですよ。一万五千だと二百五十億違うわけでしょう。そんなに国鉄経営というのはルーズなのですか。  私はそうじゃないと思うのですね。例えば値上げするにしたって、年度末こうなって新年度これだけのものがかかる、人件費がこれだけかかる、こういう前提で仕組まれていって、現実に八・何%の値上げというものを最終的に認めてほしいということになるでしょう。しかし、今の説明でははっきり申し上げて少なくとも納得いかないんですよね。極端なことを言えば、別に揚げ足を取るわけじゃないのですけれども、何人要るかもわからないということと同じですよ。十人、二十人の違いだったらいいんですよね。何百人という違いと同じ、下手をすると何千人という違いと同じような答えを述べられているわけですから、その辺を明確にしてください。
  233. 太田知行

    ○太田説明員 もうちょっとさかのぼって余剰人員の出てくる構造をもう少しお聞きいただきたいと思うのですが、私ども五十四年から経営改善計画をスタートさせまして合理化に取り組んでまいりました。五十五年は一万一千、五十六年は一万二千という合理化を達成いたしました。その年のそれぞれの年度末の特退人員は、ちょうどその人員構成、労務構成が非常にふくれ上がっている時期にぶつかっておりましたので、二万数千人を数えるオーダーの特退者が出てまいりました。そこで、年度途中でやはりそういう年でも合理化した分だけの余剰は発生するわけでございますけれども、年度末に至りましてそれをはるかに上回る特退者が出ますから、その時点では欠員ということに相なる。仮に二万六千特退とさせていただきますと、その時点では一万五千の欠員が生ずる。その欠員が新年度に向けて新規採用の枠ということに変わってまいるわけでございます。  ところが、そういう全体の経営改善計画は、当初はある水準の業務量を想定いたしまして、今のような余剰人員を生じなければいけないほどの合理化規模を想定しておりませんでした。いわゆる三十五万体制というものを考えておりましたものですから、何がしかの新規採用が計画中を通じてずっとあり得るというふうに考えていたのでございますが、大変残念でございますけれども、貨物を中心に輸送量が激減いたしましたし、旅客の微減傾向が続いているということで、合理化の規模を見直しまして、一万五千五百名の五十八年度の合理化予定を二万八千九百名に持ち上げざるを得なかった。これは、仕事を遂行する体制としてどうしても二万八千九百名は減少せしめなければいけないという目標をそこに掲げたわけでございます。しかるに、人員構成、労務構成がふくれている時期がちょうど減ってまいりましたものですから、特退人員は合理化に及ばない、こういうことに相なりまして、不可避的に結果として余剰人員が発生した、こういうことでございまして、ここで我々、余剰人員を避けるために逆説的にやめる人員に合わせて合理化を実施するという考えもそれはあるかもしれませんけれども、それはあるべき形をひずめるものであり、曲げるものであり、あるいはまた合理化マインドに水をかけるものである、これはとるべき道ではないという発想に立ちまして、あくまでも合理化人員はあるべき形を追求する、そして一方で発生しましたいわゆる特退人員との差は、余剰人員としてこれはやむを得ず出てくるけれども、それはそれなりに活用していきたい、こういうことで考えている次第でございます。
  234. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今の余剰人員の方程式はわかりました。  今例えば運賃値上げというものを一つとっても、旅客も貨物も運賃値上げですよね、はっきり申し上げて。そして説明の中でも、貨物は激減をしました、そして廃止をする部分も出てまいりました、そういう中で余剰人員が出ていると思うのです。しかし、国鉄は貨物を激減する体質があったんじゃないですか。例えば民間の自動車がこれだけ込んでいるんですよ、道路がいっぱいになって。だれしもが自動車輸送をそれほど期待せられていなかったと思うのです、はっきり申し上げて。昔は国鉄に品物を出しておった。しかし、現実に今お客が取られていても営業活動一つしていない。片方では、営業活動をしながらドア・ツー・ドアという方式でやられたでしょう。そういうことを考えてみますと、体質的な問題というものがあったのじゃないかと思うのです。その辺をどう考えているかということが一つ。  もう一点は、例えば貨物がそういう点で激減をされたということですけれども、スタンダードの稼働率、例えば全体の車両が五十両だとするとその五〇%なのか、それぞれの稼働率、そういうことを含めてちょっとお答えをいただきたいのです。
  235. 太田知行

    ○太田説明員 国鉄の体質の中でまだまだ合理化マインドが貫徹していないという点は、我々も現に深く反省しているところでございますが、貨物につきましても、これはもはや独占ではございませんで、自動車が発達し港湾が発達するという状況の中で、大変厳しい競争場裏のもとにもう大分前からあったわけでございます。競争条件の中で生き残る最大の方途は、やはり荷主、利用者に選択していただくということに尽きるわけでありますし、いわばその選択の物差しは幾つかありましょうけれども、特にこういう貨物とか流通の分野におきましては経済性というのは一番大事だと思います。それは、言いかえれば効率性あるいは能率性の問題であったと思いますが、ある意味では大変能率の悪い明治以来の輸送方式をなかなか転換し切れない、まあそれなりの努力はしてきたつもりでございますけれども、大きく競争に立ちおくれた。いわば背水の陣として五九・二のダイヤ改正を実施して、今までの苦い経験の中から貨物のぜい肉を取り、新しい競争体制、生き残り作戦としてシステムチェンジをやったということでございまして、もっと何年か早く実施すればという悔やみはございますけれども、ようやくそこまで国鉄全体の意識が高まってきたという側面はお認めいただきたいと思うわけでございます。  それからまた、その他業務全般、例えばおっしゃったのは車両の運用効率の問題であろうかと存じますけれども、非常に貴重な財産、貴重な資材を活用していくことも重要な課題でございますけれども、それを見るいろいろな物差しがございます。車両の運用効率でございますとか一日当たりの走行キロでありますとかという数字が幾つかございまして、かつて国鉄が戦後においてもかなり高い水準を示しておった時期と比べてもまだまだでございますし、輸送事情は私鉄国鉄と違う面がございますけれども、似通った条件同士で比較してみた場合にもまだまだ至らない面がございまして、まさにそういう面を反省しながら合理化は進めてまいらなければいけない。  そこでさっきの話に戻りますけれども、大変つらいことは、合理化をやって、その目標値を掲げて推進すればするほど、残念ながらちょうど労務構成が変わってくる時期にありますので余剰人員は不可避である。しかし、だからといって、さっきも申しましたように合理化マインドに水をかけて、それを全体の中に薄く広くばらまいてしまったのでは進歩がない。苦しいことではあるけれども、そして余剰人員という形でこれがクローズアップされてくる結果にはなるけれども、合理化という目標は高く掲げてこれを推進しなければいけない。余剰人員の問題は、それなりに知恵を出し、活用を図っていくのが本筋であろうかと考えておる次第でございます。
  236. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これだけやっているわけにはまいりませんけれども、私なりに、例えば余剰人員がそれだけ出るのであれば、今までほとんど営業してなかった国鉄さんなんだから、一万人、営業マンとして出したらどうですか。貨物だってどんどん来るでしょう。団体さんの旅客だって集められるでしょう。そういうことを全然してないで、片方赤字だ、赤字だ。私は何も首を切れと言っているのじゃないのです、はっきり申し上げて、あるいは、いろいろなことを、合理化を差し控えると言っているのじゃないのです。せっかくこれだけ進んできているわけですから、それに水をかけるわけでも何でもない。先ほど言ったように、余剰人員というのは改めて発想の転換をしながら、この人たちに対して、国鉄再建のために努力をされておる皆さんですから、もっともっと新しい発想で一万人の営業マンを新たにつくったらどうですか。
  237. 太田知行

    ○太田説明員 具体的な活国策はいろいろ各地各様でございますが、知恵を凝らしてやっております。一つは教育の充実でございます。接客面に従事しておる職員の応対が悪いというおしかり、それは随分国鉄のイメージを下げておるという反省をしておるのでございますけれども、余剰人員というのは、つらい状態ではございますが、教育を充実するという意味では一つのチャンスでございますので、この好機を生かして教育の充実を図る。フロントサービスの教育でございますとか、それからまた技能の充実のための教育、それから例えば電車の運転士が気動車も運転できる、電気機関車も運転できる、多職種多能化のための教育といったようなこと、いろいろな意味でまず教育を充実しております。  それから各地に、地域によりましてはいろいろ呼び方がございますけれども、営業開発センターでありますとか、能力開発センターでありますとか、要員機動センターでありますとかいったような名称の仕組みを設けまして、そこに職員を集めて、そして一方では教育をしながら、一方では今御指摘のようなセールス、旅客のいろいろな切符のセールスあるいは貨物の面での対応といったように活用のための努力をしておりますが、決してまだまだ十分な状態ではないと思いますので、さらに一段と知恵を凝らし、活用の充実を図ってまいりたい所存でございます。
  238. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひこれからの活用の方向転換をしていただいて、恐らく、例えば貨物運賃だって値上げしなくても、稼働率といいますか、先ほど言ったような、目いっぱい物を積んでそれぞれ目的地に走ればもっともっと効率的な運用というものができるような気がする。そういうこと一つをとっても、自動車の時代といいますか、それは今の交通ラッシュからするとある程度限界が来ている、もう一度貨物が見直しをされる時点であろうかと思うのです。ですから、そういう一つのセールスポイントをもっと明確にしながら、あるいはまた行政機関の物は全部貨物を使うんだとか、いろいろ知恵を絞ってやることによってこういう問題の解決もより前進できるだろう、こんなふうに思いますので、その辺をこれからぜひ努力していただきたいと思います。  そこで、実は国鉄さんというと全国ネットですから、先般も申し上げましたけれども、借金しておる割には遊休地といいますか、それぞれのところに土地をたくさん持っておるわけですね。そして全国でどのぐらい持っていらっしゃるのか。先般も例の田町のところで問題になったこともありますけれども、現実には、それぞれの都市づくりの中で国鉄さんがもっともっと積極的に地方都市に協力することによって、駐輪場ができたりあるいは駅前の再開発を促進したりということができるのではないかと思うのですけれども、そういう点をどのように今考えられているのか、おわかりでしたらお答えいただきたいと思います。
  239. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 五十八年三月三十日現在、国鉄の所有地は六億七千百万平米でございます。このうち事業の用に供していない未利用地が約二千万平米でございまして、このうち不用地として掲上しておりますものが千七百五十万平米でございます。この不用地等につきましては、いわゆる処分を促進するということを一つの大きな柱にしておりまして、五十八年度も千六百億円を売却するということで推進をしてまいっております。また五十九年度も前年と同様の予算でございますので、それについても今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  なお、この用地についての地方公共団体等からのいろいろの御要望は私どももかねがね承っております。特に、御答弁申し上げました数字はいずれもまだ五十九年二月の国鉄の輸送改善によって発生いたしました。地については触れておらないわけでございますけれども、これは現在まだ貨車の留置等に使っておりますので、私どもではまだ利用地になっておるわけでございまして、ただいまの御答弁では抜けたわけでございます。これらの用地は非常に大都市周辺にあるわけでございまして、地方公共団体にとりましては、大都会の周辺にどんどん住宅がふえてきている、またいろいろな懸案が出ているわけでございますので、かねがねそういうまたとない機会にそれらの問題を解決したいというような御要望があることは承っております。私どもも、これらの大きなヤードについての対応につきましては、それぞれ関係公共団体あるいは学識経験者等を中心といたします調査委員会等を設けていただきまして、その中でそれらの問題も処理しつつ、また国鉄経営改善に資する道を探してまいりたいというふうに考えております。
  240. 田中慶秋

    田中(慶)委員 国鉄経営改善努力をされているわけですけれども、しかし、今御答弁があってこれから前向きにということです。ただ、本当に大都市周辺に国鉄さんのいろいろな用地があるわけです。そしてそれが地方自治体としては本当に欲しいのですけれども、なかなか国鉄さんが、駅前広場にしてもバスターミナルにしても、そういうことを含めてお願いに日参していても三年、五年かかってやっとできる、こういう従来の国鉄姿勢だったわけですから、今せっかく経営改善という前提でおやりになっているようですから、そういう点ではこれらの用地についてもっと積極的に地方自治体に譲り受けとか、そういう考え方を積極的にやっていただきたいと思うのですが、その辺をもう一度。
  241. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 最近承っておりますのは、駐輪場あるいは駐車施設、そのようなものの利用方についてのお話が多いわけでございます。私どももこれについては十分御協力申し上げたいと思っているわけでございますが、やはり地方公共団体がそれぞれ財政的にも非常に苦しい事情にありますので、できるだけただで使わせてほしいとか、私どもにとりましてはむしろそういう面ではぜひある程度高く使っていただくということが私ども経営状態からいきますと申し上げる話でございますので、やはりその中でどうしても時間のかかるものもあったのではないかと思います。ただ、やはり国鉄の用地は公共性の高い用地でございますので、駅周辺のものにつきましてはなるべくそのような御要望にこたえていくように、よく寄り寄り御相談をしてまいりたいというふうに思います。なお、私どもの非常に苦しい経営事情につきましても御理解賜りたいと思います。
  242. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そういう前提であるならば、国も駐輪場計画というものを進めているわけですから、国鉄もそれにタイアップして、地方自治体に対するもっと積極的な町づくりというか、そういうことを含めてやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  特に、先般横浜市も、例えば高島の問題あるいはまた鶴見の問題等について国鉄さんが積極的な姿勢を見せられているので、開放というか、少なくても住宅を含めて大きなプロジェクトとして取り組んでいるわけですから、その辺についてもできるだけお互いに、国鉄経営改善ということもあるし、片方は町づくりなり住宅政策の取り組みもあろうかと思いますから、そういう点を、待ちの姿勢ではなくして、逆にその辺を働きかけをして土地の有効利用というものをぜひやっていただきたい、こんなふうに思うのですけれども、その辺はどうですか。
  243. 岩瀬虹兒

    ○岩瀬説明員 御趣旨の方向努力してまいりたいと思います。
  244. 田中慶秋

    田中(慶)委員 次に、建設省関係についてお伺いしたいと思います。  今度の問題は運輸省の設置法の問題でありますけれども、特にこの中には地域交通の確保なり物流の問題なりあるいはまた全体的には道路にも関連することが多いわけでございますので、そういう点では先般来いろいろな形で首都圏の交通網の整備なり首都圏の道路網の整備等について皆さん方にお願いしてきたわけですけれども、特に今度の問題で、やはり建設省あるいはまた運輸省との連携というものが要求されてくるような気がするわけです。これらについての各省庁間の連携はどうなっているのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  245. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  首都圏の道路の問題に関しましては、ただいま先生御指摘のとおり、東京湾岸道路あるいは横断道路の計画等を初めいろいろ大規模な環状道路あるいは湾岸道路がございまして、この道路の機能といたしましては首都圏の物流にも大変大きく寄与するものというふうに考えております。  私どもといたしましては、この整備に関しましてはいろいろ陸上交通全体の問題との兼ね合いもございますので、運輸省御当局の方と十分御相談をしながらやっていくつもりでございまして、従来からも具体的な問題に関しましては、特に湾岸道路等に関しましては空港等の関連もございまして十分打ち合わせをしてまいったところでございますし、東京湾横断道路の問題につきましても、事務レベルの課長会議を実は先般持たせていただきまして、その間で十分お打ち合わせをしながら進めさせていただきたい、かように考えております。
  246. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで質問させていただきたいわけですけれども、建設大臣も先般横断道路、湾岸道路に大変積極的な姿勢を持たれて、この十六日には神奈川県に、知事初め市長にそれぞれ現状の事情聴取をする、あるいはまた懇談をするということで向かわれるようですけれども、それらについて現在どのような形で——課長事務レベル会議が行われたということですから、内容の問題についてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  247. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 ちょっとお断りさせていただきますけれども、今の運輸省の方と課長レベルの会議を持たせていただいたといいますのは、東京湾横断道路についてこれからいろいろ勉強すべきことが多いので、それを御説明させていただきたいという場でございまして、今回建設大臣が横浜、川崎あるいは神奈川県の方に御視察になる件に関しましては、先般衆議院の予算委員会第八分科会におきまして先生の御質問にお答えするという形で建設大臣が基本的な姿勢をお答えしたわけでございますが、それに基づいて今回、御指摘のとおり四月十六日を予定しておりますが、東京湾岸道路の、あるいは都市再開発事業等の視察を兼ねまして大臣が現地に赴きまして、川崎市長さんあるいは神奈川県の知事さんと会見されるということでございまして、具体的に事務レベルでどうかということでございますが、むしろ大臣みずから積極的な御判断で会見されるということでございまして、正式には昨日、市や県に、こういうことでお邪魔する、大臣が参るというように御連絡したところでございますので、むしろ知事さん、市長さんとの間で、この間大臣がお答えいたしましたような趣旨に沿ったいろいろな御懇談が行われるということでございまして、具体的にどういうことを打ち合わせするか等についてはまだお答えするようなところまでいっておりません。
  248. 田中慶秋

    田中(慶)委員 湾岸道路、横断道路の問題で大臣みずから積極的な姿勢を示されているわけですけれども、そこで道路企画課長質問するわけですけれども、現在まだまだ湾岸道路に対する期待と湾岸道路をより推進させるために——それはひいては首都圏の運輸行政全般にかかってくる問題ですよ。今あれが東京に対する交通網の一番大きな期待だと思うのです。それで、予算の問題とかいろいろなことがあろうと思いますけれども、これらについて、今具体的に最終年度をどの辺に置いて、それをどれだけ底上げしようとしているのか、その辺、企画課長さんでしょうからお願いしたいと思います。
  249. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 東京湾岸道路は、東京湾周辺の、横須賀から横浜、川崎、東京、木更津、富津等の諸都市を連絡する延長約百六十キロの幹線道路でございますが、現在まではどちらかといいますと東京から千葉を中心に整備が進められておりまして、これは成田国際空港との関連もございましたけれども、全体で約九十キロメートルが供用されております。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕  今後は特に混雑が著しい東京から横浜間に重点を置いて整備を進めていこうという基本的方針でございまして、具体的に申し上げますと、まず横浜高速湾岸線につきましては、事業中の横浜のベイブリッジ、これにつきましては第九次道路整備五カ年計画期間内に何とか完成したいということで、現在鋭意整備を進めているところでございます。  それから、現在、東京大井埠頭から羽田空港を経まして川崎の浮島に至る区間と、もう一つは横浜市金沢区の埋立地から釜利谷に至る区間につきましては、これは首都高速道路公団及び日本道路公団におきまして昨年、五十八年度から事業に着手したところでございまして、特に羽田空港から浮島に至る区間につきましては、羽田空港の移転等々ございますので、そういったものに合わせながらできるだけ早く整備を進めていきたい。ただ、いつに完成するかということでございますが、まだ五十八年から事業を始めたばかりでございますので何年とは申し上げられませんが、湾岸道路の重要性にかんがみまして、できるだけ早く完成するように進めていきたいと考えております。  それから、浮島からベイブリッジの間がどうなるかということでございますが、これにつきましては川崎航路の沈埋トンネル、それから鶴見航路の橋梁というような大規模な事業でございます。それで、こういったものに対する技術的検討、調査を今実施しておりまして、この調査が終わり次第、できればこの五カ年計画期間中にこれについても事業に着手したいということで考えております。
  250. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても積極的に、第九次の計画ということは昭和六十二年までですから、そういう点も含めて、着手ということよりもむしろその中にできるだけ詰めるような努力をする必要があろうと思うのです。ということは、もう既に湾岸道路の期待というのは、周辺の交通状態を見ればみんな飽和状態ですから、幾ら運輸行政が許認可やどんなことをやったところで現実に道路そのものが整備がおくれていれば、いろんなことを含めて安全対策を幾らやろうがほかの問題で幾らやってもそういう点での解決にならぬと思うのです。そういう点ではこの湾岸道路を一日も早く完成させることがそれぞれの促進になるわけですから、そういうことを含めて、ベイブリッジは検討する段階じゃないと思うのです。もう既に着工する段階だ、私はそんなふうに思いますので、ぜひそういう点を含めてこれらに対する促進をぜひお願いをしたい。その辺をひとつ企画課長さんの抱負のほどを聞かせてください。
  251. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 先ほど来申し上げておりますように、湾岸道路の整備は道路局といたしましても最大の課題として取り組んでいるわけでございますので、できるだけ一日も早く完成するように努力してまいる所存でございます。
  252. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それでは続きまして、防衛庁関係の質問をさせていただきたいと思います。  実は先般も、横浜の米軍冷蔵倉庫の返還の問題についてこの席で質問させていただき、一日も早く日米合同委員会施設分科会を開催をしていただいて、その中でそのめどなりあるいはまた具体的な代替地なり等々について考え方を早く出していただきたい、それが横浜全体のみなとみらい21、今世紀日本でも最大の、最初の計画がより促進をするのだからという御要請を申し上げたわけですけれども、これらについて、日米合同委員会が開かれた中で現在どういう形になっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  253. 大場昭

    ○大場説明員 私どもとしては、横浜市が横浜冷蔵倉庫の全面返還を要求していることは十分承知しております。それでございますが、返還の具体的な内容につきましては、日米間の交渉事項でございますので、恐縮でございますが答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
  254. 田中慶秋

    田中(慶)委員 日米合同委員会の問題であるからということで内容の問題は差し控えたいということですが、やはり一つの町づくりというのは、ある程度の限界といいますか、計画性を持ってやられているわけです。そういう点ではそこは重要な位置を示す場所ですから——従来ですと、日米合同委員会というのはどういうサイクルでおやりになっているのですか。
  255. 大場昭

    ○大場説明員 私どもがやっておりますのは施設特別委員会でございますが、二週間に一回開かれております。
  256. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そうすると、具体的にはこの内容というものはもう既に先般も提案をされたということを承っておるのですけれども、その辺はどうなんですか。
  257. 大場昭

    ○大場説明員 米側には伝えて、十分説明してございます。
  258. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大変恐縮ですけれども、中身をどうのこうのは確かに日米委員会ですからいろいろな問題があろうと思いますけれども、感触はいかがでしょう。
  259. 大場昭

    ○大場説明員 現在のところまだ話を始めたばかりのところでございますが、米側に対してはこの重要性、緊急性について十分説明しているところでございます。
  260. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、この種の問題で日米合同委員会に提起をされて結論が出るまでには、従来どのくらいのタイムラグといいますか、そういう時間がかかったか、ひとつ参考までに聞かせていただけるかどうか。別に内容に触れていませんからね。
  261. 大場昭

    ○大場説明員 一般的にと申されるとちょっとあれですが、やはり交渉事でございますので、長くかかるものもございますし、短い期間で解決するものもございます。
  262. 田中慶秋

    田中(慶)委員 長くかかるもの短かくかかるものということで、具体的には述べられておりませんけれども、いずれにしても現在冷蔵倉庫は使用されているものですから、条件整備が必要だと思うのです。そこで、代替地の問題とかそういう具体的な話はもう既に出ているのかどうか。余り突っ込まなくて結構ですから、おさわり程度でいいですから……。
  263. 大場昭

    ○大場説明員 どうもまことに恐縮でございますが、この問題は日米間の交渉事項でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  264. 田中慶秋

    田中(慶)委員 はっきり申し上げて、それでは答えにならないと思うのです。別に中身までということを申し上げているわけじゃないですから、せめて玄関口ぐらいのことは、例えば代替地の問題は今多少話に出ているとかあるいは条件整備について今前向きに話が始まっているとか、その程度のことは答えてもいいような気がするのですけれども、あなたの立場もあるでしょうけれども、現実にはそれらについても日米間の問題だから玄関口までも行けない、こういうことですか。
  265. 大場昭

    ○大場説明員 まだ米側に提案したばかりの段階でございまして、返還合意とかその見通しについて、また米側から条件が出るとか出ないとか、そういうことについてはまだわからない段階でございます。ただ、横浜市の事業が円滑に実施できるよう早期返還に努力したい、そういうふうに考えております。
  266. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それ以上詰めてもあれでしょうから……。  いずれにしても、この計画をより推進するためには、少なくとも二、三年の間に解決しなければこの事業というものに大きな支障になるわけなんです。そういう点で、この事業をより推進するために、やはり二、三年をめどにしてぜひやっていただきたいと思うのですけれども、これも日米間の問題ですから、具体的に努力目標として、そういうことは言えないんですか。
  267. 大場昭

    ○大場説明員 米側に対しましては、事業年度を含めましてその返還の重要性、緊急性について十分説明はいたしております。
  268. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それでは、これらの問題についてはあれなんですけれども、実は防衛施設庁として、例えばこれらに対するいろんな調査費用とか、あるいはまた米側でそれぞれいろんな形で現在生きている冷蔵庫ですから、こういう点で返還を求めるに当たって必要な諸経費、調査費、こういうことが出てくると思うのですね。これらについて国として予算化をする必要があろうと思うのですけれども皆さんの方も一生懸命やりたい、米側と話し合っている、こういうことですと、予算化しても不自然じゃないですよね、調査費とかいろいろなことですから。そういう点でどう考えておりますか。
  269. 大場昭

    ○大場説明員 本件につきましてはまだ米側の意向が不明確な段階でございますが、一般論といたしまして、移設に際して必要とする措置につきましては、調査費を含め一般的に原因者の負担、そういうふうになっております。
  270. 田中慶秋

    田中(慶)委員 MM21といいますか、みなとみらい21、積極的に国際港都としてその役割を果たそうとしているわけですから、そういう点で原因者負担というそんなぶっきらぼうじゃなくして、これから調査費とか、全体で国レベルとしても恐らく日米合同委員会ですから資料づくりも必要だと思うので、そういう点ではぜひ、今云々ということよりも積極的に予算化をするような方向で国も努力していただきたいと思うのです。その意思はあるかどうか。
  271. 大場昭

    ○大場説明員 横浜市と十分調整し、協力できるものについては協力したいと考えております。
  272. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひそんなことで努力をしていただきたいと思います。  そこで、実は先般もこの席で池子の米軍弾薬庫の問題でしたけれども、実は米側から、池子弾薬庫について住宅の問題でそれこそ日米合同委員会に要請があって、もう既に三年も過ぎて結論が今日まで大変延びてきたと思います。そこで、四月十日、それぞれ地元の市議会、特別委員会が開かれて、条件つきで建設受け入れ、こういう結果に相なったと思うのですけれども皆さんのところはどういうふうにこの辺について見守っているのかどうか。
  273. 小澤健二

    ○小澤説明員 お答えいたします。  先般、逗子市議会からも、市長の意向を了承するという連絡を受けまして、そのことについては承知しております。  市長からは、国に対する要望事項をまとめた上で、当庁に対して正式に回答を近日中に行いたいということで、地元要望につきましては私ども誠意を持ちましてこれを検討いたし、また施設庁だけで処理できるものでもございませんので、関係機関との調整を含めまして、できる限り実現方に努力いたしたいと考えております。  それから、今後当庁といたしましても、現在環境の影響調査を大体三月末で終えましたので、これを踏まえまして早急にこの評価調査書の諸手続をとって、五十九年度中には、先般お願いいたしました予算も成立いたしましたので、開発に伴う調整池、これなどの工事の着手に努力いたしたいと考えております。
  274. 田中慶秋

    田中(慶)委員 環境アセスの調査も終わったようでありますけれども、いずれにしても、それぞれ条件つきということで今具体的に——住宅地以外に広大な自然がたくさんあるわけですし、弾薬庫として使わないという結論ももう既に出ているわけですね。そこで地元とすれば、国営の大自然公園とかあるいはまたスポーツ、レクリエーション施設とかあるいはまた病院計画とか、それぞれ文化的いろいろなことを含めて、全体的に受け入れ条件という形の中で四項目、五項目、こんな形でまとめられているのですけれども、その辺について積極的に取り組んでいただけるかどうか。
  275. 小澤健二

    ○小澤説明員 池子の弾薬庫につきましては、現在米軍は弾薬の貯蔵はしておりませんが、実態といたしましては、補給品の置き場として現在使用しております。今後引き続き米軍といたしましてもそのような使用計画を持っておるということで、返還については極めて困難ではなかろうかと思われますが、ただいま先生からの御質問の趣旨はよく理解をしておりますし、また神奈川県、それから逗子市等からかねて要望もございますので、これは十分承っております。  今の時点で将来の見通しについて具体的に述べると言われましてもちょっと難しゅうございまして、施設庁といたしましては、御要望の趣旨を十分米側に伝えまして、今後、地元の意向を踏まえましてよく話し合いを進めてまいる所存でございます。
  276. 田中慶秋

    田中(慶)委員 防衛庁といいますか、施設担当とすればその程度しか言えないと思うのですけれども、例えば先ほどの横浜市の全体の町づくりの中で、みなとみらい二十一世紀に向けて立派な町をつくるために冷凍倉庫の返還について努力してもらいたい。積極的にするという意思はわかるけれども内容については米側があるからと言うのでは、これは非常に消極的になろうと思うのです。今度は逆にいろいろな問題を、住宅地を受け入れようとしているのだから、そうすると、受け入れる条件としてこういうことをやってもらいたいということが出ているわけですから、逆に今度こっちがもっと、もっと積極的に提言したり積極的に攻めたり、こういうことをやりなさいということを指導的といいますか、そういうことを提案する立場だと思うのです、米側からあるからということじゃなくして。私はそんな気がするのですけれども、その辺をもっと具体的に……。そして、なおかつあなたのところが中心になって、ほかの関係省庁とも連携をとって、せっかく市長さんが苦しんで、議会も延長してやったのですよ。徹夜でいろいろなことを検討されたのですよ。そういう形の条件つきなものなんですから、それを尊重してやらなければいけないわけですよ。だから、そういう点を重要視してやっていただきたいのですが、その辺の考え方を……。
  277. 小澤健二

    ○小澤説明員 先般来、市長さんからもいろいろ御要望を伺っておりますし、また私ども現在、市長さんから具体的な事案などを提出いただきましたならば、これに基づきまして、土地問題はこれは大蔵省からお借りしている土地でございますので、私どもはその返還につきましては当然米軍に折衝いたしまして、大蔵省ともよく調整いたし、返還にでき得る限り努めるということで進めてまいりたいと考えております。
  278. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間がないから最後になりますけれども、片方においては住宅をつくらせてくれと言う。こういう点で本当に苦しんでやったわけだから、そして条件つきの条件が出たわけだから、そういう点では、市長さんから出てからなんてのんびり言っている、そういう事態じゃないと思うのですよ。せっかく合同委員会皆さんから言われたものを先取りして、そして根回しが始まったっていいと思うのです。そうでしょう。お互いに一週間に一回ずつ合同委員会でそれぞれの部会がやられているのでしたら、そういうことを提言をされてもう恐らく話し合っていると思うのですけれども、こういうことを含めて、それぞれ何度も、書類が来てから、話が来てから、こんなことばかりやっていたのじゃ行政サービスじゃないし、現実に住宅だってそんなことを言ったらできないし、あなたのところで幾ら予算をとったって、はっきり言って駅なんてできないかもわからないよね。そうじゃないでしょう。やはりそういういろいろなものはより促進をするためなんだから、今申し上げたような最低四つの条件、病院をつくったり自然公園だとかレクリエーション施設とか、そういうものの促進のためにおれが責任を持ってやるぐらいに、おれが本当に一生懸命命をかけて交渉に臨みますぐらいに、そんな決意があったっていいのじゃないですか。それだけみんな一生懸命地元でやっているのだから。立派に決意を述べてください。
  279. 小澤健二

    ○小澤説明員 先生の御意見を十分承りまして対処いたしたいと考えております。
  280. 田中慶秋

    田中(慶)委員 終わります。
  281. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 三浦久君。
  282. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まず、運輸省にお尋ねをいたしたいと思います。  今回の運輸省設置法の改正で陸運局と海運局の統合が行われますが、この統合によって国民に対するサービスは低下しない、低下させないというふうに言われておるわけです。そういたしますと、例えば福岡の場合ですが、福岡市に陸運局があり、そして門司に海運局があるわけですが、この庁舎を統合いたしますと、どっちかの方は住民サービスが低下する、そういう結果になると思うのです。ですから、この庁舎の統合問題について将来どういうような御計画があるのか。また、計画がなければないで結構なんですが、どういうようにお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
  283. 松井和治

    ○松井政府委員 今般の地方の運輸局設置につきまして、利用者の方に御迷惑をかけないというのは大変大事な前提であると考えております。  ただいま庁舎のお尋ねがございましたが、組織は確かに一本になりますが、統合庁舎をつくるというようなことは、現実の問題としてなかなかそう簡単にまいらぬ問題でございます。したがいまして、組織が一本になりましても、海運庁舎と陸運庁舎というような形の二つの庁舎で執務をする体制をとらざるを得ないというふうに考えておりまして、その限りにおきましては、利用者の方にこれまでと違った場所へ行ってくださいというような意味の迷惑をかけることはないというふうに私ども考えております。特に事業者の方、利用者の方に一番関係の深い、海運局でいえば運航部、船舶部、船員部、陸運局で申せば鉄道部、自動車部、整備部というような部につきましては、それぞれ現在の場所に存置するわけでございますので、サービス水準の低下を招くというようなことはないというように考えております。  なお、今後の庁舎の計画についてのお尋ねがございました。これは、実は九つの運輸局それぞれの場所によりまして事情が違うと思います。同一市内の比較的近接した場所にある場合と、ただいま御質問がございました福岡、北九州というかなり離れた地域にある場合とでも違いますし、また、その都市で合同庁舎の計画があるかないかというようなことによっても違ってくるかと思います。したがって、これは一概に全部一律にこうするというようなことはちょっと申し上げにくいわけでございますが、九州に関する限り、ただいまのところ合同庁舎の建設計画というものは持ち合わせておりません。
  284. 三浦久

    ○三浦(久)委員 国鉄再建監理委員会、お見えになっておりますね。再建監理委員会の今後のスケジュール、それと経営形態や長期債務の処理についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
  285. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お尋ねの第一点でございますが、監理委員会の今後のスケジュールでございますけれども、御承知のとおり監理委員会の設置の根拠となっております臨時措置法におきましては、六十二年七月三十一日までに体制を確立するというふうに期限が切られております。したがって、その体制確立のための準備期間を考慮しますと、監理委員会といたしましては大体それの中間ぐらいのところ、すなわち来年、六十年の半ばごろを目途としまして結論を取りまとめていく、こういうふうなことで現在作業を進めておる段階でございます。  それからもう一点でございますけれども、現在、具体的に経営形態あるいは長期債務等の問題についてどういう方向でどういう結論を出すかということについてのその方向づけまではまだしておりません。現段階では、その基礎的なデータ分析、調査というようなことを主体にやっております。  ただ、この法律にも書いてございますが、監理委員会といたしましては臨調答申というものを尊重してというふうに法律上その方針が義務づけられておりますので、臨調答申に示されておる方向というものに沿って具体的かつ実効性のある結論をまとめていく、こういうことで作業をしている段階でございます。
  286. 三浦久

    ○三浦(久)委員 長期債務の問題は再建にとって欠かすことのできない問題ですよ、これをどう処理するかというのは。この基本的な方向というのは臨調答申にちゃんと出ているわけでしょう。例えば、新しい会社に合理化努力を払ってどの程度負担が可能か、それで負担させた後のものは結局国が負担するのだ、こういうふうになっていますね。そうすると、まだ方向づけもはっきりしてないというのはおかしな話であって、あなたたちとしては、どの程度新会社に負担ができるのか、そしてどの程度国に残るのか、その国についての財源措置についてもちゃんと検討する、こうなっているでしょう。財源措置はどういうふうに検討しているのか。国鉄の赤字の一番大きな原因になっているのが長期債務から発生する利息の支払いの問題ですよ。そういう点についても、もう一年もたっているわけですから、ある程度の、どういう点について検討しているというようなことぐらいは言ってもらいたいと私は思うのです。例えばいろいろな選択肢があると思うのです。全額国が持つ、いや全額新会社だとか、いや債務は普通の会社更生法のように棚上げしてしまうとか、そして利息の支払いも停止するとか、半分はまけてもらうとか、いろいろなやり方があるでしょう。ですから、どういうことを具体的に検討していらっしゃるのか。私は何も、こういうふうに決めだということを聞こうというんじゃなくて、どんな点について今検討しておる、その点ぐらい、においぐらいかがしてくれということです。
  287. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど方向づけをしてないという言い方がちょっと誤解を招いたかと思いますけれども、それは先生おっしゃるとおり、臨調答申におきましては長期債務の処理についての考え方は述べられております。したがいまして、それを尊重するという以上、監理委員会としましてもその方向に沿った検討をしていくということ、これは間違いないことだと思います。  ただ具体的に、合理化努力をすれば一体どれくらい債務を新しい事業体にしょわせられるのか、それからどれくらい国が処理しなければいけないのかというあたりの額になりますと、なかなかそう簡単には出てまいりません。それからさらに、仮に国が処理するとした場合に、それをどういう方法で処理するかというのも大変困難な問題でございます。したがいまして、その辺のところについてこれから監理委員会としては詳細な検討をして具体的な案をまとめていくわけでございますけれども、現在の段階では、その前段階としての基礎的な勉強、これは、債務と申しましても具体的にその債権者というのはいろいろな種類がございます。どういうふうな性質の債務であるのかという債務の内容とか、あるいは債務というものはまた一方において資産というものとの兼ね合いを考えなければいかぬということでございますので、そういう資産というものは国鉄において一体どういう実態であるのかというふうなこと、あるいは仮に会社を分割するような場合に、そういう債務はどういうふうに処理されてきているかというふうな過去の事例とか、あるいは国の財政状況とか、そういうふうないろいろな基礎的な問題について詳細な検討を現在している段階でございます。
  288. 三浦久

    ○三浦(久)委員 例えば長期債務、これはどんなに合理化努力を払っても新会社に全部押しつけるというのは不可能だと思いますね。毎年二兆円ずつ借金はふえていっているわけですからね。ですから、来年あなたたちがお出しになる場合には二十四兆円ぐらいになるのですか。実施するときには二十八兆円ぐらいの長期債務になるということでしょう。そうすると、これを全部新会社にといったら無理ですよ。それは、どの程度の比率がわかりませんけれども、ある程度は国が負担しなければやっていけないということはだれの目から見てもはっきりしていると思いますね。そうすると、その財源措置について監理委員会が考えることになっているわけですね。国が考えるということは、設置法、正確には設置法じゃありませんが、あなたたちが国の委任を受けて考えることになっているわけですからね、その財源措置についてはどういうように検討されているのですか。大蔵省は、この前の国会の答弁で、新たな助成をふやすことはできぬ、こう言っておるんですね。ですから、あなたたちが財源措置について国が出さないならどうするのか、いや、どうしても国に出してもらうというふうに大蔵省を説得するというのか、その辺をちょっと聞かせていただけませんか。
  289. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま申し上げましたように、長期債務につきましては基礎的にいろいろと分析しなければならぬ事柄がたくさんございます。したがって、そういう面についての十分な実態把握というものを踏まえた上でないと対策案あるいは知恵というものがなかなか出てこないということで、したがって現段階、まだ知恵を出す段階まで実は来ておらないというのが実情でございまして、これからその辺のところについては十分詰めていきたい、こう考えております。
  290. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ところが、あなたたちは緊急十項目だけはじゃんじゃんやっているわけですね。それで、肝心の赤字の一番大きな原因についてはまだ検討中ですとか、基礎的な調査中ですとか、そんなことを言って、しかし緊急十項目だけはどんどん大車輪をかけてやっているというのが現状なんですね。要するに、あなたたちのやっていることは臨調答申のつまみ食いなんですよ。  ちょっと国鉄にお伺いしますけれども、緊急十項目を実施することによってどの程度経費が節減になったのか、お尋ねいたしたい。
  291. 室賀実

    ○室賀説明員 五十七年九月二十四日に閣議決定を見ました緊急対策といたしまして、私どもは十の項目につきまして経営改善のために緊急に必要であるということで鋭意取り組んでまいっております。この中には、ただいま御質問にございましたように、金額的に見てどれくらいの効果があるかという計量化がなかなかしがたいものがございます。例えば職場規律の確立というようなものは、いかなる経営施策をとる場合におきましても基本的な施策でございますので、これは何としてでも実行していかなければならないことでございます。こういった事柄の上に立ちまして十項目をやっておるわけでございますが、その中で計量化し得るものとして、私どもが現在の段階で数字的に把握できるものにつきましてだけ、お答えをさせていただきます。  まず緊急十項目の中では、貨物の合理化、地方交通線の整理の促進、それから工場等の合理化といった各般にわたっての効率化を求めておりますが、こういったことに鋭意取り組みまして、私どもといたしましては、職員数の縮減をこの対策にのっとりまして行ってきております。これによります金銭上の効果でございますが、五十八年度におきましては諸般の合理化の結果、前年度に対しまして二万二千六百人の人員の削減、これを人件費で想定いたしますと約一千億円になるわけでございます。  それから、緊急十項目の中では設備投資を抑制するという御指示がございます。これによりまして私どもは五十八年度予算は前年度予算に対しまして三千三百億の抑制を行っております。これは現実に資金の支出を抑えるということであります。  それからさらに緊急対策の中で言われておりますのは、不用資産の売却を促進せよということでございます。これにも鋭意取り組みまして、五十七年度の予算に対しまして五十八年度は八百億増の計画を立て、これの実行を進めておるところでございます。  このように、ただいまの段階で計量化できるものを取り上げましても、人件費、設備投資、不用資産の売却ということで五千百億程度のものが見込まれるわけでございます。  なお、先般国会におきましてお決めいただきました五十九年度予算に基づきますと、ただいまの数値のほかに、さらに五十九年度は職員数にいたしまして二万八千九百人の削減をする人員でやってまいるということにいたしております。これは金額にいたしまして約千三百億円になります。それから設備投資につきましても、五十八年度予算よりもさらに約千四百億円の圧縮を図った予算としております。人件費と設備投資とで二千七百億円程度五十八年度の縮減に対して上積みをしているわけでございます。  もちろん、このほかに、ただいまの段階では計量的に把握できないが、減るであろうというものはございます。例えばこれらの資金支出が抑えられたことによりまして、もしそれを借入金でやっていたらどうなるかということになりますと、それらの利子というようなもの、これは現在形の上にあらわれておりませんが、仮にこの対策を講じなければふえたであろうと思われますし、それから先般二月一日にダイヤ改正を行いまして、貨物等の列車キロ等を削減いたしました合理化を行っております。これは、実施後まだ日が浅いわけでございますが、こういったものから出てまいります動力費、修繕費等の物件費、これらにつきましてもかなりの効果が経営上上がってくるものと思われております。  ただいまの御質問に対しまして、計量化し得るものにつきましてお答えをさせていただいた次第であります。
  292. 三浦久

    ○三浦(久)委員 監理委員会というのは、いわゆる構造的な赤字と言われる問題についてまだ何にも検討してないという感じがするんです。例えば、この構造的な赤字をそのまま放置していることによって昭和五十五年度から五十九年度までに赤字がどの程度ふえているかといいますと、これは一つ一つ細かく言ってもしょうがないのですが、例えば支払い利息は五十五年度は四千七百六十四億円、五十九年度予算は一兆一千百六十五億円になっているのです。だからふえた分だけでも六千四百一億円ふえている。特定人件費も二千九百三十八億円ふえている。東北、上越新幹線の資本費、これでも二千九百十九億円ふえている。そのほかに減価償却費の増加だとか、それから国家の助成金の削減であるとか、こういうものが赤字の拡大要因になっている、こういうことが言えますね。それからまた青函トンネルとか本四架橋とか、こういうものが完成するとまた千二百億ないし千四百億円の負担が増加する、こういう問題について何にも対策を立てないで、そして緊急十項目だけ。この問題、今言われたように、構造的赤字の増加の方が赤字の削減よりはるかに大きいわけですから、この問題に私は早くメスを入れるべきだというふうに思うのです。  それで、運輸大臣にお尋ねをいたしますけれども、私は先ほど臨調答申のつまみ食いを監理委員会がやっていると言いましたけれども、この臨調答申で言われている民営・分割、また長期債務の処理、この問題について大臣はどういうような御見解をお持ちなのか、お尋ねいたしたいというふうに思います。
  293. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は、国鉄の財政再建といいましょうか、今の状態を脱するために一番大きな問題は、今お説がございましたように、長期債務をどうするかということではなかろうかと思っております。そして、今再建監理委員会からいろいろ御答弁がございましたが、この問題は再建監理委員会の最大のテーマの一つであろうと思うのでございます。これと分割・民営化でございます。したがって、いろいろ再建監理委員会の中でも御検討を願っておるようなふうに聞いております。  それではお任せ切りでいいのかというとそうではないので、運輸省は何といいましても国鉄の監理官庁でございまして、責任ある官庁でございますので、監理委員会の結論をどういうふうに出していただくかということについて我々自身が検討していかなくてはいかぬということで、実は検討作業を始めております。一体二十兆円というようなものがどうしてできたか、何が二十兆円の中身であるかということから始めまして、いかなる方法があるかというような点につきましてもあらゆる角度から検討を加えておるところでございます。ですから、監理委員会皆さん方にも大いに私ども考え方を申し上げて御検討の材料を提供したい。国有鉄道にも、その際に私はいろいろ考え方があればぜひ検討するようにということを総裁にお願いをしておるということでございます。  次に、分割・民営化でございますが、分割・民営化というのは臨調の答申ではっきり結論的に出ておるのでございます。分割・民営化をするということ、しかも七つ程度にこれを分割するということまで出ておるわけでございます。したがって、それを受けまして去年の法律で御審議を願ったわけですが、この第二臨調の答申の趣旨を実現すべく監理委員会というものが三条機関に著しく近い八条機関として発足して、これをどうしたら実行できるかということを考えよう、こういう形に実はなっておる、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、分割・民営化というものは法律が決めでおるところでございます。そして、監理委員会でこれを検討しろ、しかも閣議といたしましては、政府といたしましては臨調を最大限に尊重する、こういう建前をとっているわけでございます。したがいまして、分割・民営化というものは、私ども立派な案ができて分割・民営化ができることを望んでおるということでございます。  内容につきましては、監理委員会の中にもまだいろいろ意見があるようでございますし、私どももいろいろ考えさせられておる点がございますが、いずれにいたしましても、長期債務について申し上げたと同じように、私ども、この問題についても御意見再建監理委員会の方へいろいろ申し上げなければならないというふうに思っております。
  294. 三浦久

    ○三浦(久)委員 では、次に移ります。過員問題について国鉄当局にお尋ねをいたしたいと思います。  国鉄は、今もお話がありましたけれども経営改善計画に基づいて三十五万人体制を六十年度までにつくり上げるということでずっと要員の削減をやっておりましたね。それが一年余りを残して超過達成ということになっておりますが、特に五九・二のダイヤ改正に伴って業務量を大幅に縮小いたしましたので、過員が一度に出ておりますね。この過員というのは現在どの程度になっているのか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  295. 太田知行

    ○太田説明員 現時点ではまだ正確な数を把握しておりません。と申しますのは、これはことしだけではなくて例年のことでございますけれども、その当該年度の合理化数の確定を行い、そしてその当該年度における、特に年度末の特別退職人員あるいは年度中途にいろいろな事情でやめたといったような人員の推移というものを把握し、そして新しい年における業務量の推移というものを見ながら個別にこの数字を確定してまいりますので、そういう意味で年度がかわりましでまだ間がございません、個別の各局とのヒアリングはこれからでございますので、数字は確定しておりません。  しかしながら、一応の推定、現時点における見方としまして申し上げたいと思いますが、五十八年度の合理化目標は二万八千九百名、これは五九・二ダイヤ改正をその主たる内容とするものでございまして、五九・二ダイヤ改正はほぼ計画どおり実施しておりますので、私どもは二万八千九百名は完遂しているものと推定しておりますが、一方、特退人員はまだきちっとした集計はできておりませんけれども、一応二万人は超しておるであろうと思いますが、一応ここで仮に二万人と推定させていただきますと、その両者の比較においては一万人弱、私どもの世帯でございますので多少の余剰人員の持ち越しというのはございますから、そういうのを集めて勘案いたしますと、現時点ではどんなに少なくても一方、一万強と申し上げておきたいと思います。いろいろ推定しますとこの数字はあるいは多少変わるかもしれません。
  296. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今一万近くと言われた過員はあっちこっちに出ておりますが、私も門司鉄道管理用管内を、全部じゃありませんが、幾つか、いわゆる過員センターと言われておるものを見て回りました。門司鉄道管理局では営業開発センターとか運転技術センターとか、そんな名前をつけて集中配置をしているようですね。ところが、私がこれを拝見いたしますと、過員の有効活用というものが極めておざなりになっているという印象が一つ。もう一つは、過員センターの労働環境というのは極めて劣悪であるということですね、この二つの点に私は気づいたわけです。  私が調査に入ったのは三月十九日、三月三十日の二回であります。その時点でのお話として申し上げますけれども、その後若干変化して、基本的には変わっていないのでお話を申し上げますが、例えば労基法違反とか労働安全衛生法違反、こういう疑いのあるものがたくさん出てきているのです。例えば門司駅に西運転営業開発センターというのがあります。ここでは、三月十九日当時ですが、今まではその建物の中には十名前後の人々が常時勤務しているという、そういう狭いところなんです。そこにどのぐらいの労働者を入れているかというと、最初のおたくの計画では、二月一日現在では六十五名だ。私が行った時点では、何人がやめられているので、六十二名入っている。四月一日からは四十六名に減っている。しかし、非常に狭い部屋です。私、こういう地図をもらって、労働者が常時勤務しているところの平米数をはかってみました。そうしますと、一部屋が十六・五平米、もう一部屋が二十六・三平米、もう一つが二十一平米、合計六十四平米、高さが二・五ないし二・六ぐらいかな、ですから大体百六十立米ぐらいしかないのです。百六十立米に六十二人も突っ込むなんというのは非常識ですね。  労働省にちょっとお尋ねしますが、労安法を受けた事務所衛生基準規則というのがありますね。この第二条に、労働者一人について十立米以上が必要なんだという規定がありますが、そうですね。どうですか。
  297. 福渡靖

    ○福渡説明員 今御指摘のあったとおり、大体常時そこに就業させる労働者がいる場合にはそういう計算をするということになっております。
  298. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ここは朝の九時から午後の一時まで、渉外活動の準備ということで労働者がずっとおるところです。そして、午後一時から、こういう企画商品がありますが、切符要りませんかと言って、ずっと各戸を訪問して商品の宣伝とか販売とかいうことをやらしておるわけですね。そうすると、私はこれはやはり常時労働者を就業させている場所だと思うのですね、そうじゃないとは国鉄は言わないと思いますけれども。ですから、百六十立米しかなければ十六人ぐらいしか勤務させてはいけないのですよ。ですからおたくたちだって、今まで十人から十二、三人ぐらいしかここでは働かせていないんだ。こういう点について、国鉄当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
  299. 太田知行

    ○太田説明員 今御指摘の門司管理局は、大変貨物のウエートの高い管理局でございます。したがいまして、今度の五九・二ダイヤ改正の影響も大変大きく出たわけでございます。ということは、合理化人員も大変大きく出たわけでございます。  合理化交渉を一月三十一日ぎりぎりまでやりまして妥結に至って、二月一日から切りかえということでございますから、ある合理化の目標を掲げ、計画数値を提出して、もちろん団体交渉をやっているわけでございます。ぎりぎりまでそれが労使の間でどういう線に落ちつくかというのはなかなか把握しにくい。したがって、かなり事前からの心がけはいろいろしておりますが、具体的な準備というのは実際にはやりにくいという状況がございましたのと、それからもう一つは、国鉄の歴史の中で、特に戦後公企体になりまして以来、こういう余剰人員を抱えるというのはむしろ初めてといっていいくらいの体験でございます。定員法の時代もございましたし、四十四、五年ごろには動力車乗務員の一人乗務ということで四、五千名の余剰人員を抱えましたが、これは二年ぐらいで解消したというようなことでございまして、余剰人員に対する体験というのはほとんどゼロに等しいというようなこと、これあり、二月一日以降その対策を講じてまいったわけでございます。多少準備の不足というようなこともありましたが、その後、個別に具体的にそれぞれの対応を講じつつあると聞いております。
  300. 三浦久

    ○三浦(久)委員 こういうことはいいことかどうかということを聞いておるのであって、あなたの弁解を聞いておるのじゃないから、結論は簡単に言ってください、余り時間がないから。  それで、これは労安法に基づく事務所衛生基準規則に違反しているのですよ。それなら、そういうものは早急に改善するとか、そういうような答弁が出ていいんじゃないの、どうなんですか。
  301. 太田知行

    ○太田説明員 今申しましたように、草々の間の準備でございますので幾つか不備な点が出ておりますし、その後、既に門司当局におきましても具体的、個別に検討し、改善したものもございますし、改善しつつあるものもございます。ただいま御指摘の問題について私、詳しい事情は掌握しておりませんが、当然門司当局においても検討しつつあるものと考えております。
  302. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それから、午前中三時間も四時間も渉外活動の準備をさせておきながら、一人一人について机もいすもない。それで長いすみたいないすがあります。それも六十二人が全部座ることはとてもできません。ですから、ただパイプいすにみんな多くの人が座っておるのですよ。それでどうやって渉外活動の準備ができますか。机がないのですよ。そんなことも早急に改善してやる必要があるんじゃありませんか。  一つ一つあなたのお答えを聞いていると、あなたえらい長くしゃべりますから、ちょっと先に進みます。  休養室だって、六十二人も突っ込んでおって、これは臥床する休養室をつくらなければいけないのですよ。これは労働省、どうですか。事務所衛生基準規則二十一条に、五十名以上の労働者を常時就業させる場合には臥床できる休養室を置かなければならないということになっておるでしょう、どうですか。
  303. 福渡靖

    ○福渡説明員 事務所衛生基準規則でそのとおり定めてあります。
  304. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それから、便所もそうだ。私が三月十九日に行った段階では、六十数名も入れておきながら、この事務所衛生基準規則に違反をして大便所一個だ、小便所一つしかない。そういう状態であなたたちは労働者を放置しておるのですよ。私が三月三十日に行ったときには、二、三日前に大便所と小便所が一つずつふえた。だけれども、小便所というのは三十人に一個要るんだから、六十二人だったら三つ要るわけだ。それだってまだ一つ足りない。今は四十六人になったから、それで便所の問題だけは何とかおさまっておるでしょう。こういうように非常に労働者の立場というものを考えようとしないんだね。  あなた、ぎりぎりまで団体交渉をやったなんて言っているけれども、そんな、過員の問題についてはもう去年の九月ごろからずっと団体交渉をやっているわけだ。そして大体どのくらい過員が出るかということだってあなたたちはちゃんと頭の中に入っておるわけだ。ですから、本当に労働者の労働環境をよくしよう、法律に従ってちゃんとやろうと思えば十分にやる時間的な余裕はありましたよ。それをぎりぎりまでやっておったからどう妥結するかわからない、そんなことは形式論理であって、お互いに対立しておっても労使関係にはルールというものがあるんだから、それをちゃんと守ってやっていただきたいと私は思うのですよ。換気扇だって何もついていないんだから。  もう一つ聞きますけれども鉄道電話以外の、部外にかける電話を公衆電話というそうですね。その公衆電話は、こんなちっちゃなかぎがダイヤルにかかっておる。こんなちっちゃなかぎですよ、どこから見づけてきたか知らぬけれども。それをかけて、労働者が外部に電話をする場合には、一々名簿に名前を書いて許可を受けてでないとかけられない。こんな状態も、あなたたちは労働者を一体何と思っているのですか。もし労働者が無断でもって私用でどんどんかけてしまう、そのために電電公社からツケがいっぱい回ってくるというのであれば、赤電話でも設置してやったらいいじゃないですか。それは一日おるところなんだから私用で電話だってしますわな。当たり前のことだ。それなら、だれにでも気兼ねなく電話ができるようにかぎは取っ払ってやったらいいでしょう。どうしてもかぎをかけたいなら、もう一つ赤電話でもつけてやったらいいじゃないですか。そういうことが何でできないのですか。ちょっとお尋ねしたい。
  305. 太田知行

    ○太田説明員 今幾つか具体的なデテールをお示しになりまして、私もそのすべてを掌握しておるわけでございませんけれども、一、二聞いておるので申し上げれば、机、いすのお話がございましたが、先般総務部長がやってまいりました際に、三浦先生おいでになって御指摘があった、しかし御説明ができなくて不十分で残念だった、ちょうど点呼をやっておるところでございまして、いす、机を片づけておった、それをもとへ戻してちゃんとそろっているところを見ていただきたかったというようなことを申しているようなケースもございます。  今の赤電話の問題は、私掌握しておりませんのですが、要すれば、初めての体験で労使とも戸惑っている面がございまして、現に組合側からもいろいろな意味での設備要求、環境整備要求というのは出ております。それも一回では出てこないで、これも総務部長に聞きますと、三回か四回に分けて逐次出てきているという状況のようでございます。もちろん相当膨大な内容でございますが、私どもの目で見まして中には団体交渉になじむものもございましょうし、あるいはなじまないと思うものもございましょうし、あるいはそのグレーゾーンみたいに両者で少し議論しなければいけないという項目もありましょうから、すぐに話し合いが軌道に乗るというわけにはまいらぬと思いますが、要すればそういう問題意識を持って今現地の労使が論議をし合っているという状況でございますので、多少時間がかかるかもしれませんが、改善方向に行くということは見守っていただきたいと思うわけでございます。
  306. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まだいっぱい具体的な問題があるのですよ。もう一つだけ具体的な問題でお尋ねしたいのは、門司港の運転技術センターというのがあります。  ここでは、職員が昼休みに食事に行くのに、構内に線引きして別館の食堂までは行ってよろしい、こっち側は物資部の販売所までは行ってよろしい、あとは道路に出てはいけません。昼休みですよ。そういうことをやっている。それで、外の商店街に飯を食いに行くときには、やはり名簿に記載して所属長の許可を得るというのです。休憩時間というのは自由に使用していいわけでしょう。こういう問題も、一体労働者を何と思っているのか。過員センターというのは収容所かと言うのです。そんな基本的人権を無視したようなことを国鉄当局ともあろうものがやるというのは一体どういうことなのです。これについての見解を承りたい。これは門鉄当局もそういう事実については認めているのだから、太田さん、改善するなら改善すると言ってください。
  307. 太田知行

    ○太田説明員 そのお話は私も報告を受けてアウトラインを承知しておりますけれども、門司当局の話によりますと、過員センターではなくて要員開発センターでございますが、このたびそれを設置したことに伴う措置ではなくて、随分以前から、門司港において食事の時間に外に食べに行くときは、ちょうど批判が出たりすることもこれあり、お互いに振る舞いに気をつけようじゃないかということでやっておったそうでございますけれども、だんだん、それが望ましいというのではなくて随分批判が厳しい中で多少神経過敏になった面がありましょうが、かなり厳しく規制するという面が出たようでございまして、これは門司当局も反省いたしまして本来のあり方に戻している。ただ、あくまでも批判を受けないように、確かに休憩時間は自由だけれども、制服で出ていったりしますと周りから見れば勤務時間中にまたブラ動かという批判だってあり得るわけですから、気をつけてやろうな、こういうことを言っているそうでございます。以前からの話だったそうでございます。
  308. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは、すぐ隣は門司鉄道管理局の庁舎なんですよ。管理局の人は昼休みに自由に飯を食いに行っていますよ、私もよく食堂で一緒になりますから。だから、余りへ理屈を言わない方がいいのじゃないですか。  何でこんな収容所みたいな権利侵害が行われているのかということなんですけれども、私は、国鉄当局労働者に対する思いやりとか愛情、そういうものがないと思うんだな。みんな国鉄が好きで、国鉄に一つの夢を描いて入ってきているわけだ。立場は違ってもみんな一生懸命なんだ。みんなそうなのですよ。もうちょっと愛情を持って接触してやる必要があると思う。  じゃ、具体的にどういうことかということを、職場の状況を一つ例にとってお話ししましょう。  鹿児島鉄道管理局に片岡という総務部長がことしの三月の半ばごろまでいたでしょう。この人がある保線職場へ行って点呼に立ち会っているわけです。管理局の総務部長が保線に行って点呼です。この口はわずか六名しかいないのです。七名の職場で一人休んでいましたから、六名しかいない。その六名の職場に十三人の管理職が立ち会って点呼している。点呼しなくてもだれが来ているかすぐわかりますよ、そんなもの。  その点呼のやり方について労使双方で対立しているのです、その中身は言いませんけれども。ですから、点呼、だれだれと呼んでも、その六人の労働者は返事しないのです。そういう事態なのです。そこで片岡という総務部長が言っているのです。これを全部テープにとって起こしたものがここにありますが、十一分間にわたって記載されていますよ。  どんなことを言っていると思いますか、鹿児島管理局の総務部長。総務部長といったら、あなた、随分偉い人でしょう。それが例えば、助役が「おはようございます。呼名を行います。」「松崎保線長返事をして下さい。」こう言っているのですね。黙っている。そうすると、片岡という総務部長が「どこにいる。おい君、呼ばれているのがわからんのか。返事は!」それでまた助役が「松崎保線長」こう言ったら、「言っているのがわからんのか、お前は。聞こえてるのか。えー、バカか。」こういうことを言っているのですね。その次もう一回助役が「松崎保線長」と呼んだら「言ってることがわからんのか、ボケナスだなあ。言ってることがわからんのか、ボケナスだなあ。仕事大丈夫か、こんなやつに仕事やらして。えー、ボケナスらしいぞ、バカだと書いとけ。」何に書いておけというのか知りませんけれども、そういうことを言っているのです。それで次に行って「西竹副保線長、返事しなさい。」と助役が言っています。そうすると片岡が「目の前へ来ておしえてくれ、俺わかんないから。君か!返事しろってわからんのか、ボケナス。」こういうことを言っている。その次は「お前、小学校出てんのか。言葉わかるのか、日本語が。バカかお前は。オー、言ってんのがわからんのか。こういうのが作業やって大丈夫かオイ。ボケナスらしいぞ。オイ、次。」こう言ってまた次に点呼を命じているのですよ。これじゃやくざじゃないですか。一人一人、六人全部やって十一分かかっています。こんな態度で労働者に接するとは一体何事ですか。あなた、こういう指導をしているのですか。どうですか。
  309. 太田知行

    ○太田説明員 点呼のやり方について意見の対立と冒頭におっしゃいまして、詳しい内容はわかりませんけれども、私どもはその日の仕事の始まりでございますので点呼というものを非常に大事なものと考えてずっとやってまいりました。特に保線でありますとか電気という保守部門は無定量でございますから、その日の天候その他の状況によって仕事の内容を変えたりすることがございますから、朝、さあこれから仕事だというときに、きょうはこういう仕事をするというその仕事の区処、指示というのは極めて重要でございます。そして、その仕事の区処、指示をする前に呼名点呼といいまして、A君、B君、C君というのをほとんどの職場において実施する慣例を、ほとんど国鉄始まって以来やっております。そういう大事な大事な点呼の場において、そもそものスタートである返事が得られないというのは非常に悲しむべき現象でございまして、おっしゃるように労使いろいろ考え方に対立がありますけれども、さあ、これから仕事をするんだというときにはやはり気持ちを合わせてやってまいりたい、こういうことでございますが、そこで返事が出なかったりというのは早急に改善を要することでございますので、そういう現場に対しては一生懸命指導をやっている面はございます。具体的なケースは私は存じませんが、問題の職場に総務部長や局の幹部が出向いて指導するということは、これはしばしば行っているわけでございます。
  310. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、こういう指導をあなたさせているわけですか、ぼけなすだとかばかだとか、こういうことは。相手が返事しなくても、六名なのだからわかるじゃないか。それに今あなた、何々君、何々君と猫なで声で言っているけれども、現場へ行ってごらん、呼び捨てだよ、だれだれ、だれだれで。軍隊式点呼なのですよ。だからみんな反対するわけです。そういうのがまだいっぱい残っているのだ。  あなた、じゃ、その総務部長の片岡が現場に行ってこういう発言をすることは正しいと思っているの。正しいの。
  311. 太田知行

    ○太田説明員 呼び捨てとおっしゃいましたけれども、何々君というのは決して私の想像で申し上げているのではなくて、例えば敬称は省略します、山田、阿部というケースもございますし、阿部君、佐藤君と言うこともありますし、何々さん、何々さんと言うこともございます。そこはひとつ誤解のないようにお願いしたいのでございます。  鹿児島の今御指摘のケース、具体的には私承知しておりませんが、総務部長が現地に指導に赴いてその際にいろいろと注意をするということはあり得るというふうに申し上げているのでございまして、ぞんざいな言葉遣いをしろということを言っているわけでは決してございません。
  312. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなた、この事例知らないと言うけれども、この人は労使で問題になって、三月十日ごろに静岡の営業部長に転勤させられているじゃないですか。そうでしょう。あなた知らないことないでしょう。どうですか。
  313. 太田知行

    ○太田説明員 三月十日ごろ、ちょっと正確な日にちは覚えておりませんが、確かにその近所に、片岡鹿児島総務部長は静岡局の営業部長に転勤しております。
  314. 三浦久

    ○三浦(久)委員 知らないことないじゃないですか。これが問題になって転勤させられているのですよ。労働者に対してこういう扱いをするというのは私は許せない。  それでもう一つ。今言ったような労働者に対する職場環境をああいう劣悪な状態に陥れているという一つの原因は、労使間に団体交渉が行われていないということ。あなた、いろいろ行われて改善するものは改善しているなんて言うけれども、正式な団体交渉は行われていないのです。これははっきりしているのです。  労働省にお伺いしますけれども、公労法八条で団体交渉事項が決められていますよね。管理運営事項はやっちゃいけない、しかしいろいろと列挙されまして、その他労働条件に関する事項は団交事項だというふうに書いていますでしょう。そうすると、私がさっき言いました、休養室を設置しろとか便所をつくれとか換気扇をつけろとか、また、ロッカー室をもっと広げろとかいろいろな要求がありますね。仕事の内容が変わっちゃっているから賃金についてどうなるかはっきりしてくれとか、そういうような要求を出された場合、これについて団交してくれという申し入れがあった場合に、それを拒否するということはどういうことでしょうか。不当労働行為になるん心やありませんか。
  315. 廣見和夫

    ○廣見説明員 一般的に申し上げますと、労働組合の側から申し入れがあった場合、その中に本来団体交渉事項になるものと、それから団体交渉とはなし得ない管理運営事項とが混在しているというようなケースもございます。こういったような場合には、できるだけ団体交渉を円滑にしていただきたいということで、円滑に行うための事前の整理が行われるということが望ましいというふうに考えておりますし、また、一般的にはそういうふうに事前の整理が行われているというふうに考えております。したがいまして、一般的に事前に整理していくということで私どもは理解いたしております。
  316. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私が言った休養室の問題とか便所の問題、換気扇の問題、いわゆる職場環境改善の問題とか賃金の問題とか申し入れがあって、それを断れば不当労働行為になるんじゃないかと聞いているのです。
  317. 廣見和夫

    ○廣見説明員 団体交渉の対象となり得る労働条件に関しまして交渉の申し入れがあり、これを拒否するということになりますと、一般的に言って不当労働行為になるということになろうかと思います。
  318. 三浦久

    ○三浦(久)委員 労働省にもう一つ承りますが、団体交渉の申し入れ書の中に管理運営事項だというような問題も入っている、労働条件も入っておる、混在しておるという場合、そういう場合に、混在しているからわしは労働条件についても団交には応じないというようなことはどうなんですか。これは不当労働行為になりますか。
  319. 廣見和夫

    ○廣見説明員 お尋ねの件でございますが、一般的に申し上げますと、申し入れのあった事項の中に、団体交渉事項、それと管理運営事項がまざっているというような形の場合は、管理運営事項につきましては団体交渉ができないわけでございますけれども、その管理運営事項がただ混在しているということだけで直ちに全体を団体交渉できないというような形で拒否するということは一般的にはできないだろうというふうに考えております。
  320. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それで太田さん、門司地本の幸三十三号から三十八、四十、それにまた枝番がついたり追加になったり、いっぱい出ていますね、団体交渉を申し入れてくれと。その中には労働条件に関する問題がたくさんあります。もちろん当局がこれは管理運営事項だと主張しているものもあります。ですけれども、少なくとも団体交渉の、テーブルに着いて、私から今指摘されたようなそんなみっともないことは早く労使間で解決をするというのが本筋じゃないかと思うのですよ。私もこんなこと一々言いたくないのですよ。ところが、今まで二月からずっと要求しているにかかわらず、団体交渉が持たれていないのです。ですから太田さんの指導で、ひとつ労働条件の問題については積極的に団体交渉をやれというふうに門鉄局を指導してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  321. 太田知行

    ○太田説明員 先ほど来からのお話ですと、あたかも門鉄当局がすべての団体交渉をシャットアウトしている、あたかも労働法の基本もわきまえないかのごときお話でございまして、これは非常に残念でございます。私は門鉄当局がたくさんの要求を受けとめて話し合いなり団体交渉なりをやっている事実を承知しておりますので、現に労使で一生懸命話し合いをしている過程でございますから、それを見守っていただきたいというふうに申し上げたいと思いますが、しかしながら、余りにもシャットアウトという印象が強いようなお話でございましたので、交渉経緯でございますが一、二だけ承知している点を申し上げたいと思うのであります。  最初にかなり入り口論議があったやに聞いておりますが、これは過員という現象そのものが労働条件であり団体交渉である、こういうところからスタートしたようでございまして、かなりそこで論議を交わしているようでございます。これを団交拒否とおっしゃられるのはいかがかと存ずるわけでございますが、その後いろいろ三回か四回に分けて要求が出ましたのを、先ほどちょっと申し上げましたように、それは我々の国から見てなじまないものもあればもちろんなじむものもある、ちょうど間の限界線のものもあるという仕分けをいろいろやりながら現に話し合いは進行しているというふうに聞いているわけでございます。
  322. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは合理化事案全体についての話であって、過員問題についての過員の運用の問題、これは団交事項にしろという要求になっていますね。おたくは管理運営事項だからだめだ、こう言っているわけだ。しかし、そういう争いがあるにしても、過員の運用並びに過員についての労働条件の問題については正式に団体交渉は行われていないのです。  それは、例えば二月二十一日に答申三十三号でもって申し入れしていますでしょう。三月六日に当局が口頭でもって団体交渉を拒否しているのです。それは私は直接当事者から聞いているわけですからね。ただ、正式な団体交渉にならない、何からょろちょろっとした話し合いはたまには持ったことがあるという程度のことなんですよ。それは、正式に団体交渉をして、そしてお互いに議事録をつくって協定を結んでいるというような、いわゆる正式な団体交渉というのは行われていないということを聞いていますよ。  だから、二月二十一日に答申三十三号で申し入れても、その後三十八だ、三十八の二だ、さあ追加だ、さらにまた四十だといって、繰り返し繰り返し団体交渉の申し入れが同じような項目でもって何回も行われているわけですから、団体交渉に応じているんだなんていうようなことを言われると、私、もう時間がなくなっちゃって困るのですよ。
  323. 太田知行

    ○太田説明員 団体交渉の申し入れに応じないから申の何号、何号という追加があるというお話でございましたが、これはいささか事実と違うようでございまして、もっと端的に申し上げますと、Aという機関区があったりBという駅があったりと、我々現場機関と申しておりますが、そういう現場機関の一カ所一カ所についてそれぞれの特有の設備要求なり諸要求が出ておりまして、これはもう膨大な数に上るわけでございまして、中には急ぐものもあれば若干後回しにできるものもあれば、共通のものもあればその箇所に特殊なものもある。どうしても団体交渉にも効率、能率というのは必要でございますから、門司当局においてはその仕分けの必要を痛感して、いろいろな相談をしているという事実がございます。  それから、そもそもの最初においてかなりぎくしゃくがありまして、これは見解の差、対立があったことも事実でございますから、その分だけスタートがおくれたのはこれは否めない事実でございますが、いずれにしましても、ただいま門司の労使双方がそれぞれの問題意識を持って、見解の対立はかなりございますけれども、論議をしているわけでございます。現に、私もこうやって申し上げても正確でない面もございましょうし、先生のお話を私が伺っても、失礼ですが、ややいかがかなと思う面もございますので、門司当局労使の努力をひとつ見守っていただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
  324. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ、その団体交渉の問題については一言だけ。過員の労働条件の問題については、今後も団体交渉はいたしますね。
  325. 太田知行

    ○太田説明員 さっきも先生もおっしゃいました申の何号何号と、たしか私は四日と記憶しておりますが、あるいは一回ぐらい違っておるかもしれませんが、そういう何号何号で具体的に申し入れなり要求がたくさん出ております。その中で団体交渉になじむという点について労使が一致すれば、これは直ちに、現に団体交渉を始めているわけでございますし、意見の一致しないものについてはその扱いを論議しなければいかぬと思いますが、なじむものについて、抽象論じゃなくて現実に具体的に出ているものを踏まえて団体交渉は行われているし、行われるであろうというふうに私は確信いたします。
  326. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ過員の活用の問題で、もう時間が余りないのですが、過貝の活用状況について私はお尋ねしたいのですが、ちょっと育ってくれませんか。
  327. 太田知行

    ○太田説明員 これは全国各地、それぞれの地域の事情、状況その他を勘案しながら、知恵を凝らし工夫を凝らしてやっているわけでございますが、幾つかのパターンがありまして、一つは教育の充実、一つは営業活動あるいはセールス活動といったような実践面での対応、教育と実践、こういう二通りかと存じます。
  328. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まず私、営業開発センターに行ってびっくりしたのは、これは三月三十日時点ですよ。まず労働者がずっと地域を回ってきますね。それについてどのくらい売り上げがあったのかとか、そういう報告すら聴取していないんですね、三月三十日の段階で。ですから、本当に営業活動をやらせる腹があるのかどうか。  チラシも非常に少ないですね。企画商品がまとまったパンフレットがありますね。あのパンフレットはたしかお客さん向きだと思いますが、これもお客さんには渡してはいかぬと。それで営業開発センターにいる過員の人だけが、職員が一人一つずつ持って、それで行っている。フルムーンとかいろいろなチラシがありますが、そういうものを持っては行っております。しかし、余り無制限にまいてくるな、各戸戸別にまいてくるな、当たって買いそうな人にだけ渡してこいとか、そういうように非常に全体がけちけちしていますね。そしてまた名刺なんかでも、大変お粗末な名刺ですよ。ゴム判を押したような名刺を持たせてやっていますね。それから服ですね。これは構内で、現場で作業している人ですから、そういう接客用の服しゃないのです。作業服で行っているのです。作業服で昼間もどんどん行かせている。そういうようなことで、企画商品を売るということに国鉄当局は本当に熱意があるのだろうか。  私は、いろいろ調べてみると、そういう余り熱の入らないような、そういう各戸訪問をして切符を売るというような仕事じゃなくて、もっと保安だとか直接的に収益の上がるそういう場所があるのじゃないかと思うんですよ。例を申し上げますと、保安が大変おろそかになっているんですね。片方で過員が出ていながら、あとは要員がいないのです。  例えばこういう例があるんですよ。ことしの二月二十四日です。時間がありませんので、もう余り詳しくはお話ししません。これは置き石をやられましてね。気がついた。ところが、次のホームでもって連絡しようと思った。これは次の折尾駅の話ですが、折尾駅に着いたので連絡しようと思った。ところが、ここには結局運転係しかホームにいない。そうすると、連絡しようと思っても、これは十二両車両だから、行って帰ってくると、三十秒停車では間に合わぬというのです。それでどんどん行って、とうとう門司港まで行ってしまったという例なんですね。そうすると、その次の列車がやはり同じような置き石のいたずらに遭っているんですね。幸い脱線転覆というようなことがなかったからいいですけれども、やはりホームに保安要員、運転係を置くというのは保安上重要だと私は思うんですよ。昔は乗客係というのをホームの後ろと前にちゃんと置いておったわけでしょう。そうすれば、ぴしっと連絡もできるわけですね。これができないという例があった。  それからまた、これもかいつまんで言いますけれども、日豊線の朽網駅、でドアが故障したのです。ドアが故障しますと、国鉄の保安規程によると、縄を張ってそのドアに職員が一人立って、それで発車オーライ。ところが、そういう人間がいないというんですよ。幾ら連絡したって、それは米やせぬというわけだ。どこの駅だって手いっぱいだから、そんな要員はいないというわけです。それで結局、局に電話したら、いや、もうそこで直して発車せい、何でもいいから直せ、こういうことらしいんですね。この日はたった十一分間ぐらいおくれてドアが直ったそうです。それだからいいのですけれどもね。だからこういうような保安要員というものは、過員センターで人が余っているというならこういうところに私はどんどん人をつぎ込むべきだと思うんですよ。  それからまた、まとめて言いますけれども、五九・二のダイヤ改正でもって無人駅をずっとふやしたでしょう。無人駅をふやしましたら、その無人駅の一月の収益と二月の収益では、無人駅になる前となってからではどのぐらい収益が違っていると思いますか。みんな軒並み収益が約半分ですよ。例えばこれは筑豊の話ですが、勝野駅では一月は二百二万円の収益があった。ところが二月は九十一万円、半分以下。小竹駅は五百万円あったのが二百十五万円になっている。中泉駅では百三十四万円あったのが六十四万円、大体半分ですね。赤池駅では四百十万円あったのが二百五十万円、これは半分ちょっとですね。磯光駅、ここでは百六十万円あったのが八十五万円。それから筑前宮田駅では、三百三十万円あったのが百四十九万円、大体半分ぐらいにどんと収益が下がっているんですね。それもちゃんと改札をやってですよ。過員がいるからというので臨時に改札を無人駅に出しておいてもこれだけ下がってしまう。ですから何のために無人駅にしているのか。収益を上げるために、あなたたちは経費を余りかけないようにというので無人駅にしているのに、無人駅にしたとたんに、もうがぼっと収益が減っているというんですね。ですから、こういう無人駅をどんどんつくるのではなくて、そういう無人駅を有人駅にすることによって収益を上げるというような方法にそういう過員を充当したら、より国鉄再建には役に立つと思うのですが、今三つほど例を挙げましたけれども、太田さんの御見解を承りたいと思います。
  329. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  330. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 速記を起こして。  太田常務理事
  331. 太田知行

    ○太田説明員 まず第一点の営業開発活動についてのお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国鉄の民族全体が初めて体験するような事柄でございますので、駆け足しながら準備をするという面もありまして、それは先生御指摘にならぬようなもっと不備な面もたくさんございます、率直に申し上げまして。そこをみんなでやがて気をつけながら、気がついたのを逐次直しているという状況にございます。例えば一例を申し上げますと、今お話しの中で、構内の従事員であった者が作業服のまま開発といいますかセールスに行っているというお話がございましたが、もうそれはそのとおりまことに不都合でございまして、つとに門司当局もそのことに気がついて私の方に言ってまいっておりまして、何日になりますか、つい最近、そういう開発要員、セールス要員のためにということで、普通の出札係や改札係が着るような制服を送っております。ほかの各地にもいろいろなそういう配慮をやっているわけでございます。  それから二番目が、合理化をした後の業務の遂行の仕方、なかんずくその合理化によって保安度が低下しているのではないかという御趣旨の御指摘かと存じますが、これは、私どもはまさに保安、安全、安定輸送こそ国鉄の生命であるという自覚のもとに、合理化のあり方については大変慎重に取り運んでいるところでございますし、また現にそういう事柄については、団体交渉をやって、かんかんがくがく相当時間をかけて真摯な論議をやってクリアしているわけでございます。合理化したからといって保安度を低下せしめるということは万に一つもあり得ないということを私は確信していると申し上げたいと思います。  それから三つ目については、新たな過員活用の方式あるいは増送、増収のための御提言、これは大変優渥なお言葉と思って私は拝聴しておりましたが、若干意見を異にすると申し上げざるを得ないのは、無人駅にしたから収入が減った。それは無人駅では収入は上がりませんけれども、そのために車掌に頑張ってもらうようにもしているわけでございますし、行った先で精算をするようにもしているわけでございます。  それから余剰人員の活用としての無人駅への配置その他は、先ほど言いましたように合理化について十分諸要素を検討した上で無人駅でいいと踏み切ったわけでございますから、直ちに常時有人に戻すという必要はないと存じますが、例えばお祭りがありますとか何か催しがありますとかという場合には当然そういう臨時の配置ということは考えられますし、あるいは特別改札要員、車掌ですね、検札行路を組んで特に検札して回るための仕事を用意するとか、先ほど具体的には申し上げませんでしたが、いろんな知恵を各地各様に出して、まさに収入確保の大事な大事なポイントでございますから頑張っているところでございます。
  332. 三浦久

    ○三浦(久)委員 委員長、済みません。あと一問、一分だけ。  労働省にちょっとお尋ねします。  労基法の十五条に「労働条件の明示」という問題がありますね。それで、労基法の施行規則の第五条に業務に関する事項も明示すべき労働条件だということになっておりますね。そうすると仕事の内容、いわゆるどういう仕事に当たるのかという、その業務内容というものも明示すべき労働条件だというふうに解釈していいんでしょうか。  それで終わります。
  333. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 三浦君、恐縮ですが、もう一度、お願いいたします。
  334. 三浦久

    ○三浦(久)委員 時間超過して申しわけありません。  労働省にお尋ねします。  労働基準法第十五条に「労働条件の明示」の条文があります。それを受けて、労基法の施行規則の第五条に、業務に関する事項も明示すべき労働条件というふうになっておりますね。ですから、当然仕事の内容、業務の内容も明示すべき労働条件というふうに言えるのかどうかですね。もう時間がありませんから、結論だけでいいです。
  335. 廣見和夫

    ○廣見説明員 「従事すべき業務に関する事項」は、御指摘のとおり労働基準法上におきまして、労働契約の締結に際し明示すべき労働条件の一つということになっております。
  336. 三浦久

    ○三浦(久)委員 終わります。どうも済みませんでした。
  337. 戸塚進也

    ○戸塚委員長代理 次回は、来る十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十四分散会