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1984-03-29 第101回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十九日(木曜日)     午後零時四十五分開議 出席委員   委員長 片岡 清一君    理事 池田 行彦君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 松浦 利尚君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       石原健太郎君    内海 英男君       大島 理森君    鍵田忠三郎君       菊池福治郎君    塩川正十郎君       月原 茂皓君    林  大幹君       角屋堅次郎君    元信  堯君       渡部 行雄君    鈴切 康雄君       山田 英介君    田中 慶秋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         国 務 大 臣 藤波 孝生君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      中西 一郎君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         長       斧 誠之助君         総理府人事局長 藤井 良二君         宮内庁次長   山本  悟君         皇室経済主管  勝山  亮君         外務大臣官房長 枝村 純郎君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      緒方 良光君     ————————————— 三月二十九日  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願(小沢貞孝紹介)(  第一六六〇号)  同(片岡清一紹介)(第一七四一号)     ————————————— は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一三号)  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 片岡清一

    片岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は、去る二十七日終局いたしております。  これより討論に入るのでありますが、申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 片岡清一

    片岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  4. 片岡清一

    片岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、宮下創平君外三名から、自由民主党・新自由国民連合日本社会党護憲共同公明党国民会議及び民社党国民連合共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。宮下創平君。
  5. 宮下創平

    宮下委員 ただいま議題となりました自由民主党・新自由国民連合日本社会党護憲共同公明党国民会議及び民社党国民連合各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について引き続き検討の上、適切な措置を講ずべきである。  一 激動する国際情勢の中にあって、我が国が自国の安全を確保し、その国際的責務を遂行するため、従来にも増して積極的な平和外交を展開しうるよう、情報機能強化等外交実施体制の一層の整備強化に努めること。  一 在外職員が職務と責任に応じて能力を十分発揮しうるよう必要な措置を講ずること。特に生活及び勤務環境の厳しい地域に在勤する職員勤務環境整備・処遇の改善等に努めるとともに、小規模公館に在勤する職員勤務体制等改善に努めること。  一 在外公館の事務所及び公邸の国有化を推進するとともに、在外職員宿舎整備に努めること。  一 海外子女教育の一層の充実を期するため、在外日本人学校及び補習授業校拡充強化子女教育費負担軽減帰国子女教育制度改善及び施設の整備等の対策を総合的に推進すること。   右決議する。  本附帯決議案趣旨につきましては、先般来の質疑を通じまして明らかなことと存じますので、よろしく御賛同のほどお願い申し上げます。(拍手)
  6. 片岡清一

    片岡委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 片岡清一

    片岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。安倍外務大臣
  8. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ただいま在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、本法案の御審議の過程においては、外交活動基盤強化につき深い御理解と貴重な御提案を賜ったことに対し、厚く御礼を申し上げます。  法律案と同時に可決されました附帯決議内容につきましては、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存でございます。まことにありがとうございました。     —————————————
  9. 片岡清一

    片岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 片岡清一

    片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  11. 片岡清一

    片岡委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ————◇—————     午後三時三十八分開議
  12. 片岡清一

    片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出皇室経済法施行法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。中西総理府総務長官。     —————————————  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  13. 中西一郎

    中西国務大臣 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  改正の第一点は、皇室国会の議決を経ないで賜与及び譲り受けをすることができる財産限度価額改正することであります。  皇室経済法施行法第二条の規定により、現在、天皇及び内廷皇族については、これらの方々を通じて賜与の限度価額は九百九十万円、譲り受けの限度価額は三百三十万円、その他の皇族については、成年に達した皇族にあっては賜与及び譲り受けの限度価額はそれぞれ九十万円、未成年皇族にあってはそれぞれ二十万円となっております。  これらは昭和四十七年に現行の価額に定められたもので、その後改定されることなく現在に至っております。しかしながら、前回の改定以後、経済情勢等に相当大きな変動がありますので、今回その価額を改定いたしたいと存じます。  すなわち、その間の物価指数等を考慮して、天皇及び内廷皇族については、これらの方々を通じて賜与の限度価額を千八百万円、譲り受けの限度価額を六百万円とし、その他の皇族については、成年に達した皇族にあっては賜与及び譲り受けの限度価額をそれぞれ百六十万円、未成年皇族にあってはそれぞれ三十五万円に改定することにいたしたいと存じます。  改正の第二点は、内廷費定額及び皇族費算出基礎となる定額を改定することであります。  内廷費定額及び皇族費算出基礎となる定額は、皇室経済法施行法第七条及び第八条の規定により、現在、それぞれ二億二千百万円及び二千四十万円となっております。  これらの定額昭和五十五年四月に改定されたものでありますが、その後の経済情勢、なかんずく物価の趨勢及び国家公務員給与引き上げ等にかんがみ、内廷費定額を二億五千七百万円、皇族費算出基礎となる定額を二千三百六十万円にいたしたいと存じます。  ただし、昭和五十九年度分につきましては、現下の厳しい経済情勢財政事情等を考慮して、定額変更による増加額の二分の一に相当する額を節減するものとして算定し、同年度における内廷費定額を二億三千九百万円、皇族費算出基礎となる定額を二千二百万円にいたしたいと存じます。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  14. 片岡清一

    片岡委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  15. 片岡清一

    片岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。小川仁一君。
  16. 小川仁一

    小川(仁)委員 ただいま御提案になりました皇室経済法に対します前に、大変恐縮でございますが、それに関連した公務員賃金問題で、官房長官が四十五分にお見えになるというお話なので、途中で官房長官がお見えになりましたら質問順序を変えさせていただきますことを前もってお願い申し上げておきます。  さて、今回のことに関連して申し上げますが、これによりますと、定額支給の仕方が、内廷費にあっては全額一括でございますが、皇族費にあっては親王妃殿下金額がそれぞれ遣われる。こういう算出の仕方というのは、何か根拠がございましょうか。
  17. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいまの御質問、御指摘のとおりに、現在の皇室経済法によりますと内廷費につきましては一括、したがいまして、天皇皇后陛下初め皇太子一家内廷費といたしましては一つ定額で決められております。皇族費の方は、成年男子親王につきましての定額基本に決められておりまして、それに対しまして妃殿下の場合には五割でございますとか、未成年親王幾らであるとか、あるいは王は幾らであるとか、こういうようなそれぞれの身位なり年齢なりに応じましての額の決め方になっております。  この理由として考えられますことは、内廷関係天皇皇后陛下及び皇太子一家ということでございまして、現在の皇室制度の中心として御一体的に御活動になる、こういうような考え方基礎にございまして、この法律制定当時からそういったようなことで一括金額が決められている、かようなことになってまいろうかと存じます。  それに対しまして宮家というものを考えますと、各宮家はやはりある程度それぞれ独立した格好での経済運営もなさっているし、御活動もなさっている。そして、宮家というのはそれぞれ構成員も違っておりますし、いろいろな条件あるいは御態様というものがあるわけでありまして、そういうようなことからいたしまして、まず宮家の場合にはそれぞれの方数あるいはその御身位に応じてというような考え方がとられたんではないか、また、現在もさようなことを踏襲いたしているというように存ずるわけでございます。  なお、当然のことながら、皇族費の方におきましては、身位によりまして親王ランクと王のランクとではやはり「品位保持の資に充てる」というもののランクが違っておりまして、親王定額を一〇〇といたしますと王の場合には七〇%というような決め方もあるわけでございますが、そういったような個々御身位個々宮家構成といったようなものを考慮すれば、州立てにそれぞれのことで計算するのがいいのではないか、こういうような考え方でこの立法ができているものというぐあいに存じております。
  18. 小川仁一

    小川(仁)委員 品位というお話がございましたが、そうしますと親王の方が一〇〇としますと、内親王の方は定額からいきますと二分の一の品位、こういうふうに我々理解するわけにはまいりませんけれども、今、男女平等の世の中でございまして、憲法でも両性平等でございますし、それから別な委員会では男女雇用平等法なんというのも出ている時代でございます。生活費にもかかわる問題かと思いますけれども、こういう差別をつけられて品位などという御説明をなさいますと、国民の方はなるほどその程度かなというふうな印象で受けとめることになると思いますが、その辺は今の御説明ではちょっと格好つかないんじゃないでしょうか。
  19. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま品位と申し上げましたのは、御案内のとおり皇室経済法で書いてあります「皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるため」の経費、やはりいろいろの御活動なり何なり、そういったものを勘案いたしましてこういうことが考えられたと存じます。それに対して内廷の方は、御案内のとおり、これは品位保持といいますより、すべてのもの、すべての経費というようなことでございまして、内廷費考え方皇族費考え方というのは同一ではないわけでございますが、何と申しますか御活動の範囲その他というようなことで、こういうことも考えられたのかというような感じもいたします。また、男女平等法、条約といったような関係の方でのいろいろな労働に対する対価というような考え方は、もともと入ってないんじゃないか、こういうようなことにも思えまして、制定当時からのこの考え方は、現在でも踏襲してしかるべきじゃなかろうかというように存じております。
  20. 小川仁一

    小川(仁)委員 官房長官お忙しいところ見えになりましたので、質問順序を変えさせていただいて、お願いをいたしたいと思います。  どうも御苦労さまでございます。お忙しいところ恐縮でございます。時間がないようですから、端的に御質問を申し上げますから、お答えを願いたいと思います。  私たち見ますと、一般行政職公務員、それから自衛官のような特別公務員がございますが、一般公務員の方は人事院勧告によって給与その他すべて決まります。自衛官の方は自衛隊の方でお決めになりますが、その給与内容を見ますと、基本給のほかにいわゆる自衛官の特別の手当、例えば空軍の人が飛行機に乗れば飛行機に乗った手当がつくとか、あるいは現物給与、隊舎における食事等、あるいは被服、乳類といった給与、さらには健康保険法本人分国庫負担、こういったような一般公務員とは違った給与が行われております。  それぞれの仕事の特色もあるかと思いますが、私の考え方では、これはちょっとバランスをとりにくいな、とれていないじゃないか、昔の軍隊の経験を持つわけじゃございませんけれどもこういう感じがいたしますので、内閣全体として、一般行政職公務員自衛官を見てこれでほどよくバランスがとれているだろうか、しかし今後検討しなければならない問題があるだろうか、このことについてひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  21. 藤波孝生

    藤波国務大臣 御指摘の点でございますが、自衛官には、その勤務特殊性から、現物給与として食事支給でありますとかあるいは療養の給付を行っているところでございますが、これらにかかる経費のうちの一定額を、自衛官給与を決めます際に、俸給を決定する際にあらかじめ控除するということになっておりまして、そういう意味では自衛官一般職公務員というのはバランスをとるということになっておる次第でございます。部分的には少しいろいろあるかと思いますけれども、基本的にはそんな仕組みになっておる、そのように心得ておる次第でございます。
  22. 小川仁一

    小川(仁)委員 これは意見になりますけれども、ひとつこの点、いろいろ申し上げませんが、バランスの問題を含めて御検討をお願いしておきたいと思います。  次は、人事院勧告の問題について触れます。  経過的なものはもうおわかりになっておりましょうから一々申し上げませんが、完全実施をされた四十五年というのは、ちょうど私、公務員共闘事務局長をしておりまして、当時の大蔵大臣福田総理自民党幹事長田中総理、こういう状況でございました。そのときに私たち申し上げたのは、公務員政府使用人である、使用人抗議行動を起こさせたり、あるいは使用人から不満が出るようでは、使っている人自体いわゆる政府の評価、権威というものが下がるのではないか、思い切ってこれを完全実施すべきだ。こういういわゆる内閣権威品位にかかわる問題として申上げましたところ、当時の福田総理は、わかった、どんな出血も覚悟してやろう、こうおっしゃいましたし、田中総理は、よっしゃよっしゃとはおっしゃいませんでしたけれども、こういう問題は党自体が考えなければならないものだから、党でもって処理をする、こういうお話をなさいました。当時の総理府総務長官は山中さんでございましたが、こういうことを考えてみますと、そういう考え方というものが一貫して政府に流れているだろうし、歴代総理の中にあられるだろう。  ここ四年ぐらい抑制とか凍結とかということがございますが、もうこの辺で、当時の佐藤総理、あるいはその後総理をなさいました福田田中両元総理のような決意を中曽根総理がお持ちになる時期だと思います。きょうは総理をというわけにはまいりませんので官房長官にお願いしますが、今回人事院勧告が出ました際には完全実施をなさる、もうこの辺でこうお話をいただきたいものだと思って特にお願いしておるわけですので、御見解を承りたい。
  23. 藤波孝生

    藤波国務大臣 先生公務員共闘事務局長として御活躍になられまして、この制度意味合いというものを最もよく御理解になっていらっしゃるところでございますが、政府といたしましても、人事院存在意義でございますとか人事院勧告の持っております意味合いというものにつきましては十分理解をいたしておるつもりでございます。  代々、内閣におきまして人事院勧告が出た暁にこれを完全実施をしたい、こういう気持ちであらゆる努力をしてきておるところでございますが、何分にも総合的に判断をいたします際に大きなウエートを占めておりますものは財政状況ということになるわけでございまして、前内閣の際に、財政状況の非常な厳しさの上に立ちまして人勧を見送るという措置が講ぜられたところでございます。昨年も非常に厳しい状況の中で完全実施ができないまま推移をしてきておりまして、そのことは公務員皆さん方に対して大変申しわけない、まず隗より始めよということで公務員方々に大変な御苦労をいただいておるところでございますが、人事院並び人事院勧告の持つ意味合いからいたしましてそれはいいこととは考えておるわけではありませんで、何とか完全実施するような形になればと、このように考えて今日に至っておるところでございます。  五十九年度につきましては、人勧が出ました段階政府といたしまして関係閣僚それぞれまたよく相談をすることになるかと思うのでございますが、総理といたしましても、従来も国会、特に予算委員会等で御答弁を申し上げてきておりますように、完全実施に向けてあらゆる努力をしたい、こういう気持ちを持っておりますので、人勧が出ました段階判断をすることになりますけれども、先生の今お話しになりましたような御趣旨に沿うようにあらゆる努力をして、政府態度を決定をするようにいたしたい、このように存じておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
  24. 小川仁一

    小川(仁)委員 時間がありませんから、もう一つだけお願いします。  今のお話を聞いておりますと、結局政府としては人事院勧告を尊重するという基本的な姿勢堅持をしていく、こういうふうにお話を集約して理解してよろしゅうございましょうか。
  25. 藤波孝生

    藤波国務大臣 常にそういう考え方でまいりましたし、五十九年度につきましてもそのような考え方で臨んで、態度を決めるようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  26. 小川仁一

    小川(仁)委員 あと具体的なことについては総務長官あるいは人事院総裁等にいろいろ御質問をし、御意見を申し上げたいと思いますので、官房長官の方もぜひ基本姿勢だけは堅持をしていただきたい。細い部分の調整はあるとしても、基本を守るということが今一番大事だということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  では、前へ戻らせていただきます。  先ほど皇室問題を御質問申し上げましたが、私が男女雇用平等法を申し上げたのは、賃金のことを言うつもりではなくて、男女平等という考え方を申し上げたつもりでございます。それで、例えば皇室全体を見ましても、何か男女平等でないという感じが非常にするわけでございます。  一つの例で見ますと、皇嗣は男系男子と書かれております。摂政の方は皇后も皇太后もなれる、というふうに書いてある。こういう男女の違いはどこから来ているでしょうか。日本にも女帝歴史もございます。どうして皇室だけが、先ほどの定額の問題を含めて、男性と女性に差があるのでしょうか。その差が出てきている基本的な考え方というのは何でございましょうか。この点についてお伺いしたいと思います。
  27. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、皇室典範皇位継承は「男系男子」という規定を第一条に置いているわけでございますが、これは日本国憲法が御審議された際、また同時に皇室典範も御審議になったわけでありますが、その際にいろいろと議論のあったところとは伺っているわけでございます。その際の御議論からいたしまして、やはり日本皇室天皇制というものの皇位継承の仕方は、歴史的に見て男系男子ということが基本である。女帝がおられたことは歴史的にも御指摘のとおりでございますが、女帝は、男系男子に引き継ぐまでの間の特別な事情のもとにおいて女帝というものがいらっしゃったということで、系統としてということから申しますと、日本歴史としては皇室の場合には男系男子ということで一貫をいたしている、こういう伝統と申しますか歴史と申しますか、そういうことが判断をされまして現在の皇室典範の第一条になったというように我々も承知をいたしているところでございまして、ただいまのようになぜだとおっしゃられれば、やはり皇室典範の御審議の際に御議論になったように、日本歴史伝統に基づいてのことであろうというようにお答えするわけでございます。
  28. 小川仁一

    小川(仁)委員 日本皇位の、天皇家の一番初めの方は男系でございますか、女系でございますか。
  29. 山本悟

    山本(悟)政府委員 今の歴史といたしましての天皇なり天皇制というものを考えていきます場合には、やはり男系で百二十四代まで続いてきているということは御承知のとおりでございます。(小川(仁)委員「一代目はどっちですか」と呼ぶ)神代のことでございますから何とも申し上げかねますけれども、天照大神というぐあいに存ずるのが普通であろうと思います。
  30. 小川仁一

    小川(仁)委員 別にそのことでどうこうけちをつけるという気持ちではございませんけれども、私は、内親王でも親王妃殿下でも総合して、一括して内廷費のように予算上組まれて、そこの中でお使いになるという形が本当はいいのじゃないかと思ったから以上のような申し上げ方をしたのです。何か別々に分けられて、品位が違うなんというふうに言われますと、時代逆行と言っては失礼ですけれども、かなり妙な印象国民に与えるのではないか、こういう感じで申し上げたわけでございます。  話の趣旨をもってわかっていただいて、その次に、この機会でないとなかなか御質問申し上げられないので、ふだん天皇家とはおつき合いもないし、かいま見ることもないわけでございますので、ひとつお聞かせ願いたいのですが、国有財産の項のところにカモ場が二カ所ございます。あれはかなり前に環境庁の方で問題になりまして、その後どのようなお使い方をしておられますか、お聞かせ願いたいと思います。
  31. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおり、現在カモ場は二カ所、皇室財産といたしまして宮内庁で管理をさせていただいておりますが、カモ場は御案内のとおり、カモの飛来いたします季節に、通常でない、網によるカモの捕獲というような古儀的なやり方を保存をいたしているわけでありまして、そういったところに国公賓あるいは外国の大公使、使節団といったようなものを御接待をいたしたり、あるいは国内関係内閣、衆議院、参議院、最高裁といったような方々をある程度御接待をする、陛下のおぼしめしによります労をおねぎらいになる場というようなことで使わせていただいているわけでございます。  一時、カモ場というのが、環境庁の方からのいろいろな御批判があったことも存じておりますが、その際の御批判の主たるあれは、要するに自然に生きているカモを捕獲して食用にしてしまうということについていかがかというような御議論があったように承っているわけでありますが、その後いろいろな点もございますが、現在は捕獲したカモをその場で食ぜんに供するというやり方はやっておりません。接待でございますから昼食等出すわけでありますが、このときには通常のアイガモを使っておりまして、捕獲したカモは、カモにつきましての自然保護の観点からの鳥類の調査ということで、それぞれの標識をつけましてまたこれを放鳥をして、シベリアとの間でいろいろなカモの行き来、あるいはアメリカとの間のカモの行き来といったようなものの資料にいたしているというのが実態でございます。
  32. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうしますと、余り有効なお使い方でもないようでございますし、御高齢の天皇が一々野外のカモ場へ行ってカモをごらんになるわけでもないでしょうし、そういう観点からいえばもう二カ所も要らないのじゃないか。国民財産でもございますし、この狭い日本の領土でございますから、お考えおきをいただいて、一カ所ぐらいは御返還なさった方が天皇国民の間の心理的な近きも出てくるのではないか、こんなふうに考えます。  同時に、私は環境庁からの批判というのは、環境庁自身ではなくて国民からの批判だったというふうに考えます。その場でおとりになったものは召し上がらない。足にニウムの管か何かつけてお放しになるという程度のことは、あそこでやっていただかなくてもほかの研究所でやっておりますので、御心配なさらなくても結構でございますから、もうそろそろお返しになった方がいいという考え方を申し上げますが、そのことについてはお考えになったことございますか。
  33. 山本悟

    山本(悟)政府委員 野鳥の保護という点から申しますと、どこが管理する云々等は別にいたしましても、カモその他の野鳥の自然保護の場という意味の機能は果たしていると思います。そうし、て、例えば千葉にございますカモ場の場合には、大きな干潟の続きでございましたので、そばに市の方で経営いたしております野鳥観察所というものができておりますが、それができますについてはカモ場の相当部分のものをそちらの方にお譲りをして、今、実際上は一体になって野鳥がいっぱい来るような場になっているというようなことでございますし、埼玉の方は、ごらんいただくとおわかりいただけますが、やはりだんだんと市街地が近づいてくるというようなことで、相当な池というようなもので野鳥の憩いの場になっていることは事実でございまして、どこが所管するということは別にいたしましても、そういう場になっていることは間違いないことと思います。  その上に、やはり数少ない皇室としての外交的な意味での接待の場という意味からいたしますと、やはり外交団の間その他におきましては非常な評価も出ているわけでございまして、御指摘の点は御意見として十分承らさせていただきますが、ただいまのところはやはりそれぞれの機能をさせていただいているのではないかと存じておるところでございます。
  34. 小川仁一

    小川(仁)委員 私の考え方を申し上げましたので、御検討願えれば結構でございます。  どういうところで申し上げたらいいかなかなか見当がつかないから、こんなふうなところで申し上げましたが、ついでに、御料牧場というのがございますね。天皇家は私的生産をなさらないと思いますが、御料牧場で生産をされております例えばミルクとか、あるいは加工関係もおやりになってバター、チーズもおつくりになるとかという話を仄聞いたしております。そういうものの扱いは一体どうなっておるのでございましょうか。
  35. 山本悟

    山本(悟)政府委員 主として御料に供しているわけでございます。そうして、いろいろな国公賓等の午さん、昼さんというようなときでも、ただいまおっしゃいましたようなバターその他は生産品を使うというようなことで活用をいたしております。  また、御料牧場で一番重点を置いてやっておりますのは羊の生産というようなことでございますが、こういうようなものは、このごろのように外国のいろいろな宗教関係でもって肉類といいましてもいろいろなものが要るというようなときには、非常に活躍をしてくれているということでございまして、国内的に申し上げますと、例えば園遊会その他におきましての使用というようなものに主として充てているということでございます。
  36. 小川仁一

    小川(仁)委員 国有財政を使っての私的生産ということ自体に私はちょっと疑問を感ずるのですが、国有財産で私的生産をなさいます場合には、普通は国庫の収入になるのが当然でございますから、一遍こっちへ入ってからまた戻るという格好でございますか。それとも、御料牧場だけでなしに幾つかの国有財産をお使いになっているわけでございますが、ほかの場所で生産を上げておられるという話も聞きませんけれども、もし仮にそういう場所で私的生産をなさるというようなことの可能性も含めますと、御料牧場という名前の中における生産物の処理は、ふだんお使いになるためにという形であるならば、逆に言うと今日皇室経済法で差し上げております内廷費プラス生産物という形になるのか、内廷費の中にそういうものが含まれているのか。国有財産であるだけにこの関係を明らかにしていただきたいと思います。
  37. 山本悟

    山本(悟)政府委員 国有財産のうちの皇室財産といたしまして、国有財産法に基づき皇室の用に供するものとして指定をされまして使わせていただいているということでございます。したがって、そういうところから生産されたものは直接御手に供するという建前のもとにただいまの公的私的全体の経費が組み立てられているわけでありまして、それは当然に皇室としてお使いになるための牧場として提供をするというお考えのもとに、国有財産としての御料牧場が皇室財産として提供されているというぐあいに存じております。
  38. 小川仁一

    小川(仁)委員 それの法律的根拠をちょっとお知らせ願いたい。
  39. 山本悟

    山本(悟)政府委員 国有財産法の第三条に「国有財産の分類及び種類」というのがございますが、その第二項の第三号「皇室財産 国において皇室の用に供し、又は供するものと決定したもの」となっているわけでございまして、この財産といたしまして御料牧場というものが決定をされておるというぐあいに存じております。
  40. 小川仁一

    小川(仁)委員 いろいろ御質問申し上げましたが、結局は国民皇室の間が心理的に非常に遠いわけでございます。私もお聞きしなければいろいろわからないという状態、何せ国会においでになることがあっても礼服を着なければ出られないというふうな状況でございますので、ひとつ宮内庁としていろいろお考えになる過程の中で、人間宣言もなさったのですし、国民との間の心理的な近さというものをもっとお考えになったらいかがでしょうか。相撲をごらんになるときテレビで見るというのが国民天皇に対するつながりみたいな状況の中で天皇が存在するということは一体どういうことなんだろうか、私は非常に疑問を感ずるのです。なぜ、天皇国会に来られるときに平服でお迎えしてはいけないのか、この辺もどうしても私は感じられないし、四月二十九日や何かの御招待のときにも礼服でございまして、夫婦そろってなんというとき、妻の方は聞いたこともないような服装を書いておられたりするのですが、もうこの辺で宮内庁でおやめになる考え方はありませんか。そうしなければ品位とか権威とかと申しますけれども、それではどうにもならない、こんな感じがするので、この間の事情についてひとつ御説明願いたいと思います。
  41. 山本悟

    山本(悟)政府委員 いろいろなお考えのあることはよく存じているわけでありますが、やはり天皇というものは日本国憲法によりまして日本国及び日本国民統合の象徴として特別な地位を認められている方、こういうことであることは間違いなかろうと存じます。そういうお立場にしても、それはもっとより国民に親しみのある、より開かれたというのが望ましいというお考えなり御議論はよく承知をいたしますが、やはりそういう特殊な地位にある方と国民方々との対応というようなものであれば、おのずと一定の儀礼というようなものも存在する必要はあろうかとも思います。この辺が、どの辺が一番調和されたいい点であるのか、なかなかやはり難しい問題でございまして、考えなければならぬ点が多々あることはよく存じておりますが、ただいまのところはそういうただいまのような程度のことをいたしているわけでありまして、どれがどうというのは、国際的な一つの儀礼というような標準もございましょうし、いろいろなことも考え合わせながら現在の姿ができ上がっていっていると存じます。
  42. 小川仁一

    小川(仁)委員 昔は皇居の周りに近衛師団なんというものがございました。今は、中曽根総理日本が不沈空母でバックファイアの壁だなどと申しております。非常に戦争の脅威を主張しておられますが、宮内庁としては、天皇の防護で、例えば核シェルターみたいなものをおつくりになっておりますかどうか、これを聞いて終わりにしたいと思います。何にもしておられないということになると、バックファイアの壁の下におられるので大変危険じゃないかと思うので、そのことをあわせてお伺いしたい。
  43. 山本悟

    山本(悟)政府委員 端的に申し上げまして、戦後、新しいそういったものに対応する施設をいたした事実は全くございません。またそういう考えも、現在何も起こっておりません。御案内のとおりに、日本国全体というものがあるわけで、その社会の一つの中にあるわけでありまして、飛び離れたことが行われるべきでもないし、行われるわけもない、かように存じております。
  44. 小川仁一

    小川(仁)委員 宮内庁、まだよくわかりませんけれども、ひとつわかりやすい、というと語弊がありますが、わかりやすい、こういうことを前提にして今後御配慮を願っておきたいと思います。どうもありがとうございました。  次に、公務員の賃金関係に移らしていただきたいと思います。総理府の総務長官人事院の総裁にこれに関連してお尋ねをいたしたいと思います。  もう既に今まで公務員の賃金関係については随分言い古されました。私たちも議事録その他でいろいろわかっておりますけれども、この機会にゃはりきっちりしたものをお聞かせ願いたいと思いますので、今までの他の委員会との重複も幾つかあるかと思いますが、お許しを願って申し上げます。  まず、全農林の警職法判決、これはもう申し上げなくても御存じだと思います。この判決に関連して、現在人事院勧告を抑制したりあるいは凍結したりしている状況というものをどのようにお考えになっておられるでしょうか。これは給与担当の総務長官人事院総裁、お二人にお伺いしたいと思います。
  45. 中西一郎

    中西国務大臣 全農林の判決の話、最高裁で判決がございましたが、大変多岐広範にわたっております。一々全部申し上げるわけにもいきませんが、憲法二十八条の労働基本権の保障ということにつきまして、これは公務員にも当然及ぶということが一つ、それから、全体の共同利益という見地から公務員の労働基本権に制約があるということも免れることはできない、こういうことの関連でいろいろ言っておるわけですが、その勤務条件につきましては、政治的あるいは財政的、社会的その他各般の合理的な配慮をして立法府で決定されなければならないというような考え方であろうと思います。政府としては、当然のことでございますが、この判決の趣旨は尊重してまいらなければならないと考えておるところでございます。
  46. 内海倫

    内海政府委員 お答え申し上げます。  最高裁判決の内容につきましては、今先生からもお話のありましたように、よく承知されておるところでございまして改めて申し上げることは差し控えますけれども、あの中に判決として出ておりますことは、要するに、労働基本権の制約を受けております国家公務員に対して、その最も大事な勤務条件、勤務条件の中には給与というものももちろん含むわけでございますが、これに対していかなる代償機能を営むものをつくるか、あるいはそれが代償機能として働くか、そしてどういうふうな代償措置をとるか、そのための人事院あるいは人事院勧告というものが極めて重要であるということを指摘しておるわけでございます。  このことは既に、政府におきましても人事院におきましてもしばしば御答弁を申し上げておるところでございますが、先ほど御質問のように、あるいは人事院が行いました勧告が見送られるとかあるいは非常に厳しい抑制が行われるというふうなことがもし今後継続して行われるようなことに相なりますと、この判決も示しておりますようにこれは容易なことではないと考えますので、私ども人事院において考えておる者たちは、何としても、今後は政府国会におかれましてぜひ我々の勧告を尊重していただいて、いろいろな問題の起こることのないようにしていただきたい、これが私の最高裁判決に対する所見でございます。
  47. 小川仁一

    小川(仁)委員 総務長官にお伺いします。  今行われておる状況と関連してですけれども、例えば昭和五十五年の指定職の十月実施。簡単な言い方をしますよ。それから昭和五十六年の課長以上の給与改定の一年間の留保の事態。  こういったようなものを見てみますと、先ほどの最高裁判決の中で、例えば「その代償措置が迅速公平にその本来の機能をはたさず実際上画餅にひとしいとみられる事態が生じた場合には、公務員がこの制度の正常な運用を要求して相当と認められる範囲を逸脱しない手段態様で争議行為にでたとしても、それは、憲法上保障された争議行為である」、こういうふうな部分があるわけでございます。  今申し上げた、ある部分に限っての留保、こういうことは、判決の中の「公平」という問題にかかわって非常に遺憾なことだと思いますが、どうでございましょうか。
  48. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しの「代償措置が迅速公平にその本来の機能をはたさず実際上画餅にひとしいとみられる事態が生じた場合」云々でございますが、確かに最高裁判決の中の追加補足意見として掲げられております。御引用の五十五年の指定職、五十六年の管理職についての据え置き、これは公平ということにそぐわないのではないかという御指摘かと思います。  私どもの考え方としては、確かに完全実施が一番望ましいとは思うのでございます。しかし、やむを得ない、許容される範囲内というものの中で指定職なり管理職なりについての若干の措置が加えられて制約を受けたということも、許容される範囲内ならばやむを得ないのではないかと思います。しかし、そういうことがずっと続いていいかということになると、そうはまいらない、今人事院総裁も言っておられましたが、そのように思います。  そんなようなことで、昨年の暮れでございますか、丹羽前長官も異例の措置であったというような言明を参議院の内閣委員会でしておられまして、そういったことを踏まえて、本年も人事院勧告がいずれ出ますから、出た上では最大限それを尊重しなければならないということで、現在考えておるところでございます。
  49. 小川仁一

    小川(仁)委員 何か質問の最後のあたりまで先取りして答弁をしておられますが、私が聞いたのは、こういう具体的なある部分に対する留保あるいは抑制というのは、例えば憲法で言えば第十四条の公平の原則あるいは国家公務員法の二十七条の公平の原則、こういうものに違反をしているのではないか、公平を欠いているのではないか、こういう質問を申し上げているのです。余り向こうまで答弁されてしまうと聞くことがなくなってしまいますから、一つ一つに答えてください。
  50. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 お答え申し上げます。  国家公務員決第二十七条は、憲法十四条の法のもとの平等の原則を具体化したものであると考えられますが、これはこの法律の適用に当たって、公務員を含め国民が平等に取り扱われるべきことを規定したものと考えております。しかしながら、五十五年度、五十六年度におきます措置は、指定職の職員、管理職の職員給与改定につきまして、厳しい財政事情国民世論の動向等を考慮いたしまして、一般の職員と区別して、やむを得ず一般の職員に率先して我慢をお願いしたものでございます。  なお、この国家公務員法二十七条と同様の規定は労働基準法にもございますが、民間企業におきましても、企業の経営が非常に悪化したような場合におきましてはこのような措置がとられることがあるというふうに聞いております。
  51. 小川仁一

    小川(仁)委員 民間の方まで言及しなくていいですから、公務員法に限ってやってください。  今お話しありましたけれども、不平等の扱いであったことだけは事実ですね。
  52. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 不平等といいますか、職員給与というのはそれぞれの職務と責任に応じて定められているわけでございます。人事院勧告が行われたわけでございますけれども、この際、指定職、管理職職員については率先して自粛していただいた次第でございます。
  53. 小川仁一

    小川(仁)委員 率先して御本人が差し出したというならわかるのですよ。率先してここだけ給与を切ったという言い方は、普通はないですね。  とにかく言っていることは、国公法二十七条あるいは憲法という立場から見て、行政職公務員としては不平等な扱いであったかどうかなんです。率先してやるということはどういうことなんです。わからない。ここのところははっきりしてください。
  54. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 この指定職職員、管理職職員給与改定の抑制につきましては、これらの人方の理解と協力を求めながらやってきたわけでございます。  平等、不平等の問題でございますけれども、どこまでが法の規定する平等に当たるかというのは、これは極めて難しい問題だろうと思います。したがいまして、完全に、全く平等にということはあり得ないことでございまして、人勧の取り扱いにつきまして若干の差が出てくることもある場合には許されるのではないかというふうに思っております。
  55. 小川仁一

    小川(仁)委員 平等という言い方が悪かったかもしれませんけれども、それぞれの職責に応じて給与が決まっているわけですよ。これははっきりしているでしょう。そのうちここのところだけとめたのだから、これはやはり公平な扱いではない。  それからもう一つは、この人たちの理解を得てというお話だが、どういう方法でこういう人たちの理解を得ましたか。
  56. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 今の問題でございますけれども、指定職、管理職職員というのは給与が比較的高いグループでございます。それで、少なくとも一般職職員については、指定職、管埋職以外の下の方の職員については何とか完全実施をするという線でやったわけでございますけれども、上の方の方につきましては我慢をしていただいたということでございます。  それで、理解と協力というのはどういうふうな形で求めたかということでございますけれども、これは私どもの方で各省庁の人事課長会議がございまして、そういったところで、今回はこういうことをやるけれども、皆さんの方からもこういった方々に十分その趣旨を伝えてくれというふうなことをお願いしております。
  57. 小川仁一

    小川(仁)委員 一つの例で聞きますけれども、例えば課長補佐、三等級十号、一時金の改定時期の留保によって五十六年十二万一千円程度損失をしていると思います。翌年の全面凍結によって二十五万五千円、さらに去年は二・〇三%しか実施していませんが、一体三等級十号あたりで、この間に幾らくらい当然前の賃金なら入るべきものが損失したと計算をしておられますか。
  58. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 三等級十号俸というので計算はしてございませんけれども、一人当たりの平均ということで申し上げますと、五十七年度の人事院勧告は一万七百十五円、四・五八%であることから、一人当たり年間平均で約十八万一千円程度となります。それから、五十八年度の人事院勧告は一万五千二百三十円、六・四七%でございまして、このうち四千七百七十一円、二・〇三%を実施しておりますから、その差は一人当たり年間十七万七千円程度となります。したがいまして、五十七年度と五十八年度を合わせたものは約三十五万八千円程度となっております。
  59. 小川仁一

    小川(仁)委員 大変な損害ですね。これが一生ついて回るのですよ。年金にも影響していくのです。その年度でさえこれだけの金。これを後で回復するおつもりはございますか、総務長官
  60. 中西一郎

    中西国務大臣 これは、ことし勧告が出て、それをどれだけ実行するかというのが当面我々に与えられた重大関心事であります。五十五年からのお話がございますが、過去四年間幾らのこれは損失と言っていいのかどうかに若干問題があると思うのですけれども、それを後でいわゆるバックペイといいますか、過去にわたって払うというようなことまでは考えていません。
  61. 小川仁一

    小川(仁)委員 バックペイは考えていないと言うけれども、そうすると、人事院勧告の中に今までの損失分が本年度に限って出てまいりました場合には、前のバックペイは別としても、当然これからの分は損失をプラスさせない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  62. 中西一郎

    中西国務大臣 昨年の人事院勧告実施が二・〇三%、よく言われておりますが、四・四四%の積み残しがあるというお話がよく出ます。それは今度の人事院勧告の中で幾らになって出てくるかというのは計算しにくいと思うのですけれども、ともかく給与の較差としては当然にあらわれてくるだろうと思います。その人事院勧告をどうやって完全実施するかということに全力を傾注いたしたいと思っております。
  63. 小川仁一

    小川(仁)委員 今までの損害の分を減らすのに全力を尽くす、こういうふうに一つは考える。これから新しく人事院勧告する要素もあるわけでございますから、そちらの方にも全力を尽くす、こういうふうに二つに分けてお考えですか。それとも、新しく出されるであろう人事院勧告、その中には過去の損害分も入っているということで、これに全力を尽くす、こういうふうなお考えですか。
  64. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 結局、今先生の言われました人事院勧告に含まれる云々と申しますのは、ことしの四月現在において人事院は官民給与の比較をいたします。その官民給与の比較の中にいわゆる積み残し分というのが入っているのだろうと思います。その積み残し分を含めて今後検討していく、新しい人事院勧告が出されれば、その段階において最善の努力を尽くしてやっていくということだろうと思います。
  65. 小川仁一

    小川(仁)委員 ちょっとさっきの話へまた戻りますけれども、指定職とか管理職は高い俸給もらっているから我慢してもいいのだというのが人事局長のお話でしたが、大体どこらあたりの役職のところまで、管理職のところまで我慢をさせることが適当とお考えですか。
  66. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 これはその時点時点によって判断が違うと思います。それも、できるならば全員について勧告どおりのことをやるのにこしたことはございませんけれども、一般世論あるいは財政事情、そういったことがございまして抑制せざるを得なかったということでございます。  どこくらいまで抑制していいかということでございますけれども、これはそのときどきによって判断すべき問題でございまして、一概に言うことはできないと思います。
  67. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、ときどきの情勢によって今後も管理職以上は昇給あるいはベースアップを留保することがある、こう考えていいわけですね、あなたの答弁ですと。
  68. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 これは、人事院勧告が出された段階におきまして、給与関係閣僚会議で御決定いただくことになると思います。
  69. 小川仁一

    小川(仁)委員 私は、決定するのはそっちだと思うのだけれども、あなたの考え方を聞いているのだよ。あなたは上の方なら我慢してもいい、そのときどきの情勢によってそうなるのだと言うから、そのときどきの情勢によって管理職以上は我慢してもいいという考え方を人事局長としては持っているのだなと念を押しただけです。
  70. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 先ほどから申し上げてますように、それはできることならば上の方も下の方も平等に取り扱うのが本来の趣旨だろうと思います。ただ、場合によっては五十五年、五十六年のように管理職だけということもあり得るかもしれませんけれども、なるたけそのようなことはしないようにしていかなければならないというふうに思っております。  なお、念のために申し上げておきますと、指定職俸給表につきましては、民間との差がかなりついておることもこの際申し上げておきたいと思います。
  71. 小川仁一

    小川(仁)委員 あなたのおっしゃっていることは、もう一つおかりして言いますと、指定職とか管理職については理解を求め、協力を得た、そして実施した、こうでしたね。そうすると、翌年の抑制は、どこのだれに理解をさせ、協力を求めたのですか。
  72. 中西一郎

    中西国務大臣 私は実は新しく就任しておるのでございますが、恐らく人事局長が説明しておりますことは、各省人事担当課長会議あたりでそれぞれの了解を得たという趣旨だろうと思うのです。恐らく各省は各省でそれぞれ単組をお持ちですから、その単組の諸君と長年の交渉の積み重ねがあると思うのでございますが、その中でも話は出ておることではなかろうかと思います。それがきちっと話がついたかどうかは別といたしまして、そういった努力をし話し合いをする経過の中で、国民世論のこともございますし客観情勢を踏まえて、ともかく結論として、労使の良好な関係あるいは士気の問題、そういったようなことについてひび割れが起こらないように配慮をしてまいったということであろうと思います。  この先お答えするとまた問題になりそうでございますので、これでやめますが、今後とも、今までより以上の努力をしてまいりたいと思います。
  73. 小川仁一

    小川(仁)委員 管理職や指定職には理解を求めて、協力を得て実施した、それがさっきの人事局長の答弁。そして翌年の抑制はだれに理解をさせて協力を求めたかということになると、結局は扱い方として管理職以上と管理職以下については理解の求め方や協力の求め方に差別があった、こういうふうに考えていいわけですね。もしそれが差別なくおやりになったとすれば、管理職以外の職員に対してどういう形で理解をさせ、協力を求めたのか、この点はっきりしてください。だれか理解した者があったら、ひとつお聞かせ願いたい。どこのだれだというふうにはっきりおっしゃっていただきたい。
  74. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 管理職員、指定職の職員につきまして、人事課長会議などを通じて理解と協力を求めました。管理職員の中でも指定職の職員の中でも、中には不満に思っておる方もおられるかもしれません。しかし、政府の危機的な財政事情を考えて、これを甘受しようと考えた方もおられるかもしれません。  それからもう一つ、管理職員とそれ以下を区別して理解と協力を求めたかということでございますけれども、理解と協力の求め方といたしましては、各省それぞれ個別の組合と会うこともございますので、その隠そういったことをいろいろ言っていただきましたし、それから我々も組合が来た際には、こういうような事情があるのでこの際は我慢してもらいたいというようなことで、理解と協力を求めてきた次第でございます。
  75. 小川仁一

    小川(仁)委員 そういうのを理解と協力を求めたというのじゃないですよ。一方的に押しつけたというのです。日本語の使い方、非常に都合のいいようなお使い方をしておりますが、組合が来たときにこう言った、それが、言ったから理解したという言い方をお考えになるのは間違いで、むしろそのころ政府のお偉いさんたちもこういう言い方をしているのです。  例えば五十七年九月二十一日の朝日で、当時の総務長官、断腸の思いで同意した、これは鈴木内閣の決定に対してですね。その次、初村労働大臣は、政府は法を守らぬという言い方をしておられる。それから当時の河本経済企画庁長官は、やはり五十七年九月二十一日の日経の方で、労使関係への影響も懸念する、こうおっしゃっている。もちろん人事院総裁は、公務員の士気に影響する、極めて遺憾千万である、こう言っているのです。  理解と協力は政府部内もしてないのだよ。こういう閣内不統一の決定という形、しかも公務員理解も何もしないで一年間完全に人事院勧告が凍結された、こういうことに対する多くの反論がある、こういうことに対して、あなた方はあの凍結という状況を二度と繰り返すべきではないとお考えになっていると思うが、どうでしょうか。
  76. 中西一郎

    中西国務大臣 あれは、経過を聞いてみますと、勧告が五%以下であったとかなかったとか、いろいろな議論があったようでございます。しかし、政府としては、人事院勧告というのはフルに完全実施したいという気持ちは変わっていないわけでございます。そういったようなことで、ああいうことを繰り返すことがないようにしたいと考えておるところでございます。
  77. 小川仁一

    小川(仁)委員 繰り返すことがないようにするという給与担当大臣としてのお考えですか、ここのところ、はっきり聞こえなかったのです。
  78. 中西一郎

    中西国務大臣 申し上げたのですが、言葉をかえますと、そういう強い願望を持っておるということであります。
  79. 小川仁一

    小川(仁)委員 あなた、給与担当大臣でございましょう。給与担当大臣の総務長官というもの、どうもよくわからないのですが、願望だけの大臣ですが。というのは、総理府総務長官というのは、給与担当大臣でありながら、給与予算の請求権もないようでございますね。だから予算を要求するという状況にもない、しかし担当だけは担当だ。そうなると、総理府総務長官という給与担当大臣というのは、仮にこういう状態が起こってきたときは、具体的に何をやるのですか。願望しているだけですか。それとも、やはり予算を大蔵省にこれだけ要るという形で、それは公的に予算の要求権がなかったとしても、計算をして、大蔵省と予算要求的発想でお仕事をなさるのですか。そこはどうなんです。
  80. 中西一郎

    中西国務大臣 今の、予算を組む権限がないんじゃないかというようなお話でございましたが、五十九年度予算に当たりましては、私の方から前年同様に一%の給与は組んでおいてくれということを要求いたしまして、そういった予算に相なっておるわけでございます。人事院勧告が出た上ではまた補正が必要になる時期がございましょう。そういったときには、都内、閣内、相談をした上で、必要な予算をまた要求するというのが私の役割だと考えております。
  81. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、一%の予算を大臣が要求しておつくりになった。その予算は、どこの省に執行権といいますか行政権があるのですかね。
  82. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 給与改善費は、それぞれ各省の給与費の中に含まれております。
  83. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、一%を組んでも、総理府総務長官総理府の職員の分しか執行権がないということですな。
  84. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 そのとおりでございます。
  85. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、給与担当大臣というのは何をするのかよくわからなくなってきましたが、これは前の交渉結果なんかでは、私も公務員共闘事務局長をやりましたけれども、当時、山中さんでしたか、おれは腹を据えてやる、こうおっしゃった。腹を据えても完全実施させる。どうです、大臣、腹を据えておやりになりますか。大臣、いかがですか。
  86. 中西一郎

    中西国務大臣 今の執行権の話について、人事局長は総理府の分は総理府総務長官だ、これは間違いございませんが、しかし、各省全般の給与をどうするかということもこれはかかわりがなくはないので、重大な任務として私が担当しておるわけでございます。  そういったことで、腹を据えてやるかというお話でございますが、腹を据えて努力をいたします。
  87. 小川仁一

    小川(仁)委員 腹を据えて努力ですか、妙な言い方ですけれども、前の抑制のときも一%予算があったのです。御存じでしょう。その一%も実行できなかったのですよ。予算に組んであるものも実行できなかった。予算内執行ぐらいの責任を総務長官として持っておられることを含めて、腹を据えて努力なんというのではなくて、腹を据えたらやるしかないんですがね。どうなんです、そこのところは。
  88. 中西一郎

    中西国務大臣 各委員会、特に予算委員会でもいろいろと申し上げたのでございまするけれども、特に五十七年度の財政赤字も大変大きかった、また、物価は比較的安定しておったというようなこともあって我慢をお願いした。だれに対してお願いしたんだという話が先ほど来ございますが、これはそういった願いを込めて、みんなに理解をしていただきたいという願いを込めて法律段階で見送らざるを得なかったということだと思います。五十八年は、また同じような趣旨でございまするけれども、二・〇三%で我慢をお願いせざるを得なかった。世論あるいは経済情勢というようなことを踏まえて御理解をいただかざるを得なかったということだと思います。  しかし、五十九年度をどうするんだということにつきましては、現段階では、先ほど来申し上げておるように、全力を挙げて最大限の努力をするということで対処してまいりたいと思っております。
  89. 小川仁一

    小川(仁)委員 どうも私たち日本人の常識で言えば、最大限の努力という努力の上に、その上に何かの努力があるものでしょうか。最大限の努力を上回る努力というのは、あるいは何かあるのでしょうか。総理府総務長官、お答え願いたいと思うのです。
  90. 中西一郎

    中西国務大臣 恐らくそれ以上の努力というのはないだろうと思います。
  91. 小川仁一

    小川(仁)委員 はい、わかりました。それ以上の努力はないということは、最大限の努力をするということは実施するということになるわけですね。
  92. 中西一郎

    中西国務大臣 お話、こういうことでございますか、最大限の努力をするということは完全実施をするということではないかというお話のようでございますが、どこまで到達するかは別として、最大限の努力をいたしたいということでございます。
  93. 小川仁一

    小川(仁)委員 気持ちとしては完全実施したい、こういうことですね。
  94. 中西一郎

    中西国務大臣 僕も実は、長いこと仕事の上で経験したことがございます。ということで、五十五年、六年、七年、八年、また今度もというようなことは避ける方がいいなということは本当に痛いほどよくわかっております。そういったことを踏まえて努力をさしていただきます。
  95. 小川仁一

    小川(仁)委員 世の中に大臣答弁というお話がよく使われますが、大臣、もうこ段階というのは非常に大事な段階だと思うのですよ。五十五年は指定職、五十六年は管理職、こういう調子で、五十七年は今度は全面、五十八年は抑制、こういうふうな形でずっとやってまいりまして、五十九年を迎えているのです。政府は、今まで完熟した制度、こうおっしゃっておる。四十五年から十年間は間違いなく完全実施されてきたんだ。そして国際的にもそのことを誇示してこられた。いろいろ皆さんが公務員の賃金に手をつけ始められてから今度五年目ですわね。この辺でやはり本当の気持ち給与担当大臣として述べていただく。  最大限の努力なんというふうな言葉は、いろいろ言いようによっては誤解を招きますよ。だから私のように、最大限の努力というとそれ以上の努力はありますかと言うと、ないでしょうということになれば、これは完全実施だ。しかしまた、完全実施に向けて最大限の努力をする、これもそれ以上のことはないわけですから、やはり完全実施だ。こんなふうに常識的に考えられる範囲の御答弁が今までありましたから、大臣の気持ち、決意みたいなものをやはりきちっと出していただかないと、これは最後まで公務員の間に不信感を来すと思うのですが、どうなんです、再三申しわけございませんけれども。
  96. 中西一郎

    中西国務大臣 お話がございました不信感といいますか、労使関係が非常に不円滑になっていくとか士気が損なわれるということになると、これは大変なことになります。そういったような意味で考えておるのですけれども、過去数年間はある意味では幸いそこまでいかなかったということで、先ほど大分前の御質問に対しまして許容範囲、幅があるのじゃないかということをちらっと申し上げましたが、そういった含みで申し上げたのでございます。そういうことで、我慢の限度といいますか、過去のことでございますが、その辺はいろいろな情勢を踏まえて判断せざるを得なかったのではないか。したがって、そういったようなことがこの五十九年度の経済運営の中でまたぞろあらわれてくるというようなことになるとこれは困るという意味で、そういうことがないことを願っておる、願望である、こう申し上げた次第であります。何とか公務員皆さん方気持ちを参酌して、最大限の成果を上げることが必要であるというふうに認識しておるところでございます。
  97. 小川仁一

    小川(仁)委員 ちょっと質問を変えてまいります。今の答弁に納得したわけではございませんが……。  この前「人事行政」という本を読んでみましたら、ここへ本を持ってきておりますが、前の公取委員長をされた方その他高級官僚で、その後おやめになってから他の役職におつきになりました林さんとか橋口さんという方がおっしゃっておりましたが、公務員にはある種の飢餓感があるというのです。いつでも安い安いといったような気持ちが存在しておる。こういう言い方をしているのです。その方々は、別にベースアップがストップしたわけでも何でもないのです。  この公務員の飢餓感みたいなものがあることは、公務員をやられた高級官僚の方も言っておられるのですがね。飢餓感というのは、おなかがすいた方の飢餓感ですよ。精神的な飢餓感です。こういうものを官僚をなさった方が言っておられる。だから高級官僚はいろいろと精神的飢餓感と月給の飢餓感の方で天下りでいいところへ行って余計いただいているのじゃないかと言いたくもなりますけれども、そういう飢餓感が絶えず存在をするということは、公務員の仕事をよりよくし行政をよりよくするために非常に不幸なことだと思うのです。今の公務員の中にそういう不満、飢餓感みたいなものがあるとお思いですか、もうないとお思いですか。
  98. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しの飢餓感という言葉の意味が十分に理解できないのでございますが、人生設計等を考える場合に、給与として大変不満であって将来の絵がかけないという意味ほど深刻な、私流に言わさしていただければ、飢餓感を抱いておるとは思いません。特に高級官僚が新しい職場へ転出していくのがそのためであるということ、なおさらそう考えたくないと思うわけでございます。
  99. 小川仁一

    小川(仁)委員 これは「季刊人事行政」の去年の十二月号、ナンバー二十六の中で、私も非常に興味深く読ましていただいたのですが、おっしゃっている方は林さんとおっしゃる元内閣法制局長官、もう一人は橋口収さんとおっしゃる前公正取引委員会委員長、どちらも大蔵省にお入りになってずっとやった後、片方は首都高速道路公団の理事長、片方は全国銀行協会連合会特別顧問。そこに飢餓感があって入ったという意味ではなくて、この方々がこの座談会の中で役人の社会をこんなふうに言っています。「戦前に役人生活していますが、当時でもいわゆる飢餓感は非常に持っていた。いつまでたっても民間に比べれば、安い、安いと言って怒っていたわけです。」お一人の方はこういうお話をしている。それからもう一人の方も、やはり飢餓感というお話をしておるのです。  こういう高級官僚をなされた方にも、安い安いと言って、かなり精神的な飢餓感があったんだと述懐しておられる。それはお役所に使われているときには、そんなこと大臣に言ったら首になりますから言わないでしょう。だから、ないと思われるでしょうが、実際はこういう気持ち公務員、役人の社会にあるのですよ。そこへ追い打ちをかけてこういうふうにストップしたとなれば、一層それが焦燥感みたいな形や何かになり、それが違った場合にはストライキという形、大衆行動という形であらわれてくるわけなんです。だから、抗議行動があり交渉があるということは、既に公務員の中に今言った精神的な飢餓感あるいは月給が安いという考え方があると私は思っているのです。そういう状況はどう御認識なさっていますか。
  100. 中西一郎

    中西国務大臣 今具体的なお二人の名前が出まして、実は私と同時代の人ともっと先輩の方とがおられまして、そのころは石炭の景気がよかったとか砂糖の景気がよかったとか、商社がだんだん高度経済成長でよくなったとかというような背景がありまして、その当時の高級官僚というのでしょうか、課長、部長、局長よりは数倍高い俸給を民間の人が得ておられました。また、私自身のことを言うのもおかしいですが、高度経済成長が始まって少しして退官したのですけれども、退職金は今の十分の一以下でございます。そんなことで、飢餓感というのかどうか知りませんが、ともかく民間と比べたら低いなという実感はございました。しかし、四十年代から今日五十年代になって、人事院勧告をずっと忠実に実行してきて、それで今日に至っていますから、だから今の公務員方々がどう思っておられるかということを考えるに当たって、先ほどのお二人を引用してくるというのは少し時代に差があり過ぎるのではないかという気がいたしますことが一つ。  それと、当面の問題としましては、繰り返すようでございますが、確かに労使関係は良好でなければなりませんし、士気は保たれなければなりません。そういったことを注意深く、これは何も政府だけで考えるのでなしに、国会、与野党の皆さん方にもよく目配りをしていただきながら対処していかなければならないのではないかと思います。その際に政府の役割として、また総務長官の役割としては、皆さんに心配をかけないように最大限の努力をするということであろうと存じます。
  101. 小川仁一

    小川(仁)委員 昔の時代と今の時代と違うと思いますから昔の時代は飢餓感があったというお話をしておりますが、今は飢餓感じゃない、欠乏感みたいなものですよ、本当は。上がる心配がないだけじゃない、損害をこうむらされている。やはり賃金の場合は一種の契約事項でございますから、当然のことながら昇給とか人事院制度が存在して、その勧告による昇給、こういったようなものは期待権として存在するはずであります。この期待権というのは裁判所の判決によれば、訴えの利益にもなると明確に言っております。それはただ単なる昇給であっても期待権という見方で物を言っておるのですが、これは盛団地裁の判決をごらんいただけばわかりますけれども、そういう期待権を踏みにじられておって、なおかつ行政改革なんていって公務員が何か悪者の標本みたいな格好でしかられて、世間からは非常に冷たい目で見られる。こんな状態で公務員を働かせておいて、国の行政はうまくいくわけがないじゃないですか。  そういう状態をつくり出したところの鈴木内閣の閣議決定があるわけですが、総理府とのかかわり、人事院とのかかわりで具体的に権限問題を含めて質問をしてみたいと思います。  この前は総理府が俸給表をおつくりになったわけだ。人事院以外が俸給策定をなさるという法的根拠は、一体何ですか。
  102. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 現行法制上、人事院は社会一般の情勢を考慮して公務員給与の改定を国会及び内閣勧告することとされております。勧告を受けた国会及び内閣は、人事院勧告公務員の労働基本権の代償措置一つとして憲法上の評価が与えられているものでございますから、この制度が実効を上げるように最大限の努力を尽くさなければなりませんけれども、最大限の努力が尽くされた場合には、仮に勧告の実施が抑制されたといたしましても、それはやむを得ない措置として憲法上の問題は生じないと私どもは考えております。  このように最大限の努力をした上で抑制せざるを得ない場合におきましては、政府において、その権限に基づきまして責任を持ってその取り扱いを決定し、国会法律案を提出することができるものと考えております。ただ、この場合におきましても、政府がどのように俸給表を作成するかにつきましては、人事院勧告を踏まえ、合理的な配慮を行った上で行わなければならないと考えております。
  103. 小川仁一

    小川(仁)委員 聞いているのはおたくがつくる場合の具体的な法的根拠であって、憲法上の問題なんか言っていませんよ。具体的に何々法第何条によって俸給表を作成した、こう答えていただければいいのです。
  104. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 人事院が作成します俸給表というのは、勧告の上の俸給表でございます。それで、政府法律提案権を持っていますから、法律をつくる際には政府がその責任において俸給表を作成して国会に提出するということでございます。
  105. 小川仁一

    小川(仁)委員 次々聞いていきますけれども、国公法と給与法に抵触するおそれがありますね。あなたの方に俸給表をつくる法的根拠はどこにもありませんよ、現在の国公法でも給与法でも。これは人事院の専権事項として存在している。そういうふうな形になれば、だから実施しないということが大変なことになるのだということを法的にも私は申し上げているつもりなのです。
  106. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 総理府設置法におきましては「総理府は、左に掲げる国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」ということで、その第二号に「人事行政に関する事務」というのが掲げられております。それで、人事局の事務分掌の中に「人事局においては、次に掲げる事務をつかさどる。」それで「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」というのが掲げられております。  この総理府設置法に基づく権限によりまして、我々といたしましては法案を作成し、内閣から国会法律案を提出していただいている次第でございます。
  107. 小川仁一

    小川(仁)委員 それで給与表がつくれるわけですね、おたくで。それでは何も人事院必要ないじゃないですか。しかも、人事院の出している給与表というのは、その他の手当を含めて一定の整合性を持って給料表というのをつくっているわけだ。おたくは、それならその他の手当を含めてどこで整合性というものを求められて、この俸給表をつくったのですか。
  108. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 私どもとしては、本年度四月一日から二%の俸給表の改定を閣議決定に基づきまして行ったわけでございますけれども、この俸給表を作成する際におきましては、人事院勧告を尊重するという立場から、その配分につきましては十分に人事院勧告における俸給、諸手当、そういったものの配分を尊重いたしまして俸給表を作成し、あるいは手当額を考えております。具体的な引き上げ額の決定に当たっては、人事院の引き上げ額を基礎といたしまして、従来から維持されてきた給与秩序、職員間の均衡も十分に配慮して俸給表を作成しております。
  109. 小川仁一

    小川(仁)委員 じゃ、そういう配慮の中で、手当に対してはどういう手を打っておるのですか。
  110. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 今度の人事院勧告というのは六・四七%だったわけでございます。この六・四七%に対しまして二%という閣議決定が行われたわけでございます。したがいまして、大体これを比例的に圧縮したわけでございます。俸給表につきましては、人事院勧告が六・四%でございますから、これを二%に平均的に縮小した……(小川(仁)委員「全部の手当を」と呼ぶ)いや、俸給でございます。それから、手当の方につきましては六・四七%を二%にいたしましたので、大体三割程度になっていると思います。三割程度に圧縮して、人事院の配分はそのまま尊重してやっております。
  111. 小川仁一

    小川(仁)委員 手当の方に対する圧縮というのは三%と言いましたか……(藤井(良)政府委員「三割」と呼ぶ)三割。  それからさらにお聞きしますが、国公法第十八条の二で「能率、厚生、服務等に関する事務(人事院の所掌に属するものを除く。)」と書いてある。おわかりですね。そうなると、人事院の所掌に属するものを考えてみますと、例えば人事院規則の制定権は人事院固有の権限、これは国公法の十六条。こうなってきますと、内閣が給料表、人事院規則をつくった、こういったことが法律関係で非常に問題になる。特に給料表の備考欄に適用範囲というのがある。これは人事院規則だ。この人事院の権限である適用範囲、給与法第二条二号、こういうものまで、所掌に属する権限まで侵す権限というのはどこに存在するか、これは長官と総裁にお聞きします。総裁の方からもこれに対する見解をお願いします。
  112. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 人事院勧告する権限はございますけれども、法律国会に出す権限はございません。したがいまして、勧告を受けました政府といたしましては、これをどう取り扱うかにつきまして閣議決定を行いまして、その閣議決定に従いまして総理府が法案を提出するわけでございます。それで、総理府で提出いたしました給与法の中には俸給表というものがもちろん入っております。その俸給表の適用範囲につきましては人事院規則で定めていただく、こういうような仕組みになっております。
  113. 斧誠之助

    ○斧政府委員 俸給表の作成につきましての法律の条文でまず御説明いたしますと、まず国家公務員法の六十四条に、俸給表は生計費、民間賃金、それから人事院の決定する適当な事情を考慮して定められるものだということ、それから六十七条では、給与額について引き上げまたは引き下げの必要を認めたときは、人事院は遅滞なく改訂案を作成して国会及び内閣に提出しなければならない、こういうこと、それから給与法二条では、適当な給与額について国会及び内閣勧告しなければならない、こういう条文がございます。  したがいまして人事院といたしましては、生計費、民間賃金、それから人事院の考慮する事情といたしまして、民間の上下配分状況でありますとかあるいは手当等の本俸への配分状況でありますとか、あるいは職員団体、各省、そういう人たちの御意見でありますとか、そういうことをしんしゃくした事情を考慮しまして、適正な配分を行った俸給表を作成して勧告を申し上げておるわけでございます。  人事院は、先ほど総裁も答弁されましたように、我々の給与勧告というのがそもそも憲法から由来する制度になっておるんだ、したがってこれを完全実施していただく、そういうことで、勧告を受けた内閣及び国会はひとつ十分に尊重していただきたいということを申し上げ続けておるわけでございまして、先ほど来、指定職とかあるいは管理職が部分的に留保を受けたというような点はどうかという御質問がありましたが、そういう意味で勧告が変更を受けるというようなことは適正を欠くということである、人事院としてはそう申し上げざるを得ない、こう思うわけでございます。
  114. 小川仁一

    小川(仁)委員 さっきの人事院規則関係のことも含めて今の御答弁と解していいですか。人事院規則、これは人事院の固有の権限なわけですね。その中の適用範囲といったようなものを私申し上げたはずでございますが、これは人事院の固有の権限、こういうふうに考えていいわけですね。
  115. 斧誠之助

    ○斧政府委員 そのとおりでございます。
  116. 小川仁一

    小川(仁)委員 こういう人事院規則制定は、人事院の固有の権限と人事院は考えておられる。それを乗り越える法理的根拠というのは何ですか。
  117. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 給与法の中で、俸給表の適用範囲につきましては人事院規則で定めるということになっております。この人事院規則というのは、人事院給与法を実施いたします、その実施していく過程における人事院規則でございまして、これは人事院固有の権限でございまして、我々の方としてはこれに対してこれを侵す権限はございません。したがいまして、給与法で委任されている範囲内におきまして人事院の方としては人事院規則をおつくりになっているのだろうと思います。
  118. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、人事院規則を越える権限は総理府としては存在しない、こういうことですね。とすれば、今回の抑制した場合の、あるいは二%に下げた場合に、あなた方は権限を越えておやりになったということになりませんか。
  119. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 要するに、公務員給与基本というのは給与法によって定められているわけでございます。その給与法の中で、個別具体的な実施事務については人事院に任されております。その個別具体的な人事院の事務として給与法の範囲内で人事院人事院規則をつくられているわけでございます。
  120. 小川仁一

    小川(仁)委員 実施するために必要なものなんですよ、人事院規則というのは。ですから、人事院はそういうものを全部含めてお考えになって適用範囲もつくり出すわけですよね。あなた方の場合は、そうすると一遍つくったものを人事院へ差し戻して、仮に二%とか三%というように抑制した場合に人事院つくり直せというふうな形でお戻しになりましたか、なりませんか。  それからもう一つ人事院給与の改定は、十八歳独身男子の生計費の調査というものを一つ基礎にして公務員の賃金をつくり出しておられます。これは非常に大事な調査でありまして、民間にもこのような生計実態調査というのはなくて、逆に、私も労働運動をやっていましたが、民間の会社でもこれを重要視している。こういう状況のものなんですが、あなた方はこの生計実態調査というものを、二・〇三%を実施する場合にどのように御判断をなされ、どのように活用なされました。
  121. 藤井良二

    ○藤井(良)政府委員 まず、俸給表の作成は人事院に依頼すべきじゃなかったかというお話でございますけれども、これは人事院の方でつくってくれればそれにこしたことはないわけでございますけれども、人事院としては既に勧告という形で俸給表を提出されておりました。したがいまして、政府の責任において俸給表を作成して、法案の形で国会にお諮りした次第でございます。  それから俸給表における配分の問題でございますけれども、我々の方は今先生がおっしゃられたような標準生計費だとか、さっき斧局長が言われたいろいなろ階層の要望事項だとか、そういったのを我々の方の権限として調べるわけにはまいりませんので、要するに先ほど申し上げましたように、人事院の配分にそのまま従いまして比例圧縮した俸給表をつくったような次第でございます。
  122. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうしますと、総理府としては科学的な根拠一切抜きにしてただ押しつけた、こういうことですね。
  123. 中西一郎

    中西国務大臣 人事院が百人以上の企業、五十人以上の事業所を四万ですか……(小川(仁)委員「生計費の方ですよ」と呼ぶ)今のお話の生計費、十八歳という調査をして勧告をなさるということは毎年のことでございますし、よく理解できるところでございます。その上に立って勧告をなさったわけであります。その勧告を一〇〇%実施したいということでいろいろやったけれども、財政上の事情その他あってこれはやむを得ないということで二・〇三%ということにせざるを得なかった。  そのときには権限が総理府にないんではないかというお話でございますが、総理府の設置法から読みますとそれはできるという政府判断、そしてその上に立って二・〇三%をもとにした俸給表をつくったわけでございますが、その二・〇三%について根拠はないじゃないかということは再三あちこちで聞かされます。しかし当時の後藤田官房長官国会答弁等もございまして、ぎりぎりこれは許容され、かつ、五十七年に全部流したあの四・五八%でしたかについて幾らかそれをすくい上げるんだというようなことも含めて二・〇三%にしたんだ、こういうことで、政治的な配慮ではございまするけれどもそういったところに一つの論拠を求めてきた。さらに、安企業体の方の定昇分を除いた分、ちょっと記憶が正確でないですが、恐らく一・八三%じゃなかったかと思いますが、それをも勘案したということで二%にしたんだということでございまして、頭から根拠がなかったというふうには政府としては考えていないところであります。
  124. 小川仁一

    小川(仁)委員 公務員の賃金というのは実は非常に大事にされなければならないと思うのです。適当な思惑で公務員の賃金を決定するようになりますと、これはあらゆる民間の賃金にも影響してまいります。それだけに、生計費というものを中心にする一つの科学的な調査、あるいは現在の俸給表の民間準拠の調査、こういうものをきちっと科学的に整理してつくるところに意味があるのです。これが握りで安くなったり高くなったりしたのでは、公務員自体が、政府自体が国民の信頼を失うという結果になるのです。そういう意味では現在の公務員の賃金というものは非常に社会性といいますか科学性というものを求められている賃金なんです。ですから、今までの総理府のお答えにはどうしても私は納得できない。  生計費の問題だって大事な問題ですよ。あの生計費だって意義がある。たんぱく質をとるときに、もう少し牛肉を食いたいと思っても納豆で間に合わせるというようなマーケットバスケット方式をとっているのです。牛肉を食わないでイワシを食えとか、こういうふうにしてたんぱく質を二千七百カロリーをとらせるという形をとって、それをお金に換算して俸給の一つ基礎の額をつくっている科学性があるわけです。それを握りでやられたのでは、とてもじゃないが、公務員のこれからの賃金のあり方というものについて非常に社会的影響が大き過ぎる。そしてまた、そういうやり方は非常に大きな間違いである。  もう一つの例を引きます。四十五年に完全実施はされました。それ以前の実施されなかったというのも、中身はえぐっていませんよ。十月実施、九月実施、八月実施、けちなもんで、六月になったら俸給と手当を分けて実施なんというふうに、しかし、人事院勧告されたそのものに対してはそれ以前も手をつけてないのです。今回手をつけたということは非常に異常な事態であります。科学性がない、社会性がない、しかも今までの前例にもない。だから、さっき言ったように、労働大臣も発言をせざるを得ない状況なんです。したがって、このような事態を二度と繰り返しませんね。そのお答えがなければ、私には先ほど来のやられたことが絶対納得できないのです。
  125. 中西一郎

    中西国務大臣 お話しの筋は、私も何とかしなければならぬという気持ちになっておる背景に強くある問題でございます。そういった意味で、昨年の十一月二十七日ですか忘れもしませんが、丹羽総務長官が参議院内閣委員会で異例の措置と考えるんだという声明をされまして、私どももそのことを踏まえて今日までまいっておるわけでございます。  二・〇三%が絶対悪かったんだというふうには思いませんが、だからといって六・四七%完全実施しなかったことが、そのままそれでいいんだというふうにも考えておりません。どちらかといえば、五十九年度また人勧がそれほど低くないベースで出てくるだろうと思いますが、その完全実施に向けては、先ほど来るる繰り返し申し上げておりますが、最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
  126. 小川仁一

    小川(仁)委員 さっきお話の中で、理解をさせ、協力を求めたというお話があります。前回の凍結は、理解をさせ、協力を求めたとは言いがたいと思います。本年度この公務員賃金を扱うに当たっては、ひとつ皆さんも理解と協力を求める立場から、公務員共闘とは再三にわたって政労交渉をして、その合意の上で実施するという基本的な姿勢をお願いしたいんですが、大臣、いかがでございますか。
  127. 中西一郎

    中西国務大臣 従来からもそれぞれ、担当であった総務長官がなさってきたところであろうと思います。私も重大な関心を持っておりますし、先ほど来申し上げたような士気にかかわる問題あるいは労使関係が安定的に秩序あるものでなければならない、そのためには話し合いは十分にしてまいらなければならない、かように考えておるところであります。
  128. 小川仁一

    小川(仁)委員 人事院総裁にお伺いしますけれども、昨年の抑制というのは人事院から見れば科学性もないあるいははっきり言って権限も侵されていると私は認識するのですが、その解釈を抜きにいたしまして、そういう状態が遺憾であったことも含めて、本年度は昨年の抑制した分を十分配慮して今回の人事院勧告に反映させるお考えがありましょうかどうか。
  129. 内海倫

    内海政府委員 お答え申し上げます。  今の御質問の御趣旨は、私も十分肝に銘じていきたいと思っております。  なお、繰り返すようでございますけれども、公務員というのは、労働基本権を非常に制約されておるわけでございまして、それを代替する唯一の機能が人事院であり、またそれを代替するための措置として人事院勧告というものが行われておるわけでございます。しかも、公務員はかかってその勧告というものに期待し、またそれによって士気も上がり、さらに一層の勤務意欲というものも出てくるものなんでございますから、いろいろ政府としては問題おありかもしれませんけれども、私どもの行う勧告というものは十分に尊重し、完全実施ということで努力をしていただかなければいけない、こういうふうに考えております。  そうして今年、私どもが当然に給与の実態その他を調査をしなければなりませんし、現にしておるわけでございますが、その結果は、民間給与との比較においての較差として出てくると思いますから、その出てきた較差についてはこれを勧告として当然中に入ってくるもの、こういうふうに考えております。そういうふうな意味合いで、繰り返しますならば、やはり人事院勧告というものは何としても尊重していただかなければいけない、こういうふうに考えます。
  130. 小川仁一

    小川(仁)委員 時間がありませんでILOの勧告その他には触れませんでしたが、昨年三月ですか、ILOの委員会の方から日本政府に対して、人事院勧告の迅速かつ完全実施勧告しておられることは御承知のとおりであります。そしてまた、ILOの場では日本政府は、今まで人事院勧告が完全にかつ公平に機能しているとおっしゃっていることも事実でございます。こういった国際的な観点からも、ひとつ今回は、総理府総務長官として人事院勧告を尊重するという基本姿勢は絶対に崩さないでほしいと思うのです。最大限の努力というのについては、それ以上の努力はないという話がありましたので、その辺の解釈は違いがあるとしても、基本姿勢だけは今後とも崩さない、こういうことはILO、国際的な立場からもこの席で御明言願いたいと思います。
  131. 中西一郎

    中西国務大臣 余り細かいことは抜きにいたしまして、ILOへ行って努力してくださった委員の方もお一人はここにいらっしゃいますが、ILOが指摘しております関係労働者の利益を十分に保護するために適切な代償措置が必要であると、人事院総裁も言っておられます。その原則の重要性は政府として十分理解しているところであります。政府としましては、人事院勧告を尊重するという基本方針は堅持しておりまして、今後ともこの方針を変える考えはございません。
  132. 小川仁一

    小川(仁)委員 大体基本的な問題についてのお話人事院総裁並びに総理府総務長官、それから先ほどは官房長官からも伺いましたから、ことしは去年みたいなやみくもなことはやらないというふうな心証をかなり強く持ちました。この心証がいいか悪いかは今後の課題になると思いますけれども、少なくともさっきから言っているような総理府の法律根拠のない、しかも人事院規則にまで踏み込まざるを得ないようなやり方はおやめになった方がいいと私は思うし、それからこういう例というのは、今までの人事院勧告の中にかつてない例でございましたということも私申し上げました。仮に完全実施されなかったとしても実施時期がおくれたということはありますよ。八月、九月実施というふうに実施時期が後ろに繰り下げられたということはあっても、中身をえぐったということはいまだかつて去年を除いてなかったわけでございますから、こういうことを含めてお願いをしておきたいと思います。  それから最後に一つ、ちょっと違いますけれども、人事院にお願いしておきますが、学校事務職員問題がずっと懸案事項になっております。今度、人事院はいろいろな制度の見直しをなさるわけでありますが、この中に非常に重要な事項としてお取り上げを願いたい、これをお願いしたいと思います。いかがでございましょう。
  133. 斧誠之助

    ○斧政府委員 学校事務職員につきましては、これは皆さん、身分は地方公務員方々でございます。したがいまして、直接人事院が所管をいたしまして学校事務職員の格付とかあるいは給与額をどうするという機能はないわけでございますが、教員給与改善勧告をいたしました際に、学校事務職員につきまして任用、配置等の処遇面を考慮したがよかろうということもあわせて報告をしてございます。以来、いろいろ検討しておるわけでございますが、その結果としまして、従前問題になっておりました国家公務員四等級相当まではひとつ昇進していかせるようにしようという辺までは解決がついておるわけでございます。  今後、そこら辺をどういうふうにするかということは、これは所管省であります文部省、あるいは自治省も関係あるのかもしれませんが、そこでひとついろいろ知恵を出していただきまして、給与上の問題でこういう解決方法がいいのではないかというようなことを人事院に御相談いただきますれば、これは十分に、私たち専門機関でございますから、その相談にお答えをいたしまして、人事院としてもいろいろな工夫をいたしていきたい、そういう考えております。
  134. 小川仁一

    小川(仁)委員 では以上で終わりますけれども、もう一度こっちからのお願いを申し上げておきますが、行政改革といったようなものも実は公務員の士気の高まりがなければ成立し得ないものだと私は思います。公務員の士気を高めるためにももう去年までのようなことはおやめください。こういうことを本当に総理府総務長官の最大限の御努力という中に加えさしていただき、なおかつ、これは政府もかなり問題があり、例えて一つの例で言えば、かつて実施時期が延ばされたようなころ私も先に立って抗議のストライキをやった方でございますが、検察庁はこれに対しては刑事事件としての弾圧を加えなかった。加えないというのはなぜかというと、これは労働基本権の代償措置ということで、加えて、やってもこれは法廷で負けるということを想定したかどうかは別として、おやりにならなかった。こういう問題についての公務員の行動に対しては、いろいろな場所からいろいろな角度で、好意のある体制と言うと語弊がありますけれども、法的不備な面もあって弾圧がなかったわけでございます。  まあ、そういうことを含めながら、国会は、ことしは去年のような状況もおととしのような状況もつくり出さない。もう細かいことは申し上げません。細かいことを申し上げることになると私もまだまだありますけれども、あとは長官の決意いかんだろうと思います。再三決意をと申し上げて大変失礼をいたしましたけれども、ここはひとつ、本当に総理府総務長官給与担当大臣として重大な決意を持っているという認識を払いたしまして、ここで質問を終わらせていただきます。
  135. 片岡清一

    片岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会      ————◇—————