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1984-03-27 第101回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十七日(火曜日)     午後三時二十四分開議 出席委員   委員長 片岡 清一君    理事 池田 行彦君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 松浦 利尚君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       石原健太郎君    上草 義輝君       大島 理森君    鍵田忠三郎君       菊池福治郎君    塩川正十郎君       月原 茂皓君    林  大幹君       山本 幸雄君    上原 康助君       角屋堅次郎君    元信  尭君       渡部 行雄君    鈴切 康雄君       山田 英介君    田中 慶秋君       柴田 睦夫君    三浦  久君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長 中西 一郎君         官)  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         総理府人事局長 藤井 良二君         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁参事官  冨田  泉君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁人事教育         局長      上野 隆史君         防衛庁衛生局長 島田  晋君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁施設         部長      千秋  健君         外務大臣官房長 枝村 純郎君         外務大臣官房外         務参事官    斉藤 邦彦君         外務大臣官房領         事移住部長   谷田 正躬君         外務省アジア局         長       橋本  恕君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省中南米局         長       堂ノ脇光朗君         外務省中近東ア         フリカ局長   波多野敬雄君         外務省条約局長 小和田 恒君         外務省国際連合         局長      山田 中正君  委員外出席者         通商産業省貿易         局為替金融課長 植松  敏君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   渡辺  修君         自治省行政局選         挙部選挙課長  小笠原臣也君         内閣委員会調査         室長      緒方 良光君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     渡部 行雄君 同月二十三日  辞任         補欠選任   鈴切 康雄君     伏木 和雄君 同日  辞任         補欠選任   伏木 和雄君     鈴切 康雄君     ――――――――――――― 三月二日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願和田一仁紹介)(第四八九号)  元在上海日本大使館嘱託恩給支給に関する請  願(愛野興一郎紹介)(第五一〇号)  元従軍看護婦処遇に関する請願柴田睦夫君  紹介)(第五一一号) 同月六日  旧軍人恩給改定等に関する請願春日一幸君紹  介)(第六一九号)  同外一件(菊池福治郎紹介)(第六二〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第六二一号)  同(田中慶秋紹介)(第六二二号)  同(林大幹君紹介)(第六二三号) 同月八日  旧軍人恩給改定等に関する請願月原茂皓君紹  介)(第七八一号)  人事院勧告実施分回復等に関する請願(中  村重光紹介)(第八七八号) 同月十四日  旧軍人恩給改定等に関する請願外一件(内海英  男君紹介)(第九二九号)  同(大西正男紹介)(第九三〇号)  同(山本幸雄紹介)(第九三一号)  同(深谷隆司紹介)(第九七〇号) 同月十五日  旧満州国官吏恩給改善に関する請願齋藤邦  吉君紹介)(第一〇二九号)  同(津島雄二紹介)(第一〇三〇号)  同(野中広務紹介)(第一〇三一号)  同(三原朝雄紹介)(第一〇三二号)  同(村田敬次郎紹介)(第一〇三三号)  同(村山達雄紹介)(第一〇三四号) 同月十九日  元従軍看護婦処遇に関する請願和田一仁君  紹介)(第一一八三号)  同(足立篤郎紹介)(第一二二四号)  同(内海英男紹介)(第一二二五号)  同外一件(江藤隆美紹介)(第一二二六号)  同(越智伊平紹介)(第一二二七号)  同(海部俊樹紹介)(第一二二八号)  同外二件(月原茂皓紹介)(第一二二九号)  同外二件(戸塚進也紹介)(第一二三〇号)  同(山本幸雄紹介)(第一二三一号)  旧満州国官吏恩給改善に関する請願小渕恵  三君紹介)(第一一八四号)  同(田村元紹介)(第一一八五号)  同(足立篤郎紹介)(第一二三二号)  同(若林正俊紹介)(第一二三三号) 同月二十二日  元従軍看護婦処遇に関する請願愛野興一郎  君紹介)(第一三七九号)  同(塩田晋紹介)(第一三八〇号)  同外一件(林大幹君紹介)(第一三八一号)  同(米沢隆紹介)(第一三八二号)  旧満州国官吏恩給改善に関する請願佐藤守  良君紹介)(第一三八三号)  同(中村喜四郎紹介)(第一三八四号)  同(橋本龍太郎紹介)(第一三八五号) 同月二十六日  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願愛野興一郎紹介)  (第一四六六号)  傷病恩給改善に関する請願柴田睦夫紹介  )(第一四六七号)  元従軍看護婦処遇に関する請願外一件(吹田  愰君紹介)(第一四六八号)  同(三浦久紹介)(第一四六九号)  同(宮下創平紹介)(第一四七〇号)  人事院勧告完全実施等に関する請願(山中末  治君紹介)(第一五六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  旧軍人軍属恩給欠格者処遇改善に関する陳  情書外七件  (第一号)  プライバシー保護法制定等に関する陳情書外十  件  (第二号)  青少年健全育成対策に関する陳情書外三件  (第三号)  北海道開発局非常勤職員雇用確保に関する  陳情書(第四号)  大蔵省福岡財務支局存続に関する陳情書外三  件(第五号  ) 同月二十七日  靖国神社公式参拝に関する陳情書外二件  (第五九号)  憲法改悪反対に関する陳情書外一件  (第六〇号)  プライバシー保護法制定等に関する陳情書  (第六一  号)  北海道開発局非常勤職員雇用確保に関する  陳情書(第六二号  )  大蔵省福岡財務支局存続に関する陳情書外二  件(第六三号  )  青少年健全育成対策に関する陳情書外二件  (第六四号)  ミッドウェー艦載機の浜松・静浜基地使用反対  に関する陳情書  (第六五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一三号)      ――――◇―――――
  2. 片岡清一

    片岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  3. 元信堯

    元信委員 議題になっておりますブルネイセントクリストファー・ネイビスという国々でございますが、国といたしましては比較的新しく独立をした国でもあり、また小さな国であるということで、私どもその国の詳細について承知をしない点もあろうかと思いますので、まず冒頭、このブルネイセントクリストファー・ネイビスの両国につきまして、その政治、経済、宗教等について概略の御説明を願いたいと思います。
  4. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 ブルネイについてまず申し上げます。  簡単に申し上げますと、国土の大きさは我が国の三重県程度でございます。それから人口でございますが、約二十四万人でございます。それから人種でございますが、マレー系が七三%、あと中国系が二〇%、あとインド系その他でございます。それから言語でございますが、先ほど申しましたとおり、人種的にはマレー人が一番多いものでございますからマレー語一般に通用するようでございます。ただし、このマレー語と申しますのはちょっと方書がございまして、いわゆるブルネイマレー語という、マレー語標準語とはちょっと違うというようなところが、概略のところでございます。
  5. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇政府委員 セントクリストファー・ネイビスについて簡単に申し上げますと、この国はカリブ海にございまして、広さは淡路島の半分ぐらい、人口は四万三千人余りでございます。言語は、元イギリスの植民地でございますので、国語英語ということになっております。簡単でございますが……。
  6. 元信堯

    元信委員 ブルネイ言語でございますが、マレー語一般に通用しておるというようなことでございましたが、いわゆる国語というような考え方をした場合には、何語が国語公用語になっておりますか、その点について。
  7. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 標準マレー語だというふうに承知いたしております。ただし、普通の人が、町の人が使うのは先ほどの方言であるというように承知しております。
  8. 元信堯

    元信委員 標準マレー語国語で、国民はいわばブルネイ弁みたいなものを話す、こういう理解でよろしいわけですか。
  9. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 そのとおりでございます。
  10. 元信堯

    元信委員 ところで、セントクリストファー・ネイビスの方は英語圏ということでございますから問題なかろうかと思いますが、ブルネイにつきまして、我が国大使館勤務を予定される皆さんの中に、このマレー語、特にブルネイで通用するところのブルネイ弁マレー語と申しますか、そういうようなものを解される方はおいでになりましょうか。
  11. 枝村純郎

    枝村政府委員 現にブルネイにはコタ・キナバル領事館から出張駐在という形で一人おるわけでございます。この男は十年間ブルネイに背勤務した経験がございまして、その後外務省に入省した人でございますが、したがってブルネイマレー語も大変達者でございます。  また、現在ブルネイ大使館の開館に備えましてぼつぼつ人選を始めておりますが、次席にはインドネシア語専門家を充てたい、こういうふうに考えております。また、御承知のとおりここはずっと英国が宗主国でございましたので、英語が大体ふだんの業務をするに当たっては十分通用するところでございますので、そういう点で言語上の不便はないわけでございますが、ただいま申し上げましたように、現地マレー語についても十分解する人員を配する、こういう予定でございます。
  12. 元信堯

    元信委員 これは開設してからの話になりまして恐縮でございますが、大使館に当然電話が引かれることになろうかと思いますが、この電話ブルネイ国民皆さん日本の接触の窓口、こういうことになろうかと思われます。この大使館電話受付というのは一体何語でするものなのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  13. 枝村純郎

    枝村政府委員 これは恐らく、電話交換手というのは現地の人を現地職員ということで採用すると思います。もし英語でかかってきますれば英語対応し、標準マレー語でかかってくれば標準マレー語で、ブルネイマレー語でかかってくればブルネイマレー語対応できる、また日本語の場合には日本人職員につなぐ、こういうふうな形になろうかと存じております。
  14. 元信堯

    元信委員 一般的に申しまして、我が国在外公館現地において、特に電話でございますけれども、どういう対応をされておるか、これを伺いたいと思うわけです。  と申しますのは、実は我が国公館を置いております諸国でございますが、対応が必ずしも一様ではございません。私どもが何らかの調べ物等用事がございまして外国大使館電話をしますと、外国語で応対をされるときがしばしばあるわけでございます。私ども不幸にいたしましてそれぞれの国の言葉を必ずしも解しませんものですから、そこのところでどうもコミュニケーションがうまくいかなくなるというふうに思うわけでございます。  これらの問題につきまして、基本的にはどういうふうにお考えであり、さらにまた実際にはどのように実施をされているか、この点について伺いたいと思います。
  15. 枝村純郎

    枝村政府委員 余裕のあります公館でございますと、現地職員でその現地言葉、それから国際語でございます英語、これを解する職員を配し、かつ、それに日本人職員を配しておく。つまり、邦人の方からの御連絡というのは時々緊急のこともございますし、日本大使館としてこれに十分対応できる体制も必要でございます。また、先生御指摘のとおり、現地の社会との融和という観点からいいますと、第一義的にはやはり現地語ということが必要でございます。そういうことが基本でございます。  ただ、人数が少なかったり、したがって現地職員の数も少ないというようなときは臨機応変でございまして、主として現地職員現地語で応対する、ただ、日本語という場合には本官の館員につなぐ、こういうふうな応用ということもございますが、基本冒頭に申し上げましたとおり、現地職員日本人職員との組み合わせで対応するということにいたしております。
  16. 元信堯

    元信委員 余裕があればという留保つきでございますから、恐らく余裕がないというケースもあろうかと思いますが、現地語で応対できない在外公館というのは具体的にございますか。
  17. 枝村純郎

    枝村政府委員 先ほど申し上げましたように、現地語で応対するということが基本でございます。ただ、余裕があれば日本人職員受付ないし電話交換台に張りつけることができるところもあるということでございますので、現地語電話がかかった場合に応対できない公館というのはないと申し上げてよろしいかと思います。
  18. 元信堯

    元信委員 そういうことであれば大変結構だと思うわけですが、我が国に置いてある在外公館の中では、母国語でもない日本語でもない英語対応するところもあるようでございまして、こういうものにつきましては、こっちもどうにも対応のしょうがないわけでございまして、我が国もこれから、世界のほとんどの国に在外公館を置いてあると思いますが、世界の指導的な立場の国ということになりますと、それらの国の一般の民衆にも直接語りかけていく必要があろうかと思いますので、さらに体制を強化されるようにお願いを申し上げておきたいと思います。  続きまして外務省に、ミッドウェー艦載機夜間発着艦訓練の問題について伺いたいと思います。  最近の日米関係の中でNLPは重要な課題であるというふうに指摘をされておるわけでございますけれども、最近アメリカとの関係の中でこの問題はどういうふうに処理をされているか。この点についてまず承りたいと思います。
  19. 北村汎

    北村政府委員 ただいま委員指摘のとおり、この問題はアメリカ側が大変強い関心を持っておる事柄でございます。現在、防衛施設庁を中心といたしまして、関東地方及びその周辺地域を対象といたしまして、まず第一には既存飛行場について所要の着陸訓練が可能であるかどうかという調査、それから二番目には陸上飛行場新設につきまして適当な土地があるかどうか、その選定のための調査、それから三番目には浮体滑走路につきまして技術的、経済的及び社会的な見地から実現性検討するための資料収集等を行っておりまして、鋭意検討しておるところでございますが、現在のところ具体的な結論は得ておりません。  いずれにいたしましても、外務省としましては本件訓練に伴う騒音問題というものに十分配慮をいたしつつ、また、米軍パイロット訓練というものがあるいはその練度維持向上、ひいては日米安保体制の効果的な運用のために必要欠くべからざるものであるということに留意しながら、本件問題についてできるだけ早く解決策を見出したいというふうに期待しております。
  20. 元信堯

    元信委員 これは防衛施設庁窓口になってなさっていることだと思います。今もお話がありましたように、一に既設の空港を使えないか、二に新設できないか、三番にFRWというように承っておりますが、防衛施設庁には後に伺うわけでありますが、その前にちょっと外務省確認をしておきたいと思うのですが、先般衆議院の予算委員会でも取り上げられた問題でございます。  外務省が、今三番目に挙げられました浮性滑走体、これについて特別に推進をしているというような文書が一部出回っております。外務省が浮性滑走体というものについて特別な関心を持っておるのか、またその推進方について、今まで何らかの働きかけがあったかどうか、そこのところをお答え願いたいと思います。
  21. 北村汎

    北村政府委員 外務省といたしましてこの浮体工法滑走路というものについて特別これを推進しているとか、そういうようなことではございません。
  22. 元信堯

    元信委員 昭和五十八年十二月十五日にアメリカ海軍大佐ウォルター・C・ニックスという方と我が国の民間の団体の方が会合をなさって、この会合について外務政務次官がこれをセットしたやに伝えられているわけでございますけれども、今、その当時と外務政務次官はおかわりになったと思いますが、外務大臣はそのときからおかわりではございませんので、外務大臣、このことについて何か御相談でもございましたか。
  23. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 何も聞いておりません。
  24. 元信堯

    元信委員 この外務政務次官は、この文書が存在することが表に出た後、一応こういうことが話としてあるが、役所に相談をして――というのは外務省でしょうが、外務省相談をして、そういうことをしないようにしたとかという趣旨の発言新聞紙上でされておるわけでございます。何らかの相談はあったと思うのですが、これは外務大臣のところまで上がっていないのか。外務政務次官相談をするとすれば、およそ外務大臣以外に相談のしょうがないと思うのですけれども、具体的にこの問題について全くなかったのか。そうしますと、この外務政務次官発言というのはちょっとおかしなものになろうかと思いますが、具体的にひとつ御答弁願いたいと思います。
  25. 北村汎

    北村政府委員 御指摘報道、これは二月七日の社会新報に出た報道でございますが、これにつきまして当時の政務次官確認をいたしたところでございますが、当時の政務次官造船業界関係者米軍との間の会談を仲介したりあるいは政府の要望として米軍日本造船工業会との会談がアレンジされたというような事実は、全くございません。
  26. 元信堯

    元信委員 そうしますと、一部出回っておりますこの文書の中にある記載はでたらめだ、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  27. 北村汎

    北村政府委員 同政務次官にも確かめましたところ、そういうような文書について同政務次官が関与されたことはないということでございますし、外務省または日本政府を代表する立場でこういうような会議がアレンジされたということは全然ないわけでございます。
  28. 元信堯

    元信委員 それでは、この主務官庁であります防衛施設庁に引き続き伺いたいと思うわけでございますが、今年度予算をつけ、来年も予算をつけるように伺っておるわけでございますけれども、この問題について、防衛施設庁の今までの取り組みの経過と現状について御説明を願いたいと思います。
  29. 千秋健

    千秋政府委員 お答え申し上げます。  私どもの方としましては、五十八年度に調査費をいただきまして、先ほど外務省の方から御説明ありましたように、まず第一に、関東及びその周辺におきます既存飛行場につきまして代替施設として使えるかどうかという検討、それから二番目としまして、やはり同じ関東及びその周辺におきまして新たにそういう訓練飛行場新設することができるかどうかという検討、第三番目としまして浮体飛行場に関します技術的な資料収集、この三つにつきまして調査検討を行っておるわけでございますが、いずれの面につきましても、現段階におきまして具体的な結論といいますか、そこまで至っていないという状況でございます。
  30. 元信堯

    元信委員 先ほど外務省からは、一に既設、二に新設、三に洋性滑走体、こういう順序というお話がございましたけれども、この順序防衛施設庁も同じお考えですか。
  31. 千秋健

    千秋政府委員 これは順番で申し上げたわけでございまして、特に優先順位とか、それぞれにつきましてどれが優先とか、これに力を入れるという考え方じゃございません。既存飛行場使用ができるかどうか、また新設できるかどうか、すべて並行的に検討しているわけでございます。
  32. 元信堯

    元信委員 これは、防衛施設庁の見解としてそういうことでよろしいですか。
  33. 千秋健

    千秋政府委員 よろしゅうございます。(元信委員「三案並行ということで」と呼ぶ)はい。
  34. 元信堯

    元信委員 それで、それぞれの具体的な中身について伺いたいわけですが、時間の関係もありましてちょっとそのことは省略をさせていただきまして、いずれにしても、現状ども認識しております段階では、これと言ってすぐにできそうな案がありそうにもない、こう見ておるわけでございますけれども、例えば既設を使うにしても、それから新設をするにしても時間がかかるだろうと思うのですが、その間、このNLPについてどういう対応をしていくのか、そこのところ、つなぎの措置について承りたいと思うのです。
  35. 千秋健

    千秋政府委員 ただいま検討しております案につきましては、例えば特に飛行場新設するということになれば、これは数年を要することになるかと思います。既存飛行場使用できるということになれば割合に早く解決できるかもしれませんが、いずれにしましても現在は、関東にあります厚木飛行場夜間着陸訓練をやっております。そういう場合におきましても、米軍に対しまして極力騒音被害を軽減するように、ここにつきましては日米間で航空騒音に関する規制がございます。この規制の遵守とか、訓練実施する場合におきましても夜間なるべく早い時期に切り上げるとか、そういうようないろいろな面で騒音緩和ということをやっていただきまして、周辺住民に対する被害を極力制限してまいりたい、そういうことで対処しておるという状況でございます。
  36. 元信堯

    元信委員 一部に伝えられるこのつなぎの案として、幾つかの周辺飛行場を持ち回りでやって、それで騒音分散することによって厚木騒音被害緩和しようというような考え方があるやに承っておりますけれども、いかがお考えでしょうか。
  37. 千秋健

    千秋政府委員 先ほど申しました第一の案としまして、関東及びその周辺にございます既存飛行場、これらの飛行場使用できる場合におきまして、一つでも二つでも使えるようになれば、現在の厚木に集中しております訓練分散できますので、そういう意味からも飛行場周辺住民騒音被害に対する緩和ができるのじゃないかということで、既存飛行場幾つかございますが、そのうち幾つでもそういう御理解を得られるところで実施ができればということで、分散方式という別に決めた方式があるわけじゃございませんが、分散できればというふうに考えているわけでございます。
  38. 元信堯

    元信委員 そういうところができればということの留保つきですが、分散をしたいということと承りました。分散をする場合に、受け入れ側の要件と申しますか、先般の予算委員会の中でも地元の了解がまず重要であるというふうに答弁をされたと思いますけれども、それはそういうことで間違いございませんね。
  39. 千秋健

    千秋政府委員 既設飛行場を使う場合にも、これらの飛行場が技術的に訓練使用できるかという問題もございますが、そういう点の検討ももちろん並行してやっているわけでございますが、それとともに、一般的にこういう防衛施設につきましては周辺地域理解と協力というのは必要なわけでございまして、我々も、こういう訓練実施する場合には、その飛行場所在地元の理解と御協力というものが十分得られるよう努力してまいりたいと思っております。
  40. 元信堯

    元信委員 地元の理解と協力ということの中身をこの際もう一遍確認をしておきたいと思うわけでございますけれども、今幾つか候補に挙がっているところは、すべて当該の自治体の首長でございますとかその議会でございますとか、反対の表明なり決議なりしておるように承知をしておりますけれども、今おっしゃった地元の理解、了解、これについては具体的にどの範囲のことを、例えば今申しました自治体の首長、議会の同意もございましょうし、また関係の住民の同意というようなこともありますけれども、具体的にどのようなものをお考えでしょうか。
  41. 千秋健

    千秋政府委員 私ども一般的に地元の御理解、御協力を得るという場合には、やはりその地域社会を代表します地方公共団体の長を通じましていろいろ地元とお話ししておるわけでございまして、その辺、地方公共団体の長、それから地方議会、こういうところの御理解を得なければならないんじゃないかというふうに思っております。
  42. 元信堯

    元信委員 地方公共団体、都道府県もございますし市町村もありますが、その両方が要件になりますか。
  43. 千秋健

    千秋政府委員 私どもは、特にどこというわけではございません。すべて、県、市、町村それぞれ、御理解や御協力はお願いしたいと思っております。
  44. 元信堯

    元信委員 余り長くは言いたくないですが、複数の公共団体がある場合は、お互いに矛盾をした態度が出てくる場合があるわけですね。こっちは賛成だけれどもこっちは反対だというような場合に、やはり関係する市町村なり都道府県なり全部足並みがそろって賛成でなければこれは実施は難しいと思うのですけれども、そういう理解でよろしゅうございましょうか。
  45. 千秋健

    千秋政府委員 ただいま先生の御指摘のような状態というのは非常に難しい状況だと思います。しかも、私どもとしましてもどのような状態で地元の御理解、御協力が得られるのか、その辺も十分検討しなければならぬと思いますし、これは具体的なケースでそれぞれ判断しなければならないと思っております。もちろん、すべての地方公共団体と申しますか、そういう地元の御理解が得られるのが一番ベストじゃないかというように考えております。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕
  46. 元信堯

    元信委員 何がベストかなんということを伺っているんじゃなくて、地方公共団体については、最低、関係する団体の長と議会、これが全部同意できるようなものでなければあり得ないと私は思うわけです。あなたの答弁ですと、何かそこへ行って、一つ二つ反対しておってもいいじゃないかというふうに聞こえぬこともないわけですが、そんなことはないですね。
  47. 千秋健

    千秋政府委員 すべての地方公共団体の御理解、御協力を得るよう努めてまいりたいと考えております。
  48. 元信堯

    元信委員 努めるじゃなくて、それが要件になるかということを明確に伺いたいと思います。
  49. 千秋健

    千秋政府委員 これは、私どもの方がそのように努力してまいりたいというふうに申し上げさせていただきたいと思うのです。
  50. 元信堯

    元信委員 ここから先は押し問答だからあれですが、例えば、関係する当該の市は反対だけれども、県は態度があいまいだなんというところもあるわけです。そういうところについては、これはもうその関係する住民全部の合意というのが建前でしょうから、今おっしゃったような努力なんというものじゃなくて、努力はあなた方がするものなんです。肝心なことは住民なり地方団体なりの同意ということで、それをあなたたちが努力したってそのとおりになるとは限らぬわけです。そこであなたたちがどうするかということが問題なわけですから、これはそういうことできちんとやってもらいたいと思います。  この問題はひとまず終わりまして、先般のPS1の墜落について、これも当委員会で大分取り上げられたところでございますが、大分時間もたちました。その後PS1の墜落の原因等について調査も進んでおろうかと思いますので、まず御報告を簡単に願いたいと思います。
  51. 西廣整輝

    西廣政府委員 先般御報告申し上げた以後、鋭意遺体の捜索及び機体の捜索を続けておるわけでございますが、御案内のように、現在のところ、まだ殉職しました隊員につきましては六名だけが死亡を確認されたということで、残りの遺体については依然捜索中ということでありますで  なお、事故後三週間ほどたちまして、それまでは救難活動ということで捜索をやっておりましたけれども、三週間たちましたので、御遺族の了解を得まして一応全員が殉職をしたということをお認めいただきまして、現在は遺体の捜索及び機体の捜索を続けておるということでございます。  なお、機体の方でございますが、当初、海上に浮遊しておりますものについては早く回収できたわけでございますが、残りが全部海中に沈んでおるということで、海上自衛隊の水中作業員を中心にしまして、一部民間のサルベージ等を利用して水中捜索をしておりますが、何せ非常に視界が悪うございまして、五メートルぐらいの視界ということで非常に難渋をいたしておりまして、現在までのところ機体の一部といいますか、何割かの破片を揚収できたという状況でございまして、まだ事故原因の究明という段階には至らない状況にございます。
  52. 元信堯

    元信委員 今回の事故はまことに特異な事故でございまして、真っ昼間に、天気もよくて僚機と逃れ立って飛んでおるところが、突然五百メートルの高度から約二分間で水中に何の信号も発せずに墜落をした、まことにけったいな事故であるわけでございます。このPS1の墜落の多さということは従来も指摘をされているところでございます。過去においてもパイロットミスということによって処理をされてきた事例が多いようでございますが、ここでこのPS1というのは、パイロットミスというふうに処理をされているものにも何か大きな欠陥があるのではないかというふうに思わざるを得ぬわけでございます。  そこで、PS1の今後の問題については、この前御質問があったわけでございますけれども、今回も一定期間過ぎてわからぬわからぬのわからぬじまい、結局パイロットミスにするか原因不明かということになって、適当な時期に残っている飛行機を全部点検してまた飛行再開ということになれば、これまた次に落ちるという可能性も大変高いと思われます。そういう意味で、今後の飛行再開に当たって、これはもう単なるパイロットミスであるとか原因不明であるとか、そうして機体を調べてみたところ異常がなかったからということで再開するなんということは許せぬと思いますが、その点についてどういうふうにお考えでございましょうか。
  53. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 ただいまお尋ねがありましたように、昨年の四月に続きましてまた二月の末に墜落事故を起こしたわけでございまして、この原因につきましてはただいま鋭意調査中でありますが、なお今までの事故の概況を見てまいりますと、機体の喪失に至りました大事故というのは四件ございます。そのほかに、曳航中に沈没したという海難事故のようなものが一件起きておりまして、いずれの事故例につきましても、その後鋭意調査をした結果によりますと、いわゆる機材のふぐあいによる事故ということは発見されていないわけでございまして、これまでの事故の事故率という統計の手法があるわけでございますが、その事故率で見ました場合にPS1の事故率が四・九でございます。自衛隊全部の航空機の事故率が四・一ということでございまして、若干は高いわけでございますけれども、飛び抜けてこれが異常に高いというふうには即断できないと我々は考えております。  いずれにいたしましても、事故原因の調査とあわせまして、残っているといいますか現存しておりますPS1及び同じ型のUS1、救難飛行艇でございますが、このUS1全機につきまして、従前にないような詳細な機材の点検調査、検査を行いまして、万全を期するという態度で入念に調査をしておるというのが実情でございまして、今までのところではそういう機材あるいは性能といいましょうか、全体の特性についてのふぐあい、欠陥というものは発見されてない現状でございまして、今後もまだ相当日数かけまして全機についての調査をする予定でございます。
  54. 元信堯

    元信委員 今までの事故について調べてみたところは全部ふぐあいはなかった、こういうわけですね。それでは、ふぐあいかないにもかかわらずぽとぽと落ちるというのは、できている機体のふぐあいではなくて設計そのものが悪い、ひどく操縦しにくい飛行機であるという可能性があると思います。今回のように考えられぬ事故が起こるというのは、今あるマニュアルなんかを見てふぐあいを見たってわかりっこない原因である可能性が非常に強いと思うのですね。  そういうふうに考えてまいりますと、幾ら機体を上から下まで眺め回してみましても、これは原因がわからない。そういう今ある機体のふぐあいを探し回るというようなことではなくて、機体そのもの、こういう飛行艇という非常に特殊な飛行機そのものを使っているということを改めて検討すべきでないかと思うのです。特に、PS1は製造中止になっておるようでありますけれども、五六中業の中でもUS1をまだまだ調達していくという方針であるようでございまして、これは一定年度たちますと今度はPS1にかわってUS1がまたぽとぽと落ちていくというようなことになりますと、これは納税者としてもたまったものではないと思うのですね。したがいまして、今後の方針としてこの飛行艇そのものの供用をやめていく、幾ら調べても原因がわからぬけれども落ちるというのはこういう飛行機そのものに原因があると考えなければ理解できぬことだろうと思いますが、そういうふうにすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  55. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 この対潜飛行艇は昭和三十五年以来開発をいたしまして、その試験検査におきましては約二年間かけまして詳細に技術的な検討及び実用性能につきましての試験をいたしまして、十分に使用目的に対する適合性といいましょうか、離着水をして運用することに耐え得る、しかも相当な荒波の中でも離着水が可能であることを十分立証いたしまして部隊の使用に供することにしたわけでございまして、基本的な性能につきましては我々は十分自信を持って運用しておるところでございます。  また、US1につきましては、救難飛行艇としましてPS1の同じ型のものにつきまして若干装備を救難用に変更いたしまして運用しておるものでございますが、これにつきましても基本的な性能及び構造につきましては同一のものでございますので、十分自信を持って運用しておるのが実情でございます。
  56. 元信堯

    元信委員 十分自信を持って運用しているものがこのように事故を起こして、訓練を再開すればまた落ちる、しかもこれといった原因もないのにぽとぽと落ちるということでは、自信を持ってというその自信というものはまことに不可思議に思えるわけですね。落ちても落ちても自信がある、こういうことになるわけです。  したがいまして、今回の事故調査、徹底的にやるということだそうですが、単に機体をキョロキョロ眺め回しているだけではなくて、これはもうあなたたちのおっしゃる自信そのものがこんなに落ちると恐らくなくなっていると思うのです。ですから、そういう飛行艇がどういう条件でこのようにばたばた墜落をするかということへさかのぼって、そこまで原因が究明されなければ、これ以上飛行機を落としてもらっては困ると思うのです。ですから、ぜひここのところはそこのところまで踏み込んだ調査をする、これはまた別の機会に調査の結果は報告してもらいたいと思いますけれども、今度こそは、原因不明だが落ちたというようなお細米なことは言わぬようにしてもらいたい。そうして、原因不明であるけれども、まあ見たところ異常はなさそうだからまた飛ばしております、こういうでたらめなやり方はぜひ改めていただきたい。追ってまた原因の究明の報告があったときに議論いたしたいと思いますけれども、現時点ではその要望を申し上げておきます。  これは、報告、いいですね。
  57. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生の御意見にありましたように、従来のPS1の事故が比較的原因が明確であったのに対して、今回の事故原因がなかなかわかりにくい状況で落ちている。(元信委員「明確じゃないじゃないか。だって二回も原因不明でパイロットミスだなんて言っているじゃ偉いか」と呼ぶ)明確にパイロットミスで、わかっておったわけでありますが、今回の場合はそういうことでございませんので、従来と比べて全く網羅的な検査をしなければいけないということで現在特命検査をやっておるわけでございますが、そういった状況、一応一段落しました段階でできる限りの範囲では御報告いたしたいと思っております。
  58. 元信堯

    元信委員 パイロットミスが原因だなんというのは原因のうちに入らぬと私は思うのです。パイロットだってミスしたくてやったわけじゃない。ミスをすればみんな命を落とすのですから極力注意をしているにもかかわらず、それが結局パイロットミスとして処理されている。結局それだけ操縦しにくい飛行であるということを認めてもらわなければいかぬと思うのです。ですから、こういう操縦性の問題については何か民間からも指摘が、されているようでございまして、ごらんになったかとも思いますけれども、そういう操縦性の問題も含めて全部パイロットの方へしわ寄せされては、これは亡くなったパイロットが気の毒だと私は思うのです。いわば死人に口なし的なやり方でありますから、ぜひ今度は、パイロットミスだなんというような、これも私は原因不明の一つだと理解しているわけでございますが、そういうことでお茶を濁されぬように、徹底的な究明をこの際要望いたしておきたいと思います。  時間がございませんから、その件はおしまいで、次に、これも過日ありました兼信何がしの小銃乱射事件に絡み、自衛隊の募集活動のあり方について伺いたいと思うのです。  幾つか質問を用意したわけでございますが、自衛隊の募集活動のあり方の一つの例を示す事件といたしまして、去る昨年十月十八日、上野駅の構内で街頭募集をしておりました自衛隊の広報官を写真に撮った人がある、その人が自衛隊員から暴行を受けるという事件がございました。まことに遺憾な事件であろうかと思うわけでございますけれども、まずこの概要について防衛庁の認識を承りたいと思います。
  59. 上野隆史

    ○上野政府委員 お答え申し上げます。  本件に関します事実関係を申し上げますが、私どもが報告を受けておりますのは、五十八年七月五日に広報官が上野駅の階段の下で募集広報を行っておりましたところ、当事者であります、これは大学院生さんと承っておりますが、その方が上野駅の鉄道公安室、それから同駅の構内の派出所に自衛隊の募集広報の方法につきまして抗議をなさったということがあるようでございます。それで、七月二十日にこの大学院生さんが東京地連の台東出張所に募集要領、時間とか場所とかそのやり方について抗議をなさりに参りましたのですが、所長は、御本人がそのときお名前をおっしゃらなかったということもあって、具体的なお答えはしないでお別れしたようでございます。  その後十月に入りまして、この大学院生さんが、広報官それから広報官が広報をやっております現場の写真を数枚お撮りになった。それからしばらくして、十七日ですか、また大学院生さんがその広報現場の写真をお撮りになったというようなことでございまして、いよいよその十月十八日でございますが、そのときに上野駅の不忍口のガード下におりました広報官を二、三メートルの近くの距離から写真撮影をなさった。それで広報官がなぜ写真を撮るのですかと、こう言いました。その大学院生さんは、前からいろいろ警告しているのにまたやっているじゃないかと反論なさったということで、そこでいわば口論になりました。  そして、かねて広報官たちは、部外の方とトラブルを起こすようなことは慎め、何かそういうようなことになる場合には自分らだけでせずに、第三者がおられるところ、例えば交番とか派出所とか警察署あるいは出張所とかそういうようなところへ来ていただいて事情をお話しするというようなことの指導を受けておりましたので、警察に行こうじゃないか、こういうふうに申しましたところ、御本人とその間もみ合いになりまして、その大学院生さんのアンダーシャツが破れて首のところにきぬずれが生じた。また一方、広報官の一人はその大学院生さんから左の顔面を殴打されたというようなこともあったようでございます。そこで結局は広報官が同行いたしまして、上野警察署でもってそれぞれ調書をとられたということがございました。  大学院生さんの御言い分もいろいろあろうと存じますが、私どもの広報官の言い分を申し上げますと、この院生さんは自衛官の至近距離で写真を何枚もお撮りになる、それから、表現は必ずしもはっきりしませんが、例えば自衛隊は憲法違反であるとかというようなことで、広報官の側から見るといわば自衛隊を誹謗なさっておるというような……(「誹謗じゃない、事実だよ」と呼ぶ者あり)広報官の側から見るとですね。そういうようなことで、広報官の側から見ると嫌がらせをされておるというようなこと、それが何回かあったということで、その際にはいろいろ今までの何回かの蓄積がそこであれされたんだということになったのではなかろうかと思っております。
  60. 元信堯

    元信委員 上野の駅頭で、不忍口の下で募集活動をしておったということでございますけれども、上野の不忍口は国鉄の上野駅の構内に当たります。ここで募集活動をすることは許可されておりましたか。
  61. 上野隆史

    ○上野政府委員 十月十八日に今のその事件、トラブルが起こりましたのは、ガード下、不忍口のでんわの家の前でございますが、そこで広報官は募集広報をしておったわけではございません。広報宮が常々募集広報いたします指定の場所は、道交法に基づきます警察からの許可をいただいております京成上野駅のそばの場所でございます。
  62. 元信堯

    元信委員 広報活動をしておらなかったというのに、なぜそこにおったのか。たまたま通りかかってそこにおったとかなんとかいうのではないかと思うのですけれども、今局長の答弁の中にもありましたように、もう何日もそこで写真を撮られておるわけですね。そのたびに通りかかったなんということにはならぬと思うのです。しかもこの場所で自衛隊の街頭募集についてつきまとって勧誘をしたということについて、既に昨年の四月二十日に鉄道公安官が台東出張所へ出かけて注意をしたという事実がございます。一体ここの場所で常に街頭募集をやっているのかどうか、この点について明確に答弁してください。
  63. 上野隆史

    ○上野政府委員 そのガード下、不忍口というのはでんわの家があるところでございまして、ここは街頭募集と申しますか市街地広報をする場所にはなっておりません。では、なぜここに広報官がいるのかと申しますと、台東出張所は市街地広報、募集広報、街頭募集のみならずいろいろ募集活動をやっておるわけでございます。例えば志願者との待ち合わせは、台東出張所というのが上野駅の浅草口の方にあるわけでございますけれども、これはちょっと入っておってわかりにくい、やはり上野駅で一番待ち合わせのしやすい場所というと、でんわの家と言えばすぐにわかるということで、そういう志願者の方との待ち合わせ場所にするというようなことによく使っておったわけでございます。また広報官たちは、例えば休憩とか食事とか手洗いとかいったようなことにつきましてはここの上野駅の構内を利用さしていただいておるわけでございまして、そういうようなことで、その不忍口の出入りというのは広報官としてはよく行っておる場所なんでございますが、そういうようなことで、ここの場所で、つまり不忍口でもって街頭募集をしないようにということは上司の方から常日ごろ指導をしておるところでございます。  なお、いわゆる市街地広報の一環として、上野駅の改札口の前の広いところがございますけれども、あそこの、例えばみどりの窓口のそばにデスク式のポスターというのを置かしていただいております。それからカレンダー式のポスターというのもその構内に置かしてもらっております。そういうのが破れていないか、大丈夫だろうかというようなことで、広報官が毎日その中を見回るというのも一つの仕事になっておるわけでございます。そういうようなことで、この不忍口あるいは正面玄関口等に広報官が出入りすることはございます。  それで、公安官から御注意があったということの御指摘がございました。そのことについて申し上げますと、部外の方から、鉄道営業法上の許可を得ていない駅構内でもって募集をやっておる、勧誘をやっておるじゃないかという御指摘が公安官室にももたらされたというようなこともあったようでございますが、そういうようなことをやっておるという話があり、また、そういう紛らわしい、一般の方から見るといかにも広報官が募集活動を構内でやっておるというふうに見られがちな、そういう誤解を与えるようなことがあってはいけないよという御注意、御指摘があったということは事実でございます。
  64. 元信堯

    元信委員 ちょっとお許しを得て写真を幾つか見ていただきたいと思うのです。  それらの写真はすべて自衛隊の広報官が上野駅の不忍口のところで立っておる写真で、いずれも複数の人たちがこういうふうにして前を見ているわけであります。そうですね、相違いないですね。そうして、写っておるのは全部自衛隊広報官ですね。確認してください。
  65. 上野隆史

    ○上野政府委員 お答え申し上げます。  今お示しをいただきました数枚の写真の中で、私ども確認できますのは一枚でありまして、これは例の週刊朝日に載ったものでございますが、ここに写っております四名の者は、これは東京地連の広報官でございます。ほかの者につきましては、これはちょっと私も今、そこにおります者の確認はできません。
  66. 元信堯

    元信委員 それは全部自衛隊の広報官なんですよ。あなた方もすべて知っているわけじゃありませんから、それは無理かもしれませんが。  いずれにしても、そこにたむろしているというのは、私も現場へ行ってみて上野駅の駅員にも聞いてみた。それから鉄道弘済会の売店のおばさんたちにも聞いてみた。いつもそこに立ちん坊のごとくたむろしておって、道行く若者のそでを引いておるということは確かなわけであります。それが単に通りがかりめ写真であるとか、そう言うことは幾ら何でもちょっと無理だろうと思うのです。しかも、待ち合わせ場所に使っておったと言うが、待ち合わせるというのなら、台東連絡所が歩いて一分ぐらいのところにあるわけでありますから、何もそんなところで待ち合わせる必要はないし、必然性もない、こういうふうに言わざるを得ないわけです。  それから、さっきの上野の鉄道公安室副室長の清水さんという方のお話でございますけれども、今局長が言われたのとはかなり違って、その当時の山口捜査主任という人が、不忍口で勧誘らしき行為をしている人がいた、されておる人に今何を言われたかと言ったら、自衛隊に入らぬかとそでを引っ張られた、したがって自衛官に注意をしたところ、上からの命令でやっているのでおれに言っても知るか、こういう趣旨のお話であったので、わざわざ台東連絡所まで行って、こういうことをやらないように、こういう注意をしたというふうに私ども明確に承っておるわけです。ですから、そういうことがなかったというようなことは到底あり得ませんし、一番新しいところでいきますと、五十九年一月にもやはり同じようなことをやっておる写真というのが、これは朝日新聞の大阪版でございますけれども、出ておるわけでございます。でありますから、こういうところでこういう違法な街頭募集と申しますか勧誘をやっておったということは、これはもうお認めになってもらわないと困ると思うのです。  そこで、こういうことをだれの命令でやっておったかということが次に問題になるわけでございますが、こういう違法な行為というのは、一体だれの命令でやっておったのでしょうか。
  67. 上野隆史

    ○上野政府委員 許可をいただいていない場所でそういう募集広報をするということはやってはいけない、慎めと、慎めと申しますのは、人に誤解を与えるようなことも慎め、そういう指導は常々出張所長あるいは東京地連部長等がやっておったと聞いております。
  68. 元信堯

    元信委員 時間もありませんから結論部分に入りますが、そうしますとこれは、やってはいかぬと言っておったことを当該の角張なり木下なりという自衛官が独断に基づいてやっておったということで、責任は全部彼らにある、こういうことになりますか。
  69. 上野隆史

    ○上野政府委員 まず、今お示しいただいた写真は、もしあれが皆広報官とすれば――広報官ではございますが、募集広報をやっている写真とはちょっと私ども拝見する限り受け取れないわけでございます。広報官がそこに何人か立っておるという写真は確かに拝見いたしましたが、そこで人を勧誘をしておるというふうにはちょっと読み取れないのでございます。  それから、今御指摘の広報官二名でございますが、これは当時、少なくとも十月十八日にはそういう広報をやっておったわけではございませんで、そこにおりましたときに、先ほど申し上げました繰り返しになりますが、トラブルが起こったということでございます。それから、その二名につきましても、そういう許可されていないところでの募集広報をおまえたちはやっていたのかねと聞いたわけでございますが、自分たちはやっておりませんということを申しております。
  70. 元信堯

    元信委員 もう時間が終わりましたから最後にいたしますけれども、こういう事件が頻発をするというのは、こういう募集広報を、まことに陰険こそくなやり方、今の答弁もまことに陰険こそく、そこで具体的に証拠が挙がるまでは、やれ通りがかりだ待ち合わせだと強弁して通り抜けようとする態度というのは、まことにこれが国防に当たる者の態度というふうには思えぬわけでございますけれども、やるのならどうですか、広報というのは広く知らしめることでございますから、ひとつ制服でも着て、そういう誤解を受けぬように堂々と看板上げてやればよろしかろうと思いますが、どうです、こういうふうにやってみませんか。
  71. 上野隆史

    ○上野政府委員 市街地で行います広報のことを御指摘だと思いますが、やはり人通りの多いところ、市街地ということになりますと、その場の取り合わせと申しますか、ということもございましょうし、制服で行うということになりますと、やはり大変かた苦しいという感じを一般の方に与えるのじゃなかろうか。また、自衛隊に反対の方も、これもたくさんおられるわけでございまして、そういう方々からの非難と申しますか、あるいは言葉がどうかと思いますが、嫌がらせというようなこともあるのじゃないかということも心配でございまして、やはりその市街地の雰囲気にふさわしい服装ということでやるように今指導しておるところでございます。
  72. 元信堯

    元信委員 じゃ最後にこの点だけ確認しておきますが、今後こういうトラブルを発生させない、このトラブルの原因は禁止されておるところでやったということが発端でございますから、厳格にこの許可の条件、道路交通法七十七条の一の条件を守ってその範囲でやる、間違っても絶対それ以外のところでつきまとったりしない、それから待ち合わせにそんな場所を使わない、これだけは約束できますか、どうですか。
  73. 上野隆史

    ○上野政府委員 法令に基づきます要件を厳格に守ってまいりたいと存じます。
  74. 元信堯

    元信委員 誤解のないように……。  終わります。
  75. 池田行彦

    ○池田(行)委員長代理 次に、山田英介君。
  76. 山田英介

    山田委員 在勤法の一部を改正する法律案につきまして、何点か質疑をさせていただきます。特にブルネイセントクリストファー・ネイビスという二つの国に日本国の大使館新設するなどのそういう法律案の中身でございますが、私は特にブルネイ関係でお尋ねをしたいと思います。  調べてみますと、このブルネイという国は大変裕福な国だそうでございまして、一人当たりの国民所得が一万数千ドルというようなこと、あるいはまた地下資源、石油とか天然ガスなどの埋蔵が非常に豊富でございまして、それがブルネイにとりましては輸出をする先として日本国が一番の得意先である、あるいはまた外貨準備が百五十億ドルというふうに言われておりまして、この運用する権利といいますか、そういうものをめぐって日本の銀行とかあるいは証券会社とかの進出といいますかアプローチ、大変激しいものがある、そういうことのようでございます。  そこで私が心配をいたしておりますのは、目先の物だとか金だとか商売というような、そういうおつき合いで終わるのではなくて、ひとつしっかりとした外交方針を確立されましてブルネイとの関係を育てていくべきではないか、このように思っているわけでございますが、大臣、訪中帰国後で、お疲れのところ恐縮でございますけれども、そのブルネイとの基本的な外交方針と申しますか心構えと申しますか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  77. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ブルネイとは大使館を置きましていよいよ本格的な外交交渉に入るわけでございますが、おっしゃるように、確かにブルネイは今経済的に非常に恵まれております。貿易につきましても日本との関係が深く、輸出入ともブルネイは第一位で、石油、天然ガス等日本にないものが豊富にありまして、日本は今後ともそういう経済的な面においても深い結びつきがあるわけでございます。  しかし、同時にまた我々が非箱に重要に考えておりますのは、ブルネイが今度ASEANに加盟する、ASEAN国になるということでございます。日本はASEANの諸国とは基本的に今日まで深いつながりを持って外交的にも非常に積極的な外交を続けてまいったわけでございますし、今後とも東南アジアにおける最大の安定勢力として日本との関係をさらに安定強化していかなければならぬ、こういうふうに思っております。それだけにブルネイが独立国としてASEANに加わる、ASEANそのものが大きな力を加えてきたということは東南アジアにとりましても大変大きな意味を持つものでありまして、そういう立場からも日本はこれまでのASEAN政策の線上におきましてブルネイ国とも緊密な外交関係を発展させていきたい、こういうふうに思っております。
  78. 山田英介

    山田委員 昨年の五月でございますか、中曽根首相もブルネイの国を訪ねられたそうでございますが、このブルネイ国の非常に立ちおくれている農業とか漁業とかという部分における育成、あるいはまた産業基盤を整えるといいますか、そういう面でしっかり協力をしてまいりたい、あるいはまた技術研修生などの受け入れを考えているというようにお約束をなされてきたという報道に接しておりますけれども、そういうことで具体的にブルネイに協力していこうということでございましょうか。
  79. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ブルネイは非常に金持ちな国ですから、日本がASEANのその他の国のように経済協力をする必要はないんじゃないか。日本よりもむしろ一人当たりのGNPは一万七千ドルというふうにうんと高いわけでございますから、それよりは今お話しのように、向こうの経済の基盤、社会の基盤をつくるための技術協力あるいは人的な支援といったものは、今後とも積極的に要請があればひとつ行っていきたい。ブルネイの国王も近く来日される予定になっております。そういう際にも、そうした問題についてさらに話をする考えでございます。
  80. 山田英介

    山田委員 例えば、ことしの一月一日にイギリスの保護領から完全に独立をされた。しかし旧宗主国イギリスに国防とか治安とかという面でまだ大きく依存しているというふうに伺っておるわけでございます。大臣先ほどお話しなされましたように、六番目のASEANの加盟国になった。しかし、ASEANの掲げている構想というのは、例えば中立地帯化の構想あるいはまた自主独立外交といいますか、そういう一つの構想と、ブルネイの現在置かれている防衛とか外交という現実とは食い違いが見られるわけでございますが、これらも今後調整しなければならないある意味では大変難しい問題かというふうに思うわけでございます。  あるいはまた、ブルネイの立地といいますか、インドシナ半島のベトナムと南シナ海を挟んで対峙するという、そういう言い方をすれば、戦略的に極めて重要な位置にある国である。これも報道によりますと、インドシナ半島の体制の異なる国々からの介入といいますか進出、そういうことを非常にブルネイは今日まで恐れてきたというような内容になっておるわけでございますが、我が国が直接に他国の防衛問題等に口を出すなんということはできないことでございますけれども、やはりASEANとの協力につきましては我が国といたしましても極めて最優先、最重要の位置づけをなされているという観点から、ASEANとの協力関係の中、あるいはまた近々ブルネイの国王も日本に見えるという今お話でございますけれども、そういう機会をとらえまして、我が国といたしましても特にこの地域における平和と安全というものを確保するためにできる限りの御努力をぜひお願いをしたいと思っておるわけでございますが、もう一度大臣の所信をお聞かせをいただきたいと存じます。
  81. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ブルネイとの間の外交関係は、今後とも日本の近隣の最も大事な国の一つとしてこれから進めてまいりたい。特にブルネイがASEANに加入するということもありまして、我々とASEANとの関係から見ましてもそういうふうな姿勢で取り組んでいきたいと思います。  もちろん、ASEANの国にはそれぞれの特色があるわけでございます。ブルネイブルネイの主権国家としての外交の特色もあるわけでございますが、全体的にはASEANの五カ国が六カ国にふえたということになれば、そして行動をこれから協議していくということになれば、全体としてはだんだんと協調的な、連帯的なことになっていくのではないだろうか、私はそういうふうに推測をいたしております。そういう意味で我々がASEANとの非満に深いつながりというものを持つという立場においてもその有力な一国になっていくわけでございますから、これからも先ほど申し上げましたような日本の重要な隣国としてのつき合いをしてまいりたい、こういうふうに思います。
  82. 山田英介

    山田委員 関連をいたしまして、私は対米武器技術供与に関する問題につきまして、せっかくの機会でございますので若干質疑をさせていただきたいと思っているわけでございます。  御存じのとおり昨年の十一月八日、対米武器技術供与につきましてはその包括取り決めが閣議決定をされまして、日米間で交換公文の取り交わしが行われたわけでございます。昨年の一月に中曽根総理が対米武器技術供与の方針を政治決断と申しますか決定をなされまして以来、この包括取り決めによりまして現実的に技術供与が動き出すという体制ができ上がってきたところでございます。武器輸出三原則によらずこの対米武器供与が日米相互防衛援助協定の関連規定に基づいてなされるということでございますけれども、これまで、昨年の国会の論戦あるいは本年の予算委員会等の論戦を全部私も議事録等を見てまいったところでございますが、歴代内閣の掲げてきた平和政策の極めて重要な柱の一つを現中曽根内閣のもとで取り外されたという認識を実は私も持っているわけでございます。しかも、この決定を契機といたしまして、将来的には武器輸出三原則そのものもなし崩しにされていってしまうのではないかという極めて大きな危惧を持つ私は一人でございます。そういうことから、ある意味では武器技術供与の中身といいますのはわかりづらい部分が非常にあるような気がいたしているわけでございまして、その内容とか手続などにつきまして私は若干お伺いをしてまいりたいと思います。  ここに日米で取り交わされました交換公文があるわけでございますが、読んでみましても、例えば「関係当事者の発意に基づきかつ相互間の同意により」云々、こういう記述がございます。そういうところでも、「武器技術以外の防衛分野における技術」ということであれば当事者同士の発意とか同意とか改めてここでうたうことがなくても従来どおりでよろしいわけでございましょう。あるいはまた次に、これは汎用技術ということだと思いますけれどもアメリカ合衆国に対する供与を歓迎します。」とか、あるいはまたそのような供与は促進されるでしょうとか、あるいはまたアメリカ合衆国への流通を容易にするためにとかという記述になっているわけでございますが、この対米武器技術供与、言葉どおり武総専用技術そのものが対象なのであって、こういう交換公文の記述を見ておりますと、武器専用技術というのは陰に隠れて、表に出てきている大部分が民間の汎用技術を何とかアメリカへ移転を促進したいというような気持ちがにじみ出ている、私はそういう気がして実はならないわけでございます。  この公文の中にもはっきりと出ておりますように、汎用技術はこの決定がなされなくても原則として制限が課されていないわけでございます。今田までの論議を見てまいりますと、政府側は行政指導などで民間が有する汎用技術をアメリカヘ移転するよう、そういうような行政指導はしない、こういうふうにおっしゃっているわけでございますけれども、行政指導までいかない、何といいますか水面下といえば非情に語弊があるかもしれませんが、行政指導という形をとる以前の段階で、有形無形の汎用技術、先端技術を持っている民間企業に政府が圧力をかけるというか影響力を行使するというか、そういうようなお考えが実はあるのではないか、そういう疑念を払拭できないものでございますから、その点につきまして責任のある御答弁をお願いしたいと存じます。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 渡辺修

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  先ほど来委員指摘のように、汎用技術につきましては従来から原則として自由でございますし、今後につきましても、従来どおり民間から技術を供与する場合には自由でございます。これに対しましては既に予算委員会その化しばしば機会があることに担当大臣から明言いたしておりますように、当該民間企業の技術の供与につきましては、国としてこれに行政指導を行うといったようなことをいたすつもりはございません。コマーシャルベースに基づきまして民間企業が自主的な判断に基づいて供与するか否かを決めるべき問題である、かように考えております。
  84. 山田英介

    山田委員 そうしますと、行政指導また行政指導までいかない段階での有形無形の民間企業に対する働きかけなどはなさらない、こういう御答弁かと承っておきたいと思います。  なお、私が非常にわかりませんのは、公文の中にもはっきりうたわれておりますけれども、JMTC、武器技術共同委員会は防衛分野における技術の流通を容易にするための方途について討議することができる、そうなっておりますけれども、私は今の御答弁を伺っておりましても、例えばライセンス料とか特許料とか、あるいはまたその日本の民間企業にとってメリットがあるのかないのかという次元で、防衛分野における技術が出ていくか出ていかないかというのは決まるわけでございましょう。そうしますと、ライセンス料とか、その日本企業にこの技術をアメリカに供与することについてメリットがあるのか、実際問題デメリットなのかという、そういうもの以外に容易にする方途というのはあるのでございますか。
  85. 木下博生

    ○木下政府委員 ただいま御質問の点でございますが、これは米側とたびたび話をしておりまして確認しているところでもあり、私ども説明を米側も了解しているわけでございますが、企業の自主的な判断でしかいわゆる汎用技術は、汎用技術だけではございませんで武器技術につきましてもそうでございますが、こちら側の自主的な判断によってしか供与しないということは、アメリカ側も十分確認をしておるわけでございます。  御質問になりました点につきまして申し上げますと、従来我が国では、武器輸出三原則によりましていわゆる武器専用技術についてはどの国に対しても供与を非常に制限的に、ほとんど禁止的な形でしか行われてなかったというような状況がありましたために、汎用技術で武器の製造に使われるかもしれないような技術の取引は本来自由であったわけではございまますが、そこのところが明確にできないようなこともございまして、日本側の企業はそういう話がありましてもそれの供与について非常に慎重な態度をとらざるを得なかったというようなことがあったわけでございます。今回、アメリカに対してだけは武器専用技術を供与できるというような形になりましたので、その関係で、本来自由であったいわゆる汎用技術の供与につきましても、それについて一々それが武器技術になるかならないかというような意味での判断を加えることなくそちらの分野についても出せるということがはっきりしたということで、結果的に武器技術に近い分野の両方に使えるような汎用技術についての供与も容易にできるようになったという意味でここでこのような表現を用いたわけでございます。
  86. 山田英介

    山田委員 公文の中に「JMTCは、適当な場合には、防衛分野における技術に関する事項について討議することができる。」それから、先ほど私が指摘しました点の記述でございますけれども、繰り返すようですが、ライセンス料が幾らになるのかとか、それに基づいてその日本の企業にとってプラスになるのかならないのか、それがまさに自主的な判断の極めて大きな一つであろうと思っておりますものですから、何も交換公文の中にこういう形で記述をなさることはないんではないか、あるいはなさるからにはやはりそこに我が国の先端高度技術を有している企業に対する働きかけといいますか、接触というものが全くなされないのだとは考えにくいわけでございます。その辺、もうちょっと整理して御答弁いただければありがたいと思っております。
  87. 木下博生

    ○木下政府委員 先ほど通産省の方からも御説明がございましたが、この点につきましては、アメリカの国防総省当局あるいはアメリカの企業関係者が日本に参りましたときに、日本側の自主的な判断に基づいて、今委員がおっしゃいましたように日本側の企業はあくまでもライセンス料等いわゆるコマーシャルなメリットを考えた上でそこのところを判断するという点については十分な確認をしておるわけでございます。したがいまして日本の場合には、日本の企業がそういう技術をアメリカに出すことによって十分な見返りを得うるという判断をしたときだけ供与を行うということになるわけでございます。  この取り決めでも、決めました内容の主体はあくまでも武器専用技術でございまして、武器専用技術についてそれを供与するかしないかを決める枠組みをこの中で決めたのが本体でございまして、それに関連する事項が若干付記して書いてあることだと我々は了解しております。
  88. 山田英介

    山田委員 ちょっと角度を変えますけれども、JMTCは適当な場合には汎用技術について討議ができる、このことについて今装備局長から御答弁もあったわけでございますが、この討議の中身は公表されるのですか。
  89. 北村汎

    北村政府委員 JMTCにおきます協議、これは全くいろいろな種類の意見交換を含めまして、ある場合には汎用技術と武器技術の識別もいたしましょうし、あるいはまた、よくアメリカが欲しいと言っておる武器技術についてその理由を聞いたり意図を聞いたり、いろいろなことがあると思われます。したがいまして、こういうような日米間の協議といいますか意見交換を公表することは考えておりません。
  90. 山田英介

    山田委員 ちょっと語尾の方がわからなかったのですが、公表することは考えておりませんと言ったのですか。(北村政府委員「おりません」と呼ぶ)  これは本年二月十六日、衆議院予算委員会における局長の御答弁でございますけれども、取り決め全部は公表できない、実施細目取り決めは問題がございますから取り決めそのものは公表できない、どういう供与がどの程度どういうふうに行われたかについて、できるだけ明らかにする方向でアメリカ側と協議をしていく、こう御答弁をなされておられます。この答弁があってから一カ月以上経過するわけでございますけれども、この点につきましてはアメリカ側と煮詰められておられるのですか。あるいはまだであるとすれば、一般的に企業秘密に属する部分は除いて国会に報告するとか国民に公表するとかというような措置をとるべきではないか、私はそういう意見でありますが、その点伺いたいと思います。
  91. 北村汎

    北村政府委員 ただいま御指摘になりました実施細目取り決めてございますが、これは防衛、安全保障上の考慮、あるいは今先生指摘になりました企業秘密の観点もあろうかと思います。そういう観点からその実施細目取り決め自体を公表するのはできないものだと我々は考えまして、これはアメリカとの間でもそういうことになっております。  しかし、将来の時点で、どういう武器技術がアメリカに対して供与されたか、こういうことにつきましては、私どもとして全然やみからやみへ葬るというようなことを考えておるわけではございません。これは、どのようなものがどの程度、またどのように行われたかということにつきまして可能な範囲で公表できるように、今まだアメリカ側と協議がついているわけではございませんけれども、これからアメリカ側といろいろ協議をしていきたいと考えております。
  92. 山田英介

    山田委員 これは確認でございますけれども、例えばアメリカに供与する日本からの武器技術が一年間で十件あったとします。取り決め自体は公表できないということとかかわるわけでございますが、そのうちの例えば七件だけは国民の前に公表したけれども、あと三件については安全保障上の制約とかいうような理由のもとで十件が十件全部公表されないということでございますか。それとも、こういう技術が日本からアメリカへ供与された、仮に年間十件あったとすれば、十件全部明らかになさるということでございますか。その辺、どちらなんでございましょうか。
  93. 北村汎

    北村政府委員 先ほど御答弁いたしましたように、公表の内容、どういうふうにやるかということについて、アメリカ側との間でまだ合意に達しておりませんこの時点で確定的なことを私から申すことができないことは御了解いただきたいと思いますが、さっき申し上げましたのは、取り決め自体を公表することは安全保障上の観点からできないものである、しかし、どのような技術がアメリカに供与されたかということにつきましては、これはできる範囲で公表できるようにアメリカ側と協議していきたいという考えでございます。  ですから、今の時点で具体的にどういうやり方でどういう公表の仕方をするかということは、勝手に日本側で申すことはできないと思いますが、その問題を含めてこれからアメリカ側と協議をしていきたいと考えております。
  94. 山田英介

    山田委員 今御答弁にもありましたように、実施細目取り決めについては原則として非公開とおっしゃられているわけでございます。報道によれば、例えば防衛産業界など、供与する技術が明らかにならないとすれば武器技術の供与を促進する上で非常にプラスになる、むしろ非公開、公表しないことが非常にありがたいことだというようなとらえ方をされる向きが強いようでございます。例えば、武器技術をアメリカに輸出している企業だよという形で国民から認識されることに非常に配慮して、自分の企業としては武器技術をアメリカに出すのはイメージが悪くなるから控えようという企業側の意識とか行動は当然あるわけだと思います。そういう意味の一種の歯どめも、これが公表されないことになりますと外されてしまうという懸念がございます。ですから、これからアメリカ側とどの程度公表できるか詰めると局長おっしゃいましたけれども、私、そこがちょっとわからないのです。聞き方が悪いのかもしれませんけれども、例えば、将来アメリカ日本からの武器技術の供与の件数が年間実質的に十件あったとします、その十件についてはすべて、それは実施細目取り決めそれ自体を全部公表しろという立場ではなくて、どういう技術がアメリカへ十件なら十件、これがこの一年間供与された技術の全部ですよという形で公表する、重要な部分だから三件ぐらいはふせておこうということはないのですねということを私は確認させていただいておるわけです。
  95. 北村汎

    北村政府委員 技術の分野というのは極めて複雑で千差万別でございますし、個々の武器技術についてアメリカ側から供与の要請がまだあるわけではございませんし、今委員が御指摘のように、具体的に十件あればそれを全部出すかあるいは三件は公表しないかという御質問に対して、これはやはり具体的なケース・バイ・ケースで、その場合そのときどきにアメリカ側と協議をして、これはどの程度公表できるかということをその時点で協議して決めていくということになろうと思いますので、今その全部を公表するとかあるいはしないものもあるとかということを包括的に、一般的に申し上げることはかえって誤解を招くのではないかと思いますので、御了解いただきたいと思います。
  96. 山田英介

    山田委員 私は、今の御答弁、納得できません。軍事機密だからという秘密のベールの中に、全部とは言いませんけれども、一部でも覆い隠されてしまうということになりますと、日本からアメリカに少なくともどういう技術が供与されたかということは国民の目からは見えないわけです、届かないわけでございます。そういうことからすれば私は少なくとも――さきの予算委員会のやりとりを私も伺っておりましたけれども、社会党の大出委員とのやりとりなんか特にその辺をやっていらっしゃるわけです。そのときに、どういう技術がどういう方法でアメリカヘ供与されたか、この辺についてはできる限り公表できるように、実施細目取り決め全部そのままということじゃなくて、できる限り公表できるようにアメリカ側と詰めると局長が御答弁なすっているものですから、私は一面安心したのですけれども、今の御答弁を重ねて伺いますと、どうも仮に十件あった中の二件とか三件というのは――今の時点から将来予測に基づいて答弁することは差し控えたいというその趣旨もわからないわけではありませんが、やはり基本的に、どういう技術がアメリカ日本から供与されたかというその技術の名前ぐらいは十件あれば十件全部出さなければおかしいのじゃないですか。一納得できません。もう一回お願いします。
  97. 北村汎

    北村政府委員 私が予算委員会でお答えいたしましたのは、今委員がおっしゃいましたように、アメリカに対してどういう武器技術がどういうふうに供与されたかということをできるだけ、できる範囲でアメリカ側と協議して公表できるようにしていきたい、こういうことを申したわけでございまして、私どもは、さっきも申し上げましたように、どういう武器技術がアメリカに供与されたかということをやみからやみに葬るというようなことは考えておりません。したがいまして、委員が御指摘になりましたように、どういう技術が供与されたかということを、実施細目取り決め自体の公表は無理でございますけれども、できるだけその概要なりを公表できるようにしたいと思っておりますが、これは何分ともアメリカという相手があってのことでございまして、アメリカとこれからまたいろいろ協議をして、アメリカの方の思惑もあろうかと思いますので、ここで断定的に申し上げることはできないということを申し上げただけでございまして、私どもの気持ちといいますか考えは、この間予算委員会で御説明したとおりでございます。
  98. 山田英介

    山田委員 私はちょっとくどいように申し上げますのは、交換公文を拝見しましても、その附属書の部分にどういうものが武器技術なのかということがもう特定されているわけです。それから、アメリカ日本の分野分野における技術の水準というものは、どこが日本がすぐれていて、アメリカがまた逆にすぐれていてというのはある意味では世界じゅうにわかっているわけですね。それからまた、アメリカ日本に対してできればこういう技術が欲しい、供与を希望しているのではないかというようなことは、ここまで来て特定、確定はできないにしても大体わかるわけでございます。そういうことを踏まえて考えていけば、軍事機密に属する問題だからとか安全保障に関する問題だからという大義名分といいますか、そういうもので――公表をしないと言ったら語弊があります、できるだけしょうというふうにおっしゃっているわけですから。ですから、それをできるだけ国民の前に明らかにしていくという姿勢といいますか、そういう努力を私はぜひしていただかなければならないと思っているわけでございます。  この点については私は、日本からどういう技術がアメリカに行ったのかということをやはり全部知らせていただきたい、実施細目取り決め、それは全部公表してもらいたいと思っていますよ。国会にも報告してもらいたいという立場です、考え方としては。しかし、今そういう角度から論じているのじゃないのです、伺っているのじゃないのです。おわかりいただけるかと思いますけれども、もし年間で十件行ったとすれば、こういう技術どこういう技術どこういう技術が間違いなく十件アメリカに行きましたよ、これだけは少なくとも公表すべきである。何も私は難しいことを局長に御答弁求めているわけではなくて、先のことを今言えない、そうおっしゃいますけれども、それは当然のことだろうと私は思っておりますものですから、またいずれかの機会にぜひ伺わせていただきたいと思っております。  先に進ませていただきますが、次に、これもまた論議が非常にされてきたところでございますけれども日本から供与された技術がアメリカにおいて他目的のために転用される問題、あるいはまた第三国へ日本から供与された技術が移転をされるという、その事前同意にかかわる問題について若干お尋ねしておきたいと思うわけです。  昨年十一月八日の包括取り決め、この中に明確にうたわれておりますように、他目的転用とか第三国移転については日本の事前同意を必要とする、ここは明確になっております。ですから、アメリカ日本から供与された技術を第三国に移転をしたいという場合には当然事前同意の対象になりますから、アメリカが第三国へ移転をしたいということで事前同意を求めに来た場合にはそこで協議、話し合いが行われますけれども、この部分については公表されるのですか。今まで議事録をいろいろ見てみましたけれども、この点についてちょっと明確になっていないものですから、改めて伺いたいのです。
  99. 北村汎

    北村政府委員 まだそういう具体的なケースがありませんので、これもアメリカ側とその時点でその具体的なケースに基づいて協議をしなければならぬ問題だと思います。そういうことで、私どもはそういう第三国移転の要請がありました場合には、あくまでも、そもそもその武器技術をアメリカに出したという本来の趣旨と、それから武器輸出三原則というものに照らして自主的に判断するわけでございますが、その結果を公表するか否かということについては、その時点でアメリカ側と協議をしなければならぬと思っております。
  100. 山田英介

    山田委員 これは昨年二月十九日、衆議院予算委員会における中曽根総理の御答弁でございますけれども、第三国移転の事前同意を求められた場合に日本の政策に違反しない限りにおいてイエスということもあり得る、こういう趣旨の御答弁をされております。このこと自体、武器輸出三原則の例外扱いを米国以外の第三国にも拡大をするものだということで、大変厳しい批判をされた経緯があるわけでございます。ただいまの局長の御答弁を伺っておりましても、相手がある、相手がある、そういうことでございますから具体的にそういう事態に立ち至って初めて協議して結論が出るものであって、今の時点でどうこう言うことはできない、こういう御答弁が多いかと思いますけれども、そうじゃなくて、やはり我が国アメリカとは対等の独立国としての立場があるわけでございますので、我が国政府の方針としてこういうふうに考えていきますよという姿勢をもうちょっと鮮明にといいますか、明確になされた方がよろしいかと私は思っておりますので、一言申し上げておきたいと思います。  その中で、同じような御答弁じゃ困るわけでございますけれども日本アメリカに供与したその技術に基づいてアメリカが武器、兵器というものを生産されます。その日本から供与された技術に基づいてアメリカが生産をした武器を第三国に移転をするという場合に、これは事前同意をアメリカは得なければならないのですか。
  101. 北村汎

    北村政府委員 我が国が供与した武器技術に基づいて武器が生産された場合、その武器が第三国に移転される場合に我が国の事前同意にかからしめられておるかどうかという御質問であろうかと思いますが、これは今回の取り決めでは別に我が国の同意を得なければならないということにはなっておりませんけれども、しかし、そもそも武器技術の第三国への移転というものが我が国の事前同意というものにかからしめられておるという本来の趣旨が失われないように、私どもはその時点でそういう具体的なケースが起きたときにアメリカ側と協議をしていきたいと思っております。
  102. 山田英介

    山田委員 やはりこれは、今局長の御答弁、ちょっと後退をされておりますですね。今年の予算委員会での局長の御答弁見てみますと、アメリカは当然日本に事前同意を求めなければならないものと考えておりますと、こういう趣旨の御答弁をされております。今の局長の御答弁は、そのときになってみないとわからないというようなニュアンスが強うございまして、私はそういうことじゃないんじゃないかなと思うのです。  先ほどの実施細目取り決めをどの程度公表できるか、これからアメリカ側と詰めていきますという、そういう段階でございますから、やはり日本から供与された武器技術を第三国へ移転するのは事前同意になる、その技術でアメリカで生産された武器を第三国へ移転する場合にも事前同意を求められて当然しかるべきだと思っておりますし、そういうことからすればむしろ、これからアメリカ側と鋭意協議をなさるわけでありますから、日本から供与された技術に基づいて生産された武器を第三国へ移転する場合にもやはり日本の事前の同意を得ること、これをやはり外務省として明確にアメリカ側に主張すべきではないんでしょうか。そうしなければ、実質的に武器が出ていけば――これは何回も指摘されていることです。アメリカだけじゃなくて世界じゅうの国々へ日本が要するに武器技術を提供した、供与したと結果的には同じことになりかねないということで、今まで大変厳しい追及というか論議が繰り返されてきたわけでございますから、事前同意が必要だと思いますよと言うだけじゃなくて、事前同意をしっかり日本から受けてください、これは局長アメリカ側に言うべきじゃないですか。そうしないと歯どめがなくなっちゃいますよ。
  103. 北村汎

    北村政府委員 先ほども申し上げましたが、技術の分野はまさに千差万別でございまして、例えば、日本が供与した武器技術からのみつくられた兵器の場合もありましょうし、あるいはアメリカの技術と一緒になってつくられた場合もありましょうし、あるいは日本の武器技術が九〇%使われてほかの技術が一〇%であるとか、いろいろな千差万別のケースがあり得ると思うのでございます。こういう場合に、一概にこれはこうだということをあらかじめ決めるということは、これは非常に困難なことがあろうと思います。  したがいまして、私どもが先ほど御答弁しましたように、武器技術をそもそもアメリカに出して、その技術が第三国に移転される場合には必ず日本の事前の同意は必要だ、こういうことになっておりますので、その趣旨が失われないようなことで、まさに先生がおっしゃられている趣旨を体しまして、アメリカ側とその時点でその具体的な問題について協議をするということであろうかと思います。
  104. 山田英介

    山田委員 外務大臣、今るる局長とやっていたわけですけれども、そういうことで、日本から供与された技術に基づいて生産された武器がアメリカを通して第三国に移転される場合に、日本の事前同意が当然必要なんだろうと、交換公文の中身を見ても今までの経緯を見ても私は思うわけです。その場合には、武器の第三国移転についても日本の事前同意をしっかりとってもらいたいということをアメリカ側に明確に申し入れるべきではないか、このように思っておりますけれども、この点について大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  105. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは交換公文がMDAに基づいて結ばれたわけでございますし、MDAの精神からいきましても、また日本の武器輸出三原則という立場から見ましても、アメリカに供与された武器技術が第三国へ移るということについては基本的に当然排除されなければならないと思うわけで、ですからそのために日本の同意というものが要ることになっておるわけでございますが、今北村局長も言いましたように、武器技術といいましてもまさに千差万別あるわけでございますから、そういう武器技術を、日本の千差万別の武器技術を使ってどういう形で武器が生産されるか、ほんのどこかの部分的な、またその部分的なものにそれが使われるという場合もありましょうし、あるいはまた大半が使われてそれが武器となるということもあるでしょうし、いろいろなものがありますから、そういう点については、やはりこの協定に基づいて日本が武器技術供与をする際によくアメリカとの間で話し合いをする必要がある、そういうふうに思っておるわけでございます。そして、基本的には武器輸出三原則あるいはまたMDAの基本的な姿勢、精神、そういうものが守られて貫かれていった形でアメリカに対して技術の供与が行われなければならない、こういうように思うわけであります。
  106. 山田英介

    山田委員 今、大臣御答弁になられました内容につきましては、既に我が党の矢野委員と大臣との間でそういうやりとりが、要するにアメリカの技術が九〇%で日本の技術が一〇%の場合とか、逆の場合もあるとか、そうなってきますと、では実質的にどこで線を引くのか、あるいはどういうことかということで、そのままにしておけば結局はしり抜けといいますか、全く歯どめがないということになりますので、基本的な考えとしては、大臣おっしゃるように、それが一〇%であろうと五%であろうと何%であろうと、いずれにしても日本から供与された技術に基づいてでき上がった武器についてのアメリカからの第三国移転については、日本政府として基本的に我が国の事前同意を得るようにしてほしい、やはりそういう姿勢は必要なんだと私は思いますので、申し上げておきたいと思います。  時間がありませんので、ちょっと一点確認しておきたいのですけれども、昨年三月八日の衆議院予算委員会で当時の山中通産大臣の御答弁、こういうのがあるのです。「防衛庁は、国家の省庁としての、機関としての特許権を国にかわって持っているわけでありますから、今回の技術については、武器でない範囲においてアメリカに提供することは無条件で提供することが前提になる」こういうふうに答弁なされておるわけでございます。そうしますと、防衛庁が現在持っておられるこの特許権といいますか工業所有権、三百を超えるということでございますけれども、当時の通産大臣の御発言を見る限りにおいては、防衛庁の持っている技術が、それが武器専用であろうともあるいはまた汎用技術であろうとも、アメリカから要請があれば無条件で出される、こういうことでございますか。
  107. 木下博生

    ○木下政府委員 昨年の山中通産大臣の御答弁の正確な内容、私もちょっとここで記憶しておりませんが、山中大臣がおっしゃった点を私どもなりに考えますと、防衛庁といたしましては、従来から防衛庁の装備品を開発、生産いたします場合にアメリカの技術をたくさんもらってやってきておったわけでございます。それに対しては、日米安保条約がありますので、アメリカとしては最大限の協力をしてくれたと私ども考えております。したがいまして、もし防衛庁が開発しました武器等に関連します技術をアメリカから供与を求められた場合には、当然、従来からそのような協力を受けていたということを考えまして、日米協力の前提からできるだけ前向きに取り組むという考え方でいきたいと考えております。そういう趣旨を山中大臣もおっしゃったのではないかというふうに考えております。
  108. 山田英介

    山田委員 必ずしもそういうニュアンスではないのです。国にかわって防衛庁が持っている権利であるから、アメリカから要請された場合にはもう無制限に、無条件でこれは供与するんだ、こういう、むしろそちらのニュアンスの方が強い発言でございまして、これは装備局長、もう一回議事録をよく見て、その整合性をちゃんと持たしておいてもらいたいと思います。それはそれで結構です。  そういうことになりますと、防衛庁が持っている三百を超える特許権が武器技術か汎用技術がなんて分けることはないわけですよ。分けようが分けまいが、アメリカから、これはぜひ防衛庁、欲しいんだよと言われれば結局全部出さなければならぬということに、当時の山中通産大臣のこの発言からすれば、そういうふうにとれます。間違いなくそうとれます。したがいまして、本当にそういうことでよろしいのかどうかという点が一つあります。  もう一つ関連して、防衛庁以外の、国にかわって権利を所有しているといいますか、通産省だって持っておるだろうし、科学技術庁だって、それぞれ高度な技術をやはり所有されているということだと思います。そういう防衛庁以外の他の省庁が所有している技術、これは武器技術ということはあり得ないわけでございますが、そういう技術についてはどう言うんですか。アメリカから、仮に通産省が持っている技術、科学技術庁が押さえている技術、これを欲しいのですよと言われた場合には、無条件で出すのですか。
  109. 植松敏

    ○植松説明員 今御指摘にございましたように、通産省だけが持っておるわけでございませんで、各機関それぞれ、政府機関でもいろいろあろうかと思います。したがいまして、一般的に申し上げるよりほかございませんけれども一般論として申し上げれば、それぞれ政府機関が持っております技術につきまして仮に供与の要請がありました場合には、それぞれ各機関が自主的に判断をして供与するかしないかを決定する、こういうことになろうかと思います。  ただ、私どもに工業技術院がございますが、工業技術院に保有されておりますいろいろな一般の、いわゆる汎用、民生用の技術でございますけれども、研究成果につきましては、これまで内外無差別の原則のもとに適正な対価等を判断をいたしまして通常実施権を付与するということで、一般論としてやっております。その場合でも、考え方といたしましてはそれぞれの各保有機関が自主的に判断して決める、こういうことになろうかと思います。
  110. 山田英介

    山田委員 一般論で私は質問を申し上げているわけではないので、当時の山中通産大臣の発言に基づいて具体的にどうなのかということを申し上げているわけでございます。いずれまたこの点は伺います。  時間があと五分ということでございますので、防衛庁に伺いたいのですけれども、この附属書の武器の定義の箇所がございますが、別表第一の二〇一の三の項で「軍用航空機並びにその部分品及び附属品」、これに関する技術であればこれはアメリカに供与できる、そういう趣旨の附属書の中身でございますけれども、これに入るのかどうか、防衛庁がTDK、東京電気化学工業に電波吸収体、電波吸収塗料フェライトの開発委託をなされたと伺っております。  時間がありませんのでまとめて何点か申し上げますので、まとめてお答えをいただきたいと思います。  その電波吸収塗料フェライトをTDKに開発委託をされた目的は何かということ。それから、その特許権といいますかパテントは防衛庁がお持ちなんですか、東京電気化学工業がお持ちなんですか。それが二つ目。それから、防衛庁は既にステルスエアクラフト、要するにレーダーの電波でとらえられない飛行機の開発をなされているのか、着手されているのか、その予定があるのか。それから、日本にも優秀なミサイルがあるわけでございますけれども、そういうミサイルなどにもこのフェライトを応用なさる計画があるのかどうか。その四点になりますか、まとめて簡単にお答えいただきたいと思います。結論だけで結構です。
  111. 冨田泉

    ○冨田(泉)政府委員 ただいまお尋ねの電波吸収塗料の開発の目的でございますが、一般的に言いまして、レーダーを使った探知の技術が非常に進んでまいりましで、それを逃れるための電波の無反射体というものが求められるわけでございます。これは特にどのものに適用するということでなくて、一般的にそういう電波吸収体というものの研究の中で、塗料化した物というものが物体の表面に塗りますときに非常になじみやすいといいますか、従来板状の物とか膜状の物とかそういったものはあったわけでございまして、御承知のように電子レンジの中にもそういった物が使われておるのですけれども、それを塗料化しはうということで研究したわけでございまして、その特許は防衛庁が持っております。これは五十七年の二月ごろに登録されたと思いますが、そういうものがございます。  それから、これを特定の航空機またはミサイル等に適用するという計画は、今のところはございません。ただ、あるいは新聞等にその種の記事が出たことがございますけれども、これは一つには、ただいま使用しておりますASM1というミサイルの羽の部分にそういった物が適用できるのではないかというようなことで、若干、炭素複合繊維のようなもので電波吸収特性を持った物といったものについての研究はしておりますが、これもそのミサイルにこれを適用するということでなくて、たまたまそういう試験材料といいましょうか試験台といたしまして、いろいろなデータを我々が持っておるそういう装備品の一部分に使ってどういう効果があるかというようなことで研究をしておるというものでございます。現時点におきましてミサイル、航空機等にこういう物を適用するという具体的な計画は持っておりません。
  112. 山田英介

    山田委員 防衛庁がパテントを持っておられるこの電波吸収塗料、吸収体フェライトの技術というのは、私調べましたけれども、これは世界最先端の水準をいくフェライトの技術だそうでございますね。これを仮に戦闘機だとかミサイルだとか、一部ミサイルの羽の部分か何かに今応用して研究しているという御答弁でございますが、実際にはもうちょっと、支援戦闘機の関係とかそういうもので一生懸命やっておられると私は思っておりますけれども、時間がありませんので、私はこの質問はまた別の機会にじっくり時間をいただいてやりたいと思っております。  そういうものが仮にアメリカから供与を求められた場合に、防衛庁としてそれを出すということになりますと、これはアメリカでもソ連でも本当に欲しがっている技術の一つだというふうに言われておりますし、もし電波の九九・何%も吸収してしまうようなフェライトの技術を防衛庁は持っておられるとすれば、これはまさに空想でも何でもない、現実の問題として、そういう大きな威力、あるいはまた武器としての性能と言ったら語弊がありますけれども、大変な効果を伴うものになるのだろうと私は思っております。したがいまして、それらの対米武器技術供与に乗せる場合においては極めて慎重に対応していただきたいということを私は申し上げて、質疑を終わりたいと思います。  時間が終わりましたので、次回ぜひまた論議をさせていただきたいと思っております。終わります。
  113. 片岡清一

  114. 田中慶秋

    田中(慶)委員 外務大臣に質問させていただきます。  中曽根総理と訪中をされ、大変成果のあった訪中だというふうに各マスコミには報道されているわけでありますけれども、これらについて、大臣としてその意義と成果のほどをお伺いしたいと思うのですが、大臣、答弁を願いたいと思います。
  115. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今回の中曽根総理の訪中の最大の眼目は、日中間の友好協力関係を二十一世紀に向かって長期的かつ安定的に強化発展させていく、こういう基本的な考え方をいかなる施策で具体化していくかという課題にこたえることにあったわけでございますが、その所期の目的は達成をされたと思います。  さらに、両国は、国際情勢についての忌憚のない意見交換を通じまして、両国、アジアひいては世界の平和と安定のために重要な責任及び役割を担っていること、またそのために日中両国がおのおのの立場から協力、協調していく必要があるとの考え方において共通の認識を有していることを再確認することができました。  以上の意味におきまして、今次訪中は十分なる成果をおさめたもの、こういうふうに確信をいたしておるわけであります。  今度の会談で、具体的には、例えば日中友好二十一世紀委員会が正式に発足の運びとなりました。あるいはまた第二次の新規円借款について合意が見られまして、運輸、通信、エネルギーの分野における重要プロジェクトに対しまして、八四年度以降我が国の財政事情を勘案の上できる限り協力を行うという政府基本方針を明らかにしたわけでございます。めどとしては大体四千七百億ということでございます。また、無償資金協力であるとか技術協力、新規輸銀ローンの問題等に関しまして可能な限り協力をしていく、このようなことを推進していくという方針が確認をされたわけでございます。  また、日中双方では、こうした政府間の協力だけじゃなくて、民間の協力も進めるべきであると特に強い要請が中国側からありました。これに対しまして日本側から、やはりそうした民間の投資とか合弁に対する投資環境というものをつくってほしいという日本の注文も述べたわけでございますが、中国としては、いわゆる中国の近代化を進める上においてそうした日本の特に民間の協力は非常に強く必要としておるということで、これは政府として民間にも伝えるということも約束いたしたわけでございます。  いろいろと国際問題につきましても、朝鮮半島の問題であるとかあるいは中ソ間の問題であるとか、現在の国際情勢の非常にポイントにつきまして、お互いに隔意のない意見の交換をいたした次第であります。
  116. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大変御苦労であったと思いますけれども、今大臣が述べられたそれぞれの評価の問題について、私なりに若干質問をしてみたいと思っております。  まず、経済的な問題として、日中がそれぞれ経済問題についても大変協力関係をとっていくということを含めて、第二次借款として円借款が四千七百億と決められたわけであります。あわせて無償が四十億ということを含めて、これだけの膨大な金額をもってするならば、この成果というものが本当に手放しで喜んでいいかどうか。この関係の中で、反面ASEAN諸国は、中国にこれだけの借款を求められることによって相対的にますますASEANの方は削られるのじゃないか、こんな心配をされている向きもあるのですが、大臣、その辺はどうなんですか。
  117. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 七年間で一応めどとしては四千七百億ですから、相当大規模な経済協力でありまして、まさに全体的にASEAN並みといってもいいのではないかと思うのでございますが、これは日本の隣の国で、日本とは今後とも、二十一世紀、さらにそれを超えてつながっていかなければならない中国でありますし、同時にまた、まだ非常に経済がおくれておる、鄧小平さんも言っておられましたが、一人当たりのGNPは二百五十ドル、こういう状況でございますから、そうした状況を見ますと、やはり日本として協力していく、特に立ちおくれた社会資本の開発のために協力していくのは、私はある意味においては日本の責任であろう、こういうふうに思うわけでございます。  同時に、ASEAN諸国に対しても、これまでも最大の重点を置いて経済協力を進めてまいりましたが、これもようやく成果を発揮してまいったわけでございますし、この関係は今後とも持続していく。それがまた、ASEANのみでなくて、ASEANと日本にとりましても好ましい方向であろう。  ですから、これは両々相まって、日本の財政という厳しい状況には直面しておりますが、財政の許す範囲において中国に重点を置き、そしてASEANに重点を置いて、ともにやはり協力は進めていかなければならない、こういうふうに思います。
  118. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、経済環境なりあるいはまた隣人ということであれば、ASEANを含めて当然のことだと思うのです。ところが、四千七百億余にわたる、七年間とはいえ、現在の経済状態なり財政の厳しさからすると、偏る心配があるのじゃないかということをもう既に言われているわけです。こういうことを考えたときに、過去の流れからしてみると、私は、まさしく心配する向きについても当事者になってみればそのような気がするわけですけれども、今の大臣の答弁でいきますと心配がないような受けとめ方にとれるわけですが、その辺を明確にしていただきたいと思います。
  119. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今の状況でいけば、この程度の経済協力、円借款というものは中国に対して十分行うことができる。また、これは一応めどではございますけれども、約束した以上は行わなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。同時にまた、ASEANにも同様な経済協力は並行して行うことができると私は判断をいたしておるわけであります。
  120. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、中国というのはあれだけの人口なり、国として独立てきる基礎組織なり実力は持っていると思いますし、ASEANの方がむしろこれから大変な事態を抱えていると思います。そういう点では、ASEANが抱えている悩みがこの中国の円借款によって現実にはおかしくならないようにぜひともやっていただきたい。これは、大臣に対する要望ということでお願いしたいと思います。  先ほどの成果の中で、軍事問題を含めてというお話の中で、中ソ関係という問題、あるいはまたその関連の中で、ソ連のSS20の脅威に対処するため日中間の具体的な協力、情報交換、こういう形で承っているわけですけれども、この辺について、どのようなことなのか、御説明いただきたいと思います。
  121. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 このSS20の極東配備の問題につきましては、中曽根総理と趙紫陽総理との間でも論議されましたし、また、私と呉学謙外相との間ではさらに突っ込んで話し合いをしたわけでございます。  基本的には、現在の状況でソ連が非常な勢いで軍事力を増強しておる。これは、例えばノボロシスクという航空母艦をウラジオに派遣をしてきた、あるいはまた、日本の大事な北方四島、固有の領土である北方四島にも今巨大な軍事基地を構成しておる。そういうふうな状況に加えてさらに、SS20につきましては百八基あったものが今百三十五基に増強されておる、今後この増強は続けられて百四十四基になる可能性すらある。こういうようなソ連の軍事力の増強というものは、日本にとっても非常に重要な関心事項であるけれども、さらに中国にとっても同じことである、特にSS20のこうした展開はまさに日中両国にとって共通の関心事項であるし、昨年九月に実は国連総会で私は呉学謙外相と話し合って、こうした問題については共通の関心事項としてお互いに対応していきましょう、情報の交換もしましょうという約束をしたことに基づいて、それからさらに今SS20の配備が強化されておるわけですからそういう問題も踏まえて、体制は違いますけれどもお互いに核軍縮あるいは核廃絶に向かって努力している国同士でございますから、それぞれの立場で情報を交換しながらこの核軍縮に向かっての努力を具体的に続けていこうじゃないかということで大体意見の一致を見たわけでございます。  これは、私の考えとしては、去年国連総会で話をしたときから、日本だけがSS20で主張しても主張は非常に弱いものになるわけで、日本はグローバルな立場で、そして極東だけじゃなくアジアが犠牲になってはいけないということを強く主張しても、やはり軍縮、核軍縮は、特にINFの問題ということになりますとどうしてもヨーロッパに焦点が合わされて、ヨーロッパが解決すればそれで終わったというようなことでは日本としても困るわけですから、これは日本は強く主張してまいりましたし、アメリカにも理解させましたし、ある程度ヨーロッパにも理解させましたけれども、なおかつ心配な面もあるわけですから、そこに中国というものが一枚加わって、中国は中国なりにSS20に対して強い削減の方針を打ち出してアプローチをいろいろしていくならば、やはり極東というものが無視されないということで一つのパンチが出てくる、こういうふうな外交的な一つの戦略といいますか、そういう立場から中国に話したわけですが、中国も共通の関心事だということで、一緒になっていろいろな立場からこれをやりましょう、情報も交換しましょうということございました。  しかし、これは決して軍事協力といったような筋合いのものじゃありませんで、軍縮を目指してのお互いの立場からの協力ということでございます。
  122. 田中慶秋

    田中(慶)委員 日中がそのような形で協力関係をとられるのは大変結構なことだと思います。  ただ、反面考えるならば、それが余り親密になればなるほど、対ソ関係というものが逆に脅威になってくる心配が出てきやせぬかという単純な考え方が持たれるのですが、その辺は大臣はどう思われますか。
  123. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはソ連が現実的に今SS20の配備を強化されている、どういう状況で、そして、残念ながら今INFの交渉が中断しているという状況でもあるわけでございますから、これの再開を求めて、またさらにこれが妥結をするという方向を求めて日本もあるいはまた中国も努力をしていくことは当然なことであろうと私は思います。  タス通信等によれば、ソ連は今度の中曽根首相の訪中というものに対して批判も加えられておるわけでございますが、これでもって例えば中ソ関係だとかあるいは日ソの関係が非常に悪くなるとか、そういうことはあり得ない。中ソは中ソで基本的には対立があります。しかし、改善の方向、動きというものは進んでおるわけでございますし、日ソも対立点は基本的にあるわけですが、そういう中で対話の方向も徐々に進んでおることでございますから、これは軍縮へ向かっての努力でありますから私はもっと堂々とやってしかるべきではないか、こういうふうに思います。
  124. 田中慶秋

    田中(慶)委員 一つの物理的な考え方をしますと、一方に日中という形の中でより情報交換、時によればそれが功を奏すかもわかりませんけれども、ソ連も首脳があのような形でかわり、大臣もみずから向こうに行かれて改善を求められている、こういうことを考えてまいりますと、それらの問題を含めてアジアを含む太平洋諸国の安全という面に大変役立つという面と、もう一つは脅威という裏腹な面が出やせぬかという心配が私はあるわけです。せっかく改善を求めているところで、その脅威というものについてはあなた自身は心配ないんだと言うけれども、こういうことを含めて、あなたはどう思いますか。
  125. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本にとりましては、こうしたSS20の配備の強化というものはまさに間接的な脅威であると言ってもいいのだろうと思うわけでございます。そして、それが増強されておるということに対して、日本が軍縮を主張し核廃絶を主張する立場から、世界の平和のために強く主張し批判をするということは、これはもう平和国家としての当然の行き方であろう、私はこういうふうに思っておるわけでございます。
  126. 田中慶秋

    田中(慶)委員 主張は主張として、私は主張してはいけないと言っているのじゃないのです。片方では、日中がそれだけの情報を交換することがアジアを含む太平洋の安全のために大変役に立っているということ、それは評価できるでしょう。片や、日ソというものの関係改善がまだされていない状態なんですから、脅威というものを深刻に受けとめなければいけないのではないか、私はこういうことを申し上げているので、それについてあなたの方は今触れてないわけで、その辺を明確にしていただきたいと思います。
  127. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 やはりこれは平和への動きでありますし、軍事協力ということならこれは恐らくソ連が日中のそうした動きに対して脅威を感ずるということは、今日の状況から私はあり得ると思います。しかし、軍事協力といった筋合いのものではないわけでございます。軍縮への提携といいますか協力ですから、これは一つの圧力にはなっても、その圧力はINF交渉の再開への圧力ということですから、こういう協力というものはむしろ積極的に進めるべきじゃないか。そして、これはソ連に対してもそうですが、やはりアメリカ、ヨーロッパに対しましても、このINF交渉がアジアを犠牲にしてはならない、日本がその主張を貫いていくためには、日本と中国がそれぞれの立場で情報交換をし合って、声を大にして主張するということはそれなりの外交的な成果、効果というものは十分あり得る、期待できる、そういう一つの意味を持って、私は努力しておるわけであります。
  128. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣がそのような形で努力されていることは多とします。  それでは、先ほど大臣が言われているように、北方四島のお話が出ました。少なくとも北方四島はまだ帰ってきていない。そして私たちは北方領土の日まで決めているわけです。ところが、大臣、行ってごらんなさい。以前は、知床から出てくる船というものは、その全体が北方領土返還の要求を掲げて漁業をしていたわけです。ところが、今それをやると危なくて漁業の安全がない、こんなことを含めて、それが全部消されているわけです。あなたはこれについて、どういうふうにソ連に対して外交のルートを通じて努力する考えがあるかどうか。
  129. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 北方四島の返還はまさに民族の悲願でありまして、これまで歴代内閣も外交の大きな課題として、ソ連に対しまして直接主張をし続け、また交渉もしてまいったわけでございます。例えばフルシチョフ・鳩山会談において領土問題は継続案件になった、あるいは田中・ブレジネフ会談において領土問題は留保というような形になっておるにもかかわらず、ソ連のその後の態度というのは領土問題は決着済みだということでございまして、私も、去年カピッツァというソ連の次官に会ったときもそういうことを言いまして、大変な激論をいたしたわけでございます。  今回もグロムイコ外相に会いまして、領土問題をまず解決してほしい、日本の固有の領土である領土問題を解決するためにお互いにテーブルに着くことが一番大事だ、領土問題を解決することによって真の日ソの友好関係が生まれるんだ、そして平和条約が結べるんだということを強く主張したわけですが、グロムイコ外相は依然として領土問題についてソ連の見解は変わらないということを言っておりまして、残念ながら、日本のたび重なる主張あるいは要請に対しまして、ソ連はまだ何らの誠意ある態度を示していないということであります。  まことに残念至極でございますが、しかしこれであきらめるわけにはいかないので、腰を据えて、日ソの関係改善はいろいろな面で進めるとともに、この基本的な要求は我々は事あるごとにソ連に対してはぶつけていかなければならない、そしてソ連の態度を最終的に変えさせて、少なくともやはり領土問題でテーブルに着くというところまで持っていくための外交努力を怠ってはならない、こういうふうに思います。
  130. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣の過去の経過なりその努力はわかりますけれども、私が具体的に申し上げた、知床を含めてあそこで漁業をしている人たちが、船に北方領土返還のスローガンなりマークを掲げただけで安心して漁業ができない、こういうことなんです。内地では北方領土返還に向けて力強く運動されているのはありがたい。しかし、現実にあそこに行ってみればみるほど、だんだんそういうものがなくなってきている。これについてあなたはどういうふうに外交ルートを通じてやっておりますか、あるいはこれからどういうふうにやる意思があるかということを申し上げている。
  131. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本の領海あるいは公海における漁業操業の問題につきましては、日ソ間において協定もできておりますから、その協定に従って日ソがやっておるわけでございまして、確かに違反操業等が起こったときは拿捕の問題等も起こってくるわけでございますが、私は、漁業協定に従って日ソが操業をしている以上は、これはもう現在でも平和裏に漁獲活動はできておる、こういうふうに考えております。
  132. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣はそういう形で答えられておりますけれども、現実問題を含めて、あそこの漁業を営んでいる人たちというのは大変心配されているし、従来北方領土返還をスローガンとして船に書いていたものが消されてしまっているわけです。ですから、そういうことを含めてやはりこれから安心して漁業が営めるような形をやるべきじゃないか。時間の関係もありますから、これについては大臣に対する要望としておきます。  それで、実は大臣にお伺いしたいわけなんですけれども、例えばイラン・イラクのような形で局地の戦争が起きたような場合、現実には緊急時の在外邦人の救出についてかねてからいろいろな問題が出ているわけであります。そこで、救生活動というものが現状でいいかどうかということが一つ、もう一つは、国の力で救生活動を考えておられるのかどうかということ、まずこの二つについて、関連がありますので御答弁をいただきたいと思います。
  133. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 外務省としましては、平素より、緊急事態発生の際の在留邦人の退避であるとか集結並びに引き揚げの手段、方法、経路等につきましてあらかじめ検討をいたしております。実際に緊急事態が発生をし、情勢の悪化によりまして第三国への退避あるいは本邦への引き揚げが必要であると判断される場合には、在留邦人に対し退避あるいは引き揚げの勧告を行うとともに、かかる退避あるいは引き揚げができる限り円滑に行われるよう必要な外交上の諸措置を講じ、さらに必要に応じ航空機や船舶の手配のあっせんをする等、邦人の退避あるいは引き揚げを援助しておるわけでございます。  邦人救出のための具体的措置につきましては、紛争の形態等ケース・バイ・ケースに応じて検討することとなるわけでありますが、今後とも、在留邦人の安全確保のため可能な限りの努力を行い、平和的な方法によりあらゆる最善の手段を講じてまいる所存でございます。
  134. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これから経済活動が活発になればなるほど海外で活躍をされる人たちがだんだん多くなってこようかと思います。そういう点で、局地的なこういう問題があったときにやはり具体的に安心して働けるような状態をつくっておかなければいけないのではないかと思うのです。現実を考えてまいりますと、それぞれ外国に依頼してみたりいろいろなことで、自国としてはそういうことに対して具体的なケース・バイ・ケースだということでありますけれども、それでは向こうへ行った人たちは安心して働けないのじゃないか、こんな気がするわけです。いずれにしても大変厳しい環境のところへ行って働いているわけですから、そういう点を含めて、こういうときには安心だよということを明確にしておいた方がいいのじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、大臣、今後のこれらについての方針、あなたの考え方を聞かしていただきたいと思うのです。
  135. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは今申し上げたとおりでありますが、日本外務省も、最近非常に紛争が頻発しておりまして、イラン・イラクの戦争であるとかレバノンであるとか中米だとか、べトナムもございましたし、そういう状況がいろいろあるものですから、そういうものに対処する経験というものは相当経てきております。そして、経験によるところのいろいろの方法の集積というものが外務省もあります。  そういう意味では、例えば今度レバノンの大使館のとった措置は極めて有効、適切、機敏であったと思います。邦人も無事に脱出できたわけでありますし、危ない土地においては、大使館がその国で働いている邦人とそうした緊急避難の場合等について密接な連絡をとっておりまして、こういう場合はどうするこうするという手段、方法までも打ち合わせておるわけでございますから、我々としては万全を期しつつあると思いますし、これからもさらにいろいろの面で努力はしていかなければならぬと思いますが、安心して働けるためにいろいろな面で考えるべき点は考えていきたい、改善すべき点は改善していきたい、こういうふうに思います。
  136. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、局地的な戦争とか紛争というものは、とらの巻とおり、シナリオどおりになるわけじゃないわけですから、そういう点も含めて、これからも海外で安心して働けるような環境づくりなりその具体的なことについてはちゃんとしておく必要があろうと思いますので、今後ともこれらについてより懸命にぜひやっていただきたい、こんなふうに思います。  関連してでありますけれども、在外選挙制度の問題が今提案されるやに承っておりますし、法案の提出の時期の問題やら実施方法あるいは現地での事務体制を含めて考えますと、これは具体的には自治省との問題もあろうかと思いますけれども、現在事務処理あるいはまた法案の準備を含めてどの程度進み、どういう体制になっているか、お聞きしたいと思うのです。
  137. 小笠原臣也

    ○小笠原説明員 在外邦人の選挙権の行使の問題は、私ども非常に重要な問題であると認識しておりまして、かねてから外務省を中心といたしまして実現の方向に向かっていろいろ努力をしてまいったわけでございますけれども、今その調整の最終段階にまいっておりまして、私どもできることなら今国会に提出すべく努力をしておる最中でございます。
  138. 田中慶秋

    田中(慶)委員 我が党としても以前からこの問題について大変力強く要求してまいりましたし、これは外務省の管轄になると思うのですけれども現地での事務処理体制あるいはそのエリアとかいう問題を含めてどういう状態になっているか、その辺についてお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕
  139. 谷田正躬

    ○谷田政府委員 ただいま自治省の方からも話がございましたように、外務、自治両省で協力いたしまして、今公職選挙法改正という形での在外選挙実施に努力しております。  ただいまの改正案で考えておりますのは、法案が御承認いただいて公布された後、一年ぐらいの間に選挙登録というものを行いまして、また公布後二年を超えない期間において在外投票を在外公館において行うという形を考えております。したがいまして、この準備期間におきまして投票資格者というものがどれだけ出るかによりましても我々の事務処理の体制も異なってくるわけでございますけれども、初めてのことでございますので、今のところこの推定は若干難しいと思っております。  しかしながら、在外選挙の実施に必要な最小限の費用といたしまして、五十九年度の予算におきまして、外務省といたしましてはこの選挙のための準備といたしまして約二千万円を計上して、お願いしているということでございます。
  140. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それぞれ、今国会提出をめどとして一年ということでありますけれども、それでは自治省にお伺いしたい。  現時点で、一例えば遠洋航海中の船員の人たち、これは、長い間要望しておりましたけれども、少なくとも外国に行って働いているといいますか、それとはまた多少違うわけですね、選挙権そのものが国内、本土にあるわけですから。そういう点で、これらに対してはどういう扱いをされていくのか、この辺をお答えいただきたいと思うのです。
  141. 小笠原臣也

    ○小笠原説明員 先ほど御説明いたしました今国会に提出すべく努力をしております公職選挙法の改正内容といたしましては、外国におられる日本人の方を中心に考えておるわけでございまして、遠洋航海に従事しておられる船員の方々についての改正は現段階では考えていないわけでございます。  遠洋航海に従事しておられる船員の方々については、実はいろいろな制度が現行でも準備されておるわけでございます。本来その方々は国内のどこかの市町村の選挙人名簿に登録をされておるわけでございます。その方々は、自分の登録されておる市町村で一般の有権者の方々と同じように選挙権の行使もできますし、また、指定港といいまして、日本国内いろいろたくさんの指定港がございますけれども、そこの市町村でも投票ができます。また船舶内でも投票ができるようになっております。船員の方の勤務の特殊性に応じてそういう制度をいろいろ用意しておるわけでございます。  ただ、しかしながら先ほどお話がございましたように、日本を離れて長期間遠洋航海に従事しておられますと帰国されないということもあるわけでございまして、そういう方々は事実問題として現行の指定船舶の制度だとか指定港の制度だとかいうことでは投票できない方々がおられることは、私どもよく承知しておるわけでございます。従来から、そういう方々に対して電報による投票制度とか委任による投票制度だとか考えてみたらどうかというお話はございますけれども、それぞれいろいろ問題がございまして、御要望はわかるわけでございますけれども、なお今後慎重に検討してまいらなければならない課題か、こういうふうに考えております。
  142. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今具体的に在外選挙制度の問題が検討されているわけですから、まして日本に国籍があって選挙権も有している者が長期間の遠洋航海のためにということであるならば、当然その人たちの選挙できる方法を考えるべきだと思うのです。あなたの方でこれから検討されるということでありますから、そういうことを含めて具体的な検討をぜひしていただきたい、要望しておきます。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕  それでは次に、防衛庁の関係について質問をさせていただきたいと思います。  池子の弾薬庫の問題について、もう既に新聞その他の報道でも現在弾薬庫を置かないということが明らかになっておりますし、そして地元においては米軍の住宅を約千戸つくるということになっておるわけですけれども、それに伴って残地の返還ということが述べられておりますし、多目的利用を含めて交渉をしていただきたい、あるいはまた明確にしていただきたい、こういうことになっております。また、部分的には高速道路の問題も出てきております。こういう問題について今どのようにお考えになっているか、お伺いをしていきたいと思いますし、あるいはまた、残地に対する開放だけではなく、返還の見通しがあるならば明確にしていただきたいと思います。
  143. 千秋健

    千秋政府委員 池子弾薬庫の住宅建設予定地以外のところでございますが、これにつきましては、現在、米軍は弾薬の貯蔵は行っておりませんが、補給品置き場ということで使用しておりまして、今後とも引き続きそのような使用をするものと私ども承知しております。  しかし、ただいま先生お話がございましたように、地元の方からはこれに対していろいろ御要望等があるとも伺っておりますし、今後具体的に地元からの要望が出てきた場合に、それを踏まえまして、また米側とも地元の意向をよく伝えまして今後よく調整してまいりたいと思っております。
  144. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、これは日米両方に関係する問題でありますけれども、その問題が出てきたらという守りの姿勢であってはいけないのじゃないかと私は思うのです。むしろ空間地がある、あるいはまた逆に、このような形で現在使われていないようなところがあるならば、むしろ積極的に返還なり多目的利用というものに取り組む必要があろうと思う。それがお互いに、日米関係の信頼なりあるいは一般のその周辺の人たちに対する日米の感情というものが信頼につながっていくだろう、こんなふうに思うわけです。あなた、そういう問題が出てきたらということじゃなく、私は別に揚げ足を取って言うわけじゃないんですよ、しかし、積極的に、こういう地元の市町村が要望されている問題については、返還なり多目的利用というものを皆さんのところが音頭を取ってやらせるべきだと思うのです。
  145. 千秋健

    千秋政府委員 私どもとしましても、池子弾薬庫の使用につきましては再三米側の方に問い合わせ等をやりました結果、先ほど申し上げましたような補給品置き場として使用しているという回答をいただいておるところでございます。  それでまた、地元の利用につきましては、これは現在私ども住宅をあそこに建設したいということで市の方に申し入れておりまして、まだ具体的には市からこれについての御返事をいただいておらないわけでございまして、先生、先ほどもう決まったとおっしゃったのですが、まだそこまで私どもちょっと考えておりません。そういう意味で、今後市の方で市議会等といろいろ御相談なさって具体的な計画がいろいろ出てまいるのじゃないかというふうに思っておりますので、そのように御答弁申し上げたところでございます。
  146. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は決まったと言ったのじゃないんですよ。千戸程度の計画があるように承っているということを申し上げているわけで、そういうことを含めてその問題と、地元の協力なり、あるいはそこの全体的な環境を見てまいりますと大変緑も豊かでありますし、いろいろなことを含めて少なくとも多目的利用ということを、緑を大切にする市政とか触れ合いとかいろいろなことが片方で言われているわけですから、やはりそういうところは開放するとか利用させるとか、これは積極的な働きをかけるべきだと思うし、その姿勢があなたの方になければそういうものはできないわけですから、それを明確にしていただきたいと言っているわけです。
  147. 千秋健

    千秋政府委員 私どもとしましては、よく地元の、要望を踏まえて今後やっていきたいと思っております。
  148. 田中慶秋

    田中(慶)委員 池子弾薬庫については積極的に取り組むということでありますから、やはり日米のいろいろな懸案も解決するためには、この多目的利用を含めて率先されることが一日も早くできる、そういうことを含めて考慮いただきたいと思います。  そこで、実は横浜の冷蔵倉庫の返還の見通し。現在、横浜がMM21計画を行っております。みなとみらい21、そういう中で、この場所というのはこの計画に大変重要な位置をするところでありますけれども、この返還について皆さん防衛庁の方としての見通しと取り組み、これについてお伺いしたいと思います。
  149. 千秋健

    千秋政府委員 横浜冷蔵倉庫につきましては、これはただいま先生御指摘のように、横浜市が計画しておりますみなとみらい21の計画事業地内に存在しておりまして、先月末に横浜市その他関係機関から正式に返還の要請書をいただきまして、私どもとしましてはこれを米側の方に現在返還の要望をしております。  それで、今後我々としましては、やはり横浜市が国際港湾都市として、また将来のみなとみらい二十一世紀の事業として計画していることでございますので、この返還はぜひ実現させたいということで努力してまいりたいと考えております。
  150. 田中慶秋

    田中(慶)委員 返還に対する努力というものがされるわけですけれども、その辺について米側との折衝は具体的にいつごろされるのか。あるいはまた、これは横浜だけの計画ということよりは、むしろ都市計画決定をされておりますし、国もこのみなとみらい21計画には調査費その他で相当の援助を行っているわけです。総体的な国づくりといいますか、こういうふうに観点をとらえていただきながらぜひ取り組んでいただきたい、こんなふうに思いますけれども、この辺どうなんですか。
  151. 千秋健

    千秋政府委員 みなとみらい21の事業の重要性については十分認識しておりますので、それを踏まえまして米側と交渉してまいるつもりでございます。
  152. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、このMM21を含めて、現在の横浜冷蔵倉庫というものはそれぞれ使われていない、あるいはまた、使用するにしてもわずかなところという形になっているわけですから、そういうことを含めて積極的に地元の計画の実現のために取り組んでいただきたいことを要望しておきます。  同時に、ノースドックの問題でありますけれども、あそこは五十二万平米ぐらいあるわけですが、これは今横浜も返還を求めて長い間運動されているわけであります。月二回程度使用されているわけですけれども、あれだけの広大な面積を必要としないと思うのです。そういう点を含めて、これらについてはどういう見解を持たれているか、答弁を願いたいと思います。
  153. 千秋健

    千秋政府委員 横浜ノースドックにつきましては、これは在日米軍の港湾施設で、沖縄を除きますと国内では唯一の港湾施設になっております。米軍としましては非常に重要な機能を持っておるということで、これにつきましては確かに毎年横浜市議会の接収解除促進実行委員会の方から御要請はいただいておりますが、米側の方にもいろいろ内々お話ししておりましても、これの返還は極めて困難であるという状況にあります。
  154. 田中慶秋

    田中(慶)委員 返還は困難であるということをあなた自身が述べられると、この際困ってしまうわけでありますけれども、少なくてもノースドックそのものが、現状からするとあれだけの巨大な面積、五十二万平米というものは要らないわけです。そしてまた、そばに横須賀という基地もあるわけですし、いろいろなことを総体的に合理的な利用をされていけば、単なる米軍が持っている港湾施設であるからということだけではなく、総体的な二十一世紀を目指した港湾計画なりみなとみらい計画を考えてみますとあれもやはりこれから大切な横浜の施設になってくるわけでございまして、そういうことから積極的に返還の実現について努力をしていただきたい、こういうふうに思うわけですけれども、その考えがあるかどうか。
  155. 千秋健

    千秋政府委員 横浜ノースドックは、先ほど申し上げましたように米軍にとりまして非常に重要な機能を持った施設ということで、米軍の方に当たった段階で返還は極めて困難という状況を申し上げたのでございまして、私どもとしましても、これらの在日米軍施設というものは、やはり日米安全保障条約、地位協定の上からもやはり提供は必要なものということでございますので、これについては非常に難しいとしか申し上げられないのじゃないかと思います。
  156. 田中慶秋

    田中(慶)委員 日米合同委員会の重要な課題になろうかと思いますけれども、しかし国づくり町づくりということを考えたときに、それだけにこだわっていたら何もできないと思うのです。片方で二十一世紀を目指す港湾都市なり町づくりを考えているわけでしょう。ですから、私はそういうことを含めて、例えば日米合同委員会の議願として提案をさせていただく、繰り返してやっていくことが逆に言えばその返還にもつながるでしょうし、あるいは、あれだけ五十二万という面積は必要としないから、部分的返還なり利用ということもできると思うのです。そういう点を申し上げているわけで、その辺についての考え方を聞かしていただきたい。
  157. 千秋健

    千秋政府委員 港湾施設につきましては、日常の形態におきまして常時使用されているという状態ばかりじゃなくて、荷が揚がったときとか、またそういう在日米軍の動き、そういう緊急の場合、そういう場合における使用の形態とかいろいろございまして、現在米軍の方としてはやはりあれだけの広大な面積を確保しておく必要があるんだというふうに我々聞いておるわけでございます。我々いろいろ米側に施設の使用状況とかそういう面の話はしておりますが、これもまた、すぐ合同委員会とかそういう手続にのせるのじゃなくて、そういう事前の米側との話し合い、いろいろ調整段階でこういう問題を検討してまいりたいというふうに思っております。
  158. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間もありませんから、ぜひお願いしたいことは、一度いろいろな計画をあなた自身が見るなり、現場に行くなりあるいは海からのぞくなり、こういうことをして総体的にそういうプランが頭に入っている、こういうことも折衝する上において必要だと思うのです、はっきり申し上げて。ですから、横浜市に対する二十一世紀の計画をあなた自身が一度ごらんになってください。そしてあの環境を見てください。それぞれの根回しにしても、私は大変説得力なりこれから重要な勉強にもなろうと思いますので、ぜひそういうふうにしていただきたいと思いますけれども、あなた自身その考えがあるかどうか。
  159. 千秋健

    千秋政府委員 実は横浜冷蔵倉庫の関係で、このみなとみらい21の計画につきましては横浜市の方から十分御説明を受けましたし、また、このみなとみらい21の計画が発足するとき、昨年でございましたか、私現場に行きまして膨大な計画等も御説明を伺いました。ただ、横浜ノースドックはこの計画地域からはちょっと外れておるわけでございます。先生おっしゃるのは、隣接とか将来の問題でおっしゃっておられると思いますので、私もその辺は十分踏まえて考えておるつもりでございます。
  160. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますが、いずれにしても、池子弾薬庫にしてもあるいは冷蔵倉庫にしてもノースドックにしても、基地返還問題というのは息の長いことだと思いますけれども、やはり当事者がその立場に立って積極的にやっていただかないとなかなか実現ができないものだと思いますので、これからもぜひ精力的にその辺を含めて取り組んでいただきたいということを要望して、終わります。
  161. 片岡清一

  162. 三浦久

    三浦(久)委員 外務省にお尋ねをいたします。  たびたび我が党が質問をいたしておりますが、極東有事研究の問題について、またお尋ねをいたしたいと思います。  「日米防衛協力のための指針」いわゆるガイドラインと言っておりますが、その第三項に明記されている極東有事の際の日米間の協力についての研究は、これまでに何回、そしていつ開かれたのか、お答えいただきたいと思います。
  163. 北村汎

    北村政府委員 ただいま委員指摘の極東有事の研究につきましては、昭和五十七年一月二十一日に第一回の研究グループの会合が開催されました。その後、日米間の種々のレベルにおける接触などを通じて、研究作業の進展を図るべく努力が行われております。  その研究グループの会合といたしましては、第一回の一月二十一日以後、昭和五十七年の六月三日に一回開かれております。その後研究グループの会合そのものは開かれておりません。これは委員承知のように、日本側は外務省からは北米局審議官がヘッドになり、防衛庁からは防衛審議官、統幕事務局長、そういう人たちが出ておりますし、アメリカ側からは在日米軍参謀長あるいは在京米大政務参事官、こういう人たちが出席をしております。
  164. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、ほとんど行われていないというふうにお伺いしてよろしいでしょうか。その研究グループの研究対象というのは、どういうものがございましょうか。
  165. 北村汎

    北村政府委員 これは日本以外の極東における事態で、日本の安全に対して重要な影響のある事態において便宜供与の面で日米がどういう協力体制が組めるか、こういうことが研究の対象であるわけでございまして、いろいろ多岐にわたるわけでございます。  そういうことでこの研究作業の内容というものは、これは何分とも米軍の行動にかかわる面が少なくございません。そうしてその米軍の行動等にかかわる種々の機微な側面もありますので、それを明らかにするということになるのは避けなければなりませんし、また同時に、我が国の安全に重要な影響を与える場合にどういう便宜供与をするかというこの問題で日米間の協力体制をあらかじめ明らかにするということは、これはその結果日米安保体制の効果的な運用に支障を来すということにもなりかねませんので、作業の内容というものにつきましては日米間でこれを公表しないという合意がなされております。この点は御理解を賜りたいと思います。  いずれにいたしましても、現在進められておりますのはあくまでも研究でございます。また、本件便宜供与のあり方というものが、日米安保条約、その関連取り決めあるいはその他の日米間の関連取り決め及び日本関係法令によって規律されておりますことは、これは日米防衛協力のためのガイドラインにはっきりと書かれておるとおりでございます。
  166. 三浦久

    三浦(久)委員 局長、作業の内容を聞いているのじゃないんですよ。研究の内容まで私は聞いているのじゃありません。どういうことが研究の対象になっているのかということを聞いているのです。それをお答えいただきたいと思います。  何も細かい、米軍がこういう行動をした場合に日本政府がこういう援助をするとか、便宜供与をするとか、そういう細かいことまで聞いているのじゃないんです。研究の対象にどういうものがあるのかということを聞いているのです。いかがでしょうか。
  167. 北村汎

    北村政府委員 委員のおっしゃる研究の対象というのが私ども十分理解していないかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、これは日本以外の極東における事態で、その事態が日本の安全に重大な影響を与える、そういうような事態において、日本が便宜供与の面でアメリカ米軍に対してどのような便宜供与ができるかということがその研究の対象でございます。
  168. 三浦久

    三浦(久)委員 それはガイドラインに書いてあるわけだから、そうじゃなくて、種々の研究グループに分かれて研究が行われていると言うから、聞いているのです。  しかし、研究だと言うけれども、研究した結果、そういう便宜供与というものを実際に行う場合があり得るわけですね。今局長も言われたように、この極東有事というのは日本は平時の場合なんです。日本が平時で、そして米軍が極東のどこかで日本を基地にして戦闘行動をやっているという場合でしょう。そういう場合に、日本政府がそういう軍事行動を行っている米軍に対してどういう便宜供与をするのか。その内容いかんによっては、日本自身が相手の国から報復的な攻撃を受けるかもしれないという日本国民の平和と安全にとっては極めて重大な事態なんですよ。そのことを国民が全く知らされない、そんなばかな方法があなたありますか。どういう問題を研究しているのかというくらいは言わなげればならないのじゃありませんか。そして、国民の批判なり同意なり、そういうものを得ていくということが私は大事だと思うのです。  私自身は、局長委員長の許可を得て発言しているのですから、国政調査権の行使として私は質問しておりますよ。ですから、あなたの方でも、それに対して秘密だということで拒否するのなら拒否するだけの具体的な理由がなければなりませんね。今までの政府の答弁でも、国政調査権の質問に対して皆さん方が秘密を理由にしてそれを拒否する場合というのは、その国政調査権の行使によって得られる公益、こういう言い方をしていますけれども、それと秘密を保持することによって守られる公益との比較考量の上にケース・バイ・ケースによって決めるんだ、こうなっているわけです。今、こういう国民の生命とか安全、財産、そういうものにとって極めて危険な事態が発生するかもわからないという、そういう極東有事研究の研究対象すらも国民の前に明らかにしない。どういう公益があるのですか。安保条約の効果的運用に支障を来すと言うけれども、それじゃ、例えば食糧を提供する、そういう便宜供与をいたしますとか、弾薬の補給をする、その研究をいたしますということを明らかにしたからといって、日米の安保条約の効果的な運用にどういう影響があるのですか。それをもっと具体的に話してもらわなければ、私は今の答弁拒否は納得がいかないですね。お答えいただきたいと思うのです。
  169. 北村汎

    北村政府委員 委員がおっしゃいます研究の対象という問題は、すなわち内容に立ち入ったお話になると思います。先ほどから御説明しておりますように、いろいろな分野における便宜供与が考えられるわけでございまして、この研究に入ってまいりますと、どうしてもそれは米軍の行動の種々の機微な側面を明らかにすることになります。また、我が国立場から申しましても、我が国の安全に重要な影響を与える場合にあり得べき便宜供与の分野における日米間の協力体制というものをあらかじめ明らかにしておくということは、先ほども説明いたしましたが、日米安保体制の効果的な運用に支障を来すということでございまして、これは日本の国益にかかわる問題でございます。そういうことでございますので、作業の内容については日米間でこれを公表しないという両国間の合意がなされておるわけでございます。ですから、非公表の合意に基づいて私はここでその内容を明らかにすることはできないと申し上げておるわけでございます。
  170. 三浦久

    三浦(久)委員 私はちょっと納得いきませんね。今の、ただ抽象的に安保条約の効果的な運用に影響を及ぼすというだけで、それじゃ、あなたたちはずっとこれから研究の対象も国民の前に明らかにしない、国会にも明らかにしないでやりおおすつもりなんですか。それは余りにも国会の軽視じゃありませんか。じゃ、あなたたちがどういうことを研究の対象にし研究しようと、我々国会は一切関与できないということになるじゃありませんか。ただ安保条約の関連取り決めだとか日本の現行法の枠の中でやるとか、そういうようなことだけ我々には知らせる。それじゃ、そういう枠を踏み外して現行法でできないような研究をやっている場合に、国会は何ら関与できないということになるじゃありませんか。それは国民をめくらにしておくことですよ。国民に一切内容を知らせないということでしょう。国会軽視も甚だしいと私は思うのですが、委員長、こういうことで国会の審議権というのが保障されたことになるのですか。例えばどういうことを研究しているか、その対象を明らかにしろというだけですよ。食糧を提供するのか弾薬を供給するのか、いやアメリカ軍の傷病兵を看病してやるのかとか、どういうことを研究の対象にしているのかというそういうことすらも言えないということでは、安心してあなたたちにこんなものを任せておけないじゃないですか。  委員長、こういう答弁でよろしいのですかね。私は、研究の対象くらいはぜひ明らかにするように委員長の方から促していただきたいと思うのです。
  171. 北村汎

    北村政府委員 先ほども説明いたしましたように、現在進められております研究はあくまでも研究でございまして、要するに本件の便宜供与のあり方が、日米安保条約、その関連取り決めあるいはその他の日米間の関係取り決めあるいは日本関係法令によって規律されるということがその前提になっておるわけでございます。で、この研究協議につきましては、我が国の憲法上の制約に関する諸問題がその対象とされないことのほか、この研究あるいは協議の結論日米両国政府の立法、予算ないしは行政上の措置を義務づけるものではないということが日米間であらかじめ確認されておるわけでございます。したがって、本件便宜供与のあり方についての研究作業の結果が、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるようなものになったりすることはないということは言うまでもないことでございます。
  172. 三浦久

    三浦(久)委員 答弁になっていませんよ。あなたたちは研究結果は義務づけられないと言うけれども、任意にやるのはいいと言っているじゃないですか。任意に法律を変えてどんどんやっていくのは構わないんだということを言っておるわけだから、それは答弁になりませんよ。  そういうことで国民に全く研究の対象すら知らせないなんということでは、国民は安心しておれないでしょう。さっきも言いましたように、極東有事研究というのは、日本が平時のときなんですよ。平時のときに米軍に対してどういう便宜供与をするのかということの研究の対象すら明らかにしないというのでは、国民は安心できないじゃありませんか。一切アメリカ軍と外務省や自衛隊だけに我々の平和や安全を任せろということにはならないですよ。国会というのは国権の最高機関なんだから、この国会にあなたたちはちゃんと、こういうことをやっておりますということを言うのが当たり前じゃないでしょうか。そして国民の同意を得るなり承認を得るなり批判を受けるなりしなければ、日本の平和と安全という問題はどうなるのですか。  委員長、どうでしょうか。私はぜひ研究の対象くらいは言わしてほしいと思うのですよ。
  173. 片岡清一

    片岡委員長 速記をちょっととめてください。     〔速記中止〕
  174. 片岡清一

    片岡委員長 速記を起こして。
  175. 北村汎

    北村政府委員 先ほど来いろいろ御答弁を繰り返しておりますけれども、もう一度申し上げますと、この研究の内容は米軍の行動にかかわる面が少なくなく、本件研究作業の内容を公表することは、これは米軍の行動等にかかわる種々の機微な側面を明らかにすることになります。そういうような理由から、先ほど来申し上げておりますように、これは日米の間でこの内容は公表しないという合意があるわけでございます。  で、先ほど来委員が御指摘の、このガイドラインの中に書いてあるではないかとおっしゃいますが、ここに書いてありますことは、この研究には「米軍による自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究が含まれる。」ということでございます。(三浦(久)委員「対象、書いてあるじゃないか」と呼ぶ)で、それはそういうことで、そういういろいろな便宜供与がこの中に含まれるということでございます。
  176. 三浦久

    三浦(久)委員 私は納得しませんけれども、時間が過ぎますので先へ進みますが、自衛隊の基地の共同使用というような、それこそ重要な問題までこのガイドラインの三項には研究対象にするとちゃんと書かれているのですよ。では「その他」というのはどういうものが研究対象になっているのかと聞いているのに、それは言えないとおっしゃるから、私は非常に不満ですけれども先へ進みます。  そうすると、今あなた何回もおっしゃいましたけれども、極東有事研究というのは、現行法の枠で便宜供与できるというものだけを研究の対象にしている、こういうことですね。それは間違いないですね。
  177. 北村汎

    北村政府委員 先ほども答弁をいたしましたように、この研究は関係法令の枠の中で研究をいたしておるわけでございます。そうして、先ほど来申し上げましたように、これは予算あるいは立法あるいは行政上の措置を義務づけるものではないということが前提になっております。
  178. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、防衛庁にお尋ねしますが、自衛隊は極東有事の際に、自衛隊がですよ、日本政府がじゃありませんよ、自衛隊が米軍物資の輸送、それから米軍の救助、米軍武器の修繕、米軍の傷病者の看護、治療、それから弾薬、燃料の提供、こういうものは自衛隊法上できるのでしょうか。
  179. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 極東有事の場合の共同研究で自衛隊としてなし得ることといいますと、防衛庁の任務、権限というものから考えますと、今のガイドラインでも例示されておりますように、自衛隊基地の共同使用等限られたものしかできないと思います。今御指摘のような一般的な、何といいますか米軍のためのみの輸送であるとか、いろいろなことを御例示になりましたけれども、そういったところになりますと防衛庁の現行法の任務、権限には入ってこないんじゃないかなという感じはいたしております。
  180. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、北米局長、そういう今私が例示した問題は、この研究の対象にはできないということですね。
  181. 北村汎

    北村政府委員 先ほど来の答弁を繰り返して恐縮でございますけれども、研究の対象についてはここで申し上げることはできないわけでございます。
  182. 三浦久

    三浦(久)委員 おかしいじゃないですか。あなたは先ほど現行法の枠の中でやるんだと、今の関係法令の枠の中で研究するんだと、こう言ったわけでしょう。ですから今私が具体的に、自衛隊はこういう行動はできないだろう、だからそういう行動については研究対象にできないだろうと言ったら、それも言えないというのはどういうことなんですか。三段論法からいえば当然そうなるじゃありませんか。  委員長、北米局長ふまじめですよ、あんな答弁。もっとまじめに誠実に答えさせてください。現行法令の枠の中でしかできないと言うから、自衛隊は今こういうことはできないんでしょうと聞いたらそうだと言うから、それは研究の対象にならないんだろうと言ったらそうだという答えしか出てこないでしょうが。おかしいんじゃないですか。何でそんなこと言えないのですか。そんなことまでアメリカに遠慮しなければいけないの。ちょっと答弁させてください。
  183. 北村汎

    北村政府委員 委員は先ほど来現行法令という言葉を用いていらっしゃいますが、私は先ほど来関係法令という言葉でお答えをいたしております。これはどういうことかと申しますと、研究をいたしておるときの、その時点における関係法令でございまして、今の現行法令ということで考えておるわけではございません。
  184. 三浦久

    三浦(久)委員 あなた、まじめに言ってくださいよ。だから、研究をする時点での現行法令にはその研究対象は縛られるわけでしょう。将来変わるかどうかということは別な話です。だから、今の自衛隊法がそのまま存続する限りは、その自衛隊法でできないことは研究の対象にできないということははっきりしているんじゃないの。そんなことが言えないの。
  185. 小和田恒

    ○小和田政府委員 ただいまのやりとりについて若干混乱があるように思いますので、混乱を整理するために一言だけ私の方から申し上げたいと思います。  先ほど来北米局長がお答えしておりますのは、基本的にはガイドラインの枠について御説明をしているわけでございます。ガイドラインの枠は、この中にはっきりと「この指針が記述する米国に対する日本の便宜供与及び支援の実施は、日本関係法令に従うことが了解される。」というふうに書いてあることは委員承知のとおりでございます。したがいまして、先ほど来北米局長が御答弁しておりますのは、日本が六条事態において行い得る便宜供与の実態あるいは内容というものは日本関係法令に従うことになるということを申し上げておるわけでございまして、これは、日本関係法令と抵触するかしないかというような問題はその研究の結果として出てくるわけで、その場合に日本関係法令に従うという大きい枠組みがあるということを申し上げておるわけでございます。
  186. 三浦久

    三浦(久)委員 だから、現在の法律で違法だということになればもう研究はしないわけでしょう、そういう結果が出てきたら。どうなんですか。違法だとわかったら、わかってまで研究だからいいといって続けるのですか。そうじゃないでしょう。
  187. 小和田恒

    ○小和田政府委員 この研究自体につきましては私は当事者でございませんので、一般論として理論的な面についてだけ申し上げますけれども、ここで定められておりますのは、我が国の行う便宜供与の実態が日本関係法令に従うということでございますから、これは研究をしてみた結果としてこういう便宜供与はできるとかこういう便宜供与はできないということが出てくるわけでございますけれども、それは何もそういう問題自体を研究の対象にできないということではなくて、研究をした結果として、それが日本関係法令に従うという大きい枠がはめられておるということであると思います。
  188. 三浦久

    三浦(久)委員 そうするとあなたたちは、どんな問題でも研究の対象にしてよろしい、明らかに現在の法律で自衛隊としてはできないような問題についても便宜供与の研究の対象にしてもよろしいというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。それじゃ、その点はっきりさせてもらいましょう。
  189. 北村汎

    北村政府委員 先ほども申し上げましたけれども、このガイドラインの大きな前提として、憲法に関する問題、事前協議に関する問題、それから非核三原則に関する問題、そういうものは研究の対象にしないということになっております。そうして、ただいま条約局長が答弁いたしましたように、いろいろな部門での便宜供与を研究しておる、その結果ある便宜供与の態様が出てきた場合に、それがその時点における関係法令の枠の中に入っておるかどうかということで、その枠の中に入っていなければならないということでございます。
  190. 三浦久

    三浦(久)委員 そうするとあなたたちは、研究は、憲法に違反しない、例えば集団的自衛権の行使に当たらないとか非核三原則に違反しないとか、憲法に抵触しないことであれば、今の自衛隊法に違反をするようなことでも研究の対象にしていいということですか。それをちょっとはっきりしてくださいよ。何か今の答弁はそういうふうに聞こえるんだ。便宜供与をしなければいいのであって、研究の対象にしてもいいのだということなんですか、それをちょっとはっきりしてもらいましょう。
  191. 北村汎

    北村政府委員 先ほども申し上げましたように、研究ということと便宜供与ということとは別の問題でございまして、研究の結果一つの便宜供与の態様が出てまいりました場合には、その態様がその時点における関係法令の枠の中に入っておるかどうかということであって、枠の中に入っていなければそれはできないということでございます。
  192. 三浦久

    三浦(久)委員 それはできないというのは、便宜供与はできないということでしょう。ボーダーラインの場合は、あなたがおっしゃるような問題も確かにあるでしょう。しかし、あらかじめはっきり今の自衛隊法では便宜供与はできないというような問題だってあるわけです。例えば、今防衛局長が言ったように、今の自衛隊としてはアメリカ軍に対して燃料の補給だとか弾薬の補給、そういうような行動はできないと言っているわけだから、あらかじめはっきりできない問題もあるわけです。そういうできない問題についてもあなたたちは便宜供与の研究の対象にしてもいいと言うわけですか。ちょっとお答えいただきましょう。
  193. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、現行の自衛隊法上の任務、権限というものが基本になりまして、現行法令上自衛隊ができることといえば、基本は基地の共同使用等の問題があるでしょう。輸送とかなんとかいう問題につきましては、これは一般的な意味で言うと、米軍のだめにのみという問題については問題があると思います。ただ、これは現行法令上も物品管理法等で可能な分野がございます。そういうものは現行法令の全体としての中でできるという分野もございますから、そこのところはお含みおきをいただきたいと思います。  それから、ガイドラインの極東有事における研究の対象はどうであるかということにつきましては、先ほど外務省からも御答弁があったとおりだと思います。
  194. 三浦久

    三浦(久)委員 北米局長に聞きます。自衛隊が米軍に対して弾薬や燃料を供給するというような便宜供与は、研究の対象にできるのですか。今の自衛隊法ではそれはできないことになっておるのですけれども、研究の対象にはできるのですか。その点、時間稼ぎをやらないで率直に答弁してください。
  195. 北村汎

    北村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、研究というものについてはこのガイドラインに大きな枠がかぶさっておりまして、それは憲法上の制約、事前協議の問題、非核三原則、こういう問題でございます。しかし、その研究の結果、その便宜供与のあり方が日米安保条約、その関連取り決め、あるいは日米間の関係取り決め、日本関係法令によって規律されるということは、これもガイドラインの中にはっきり書いておることでございます。また、そういうことでございますので、まず……(三浦(久)委員「だから、できるのかできないのか、結論を言ってください」と呼ぶ)研究の対象にすることができるかどうかということにつきましては私はここで答弁を差し控えたいと思いますが、その研究の結果出てきた便宜供与の態様は、これはあくまでも日本関係法令の枠の中に入っていなければそういう便宜供与はできないということでございます。
  196. 三浦久

    三浦(久)委員 差し控えたい、差し控えたいといって言わないのは、もうけしからぬですね。自衛隊が現在、自衛隊法上できないことでしょう。だからあなたの方で、いや研究は構わないのだ、研究は憲法上の制約だけなんだ、出てくるものは法律に違反しちゃいかぬけれども、研究は法律に違反するものでも研究の対象になるのだというのであれば、それでいいじゃないですか、そのとおりあなたは答えたらいいじゃないですか。あなたの答弁を闘いでおるとそう聞こえる。答弁を差し控えないで、ちゃんと答えてください。何でこんなことに時間をとらせるのですか。
  197. 北村汎

    北村政府委員 また答弁を繰り返すことになって恐縮でございますが、いかなることを研究の対象とするかということについて御答弁をすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれどもし、先ほど来何遍も言っておりますように、その研究の結果、それが日米両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではないということ、それから、あくまでもこれは日本関係法令の枠の中で処理されるべき問題でございますので、そういうような御心配はないというように思います。
  198. 三浦久

    三浦(久)委員 質問に対して答えないわけですから、もう非常に残念です。これ以上押し問答していると次の質問ができなくなりますので、大臣ももう大分前からお見えになっていらっしゃいますので、次に参ります。  この内閣委員会で、昭和五十八年三月二十四日に我が党の榊議員が質問した問題ですけれども米軍の航空母艦ミッドウェー日本人技術者を乗り込ませたまま、同空母の修繕作業に従事させてフィリピンまで連れていった件でございますが、当時、外務大臣調査を約束されているわけであります。その調査結果を御報告いただきたいと思います。
  199. 北村汎

    北村政府委員 お答え申し上げます。  本件につきましては、防衛施設庁から在日米軍に照会をいたしましたところ、事実関係は次のとおりであるという回答を得ました。  昭和五十五年七月十四日に、日本人従業員十三名、これはボイラー関係の従業員でございますが、それが横須賀からミッドウェーに乗船して出国いたしました。そして、二十一日にフィリピンのスピックベイに到着して、同年七月二十七日に米軍機により横田飛行場へ帰ってきております。  また、これらの日本人従業員は、横須賀でのミッドウェーの修理が予定された出港日までに完了しなかったため、やむを得ずミッドウェーに乗船して、次の寄港地であるフィリピンヘの途上、ミッドウェー艦内で引き続き所要のボイラー修理の作業を行ったわけでございますが、その作業はミッドウェーがフィリピンヘ到着したときには既に終了しており、同地では作業を行っておりません。  以上でございます。
  200. 三浦久

    三浦(久)委員 そうすると、七月二十一日に着きまして二十七日まで、これは何もしていないということですか。では、何でもっと早く帰さなかったのですか。おかしいじゃないですか。
  201. 北村汎

    北村政府委員 七月二十一日の夜にフィリピンに到着しましてから飛行機で同地を離れた七月二十七日までの六日間のことでございますが、この滞在日数が長くなりましたのは、当時フィリピン方面での天候が悪かったため、フィリピンから日本へ帰るための米軍機の飛行を見合わせていたためと承知しております。
  202. 三浦久

    三浦(久)委員 恐らくそう言うだろうと思って、私、日本航空で調べたのですよ。そうしたら、これは全然欠航になっていないのですよ。二十三日も二十六日も二十七日も、この当時成田とマニラを飛んでいるのは三便しかありません、迂回するのはもっとありますけれども。この三便について調べたら、二十一日から二十七日までの間全部欠航なしですよ。  何でそんなうそを言うのですか。あのスビックの基地とこのマニラの飛行場というのは百四十キロぐらいですよ。台風は米軍基地のスビックの方は通るけれどもマニラの方はよけて通った、そんなばかな話はないでしょう。民間航空機は飛んでいるのに、何で軍用機は飛べないのですか。それなら、なぜ民間航空機で帰さないのですか。修繕をさせているのでしょう。あなたたちはうそを言っているのでしょう。どうなんですか。
  203. 北村汎

    北村政府委員 私どもも気象庁に問い合わせました。そうしますと、フィリピンにおいて七月ごろは雨季でございまして、昭和五十五年七月二十二日に台風八号、それから七月二十五日に台風九号がおのおのルソン島に上陸している模様でございます。  そういうこともありまして、あくまで悪天候のためにフィリピン滞在が延びたまでのことでございまして、当方といたしましては、これら日本人の従業員がフィリピンで艦船等の作業を行ったとは承知しておりません。
  204. 三浦久

    三浦(久)委員 そうしたら、私の言ったことはうそだというのですか。七月の二十三日、二十六日、二十七日、JALの七四二便、みんな同じですね。そしてマニラ発が、二十三日は十四時四十八分、二十六日は十六時九分、そして二十七日は十四時五十六分、成田着の時間もわかっておりますよ。こういう飛行があったということはうそだというのですか。どうなんですか。
  205. 北村汎

    北村政府委員 民間機が飛行したかどうかということについて、私は決して委員のおっしゃることに反対をしているわけではございません。この回答は、私ども米軍から得た回答でございまして、米軍は天候が悪かったので飛行を見合わせたのだ、こういうことでございます。
  206. 三浦久

    三浦(久)委員 あなたたちは何でもアメリカの言うとおりなんだよね。核の問題にしてもそうだ。核はアメリカが持ち込んでいないと言えば、ああそうですかといって調べもしない。今度の問題でもそうでしょう。あなたは気象庁に問い合わせたと言っているけれども、今の答弁では、いや、アメリカからそういう答えを得ております。それをうのみにしていて何の調査もしようとしていない。  このミッドウェーというのはどういう航空母艦なんですか。時間がなくて私は本当に残念ですけれどもミッドウェーというのは第七艦隊の主力艦でしょう。そして非常に危険な任務に携わっています。今どこに行っていると思いますか。今ホルムズ海峡に行っているんですよ。そしてホルムズ海峡が封鎖をされたらすぐ自由航行を確保するという、いわゆる軍事力を行使するというために行っていて、毎日あのホルムズ海峡の上をミッドウェー艦載機がパトロールしているでしょう。そういう状況にある。まさに即戦即応態勢をとれるという、そういう第七艦隊の主力艦であるミッドウェーじゃありませんか。こういうものに日本の従業員を乗っけて一週間もずっと航行させる。たまたま領海をちょっと出たとか、一時、間違って出たとか、偶然に出たとかという話じゃないのです。一週間も航行しなければ着かないマニラまで引っ張っていく。こういうものに日本人を乗せておいて、この日本人の生命の安全、そういうものはどうなるのですか。私は非常に危険だと思うのですが、安倍外務大臣はどういうふうにお考えですか。こういうことはやってもいいとお考えですか。
  207. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは詳しいことは私もよく承知しておりませんけれども、横須賀において行われる予定であったミッドウェーの修理がミッドウェーの出港時までに完了しなかったということで、やむを得ず日本人従業員がミッドウェーに乗船をして、そしてフィリピンヘの途中で修理作業を完了した、こういうことでありまして、今のこのことについては、日本人従業員の日本国内における用務を補完するために行われたもので、地位協定あるいは基本労務契約との関係において禁止をされてはいないというのが外務省考え方なんです。  ただ、今の気象条件の方は、確かにアメリカの方の話をそのまま北米局長は言っているのだろうと思います。同時にまた調べたということで、いろいろ台風が発生したということも気象庁から確認しているわけでしょうけれども、しかしその辺のところは、今のお話では日航機は飛んでいるわけですから、米軍機が飛べなかったのはまたそれなりの理由はあるのじゃないか。アメリカはそういうことだと言っているわけですから、これは信用せざるを得ないわけです。
  208. 三浦久

    三浦(久)委員 対米従属もきわまれりというところじゃないですか。  それで、日本政府が雇用している基地の従業者を外国に、フィリピンに派遣をして修繕をさせるというようなことは禁止されてないと言いましたけれども、行政というのは、禁止されてないことは何でもできるのですか。全く逆立ちじゃありませんか、外務大臣。行政というのは法律に基づいて行うのでしょう。法律とか条約とか取り決めとか、そういうものに基づいて行うのであって、禁止されてないことは何でもやっていい、昔の殿様だってそういうことはしないでしょう。今は行政法定主義じゃありませんか。内閣の職務というのは、憲法にありますね、何条かちょっと私失念していますが、法律の執行をやるということが内閣の第一義的な任務ですよ。行政というのは殿様と違うのですから、法律に基づいて行わなければいけないのです。書いてないことはやってはいけないのですよ。それを禁止されてないからやってもいいんだ。冗談じゃありません、そんな考え方は私は根本的に改めてもらわなければちょっと困りますね。  それで、どういうような法的根拠でこの基地の従業員を領海から出して、そしてフィリピンの基地まで連れていったのか、このことを私はお尋ねしたいのです。  これは、今大臣は安保条約の六条とか地位協定とか基本労務契約と言いました。しかし、地位協定というのはどういう地位協定ですか。日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定なんですよ。日本国におけるですよ。日本の国外における米軍の地位というものは関係ないのでしょう。ですから、日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の第十二条の四項に、「現地の労務に対する合衆国軍隊」「の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」というのでしょう。ですから、基地従業者を直接雇用して提供しているわけですね。そして基本労務契約の三条には、「日本国内において使用するため、」「日本国に居住するものを、この契約に定める規定及び条件に従って提供する」となっているのです。外国にいるアメリカ軍、いわゆる領海外に出ているアメリカの軍隊に対して便宜供与をするとか基地の従業員を提供するとか、そういうようなことは日米安保条約にも地位協定にも労務基本契約にも何にも書いてないことなんです。何にもないことなんです。それがどうしてできるのですか。もう時間がないので細かく質問できませんけれども、どうしてそういうことができるのですか。
  209. 小和田恒

    ○小和田政府委員 ただいまの法的根拠の点について御説明いたします。  ただいまの委員お話でございますと、地位協定に基づいて日本政府が雇用をして米軍に提供した労務者は必ず日本国内、日本の領域内でその仕事をやらなければならないというふうに解釈しておられるように私受け取りましたけれども、地位協定十二条四項あるいはさらに安保条約の建前上、厳格にそういうものでなければならないという解釈ではございません。確かに「現地の労務に対する合衆国軍隊」の「需要」というふうに書いてございますが、これはいかなる形で雇用し、いかなる形で労務に従事させても構わないということではもちろんございません。基本的に、安保条約の趣旨と目的、それにかなった形で合衆国軍隊が雇用した労務者を使わなければならないということは当然でございますけれども、厳密な意味でその労働の場所が日本の領域内に限定されておって、日本の領域を一歩出た途端にそれがこの協定違反になるということではないわけでございます。これは従来から先例もございますし、また、たびたび国会で政府委員が答弁しているところであることは委員承知のとおりでございます。
  210. 三浦久

    三浦(久)委員 椎名答弁がありますよね。たまたま領海の外に出たという程度のことはいいんだと書いていますよ。あなたは今、一歩と言ったけれども、フィリピンまで一歩ですか。日本の領海から一歩出たぐらいはいいみたいなことを言ったけれども、フィリピンまでは一歩ですか、あなた。ちょっとおかしいんじゃないですか。  そうすると、あなたの答弁では、そういうふうに解釈をして必ずしも日本の領海、領空、領域に限定されないんだ、だからフィリピンまで行ってもいいんだ、ミッドウェーがノルウェーに行ったらノルウェーまで行ってもいい、アメリカヘ行ったらアメリカまで追っかけていってやってもいいんだ、そういうことなんですか。どうなんですか。そこの限界をはっきりさせてください。
  211. 小和田恒

    ○小和田政府委員 基本的な枠組みについては私先ほどの答弁で明確にしたつもりでございますけれども、これはあくまでも日米安保条約の枠組みの中での出来事、日米安保条約に基づいて地位協定がつくられ、その地位協定に基づいて米軍が労務者を雇用することが認められているわけでございますので、そういう意味で基本的な枠があるということは先ほど申し上げたとおりでございます。  じゃその枠というのは何かといいますと、日米安保条約の趣旨と目的に従って合衆国軍隊が現地の労務者を使用することができる、こういうことでございますから、ノルウェーへ行ったりあるいはスウェーデンへ行ったりということが無制限に認められるわけではないということは、一番最初にお断りしたわけでございます。  他方、問題になっております労務者につきましては、先ほど北米局長が御説明をいたしましたように、やむを得ない事情によって修理が終わらなかったために、船は横須賀を出港したけれども、その間修理を続けて、それで洋上で修理を終えて、到着地のフィリピンから飛行機で帰ってきたということでございますので、これは私が先ほど申し上げましたような基準に照らして、地位協定上十分認められるところであるというふうに考えております。
  212. 三浦久

    三浦(久)委員 どうしていいわけなんですか。修理が終わってないからいいということですか。  それじゃお尋ねしますけれどもミッドウェーがフィリピンのスビック基地におった。そこに横須賀の基地の従業者が日本からわざわざ飛行機に乗って、飛行機でも軍艦でもいいですけれども、行って、停泊しているミッドウェーの修繕をする、そして一週間なり十日なり修繕作業に従事してまた日本に戻ってきた、こういう場合はよろしいわけですか、だめなんですか。どうなんですか。
  213. 小和田恒

    ○小和田政府委員 私は技術の専門家でございませんので、今御指摘になりましたような仮定の問題についてお答えすることは適当でないと思いますが、ただいま問題になっておりますケースは現に起こったケースでございます。現に起こったケースについて、それが日米安保条約の趣旨、目的から考え、かつ地位協定の規定ぶりから考えて、これは合法的なことである、地位協定の枠内で認められることであるということを申し上げているわけでございます。
  214. 三浦久

    三浦(久)委員 あなたはさっき、無制限に認められているものじゃないと言ったじゃないですか。私が、じゃノルウェーでもアメリカでも行っていいのかと言ったら、そういうことじゃないんだと言ったじゃないですか。今度、じゃフィリピンだと言ってもう少し近くなったら答弁ができないのですか。じゃフィリピンまでいいということですか。どういうことですか。それは仮定の問題だから答えられないと言って、たった今あなたは仮定の問題に答えているわけです。  仮定の問題ということじゃないんですよ、これは。安保条約とか地位協定の適用の問題なんです。適用の問題なんだ。こういう場合にはどうかというのは、仮定の問題じゃなく適用の問題。  ですから、フィリピンでミッドウェーが修繕を必要とする、米軍から要請があった、そういう場合に、横須賀の基地の従業者をフィリピンに派遣をして修繕させることは、今の安保条約並びに地位協定並びに労務基本契約に基づいて合法なんですかどうなんですかと聞いているんですよ。それが、何で仮定の問題で答えられないなんてことを言わなければならないのですか。大体おかしいじゃないですか、あなた。ちょっと答えてください。
  215. 小和田恒

    ○小和田政府委員 私が先ほど来申し上げておりますことは、日米安保条約の趣旨と目的に従って、その範囲内において行われる行為とそうでない行為があるであろうということを申し上げたわけです。そこで、その例として、例えば全く日米安保条約と関係がないのにノルウェー等へ行って何かをやるというようなことは、この条約の趣旨、目的の枠外の問題であろうということを申し上げたわけであります。  他方、現に問題になっております今回のケースというのは、非常に具体的な状況のもとで、先ほど北米局長が御説明をいたしましたような状況の中で行われたことであって、そういうものを総合的に判断いたしました場合に、先ほど申し上げましたように、日米安保条約、地位協定の枠内の問題であろうということを申し上げたわけです。  委員が御指摘になりました仮定の問題について私がお答えすることは適当でないということを申し上げましたのは、これは、委員は一つのことについて具体的な条件をお挙げになりましたけれども、こういう問題について条約の枠内であるかどうかということを判断するためには、具体的な条件がどういうものであるか個々のケースによっていろいろ条件が違うわけでございますので、そういう条件のもとで具体的な条件を総合的に判断をして、先ほど私が申し上げましたような枠の中であるか外であるかということを判断せざるを得ないということを申し上げたわけです。
  216. 三浦久

    三浦(久)委員 時間がありません。もう来ておりますのは承知しておりますが、あと一問だけお願いします。たった一問だけ、よろしゅうございますか、今のに関連して。
  217. 片岡清一

    片岡委員長 はい。
  218. 三浦久

    三浦(久)委員 お許しがありましたので、それじゃ一つ具体的に事例を挙げます。  今私が言ったこと、フィリピンに停泊しているミッドウェーに基地従業者を飛行機で運んで、そして修繕に従事させている例があるのです。言うから、後で調べてください。  一九八〇年八月四日です。横須賀のアメリカ海軍の艦船修理所の日本人技術者五名、この人たちがアメリカ軍人サンティー二という人に引率をされてフィリピンのスビック基地に派遣をされています。この人たちは八月四日に成田空港から民間機で出国をしています。まずマニラに着いています。そしてマニラからスビック基地に行っております。そして、七日後の八月十日、スビックから軍用機で横田に帰国をいたしております。時刻は夜の十時三十分ごろ、そしてマイクロバスで横須賀の自宅に送り込まれています。自宅に着いたのは十一日の午前二時三十分ごろであります。  この七日間、日本人技術者五名はアメリカミッドウェーの修繕に従事をさせられています。私は、これは事実上の従軍だと思いますけれども、時間がありません。一問しかお許しを得ておりませんので、この問題について外務大臣、また調査をして御報告をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  219. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今の点につきましては調査をして、またお答えいたします。
  220. 三浦久

    三浦(久)委員 質問を終わります。
  221. 片岡清一

    片岡委員長 上原康助君。
  222. 上原康助

    ○上原委員 大分遅くなっているので、できればきょうは質問を遠慮したかったのですが、委員長が三時間ぐらい頑張ってくれということですから、おつき合いをさしていただきたいと思います。  そこで、せっかく総務長官もおいでをいただきましたので、大変ありがとうございます。急でしたが、のっけからとっぴなことを聞くわけにもいきませんから、まず法案について一つだけ確かめておきたいのですが、ブルネイの新しい大使館設置をすることははっきりしておるわけですが、セントクリストファー・ネイビスはどこと兼館するのですか。
  223. 枝村純郎

    枝村政府委員 セントクリストファー・ネイビスにつきましては、在トリニダードトバゴ大使館をして兼轄せしめる予定でございます。
  224. 上原康助

    ○上原委員 これまでも在外公館の新しい設置あるいは在外公館勤務をする職員処遇の問題等については本委員会でいろいろその都度議論をしてまいりましたが、例えば海外におられる邦人の子女の教育問題、環境整備あるいは帰国した場合の受け入れ体制等も相当改善されたやに聞いております。そういうことについては今後とも努力をしていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。  そこで、時間もできるだけ短縮したいと思いますので進みますが、この公館設置、在外公館の問題とも関連をいたすわけでありますが、せんだっての臨調答申で、いわゆる第五次答申、最終答申の中で、外務公務員制度についても指摘されております。詳しいことは割愛をいたしますが、例えば大使あるいは公使の民間人の起用など、あるいは他省庁職員外務公務員への切りかえなどいろいろ指摘をされております。そういうことについては外務省当局としてはどのような御見解を持っておられるのか、また、この答申でいろいろ指摘をされていることについてどういう対処策をおとりになっておるのか、ひとつ御見解を聞いておきたいと思います。
  225. 枝村純郎

    枝村政府委員 臨調最終答申におきます外務公務員制度にかかわる指摘につきましては、二点あると思います。一つは、外務公務員と他の一般公務員との一体感を醸成すべしということでございます。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕 それから第二点は、対外機能を適切に担い得る外務公務員を確保し、養成するということに重点を置くべし、この二点でございますが、口幅ったいようでございますが、外務省はこういう点ではほかの省庁以上に従来から非常に意を用いてきているような気がいたしております。  例えば適任者の外務公務員への採用を積極化するという点では、民間、学界その他から相当多数を採用いたしておりまして、現に前任の人事課長などはハーバード大学の出身者、これを採用したわけでございます。現在アジア局で活用しておりますし、ただいま御指摘の他省庁の職員ということにつきましても、例えば前の会計課長は自治省からの採用、まさにアタッシェの経験者でございまして、現在重要ポストの総領事をやっておるわけでございます。その他、青年協力隊員あるいは現地採用職員というようなものを本官に登用するということもいろいろやっております。  また、他省庁との一体感の醸成という点で、一般の内政省庁への出向ということでは、最近新聞でも話題になりましたように、警察本部長にも出向きしておる、あるいは地方公共団体にも出向きしておるわけでございまして、あるいは時に話題になりますように、他省庁あるいは民間、婦人大使を含めまして登用というようなこともやっております。  そういうことで、また、当委員会の御激励をちょうだいしながら外務公務員の能力の向上あるいは勤務環境の整備ということには従来からも努力してまいったわけでございますが、臨調答申のいろいろの指摘につきましてもこれをなるべく尊重して、採用できるものは採用し、さらに外務公務員としての職責を全うできるように十分の努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  226. 上原康助

    ○上原委員 今官房長のお答えを聞きますと、臨調答申であえて指摘する必要もないようなことをおっしゃっておられるような感を受けるわけですが、ここでは外務公務員制につきましては、一つは採用の件ですね。それから今ありました一般公務員との一体化の問題。確かに民間人の起用とかあるいは他省庁との交流問題についてはそれなりの御努力をいただいていることだと思うのですが、しかし、一般的に与えている印象は必ずしもそうではないと思うのですね。非常に閉鎖的であるという。そういう面は、人事院総裁もお見えになったので、後でこの件についての御見解も一言聞いておきたいわけですが、もっとそういう分野の人材の擁立というか確保ということについても、やはり日本のこれからのいろいろな外交面を考えた場合に必要じゃなかろうかという気がいたします。  専門家の確保、養成問題が三点目に指摘されている。さらに士気高揚の面では、きょうは時間がありませんのでたくさんは触れられませんが、休暇帰国制度及び不健康地対策の充実問題、これは発展途上国その他治安問題が関連しておると思うのですが、本委員会でもしばしばこのことについては議論もされて、また外務省の御見解も聞いてまいりましたが、この種のことについてはどう改善され、またここで指摘されている面が今どのように具体的に改善されようとしておるのか、その点もあわせて御見解を聞きたいと思いますし、同時に、人事院総裁は、この臨調が答申をした外務公務員制度の問題についてはどういう御見解を持っておられるのか、これも承っておきたいと思います。
  227. 枝村純郎

    枝村政府委員 休暇制度の点につきましては、これは適用公館を年とともに拡大するということで、現在九十数公館までその適用がふえております。ただいま申し上げましたのは、通常の場合でございますと三年に一度ということでございますが、精神的、社会的あるいは気候の雨その他の点で不健康地と指摘される公館の数をそういうふうにふやすというようなことをやっておるということでございます。  また、不健康地対策につきましては、これは非常に広い分野にわたるわけでございますけれども、第一には健康管理の点、これにつきましてはおかげさまをもちましていわゆる健康管理休暇制度、これは先ほど申し上げました一般の休暇帰国制度が適用されない年に近辺の健康地に官費の補助を得て年次休暇を利用して行くという制度でございますが、これの適用公館につきましても年々増加をしていただいておるわけでございまして、こういう機会に十分な健康上のチェックをするというような体制を整えております。あるいは、先ほど御指摘がございましたような治安の不安というものを感じざるを得ない公館が大分ふえてきておりますので、その面でも各種の補助制度などを充実いたしております。  また、細かいことになりますのでこれ以上は申し上げませんが、宿舎の整備の面でございますとか、あるいは俗に総称して物資対策と申しておりますが、十分物資が調達できない地域におきまして、各地に買い出しに行くとかあるいは冷凍庫を設けるとか、そういったような設備でございますとかあるいは、私ども特にこれから頑張っていかなければいけないと思っておりますのは、上水道でありますとか電気でありますとか、そういういわば生活を営む上の最小限度の必要、生活上のインフラストラクチャーとでも申しましょうか、そういった点について不十分なところについては十分意を用いていきたい、かように思っておりますので、引き続き御支援をお願いいたします。  なお、冒頭委員の方から、外務省は非常によくやっているようであるが実は閉鎖的なんじゃないかという御指摘がございました。まさにそういった印象を持たれがちでございますので、私どもとしては実はいろいろ各省庁に先駆けて、そういう開かれた外務省といいますか、外交というやや特殊な感じを持たれる仕事をしておりますだけにそういう点には意を用いているということをやや強調して申し上げたことでございますので、御了承をお願いいたします。
  228. 内海倫

    内海政府委員 臨調のことに関しまして、私から外務公務員についてのことを御説明申し上げることが適当かどうか、考えざるを得ないのでございますけれども関係しました一員として申し上げる範囲でお許しをいただきたいと思いますが、今外務省の官房長からお答えをし、また上原委員からも御質問がありましたように、論議は、やはり外務公務員のある意味における閉鎖性といいますか、ほかとの交流がない、道をもっと開いて、いわゆる常識、国内事情にも精通しておるようなそういう外交官ができ上がってほしい。そういう意味で、人事の交流とかあるいは民間からいろいろな人の抜てきをしていくというふうな道を開くべきであろう。  それからもう一つの問題は、先ほどもお話がございましたが、専門家である外務公務員が必ずしも恵まれてないというふうな点もありますので、そういう点についてはもう少し配慮すべきではないか。  そして最後に、外務公務員が今や非常に健康に悪い不健康地勤務が多くなっておりますので、そういうことに対する配慮をする、そして士気の高揚を図るというふうなことが大事なんではなかろうか。  たしかこういうふうな問題が論議されたように思っております。
  229. 上原康助

    ○上原委員 まさに臨調答申で指摘されている点は、今人事院総裁がお答えになったことだと思うのです。このことで細かいところまで触れるわけにはまいりませんので、外務大臣も、どうか今官房長や人事院総裁がお答えになったことをよく御参考にしていただいて、今後の外交官の配置の問題など、いろいろ人材確保等について御配慮をいただきたいことを要望しておきたいと思います。  そこできょうは、本委員会は公務員給与なり公務員制度についての担当といいますか、プロパーの委員会でありますので、三月も下旬に差しかかっていよいよ春闘もこれから本番を迎えようとしておる段階であります。詳しくは時間の都合で触れられませんが、総務長官と人事院総裁に改めてお尋ねをしておきたいと思うのです。  まず人事院総裁にお尋ねをいたしますが、いろいろこれまでの経過もございました。あなたが総裁に御就任なされることについてのいきさつ等については私もある程度理解をし、また総裁のお立場もまるっきりわからぬわけではありません。しかし、公務員の皆さんは、五十九年の人勧の内容がどうなっていくであろうか。五十七年度丸々凍結、昨年は御承知のように二・〇三。四・四四は値切られた。本当に、ここにおられる皆さんも含めて、生活面においては大変御不満が多いと思うのです。そういう意味で五十九年の人事院勧告に対するあなたの基本的な姿勢、これまで予算委員会等でお答えになっていることは私も会議録をある程度見ましたが、改めて総裁としての基本的なお考え、姿勢というものをお尋ねしておきたいと思うのです。
  230. 内海倫

    内海政府委員 今まで予算委員会その他におきまして私の基本的な考え方というのは申し上げておりますが、改めて私の基本的な考え方を申し上げたいと思います。  もう先刻御存じのように、国家公務員につきましては厳しい労働基本権の制約というものを受けておるわけでございますから、そういうもとにおいて給与がいかように取り扱われ、いかように決められていくべきかということは極めて大事な問題でございます。したがって、そういうことに対する代償機能といいますか代償措置といいますか、そういうものを人事院が機能し、かつまたそういうことに伴う措置を勧告の形において提示しておるわけでございますから、既にここ両三年にわたりましてそういうふうな勧告があるいは凍結されあるいは非常に低いところで決められておるという事態が今後も継続するとすれば、これは政府といたしましても、また国会におかれましでも、重要な問題としてお考えを願わなければならないと思います。  私ども人事院の立場からいたしますれば、五十九年度におきましても、在来行ってまいりました調査方式により在来やってまいりました考え方に立って勧告をする所存でございますので、その点につきましては、もし私どもがそういう勧告をいたしました場合は、いろいろ事情はあろうと思いますけれども政府、国会におきまして十分にこれを尊重していただく、こういうことを私は心から願いながらこの仕事を進めていくというのが私の基本的な考え方でございます。
  231. 上原康助

    ○上原委員 これは、先ほど申し上げましたように、しばしば御見解を明らかにしておられるようでありますし、改めてお尋ねするのもあるいは御無礼かとも思ったのですが、しかし、本委員会としてもぜひ聞いておきたいと思って。今さら、内海さんが臨調の第二部会の第一分科会の主査をしておられたときのなお書きなんて持ち出すまでもないと思うのですが、よもや今はああいう御見解はお持ちじゃないですね。
  232. 内海倫

    内海政府委員 あえて私弁解を申しませんが、議論の過程の中でああいうことがあったことは事実でございますけれども、その結論は答申として、政府に出されたものにはああいうようなものは入っておりませんし、また私もそういうものを今考えておるわけでは全くございませんので、あの答申の中で一番大事な人勧制度の尊重という点を大事なものとして考えておるわけでございます。
  233. 上原康助

    ○上原委員 それに尽きるかもしれませんが、しかし、あの報告は現に残っておるということも申し上げておきたいし、これから見ないようにしてください。  そこで、まあお答えいただいたのですが、民間賃金準拠方式ということ、それと、民間賃金準拠の対象となる企業や事業等についても従来方針を踏襲していかれるということですね。第三点目に、今のあなたの強い御決意からすると、人事院が五十九年度に出すであろう勧告はぜひ政府と国会に完全に実施をしてもらいたい、また、実施させるべく総裁として万全の措置をとるというか、そのために最善の努力をなさる、こういうふうに受けとめていいかどうか。改めてこの三点についての決意を伺っておきたいと思います。
  234. 内海倫

    内海政府委員 勧告につきましての取り扱い方は、長い間行ってきておりますものが最もいいものとして定着しておるわけでございますから、私もまた、そういうふうな方式により、そういうふうな考え方によって考えていきたい、そう思っております。  それから、どういうふうな勧告内容になるかは調査の結果にまたなければならないと思いますが、勧告をいたします限りは、そしてまたいたしました限りは、何としてもこれは尊重していただかなければならないというのは私どもの願いでございます。  さて、それをどういうふうにしたならば政府において尊重していただけるか、これはまたいろいろ考えなければならないかもしれませんが、私のできますことがあれば、あらゆる形で政府にもお願いをしていきたい、こういうふうに考えております。
  235. 上原康助

    ○上原委員 念を押すようで恐縮ですが、勧告の尊重とか最大限の努力をするということは総理もおっしゃっているのですね。総務長官もしばしばおっしゃっているし、総裁もそういうことを言っている。今おっしゃる勧告の尊重ということは、勧告の中身を完全に実施をするために総裁の地位をかけてやるという決意と受けとめていいですか。
  236. 内海倫

    内海政府委員 地位をかけてという大変厳しい御質問でございますが、私の総裁としてのあらゆる能力を発揮して努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  237. 上原康助

    ○上原委員 きょうのところは、完全実施に向けて努力をなさるというふうに理解をしておきたいと思います。  そこで総務長官、大変急においでをいただいて失礼をいたしましたが、やはり給与担当の政府での、もちろん総理が最高責任者かもしれませんが、あなたが給与の御担当であられるし、五十七年度丸々凍結をしたということ、五十八年わずかに三分の一以下に値切ってしまった。今人事院総裁は、人事院という立場で、そういうお気持ちでやるということを披瀝なさったわけですが、政府としても、人事院は政府と国会に勧告をするわけですから国会にも責任の一部はあるわけですが、しかし政府が値切って法案を出すとこれはどうにもならない。春闘状況を見ましてもあるいは公務員の皆さんのこの切実な要求を聞いてみても、私は五十九年度というのは完全実施以外にないと思うのです。財政事情その他あることはわかる。しかし、これは必要不可欠経費なんですよ、人件費というのは。そういう面からして、給与担当大臣としての総務長官の御所見と決意を伺っておきたいと思います。
  238. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話の点につきましては、丹羽総務長官のとき、十一月二十七日でございますか、参議院の内閣委員会で丹羽長官が答弁しておられます。できるだけ努力するということを続けてきた、五十八年度について先ほどお話しの二・〇三、これは異例の措置だと理解するというようなこともあわせて御答弁になっています。私も同様に考えています。できるだけ努力をする必要がある。公務員の士気の問題もございますし、労使関係、これはもう良好に保たなければならないということは国民全体にとっての大きな関心事でございますし、そういったようなことに揺るぎがあっては絶対ならない。そういう意味で、人事院の勧告が出ました上で政府部内意見を調整いたしまして、最大限の努力をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  239. 上原康助

    ○上原委員 これはこれから調査をし、勧告の時期までまだかなり間がありますから、勧告の内容も――もちろん勧告の中身を我々もっと重視をしているのであって、そこが人事院の腕の見せどころというか、かなえの軽重が問われていると思うのですが、しかし最大限の努力をするというだけでは、総務長官、公務員の皆さんはまた今度も相当値切られるのではないかということで、これでは仕事する手も緩むと思うのですよ。せめて、大蔵大臣が今のような答弁をなさるなら大蔵大臣だからまあやむを得ないかということになるかもしれぬけれども給与担当大臣としては、今度は完全実施しますから公務員の諸君頑張りなさいというぐらいの御答弁ができないのですか。
  240. 中西一郎

    ○中西国務大臣 お話の点は、衆議院のみならず参議院でも、各委員会を通じてそういうお話がございます。気持ちの上では大変よく理解できるところでありまして、いい答弁をしたいという気持ちもございますけれども、しかし、全体の客観情勢というものがどうなっていくかということについては確たる見通しを立て得ないのが現状でございます。  そういったような意味合いにおきまして、これは歴代総務長官が答えておることを超えることはできないのですけれども人事院勧告が出ました上で最大限の努力をして、そして労使の良好な関係を維持したい、士気も衰えるようなことがないようにしたいと考えておるところでございます。
  241. 上原康助

    ○上原委員 一応前向きの答弁だと受けとめたいわけですが、ぜひ給与担当大臣として、完全実施という以外にこの五十九年勧告についてはあり得ないということを篤と御理解をいただきたいと思います。総務長官、どうもありがとうございました。  そこで、人事院総裁にあと一点だけ聞いておきたいと思うのです。たくさんあるのですが、きょうはほかにも、外務大臣にもありますので……。  三月六日、公務員共闘から八項目にわたって公開質問状が出されましたね。これ全文について、できればそれぞれお答えをいただきたいわけですが、今さっきの御答弁とも相関連いたしますが、やはりここで指摘されていることは、労働基本権を制約している代償措置としての人事院勧告制度というのを形骸化してはならぬ、公務員の生活権の侵害にもなるというようなことを指摘をしているわけですね。  この点については既に関係者の皆さんに御答弁したということも若干漏れ聞いているわけですが、特に一項とか三項とか、あるいは八項あたりですか、労使の関係の問題、こういうことについて、この公開状全般についてどういう御見解を持っておられるのか、また、これをあなたはどのように関係者の意向を入れて尊重し、その実現に向けて努力していかれるのか、この件についての御見解も承っておきたいと思います。
  242. 内海倫

    内海政府委員 公開質問につきましては、今御質問いただきましたように、八項目につきまして多角的な御質問がございました。  それの基本的な考え方につきましては、ただいま御質問いただきましたことにお答えした私の考えに尽きるわけでございまして、それらをいろいろな形で御答弁申し上げておるわけでございます。また職員団体との関係につきましては、私は極力今後ともに緊密な関係を維持しながらいろいろ御意見も承りたいと思いますし、同時に私どもの方からも意見をいろいろ申す、そういうふうなことでお互いの考えを交流し合っていくというふうな気持ちを込めて、あわせて御答弁を申し上げておるわけです。  なお、各項目につきまして、必要であれば、時間をとらない範囲で主管局長からお答えをさせます。
  243. 上原康助

    ○上原委員 その点については後ほど私に聞かせてください、きょうのところは時間がありませんので。  人事院総裁、きょうは御苦労さんでした。ありがとうございました。先ほど総裁就任に当たっていろいろ申し上げましたが、しかし、人間外見によらずということもあるのですよね。怖そうな人だがやはり優しいという人もいるし、タカ派だが案外えらいハト派に見える方もいるし、外務大臣のようにえらいハト派に見えても中身はタカ派の方もいるし、そういう意味で、今度の人勧問題についてのあなたの身の振り方というのは、国家公務員だけでなくして、恩給者あるいは年金受給者、また生活保護を受けている弱いお立場にある方々、何百万という国民が注目をしているわけですね。それほどこの五十九年の人勧ということは生活がかかり、重要な経済問題であると同時に、また政治課題であるということを御認識いただいて、私が今要望したことを含めて実現をするように特段の御努力をお願いして、きょうのところはよろしいです。  そこで、次に移りますが、外務大臣どうも御苦労さんです。中国に行かれる前に私はお会いして、今回また沖縄に新たに配備をしようとするいわゆるグリーンベレー、特殊作戦部隊の件について要望を申し上げると同時に、その計画をやめるようアメリカに申し入れなさいということを申し入れたわけですが、実はこの件は、昨年三月二十四日の本委員会、一年ちょっとになりますね、これを私が取り上げたのです。  その当時も、たしか八四会計年度にその特殊部隊を千二百名二個大隊に編成をして沖縄に配備するという計画が伝えられている、政府承知しているのかという質問を私はいたしました。そのときに北村北米局長は、先ほどの答弁を聞いてもいかがかと思うのですが、顔は非常にまじめそうなお顔をしておられるのだが、内容はとんでもないことだけ言っている。そのときにあなたは、アメリカ側から通報はないし、アメリカがそういうことを考えているとは思わないとお答えになっておりますね。しかし果たせるかな、私が指摘をしたように、もう沖縄への配備計画が着々と進んで、既に第一陣はトリイステーションに配備、配置をされている。  この特殊作戦部隊の配備について、米側から日本側には一体どういう相談、通告などがあったのか、この点からまず明らかにしていただきたいと思います。
  244. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 その前に、上原さんから懸念の申し入れがあった点について、私としてもその懸念をアメリカ政府に伝えましょう、こういうことを言ったわけでありますが、これに基づいて、三月二十六日外務省より在京米大使館を通じて米側に対し、今般の特殊部隊の沖縄配備に伴い、地元県民の間に、これが沖縄県民の経済、社会生活に影響を及ぼすのではないか、また、トリイ通信施設内における米軍専用ビーチ施設の建設により、黙認耕作者等の生活権が侵害されるのではないかとの懸念がある旨を伝えました。  これに対して米側からは、地元にそのような懸念があることは承知しておるが、米陸軍特殊部隊は種々の技術的分野で十分に訓練された優秀な人員から成る少数精鋭を旨とした部隊で、近年米国内においてその有用性についての認識が高まった結果、再編が進められ、一個大隊を本年中に沖縄に配備し得ることとなったものである旨、及び、トリイ通信施設におけるビーチ施設の建設は特殊部隊の配備とは別個の計画であり、特に特殊部隊のために建設されるものではない、いずれにせよ、黙認耕作等の問題については現在現地レベルで調整中であると承知している旨の説明がありました。  以上、一応御報告申し上げておきます。
  245. 上原康助

    ○上原委員 アメリカ側の見解をお聞きになったことは、一応評価というか、それは当然と言えば当然ですが、わかりますが、では、それはそのとおりだというお考えですか。
  246. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アメリカの今の回答については、日本政府としても、しれはアメリカ政府の公式な見解である、こういうふうに理解をいたしたわけです。
  247. 上原康助

    ○上原委員 では、この特殊部隊を沖縄に配備したい、日本に配備したいということについての通知なり相談は、いつごろからあったのですか。
  248. 北村汎

    北村政府委員 委員指摘のとおり、昨年の米国の国防報告にも、この陸軍の特殊部隊というものの編成を一般的に考えておるということが書かれておりまして、その背景のもとに米国政府としては同部隊の具体的な配備先についての検討を行っていたと我々は承知しておりました。ただ、昨年の七月に一般的な説明アメリカから受けましたときには、その配備先がどこであるかということはまだ決まっていないという状況でございました。  その後、今年の三月一日に至りまして米側から、特殊部隊を今般公表されたところに従って沖縄に再配備するということ及びその再配備の公表を三月の十七日に行うという内報を受けました。
  249. 上原康助

    ○上原委員 三月の一日に公式というか正式にあった方それじゃ現在、配備の時期、いわゆる第一陣は三十名ともあるいは百五十名とも言われていますね。どれだけの規模が来ているのか、最終的な規模はどのくらいなのか、そのグリーンベレーの任務はどういうものなのか、さらにどういう訓練をするのか、その訓練内容、訓練場所、さっき外務大臣がおっしゃるように、これは少数精鋭部隊であるから困るのですよ。これはまさに悪魔の忍者部隊ですよね。今私が聞いたようなことに全部具体的にお答えください。
  250. 北村汎

    北村政府委員 まず配置の日程と申しますか計画について、私どもが現時点で知っておることを申し上げます。  米国は沖縄のトリイ通信施設に最終的に一個大隊約二百五十名ないし三百名の陸軍特殊部隊及び関連支援部隊、隊長はジェームズ・エステップ中佐でございますが、その配備を計画いたしております。そして、この配備は段階的に行われる計画でございまして、第一段階としては八四年三月に約三十名程度の配備を皮切りに開始されるものと承知いたしております。  それからグリーンベレーの性格、任務について御質問がございました。グリーンベレーとは空挺、偵察、通信、それから峰兵器及び重兵器、その操作など、種々の技術的分野で十分に訓練された優秀な人員より組織された部隊で、先ほども外務大臣が答えられましたように少数精鋭を旨とする部隊でございまして、部隊運用の効率化を図った編成でございます。また、軍事教官としての素質も有しているものと承知いたしております。  この任務といいますか、これに期待されておりますことは、米国におきましては、いかなる攻撃に対してもこれに対応し得る有効な態勢をとることがその抑止力の基本でございますけれども、特に小規模の紛争についてエスカレーションを避けること、これは非常に大事なことでございますが、そういうエスカレーションを避けながら紛争に対処する、こういう観点から、米陸軍特殊部隊の有用性につきまして現在アメリカでは認識が高まっているというふうに承知いたしております。アメリカ側説明によりますと、この部隊は紛争のあらゆる段階で投入され得る部隊でございます。単に小規模の紛争だけではなく大規模な紛争にも投入され得る部隊であって、そういう意味におきましてはほかの実戦部隊と比較して特殊なものではないという説明を受けております。
  251. 上原康助

    ○上原委員 特殊のものでないと言うが、特殊なものだから特殊作戦部隊と言うのでしょう。SOF、SOSだよ。では何でスペシャルとついているのですか。スペシャルオペレーションフォーセスじゃないですか。やはりあなたの答弁を聞いていると、何もわからなければみんなごまかされてしまう。  それで、そう簡単なものでないのです。しからば、なぜ今ごろ沖縄にこれを配備するかということなんですよね。これは沖縄国会でもさんざん問題になりました。外務大臣もそれは御記憶あるでしょう。だから七四年の六月までに全部現地解散するか撤退をしていったんですよ。  ちょっと具体的なことをお尋ねしますが、三月十七日、アメリカは十六日かな、十七日に発表されたわけですが、三月十五日のワシントン発の時事報道によると、これは日本側とは相当前々から情報交換というか、やっておったと思うのですよ、外務大臣。あるいは外務省のシステムとして外務大臣までは知らせないかどうかわかりませんが、「特殊作戦部隊の沖縄配置については、国防総省が昨年夏以来これはことしの三月十五日発ですが、「昨年夏以来、日本側に打診していた。一個大隊の配備は、日米安全保障条約上の事前協議要件である「配備の重要な変更」(陸上部隊なら一個師団程度)」今ごろ一個師団程度の配備の重要な変更なんて、それはないですよ。「に当たらないため、日本政府は米側の配置計画が具体化するのを見守っていた。」こういう見解を米国防総省は発表しているわけですよね。私はこれは事実だと思う。  だから、いかに皆さんが沖縄の基地の整理縮小とか、あるいは我々はできるだけ金網の少ない沖縄にしたい、完全に軍事基地をなくすることができないまでも、なくしていきたいという目標は持っておるにしても、余りにも今過密であり、そしていろいろな軍事演習をやっているわけでしょう。もう空も海も陸も、沖縄だけに集中していくということに我慢ならないのですよ。しかも、こういう特殊な作戦部隊というもの、これは作戦行動部隊ですよ。オペレーションフォーセスなんですよ。だから、装備とか配備の重要な変更に当たらないにしても、第三項の作戦展開には当たるわけなんだ。  では、この配備をする目的は何ですか。何を対象に沖縄基地に今ごろこれが必要になってくるのですか。それも明らかにしてください。米国内で理解が深まったから沖縄にも――沖縄は米国じゃないですよ。どういう目的で沖縄にこれを配備するというのですか。
  252. 北村汎

    北村政府委員 まず、特殊部隊を今の時点でなぜ沖縄に配備するのかという御質問でございますが、これはさっきも申し上げましたように、米陸軍特殊部隊というのは種々の技術的な分野で十分に訓練された優秀な人員から成る少数の精鋭部隊でございます。近年、アメリカにおきましては、このような少数精鋭の部隊の有用性についての認識が非常に高まってまいりました。その結果再編が進められて、一個大隊を本年中に沖縄に配備し得るということになったものでございます。政府といたしましては、米国による沖縄への特殊部隊の配備というものは、これは極東地域においても抑止力というものを一層万全なものにするという考慮によって行われたものであると考えておりまして、そのほかに特段の事情があるとは承知しておりません。  それから、先ほど委員が特殊というものはどうして特殊かということを問題にされましたが、特殊という意味は、これもアメリカ側説明によりますと、訓練が極めて特殊な訓練をやるというところでその特殊の言葉がついておるのだそうでございます。先ほども申し上げましたように、空挺、偵察、通信、軽兵器、重兵器の操作、こういうような分野で非常に訓練された優秀な少数精鋭の部隊である、こういうことだそうでございます。
  253. 上原康助

    ○上原委員 そういう特殊な訓練をされた軍隊だから困るということです。  これは具体的にどういう特殊な任務につくのですか。これはどういう抑止力のために必要なのですか。
  254. 北村汎

    北村政府委員 これもさきに御答弁したと思いますが、アメリカは現在、いかなる攻撃に対してもこれに対応し得る有効な態勢をとるということを抑止の基本考えておるわけでございます。特に小規模の紛争について、紛争のエスカレーションを避けながらこれに対処するという観点から、今回の米陸軍特殊部隊の有用性について認識が高まっているということで、アメリカ説明によりますと、この部隊は紛争のあらゆる段階で投入できる、したがって小規模の紛争にも投入できるし大規模な紛争にも投入できる非常に有用な部隊である、こういうことでございます。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕
  255. 上原康助

    ○上原委員 そこで、小規模にも大規模にも伸縮自在みたいなことを言っておられるのですが、そう簡単にはいかないのですよ。抑止力であれば、どこを想定しているの。なぜ北海道とかあるいは朝鮮半島――この間、朝鮮半島のことでは大分前進したなんて日中首脳会談で言っておりますが、こういう物騒なものを置くことが緊張緩和することにはならないですね。朝鮮に近いところへ持っていけばいいじゃないか、皆さんがそういう議論を言うなら、そういうお答えをするなら。冗談じゃないですよ。  もう少し聞きたいわけですが、ことしの八五年度国防報告の中で、要旨がありますけれども、もちろんあなたが言うように小規模紛争あるいはテロリズムに対処をしていく、前線での戦闘能力を向上させる、いわゆるゲリラ作戦です。テロリストや外国政府による脅威から海外にいる米国市民の保護とか、米国や同盟国に対する敵側の攻撃に備える、しかもこういう対抗措置をとるために特殊作戦部隊を強化拡充をする。太平洋地域に配備をされるのは千二百名だと言っていますね、八五年の国防報告も。かつて復帰前後は沖縄には大体千二百五十名おった。今、本当に最終的に二百五十ないし三百名というのか。それだけ機能強化なり能力の評価によって人数の長短はあると私は思うけれども、実際に最終的に配備をされる部隊規模というのはどうなのかということ。  もう一つ。抑止力と言うけれども、一体抑止という場合にどこを想定しての抑止なのか。東南アジアなのか、東北アジアなのか、あるいはソ連なのか、このことについてもお答えいただきたい。  そしてもう一つは、防衛庁とも関連するのですが、「SOFは全世界の十五カ国の武装部隊と協力し、不安定と侵略に効果的に対処する訓練をする。」恐らく、これだけ日米同盟ということを皆さん言っているわけですから、日本がこの十五カ国に入っていないということはだれも思わぬでしょうね。そうなると、いよいよもってこれは集団自衛権問題その他、あるいは第三国への影響力というものが出てくる。この全世界の十五カ国の武装部隊と協力し、不安定と侵略に効果的に対処をしていくための訓練をする、このことに日本はかかわりがあるのかどうか。  さらに、防衛庁に対してはこのSOFの関係はどういうふうに連絡なりをやってきているのか。ずばり言って、防衛庁はこのSOFと共同訓練をする計画があるのじゃないかと私は思うのだが、そういう面はどうなのか。
  256. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 防衛庁に対しますアメリカからの連絡につきましては、これは先ほど外務省の方からも御説明がありましたように、昨年七月の段階で在日米軍司令部から、米国として特殊部隊の配備先の検討を行っているというような一般状況について御説明を受けた経緯がございます。最近の発表の少し前にそのことについては外務省から御連絡を受けた経緯がございます。
  257. 西廣整輝

    西廣政府委員 共同訓練についてお答えいたします。  この特殊部隊の配備については、三月から始まったばかりということで、当然のことながらまだ検討いたしておるわけではございませんけれども、先生御案内のように、陸上自衛隊は我が国防衛のための共同訓練アメリカの陸軍と毎年やっておるわけです。したがいまして、その中にもし出番があれば、特殊部隊が出てくる共同訓練も行われるのではないかというふうに考えております。また、先ほど北米局長からお話があったように、非常に訓練の行き届いた部隊であるということでございますので、場合によっては我が方の一部の部隊とお手合わせを願うというようなことも当然考えられるわけでございます。
  258. 上原康助

    ○上原委員 そうなっていくと、これはいよいよ大変なことだな。  自衛隊にもそれと対応する部隊が、もちろん空挺団はあるわけで、それだけじゃないと思うのですが、あるのですか。
  259. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 今御質問いただいております米軍の特殊部隊の概要は、先ほど外務省からもお答えがあったとおりでございます。詳細な点は私どもも厳密にはまだ承知しておりませんけれども、私ども自衛隊として、その種の独立した部隊というのはもちろんございません。ただ、御承知のとおり、レンジャー訓練というものを我が自衛隊では個々の部員に一部やっておりますので、そのレンジャー訓練によりまして個人的な能力をかなりレベルアップした隊員を養成しておるという事情がございまして、そういった隊員がある程度あちこちの部隊にいるということはございます。しかし、独立した部隊としてそういう特殊なものを持っておるというわけではございません。
  260. 上原康助

    ○上原委員 今見解を聞いて、後で具体的になにしますが、自衛隊は色目を使っているということだけははっきりしている。そういうことになりますと、沖縄は今でも戦場だし――訓練場所はどこなんですか。それはまだお答えがないですね。  それともう一つ、北米局長、先陣として三十名程度ということをあなたはおっしゃいましたが、これは外務省資料じゃないのかね、三月十六日のメモランダムコレスポンテンス、「特殊部隊の沖縄配備についての米陸軍長官発表文」という、これでは三月いっぱいで百五十名ぐらいになるということじゃないの。どうなんですか。一体今幾ら配備されていて、今月じゅうにどれだけ配備されて、最終的にはいつまでにどのくらい配備されるのか、訓練場所はどこなのか、どういう訓練をするのか。  さらにもう一つ、恐らくチームスピリット84にこの米軍の特殊部隊が今度参加したと思うのですが、この参加をした部隊はどこから展開したのか。この沖縄に配備をされるものが行ったのか、あるいは別の特殊部隊なのか、この点も明らかにしていただきたい。
  261. 北村汎

    北村政府委員 まず配置の問題でございますが、私どもが現在承知しておりますのは最終的に二百五十名から三百名の一個大隊であるということでございまして、皮切りに三月に三十名、それから春、といってもはっきりいつまでというあれはないでしょうけれども、夏ぐらいまでに百五十名くらいが来て、後また残りが秋に来る、こういうような日程を大体アメリカ考えているようでございますが、いつに何名になるというはっきりしたことは私ども承知しておりません。  それから、訓練場はどこを使うのかという御質問がございました。これは既存の施設、区域を利用するということと聞いておりますが、どこの施設、区域を訓練として使うかということは聞いておりません。  それから、今回のチームスピリット84にこの特殊部隊が一部参加したのではないかという御質問がございました。これにつきましては、アメリカの本土から特殊部隊の一部が参加したということを聞いております。それが何名であったとか、そういうことはちょっと今資料を持っておりません。
  262. 上原康助

    ○上原委員 あなた、沖縄に来たのもアメリカの本土から来たのだよ、ソ連から来たのじゃないんだ。  それと、さっきお答えがなかったのだが、これからの問題もあるので一つずつはっきり答えてください。「SOFは全世界の十五カ国の武装部隊と協力し、」云々ということに対して、その中に日本も入るのかどうか、外務大臣、はっきりしてください。  それと、既存の演習場というか施設を使うと言うのだが、既存の施設とはどこどこですか。
  263. 北村汎

    北村政府委員 既存の施設、区域と申しましても、どこの施設、区域を訓練として使うということを私どもアメリカ側から聞いておりませんけれども、例えば北部訓練場なども考えられる一つではないかと思います。  それから、先ほどから委員が十五カ国ということをおっしゃっておられますが、私どもはそういう資料をちょっと手元に持っておりませんが、どういう資料でございましょうか。
  264. 上原康助

    ○上原委員 聞く方に質問する人がおりますか。冗談じゃないよ本当に、この北米局長は。アメリカの国防報告の要旨くらいは皆さんもうおわかりでしょう。資料を出せと言ったら、英語はわからぬのに英語だけ持ってきて、こっちは苦心惨たんしてあちこちから集めて日本語で書いてあるものを言ったのに、何を言いますか。はっきりしてくださいよ。
  265. 北村汎

    北村政府委員 大変失礼を申し上げました。  国防報告にございます十五カ国のアームドフォーセスということでございますが、これと日本との関係につきましては、日本がそれに入っているか入っていないかということを私ども別に確認はしておりません。
  266. 上原康助

    ○上原委員 それは先ほど言ったでしょう。さっきの御質問とも関連するのだが、これだけ日米防衛協力ということを言って、鈴木前総理が行かれて日米同盟を約束してきたわけでしょう。中曽根さんは不沈空母だ、やれ運命共同体だ、何やかや言っている。あなた、にやにやせぬでこっちの話を聞いてくださいよ。そうすると、こういうことが公にされると、アメリカの同盟国というのは自由世界となると大体わかるでしょう。NATOかアジアですよ。恐らく私は日本は入っていると思う。入っているかどうか皆さん確認もしないでそういうことがどんどん進められていく。わからないうちに自衛隊はそういう計画を持って、色目を使って着々と日米共同訓練をやろうという。まさに有事戦争準備じゃないですか。またベトナム戦争時代のように何か起こるのですか。  なぜ私がこの問題をこれだけ、昨年も非常に不安感があったので取り上げたかというと、この部隊はベトナム戦争時代には大変な人殺しをやったのだ。まさに悪魔の忍者部隊なんですよ。それを山口県に持っていく、あなたの周辺にそういう部隊が年じゅううろちょろしておったら、いやあれは紳士だから、とても訓練されている兵隊だから大丈夫だと、外務大臣という人はそういうふうに理解するかもしれませんが、一般の人々はそうじゃないですよ。ハブだってすぐつかまえてつぶして食べる。どんなことでもやる。二十種類以上の武器を器用に使う。言葉にしたって四、五カ国語は十分にしゃべる。その面では相当に堪能なんですよ。これは日本で言うと一種の中野部隊でしょうね。そういうものを沖縄に新たに配備するという。このことについて皆さんは余りにも無神経じゃないですか。もう少しは考えてもいいんじゃないか、外務大臣、本当に政治家という立場で。ただアメリカがそう言ったから、ああそうですかと言う。それでは全く主体も自主も何もないじゃないですか、日本立場というものは。しかも私がこの十五カ国に入っているかと言うと、そんなことはアメリカが言っている、我々はわかりませんと言っている。これで国民が納得しますか。  十五カ国に入っているとすると、じゃ日本はこの特殊作戦部隊とどういうふうに共同訓練をやろうとするのか。当然アメリカ側からそういうことは出てくると思う。しかもアメリカは、国防報告とかそういう中では、これを非常に重要視して今後も拡充をしていくということを指摘しているのです。この点いかがですか。外務大臣、答えてください。
  267. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 確かに沖縄の特別な立場というのは私もよくわかるわけですが、日本は安保条約をアメリカと結んでいる。そのために基地を提供しているわけで、その基地にアメリカの軍隊が駐留する権利を認めておるわけです。  私は、基地に駐留するアメリカの軍隊は精鋭なほどいいのじゃないかと思うわけなんです。もちろん核については、核兵器だとかあるいは核部隊とかいうものは安保条約の事前協議の対象になるわけですから、日本はこれに対して、もし事前協議があれば、ノーということははっきりいたしておるわけなんです。しかし、今のグリーンベレーが今の配置の変更だとかそういう事前協議の対象になるものではない、部隊の規模ではない、私はこういうふうに思います。最終的には一個大隊であるということだろうと思うのです。中身については、今お話しのように確かに特殊な訓練をする部隊でしょうが、しかしそれは、それだけに非常に少数精鋭の部隊ということになるわけですから、抑止という面からは非常に大きな意味合いを持つわけであります。  いろいろと御心配はあるでしょうけれども、しかし、今の日本政府立場からいきますと、このグリーンベレーが沖縄に駐留をするということでもって、今おっしゃるような、これが戦争の危機をあおるだとか、あるいはまたそれが非常に危険な徴候につながっていくということでは絶対にない、こういうふうに私どもは判断をいたしておるわけであります。そういう意味で私たちは、この部隊を沖縄に迎える、こういうことにいたしたわけであります。  もちろん、先ほどから申し上げましたように、日本の自衛力、自衛隊の訓練の強化という意味におきまして、日本自身の防衛のためにこの部隊との間の共同訓練ということもそれはあり得るでありましょう。それは日本の自衛力を高めるという意味においてはそれなりの効用があるのじゃないか、私はそういうふうに思うわけであります。
  268. 上原康助

    ○上原委員 何を聞いても、安保条約がある、地位協定がある、抑止力に必要だ、したがって問題はない、こうなればこれは根も葉もないわけで、議論にもならぬ。核の問題だって、これは戦術核ぐらい扱えますよ。もちろんそれが主たる任務じゃないでしょう。しかし、場合によってはその程度の能力を持っている。だから大規模戦争だろうが小規模だろうが、一人一殺だろうが、何でもできるのですよ、これは。だから問題だというのです、外務大臣。通常の部隊と違うのですよ。  そこで、今事前協議の対象にならぬと言うけれども、確かに配置の重要な変更、装備の重要な変更、そして直接作戦行動でしょう、核以外に対象になるのは。では仮に、これは第三国に対するゲリラ作戦もするわけですよ、テロ作戦行為もやるわけですよ、そういうことになりますと、沖縄におるそういう特殊部隊が、例えば朝鮮半島で問題が起きたら韓国にすぐ直接行動を展開していくでしょう。あるいは、今はタイについてもアメリカは大分新たな軍事協力か軍事援助をしようとしておりますね。東南アジアもなかなか容易でない、カンボジア問題を含めて。そうなりますと、かつての沖縄がアメリカの軍事支配下にあった当時のように、この特殊作戦部隊の直接作戦行動展開というものは十分あり得ると見なければならないですね。これをまた、ヘリコプターに乗って、航空母艦か何か、駆逐艦に乗ってこう行ったのだから直接行動じゃないというふうに逃げるかもしらぬけれども、これは前歴はあるんだよ、一九七五年のマヤグエス号の、宮澤さんが外務大臣をしているころ。そういう前例だってあるわけですよ。そうなりますと、これは第三国の主権にかかわる問題につながりますよ、大臣。  だから、一個師団でないとか、あるいは核でないとか、三百名程度だからということで事前協議の対象にならないという代物でないのだよ。だから、さっきお答えになりませんでしたが、アメリカの陸軍長官がわざわざ今回はこういう発表をしたということ。百五十名から三百名程度の部隊の配備について、わざわざ陸軍長官が発表しますか。しかも私がさっき引用したように、時事通信の報道によると昨年夏からずっとアメリカ日本政府に伺いを立てている。これはどこかに立てておったと思う。  したがって、事前協議の対象にならないということで済ませる部隊の性格でない、任務じゃない。そういう面からすると、私は、県民の不安に対して、もう少し外務大臣なり防衛庁を含めて親切であり誠意を持ってお答えいただかなければならないと思うのですね。先ほど、アメリカ側に問い合わせてみたらそういう答えを聞いたということなんですが、改めてこの部隊の配備について、私たちは承服しがたい、またいろいろ今後県民とのトラブルの問題も出てくる、この危険性がありますので、外交交渉でこの部隊の性格や目的について、任務について明確にして、配備を中止させるなりその任務の変更というか、あるいは何らかの措置をとるべきだと思うのです、百歩譲って。そういうお気持ち、ございますか。
  269. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは先般も既にアメリカ政府に対しまして、日本政府としまして沖縄においても一部不安もあるということ等も言及をいたしまして、一部の人たちの抱いておるところの懸念を伝えたわけでございます。これに対してアメリカから、先ほど私が申し上げましたように、これはアメリカで非常に重要視しておる少数精鋭の特殊部隊であって、そしてこれが沖縄に配置をするということについては、我々として沖縄のそうした気持ち等もわかるけれども、そうした懸念を増大させるものではないと我々思っておるという返答がありまして、既に一個大隊を今年中に配備をいたしますという連絡を受けておるわけであります。  確かに、おっしゃるような懸念も一部にあるかもしれませんけれども、しかし、アメリカ日本に駐留している軍隊それぞれの役割があるわけですが、そういう中の一つの精鋭の特殊な役割を持った部隊である、私はこういうふうに判断をいたすわけであります。したがって、これが今の安保条約に言うところの事前協議の対象になるものではない、そういうふうに思うわけでございます。今アメリカからの正式な回答も得ておる段階でありますから、これでもってアメリカにさらに確認をするとかあるいはまた懸念を伝えるとか、そういう必要はないというふうに判断をしております。
  270. 上原康助

    ○上原委員 そこは納得しかねますが、では、これだけは確かめておきましょう。  仮に、この特殊部隊が第三国に対して行動展開をしたという場合は、事前協議の対象になりますね。それが一つ。――ちょっと待ってください、急がぬであなたゆっくり、少し考えて、間違わないように。  もう一つは、この特殊作戦部隊が第三国の兵隊、第三国の韓国とかあるいはタイとかカンボジアになるかどうかわかりませんが、第三国の兵隊を沖縄に呼んでいるとか、あるいは秘密にやるかもしらぬが、訓練をするということはできませんね。恐らくできないと思うのです。その二つについて明確にしてください。
  271. 北村汎

    北村政府委員 最初の御質問は、この特殊部隊が第三国に対して移動するというか、日本の基地から出かけていく場合、これが事前協議の対象になるかという御質問でございますが、これは、事前協議の対象になるのは先ほど委員も御指摘になりましたように「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」ということでございまして、ここで言う「戦闘作戦行動」とは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものでございます。したがって、その特殊部隊が日本の施設、区域から出かけていきますときの、発進する際の任務、態様というものが、このような行動のための施設、区域の使用に該当する場合にはそれは事前協議の対象になるわけでございますけれども、そうでない場合は事前協議の対象ではないということでございます。  要するに、直接戦闘に従事することを目的として日本の施設、区域を発進する、そういう態様がある場合には、それは事前協議の対象でありますけれども、単に第三国に移動して、移動した所で仮に戦闘作戦行動に従事するということがありましても、それは日本から申せば単なる移動でございまして、日本の施設、区域を発進する際の態様が直接戦闘作戦行動に従事することを目的としたものである場合には事前協議の対象になるということでございます。  それから、第三国人の訓練という問題でございますが、これは私ども今までに何度も国会で御説明しておりますように、第三国人が日本の施設、区域を使用して訓練をするということはできないということでございます。
  272. 上原康助

    ○上原委員 核の問題もそうなんだが、これはもうまるで子供のやりとりみだいで、外務大臣、ニュージャージーあるいはカール・ビンソンが入っても、核兵器は積まれておりません、あるいはトマホークが来ても、日本に来るときはどこかでおろすなんて、そんなこと考えているのは与党の人だってだれもいやしませんよ。そういう議論をやるということ自体、我々もう本当に意欲わきませんよ、そんなくだらぬことですり抜けられて。だからこの戦闘作戦行動の問題にしても、あなたが言うようにトランスファーすればそれでおしまいなんだよ。出ていく目的は、向こうに何か紛争状態があるから行くんでしょう。その議論はやめますけれども、しかし、面接やれば対象になるということだけは言った。そして、第三国人はやらぬと。  そこで、外務大臣、改めてアメリカにインクワイアーしないということですが、私はそれじゃいけないと思うのですよ。この間あなたが中国に行かれてから、私たち党の代表で官房長官にもお会いをいたしました。藤波官房長官は、重々しい申し入れとして受けとめています、あなたは臨時代理の外務大臣だからお答えくださいと言ったら、本物の外務大臣がお帰りになったら相談してやりますということだったので、どうかそういうことなども考えになって、きょう指摘したような問題について、やっぱりこのことについては日米間でもっと話し合うべきだということを改めて要望したいのですが、これについてどうですか。
  273. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私も十分慎重に考えまして、というのは、私が中国に行く前に上原さんとお目にかかっていろいろとお話の筋を承ったものですから、これはやはりアメリカに一応確認をする必要がある、こういう決断に達しまして、ちょうど私はいないですが、事務当局に指示をして、そして先ほどから申し上げたような趣旨でアメリカ側に伝えたわけでございます。そのアメリカ側の回答が、帰ってみましたら先ほど真っ先にお読みしたような回答が来たわけでございまして、今からこの状況を変化させるということは不可能であると思いますし、また私の立場として到底できることではない。そして、私も同時にまたアメリカの回答についてはそれなりの理解を得た、こういうことであります。
  274. 上原康助

    ○上原委員 そこがちょっとあなたの限界がなと思って残念ですが、しかしこの問題はさらにいろいろ発展していくと思いますので、きょうのところは、私たちはそういうことでは納得しかねるということ。  そこで、防衛施設庁も来ていると思うのですが、この部隊が訓練をする場所は一体どこどこですか。
  275. 千秋健

    千秋政府委員 お答え申し上げます。  具体的にどこの施設、区域で訓練するということは承知しておりませんが、現在、沖縄並びに本土におきまして訓練ができる施設、区域をいろいろ提供しておりますので、それらを使って訓練されると思います。
  276. 上原康助

    ○上原委員 あなたは北米局長よりなおぶっきらぼうだね。一日千秋の思いでこっちは質問しているのに、あなた、そんな答弁じゃ……。  冒頭外務大臣のお答えにもちょっとあったのですが、情報によると、トリイ通信施設は既に特殊部隊の受け入れ準備がほぼ完全に済んでいる。二月初めごろから徹夜の突貫工事がなされて、兵舎数棟が完成しているということ。この兵舎数棟というのは、アメリカがつくったのか、日本側がつくったのか、それを明確にしていただきたいということと、さらに、同トリイ通信施設に新たに米軍の大規模な保養施設をつくるということが、二月八日でしたか、これもまた防衛施設庁のやることもアメリカ側のやることも、村当局は無視して楚辺の区長に通知をしていますね。それとの関連性は一体あるのかどうか。  さらに、今言ったその保養施設の建設が既に計画されているということですね。同施設前のビーチに、訓練用の三トンクラスの大型ボートや手こぎボート十数隻が配置をされている。特殊装置を使って人工的に波をつくっていく、いわゆるいそ波訓練も計画されていると言われている。これは特殊部隊の訓練施設の一環として使用される可能性があるということで、読谷村当局を初めいわゆる楚辺区民はますます不安を抱くと同時に、この大規模な保養施設の建設についてはあくまで反対だということを言っているわけですが、このことについてはどうなのか、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  277. 千秋健

    千秋政府委員 トリイ通信所の隊舎の整備の件でございますが、防衛施設庁は、那覇空軍・海軍補助施設の移設としまして、五十四年に隊舎一棟を移設しておりますが、今回米軍の方で、これらトリイ通信施設の特殊部隊が入る隊舎につきまして改修なり受け入れ準備をしたということは聞いておりますが、私どもでそういう整備は行っておりません。  それから、トリイ通信所の海岸の保養施設の問題でございますが、これは特殊部隊とは関係なく、在沖米軍の保養施設としまして昨年から海浜を使いまして海水浴場として使っておったわけでございますが、ことしになりましてさらにその海水浴場を整備したいという米側の申し出がありまして、これを地元であります楚辺の方に説明をしたということでございます。  それで、現在あそこにボート等が持ち込まれておりますが、これはあくまで保養のためのレクリェーション用のボートでございまして、そういう訓練用のものではございませんし、また、特殊な波発生装置を使いましていそ波訓練をやるというような話は私どもは聞いておりません。
  278. 上原康助

    ○上原委員 外務大臣も防衛庁も、これだけは指摘しておきたい。皆さんは今、住宅とか兵舎を思いやり予算でどんどんあちこちつくっていますね。これもいつか、資料をなかなか出してくれないので、やりたいと思うのですが、五十四年に確かにトリイステーションに隊舎を一棟つくったはずだ、日本政府予算で。しかし、どういうわけか、トリイステーションのこの特殊部隊を受け入れる兵舎についてはアメリカ側がつくっているのですね。外務大臣、我々が聞いておってもそれだけ知られたくないものがこの部隊にはあるということ、恐らくそうでなければアメリカ側は、ほかも全部つくってあげているんだから、日本側の負担でつくってくれと言ったはずなんです。ここに非常に疑問があるということ。これは、きょうはもう時間がありませんのでね。  そこで、施設部長のお答えでは、このトリイ通信施設の保養施設の建設とこれとは直接関係ないということを言っているんですが、これはおくとして後で聞きますが、この特殊部隊の性格から見て訓練する場所は北部訓練場、さっき北米局長でしたか、おっしゃいましたね。北部ダムの水面使用訓練というのはあると思うのです。これも今は水陸両用部隊、マリーンがダムで泥靴で汚物を垂らして渡河訓練をしているんですよ。一体こんな所がありますか。県民の水がめですよ、北部のダムで。これも共同使用だということで、そういう条件でつくらした国有地なんだが、恐らくここにおられる皆さんにしたってこれは奇妙に思うはずなんです。県民の水がめの中でアメリカが泥靴で渡河訓練するのですよ。だから、この特殊部隊もそこは当然使用するんじゃないかと思う。このことについてはどうなのか。絶対させちゃいかぬということ。  それともう一つ、最後に読谷村のことについて触れますけれども、誠谷の補助飛行場の降下訓練をこれまでやっていますね、空挺。あれはマリーン、空軍もやっておったね。その施設はまた使うのかどうか、移転問題は一体どうなったか、このことについてお聞かせいただきたいと思うのです。
  279. 千秋健

    千秋政府委員 いろいろお答えしますが、まず最初の隊舎の改修でございます。私どもは新たな施設の提供といいますか追加提供になるような施設の整備も行っておりますが、今回米側は既存の隊舎を受け入れのために模様がえした程度ということで、これは米側がやったので、先生の御指摘のような意味があったかどうかは承知しておりませんが、私どもでやるような整備内容じゃないというふうに考えております。  前後しますが、北部訓練場のダムの問題でございますが、これはもう先生御承知のように、ダムを建設する際に、施設、区域の中に建設するということで、当時米側と調整しまして、ダムが完成した場合にそのダムの水面を地位協定二条四項同の適用ある施設として提供するという約束で建設したわけでございます。このダムができ上がりましたので、それについての提供問題を現在検討しておるわけでございますが、米側としましてもこれが県民の水がめであるということは十分承知しておりまして、その訓練内容につきましても十分配慮しまして水を汚染しないように、またそれを配慮した訓練種目に限定するというようなことで現在調整しているところでございます。  それから読谷補助飛行場でございますが、これも先生御指摘のように、数年前になりますが、ここで場外に落下傘降下するという事故がありまして、それ以来この移設につきまして現在日米間で検討しているわけでございます。私どもとしましては、それに伴いまして五十八年度から調査費をいただきまして、具体的な調査対象地につきまして検討調査を続けている段階でございます。
  280. 上原康助

    ○上原委員 ですから、この特殊部隊はそこでは降下訓練はやりませんね。それだけははっきりしていますね。
  281. 千秋健

    千秋政府委員 この読谷補助飛行場はそういう落下傘降下訓練目的で現在提供されている施設でございまして、そのように私どもで移設について検討はしておりますが、これらは現在まだ検討中でございまして、読谷神助飛行場としてはやはり施設、区域として提供されておりますので、地位協定使用条件の範囲内で米側が訓練することは支障がないわけでございます。そこで特殊部隊が訓練するかどうかは知りませんが、その提供条件に従った訓練を行うならば、これは問題ないんじゃないかというふうに考えております。
  282. 上原康助

    ○上原委員 聞けば聞くほど悪くなるだけだ。あなた、今までそれをやってないんだから、新たな問題になります。  そこで外務大臣、いろいろありましたが、余り時間をオーバーするわけにもいきませんから終えますが、今回のビーチ計画については、読谷村議会、村民が非常に危惧をしている。といいますのは、沖縄全体四軍の下級兵士のピーチにするということを言っているわけです。そうしますと、これは治安の問題から風紀紊乱、いろいろありますよ。しかもこの対象になる黙認耕作地というのが十六万五千平米、そのうちの八万二千五百平米は今、耕作地なんです、農耕地。それから九名の農民がいる。それで下級兵士の専用施設になるに伴って風紀が乱れるということ。治安面の危惧、不安、婦女子に対するいろんな、暴行事件だってこれまでもないわけじゃない、そういう問題。八万二千五百平米の農耕地が失われるということ。農家の生産基盤が奪われるということ。しかもこの楚辺兼久ビーチは、戦前戦後を通じて区民の憩いの場として今日まで使ってきておったビーチなんですね。これを三十九年もたった今日、事もあろうに米軍専用のために持っていくということは、全くもって納得しがたい。  さらに、ぜひ記憶に入れておいていただきたいことは、この兼久ビーチというのは、かつてはトリイステーションから米軍が海浜に生じ尿を垂れ流して汚染をしておったのです、この地域は。それを今の山内さんが読谷村長になってから、こういう垂れ流しはいかぬということで、国や県にこの環境整備ということを地元住民とやって、この死の海を蘇生させて今ようやく泳げる浜にしてあるのですよ。そして関係者は、ビーチの沖合では定置もやるし漁業もやって、相当漁協関係も繁盛しておる場所なんです。こういうところに新たにまた保養施設をつくって、しかもそこの隣には物騒な特殊部隊が配備をされるということになりますと、これを理解する立場には立てないでしょう、皆さん幾ら安保の問題とかなんとかいっても。ですから、皆さん外務大臣の御見解は、私と立場も違うということも理解せざるを得ませんが、特殊部隊の問題については私はきょうの答弁では納得いたしかねます。  事この米軍ビーチ新規拡張計画の問題については、これまでも共同使用があったんですよ。今さっき施設部長が言ったように、一部は共同使用でやろうということで、現在も共同使用になっている。しかも、そこは新たなさくはしない、昨年はそういうことでやった。今度、今言ったような問題が出てきておりますので、これについては地元も何が何でも反対でないのです。話し合いで解決をしたいという気持ちを村当局も地主も区民も持っている。事この問題については、外務省なり防衛施設庁が中に入っていただいて、区民の要望なり村民の気持ちというものを入れないと問題はますますエスカレートしていく、こういうことを指摘せざるを得ませんが、今私が指摘をしたことに対してどういう御見解を持っているのか。またそれをぜひ、読谷村なり関係者の意向が一〇〇%でなくしても、まあこの線ならというところまでは、外務省なり施設庁というものは努力をしていただきたいのですが、この件に対して、できればこれは大臣の方から前向きの答弁をいただければそれでいいし、お答えいただきたいと思います。
  283. 千秋健

    千秋政府委員 ただいま御指摘のトリイ通信所の隊員保養所の問題でございますが、若干先生御指摘の面と違う面がございますので、その点、まず説明させていただきたいと思います。  これは、米軍は下級兵士というようなことは言っておりません。米陸軍の保養施設として使うので、階級等による差はございません。  それから、この黙認耕作地でございますが、これにつきましてはトリイ通信所全体で約百二十万平方メートルの黙認耕作地があるわけでございますが、そのうち先生ただいま御指摘のような約九万平方メートル近くのものを排除をしたいという米側の要望でございます。これにつきましても、現在、地元とよく話し合いをするように我々那覇施設局を通じましてやっております。  それとともに、専用のビーチというお話でございますが、これも地元民といいますか、読谷の村民の方々、また特に楚辺の部落民の方々がここを一緒に使うということも現在米側は基本的に了承しておりまして、そういう点を含めまして、よく地元の要望なりを踏まえまして米側と交渉してまいりたいというふうに思っております。
  284. 上原康助

    ○上原委員 終えますが、一つだけ確認しておきたいのは、使用する対象になる米軍は陸軍だけですか。今あなたは陸軍と言ったが、そこははっきりしてください。
  285. 千秋健

    千秋政府委員 失礼しました。管理するのは陸軍でございます。
  286. 上原康助

    ○上原委員 だから、使用するのは全米軍、四軍でしょう。それをはっきりさせてください。こっちが居眠りしたら何と言うかわからぬ。
  287. 千秋健

    千秋政府委員 主として米陸軍だと思いますが、そこに制限はないと思います。
  288. 上原康助

    ○上原委員 そこが役人のずるいところよな。主として何とかかんとか言う。四軍と言えばいいのです。  それで大臣、私は九時でぴしゃりとめたかったのですが、この読谷村というのは対面積の四八%は今でも軍施設なんですよ。基地なんですよ。そこに三万近い人間が、住民が生活しているのですよ。だからさっき言いましたように、特殊部隊の問題についてはいろいろとあなたと私とやりとりの見解が違いますけれども、この保養施設の問題については村民は非常に不安を持っておるので、この件についてはもう少し外務省としても、こんなちっぽけな問題とおっしゃるかもしれないが、県民や住民にとっては生活環境の問題ですから死活問題ですよ、これは大臣が指示していただいて、どなたでしょうがそれは結構、改めて米側と十分話し合いをして、納得のいく線で解決をしていくということをやっていただきたいのですが、いかがですか。
  289. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは基地内、基地施設の問題ですが、しかし地元の人たちがおられるわけですし、地元の皆さんの影響というのも考えまして、地元の立場というものにも十分配慮するということで調整が進められるべきものである、こういうふうに考えておりますし、また、外務省としても関心を持ちまして、そういう中で円満な調整が行われるように努力はしてまいりたいと思います。
  290. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  291. 片岡清一

    片岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時三分散