○小山
政府委員 まず、ATTの分割後のその後の
状況についての御報告でございます。これにつきましては、本年一月一日に実施されたばかりでございますので、これはまだ半年足らずのことでございまして、正確な評価というのがなかなか出ておりません。したがいまして、これが本来の欠陥なのか、制度移行に伴う摩擦現象なのかということがなかなかわからない点がございますけれ
ども、ただ私
どもが知り得ております若干の問題点というのを御紹介申し上げます。これは無論、伝間でございます。私が行って調べたわけではございませんでして、
アメリカの責任者から聞いた話でございます。
欠点の問題といたしまして、
電話器の故障の修理などがあったときには
利用者が、従来は窓口が
一つであったのですが、ATTの分割によって市内と市外と分かれてしまったということで、どの
会社が修理に行ったらいいのかというのが若干わからないというような現象があるとか、第二番目に、
料金請求書について、従来は一枚であったのが、ATTの分割に伴いまして、市内、市外の別
会社から複数の請求書が来るというようなことがある。
それから、ATTの分割によりまして、従来は同じ
一つのATT支配の
会社の中の市外
料金、市内
料金というのを分収でもって済ませていたのが、
会社がかわってしまうものですから、市外
料金は市外
料金で安くする。ところが、市内
料金は今度は、分収で援助がないので高くなるというような現象ができているというようなことがあるようでございます。それから、今の市外
料金と市内
料金のアンバランスをそこで調整するために、アクセスチャージというような問題が出てまいりまして、それも、市外
会社から市内
会社へ入る
会社間の問題と、市外を
利用するということをもって
利用者から直接賦課するというような
料金も出てくる。むろんこれは
一つの現象でございます。
これに対しまして、FCCのこの政策を遂行した側の物の見方といたしまして私
どもに伝えているのは、これはアクセスチャージというのは取られたとしても、市外
料金が
競争原理によってうんと安くなってきているのだから、したがって、これは総体として見れば
利用者の負担は減ったはずである、こういう弁明でございました。それから
料金が上がったのは、これは分割によって上がったのではなしに、ちょうど
アメリカではインフレが進んでいる、だからそれで値上がりしているのであって、それを我々の政策のためと理解してもらっては困るというようなことでございました。
それからもう
一つは、
先ほども若干申し上げましたけれ
ども、大きい制度の変革なんだから、それに伴って一年や二年多少摩擦のあるのは当然であると、いかにも
アメリカらしい、かなり相当な物の言い方でございました。
私
どもとしましては、これが果たしてどういう形で今後とも移るかということは、ちょっと今の半年のことでは、外国のことでもございますし、また、もともと千五百も
電話会社のある国の問題でございますので、なかなか日本に引き写しての評価というのはできかねるところがあります。何といいましても、日本の場合は一社体制で、市内も市外も、それから採算地域も不採算地域も、
一つの
会社で引き受けていただくということで、
アメリカのような例はまず起こり得ないのではないかと思っております。
次に、データ通信
サービスの問題でございます。これは確かに御調のとおり、データ通信
サービスというのは
一つの二種業でございまして、付加価値通信でございます。そういった意味で、経理区分を明確にし、競争
会社との間に公正競争を保つためには、分離するというような形も
一つの解決方法だと存じます。
ただ問題は、現実的な解決の問題としまして、まずそこでかなりの従業員が働いているということ、しかも
サービスの
内容が、通信処理、データ処理というのが一体になって行われておりまして、なかなか分けにくい点があるということでございまして、これからは、やはり
事業体自身が自分自身の問題として、どうすれば合理的にこれを解決できるかということで解決していただくということで、これは行政がとやかく
最初から言う問題ではない、
事業体の自主性をもって解決すべき問題であり、今後
事業体はそのような自主性も持っているのではないかと思っております。
それから価格競争の問題でございます。これにつきましては、確かに市内網には新規参入者が入ってこない。入ってきたくても事実上、今のようなネットワークを
電電でもってつくっておりますと、そこに参入するというのは不可能に近い状態でございます。これに対しまして、長距離については参入ができる。これにつきましては、やはり
競争原理が働くことによりまして市場価格というものがつくられまして、
料金の引き下げというのが起こると思います。
ただ、それならば今度、これが市内
料金に振りかかっていくのではないかという御調でございましたけれ
ども、新規参入者というのは、今まで
電電公社がやっていたのと同じような種類の
電気通信サービスをやるということだけをいたしますと、必ずしもお客さんがとれないのじゃないか。今まで
電電公社がなかなか回りかねていたきめの細かい
サービスを要求する、そういった
電気通信役務、これを
サービスの中身とすることによって成り立つのではないかと思うわけです。
そういたしますと、そこに出てきた役務の
提供というものは、今までになかったものでございますので、トラフィックそのものが
増加してくるということになろうかと思います。それを市内網につなげるときには結局、現在の
電電公社のネットワークにアクセスせざるを得ないということになりますので、市内におきます採算も上がってくるのではないかと思っております。
それから、新規参入者がないのではないかということでございますけれ
ども、ただいまも申し上げましたように新規参入者というのは、今までの
電電が
一つの責務を負ってどちらかというと、画一的に単純な形で全国の皆様方にあまねく同質の
サービスを
提供してきたというその利益と同時に、やはり個別に見ますと欠陥が出てくるわけです。個別のニーズに非常に細かい地域でそれに対応していくというのができなくなるというようなことから、新親参入者というものはそういった意味で、必ずやあらわれてくるであろうと思っております。
大変長くなって失礼いたしました。