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1984-07-17 第101回国会 衆議院 逓信委員会内閣委員会地方行政委員会商工委員会物価問題等に関する特別委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十七日(火曜日)     午後二時開議 出席委員  逓信委員会   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 守良君       額賀福志郎君    野中 広務君       原 健三郎君    渡辺 紘三君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       中村 正男君    松前  仰君       森中 守義君    小谷 輝二君       鳥居 一雄君    中井  洽君       永江 一仁君    佐藤 祐弘君  内閣委員会   委員長 片岡清一君    理事 池田 行彦君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 小川 仁一君    理事 松浦 利尚君 理事 和田 一仁君       石原健太郎君    奥田 幹生君       菊池福治郎君    月原 茂晧君       角屋堅次郎君    元信  堯君       渡部 行雄君    鈴切 康雄君       山田 英介君    田中 慶秋君       柴田 睦夫君  地方行政委員会   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 岡田 正勝君       大西 正男君    大村 襄治君       小杉  隆君    左藤  恵君       中川 昭一君    平林 鴻三君       古屋  亨君    松田 九郎君       山岡 謙蔵君    山下八洲夫君       吉井 光照君    経塚 幸夫君  商工委員会   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 渡辺 秀央君    理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       木部 佳昭君    仲村 正治君       野田  毅君    鳩山 邦夫君       原田昇左右君    奥野 一雄君       後藤  茂君    浜西 鉄雄君       横江 金夫君    渡辺 嘉藏君       木内 良明君    中川 嘉美君       日笠 勝之君    福岡 康夫君       青山  丘君    横手 文雄君       小沢 和秋君  物価問題等に関する特別委員会   委員長 金子 みつ君    理事 青木 正久君 理事 浜田卓二郎君    理事 武部  文君 理事 松浦 利尚君    理事 宮地 正介君 理事 田中 慶秋君       伊吹 文明君    尾身 幸次君       木部 佳昭君    小林 恒人君       中村 正男君    浜西 鉄雄君       浅井 美幸君    福岡 康夫君       藤田 スミ君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君         郵 政 大 臣 奥田 敬和君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 厚谷 襄児君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君         通商産業省機会         情報産業局長  木下 博生君         中小企業庁長官 石井 賢吾君         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      小山 森也君         郵政省放送行政         局長      徳田 修造君         自治省税務局長 矢野浩一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         大蔵省主税局税         制第二課長   小川  是君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         日本電信電話公         社総務理事   岩下  健君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         日本電信電話公         施設局長    岩崎 昇三君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         将校委員会調査         室長      朴木  正君         通信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件、  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号  )  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第八〇号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

  3. 志賀節

    志賀委員長 各案についての提案理由説明は、お手元に配付しております資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川仁一君。
  4. 小川仁一

    小川(仁)委員 大臣お見えになりましたので、早速質問を始めたいと思います。  第二臨調の答申、怪しげな答申でございますが、それによって新電電法案が提出されているところでありますが、非常に多くの問題があるように感ぜられます。国民は、法案やり方によって例えば電話料が上がるんじゃないかとか、あるいはこれから第二電電参加等によって非常な不便が出てくるのではないか、こういったような不安感を持っております。また、電電公社で働いている労働者にとっても、労働基本権適用が認められないという状況の中で、生活や将来の雇用問題についての不満、不安が非常にあるわけでございます。こういった国民の不安、あるいはそこで働いている者の不満、こういったようなものに対して大臣は、基本的にどのようにお考えか、その点から伺ってまいりたいと思います。
  5. 奥田敬和

    奥田国務大臣 民営化をすることによって電話料が上がるという形は、国民の間でそういう不安があるとすれば、むしろそれは反対でございます。今度の民営化法案はそもそも、今までの一元体制の中ですぐつく電話、どこからでもかけられる電話という大きな目標を、全国あまねくネット網を張ることによって達成をいたしました。しかし、今日の電気通信は、電話中心からいろいろなメディアの利用という新しい高度情報社会への入り口に差しかかっておる、こういった時期でございますから、従来の一元体制をむしろ打ち破ることによって、新しい競争原理を導入する中で多数のサービスというものを国民に享受していただこう、しかも、競争原理の中で料金国民へのサービスとして還元されてむしろ安くなるという方向の中で、今回の法案を御審議願っているところでございます。したがいまして、今後は新しい競争原理で、企業経営の中にも非常に活力が生まれることでありましょうし、必ずや料金値下げという方向になって国民皆さんには還元されるということを確信いたしております。  また、今日の公社経営から民営化されることによって、労働基本権労働三法適用になることでございます。ただ、暫定的な経過措置として、ストに対する労働大臣調整機能を持たせてあるという形でございまして、賃金労使間の自主的決定はもとよりのこと、労働三法適用によってむしろ組合の皆さんの雇用というものは、お互いの経営者当事者能力、高能率、そしてまた高賃金を目指される経営効率活力の中で、必ずや労使双方にプラスになるものと私は思っております。
  6. 小川仁一

    小川(仁)委員 値下げになる、こういうお話が出る話の裏から、例えばきのうの七月十六日付の夕刊ですが、大蔵省によって電話利用税が導入されるという計画が具体的に言われております。記事によれば大蔵省は「電話料金課税する電話利用税を導入する方針を固め、具体案の検討に着手した。」一方ではこういう大臣答弁とは違った大蔵省サイドの意向が出ているわけでございます。  これは電話料金課税されるものですから、仮に税金負担は第二電電がやるにしても、いや応なしに実質的には電話料金にはね返ってくるということが予想されるわけでございます。新しい会社発足という時点から、このような形で電話利用税などということが一方で上げられますということは、さっきの御答弁と関連してどうも納得できないわけでございます。この点について大臣、明確な御答弁をお願いしたい。
  7. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全く先生の御指摘のとおりだと思います。私も新聞報道でそういったニュースは承知いたしました。しかし、これはまだ一切御相談も受けておらない、郵政大臣としては関知していないところでございますし、ただいま先生が御指摘ございましたように、今度の法案でむしろサービス料金値下げという形の還元によって、国民に喜んでいただかなければいかぬ、そういったやさきに、電話利用税というような、どういう内容か知りませんけれども、一律料金課税というような形になってまいりますと、これは全くの大衆課税でございますし、むしろ公共料金の値上げを誘発するような形というものは、今回の法案の趣旨、目指している方向にむしろ水を差すようなことになると私は思います。したがって、こういう電話利用税なる形については、全く承服しがたいところでございます。
  8. 小川仁一

    小川(仁)委員 その大臣として承服しがたいという気持ちはわかります。こういう大臣のような納得できないというお話がありますけれども、しかし同時に、現在の中曽根内閣の中において、大蔵省の方においては一方においてこういう話が出てくる。しかも新聞記事によれば、公社電話収入を四兆円と見て、五%で二千億あるいは一〇%で四千億という数字まで書いてある。  御承知と思いますけれども、五十七年から所得税減税の財源として論議された経過もあるわけでございます。そういう経過があり、しかも現在の財政状況からいきますと、簡単に見過ごすわけにはいかない。これは大臣、知らないで通すわけにはいかない話なんです。あそこまで記事が上がるということになれば、全然お耳に達しなかったということもないと私たちから見ると思うのですよ。  本当にお知りにならなかったのかということと、それから、先ほどのようなお話だけではなくて、閣内においてもこの問題についてはどのような御態度をとるか。新電電が発足する以前からもう電話料の値上がりは必至だみたいな出発になりますと、これはこの審議自体無意味なことになってしまいますので、いわゆる内閣内部におけるこういう問題の話し合いの経過あるいは討議等、そしてまた本当に大臣、これに対してどう対処するかという決意のほどをもう一度改めてお伺いしたいと思います。
  9. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全く関知していないことは、先ほどもはっきりと申し述べたとおりでございます。閣内においても、そのような論議はもちろん起こったケースもございませんし、また、仮にそういった議論が行われるということになれば、担当大臣としては、今日の法案の目指すところ、そういった形と全く相反する方向でありますので、私としてはこういった大衆課税料金引き上げにつながる電話利用税なるものの内容を詳細に検討いたしまして、もしそういう方向で動くものであるとすれば、反対してまいるということははっきりと明言をいたしておきます。
  10. 小川仁一

    小川(仁)委員 今のお話を聞いて、きのうの新聞記事等に対する不安というものが幾らかは薄らぎましたけれども、何せ今までのやり方を見てみますと、やらない、やらないと言って結構増税をしておられる内閣でおりますだけに、そう簡単にいきませんで、この問題、改めて大臣大蔵省に対してあの新聞記事の真偽を問いただして、そしてこの審査中に御報告するというような形をおとりいただけないでしょうか、どうでしょうか。
  11. 奥田敬和

    奥田国務大臣 あのような事実がもし内部で正式に検討されておるものとすれば、当然大蔵大臣としては、担当大臣である私にも御相談があると思います。そういう形が一切ないわけでございますから、あの記事は私どもとしては関知しないことでありますし、政府としても正式な形で俎上に上っている問題ではないということでございますから、そういう形の相談は申し上げる必要はないと思っております。
  12. 小川仁一

    小川(仁)委員 申し上げる必要がないと言えばそれまでで、大臣を信用すればいいわけですけれども、しかし、一つ内閣の中でございますだけに、そう言い切ってみても、あれだけの記事が上がりますことは、根も葉もないことでないと思いますので、これはぜひただいまの連合審査における大臣の発言を、これは単に逓信委員会ではなくて、他の委員会の全員がはっきりと承知をした、こういう形で受けとめておきたいと思います。  では、次の問題に移らせていただきます。  新電電について、商法に基づく会社になるわけですから、当然事業計画その他の試算があると思うので、それをまず最初にお聞きしておきたいと思います。
  13. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  現在の段階では、例えば資本金の規模ですとか、あるいは開始貸借対照表の作成といったような、いわば設立委員会によって決められるべき財務上の諸要件がまだ見えていないということもございますので、現在、計数的な形で新電電移行後の収支について明確に申し上げる材料はございません。  ただしかしながら、現在の公社制度におきましてできなかったような例えば新しい事業、あるいは端末機売り切りの問題、あるいはまた資金調達ないしは管理の効率化、こういったことが新しい会社におきまして可能になります。基本的にこうした経営効率化、これは当然責任経営に基づくものでございますが、こういった土台の上に立ちまして、かつは、市場全体の活性化あるいはまた効率化という中で、私ども収入増加ないしは費用の低減ということが私どもとしては十分可能だと思いますし、またやるべきだと思っております。  したがいまして新電電発足後、当初は、正直申し上げまして立ち上がりはなかなか楽ではないと思いますけれども必要最小限度配当も含めた収益の計上ということは可能だろうというふうに考えておるわけでございます。
  14. 小川仁一

    小川(仁)委員 ただいまの御答弁を聞いていると、ちょっと常識的に理解できないのです。というのは、新しい会社をつくろうとするときには、どんな会社でも準備段階において、こういう計画で、こういう事業計画があって、その事業計画の中で当然一つ収入とそれから予想されるべき支出と、そして新しい事業が入るとすれば新しい事業収入、こういうものをつくって、十年ぐらいの試算をして会社の将来というものを考えるのが常識でしょう。こういうことで向こうどうなるかわからぬみたいなお話を聞いていますと、何だこの会社、一、二年で吹っ飛ぶのじゃないかというふうな感じさえ出てくるわけでございますから、ぜひこの点についてもう一度改めてお伺いします。  試算表をつくり得ないとすれば、個々にお聞きしますが、固定資産税の対象になる土地はお持ちでございましょう、これはお調べになっているはずでございます。したがって、それに対応する固定資産税幾らか、あるいは新しい機能という問題が今出てまいりましたが、新しい事業をおやりになる場合の新しい事業内容とその収入見込み幾らか、こういったようなことをまず最初に具体的に御答弁願いたいと思います。
  15. 岩下健

    岩下説明員 現在、電電固定資産、これは総資産が十兆二千億でございますが、このうち九兆数千億が固定資産でございます。ただし、このまた大宗を占めますのが電信電話機械ないしは線路設備でございまして、土地はそのうち取得価格で約四千五百億円でございます。  固定資産税の問題でございますが、現在特別法によりまして一般固定資産税は非課税になっておりますかわりに、いわゆる市町村納付金という形で、課税標準が通常の固定資産税の二分の一ということで支払っております。これが五十八年度で申しますと、五百八十億円に相なっておるわけでございます。これが新法、新会社のもとでは、一般固定資産税支払いになるわけでございますが、ただし、公社時代サービス提供あるいは設備の特性からいいまして、会社移行後五年間につきましては引き続き、基幹設備につきまして課税標準は二分の一として課税をするということが、現在御審議いただいております地方税法改正案に盛り込まれているわけでございます。  これによりますと、これはごくマクロの計算でございますが、現在五百八十億円のいわば実質問資産税が、恐らく九百億ないしは一千億程度になろうかというマクロ試算がございます。したがいまして、固定資産税増加は、約三百数十億ないし四百億円程度というふうに見込んでおるわけでございます。こういった点もあわせて考えまして、新しい会社になりましてからの法人税その他の税負担は、マクロ試算で見ますと現在、約二千億円と試算をしております。このほかに、道路占用料を新しく支払うとか、あるいは社会保険料支払い等もございますが、これらを合わせますと、約四百数十億から五百億円程度になろうかと思います。  したがって、会社に移行しましてからは、こうした新しい経費の増あるいは税負担があるわけでございますが、片方で考えまして、具体的な会社としての事業計画に基づく収支試算につきましては、先ほど申し上げましたように、算定の前提になる与件がいまだはっきりしないものが大分ございますので、明確な数字としては申し上げられませんけれども、例えば現在私ども国庫納付金というものを先生御存じのように支払っております。これが例えば、五十八年度の場合には二千四百億円、五十九年度は二千億円でございます。こういう国庫納付金というものは当然、会社になりましてからは適用があるはずがございません。  そういう状況の中で、五十八年度あるいは五十七年度は三千億円台の収支差額を計上することができました。新会社になりましてからも、現在の四千三百万加入のお客様に対するサービス提供、またはそれに伴う収入というものは当然確保できるわけでございますので、そういった状況から考えまして、具体的な計数上の試算は現在お示しするだけのものはございませんけれども会社発足早々に当たりまして、若干苦しいとは思いますけれども、しかしながら収支の採算は私どもとしては十分とり得る、またとらなければいかぬ、かように考えておるわけでございます。  なお、資金繰りにつきましても、今申し上げたような国庫納付金資金調達も過去四年間しながら、設備投資資金手当ても十分できておりますので、この辺は会社移行後も、設備投資は現在程度のレベルを実施するに足るだけの資金調達も十分可能だろうというふうに考えております。
  16. 小川仁一

    小川(仁)委員 私、どうにも事業計画の全体像がつかめないのですが、そうしますと、新しい機能事業とおっしゃったが、その分の収入は、さっき御答弁なかったのですが、どの程度見込まれておりますか。
  17. 岩下健

    岩下説明員 新しく想定されます事業、これも具体的には現在内部で検討しておるわけでございますが、例えば電話帳広告収入がございます。アメリカではいわゆるイエローページと呼んでおりまして、アメリカ電話は日本の約三倍ございますけれども、この電話帳広告収入が約六千億円に達しておりますが、現在私どもではわずか六百億円でございます。したがって、例えば職業別電話帳によります広告収入増加といったことも、新しい事業一つとして私どもとしては考えておるわけでございます。  と同時に、附帯業務といたしまして端末機宅内機器売り切りによりまして、利用者へのニーズに的確にこたえるといったところからも、かなりの業務量増加、つまりは収入増加というものが十分期待できるように考えておるわけでございます。
  18. 小川仁一

    小川(仁)委員 事業計画というのは、期待できる事業だというだけではなくて、新しい会社をつくるのですから、当然のことながら、この事業でどれくらいの収入があり、こういう税金でどれほどの支出がありという概算が存在すると思うのです。私は金額を聞いているのです。
  19. 岩下健

    岩下説明員 先ほど申し上げましたような新しい税負担その他がございますけれども、こういったものを吸収いたしまして、別に先ほど申し上げたような新規の事業片方では拡大するということによりまして、現在国庫納付金支払いながらなおかつ、三千億台の収支差額が維持できておるようなこの企業の体力というものは、十分に新会社においても発揮できるということで、先ほど期待という言葉を使いましたけれども期待よりもむしろ十分可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  20. 松浦利尚

    松浦委員 ちょっと総裁にお尋ねしますけれども、新しい会社に移行して民間企業になったために支出のふえる分、現在の支払いより以上に支出のふえる分、例えば株を一兆円発行したとすれば、一割配当として約一千億の配当というものが必要になってくる。そういった意味で、新たな支出増加として見込まれる分は一体幾らなのですか。五十九年度の電電公社の予算で純利益を見ますと、約二千八百億程度が計上されております。しかし昨年度並みの恐らく四千億ぐらいの収入が見込まれると思うのですけれども、具体的にそういう収入前提にして新たに支出増加をする分、その分はどういう内容幾らぐらいになるのか、その点をひとつ具体的にお知らせいただきたいと思います。
  21. 真藤恒

    真藤説明員 税金その他で支出増になりますのが、偶然でございますけれども、五十九年度の納付金二千億にほとんど一致いたしております。  それでは、税を引いた後に幾ら配当できるかということでございますが、六分配当なら配当税を納めてまだ千億近い内部保留ができる、八分配当なら筒いっぱいになる、約五、六百億の内部保留ができるというのが、第一年度の数字だろうと今見当をつけております。第二年度になりますと、それがかなり楽になってくる。大体二百億から三百億、あるいは四、五百億は楽になってくるというふうに考えております。
  22. 小川仁一

    小川(仁)委員 既にこういうふうに第一年度はこの程度、第二年度はこの程度というふうにお話があるところを見ますと、これは十年くらいを見通した正確な数字はなくとも、概算試算表みたいな事業計画表みたいなものはできておるということですね、総裁いかがですか。
  23. 真藤恒

    真藤説明員 今いろいろな計数準備をいたしておりますが、この法案が御承認いただければ、直ちにそういうものを郵政省の方にも出しまして、いろいろ御相談を始めなければならぬのでございますが、現段階ではまだそこまで動くべきではないと思って押さえております。
  24. 小川仁一

    小川(仁)委員 今のお話は、順序が道なんで、郵政省へ後から認可を受けるための事業を出すというけれども国民の側、利用者の側から見ますと、これによって値上げがあるのかあるいはいろいろな問題があるだけに、逆に国民の方にこの程度事業計画でございますということを示す方が先だと思います。  例えば一つの例でお伺いしますが、固定資産税五年間二分の一、こうおっしゃいました。五年後からは全額納められる、こういうきちっとした事業計画でおやりになっているのですか。五年後も収支が合わないというので、また二分の一とかなんとかというようなことはもうない、こう承知してよろしゅうございますか。
  25. 真藤恒

    真藤説明員 決してそういうことは起こりません。年をふるに従って経理の状態は楽になるはずでございます。
  26. 小川仁一

    小川(仁)委員 そういたしますと、例えば巷間伝えられるように、市外電話料金値下げするが、市内電話は値上げになるのじゃないかとか、こういった国民に対するサービス及び料金の値上げは一切ない、こう理解してよろしゅうございますね。
  27. 真藤恒

    真藤説明員 さっきお話が出ておりましたような電話利用税というふうなことが起こらない限り、当分の間、市内料金を値上げするという考えはないということは、衆議院の逓信委員会でもはっきり御説明申し上げてあります。
  28. 小川仁一

    小川(仁)委員 さらに現在の問題で、市外料金、市外通話料等に地域格差が出てくるというような状況もございませんね。
  29. 真藤恒

    真藤説明員 それは今度の法案の中にも、そういうことが出てくることができないような仕組みになっておると了解いたしておりますし、また、私どももその気は全然ございません。
  30. 小川仁一

    小川(仁)委員 なお、そういったような事業計画等のことが、政府が非常に大きな株を持っておりますし、この事業自体が非常に公共性を持っており、また場合によっては、国の一つの体制の中で一本化された形で管理されなければならないといったような要素もあるだけに、今後白書のような形でずっと国民の前に知らされるのか、民間会社だから株主総会で決算報告をして終わり、こういう形で処理されるのか。今後そういうふうな事業全体を通しての報告、事業計画の遂行状態の国民に対する周知といったようなものをどういう形でおとりになりますか。
  31. 真藤恒

    真藤説明員 決算の状況及び過去一年間の業績の説明といいますものは、商法に規定されております有価証券報告書に従って正確に公表いたします。それから、将来の事業計画につきましては、今の法案にはっきり明記してございますので、その法案にお示しのとおりの行動をとるつもりでございます。
  32. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうしますと、正式な報告はあらゆることを通じて明らかになるわけでございますが、なお一層の正確な報告、私たちは電電公社自体が国民の共有財産であるという考え方でございます。国民の共有財産であるがゆえに、それを利用し、それを資金としたこういう新電電についての事業計画を含めた国民に対する周知、そういう明確なものを今後、大臣の方で改めてお約束をしていただいて、この質問を打ち切りたいと思います。大臣、いかがでございますか。
  33. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今日の公社が新しい事業法案の通過によりまして、民営化される新電電に生まれ変わるわけでございます。したがって、新電電のよって来った沿革は、国民の本当に貴重な拠出された資産によって形成されてきたということはございますし、それがゆえに特殊会社という形の中で、いろいろな認可等々御指摘のあるような形で、相当な国民のサイドに立った基準、規則を設けておることも事実でございます。  しかしながら、今新電電だけの形は、事業計画その他で認可事項として御報告を受けることになっておりますけれども、国会の方で通信事業全般にわたって、この新電電を含む形での概況の報告をお求めになるということでございましたら、大臣としては、これらにおこたえする形で当然、報告を国会に対してしなければならないと思っております。
  34. 小川仁一

    小川(仁)委員 新電電だけじゃなく第二電電も含めて、通信事業は非常に大事だと私は思いますので、通信白書のような形でぜひ御報告をお願いしておきます。  さて、今回の企画、新電電を含み、また郵政省の機構改革を含めて、地方電波局が地方電気通信局にかわりました。この地方電気通信局というものが、新電電事業に対してどのようなかかわりを持つのか、この点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  35. 小山森也

    ○小山政府委員 地方電波監理局におきましては現在、主として無線局の免許それから許可事務というようなものを行っております。あわせまして、有線電気通信の規律監督を行っているのが、今の地方電波監理局の内容でございます。今回の電電改革関連法案施行によりまして、電気通信事業の規律監督に関する事務の遂行が必要となってまいりますけれども、その中におきまして、地方局に対しても、その有線電気通信関係の事務を委任する方向で目下検討中でございます。  ただしかし、今御質問のございましたように、この地方電気通信監理局におきまして電信電話株式会社の監督を地方に行わせるということは、目下全く考えておりません。
  36. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうしますと、地方電気通信局は、今までのように電波局のような性格そのものであって、新たにできる新電電のローカルその他に対して監督とかあるいは規制とかということは一切ない。もしやられるとなれば、実は電電の本社の方からと郵政と二重チェックあるいは二重監督のような形になってしまいますので、この点ないとお話を承ってよろしゅうございますか。
  37. 小山森也

    ○小山政府委員 地方で問題がありますれば、本省へ上げまして本省の監督にいたしますわけで、何しろ監督権限というのは目下のところ、地方に出すつもりはないということです。したがって、二重チェックもないということでございます。
  38. 松浦利尚

    松浦委員 大臣にちょっとこの際確認をさせていただきますが、地方電気通信監理局というのができまして、今言われたように、新電電あるいは第二電電に。対してのチェック機能を持たさないこういうことなんですが、それでは、この地方電気通信監理局というのは、もう既に省令で設置することが決まったわけでおりますから、では。具体的に何をさせるところでありますか、その具体的な内容をひとつお示しいただきたいと思うのです。
  39. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまでも有線電気通信関係の仕事はやっているわけでございます。ところが、この有線電気通信関係の仕事は、最近非常にふえてまいりました。例えば地方における地方開発は、一つの情報システムの開発から始めるというようなことでございまして、そういった機運が非常に大きいということで、一例を挙げますと、テレトピア構想などというのも、これはまさにローカルの地方独特の電気通信に関する振興計画でございます。そういった点につきまして、従来の有線電気通信関係の事務がふえてきたということで、まさに電波監理局という従来の観念の無線の免許事務だけではなしに、従来からやっていた有線電気通信関係の規律監督、これの名をもってちゃんとあらわすべきであるというのが、今回の改正でございます。
  40. 松浦利尚

    松浦委員 有線電気通信の関係のローカル的な監督をやる、こういうことでございますが、行政改革関連法案として、この電電民営化という問題も議論されておると思うのです。それでは、そういったローカル的なものを電気通信局に新たに持たせるということになりますと、当然専門家、人員の配置というものが必要になってくると思うのです。そういう問題について、増員計画を考えておるのか、あるいは現状の中でそういうことがやれると判断しておられるのか、具体的にお聞かせください。
  41. 小山森也

    ○小山政府委員 現状の中での人員の配置がえとか担務の変更というようなことで十分対処できるし、そういう形で今の行革の時代に対処すべきであるということで今現在やっておる次第でございます。
  42. 松浦利尚

    松浦委員 もう最後ですからこれで終わりますが、通産行政の中でも、地方通産局自体の監督権限というのが余りにも強過ぎて、ローカル的な地域の経済発展を阻害しておるのだという議論も現実にあるわけなんですよね、商工委員の方が専門でございましょうが。ですから、新たな民間活力を導入して、新たなパイを求めて、通信情報のパイを広げていくというそのことが大前提にあるこの民営化構想でありますから、少なくともローカル的な経済発展に支障を来すような監督権限というものはぜひ与えないようにしてもらいたい。そういったことについて大臣のお答えをお聞きして、終わりたいと思います。
  43. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今御指摘のように、無線といい有線といい、大変新しいメディアの多角的な利用が始まるわけでございます。しかしながら今御指摘のように、地方の電気通信監理局が、新しい競争原理の中でやっていただく、そういう中に余り介入して、そういった形の行政範囲を広げないように十分注意してまいるとともに、今言いましたように、そういった形についてはできるだけ本省の調整でやるということで、地方は従来の電波行政を中心として、一部従来どおりの有線業務を担当してまいるということに限定するということは、間違いございません。
  44. 松浦利尚

    松浦委員 終わります。
  45. 志賀節

    志賀委員長 次に、小川省吾君。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 時間も制約をされておりますので、前置きはさておきまして、郵政大臣にお尋ねをいたしたいと思います。これはあるいは大蔵大臣になるのかもしれませんが、大臣として出席していらっしゃるのは郵政大臣だけでありますから、郵政大臣にお尋ねをいたします。  電電公社が移行する新会社の株式は、政府が常時その三分の一以上の株式を保有するとされておるわけでおりますが、その株式の売却処分はどのような場合に行われるのですか。
  47. 小山森也

    ○小山政府委員 政府保有の株式の処分につきましては、今回提案しております会社法案の第五条の規定に基づきまして、国会にお諮りした上で行うこととされております。  具体的に処分するに当たりましては、我が国の株式市場の規模とか動向、それから株式のいわゆる資金調達状況とか売却価格の見通しとか、いろいろ株式市場全体に対する問題を検討しなければなりません。したがって、非常に慎重な検討が必要だと考えております。  株式処分に当たりましての基本的な考えといたしましては、我が国を代表する基幹通信事業体である新会社の公共的な役割の重要性というものを十分自覚いたしまして、政府が新会社の株式を一定割合以上保有するといたしましても、一方で新会社は商法上の株式会社であります。民間活力を導入し事業経営活性化を図るという今回の電電改革の趣旨からすれば、漸次その資本構成を一般の民間会社に近づけていくということが、やはり基本的に考えられていなければならないと思っております。ただ具体的に、どれくらいをいつごろまでにどうするかということにつきましては、今後の検討課題になっておる次第でございます。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 伝えられるところによりますると、五十六年度以降国に納付をされてきた臨時納付金の納付が、六十年度以降はなくなってまいります。そうすると、国の財政再建の財源確保のために株式の処分が行われるのではないかという説もあります。こういう説は事実でしょうか。
  49. 小山森也

    ○小山政府委員 これは株というものはどういう形のものかと申し上げますと、電電公社が新電電会社に現物を出資して、それの見返りとして株が電電公社へ渡される。ところが、その電電公社は即日解消するわけでございまして、それが国の財産になってくる。国有財産になるわけで、普通財産として管理されるということでございますから、これは普通財産でございますので、形式論といたしまして大蔵省で保管するということになります。  それでは、これを処分するのはどうするかというのは、目下検討中でございますけれども、さりとて、これを処分するのは、一般会計の赤字を補てんするために今回電電公社というものを民営化したのではないということははっきりしておりますので、それに沿った形の処理がなされることを願っている次第でございます。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 そういうことだとするならば国の財政再建の財源を確保するために株式の処分が行われるということはないというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  51. 日高壮平

    ○日高説明員 今回の電電公社民営化が行われることになったわけでございますが、その目的につきましては、ただいま郵政省の方からお答えいたしましたように、国の財政再建のためだけに行うというものでないということは、私どもも十分承知いたしております。  ただ、お話がございましたその株式の売却益の扱いにつきましては、私どもとしては、今回の株式の売却の限度数について、国会の議決を予算総則にのせた形でいただくことになっておるということもございますので、その使途につきましても、予算編成の過程において、他の財政事情全般と同一の土俵で議論されるべきものというふうに考えております。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 国の財政再建のために株式を処分するなどということがおってはならないと思いますし、ぜひひとつそうあってもらいたいと思うのです。新会社資産も、これは公衆電気通信事業が国営であった当時から、国民税金によって蓄積をされてきたものであるわけです。したがって、株式の売却がもしも国の財政再建のために行われるということでおれば、当然これは地方の財政再建のためにも行われなければならないというふうに思っておりますので、特に念を押して、簡単に株式処分をして財政再建に資するなどということのないようにしていただきたい、こう思っております。  そこで、新会社資産国民税金によるものでありますが、また一方、民営化された新会社のものでもあるはずであります。その売却をした資金はいずれ、何にでも充てられるものではなくて、研究開発等に充てられることが望ましいというふうに思っておりますが、いかがですか。
  53. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまのところ、株の売却益をどうするかというのは、目下検討中でございまして、決まっていないわけでございますが、私ども当事者といたしましては、国の一般会計の赤字補てんのために民営化を行わないことを明確にしなさいという御意見は十分承知しておりますし、電電公社資産形成の経緯等にかんがみまして、電気通信技術に関する研究開発の推進等に使うべきだという御議論も十分承知しております。またもう一つ電電債券というものの償還のために使用されるべきである、そうするならば、新電電会社の非常に多く抱えております電電債という負担が軽くなるというような御意見、こういうものがあるのは全部承知しております。  私どもといたしましては、いろいろ今までの当委員会あるいは本会議等におきます御議論やただいま先生の御指摘の趣旨、こういったものをよく踏まえまして、私どもだけの問題ではございませんので、関係する財政当局の関係の向きともよく検討しながら、これについては検討を進めて処理してまいりたいと思っております。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつそういうことで、売却資金は何にでも使うということのないように、十分に検討をした上で使用されるように要請をいたしておきたいと思います。  次に、これは自治省になるのだろうと思うのですが、昭和五十七年の秋に所得税や住民税の減税財源をどうするかという検討がなされた際に、電話利用税を新設したらどうかという構想が出されたことがございます。  私なども主張をした一人でありますが、この税目は、課税対象が普遍的であるという点で、もし設けるのならば、地方税の税目としてふさわしいものであるというふうに考えるわけでありますが、この点について自治省、どのようにお考えになっておられますか。
  55. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 御指摘のように、地方税源の充実あるいは住民税等の減税、そういった際に新たに電話利用に対して課税をするという方法は考えられるわけでございます。電話利用は、利用料金でございますが、所得水準等と密接な相関関係もございます。そういった行為に担税力を見出すことができますので、電話利用に対して課税をすることは、そういった意味でそれなりの合理性もあろうかと考えております。  しかしながら、こういった税につきましては、政府全体の税制に対する考え方、国民生活に不可欠な情報伝達の手段となっております電話課税対象とするということについての可否の問題、あるいは電話課税対象にいたしますとそれ以外の情報伝達メディアとの均衡をどうするか、こういったことなど検討すべき点が多々あろうかと思うのでございます。  ただ、いずれにいたしましても、もしこのような税が考えられるとすれば、御指摘のように、その税源の普遍性等から考えてみて、地方税としてはふさわしいもの、望ましいものであろうかと考えております。なお今後研究をしてまいりたいと考えております。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵省、今も小川仁一委員から質問があったわけでありますが、私もきのうの夕刊を見て実はびっくりしたわけであります。恐らく大蔵省内部で検討が進んでおるのだと思いますが、電話利用税の話が大きくクローズアップされて新聞記事になっておりました。  今私が自治省に申し上げたように、先ほど奥田大臣答弁ではありませんが、電話利用税大衆課税に近いものでありますから、取ることが望ましいわけではありませんが、もし検討を進めていくとするならば、この税は普遍的なものでありますから、地方税の方がよりふさわしい、こういうふうに思っておるわけでありますが、内部ではどのような検討が進められておるのですか。
  57. 日高壮平

    ○日高説明員 まことに申しわけございませんが、恐らくこういう税の話につきましては、主税局の方で検討しておるものでございますから、私自身が確たることを申し上げる地位にないわけでございますので、その点あらかじめ御了解いただきたいと思います。  今自治省の方からお答えがございましたし、先生の御指摘もございましたように、かつて減税財源ということでこの問題が議論に出たということは、私も承知をいたしてはおりますけれども、その後この問題について、政府部内で正式にこういうことをやるということを決めたわけでもございませんし、私の立場から言えば、現在税務当局の方でどういう検討をいたしているのか、申し上げることができないのでございます。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 主計局ではないようですから結構でしょう。しかしいずれにしても、課税対象が普遍的であって、地方税の方が望ましいということについてはどのように考えますか。
  59. 日高壮平

    ○日高説明員 私も専門家ではございませんので、確たることは申し上げられませんが、税についての考え方というのはいろいろな見方があろうかと思いますので、御指摘のような見方もあるとは存じますが、逆の見方もあるのではないだろうかというふうに考えております。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 まあ、いいでしょう。  電電公社総裁にお尋ねをいたします。  電電公社が市町村に納付をしている納付金についてでありますが、この納付金固定資産税にかわる性格を持つものでございます。現在その金額は本来の額の二分の一とされております。  この納付金については近年、地方財政の悪化から地方団体はその全額納付の要望をし、また、政府税調でもその議論がなされてまいったところでありますが、とうとう最後まで二分の一のままできてしまったわけであります。全額納付ができなかったのはいかなる理由によるものですか。
  61. 岩下健

    岩下説明員 事務的な数字の問題でございますので、私からお答えをさせていただきます。  電電公社は、いわゆる公共企業体として発足したわけでございますが、その予算につきましても国の予算に準じまして取り扱いを受ける、あるいはまた料金についてもすべて基本的なものは法律をもって定めるといった、いわば一般企業にないさまざまな制約といいますか、規制がございます。したがって、そういった国の機関に準ずるというところに着目いたしまして、税につきましては一般に地方税も含めて非課税になっておるわけでございます。これが昭和三十一年に市町村財政を援助するという目的のもとに特別法が制定されまして、御存じのとおり、いわゆる市町村納付金制度ができたわけでございます。  しかしながら、この公社の公企体としての性格、また事業の公共性にかんがみまして、課税標準を二分の一にされまして現在に至っておるわけでございます。したがって、これは私どもの理解としましては、特に減免をしているということでなしに、時限、つまり年限を切った二分の一の取り扱いではなしに、制度自体が二分の一ということになっておるわけでございます。  また同時に、電電公社としましては、過去三十年にわたりまして、地方での自動改式、あるいは加入区域の拡大によるお客様の負担の軽減、あるいは地域集団電話一般電話への切りかえといったいわば非採算投資も、累計で約一兆円以上に及ぶものをやっておるわけでございまして、こういったものを通じて情報の地域格差の解消ということに努力をするという面で、各地域には、おこがましい言い方ではありますが、貢献をしてきたわけでございます。  そういったことから考えまして、地方自治体からのそういった御要望があったことは私ども承知しておりますけれども、現在の課税標準二分の一とする市町村納付金というものは、私どもとしては妥当な措置であろうというふうに考えて現在に至ったわけでございます。  なおこの措置は、現在御審議いただいております電電会社法の成立後は、一般企業並みの固定資産税を支払うということになるわけでございます。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 五十九年度の予算編成時に自治省が住民税減税の財源の一つとして、電電公社納付金を全額納付をするという案を自民党の税調に出したところ、真藤総裁は、電話料金値下げで地方の負担は軽くしていると言い、納付金を全額納付すれば今後の電話料金の引き下げに響きかねないというような趣旨を述べたと新聞に報道されておるわけでありますが、この発言は事実ですか。
  63. 真藤恒

    真藤説明員 ちょっと私の発言と大分デビエートした記事になっておると思います。あの当時、地方の納付金の問題が相当論議されましたときに、電電の方は納付金をフルに納めるのにどう考えるかという質問がございましたので、今岩下総務理事がお答えしたような趣旨のことを説明いたしたのでございますが、ちょっと私の発言とニュアンスが大分違うと思いますが、御了解いただきたいと思います。     〔志賀委員長退席、大石委員長着席〕
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 この発言の真偽はともかくといたしまして、電電公社郵政省は、このように納付金電話料金をセットで考えるような考え方があるのではないかというふうに思います。電電公社からすれば、出る金は同じだというのでありましょうが、電話料金納付金とは全く性格の異なるものでございます。納付金税金にかわるものであり、電話料金は使用料であります。その性格をきちんと整理をして考えていくことが必要だと思いますが、いかがでございますか。
  65. 小山森也

    ○小山政府委員 電話料金納付金というのは、確かに観念としてはかわるべきであろうと思います。ただしかしながら、電電公社というのは、いわゆるいろいろな経費を全部電気通信収入で賄うという方式になっております。減価償却費であるとか物件費、人件費、要するに、電話を初めいろいろな電気通信サービス提供に要する費用をすべて料金で回収して、独立採算をしていくというのが原則でございます。したがいまして、市町村納付金、現在六百億円払っておりますけれども、これも結局支出として計算されますので、これはやはり料金で回収するというのが電電公社の基本でございます。  そういたしますならば、確かに一つ税金にかわるもの、片方電話料というものでございますけれども電電公社という経営体を通した場合におきましては、これは電話料金という形になって回収するというのが、今の電電公社経営の基本になっているわけでございまして、その辺ひとつ深い御理解をいただきたいと存じます。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 電電公社は、国の財政再建に協力をするということで、五十六年度以降毎年度、臨時納付金を国に納付をしてきたわけですね。五十九年度の場合それは二千億円で、納付金の三倍以上の金額になっております。このような臨時納付金のために、貧弱な市町村財政にとって有力な財源である市町村納付金の全額納付ができなかったのではないかと思いますが、いかがなんですか。
  67. 岩下健

    岩下説明員 市町村納付金制度の趣旨、あるいは私どもが現在のこの制度について持っております考え方は、先ほど申し上げたとおりでございます。  国庫納付金の問題でございますが、五十六年から五十九年に至るまで合計六千八百億円の納付ということが義務づけられております。これは私どもとしましては、はっきり申し上げまして、みずからいわば進んで行う措置ではございませんで、国の予算編成の過程におきまして、財政再建といういわば国の至上命題にも等しい課題を達成するために、こういった納付の義務づけが政府において決定をされたということでございます。  私どもとしましては、現在の公社制度の性格その他から考えまして、こういった国庫納付という制度につきまして、この事業経営に与えます影響というものについて、できるだけお客様に御迷惑をおかけしないで済むようにということで、職員の協力も得ながら経営努力によってこれを吸収すべく努力をしてまいりました。五十六年から五十九年に至ります間に約四回の値下げも実施をいたしまして、金額にしまして約五千三百億円に達するものということは、先生御存じのとおりでございます。  制度的にもいわゆる国庫納付金は、臨時かつ特例の措置ということで特別法をもって決まっておりまして、この点、いわば一種の恒久制度として定められました市町村納付金とも、制度的な意味において違っておるのではないだろうか、かように。考えております。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 地方団体にしてみれば、二分の一の納付金しかしてくれないのに、国に多額の臨時納付金を出している、こういうことで、大変強い怨嗟の的になってまいったわけでありますから、今後そういうことが起きないようにしてほしいと思うのですが、先へ進みます。  六十年の四月に新会社に移行をすれば、納付金は廃止をされ、新たに固定資産税が賦課されることになりますが、この金額は大体どのくらいになると見込まれますか。
  69. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 日本電信電話株式会社に対しまして、新たに課税されることになる固定資産税額でございますが、これはまだ耐用年数等の正式の計算、細かい点ができておりませんから、大ざっぱな数字でございますが、仮に昭和五十八年度に納付した市町村納付金の算定の基礎となりました資産をもとに試算をいたしますと、約九百億円程度と見込まれるのでございます。  なお、念のためでございますが、昭和五十八年度の納付金額が五百八十一億円ございまして、この納付金制度は廃止されるわけでございますので、実質的にはその差額が増収ということになるわけでございます。
  70. 小川省吾

    小川(省)委員 この固定資産税についても、全額課税されるのではなくて、特定の償却資産については、五年間二分の一という軽減措置が講じられるわけでありますが、このような軽減措置はなぜ必要なんですか。
  71. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 現行の市町村納付金制度におきましては、公社の所有しておりますところの土地、家屋、償却資産のすべてにつきまして、納付金の算定標準額を二分の一の額とする特例措置が講じられておるところでございます。今回の改正案による日本電信電話株式会社に対する固定資産税の特例措置は、経営形態の変更に伴う負担の急増を緩和するための経過的な措置として考えております。  日本電信電話公社から日本電信電話株式会社に対して出資されます償却資産、いわば承継をする償却資産でございますが、この償却資産の中で、電気通信機械施設及び電気通信線路施設に属する一定の基幹的な設備に限りまして、その設備の承継後五年の間を限りまして、課税標準をその価額の二分の一の額とすることにしておるものでございまして、先ほど申し上げましたように、いわば負担の激変を緩和する措置、こういうぐあいに御理解を賜りたいと存じます。
  72. 小川省吾

    小川(省)委員 今回の電気通信事業の改革は、電電公社電気通信事業の独占を廃して、第二電電と言われる民間企業の参加を促して、その競争によって事業効率化活性化を図ることをねらいとしているというふうにされておるわけでありますが、そのとおりですか。
  73. 小山森也

    ○小山政府委員 そのとおりでございます。
  74. 小川省吾

    小川(省)委員 競争原理の導入がそのねらいとするならば、固定資産税の軽減措置というのは、ただでさえ弱い第二電電と比較をして、新会社に大きな特典を与えるものとなるわけでありまして、競争原理の導入に反するのではないかと思いますが、いかがですか。
  75. 小山森也

    ○小山政府委員 先ほど自治省からのお話もございましたとおり、新電電会社はいわば、電電公社から引き継いだ財産、それの償却資産のうち、電気通信機械施設及び電気通信線路施設に属する基幹的な設備、これを五年間二分の一ということでございます。民営化後の新電電が新たに投資した資産については、減免の対象とならないわけでございまして、それと同様に、新規参入者というのも固定資産の減免の対象にはならないということでございます。
  76. 小川省吾

    小川(省)委員 このことは、あるいは第二電電事業内容が固まってまいった段階で、これらについても税制上の特典を与えていくための伏線ではないのかというふうに思いますが、そういうことはありませんか。
  77. 小山森也

    ○小山政府委員 第一種電気通信事業というのは、国の神経系統に当たりますインフラストラクチャーを引き受けるところでございますので、できましたらそういった意味の助成といいますか、課税措置をいろいろとっていただきまして、それによって、これからの高度情報社会というものをより健全な形で発展するように、御処置願えれば、それは私どもとしては非常に望ましいとは思っております。  ただしかし、これは私どもが望ましいということと同時に、税の問題というまたもう一つ別の問題がございますので、これは当然、主管庁であるところの自治省等にいろいろお願いはいたすつもりでございますけれども、どうなるかはこれは主管庁とよく相談してみなければわからない、こういうことでございます。
  78. 小川省吾

    小川(省)委員 現在のところでは、そういうふうには考えているわけではない。ただ望ましいことは、そうなってほしいと思っているということだけですね。
  79. 小山森也

    ○小山政府委員 願望でございます。
  80. 小川省吾

    小川(省)委員 また、競争原理の導入による公社民営化国民にとってはどのようなメリットがあるのか、まだ考えられるデメリットというのはあるのかないのか、その辺についてお尋ねをいたしたいと思います。
  81. 小山森也

    ○小山政府委員 競争原理を導入したというのはなぜかということでございますけれども、これは今の電気通信のメディアが非常に発達してまいりまして、かつての電話だけが電気通信のすべてという時代ではなくなってきたということになりますと、いろいろなメディアをいろいろな事業体が提供していく方が国民にとって、より望ましいものをいつでも入手できるということになるのではないかという判断から、電電公社の一元的な運用から多数の事業者による需要に対する供給体の増加ということにしたわけでございます。  したがいまして、そういう趣旨にのっとりまして行ったという裏には、私どもの見通しといたしまして、複数の事業者が相互に切磋琢磨しながら、よりよいサービス提供を目指して競い合うであろうということのメリットを願っております。これが第一点でございます。  また、第二点といたしまして、当然競争になりますれば、よりよい質のものをより安く実用化したいと願うのは、これはたとえ一つ事業体であってもそうでございますけれども、複数になればなるほど、そういったインセンティブというのは強く働くであろう、したがって、これもメリットの一つであろうと思っております。  また、利用者側からとりますと、今までの電信電話公社一つの供給体と申しますと、もう一つの大きな国家的な責務を負っておりますので、全国あまねくいつも均質なサービスというところを焦点に置いてまいりますので、ある特定地域の要望というのには、たまには計画的な一つの中身の問題として応じられない場合もあるけれども、そういったことに対して細かく応じていくであろう。また、事業体自身の問題といたしましても、非常に効率化というものに対して関心を持ってあろう、こういうことでメリットが考えられます。  ただしかし、ただいま先生が御指摘になりましたデメリットでございます。これは決定的なものとして私どもこれがデメリットであるとは考えておりませんが、ただ問題は、競争原理の導入というものを短期的に見ますと、短期的な利益追求となってまいります。その結果、サービスの質が若干悪くても、当面用に耐えればいいというような質の問題、それから料金にいたしましても、長期的な安定的なサービスを確保するというよりかは、短期的に一つの収益を上げようとするような、結果としての長期的な見通しに欠けた一つ経営方針というようなものが、デメリットとして考えられる点でございまして、これは厳に私ども行政の立場としては、注意しなければならないのではないかと思っております。  ただしかし、通信事業に基本的に守らなければならない通信の秘密であるとか安全性、それから信頼性、こういったものが欠けますと、これはお客様がそもそも使わなくなってしまうということでございまして。こういったことについては、たとえ競争原理を導入いたしましても、この条件が整わなければそもそも、電気通信事業者としての資格に欠けることになりますので、そういうことはないと思っております。
  82. 小川省吾

    小川(省)委員 ありがとうございました。  問題は変わりまして、電話による一一〇番や一一九番の通報というのは、年間大体どのくらいになるものですか。
  83. 寺島角夫

    ○寺島説明員 年間の数字でございますが、消防白書あるいは警察白書の数字でございますが、一一九番につきましては年間で約二百万件、一一〇番につきましては年間で約三百万件でございます。
  84. 小川省吾

    小川(省)委員 一一〇番、一一九番は現在無料でありますが、六十年四月以降はどうなるのかという問題ですが、十円を入れないと使えなくなるということはないわけですか。
  85. 寺島角夫

    ○寺島説明員 現在無料で提供しております一一〇番、一一九番につきましては、経営形態変更後も引き続き同様の条件で提供いたすつもりでございます。
  86. 小川省吾

    小川(省)委員 新メディアの導入によってこのような公共性の高い利用が出てくる可能性があるわけであります。このような公共性の高い利用については、有料にするわけにもいかないと思います。民営化をされた通信事業で、これらの経費負担はどのように考えておるわけですか。
  87. 小山森也

    ○小山政府委員 こういった経費は結局、その他の電話利用者が負担するわけでございます。ただしかし本来なれば、そういった特定の利用に対して他の利用者収入をもって負担をするということは、平等性に欠けるわけでございます。しかしながら、一一〇審とか一一九番というものは、それぞれの方たちがこれまたいつでも利用できなければいけないものであるということで、したがいまして、利用者すべてが負担し、利用者すべてがその恩恵というのは非常に言い方は悪いのでございますが、利益に浴するということで、妥当なことではないかと考える次第でございます。
  88. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、道路占用料についてお伺いをいたしたいわけですが、現在電電公社が道路に設置をしている公衆電話ボックス、電話柱等については、道路占有料は徴収されておりません。これは国道、地方道を通じてそうなっておるわけでありますが、地方団体としてはその徴収を強く望んでおるわけです。  電電公社としては徴収には反対をしておられるようなんでありますが、昭和六十年四月以降は民営化されるのだから、徴収されるのが当然だと考えますが、今回提出されている整備法案によりますと、道路法の規定が改正をされ、建設省は既に徴収のための具体的な検討に入ったと伝えられております。建設省から要求があれば当然、道路占有料を支払っていくおつもりですか、どうですか。
  89. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  道路の占用につきましては、ただいま先生がおっしゃいました公衆ボックス等ございますが、そのほか電柱、管路、洞道、マンホールというようなものがあるわけでございます。これまでは建設省の御方針によりまして、またその行政指導によりまして、今先生おっしゃいましたようにすべて無料ということでございますが、民営化後は当然、電気、ガス、水道と同じように応分の負担をすべきであるというふうに考えております。
  90. 小川省吾

    小川(省)委員 最後に、アメリカやイギリスの例で、分割によって近距離通話や市内料金の値上がりを招いたというふうに言われているようでありますが、利用者の負担の増大が株式会社化によって起きるおそれはあるのかないのかという問題ですが、そういうおそれはございませんか。
  91. 小山森也

    ○小山政府委員 アメリカの例が先生の御指摘になった例の点ではないかと思います。アメリカの例によりますと、まずアメリカは、千五百以上の電話会社がそれぞれあるということと、長距離通話料からそれぞれの地域の地域電話会社に補助をしていたわけでございます。一度長距離通話の料金を払って、その長距離会社からそれぞれの会社に払い戻しをしているという形の分収をしていたわけでございます。  これに対しまして日本の場合は、これは今までも単一でございますし、特に長距離につきましては、これからは新規参入があるといたしましても、電電公社は一体のまま会社に移行するわけでございまして、そういった内部の経理というものは十分できるわけでございます。そういたしますと、全体のトラフィックが増加したということはイコール、また新電電会社収入増になってくるわけでございまして、幾つにも分かれておりますと、Aの会社に行ったりBの会社に行ったりということがあるのですけれども、全体のトラフィックの増加は今度はイコール、新電電会社の増収になるということでございますので、恐らくアメリカのような例は日本では考えられないということでございます。
  92. 小川省吾

    小川(省)委員 時間が参ったようでありますから、終わります。
  93. 大石千八

    ○大石委員長 次に、宮地正介君。
  94. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは限られた時間でございますので、何点かについて御質問させていただきたいと思います。  まず最初に、郵政大臣にお伺いしたいと思いますが、今回のこの電電の改革、民営化につきまして率直に感じますことは、一つは、公的関与が非常に強過ぎる感じがするわけでございます。     〔大石委員長退席、片岡委員長着席〕 やはり臨調答申一つの基本は、民営化ということについて民間活力の導入ということが一つの目玉であり基本でございました。郵政大臣の認可事項につきましても、事業計画、役員の任命、取締役、監査役、定款の変更、利益の処分、附帯業務及び目的達成業務など法的な公的規制が非常に強まっているわけでございます。  私はそういう面で、今回の電電改革に対しまして、こうした公的関与というものがかえって将来的に、民間の活力を導入することに大きなブレーキになるのではないかと感じておりますが、大臣、この点についてどのように所見を持っておられるか。
  95. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私たちは今度の民営化に当たりまして、先生のお言葉を返すようでございますが、政府の公的関与をできるだけ抑制してまいってきたつもりでございます。先生のおっしゃるとおりに、競争原理を導入することによって、新しいきめの細かいサービスというものが国民に還元されるようにという願いの中から、できるだけ当事者能力を付与しようということで努力したことでございます。  たださりとて特殊会社として、国民の公的な資産、拠出、負担金によって形成されてきたという公社資産的な経緯にもかんがみまして、そういった形の中で引き続き公共的な事業を担当していくわけでもございますし、また、電電が持っておる三十二万人の職員体制、そして五兆円になんなんとするそういった資産等に絡みまして、国民の側を代表した形で、できるだけそういった形の必要最小限の認可にとどめたというわけでございます。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 特に今大きな問題になっております一つのストライキ権の問題につきましても、専売改革においては、きょうも本会議で通過いたしましたが、これは労働三法に限っておるわけですね。ところが、この電電の場合は、新会社の労働関係は労働三法によるが、通信を途絶せしむるようなストは労働関係調整法で規制という一つのたががかかっているのですね。私は、電電の今までの職員の皆さん、労働組合の皆さんのあり方といういろいろな過去の経緯を見たとき、もっと信頼をしてやっていいのではないか、この点については大臣はどういうふうに考えておられますか。
  97. 奥田敬和

    奥田国務大臣 原則として労働三法適用ということで、今御指摘のように最大限十五日の労働大臣の調整という附則がついておるという状態でございます。しかし、これは所管するところは労働大臣でございますので、余り断定的なことは申せませんけれども経過的な措置として行われておるものですから、できるだけ早い時間にこういった附則的な調整的な規制というものは取り除かるべきであろう、私はそう思っております。
  98. 宮地正介

    ○宮地委員 金丸総務会長におきましても、やはり民営化をする以上は、いわゆるこの労働関係調整法の規制なんか必要ないじゃないか、こう言っているのですね。逆に今度は、後藤田さんは規制をしよう。自民党、政府部内の閣僚が何か相対立する立場でこの電電問題に口を出しておる。この点は郵政大臣としてどう調整されているのですか。
  99. 奥田敬和

    奥田国務大臣 まあ後藤田長官の発言等々は新聞で拝見をいたしましたけれども政府全体が責任を持って御提出願っておる法案でございますから、そういった論議の過程の中で最小限のとりあえず経過措置として、労働大臣の十五日間のストの調整機能は付与さるべきものであろうということで、政府全体としてはそういった形で結論が出たわけでございます。金丸先生の場合は、与党の三役の一人としてそういった形で御議論をなさっていらっしゃるということも、私は承知をいたしております。これらの問題点を今政府と党との間で目下調整をしておるという現段階でございます。
  100. 宮地正介

    ○宮地委員 電電の審議がここまで来て、同じ閣僚内にそういった意見の不一致があるというのは、これは問題だと思うのです。(奥田国務大臣「閣僚内にはない」と呼ぶ)閣僚の個人的立場で、ましてお三人とも田中派の皆さんじゃないですか。これは郵政大臣が積極的に調整して対応しないと、国民から見るとこれは何をやっているんだ、こういう感じが大変するのですね。  私も大蔵委員会あるいは物価対策特別委員会を担当さしていただいて、専売改革案の審議もざしていただきましたけれども電電の審議も大変に関心を持って、きょうこうして登壇さしていただいたわけですけれども、ぜひ奥田郵政大臣のこの問題に対する最初におっしゃったような決意を、ぜひ調整工作をしていただいて、やはり労働者皆さんが民営に移る、それに相当した労働三法による基本的なストライキ権というものが維持されていく、これは常道だと思うのですね。この常道を侵したところには私は本来の立法府の責任はない、もう一度この点についての御決意を伺いたいと思います。
  101. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これは公社から民営という一つの劇的な変革の段階の中で、原則労働三法適用ということで、スト権も付与しておることでございます。ただ、こういった経過措置の中で十五日間という労働大臣の調整、そういった形の権限が付与されているということでございます。今も私見として、あるべき方向としてはそういった形は一日も早くなくなって、附則なしに労働三法適用がされる、そういった形が好ましいという基本姿勢は変わりませんけれども閣内において不一致という形はないわけでございます。これらはそれらのいろいろな意見の経過を踏まえて、結論として今回御提出願っている法案ということで閣内は一致したわけでございます。  ただ、党内の実力者の中では、今回の民営化移行に当たって、それらの附則は全部取り除いてもいいじゃないかという御意見のあるということは十分承知しておりますし、政府と党の間のそういった意見の調整には全力を尽くして、今御指摘のような方向の中で議論がなされておるということでございます。私自身もそういった形を踏まえまして今回の法案提出、これは今大きな問題点として与党野党間で折衝をなさっておる大事な問題点でもございますので、これ以上の答弁は差し控えたいと思っております。
  102. 宮地正介

    ○宮地委員 ともかく郵政大臣と総務庁長官が意見が異なるというようなことのないように、閣議で決定して法案を国会に提出した以上は、責任を持って後藤田長官に対しては説得をしていただきたいし、またそうした不規則な発言がちょろちょろとマスコミを通じて出てきますと、国民は何か大変な違和感を感じますので、この点はぜひ要望しておきたい、こう思います。  もう一つ大事な問題は、今回のこの電電改革に、よって果たして国民消費者、いわゆる電話を使っている料金電話料金、これはどうなるんだろう、料金の問題については非常に国民の間でも敏感でございます。何か東京-大阪の長距離のこれは非常にドル箱といいますか、財政的にドル箱路線である、ところが市内通話の問題は非常に赤字である、こういうことで、何か電電改革をやると我々の一番かけやすい身近な電話料金がどうも引き上げられるんじゃないか、こういう心配を国民皆さんは持っているわけでございます。  そこでまず、今後こうした民営化になった場合に、この電話料金の基本的な体系というものはどうなっていくんだろう、また、その電話料金の水準などは今後どういうふうになっていくのであろうか。特に電電の場合は、いわゆる財務諸表を見ましても、経営的には非常に内容がいいわけですね。特に五十七年度の損益計算書を見ましても、当期利益金が約三千六百九十六億円、非常に経営内容がいいわけです。それだけにこの電電改革が逆に、国民消費者にまた身近なところに値上げというようなことになってはこれは大変だ、こういう心配があるのでございますが、この点について大臣、どのように検討されているのか、伺いたいと思います。
  103. 奥田敬和

    奥田国務大臣 過日の逓信委員会でも、この問題が大変論議の中心になったことは事実でございます。私たちは競争原理の導入によって、国民サービスが還元されるということは即、料金値下げされる方向に動いてこそ、国民期待される形での今日の民営化法案であろうと思います。  したがって、今日の電電公社自体は、一元体制の独占体制の中で大きな目標も達成してまいりました。技術の革新によって今日は、遠近格差をゼロに――ゼロということは事実上不可能でございますけれども、ゼロに近い目標を持って努力してまいったことも事実でございます。  世界に比べてみますと、日本の場合、市外料金は高い、市内料金は、他国との比較でございますけれども、安いという傾向がございます。しかし一番大事なことは、中距離、遠距離が安くなっても、市内料金に転嫁されるという形は、これはもう国民の最もニーズの高い分野に大きな影響を与えるということになりますから、私どもとしましてはこの市内料金は、値下げされる方向にあっても値上げする方向にいくということは好ましくないという形で、現に現在の公社自体も、民営化された以後であっても市内料金の値上げは当分の間やりません、やらない方向で努力します。それも、年限を区切ってということではなくて、六十二年以降にわたっても、そういった形の値上げという方向はしないということを、再三にわたって言明をしておるところでございますので、そのような市内料金に影響のあるという形はないものと確信をいたしております。
  104. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、いわゆる今の三分間十円の赤電話のこれが、例えば二分間十円、こういうことはありませんね。
  105. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これは私から答えることではありませんけれども、後で電電総裁も明言されると思いますが、そのようなことは民営移行後もやらないという形で聞いております。
  106. 真藤恒

    真藤説明員 私どものこの問題についての考え方は、今度の機構改革によりまして、今までやるべくしてできなかった合理化というものが非常にやりやすくなります。したがって、総経費を今までよりも合理的に落とすことができやすくなるという一つの大きなメリットがございます。  それともう一つは、新しいメディアがこれから二、三年のうちに急速に需要がふえてくるだろう、また急速でなくてもふえることは確かでございますので、かなり今までと違った形で通話量がふえる、これはもっともいろいろな意味の通話でございますけれども。そうしますと、料金を据え置くといたしましても、収入の伸びは今までよりも漸次高いパーセンテージでふえる傾向になるだろうと思います。  もしそういうことで財務に余裕ができましたら、まず世界的に見てもまだ割高の長距離料金を、できるだけ下げることに全力投球するということに持っていきたいと思っております。したがいまして、近距離料金あるいは市内料金に対しては、当分の間触れる意思はございません。  それはもう一つ理由がございまして、仮に触れようといたしましても、残念ながら現在の私ども設備の中に、近距離、市内の通話がどういうふうに具体的に動いているかという、科学的な資料を求める装置を何も持っておりませんので、今この問題を仮に持ち出しても、とてもとても利用者の皆様方に納得できるような説明はできっこございません。この点から言いましても、私ども当分、この市内料金に云々する考えは持っておらないということを申しております。
  107. 宮地正介

    ○宮地委員 今総裁から合理化という言葉が出てきたので、私はこの合理化にもいろいろ方法があると思うのです。  電電公社が例えば五十七年度で、未収金の勘定残高が約一千五百五十二億七千百万円、こういう莫大な未収金の残高を抱えておるわけです。電話収入あるいは電信収入、専用収入、その他をあわせて見ますと、電話が圧倒的に多い一千三百七十八億、こうした未収金の改善の努力もやはり私は大事であろう。五十六年度に比べて一億三千万減少はしておりますが、この一千五百五十二億の未収金の中身、これは実態的にはどういう状態になっておるのか、改善の努力をすればこれはもっと集金可能なのかどうか、この点についてちょっと事務当局から説明いただきたいと思います。
  108. 岩下健

    岩下説明員 先生ただいま御指摘のバランスシートにおきます未収金、これは実は売掛金でございます。つまり、主体はお客様からいただく電話料金でございますけれども、月々請求書を発行いたします。コンピューターその他の稼働から考えまして、六つのグループに分けて請求書を出しておるのですけれども、たまたま三月三十一日現在におきまして、請求書を発行いたしましてから納期までの間、約二十日でございますけれども、これにぶつかった分だけが三月三十一日現在の未収金として計上する、こういう経理処理でございます。  したがいまして、請求しても払っていただけないという意味の、つまり貸し倒れといいますか、焦げつき的な未収金はほとんどございません。お客様から今七割方は銀行振り込みでお願いをしておりますけれども、収納率と呼んでおります請求額に対する納期内にお払いいただいておる金額の割合が九十数%という、ほかの公共的事業よりもむしろ高い率で現在、料金をお支払いいただいております。  なお、こういった料金の回収についての努力はさらに重ねてまいりたい、かように思っております。
  109. 宮地正介

    ○宮地委員 この際だからお話ししておきますが、このいわゆる振り込み方式の電話料金の間違いというのも非常に多いのです。私はぜひこの問題についても、新会社と同時に、国民消費者に対してもう少し慎重に責任ある対応をしてもらいたいと思うのです。  特にそういう中で未収金についても、今の事務当局の答弁ですと、いわゆる締めの問題であるからというような感じてお話しになっておりますが、売掛金ということはもっと努力すれば改善の余地はあると私は思うのです。この二点についてもう一度伺いたいと思います。
  110. 岩下健

    岩下説明員 お尋ねの第一点のいわば誤請求といいますか、私どものミスで請求書を差し上げるという大変お恥ずかしいことでございますけれども、正直申し上げましてゼロではございません。請求書発行前にさまざまな段階でチェックをするのですけれども、これが全くゼロにはなっていないということは、率直に言いまして認めざるを得ないと思います。お客様がお気づきになって私どもにお申し越しいただいたら、もちろん直ちに直しますけれども、さらにまた、事前のそういったチェックを励行して、間違った請求をすることが一切ないように努力してまいりたいと思います。  それからさらに、料金の回収の問題でございますけれども、幸いと申しますか、電話料金の場合には、電気、ガス等のほかの公益料金の場合と比べましても、銀行振り込みによる割合が高こうございます。したがいまして、この点から収納率も比較的高いということがございますけれども、なお一層、いわゆる貸し倒れ的な、つまり損失的な回収漏れということのないように、今後さらに努力してまいりたいと思っております。
  111. 宮地正介

    ○宮地委員 第二電電などが回線を利用したとき当然、利用登録、これが必要となってくるわけでございますが、こういう利用したときの料金、あるいは接続料、あるいは料金の明細、また料金の請求、こういうものは今後どういうふうになっていくのか、御説明いただきたいと思います。
  112. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  今先生のお尋ね、アクセスチャージの問題と料金請求の問題、二つだと思うのです。  第二電電等の新規の事業者が私どもに回線の接続を請求してきました場合には、私どもとしては事業法上当然、接続の義務がございますし、また接続することになるわけでございます。その際に、その新規事業者との間で接続契約を結びまして、郵政大臣の認可を受ける、このようになっておりますが、まずアクセスチャージにつきましては、現在私ども設備の使用料、いわゆる私どもの市内の設備を使うとか、接続に当たって私ども設備を設置するといういわゆる使用料につきましては、当然負担してもらうという方向で考えております。その他の付加料、アクセスチャージと言われているものでございますが、これにつきまして今後、市内、市外の格差是正の改善など含めましていろいろな経営努力をいたしまして、今後この問題につきましてどのように扱うかを検討していきたい、こういうように考えている次第でございます。  また、いわゆる徴収の方法でございますが、これにつきましては、アメリカにおきましていろいろな方法がございまして、既に先に進んでおりますアメリカの場合には、例えば全部を電話会社が請求書を出すとか、一部を電話会社が請求書を出す、いろいろな方法がございますが、これにつきまして私どもといたしましては、利用者、それから新規事業者という方々と十分に話し合って、不利にならないような方向で徴収の仕方を考えていきたい、このように考えているところでございます。
  113. 宮地正介

    ○宮地委員 このいわゆるアクセスチャージの料金というのは、利用者負担になるのですか。現実的にはいわゆる改革によって利用者電話料金の負担が大きくなるのではないか、この点について。
  114. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  当然かかっております経費を新規事業者から分担していただくわけでございます。したがいまして、私どもの回線を使った場合または新規事業者の回線を使った場合、いずれにいたしましても、負担の公平という面からいただくわけでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  115. 宮地正介

    ○宮地委員 そうすると、この電電改革によって利用者負担が増大するのではないか、この点についてはどうなんですか。
  116. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  先ほどお話しいたしましたように、私どもといたしましては、新規事業者に必要な経費を負担していただくということでございますので、新規事業者がそれを利用者にどのように請求いたすかは私どもとは関係ないことでございますので、御了承いただきたいと思います。
  117. 宮地正介

    ○宮地委員 総裁に伺いますが、いわゆる経営努力によって消費者に対する電話料金の引き下げ等については、これは努力していただきたい。しかし、こうした機構的な機能的ないわゆる改革によって料金的に利用者負担が増大する、この部分については今後どういうふうに改善をしていくというか、要するに、現在の電電改革をした場合に、民営化することによって一つの機構的な機能的な改革に伴って利用者負担がふえるんじゃないか、こういう心配がある。この点についてはどういうふうに考えますか。
  118. 真藤恒

    真藤説明員 今あの法案に書き込まれておる限りにおいては、御心配の点は起こらないという自信を持っております。
  119. 宮地正介

    ○宮地委員 具体的にはどういうことでございますか。
  120. 真藤恒

    真藤説明員 要するに、さっき申しましたように、私ども公社制度のもとでは、私どもの持っている人間の属人的な能力、あるいは私どもの人間集団の持っております技術力、あるいは経営的なノーハウというふうなものを、狭い意味の電気通信事業にはほとんど使えないという形になっておりますし、特例としてそういうことがありましても、私どもの組織の中でやっておる限りにおいては、一々主管官庁の細かい認可を必要とするという形で進んでおります。  しかし、今度の法案で示されておりますのは、世の中に迷惑をかけぬ限りにおいては、そういうふうな能力をこれから先の新しい産業の要求に応じて、新しい事業として展開するということができるようになっておりますので、その面で、私ども電気通信から入ってくる収入にぶら下がっておるコストを、今よりもかなり大幅に下げることができる可能性が新しい法案の中には含まれておるという意味でございまして、それを私どもの努力でできるだけ利用していくということで、そういう意味の合理化と申し上げたわけでございます。
  121. 宮地正介

    ○宮地委員 電電改革によって国民利用者利用負担が増大しないようにぜひ御努力を要請いたしまして、時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。
  122. 片岡清一

    ○片岡委員長 次に、青山丘君。
  123. 青山丘

    ○青山委員 連合審査が行われておりますが、私は商工委員の立場で若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、御苦労さまですが、郵政大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  すばらしい企業が民間会社としてスタートを切るわけですね。私は地元でもよくお話ししてきたんですが、諸物価がどんどん上がってきた中、戦争が終わった直後に、私は子供のころでしたけれども電話が一通話十円、四十年たってなお今日まで、すばらしい技術革新をして一通話十円、これを維持してきたことは、大変な企業努力であったし、技術革新であった、すばらしい成果だと私は機会あるごとにこのお話をしてきたことがあります。  こうしたすばらしい力を持った大きな企業、しかも長い間には人的、機構的、資金資産をしっかりと蓄え――蓄えと言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、相当持っておる。そして技術力も高い。世界のトップ企業だと私は思っておりますが、こうした力のある企業が民間会社としてさてスタートを切る。ところが、新規の競争者にとっては、とても手ごわい新電電でありまして、とても公正な競争にはなかなかならない。  そこでさて問題は、これまで需要者にも随分多くの利益を与えてはいただきましたけれども電電公社が果たしてきた内部の相互補完の努力。不採算部門も、公的な企業でありましたから、郵政の方から言われましてやってきた部分も幾つかありますし、そうした内部の相互補助、補完、こういうことでやってきたわけですけれども、さて、これが競争になってまいりますと、今度は相当な不採算部門を覚悟してでも新規の参入者と争うということになってきますと、そこは不当な競争が出てくるのではないか、これは十分推測される心配であります。  そこで、この三十三条でも会計の整理の規定がなされておりますけれども、問題は、区分会計を明確にしていかないと、新規の参入者との、競争者との公正な競争にはならないじゃないか、こう思うのです。ところが、会計の明確化のために法律では、郵政省令で定めていくということになっておりますが、これもどうもまだ私どもはよく理解できないのですけれども、一体この会計の区分化、どんな方向で取り組まれようとされるのか。民間会社になってまいりますと、その辺、郵政省令とは言いながら、独自の判断にゆだねるということになっていくかもしれませんけれども郵政省としての御見解をまず伺っておきたいと思います。
  124. 小山森也

    ○小山政府委員 要は、原価が明らかになるような区分をしていくということでございますけれども、会計整理の仕方といたしましては、商法とか証券取引法に基づく会計整理の規定もございます。その内容というのも、相当整備されておりますが、これらの規定というのは、株主とか債権者、投資家の保護、これを目的としているために、会社全体の財務内容が明示されていれば足りるということに一応なっております。  他方、料金の適正化を図るためというのは、料金算定のための原価計算の明確化、統一化、区分経理の明確化等を行うことが必要だということで、商法とか証券取引法上の会計整理と若干違うわけでございます、  ただしかし、私どもといたしましては、同じ会社が両方の帳簿をつくるということになりますと、非常に不経済でございまして、労力も大変でございます。兼ねていながら、かつ、原価計算が明確になり、そのユーザーである利用者料金というものが公正な形で反映させられるということは、どういうふうな区分の仕方をすればよろしいかということについて目下検討中でございまして、まことに申しわけございません、まだここで明らかにできる段階ではないということを御理解いただきたいと存じます。
  125. 青山丘

    ○青山委員 これは郵政省、しっかりした考え方を確立していただかないと、せっかく民間活力を導入する、あるいは競争原理を導入する、こういうことで私は一定の期待を持っておりますので、ただ、新規参人者を相当強い力で追っ払ってしまうといいますか、排除する力を持ってきますと、これは何にもならなくなってしまう。さりとて、私は電電がこれまで果たしてきた役割を率直に高く評価していますから、これは円滑な競争原理の中でお互いに発展をしていっていただけるように、十分配慮をしていただきたいと思います。  そこで、さきにATTが分割されました。あれはアメリカではどんな対応がとられていたのか、少し示していただきたいと思いますし、それから、電電公社におけるデータ通信サービスというのは、既に一定のシェアを占めております。さらにこれが拡大していくのでしょう。ところが、新規参入者や中小情報処理業者との競争条件となってきますと、今の問題がやはり重要な問題になってきますので、いま一度この辺を、区分会計のことについての決意をお聞かせいただきたい。  たくさん聞いて申しわけないのですが、時間がありませんのでもう一つお尋ねしますが、今も少しアクセスチャージの話が出ておりましたけれども、遠近格差の縮小等の料金対策が、これから価格競争で電電が出てくる、こういうことは十分考えられます。さてそうすると、新規参入者が排除されるということになるのではないかと私は心配するのですが、さて、その新規参入者のクリームスキミングと言われるクリーム、どんなところにあるのか、また、今申し上げたような一連の新規参入者との確執の中から出てくる調整の問題、どんな対処を考えておられるのか。  さらに、電電公社の力が余りにも強い、こういうことになってきますと、新規参人者が余りなかった。せっかく民間企業として第一歩を歩み始めた、ところが、あの強い力で押し切られたのじゃとても競争する力を持たない、新規参入者が相当排除されてしまったというような結果になってきますと、さて、独禁法上の問題はどういうふうになっていくのか、この辺の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  126. 小山森也

    ○小山政府委員 まず、ATTの分割後のその後の状況についての御報告でございます。これにつきましては、本年一月一日に実施されたばかりでございますので、これはまだ半年足らずのことでございまして、正確な評価というのがなかなか出ておりません。したがいまして、これが本来の欠陥なのか、制度移行に伴う摩擦現象なのかということがなかなかわからない点がございますけれども、ただ私どもが知り得ております若干の問題点というのを御紹介申し上げます。これは無論、伝間でございます。私が行って調べたわけではございませんでして、アメリカの責任者から聞いた話でございます。  欠点の問題といたしまして、電話器の故障の修理などがあったときには利用者が、従来は窓口が一つであったのですが、ATTの分割によって市内と市外と分かれてしまったということで、どの会社が修理に行ったらいいのかというのが若干わからないというような現象があるとか、第二番目に、料金請求書について、従来は一枚であったのが、ATTの分割に伴いまして、市内、市外の別会社から複数の請求書が来るというようなことがある。  それから、ATTの分割によりまして、従来は同じ一つのATT支配の会社の中の市外料金、市内料金というのを分収でもって済ませていたのが、会社がかわってしまうものですから、市外料金は市外料金で安くする。ところが、市内料金は今度は、分収で援助がないので高くなるというような現象ができているというようなことがあるようでございます。それから、今の市外料金と市内料金のアンバランスをそこで調整するために、アクセスチャージというような問題が出てまいりまして、それも、市外会社から市内会社へ入る会社間の問題と、市外を利用するということをもって利用者から直接賦課するというような料金も出てくる。むろんこれは一つの現象でございます。  これに対しまして、FCCのこの政策を遂行した側の物の見方といたしまして私どもに伝えているのは、これはアクセスチャージというのは取られたとしても、市外料金競争原理によってうんと安くなってきているのだから、したがって、これは総体として見れば利用者の負担は減ったはずである、こういう弁明でございました。それから料金が上がったのは、これは分割によって上がったのではなしに、ちょうどアメリカではインフレが進んでいる、だからそれで値上がりしているのであって、それを我々の政策のためと理解してもらっては困るというようなことでございました。  それからもう一つは、先ほども若干申し上げましたけれども、大きい制度の変革なんだから、それに伴って一年や二年多少摩擦のあるのは当然であると、いかにもアメリカらしい、かなり相当な物の言い方でございました。  私どもとしましては、これが果たしてどういう形で今後とも移るかということは、ちょっと今の半年のことでは、外国のことでもございますし、また、もともと千五百も電話会社のある国の問題でございますので、なかなか日本に引き写しての評価というのはできかねるところがあります。何といいましても、日本の場合は一社体制で、市内も市外も、それから採算地域も不採算地域も、一つ会社で引き受けていただくということで、アメリカのような例はまず起こり得ないのではないかと思っております。  次に、データ通信サービスの問題でございます。これは確かに御調のとおり、データ通信サービスというのは一つの二種業でございまして、付加価値通信でございます。そういった意味で、経理区分を明確にし、競争会社との間に公正競争を保つためには、分離するというような形も一つの解決方法だと存じます。  ただ問題は、現実的な解決の問題としまして、まずそこでかなりの従業員が働いているということ、しかもサービス内容が、通信処理、データ処理というのが一体になって行われておりまして、なかなか分けにくい点があるということでございまして、これからは、やはり事業体自身が自分自身の問題として、どうすれば合理的にこれを解決できるかということで解決していただくということで、これは行政がとやかく最初から言う問題ではない、事業体の自主性をもって解決すべき問題であり、今後事業体はそのような自主性も持っているのではないかと思っております。  それから価格競争の問題でございます。これにつきましては、確かに市内網には新規参入者が入ってこない。入ってきたくても事実上、今のようなネットワークを電電でもってつくっておりますと、そこに参入するというのは不可能に近い状態でございます。これに対しまして、長距離については参入ができる。これにつきましては、やはり競争原理が働くことによりまして市場価格というものがつくられまして、料金の引き下げというのが起こると思います。  ただ、それならば今度、これが市内料金に振りかかっていくのではないかという御調でございましたけれども、新規参入者というのは、今まで電電公社がやっていたのと同じような種類の電気通信サービスをやるということだけをいたしますと、必ずしもお客さんがとれないのじゃないか。今まで電電公社がなかなか回りかねていたきめの細かいサービスを要求する、そういった電気通信役務、これをサービスの中身とすることによって成り立つのではないかと思うわけです。  そういたしますと、そこに出てきた役務の提供というものは、今までになかったものでございますので、トラフィックそのものが増加してくるということになろうかと思います。それを市内網につなげるときには結局、現在の電電公社のネットワークにアクセスせざるを得ないということになりますので、市内におきます採算も上がってくるのではないかと思っております。  それから、新規参入者がないのではないかということでございますけれども、ただいまも申し上げましたように新規参入者というのは、今までの電電一つの責務を負ってどちらかというと、画一的に単純な形で全国の皆様方にあまねく同質のサービス提供してきたというその利益と同時に、やはり個別に見ますと欠陥が出てくるわけです。個別のニーズに非常に細かい地域でそれに対応していくというのができなくなるというようなことから、新親参入者というものはそういった意味で、必ずやあらわれてくるであろうと思っております。  大変長くなって失礼いたしました。
  127. 青山丘

    ○青山委員 わかりました。  小山さん、少しやせられたのかね、余り苦労かけてもいけませんので、あなたに質問はこれでやめます。  公社総裁、出資の規制を受けなくなってまいりますので、出資がこれで自由になってきますと、製造業への進出も考えられるのではないか。電電公社は相当な技術力を持っておりますので、例えば超LSIの直接製造に進出していくとか、電話機の生産会社をつくっていくとか、そんな方向ももしあったとしますと、いや、考えられないわけじゃなくて、産業界への影響が非常に大きなものが出てくると思いますが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
  128. 真藤恒

    真藤説明員 私どもこの出資対象事業ということを考えますと、製造業というのは、事業経営の立場から私どもの性格からして、一番出資してはいけない業種だろうというふうに考えております。  それはなぜかと言いますと、私どもはやはり本質的にバイヤーの立場でございまして、買い付け側でございまして、現在何ら製造業を持っておりませんので、この姿が合理的な経営を進めていくのに一番正しいあり方だろうというふうに考えておりまして、現在仮にそういうことが考えられるチャンスが来ましても、よほどの理由がない限り、この製造業に出資するという考えは持っておりません。  買い付けだけの本質的にバイヤーの立場に立っておる企業が持って、いい結果が出た歴史は余り世の中にございません。一番いい例が、今度のATTの分割のときに一番ひどい目に遭っているのが、ウエスタン・エレクトリックだといういい例もございますので、そういうことは繰り返したくないと思っております。
  129. 青山丘

    ○青山委員 ぜひそういう姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  通産省にお尋ねしたいと思いますが、第一種電気通信事業については外資の規制があります。ところが第二種、VANなどについては、外資の規制を受けないということになってきますと、これはもう当然のようにATTとかIBM、いわゆる世界の最先端の先進企業が乗り込んでくることは十分考えられます。さてそうなってくると、日本の中小ネットワーク業者の育成振興対策というものが、太刀打ちできるのかしら。いや電電があるから、そうは言わないで、新規参入業者の育成振興対策、これは必ず非常に重要な政治課題になってくると思います。  基本的には私は自由な競争がいいと思っておりますよ。しかし、スタートにおいて相当な差をつけられている企業と公平に競争ができるわけではありませんので、それはなかなか難しい。そういう面では具体的に、産業政策的な見地から見たこの振興育成対策というものを示していただきたいと思います。
  130. 木下博生

    ○木下政府委員 このような情報化社会になってまいりますと、特に今先生おっしゃいましたように、外国系企業の中でも日本の市場に対して関心を持ってくる企業は、当然出てくるだろうということは考えられるわけではございます。  ただ、今後の情報化の豊かな発展を促進するためには、そういう中小を含む多様な情報サービス企業がそれぞれの特色を生かして活動を行い、これを通じて多彩なネットワークサービスが安価に供給される、そういう体制を確保することが一番重要だと考えております。  そのためには基本的には、できるだけ自由な体制でこれを行っていくということで、今おっしゃいましたように、中小関係の情報処理サービス業者がそういう競争に十分打ちかっていけるような体制を通産省としては、そのための施策を講じていきたいというふうなことを考えておりまして、従来から通産省といたしましては、中小の情報処理サービス業者に対しまして種々の施策を講じてきておりますけれども、今年度も金融面の対策といたしましては、従来、開発銀行から行っておりました情報処理振興貸し付けを情報処理通信振興貸付制度に拡充するということ、あるいは中小企業金融公庫や国民金融公庫に中小企業情報化促進貸付制度というのを設けるというようなことをいたしておりますし、また、財政面からは今年度から、中小企業新技術体化促進税制を創設いたしまして、情報化の措置を進めようとしております。  それから、技術面でおくれているという面を補完するという意味から、従来、情報処理振興事業協会によるソフトウエアの開発というのを振興しておりますけれども、こういう事業も今後ますます充実してまいりたいと考えております。
  131. 青山丘

    ○青山委員 今の開銀融資で少しだけ聞いておきたいと思うのですが、これは共管になっているのですが、郵政、通産両方ともの推薦が要るのか、どちらかでいいのかということが一つ。  それから、時間がありませんので申しわけないのですが、そういう意味で、ひとつぜひ中小企業の技術力を向上させていく政策をとっていただきたい。そこで、第二種事業については、民間活力を重要視するということ。郵政省にちょっとお尋ねしたいのですが、この特別及び一般第二種の電気通信事業について、区分であるとか、法律の運用であるとか、こういう点で、民間活力をひとつぜひ重視していっていただきたいと考えているのですが、これは非常に重要なことだと思うのですけれども、その辺の御見解をお尋ねしたいと思います。
  132. 木下博生

    ○木下政府委員 最初の御質問の点だけ、通産省の方からお答え申し上げますが、いわゆるVAN関係の財投につきましては、今御指摘ありましたように、通産省と郵政省の共管という形で合意に達しておりますけれども、今後運用手続の詳細につきましては、両省間で十分調整し、大蔵省とも協議してまいりたいと考えております。
  133. 小山森也

    ○小山政府委員 第二種電気通信事業、まさに先生の御指摘のとおり、これからの非常にフレキシブルに富んだ活躍の余地の大きいところでございます。したがいまして私どもといたしましては、あくまでもそれに応じた形で、原則が自由な形で事業が開発でき、それがまた事業を開始できるということが理想であり、それを目指しているわけでございます。  ただ問題は、特別第二種と称されるものは、全国的ネットワークであり、不特定多数の方にいつでもサービスをできるという形のものを想定しております。そういたしますと、影響するところが非常に大きいというところから、常にこれが通信の秘密であるとか、技術上の安全性、使っているうちに途中でとぎれてしまうということのない安全性とか、効率性というようなものを常に維持できるというような形から、参入に対しては登録ということをとっておるわけでございますが、むろんこれは登録というのは、行政権によって自由な裁量のできない方法でございます。  それから、一般第二種は文字どおり、届け出のみによってその事業ができることになっておりまして、ひとつ大いに今後秩序ある通信として発展することを目指して、私どももそういった線に沿って仕事をやってまいりたいと思っております。
  134. 青山丘

    ○青山委員 情報であるとか通信であるとかの区分についてはいろいろ論議をされてきましたが、しかし、こうしてこの通信の一元的運用、独占運用から今度は競争原理を導入し、民間活力を導入していくという方向で、その辺は幾らか評価されつつあると私は思っています。  ただ、行政の縦割り問題が出てきて、実態がどんどん進んでいく中で、行政が実態の進展に歯どめをかけてきたり、足を引っ張るようなことにもしなっていけば、大変残念なことですので、この辺の配慮を今後ぜひひとつしていただきたい。まだ質問をしたいことがたくさんありましたけれども、時間が来ましたので、以上をもって終わらせていただきます。ありがとうございました。
  135. 片岡清一

    ○片岡委員長 次に、奥野一雄君。
  136. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 余り時間がございませんので、重点的にひとつ絞ってお尋ねをしておきたいというふうに思います。  最初に、公共の福祉の増進、国民の利便を確保する、こういう観点についてお尋ねをしていきたいと思うわけでありますが、先ほどから質疑を聞いておりまして、御答弁の中では、電気通信事業というのは国の神経系統のようなものだ、非常に大事だということについてのお答えなど聞いておったわけでありますけれども、そこで、郵政大臣それから公社総裁の方から改めて、重要な電気通信事業というものについて、公共の福祉の増進なりあるいは国民の利便を増進するということについての信念というのですか、所信というのですか、もう一度ひとつはっきりさしていただきたいと思うわけです。
  137. 奥田敬和

    奥田国務大臣 電気通信事業先生指摘のように、国民の生活、国民の経済に最も重要な役割を果たしておるということ、したがいまして新電電は、こういった従来の国の神経系統にも当たる重要な分野を継承していくことになります。したがいまして、これまでいつでもどこでもすぐつく、すぐかかるという全国的な大きな目標を達成して、今日の公社は努力したわけでございますけれども、継承される新会社といえども、これらの公共的な福祉を十分使命を織り込んで、今回の法案策定の中でもその面は明定されておるところでございますけれども、この信念、この役割を果たしていただくような方向で、全力を振るっていただきたいと思っておる次第でございます。
  138. 真藤恒

    真藤説明員 今度の法案の中に、競争原理に入っても、しかじかかくかくのことはきちっと公共の責任を全うするために守りなさいということを明記してございますので、私どもがこの法案に忠実である限り、問題は起こらないというふうに、確信いたしております。
  139. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私は、今お尋ねをした点に焦点を合わせながら、幾つかの点についてこれからお尋ねをしていきたいと思うのですが、今言われましたけれども、例えば公平な利用だとか、あまねく何とかというようなことは法案の中に入っておるわけですね。しかし、現在の公衆電気通信法の中にはこの点は明確に入っておるわけです。第一条の「目的」の中には「公共の福祉を増進することを目的とする。」これは現在の公衆電気通信法の中には明確に入っておる。しかし、今の提出をされております法案の中には、こういう言葉はないわけです。  これはなぜ公共の福祉の増進に努めなければならないという言葉が外れたのか、理由があったのではないかと思うのですけれども、その辺の理由についてひとつお聞かせいただきたいと思うのです。     〔片岡委員長退席、金子委員長着席〕
  140. 小山森也

    ○小山政府委員 一条の目的のところに、電気通信事業の適正かつ合理的な運営を確保することによって利用者の利益を保護するということになっております。そこで、これと総則の第七条に利用の公平という項目がございまして、電気通信事業者は、電気通信役務の提供について不当な差別をしてはならないということで、利用の公平性を明確にしておりまして、これによって電気通信事業者の責務として法定しているということでございまして、公平性の重要さの認識ということは変わらないと私どもは感じておりまして、そのような立法をしたわけでございまして、別段、この第一条の目的の中に公共の福祉を守るという字句を入れなくても、電気通信事業そのものが公共性を帯びていて、これの利用者の利益を保護して健全な発達をするということがイコール、公共の福祉を増進することであるということから、あえてこの言葉を取り入れなかったわけでございます。
  141. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 今のお答えのようなことであれば、むしろ入れておいた方がすっきりするわけでしょう。これは今まで入っておったものを、私どもの受けとめ方とすれば、何か民営化になるので、今まで公的な機関でやっておったのとは違って、公共の福祉の増進とかというようなものは要らなくなったのじゃないか、こういうふうな誤解を与えるということになると思うのですよ。これはちょっと直せば入ると思うのですが、どうなんですか。
  142. 小山森也

    ○小山政府委員 どうも言葉が足りない点がございました。実は、この第一条の「目的」のところに「この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみこというのが入っておりまして、これとの関係で重複するということで、字句上の問題として取ったという点も御賢察いただきたいと存じます。
  143. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 時間がありますと、私は徹底的にやりたい気持ちはもうやまやま持っておるわけです。この連合審査も、実は十六時間ぐらい欲しい、こう言ったのですが、残念ながら何十分の一がに縮められた関係から、そのことだけを今議論している暇がありませんので、次にお尋ねをしていきます。  今言われているように、電気通信事業というのは大変重要な事業である、特に第一種事業の場合にはそうだと思うのですね。もちろん二種もこれから重要ですけれども、特に電信電話サービスをするという一種事業については、国の神経系統という役目を果たし、非常に重要な事業だ、こう思うわけです。  しかし、この法案の中身を見ていきますと、疑問がたくさん出てくるわけですね。例えばこの会社法の四条では、株式の所有は三分の一、こうなっているわけです。当面は全額政府出資ということですが、最終的には三分の一ということになる。  きょう本会議で通過をいたしましたたばこ関係の法律、これはたばこの方は、私の間違いでなければ、国の方は、最初はもちろん全額だと思うのですが、二分の一、当面三分の二ですねの電気通信事業の方は三分の一、これは差があるわけですね。これはどっちの事業が重要かどうかということを議論する気はございませんけれども、同じ政府全額出資の特殊会社で、片方が三分の一、片方は最終でも二分の一、この違いというのは一体どこから生まれてきたのでしょう、その辺のところをちょっと御説明いただきたいのです。
  144. 小山森也

    ○小山政府委員 実は電電株式会社は、確かに巨大だと言われておりますけれども、しかしながら、競争会社がそこに存在することを前提といたしておりまして、当然ワン・オブ・セム、複数の中の一つ会社ということを非常に強く意識しているわけでございます。そうしますと、そのためにはやはり一つは、国というものの規制をなるべく外していって、事業体の自主性というものを尊重していくという考えが出てまいります。と申しますのは、そういうような形でございませんと、新電電以外のそのほかの会社との競争原理を働かせる場合の対抗として、片方が非常に一つの国といいますか、国有に近い問題でありますと、どうしても国有という殻を破れないということがございます。  さりとて、それでは全部株を放せばいいじゃないか、完全な民間会社にすればいいじゃないかという説も出てまいりますが、そういたしますと今度は、事業としての公共性から、しかも、かつての国の保護によりまして、独占によって得られた多くの技術であり人材でありあるいは財産でありというものがそこに存在するわけでございまして、そこにおきまして、やはり株主権のいろいろな特殊な行使を防ぐことができる三分の一までを限界として、あとは自由な形の会社にすることによりまして、多くの会社の中で競争裏に自主性を持って、あるいは当事者能力を持って活躍できるということを願ったわけでございまして、その辺、若干たばこの会社とは異なった点があるのではないかと思っております。
  145. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私は、一番最初に申し上げましたように、この電気通信事業というのは非常に重要な事業だというふうに思っているわけでありますから、そういう面からいって、今の株式の問題にいたしましても、もちろん競争をさせるということはいいことだと思うのですよ。いいことだと思いますけれども、この一種事業については、私は端的に言えば、ここにはその競争原理というものは余り必要ないのじゃないか、こう思うのですね。  それは仮に競争をさせてみたって、現在の電電公社のように全国にネットワークを張って競争するという形は出てこないわけです。どうしてもそれは出てこない、またする必要もないと思うのですが、そうすると、これは一番いいところだけが競争の対象になってくるということになると思う。そのために、これは新電電の場合でも、いろいろな面でこれから苦労されるわけですね。そういうような点から考えていきますと、一種事業だけについては、やはり国が相当な責任を持って対処をしていくという方針をとらなければならないだろう、こういうふうに思っているわけなんです。  ですから、この株式の場合であっても、三分の一ということになりますと、残りは三分の二ですね。これは残りの三分の二について株式の保有制限なんというものはあるのですか、そういうものは考えているわけですか。
  146. 小山森也

    ○小山政府委員 特定の法人に所有を禁止するというような制限というものは設けておりません。
  147. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私はそんなことはないとは思いますけれども、これはあり得るということについてはある程度歯どめをかけるというんですか、想定をしておく必要があると思うのです。  今最終的に株を公開していくということになれば、政府の場合には三分の一より保有しない、三分の二は民間が持つということになるわけですね。我々に売るというようなことは聞いておりませんから、いわゆる一般利用者というんですか、国民が株を保有するということにできるのかどうかということは現在わからない。そうすれば、これはどこかにいくんだろうということは大体想定がつくわけですけれども、万が一、例えば経済界あたりが、どうも郵政当局がやっている方針には賛成しかねる、一致結束すれば三分の二持つわけでしょう。そういう点についてはどういう対処の仕方を考えておられるわけですか。
  148. 小山森也

    ○小山政府委員 三分の一を保有するということは、いろいろ株主権、これは特別株主権でございましたか、ちょっとど忘れいたしましたけれども、そういった点で特別決議をするのが防げるということで、定款の変更の発議などをそれによって防ぐことができるということから、三分の一にしているわけでございまして、特定の考えでということではございません。  その三分の一で防げないという現象は恐らくないと思いますけれども先生のおっしゃるような形のものは、やろうと思えばできないわけではございませんけれども一つの定款変更というものの発議が、三分の一が一つの意思によって左右されてくるということはまずあり得ないのではないかというのが私どもの考えでございます。
  149. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 時間が少し足らないんで、今あと二、三点ちょっと固めて申し上げますので、お答えをいただきたいと思うのです。  公共の福祉の増進なり国民の利便を確保するという観点から考えてみますと、先ほどから私、何回も言っているように、電気通信事業の場合には、特に第一種の電気通信事業ということについては、最大の注意を払って運営をしていく必要があるだろうと思うのです。ですから、そういうことから考えていきますと、新しい電電国民皆さん方のニーズにこたえて十分なサービス提供できるということについてのある程度の、保証というとこれは語弊がありますけれども、そういうものについては考えてやる必要があるのじゃないかと思うのです。  新しい電電の場合、これは今の電電公社をそのまま引き継がれるような格好になっていくわけですけれども、いろいろな面でいわゆる公共的な面の負担をしているものが随分あるわけですね。先ほど質疑を聞いておりまして、一一〇番でも一一九番でも相当な通話量があるけれども、これは実際にこれからも無料で扱っていく、こういうことにもなっております。それからまた、当然山間僻地なんかの場合でも、いわゆる不採算地域などにおいても事業の確保をしていかなければならない、サービス提供していかなければならない、こういうものについてもその任務を持っているわけです。  しかし、新しい電電になっていった場合に、その部面については新しい電電がそのまま負担をしていくという格好になるわけなんであって、ちょうど今国鉄の問題などが盛んに言われているわけですけれども、国鉄なんかの場合にも、公共的な負担を相当やっているわけですね。そのことがすべて国鉄の赤字の原因になったとは言いませんけれども、やはりそういう問題について考えていかなければならないんじゃないか。  そういう面からいたしますと、例えば単純再販なんかの場合でも、単純再販の関係についての質疑状況をお聞きしておりますと、いやそれは心配ないんだ、こういうことになっているわけなんです。しかし、単純再販でも仮に乗り込んでくるということになれば、それは何らかの利益があるということだと思うんですね。  あるいはまた、第二電電が出て、東京-大阪間のようないいところだけやっていこうというようなことが出てきたり、そのために先ほど真藤総裁は、市外通話料金め引き下げ、遠近格差については考慮するけれども、市内通話料金はまだ上げない、こう言っているわけです。そうすると、必ずどこかにその負担のしわ寄せというのは来るわけですね。そういうようなものなんかも新しい電電というのは、負担をしていかなければならないということになってくると思うんです。  そういう面からいきますと、今言った単純再販だとか、新しい電電が仕事をしやすくしてやるために、そういう面についての規制はすべきではないのじゃないか。先ほど郵政大臣は、公的な規制についてはできるだけ少なくしたと言われておりますが、少なくするという目的が、単に事務的なことではなくて、新しい電電が今のような負担を初めから負いながら仕事をしていくわけですから、そういうものに負けないでやっていけるようにするためには、窮屈でないような条件をつくってやらなければいけないと思うのですよ。そうでなければ何のために民営化したんだということになると思うんです。  だから、事業計画にいたしましても、あるいは目的附帯業務などにいたしましても、新しい電電がやりやすいということをやってやるべきだろうと思うんです。そういう面についてはもちろん、これからいろいろな業者が新しく参入してくるわけですから、そういう中小企業者という人たちを圧迫するということでは、これはまた一面においては困ると思うのですが、そういうもののない限りにおいては、やはりできるだけ窮屈でないような仕組みにしてやるべきだと思うんです。  単純再販の関係とか、事業計画とか、あるいは目的附帯業務、こういう面なんかについてもう少し緩和してやるということについてはどうなんでしょうか。
  150. 奥田敬和

    奥田国務大臣 細かい問題についてはまだ、政府委員から改めて答弁させますけれども先生の御質問のまず第一種事業の重要性という形においては、全く御指摘のとおりであろうと思います。また新電電は、民営化されたといえども、公共面の負担を従来どおりかずいていくことも事実でございます。そしてまた、不採算部門として電報事業も含めて主要な業務といたしておることも事実でございます。  しかしながら新電電は、民営化された以降といえども、持っておる技術陣あるいはその巨大な収益力、そういったものに伴う資金を含めて、これはもう本当に競争原理を働かすといっても、なかなか新電電に対抗でき得るという形の一種事業者は、そう数多く出てくるわけではないと思っております。ただ、その新しい民営化段階においては、今言われましたように、一部では料金値下げというような、クリームスキミングの形の中でお互いにいい方向の協調と競争が行われるであろう。その結果、メリットは国民に安い電話料金となって還元されてくれるであろうということを強く期待しているところでございます。  今個々の問題で、単純再販の問題にお触れになりましたけれども公社もこれから新電電民営化されれば、そういった単純再販に関しては、お互い専用線回線の貸し借りの契約あるいは再販禁止というような条項契約も含めまして、料金の調整という面で、再販を許すに当たっては私たちはそれに相応な料金の付加をすることは当然であろうと思います。これははっきり言って当事者間も、寝首をかかれるような形は、事業体としてはそれはやらないだろうと思います。  そういった意味合いで、法律の面ではっきりと禁止措置をとるよりも、専用回線を利用していただく方も、ある意味においては新電電の大口のユーザーというか、利用者でもございますから、それらの点は採算性も十分考慮の上で契約がなされるものと思っております。  それでまた、当事者能力を発揮していくためには、附帯業務を何もかも縛りつけているのはおかしいじゃないかということでございますけれども、一種事業電気通信の主要目的に合致するといった意味の附帯業務、例えばそういった端末の機器等々の販売等に関しましては柔軟に対応して、当事者能力を助長する方向の中で処理してまいりたいと思っておるところでございます。
  151. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 公社総裁としては、いろいろある公的な規制ということについてはどうお考えになっていますか、ちょっとお答えにくいのかもしれませんけれども、お考えがあったらお聞かせいただきたいと思うのですが。
  152. 真藤恒

    真藤説明員 今の大臣の御答弁のとおりでございますが、私ども当事者といたしましては、単純再販という形だけの第二種業というのはなかなか入ってこないとは思いますが、そうでない、付加価値通信をやりながらあいた時間に単純再販をやるというふうなことも出てこようかと思いますので、そこら辺のところをもう少し具体的に技術的に考えまして、今大臣の御答弁のとおり、約款によって処置していくという自由度を与えられておりさえすれば、何とか合理的に対処できると思います。  それから、附帯業務でございますが、これは附帯業務といいますと何だということでございますが、いろいろ私どもが第一種事業としてやることに付随する業務でございましょうから、これはできるだけ自由裁量というふうにしていただけませんと、この第一種事業というものが完璧な姿で、かゆいところに手の届くようなユーザーに対するサービスがやりにくくなるということが非常に心配されておりまして、それがまた公共性の保持ということに欠陥を及ぼしはせぬかという心配もございます。そういう意味で、附帯業務の認可というものはできるだけ、何といいますか、広い裁量の余地を残していただくことが、当事者にとって一番大事なことだというふうに考えております。
  153. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私は、これからどういうふうにこの電気通信事業というものが変化していくかは予測がつきませんが、当面はやはり何といっても、新電電がこの業界をリードする、こういう役目というのは非常に大きいものを持っているんじゃないだろうかと思うのですね、これは技術面においても。ですから、そういうものについて抑えつけるようなことをしてもらっては困る、この点だけはまず強く要望しておきたいと思うのです。  先ほどちょっと大臣が触れられました当事者能力の関係、これは従来の公社制度の中から随分言われてきたのですが、今度は当事者能力もある程度は幅を持たせてもらう、こうなったのですが、その中で特に私ども関心を持っておりますのは、例えば賃金とか労働条件などについて郵政省が介入するということはないですね、この点だけひとつ確認しておきたいと思うのです。
  154. 奥田敬和

    奥田国務大臣 当事者能力の一番大事なことは、そういった労使が自主交渉の中で賃金等々の決定というもの、これが一番大事な根幹であろうと思います。そういう形に介入するという意図はございません。
  155. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 せっかく通産大臣にもおいでいただいております。余り時間がありませんが、第二種事業の方の関係について若干のお尋ねをしておきたいと思うのですが、当初、特別二種事業の規模の基準、こういうものを定めるということについては郵政省令でやる、こういう方針だったように伺っておったのですけれども、最終的には政令ということで決着がつけられた。  これは公式に発表になったのかどうかは知りませんが、郵政の方では、この規模の基準ということについては、大規模VANの場合には一応、毎秒千二百ビット、五百回線以上、こういうようなつの案のようなものをお持ちのようでございますけれども、最終的にはまだ決着がついていない。政令段階ということになるから、その段階で恐らく郵政、通産の間で御相談を当然されると思うのです。決めなければこれは申請受け付けにならないわけですね。そのときにまた、両省で意見が合わないなんということになったら、これは大変なことになると思うのです。そういう面についてはどうお考えになっているのか、通産大臣がせっかくおいでになっているので、通産大臣の方にちょっとお尋ねをしたいと思うわけです。
  156. 木下博生

    ○木下政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、通産省といたしましては、民間事業者ができるだけ創意と活力を最大限に発揮し得るような基盤の整備を図るということが大事だというふうな基本的な考え方に立っておりますが、そういう意味で、郵政省との間でも十分調整を図っていきたいと考えております。  今先生のおっしゃいました具体的な点につきましては、今までのところ一切、郵政省の方から協議を受けておらない状況でございますので、何とも申し上げられる段階ではございませんが、仮にこのような基準の場合には、特別第二種電気通信事業の範囲が広過ぎるようになるのではないかという感じもありますので、いずれにしましても、十分通産省といたしましても勉強いたしまして、また、郵政省と十分調整をさせていただきたいというふうに考えています。
  157. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 この関係でまたいろいろ聞いていきたい点があるのですが、時間もだんだん切迫してきていますので……。  VANの定義、これはこれから変わっていくのではないかというふうに思われるのですね、今までの観念だけでこれはいくかどうか。ですから、郵政が例えばこれから決められようとする基準というのですか、何を尺度にして決めようとするのか。  今言ったものであれば、これは規模の大小ということになると思うのですね。規模の大小なのか、サービス内容なのか。先ほどちょっとお答えを聞いておりますと、両方入っているようには聞き取れたのですね。大規模の方のものは全国的なもので不特定多数、そうでないものは特定の利用者、こういうように、それはサービス内容によって決められるということになると思うのですね。サービス内容で決めるのか、あるいは事業体の規模の内容で決めるのか、両者をミックスしたもので考えるのか、いろいろな形態が出てくると思うものですから、それはどんなようなことでお考えになっているのですか。
  158. 奥田敬和

    奥田国務大臣 技術的な細かい点について間違いがあったらいけませんから、後で補足させますけれども、規模とサービス内容でございます。  規模の場合、全国ネットという形でございますし、内容の場合も不特定多数ということで、例えば同じ全国ネットでも、全銀のシステム、金融機関なら金融機関のシステムというと特定多数でございます。したがってこういうVANは、特別第二種の範疇には入らない一般VANでございます。しかし、これに流通関係とかあるいはメーカー、製造関係とか、あるいはこれに消費するいろいろなマーケット関係とか、そういったものが不特定多数の形で、しかも全国のネットを形成するというような場合には、特別第二種ということで規定しておるわけでございます。  したがって、サービス内容と規模と両方がミックスした形の中で一定基準を超えておるもの、これは影響するところ大である、普通VANと違って大であるという形で、法的に政令基準で決めていこうということでございます。
  159. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 ちょっと通産大臣の方にお尋ねをしておきたいのですけれども、二種の方は比較的規制というようなものが少なくなっていますが、それでもまだいろいろなものがあるわけですね。こういうことについては通産大臣としてはどうお考えですか。
  160. 木下博生

    ○木下政府委員 おっしゃいましたように、第二種事業の方は規制の内容が緩やかになっております。通産省といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、できるだけ民間事業者が自由な活動ができるような形でこういう多彩なネットワークサービスが進められるようにした方が、我が国経済全体のためになるんじゃないかというふうに考えておりますので、規制の内容としては、今回の法案の中身にありますような形で、できるだけ自由な企業活動ができるような形で運営をしていただきたいというふうに考えております。
  161. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 次に、ちょっとお尋ねをしておきたいのは、これから国際VANも出てくるわけですね。国際VANの場合に、クリームスキミングの可能性というのが非常に容易にできそうだ、こういうのがあるんですが、これは日本の場合には、すべて国際関係のものについても受け入れるということになっているわけですね。この辺のところは、これは日本には一応国際電信電話株式会社がある。これはVANの関係ですから直接通話ということはないけれども、しかし、回線を借りてやるということもできるようなことになっている。それを放置しておけば国際電電だって、そんなに私は基盤が強固だというふうにも思ってないし、非常にいいところだけ取られるという可能性はこの中にある。  それからもう一つは、国際電信電話諮問委員会の中でこれは禁じられているわけですね。そういうふうに回線を借りてまたやるということについては禁じられているわけですが、その辺のところというのはどういうふうに措置をされるのですか。
  162. 小山森也

    ○小山政府委員 法律の枠組みでございます。これは条約等で自由化された場合には、いつでも対応できるような枠組みにはなっております。ただしかしながら、実際問題といたしまして、外国との間の電気通信サービスというのは、相手国または相手国事業者との共同事業でありますので、相手国の法制度や国際的な取り決めによって、やろうとしてもできない場合があるということもございます。  ですから、枠はありますけれども、例えば今先生指摘のように、CCITTの勧告によりますと、専用線を借りてメッセージ交換を行うことは原則として禁止でございますから、そういったような形ではできないということは国際条約で禁止されているという、ただ法律的には今回はできる、もしCCITTの勧告が排除したならばできるという枠組みにはなっているわけでございます。
  163. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 そうすると、一応枠組みだけはつくって、態勢だけとっておくというふうに理解していいわけですか。――わかりました。  次に、私もいろいろな面で研究さしていただいているわけですが、将来どうなっていくのかということは非常に難しい。しかし、技術はどんどん進歩していっているわけでありまして、恐らく早晩こういうものができ上がってくるのではないかという感じがするわけですね、いろいろなニューメディアの関係。こういうものについて一体、どういうふうに対処をしていくのかということは、今の法案の中だけではちょっとわからないのじゃないかと思うんですね。  例えば医療の関係なんかでも、電話診断というのですか、テレビ診断というのですか、そういうものなんか、やろうと思えばすぐできそうなものだと思うのですよ。技術だけ一方でどんどん発達をしていっても、しかしそれは利用できないということになる。今の仕組みでは利用できないわけですね。医療法ではできないということになっている。そのほかに、まだいろいろ関連するところがあるのですが、そういうものについてある程度整備を急いでおかないというと、技術の方だけは進んでいった、さあ見直しは三年後だなどというのんきなことを仮に言っておっては、態勢がとれないのじゃないか、これが一つあります。それから、国際VANがこれからどういうふうに発達するかはまだ予測がつきませんが、これもしかし、アメリカあたりなどでも相当ねらってきておるところですから、急激に発達をしていくことも考えられる。そうすると、個人で言えばプライバシーの保護ということになりますが、国家機密というのですか、国家機密まで大きなことにならぬかもしれませんが、情報の機密保護というのですか、こういうものなんかについてだって対処していく必要があるのじゃないのかな、こういう感じもするわけです。そういう面の対処の仕方というのは、これからどうされるつもりなんでしょう。
  164. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これも大変専門的な分野でございますので、私の場合、大まかな答弁になると思いますけれども先生指摘のとおり、ニューメディアの分野で、電気通信の大変な技術革新で、確かにいろいろな夢が可能になってまいります。  今言われたようなホームドクターという形で医療をやるとか、しかしこれは先生の御指摘のとおり、医療法の問題もございますし。薬の場合でも、薬事法のいろいろな制約もございます。ホームバンキングも技術的には可能です。技術的には可能ですけれども、これもまた、やるということになった場合には、銀行法等々の見直しも必要になってまいります。そういった具体的な問題に関しては、目下関係省庁との間で、このメディアの利用をめぐって法的な面の整備をやらなければいかぬ問題ですから、これらの問題については目下検討を開始いたしております。  したがって、技術的に可能な形が夢だけで終わらないように、それが個人の営業なりあるいはプライバシーの問題なりというものを保護した上で、そういったメディアの利用という形を十分関係省庁との間で検討しつつあるという段階でございます。  なお、国際VANの問題についても、そういった御心配や懸念があることは事実でございます。したがって、電気通信事業法全体に企業機密あるいは個人のプライバシー、それを侵した形に対しては、それ相当な形の法的な規制措置が加えられておるといったことも事実でございますけれども、具体的には、先ほど局長答弁申しましたようにいろいろな制約がありますから、法の枠組みは現在ありますけれども、実用段階という形になる場合には、まだまだ幾つかの検討課題が残されておるということは事実でございます。
  165. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 時間が参りましたので、その点については郵政大臣に特に要請をしておきたいと思うのですよ。技術の方だけはどんどん進んで、さあできたけれども、新しいサービス提供できないなどということになりかねないわけですから、これはやはり急いでいただく必要があるだろうと思います。  それでは、先ほどから通産大臣にせっかくおいでいただいていますので、この電電法案、特に通産の場合には、第二種の方が非常に大きな関係を持っているわけですが、この法案についての大臣の感想をひとつお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  166. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 いろいろと役所同士の問題を議論されたわけでございますが、我々もとより、情報化社会の進展のために関係省庁と十分協議して、この実現のために今後努力していかなければならないと考えておる次第でございます。
  167. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 ありがとうございます。
  168. 金子みつ

    ○金子委員長 次に、浜西鉄雄君。
  169. 浜西鉄雄

    浜西委員 物特委員浜西でございます。専門的な立場から諸先輩が、知識豊富な中で質問されておりますが、物特ですから、恐らく多少重複した面もあるかと思いますけれども、やはり物価に影響を与える石油とかガスとかあるいは電力とかと同じように、電話料金も、それぞれサービス部門あるいは生産部門でこれがコストに加わるわけでありますから、そういう意味で、多少の重複をお許し願いたいと思います。  まず、少し大づかみなところからお尋ねしますが、電話料金税金をかけるという話が、これは新聞に出たとおりであります。詳しいことは私もわかりません。しかし、これは既に数年前から大蔵省が、それなりの考え方を出しておったことは事実だと思います。したがって、電話料税金をかけるということはとりもなおさず、最終的には電話料金を払う利用者の負担、つまるところそうなると思うのですが、この問題について基本的に郵政省に、大蔵省のそうしたサービス部門に対して目を向けたやり方に対して、まず冒頭考えを聞いておきたいと思います。
  170. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今御指摘電話利用税の問題に関しまして報道された新聞を拝見いたしましたけれども、その内容については全く知りませんし、また現実に、そういった関係当局から御相談を受けたという事実は今のところ全くございません。  ただ先生の御指摘のとおり、国民生活、国民経済に最も密着した事業でもございますし、そういった形の中で今回の新しい法案によって民営化される方向も、結局は最後には、料金値下げ方向国民に還元されるということ、このことを目標にしておるわけでございます。したがいまして、電話利用税というような形で大衆課税と申しますか、そういった形の中で、事業に直接影響があり、しかもそれが料金にはね返ってきて、かえって値上げを誘発するというような方向というものは、担当の大臣としてはまことに納得できかねる、そういった形でもし俎上に上った場合、ユーザー、利用する国民の立場に立っても私としては賛成しかねるということでございます。
  171. 浜西鉄雄

    浜西委員 大変いい御回答をいただいたわけですけれども、ひとつ毅然たる態度で、やすやすと税金対象にかけてくるというやり方電話料収入、これが四兆円ということなのですが、これに五%か一〇%か、新聞ではそういうふうになっていますけれども、そういう安易な税金のかけ方をすることに対して、郵政省は腹をくくってそういうことのないように、これはひとつこれから取り組んでもらいたいと思います。今の答弁でそういうことだろうと思って、この場では理解しておきます。  それから、電話利用の関係で私、いろいろ今からお尋ねするのですが、まず現在無料でやっておる――私、詳しく知りませんが、時報、天気予報、あれはお金を取るそうであります、後から聞いたのでありますけれども。一一〇審とか一〇四あるいは一一九だとか、これは無料なんですが、恐らくこのことは逓信委員会なんかで十分やられておると思いますけれども、やはり物価に関係のある立場で明確にそのことをお尋ねしておきますが、民営化されて、仮になったとして、この無料の問題は継続してもらいたいと思いますが、そのような考えいかに、こういうことでございます。
  172. 寺島角夫

    ○寺島説明員 お話がございました一一〇番、一一九番、あるいは番号案内、その他いわゆる特殊番号サービスと呼んでおりますけれども、幾つかのサービスをやっておりますが、現在そのうち、一一七、一七七というのは通話料をいただいておりますけれども、そのほかは無料で提供しております。こういうサービスにつきましては、経営形態変更後も引き続き提供していく、こういうふうに考えております。
  173. 浜西鉄雄

    浜西委員 私はそれでいってもらいたいと思いますが、そういたしますと、それに関連いたしまして、この事業法の三十一条を今ちょっと見たわけですが、まず料金の認可制、私は詳しくわかりませんので、認可制の料金の範囲といいますか、種類といいますか、これはどのぐらいあるのですか、ちょっと聞かせてください。
  174. 小山森也

    ○小山政府委員 料金認可になぜかけるかということをまず申し上げなければいけないのですけれども、実は、今度の新しい法案では、いろいろな新規参入者が出ることを歓迎している法律なんでございますけれども、第一種電気通信事業者はやはり許可制でございます。許可制ということは、完全な意味での市場価格が形成されないという欠点があるということでございます。それが許可制でなしに自由に事業に参画できるということになりますと、市場価格というのは健全な形で出てくるわけでございますけれども、そうでないということは、市場価格というものはそこである程度抑制されるということになります。そういたしますと、片方において、電気通信料金というものは、国民経済に非常に大きな影響を及ぼす公共料金であるというようなところから、利用者保護という観点から認可制というものをとらざるを得ないということで、認可というものを行政行為にかけて利用者保護ということでございます。  それでは、その中で郵政省令で定めるところによって除外するものがございます。それは具体的にどういうことかということになるのでございますけれども、私どもの考えでは、一つの基本的な料金以外のものである、したがって、利用頻度が余り多くないものとか、当該機の利用者の範囲が比較的限定されているものとか、あるいは付加料金であるとかオプション的な料金、そういったものは除外して、主な料金だけに省令でもって限定していきたい、こう思っております。
  175. 浜西鉄雄

    浜西委員 それでは、その料金を決める三十一条二項ですか「適正な原価」という表現があるわけですが、問題はわかりやすく言うと、原価主義を厳しくとると当然、採算コストの問題でこれは計算されなければならない、これは理屈からいってそうなるわけですが、そうすると問題は、現在私どもが素人で聞き及ぶところでは、一般の市内通話というものは赤字だ、中距離、遠距離の電話料金でそれを賄っておる、わかりやすく言えばそういう状態になっておることを聞いておるのです。  そうすると、適正な原価という方式でいく場合に、将来この市内料金の値上げということが頭に浮かんでくるんですが、公共性の問題、今小山さんはそういう意味合いのことを言われました。公共性という立場で物を考えると言われました。公共性というものが強く打ち出されれば、原価主義は排除されるべきだと思いますが、この点、料金の決定の仕方、もしくは、現在の料金そのものが必ずしも完全にトラフィックというか、そういう全体の流れというものが把握されていないというふうに私は聞いておるのですが、その辺についてひとつ詳しく尋ねておきたいと思うのです。  まず、原価主義でいくのか。公共性というものを十分加味して料金というものは、現在の料金体系から上げるようなことをしてはならぬ、そういった意味では、総括原価と申しますか、そういう方式は正しいと私は思いますが、その点について明確な答弁をひとつお願いします。
  176. 小山森也

    ○小山政府委員 この三十一条第二項第一号「料金が能率的な経営の下における」というのは、これは当然のことだろうと思います。非常に乱脈な経理のもとにおけるということにはどうしてもなり得ないと思います。それにおける適正な原価でございまして、これにつきましては、総括原価主義を否定するものではございません。
  177. 浜西鉄雄

    浜西委員 そういたしますと、私は実は逓信委員会にほとんど顔を出しておりませんので、詳しいことはわかりませんけれども、過ぐる逓信委員会の中で明らかにされたのは、まず新会社に移行して、そして事業の形態なども十分勘案をして、三年くらい先かに見直すという回答をされておるやに承っておりますが、その見直すというのは、私は料金のことだと受けとめておりますが、その見直すというのはどういう意味合いを持つのか、聞いて。おきたいと思います。
  178. 小山森也

    ○小山政府委員 見直し規定は料金だけを指しているわけではございませんで、事業法案で言いますと、二年でございます。  なぜ二年という年限をとったかと申しますと、今の通信に関します技術革新、非常なスピードで動いております。したがって法律というのは、一つは安定性を持っていなければ、権利義務の関係でございますので、非常に安定的な法律関係というものが大事でございますが、それと同時に、こういった技術的な問題を内包する法律は、その法律が固定的でありますと逆に、法律が現実を縛るというような現象が出てまいります。  そういった両者の調整をする時点として、三年というのを一つの見直しの時点としたわけでございまして、こういった法律は、毎年毎年見直しをしなければならないという現実もあると同時に、それでは法律としての安定性が欠けるというところで、三年で全体を見直すということにしたものでございます。
  179. 浜西鉄雄

    浜西委員 それでは、私は三年ということでこだわったわけではありませんが、それが何年先であっても、見直すということの中に料金を見直すということも含まれておる、今大体そういう意味のことですが、そうすると、料金は基本的には総括原価でいく、こういうふうにおっしゃる。ということは、現在我々の聞き及ぶところでは、市内通話料は赤字だ、しかしそれを総括的に、つまり現在でもその辺の赤字を黒字の遠距離通話でこなしておる、こういうことですから、そういった意味での総括原価でこれからもいく。  わかりやすく言えば、現行の料金の比重、ありようと申しますか、全体のあれが上がればそれはどうか知りませんが、とにかく市外も市内も今のような比率でこういう形を崩さない。わかりやすく言えば、市内は少し赤字でも利用者にこれ以上負担をかけるようなことはしない、こういう意味だというふうに受けとめておきますが、それでよろしゅうございますか。
  180. 小山森也

    ○小山政府委員 市内と市外の関係が今御指摘のような関係にあるということにつきましては、正確な資料はございませんけれども、大体の統計的な推定値として、そういうことを言っても間違いではなかろうという状態でございます。  ただ、私どもの総括原価主義と言っているのは、コストを全く離れた形でもよいというのではないわけでございまして、理論的な料金というのは大体どこにあるかということが、一つの疑問点ではございますけれども、いろいろな学者等の研究によりまして、一つの理論があります。理論というのは、やはりコストに基づいて料金が決められることが、それが一つの理想の形であるという一つの学説は確かにあります。  ところが料金というのは、現実に形成されているのは、理論どおりでありましたら、現実には全く向かない形のものが出てまいりまして、やはり私どもの生活実感、または古くからの料金というものになじんだ一つの習慣、それから我々の家計に占める支出の割合というものが、生活の中から見てとの部分がどのような形で妥当かというような、必ずしも原価イコール料金というのにはなっていないのが現状でございまして、また、それであることがよいかどうかという政策判断は、もう一つなければならないと思います。  したがいまして一つの論理としては、原価を償うというものが一つの論点としてありますけれども、現実の問題として今のような料金の体系が、我々の現実に利用する電気通信料金として存在し、それを継続していくということも、緩やかな形での改善というのは当然求められますけれども、急激な形での変化というものについては、いろいろ検討を要するものではないかと思っております。
  181. 浜西鉄雄

    浜西委員 どうも答弁の方が大変わかりにくい。説明が専門的というか、物特というところはすぐ金のことだけで、余り難しいことはやっておりませんで、なるべくわかりやすく明快にお答え願いたいと思いますが、この問題だけやっておると大変です。  さて、この問題を整理するについて、現在の日本の電信電話の関係の実態を把握というか、トラフィック、これをつかみ得ないということで、聞くところによるとATOMICSですかとかいう、それがキャッチできる機械と申しますか、そういうものをやがて設置をして、きちっとしたことをやって原価計算なりの基礎にするというふうに聞いておりますが、それはいつごろ、およそどのような形でやられるのか、これはちょっと興味がありますので、聞かしてください。
  182. 真藤恒

    真藤説明員 六十一年の秋の終わりごろからきちっとしたデータが出てくるようにということで、今工事を進めております。
  183. 浜西鉄雄

    浜西委員 ちょっと専門的なことをさらにお聞きします。  これを設置すると、どの回線がどういう利用で、時間帯も、料金計算も一遍にできる、とにかくそういうような優秀な機械だろうと思うのですが、そういうものなんですか。
  184. 草加英資

    ○草加説明員 大筋においてはそのとおりでございますが、当面市外回線、市外交換機に関するどの地域からどの地域に通話がどれだけの時間かかったというようなことをトラフィックデータとしてとるということでございまして、次にまた市内回線についても広げていく、このような進め方でデータをとる予定でございます。
  185. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうなると、すべての流れ、トラフィックを把握できるわけですから、恐らく私どもの想像では、完全に今から三年もすればディジタル網が完成をして、現在では考えられぬほどすべてそういうものがきちっと整理をされ、具体的になるほどこれがニューメディア時代だなと言われる時代が、二年か三年先に来ると思っておりますが、その段階で、そのことを基礎に料金計算など――料金計算というよりかコストの関係ですね、料金の原価を決めるについてやりやすくなると思うんですが、やはりそのころを見越して料金の見直しということをやっておられると思いますが、これと関連させてそういうふうに考えていいわけですか、受けとめて。
  186. 真藤恒

    真藤説明員 もちろん先生の今お話ございましたようなこともできますが、もともと装置を導入した主目的は、それよりももっと大きな目的がございますというか、それと似たような大きな目的がございまして、私どものネットワーク全体でどこに将来どういう投資をすべきか、あるいは現在の設備にどれだけの余力があるか、だから設備の基本的な計画の基礎をつくるということが、一番主たる目的でございます。  特に新規参入が入ってまいりまして、競争状態になりますと、現在自分の持っている設備がどこがどのくらい余力があり過ぎるのか、どこが足らないようになってくる傾向が出てくるかということを神経質に握っておきませんと、競争という場裏の中で、利用者に御迷惑をかけるような結果をしてかす危険が多分にございますので、導入した主目的はそうでございますが、今おっしゃいましたような料金の問題の解析にも、非常に有利な武器になるというものでございます。
  187. 浜西鉄雄

    浜西委員 そういった機械を入れて、正確に流れを把握するという目的は、多様的にいろいろ考えられるようでありますから、それはそれで受けとめておきますが、これは予算的に、新聞でこれもちらっと見ただけですけれども、専門的にはどういいますか、表現は設備費用と申しますか、いわゆるハードの部分、それが今度は十倍ぐらいにはね上がって、そういうものにこれから投資されるというふうに聞いておるんですが、何か目標的には絞って五つぐらいにというふうに聞いておりますが、これを簡単でいいですから、十倍ぐらいに設備費を今度十分準備をしてかかるということの簡単な、わかりやすい説明をお願いいたします。
  188. 岩下健

    岩下説明員 恐縮でございますが、今先生のお尋ねは、ATOMICSの設備投資の所要額についての予算措置ということでございましょうか。
  189. 浜西鉄雄

    浜西委員 いやいや、もうハード全体、設備全体、予算的にどう見ておるのか、その辺からちょっと……。
  190. 岩下健

    岩下説明員 現在の公社のネットワーク、これは端末器から市内回線、それから市外回線、市内交換機、それかう市外交換機と、これらのもので構成をされておるわけでございますけれども、このための設備投資の所要額といたしましては、五十九年度の場合には一兆七千億円でございます。  今後、INSの形成を目指しまして、具体的にはいわゆるディジタル交換機ないしは光ファイバーケーブルの敷設、これが一番の眼目になるわけでございますが、ここ数年来、設備投資の総額におきます狭い意味のINS形成のための投資額の割合が年々、絶対額も比率も増加しておりまして、例えば五十八年度の場合に、INS関係の経費が約三千億円に対しましては、五十九年度は三千八百億円になっております。  当初の総額のレベルといたしましては、今後当分の間、現在の一兆六千億ないし七千億程度の水準を維持することになるかと思いますけれども、その中で特に、このINSに直接かかわるものの比率も増加し、また絶対額も増加をしていく、こういう傾向になるように考えております。その場合に当然、新技術の開発、これのアプライということを年々実施をしてまいりますので、投資総額がいわば横並びといいますか、余り増加しないとしましても、その実質的な意味の設備の大きさといいますか、実力は年々増加をしていく、このように考えておるわけでございます。
  191. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、私の受けとめ方の違いですか、従来にない新電電に移行する、つまり、ハード部分を完備するために、一遍に十倍ぐらいの設備費を計上しておるというふうに何かで見たと思うんですが、そういうことはないわけですか、ちょっとその辺……。
  192. 岩下健

    岩下説明員 今回の経営形態の変更に伴って、設備費を特にそのために計上するということはございません。
  193. 浜西鉄雄

    浜西委員 そういうことなら、そのように受けとめておきます。  そこで、一つの事例で、私はこれは料金とは直接関係ありませんが、新しい時代の先取りの問題で、CATVの問題、これを聞いておきたいんです。  具体的に言った方がいいと思うんですが、私の選挙区というとおかしいんですが、地元の山口県でありますが、徳山というところで、ここにYNC、山口ニュースセンターという会社を、こしらえておるのか、今からこしらえるのか、名刺ではもう刷ってありますが、いろいろ相談を受けまして、有線テレビで新しい事態に即応して、いろいろ今から新会社をつくってサービス提供したいということで、問題になったのが、既設のテレビ会社、民放ですね、民間のテレビ会社の権益を侵すということで、なかなか簡単に話が進まない。  さあそこで、これから先の有線テレビ放送というものを、そういう事業者を育成をするという立場にあるはずであるが、一体電波法なのか何なのか、どこかでこれが、なかなか実行するには幾つかのハードルがあるというふうに受けとめるわけですから、この有線テレビ放送というものがこれから先解決しなければならぬその問題点を、ちょっと明らかにしてもらいたい。  一つは、電波法の関係で、既得権を侵すから、その調整がついてないからだめなのか、あるいは、これから先もその問題についても調整をつけて、そういう事業を始めようとする事業者に積極的に便宜を与えていく方針なのか、そういう方針の問題と、建設省が、線を引っぱるのに地下に埋めなければだめだ、こういうこと、これはまだその発表があって十日か二週間ぐらいではないかと思うんですが、これらの関係についても、そういう障害が幾つか横たわっておれば、口に言うほど有線テレビ放送というものが先へ進まないと私は思うんです。このことについて、現在わかっておる状況説明をしてもらいたいと思う。
  194. 徳田修造

    ○徳田政府委員 お答え申し上げます。  放送局の免許は先生承知のとおり、電波法の規定に従いまして免許されております。それから放送法がございまして、この法律に適合するような形で運用されておるわけでございます。それからCATVに関しましては、有線テレビジョン放送というのがございまして、この法律に基づいて許可がなされておるわけでございます。  ただいま御指摘ございましたようなCATV施設につきましては、まだ揺籃期のシステムでございまして、これから発展していくものではないかと思っております。したがいまして、この既存のテレビ並びに今後発展していくCATV、これらがともに国民の福祉に役立つように、かつ、それぞれのメディアの特質が十分生かされるような形で私ども指導育成をしてまいりたい、そのように考えておるところでございます。したがいまして、CATVの発展に必要な財政的な支援であるとか、あるいは技術基準等の策定等についても、いろいろと検討を進め、指導をいたしているところでございます。  それから、CATVの施設を設置する場合に建設省の方で地下埋設といいますか、そういうような問題が出たわけでございますが、建設省の方といたしましては、防災あるいは美観上の観点から、電線全体の地中化、地下埋設ということを御検討されておるわけでございます。その中にCATVも含まれるわけでございますけれども郵政省といたしましては、電線の地中化ということは長期的な視点で見ますと、必要なことであろうかと思うわけでございますけれども、現時点におきまして、単独でCATVだけを地中化するというようなことになりますと、CATV施設の建設費用が非常に高くなるわけでございます。その結果、新しく今伸びようとしておりますCATV産業のテークオフといいますか、発展が阻害されるということになるわけでございます。  そういうような観点に立ちまして、建設省と鋭意折衝を行ってまいりました。その結果、建設省の方では、CATVの地下埋設につきましては、地方公共団体に対しまして統一的な指導をするというようなことは取りやめにされる、そのように私ども伺っております。したがって、このCATV施設の地下埋設の問題は、現在すべて解決いたしておる、そのように考えております。  以上でございます。
  195. 浜西鉄雄

    浜西委員 それでは、総括的に最後の質問をして、やはり私は物特委員でありますから、ひとつ経企庁長官に最終的に基本的なお考えだけ回答してもらいたいと思います。  今さっきから電話料金を中心に私はいろいろただしたところですが、新会社になっても現状から大きく変わるようなことはないという回答をいただいて、私はそれでいいと思っております。要は、幾ら活力を入れる、競争原理の中で切磋琢磨していくといいながらも、基本的には公共性というもの、国民の人々がそのことを信頼をし、それによって育ってきた電電という会社でありますから、やはり料金というものは、慎重の上にも慎重にやっていかないと、物価に与える影響も大であると思うのです。  したがって、大変その点は矛盾した面を持ち合わせておると思いますけれども、公共性というものを十分加味した中で、通産省の立場からも、これは各省にも同じことが言えると思うが、今回特に新電電発足についても、そういう立場で十分な申し入れもし、チェックをし、協議を図ってもらいたいと思います。  と同時に、福祉電話の問題などは、直接電電会社がそれをどうこうするわけにはまいらないので、これはそれぞれの自治体がいろいろな便宜、補助、料金の免除といったことをやっておると思いますから、そういうものも新電電移行に伴って飛んでしまうことのないように、既得権と申しますか、現在まで国民皆さん方が安心をして比較的安い料金利用しておるこの料金について、特段な指導なり配慮をお願いしたいと思いますが、その点について基本的な考え方をお聞きして、時間ですから私の質問を終わりたいと思います。
  196. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 物価政策の立場から公共料金の取り扱いを申し上げますと、徹底した合理化をして、低い水準に料金あるいは負担を抑えるというのが基本の政策でございます。  電電が新しい経営形態に移りました場合には、ぜひともこの路線を外れないように、合理化を強力に進めていただいて、そうして利用者の負担が少なくなるように、低い水準に抑えられるように、そういう方向で成果が上がることを私ども期待をいたしております。
  197. 浜西鉄雄

    浜西委員 これで時間が来ましたので、終わります。
  198. 金子みつ

    ○金子委員長 次に、中川嘉美君。
  199. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 商工委員の立場から、電電三法と競争政策とをめぐって、若干の質問をさせていただきたいと思います。  公正取引委員会は昨年十月以来、情報化の進展が今後競争秩序にどのような影響を与えるか、こういうことについて、関係企業とかあるいは有識者からヒアリングをしたり、あるいは製造業、金融業、小売業、こういった業種などの百一社に対してアンケート調査を行われたそうでありますが、その結果各企業とも、情報化への対応というものが今後の企業戦略上重要な位置を占めているために、このデータ通信システムなどの拡充であるとかあるいは新設といったものを行っていきたい、このように答えているわけであります。  しかしながらそのためには、いろいろな問題が実はあるわけで、VAN規制の問題であるとか、あるいは回線の接続問題、回線料金の遠近格差の問題、それから異なった機種やシステムとの接続の困難性の問題、投資コストの増加の問題、機密保護とかあるいは犯罪対策などこういったセキュリティー対策の不備の問題等、これらの諸問題がいろいろと挙げられているようであります。  そこで公正取引委員会は、今回のこの調査を通じて、今後の情報化の進展が競争政策上どのような弊害を起こすおそれがあると判断されたかについて、まず伺っていきたいと思います。
  200. 厚谷襄児

    厚谷政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘になりましたように、公正取引委員会は先日来「情報化の進展が競争秩序に与える影響に関する調査」ということで、データ通信サービス利用者である各産業における競争秩序にどのような影響が生ずるか、あるいは競争政策上問題がないかどうかということを調査いたしたわけでございます。  近年、電気通信回線とコンピューターを結合いたしますデータ通信の利用というのが非常にふえてまいりまして、特に企業間のネットワークというものがふえておるわけでございます。これに対します競争政策上の影響ということで見ますと、一概には申せません。プラスの面もございますし、あるいはマイナスの面もあるというふうに考えるわけであります。  プラスの面というのは、申すまでもございませんが、同業種間の競争あるいは異業種間の競争というものを促進させる要因があるということでございます。しかし一方では、具体化しておりませんけれども、マイナスの面として弊害の可能性があるというふうに私どもは考えておりまして、それは、企業間の格差の拡大のおそれがあるのではないか、あるいは企業のグループ化、系列化の拡大強化のおそれがないか、あるいはネットワークシステム内の企業事業活動が制約されるおそれがないか、こういう点でございます。  これに対しましては私どもは、重要なことは、データ通信システムにおける競争促進的な効果を一層増大するとともに、そこにおける公正かつ自由な競争を維持することによって、競争阻害的な効果が出てこないようにするということが大事ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  201. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そういった弊害が極力出てこないようにという努力のお話があったわけですが、そこで、公正取引委員会に重ねてお尋ねをしたいわけですが、今審議をしている日本電信電話株式会社法案、それから電気通信事業法案、右二法の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、この三本があるわけで、これが施行された場合に、先ほど述べられた競争政策上の観点からの弊害に対しては、十分に配慮がなされていて、弊害が起こる心配はないと判断されているのか、あるいは、なお弊害が起こるおそれがあるとすれば、この三法に関してどのような点にあるのか、この辺をさらに伺っておきたいと思います。
  202. 厚谷襄児

    厚谷政府委員 ただいま答弁いたしたように、大事なことは、情報産業における公正かつ自由な競争を確保することであるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、ただいま御審議いただいております三つの法案を拝見いたしますと、その中におきましては、国内における電気通信事業につきまして、電電公社民営化と同時に、回線を有する第一種事業者の許可、あるいは回線を有しない第二種事業者の登録、届け出というような制度になってございますと、そこには電気通信分野において参入が可能になってまいるという点でございます。  そういたしますと、それは私どもの観点から申しますと、競争が導入されるということであり、その分野におきまして、効率的、合理的な発展が期待されるだろうというふうに私どもは考えております。それに伴いまして、先ほど申しましたネットワークの面においても、適正な進展が見られるだろうというふうに期待しておるわけでございます。したがいまして私どもとしましては、競争政策の立場から、今回の三つの法案につきましては、評価できるものと考えておるわけでございます。  ただ先生指摘のように、弊害が起きないようにするという努力は、なお今後におきましても必要なことでございますので、関係当局とも密接に連絡しながら、独占禁止法の適切な運用を図るということにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  203. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いろいろプラスの面も述べられておるが、プラスの面は今ここではいいとしても、そういったマイナス面、弊害とかいったことがありとするならば、現実に公取としてどういうふうに対処するのか、公取の立場として現段階で、そういったものを明らかにしていく必要があるのじゃないか、そういった努力をひとつここにおいて要望をしておきたいと思うわけです。  競争原理の導入について郵政省にお尋ねします。  データ通信システムが競争促進的な効果を上げるための一つの要素として、料金が安くならなければならないということがあると思います。特に我が国の料金体系は、遠近格差が外国に比べて非常に大きい。電電公社は、すでに五十六年夏の値下げで、それまで遠近格差が一対七十二であったものを一対六十にしておる。五十八年夏にも値下げをして、一対四十にしたわけです。しかし、それでもアメリカの一対二十二、フランスや西ドイツの一対十五と比べて格段の差があるわけであって、特に産業用として使っている専用回線の遠近格差は、一対七十のまま据え置かれている、こういう実情であるわけです。  こうした格差というものは今後、VANの利用そのものにおいて、公正自由な競争を促進する上で大きな問題になると思いますけれども郵政省はこの点をどのように考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  204. 小山森也

    ○小山政府委員 現在は比率が一対六十になっております。大したことではないのでございますけれども、一応申し上げておきます。これは、最長は二千五百キロという専用線独特の距離をもちまして最高のところとしている関係上、非常に大きくなっておるわけでございます。  それで、先生指摘のVANのようなサービス、これがこういったような専用線を借りてやっておると、かえっていろいろな点において妨害になるのではないか、阻害するのではないかということでございます。これはいろいろ料金の立て方の問題にもなってこようかと思いますけれども、私が申し上げるまでもなくVANというのは、第一種電気通信事業者から回線を借りまして、それにコンピューターをつけて付加価値通信をする業者でございますので、第一種電気通信事業者に支払われる回線使用料、これと、みずからが設置するコンピューターと、総体のコストを自分のお客さんから回収すればよいということでございます。  したがいまして自己のお客様も、非常に距離の短いお客様もあれば距離の長いお客様もある。それを全部合わせまして、一つ料金でお客様から料金を徴収するわけでございます。均一料金ということもできますし、遠近格差がほとんどない形の緩やかな格差の形のものもできるということでございまして、確かに今のような格差がなければそれにこしたことはないのでございますけれども、専用線の遠近格差があるからVANの業務に非常に支障を来すというようにはなかなか直結しないのではないかな、とも思っている次第でございます。
  205. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 料金問題についてさらに伺いますけれども、この法案によって、今後は第一種電気通信事業を行う者は、今までの公社が変身する日本電信電話株式会社と、民間の設立するところのいわゆる第二電電、この二本立てによって電気通信事業が行われるわけですが、この第二電電としては、もちろん採算のとれる分野、すなわち幹線分野などに参入してくることが十分考えられます。そうなると公社の方は、山間僻地といったような不採算部門を抱えているために、幹線部門の競争に応ずるために、山間僻地とか、あるいは近距離といった部門の料金値上げを余儀なくされる、これは十分考えられます。  この辺のことについては、もうすでに今日まで十分いろいろな議論がなされているところでありますけれども、公共性の強い公社事業の中には、競争原理になじむ分野となじまない分野が当然あるわけで、今後の料金設定について、公共性と競争原理ですね、これをどのように調和させるか、これが非常に重要な問題だと思います。  各委員からも同質の質問が既に行われたかと思います。しかし、商工委員の立場から改めて確認していきたいと思うわけですが、各方面の意見とかあるいは要望の中には、新電電料金というものは今後とも公共性というものを重視して、政策料金でいくべきではないか、そして第二電電の方はコストを重視した料金にしてもらいたいとか、いろいろな要望があったようですけれども郵政省は、公正競争、公平なサービスの維持、こういったことを踏まえて、これらの点に関してどのように考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  206. 小山森也

    ○小山政府委員 新電電でございますけれども、これはやはり今までの事業体、公社をそのまま引き継いで、公共性を持った形の特殊会社になるわけでございます。したがいまして当然、いろいろな責務を負っていることでございまして、そういった意味で料金というものについても、これは政策的な料金というのは、従来からの連続性から見てとらざるを得ないのではないかと思います。原価は当然、総括原価主義ということでございますし、それに、効用とか利用者の負担力、代替あるいは類似役務等の料金というようなところで、総合的な判断のもとに妥当な負担を求めることにせざるを得ないと思います。  それでは、新たな参入者であるいわゆる第二電電との料金の調整でございますが、これにつきましては、同じものを全く同じ形でということは、現実の問題として私ども存在しないのではないかというような気もいたしておりますけれども、それでは、その料金が新電電と第二電電と全く同じでなければならないというようには私ども考えておりません。それぞれの価格形成というものをそれぞれの経営者が考えた形でつくられてくるということでよいのではないかと思っております。  ただ問題は、そのことによって新電電が大きな損害を受けるというようなことはないようにしなければならない、というのは何かといいますと、新規参入者はどうしても市内網は新電電に頼らざるを得ないわけでございまして、そういったアクセスするときに、新電電が市外料金から市内料金に相当な補助をしているというようなことが明らかな場合は、やはり第二電電も同じような形で負担を負っていくというのは、公平の原則に反しないのではないかと思っております。
  207. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 電電公社が民営になるわけですから、採算性に重点が置かれるようになるために、採算性のために公共性というものが損なわれてはならない、またさらに、利用者料金値上げあるいはサービスの低下ということでしわ寄せが行われるようなことがあってはならない、これは当然だと思いますけれどもアメリカで起きているような料金の値上げ等を見ますと、さらに慎重に研究をしていく必要があるのではないか、このことをここでむしろ強く要望をしておきたいと思います。  競争政策に関連して、ネットワークシステムの技術の共同開発とか、あるいは標準化、こういった問題について伺っていきたいと思いますが、ネットワークシステムが真に競争促進効果を発揮するための条件、これは料金が安いということのほか、そのシステムによるサービスが多様であって、高い品質のものでなければならないと思います。従来、通信技術の開発というものは、電電公社が主体となって、それに民間が協力するような形でやってきたと思いますけれども、システムの構造の違うコンピューターですね、これの接続など標準化の問題に関しては、現在では電電公社のDCNAというシステムあるいはIBMのSNAですね、これがあるように、必ずしも接続が可能なものとはなっていないわけです。  今後は通信事業に民間も参加するわけで、この法案では、通信設備について郵政省令でその技術基準を定める、こういうことになっているんだと思いますが、この点については、アメリカあたりが強い関心を持って見ている、こういうわけで、この電気通信設備の技術基準を決めるところの審議会ですね、これにアメリカ委員を出したいんだということが報道されていたように思いますけれども、その実情についてここで御説明をしていただきたいと思います。
  208. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 電気通信分野における標準化の問題につきましては、郵政省は在来から二つの観点から、非常に重要な政策課題ととらえております。  一つは、電気通信というものがそもそも、不特定多数の方々の間の音声とか映像とか符号とか音響を伝えるあるいは受ける組織でありますので、標準化がなければスムーズな、円滑な疎通が行われないという観点からでございます。もう一点は、大量生産をする前提といたしまして、標準化が行われないとコストが下がりませんので、国民の方々に十分な便益が与えられないというこの二点でございます。  かかる観点に基づきまして郵政省といたしましては、従来から端末機器並びにネットワークに係る標準化につきまして検討をし、電気通信審議会にお諮りをした上で決定しております。一方では、ITUという国際の場における論議を踏まえ、国内的には、ユーザーの方あるいは事業体の方あるいはメーカーの方々等の意見を集約いたしまして、最終的に電気通信審議会にお諮りした上で、最近幾つかの標準化を図っております。  今先生がおっしゃいましたコンピューター関係につきましても、コンピューター・コミュニケーション・ネットワークに関する標準方式を五十五年に策定いたしまして、また、審議会の答申を得まして、ついことしの三月にまたこれを改定したところでもございます。  最後にお尋ねの、電気通信審議会への外国の委員の任命の件でございますけれども電気通信審議会につきましては、この委員が国家意思の形成に関与するという観点から、他の政府の審議会同様、審議会の委員にすることは認められておりません。このことは、人事院が出しました法令解釈上の通達からも、私ども各省一様に、審議会の委員としては参画することは認められないというふうに受けとめております。
  209. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いずれにしても、高い技術というものが開発されて、その技術によって標準化がされるということは最も望ましいわけですけれども、一方では、この標準化というのはある意味では、その時点での一番低いレベルの技術に合わすということになるわけで、基本的には、関係者が自由に競争しない限り技術は進んでいかない、こんなふうに思うわけです。したがって、標準化の問題あるいは共同開発ですね、こういったものの組織論というものは、慎重にやるべきだという専門家の意見もあるわけですけれども、この点について、郵政省並びに通産省ですね、どのようにやるのか、お答えをいただきたいと思います。
  210. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生指摘のとおり、標準化には若干の問題がございます。それは余り細かに標準化で先走って基準をつくってしまいますと、民間の創意工夫が発揮できませんので、かえって自由な民間の創意に基づく技術開発を阻害する面がございます。他方でまた、標準化を行いませんと、先ほど申し上げましたようなコストダウンを来さないというような問題がございます。  したがいまして要は、余り細部にわたって手足を縛らないで、かつまた、国民の皆様に利益が均てんするような程度の標準化ということで、その両者の兼ね合いが一番肝心だろうと思っております。したがいまして最終的には、その辺の兼ね合いを十分考えながら、電気通信審議会の御答申を得た上で、標準化の措置を講じているところでございます。
  211. 木下博生

    ○木下政府委員 御質問の点につきまして、通産省としての考え方を御説明申し上げたいと思います。  近時普及しつつあります情報関連機器は、今後の情報化の進展に伴いネットワーク化、システム化されるわけでございますが、そのようなことが進んでいく過程におきまして、私どもとしては、情報化社会を円滑に実現するために、ハードウエアそれからソフトウエアのさまざまなレベルでの相互運用性というのが必要だと考えております。  通産省としましては従来から、工業標準化法に基づく機器等の各種のレベルの標準化を進めてきております。それから、流通業界における手順の普及、J手順と言いますけれども、それの普及に代表されるようなビジネスプロトコル等もつくっておるわけでございます。  このようなネットワーク化を進める場合には、機器の標準化を進めるということが一つ大事かと思いますが、機器自身の標準化は進んでなくても、お互いのネットワークをソフトウエア等によって十分に確保するというような考え方がまた可能でございますので、標準化とともに、そのような別の種類の機器をつなぎ合わす技術開発、そういうもの全体を含めまして、全体として最も効率的な形で情報化を進めていく必要があるのではないかと私どもは考えておりまして、通産省としても、部内に研究会を設けまして、そのような形でのネットワーク化が最も効率的に進むベストミックスを見つけるべく、いろいろと研究しているところでございます。
  212. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 これはもう少し詰めたいところですけれども、ちょっと時間の関係がありますので、次の問題、郵政大臣に伺いたいと思いますけれども、高度情報化社会を実現していくために、行政とともに民間活力が最大限に発揮されるということが不可欠だと思います。特に第二種事業については、より一層民間活力とか創意工夫、こういったものが生かされる分野と考えるわけですけれども電気通信事業法案においては、特別第二種と一般第二種、この区分を初め、幾つかの重要な点が法律のこの運用にゆだねられている、こういうわけです。  法律の運用に当たってはこの点を最大限に配慮すべきである、これは考えますけれども、例えば特別と一般の区別について、逓信委員会郵政省答弁では、千二百ビット、五百回線、このようにするつもりであることを答弁しておられるわけですが、これはどのような根拠に基づくのかということ。現在中小VANの多くが、特別第二種に含まれてしまうのじゃないかということで、そうだとすると、特別第二種の厳しい規制というものが実質的に広がることとなる、競争参入制限ということになるのじゃないかと私は思うわけで、すなわち、民間活力を最大限に発揮させるためには、特別第二種の範囲というものは極力限定すべきであると考えますけれども、この点、大臣の御答弁をいただいておきたいと思います。
  213. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに新しい二種事業というのが、これからの電気通信事業の中で最も花形の分野であります。民間のきめの細かいサービスをここに期待していくということも、御指摘のとおりでございます。  ただ、今御指摘のように、特別第二種に対する制限、規制というものが厳しくなってはいけないと私も思います。ですから特別第二種は、全国ネット、そして不特定多数ということで、今御指摘のように千二百ビットですか、五百回線というような基準値があることも聞いておりますけれども、これはまだ通産省との間でお互いに、政省令の基準を決めるときに御相談を申し上げなければいかぬことでもございますし、この問題につきましては先生の御指摘どおり、これは決して門戸を制限するというものであってはいけないと思います。  ただ特別第二種は全国ネット、不特定多数で、やはりこれらの装置がダウンした場合のあらゆる形の影響、弊害という形の実害というものが非常に大きいという形、抽象的に言えばそういった形、影響のあるものを規定するわけでございますから、これらに関しましては技術的な面も含め、影響するところの方面も含め相談して、先生の御指摘の御趣旨に沿うような方向で処理されるものと思っております。
  214. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 事業の届け出とか登録、こういった重要事項は、届け出などを受理した郵政省が通産省に通知したり、それからまた業務改善命令などは、郵政、通産両省の法定協議事項となっているわけですね。また事業申請などの際に、郵政省と通産省の意見が合わないといった事態も、これは十分考えられるわけなんです。そうなれば、そのたびごとに民間参入業者にとっては混乱を招く。要するに、左を向いたり右を向いたりするおそれが出てくるわけですが、その点について、こういった事態が起こらないように私としては強く要望しておきたいと思うのですが、同時に、この責任ある答弁をここでしておいていただきたいと思います。
  215. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の言われるとおりに、VANのシステム自体は、こういった高度な通信技術とコンピューターの技術革新、こういった形のドッキングの形の中で生まれてくる新しいメディアの分野でございます。したがって今後、届け出に関してあるいは登録に関して、通産省との間でトラブルを起こすことはないと思います。  届け出の場合、ほとんど会社の所在地あるいは代表者、いわばそういった通信回線を利用して役務の販売を行うという形の営業所在、責任を明確にしてもらうという形ですから、全くこの届け出というのはフリーに近い形だと思っております。  登録にいたしましても、ある程度の基準をこれは先生指摘のように、明確にした上で決めることではございますけれども、特別第二種の場合というのは影響するところ大きい。したがって、企業の機密の保持、あるいは技術責任等々の明確な企業責任というものが付加されてくるわけですから、これらの面においても、新しい技術革新の分野をよく検討した上で、両省で相談してまいることでございますから、これにとってもいざこざはないと思います。  ただ問題点は、例えば企業の機密、個人のプライバシーという形の実存の影響が出た場合の業務の改善命令とか、あるいはそういった形の行政的な形の指導を発揮するときに、両省間での協議があろうと思います。しかしいずれにしても、そういったコンピューター、そして今言う電気通信分野とのドッキングした分野であるという事態を、明確にお互いに認識した上で相談し合うことでございますから、先生の言われるいわば企業の機密保持とかプライバシー保護とかいう観点にむしろ力点を置いた協議になろうかと思いますので、その点は両省相協調してまいりたいという基本姿勢で参ります。
  216. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 時間が来ました。最後にもう一点だけ、今度は通産大臣に伺いたいと思います。  今後ますます高度化、多様化する産業、社会ニーズにこたえて、活力とゆとりにあふれた高度情報化社会を構築していく上で最も重要なのは、インフラストラクチャーとしての通信ではなくて、その通信の上にいかにユーザーのニーズにこたえた形で情報を利用できるような情報処理システムの構築を促進するか、こういう問題だと考えます。  電気通信事業法という新たな枠組みを前提として通産省は、情報をユーザーの必要な形に処理加工して提供する情報処理サービス業、それからデータベース等の育成振興、あるいはユーザーニーズに合った情報関連機器の提供体制の確保、こういったものにどのように取り組んでいかれるおつもりか。また、産業分野全体に情報化の進展が大きな影響を及ぼしていくことを考えますと、広く産業全般を視野に入れた対応等を検討することが不可欠ではないか、このように思います。産業政策としてどう対応されるのか、情報大臣として、また産業大臣としての通産大臣のお考えを最後に伺って、質問を終えたいと思います。
  217. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 情報処理と通信の融合というものがますます進展しつつあることはいうまでもございません。しかし、情報化というものが産業の分野に非常に影響を及ばすものであると同時に、行政の各分野にもさまざまな影響を及ぼすものと思うのでございます。したがって通産省といたしましては、さまざまなニーズにこたえる一方、高度情報社会実現のために関係各省庁と十分和やかな協議をいたしまして、これを確立してまいりたいと考えております。
  218. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 終わります。     〔金子委員長退席、志賀委員長着席〕
  219. 志賀節

    志賀委員長 次に、吉井光照君。
  220. 吉井光照

    ○吉井委員 相当長時間にわたっておりますので、お疲れと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。私は、地方行政委員の立場から若干質問をするわけでございますが、重複する部分も相当あろうかと思いますが、その点ひとつお許しを願いたいと思います。  まず、行革関連についてお尋ねをするわけでございますが、今回の臨調答申に基づくところの行革のメーンテーマの一つは、三公社の改革である、このようにも言われております。臨調答申もこの三公社改革については、詳細かつ具体的な方向を打ち出しているわけでございますが、今回郵政省は臨調答申に基づいて、電電公社改組法案とそれから電気通信事業法案を提出されました。  さきに中曽根総理は、専売公社の改組法案についても、臨調答申との違いがある、このようにおっしゃっておりますが、この改革内容についても臨調答申との違いがあると思うのですが、この点はどうかという問題。例えば、臨調答申では電電公社を、基幹回線部分を運営する会社と、それから地方の電話サービス等を運営する複数の会社とに再編成するとしておるわけですが、今回の法案ではそのようになっておりません。このほかにも違う点があるようでございますが、違う理由とともにこの点について明らかにしていただきたいと思います。
  221. 小山森也

    ○小山政府委員 先生指摘のように、分割ということが臨調答申には出ておりますけれども、これを採用しなかったわけでございます。  これは現時点における電気通信のネットワークの問題ということで、やはり一体として運営されていくということのメリット、デメリットを考えまして、地域分割ということよりも、一体として会社にするということによりまして、今度は他の会社の参入によって競争原理を導入して、それで事実上一つの競争状態をつくり、電気通信の役務を、旧公社のよいところと競争原理の導入との両方をここでもって長所をとっていくということを考えるのがよい、このように考えまして、分割をとらなかったわけでございます。
  222. 吉井光照

    ○吉井委員 今回の改革は、電電公社民営化することによって経営効率化、それから活性化を図ることにある、このようにされているわけでございます。そこで、今回の改革によって、電電公社に比べて新しい日本電信電話株式会社がどのように効率化されるのか、六十年四月から二、三年の間の効率化のための計画案について、ひとつ概要を明らかにしていただきたいと思います。
  223. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  現在の制度での問題点、ポイントは二つになろうかと思いますが、公企体といういわゆる公社形態からくる問題と、それからいわゆる一元運営、つまり独占からくる問題があろうかと思います。  端的に言いますと、これによる問題は、まずお客様に対しましては、多様化したニーズにきめ細かくおこたえをするということが、独占状態では非常に難しいということ、あるいはまた、事業運営の立場から見ますと、公企体といういわば国の機関に準ずるという形で、予算統制あるいは給与総額制度といった諸規制があって、当事者能力が欠如しておるという点があろうかと思います。  さらに、これは私ども経営側のいわば責任でございますけれども、いわゆる親方日の丸意識といったようなものからどうしても脱却し切れない、こういったところが現在の公社形態並びに独占形態からくる問題点だというふうに認識をしております。  こういった諸問題は、今回の御審議いただいております改革の方向が実現しました場合に、基本的な解決が可能だろうと思いますし、ぜひまたそれを実のあるものにしたいというふうに考えておるわけでございます。  例えば、競争の原理が導入されることによりまして、私ども事業体の立場でも、今までいわば電電公社電話局にしかお客さんが来ることがなかったのが、下手をしますとよそのお店に行ってしまうという危機感がございます。そこから当然、サービスの開発なり、あるいはお客様の応対を初めとしたきめ細かなサービスについての意識改革も可能だろうと思っておりますし、また当事者能力の問題にしましても、自主性が与えられるというところから、例えば資金の運用あるいは業務範囲の拡大、こういったものについても、フルに経営としての持っている力も発揮できるのではなかろうかというふうに思っております。  と同時にまた、現在の公労法の体制から労働三法による労使関係の規律というふうに大きく基本的な基盤が変わってまいりまして、ここから私どもは職員の働く意欲といいますか、インセンティブというものに対する大きな期待を見ることができるように思います。  こういったものを通じて、先ほど指摘の臨調答申でも出ておりましたような、競争関係を通じての事業活性化、また効率化、さらには、これによって我が国の高度情報通信システム形成への寄与というものが可能だろうと思っておりますし、それは私どもの社会的な責務だというふうに考えておるわけでございます。
  224. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、公社の地方団体所有の土地の無償借り上げの件についてお尋ねをしたいと思います。  現在電電公社電話局それから無線中継所等の用地を地方団体から無償で借り上げている事例が全国的に見て相当あると思います。これらの無償借り上げ用地は一体どのくらいあるのか、またそれに関係しておる関係地方団体数はどのくらいあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  225. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  五十八年度末におきます数字でございますが、四十四件でございまして、自治体数で申しまして四十二団体でございます。
  226. 吉井光照

    ○吉井委員 その分地方団体に負担させていることになるわけですが、これを適正な価格で借り上げるとすれば、その金額はどのくらいになりますか。
  227. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  現在四十四件につきまして、買収あるいは借り上げということで計画を立てておるわけでございますけれども、買収予定が十五件で四百六十万円、借り上げ予定が二十九件で年額三百五十万円というふうに推定しております。
  228. 吉井光照

    ○吉井委員 このような無償借り上げですか、これは公社が本来負担すべき経費を地方団体に負担させているものですね。地方財政再建促進特別措置法の第二十四条第二項の規定によって、これは禁止されているわけです。自治省としても毎年、その是正を郵政省に求めているわけですが、現在までにどのようにこれが整理されてきたのか、お尋ねをしたいと思います。
  229. 小山森也

    ○小山政府委員 御指摘のとおりに、自治省からそのような要請がありまして、省といたしましては、従来から返還または有償の借り上げ等々の措置を講じてくるように公社の方に伝えまして、当該する地方公共団体に話し合いをするようにということを申し入れているわけでございます。  なお、公社におきましても非常に努力をしていただきまして、かなり減ってきているわけでございますが、年々の減った状況につきまして、ちょっと私、手元に数字がございませんので、公社御当局からちょっと御説明願えればと思います。
  230. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  郵政省からの御指導につきましては、今小山局長の申し上げたとおりでございまして、五十八年の七月に五十七件ございまして、それで五十九年の三月に先ほど申し上げましたような四十四件に減っております。  それで、その後の借り上げ並びに買い取りという措置につきましては、五十九年度中に全部完了するというふうな考えております。
  231. 吉井光照

    ○吉井委員 電電公社は六十年四月からは民営化されるわけですが、民間会社が地方団体の公有地を無償で借り上げる、あるいは低廉な価格で借りるということは考えられないことですね。六十年四月までにこれらの無償借り上げは完全に解消すべきだと思うけれども、今も御答弁をいただきましたが、そのように解釈してよろしいですか。
  232. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 そのようにお考えいただいて結構でございます。
  233. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、道路占用料についてお尋ねをしたいと思います。  電電公社と地方団体との関係につきましては、用地の無償借り上げのほか納付金問題があります。また、道路占用料の問題があります。電電公社が地方団体の管理する道路に設置している公衆電話ボックス、それから電話柱、地下ケーブル、マンホール、こうしたものについては、その道路占用料が現在まで全く徴収ができないで、地方団体はこれをかねてから問題にし、また自治省も毎年その是正を問題にしているわけですが、我が公明党もこの問題につきまして、予算要求で毎年取り上げているわけですが、これがどうして納付できないのか、お尋ねをしたいと思います。
  234. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 道路占用料の問題につきましては、各道路管理者の所管になるわけでございまして、国道につきましては建設省がお決めになり、その他の地方公共団体の管理いたします道路につきましては、建設省の行政指導によってその道路占用料の問題が定められているわけでありますが、電電公社事業につきましては、これまでの問題でございますけれども、国に準ずる機関でございますし、公共性の高い事業であるということで、建設省において、国道につきまして無料とするということを方針として定められておられまして、また、その方針に準ずるようにという行政指導が、各地方の公共団体になされているということでございます。それによって、これまでの電電公社の状態におきましては、無料ということで道路を使用させていただいているという状況にございます。
  235. 吉井光照

    ○吉井委員 現在、電力会社の電柱やそれからガス会社のガス導管等については、これは道路法第三十五条、三十九条ですか、この施行令、また地方団体の条例、そうしたものによって占用料が徴収をされております。これによれば、大都市地域で電柱一本について年千四百円、それからケーブルについては一メートルについて年百円、このように言われておりますが、現在の施行令の占用料金額で仮に電電公社が地方団体に占用料を納付したとするならば、どのくらいの金額になるのですか。
  236. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  現在どのように負担をさせるべきかということは、建設省において御検討になっているというふうに伺っておりますけれども、今先生がおっしゃいましたような既存のもの、既存のものというのは、電気、ガスあるいは水道等というようなものと照らし合わせて電電公社のものを計算するとどうかというふうなことで計算してみますと、おおよそ三百億円程度ではなかろうかというふうに推定をしております。  ただ、これは実際の算定方法が算定の何といいますか、事務技術みたいなものがございまして、そういう中で少しく変動することがあるかもしれませんけれども、おおよそその程度というふうに判断しております。
  237. 吉井光照

    ○吉井委員 算定のいろいろな方法等もあると思いますけれども、恐らく三百億はやはり倍近く上回るのではないか、このようにも思うわけでございますが、もしこの道路占用料が入っておれば、例えば本年の春に各地方団体で一斉に引き上げが図られたところの各種の手数料、それから使用料、保育料、授業料、いろいろございますが、地方財政計画によれば七・四%の増、いわゆる六百十四億増の引き上げが、極端に言えば不要であったかもしれない。またあるいは、住民税の減税がさらにできたのかもしれない。このような占用料は電力、ガス会社とのバランスからいっても、六十年四月以降は当然にやはり全額が納付されるべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  238. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 来年四月以降民営化ということになれば、当然定められたとおりのものを全額納付するということになると思います。
  239. 吉井光照

    ○吉井委員 その点ひとつよろしくお願いしたいわけでございますが、無償借り上げの完全解消やまた道路占用料の全額徴収ができないということになりますと、第二電電とのバランスから見てもこれはどうしてもおかしいことになるわけです。  今回の改革は、電気通信分野に競争原理を導入して、そして民間企業、すなわち第二電電の新規参入を促すことによって、電気通信の高度化、活性化を企図しているものでありまして、その結果として、多様なサービス利用者提供することをねらいとしているわけでございます。  しかしながら、新会社にこのような特典の継続を認めることは当然、公正な競争原理の導入の改革の基礎に反しますし、また、第二電電の各社にも同じ特典を認めざるを得なくなるわけでございますので、ひとつこの点については、先ほど答弁ございましたように、発足当時からきちっと行っていただくようにお願いしたいと思います。  最後に、大臣にその決意をお伺いしておきたいと思うのですが、現在の電電公社は、その創設の昭和二十七年以前には国営であった公衆電気通信事業を引き継いだもので、沿革的には公共性が認められていると思うわけでございます。しかし、六十年四月からは全く性格を一変するものでございまして、用地の無償借り上げも納付金道路占用料も民間会社として対処していかざるを得なくなっているのでございまして、現在と同じような取り扱いが仮に激変緩和という形であっても存在することは、許されることではないと思います。  契約は契約、そして税金税金、使用料は使用料としてきちんと整理することが一国の財政秩序、また社会秩序の形成という観点から見ても必要かつ重要であると思います。そうでないと、その分の地方団体の負担が結局は住民にはね返ってくる、こういう結果にならざるを得ないわけでございまして、この点を十分考慮していただいて今まで述べてきた点に対処していただきたい、このように思うわけでございますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  240. 奥田敬和

    奥田国務大臣 民営化後の新電電は引き続き、公共的な使命達成の役務を行うわけでございますけれども、しかし、今御指摘のような道路の占用料あるいは用地借り上げ等々に関しましては、民営化されれば当然有償が原則でございますし、そういった形では、適正な基準算定を目下関係省庁で詰めておる段階でございますので、そういった形の中では当然、有償として自治体にお支払いすることになろうと思います。  なお、一部経過措置として、機器の方に対してのそういった暫定的な措置は図られておりますけれども、これもあくまでも例外的な経過措置でございまして、新規投資に関しては、新規参入の業者と全くイコールフッティングの形でそういった有料の原則でやるという基本姿勢を貫いてまいります。
  241. 吉井光照

    ○吉井委員 終わります。
  242. 志賀節

    志賀委員長 次に、岡田正勝君。
  243. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まず自治省の方からお尋ねをさせていただきたいと思います。私は、地方行政委員会委員としての立場からお尋ねをしてまいります。  第一番目は、これまでの公社形態のもとにおける市町村納付金制度のもとにおきましては、固定資産として課税されるすべての固定資産については、その価額の二分の一を算定標準額とする特例措置が講じられておりました。今回の制度改正によりまして、償却資産のみ、それも基幹的なものに限定する、こういうことに相なっておりますが、その基幹的なものに限定をした理由というのは一体何でありましょうか。
  244. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 今般、日本電信電話公社が民営形態に改められることに伴いまして、ただいま御指摘のような特例措置を講ずることにしたわけでございますけれども、仰せのように現在は、市町村納付金につきましては、土地、家屋、償却資産すべて二分の一にする、こういう特例措置が講じられておるところでございます。  こういった措置は、公社の持つ公共的な性格などにかんがみ設けられておったところでございますけれども、ただ課税額を、市町村の方、地方団体の方からは、税負担の公平の見地から二分の一を廃止して全額にすべきである、こういうことが強く要望されておったところでございます。  今回の公社制度の改革に伴う地方税制の改正に当たりましては、こういった経緯も踏まえまして、新たに発足することになります日本電信電話株式会社に対する固定資産税負担につきましては、固定資産税というものが資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在いたします受益関係、こういうものに着目して課税されるわけでございますので、新会社が所有する固定資産もこの点において、他の株式会社が所有する固定資産と何ら異なることがないということ、それから公社制度の改革は、新しくこういった事業分野に競争原理を導入する、これによって経営効率化活性化を図ろうとするものでございます。そのためには、固定資産税税負担についても、ほかの株式会社と同様に考えなければならないということなどの基本的な考えに立ちまして、新たに発足する会社に対しては、原則として全額課税をすることにしておるわけでございます。  ただ、今回の改正案におきましては、こういった経営形態の変更に伴って負担が急増いたします。その急増を緩和するための経過措置として、すべての資産ではなくて、そのうちの償却資産の中でも、電気通信機械施設及び電気通信線路施設、これに属する一定の基幹的な設備だけに限ってこの施設を承継した後五年間に限りまして、価格の二分の一の額とすることにしておるところでございまして、まさに負担の激変を緩和するという観点から、そういったものに絞って経過的な特例措置を講ずる、こういうことにしたのでございます。
  245. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今御説明のありました基幹的な部分に限ってということの大まかな意味はわかったのでありますが、それでは、その基幹的な部分というのは一体どういう部分なのでございますか。
  246. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 基幹的な部分に関する具体的な中身はどうかということでございますが、特例措置の対象になりますところの基幹的な設備、これは政令で定めるものということに相なっておりますけれども、現在、これは日本電信電話公社が所有をしております償却資産のうち、まず電気通信機械施設に属するものといたしましては、電信機械設備、無線電信機械設備、市内電話機械設備、市外電話機械設備、それから伝送無線機械設備、こういったものを対象といたします。また、電気通信線路施設に属するものといたしましては、市外線路設備の全部、それから市内線路設備のうちの電話局相互間のもの、それから電話局と配線盤、末端にいく途中の段階でございますが、この配線盤との間のものとこれらの線路設備に係る土木設備等、こういったものが予定されておるところでございまして、基幹的なものというのは末端の部分を除いたもの、こういう意味に御理解をいただきたいと存じます。
  247. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私がちょっと不思議でかなわぬのは、例えば先ほどもちょっとお話が出ましたが、電気事業あるいはガス事業を初めといたしまして十種類が償却資産につきまして、最初の五年間は三分の一、その後の五年間は三分の二を算定標準額とするという特例措置がとられておりますね。そのほか、特例措置がとられておる項目を全部拾ってみますと、全部で三十三業種にわたっておりますね。なかなか大変な広がりでありますが、新電電の場合、償却資産のうち基幹的なもの、しかも承継後五年間のみ二分の一の特例を認める、新規投資については特例措置は適用しない、こういうことになっておりますが、はなはだしく差を感じるのですね。そういうことにいたしました理由は一体何でございますか。
  248. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 ほかの事業との対比で例をお挙げになられましたが、特に比較する場合に、代表的なものは恐らく電気、ガス事業でございましょう。特に電気事業は比較の場合、最も典型的だと思いますけれども、例えば電気事業につきましては御承知のように、国民の日常生活を維持する上での絶対に必要不可欠なものだというぐあいに考えられるわけでございます。これに対して、今まで日本電信電話公社が行ってこられましたところの電話といったようなものを比較いたしますと、これも今日国民に広く使われておるという点はそのとおりでございますけれども、ただ、生活の効率化とか利便化といったような面を図るという点で、そういった違いはあるものと考えておるわけでございます。  また、電気事業における対象になっております送電施設あるいは変電施設といったものは、もっぱら当該公益事業のためにのみ使われるものでございますけれども、新しい電信電話株式会社電気通信設備は、本来の電話サービスのほかに、これからの成長産業でございます付加価値通信網に関する事業その他ニューメディア産業にも併用されることになり、相当な収益を上げることも可能でございます。また、国民生活の間に広く普及をしております通常の電話につきましては、既に公社の手によって今日までに、必要な設備投資は完了しておるというぐあいに考えられるわけでございます。  したがいまして、承継をいたしたものにつきまして、今後五年については激変緩和という意味で特例措置を設けてきたわけでございます。今まで投資してまいりましたものについては、納付金の二分の一特例によって、課税側から言えばそれなりの軽減が図られてきた、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  今後の日本電信電話株式会社の新規投資というものは、主としてこういった成長性の高い新しいサービスのために行われるものと考えられますので、こういった投資につきまして本来、固定資産税の特例を設ける理由はないと考えるのでございます。  電話サービスを維持するために、今後も既存の設備の更新投資というのはございましょうけれども、更新投資は、電気事業の場合にも対象にはしていないわけでございます。そういったような関連から、対象にはしないということが言えようかと思うのでございます。そういった点を御理解を賜りたいと存じます。
  249. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今の説明、大変よくわかるのですが、一つだけ不思議に思いますのは、電気というのはどうしてもなければいかぬ、国民生活に不可欠である、ガスもそのとおりである、したがってこういう措置をとっておるのである。この電信電話というやつは、まあ国民生活にとって不可欠というのではなくて、あれば利便が図れる、利便の上で非常に貴重な存在である。こういうところで区別をしているような今の御説明でしたが、今は電話なんというのは、もう国民生活にとっては必要不可欠のものであると私は思っております。  あなたの方は、自治省の方は、電話というのは国民生活にとって不可欠なものとは思っていないということに言葉を返したらなるのでございましょうか、大変重要な問題ですが……。
  250. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 今日私どもがいろいろ生活の上で使っておりますさまざまなサービスであるとか資源の提供と申しますか、そういったものが、国民生活の中でどの程度に不可欠であるか、大変難しい問題でございますが、これは社会経済の進展とともに中身としては変わってくるものではなかろうかと考えております。  電話という設備は、今から三十年、四十年前には、まさに特定の人たちだけの利便施設であったかと考えられますが、今日では仰せのように、国民のほとんどが電話利用しておるわけでございます。そういう意味では私どもも、電話そのものが実質的に考えて、今日の国民生活にとって必要不可欠なものと言えないという断定をするほどの考え方はございません。  ただ、先ほども御説明申し上げましたように、通常の電話はもう既に全国自動化が完成をいたしまして、世界でも最も便利な電話利用できる通になっているわけでございますが、こういった通常の電話につきましては、もう既に設備投資は終わっている。もしこの上に新規の電話設備の投資が、仮に電話に限って申し上げましても行われるといたしますれば、それは今の電話をもっと高度に便利にするための設備投資は行われるかもしれません。そこになりますと、これは必要不可欠のものとはちょっと言いにくいのじゃなかろうかと考えるわけでございます。そういう意味から、先ほど説明申し上げましたような特例措置に限定をするということにしたわけでございます。御理解を賜りたいと存じます。
  251. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ちょっとしつこいようで恐縮でありますが、国会の中でも一部では、電報業務というのが大変な重荷になって、赤字を生み出す一つの要因になっておる、電話がこれほど普及発達したのであるからして、電報はもう廃止したらどうだという勇ましい議論も出てくるような今日でございますね。そういうときに、電話というものは私は、国民生活にとっては必要不可欠なものである、利便性だけで論じられるようなものではないと考えておりますので、さらにまた地方行政委員会において時間を与えられたら、質問を申し上げたいと思っております。  次の問題にいかせていただきますが、この新電電のほかに恐らくや、第二電電、第三電電と称するようなものが続々と生まれてくると思いますね。少なくとも第二、第三まではできる可能性はもう今から報じられておるわけでありますが、これは新電電と同じ特例措置をおとりになるつもりであるかどうか、お答えください。
  252. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先ほど来お答え申し上げておる中からも御理解いただけると思いますけれども、今回の民営化に伴いまして新しい会社が所有することになる、今まで日本電信電話公社が持っておりました一定の基幹的な償却資産、これを承継したものについては、五年間の固定資産税について課税標準を二分の一の額とする特例措置を経過的に講ずることにしたわけでございます。これはあくまでも承継分、今まで行いました設備投資のみを対象にしたわけで、その意味が激変を緩和するということにあることは、先ほど答弁申し上げたとおりでございます。  したがいまして、日本電信電話株式会社が今後新しく取得する償却資産については、何ら特例措置が講じられないわけでございます。また、昭和六十六年度以降におきましては、電信電話公社の出資に係るものも含めまして、全額固定資産税課税されるということになるわけでございます。  したがいまして、このように今回の特例措置はまさにこの新会社に対して経過的に講じられたものでございますから、御指摘のような新規参入、第二電電あるいは第三電電と言われるようなものにつきましてもこういった特例措置を講じる考えというのは持っていないところでございます。
  253. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 特例措置を講ずる意思は持っていないということははっきりいたしましたが、さてそこで、競争原理ということから考えますと、今のお答えにありましたように、新電電の承継する償却資産というものにつきましては今まで長い年数かかって、言うならばほとんど償却してしまったに等しいような今までの優遇を受けておるわけでありまして、さらにこれが五年間というふうにこの特例措置を講じられることを考えた場合、第二電電、第三電電にいたしましても、償却資産の基幹的なものについては、少なくとも同様の措置を講ずることがフェアではないんでしょうか、いかがですか。
  254. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 お考えはいろいろあろうかと思いますが、私どもは現在までに行われました設備投資、これはほとんどが通常の電話サービスと言われるものでございましょうが、これにつきましては、そういった設備投資そのものはほとんど終わっておる、償却はまだ終わっていないということでございますので、そういったものにつきまして、税負担の激変緩和という観点から行ったわけでございます。  したがって、新規投資については、これから第二電電あるいは第三電電等と競争場裏におきましてお互いに経営効率化を競い、利便性の向上を互いに切磋琢磨する、そういう中での税負担につきましてはむしろ、両者ともにそういった新しい分野における競争ということになるわけでございますから、それなりの普通の株式会社と同じような御負担をいただくということが、今後の自由競争の原理を確保する見地からもむしろ必要ではないのかな、こういうぐあいに考えておるところでございます。
  255. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはまた地行の委員会のときにさらに詳しく質問を申し上げたいと思います。そのときの参考のためにいま一度念を押しておきたいと思いますが、電気事業あるいはガス事業、そういうものに比べましてひどい格差、激変緩和の措置だと称しながら、私から言わせたら随分これはきついことをするなというような特例措置でございますが、いわゆる電気事業あるいはガス事業に比べて新電電の方が公共性が低いからということなのですか、そこのところをもう一遍明確にしておいてください。
  256. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 電気事業につきましては先ほども申し上げましたように、送電施設あるいは変電施設、こういったものについての特例を認めておるわけでございますが、これも新規のものに限っての話でございまして、更新はもとより認めていないところでございます。こういった電気施設につきましては結局、電力の供給というものをどうやって確保し、ふやしていくかという基本的な性格は、昔も今もやはり変わっていないものであって、それは国民生活の最も基盤的な部分だというぐあいに私どもは考えておるわけでございます。  そして、電話サービスにつきましては、確かに今日、通常の電話網というものは、これは国民生活の上では実質的に考えてみて、これがなければ困るというところまで来ておると思います。ただ、これから行われていきますものは、先ほど申し上げたように、やはり新しい分野の、より利便性を追求し、より効率性を追求する、新しい生産性の高いものに転換をしていく、発展をしていく、そういう観点からの差であるというぐあいに御理解を賜りたいと存じます。
  257. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 また地行の委員会で別に質問させていただきます。  次の問題でありますが、今回の制度改正に伴う固定資産税の増収の効果は、一体どの程度でありましょうか。またそれに関連いたしまして、現在の納付金の総額は幾らであるか。今度新電電に変わった場合の固定資産税は、この特例措置をちゃんと加味して一体幾らぐらいになるのであろうか。その総額で結構です。
  258. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 新しい会社に対して課税されることとなります固定資産税額は、これは一定の仮定でございまして、耐用年数等が決まりませんと、正確な計算はできないわけでございますが、五十八年度に納付しました市町村納付金、これの算定の基礎になりました五十七年三月三十一日現在の資産をもとに試算をいたしますと、初年度におきましては、特例措置による減分を差し引きまして九百億円と見込まれます。  また、公社が昭和五十八年度に納付いたしました市町村納付金の額は五百八十一億円でございます。この部分が相対的になくなる、こういうことでございます。
  259. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これも質問が出ておったんじゃないかと思いますが、新年度予算を組みますときに、減税問題でいろいろとやりとりをしておりましたが、これは大蔵省にお尋ねすべきことだと思いますが、電話利用税を取ろうではないかということが一時随分大きく宣伝をされました。また、驚いたことに昨日の新聞にも出てまいりました。そういう点、国民というのは大変神経過敏になっております。  本年度予算におきましても、減税をしていただいたかと思えば、片や、減税を一千億円上回る増税のしっぺ返しというようなことで、本当に国民不満やる方ないのでありますが、これは本当にやる気があるんですかね。大蔵省と自治省、自治省はこれは取れば大きな財源でありますから、これも食指の動くところでありましょうから、大蔵と自治と両方からお答えをいただきたいと思います。
  260. 小川是

    小川説明員 ただいま御指摘の問題につきましては、現在具体的に検討を行っているという状況にはございません。いずれにいたしましても、今後の具体的な税制のあり方につきましては、税制調査会にお諮りして検討をしていただくべきものだと考えております。
  261. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 基本的には、大蔵省の方からお答えになったと同じことでございます。  電話利用税あるいは電話税というようなものが、かつて減税の際に、昭和五十七年でございましたか、議論の対象になったということはございます。また、電話利用につきましていろいろ利用の実態が、所得水準その他と密接な相関関係もあるということも事実でございますので、そういったものに税負担をかけるかどうかということについては、一つの理由はあろうかと思います。  ただ基本的には、国民の租税負担というのを一体どうするのかという政府の方針の関係もございます。あるいは、こういったものを対象にするならば、類似の情報伝達メディアとのバランスを一体どう考えるのかといったような問題もございます。基本的には、政府税制調査会等の御審議をまってそういった結論を出すということじゃないかと考えます。  ただ、こういった税が仮に具体的な検討の机上に上るということになれば、これは私どもの立場から言えば、その普遍性から申しまして、地方税としてはふさわしいもの、望ましいものだということは、十分に意識しておるところでございます。
  262. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ただいま具体的には取ろうなんという検討はしていないというのは、大蔵も自治も一緒でしたが、意識はしているということがありましたね。意識をしているんですから、取るとすればおよそこのくらいは取れるぞという大体の胸算用というのはあるんでしょう。取るということをおっしゃるんじゃないでしょう。取ろうとするならばこのくらいはあるぞという、取らぬタヌキの皮算用というのがあるわけでしょう。それをちょっとここで吐いてみていただけませんか。
  263. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先ほどお答え申し上げたとおり、こういったものをどうするかということは、基本的には大きな問題で、税制調査会の御意見も伺わなければなりません。まだそういったことを申し上げるという段階でもございませんし、具体的にどうするかというような考えは持っていないところでございます。
  264. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 わかりました。  最後の質問に相なりますが、郵政大臣、恐縮でございますが、今度は新電電という株式会社ができるわけでありまして、これは国会の承認が要るんでしょうけれども、当然議案の中にもありますように株式を発行する。そういう新株発行の規模、いわゆる一株の額面、それから発行総株数、そういうものがどのくらいになるんだろうか。  聞きますところでは、今新電電に移行される資産というのは、約十兆円くらいになるんじゃないか。それから年収四兆円、一日黙っておっても百億円ずつの現ナマがぼろっと転げ込む巨大会社でございますから、どのくらいの株式が発行されるのかということは大変興味の深いところでありますが、大体の胸算用というものはあるんでございますか。  時間がありませんので、一緒にお尋ねをしておきますが、もしあるとすれば、その基準は一体どこに置いて総額をお決めになるつもりでありますか。
  265. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御質問に適切に答えるためには、私よりも担当の政府委員の方がいいと思います。そちらの方から答えさせます。  なお、こういった資産規模も含めて詳細に出資額を決めていくという段階は、設立委員段階の手で決めていただくことになっております。一株の額面等々今検討されておる段階の問題も相当ございますから、かわって答弁させていただきます。
  266. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま大臣申し上げましたように、これは制度上は、設立委員において決めるものでございまして、現時点においては申し上げるというわけにはまいらないわけでございます。  ただ、大体の推定値を申し上げますと、昭和五十九年度末の電電公社の予定貸借対照表の自己資本総額が、まだ粗い計算でございますけれども、約五兆円ということが推定されます。これに対しまして退職手当は、現在法律によって担保されていますが、民営化によってその担保がなくなりますので、一般反間会社の例に倣いまして引当金を計上する必要があります。これも粗い計算でございますけれども、一兆六千億円くらいではないか。それから実はそのほかに、二兆五千億円の設備負担金がございます。これはその性格上、加入者の負担によって行われたものですから、資本金として入れるのは適切でないというのが一つの説でございます。そうしますと、これは資本準備金にするということになりますと、大体九千億から一兆円前後の一応の計算は出てまいります。  ただしかし、これは一応の計算でもってなるということでございまして、あくまでもこれは、内内の計算だとこういう計算方法があるということでございまして、正式に決めるというのは、全く私どもでは決められないということをひとつ念頭に入れて御理解いただきたいと存じます。
  267. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。終わります。
  268. 志賀節

    志賀委員長 次に、小沢和秋君。
  269. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 最初郵政大臣に一言、基本的な点についてお尋ねをしたいと思うのです。  なぜ電電民営化をし、いわゆる新規の参入を認めて競争をさせるのかということです。我が党は、情報技術が高度化をしていくことは当然のことだと思いますし、国民生活に大きな影響が及んでくることは重要なことだと思っております。そうであればなおさら、今の公社のような経営形態こそが公共性を保障していくために必要ではないかと私、考えるわけです。一番基本的な点ですから、今まで何遍も議論したと思いますけれども、もう一遍お尋ねしておきたいと思います。
  270. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに御指摘のように、公社形態による一元体制の中で随分立派な使命を達成していただいたと思っております。全国あまねくネットを張ったわけでございますし、しかも私たちが今まで目標にしていたすぐつく電話という形も、実用化段階の中ではもう完全にそれが実現いたしました。そしてまた、どこからでもかけられるという形で、全国の自動化と申しますか、即時通話という形も可能になってまいりました。こういったことは御指摘のように、一元体制公社制度であったがゆえに今日、世界にも誇れる通信の先進国としての体系を整えたものだと思っております。  ところが、今日の技術革新というのが、全く日進月歩と申しますか、本当にここ数十年の電気通信技術の発達というのは、コンピューターの技術革新と相まちまして、大変新しい利用方法が現実に技術的に可能になってきたわけでございます。したがって、電話を中心にした電気通信事業からこれからは、いろいろなメディアの利用によって、きめの細かい多彩なサービス国民利用していただこうという形になってきたわけでございます。  では、こういう時代になって果たして今日のような一元体制で、このままできめの細かいサービス国民に還元できるだろうかという形になりますと、この際一応、大きな使命達成を終えた電電公社民営化される会社によって、従来と違った意味の企業当事者能力を発揮していただいて、企業効率化の中で活力をさらに生み出していただいて、そして民間の新規参入を含めて多彩な競争の展開の中で、結局最後は何かと言えば、国民に良質の安い料金として還元していただくという形で、今日の民営化法案を提出した次第でございます。
  271. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 もう二音大臣にお尋ねしたいと思うのです。  今大臣は、電話中心からいろいろなメディアを駆使した多彩なサービス国民に行っていくためだということを言われたわけですが、その場合の国民ですね、これは確かに一般国民も、ホームバンキングだとかホームショッピングだとかいろいろ利用できるんだというようなことが言われておりますけれども、今だれよりもこういうようなことを望んでおるのは企業ではないかと思うのです。大量の各種の情報を高速に、しかも即時に遠隔地に安く届けるということは、企業が必要としている需要じゃないんでしょうか。
  272. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに側面から見れば、この二種事業を含めて新しいメディアを最も有効に即時戦力化していくという形の利用者は、やはり企業が中心になると思います。その点においては確かに、先生の御指摘のとおりであろうと思います。しかし、そのことがひいては経済活力をも起こし、国の経済全体の活性化につながっていくということになれば、産業の活性化をもたらす過程において当然、メリットは一般国民にも還元されてくるであろう。また、いろいろな細かい利用の仕方については、今すぐこれが大衆化して、すぐ電話と同じようなメディアが全部にひとしくあまねく享受されるという形には、先生の御指摘のように、多少の時間的経過が必要であろうかと思っております。
  273. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今大臣企業、それも大きな企業が特にそういう要求を強く持っておるということは、お認めになったと思うのです。  そこで、新しい電電がそういうような要求にこたえるためにつくられるんだとすれば、私はそのために相当に思い切った投資をしなければ、その要求にこたえることができないんじゃないかと思うのです。今電電はいわゆるINSという課題を抱えておりますし、ことし一兆七千百億という投資計画を持っているということは私、承知しているのですが、もっと長期の展望に立って、この民営化を契機にして、どういうふうにその投資を飛躍させてこういうような要求にこたえようとしているのか、その辺の構想があるんじゃないかと思うのですが、それを御説明願いたいと思います。
  274. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ことしの電電公社の新しい技術革新の時代に対応して投資していくという金は、御指摘どおり一兆七千億程度だと思います。しかし、これはことしに限ったことではありませんし、ここ十数年来、新しい技術革新に対応して、はっきり言うと高度情報社会、これは別名で言えばディジタルのサービスネットの形成だと思います。そういったいわば通信の基幹的なサービスの形成というものについては、これまでも着々と整備をいたしてきたところでございます。  その附帯的な効果として、全国の即時自動化なりいろいろな形での実用化も生まれてきておるわけでございますので、今日の体質において直ちに競争という形を導入しても、今までの公共的な基盤サービスの分野は侵されることはない。そういった形での新しい時代に対応した全国のディジタルネット網の形成に向かって今日、着々と進んできておる。  ただしこのことが、基盤的な整備はできたけれども、これからのいざ運用段階ということになれば、民営化された活力のある経営形態によって行う方が、より大きなサービスを還元できるであろうという方針で、この法案を提出したということでございます。
  275. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今までの公共サービスは維持しながらというふうにおっしゃいましたけれども、しかし、さっき申し上げたような期待が新電電にかかっているとすれば、どうも民営化を契機にして投資計画などを再検討して、INSの投資などをこの機会にうんと伸ばしていこうということが、当然考えられるんじゃないかと思うのです。だから、その点とういうお考えかと言ってお尋ねしているわけです。
  276. 奥田敬和

    奥田国務大臣 細かい具体的な計画は、公社自体からまた説明させていただくことにして、今先生の言われておるINS社会の形成ということは、公社が将来、基幹的な電気通信を担当していく形でどうしても対応しなければいかぬということで、着々と年次的に整備してきた中長期的な計画に基づいておることでございまして、この法案によってさらに新しい投資的な形で、今言いましたような特別二種事業に貢献できるためにまた絶大な負担というものが新たに加わるということではないと理解をいたしております。
  277. 真藤恒

    真藤説明員 現在の高度情報通信網に対する要求の動きを見ておりますと、当分の間、現在の程度の投資能力を持っておれば、そういう世の中の新しい要求にたえるだけの設備は十分にできるというふうに考えております。もっともある時期になりますと、あるいは爆発的に要求が出てくるかもしれません。そうなれば結構でございますが、そのときはまたそのときで考えればいいのですが、そういう時代が来るのは、ここ四、五年先あるいは五、六年先、それ以上先かもしれません。
  278. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の御説明によると、今の規模からそう急に大きくなることはないというお話だったように思います。しかし財界は一方で、この高度情報化によって、自分たちがさらに新たな競争力を持つようになるということに大きな期待をつないでいると同時に、そういう投資がここで集中的に行われてくるということが、今全体として成長産業を持たなくなってきているというふうに言われている中で、数少ないそういう成長分野だということで、この分野が非常に大きな期待をされているという点からも、これが促進されざるを得ないんじゃないかというふうに私は感ずるわけです。その点については一応、そういうことを私は考えるということを申し上げるだけにして、先に進みたいと思います。  そうすると、今お話があった程度の規模で、そんなに急に投資の規模が大きくはなっていかないということならば、例えばその投資の財源を確保するために、電話料の値上げをするとかいうような形で、国民に負担がはね返ってくるというようなことはないというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  279. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今度の民営化法案の一番大きな目標というのは、決してINS社会が目標ではないのであって、結局、競争原理を導入することによって、国民により質のよい、安い料金サービスで還元できるという形がこの法案の目指すところでございます。したがって、今回の法案を成案化いたしますれば、新電電も新しい競争原理の中で安い料金料金値下げという形で必ず国民利用者に報いてくれるということを確信いたしております。
  280. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、今の答弁では当面、電話料の値上げは考えていないというふうに私は理解をしました。ただ、当面というふうに私も言ったのは、長期的に見ると、今の投資の財源ということも一つはありますし、さらに第二電電などの動きが、きょうあたりの新聞でも、東京-大阪間がさらにもう一歩具体化の方向に進んだような感じも持つわけです。そうすると、これはよく議論されているようですが、東京-大阪間が一番需要も多いということで、この地域は相当に安くしても引き合うというので、そこだけをやろうという業者は思い切った低料金を提示することができる。  そうすると、競争するために、新電電の方も下げざるを得ないという問題も起こってきやせぬかと思うのですね。そうすると、これは東京-大阪間が今問題になっていますけれども、第二電電のケースでいけるということになったら、ほかの大都市間などについても、そういうようなものがずっと広がってきたりして、結局長期的に見ると、今は電電公社が大変経営の状態がよいというふうに言われていますけれども、一番よいところが次々にそうやって食われていってしまうというようなことになれば、これはさすがの新電電といえども経営が非常に苦しいような状況になってきやせぬか。  そういうことになれば、今言いましたように対抗上、その部分は下げたということでも、全国一律の基準に基づいたサービスというのが崩れていくとも思いますけれども、さらに、今言ったような状況になってくれば、今度は値上げということも考えなければならぬというような問題も私は危惧として感ずるわけですね。こういう展望についてはどうお考えでしょうか。
  281. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに第二電電、第三電電の構想は巷間、いろいろ動きがあることは事実でございます。しかし、第一種事業に参画するということは、先生も御指摘のように、そう簡単なものではございません。相当な技術、そして資金、それを動かす人材等々考えますと、この一種事業にはそれぞれ、通信の機密なりあるいはそういった公共性も付加されますから、一定の法的な制約もございます。したがって、そう雨後のタケノコというような続々出てくるという形にはならない、限られた競争者という形の出現は期待できます。  しかしそのときになれば、新会社はやはりどうしても最初は、事業の採算性を主として乗り込んでくる民間参入の企業でございますから、一部効率的な区間参入を図ってくるだろうと推測されます。そういう形になれば、また新しい利用者を開拓すると同時に、料金も現在の料金体系より相当思い切ったサービス料金で臨んでくるだろうということも予測されます。  しかし、一次的にそういった形で対応していくわけですが、結局、新電電民営化されても、市内のネットという形になりますと、第二電電、第三電電といえども、やはり新電電との協調体制で、アクセスといいますか、接続の面についてもそういった形になります。したがって、料金は確かに安くなります。安くなっても、競争と同時に協調の体制もやはり必要であろうということで、適正な料金サービスをする形の中から結局、企業の自衛的な立場においても、私はそんなにむちゃな料金設定ということは、この面においてはそんなに行われないだろうと思います。  しかし、結果的にそういった競争原理が働いて、安いサービスということで還元はされてくるわけですが、先ほども申しましたけれども、このINS社会形成を目指して基幹整備をやってきたという形の中で、電電の目指すところは、遠近の格差が全くゼロということは言いませんけれども、限りなくそれに近い目標を立てて、今日のネット網を形成しているわけでございますし、そのことによって、料金的な格差が一部だけに偏って、東京と大阪間の恩恵だけが極端にサービス利用されて、ほかの地域の人たちが極端に不利益をこうむるということは、私はないと思っておりますし、また電電当局も、そういった形はしないでやっていけるという形の再三にわたっての言明も、技術的な確信度から言っておることでございますので、私はそういった形の大きなハンディキャップ、地域によっての大きな格差は生じないものと認識をいたしております。
  282. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、若干質問の角度を変えますけれども、臨調の第三次答申の中で、いずれ料金の値上げに至らざるを得ないという危惧を表明して、これを抑えるためにと言って、幾つかの具体的な改善をこの点についてやるべきだというような指摘があるのです。  それはもうよく御存じだと思いますけれども、「経費増大の原因の一つは人件費であり、設備の近代化、電話の自動即時化にかかわらず要員が縮減されていないこと言って、いわば要員の削減を要求していると思います。それから「労使関係についても、勤務時間が民間の大企業に比較しても短い」というふうに言って、これは労働時間をもっと延ばすべきだという指摘だと思いますね。それから「労使の協約、慣行の中に合理化を進めにくくしている面もある」ということで、これは労働協約などが合理化の障害になっているというような指摘だと思うのですね。  働く人たちに要員の削減やあるいは労働時間の延長とか、こういう相当な厳しいしわ寄せをせよ、それでないと値上げは避けられないぞ、こういうふうな答申が出ているわけですけれども、これについてはどうお考えでしょうか。私どもはこういうことはすべきでない、絶対反対なんですけれども、どういうふうにお考えでしょう。
  283. 奥田敬和

    奥田国務大臣 やはり今御指摘になった答申方向答申方向なりの一つの卓見でもあろうかと思っております。それについて別に批判はいたす気持ちはありません。  しかし公社は、今日の公社経営の中で、数次にわたって値下げも断行してまいりました。そして料金体系も、技術の革新と相まって、そういった通話料のサービスという形を国民に還元してまいったことは事実でございます。しかしながら、ただこのままの状態が続いていって、果たして官営の体制の中で今後もこういった基調が続け得るだろうかという一つの疑問点を提起されたものだと思っております。今、人の問題も提起されましたけれども、そういった形のままで、果たして今後も技術革新のみで引き続き大きな料金体系の値下げという形が実行できるだろうかということについての一つの提言であるように思っております。  私たちもそのとおりだと思います。このままでは恐らくはっきり言って、サービス、つまり料金値下げという形で国民に、利用者に還元していくことは無理ではなかろうか。  しからばどうするかということになれば、新しい当事者能力を発揮していただいて、例えばデータサービスの部門とか、あるいは新規投資のある程度の制限はついておりますけれども、投資もある程度自由になりますし、そうなれば、労使間の活力というものがそういった事業の面にも生かされてきて、いろいろな部門、分野の中で、現在の体制、人員がもっと効率的な形で、しかもその結果、電気通信の主管事業に関してはむしろスリムな形の中で、そういった料金体系というもののさらに合理化が図れるのではなかろうかということを期待しておるわけでございます。
  284. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いろいろ大臣が言われるので、端的なところをお尋ねしたいのですけれども、人減らしを進めていかなければならない、そうじゃないと、早晩値上げに追い込まれるという認識をやっぱりお持ちのように聞こえたけれども、そうかどうか、もう一遍端的にお答えください。
  285. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いや、人減らしというのではなくて、現在の電電経営の形態が官営のままでいく形において、果たして責任のある経営体制が維持されるだろうか、それが効率的な形になるだろうかということに疑問を呈したわけでございます。人減らしというよりも、人の新しい分野での活用と申しますか、人材の活用、そういった形の中で当事者能力を付与したのも、そこに原因があるわけでございます。
  286. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これは真藤総裁にお尋ねをした方がいいかと思うのですけれども、二月十五日の読売新聞に、これはごらんになっていると思いますが、「電電公社が九万人削減案」というのを大きく発表しております。これを読みますと、保守部門を主に十五年がかりで九万人の削減を達成するという計画であって、これが実現した場合人件費の節約により、現行の料金水準のままで高度情報通信システム、いわゆるINSの基盤形成ができるというふうに述べられているわけです。  ここには既に関係方面にこの案を配ったということまで書いてあるのですけれども、そうすると今の大臣お話は、必ずしも減らすというのじゃない、ほかの部門などを新たに開発させたりして、そちらの方に人を配置転換したりするというふうに私には聞こえたのですが、電電の方としてはこういうことをお考えなのでしょうか。
  287. 真藤恒

    真藤説明員 私はその記事のことはよく存じませんが、私どもは決してそういう考え方でこの問題を基本的に取り扱っておりません。今度の法案は、今大臣のおっしゃったようなことができるようになる法案でございまして、したがって、生首を切るというようなことで事業というものが、成り立つものじゃない……(小沢(和)委員「これにも生首を切るとは書いてないのですよ」と呼ぶ)ですから、そういうふうに人を減らすのには、職員が今よりもよりいい環境に入っていくような段取りをつけて減らしていくことができるような法体系にしていただかなければ、そういうことはできませんので、現在の公社の制度のままではそれは一切できないことになっておりますから、そこのところを御了解いただきたいと思います。
  288. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 大臣、もう一遍お尋ねをしておきますけれども、今働く人々への影響ということを私、伺っておりますから、この問題の締めくくりという意味でも、大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  一部に、民営化をすれば労働者はスト権を回復する、それから当局側は、民間会社になるから当事者能力を持つ、そこで賃上げなども大変スムーズに話し合いができて、これから非常によくなるというふうな話もあるようですけれども、私はやはり長期的に見ると、決してそう単純には言えない。今も話が出た合理化というような課題にも公社は取り組んでいくということでしょうし、民間会社としてのそれなりの厳しい現実に直面をしていくということになるのじゃないかと思うのです。  一部では、民営化をするということが非常によいというバラ色の話もあるのですけれども、働く人たちへの影響という点で、大臣はどうお考えかということをもう一遍お尋ねしておきます。
  289. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は、民営化された新電電が、相当な資産力、相当な技術、相当な人材規模、日本における最大の企業ということでございますけれども経営そのものは、そんなに楽観した形でやっていったら大変なことになると思います。民営化されて簡単にバラ色の夢を描けるということになれば、それはまさに幻であると思います。  むしろ民営化されたことによって、経営者も責任を明確にする、経営体制に責任を持つ、と同時に働く人たちも、自分たちの技術研さんなり事業効率化によって、その恩恵というものを当然受け取るという、基本的に厳しい姿勢に立ってやっていかなければ、私は大きく誤ることになるのじゃなかろうかと思います。またそういうことがないように、労使双方が自主的に賃金においてであれ職場環境においてであれ、真剣な中で切磋琢磨して、何もストライキという切磋琢磨の仕方ではなくて、いい意味の切磋琢磨によって企業合理化にお互いに協力するならば、私は新電電の前途はまさに、バラ色という形容は別として、内容として非常に堅実さを誇る日本の一番の企業に成長する可能性は、十分秘めておるということだと思っております。
  290. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここで今度は、通産関係に質問を切りかえたいと思うのですが、多くの研究報告に私、目を通してみたのですが、いわゆる情報化への対応によって、新たな企業格差が生まれてくるのではないかということが予測をされております。特に大企業は、その大部分がもう既にコンピューターなどを駆使して、企業内の合理化についてはかなり取り組んできた経験を持っている。それを基礎にして今度は、企業間のデータ通信などに手を広げてくるということで、そこから新たな競争力を身につけつつあるわけですけれども、しかし中小企業はそういう対応ができておらない。  だから大企業と中小企業の間では、この情報に対する対応をめぐってまた新たな格差が生まれ、中小企業は困難に立たされるのではないかということが言われているわけですが、この点、大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。
  291. 石井賢吾

    ○石井政府委員 先生指摘のように、コンピューターの導入及びそのオンライン化という形で情報化に対応する中小企業の状態を見ますと、大企業では、約七三%が既にコンピューターの導入を終えておりますが、中小企業の場合には、まだ二〇%程度でございまして、そのおくれは大きいものというふうに考えております。同時に、コンピューターを入れました企業が、それをオンラインによって活用しているということを見てみますと、大企業の場合には、コンピューター導入企業の五〇%がオンラインによってこの活用を図っておりますが、中小企業の場合には、まだ八%ということで非常に低い。そういう意味におきまして、情報化への取り組み、その生産面あるいは経営管理面への導入、そしゃくといった面での開きは大きいものというふうに思っております。
  292. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここに五十八年度の経済企画庁の委託調査報告で、流通産業研究所からことしの三月に出されました「情報システムの高度化と流通機構の変化に関するアンケート調査結果」というものがあります。この中に、その情報化の進展が各小売業態にとってプラスかマイナスかということについて、有識者に対してアンケート調査を行った集計が載せられております。  これを見ますと、一九九〇年に各小売業態のシェアはどう変化するかという設問に対しまして、中小小売店については、シェアはやや減少という答えが五七・二%、大幅減少というのが二六・六%、合わせますと九三・八%の人までがとにかく、程度に差はあれシェアが減少するという考え方を示しております。私はこの中小小売店は、この情報化の中でも最も厳しい状況に置かれるところの一つではないかと思うのですが、そうすると、特別にこれに対する対策をとる必要があるのではないか、どのようにとっておられるかということをお尋ねします。
  293. 石井賢吾

    ○石井政府委員 御指摘のように小売商の場合、POSでございますが、販売時点情報管理、こういった経営管理の導入、この経営管理手法の導入というのは、非常に大きな役割を果たすわけでございますが、このPOS一つとりましても、大企業の導入率が約二〇%ぐらいでございます、小売商の場合。ところが中小企業、中小小売商の場合でございますと一・六%と、大幅な立ちおくれでございます。これはもちろん、経営規模によってその導入のメリット、デメリットというものを判断しなければいけませんが、いずれにいたしましても、非常なおくれであることは間違いなかろうと思っております。  私ども、五十九年度の予算におきまして、情報化の進展が中小小売商に及ぼす影響いかんという問題が第一、第二が中小小売商におけるPOS等新たな情報技術の導入及び活用の可能性、この二点につきまして現在、調査を実施しておるところでございますが、この調査結果を踏まえて現在、例えば中小企業に関しましてはOAシステムセンター、これは中小企業事業団に設けてございますが、そういったものによってその導入の促進を図っておりますけれども、さらに調査結果を勘案いたしまして、今後の施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
  294. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 五十八年度の中小企業白書を見ますと、特に下請企業、これは製造業の三分の二を占めているわけですけれども、この下請企業も非常に厳しい状態に立たされている。特に情報化がどういう影響を与えたかというと、納期の短縮あるいは小ロット化、それから仕様変更の頻発といったような影響が顕著に出ているということが指摘をされております。  特に「納期指定の推移」というのは、ここに載っておりますが、これは本当に厳しいですね。最近、これは何年間になりますか、ちょっと何年間かはよくわかりませんけれども、ここ数年の間に、今まで日単位であったものが時間単位になり、週単位であったものが日単位になりというふうに変化が生まれて、特に「時間単位の納期指定、いわゆる「ジャスト・イン・タイム」方式の浸透がめざましい。」というふうに書いてある。つまり必要なときに持ってこい、こういうわけですね。  だからこういうような形で実際には、いわゆる情報化というのが親企業の都合に合わせて、下請企業は寝る間もなく働かなければならぬといったような大変な事態を引き起こしておる。こういうような下請企業の実態についても、これは真剣な対策が必要になっているのじゃないかというように思いますが、これについてはどうでしょうか。
  295. 石井賢吾

    ○石井政府委員 下請企業のオンライン化といいますか、親企業とのオンラインによる結合というのは、全体といたしまして、まだ七%程度ということと承知しておりますが、さらに三割強の下請企業がオンライン化の計画を持っております。これらを考えますと、単に親企業だけの都合ではなくて、いわば下請企業経営の合理化あるいは高度化という観点から望ましいものであるというふうに考えて、下請企業がこれに対応しているのだろうと思うわけでございます。  端的に言えば、需要ロットが小口化し、かつ、市場価値といいますものが非常に短サイクル化している、こういった時代に対応するためには、そういった情報をできるだけ早くこなし、それに対応する体制をとるということは、今後の下請企業の生きる一つの道であろうかと思います。  ただ御指摘のように、いろいろ下請企業と親企業との間でオンラインによる新たな結合あるいは紐帯というものができました場合に、下請企業にどういう影響が出てくるか。確かに情報化で光だけではない影の部分もあろうかと思います。そういった部分につきまして、十分ウォッチすることが必要でございますが、いずれにいたしましても、オンライン化というものの比率がまだ低うございますので、現在、下請企業でオンライン化を行っております企業のケーススタディーを行っております。その動機及びその経営管理に及ぼす影響等につきまして調査しておりますが、こういったことによりまして把握されました結果を踏まえて今後、下請取引の適正化についても十分配意していかなければいかぬというふうに思っております。
  296. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 中小企業vANというのがありますね。これは中小企業に対して、こういう情報面でサービスをしておるものだというふうに聞いたので、私も期待をして、どんな中身のものかということについて若干、調べてみたのですけれども、やっている企業というのは、大企業の子会社などが大部分のようですね。そうして、やっている内容というのも大きな会社、例えば花王石鹸とか久保田鉄工とかあるいは例のヤマト運輸、クロネコヤマトとか、こういうような大企業のその取引先とのデータの伝送などのシステムが大部分のようですね。  だからそういう意味では、これは本当に中小企業間土のこういう情報交換をどんどん進めていくためのものというよりは、いわゆる大企業との間で取引を円滑に進めていくための仕組みという内容のもの、そして今後、こういうVANへの進出が自由化をされた暁にもっと大規模にやっていこうということで、いわば実験的にこういうような取り組みをやっているというような性格が強いものではないだろうか。だから、これも手放しで、これはいい、成果が上がっているというふうに評価できないのじゃないかというふうに思いますけれども、この点についてどうお考えかということをひとつお尋ねしたいのです。  それから、時間が来たようですから最後に、今私が質問をしたことに関連するわけですけれども、大企業がこの情報化を通じて下請企業などに対して優越的な地位に立って、さっき申し上げたような、下請が一層ひどい状態になるというようなことにならないように、公正取引委員会などとも連係をとりながら、一層その点について指導を強めていただきたいと思うけれども、その点どうか。  それから、中小小売店についても、非常な苦境に立たされるということをみんなが予感しているということを、さっきも申しましたけれども、日本の流通の中で非常に大きなウエートを持っているこの中小小売業を、あくまで守っていくという点についての大臣の決意もこの機会に改めてお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  297. 小山森也

    ○小山政府委員 中小企業VANは今、四十九システムが動いておりまして、その内容は、五〇%以上が中小企業を含むシステムを中小企業VANと言っております。  確かに御指摘のように、多くのヤマトシステムというようなところにいろいろな形の下請業者がつながっているというのは、多うございますけれども、ただ、これが進んでまいりますと、このシステム同士がつながるということになりまして、中小企業者同士がまたさらにそのVANを通じまして、大きなネットワークに参入していくということができるわけでございまして、中小企業VANというものがイコール、下請の一つの集団をそこで構成するというものではないのではないかと思っております。
  298. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 中小企業経営効率化、合理化に資すると思うからこそ、通産省といたしましては、中小企業の例えばコンピューター化等を支援してまいったところでございます。しかし、そのような高度情報化社会を実現することによって、大企業と中小企業との間の格差が生ずるということになりますれば、これはこれとして重大なことでございますので、今後そのようなことが生じないように、適時適切に指導してまいる所存でございます。
  299. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、終わります。
  300. 志賀節

    志賀委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  明十八日午前九時三十分より逓信委員会大蔵委員会社会労働委員会連合審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時一分散会      ――――◇―――――