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1984-07-12 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十二日(木曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    左藤  恵君       佐藤 守良君    額賀福志郎君       野中 広務君    渡辺 紘三君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       中村 正男君    松前  仰君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       中井  洽君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      小山 森也君         労働大臣官房審         議官      平賀 俊行君  委員外出席者         防衛庁長官官房         法制調査官   古川 定昭君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    牧野  力君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   岩下  健君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     児島 光雄君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十二日  辞任         補欠選任   長谷川四郎君     榎本 和平君 同日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     長谷川四郎君     ――――――――――――― 七月十一日  日本電信電話公社制度改革に関する請願外一件  (市川雄一紹介)(第七六六三号)  同(伊藤忠治紹介)(第七七一五号)  同(草野威紹介)(第七七一六号)  日本電信電話公社制度等改革に関する請願(井  上一成紹介)(第七七一七号)  同(伊藤忠治紹介)(第七七一八号)  同(渡部行雄紹介)(第七七一九号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二  号)  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第八〇号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。
  3. 中村正男

    中村正男委員 おはようございます。質問に入ります前に、実は先日七月二日でございますが、我が党日本社会党が初めて石橋委員長以下国会議員が多数そろいまして、電電公社武蔵野研究所にお邪魔をいたしました。大変有意義な勉強をさしていただいたわけでございますが、改めて真藤総裁以下幹部方々に厚くお礼を申し上げる次第でございます。  若干感じた点、ちょっと申し上げてみたいのですが、武蔵野通研では、いわゆる通信基礎技術といいますか、光伝送方式あるいはディジタル交換、LSI、こういった基礎的な問題について詳しく説明を受けました。ほとんどの連中が余りわかってないと思ったのですけれども、しかし言えることは、我々が想像している以上にこの通信技術基礎技術が非常に進歩発展しているということでございます。これはやはり国民の福祉あるいは人間性の解放といいますか、そういうところにぜひ使われていかなければいけないんじゃないかなということを痛感をしたわけでございます。  三鷹電電ビルの方にも行きまして、ここではINSモデルサービスについて勉強をしたわけですが、数々の新しいメディアが開発をされ、それが実用化段階に入っております。  ただ、あれだけのものを見あるいは聞きまして、こういったものが果たしてこれから企業INSとしてあるいは家庭INSとして順調にといいますか、発展をしていけるだろうか、そういったことに対する期待どおりニーズが生まれてくるのか、そういう面ではいささか危惧を持ったわけでございます。そういう技術の進歩が先行して、ニーズの方がまだまだ生まれてない、これをこれからどうつくり出していくのか、私はその辺が大きな課題だと思ったのです。  大変公社幹部方々武蔵野通研さらには三鷹電電ビルで熱心な御説明をしていただいたのですが、若干これは私個人の見方かもわかりませんが、三鷹電電ビルINSサービス説明については、利用者に直結するサービスですから、もう少しソフトなわかりやすい説明ができないものかな。私、民間出身でございますから、民間レベルのこういったニューメディア技術なりあるいは今の段階、まだまだ公社レベルには達しません。達しませんけれども、曲がりなりにも利用者に直結しているという面では、その辺にもっともっと工夫が凝らされている。公社の場合は、かなりそういう面ではまだかたいな、率直なところ。これでは新しい家庭INSというものが果たしてニーズとしてどんどん生まれてくるのかな、そんな感じがいたしました。余計なことですけれども、一言申し上げておきたいと存じます。  さて、七月の六日に各方面から公述人出席をしていただきまして、公聴会が行われたわけでございますが、それなりに私は意義があったというふうに受けとめております。そこで当日、小山局長も御出席でございましたので、とりわけ東大教授稲葉先生の御意見、私、大変感銘を受けたのですけれども、このお話をお聞きになってどういう感想をお持ちになったのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  4. 小山森也

    小山政府委員 ちょっと全体を覚えてないのでございますけれども、これからの社会に対する一つ見通しを識見高くお述べいただいて、さすが東大教授という立場からの将来の見通し、御立派な意見だと思っておりまして、私ども非常にこれからの参考として貴重に聞かしていただいた次第でございます。
  5. 中村正男

    中村正男委員 平凡なお答えをいただいたのですが、私は大変幾つか示唆に富んだ指摘があったというふうに受けとめております。特に、情報化の進展が急速に進んでいく、しかし同時に、これは人類にとってさまざまな影響、とりわけマイナス面が多分に出てくるのではないかという指摘がございました。さらに大切なことは、通信というものがいわゆるシビルミニマムといいますか、社会の最低的な条件として確保されなければいけないということ、そのことに対して今日まで公社が非常に努力をして果たしてきた役割というのは、改めて評価をしなければならないし、そのことをこれから先の情報化社会の中でもきちっと位置づけをしていかなければいけない、こんなふうに私は受け取ったわけでございます。  さらに、情報高度化競争という形でどんどん進んでいった場合、今日までは社会の中での格差というのは、物が中心で貧富の差といいますか、そういうことが形成をされてきましたけれども、これからは情報をめぐる社会的な新たな格差を生むことになるのではないか、そのことに留意をしてやっていく必要がある。国民全体に一元的なコストの高くないネットワークの維持がどうしても重要であるんじゃないか、こういうことだったと思います。そこで、情報化社会が進んでいくと管理社会、さらには個人情報保護が極めて重要になってくるというようなことで、これは本委員会で今日まであらゆる立場、あらゆる角度から論議があったのですけれども、しかし先生いわくは、先行きについてはだれもがまだ予見ができない、いわゆる不透明な部分があり過ぎる、したがって、今度の電電改革については、余り硬直した考え方で臨むのではなしに、柔軟な思考が必要だ、こういうことで結ばれたと思うのです。  そこで、これも昨日の論議でございましたけれども、こういう稲葉先生の話を聞き、考えますと、今回提案されておりますこの三法案世界でも初めてかつてないような電電公社、いわゆる官営民営化、それから回線開放をなぜこの時期に急いで同時にやらなければならないのか、結局またここへ疑問が戻ってくるわけです。今までも郵政立場答弁をしてこられたんですけれども、もう一度、この稲葉公述人の御意見と今私が指摘をしたようなことを含めて、なぜこの時期に同時に急いでやらなければいかぬのかということをお聞きしたいと思います。
  6. 小山森也

    小山政府委員 ただいま先生の御説のように、国民全体にとりましての基本的な通信である電話につきまして、過去、特にこの三十年来、電電公社という一つのプロジェクトが非常に大きな力を発揮いたしまして、すぐつく電話、すぐかかる電話というようなことを目標にいたしまして、そのための力を全部電電公社に集中して国民に提供してきたという一つ独占体による目的達成の力というのは、非常に成功したと思っておりますし、そのために私ども、どこにいても同質サービス全国受けられるという電話でのサービスは享受できるようになったと思っております。  ただ、時代変化というのは、自然な変化ではなしに技術革新を伴うこういった時代変化は、特に先端産業的なものを取り入れる面の多い電気通信事業におきましては、特に急激な変化が出てきた。そのために、多くの電気通信メディアが出現してまいりまして、このメディアというのは、今までの電気通信中心であるところの電話の供給ということだけでは足りなくなってきたわけでございます。それと同時に、需要者側も、電話以外の電気通信需要を求めるというのが多種多様な形で出てきているのが、今の現状でございます。  そういたしますと、一つ電気通信サービスを主体として、主にその発展のために活動してきました電電公社というもの、公社目標というのが多様化してこなければならない。ところが、電信電話公社というのは、今までの電話中心にした全国普及、また質の向上というところに集中的な力を発揮してきたわけでございます。そういたしますと、多種多様なものに応じていくということよりかは、全国に平均的に、確実な事業計画のもとに全国をいつも指向した形で、しかも同質サービスを指向した形で進めてきた電電公社の仕事の中では、ある地域のまたはある媒体だけを要望するという需要者に対して応ずることはなかなか困難な場合も出てまいります。  したがいまして、こういった時代の変わりとともに、一つ電信電話公社という事業体需要を賄うというよりかは、多数の事業体が出て、それぞれ特徴のあるサービスを提供していく方が、現実電気通信需要者に対してのサービスの提供というものはよりよい形で的確に反応できるであろう、したがって、一つ事業体にするよりかは、多数の事業体をここで採用することにした方がよいではないかという判断に立ったわけです。そうしますと、多数の事業体ということになりますと、これは独占ではなくなるわけでございます。独占ではなくなるということは、お互い事業者間で競争関係に立って、この競争というのは、競争のための競争ではなくて、利用者に安くて良質なそういった電気通信サービスを提供するという目的を持った競争原理のもとに、多数事業体が競い合うということになります。  そういたしますと、先ほども申し上げましたように、電電公社というのは、電話中心にして、しかも独占で行うというための事業体として存在していた関係上、競争原理が働いて競争裏の中にお互いに競い合うという組織でもないということが言えるわけでございます。したがって、その運用の面、また組織の面、それから一つ制度上の面におきまして、競争原理の中において活動するためには適してない体制でございます。  そこで、それでは公社という形態から、多数の競争者の中でお互いに競い合って事業を行うという、それに適した形に直さなければならないということが出てくるわけでございまして、そのためには、従来の電電公社の資産とか技術とか優秀な人材とか、そういったものをそのまま引き受けながら、かつ、新しい目標を持った特殊会社というものに衣がえして、競争原理対応できる形の事業体に変えるべきだ、こういうことになったわけでございまして、同時に、競争原理導入株式会社化というのは、なぜ同時に二つを採用したかというのではなしに、片方をやれば必然的にもう片方民営化というのもやらなければ整合性がとれないということでございます。  以上、非常に長いお話で聞きづらかったかと思いますけれども、大体こういった考え方でございます。
  7. 中村正男

    中村正男委員 私は、民営化ということと通信回線自由化開放、この二つは本来別の問題というふうに考えておるわけでございます。  今いろいろ言われたわけですけれども、結局は、今までの論議の中でも出ましたが、いわゆる競争原理導入によって電電公社そのもの合理化を促進し、新たな高度情報化社会の指導的なといいますか、そういう体質に変えていかなければいけない、この辺が根本的な民営化目的になっているんじゃないかと思うのです。一口に言えば、何回も例に出してまずいのですけれども電電を第二の国鉄にしてはならない、こういう表現で言われております。  しかし言えることは、今の通信をめぐる社会環境というのは、まず民間はどういう受けとめ方をしているかといいますと、いわゆる回線開放は望むところだ、しかし必ずしも電電民営化は望ましくない、はっきり言っていないと思いますけれども、私はそういうふうに見ておるわけです。電電回線開放してなお公社のままでとどまっていることが一番よいんじゃないかというのが、本音じゃないだろうかと思うのですが、その点についてどういうふうに考えておるのか、ちょっとお聞きしたいのです。
  8. 小山森也

    小山政府委員 公社のままでこれからの新しい通信体制対応してもいいではないかということだろうと存じます。これにつきましては、私どももそういった意味先生と同じような考えで、かなり検討してみたわけでございます。しかしながら公社というもの、特に電信電話公社というものの成り立ちを見ますと、公衆電気通信事業独占として行うという目的を持って生まれたものでございまして、まずあらゆる機能あるいは制度、それからそれを支えていきます法制度、これらすべてがそういう形にできております。その中身を変えればいいかということでございますけれども独占を建前としてできたそういった組織体というのは、中身を変えるという一部修正ではとても応じられない、対応できないというのが、一つの結論でございました。  それと同時にもう一つ公社というのができた当時、公社制度そのものには確かに非常によい点があったわけでございます。そのままの形でもって、すべての環境がそのままで本来の創立の精神で運営されていればよろしいのですけれども公社形態というのが、三公社という形で一つの固まりとして受けとめられていたというのも事実の問題でございます。そういたしますと、本来電信電話公社として、公社制度というのはそんなに悪くないはずのものが、それが三十年の間に公社という一つのカテゴリーの中でいろいろ運営されている中で、どうしても抜けられないような運営の積み重ねというのがありまして、これは公社という延長線上ではなかなか崩し切れない非常にかたい一つの積み上げがございます。  したがいまして、この公社延長線上でこういった改革をするよりも、やはり独占の形に適している公社を、多くの事業体の中で競争原理を正確に受けとめられる、そういった事業体に改組するということの方が、その解決のためには正面からの対応であろう、こう思うわけでございます。
  9. 中村正男

    中村正男委員 私は、電電公社公社のままでこれからの情報化社会対応していくにはさまざまな障害がある、こういうことはそれなりに理解ができるわけですけれども、平たく言えば、電電公社は現在のままでは、電話普及もほぼ全域に遅滞なくできておりますし、将来の経営展望を考えるならば、やはりここで飛躍的に拡大するソフトの分野にもっともっと積極的に多面的に乗り出していかなければいかぬ。そうした場合、民営化しないことで生ずる損失の方が、民営化で生ずる損失より大きいという判断で、最終的にこの二つ、全く本来別の問題を同時にやられようとしておるのじゃないか、こう思っておるわけです。  例えば今の公社のままでいけば、冒頭申し上げましたINS構想がどんどん進んでいきますと、言ってみれば、設備の近代化でございますが、当然公社余剰人員が相当出てくる。そんなことを考えますと、いわゆる本体の事業範囲をこの際思い切って広げなければいけない、可能な部分に進出をしていかなければいけない、そういうことではないかと思うのです。  その辺率直に、結局公社民営化ということについて、今の電電公社がこのままいけば、経営先行き展望がますます持てない、そういう公社自身の問題も一問題というよりもそれが一番大きなことじゃないかと私は思うのですが、総裁の御本音と、大臣電電公社民営化して新たに民間と対等に競争させていかなければいかぬのだということについての考え、それをちょっとお聞きをしたいと思うのです。
  10. 真藤恒

    真藤説明員 私、当事者立場から考えますと、独占体制という形になっておる以上は、これから先の急速な変化対応するための有効適切な手段を時期を誤たずに実行するということは、まず至難のわざだと思います。  独占体制ということである以上は、しかもそれが国営であるという以上は、どうしても世の中の動き後手後手にならざるを得ないという宿命的な組織動き、これは否定できませんので、今おっしゃいますような観点から、一般の企業並みの行動ができる、そして独占じゃないようにするというよりほかに、これから先の通信事業に対する対応の方法は、結論的に申しましてないのじゃないかというふうに、この三年半の経験の中から強く感じております。  長い間民間企業でやってまいりまして、ここへ入ってきてそれを非常に強く感じるわけでございまして、それと、一番危険なことは、現在私ども長期、短期の借り入れをやりますときに、長期借り入れについては自動的に政府保証債になっております。これはある面から見れば非常にありがたいことでございますが、これがまた一番危険な落とし穴であるということもございまして、政府保証債である以上は、初めから経営責任というものは半分以上そっちへ逃がすということのからくりになっておりまして、その辺が保護され過ぎておる。したがって、保護の反対から来る制限があるということはやむを得ませんので、そこで経営自主性責任性というものは根本的にここで崩れてしまう。まだほかにいろいろございますけれども、一番大きな問題はここでございます。
  11. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は、公社制度官営としてのメリットはあったと思います。そのおかげで、今日の二大目標と我々が言っている形の使命は達成できた。そういった意味において、電話中心とする電気通信のその重要性も、やはり国民生活、国の経済にも最も影響のある神経系統を、全国あまねくこういったネットができたという形は、まさに官営なればのメリットであったと思っております。  しかし、時代は大きく変わりつつある、そういう方向に向かっていることは事実です。先ほど先生指摘のように、では、新しい高度情報社会とはどうだというと、まだまだ未知な分野も多いし、今後果たして成熟したものに我々が受け入れるまでにはまだ相当な経験技術と時間が必要だと思います。しかしさりとて、この電気通信中心とする市場と言ったら語弊がありますけれども、こういった事業環境というものは、まことに大きく多彩に変化をしていくであろう。また現実に、そういった先行的な実験も、公社中心民間も含めて大変な形でのそういった通信技術革新時代はもう来ておる。こういった形の中で、柔軟に国民サービスを多彩にもしていかなければいかぬというニーズも出てきますけれども、やはり経営自体柔軟にこういった変化対応して、小回りのきくそういった形になっていかなければいかぬと思います。  まあ官営としての目標は達成した、それで終わったのかというとそうじゃないのです。むしろ労使間にはある意味の不満が出てきていることも事実だと思うのです。それはやはり官業であるがゆえの当事者能力の発揮というものが、どうしても親方日の丸と言ったら悪いですけれども労使はほかの官業と比べて非常によくやっていただいてきたわけでございますけれども、しかしさりとて、これをさらに効率的に活力を持った形での事業体としては、このままでいいんだろうかという形になりますと、私は労使双方の間に、経営責任明確化と同時に、働く側の組合側にとっても、こういった高能率を上げていくため、そして技術化対応するための対価というものは果たしてこれで十分なのかというと、いろいろな問題点があると思います。  ですから、そういう形に対応して、しかも片方で公共的、公益的な役務、今までのそういった形を果たして、両面達成していただきたい。そういう形においては先生の御指摘されるとおり、世界でも例のない形の一種事業、二種事業開放ということになりましたけれども、しかし、電電が今まで果たしてきた大きな根幹的使命責任というものは、事業面においては今後も変わることがない。法的には開放ということになりましたけれども一種事業はそうむやみやたらと、魅力のある事業といったところで、これに伴うコスト技術、いろいろなものから言うとそう簡単ではない。  そういった意味合いからいいまして、私は民営化によって新しいサービス体制を整備していただいて、国民に良質安価な多彩なメディアも含めて提供していただく、そういった目標の中で燃えていただく形に労使双方がなっていくという形においては、民営化の選択の方が国民にとってはよりプラスであろうと考えた次第でございます。
  12. 中村正男

    中村正男委員 総裁の方からは、とにかく自主性責任性をもっと強めなければいけない、保護され過ぎておる、大臣の方からは、当事者能力双方やはり問題があるし、もっと燃えるような体質に、こういう答弁をいただいたのですが、そこで、そういうことであれば、やはり幾つかの問題がこの法案にはあると思うのです。  その第一は、労働基本権の問題でございます。きょうは労働省からも来てもらっておりますが、これは今の大臣なり総裁の答えを聞きますと、なぜ新電電にだけこういったストライキの制限というものが課せられなければいけないのか。もう公社から民間にいわゆる大改革をするわけであります。もっと公正な競争ということを徹底して貫かなければ、私はこの法案というのは、今大臣総裁のおっしゃったことと全然裏腹の内容になっているんじゃないかということでお聞きをしていきたいのですが、まず、労調法の附則の三条で「国民経済又は公衆日常生活相当程度障害」、こういうくだりがあるのですが、これと労調法三十五条の二の一項の「国民経済の運行を著しく阻害し、又は国民日常生活を著しく危ぐする」、これはどう違うのですか、私は同じようなものだと思うのですが。
  13. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 お答え申し上げます。  御質問の趣旨は、労調法の中でのいわゆる緊急調整の規定と、それから今度の新しい特例措置の違いということを御質問だと思いますが、緊急調整の場合は、制度が創設をされましたときの趣旨等から見まして、いわば俗な言葉で言いますと、国家、経済全体にかかわるような非常な事態を想定したような規定でございます。今回の場合は、そのような事態に至らなくても、国民生活相当程度障害を及ぼすおそれがある事態、新しい電電会社の事業が引き続き、現在の公社と同じような非常に国民生活に重要な役割を果たす事業を実施していくという状況を考えまして、緊急調整に至らなくても、国民生活相当程度障害を及ぼすおそれのある場合に、公社というか新しい会社の事業がそういう重要な事業をやっていることにかんがみて、当分の間の暫定措置として、こういう調停の特例措置を導入したわけでございます。
  14. 中村正男

    中村正男委員 まさに前近代的な事態の想定を労働省としてなされておるように私は思うのです。きのうも質疑があったんですが、国際電電を含めた他の電気通信事業者に附則の適用は行われておるのですか。
  15. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 この附則の調停の特例措置につきましては、国際電電も含めて他の事業者に適用するということではございませんで、今まで公社であって争議行為が全面禁止された法制のもとにあったもとのというか、現在の電電公社、したがってそれが移行された新会社についての特例措置でございます。
  16. 中村正男

    中村正男委員 こうなりますと、結局先ほど来、なぜ公社民営化するのかということに対して郵政省なり電電公社は、公社そのものをこれから民間との競争に対等の立場でやっていかなければいけないんだ、こういうふうに明確に言っておるわけですが、そのことと法律は、全くこのスト権の問題については合ってない、全然次元の違うところで法律だけは依然として硬直した考え方で残されておるということを私は強く指摘したいと思うのです。  先ほど国際電電には附則の適用はない、こういう話だったのですが、国際電電は今まで全然ストライキはやってなかったのですか、その実態はどうですか。
  17. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 国際電電の中で労使の紛争がなかったということは申しませんが、おおむね労使関係は安定的に推移しておりまして、争議行為によって国民に迷惑がかかるというような事態になっていたということは承知しておりません。
  18. 中村正男

    中村正男委員 そうでしょう。国際電電は今までも労使の間で決着が話し合いでつかない、実力行使がたびたび行われておるわけですよ。行われておりますけれども社会的には今労働省自身が認めるように、全く影響が出てない。そういうことを考えますと、今度の新電電も、私は同じような社会的な位置づけだと思うのですよ。それなのになぜこの新電電にだけこういったスト規制が残されるのか、もう一遍答えてください。
  19. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 先ほどからの御質問にありますように、公社形態から民間の株式会社と申しますか、民間の民営という形態に移るという非常に大きな変化でございます。そういう点につきましては、労使関係法制についてもやはり考え方の転換が必要である、こう考えております。  したがって、現在の電電公社につきましては、公共企業体等労働関係法によりまして、争議行為は全面的に禁止される法体系をとっております。それに対しまして、民間につきましては御承知のように、労組法、労調法中心として、争議権を含める労働基本権を認めるという形の法体系をとっております。したがって、新しい電電会社につきましては、基本的にその民間労働基本権を認める法体系のもとに移行するという改正を御提案しているわけでございます。  ただ、現在の公社が株式会社に移っても、当分の間は、現在独占的にやっている電話事業等をそのまま継続して事業を実施する。したがって、それは国民生活の上で極めて重要な役割を果たすという事実関係は全く変わらないということと、それから今申しましたように、大きな労働関係の法制の変化、全面的な争議行為の禁止から争議権を含めた労働基本権を認める法制に移った、そういう過渡的な事態、その二つの点にかんがみまして、今回争議行為を制限するというよりもむしろ、そういう重要な事業をやりますものですから、その重要な事業について、国民生活相当程度障害を及ぼすような事態につきまして、できるだけ早く円満にその争議を解決するための特別の調停制度を設けて、その間争議行為は休戦していただく、これだけの趣旨、そういう暫定的な特例措置を設ける、こういうことでございます。
  20. 中村正男

    中村正男委員 それでは、第二電電あるいは第三電電が出てきた場合は、同じような扱いをするのですか。
  21. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 新しい法制のもとで電電公社に相当するような規模の事業ができるかどうか、それは結果といいますか、その後になってみなければわからない問題があると思います。しかし、法律が改正をされて移行された状態のもとにおいては、新しい電電会社が今と同じような形態事業を続ける、こういうことでございます。したがって新しい会社、恐らく国際電電も含めてですけれども、新しい第一種の事業というのがどういうような形態になるかは今の段階ではちょっとまだ想定がつかない、そういう意味で暫定的な措置、こういうことにしたわけでございます。
  22. 中村正男

    中村正男委員 では、労働省は、この法案そのものをどういう受けとめ方をしておるのか。第二電電、第三電電というか、新しく競争原理というものがベースになってこの法案ができておるわけですから、当然一種事業者というのは出てくる、また出てこなければこの法案意味がないわけでしょう。そういうことが明確になっていながら、まあしばらくやってみて、そういったものがどういう形でできてくるのか、その上で考えましょうということでは、私は納得できない。当然そういったところは、民間という形でくるわけですから、そんなところにこの附則の適用なんというのはあり得ないと思うのですが、出てくるという前提でこの法案が出されておるわけですから、その上で、そういうところには同じような扱いをするのか、その辺、明確にもう一遍答えてください。
  23. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 法律の理念としては、そういう競争原理によって、電話等の事業について新しい形態事業体が出てくることは想定されているものと思います。ただ、今の電電会社といいますか、法律が改正された時点あるいは当分の間は、そのような事態が想定されますけれども、どのようなものがどういうサービスの体系でやるということは考えられていない。したがって、現時点あるいは法律が改正された時点において、そのような特例が必要であるというのは、今の公社、したがって、それが移行する新しい電電会社だけに必要であろう、こういう考え方のもとで労調法の附則にそういう規定を置いて、当分の間の特例措置としたわけでございます。
  24. 中村正男

    中村正男委員 私の聞き違いであれば、これは訂正していただきたいのですが、きのうの質疑の中では、たまたま労働省がおられなくて、小山局長の方から労働省の見解ということで述べられた中で、いわゆる第二電電、第三電電等が出てきた場合、新電電とは異なる扱い、いわゆるこういった附則の適用はしない、こういう答弁がたしかあったと私は思うのですが、その辺、もう一度郵政省にお尋ねをしたいと思います。
  25. 小山森也

    小山政府委員 先ほど来労働省からのお話がありますように、本来労働省でもってこの件は処理していただいているので、きのう私が申し上げたことは、多分そうであろうというようなことでございます。  その考え方といいますのは、今までの電電公社は公労法の適用を受けておりまして、スト権もないということであった。ところが、新しい会社になりますと、労働三法の適用でこれは当然スト権がある、こういったことになりますと、労働三法の適用ということは、労使関係の法的基盤が急激に変わるということで、迅速な労使紛争の処理について余りなれてないから、その暫定の措置でやるということを聞いている。そうであるならば、KDDについては、従来から公労法の適用がないんだから、そういった法的基盤が変わるわけではないから、そういう附則の適用はないと思う。それから、第二、第三電電という言葉はともかくといたしまして、そういった第一種事業者も、初めから公労法の適用というものがないのだから、その次の法的基盤への変更というスナップがないであろう。だから恐らくそれは適用はないものと思う、こういうことでございました。
  26. 中村正男

    中村正男委員 いずれにしても、新電電にだけスタートの段階から極めて不公正なこういう法的な扱いがあるということだけ、これは明確にといいますか、そういうことにこだわっておるようでございますが、それは私は最終的には改めてもう一度申し上げます。  法律論争をやめまして、現実の問題でちょっと労働省に聞きますが、現在の公労法適用企業体、幾つかありまして、その労使関係それぞれございますが、その中で、電電公社と当該の組合との関係、一体どういうふうに見ておられますか。
  27. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 幾つかの公共企業体がございますが、それぞれその労使関係の安定に労使とも一生懸命になっておられるということでございます。特に御質問のありました電電公社につきましては、現在の状況では、極めて安定的な労使関係にあるというふうに承知をしております。
  28. 中村正男

    中村正男委員 先日の公聴会でも、当該の組合の委員長から、電電公社労使関係は極めて信頼関係が厚いと繰り返し強調されておられました。労働省も同じような認識をしておられるということを私は今聞いたわけですが、それでは、現在といいますか、今日の日本の民間企業労使関係、とりわけ実力行使、ストライキの行使というものの実態をどのように見ておられますか。
  29. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 全般的に言いまして、特に主要産業を中心にして民間労使関係は、戦後三十数年の歴史の過程ではいろいろございましたけれども、最近においては極めて良好な関係で推移しているものと認識しております。
  30. 中村正男

    中村正男委員 特に欧米と比較をいたしましても、ストライキというものの行使が実態としては少ない、私はこういうふうに受け取っておるわけですが、その理由なぜ日本の場合は欧米と比べて違うのか、労働省としてはどういう見解を持っておられますか。
  31. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 非常に大きな御質問でございますので、必ずしも全面的にお答えできるかどうかわかりませんけれども、やはり一番基本にありますのは、日本の企業といいますか、そういう中での労使の間柄というのが、同じ基盤に立っている。社長さんにしろ重役にしろ途中の管理職にしろ、やはり会社の中で育った人が原則として就任される。したがって、労使の間が同じ基盤で物が話せる、したがって信頼関係がある、そこに一番大きな理由があると私は考えております。
  32. 中村正男

    中村正男委員 私はそれも一つの大きな理由だと思うのですが、この今度の公社民営化ということと関連して考えるならば、今日の日本の民間企業労使紛争が極めて穏やかといいますか、そういった欧米のような形でない一番の理由は、何といいましても企業別の労使関係、こういう形態の中で、いわゆる企業間の競争、それをお互いが意識をする中で自制をしておる、こういう一面も否定できないと私は思うのです。  そういうことを考えますと、今度の新電電というのは明らかに民間なんです。先ほどから、法的には公社から云々ということで、まだ公社の影を引っ張っている、こういうようなことを労働省は考えておられるようですけれども、この法案が成立すれば民間会社になるわけです。民間会社になれば、当然他の民間の会社と対等の公正な競争場裏に立たされるわけです。そういうことを考えますと、このストライキの行使ということについても、労働省が懸念しているようなあるいは想定しているような事態というのは、そんなに起こり得るはずがないわけですね。それにもかかわらず、なぜ新電電にこういうスタートの段階からスト規制を強めなければいけないのか。  最後に申し上げますけれども労調法では、総理大臣が職権で中労委等に一時停止のあっせん申請ができる、こうなっているわけでしょう。それにさらに労働大臣が規制を加えるというのは、実態はともかくとして、ストライキをやるやらぬという問題じゃなしに、最初の新電電のスタート、民間会社としてのスタート、そこの労使の、これは公社総裁も言われました、お互い当事者能力を新しい関係でつくり上げていこうじゃないか、相互の信頼に立ってつくり上げていこうじゃないか、こういう新電電の性格、それにスト権という問題は真っ向から足を引っ張るというふうに私は断言せざるを得ないわけです。ぜひひとつ附則の削除を要求したい。労働省としての見解を求めます。
  33. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 公社形態であろうと民間という形態であろうと、労使関係の安定が極めて重要であり、それによってその企業体の経営が円滑にいくということはいずれも変わりはない。しかし私どもは、電電公社形態から民営に移ることに伴って、労働基本権制限しようという考えじゃありません。今までの全面的に争議行為禁止の体系から民間の体系に移った、したがって労働三権が保障されてくる、そういうふうに考えております。ただ、そこで強化されているのではなくて、過渡的な事態に対しての暫定的な立法である。したがって、御質問ではありますけれども、現在提案されている暫定的な特例措置を削除するという考え方はございません。
  34. 中村正男

    中村正男委員 労働省の大変硬直した答弁、私は極めて不満でありますし、納得できません。労働省に幾ら聞いても、この段階ではこれ以上の前進した答えは出ないと私は思うのです。  そこで真藤総裁に、今のやりとりをお聞きしてどういう判断をされるのか、どういう考え方を今お持ちなのか、率直な本音をひとつ出してもらいたいと思うのです。
  35. 真藤恒

    真藤説明員 今の御説明の中に暫定的というお言葉がございましたが、私どもは一日も早く常識的な、民間並みの信頼をベースにした労使関係に入れることを厚く希望いたしております。
  36. 中村正男

    中村正男委員 もっと与党の方も、この法案審議にひとつまじめに取り組んでいただきたいということを委員長に要望しておきます。  次にいま一つ、新電電がスタートするに当たつて、公正な競争といいますか、あるいは競争原理導入によって自由な形の中での通信事業発展ということを阻害しておる条項について、私は質問していきたいと思います。  七月十日の日経新聞に「第二電電一本化へ指針電通法案の許可基準補足 郵政省」、こういう記事が出ておったのですが、これの中身について質問をしたいと思うのです。  「第二電電構想の認可指針を明らかにした。電気通信事業法案の認可基準をより具体化したもので、同一事業区間で複数の事業計画が競願申請となった場合の「一本化調整」を打ち出しているのが特徴。」云々と、こうあるのですが、これについてどうですか。
  37. 小山森也

    小山政府委員 まず最初に、その新聞の記事でございますけれども、私ども別の面で言えば、非常におくれているわけでございますけれども、そういった作業をまだしておりません。したがいまして、その記事につきましては、非常に戸惑っているところでございます。  それと同時に私ども、いろいろ第二電電あるいは第三電電という名前で称されているのは正しいかどうかは別としまして、通称第二電電、第三電電というものを初めから抑制的にやるというのは、この法の趣旨に沿ってないわけでございまして、あくまでも事業者の方の積極的な企業意欲に基づく事業活動、これを基盤として法案をつくっておりますので、初めからそういった形で調整を基礎として、一本化をもととしたような考え方は持っていないわけでございます。  ただ、法案の中に「著しく過剰」云々というのはあります。ありますけれども、それは著しく過剰になることが明らかに予見されたときの問題につきまして、初めから法としてそれを抑制していくという建前をとっておりませんので、その指針と申しますものも、どういうことで出たのか、私どもの考えとちょっと相入れないところがあるということを申し上げておきたいと思います。
  38. 中村正男

    中村正男委員 これは全くわからない、まだそこまでいっていない、こういうお話なんですが、そういう基準がもうかなり検討が進んでおると私は思うのです。ただ、法案審議中でそういったものを出すことがどうかという判断だけだと思うのですが、そういうことであれば、一種事業者の認可基準のより具体化したものということについてのこの法案の項目以外に、どういう考え方で細部の基準をつくろうとしておられるのか、その辺の考え方だけでもお聞きをしたいと思うのですが。
  39. 小山森也

    小山政府委員 実は、そこまで敷衍して申し上げる段階にないのでございますけれども、ただ、先ほども申し上げましたように、既にできているのをただこの場でもって言わないのであろうというようなことでの誠意のない御答弁は申し上げてないということは、御理解いただきたいと存じます。  ただ、著しく過剰というのはどういうことなんだということにつきましては、これは現象として予見したときに出るわけでございますので、一番の問題は、そういったときに時の政策担当者が恣意的に判断して、Aの場合は同じような現象であったらそれはオーケーと言い、Bの場合は同じ現象であってもこれはノーと言うようなことがあっては、これはやはり行政の透明性と公正性に非常に欠けるわけでございますので、できることなちば、その著しく過剰というのはどういう項目について言っているかということについてぐらいは、はっきりさしておかなければいけないのじゃないかと思っております。
  40. 中村正男

    中村正男委員 私は今からお聞きをしていきたいのは、そういった著しい過剰設備を防止をする、こういったことを中心にした十条の五項目の許可基準、こういうものが余りにも官的なといいますか、郵政省の管理が強過ぎるのじゃないか、言いかえますと、それでもって郵政省の手でこの需給調整を強めるということが、本来の自由競争、これを否定することになるのじゃないか、また、この自由な発展、拡大というものを制限することにつながるのじゃないか、こういう指摘をしたいわけです。  さらに、第十四条では今度は、設備の変更の問題、ここでもさらに規制が加えられている。単に価格だけではなしに供給量まで統制がされるということになりますと、内輪のメカニズムが全く機能しなくなるのじゃないか。そのことは当然、この電気通信事業分野に積極的に民間活力が入ってくるということに大きなブレーキになるように私は思うわけですけれども、その辺、どういうふうに考えてこういうことにされたのか、お聞きをしたいと思うのです。
  41. 小山森也

    小山政府委員 競争原理導入といわゆる著しい過剰設備の問題でございます。  私が申し上げるまでもなく、競争原理導入という趣旨は、これによって一種の競争状態の中で市場価格というのが形成されて、利用者側から見まして良質で安いサービスが提供されるであろうことを想定して、競争原理というのは導入しているわけでございまして、ただ競争原理導入することが目的競争原理導入しているわけでないことは、私が申し上げるまでもないことだと思います。  ところが、第一種電気通信事業というのは御存じのとおりに、典型的な設備産業でございます。その設備産業であると同時に、その設備というのは非常に特定化されたものでございまして、例えば、その設備が不要になったといたしましても、転用がほとんど不能のような設備でございます。したがいまして、もしその個々別々の事業者が、これは非常に適切な設備である、こう判断いたしましても、複数の事業者の総体としてのプラスした総和が著しい過剰になった場合にどういう現象が起こるかといいますと、一つはやはりその設備が維持できなくなってくる、したがってその設備を維持するために利用者の料金に転嫁していく、それで利用者が結果的に相対的に高い値段になってしまうというようなことになりますと、そもそも競争原理で適正な市場価格が形成されて安くてよい通信サービスが受けられるという建前と反してしまうというところで、こういった著しい過剰設備という観念を導入してきたものでございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、あくまでもこれは、最初から行政が前面に出て事業者企業意欲を抑え込むというような姿勢ではないわけでございます。  それから、もう一つの十四条の増設の問題でございます。第一種事業の許可というのは、先ほど先生の御指摘のようないろいろな条項によって許可するわけでございますけれども、これは根本的、基本的な内容の変更にならない限り、さらに許可をする必要がないわけでございます。したがって、これは外していいわけです。  それでは、どの程度かということでございます。法律には書いてございませんけれども、電気事業でもガス事業法でもこれはいずれも省令に任されておりまして、私どもも今回、省令委任という形で実施省令にしたいと思っておりますが、例えば量的な問題としては、電気の場合は当初の二〇%を超えた場合には変更許可だ、こうしておりますし、ガスの場合は一〇%になっております。しかし、電気通信の場合はこのパーセントでは低過ぎる。こんなに技術変化の激しい、しかも新技術をどんどん導入しなければ事実上サービスができないというような事業体が、余り低いパーセントでやったら実態上できません。そこで、このガスとか電気の一〇、二〇というのは、参考にはいたしますけれども、ちょっと参考にならない数字だなというのが今私ども検討している段階でございまして、恐らくこれよりもかなり高いものになると思います。  したがいまして、例えば今の電電公社電話局が若干増加したから変更だというようなことは、とても私どもの想定では考えられないということでございます。
  42. 中村正男

    中村正男委員 それでは、具体的なことだけ先に聞きますが、十四条に「軽微な変更」というのがございますね。「郵政省令で定める軽微な変更」というのは、一体どのくらいの基準と考えればいいのですか。
  43. 小山森也

    小山政府委員 まだ数字的に詰めておりませんけれども先ほど申し上げましたように、少なくともガス、電気のような形のパーセンテージでは電気通信の場合は全く通用しないだろう、こう思っております。
  44. 中村正男

    中村正男委員 それは少なくとも五〇%以上というふうに受け取っておいていいですか。
  45. 小山森也

    小山政府委員 後で変わるとちょっと無責任な形になってしまいますので、なかなか今申し上げにくいところもありますけれども、相当高い水準でもいいのではないか、こう思っております。
  46. 中村正男

    中村正男委員 私が数字を挙げたことを否定されなかったわけですから、少なくともそれ以上、六、七〇%くらいの数字は考えていただかなければいけないということだけを申し上げておきます。  私は総論的に、先ほど局長はいわゆる装置産業、設備産業なんだ、したがって、それはそのとおり需要がなければ他に転用はできないし、大変な過剰投資になって、結果的にはその負担が国民にしわ寄せされる、こういうお答えだったのですが、それは官僚の答弁であって、民間の自由競争という見地からするならばまさに逆だ、こういう指摘をしておきたいと思うのです。  装置産業というのは本来、設備を投資した段階ですぐ採算が出るというものではないわけです。少なくとも数年先の需要を見越して設備投資を行う産業というのが、装置産業なんです。ましてやこの電気通信という分野は、これから飛躍的に拡大をしていくわけです。仮に一時的な設備の過剰があったとしても、当然そのことは十分カバーができる成長性の高い産業だ。したがって、この競争の結果過剰設備が発生したとしても、それを乗り切るためにお互いがこの料金の値下げの競争をやれば、新たな通話の需要というものが当然起こってくるわけです。またそうならなければ、この通信のこれからの発展というものはあり得ないわけです。最初から過剰投資を官制であるいは国家的な統制で極力抑えておくということは、自由な競争による高度情報化社会にとっては、それはむしろマイナスだということを私は指摘をしておきたいと思います。  さらに、今日の技術革新の急速な進展のテンポから考えましても、余りシビアな基準というものを設けるべきではない。最初からシビアな基準を設けますと、需要が発生したときに一々許可だとかあるいは変更ということをやっていかなければいかぬわけですから、そのこと自体この事業の運営上大変足かせ手かせになるわけです。そういう点について、もう一度お聞きをしたいと思うのですが。
  47. 小山森也

    小山政府委員 長い時間的なスパンをもって判断せよとか、それから、いろいろな点において余裕のない形でこれを官僚的など言っては私も官僚でございますけれども、官僚的な一つの型にはまった形で考えないようにということは、私ども非常に貴重なお教えをいただいたものと思いまして、今後十分反映させていくような形で実現していきたいと思っております。
  48. 中村正男

    中村正男委員 真藤総裁にお聞きをしたいと思うのです。私は何かの雑誌で、総裁のこの問題に対する持論を読んだことがあるのです。仮に二千億の投資をダブったとしても四千億ですね。しかし、実際に二千億の設備投資で十分需要が貯えたとしても、競争原理を働かせていくためにさらに二千億の投資があってもいいじゃないか、それはどこかで国全体で四千億を稼げば決して国益には反しない、マイナスにはならない、国民に負担にならない、私はそういうふうな総裁のお書きになったものを読んだことをちょっと今思い出したのですが、総裁としては今のこの論議をどういうふうに受け取っておられますか。
  49. 真藤恒

    真藤説明員 私が申しましたのは、自由競争の世の中で仮に千億二重投資、あるいは統制的な目で言って過剰投資がありましても、それから起こってくる競争の激しさということで世の中全体が二千億なり三千億の社会コストが下がれば、有効な投資と考えるべきだということを申し上げました。
  50. 中村正男

    中村正男委員 ぜひひとつ郵政省は今の真藤総裁のこの考え方というものをもう一度検討されて、ここで需給調整に政府としての余り細かな規制を加えないように、もう一度この点についての検討をお願いしておきたいと思います。  時間がありませんので、次にいきますが、今の問題と関連いたしまして、今度のこの法案は、結局民間の新規参入による競争原理、これがもうすべてに尽きるわけでして、それでもって効率化を図る、これがもうこの委員会で終始論議されてきた焦点なんですが、今第一種事業等に名のりを上げておるのは、民間として具体的にどういったところがあるのか、こういう率直な疑問があるのですね。  これも論議がございましたけれども、例えば国鉄にしても、建設省そのほか通産省も関与するでしょうし、自治省あたりも何かそういう考え方を持っているとか、これは全部政府の役所なんですよ。民間と言えば、強いて言えば京セラグループがそうなりますか。しかし、この京セラグループも、一つ考えてもらいたいのは、社長は通産から、まだほやほやの方が社長になっておられる。副社長二人おられますけれども、これも郵政省からの天下り、専務さんは電電公社の方、これで一体民間と言えるのか。素朴な疑問を私は持つわけですけれども、これで一体民間活力の導入ということになるのか、大臣、率直にどう思われますか。
  51. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今いろいろ例を挙げられましたけれども、京セラグループといったところで、これはプランニングの段階の会社ですから、本当の実態的なそういった形の参入ということになりますと、やはりこれは相当な技術も資金も、そしてまた人材も必要になってくると思います。  ただ、今民間が入ってくることによって新しい競争原理が生まれる、そして安い形での料金サービスで還元されるであろうという形のもとに、こういった民営化法案を進めておるわけでございますが、やはりここに出てくるという形の第二電電として一部的にも営業するという形になった場合に、民間企業というのは、先生も御存じのとおりに、大変なコスト主義というか、そういった面についてははっきり言って、官営的な企業体質と違った意味での企業の合理体質というものをまた、進めてくるのじゃなかろうかと私は予測いたします。  そういった形の中で、さりとて、新規参入組といえども、市内回線を含めて、あるいは接続を含めてあらゆる意味で、新電電の協調体制の中でまた営業を継続していかなければいかぬという実態もございます。そういった意味合いの中で、新しい参入の会社が、今は我も大もという形でいろいろ名のりを上げておりますけれども、そういった一種通信事業に課せられる諸条件というものを現実の面で分析をしていった場合に、回線の施設を提供する人、あるいは技術、ノーハウを専門的に提供できる人、あるいは資金の面においてのそういった力で参入をする人、あるいはユーザー、利用する側のそういった形でのグループもなければなりませんし、そういったいろいろな総合的な観点からいいますと、新規参入される企業というもの、第二電電であれ第三電電であれ、相当な形で制約を受けてくるのじゃなかろうか。そういった場合においては、これらの人々が協調的な体制でなければ、そして、新電電競争も一方でしながら、他方で協調をしていくという体制でないとなかなかうまくいかないのじゃなかろうかという形を持っております。  したがって、そういった意味において、需給調整を初めからやろうなんということは決して考えておりませんし、また、大体官僚がいろいろな形での枠をはめていくという形はむしろ逆な面を生むという形も、郵政の今の電気通信事業分野じゃありませんけれども、過去の各省のそれぞれの形の中でも実例はたくさんあるわけでございますから、できるだけ関与はしない。そして、あらゆる意味において濶達な、そういった民間のいい意味の形を新電電は負けないように取り入れていくし、また新しく参入する側も、今度はそういった競争原理と同時に、協調姿勢の中でひとつ共存して、そしてメリット国民に還元していただきたいという気持ちでございます。
  52. 中村正男

    中村正男委員 私も、今大臣が言われたことがそのままこれから実行されることを、ぜひひとつ追求していただきたいと思うのです。  省庁と直結をした企業だけの競争ということは、何としても避けなければいけないのじゃないか。そういう意味合いでも首尾一貫、私自身きょう指摘をしてきたこと、やはりこの法案に流れておるのは、依然として官僚統制が随所にきつく出ておる、そういうきらいを私は本当に感じるわけでございまして、そういう意味合いでも、もう一度各中身について、できるだけ自由濶達な、新電電も含めた純粋な民間が競い合って電気通信事業というものを発展さしていくような、そういう法案に見直していただきたいということを要望しておきたいと思います。  最後に、情報化社会の国際化の問題について、外資規制との関連でお聞きをしたいと思います。  アメリカが今日、日本の情報産業に戦略の視点を大変絞ってきておるというふうに我々は受けとめておるわけですが、まだ新電電、発足しておりませんが、結局今の公社そのまま新電電になるわけでして、当然今日まで、欧米といいますか、とりわけアメリカと熾烈な競争を展開をしてきたのは、何といいましても公社であったと私は思うのですね。そういう立場で対IBM、そしてATT、これらに対してどういうふうに対抗をしていけばいいのか、基本的な考え方総裁にお聞きをしたいと思います。
  53. 真藤恒

    真藤説明員 この第二種の事業といいますものは、お客の通信の秘密、あるいはそれだけではなくてお客の業務のシステム、からくりというものをすっかり握ってしまわざるを得ない性質の事業でございます。ですから、お客がまず一番先に考えるのは、そういうことに対する信頼感というものが第一でございます。これはどうしてもそうなります。それから第二は、お客のそういうふうな仕事を始めましても、お客の仕事のあり方というものは時々刻々と変化してまいります。また変化せざるを得ないわけでございまして、したがって、一たん決めたソフトの内容は、日に新たにお客と業者とが緊密に連絡しながら直していかなければいけない性質のものでございます。そういう意味で、私どもはその面では、どんな外国の、ATTであろうがIBMであろうが来ても、それに対する抵抗力というものは絶大な優位性に立っておると思っております。  仮に向こうから新しい、いいソフトが来た、これは大事な問題でございますが、持ってきたといたしましても、それが果たして日本の商習慣なり日本のマネジメントのあり方にそのまま適用できるという代物じゃないはずでございます。そこのところで、実際お客を募るときには、物すごいモディフィケーション、修正をしなければならぬということでございまして、ソフトが日本の方がおくれてアメリカの方が進んでいるという点は、基礎的な考え方ではそうでございますけれども、実際仕事の上でぶち当たった場合に、果たして彼らのいわゆるすぐれたソフトというものが、お客にとってすぐれておるというふうに認識されるかどうかということは、これまた別問題でございます。それが第二でございます。  それから第三は、これは過去の実例を御参考に申し上げるわけでございますけれども、先進国の中で日本はIBMの国内の活動を長い間はとんと無制限に許してきております。にもかかわらず、IBMの日本の国内のマーケットのシェアは、先進国の中で一番低いのでございます。ということは、あれだけすぐれた技術力と資本力を持っておっても、日本のマーケットというものはそう簡単に彼らにやっつけられるような弱いものじゃないという歴然たる証拠を既に今持っておるわけでございます。  そういう意味から申しましても、VANが仮に完璧に自由化されておっても、恐らくそう簡単に実力的に入ってくるということにはならない、実際問題としては、彼らは必ず日本の業者とジョイントして入ってこざるを得ないというふうに私は受けとめております。仮に私どもが、向こうから入ってくるからこちらから出ていくという場合も、実際問題としては、やはり向こうの業者とジョイントして出ていかなければ、一〇〇%こっちから出ていって商売ができるものじゃないということだけは、現実の問題じゃなかろうかと思います。
  54. 中村正男

    中村正男委員 今真藤総裁の方から、かなり強い自信でもってお話がございました。ただ問題は、日本の企業の姿勢なんですね。日本の企業というのは、まず第一に考えるのは企業の利益、それから業界の利益、こういう認識はあったとしても、国益という認識はそう強く持っていないのじゃないか、これが戦後の日本の特徴ではなかったのか、私はこう思うわけです。  結局、今日本の企業はどういう考え方をしておるかといいますと、新電電と結束してIBMなりATTと対抗するのかあるいはいっそのことIBMと組んでやった方がいいのか、これもすべて損得が優先をし、国益を第一に考えるということはまずあり得ない、こういう認識を私は新電電のスタートに当たって持っていただきたい。電電だけがIBMなりATTと対抗できるパワーを持っておるわけですし、電電だけが国益ということを第一義に考える責務があるのじゃないだろうか。  新電電については私はこれからの前途大変だと思うのです。国内戦争においては日本の企業から攻勢を受け、国際戦争においては逆に日本の企業からはある意味では頼りにされる、そういう二重性を持ったスタートであるということを考えますと、労働基本権の問題あるいは需給調整の問題、スタートに当たってまだまだ新電電に必要でない規制というものが、何回も言いますけれども、この法案に隠されているといいますか、如実に出ているということをもう一度検討していただいて、新電電の持つ日本の中における役割といいますか責務というものを重視した法案に、ぜひひとつつくりかえていただきたいということをお願いいたしまして、持ち時間が終わりましたので、質問を終わります。
  55. 志賀節

    志賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として国際電信電話株式会社常務取締役児島光雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  57. 志賀節

    志賀委員長 次に、竹内勝彦君。
  58. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最初に、電話加入権質に関する臨時特例法に関して若干ただしておきたい、そういう意味でお伺いいたします。  公衆電気通信法で加入権質を禁止している条項の特例法で加入者質権の保護規定を設けているが、今回の法改正ではどのようになるのか、新電電になってどうなっていくのか、その考え方を改めて郵政並びに公社にお伺いしておきたいと思います。
  59. 小山森也

    小山政府委員 まず法制上のことを申し上げますと、電気通信事業法案の附則第九条で「旧公社と締結した契約に基づく旧公衆法の規定による電話加入権については、当分の間、旧公衆法第三十八条から第三十八条の三までの規定は、施行日以後も、なおその効力を有する。」ということにしておりまして、これは法制上は全く変わりない形になっております。  この考え方は、あくまでも現在なお電話加入権が庶民金融の手段として広く利用されている実態がありますことと、電話加入権に対する質権の設定について、民法の原則による場合には、そもそも電話加入権が証票のない債権であるということから留置的な効力がない、その結果、第三者に対する公示方法もないということで、電話加入権質を安全、確実に設定し、管理することが極めて不安定な状態になるということで、取引の安全のために新電電も質権をめぐる権利義務関係が明確になることもまた仕事がやりやすい。もし不明確でありますと、当事者間の紛争の結果、その当事者間の権利の紛争に新電電が巻き込まれるというようなおそれがございますので、今後ともそういった質権の保全を図って、庶民金融の手段として安定的にこれが取引されるような措置を続けていくということでございます。
  60. 草加英資

    ○草加説明員 たたいた郵政省から法制上のお答えがございましたが、私どもは、その法制の中で今まで扱っておりましたのと全く同じ方法で、この質権について新電電になりましてからも全く同じ方法で取り扱っていく、このように考えております。
  61. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その場合、質権者に対して事前に連絡を行うのか。あるいは提案で質権が当分の間存続することになっておる。その中で、電話質権がいわゆるサラ金のような過剰貸し付けあるいは強硬取り立てというようなものがなく、二十五年間にも及ぶ健全な庶民金融として伸びて来た。これも、この前本委員会におきましてもいろいろと論議を行いました。そこで、個人の貸し付けでなく協同組合を初め銀行等で貸し付けをしているためにトラブルは皆無でございます。また、そういう意味からも公社として今後、この業界と協調して質権設定、いろいろな料金問題やいろいろなものが細かい点がございます。そういう意味におきまして、この協調ということが非常に大事じゃないか。  それともう一点は、この前の延長という問題に関しても、形態で当分の間、今まで十年間の時限立法で延長してまいりましたけれども、当分の間、こういう形になりまして、当時郵政大臣は、この当分の間はもうほぼ永久的にでも考えてもいいんだというくらいの答弁もございましたが、そういったものは変わっていないのかどうか、この点に関して御答弁ください、同じく公社郵政からの御答弁をお願いします。
  62. 小山森也

    小山政府委員 当分の間の考え方でございますけれども、これは電話加入権が庶民金融の手段として、先生のお説のように非常に有効に利用されております。そういった実態があるからには、これの当分の間というのは続くということでございまして、この考え方は質権法の延長のときの考えと変わっておりません。
  63. 草加英資

    ○草加説明員 ただいま先生指摘のように、現在社団法人全日本電話取引協会と円満に私ども協調しながら、この質権の運営に当たっております。したがいまして、今後新電電になりました場合でも、この協同組合といろいろとお話し合いをしながら、円滑にこの質権の業務を進めていくということをするつもりでございます。
  64. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 防衛庁に来ていただいておりますので、質問をしておきます。  まず、この関係法律整備等に関する法律案の中で、自衛隊法第百一条一項「自衛隊と海上保安庁、地方航空局、航空交通管制部、気象官署、」等々略しますが「は、相互に常に緊密な連絡を保たなければならない。」こうございます。この内容はどういうものであるのか、改めて防衛庁の見解をお伺いしておきたいと思います。
  65. 古川定昭

    ○古川説明員 御説明いたします。  自衛隊法第百一条第一項は、自衛隊がその任務、すなわち我が国の防衛あるいは災害時の人命や財産の保護のために行動するなどの任務を遂行する上で密接な関係を有しております機関等と自衛隊との間で、その任務が円滑に遂行できるように、相互に常に緊密に連絡することを定めているものというふうに理解しております。
  66. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 また、百四条一項、ここにもこの関係公衆電気通信設備の優先的利用等がございますけれども、この御見解も改めてお伺いしておきたいと思います。
  67. 古川定昭

    ○古川説明員 御説明いたします。  自衛隊法の第百四条第一項にやはり規定がございますが、これは防衛出動の際に、所要の通信能力を確保することが必要であるという観点から、防衛庁長官は郵政大臣に対しまして、公衆電気通信設備、すなわち改正後では電気通信事業法の第二条の五号に規定する電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、または有線電気通信法第三条三項三号、改正後では三条四聖二号になりますが、これに掲げるものが設置する電気通信設備を使用することに関しまして必要な措置を求めることができるというふうに規定しているものでありますが、いわゆる電電三法が施行された後でもこの趣旨は同じであるというふうに理解しております。
  68. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今も御答弁がございましたが、この場合「電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備」に改められるわけですが、今回の法改正でこの電気通信事業者は第一種、第二種、これに分けられるわけでございますが、郵政にお伺いしますが、これはどちらになるのですか。
  69. 小山森也

    小山政府委員 第一種、第二種全部にかかるわけでございます。
  70. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、いわゆる第二電電がもちろん第一種、第二種、新規参入してくる。法的に言うと、この第二電電は全く同じと考えてよいと思いますけれども、果たしてそれにこたえられるのかどうか、どういう見通しを持っておるのか、郵政のお考えをお伺いしたいと思います。
  71. 小山森也

    小山政府委員 第二電電も当然電気通信事業者でございますので、これに該当するわけでございます。それぞれのサービス役務の内容というのは、どういう形で参入してくるかということは、それぞれの企業者の事業運営の目的によって変わってまいります。例えばファクシミリ専用であるとか、あるいはデータ通信だけであるとかというような役務の提供というようなこともあるかもしれません。ただしかし、それぞれの形においてこの法の建前に応じられる限りは、これに応じてもらうということの考えでございます。
  72. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次に、電気通信役務の業務改善命令、こういったものに関してお伺いしますが、料金その他について郵政大臣の業務改善命令、どのような状況のときに命令するのか、御答弁ください。
  73. 小山森也

    小山政府委員 料金についてのお尋ねだろうと思います。  この法律においては、認可された当時は合理的な料金であったものが、社会的、経済的事情の変動によって著しく不適当になっている。その結果、利用者の利益を阻害するような場合ということを考えているわけでございます。  では、具体的にはどういうことかということでございますけれども、なかなかいろいろの場合がありまして、想定することが多々ありますが、例えばということで申し上げますと、もともと需要構造がある範囲内で非常に利用がわずかであると想定して高く決めた料金があった。ところがその後、時代の要請というものはそのサービスに集中してまいりまして、需要が著しくそのサービスにシフトしてきた。その結果、単位当たりのコストが非常に安くなって、旧来の料金が依然として維持されているというようなときの場合というのが、一つあります。  それから、非常に想定されないような技術革新というものが出まして、通信設備の基礎になります資材等が著しく低下して、設備総体としての負担額が著しく低下しているにもかかわらず、料金がそのままであって見合ってないというような場合、そういったものが考えられるのですけれども、実際的には極めて例外的な場合しかあり得ないものではないか。  しかし、例外であっても、そういったような実態と料金との乖離があるというような場合には、法的に改善命令というような形で担保しておくのは、利用者の利益保護という点から重要であろうという考えで規定しているわけでございます。
  74. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今も論議が行われましたが、通産省来ていただいておりますので、改めてお伺いしておきます。  今回の法改正に当たり、外資の制限の問題、第一種、第二種とも検討の際、通産省との非常に長い話し合いの中で、相当突っ込んだ論議が行われたやに伺っておりますが、まずその検討された経過を通産省、それから郵政省両方から御答弁ください。
  75. 牧野力

    ○牧野説明員 外資との関係でございますが、この委員会で先般以来私どもお答えをしておると思いますけれども、私どもといたしましては、この法案を作成の過程におきまして郵政省といろいろ議論をいたしましたが、焦点が外資の規制の問題にあったというふうには承知をしておりません。  通産省といたしましては、あくまでも一般的に、我が国の国際的な地位、最近の内外情勢にかんがみまして、貿易あるいは投資その他一般的に内外無差別自由化を行うべきであるという観点から、一般論として意見は申し上げましたが、本件に関しまして特別に郵政省に対して、外国の動向がどうだからどうしろとか、そういうような議論をしたとは承知いたしておりません。本件につきましては、確かに原案というか、もとの案を若干修正をされたわけでございますけれども、これはあくまでもこういった問題をめぐる内外の情勢を郵政省が御判断されまして、こういう結論に至ったというふうに承知しているわけでございます。
  76. 小山森也

    小山政府委員 ただいま通産省からもお話ありましたように、通産省の立場というのは、やはり通商を内外ともに常に自由貿易という原則でいくということが通産省の一つの原則であるので、一般論として外国との間の通商関係における障壁をなくすという意味で、これは今後とも、これだけでありません、原則論をお伝えするということは伝えられましたけれども、この第二種のことにつきまして、外資規制をどうのこうのという個別の問題はございませんでした。
  77. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、郵政省は、当初原案で私どもが伺っている範囲では、特別第二種、この電気通信事業者は許可制として外資を二分の一未満に規制していく、その理由は一体何だったのか。そして、外資が完全に取っ払われた、これを登録制として外資規制なしとしたその根本的な理由は私にもいまだにわがりません。しかもその間に、まだまだ短い期間ですよ、その間に日本の技術が大きく変わったとか、外国のその状況が大きく変わったとか、そんなこともないです。そうすると、これは郵政省が何か夢でも見ていた、そういうような感じにとれてしまうわけです。郵政省、もうちょっとわかりやすく説明しないと、ちょっと問題ですよ。
  78. 小山森也

    小山政府委員 まず第一に、原案の原案といいますか、郵政省が当初つくった案についての考え方というか、それはどういうふうに条文をつくったか申しますと、二分の一以上はだめだと言っているわけじゃないわけでございます。外資比率が二分の一を超える場合には許可しないことができる。ですから、原則としては三分の二であっても五分の四であっても許可しないことができるでございますから、二分の一超えたらすべてだめだという規定にはなってなかったわけでございます。  それでは、その後どうしてそれを取ったかということでございます。原々案というものをつくったときはかなり前でございます。これにつきましていろいろ検討したところ、いろいろ関係者から見ますと、内外無差別でした方がむしろ、業者間に切磋琢磨という形で非常に活力あふれる競争場裏ができて、結果的には利用者の利用料金が安くなる、そういったものが現実に考えられるのに、外資規制という障壁を設けるのはどうであろうかという意見が非常に多かったということ。  もう一つ心配しましたのは、これは特に第二種電気通信事業でございますから、不特定多数、全国的な範囲で仕事をするということでございますので、もしこれによって、外国資本によって日本のそういった影響力のある通信網が支配されるということがあったら困るからという懸念だったのでございますけれども、今全国的かつ不特定多数というようないわゆる第二種事業の実態と申しますのは、国内においては電電公社が既にかなり前から開始しているということでございます。それで技術力が十分ある。  一方、アメリカではどうかといいますと、ATTとかIBMというのは、まずIBMは、通信事業に乗り出すことを禁止されておったわけでございます。それからもう一つATTは、高度処理、いわゆるVAN事業に乗り出すことをこれまた禁止されておりまして、つい二年ぐらい前からようやく解除になってきているわけでございまして、それでは、あったのは何かというと、タイムネットとかテレネットとかいうサービスでございまして、これはまさに日本の電電公社で既に優秀な技術を持って行っておりますDDX網とほとんど変わりのないものであるということが判明してまいりました。  そういたしますと、まさにここにおいて、日本の重要な通信網が外国に席巻されるおそれがないということが推定されますならば、そこにおいて内外無差別にして、競争原理を働かせて、より安くより良質なサービスを最終需要者が享受できるというような法律的な枠にする方が適切である、このように判断したものでございます。
  79. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 小山局長はいつもそういう答弁をしているのですが、これは国民から見たのではわからない。全然わからない。  それで、かなり前に原点案ができた。かなり前とはいつですか。それから、関係者とも話し合った。これは通産省は関係ないです。だから、その関係者をもうちょっと明らかにしてください。二点。
  80. 小山森也

    小山政府委員 かなり前と申しますと、ことしではないということでございます。随分前にこの原案はつくっておりまして、十月ごろではないかと思います。要するに、これを当初つくったときというのはかなり前でございます。  それから、これにつきましてだれに相談したかということでございますけれども、これは当然、電気通信に携わる方でございまして、事業者であり、非常にベテランでございます電電公社等にも、これについては当然意見を求めたものでございます。
  81. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 かなり前、こだわるわけじゃないですが、これは重要な問題で、ことしではないというのは本当に間違いないですか。それは、ことしでなければ昨年の後半なのか前半なのか、これはまた全然違ってくるよ。もう一度答弁してください。
  82. 小山森也

    小山政府委員 ちょっと明確な日にちまでは申し上げられませんが、去年の後半、十一月ごろだったと思います。
  83. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 真藤総裁に改めてお伺いしておきますが、総裁先ほど、もう日本の技術も進んでおるし、IBM、ATTといったものに席巻支配されるおそれはない、このように言われておりますけれども、私は今までの答弁を整理してみましても、例えばアメリカのVAN、これはもう十年前から進んで、そしてアメリカの技術は日本よりも相当進んでおる、これは一般的な理解です。さらにまた、皆さんの答弁の中にも、この電電公社自身が民営化していく、あるいは電気通信開放されていく、そういったものは、もうアメリカやその他と比較するとおくれているんだ、だから、それは技術の面におきましてもおくれておるんだから、それに追いついていかなければならぬ、そういう面も含めて今回の民営化自由化というものがあるんだ、こう理解しておるのですけれども、これは間違いないでしょうか。
  84. 真藤恒

    真藤説明員 通信衛星を主体にしたVANのソフトというものは、アメリカの方が日本よりも早くから実用化されてかなりの実績を上げておる、日本の方は、そういう使い方を禁止しておったから世の中に出てない、このハンディキャップは現在でもございます。ただ、さっきお答えを申しましたように、それはそうであっても、だからといって、必ずしも日本に入ってきてすぐ日本のマーケットを席巻するだけの力が出るかどうかということは、これは別問題だと申し上げているわけでございます。
  85. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総裁、一般的に考えれば、やはりおくれているということは、アメリカのAT&TやIBMは進んでおる、こういうことなんですから、進んでおる方はおくれている方を席巻支配する、これはそうなる心配をするのは当然ですよ。しかしそれに、大丈夫だ、これは電電がいるじゃないか、新電電になったって大丈夫なんだ、こういう答弁をしていますが、私どもはまだ納得できないのです。むしろ電電も含めてこの新規参入組、要するに日本の企業、民業というものは、これによって活性化されていかなければならない、外国資本に圧迫されるようではこの意味がないのですよ。したがいまして、本当に乗り切っていけるんだという総裁の御答弁をもう一度お願いしたいと思います。
  86. 真藤恒

    真藤説明員 さっき申し上げましたように、この商売というものは、お客のマネージメントのノーハウ、あるいはそれに伴ういろいろな数字のデータを全部扱うわけでございますから、お客の信頼感がまず第一義的なものでありまして、一たんつくったソフトシステムは、世の中に対応する競争力を保持するために、時々刻々直していかなければいかぬということでございまして、一たんできたものがすぐそのまま使える性質のものではございません。永久に使えるものではございません。  したがいまして、仮にアメリカからいいソフトがあったといたしましても、それはソフトの基礎部門がいいものでありまして、実際にそれを実用化します場合の枝葉の部分は、お客と業者との間の親密な連絡がなければ実用になるわけではございません。実際問題として、アメリカの業者が日本に入ってきてこういう仕事をする場合に、日本の業者とジョイントでやるか、あるいは実際の仕事はほとんど日本人に任せなければできないし、その仕事だというふうに見ております。一番いい例が、IBMのソフトの商売は全部、お客に接しておるのは日本人でございます。アメリカ人自身はノータッチ、またタッチする能力もないと思います。  それともう一つ、さっき申し上げましたのは、IBMがあれだけ長い時間、独自なすぐれたコンピューター技術を持って、コンピューターの製造とソフトと両方で日本に根づいておりながら、日本の国では、世界の先進国の中でIBMのマーケットシェアはかなり低い方で、半分にはなっていないという現実の歴史がございますので、ソフトウエアの場合には、IBMが持っているようなハードウエアの強さというものが出てまいりませんので、そう恐れるものではないと考えております。  それともう一つ、さっきは申しませんでしたけれども、私どもは現在まで公社というしがらみの中で非常にやりにくい姿でやってきております。例えばお客との契約の内容を現在では、一々郵政省の承認を受けなければならぬという形でございます。だけれども、今度はそういうことは、やりようによっては一切しがらみが抜けていきますので、今持っております私どもの人的能力というものを一〇〇%使えるようになりますので、この点は今度の法案の私どもにとって大きなメリット一つでございます。そういうふうに考えますので、私どもとしてはそうあれしておりませんし、また私どもだけじゃなくて、日本のソフトウェアハウスの能力もかなり進んできております。そうそう恐れることはないと考えております。
  87. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 KDDに来ていただいておりますので、国際電気通信についてお伺いいたします。  我が国の国際電気通信はKDDの独占でございますね。今回の改革案によると、国際電気通信分野競争原理導入されてくる。競争原理導入についてKDDはどのように考えておるか、またKDDとしてどのような影響を受けるのか、最初にお答えください。
  88. 児島光雄

    ○児島参考人 昭和二十八年にKDDができましたころ、我が国の国際通信は先進諸国に比べますと、相当立ちおくれておったわけでございます。したがいまして、当時としては少なくとも、独占形態でKDDが国際通信をお預かりするということは、非常に適切でありましたし、必要であったと存じます。しかしながら、それから三十数年たちまして、我が国の国際通信も諸外国に比して決してまさるとも劣らないような状態にまで達しております。そういうような状態になりました今日においては、この競争導入することによって切磋琢磨の機会を与えられまして、活性化に役立てるということは、非常に意義があることかと理解いたしております。  また、これによってKDDがどのような影響を受けるかというお話でございますけれども、以前にも出ておりましたように、国際通信分野と申しますのは、各国が共同して事業をやっておるというような体制でございます。国内のネットワークもそうでございますが、世界電気通信網もいわば有機体的な性格を持っておりますので、このような有機体的性格の電気通信網を通じて国際通信をやるということには、現在、国際連合の専門機関である国際電気通信連合がございまして、そこでいろいろと約束事を決めて、そのもとに電気通信を運営いたしております。  条約がございますし規則がございますし、またそのもとに勧告がございます。そのような約束事を守っていかなければ、国際通信ができないという体制にございますが、現在のそのような条約、規則、勧告の体制は、政府が責任を持って条約を守らせ、また規則を守らせるというような事業でなければこれに参入させないということでございます。また、その専用回線のような借りた回線を使用して第三者、他人の通信を行わせるとか他人の通信を媒介するとかいうようなことは認めないという体制ができております。そのような情勢から、国際通信分野に新たに参入するということは、現段階では容易なことではないというふうに私どもは考えております。  しかしながら、あくまでもサービスがよくなければこれは問題になりますので、通信の通りの悪いところ、あるいはサービスの悪いところとか、そういうものができますと、おのずからそこにバイパスを必要とするというような要請が出てくるかと思います。そういう事態の起こらないように、今後も万全のサービスを提供する姿勢で臨みたいと考えております。
  89. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 このKDDの提供しているサービス、黒字の業務と赤字の業務、まあ黒字は一般的に電話だ、テレックスだ、専用回線ですか、ちょっとわかりませんが、そういった面が含まれておるように伺っておりますが、この黒字の業務と赤字の業務はどのようになっておるのか。そして、赤字業務が非常に多くなっておるやに伺っておりますので、この不採算業務の提供、例えば事業法案第三十三条の会計の整理、それとの関係サービス料金を値上げするというようなこういった事態にならないのか、その点も含めて御答弁ください。
  90. 児島光雄

    ○児島参考人 ただいま先生指摘のように、弊社の行っております国際電気通信業務には、国際電話、テレックス、それから専用線のごとき黒字のサービスもございますが、国際電報サービス、それから公衆データネットワークによりますデータ伝送サービス、それからインマルサットを利用しております海事衛星通信サービス、それからテレビジョンのサービスというような赤字の業務もございます。  これらはそれぞれその原因がございますが、データ業務のごときまだ発展過程にございますもの、それからインマルサットの海事衛星通信のようにいわば揺籃期にございますもの、こういうものは、着々と採算改善の方向に向かっております。テレビジョンも最近大分いい方向になってきております。国際電報サービスは御案内のように、極めて公共性の強いサービスでございますし、人件費を要する点等から、なかなかこれを黒字にすることは難しいと存じますけれども、これを今後どのようにするかというようなことにつきましては、国際電気通信連合におきましても研究を始めておる段階でございます。そういう研究の進まないうちに、公共性を無視したようなサービス形態に持っていくということも問題だと存じますので、これは尊重していきたいと考えております。  したがいまして、あくまでも国際電電の負託されております国際電気通信事業につきまして、引き続き公共的性格を十分尊重し、そして効率的な経営をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  御指摘の会計分類の関係でございますけれども、これは省令等によりまして今後詳細な条件が固まってまいると存じますが、政府の方の御指導も受けまして、どのように整理していくか、これを検討させていただきたいと考えております。いずれにいたしましても、極力コストの削減に努めまして、赤字幅の縮小に努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
  91. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ちょっと時間の関係で、次の問題に移ります。  郵政大臣にお伺いしておきますが、郵政大臣は第二電電構想について、実行段階に入ったら統合一本化した方がよいのではないか、こういう考えを明らかにしておりますが、また経団連におきましても第二電電の一本化工作、こういったものが明らかになっておりますけれども、このいわゆる新電電とそして民間の第二電電の二社体制、要するに二つ体制が望ましいという考え方を明らかにしたのはどういう意味がございますか。
  92. 奥田敬和

    奥田国務大臣 まず、需給調整を行うんじゃないかというような形に関して、私は先般、需給調整は行わない、そしてできるだけ新規の参入という形で競争原理が動くことが望ましいということを、原則論として述べたわけでございます。  ただ、一種事業現実の面から見ると、先ほども申しましたように、資金であれ、技術であれ、また人材の面であれ、なかなかそう簡単ではないということを指摘したことも事実でございます。したがって恐らく、現実の具体的に事業参入という段階になりますと、今あっちこっちでそれぞれの声が上がっておりますけれども、これは乱立の方向ではなくて一本の方向に向かうのではなかろうかという、一つの私の個人的な予測を交えてお話ししたということでございます。  それは今先ほど申しましたようないろいろな形の中で、衛星を利用するというグループもあれば、あるいは公団のように高速道路のそういった形を利用するという形、あるいはマイクロウェーブ方式でやった方がメリットがあるんじゃないかというような話、いろいろこれはプランとしては出ておるわけでございますけれども、しかしあくまでもこういった新電電と料金の面では競争原理が働くわけでございますけれども、あらゆる意味において市内アクセスを含めて新電電とは協調態勢でいかなければ、一種事業としての参入業者が適正な経営規模でやるということ、公益的な使命を発揮するということは、なかなか困難ではなかろうかということでお話ししたわけでございます。
  93. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 簡単に言うと大臣、ここでも何人かの人たちが指摘しておるように、今の電電、新電電になっても、それに対抗して幾らクリームスキミングでも、そこへ入ってくることは並み大抵のものじゃない。だからむしろ力を合わせて、三人おれは何とかということもあるし、それがもっと大勢で寄ってやれば何とかこう入れるだろう。そうでないと、大臣、この法案をつくる意味ないものね、出てこないと。苦しいところなんだ、これはね。  だが、そういうことが論議されること自体、私はもう前々から指摘しておるとおり、電電独占性、これは電話事業に関して言いますが、第一種事業という面も含めて申し上げておきますが、これを解消することはなかなかできない。そうすると、電気通信は一元的運営の方がいいんじゃないか、こういう論議はもうずっと根強いものがございますね。そしてなおかつ、ATTやそのほかの例を考えて五年後の見直し、こういうようなものも考えていくと、また分割論議が出てくるものではないか。私どもはまだそれに対しての危惧は持っております。  分割というものは絶対ないと言えますか。アメリカはあったんですからね。日本の電電の場合は絶対ないんだ、これは言えますか。
  94. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のとおりに、電話中心ということで考えますと、やはり全国あまねく一体的に運営されている今日の公社のネットワークのこういった形の体制が望ましいと思います。これからのいろいろな通信網の利用形態の中で、こういった民営化論という形が一つの政策課題になってきたわけでございます。  しかし、御指摘のように、当初の臨調の答申という形になりますと、民営化し分割という形でございましたけれども、私たちはやはりこういった民営化体制は必要であろう、しかし今日の現実の情勢からいって、分割という形はそぐわないという形の中で、今回の法案の中にも、分割という形ははっきりと取り除いてきたわけでございます。  今後も、ある意味競争原理が働くという過程の中で、これは少し御質問の趣旨から外れる余談になりますけれども、投資も自由でございますから、附帯的な業務という形は、自助努力と自主的な判断によって、将来の課題としてはできるだけそういった新システムでやっていく形、これも経営内部の仕事でございますから、私が口出しすることではございませんけれども、そういった方向でいってほしいなと思っておることは事実でございます。しかし、この通信網の分割という形については、私たちは全く今考えておらない、将来方向によっても、今日の一元体制が望ましいという気持ちでございます。
  95. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、時間ですのでもう一点だけ、真藤さん、気軽に答えてください。  会社法の第一条の一項で、「日本電信電話株式会社は、国内電気通信事業経営することを目的とする株式会社とするものとする。」出発はこれですね。この法案が通ると、日本電信電話株式会社、こういう名前に決まるわけだ。ニホンかニッポンか、これはわからぬし、ローマ字読みでNTTと通称言う場合もありますね。しかし、KDDも同じことなのに、何でこっちはTTでKDDの場合はDDとくるのか。ちょっとこれは素朴な質問で恐縮でございますが、電電あるいはNTT、こういったものをこのまま使うのか、あるいはこの内容を新しいイメージというようなものを何か考えているのか、そういった面を踏まえて気軽に答えてください。
  96. 岩下健

    ○岩下説明員 今先生の御質問は、新しい会社になりまして、一つのイメージというものを打ち出すことも考えるべきではないか、こんな御趣旨が基本的にあるように理解するわけでございます。  その点につきまして、私ども全く同じようなことを考えておりまして、やはり新しい企業理念の確立と申しましょうか、こういったものを通じまして、お客様、世間の皆様方にも新電電というものを御理解いただくと同時に、部内でもそういった意識の浸透を図りたいということを今考えております。その中で具体的な問題、これは法案の成立を待ちまして、具体的な準備に入る段階でのことではございますけれども、今先生おっしゃったような問題も含めて、これから勉強してまいりたいと思います。  なお、今の社名に関しまして、ニホンかニッポンかという問題につきましては、これは実は現在電電公社におきましても、ニホンではなくてニッポンということで統一しておりまして、例えば英語の社名、これもニッポン・テレグラフ・アンド・テレホンといったことから、略称NTTにしているというようなことがございます。いずれにいたしましても、新しい会社発足に向かいましては、そういった広く世間にお役に立つ新電電というもののイメージを、社内外ともに打ち出していきたいということで、これから勉強してまいりたいというふうにも思っております。
  97. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  98. 志賀節

    志賀委員長 次に、小谷輝二君。
  99. 小谷輝二

    ○小谷委員 本会議も迫っているようでございますので、簡単に質問を申し上げます。  設備料の問題でございますが、現在公社の純資産はおおむね四兆六千億、このように聞いておりますが、この純資産四兆六千億の中に、約四千三百万という加入者が昭和三十五年四月からは一万円、四十三年五月からは三万円、四十六年六月からは五万円、五十一年十一月からは八万円、このように設備料として支払ってきたわけでございますが、これは純資産四兆六千億の中でどのくらいな金額になっておるのか、御説明いただきます。
  100. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  現在公社の総資産が五十七年度末で申し上げまして十兆二千億円余りでございます。これから負債を差し引きましたいわゆる純資産、つまり自己資本でございますが四兆六千百二十九億円になっておりますが、この中で、ただいま御指摘の設備料を主体としました、これは会計上は設備負担金という名前で整理をしておりますが、二兆二千二百三十九億円になっております。
  101. 小谷輝二

    ○小谷委員 電気通信料金問題調査研究会、こういう会がありますが、この会はどういう趣旨でどういう性格を持った会ですか。
  102. 小山森也

    小山政府委員 電気通信の料金に関しまして私ども勉強をもう少し詳しくして、非常に理論的な理論づけであるとか実際との応用等はどうであるかということを勉強するためにつくった会でございまして、これはもう既に昨年解散しておるわけでございます。
  103. 小谷輝二

    ○小谷委員 この会が「電気通信サービスの料金の在り方に関する研究」ということで報告をしておりますが、この中に「設備料は、増資を事実上制限されている電電公社に対する加入者の資本拠出的性格を有する資金」、このように発表しておるわけでございます。つまり設備料は、資本拠出的性格を帯びたものであって、その累積が今発表のありましたように約二兆五千億近くなっておるわけでございますが、この設備負担金は今後民営化された段階ではどのような勘定の扱いになるのですか。
  104. 岩下健

    ○岩下説明員 新会社におきます端的にはバランスシートのつくり方、これは資本金の決定その他も含めましていわゆる開始貸借対照表としまして、法案成立後、設立委員会において御論議いただいて決まるものというふうに理解をしておりますけれども、私どもの理解といたしましては、現在公社制度の間に先ほど申し上げました設備負担金という形で経理をしておりました理由は、商法、税法の適用もございませんし、また、この料金としての性格に基づきまして、一般の損益収支とは離しまして資本剰余金として経理をする、こういう趣旨で設備負担金として今まで経理をしてまいったわけでございます。  それでは、新会社になりましてこれをどうするかという点は、ただいま申し上げたような設立委員会の御決定にまつわけでありますが、ただ理解としましては、公社において資本剰余金として整理されてきた経緯等から考えますと、新会社におきましてはいわゆる資本準備金として整理されることになるだろうというふうに思っております。  なお、会社になりますと商法、税法の適用がございますので、お客様からいただくこの種の料金はすべて損益収入、つまり資本剰余金の経理が認められませんので、損益収入として経理をされるというふうに理解をしております。
  105. 小谷輝二

    ○小谷委員 現在公社ですから、これは負債、資本勘定の中に設備負担金ということで計上されておりますけれども、これは株式会社になったときには損益収入になってきますね、これはどうですか。
  106. 岩下健

    ○岩下説明員 先ほど申し上げたのをもう一度正確に申し上げますと、会社発足当時におきましては、従来の設備負担金、つまり資本剰余金は資本準備金として経理をされる。それで、会社になりましてから新たに年々設備料もいただくことにしておりますけれども、これは損益収入として経理をされる、つまりは資本準備金には入らないという経理方法になろうかと思っております。
  107. 小谷輝二

    ○小谷委員 株式会社になりまして、今説明のあったように損益収入、この計算になれば、これは当然課税対象になりますね、どうですか。
  108. 岩下健

    ○岩下説明員 おっしゃるとおり、これは課税対象収益ということになるわけでございます。ところが、この料金といいますか、収益の性格から申しますと、これが一時に課税対象になるということはいささか問題がございますので、電気あるいはガス等の類似企業における工事負担金の例にありますように、いわゆる圧縮記帳の方法をとっていくことを現在検討しております。つまり、これによりますと、一時に課税利益ということにならずに、いわばその課税額が何年間かに分割されて課税対象になる、こういう効果があるわけでございます。
  109. 小谷輝二

    ○小谷委員 そういうことになりましたら、今回民営化されることによって、今まで負担をしてきた設備負担金というものは公社のときと今後は根本から性格を異にする、要するにこういう考え方でなければならぬ、こう思うのです。したがって、現在の約二兆五千億近いこの純資産、これは少なくとも四千三百万という加入者の拠出した設備拠出金というものでございますから、この際これは加入者に例えば妹として還元すべきではないか。要するに、資本準備金というふうないわば含み資産的な経理の中で残さずに妹として――公社から資産を無償に譲渡を受けるわけでございますから、それは加入者が拠出した、設備負担金という名目で公社が集めた資金ですから、現在の資産ですから、この際資産に見返りの妹として還元すべきではないか、これはいかがですか。
  110. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、過去三十年にわたりましてお客様からちょうだいした料金、それも設備をつくるために充てるという趣旨の料金としていただきました。したがいまして、現在の公社の資産の形成に対しますお客様の皆様からの寄与は、非常に大きいというふうに私ども考えておるわけでございます。ただ、この会社の設立に当たりまして、この株式を加入者に交付をするということには現在の法案ではなっておりませんけれども、これは結局、国の政策判断、立法政策によるものだというふうに私ども事業者立場としては理解をしておるわけでございます。
  111. 小谷輝二

    ○小谷委員 要するに、現在の公社の資産、これは無償で株式会社に譲渡をするわけですから、その見返りとして株式会社は株を出すわけですから、この計算に出ております利益剰余金、五十七年度で約二兆二千億ですか、これは当然のこととして、ここに設備負担金として挙げられているものも純資産ですから、これも当然のこと見返りとして出すべきではないか、そうして拠出者である加入者に還元すべきではないか。これは理論的には当然なことではないか。それを資本準備金という形でなぜ残さなければならないのか、これはどうですか。
  112. 小山森也

    小山政府委員 先ほどから先生指摘のように、設備料というのは加入に際しまして、新規加入者が負担した拠出資本的性格を持つということでございます。したがいまして、株式に転化させることは適当でない、こういうように考えまして、資本準備金として整理すべきだろう、こういうふうに考えているわけです。  それでは、加入者が拠出いたしましたこういった設備料というものは、今現在どのような形で加入者との間で関係してくるかということでございます。これは今度は新会社が一切引き受けるわけですから、加入者と新会社との関係になってくるわけです。今でも加入権というものは、先ほどもちょっと例は悪いんですけれども電話加入権の質権というようなこともありますように、財産的価値を持っているということで、設備料そのものが財産的価値が加入権というものによって転化されているというふうに私どもは見ているわけです。  それがすべていっているかどうかというのは、これまた評価の問題になりますけれども、質権の対象になるということは、財産権としての価値を持っているということでございます。したがいまして、これからどのように株を処理するかということは、まさに国有財産の普通財産をどういうふうに処理するかという方針のもとに、これからの検討になってくることでございますけれども、今現在加入者に設備料相当分の財産的価値が残っているということを一応考えなければならないんじゃないかと思っております。
  113. 小谷輝二

    ○小谷委員 今度新たに株式会社になってから加入する人からも、今までどおり設備負担金は取っていくんですか、これはどういう考えですか。
  114. 岩下健

    ○岩下説明員 お客様との関係においての設備料の性格というものは、新会社になりましても基本的に変わらないというふうに考えております。つまり、加入電話の新規架設の工事に要する費用の一部に充てるというためにいただいている料金でございます。今後加入電話の増設につきましても、当然まだ相当数のものを設置をしていくわけでございますので、このためにはまだ相当の費用もかかりますので、今後とも設備料は御負担いただきたいというふうに考えております。  それで、先ほど先生の御指摘の点につきまして、郵政省から基本的なお考え方の御説明がございましたけれども、私ども事業者立場に立ちますと、会社になりましても、資産の実体というものは変わらない、ましてや、お客様との関係でのサービスの提供という点は全く変わらないわけでございますので、お客様に対しましては、公社当時と同じように、あるいはそれ以上にいいサービスを提供をしていく、サービスの改善に努力をする、こういった点が設備料をお払いいただいたお客様に対する私ども事業者としての立場であろう、かように考えております。
  115. 小谷輝二

    ○小谷委員 この問題はまた後で詳しく論議するとしまして、電気通信事業長期指針のことにつきましてお尋ねをしたいと思います。  電気通信審議会が五十九年一月「二十一世紀に至る電気通信長期構想」を発表されておるわけでありますが、その第二章「高度情報社会の実現に向けての具体的方策」の中に「できる限り明確かつ長期的な指針を早急に策定すること」、このように構想で述べられておるわけでございますが、この長期指針はどのようになっているのですか。
  116. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生が引用されましたように、ことしの一月に電気通信審議会から郵政大臣あてに「二十一世紀に至る電気通信長期構想」が答申されております。その中におきましては、今後競争原理導入によって、複数の電気通信事業者が出現することが予想されることを前提にいたしまして、国みずからが電気通信に関する長期的な指針を明らかにするように求められております。  国みずからがこの指針を明らかにするわけでございますので、当然これは従来のように、電電公社経営方針が即、国の方針であった時代と異なってまいりましたので、予算あるいは法制面において逐次実現していくつもりでございます。  答申の中にも述べられておりますように、高度化に向かっての目標あるいは標準化の問題、さらに技術開発の体制整備、さらに資金的な面といたしまして、金融面、税制面等の措置等が考えられようかと思います。それらの諸要素を現在、いかような形で指針に織り込むかということを鋭意検討中でございます。
  117. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは私、本会議で、この長期指針はいつ出すのか、このように質問をいたしました。大臣は「国がこの長期指針をできるだけ早く制定をいたしまして、電気通信システムの高度化を円滑に達成するように努力する必要があると考えております。」このように要するに、国の長期指針というものを早急に策定をして、そうして円滑な達成に努力する、こういう返事でございました。  私は今国会中にでもまずこれが出されるもの、このように期待しておったわけでございますが、今の話じゃ鋭意検討中ということでございますが、これはなぜいまだに検討中ということなんですか、これはどういうことなんですか。
  118. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 その答申の中にもうたわれておりますように、競争原理導入によって、複数の事業者が出現することが予想される、そのような状態が現出された暁におきまして、長期指針を策定することが求められているわけでございます。  つまり、電電公社が国内公衆電気通信業務を一元的にやっているような体制のもとでは、公社経営方針が即、国の方針でもございます。もっと端的に申し上げますと、かつての電信電話拡充五カ年計画というものが、当時における一つ高度化指針であったと思いますけれども、現在国会において御審議いただいております電電改革三法を成立させていただきましたならば、複数の事業者が出現する基盤が整いますので、その基盤が熟成するのを待ちまして私どもは、大臣が本会議で御答弁申し上げましたように、早急に国の指針を策定すべく今から鋭意準備に取りかかっているところでございます。
  119. 小谷輝二

    ○小谷委員 高度化のための長期指針の策定について、要するにこの電気通信審議会の構想の中で、どの点にどういうふうな内容を必要とするかということを述べておるか、お答えください。
  120. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 答申の中におきましては、まず高度化目標を明らかにすること、つまり電気通信事業が二十一世紀に向かっていくべきその指し示す方向を明らかにすることという趣旨だと思います。次に、そのような高度化を達成するために必要な技術開発面についての措置をとること。それから第三点といたしまして、高度化を達成するための資金的な面、具体的には民間の資金の円滑な供給等を含む、あるいは政府系統金融機関の資金の低利活用等を含むものであろうと解釈しておりますけれども、以上三点が主な柱でございます。
  121. 小谷輝二

    ○小谷委員 ちょっと大蔵省にお尋ねしますけれども、この長期指針の策定に対する国の対応として、かなり膨大な資金を必要とする、要するに、今後の電気通信事業を育成していくための国の施策として、かなり詳しく、こういう点を十分組み入れて長期指針を出すべきである、こう述べられておりますが、その内容は大蔵省、御存じですか。
  122. 日高壮平

    ○日高説明員 財政当局としての私ども立場は、主務官庁でございます郵政省から毎年の予算編成に当たりまして要求があり、その要求を待ってそれを財政当局として判断するということでございますので、本件についてまだ十分承知はいたしておりません。
  123. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回この構想の中で、指針にどうしてもこれだけは明確にすべきであるということで、光関連技術、また先端技術分野の開発、これは巨額の資金を要する。これは民間だけでは十分にその資金の準備が対応できない。また、衛星関係技術開発にしても大規模な国家資金の投下が必要である。また、衛星通信サービス事業についても、この助成もかなり高額な大幅なものでなければならぬ。また、データベースの構築の助成、またはニューメディアのソフト供給会社、これに対する助成にしても、いずれにしても大変な膨大な資金を要するので、こういうことを前もって国が策定をして、そして育成策を考えなければならぬ、こういうことを述べているわけですけれども、大蔵省、これは御存じですか。
  124. 日高壮平

    ○日高説明員 情報通信高度化に向けて各種審議会がいろいろな提言を出されていることは承知いたしておりますが、その各種審議会の意見に従って国としてどういう措置をとられるか、それを判断されるのはまず一義的には、主務官庁である郵政省でございますから、私ども財政当局としての立場は、まず郵政省のお考えを伺って、その上で判断いたしたいと考えております。
  125. 小谷輝二

    ○小谷委員 では大蔵省は、長期指針なるものが政府におきまして、政府の長期指針として閣議決定され、すべての省庁にかかわる問題が認知され、ちゃんとしたものであるならば、例えば直ちに来年四月から発足するとすれば、来年度の予算に十分考慮して組み入れることができる、こういうことですか、どうですか。
  126. 日高壮平

    ○日高説明員 来年度の予算編成の作業は、いわゆる概算要求枠、シーリングと申しておりますが、それすらまだ決まっていない現段階におきまして、来年度の予算案の中身について申し上げることはできないわけでございます。
  127. 小谷輝二

    ○小谷委員 大蔵省は要するに、国の基本的な方針というのが決まったら、大蔵省の責任のある仕事ということになりますから、閣議決定されたものであって国の決めたものなら、全然避けて通るわけにはいかないでしょう。これはどうなんですか。
  128. 日高壮平

    ○日高説明員 先生御承知のように予算というものは、最終的には歳入との関連で歳出規模が決まってくるわけでございますから、今先生が御指摘になっている問題につきましても、最終的にその予算でどういう形で処理をするかという点について、今申し上げるわけにはいかないわけでございます。
  129. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣が本会議で、国がこの長期指針をできるだけ早くつくると答弁されたという意味は、要するに、郵政省の案ではなしに政府として認知されたもの、こういうものを早急につくらなければならぬ、このように私たちは受けとめましたけれども、これはいかがですか。
  130. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 国みずからが策定するわけですけれども通信行政を主管している郵政省がその発議をいたさなければなりません。先ほど来大蔵省から御答弁がありますように、高度化のためには税制面、金融面、それから法制面といろいろございますので、いずれにいたしましても、予算なり税制なり法案という形で国としての意思を決定することになります。
  131. 小谷輝二

    ○小谷委員 要するに長期構想、長期指針もできない間にこんな法案を出されても困りますよ。構想の中で法案を出されて、この法案がよし国会で承認され可決されたときには、このような施策で新たな電気通信事業の育成策、新規参入業者に対する育成、これもこのようにしますというものはきちっと認知されたもの、政府で決まったもの、その段階の中の一つのステップとしてこの法案が出てきて当たり前なんです。指針がないのにこの法案を審議せいと言う。大蔵に聞いたら、直ちに来年度から民営化され、競争原理導入のもとに活性化が図られ、活発に研究開発がされ、どんどん施設が進んでいかなければ意味がないのに、それに対する対応は何も考えていません、そんな時期ではありません。これは会社をつくるだけで、当初民営化をする目的は全部だめじゃないですか、意味がなくなるじゃないですか。これはどうですか。
  132. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 この高度化の指針というものは、あくまでも競争原理導入によって、複数の電気通信事業者が出現する状況がつくり出されること、それを前提に指針をつくるように求められているところでございます。したがいまして、今回の三法案が成立いたしますならば、まさにそのような基盤が成熟いたすわけでございます。したがってそれを受けまして、新しい電気通信をめぐる環境の中で高度化の指針をつくるわけでございますので、私どももできるだけ早急に二十一世紀に向かっての指針をつくるべく大臣から作業の指示を受けておりますので、今鋭意やっておるところでございます。
  133. 小谷輝二

    ○小谷委員 それは道なんですよ。要するに、長期指針に基づいて電気通信事業は将来このようにしていきます。そのために民営化し活性化を図って民間の活力を導入していくのだ、それにはこういう施策もしていくのです、したがってこの電電改革法案を審議してくれ、これが当たり前じゃないですか。その指針を出さずに、まずこれをやってくれ、これをやってくれたら指針を考えるのだ、そんな論理ないでしょう。大臣いかがですか。
  134. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 電気通信審議会の答申にうたわれておりますように、電気通信分野においては今後競争原理導入により、複数の電気通信事業者が出現する状況が予想され、したがってと書いてあるわけです。それが前提になっておるわけでございますので、まず私どもは、その電電改革三法によって競争原理導入し、複数の事業者ができるような環境づくりをぜひお願い申し上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  135. 小谷輝二

    ○小谷委員 終わります。
  136. 志賀節

    志賀委員長 次回は、明十三日金曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会