○真藤説明員 私、就任いたしまして初めて
公社法及び公衆電気
通信法というものを読みまして、それから社内のいろいろな動きというものをいろいろ説明を受けまして、非常に強く感じました。それはどういうことかといいますと、
公社法に書いてあることの実態は、
経営の責任者としてほとんど現実には残っていないということを発見いたしました。
この原因は何だということをいろいろ考えてみますと、やはり三
公社五現業という公労法の枠の中に入っておる国営
事業の
事業体というものに対する国の方針、過去の歴史というものから、
電電もその影響を受けて、今申しましたように、法律のとおりには実態は動いてはいないということを発見いたしました。
その動いていない方向と申しますのが、長い間民間の企業の
経営の一端を担いできた人間から考えますと、
経営の責任、あるいはより安くよりいい
サービスを世の中に提供するための
経営者としての責任を遂行するプロセス、あり方、環境というものが、悪い方へ悪い方へ動いてきた歴史が厳然とあるということも発見いたしました。これではとても、従来どおり
電話と電報だけやっておればいい
電電公社なら、あるいはこのままでよかろう。しかし、それでも現に私が就任いたしましたときには、支出の伸び率と収入の伸び率が二%近い逆ざやになっております。ということは、このままで動けば必ず赤字に転落するということであります。
そこで、一番先に私がやりましたことは、収入の伸び率と支出の伸び率というものを少なくとも平行線に持っていくということをどうしてやったらいいだろうかというふうにいろいろ考えまして、さしあたり、民間では常識になっております月次決算制度を強引に導入いたしまして、二年かかりまして、どうやら支出の伸びと収入の伸びというものに明るさの見通しを得ることができました。
この過程の中で、
一つ大きく発見いたしましたことは、
電電の職員というものは、合理的な指導を強力にやれば納得してついてくるんだ、そして、それを実行するだけの力は持った人間集団であるということを、現実に数字の変化の上から読み取ることができたわけでございます。そうであれば、これは今の制度をより安いより多彩な将来の電気
通信サービスに適応させるためには、持っていきようによっては立派なものになるんだという自信を持ち得るようになったのが、就任して二年目の終わりでございます。
そういうことから、当時もう既に臨調の問題が出ておりましたので、この線に沿って我々が変革することができるならば、これは自信のある日本の
電気通信事業というものが確立できるんだという強い自信を持つことができるようになったわけでございまして、また、いろいろなそういうふうな自信を持つようになったこと、またそっちにいくべきだというふうに思い出したこともいろいろな例は山ほどございますけれ
ども、私が就任いたしましてやってきましたことに対する社内のいろいろな対応というものに、現在のところ私は根本的な不平は何もございません。よくやってくれておる、またやっていけるんだ、この連中と一緒なら、という感じを今強く持っておるわけでございます。そういうことで、臨調の線に沿って変わっていくということに対して、私は積極的なと思われるような行動をとったというふうに申し上げていいと思います。
もう
一つ問題がございますのは、これから先の訓練でございますが、
電話と電報の世の中ならば、
設備さえすれば皆自動的にそれを求めていただいて自動的に御
利用なさるので、我々と
利用者の間の民間の企業で言います営業ということに対しては、ほとんど
努力をする必要はないのでございます。ところが、これから多彩な
サービスをやらなければならない、これはもう私
ども業者にとっては宿命でございますが、また、そうしないと日本の社会がずっと国際的に見ておくれることは目に見えておりますので、そうなりますと、私
どもが新しいメディアをいろいろ
技術的に
開発いたしましたものを、最も有効に世の中に使っていただくような使い方について、私
どもは受注活動をしなければいかぬ。
この受注活動をするのが、大口ユーザーに対する受注活動と家庭及び小口ユーザーに対する受注活動というものが、これから先の私
どもの
経営のバイタリティーの根源になるというふうに考えられますので、さあ、そうなってまいりますと、今までの
公社の三十年の歴史のあり方ということで、そういう対応ができるかどうかということに対して多分に疑問がございます。
やはり
経営の
状況に応じて、世の中の対応に応じて随時組織も変え、人事も変え、あるいは組織ごとの属人的能力なり、その組織の単位の業績に応じて働きがいのある環境の中に職員を入れていく必要がございますけれ
ども、現在の
公社制度である限り、それは絶対に不可能に近いというふうなこともございまして、そういうことで、今御
質問のあったような行動をしたわけでございますが、趣旨は、今
大臣がおっしゃいましたように、今まで悪いからどうのこうのというんじゃなくて、これから先が大変だから、それに対応するのに最適の
条件に持っていくことをお願いしたいというのが、私の切なる願いでございます。