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1984-07-04 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月四日(水曜日)     午前十時十三分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君       亀岡 高夫君    近藤 鉄雄君       近藤 元次君    左藤  恵君       佐藤 守良君    額賀福志郎君       野中 広務君    渡辺 紘三君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       松前  仰君    森中 守義君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 二木  實君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      小山 森也君  委員外出席者         総務庁行政管理         局管理官    藤沢 建一君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         中小企業庁指導         部指導課長   小野 栄一君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   前田 光治君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         日本電信電話公         社総務理事   福富禮治郎君         日本電信電話公         社総務理事   児島  仁君         日本電信電話公         社総務理事   岩下  健君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 七月二日  日本電信電話公社制度改革に関する請願(岡田  春夫君紹介)(第七〇六二号)  同(鈴木強紹介)(第七〇六三号)  同(八木昇紹介)(第七〇六四号)  同(河上民雄紹介)(第七〇九三号)  同外一件(佐藤徳雄紹介)(第七〇九四号)  同(有島重武君紹介)(第七二一六号)  同(伊藤忠治紹介)(第七二一七号)  日本電信電話公社制度等改革に関する請願(河  土民雄紹介)(第七〇九五号) は本委員会に付託された。 七月三日  電電公社制度改革に関する陳情書  (第三八六号)  電気通信事業改革に関する陳情書  (第三八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号  )  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第八〇号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小谷輝二君。
  3. 小谷輝二

    小谷委員 今回の電気通信事業改革は、明治から百十四年という長い間にわたりまして我が国の国営ということで一元的に続けられてきた事業でございます電気通信事業を根本から改革していこう、このようなものでございますから、史上例を見ない大改革であろう、このように私たち認識をいたしております。したがって、決して軽々に扱ってはならない、慎重の上にも慎重に論議を尽くして、将来誤りのないようにしなければならぬ、このように思うわけでございます。そこで、私は本会議でも質問をいたしましたが、この電気通信制度改革を論議するに当たりまして、まず次の点を柱にして検討しなければならないのではないか、このように思っております。  その第一点は、電気通信事業の持つ公共性また公益性、これが担保されたものであって、国民がこれまで以上に低廉で良質なサービスを公平に受けることができるかどうか、これをまず重点に考えなければならないのではないか、このように思います。  次は、高度情報社会における国民のニーズにこたえて、円滑に電気通信事業高度化をどのように図っていくことができるか、この問題であろうかと思います。  さらに三番目には、臨調等においてもかなり厳しく指摘のありました公社経営の意識また非効率性、こういうふうな点をどのように克服していくか、こういう点が大事ではなかろうかと思うわけであります。さらに、公社国民の共有の財産でもございますし、また、今まで例のない大きな公社を民営化するわけでございますから、少なくとも特定の者の利権を絡ませてはならぬ、国民の納得のいく改革でなければならぬ、このように思っておるわけでございます。  このような大まかな観点から順次質問をさせていただきますけれども、私は全くずぶの素人でございますので、できるだけ丁寧にわかりやすくお答えをいただきたいことをお願い申し上げまして、質問をさせていただきます。  最初に、電話は今既に我々国民生活の一部でございまして、日常生活から一刻も取り除くことのできないものでございます。全国民がひとしくこのサービスを受けているという公共性公益性の最も強いものでございます。特に、今電話福祉分野におきましても、大きくその任を果たしておるわけでございます。  そこで、厚生省所管老人日常生活用具給付事業というのがございますが、この事業実施要綱に基づいて老人用電話、すなわち福祉電話とも言われておりますが、このサービスがございますが、この事業実施状況、そうして公社が果たしておる、この事業に携わっておる問題点、ここらを御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  4. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  先生お尋ねひとり暮らし老人方等に対します国が行っておりますいわゆる福祉電話、これは国の施策として地方自治体のレベルで加入電話設置するということをやっておられるわけでございますが、公社の立場といたしましてこの福祉の問題としましては、いわゆる福祉用電話機器開発とこれの積極的な設置並びに料金割引と申しましょうか、減免といいましょうか、こういった形で国の福祉施策に御協力を申し上げ、また、地方自治体のそういった各種の施策協力をしておるわけでございます。  具体的に申しますと、最初昭和五十年度でございますが、シルバーホンあんしん」あるいはシルバーホン「めいりょう」といった、例えば耳の遠い方に音量調節のできる機器開発しておつけをする、あるいはひとり暮らし老人の方が緊急の場合にワンタッチでいわばその危急を告げるといった装置を持ったシルバーホンあんしん」、こういったものを開発をして今まで積極的に設置をしてまいりました。五十八年度末現在の設置数は、このシルバーホンシリーズといったものをトータルいたしますと、約十五万個に相なっておりまして、このうち、約四万ないし五万の方がこの料金割引の対象になっておられるわけでございます。料金につきましては、当初のコストから計算いたしました料金の約五割引きという料金を実際にお払いをいただいておるという状況でございます。
  5. 小谷輝二

    小谷委員 シルバーホン使用料について、かなり機具使用料といいますか、付加用具使用料、この分の割引があるようでございますが、身体障害者とか寝たきり老人とかいう方に対する福祉電話設置費といいますか、架設費といいますか、これに対する割引ということは考えておられなかったわけですか。
  6. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先生指摘身体障害者またはひとり暮らし老人の方のいわゆる福祉電話というものにつきましては、市町村を中心といたしました地方自治体または国の福祉行政の中で取り扱っているものでございますが、私どもといたしましては、昭和五十六年から、いわゆる福祉電話市町村名義または福祉団体名義電話につきましては、基本料事務用から住宅用に適用するということをいたしておるわけでございます。現在、老人福祉電話が四万七千九百加入身体障害者福祉電話が七千加入、合計五万四千九百加入、これは五十七年度末でございますが、適用しているわけでございます。  さらに、先生指摘設備料につきましても、身体障害者の方で経済的に困窮している方及び生活保護を受けている方の電話申し込みにつきましては、設備料の分割払い、これは二回から十二回に分けて無利子で五十一年から実施しているところでございます。
  7. 小谷輝二

    小谷委員 この寝たきり老人とか身体障害者方々がまさに福祉電話というのは命綱ともいうべきものでございまして、また、友人とか知人とのコミュニケーション、遠く離れている肉親との唯一のつながり、このようなものであり、また生きがいというものにもなっているものでございます。これは国が三分の一、府県が三分の一、そして市町村が三分の一負担して施設されておるわけでございます。  公社としてこの福祉電話に取り組む姿勢として、一層のよりよき機具開発、これを初め福祉電話取り組みについてはもっと意欲的に取り組むべきではないか、このように考えておりますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  8. 岩下健

    岩下説明員 ただいま先生指摘のような方向で、私どもとしては今後も積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、現在、シルバーホンという名前を冠しました機器が約七、八種類ございます。これの御利用状況等もお客様から御意見などもちょうだいいたしまして、これをよりよい使い方といいますか、使い勝手がよくなるように常時工夫もしておりますし、また、新しい機器開発についても取り組んでおるわけでございます。  例えば、現在のシルバーホンあんしん」、主としてひとり暮らしのお年寄りのためのものでございますが、これは先ほど御説明申し上げました危急の場合といいますかにメッセージがいくように、御本人があるいは周りの人がテープにあらかじめ吹き込むという方式をとっておったわけでございますが、これをそうでなしに、ワンタッチ合成音でそのメッセージができる、こういった技術を現在開発中でございます。それからまた、このシルバーホンあんしん」自体、この機器の大きさをもっと小型にするとかあるいはさらに低廉化するとかいうことについても現在取り組んでおりまして、これはぜひひとつことしの秋ごろまでには実現をしたいというふうに考えておるわけでございます。  さらに、これは今年度中、第四・四半期になろうかと思いますけれども、実際にお使いいただけるようにしようと思っておりますのは、いわば筆談形式電話機と申しましょうか、描画のパッドでございますが、これと電話機とを連動させまして、一種の簡易ファクシミリのような感じでございますけれども、耳やあるいは口の極めて御不自由な方が会話ができないという場合に、絵なりあるいは文字で会話のできるようにしたい、こういうねらいでございます。これにつきましては、身体障害者団体の皆様とも御相談をいたしまして、モニターテストをことし既にこの春実施をいたしました。その結果も踏まえまして、これの改良といいますか開発に取り組んでおる、こういう状況でございまして、今後とも私ども持っております技術力を十分に活用いたしまして、より一層利便性を持った福祉用電話機開発に取り組んでまいりたい、かように思っております。
  9. 小谷輝二

    小谷委員 新電電、今度は日本電電ということになり、競争原理が導入されていくわけでございますけれども、今後、会社法に基づいて民営化されたとしても、この分野での新電電取り組みの考え方としてはいかがでございましょうか。
  10. 岩下健

    岩下説明員 ただいま御説明申し上げました今まで私どもがいろいろやってまいりました努力、これは今後とも新電電のもとにおきましても、より一層その努力を重ねてまいるという所存でございます。
  11. 小谷輝二

    小谷委員 次に、公共性公益性の最も強い電話サトビス事業の中で一一〇番というのがございますが、その利用度、これの推移はどのようになっておりますか。
  12. 寺島角夫

    寺島説明員 一一〇番、一一九番等大変公共性の強い電話サービスを行っておるわけでございますが、そのほかにも先生案内のように、番号案内でございますとか、あるいは気象、時報といったようないわゆる特番サービスを行っておるわけでございますが、ただいまお尋ねの一一〇番、一一九番の呼数でございますが、実は公社におきましては、この呼数につきましての把握をいたしておりません。まことに申しわけございませんが、ほかの状況は大体つかんでおりますが、この一一〇番、一一九番につきましては、把握をいたしておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  13. 小谷輝二

    小谷委員 それでは、そのほかの特殊電話、例えば時間の問い合わせとか天気予報電話番号調べ、この利用状況推移はどうなっていますか。
  14. 寺島角夫

    寺島説明員 まず一〇四番、いわゆる番号案内でございますが、これは統計目による調査で推定をいたしておるわけでございますが、年間で申し上げまして、五十五年におきまして十億七千五百万、五十六年におきまして十一億二千八百万、五十七年で十二億一千百万というふうに年々ふえてきておる状況でございます。  それから、故障受け付けの一一三番につきましては、五十五年が二百五十三万件、五十六年が二百三十六万件、五十七年が二百三十八万件となっておりまして、五十五年に比しまして五十六年は減少いたしまして、五十七年もほぼ横ばい、こういう状況でございます。  一一七、一七七につきましては、五十八年の調査でございますが、一一七の方が年間で四億三千八百万回、一七七につきましては三億二千八百五十万回、かように把握をいたしております。
  15. 小谷輝二

    小谷委員 そのほか、公衆電話設置状況、また採算性というのはどうなっているのですか。
  16. 寺島角夫

    寺島説明員 公衆電話につきましては、五十八年度末全国で九十三万一千個の公衆電話を配置いたしておりまして、普及率から申しますと、人口千人当たりに約八個という状況でございます。  この設置につきましては、市街地におきましてはおおむね五百メートル四万、その他の地域につきましては一キロ四方の範囲内におきまして適当な場所公共施設でありますとか学校、病院等を選定いたしまして、ここでは最低一個はこの範囲につけるということで設置をいたしております。なおそのほかに、行政機関によりあらかじめ指定をされております例えば避難場所でございますとかあるいは福祉施設等につきましては、その基準にかかわらず必要に応じて配置をするというふうな形で現在行っているわけでございます。
  17. 小谷輝二

    小谷委員 特に、特殊電話の中で無料サービスにかかわる経費年間どのくらい見積もられておられるのか。
  18. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先生お尋ね特殊電話経費の件でございますが、実は私どもコストといたしまして電話、電信、専用等の五事業の分計をやってございます。しかし、これからさらに細かいものにつきましては、いわゆる機器の共用、または効率的な運営ということを含めまして、共用している部分が非常に多いということで分計しておらない状態でございます。しかし、これではとても今後のコスト、またはそれに基づく料金を算定する際に不完全でございますので、現在、トラフィックを精密にとる機械を購入いたしまして、これを適用いたしまして六十一年秋までに精密なトラフィック調査いたしまして、とれにより精密なトラフィックに基づくコストの分析を行いたいと思っている次第でございます。  ちなみに、御質問特殊番号についてのコストは、そのような形で分析できないわけでございますが、現在、通話全国で、推計いたしますと大体四百六十億回ございまして、今申し上げました特殊番号は全体で大体二十億ということでございますので、収入から見た推計はできますが、コストについてはそのようなことでございますので、御勘弁いただきたいと思います。
  19. 小谷輝二

    小谷委員 先ほど一一〇番の使用推移について集計してないということでございますが、私の方で、これは五十八年度の警察白書に出ておりますのが、五十七年度中の一一〇番の受理件数が約百十六万九千件、このようにかなり膨大な数字にもなっておるわけでございます。これにあわせて、番号案内三百七十万、そのほか、一一九番等につきましても、一一〇番にまさるほどの回数があるのではなかろうかと推計されるわけでございます。このような利用回数を見てみましても、電話がいかに日常国民生活に根づいているか、また欠かすことのできないものであり、特に、非常時に利用される警察通報用電話、また消防通報用電話等につきましては、国民生活安全確保に重要な役割を果たしておるわけでございます。  そこで、民営化された後も、これらの特殊電話といいますか、この無料サービスといいますか、特殊番号サービス取り扱いがどうなるのかという心配が残るわけでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  20. 寺島角夫

    寺島説明員 お話のございました一一〇番、一一九番を含めましていわゆる特番サービスにつきましては、民営後におきましても引き続きこれを提供していくということに何ら変わりはございません。
  21. 小谷輝二

    小谷委員 今回の会社法の中には、この件についての法的な義務づけがされてない、このように思うわけでございます。このままではいつ有料化されるかわからないという懸念もございます。特に、新規参入業者との競争によって、縮小したり廃止されたりするような場合が出てくるのではなかろうかという心配もあり懸念も一部にあります。したがって、今後もこの点については、法的に何ら義務づけられておりませんけれども、義務づけされておるのか、それとも義務づけされていないけれども、方針としてこのままを維持していくということなのか、ここらを明確にお答えいただきたいと思います。
  22. 小山森也

    小山政府委員 現在の公社におきますこういった特殊電話につきましても、法的な強制力はございません。  それから、理念の問題といたしまして、公社経営形態が変更になりましても、新会社というのは、一元的な運営という法的な保護のもとに築かれた公社、その公社の人員とか設備、業務すべてを継ぐわけでございます。したがいまして、そういったプラスの面と同時に、公共性というような性格も引き継ぐべきことである、このように期待しているわけでございます。これが理念の問題でございます。  それでは、法的にそのほか、こういった料金減免というようなことについて、どこでそういうことができるのかということでございますが、これにつきましては、電気通信事業法案の第三十一条の第四項におきまして料金減免取り扱いをできるように、こういうふうに法的措置を講じているわけでございます。  このように、公共的サービスについてのみ減免できるということを考えているのはどういうことかと申しますと、やはり料金というのは、それぞれの利用者方々がそれぞれの負担に応じて公平に分担しなければならないということなんですが、このような公共的通信サービスというのは、利用者たる国民共通費用負担において円滑に行われるべきことであろう、こう考えて法的にもそういう減免措置ができるようにつくってあるわけでございます。
  23. 小谷輝二

    小谷委員 現在は公社ですから当然、減免措置なり、またサービスの面においても、独占事業ですから、この新会社とはかなり違うのではないかと思います。特に、第一種事業への新規参入業者が、例えばこのような特殊電話サービス、これが現在の公社のように、また新たな株式会社日本電電のような処置をとるようになるのかどうか、この義務づけがされるのかどうか。電気通信事業法案の第八条で重要通信確保、このようにうたわれておりますけれども、天災とか事件等優先的扱いが担保されているかどうかという点、また民間の新規参入業者にそのことまで許可条件として大臣が注文をつけることができるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  24. 小山森也

    小山政府委員 ただいま御指摘のありました一一〇番であるとか一一九番、こういった特殊電話につきましては、法的に第一種電気通信事業者全体、これは新電電も含みますけれども、義務化するというような条項はございません。ただしかし、先ほど申し上げましたように新電電はその成立の経過から見まして、いわゆる今までの法的独占保護のもとにつくられた会社であるということでございますので、今後ともそういった意味での資産を受け継ぐと同時に公共的な分野も受け継ぐことを期待しているわけでございますし、事業体といたしましても特殊会社ということで一つ公共的な仕事を行うということ、会社ではありますけれどもそういった目的を持って会社になっておるわけでございまして、そういった公共性に基づく事務といいますか、通話というのはやっていただけるのではないかと思っております。  なおそれから、御指摘のありました第八条の重要通信確保の問題でございます。これは第一種事業者にも第二種事業者にもかかるわけでございまして、これは公共の利益のため緊急に行うことを要する通信というものをぜひ確保していただかなければならないと思って、第八条に書いております。それじゃこれが許可条件、第二種の中の一般第二種は、届け出でございますから許可がかかりません。第一種の場合に、それでは許可とどのようにかかわり合うかということでございますが、これは第三十一条第二項第六号に「第八条第一項の通信に関する事項について適切に配慮されているものであること。」が許可条件になっている——失礼いたしました。これは第一種電気通信事業者郵政省に対して出します料金その他の役務に関する契約約款認可するときに、このような今申し上げました「第八条第一項の通信に関する事項について適切に配慮されているものであること。」を一つ認可条件にしているわけでございます。
  25. 小谷輝二

    小谷委員 それでは、もう一回確認するようでございますが、第二電電と言われる第一種の新規参入会社許可を受けた場合、例えば通信衛星等利用してというような場合、第二電電利用者はその端末機で一一〇番、一一九番等の利用はできる、これは法的に明文化しなくてもそういうのは支障はない、こういうことなんですか。
  26. 小山森也

    小山政府委員 一一〇番、一一九番、先ほど申し上げましたように、第一種電気通信事業者、第二であろうと第三であろうと、そういった会社料金減免することができるわけでございます。したがって、その端末機によってその会社がそういう措置をすることによりまして、できるわけでございます。  それから先ほどのこと、ちょっと混同があるといけないので追加して申し上げますけれども、先ほどの第八条の関係は、これは第一種業者契約約款認可の申請をしたときに認可をする際に、第八条第一項の通信に関する事項について適切に配慮されているかどうかについて、配慮されていれば認可しなければいけない、こういうことでございます。
  27. 小谷輝二

    小谷委員 だから今言いましたように、要するに第二電電加入をした端末機からでも一一〇番、そういう無料サービス電話は、今の電電公社と同じようにできるかできぬかということです。そこは明確に……。
  28. 小山森也

    小山政府委員 その会社がそういう減免措置をとっていればできますが、ただ有料になる場合もあるということです。しかし、それはその会社減免措置をとっていれば今の電電公社と同様に無料でできるということですが、そういう措置をとっていなければ有料になるということでございます。
  29. 小谷輝二

    小谷委員 日本電電の場合は、これは無料として続けていく、ただし、第二電電と言われる新規参入企業の場合は有料になるかもわからぬ、こういうことですか。
  30. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  31. 小谷輝二

    小谷委員 ここらの点が、まだ実際にどのような形になるかということが想像の域というか、わからぬものですから、我々としては非常に危惧を抱くところがあるわけでございます。  電電公社電話事業というのは、今いろいろ御報告をいただきましたように、その実態が明らかになっておるわけでございますが、国民生活の中で切り離すことのできないものであり、また福祉の向上、災害対策にとりましても、これはいささかも後退が許されないものでございます。電話そのものの設備投資だとかまた研究開発等につきましても、これも低下してはならぬわけでございます。  それで、今回提案されておりますこの電電関係法案につきましても、会社法事業法ともに効率化、活性化及び民間活力の活用、このような立法趣旨になっております。これに対しまして決して反対するものではありません。しかし、この立法趣旨は、高度情報化社会の到来に対応して、我が国の電気通信政策としてデータ事業部門の特にVAN事業、この開放が特に産業界からも強い要望があり、今必要なのではないか。したがって、民営化によるところの競争原理の導入によって活性化を図るということは最も大切であり、必要でもある、このように思いますが、今までいろいろあらゆる角度から質問をし、また数字を出していただきしてまいりました電話事業、特にこの電話分野におきましても、一般国民の生活によるところの利用部門から見て公益性公共性の非常に強い事業でございますから、これを今直ちに民営化しなければならぬという必要があるのかどうか、このような意見があるわけでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  32. 小山森也

    小山政府委員 これは電話に限らず電気通信事業全体について行う電信電話公社を民営化するということの中におきまして、電話につきましてもその中で、特に会社法第二条におきまして責務として会社に求めているところでございます。したがいまして、今の御質問の趣旨は恐らく、電話だけは競争原理にさらさなくてもいいのではないかということかとも思います。もし取り違えるといけませんが、多分そうではないかと思います。  そういたしますと、電話というのは今四千百万加入もありますし、さらに基本的通信手段となっておりまして、まさに先生指摘のように極めて大切な通信媒体でございます。これに競争原理を導入しないということは、新規参入者には電話事業をやらせないことにしたらどうかという御意見になってこようかと思います。そうしますと、これを実際上のこれからのディジタルサービスというものを考えてまいりますと、同じ通信回線の中で技術的に可能であるのに電話だけできないという現象が起きてまいります。それから、ファクシミリ通信その他に付随する電話というのもあるわけでございまして、かえって新規参入事業者電話を提供できないという制度にいたしますと、現実的な利用態様から非常に離れてしまうということが出てまいります。したがいまして、あらゆる役務にこの新規参入者が参入できるという制度にしたわけでございます。
  33. 小谷輝二

    小谷委員 データ通信部門とか情報処理、VAN事業電話とは切り離せない、こういう御説明であったと思います。技術的に詳しいことは我々わかりませんが、一部におきましては、切り離すことは可能である、こういう意見もございます。今回の事業法の中にも附則第五条に電報事業のことについて「電報の事業は、当分の間、第一種電気通信事業とみなし、日本電電」、新電電のことだと思いますが「日本電電及び国際電電のみがこれを行うことができる。」このようになっておりますが、電話事業も同様に「当分の間、日本電電及び国際電電のみがこれを行うことができる。」このような字句を挿入して、新電電として新たな株式会社になったとしても、電話事業は電報事業のように新電電のみが行うという考え方はできないのかどうか。また、特にアメリカの事情、またイギリスの段階的な民営化への推移等を考えて、全面的な見直しの時期まで状況を見計らいながら判断をしてもいいのではないか、その上で時期を見て電話事業の民間開放というふうにしてもいいのではないか、このような意見も一部にはございますが、この点はいかがでございましょうか。
  34. 小山森也

    小山政府委員 先生指摘のように、幾らディジタル化になりましても、電話だけを切り離すということは確かに技術上できます。できますけれども、これは政策の選択の問題になってくると思います。現実に技術上できるものをそういった拘束をすることによって競争原理電話から切り離すということがよいのか、あるいは全面的に導入することによって、電信電話株式会社をむしろ特殊な地位にいるよりはもう少し自由な形になった一般的な会社で、自主性を持って活躍できるようにする方がよいのかということも関係してくるわけでございます。  何か一つの特別なものを会社の特権として与えるということは、必ず裏にそれに対する拘束というもの、公共性といいますか、一つの特別な権限との兼ね合いで義務が生じるということになってまいります。そういたしますと、必ずしも競争の原理が全面的に働かないことになりまして、会社が逆にいろいろな面で拘束を受ける可能性が出てくるというよりかは、むしろ全面的に競争原理の導入の中に電話も入れるべきではなかろうか、こういう判断をしたわけでございます。  それでは電報はどうかということでございます。実は電報を独占としているのは、電話と大分様相が変わりまして、公共性は確かに高いのでございますがこれは一つのエンド・ツー・エンドの電気通信とはちょっと異なりまして、配達をも入って今の公衆法上は電気通信役務として規定しているわけでございます。そのもう一つの側面は、配達があるということのために採算性が非常に低いということがございます。そういたしますと、これに競争原理を導入いたしますと、全国的に持っております今の電電公社の、また新しい電電会社の配達網が維持できなくなるというおそれがあります。一つは、競争原理の中から典型的な形での都会地だけの会社ができることになりますと、ただでも採算性が悪いわけですから、もう事実上電報配達網というネットワークが崩れてしまうことがございます。したがいまして、電話とは同一に扱えないという現実の側面があるから、結果このような措置になったということを御理解いただきたいと存じます。
  35. 小谷輝二

    小谷委員 日本電電会社法の第二条の「責務」の中に「国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で提供することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与する」云々、このようにありますけれども、これが民営化されて競争原理が導入されて、そして新規参入業者と互いに競っていく中に、将来にわたって新電電日本電電のみがこの責務を果たすことができるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  36. 小山森也

    小山政府委員 先ほどからるる申し上げておるところでございますけれども、新電電会社は、法的に一元的運営を保障されていた電電公社という公社経営によってもたらされましたあらゆる組織であるとか人材であるとか、そういったものを全部引き継いでいく新会社でございます。したがいまして、そういった意味におきましても、今までの特別な地位によってつくられたそういった地位と同時に、今度はその公共性からもたらされました公共的な義務というものも果たしていただこうということでございます。  ただそれでは、これからどれくらい続くかという見通してございますが、今のような優越的な地位は当分続くと思いますので、この電話全国ネットというのは、恐らく極めて近い将来にもう一つのネットができることは、法律的な枠組みとしてはできるようになっておりますけれども、現実問題として考えられないということもあります。そういたしますならば、国民生活にとって身近な電話というものを引き受けるところはどこかとなりますと、やはり新電電会社にこれを期待するよりほかないということでございます。  なお、遠い将来のことにつきましては、今からなかなか断言できないことでございますので、その辺は御理解いただきたいと存じます。
  37. 小谷輝二

    小谷委員 電電公社の民営化を急ぐ必要な理由の一つとしてVAN事業の全面的な自由化、そして民間の活力を活用して競争原理を導入して高度情報社会に対応するということであると思いますが、そこで、今の公社の中でこの分野で最も先端的な事業としてデータ通信本部があるわけでございますが、民間企業との間で一番激しい競争の先端に今後も立つことになる、このように思うわけでございます。  まず、このデータ通信本部を新電電が抱えるよりもむしろこれを分離して、そうして全く民間企業と競争の原理によるところの激しい活性化、自由に競争ができるというふうにすべきではないか、このように思うわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  38. 児島仁

    ○児島説明員 ただいま先生から御提言のありましたことは、十分あり得ることというふうに考えております。ただ、私ども今構築をしようとしておりますこのINSというネットワークは、電気通信技術としてプロパーのものなんでございますが、いわゆるデータ通信技術というものと非常に密接に関連しております。したがいまして、私どものデータ通信部門におります技術能力の高い者たちがINS構築のための技術者と交流をしていくという意味におきまして、丸ごと分離をしていくということは実態上難しかろうと思います。ただ、民間の業界の方々との関連、それから我が社の置かれているそのときの状況等を考えて、将来的には先生お説のようなことも私ども十分考えていかなくちゃいかぬ、そういうふうに考えております。
  39. 小谷輝二

    小谷委員 現在公社のデータ通信事業は、特に国民生活にとって欠かすことのできない救急医療対策、この面におきましても、電電公社の救急医療情報システム、これがかなり大きく活躍しておるわけでございますが、その全国での実施状況、これはどのようになっておるか、御説明いただきたいと思います。
  40. 福富禮治郎

    ○福富説明員 お答えいたします。  救急医療システムにつきましては、国民福祉に役立つ公共性の高いシステムといたしまして、積極的に開発、提供に努めてきております。昭和五十一年に神奈川で御利用いただいて以降、現在までに二十二の府県において御利用いただいているところでございます。
  41. 小谷輝二

    小谷委員 救急医療問題につきましては、私も大阪に長い間おりまして、大阪府下におきましても、自動車事故等で直ちに大手術をしなければならぬような患者が二カ所、三カ所たらい回しをされて、そうして手当てがおくれて、命を取りとめることができなかったというような悲劇が毎日何カ所か起こってまいりました。  五十一年に神奈川県が実施されたということで、神奈川県に実地調査もしてまいりました。五十二年に大阪も実施したわけでございますけれども、このような医療情報システムの導入をいまだかつて実施していない、このような府県がかなりあるように聞いておりますが、これはどのくらいの府県がまだ実施していないのか、それはどういう理由なのか、御質問いたします。
  42. 福富禮治郎

    ○福富説明員 先ほど申し上げましたように、現在サービスに入っている、私どもがやっておりますのが二十二府県でございます。そのほか、各県が御自分でおやりになっているのが五つございます。計二十七が入っておりまして、未実施が二十ということでございます。その二十につきましても、現在私ども折衝をしているところでございます。理由につきましては、定かではございませんが、そういう機関が少ないとか、そういうようなことがあるやに伺っているところでございます。
  43. 小谷輝二

    小谷委員 東京、埼玉、群馬、それから栃木ですか茨城、ここらは公社以外の救急医療情報システムを導入されておるようでございますが、その理由はどういうことなんですか。
  44. 福富禮治郎

    ○福富説明員 各県でおやりになっている五カ所というのは、東京、福岡、埼玉、群馬、茨城というところでございます。それから大阪は、市の部分が市営でございますが、その周りの府の部分につきましては私どもがやっておりまして、その間は相互接続をいたしまして、相互に情報が交流されているという状況になってございます。
  45. 小谷輝二

    小谷委員 新電電として今後こういう事業も取り組んでいかれることと思いますけれども国民の医療の分野における電気通信事業の貢献といいますか、働き場所といいますか、また価値といいますか、非常に大事な部門でもあろうかと思います。したがって、今後新電電としてこの救急医療情報システムに取り組む姿勢について、お伺いしたいと思います。
  46. 福富禮治郎

    ○福富説明員 先生のお話のとおり、このような国民福祉に役立つシステムにつきましては、今後とも御要望に応じながら、より利便性の高いシステムをできるだけ安い料金で効率的に提供できるようよい装置を開発し導入していきたい、こういうふうに思って積極的に対処していきたい、こう思っているところでございます。
  47. 小谷輝二

    小谷委員 次に、中曽根総理大臣は、臨調答申を尊重して、行政改革は政治生命をかけて推進を図る、このように何回か決意表明をされております。私もこの考え方については、基本的には賛意を表しておるものでございます。  そこで、臨調答申の中に、電電公社の民営化について、経営形態を変更すべきであるとして、中央会社と地方会社との分割案が示されておりましたけれども、この案が取り入れられなかった理由はどういう理由なんですか。
  48. 小山森也

    小山政府委員 分割によって求めたものは、電電公社の効率化と同時にいわゆる独占の弊害、こういったものを排除するという精神と私ども受け取ったわけでございます。しかしながら、実際の問題としまして、経営の自主性を持った民営という立場を基礎といたしまして、競争会社の出現によって合理化の強いインセンティブが働いたり、あるいは経営の自主性を背景にした責任ある経営行動ということをいたしますならば、独占による弊害は生じないだろう、こういうような見通しを立てまして、分割ということに踏み切る必要はない、こう考えた次第でございます。
  49. 小谷輝二

    小谷委員 それでは、この分割案を採用せずに現在出された法案のようになったわけですけれども、これは臨調の考え方にどこか誤りがあったのか、勉強不足であったのか、それとも、この案を案として将来、分割案は考えられるのか、その点はいかがでしょうか。
  50. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、臨調は臨調として、能率化ということと独占の弊害というものを考えたものだと思います。しかしながら、私どもの考えといたしましては、独占の弊害を生じなくて、かつ、一体として多くの会社一つ、ワン・オブ・セムの会社としてそれなりに経営努力をしていくということになりますれば、これは何も形として分割をしなくても、事実上そういった臨調の精神は果たされたことになる、こう考えております。  ただしかし、それでは分割は今後未来絶対にないのかということでございますけれども、今のように独占の弊害が生じないとか、経営者が能率性を経営の自主性をもって克服し、経営努力、企業努力で行うということならば、こういったことについての問題は生じないであろう、こう考えております。
  51. 小谷輝二

    小谷委員 臨調答申を尊重するという考え方については、郵政省公社も異論はないものと思いますが、臨調から現在の公社経営形態について何点かの指摘があったと思います。この点については、どこがどのような指摘をされたのか、お答えをいただきたいと思います。
  52. 小山森也

    小山政府委員 経営形態の変更につきましては、先ほど申し上げましたような次第でございますので、これは省略させていただきます。  ただ、そのほかに臨調答申の中に「再編成までの間における合理化等」として「交換手等運用部門、保守部門、電報部門等について極力要員の合理化を図り、特に、電報事業については、夜間配達の廃止等を含め収支均衡化の方策を進める。」ということも言っておりますと同時に、また、宅内機器部門あるいはデータ通信設備サービス部門の一部を分離すること、それからまた、経営形態変更に当たって考慮すべき事項として、電電公社の持っております行政的機能、これは事業者になるので分離するように、こういうような点が含まれております。  先ほど申し上げましたように、分割再編成というのは、現在とる問題ではない、差し当たりこう思っておるわけですが、そういうことで臨調の言ったとおりにはなっておりません。また、業務分離につきましても、データ通信部門であるとか、これの分離の問題でございますが、これは事業そのものがデータ処理と通信処理が一体になっていて、なかなか分けにくいというような観念的な問題もありますと同時に、やはりこれは事業体にとりましても、そこに大勢の従業員が従事しております。そうしますと、これは法律問題で解決するという問題ではないと考えまして、むしろこれは事業経営者が十分な当事者能力を持って、事業経営の立場から判断していくべきものとして、法律的な枠組みというのは設けなかったものでございます。  また、合理化の問題につきましても、これはやはり法律としての枠組みで解決するというのが、どだいこの種の問題は無理な話でございまして、新会社が主体性を発揮して合理化を進めるということは、労使間でよく話をしていくということが非常に大事なことだと思います。  そういうわけでございまして、臨調の精神というのは生かしながらも、形としてこのような形をとったわけでございます。さりとて、それでは我我が新会社に期待する合理化というものは期待していないかといいますと、そういうことではございませんで、やはり自主性を持った形の中で合理化に期待するものはあるということでございます。
  53. 小谷輝二

    小谷委員 指摘された中に過剰設備という意味の指摘があったように思いますが、この点はどのように受けとめておられますか。
  54. 小山森也

    小山政府委員 まことに申しわけございません。臨調の中に過剰設備というのの指摘は、ちょっと私、今見過ごしております。ちょっともう一回見させていただきたいと存じます。
  55. 小谷輝二

    小谷委員 それでは、わかりやすく言えば、親方日の丸的な非効率、非能率、こういう意味の指摘も中にはあったように思いますが、これはどのように受けとめておられますか。
  56. 小山森也

    小山政府委員 電電公社公社創立以来三十年、まずその責務といたしまして、何しろ電話を、すぐかかる電話、すぐつく電話という二つの目標を持ちまして、その目標を持って社を挙げてこれに努力したわけでございます。それと同時に、一つの政策といたしましても、ここに電信電話債券というようなものを加入者に御負担いただくというような政策、電電公社にこういったものを集中して全力を挙げてもらうということになっていたわけでございまして、そういった意味におきまして、今までの電電公社努力というのは、電信電話、特に電話の拡充という意味において非常な努力をしたということでございまして、これは長い歴史の中でもまれに見る成功したプロジェクトの成果だろうと私ども感じておるわけでございます。  ただ、臨調がそういうような指摘をしたというのは、たまたま現在、電話というような電気通信の媒体が単純ではなくなった。そういう結果、ファクシミリとかビデオテックスとか、いろいろな媒体が出てきて、いわゆるニューメディアが出てきた、こういう時代との境目において過渡的現象として、今までの電話に対するそういった努力とこれから将来の電気通信のあり方との間に曲がり角にあるときに一つの現象として生じたことをとらえているのではないかと思いまして、それであるからといって、今までの成果がむだになるということとは理解してないところでございます。
  57. 小谷輝二

    小谷委員 非効率、非能率という面の指摘、これはあるわけですよ。それはどの部門をどのように言われているのか。今何かえらい長い答弁でしたけれども、私の質問には答えられてないように思いますので、よろしくもう一回……。
  58. 小山森也

    小山政府委員 確かにそういった指摘はございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、これはこの事実に対する認識の差が出てくるのじゃないかと思います。いわゆる電話の拡充のためにできているこの体制というものとこれから将来への問題、物の見方というのどの時間的な差、そこに一つの時間の飛躍があるような気がいたす次第でございます。
  59. 小谷輝二

    小谷委員 国営、そして独占事業、こういう面での弊害、これはどのような形であらわれたのか、この点はいかがですか。
  60. 小山森也

    小山政府委員 具体的にこれが弊害であるかどうかということは、臨調では指摘されておりますけれども、私ども、それをすべてそのように受け取るかどうかということは、臨調の指摘は尊重いたしますけれども、今申し上げましたように、今までの使命から考えた仕事の仕方というのは、当然時代とともに変わらなければいけないのでございますけれども、やはり巨大独占という形になりますとそう早期に転換できなかった、その点についての指摘だと考えております。
  61. 小谷輝二

    小谷委員 いろいろな面で弊害が起こっておる、このように指摘されておるわけでございますが、その責任の一つとして、現在の公社は予算、決算、事業計画その他が国会審議に付されておる、それが弊害の一つである、このようにも指摘されておるように思いますが、どうお考えですか。
  62. 小山森也

    小山政府委員 実は臨調が指摘されたことに対する批評でございますので、なかなか言いにくい点もございます。  ただ、国会がこれに関与すればそれは弊害であるということがストレートに言えるかどうかということは、これは公社という一つの公的機関の形を持っている場合におきましては、国会が関与するのはやむを得ないことでございます。そういたしますと、国会が関与することがイコール公社にとってよくないという言い方は、一つの見方として問題があるのではないかと思います。  しかし、現在国会提出いたしております公社の予算の中身を見ますと、どちらかといいますと、非常に税金を使う形の一般会計的な物の考え方から今度企業会計を導入してきたということで、そういう点におきまして、企業をする上からの予算の立て方というものについては確かに不自由な点があった。特に経営の自主性という点から、給与というようなものを決めるに当たっても給与総額制になっていて、これについては国会の承認を得なければ動かすことができないということもございます。また、投資範囲も法定制になっておりまして、これはいろいろ変化のある市場の現状に合わせていく企業活動にとっては、なかなか障害になるということも確かだろうと思っております。
  63. 小谷輝二

    小谷委員 郵政省の支配介入が非効率、非能率を招いた、このような意味も言われて為りますし、また公社の機構、経営形態、ここに問題がある、このようにも言われておるわけですが、この点はいかがですか。
  64. 小山森也

    小山政府委員 公社における郵政省との関係といいますのは、御指摘になるように、公社制度だということで確かに認可事項というものが多くなっております。これもやはり公社という制度から出てきます一つの必然的な問題だろうと思います。  なお、公社経営形態そのものの御指摘でございますが、やはり公社という国の一つの機関としての運営というものは、先ほど申しましたように、企業を行っていくといった体質にはなじめない点が大分あったとも考えられます。
  65. 小谷輝二

    小谷委員 答申の中で、公社制度の改革の必要性の中に、大まかに五つくらいに分けてそれぞれ指摘された点があるように思います。  その第一は、企業性が発揮されていない、公共性が損なわれておる、このように指摘されております。この点はいかがでしょうか。私が今申し上げたところが、いかにこの法案が大事であるか、何をすべきなのか。ただこのような大きな公社を株式会社にすればそれでいいというものではない。今までの弊害をどのように取り除いてよりいいものにしていくかというのが、この法案が提案された理由でもあり、我々が一番そこに焦点を絞って考えなければならぬ。このような観点から、今までの弊害の点をどこがどのように悪かったのか、それをどう改めていこうとするのか、この点を明確にしていただきたい、このように思うわけです。
  66. 小山森也

    小山政府委員 それぞれの点についてすべて申し上げるというわけにもまいりませんけれども、一番の問題点となりますのは、やはり先ほども申し上げましたように、企業としての活動のための経営形態には現在現実になっていなかったということでございます。  これは公社というものが発足した当時の公社制度は、私どもの考えでは、非常に自主性も尊重され立派な業績ができるという形になっていて、公社という経営形態そのものは企業経営するのに欠陥があるものとは必ずしも思っておりません。  ただしかしながら、これが約三十年間運営されまして、特に三公社というような形の横並びという運営の仕方におきましての一つの慣行というか、いろいろな実行上の集積というものは、言うほど以上にかなり中に食い込んでおります。そうしますと、今の公社という形をただ単に改善するという形では、今の延長上にあるということになりますので、運用において欠陥があるような形を本質的に持っているということも、やはり公社形態の中で考えなければいけないというところから、企業を経営する上においていろいろ障害になるものを除いた形で会社に自主性を持たせて、経営の責任を持って企業を運営していくという形にすべきであろうと考えて、会社案を出しているわけでございます。
  67. 小谷輝二

    小谷委員 次に、公社幹部の経営に対する姿勢の問題が厳しく指摘されております。国会や政府によるところの関与で責任の所在があいまいだという点も挙げながら、経営に対する安易感、これが指摘されておるわけです。この点はいかがですか。
  68. 児島仁

    ○児島説明員 お答え申し上げます。  ただいまいろいろ御答弁がございましたけれども、臨調の答申の中で一つ、私ども事業のやり方がまずいという点がございます。それは現在時点で私ども事業を輪切りにして、静止画を見ているような状態での批評だと思います。  私どもは三十年間、早く電話をつけろ、全国すぐつながるようにせいということで、いろいろ国家からも補助を受けまして必死でやってきたわけであります。したがいまして、田舎の電話等も交換手が余るという実態がありつつも、早急に自動化を進めてきたということで、確かにその中にいろいろな諸問題を含んでおります。しかし、それは過去からの累積と過去の仕事の仕方の流れの中で出てきているわけでありまして、その一断面をとらえてそれがいかぬという言い方については、確かにそれは事実でありましょうけれども、流れから見まして、いささか私どもとして反論したいということがあることは事実でございます。  しかし、我々としてそれは一応謙虚に受けとめてやっていかなければいかぬと思います。その中で、今の企業形態がどうかということでありますが、私どもやはり事業としてやっていきます場合には、結果で責任をとらしていただきたい。その事業運営をする場合の方法論というものは、経営当事者に任せてほしいということでございますが、その方法論的なところにも、やはり現在独占ということでございますから、いろいろな制肘があるのはこれまた当然でございますが、事業がいささかやりにくい面があるということは事実であります。  それから、この改革の問題につきましては、経営形態論、管理の概念、いろいろございますけれども、過去何回も答申がありつつも、私ども事業運営の実態というものは変わってまいりませんでした。それは私ども実務家として考えますと、やはり公共企業体というものは、組織形態論なり何なりで考えるというよりは、一種国の統制概念の中でとらまえられているから、結局、電電公社というような公共企業体はこういうような監督規制の中にあるべきである、そういう事業としてとらまえるか、統制概念としてとらまえるか、ここに基本的な問題があろうかと思っております。したがって、過去のいろいろな答申ができなかったというのは、やはりそういった統制概念としてとらまえられておったところに原因があるのじゃないかと思います。したがって、そういうことであるならば、現在法案に提案されておりますような株式会社による民営化という手法をとらせていただくというのが、過去のいろいろな問題を解決するについて非常にいいものではないかと私どもは思います。  いずれにしましても、私ども過去のいろいろなことを引きずってはおりますが、まずい点についてはできるだけの努力をしてまいったつもりでありますが、さらに努力を重ねていきたいと考えております。
  69. 小谷輝二

    小谷委員 特に労使関係の問題に触れて、当事者能力が十分付与されていない、常に安易な妥協となっている、このように言われておりますが、この点についてはどう受けとめ、今後どのように改めていこう、このようにお考えなのか。
  70. 児島仁

    ○児島説明員 電電公社になりましてから、三十年以上にわたって、いわゆる合理化というものを続けてまいりましたが、その間確かに、ある一局が全く丸ごとなくなる。そこで四十名、五十名と働いておる交換手さんが皆丸ごと要らなくなる。これは再訓練をして、再配置をするのだ、場合によっては住居も移転しなければならぬということ等がございました。それが、早く電話をつけなければいかぬという国家的な要請と同時に、技術革新というものが非常に早いテンポで入ってまいりまして、そういったことがございます。  その時点では、やはり労使間でかなりトラブルがあったわけでございます。それは私どもの主張は主張なりに、私ども正しいものを持っていると思いますが、一方、労働組合側から提起されている問題も、我々には理解のいくものでありました。しかし、現実なかなか打開ができないというところで、いろいろなトラブルがありましたが、ここ何年来、いろいろな協議の制度をつくりましたり、本音ベースの話し合いをするという中で、現時点、過去数年の間においては我々の労使間の面では、基本的には十分の理解の中で仕事を進めておる。個々の問題の解決になっては、もちろん利害相反するところがございますけれども、基本的には私ども、現在の労使関係は非常にいいと自負させていただいていいのではないかと考えております。
  71. 小谷輝二

    小谷委員 次に、今回の会社法案の中に、大臣の許認可事項、これがかなりあるように思いますが、これはどのくらいあるのか、その内容は御説明いただけますか。
  72. 小山森也

    小山政府委員 許認可件数は八件でございます。公社法におきましては十六件ありましたので、八件と半減しているわけでございます。これを一つ一つ申しあげましょうか。——ちょっと時間がかかると思いますので、それでは八件だけ申し上げます。  まず、事業計画の認可、それから附帯業務及び目的達成業務の認可、新株等の発行の認可、取締役、監査役の選任等の認可、定款の変更決議の認可、利益の処分の決議の認可、合併及び解散の決議の認可、重要な設備の譲渡等の認可の八件でございます。  なお、公社法におきましては、十六件ありますが、これは非常に長くなりますので、省略させていただきます。
  73. 小谷輝二

    小谷委員 この会社法案の中の大臣認可で目的達成業務、すなわち本来業務以外の業務をすべて郵政大臣認可を必要とする、こうなっておりますね。そのほか、特に役員、取締役、監査役、この選任、解任、すべて大臣認可を必要とするというふうになっておるようでございますが、一つ事業をやっていくのに、株式会社となって今までのかなりの弊害を取り外すということで、大きな目的があったにもかかわらず、これではまたがんじがらめ、要するに国会審議を外したものの、郵政省としての許認可というのはさらにおっかぶさったのやなかろうか。もうちょっと事業能力といいますか、独自性というものを持たして、そして大きな改革に乗り出した方がいいのではないか、こういう意見もかなりございますが、この点はいかがでしょうか。
  74. 小山森也

    小山政府委員 新会社は、国内電気通信事業経営するという目的のために、特別の法律によって設立された特殊会社でございます。したがいまして、どうしてもその目的等から見まして、その目的を達成するということにつきまして、それ以上のことにはみ出すということは問題があるわけでございます。会社自身の判断によりまして自由に解釈し、拡大するということも一つの考えでございますけれども、その結果、本来事業に与える影響とか、他の民間の同種事業に与える影響、特に四兆数千億の収入があるというような巨大会社でございます。そういった点から、会社自体では極めて自然に考えられることではありましても、結果的に本来事業に与える影響とか、他の同種事業に与える影響というのは、客観的な判断が必要ではないかというふうに考えております。  また、役員の選任等につきましての認可でございますけれども、今現在は、総裁、副総裁は内閣任命でございます。任命という行為は、どちらかといいますと、政府命令というような形にもとられるわけでございまして、そういったものと、事業体がみずから選んだものを認可という行政行為によって有効に成立させるということとは、その内容が大分質的に異なるものではないかと考えている次第でございます。
  75. 小谷輝二

    小谷委員 時間も来たようでございますので、電電公社の株式会社への移行に伴うところの株式の公開に関連して、二、三お伺いしたいと思います。  四兆六千億の純資産を持つ新電電、株式公開ということになれば大変なことでございまして、証券金融市場への多大な影響を与えると思うわけでございますが、その手順等はどのように考えておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  76. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては、まず第一に、法案におきまして、これを処分するについては国会の承認を要するということになっておりますので、国会の御承認がなければ株式を処分するというようなことはまずできないことでございます。  なおそれでは、あと具体的な処分計画はどうするかということにつきましては、これが国の普通財産としての形式的な処理になりますので、そういった意味におきまして、今後財政当局とよく相談いたしまして、非常に大きな検討課題であると認識しているところでございます。
  77. 小谷輝二

    小谷委員 電電公社の民営化によりまして、資本金一兆円とちまたに言われておるわけでございますが、そのような株式会社が生まれるということでございます。仮に資本金の半分が株式として一般に公開されるとすれば約十兆円ぐらいのプレミアがつくと、ちまたでは言われております。この点についてはどのようにお考えですか。
  78. 小山森也

    小山政府委員 いろいろこれの実勢価格につきましての御意見があるようでございますけれども、今のところいずれもまだ定説にはなっていないわけでございまして、特にこの資金調達のメカニズムというものを考えますと、今からその額を推定することはなかなか困難でございます。  ただしかしながら、先生から御指摘いただきましたように、こういった電電の株というものがもし国会の御承認を得て公開するということになりました場合においては、それは証券市場といいますか、資金調達市場へのかなりの影響はあろうかと思います。したがいまして、これは日本全体の資金調達市場との関係がありますので、ただ単に電電公社の株を公開するというようなその側面だけでなしに、そういった市場の問題等も十分検討した形で処分をしていかなければならないのではないかと考えております。
  79. 小谷輝二

    小谷委員 いずれ法案が通過して、それで会社としての事業がいよいよ整ってからのことであろうかと思いますけれども、メーンバンク、これはちまたにうわさされておるわけでございますが、また、株式におくところの幹事証券会社、これの選定の考え方というか、基準といいますか、この点はいかがでしょうか。
  80. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、これの形式的な財産の位置づけというのは、普通財産として大蔵省所管ということになります。したがいまして、こういった点につきましては、よく財政当局と私どもと相談させていただきまして、これからまさに検討するところでございまして、現時点におきまして、幹事証券というようなことは申し上げる段階になっていないわけでございます。  それからまた、メーンバンクのことでございますが、これはもし本法案が国会で御承認いただきまして成立したとして、まさに新会社経営陣が決めることでございまして、その後の問題になろうかと存じます。
  81. 小谷輝二

    小谷委員 公社の資産は、申し上げるまでもなく、長年にわたって蓄積された国民の貴重な財産であります。この公社が、巨大な株式会社に生まれ変わるわけでございますから、メーンバンクの選定とか、また幹事証券会社の決定とか、こういうものに対して、いやしくも利権の巣窟にしてはなりません。国民の納得のできる処置、これを明確にすべきであると思うわけでございます。この点について大臣、総裁の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  82. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今お話しのとおり、国民資産の形成によって今日の公社資産というものも形成されてきておるわけでございますし、将来行われるであろう株のそういった処理については、国民注視の中で国会の御承認も得て行うわけでございますから、いささかも疑念があってはならないということは当然でございます。また、そのように処置してまいるつもりでございます。  ただ、これは御質問になかったわけですけれども、なかなか私に答弁させていただく機会がなかったものですから、一言、先ほどの質疑の経過を聞いておりまして感じたことですが、電電公社が現実に大変な一元体制の弊害が起こってきたから今度の改革をするんだ。ほかの公社の例を引くのはいかぬですけれども、要するに、重病人になってどうにもならぬようになっての改革ではございません。今度の場合は、公社が、全国即時ダイヤル化も含め、積滞解消も含め、大きな使命を今日果たしてきた役割というものは、臨調が何と言おうと、これは高く国民は評価しているところでございます。ただ、これからの新しい時代に対応する、つまり多種多様なニューメディアの存在、そういった形で柔軟に国民に還元されるサービスはいかにあるべきかということを考えた場合に、新しい時代に対応していくための今回の措置改革法案であるということでございます。  したがって、いろいろな御指摘もございましたけれども、できるだけ公的な関与というものを少なくして、当事名能力も発揮して、そして効率的な経営によって、高給と言ったらいけませんけれども、それに、ふさわしい報酬も与えられる、活力あふれた経営形態になっていただきたいという形で、今回の改革法案をお願いしているということでございます。
  83. 真藤恒

    ○真藤説明員 今の御質問の中で、私どもが考えなければなりませんのは、これは株の処分に関係する銀行あるいは証券会社ではございませんで、経営形態が変わりましたとき私どもが考えなければなりませんのは、毎日の経営の中での資金繰り、また既存の債券債務の借りかえという意味の操作の金融機関との対応、それからまた証券業界との対応ということでございまして、その面につきましては、今後この法案が通りまして具外的に変わっていきます間に、設立委員会というものもできましょうし、そこでいろいろな定款というふうなこともだんだん固まってまいりましょうから、そういう段階の中で、また一方、金融機関の関係の、日本の金融社会の内容も今急速に変革を始めておるような状態でございますので、その辺の変革等も考え合わせて、慎重に問題の起こるべきはずのないような形に持っていかなければならぬと思いますので、特定の親銀行を持って、それで私どもが金融をつけていくということにはならないのじゃないかというふうに考えております。
  84. 志賀節

    志賀委員長 次に、中井洽君。
  85. 中井洽

    ○中井委員 今回政府から出されております電電改革の三つの法案、これが成りまして、電電公社が民営化がされる、また電信電話が独占から一般に開放される、こういう改革ができ上がりますと、これは戦後で言えば、電力体制が九つの会社に分けられた、あるいは明治時代から言えば、八幡製鉄が民間に払い下げられた、これらをしのぐほどの大変なことだ、私はこのように考えております。国会に出てまいりまして私自身八年でありますが、これだけ大きい法案に直接質疑の場をお与えをいただき、大変名誉なことだ、このように思います。また、それだけに余計慎重に議論をさせていただかなければならないと思います。  最初に、私どもの民社党は臨調の基本的な理念に賛成をいたしております。したがいまして、それに基づいて出されましたこの電電の民営化の方向につきましても、ほぼ賛成という形で過般から議論をさせていただいているのは、御承知のとおりでございます。しかし、振り返りますと、私どもは民社党という政党でございまして、もともとは民主社会主義でありますから、公社、国営事業等を民営にするというのは全く逆でありまして、民間事業を国営、公営でいけ、こういうことを主張すべき政党でございます。その政党が率先して公社のものを民営化、それに賛成をしていく、内心いろいろな葛藤があるわけであります。  党内いろいろな議論があるわけでございます。それらを乗り切って、現在の国営あるいは公社制度、そういったものが民間にお任せをした方がより税金が少なく済んでいくのだ、あるいはより効率化が図られるのだ、あるいはよりレベルの高いサービスが受けられるのだ、そういったことがわかるときには、積極的に民間のエネルギーというものを利用していく方向にいこうじゃないか、そういう方向を打ち立てているわけであります。  臨調あるいは過般の中曽根総理大臣の国会における答弁等も、赤字あるいは効率化、より多様なニーズにこたえる、こういう基本的な方向を出されているように聞いております。郵政大臣そのものは、あるいは行政改革、あるいは臨調、これらの基本に流れるこのような理念、あるいは私どもの党の考え、こういったことにどうお考えになられますか、お答えをいただきます。
  86. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 臨調の答申に盛られている基本的な姿勢というものは、尊重してまいることは当然でございます。今日郵政省もそういった立場で、政府の一員としてその方針で一貫してやっておることは事実でございます。しかし、先ほどからの質疑の展開の中にもございましたように、現実にいかに対応して、そういった目的達成のためにどう現実的な形で処理をしていくかということも、行政の面からいえば大事なことであろうと思っております。  確かに先ほどもいろいろ御論議の過程の中で御貴重な御指摘がございました。しかし、私たちは新しい時代に対応して何とか効率化して、しかも創意工夫を生かされた経営体の中からサービス国民に還元していただきたいというのが、今度の改革の基本姿勢でもあるわけでございます。重病人になって、もう手術も行えるような力もなくなったという形ではなく、そういった形というのは、いろいろな問題点もありましたけれども電電は今日果たしてきた使命からいっても、立派な健康体であり、ただ新しい時代対応をめぐっての今日の先生方の御指摘であり、論議であろうと受けとめておるわけでございます。  今先生のお述べになったような、サービスは結局国民により安くより質のいい形で、メリットは国民が受けるという方向の中での行政改革でなければならぬ、基本的には間違いなくそう思っております。
  87. 中井洽

    ○中井委員 私どもが一番ひっかかりますのは、現在黒字で、いろいろと問題はあるにしろ、公社としてまあまあうまく経営をされているところがあえて民営化という道を進む。そして、すさまじいばかりの赤字を垂れ流して、大臣のお言葉で言えばどうしようもない重病人ということであろうかと思いますが、その国鉄が民営化されずに公社のまま残って、大変な税金の補助金というものを、私どもに言わせればある意味でむだ遣いをなさっておる。この国鉄改革については何ら効果を見ていない。このときに政府が国鉄の民営化といったものに取り組まずに、なぜうまくいっている電電の民営化に真っ先に取り組まれるのか。郵政大臣にお聞きするのはおかしな質問かもしれませんが、ひとつ内閣の一員として、三公社の中でどういう位置づけをして電電を真っ先に民営にされるのだと御決定をなすったのか、お考えをお聞かせいただきます。
  88. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今ここで他公社の比較において論ずることは、適当でないと思います。それはやはり今日置かれておる国鉄の現状というものは、それなりによって来った沿革もございますし、当事者間だけに責められる形のものでもありませんし、こういった国鉄、公社の現状について私見を述べることは差し控えさせていただきます。  ただ、電電公社の場合、大きな使命を達成してきたということは現実においても言えることでございますし、ある意味においては公社の優等生でもあるわけでございますし、国民への貢献も大変大きな貢献を果たしてきたということでございます。ただ、今日置かれている電気通信事業の実態、技術革新のCアンドC社会とも言われますし、INS社会を目指すとも言われておりますけれども、こういった高度情報化社会に対応していく形の中で、むしろ公益的な性格を維持しながらも競争原理を導入した方が、より質の高いサービス国民にもたらすことができるのではなかろうか、そういったニューメディア時代に対応する恩恵もより受けられるのではなかろうかという形の問題点一つ。それと、今までの一元体制における使命は終わったというのではなしに、一元体制における大きな目標は達成した、さてこれからという形に柔軟に対応できる経営形態、当事者能力も発揮できる、そういった方向に持っていくということが、国民的視点に立ってもより好ましいことであるという時点での改革案でございます。  したがって、他公社との比較は別としても、今日果たしてきた、しかも国民に寄与してきたという実績の上に立っての改革であるということを、重ねて強調したいわけでございます。
  89. 中井洽

    ○中井委員 私どもも臨調のメンバーの方々にお越しをいただきまして、たびたび国鉄との比較においても議論をさせていただいたわけでございます。そのときに臨調のメンバーの方々は、いや、電電も今黒字でうまくやっておるけれども、将来必ず赤字体質、赤字になるのだ、またそういう公社としてのいろいろな弊害も目に見えてあるのだ、したがって、国鉄のようになる前に今のうちに思い切って民営ということを打ち出すのだ、こういう御意見が強くございました。  今回の民営に向かってのスタート、いろいろと原因はありますけれども、私は一番大きくは電電公社の総裁が真藤さんであられたということにあると思うのであります。総裁がみずから民営論に大変積極的であられた、このように私どもは聞かせていただいております。また、この民営を議論する段階までで真藤総裁の存在は大変大きなものがあったと思うのであります。  私どもがお聞きをしておるように、総裁があえて積極的に民営論に取り組まれた、あるいは民営に向かっていろいろな働きをなさった、この裏には、やはり将来このまま公社でいけば、幾ら合理化努力をしても赤字というものが出てくるんだ、こういう認識がおありであったのか、臨調のメンバーの人たちと同じような認識がおありであったのか、そして、そのことが大きく民営化に向かって働きかける原動力となられたのか、その点をお尋ねいたします。
  90. 真藤恒

    ○真藤説明員 私、就任いたしまして初めて公社法及び公衆電気通信法というものを読みまして、それから社内のいろいろな動きというものをいろいろ説明を受けまして、非常に強く感じました。それはどういうことかといいますと、公社法に書いてあることの実態は、経営の責任者としてほとんど現実には残っていないということを発見いたしました。  この原因は何だということをいろいろ考えてみますと、やはり三公社五現業という公労法の枠の中に入っておる国営事業事業体というものに対する国の方針、過去の歴史というものから、電電もその影響を受けて、今申しましたように、法律のとおりには実態は動いてはいないということを発見いたしました。  その動いていない方向と申しますのが、長い間民間の企業の経営の一端を担いできた人間から考えますと、経営の責任、あるいはより安くよりいいサービスを世の中に提供するための経営者としての責任を遂行するプロセス、あり方、環境というものが、悪い方へ悪い方へ動いてきた歴史が厳然とあるということも発見いたしました。これではとても、従来どおり電話と電報だけやっておればいい電電公社なら、あるいはこのままでよかろう。しかし、それでも現に私が就任いたしましたときには、支出の伸び率と収入の伸び率が二%近い逆ざやになっております。ということは、このままで動けば必ず赤字に転落するということであります。  そこで、一番先に私がやりましたことは、収入の伸び率と支出の伸び率というものを少なくとも平行線に持っていくということをどうしてやったらいいだろうかというふうにいろいろ考えまして、さしあたり、民間では常識になっております月次決算制度を強引に導入いたしまして、二年かかりまして、どうやら支出の伸びと収入の伸びというものに明るさの見通しを得ることができました。  この過程の中で、一つ大きく発見いたしましたことは、電電の職員というものは、合理的な指導を強力にやれば納得してついてくるんだ、そして、それを実行するだけの力は持った人間集団であるということを、現実に数字の変化の上から読み取ることができたわけでございます。そうであれば、これは今の制度をより安いより多彩な将来の電気通信サービスに適応させるためには、持っていきようによっては立派なものになるんだという自信を持ち得るようになったのが、就任して二年目の終わりでございます。  そういうことから、当時もう既に臨調の問題が出ておりましたので、この線に沿って我々が変革することができるならば、これは自信のある日本の電気通信事業というものが確立できるんだという強い自信を持つことができるようになったわけでございまして、また、いろいろなそういうふうな自信を持つようになったこと、またそっちにいくべきだというふうに思い出したこともいろいろな例は山ほどございますけれども、私が就任いたしましてやってきましたことに対する社内のいろいろな対応というものに、現在のところ私は根本的な不平は何もございません。よくやってくれておる、またやっていけるんだ、この連中と一緒なら、という感じを今強く持っておるわけでございます。そういうことで、臨調の線に沿って変わっていくということに対して、私は積極的なと思われるような行動をとったというふうに申し上げていいと思います。  もう一つ問題がございますのは、これから先の訓練でございますが、電話と電報の世の中ならば、設備さえすれば皆自動的にそれを求めていただいて自動的に御利用なさるので、我々と利用者の間の民間の企業で言います営業ということに対しては、ほとんど努力をする必要はないのでございます。ところが、これから多彩なサービスをやらなければならない、これはもう私ども業者にとっては宿命でございますが、また、そうしないと日本の社会がずっと国際的に見ておくれることは目に見えておりますので、そうなりますと、私どもが新しいメディアをいろいろ技術的に開発いたしましたものを、最も有効に世の中に使っていただくような使い方について、私どもは受注活動をしなければいかぬ。  この受注活動をするのが、大口ユーザーに対する受注活動と家庭及び小口ユーザーに対する受注活動というものが、これから先の私ども経営のバイタリティーの根源になるというふうに考えられますので、さあ、そうなってまいりますと、今までの公社の三十年の歴史のあり方ということで、そういう対応ができるかどうかということに対して多分に疑問がございます。  やはり経営状況に応じて、世の中の対応に応じて随時組織も変え、人事も変え、あるいは組織ごとの属人的能力なり、その組織の単位の業績に応じて働きがいのある環境の中に職員を入れていく必要がございますけれども、現在の公社制度である限り、それは絶対に不可能に近いというふうなこともございまして、そういうことで、今御質問のあったような行動をしたわけでございますが、趣旨は、今大臣がおっしゃいましたように、今まで悪いからどうのこうのというんじゃなくて、これから先が大変だから、それに対応するのに最適の条件に持っていくことをお願いしたいというのが、私の切なる願いでございます。
  91. 中井洽

    ○中井委員 総裁のお話は、私どもよく理解できます。こういうお尋ねの仕方をさせていただきます。  一般国民にとっては、多様化する大変な科学技術の争い、そういうのに対応していく電電のあり方というのが、公社であろうと民間であろうと、どちらでも同じように一般庶民から見れば見えるわけであります。一般庶民から見れば、一番関心の深いのは、電話代が上がりはせぬか、端的に言ってこれだけであろう、このように思います。  今のままで、公社のままで電電経営というものをやっていけば、電話料金というものを見直さざるを得ない、こういうのは一体何年ぐらいになると公社としては予想をされておりますか。あるいはまた、それゆえに逆に、今から民営化に踏み切っていけば、その値上げとかあるいは料金の変更というものは、当分その年度を超えてはるかに先まで延ばすことができるんだ、こういう確信をお持ちであろうか、この点お答えをいただきます。
  92. 真藤恒

    ○真藤説明員 今お答え申しましたような考え方で今度は今の御質問料金の方を見てみますと、何さま長距離料金が高過ぎる、これでは今の電話の社会でも、ほかの先進国に比べてこの長距離料金の高さというものは、社会活動に大きな影響を及ぼすなということで、御存じのようにその後、財務の許す限り長距離料金をだんだん下げさせていただいて今日に至っておりますが、今日でも大阪−東京以上ですとまだ高いのでございます。この長距離料金を、この間のここの席上での御質問にもございましたので、財務の許す限りまた下げていかざるを得ない、また、そういう義務があるんだというふうに私どもは認識いたしております。  そうすると、長距離料金を下げれば、世界で一番安い三分十円という市内料金を上げるのかという御質問でございますけれども、そうは簡単にはいきませんので、これから新しいサービスができますようにするのには、さしあたりは、電話局の交換機をアナログの交換機からディジタルの交換機にかえるだけで、大抵のことはできるようになります。そして、今申しましたような受注努力というものを、新しい多彩な使い方を中心にいたしまして私どもがやりますと同時に、今度の法体系で電話線の使い方のいわゆる第二種の方を自由にするということになっておりますので、そういう業者方々と私どもとが一緒になって、私ども技術面で、業者の方はコマーシャル面で協力し合いながら通話量を急速にふやしていくという努力をすれば、かなりのスピードで通話量はふえてくると思います。  それで、その方面の増収が相当期待できますので、その増収の金額で長距離料金の値下げの財源にする。また、今度は投資の自由というものがある程度確保できますので、そういうことを利用しながら、総経費の合理化ということと両方を寄せて、この長距離料金をさしあたり下げていくということが当面の問題でございます。  ただ、これから先の新しいメディアの使い方というものは、距離の格差のある料金体系では絶対世の中に通用しないものだというふうに考えております。特に新規参入が入りまして、合理的で使いものになる宇宙衛星システムというふうなことが入ってまいりますと、もう距離の問題は全然なくなるわけでございますから、それに対応することも必要でございます。そういうことで、理想としては可処分所得の中の遠距離格差のほとんどない料金体系ということに落ちつかざるを得ないと思うのですが、そこにたどり着くのにはまだ長い道のりでございますけれども、現在の私どもが世の中と対応している姿を変えていかなければいかぬところに根本的な問題がございますので、それができるようにするためには、今の公社法のもとであるいは公衆電気通信法のもとでおやりなさいと言われても、過去の歴史から見て、これはとてもとても不可能だというふうに私どもは思っておるわけでございます。
  93. 中井洽

    ○中井委員 総裁のお考えになっている方向、あるいは私どもに示唆をしていただきます事柄、私は一々ごもっともであろうか、このように思います。  しかし、一般国民からとっては、実に単純なんであります。国鉄は大赤字だ、それが民営化されないで赤字が積もる一方だ。電電が大黒字を出しておる、そして民営化をしていく。その結果、二、三年であるいは四、五年で急速に収支バランスというものを失って赤字になっていく。こうなったときに、私どもはやはり責任というものを考えていかなければならない、こう思うわけでございます。  今公社のやり方あるいは体質、いろいろと不都合なこともおありでございましょう。しかし、現時点で私どもが見ますと、今のままふっと民営化されたときに、本当に今まで以上に収益が上がっていくんだろうか。総裁は、いろいろな需要というものが起こって、それによって収入がふえていくんだ、あるいは投資等も自由にできて、それによってもまた収入もふえていくんだ、こういうおっしゃり方をされますけれども、これらが余剰のお金というものを生み出してくるのはまだまだ先のことであろうか。それよりも逆に、当面民営化したことによっていろいろな費用が要る。この経費というものが電電の収支に大変圧迫を与えるんじゃないか、こんな気がするわけでございます。  そこで、それらのことについて簡単にお尋ねをいたしますが、電電が現時点で来年四月一日から民営をした場合に、今までと違い直ちに要る費用、要る項目というのはどのようなものがあるとお考えになっていらっしゃいますか。
  94. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  現在の公社制度のもとにおきます私ども費用負担に対して、会社になってからふえるものはどういうものがあるかというお尋ねでございます。端的にいいますと、一番大きいのは税の負担でございます。現在公社制度のもとにおきましては、先生御存じのとおり、法人税、住民税、事業税、固定資産税といった各種の国税、地方税が非課税の措置になっておりますが、会社になりますと、これらは当然、原則的にこういった措置はなくなりまして、いわば一般世間の企業並みに税負担を負うことになるわけでございます。またこのほか、例えば雇用保険料あるいは労災保険料といったものの負担も出てまいるわけでございます。  では、例えば税の問題として考えた場合に、この辺が一体どのくらい増加するのかということになりますと、現在御審議いただいております法案、整備法も含めました法案等にその大綱は出ているものの、まだ具体的な課税対象あるいは税率、こういったものにつきましては、政令の整備等をまって確定をすることになりますので、今の時点で個別に税額の算定をすることは困難でございますけれども、仮に、現在よく言われております企業にとっての実効税率というのがございます。これは資料によりますと、五一・五五%という数字が今ございますが、大まかに約五割強の税負担ということを前提にいたしまして、最新の決算であります五十七年度の収支差額は三千七百億円でございますが、これに当てはめてみますと、ざっと二千億程度のものが税の負担の増になるだろう、こういうふうに考えております。  では、これがそっくりそのまま、この費用の増加、税負担の増加がそのまま収益といいますか、年度利益の減につながるのかといいますと、決してそうではございません。むしろそういうことであってはならぬというふうに我々は考えておるわけでございます。例えば、先ほど総裁もちょっと触れましたけれども、新しい会社になりましてから私どもが許される投資の問題もございます。また、何よりも責任単位というものをはっきり確立することによって、経営当事者としての自覚によるところの例えば事業全体の活性化、効率化の問題、それからまた、資金取引一つにしましても、現在国庫預託に義務づけられておりますこの資金の管理運用というものが、一応経営の責任のもとにおいて自由裁量としてできるわけでございます。こういう費用、収益両面におきまして、現在の制度ではできないものを新しい経営の感覚をもって自主的に効率性を旨として努力をしてまいりたい。こういったことによりまして新しく会社になることによる費用、税その他の負担の増加を十分吸収して、なおかつ、できれば余りあるものにしたいというのが、私ども経営としての責務だろうと考えております。
  95. 中井洽

    ○中井委員 公社から民間会社になった場合には、電柱だとか電話ボックスだとか、現在料金をお払いになっておられないものも当然、公共の道路占用ということで料金を払わなければならないと思うわけでありますが、その点の費用計算というものはなさっておられますか。
  96. 岩下健

    岩下説明員 現在国あるいは地方の管理しておられます道路、私どもの持っておる施設、これは電柱あるいはマンホール等々がございますが、これについては御指摘のように使用料は、特に国の機関に準ずるという性格がございますので、払っておりません。これが会社になった後、今度はそれの支払い対象ということになるわけでございますけれども、どういう施設をいわゆる道路占用料の対象にするのか、またこれの具体的な料率をどうするのか、この辺につきましては、現在建設省を中心として政府の方で具体的な検討を進められているというふうに聞いておりますので、その辺の結論をまってまた対応を考え、所要額も算定をしたいと考えております。現在のところ、数字について明確なものはございません。
  97. 中井洽

    ○中井委員 おかしなことで、国民の財産であります公社というものを民営にするかしないかの質疑をいたしておりますが、民間会社になった場合にどれだけ費用というものが要るんだ、こういうのが全くわからないと言われたんじゃ質問のしようなんかないと思うのであります。何も正確なことは要らぬわけでありますから、大体の金額的なものでも、電気会社の例なんか見れば大体計算ができるんじゃないか。御答弁をいただきたいと思います。
  98. 岩下健

    岩下説明員 これはごくマクロの算定でございますけれども、現在電力あるいはガスがこの道路占用料の支払い対象機関になっております。私どもとしましては、ぜひこの電力、ガス並みの扱いにしていただきたいという希望を持っておりまして、と申しますのは、現在の制度では、公益事業とそれ以外とでは料率が違っておるわけでございますので、公益事業並みの料率ということになりました場合に、幾つかの仮定を置いた算定でございますが、恐らく三石億前後のものになるんではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどお答えを漏らしましたけれども、雇用保険あるいは労災保険につきましては、これは現在実額負担ということで私ども負担をしておりますが、これが一般企業並みの負担になりますと、恐らく雇用保険並びに労災保険合わせますと、千分の五という料率の適用ということになりますと、百億前後負担額が増加しようかというふうに考えております。
  99. 中井洽

    ○中井委員 民営化されますと、これらの諸費用の増加以外に、何といいましても一番最初に労働組合の賃上げがある。これは電電の労使の方々が、いろいろ民営化について議論はあるけれども、民営化を積極的にやろうと内心でお考えになっておる最大の理由は、もうけておるのに賃金を自分らで上げられずに国鉄と一緒のために横並びにされる。先ほど小山局長が、公社制度の弊害の中で、三公社横並びの仕組みが意外と深く入っておる、これが弊害の一つだ、こうおっしゃっておりましたけれども、もうかっておるところの企業の賃上げができない。ここに電電の皆さん方の悔しさというものがあって、そして、民営化をすればとにかく賃金が上げられる、自分たちで決められる、こういう一つの大きな希望の柱を持ってこれはやっておられると私は拝察をするわけでございます。  したがって、もう民営化をした一番の年に労働組合との交渉の中で、賃上げが従来以上にあるいは残されました国鉄以上に上げられる、これはもう当然のことだ、このように思います。その他、民営に伴っていろいろと労働組合に協力を要請していくそのたびに、やはり実際的には給料の面で譲っていかなければならない。このことが、電電公社コストということに当然はね返ってくると私は判断をいたします。  そうしますと、税金の問題あるいは電柱の問題、労賃の問題等々あって、民営化をして何も経営状況というもの、収支バランスというものがよくならないじゃないか、こういった予想もできるわけであろうかと私は思います。そういった点について、電電の皆さん方はどのようにお考えでございますか。
  100. 真藤恒

    ○真藤説明員 今度こういう法案に基づきまして私ども経営形態を変えますと、今御質問の問題もすべて財務の数字によって判断されるべきものでございまして、赤字であっても昇給ができるとか、赤字であっても黒字のところと横並びの給料が取れるとか、基準外賃金が取れるというふうなことは、絶対そういうルールは適用できませんので、すべて数字がよければよくなる、悪ければ辛抱しなければしょうがないということと考えておりますので、今度は補助金もありませんし、横並びの対象もございませんで、純粋な株式会社の形で運営されていくわけでございますから、そこのところは厳重に守っていかざるを得ない。もしそこをしくじりましたら、また自主制のない何らかの制限を加えられるという、上を向いてつばを吐くだけのことでございますから、それはみんなよくわかっているつもりでございます。
  101. 中井洽

    ○中井委員 郵政省お尋ねをいたします。  電電の法案の十条に、利益の処分というものも郵政大臣認可を受けなければならないということになっております。今総裁の方から、賃金については労使間の自由な判断で決めていくんだというお話がございましたけれども、利益の処分の中にこの賃上げあるいは賃金、これらの枠組み、こういったものを郵政省としては入れるつもりというものは毛頭ございませんか。全く電電の労使間の自主的な交渉にお任せになる、これが郵政省の方針でありますか。
  102. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  103. 中井洽

    ○中井委員 現在電電の労働組合であります全電通という労働組合は、この民営化に対して賛成ですか、反対ですか。
  104. 児島仁

    ○児島説明員 株式方式による民営化ということには反対であるというふうに申し述べております。
  105. 中井洽

    ○中井委員 これは法的には、国会を通過すれば民営化というものが進んでいくわけでありますが、実際はそこにお働きの従業員、それを代表する労働組合の理解を得られないと大変困難を伴うものであると思います。  また、長年公社員としてお勤めになった方を民間会社、その風習にならしていくんだ、こう言われても、真藤総裁は民間会社がお長かったからよろしゅうございますが、他の方は公社どっぷりでありますから、なかなかそう一遍にはいかない。今もどうだといって電話局に勤めておる人に聞いたら、端末機を売ればっかり言われてかなわぬ、こう言っておるわけであります。要するに電電公社の民営というのは、電話機をほかの関連会社競争して負けずに売れと言っておることだ、こんなところでございまして、なかなか意識の改革というのはできていかない。  また、現実に大変な余剰人員を抱えていらっしゃると私は聞いております。余剰人員を抱えて給与体系が安いがゆえに大変緩やかな、他産業に比べてのんきな勤務体系にもなっておる、このようにも聞いております。真藤総裁がおっしゃるような形で、激しく民間産業の中で競争し合うということになれば、これらをどういうふうに整理あるいは合理化をしていくか、大変難しいことであります。その中で、当然他産業との賃金格差、こういったものも問題になってまいりましょう。全電通の方々が自分たちの賃金と比べる、これは当然日本の電機産業、いわゆる電機労連に働く人たちの賃金と比較をなさる要求をされると私は思うのであります。  現在、電電方々の賃金と電機労連傘下の方々の賃金とは、どのくらい格差があるとお考えでございますか。
  106. 児島仁

    ○児島説明員 私どもの方の平均、基準内賃金でございますが、現在二十万六千八百六十八円ということでございます。それから、電機産業のとり方でございますが、私ども、労働省がつくりました資料しか手に入れることができないのでございますが、この六月に労働省の労政局が発表しましたいわゆる電気機器という分類での平均賃金額は十九万一千円ということで、私どもが一万五千円くらい高いことになっております。ただ、平均年齢が電機の場合には五歳くらい低い、それから、女子と男子の比率がいささか違う、学歴構成が違うということでございますから、ラスパイレス比較によって比較しませんと、正当にどちらが高いんだということは申し述べられませんが、絶対額としてはただいま申し上げましたとおり、二十万六千何がしと十九万一千何がしということでございます。
  107. 中井洽

    ○中井委員 たびたび国鉄のことで恐縮ですけれども、国鉄だって、あれだけの人員を抱えてあれだけの勤務体系で、そしてもともとの給与体系でいけば、私はいまだに十分採算をとれる、こんなふうに思うわけでございます。電電が民営化したことによって給与面だけの改革をどんどん進めていく、私は組合の要求としては当然これが出てくると思うのでございます。もしそういうことになれば、大変余剰人員を抱えたまま、しかも大変のんきな勤務体系というのは失礼でありますけれども、例をとって恐縮ですけれども電電方々は宿直を一遍すると明くる日は完全に休みであり、電機会社は宿直しても明くる日はちゃんと勤務である。昨今の民間会社の勤務の合理化の状況というのは、大変厳しいものがあります。ところが、そういうことはなかなか直しにくい、給与だけは直っていく、あるいはボーナスだって民間産業並みになっていく、こういうことになれば、費用負担だけは随分大きくなって、これが結局赤字を生む原因になって料金改定が進むのではないか、私どもはこのことを心配するわけであります。こういう考えについて、郵政省いかがでございますか。
  108. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては、経営者の経営責任と同時に、企業の社会的責任というのを十分御理解いただきたい、これを期待するわけでございます。なぜかと申しますならば、やはりそこで収入のもとになっているのは公共料金でございます。公共料金を収入として、それをもとにいたしまして賃金を決めていくということにつきましては、労使双方が社会的責任というのを十分理解した上で御行動あることを願っている次第でございます。
  109. 中井洽

    ○中井委員 公共料金というお言葉がございましたけれども、現在国が許可いたしておりますいわゆる公共料金で、三年に一遍、四年に一遍値上げをしないものは何一つないのであります。電電のこの電話料金だけが、七円から一遍十円になったりいたしましたけれども、値上げせずにずっと今日まで来ているわけであります。たばこだってNHKだって、あるいは汽車賃だってタクシー代だって、すべて普通の業界にいけば三年に一遍値上げしてもらうんだ、二年に一遍値上げしてもらってあたりまえだという感覚で許可願いを出されて、許可がこれまた許されておるという状態でございます。  私が心配をいたしますのは、現在うまくいっている電電が、民営になったがゆえにそういう形の同じパターン、三年に一遍ずつ値上げをしていくのだ、それによって労賃も上がっていくのだという繰り返しのパターンに入らないように郵政省も監督をしていただきたい、あるいは電電もそういう御努力をいただきたい、このことでございます。いかがですか。
  110. 小山森也

    小山政府委員 非常に重要な御示唆でございますけれども、ただ、公共料金という点において、一般的な労使双方の社会的責任というのを期待するところでございます。具体的にどれどれの賃金をどうすべきであるというような形で行政が介入することは、今度の新会社設立の趣旨からは外れると思います。ただ一般的な問題といたし一まして、一つの企業の社会的責任をひとつ理解してくれるよう注意の喚起をすべきであろうと思います。
  111. 中井洽

    ○中井委員 誤解があってはいけません。私は労賃を下げろと言っているのではないのです。郵政省がしゃしゃり出て介入せよと言っているわけではありません。初めから申し上げておりますように、今この時期に民営化をして逆に値上げということにならないか、それを郵政省は十分自信を持っておるか、また、そういうことで事業計画を含めて十分監督ができていくのか、こういったことをお聞きしているわけであります。
  112. 小山森也

    小山政府委員 私ども法案を提出したときの考えで申しますならば、経営の自主性を持って当事者能力を持って民営会社のよいところを伸ばすということをしていただければ、それが公共料金にはね返ることはまずなかろう、そういった意味での経営能力は、電電公社ポスト電電というものは十分お持ちであろうという見込みから、今回の法案を出しているものでございます。
  113. 中井洽

    ○中井委員 次に私、前に一度委員会でも御質問を申し上げたわけでありますが、この電電会社あるいは電気通信事業法といったものを大改正なさるわけでございますが、その折に国内の電話通信、国外の電話通信、いわゆる国際電電の担当している部門、これを一緒にしていく、もとの一つに戻していくといった議論がなされなかったのかどうか、あるいは実際はあったけれども、こういうことでとらなかったのだということであったのか、経過等をお聞かせいただきたいと思います。
  114. 小山森也

    小山政府委員 一応こういったことについてはすべて検討したわけでございます。ただ、検討した結果といたしまして、国際電気通信事業分野というのは、国内電気通信事業と非常に異なりまして、国際間の条約であるとか事業者間の取り決め、国際慣行、いろいろございます。海底ケーブルの使い方一つにいたしましても、いろいろ所有の問題等がございます。そういった例といたしまして、インテルサットというようなところの協定、条約ということもございます。そういたしますと、国際電気通信事業というのは、国内と違った点が非常にあるということでございます。  それともう一つは、国内事業から見ました場合、確かに今の電信電話公社はポスト電電になりましても、電気通信事業者としてのいろいろな能力は世界的レベルでお持ちでございます。でございますけれども、国内通信におきましても、今度民営化する、経営形態を変えていく。それ自身の経営をどうしていくかということについて社内的な問題があると同時に、いろいろ通信媒体におきましても、ファクシミリであるとかビデオテックス、それからデータ通信どもどんどん発展する、こういった技術革新、これを精度化していくという努力が非常に必要であるということであるならば、やはり国内通信に専念していただき、片方は、国際通信の特徴を持ってユーザーのために専念していただく、その選択をした方がここにおいて政策としては正しいであろう、こう思いまして、電電公社は国内電気通信事業に専念していただくということにしたわけで」ございます。
  115. 中井洽

    ○中井委員 諸外国の例を見ましても、電話会社の中の中心的な会社が国内通信だけあるいは国際通信だけと分けられておるというのはなかなかなかろうかと思います。日本の場合には、歴史的な経過がありますから、これはこれでいたし方のないことか、このように考えますが、電話会社の姿としては国内も国際も担当される、これが素直な姿じゃないか。また、電電そのものが御努力もいただくわけでありますが、これからも日本の国内の通信というものはまあまあそう伸びない。そのときに、これから伸びていくのは国際電電関係だ。そういう意味で、それに手を出せない、大変気の毒な感じもあるわけでございます。  郵政省お尋ねをいたしますが、第一種事業者の中で、自分のところは国内も国外もやるんだ、こういう会社が出てきたときに、これはこれでお認めになる、そういう御方針でございますか。
  116. 小山森也

    小山政府委員 法律の枠組みとしては可能でございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、現実の問題としまして、国際通信に乗り出すというのは、条約がありましたりいろいろ相手国の事業者との関係がありまして、国内のような形で事業者として参入するというのはなかなか容易ではないということから、枠組みとしてはそれはできますが、実現に至るにはなかなか難しい問題が幾つかあるのではないか、こう思っております。
  117. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、今回の法案の改正で、電話通信というものは開放されたけれども、国外との通信については国際電電がもう当分事実上独占である、こういうふうに理解してもいいわけですか。
  118. 小山森也

    小山政府委員 独占であると御理解いただくのも、ちょっと法律の枠組みからそういうお答えをしかねるのでございますけれども、また、事業者がどのような形でもって出現し、その努力で外国との関係をどうやっていくかということも、ちょっと現時点においてははっきり申し上げられませんが、国内とは違って進出にはいろんな条件があるということまでの御答弁で御理解いただきたいと存じます。
  119. 中井洽

    ○中井委員 私も仕組みはわかりませんけれども、東京とアメリカとだけとか、もうかる部門だけのそういう通信参加なら、かなり簡単でないかと思うのです。そういう形態というのは、国際電電の場合もとりようがあるのでしょう、どうですか。
  120. 小山森也

    小山政府委員 現在の実情を見てみますと、今のように東京−サンフランシスコ間だけというようなものはございません。ただ、特定の通信だけをやりたいというものは確かにございます。
  121. 中井洽

    ○中井委員 電電公社はいろんな部門に新しく投資ができるわけであります。これからのことであろうかと思いますが、電電公社としては、子会社等あるいは出資先等を使って国際間の通信業務に参加をなさろう、こういう気持ちはございませんか。
  122. 真藤恒

    ○真藤説明員 当面具体的にその方向は考慮に入れておりません。
  123. 中井洽

    ○中井委員 電電公社は、現在国際電電の株もたくさんお持ちでございます。これからの新電電の株の状況の中で、国際電電あるいは電電公社がお互いの株を持ち合う、そうして、実質は別会社であるけれども、事案上大きな会社ががっちりと手を握ってやっていく、そういった形態ということが起こり得ると思うのであります。郵政省はそういう事態というものをお考えになっていますか。
  124. 小山森也

    小山政府委員 お互いに株を持ち合うということは、株の所有を制限しておりませんので、それはあり得ることでございますが、そのことによって一つの社が他の社を支配するという意図において行われるということになりますと、いろいろな点において問題があろうかと思います。ただ、お互いに電気通信事業を国内と国際とで分け合ってやっている、これを緊密な関係において行うためのお互いの一つの共通意識のために持ち合うということは、必ずしも悪いことではない、こう思っております。
  125. 中井洽

    ○中井委員 次に、附則の三条以降についてお尋ねをいたします。  ここには設立委員会というものが郵政大臣の手で任命をされてという、民間会社へ向かってのいろいろな準備をすることが決められておるわけでございますが、こういう形というのは、私自身はなかなか納得できない面がございます。どういうところからこういう体制をおとりになったのか、あるいはまた、この設立委員会というのはどういうメンバー構成をお考えになっておるのか。過般の委員会でも出たやに聞いておりますけれども、もう一度御説明を願います。
  126. 小山森也

    小山政府委員 通常の会社の場合でございますと、発起人がみずからの意思と責任で株式会社を設立しようという意図で、発起人という形で設立準備をするわけでございます。今回の場合は、日本電信電話株式会社法という一つの特別法によりまして、一つの目的を公的に与えるという会社でございます。したがいまして、どちらかというと、一つの株式会社形態をとって、民営スタイルによりまして当事者能力を高め、経営者の一つの判断というものも重点にするということでございますけれども電気通信事業を国内において、しかも電電公社の資産を受け継いで事業を行うということになりますと、極めて公的な責任もそこには生じてくるわけでございます。したがいまして、公的な一つの判断を下せる方、また公的な意味での今後の会社に指針を与えられる方、こういう方を設立委員にいたしまして、設立の趣旨を徹底した形で、株式の額であるとか定款というようなものを決めていただこうというのが、今回の趣旨でございます。
  127. 中井洽

    ○中井委員 現在の電電公社状況あるいは資産内容、これらは何といいましても、国民の旺盛な電話に対するニーズ、これによって支えられたものであると私は思います。大変高い架設料あるいは設備料、こういったものを払い続けながら、電電公社御自体の御努力もあって、今日までの公社をつくり上げた。この間、公社化をされますときに百八十八億ですか、政府は財産をお出しになったけれども、その後、税金として何も援助をしてきたわけではないわけであります。  したがって、今日電電公社の持っておる資産そのものは、全国四千数百万の電話加入者の財産であろうか、この財産をどういう形で民間会社へ移していくか、これを決めていくわけでございます。資本金から定款からあるいは役員構成から、何もわからずに国会で審議をする、大変おかしなことだ。設立委員会というのをつくって、公的な判断をしてもらうのだ、それは当然であろうかと思いますが、公的判断をするのは、国民の代表である国会であり、この委員会である、このようにも私は考えます。設立委員会のメンバーやあるいはその構成等に対して、国会や私ども委員会が何も言えない、これは今の電電の置かれておる状況からすると私は少しおかしいじゃないか、このように考えますが、大臣、いかがでございますか。
  128. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 ちょっと質問の趣旨を——失礼いたしました。  国会の趣旨は尊重してまいるという基本姿勢は、当然持ち続けてまいるつもりでございます。ちょっと御質問の趣旨を聞き違えまして、失礼いたしました。
  129. 小山森也

    小山政府委員 今のところ、設立委員につきまして、今までの特殊会社が前例になるわけでございますけれども、現在七つ特殊会社がございますけれども、それにつきましても、この設立委員というのは主管大臣によって任命されているというのが実情でございまして、そういった意味での参考にして今回の法律をつくったわけでございます。
  130. 中井洽

    ○中井委員 前例に基づいてと言われますが、これはまた私、冒頭申し上げたとおりでございます。今回の電電の民営化というのは、今までの特殊法人あるいは政府出資の会社みたいな問題と違って、大変大きな問題であります。また、その資産そのものは、本当に一人一人の電話加入者のお金で、そして、総裁が大変高いと言われるような料金を日常払って成り立っておる会社でございます。この会社を、国がその資本金を持つわけでありますから、国がもらうみたいなものであります。そして、民間会社になるわけです。この間の資本金を一体幾らでやるのだ、どういう形の定款をつくっていくのだということに対して、国民の代表である国会がわからない。そして、郵政大臣のお決めになった、それは政府が勝手に公平だと言われる人たちが公的な判断を下す。こういう形でやってしまっていいのかどうか、私は大変疑義がある、このように思います。この点について大臣のお考えを伺います。
  131. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 どうも先ほどは失礼しました。  設立委員の選考に当たりましては、大臣認可ということになっておりますけれども、こういった性格、いわば新会社といえども公的な使命を有しているというそういった使命、また、経営に関して今後あるべき方向を示すのに深い経験と申しますか、識見を持っておられる方、そういった方々の中から国民の目にもっともだと思われる方を選考してまいることは当然でございますけれども、もろちん最終的なそういった形においては、国会の各党も含めて御相談申し上げて、できるだけだれの目から見ても公平な人選という形を期してまいりたいということでございます。
  132. 中井洽

    ○中井委員 また次の機会にも議論をしていきたいと思うのですが、今の大臣のお話ならお話で、私どもは子といたしますが、マスコミや何やらで一方的にぼんぼこ発表されるという前に、ひとつ各党間、あるいはこういう法案に際して必要だと思われる御相談を賜るようにお願いを申し上げておきます。  次に、株の処理の問題でございます。  第五条に、年度の予算をもって国会の議決を得て株を処理する、こういうことが書かれているわけでございます。これはどういうことを意味するというのか、どういう処理の仕方を言おうとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  133. 小山森也

    小山政府委員 国会に出されます予算の総則に処分限度数を計上いたしまして、国会の議決をいただくという方法をとりたい。ということは、予算総則でなぜかと申しますと、これをもしその限度数で売却いたしました場合、これは売却代金というものの処理が予算に関係してくるわけでございますので、予算総則において処分限度数——価格はこれは決まらないわけでございます。数をもって行おうとするものでございます。
  134. 中井洽

    ○中井委員 処分の数というものを国会の承認を得る、これはこれで結構だと思うのです。ただ「年度の予算をもって」としてあるのはなぜか。私はひっかかるわけじゃありませんけれども、何か莫大な金額を生み出すと言われるこの株を処理したものが、こういう書かれ方であるならば、一般会計という形で赤字財政の穴埋めに使われるおそれが多分にあるのじゃないか、こういう感じを持って実はこの項を読ましていただいたわけでございます。何も国会の議決をもって処分数を決めていくならば「年度の予算をもって」という言い方をしなくてもいいんだ、このように思いますが、株を処理したときのお金の使い方、これについての郵政省の基本的なお考え、それをお尋ねいたします。
  135. 小山森也

    小山政府委員 予算総則によって議決をいただくということは、それがすなわち一般会計に入れるということとは、意味合いが違うと私どもは思っております。そういった理解のもとに今度の法案もつくった次第でございます。  それから、それでは具体的にこの株式処分の金額といいますか、売却代金というものをどうするかということでございます。これは前からも大臣が当委員会で申し上げておりますように、この財産というものは、決して政府が出資したものではないわけでございまして、加入者の長年にわたる累積によってつくられたものであるということをよく理解すべきであろうと思います。ただ、どうやって具体的に処理するかということにつきましては、まだこういった株の処分益というのが出るまでには相当時間がありますので、実質はともかくといたしまして、形式的には普通財産として大蔵省が一応所管することになる。そうなりますと、大蔵省と当省とで密接な連絡をとりながら、これについて検討を加えなければいけないわけですが、私どもとしては、あくまでもこの資産形成の経緯というものを非常に重視した形で、これは処分されるべきであろうという考えのもとに、これから大蔵省等の財政当局とも折衝したい、こう考えております。
  136. 中井洽

    ○中井委員 それでは、次に移ります。  先ほど議論の中で、公社の場合には十六ぐらいの許認可事項がある、それが民営になって今度の法律で八つになったのだというような御議論がございました。その八つになった中で、新しい電電の取締役、監査役、こういったものが従来と違い大臣認可事項に挙げられております。ここまでやらなければならないのか。社長だけの認可にして民営化さす、こういうことをお考えにならなかったのか。取締役全員の認可にした理由は何ですか。
  137. 小山森也

    小山政府委員 新しい電電会社というのは、極めて公共性が高く、日常生活に深いかかわりがあるということは、もう篤と先生御理解の上だと思いますが、そういった会社にふさわしい方々であるということを前提にいたしまして、会社の当事者能力を大胆に拡大したと私どもは思っております。公社時代においては考えられないほどの自主性を付与しているということは、役員がその会社の使命にふさわしい形で会社運営していただくであろうということを想定してのことでございます。そういたしますと、その役員の方たちに対しては、やはり国家から与えられた一つの公的な目的を持った会社でございますので、大胆に自主性を持っていても、ぜひとも誤りなきを期すという意味において、経営陣全員についてその選任の認可ということを掲げたわけでございます。  それでは、前に比べてかえって関与が大きいではないかというお話でございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、今現在の総裁、副総裁は政府任命でございます。任命というのは、言葉をかえれば、言葉が非常にきついのでございますけれども、命令というような形になりましょうか、そういったことでございますので、まず会社という経営体が、株主総会であれ何であれ、自主性を持って決めたものを、後からの認可事項にかかわらせるというのとは本質的に違うと私ども考えております。  同時に、現在ある特殊会社の例を挙げますと、先ほども横並びについて非常におしかりを受けたのでございますけれども、やはり経営規模から考えましたところによりますと、具体的な名前を挙げるのはどうかと思いますが、日本航空などは全員認可制である上に、さらに代表取締役については二重の認可行為ということをやっているということもございます。それも参考にしたわけでございまして、結果的にはこういった認可事項というのは、行政庁あるいは大臣を通しまして国会に対して責任を持つということになるわけでございまして、今回のような形に持っていったことにつきまして、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
  138. 中井洽

    ○中井委員 民間会社にして自由にそのいいところを発揮させて、そしてもって公共事業というものを安定させ発展させていくのだ、こういうことであろうかと思います。民間会社におきます社長あるいは取締役の権限あるいはその会社に対する貢献度というのは、私は大変高いものがあると思います。それをその会社自体が自由に決められない、監督官庁からすべて認可をいただかなければならない、私はこれは大変不自由なものである、このように考えます。  悪くりをすれば、社長だけ認可ということにせずに取締役全部こういうふうにしたということは、郵政省から天下らそうか、こういうことが見え見えじゃないかとさえ言えるのであります。郵政省の人は優秀でおありでありますから、何も新電電へ行ったらいかぬとは言いませんけれども、こういう形での認可がある中で天下られる、これもひとつ監督官庁としてはどうだろうか、こんな気もするわけでございます。大変失礼な言い方になったかもしれませんが、もう一度お考えをお聞かせいただきます。
  139. 小山森也

    小山政府委員 これは私よりも大臣が申し上げた方が適切かと思いますけれども、余り権限を越えたような申し方で申しわけないのでございますが、私どもこの法律をつくるに当たりまして、やはり電信電話株式会社というものの公的な一つの役目、それなるがゆえに特殊会社にしてあるわけでございまして、普通の会社ではないところもあります。それはまたなぜかと申しますと、電信電話公社であった当時にそこにおきます資産形成というのは、確かに加入者の皆様方の努力によって積み上げられたという公的な問題も一つございます。それと同時にまた、それを独占という形において法的に保証したということでつくられた資産でもある。それを引き継いでいくということでございますので、どうしても普通の純然たる民間会社とは若干色合いが違う。そういった点におきまして、片方においては、自由な営業活動といいますか、当事者能力を持ってやっていただくということでお任せするということになりますと、責任者に対しまして、どこかで行政的な関与をせざるを得ないというところでございます。
  140. 中井洽

    ○中井委員 逆に言えば、社長という仕事は、人事権を持つことによって一番能力を発揮できるポストである、私はこのように思います。社長の人事権というものが認められない、あるいはほかから許可を得なければならない、これでは社長の能力あるいは発想というものが十分生かされた会社になる、こうは言えないと思うのでございます。取締役の認可制は社長だけの認可、こういう形にした方が、電電として自由に経営ができる、私どもはこのように判断をいたしますが、大臣のお考えはいかがでございましょう。  また、先ほど申しました郵政省からの電電への天下り問題、これはこれで優秀な方が行かれればいいわけでありますが、大臣としてどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねをいたします。
  141. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今度の法案では、全役員を認可制にしております。これは恐らくほかの特殊会社の例と比較をして、二重チェックは避けよう、できるだけ当事者能力をこの役員に与えようということで、そういう二重チェックは避けたのだということでございます。  これは考え方で、代表権者は先生指摘のように、社長一人というわけにはいかないと思います。これだけの規模の会社ですから、普通の会社でも代表権を持った役員さんというのは、大体四人なり五人なりいらっしゃると思います。したがって、日本の一番大きな、資本金的にも巨大な企業でございますから、代表権者は当然複数の形で、監査役も普通の会社は二名以上というのを、これは三名以上という形になっております。  そういう形で、代表権者とかあるいは監査役だけを認可事項にとどめた方がより当事者能力を増すじゃないかという御意見。他方では、認可といいましても、そういった名簿が提出されて、それに対して厳しいチェックの中での任命とは全然違いますから、そういった全員に緩やかな認可としていく形の中で、代表権者をその人たちの中から選んで、経営の濶達な当事者能力を発揮してもらう、むしろそれが当事者能力を付与したということになるのじゃなかろうか、私はそういう考え方に立って今度の法案作成に当たってきたつもりでございます。  しかし、そういった皆さんからの厳しい論議というものは、先般来もございましたが、そういった点も十分、審議の過程というものは尊重してまいらなければいかぬなという気持ちを抱いておることも事実でございます。いずれにしても、当事者能力を十分発揮してほしい、責任体制を明確にしてほしいという形の基本的な考え方から出ておるということは、御理解いただきたいと思うわけでございます。  なお、優秀な人材は郵政省にもたくさんおります。新電電になって、では、おまえはそういった人材を絶対送らぬかというと、絶対という言葉はやはり避けなければならぬと思います。新電電も、そういった形で懇望されるという場合、そういった面もあるわけでございますから、そういった形が天下りに当たるか当たらないかは別として、ただし、こちらから押しつけがましい形での天下りという形は絶対慎んでまいるという基本姿勢は、断固として堅持してまいるつもりでございます。
  142. 中井洽

    ○中井委員 この役員問題につきましては、またの機会に議論をさせていただきたい、このように思います。  次に、電気通信事業の方に話が飛びますが、電報業務を当分の間、新電電あるいは国際電電、この二つにさす、このようになっておりますが、これは電報業務を「当分の間」ということを含めて、どういうふうにされようと郵政省はお考えになっているのか、これが一つであります。  と同時に、新規参入の会社にも、希望があれば、技術的な問題があるのかもしれませんけれども、電報を扱わしてもいいのじゃないかと私は思うわけでございます。電報自体も、委託業務みたいなところもあるわけであります。配達等に関しては、もう任せているところもあるわけでございます。それが国際電電と新電電にしかできない、これもおかしなことだと思いますが、どういうところからこういう法案になすったのか、お考えをお聞かせいただきます。
  143. 小山森也

    小山政府委員 今現在、電報は年間四千三百万通出ておりまして、これはやはり重要な通信媒体として位置づけるべきであろうと思います。  これにつきまして、「当分の間」というのはどういうことかということでございますけれども、電報というのは、今までは法的な役務だったわけでございます。法律上に、公衆電気通信法上に書いてありました。ところが、今回の法の構成になりますと、電気通信の役務というのは、それぞれ全部省令に落としてあります。そういたしますと、今度は電報というのがどういう役務かということがはっきりしなくなってしまいます。特に、新事業法におきます電気通信役務というのは、電気通信設備を用いて行うということとして第二条に規定してあります。そういたしますと、配達という行為を伴うものは、このままの規定で置きますと、電気通信役務でなくなってしまうということになります。公衆電気通信法では、明らかにこれは法律上に、配達までを行うことをもって電報であると書いてあるわけですけれども、今度の法律には書いてない。そうなりますと、どこかで法律上に、電報というものが電気通信役務であるということ、第一種電気通信事業であるということを明定する必要があるということで、附則に入れたわけでございます。  ただ、それでは附則になぜ入れたか、本則になぜ入れないかということでございますけれども、これは法律の立て方によって見解の相違があるところでございますけれども、大体今回の電気通信事業法の原則は、すべてに競争原理を導入するということでございまして、もしそれでは、競争原理を電報にも導入したということになりますと、これは現実の問題といたしまして、現時点でも電信電話公社が一生懸命いろいろ経営努力をしても、年間約千二百億円という赤字を生じているという状態でございます。これはどうしても全国の配達網、ネットワークを維持するということと同時に、もしこのネットワークの中に他の会社が入りまして、非常に利益の上がるところだけを事業範囲にするといたしますと、このネットワークが崩れてしまうことになります。したがいまして、全国網の維持を経営を一体として電電会社が独占で行うということにすべきであろう、こう考えまして、法的な位置づけをこのようにつくったわけでございます。
  144. 中井洽

    ○中井委員 私はおかしなことをちょっと伺ったような気がするのですけれども、現在の電報は大変な赤字を出しておる、それのいいところだけを民間会社にとられたらだめだから独占にさすのだ、こういう御答弁でございますか。  私どもは、先ほどの国鉄の議論と同じで、電報が大変だということは、よく承知をいたしております。しかし、それも第一種に参加をしようという民間会社が、今までと全く違う発想のもとにやって、刺激を与えて、あるいは競り合うことによって、経営というものがうまくいくかもしれぬ、電報業務も赤字が減ってくるかもしれない、そういうことが民営化のプラス面だと思う。そのプラス面を全く閉ざして、これは赤字だから電電と国際電電だけが持ちなさい、そこに一緒に入ってくる競争する事業体には、それはやらないでいいんですよ、こういうのは少しおかしいのじゃないか。第一種の事業者として名乗られる人にも、その区間、電報をやれるようにする、そういうふうにするのも一つの自由化の利点じゃないか、このように考えますが、いかがですか。
  145. 小山森也

    小山政府委員 電報の利用実態から見ますと、問題は、やはり利用者がどこにいても、電報というのの役務の受益者であるということでございます。そういたしますと、ネットワーク全体が一つとして維持されていくということがやはり一番大事なことでございまして、これが人力に頼らなくて非常に人件費のかからないものであるとか、全国を総体として一つ経営というものが成り立つものであるとか、あるいはどこの一部分をとってみても、例えば非常に過疎地であっても成り立つとかということと若干異なりまして、これは理論ではなしに現実に非常に赤字が出ていて、全体としてネットワークとして扱ってようやく今の状態で、国民の皆様方の需要に応じているということの現実がございます。  したがいまして、この現実をぜひとも今後とも維持していくと同時に、経営体自体におきましても、こういった事業経営の成績というものについて努力していただいて、何しろ四千三百万通というのが現実にあるということは否定できないので、このサービスは続けさせていく。しかも、独占でなければ、これは過疎地等には非常に維持が不可能な状態であるという現実も、ひとつ御理解いただきたいと存じます。
  146. 中井洽

    ○中井委員 電話だって、一つのネットワークとして全国に維持しておるので、過疎地だってあるわけです。それで、東京−大阪間というようないいところだけでも新しく許可しようとしているわけでしょう。電報だって同じように、そういうところへ入ってくる人に、電報をあなたがやってくださいよとやらせたらだめなんですかと申し上げているわけであって、電報だけは全国一つでやらなきゃならないんだ、電話は構わないんだというのは、少しおかしくないのでしょうか。  ちょっと時間が来まして、またこの次の議論にさせていただきますけれども、お考えをいただきたい。私どもは、いろいろな人に電報もさせてもらって、切磋琢磨したり、その中で赤字が減れば、こんないいことはないじゃないか、このように考えるわけでございます。  残余のことは次の時間にさせていただきます。ありがとうございました。
  147. 志賀節

    志賀委員長 午後二時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ————◇—————     午後二時二十六分開議
  148. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  149. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 日本電信電話株式会社法、私は新会社とかあるいは新電電という言葉で呼びなれておりますから、そういう言葉を使うかもわかりませんので、そういうふうに御了解をいただきたいと思います。  それからもう一つは、今日までの審査でかなりたくさんの質問が出まして、同じ質問が出ると思いますけれども、これは政府の答弁で納得できていないので、再質問みたいになりますけれども、ひとつわかりやすく答弁を願いたいと思います。  まず第一点は、料金関係ですけれども会社法の第二条によりますと、新電電は、電話の役務をあまねく日本全国に安定的に供給することと、技術の研究、その成果の普及をすることが責務とされておるようでございます。ところで、事業法の第九条では、新規参入の事業者は業務区域を自由に選択できることになっていますから、当然新規参入の会社が利益の上がる区域のみに参入をし、いわゆるクリームスキミンクが行われて、イコールフッティングにならないのではないかと、そういうことを非常に懸念をいたしますが、この点はどうお考えですか。
  150. 小山森也

    小山政府委員 やはり新会社、いわゆる新電電会社は、一つの国家的な責務、特殊会社でございますので、その特殊会社であるのは何ゆえ特殊会社であるかというのは、電電公社という今まで一つの国家的な保護というのもありまして、独占のもとに積み上げられた実績、それを全部受けるわけでございます。したがいまして、ある意味におきましては、そういった特別な地位を受け継いだということでございますので、責務というのも必然的に伴うということでございます。  新規参入との関係がどうかということでございます。確かに新規参入者というのは、これは純然たる株式会社であるために、利潤追求というところから、これは利益の上がるところに参入してまいります。そういった意味において、片方におきましては責務ということでありますから、表面的な形では、確かに片方は多くの責務を負いながら、片方は利潤追求のためだけを純粋に追うことができるということで、その辺についてイコールであるかどうかという点においては、確かに新電電会社は責務を負っているというところから、全くのイコールではございません。ただしかし、先ほども申し上げましたように、この成立のプロセスというものを御理解いただきまして、そういった点も含めての新会社であるということでございます。
  151. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのことは、新規参入の会社が利益を追求するために当然クリームスキミングが行われる、そういうふうに理解をしておるわけですね、最初から。
  152. 小山森也

    小山政府委員 ある部分におきまして新電電会社は、そういった意味における不利益な条件を背負っていると言えると思います。
  153. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、電電公社としての歴史的な経過、例えば一元的な運営等を認められた独占事業であった、そういうプラスの面のハンディがあるから、したがって、イコールフッティングでなくてもいいのだというお考えになるわけですね。
  154. 小山森也

    小山政府委員 直ちにそういうわけではございませんけれども、結果といたしまして、全国ネットワークというのを従来の地位で築き上げておりまして、それを引き継いでいるということになりますと、もし公社あるいは国営という立場からの独占的な電気通信運営ということがなりませんでしたら、恐らくそれはできなかっただろうと思うわけでございます。そういった意味でのいろいろなプラス面の資産も受け継いでおります。それが人材でありあるいは物的なものであり、そういったことを引き継いでいるという反面に、やはりそれに伴う義務も受け継いでいるということでございます。
  155. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのほかにもう一つ、新電電事業法の附則第五条で、電報の業務を新電電と国際電電の独占にかからしめることになっておるようでございますが、先ほど来議論がありましたように、この電報の業務はそれ自体で現在、既に年間千二百億の赤字が出ておるわけでございますが、これを独占にかからしむるならば、この赤字は当然他の収入によってバランスをとっていかなければならない。こういう大きいハンディを背負ってもなおかつ、大体イコールフッティングだろう、こういうことになりますか。
  156. 小山森也

    小山政府委員 イコールフッティングということにおきましては、確かに問題がございます。それも先ほどからるる申し上げているように、歴史的な問題もあるわけでございまして、まず、御質問の中にはなかったかと思いますけれども、要するに、今電報というものが国民の非常に重要な通信の媒体であり、しかもそれを現実に事業として行える能力があるのは、今は新電信電話株式会社よりほかないという状況でございますと、いろいろな責務を負った形での特殊会社である新会社にお願いするよりか手がないということでございます。
  157. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのことは、料金を決めていく上で、明らかに総合原価主義をとる以外にないということを意味しますね。
  158. 小山森也

    小山政府委員 その点については、そのとおりでございます。
  159. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、総合原価主義をとるとなりますと、当然クリームスキミングに対して、一つ一つ分野においては対抗できないことになることもこれは明らかでしょう。
  160. 小山森也

    小山政府委員 場合によると思いますけれども、それぞれ個別な具体的な問題でお答えするよりほかないと思いますけれども、総合原価主義というのを全く否定してしまえば、今回の新電電料金というのは成り立たなくなることは確かでございます。
  161. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、これからの競争はどういう形で行うことになりますか。例えば、もうかるところはどうぞ民間の新規参入会社でおやりください、全国ネットでもうからないところだけは、今までの経緯があるから新電電で引き受けましょう、そういうことになってくるわけになりますか。
  162. 小山森也

    小山政府委員 これが将来にわたってどれだけの時間的な問題をそこに含ませるかということだと存じますけれども、現時点におきましての見通しといたしましては、新電電会社電気通信事業におきます地位というものが、新規参入によって脅かされるというような点は直ちにはないと思います。ただしかし、これは時間とともに、新しい電気通信事業がどういう分野になっていくかということによってまた事態は変わっていくかと思います。
  163. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、さっきのお聞きしておった議論に返るわけですけれども、どうも局長の御答弁の中に私は矛盾を感ずるわけです。いわゆる公社という枠を取り払って、自由な競争によって市場原理を導入して活性化を図っていくのだ、そうおっしゃりながら、一方では当分の間そういうことはないであろう、こうおっしゃっておるのです。もっと具体的に言うならば、電話事業については当分の間、恐らく新電電がやることになるでしょう。そうすると、自由な競争とは全くならなくて、さっきお話があった、なぜ当分の間電話事業については一元的な運営ができないのかというあの質問の答弁と全然食い違ってくるでしょう。当分の間そうならないのならば、あえて危険を冒してまで今電話事業競争させなくても、当分の間は独占にかからしめる、あるいは一元的な運用を図るようにしてもおかしくないんじゃないですか。
  164. 小山森也

    小山政府委員 これには技術革新に伴います実態上の問題も一つございます。ディジタル化が進むということは、いろいろな通信媒体が一つの統合した回線の中でできるということでございます。そういたしますと、技術的にまず可能なサービスであると同時に、一つサービスというものだけを除外するということは、かえって通信全体の種類、役務の多様化のサービスを損なうということになりまして、不自然な形になっているということでございます。  それでは今度は政策的に、技術的に可能なものも、それを電話だけはできなくするということは可能でございます。しかしながら、現時点におきまして実際に競争原理を導入した場合に、電話だけということの問題は、結局リセールの問題であるとか回線の使い方の問題によって生じてくるものでありまして、本質的に競争原理電話に導入しないということによって入口でふさいでしまうということは、どうかと思うわけでございます。
  165. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いずれにしても、仮に法的に自由な参入を認めても、恐らく電話については競争する新規参入はないだろう、こうおっしゃっておるのですから、今急がなくても、もうしばらくの間は電話については現行のままおやりになったって何の支障もない。そのために活性化がおくれるのか、そういうことはないんじゃないか。やらないものを幾ら開放したって、やらないものはどうしようもないでしょう。
  166. 小山森也

    小山政府委員 電話のみをやる会社というのは、なかなか困難であろうということを申し上げておるわけでございまして、そのほかの役務の提供と並んでこの電話というものを行うということはあり得ることだと思います。
  167. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは電話のみをやる会社が新規参入するかどうかは私もわかりませんよ。しかし、電話も含めて新規参入する、こうあなたはおっしゃるわけでしょう。ところが、電話はないでしょうとあなたは一方でおっしゃる。電話事業に対する新規参入は当分ないでしょうとおっしゃりながら、今の御答弁では、電話を含めての新規参入があるだろう、こうおっしゃっておるから、理論の矛盾ではないですかというわけです。
  168. 小山森也

    小山政府委員 私の説明の仕方が下手なのかもしれませんけれども最初から電話のみというのはなかなか難しい分野でございますけれども電話をも含めた総合的なサービスということは、十分新規参入であり得るということを申し上げたいと存じます。
  169. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。あなたのおっしゃることはよくわかりました。しかし私は、結局そうなれば、電話を含めて新規参入があると見なければならない。そうすると、その電話分野において、新会社電話を責務として供給しなければならない義務を負う。新規参入の会社は責務がないから、いわゆるもうかるところだけに入ってくる可能性は非常に大きい、ほかの事業と一緒にして入ってくる、こう理解していいわけですね。
  170. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  171. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、結局新電電はそういう形の中で競争をするとすれば、ハンディを背負っておるわけです。もう繰り返しませんが、研究開発のハンディがあり、全国あまねくのハンディがあり、さらに電報というハンディを背負って立ち向かっていかなければならないわけですから、これは競争できる理屈がないでしょう。今まである財産を吐き出していくというなら別ですよ。新しくこれから経営をしていくのに、立ち向かっていける、競争できる理屈がないじゃないですか。
  172. 小山森也

    小山政府委員 今までに何も施設がないというようなことでございまして、新たにこれから同時発足で同じような会社がスタートするときに、片方がハンディをしょって、片方が自由な形ということになりますと、まさに御指摘のとおり、これは競争原理導入といっても、事実上それを否定した形になりますけれども、現実にネットワークが存在するものと、現実にこれから新規参入するものとの違いというものがございますので、これは先ほども申し上げましたけれども、長い目で見た場合の到着点というものは今から予測できかねますけれども、近未来におきましては、十分対抗した形での競争原理の導入というのは成り立つものと思っております。
  173. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 結局非常にわかりやすく言えば、おまえさんの方は遺産があるから、その遺産を食いつぶしていきなさい、片方は遺産がないのだから、遺産のあるのと一緒にできませんよ。そこでいつまでかかって遺産を食いつぶすかそれはわからぬが、食いつぶすまでの間はこれでいきましょう、そういうことになりますね。
  174. 小山森也

    小山政府委員 遺産を食いつぶすということになりますと、それは何も保守もしなければ減価償却もしなければということでございますけれども経営をする中におきまして、減価償却をし、その他の財産的、財務的処理をしていくということになりますれば、これは遺産を食いつぶすということにならない、またそこに新たな生産活動があるということだと思います。
  175. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 明らかに料金の上で競争できないものが、いいところだけ競争に参加するわけですよ、負けることは決まっておるのですよ。何で補うかといったら、今までの遺産があるからそれで補っていきなさい、こうおっしゃるわけですね、早く言えば。そうでしょう。遺産を食いつぶす以外に方法がないじゃないですかと私は言っているのですよ。そうでしょう、違いますか。それでなければ、あなたのおっしゃるような理屈でいくならば、これは未来永劫立派な競争が成り立っていくのだけれども、未来永劫立派な競争が成り立たないかもわからないというのが、やがて遺産を食いつぶすだろう、初めから競争できないのですからね、そのことを想定しておるからあなたは、未来永劫いけるとは言わないが、当分の間はこれでいけましょう、こうおっしゃっておる。あなたが当分の間とおっしゃることは、明らかに遺産があるからしばらくはいけるんですよ、こういうことなんですよ。違いますか。
  176. 小山森也

    小山政府委員 新たな投資がどれくらいかかるかということによっても、これは変わってくるわけでございます。片方の新規参入者が非常に安い価格であって、それで販売価格におきましても従来の常識を破るような形ができるかできないかということが一つの問題でございます。もしそういった点で、新規参入者の投資額というものが非常に多い場合においては、これはどちらとも言えないわけでございまして、新規投資額というもの、これから投資する額と従来から投資されている積み上げとの差というものは、依然として残ってくると思います。
  177. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 結局何とおっしゃっても、料金に差がつく限り、遺産を食いつぶすという言葉があなたの気に入らないならば、それは気に入らなくて結構ですが、要するに料金の差、新規参入の会社と新電電料金の差というものは、どこかで埋め合わせる以外に方法はないわけですから、そこで総合原価主義で埋め合わせていくということになってくる。しかし、総合原価主義で埋め合わせていくにしても、もうからないところの料金は何とかしていかなければ相手に追いついていけなくなってくるでしょう。  そうすると、さっきから議論になっておった、今非常に採算のとれない市内通話料とか、あるいは利益の上がらない地域への電話サービスの供給、こういうものに対して、料金の値上げをやらざるを得ぬことになってくるんじゃないですか。それを想定して、いわゆる事業法の三十一条の二項の一号あるいは三十三条に料金の適正な算定というのが出ておりますが、原価の適正な算定をしなければならない。この原価も分野別にやる。そうなってくると、これは明らかにそういう方法をとる以外にないんじゃないですか。それとも未来永劫それだけの料金の差がついても新電電はやっていけるんだ、そうおっしゃるのですか。
  178. 小山森也

    小山政府委員 新規参入者というものが全国にわたってのネットワークをつくって、今おっしゃられたような形の、しかも安い価格で提供していくというようなことになりますと、いろいろ問題が生じてくると思いますが、今のところ考えられますのは、やはり部分参入であると思います。それと同時に、新電電会社というのは、いわゆる今の電電公社でございますが、全国一単位でもって一つ経営をしておるわけでございまして、利益の上がるところ、上がらないところをあわせてやっておるわけでございます。そういたしますと、現状におきましては、少なくとも総体としての収入が総体としての費用を賄って、しかもプラスになっているということでございますから、現状におきまして考えますならば、新たな負担加入者に課するということは、近い将来あり得ないのではないかと思うわけでございます。
  179. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 全くそのとおりなんですよ。ですから、いわゆる新しい会社、新規参入の会社は利益の上がる部分だけをやっていく。今たまたま電電公社は、利益の上がる部分と赤字の出る部分を総合原価主義によって賄っておるのに、利益の上がる部分だけを新規参入の会社に食いつぶされてしもうたら、利益の上がるところはなくなってくる。そうすれば、利益の上がらないところの料金を上げる以外に方法がないでしょう、こう言っておるのです。
  180. 小山森也

    小山政府委員 まことに明快なお答えをしかねるのでございますけれども、利益の上がる部分はどこで利益の上がらない部分はどこかということにつきましては、コストベースで現状におきましてなかなか把握できません。一応の概算といたしましては、市外の料金で利益を上げて市内部分に何といいますか補助しているということが言われておりますけれども、実際これを正確な形でもって分類いたしますと、まだ実際の形はわかっておりません。要するに、今現在の料金とか収入というものは、全国の問題としてとらえられているわけです。そういたしますと、新規参入者がどこでもうかるかということにつきまして、その被害がどのような形でポスト電電にはね返っていくかということについては、もう少しいろいろ現状分析をしないとわからないというのが現状でございます。
  181. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そういう見通しもなくて法案を出すなんてあなた、不都合きわまるじゃないですか。おおむねここが黒字になっておって、ここが赤字で、これを総合原価主義でやっておるから今の電電の収支が成り立っておる、それが分析できなくて、もうやってみなければわからないけれどもなんという、そんなわからないものの法案を出されたら、それは利用者にとっては大変なことですよ。
  182. 小山森也

    小山政府委員 大体のことは、先ほど申し上げましたように推定できる、非常に緻密な計算という点においては現状において申し上げられないのは残念である、こう申し上げておるわけです。
  183. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それはあなた、残念であるでは済まされませんよ。それは私は、一銭一座違わない計算をしろとは言わないが、最もわかりやすく勘定してみますと、東京都内は十円で三分間電話がかかる、大阪の市内も三分間十円で電話がかかるのです。ところが、東京から大阪にかけて仮に三分間が百円としますか、そうすると、東京が十円、大阪が十円、八十円が東京−大阪間の料金という理屈になるはずですよ。この東京−大阪間に新しい会社が入ってきて、これを三十円でやりますと言われたら、この東京−大阪間の市外通話料というものは新電電は太刀打ちできなくなってしまう。そういう一番おいしいところだけ食い逃げされる心配はありませんか、こう言うのです。
  184. 小山森也

    小山政府委員 一つの想定でおっしゃっているわけでございまして、どのような原価がかかって、どのような利潤でもつでどのような価格になるかということは、現状におきまして正確な形ではなかなか把握できないと思います。これからもそういった形の参入があったといたしましても、それでは果たして新電電会社が成り立たないかと申しますと、いわゆる加入者線のネットワークはやはり今の電電公社が持っているわけでございまして、そこに一つトラフィックが生じますと、結果的にはどうしても新電電会社のネットにお世話にならざるを得ないということでございます。その部分だけでなしに、その市内電話網による増収も当然あるわけでございます。
  185. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもわからぬのです。私が今申し上げたのは、いわゆる十円と十円で、東京も十円、大阪も十円だ。しかし、その間のいわゆる市外通話料というのが入ってくるから、総合原価主義で今の電電公社の収支は成り立っておる。とするならば、東京の十円と大阪の十円の間に新規参入の会社が安い料金で入ってきたとしたら太刀打ちできないでしょう、こう言っておるのです。そのことは、言いかえるならば、今の電電公社料金は、大まかなんという言葉を使いましたが、要するに、市外通話料でもうけて市内通話料では赤字が出ておる、そういうことになっておるんじゃないですか。
  186. 小山森也

    小山政府委員 非常に正確ではございませんけれども、大まかな形でそういうふうなことは推定できます。
  187. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 極めてあいまいな答弁で困るのだけれども、大体経理を担当しておる電電公社の方はどういうことになっておるか、聞かせてください。
  188. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  公社の場合にサービスの提供のいわば生産方式、手段というものは、御存じのとおり、各種のサービスを共用して設備あるいは要員が共通にこの生産に当たっておるという現状でございます。したがいまして、例えば一つのマンホールの中に市内のケーブルもあるし市外のケーブルもある、あるいはまた、電報の緑もあるし電話の緑もあるという特徴がございますので、費用の分計が精緻な形ではできないのは事実でございます。ただし、経営管理の必要からいいまして、大きな事業区分ごとに事業別の分計ということを、推計ではございますがやっております。  これによりますと、例えば五十七年度の場合を申し上げますと、電話につきましてはかなり大幅な黒字でございますが、電報、それから赤字はわずかでございますが加入電信が赤字でございます。データの設備サービス、これも徐々に赤字幅は縮小はしておりますが、五十七年度の場合、なお二百六十億円余りの赤字という状況になっておるわけでございます。そのほかの専用サービスあるいはデータの回線サービス、これは黒字という状況でございます。  これを仮に地域別に分けてみました場合には、私どもの管理組織としましては、御存じのとおり、北海道から九州まで十一の通信局に分けておるわけでございます。この通信局を単位といたしましてこの収支の計算をいたしますと、この場合に例えば、本社経費をどういう形で配付するかということにつきましては、かなりめ推計を加えるわけでございますが、その辺の推計を前提にいたしますと、十一の通信局のうち、一応黒字と出てまいりますのが、五十七年度現在では、東京、関東、近畿、東海の四通信局でございまして、残る七通信局は赤字というのが、五十七年度の状況でございます。  なおこの場合に、現在の電話の収入の計上方法がいわば発信取りといいますか、例えば東京から北海道への通話をいたしますと、これがすべて東京の通信局の収入に上がる、また九州から四国に通話いたしますと、九州の収入に上げるということがございまして、厳密な意味では必ずしも、上がる収入とこれを可能にしている設備の使用ないしはマンパワーのコストといいますか、それが見合ってない点もございますが、発信取りを前提にいたしますと、今のような状況になっておるわけでございます。
  189. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、一般に言われる市外電話料は高くて市内電話料が安いという理論は、どこから出てくるのですか、わからないままにそういうことをしたのですか。総裁どう。ですか、さっきあなたは、市内が安くて市外が高いとおっしゃっていましたが。
  190. 真藤恒

    ○真藤説明員 日本の市外料金が高いというのは、今月までの諸外国との比較で端的に非常に高い状態になっておりまして、ようやくそれを余り恥ずかしくないところまで下げることができたというのが、現状でございます。そのかわり、日本の市内の料金はどこの国よりも安いということも歴然といたしております。
  191. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると結局、市外料金を高く取っておるから、市内料金は安いけれども、採算上やっていけておる、そういうことになるわけでしょう。
  192. 真藤恒

    ○真藤説明員 端的に現状を平面的に申し上げますと、そういう傾向はございますけれども、これはこの前の御質問のときも御説明申し上げましたが、残念ながら、現状までの私どものどことどことの通信が実際どう流れているのだということを、科学的に正確に把握できない設備で今まで仕事してまいっております。ですから、今のいろいろ御質問の内容に対するお答えは、私どもとしては、科学的な基礎できちっとお答えできないという残念な状態にございますので、そういうものをきちっと科学的にお答えできるような設備を今整備いたしておりますので、あと二年くらいたちますと、その数字がきちっと出てまいりますので、遠近格差の問題あるいは市内料金の問題あるいはグループ料金制の問題というのは、そのきちっとした科学的なデータに基づいて将来において勉強され論議されざるを得ないというのが現状でございます。  それからもう一つ、今の料金全体が総合原価主義的なやり方で、総収入と総支出のバランスで運営されておるわけでございますが、総合原価のコスト面と収入面といいますものが、電話と電報だけであった今日までの数字の動きと、これから先ディジタルに変えまして、いろいろなメディアが世の中に利用されるようになり始めますと、その数字の動きが根本的にかなり変わることだろうと予想されます。新しい法体系で私どもが動くことができるようになりますと、原価の方、支出の方も、今までと全然違った動きをすることができる、収入の方も、新しいメディアになりますと、今までと違った傾向が出てくるということは明らかでございまして、そういう中で、新規参入と競争していくのにはどうすればいいかということに関しましては、現在のような公社法の中で、そして、電話と電報が主たる収入である今日の状態に比べますと、私どもの成り立つ財政上の収支の性質というものが変わりますので、我々がしっかりさえしておれば、かなりの競争力は持ちこたえられるだろうと考えておる次第でございます。
  193. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は今話を聞いて、今までの話と違うのでびっくりしたのですが、今までは、市内料金は非常に安くて赤字だけれども、市外料金を高くいただいておるから、何とか電電公社としての収支が償っていっておるのだ、そういうふうにずっと理解してきておったのですが、今のお話を聞きますと、市内がもうかっているのか遠距離がもうかっているのかわからない。ただ、外国と比較してみると、市外料金が高くて市内料金が安いということになっておるんだ、こういうお話で、全然内容についての分析は行われていない。これはびっくりしたのですが、そういう中で、合いきなり急いで民営に移していくというのは非常に危険な気がするのです。しかし、これは議論したって始まりませんから、非常に危険で、今までの話と違うということだけはちょっと申し上げておきますよ。  それからもう一つ料金の決定に当たっては、事業法の第三十一条二項一号で、適正な原価に照らして公正妥当なものである、そういう料金を決めなければならぬということと、同時に、それに資するために三十三条の会計の整理において、通信役務に関する料金の適正な算定をするために、郵政省令で定める勘定科目の分類をしなければならぬ、こうなっておるわけですね。そういう勘定科目の分類をし適正な料金を定めるとすれば、例えば電報料金のごときものは一体どうなるのですか。
  194. 小山森也

    小山政府委員 先生の御指摘のとおりに、電報料金というようなものは総合原価主義でやらざるを得ない、こういうことでございます。  それじゃ、会計の整理はどうかということですが、そのとおりのことが会計の整理で出てくるということになろうかと思います。
  195. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そのとおりのものが出てくれば「原価に照らし公正妥当なものであること。」といういわゆる事業法三十一条二項一号はどうなりますか。
  196. 小山森也

    小山政府委員 「公正妥当なものであること。」と規定したのは、料金決定原則といたしまして原価主義を明確にしているわけでございますけれども、そのこと自体は必ずしも総括原価主義を否定しているわけじゃございません。したがいまして、総括原価主義というものを取り入れても、それなりの一つの論理が通っておりまして、総収入を保証する総括原価主義を基本として、その総収入の範囲内で各事業に配付した経費というものから料金というものを導き出してくるということは、必ずしも三十一条の第二項第一号に反しないものと考えております。
  197. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは詭弁じゃないですか。原価に照らして公正妥当でなければならぬ、こう書いてあるのであって、あなたのおっしゃる総合原価主義でいくんだから構わぬというなら、何も原価に照らして公正妥当でなくたって構わぬ、総合原価主義をとっても構わぬということが入ってこないと、原価に照らして公正妥当にならないじゃないですか。
  198. 小山森也

    小山政府委員 いわゆる懇意にこれを分けていくということになりますと、確かにそのとおりでございますけれども、総括原価を各事業分野に分けていく、職員数の比率であるとか固定資産価額比等に基づいて配付するというような一つのルールでもってやるということは、そのときそのときの恣意に基づいてこれを各経費に振り割るのとはわけが違うと思っております。したがって、そういった意味では決して三十一条に反するものではない、こう思っております。
  199. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、特価品をつくるようなもので、卵は十円で仕入れたけれども八円で売って、これはお客様に来てもらうための目玉商品だ、しかし、こっちのキャベツは八十円で仕入れたから百円で売らなければならない、そして総合的に収支が償えばそれでいいのだ、そういう理屈になってくるが、公益事業の場合、そういう理屈で成り立つものでしょうか。それぞれの原価に照らしてということが妥当な解釈でなければならない。今非常に苦しいと思うのですよ、総合原価主義をとらざるを得ないのですから。その中に、こういう条文が入ってくるのです。原価に照らして公正妥当なというような言葉が入ってくるから、今は難しいけれども、この法の精神はそれぞれ原価に照らして公正妥当な料金を決めるんだぞ、こういう趣旨だと私は思うのですが、どうですか。     〔委員長退席、吹田委員長代理着席〕
  200. 小山森也

    小山政府委員 サービスの物によると思います。懇意にこれをやるということになりますと、これは問題でございますけれども、総括原価主義というのがありましても、これによってそれぞれのルールをもって配分するということになりますれば、必ずしも総括原価主義というのはそのときそのときの都合で決めたものではない、こういうふうに考えます。
  201. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは議論をいつまでしておっても尽きぬでしょうが、しかし、総合原価主義をとることになれば、新電電は太刀打ちができなくなるだろう。そこで、こういういわゆる適正な原価に照らしてそれぞれ公正妥当な料金を決めていかなければならなくなるだろうと私は思うのです。しかし、今のところ総合原価主義をとらず以外に率直に言ってやりようがないでしょう。だから、あなたは苦しい答弁をしているんだと思うけれども、本来事業というものは、そういう性質のものでなければならぬはずです。自由な競争をするとなればそれぞれの事業についてちゃんと原価を算定し、それに照らして妥当な料金が出てこなくて、総体的な妥当な料金が出るはずないですよ。こっちは赤字でいい、こっちは黒字でいい、そういう事業経営は本来ないはずなんですよ。  しかし、今のところ私はわかります。総合原価主義をとらんならぬという前提が今現にあるんです。だから、それはそれで仕方がないけれども、法の精神はそういうものでないだろうというふうに私は考えております。これは反論があればいずれかの機会にやってもらいますが、そういう理解をしないと原価主義というものが成り立たなくなるのです。こっちは何ぼ赤字でもいいですよ、こっちでうんともうかるからそれでいいんですという理屈は成り立たないし、もうかるところは相手が入ってくるのですから、もうからなくなる、全体が赤字になることは間違いないわけです。  次に、責務の関係についてちょっと聞いておきたいのです。  さっき言ったように、会社法の第二条では、新電電の責務として、あまねく役務を提供するとかいろいろありますけれども、この言葉の中で「電話の役務を適切な条件で」と、こういうように書いてありますね。その次に「あまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与する」。適切な条件とか極めて抽象的ですよ。それから確保に寄与するというのも非常に抽象的な言い分になっておるんです。今まで議論してきた経過からするならば、電電公社を引き継ぐ新電電は、当然今までと同じ責務を負わなければならない。そうなれば「日本全国にあまねく公平に安定的な供給を確保する」、こう入るべきではないかと思うのですが、これをそうしなくて、寄与するとかあるいは適切な条件というふうな極めてあいまいな表現をしたのはどういうわけですか。
  202. 小山森也

    小山政府委員 適切な条件というのは、私たちの想定では、公平な条件ということを想定して入れた言葉でございます。  また、確保に寄与するというのをなぜ入れたか、確保するでいいではないかという議論でございますけれども、今度の場合は、確かに従来の公社を引き受けた一つ会社でございますので、責務というものも同時に引き継いでいるということでございます。ただ、経営形態がやはり民営化でございます。法律上の強制義務規定として位置づけるよりも、むしろ新会社に対する指針的な責務として位置づけるというのが、会社にした場合の一つの行き方としてより適切ではないかということで、新会社の指針的な責務としてこういった表現をとったものでございます。
  203. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、新会社は寄与するというようなあいまいな表現で、寄与しなくても寄与できなくてもそれは仕方がない、こういう反面の解釈もできるわけですね。確保するとなれば、これは確保しなければならぬでしょう。しかし、確保に寄与するとなれば、寄与するように努力したけれどもできませんでしたで、それで終わりになるわけですか。
  204. 小山森也

    小山政府委員 現象としてそういうことは困るわけでございますけれども、要するに、これは会社として一つの責務としての指針、あとは一つ会社の自主性で決めていただきたいということで、こういう表現になっているわけでございます。
  205. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 しかし、ずっとるる議論してきたように、電電公社は今日、何も電電公社だけででき上がったのではなくて、国民共有の財産としてでき上がっておるということが前提になって、新しい会社にいろいろな責務を負わせるわけでしょう。それならば、今まで国民共有の財産としてつくり上げたものの中から安定的な供給を確保するのだ、当然こううたうべきではないのですか。なぜ寄与するなんという言葉——新しい会社、あなたのおっしゃるとおりです。民間の新しい会社ですから、それにこうしなさいなんというのは無理かもしれません。しかし、これは同時に会社の法律なんですから、会社がみずからこうしたいということになれば、寄与するなんて入れないで、確保する、これが当然の責務じゃないですか。
  206. 小山森也

    小山政府委員 そういう御意見も当然出ると思います。ただ、私どもの選択といたしましては、これは会社であるということから、法的な強制力を持たせるということよりも、会社経営意思でこれに従ってもらうということの方が会社らしい付き方である、こういうふうに判断したわけでございます。
  207. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一回だけ言いますが、これは国民共有の財産である、ならば、国民サービスを受ける権利がある、権利があるとするならば、当然法律の上で確保させなければならない、そううたうのが本当だと私は思うのです。これはいずれまた議論する機会がありましょうけれども、今までこれは国民共有の財産でございますと言ってきた理論からすると、新しい会社ですから好きなようにおやりください、自主的にお決めくださいということにはならないです。責務としてうたう以上は明確に確保しなさいよと、こうなるのが妥当だと私は思うのです。大体それでいいですね、あとはもう議論しませんが。
  208. 小山森也

    小山政府委員 これが国民総有の資産であるかどうかというところから議論を始めますと、いろいろ議論があろうかと思います。国民共有の資産であるけれども、その間に電電公社という経営主体がそこにあって、しかもその経営主体が独占形態という法的に守られた形をもって一つの財産形成といいますか、経営努力によって資産を打ち立てたという半面もあるということを、一応ここで申し上げておきたいと思います。
  209. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは経営がないところに公社会社もありはせぬです。経営があるのは当たり前ですよ。経営がある以上は、その責めを負うて運営するのが当たり前ですよ。しかし、それは確かに企業努力も当然あるけれども、そこで生まれたものは総合して国民共有の財産だというふうに私は理解しているのです。会社が勝手に処分していい、公社が勝手に処分していい財産だとは私は思わないのです。それは基本ですよ。それは公社努力によってできた財産も一部あるんだから、公社が勝手に使ってしまっていいですよというあなたの理屈は受け入れられません。
  210. 小山森也

    小山政府委員 その辺につきましては、言葉が足りなかったのですが、勝手にできるものではございません。当然法律によってもたらされた一つの制度でございまして、それを国会という場において共通の意思で決められた、国民のコンセンサスをもって決められたものでございますから、これからもそういった意味で、また変えるに当たりましても、これは新しい法律によって指針を求めるということになろうかと思います。
  211. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その次に参ります。  これは簡単なことですけれども、さっき申し上げた、電報の業務を新電電と国際電電の独占にかからしめておるのですが、事業法上今の現状ではやむを得ぬ、それはもう局長の言うとおりだと思う。現状ではやむを得ぬだろうと思うのですが、独占にかからしめる以上は、この会社法の二条の中に責務として電報の業務をうたうべきだと思うのですが、どうですか。
  212. 小山森也

    小山政府委員 この会社法の二条で責務としてやったものは、要するに、電話というのは国民の生活に不可欠な度合いが一番高いというところで、役務を明定したわけでございます。電報について、何も国民から見た役務として低い地位にあるというわけではございませんけれども、そういたしますと、役務として行うもので重要なものを全部列挙しなきゃならない、こういうことになってまいります。そこで、ここでは典型的な形で、私どもが日常毎日の生活の中で最も見近な形で使われている電話を、ここに責務として挙げたわけでございます。     〔吹田委員長代理退席、委員長着席〕
  213. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 しかし責務の中に、電話だけでなくていわゆる研究開発、普及、こういうものも入っておるのですから、そうすれば、電報も独占にかからしめておる以上は、やはり当分の間は責務としてここに入れておく方が本当じゃないか。これは法体系上の問題ですけれども、ここに明確にすべきだ。責務の中に、電話だけではなくて研究開発まで入っているのですから、それならば電報が入ってもちっともおかしくない。全部列挙しろと言うのじゃないですけれども、独占にかからしめなければならないような状態であるだけに、責務ですよ、こうする方が正しいのじゃないか、こう申し上げたのですが、どうしても好かぬですか。
  214. 小山森也

    小山政府委員 電報の重要性は私ども軽視するわけでも何でもない。今四千数百万通あるのですから、非常に大事な通信媒体であることは間違いないのでございますけれども、ただ問題は、確かに非常に重要なものではありますけれども電話との比較におきまして、同列に並べるほどの重要性が国民生活側から見てあるかということにおいていかがかと思います。ただ、事業体の方から見まして、この電報というのは非常に大事なものであることは否定いたしません。特に一万数千名の従業員がいて、基本的なサービスとして行っているということは、事業体から見ますと、非常に重要な一つサービスの形態でございますけれども国民利用者側から見た場合のその利用度の問題として、今回電話と並べるというほどの位置づけはどうかな、こういうことでございます。
  215. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これも長く議論しませんが、とにかく独占にかからしめなければならないような仕事であることは間違いがないのです。だから事業法で独占にかからしめた、そのことは私は理解ができるのです。それならば、当然会社法の中でも責務として明確にしておくべきだ、こう考えておるわけなんです。その度合いがどうだとかこうだとかなってくると、これは将来はどうなるかわかりませんよ、わからぬけれども、あなたの理屈は、独占にかからしめるほどのものを会社法の中で責務にしないというのは、私はどうもおかしい気がしますから、そのことだけは申し上げておきます。  その次に参りますが、これも先ほど質問がありましたが、会社法にしてもそれから事業法にしても、やたらと認可許可というのが多いのですが、認可許可というのは一体どう違うのですか。
  216. 小山森也

    小山政府委員 これは行政法上の一つの一般的な解釈の仕方を申し上げて、御理解を得たいと思いますけれども認可というのは、第三者の行為を補充する行政上の行為でございまして、法律上の効果を完成させる一つの要件だ、こういうふうに考えております。  許可でございますけれども許可は、一般的に禁止してあるものを特定の行為について解除する、こういうものでございます。
  217. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実は、法的な効果も聞きたいのですけれども、そこまできょうは言いません。  次に移ります。  そこで大臣、これも先ほど質問がありましたが、会社法第九条で、会社役員の選任や解任の決議は、郵政大臣認可を受けなければその効力を生じない、こううたわれております。大臣認可しないときは一体どうなるのですか。
  218. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 そういうことはなるべくないと思いますけれども……。できるだけ、それにふさわしい人が推薦されてくれば、認可する方針でございます。
  219. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣大臣は本当に立派なお人柄です。これはべらをやくのじゃなくて、本当にそう信頼しています。しかし、大臣のような方がずっと続いて出ると決まってないのですから、そうすると、法律はでき上がったら必ずひとり歩きするのです。奥田郵政大臣が未来永劫郵政大臣なら、私は信頼します。これはそうはいかないのです。でき上がったものはひとり歩きする。そうすると、認可しないこともできるのですよ。それを利用して大事に介入することはいとやすいことなんです。そうでしょう。それを、監査役まで含めて全役員について大臣認可がなければ効力を生じないということになったら、これはちょっと人事の介入になり過ぎるおそれがある。私は、大臣の場合はいいと思いますよ。しかし、法律がひとり歩きするということを考えると、これは非常に危険な気がするのですが、どうですか。
  220. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 できるだけ新会社経営の当事者能力も含めてやっていただこうということで、総体的に緩やかな全役員の認可ということで綱をかけたわけでございます。御存じのとおりの日本一の巨大企業でもございますし、そのいわゆる仕事の公益的な性格も含めてそういう形にしたわけでございますが、要は、当事者能力をうんと発揮していただく、できるだけ政府の関与を緩やかなものにしたいという趣旨は変わらぬわけでございますから、先生方のさっきからの審議の過程を踏まえて、よく与党の皆さんとも相談してまいりたいと思っております。
  221. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 さっき具体的に社長だけにしたらどうかというような意見もあったようですが、いずれにしても今私が申し上げたように、法律ができ上がればひとり歩きするおそれがありますから、人事の介入にならないように、利用しようと思えば悪用できる内容になっておると思われますので、検討をいただきたいと思っております。  それからその次に、これはさっき出ましたから確認だけしておきますけれども会社法の附則第三条一項で、設立委員を命じてやらせる、これは何か答弁では、今までの前例もありますからということでしたから、前例によるのでしょうけれども、先ほどの大臣のお話では、広くみんなの意見を聞きたい、そういう意味では、各政党の意見等も十分聞いてみたい、そういう御答弁でございますが、それは間違いないかどうか、確認だけさせておいてもらいます。
  222. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 少なくとも国民の代表である先、生方の目にも、この人ならふさわしいという形の方向で御相談してまいりたいということでございます。
  223. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この設立委員会はどの場所設置をすることになりますか。
  224. 小山森也

    小山政府委員 まだどこにつくるかということは決めておりません。結局どこの場所がということは、設立委員会にも当然事務局が必要でございますので、事務局の機能する場所ということでございますが、これはまだ決めておりません。
  225. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 場所もやはり配意した方がいいだろうと思いますから、委員の任命と同時に、十分ひとつ誤解を招かないようなことになるように期待をしております。と言うと賛成のようですが、賛成じゃありませんよ、この法案は。  さて、その次に参りますが、会社法の附則第三条第八項で公社は新電電に財産の全部を出資し、同条の六項では公社は新会社の発行する株式の総数を引き受けることになります。さらに、附則の第四条一項で新会社公社の一切の権利及び義務を継承する、こうなっております。これは当然のことで、非常によく理解ができます。公社が全部財産を出資するわけですから、その株を公社が全部持つということ、これは当然のことだと思っております。ところが、会社法の附則第三条十二項で、公社の取得する株式は、会社設立のときに政府に無償譲渡される、こうなっております。国民共有の財産である電電会社の財産がなぜ政府に無償で譲渡されるのか、私はどうしても理解ができないのです。一切の権利と義務を負う新電電になぜ持っておることができないのか。これは公社の責任者として総裁、全部政府に無償で譲渡するなんということでいいのですか。
  226. 真藤恒

    ○真藤説明員 公社の財産は国民共有のものであるという立場に立ちますと、公社がその株の所有者であるということはいかがなものだろうかというふうに考えられます。したがって、国民の財産であれば国に差し上げるというのが常識だというふうに私どもは解釈いたしております。
  227. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、一切の権利と義務を継承するのではなくて、そのうちの一部は国に差し上げる、継承したものの中から差し上げる、そういうことになるわけですか。
  228. 真藤恒

    ○真藤説明員 会社の立場からは、国民の共有財産でございますから、国民に還元さしていただくという考え方でございます。
  229. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私もそう思うのです。これは当然国民共有の財産ですから、何らかの形で国民に還元されなければならない。しかも私は基本的に、それは電気通信事業を通じて国民に還元される性格のものだろう、こう思うわけです。ところが、法律をもって政府に譲渡させようとしておる。これは一体どういうわけですか。
  230. 小山森也

    小山政府委員 これは一つの財産の形式的な処理の仕方をここで明示しているわけでございます。電電公社は確かに出資した出資者であります。新会社に対して出資する、それの見返りとして株を持つ、それを割り当てられたのですが、その公社は即日解散して、なくなってしまうわけでございます。そういたしますと、そこの株というものは一応、一般的な財産処理の原則に戻りまして国庫に帰属するということでございまして、そのことをそこに形式的に明示してあるわけでございます。
  231. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、附則第四条一項で、新会社公社の一切の権利及び義務を承継するというのは、うそですね。
  232. 小山森也

    小山政府委員 権利義務はそのとおりでございますが、資産は新しい会社に全部出資するわけでございます。
  233. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 出資したから株が入ってくるのだから、同じじゃないですか。資産が株式に一部変わっただけでしょう。
  234. 小山森也

    小山政府委員 そこに書いてありますように、会社は継承するわけでございますから、自分の資産をもらった上にさらにその株をもらうということになりますと、これは矛盾するわけでございまして、資産は何しろ会社に行くわけでございます。それで、公社から会社に移りまして、公社はその資産の見返りとして株式を取得して、その公社はその日に消滅する、こういうことでございます。
  235. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会社が株式を承継すれば問題ないですよ。会社が株式を承継しないんですよ。公社が株式をもらって、それを同時に無償で政府に譲渡する、こうなっているのでしょう。
  236. 小山森也

    小山政府委員 資産は会社に行くわけでございます。ですから、資産の見返りとしてある株は、その本来の資産を出資したところの公社に行くわけでございます。その公社は即日解散になる、こういうことでございます。
  237. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうも私はわからないのですが、その株式というのは資産の中の一部をなすものではなくて、株式は株式で、そして資産は資産、別々のものですか。
  238. 小山森也

    小山政府委員 資産はそれを新会社に渡したわけでございます。その会社に渡した見返りとして、それが一つの証票としての株式になって、これは出資した公社の方に所属する、こういうことでございます。
  239. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもそこが私はわからないのですが、例えば総資産が五兆円ある。そのうち、退職積立金に引き当てる分が何ぼ、それから何が何ぼと勘定してみて、まだ一兆円ぐらい余裕が残る。だからこれを株式を発行するのだ、今までこうおっしゃってきた。それならば、五兆円全体がもともと公社の資産であって、資産はみんなやったからなんということにならぬでしょう。資産の一部が株式でしょう。
  240. 小山森也

    小山政府委員 株式を発行するのは新会社でございます。資産をもらって、その資産をもらった見合いとしての株式を発行して、それを公社に資産の見返りとして渡す、こういうことでございます。
  241. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもわかりませんね。それがどうして無償になるのですか。
  242. 小山森也

    小山政府委員 その公社は、即日解散になりまして、なくなるわけでございます。そういたしますと、財産の一般原則によりまして国庫に帰属する、こういうことでございます。
  243. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国民共有の財産がいつの間にか国の方に無償で行ってしまう。さっきからのお話と大分矛盾しませんか。これは国民共有の財産でございますということになって、そして、その共有の財産を出したから株式がもらえたんだ——共有財産を出したから株式がもらえたのでしょう。それが、その株式は何で無償になるのですか。
  244. 小山森也

    小山政府委員 株式を所有するところの公社という主体が即日になくなってしまうわけです。そうしますと、例え方は悪いのでございますけれども、無主物のような形になるわけでございます。そこにおいて法人がなくなるわけでございます。したがって、そこにおいて生じた株というのは国家に帰属しているということでございます。
  245. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国民共有の財産であると言いながら、いつの間にか無主物になって、それからそれがただで政府に行く。これが未来永劫ただのものならいいですよ、無償のものならいいですよ。  それでは、少し先を伺ってみますが、例えば新電電の株式が大体一兆円前後だろうということを、ほかならぬ局長がお答えになったのですけれども、この一兆円は換金できるだろうと私は思うのです。いや、それどころではない、もっとプレミアムがついて高くなってくるのではないか、こう思うのです。そうすると、無償で入ったものは、実際には膨大な資産であるということが言えると思うのですけれども、さっきから同じことが出ていましたが、プレミアムがついてこの株は大体どのくらいになると考えているのですか。
  246. 小山森也

    小山政府委員 これはそのときの証券市場の問題とか、それから実際の資産の実質価額、こういったものからいろいろ決まってまいりますので、今から予測するのはなかなか困難でございますので、ひとつ御理解のほどを願いたいと存じます。
  247. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、ちなみに聞きますが、同じような経路をたどったKDDの場合、今株は何倍ぐらいになっていますか。
  248. 小山森也

    小山政府委員 私も最近のはちょっとわかりませんけれども、大体のところでは四十倍ではないかと思っております。
  249. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 四十倍といいますと、これは大体一兆円出したときに四十兆の値打ちがあることになりますね。四十倍にならなくても、KDDの株の半額としても、これは二十兆円になるわけですね。もっとまけましょうか、バナナのたたき売りみたいに。十兆円でいきましょうか。十倍になって十兆円としても、これは大変な金額でしょう。その十兆円という株を保有しておる。  しかし、それは売ったときに十兆円になるのであって、株を持っている間は一兆円ですから、仮に一兆円の株を持っておるとしても、ここに当然配当が行われるでしょう。その配当が一〇%とすれば、一千億という配当が当然行われることになってくるのですけれども、こういう株を売ってもうかる膨大なお金あるいはそのプレミアム、そういうものはこれから一体どういうふうに管理し運営していくおつもりですか。
  250. 小山森也

    小山政府委員 ただいままでに御説明申し上げましたのは、いわゆる形式処理と申しますと非常に言い方は悪いのでございますけれども、要するに、実質の中身ではなしに形式論として、どのような形に処理されていくかという御質問に対するお答えでございます。 実質的にどうやって処理していくかということでございますが、これは一つの財産の処理の仕方として形式としては、これは普通財産として大蔵省に所属してまいるわけでございますので、そのような形式論が一つあります。しかし、その内容におきましては、従来の関係から、郵政省といたしましても内容についての処理の仕方ということは、いろいろな成立の過程から見まして、単純な形では処理できないのではないかと思っておりますので、今後財政当局とよく検討いたしまして——今までのいろいろな御主張がございます。この成立の過程を見ると、一般会計の赤字の補てんに使うべきでないとか、あるいは電信電話債券の償還に使うべきであるとか、電気通信の研究開発費に使うべきであるとか、いろいろ御意見はあります。この御意見は非常に貴重な御意見でございますので、私どもといたしましてもそれを十分に尊重いたしまして、財政当局と相談してまいりたいと思っております。
  251. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 財政当局、大蔵省見えられていますか。——大蔵省の見解をちょっと聞かせてください。
  252. 日高壮平

    ○日高説明員 株式売却収入の扱いにつきましては、今までも当委員会でたびたび御答弁させていただいておりますが、私どもとしては、いろいろ議論がございましたように、発行された株式が国に帰属するということになるわけでございますから、私ども財政当局としての意向は、今までも申し上げておるとおりでございますが、実際にそれではその売却をどういうふうに行い、その売却収入をどうやって扱っていくかという点につきましては、いずれにいたしましても売却が、この御審議いただいている法案ができましても、六十年度以降ということになるわけでございますから、売却収入の扱いにつきましても、六十年度以降のそれぞれの予算編成の過程で、他の財政需要と同一の土俵で論じられるべきものというふうに考えておるわけでございます。
  253. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省、それから真藤総裁もよく聞いておいてもらいたいのです。余談になりますけれども、かつてNHKが非常に景気のよかったころ、内幸町の土地を売り払うことになりまして、坪当たり千二百万とかなんとかいって、高い、安いという議論がありました。私はこの委員会で、利用価値があって買う人があるならば、なるべく高く売って、そのお金でNHKの今後の運営料金値上げ等が起こったときに充当していってもらいたいということを強く主張したのです。  もう死んだ人ですから、名前は言いませんが、ところが、そのときのNHKの会長が放送文化基金とかいうものをつくりまして、百二十億円を出してしまったのですよ。そして今、放送文化の事業団か何かでこの利子を使っておるようでございますが、ああいうことをせずに、もしあのときにNHKが、あの百二十億のあの当時のお金を持っておったならば、二遍ぐらいの料金値上げを食いとめることができただろうと私は思っておるのです。それを気前よくほっぽり出して、そのために後でまたどんどん受信料の値上げをして、NHKの聴視者から取り上げんならぬ羽目になっておるわけです。  さて、今の問題ですが、それは昭和六十年度以降は当たり前ですよ、仮にこの法案が通ったって、会社が動き出すのは昭和六十年ですからね。それが今、この国民共有の資産がどういうふうに使われていくのだろうかということについて、ぽつぽつ検討いたしましょうというようなことでは、この法案の審議はできません。国民共有の財産がこの先どうなっていくのか、それを明確に政府で意思統一して、こういうふうに運営をし、こういうふうな場合に使っていくように考えたいというその方針が明確にならなければ、我々は、時価にして二十兆円か三十兆円かわからぬが、そういう膨大な国民共有の財産を処分するのに、はい、政府に無償で譲渡しますなんて言えませんよ。  しかも政府は、今までうそからうそを言ってきている。例えば昭和五十六年から昭和五十九年のこの電電公社からの国庫納付金、今回限りでございますと、何遍この委員会に来て頭を下げたかわからないですよ。絶対に今後は言いません、今回限りですからと言っておきながら、その舌の根も乾かぬうちに、今度は財確法とかなんとかいって、また二千億取り上げたでしょう。合計六千八百億ですよ。これだけの金を国民共有の財産から取り上げるような政府です。ましてや何十兆円という値打ちのあるものを、この先どうするかわからないままで、我々はこの法案の審議はできません。明確にしてきてください。
  254. 小山森也

    小山政府委員 私の先ほど御答弁申し上げましたように、この資産の株の売却ということにつきましては、十分従来の成立の過程というものを参考にして、また、いろいろな御主張というものを尊重した形で、それを政府部内の統一にするように努力をいたしますので、よろしくお願いいたします。
  255. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そんなこと言ったってだめですよ。私は今例を出したけれども、今回限りでございますと言った納付金が、三年目にまた二千億円取ったじゃないですか、現に。合計六千八百億取り上げていったんですよ。これが国民共有の財産を処理した政府のやり方です。ましてや、何十兆になろうというこの膨大な資産を、今処理をする方針がなくて我々はこの審議ができますか。明確にしてきてください。
  256. 日高壮平

    ○日高説明員 今回の経営形態の変更に伴う株式の問題につきましては、当委員会でもいろいろ御議論があることは承知いたしておりますが、そういう御議論があるということも踏まえまして、今回御提案しております法律におきましては、実際に株式の売却を行う場合には、その売却の限度数を予算総則に計上し、国会の議決をいただくというような手続を踏んでいるわけでございます。
  257. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 今言ったとおりですよ。ここではっきり約束をしたことでも守らない政府が、今この先どうなるかわからぬようなことを言っておったのでは、それで我々が国民に対して、利用者に対して責任が持てますか。この資産はこういうふうになるんです、こういうふうに運営して、こう使っていきますということを明確にしてもらうまでは、この法案の審議は進められません。
  258. 小山森也

    小山政府委員 郵政省といたしまして、いろいろな御主張というものを十分尊重いたしまして、今後努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
  259. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵政省が何と言おうと、郵政省はもう何遍も同じことをこの前言ったんですよ、納付金の際に。ところが、現にやられたんです。  しかも、きょう僕は大蔵大臣をここに出してくれ、責任を持って答弁をしてもらいたい。大蔵委員会があるからと言うから、それならば、大臣のかわりにまだ政務次官がおるはずだ。それから当然、主計局長を出してもらいたい。すると、主計局長はやはり大蔵委員会があるからと言うから、それは第一義的でしょう、それなら次官を出して、主計局長の次、次長を出してくれ、こうちゃんと申し渡してあるのに、ばかにして全然出てきていないじゃないですか、主計官ぐらい出てきて。絶対だめですよ。
  260. 日高壮平

    ○日高説明員 主計官で申しわけございませんですが、従来から当委員会におきましては、私ども主計官が出席して答弁させていただいておるものでございますから、その点、御了解をいただきたいと思います。
  261. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は今申し上げたように、明確に事の理由を分けて、大臣は主管の大蔵委員会があるからそれはやむを得ぬでしょう、主計局長もやむを得ぬでしょう、したがって、政務次官と主計局次長はぜひ出席させてくれ、そう言ってあるのに、何の断りもなく来て、従来からこうなっておると言う。  従来からこうなっておると言うなら申し上げますが、僕は、宮澤さんが官房長官のときに約束したのです。責任を持って、政府の責任者は要望された人が出られるように政府は努力します。ところが、大蔵省では大体課長が出ることになっている。きょうは主計官ですから、できがいいが、大体は課長が出てくることになっておる、そういう不都合な姿勢なんです。  それはいい。ともかく、このやり方では私は了解はできませんから、審議は進められません。明確にしてきてください。
  262. 小山森也

    小山政府委員 ただいま先生の御主張というようなものは、大蔵省の財政当局もここで聞いているわけでございます。したがいまして、私ども十分な要求をするということによりまして、こういったことについて理解のあることを期待するものでございますので、どうぞひとつ御審議のほどをお願いいたしたいと思います。
  263. 志賀節

    志賀委員長 それでは、暫時休憩いたします。     午後三時四十八分休憩      ————◇—————     午後四時十二分開議
  264. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいまの質問者阿部委員の御要望に対し、本法案審議期間中に大臣に答弁をしていただくように取り計らうことで、阿部委員の御了解を得たいと思いますので、さよう御了承賜りたいと思います。
  265. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 結構なお取り計らいですが、ただ、大臣は大蔵大臣ということと、それから、十分了解のできるだけの質問をさせてもらうようにお願いをしておきたいと思います。
  266. 志賀節

    志賀委員長 極力そのように計らせていただきます。
  267. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ありがとうございました。
  268. 志賀節

    志賀委員長 質疑を続行いたします。伊藤忠治君。
  269. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 質問をさせていただきますが、私はきょうとあす続けて時間をいただいておりまして、きょうの持ち時間はたしか三十分ということでもございますので、テーマを絞りまして、幾つか質問を申し上げたいと思います。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  プライバシー保護の問題について質問をいたしますが、事業法の第四条で、通信の秘密の保護について明記がなされております。これは電気通信事業者の守秘義務を課しているものだと理解をしているわけですが、そのように解していいかどうか、郵政省の見解を賜りたいと思いをする。
  270. 小山森也

    小山政府委員 第四条にあります秘密の保護でございますが、これは電気通信事業者だけに課しているものではございませんでして、電気通信事業者取り扱い中に係る通信の秘密は、第三者も侵してはならないということでございます。それから「電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る」とそこに書いてあるとおりでございまして、事業に従事している者とそれから第三者もこれを侵してはならない、こういう法文でございます。
  271. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 答弁ありましたとおり、事業者だけでなくて、つまり、電気通信利用する第三者も含めまして、とりわけ、これからは高度情報化社会でありますから、国民各層、ネットワークを通じて情報を扱うという場面が起こると思うのですが、そういう皆さんも含めて、この四条の規定は、そういうあってはならぬ、守らなくてはいけないということをここで明記をしている、このように理解をしてよろしゅうございますか。
  272. 小山森也

    小山政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  273. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そこで、現在は電電公社ですが、新電電になった場合でも、とりわけ、一番大きな事業者として運営をされるわけですから、電電公社の場合についてお伺いをしたいのですが、この事業法第四条の規定といいますのは、公衆電気通信法第五条と同様のものだというふうに私は理解をしているわけです。そこで、この通信の秘密の保護について、電電公社は今日まで具体的にどのような施策をやられてきているのか、このことについて説明をいただきたいと思います。
  274. 岩下健

    岩下説明員 通信の秘密の確保と申しますのは、私ども電話事業という高度の公共性を持つ事業に携わる者といたしまして、最も基本的な心構えであると考えておるわけでございます。これは公社設立以来三十余年にわたりまして、一貫して変わるところのないものでございました。これの実を上げますために、職員に対する新入社員の時期からの訓練、あるいは折に触れての機関長からの訓示、また設備面につきましても、こういったものが担保できるような形で今まで努力をしてまいりました。  この社会的な責務につきましては、経営形態が変わりましても、もちろん変わるところは全くございませんで、むしろ新しい会社に移行後は、経営体制の確立という問題、あるいはまた働きがいのある職場をつくる、こういったものを通しまして、従来にも増してこの理念の浸透を図り、その具体的な実を上げるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  275. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 抽象的な説明をいただいているわけですが、考え方はそういうことでやられてきているし、これからも経営形態がどう変わろうと、この種の施策についてはもっと充実をさせていくというふうに考えられているのだと私は理解をいたします。  そこで具体的に、例えばお聞きをしているところによれば、これはハード、ソフトの面のいろいろな保護策というのが講じられていると思うのですが、利用者識別だとかパスワードだとか、それから暗号化の問題ですか、こういうことも含めて今やられていると思うのですが、できればそういう中心的にやっている施策の具体的な問題を明らかにしていただければ幸いだ、こう思うのです。
  276. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  先ほど抽象的な話を答弁いたしましたが、具体的に今先生が御指摘ありましたように、ID、利用者識別、これはコンピューターに当事者でない者が接続される、つまり誤接、そういったものの防止のために、利用者識別というIDあるいはパスワードの技術、こういったものを利用いたしまして、間違って接続されましても内容が解読されないという暗号化、こういうものもあわせて開発を進めております。特に、コンピューター相互の通信は、ディジタル信号でもって情報のやりとりをやっておりますので、このディジタル化をうまく使うことによりまして暗号化というものが割合容易でありますので、そういうものを進めております。現在私どもの方で開発を進めて、回線暗号ソースというものを既に開発を終わったところでございます。
  277. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今具体的に明らかにされたわけですが、郵政省にお伺いいたしますけれども電電公社が今やっておる具体的な施策はお聞きのとおりだと思います。こういうものだとか、職員の管理体制、例えばセンターの入室にかかわるいろいろな管理面の強化だとか、あるいは職員の教育訓練、モラルの向上策、こういうものがもちろん、今のようなハード、ソフト面の保護策と一体のものとして進められていくということでなければいけないし、また、それがやられているというふうに私は理解をするわけです。  そこで、郵政省としては、少なくともこの事業法第四条の具体的なことを、事業者にそういうものを最低限やらせていかないことには、この秘密を守る、プライバシーの保護を図るということにならぬと思うのですが、具体的な考え方ですか、そういう指導、こういうことについてお聞かせをいただきたい、こう思います。
  278. 小山森也

    小山政府委員 先生指摘のように、このデータとか、こういった通信の秘密というものは、漏えいいたしますと、これはもう回復不可能というような損害を受けるわけでございますので、これにつきましては、特に未然に防止するというところに重点を置いて我々考えております。そういった考えの中で一番問題なのは、やはりデータ通信を通したところのプライバシーの侵害というようなことでございます。  そこで、郵政省といたしまして、昭和五十七年十月二十三日に郵政省告示第七百七十一号ということで「データ通信ネットワーク安全・信頼性基準」というものを告示で出しまして、これだけの安全性、信頼性は守っていただきたい、守ることによって通信というものがお互いに信頼できることになるではないかということで、これは告示でございます。  ただ、告示でございますから、強制力はございませんけれども、その基準を守ってもらうための基準というのを出したわけでございます。そのほかに、安全性、信頼性基準に合致したネットワーク、これを推奨するという意味におきまして、一般の方によく知っていただくということで、登録制度と閲覧制度というのをつくりまして、昭和五十八年二月一日からこの閲覧制度、登録制度を実施しているところでございます。
  279. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 過去のそういう施策の指導については、今見解をいただいたわけですが、少なくともこれは局長自身がおっしゃったように、告示というのですから、非常に緩いものだというふうに言われておりますので、今回は区切りをつけて新たな事態に対処できるという法案を成立させる審議の一番重要な時期なんですね、だからこの機会に、新たな法案をつくるときに当たりまして、やはり情報化社会になれば、そこのところは非常に厳しくそれをコントロールしていくということが私は極めて重要だろうと思うのです。  ですから、言わしていただければ、事業者としてこれから認可をするという際には、守秘義務の問題、プライバシー保護の問題について、こうこうこういうものがはっきりされていなければ認可はいたしませんというぐらいきちっとしたものをつくる、それの基準を政令でもって定めるということがあっても当然だろうと思うのですが、その点についての見解を伺いたいと思います。
  280. 小山森也

    小山政府委員 通信の秘密の実効上の秘密を守るということのための法的な枠組みでございますけれども通信の秘密の漏えいがあった場合の報告義務をまず、第三十五条に規定いたしております。それから二番目に、通信の秘密の確保がおろそかな場合等の業務の改善命令、これを三十六条、三十七条に規定しております。それから第三に、通信の秘密が侵されないように電気通信設備を維持し運用する義務、これを四十一条、四十三条に定めておりまして、プライバシー保護というところには今回、具体的な枠組みをつくったというところでございます。
  281. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今局長おっしゃいましたけれども通信事業者として登録をして、私のところはこのようにこの種の施策についてはやっていますということが絶えず把握できるような状態に、そういう条文を適用すればなるのかどうかということについては、どうでしょう。
  282. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、これらの基準は国の定めた法律上の規定でございまして、これは強制的に守らなければならない条件になっております。
  283. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 この報告義務に違反するようなことがあれば改善命令、改善命令はわかるのですが、これは報告義務なんです。これは事前にそのことが、業者として認定をする段階でそういうふうに整理ができるのですか。後じゃないですか。
  284. 小山森也

    小山政府委員 事前にはございません。漏えいした後の問題でございます。
  285. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そこが一番問題だと私は思うのですね。秘密が漏えいをした、これは大変だというので、事件が発覚したりして、実際それは権利が侵される、プライバシーが侵された後のことになろうかと思うのです。そういうことであってはいかぬわけでして、事前にどのように保護策をとるのか、予防措置を万全にやるのかということがこれは問題だろうと思うのです。権利が侵害されてからどのように後始末をしたって、それはその以降の問題であって、だからこの種の問題は、少なくともその業者が認定をされるその段階できちっと歯どめをしておいて、もしそれに違反をするというような事例があれば、これは直ちに改善命令なり、これはいかぬじゃないかということの指導をやるというのはわかるのですけれども、後でなければわからぬということはこれはいかぬと思うのです。
  286. 小山森也

    小山政府委員 ただ、四十一条におきまして「電気通信設備の維持」ということで「電気通信設備郵政省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。」という条項がありまして、この技術基準の中で、必ず確保しなければいけないものとして規定してあるところに、第二項第三号に「通信の秘密が侵されないように便すること。」ということが規定してあるわけでございます。
  287. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ですから、そういうふうな規定があるということはいいわけでして、それはもっと充実すべきだということを私は主張しているわけですから、それを裏づけるものとしてこの技術基準、そこで定めるならば技術基準の中身の中に入るのでしょうか、いずれにしたって、政令でもって、こういうものは最低限備えなければいかぬ、具備すべき条件というのはこういうものなんだということをきちっと定めて、後顧の憂いのないように認可の際にはそれを含めて決めていく、指導すべきではないかということを主張しておるわけです。その点についてどうでしょう。
  288. 小山森也

    小山政府委員 お説非常にごもっともなことでございまして、これにつきまして私ども今後検討してまいりたいと存じます。ただ、現在のところといたしましては、実は第一種電気通信事業者許可申請したときには、その設備がないわけでございます。だから、その設備が基準に適合しているかどうかということについては、できて運用する前でございますけれども許可申請の時点においてはその設備がないということも事実でございますので、この辺は御理解いただきたいと思います。
  289. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それなら設備をちゃんと据えまして、さあきょうかあすかに商売を始める段階で、それのすり合わせができる、裏もとれる、ちゃんとチェックができる、実証ができる、そういうことを考えてもらわなければ話にならぬと思うのです。紙切れ一枚出して判こを押して認可をした。どういう格好で回っていくかということの実証ができずして、どうしてコントロールできるのでしょうか。それは全然おかしいと思うのです。その点についてどうでしょう。
  290. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては、第十二条の第四項で「第一種電気通信事業者は、その事業の開始前に、第九条第一項の許可に係る電気通信設備」第九条にありますのは「第一種電気通信事業を営もうとする者は、郵政大臣許可を受けなければならない。」こういった許可を受けに来た者の電気通信設備が、先ほど申し上げました「第四十一条第一項の技術基準に適合することについて、郵政大臣の確認を受けなければならない。」ということになっております。
  291. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 実態的に今おっしゃいました十二条四項ですか、これによって、そのことはきちっと把握ができるということですね。
  292. 小山森也

    小山政府委員 それを予定いたしまして置いてある条項でございます。
  293. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 では、伺いますけれども技術基準を定める、こうなっているのですが、技術基準の中に、今言いましたようなプライバシー保護というのですか、通信の秘密が漏えいしてはいかぬ、保護策はこのようにやりなさいということがコミットされていますか、どうでしょう。
  294. 小山森也

    小山政府委員 これになりますと、先ほどの四十一条に戻ってまいるわけでございますけれども、この中におきまして、技術基準は「次の事項確保されるものとして定められなければならない。」として、その中に「通信の秘密が侵されないようにすること。」となっております。これだけでは抽象的であるのではないかという御説だと存じますが、これにつきましては、実施省令、通達というものによって裏づけすべきものだと思っております。
  295. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それは政令できちっとやっていくということはできないのですか、通達でなければだめなんですか。
  296. 小山森也

    小山政府委員 この稲のものは、大体省令で決めておるのが通常でございます。
  297. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それだったら、省令で決めるということになるのですか。
  298. 小山森也

    小山政府委員 さようでございます。
  299. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 省令で決めていく、そういう考え方だと理解していいのですね。
  300. 小山森也

    小山政府委員 実施省令ということにしたいと思っておりますし、いたします。
  301. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 省令で決められるということについては、私たちの考え方でも了解できるし、そのようにぜひお願いしたいと思うのですが、その際に、今電電公社の方でやられてきていますいろいろな施策、そういうものを最低としまして、高度情報化にこれからさらに世の中が変わっていき、いろいろなケースが想定されるのですが、それらのものを含めた万全策というのを省令の中に具体的に盛り込んでもらいたいと思いますが、その点についてどうでしょう。
  302. 小山森也

    小山政府委員 そのような方向で省令を作成したいと思います。
  303. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今日まで政令、省令、この法案に関連するものは一応考え方が示されておりまして、私たちもそれを伺っているわけですが、この問題についても、こういう考え方でこういう中身で省令化していくということについて、ぜひともこの審議の中で私たちが把握できますように提示をしていただきたい、こう思いますが、どうでしょう。
  304. 小山森也

    小山政府委員 これにつきましては、既に当委員会に提出いたしました資料の中に、秘密保護の観点から省令を定める予定であるということで申し上げております。  なお、これでさらにいろいろもっと細部にわたってということでございましたが、現時点においては、まだ法律成立の段階でないものですから、そこまで決めておりませんけれども、非常に言い方が悪いのですが、考え方をお示しするということで御提出してもよろしゅうございます。
  305. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それはしてもよいというのじゃなくて、必ずしてもらわなければ困ると思うのです。そのことを前提にまた議論をさせていただきたいと思いますから、ぜひとも早急に考え方を具体化していただいて提示をいただきたい、こう思います。
  306. 小山森也

    小山政府委員 なるべく早く考え方を提出したいと思います。
  307. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今のは事業者を中心にした考え方だと思うのですが、これからVANサービスというのが普及をしていくと思うわけですけれども、結局事業者を何ぼ縛っても、情報というのはそれを介して端末から端末に、こういう格好に流れますから、情報のフローに対してコントロールというのはきかないと思うのです。今局長が第三者と言われましたけれども、第三者のケースというのは非常に区々だと思うのです。それの縛り方というのは、単に事業者がオープンをしたいから申請をいたします、そういう格好をとる場合はいいですけれども、端末から端末に流れる場合は、そういう介在をするようなケースというのはまず難しいと思うのです。  非常に多様なケースが出てくると思うのです。しかし、そのことが同時にまた、情報の流れの中でプライバシーが侵される、知らない間に自分の個人情報が他人の手によってどんどんネットワークで利用される。利用されるうちはいいが悪用されていく、個人情報がどんどん使われていくということがあわせて非常に問題だと思うのです。そういうものに対する規制も同時に、今回何らかの手を打っておかないと、将来禍根を残すことになると思うのですが、この点についての考え方は、郵政省の方でいいのですか、総務庁なんですか、どちらの管轄なのでしょう、お聞かせいただきたいと思います。
  308. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 ただいま小山局長の方から、電気通信事業法にかかわる通信ネットワークの支配下にある秘密保護についての御説明がるるございましたが、先生がただいまおっしゃいましたのは、取り扱いをする通信にかかる範囲を超えてさらに第三者、周辺領域からのアクセスによってもたらされる秘密の漏えい等を問題にしておられるやに伺いましたけれども、そうなりますと、いわゆる一般のプライバシー保護全般の問題にかかわってまいりますので、関連領域といたしましては、単に電気通信事業法だけでカバーできる分野を飛び越えてしまいます。したがいまして、そのような基本的人権と表現の自由の問題あるいは安全性、信頼性等すべての分野にかかわる問題につきましては、郵政省といたしましても積極的に対応することにいたしておりますけれども、政府全体といたしましては、総務庁が中心になりまして各省庁の連絡協議会を持ちまして現在、いろいろ検討を進めているところでございます。
  309. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 時間が来てしまいましたので、次に譲るということになるのですが、実は、一般的なプライバシー保護の問題の範疇というよりも、情報を扱うという、情報通信を通じての個人プライバシーの漏えいなり侵害問題という点で言えば、主体的な郵政省が、今回こういう法案審議で今積極的な発言、考え方が示されましたと同様に、その分野についても関連をしていますから、これはこの際、コントロールをしていくという考え方が一番妥当なのではないか。これはもちろん総務庁の管轄になれば、いわゆる国民全体の一般的なということになろうかと思いますが、情報を利用するその過程でプライバシーの侵害が起こるという問題、端末操作ですよね、それをどのように規制していくのかという点で考えれば、郵政省が主体的に積極的な立場で取り組まないことには、ほかの関係省庁と協議をされる場面というのはもちろんあるでしょうけれども、主体的にはそういうことじゃないかと私は思うのですね。  例えばこれがクレジットサービスだったら、本人の資産状況ですか、何ぼ借金があるかとか、どれだけ預金を持っているだとかというようなことを含めまして、家庭状況、信用問題、そういうものが全部流れるじゃないですか、知らない間に流れているわけですね。そういうものがなければ、また商売としては成り立たぬようなネットワークサービスだと思うのですね。そういうものをきちっとコントロールができないと、これは大変なことになる、こういう危機感みたいな意識を私、持っておりますので、そういう立場で強調しておるのですが、郵政省としてそういう立場に立っての、この分野に対する情報のフローに対するコントロールの考え方をひとつしっかりしたものをお示しいただきたい、かように思います。
  310. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生が御指摘になりましたように、ホストコンピューターから端末まで、さらにそれを結ぶ通信回線、さらにそれら全体をシステムとして統合するいわゆるネットワーク、そこまでの部分につきましては、郵政省が責任を持って処理をする分野だと考えておりますし、ただいま小山局長が申し上げましたように、今回の事業法案におきましても、遺漏のない措置を担保しているつもりでございます。  ただ、そのような私ども電気通信事業法あるいは通信所管庁としての分野を飛び越えて、さらにその周辺部分、外縁部分、より外に広がっていく分野につきましては、広範多岐にわたる関連領域がございますので、それにつきましては、総務庁が中心になって、郵政菊も積極的に対応していくということになろうかと存じます。
  311. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今答弁いただきましたけれども、そうしますと、先ほど局長の方から答弁をいただいた、そういう考え方をまとめていく、省令でやっていこうということに含めて、私が今情報のフローの問題についても申し上げましたが、それも含めてやっていただける、このように理解をしてよろしゅうございますか。
  312. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 通信行政にかかわる分野につきましては、私ども責任を持って処理いたすつもりでございますし、さらに、通信はそれ以外の領域にかかわる分野が非常に多うございますので、それ以外の分野につきましても、私ども、総務庁と積極的に連絡をとりながら、多岐にわたる問題を精力的に処理してまいりたいと思います。  ただその際、申し上げておかなければならないことが一、二ございますが、プライバシー保護を検討する際には、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、基本的人権と表現の自由の問題、「宴のあと」裁判に象徴されましたようなああいった事例、あるいは行政側における情報公開の問題、これらの関係をどうするかという非常にすそ野の広い問題に逢着いたしますので、これらの点につきましては、諸外国における立法例、スウェーデン、アメリカ等におけるデータ保護法とそれに見合う行政情報公開法といったような関連、あるいはOECDにおける一九八〇年に理事会で勧告されました八原則等、並びに日本国において今まで検討されました諸原則等を踏まえて、包括的な観点から検討する必要があろうというふうに考えております。
  313. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 時間がありませんので、後は明日に譲りたいと思うのですけれども、今の話を聞いていれば、いろいろな角度から検討する、しかも、関係省庁もいろいろあって、打ち合わせをやっていれば随分時間がかかる、非常に難しいという印象を受けるのですけれども、そんなに時間を置いてゆるゆるやっておれる時期じゃないと思うのですね。もう現実にVANというのがどんどん広がっているわけでしょう。  そういう意味では、相当やはりそういうサービスがどんどん広がるから、電電は基幹同級でへっこんだ分はそちらの方でトラフィッカーが喚起されて、もうけは相殺できるじゃないかというのが、これまでやってきている持論なんでしょう。そうだとしたら、この面でのコントロールを早急にやらなければ、これは片手落ちじゃないですか、そういう考え方で私たちは主張しているわけであって、したがって、情報基本法の問題については、同僚議員から先般も質疑がございまして、それを受けて、郵政省としてはこれは早急に、言うならば次期通常国会には制定できるように出していこうなんというような積極的な姿勢があったと思うのですが、それぐらいのスピード、積極性を持ってこの問題に対処をされるというふうに考えていいのかどうか、もっとうんと先の話というふうに見ていいのか、どちらでしょう。
  314. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 少なくとも今回、国会で御審議をいただいております電気通信事業法案にかかわります第一種並びに第二種にかかわる秘密の保持につきましては、新会社、新事業法成立までの間におきまして、遺漏のないように措置をしてまいります。
  315. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そんなことを聞いてないですよ。それ以外の話をしてあなた、もとに戻してはだめですよ。その話は局長の答弁で片がついているのですよ。  情報のフローの問題についてコントロールは早くやってほしいが、それはでき次第というようなテンポでやられるのか、少なくとも早急に情報基本法というものは制定していくという答弁があったのですから、それと絡めて、そういうスピードで具現化していくというふうに考えていいのでしょうかと聞いているわけですから、それに対する答弁をください、これで最後にしますから。
  316. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、電気通信行政にかかわる分野につきましては、私ども、責任を持って処理をいたします。それ以外の非常に広範多岐にわたる諸問題につきましては、プライバシー保護の問題領域が余りにも広範でございますので、私ども関係の向きと精力的に折衝をしながら、プライバシー保護問題に取り組んでまいりたいと思います。
  317. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 時間が来ましたので、引き続き明日、議論させていただきます。どうもありがとうございました。
  318. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 次に、佐藤祐弘君。
  319. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 共産党としましては、初めての質問になりますので、多少重複するところもあるかと思いますが、きょうは電電公社の民営化の問題を中心にお聞きしたい。  これは電気通信事業法とあわせて結局、電気通信事業全体を民営にするということでありますが、なぜ今民営化なのか、そして、それが国民の利益に本当に合致するものなのかどうか、その点を十分に審査して、国民の利益に真に合致するのはどういう事業形態かを明らかにすることが、当委員会の責務だというふうに考えます。大臣も、三法の趣旨説明、また答弁などで、電気通信事業の発展は結局、豊かな国民生活を実現するものでなければならないということを強調しておられます。  そこでまず、民営化によって国民にどういう豊かなサービスが提供されるのか、国民がどう得をするというふうに言われるのか、その点をお聞きしたい。
  320. 小山森也

    小山政府委員 私たちの使っております電気通信は、今まで長い歴史があるわけでございますけれども、今までの電気通信の媒体というのは、ほとんどは電話であり、また、もう一時代前は電信であったわけでございます。ところが、特に昭和五十年度中葉以降、電気通信の役務の媒体と申しますか、これが非常に多数になってまいりまして、電話だけというようなことでは対応できなくなってきたわけでございます。  そのようなメディアの増加ということは、もう一つ利用省側から見るとどういうことかと申しますと、今まで電話だけの媒体というものについての事業者というのは、電電公社一社であることの方がむしろ非常に能率的でありますし、国民にとりましても、電電公社を頼るということによって、その電話の需要というのはすべて満足されているという現象が起きていたわけでございます。ところが、媒体が多様化してまいりますと、電電公社はこれはもう非常に努力しておるわけでござますけれども電話にせよファクシミリにせよいろいろなものが、利用者側から求めるときに、その時点において早急に提供するということは、電電公社自体の経営方針と非常にかかわってくるということになってまいりまして、電電公社全体の運営の中において計画の中に入っているときはよろしいのですけれども、そうでないときには案外時間がかかるというようなことになるわけでございます。  そこで、絶対的にこれがよいということではないわけですけれども、そういうような多数の媒体が電気通信に出現してきたということになりますと、これは一社だけではなしに多数の事業者をここにそろえて、それぞれ利用者が求めるサービスを提供していくという、複数の事業者体制をとることがよいのではないかと判断したわけでございます。そういたしますと、複数の事業者がそこにおいて活動するということは、お互いに競争原理を導入した形で競い合うということになってまいります。  そういたしますと、電電公社が従来一社体制で、そのほかに電気通信事業者がいなかったという体制のままでございますと、そういった競争の世界に入れられた場合におきまして、そういったワン・オブ・セムの事業者として対応できるような自由度がない。今までは国の一機関として独占という特権のもとに仕事をしてきたというのと違うわけでございますので、そこにおいて弾力性ある経営体制をとる、しかも経営の自主性というものを確保していく、また当事者能力をより大きくしていろいろな事態に弾力的に対応していくということにしなければ、競争場裏で電気通信事業を営んでいくことができない。したがって、そういった観点から、公社というものを民営化することが適切であろうと考えたわけでございます。
  321. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 民営化論についての御説明はあったのですが、私は具体的に国民はこれまでより民営化することによってどういう豊かなサービスを受けられるのか、どういう得があるのか。つまり、公社ではできずに民営でなければならないというサービスはあるのかどうか、そういうことをお聞きしているわけです。
  322. 小山森也

    小山政府委員 公社であるとできないけれども民営ならできるという絶対的なものはございません。  しかし、ただ一つ公社という経営体制をとるときは、やはり電気通信の場合におきましては、従来の伝統からいきますと、ただ一つ事業体であり、そのほかの公衆電気通信事業を営むというのは禁止するという体制でございます。そういたしますと、いろいろの媒体がそこにあったとしても、電電公社経営方針の中あるいはいろいろな事業計画の中においてのみその需要は満たされるということになってくるわけでございます。したがいまして、同じ媒体でも、一つ電電公社というところから受けるのも結構でございますけれども、そのほかの事業体からも好みに応じて受けられるということが、非常に異なってくる点だろうと思います。  また、それでは将来どうかということでございますが、現時点で、今のような電気通信技術の発展が著しいときに、サービス内容をこういうものであると固定的に専断することはなかなか容易ではございませんけれども、ただ言えますことは、いわゆる予算制度とかいろいろな公社であるがゆえの制約というものがありませんと、新会社は新しいメディア開発に機敏に対応できて、ユーザーのニーズに対応できるということは言えるのではないかと思います。
  323. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いろいろ言われたわけですが、私はやはり大事な点は、今問題は、公社制度の存続か民営化かということからいいますと、民営でなければできないというものは基本的にはない、そのことは非常に大事だというふうに考えるわけです。ここに電電法案の審議に当たってのかなめの問題があるというふうに思います。  もともと電気通信事業は、神経系統と言われておりますように、非常に重要な公共性の高い事業分野である。そしてさらに、特にここ数年、コンピューターの発達とともに通信情報の技術が急速に進歩して、今後も大いに発展が期待される、こういう点も衆目が一致しております。こうした技術進歩、この上に立って、可能となるさまざまな利用形態、通信システムの一層の社会化が進行する。このことは、その公共的な性格を強めるものではあっても弱めるものでは決してないというふうに我々は考えるわけです。  したがって、私たち共産党は、そういう事柄の性質、また、技術進歩の恩恵をすべての国民が公平に享受できるようにする、それを第一義に置いてきた、公社が従来掲げてきた当然の理念、そういうものからいっても、今後の電気通信事業の正しい発展のためには、公的な管理と民主的な運営が一層求められる、そういうふうに考えるわけであります。つまり、公社制度の維持と運営の民主的改善によって電気通信事業の発展を図るべきであって、民営化には反対するわけであります。  それで、問題点を解明するために、そもそも民営化の要求がどこから出てきたのか、ここを明らかにする必要があると思うのです。私は、いわゆる第二臨時行政調査会、いわゆる臨調答申に端を発するものと承知をして為りますが、その認識で間違いありませんね。
  324. 小山森也

    小山政府委員 臨調答申は確かに一つのきっかけではございます。きっかけではございますけれども、大体、先ほどから申し上げておりますように、電気通信の実態というものはすっかり時代とともに変わってまいりまして、新しい媒体というものに対して複数の事業者の方が、よりよい形でユーザーに対応できるであろう、こういう一つの客観的な環境が出てきたということでございます。したがって、その環境ができてきたときに、それではどのような形に事業者を設定するかという問題がぶち当たってまいります。  そのときに、こういう曲がり角にあるときに、臨調の問題というのも出てきたということでございまして、臨調だけが今回の法案の提出とかあるいは法体系の整備というもののきっかけではないわけでございまして、いろいろそれを取り巻く環境が熟してきていた時期に当たっていたということでございます。
  325. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 臨調答申が幾つかのうちの一つのきっかけという程度のものではない、やはり重要な土台になっているというふうに私は考えておるわけですが、いろいろ多元論その他については後で触れたいと思います。  その前に、公社制度をやめて株式会社にする、公社から株式会社になる、そのこと自体の持つ意味といいますか、出てくる問題についてお尋ねをしたい。  郵政省公社も、きょうの答弁などでも、公社の資産というのは、これは財政的な資産だけでなくて技術的な資産も含むというふうに私は思うわけですが、それは国民のものである、電話加入者が払う設備費や電話料その他によって形成されてきた国民の財産だというふうに繰り返し言っておられます。  そこでお伺いしたいわけですが、今出されている法案が仮に成立したとして、来年の四月以降それは一体だれの財産になるのか。もちろん移行直後は、政府が一〇〇%株を保有するということが一定期間続くわけですが、漸次株が放出されていく、そうなっていきますと、一体これはだれの財産になっていくのか、そのことをお聞きしたい。
  326. 小山森也

    小山政府委員 お尋ねの点は、株式がどのように処分されるかということに集約されようかと存じます。この株式をどうやって処理していくかということにつきましては、今御説のとおり、来年の四月は全額を政府でもって所有することになりますが、その先をどうするかということにつきましては、今現時点において明確に決めていないというところでございます。
  327. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 株式がどういう手順で売り出されていくか、だれが保有することになるか、これはおっしゃったように、これから進んでいくということであります。しかし、非常にはっきりしておりますのは、一般に企業の資産というのは株主のものだ、そして当然利潤は株主に配当される、また事業の進め方に株主の意向が強く反映する、これは当然の常識だろうと思います。  それで、電電公社の場合の株の行方についてはまだこれからだということではありますが、私はKDDの場合を一つの先例として見ていいのではないかというふうに思うわけです。  KDDの場合で見ますと、いただいた資料で「現時点のKDDの株主名上位三十社」というのをいただいたわけですが、これを見ますと、すべて生命保険会社とか損保あるいは銀行、これは圧倒的、三十社のうちのほとんどを占めております。比率で言いましても、株式の所有比率でありますが、銀行が三〇・八一%、生保、損保が三三・四一%というような所有状態になっております。そして、ここに一般所有というのもありますが、これは人数は非常に多いわけですが、持ち株で言いますと二・五%、役員、従業員合わせましても二・六九%というようなことで、こういうことを見ますと、KDDの場合は、もとは国民の資産であったわけですが、それが金融資本を中心に財界、大企業の手に握られていったということをこれは示していると思うわけです。  電電公社の場合にそうならないという保証はあるのかどうか、その点をはっきりとお答えをいただきたい。
  328. 小山森也

    小山政府委員 繰り返し申し上げるようでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、今どのような形にこの株を処理していくかということについては、これからの検討事項でございますので、さよう御理解いただきたいと存じます。
  329. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 すべてこれからということをおっしゃるわけですが、これは何も一切合財わからぬということはないわけですね。当然これまでいろいろなケースで行ってきたような、この委員会の審議でもありましたが、証券会社の幹事社が決まってとかいろいろなことはあるわけで、それをめぐっていろいろな動きがあるというようなことも言われておりますけれども、結局は、資本金は一兆円としまして、すべて放出されていきますと六千六百六十六億円ですか、三分の二ですからそれだけのものが放出されていく。それで、時価は何倍にもなろうと言われておるわけです。そうしますと、何兆円というようなものになってきます。常識的に考えましても、結局巨額の資金を準備できるところに落ちていく以外にはないということは、明らかだろうと思う。  そうして、私は今回の公社の民営化の重要な動機の一つがここにあるというふうに言わざるを得ないわけであります。つまり、かつて明治の初めに、鉱山、造船所などが三井、三菱などの財閥に払い下げられた。また戦後、陸軍工廠、海軍工廠などが民間の大企業の手に引き渡された。それに続いて、国民の財産である公社が、結局は財界、大企業の手にそれをおさめようとする姿を今見るわけであります。大臣の言葉をかりて言いますならば、公社は重病人ところか健康人、それも極めて将来発展性の高い健康優良児と言っていいと私は思うわけであります。  いずれにしても、これまでのような国民の財産でなくなることははっきりしておるわけであります。こういう点について、大臣はどのようにお考えになっておられるのか、お聞きをしたい。
  330. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 公社はあるべき使命を十分果たしてくれました。そして、経営内容においても健全な形で、それを健康体と申したかもしれません。ただ、新しい時代に対応して、それじゃこのままでいいのかということになると、いろいろ問題点があると思います。健康体ではあるけれども、今よりもっとスリム化して、そして新しい時代に対応できるような体質を早くつくってほしいという形が、今日の改革法案を提出したゆえんでもございます。  もちろん、資産形成の過程、公社がこれまで果たしてきた公共的な使命、そういったものを継承するわけでございます。すぐれた技術陣、よき慣行の労使関係、そしてまた持っておる技術、施設、こういった形をさらに新しいサービス等含めて国民に還元していただきたい。メリットをいろいろ言われますけれども、私はやはりスリム化することによって直ちに、国民に還元される形は安い料全体制となって返ってくるであろうと思いますし、また、公社の職員が民営化、新会社となって使命感に燃えてやっていただく過程においては、当然やる気も今より以上に出てきて、国民には新しい形でのサービスを還元してくれるだろうということを期待して、今法律案の御審議を願っておるところでございます。
  331. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今言われた中の料金の問題、また職員の問題は後で触れたいと思いますが、公共的な使命は当然継承されるという御答弁でした。  私は民営化と同時に、また民営化が進んでいく中で、一層問題になっていくのは企業性の問題だろうというふうに思います。そして、企業性と公共性との関係の問題。そこでまず、電気通信事業における公共性とは何か、これは現行の公衆法にうたわれているというふうに思うのですが、改めてその点を確認をしたいと思います。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  332. 小山森也

    小山政府委員 電気通信事業公共性と申しますと、まず第一に、電気通信事業は、国民生活あるいは国民経済に欠かすことのできない電気通信役務を提供する事業であるということで、これは公益事業として最も公共性の高い事業であろうと思います。  それでは、その具体的な内容は何かということでございますけれども、その公共性一つの問題といたしまして、先ほども御審議賜りました通信の秘密に直接かかわる事業であるということ、またいろいろな経済それから国民生活の基盤をなす、いわゆる一言で言えばインフラストラクチャーの役目を果たしているということ、それから防災の問題、それから行政機能の維持の問題と、これは他の公益事業にも見られないほどの通信事業固有の公共性を有している、このように考えておるわけでございます。
  333. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 公共性電気通信事業の私はかなめだというふうに思うわけです。今御説明ありましたのはやや足りないと思うのですが、現行の公衆電気通信法では、第一条の目的条項で「迅速且つ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって、公共福祉を増進することを目的とする。」ということがあったわけであります。これはいろいろな多様な発展があるにしても、やはり電気通信事業の最も重要な原則だというふうに思うわけですが、この「あまねく、且つ、公平に提供する」とか「公共福祉を増進することを目的とする。」とか、こういう大事な原則がなぜ今回の法案からはなくなったのか、消されたのか、その点をお聞きをしたいと思います。
  334. 小山森也

    小山政府委員 電気通信事業法案におきましては、確かに全国というような表現がありません。これはなぜかと申しますと、前の公衆電気通信法というのは、全国一社体制でございます。そういたしますと、その一社体制であるところの事業者が、全国あまねく公平にサービスを提供しないということになりますと、これは電気通信の役務の提供をできないということになります。  今度の場合の電気通信事業法というのは、全国的なサービスを提供するものから部分的なサービスを提供するものまで、さまざまな事業者を含んだ形で今回の法律ができております。そういうわけでございますので、全国的なということを事業法からは抜いておるわけでございますけれども、それでは、後の個別の事業区域においてそれは抜いているのかということになりますが、三十四条をごらんいただけばおわかりいただけますでしょうけれども、この事業法案の三十四条におきまして提供義務を決めております。「第一種電気通信事業者は、正当な理由がなければ、その業務区域における電気通信役務の提供を拒んではならない。」ということでございます。そういうことによりまして、それぞれの業務区域において公平性を保っているということでございます。それと同時に、公平な業務の提供ということは、第七条におきまして利用の公平ということで「電気通信事業者は、電気通信役務の提供について、不当な差別的取扱いをしてはならない。」と総則事項にも決めてあるわけです。  全国的に提供されるのは今後どういうところがあるかと申しますと、これは申すまでもなく新電電株式会社でございます。これは公社の権利義務を継承していくわけでございますけれども、この点におきましても、特に電話の役務に対しましては、第二条に「適切な条件で提供する」ということを表現いたしまして、公平にこれを提供しなければいけないということになっております。  それでは、電話以外はどうかということでございますが、電話以外の役務は、事業法の原則に基づきまして、先ほども申し上げました三十四条に戻りまして、これは業務提供区域が全国になるわけでございます。そこにおいて、全国的な提供の義務というのを定めまして、全国あまねくという言葉はありませんけれども、事実上そういったサービスを提供することを担保しているというのが、法の体系になっているわけでございます。
  335. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いろいろ言われましたが、現在といいますか、これまでやってきた基本理念公共福祉公共性、それを最優先に掲げてきたものが明らかに後退しているというふうに私は指摘せざるを得ぬわけです。そういう言葉自体がやはりなくなっている、電話事業においても公共福祉とか。言いかえがいろいろあります。この言いかえは、相当厳密に言いかえられたに違いないわけでありまして、その点で公共性の後退ですね、その点は私は非常に危惧をしておるわけであります。結局、これが法案から消えたということは、企業性が今後優先し、公共性が犠牲にされるという懸念をいよいよ強く持つということであります。  ここに経団連の情報処理懇談会委員長が書かれた「今後の電気通信政策に対する産業界の要望」というものがございます。それによりますと「今日、通信ニーズ、特に産業の通信ニーズは、高度化・多様化し、従来の公衆電気通信政策との間に乖離が目立ってきており、「全国、あまねく、公平に」を基本理念とする電話中心時代の通信法制や事業体制との間で摩擦を生じている。」というふうに強調をされております。  これは今読み上げましたとおりに、産業界の多様なニーズを充足していく、そういう電気通信を進めるためには、全国あまねく公平にという公共性を基本理念とする従来の法制が邪魔になる。だから、その基本理念を外した新しい法制が望ましいということであろうと思うわけであります。そして、今出されている法案は、まさにそのようになっているというように考えるわけでありますが、その点はどうでしょう。
  336. 小山森也

    小山政府委員 経団連の提言でございましょうか、それは一つの見方の問題でございまして、そういうような要望は持っているということの表現だろうと思います。  私どもが法案作成に当たりまして持っている理念というのは、あくまでも電気通信事業公共性というものを優先し、その運営を適正かつ合理的にするということが、今回のすべての法体系に流れている。それがあってこそ、一つの電気通信というものの役目が果たせるものと理解しているところでございます。  特に、公共性の中における通信の秘密の問題などというのは、これは憲法上の要請でもありますし、秘密を保てない電気通信そのものは、どんなに企業性を持ち、利潤をとうとんだとしても、それは本当の電気通信としては恐らく国民の皆様方から信頼して使われないだろうと思います。そういった意味での基本的な公共性というものを維持しながら、かつ、能率というものをここに導入してくるということが、今回の法体系改正の基本的な理念でございます。
  337. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 公共性については先日来の議論の中でも、民間参入による競争によって公共性は阻却しないとか、公共性効率性は相反する概念ではないという答弁もありました。また、臨調の答申ではむしろ逆に、企業性、効率性の発揮によってこそ公共性確保されるというふうになっております。  今民間の参入する事業でも、秘密が保持されなければ信頼されないだろうというふうにおっしゃいました。このプライバシー、秘密保護の問題は、直前の委員の質問でも、問題点が非常に多いということがむしろ明らかになったというふうに私は認識をしておりまして、簡単な問題ではないというふうに思います。これはまた改めて私もお聞きをしたいと思っているわけですが、この企業性と効率性、また公共性の問題は、ぜひともはっきりさせていく必要があるというふうに思っているわけです。企業性と効率性というのは違うんだという点を私はまず指摘をしたいわけです。  企業性というのは、言うまでもなく採算重視、利潤の追求が第一であります。そして、これまで公社が進めてきたような非採算地域、非採算部門にもサービスを提供していく、これは公共性一つでありますが、企業性の立場に立つならば、こういう非採算地域、部門での企業性というのはあり得ない、これは明らかであって、明白に対立をするわけであります。  では、効率性の方はどうかといいますと、私は二つあるというふうに考えております。効率性の場合も、企業性に立つ効率性の場合はやはり公共性と衝突する。しかし一般に、公共性効率性は常に矛盾するものではありませんし、むしろ一致させる方向での発展こそが望ましいというふうに我々は考えるわけであります。それはあくまで公共性を土台にした立て方、公共性を土台にしてその上に効率化を追求していく場合であるというふうに考える。  従来は、そういうこととして事業が推進をされてきた。電気通信事業のより国民に利益をもたらす豊かな発展、そのためには公社制度の重要性、それを維持することが重要だということを私たちが強調しているのは、まさにそういう考え方からであります。  そういう点で、今郵政省公社が進められようとしておる高度情報社会を展望しての基盤づくり、それに関連してお尋ねをしたいわけであります。  これは電電公社が出しておられる「INS 高度情報通信システム」という冊子ですね、相当詳細なものであります。例えばこの中でこういうふうに言われております。今後の発展の見通しです。「大まかに見通せばINSの普及すなわち情報処理産業の活躍の場は産業・企業分野、社会機能分野、家庭生活分野というステップで進んでいこう。」こういうふうに書かれておるわけでありますが、実際に進んでいく形はやはりこういうものでしょうか。
  338. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  今のINSといいますものは、社会が発展していきます場合に、現在電気通信、情報に対するサービスが大変高度化、多様化することを世の中は求めております。これに対応いたしまして、いろいろな豊富な電気通信サービスを地域にかかわりなくより安くより便利に提供いたしますための基盤的な設備と申しますか、インフラストラクチャー、これを我々高度情報通信システム、INSと呼んでおりますだけでございまして、これは社会のニーズに応じまして、いろいろな場面で多様に使われてまいると思います。  今先生指摘のように、もちろん情報処理産業の分野、あるいは生産の面の分野、流通の面、あるいは教育、医療といった社会サービスの面、行政の面、もちろん家庭サービス、あるいは障害を持っておられる方々が便利に使えるようなサービスと、非常に多面的に利用される基礎設備でございます。そして、最初はまず産業だけで家庭生活は後回し、あるいは医療、教育といったものが後回しというようなことはございませんで、社会のニーズによってこれはいろいろな面に多様に使われてまいるというふうに考えております。
  339. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ちょっと今の説明で納得しがたいのですが、実際に進んでいくのはこういう順序でもないんだという説明でしたが、これは明らかにステップで進んでいこうというふうに書かれているわけです。現にまず、産業界からのニーズが今たくさん出ているというのは、共通の認識じゃないかと思っているわけです。それはいろいろなもので言われておりますし、この委員会の議論でも、一番最初のときだったと思いますが、現に多様な要望が出ているのは、LANとかいうものが出ているという御答弁もありました。実際に基盤づくりの設備投資の計画でも、ISDN、総合システム、それの建設とか広帯域の問題などはすぐ取りかかる課題として提起をされておりますが、INSということで、一般庶民が大変便利になるということでいろいろなことが、家庭で何ができるとかどうとか宣伝されておりますね、そういうものを本当に十分にやるには、加入者さんへの光ファイバーの導入とか回線、そういうものまでいかないと本当にはならないだろう、それは将来の課題というふうにはっきりと書かれております。現に真っ先に進行するのは、産業、企業分野であると私は思うわけですが、再度お答え願いたいと思います。
  340. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、INSといいますのは、世の中のいろいろな情報通信に対するニーズに対応いたしますための基盤設備、インフラストラクチャーでございます。これをお使いになりますのは、世の中のニーズによっていろいろな形で発展をしてまいるということでございまして、確かに先生おっしゃいますように、現在世の中では、企業のより効率的な運営といったような面から、情報通信に対するニーズが大変多うございます。しかし一方、既に現在でも、救急医療システムでありますとか、そのほか各種の公共的な国民の医療、あるいは教育その他日常生活に非常に関連をいたしました行政サービス等についても、非常に多面的に使われております。そういった形で、私は必ずしも第一段階、第二段階というふうに個々に進んでいくわけではないというふうに申し上げた次第でございます。あくまで国民のニーズによって、その使われ方というものは進展していくであろうというふうに存じております。
  341. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 救急医療体制とか若干のそういうものはあることは、私も承知しております。しかし、これから建設を進めようとしておる高度情報化社会、その基盤づくり、そういうものでは、今の御説明はさきの御説明とは若干変わりました。現にニーズが強く出ているのは産業界だという御説明であったわけですが、それが非常に強い。まず利用するのも着手されるのも、その方面だというふうに思うわけです。  私が思うだけでなくて、さっき読み上げましたように、はっきりとそういうステップで進んでいくんだというふうに書いてあるわけですし、例えばこれはまた別のあれですが、真藤総裁が一昨年でしたか、電気通信協会の特別セミナーで話された中でも「大企業用の企業内のテレコミュニケーションあるいは企業間のテレコミュニケーションというものが一番先にくるだろうということはわかっておりますが、しかしそうであっても、どういう業種の企業がどういう性能を持ったものを要求なさるかということが、まだ何もつかまえられていないわけです。」そこで「そういう意味で、いま大規模の専用線ベースの企業のご要望を聞いてまわる部隊をつくりまして、さらにそれを強化しながら、皆さんのご要望に対応しようと思っております。」というふうにおっしゃってもおるわけですね。全体をこう客観的に眺めておりまして、それは非常にはっきりしているというふうに私は思うわけです。  そこでもう一つ、さっきので申し上げておきますと、これはことし一月の電気通信審議会の答申ですね。「二十一世紀に至る電気通信の長期構想」、ここでさっき言いました電気通信システムの「高度化の目標」としまして、既存のメタリックケーブルを活用してISDN、ディジタル総合通信サービス綱、これを全国的にあまねく構築する。次に、産業用を中心として広帯域綱を構築する。最後に、長期的視野に立って、加入者線系までの光ファイバーの導入を促進する、こうなっておるわけであります。  そこでお尋ねをしたいわけですが、こういう基盤づくりには相当な資金が必要だろうと思うわけであります。そして、それは当然公社の資産の中から投入されていく、収入の中から投入されていくということになろうかと思います。現在公社の主な収入源は何か、また額をお尋ねをしたい。
  342. 岩下健

    岩下説明員 現在私ども事業収入は、事業といいますか、あるいは業務の内容によりまして四つに大きく分けておりますが、電話収入、電信収入、それから専用収入、雑収入、これは例えば電話帳の広告収入等でございますが、四つに分けております。この四つの収入のウエートを見ますと、一番大きいのは電話収入でございまして、例えば五十七年度でございますが、事業収入が総額四兆二千九百億円でありますが、このうち電話収入は、その八八・七%を占めます三兆八千七十億円ということになっております。
  343. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この電話の場合には、企業で使っておられる電話ども当然含まれておるわけですが、総理府の調査などの数字からいろいろ積算をいたしますと、やはりこの電話収入の半分以上は、一般庶民の電話代ということになると思います。数字もありますが、煩わしいので省略をします。そういう庶民の電話料を使ってそういうものが建設をされていく。ですから、私は本来は、そういう庶民といいますか、一般加入者のお金で建設されていくわけでありますから、加入者優先のものでなければならぬというふうに思うわけですが、さっきからの質問で言っておりますように、どうも企業優先、産業、企業分野優先で進んでいくというふうにしか見れないわけです。実際問題、家庭生活にまでINSの恩恵が回ってくるというのは、これは相当先のことではないか。さっき言いました光ファイバーの問題もありますし、また端末を各家庭で購入をしなければならぬとか、それを利用する際の料金の問題などもあります。  それじゃ、一体家庭生活が言われているような、いろいろなバラ色の宣伝が行われておるわけですが、こういうものを受けられるようになるのはいつごろのことと見ておられるのか、そのことをまずお聞きをしたい。
  344. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  ただいま我々は、現在ございます主として電話用につくられておりますネットワーク、これをデジタル化をし、新しいかつ経済的な設備に取りかえていくことによりまして、この基盤設備でありますINSを形成いたしつつあるわけでございます。  これのテンポで申しますと、六十年度には東京、大阪、名古屋といった地域にこれが利用可能になってまいるわけでございますが、なるべく早くこれが全国、地域によらず利用できますように、急速にこの拡張をいたす計画でございまして、六十二年度末までには、全国の県庁所在地紙の都市までがこのディジタルネットワーク、INS網が覆うことになります。それで御要望があれば、その県内との地域からでも、その県庁所在地級の都市にディジタル回線をつくりますことによって、全国的にこのサービスというものが拡張可能になるという計画を持っておるわけでございます。
  345. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 県都までの普及はわかりましたが、私がお聞きしたいのは、一般加入者、一般家庭が利用できるようになるのはいつごろの見通しか。それからまたあわせて、今改めてお聞きをしたいのは、その場合にどういう負担加入者には必要となってくるのかということをお聞きをしたい。
  346. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  INSは、いろいろな種類の情報を一つのネットワークで扱い得るというインフラストラクチャーでございまして、これが先ほど申し上げたような地域に広がってまいりますと、その地域の中では、御家庭であっても企業であっても、ニーズがあればこれが御利用いただけるということでございまして、その間に特段の差というものはございません。  それから、経費の点についてお尋ねでございますが、このINSは、ディジタル技術、あるいは今非常に進歩の速いそのほかのエレクトロニクスの技術、光ファイバーその他の技術を使いまして、現在よりもより安くサービスが提供できるということを我々は一つの大きなこのINS形成のねらいとしておりますので、現在よりも同じような機能あるいはサービスというものがより安く提供できますように努力をしてまいる所存でございます。
  347. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 肝心な点がはっきりしないのですが、一つは、あれだけ公社も大宣伝をしておるわけですね。いながらにしてホームショッピングができるとかバンキングができるとか、在宅勤務ができるとか、動画の受信ができるとか、非常にそういうバラ色の宣伝が行われておるわけです。間もなくそういうものが実現するだろうというふうに期待感を持っている人もいると思うのです。しかし、これは私は相当時間がかかるんじゃないかというふうに見ておるわけなんですが、その見通しをお聞きしておるわけです。実際にそういうことが可能になるのはいつごろのことなのか。  聞くところによりますと、今日本の電話回線、一般回線は、地球を五千周する長さだというふうにも聞いております。それだけのものをどう変えていくのか。これはかなり資金もかかるし、長期を要するのではないかと思うわけですが、そういう見通しと、実際にサービスを受けようとする場合にはどういう負担が必要なのか。より安くとかなんとか抽象的なことじゃないのです。どういう端末機を買わなければならぬか。具体的なんですから、今の電話機があっただけで受けられるというのじゃないのです。その点をきちっと答えていただきたい。
  348. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  今お尋ねのINSを利用いたしまして、いろいろな種類のサービスが可能になってまいります。そういったことから、我々はいろいろな種類のサービスを実際にまずモデル地域で試行いたしてみまして、国民の皆様方に使っていただいて、どういうものが一番使いいいのか、どういうものがよりニーズが多くあり国民の要望にこたえ得るのか、あるいはこの新しいINSという道具を利用者の方がどのようにうまい利用法をお考えいただくか、そういったことをすべて含めまして、今年の九月から三鷹、武蔵野地域でINSのモデルシステムの実験をいたしてまいります。こういったもの中から、我々はより有効なサービスの形態というものをこれから見つけ出してまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、先ほどお話し申し上げましたように、東京、大阪、名古屋といった地域では、六十年度からこういったサービスを開始いたしたいと思っておりますので、そのモデル試験の結果をも踏まえまして、先生お尋ねのより具体的な値段その他につきましては、現在のモデルシステムの実験を通してこれから早急に検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  349. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 依然はっきりはいたしませんね。三鷹でやっていることとか、それはお答えいただかなくても天下周知のことでございます。今おっしゃったことでむしろはっきりしてきたのは、逆にどういうものがふさわしいかとか、そういうのはまだ研究中であるということが出たんだろうと思います。一方、産業用には、VANも既に先行して進んでおるわけでありますし、待ち構えているという状態がいろいろある、これもはっきりしていると思うのですね。  私がここで言いたいのは、最初質問で言いましたように、国民の財産であった公社が民営化によって国民の手から離れていく、結局は財界、大企業が株保有などを通じてその資産を押さえ、また事業運営に大きな影響を発揮していく、そういうことになってしまうという問題が一つと、それに加えて、当面の問題で言いますと、利用者が月々支払う電話料、そういうものが、はっきりしているのは、主に大企業、産業分野で優先的に使われるそういう基盤整備に投入されていくというのが、実際の今後の姿だろうと思うわけなんです。  私はこれはどうも違うのではないか。電気通信事業を大いに発展させる、それは大臣も言われているように、結局国民の暮らしが豊かになるということでなければならぬということからいいまして、また公共性という問題からいっても、そういう方向ではなくて、こういう問題を本当に正しく発展させていくには、民営化ではなく公的な管理で、十分に国会でも審議して進めていくことがどうしても大事だと思うわけです。  国会のいろいろな関与があるためになかなか自由に事業ができないということも言われておるわけですが、それでは、実際にこれまで国会の関与があるために自由にできなかったという事例は具体的にあるんでしょうか、そのことをお聞きしたいと思います。
  350. 児島仁

    ○児島説明員 国会の関与があるからこれができなかったというふうなお答えは、ちょっとできにくいのでございますが、例えばこういうことがございます。  新しい事業を始めていきたい、新しいサービスを始めていきたいというときに、この前もお答えしましたが、現在は公衆電気通信法でサービスの程度、範囲というものは既に決まっておる。新しいものをやろうとするときには、この法の改正が必要である。それから、その事業を行う場合に、私ども本体でやるのが適当であるか、あるいは会社を別に設立して効率的にやらせるのが適当であるか、これは必ず判断をするわけでございますが、新しい会社をつくるときには、それは一体公社との関連業務としてそういう会社の設立が適当であるかどうか、その判断がまずありまして、その会社をつくるときの出資でありますが、これは予算をもって定められるというふうなことがございます。  したがって、私ども政府筋等にしっかりした説明をすれば、こういったことはお許しいただけるはずでございますけれども、いろいろ時間がかかるということもございます。何事を行うのも、やはりTPOというものが非常に大事だと思っておりますが、そういった面で一部欠けるところがあるというケースはあると思っております。
  351. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これは今御答弁の中にあったように、準備をよくしてきちっと説明をすれば、別に妨げにはならなかったことであるということに、今挙げられた事例でもなろうかと思うのです。今挙げられたくらいのことしかないのでしょうか。国会の関与が相当問題になっていて、国会の関与を外すということが今度の場合、一つ大きなポイントなわけですが、今の事例だけですか。
  352. 児島仁

    ○児島説明員 基本的には、私ども事業をやっていきます場合に、これを経営形態論あるいは業務運営論でとらまえるのか、あるいは管理の概念でとらまえるのかというお話をけさ方も一部いたしましたけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、今まで私ども、仕事をやりやすくするためにはこういったことが必要だというふうな提言を、私ども自身やってまいりましたし、各種委員会でもそういうことはなされてまいりました。しかし、それが日の目を見なかったというのは、企業形態論で論ずべきことが、統制の概念という料理法で料理されたところに、非常に問題があったのではないかと私は考えております。したがいまして、この事業を行いやすくするためには、そういった統制の概念での企業認識ということではなくて、やはり企業体は企業体として見るというふうな把握の仕方が、非常に必要ではないかというふうに感じておるわけであります。  具体的な例ということでございますが、政府関係機関として運営していきます場合に、最大の問題はやはり予算ということでございます。予算といいますのは、マクロの予算がございますと同時に、その中に非常に細かい区分けがありまして、その流用というものがなかなか難しゅうございます。事業というものはその流れの中で当然に、予算の流用、あるいはこれは一切ことしは使わない、あるいはことしはそのタームの二倍使いたいということがあるわけでございますけれども、そういった行政官庁が一遍予算を成立させた場合に、常に消費的にしか使っていかないような予算の制度、会計の制度というものが企業会計にも持ち込まれておる、そういった点は私は事業運営上非常に問題ではないかと思います。  言うならば、企業全体としては倒産状態でありますからいろいろなもので支出が不可能でありながら、実は個々の予算は国会で認められているという理由をもって、個々の予算が、厳正ではありますけれども、そのまま執行されるという矛盾も現実にはあるわけでありまして。私ども最大の問題は、予算による統制ということではないかと考えております。
  353. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 国会の関与の問題で、この三法案が発表されて以来、国民の間で一つ大きな不安が起きていると私は思うわけです。それは料金の問題であります。これまで国会の議決を必要とした料金法定制、これが廃止されて大臣認可制になる。今後は大臣の判こ一つで値上げができるようになる。国鉄運賃がやはり数年前に法定制が外れまして、それ以降ほとんど毎年のように値上げが繰り返されてきておる。国民はそういう苦いといいますか、腹立たしい経験を持っているわけです。  もちろん電気通信の場合にはそういうことはなかろうと思うわけですが、国会の関与があるためにこの問題でこれまでやりにくかったんだというふうなことを言われているようにも聞いているのですが、どうなんでしょうか、まずその点をお聞きしたい。
  354. 草加英資

    草加説明員 私ども料金を決定いたしていく際には、当然経営責任といたしまして、できるだけ収入については利用を喚起し、支出については効率的な経営を行うという形で努力していくのが、経営者の責任でございます。現在のような高度化された社会におきまして、非常にニーズが高度化し、そしてお客様の要望も非常に激しい、こういうような時代におきましては、適時適切に市場に合わせた料金体系というものをとる必要があるわけでございますが、そういう意味におきまして、現在まではともかく、今後仮にこの法律が成立いたしました場合、経営責任といたしまして、料金を決定いたしていく際にはできるだけスピーディーに、そして顧客のニーズに合うような形で、料金を決めさせていただきたいというふうに考えているわけでございます。  その場合、現在の公社料金体系というものが、世界的に見て遠距離がまだ高いという実情がございますので、今後財務の状況を厳しくしながら、財務に余裕ができた場合には遠距離料金を下げていく、こういうような形で進めていきたい、このように考えている次第でございます。
  355. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 料金問題で真藤総裁にお伺いをしたいわけですが、市内料金の値上げは当面しないということをこの委員会でおっしゃいました。この当面というのはいつまでのことか、非常に関心が強いのでお聞きをしたい。
  356. 真藤恒

    ○真藤説明員 さっきも御説明いたしましたように、私どもがその問題で根拠のある数字で世の中にいろいろ御相談し、また政府筋にも御相談できるようになるのには、あと二年かかります。問題は、その以後でございますが、もう一つ考えなければなりませんのは、新規参入が入ると申しましても、具体的に新規参入が営業を始めるまでに、少なくとも二年から三年、もっとかかるかもしれません。新規参入の営業開始の時期、その姿というものも考えなければなりませんけれども、それまでの間に、私どもはできる限り、長距離料金を財務の許す限り下げておいて、新規参入に対する競争力をつけておくということが一番大事でございまして、そういたしませんと、さっきからいろいろ御質問がございましたように、いいとこ取りのクリームスキミングということが行われて、料金を下げずに妙な不当な競争をやらざるを得ないというふうな形になりますので、私ども今長距離料金をまず下げていく。  市内料金は、幸いにして世界で一番安うございますので、これを今上げさえしなければ、先生のおっしゃる公共の精神に反するということにはならないと思いますが、上げるといたしましてもいろんな考え方がございます。三年くらいの先に考えることでございますので、今ここでとやかく申し上げるのは、かえって邪魔になろうかと思いますので、その内容については今差し控えたいと思います。
  357. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 真藤総裁、四月十九日の委員会だったと思いますが、市内料金というのは非常に大きな赤字になっているということを言われまして、三千億円近い赤字補てんの姿になっておりますと言われたわけですが、この三千億円近い赤字といいますか、この数字は根拠がはっきりしておる数字なんでしょうか。
  358. 真藤恒

    ○真藤説明員 あのときに私の説明の仕方が悪かったので、数字だけがひとり歩きいたしておりますが、さっき申しましたように、こういう問題を論議するのに科学的根拠を我々、今持っておりません。ですから、大ざっぱに勘定してみると、今の公社の原価の分け方でいくと、そのくらいのことじゃなかろうかという想像はできると申し上げたのでございまして、今度会社法になりますと、税法等商法の姿で原価計算を処理いたしますので、現在の公社法とサービスごとの原価の数字はかなり変わってまいります。そこのところは御了解いただきたいと思います。
  359. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 料金の問題は大変関心も強いので、また重ねてお聞きをしたいわけですが、科学的にはっきりした根拠もないのにといいますか、大きな数字を挙げられて赤字を強調された、そういうやり方に私は非常に疑問を感じるわけです。  それはおきまして、今言われました二年後ですか、ATTからトラフィック調査する機械を購入してという御説明だったと思います。それによって根拠のある数字がつかめていく、その段階で考えていくというようなことのようでありますが、これはその段階で料金体系を変える、料金体系を検討するということなのでしょうか。
  360. 真藤恒

    ○真藤説明員 さっきから私の方の説明でいろいろ申しましたように、私もこの席上で申しておりますが、INSと申しましても、それを一般の生活のために使って、可処分所得の中で有効に使えるというプライスレベル、料金レベルにならぬことには、世の中に役立つものじゃないんだという考え方を強く持っておりまして、技術的にできることと世の中に役に立つこととは別問題だというふうに私は考えております。  ただ、そういうふうな状態に持っていきますプロセスの中で、経済効果が非常に大きい企業用のINSの使い方というふうなことは、先に実効が出てくるだろうと思います。料金は高くてもそれ以上の経済効果があるから、企業としてはそれを利用するのが有利だ。また、そういうものに我々が対応できないということは、公共の責任を果たしておるということが申し上げられないわけでございます。しかも、そういうことによって増収を図っていくことによって初めて、全体のプライスレベルというものが下げられるわけでございますから、世の中に役立つ、個人の生活に役立つ、個人の生活に密着するINSをつくるためには、そのプロセスとして、そういうことを現在の社会のメカニズムの中ではどうしてもたどらざるを得ないように思っております。
  361. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 公社は当面黒字が続くだろうという見通しを小山局長が以前話しておられるのを聞いたことがあるわけでありますが、この料金問題、もう少しお聞きしたいのです。  あと二年間、六十一年末までというような言い方をよくされていますが、そういう時期までは値上げをしない、市内料金ですね。しかし、その段階で結局はっきりしてくるのは、根拠のある数字と言っておられるのは、コストがはっきりするということであろうと思うのですね。今の総裁の答弁は、ほかの料金も含めて話されたようでありますが、電話に関してですが、その段階でこのコスト計算をもとに、現在の三分十円という市内料金ですね、これがそれ以降値上げされる可能性はあるということなのかどうかをお答えをいただきたいと思います。
  362. 真藤恒

    ○真藤説明員 今は全く白紙でございます。
  363. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 料金に関連して、専用線の料金の問題をお聞きしたいと思います。  現在、企業が主に使っております専用線ですね、この料金はたしか、一日百分を基準に算定されておるというふうに聞いておるわけですが、こういう料金算定が妥当なものであるというふうに今もお考えなのかどうか。
  364. 草加英資

    草加説明員 先生のおっしゃるように、現在主に使っておりますD2規格と申します帯域回線でございますが、一般公衆回線の大体百分相当の料金額で設定いたしております。これは過去から、効用とか原価、それから類似代替サービスとの均衡、沿革的経緯等を勘案いたしまして、百分という料金でできておるものでございまして、現時点におきましては私ども妥当である、このように考えております。
  365. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実際には、一日平均して何分ぐらい使われておるのでしょうか。
  366. 草加英資

    草加説明員 実際にユーザーの方がどの程度お使いになっているかということにつきましては、この測定につきまして、具体的に測定する装置というのがございませんので、現在のところわかっておりません。ただ、現在これにつきまして、測定装置を開発いたしまして、近くこれは完成いたしますので、その後これを測定しながら、今後の料金体系のあり方に反映さしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  367. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 装置で測定することは今のところ、公社の方ではできないということですが、電気通信ユーザー協議会というのがあるわけですね、ここが調べたものが出ているわけです。ユーザー白書というのが昭和五十七年に出ておりまして、それによりますと、専用線の平均使用効率は、一日八時間使用を一〇〇%として六六・六%、つまり一日に約三百二十分使用しているという数字が出ております。このことは御存じありませんか。
  368. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  ユーザーの皆さんがどのようにこれを使うかという形で、電気通信ユーザー協議会がそのような資料を調査に基づきまして出しているのは、私どもも承知しております。
  369. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この使用は企業によって相当違いがあるようであります。平均は三百二十分ということでありますが、二十四時間使っているというふうなことも出ているのですね。これは北原副総裁がしゃべっておられることなんですが、人間同士が対話する電話とは違うから、四六時中利用が可能なのだ。とにかくこれも昭和五十七年、電気通信ユーザー協議会の特別セミナーで話しておられるわけですが、「人間同士の通信ではありませんから二十四時間使用する。保守のために回線をテストしなければいけない時間帯にテストしようと思っても、フルに使っている。「テストさせてください」と言っても、「いや、これはプログラムが決まっていて、機械がどんどん動いているから、止めようがございません」と、こういうわけです。」つまり、保守のためのテストをする時間もないほどにフルに使われている、二十四時間ですね、そういう例さえあるという、これが全体ではありませんでしょうけれども。  そういうことを考えますと、私はこれは設定と実態が余りにも違い過ぎるというふうに思うのですね。一般の電話に比べまして非常に安くなっている。これでも本当に妥当と言えるのかどうか、その点を再度お尋ねをしておきたい。
  370. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先ほどの電気通信ユーザー協議会で調べた調査は、全数調査ということではございませんで、ある特定の方の調査ということでございます。また、専用線は元来、それをそのまま向山にお使いできるわけでございますから、具外的に確かめたわけではございませんが、今のような二十四時間お使いいただいている方もあるでございましょうし、また実際にはほとんど使わない、いざというときに使うという短時間の利用もあるはずでございます。そのようなことを勘案いたしまして、先ほど申し上げましたように、現在試作機が大体でき上がってまいりましたので、今後この利用の実態というものを十分に調査いたしまして、その結果と、さらにコスト、効用、過去の沿革等を加味しながら、今後専用料金のあり方につきまして検討させていただきたい、このように思っている次第でございます。
  371. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 とにかく不当に安い、私はそういう感想を持つわけです。今後のいろんなサービス、そういう中でも、企業にうんと安くということではなくて、やはり国民に安く、一般利用者にこそ安くという考え方を貫いていただきたいということを申し上げたいと思います。  それで次に、午前の討議に関連してお聞きをしたいのですが、いわゆる当事者能力論ですね、きょうの討議でやりとりがありました。その中の一つ重要な要素として、労働者の賃金について、従来の横並びではなくて独自に決められるというようになるのだという問題、そして、実際には職場では、そうなれば賃上げがやりやすくなるという側面が主に言われているわけです。  けさからの論議では、真藤総裁の答弁で、これはあくまで財務の数字で判断するんだ、赤字でも賃上げできるというものではないというふうに言われておりました。また理事の答弁では、現状の絶対額として平均賃金が全電通は二十万六千円で、電気機器関係は十九万一千円だという答弁がありました。こういうものを総合して考えますと、賃金決定に当たって、企業性、採算性ですか、それを土台に置くといいますか、それを貫いていくという考え方を強調されたように受け取ったわけですが、その点、どうなんでしょうか。
  372. 児島仁

    ○児島説明員 この問題には、二つあるというふうに考えております。一つは、従業員に支払うべき給与の総額というものは、やはり財務基盤の中からおのずから割り出されるということ、もう一つは、社会的に妥当性があるということ、もう一つは、働きに応じたものであるということだと思います。  最後の働きに応じたものであるべきだということに関しましては、現在我が社の中にいろいろな職種がございますけれども、やはり上げた能率に準拠していかなければいかぬ。けさ方の御質問にもそのような御指摘がありましたが、例えば泊まり勤の次の日には勤務をするということがございますが、電電公社の場合はそれをやっていないということであります。これらはやはり労働条件と労働の態様というものが相互に関連をしておるわけでございまして、密度の高い非常に高度な仕事をしている場合には、高い賃金を支払わなければいけないと思います。  ちょっとごたごたいたしましたが、繰り返して申しますと、支払うべき賃金総額というものは、やはり企業の財務の中から考えていかなければいかぬ、それが少ないということであるならば、企業努力でそのパイを大きくしていくということが基本だろうと思っております。  もう一つは、それの配分の問題でございまして、先ほど申しましたように、その職種別の職員の働き度というものを十分判定した上で決めていく。特に私どもの場合、今後高級な技術者というものが非常にたくさん必要となってまいります。現在再訓練をしてディジタルネットワークの構築のためにたくさん投入しておりますけれども、そういった諸君には、それに応じた給与というものを新たに打ち立てていかなければいかぬ、そういうふうに考えております。
  373. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の答弁の中で確かめたいのですが、働き度というのは、今民間などでよくやられております能率給的なものを入れていく、そういう意味ですか。
  374. 児島仁

    ○児島説明員 現在勉強中でございまして、具外的に能率給的なものというところまで至っておりませんが、こういうことを考えておるということを申し述べたいのでございます。  三十二年前に電電公社ができたわけでありますが、その当時、高能率高賃金ということがうたわれておりました。それで、全職員頑張ろうということで、給与体系も一部変えたことがございます。ところが、それが世間のおしかりを受けまして、やはり国家公務員もしくは国家公務員に準ずるものの賃金というものは、横並びでなければいかぬというふうな御指導がございました。その場合、職員サイドから起こってきた声といたしまして、賃金が変わらないのであるならば、労働密度と申しますか、労働時間というものは今と同じにしてもらいたい。新しい仕事がふえたのであるならば、それは人を増して対処をすべきである。人を増せないのであれば、賃金を上げるべきである。しかし、賃金が上げられないというのだから人を増せということで、いわゆる要員獲得闘争という大変な事件がありました。私はそういったぶざまなことはしたくないというふうな意味で申し上げたわけでございます。
  375. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 総裁のお答えでは、財務状況によっては、賃上げじゃなくて逆もあり得るのだというふうにも聞こえますし、今の答弁は結局、とにかく採算性、財務が大事なんだということですね。利潤を上げるためにこれまでと違って、民間企業同様といいますか、徹底した合理化、これは私の言葉で言いますと、過酷な合理化ということになるのですが、どうもそういうことが描かれている。さらに、賃金の格差も導入されようとしている点で、私は非常に強い疑問を感じるわけです。そして現に、例えば販売の方では、これは電電が発行している雑誌に出ているのですが、「こう戦う!今年の販売」ということで、今電話機の販売が物すごくやられているというようなことでも、利潤第一主義になりつつあるという感じがするわけですが、こういう点については大臣はどうお考えになっておりますか。
  376. 真藤恒

    ○真藤説明員 場合によっては給料の値下げもやるということを申しておりません。
  377. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういうことまで私は言ったのじゃないのです。私は当然、賃下げを望んでおりません。財務を基礎とし、そういう企業性最優先ということから、結局は過酷な合理化の方へ行くのではないかという意味であります。  最後に、通産省の方に来ていただいておりまして、これはきょうだけの質問では時間がありませんので、引き続き質問いたしますが、この高度情報化に絡んで中小企業白書では「中小企業は大企業よりも資金力等で劣るため、ネットワーク化を中心とする情報化も立ち遅れているのが現状であり、今後その対応のいかんによっては情報力格差が一層拡大し、大企業との新たな経営格差が生じる可能性がある。」というふうに心配をされております。  また、公正取引委員会のことしの五月の資料でも「システム構築は、企業の持つ資金力、人的資源、物的設備等総合的な力によって大きく左右される。したがって、力のある企業は、比較的容易にシステム化を進めることができ、一層その力を強めることとなり、企業間格差が更に拡大するおそれがある。」同様の懸念を表明されておるわけです。  中小企業は、非常に数も多いし、日本経済の上で私は大事な役割を果たしているというふうに思うわけですが、こういう事態が進むと大問題であります。そういう点でどういう対策を立てておられるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  378. 小野栄一

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  近年におきますコンピューター技術通信技術の飛躍的な進歩及び両者の結合によりまして、今後我が国のいわゆるVANを含むコンピューターのオンライン化による情報ネットワーク化が急速に進展するものと見込まれます。中小企業庁の調査によりますと、中小企業において、コンピューター導入企業は全体の一八%でございますが、これのオンライン化率は八%でございまして、大企業が五一%であるのに比べまして、その水準はいまだ低いものにとどまっておりますが、今後増加が期待されるところでございます。  当庁といたしましては、オンライン化を中心といたします情報ネットワーク化が、事務管理の合理化、省力化に大きな効果を発揮するものであることから、五十九年度におきましては、情報処理振興事業協会における中小企業向けの汎用プログラムの開発、中小企業OAシステムセンターにおきますコンピューター導入に関する相談指導等、多角的な支援を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、先生指摘のとおり、大企業との経営格差が新たに生ずることのないよう、中小企業が今後とも主体的に情報ネットワーク化に取り組んでいく必要があると考えておりますけれども、当庁といたしましても、これらに向けて必要に応じ適時適切な対策を講ずることを検討しております。
  379. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最後に大臣に、今の点をお聞きして終わりにしたいと思います。  中小企業と大企業との格差の問題、これが進みますと、大企業の系列化が進むであろうとか、この前NHKに行きましたときに、大臣も行っておられたわけですが、同じVANに接続されることによって、中小企業の経営内容が筒抜けになる、そういうこと、また逆に、そういうVANに入らなければ、中小企業は仕事が得られないというような事態も生まれてくるわけです。これまで以上に下請が非常に圧迫を受けるのではないかということが懸念されているわけです。そういう問題、やはり中小企業を守っていくということで、これは次回にもさらに質問をしたいと思いますが、最後に、その点での大臣の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  380. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 ちょっと専門的なお話ですからあれですが、確かにこれからのニューメディア、企業が利用していく形の中で、VANはその中の花形的な位置を占めるであろうということは間違いないと思います。特にそういった意味で、グループ化の中で、企業の系列化も含めて、そういった情報処理の機能というものが中小企業にとっても必要な要素になってくることは当然であろうと思います。  今日そういった意味合いでは、御指摘のように、今中小企業のパーセンテージが挙げられておりますけれども、日本における中小企業の重要性、そしてまた、中小企業が持つ、小さいけれども小回りのきく機動性、柔軟性というものは、世界の中でもすぐれた水準にあると私は思います。ですから、そういった形で中小企業は中小企業なりに、国の指導もさることながら、自助努力によってあらゆる形で、私も中小企業実態というものをある程度知っておりますけれども、むしろ大企業にないよさを、あらゆるシステム的にも技術的にも、今日開発しておるというのが現状であろうと私は思っております。現にそういった意味合いでは、今後のVANの中で中小企業が不当な形の差別を受けないように、VANの現在システムを開発している、二年前からやりましたけれども、ほとんどが中小企業のそういったシステム化という形も、大変そういった形で勉強されておるという実態もございます。  今後高度情報社会の中で、中小企業がある意味において、企業利益を守るために乗りおくれないように、また企業利益を守ってあげるように、懇切に通産省と相談してまいりたいと思っております。
  381. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  382. 志賀節

    志賀委員長 次回は、明五日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十二分散会