○鈴木(強)
委員 それでわかりました。その熱情をもってひとつぜひ進めていただきたい。
それから、今も述べましたように、
民営移行ということが少し唐突の気味がする、拙速主義の気味がするのです。後で外務省から
アメリカからのいろいろな
圧力のあったことも聞きたいと思っておるわけですが、いずれにしても、今、御指摘のありましたように、
我が国の
電気通信事業においては現行の
公社制度というのはだめなんですよ、全く
当事者能力がなくて実践力もない。提案されたときには高賃金高能率ということが言われておったのですが、現状はそうではないですよ、これは全く禁治産者みたいなものです。蛇の生殺しみたいなものです。ですから、私
どもも現行
公社制度はだめだから直しなさいと言ってもう三十年近くやってきたのですけれ
ども、時の
政府はなかなかこの改正をしてくれないのです。そういう中で四千三百万の
加入者に
電話をつけたわけでしょう。申し込めばすぐつく
電話、どこへでも通ずる
電話というように大変な偉業を達成してくれたわけですから、これはああいう不利な
公社制度の中で私はよくやってくれた、こう思っているわけです。ですから、その改正を、
武部委員もおっしゃったように、やるべきですよ。それを一挙に
民営に行った、そういうふうなところが私
たちにはどうも納得ができないのです。
今二十一世紀に向けて高度情報化社会が展望されております。これに対応するためには、従来の同軸ケーブルからマイクロウェーブというふうに伝送方式が変わってまいりました。さらに光ファイバーや衛星
通信というのができてまいりまして、多彩な
サービスを効率よく運用するためにディジタルネットワークというものが今、
導入されているわけです。そして今までは
電話とかテレックスとかデータとか別々に
通信網を持っておったものが一本でやれるということになりまして、そこに今、
公社が進めている
INS構想というものが出てきたわけです。これによって多様化する
国民のニーズにこたえ得た情報というのが十分提供できると私は思うのです。なぜ
民営に移行しなければならないかということが私にはどうしてもわからないのです。新規参入をしてみたところで、
アメリカの例を見ても、まずATTがああいう形で独占
体制に入っておりますけれ
ども、
通信というのはそういう必然性を持っているのです。
私、先般
アメリカに行ってまいりましたけれ
ども、一九八三年度の推計でありますが、例えば市外
通信サービスのシェアにおいてATTが全都市をカバーして三百四十億ドル、七億八千四百億円の市外
通信料金収入というのを上げているのです。そしてそこには八千六百万人の
加入者がございます。ところがマイクロウエーブを使ってやろうとしたこのMCIというものはわずか十五億ドル、
日本の二十四倍の
アメリカの領土の中で三百七十五の都市しかやっていない。
加入者は幾らか、百五十万しかないのです。そのほかスピリット社にしてもわずか八億ドル、九十万の
加入者しかない。ですから新規参入なんというものはなじまないのです。
郵政省も向こうの勉強をしているでしょうし、
電電公社も勉強しているでしょう。拙速でなくてもう少しよく勉強した上でそういうものをお出しになればよかったのじゃないですか。
私の本
会議の十二の質問の中でもまともに答えられたものはないじゃないですか。この
法案をごらんなさい。百近い政令や省令にゆだねてどうなるかさっぱりわからぬというのがこの
法案なんです。これを審議しろと言ったって無理なんです。だから、
民営化にした理由というものをこの際もう少し明確にしてもらいたいのです。本
会議で総理にも聞きましたけれ
ども、総理の
答弁というのもこれま
たちっともわからぬのです。ただ効率的だ
活性化だ、二つに分ければいいのだというようなことしかないのでございますから、ぜひひとつ、この際改めて
民間に移行する理由は何か、そういうことをお答えいただきたいと思います。
念のために、中曽根総理の本
会議における御
答弁は、高度情報化社会への先導的役割を果たしていくため、
競争社会への
政策転換を図って、
サービスの向上と
事業体自体を効率化させるためだと言われております。だから、公共性とか
通信の秘密とか低廉な料金で確実に安全に、これは
法案の中にそれがないとは私は言いませんけれ
ども、
答弁には全然そういうことは触れていない。
民間企業に対して今もうかる電電
事業というものを売り渡してやるのだというふうにとれる。そこに
武部委員のおっしゃったようないろいろな問題が出てくるわけです。この六月三日の週刊読売を私、拝見しましたけれ
ども、「資本金一兆円の巨象「新電電」の登場で何が起こるか」という記事を読みましたけれ
ども、なかなか大変なことが書いてある。これは
総裁もお読みになったと思いますが、この中で間違ったところがありますか、
総裁。
そんなわけですから、ひとつ
委員会ですから、
国民だれが聞いても、なるほどそれは
民営はいい、
国民のための
電話なんだ、私
たちは
国民がよくなればいいのです。いかにしたら
国民のためになる
電話をつくれるか、この一点に集中して今まで
意見を出してきた、ところがそれがそうでない。そしてそこに働く職員も幸せにならなければいけません。同時に、これを
経営している
経営者というのもよくならなければなりません。そういうことが、三つが整って初めて私は立派な
経営形態だというふうに思うのですね。どうもその点がしっくりしない。もう一度
一つ詳しく、どうして
民営にしたのか、御
答弁をいただきたいのでございます。