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1984-06-27 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十七日(水曜日)     午前十時十九分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       佐藤 守良君    額賀福志郎君       野中 広務君    渡辺 紘三君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       中村 正男君    松前  仰君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         外務省経済局次 恩田  宗君         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         労働大臣官房審         議官      平賀 俊行君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調         整課長     糸田 省吾君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    牧野  力君         郵政省電波監理         局無線通信部陸         上課長     大瀧 泰郎君         会計検査院事務         総局事務総長官         房法規課長   中島 孝夫君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   児島  仁君         日本電信電話公         社理事     村上  治君         日本震言電話公         社営業別長   草加 英資君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 委員の異動 六月二十七日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     野中 広務君     ――――――――――――― 六月二十五日  日本電信電話公社制度改革に関する請願伊藤  忠治紹介)(第六八五八号)  同(上田卓三紹介)(第六八六八号)  同(春日一幸紹介)(第六八六九号)  同(木島喜兵衛紹介)(第六八七〇号)  同(田中恒利紹介)(第六八七一号)  同(和田貞夫紹介)(第六八七二号)  同外一件(佐藤観樹紹介)(第六八九九号)  同(井上泉紹介)(第六九四六号)  同(岡田利春紹介)(第六九四七号)  同(村山富市紹介)(第六九四八号)  同(吉原米治紹介)(第六九四九号)  同(伊藤忠治紹介)(第六九九四号)  同(奥野一雄紹介)(第六九九五号)  同(新村源雄紹介)(第六九九六号)  同(田邊誠紹介)(第六九九七号)  同(武部文紹介)(第六九九八号)  同(日野市朗紹介)(第六九九九号)  同外一件(安田修三紹介)(第七〇〇〇号)  同(山本政弘紹介)(第七〇〇一号)  日本電信電話公社制度等改革に関する請願(松  前仰君紹介)(第六九四五号)  同(伊藤忠治紹介)(第七〇〇二号)  同(城地豊司紹介)(第七〇〇三号)  同(中村正男紹介)(第七〇〇四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号  )  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第八〇号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 私は、今回提出されました電電関係の三法案について、基本的な問題についてこれから郵政省及び電電公社見解をただしたいと思うのであります。  まず、今回提出されたこの三法案は、百年を超す電信電話事業の今日までのあり方から、一転をして民営に移すという文字どおりの大改革であります。この大改革が行われるに至った背景は、一体何であるか。この背景は、言うまでもなく臨調答申であります。この臨調答申の中で、今日まで第四部会がいろいろ論議をしてきた内容を見ますと、論議の中心は、親方日の丸はすべて悪である、民営にしなければそういう体質は解決できないという、いわゆる一面しか見ない余りにも狭い視野に立った立場で、臨調が特に第四部会がそういう答申を行った、このように私は理解をするわけであります。言うならば、臨調は、初めに民営ありき、こういう立場論議をしたのではないか、このように思うのでありまして、まさに執念に基づくような答申を出してきた、このようにとっておるわけであります。  したがって、これを受けた郵政省はしゃにむに民営化を進めようとするような態度が見られる。今度の改革は一体どういう意味を持っておるだろうか、こういう点について私なりに見解を述べて、郵政省見解を聞きたいのであります。  まず第一は、株式会社にすることによって株価のプレミアムを得たいという動きがある。これは後で具体的に申し上げます。それから、これからいわゆるニューメディアと申しましょうか、新しい情報通信産業がどんどん発展をしてくる。これはもうかることは確実である。したがって、その分野に今のうちから参入しておかなければならぬという産業界圧力が加わった。もう一つは、この民間会社群をつくってそれを規制をする、規制を設ける。そうすることによって、郵政省現業官庁から言うならば政策官庁に脱皮したいという意図が見えるのではないか。さらに、そのことは、言うならば天下り先が出てくる、こういう批判が今度の三法をつくる過程においていろいろと言われてきた。利用者不在民営化ではないか、こういうことがいろいろと言われておるわけでありますが、この批判にどのようにこたえられるか、まず最初に、これを郵政大臣に伺いたいと思います。
  4. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いろいろお述べになりましたけれども臨調答申に沿ってということが全部であるという論旨のようにお聞きしましたけれども、私たちは、確かに、臨調答申を受けながら、かつ今日当面している時代的な背景も踏まえながら、そして今日のようにだれもが予想し得なかったような電気通信技術の画期的な革新と申しますか、こういった事態に対応して、今回の電気通信自由化政策を推進しようということに政府として決意したわけでございます。  確かに親方日の丸という面のいい面と悪い面があると思います。それは今日のように一元体制のもとで積滞を解消し、全国自動化をあまねく実施できるような体制になったということは、まさに公社経営のプラスの面であったと思います。悪い面ということになりますと、やはり何といっても、官業的色彩というものは、今日のように競争原理が働き、効率的経営の上においてどうであったかという点においてはいろんな検討の余地もございますし、また、当事者能力というものはやはり大きくくくられておりますから、今までのように活発で効率的な経営という面からいえばマイナス面があるのじゃなかろうかと思います。  そういったことで、今回は電気技術の画期的なまさに技術革新によって、国民ニューメディアと称せられている多彩なメディア利用して享受しようという時代背景もあるということになると思います。また、株式のプレミアム財政再建の足しにするような魂胆が見え透いておるということでございますが、そういった論議も交わされておることも事実でございますけれども、我々としては、あくまでも、電気通信自由化によって最終的には利用者である国民にこのメリットが還元されて、安くて良質なサービスというのが必ずこういった競争原理の中で国民に還元されるであろうということを大きく期待しておるわけでございます。  また、天下り先がふえる。民間産業への介入が強まって実務官庁から政策官庁へとしての野心をみなぎらせて法改革に取り組んだのじゃないかと言われますけれども、私たち、そのような天下り先がふえるようなさもしい気持ちでこの法案に取り組んだわけでは決してございません。あくまでも、新しい電気通信政策によって、最終的にはユーザーである国民が、この電気通信利用を通じて豊かな社会への創造、新しい分野への創造ということで、起点をあくまでも利用者である国民サイドに置いて考えて決断したものであるということであります。
  5. 武部文

    武部委員 今、大臣お話にありましたように、我が国の積滞は解消いたしました。したがって、申し込めばすぐつく電話、しかも全国自動化、これもいち早く完了した、こういう点は確かに評価できるわけであります。しかし、現実経済は低成長時代に入ってきておる。これもまた事実であります。そういう低成長に入った時代になって、もう官業の長所というものはない、もう官業時代ではない、これが私が最初言うように臨調の基本的な考え方ではないか、そういうふうに思うわけです。しかし、考えてみれば、国の浮沈にかかわるリスクの極めて多い基礎的な研究は当然のことながら、電話事業あるいは電報事業、こういう基本的なサービスの維持は大変重要な意味を持っておるのであります。  さらに、通信信頼性は極めて重要な問題点であります。言いかえるならば、電報電話は、常に全国どこへでも届き、どこへでもつながる、そういうものでなければならぬ。言うならば、一対四千三百万加入は常に村々でいつでも通ずるというものでなければならぬ、私はそのように思うのです。それが今日まで国民が寄せておる電信電話事業に対する信頼であり、同時にそれは電信電話事業の責任であると思うのであります。四千三百万の加入者全国どこへでもいつでも通ずるという、そのことは常に維持されておらなければならぬ。信頼性を高めておらなければならぬ。これは基本だと私は思います。同時に、先ほど大臣お話にもございましたけれども、これからの新しい情報通信産業、しかも多様なニーズに基づくいろいろな問題点がある。  しかし、その見通しがまだ明確ではないINS構想、こういうものは一体現在の段階民営で行うべきが妥当だろうか。これは私ども考え方からするならば、定かではないINS構想については、今の段階では官業、いわゆる公営で行うのが適当ではないか。こういうINS構想というのは、国家や国民あるいは利用者、そういうものにとってぜひとも必要なものである、こういう観点を見落として、ただしゃにむに民営にすればすべては事足りる、こういうことを考えておるのではないか。この点について、郵政省見解をひとつ賜っておきたいと思います。
  6. 小山森也

    小山政府委員 電信電話というものが非常に国民の基本的な生活にとってなくてはならないものであるということは、お説のとおりだと存じます。  ただ、問題は、我が国電気通信分野は、近年、著しい技術革新によりまして新しい通信メディアが次々と実用化されているということと同時に、また、電信電話以外にも国民需要というものが非常にふえてきているということでございます。  そういたしますと、このような多様なサービスの提供を一つ事業体で行うのがよいか、複数によって行うのがよいかという一つ判断がここに出てくるわけでございまして、今回の場合、単一事業体というのは、やはり単一事業体一つ経営の範囲内においてのみこのサービスを受けるという限界がある、したがって、単一事業体で行うよりも複数事業体で行う方が、利用者にとって求めるところの需要に応ずる体制ではないかという判断をしたわけでございます。  なお、そのような形で、単一事業体でなしに複数事業体で行う方がよいとなりますと、いわゆる国の一つの機関で行う形の電電公社というのが、公社本来の――法そのものはよしあしは別といたしまして、現時点におきます公社の運用というものを見ますと、極めて経営自主性というものは束縛されている。こういうような束縛されている中で複数事業者と競い合っていくということは、とても不利な条件に立たされるのではないか。したがって、そういった点から、複数事業体をとるということになれば、そういった競争原理に打ちかって、よりよい形で国民皆様方サービスを提供できる、電気通信役務を提供できる形は、やはり民営化する方がいいのではないかということで、民営化の道をとるべきであると判断したわけでございます。
  7. 武部文

    武部委員 もう一点、基本的なことをちょっとお伺いしておきましょう。  民営化によって企業同士競争させる、競争によって活性化が起きる、それですべてが解決する、こういう主張のようであります。利潤の追求が第一である民営、その民営本質から来るいろいろな欠陥がある。あるいは一部に言われるように、企業を分割してしまえ、こういうようなことが言われておりますが、その先鞭はもう既に、後で同僚議員からまたいろいろお話があると思いますが、アメリカで今、大混乱が起きておる、この事実をもって見ても明らかであります。  一体、今申し上げたようなこの民営本質から、いわゆる競争によってすべてが解決する、活性化する、これがすべてのものに優先をしていくんだ、したがって、民営化をしてとにかく競争させなければいかぬのだ、こういうことのようでありますが、私どもから見れば、この点が非常に疑問であります。したがって、民営については、仮にそれを行うにしても順序があるのじゃないか、このように思うのですが、時間の関係で先へ急ぎます。  それでは、お伺いいたしますが、競争導入民営とを同時にやった国が世界のどこにありましょうか。ないのであります。競争民営とを同時期にやった国は世界のどこにもないのですよ。我々が言うのはここであります。物には順序がある。ですから、今おっしゃるように、大臣もおっしゃった、局長もおっしゃったが、公社には確かに弊害がある。この公共企業体という形態になって三十二年たちましたが、その歴史を振り返ってみて弊害がある。それはどこにあるか、何にあるか。それは徐々に直していけばいいじゃないか。  私は一つの例を言いますが、イギリスは今度民営化をいたしました。ところが、これはやはり今、私が言ったような順序を経てこの民営化にたどり着いておるのであります。たまたま私どもは、今回のこの法案提出を機会にイギリスヘ参りました。いろいろと調査をしてみて、なるほどこういうやり方もあるかということを知ったのであります。二、三点、大変いい例を我々は知ったので、ぜひひとつこの点について郵政省見解を聞いてみたいと思います。  一九八一年、まず第一段階競争原理導入いたしました。それはイギリス電電公社がやっていない業務についてまず自由化をやった。そうして、あとまた一年たって、今度は電電公社がやっておるサービスについて同じように自由化をした。その次は、今度はいわゆる再販について、それを自由化すると同時に民営化をするという、都合真ん中に三年間かかっておるわけです。八四年ようやく民営化にたどり着いておるのであります。すなわち、競争原理導入しながら、片一方公社経営形態の悪いところを変えていく、そういう努力をしながら、四年目に民営というそういう法律を、いろいろ問題はあったけれども、ことしの春に通しておるのであります。これが少なくとも民営に向かう一つの筋道ではないだろうか。  イギリス電話日本の半分ぐらいしかありません。従業員は二十四万五千人、加入は千六百万人ぐらいだそうですが、電話内容から見て日本よりも非常に立ちおくれておる。特に、データ、コンピューターについては、日本よりも比べものにならぬほど非常におくれておるようであります。それでも、そういうやり方をしながら、模索をしながら、ついにことし法案が通っておるのであります。そういう形態をなぜとらないでこんなに急がれたのか、私はこのことが非常に疑問に思うのであります。  片やこの電電公社経営形態については、総裁と何遍もここでやりとりをいたしました。三十二年の公社経営形態の中で、確かに親方日の丸的な体質があった。そうして、一部不祥事件があったことは非常に残念でありますが、しかし、総裁が就任されて三年有余たちますが、一部には行き過ぎではないかとさえ言われるような総裁やり方があったけれども現実に、昭和五十七年度に比べて既に一千億円以上の金を浮かされたという大変な実績があるわけであります。公社経営形態の中で、自動化の結果相当な人数が過員になった。それも、労使の間で精力的な話し合いで、一番難しい人間の配置転換や訓練が現実に解決しておるではありませんか。そういう努力をこの数年間のうちに電電公社はやっておられる。私はいつかエレベーターの話をしたが、これはほんのささいなことだけれども、そういうことや月次決算の励行やあるいは内部監査の強化や、いろいろなことを電電公社はおやりになった、そうして今その中で活性化が行われつつあるのじゃないかというふうに私ども理解をしておるのであります。  公社は、公社経営形態の中で、確かに財政法の枠に縛られ、当事者能力が縛られておってがんじがらめだ、何とかここを解決しなければ公社が本当の公社にならぬ、電信電話事業に発展しないという御意見はたびたび聞きました。その方向への解決は別な道でできるはずであります。  そういうことを片一方でやりながら、新しいニューメディアに対抗して一体この競争原理をどうするかという二面作戦でなぜ公社改革というものをおやりにならなかったのか、なぜこんなに急いで世界でも例のないような、同時に、しかもこういう莫大な法案をこの国会法案提出の期限におくれてまでお出しになったか、私は大変疑問に思う。二つ原因があるように思いますが、これは後で言いますから、ひとつ最初見解を述べてください。
  8. 小山森也

    小山政府委員 イギリスの事例から非常に貴重な御意見を伺ったわけでございますけれどもイギリスにおきまする電気通信公社、いわゆるBTの設立は一九八一年の十月でございまして、そのときにいわゆる第二種事業であります付加価値通信サービス自由化というのを行っているわけでございます。それまでは官営であったわけです。我が国におきましてはこの付加価値通信サービス自由化というのはいつから始まったかと申しますと、五十七年の十月に中小企業VANという形で付加価値通信サービス自由化をまず始めたわけでございます。したがって、この付加価値通信サービスという形での自由化を始めてからはもう既に二年有余がたっているということになろうかと思います。また、おっしゃられるとおり、本年四月に法案が成立しましてBT、ブリティッシュテレコムが民営化になったわけでございまして、その間確かに三年の期間があったと思います。お説のとおりでございます。  ただ、それでは日本の場合はどうかということについて、イギリスの例がそうであることによってすべてそれに沿ったような政策をとるべきではないかという御意見だろうと思いますが、私ども判断といたしましては、いわゆる現在の電気通信需給の実態ということから見まして、またいろいろ技術革新の状況から見まして、第一種にせよ第二種にせよ成熟した形で競争原理導入してもよいのではないかというような時期に来ていると判断したものでございまして、ただ、民営化というところに目的があるのではなしに、電気通信需給というものをどうすればよろしいかということに立った場合におきまして、多数の事業体導入することの方が、良質で安くていつどこでも使えるというネットワークの構築のためにはよい施策である、こう考えて、多数の事業体導入ということに伴って電電公社民営化というものを政策としてとったということでございます。
  9. 武部文

    武部委員 今の御答弁で私は納得できません。イギリスの三段階解消方式というものが明確にここに記載されておりますが、これはあなたと今長くやっておってもしょうがないからやめますが、いずれにしても、非常に急いで同時にやってきたというこの背景を私は取り上げなければならぬ、こう思うわけであります。  さきに述べましたように、財政再建の赤字を埋めるためには、これを民営化して株を放出し、これによってプレミアムが莫大なものが出てくるであろう、これはだれの目にも明らかであります。それを吸い上げようとして、既に大蔵大臣はしばしば国会のあちこちでそういう答弁をしておられる。後でこれは大臣お話を聞きますが、大蔵大臣は既に旗上げをして、何兆円か懐に入れようと思って虎視たんたんねらっておることは事実であります。これがこの民営化を急いで株式会社にする背景の第一だ、このように私は思います。  もう一つは、ついこの間内閣委員会で問題になったことであります。郵政大臣がお答えになったので、大臣は御記憶だろうと思いますが、この内閣委員会論議をされた中に、四月の初めに安倍外務大臣からブロックアメリカ通商代表あて書簡が出されておった。ここにございますが、この内容が問題になった。これが問題であります。少なくとも、国会で我々に法案骨子を説明する前になぜ政府が固めた法案内容アメリカブロック代表に知らせなければならぬのか。しかも、その前にアメリカはわざわざ日本に来て原案に対して異議を申し立て、そうして完全開放を強く要求して、それを入れたことが書簡骨子の中に入っているのであります。書簡に、あなた方の言われるとおりやりました、こう書いてある。しかも、この中に「通常は十年以上もかかり得る電気通信市場開放という大事業が本法案により我が国においてはかくも短時日のうちに導入されたことは注目されるべきことである。」こういう文章が安倍外務大臣の手紙としてブロックアメリカ通商代表に送られておるのであります。我々が骨子の説明を受ける前に既にこのように内容アメリカとちゃんと話がついておる。これは明らかに、貿易摩擦解消に対するアメリカ圧力に廃してこのようなVAN無条件開放というような態度郵政省が同意をした、こういうことにつながると思うのですが、これについてはどういうお考えでしょうか。
  10. 小山森也

    小山政府委員 事実のことについて若干私から申し上げたいことがございます。別に反論するわけではございませんけれども、事実関係を御理解いただきたいと思います。  これは確かに先日の内閣委員会において御指摘のあった点でございますが、そのときにも申し上げたのでございますけれどもブロックから来た書簡というのはかなり後の三月五日でございます。なお、私どもが各政党にこの骨格ができまして御説明申し上げたのが二月十六日になっております。これについての事実についてだけはまず御理解いただきたいと存じます。そのとき、内閣委員会のときもこれにつきまして若干御質問いただいた先生に錯覚があったやに伺っておりまして、後ほど当該の委員から若干の誤りがあった旨をお伝えされております。したがいまして、二月十六日に骨子を説明いたしておりますので、その前にアメリカあてに説明したという事実はございません。また、この三月五日付のブロック書簡、確かに米側の懸念が表明されております。ただしかし、これは私どもとしてはあくまでもアメリカ側の要望として受け取っておりまして、アメリカ側の当局者によりましても、ITU条約におきまして、各国の通信を規律する主権はこれを十分に承認すると前文に書いているということについては十分理解を持っているという旨の連絡もあるわけでございます。
  11. 武部文

    武部委員 日にちのことをおっしゃるわけですが、二月二十一日にアメリカの担当者が九名郵政省を訪れてあなた方から法案骨子の説明を受けておる、これも事実です。あなた方もお認めになっておる。その後、今度はクレームをつけてきて、現実にはそれが通って、そして今の法案になった、これもまた事実です。確かに日にちはやりとりの中に違いがあるようですが、しかし、今私が言ったように、最後はそういうふうになっておるのです。しかも、その文書の中に、今読み上げたように、本当は十年もかかるのだ、それをこのようにやったのだということをこの外務省の書簡の中にはちゃんと記載をされておる。こういう背景を見るときに、こんなにまで急いで競争民営化というものが同時にここにやってきたという背景がここにあるのではないか、私はそのように思われてならぬ。したがって、どんなにきれいごとをおっしゃろうとも、そのようなことが民営化背景にあるということだけは疑いのない事実だというふうに私は理解をしておるわけで、これはとり方が違うわけだから仕方がないと思いますが、そういう点を最初に述べておきたいのであります。  次に、時間の関係で先を急ぎますが、前回の委員会同僚議員から、公社の資産について質問があり、お答えがありました。純資産約四兆六千億円という答弁がございました。この純資産四兆六千億円は、設備料あるいは電話料、そういう加入者が今日まで長い期間かかって公社に納めたというか、提供したというか、そういう格好の中で今日公社の純資産が四兆六千億円。大蔵省は百八十八億円の出資金をしておるというふうに威張っておりますが、これはわずかに純資産の〇・二%にしかならない。しかも、その百八十八億円は、その前の加入者が納めた通話料その他によって現物出資で百八十八億円を大蔵省が出しておるわけだから、ただの一銭も大蔵省は出してはおらぬのであります。威張っておるけれども、そんなことは全然事実はない、全部利用者のものです。その四兆六千億円の純資産、それはどういう性格が。言うならば、これは実体的には加入者が積み立てたものだ、加入者の財産だ、このようにお認めになりますか。
  12. 小山森也

    小山政府委員 お説のとおり、政府の出資資本金百八十八億円、この内容を見ますと、当時の昭和二十七年八月の時点において、電気通信事業特別会計から引き継いだ資産百八十二億と、沖縄の復帰に伴いまして琉球政府から引き継いだ琉球電電公社の資産六億円、これを合わせた百八十八億円でございまして、いわゆる一般会計から直接負担して出資したものでないことは事実でございます。  また、設備料の累積額、これは確かに加入者から拠出したものでございまして、こういった資本剰余金が約二兆四千億、それから、先ほども御指摘いただきました通話料等の収支差額、これは通話料によって加入者が負担した額の黒字の累積額、これが二兆二千億円でございまして、お説のとおり、一つの、何といいますか、電電公社が独占という形態において電気通信事業を行うということを保障されていたという事実はあったといたしましても、これは加入者が積み立てたものである、その累積額であるということはお説のとおりだと存じます。
  13. 武部文

    武部委員 わかりました。  そこで、私は、株式会社に反対でありますから本来はそういう基本的な考え方ですが、一応提案をされております内容について、疑問が非常にあるので、これから以下何点か質問をしましょう。  まず、KDDは三十二年前に分離をして会社になりました。当時の資本金は三十三億円、その三十三億円の根拠は現物出資、電電公社の現物出資三十三億円へそれを電気通信設備評価審議会というのが設置をされて評価をして、同じように三十三億円と評価をし、それが資本金になった、こういう経過が今から三十二年前にあります。  そこで、今度の郵政省が考えておる電電公社の資本金は、一体幾らを考えておられるか、それをお伺いしたい。
  14. 小山森也

    小山政府委員 まことに形式的なことをまず最初に申し上げて申しわけないのでございますけれども、形式論としては、これはこの法律が通りますれば、その法律に基づきまして設立委員が決められまして、設立委員において決めるべき事項でございます。これが一つの形式としてのステップでございます。  ただ、それでは大体のめどとして計算はできないかといいますと、これは大体の推定値は我々としてできるわけでございまして、先ほど五十七年度末で四兆六千億ということを申し上げたのでございますけれども、五十九年度末に予定しているところの一つの予定収支、こういったものから考えますと、純資産が約五兆円になるのではないか。これにさらに退職給与引当金、これが現在の公社においては積み立てられておりません。したがって、退職手当は、現在法律によって担保されているから、これは積み立てていないのですが、民営化によりますとその担保がなくなりますので、この引当金を計上しなければいけないということになりますと、この数値が一兆六千億円程度になろうと思います。それからさらに設備負担金の累計額、これが二兆五千億ございますが、これは資本金に入れるべきものではなしに、資本剰余金としてこれは常に加入者からのものでございますので、資本金に算入するのは不適切である、こう考えます。  そういたしますと、大体の見当といたしまして、これはまだ正確な数字はつかめませんけれども、約九千数百億円から」兆円というところが大体妥当な数字ではないか、こう考えております。
  15. 武部文

    武部委員 巷間伝えられておるように、一兆円という数字が各新聞やあるいは週刊誌に出ておりました。その根拠は今あなたの説明で大体わかりました。一兆円の資本金を持つ株式会社が設立される、こういう予定で法案提出されておる、こういうふうに理解をするわけであります。  そこで、今度はその一兆円の株式会社の株は、おっしゃるように、設立委員会が設置をされて、それが決定をし、すべてのことはこれがとり行う、これはそういう手続になるでしょう。形式的にはそうなるでしょう。  そこで、設立委員の数は何人くらいを予定されておりましょうか。
  16. 小山森也

    小山政府委員 まだただいまのところ、まことに申しわけございませんが、そういった準備に入っておりません。物の言い方でございますけれども、本法案が成立いたしました後において決めるということになろうかと思いますが、ただ、私どもとしては、当然参考になるべきところはあるわけでございまして、日本航空の例とかKDDの例がございます。  この例を申し上げますと、KDDの場合は二十七名の設立委員がございました。それから日本航空の場合は十三名となっております。こういったのが一つの参考になろうかと思います。なおきょう、私まだ詳しく見ておりませんけれども、関西空港も何か近々そういった設立委員をつくるということを聞いておりますので、これも非常に重要な参考になろうかと思っております。
  17. 武部文

    武部委員 設立委員のことはまた後にすることにいたしましょう。  そこで、今、私は質問の最初に、株のプレミアムのことを言いました。この間の衆議院の本会議で中曽根総理は、同僚議員のこの法案の質問に答弁をされた中に、利権ということに触れておられました。総理の答弁の中に利権などということが出るのはめったにないことでありますが、そういうことが出て、いやしくも利権につながるようなことがあってはならぬ、こういう発言があった。裏を返せば利権につながる危険が極めて強い、そのことを総理みずからが認めておる。しかも、今、新聞あるいは週刊誌はおもしろおかしくこのプレミアムの行方について書き立てておるのであります。私は、この株式がどのようにして公開されるか、それはいつなのか、だれに公開されるのか、そういう点について非常に関心を持つのであります。冒頭、質問をいたしましたときにお答えがございましたように、この資産は明らかに加入者の拠出によってでき上がったものであるということを郵政省は今お認めになりました。この株による売買益をどうするか、これは大変重要なこれからの課題であると思います。  したがって、見解をこれから聞きたいのでありますが、二十一世紀に対する通信関係の建議がございますが、その中に将来の電電公社のことについて具体的な提案がございます。これを見ますと、この項目の中に、将来の研究その他に対処するために基金あるいは特別会計、そういうことで金を用意しなければならぬという意味のことが記載されております。きょうしばしば申し上げますように、これからのINS構想その他ニューメディアのいろいろ多様な通信情報産業の将来性を考えたときに、電電公社の基礎的研究は今までよりも以上に重要な意味を持ってくるだろうと思います。したがって、昨年は九百億円、今年度は一千四百億円に上る研究費が電電公社の予算の中に計上されておる、そういうことを見ましても、これから電電公社の基礎研究というのは大変重要な役割を果たすし期待をされておるのでありまして、そういう意味で、この株の売買益は、将来の発展のための基礎研究、あるいは公社が抱えておる多額の借金が現在あるわけであります。大蔵省に召し上げられた四千八百億円の金は全部財投から無理やりに借りさせられて利子をつけてまで返させられる、そういうものはこれからまず十年戻していかなければならぬ、さらに、ことしも利益金の中から二千億召し上げられましたが、そういうふうにして公社はまだ多額の債務償還を持っておる、さらに加入債等の返還もあるわけです。そういうものに使っていかなければならぬ、それに充当されるべきものだというふうに思いますが、それについてはどうお考えでしょうか。
  18. 小山森也

    小山政府委員 新電電会社の株式の実体をなす資産形成、この経緯を十分考慮の上、国の重要な資産として国民全体のためになるように処分すべきであるという御説は、私どももそのように考えております。  それでは、具体的にどうするかということでございますが、今まだ決まっておりません。決まっておりませんといいますのは、株式を公開していくのがいつになるかということについてもまだかなり時間があるであろうというようなことから、決まってはいないのでございますけれども、今、御説のように、その形成の過程におきましてよく検討いたしますならば、一般会計の赤字補てんのために民営化を行うというようなことでないことを何か明確にする必要があるのじゃないかというふうにも考えておりますし、それから、電気通信技術に関する研究開発の推進、電気通信利用者の利便向上のために使用さるべきであるということも非常に貴重な御意見であろうと思います。またさらに、電電債券償還のために使用さるべきであるという御意見、こういったのも多数あるということで、私たちは貴重な御意見として今後の施策のもとにしていきたいと思っております。また、ただ単にそれを消費していくということではなしに、基金というような設立の構想についても検討の一環として考えていくべきであろうと思います。  ただ、しかし、これは郵政省の強い願望のもとに強い意思を持ってやりますけれども、財政当局とのいろいろなネゴシエーションというのが控えております。強い意思を持って進んでまいりたいと思っております。
  19. 武部文

    武部委員 強い意思はまことに結構だが、今までそれが通ったことがない。(「負けっ放しだ」と呼ぶ者あり)まさに負けっ放しだ。いつも、四年間千二百億円を取られて、しかも前倒し、その上に二千億、これだけ取られておる、利子つきで。そういうばかげたことが今までやられておる、大蔵省に。したがって、今の御意思はまことに結構で、それで進んでもらわなければならぬ。大蔵省の圧力に負けたり政治権力の圧力に負けるようなことがあってはならぬので、これは郵政大臣がしっかりしてもらわなければならぬ。  そういう意味で、大臣、今の御意見はどうですか。私はそれが正しい方法だと思う。あなたは本会議で、しかるべき方面と相談をして決めたい、こうおっしゃっていたが、これじゃちょっとぐあいが悪いので、今の意見、絶対に一般会計に繰り入れるようなばかげたことはさせぬ。今、私が申し上げたように、基礎研究とか借金の返済とか積み立てとかいろいろな形があると思うのです。そういうふうに有効に使う、そういうことを言ってもらわなければ話にならぬです。
  20. 奥田敬和

    奥田国務大臣 株式売却に関しましては、国会の承認のもとに極めて透明度の高い形で行うわけでございますから、この面に関しての利権云々という形は、総理答弁にもあったとおり絶対にあってはならないことである。と同時に、そういうことはあり得ないと確信をいたします。  また、今後この法案によって、成立をお待ちして新会社に移行いたします。そういった場合の、一兆円になるのかあるいはその程度の規模になると予想いたしておりますけれども、そういった形の売却益は、通信技術の基礎的研究開発に回すべしという先生の今、御指摘のございましたような強い御意見に対して、私たちもできるだけそういった方向で努力をいたしたいと思います。  なお、大蔵大臣も各委員会の席上でたびたび表明しておることでございますけれども、できれば財政再建の一部の足しにしたいという期待表明もあったことも事実でございます。これまで公社は、通信技術の面における全国のそういった自動化なり積滞解消という大きな二大使命を達成したばかりか、その中で効率的な経営によって出てきた利益を国の財政に寄与してまいったことも事実でございますし、こういった国家の財政の面における非常な緊急時でもございますので、その他もろもろの要素、御意見を、もちろん大きな検討のたたき台といたしまして関係の向きと折衝してまいるということでございます。
  21. 武部文

    武部委員 やはりちょっと弱いようですね。これは当委員会としては大変重要な課題だと私は思います。したがって、これからどういう経過をたどってどのぐらいなものが出てくるか、これは株式の公開方法にもよりましょうし、いろいろありましょうが、基本的な考え方としては、先ほど局長答弁にもあったように、あるいは大臣考え方にもあったように、そういう方向に向かって最大の努力をすべきだ、このように思います。  そこで、私は一つの参考に次のことを述べてみたいのであります。  実は、この法案の審議に際して、私はイギリスヘ参りましたことは先ほど申し上げました。イギリスがどのような株の公開をしたか、これは非常に参考になることでありまして、ぜひ頭の中に入れておいていただきたい。しかも、この公開というか内容がわかったのは、ちょうど私どもイギリス国会を訪問しておるその日、五月二日でありますが、イギリス政府の担当大臣国会に対してステートメントを提出したのでありまして、それを直ちに翻訳をして我々はこういう内容を知ったのであります。  イギリスにおきましては、先ほど申し上げるように二十四万五千人の職員がおりますが、この職員に対して株を七十ポンド相当をただで与える、こういうことであります。七十ポンドといいますと、一ポンド三百三十円でありますから大体二万一、二千円ぐらいになりましょう。ただで与える。そのほかに、百ポンドの株を買った職員については二百ポンドおまけでただでつけてやる。百ポンドの株券を買った者には三百ポンドの株を」やる。したがって、職員は大体百ポンドの株を買えば三百七十ポンドの株を買ったことになるわけです。そのうちの二百七十ポンドはただだ、こういうことであります。言うならば、十二万円の株を買っても支払う金額は三万円でよろしい、こういうことになりましょうね、日本の換算でそういうことになる。こういうやり方を担当大臣がステートメントとして議会に発表したわけであります。  さらに、二千ポンドの株を購入し、それを一定期間預けるというのであれば、一般価格よりも一〇%割引してあげましょう、こういうこともつけ加えておりました。  もう一つ大事なことは加入者であります。一般加入者が、さっき千六百万人ぐらいと言いましたが、イギリス電電に加入しておる加入者に対しては、毎月電話料を払っておるわけじゃありませんで四半期ごとに払うわけですから、三カ月分をまとめて払う、そのときに一定の割引をする、こういうやり方をして株との関係を明らかにしたという事実がございました。  そうして最後に、この大臣は、こうした措置によって、イギリス電電公社従業員並びに顧客の非常に多くがBT株式会社の株主になれるものと我々は確信する、こう述べております。イギリス民営に際して、株の公開は、このようにして職員にも株を与え、しかも加入者にもまた株の恩典を与えて、多くの皆さんがBTの株主になることが既にこのステートメントで明らかになったのであります。  これは大変参考になることでございまして、直ちに右へ倣えをして、日本でそれが適用されるかどうかは別にして、このような具体的な事実が、ついせんだって私どもイギリス国会訪問中に出てきたステートメントの翻訳の中からわかったわけであります。こういう点もぜひ参考にしながら、もしそういうことになれば、非常に関心の深い問題でありますから、少なくとも国民から疑惑の目をもって見られるような株の公開というものがあってはならぬ、こういう点も強く要望をしておきたいと思います。これは要望ですから、これ以上のことは申し上げません。  大臣は本会議だそうですから、次のほかの具体的な質問に入らしていただきます。  事業法第三十一条、これは認可のところですが、「第一種電気通信事業者は、電気通信役務に関する料金その他の提供条件(郵政省令で定める事項に係るものを除く。)」と書いてありますが、「郵政省令で定める事項」とは一体何であるか、これを述べていただきたい。
  22. 小山森也

    小山政府委員 第一種電気通信事業の料金でございますが、第一種電気通信事業というのは、なるべく市場原理が機能するようにということの一つ努力と同時に、やはり一つの許可事業でございますので、完全な市場原理が機能するというわけにはまいらない点もあるわけでございます。そのために郵政大臣の認可に係らしめて、そういった点は、加入者といいますか利用者の利益を保護することとしているわけでございますけれども電気通信役務の具体的内容についてまで法定いたしますと、事業者の自由な発意による事業経営を損なうおそれがあること、また、今後の技術革新の進展に伴い多種多様な役務が出現するものと想定されることから、省令において電気通信役務の区分のみを定めているわけでございます。したがって、三十一条第一項の省令におきましても、事業者の提供する具体的、個別的な役務をすべて列挙するような定め方ができておりません。それは困難であるわけでございます。そういったところから、当該役務の利用者の範囲が比較的限定されている役務とか、利用頻度が多くないために影響の範囲が比較的限定されているような役務でありまして、実態的にも利用者が自由に選択し得る条件が整っているものについては、料金認可の対象から外すということにしておりますのが、この省令による外す条件でございます。
  23. 武部文

    武部委員 この料金というのは国民にとっては大変重要な関心事であります。この民営化競争導入によって料金がこれから一体どうなるだろうか。これは大変重要な関心事であると同時に、当委員会でもこの法案を審議するに当たっては非常に重要な検討事項だと思います。  ところが、あなたの方はこの五月二十八日付で大臣の名前で電気通信審議会に諮問書を出しておりますね。その一番最後に、「今後取るべき料金政策の指針について審議を求める。」しかも、聞いてみると、何か四月一日から新しい法案が通って民営化されるので、三月三十一日までに答申を出してくれなんということを言っておるということを聞きましたが、これは一体どういうことですか。  この国会が料金について審議して、一体どうあるべきかということを我々が審議するのです、ここで。そういうときに、大臣が、電気通信審議会に対して、料金は一体いかにあるべきかということを決めてくれなんということ、しかも三月三十一日までに回答してくれなんということはどういうことですか。これは国会審議を軽視するも甚だしいじゃありませんか。どういうことですか。
  24. 小山森也

    小山政府委員 今までの料金体系というのは、電電公社という一社体制、あるいは国際電電という外国通信の独占、要するに外国それから内国ともに独占体制のもとに料金というものがすべて決められていたわけでございます。ただしかし、この料金についても、国会の御審議なんかにおいても、料金政策の基本をもう少し明らかにすべきであるという御批判をいただいたわけでございます。  このため、郵政省としては、本格的な討議が必要だということでいろいろ研究会などを開きましていろいろな結論を得ていたのでございます。ただしかし、この今までの研究会の内容は、あくまでも独占体制下における料金のあり方が検討の中心でありまして、競争下における料金のあり方についてということは一度も検討したことはなかったわけでございます。  しかし、これを検討するということは、確かに先生御指摘のように、この法律を今、御審議していただいているときにこの勉強をすることはどうかという御批判もあろうかと思いますけれども、ただ、政府としては、一応原案として御提出申し上げたわけでございまして、政府部内の一つの願望として、ぜひこの法律は来年の四月から実行段階に入っていたいという願望があると同時に、四月からそのような体制になったときに、行政の指針も何も確立していないということはいかがかというようなこともございまして、電気通信審議会にそういった、まだ法律が制定されていないということを十分御理解いただいた上に御検討をいただいたということが実態でございます。
  25. 武部文

    武部委員 それは苦しい答弁で、それはおかしいのです。少なくとも料金の基本的原則は国会で決めることになっているのですよ。そういうことを片一方では我々に提案をしながら、片一方ではこういうことを出して、そして何回もやってできるだけ早いことやれ、これはどういうことですか。理解できませんね。ですから、少なくともこの三十一条の一項その他について、当委員会ではもう具体的に料金のこれこれについてはこう決める、これは認可、許可、いろいろな形がここで討議されるでしょう。その経過の中で、この審議会の答申と我々の見解との間に大きなそごがあったときにはあなたどうしますか。食い違いがあったときにはどうされますか。
  26. 小山森也

    小山政府委員 三十一条の第二項で、料金決定原則というのが法定されておりまして、こういった条件で各号に適合していると認めるときは認可をしなければならないということで、大原則は一応今度の法案の中に六つの項目にわたって御批判をいただくということになっておるわけでございます。  ただしかし、私どもが勉強している、また諮問したというのは、あくまでも法律が当国会で成立したということが前提でございますので、もしそういったことに変更がありますれば、これは前提条件の変更であります。国会の御意思に従うのは私どもの当然の責務でございます。
  27. 武部文

    武部委員 今の段階で成立を前提にそういうことをする必要はないのです。それだから変なことを疑われるのでありまして、この審議は我々が与野党を通じてあるいは修正になるかもしれませんよ。内容がおかしいということになって、これはそうだそうだということになれば、あなた方の方、提案者が今度はそれを撤回をして修正いたしますと言って出してくる可能性もないことはないでしょう。そういうときに、成立を前提にして片一方で料金はこうこう、そんなのは片ちんばでおかしいのです。ですから、私はこういう点については、これは中止すべきだ、当分の間こういうものはやるべきではない、これは国会法案の審議が決着をしてからそういうことをやったって決して遅くはない、このように思いますが、いかがですか。
  28. 小山森也

    小山政府委員 御説ごもっともでございますけれども、ぜひともお許しいただきたいのは、やはりこういった料金というものは長い時間をかけませんとなかなか一つの検討結果が出ないということ、そのために現在諮問を行っている、こういったことにつきましての基本的な発想法というのはひとつ御理解いただきたいと存ずるわけでございます。  ただ、当然、私も先ほどからるる申し上げておりますように、法律案の成立が大前提でございまして、この法案がそのようになっていなければ、それは単なる一つ意見というものになるにすぎないということでございます。時間のかかるものでございますので、ひとつ何とか勉強することについては御理解のほどを賜りたいと存じます。
  29. 武部文

    武部委員 確かにこれは理解できない問題です。ですから、こういう姿勢はやはり郵政省の姿勢としてはよくないので、これは再検討する必要がある。大臣がちょっと出ていってしまったので、これは私の持ち時間の中でまたやらしてもらわなければいけませんから、そういうときにやらしてもらいます。これは納得できないのです。あなた方からいただいたこの資料の中でも料金の問題はたくさんありまして、いろいろ論議をしてみなければならぬ問題がたくさんあるときに、片一方でどんどん先走ってそういう話が進んでおるというのは全くナンセンスな話ですから、これは納得できません。  もう一つ、この資料の中でお聞きをいたします。  皆さんからいただいた資料の中の二十一条第三項、政令です。「特別第二種電気通信事業と一般第二種電気通信事業とを区分する基準」、このことについて「回線の具体的な数については、検討中である」、こうなっておるのです。特別第二種と一般第二種の区分というものが全く不明確であります。これは一体どういうことなのか、この内容をひとつ示してもらいたい。
  30. 小山森也

    小山政府委員 特別第二種と一般第二種、これを区別するというそもそもの考え方でございますけれども、特別第二種は、第二種事業の中でも不特定かつ多数のユーザーを対象とした全国的、基幹的ネットワークサービス、それと国際的なネットワークサービスを提供する事業、こういったものでございまして、これをなぜそういったことで分けるかと申しますと、やはり不特定多数というのは非常に広がりを持ったネットワークでございますので、通信の秘密の漏えいなどの利用者の利益の侵害とかシステムダウン等による通信の途絶というようなことは、社会的、経済的影響が極めて大きいというところから、特別第二種と一般第二種に分けたわけでございます。  それじゃ、その分け方はどういう基準にするかということでございますが、これは法律にも書いてございますが、第二十一条第三項に、「当該設備の規模が電気通信回線の収容能力を基礎として政令で定める基準を超える規模であるもの」と申しまして、回線の収容能力を基礎とするということが法律にございます。  それでは、回線の収容能力というのはどういうことにするかということで政令を決めるかということでございますが、これは先ほども御指摘受けましたように、法律ができる前に政令の内容を言うのもどうかと思うのでございますけれども――どうも失礼いたしました。(武部委員「人が聞いたことに答えなければいかぬ」と呼ぶ)政令は法律ができてからつくるものでございますけれども、私どもの予定としておりますものを申し上げますと、全国的規模でサービスを提供した場合、五つ程度のサブセンターが必要ではないかと思っております。そういたしますと、一つのセンター当たり仮に一万の端末を収容する必要がある、こういうのが大体今までの経験値から出てまいります。そういたしますと、一つのサブセンターで一万の端末を収容するということになりますと、おおむね千二百ビットの回線換算で百回線程度が必要である。そういたしますと、全国で五カ所のサブセンターということになりますと五万端末、それから千二百ビット換算で五百回線程度の規模、これが大体何といいますか境界線になるのではないか、こういうように考えて原案をつくりたいと思っております。
  31. 武部文

    武部委員 これに反対しておるのが通産省でありますね。あなたが今おっしゃったのは、一万単位、五万端末で五百ということですが、通産省はどういう主張をしておるのですか。通産省と郵政省との間にこの話し合いがつかなかった、したがってこれは検討中だ、こういうふうに理解をしておるのですが、この点いかがですか。
  32. 小山森也

    小山政府委員 私ども、今、通産省から反対という意見はまだ聞いておりません。
  33. 武部文

    武部委員 そうすると、この「検討中」というのは郵政省だけで検討しておることであって、ほかの方は何もこれに対して口を挟んでおるものは一つもいない、そういうふうに理解していいのですか。
  34. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、政令の発案元である郵政省の原案をそのようにつくっていきたいということでございます。
  35. 武部文

    武部委員 いや、それはわかりました。わかりましたが、もう一つここに口を出そうとしておる通産省は、あなた方の基本的な考え方に賛意を表しておるのですか、それとも違ったことを言っておるのですか、こう聞いておるのです。
  36. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ政令というようなことについて各省協議というようなことを行動としてできる状態にありませんので、まだやっておりません。
  37. 武部文

    武部委員 えらいしつこいようですが、通産省の意向というものはそれじゃ全然あなた方としては知っていないということですか。
  38. 小山森也

    小山政府委員 今のところ聞いておりません。
  39. 武部文

    武部委員 わかりました。  今、新聞その他で、今度の法律改正によって新規参入が可能だというので、あちこちでいろいろ新しい名前の会社の設立が準備されつつあるようであります。いろいろな名前の会社ができ上がりつつあるようであります。そういう会社は採算がとれる、もちろんこういう考えに違いないと思いますけれども現実には、問題になっておるように、もうかるところしか手を出さぬ、これは明らかな事実であります。そういうときに、光ケーブルあるいはマイクロあるいは通信衛星、そういうものを使ってこれからの幹線を確保していくという動きがあり、いろいろ報道されております。私ども素人でよくわかりませんから、この機会に端的に数字を聞かせていただきたい。光ケーブルを東京-大阪間に新設した場合には一体どのくらいの建設費が要るか、それが仮にマイクロ方式になったときにはどうなるか、それはどの程度の回線数をとれるものか、ちょっとこのことを知らせてください。
  40. 小山森也

    小山政府委員 精度の高い形で積算したわけではございませんので、まことに粗い数字になって申しわけないのでございますけれども一つは光ケーブル方式の場合でございます。これは東京-大阪間に新設いたすとしまして、土地代などを外しまして、回線数は約五万回線で四百五十億円程度かかるのではなかろうか、これは無論非常に粗い数字でございます。また、マイクロ波方式でやりますと、同様な形で同様な回線数で百五十億円程度の投資ではなかろうか、このような推定値を下しております。
  41. 武部文

    武部委員 今マスコミをにぎわしておるのは、特に東京-大阪間を限定してどの程度の需要がありどの程度の費用が要るかということをそれぞれ研究に入った、こういうことでありますから、これからもし仮にこの法律が通って新規参入が認められれば、いわゆる東阪の間において我々は相当な競争が生まれてくるだろうと予想ができるわけであります。  そこで、参入の仕方についていろいろあって、私どもは、幹線については電電公社が電報あるいは電話全国一律にやるべきだ、こういう見解を持っておるわけです。第一種の参入の事業者の名前が、国鉄とか建設省・道路公団、京セラ、経団連、電力、いろいろな形で手を挙げつつあるようでございますが、第一種の新規参入、そういうものが実現をすればいわゆる公正な競争をもたらす、このように郵政省は思っておられるだろうか、私はその点について非常に疑問に思うのであります。例えば新規参入をやってくる会社、あるAという会社にしましょうか、新規参入をやってくる会社の勢力が極めて大きい場合、従来どおり新電電は市内電話部門の負担をしなければならぬ。さらには多ルートによるところのいわゆる電話の確保をしなければいけませんから、信頼性の確保をこれからもずっと続けていかなければならぬ、多額の基礎的研究費も要る、こういうことになってくるわけですが、そういういわゆる国益に係る問題については新電電、この会社は多くのハンディを背負わされて出発しなければならぬ。例えば、福祉電話の問題にしても、緊急電話の問題にしても、あるいは災害の通信の確保にしても、研究をずっとこれから続けていくとか、いろいろな面で大変なハンディがあるわけです。それを持たぬ新規参入者が大きければ大きいほど、これは公正な競争にならぬのではないか、このように思われますが、これについてはどう思われますか。
  42. 小山森也

    小山政府委員 新規参入者の場合でございますけれども、確かに、これは利益率、利潤の上がるところから敷設をしていく、そういった会社をつくり運営していくという傾向は当然出てくるであろうと思うわけでございます。ただ、その場合、いろいろ電気通信の経緯を考えてみなければ結論は出せないのでございますけれども電電公社が今まで積み上げました一つの実績というものがございます。それと同時に、新規参入者が電電公社がやっているサービスと同じサービスをやるということになりますと、なかなか事業拡張はできないので、電電公社あるいはこれからの新電電が行えなかったようなきめ細かいサービスの部門に入ってくることが想定されるわけでございます。全く同じような形での役務内容というのではなかろうと思っております。また、そうしますと、これは従来のトラフィックを、一つのパイを大勢で分け合うということではなしに、トラフィックそのものが増加してまいりまして、パイが大きくなるということになると推定しております。  これは電気通信のこれからの発展の模様等を考えますと当然考えられるわけでござまして、そのような形になりますと、今度は市内回線網を持っている電信電話株式会社というようなものは従来の需要に増して新たな需要を得る。また、幹線だけの新規参入者でございましたら、今度は加入者線の通信というのはどうしても新電電に頼らざるを得ないというので新たな需要が開拓されるということになるのではないかと思っております。ただ、片方におきまして、新電電会社というのが全国あまねくという形の電話での役務というものを背負っております。そういった意味でハンディではないかというお説でございますけれども、これは全国一単位としての会社になるわけでございまして、市内回線網の中にも当然利益の上がるところもございますので、直ちにそれがハンディとなっていくということには考えられないのではないかということを推定しているところでございます。
  43. 武部文

    武部委員 あなたの最後の言葉は市内料金の値上げをやったらいいじゃないかということが裏にあるように思いますね。市外と市内との料金の関係をあなたは指しておるように私は思うのだが、それはそれでいいでしょう。  きめ細かいサービスが入ってくると言ったって、新電電はとにかく人のやらぬものをやらなければいかぬのでしょう。災害通信にしたって緊急通信にしたって福祉電話にしたって。例えば一一〇番、一一九番、料金を取らない、そういうサービスもみんなやらなければならぬ、あるいは通話数の非常に少ない、コストの面で高くつく、そういうところもやらなければいかぬ、そういうものと、新しく入ってくるものは、東阪なら東阪だけやるということになってくれば、今言ったように新入の勢力が強ければ、物すごく大きい場合は、ハンディがあるために電電公社との間には公正な競争にならぬじゃないかと言うことができるし、逆に今度は、入ってくる新規参入の力が極端に弱い場合には、これは基本サービス部門というのは規模の経済が支配するわけですから、そうなってくればその新規参入者が弱ければ弱いだけ著しく損をする、公平な競争にならぬ、そういうことが考えられるでしょう。ですから、大きければ大きいだけでもまた問題、小さければ小さいだけでも問題。だから、限られたところだけに入ってくるようなそういうやり方で新規参入の第一種を認めれば、公平な競争にならぬじゃないかということを私は思うのですが、それについてはどうですか。
  44. 小山森也

    小山政府委員 部分的な参入でございましても、同一のそういった部分的な重複するところにおきまして競争原理が働きまして一つの市場価格が形成されるということは、やはり利用者側にとりましては非常に有利な条件をそこから、事業体からは受けられるということになろうかと存じます。ただ、部分的であることと総体的であるということとの差でございますが、これは一つ法律の枠組みということではなしに、一つの現象として考えた場合に、新電電会社は従来の独占体制というところから生み出された資本力、技術力を擁しておりますし、また、従来どおり全国一を営業エリアとする事業体でございます。したがいまして、これに対して全国的な規模における採算というのは十分とれるだろうと思います。  また、今度は過小な場合の新規参入者の場合はどうかという御説でございます。これにつきましては、新電電が従来からの実績というようなものと巨大な収入と資産それから巨大な従業員というもので事業を運営しているわけでございますので、そういった意味で公正な競争を維持するための社会的な一つの責任を持って対処してくれるものと思っております。
  45. 武部文

    武部委員 この問題はもっと時間をかけて論議しなければいけない問題ですから、この短い時間でできませんから、これだけにしておきます。  そこで、もう一点、五十一年の国会で情報基本法の問題について大臣答弁がありました。あれから全く進展をいたしませんが、今度の法律の改正に関連をして、これこそまさに情報基本法というものが必要な時期が来たのではないか、このように思うわけですが、郵政省はこの基本法について、国会大臣の発言その他の経過を見て、今日どのように考えておるか、それを述べていただきたい。
  46. 小山森也

    小山政府委員 御指摘のように、五十一年、当時の郵政大臣国会で情報通信高度化基本法を提出したいということを申されております。これにつきましては、当時の状況と今現在またはこれからの状況とはかなり変わっていると思います。一例を挙げましても、今回の法案提出というようないろいろな背景を考えましても、電気通信をめぐる環境というのは五十一年当時と大きく変わっているということは御理解いただけると思います。したがいまして、五十一年当時の御答弁申し上げたこととは内容を若干変えるというか幅を広げまして、高度情報社会を支える情報通信基盤を整備するということは非常に大事なことだと思っております。  したがいまして、こういった電気通信の高度化及びトータルネットワーク化を促進するという点から、一つ電気通信の高度化に関する指針の策定、それから第二に基礎的研究開発部門の体制整備、第三に電気通信事業の育成振興、第四に標準化の推進というような内容を盛り込んだ電気通信の高度化のための基本法を制定する必要があろうと思っておる次第でございます。
  47. 武部文

    武部委員 基本法の制定について、それをやる意思が郵政省にあるというふうに理解していいですね。
  48. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  49. 武部文

    武部委員 時間が来ましたので、それでは総裁にひとつお伺いいたしたいのでございます。  きょう私がこの三法案について質問をいたした中で、総裁が就任をされてからの電電公社のあり方について、私の見た目で、間違いがあるかもしれませんが、私は私なりに見てそのように思って発言をしたわけであります。今日百年を超す電信電話事業、それがまさに画期的な大変革をするかどうかという法案の審議にかかったわけであります。総裁は、今日までの任期中に、きょう述べましたように、電電公社経営形態あるいは事業内容あるいは労使関係、将来のあり方、いろんな点についていろんな施策を講じてこられた。これについて私どもはいろいろ高い評価もしておるわけでありますが、総裁が就任をされて今日までの任期中にいろいろ体験をされた中で、やはり公社公共企業体ではだめだ、民営にしなければならぬというふうにお考えになっておるのかどうか。我々は、少なくとも、今の公共企業体の中で欠陥である財政法の枠に縛られたり当事者能力がなかったり、そういう点について徐々に欠陥を克服していくことこそが、今日電電公社が拙速をしないで効率化、能率化を上げていく道ではないかと思っておるわけですが、きょう申し上げるように、競争原理民営というものが同時にやってきた、このことについて総裁はどういうふうに考えておられるか述べていただきたいと思います。
  50. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもの考えでは、一番根本的に考えなければならないのは、いろいろ例外はございましても、今日までの私どもの仕事と申しますのは電報と電話である。しかも、その電報がだんだん世の中から御要求が少なくなりつつある。実質言えば電話で来ているわけでございます。したがいまして、現在の制度といいますものは、電話を完全に国営事業として運営するということに視点が置かれておるわけでございまして、しかもそれは一元的に運営するという建前になっておりますので、そういうことで今日までの歴史をたどってまいったわけでございますが、最近の技術の進歩が現存する通信線の性能を根本的に変えるということになってまいりました。したがいまして、世の中のいろんな御要求に応じてこの変わった通信線の性能のいろんな組み合わせで、いろんな姿でいろんな目的のために提供することができるようになりましたし、またそうしないと日本の社会のこれから先の動きというものに非常に大きな障害を与える。殊に国際的な立場で見ますと、これが非常に緊急な問題であるというふうに考えるようになってきたわけでございます。  そうしますと、これは例えば悪いかもしれませんけれども、例えば我々の服装なんかでございますが、メーカーが一つであって、幾ら知恵を出しても、果たしてそれでたくさんの、一億近い皆さんの御要望に十分にきめ細かく対応できるような芸当ができるであろうか。ちょうど私どもが一元的にやっておりまして、そういうふうなことが果たしてできるであろうかということには多分に疑問を持っております。そういう多様化された性能の幅の広くなった技術能力を世の中に十分に役立たせるためには、まず、一元的な経営システムというものを直して多元的なものにするということと、それからもう一つ、この法案で私ども当事者として非常に大事なことだと思っておりますのは、第一種業と第二種業と切り分けられたということでございまして、第一種業種と第二種業種が切りかえられたということは、しかもその第二種業種が、ほとんど自由業としてたくさんの方がたくさんの目的のためにたくさんの知恵を出していただいて、そこから我々の設備に対する技術的な能力に非常に多様な御要望が出てくるということになってくるわけでございますから、そうしますと、やはりさっき局長からお話がございましたように、新規参入にも電電と全く同じ姿の新規参入ということはあり得ないと思います。いろいろな新規参入は新規参入の技術的な特性を持った形で出てくるだろうと思います。  そういたしますと、その技術的特性に応じた線の使い方というのが、多様な考えでたくさんの方がおやりになる第二種電気通信事業者の方々との勉強によって、使い方に対して急速な発展が出てくるだろうというふうに考えるわけでございます。また、そうしないと、現在の日本電話線の使い方の姿とアメリカ電話線の使い方の姿にかなり大きな差がございますけれども、この差がどうして出てきたのだということをよくよく考えてみますと、やはり根本的な原因は、一元的な経営のあり方ということに固執するための法体系というものが非常に大きな邪魔になっておったということは、私ども否定できないと思います。  ですから、私どもとしては、当事者といたしましてそういうことを考えますと、どうしても第一種と第二種に切り分けていただいて、第一種は第一種として特性ある設備を持ち出しながら競争する、第二種の方はまるで自由競争でやっていただくということで、第一種業と第二種業の間に、お使いになる方と設備を提供する私どもとの間にそこに技術競争が起こる、また、お互いの同業者の間に技術競争が起こるということによって急速な発展が、それ以外に方法が現在の社会機構の中じゃ考えられないのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で、私どもは、これから先のしばらくの間、何とかかんとか言いましても、実質上半独占に近い姿になりますので、その間にできるだけのことを自由にやらしていただいて、そういう新しい体制に即応できる自由を与えていただきたいというふうにお願いしておるわけでございまして、しかしながら、今からの問題でございますので、どうなるかわからないのだという面も多分にございますので、五年以内あるいは三年以内に見直しという見直し条項がついておるというふうに私どもは解釈いたしておるわけでございます。第一種業と第二種業と切り分けられて、一番大事なことは、第二種業は自由である、そして、それがたくさんの方がたくさんの使い方の知恵を出していただく、それが自由に実行できるということが今度の法体系で一番大事なことではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。  私どもは、見直し期限の来るまでの間に、今、先生の御質問の中にいろいろな疑問なり何なりがございましたが、そういう問題に対して全力投球して対応する体制を自由な体制をつくらしていただきたいというのが当事者としてのお願いなんでございます。
  51. 武部文

    武部委員 私の時間も過ぎましたから、きょうはこれで終わります。
  52. 志賀節

    志賀委員長 次に、鈴木強君。
  53. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私は、大臣総裁最初お伺いしたいのであります。  提案されておりますこの電電改革民営化法案は、電気通信事業の持つ最も重要な公共性というものよりも、効率化とかあるいは活性化というものを最優先しているものであると私は思います。我が党は、これまで電気通信事業が、今日までの経過から見まして、今も質疑がございましたが、国民共有の財産である、こういう立場に立って経営のあり方について一つの提案をいたしてまいりました。大臣も我々の意見はよく聞いてくれました。しかし、結果から見ると、我々の意見は取り入れられないままに、拙速に民営移行の結論を出したことは極めて不満でございます。したがって、私はこの三法案に賛成することはできません。  ただ一つ、この法案が、臨調答申の中で示されておりました分割、電気通信事業を分割するというこの点を配慮したことについては、私は評価をいたします。今、当院の福永議長の手元に、この三法案に反対する二千万人を超す著名請願書が届けられております。これは百十四年にわたる日本電気通信事業の運命を決める重大な本三法案に対する国民の関心がいかに深いかということを如実に、端的に示す証左だと私は確信をいたしております。したがって、私はこれらの皆さんの願いとお気持ちを体して以下質問をさしていただきたいと思います。  最初に、今、武部委員から御質疑がございました中で、外務省はまだ来ておりませんので、その分は後にいたしますが、郵政大臣に特にお聞きしておきたいのは、株式配当益と株式売却益の使用の問題でございます。これは先般、私も本会議の質問に立たしていただきましたが、その節、大臣は二色にとれるような回答をしておるわけでありますが、政府保有の株式配当、株式処分益の処理はどうするのか、「関係の向きと検討してまいりたい」というふうに簡単に答弁しておりますね。もう一つは、使途が決まっていない、「また、国の一般会計の赤字補てんのために民営化を行うものじゃないということを明確にする必要がある」、これはちゃんとこういうふうにお答えいただきました。株式売却益は、電気通信技術の研究開発の推進あるいは電電債の償還のために使うべき筋のものではないか等々、意見がある、したがって関係の向きと相談してまいりたい、こういうふうにお答えをしているのであります。  今、武部君からいろいろと質疑がありましたが、この点がまだ極めて不明確でございますね。政策局長答弁でも納得できない。だから、そういう意見を体してこれから協議するということだと思いますけれども、もう少し今日までの歴史をたどり、これが国民共有の財産であり、そして電電事業というものがここまで来るのにはどんな苦労をしてきたか、そして一方では借金を五兆三千億も持っておる、一兆円以上に及ぶ利益を一般会計に召し上げられてしまう、そういうふうな中で、当然、今この中にありますような電電債券の償還のために使うべき筋のものではないかというような意見があるということでなくて事実そうなんですよ。だから、私はこの点をもっと明確にしていただきたい。そして関係の筋というのは恐らく大蔵大臣でしょうね。例えば資本金として株を一兆円発行した場合に、それは所管はだれが持つのですか、大蔵大臣ですか、郵政大臣ですか。政府が全部保有するわけですから大蔵大臣でしょう。ですから、そういう意味によると、この関係の向きと相談するというのは、結局大蔵大臣だと思いますが、郵政側がここでへこたれたのじゃだめですよ。筋があり正論なんですから、命をかけてもこの実現のために努力をするという毅然たる態度をここで大臣からも表明しておいていただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  54. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生のそういった御趣旨を体しまして実現に努力いたします。
  55. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 実現に努力しますという極めてそっけない答弁です。  私は情熱を傾けて心の底から訴えておるのですよ。二十五年間国会でこの仕事に携わってきた私のみずからの体験を通じてこれは正しい、絶対譲ってはいけないという信念を持っておるのです。大臣、あなたは就任以来大変よく勉強もしてくれた、私は尊敬しておりますよ。ですから、そっけない返事のようだけれども、腹の中ではちゃんとしているとは思うが、これは議事録に残るし、大蔵大臣も筋論として一般会計にというようなことを言っておりますけれども、今は竹下大臣ですが、大蔵省がやったのですから必ずしもこの事実を忘れてはいないと思うのです。ですからよく話せばわかってくれる。だから、もう少し熱情を込めて我々の願いがかなえられるようにひとつやってほしい。重ねて大臣答弁を求めます。
  56. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の長い間の電気通信事業に寄せられておる情熱、そしてまた今回の法案によって公社民営化されるに至った、そういった形で先生にとってはこの公社に対するいろいろな面での御愛情は格別のものがあると思っております。  確かに御指摘のとおり、公社の蓄積した財産は国民の共有の資産でございますし、株式の処分に当たっては、国会の御承認を経ながら、この使途についても当然活発な御論議が展開される過程の中で決めていくべきものであろうと思っております。したがって、その公社の沿革をたどっただけでも、これらから出る売却処分益はすべからく電気通信事業技術推進を中心にして、ひいては国民に還元されるべき性質のものでございます。その点の趣旨をよく踏まえまして、熱情を込めまして、そして先生の御趣旨を体したような方向で全力を挙げてまいるということでございます。
  57. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでわかりました。その熱情をもってひとつぜひ進めていただきたい。  それから、今も述べましたように、民営移行ということが少し唐突の気味がする、拙速主義の気味がするのです。後で外務省からアメリカからのいろいろな圧力のあったことも聞きたいと思っておるわけですが、いずれにしても、今、御指摘のありましたように、我が国電気通信事業においては現行の公社制度というのはだめなんですよ、全く当事者能力がなくて実践力もない。提案されたときには高賃金高能率ということが言われておったのですが、現状はそうではないですよ、これは全く禁治産者みたいなものです。蛇の生殺しみたいなものです。ですから、私どもも現行公社制度はだめだから直しなさいと言ってもう三十年近くやってきたのですけれども、時の政府はなかなかこの改正をしてくれないのです。そういう中で四千三百万の加入者電話をつけたわけでしょう。申し込めばすぐつく電話、どこへでも通ずる電話というように大変な偉業を達成してくれたわけですから、これはああいう不利な公社制度の中で私はよくやってくれた、こう思っているわけです。ですから、その改正を、武部委員もおっしゃったように、やるべきですよ。それを一挙に民営に行った、そういうふうなところが私たちにはどうも納得ができないのです。  今二十一世紀に向けて高度情報化社会が展望されております。これに対応するためには、従来の同軸ケーブルからマイクロウェーブというふうに伝送方式が変わってまいりました。さらに光ファイバーや衛星通信というのができてまいりまして、多彩なサービスを効率よく運用するためにディジタルネットワークというものが今、導入されているわけです。そして今までは電話とかテレックスとかデータとか別々に通信網を持っておったものが一本でやれるということになりまして、そこに今、公社が進めているINS構想というものが出てきたわけです。これによって多様化する国民のニーズにこたえ得た情報というのが十分提供できると私は思うのです。なぜ民営に移行しなければならないかということが私にはどうしてもわからないのです。新規参入をしてみたところで、アメリカの例を見ても、まずATTがああいう形で独占体制に入っておりますけれども通信というのはそういう必然性を持っているのです。  私、先般アメリカに行ってまいりましたけれども、一九八三年度の推計でありますが、例えば市外通信サービスのシェアにおいてATTが全都市をカバーして三百四十億ドル、七億八千四百億円の市外通信料金収入というのを上げているのです。そしてそこには八千六百万人の加入者がございます。ところがマイクロウエーブを使ってやろうとしたこのMCIというものはわずか十五億ドル、日本の二十四倍のアメリカの領土の中で三百七十五の都市しかやっていない。加入者は幾らか、百五十万しかないのです。そのほかスピリット社にしてもわずか八億ドル、九十万の加入者しかない。ですから新規参入なんというものはなじまないのです。郵政省も向こうの勉強をしているでしょうし、電電公社も勉強しているでしょう。拙速でなくてもう少しよく勉強した上でそういうものをお出しになればよかったのじゃないですか。  私の本会議の十二の質問の中でもまともに答えられたものはないじゃないですか。この法案をごらんなさい。百近い政令や省令にゆだねてどうなるかさっぱりわからぬというのがこの法案なんです。これを審議しろと言ったって無理なんです。だから、民営化にした理由というものをこの際もう少し明確にしてもらいたいのです。本会議で総理にも聞きましたけれども、総理の答弁というのもこれまたちっともわからぬのです。ただ効率的だ活性化だ、二つに分ければいいのだというようなことしかないのでございますから、ぜひひとつ、この際改めて民間に移行する理由は何か、そういうことをお答えいただきたいと思います。  念のために、中曽根総理の本会議における御答弁は、高度情報化社会への先導的役割を果たしていくため、競争社会への政策転換を図って、サービスの向上と事業体自体を効率化させるためだと言われております。だから、公共性とか通信の秘密とか低廉な料金で確実に安全に、これは法案の中にそれがないとは私は言いませんけれども答弁には全然そういうことは触れていない。民間企業に対して今もうかる電電事業というものを売り渡してやるのだというふうにとれる。そこに武部委員のおっしゃったようないろいろな問題が出てくるわけです。この六月三日の週刊読売を私、拝見しましたけれども、「資本金一兆円の巨象「新電電」の登場で何が起こるか」という記事を読みましたけれども、なかなか大変なことが書いてある。これは総裁もお読みになったと思いますが、この中で間違ったところがありますか、総裁。  そんなわけですから、ひとつ委員会ですから、国民だれが聞いても、なるほどそれは民営はいい、国民のための電話なんだ、私たち国民がよくなればいいのです。いかにしたら国民のためになる電話をつくれるか、この一点に集中して今まで意見を出してきた、ところがそれがそうでない。そしてそこに働く職員も幸せにならなければいけません。同時に、これを経営している経営者というのもよくならなければなりません。そういうことが、三つが整って初めて私は立派な経営形態だというふうに思うのですね。どうもその点がしっくりしない。もう一度一つ詳しく、どうして民営にしたのか、御答弁をいただきたいのでございます。
  58. 小山森也

    小山政府委員 御指摘のように、国内にありましては電電公社、国際にあっては国際電電、この一元的運営体制、これのメリットというのは非常に大きなものがあったと思います。特に、電話加入の積滞の解消とか、全国自動ダイヤル化という、これは非常に大変なプロジェクトだと思いますけれども、これが達成できたということ、これは電電公社という組織が非常に活力のある活動をし、さらにそこの従業員が全力を振るってこの目標達成に向かったということの結果だろうと思われますし、確かに相当な評価できる成果だろうと思うのでございます。  ただ、この三十年にわたります多大な成果というものも、いわゆる電気通信分野における環境が変わってきた場合、やはりいつまでもそれだけにとどまっていないで、次のステップを踏まざるを得ないのがこういった組織を考える場合の必然的な条件ではなかろうかと思うわけでございます。  簡単に申しますと、いろいろなメディアが出てまいります。メディアが出てまいりましたのを、今でも確かに電電公社は非常な努力をもって、多くのメディアに対して対応するための努力をしているのは事実でございますし、それにかなりの対応力を見せているのもこれは評価すべきだろうと思います。ただ、しかし、どうしても単一事業体で行うことには限界というのはあるわけでございまして、やはり全般にわたりましてカバーするということは、同時にある部分におきましては薄さもあるということになります。そうなりますと、電電公社という大きな組織体で、全国をカバーする非常に優秀な組織体が行うと同時に、それをカバーするもう一つのあるいは複数事業体がこれと同時に存在するという方が利用者にとって利益になるのではないかというように判断したわけでございます。複数事業体導入することが今後の高度情報社会に対応するためのよりよい政策ではないかというふうに至ったものでございます。  それでは、この複数事業体をとることと、電電公社民営化することとどこでつながってくるかということでございます。このように複数事業体で行うということになりますと、先ほど先生もご指摘になりましたように、本来ならこの公社制度というのは、本来の制度はそれほど硬直化したものとは私ども思っておりませんけれども、事実上の歴史の中で、かなり不自由なものになってしまっている。ということになりますと、この積み上げのままで、複数事業体の中で、競争原理の中で生き抜いていくということはなかなか難しい状態である。むしろもっと主体性を持たせて、経営自主性を持った形で、常に経営主体の意思を持って仕事をしていくという条件を与えるべきである。そういうことになりますと、やはり他の事業体との関係において、ここに民営というものを導入して、そのような形で、一つの使命を持ちながら、かつ民営形態をもちまして、自主的な判断のもとに事業を運営していくことがよりよい形で電気通信日本全国において発達させるゆえんではなかろうか、こう思う次第でございまして、それが今回の政策導入ということになったわけでございます。
  59. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりません。十人の人にわかったか、手を挙げろと言ったら、一人か二人かな、恐らく八人はわからぬと答える。同じようなことを言っているわけですから、聞く方も張りがないわけですけれども、だからといって、そのままにしておくわけにはいかない。大体、電政局長、あなたの方でも最初、今の公社でいいと、自主性があるというようなことを言って、盛んに我々もレクチャーを受けたことがある、そういう案を我々のところに持ってきた、それがどういうわけか知らぬが、ある日突然、百八十度変わっちゃって、民営民営だと旗を振っているわけです。それはどういう心境の変化だろう。公社法が硬直化しているとは思わないが、不備のあることは認めるということを言いましたね。私は、硬直化しているし、不備だと見ているのですよ。だから、これを本当に当事者能力を持たせ、自主性を縛らないようにして、自由闊達にやらせればやれるわけですから、そういうことをやらないで、そして一挙に民営に持っていった。最初は、公社の方が民営よりもいいのですということも伺っているだけに、余りにも行政サイドにおける変革というものが、どこでそうなったのか知りませんけれども、そこのところはどうなんですか。いつ宗旨がかわったのですか。
  60. 小山森也

    小山政府委員 お説のとおりに、公社制度というのは、本来、発足したときには、このような硬直した形といいますと、ちょっと語弊がございますけれども現実には非常に自主性のない形になっておることは認めざるを得ませんし、当初はそういったものを予定していなかった公社体制だと思うのでございます。それを本来の公社というものはそうでないと、もっと自由濶達なものであるということの基本に立ちまして、改革することも一つの手法でございます。  ただ、その場合に、現実に今までの三十年の積み上げによってもたらされたところのいろいろなしがらみといいますか、それから運営の仕方、これは何も公社に原因しているものではないのですけれども、客観的なそういった今までの運営の仕方において、そういう状態になってきていることも事実でございまして、そういった場合においては、やはりここで電気通信技術の環境とかあるいはこれを受け入れる社会環境が変わってきたという機会に、一挙に新たな体制に移すことの方が、むしろ電電そのものも活性化し、新たな主体性を持った経営ができることも、第三者の内外ともにそれを認めるような一つ体制ができるのではないかと思っているわけでございます。
  61. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 どうもどんと胸に落ちてなるほどというような答弁は、あなたは矛盾を感じながら言っているように受け取られるのですね。やはり公社賛成だ、賛成だと言っておいて、こうひっくり返っちゃったものだから、ちょっと心の中にひっかかりがあるように聞きました。しかし、今ここで、この問題をもう少し徹底的に詰めようとしてもちょっと無理だと思いますから、ほかに譲ります。  大臣も御就任になられて、公社形態三十二年の歴史を御勉強になられておるので、釈迦に説法で恐縮ですけれども、国鉄、専売ができまして、その後日本公共企業体というものはどうあるべきか、その実績に立って、昭和二十九年、石坂泰三先生が委員長になりまして、それから今度三十一年に、もう一つ公共企業体審議会というのがございまして、当時、総理大臣から諮問をして答申が出ておるわけなんです。それを見ると、もう公社予算制度を撤廃して、もっと思い切って自主性公社に与えなさいというのがあるのですね。そういうのがあるにかかわらず、私は参議院当時から毎年予算委員会でこれをやってきた。検討しますと歴代総理大臣が言って、とうとう今日まで三十二年間検討で終わってしまった。そういうところに大変な問題が残っておったわけです。ですから、本当を言えば、もう少しそういう問題についてメスを入れて、本当に労使一体になって血みどろになってとにかく頑張ってきてこれだけの偉業をなし遂げたんで、本当によくやったなと僕はつくづく感心して感謝しているわけですけれども、それができておったらもっとよかったのです。  いろいろな問題も出てまいりました。悪いことは悪いですけれども、しかし、制度そのものが極めて窮屈でどうにもならない中に、やはり労働意欲を持って働く人たちにやってもらうのにはいろいろな施策もあったでしょう。私はそう思います。悪いことは悪いとして厳粛に見直さなければならぬと思いますけれども、制度がやはりそれとの関係がないとも言えない点があったわけです。これはここで言ってもしょうがないですけれども、そういう歴史的な経過の中で、私も当時国会へ来ていろんな先生方にお願いしたことを覚えているのです、昭和二十七年当時。だから、そういうことを考えながら申し上げているわけで、制度の問題についてももう少し早くやってくれておったらよかったのになと、これは悔いになりますけれども考えているだけに、何とかこの内容について、私たち、どうしたらいいかなということを考えて質問をしているわけでございます。  大臣も同じようなことを言うでしょうから改めてお聞きしませんが、真藤総裁も御就任以来大変御苦労いただいておりますが、御就任以来主に力を入れてこられたのはこういう問題だと思います。電政局長から伺いますと、郵政省電電公社とは十分に連絡をとってこの話は進めてまいりました、こういうことを私たちは伺っているんです。ですから、電電公社総裁として御就任以来、この民営化問題についてはどういうふうなお考え方で対応されてまいったのか、そこのところをちょっと聞かしてくださいませんか。
  62. 真藤恒

    ○真藤説明員 今度の法改正につきましては、基本的に私どもと世の中とのこれから先の将来の姿というのを、さっきの答弁の中に申し上げたように考えておりますが、そうなってきますと同時に、電電の過去の創立以来の歴史をいろいろたどってみますと、そういう新しいまるで違った世の中の要求に多角的に多様に敏速に対応しなければならぬという形になってきますと、どうしても先生のおっしゃいます経営自主性というものと、それに基づく経営の責任をノーエクスキューズで持たなければならない。逃げ場のない立場にまず自分たちを押し込んでおいて、そしてそこから一般の企業並みの自由を持たしていただいて、もちろん公共事業という特殊な制肘が残るのは当然でございますが、そういう形で対応せざるを得ないということになりますと、今の日本の社会制度の中では、現在の法案のようなことで具体化するよりほか方法はないなというふうに考えまして、この法案ができ上がるまでの間、郵政御当局と緊密な勉強会を通じてこういう法案ができ上がったというふうに御了解いただきたいと思います。
  63. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 結論として総裁は、出されております三改革法案については何点ぐらいの点をつけるのですか。
  64. 真藤恒

    ○真藤説明員 百点と申し上げたいところでございますけれども、世の中に百点というものはございませんので、どんな難しい試験でも八十五点とっておれば通るようでございますから、八十五点以上あるというふうに考えております。
  65. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ですから、この法案には満足はしてない、問題点はある、こういうふうに理解をしておきたいと思います。  そこで、外務省が都合があるそうでございまして、先ほどの武部委員法案提出背景のところにちょっと戻らしていただきまして外務省にお伺いをいたしますが、詳しいことは、私、時間がありませんので、五月十五日の内閣委員会のやりとりをずっと武部委員おっしゃっておりましたが、申し上げませんが、問題はこの法案背景というか、作成過程においてアメリカの通商代表部から日本に対していろいろな注文が来たと思うのです。これは我が国通信の主権の問題にもかかわるような問題だと私は思いますから、特に来てもらったのですが、郵政省側からの意見は電政局長からさっき述べられたのでわかりました。わかりましたというのは、事実は別関係として聞いたのですが、外務省として、特にVANの外資規制、これは通産省と郵政省と激しいつばぜり合いをしておったときだと思うのです。両大臣間でもなかなか意見がまとまらないというときに忽然としてあらわれたのがマンスフィールドさん、安倍外務大臣に会っております。そして外資規制の問題等について話があったのでしょう。電気通信分野であるということが明確になったことはいいと思います、VANにしても。ところが外資規制を全く外してしまった。郵政省は外資の規制をやっておったはずです。それがあのときを契機にして規制をなくしてしまった。特別第二種についてもそうであります。ですから、そういう点がここで明確に電気通信の主権にかかわった、介入したとかいうことは私は申し上げませんが、本会議の私の質問なんかも若干入れておったのですが、通産省に通信分野の面では勝った。ところが外資の面では負けた。相打ちというような考え方になるのですか、これはなぜ規制を外したか、そこがよくわからないのです、簡単に言うと。ですから、そういう面を、アメリカ圧力とは言いませんけれども、いろいろな注文があって、それによって急遽是正されたものだと思いますから、時間がありませんから、外務省、概略答弁してください。
  66. 恩田宗

    ○恩田政府委員 先生の御質問の趣旨にぴたっとしたお答えになるかどうかわかりませんが、米国側は当初から、一般的な問題としまして、日本企業が米国で得ておると同じような待遇を、日本で米国の企業が得るのが日米間の関係からいってバランスのとれた関係ではないか、そういう点については十分日本側も考慮してほしいという要望は出してきておりました。そういうバックグラウンドのもとでいろいろな問題が議論されたと思いますが、具体的に外務省が御意見なりあるいはそれを申し上げた経緯がありましたのは、我が国はOECDの資本自由化コードに加盟しておりまして、その第三条によりますと、「公の秩序を維持し、又は公衆の衛生、道徳及び安全を保護すること。」その他の理由ですね。特別に規定された理由を除いて、ほかはできるだけ加盟国が企業の内外の差別を撤廃するように、こういうことでございますので、それはやはり十分日本としても考えていく必要があるのではないか、こういう趣旨でございまして、今般でき上がりました法案は、そのような日本世界における経済的な立場、それから責任、それから日本の国際的に負っております条約上あるいは規定上の義務というものを十分御判断の上、郵政大臣が御決定になったものというふうに私ども判断しておりまして、この法案自体については、それに十分なこの御判断信頼しているものでございます。
  67. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 郵政省は、外資規制はやるということで当初の原案に載っていましたね。それが外れてしまったことについて、あなたはそうおっしゃるけれども、結局、そのことが結果的に外資の規制をなくしてしまった、自由化してしまった、そういうことなんですよ、これは。だから、外交官ですから言い方はなかなか上手に、揚げ足を取られないように述べているけれども、体裁よく言っているけれども、実際にはそのことが現実にあったことは事実でしょう。あって、そしてそのことによってこうなったということだから。要するに、外務大臣アメリカの方に書簡を送っているでしょう。本当はこういう電気通信自由化なんというものは十年もたたなければできるものじゃない。それがこのことによって一挙にやられちゃったというのは、そんな回答をやっているじゃないですか。だから、外務省は誇りにしているのじゃないですか、これをやったからえらい早くなったといって。それでアメリカの方へ手紙をやっているのじゃないですか。
  68. 奥田敬和

    奥田国務大臣 このことは事実問題で余りくどくどと申しませんけれども、マンスフィールド大使が私を訪問された経緯も事実でございますし、ブロック書簡を何も外務大臣だけに届けたのではありません。私にも同様な文書というものを正式にブロックさんからいただいたことも事実です。内容も子細に検討いたしました。しかし、先ほど来担当局長から申し上げましたように、あくまでも、今度の通信事業に並み並みならぬ決意で臨まれておるということに対する向こうの敬意を表するという形と同様に、できるだけ規制は緩和する方向で努力していただけないだろうかという御要望であったことは事実でございます。ですから、アメリカ側の圧力に屈したという事態では決してありません。  私も当初、この法案郵政省案に当たりまして、原則自由、しかし緩やかな外資の規制で担保しようと思ったことも事実でございます。その理由は、外国の巨大な技術を持った資本が乗り込んできて、例えば第二種VAN事業においても、一社独占で相手を寄せつけないで、相当なソフトの技術、ハードの技術も踏まえて、巨大な資金力とそういった技術力を背景にして一社独占で席巻するおそれなきにしもあらずということを非常に恐れたわけでございます。  しかし、その後、公社を初めあらゆる通信技術系統の皆さん方、あるいは将来ユーザーとなるべき企業の皆さん方の自信のほどもお聞きをいたしました。その結果、原則自由で緩やかな規制を設けるという体制から、これを一つの二種事業として、ある程度世界に先導的な立場ではございますけれども、一挙に二種事業の内外無差別対策を打ち出しても、日本の在来の、現実にもうVANは稼働しておりましたから、もう現在でも既に三十七のシステムは動いているのと同じことで、全国VANの規模を持ったものは電電もございますし、そういったことから、これは外資規制は取っ払ってもよかろうという、いわば決断を下す段階に至った経緯がそこにあるということでございます。その点だけはぜひ、アメリカの要望はありました、要望はありましたけれどもアメリカ圧力通信主権を侵され、干渉されるような形の中でそういった政策的決断を判断をしたのではないということだけははっきり申し述べておく必要があると思います。
  69. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 事実経過としては、大臣、よくわかります。ただ、大臣の初志が貫徹できなかったことも事実です。要望であっても、話がなければ恐らく大臣の初志が貫徹できたかもしらぬ。あるいは通産がぐずぐず言ったかもしらぬ、だけれども、そういう要望があって、やはりあなたの考え方も変わったということは事実ですよ。人間というのは確かに困ったことがありますよ。どうしたらいいかなと思って悩む、そのときに第三者が、何を言っているんだ、こうしろと言えば、ああそうかといって決断することがあるのですね、事実。これは人間の心理というのはそうなんですよ。大臣もそういうものが作動したんだな。  だから、それは表現上、介入したがごときというようなことで、圧力を加えたがごときというように私は言っているわけですよ。ですから、決してその介入したとかなんとか――最終的には大臣の御判断でやったのでございましょうけれども、最終的な決断をするときには、今もお話があったように、やはり当初の、原則自由、ある程度の規制をやらなければならぬ。IBMやATTが入ってくる、一体この巨大企業が入ってきてどうなるんだ、これはもうみんなが心配しているところですから、だからこそあそこに規制をかけていくということが大事だということを我々は考えておったから、この面については、郵政省原案を見て、よくやったなというような気持ちも率直に持ったのですよ。ところが要望が出て、最終決着は大臣の決断で、それはわかりましたけれども、そういうようになった。ですから、まあいろいろ言い方はあるでしょうけれども、要望によって大臣の決断が決まった、こういうことでしょう。ですから、ぐらついてしまった、そういうことだと私は思うのです。  それでは、これはこれにして、次に、情報化社会に対する基本政策について若干触れておきたいのですが、今、郵政省は、テレトピア構想というのを持って盛んに宣伝をしておりますね。それから通産省の方では、ニューメディア構想というものを持ってやっているわけですよ。さらに電電公社INS構想というものを出して今やっておる。これは三つが絡み合ったような格好になっているのですね。そうして今、通産省から全国の各地方自治体に、おたくの方ではニューメディアはどうですか、こう言って売り込みをしているのですよ、売り込みと言うと悪いですけれどもね。郵政省も同じようなことをやっている。郵政省は十カ所、通産省は七カ所を指定してその構想をやろうとしているのですよ。電電公社は膨大な光ファイバーを使ってのネットワークをつくり、三鷹でやっているようなああいった模範的な情報をやろうとしているわけですね。これは混乱している。地方の自治体へ僕が行くと、鈴木さん、通産からこういうのが来ている、郵政からこういうのが来ている、電電はINSというのをやるようだ、一体これはどれがいいんだ、どうしたらいいんだ、こういう質問があるのですよ。混乱しているのです。迷惑をかけているのはその地域の地方自治体です。だから、なぜこれを統一できないのか。  これは郵政大臣の所管だと思いますから大臣に伺いたいのですが、私たちは今までも、情報基本法というものをつくって、その情報基本法に基づいて、二十一世紀に向けて我が国の情報はどうするかということをやりなさいと強く言ってきたわけです。ところがそれが、さっきの公社法の改正じゃないけれども、横っちょへ置かれて、何も動かないうちにこういうものが勝手に動き出してきているのです。だから困っているわけですから、やはり主客転倒している。したがって、その情報基本法というものをつくって、それに基づいて、それは郵政なり通産なり電電公社が大いに協力をして協議して、どうしたら国民のためになる情報ができるかということに思いをいたして考えていけば、そうすれば、私はこういう混乱が起きないで済むと思うのですよ。これに対して、最初に郵政、通産からもお伺いしたい。あとはまた大臣から。これが今の状態ですよ。
  70. 小山森也

    小山政府委員 テレトピア構想とニューメディアコミュニティー構想、これにつきまして、非常に紛らわしいではないか、特に地方ではいろいろ混乱を生じているというお話でございます。ただ、そのほかにINS構想について言及されましたけれども、これにつきましては、INSというのはテレトピア構想の内容として非常に重要な基幹的なものをなすものでございまして、このINSというのは独立しているわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。  通産省との関係でございます。私どものテレトピア構想というのは、今度、通信体系、法体系を改正して新たな高度情報社会というものに対応するインフラストラクチャーの建設あるいは電気通信の高度化というものに対応する法体系であろうと思いまして出しているわけですが、問題は、この高度情報社会というのがどのような形で我々の生活にかかわってくるかというのは、日本はもとより世界じゅうでもまだ体験していないわけでございます。そういたしますと、こういうような未体験のものをなるべく早く我々の身近に実体験として実現した、高度情報社会の中で特に通信インフラストラクチャーでございますが、これを建設して、まず第一に技術的に問題が一体どういうのが起きるかということ、それからまた制度として今の制度というものが、法体系はつくれたとしても運用としてどういう運用をするのが高度情報社会に向けて適切なものであるか、またさらに実際の社会生活の中におきまして、どの程度の通信支出というものが家計によって負担できる限界であるか、そうならばその中におさめるように行政的な努力をすべきであるということのめどをつかむべきである、これをなるべく早く、通常の社会ではなかなか年数がかかるのでございますけれども、時間を早めて、そういう客観情勢のもとの都市をつくろうというのがテレトピア構想でございます。  なお、通産省もお見えになっておるようですから、そちらについては申し上げませんけれども、私ども聞いておりますのは、通産省としては、そういった一つのネットワークといいますか通信インフラストラクチャーを実際に生活の中へ応用する場合にどのような状況が出てくるかという、これは試験実施であるというふうに聞いております。郵政省の場合は、試験実施ではなしに実用化でございまして、なぜ実用化にしたかと申しますと、試験実施というのは大体財政支出でもって補助金などが出ております。そういたしますと、補助金が出ているうちにはいろいろな方々もこれに対していろいろな実験端末とかというので真剣にやっていただけるのですが、補助金が切れますと、途端にそういった実験から遠ざかるということで、実用の社会とはちょっと違った社会ができてしまう。したがって、資料もそういったところで実用の場合とは大分違うというところから、実用としての都市構想、こういうことで考えている次第でございます。
  71. 牧野力

    ○牧野説明員 通産省でございます。ニューメディアコミュニティーにつきまして簡単に御説明をさせていただきます。  今、小山局長からも若干御紹介がありましたけれども、私どもは高度情報化社会の円滑な実現を図るために、地域コミュニティーにどうこの情報化を進めていくかということから問題を考えておるわけでございますが、その場合に必要なのは、それぞれの地域によって通信あるいは情報処理設備技術の高度化に結びつけるニーズがいろいろ違います。それぞれのニーズがどういうふうになっているかという、いわばニーズ面、ソフト面から接近といいますか問題を考えようということでございまして、私どもでは御案内のように流通の問題を所管しておりますし、流通団地の中ではどういうような情報システムがいいか、あるいは生活産業局その他で地場産業というものをいろいろ所管をしておりますけれども、そういったような地域においてはどういうようなニーズがあるかあるいは研究開発都市型とかいろいろございますが、そういったそれぞれの地域の特性に応じてどういったニーズをくみ上げ、それを新しい通信情報処理の技術につなげていくかという観点からニューメディアコミュニティーという構想を出しておるわけでございます。先ほど先生から御指摘がございましたように、本年度七地点を選定いたしまして概念設計をするということになっているわけでございます。  いずれにいたしましても、地域社会の情報化あるいは地域における情報ギャップの解消といったような点におきまして、究極的には考え方はあるいはテレトピア構想と同じかとも思いますが、アプローチの仕方はいろいろあろうかというふうに思っております。私どもといたしましては、ソフト面あるいはニーズ面からこれに接近をするということでございますが、いずれにいたしましても、必要がありますれば、これは関係各省と十分協議をしてやっていきたい。いずれにいたしましても、先生御指摘のように、私ども考え方をよく御理解をいただきまして、仮にもいろいろな混乱が生ずるということのないように、ここは今後とも十分に配慮していきたいというふうに考えております。
  72. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 両省ともどうしたら高度情報化社会に向けていいものができるかという観点に立って研究をされている、そのことは私はいいと思うのですよ。大いにその研究をしていくことはいいのですが、問題は、例えば通産省のニューメディア構想を見ますと、まさに衛星を使って、それからもっと先に行くと国際ネットワークや海底の光ケーブルまでつながるようなことが書いてあるからね。これは通信分野を侵しているのだ。だから、ネットワークというのは電電がINS構想で今猛烈にやっているのですから、そういうものをどう活用するか、それに対してどういうものがいいかということになったら、これは電電公社と十分連絡をとる、それから郵政省とも十分に連絡をとってこういう仕事を始めているのか。必要があれば関係各省とも相談してなんということを言っているのだけれども、その点はどうなっているのですか、通産省。
  73. 牧野力

    ○牧野説明員 現段階におきましては、先ほど小山局長もお答えになりましたけれども、今とば口にあるといいますか、これから大いにいろいろな面でやっていくわけでございまして、私どもといたしましては、現段階では、先ほど申し上げましたように、ニーズ、ソフトの発掘、それをいかに概念設計をしていくかということでございますので、今のところ、特に郵政省さんのこの構想とすり合わせといいますか、ここのところは違った局面を持っておりますので、私どもの今の考え方に沿って予定どおり地域の選定等を進めさせていただきたいというふうに考えております。
  74. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはだめだ。少なくとも通信分野にかかわるような問題が中に入っているわけだから、これは郵政省と十分連絡をとり、電電公社の方とも連絡をとってやるべき筋ですよ。大臣局長はあなたのところの所管だけれども、きょうは通産大臣は来ていないのですね。だから、事務屋さんですから、やはりその点はよくわからぬと思うのだ。だから、事務屋が理解しておかなければこれはだめなんですよね。したがって、こういう問題についてはもう少し各省がすり合わせをして重複しないように、やるとしても、いかにしたら効率的にいい成果を上げるような、例えば試験として結論が出せるかというような、そういうふうにしてもらいたいのですよ。  それからもう一つ一緒に、私がさっき言ったように、やはり情報基本法というものをつくって、もちろんいろいろな未知の点もあると思います。ですから、こういうことをやった上で情報基本法をつくるということも一つの方法だと思いますけれども、それでは今言ったように、各省間話もしないで勝手にいろいろなものをつくり上げてしまうから、やはり基本法というものが先になければいかぬといつも考えてこの主張をしてきたわけですよね。それが後回しになっているから、こういう結果になったわけですから、ひとつ閣議等におきましても、大臣から今テレトピア構想、ニューメディア構想、こういったものがあるのですけれども、ぜひひとつ各省が連絡をして、電電等が連絡をし合って、どうしたら友好的にうまくいけるかという観点に立って御検討をいただくと同時に、情報基本法というものをできるだけ早く国会へ提案するような御配慮をしていただきたい、こう思っておりますので、大臣考え方をお聞かせください。
  75. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御意見に反論するような形になりますけれども、ひとつお許しいただきたいと思うのです。  私は決して通産省に味方して言うわけじゃありませんけれども、いろいろな形で自治体がうろたえておられるという実情の御指摘もございました。私はうろたえておるのが本当だと思うのです。それはやはり今日のようなCアンドCというか、コンピューターと通信技術のドッキングしたような形の中でいろいろなメディアをどういかに使っていくかということは、自治体にとってもまだ未知な、モデル都市がないわけですね。ですから、INS構想で三鷹でこの十一月から公社も実験開始いたしますけれども、これも一つの形ですし、通産省がやろうとしているのは、要するにソフトの面から地域の要望をできるだけ今日の情報処理技術の中にいかにして生かしていくかという相談役になってやろうという構想だと思うのです、はっきり言えば通産省の構想は。  郵政省の場合には、むしろハードの面に重点を置いているのです。電電と協力いたしまして、ディジタルのそういったサービスネット網をまず形成する、これには大変な巨額な先行投資、お金がかかります。こういった形を全国十都市ぐらいの指定基準を設けまして、これをやった形の中でこれはいろいろな面に利用できる、そういったディジタルサービスが可能になる形のまずハードのネットを構築してやろう、そしてその市なり県なりの地域要望に合った、例えば医療福祉型でこのメディアを生かそうとか、あるいは学習型でホーム学習でこのメディアを生かそうとか、あるいは観光産業に密着させた中でやろうとか、あるいは行政効率を上げるために、ひとつこういったディジタルのネット網というものを最高度に生かしてやろうとか、こういったどちらかというと、通産はソフトの面、郵政のテレトピア構想は、ハード面の構築からまずお手伝いしてかかろう、そして都市の個性を生かした形での相談に乗ってあげようということで、到達するところは一緒でございましょうけれども、入り口が多少違うということになろうかと思います。  今言ったように、これが全国的に展開されていくと、実験段階から実用段階、実用段階からもう既に普及段階、こういった移る過程の中では当然通産側とも相談してまいりますし、通産も我が方に相談してくると思います。今のところはともかく実用実験までに至るまでの間の模索と言ったら無責任と言われるかもしれませんけれども、だれも今まだ、経験して実際にできたものを見て、それで都市としてのモデル都市はどこかと言われるとないわけですから、ひとつ郵政省のつくるモデル都市がいい効果を発揮するか、あるいは通産側の、例えば問屋センターとかそういった団地の中での商業流通の面におけるソフトの面の方がうまく早く成功して地域ニーズに合うことができるか、これはやはりひとつ大いに競争、競合し合って、横割りの通信行政全般は郵政が担当することは当然ですけれども、縦割りの中のアイデアというものの中でどちらが先に行き着くかと言ったら悪いですけれども、そういった形をやることにおいては、私は基本的には賛成でございます。
  76. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは反論ですから、私もここであなたとやりたいのだけれども、時間が制約されておりますから、また別の機会にしたいと思いますが、概念的にハードとソフトのつかみ方についても、どれがハードでどれがソフトか、ここから論及をしなければならぬのですよ。そして通産がやろうとするニューメディア構想というものがどういう回線を使ってやるのか、今私がちょっと申し上げましたように、衛星まで使われ、光ファイバーや海底線まで使っていこう、そういうのが地図に書いてある。そうなると、やはりこれは通信主権の問題にかかわるのじゃないか。したがって、当然郵政省として相談して、こういうふうにしなければならぬということで、入り口で何もしないでおいて後で相談だなんて、そんな無責任な答弁はないよ、大臣。これは討論会でやれるのならおもしろいんだな。もう少しあなたとやってみたいんだけれども、ちょっと時間がないから、そういう意味において言っているのですよ。  ですから、もう一つ大事な情報基本法の問題については、できるだけ早くこれは出してもらいたいと思いますが、それの答弁を漏らしちゃった。
  77. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かにこれからはいろいろな面のメディア利用に関して、標準化なりいろいろな形での通信事業そのものに関する基本的な法案は必要になってくると思います。そういう方向で現在電気通信審議会に大臣としても諮問をいたしておるところでございますし、ことしは三事業法案を抱えておりますから、明年度の重要な一つの方向に基本法が登場してくる、またその形の方向で準備を急いでおるということでございます。
  78. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それで一応おきましょう。  次に、法案の中を見ますと、政府の関与が非常に多い。これは効率化と活性化により国民のニーズの多様化に柔軟に対応し得るようにすると言っているのですけれども法案内容を見る限りにおいては、許可、認可、届け出、登録、それに加えて百に近い政省令によってがんじがらめになっているというわけですから、経営自主性というものが果たしてこれで十分に確保されたと言えるかどうか、大変問題があるように私は思います。臨調の方でもできるだけ当事者能力を持たせ簡素化していくというのが趣旨のようでございますから、そういう趣旨から見ても、若干この法案は縛りが、規制が多過ぎる。それは会社法と商法と二重に来るわけですから、ある段階ではまた会社法でやっておって商法をかぶってくるということもあるだろうし、また商法の方に移譲しなければならぬということもあるでしょうし、当初は政府の全額出資ですからある程度のことはわかるとしても、少し絡みが強過ぎるように思うのです。この点はもう少し省政令の内容等を見た上で質問をすることにいたして、きょうはそういう意見だけ述べて次に移ります。  その次に、今度事業計画でございますが、事業計画の認可については、本会議の私の質問に対して「事業計画の内容についても予算統制的なものにならないように十分配慮してまいりたい」という御答弁をいただいておるわけでございます。また大蔵大臣も「事業計画及びそれに添えて提出されますところの書類がどのようなものになりましょうとも、これによって新会社の弾力的な運営が阻害されることはないようにすべきである、このように考えております。」竹下大蔵大臣からの御答弁がございます。  そこで、事業計画の内容なんですけれども、考えられるのは建設計画とかサービス計画とかございますが、そのほか収支計画、資金計画というのがあるわけですが、要するに、自主性を阻害しないように予算統制的なものにならないようにというこの御趣旨は、例えばの例でありますが、収支計画とか資金計画というようなものは、これはもう厳然たる認可の対象ではない、建設計画なりサービス計画というもののみが認可の対象だ、こういうふうに明確に大臣はおっしゃっていただきたいのですが、その点はよろしゅうございますか。
  79. 奥田敬和

    奥田国務大臣 事業計画が認可事項になっておりますけれども、今、先生のおっしゃいましたように、当事者能力を大いに発揮して効率的経営という形の中で、それらをまた新会社の職員にも、そういった利益が十分持ってもらえるようにというのが一つの大きな今度の民営化の目的でございますから、予算統制的な形あるいは資金計画等々にわたっても、何かと干渉がましいような形はいたしません。文字どおり認可事項として受け身の形で、こちらは適正な事業計画であるという形において当事者能力をうんと発揮していただくということで、それ以上の関与はいたしません。
  80. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その点はわかりました。  それから、附帯業務と目的達成業務のことについてちょっとお伺いしますが、法案に言うところの附帯事業、目的達成事業というのは具体的にどういうものでございましょうか。
  81. 小山森也

    小山政府委員 これは具体的にといいますと、現段階で固定的にはなかなか申し上げにくい。と申しますのは、附帯業務とか目的達成業務というのは事業体がその自主性を持ちまして、いろいろなアイデアでもって目的を達成する業務であるとか附帯業務であるというのをまず考えまして、その後弾力性を持ちまして認可にかけるということですから、今からこれが附帯業務であるというような形になりますと、逆に拘束するような形にもなりかねないと思います。  ただ、しかし、現在公社が行っている業務の中でという例示で申し上げますと、附帯業務というのは、無線呼び出しサービス、これは簡単に申しますとポケットベルサービスでございます。それから天気予報、時報サービスというように、本来業務の利用を増大する業務と位置づけられるものでございます。また目的達成業務として位置づけられる業務といたしましては、国際協力業務とか遊休資産の利活用に関する業務というようなものが目的達成業務の範疇に入るものと思っております。  無論先ほど申し上げましたように、これは限定的なものではございませんで、機能いたしました場合においては、事業体においていろいろ創意工夫を凝らすということの余地は残っているものでございます。
  82. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 では、ちょっと整理してお伺いしますが、今、局長から御答弁がありましたように、現在公社通信役務としてやっております業務ですね、例えばポケットベルとか天気予報サービスとか時報サービスあるいはPBXの問題がございますね、郵便貯金のオンラインなんかの問題もそうだと思いますし、それから運輸省のやっておる車検、こういったものも入るのじゃないでしょうか。あと例えば電話番号帳の発行とか救急電話の問題等もありますね。それから職員の訓練、料金徴収、研究開発、案内業務、こういったものは当然電気通信事業遂行上必要なものとして、附帯業務とは言わないで、今言ったような問題についてはもう認可でない、こういうふうに受けとめていいのですか。
  83. 小山森也

    小山政府委員 今現在行っております。そのようなものは、改めて認可するというようなことはなしに、自動的にそれはできるようになるというのが法の組み立て方になっております。
  84. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 では、今私が申し上げたとおりでございますと、こういうのでいいですね。
  85. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  86. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  そこで、今触れられた遊休資産の活用ということが附帯業務の中に入ってくるわけですが、おとといの日経新聞を見ましたら、ここに持ってきましたけれども、これは真藤総裁にちょっとお伺いをしたいのです。  これは「不動産事業に進出」こう書いてあるので、新電電は不動産まで手を出すのかというような声も聞きましたけれども、よく聞いてみるとそうでなくて、今の遊休的な資産、不動産といったものを活用して地域住民との連携を強め、その地域のためになるようなものをしようというものは附帯業務として認める、こういう趣旨だと思うのですね。  この内容を読んでみますと、DDX化によって交換機能も小さくなる。したがって、今の二分の一あるいは三分の一で済むようになる。そういうところを活用していくんだ、こういうような趣旨ですから、これは総裁、そういう意味ですか。この「土地売却、ビル賃貸」、これは「共同出資の新会社」と書いてあるのですから、電電公社が直接附帯業務でやれるわけです。遊休資産の活用という意味においてですね。共同出資でやることは自由ですね。出資は自由ですから。これはどういうふうな考え方なんでしょうか。
  87. 真藤恒

    ○真藤説明員 その記事は私ども直接関与せずに出ているわけでございますが、具体的にそういうふうな問題につきましては、今、先生の御質問の中にありましたように、どういう形で持っていくのが我々の法改正後の現実の姿に一番妥当な姿かということを今、模索していることは事実でございます。  私どもが今度法改正された後競争原理で自立していかなければならぬということになりますと、現在持っております。そういう固定資産というものも、その地域に応じた最も有効な利用の仕方をやっていく、それによって通話料の値下げの一助にもするというのが私どもの義務だと思っておりますので、やらなければならぬことは確かでございますが、やる形ということについては、最もそういう目的に沿う有効な形に持っていきたいと思います。ですから、もちろん本体の中でやる性質の業務であるとは思っておりません。
  88. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうすると、新聞に出ておりますように、経営主体というのは共同出資による新会社を考えておるというふうに聞いておいていいですね。
  89. 真藤恒

    ○真藤説明員 もちろんこの法案が通過した後の問題として考えておるわけでございます。
  90. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 次に、電報業務についてちょっと伺いたいのです。  電報事業というものは、電電公社の現在におきましても、電報と電話というのは車の両輪でございまして、これはどうしても電電公社がやらなければならない事業でございます。明治以来百十四年の歴史を持っている事業でございます。確かに千二百億ですか赤字が出ているということも聞いております。したがって、この事業について今後いろいろと何かの施策をしていくことについて私は否定はいたしません。だが、しかし、今度の法案を見ると、第二条に「国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で提供することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与する」ものとする、こう書いてある。電報が抜けている。いろいろ調べてみたら、附則の第五条に「当分の間」新電電と国際電電が行うことになっている、こうなっていて、日本電信電話株式会社法というのは一番大事な電信が抜けてしまって、「当分の間」といったら、どこかで消滅するのでしょう。今四千万通の電報がある。これは事実でしょう。ですから、この前佐藤委員の質問に総裁がお答えになっておりましたけれども、この法体系について、まずこれは電政局長、なぜ第二条の中に「電報電話」というふうに入れなかったのですか。それならいいわけです。よくわかる。どうしてこんな附則に「当分の間」なんて書いたのですか。
  91. 小山森也

    小山政府委員 お説のように、電報は現在でも四千三百万通ということでございまして、大きな役割を果たしておりまして、重要なそのものを決して否定するわけではございませんが、この場合の第二条に書きましたのは、現時点におきます最も国民の生活にとって必要性の程度の高いものを挙げたわけでございます。  それともう一つ理解いただきたいのは、この法律において電気通信役務というのはどういうものであるというのはどこにも出ていないのでございます。昔の公衆電気通信法においては電報とは何か、電話とは何か、データ通信とは何かというのが出ていたのですが、今度の法律の中では、これからの電気通信の役務というのは非常に変動が激しいということで、省令でそれぞれの役務を規定していくということになっております。  それと同時に、この本則の中に入るのは、いずれも競争原理導入するという原則で入っているわけでございます。例えば電話にいたしましても、競争原理導入しても可である、よろしいという形のものが本則に入っております。ただ、電報については、これは競争原理になじまない。そういたしますと、本則ではなしに附則の方で、独占的に電電株式会社が行うあるいは国際電電株式会社が行うのだということを規定することは、本則の中に入れることはなじまないということになるわけです。しかし、附則の中において位置づけることは、これが独占的に両電電で行うということに位置づけることになるわけでございます。
  92. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それは納得できません。少なくとも会社法第二条に「電話」という字が入っているわけですからね。あなたが言うと、もう電話が主であって電報はどっちでもいいんだというようにとれるじゃないですか。少なくとも現在の電気通信事業と言えば、電報から始まって電話に移行し、電話が発達するに従って電報がだんだん減っていった、その後にデータ通信というのが入ってきたという歴史的経過を見ても、電報事業というものが果たした我が国における政治、経済、文化の先駆としての役割ははかり知れないものがあるのですよ。それは四千万通であっても我々にとってはなくてはならぬ電報なんですよ。それが数が少ないからといって、会社法の第二条で電話だけ役務を適切にやれといって、それなら電報は適切にしなくてもいいのか。そんなばかな話はないですよ。電報というのは、赤字があるから民間なんか引き受け手がない、迷惑千万だ。自由化するならこれも自由化してどうぞやってくださいというのが自由化じゃないですか。明らかにもうからないやつは電電公社にやらしておこう、これは差別扱いでもあるのです。そうでしょう。だから、そういう理屈は通らないのだよ。ここのところは私どももいろいろ考えてこれから相談したいと思っているのですけれども、こんなまま子いじめのように外側に置いて、大事な神様、仏様と言って手を合わせて拝まなければならぬものをこんな扱いをするのは実にけしからぬ、私はそう思うのですよ。  あなたは逓信省の当時に入ったわけですか。逓信省に入ったのは郵政省にも二人しかいないそうだね。時には歴史を勉強しなさいよ。現状だけに追われていたのではだめだ、歴史というのは過去があるのだから。過去をたどって、いかに電信というものがあったかということを考えれば、こんなところに据えたら罰が当たる。これは我々の先人は泣いているよ。その辺を政治に携わる者は――もう局長ともなれば次は次官になる、政治家に近い。これはちょっと認識が足りない。これは今後またやりますけれども大臣、我々もみんなで相談しますが、この扱い方は少し我々にしてはだめだ、納得できないところなんですよ。今、答弁を求めても、局長が言っているのであなたはそれ以上のことは言えぬと思うが、我々は我々としてまた考えますけれども、こういうやり方はもってのほかだ。  労働省に来ていただいておりまして大変済みません。それから公取からも来ていただいておるわけですが、それを抜かしてはいけませんから、先にそちらの方をお伺いします。  まず労働基本権の問題ですが、これは私、本会議でも労働三法の適用に対していろいろな御配意をいただいたことについては大変感謝申し上げるということを述べておきましたが、問題は、特例を設けていることに対して、将来的にはなるべく早い機会にこれを削除するという考え方を持ってもらいたいなというふうに思うのですよ。  今度の法律の改正に伴って労調法第八条、附則の三条の4の改正等によってスト禁止期間が十五日間になっているわけですけれども、これは常識のある労働組合員がこれからやっていくわけですから、あの戦後のストライキ至上主義のようなああいう時代とは違うのですよ、世の中が変わってきているのだから。あなた方は世の中に、変わるように変わるようにと言うのだから、やってもらいたいな、こう私は思っているのですが、きょうは大臣に来てもらえなかったので、労働省から来ていただいた平賀審議官に、ひとつ何とかそういう方向にできるだけ努力をしていただきたいという私の願いというとおかしいですが、考え方に対してどういう答えをしてくれますか。
  93. 平賀俊行

    ○平賀政府委員 お答えをいたします。  御質問のように電電公社は、公労法で全面的な争議の禁止の体系から、今度の改正によって労調法、労組法の適用によるいわば民間の法体系に移るわけでございます。ただ、電電公社であったときと新しい新会社の業務というのは、電電公社のときと全く同じような業務を行う、いわば公衆の生活あるいは国民経済に極めて重要な役割を果たす。それと、今申し上げましたように、労使関係法制が全く転換をする、こういうことで、当面の措置として調停で、もし争議行為があったときにできるだけ速やかに解決をして、この間十五日間に限り争議行為を遠慮していただくというような形の暫定措置を設けたわけでございます。もちろん私ども電電公社であったときの労使関係の状況については十分承知をしておりますし、結局のところは、こういう問題については通常の円満な労使関係で物事を解決することが必要であることは十分認識しております。  今後のこういう措置でございますが、新しい法体系のもとでの事業のあり方とか、あるいは新しい会社が出てくるかとか、今後の労使関係の変化等を見ながら、私どもとしてもこの法令のあり方については将来的にも考えていきたいと思います。
  94. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間がありませんので、ぜひ前向きに検討をしていただいて、できるだけ早い機会に特例の措置を排除をしていただくというようにお願いをしておきます。  次に、公取にお伺いしたいのですが、今の独禁法からいって、例えば電電公社が今後三年たったそのときに、依然としてシェアを九〇%確保している。アメリカでも今八五%から九〇%近くATTが持っているわけですね。向こうでは独禁法の違反で訴訟になって七つに分割しててんやわんやだ。電話なんというものは要らないと言う人が出てきてしまったね、これは向こうへ行ってみて実にびっくりしたのです。今度はこの法案にはそれがないのですが、独禁法がもしシェアの点で、例えば三年たってなおかつ電電が九〇%のシェアを持っておるというときに、独禁法が発動されてこれを分割するとかなんとかということが、このままの独禁法では私はできないと思うのだが、その点はどうかということを明確にここで答えてください。
  95. 糸田省吾

    ○糸田説明員 現在、御審議いただいております法案によりますと、これまで公社が国内の電気通信事業分野で独占的に事業を行っていたわけでございますけれども、それに新規参入が可能となるというわけでございまして、いわゆる競争原理導入されることになるわけでございます。  その場合に、一般的に申しまして独占禁止法の適用もあることは事実でございます。例えば、ある事業者が他の事業者事業活動を排除して競争制限するような行為をするとか、不公正な取引を行って公正な競争を阻害するおそれのある行為を行うといったようなことになりますと、これは独占禁止法上問題になる行為であろうかと思います。一方で、今、先生からもお話がございましたが、この法案施行されてどうなるかわかりませんけれども、当分の間、事実上新会社の独占的な状態と申しますか、シェアの高い状態が続くというお話でございましたが、そういうシェアが高いということ、そのことが独占禁止法でどうかということでございますが、独占禁止法では、ある事業者が市場で高いシェアを占めているということそれ自体と申しますか、そのような状態それ自体これを直ちに問題とするということにはなっていないわけでございます。  なお、御参考までに今申し上げますが、独占禁止法にはある産業が独占的な状態にある場合に、これは慎重な手続のもとに競争を回復する措置を命ずる、そういった制度が設けられていることは事実でございます。ただ、この場合でありましても、今申し上げました独占的状態というのは、独占禁止法によりますと、極めて簡単に言えば、シェアの点で一社五〇%を超えておる、あるいは上位二社で七五%を超えているというシェアが高いということだけではなくて、それに加えまして、新規参入が困難な状態にあるとか、あるいは価格が下方硬直的で利益率が著しく高い、あるいは販売管理費の支出が著しく過大である、そういったいわゆる市場における弊害がある場合のみを言うわけでございまして、これまたただ単にシェアが高いということだけを問題とするわけではないわけでございます。したがって、弊害が生じない限り独占禁止法で問題となるということは考えにくい、かように考えておるわけでございます。
  96. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 よくわかりました。  それでは時間がもう五分ですからきょう最後の質問になりますが、これもちょっと質問として適切かどうか私も判断に迷うわけですけれども、ただ、今回臨調答申があったにかかわらず分割ということをあえてやらなかった、これは私はよかったとしみじみ思っているのです。というのは、先般アメリカに参りまして実情を調べてまいりました。近藤先生も調べておられまして、私もちょっと参考に資料をいろいろいただいたのでございますが、とにかくこれはひどいものです。完全にクリームスキミングをやられて経営のバランスが崩れてしまっている。やはりATTが大半を占めている。それからBOCの会社も料金を値上げしなければどうにもならぬ。要するに、これは市内外ともそういった問題を含め料金問題が出ておりますし、特にアクセスチャージについては、今FCCでいろいろ問題になっている。ダイヤルは複雑化してくる、料金請求書は複雑化してくる、保守の責任でも今まで電話一本かければすぐ来てくれたのが、なかなかそうはいかないというのでプラス面は全然ないのです。  ですから、将来、日本電気通信事業がせっかくここで分割を避けているわけですから、何としても分割ということだけは避けていかなければならぬと、視察をした結果、私は強い信念を持っておるわけですから、ちょっと早いような気もしますけれども郵政大臣、ひとつそういった点もよく調べてみてください、郵政省でもじかに。ことしの一月から分割したわけですから。そしてそういう弊害が起きて、日本電気通信事業者が本当にこれではたまらぬ。もうテキサス州の知事なんかは泣いていましたね。これをやったらいいと思って協力したというのです。ところがやってみたらもう料金値上げですね。それで請求書は幾つも来る。さあこれではもうどうにもならぬ、初めから反対しておけばよかったというような意見まで飛び出てきたんです。ですから、事業の分割というようなことは、未来永劫やらないでほしいという願いを込めておるわけです。ちょっと答弁難しいかもしれませんが、私の気持ちをひとつ体して今後善処していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  97. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今度の法案ではもちろん分割はしないということでございます。今後においても見直し規定等々設けておるわけでございますけれども、これは今ほども公取の方から御指摘がございましたように、独占の弊害が強くなって、しかも不当な形での経営形態という形で競争原理が働かないというような場合を指すものだと思っております。そういったことがない限りにおいて、私たちは今日の体制一元体制といいますか、こういった形で分割をしない方向の中でこの問題を進めてまいりたい。したがって、この分割に関しては慎重に先生の御趣旨を体するような方向で、しかし新電電が、今言いますように、競争原理のもとで効率的な経営によって国民に安い料金サービスという形の利益を還元していただきたいということを念頭に置きながらやっていただきたいということでございます。
  98. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  まだ一分ぐらいありますか。――まだあるね。それでは、まだ終わったというのがあっちから来ないから、もう立っちゃったから、これはやります。最後に、済みません、委員長、お許しいただいて、実は光ファイバーにつきましては、私たちは大変な期待を寄せているわけですね。これからの情報化社会に向かって、そのネットワーク構成にはもう非常にいいということで関心が強いのですが、実はこれも日経新聞を十三日のを見たんですが、水素に弱い光ファイバー、情報伝達力が減衰というようなことで記事が取り上げられておりました。これは恐らく電電とかKDDあたりの方から情報が出たんじゃないかと思うのですけれども、せっかく実用化が目前に迫っているこの光ファイバーが水素や水に弱いという意外な欠点が出てきたわけでございまして、これを一体どういうふうに克服していくのか。被覆の部分、そういうところに何か問題があるようですが、原因は何か。そしてこれを究明して、これからの高度情報社会に向けての光ファイバーのネットワークをつくるのに支障がないのかどうなのか、ここのところをひとつ公社の方から答えてください。
  99. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  ただいま先生光ファイバーのことにつきまして大変御心配をいただきましてありがとうございました。  実は、この問題はもう既に二年ほど前から私どもが海底ケーブルを敷設いたしまして実験をしておりましたが、そのときに海底の圧力で水素がケーブルの中に混入しまして、減衰量が数%ではありますけれども、劣化するという現象を発見しておりまして、それに対しまして原因の究明とその対策を検討してまいりました。その結果、今申しましたように、水中の水素が邪魔するということと、もう一つは製造段階において燐を使用しておりますが、その燐の使用の濃度によりまして、やはり経年的に劣化するということも発見しております。このことがわかりまして、その対策も検討を終わりまして、昨年の秋にヨーロッパで光通信の国際会議がございましたけれども、そこでもう既に現象とその原因と対策について発表したところでございます。それはもう昨年の話でありまして、最近の新聞に出ておりますのは、今申しましたように、もう私どもは二年前に発見した現象であります。  それで、先ほど先生御心配の、今、日本の光ファイバーのケーブルを幹線あるいは支線を通じて建設しておりますが、既にそういう問題はわかって対策済みでございますので、御心配はないと思っております。
  100. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  どうもありがとうございました。     ―――――――――――――
  101. 志賀節

    志賀委員長 この際、公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案につきまして、議長に対し公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、公聴会は来る七月六日開会することとし、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十一分開議
  104. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  105. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回のいわゆる電電三法、この問題に関しまして、我が党といたしましては、高度情報社会への移行、そしてまた臨調あるいは行政改革という面からぜひよいものに持っていく。そしてまた、今いろいろと論議が行われているVANの問題、この自由化は非常に必要な問題ではないか。したがいまして、基本的に我が党は、この問題に関して高度情報社会への移行という面で、あるいは大枠のこの民営化、そういった面で、いかに高度情報社会が国民に対してメリットがあるのかをぜひみんなにわかっていただいて、そうして今回の法案に関して、いろいろ細かい点になりますと問題点が数多くございます。例えば、いわゆる電話VANとを全く同じ土俵でこれを論じていく、非常に難しいものがあるのではないか。確かに高度情報化社会に向かって重要なものでございますので、我が党といたしましては、基本におきましては、VAN自由化やあるいは民営化という問題で高度情報社会に移行していくというものに関しては賛成でございます。  だが、今回のこの法案をいろいろと審議していく中でぜひ明らかにしていかなければならない、こういった面に関して、まず最初郵政省にお伺いしておきたいわけでございますけれども、今後の高度情報社会に向かってどのようなビジョン、方向性を持っておるのか、最初にお答えください。
  106. 小山森也

    小山政府委員 郵政省でございますので、当然、通信という側面から高度情報社会のビジョンというのを申し上げたいと存じます。  通信世界から見ましてもどの面から見ましても言えることでございますけれども、現在の社会は、一応、物質的な豊かさを求める一つの高度工業化社会、これの成熟した段階にあるんじゃないかと思うわけです。この工業化社会から二十一世紀に向かいまして、精神的、文化的豊かさの追求とか個別具体的な欲求の充足を目的とする高度情報社会へと急速に移行していくのではないか、こういうふうに一般的な社会の見方としては考えられるわけです。  それでは、その中で情報通信の飛躍的な進歩によって促進される情報化社会というのはどういうふうに見られるかと申しますと、あらゆるものの情報化が出てくるのではないか。情報そのものの産業化というのも出てまいりますし、産業が情報化になっていく、あるいは家庭そのものが情報化になっていく、それから社会全体がトータルネットワークで情報社会の中にネットワーク化されていくというようなことになるであろう、こう見ているわけです。  そうなりますと、いわゆる社会全体がトータルネットワーク化によってもたらされるものは何かと申しますと、ネットワークというものの形成そのものが電気通信の発展によってのみ可能となるものだろうと思うわけです。したがって、電気通信は、今後の経済社会の長期的発展への原動力として、社会先導的役割を果たすことになるであろうということを高度情報社会における電気通信の位置づけとして理解しているわけでございます。  それでは、そのような電気通信の果たす役割をどのような具体的な施策をもって果たしていくかということでございますが、やはりこういった多面的な電気通信の活用となりますと、いろいろな分野において競争原理導入いたしまして、多数の事業者によって電気通信により良して社会全体の多様化、高度化に対応していくべきであろう、このように考えているわけでございます。
  107. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、電気通信事業の公共性につきましては、これはこれまで一元的運営の重要な根拠としてまいりました。競争原理導入、いわゆる民営化によりまして、この点は十分に確保されなければならない問題点でございます。しかし、この公共性は、競争原理が行き過ぎれば失われるおそれが出てきますね。しかしまた、先ほど私が申し上げましたように、VANだとか高度情報通信のこういった重要な面におきましては、ぜひ自由化をどんどん進めていかなければならない。だが、事電話という問題に関しますと、ここまで行き渡った重要なものとして、じゃただ単に競争さえしていけばいいのか、こういうことになってきますと、私どもは非常に疑問点があるわけです。したがって、今後どういう形になっていくにしましても、徹底的な審議をしていかなければならない。同時に、改める点は改めてもらわなければならない。  そういった面で要望をしていくわけでございますけれども、特に産業通信が優先され、電話など、国民生活に必要ないわゆる生活通信、こういった分野がなおざりにされた場合ですね。山間辺地あるいは離島などの非採算地域、東京-大阪間、そういうようなところが非常に採算が合う、ところが、地方だあるいはまた市内網だ、こういったところへのサービスの提供というものが経営的に困難になる、そういったものが想定されるのじゃないか。こういうことから、例えばこの前「二十一世紀の電気通信」、こういうことで、電気通信システムの将来像に関する調査研究会によりまして、昨年の八月二十九日、郵政省電気通信政策局長に報告書も提出されておりますね。そういう中にございますとおり、情報化社会が進んでいくことにより、電気通信の重要度は高まる一方でございます。しかし、特に電話のような国民の日常生活に欠かせない基本的な電気通信サービス、こういったものは、将来ともに、国民のすべてに低廉、安全、正確、こういったものが要望されます。そういった面で、私の考えをどういうように受けとめておるか。特に電気通信事業分野において競争原理導入それから公共性の確保、それとまた、今後論議を進めていきますが、電話に関しては、私は、今のこの電電、いわゆる新電電になっても独占性はどうしても排除できないのではないか、こういった懸念がございます。したがって、公共性と競争原理、独占性、こういったものが相互に非常になじみにくい一面を持っておりますね。その中で何を優先するのですか。この高度情報社会を進めていく上で、競争原理を優先するのか、公共性を優先するのか、ここはこのスタンスが大事です。この点を最初に明らかにしてください。
  108. 小山森也

    小山政府委員 一口で申しますと、競争原理導入を図ることの中において公共性を確保していくということでございますが、先生の御質問は、そんな両方が一遍に満足できるということがあるのか、その場合にはどちらを優先するかという御設問だろうと思います。ただ、競争原理導入により、目的とする競争というものが本来のとおりに機能いたしますれば、競争というものは必ずしも公共性というのを阻却しないと存ずるのでございますが、問題は競争が過熱した場合において、公共性を無視するというようなことになった場合に弊害が出るというようなことだろうと思うのでございます。競争というものが本当の意味で目的としていますものは、安くて良質でいつどこでも使えるという、その電気通信を目指すのでございますから、この競争原理というものが健全な形でもって活動するときには、公共性に沿っていると思います。  ただ、これが短期的にただ競争で成果を上げるということになりますと、過剰な競争ということになって、むしろ品質の悪いものを安く売りさえすればいいというようなことになりまして、これは本来の競争原理にそぐわないことになりますが、優秀な事業者でありますならば、必ずや長期的な形で品質を保持するということによって、お客様の要望にこたえていくんではないかと思うのでございます。  それじゃ、電気通信事業の公共性というのは端的に言って何かというこでございますが、これは経営形態の問題であろうと競争原理導入であろうと、動かない一つの問題でございまして、通信の秘密の確保とか通信の安全性、信頼性の確保というようなことだろうと思います。したがいまして、どちらを優先するということではありませんで、公共性というものを重視しながら競争原理導入ということが望みであると同時に、また競争原理の健全な発展によりまして公共性の確保をしていきたい、このように考えるわけでございます。
  109. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、論議を進めますが、今後どうしても独占性は排除できません。これは電話の問題に絞ります。そこで、第一種事業者として、現在何社か浮かび上がってきていますね。郵政省として、この競争原理に入ってくるどういった人たちをキャッチしておるのか。それからもう既に非公式にですが、申し込みでもあったのか、そういうようなものでまず名前を挙げられるところを全部挙げてください。
  110. 小山森也

    小山政府委員 正式にこれこれの新規参入をするというような形での郵政省への申し入れというものはございません。また、私どもといたしましても、そういった御相談がありましても、現時点におきましては法律がまだ成立しておりません。したがって、そういうような申し入れに対して正面からこれに対応する手段も持ち合わせてないというのが現状でございます。  ただ、私どもが非公式に入手した資料によりますと、一つは、京セラグループによる光ファイバー、マイクロ等を利用した産業用通信サービスというものを目指した構想、それから国鉄が鉄道敷地に光ファイバーを敷設して専用線等の通信サービスを提供しようとする構想、それから経団連によります通信衛星の打ち上げ構想というようなものが、私どもの正式なものではございませんけれども、内々に得た資料としてございます。
  111. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私どもも、これも正式なものではございませんが、キャッチしたところによれば、道路公団などは、今ちょっと言わなかったけれども、どうなんですか。
  112. 小山森也

    小山政府委員 失礼いたしました。  道路公団につきましても、建設省と道路公団と両者が一体になりまして、高速道路の両側に光ファイバーケーブルを敷設して、電気通信事業を行う民間会社に回線を貸す構想というようなことで取り組んでいるという資料を入手いたしております。
  113. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、具体的にお伺いします。  私、ここへ図面を持ってきました。そうでないと、ちょっとわかりにくいので。まず、ちょっと見てください。間違っていたら間違っていると……。  これがマイクロウェーブを利用したものでございます。無線伝送回線、こう書いてございます。今、京セラグループ等がマイクロウェーブあるいは光ファイバーも言いましたが、こういったもので利用しようと言っておる、こう言われましたね。これが一つ。ちょっと簡単に説明しておきますと、これは新電電、要するに今の電電。そして新しいのは青で出した。いわゆる今の説明の中では京セラグループの名前が正式に出た、そういうものがこういう形になるでしょう。そして私は、独断的に一応、東京-大阪間、こうしましたけれども、もし、まずこの第一面の図面で間違っていたら答弁してください。よく見えるかな。
  114. 小山森也

    小山政府委員 よく見えます。そのような形だろうと思いますが、ただ、京セラグループはその間に名古屋を入れておることだけが違っております。
  115. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 一応、東京-大阪間ですから、途中に名古屋がある。そんなことをここで論議しても時間のむだだ。  続きまして、同じことになるわけですが、高速道路添架による回線、これは光ファイバーになるでしょうね、どうなるか……。ここらは建設省と道路公団、そういったところが検討してこういう形になるのじゃないかと思いますが、これでよろしいでしょうか。間違っていたら言ってください。
  116. 小山森也

    小山政府委員 それなりにちゃんとでき上がっているんじゃないかと思いますが、それなりにその計画……(竹内(勝)委員「間違っているか、間違ってないか言ってください」と呼ぶ)私もそれほどの知識はございませんけれども、大体、間違っているようなことはないんじゃないかと思います。
  117. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、今度は第三番目に示したのが、鉄道のような格好をしているからすぐわかると思う。これが鉄道に、恐らくこれも先ファイバーになるでしょうね。そういう意味で、敷設した場合のものであると思いますが、これは、もし間違っている場合だけ答弁してください。間違ってないと思うから、間違っている場合だけ答弁してください。
  118. 小山森也

    小山政府委員 間違ってないと思います。
  119. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 済みません。そこで、もう一つある。これが経団連等が考えておる、ほかも考えるかもわかりませんが、今度は衛星ですね。衛星を利用した場合には、今度は土地が要らなくなる、上ですから。そこで上の方に簡単に書きました。大体こんなスタイルになるのじゃないかと思いますが、何かこれ以外に考えられるものがあったら御答弁ください。
  120. 小山森也

    小山政府委員 大体そのような形になるのではないかと思います。
  121. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、一応私、京都でございますので、ちょっと京セラグループなど興味もございますので、これは決定じゃございませんから例えばの話ですが、例えばマイクロウェーブを利用して、許認可でございますからこれはぜひ許可していただきたい、こうなってきたときに、これは許可しますか。
  122. 小山森也

    小山政府委員 電波関係のことなものですから、ちょっと私、正確にはお答えできないのですけれども、審査の上免許できるものは免許していくということになろうかと思います。
  123. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、条件に合致しておれば許可する、条件に合致しておれば全部許可するということになりますが、それでいいですか。
  124. 小山森也

    小山政府委員 周波数の割り当ての可能な限り、周波数というのは国民共有のものでございますから、そういった点で免許していくということになるのではないかと思います。
  125. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこなんですよ。例えばマイクロウエーブを利用する。電波は国民のものなんですよ。したがって、有限なのです。無限じゃないのですよ。そうすると、競争原理競争しよう、自由にしようとしておりながら、まずこれは自由にはならぬのです。  例えば京セラが一番に条件をそろえて許可してくれ、許可せざるを得ないでしょう。二番に条件をそろえて許可してくれと言ってくるでしょう。許可せざるを得ないでしょう。三番に言ってくる。許可せざるを得ないでしょう。だが、もう電波はないのですよ。そうすると、ここにはもう全部制限があるということなんですよ。自由化じゃないですよ。どうやって判断するのですか。答弁してください。
  126. 小山森也

    小山政府委員 マイクロ波回線の場合、混信妨害が生じないように無線局の置局選定ということがあるようでございますが、多くのルートを設定することが可能であるという場合においては一社のみに独占になるということはないと考えております。
  127. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、無限に許可になる、こう解釈していいですか。
  128. 小山森也

    小山政府委員 当然周波数に限界がありますから無限ということはございません。
  129. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、東京-大阪間などはマキシム、どれぐらいになりますか。
  130. 小山森也

    小山政府委員 申しわけございませんが、担当官に答えさせてもよろしゅうございましょうか。
  131. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どうぞ。
  132. 大瀧泰郎

    ○大瀧説明員 いわゆるマイクロウエーブということになりますと、確かに数多くの回線を設定することができるわけでございますが、先ほど局長からも御返答がございましたけれども、周波数的には非常に限界があるわけでございますので、どのような中継局をどこに設定するかというようなことを慎重に検討いたしませんと、何ルート通れるか、通すことができるかということは、今のところ私の口から申し上げられないということでございます。
  133. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これはもうおのずとマイクロウエーブですから限界があるわけですから、同時に競争原理を働かしていく、ましてや、今、私は何種類か挙げました。マイクロウェーブだけじゃないのですよ。鉄道の線路あるいは道路あるいは星、幾らでも出てくるのだ。そうすると、競争競争と言っている間にお互いに競争が成り立ちますか。もう需要は今後ふえる面もございますよ。ふえる面もございますが、国民利用するわけでしょう。例えばこの東京-大阪間、そこのところで関係ある国民利用する。うんと無限にふえていく、これはそうじゃないのじゃないですか。そうしますと、いわゆる需要供給のバランスからいきますと、そんなものどんどん出てきたら許可できます、そんなことできるわけないじゃないですか。ちょっと答弁はおかしいですよ。もう一度答弁し直してください。どうやって許可するのですか。許可の基準をはっきりしてください。
  134. 小山森也

    小山政府委員 競争原理でございますけれども、それはおっしゃるとおり無限にその競争ができるというようなことは確かにない、有限の数の中での競争政策ということになろうかと思います。
  135. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、もう一つ問題点を提起したいのですが、これはマイクロウェーブの場合だけでございますが、光ファイバーでもいいです。星でもいいです。ほかのものを共通に考えてください。この交換機はどうしても通らないと、いわゆる電電公社、今の電電、今度の新電電のこの交換機にはつながっていかない、こう解釈するのですが、これでいいのでしょうか。
  136. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  137. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ちょっとそれでは電電公社にお伺いしますが、この交換機を外すことできないですか。この交換機なしで直にここへ、新電電の交換機につなぐということはできないですか。公社、どうぞ答えてください。
  138. 山口開生

    ○山口説明員 技術的にはできると思います。
  139. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひつないでくれとお願いがあればつなぎますか。
  140. 山口開生

    ○山口説明員 公社だけで決められる問題ではないので、恐らく郵政省の御指導で決まることと思います。
  141. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省がぜひそういうようにしなさいと言ったら、それで決まりますか。
  142. 山口開生

    ○山口説明員 いろいろと技術上の問題も解決しながら決めてまいることになると思います。
  143. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 技術上の問題を解決しながら決める、ちょっとよくわからない。もうちょっと翻訳して……。
  144. 山口開生

    ○山口説明員 今、技術的にできるというお答えを申し上げましたが、例えば今のマイクロの回線の周波数の問題とか、あるいは私どもが持っております局内の交換機の種類とか、そういった問題をいろいろと解決しながらということを申し上げたわけでございます。
  145. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、今マイクロウェーブの例を言いましたが、じゃ光ファイバーにこれを変えた場合、光ファイバーも同じことで、ここの交換機を通って、そして新電電の交換機に持っていかないと、いわゆる市内網のネットワークにはつながらないわけですが、これと同じようにこの交換機は必要でしょうか。
  146. 山口開生

    ○山口説明員 先ほどのマイクロと同じように、どうしてもなければならぬというものでもないと思います。技術的には解決できると思います。
  147. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それではちょっと郵政省小山さん、よく見ておいてください。これはもしもこのままつながったら、確かに第一種事業です。だが、例えば電話を、要するに通信というものをやろうとする業者ならば、このままつながれば、これは電話屋じゃないな。回線星だな。これは線だけだ。線星だと思うけれども、これはどう解釈しますか。電話屋ではないと思う。
  148. 小山森也

    小山政府委員 市内網といいますか、これを完全に持たない、また市外につきましても、交換機を持たない事業者だ、こういうことになろうかと思います。
  149. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もちろんそれでも許可はおりるわけですね、当然だと思いますが。間違っていますか。答えてください。
  150. 小山森也

    小山政府委員 第一種として許可はおります。
  151. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、もう第一種事業者というのは、これは非常に今度はおもしろくなってくるね。線さえ、あるいはマイクロウェーブの波さえいただけば、第一種事業者はここへつないでさえもらえば何でもできるんですよ。どなたでもできるようになる、これは。もちろんそれはいろいろなバックがなければできませんけれども、しかし非常に簡単ですよ。波さえ許可もらえば、これはもう波なんですから、波さえ許可もらえば、後はもうパラボラアンテナ一つ置いて、それでこっちへつないじゃえばいいんですから、どなたでもできるようになると思いますが、これでいいでしょうか。
  152. 小山森也

    小山政府委員 ちょっと非常に技術的になりますと、私もわかりかねる点があるのでございますけれども、要するにその経営をどのような形で考えるか。それが一つ経営者としてといいますか、事業者として成り立つのはどこからどこまでであるかということの限界によっていろいろ変わってくると思います。
  153. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一つ問題点を提起したいと思います。  今度はこれは、交換機をつくるつくらないは別として、いずれにせよ、この現在の電電公社の交換機とつながらない限り、市内のネットワークとは絶対につながらない、こう解釈しますがどうでしょうか。
  154. 小山森也

    小山政府委員 第一種業者がみずから市内回線網を敷設しない限り、電電公社にアクセスしなければ市内網につながらないわけでございます。
  155. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 第一種事業者が、新規参入者が市内網をみずからつくれるような状況にあるものは考えられますか。
  156. 小山森也

    小山政府委員 いろいろな場合が想定できますが、通常の私どもの住宅街とか、そういった市街にはなかなか二つ、電電公社ともう一つのネットワークを設けるということは難しいことだろうと思います。ただ、これはそのときの採算とかいろいろな条件によりますけれども、例えばビル内を全部一つのネットを公社線以外にもう一つつくるというようなことがありますれば、それは可能でございますけれども、通常の場合にはなかなか困難であろうと思います。
  157. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうだと思います。例えば私今ここで東京-大阪間を例にとりましたが、大阪は今、電話加入数百四十二万と解釈しましたが、よろしいでしょうか。ちょっと答弁してください。
  158. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  手元に正確な数字ございませんが、大体その数字、合っていると思います。
  159. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 局長、もう一度お伺いします。  百四十二万の例えば競争をしようとする。例えばですよ、これは。半分でもいいですが、これを市内網までもしもこの新電電と競争しようとする、そういったものは考えられますか。
  160. 小山森也

    小山政府委員 近い将来においてそういうようなネットワークができるということは考えられないと思います。
  161. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで今度はもう一つの問題で、つながった。どうしてもつながらざるを得ない。近い将来も考えられない。相当の、ずっと将来はどうなるか、それはまだわかりません。それからまた各家庭にもう星から直接につながるかもわかりません。それはわかりません。今後の技術の問題で、これはわからぬ。わからぬですが、少なくとも近い将来、今、局長が御答弁いただいたように、まあ考えられない。そうすると、必ず電電を経なければならない。電電は要するにここへつなぐわけですから、ここにつなぐ何らかのまずアクセスチャージがありますね。つなぎ料だ。あるいはつなぐためのいろんな操作が必要になるね。ただ簡単にさっとつながらぬでしょう、電話がけるときにも。どういう手順になりますか。まず技術の面それから料金の面、これを御答弁ください。
  162. 村上治

    ○村上説明員 お答えいたします。  電電公社の交換局を経由いたしませんと市内網とつながりません。したがって、そこでいろいろな機能を付与しなければいけないわけですが、一つは、新しく入ってこられたネットワークといいますか回線と、それから公社側のきちっとした責任分界点をまず決める必要があろうかと思いますし、それから新規参入の方も、実際におかけになった方から料金を徴収しなければいけないと思いますので、したがって一般的には、どなたがおかけになったかあるいはどこへかけたいのかという、そういう必要な情報を電電、まあその状態ですと新電電と言うのでしょうか、そちらの交換、ネットワークの方からそういう情報を差し上げなければいけないんではないだろうか、こういうふうに考えております。  それから、その新電電があるいは新しい参入される方か、ネットワークをどちらを選ぶのかというようなことで、番号も今までのような市外局一本の市外番号ということにはなりませんで、そういった付加の番号も必要になってくると思いますし、やり方によっては既存の交換機にいろいろな「改造なり機能付与なり、そういったことをしなければいけないのではないか、こう考えております。
  163. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まずいろいろな操作が必要になると、今、御答弁いただきましたが、そうすると、簡単に言います。私は例えば今東京から大阪の友人に電話を入れる。〇六ですね。そして三つの四つですから、これで九つですね。九けた今、回しています、ダイヤルの場合。これ、このままいって、まあいろんな例が考えられるでしょう。しかしダイヤル回すだけでも、全然回さなくてもいいですか、今までと全然変わりなくいきますか。それとも何らかのものを、ダイヤルをふやさなければ届かない。それはどれぐらいのダイヤルをふやすのですか。今九つですよ。これがどれぐらいまでふえるのですか。アメリカの例などまだ後で言いますが、まずそれを説明してください。
  164. 村上治

    ○村上説明員 お答えいたします。  ただいま御説明いたしました新しい参入された方のネットワークを選ぶというやり方に幾つかあろうかと思います。現在私どもいろいろな角度から検討いたしておりますけれども、大まかに言いますと、大まかにといいますか、いろいろなやり方、すなわち既存の交換機に余り手を入れないで、そして新規参入のネットワークが選べるというふうなやり方をいたしますと、先ほど言いましたように相手先の番号、これは当然必要でございます。大阪の場合ですと、先生おっしゃるように九けたでございます。それから、自分の番号をダイヤルされる方みずからが回していただくという方法がございます。これは既存の交換機に余り手を加えないということで、そういった自分の番号を回していただくということ。それから、新規参入の方もたくさん出てまいりますと、どのネットワークを選ぶのかということでその番号も必要になってまいります。そういうことで考えてまいりますと、約二十けたぐらいの番号が必要になります。  これでは、今まで九けたでかかるところが二十けた以上になろうかと思いますけれども、それでは非常に大変だということで、これは既存の新電電といいますか、電電公社の交換機にいろいろな機能を付与いたしまして、例えば自分の番号などは交換機から自動的に操作するというようなことも含めましていたしますと、万けたぐらいの番号をふやせばそういったことが可能になるのではないかというふうに考えております。  それからさらに、機能を付与いたしますと、例えば私は東京-大阪間をこの会社の回線を使いたい、あるいは新電電の回線を使いたいというようなことをあらかじめ登録をしておいていただければ、この場合にはその番号を在来どおり、例えば大阪の場合ですと〇六の後七けたであったかと思いますけれども、そういった番号を回してやっていただくということも可能でございますが、私が今御説明した順序に従って、そのための改修あるいは機能付与のための工事費といいますか、そういったものがだんだんふえてまいることは否めない事実でございます。
  165. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 二十けたが万けたに、まあふえる分でございますが、だんだんと技術を改良していく、これは結構なことです。だが、それだけ技術を改良するための設備費はかかりますね。もう当たり前のことですが、一応答えておいてください。
  166. 村上治

    ○村上説明員 お答えいたします。  いろいろな今、御説明した案によりましてそれぞれに経費がかかるのは当然でございます。
  167. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、小山局長にお伺いします。  あなたは先般我が党の同僚委員にこのアクセスチャージの面で答弁をしておりますが、アクセスチャージは場合によっては取らなくてもいいんだと言っておりますけれども、費用がかかるんですよ、これは。これでいいんですか。ちょっとその辺の答弁が定かではございませんが、そのアクセスチャージに関してはどうお考えですか。
  168. 小山森也

    小山政府委員 既存のネットワークというものを新規参入の者が使うわけでございますが、その新規参入の事業者が使うのは、それだけ通常の通信料金で使うような形であるという場合にはそれで通信料としてはアクセスチャージでなくていいのではないかと思います。ただしかし、その設備費をどのような負担にしていくかというのは別でございます。  アクセスチャージというのは、結局、アメリカで初めて導入したものでございますけれどもアメリカのように地方電話会社が幾つもの経営単位に細分化されている場合には、要するに地方の加入者線網、市内網というものが事業全体のトラフィックの増加と並行しないわけでございます。部分的にふえるところもあるし、ちっともふえないところもあるということでございますから、ふえないというところ、トラフィックが増加しないというところについては収入増につながらないわけですから、やはり市外回線から市内回線に対して相互補助をするというような形でアクセスチャージを払うというようなことになろうかと思いますけれども日本の場合のように電電公社が分割されることなく一体として全国サービスを提供したということになりますと、市内網すべてのトラフィックが増加しますればその経営のどこかに総収入として入ってくるわけでございます。したがいまして、アメリカのような場合とは大分違うと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、設備費がそこで増加するというような場合は、設備費相当分をお互いにどのようにかして分けて負担をしていくというのは当然だろうと思います。
  169. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 したがいまして、この問題は、私は今何を言わんとしておるかと申し上げますと、このアクセスチャージがつく限り、例えばここで幾ら競争するんだから値段を下げますと言っても、この線が安くなければだれもこっちへは行かぬですよ。こっちより高ければだれも行かない、これは当たり前のことです。これよりも安くなければみんな利用しないのだから。そうすると、アクセスチャージの取り方いかんでどないにでもなりますね。そうすると、要するに新電電は要求しますよ、もちろん設備費がかかるのですから、アクセスチャージどれくらいいただきたい。よし、それでいいだろうと認可するのは郵政省だ。そうすると郵政省とこの新電電との考えだけでどないでも操作できる、こういう法律になっていると解釈しますが、それでいいのでしょうか。
  170. 小山森也

    小山政府委員 法律の建前といたしましては、一種事業者同士の自治に任せておりますから、この間における協定によりましてどのような料金にするかというのをまず第一次的に決めるわけでございまして、その結果を不当なものがなければ認可をするという形になるわけでございます。
  171. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 真藤総裁にお伺いしたいと思います。  総裁は去る四月十八日の記者会見で、長距離料金は高い、三分間四百円のところを百円ぐらいに下げないと競争にならない、こういう趣旨のことを御発言になりましたが、これでよろしいでしょうか。
  172. 真藤恒

    ○真藤説明員 あれは新規参入で新しい設備で新しい技術で必要最小限度の人員配置で入ってくればまあ百円ぐらいの原価で済むだろうということを申したのでございまして、今、先生の御質問のとおりの話はしておりません。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そう言われたならそれでいいでしょう。  そこで、具体的に遠距離料金の値下げは考えていますか。
  174. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもがこれから先の通信事業に対処いたしますためには、この電話料金というものと電話以外の料金というものを一体どう考えるかという問題が一つございます。それで、私どもが今、技術的に考えておりますように、電話線とそれから電話以外のものを全部ディジタルの方式に統合いたしまして、一つの同じ線の中を電話も非電話のものも通していくという形に持っていくということになりますと、どうしても電話の料金というものも現在の長距離料金に関する限りこのままでほうっておいてはおかしなことになってしまうだろうというふうに考えております。また私ども自身がこの新規参入に対する競争力も、もし新規参入が電話というものもやるということになりますと競争力がまるでなくなってしまうことになりますので、どうしても私どもがあらゆる面で努力して、収入をふやす面で努力し、支出を減らす面で努力するという効果を、財務の許す限り、さしあたりは長距離料金の値下げに回さなければならぬだろうということは機会あるごとに申し上げております。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 申し上げているのはわかりますが、いつごろ値下げをしようと考えておりますか。大体の腹の中を教えてください。
  176. 真藤恒

    ○真藤説明員 これは私どもこれから先法案がいつ国会で御承認いただいて、そして具体的に法案どおり仮に来年の四月一日からということになりまして新規参入がどんどん入ってくるという話が起こり、それに対する具体的な計画の動きというものを見ながらやっていかなければなりませんが、その前に私どもがやらなければならぬ問題は、長距離料金を下げると申しましても財務に余裕が出なければできませんので、私どもが一番急がなければならないのは第二種業種の進歩発展というものに全面的な協力をしながら通話の総時間をふやし、総収入をふやすということ、これに全力投球をするということで増収対策を立てていくということと、新しい法案に基づきまして責任のある自由な経営ができるということを利用いたしまして、いろんな新規事業で郵政で許可を出していただける範囲のことには積極的に許可をいただいて、この電話線に直結しているコストを減らしていくということを努力しながらやっていきますので、いつどれだけの値下げをするという予定は前もって立ち得ないと思います。  しかし、いずれにいたしましても具体的に新規参入が入ってきて操業を始めるのに三年なり五年なりはかかると思いますので、その間に我々がそこのところで競争に対する対応の体質をどこまで高めていくかということが、この法案についての私ども当事者として一番大きな仕事になる、第一次的な一番大きな仕事になると考えております。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 確かにこの法案との絡みで重要な問題だと思います。  そこで、総裁、非常に重要な問題があるのです。真藤総裁は総理の任命で電電公社総裁になられ、いよいよ来年の一月任期になると思います。そこで、この法案に盛り込まれているのは六十年の四月一日を一応めどにしておりますね。そうすると、生みの親がそのまましっかりやっていくのか、あるいはもう生んだ後どなたかにお任せするのかで大分これは変わってくるのですよ。ましてや総裁のその御決意、私ども非常に敬意を表しておるわけでございますが、いよいよ高度情報社会へ向かっていく重要な立場でございますね。その中で今後もこの電電をひっかぶって一生懸命やっていく、この高度情報社会の国民のニーズにこたえるという意味で一生懸命やっていく決意があると思いますけれども、その御決意のほどをひとつ総裁ここで発表してください。
  178. 真藤恒

    ○真藤説明員 非常にお答えしにくい御質問でございますけれども、私を引き続き来年の一月以降再任なさるかどうかということは政府の御判断によることでございまして、私が今この時点でとやかく申す問題ではないと思います。もし再任されましたら、それは今お言葉の中にありましたように全力投球してやる覚悟ではございますけれども、まだその前の再任なさるかどうかということが私にとっては全くあなた任せでございますので、今は何とも申し上げられません。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回の日本電信電話株式会社法案には、電気通信事業の範囲の拡大の問題、出資、投資の制限がないということ、ここで競争原理を働かせるといっても、さまざまな問題点関係者の間でも危惧されている。ことしの二月二十九日、通信機械工業会で今回の法案に対して意見書を出しておりますね。いただきました資料の中にもあるとおりでございます。ページがややこしいからちょっとよくわからぬけれども、五十七の三というページのところに通信機械工業会昭和五十九年二月二十九日付というのがございます。それは「新会社の「責務」は、」「電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究の推進並びにその成果の普及を図るように努める」、この責務の項にあるこれに関して「努力目標ではなく、明確な責務として法定していただきたい。」、さらに「新会社の事業として「附帯する業務及び目的達成業務」を営むことができる」とする会社法第一条第二項、それから出資、投資の制限が入っていないことに関して「新会社が機器製造業等に出投資を行い、これらの分野に進出する事態となれば、新会社の巨大性よりして、わが国の産業秩序に混乱を生じ、あるいは民業を圧迫する」、こういう意見書が出ております。したがって、会社法第十一条の「事業計画」の中に出資、投資計画を含めて政府の公正な判断を加えてほしい、こういうように要望が出ておりますけれども、これに対して郵政省はどうお考えですか。
  180. 小山森也

    小山政府委員 事業計画において新会社がいろいろな活動をするのを基本から抑制的に運用するというのはいかがかと存じます。やはり事業計画において新会社は自主性を持って経営として最も好ましい形態のものを作成し、それに対して郵政省は抑制的な態度ではなくて、むしろその意欲を推進するという形での態度で臨むべきであろうと存じます。  ただ、しかしながら、それではそういった事業計画ではなしに、今度は会社それ自体の経営の方向として望ましいと思いますことは、事業計画というのは形式論ではなしに、やはり新電電は機械器具類、通信機械というものを購入してそれを使う立場でございますから、それ自身が製造業に乗り出すということは必ずしも会社にとって有利な結果になるとは限らないのではないか、もっと大きな範囲での社会的責任と社会的なより大きな形での会社の経営というものを考えていただければ、こう思う次第でございます。あくまでも事業計画で抑制的に認可をしていくというのは本来の筋ではないと思っております。
  181. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、会社法の第一条第二項に「郵政大臣の認可を受けて、これに附帯する業務その他同項の目的を達成するために必要な業務を営むことができる。」「必要な業務」どういうことでしょうか。
  182. 小山森也

    小山政府委員 一つは、附帯業務と目的達成業務、両業務とも本来事業の遂行上、目的から見まして必要と認められる業務であるが、本来業務との関連度合いによって附帯業務と目的達成業務に分かれるわけでございます。こういったもので本来の事業をより幅広い事業活動が行い得るということがいわゆる「必要な業務」であり、目的達成業務であろうと思っております。
  183. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 真藤総裁にお伺いしますが、あなたが書いたある本でございますが、「「三方一両得」論」という著書を著しておりますが、これは本当ですね。
  184. 真藤恒

    ○真藤説明員 ございます。あれは社内の管理職に教育用としてまとめたものでございます。
  185. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 あなたはその著書の中で、電電開放について論じ、民間企業の新規参入が自由になるということに対して、  自由競争社会になるということは、逆にいうと、電電のほうから民間分野、とくに電気通信事業関係のない分野に、新規参入できることを意味する。それは通信事業を合理化しながら、雇用の確保・拡大をはかろうとする立場からいっても、どうしても実行しなければならない必須不可欠の条件である。として、具体的には事業計画の内容として  (A) 電気通信設備の性能を活用する情報産業の分野。  (B) 電気通信設備の保守、運用、改良など、通信設備の運用面の補助事業および通信設備のハード面に直結または附随する事業。たとえばポケットベル、自動車電話。  (C) 通信設備のハード面の技術革新に伴う新規事業。  (D) 電気通信関係のない他の産業分野に、われわれのもっているソフト、ハード両面の技術を基礎として進出する新規事業の創出。  (E) その他。      とありますね。  まずお伺いしたいのは、この中に述べられておるこの(D)の項目「新規事業の創出」というのは、これはどういうことですか。
  186. 真藤恒

    ○真藤説明員 これは、あらゆる面でこれから先の社会の技術革新に応じて変革していきますので、私どもの仲間の人間の持っておる技術的なあるいは経営的なあるいはその他の能力を、その面で利用できて生かしていくということができるものに対する総括的な意味の新規事業でございます。現在世の中にある業種もありましょうし、現在はまだ世の中にない業種もたくさん出てくると思います。特に第二種業に間接関連するような事業はこれから先のものでございますので、我々の仲間にその面にかなりの能力があると考えておりますので、そこのところを重点的に今考えておるというのが実情でございます。
  187. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そしてさらに同著書の中で   一つ一つ事業計画について、他企業との協  同、協業などの方法を考えねばならないだろ  う。しかも、協同相手としては、狭い世界で考  えてはいけない事業計画もあれば、地域社会と  いった限られたコミュニティの中で考え、運営  さるべきものも数多く含まれている。   いままで全国画一的に、公平に、平等にとい  った原則で訓練されてきた電電の人間集団にと  って、この考え方による計画、実施は、なかな  か骨の折れることと思われる。こう言っております。  このケース・バイ・ケースの事業計画でなければならないとしておりますが、今、局長からも御答弁いただきましたけれども、例えば通信機器製造販売、こういうようなところに総資産十兆円、年間総収益四兆三千億円、三十二万人の巨大企業、こういったものが今「「三方一両得」論」の中で言われておるような形で新規参入は、逆に言うと電電の方から民間分野に新規参入はどんどんできるんだ、こうなっては大変なことだと思いますが、ここに書いてあるのは別として、まず総裁の御所見をお伺いしたいと思います。
  188. 真藤恒

    ○真藤説明員 そこにも述べておりますように、私どもの本体が単独で一〇〇%の株を持った企業というふうなことを考えましても恐らく物にはならない、具体的な経営のできる会社にはならないと思います。必らずそこには協力者を求めながら、ということは、世の中の常識に合ったそして世の中のコンセンサスに合ったことで協力者も求め得ると思いますので、協力者を求めながらそういうことをやっていくというのがずっと実際的でございまして、私どもだけの力で新しいことをやろうといたしましてもそれは不可能だと思います。既存の業種に対する、既存の非常に発達した、力の強い業種の中に私どもが単独で入っていくというようなことをやりましても、とてもとても、新しいそういうところへなれない我々の集団だけで入っていったって仕事にならないのは火を見るよりも明らかでございまして、そういうことを考えているわけではございません。そういう意味から申しまして、さっきの私どもの必要とする通信機械のハードの製造業に手を出すというようなことを私どもの単独でやろうといったって、それは全然できる話じゃございません。それははっきり申し上げておきます。  それともう一つ、私どもはあくまでも第一種業種でございまして、そういうハードのノーハウ、新しい技術の開発はやりますけれでも、それをつくって売るということに私どもが仮に子会社をつくって手を出したといたします。そうすると、私どもだけでそういうことをやりますと、必ず既存の業者に比べて競争力が出るということは考えられません。そうした場合に、自分の会社から買うものはどうしてもマーケットプライスよりも高く買わざるを得ないということになりますと、もうそこで自由市場の原則を壊してしまいまして、非常におかしな現象が出てこざるを得ない。結局、一つのものを一割高く買えばあとの百、千のものをやはり一割高く買わざるを得ないような結果になってまいりますので、日本の産業のためにも私ら自身のためにも決してそういうことが合理的な動きじゃございません。少し言い過ぎかもしれませんけれども、今度のアメリカのATTの解体のときに一番困っているのはウエスタン・エレクトリックなんです。それはなぜか、ATTの直結の会社であったために一番困っているという現象が既に出ておりますので、ああいうことを繰り返すことはないというふうに考えております。
  189. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総裁のお考えよくわかりました。ぜひ現在の民業がこの巨大企業、いわゆる新電電の圧迫を受けることのないように賢明な措置を今後ともお願いしたいと思います。  そこで、念を押すようで恐縮でございますが、郵政省にお伺いしておきますが、この会社法を見ると、事業の範囲や出資制限のない点といったものを見ると、どうしても当分の間とか、何でもいいのですが、競争原理の環境づくり、条件整備、出資、投資の範囲、例えば通信機器製造、販売には一定の制限を設ける、こういうものをつけ加えるべきであると思うが、郵政省のお考えはいかがでしょうか。
  190. 小山森也

    小山政府委員 制度的にそういった制限を設けるというのはなじまないのではないかと思います。私どもといたしましては、制度的ではなしに、今、総裁もあのように申されておりますように、経営主体それ自体、この新会社は国内の電気通信事業を営むために特別の任務を帯びて特別法によってつくられるものでございますから、当然その趣旨に沿って、その目的を逸脱しない形でそのような事業行動を行うものと期待しておりますし、実行されると思っております。
  191. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総裁の御答弁やそういうもので理解はできますが、いよいよ民間になりますと競争は激しいですよ。世の中そんなに甘いものじゃないです。もしも新電電がそういった面でやっていかないとこれはもう大変だと判断したときは――今のものでは幾らでも通信機器製造も販売もできるのです。これは答弁の中ではっきりはしておりますけれども、心配なのはやはり民間なんですよ。クジラとメダカの争いみたいになってしまう。したがって何らかの、政令でも構いませんし、あるいは規則として法令で法定できるものならする、そういったものが必要であるということを私は重ねて要望しておきます。  そこで、株の問題について若干お伺いしておきます。  会計検査院おいでだと思いますが、株を当初政府が全部持ちますね。将来は三分の一に、三分の二が放出されていくわけですね。私は政府が二分の一持つのと三分の一以下持つのとでは大きな違いがあるように考えております。それは会計検査院の必要的検査事項、これが二分の一です。それ以下になりますと、今度は任意的事項になる、こう解釈しておりますが、まずこの株に関しての会計検査院の検査事項はどういうようなものになっていますか。今、私が申し上げましたものも含めて二分の一ならこうなのだ、三分の一ならこうなのだということをもうちょっとわかりやすく御説明ください。
  192. 中島孝夫

    ○中島会計検査院説明員 会計検査院法上国が資本金の二分の一以上を出資しております法人につきましては、第二十二条の第五号の規定によりまして会計検査院の検査が義務づけられたいわゆる必要的検査対象ということになります。また、資本金の二分の一未満を出資しているということになりました場合には、第二十三条第一項第四号の規定によりまして検査をするか否かが会計検査院の判断にゆだねられたいわゆる任意的検査対象ということになりまして、この場合には任意的検査対象を検査しようとするときは検査官会議の議を経て行うということになっております。このような違いがございます。  なお、任意的検査対象に属する法人につきましても、検査をすることに決定しました場合には、必要的検査対象に属する法人等の検査の方法などにつきまして、規定上特に取り扱い上の違いはございません。
  193. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、新電電の会社の株価、資本金一兆円と見ても今後の含み資産など巨額のプレミアムがつくであろう、こういうようにも言われておりますが、まだわかりません。ただKDD等の例を見ますと、今四十数倍になっておりますね。いろいろなことが言われております。これは今後、なってみなければわからぬことでございますが、ただ電電公社が現在あるのはどうであったかと言えば、これはもう国民が一生懸命電話を入れていく中においての協力をして、いわゆる国民によってここまで大きく発展してきた。電話加入者が、みんなが育てたものです。国民一人一人が育てたものですね。それが、では株をいよいよ放出していく、こういう段階になったときに、電話加入者がこの株を欲しい、電話加入者は今四千三百万ですか、無理ですよね。もしも全員が欲しいと言ったら一株でも無理だ。そうすると、例えば抽選ででも欲しいということになってきたときには、これはどういうように考えていますか。きょうは大蔵省来ていますか、まず大蔵省のお考えを聞かせてください。
  194. 日高壮平

    ○日高説明員 ただいま御審議をお願いしておりますこの電電三法、特に会社法が成立いたしましても、実際に新会社が発足いたしますのは六十年四月一日ということでございますから、いずれにいたしましても、株式の売却というものは六十年度以降の問題であるというふうになるわけでございます。したがいまして、私どもとしても今、御指摘がございましたように、いずれ新電電の株式を売却していかなければいかぬということになるわけでございますが、その過程におきまして種々の市場への影響とかいろいろな問題がございますので、株式売却については、今後各方面の方々と十分協議をしながら実際に行ってまいりたい。したがって、具体的に今、株式をどういう先に売っていくか、売却先をどうするかという点につきましては、ただいまのところ申し上げる段階にはございません。
  195. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、同じことを郵政省、どんなふうに考えていますか。何かいろいろ折衝もしたやに承っておりますけれども郵政省のお考えをひとつ聞いておきましょう。
  196. 小山森也

    小山政府委員 新電電の株式、これのできた経緯から申しますと、やはり資産形成の経緯を十分考慮の上に、国の重要な資産として国民全体のためになる処分をするように慎重に検討すべきだろうと思います。今、確かに日高主計官も言っておられましたように、実際問題としてまだ株をどうするという具体的なステップにありませんので、結論は出しておりませんけれども、たとえ形式的に電電公社が独占の事業によって得られた一つの資産形成であるという経緯はあるといたしましても、これはやはり加入者の負担によって形づくられた資産であるということも事実でございます。したがいまして、いろいろな意見がございます。多くの電電債の債務を新会社は抱えているのでその債務の償還に充てるべきであるとか、また、加入者イコールほとんど国民である、それによってつくられた資産であり、しかも電気通信事業を通してつくられた資産であるので、そういった研究開発費に使うべきであるというような議論もございますし、一番の問題といたしましては、国民皆様方の間に、電電公社民営化というのは一般会計の赤字を補てんするために行ったんだというようなことのないようにすべきであるという議論、こういったようなことについては十分検討いたしまして、そういうことのないような形で処分できるように、関係するところ、特に大蔵省でございますけれども、よく相談して適切な処分をするような形に持っていきたいと思っております。
  197. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 処分の問題も含めて今、郵政省から答弁ございましたが、今の問題もございますので、もう一回大蔵省にももうちょっと考え方を聞いておきたいと思います。  まず、電電公社の純資産というものは電気通信利用者の拠出した設備料や通話料で形成されたものですね。国の出資金は百八十八億円。しかし、それも一般会計から出たものじゃないですね。昭和二十七年の電電公社設立の際、当時の電気通信事業特別会計から引き継いだ百八十二億円の財産などが形式上国の出資金とされていただけですね。これも御承知のとおりです。  そこで、私どもとしては、新電電の株式の売却益や配当金収入といった面に関してまで考え方を今、郵政省としても御答弁いただきましたが、こういったものは光ファイバーやディジタル交換機等の電気通信にかかわる、いわゆる基礎的、先端的技術研究開発等の電気通信の普及、発展のために使っていかなきゃならないと考えています。つまり、電気通信利用者への還元を図るのが筋です。考えてみると国は全然出してない。全部国民が、利用者がここまで育て上げた。そうすると、それが筋だと思うが、どうですか大蔵省、ちょっと御見解を……。
  198. 日高壮平

    ○日高説明員 まず、今の公社の資産の形成につきまして、先ほど郵政省小山局長からも答弁がございましたけれども、私どもとしては、前回当委員会でもお答え申し上げましたけれども、いわば公社の資本金というものは公社法の規定に基づいて国の全額出資ということにされているわけでございますし、その事業につきましては法律によって独占権が与えられている。このような状況から考えますと、いわば公社は国の分身とも言うべき機関でございますから、その資産につきましても、国の分身としての活動の結果形成されたものであるというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。  それから、私どもとしては、売却収入の使い道についてはいろいろな議論があることは承知しておりますけれども、私ども財政当局としては、一般会計の株ということになっておるわけでございますから、いわば財政需要全般に充てられるべきものというふうに筋論としては考えておるわけでございます。
  199. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 だから小山さん、この法案には問題が多いのですよ。いいですか、私ども、高度情報社会へ持っていくその民営化、基本的に賛成ですよ。だが、この法案は問題が余りにも多過ぎる。したがって直しなさい。まず、今の株式の問題。例えば会社法、「株式」の項の第三に「政府の保有する会社の株式の処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならないものとする。」五条関係だ。ありますね。この「その年度の予算をもって」というのは削ってください。それだったら予算で決まるのですよ。何も逓信委員会でもどこでも審議する必要ございません。したがって「その年度の予算をもって」というのをぜひお削り願いたいと思いますが、お考え、どうでしょうか。
  200. 小山森也

    小山政府委員 今、私どもの考えといたしましては、予算総則に処分限度数を掲上し、これについて国会の議決をいただくことにするというのがこの法の建前になっております。先生も御指摘のように、予算による方法ではなく個別案件として国会提出すべきであるという御意見かとも受け取りましたが、この考え方一つの考えではございますけれども、株式売却収入は歳入予算の見積もりとして見積もられるということでございます。したがいまして、予算総則に処分限度数を掲上して国会の議決をいただければということを考えている次第でございます。
  201. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 局長、これはそんなことを言っていたらだめなんだ。私は、株式の売却とその収入の使途の問題はワンセットで考えるべきものだと思います。今も答弁があったけれども、大蔵省は株式の売却はこの法案ができてからの問題だ、だから六十年度以降の問題だから、この売却益や配当金の使途も今後ゆっくり考えればいい、そういう考えです。ましてや一般に入れていく、冗談じゃないですよ。これは国は全然何の努力もしていない。国民が一生懸命大変な中、あの電話がつかない中、最初つかなかったでしょう、それを苦労してつくり上げてきたものなんです。今後この高度情報社会はどういうふうに進んでいくのかわからない、大変なものです。したがって、そういったものは国民に還元できるようなものにしなきゃならない。そういう意味で、この株式の売却益等の使途が決まるまで株式の売却は行わない、すなわち凍結する、こういうことを会社法に書いてもらいたい。表現の仕方はそちらが専門家ですからいろいろ考えてもらえばいいですが、この株式の処分や売却益の使途については別に法律で定めるとか、何かいい考え方を持てばいいわけですから、ひとつそういうものにした方がよいと思いますが、どうでしょう。やはり直さなければだめだ、この法律は。
  202. 小山森也

    小山政府委員 先生の御意見、私どもいろいろ参考になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、今回の法案政府として最高のものとして出した次第でございますので、ひとつこのまま御承認のほどを願いたいと存じます。
  203. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  204. 志賀節

    志賀委員長 次に、西村章三君。
  205. 西村章三

    ○西村委員 電電改革法案の審議がいよいよ始まったわけでございますが、この三法案は間口も非常に応うございます。また奥行きも深うございまして、それだけに問題点もたくさんございます。けさほどからいろいろと同僚委員の御質問を聞かせていただきまして、私は民社党のトップバッターということでございますので、そういうけさほどから出ました問題、若干重複する部分もあると思いますが、総括的に御質問をさせていただきたいと思います。御理解をいただきたいと思います。  まず最初に、今回国会提出をされました電気通信法体系の改革、これは明治二年に我が国で初めて電信が始まって以来百十数年ぶりの、しかも世界にも例を見ない大改革であります。すなわち、事業開始以来一貫をして、国営あるいは公社制度を問わず、公的な経営形態によって築き上げられてまいりました我が国電気通信のネットワークを民営に移管するということ、また独占的、一元的に運営をされてまいりました電気通信事業民間企業の参入を認めるという、いわば画期的な転換であります。それだけに、なぜこの時期に大改革をやらなければならないのか、また何のためにやらなければならないのか、その動機と目的を明らかにしていただきたいと思います。また、この改革案につきまして、公社といたしましてはどのように受けとめておられるのか。それぞれの責任者から明確にしていただきたいと思います。
  206. 小山森也

    小山政府委員 先生の御説のとおり、百年来、電気通信事業は国内にありましては電電公社、国際にありましては国際電電、百年全部ではございませんけれども、要するに一元的な運営体制をとってきたわけでございます。これはやはり一元的な運営体制をとることが、通信媒体が電話しかなかった当時あるいは電信しかなかった当時といたしますと、一元的に運営することが最も能率的であり、またそういうことによりまして普及が最も早くなり、また国民にとっても利用しやすくなるということで、国民にとりましても事業体にとりましても国にとりましても、非常に合理性があったということでございます。その結果、特にこの三十年来、電電公社がつくられまして、この電電公社の非常に能率的なプロジェクトチームによりまして、電話加入の積滞の解消とか全国自動ダイヤル化というようなことができたということは、やはり世界にも誇るべき一つの成果だろうと思っております。  ただ、このような状態でございましても、我が国電気通信分野においては既に媒体が電信電話というものからもっと数多くの媒体に移ってまいりまして、特にその動機となったものは著しい技術革新でございます。そういうような通信メディアが次々と実用化されるということになりますと、今度はそれに対する国民需要もそれに応じてふえてきて多様化になっているということでございます。  そういたしますと、この多様なサービスの提供を単一事業体で行うのがよいか、あるいは複数事業者によって行うのがよいかという一つ判断が出てまいります。単一事業体である場合は、電気通信メディア電信電話というような限られたときには非常に結構なんでございますけれども、やはり多くの媒体が出てきたときには、それに応じたそれぞれの得意の分野利用者に応じていくというのが今後国民利用者にとってより有利な形ではないかということで、このような法体系がよろしいであろうということで今回の法改正の御提案を申し上げた次第でございます。
  207. 真藤恒

    ○真藤説明員 今、局長が申されましたように、今日までの電気通信事業の実際とこれから先の電気通信事業のあり方というものが非常に大きく急激に変化するということは、画期的な技術の進歩ということで、これは当然そうなる形になって動いておるわけでございまして、そういうときに日本の社会がほかの先進国と同等以上の能率ある社会活動をやるためには、電気通信事業というものが多彩な動きをせざるを得ないということになるのは必須不可欠であろうと考えられる時代になってまいったわけでございます。そういうときに、果たして今日までの一元コントロールで対応できるかどうか、それからまた一元コントロールで本当に一般の国民の生活に直結した形で電気通信事業というものが普及できるかどうかということになりますと、やはり一元コントロールじゃなくて競争原理を入れるということと、それからもう一つ、一元コントロールではその一元性を守るために電気通信設備の使い方にいろいろな制限をせざるを得ないわけでございますが、その制限が実はこれから先には非常にネガティブに、大きくエフェクトいたしてくるということが目に見えてきたわけでございます。そういう意味で、今度の法案では、私どものような設備を提供する第一種業種と、それを自由に使う第二種業種というふうに切り分けてございまして、第二種事業は完全に自由であって、たくさんの業者が世の中のニーズに即応して、多彩な電気通信設備の使い方によって新しいサービスを世の中に提供するということになるわけでございまして、この辺のことがこの時点において早く実現できるようにすることが将来の豊かな高度情報社会というものに向かっていく必須条件だろうというふうに私どもは受けとめております。
  208. 西村章三

    ○西村委員 それぞれのお立場から電気通信事業大改革をやるべき動機と目的についてお話がございました。  言うまでもないことでございますが、電気通信事業というものはその特性上極めて公共性が高いものでございます。今回、電電公社民営化した最大の理由は、自主性を与え当事者能力を拡大することによって効率的な経営を行わせ、そして新しい時代に対応させよう、こういうことでこの改革がなされたわけでございます。したがいまして、新電電株式会社法のいわば最大の問題点は、この公共性と効率性をいかに調和させるか、ここに一番の問題点があると思います。今回の法案作成の上でこの点がどのように具体化をされたのか、政府にこのことについての説明をお願いいたしたいと思います。また、公社は、この公共性と効率性、この点について、法案内容をどのように受けとめておられるか。それぞれのお立場から見解を聞かしてください。
  209. 小山森也

    小山政府委員 まさにお説のとおり、当事者能力を発揮して能率的に行うことが、やはりこれからの新電電に最も求められるテーマであろうと存じます。そこで、今回の法案の中におきましては、従来に比較いたしますと、公社の制度という場合におきましては、予算の国会議決とか、予算統制の中における給与総額の制度というようなものはありましたけれども、今回はそういったものはございません。また、いろいろな、運用には問題はあるといたしましても、投資活動を自由にしているということ、それから、民間の会社に移ることによりまして、労働関係につきましても、公労法の適用を外して基本的には労働三法の適用をすることになったわけでございます。  しかしながら、その反面、電信電話の新会社も、日本全国電話あるいは電気通信を提供するという責務を負っているという国家的な一つの目的を持った特殊会社でございますので、その面から来ますところのある程度の制約と通信事業者独特の一つの制約というのはどうしてもついてまいります。これは本当ならば、そういったこともなくすることによりまして、すべてが公共性をも充足し、目的をも達成し、さらに高能率であるということが理想でありますけれども、この種の特殊会社は日本に現在七つございますが、これらの特殊会社に対する政府の関与というものはある程度参考にせざるを得ないというところから、そういった意味での関与というものはあることになっております。
  210. 児島仁

    ○児島説明員 お答えいたします。  公共性と効率性、まあ効率性を追求していけば利潤というものは上がってくるわけでありますが、公共性と効率性というものは相矛盾する概念ではないというふうに私どもは思っております。また、それを相反する概念のように見えるような実績を出さないように、つまりいい経営をするという格好で努力を重ねてきたつもりでございます。  今回の法律によりますと、私どもにかなりの当事者能力といいますか、自主性を与えていただけるということになっております。細部をいろいろ論じますとなお問題もあろうかと思いますけれども、法の基本とするところにおきましては、私ども当事者として十分力を振るえというふうな形になっておると思います。そうなりますと、私ども、この公共性ということ、端的に申しますと、例えばもうからないところにも投資をする、あるいは本来ならば事業として撤退したいところでも事業を永続的に続けていくという努力をしなければいかぬと思いますが、そういった赤字部分にも仕事をやっていくというためには全体としての財務基盤をしっかりして、赤字のところに投資してもなおかつ事業として生々発展していくということにしなければいかぬと思っております。そのためには企業努力を内外にわたってやるわけでございますけれども、そういった手だてについて、法は我々の期待した線にあると考えておる次第でございます。
  211. 西村章三

    ○西村委員 もう一方の事業法でありますが、これも、過去、一元的、独占的に運営をされてまいりました我が国電気通信事業、これに終止符を打ちまして、電気通信技術の著しい進歩に伴ういわば自由な経営環境づくりを目指すために、競争原理導入、すなわち民間企業の新規参入に踏み切ったわけでございますが、この事業法の制定によって公正かつ有効な競争は可能だ、こういう御判断でしょうか、どうでしょうか。
  212. 小山森也

    小山政府委員 先生御指摘の点は、新規参入者というものが公正かつ有効な競争をかき立てるために有効に働くかどうかということであろうかと存じます。  そういう点になりますと、新規参入者というのは、従来電信電話公社でやっておりました仕事だけをただ後追いするということでは事業としてはなかなか成り立たないのではないか。多様化する電気通信メディアに応ずるということのために新規参入が認められるということでもございますので、やはり新規参入をするということは、そういった意味で新しいニーズといいますか、利用者の潜在的ニーズを掘り起こして、それによって新しいメディア利用者により安く、より良質な役務を提供していくということによって初めて成り立つと思います。すなわち、電電公社のようなスケールが大きいことによって成り立つということよりも、スケールは小さいけれども、質的なサービス内容によってそこに存在価値が出てくるということによって成り立つと思います。  具体的に申し上げますと、新しい通信メディアといたしましては光ファイバーであるとか、それから通信衛星というものもありますし、また、インターフェース技術の進歩によりまして複数のネットワークの接続もできるということになってまいりましたし、そのほかニューメディアと称するビデオテックス、VANというようなものも数多くメディアとして機能しております。  したがいまして、実際に参入した場合には、スケールの上におきましては新電電との間にかなりの格差があろうかとは思いますけれども、部分部分において実質的に公正かつ有効な競争が行われる、このように考えている次第でございます。
  213. 西村章三

    ○西村委員 この問題は、角度によりましてはいろいろと違った見解が出てまいると思います。  私があえてこのことをお尋ねいたしましたのは、実はいわば一番の利用者であります国民のサイドから物を考えなければならぬ、こういうことから御質問を申し上げたわけであります。電電公社民営化して新しく会社にする、あるいは電気通信事業競争原理導入して、新規参入を図っていく、この二つは国民利用者にとってどのようなメリットがあるのか、これが我々の一番の関心事でございます。国民あるいは利用者、ユーザーにどのようなメリットがこのことによってもたらされるのか、また逆に、デメリットをもたらす可能性は全くないと言い切れるのか、これについて政府見解をお尋ねしたいと思います。また、公社もどういう立場でこれを見ておられるのか、この辺についてもお尋ねをいたします。
  214. 小山森也

    小山政府委員 メリットといたしましては、やはり競争原理導入ということは独占価格でないということでございますので、そこには市場価格が生まれてくる。大体従来からの歴史的な積み上げによりますと、市場価格というのが自然の形で正常な形で機能する場合におきましては、利用者にとって良質な、しかも低廉なサービスというものが結果的に提供されるということでございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕 したがいまして、利用者にとっては、先生の御説をもっと極端に申しますと、事業体が幾つあってもよい、単独であってもよいということだろうと思いますけれども、最終的なユーザーにとっては、結果論として市場価格というものが良質なサービスを安く享受できるということになるのではないかと思っております。また利用者ではなしに、事業者におきましても、やはり利用者に向かってよりよい質の役務を提供していくというインセンティブに駆られますので、技術開発などというのも十分に進められるのではないかと思います。  ただデメリットの問題でございます。デメリットというのは、一番の問題は、過度な競争とか短期的な競争という本来の正常な形での市場価格の形成でないということに、えてして短期的にはいく場合がある。そういった場合においては、安くても必ずしも良質でないというようなものもあります。したがって、この競争原理導入によって利用者にデメリットが及ばないようにするというのは、まさに利用者立場に立った私ども行政の立場であり、また行政の立場は、国民を代表してくださいますところの国会に対する責務であると私ども思っておる次第でございます。
  215. 児島仁

    ○児島説明員 ただいまの件、公社立場からお答え申し上げます。  私どもは今まで電信電話事業を独占ということでやらせていただいています。もちろん部分的には開放されておりますが、基本的には独占ということであります。独占ということになりますと、お客様から見ますと、電気通信サービス電電公社以外からは受けられないということになっておるわけであります。ところが、けさ古来御議論にありますように、電気通信技術というのは非常に発達をいたしまして、メディアもどんどん変わってまいりますし、特に端末等については何が出てくるかわからぬという状態であります。これらをすべて電電公社が独占の形で、先ほどの言い方をしますと、電電公社以外からはサービスを受けられないということでは到底対応ができなかったというのが実態だろうと思います。  しかも独占ということになりますと、独占を規制するために当然法律規制、国家規制というものがある、これは当然だと思いますが、その一つとして公衆電気通信法というのがございます。この公衆電気通信法というのは、私どもとお客様との間で、どういうサービスをどういう程度で提供をし、どういう料金をいただくかというのはすべて法定になっているわけでございます。したがって、この法律が市場に新しいサービスを生み出していくという際に、ある意味では障害になっておった、あるいは現実的に我が社だけでは手が回らぬということがあったわけでございますが、今後この公衆法も廃止されますので、潤沢なサービスがいろいろな方々によって提供される。選択の幅が国民にとって非常に広くなる。安いものでいくか、あるいは少々高くても高機能のものでいくか、この選択の幅が非常に広がるというのが第一点だと思います。  二つ目は、私ども電話の端末のサービス、特に電話でございますけれども、まず最初電電公社電話をつけていただかなければいかぬ。その後で新しい電話機を使いたい方はオプションとして使ってくれ、こういうことになっておりましたが、今後この法律が通りますと、本電話機という思想がなくなります。お客様方は最初からどこの会社のもめでも好きな電話機をつける、好きな端末をつけるということだってできるようになります。これは価格でも製品の機能からでも、その選択の幅が非常に大きくなるということだろうと思います。  それから、回線量の問題でございますけれども、これは第一次の回線開放のときから非常に大変な議論がございまして、公社がその使い方を非常に規制しておる、もっと自由な使い方がないのかということが議論されつつも、現在の法体系の中ではなかなか柔軟なことにならなかったわけでございますけれども、これも法改正によりましてこの回線の使い方が非常に自由になるということで、いろいろなサービスがまたあらわれてくるということだと思います。  それから料金のことにつきましては、先ほど郵政省局長から市場価格という格好でお答えがありましたので、私どもからは以上のお答えで飛ばさせていただきたいと思います。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  216. 西村章三

    ○西村委員 極めて通俗的な御質問で申しわけないのでありますが、やはり国民利用者にとりまして最大の関心事は、難しい理屈ではございません。公社であっても会社であっても、それはどちらでもいいわけであります。極端に言えば、事業者も、単独であっても複数であってもどちらでもいい。問題は、この法律が成立することによりまして、今よりも電気通信分野における日常の生活が便利になるのかならないのか、またそのことによって料金が高くならないのかサービスが悪くならぬのか、この三点に絞られると私ども理解をいたしております。  この法改正によりまして、この三点が確保される、こういうそれぞれのお立場の表明でございますから、私も信用いたしておきたいと思うのですけれども国民にとっては今申し上げたようなことが最大の関心事だということもあわせて御理解をいただきたいと思うのです。  そこで、関連をいたしますが、巷間伝えられるところによりますと、この法律案というものが成立をいたしますと、これはけさほどからの同僚委員の御質問にもございました。今、使っている電話のダイヤルが二十けた台の数字になるとか、あるいは市内通話料金が値上がりしたり、地域によっては料金の格差が生まれたりするとか、いろいろな不安材料というものがささやかれております。国民利用者にとりましては非常に不安材料でありまして、実際にそのようなことになるのかならないのか、少しでもそのような懸念があるのなら、この際率直にそのことを言うべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  217. 村上治

    ○村上説明員 ダイヤルのけた数が大変長くなるのではないかというような御指摘の点につきましてお答えをさせていただきます。  先生御指摘のお話は、市外の区間に新規参入の事業者が参入したという場合のことかと思いますけれども、そして新電電の市内電話網から新規に参入されます市外のネットワークに接続する場合のことかと思います。そして現在このやり方についてはいろいろございまして、検討いたしておりますけれども、大きく見ますと、一つは新規参入の事業者複数あらわれるでありましょう。新電電も含めまして複数のネットワークを選ばなければいけません。したがってそれを選択するための情報、まあ番号にダイヤルで表現する場合もございますから、それが今の番号のけた数に関係してまいります。それから当然相手方の番号、これは今でもダイヤルしていただいているわけですけれども、それが必要でございます。それから、新規参入の事業者の方でやはりお客様から料金を徴収しなければいけませんから、どなたが発信されたのかという情報が必要でございます。合わせましてこの三つくらいのものをどのような形で、ダイヤルでやるのか交換機能でやるのかというような幾つか案がございます。  既存の電話のネットワークには余り手をかけないというやり方をいたしますと、今言いました三つの情報をすべてお客様がダイヤルをしていただかなければいけない、こういうことに相なります。東京から大阪にかけるといったことで考えますと、二十五けたくらい必要なんではないか。一番手をかけないやり方をしますとそういうことに相なります。現在アメリカでもそういう形で、二十けたないし三十けた近い番号を回すということが必要になっておるようでございます。  それからもう一つ、もう少し既存のネットワークに機能を付与いたしまして、お客様が余りダイヤルをしなくても済むような形もございます。もちろん交換機なりそういったものに機能を付与するわけでございますけれども、その場合でもやはり複数事業者が参入されますと、現在の回していただきます番号に万けたほど余計に必要になるんではないかというふうに考えられます。  さらに、もっと検討を進めますと、そういった万けたもお客様の利便というような点から考えますと問題でございますので、例えばあらかじめ新電電あるいは第二の参入業者ということをお決めいただく、事前に登録をしていただく、それを交換機に覚えさせておくということをやりますと、今までと全く同様のダイヤルでつながるということになろうかと思います。  先ほど、アメリカで現在二十ないし三十けた近いということを申し上げましたけれども、やはりこれは大変不便でございますので、アメリカでは、私が二番目に申し上げた方法、すなわちもう少しけた数を少なくしようというような機能付与をやっておるようでございますし、さらに事業者をあらかじめ選んでおくというふうな方法も、現在そういった工事をやっておるようでございます。ことしの九月くらいから徐々にそういったことが実現できるようになりまして、約二年かかってそういう状態に持っていきたいというふうなことのように聞いております。
  218. 西村章三

    ○西村委員 ダイヤルのけた数の問題についてはいろいろとやり方があるようでございます。私はアメリカのことを聞いておるんじゃなしに、そういう不安があるが、それについてどのように対策を講じていこうとするのか、その方向を伺っておるわけでございます。もう一度答えてください。
  219. 村上治

    ○村上説明員 お答えいたします。  どうもアメリカお話をいたしまして大変申しわけございませんでした。  やはり新規参入がどういう形で、そしてどういうテンポで入ってくるかということによろうかと思います。法案が成立して直ちにそういうことをやってほしいということになりますと、先ほど申しましたような時間的にも経費的にも、けた数の多い方法をとらざるを得ないかとは思いますけれども、少しお時間なり工事の暇をいただきますれば、先ほど言いました万けた程度の増加というふうなことで済ませられないか。それから、ちょっと先ほどの繰り返しになりますけれども、あらかじめどのネットワークを選ぶかということをお決めをいただいておきますれば、今までとダイヤルのけた数は変わらない形でやれるようにということで、いろいろな角度で検討を進めております。
  220. 西村章三

    ○西村委員 ダイヤルのけた数の問題はそれぞれお答えがございました。問題は、金と時間をどうするかということであろうと思うのですが、現在の段階公社として、できるだけ五けた程度に抑えるという方向で臨まれるのかどうか、その点が一つ。  それから先ほどの質問の中で、巷間伝えられるところによりますと、この改革によって市内通話料金が上がりはせぬか、地域によって料金の格差が出てこないか、こんなことが不安材料になっておると申し上げたのでありますが、答弁が出てこないので、その点についてもあわせて答弁をしてください。
  221. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもの今度の法案につきましての料金の問題でございますが、法案にも明記してありますように、使用サービスは認可料金になっておりまして、恐らくそれは全国一律の認可料金になると思います。  それから、市内料金が上がりはせぬかという問題でございますが、これはかつて内閣委員会で同じ御質問がございましたので、それを繰り返してお答え申し上げますが、私ども、現状におきましては、長距離料金から市内料金の費用をかなり補てんしておるというのは事実でございます。しかしながら、だからといって、競争相手と競争するために長距離料金を下げるから平面的に市内料金を上げるということでは私どもの社会的な責任を果たしておるというふうには考えられませんので、そこのところをどうするかということが私どもの社会的な責任だというふうに考えております。  まず、今申しましたように、現在長距離料金から市内料金に補てんしているのは事実でございますけれども、市内とその周辺に通話が時々刻々一体どういうふうに流れておるかという科学的な資料は私どもの現在の設備ではつかまえることができないのでございます。それで、御質問の問題が早晩出てこようかと考えましたので、私ども、この間からの日米調達の中に含めまして、この通話の動きを時々刻々必要な場所のポイントでつかまえることができて、きちっとした科学的な資料をつかむことができるようなシステムを買い入れまして、今それの設備を急いでおる状態でございまして、あと二年くらいかかりますと、ですから六十一年の秋ごろになりますとその資料がかなり出てまいります。その資料の分析とその時点で考えられる将来の新規参入との相互関係というものを考えまして、市内料金を根本的にどうすべきかというきちっとした資料を整えて、それから皆さんの御意見を伺うという形にならざるを得ぬかと思います。  ここのところで一つ問題がございますが、市内料金と一口に申しましても、三分十円でかけられる範囲が東京は四百四十万、大阪が二百二十万ぐらいあります。地方に参りますと、三分十円でかけられる範囲は五千、一方、二万というところが大部分でございます。したがいまして、この三分十円の使い方の値打ちというものに非常に大きな格差、矛盾を含んでおるのが現状でございます。現状は、その矛盾を幾らか緩和するために、基本料金で二、三百円の差をつけて補てんしている形になっておるわけでございますが、一方、地方は車社会がだんだん進んでまいりますし、また高度情報社会というものが地方にも浸透してまいりますと、今の三分十円の市内料金の範囲が生活圏にまるでそぐわない形になることは想像されます。  そこで、その問題とそれからこの長距離料金の問題と、そしてまたその時代になりますと、高度情報通信というものがかなり栄えてまいってくると思いますので、全体の通話料というものが現在よりもはるかにふえてくるはずでございます。そうしますと、そのエキストラの収入というものと、それからまたその時代までに、今度は私どもが今までのような窮屈な生活じゃなくて一般の会社と似たような動きができるようになりますので、その時代になりますと、私ども社内のコストで通信線の収入にぶら下がる費用がどういうふうに変化するということもはっきり出てくると思いますので、その時期がこの問題を本式的に取り上げる時期じゃなかろうか。ちょうど新規参入が本格的に稼働を始める時期には何らかのきちっとした方針が出せるんじゃなかろうか。またそれを郵政なり、政府なりに御了解いただいて、もっと合理的な高度情報社会に即応し得るような料金体系というものが考え得るのじゃないかというふうに考えております。まだきょう今日ですから、長距離料金を下げるから近距離料金は上げるということは絶対考えておりません。長距離料金を下げるのは、現状から推移していくプロセスの中で財務の基盤に余裕ができれば、また余裕ができるように私ども努力をいたす覚悟でございますが、その分は下げますということを申し上げているのでありまして、それイコール市内料金にはね返すということは一口も申し上げておりませんで、それをやったのではさっきから議論になっております競争と公共性というものの根本を崩すことになりますので、そこは十分覚悟して経営を続けていくつもりでございます。
  222. 西村章三

    ○西村委員 総裁から明確に力強いお言葉をいただきまして、一応は安心をいたしました。今後そういうシステムを利用された合理的な料金体系づくりの中におきましても、そのことは十二分に御配慮をちょうだいしたいと思うのです。なお、くどいようでございますが、これは郵政大臣、ちょっとお尋ねをいたします。  先ほどから申し上げておりますように、国民利用者にとりましては、今回の二法の成立によりまして、料金は高くならないか、生活が不便にならないか、サービスが悪くならないか、この三点に尽きるわけでございます。この二法を提案するに当たって、大臣として、この点はどう考えておられますか。
  223. 奥田敬和

    奥田国務大臣 まず先ほど来お話がございましたように、新電電、新会社になっても公共性の基本を踏まえながら営んでいっていただかなければならぬということは当然でございます。  今のように市内料金がそのために上がるのじゃないかという不安が世上流れております。確かに、今回の電電改革法案は、今日的な多彩なメディアサービス、きめ細かなサービス国民利用していただくという面においては、今日の一元体制下ではやり得ないというような事態から通信政策開放を決断したわけでございます。はっきり言って、今のところは話して聞くという電話中心の時代から、話して、聞いて、書いて、見て、絵で見るといったような、例えばコンピューターと電気通信が結合したVANとか、あるいはテレビと電気通信の結合したようなキャプテンサービスとか、あるいは双方向のCATVで画像通信が送られるとか、いろいろな形で新しい総合情報通信時代に私たちはまさに入っていく、その過程の中でどうしても行わなければならない改革であると認識をいたしております。  したがって、最終のユーザーである国民生活に便利と豊かさを供与していただくということ、しかもその過程の中であくまでも新電電は経営の効率化も図りながら、公共性も踏まえながらサービスの向上、そして安い料金をもって国民に還元していただきたい、このことが願いでございます。したがって、市内料金に直ちにはね上げるようなことはできるだけ慎んでいただくと同時に、高収益を上げる原因は、今さっき言いましたようないろいろなメディアによる回線利用によって、そういったことに波及しないように、そういった収益の面においてもうんと努力をしていただきたいと心から願っておるわけでございます。
  224. 西村章三

    ○西村委員 次に、競争原理導入と公共性の確保という問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  先ほど来、新電電はいわゆる公共性と効率性、これを調和さして、ともどもその責務を果たしていくどいうことのお話がございました。しかし、この法律内容から検討いたしますと、新電電は第一種事業者として設備や料金の規制を受けております。加えて、不採算地域への電話役務の提供だとか、あるいは研究開発の推進並びに成果の普及に努めるというような義務条項もございます。こういうハンディキャップを負っておりながら、なおかつ公共的機能というものが一〇〇%果たせるのか果たせないのか、この公共性確保というものが新電電の経営に不安が残るようなことになりはせぬのか、その辺を心配するわけでございますが、政府としての見解はいかがでしょうか。
  225. 小山森也

    小山政府委員 新会社は、会社法案によりまして、確かに全国電話の役務とそれから電気通信技術に関する研究開発の推進というのが責務にされておりますが、新電電会社は、長い歴史の積み重ねによりまして生み出された資本力、技術力を有しております。また、日本全国一円を営業エリアとするということでございまして、高収益地域とそれから低収益、低収益どころか赤字のところと両方持っているわけでございますけれども、要するに、それが一経営単位として経営されるわけでございます。したがいまして、経営規模によるスケールメリットも有しているということでございます。したがいまして、今回、もしこの法律が制定していただきますならば、新会社も一層創意工夫を生かした、当事者能力を持った生き生きとした経営体にさらに進むでございましょうから、そういった意味でも経営効率というのは上がる、このように考えております。そういたしますと、やはり全体から見まして新電電会社は競争状況の中にあってもそういった公共的責務を十分果たしていかれるのではないか、このような考えで立法に臨んでいるわけでございます。
  226. 西村章三

    ○西村委員 今の御答弁によりますと、いわゆる経営規模によるスケールメリット、これがあるから、この競争を通じてさらに刺激を与えることで公共的な機能、責務というものは十分果たしていける、こういうのであります。しかし、逆に考えますと、新電電のスケールメリットというものは、むしろ巨大さゆえに非効率を生じるおそれもございます。また、スケールメリットを武器として乱用いたしますと、有効な競争、公正な競争が妨げられる可能性というものも必然的に出てまいります。この点について政府はどう考えますか。
  227. 小山森也

    小山政府委員 スケールメリットというのは確かにございますけれども、先ほども若干触れたのでございますけれども、スケールメリットは逆に今度は非効率性を生むという御意見でございます。これにつきましては、それこそ競争原理というものを踏まえまして、当事者能力を発揮して生き生きした事業体としていくという、今度は会社法の面からいきますところの会社の活性化、こういうことによりまして非効率性というものは自己排除するのではないかと思っております。また、このスケールメリットを働かせたことによりまして、競争原理、相手会社との公正な競争を害することになるのではないかということでございます。これは、まさに短期的な一つの結果を得るということでそのような活動をいたしますと、確かに公正競争の相手をみずから抹殺してしまうということになります。しかし、新電電の経営者が長い目で新しい電気通信事業体すべてについて見渡すならば、正常な市場価格が構成できない、電気通信の全体のバランスというものが崩れてしまいますならば、みずからもまた独占に戻って硬直化する形になり世の批判を受けることになるというのはわかるわけでございます。そういったものは当然自然な形だけでは維持できませんけれども経営者それ自体の経営に対する責任と社会的な責任というものを十分理解した経営行動を行うと同時に、私ども行政といたしましてもそういった点につきまして常々事業体とも意思を通わせ、さらに国会に対して十分な御説明ができるような行政行動をとるべきものだと考えております。
  228. 西村章三

    ○西村委員 このスケールメリットの非効率性あるいはその乱用についての議論はまだまだたくさんあると思います。私もまた機会を改めてやらしていただきたいと思うのですが、万が一新電電が公共的な機能を果たせない、例えば不採算地域へのサービス提供が新電電の経営を過度に圧迫する、場合によればこんなことも考え得るわけでございますが、そのようなときに予防措置というものは考えておられるのですか。
  229. 小山森也

    小山政府委員 第一種電気通信事業の中には、著しく過剰な施設ができるというような場合におきましては結果的に最終利用者に高い料金になってしまうということがありますので、ちょっと何条だか忘れましたけれども、許可に当たってそういったことを防ぐための条項を設けておりまして、未然にそういったことを防ぐようにしてございます。
  230. 西村章三

    ○西村委員 どうも質問に的を射てないようでございますが、新電電がその公共的な機能を果たせないときに予防措置としては何か考えておるのか、こういうことでございます。私はそれは結果的には料金政策によらざるを得ないと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  231. 小山森也

    小山政府委員 お説のとおりでございまして、一番問題になるのは料金政策でございます。そういった意味で、公共事業というものに対する政府の関与で一番問題になるのは、最終的に詰めますと公共事業というのはいかにして国民のために良質なサービスを提供できるようになるかということでございまして、料金をいかに基本的に考えるかという料金政策が一番大事なことだと思っております。
  232. 西村章三

    ○西村委員 問題を先に進めます。  その次に経営形態の変更問題についてお尋ねをいたします。  電気通信事業の特性工事業分割ができる部分とできない部分とがあることは、いろいろな皆さんの御意見でも承知をいたしているところでございます。  ところで当初臨調答申の中で明確にされましたのは、いわゆる電電に対する基本的考え方として基幹回線の中央会社と地方の電話サービスを受け持つ幾つかの地方会社に再編分割する、こういうことでございました。この再編分割案につきまして今回の法改正との絡みの中でどのような検討を行われたのか。またその分割についての結論はどういうことになったのか、この際明らかにしておいてください。
  233. 小山森也

    小山政府委員 臨調答申の中に確かに分割する案は入っております。ただ、分割の問題につきましては一つ技術的統一性、それから電気通信の特性でございますネットワークの品質の問題というものが維持されるかどうかということが非常に大きな問題でございます。例えばネットワークが維持されるとしてその品質も維持されるとしても、経営権を地域ごとに分ければそれでは可能ではないかというような論もございますけれども、そのようなネットワークをそのままにして経営権を地域ごとに分ければ本当に維持できるかどうかということは早急に判断すべきものではないと考えまして、種々検討を行ったものでございますけれども、この分割というものに対するネットワークの維持という点から検討不足でございまして、とても現在において踏み切るという状態になかった。したがって、臨調答申が間違いであるということを私は申し上げるわけではございませんけれども、要するに現時点におきましていろいろな意味においてネットワークを正常に運行しさらに経営権も確立し、安定した経営をするということについては、やはりこの際分割ということはとるべきではないという結論に達したものでございます。
  234. 西村章三

    ○西村委員 私も電気通信事業の特性上この分割というものはなじまない、したがって今回の法案の中でそのような提案がなかったということにつきましては大いに賛意を表しているものでございます。  ところでもう一つ臨調答申の中で、いわゆる再編成までの間における合理化の中で、この分割を一応の前提としてといいますか、宅内機器、データ通信、保守の各部門の一部を分離してはどうか、こういうことが明確に書かれておったのですが、今の時点でこの分離は行うのですか行わないのですか。行うとすればその理由は一体何ですか。
  235. 小山森也

    小山政府委員 データ通信部門等の分離の説というのはいわゆる公正競争、このデータ通信設備サービスなどは特に類似の会社がございますので、そういった公正競争を保つという意味で分離をして完全な公正な競争体制に持ち込むべきであるというのがその基本的な考え方であろうと思います。こういった考え方に対しまして、分離をしていくということによってこたえるということも一つの方法ではございます。またある意味においては非常にすっきりするかもしれません。しかし、現在電電公社の中におきましてデータ通信の部門というのは社内で大きな地位を占めておりますと同時に、ここにはお客様が大勢つながっております。また同時に、中のサービス形態もデータ通信というものといわゆる世の中でいうVANサービスというような通信処理、これが一体になって行われておりまして、これを直ちに分離するということはかなりの混乱を生ずるということになります。むしろこの際はより慎重に検討することが一番いいのではないかと考えておりますが、これはむろん私ども政府立場から云々するということではございませんで、やはり第一義的には経営の主体性を持ってこういったものは判断していくことが大事であろうと思います。  それから販売部門への進出問題につきましては、今後いろいろ端末機器が自由化されました場合に、電電公社それ自身が販売部門に乗り出すかどうかということでございますが、これにつきましては、やはりいろいろな前提条件、例えばそういうことによって公正な競争が維持できるかどうかというような前提条件がいろいろ満足するということを見きわめた後において行うことは、それは配慮していいのではないか。ただ、前提条件の中には、やはり販売部門とそのほかの電気通信の本来のサービス、売り上げ部門との会計の整理というようなことも厳重に行わなければならないのじゃないかと思っております。
  236. 西村章三

    ○西村委員 臨調答申とはいいながら、いわゆる事業分離の問題は、合理化推進の有効な方策でございます。しかし、利用者に対する影響、事業に対する影響、さらには職員に対する影響、こういうものを考えながら、対応をしていかなければならない問題でございます。  関連して若干伺うのですが、事業分離は新電電の出資による別会社で可能でございます。例えば、先般も、きょうもその質問が出ておりました。新電電の機器の製造部門への進出、これは総裁みずからが否定をしておられますが、進出をしようと思えばそれは可能でございます。しかし、そのことが産業秩序を乱したり、あるいは民業の圧迫になる、こういう混乱を起こすわけでございまして、それだけに慎重でなければなりません。後ほどの質問と関連をいたしますが、そういった場合、事業計画に新電電の出資や投資計画、これが当然含まれて認可対象になるわけでありますが、この点のチェック及び認可について、郵政省はどのように配慮をしていかれるのか、この辺を聞かせておいていただきたいと思います。
  237. 小山森也

    小山政府委員 新電電会社法は、本来、会社の設立の趣旨を見ますと、またこの法律のたてまえからいきまして、子会社を設立して新しい企業を起こすということについては出資の自由になっております。ただ、しかしながら、先ほど来先生が御指摘のように、やはりこのことによりまして巨大な産業また巨大な収入をもって恣意的にあらゆる部門に出るとなりますと、産業社会の秩序を乱すということになります。また、そのことによりまして、結果的には、電電だけでなしにいろいろな周囲に大きな悪影響を及ぼすことになるわけでございます。そういうことでございますので、本来、事業計画によって、そういった自由な投資というものをチェックするといったてまえではございませんけれども、そういった、電電株式会社が特別法によってつくられた、国から一つの目的を与えられた特殊会社であるという存立趣旨から見て、やはりそれが行き過ぎた場合においては何らかの形での反省というものは求める機会もあろうかと存じます。
  238. 西村章三

    ○西村委員 公社にお尋ねをいたしますが、ここに「新規事業に対する公社考え方」というものがございます。「経営の効率化、さらには事業の発展、雇用の確保等を実現するためには、」新規事業にも進出をしなければならぬ、しかし、その「創出に当たっては、社会的に意義のある分野に進出することを基本に」して「民間企業と共存共栄することを原則に対処する」こううたわれておるわけでございます。あくまでもこの原則にのっとっておやりになるということかどうか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
  239. 真藤恒

    ○真藤説明員 共存共栄の形でないと、仮に無理なことをいたしまして、強引に新規事業を起こしましても、それは世の中に受け入れられそうにもございません。世の中に受け入れられないものが健全な経営を続け得ることもございませんので、民間企業というのは世の中に受け入れられて、お客に喜んで相手にしていただくということのみが存在の根本でございますから、世の中から嫌われること、あるいは嫌われるような仕組みをやって事業が成立することは、私も民間企業経営者としての長い間の経験で、絶対に成り立たないという信念を持っております。
  240. 西村章三

    ○西村委員 次の質問に移らせていただきます。  昨年の九月十三日に、自民党の行革推進本部常任幹事会、ここで決められました電電公社改革についてという提言に沿いまして、今回の改革法案がその線に沿ってつくられたと伺っておりますが、その第七項に「新会社は、事業の合理化計画をすみやかに策定し、その実施によって要員の合理化を図る。」こう明記をされております。事業の合理化計画及び要員の合理化について、政府及び公社は具体的な計画を持っておられるのか、まず、この辺から聞かしてください。
  241. 児島仁

    ○児島説明員 先ほど来出ておりますように、私どもの移行しようとしております新会社は、不採算部門にもサービスを提供しろということになっています。つまり、不採算部門からの撤退の自由を認められていない形、第一種事業者は今後幾つ出てくるかわかりませんが、その中で唯一、私どもの新電電というものだけが撤退の自由を許されていない、もうけの多いところにだけ集中的に仕事をすることを許されていないということであります。ということになりますと、先ほど先生御指摘の、行革大綱にうたわれておるから合理化をやる、やらぬということではなくて、本質的に私ども事業をいい意味で合理化をしなければいかぬ、効率化をしなければいかぬということになっております。先ほど市内料金、市外料金の話が出まして、市外料金を下げるならば、市内料金を上げないともたぬじゃないかということもありまして、それに対して総裁から明快な答弁がございましたが、総裁のそういった答弁を担保するためにも、合理化をやらなければいかぬと思っております。  ただ、その場合、私ども企業では、現在、三十万を超す従業員を抱えておりますが、この日本の国の中で、三十万の従業員を抱えている企業というものは、そう数あるわけではございません。私ども、やはり国の雇用政策にも合致するように、三十万というものを有効な形で仕事をしてもらうという格好で抱いていくことも、国の政策に沿うことではないかと思っています。そういった意味では、私どもは合理化は徹底的に進めますけれども、先ほどちょっと話の出ておりました新規事業、こういったものにも私ども、積極的にかつ社会的に容認される範囲内で手を出させていただいて、事業範囲の拡大を図ると同時に、雇用の確保も図る。その場合の雇用の確保ということは、不稼働の要素を持たない、いい格好のものにしたいということに考えております。  現在、具体的な合理化計画を私ども立てまして、昨年の暮れに全電通と協議終了いたしまして、現在、進行中でございます。その具体的な内部については、御説明する時間がないと思いますが、万般にわたって事業の再点検をしたというものになっております。これが実行段階に入っておりますが、向こう三カ年で済むもの、あるいは五年間で済むものございますが、これがもう既に地方の段階で組合協議もほぼ終了いたして、実行段階に入っておりますが、これが実行されますと、相当数の要員が要らなくなるということでございます。これは、要らなくなるというのは、今の仕事を改善するから要らなくなるのでありまして、これについてはもちろん減耗の要素もございますから、私どもはそういったことも考えてまいりますけれども、有効にこの稼働力を使っていくという観点から、むだでない、新しい職場の開拓ということも考えていきたい。また、そういったことでやらなければ、新しく出てくる第一種の新規参入業者に勝っていけないのではないかと考えております。
  242. 西村章三

    ○西村委員 ここに新聞の報道の資料がございますが、これは第二臨調がいわゆる分割・民営化の基本答申を出した時点で、この分割・民営化というものを想定して公社は十五年間で職員九万人削減する、そういう大合理化案をまとめたと報道がなされておるわけですが、こういう大合理化計画案というのは存在をしたのかどうか。ただいまお聞きをいたしました新しい組合と合意をした計画によりますとこれは全く違うものだろうと思うのですが、この計画は存在するのかどうか、明確に答えていただきたいと思います。また、新しい合理化計画、筋だけで結構でございますからごく簡便にあらわしていただければありがたいと思います。
  243. 児島仁

    ○児島説明員 ただいま先生から御発言のありました九万人何がしという数字については、私どもの手元から出したものではございません。私どもはあれと全く無関係企業努力によって合理化を行っていくということは常時見直しております。といいますことは、常に毎日のようにいろんな職場に新しい機械が入るということでございますから、電電公社の職場は毎日毎日が合理化のことである。毎日のように配置転換が行われる、訓練が行われるということだと思っておりますが、そういった格好でいわゆる合理化計画というものは当時も検討しておりましたが、九万人というものについては私どもの案ではございません。それをはっきり申し上げておきます。  現在私ども考えておりますのは、全部申しますと大変なんで二、三申し上げますが、私ども事業は二十四時間サービスをしておる。昼間だけ工場を開いておるというものではありませんので、夜間のサービスにこたえるための対応策で非常に人を食っております。幸い私ども電気通信事業というものは非常に集約的に仕事ができますし、さらに最近技術開発で遠隔地のコントロールということもかなりできるようになってまいりました。私ども、一言で申しますと夜泊まって勤務をするという職員の数を減らす。これは職員の常働条件の向上にもなると思っておりますので、これが一番の眼目だろうと思います。そういった意味で、現在全国に二千五百カ所人のおる局舎がございます。無人局舎は八千かそれぐらいでございますが、人のおるところでも二千五百あります。そこでいかに夜間に勤務をさせないでいくかというのが合理化の眼目であると思っておりますが、例えば機械部門で申しますと、最近新しい試験台を入れまして、今ちょっとダブって恐縮でございますが、遠隔地のコントロールもできるということでございます。それから電話運用にいたしましても、今いわゆるDSAコールというものが非常に減ってまいりましたが、一方電話番号案内というものが非常に多くなっております。これを今、全国で割合手のすいているところに回線を延ばして、人を動かさずに仕事を再配分するという格好でコントロールするということでやっておりますが、これをさらに強力に推し進める。場合によっては夜間、深夜の番号案内というものは、これは交換手の負担でもございますし、何らかの方途も考えなきゃならぬということも考えておりますが、現在はそのこと以前に仕事の再配分というようなことを考えております。  それから、その後、これは仕事の請負化というのは必ずしも合理化と直接タイトに結びつくものではございませんが、民間に委託をしてむしろ仕事がやりやすい、効率の上がるというものにつきましては請負化も相当大量にやっております。その他電話運用部門、保守部門その他の部門にわたって相当たくさんの、項目にしまして数十項目の合理化計画を持っておりますが、大ざっぱに申しますとそういうようなことでございます。
  244. 西村章三

    ○西村委員 職員にとっては雇用の確保というものは一番重要な関心事でありかつ大事な問題でございます。合理化を推し進めることによって効率的な経営体になることも大切な事柄でございますが、この辺は雇用の確保という問題との兼ね合いの中で、合理的にかつ十分組合と合意ができるという前提に立って推し進めていただきたいと思います。  時間がどんどんたってまいりますので、次に進みたいと思います。  ただいま御説明のありましたいわゆる夜間の要員の削減、これをやらなければなかなか前へ進まないということでございましたが、運用部門、保守部門、電報部門の要員合理化、特に電報事業の夜間配達などの合理化はもう既に方針が決定されておる、こう伺っておるのですが、どのようになっておりますか。
  245. 児島仁

    ○児島説明員 電報につきましては即日、これは一時間ぐらいでございますが、配達しなければいかぬということでございます。一通でもありましたら夜中であっても配達するというのが建前になっておりますので、一通しか配達がないところあるいは十通しかないところ、それでも最低配置として職員を現在泊めております。これが職員の稼働に非常に大きな影響がございまして、かつ職員の労働意欲にも問題があるというふうに思っておりますが、通数がある程度まとまっておるところは私どもの本職員で配達させ、かつ勤務も夜させるということでございますが、通数の少ないところにつきましては、あるかないかわからぬ電報を待っておるというのも非常に非効率でございますから、通数の少ないところ、これはとりあえず現在月間百通未満でございますが、この辺についてはすべて民間に委託していただく。民間の牛乳屋さんとかガソリン屋さんとか、そういう方々に一通幾らという格好で請け負っていただくということでやっております。この計画が進みますと、私ども最終的には全部請負にしてもいいのではないかということも考えておりますが、これはもちろん労働組合との協議をして決めていきたいと思っておりますが、現在のこの合理化計画が進みますれば、数は正確にはあれでございますが、何千人というような程度の合理化、これは人間の問題を合理化という言葉は適当でないと思いますが、夜じっと泊まっておらなければならぬという人がいなくて済むということになるのではないかと思っております。
  246. 西村章三

    ○西村委員 これも新聞報道によるわけでございますが、公社は五十九年度中に慶弔用の電報と夜間配達の料金を二倍にする、また電報関連の職員、今、何千人というお話がございましたが、これは五千人と言われておりますが、こういう削減の合理化を行う、そういう作業に入ったと言われておるのですが、その後どういうことになっておりますか。簡単に答えてください。
  247. 児島仁

    ○児島説明員 これにつきましては、既に中央交渉を終わりまして現在各地での地方交渉にゆだねましてはぼ結論の出た通信局、まだ交渉中のところもございますが、ほぼ打ち上がりでございます。後はそれぞれ委託を受けていただく方を探してその条件をのんでいただいて切りかえていくということになります。もちろん、その後、今まで配達をしてもらっておりました職員につきましては再訓練をして配置転換を行っていくということで段取りができております。
  248. 西村章三

    ○西村委員 次に進みます。  会社法ではいわゆる五年以内の見直し規定というのが制定をされておりまして、これは事業展開の推移とその結果を見て再検討、見直しをするということでございますが、その中心は、どうやらいろいろ考えてまいりますと事業の分割になる可能性が強いように思います。この見直し規定を見越して今から分割を準備することも理論的にはあり得ると思うわけでありますが、この点についてはどうなのか。見直し規定の目的は何か。これはやはり明確にしておく必要があるのではないかと思います。またこの見直しによって新しい株式会社、新電電ですね。あるいは利用者に混乱を起こさせないことが極めて肝要でございますが、この点について政府見解を求めておきます。
  249. 小山森也

    小山政府委員 この五年以内の見直し規定といいますのは、事業分割だけを考えたものではございません。先生、つとに御存じのように、電気通信分野における急激な技術革新とそれから国民の皆様の間におけるニーズというものが非常に変化してまいります。通常でございますならば、五年というのは案外短い期間でございますけれども技術革新の世の中になりますと、この五年というのは案外長いものになるわけでございます。  そうした場合におきまして、今回、明治以来という形の官業あるいは公社営業というものを変えた、その変えた民業の新電電株式会社がそのような新しい電気通信環境に対応していかれるかどうかということを、五年の期間をもって見直そうということでございまして、この見直しというものは全般にわたるわけでございまして、分割問題というものに集中した意味ではございません。
  250. 西村章三

    ○西村委員 次に、公社民営化政府関与につきまして若干お尋ねをしたいと思うのです。  電電公社民営化して、自主性当事者能力を与えて自由で独創的な経営をするためには、政府規制というものはできるだけ少ない方がよいということであります。ところが、この会社法第九条では、会社の取締役、監査役の選任及び解任は郵政大臣の認可が効力の発生要件とされております。すべての取締役、監査役に対して認可を及ぼすということは、これは現在の経営委員はひとまずおくといたしまして、総裁と副総裁のみを内閣の任命としておる現公社法に比べまして規制の強化になるのではないか。まずこの点について、政府見解、そして、電電公社として、本条文は現行公社法よりも規制の強化になると考えるのかどうか、公社としての見解をもあわせて聞かしていただきたいと思います。
  251. 小山森也

    小山政府委員 結論から申し上げますと、これは規制の強化というものにはならないと思っております。なぜならば、現行の電電公社総裁、副総裁は内閣の任命でございます。任命というのは非常に積極的な一つの権力、権限行使でございまして、任命行為というのはある意味におきましては命令行為でございます。これに対しまして今回の認可というのは、役員の選任を事業体が自主的に行う、事業体の中が、株主総会であるかどうかは別としまして、要するに事業体、これがまず自主的に行い、これを事後的に行政行為によって有効化する認可という行為で完結するわけでございます。したがいまして、任命という内閣の一つの命令行為によって行うものと認可というものとは、全く質的に異なるということでございます。  それからまた、ただいまのは現在に比べて過重されているのではないかということに対する御返事でございますけれども、そのほかに他の類似の特殊会社との関係を考えてまいりましても、具体的な名前を挙げるのはどうかと思いますが、日本航空というような場合になりますと、全員の取締役を認可にかけ、さらに代表取締役を認可にかけるというような二重チェックという形もとっているということを考えますと、事業の非常に高い公共性と、それから三十数万名を擁する大企業であるということ、また資産も、純資産四兆数千億、さらに年間の収入が四兆数千億という事業に対する関与としては、極めて軽いといいますか、比較して緩やかであろうと思っております。  なお、こういったことにつきましてつけ加えて申し上げますと、やはりこういった政府の関与ということは、そういう認可行為などを通じて行ったことに対しまして、結果的に当委員会とか国会において政府の責任を持って御説明申し上げることのできる、そういった体制でなければならないわけでございまして、単に役員の選任ということではなしに、電電株式会社全体の管理運用あるいは経営というものに対して、やはり郵政省としていろいろ責務を果たさなければならないという点をも御考慮いただきたいと存じます。
  252. 西村章三

    ○西村委員 局長のお言葉でございますが、現行の公社法の場合のいわゆる総裁、副総裁の任命、これは確かに命令に値するものでございますが、今度生まれ変わりますのはいわゆる民間企業でございます。商法上の株式会社にまでそういう厳しいものが必要なのかどうか、この辺の見解は若干差があると思います。  また、ただいまの御答弁の中で、日航法のように取締役の選任と代表取締役の選定とに対してそれぞれチェックを行うような二重チェック方式はとっておらない、こう言われるのでございますが、法文上はまさにそのとおりであります。しかし、取締役の選任の決議案を総会に提出する前に郵政大臣提出させてチェックをする、あるいは総会終了後の認可において再度形式的にチェックをする、こういう形での取締役の選任に対する会社法第九条の規定の運用による実質上のダブルチェックというものが起こる可能性がやはりある、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  253. 小山森也

    小山政府委員 事実関係に対する御説明になろうかと思いますけれども、確かに、実際の運用に当たりまして、事実上そういったことで意思疎通を図るということはあり得ることでございます。  ただしかし、代表取締役、これについては認可事項にかけないということは、取締役会において代表取締役を自由に選任できるということが残っておりまして、二重に代表取締役はだれであるかということをさらにまた認可事項にかけるということとは大分趣が変わるのではないかと思います。
  254. 西村章三

    ○西村委員 若干角度を変えて申し上げますと、これはまた問題は若干別なんですが、株主総会における取締役、監査役の選任と郵政大臣の認可審査の結果がもし仮に食い違った場合、どのようにこれは処置をされるおつもりですか。
  255. 小山森也

    小山政府委員 形式的に申し上げますれば、効力を生じないということになりますので、その結果は、改めて株主総会を開いて選任するか、あるいはその取締役についてはそのまま欠員になるか、そういう現象が起きるのではないかと思います。
  256. 西村章三

    ○西村委員 認可の対象を代表取締役だけに限定する、これはほかの特殊会社にも例がありまして、例えば中小企業投資育成会社あるいは自動車ターミナル株式会社、関西国際空港株式会社、これらがそうでございますが、それなりに理由のあることだと思いますが、この理由はどうですか。
  257. 小山森也

    小山政府委員 これは正式な形でオーソライズされた見解ではございませんけれども、私ども一つ理解といたしましては、第一に、中小企業投資育成会社は、職員が東京で四十三名、名古屋で三十一名、大阪で四十三名という非常に規模の小さいものでございます。また、自動車ターミナル株式会社、これも八十三名の職員でございます。また、関西国際空港、これはこれから発足するものでございますけれども、大体百名の職員ということでございまして、まずスケールの面で、電信電話会社の三十万名を超えるというものとはすっかりスケールにおいて違うという点が言えると思います。  また、今度は内側の仕事の内容でございますけれども、それぞれに公共性を持ったものではございますけれども電気通信の、しかも電話の責務を持って臨むという会社でございます。通信の秘密等非常に重要な公共性のある仕事をするという内容から見ましても、これがこれらの会社と違う規制があってもいいのではないかと考えている次第でございます。
  258. 西村章三

    ○西村委員 巨大な組織であるからそういうことが必要だ、こういうことの理論のようでございますが、私はやはり今回の改革の目的が新会社に対してできるだけ自主性を持たせるあるいは当事者能力を持たせるということからいたしますと、関与はできるだけ最小限にする方がいい、こういう観点から申し上げておるわけでございます。かつて忌まわしいKDD事件もございました。そういうことの再発がないように、癒着が起こらないようにあるいは郵政省からの天下りが新電電におりていかないように、こういうことからもすべての取締役あるいは監査役までというのはいささか私らも理解がしがたいわけであります。代表取締役程度にそれを抑えることができないのか、こういうのが私どもの主張でございます。その点について大臣どうお考えになりますか、私が申し上げている点、ひとつ答えていただきたいと思います。
  259. 奥田敬和

    奥田国務大臣 政府関与をできるだけ小さくして、当事者能力をうんと発揮して新電電経営に当たっていただきたいというのが願いでございます。私たちは、政府としては、今ほど局長が言いましたように、そのことの方がむしろ当事者能力を発揮できるのじゃなかろうか、代表役員の選定はむしろ役員会にゆだねるという形の方がいいのじゃなかろうかということからそのような決断をしたわけでございますが、先生のような御意見、御議論のあることも事実でございますので、この国会審議を踏まえまして十分その点についても論議を尽くしてまいりたいと思っております。今すぐ先生の御意思に沿う形で考え直すというような意味と受け取っていただいては困るのですが、そういった審議の過程を踏まえて十分慎重に、この点については願いは当事者能力を発揮していただこうということにあるわけですから、そのとり方が先生のような御意見の方向がほとんどの御審議の中心であるということになれば、また党とも相談してまいりたいと思っております。
  260. 西村章三

    ○西村委員 最後に、ただいまの取締役の選任につきましては、やはり一定の基準といいますか、何かそういうものがあってしかるべきだと思います。取締役としての適不適のガイドライン、これを公表する形で認可基準というものを明確にすべきだと思いますが、この点について政府見解を示していただき、私の質問を終わりたいと思うのです。  問題はまだまだ事業計画あるいは定款の変更、利益金の処分、料金問題、いろいろな政府の関与がたくさんございますが、時間も参ってしまいました。株式の処分の問題あるいは事業法と料金の問題、まだまだたくさんございますが、他日にこれは譲ることにいたしまして、最後にそのお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  261. 小山森也

    小山政府委員 あらゆる行政行為に通じることでございますけれども、その行政行為が透明でありまして、あらゆる面から見ましても明快な形で理解できるということは非常に大事なことだと思っております。ただ、人事の問題は余り具体的に細かく決めるということは、また今度人事そのものによっていろいろな結果が出た場合のいろいろなことが想定されます。したがって、透明度というのにもおのずからある程度限界があるものと思っておりますが、一般的に言いますならば、高い識見と経営手腕を有する考でなければならないことは当然のことであろうと思っております。
  262. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  263. 志賀節

    志賀委員長 次に、中村正男君。
  264. 中村正男

    中村正男委員 長時間の審議で、大変郵政大臣初め真藤総裁以下答弁される当局の皆さんもお疲れだと思いますが、あと一時間でございますので、ぜひひとつ御協力をお願いしたいと思います。  私は、きょう朝からの論議の中で大変集中しておりました点、とりわけ競争原理導入ということが電気通信の社会的な効率にあるいは社会的な効率の向上につながるのか、こういう観点でとりわけ公共性の確保という面で幾つか質問をしていきたいと思います。  まず、今回三法案が提案をされたわけでございますが、基本的な目的はいわゆる高度情報化社会の実現に向けて競争原理導入を基本とした電電公社民営化、さらには電気通信自由化を一気に進めてしまおう、こういうことだという理解に立っておるわけです。しかし、同時にこの高度情報化社会が進展するにつけまして、今まで以上に電気通信の持つ公共性が大変重要性を増してくると思います。すなわち、通信の秘密の保持、さらには重要通信の確保、また離島、山間僻地への公平なサービス、ネットワークの安全性と信頼性の確保、さらには全国あまねく通信というものはいっときたりともとまってはならないわけでありますし、等々挙げればまだまだあろうかと思いますけれども、この公共性の確保というのが大変重要になってくるわけであります。  同時にまた、情報化の進展ということはさまざまな分野に大きな影響を与えてまいります。情報通信サービス産業から種々のサービスの提供を受ける立場にある製造業、さらに流通業、金融業、また新たに新電電と競合関係になる電気通信機器産業とその関連産業、言ってみますと、産業構造すべてにわたって大きな影響を及ぼしてまいると思います。もとより一般の家庭、国民生活にも重要なかかわり合いを持ってくるわけでありまして、したがって従来は情報通信サービス分野における制度的な枠組みの改革、こういうことが主としてこの分野に関連する事業者の問題として検討されてきたというふうに思うわけですけれども、今日の状況はその範囲にとどまることを許されない、このことをまず強調をしておきたいと思います。  そこで、こうした状況を考えますと、単に総論的な競争原理導入していけばすべてそれでよしとする、これが今回の法案の基調になっておるわけですけれども、その点についてまず質問をしたいと思います。郵政それから公社、それぞれの立場でひとつ御見解をお聞きをしておきたいと思います。
  265. 小山森也

    小山政府委員 お説のとおりに、これからの高度情報社会に向けまして、例えば金融界では金融のデータ通信化であるとか、あるいは自治体でも導入しているとか、オンラインシステムであるとか、いろいろな電気通信利用したデータ処理サービスというのが行われております。それはそれぞれの縦の社会において行われていると同時に、それが電気通信というものを使ってその情報化を進める場合におきましては、これは横断的な形で郵政省通信主管庁という立場から責任を持たなければならないということでございまして、非常に今後の高度情報社会を目指しまして、責任の重大性を自覚しなければならないと思っております。  さて、先生の御指摘になりました公共性の問題と競争原理の問題でございます。  通信というのは極めて公共性が高いものである、同時にこれが一般の企業のような競争原理になかなかなじみにくいということは確かに言えると思います。それなるがゆえに、現時点におきましても、競争原理導入をするという国自体が、今、検討していただいている日本アメリカそれにイギリスの三国、主要国ではそれだけ、それ以外は国営によって一元化されているということを見ましても、公共性というものの中に競争原理導入するということはいかに難しいものであるかということは、私どももよく理解しているつもりでございます。ただ、しかしそういうことがあっても、それであっても競争原理導入を図るべきであるというのが、今、現時点における工業社会から高度情報社会に移るところの日本の現状であるわけでございます。  競争原理導入ということは何を意味するかと申しますと、つまるところは、やはり安く、しかもいつどこにいても良質な電気通信サービスを、距離と時間を超越してそこにサービスができる電気通信の特性を持ちながら、そういったサービスを実現できるのは何がよいかということから出てくるわけでございまして、そういった意味で、安く良質な電気通信サービスは、競争原理導入することによって最も有効かつ合理的に入手できるのではないかというのが私どもの考えでございます。この考えは、公共性という通信の秘密の確保とか、通信の安全性、信頼性の確保というような、いわゆる直接的な公共性というものとは内容が違いましても、最終的には利用者の利益の保護の増進という点において同一でございまして、したがいまして、この競争原理導入というものが本来目指したとおりの機能を発揮するならば、この二つの側面というのは決して相反するものではない、こう思っておる次第でございます。
  266. 児島仁

    ○児島説明員 私ども立場から申しますと、現在、電電公社政府関係機関であるということで、一般の株式会社におけると同等の社会的な負担ということをしないで済まされておるわけであります。  例えば、失業保険を払わない、それからいろんなものがございまして、最終的には利益準備金も積み立てておらぬという中での現在の収支の状況になっておりますが、そういったところで今度自由に商売をやるということですが、新規参入が入ってまいりまして、先ほど来電政局長も申しておりましたが、入ってくる業者というのは、単機能ではあるけれども、非常に効率の高い得意の分野でも入ってくるだろうということであります。  一方、私どもは不採算地域でも事業を継続しなければならぬということでありますから、私どもとしましては、そういった社会的負担を全部完全に履行をして、かつ今まで独占でありましたために、ほかの業者には利益は流れていかないのでございますけれども、これが流れていくということで、これに対抗していくということになりますと、相当のしっかりした事業経営をやらないと競争に勝てていけないのではないかと思っています。ということは、私ども事業経営を徹底的に見直して、しっかりしたものにし直さなければいかぬということでございますから、私はここでこの法が求めておる競争原理というものは、私どもの新会社に対する財務の圧迫というか、財務のインパクトという面から相当強力なものがあるというふうに思っています。  したがって、私はいわゆる電電公社と同じような営業品目で、同じようなスケールで立ち上がってくる新規業者というものは、なかなかないと思いますけれども、つまり質と量との闘いというふうな競争の形とも言えると思いますが、それ自体は、これは繰り返して恐縮でありますが、この法の求めておる競争原理というものを実現するものとして、実際に担保するものとして力があるというふうに考えています。
  267. 中村正男

    中村正男委員 私も競争原理導入ということをすべて否定しておるものじゃないわけでして、ただ、今回の法案が画一的にといいますか、総論的にといいますか、そういう競争原理をすべての面で導入していくというところにいささか疑問を持つわけでありまして、むしろ具体的にどの分野にどの程度競争原理というものを導入するか、こういう各論に踏み込んだ検討が重要ではないのか、こういう指摘をしたいわけです。そういう面ではこの二法案、整備法を含めて三法案については、十分検討されたというふうな判断には立てないということを強調しておきたいと思います。  そこで、具体的に入っていくわけですが、まず新電電につきましては、いわゆる電話、電報のあまねく全国的な提供が責務として課せられておる。しかし、朝来の論議の中でも新規参入、この分野に限ってみるならば、極めて競争はフェアに行われる要素は少ない、こういうことが指摘をされております。そこで私はまず、この「責務」の中で一点、公平なという字句が今回どこにもない、この点についてどのような判断からこういう「責務」になったのか、その辺を聞いておきたいと思います。
  268. 小山森也

    小山政府委員 御指摘になりましたように、まず会社法の第二条においては、「国民生活に不可欠な」云々とありまして、公平という文言は用いておりません。ただ、しかし、その中には、その趣旨は「適切な条件」という言葉をもって入れてあるわけでございます。「会社は、前条の事業を営むに当たっては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で」という、この「適切な条件で」というところの中に公平という文言を包摂させているという趣旨でございます。  御指摘のように、新会社の電話サービスが地域によって格差を生じるということを想定したがゆえに、公平という文言を用いなかったというようなものではございません。当初から公平な、地域によって格差を生じることはやはり会社の責務として適切ではないということでございます。また電気通信事業法案におきましても、総則の第七条におきまして「利用の公平」ということを明確に電気通信事業者の責務として法定しております。こういった意味では、第一種電気通信事業者電気通信事業者の責務を負うわけでございまして、そういった意味での公平の観念を今回のこの法案の中で私ども考えていないということは決してないのでございますので、さように御理解いただきたいと存じます。
  269. 中村正男

    中村正男委員 時間もありませんから、結論から私の考え方を申し上げるならば、不採算地域については新電電のみにこのサービスの提供を義務づける、こういうことに結果としてなってくると私は思うのです。果たしてこれが公平な競争と言えるのかどうか、そういうことを考えますと、この一種事業、基本的な伝送サービスというものは公平な競争ができない。ならば、この新電電が一元的に提供するのが国民のために、利用者サービスのためにも最善ではないのかということを主張しておきたいと思います。  そこで、一元的提供に対して、恐らく、いやそうじゃない、競争することによってこういうメリットがあるんだということも先ほど論議がございました。私は、逆に一元的提供のメリットを幾つか挙げたいと思います。そのことに対して、競争によってそれ以上のメリットがあるというのであれば反論をしていただきたいわけです。  まず第一に考えられるメリットとしては、当然のことながら規模の経済性、二つ目はネットワークの一元的計画策定とその管理を通じてのコストの節減、三つ目は低所得者層をも含めて全家庭に電話サービスを提供できる、四つ目、サービスを同一料金で全国に提供できる、高品質のサービス全国に提供し地域発展を促進することができる、国際競争力を高めることができる、国家安全保障のためにも一元的な提供が一番最善である、私はこのように挙げたいわけですけれども、いわゆる競争原理導入ということによって果たしてこれ以上のメリットがどういった点であるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  270. 小山森也

    小山政府委員 まず第一に前提条件でございますけれども、一元的運用で一番集中的にメリットが出るということは、通信メディアが非常に単純化しているときには非常に大きな力になると思います。それでございますので、電電公社電信電話の拡充ということで、特に電話の拡充について集中的な力をここに投入したということは、非常にまれに見る成功したプロジェクトであったと言うことができると思います。  こういったようなメディア単一化というところからくる場合の結論と、非常にメディアが多くなったときとは、またおのずから違う結論が出るのではないかと思います。また、そうなりますと、一々先生の御説に反論するような形になるのもどうかと思いますけれども、規模という点におきましても、規模が大きいということは、逆に単一の機能を果たすときには一方向を向きまして非常に力を発揮しますが、多方向にいく場合におきましてはなかなか大きなスケールメリットじゃなしに、スケールの大岩さからくるむだというものも出てくることがあろうかと思います。  それからネットワークの問題でございます。確かにネットワークというのは単一である場合には高能率であり品質も非常に維持されるということがございますが、いろいろメディアが出てきた場合にネットワークというものの性格が、技術革新の結果によりましてインターフェース技術が非常に高まりまして、ネットワークが二つありましても、これを接続しながらネットワークの品質を下げるということなしにネットワークを維持できるというような条件も出てまいりまして、そういった意味においてネットワークというものはただ単一でなくても維持できる、しかもいろいろな形のメディアを扱う場合においてはむしろこのネットワークの接続というものが大きな力を発揮するのではないかと思います。  同一料金という点でございますが、これはまさに一つ事業体であるかどうかということよりも料金というものに対する行政的な一つ判断の問題でございまして、一元的であるかどうかとは関係がないような気がいたします。  一つ一つ申し上げるのもどうかと思いますけれども、例示的に申し上げるとこの点がございまして、何も私、だから一元は悪いんだということではないのでございまして、一元的な運用も十分大きなメリットがございますけれども、現状のようにいろいろなメディアがあった場合においては、多元的な形でサービスを提供するということがより現状に適しているのではないかということについて御理解いただきたいと思って申し上げる次第でございます。
  271. 中村正男

    中村正男委員 私が言っておるのは、いろいろなメディアがあるから多元的にということではなしに、基本伝送サービスに限って言うならば一元的な提供の方がはるかにメリットがあるんじゃないか、こういうことを言っておるわけでして、競争になっていけば、先ほど来の論議のように当然市内料金のいわゆる値上げという方向での検討がなされなければバランスがとれないでしょうし、あるいはまた、場合によっては地域別の料金制度というふうなことも起こり得る、また、利用者として大変不便なダイヤルのけた数の増加、さらには通話の品質の劣化等々、考えられるデメリットの方がはるかに多いということを指摘しておきたいと思います。  こういった全国の幹線網での自由競争というものが果たして社会的な効率の向上につながるのか、基幹的な電気通信サービスというものは交通機関などと全く性質が違う。業者のサービス競争によってユーザーが利用先を簡単に選択するようなものじゃないということだけは申し上げておきたいと思います。一元的な提供の方が国民にとってははるかにメリットがある、あるいは社会的にも大きなメリットがあるということであります。  そこで、一つ具体的なことだけお聞きしておきますが、これも若干質問が出ましたが、なぜ電報業務を会社法の責務で明確に限定をせずに第一種の電気通信事業としたのか、この点もう一度ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  272. 小山森也

    小山政府委員 先ほど申し上げましたように、電報は今でも国民利用者側から見たらば非常に大事な通信媒体であることには変わりはないわけでございます。ただ、先ほども法体系の説明を申し上げたのでございますけれども電気通信事業法もそうでございますけれども、役務というのは法定されておりませんとその役務全体が本則の中では全部競争原理の対象となる役務となるわけでございます。そうしますと、電報を独占的に行うという場合において、本則において入れる場合におきましては非常に変則的になるわけでございます。そこで、法制上のバランスによりまして附則において独占ということにしたわけでございます。それでは、独占ということにならなくても競争でもいいではないか、あのように損する、非常に大きな赤字を出しているという事業をやる人はいないのではないかという議論がございますが、私どもの推定によりますと必ずしもそうではないのでございます。例えば今はやりの宅配便という方たちが東京都区内だけをやるというようなことになりますと、結構利潤が上がる。そうしますと、それに対して部分的な虫食い状態が出まして、これを事業としてやっている電信電話公社は大変な打撃を受けるわけでございます。今の赤字などというものではとても済まないという状態。そうなりますと、重要な通信媒体であって国民に一日も欠かせないサービスであるならば、独占という形においてぜひ電電公社あるいはこの後の新電電株式会社でやっていただきたい、こういうことからこのような法制上で持っていったわけでございます。
  273. 中村正男

    中村正男委員 それじゃ次に進みます。  次は二種事業の問題でありますが、私は、第一種に限ってはいわゆる一元的な提供を主張しておるわけでして、この二種については、これはまさに限りなく自由な競争であるべきだという立場であります。ただ前提条件として外資の問題、これについてはぜひひとつ改めて見解をお聞きをしたいわけですけれども、私は、今日の日本技術水準と進んだアメリカ技術水準と比較しますと、企業の規模ということを含めて考えるならば、まだまだ対等に勝負ができるという実態にはないと思うのですけれども、その点の認識について、二種事業に既にIBMなりATTが参入をしてくるということが言われておりますが、そういったところと日本の業界との力量についてどういうふうな分析評価をしておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  274. 小山森也

    小山政府委員 お説のとおり、特にアメリカでございますけれどもアメリカの巨大な資本によって日本通信が席巻されるのではないかといった心配は、その公共性から見まして非常に深く憂慮していたわけでございます。それで、私どもとしてもそういったようなことを想定いたしまして、いろいろな防御措置をとるべきであろうという考えもあったことは事実でございます。  しかしながら、実はATTもIBMも通信事業に参入してきたのはつい最近のことでございます。そういうことを考えますと、確かに中小の電気通信事業者はかなり前からいろいろ通信処理、特にVAN処理については入っていたわけでございますけれども、大きな会社であるIBMであるとかATTはつい最近のことでございます。それに比較しますならば、むしろ日本技術としては電信電話公社は非常に優秀な技術を持ちまして既に通信処理には参入しているというか、みずから行っているわけでございます。そうしますならば、ある特定の一社によって日本通信が支配されるというおそれはない。それよりもむしろ、こういった外国の企業とも競い合っていくことの方が通信処理を望む第二種事業者のお客にとっては利益になる、こう判断いたしまして、内外無差別の原則のもとで外国企業競争させるという施策をとったわけでございます。
  275. 中村正男

    中村正男委員 しかし、当初の郵政の原案では、いわゆる特別二種については認可制として、さらには外資については二分の一に規制すべきだということをかなり強く主張をしてこられたわけですけれども、結果として貿易摩擦との関係等あり、通産省との長い間の論議の結果、このように外資規制がなくなったというふうに我々としては受け取っているわけですが、当初郵政がそれほどまで外資については厳しく規制をしようという考え方に立っておられたわけですから、その辺、なぜこういう形に落ちついたのか、その経緯を説明をしていただきたいと思います。
  276. 小山森也

    小山政府委員 重複して御説明申し上げるようになりますけれども、先ほど申し上げましたように、当初そのような市場がある特定の一企業によって席巻されてしまって、それはすなわち日本の二種事業通信事業のある部分が全部外国に握られるというおそれがあるのではないかという心配をしたのは確かでございます。しかし、いろいろな御意見などを伺い、かつみずから調査してまいりますと、私どもが考えていたほどIBM、ATTというものの国内ネットはそれほど進んでいるわけではございません。進んでいるのは中小の、もっと小さいきめの細かいサービスをするVAN事業で、これは確かに歴史も古くてかなり優秀な技術でやっているということがわかりましたけれども、いわゆる全国ネットのような、しかも不特定多数の方にサービスするというような段階のものについては、それほどの差はないと私ども判断したわけでございます。
  277. 中村正男

    中村正男委員 私は、日本通信主権が外国に支配される、そういう大きな観点からだけで言っているわけではございませんで、例えば外資系のVANの業者が倒産をするといった事態になった場合、すぐに代替の経営者ができずに、結果としてそのVAN利用しておったユーザーが大変大きな迷惑あるいは社会的な混乱を起こすということも当然考えられるわけです。とりわけこういう業界だけではなしに、一般的に外国の多国籍企業というのは極めてトラスチックにといいますか、そういう企業経営のあり方をしているわけで、そういう面からも、利用者保護という点で私はやはり規制はしておくべきだということを主張しておきたいと思います。  そこで、外資の問題を除きまして、いわゆる二種事業全体を考えてみますと、私はいわゆるコンピューターを利用した高度サービスを提供する、一口に言いますとこういったことではないかと受けとめておるわけですけれども、そうした多種多様なサービスの提供ということを考えると、これからの高度情報化社会に向けての技術水準の向上等々を考えると、政府の介入なり規制というものがあれば正常な発展が阻害をされてくる、こういうふうに思うわけです。したがって、原則的に二種事業についてはそういう規制を撤廃をして、取っ払って自由競争でよいのではないか、私はこういう考え方を持っておるのですけれども、きょうは通産もお見えでございますので、まず郵政のお考えを聞き、通産省のその辺の考え方も聞いておきたいと思います。
  278. 小山森也

    小山政府委員 第二種事業という分類の仕方でございますけれども、これはVANだけではないわけでございます。いろいろな電気通信サービスを総合的にできるという事業体でございまして、そうなりますとこの第二種事業というのは完全に通信事業でございます。  そうしたときに、通信というものは確かに、先ほど先生も御指摘のところでございましたけれども通信の側面というのは強い公共性を持っております。通信の秘密を侵されたというような場合においては事後措置ではなかなか難しいような被害を受けるときもある。しかも、その被害がなかなかわからないというような側面がございます。また、ネットワークというもので通信は処理されますので、一つのネットワークの中に参入するということは一事業者と一契約者の一対一の関係ではなしに、契約者であるところの利用者全体と利用者全体との関係になってまいります。したがいまして、このネットワークが良好な状態で通信の秘密を常に守り、しかも安全性、確実性のある形で常に稼働しているということが非常に通信処理では大事なことになるわけでございます。したがいまして、本来自由であることがやはり望ましいわけでございますけれども、そういった点からの保障をするために、まず一般第二種の届け出という意味は何を意味するかと申しますと、届け出という行為によりまして、その行為を行ったことによってその時点から電気通信事業者になる、その電気通信事業者になるということは、通信の秘密であるとか安全性、信頼性についての責任を負いますということを内外に明らかにすることでございまして、利用者から見ますとその事業者に対する信頼性というものがそこに生ずる。事業者になる、その行政的な措置をとったとき、これが届け出という行為であるわけでございます。したがいまして、この届け出がない場合においては第二種の通信事業者にはなっていないということになるわけでございます。  その効果といたしましては、健全な形でサービスをするからこそ届け出をして内外に通信事業者であるということを明らかにして参入したものと考えますけれども、万一に通信上のいろいろな不都合があった場合においては、業務改善についての勧告が行政的にできるという行政的担保をとっているということでございます。  なお特別第二種につきましては、先ほども大型VANのような形でお話を申し上げましたけれども、不特定多数の方に大きな規模をもって、全国的な規模でサービスを提供するということでございますので、一定の条件を満たすということを条件にして、登録制というものをとってそれによって行政的な担保をとるということにしている次第でございます。
  279. 中村正男

    中村正男委員 今の答弁の中でこれはもう完全に通信事業です、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、完全な通信事業だというふうに言い切れるかどうか。当然コンピューターというのがそこに介在をするわけですから、情報処理事業という性格も多分に持っている、こういう認識をぜひひとつ郵政もすべきじゃないか、その込もう一度お答えをいただきたいと思うのです。
  280. 小山森也

    小山政府委員 コンピューターを使ったことによってそれは情報処理業であるということは一つ考え方だと思います。ただしかしながら、非常に申し上げにくいのでございますけれども、銀行のオンラインはコンピューターを使っております。それから非常に近代化された船の中はコンピューターがフルに使われております。しかしながら、金融の中で使っているコンピューターがオンラインで本支店間をつないでいるからといっても、それは情報産業としてはランクされておりません。それは一つの産業を行う一つの手段としてコンピューターを使って、いわば部品みたいなものだろうと存じます。同様に通信処理につきましても、それではコンピューターを使ったといいますと、今、電信電話公社の中のディジタル交換機というのは完全なコンピューターでございます。コンピューターを使っているからあれは情報処理業であるというのはちょっといささかいかがなものか、こう思う次第でございます。まことに言い方が悪いのでございますけれども、ひとつ御了解いただきたいと存じます。
  281. 中村正男

    中村正男委員 私はいろいろ意見を持っていますけれども、通産もお見えですから、今の点も含めて通産としての考え方をお聞きをしたいと思います。
  282. 牧野力

    ○牧野説明員 まず先生御指摘の、電気通信事業法案の第二種電気通信事業に対する考え方でございますが、私どもいろいろこの法案の検討段階で御議論を申し上げたことは事実でございますが、第二種電気通信事業に対する規制でございますが、私ども考え方もいろいろ踏まえておりまして、簡素化され、緩和されたものとなっているということで、これはこういうことであろうというふうに思っております。  それから、第二種についての特別と一般の区分の問題でございますけれども電気通信設備を不特定かつ多数の通信の用に供する第二種電気通信事業であって、極めて大規模な事業あるいは外国との間の事業につきましては、その公益性、社会的な重要性と申しますか、そういった観点から特別第二種事業としていわゆる他の一般第二種通信事業と区分する必要があろうということは理解をしているわけでございます。  なお、情報処理か通信がということでございますが、最近、いずれにいたしましても、通信と情報処理の分野というのは非常に技術的にもニーズ的にも融合の方向にございます。私どもといたしましては、電子計算機を用いましていろいろな処理をやっていく、その事業につきましては従来からいろいろと振興策なり私どもでいろいろやっておりまして、こういった面が通信の面を持つこともまた一方事実でございますけれども、また一般的に通信と言われておりましても、情報処理の側面を持つことも、これもまた一面事実でございます。そういうこともありまして、私どもといたしましては従来どおり情報処理ということにつきましては通信との融合というものを十分に踏まえまして、これまでの政策を進め、かつ一段と拡充してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  283. 中村正男

    中村正男委員 私も、これは単純に通信事業だあるいは情報処理事業だ、こう区分けできる時代ではないということだけはぜひひとつ両省ともども指摘として申し上げておきたいと思います。確かにこの二種というのは、まだこれはどんなものが出てくるのか全くもう未知の世界でございます。そういうことを考えますと、いささかちょっと乱暴を言い方になろうかと思いますけれども、私はむしろ今の段階で多種多様なサービスが今後どんどん生まれてくる、その可能性を持っている事業だということを考えますと、今から規模の大小で果たして特別二種、一般二種というふうな形で特段的に分けておく必要があるのかどうか。むしろスタートの段階は、これはもうそんなに規制を加えずに、あるいは区分けをせずに、どんどん自由にやらす。おのずからそういう中で、例えば寡占化がされていく、進んでいくということになれば、自由競争経済社会でございますから、当然不公正な取引等が行われれば、これはもう独禁法によって対応したらいいわけでして、余りこの法律で細かな、あえて細かなと言いますけれども、区分けは必要はないというふうに私は申し上げておきたいと思います。  次は、そういう前提に立って申し上げるわけですけれども、新電電といわゆる二次事業者との高度サービスについての競争でございます。私はこれもあくまでも公平でなければいけない、こういうことを申し上げるわけですけれども、そういうことを考えますと、この公平な競争を制限するような、新電電としてこの分野に進出をする、そうした場合にいわゆる内部的な相互補助、そういうことが行われないような措置が私は必要ではないのかということを申し上げたいのですが、その点についての考え方を聞きたいと思います。
  284. 小山森也

    小山政府委員 御説のとおりに確かに新電電は大きな力を持ちながら、かつ第一種事業でございますから第二種事業も兼業できるわけでございます。したがって、ここで一番大事なことは、こういった事業がともどもに生々発展していくためには、それぞれが同じ競争立場に立って健全な競争関係を維持していくことだろうということは御指摘のとおりでございます。  現在、法的な問題といたしましては電気通信事業法の第三十三条に「会計の整理」ということで一条設けてございまして、これには「電気通信役務に関する料金の適正な算定に資するため、」ということになっております。この「料金の適正な算定」といいますのは、不公正な料金によって競争関係事業に対して一つの不公正な力で働きかけるということを防止するためのことでございます。これは、新電電会社だけではなしに第一種電気通信事業者全員にかかるわけでございまして、法的にはそのような保障措置をかけておりますが、これを実際にどのように維持していくかがこれからの一つの課題になっていくと思っております。
  285. 中村正男

    中村正男委員 ということは、何らかの形で新電電に対していわゆる競争制限をするような内部相互補助は行われないような措置は当然考えていく、こういうことですね。  そういうことと関連するのですけれども、いわゆる新電電がこうした高度サービスを行っていくのは本体業務として行っていくのか、あるいはそれ以外にどういう対応の仕方が考えられるのか、その辺をお聞きしたいと思います。本体業務というのは新電電そのものの企業体でやるのか、あるいはそれ以外の方途が考えられるのかということです。
  286. 小山森也

    小山政府委員 第一種事業者である新電電が行うときには、やはり第一種事業者事業として行うものとして、法的な枠組みとして受けとめている次第でございます。したがって、第一種事業として行うのでございますから、その利用料金等も認可に係ることになるわけでございます。
  287. 中村正男

    中村正男委員 そうなれば、当然そういう事業に対して新電電が行っていく場合料金規制というものが起こり得るということですか。
  288. 小山森也

    小山政府委員 認可という形で料金規制が行われるということでございます。
  289. 中村正男

    中村正男委員 ということになりますと、私は第二種事業については限りなく自由、こういう前提でずっと質問を続けてきたわけですが、そういう面からしますと、いわゆる自由競争ということが二種事業者との間でこの高度サービス市場において行われるのに極めて障害になってくるのではないか、言いかえますとゆがめられた競争になっていくのではないか、また適正な価格形成というものがそういう新電電の料金規制によって阻害されてくるのではないか、そういう懸念を持つのですが、その辺はどうでしょうか。
  290. 小山森也

    小山政府委員 第一種電気通信事業者の役務として行うからには、やはりどうしても第一種電気通信事業者としての全体の事業に係る規制が加わるわけでございます。ですから問題は、第二種事業と同じような役務が第一種事業であると認可に係り、第二種事業者が行う第二種事業は一切料金規制などかからぬ市場価格で形成されるという差が出てまいります。しかしながらこの差は、第一種電気通信事業者という立場で行う役務の中になりますと、どうしてもそれだけを分離して自由なというわけにはまいらないわけでございます。もしどうしてもその形をとって市場価格の中で参入したいという場合におきましては、分離するというような形になりまして、そこにおいて第一種事業とは違った立場で営業していくことになりますれば、完全に第二種業者として他の第二種業者と平等な立場に立つことになるわけでございます。
  291. 中村正男

    中村正男委員 後段言われましたいわゆる適正な価格形成という面からしますと、第一種事業者として二種事業を行うことにはいささか問題が出てくるのじゃないか。これは二つの性格、一つということにならぬわけですから、当然一定のそれの専業の形でやるような措置を新電電として考えていくのが全体的な共存体制からするならば一番望ましい形ではないだろうかと思うわけですけれども、いわゆる新電電としてやる場合はあくまでも料金規制を受ける、これは認可事項になるわけだからそういうふうになってしまう、こういうことなんですね。  そうすると、その場合、市場形成の中でその新電電の規制された料金というものが一体どういう位置づけになるのか、第二種事業者全体から見ますと、その新電電の規制された料金というものが持つ意味合い、それは一体どういうふうになるのか、その辺をちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
  292. 小山森也

    小山政府委員 一つ考え方といたしまして、第一種事業者の行う第二種的な事業というのは電気通信回線設備と一体になっているわけでございまして、どうしても切り離せないという状況がございます。  片方、第二種電気通信事業によって提供されるサービスというのは、第一種電気通信事業によって提供される電気通信回線設備を利用してこれに付加価値をつけたところの通信だということですが、片方の第一種業者がみずから行う第二種的なサービスはどうしても電気通信回線設備の提供と一体となっているというところからこの違いが出てくるわけでございまして、これはどうしても切り離せないのが第一種事業の特性でございますので、認可料金となるわけでございます。
  293. 中村正男

    中村正男委員 ということは、結論からいいますと新電電はこの種のこの事業に進出する場合は、分離をして別会社等でやるということはあり得ない、新電電そのものが第一種事業者としてやっていくということなんですか。
  294. 小山森也

    小山政府委員 決してそういうことではございませんでして、これはまさにこれからの新電電の経営者が自主的に判断するものでございまして、そういう分離をして第二種事業を行うことがより効率的な形で、あるいは他の事業者との形で公正な競争で立派なサービスが提供できるんだ、また、新電電会社にとっても有利だと判断した場合におきましては、これは分離するということでございまして、一にかかって新電電会社の経営者によってそれは判断されるべき問題でございます。
  295. 中村正男

    中村正男委員 一応置いておきます。  時間が参りましたので、きょうはあと一点だけ質問しておきたいと思います。  その他のサービス分野における競争の問題です。今、宅内機器の販売等のサービス、さらにはLAN等の企業向けのシステムの設計等、こういったサービスが現在でも公社として行われておるわけですが、これは基本的には自由競争、今でもそうなっているわけですから、当然今度の法案ではこれは何ら影響は受けないという理解でいいわけですか。
  296. 小山森也

    小山政府委員 現時点において公社におきましては、端末機の販売ということはできないわけでございます。公社法においては予定しておりません。公社電気通信の役務を提供するということを使命とする会社でございますので、これは現在できないということでございます。  それでは今後新会社になったらどうかということでございますが、法的には認可を受ければできるということでございます。ただしかし、巨大な事業体で多くの販売行為、今までサービスの役務の提供を主として行っていた事業体電気通信機器の販売を行うということでございますから、今までの業界等の秩序というものにも大きな影響を与えるわけでございます。業界の秩序がどのようになっても、ユーザーが安くていい物を買えればいいではないかという一つの論拠もありますけれども、業界全体が一つの調和を持ってサービスに当たるということが、いつも適正な価格による機器の提供というものと密接にかかわってくると思います。そういった意味において、今後可能であるいろんな販売事業も、いろいろな市場の問題であるとか、特に販売部門に会計の相互補助をするというようなことのないように、不公正な競争条件にならないということが明確になった、こういった条件が整ったときにそういった販売行為というようなものも可能になるのではないかと思います。
  297. 中村正男

    中村正男委員 最後に大臣にちょっとまとめてお聞きをしておきたいと思います。  私がずっと一貫して申し上げてきたのは、いわゆる第一種事業はあくまでも一元的に提供するのが一番ベターではないか。第二種事業については当面外資規制はオープンにすべきじゃない。しかし、それ以外の二種事業については限りなく自由である方がより競争原理が効果を発揮していく、こういったことをきょう主張してきたのですが、大臣としてまとめてひとつ御見解をお聞きしたいと思います。
  298. 奥田敬和

    奥田国務大臣 一種事業に対する形は一元的な運用という形で、今日大変なメリットが生かされてきたわけです。たびたび言うようですけれども世界のトップ水準にあるような今日の電気通信形態日本列島くまなく全国自動化、そして即時積滞解消といったような二大使命を達成してこれたのは、まさに一元体制の大きなメリットであったと思います。  今日の状態はどうかということになりますと一種事業に関してはしたがいまして厳しい規制が設けられていることも事実でございます。資本の外資に対する規制、そしてまた一種は許可事業として技術的にも資金的にも通信信頼性、秘密の保持を図るといった適格性というものが非常に高く問われておるというわけでございます。したがって、一種事業は、民間参入、競争原理導入という形で表現をいたしておりますけれども、そんなにみだりに、タケノコのようにできるものではございません。今日一種事業に対するいろいろな声が上がっておりますけれども、これは多分に東京なり大阪なりというような、民間利用度の非常に高い部分、それも企業グループによって多目的に使われるというような形の中で、恐らくごく限られた形でなければ新規参入は可能ではないと思っております。  今、通信衛星を飛ばすにしろマイクロウエーブでやるにしろ、午前中の論議もございましたけれども、これらには多額な費用と同時に、また限られた電波資源を利用するという形においてはこちらは厳しく対応して審査してまいることも当然でございます。したがって、一元的な体制の運用というものは今日の電電が新電電になったとしても基幹的な問題としては変わらないということになります。そうでなければ、あまねく公平に、全国の隅々までに格差のないサービスという形になるということはやはり新電電でなければできない事業でもございます。  ただ、利用用途の多い形のところに競争原理が働くということも結局はサービスの還元、通話料金も今日の技術革新の成果からいって相当安くなると私は思います。これは日進月歩、我々の予想をはるかに超えておるところでございますから、そういった形において、多数参入の形の中で公共性が損なわれるんじゃないか、競争原理が働き過ぎてそれにばかり没頭することによってかえって公共性が損なわれ、全国あまねくという今日の電電が抱えている基幹的な性格まで失われるんじゃないかという形のおそれはないと判断して私は決断をしたということになります。  また二種事業に関しては原則自由の方針で最初対応しておりました。そして特定VAN、第二種の特別大型に関しては外資規制の緩やかな規制も含めて政策的に担保しようとしたことも事実でございます。先ほど来言いましたように、大型VANといえども一外資に席巻されて独占のおそれなしと判断したのは、公社を初めとする各業界の御意見も十分お聞きした上でそういった方向に決断しました。しかし、特定VANに関しては登録制ということになったわけでございますが、これはいわばエリアが小さくて、あるいは特定な流通なら特定な流通段階だけでとどまるという一般VANと違いまして、全国的な巨大ネットを有して、しかも不特定多数の人がこれを利用するという組織になります。  また、これは単に情報処理という面だけではなくて、回線は電話の機能を持ったような通信の回線も借りてやるわけでございますけれども、そういった面に多目的利用もあるというような性格、そして全国ネットなるがゆえに、これが万一ダウンした場合の一つの混乱等々、企業機密の保持、プライバシーももちろんのことでございますが、そういった形を考えるときにやはり登録という形で政策的には担保していくことが必要であろうということで、許可を登録に落としましたけれども、そういった形で担保する。したがって、一般の二種業務、VANばかりではありませんけれども、これらは先生の御指摘のとおり、自由競争の中で多数なアイデアを生かして効率的にやっていただこうという形で、これはもう本当に自由に近い形の届け出ということで、全く責任者と所在と営業行為の主要なる行為をあれするだけの届け出で営業をやっていただくということにした。つまり、世界でもこれは類例のない形の中で、世界でも先導的な形で開放したということになります。無差別、自由という形でございますから、形式的にはなります。ただ、特定VANについではそういった形の政策担保をせざるを得なかった。これは先生も言われますとおりに、通信の主権を含めて一元的な体制の中であったればこそ守り得てきた企業の機密、公共性というものも含めてやはり政策的に担保せざるを得なかったということになると思います。御理解を賜りたいと思います。
  299. 中村正男

    中村正男委員 これで終わります。
  300. 志賀節

    志賀委員長 次回は、明二十八日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会