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奥田国務大臣 先ほどから先生の御質疑の中で答弁の機会を待っておったわけですが、一つこれは非常に重要な御
指摘がございました。
それは先般三月二十三日、この
ゆり二号の事故らしき
報告が
事業団から
NHKにあった、もちろん
NHKにあるということは郵政省にも連絡があったということのような御
指摘でございましたけれ
ども、これだけははっきりしておきたいのは、決してそんな責任問題の云々のことを回避する意味で言うのではありません。事実確認の意味で申し上げるのですけれ
ども、先ほ
ども申しましたように、
NHK、そして
事業団からのそういった正式
報告は、私は鮮明に記憶しておるのですけれ
ども、非常にショックでございましたから、四月五日の夕刻ごろであったと思います。なぜそれだけ鮮明に覚えておるかということになりますと、この三月のちょうど二十三日から月末にかけて、この
委員会
審議の中で
NHKの予算
審議を先生方に、本当に真摯な
審議を通じての値上げ問題をお願いしておる段階でございました。したがって私は、もちろん後で一部の報道にもございましたけれ
ども、あたかもそういった
中継器故障の事実を隠して
審議に臨んだというように誤解されることは、本当にお互いに政治家としても全く責任と名誉にかかわる問題でございます。
そういった事実はございませんでした。そしてもしそういうことであったとすれば、権威のある
委員会の
審議を冒涜した結果にもなります。私自身も、そういう形でまるで
事業団なりあるいは
NHKなりに仮にその事実が隠されておったということになると、まことにピエロの役割を演じておったということにもなります。ですから、その点に関しての事実確認と究明に関しては徹底的に私の方でもさせました。そしてその結果がそういう事実であったというので、まあ技術者の間では二十三日ごろに何か異箱事態の一つの原因兆候があらわれたという事実はあったのかもしれません。しかしそれが私たちの手元に正式に事故らしいという形で届いたのはその
時点、四月五日
時点であり、その後、詳細に検討して、十日に、これは国民の前にはっきり公表すべき性質のものであるという形で公表させていただいたことも事実でございます。それだけは事実確認として先にぜひお答えしたかったわけでございます。
なお、まことに残念な結果ですけれ
ども、こういう事態になりました。しかし、先生の御
指摘のとおり、まず原因究明だと思います。今後の実用
衛星のBS2bあるいはBS3の段階に至る過程においても、拙速は絶対避けなければならないと思っております。これはあくまでも国民の本当に血税でございますし、しかも
NHKとて聴視者の、広く国民の御負担を仰いでおる、そういう形に立っても、まず原因究明が中途半端な形で2bの段階に移るということは、これはもう断じてやってはならないことだと思っております。
もちろんこういった科学技術の難しい分野の問題でございますから、世界に初めての実用
衛星ということで、我々の期待も大きかったわけでございます。しかしそれだけにこの結果はまことに残念なわけでございますが、しかしこれによってまた宇宙
開発の
計画、総力を挙げて自主技術の
開発というものはいささかもペースを落としてはいかぬ問題だと思います。むしろこういった貴重な犠牲を払ったあれの上に立って自主
開発の技術路線の推進、そして今後ともこういったできるだけコストの安い形での実用化時代にできるだけ先導的な役割を果たしていかなければならぬということは、基本的には変わっていないところでございます。
ただ後段に保険の問題にも触れられましたけれ
ども、確かに私は、やはり親方日の丸的な感覚だなという感じを持ちます。私は打ち上げる人、あなたは使う人ということでどちらかに、これは本当は打ち上げも使うのも一体的になっていかなければならぬ形がどこかで切れてしまう、責任体制の明確化と言えばそうですけれ
ども、これは使う
NHKもユーザーの立場としてたまったものではありません。ですから、そういった意味において連帯的な責任の意識の上に立って、今後の
衛星に対する保険の問題あたりは、先生の御
指摘のとおり本当にお互いに万全を期して、国益、国家損失にもあるいは聴視者である国民全般にもかかわる問題に対して、損害の補償制度というものに対しては、真剣に両者の疎通を図るような形で取り組まなければならないと思います。
そういうわけで、この結果は遺憾なことでございますが、これを大きな反省の原点として技術究明、さらにコストの安い形の中での技術の安全度の高い
衛星によって新しいメディアの時代を築いてほしいというのが率直な気持ちでございます。