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1984-06-20 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十日(水曜日)     午前十時十五分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 守良君       額賀福志郎君    長谷川四郎君       原 健三郎君    綿貫 民輔君       渡辺 紘三君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    中村 正男君       松前  仰君    小谷 輝二君       鳥居 一雄君    田中 慶秋君       中井  洽君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙開発         課長      北村 俊男君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         会計検査院事務         総局第五局長  中村  清君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      矢橋 幸一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川口 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室(経         営業務局長) 梅村 和定君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀田 一成君         参  考  人         (通信放送衛         星機構理事長) 斎藤 義郎君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   大澤 弘之君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    宮原  翠君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    船川 謙司君         逓信委員会調査         室長      長崎  寛君     ――――――――――――― 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   永江 一仁者     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   田中 慶秋君     永江 一仁君     ――――――――――――― 五月十七日  日本電信電話公社制度改革に関する請願外一件  (阿部喜男紹介)(第六四二四号)  同(天野等紹介)(第六四二五号)  同外一件(五十嵐広三紹介)(第六四二六号  )  同外一件(井上泉紹介)(第六四二七号)  同外一件(井上一成紹介)(第六四二八号)  同外一件(井上普方紹介)(第六四二九号)  同(上田卓三紹介)(第六四三〇号)  同(上田哲紹介)(第六四三一号)  同外一件(上野建一紹介)(第六四三二号)  同外一件(上原康助紹介)(第六四三三号)  同(小川国彦紹介)(第六四三四号)  同外一件(小澤克介紹介)(第六四三五号)  同外一件(大出俊紹介)(第六四三六号)  同外一件(岡田春夫紹介)(第六四三七号)  同(加藤万吉紹介)(第六四三八号)  同外一件(金子みつ紹介)(第六四三九号)  同(上西和郎紹介)(第六四四〇号)  同外一件(河上民雄紹介)(第六四四一号)  同(河野正紹介)(第六四四二号)  同(小林進紹介)(第六四四三号)  同(小林恒人紹介)(第六四四四号)  同(兄王末男紹介)(第六四四五号)  同外一件(上坂昇紹介)(第六四四六号)  同(沢田広紹介)(第六四四七号)  同(渋沢利久紹介)(第六四四八号)  同(新村勝雄紹介)(第六四四九号)  同(鈴木強紹介)(第六四五〇号)  同(関山信之紹介)(第六四五一号)  同(田中克彦紹介)(第六四五二号)  同(田並胤明君紹介)(第六四五三号)  同(高沢賞男紹介)(第六四五四号)  同(竹村泰子紹介)(第六四五五号)  同外一件(武部文紹介)(第六四五六号)  同(高塚三大君紹介)(第六四五七号)  同外一件(中村茂紹介)(第六四五八号)  同(野口幸一紹介)(第六四五九号)  同(馬場昇紹介)(第六四六〇号)  同(日野市朗紹介)(第六四六一号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六四六二号)  同(藤山高敏紹介)(第六四六三号)  同(細谷治嘉着紹介)(第六四六四号)  同(堀国雄紹介)(第六四六五号)  同(松沢俊昭紹介)(第六四六六号)  同(松前仰君紹介)(第六四六七号)  同(水田稔紹介)(第六四六八号)  同(武藤山泊潜紹介)(第六四六九号)  同(村山喜一紹介)(第六四七〇号)  同(村山富市紹介)(第六四七一号)  同外一件(森中守義紹介)(第六四七二号)  同(八木昇紹介)(第六四七三号)  同(矢山有作紹介)(第六四七四号)  同(山口鶴男紹介)(第六四七五号)  同(山下八洲夫君紹介)(第六四七六号)  同(横江金夫紹介)(第六四七七号)  同(吉原米治紹介)(第六四七八号)  同(渡部行雄紹介)(第六四七九号)  同外一件(渡辺嘉藏紹介)(第六四八〇号)  同(渡辺三郎紹介)(第六四八一号)  同(伊藤英成紹介)(第六四八二号)  同(伊藤昌弘紹介)(第六四八三号)  同(稲富稜人君紹介)(第六四八四号)  同(小沢貞孝紹介)(第六四八五号)  同(岡田正勝紹介)(第六四八六号)  同(河村勝紹介)(第六四八七号)  同(小平忠紹介)(第六四八八号)  同外一件(塩田晋紹介)(第六四八九号)  同(菅原喜重郎紹介)(第六四九〇号)  同(田中慶秋紹介)(第六四九一号)  同(玉置一弥紹介)(第六四九二号)  同(中井冷紹介)(第六四九三号)  同(中野寛成紹介)(第六四九四号)  同(永米英一紹介)(第六四九五号)  同(西田八郎紹介)(第六四九六号)  同(藤原哲太郎紹介)(第六四九七号)  同(宮田早苗紹介)(第六四九八号)  同(和田一仁紹介)(第六四九九号)  同(阿部昭吾紹介)(第六五〇〇号)  同(江田五月紹介)(第六五〇一号)  同(神崎武法紹介)(第六五〇二号)  同(菅直人紹介)(第六五〇三号)  同外一件(木内良明紹介)(第六五〇四号)  同(辻一彦紹介)(第六五〇五号)  局(中川嘉美紹介)(第六五〇六号)  同(平石磨作太郎紹介)(第六五〇七号)  同(渡部一郎紹介)(第六五〇八号)六月十  五日  日本電信電話公社制度改革に関する請願伊藤  茂君紹介)(第六五三五号)  同外一件(岩垂寿喜男紹介)(第六五三六号  )  同外一件(小川仁一紹介)(第六五三七号)  同外一件(大野潔紹介)(第六五三八号)  例外一件(大原亨紹介)(第六五三九号)  同外一件(角屋堅次郎紹介)(第六五四〇号  )  同(川崎寛治紹介)(第六五四一号)  同(神田厚紹介)(第六五四二号)  同(後藤茂紹介)(第六五四三号)  同(城地豊司紹介)(第六五四四号)  同(関晴正紹介)(第六五四五号)  同(田中克彦君)(第六五四六号)  同(竹内猛紹介)(第六五四七号)  同(塚本三郎紹介)(第六五四八号)  同(土井たか子紹介)(第六五四九号)  同(中村正雄紹介)(第六五五〇号)  同(浜西鉄雄紹介)(第六五五一号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六五五二号)  同(藤田高敏紹介)(第六五五三号)  同(前川旦紹介)(第六五五四号)  同外一件(安田修三紹介)(第六五五五号)  同外一件(山花貞夫紹介)(第六五五六号)  同(湯山勇紹介)(第六五五七号)  同(伊藤茂紹介)(第六六二五号)  同(池端清一紹介)(第六六二六号)  同(稲葉誠一紹介)(第六六二七号)  同(島田琢郎紹介)(第六六二八号)  同(元信堯君紹介)(第六六二九号)  同外一件(森井忠良紹介)(第六六三〇号)  同(岡田利春紹介)(第六六七八号)  同(嶋崎譲紹介)(第六六七九号)同月十九  日  日本電信電話公社制度改革に関する請願(石橋  政嗣君紹介)(第六八〇四号)  同(左近正男紹介)(第六八〇五号)は本委  員会に付託された。六月十六日  日本電信電話公社制度改革に関する請願(第五  九四〇号)、(同第六一六二号)、同(第六五  五七号)は、「湯山勇紹介」を「山口鶴男君  外一名紹介」にそれぞれ訂正された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号)  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第八〇号)  日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会通信放送衛星機構及び宇宙開発事業団当局出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 志賀節

    志賀委員長 まず、郵政大臣から説明を求めます。奥田郵政大臣。     ―――――――――――――  日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対   照表及び損益計算書     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明審国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定に上り、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十五年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十六年三月三十一日現在における資産総額は、二千百二十四億二千百万円で、前年度に比し、二百四十億三千万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は、八百七十一億四千五百万円で、前年度に比し、三十三億三千百万円の増加となっております。  資本総額は、一千二百五十二億七千六百万円で、前年度に比し、二百六億九千九百万円の増加となっております。  資産内容を見ますと、流動資産五百六十六億九千九百万円、固定資産一千五百二億八百万円、特定資産五十二億三千九百万円、繰り延べ勘定二億七千五百万円であり、固定資産内容は、建物五百三十六億四百万円、土地百九十八億二千三百万円、機械三百九十九億三百万円、その他の固定資産三百六十八億七千八百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債三百七十一億五千二百万円、固定負債四百九十九億九千三百万円であり、固定負債内容は、放送債券二百六十五億三千万円、長期借入金百十六億一千三百万円、退職手当引当金百十八億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金二百九十五億七千七百万円、当期事業収支差金二百六億九千九百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、二千七百十四億三千百万円で、前年度に比し、五百二十三億二千四百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、二千五百九億百万円で、前年度に比し、二百十二億三千七百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は、二百五億三千万円となっております。  これに、特別収入六億一千四百万円及び特別支出四億四千五百万円を含めまして、事業収入は二千七百二十億四千五百万円、事業支出は二千五百十三億四千六百万円で、事業収支差金は二百六億九千九百万円となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 志賀節

    志賀委員長 次に、参考人川原正人君から補足説明を求めます。川原君。
  7. 川原正人

    川原参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十五年度財産国録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は、二千百二十四億二千百万円で、この内訳は、流動資産五百六十六億九千九百万円、固定資産一千五百二億八百万円、特定資産五十二億三千九百万円、繰り延べ勘定二億七千五百万円で、このうち固定資産内容は、建物五百三十六億四百万円、土地百九十八億二千三百万円、機械三百九十九億三百万円、出資三億円、その他の固定資産三百六十五億七千八百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、二百四十億三千万円の増加となっておりますが、これは主として、事業収支剰余金七十四億九千八百万円と、受信料前受け金の増加六十六億六千八百万円などにより流動資産が百五十八億一千九百万円増加し、また、当年度建設計画に基づくテレビジョン放送網建設放送設備整備等の実施及び通信放送衛星機構に対する出資により固定資産が六十二億四千三百万円増加したためでございます。  一方、これに対する負債総額は、八百七十一億四千五百万円で、この内訳は、流動負債三百七十一億五千二百万円、固定負債四百九十九億九千三百万円で、このうち固定負債内容は、放送債券二百六十五億三千万円、長期借入金百十六億一千三百万円、退職手当引当金百十八億五千万円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、三十三億三千百万円の増加となっておりますが、これは受信料前受け金等増加により流動員債が七十六億二千九百万円増加し、一方、長期借入金減少等により固定負債が四十二億九千八百万円減少したためでございます。  また、資本総額は、一千二百五十二億七千六百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金二百九十五億七千七百万円及び当期事業収支差金二百六億九千九百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、二百六億九千九百万円の増加となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず受信料等経常事業収入は、二千七百十四億三千百万円で、前年度と比較し、五百二十三億二千四百万円の増加となりました。  これは主として、昭和五十五年度以降三カ年の経営計画のもとに、やむを得ず昭和五十五年五月から放送受信料月額の改定を行うとともに、極力受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約者数は、三十一万件増加し、当年度末には二千八百五十五万件となりました。  次に、経常事業支出は、二千五百九億百万円で、この内訳は、給与八百六十五億七千六百万円、国内放送費六百六十七億六千万円、国際放送費十六億五千八百万円、営業費三百七十億九千八百万円、調査研究費三十一億一千五百万円、管理費三百四十八億一千百万円、減価償却費百七十一億七千万円、財務費三十七億一千三百万円となっております。  これは前年度と比較し、二百十二億三千七百万円の増加となりましたが、主として、放送番組内容充実刷新受信契約維持増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は二百五億三千万円となり、これに、特別収入六億一千四百万円を加え、特別支出四億四千五百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百六億九千九百万円となりました。このうち、債務の償還に充てた資本支出充当は百三十二億百万円であり、事業収支剰余金は七十四億九千八百万円であります。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  これをもちまして、協会昭和五十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきましての概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  8. 志賀節

    志賀委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院中村第五局長
  9. 中村清

    中村会計検査院説明員 日本放送協会昭和五十五年度決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  日本放送協会昭和五十五年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和五十六年十一月六日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年十二月八日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  10. 志賀節

    志賀委員長 これにて説明は終わりました。
  11. 志賀節

    志賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
  12. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私の方からはゆり号aの問題について、そのことを中心に質問を申し上げたいと思います。  まず、質問に入ります前に、ゆり号aの今回の故障しました事実経過について今日まで種々委員会でも論議がなされてきておりますが、経過について要約をしまして、まず事実経過について誤りがあれば御指摘をいただいて、その上で若干質問を申し上げたいと思います。  まず、一連経過でございますが、一月二十三日に宇宙開発事業団が種子島からゆり号aを打ち上げまして、三月二十三日にA系統故障を発見されたと聞いております。この故障の事実は事業団からNHKに三月二十三日の時点で知らされたと思うわけでございます。四月十一日に事業団故障の事実について公表をされました。四月二十一日に事業団から放送衛星機構引き渡しがございまして、四月二十二日午前零時放送衛星機構からNHK引き渡しがなされております。そして、五月三日R系統故障しまして、五月十二日にB系統一本で放送が開始されたのでございます。  当初の計画ではA系統総合テレビB系統教育テレビをやる予定であったわけですが、故障関係からB系統総合テレビ一本に絞ってサービスインをするということに相なったと思います。つまり、そういう故障がございましたので、計画どおりいかないということで試験局として申請をなさって、したがって、難視対象地域からは受信料が取れずに、このために年間一千二百万の欠損を負うということに相なったと聞いております。  続いて五月十四日に、放送衛星対策特別委員会を設置されまして現在故障の原因を究明中だと聞きますが、以上、一連の事実経過について私の知る範囲で申し述べたわけでございますが、このことについて間違いがあれば御指摘をいただきたいと思うのですが、どうでございましょう。
  13. 矢橋幸一

    矢橋参考人 今の先生の御指摘の中で、三月二十三日に故障が発生したというふうに御説明がございましたけれども、我々としては、三月二十三日には異常が発生したということでございまして、故障可能性があるということを我々が報告を受けたのは四月五日でございまして、その後四月十日に2aのA系統故障判断するという報告宇宙開発事業団の方から通信放送衛星機構を通じまして報告を受けたわけでございます。
  14. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、これは三月二十三日にA系統故障らしいということを、事業団の方でそういう状況を入手をされたといいますのは、まだ故障がどうかは確信が持てなかった、こういうことでございますか。
  15. 矢橋幸一

    矢橋参考人 我々が受けた報告では、三月二十三日時点では、今、先生おっしゃったように、異常があるということはわかっておりましたけれども故障可能性がありという報告を受けたのは四月の五日でございまして、故障だという判断報告を受けたのは四月の十日でございます。
  16. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 故障だと確信するに至ったというのは四月の五日、あるいはそのことについて事実を公表されたというのは四月の十日、こういうふうな答弁だったのですが、ただ、いろんな報道関係の記事を見ましても、三月の二十三日には一応そのことがわかっていたはずだ、そして、ただそれが故障と断定できるかどうかについては、ちょうど三月の二十日から四月の十六日ごろまでは最大の食に入るということもございまして、科学的な専門的なことはわかりませんが、科学者の皆さんからすれば、そのあたりの幅を見てこれはどうも故障らしい、そのように判断をした方がよかろうという気持ちがその当時としては非常に動いていたし、A系統がどうも正常に動かないのだということは、この当時としては既につかまれていたと思うのですが、その点はどうでございましょうか、突然に起こったのでしょうか。
  17. 大澤弘之

    大澤参考人 宇宙開発事業団大澤でございます。  私どもBS2の開発を担当いたしているものでございますから、ただいまのことにつきましてお答えを申し上げたいと存じます。  三月の二十二日に異常が確認をされたといいますのは、中継器というのに電源を下から指令で入れましたところが、二、三ミリ秒の非常に短い時間の間でこれが切れるということがわかりました。今お話がございましたように、三月の二十三日の時分というのは、私どもの言葉で食と言っておりますが、ちょうど地球の影に、つまり太陽の光線が地球の影で衛星太陽に照らされない、こういう状況が春分、秋分のときに起こります。一番長いのが約七十分間太陽が全然衛星に当たらない、こういうことになりますと、太陽電池が働かないというようなことで、あるいは衛星が非常に宇宙空間で冷たい環境にございます。宇宙空間はマイナス百度くらいの環境でございます、太陽の当たらないところは。したがいまして、衛星が非常に冷えるということがございまして、よくこの食というときにちょっとした異常が衛星ではあらわれるものでございますので、私どもはそういう異常が食の問題ではないのかどうかということで、判断をするのにかなり時間を要した、またそのために下から何回も指令も繰り返してみた、こういう経過がございまして、私どもの内部では、四月の四日にこれはどうも怪しいんだなというようなことの結論に、これは関係技術者との間で皆さん相談をいたしましてそういう結論に達して、五日の日に正式に可能性ありという御連絡を申し上げた次第でございます。
  18. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても非常に重大な問題でございますから、確信ができるという段階でなければ断を下せなかったとは思うのですが、時系列的に見まして、ちょうど三月の二十三日が委員会で審議をしておりましたし、三月の二十六日もこの委員会でNHKの五十九年度予算案の審議、それに関連をしましてゆり二号の問題も相当議論としては重点的になされたと思うのです。  そういう点から考えていきますと、既にこの時点では、どうも衛星の模様が思わしくいっていないということが、事業団のサイドではそういう検討がなされていた時期だろうと思うのですが、確かにこれが故障が起こったという確信が持てるその時点といいますのは、今お話しのあったとおり、四月の五日ですか、ということになったにしましても、その以前の十日間といいますか、一週間くらいというのは、食の関係はもちろんございましても、どうも雲行きはうまくいっていないということの判断があったと思うのです。  だから、その点について委員会では相当議論を真剣にやっているにもかかわらず、この場で一青半句もその報告がなかったと思うのですが、むしろ当局側がああいう議論をお聞きになっていて、一方飛んでいる星の状況はこうなんだということが中間報告といいますか、状況報告という形でもなされてしかるべきではないかと思うのですが、その点の考えについてはどうであったのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 川原正人

    川原参考人 三月末の段階では私ども全くその情報は聞いておりませんでした。あるいは事業団の担当のところ等では、そのような現象が起きていることは御承知であったようでございますけれども、ただいま事業団理事長のお話のように、まさに食の関係でそういうことも起こり得るという一つの想定もあって、いろいろそれを慎重に見守っていたという段階だったようでございます。私どもが聞きましたのは、四月の五日になりまして、どうもおかしくでこれは故障と思われるというふうな報告を伺ったわけでございます。
  20. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 水かけ論になりますから、私たち直接携わっていない者がいつ故障としてこれが確信が持てるという状況は、私たち自身として判断できませんから、固執する気はございませんけれども、やはり新聞報道などでも、既に委員会で予算審議が行われているその時点では、事業団側としてはどうも模様がおかしいということはわかっていたのではないかということが活字になってあらわれている事実は、皆さんも御承知のとおりでございまして、したがって、我々委員会で審議に参加をしている者からするならば、むしろ、そのことが委員会の議論にどういう影響を及ぼすかどうかは別にしまして、やはりNHKの当局側あるいはとりわけ事業団としては、こういう状況でございますよということの報告があってもしかるべきだと思うのですね。今ここでいつわかったのか、いつ確信持ったのかということは水かけ論になりますから、これ以上私触れませんけれども、その点については極めて残念だと思っております。  本来、ゆり号aの問題については、難視解消ということを前提にやってきた。ところが、多額の費用をかけて空に飛ばすということになれば、それは視聴者全体の負担で賄わなければならぬという計画であったと思うのですね。ところが、私自身のことを申し上げれば、しかし、二十一世紀に向けてニューメディアの開発は当然必要だろう。だからその点は全体で理解をし合うならば、今回の予算についても、受信料値上げを含めてひとつ積極的な姿勢で対応していこうという心が非常に働いていたと思うのです。そういう立場で委員審議に参加をしているだけに、一方ではどうも雲行きが怪しいということがわかっていればなぜそのことが親切に言われなかったということは極めて残念でございます。  次に移ります。原因究明の現状と見通しについてでございますが、宇宙開発委員会では、五月十四日に放送衛星対策の特別委員会を設置されまして、現在原因究明に当たっておられると思うのでありますが、今日現在その調査の状況はどうなのか、今後の見通しはどうなのかについて事業団の方から、わかれば説明をいただきたいと思います。
  21. 北村俊男

    ○北村説明員 科学技術庁の宇宙開発課長の北村と申します。  今回のゆり号aにつきまして皆さんに大変御心配をおかけいたしたわけでございますが、先ほど御質問のございました件につきまして、宇宙開発委員会で五月十四日に設置いたしました放送衛星対策特別委員会におきまして速やかな原因の究明及び今後の対策の検討を踏まえまして、今後の放送衛星二号aの復旧、それから来年夏打ち上げ予定の放送衛星二号bに対する適切なる改修を宇宙開発事業団に講じさせまして、放送衛星二号a計画を的確に進めてまいりたいと存じております。それから、BS3を含む今後の宇宙開発計画につきましては、このような原因究明が先決でございまして、この原因の究明に徹底的な努力を果たしまして、これに沿った対策を講じまして、放送号a計画の進捗状況を十分に踏まえた上で、放送衛星三号につきましてもこうしたことの遺漏はないように万全の努力を尽くしたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 抽象的なお答えなんですが、こういうことなんですか。結局、原因究明をされています場所というのはアメリカなんですね。日本ではやってないですね。どこでどういう方が参加をしてどのように原因究明をやられているのか。もちろん日本側からは、開発事業団科学者の皆さんだとかあるいは東芝のそういうプロジェクトの皆さんだとかというのは現地で参加をされていると思うのですが、そういう方は実際今回の中継器ですか、一番問題になっているトランスポンダーなんかに直接タッチができるようなことになっているのかどうなのか、そういう点も含めてひとつ聞かせてください。
  23. 大澤弘之

    大澤参考人 ただいま政府の方での対策委員会のお話がございましたが、原因自体の究明につきましては、私ども事業団が原因究明の責任を持っておりますので、その実施の状況について御説明を申し上げます。  今お話にございましたように、原因の究明はこれを製作いたしましたアメリカのGE社の工場におきまして、現在、同じような中継器もございますし、それを試験する設備もございますので、地上でのいろいろな実験、空に起こっている現象を模擬してやっていく、こういうことで詰めてまいりますので、したがいまして、GE社の工場で行っておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、この事態が大変重大であるということの認識をいたしまして、先般、理事をGE社に派遣いたしまして、現在どういう状況で進めておるかということの調査をいたさせました。GE社の最高幹部にも強く申し入れを行いまして、GE社といたしましても、これは自分の方の大変重大な問題であるから全力を挙げて原因究明に努力をするという言質をもらっております。また、ただいまお話がございましたように、主契約者であります東芝につきましても私ども強くこれを申し入れ、また東芝の役員もGE社に赴いて同様のこともいたしております。  なお、現地におきましては東芝の技術員、それから当事業団の技術員が駐在をいたしておりまして、向こうの原因究明の状況を逐次調査しておるという状況でございます。  GE社におきましては、ただいまお話がございましたが、中継器は、私ども進行波管と呼んでおりますが、一種の真空管のようなものと、これを駆動するための電源系の設備というものから成り立っております。この進行波管というのはフランスのトムソン社がつくったものでございます。  一方、電源系につきましてはGEが作成をした。もちろんその中に一部日本の部品も入っております。中継器系というのはそういう意味でかなりの国際商品になっておるわけでございますが、この進行波管がなかなか難しいものでございますので、あるいは進行波管に原因があるのかもしれないということでトムソン社の技術者もGEの工場に集まりまして、皆さんで、日本、米国、フランスの各技術者が集まって、そこで原因究明の詰めをいたしました。その結果を一応の中間報告といいますか、状態で日本に持ってまいりまして、それで私ども、それから機構、NHK等々の専門の技術者が集まりまして、GE、トムソン社が行いました原因追求の状況を聴取いたしておるということでございます。その結果を先ほどございましたように宇宙開発委員会の対策特別委員会に逐次御報告を申し上げながら現在原因究明を進めておる、こういうことでございます。
  24. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 詳しくお伺いしたわけですけれども、いずれにしたって直接その原因究明にタッチするという形にはどうもなり得ていないように思うのです。結局はそれはGEなりトムソンなりそういうところが中心にやっているわけで、あとはこういうことでございますよというデータをもらっていろいろと検討する。だから現地に行かれています事業団関係者の皆さんや東芝の皆さんにしても、中心に座ってやるというよりもアウトサイドというような格好で、今回の原因究明にはそういう形以上のものはとれないというのが実態ではないか、お聞きした範囲ではそのように感じるのですが、そういう意味においてもやはり技術の国産化というのですか、そういうものをもっともっと高めていく、日本製でやれたならそういうことにはならぬだろうし、非常に不便をかこっていると思うのですが、そういう事態も引き起こさずにやっていけると思うのですが、この点については今後の開発計画にも絡むと思います。  いずれにしても原因究明の現状というのはそういうことだということを聞きましたし、これがなかなかすきっと、ここが悪いからこういうふうにすればいいんだということには今日時点究明がなされていない、このように判断をさせていただいてよろしゅうございますか。
  25. 大澤弘之

    大澤参考人 原因につきましては非常にたくさんの原因を絞り込みと申しましてだんだん詰めてまいっていくわけでございまして、現在七つ、八つぐらいの原因がA系統に関しましては絞り込みがきておる、中間報告の段階ではそういう状況にきておりますが、この七つ、八つの原因を特定するというようなところまではまだまいっておりません。またR系統につきましては三種の原因のところまで考えられておるのでございますけれども、これもまだまだ特定をする状況には至っておりません。私どもといたしましては、なおこれから諸般の調査検討を進めでできるだけ特定の原因に絞り込みたいものというふうなことで努力をしている次第でございます。  なお、原因のいかんによりましては私どもは一部回復の可能性につきましてもまだ希望を捨てておるわけではございません。
  26. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても相当時間がかかるということですし、必ず究明ができるという保証はございませんで、そういう点では非常に残念だと思います。  そのことと関連をして、今後の放送衛星の開発計画について今も科技庁の課長の方から一定の見解がございましたけれども、結局、ゆり一号の実験用打ち上げが、五十二年ですか行われまして、そのときもたしかこれは一年半くらいの寿命で故障をしているというふうに私は理解をしているわけです。そのときに使われました中継器はヒューズ社製を使っていたと思うのですが、この点に非常に問題があったという判断もあったのでしょうが、ゆり号aの場合にはGE、トムソン社の製品を使ったということで、今回は実用化の打ち上げということになったわけです。  しかし、技術開発というのは非常にリスクの多いものではございますが、今回の場合には実験用ではなくて実用化計画だったわけですし、そのことは、もし故障でも起こして失敗をすれば、当然視聴者に直接実害が出るということを考えますと、一連開発計画を見たときに無理があったのではないか、このように思えてならぬわけです。このことの議論は分かれるにしましても、私たちの立場から見ますと、実験用の打ち上げ、その運用、これでかなり確信が持てるということの上に立つで実用化が図られいくのが、こういうリスクの大きい開発については特にそうなんだと思うのですが、その点から見ましても、実験用で打ち上げたのがそういう故障があって満足に飛ばなかったというその上に立って、ほとんど同じような格好で打ち上げられていくことを考えますと、今回の実用化計画には無理があったのではないか、このように考えられてならぬわけです。  その判断はともかくとしまして、今後開発が予定されておりますBS2b、これは六十年の秋、BS3は五十九年度から既に着手をされておるわけですけれども、これらについても当然見直していただいて、非常に経費が多くかかる問題でございますから、万全の体制だという一応の確信の上に立ってこれからの開発は進めていくべきだ、このように考えますので、その点について開発事業団あるいは科技庁の見解がございましたら、明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  27. 北村俊男

    ○北村説明員 先般ございましたBSEの事故については、御存じのとおり一チャンネルの方が一年有余、残り二チャンネルについては三年寿命のところを二年一、二カ月といったところで、事故の特徴としては、初期段階と後段階がございますが、後期的に発生している事故でございました。これについては五カ月を要する慎重なる事故対策特別委員会で検討、究明いたしまして、これは主に高圧回路のポッティングと申しますか、絶縁を起こすところに脆弱な部分があるという結論を見出しまして、これにつきましては万全な手当てをいたしまして、その成果を反映してBS2aの開発に移行したわけでございます。  御存じのとおり、BSEにつきましては実験でございましたので、打ち上げは一個でございましたが、今回のBS2については、BS2aと2bということで、それぞれ二チャンネル放送するところを予備を一個つける、2bについても二チャンネルのところを一個をつける、合計六チャンネルをつけるということで、その二個をもってプロジェクトということで、実用上の万全を期すという手当てを講じたところでございます。  それから、BSEの事故の解明については十分事業団においで技術的な手当てがなされておるといった上で進めたわけでございまして、今回2aのふぐあいについては全く始動の、初期段階に起こっておるということで、BSEの後期的に起こったものとは全く別の現象ということを我々は伺っております。  現在。ただいま大澤理事長の方から説明がございましたふうに、ふぐあいの原因究明については、GE、トムソン社それから東芝、宇宙開発事業団、一致連携いたしまして究極的な原因究明作業を続けておるところでございまして、これについても相当な絞り込みのところまで来ておるということで、我々はステップ・バイ・ステップということで、この成果を踏まえながら、これの対策は2bには十分講じられねばならないと思っております。それを踏まえて、さらにBS3の開発に臨みたいと考えておる次第でございます。
  28. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 簡単にやってください、時間がない。  そういうことを聞いているのじゃなくて、今回こういう故障問題がありまして、予定どおりこれからの開発計画はやっていくのですか、それとも見直すのですかということを聞いているのですから、その点をはっきりしてください。
  29. 北村俊男

    ○北村説明員 我々は、あくまでもその原因究明及びその対策が先決でございまして、それが2bにいかに反映されるか、それが一番大事なことだということで我々今、全努力をそこに集中しておるところでございます。
  30. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 時間がありませんからちょっとやりとりができないような気がするのですけれども、しかし今の答弁だと、原因究明がされて、ここが故障した原因なんだからここのところを直せばもう完全にこれからやっていけるということですが、現在既に設計ですか建設の作業を進められておりますが、来年の秋の、bの方ですか、これも予定どおりやっていこうということなんですか。もう既に五十九年度から3の設計段階というのですか、これは計画が着手されておるのですけれども、それも変更なしにずっと進めていくというのですか。その点を聞いておるのです。
  31. 北村俊男

    ○北村説明員 宇宙開発委員会といたしましては、まずBS2aの原因究明を尽くしまして、これに必要な対策を踏まえてBS2bに十分な手当てを行う、そういうことでもって、できれば来年の夏季には打ち上げに臨みたいという希望を持っておるわけでございます。
  32. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても開発計画は不変だということですね。そのようにやっていくという強気のあれなんですが、実際の話、これは主観の違いなんでしょうけれども、我々としては、そのように無理をしてやっていくというよりも、現在の故障の原因究明には当然時間がかかる、これだというものがなかなか出にくいだろう、複雑ないろいろな問題を内包するだろうということになれば、来年の秋に向けてbは予定どおりやっていくということをここであなたが頑張って言うことはなかろう。それは、その結果に基づいて慎重に検討するということが当然の態度じゃないかと思うのですね、与える影響を考えれば。その点はどうなんですか。
  33. 北村俊男

    ○北村説明員 ただいま申し上げましたように2aの原因究明が一番大事なことだと思っております。そうして、それで発見されます必要な対策を踏まえて2bの打ち上げを行う、これが私どもの考え方でございます。
  34. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 とにかく今回の故障の問題について総括ができなければ次の方針が出ないわけですから、そういう立場で言われたというふうに理解をしますので、確認をしておきたいと思うのです。  そのことと関連をしまして、私は保険制度の問題について、これは関係者といいますよりも郵政大臣を含めてぜひとも検討いただきたいと思うのです。  つまり、現在の保険制度でいきますと、打ち上げ保険と寿命保険の二本立てなんですね、日本の場合には。ところが、これは聞くところによりますと、論外国では、進んだアメリカあたりでは既にそういう保険の歴史、トータル的に保険を掛けていくという歴史を持っている、このようにお聞きをしているわけです。今回の場合も、だれに責任があるのかということを前回の委員会でも詳しく議論がございました。聞いていましても、だれも責任がないのですね。結局回り回ってNHKが財政欠損で年間一千二百万円かぶりまして、それの対策をどうするかということにどうも帰結していくように思うのです。それはどうもおかしいじゃないかと思うのですね。打ち上げて九十日間故障がなければ打ち上げ保険は、それで払われる、あるいは今回の場合でも無事に打ち上がったのだから、瑕疵がなかったのだから、事業団だとかあるいは東芝サイドには責任はない。それなら衛星機構ですか、衛星機構は賠償問題についてNHKとの間でどういう関係になるのだろうか。これは新聞でも報道していますけれども、たしかもらって渡すのに午後十二時と午前零時ですか、それぐらいの時間のタッチの差で引き渡されたということであれば、実際これは責任の所在なんか存在しないわけですね。そういうふうに見ていきますと、結局どういう場合であってもこのリスクの補償をするには保険しかないと思うのですね。そうしますと、現在は、今回の場合には寿命保険の問題がうまくいかなくてこれは保険がかからなかったわけですけれども、しかしそれでは実験用の衛星の場合だったらそれで済むでしょうが、実用衛星の場合ですから、これがもし故陣を起こして損害をこうむるということになったら必ずこれはサービスなり経営の問題にかかわるケースが多いと思うのです。そういう開発計画というのはこれからずっと続くと思うのですね。そういうことを考えますと、これは日本全体の問題というのですか、宇宙開発衛星開発に伴う保険制度というのを抜本的に検討していただいて、言うならばどういうケースでも対応できるようなそういう対策というのをひとつ検討をいただかないと、今回と同じようなケースが出てきたら、私は打ち上げていただきたいというように頼んだNHKが正直に言って助からぬと思うのです。NHKがそれ以外に口を挟む余地がないのですから、結局そのことによって財政欠損で苦しむのはNHKということになったのでは、もう危ないから、リスクが非常に高いから、それだったらおれのところは、例えば科技庁や開発事業団や郵政省の方から指導いただき、いつの時期にはこういう宇宙開発で打ち上げようというふうに迫られても、おれのところは危険が多いからもうやめておこうということになったら、日本の宇宙開発技術そのものにも影響を及ぼすのではなかろうか、私はこのようにも考えるわけです。そういうふうに考えますときに、ひとつこの保険制度の抜本的な改善策をお願いしたい、このように思うわけですが、NHK会長もお見えでございますし、郵政大臣も御出席でございますので、ひとつその点についての御見解を賜りたい、かように思います。
  35. 川原正人

    川原参考人 御指摘のとおり実用衛星というのは、私ども受信者、視聴者の方からちょうだいした受信料を使って、しかも多額の受信料を使って実用に供する衛星でございますので、これはあくまで信頼度というものを第一に考えてまいりたい。かつまた、万が一ということはもちろんあるわけでございますので、それにつきましても今までも随分宇宙開発は、これは国の施策で実施されるということ、その方面と折衝も続けてきて、今もゆり二号は折衝の結果のいろいろな約束でもって打ち上げておるわけでございます。現実にまたこういう事故が生じた、これは事実でございます。そういうことの上に立ちまして今後の問題については私どもとしていろんなことを考えていかなければいけないと思います。今の保険の制度の問題も含めまして、ユーザーとしてのNHKの立場、実用衛星を運用するNHKの立場として、意見は率直に開発担当の政府側とも御相談申し上げていろいろいい方法を考えてまいりたいというふうに思っております。
  36. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先ほどから先生の御質疑の中で答弁の機会を待っておったわけですが、一つこれは非常に重要な御指摘がございました。  それは先般三月二十三日、このゆり二号の事故らしき報告事業団からNHKにあった、もちろんNHKにあるということは郵政省にも連絡があったということのような御指摘でございましたけれども、これだけははっきりしておきたいのは、決してそんな責任問題の云々のことを回避する意味で言うのではありません。事実確認の意味で申し上げるのですけれども、先ほども申しましたように、NHK、そして事業団からのそういった正式報告は、私は鮮明に記憶しておるのですけれども、非常にショックでございましたから、四月五日の夕刻ごろであったと思います。なぜそれだけ鮮明に覚えておるかということになりますと、この三月のちょうど二十三日から月末にかけて、この委員審議の中でNHKの予算審議を先生方に、本当に真摯な審議を通じての値上げ問題をお願いしておる段階でございました。したがって私は、もちろん後で一部の報道にもございましたけれども、あたかもそういった中継器故障の事実を隠して審議に臨んだというように誤解されることは、本当にお互いに政治家としても全く責任と名誉にかかわる問題でございます。  そういった事実はございませんでした。そしてもしそういうことであったとすれば、権威のある委員会の審議を冒涜した結果にもなります。私自身も、そういう形でまるで事業団なりあるいはNHKなりに仮にその事実が隠されておったということになると、まことにピエロの役割を演じておったということにもなります。ですから、その点に関しての事実確認と究明に関しては徹底的に私の方でもさせました。そしてその結果がそういう事実であったというので、まあ技術者の間では二十三日ごろに何か異箱事態の一つの原因兆候があらわれたという事実はあったのかもしれません。しかしそれが私たちの手元に正式に事故らしいという形で届いたのはその時点、四月五日時点であり、その後、詳細に検討して、十日に、これは国民の前にはっきり公表すべき性質のものであるという形で公表させていただいたことも事実でございます。それだけは事実確認として先にぜひお答えしたかったわけでございます。  なお、まことに残念な結果ですけれども、こういう事態になりました。しかし、先生の御指摘のとおり、まず原因究明だと思います。今後の実用衛星のBS2bあるいはBS3の段階に至る過程においても、拙速は絶対避けなければならないと思っております。これはあくまでも国民の本当に血税でございますし、しかもNHKとて聴視者の、広く国民の御負担を仰いでおる、そういう形に立っても、まず原因究明が中途半端な形で2bの段階に移るということは、これはもう断じてやってはならないことだと思っております。  もちろんこういった科学技術の難しい分野の問題でございますから、世界に初めての実用衛星ということで、我々の期待も大きかったわけでございます。しかしそれだけにこの結果はまことに残念なわけでございますが、しかしこれによってまた宇宙開発計画、総力を挙げて自主技術の開発というものはいささかもペースを落としてはいかぬ問題だと思います。むしろこういった貴重な犠牲を払ったあれの上に立って自主開発の技術路線の推進、そして今後ともこういったできるだけコストの安い形での実用化時代にできるだけ先導的な役割を果たしていかなければならぬということは、基本的には変わっていないところでございます。  ただ後段に保険の問題にも触れられましたけれども、確かに私は、やはり親方日の丸的な感覚だなという感じを持ちます。私は打ち上げる人、あなたは使う人ということでどちらかに、これは本当は打ち上げも使うのも一体的になっていかなければならぬ形がどこかで切れてしまう、責任体制の明確化と言えばそうですけれども、これは使うNHKもユーザーの立場としてたまったものではありません。ですから、そういった意味において連帯的な責任の意識の上に立って、今後の衛星に対する保険の問題あたりは、先生の御指摘のとおり本当にお互いに万全を期して、国益、国家損失にもあるいは聴視者である国民全般にもかかわる問題に対して、損害の補償制度というものに対しては、真剣に両者の疎通を図るような形で取り組まなければならないと思います。  そういうわけで、この結果は遺憾なことでございますが、これを大きな反省の原点として技術究明、さらにコストの安い形の中での技術の安全度の高い衛星によって新しいメディアの時代を築いてほしいというのが率直な気持ちでございます。
  37. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 終わります。
  38. 志賀節

    志賀委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、阿部喜男君。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 協会の皆さん、お忙しい中大変御苦労さまでございます。  実は、協会に対する質問に入る前に、事が逓信行政全般にかかわる問題ですから大臣に二言お伺いしておきたいのですが、けさの毎日新聞の報道に郵政省の幹部の異動が出ておりましたが、あれは真実ですか。
  40. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これは非常に大事な問題でございます。  先生御存じのとおり、七月一日をもって政令改正をお願いいたしておる、手続も終わっております。そういった形で、一日から現在の有線、無線の体系の電気通信政策局と今までの電波監理局、これを三局体制に新しく組織がえするという形でございます。これに伴う人事異動を考慮いたしておりますけれども、御指摘になったけさのそういった形の人事の内容は、一部においては当たっておるところもありますが大きく狂っております。また、事実そういった意味合いにおきまして、今ここで私が報道の真偽を定かにするというわけにはまいりませんが、間違ったとは断定しませんけれども、それに近いニュースであるなというぐあいに見てまいりました。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は私がお伺いしましたのは、重要法案が山積しておりますので、非常に長い期間にわたる会期の延長までやってこの重要法案の処理をしたいという政府全体のお考えがある中で、その重要法案を抱える郵政省の幹部の皆さんがこの時期に異動されるということが果たして妥当なのだろうかどうだろうか、同時に政府が本気になって重要法案の処理を考えておるのだろうかと若干疑問になったからでありますが、大臣の今の御答弁で納得ができました。  次に、質問に移らせてもらいます。  NHK会長さんに伺いますが、NHKは近く組織の改編というのか改革を行う、官庁で言うならば機構改革になると思うのですが、その目的と大綱だけちょっとお知らせ願えませんか。
  42. 川原正人

    川原参考人 組織の改正を検討していることはそのとおりでございますが、部内手続として、この重要な改革は経営委員会の慣例として議決、審議をいただかなければならぬことになっておりまして、それがまた済んでおりませんので詳しく触れることは避けさせていただきたいと思うのです。  私が今考えております基本的な考えとしましては、今、御審議いただいている放送衛星もそうでございますけれども、あるいはCATVとか、このところ非常に新しい放送通信関係の技術革新が急速な勢いで展開しているし、それが事業としても非常に大きく急速に動いてきている。NHKももちろんそれと無関係であり得ませんし、そういった外部の状況の変化、それからもう一つ、番組の方につきましても非常に国際的な視野の番組もどんどんつくっていかなければならないというような観点の中で、今までの組織のままでは適応がしにくい部分が出てきている。特に全体的な経営施策として一番そういう外界の変化に即刻対応して、協会全般の経営施策を的確にしかも迅速に決めていかなければならないその部分が従来ちょっと不十分ではなかったか、そういう総合政策企画といいますか企画力といいますか、そういうところを重点的に充実してまいりたい。  それから、組織全体としては新しいそういう時代に対応して、これはどんどん外が動いておりますし、私ども放送事業はこれまた日進月歩の中にございますので、これまた機動的な対応をし、非常に強い組織といいますか強靱な組織をつくって、あわせてその能率的な事業経営に役立てるようにしてまいりたいと考えまして、今そのような考え方で、形の上ではもっとコンパクトといいますか簡明な組織に全体を変えてまいりたいということで作業を詰めてやっておるところでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今、会長おっしゃいましたように、仄聞するところですけれども、かなりコンパクトにということになりますと、ポスト等についても相当減っていくだろう、そういうことが想定をされますので、そうなればそこに働いておる皆さんもいろいろまた御意見もあろうと思います。したがって、組織の改革に当たって組合との間にいたずらな摩擦が起こることのないように十分配意をしていただきまして、話し合いの上で円満にかつスムーズに進行されますように期待しておりますが、よろしゅうございましょうか。
  44. 川原正人

    川原参考人 組織の問題につきましては私どもは組合の意見を諮問するということで労働協約もできておりますし、既にその手続を開始しまして、私自身も先日約三時間近く幹部とお話し合いを率直にいたしました。これは率直にお話をする場がございますので、ある程度、そのまま部外に流れてはお互い困るような語まで率直にしながら、できるだけ意見を聞いて反映させたいと考えております。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 よくわかりました。  それでは次にお伺いしたいのですが、せっかく会長を中心に協会が組織の改革なり運営に努力なさっておるただ中でございますけれども、残念ながら先般三重県の津の放送局でございましょうか、元職員による部内告発、何かNHKの営業運営等に著しい不正があるような報道がなされておりましたが、真相は明らかになったんでしょうか、わかりましたらお知らせ願いたいと思います。
  46. 林乙也

    ○林参考人 ただいま御指摘のございました三重県の津の放送局におきましての受信料契約収納業務につきましての報道でございますが、新聞に取り上げられました概要といたしましては、実は本年五月に解約といいますか委託契約が終わりました委託集金人の方から、実在の滞納契約者を受信契約者のリストから削除しておる、あるいは外務職員が取り次いだ受信契約の手数料を委託集金人の取り扱いとして支払っておるというような話の指摘があったことを新聞で報道されておるというように思っておるわけでございます。  私どもの方も、そういった報道もございまして調査もいたしておるところでございまして、これについては細部なお調査をして、事実についても確認をしていかなければならない点等もまだ残っておりますので、最終的な結論を得ておるわけではございません。滞納の件につきましては、津の局におきまして約四十五万程度の全体の契約の中でやはり滞納契約者というのも相当ございまして、これにつきましては、外務職員が主に三重県全県下を分担しまして訪問し、あるいは文書等による滞納解決に当たっておるわけでございます。そういった過程の中で、再々訪問いたしましても居所といいますか、そこに現実に住んでおられるのかどうかということもはっきりいたしませず、また、長年そういった面接も不可能だというような状況の中で、いわば居住が確認できないというような判断のもとに、転居先不明というような形で滞納契約者のリストから削除したというケースが言われておるわけでございます。  言われております数字は、大体ごくわずかといいますか、私どもといたしましては、現在報告を受けておりますのは七件というように考えておるわけでございます。外務職員による滞納対策については、債権の確保とそれから収納につなげるような努力をいたす中で努力をいたしておるわけでございますけれども、そういった確認の中で、現に居住しておる者があったかないかということが問題ではなかろうかというふうに思っております。この点につきましては、私どもといたしましては、居住が改めて確認され、受信の事実があるというようなことであれば、これらの契約者につきましては、今までの債権も含めて今後引き続いて請求していくというような事務処理をとるわけでございまして、その点についての調査と確認を進めておるところでございます。  それからいま一点は、外務職員が取り次いだ契約について委託集金人の方の事務費として支払ったという点でございますが、これにつきましては、職場におきますところのいわば契約の実績を上げ、その後の収納につなげるという、そういった配慮が当然必要なわけでございまして、現在委託集金人と外務職員がそれぞれに取り次ぎの確保、増加ということに努めておるわけでございますけれども、職場の心理といたしましては、委託集金人としては、自分が取り次いだものを外務職員が取り次いでいわば先回りされたといいますか、そういうふうな心理もないわけではございませんし、また、外務職員は委託集金人を指導督励する中で業績を上げていくというふうな、当然そういったことがあるわけでございます。  そういった中で、外務職員が、自分が取り次いだものでも自分が世話していかなければならない委託の人の業績に回してやるよというような形で委託の業績に上げたということで、業績に上げれば当然支給すべき二百円の事務費を支払うということになるわけでございます。この点につきましては、事務費を二重に払ったということは全くございませんで、外務職員の業績を委託者に回してやったということでございます。それを新聞のあれでは手数料水増しというふうなことで報道されておるわけでございます。現場におきます管理者のいわば業務運営上の配慮の中で私はそれなりに理解できる点が多々あるというふうに考えはしますけれども、また事務処理上問題もあるということも当然でございまして、この点については、昨年の十一月に既にそういった措置は取りやめておるわけでございます。なおそういった報道のある中で、私どもは事務処理のはっきりした責任とその後の収納につなげる措置というものを今後とも工夫し、改善してまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変努力されておるようでございますし、答弁もなかなかお上手でございますが、小さな問題ですけれども、事はNHKの信用にかかわる問題、受信者の受けとめ方によってはこれは大変な問題だと思うのです。今、理事の御答弁の中で、もし実在する人間が帳簿から削られておったとするならば、それが判明すれば過去にさかのぼってその債権を行使するのは当然だ。私はそういうことを伺っておるのではない。それは当然のことだろうと思うのです。問題はそういう事実があったのかなかったのか、その調査ができておるのかおらないのか、それをお伺いしたかったわけです。
  48. 林乙也

    ○林参考人 お答えいたします。  その点については極力調査を急いでおりますけれども、なお現在調査を進めておる段階でございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これ以上言いませんが、七件くらいだとおっしゃっています。そして三重県の津の放送局の局内の問題です。この問題が新聞に報道をされてから今日までの時間の経過を考えますと、わずか七件が事実あったかないかわからない。これは私は率直に言ってちょっといただけません。しかし余り大きい問題じゃありませんから、これ以上追及しませんけれども、その辺にもやはり経営の姿勢というのはうかがえるような気がしますので、会長も十分注意をしてもらいたいと思います。  その次に移ります。六十年度の予算のシーリングがぼつぼつ決まるようでございますけれども、もう経過は申し上げませんが、かねてから私が主張してまいりましたいわゆる放送法三十三条によって国が命令した国際放送の費用の同三十五条による国の負担、これについては今までずっと予算の段階で郵政省、NHKそして大蔵の間で問題を残してきた経過があります。これは大体人件費に似たようなもので、国際放送というのは政府から出る金が少ないから放送を少なくするというわけにはまいらない内容なんですから、国の負担分はこの中で何%だということをひとつ決めておいてもらいたい、鋭意その折衝を急いでもらいたいということは前の委員会ではなく、三年か四年くらい前から私はずっと言い続けておるのですが、ことしの予算の要求に当たってNHKはその問題どうお考えですか。
  50. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  先生には何度も同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、国際放送は私どもの自主放送と命令による放送とございます。これを一体として放送するように命令書をいただきまして改めて見ましても、放送事項とそれから放送内容NHKの自主放送と一体としてやれ、しかも命令された放送はこの金額の中でやれと書いてございますのが現状でございます。そういたしまして、全体でNHKでかかっております経費の中で、比率で申しますと二〇%ぐらいのものが国際放送交付金ということになっておるわけでございます。私どもとしては、交付金がふえることはもとより期待するところでございますので、実情等につきましては郵政事務当局に申し上げながら、この辺のところの改善を実は期待しているというのがただいまのところの実情でございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政省どうですか。
  52. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、私どもといたしましても、今後の国際放送の充実の観点から一つの検討課題であるというふうに考えているところでございますけれども、先生御案内のように、国際放送全体の中での命令放送のあり方、ただいまNHK渡辺専務理事の方からもお話がございましたそういう問題、あるいはこれも御案内の国の財政事情と一体の問題がございますので、具体的にどう決めるのかということを私どもも大変悩んでいるわけでございますが、大変難しい問題ということではありますが、検討課題ということで取り組みはいたしておるということで御理解を賜りたいと思っているところでございます。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは私がきょう初めて申し上ぐるのならばこんなにくどく言うつもりはないのですけれども、今あなた方の御説明によれば、法の解釈を逆にしておると思うのです。国はNHKに国際放送を命令することができる、その費用は国が負担しなければならない、こうなっておるのです。ただ、予算上決められた場合にはその範囲内でやらなければなりませんよ。だから、予算が先にあるのではなく、命令したらそれに対する予算を組まなければならない。しかし、財政上どうにも予算が組めない場合には、その範囲でやらざるを得ぬということになるだろうと私は思うのです。あなた方の解釈でいけば、たとえ一万円でも国が補助すれば、これでNHKの本来放送とあわせてやりなさいと言われれば、一万円でもやらなければならない、こういう理屈になるのですが、そういうことが常識的に成り立つかどうかですよ。ならば当然、国の命令分は何%にしましょうという、そういう約束がなければ極めておかしな話になりませんか。NHKの運営それ自体が僕はおかしくなると思うのですよ。  今、国際放送に四十億かかっておるか五十億かかっておるかわかりませんけれども、その中で国の負担してくれる分がわからなくて、どうして国際放送計画が成り立つのですか。それならことし、仮に昭和六十年度の予算、国の費用負担はマイナスシーリングで一万円にしますと言われたら、NHKはそれでやるわけですか、どうなんですか。
  54. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私どもといたしまして、国際放送は大変重要であるということは重々承知をいたしております。同時に、国際放送の国からの交付金の増額につきましても、私どもといたしましての最大限の努力をこれまでも傾けてきたつもりでございます。先生からごらんになってどうかという、あるいはお考えおありかもしれませんけれども、私どもといたしましては現在の財政事情の中での最大限の努力をしてきたつもりでございますし、またこれからもそのような努力をするつもりでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたような、一体としてということでNHK放送の実施を依頼をしているという状況であるわけでございます。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その状況はわかるのですよ。一体となって国際放送をやれという状況はわかるけれども、大体NHKの国際放送計画を立てるに当たって国の命令分でどのくらいの費用の負担があるのかがわからなくて国際放送計画が立つというのが私はわからないのですよ。そうでしょう。昭和五十九年のNHK放送計画はでき上がっておる。恐らくあなた方の頭の中には去年ぐらいは来るだろうというような感覚で立てておると思うのですけれども、しかし、僕は先般来政府の姿勢をただして、今は亡き大平大蔵大臣が要るものは出しますとおっしゃった。先般の委員会でも質問したら、大蔵省は、それは要るものは出すと大蔵大臣の前に約束したことは守りますと、こう言っておるのです。そう大蔵省が言っておるのにこの話がつかぬというのは、郵政省、NHKに全くやる気がないのだ。そんな気持ちだから放送衛星まで役に立たなくしてしまう、いわゆる金のむだ遣いをしてしまう、こういうことになるのじゃないか。もっとしっかりしてもらわなければ、受信料を納めてお願いをしておる受信者の立場に立ったらたまらぬですよ、それは。もっと真剣に考えてもらえませんか。大臣どうですか、これは。
  56. 奥田敬和

    奥田国務大臣 五十九年度の予算折衝でも、最後まで大蔵大臣との間でもつれ込んだのがこの国際放送の問題でございました。経緯は省略いたしますとして、国の財政状態ということを理由にされまして、しかし、二人の間での話し合いは物別れということで、これは党三役のマターに一任ということになったわけでございます。そこで、何やかやといういろいろな議論の末で、今年度に関しては二億五千万円交付増額という形で、御存じのとおり十二億五千万余の交付になりました。  先生の御指摘のとおり、総体経費として四十六億近い経費を要する中での十二億五千万余でございますから、その比率に関しては、命令放送をする政府としてこれで十分かというと、じくじたるものを感じております。確かに命令放送と自主放送の明確な形で負担割合も決めていくべしという御論議には全く同感でございます。しかし、今日の状態からいって、六十年度の予算に関しては与野党の先生の御支援もいただきながら一層の交付増額に努めてまいりたい。国際放送の重要性は今さら指摘するまでもないわけで、経済大国日本というポジションにありながら、情報その他のPRにおいては全く、むしろ情報小国とも極言してもいいくらいの状態ということはまことに残念でありますから、これの改善に全力を挙げてまいりたいと思っております。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 我々受儒者の立場からすれば、これは本来、国に泣きついて何ぼ出してくださいという性格のものではないのです。ですから、幾ら国が負担するのが妥当なのかということを、この中で何%負担するのが妥当かということを、三〇%でもいいでしょうし、あるいは現行二〇%でもいいですよ、国際放送の中で国がこれだけ負担をしますという割合をちゃんとしておかなければNHKの国際放送計画は成り立たないというのが私は真実だと思うのです。ただたまたま、うまいことどんぶり勘定にしてやっておるから、少なければNHKの持ち出しが多くなる、これでは計画ができないわけですから、このパーセンテージだけははっきりするように折衝をしておいてもらいたいと思います。これはこれ以上申し上げても今すぐできることではないでしょうから、大臣、鋭意ひとつ努力をしてください。  その次にお伺いいたしますが、この前の予算のときに十分議論ができなかったのですけれども協会の受信規約というのがございますね。この協会の受信規約について、これは一つには世帯を単位とした契約、もう一つは事業所を単位とした契約、こういう内容になっておるようでございますけれども、世帯というものの定義と、それから住居というものの定義、これをもう一遍聞かしてくれませんか。
  58. 林乙也

    ○林参考人 お答え申し上げます。  世帯の定義でございますが、これは生計と住居をともにするものをもちまして世帯というふうにいたしておりまして、これは国勢調査の調査例等にも共通しておる、大体、日本の世帯という場合に共通した定めということと理解しておるわけでございます。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは一つは世帯であり、一つは住居に、この場合分かれるわけですね。  そこでお伺いしたいのですが、世帯は同一でも住居が別ならば、これは別に受信機があれば、もらいますよ、こういう理屈になっておるのですが、今、非常に核家族時代ですけれども、お隣に隠居所ができると住居は別になるわけです。それでテレビもそれぞれ置いてある。世帯は一緒ですよ。世帯は一緒だが、住居は隠居所に別におる。テレビもそれぞれある。この場合はどういうふうになりますか。
  60. 林乙也

    ○林参考人 世帯契約におきます契約の単位でございますけれども、生計と住居をともにする、両者をともにする場合には一契約でございますけれども、同じ住居でありましても生計を異にするものについては別契約でございますし、また、同一生計でございましても住居を異にする場合には別契約ということにいたしておるところでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 理屈はそうなると私も解釈しておるのですが、実際に契約がそうなっておるでしょうか、契約の実態がそうなっておるかどうか、これを聞きたいのです。
  62. 林乙也

    ○林参考人 お答え申し上げます。  これはごく一部の例外を除きまして、と申しますのは、例えば病院に入院された方が病院でごらんになるテレビの契約などの場合には世帯及び住居の延長といたしまして一つの契約で契約をいただくというような例外はございますけれども、おおむねただいまの私の説明のように契約をいただいておるということでございます。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そんな契約ができればNHK受信料の契約の捕捉に苦労はしないのですよ。家の中へ入っていって、あなたのところのお父さんと子供さんは生計を別にしておりますか一緒にしておりますか、そんなことを聞いて歩けるものじゃないでしょう。あなたのおっしゃるのは詭弁です。  まずその家の中に住んでおれば一世帯と見るのが常識で、生計が別ですか一緒ですか、これを聞く、その次におじいちゃん、おばあちゃんの隠居所は別にあるのですか一緒にあるのですか、これを聞く、規約にはそうなっておるけれども、実際問題として契約に当たってそういうことができっこないでしょう、それは本当にやっておるのですか。
  64. 林乙也

    ○林参考人 お答え申し上げます。  ただいま私が申しましたのは、同一住居でありましても世帯を異にする場合、一つの代表的な例は例えばAさんの世帯とBさんの世帯というふうに全く世帯が違う場合のことを想定しながら申し上げたわけでございまして、例えば二世代世帯というものにつきましては、やはりただいま先生からお話のございましたように生計及び住居を同一にするものというふうに考えながら契約せざるを得ないという実態はございます。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今あなたは生計及び住居と言ったですね。さっきは住居も生計も一緒でなければならぬ、住居が別ならだめです、生計が別ならだめです、こうおっしゃったのです。  この規約は、生計が別ならだめですよ、住居が別なら同じ世帯でもだめですよ、そうなっておるのです。ただ、今、例外としておっしゃったように運用上病院などの場合には世帯の延長だ。もう一つ世帯の延長がありますね、自家用自動車などの場合には世帯の延長だ、こういうふうに解釈されておるのです。しかし実際問題としてはそうなっていないということを私はまず申し上げたいのです。  非常におもしろい例を申し上げますが、病院の場合は世帯の延長だという解釈になるわけですね。私は受信料を払いたくないから言うのではないですよ、解釈上聞くのですよ。我々はちょうど病人と同じようなんですよ、国会があるときには東京に来ておる、国会が終われば自分の世帯に帰っていくのです。そうすると、病気しておる間は病院に行っておって病気が治れば自分の世帯に帰るのと同じですよ。病院に入っておる人からは受信料を取らないが、我々から受信料を取るという根拠は一体どこにあるのか。
  66. 林乙也

    ○林参考人 大変お答えにくい御質問で、実はいささか戸惑っておるわけでございますけれども、結局は、受信規約は法律の委任を受けて定めておるわけでございますし、郵政大臣の認可をいただくわけでございますけれども、その中で社会の生活及び視聴の実態というものと即応するような形で一定の割り切りをせざるを得ない、私どもは一応整理ができておるというふうに考えてはおりますけれども、ただいまの先生の御指摘は、では厳密に言ってどうかというようなことじゃなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一つあるのですよ。  一つの家の中に事業所と呼ばるるものがある場合、例えば床屋さんなどの場合は世帯の延長とみなして茶の間に一つ、それから床屋さんのお店の方に一つあってもこれは大体実際の運用として一契約でいいはずです。しかしこの規約でいくと、たまたまそのお店を隣に出しておる、お店が別棟になっておる、この場合は別々に契約をしなければならぬということになるのです。そういう理屈になるでしょう。そうすると、同じ床屋を営業しておる人が、自分の家の中でお店にテレビをつけておっても構わぬが、隣に店を出してテレビをつけると、これはもう受信料を払わなければならぬ、契約をしなければならぬ、こういう理屈になってくるわけですけれども、実は私が申し上げたいのは、もう今日のように多様化といいますか生活態様も非常に変わってきた社会で、今なおこの放送受信規約というものが通用するのだろうか、見直しをしてみなければならない時期に来ておるのではなかろうか、そのことを聞きたかったのです。
  68. 林乙也

    ○林参考人 お答え申し上げます。  基本的にはただいま申しましたように社会におきます生活の実態、視聴の実態に即応するように受信規約というものを整備していかなければならぬという御指摘については全くそのように考えております。  今回の受信料改定に当たりまして、体系上も規約上におきましても私どももいろいろ検討させていただいたところでございます。一つには世帯においても複数台数制をとったらどうかというような先生の御指摘ではなかろうかというように考えております。この点につきましても、視聴の実態が個人別化といいますかパーソナル化しておるとか、あるいは選択視聴の方向に行っておるというようなことを考えました場合に、確かにそのような視聴の実態というものを今後の受信料体系の中で反映していかなければならぬというようなことについては、私どもも非常に真剣な課題だというふうに考えておるわけでございますけれども、ただし同一世帯の中におきまして直ちに複数台数制をとり得るかどうかということにつきましては、やはり受信機の設置の確認というものが大きな隘路になっておるわけでございます。その手だてがないままに複数台数制をとるということになりますと、逆に受信料につきましての負担の不公平感というものを助長しかねないという点もあろうかというようなことも考えまして、結局それは今後の衛星放送あるいは高品位テレビ放送というような一つの放送メディアの利用との絡みの中で考えていく必要があるのではなかろうか。  過去におきましてラジオとテレビの時代あるいはカラーテレビと白黒テレビの時代というふうな形がございまして、ラジオとテレビの場合には別契約ということになっておりました。それからカラーと白黒の場合にはどちらかでということになっておるわけでございますが、(阿部(未)委員「いやいや、カラーと白黒の場合はカラーですよ」と呼ぶ)ええ、そうなんですが、カラーと白黒と二台設置しておられる方があったとしても、世帯についてはカラー契約でいただくという形になっておったわけでございますが、そういったような別契約にするのかあるいは総合契約による付加料金なり何なりにするかというようなことも含めまして、今後ともただいま先生が申されましたようなことも十分考えながら検討してまいりたいというように考えておるところでございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 非常に頭がよくて、私が言おうと思っていたことを先に言ってくれましたが、大体私の一番最後の主張はそこだったのです。この受信規約を改正するに当たって、お金のある人は二台も三台も持っておるわけですから、したがって一台目は当たり前の料金、二台目は半分でもいいから負担してもらうようなことの方が契約の趣旨からいって公平なのではなかろうか。一台持っている人も三台持っている人も一つの世帯なる同じ受信料で見ることができるということが果たしていいのかどうか。捕捉についてはやりにくい点があると思います。思いますけれども、そこを踏み出してみなければどうしようもないのではないか。その前段として今まで言ってきたわけですけれども、よくわかっていただいておりますから、検討課題としてお願いをしておきたいと思います。  もう一つ、自家用自動車の場合には世帯の延長ですが、あそこに書いてあるように「営業用以外」という言葉を使ってあるから、逆に言えば営業用の自動車等については当然契約をしなければなりませんね。この件数は今どのくらいありますか。
  70. 林乙也

    ○林参考人 ただいま御指摘がございましたように、営業用の場合にはそれぞれの設置場所ごとに契約をいただかなければならぬということで、タクシー等の場合には新たに契約をいただかなければならぬということになっております。現在、タクシーテレビにつきましての契約の状況は、全国で約九百件程度ではなかろうかと考えております。  どの程度タクシーに普及しておるかということになりますと、やはり三千台から四千台に近いぐらいのところにまでいっているのかというふうに考えられておりまして、その点からいたしますと、確かに大きな問題点であると私ども自覚いたしております。それで、関係の向きにいろいろ折衝いたしまして、やっとここまでこぎつけたというのが実際のところでございますけれども、これも、契約という形をとっておる以上、相手の方に納得と御理解をいただかなければ、結局いろいろ手だてを尽くしても、なかなか契約の成立に至らないというような状況でございます。社会的な実態と制度のギャップの一つの問題点であろうかと思っておりますが、現在のところは、現在の契約に沿った形で極力進めてまいりたい。今後の問題といたしましては、先ほど来申しておりますような社会的な実態に沿うような契約体系等を工夫する中でいろいろ考えてまいりたいと考えておるところでございます。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会長、これはバスの場合も同じですが、タクシー、バス、今、新しいバスはほとんどテレビがついています。それは三千台や四千台なんという数じゃないと私は思っておるのです。恐らく何十万という単位だろうと思うのですけれども、それはほとんど契約ができていない。わずかに八百しかできていない。ところが、八百の契約をなさった方の良心を踏みにじるような結果になっているのですよ、ほかの人は契約しないわけですから。そうすると、タクシーのテレビだってバスのテレビだって、契約する方がばからしい、こういうことになってくる。そのことがNHK受信料に対する不信感にもつながってくるおそれがある。これも実は受信規約を変えてもらわなければならない一つの理由だと私は思うのです。  大変長くなりましたが、最後に一つお伺いしたいのですけれども、契約収納費というのがございますね、決算の中でも予算の中でも。これは、年々ふえ続けておるようでございますけれども、減った年が最近ございますか。
  72. 林乙也

    ○林参考人 お答え申し上げます。  現在の受信料制度をめぐる社会環境の中で、やはりどうしても経費につきましては増加せざるを得ない状況にあり、過去におきましても、増加いたしてまいっております。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この受信料収納の中の大きいのは、委託の集金さんに払う金とか、こういうのが入っておるはずですけれども、せっかく振替口座というのですか、口座振替で奨励して、五〇%前後の口座振替ができてきた。口座で振りかえてくださる方々については、本来払う受信料を割引をして差し上げておるわけでしょう。その割引は一体どのくらいな額になるのか、わかりますか。これはかなり大きいはずですよ。
  74. 林乙也

    ○林参考人 三カ年で五百万の口座料金への移行を予定いたしたわけでございますし、また、五十九年度におきましては、二百五十万件の口座料金への移行を予定いたしたわけでございます。その中で、これは三カ年の累積になっておりますので、ちょっとお許しいただきたいのでございますけれども、三カ年の口座料金の累積減収額を約三百四十億と見込んでおります。これに対しまして、集金受託者の減員、三カ年で約百三十名、それから現在、特別営業対策員というような形で、全国に配置いたしております嘱託の職員でございますけれども、それを節減するなどの中で、十分この減収を上回るだけの節減効果を得るようにいたしておるわけでございます。  ちなみに五十九年度について申し上げますと、それらをあわせた業務の効率化による節減が、契約収納費の上で十六億でございまして、契約の増加等によるやむを得ざる経費の増加に対しまして、十六億の経費の節減はいたしておるということでございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変苦労されておるのは、よく理解ができます。ただ、今、頭数で何ぼと一つ出ましたね、委託集金の方の頭数が何ぼ減ったと。しかし、委託集金のための経費というのは、余り大きく減っていないのです。これは申し上げていいかどうかわかりませんが、この込もうちょっと、三カ年で三百五十億という減収になっているわけでしょう、口座にかえたために。三百五十億という三カ年の減収になった割には、効率の方で増収に、何といいますか、逆に経費の節減になっていないということは、私は言えると思うのです。この辺はもう少しメスが入れられるのではないかと思うのですが、あれば……。
  76. 林乙也

    ○林参考人 直接にお答えできるかどうかわかりませんが、五十九年度におきます受信契約収納関係の経費の内容につきまして、若干、御説明させていただきたいと思いますけれども、五十九年度の契約収納経費は、予算総枠で三百五十九億になっております。五十八年度の三百三十億に対しまして二十六億の増加になっておりまして、その限りにおきましては七・七%の増加になっておるわけでございますけれども、その増加内訳を見ますと、今回の料金改定に関する、例えばあいさつ状の発送だとかあるいは全納精算のための経費というようなことで、今年度特にそのために必要なお金が十四億ということがございます。  それからもう一つ、現在、営業関係の事務を処理する処理機械が設置後十五年たっておりまして、それは更改しなければならぬということがございまして、その経費が約五億でございます。それらのものを除きますと、増加額は大体六億八千万でございまして、五十八年度に比べますと、その増加率は二・一%ということになっておるわけでございます。その二・一%の中におきましても、契約の増加等に伴う当然の経費の増加に対しまして、ただいま申しました十六億の節減というものの中で、そういったものを果たし得ておるということでございまして、そこらあたりをひとつ御理解いただければというふうに考えるわけであります。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が申し上げたのは、せっかく口座振替を奨励していっても、そして口座振替をするために、受信料の収入は落ちてくる、それだけどこかでメリットがなければならぬはずだと。その辺にもう少しメスを入れる余裕はないかどうかという提言ですから、そう受けとめてもらいまして、質問を終わりたいと思います。
  78. 志賀節

    志賀委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。  次に、鳥居一雄君。
  79. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 引き続きまして、BS2aに関する故障について伺ってまいりたいと思います。  五月の十四日に故障対策委員会が設置された、その後、故障原因についての中間報告がなされたと伺いましたが、中間報告内容について御報告願いたいと思います。
  80. 北村俊男

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  放送衛星対策委員会につきましては現在スタートいたしておりますが、現在まだ審議中でございまして、中間報告はまだ出ておりません。
  81. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それではNASDAの理事長に伺いたいと思いますが、A系統において推定七カ所、特定はまだできないけれどもという御発言がありました。並びにR系統については三原因と推定される。この内容について伺いたいと思います。
  82. 大澤弘之

    大澤参考人 お答えを申し上げます。  何カ所、何カ所と申し上げましたには、多少まとめ方によりまして数が幾つにもなったりするということでございますので、例えば電源系の回路の部品の故障というようなことが考えられるわけでございますが、どの部品というようなことを数を挙げていきますとかなり数がふえるという、そういうまとめをいたしますと幾つにもなっていくわけでございまして、私ども大きく申し上げますと、先ほど申し上げましたが進行波管の方の故障、それから電源系の回路で、電源系の回路の部品の故障、それから電源系の回路にこの進行波管の保護をするための保護回路というのがついておりますがその保護回路の故障、これもまた部品あるいは設定位置の問題といったような幾つかの原因が考えられますものを、一応七つないしは八つというふうに申し上げた次第でございます。
  83. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 R系統についてはどうですか。
  84. 大澤弘之

    大澤参考人 失礼いたしました。ただいま申し上げましたのはA系統でございます。  R系統につきましても進行波管の故障、ただし起こっております現象はA系統の場合とR系統の場合とでは違っております。それから、これを駆動いたします電源回路の部品の故障、保護回路の故障というようなことで三つ申し上げたわけでございます。
  85. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、R系統故障については、「先般来異状を生じているA系統の現象とは異なり、通常の指令による再起動は可能だが、送信管内部の電流が異常に大きくなるなどの原因が起きて、電波の連続発射ができない状況にある。」つまりA系統とはダウンの性格が違う、まだ生きているんだ、こういう表現なんですけれども、現在どんな状況なんでしょうか。その可能性
  86. 大澤弘之

    大澤参考人 A系統故障は二ないし三ミリ秒電波が流れまして、そしてトリップすると私ども言っておりますが、切れるというのがA系統の進行波管で起こっております現象でございます。  R系統の方につきましてはある時間電波が流れ、電流がだんだん増加することによりまして保護回路が働いてトリップをする、こういうことで現象が違うというふうに申し上げておるわけでございます。回復の可能性等を含めまして、これらR系統の方がかなり長い時間流れておるから回復の可能性が高いんだというふうには必ずし直言えないと思っております。これは原因がまだ完全に突きとめられておりませんので、今のところは明確なあれは申し上げられません。
  87. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで二月の十五日に、打ち上げました星が静止軌道衛星として静止軌道に乗っかったわけですね。それで静止軌道に見かけ上動かないように見える状況に二月の十五日なりまして、最大食と言われる三月二十日を経て、三月二十三日にA系統故障が起きた。この間の初期機能試験といいますか、初期機能確認といいますか、NASDAとしてどんなことをやってきたのでしょうか。その故障原因がこのあたりにあるんじゃないか、こう見られるのですが、この点についてはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。
  88. 船川謙司

    ○船川参考人 ただいま先生からお話しございましたように二月十五日に静止したわけでございますが、初期機能確認というのを二月三日から三月三十日までの計画でやってございます。二月三日といいますとまだ静止しておりませんけれども、テレメートリー・コマンド系の特性確認というのは移動中でもできますので、二月三日から二月十日にかけましてSバンド・テレメートリー・コマンド系の特性の確認をしております。  それから二月二十一日から二月二十四日にかけましてモノパルスRFセンサーと称しまして、これも引き渡し前にふぐあいになった、電波によって姿勢を保とうとするセンサーでございますが、それを含みます姿勢制御系センサーの特性確認をいたしております。  それから二月二十七日から三月二日にかけましては放送電波と同じ周波数のテレメートリー・コマンドがございましてそれの特性確認をしております。それから三月五日以降中継器の特性確認試験ということで順次中継器に電源を投入していったわけでございまして、この間三月二十三日にA系統に異常があるという現象が見出されたわけでございます。三月十九日から三月二十三日まで電源系の発生電力の確認をしております。  大体初期機能確認の作業は以上の経過でやってございます。
  89. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでこのA系統故障が三月二十三日ふぐあいが発生して四月二十一日、契約における九十日目ということでこの機構の方が受け取る。それで機構が受け取ったのが四月二十一日の夜零時、NHKが受け取ったのが翌日四月二十二日の午前零時、同じ時刻を二十一日という表現と二十二日という表現であたかも違うように見えるのですけれども、それはどういうことなんでしょうか。
  90. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 宇宙開発事業団が打ち上げをいたしました後、先ほどお話の出ております初期機能確認ということが行われるわけでございますが、その確認の後、宇宙開発事業団通信放送衛星機構引き渡しを行いまして、そして通信放送衛星機構はこの衛星を速やかに利用者であるNHKに引き渡すということになっているわけでございます。今回の場合、契約の文言上でそうなっておるわけではございませんけれども、こうした引き渡しは新聞に報じられましたように、事実上同時刻に行われたというものでございます。
  91. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり通信放送衛星機構の役割というのをここで考えてみなければならないと思うのです。三つあると実は指摘されているわけですよ。  その第一は、エンドユーザーであるNHKの実用放送衛星を、まず打ち上げに関して、打ち上げを引き受け、そしてNASDAにそれを契約によりまして打ち上げの委託をする。それから第二番目は、本来の機構の業務であります、打ち上げられた静止軌道に乗っかった衛星の制御、運用。それから第三番目は、その星を利用して他方面に運用の便宜を図る。  この第一番目の、本来機構自体が行わない仕事を、NHKとNASDAの真ん中に入りまして、トンネルになって機構が打ち上げを引き受けている、これが今回、実は大きな問題になっているのじゃないかなと思うのです。  先ほど大臣のお話の中にもございました。どうも親方日の丸の帰来があるように見える。この三者の関係性をじっと見てみますと、何かお互いにかばい合っているのか、隠し合っているのか、責任が非常に不明確。六百十億からの経費を使い、NHK分としては三百六十六億も使いながら、無傷で上がったのかというと、今日では3チャンネルの放送ができない。NHKのいわゆる総合と3チャンネル、片肺飛行である、こう言われている。しかもきずがある、トランスポンダーがダウンしてしまっている、そういう状況の中でNHKがなぜそれを引き受けるのだろうか、こんなように実は思うわけです。  それで、まず実験用、ここで故障がありました。今回は実用と銘打っているわけです。NHK会長、実験用と実用の違いをどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
  92. 川原正人

    川原参考人 実験用というのは、あくまでこれは開発の過程でございまして、実用のためにいろいろなテストをしてみる。そして、それを十分に検討の材料として実用衛星においては完璧な形で打ち上げていただく、そういうものと思っています。特に実用衛星というのは、実際に放送番組を全国の視聴者のために放送するわけでございますし、また、それであるからこそ、受信料の相当多額のものを投入して実用に供するということでございますので、連続した作業ではございましょうけれども、質的には全く異なるものではないかと考えております。
  93. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 受け取るに当たりまして、きずのある衛星であることを承知して受け取る。これは一般の会社では考えられないことです。三百六十六億から経費をかけまして、しかも先ほどのお話のように、国民の受信料収入によって宇宙開発の一翼を担おうということです。断じて失敗は許されない、しかも実用だということなんですから。そういう失敗が許されないという中にありまして、三系統のうち一系統ダウン、しかも二系統目が後にダウンしてしまう、そういうのをよく引き受けられると思うのです。この九十日目、引き受けるときに、引き受けに当たっての条件というのはどんなことがあったのですか。その後、残るB系統だってリスクの上からいったら大変なものだったと私は思うのです。どういう確認をなさったのか、伺いたいです。
  94. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  打ち上げが成功いたしまして四月二十二日に受け取るわけでございますが、そのときはこのようなことをやって受け取ったわけでございます。つまり、宇宙開発事業団から、通信放送衛星機構を通じまして、この衛星がどういう状況で打ち上がったのかという機能確認の報告をもらうことに定めてございます。そのときに報告がございましたのは、一系統は確かに故障でございますけれども、その他の状況については、つまり、カラーテレビジョン二チャンネルの運用は可能であるということの確認をしていただいてあるわけでございます。しかも、一チャンネルの故障につきましては、宇宙開発事業団において責任を持ってこれを措置をするという確認を取り交わしているわけでございます。  こういう状況の中で、少なくも当初予定しましたカラーテレビジョン二チャンネルというのは一応できる、こうなりますと、衛星の打ち上げを待ち望んでおられる方々に早く放送を送りたいという状況で、その放送は一応送れる、しかも、一チャンネルの故障については責任を持ってこれを措置をするという確認を取りつけているのであれば、私どもとしては、この衛星は引き取って早く放送の実施に移すべきであるという判断をしたわけでございます。
  95. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 このカラーテレビ二チャンネルの確認というのを、NHK自身の手でなぜ確認しないのです。打ち上げについて受託した方にその確認をさせている、しかも、その確認がこの段階ではほごになっているわけです。A系統の後R系統のトラブルが起こっているわけです。これに対してNHKとしてはどういう損害補償を要求できるのですか。NHKみずからが確認をしなかったというのはどういうことなんですか。
  96. 渡辺伸一

    渡辺参考人 今申し上げました報告書には、報告書の詳細な資料が添付してございます。それをみずからNHKの手で見て吟味をして、今言ったような結論に達したわけでございますので、NHKとしても、その確認は十分であるという確証を得ての話でございます。
  97. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、事業団の確認の資料に基づいてNHK自身が確認したけれども、その確認が甘かったということになりますか。
  98. 矢橋幸一

    矢橋参考人 今、御説明したように、宇宙開発事業団の方から、残った二つの系統につきまして、これは十分技術的に間違いないということを我々は報告を聞いて、それから、今申し上げましたような条件を総合的に判断して衛星を引き継ぐということにしたわけでございます。
  99. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いずれにしても、瑕疵が出てきた場合にはNHK自身がしょい込まなければならないわけですね。現に三つの系統のうちの二つが使われない、こういう現実の前に、NHKが引き受けたこと自体やはり世論の批判があるわけでしょう。R系統については生きる可能性がある、こういうことになっていますけれども、その可能性といったって今定かではないわけです。  A系統の最初の故障の段階で寿命保険について保険契約が難航を始めた。しかも、今現在、最後に残るB系統についての寿命保険が全くない、保険のカバーがない状況です。寿命保険についてこれまで契約締結のためにどういう努力をしてきたのか、経過について伺いたいと思うのです。
  100. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  保険につきましては打ち上げ保険と寿命保険と二つございまして、打ち上げ保険の方は国とNHKが共同で宇宙開発事業団から契約をしていただいたわけでございます。寿命保険はNHKが受け取ってからの話でございますが、これは国の方では寿命保険をお掛けにならないということでございますので、NHKが独自に保険会社と折衝を開始するわけでございます。二十二日に受け取ることを予想いたしまして、私どもとしては四月の初めにもう既に保険業者と交渉いたしまして、ある程度の条件は固まったわけでございます。しかし、その保険が発効するには、すべて打ち上げが正常な段階であるという条件が一つ入っておりました。それは私ども承知の上で保険の契約を進めておったわけでございますが、十一日A系統のふぐあいが発表されるに至りまして、保険会社は条件が違うということで、新しい条件による設定を考えたいからしばらく待ってくれというわけでございます。私どもとしては一日も早くと思って保険会社に交渉したわけですが、基本のところは、故障の原因がわからないと今から保険しなければならぬ料率や何かを決められないということでございまして、再三やっておりますうちにもう一系統がぐあいが悪くなったというので、今はとにかく故障の原因究明が急がれている、その処理を見ての話だということになって、ただいま残念ながら保険を掛けていないという状況になっているわけでございます。
  101. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もうちょっと突っ込んで聞きたいのです。保険を掛けたい側の主張と損保会社の立場があると思うのですね。それで、A系統のダウンによって条件を変えよう、料率を改めよう、かなりのしょい込みになるけれども、保険料そのものの負担はこういうふうになるが、ともかく保険でカバーすることが大事だという事態だと思うのです。その辺の事情についてはどうなんですか。全く無保険でこれからもいくのですか。
  102. 渡辺伸一

    渡辺参考人 まず、一日も早く保険を掛けたいという気持ちでございます。  今、どういう条件にしても新しい条件に適応した保険が可能ではないかというお話だと思いますが、私どももそのようにして交渉を急いでいるわけですが、御存じのとおりかなり大きな保険額でございますので、日本国における十九社の保険会社ではしょい切れない。したがって、世界的な規模でいろいろ再保険を考えているわけでございます。保険会社としましては世界に要員を派遣して調査をするというような条件が入っているようでございますので、それらを考えまして、今、故障の原因を究明したらそれに基づいて世界の意見をあわせて提示をしたいということで今日まで延びているわけでございますが、私どもとしてはどんな条件にしろ早く保険を掛けたいという気持ちであることは間違いありません。
  103. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、今回の一連経過を眺めてみまして、契約関係がどうも不可解なんです。事業団と機構との間の基本協定のあらましをひとつ御説明いただきたいのです。
  104. 宮原翠

    ○宮原参考人 お答えいたします。  この放送衛星の打ち上げは宇宙事業団衛星機構のいわば共同のプロジェクトでございまして、発足当初にその共同プロジェクトの基本的な事項について取り決めが行われております。  この内容を、幾つかございますが、主な点だけ御説明申し上げますと、共同事業の目的というのがまずあります。それから、業務の範囲でございます。事業団としてはこの衛星の設計から始まりまして開発、打ち上げ、それから初期の段階の追跡管制、それから機能確認を担当する。それから機構の方は、これが引き渡しを受けてから、いわゆる定常の段階に入りましてから後の追跡管制、それからユーザー側、この場合NHKでございますが、ユーザー側が利用できるようにその衛星を運用するという業務を担当する、大体こういうのが業務分担になっております。  それから、費用の分担でございますが、この衛星の場合必要な経費は機構六〇%、事業団が四〇%の比率で負担するというようなことが定められております。  それから、所有権がいつの時点で移転するか。これは事業団から機構の方に引き渡すときに所有権を向こうに移転する、六割負担分の所有権を移転する、そういうようなことが定められております。  それから、責任問題ですが、これにつきましても、開発いたしましてから、衛星ができ上がりましてそれを事業団が引き受けるときまでの、事業団が機構に対して負っております責任はどういうものか。損害が起きた場合には、過失責任、事業団の責に帰すべき事由がある場合にはこれを補償するというような規定が入っております。  それから、打ち上げて後、定常段階ずっと進行いたしますが、その間については、機構と事業団とお互いに相手に故意があって損害が生じたというような場合には損害賠償に応ずるというような規定がございます。  そのあと、ほかに幾つかございますが、開発運用過程で得た情報などは業務に必要な範囲でお互いに公開、提供し合うというようなことがございます。  主なところは大体そのようなことではないかと存じております。
  105. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 NHKと機構、これは事実工事業団から引き受けるのですけれども、引き受けに当たって無傷のものは現に当たり前、これは決まっていることなんですけれども、契約ではこの程度の傷だったら引き受けはやむを得ないのだ、こんなことになっていますか。NHKに聞きましょうか。
  106. 渡辺伸一

    渡辺参考人 先ほどお答えしましたように、機能の確認という行為がこの契約の中に要点としてあるわけでございますが、その機能確認が、申し上げましたように報告書をもとにして確認をいたしまして、NHK側としてその確認されたものが放送という事態において当面支障がないという判断をすることによってこれを引き受けたわけでございますので、機能の確認という行為がこれを引き受けさせるかどうかという判断の要請になるわけでございまして、私どもとしましてはこれは引き受けていいという判断をしたということでございます。
  107. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 機能の確認という点で、引き受けてもいいという一方で判断をし、一方ではその甘い判断が原因で、甘い状況が原因で保険のカバーもできないという状況にあるわけですよね。これは一体どういうことかというのが国民感情じゃないでしょうかね。どうでしょうか。率直に言って、大臣、いかがでしょう。
  108. 奥田敬和

    奥田国務大臣 国を挙げての実用衛星開発ということで総力を挙げてやってまいった結果がこういった結果になってきた。さりとて、エンドユーザーであるNHKとしてはきずものの衛星と言ったら悪いですけれども、そういった当初の目的を果たすことができなかった衛星を引き受けてきた、引き受けさせられたという結果になったわけです。その間においていろいろな双方の言い分もあると思いますが、常識的に考えれば大きくはこれは政府が計画した開発計画でもございます。したがって、一方的にこの黒を受け取ったNHK側だけに大きな負担をこのまましょわせていくことはいかがかという気持ちもいたします。また、今後この実用衛星という初の段階で少しお互いに冷静さを欠いていたのかもしれませんけれども、これをやはり二チャンネル系統大丈夫だという形で引き受けた時点においても、一チャンネルがダウンしているという事情からいって、これは引き受ける時点において相互の性能の確認、どういう形でやるのか知りませんけれども、それにNHK側も多少慎重を欠いた嫌いがなかったろうかという気もいたします。  いずれにしても、こういった問題というのは、実験段階ではなくて実用段階で起きてきたということも含めて、今後やはり自主開発技術の路線を進めるに当たっても、本当に反省の上に立って原因究明に努めていただきたい、二度とこのような不明朗という言葉は当たりませんけれども、こういうお互いに納得できないような形で、納得できないというか、何かそういった一方に相手に対する技術信用まで疑うような不満を持ち続けていくという形も大変残念なことでありますので、この面は、今、先生が子細に御指摘なさった点をまた双方でよく話し合っていきたいと思っております。
  109. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 さらにNHKの長期ビジョン審議会の調査報告が五十七年一月出まして、その中で指摘しておりますけれども、「国の宇宙開発政策は既にH-Iロケットの開発計画を有しているが、NHKとしては、衛星木林は国産によるにしても、大型化するロケットはその打ち上げ経費、実績などを考え、国際市場で調達することについても検討すべきである。」こういう指摘がされていますね。つまり打ち上げについては官営といいますか、官営宇宙開発というそういう時代ではない、もう既にアメリカでもそうですし、民営宇宙開発の段階を迎えて、ロケットについても経費の安いのを、競争原理の上からいって打ち上げ経費を考えろ、こういう調査報告だと思うのですね。これをどういうふうにNHK受けとめていらっしゃるのでしょう。これからBS2b、BS3も上がる、そういう計画の中でどういうふうにこれを具体化、実現していくのでしょうか。
  110. 川原正人

    川原参考人 確かにビジョン審議会からはそのような答申をちょうだいしております。私どもも事業としましては、あくまでそれはいろいろなコストはこれはもう安いにこしたことはないわけでございますので、将来の問題としては、将来当然私は衛星というものはいろんな意味で活用していかなきゃならぬものだと思っています。それの打ち上げのコストについては、そういう審議会の答申も含めていろいろ考えてまいりたいと思いますけれども、ただ、今こういう宇宙開発につきましては、やはり国の施策という中で大きな仕事が行われておりますので、それをまた無視して私どもが勝手にそういうことを考えるわけにもまいりませんので、これはやはり国のそういう大きな宇宙開発施策の中で、私どもの意のあるところも十分にお話しして、慎重に検討してまいりたい。  それから、先ほど先生御指摘のありました四月二十一日段階において正直言って、私ども本当に悩みました。悩みましたけれども、これも今までの長いそういう宇宙開発放送衛開発の過程の中で、現実に二チャンネルの放送は可能である、かつまた、それは十分使用に耐えるという開発責任に当たった方々のお話、またそういう報告書等を私ども検討さしていただいて、現実にその時点で二チャンネル完全に作動もしておりましたし、やはり採算をもとにした保険会社と、私ども衛星開発に当たりまして、そして二チャンネル現実に何とか早く放送したいという私どもの使命との間で非常に考えたのでございますけれども、現実にあの階点で二チャンネル十分に働いているという中では、これは放送に十分使えるということでお引き受けしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、実際にこういう形でその後本当にそう日にちもたたないうちに、さらに一チャンネルがふぐあいになったというこういう現実はあるわけでございます。  これを今後の2bからさらにBS3号、4号という過程の中では十分にやはり反省をいたしまして、関係の方面と慎重にそこは打ち合わせて、この経験をむだにしないように、そしてまた、私どもとしては視聴者の方々に大きな損害を与えないように慎重な配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  111. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ここに一つの計算があるのですけれども、スペースシャトル、宇宙トラックなんて言われていますけれども、単純にデルタロケットと計算しまして、デルタロケット一基、これは使い捨てですけれども、打ち上げ経費が二千五百万ドルかかる、日本円にして約六十億。そうしますと、トン当たり二十六億円という計算です。シャトルの一回の飛行、これは打ち上げ経費ですけれども、約三千五百万ドル、日本円にして約八十四億円、これはトン当たりに直すと二億八千万円、十分の一だというわけですね。これは百回も飛べるものと使い捨てとの違いということは、もう単純に見てもこれが言える。そういうどちらにしようかなという選択ができるような道というのはフリーハンドで、NHKとしてはやはり受信料で支えられている公共放送なんですから、もっと明確な意思表示をすべきだと思うのです。  と同時に、宇宙開発委員会の事務局さん、きょう来ていますから、国としての方針はあるだろうと思います。しかし、そろばん勘定も一方にはあるということを明確にひとつ御検討いただきたいと思うのです。この点について……。
  112. 北村俊男

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおりでございますが、私ども宇宙開発担当の省庁といたしましては、我が国の宇宙開発活動の自主性を確保していくというためには、我が国の衛星は我が国のロケットで打ち上げるとの基本路線ということが現在堅持されております。ただし、一方、衛星の需要の大型化に対応いたしまして、我が国のロケットの打ち上げ能力を早急に向上させる必要もあるわけでございます。安易に外国のロケットに頼りまして衛星の打ち上げを行うということにつきましては、ロケットの自主開発の芽を摘むおそれがあるものと私ども考えております。特に、このような通信放送とか将来我が国の知識集約化、ニューメディア、資源のない日本が情報をもって世界に生きていく、こういう中で放送衛星、こうした特に日本の文化の情報、離島、日本の端々までに情報の高度化を図る、こういう重要な手段を持つインフラストラクチャーとなるのがこのロケットの打ち上げ能力でございます。それから通信衛星につきましても、我が国が思うときに思った位置に思う計画によって打ち上げていく、こういうことは私どもはぜひ維持していきたいと思っておるわけでございます。  現在、Hーロケット、来年度テストフライト、現在開発は順調に進んでおります。それからHⅡロケットにつきましては、現在までのところ静止軌道まで打ち上げのところは、最近のところ、定時に打ち上げて定時に軌道に乗せるということで相当技術も円熟化の状況に入っております。それから昨年、五十九年度の予算から、さらに静止衛星で二トンクラスの力をもつ大型ロケットの開発という研究開発も認められておりまして、今後我が国の自主自在性のある衛星打ち上げ能力の確保を目指して、私ども今後とも邁進してまいりたいと思っております。  それから、先ほど先生御指摘のございました外国の打ち上げ価格のことについて、我々も決してこの辺考えておらないわけではございませんが、例えばスペースシャトルにつきまして見てみますと、現在の打ち上げ価格は、新聞でも航空関係の雑誌でも出ておりますが、政策価格ということを言われております。これはアメリカがデルタロケットのお客様をシャトルで引き取るため、そういうあれが出ております。それから、最近新聞でも出ておりますが、アメリカのメーカーがアリアンスペース、ヨーロッパで開発しました衛星ロケット、これも政策コストだということでダンピング、そういうような提訴関係至言っておるということで、すべてが国際政策的に考えられておるわけでございます。  私ども申し上げておりますのは、プロジェクト開発、研究開発からすべてを要した費用を申し上げておりまして、政策価格ということは申しておりません。  それからもう一つ、最近シャトルにおける失敗が相次いております。最近もインテルサット、デルタロケット、アトラス・セントールを打ち上げましたが、これもロケット段階の失敗ということで消えております。海外では相次いで失敗が出てきております。私ども、打ち上げにつきましては、現在静止軌道には定時発射ということでやっておりまして、この辺の違いを先生も御高察賜って御理解賜りたいと思っておりますし、我々もコストを無視しないような宇宙開発を今後進めていきたいと考えておる次第でございます。
  113. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 宇宙へ行くのに鉄道省の列車でなければだめだという時代じゃないと思うのです。国の政策は政策としてやはり検討すべきだという道は残しておくべきだと思うのです。  以上で終わります。
  114. 志賀節

    志賀委員長 これにて鳥居君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十三分開議
  115. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西村章三君。
  116. 西村章三

    ○西村委員 きょうはNHKの決算という重要な案件でございますが、これと関連をいたしまして、私もけさほどから同僚委員からそれぞれお尋ねがありましたゆり二号放送衛星の問題について若干のお尋ねをさせていただきたいと思います。  残念なことにゆり二号は故障いたしまして当初の二チャンネルが今一チャンネル、こういうことでございますが、まず最初に、今、稼働しておりますいわゆるB系統、このB系統の一チャンネルについては今後も大文夫という見通しを持っておられるかどうか。事業団の方から、最近いろいろな情報がもたらされるわけでございますので、この際この辺についても明らかにしておいていただきたいと思います。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  117. 大澤弘之

    大澤参考人 お答えいたします。  A系統が悪くなり、R系統が悪くなりまして、今度はB系統が悪くなるのではないかという御心配がございます。A系統故障といいますか、ふぐあいの内容R系統の起こっております現象の内容が少し違うものでございますので、私ども、重ねて起こってはおるのでございますけれども、連続をしてB系統がAないしはRのような故障を起こすということは、開発の過程でいろいろな試験をしてきた結果からはないものというふうに考えております。  ただ、私どもそういうふうに思っておるのでございますけれどもR系統がああいう状態になりましたときも、開発の試験の過程では故障を起こすというようなことはないものと考えていたものが起こったわけでございますので、これを立証せいということは御承知のようになかなか難しいことでございますので、私どもの現在の確信というようなことで申し上げるしかなかろうかな、こう考えております。
  118. 西村章三

    ○西村委員 これも稼働しておりますのはあとこの一チャンネルだけでございますので、我々は今これに大きな期待をつながなければならないわけでございます。  こういう事故が起こりましてから、ちまたのうわさでは次のまたB系統故障するのではないか、こういう懸念もうわさをされておる、こういう状況でございますので、あえて私はお尋ねをさせていただいたということでございます。現時点では間違いがない、順調に稼働する、こう理解をしてよろしゅうございますか。
  119. 大澤弘之

    大澤参考人 五月の十二日の放送開始以来B系統は順調に動いておりますし、私ども承知しております範囲ではNHKさんの方でもこの運用に関しましては非常に慎重に扱っていらっしゃるということを承っておりますので、B系統放送は続けられるものと考えております。
  120. 西村章三

    ○西村委員 午前中にも他の同僚委員からいろいろな角度から質問が出ました。若干おさらいをするつもりでお聞きをいたしたいわけでございますが、NHKがいわゆる放送機構から引き渡されました四月二十二日午前零時の時点A系統故障、さらにこれはもう一つ何か衛星の姿勢制御に重要なモノパルスセンサーですか、これが正常に働かないということも若干その時点でわかっておったということでございますが、このA系統故障を承知で受け取ったということは、けさほどからの渡辺専務理事のお話でも一応確認がされたわけでございますが、この辺は間違いございませんか。
  121. 矢橋幸一

    矢橋参考人 通信衛星機構から我々が放送衛星を引き継ぐに当たりまして、A系統故障が生じておりますけれども、残った二チャンネルの、二系統ですが、放送については心配要らない、大丈夫であるという報告をデータとしても受け取っておりますし、我々としてはそれを全幅に信頼しておりますから、そういう意味で間違いないということで受けたわけでございます。
  122. 西村章三

    ○西村委員 その時点で一チャンネル故障があるけれども、二チャンネルの使用は可能だ、こういう機能の確認のもとにこれを引き受け、遂行されたということでございます。  機能が二チャンネル分動くということの確認、使えるというNHKの確認は、これはそれなりに理解ができるわけでありますが、問題はその確認にまた瑕疵があって、二チャンネル使用が不可能だということが、ある意味ではまたこれも理解ができるという一面もあったと思うのでありますが、その場合は、この責任はNHKの側にあるのかあるいは事業団の側にあるのか、その辺は一体どう考えられましたか。
  123. 矢橋幸一

    矢橋参考人 お答えします。  午前中にも説明したと思いますけれども、我々としては、先ほど申し上げましたように残った二系統が確実である、大丈夫だという報告を受けまたそういうデータも受け取っておりまして、同時に残りました、いわゆる故障を起こしましたA系統につきましても、これは宇宙開発事案団の責任において原因究明を行って速やかに回復措置をとるという確認をとった上で引き取ったものでございます。
  124. 西村章三

    ○西村委員 予測の問題ですから、いずれに責任があるかなかなか不明快なところが多いわけでございますが、いずれにいたしましてもこの衛星の打ち上げには御案内のとおり非常に巨額の経費がつぎ込まれておるわけでございます。直接的な負担分だけでもNHKで三百六十六億円、またそれに付随する地上のパラボラアンテナその他を合わせますとおよそ四百億円の受信料がつぎ込まれております。こういったNHKの自己負担分に見合う設計や製作、打ち上げ業務をいわゆる通信放送衛星機構に委託されておるわけであります。  ところが六月十二日の新聞によりますと、NHK通信放送衛星機構、また通信放送衛星機構宇宙開発事業団おのおのの間の相互の協定や契約の内容は一切公表しない、こう報道いたしておるのであります。これほど重要かつ巨額の投資をするからには当然協定や契約は取り交わされておるものだと思いますし、またこれは当然公表しなければならないものであると思うのですが、この点についてNHKはどう考えておられますか。
  125. 矢橋幸一

    矢橋参考人 お答えいたします。  NHK通信放送衛星機構の両者の間の協定でございますので、その性格上すべてを広く一般に公表するということはいかがかと存じますけれども、もちろん協定の内容につきましては十分説明はさせていただきたいと思っております。
  126. 西村章三

    ○西村委員 一般に広く公表ができないというこの理由は何ですか。
  127. 矢橋幸一

    矢橋参考人 公表できないというふうにお答えしましたが、公表できる性格のものではないということでございます。
  128. 西村章三

    ○西村委員 それはおかしな詭弁でございまして、公表できない性格のものだということは公表できないということと同じじゃないですか。どう違うのですか。
  129. 川原正人

    川原参考人 私ども仕事をするのに、いろいろな事業者間でいろいろな約束をしたり契約をしたり協定もいたします。外国の放送機関ともいたしますけれども、通常、一般的にはそういう企業と企業の間の協定等はそのまま公表はしてないのが普通でございますので、今まで公表ということは考えておりませんでした。しかし、別に内容が極秘とかなんとかということではないので、十分にこういう場でも御説明は申し上げたいと思っております。
  130. 西村章三

    ○西村委員 この新聞報道によりますと、それらがあたかも臭い物にふた式で隠ぺいをしておるような印象を与えておるということから私どもは申し上げておるわけでございまして、これだけの大きな事業をやるのに、当然のことながら協定や契約というものがあるはずでありますし、またそれが一般に公表されなければこれまたいろいろな疑惑を招くということにもなりますので、私はこの委員会で委員長の責任でその資料を提出してもらいたい、このことを約束してもらいたいと思うのですが、委員長どうでしょう。
  131. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 ただいまの西村君の発言につきましては善処方を委員長として対応してまいります。
  132. 西村章三

    ○西村委員 開発事業団通信放送衛星機構との間では、いわゆる協定の中で打ち上げ後の故障については故意によるもの以外は責任を問わない、そういう旨の協定があるとこれまた新聞で報道されておるのですが、これは本当でございますか、事業団と機構と両方から答えてください。
  133. 宮原翠

    ○宮原参考人 事業団と機構の間にもこのプロジェクトに関しまして基本協定がございまして、その中に、事業団衛星をメーカーから引き受けた後、打ち上げまして静止位置に静止させてこれをお渡しして定常段階に移りますが、その間におきましてもし損害が発生した場合に、機構が宇宙事業団にそれを請求するのは、宇宙事業団に故意があった場合にこれを限るというふうな規定が入ってございます。
  134. 斎藤義郎

    ○斎藤参考人 ただいま事業団からお話し申し上げたとおりでございます。
  135. 西村章三

    ○西村委員 そうすると、重ねてお尋ねをいたしますが、故意によるもの以外は責任を問わない、こういう規定が存在をする。そうすると故意以外のものは一切責任が問われないという理解をしていいのですね。
  136. 宮原翠

    ○宮原参考人 そういう契約内容になっております。
  137. 西村章三

    ○西村委員 問題はこれなんですが、この場合のいわゆる故意というもの、これは一体どういうものを想定しておられるのか、これも両方から答えてください。
  138. 宮原翠

    ○宮原参考人 故意というのは、本当に常識的に申し上げて恐縮でございますけれども、そういうためにする何かの意思を持って衛星に支障を起こそう、そういうことを行いますのが故意による支障でございますけれども、こういうことは本当にあり得ないことでございまして、私どもとしてそういうことが発生し得る余地は全くないと考えておりますが、ただ故意はどういうものを具体的に言うかと申しますと、このことに関しましては両者で協議をするということはまだございませんで、万々が一発生した場合は、何が故意だったかというようなことは協議することとなっておりますけれども、現時点におきまして何々が故意であるという特定はまだいたしておりません。
  139. 斎藤義郎

    ○斎藤参考人 故意についてでございますけれども、これは一般の民法上の故意と法律的には同じ解釈になろうかと思います。ただし具体的な例はどうかと言われますと、ほとんど考えられないようなことでございまして、具体的な例を挙げろ、こうおっしゃられるとちょっと困るわけでございますけれども、ただしこれは事業団と我が方との関係の契約だけではなしに、アメリカあたりにおきましても大体我々が調べているところでは同じような、故意による場合でなければ責任を持たないというようなのが通例なように考えております。
  140. 西村章三

    ○西村委員 「いみじくもそれぞれの立場から故意による故障というものはあり得ないだろう、こういう御発言でございました。ということは、こういう事業に果たして故意というものがあるんだろうか、故意による故障というものがあるんだろうかということは、当然考えられないことでございまして、すると一切の責任はお互いにとり合いっこしないということにも通ずるわけでございます。特に、宇宙での事故の場合は原因の究明は極めて困難でありますし、ましてそれが故意がどうかなんということになりますと、これは決定的に困難でありまして、事実上不可能に近いということになります。その点について協定は何ら配慮しておらない。今、外国の例を引いて、こういうのが通例だからこうやっているんだということでございましたが、郵政省はこれでいいのですか。故意以外のものは一切責任を問わない、しかもその故意というものはあり得ないとおっしゃっておるのですが、これはどうなんでしょう。
  141. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいまの協定につきましては、両当事者間の問題ということでございますけれども、私どももその大要は承知をいたしているところでございますが、宇宙というこれからの開発という課題をも含めた問題ということで、ただいま両当事者からお話のあったようなことになっているものというふうに理解をいたしております。
  142. 西村章三

    ○西村委員 これは理解をしておるということだけでは済まされない問題でございまして、今後の問題としてぜひ検討していただきたいと思うのであります。そういう配慮というものは全くないというのであれば、機構は委託する事業団への責任の免除を初めから約束したのと同じだ、こういう理解もできるわけです。実際にはそういうことになっているのですか、どうなんですか。実際にはそういうことで委託をしておるという理解をしておるのでしょう。
  143. 宮原翠

    ○宮原参考人 私どもは機構から打ち上げ、その後の管制、機能確認等についての作業の受託を受けまして、この受託を受けました作業に関しましては全力を挙げて取り組むということで、基本協定の精神にのっとってこの仕事に携わっております。
  144. 西村章三

    ○西村委員 いわゆる故意によるものしか責任はとらない、こういうことになっておるのでしょう。初めから事故というものはあり得ないとあなたはおっしゃっておるわけです。そうしますと、機構の方は事業団へ委託をする時点でもう既に初めから免責事項になっている、責任免除だ、こういう理解で事業を委託をしておるということの確認を私は求めておるのですが、そのとおりでしょう。
  145. 宮原翠

    ○宮原参考人 私ども、機構から受託を受けて仕事をやっておりますが、全責任を持ってこの仕事に当たっておるということでございまして、契約上、協定上は故意に限って責任を追及されるということに書いてはございますけれども、そのほかに関しましては全責任を持ってこれに当たっておるというお答えを申し上げます。
  146. 西村章三

    ○西村委員 機構の方はどうですか。
  147. 斎藤義郎

    ○斎藤参考人 先ほども申し上げましたように、故意につきましてはその事例はどうかということを言われますと、必ずしもそれは明確じゃございませんけれども、例を挙げて申し上げますと、例えば衛星の中にわざと衛星を壊すために何らかの装置を施したかというような事柄がもしあるとすれば……
  148. 西村章三

    ○西村委員 全く私の質問をしておることに答えておらない、聞いておらないということですよ。そういうことじゃない。初めから免責をした上で事業団に委託をしておるのかどうかということの確認を求めておるわけだ。どうなんですか。
  149. 斎藤義郎

    ○斎藤参考人 決してそうではございませんで、故意の場合に限っては責任を追及するという建前になっておるわけでございます。
  150. 西村章三

    ○西村委員 ところが今あなた自身は、故意というものは実際的には考えられない、こうおっしゃっておるのです。ということは、もう初めからすべて、一〇〇%免責だということでの委託だ、こう理解をしてよろしいかという確認をしておるのです。イエスかノーかのどっちかです。
  151. 斎藤義郎

    ○斎藤参考人 現実の問題としまして故意による衛星の破壊とかいうようなことが現実にあり得るのか、考えられるのかといいますと、現実には考えられないと思います。ただし法令上の問題としては、契約上の問題としては故意は免責ではございません。
  152. 西村章三

    ○西村委員 法令じゃないのです。実態的に故意というものが考えられないんならそれは一〇〇%の免責ではないか、こう申し上げておるのですよ。それについてイエスかノーかということをお答えをいただきたい、こういうことです。
  153. 斎藤義郎

    ○斎藤参考人 過失がある場合には責任を問うというような契約条項がございますが、これが現実にはないのに等しいのかという御質問かと思いますけれども、現実の問題としては故意による衛星の破壊とかあるいはいろんなトラブルというような事柄は考えられませんけれども、法令上の問題で、例えば契約上そういうものがないんだからないに等しいではないかと言われますと、そうではない。やはり故意があった場合には弁償の責任を請求せざるを得ないということだろうと思います。
  154. 西村章三

    ○西村委員 理事長もわかっておられることですから、私もうこれ以上申し上げませんが、要は故意によるものがないということであれば、これはもう一〇〇%の免責だ、こう申し上げておきます。なぜこれを申し上げるかといいますと、今回の場合も、けさほど同僚委員からも御質問がございました、事業団から衛星機構を経由してNHK衛星が引き渡された過程で衛星機構が保有していた期間は時間的にゼロであります。すなわち、事業団から機構へ引き渡されたのが四月二十一日午後十二時、そして機構からNHKへ引き渡されたのが四月二十二日午前零時。四月二十一日の午後十二時と四月二十二日の午前零時とどう違うのですか。これは日付の表示は異なりますが、まさしく同じ時刻です。これでは衛星機構の存在意義というものは一体どこにあるのですか。NHKは委託を通信機構の方にされたはずでございましょう。この存在意義というものは一体どこにあるんですか。衛星機構は打ち上げに関する業務のほとんどを事業団に再委託しているところですが、そうであれば衛星機構の存在意義というものはこれまたどこにあるのか、私は重ねてお尋ねをしたいと思うのです。どうでございますか。
  155. 斎藤義郎

    ○斎藤参考人 機構が事業団から引き渡しを受けたのが二十一日の午後十二時、それからまたNHK引き渡したのも同じ時刻でございます。したがって、そこのところの二十二日午前零時というのは、恐らく契約上では二十一日の午後十二時になっておるはずでございます。いずれにしましても同時刻でございます。  それから、機構は何をしておるかということでございますが、ユーザー側が一カ所あるとは限りません。例えばCSの場合には七カ所、七ユーザーがあるわけでございます。そのユーザーの要望を取りまとめて、それで仕様を決定し、それから事業団に打ち上げをお願いするという事柄が我が方の仕事になっておるわけでございます。したがって、衛星機構は何をしておるかと言われますと、そういう仕事が一つと、それから管制の仕事を二十四時間行っているわけでございます。
  156. 西村章三

    ○西村委員 それはそれなりに大臣の認可法人として存在意義は幾らでも言えるのでしょうけれども、事この事態、今度のケースを考えてみた場合に、果たして通信放送衛星機構というものの実体はどこにあったのだろうか、我々は不思議でならないわけでございます。  しかし、時間が限られておりますから次へ進みますが、先ほど来申し上げておりますように、衛星機構は事業団に責任を問えない、衛星機構自体にも責任がないということになりますと、NHKは損害の補てんは一体どこから受けようとされるのか。これでは当初からNHKが事故の場合の責任をすべて負っておる、こう申し上げても過言でないのですが、どうでございましょうか。
  157. 矢橋幸一

    矢橋参考人 我々と通信放送衛星機構との間の契約の中で、やはり損害のてん補の問題につきましては、機構の責任に帰すべき事由によって損害を与えた場合には、機構がNHKに損害賠償の責任を果たす、しかし、事業団の責に帰すべき事由による損害につきましては、事業団に求償し得る範囲というふうになっております。それで、それによりましてもし求償し得ない損害をてん補するために、機構は国の施策の実現を関係機関に働きかけるという項目がございます。したがいまして、また一方故意によるということもございますけれども、そのほかに重大な過失によって損害を与えた場合には、これは協議するとなっておりますから、我々としては今、原因の究明を行っておりますけれども、その原因の究明の結果いかんによりましては損害賠償をするという考え方を持っております。
  158. 西村章三

    ○西村委員 この通信放送衛星機構NHKとの協定の賠償条項には、いわゆる機構に責任のある場合は全額ということでございますね。今、御答弁のとおりです。しかし、先ほど指摘をいたしておりますように、この口付からいたしましても、機構に責任のある場合というものはこれは時間的には全然発生をしておらないわけです。これは全く機構はまさにトンネルでございまして、事業団からNHKへそのまま移ったということでありますから、機構に責任の発生する余地がないということが言い得ます。また同時に、事前の、何というのですか、これは認知といいますか、事前の同意を得ているからこれは問題はないのだ、発注者NHKの事前の同意を得ているから問題はないのだ、こういうことで逃げられてしまいますと、どこにも賠償責任を求めるすべがないということになるわけです。これでよろしいのですか。
  159. 矢橋幸一

    矢橋参考人 ただいま御説明申し上げましたこと以外に、今、御指摘の機構の責任による障害というものにつきましては、例えば機構の方で衛星の姿勢制御その他の日常運用をやっておりますけれども、そこでもし仮にミスオペレーションのようなことがあった場合には、これは機構の損害ということになろうと思います。
  160. 西村章三

    ○西村委員 時間が既になくなってしまったようでございまして残念でございますが、奥田大臣、ちょっと一つ私は最後にお願いをしておきたいのですが、通信放送衛星機構、これは郵政大臣の認可法人でございます。役員の選任から監督権、いろいろな権力は郵政大臣の持っておられる範囲の中にあるわけでございます。それだけに単なるトンネル機構であってはならぬと私も思いますし、大臣はもっと厳重に監督もし、督励もし、報告もさせるということをしていただきたい。これは特にお願いをいたしておきたいわけであります。  最後に、巨額のこうした受信料を使い、鳴り物入りで宣伝をされまして、難視聴の解消あるいは新しい衛星放送に大きな期待を寄せる人々に失望を与えた責任というものはこれは極めて大きいとはっきり申し上げておきます。しかも、宇宙開発の技術が未完成の今日、相当の失敗の危険が伴うのはもとより明らかでありますが、それだけに衛星の製作、打ち上げ、運用に当たっては、失敗をした場合の責任、リスクの分担を事前に明確に定めておくことが当然の責務ではないか、こう私は考えるわけであります。未来技術あるいは新しい宇宙の技術の開発のことですから、今すぐに確定さすということは極めて難しいかもしれませんけれども、当然のことながらこれはリスクが伴うという上に立ってその分担責任というものは事前に明らかにすべきだ、こう思うのですが、この現状の不明確なリスクの分担について大臣として改善をする意思があるのかないのか、この辺について最後の質問をいたしたいと思います。
  161. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、御指摘の点については、監督指導すべき立場にある担当大臣として、大変厳しく反省もし、責任も感じておる次第でございます。先ほどからの御質疑の経緯を見ておりましても、先ほどの表現が適切であったかどうか別として、何か責任のあいまいな、ずるい契約を、お互いに一〇〇%免責に近いような契約を結んでおるな、これも私の責任でもございます。民間ではとてもこんなことは考えられることじゃない形を、同じどんぶりの中といいますか、そういった形の中で、この貴重な技術、宇宙開発というものが今後もこういったあいまいな責任所在のままで推移されていくということはとても許されないことでございますし、また私としても、今回のこういった経緯を通じて本当に強く反省をいたしておるところでございます。もちろん、今、御指摘になったような形の中で人事、機構を含めて責任ある指導のもとで善処してまいりたいと思っております。
  162. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  163. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 これにて西村君の質疑は終了いたしました。  次に、松前仰君。
  164. 松前仰

    ○松前委員 私も「ゆり」問題についてお伺いしたいと思います。  私も開発に多少タッチしていた関係上大変な責任を感じておりますので、この問題については徹底的にやはりきちっとした結論を出していただかないと国民を大変裏切るということになりますので、どうかこれからの質疑について真剣にお答えいただきたいと思います。午前中から同僚議員から質問がなされておりまして、その辺につきまして私も若干御質問を申し上げたいと思うわけでございます。ちょっと疑問に思いました点を二、三質問させていただきます。  まず、三月二十二日でしたか、逓信委員会の前日ですか、その時点においてNHKではわからなかったというような話もありましたけれども、今トランスポンダーのオン・オフはどこでやっておられるのでしょうか。
  165. 矢橋幸一

    矢橋参考人 送信のための電波を出すためのオン・オフは、NHKでやっております。
  166. 松前仰

    ○松前委員 NHKでやっておられるのか、機構でやっておられるのか、どちらでしょう。
  167. 矢橋幸一

    矢橋参考人 運用に入りますとほとんど電波の入り、切りは行いませんけれども、電波の運用上の入り、切りはNHKがやっております。
  168. 松前仰

    ○松前委員 そうしますと、この三月の故陣の起こった時点NHKが入り、切りしていたといってよろしいですか。
  169. 矢橋幸一

    矢橋参考人 今、御指摘の期間につきましては、宇宙開発事業団の責任管理下にございますので、我々としてはその委託を受けて電源を入り、切りしていたということでございます。
  170. 松前仰

    ○松前委員 そうしますと、その時点ではNHKの方は既にこれはトランスポンダーを入れてもすぐ落っこちるということはもう十分わかっていたはずであるわけです。  そうすると、先ほど会長の方からお話がございましたけれども、四月の五日でしたか、その辺の時点まではわからなかったということになると、NHKの中で情報といいますか、そういうことは当然逓信委員会に出ておる経営の幹部に知らせていかなければいけないという状況にあるはずなので、その辺が私は非常に不可解に思うのですが、それはどうしてだったでしょうか。
  171. 矢橋幸一

    矢橋参考人 三月二十二日の時点ですけれどもA系統だけではなしにいろいろな性能確認試験をやっております。その中で、電源を入れて電波がとまるという状況は異常ではありますけれども、我々としては宇宙開発事業団の行う性能確認試験の同じ場所にいるということで、電源の入り、切りは確かに我々がやっておりましたので、そういった現象があるということはわかりましたけれども、これが即事故であるかということにつきましては、現場の責任者のレベルでは知っていたと思いますけれども、我々の方へはまだ報告が来ていませんでした。
  172. 松前仰

    ○松前委員 こういう非常に大きなプロジェクトで非常に大きなお金を使っておる、そして国費も使っておるわけですから、そういう問題が出た場合には現場の担当者がしっかりと報告されて、しかも逓信委員会をやっておるときでございますから、本当に素直にNHKの予算の議論ができるように、謙虚にできるようにしていただかなければならぬと思います。この問題は、突っ込んでも昔の話でございますからこれ以上はやりませんけれども、とにかくもうちょっと厳しい姿勢をNHKの中で持っていただきたいと思うわけでございます。  それからもう一点、同僚議員の方から質問がありました原因究明の現在の調査状況というものは、GEの工場の方でやっておる、それで地上で現象を模擬しておるというお話がございました。先ほどのお話ですと、東芝の役員を派遣されているとか宇宙開発事業団理事の方ですかが行かれて調査をしているとかいうお話がありました。  どうもよくわからないのですが、宇宙開発事業団それからメーカー、その専門家という方は現在の調査についてどれだけタッチをしておるか。先ほどの話ですと外から監督しているというような形のようでございますけれども、やはりこういう問題は本当に専門家、日本の専門家、それで責任を持ってやるべきところの人がその調査に具体的に参加していくということは必要なんですけれども、今そういう状況で進められておるのでしょうか。
  173. 船川謙司

    ○船川参考人 お答えいたします。  事業団ではこのふぐあいの問題が起こりまして社内に検討体制を設けまして現象の解明、原因の究明、機能の回復等の検討に今、全力を挙げて具体的に取り組んでいるところでございます。先ほど御説明いたしましたように、製作者がGEでございますので、GE側での作業というのが当然ございますが、こちらには事業団理事あるいは東芝の役員等を派遣し、それからまた事業団の職員も常駐させまして、鋭意そういう作業に参加させております。また東芝がGE、東芝側の作業状況を一週間に一回ずつ事業団報告させまして、事業団におきまして東芝の専門家、それから事業団の専門家の密接な会議、技術的な検討をずっと行っております。これにつきましてはまた進行波管が御承知のとおりトムソンの球でございますので、トムソンからのデータも入手いたしまして事業団の方で検討しております。NHKのこういう進行波管の専門家もお願いいたしまして事業団の方に来ていただきまして、各方面の専門家が協力していろいろ解明に当たっているところでございます。
  174. 松前仰

    ○松前委員 今のお話ですと、現地の方での結果を東京へ定期的に持ってきて、東京の方で専門家がそのデータの評価なり原因の究明をやっておるというお話でございましたけれども、アメリカと日本というような海を隔てた遠い距離で定期的ということで、大変靴の裏からかいでいるような状況で、本当のところがそれでわかるかどうか、私非常に疑問に思うわけであります。現在日本の方でやられているというのはメーカーの方から資料を持ってくるのでしょうけれども、どのくらいの間隔でやられておるのですか。
  175. 船川謙司

    ○船川参考人 現在一週間に一度ずつ定期的に会合して検討しております。
  176. 松前仰

    ○松前委員 先ほど同僚議員の方からお話がありましたように、今、東京の方でそういう解析を向こうのデータを持ってきてやるということになってもやはり非常に不便であるし、まだるっこしいわけでありまして、本当のところはそれでわかるかどうか、非常に疑問であります。これは事業団の方で技術的責任があると思われるならば、もっともっとたくさんの技術者を派遣してでも向こうの現地で実際にさわってやれる体制をとっていかなければならぬだろう、そう思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
  177. 船川謙司

    ○船川参考人 先生の御指摘ごもっともでございますが、ただいま現地の方に事業団の職員を常駐させて、実際に作業に参加させておりまして、その報告を逐一受けております。必要に応じまして、こちらからまたそういう専門家を派遣することを考えております。
  178. 松前仰

    ○松前委員 さくら二号の場合には、現在トランスポンダーはどうなんですか。さくら二号の状況……。
  179. 船川謙司

    ○船川参考人 さくら二号につきましては、現在のところ、トランスポンダーを含めて衛星、全く正常でございます。
  180. 松前仰

    ○松前委員 あれはトランスポンダーは日本でつくられたものですか。
  181. 船川謙司

    ○船川参考人 「さくら」のトランスポンダーは日本製でございます。
  182. 松前仰

    ○松前委員 ここの辺にやはり一つの問題があろうかと思うのですね。さくら二号については、私の聞いているところでは、国産で、非常にがっちりとした試験をやって、しかも、多くの技術者がそれに参加して、じかにタッチして開発をやった、ですから、日本の非常に信頼性の高い技術がそこに生きていた。ところが、放送衛星の場合においては、GEでこれが開発された。しかも、海を隔てた向こうですから、出張旅費その他もあったと思いますけれども、トランスポンダーについての技術者の数が少なかった。そういう点が今度のこのふぐあいの問題に非常に関連しているのじゃないだろうか。その数だけの問題ではないかもしれないけれども、そういう点が大きな差があるのではないだろうかと思います。  そういう意味で、先ほど同僚議員から話がありましたとおり、国産化という方向ですね、ミッション機器については、やはりどうしても我が国でもって、日本の高い信頼性をそこに織り込むような方向でやっていかなければならぬと私は思うのですが、郵政大臣、いかがお考えでしょうか。
  183. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全くそう思います。特に、技術の面において権威のある先生の御質疑は、私のような素人でも、何か核心を突いてやっておられる形が、何か少し理解できるわけでございます。  確かに、今回の事故を通じて感じたことは、本当に重要な中枢部と申しますか、衛星の心臓部に当たるような機能を果たすべきところの技術が、みんな外国の借り物であるという形の中で、しかも、そういった形から、技術追求あるいは原因究明あるいは責任の所在等々に至るまで、何かひとつ割り切れぬ感じが持たれるということも全く同感でございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕  そういった意味合いにおいては、まさにこういった貴重な、しかも大きな犠牲の上に立った事故を今後に生かすためには何かということになれば、これは我々が最も安全で信頼でき得る自主技術、そういった形の開発に努力しなければいかぬ、本当に性根を据えてその方向で努力せなければいかぬなということを痛感しておる次第でございます。
  184. 松前仰

    ○松前委員 語をまた別の方へ持っていかしてもらいたいと思いますが、先ほど、原因追及の段階で、現時点では七つか八つぐらい、Aチャンネルで原因が絞り込まれておるという話がございました。それから、Rチャンネルは三つの原因に絞り込まれておるというようなお話がございましたけれども、この六月十二日の朝日新聞によると「問題の中継器の送信管は」、こういうふうに言っておりますけれども、送信管というぐあいにもうはっきりわかったのでしょうか。
  185. 船川謙司

    ○船川参考人 ふぐあいの原因につきましては、目下、鋭意究明中でございまして、先ほどお話がございましたように、幾つかの要因に大分絞ってまいったのでございますが、その要因の中には、やはり依然として球の問題と回路の問題と両方入っておりまして、まだ球であるとか回路であるとか一つに絞ることまではできておりません。
  186. 松前仰

    ○松前委員 そうすると、そういうようにちょっと記事は読みかえさせてもらいたいと思います。七つ、八つの原因に絞り込んだ、三つの原因、大体そこまではいくであろうと私も思うのでありますけれども、しかしこれから先、一つの原因に絞るときに、これが非常に問題があると思うのですね。例えば、いついつまでにこの問題をはっきりさせい、こういうような命令が下ると、これはもう価が何でもでっち上げても、その一つの原因に持っていくという可能性だってある。なぜかというと、衛星は宇宙にありますから、全然見ることはできないのでありまして、推定ですから、何を言ったってわかりやしない、どんな原因を言ったって、それは本当に聞こえるということであります。  ですから、これから後の作業というものは、一つの原因に絞るということについて、本当にそれががっちりと確定できればいいですけれども、できない場合の方が多いのではないか。そうすると、原因追及が第一でありますけれども、その後の対策、先ほども同僚議員の質問で、原因追及でわかって、そしてそのところだけを直すとそれでOKだ、次のBS2bを打ち上げる、こういう形になると、これはまた同じような――同じといいますか、また故障が起こるというようなことになりかねない、私はそう思うのであります。ですから、原因追及については徹底的にやって、今の原因はきちっと追及をしていただく。それと同時に、次の対策、その後ですね、それも多少考えていただきたいというように思うわけでありますが、次についてはお答えできないかもしれないけれども、ちょっとその辺、何かありましたら、お答えいただきたいと思います。
  187. 船川謙司

    ○船川参考人 先生のお話にございましたように、これから先、一つに絞っていくというのは非常に難しい作業であるということは、関係者重々心得ておるわけでございますが、宇宙開発委員会の方にもこの方の専門家は大分集まっていただきまして、その先生方の御意見も聞きながら、なるべく早い機会にもう少し数を絞って、できるならば我々としましては、原因究明をもう少しはっきりさせた上で、この次の対策に進みたいというふうに考えている次第でございます。
  188. 松前仰

    ○松前委員 けさほどからの議論のとおり、とにかく原因追及が第一、それから対策を考えるということでありますから、その方向で進んでいただきたいわけですが、ちょっと参考までに聞いていただきたいのですけれども、恐らく原因追及がきちっと決まって、これだと、こういうように公表されたとしても、私はそれについて信用できないのです。ですから、その次のBS2bを打ち上げるという前に、2bのトランスポンダー、送信機が地上にあるのですから、それを使って徹底的な試験をやるべきだと思うのです。恐らくやった段階で同じ故障は出てこないでしょう。ほかのものが出てくる。要するに、同じロットで大量生産して、そこは欠陥が必ず決まっているという、そういう代物ではないですから、手づくりのものですから、ほかに必ず故障が出てくる。ですから、今のBS2bのトランスポンダーを徹底的に試験して宇宙へ上げるぐらいの考え方を、次の時点ではとっていただきたいと思うのですが、その辺、いかがお考えでしょうか。
  189. 大澤弘之

    大澤参考人 大変詳しい先生のお話でございまして、私どもも今、先生がおっしゃられましたようなことを考えております。原因究明が第一でございますが、また2bというものにつきましては、今お話のようなこともあるものでございますので、2bのトランスポンダーにつきましては別途に熱真空試験といったようなこともしていかなければならないのではないかということで現在検討をいたしております。
  190. 松前仰

    ○松前委員 そういうようなものをやるとすれば大変お金がかかるわけでありまして、結局はその責任問題、先ほどから同僚議員の方からお話があったように責任という問題、どこからお金を出すか、こういう問題が絡んでくるわけでございまして、この辺については先ほど郵政大臣の方からお話ありましたように、どうか責任というものがはっきり明確になるような方向で考えていただきたいと思う次第でございます。  そこでもう一つ、先ほどに関連しまして新聞の中身の「契約の内容」とか書いてあるところがあるのですけれども、ここに協定契約の内容が明らかになっておりませんので、新聞でちょっと申しわけありませんけれども、東芝と宇宙開発事業団の間での責任ですね。東芝が責任を負う期間は「衛星の納入一年後、または打ち上げまでの、どちらか早い期日」こういうようになっておるようでございますけれども、術屋の納入一年後というのはどういうことなんでしょうか。これは宇宙に上がって一年後という意味でしょうか。どういう意味か、教えてください。
  191. 宮原翠

    ○宮原参考人 事業団とメーカーの東芝との契約は静負契約という形をとっておりますので、その契約の中での瑕疵担保責任の条項にかかわってくるわけでありますけれども、瑕疵担保責任は民法の規定もありまして、引き渡しを受けたときから一年間無過失の責任を負うというのが通常でございます。私ども、契約の中にはそういう精神から、東芝から機械を、衛星引き渡しを受けた時点から一年閥というふうに考えております。ただ、この場合衛星を一年以内に打ち上げる結果になっておりますものですから、一年もしくは打ち上げ、いずれか早い方の期間ということの契約規定になっております。
  192. 松前仰

    ○松前委員 そうすると、これはどちらか早い期日、こういうことは要するに打ち上がってしまえば全部東芝は責任は負わない、こういう形になるわけですね。
  193. 宮原翠

    ○宮原参考人 打ち上がった後、全くその責任が追及できないということではありませんで、その後におきましてもその瑕疵が東芝側の故意もしくは重大な過失による場合がありました場合には、瑕疵が明らかになった日から一年間は責任を追及するというような規定になっております。
  194. 松前仰

    ○松前委員 故意という話がまた出てまいりましたけれども、故意というのはさっきの議論で大体わかったとおり、ほとんどそういうことはない。アメリカのまねをして故意という言葉を入れたんでしょうけれども、アメリカの場合には軍事衛星が多いから、キラー衛星だか何だか知らぬけれども衛星を撃ち落とす、落とされるとか、レーザーをぱっぱと照射されるとか、そんなことで故意的なものがあるということを頭に置いておるのでしょうけれども、それをまるでまねしてやってきて、我が国に適用したってなかなか適用できるものじゃないのですから。故意というのはない、こんなものは関係ない、そういうことになれば、打ち上がった後は東芝の責任はない。こういう話になるわけですよね。そこで、私は非常に疑問になる。こんなものをどうして事業団との間に交わしたのか。なぜかといったら、衛星は五年寿命ですね。五年寿命で、五年先に、あれはたしか〇・七ですか、残存確率――二チャンネル生き残るのは。〇・七生き残らなければならない、そういう衛星なんですね。ここのところで切ってしまうということになれば、東芝、GEは打ち上がってその後ちょっと働けばいい衛星をつくればいい、悪く言えば。そういうことはないと思うけれども、悪く言えばそういうことだってあり得る。悪いメーカーにだまされればそういうことにもなり得る。こういう感じはするのです。この辺はちょっと非常におかしいと思うけれども、その辺どうですか。
  195. 宮原翠

    ○宮原参考人 先ほど申し上げさせていただきましたが、打ち上がった後、故意だけではなくて重大な過失によるものでありました場合も責任は一年間は追及するという規定にはなってございます。ただ、高い宇宙のことでありますので、確かに相手に重大な過失があったことを事業団側が立証しなければなりませんので、そこはなかなか時間もかかり難しさがあるということは私どもも認識はいたしております。しかしながら日本における有数のメーカーでありますし、これだけのメーカーが誠心誠意やってくれることを我々は期待しておりますわけで、そこは一つの信頼関係というものかと思っております。
  196. 松前仰

    ○松前委員 信頼関係でもってすべて物事を処理すると、このようにNHKが最後に保険金が掛けられないという格好になってしまうのですよ。これはアメリカがやっておるのですね、大もとの企業が。アメリカは違うでしょう。そんなこと全然やらぬでしょう。きちっとやるでしょう、アメリカの方は。ところが、我が国のならわしをアメリカのメーカーが絡んでおるところに適用したというところに非常に大きな問題があるのではないだろうか。そんな感じもするのです。  ですからこの辺の議論は余りやろうとは思っておりませんけれども、先ほどの、打ち上げたら後東芝の責任は全然ない。故意とか、先ほどもう一つ何ですか、ありましたけれども、そういう原因によって衛星がおかしくなったということはほとんど考えられないですから、そうなると打ち上がってしまえばメーカーの方はすべて責任なし、こういう形になる。  そうなればそういうことがないように契約方式とかそういうもので処理できないか。例えば私はアメリカあたりでやっておると聞いたのは、名前ははっきりしておりませんけれども、インセンティブコントラクトというのですか、ある段階までいってそこで評価して、ここまでうまくいったならばお金を払うというやり方があるというふうに聞いておりますけれども、そういうものはとれないでしょうか。
  197. 宮原翠

    ○宮原参考人 私どもただいま、アメリカの航空宇宙局NASAの契約方式はどういうものであるか、せっかく勉強しておりますところで、余り詳しい御説明はできないのでございますが、先生御指摘のインセンティブ方式というのは、聞くところによりますと、最初の契約時に、衛星を打ち上げる際の性能の達成、目標コストに抑えたか、それから納入期間が目標の期間を守り得たか、いろいろな点から作業結果を評価いたしましてある一定の報奨金制度だと私考えておりますが、全部成功した場合にはまるまる与える。一部何か失敗した、故障が起きた場合にはそれを順次減額していくということの方式であるというふうに私聞いております。我が国の場合もこういう方式が採用できるか否か、今、事業団の中にも作業グループをつくりまして、検討を始めておるところでございますけれども、我が国の場合インセンティブクローズという契約方式はちょっと私勉強不足かもしれませんけれども、ほかにまだ例を余り聞いておりませんし、我が国の取引慣行、従来の宇宙事業団の契約のやり方、こういうことに照らしてみてなじむものかどうか、その点もあわせまして、積極的に検討してまいりたいと考えております。
  198. 松前仰

    ○松前委員 なじむとかなじまぬということもあろうかと思いますけれども、これほどまでにユーザーの方が困るような状態、こういうような放送衛星みたいに多額の金を要するものは事故が起こると困るわけです。次のBS3においても民間が何か打ち上げるみたいなことを言っておりますけれども、そういう段階においても恐らく非常に困ってくるだろうと思うのですよ。だから、ぜひともそれを十分検討して、そういうようなやり方がとれるようにしてもらいたいと思います。これはもう私の聞くところによると、随分前から事業団の方で検討しているはずですよ。いまだにそれが何も解決されないで、こんなような非常に抜け道の多いものがつくられて進んできているというのは大変残念だと思いますので、ぜひとも真剣にその辺取り組んでいただきたい。将来のニューメディアといいますか、この放送の発展ということを考えていただいて、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、今度の放送衛星の失敗は、いろいろと契約上の責任とかそういう問題があるわけでありますが、それは外側の議論になってくるわけで、それは大きなところの話でございますけれども、結局はやはり技術の問題ではなかっただろうか、こう思うのであります。  一つ事業団にお伺いしたいのですけれども、今度の放送衛星のトランスポンダー、これは十分な開発試験の期間があったのでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  199. 船川謙司

    ○船川参考人 ただいま御質問のトランスポンダーの件でございますが、このBS2の計画が固まりつつありました昭和五十五年のころでございますが、そのころには御承知のとおり、日本でまだこれだけの高出力のKバンドの進行波管というものが国産でできる見込みが立ってなかったのでございまして、したがいまして、フランスのトムソンの進行波管を使いまして、それからまた、放送衛星本体としましては、BSの方で三軸につきまして実績を示しましたGEにシステムの製造を依頼したわけでございます。トムソンの球を初めて開発いたしましたので、開発段階でいろいろ開発に伴う問題は出てきましたけれども、それらはすべて開発段階で解決いたしまして、ほぼ予定どおりGEの方に引き渡されまして、GEの方でトランスポンダーとしてのテストに入ったということでございまして、若干その開発に伴います問題のために楽ではなかったというふうな感じはいたしますけれども、しかし、これが非常に苦しいために今度のような問題が起こったというふうな、そういう原因にはなっていないと考えております。
  200. 松前仰

    ○松前委員 なかなか細かいところまではお話しいただけないとは思うのでありますけれども、今のお話、ちょっと伺っても大変な苦労があったように思われます。それはそれとして、非常に期限を切られてしりをひっぱたかれてやるということになれば、どこかにミスが出るということもあるわけであります。  もう一つ私が問題意識を持っておるのは、今、通常の試験をずっと衛星に関してやってくるわけですけれども、その試験が無事通過すれば信頼性、設計どおりにいく、要するに初期不良がなくなるということで事業団が今のやり方をやっておると思うのです。しかし私は、そこで言いたいのは、「ひまわり」だって故障したじゃないか、「さくら」だって一号は故障したじゃないか、放送衛星は二つ故障したじゃないか、全部だめになったというわけじゃありませんけれども。そうなると、新しいミッション機器については試験が足りないのじゃないか。これはどこのを手本にしてやっておられるのですか。
  201. 船川謙司

    ○船川参考人 ただいま先生から御指摘のありましたように、「ひまわり」で雲画像を撮りますVISSRと称するところが、これはひまわりの二号でございますが、予定より早く故障を起こしまして大変国民の皆様に御迷惑をかけているわけでございます。こういうミッション機器の開発につきましては、事業団としましては、なるべく実績のあるものを採用して余り御迷惑をかけないようにというふうなことでやっておるわけでございますが、この放送衛星の場合につきましては、先ほどから話が出ていますように、前のBSEの実績というものを考えまして、十分これで技術的にやっていけるというふうに考えたわけでございます。  ただ、こういう衛星の信頼性という問題につきましては非常に難しい問題がございまして、事業団では、信頼性の管理の手順を定めまして、そういうことをメーカーの方に、こういう基準でやるということを示しまして、メーカーの方からその信頼性管理の計画を出させまして詳細に監督しているわけでございますが、残念なことには、ミッション機器といいますのはどうしてもつくる数がそう多くないというふうなことがございまして、雲画像のVISSRでも今度の中継器の場合でも、電子部品のように非常にたくさんのもののような信頼性保証というのはなかなか難しいわけでございます。しかし、開発の段階におきましては、十分技術的にできるだけの過去の実績、それから過去のデータ等を検討いたしまして、我々としては確信が持てる段階で打ち上げているというふうに考えています。
  202. 松前仰

    ○松前委員 確信を持てる段階で打ち上げたということで、NHKに引き渡すときに、大丈夫だ、こういう話をされたんだと思うのですけれども、そこがやはり間違っているのですね。結局、今もう実績でわかったわけです。これこそ実績です、これだけ故障が起こっておるのですから。  だから、これは考え直さなければいけないですよ。宇宙開発事業団の信頼性というものについて、信頼性管理、この問題は考え直してもらわなければ困ります。これはもう幾らやったって同じことが続くばかりですね。ですから、将来宇宙開発事業団でどこかの衛星を上げてやろうというときに本当に自信を持ってやれるように、今大々的に見直す必要がある。恐らくこれはアメリカのNASAの基準をそのまま持ってきただけにすぎない、独自性が全くない、我が国の科学技術の高い信頼性というものがそこに反映されていないと私は思いますので、ぜひ事業団としてこれから信頼性確保の問題については十分御検討をいただきたいと思うわけでございます。  もう一つ質問させていただきますが、事業団の今度のBSの開発体制。これは、事業団はたしか横割りの組織である。いろいろな技術がありますけれども、それぞれについて専門家がいてどの衛星でも面倒を見るというようなシステムになっているはずですが、BSの場合はそういう形になっておりましたでしょうか。
  203. 船川謙司

    ○船川参考人 まず初めの問題にお答えいたしますが、事業団の信頼性管理につきましては、事業団発足当初、まだ実績がございませんでしたので、NASAのやり方を導入いたしまして、それを基準にして事業団の規則をつくっていったわけでございますが、現在、事業団で実績が積み重なってくるに従いまして、だんだんそれをNASDA独特のものにしていきたいということで努力を重ねております。  それから後の問題につきましては、BS2の製造の監督におきましても、事業団の各専門分野の人を集めましてそういう監督業務に従事させておりまして、約六十五人ぐらいの人をこれに充てております。(「時間、時間」と呼ぶ者あり)
  204. 松前仰

    ○松前委員 時間という話がございますのでこれでもうやめますけれども、そういう技術的な問題が結局はこの責任問題というところで大きく報道されたりしておるのですよ。ですから、製作の一番の大もとはやはり宇宙開発事業団でありますから、どうかそこのところで我が国の宇宙開発技術というものをしっかりした信頼性高いものにするようにこれからも頑張ってもらいたい。それが宇宙開発の発展にもつながるし、また通信放送の将来の発展にもつながるわけですから、どうかその辺よろしくお願い申し上げたいと思います。  これで終わります。どうもありがとうございました。
  205. 志賀節

    志賀委員長 これにて松前君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤祐弘君。
  206. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ゆり二号の問題です。今までの答弁を聞いておりまして、まだやはりすっきりしない点が幾つかございますのでお尋ねをしたい。  一つは事故発生時の対応の問題です。この前、五月九日の委員会で私ここで、NHK予算審議のさなかに、三月二十三日に重大な事故が発生していたにもかかわらず報告されなかった、これは当委員会をなおざりにするものであるし、責任を持った審議ができないということを申し上げました。きょういろいろ御答弁もありました。そしてまた、大臣が、決して事態を隠してやったわけではない、これは政治家の責任として、また名誉の問題にもかかわる大事な問題だというようにおっしゃいました。この点は私は非常に大事だと思うのです。  それでお尋ねしたいのは、三月二十三日に異常を発見された時点では事業団はどういう対応をされたのか、どこどこに報告をされたのかということをお聞きしたい。
  207. 大澤弘之

    大澤参考人 お答えをいたします。  三月二十三日に異常が起こったということにつきまして、私ども事業団の中でこの話を聞きましたのは三月二十七日ごろでございまして、そのときの報告の中身では、先ほど御説明を申し上げたのでございますが、三月の春分のころはいわゆる衛星が食に入る時点でございますので、衛星の温度が非常に低いのでこういう異常が起こったのではないか、これから検討を進めていかなければならないというようなことでのあれがございました。そして、私どもその検討の結果、四月四日になりましてどうもこれはふぐあいの可能性があるという判断をいたしまして、四月五日関係官庁に御報告を申し上げたということでございます。
  208. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 二十三日に異常が発見されて、事業団の幹部のところへ届くのにも五日間かかる、こういうのは事業団の仕事のスタイルとして通常そうなっておるのでしょうか。
  209. 大澤弘之

    大澤参考人 異常異常と申しますと大変なあれなんでございますが、実はトランスポンダーに指令を下から発しまして電波を入れて電源が切れるというようなことにつきましては、この球の性質上時々あることでございまして、そういう現象が起こっておったということで、異常といいますか、このトランスポンダーに指令を出したときにすぐ切れるということが起こったという、そのことが三月二十三日だった、それまで連日動かしておったのだけれども、二十二日にそういう現象が生じた、こういうことでございます。そのころはいわゆる初期の確認試験をやっておる段階でございますので、試験のスケジュールに従っていろいろなことをやっておったということでございまして、その異常さの気づき方につきまして、今この時点で考えますと大変な事態であったわけでございますけれども、その時点の現場の事態ではうまく入らなかったな、こういうことが三月二十三日最初に起こったということでございます。
  210. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そうしますと、また新たに疑問も出てくるのですが、ともかくそういう事態が発生しても郵政省などに報告されるのは四月五日だったですね。会長さんも四月五日。十二日間を要したということです。どうもこれは私腑に落ちないのですね。大変な事態ですから関係者は異常性の重大さに気づいていたと私は思います。気づかぬようではちょっと困るのだと思うのですね。私NHK放送衛星のあの操作する部屋を拝見しに行きましたが、二つのモニタテレビがありましてずっと映っているわけですね。異常もすぐにあそこにも出てくるわけです。しかも、NHK事業団、機構は技術者が絶えず連絡をとりながら作業を進めておられるわけですから、一体どういうことだということで大騒ぎになったのだろうと私は思うのです。ならなければうそだと思うのですね。どうもその点で、最初この問題が衆議院の逓信委員会あるいは参議院の逓信委員会で取り上げられたときと御答弁が変わってきているように思います。参議院の逓信委員会では、理事長が今度交代されたわけですが、山内理事長がはっきりと「これは三月二十三日でございますけれども、これはすぐに監督官庁の方に御報告は申し上げでございます。」というような答弁をなさったわけです。これに対して大臣が非常に憤慨して言っておられたということもお聞きしておりますが、この答弁は事実じゃなかったと訂正をされるのでしょうか。それと同時に、十二日間も故障確認まで要する、あるいは故障を確認するまでは報告しない、事業団はそういう方針なのかどうか。
  211. 大澤弘之

    大澤参考人 前理事長がすぐにというふうにお答えになりましたのは、ただいま私が申しましたように、私どもの中でこういうことが起こっているというのが翌週でございまして、四月四日に故障可能性ありと判断をしてすぐに関係官庁の方に御報告をしたというふうに私は了解をいたしております。
  212. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それから、十二日間。後段の質問にお答えください。
  213. 大澤弘之

    大澤参考人 異常がありまして、私ども内部で三月二十七日に、そういうことが起こったということから、これはいわゆるふぐあいであるということになりますとそれはもう大変なことでございますので、十分に検討した上でこれは報告なり公表なりをしなければなりません。したがいまして、申し上げましたように、このときが食の期間でございまして、非常にそういう現象が起こり得るときにあったものでございますので、その点の検討を十分した上で事故の可能性ありという報告をしなければならないということで日にちを要したということでございます。
  214. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 食に罪ありというような感じの答弁ですが、R系統の事故発生の場合は対応は違っておりましたですね。それは食でなかったからですか。
  215. 大澤弘之

    大澤参考人 R系統は五月三日に起こっておりまして、食は三月二十日を最大食といいますか、ピークにいたしまして四月十三日までが食で、食明けになっております。
  216. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 質問の趣旨は、R系統の場合は事故の報告などについてA系統のときのような対応ではなかったですね。それはどういう違いから来ているのですか、十二日間も要してないでしょう。
  217. 大澤弘之

    大澤参考人 最初に申し上げましたように、三月の二十三日は食の期間中でございましたので、食の影響がどうかということを時間をかけてテストをしたということでございます。
  218. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は言いたいのは、ともかくそういう異常な事態、そして実際に深刻な故障になったわけです。そういう可能性のあることだと思うのですね。ですから、十分検討してというのは、どうも私は言い逃れにしか聞こえないのですが、やはりそういう大事な放送衛星の段階で、重大なそういうトラブルが起きたという場合には、即刻監督官庁にも報告するし、必要な委員会にも連絡を願うとかいうことが必要だろうと思う。そうしなければ、例えばこの同じ論法でいきますと、今は食ではありませんけれども、きょう実際に異常が起きておっても、事業団の方で何らかの確認をするまでは、ここにも報告されないということになるわけですね、論理的には。そういうことであっては本当に責任ある審議もできないと思いますので、今後の問題として、ぜひそういう場合にはしかるべき報告をするということを私はお約束を願いたいと思うわけですが、いかがでしょう。
  219. 大澤弘之

    大澤参考人 私どもといたしましては、皆様の関心の高いことでございますので、間違いのないという確信を持ちましたら、できるだけ早くお知らせをするようにいたしたいと存じております。
  220. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それから、もう一点は、先ほどのNHK側の答弁で引き渡しに関連してですが、A系統がうまくいってないということですが、A系統については、責任を持って事業団の方で措置をとるからということを言われたので引き取ったという御説明でした。この責任を持って措置をとるという中身はどういうことでしょうか。
  221. 大澤弘之

    大澤参考人 私どもA系統の原因究明、その対策に関しましては、開発上の責任がございますので、これを全力を尽くしてやるということを申し上げたわけでございます。
  222. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 その全力を尽くしてやるの中身です。
  223. 大澤弘之

    大澤参考人 原因究明につきましては、現在事業団の中に対策の委員会もつくりましたし、メーカーに対しましても強く指示をいたしまして、BS2bの打ち上げ予定というようなことももともとあるものでございますから、できるだけ早い時期に原因を追及しなければならないということもありまして、督促をいたし、先ほど来申し上げたことでございますけれども、現地に人も派遣をいたしまして、先方からも東京にフランスと米国と両方の技術者が参りまして、鋭意追及の努力を現在いたしておるということでございます。対策につきましては、この原因が絞られましたならば、それに対応した対策を施していくという内容でございます。
  224. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 原因究明は非常に大事なことでありますが、これは原因究明がされまして、今、飛んでいるaについて機能回復といいますか、その可能性はあるのでしょうか。秋の食の段階で何かやるんだというようなこともちらっとお聞きしたりしていますが。
  225. 大澤弘之

    大澤参考人 現在原因の絞り込みを進めておりますが、その原因の幾つかにつきましては回復の可能性のある原因というふうなものも見当たっておりますので、一部回復の可能性はあると私どもも期待をいたしております。
  226. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 次の問題は、損害賠償の問題なんです。  国民感情といいますか、受信者の気持ちとしまして、莫大な受信料などを投入して何百億という多額な出費でつくられたものが不良品だった、次々に故障したということですね。これは例えば三チャンネルあるテレビを買いまして、そのうちの二チャンネルは役に立たないというふうなことにもなろうかと思うのですが、当然、そういうことですと、普通の感覚では金を返してもらいたいということになるわけです。どうして損害賠償の請求ができないのか、これは国民にはわからないと思うのですね。その点、まず損害賠償の責任というのは私は何らかやるべきだというふうに思うのですが、そのあたりについてお聞きをしたいと思います。
  227. 川原正人

    川原参考人 この放送衛星二号を打ち上げ、実用に供するに当たりまして、私ども衛星機構と、また衛星機構は開発事業団と協定を結んでおりますけれども、先ほど来御質問がありましたように、このような打ち上げの停止するまであるいは完全に開発事業団が実験中であれば、いろいろな処理対策はあったのでございますけれども、実際に機構に引き渡され、私どもが引き受ける段階において引き受けましたときに、その後に起こりました故障に対しましては、少なくとも現在自動的に私どもが損害の賠償を請求できるという状況には、正直言ってございません。協定とか契約の中ではそれはございません。  結局、私どもがこれを引き取りました段階におきましては、確かに一チャンネル、三つの中継器を搭載したうちの一つは故障を生じておりました。ただ、もともと一つは予備ということで搭載しておりまして、私どもが要求しておりましたのは、二チャンネルの放送を可能なように要求しておりまして、四月二十一日の段階では、少なくとも二チャンネルは十分に使用に耐えるという話もございましたし、私どもの責任においてもそう判断いたしました。これは私、責任逃れいたしません。私どもそう判断してそれは引き取ったわけでございます。  ただ、あの段階において、よもやその二週間後に引き続いてまた故障が発生するということは、それまでのいろいろな開発の経緯なり現在の技術水準から考えまして、そのようなことになるとは思いませんでした。かつまた、そういう場合の協定、損害賠償については、正直言って先ほどお話もありましたように、故意というようなことがあればまた別でございますけれども、そういうことはございません。  ただ、今、原因を究明中でございますので、原因がはっきりしまして、その原因の事情によりましては、仮に協定の文案に必ずしもそのようなことがなくても、これはやはりこのような開発を一緒に共同で開発してきた信義等の面からいいましても、私どもとしてはその原因によりましては、また関係の方面に必要なお願いはしなければならない、かように考えております。  いずれにしても、このような事態を招いたことにつきましては、今後の2bというのも、もともとゆり二号の中のいわばab一体となってのこれは衛星でございますので、そのbの方の打ち上げには、十分にこの経験はむだにしないように反映させていきたいし、その過程におきましても、私どもなお受信者の立場といいますか、NHKの立場といいますか、受信料を使って実刑衛星を、今、実は開始しようとして実用にならなかったわけです。そういう立場におきましては、私どもの希望というものは、率直に関係の方面にお願いをしたいというふうに考えております。
  228. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今、原因究明の結果によっては、協定に文案がなくてもそういう問題を提起していくということをおっしゃったわけです。私はぜひそういうふうに進めていただきたいと思います。  それと、たしか契約では故意または重大な過失という文言だったと思いますが、重大な過失というのはどういう場合を指しておるのか、事業団の方にお聞きしたい。
  229. 宮原翠

    ○宮原参考人 メーカーとの間に契約を結びまして、そこに瑕疵担保責任条項がございまして、打ち上げまでは無過失責任でございますけれども、その後につきましては、その瑕疵の発生について故意または重大な過失があった場合には損害賠償を請求するという規定になっておりまして、重大な過失、通常の過失の対比での観念でございますが、通常の善良な管理者の注意でもってすれば十分に問題を起こさないという場合が通常の過失かと思いますが、それが、当然なすべき注意を著しく欠いたというような、甚だ抽象的な答えで申しわけございませんけれども、そういうことでの重大な過失、これは具体的にどういう場合かということはちょっと私、今、即答いたしかねますけれども、著しく注意を欠いた、そういうことで御勘弁を願いたいと思います。
  230. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今お聞きしていましても、内容について恐らく余り詰めておられない。慣例に従ったといいますか、その点もちょっと安易じゃないかというような感じが払いたしますが、一般の感情からしますと、これだけ大きな事故ですから、これ自体が重大な過失と言っていいと思うのです。そのあたりは条文にとらわれるのでなしに、やはり本当に国民の貴重なお金をむだにしているということに痛みを持って当たるといいますか、問題を考えるということを私はぜひ強く要望したい。答弁のつじつまが合っていればいいという話はないと思うのです。何百億というお金が、貴重なそういうものがむだになって、しかも値上げというような問題があるわけですから、何かどうも聞いていますと答弁のつじつま合わせが、そう言っては失礼なんですが、何となくそういう感じもするのです。やはり痛みを持って事に当たっていただくというふうに強くその点再度お願いをしたいと思います。  それから、会長さんからbの話も出ました。それで、aのこの貴重な痛みをむだにしないということは再三きょうも答弁されております。今、焦点になっておりますのは中継器ですね。これはとにかく故障が発生したわけですから何らかの改修が必要であるということは自明のことだろうと思います。そうしますと、具体的な問題になりますけれども、今bはどういう状態になっているのでしょうか。
  231. 船川謙司

    ○船川参考人 今BS2bはGEの本社におきまして組み立て中でございましたが、現在こういうふぐあいが起こりましたので作業をストップさせておる状態でございます。
  232. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 bはaと部品などはそっくり同じものですね。そうしますと、中継器あるいはその他もまた新たに出てくるかもわかりませんが、ともかく中継器に関してはかえなければならぬということに恐らくなるだろうと思われるわけです。そうした場合に、その費用の分担はどこがするのか、この点をお聞きしたいと思います。
  233. 大澤弘之

    大澤参考人 今の中継器故障でございますが、原因究明の結果によりましてどういう改修をするかということは相当いろいろと違うわけでございますので、どのくらいの費用がかかるとかそういうようなことにつきましては、原因究明が明らかになったところで判断をいたすものと思っております。
  234. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 お聞きしましたのはどのくらいの費用がかかるかではないのです。改修されなければならぬ部分があることは歴然としているわけです。その場合に、その費用の負担はどこが行うのかということをお聞きしているのです。
  235. 宮原翠

    ○宮原参考人 私どもといたしましては、これは当然その製作を担当したメーカーに負担していただきたいというふうに考えております。
  236. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 当然そうであろうと思いまして、しかし念を押してこの場で確認をしたかったわけです。  最後といいますか、全体の流れでまだ非常に心配が残っているわけです。といいますのは、これも何度か出ておりますけれどもゆり一号で実験しまして故障が起きた。それが原因の究明をして、その点の手直しをして二号のaが上がった。二号のaでまた新たな故障が起きた。これは一号のときよりも時間的には早く起きているわけですね。一号のときには一年二カ月から二年二カ月の間に起きた。それも三つとも中継器故障でしたが、今度はわずかの間に二つということであるわけです。そうしますと、今回の原因の究明は当然やっておられるわけですし、やるのは当然なわけですが、それがはっきりしまして、その点の対策がとられただけでは不十分ではないかということを私はこの前も申し上げたのです。つまり継ぎはぎで手当てをしていきましても、また次の2bでは別のトラブルが発生するということでは繰り返しになるわけです。先日、大臣はその点について私の質問に対して同じ愚を絶対繰り返してはならない、結局は国民の負担にこれがはね返るのだから繰り返してはならないということをおっしゃっていました。全くそのとおりだと思うのです。そういう観点に立って考えた場合に、この計画の見直しといいますか再検討といいますか、私はそういうことが当然必要ではないかというふうに考えるのですが、そのあたりはどのように検討されておられるのかという点をお聞きしたいと思うのです。
  237. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ほど来関係者からお答えを申し上げておりますように、当面め最大の課題は、現在起こっております原因の究明ということでございます。当然その究明されました暁には、それに対応いたしました措置をBS2bあるいはさらに将来のBS3に反映さすべきものと考えておりますけれども、BS2bにつきましては来年の夏、それからBS3につきましては五年後ということで予定をいたしておりますけれども、現状におきましては、ともかくもその原因究明という点に最大限の努力を関係者総力を挙げて取り組むべきものということで対応しているところでございます。
  238. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ちょっと違うのですけれども、今の原因究明は究明で進める。これにも私は問題点があると思っておりますが、その原因究明が行われれば次は大丈夫と言っていいのかどうかという問題なんです。つまり、ただ対症療法的にやっていくので次が梨たして信頼できるのかという問題ですね。ここを聞きませんと、得心がいけるようでないと国民的に見て不安は消えないということなんです。ですから、来年の夏予定されてどうのこうのという説明が何度も行われておりますし、そのことをお聞きしているのではなくて、そういう意味で実験のやり方とか含めて何らかの新たな対策が必要なのではないかということを私は申し上げているわけですが、これは大臣どうですか。
  239. 奥田敬和

    奥田国務大臣 きょうは午前中そしてまた午後の質疑を通じて、実は技術的には全く素人の私でございますけれども、今、先生も御指摘なさったように本当に胸の痛む思いで質疑を聞いておるわけです。とりわけ、大変専門的な質疑の中で、今回の事故を踏まえて、宇宙開発に当たられた皆さん方は、総力、総和を絞ってやられたわけですが、なお厳しさが足りないと言ったら断定的になりますけれども、厳しい上にも厳しい形の中での今後の技術検討の上に立って、二度と過ちを犯してもらいたくないなというせつない気持ちです。  先ほどから聞いておりましても、考えてみると、この宇宙開発の必要性というものは十分理解しますし、自己技術開発は理解しますけれども、今、飛んでいる星の中でまともなのはこのCS2だけで、あとはみんな何か故障持ちでだめになったという事実です。私たちも、国産技術の開発の重要性はこれによってひるむものじゃありません、ひるんではいけないと思います。ですけれどもNHKを代弁するわけじゃありませんが、国産衛星を利用するユーザーの立場で、こういった形で協力して利用していく、それをまた国民にサービスを還元するという形に立っていって、結局ばかを見るというか、ツケを回されるのが国民になっていくという循環ですね。そういう形になっていくということについては、今度の事故の反省、おわびも含めて本当に深刻な気持ちになっておるわけです。  今度からいろいろな論議が起こってきて差し支えないんじゃないかと思うのです。国のプロジェクトはプロジェクトとしても、先ほども大変いい御提案がございましたが、何か報奨を段階式に払っていくとかあるいはリース方式とか、そうでなければ信頼できないということになっていくと、これまた大変嫌な風潮になってまいりますし、今後ともそういった意味で責任の分担、明確さというものも含め、国産自主技術開発という大道は積極的に推進しなければなりませんけれども、段階的には、いろいろな議論の経過の中で私もいろいろなヒントも得させていただきましたし、勉強もさせていただきました。今日の形は関係技術者のみならず、もちろんNHKあるいは機構の方を指導していく立場にある私としても本当に重要な責任を感じ、反省をいたしております。
  240. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 もう二分ですね。  今度の事故は、ある意味では不幸中の幸いという青い方もおかしいかもわかりませんけれども、本放送が始まってからだと人ごとだったと思うのですね。大宣伝をして三十万円もするパラボラアンテナをみんな買って、それから故障が起きたというのじゃ、本当に大変だったと思うのですよ。受信者、視聴者からNHKが損害賠償を請求されてもしょうがないという事態になっただろうと思うのです。ほかの衛星と違いまして、とりわけ放送衛星の場合はそういう要素が強いと思うのです。直接多数の国民に利害がかかわるわけですね。それだけに慎重の上にも慎重を期すという今の大臣のお言葉ですね、それでぜひともいっていただきたい。  そういう意味で言いますと、一号、二号もそうですし、これまで放送衛星で成功をしているのはないのですよ。アメリカもカナダもそうです。ですから、私は結論的には、まだ実用段階に入るのは早過ぎたのだというふうに思っているのですが、2bを打ち上げる際にも拙速でなく、時期が多少おくれるとか、そういうことは、むしろ万全な衛星を打ち上げるために延びるのだと言えば国民も納得すると思うのですね。また打ち上げました、また故障しましたの方が大問題です。本当に受信料返還運動が起こるかもわかりません。そういう点で、本当に十分な体制、対策をとっていただきたいということを最後に御要望申し上げたい。  御要望申し上げて、一分ありますから、会長さんの御決意をお伺いして終わりたいと思います。
  241. 川原正人

    川原参考人 私どもも多額の受信料を使いましての実用の衛星でございます。本放送については、従来とも慎重に対処してまいったつもりでございますけれども、今回のこういう事件というものは決してむだにしてはいけない。単にスケジュールだけ合わせて本放送を急ぐというようなことは決していたすつもりはございません。十分にこの原因を、これは私どもというよりも関係のいろいろな専門家と十分に相談をして、私どもの意見は率直に申し上げて、信頼性を第一に考えて、これから先の仕事を着実に進めてまいりたいと思っております。
  242. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  243. 志賀節

    志賀委員長 これにて佐藤君の質疑を終了いたしました。  以上で本件に対する質疑は終局いたしました。
  244. 志賀節

    志賀委員長 次に、討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和五十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  245. 志賀節

    志賀委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  247. 志賀節

    志賀委員長 次に、日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。左藤恵君。
  248. 左藤恵

    左藤委員 今国会に提案されました重要法案が幾つかあるわけでありますが、ただいま議題とされました三法案もその一つでありまして、御承知のとおり臨時行政調査会第三次の答申をされた中に、この精気通信法体系の改革というような大きな答申の内容がありまして、それに基づき、また最近におきます高度情報社会への進展と申しますか、それに適合した形に持っていくという形から今回の三法が提案されたものと考えるわけであります。非常に膨大な法律であり、また非常に重要な内容を含んでおる問題でありますので、全般にわたって御質疑を申し上げることができないかとも思いますが、重要な点につきまして、幾つか政府及び電電公社に対して質問を申し上げたい、このように思います。  今回の電気通信法体系を改革する目的というものは今申しましたようなことで、高度情報化社会を展望して電気通信事業に競争原理を導入するということと同時に、電電公社を民営化するということによりまして国民の利用者に対しましてより良質でより低廉な電気通信サービスを提供するということを目的としておる、このように考えるわけであります。この三つの法律の基本的な考え方につきまして、まず第一に郵政省のお考えを伺いたいと思います。
  249. 小山森也

    ○小山政府委員 現行の電気通信法の体系と申しますと、これは電電公社と公衆電気通信法というものを軸にして法体系が組まれているわけでございます。この法体系の建前になっておりますのは、国内電気通信は電電公社、国際電気通信は国際電電によって公衆電気通信業務を一元的に運営する、すなわち独占を確保するということを基本的な政策としてとらえてすべての法律体系がつくられているわけでございます。この法律体系によりまして電電公社による一元的運営体制を実行してまいりました結果、非常に効率が上がりまして、五十三年の三月には加入電話の積滞の解消とか、また昭和五十四年三月には電話の全国自動ダイヤル化という非常に立派な業績を上げまして、これは単に業績を上げたという公社側としての功績のみならず、国民生活にとって非常な貢献をしたということは疑いのないところではないかと思っておるところでございます。  ただ、しかしながら我が国の電気通信分野におきましては、近年技術革新によりまして非常に高度化、多様化したさまざまなニーズ、ニューメディアの出現等がありまして、このような状況に応じまして、多様なサービスの提供を単一の事業体で行うことよりも複数の事業体で行うことの方が利用者にとって利益になると判断されるような状況が出てきたわけでございます。また、民間の技術力や資金力の向上と相まって従来電気通信事業の一元的運営の根拠とされてきた特質にも変化が生じてまいりました。いわゆる自然独占制の希薄化とか、インターフェース技術の進歩等でございます。このような状況に的確に対応して電気通信が国民利用者の期待にこたえ、来るべき高度情報社会への先導的役割を果たしていくためには、従来の電電公社の一元的運営体制に対して複数の事業体による競争体制の導入、こういった政策転換を図るとともに、複数の事業体の導入から必然的に電電公社は複数の事業体の一つとなるため、民営化して電気通信事業の一層の効率化、活性化を図るという認識に立ったものでございます。  具体的には、独占を前提とする現行の電気通信体制を改革いたしまして、事業の公共性に留意しつつ競争原理の導入、電電公社の民営化による民間活力の積極的導入、このことによりまして電気通信事業全体の効率化、活性化を図りまして、電気通信分野における技術革新及び我が国の経済社会の発展に対処すべく今回電電公社等の改革を行おうとするものでございます。  この中で、電電公社につきましては長い間の歴史の実績と今後の電気通信事業の実情というものを推しはかりまして、新電電会社に、電話の役務の日本全国における安定的な供給の確保、電気通信に関する実用化研究及び基礎的研究の推進並びにその成果の普及等、こういった国家公共的役割を達成させることが過去の経緯、電気通信の特性から見て適正な位置づけと考えまして、新電電会社を特別な任務を有する特殊会社として設立することとした次第でございます。
  250. 左藤恵

    左藤委員 今回の電電の改革で今お話しのような新しい時代に適合していこうというようなことですが、電電事業そのものについての合理化というものはどういう形で促進されると考えておられますか。郵政省にお伺いします。
  251. 小山森也

    ○小山政府委員 今回の改革のやはり一番の目玉と申しますか、ねらいというのは、新電電会社がまず経営の自主性を確立するということだろうと思うのです。その自主性を確立することによりまして、創意工夫というものも自然に経営の自主性というものから出てくると思うのでございます。したがってそういった点から弾力的かつ効率的経営を可能にするということがまずあります。  それと同時に、複数の事業者という体制でございますので、新規参入の事業者等との間の有効な競争というものは当然意識するわけでございまして、そういった点からも事業の効率的な経営に対する強いインセンティブが働くのではないかと思っておりまして、このような枠組みの中では当然新会社が自主性に基づく企業性を発揮して、合理化、効率化に積極的に取り組んでいくのではなかろうかと期待しているところでございます。
  252. 左藤恵

    左藤委員 そうした合理化の推進の一つの形としてデータ通信サービスのことなんですが、これは従来から電電公社がやっておられて、一つのパイオニア的な役割といいますか、そういうものは私は評価されていいと思いますが、今日いろいろそれと同じような形のものが随分競争として出てきておるというふうなことから考えましても、この新電電会社においてこういったデータ通信設備というのは、やはり電電公社というようなものが新会社になった場合にも、大きな資本とか大きな形の中でこういうものを進めていったときに、公正な競争というものができるのかどうか、そういうことでそういうデータ通信設備サービスの事業の分離というものを早急にやるべきじゃないかと考えますが、これに対しての御意見がありましたら伺いたい。
  253. 小山森也

    ○小山政府委員 電電公社のデータ通信設備サービス事業のあり方、これにつきましては、臨調答申の中におきましても規模の適正化を図るという観点とともに、類似の民間のデータ通信事業者もあるので、公正な競争条件の整備を要請するというようなことが出ております。したがいましてデータ通信設備サービス部門を新しい事業体から分離独立させるということは、この要請にこたえる一つの有効な方策だとは思います。  ただしかし、今の電電公社のデータ通信設備サービスというのは、データ通信のデータ処理の部門といわゆるVANのような通信処理とが一体になっております。したがいましてこれをどのように分けていくかというようなこと、これは直ちに分離というようなことになりますと非常に困難な点が出てまいります。  それからもう一つの点といたしましては、このサービスは現在利用されているわけでございまして、利用者に与える影響というのはどのように考えるべきかということ、またこれを経営している事業体にとりましても、多くの職員がこれに従事しております。そうしますと、事業体に与える影響ということはどうなるかということも考えなければなりませんので、分離というのは一つの有効な割り切った方法だとは思いますけれども、もう一つ現実的な処理をしながら考えていかなければならないのではないかと思っております。
  254. 左藤恵

    左藤委員 少なくとも、経理を分けるとかなんとかそういったことを配慮する必要があるのではないかと考えます。  二つの法律がございますので、私はまず会社法案の方から幾つか質問をしていきたいと思います。  会社法の第一条の第二項ですかに、会社は、国内電気通信事業を営むほか、郵政大臣の認可を受けて、これに附帯する業務その他会社の目的を達成するために必要な業務を営むことができるものとする、こういう規定があるわけですが、これは郵政大臣の認可にかける趣旨といいますか、そういうものをお伺いいたしたいと思います。
  255. 小山森也

    ○小山政府委員 法案にあります新会社というのは、「国内電気通信事業を経営する」という綿別な目的のために特別の法律によって設立される特殊会社でございます。したがいまして、当然附帯事業目的達成業務というのはこれに沿わなければならないわけでございまして、この法律があってもなくても附帯事業目的達成業務というのは本来事業遂行上目的的に見て必要と認められる業務であるわけですが、その業務の範囲を会社自身の判断によって自由に解釈して拡大するということは、先ほども申し上げましたように、特別の目的のために特別の法律で目指す本来事業に与える影響とか他の民間の同種事業に与える影響等の問題もありますので、特殊会社設立の趣旨にのっとりまして主務大臣の判断を介在させようとするものでございます。  なお、これにつきましては、いろいろな筋から政府の公正な判断が加えられるべきであるというような要望もなされているというのが実情でございます。
  256. 左藤恵

    左藤委員 それから、この新しい会社が通信の端末機器の製造部門あるいは販売部門にどういう形で進出するのかということについて、民間の業界で非常に心配をしておるという問題があるわけであります。この考え方について御意見を伺いたいと思います。
  257. 小山森也

    ○小山政府委員 新会社の業務範囲と投資活動の両面に分かれると思います。  まず投資活動につきましては、これはまさに経営陣の自由であると同時に経営陣にまたそれなりの社会的責任を持った判断が求められるわけでございます。また、業務範囲そのものとしてどうかということになりますと、臨調としてはやはり自由な活動というところから幅広く行い得るということにしておりまして、そのような理解をしておるわけでございます。  ただ製造部門への進出ということになりますと、まず第一に通信機器の購入者がみずから製造部門に進出するということについて経営の効率的運営という観点から見てどうかなという懸念はございます。しかし、これを投資で行うということになりますれば、投資はやはり経営者の自由裁量でございますからまさに経営者の判断によるものでございますけれども、あえて申しますと、こういった点から若干問題点がないとしないと思っております。また、特殊会社という設立の趣旨から見ましても、民間市場の成熟状況等から勘案した場合がなり慎重な配慮があってしかるべきではないかと思っております。  また、販売部門への進出問題でございますけれども、これにつきましてはいろいろな意見がありまして、公社に端末機器の売り渡し方式を導入することについては、適正な競争条件の整備を前提とするならば認めることは妥当であるという、かなり有力な意見も出ております。こういったものを「つの参考としながら、目下電電公社において売り渡し方式の実験を行っているところでございます。この前提条件は何かと申しますと、いわゆる保守責任のあり方の問題とか価格の設定方法、それからこういった業務を行った場合の収支の明確化あるいは事業部制等の組織体制、内部相互補助というものがないかということ、それから利用者保護のあり方というようないろいろな条件でありまして、これを達成するならば適正な競争条件のもとに売り渡し方式を認めることは妥当ではないかと思っておりますが、この前提条件がどのように達成されるかということだろうと思います。  郵政省といたしましては、電電公社において売り渡し方式の試験を行っておりますので、その結果をよく分析いたしましてユーザーとか民間市場に与える影響等を勘案して、この問題に対して適切な判断をしていきたいと思っております。
  258. 左藤恵

    左藤委員 その場合に、端末機器につきまして機器の認定という問題があったと思います。これはたしか電電公社が今やっておると思いますが、この新会社になった場合、そうしたことを別の機関で考えるべきではないかと私は思いますが、その辺はいかがなんでしょうか。
  259. 小山森也

    ○小山政府委員 新会社になりました場合には当然これは新しい第三者機関、どこからも公平な立場で見る機関によって行われるべきだろうと思います。  なお、これにつきましては、現在もう既に電電公社におきましてもそういった意味での競争条件の公正さを確保すべきであるというところから、そのような機関を設けることについて積極的であるというのが実情でございます。
  260. 左藤恵

    左藤委員 それでは次に、電電公社の現在の純資産というものが今度は当然新会社に引き継がれるわけでありますが、この純資産は現在幾らあって、そして政府の出資額は幾らなのか、この辺について御説明をいただきたいと思います。
  261. 小山森也

    ○小山政府委員 五十七年度末の純資産は約四兆六千億でございます。そのうち設備料の累積額が約二兆二千億円、それから通話料収入による収支差額の累積額が約二兆二千億円、大体この二つだけで四兆四千億円ということでございます。なお、政府出資額は百八十八億円でございます。
  262. 左藤恵

    左藤委員 電電公社の資産の今の九割以上が通信の利用者が長い間にわたって出したものと私は考えるし、それから形成されているものと思いますが、そうしたことについてこれから電電公社が新会社に承継された場合に、当然にこれは資本金が決められ、そしてそれから株式が発行されると考えますが、こうした場合、株の処分ということが予想されると思います。それに関連しまして郵政省と大蔵省の両方にお伺いしたいのですが、そのお金というものはどういう性格のものであるか、今、私は、通信の利用者が出されたものから成り立っておるというのが大部分であろう、こう思うのですが、この辺についての御説明をいただきたいと思います。
  263. 小山森也

    ○小山政府委員 二つの点からあるのではないかと思います。  一つは、形式諭として資産、株式をどう見るかということでございます。これは形式論として見ますと、電電公社が新会社に現物を出資しましてその見返りとして株式を電電公社が取得し、即日その日に電電公社が消滅することによりまして一つの無主物のような形でその株が国に帰属するするということでございます。したがってそういった場合におきましては、その財産は国有の普通財産として整理されるという一つの形式論があろうかと思います。  またもう一つの点から考えますと、これは御説のとおりにその内容を見ますとまさに利用者によってつくられた資産であるというわけでございます。したがって、これが一般会計に形式上そのとおりに、形式どおりに全部が帰属する。したがって、それを一般会計にその結果全額を帰属させるということもどうかなと思いますけれども、しかし、それがどのようにされるべきであるかということにつきましては、まだこれにつきましては今後財政当局等とよく検討いたしませんと、この処理につきましては明確に申し上げる段階になってないということを申し上げておきます。
  264. 日高壮平

    ○日高説明員 初めに、公社の資産がどういう過程で形成されてきたかという点についての私どもなりの考え方を申し上げたいと思います。  御承知のように、公社の資本金というものは現在の公社法の規定によって国が全額出資ということにされておりますし、なおかつ、公衆電気通信法等の法律によっていわば公社の事業というものはその独占権が与えられている。そういうことから見ますと、公社というものはいわば国の分身とも言うべき国の機関ということが言えるわけでございまして、現在の公社の資産というものもそういういわば国の分身としての機関としての行為から生まれてきている。そのような考え方から現在の公社の資産を化体するということになると思いますが、新会社の株式についても、御提案している法律ではすべて国、すなわち一般会計に帰属するという形になっているというように私どもとしては考えております。  なお、それではその株式の売却についてどうかということでございますが、御承知のように、現在提案しております法案では予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内で株式の売却を行うということになっているわけでございますが、御提案しております法律が成立させていただいたにしても、いずれにいたしましても株式の売却というものは六十年度以降の話ということでございますから、具体的にはこれから郵政省あるいは公社の方々それぞれの方々と御相談して決めていかなければいかぬかなというふうに考えております。  ただ、大蔵大臣もたびたび国会で答弁しておりますけれども、私ども財政当局としては、この株式の売却収入につきましても一般会計に全額帰属させて、財政需要全般に充当すべきものだというふうに考えてはおりますが、実情は、先ほど小山局長からもお答えになりましたとおり、これからさらに詰めていかなければいかぬ点も十分あるというふうに考えております。
  265. 左藤恵

    左藤委員 今いろいろお話ありましたけれども、この資本金は巷間一兆円とか言われておりまして、単純に資産との倍率で考えましてもかなりの倍率があるわけですけれども、国際電電の現在の株価はたしか二万円を超えていると思います。発行のときの一株は五百円の株券だと思います。そういうことから見まして四十倍ということになりますが、これはどのくらいのプレミアムが入ってくるかということについては、仮に一兆円としまして五年間でこの株式を売却すれば、一年間に二千億円ずつ処分するということになれば相当な金額のプレミアムが入ってくる、こういう問題が考えられると思います。  今お話しのように六十年の段階において予算で措置するということであろうと思いますけれども、基本的には国の一般会計の赤字補てんのために今度の民営化をするんじゃないんだということだけは物の考え方として考えておいていただかなければならないんじゃないか。そして、この資産形成の経緯というようなものも考えた上で、ひとつ電気通信の利用者というものの立場に立った処分というか、そういう方向で検討していただきたいということを私は要望いたしておきたいと思います。  次に、新しい電電会社に対しまして政府が関与する基本的な考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
  266. 小山森也

    ○小山政府委員 今回の電電公社の改革に当たりましては、新会社が経営の自主性を確立して、みずからの力ですべての経営を行っていくということを基本に置くべきだろうと思います。それによりましてみずから創意工夫を発揮して、弾力的かつ効率的な事業運営を図るということだろうと思います。したがいまして、政府の関与というのはそういった点からはなるべく必要最小限にとどめるべきであるというのを基本に考えております。ただしかし、特別な使命を持って、特別の法律をもってつくられる会社でございますので、やはり特殊会社という点から来るところの関係をも考慮しなければならないんじゃないかと思います。  具体的にどういうことかということを申し上げますと、現行の公社制度では、予算は国会の議決、給与は国会の予算統制による給与総額制というものがあるわけでございますけれども、この法律が国会で成立さしていただきまするならば、新会社にはこういった制度は廃止されるわけでございます。  また投資につきましても、現在は投資範囲が法定されるということでございますけれども、これも外れるということになります。  また事業計画について申し上げますれば、現在我が国には七つの特殊会社がございますけれども、いずれも法律で事業計画を主務大臣の認可事項とすることを明定しております。中には事業計画に加えまして資金計画とか収支予算についても認可事項とすることを法定しているものもありますが、新会社につきましては事業計画の認可のみを法定することとしております。  また役員の任免につきましても、具体的な名前を挙げますると、日本航空のように取締役及び監査役の任免に加えまして、さらに代表取締役の任免につきましても認可事項として二重のチェックをしているというところもありますが、このような二重チェックは行わないということになっております。いわば新会社につきましてその資産の規模とか三十二万人の従業員がいるということを考えますと、他の特殊会社に比べましてけた違いの規模を持っております。また仕事の内容につきましても、その公共性は相当高いと見るべきでございまして、その点からいたしますと政府の関与は比較的少ない方ではないか。その中におきまして経営の自主性を持って御活躍いただけるのではないか、こう思っております。
  267. 左藤恵

    左藤委員 新電電会社になりましても公共性といいますか、そういう国民に対します責任というものは小さくなるものではない、そういう立場から見まして、今、必要最小限度のそういった関与というものをしておるという御答弁であったわけでありますが、私はそういう意味におきまして、政府もそうした関与することにつきましては責任というものを十分認識して、これからの新電電会社に対して対処していただかなければならないんじゃないか、このように考えます。  そこで附則の二条に、五年以内にこの会社法を見直すという規定がありますが、これを設けた意味と申しますか、そしてどういう情勢というものを五年後に予想して、どういった点が見直されるかと予想しておられるか、これについて伺いたいと思います。
  268. 小山森也

    ○小山政府委員 当然電電新会社は、先ほども申し上げましたように、一つの目的を持って国によって与えられた一つの特殊会社になるわけでございますが、ただ問題は、この法律の施行後、特に電気通信の場合には発展が著しいということから、いろいろな環境の変化が出てくるのではないか。そういたしますと、当初予定していた目的を達成するためには現在の法律の枠組みでいいかどうかということが、必ずしも現時点において絶対いいのだということはなかなか申し上げられないというのが、電気通信を取り巻く環境から言えるのではないか。それらの点から経営形態の問題も含めまして、経営のあり方全般または一部について見直しが生ずることはあり得るというふうに想定したわけでございます。  政府としては、第一に技術革新等の環境の変化、第二に競争導入に伴います市場構造の変化、第三に会社を取り巻く社会環境の変化、第四に会社のあり方に対する一般世論の動向というようなことを考えまして、さらにそれに加うるに新会社の経営執行の状況とか、会社法における政府の関与のあり方、その他会社の効率的経営のあり方等について総合的な検討を加えて、所要の措置を講ずべきであろう、こう考えて五年という期日を設けたわけでございます。
  269. 左藤恵

    左藤委員 それでは次に、事業法の方につきまして若干の質問を申し上げたいと思いますが、電気通信事業法は一つの許認可の規定があるわけであります。そして、一種、二種の区別、いろいろな問題があるわけでありますが、これは規制強化だという意見と規制が緩過ぎるという意見といろいろ巷間流れておると思います。今度自由化していく段階において、一挙に自由化するという自由化の仕方の問題につきましても問題があると思いますが、郵政省としてはこの法案をお出しになったときの状況として、電気通信事業の規制のあり方についてどういうふうにお考えになっているか。
  270. 小山森也

    ○小山政府委員 先生既に御指摘になられたわけでございますけれども、まず最初に御理解いただきたいと思いますのは、今までの法体系の中では、公衆電気通信事業というものは電電公社と国際電電以外には一切認められていなかった。したがって、許認可ということをそういった点から考えますと、無数といいますか、要するに数では考えられない、質的な形で全部禁止していたわけでございます。したがって、今回の法案によって新たな許認可というものを導入するものではなしに、いわゆるこれだけの許認可の中で自由になったというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。要するに、今までは一切できなかったものが、これだけの許認可事項によって開放されると自由に営業ができる、そういった形になる、この過程における許認可である、こういうように御理解いただきたいと思います。  また事業法案では、事業者が自主的な経営方針に基づいて自由な事業展開を行っていくことを基本とするものでございますけれども、どうしても電気通信事業には、通信という特性に基づきます公共性というのがありまして、この公共性をいかに守っていくか、また最終利用者、ユーザーの利益保護というものはどうやって維持されるかという、公共性からきますところの、どうしてもしなければならない許認可事項というものはあるわけでございまして、例えば通信の秘密とか、安全性、信頼性の確保、それから利用者の利益を保護するための諸事項というものはどうしても残るわけでございまして、こういった意味での規制というのはやむを得ない最小範囲にすべきであろうというのが基本的な考え方でございます。
  271. 左藤恵

    左藤委員 今お話しの中の通信の秘密というのは、これは自由で民主的な社会を形成する基本をなすものであるという点で非常に重要な問題だと私は思います。そういう点がこの公共性の確保という言葉の中の一番中心にまず考えていただかなければならない問題じゃなかろうか、このように思いますけれども、そうしたことについてはこの事業法案で一応措置されていると考えますけれども、今後ともなお一層検討をしておいていただきたいと思います。  そこで、今度の関係で新規参入という問題が一番大きな問題ではなかろうか、こう考えます。新しい電信電話会社は電電公社のそのままのものを移行するわけでありますから、資金力とかあるいはその他規模におきましても、それから技術の内容におきましても、非常に世界最高のものを持っておられると思います。そうすると、新規参入する場合、この新電電と競争するということは非常に難しい、こういうふうにも一面で考えられるのではないかと思います。新電電会社と新規参入者の競争が有効かつ公正に行われるためにこの法案として講じておる措置はどうなのかということが一点。  逆に、今度は公社の方にお伺いいたしたいのですけれども、電電公社としてはそうした新規参入によってどういう影響があるというふうにお考えなのか、これは総裁にお伺いいたしたいと思います。
  272. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもは、今度の新しい法案の御趣旨が御趣旨でございますので、新規参入が健全な姿で、しかも強力な技術力、営業力を持って参入してくるように政府で御指導いただくことをお願いしたいと思っております。公正な競争によって電気通信事業の発展あるいはそれの社会的な利用価値というものを上げようというのが御趣旨でございますので、やはり本気になってまじめに対応しなくちゃならないような新規参入が入ってくるというふうに御指導いただくことを、切にお願いしておる次第でございます。
  273. 左藤恵

    左藤委員 今のことについて郵政省、意見ありますか。
  274. 小山森也

    ○小山政府委員 法的な枠組みといたしましては、私ども、新規参入者というものが出る、それと同時に、新電電との間に公正な競争の条件と環境をつくるという、そういったたてまえですべての法律の枠組みはつくってございます。  じゃ、実態的にどうかということだろうと思います。これにつきましては、なかなか一つの枠組みの中の対応策として直ちに、例えばこの法律が施行されると同時にそういった事業体ができるかどうかということについては、やはりこういった電気通信事業はかなりの多額の資金と非情に多くの優秀な技術力というものを要請されますので、直ちにそういった競争会社ができて市場価格が形成されるというふうにはならないと思いますけれども、この枠組みをつくることによってその出現は当然期待できると私ども見て、このような枠組みの法律をつくったわけでございます。
  275. 左藤恵

    左藤委員 そうしますと、その新規参入者は恐らく、例えば東京-大阪間のような利益が上がる地域に集中するということが予想されるわけであります。全国サービスを受け持つ新電電会社は、そういう意味で言いますと全国的なサービスの提供とか、そういう不採算地域へのサービスをやらなければならない、それから料金水準を維持しなければならないということについて、そうした面で心配が出てくるわけであります。アメリカでも競争導入をしたときに、その結果、市内料金を値上げせざるを得なかったというような事例もあるわけでありますが、そうしたことについて今回の新規参入というものが行われた場合に、いわゆるクリームスキミングというふうなことで、電電公社は国民生活に不可欠な電話サービスを十分今までどおり提供していけるかどうか、こういうことについて現公社としてはどういうふうにお考えになっておるか、総裁にお伺いしたいと思います。
  276. 真藤恒

    ○真藤説明員 新しい法体系で、私どもが特定な条件以外のことについて自主的に責任のある経営体制をとれということになっておりますし、また競争会社と同じ条件で動けるという条件もございますので、競争相手が本当の力が出るまでにかなりの時間がかかると思いますし、その間に今までと違った経営活動ができるというポイントを利用いたしまして、現在よりもさらに健全な姿に、さらにコストが下がり、さらに能率のいい経営ができるように全力投球して新規参入と健全な競争を始めるということに持っていくのが私どもの当面の仕事だというふうに考えておりますが、何さま新規参入の会社は、一番能率的で最新の性能を備えた設備でくるだろうと思います。また経営、運営に必要な最小限度の人員で出てくるというふうにも考えられますので、その辺よほどこちらも考えておりませんと、かえって長い時間経過した組織であるという欠点がそこで明らかに出てこないように、これから姿を変えていくということが一番大事なことだと思っております。  そういうことで、まず具体的に新規参入が出てくる姿、計画というものを見ながら、私どもも新しい法体系で許される限りの組織変えなりあるいは新規事業への進出なりということに全力投球するということで競争の実力を高めていくということをやらねばならぬというふうに考えております。
  277. 左藤恵

    左藤委員 そういう御答弁であればなお、例えば現在の市外料金の倍率といいますか、そういうものも高過ぎるのではないか、そういったいろいろな批判があるのではないかと私は思います。そういうことで新しい会社に移行し、さらにまた新規参入のものと競争するまでの段階においてそういった問題について努力をし、検討していただきたい、こういうように思います。  それから、第二種電気通信事業というのがあるわけでありますが、第一種については外資の制限は三〇%ですか、あるわけでありますけれども、第二種の電気通信事業については外資制限を課さないということにいたしております。これは、自由化の関係というふうなことでいろいろな外交的な問題も配慮されたこともあると思いますが、そういうことで我が国の通信市場が外国企業に席巻される心配はないのか、そういうことをお伺いいたしたいのですが、ATTとかIBMというようなアメリカの有力企業が、最近私の聞いておるところによれば、IBMはIN、それからATTはAIS・NET一〇〇〇というふうな人手も技術の面でも非常にすぐれたシステムというものを既に実用化しておるというようなことでありますが、そうしたものが参入してきた場合に、新しい電電を含めまして我が国の企業がこれに対抗していけるかどうかということも含めて、こうした外資の問題についての御意見、特に外資をフリーにした二種については制限を課さなくてやっていける、こういうふうな法案の内容であるわけでありますけれども、これについての見通し、そういうものを郵政省と公社と両方にお伺いしたいと思います。
  278. 小山森也

    ○小山政府委員 御指摘のとおりにたとえ第二種でございましょうとも、電気通信事業というのは社会的経済的に重要な機能を担う事業でありますので、その事業が外国の支配下になるということは確かに非常に問題のあることどころか、これは非常に注意しなければならない、こう思うわけでございます。また、そういうことがあるのではないかということの懸念も当然私どもしたわけでございます。しかしながら、電気通信分野における我が国の有する技術開発力は十分国際競争力に耐え得るものであること、また第二種電気通信事業というものの中身を考えますと、外国のハードでそのような形のものができたといたしましても、我が国の企業取引の実態や商慣習というものをよく理解いたしませんと、なかなかこの第二種の事業には入り切れないというような社会的な一つの背景もございます。  そのような利用者のニーズにきめ細かく対応する分野だということから見ますと、外資の参入を認めたといたしましても、やはり我が国のそういった商慣習とか企業取引の実態というものをよく知っている国内事業者というものの有利性は残ると思うわけでございます。そうしました場合には、外国企業と競争することの方が我が国の第二種電気通信事業の健全な発達、こういったものを見た場合においては競争場裏にさらして激烈な競争原理の導入による利用者へのサービス競争ということを行った方が、むしろ最終ユーザーにとって有利ではないかと判断したわけでございます。  なお、当然郵政省といたしましても、高度情報社会に向けましてこの分野が今後ますます重要性を増すものと見込まれるものでございますので、我が国の企業による第二種電気通信事業の健全な発展に向けましていろいろな施策を講じていくという、こういった行政機能をフルに発揮すべきであろうとも思っておる次第でございます。
  279. 真藤恒

    ○真藤説明員 私ども現在、データ事業本部という組織の中で、さっき局長からお話がありましたように、いわゆる情報交換のコンピューター事業、純粋なコンピューターの間の情報交換と、今から新しく規制される第二種電気通信事業者のやるような仕事と、現在もう既に両方やっておるわけでございます。この二つの事業が最近急速に伸び始めておりますが、アメリカのいろいろな状況なり私どもの技術力、営業力というものをさらに強化するという意味も加えまして、実は先般来企業通信システム事業本部というふうなものをつくりまして、こういう第二種に相当する可能性のあるような、将来可能性のあるような大口ユーザーのいろいろな電気通信の将来に向かっての利用計画ということに技術的なコンサルティングをやりながら、だんだん具体化していって、それを私どものお客につくり上げていくということを、地方及び中央で本格的に始めておりますが、その状況の中から、私、じっと見ておりますが、例えば今のIBMなりATTが、新しい向こうでのソフトを持って入ってきましても、そういう連中に負ける、席巻されるというふうなことは、決して簡単にはできないだろうというふうな自信をだんだん持ってきておる状態でございます。この法案が明らかに国会で成立させていただきますと、さらに大がかりに、積極的に、大っぴらにそういうふうなことをやることができるようになりますので、その点、今、準備工作を始めておるということでございます。  そういうことで、じっと成り行きを見ておりますが、最近、この法案が国会に出たということから、世の中のVANなんというものに対する事業者としての、殊にLANの方の研究、勉強というものが非常に急速な発展をしておる形跡が明らかに出てまいりましたので、そういうのを先もって私どもが、今までの信用をもとにして進んでいけば、向こうが入ってくる前に、今持っております地方にプラスして、かなりの地方を握っておいて、対抗できるというふうな方向へ持っていこうと考えておりますが、それの可能性は十分あるように私は今見ております。
  280. 左藤恵

    左藤委員 VANの問題については、世の中、マスコミ、いろいろ騒がせた問題でありますが、この法案のできます段階におきましていろいろ論議があったわけでありますけれども、このVANが電気通信事業であるということは、提案された法案では明確になったのじゃないかと私は思います。今後、郵政省が責任を持って取り組んでいく必要があると思いますが、今後のVAN行政をどういうふうに展開していったらいいかということについての展望を伺いたいと思います。
  281. 小山森也

    ○小山政府委員 御指摘のように、VANは電気通信事業であるということが明確にされたわけでございまして、そうなりますればなりますほど、通信主管庁であります郵政省の責任というのは重くなるものと理解している次第でございます。  また、VANそのものも、何といいましても、第一種電気通信事業、インフラストラクチャーを構築する電気通信ネットワークが高度に構築されていることが前提でございますけれども、これを利用するVANというものは、今後の社会経済活動の効率化というものに大きな影響を与えるものだと思っている次第でございます。  それで、郵政省としては、それでは具体的にどうするかということでございますが、今後VANというものがどのように発展を遂げていくかということですが、まず一つとしては、発注とか受注、そういったものが、個別の業務通信ニーズ、こういったものを中心にいたしまして、それぞれ特性のあるVANというものが多数できてくるのではないかと思うのでございます。そうしますと、VANが多数できますと、今度はVANとVANとの間の相互接続ということが問題になってくる。したがって、もしこれがうまくまいりませんと、利用者は多数のVANに加入しなければならないということで、かえってむだな投資を余儀なくされるというようなことができるということになりますと、この現象はやはり好ましい現象ではないところか、弊害が生じてくるということになろうと思います。そこで、やはり省といたしましては、VAN同士がつながるとか相互に円滑な通信が行われるように、通信手段の標準化とか技術基準の開発というものを進めなければならないと思っております。これが一つでございます。  それからもう一つ大事なしとは、ユーザーがこのVANを発展する、VAN、VANといいましても、安心して使えなければ何にもならないわけでございまして、そういった意味で、ネットワークが災害等に対する耐久力があるとか、あるいは災害を受けた場合のバックアップ施設というものがすぐれるようにするというようなことを援助していく。そのためには、VAN全体に対してガイドラインというものを設けて、これを強制的な意味ではないのでございますけれども、政策誘導していくことが必要じゃないかと思っております。  また、そのほかVANサービスを開発するに当たりましては、やはり相当な設備投資も要りますので、金融とか税制面からの援助をどうすべきかということも当然考えるべきであろう、こう考えております。
  282. 左藤恵

    左藤委員 まだ幾つかお伺いしたいのですけれども、一つは電電公社が現在、三鷹で行っておられますいわゆるモデルシステムというものについて、俗にINS計画と言っておられますが、この計画はこの新会社においても引き続いて進められていくのじゃないかと思いますけれども、このことについてのお考え、それから電報なんですが、これは新会社に移行した場合、電報事業は新会社が提供義務を負うのであろうと思いますが、その提供義務がもしないとすれば、廃止しなければならないわけなんですが、この廃止するということについては、いろいろと問題があるのじゃないかと私は思います。要員の問題とかいろいろなこともあります。それと同時に、またそうした世の中の状況から見て、電報というのは廃止すべきかどうかという論議も、まず前提にしなければならないのじゃないかと思います。そして、現在、電子郵便というのを郵政の方でおやりになっておられる、これとの関係とかあるいはまた、キャプテンズのいろいろなものが進んでおりますが、こういったものを何か活用してやることができるのかどうか。ただ、電報そのものは現在、非常な、御承知のような大きな赤字を抱えておるわけでありまして、新会社におきましての経営をいろいろ圧迫する問題もありますので、この電報に対する考え方、どういうようにするかということ、この二点について、これは公社の方からお伺いいたしたいと思います。
  283. 真藤恒

    ○真藤説明員 まず、モデルの実験でございますが、これは私どもの技術的な要員の訓練の場というのはもちろんでございますが、本質的には、私どもがこれからお客を広げていくための一つの投資的なものでございまして、VANの、あるいはLANの、あるいは新しい通信設備の性能を、事業目的なり個人目的のためにフルにどうやったらうまい使い方ができるかという使い方の勉強を、実物にさわりながらやっていただくという一つのお客開拓のためのショーケースというふうに私どもは考えまして、これは私どもは経営形態変わりましても、当分の間続けてまいるつもりでおります。これによって新しい使い方というものが、いろいろお使いになる方々の知恵で開発されていくという開発の場を提供するというふうに考えておる次第でございます。  それから、今の電報の問題でございますが、今、赤字だからといって、これをすぐどうのこうのというふうなことを言うべき立場に、私どもは立っておらぬわけでございまして、これはやはり続けていかざるを得ない。しかしながら、このままでは、今、御指摘がございましたように、大きな赤字を抱えておりますので、まず電報のやりとりをする機械的な設備というものを新しく入れかえると同時に、その電報のハンドリングのソフト、いわゆる手順なり方法というものを根本的に見直して、現在よりもずっと少ないコストで電報の御要求に応じ得るような形に変換しつつございます。それとディジタル化が進むに従いまして、今までの片仮名電報でよりももっといい記録通信というものも十分考えられますので、そういうものも総合いたしまして、この電報というものの御要求が世の中にある限り持っていこうというふうに考えておるわけでございます。今、具体的にいろいろ問題になっておりますのは、電報の配達のあり方、郵政委託のあり方というものがいろいろ国会でも問題が出ておりますが、この面につきましては、今、郵政の御当局といろいろこれの合理化について打ち合わせをしていただいて、大体合理的なところに合理的な形におさまりがつきそうな形になってまいりましたので、そういうこともやりながらできるだけ早くこれを、事業をふやすということとコストを下げるということで、できるだけ早くこの赤字を解消していくというふうにしようとして今、努力している次第でございます。
  284. 左藤恵

    左藤委員 もう時間が参りましたので、最後に大臣に一言だけお伺いしておきたいと思います。  御承知のように、今ニューメディアの出現ということでいろいろ世の中が騒がれております。INSの先ほどのお話、それからキャプテンズ、双方向のテレビ、CATVあるいは衛星通信とか光ファイバー、新しいメディアが次々と出てまいっております。そして国民もそうした問題について乗りおくれまいとするのでしょうか、いろんな多様なニーズというものがそこに生まれてくるだろうと思います。ただ、そのとき大切なことは、そうしたサービスというものが安定して続けられていくということがなかったならば、国民はそうしたものを、せっかく飛びついてきましても、利用ができなかったりいろいろなことで中途半端な形になってしまうということについては非常に心配を持つのは当然ではございます。またさらに二重投資になるとかいうふうなことになっても困るわけであります。  そういう意味で、単にいろんな宣伝に迷わされたり何かする、判断をすることにつきましても、私は非常に困惑しておるような問題もたくさんあろうと思います。こういった問題を含めまして、郵政省としても今後の一つの方向というようなものを国民に対して親切な説明をしていく必要があるのではないか。この電電改革三法案も今後の高度情報社会の形成に向けて一つの画期的な意義を持つ法案であると考えますけれども、現実にそういった制度を運営するのは行政であるわけでありまして、通信行政の所管大臣としてどういったお考えで今後国民のための行政というものを運営をしていったらいいかということについて御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  285. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のとおりに電電改革三法案は、ある人の言葉をかりれば百年に一度あるかないかというような大変な大法案でございます。我が国の国内だけではなくて世界も注目しておもという改革法案でもございます。それだけ先導的な高度情報社会構築のための一つの入口にも来ておるわけでございますが、最近の論議あるいははしゃぎ方を見ておると、多彩なニューメディアによって国民の生活があしたにもぱっと花が開いて豊かになっていくような錯覚も持っておることも事実でございます。  確かに私たちは今日の通信技術の、まさに日進月歩というような技術革新によってあらゆる可能性が出てまいったことは事実でございます。そして今度の改革三法案によってそういった競争原理の導入、民間開放、いろいろな形のメディアが私たちの生活に影響してまいると思います。しかしここで忘れてならないことは、それらのニューメディアが究極的には国民の生活を豊かにすると同時に、人間性を喪失しないように、人間性が尊重される社会が私たちの政策目標でもあるということでございます。ですから新会社設立によって競争原理が働いて、そのことによって国民により安い料金体制、そしてより質の高いメディアのサービスが還元されてこなければ今日の三改革法案の意義はないと思っております。  私は、率直に言わしていただくならば、今まで高速交通体系、道路によって我が園の動脈の体制は整いつつあります。しかし今度の通信改革は、まさに国の神経系統に当たるこの通信改革によって、もっと極端に言えば高度な電気通信網を構築する、つまりディジタルサービスのネットをつくり上げることによって日本の列島改造を試みようとする壮大な一つの法案の理想目標でもあろうかと思います。つまり情報格差のない、文化格差のない日本をつくり上げる。しかもそれを高度の通信ネットワークによって形成するということであります。  しかし基本は、目指すポリシーと申しますか、私たちがこの政策を実現していく究極の目標は、人間性が尊重される豊かな社会でなければならないということであろうかと思います。今後こういった面で三法案改革に伴っての御審議を願っている法案審議の成果を待ってこの政策が実現されることになりますれば、このような行政理念のもとにあくまでも公正な競争によって国民にサービスを還元して、国民が豊かな形でそれを享受できるような方向に持っていくことに全力を挙げてまいるつもりでございます。
  286. 左藤恵

    左藤委員 終わります。
  287. 志賀節

    志賀委員長 これにて左藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会      ――――◇―――――