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1984-05-17 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十七日(木曜日)     午前十一時六分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 守良君       額賀福志郎君    原 健三郎君       渡辺 紘三君    伊藤 忠治君       中村 正男君    松前  仰君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       永江 一仁君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   松前  仰君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     松前  仰君 五月十日  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号)  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案内閣提出第八〇号) 同月十一日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願林義郎紹介)(第四六八九号)  同(若林正俊紹介)(第四六九〇号) 同月十二日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願佐藤誼紹介)(第四九一三号)  同(田邊誠紹介)(第四九一四号)  同(松沢俊昭紹介)(第四九一五号)  同(山中末治紹介)(第四九一六号) 同月十四日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願工藤巖紹介)(第五一七二号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第五一七三号)  同(池端清一紹介)(第五三五三号)  同(福家俊一紹介)(第五三五四号) 同月十五日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願瓦力紹介)(第五四八二号)  同(野間友一紹介)(第五四八三号)  日本電信電話公社制度の存続に関する請願(林百郎君紹介)(第五五七六号)  同(梅田勝紹介)(第五七九一号)  同(工藤晃紹介)(第五七九二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第五七九三号)  同(松本善明紹介)(第五七九四号)  日本電信電話公社制度改革に関する請願外一件(阿部昭吾紹介)(第五七八八号)  同(江田五月紹介)(第五七八九号)  同(菅直人紹介)(第五七九〇号) 同月十六日  日本電信電話公社制度改革に関する請願阿部未喜男君紹介)(第五八三六号)  同(天野等紹介)(第五八三七号)  同(網岡雄紹介)(第五八三八号)  同(五十嵐広三紹介)(第五八三九号)  同(井上泉紹介)(第五八四〇号)  同(井上一成紹介)(第五八四一号)  同(井上普方紹介)(第五八四二号)  同(伊藤茂紹介)(第五八四三号)  同(伊藤忠治紹介)(第五八四四号)  同(池端清一紹介)(第五八四五号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五八四六号)  同(稲葉誠一紹介)(第五八四七号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五八四八号)  同(上田卓三紹介)(第五八四九号)  同(上田哲紹介)(第五八五〇号)  同(上野建一紹介)(第五八五一号)  同(上原康助紹介)(第五八五二号)  同(小川国彦紹介)(第五八五三号)  同(小川省吾紹介)(第五八五四号)  同(小川仁一紹介)(第五八五五号)  同(小澤克介紹介)(第五八五六号)  同(大出俊紹介)(第五八五七号)  同(大原亨紹介)(第五八五八号)  同(岡田利春紹介)(第五八五九号)  同(岡田春夫紹介)(第五八六〇号)  同(奥野一雄紹介)(第五八六一号)  同(加藤万吉紹介)(第五八六二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五八六三号)  同(金子みつ紹介)(第五八六四号)  同(上西和郎紹介)(第五八六五号)  同(川崎寛治紹介)(第五八六六号)  同(川俣健二郎紹介)(第五八六七号)  同(河上民雄紹介)(第五八六八号)  同(河野正紹介)(第五八六九号)  同(木島喜兵衛紹介)(第五八七〇号)  同(木間章紹介)(第五八七一号)  同(串原義直紹介)(第五八七二号)  同(小林進紹介)(第五八七三号)  同(小林恒人紹介)(第五八七四号)  同(兒玉末男紹介)(第五八七五号)  同(後藤茂紹介)(第五八七六号)  同(上坂昇紹介)(第五八七七号)  同(左近正男紹介)(第五八七八号)  同(佐藤観樹紹介)(第五八七九号)  同(佐藤敬治紹介)(第五八八〇号)  同(佐藤徳雄紹介)(第五八八一号)  同(佐藤誼紹介)(第五八八二号)  同(沢田広紹介)(第五八八三号)  同(渋沢利久紹介)(第五八八四号)  同(島田琢郎紹介)(第五八八五号)  同(嶋崎譲紹介)(第五八八六号)  同(清水勇紹介)(第五八八七号)  同(城地豊司紹介)(第五八八八号)  同(新村勝雄紹介)(第五八八九号)  同(新村源雄紹介)(第五八九〇号)  同(鈴木強紹介)(第五八九一号)  同(関晴正紹介)(第五八九二号)  同(関山信之紹介)(第五八九三号)  同(田中克彦紹介)(第五八九四号)  同(田中恒利紹介)(第五八九五号)  同(田邊誠紹介)(第五八九六号)  同(田並胤明君紹介)(第五八九七号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第五八九八号)  同(高沢寅男紹介)(第五八九九号)  同(竹内猛紹介)(第五九〇〇号)  同(竹村泰子紹介)(第五九〇一号)  同(武部文紹介)(第五九〇二号)  同(戸田菊雄紹介)(第五九〇三号)  同(土井たか子紹介)(第五九〇四号)  同(富塚三夫紹介)(第五九〇五号)  同(中西績介紹介)(第五九〇六号)  同(中村茂紹介)(第五九〇七号)  同(中村重光紹介)(第五九〇八号)  同(中村正男紹介)(第五九〇九号)  同(永井孝信紹介)(第五九一〇号)  同(野口幸一紹介)(第五九一一号)  同(馬場昇紹介)(第五九一二号)  同(浜西鉄雄紹介)(第五九一三号)  同(日野市朗紹介)(第五九一四号)  同(広瀬秀吉紹介)(第五九一五号)  同(藤田高敏紹介)(第五九一六号)  同(細谷昭雄紹介)(第五九一七号)  同(細谷治嘉紹介)(第五九一八号)  同(堀昌雄紹介)(第五九一九号)  同(前川旦紹介)(第五九二〇号)  同(松浦利尚君紹介)(第五九二一号)  同(松沢俊昭紹介)(第五九二二号)  同(松前仰君紹介)(第五九二三号)  同(水田稔紹介)(第五九二四号)  同(武藤山治紹介)(第五九二五号)  同(村山喜一紹介)(第五九二六号)  同(村山富市紹介)(第五九二七号)  同(元信堯君紹介)(第五九二八号)  同(森井忠良紹介)(第五九二九号)  同(森中守義紹介)(第五九三〇号)  同(八木昇紹介)(第五九三一号)  同(矢山有作紹介)(第五九三二号)  同(安井吉典紹介)(第五九三三号)  同(安田修三紹介)(第五九三四号)  同(山口鶴男紹介)(第五九三五号)  同(山下洲夫君紹介)(第五九三六号)  同(山中末治紹介)(第五九三七号)  同(山花貞夫紹介)(第五九三八号)  同(山本政弘紹介)(第五九三九号)  同(湯山勇紹介)(第五九四〇号)  同(横江金夫紹介)(第五九四一号)  同(横山利秋紹介)(第五九四二号)  同(吉原米治紹介)(第五九四三号)  同(和田貞夫紹介)(第五九四四号)  同(渡部行雄紹介)(第五九四五号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第五九四六号)  同(渡辺三郎紹介)(第五九四七号)  同(辻一彦紹介)(第五九四八号)  同(網岡雄紹介)(第六一〇〇号)  同(伊藤茂紹介)(第六一〇一号)  同外二件(伊藤忠治紹介)(第六一〇二号)  同(池端清一紹介)(第六一〇三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第六一〇四号)  同(上田哲紹介)(第六一〇五号)  同(小川国彦紹介)(第六一〇六号)  同外一件(小川省吾紹介)(第六一〇七号)  同外二件(小川仁一紹介)(第六一〇八号)  同(岡田利春紹介)(第六一〇九号)  同外一件(奥野一雄紹介)(第六一一〇号)  同(加藤万吉紹介)(第六一一一号)  同(上西和郎紹介)(第六一一二号)  同(川崎寛治紹介)(第六一一三号)  同外一件(川俣健二郎紹介)(第六一一四号)  同(河野正紹介)(第六一一五号)  同(木島喜兵衛紹介)(第六一一六号)  同(木間章紹介)(第六一一七号)  同(串原義直紹介)(第六一一八号)  同(小林進紹介)(第六一一九号)  同(兒玉末男紹介)(第六一二〇号)  同(左近正男紹介)(第六一二一号)  同(佐藤観樹紹介)(第六一二二号)  同外一件(佐藤敬治紹介)(第六一二三号)  同外一件(佐藤徳雄紹介)(第六一二四号)  同(佐藤誼紹介)(第六一二五号)  同(沢田広紹介)(第六一二六号)  同(島田琢郎紹介)(第六一二七号)  同(嶋崎譲紹介)(第六一二八号)  同(清水勇紹介)(第六一二九号)  同(新村勝雄紹介)(第六二二〇号)  同外一件(新村源雄紹介)(第六一三一号)  同(田邊誠紹介)(第六一三二号)  同(田並胤明君紹介)(第六一三三号)  同外一件(高沢寅男紹介)(第六一三四号)  同(竹内猛紹介)(第六一三五号)  同(竹村泰子紹介)(第六一三六号)  同(土井たか子紹介)(第六一三七号)  同(富塚三夫紹介)(第六一三八号)  同(中西績介紹介)(第六一三九号)  同(中村重光紹介)(第六一四〇号)  同外一件(中村正男紹介)(第六一四一号)  同(野口幸一紹介)(第六一四二号)  同(馬場昇紹介)(第六一四三号)  同(日野市朗紹介)(第六一四四号)  同(細谷昭雄紹介)(第六一四五号)  同(細谷治嘉紹介)(第六一四六号)  同外二件(堀昌雄紹介)(第六一四七号)  同(前川旦紹介)(第六一四八号)  同外二件(松浦利尚君紹介)(第六一四九号)  同(松前仰君紹介)(第六一五〇号)  同(水田稔紹介)(第六一五一号)  同外一件(武藤山治紹介)(第六一五二号)  同(村山喜一紹介)(第六一五三号)  同(村山富市紹介)(第六一五四号)  同(元信堯君紹介)(第六一五五号)  同(矢山有作紹介)(第六一五六号)  同(安井吉典紹介)(第六一五七号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第六一五八号)  同(山下洲夫君紹介)(第六一五九号)  同(山中末治紹介)(第六一六〇号)  同(山本政弘紹介)(第六一六一号)  同(湯山勇紹介)(第六一六二号)  同(横江金夫紹介)(第六一六三号)  同(横山利秋紹介)(第六一六四号)  同(和田貞夫紹介)(第六一六五号)  同(渡部行雄紹介)(第六一六六号)  同(渡辺三郎紹介)(第六一六七号)  同(浅井美幸紹介)(第六一六八号)  同(新井彬之君紹介)(第六一六九号)  同(有島重武君紹介)(第六一七〇号)  同(池田克也紹介)(第六一七一号)  同外一件(石田幸四郎紹介)(第六一七二号)  同(遠藤和良紹介)(第六一七三号)  同(小川新一郎紹介)(第六一七四号)  同外一件(大久保直彦紹介)(第六一七五号)  同(岡本富夫紹介)(第六一七六号)  同外一件(長田武士紹介)(第六一七七号)  同(貝沼次郎紹介)(第六一七八号)  同(神崎武法紹介)(第六一七九号)  同外一件(草川昭三紹介)(第六一八〇号)  同(小谷輝二君紹介)(第六一八一号)  同(駒谷明紹介)(第六一八二号)  同外一件(権藤恒夫紹介)(第六一八三号)  同外一件(斉藤節紹介)(第六一八四号)  同外一件(斎藤実紹介)(第六一八五号)  同(坂井弘一紹介)(第六一八六号)  同(坂口力紹介)(第六一八七号)  同(柴田弘紹介)(第六一八八号)  同(鈴切康雄紹介)(第六一八九号)  同(竹内勝彦紹介)(第六一九〇号)  同外一件(武田一夫紹介)(第六一九一号)  同(玉城栄一紹介)(第六一九二号)  同(鳥居一雄紹介)(第六一九三号)  同(中川嘉美紹介)(第六一九四号)  同外一件(中村巖紹介)(第六一九五号)  同(西中清紹介)(第六一九六号)  同外一件(橋本文彦紹介)(第六一九七号)  同(春田重昭紹介)(第六一九八号)  同外一件(日笠勝之紹介)(第六一九九号)  同(平石磨作太郎紹介)(第六二〇〇号)  同(福岡康夫紹介)(第六二〇一号)  同外一件(伏木和雄紹介)(第六二〇二号)  同外一件(二見伸明紹介)(第六二〇三号)  同外一件(古川雅司紹介)(第六二〇四号)  同外一件(正木良明紹介)(第六二〇五号)  同(水谷弘紹介)(第六二〇六号)  同外一件(宮崎角治紹介)(第六二〇七号)  同(宮地正介紹介)(第六二〇八号)  同(森田景一君紹介)(第六二〇九号)  同(森本晃司紹介)(第六二一〇号)  同外一件(矢追秀彦紹介)(第六一二一号)  同(矢野絢也君紹介)(第六二一二号)  同外一件(吉井光照紹介)(第六二一三号)  同外一件(吉浦忠治紹介)(第六二一四号)  同(渡部一郎紹介)(第六二一五号)  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関する請願外一件(城地豊司紹介)(第六〇九八号)  同外三件(山本政弘紹介)(第六〇九九号)  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願福岡康夫紹介)(第六二五二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  電電公社改革に関する陳情書(第二八三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本電信電話株式会社法案内閣提出第七二号)  電気通信事業法案内閣提出第七三号)  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案内閣提出第八〇号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題とし、順次、政府から提案理由の説明を聴取いたします。奥田郵政大臣。     —————————————  日本電信電話株式会社法案  電気通信事業法案  日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の   施行に伴う関係法律整備等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 奥田敬和

    奥田国務大臣 日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  初めに日本電信電話株式会社法案につきまして申し上げます。  この法律案は、今後における社会経済進展及び電気通信分野における技術革新等に対処するため。日本電信電話公社を改組して日本電信電話株式会社を設立し、事業公共性に留意しつつ、その経営の一層の効率化活性化を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一に、日本電信電話株式会社は、国内電気通信事業経営することを目的とする株式会社であるとしております。  また、会社は、国内電気通信事業を営むほか、郵政大臣認可を受けて、これに附帯する業務その他会社目的を達成するために必要な業務を営むことができることとしております。  第二に、会社の責務といたしまして、会社は、その事業を営むに当たっては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話役務を適切な条件で提供することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与するとともに、今後の社会経済進展に果たすべき電気通信役割重要性にかんがみ、電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究の推進並びにその成果の普及を通じて我が国電気通信の創意ある向上発展に資するよう努めなければならないこととしております。  第三に、会社株式につきましては、政府は、常時、会社発行済み株式総数の三分の一以上の株式を保有していなければならないこととしております。  また、政府の保有する会社株式処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならないこととしております。  なお、外国人及び外国法人等は、会社株式を保有することができないこととしております。  第四に、新株発行、取締役及び監査役選任等決議定款変更等決議事業計画、それに重要な設備譲渡につきましては、郵政大臣認可を受けなければならないものとする等会社の監督について所要規定を設けることとしております。  第五に、郵政大臣は、新株発行定款変更等決議事業計画、重要な設備譲渡について認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならないこととしております。  第六に、附則において、政府は、会社の成立の日から五年以内に、この法律施行状況及びこの法律施行後の諸事情の変化等を勘案して会社のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることを定めるとともに、会社の設立及び日本電信電話公社の解散に関し所要経過措置等を定めることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、日本電信電話公社法等廃止及びこれに伴う経過措置規定は、昭和六十年四月一日から施行することとしております。  次に、電気通信事業法案につきまして申し上げます。  電気通信事業は、国民生活及び国民経済維持発展に必要不可欠な電気通信役務提供する事業であって、極めて高い公共性を有するため、我が国においては、これまで一貫して、国または公共企業体等による一元的運営体制をとってまいりました。特に、戦後におきましては、戦争により荒廃した電気通信設備を速やかに復興し、電話需要の急激な増大に対処するため、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社を設立し、六次にわたる電信電話拡充計画に基づき鋭意電気通信網整備拡充に努め、昭和五十三年三月には、加入電話の積滞解消、翌五十四年三月には電話全国自動即時化を達成いたしました。この二大目標の達成によって、我が国は、世界でも有数の通信先進国たる地位を確立するとともに、この間、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社国民生活向上及び国民経済発展に対し多大な貢献を果たしてまいりました。  しかしながら、近年、電気通信技術発展に伴い、新しい通信メディアが次々と実用化されるとともに、電気通信役務に対する国民需要も著しく高度化、多様化しつつあり、単一の事業体では適切に対応することが次第に困難となりつつあります。  他方、今日の我が国は、工業化社会から高度情報社会へ向けて大きな時代の転換期を迎えようとしております。こうした中で今後の電気通信事業は、個人、家庭、企業行政機関等社会のあらゆる構成員相互に結ぶ全国的多層的な電気通信ネットワークの構築を通じて、豊かな国民生活の実現、産業経済活性化及び地域社会自立的発展を達成するため、社会先導的な役割を果たすことが期待されております。  政府といたしましては、電気通信事業を取り巻くこのような諸情勢の変化を踏まえつつ、二十一世紀へ向け高度情報社会を形成していくためには、その基盤的役割を担う電気通信分野競争原理を導入することにより、電気通信事業の一層の効率化活性化を図ることが不可欠であると考え、これまでの公衆電気通信法にかわるものとして、新たに競争原理民間活力を生かした電気通信事業法案を提出いたした次第であります。  次に、法律案概要を御説明申し上げます。  その内容の第一は、総則的事項といたしまして、電気通信事業者が取り扱う通信の秘密の保護、検閲の禁止を規定するとともに、利用の公平及び重要通信確保について定めております。  第二に、電気通信事業を、みずから電気通信回線設備を設置して電気通信役務提供する第一種電気通信事業と、第一種電気通信事業者から電気通信回線設備提供を受けて電気通信役務提供する第二種電気通信事業とに区分しております。  このうち、第一種電気通信事業につきましては、電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと等、事業安定性確実性確保するため、事業開始郵政大臣許可に係らしめております。また、その料金については、国民生活国民経済に重大な影響を及ぼすものでありますので、利用者にとって適切なものであるよう認可に係らしめております。このほか、第一種電気通信事業につきましては、国民がひとしくその電気通信役務を享受することができるよう業務区域における提供義務を課すとともに、第一種電気通信事業者間の相互接続についても確保することとしております。  また、第二種電気通信事業につきましては、多種多様な通信需要に応じた電気通信役務提供が想定される分野でありますので、原則として届け出で事業開始できることとしております。ただし、特別第二種電気通信事業、すなわち、不特定多数を対象とする全国的基幹的な事業及び外国との間の事業につきましては、その社会的経済的重要性にかんがみ、適切な業務運営が行われるよう、事業開始郵政大臣の登録に係らしめております。  第三に、第一種電気通信事業及び特別第二種電気通信事業につきましては、事業を営む上で最も基本となる電気通信設備について、国が一定技術基準を定め、良質かつ安定的な電気通信役務提供確保するとともに、端末設備については、円滑な電気通信が行われるよう一定技術基準を定めた上で、利用者が自由に設置できることとしております。さらに、電気通信設備がこれらの技術基準に適合することを担保するため、電気通信主任技術者及び工事担任者に関する規定を設けております。  第四に、第一種電気通信事業において事業遂行上必要となる土地の利用等について所要措置を講ずることといたしております。  第五に、郵政大臣事業許可料金認可等この法律に基づく重要な処分をしようとする場合には、審議会に諮り、その決定を尊重してこれをしなければならないことといたしております。  第六に、附則において、政府は、この法律施行の目から三年以内に、この法律施行状況についての検討を加え、必要な措置を講ずるものといたしております。  その他所要措置を講ずることといたしております。  この法律施行期日は、昭和六十年四月一日といたしております。  次に、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、申し上げます。  この法律案は、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴い、関係法律廃止及び改正を行うとともに、所要経過措置等を定めようとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず、日本電信電話株式会社法施行に伴うものといたしましては、電信電話債券に係る需給調整資金の設置に関する臨時措置法を廃止するほか、関係法律の主な改正といたしまして、第一に、日本電信電話公社法の廃止に伴い、同法及び日本電信電話公社の名称を引用している関係法律について、引用部分の削除、名称の変更等所要の改正を行うこととしております。  第二に、日本電信電話公社が改組され日本電信電話株式会社となった後も、引き続き共済制度を適用することとし、これに伴い、関係法律について所要の改正を行うこととしております。  第三に、会社の労働関係については、労働三法によることとし、公共企業体等労働関係法は適用しないこととするとともに、調停に関する暫定的な特例措置を定めるため、関係法律について所要の改正を行うこととしております。  次に、電気通信事業法施行に伴うものといたしましては、電話設備費負担臨時措置法を廃止するほか、関係法律の主な改正といたしまして、第一に、公衆電気通信法廃止に伴い、同法及び同法中に規定されている公衆電気通信役務等の用語を引用している関係法律について、引用部分の削除、用語の変更等所要の改正を行うこととしております。  第二に、有線電気通信法及び電波法等の関係法律中、公衆電気通信業務の一元的運営を前提とする規定について所要の改正を行うこととしております。  まだい以上の関係法律廃止及び改正とあわせて、所要経過措置等を定めることとしております。  なお、この法律は、昭和六十年四月一日から施行することといたしております。  以上が日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案を提出いたしました理由及び内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 志賀節

    志賀委員長 以上で各案に対する提案理由の説明は終わりました。  各案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十二分散会      ————◇—————