○澤田
政府委員 金融の
自由化、先生御
指摘のように、今日の経済、金融環境の中で大変大きな問題として取り上げられております。金融革命とかあるいは金融革新と言われている今日でございます。大量の国債発行あるいは金融の
国際化というような中で、この金融の
自由化ということは避けられないわけでありますし、金利の
自由化というのも避けて通れないものであろうというふうに思います。特に現在におきましても自由金利商品といいますか、高利回りの従来の規制金利商品としての定期預金とか定額と違った商品というものが開発をされて、そちらの方に預貯金から資金がシフトしているという現象が起こっているわけであります。さらに、今後
状況を見ましても、例えば六十年度末には約三十兆ぐらいの期近国債、期近債が発行され、償還期限が一年あるいは二年というようなものが出てまいります。これが預貯金と競合する商品になることは間違いないであろう。また、こういったものを組み込んだ新しい商品というものも開発されるのではなかろうか。そうなってまいりますと、規制をそのままに置いておきますと、結局従来の預貯金からそちらの方に流れていくということが起こるわけであります。アメリカにおきましてもそういうようなことで金利の
自由化ということが行われたわけであります。
日本におきましてもそういう
状況というのがもう目の前にある
状況ではなかろうかと思うわけであります。
そういった中で、
自由化対応ということをいろいろ
議論はされておるわけでありますけれ
ども、個人の小口貯金については金利の
自由化というのは先送りであるというような
議論がとかく出がちでございます。私
どもといたしましては全貯蓄
自体が五百兆をちょっと超している中で小口の貯金というのは一体幾らであろうか、幾らを小口というかということも
議論はございましょうが、マル優あるいは
郵便貯金の三百万以下、こういった要するに非課税貯蓄部分だけとらえてみましても、
日本の場合は二百十兆円ぐらい現在ございます。したがいまして、相当大きなウエートを占めているわけであります。こういったものを放置をしておいて金利の
自由化が進められるのかということが私
どもとしては問題であろう。むしろ、放置をしておきますと金融機関からそういう小口の預貯金というものがよそへ逃げるわけでありますから、預金のない銀行というのは取りつけ騒ぎが起きざるを得ないという
状況になるわけでありまして、金融の秩序あるいは混乱を招かないためにも
郵便貯金も含めた小口預金の
自由化というものに対しては適切な対応を進めるべきであろう、こういうふうに思っているわけであります。
私
ども金利の
自由化に対応するに当たりまして、金利の
自由化という場合に金利は一体どうやって決めるかというのが一番の基本でございます。これはアメリカ等において既に昨年の十月に金利の
自由化が完成をいたしました。それを見ましても、各金融機関がそれぞれの市場実勢あるいは
コストあるいは営業政策というものを踏まえてそれぞれの金利を決めていくということでございまして、それぞれの金融機関が独自に決めるというのが金利のまさに
自由化でございまして、
郵便貯金もやはりそういった市場実勢というものを踏まえて金利を決めていくということが必要であろうと思っております。そのためには、私
どもの今入ってくる
収入源としては、資金運用部に全部預託をいたしておりまして、そこからの預託利率というもので支払い利子をお払いしているわけでありますから、そちらの方、出口の方を
自由化する、預金金利の方は
自由化する、しかし片方は閉じたままということではサイクルが回らないわけでありますので、入ってくる方も
自由化せざるを得ないということで、運用面の仕組みを、
郵便貯金の
経営に市場実勢を反映する仕組みをつくらなければならないであろうということで、実は本年度の
予算要求に当たりまして
郵便貯金で国債を持つ、要するに国債というのは市場実勢を今、反映している商品であるわけであります。また、
郵便貯金は国家資金という観点から見ましても、国債あるいは公共債というようなところに今後とも重点を置いたような形での運用ということが必要であろうと思うわけであります。そういう筋道をまずつくる、仕組みをつくるということによって金融の
自由化というものに
郵便貯金が対応する、また
郵便貯金が金利の
自由化に対応できなければ、まさに
日本の金利の
自由化というものは進まないであろうというふうに思うわけであります。また一面、
郵便貯金が
自由化に非常に邪魔になっているから
日本の金利の
自由化というのはそういうふうに進まないのだということをあるいは諸外国にもいろいろ宣伝しているような向きも実はうかがわれるわけでありますけれ
ども、これは私
どもはどうもいただけない
議論であるなと思うわけであります。そこで言われておりますのは、
自由化に当たっては
郵便貯金金利も一元的に決めるという仕組みをつくらなければできないのだということでありますけれ
ども、ただいま申し上げましたように、金利の
自由化というのは一元的に決めるということではなくして、まさにある
意味では多元化でありまして、
自由化についての取り違えというような
議論が横行しているとするならば、これは私
どもとしても本当の
意味での金利の
自由化というものに向かっての
努力を進めなければならないなというふうに
考えるわけであります。
自由化になりますれば確かに小口の金利というものが諸外国の例を見ましても規制金利の
時代よりも上がってまいります。ただ、お客さんとしては商品を選択する自由というものを得ると同時に、金融機関の方も
自由化の場合にはお客さんを選択する自由というものを持ち得るわけであります。したがいまして、必ずしも
自由化になれば小口の預金というものが優遇されっ放しであるというバラ色だけを私
どもは想定できないわけでありまして、そういう
意味で小口の貯金というものを専門に扱っている
郵便貯金といたしましても、今後の
自由化の中において小口の預貯金というものが十分保護され、また個人の金融活動の充実が図られるように今後とも十分対応してまいりたい、こういうふうに
考えております。