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1984-04-18 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十八日(水曜日)     午前十時十三分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 戸井田三郎君 理事 畑 英次郎君    理事 吹田  愰君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 守良君       渡辺 紘三君    阿部未喜男君       伊藤 忠治君    中村 正男君       松前  仰君    森中 守義君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 澤田 茂生君         郵政省簡易保険         局長      奥田 量三君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         郵政省人事局長 三浦 一郎君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙企画         課長      清水 眞金君         法務省人権擁護         局総務課長   堤  守生君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    関   収君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   前田 光治君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内勝彦君。
  3. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 最初に、テレトピア構想に関して若干質問させていただきます。  まず、このテレトピア構想目的を御答弁ください。
  4. 小山森也

    小山政府委員 テレトピア構想は、実用前提といたしまして双方向CATVキャプテンなどの通信インフラストラクチャーモデル都市に集中的に導入、集積することによりまして、ニューメディア家庭経済地域社会に及ぼす効果や影響、問題点実体験を通じて把握するということでございます。これによりまして制度的な諸問題、例えばCATV網公衆網とのアクセスの問題とか技術的ないろいろな課題、例えば端末機器標準化の問題であるとか経済的な問題、例えば家計における可処分所得に占める通信費の問題、こういったものについての対応策ニーズ対応したニューメディア普及方策を明らかにいたしまして、向かうべき高度情報社会のいろいろな課題を先取りして解決していこうということを目的とするパイロット的な構想でございます。
  5. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このテレトピア構想実現するには、まずどのような方策が講じられますか。
  6. 小山森也

    小山政府委員 モデル都市にまず第一にCATVの多目的利用を促進して地域に密着したサービスを行う高度情報通信システム構築を図るということをまずやる、CATVでございます。それからキャプテンサービスを先行的に実施するということでございます。それから第三に、地域INSいわゆるディジタル統合公衆通信網これを構築いたしまして、これを基盤としまして地域ニーズに合った個別システムをつくろうということ。それから東京モデル都市間に優先して光ファイバーによる幹線系高速ディジタル網構築する。それから五番目といたしまして、衛星通信を活用した通信ネットワーク構築する、こういったことを優先して、こういった都市システムを優先的に構築していこう、こういう考え方で進めていきたいと思っております。
  7. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このような各種ニューメディアを優先的に導入する地域を今後指定していくわけでございますが、文化都市あるいは工業都市、それから商業都市等さまざまなところから要望が来ていると思いますけれども、主にどのようなところからの要望があるか、主なもので結構でございます。特に私関西でございますので、関西地区は全部名前を挙げてみてください、とことこ来ておりますか。
  8. 小山森也

    小山政府委員 現在約百地域からの地域実態調書というのが提出されております。関西地区でございますけれども大阪府、兵庫県を初めとして六府県十六地域調書を提出しております。  詳しく申しますと、滋賀県では、大津市と草津市が一緒になりまして一つ地域として提出しております。京都では、関西文化学術研究都市、これは田辺精華町、それから木津町が一緒になりまして一つ地域でございます。それから中核関連都市としまして福知山、綾部、舞鶴、宮津が一地域で提出されております。大阪府では、大阪府と岸和田市でございます。それから兵庫県では、神戸市のポートアイランド及び六甲アイランドが一地域として出しております。また神戸市須磨二ユータウン及び西神戸ニュータウン、それから伊丹市、姫路市、北摂ニュータウン西播磨テクノポリス東播磨内陸学園都市というのが出ております。奈良県では、奈良市と十津川村でございます。和歌山県では、御坊周辺広域市町村圏組合田辺周辺広域市町村圏組合、以上でございます。
  9. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 今後このテレトピア構想推進するに当たりまして指定はいつごろ結論が出ますか。
  10. 小山森也

    小山政府委員 指定に至ります手順をまず申し上げますと、ただいま申し上げましたように地域実態調書が昨年末に各地方公共団体から出されておりまして、今後の取り運びとしましては、基本計画策定指針を五月中旬を目途に定めることにしております。これに基づきまして地域実態調書を御提出いただきました地方公共団体等は、この指針をもとに基本計画を策定して、八月から九月にかけてこれを郵政省に提出していただくことにしております。  さらに、本年秋を目途に最終的に省としての指定基準を定めるということにしておりますので、こういった基本計画指定基準に当てはめまして最終的に指定をするというのは五十九年度の後半、六十年一月から三月になるのではないかと考えております。
  11. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 今、各府県より要望の出ておるところを御説明いただきましたが、例えばニュータウンであるとかあるいはテクノポリスであるとか生活経済圏域、こういったものがございます。特に私考えるのですが、この関西文化学術研究都市、これは今、一応京都府がベースで、田辺町、精華町、木津町、ここが出しておりますけれども、御承知のとおり、この関西文化学術研究都市というものは、あの京阪奈丘陵にでき上がるものでございまして、京都それから大阪奈良地域としてはそういったものが関連がございます。そして、あとは学術都市ということでございますから、関西はもちろんのこと、全国学術面におきましての都市というものを理想的なものをつくり上げていこう、こういったことで取り組んでおるものでございますが、こういう学術研究都市としてのテレトピアめ指定をしてもらいたいという要望は、この関西学術研究都市以外にございますか。
  12. 小山森也

    小山政府委員 ちょっと私手元全国資料がございませんので、正確なお答えはできないのでございますが、これ以外、関西以外にも出ているはずでございます。手元資料がなくて正確なお答えができないことをお許しいただきたいと思います。
  13. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 では、どんなところが出ているか、後で教えてくれませんか。何カ所くらいありますか。
  14. 小山森也

    小山政府委員 研究学園型の地域全国で五地域でございます。
  15. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それではそれは一応各県が単位であるのか、あるいはそこの市があるいは町が単位であるのか、このように、関西文化学術研究都市のようにオール関西、そして地域としては京都大阪奈良、こういうようなかなり規模の大きなものでございますが、こういったものはほかの府県にございますか。
  16. 小山森也

    小山政府委員 市町村にわたっているのはございますけれども、県にまたがっているものは今、先生が御指摘いただいた地域だけでございます。
  17. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 郵政大臣、この関西文化学術研究都市は、要望の出ている中でも、今申し上げましたように、特に文化学術面で重要な地域であるということにかんがみまして、このテレトピア指定都市として関西から今多くのものが出ておりますけれども、その中にありましても、恐らく関西の人、全国人たちがぜひモデル都市としてのテレトピア構想がこの関西文化学術研究都市におきまして実現できるよう望んでいるやに伺っておりますけれども大臣としてはテレトピア指定都市に、この関西文化学術研究都市というものをどのように位置づけておりますか、御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 奥田敬和

    奥田国務大臣 大阪京都奈良の三府県知事から実は私の方にも強い御要望があることは事実でございます。一つモデル型としてはいろいろな構想考えておるわけでございますけれども学園研究型という形になれば非常に有力な候補地一つでもあろうかと思います。ただし、今、私的な諮問機関でございますけれども、相当有力なその方面の学識経験者も含む皆さん方選定基準一つの物差しをつくっていただいている過程でもございますので、今私からどんぴしゃりという形でお答えすることは、そういった手前も含めましてただいまのところこれ以上の意見は差し控えさしていただきたいと思います。
  19. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このテレトピア構想実現していくに当たりましては、地域INSを主に使い、そしてまた双方向CATV普及等々あるいはキャプテン、こういったものも含めてどうしても民間との協力というものが重要なものになってくるんではないか、こう思いますが、その民間との協力分野というものはどうなっておりますか。
  20. 小山森也

    小山政府委員 先生指摘のとおりに、この構想というのはいわゆる補助金主導構想と異なっている発想でございまして、国と地方公共団体民間企業、こういったものが三位一体となりませんと成功しないのではないか、こう考えております。したがいまして、民間との関係をどのように考えていくかということが一番の焦点になるわけでございます。したがいまして、テレトピア構想推進に当たりまして、私ども国だけの考えではなしに、方々民間の御意見を入れるということで、テレトピア協力機関連絡会というのをつくっておりまして、これらの方々から、民間活力導入のためにはこういうことが必要であるというような具体的な御意見をいろいろ合いただいているところでございます。  想定されますところの民間からの御協力でございますけれども、これは一つVAN、それから双方向CATVというようなものは事業主体として民間が出ていただかなければならないと思っております。それからいわゆるディジタル統合網、これを基盤としたアプリケーションレベルのデータ通信システム、これも構築する方としてはやはり民間であり、またさらにビデオテックスであるところのキャプテンシステム導入するといたしますならば、そこの情報提供者、これも民間方々の御協力がなければできないということでございまして、そういった面での御協力をいただくように、今それぞれの部門において御理解を深めるように努力しているところでございます。
  21. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この構想というものは、電電公社INSあるいはニューメディアにおける、今、話がありましたVANキャプテン双方向CATV、そういった情報産業、そういったものが普及していかなければなりませんし、その中で、現在国会へ提出されておる電電民営化に伴う三法、こういったものに関連して、この法案が成立した上での仮定でのこういう構想を持っておるのか、あるいは今、民間との話がございましたけれども、この電電民営化の三法とは何ら関係なく進めていくのか、その点を御説明ください。
  22. 小山森也

    小山政府委員 先ほども御説明申し上げましたとおり、この構想問題点実体験を通じて把握して、来るべき高度情報化社会のいろいろな課題を先取りしていこう、先取りした上で解決を図るべきものは解決を図っていくということを目的としております。したがいまして、現在の法制度においてもこの構想はできるわけでございまして、いわゆる法改正ができなくても可能でございます。  しかしながら、電電改革関連法案が成立した場合には、いろいろ多元的な電気通信事業者の参入が可能となりますので、より多様な実現を図ることはできるであろう。より魅力的なものになるではあろうと思いますが、現在の法制度でもできるものでございます。
  23. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 通産省にお伺いします。  去る四月十六日の通産局長会議で、情報モデル都市構想に関して、それぞれの地域にふさわしい情報システムの青写真をつくる作業に取りかかることを明らかにしましたけれども、内容はどういうことでございますか。
  24. 関収

    関説明員 先生指摘のとおり、私どもは、俗称ニューメディアコミュニティー構想というのを今、進めさせていただいているわけでございますが、先生指摘のニュースも恐らくそれに関連しての大臣の御発言の関係かと思いますので、ニューメディアコミュニティー構想について最初に御説明申し上げたいと思うわけでございます。  先生御案内のとおり、最近の技術開発の促進、推進ということによりまして、情報処理技術あるいは通信技術が大変大きく前進をいたしたわけでございます。そこで、一九八〇年代以降におきましては、この情報処理技術通信技術とを結合いたしまして各種の問題に対応していくということが技術的に可能になってきた、こう言われておるわけでございます。俗に、私ども、そういった形での対応の仕方について、ニューメディアといったような言葉を使っておるわけでございます。しかしながら、実際、このニューメディアを活用いたしまして産業の問題あるいは社会地域の問題あるいは家庭生活の問題、こういったものはどう解決していくかという、いわばアプリケーションの問題ということになりますと、実態におきましては、例えば、実験室レベルで極めて小規模に行われておる例はございますが、そういった技術的な可能性を実際に応用するということになりますと、なお解決すべき課題が山積をいたしておるわけでございます。そこで、私ども産業界あるいは地域社会あるいは家庭におきます各種ニーズの発掘から出発をいたしまして、それと技術的な可能性とをどう結びつけて問題の解決に当たっていくか、それによって私どもにとって本当にプラスとなるような高度情報化社会実現へ向けてどういうステップをとっていくか、こういうことについていろいろ検討いたしたいと思っておるわけでございますが、私ども考えておりますニューメディアコミュニティー構想は、例えば一つコミュニティーをとりましても、いろいろなパターンなりタイプがございます。そのタイプ特色に応じた幾つかのモデルにつきまして、ニーズから出発し、このニューメディアというものをどう活用して問題の解決に当たっていくかということについて試みをしてみようというのがニューメディアコミュニティー構想でございます。  具体的には、このニューメディアコミュニティー構想推進に当たりまして、地元におきますニーズ調査から出発をいたすということになっておりますので、五十九年度予算におきまして、その調査費の計上をお願いいたしたわけでございますが、幸い、先週予算の御承認もいただきましたので、これから具体的な調査活動及びその前提となる地域選定作業に入るという趣旨でございます。
  25. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 郵政省は、この通産省が提示しておる新しい情報モデル都市構想について、郵政省としてはどんな連携がとれたのですか。
  26. 小山森也

    小山政府委員 具体的に通産省連携をとるということは今現在いたしておりません。しかしながら、私ども郵政省考えているのは、いわゆる何といいますか、通信インフラストラクチャー社会基盤、これを構築するところに重点がございまして、それと同時に、実験ではなしに実用ということから実体験を通すというところに私ども重点を置いております。  したがいまして、これらは相違点はあるわけでございまして、通産省の方はむしろ、それを使っていかにして利用者の立場でモデル情報システム構築を図るようにするかというアプローチの仕方が違うと思います。ただしかしながら、相違点を踏まえた上で構想を進めることとなるのですけれども、やはり通産省と私ども、お互いに本構想を理解し合って、ニューメディアコミュニティーというものとテレトピアというものが協力し合うということが大事なことだろうと思っております。
  27. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 通産省にもう一度お伺いしておきますが、郵政省としては、このテレトピアとの面で連携をとっていくことがベターじゃないかというお考えでございますが、通産省としてはどうですか。この郵政省テレトピア構想は今、指定は本年度末ということで進んでいますね。だが、通産省のこのニューメディア情報モデル都市構想、こういったものはいよいよこれからスタートするわけでございますが、どんな連携をとるつもりですか。
  28. 関収

    関説明員 ただいま小山局長からも御答弁されましたように、郵政省さんの構想もそれから私ども構想も、この高度情報化社会というものを我々にとっていかにプラスになるようなものに持っていくかというねらいにおいては全く一致をいたしておると思うわけでございます。その場合に、インフラストラクチャーからのアプローチと、それから私どもニーズからのアプローチということでございますが、いずれ目指すところは一緒でございますので、今後郵政省さんともいろいろ連携をとりながら構想を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一度確認しておきますが、テレトピア構想は恐らく、これで本年度末に指定までされて、その都市というものが決まっていくでしょう。そうすると、テレトピアで決まったとこるには通産省さんは、このニューメディア情報モデル都市構想はそっちへは入っていかない、こういう考えでいいのですか。
  30. 関収

    関説明員 先ほどちょっと御答弁申し上げましたように、私どもニューメディアコミュニティー構想におきましては、五十九年度におきまして、非常に典型的なそれぞれのコミュニティーパターンごとニーズ調査、それからそこに新しいニューメディアを活用したシステム構築する場合の概念設計ということを実施をいたすということにいたしておるわけでございます。  それに関連した今後のスケジュールといたしましては、この地域選定、あるいはニューメディアコミュニティーのいわば概念につきまして整理をいたすために委員会を設置をいたすということにいたしておりまして、私どもの現在の予定では、その委員会におきまして概念設計あるいは地域選定をお願いいたしまして、でき得れば七月あるいは八月ごろから具体的なパターンごとニーズ調査に着手をしたい、かように考えておるわけでございます。  その場合に、その地域が重複することがあり得るかどうかということでございますが、現在のところ、これからそういった委員会にお願いいたしまして、具体的なコミュニティーパターンあるいは地域選定という作業に入りますので、現段階では何とも申しかねるという状況でございます。
  31. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 私は、目指すものは同じということから、これがもしも二重投資、片やテレトピア、片やニューメディアコミュニティーというもので両面でぶつかり合ったときには、その都市は果たしていいのか悪いのかよくわかりませんが、そういうものがあるのと、いやそうじゃない、テレトピアは先に進んでいるからテレトピア以外のところで考えていきますよというのとでは、全然違ってくると思うのですよ。この点で、はっきりさしてください。
  32. 関収

    関説明員 私どもの共通のねらいと申しましたのは、いわば、ニューメディアを我々の社会のあらゆる面にうまく活用するような体制をつくっていくことが最終目標でございます。しかしながら、このニューメディアコミュニティー構想におきましては、直ちに全国一円にそういう実用化という段階までいくことは、まだいろいろ解決すべき問題もございますので、我が国にございますいろいろなタイプコミュニティーにつきまして、代表的な例について、例えばテクノポリスタイプあるいは農林水産業タイプあるいは災害が多発をしており防災対策が重要な地域といったような地域ごとニーズ特色を把握し、それに応じた適切なシステム構築をしていこうという考え方でございます。先生懸念の、具体的な地域選定に当たってこれからどう考えていくかという問題は確かにあり得るわけでございます。それにつきましては、私ども地域選定作業もこれからでございます。郵政省さんもそういった形で、今、選定準備作業に入っておられるということでございますので、今後必要に応じ、連絡し協議し合いながら、先生懸念のことが起こらないようにやっていくのは当然のことだと私ども考えております。
  33. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 有線音楽放送問題に関して若干質問をしておきます。  まず、去る五十八年十二月一日に施行されました有線音楽放送それから有線放送CATVも含めて一部改正ということで、本委員会におきまして論議が行われ実施に至ったわけでございますけれども、この有線音楽放送正常化対策状況、経過を御説明ください。
  34. 鴨光一郎

    鴨政府委員 昨年議員立法で大変お骨折りをいただいて成立をいたしました有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律の一部改正法、施行が十二月一日、公布は半年前の六月一日でございましたけれども、その公布周知指導に努めてまいったわけでございますが、大きく分けまして大手の二つのグループがございます中の一つにつきましては、その指導の結果、一括して関係機関正常化条件を受諾をし、正常化ステップを踏むことになったわけでございます。しかし業界の最大手を含みます方のグループにつきましては、この正常化条件を受諾いたしませんために、私どもといたしましては全国の十の施設に対しまして四月の二日から三十日ないし四十五日の業務停止処分を行ったところでございます。
  35. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この業務停止処分は四月二日より行いましたね。どうなっていますか。業務停止になりましたか。
  36. 鴨光一郎

    鴨政府委員 御指摘のように業務停止処分を行ったところでございますけれども、この違法業者業務停止命令に従う姿勢を現在のところ示しておりません。したがいまして、命令違反の事実確認というものを現在急いで把握中というところでございます。
  37. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その違法な業者名前と所在地、発表してください。
  38. 鴨光一郎

    鴨政府委員 お答えいたします。  先ほど申しました十の施設でございますが、事業者で申しますと三つでございます。一つ大阪有線放送社、これが名古屋、金沢、大阪、新居浜、熊本、滝川、この六カ所に施設を持っております。それから株式会社ゆうぜんという事業者、これが東京都の千代田区、中央区の一部それから長野市、広島市に施設を持っております。それから株式会社日本ゆうせんというのが仙台市とその周辺ということで仙台南施設を持っております。
  39. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その三事業者代表者名前も言ってください。
  40. 鴨光一郎

    鴨政府委員 大阪有線放送社代表者宇野元忠、それから株式会社ゆうせん、大阪有線も株式会社でございますが、株式会社ゆうせんは代表者が辻俊二、それから日本ゆうせんの方は大滝貞。
  41. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 業務停止命令郵政省としてこの三事業者に言われたわけですが、どういう状況で行いましたか。その状況を説明してください。
  42. 鴨光一郎

    鴨政府委員 停止命令の通知の郵送をいたしましたのが三月二十八日でございますが、同じ日付にただいま申しました施設の責任者に対しましても、電話によります通知を各地方電波監理局から行っております。
  43. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 昨年の十二月一日にこの改正法が施行になりましたね。その時点でそういう業者に対して郵政省としてどのように通知したのですか。知らなかったら何にもならぬのだから、十二月一日にきちっと、そういう違法で行っておる業者は、それが新しく改正になったのだということがどういう形でわかったのですか。説明してください。
  44. 鴨光一郎

    鴨政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、六月一日に法律が公布されまして、それから施行が十二月一日でありましたので、この間に個々の有線音楽放送事業者、それからそれらの事業者によって構成されております団体に対しまして、改正内容の周知徹底を図りますとともに、その施行日までに正常化の手続をとるように強く指導を行ってまいりました。それから各地方におきまして、正常の状態であるかどうかということにつきましては、法施行後違反事実の調査実施しまして是正方の指導を行ったわけでございますが、ことしの二月には関係の機関とも連絡をとりながら正常化条件の弾力的措置を要請いたしまして、最終的には三月の十五日の段階でこの正常化条件についての最終回答を求めたというふうな状況であります。
  45. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ちょっとよくわからぬのです。六月からのもので、そして公布になり、十二月一日から施行になって周知徹底した。どうやって周知徹底したのですか、もう一度説明してください。
  46. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先ほど申しましたように業者、それから関係の団体に対しまして、私どものサイドで申しますと、関係団体が郵政省のほかに建設省、それから日本電信電話公社、電力会社がございます。これらの四者が連絡をとりながら、それらの違法な状態を解消するようにという指導を行ったということでございます。
  47. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ではもう一度、郵政省として局長なりあるいは課長なりが、その違法な状態が続いておる業者のところへ行ってこれを読み上げたのですか。それとも、今のはちょっとよくわからないのですが、建設省なり他のところと連携をとって徹底したというのは、どうやったのですか。もう一度説明してください。
  48. 鴨光一郎

    鴨政府委員 お答えいたします。  十二月一日の施行前におきましては、法改正が行われたということの周知徹底を図るために、各事業者に文書を送付いたしております。それからまた、一部の事業者あるいは団体の代表につきましては、出頭を求めまして、こういうことになったということの説明をいたしております。呼び出しをいたした上でそういう措置をとっております。
  49. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 文書で送ったところは、文書が届かないで返ってきてしまったというような例はございませんか。
  50. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先ほど申しました施行日までに行いました周知徹底の文書につきましては、戻されたという例はございません。しかし、私の説明がいささか紛らわしかったかと思いますが、今回の業務停止命令処分そのものにつきましては、これは配達証明つきで郵送いたしたわけでございますけれども、受け取り拒絶という状況がございました。
  51. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 拒絶は何件でございますか。
  52. 鴨光一郎

    鴨政府委員 三事業者、十の施設関連で送りましたけれども、いずれも受け取り拒絶でございます。
  53. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、今、局長が言われました三事業者、十の施設、それはいずれも、今回の停止処分というものに関しての営業、業務を停止しなさいというものの意思は伝わっていないと見ていいのですか。
  54. 鴨光一郎

    鴨政府委員 本件の場合につきまして、あらかじめ、先ほど申しましたように、電話で処分内容を通知をいたしております。相手方が少なくともその処分内容を知った状態だと私ども考えておりますけれども、それに対しまして、先ほど申しました郵送された処分書の受領を拒絶するという状況が出てまいったわけでございますけれども、このことにつきましては、電話で通知をした、あるいはそれまで指導をしてまいった上で配達証明つきの郵便物を送ったということから、相手側が受領を拒む意思で、郵送された処分書の受領を拒絶する手段をとったものというふうに私どもは推定をいたしております。  この場合、あらかじめ受領を拒む意思でゆえなく郵便物の受領を拒絶する手段をとったとき、ただいま申し上げましたような状態を指すと思いますけれども、そのときには、郵便物を受領しないために通知の内容を知らなかったとしても、通知なしとすることはできないというような判例もございます。したがって、私ども、相手方がその処分内容を不知であるという主張はできないものというふうに考えております。
  55. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると相手側は、送り返してきたということは、中身がわかっているから送り返してきたんだ、したがって、その中身はちゃんとわかっていることなんだ、こういうことでいいのですね。
  56. 鴨光一郎

    鴨政府委員 そのように理解をいたしております。
  57. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 本委員会におきまして議員立法で、しかも全党挙げて賛成をしたこの改正案、こういったものを、郵政省の努力にもかかわらずちゃんと実行しないというような業者。私がかねがね申し上げるとおり、正直者がばかを見る世の中をつくってはいけません。正直者は、電柱料、電話柱料、それから道路使用料を今までも現在もちゃんと支払って、そして営業を行っておる。ところが不正の方は、何にも払わぬでただでぶったくりだ。それで営業を行うのですから、競争になるわけがないのです。これを守らなければいかぬ。  したがって、委員長に提案申し上げますが、これは本委員会で本当に長い間論議を行って、そして議員立法として、正直者がちゃんとやっていけるような世の中にしなければいけないということからつくった改正の法でございます。それがいまだにこういうような実態であるということにかんがみて、ぜひ委員長のもとでお取り計らいをお願いしたいのです。こういった違法な業者の、それもいろいろな団体みたいなものができておりますので、そこの団体の中心者なり代表なり、あるいは正しくやっておる団体の代表者なり、ぜひ参考人なり何かの形で、私ども、やはりじかに聞いてみなければいけない、こう思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  58. 志賀節

    志賀委員長 最近私も、業界紙を読んでおりましたら、鴨局長がこれを法律的な処分をも考えているようなことが載っておりましたが、おっしゃるとおり、正直者がばかを見ることのないような通信電波行政は必要でございますから、私としても、竹内委員の御意見を十分にしんしゃくをして、御希望を入れる方向でこれを検討させていただきたいと思います。
  59. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 委員長、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そこで、郵政省にもう一点お伺いしておきますが、この業務停止処分を発表した、相手は中身がわかっているから送り返してきた、あるいは電話でも言った、いろいろなものでわかっておることは、これはクリアできました。そうするとあと、これに違反した者が、「六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」とこの法の第十二条にあるとおり、告発なり今後の処分というものはどういう手続になりますか。郵政省、答えてください。
  60. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生指摘のように、現行の法律の十二条に条文がございます。業務停止命令に違反しているという場合についての規定でございますけれども、私どもといたしましては、その条項を発動するかどうかということにつきまして、この業務停止命令違反という状態について、今、事実確認を急いでおります。それは、この事実確認は、いわゆる証拠能力のある形の事実確認ということでございますので、若干の時間がかかっておりますけれども、現在その把握に努めているというところでございます。
  61. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 調査をいつまでも続けていくわけにもいかぬでしょうし、めどはどうですか。これはこのまま営業停止になればいいのですけれども、ならないとした場合、違法なところが営業停止にならないままほうっておくわけにいかぬわけですから、警察への告発なり何なりというものはどうなんですか、それをもう一度もうちょっと明確にしてください。
  62. 鴨光一郎

    鴨政府委員 正確な日時までは申し上げかねますけれども、私どもといたしましても四月二日から先ほど申しました三十日ないし四十五日ということでの停止処分を発動いたしておりますので、なるべく早い機会、大ざっぱに言いますと今月中にはというふうな腹づもりで先ほど申しました事実の確認を急いでいるというところでございます。
  63. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 市民ラジオの問題、パーソナル無線に関してお伺いいたします。  まず、CB、市民ラジオの違法行為による苦情は全国でどのくらい出ておりますか、また近畿電波監理局管内ではどうですか、五十八年度の場合と五十七年度の場合とを比較して説明してください。
  64. 鴨光一郎

    鴨政府委員 不法市民ラジオに起因します苦情のほとんどは、テレビあるいはラジオ等の受信障害に関する申告という形をとってまいりますが、昭和五十八年度分につきましては、申しわけございませんが、現在集計中でございます。数字が手元にございません。五十七年度における不法市民ラジオによります受信障害申告という形での苦情の件数は全国で七千九百二十四件ございます。このうち近畿電波監理局管内では千五百六十五件、全体の比率で申しますと一九・七%でございます。
  65. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 五十八年七月の報道によりますと、一部新聞でございますが、近畿電波監理局などでまず第一に市民バンド局の中に暴力団が携わっていると見られる局があり、他局の交信を妨害し、会費を納めた者だけが交信できるようにした、そういうような動きが数年前から出ていた、こういうことが報道されておりますが、実態状況はどんなことだったのですか。
  66. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生がただいまお示しになりました記事は五十八年七月一日付の朝日新聞の記事かと思います。私どもこの記事につきましては承知をいたしておりますが、これによりますと、無線の利用に関連して暴力行為があったということのようでございますが、捜査機関の方では傷害事案として処理されたというふうに承知をいたしております。それで、私どもこの種の問題につきましては、利用者からのいわゆる申告等を受けておりますけれども郵政省に寄せられております苦情申告の中にもこの種の暴力団絡みの問題があるわけでございますが、それらにつきましては捜査機関と連絡をとりながら対応しているところでございます。
  67. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 パーソナル無線の状況に関してお伺いします。  五十七年に電波法が改正されてできたこのパーソナル無線におきましても暴力団関係の問題が起きていないのかどうか、あるいは状況あるいはそれがそのような状況になっておったときにはどういう取り締まり、どんなふうになったのか、今までの経過を説明してください。
  68. 鴨光一郎

    鴨政府委員 パーソナル無線につきましては、モータリゼーションの進展に伴う一般市民の無線利用に対するニーズの増大にこたえるということ、それから不法市民ラジオ対策の一環ということで五十七年の十二月から導入をしたものでございます。従来の市民ラジオに比べましてチャンネル数あるいは通話可能距離とも大幅に改善してございまして、ことしの三月三十一日現在で五十三万局強の利用状況になっております。ただ一方で、御指摘のように、パーソナル無線に関しましても違法行為が報道されているところでございます。私ども電波監視ということをやっておりますが、ただこの電波監視の網にかかったものは残念ながらこれまでのところございませんけれども、当省に寄せられました苦情申告の中にもこうした違法行為に該当すると思われるものがこれまでに七十件ほどございます。その中には、先ほど申しました暴力団絡みというふうなことで、資金稼ぎのために会への入会強要をするあるいは善良な利用者に対する嫌がらせ等を行うというふうなものがございますので、これも市民ラジオの場合と同じように捜査機関とも相互に協力して対処をしていく所存でございます。
  69. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 CB、パーソナル無線の利用者が拡大する中で利用者のモラルの問題、暴力団まで絡んでいると見られて、非常に複雑で困難な問題と宣言えるわけでございますが、高度情報社会の中で電波行政、その対応というものは厳然としたものでなければならないと思います。この問題が非常に大きくならないようにひとつしっかりとした対処をお願いしたいと思います。  そこで、あと一点だけ質問をしておきます。  放送衛星に関してお伺いしておきますが、BS2の衛星は寿命が約五年でございますね。そうしますと、昭和六十三年度でしたかね、これに後継するBS3の打ち上げが予定されている。このBS3の利用計画、何チャンネルあってどういうように使うか、それを民間の一般放送事業者が使用する場合、免許申請はどうなっているか、その内容をあわせて御答弁ください。
  70. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生指摘のように、BS2は寿命が五年でございますので、昭和六十三年度にはその後継の衛星としてのBS3を打ち上げる必要があるわけでございますが、こちらの方はBS2よりも容量が大きくなります。  そこで、昨年の十一月に私どもといたしましての大まかな方針というものを、当面の進め方という形で決定をいたしまして、その中でテレビジョン放送用チャンネルを三チャンネルとするということをまず決めております。NHKの難視聴救済を主としたBS2の後継ということでございますので、このNHKの放送サービスを継続するために二チャンネルを用いますけれども、残り一チャンネルにつきましては、新規の一般放送事業者がこれを使用するということにいたしておるところでございます。  この新規の一般放送事業者の利用につきましては、このBS3によりますものが衛星放送としては民放として初めてのものであるということ、いわば先駆的な役割を果たすものであろうということ。それからまた、事業のあり方といたしまして、多面的な試みをしていただく必要があるであろう、そういったことで各界の参加を広く求めたい。そしてまた、逆な意味で特定の分野に偏しないこと、そしてまた、少数のものに支配されるようなことがないこと。それから、マスメディアにつきましては、集中をもたらさないこと、これは集中をもたらさないということでございまして、参加を排除するものではございません。マスメディアが蓄積をされたノーハウ等は、有効に活用さるべきものと考えておりますが、それが集中することは避けるべきではないか、このような考え方で当面の進め方というものを固めたわけでございますが、これらにつきまして、免許申請といたしましては、テレビジョン放送を実施したいとする申請が十二件、それからテレビジョン音声多重放送を実施したいとする申請が一件、合計十三件提出されている状況でございます。
  71. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そしてBS3を六十三年度に打ち上げるとすれば、衛星開発参加者、これをもう早急に決定しなければいけないんじゃないでしょうか。これはどうなっていますか。
  72. 鴨光一郎

    鴨政府委員 お話のように、宇宙の問題と申しますのは非常に長い期間を要します。したがいまして、BS3につきましても今年度から基本設計に入るわけでございます。  したがいまして、新しく参加される新規の民間放送事業者につきましても、いわゆる経費の分担といった問題が出てまいります。したがいまして、なるべく早く、チャンネルが一つでございますので、利用される一つの社を決めなければいけないわけでございますが、先ほど申しましたように、音声放送をしたいとするもの一件を除きましては、十二の申請がテレビジョン放送を行いたいということで出てまいっておりますので、先ほど申しましたような郵政省考え方に沿って、できるならば申請が一本化されて、より国民的な基盤の上に立ったものとなることを期待をいたしまして、先ごろ郵政大臣から経団連の稲山会長に、一本化調整の依頼をしたところでございます。早急に私どもといたしましては、この一本化が、先ほど申しましたような形ででき上がることを期待をいたしているところでございます。
  73. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 じゃ時間ですので、もう一点だけお伺いして終わります。  今打ち上げられておる、いよいよNHKが衛星放送を開始する段階でございますが、このBS2は軌道上に安定し、日本全国をカバーするのに何ら支障はございませんか。特に九州方面、大丈夫ですか。
  74. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ただいまの御質問は、衛星の姿勢制御の問題に関連するかと思いますけれども、先ごろ宇宙開発事業団からの報告によりますと、姿勢制御につきまして二つの方式があるわけでございますが、そのうちの電波センサーというものにつきましてふぐあいが生じているということがございますけれども、太陽センサー、太陽を基準にいたしました姿勢制御の方式につきましては、正常な機能が発揮をされておる。現在テスト中の段階であるわけでございますが、そういう結果が出ておりますので、御指摘の点については全く心配がないというふうに考えております。
  75. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  76. 志賀節

    志賀委員長 永江一仁君。
  77. 永江一仁

    ○永江委員 私は郵便事業の動向につきまして、まず聞きたいと思います。  昭和五十六年の一月に料金が値上げされたわけでございますが、大臣はそれほどじゃございませんかもわかりませんが、我々郵便料金値上げが大変身にこたえたのでございますが、既に三年、当分値上げがないことを願っておるのでございます。いろいろ資料を見てみますと、五十六年一月値上げ後、物流が約五・三%減少した。これはまさに利用者の自衛手段として当然のことであったと思うのでございます。そして五十七年度も、その後三・六%の増加しかなかったということは、一年かかってもまだもとへ戻らないという数字が出ておるのでございますが、五十八年度、この郵便物流数はどういうふうな動向になったのか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  78. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 お答えいたします。  五十八年度の物数の増加状況でございますが、まだ二月までの資料しかございませんが、総体の物数といたしまして約五%増加しております。なお、見込みといたしましては、百六十億三千万通程度になっているのではないかというふうに考えています。
  79. 永江一仁

    ○永江委員 二年半かかって大体もとへ戻ってくる。例は違いますけれども、よくタクシーなども料金値上げした当時はやはりお客が減る。しかし、大体三カ月くらいでもとへ戻って、一応値上げの効果があるというふうにも聞くわけでございますけれども、そういう点からいたしますと、料金値上げ後その数が戻ってくる、そして料金値上げが増収につながっていくということの中においてのインターバルが非常に長過ぎるような気がする。ということは、この料金値上げが余りにも多過ぎるという一つの裏づけになるのじゃないかというふうに思うわけなんでございますが、この点について五十六年一月の料金値上げの値上げ率と申しますか、こういうことについて郵政省としてはどのようにお考えになっておるか、何らかの反省があるのか、これぐらいは当然予想しておったというふうに現時点お考えになっておるのか、お尋ねいたします。
  80. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 五十六年一月二十日に、平均といたしまして約三八%の値上げ率でございました。その前の値上げが五十一年一月二十五日でございますので、その間約五年間は据え置かれているということでございます。五年間据え置いて五十六年一月二十日に改定いたしましたときに、第一種郵便物は、普通の手紙は五十円から六十円という程度の値上げ幅であったわけですが、はがきは二十円から一挙に四十円に引き上げたわけです。その値上げ幅が非常に大きかったために、先生指摘のように値上げショックというものがかなり出まして、その後の回復が、日本経済全体が低成長経済にもなりましたし、回復の足取りが鈍かったという現状になっております。
  81. 永江一仁

    ○永江委員 日本の経済動向との兼ね合いもあったということでございますけれども、余りにも急激な値上げというものが、皆さん方が常々おっしゃっておられるような日本国民すべてが安い値段で郵便を使う、こういう一つの原則からいたしましても、公共性という観点からいたしましても、そういうことはやはり考え直していただきたい。料金値上げによって収支を合わすのではなくて、利用者、お客をふやすことによって経営を健全化していくという基本的な姿勢を基本に置いていただかなければならないと思うわけでございます。  そういう点から、先般来よく新聞等でも見るわけでございますが、世界の各国の郵便料金と比較しますと、大体普通郵便についてはそれほどの値段的な開きはありませんが、いわゆるダイレクトメールといいますか、こういうものにつきましては非常な格差がある。アメリカあたりでは、営利団体でないところの郵便物にはいろいろ補助金までつくということでございまして、これはいろいろ問題があろうかと思いますが、しかし、それにいたしましても、区分をして、三千通以上やれば十八円だ、日本では定形外ですが百七十円、いろいろ見ますと、そういった日本の料金体系のあり方についても若干問題があるんじゃないか。大口需要について余り割り引きすれば、これは大企業優先とかいろいろ批判もあるそうでございますけれども、しかし、数をふやすことによって全体の経営を健全化する中で安い料金で一般の利用者も使わせる、こういうことにすべきじゃないかと思うわけなんでございます。そういう点についてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。
  82. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生おっしゃいますように、私どもも郵便物数の取り扱いを一通でもふやすことによって事業の健全な運営を図ってまいりたいというふうに考えております。  ただいま先生から御指摘がありました外国郵便料金との比較でございますが、手紙やはがきは、御指摘のようにアメリカは若干安いわけですが、そのほかの諸外国と日本の料金を比べた場合には大体似たような料金でございまして、日本の料金が特別高いということでもなければ安くもない、そういった状況でございます。ただ、定形外郵便物につきましては、先生指摘のように日本の料金体系はかなり高くなっておりまして、定形外の郵便物を送る場合の料金を諸外国と比べると割高だということは事実でございます。
  83. 永江一仁

    ○永江委員 そういうふうに料金を値上げすることによって利用者の減少、そしてまた、さらにその収支を穴埋めするために料金を値上げしていく、まさに拡大再生産じゃなくて縮小再生産的な、物流自体は総体的にはふえていることは数字でわかるのでございますけれども、極端に言えばこれは第二の国鉄になるというおそれなきにしもあらずと思うのでございます。そういう意味で、そういった定形外あるいはダイレクトメールの料金を下げることによって利用者をふやすことについて一遍再検討するおつもりはないでございましょうか。
  84. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生指摘のような要望はダイレクトメール業界からも私どもの方にかなり強く寄せられておりますが、基本的には私どもも物数をふやし、トータルとしての収入をふやして業務の健全な運営を図ってまいりたいと思っております。現在も一〇%の割引制度というものがあるわけですが、それを高めた場合に総体としての収入が果たしてふえるのかどうか、そういった心配もございますし、現在のところ具体的なそういった計画は持ち合わせておりません。
  85. 永江一仁

    ○永江委員 大臣、まことに申しわけないのでございますが、今のことで、少なくとも大臣就任中には郵便料金値上げはしないという観点で郵政行政に取り組んでいただきたいと思うのでございますが、一言お答えいただきたいと思います。
  86. 奥田敬和

    奥田国務大臣 最近特に単年度で、今年度予算で郵便事業に関しましては百五十五億程度の赤字を見込んでおるという残念な状態でございますけれども、これも今、極力新しいアイデアを出して、できるだけ郵便物が、もちろん効率的な内部の労使慣行の中でも解決していかなければならぬ問題もございますけれども、何よりもそういった手紙を親しんで出していただくという形でいろいろなアイデアを持ち寄って努力しておるところでございます。できるだけこれらの赤字幅を圧縮して、むしろ赤字が出ない方向の中で最善の努力を尽くしたいと思っておるわけで、そういう経緯から申しましても今年度あるいは来年度といったような事態に値上げをお願いすることはないような方向で努力しております。
  87. 永江一仁

    ○永江委員 ぜひとも郵便料金値上げという形でない形で、利用者の拡大の中で郵政行政の経営の健全化をやっていただきたいと思うわけでございます。  次に、郵便物とあわせまして小包でございますけれども、昭和五十八年に入りましても、私の調査では依然として小包郵便物の物数が非常に減っておる。これはいわゆる宅配便などとの競争の中で負けておるということだと思うのでございますけれども、この小包郵便の減少の方向にある最大の原因と対策をどうお考えになっておるかお答えいただきたいと思います。
  88. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 小包郵便物は昭和五十五年の十月に料金の改定をさせていただいたわけでございます。そのころの時期と大体同じころから民間の宅配便というものが著しく進出してまいりまして、そういった料金の値上げ、それから競争会社の進出というようなことも絡みまして五十五年以降毎年一〇%を超える小包の減少を続けてまいりまして、大体最盛期の半分ぐらいまで減ってまいったわけでございます。  そこで、私どもは一昨年以来いろいろな対策を講じましてその減少傾向に歯どめをかけ、増加の方向に持っていきたいということで、例えば大口の割引制度であるとか、料金区分の簡素化による一部値下げであるとか、お隣に配達する隣家配達制度であるとか、小包のダンボールの販売であるとか、そういったこともやりましたし、ことしの二月一日からは県内、隣接県には翌日配達するといったようなことで、民間に比べて遜色の最も著しかったスピードの面においてかなり抜本的な施策を講じたところでございます。それらの施策もようやく実を結んでまいりまして、ことしに入りましてからは減少傾向に大体歯どめがかかっております。この三月、四月上旬の粗い数字の報告でございますが、若干ながら対前年度では増加してきているという状況になっておりますので、今後一層それらの施策、郵便局における営業活動の積極的な推進等をやっていけば、小包もだんだん挽回できていくんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
  89. 永江一仁

    ○永江委員 今、御答弁のあったように、この二月一日から県内翌配サービスですか、ただことしは雪の関係もあったりして、私も神戸市内の郵便局を回りましたけれども、残念と申しますか、もうその日から翌配サービスができなかったという皮肉な結果も見聞きしてきておるのでございます。  また、翌配サービスの中で、いろいろ試行錯誤があることはわかるのでございますけれども、例えば兵庫県の中で今までの鉄道郵便を自動車郵便に変えた。ところが、地理的なことはおわかりにならないかもわかりませんが、福知山から和田山まで、鉄道郵便なら直送ですけれども、自動車ということで大阪の方をぐるっと回っていかなければならぬ。実際は、現地においては翌配サービスということでのいろいろなシステムが、逆に非常な遠回りの中で困難をきわめておるという現実もあるわけでございます。  こういうことは恐らく全国各地にあると思うのでございますが、こういうことについての対策、そしてまた翌配サービス、小包郵便のサービスの向上のためには何といってもそこで働いていらっしゃる職員の協力がなければ、これはできないわけでございます。そういうことについての職員の協力の度合いはどの程度がお答えいただきたい。
  90. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 二月一日からシステムの改善をやりまして、現状では約二カ月余りたちまして、県内はほぼ一〇〇%翌日配達ができているというふうに思っております。ただ、先生指摘のように、ちょうど二月一日というのは一月三十一日に大雪が降りまして、かなり運送便が乱れましたので、立ち上がり若干つまずいたことは事実でございます。  今、具体的な事例として但馬と丹後の例を引かれましたが、そういった県を異にしておるにもかかわらず非常に経済的、社会的な結びつきが強い、しかも県の地域区分局を経由していくと非常に時間がかかるというところに若干のおくれが出ていることは事実でございます。それらにつきましては、例えば丹後と但馬の関係で言えば、福知山と豊岡または和田山との間に自動車便を設定することを考えております。ただ、近畿郵政局の方で、豊岡と福知山を結ぶか和田山と福知山を結ぶかについてまだ結論が出ておりませんものですから、その結論が出次第、自動車便を新しく設定することによってその問題は解消するというふうに思っております。  なお、全国的に、北海道が多いわけですが、岩見沢と滝川とか日高と振内といったところで、同じような事例が他に六カ所ございます。そういったことも計画の段階ではあらかじめ想定しておりましたので、十五地域間におきましてはあらかじめ措置をとったわけでございますが、ただいま申しました丹後、但今の問題を含めた合計七線路、七区間については事後の措置をとらざるを得ないことになっておりますが、できるだけ早くその間に自動車線路を開設することによって問題の解決を図ってまいりたいと思っております。  なお、職員の協力がどうであったかというお尋ねでございますが、二月一日からの改正はかなり大幅でございまして、鉄道郵便局の職員を三千五百名程度減員して一般局に配置がえする、それとあわせて一般局の職員にも配置がえが及びまして、全体として約六千人の人たちが移動したわけです。その間、労働組合を初め職員一人一人の理解と協力を得まして、そういった問題も極めて円滑に解決されて予定どおり二月一日からスタートできたという状況でございます。
  91. 永江一仁

    ○永江委員 ぜひとも職員の方の協力もいただきながら、小包郵便の名誉回復と申しますか、基本的には宅配便との競争の中でどの程度勝つことができるか。これは私も地域を回りまして、局長以下宅配便との競争ということで敵がい心を燃やすというか前垂れ精神も少しは出てきておるということはわかったわけでございます。しかし、何十年と郵政省にお勤めの方が急に商売人になれるのかどうか正直言って若干疑問は感ずるのでございますけれども、しかしながら、そういった民間の宅配便との競争の中で国民の信頼を得て、小包郵便が円滑に配送されるということで、郵政省の現場における活性化を今後ともぜひやっていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。この点について……。
  92. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 私ども郵政省で取り扱っている小包は、重量で言いますと六キログラム以下の比較的軽い荷物でございます。したがって、六キログラムを超えるものは民間専属の分野でございまして、今、競合が起こっておりますのは四キロと六キロぐらいの間と申しますか、その境界線のところで競争が起こっているわけでございますが、私どもは料金もできるだけ安くし、スピードも高め、少なくとも軽い荷物、六キロ以下の荷物においては料金面、スピード面においては民間と比べて遜色がないようにして国民の期待にこたえてまいりたいと考えておるところでございます。
  93. 永江一仁

    ○永江委員 次に郵便物でございますが、こういう言葉があるかどうかわかりませんが、迷子郵便物と申しますか、年間大体百五十億通、先ほどのお答えでは、ことしは百六十億通近いというお話がございましたが、これだけの膨大な郵便物が出れば、あて先不明あるいは帰るところもなくなるというのが当然かなり出ると思うのでございますけれども、それは現在どの程度あるのでございましょうか。
  94. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 受取人に配達することも差出人にお返しすることもできない郵便物を私どもは迷子郵便物と呼んでおりますが、今、郵便の取扱部数は一日三千六百万通くらいでございまして、その〇・〇二%、約九千通が迷子郵便物になっているのではないかと思っております。
  95. 永江一仁

    ○永江委員 〇・〇二%という数字は少ないけれども、一日九千通ということは非常な数だと思うのでございます。先般も新聞に出ておりましたけれども東京の大森郵便局では段ボールに入れて地下へ二週間もほってあった。これが迷子郵便物であるかどうかは別でございますけれども、一応差出人からすれば行き先不明、受取人も受け取れなかった、こういうケースが皆様方のいろいろな監察の中でこれは例外中の例外なのか、こういうようなことが時々あるんじゃないかという、我々国民は疑いというか心配をするのでございます。こういうことの現状なりあるいはこういうことの起こらないようなことについて、郵政省としてはどのような指導と現場管理をしておるのか、お答えいただきたいのです。
  96. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま先生指摘がありました、東京の大森郵便局におきまして、段ボールに入れられた郵便物を過って二週間程度放置したという事件、まことに申しわけない事態でございまして、深くおわびする次第でございます。そういった事例がこれまでももちろんなかったわけではございません。しかし大変希有な例でございまして、長い年の間にそういった事例が全くないわけではございませんが、めったに起こらない大変残念な事件であったということだけを申し上げておきたいと思います。
  97. 永江一仁

    ○永江委員 これは時々見聞きするのですけれども、片一方は手紙を出した、しかし片一方はまだ着いていない。これは名前は申し上げられないのですが、去る四月七日の消印で年賀状が着いておるのですね、後でこれをちょっとお見せしますけれども。これは内容からいたしますと、一月十四日に書いて松の内ぎりぎりに出しましたと書いてある。考えられるケースは、これをお書きになった方が出し忘れて四月の七日に投函したというケースしか考えられないのですが、まさか御本人年賀状を書いて、四月ごろに投函する人は常識では考えられない。これはちょっと後で大臣にお見せしますけれども、こういうような非常にぐるぐるぐるぐる回って何日間もかかるというようなことは考えられるのでしょうか。
  98. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 引き受けた郵便物をあて先に区分けするときに、現在機械でやる場合と人手でやる場合とございますが、全く誤りが起こらないということはございません。自動読み取り区分機で判読する場合に、文字が不鮮明であったり紛らわしい場合に、他に一たん送られる。そこからまた返送されるという事例が皆無とは申せません。
  99. 永江一仁

    ○永江委員 これは同じ市内から市内への郵便物でございまして、私どもも非常にわかりにくい、原因はなかなかわからないのですけれども、一遍大臣ちょっとお見せします。こういう迷子郵便物、これはあて先もわからない、返信もできないというケースはやむを得ないといたしまして、郵政事業の中で国民が信頼して出した手紙が少なくとも確実に着く、これは原点でございますから、今後とも職員ともども一致した協力の中で、ぜひ国民の期待にこたえていただきたいと思うわけでございます。  次に、行革絡みではあるのでございますが、地方貯金局と地方簡易保険局のいわゆる地方郵政局への統合ということが出てきておるのでございますけれども、私も地域を回りまして、この実態というのは名前の上、図式の上では何となくわかるのですけれども、実際にこれが行政改革に本当に寄与しておるのかどうか非常に理解しがたいのでございますけれども、この統合はどういうふうになっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  100. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 臨調の答申を踏まえて、ことしの一月二十五日に、行政改革に関する当面の実施方針が閣議決定されたところでございまして、当該閣議決定に基づきまして、ただいま先生が御指摘になりました地方貯金局と地方簡易保険局を地方郵政局に統合するために郵政省設置法の一部を改正する法律案を今国会に去る二月二十五日に提出申し上げたところでございます。  御承知のとおり、現在では地方郵政局、地方貯金局、地方簡易保険局、それぞれ独立した行政単位、業務執行単位として設置されているわけでございますけれども、郵政事業の地方における業務を総合的に効率化する見地から、地方貯金局と地方簡易保険局を郵政局に統合することにしたものでございます。これによりまして貯金事業なり簡易保険あるいは郵便年金事業を一体的に運営する体制が確立することになるわけですが、具体的にどういうメリットがあるんだ、看板の書きかえにすぎないのではないかというお尋ねでございます。  地方貯金局及び地方簡易保険局はそれぞれ住民の方々に密着した仕事をしておりますので、仕事自体をなくすわけにはまいりません。そうした国民の方々に対するサービスの低下を来さない見地を維持しつつ機構の簡素合理化を図ろうとするものでございますので、具体的に申し上げますと、人事とかあるいは訓練とかあるいは福利厚生関係の事務、さらには会計関係事務あるいは資材物品関係の事務等、俗にいわゆる管理共通事務といったような事務を郵政局に統合することによりまして効率化が図られるものというように考えております。
  101. 永江一仁

    ○永江委員 時間の関係がありますから、これはまた今後にいたします。  次に、いわゆる無集配特定局の改築についてお尋ねいたしたいのでございます。  我々は特定局、こう言っておりますけれども、これは局長所有あるいは賃借り、郵政省所有と局舎が分かれておるようでございます。特に局長私有の局舎が非常に狭隘で、しかも古い。そこで働いておる人が立ち居振る舞いをするのにも本当に不便を来しておる。しかしながら、これは局長の所有物であるから建てかえはなかなかできないということが全国各地にあるようでございますけれども、この点について郵政省はどのように御指導されるのか、お答えいただきたいのです。
  102. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 特定郵便局舎の改善につきましては、昭和五十四年度から五十八年度までの五カ年間におきまして全体で約二千七百五十局改善をしてきております。その内訳としまして、国費による改善局数が三百五十局、借り入れによる局舎の改善が二千四百局といったようなことでございまして、局長個人所有の局舎につきましてもかなり改善はいたしてきておるところでございますが、ただ、大都市に所在する特定局舎の改善につきましては、地方と違いましていろいろ難しい問題がございまして、なかなか意のごとく進まないのが実情でございます。私どもとしましては、お客様の利便またそこに働く職員の労働環境等からいたしまして、大変狭隘でかつ古い局舎につきましては、積極的に改善をお願いしてきておるところでございます。
  103. 永江一仁

    ○永江委員 今の御答弁の二千七百五十局というのは郵政省所有とか借りておるところの数ですね。私が一番お聞きしたいいわゆる局長所有のことについては具体的なお答えがないわけですけれども、これはわかりませんか。
  104. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま借り入れによる局舎改善が二千四百と申しましたが、そのうちの大部分は局長個人のものでございます。そのほかに、例えば互助会であるとか地方団体であるとか、そういったものも含まれておりますが、二千四百局のうちの過半数は局長個人の局舎の改善でございます。
  105. 永江一仁

    ○永江委員 わかりました。数字的にはそれなりの改善がされたということでございますが、現実に地域で聞いてみますと、局長の方も、息子でも継ぐというのならば力を入れるけれども、一代限りでもうあと一、二年で終わりのところではとても局舎を改築あるいは広げるというようなことはやらない。このことはそこで働いておる人が非常に困るだけでなくて、先ほど小包郵便物で宅配便と競争するように大いに頑張ると皆さんお答えになったけれども大臣、あるところではもう狭過ぎて小包郵便物を持ってきてもらっても置くところがない、だから小包郵便物の引き受けを停止しておる特定郵便局もあるわけなんです。各地に特定局があって、身近にあるからこそ国民もそこへ行って小包を頼むのですけれども、それが余りにも狭過ぎる、しかし無理やりとっておると野積みにしてあって雨ざらしになるとか、保管ということも含めて、先ほどの郵便物とは若干違うかもわかりませんが、非常に管理が不十分になる、こういう深刻な問題がたくさんあるわけなんです。これは局長の所有だから局長にお願いしてお金を出させるというだけで本当に解決し得るのかどうか、非常に問題をはらんでおると思います。  個人の持ち物にお金を払ってそういう改築に費用を出すということにもまた若干問題があろうと思います。しかし、郵便行政で生計を立てるあるいは日本の郵便行政を背負って立つという使命感を持って今日まで局長をしておられる方ばかりだと思うのでございます。そういう点で、やはり郵政省自体が真剣にこのことに取り組んで指導する、あるいは何らかの融資制度をよく考えてやる、こういうことをしなければ解決しないと思うのでございますが、いかがでしょうか。
  106. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 まず東京大阪、名古屋市という非常な大都市におきます特定郵便局で改善をしなければならない局の数を御説明申し上げたいと思います。  東京都区内で約三十四局、それから大阪市内で二十四局、名古屋市内で二十局、合計七十八局、全体の総局数に対しまして約五・四%のものが改善を急ぐ局というふうになっております。  しかしながら、先ほども御説明申し上げましたが、大都市におけるそういった不動産の改善というものにはいろいろな困難な事情が伴いまして、例えば郵便局舎だけでありますと二階建てぐらいで済むわけですが、土地の価格等からしますと高いビルにして上を賃貸させるとか、そういったことをしませんと全体の計算が合わないということになりますと、また特定局長個人で大きなビルを建てる資金はない、そういったことで地価の非常に高いところにつきましては、例えば今申しましたような事情等が絡みましてなかなか改善が進まないわけでございますが、それでも少しずつではございますが、徐々に改善もいたしてきておりますので、今後とも特定局を所有している特定局長の相談にも十分乗りながら改善を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  107. 永江一仁

    ○永江委員 恐らくこれは局長の方からは余りその相談には、逆に行けば金の要ることですから、できるだけほおかぶりをするということじゃないかと思うのです。ですから、余りにもひどい狭隘な、小包郵便の引き受けさえも停止しなければならない、こういうところは郵政省の方はわかっておるはずなんでございますから、先ほどの小包郵便では一方では宅配便に負けないように頑張ると言いながら、片一方はお客さんが持ってきたら今ここは狭いからお断りします、こういうことでは、言っておることとしておることがあべこべなわけですね。こういった深刻な問題があるということでひとつ大臣このことについてもぜひ力を入れていただきたいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。
  108. 奥田敬和

    奥田国務大臣 主に大都市区でそういった特定局があるように聞いておりますけれども、いろいろ御相談に乗って、資金的な面も含めていろいろな資金活用の手だてもございますから、そういった点できめの細かい形を指示してまいりたいと思います。
  109. 永江一仁

    ○永江委員 それでは時間の関係がございますので、次に進ませていただきます。  きょうは電電公社の真藤総裁、大変お忙しいところありがとうございます。電電問題につきましては、国会には出されておりますが、当委員会にはまだかかっていない。我が党は、もちろんこれは大変な大問題でございますから、慎重審議でございます。しかし慎重審議は審議をしないことではないという観点で、せっかくの機会でございますので、真藤総裁に一、二の点についてお尋ねをしたいわけでございます。  この電電の民営化ということはまことにこれは郵政事業百年の大変革であると同時に、我が国の経済社会にとっても大変大きな問題だということを、いろいろ調べれば調べるほど痛感するわけでございますが、この経緯の中で私が真藤総裁にお聞きしたいことは、従来から漏れ聞いておるところによっても、真藤総裁みずからが電電の民営化、民間活力の導入ということが必要だという立場で対処されたというふうにお聞きしておるわけでございます、このことについて間違いがないかどうか。と申しますのは、まあ常識的に、電電公社の総裁としては独占企業で守っていきたいというのが人情がとも思うのでございますけれども、あえて民間の参入を認める中で競争していくのだ、これが電電にとって必要だという基本的な立場に立っておるというふうに私はお聞きしておるわけでございますが、この点について総裁のお考えを聞きたいと思います。
  110. 真藤恒

    ○真藤説明員 どちらかといいますと、今、先生がおっしゃいましたように、この臨調答申については、私自身前向きに対処したことは事実でございます。  その理由は、もともと私がここに入ってきました直接原因は、御存じのような不正経理というふうなことで普通の人事ではいかぬだろうということで、私が例外的な人事で電電に入ってくることを言いつけられたというふうに私も解釈しておりますし、当時の世間もそう見たはずでございます。入ってきてみますと、公社法を読んでみますと、これは明らかに事業体の法体系になっております。そして自分のサービスで収入した範囲内で自分で経営していく、そして公共の責任を持っていくというふうに非常に明瞭明確に公社法は書いてありますけれども、いろいろ中に入りまして運用の実態を尋ねてみますと、法と実態とが似てもつかぬ動きをしておるというのに非常に驚いたわけでございます。したがいまして、法と実態とが似てもつかぬ動きをしておるということから、いろんな問題が長い間に累積されて、不正経理の問題も出、いろんな問題も出てくる。また非能率も出てくるというふうになっておるんだということを見つけ出しました。とにかく今の法体系に書いてある、公社法に書いてあるとおりに実態が動くということに復帰できない限りは、やはり経営形態を変えるかどうかしなければこの問題は解決しないなということを非常に痛切に感じました。  それともう一つ重大な問題は、技術の革新、進歩によりまして、在来、電話と電報が主体で動いております電電公社の仕事が、世界的な国際間の競争という意味で高度な情報機能を満足させるような設備に急速に変えなければいけない。そうしないと日本の国全体の社会活動というものが先進国の間で非常におくれるという危険性があるということもわかってきたわけでございますが、そういうふうな変化に対しまして、ただ技術的にできるだけでは問題が解決しないということもはっきり私自身わかってきました。  新しい高度情報社会対応するためには、高度情報化社会が通信設備の利用の仕方によって急速に進歩をするためには、経済的に役に立つ値段でそういう自由な高度情報化のサービスができるようにしなければ事にはならない。世の中のお役に立たない。ところが現状の、さっき申しましたような法体系と実態の動きがまるで違うというところへもってきて、長い間の独占からくるいろんな弊害というものが累積している組織の中でそれに対応するということは、これは絶対不可能だというふうに、私は民間から来た人間の常識として感じ始めておるときに、臨調の第一次答申が出て、それからその後の臨調の動きというものがああいうふうな御存じのような動きをしましたので、そういう考え方から、私はどちらかというと臨調に前向きに対応した動きをしたということは事実でございます。
  111. 永江一仁

    ○永江委員 我々もその総裁の臨調に対する前向きの姿勢というものを高く評価するわけでございます。ただ、これで、先のことでございますが、独占の弊害をなくす、だから経営形態を変える。しかし経営形態を変えただけではなかなか独占の弊害をなくすことはできない。やはり競争がなければならないと思うのでございます。そのときに総裁として、現在の電電もそこで競争の中で勝っていかなければならないし、なおかつ、しかし競争を導入することに賛成するということはまことに勇気ある態度、体制内革新というか、体制内革命というのはなかなか難しいのですけれども、あえてそのことに踏み切られたことは私は高く評価するのですけれども、果たしてそういう経営形態を変えることによるだけで競争の原理が導入ができるのかどうか。私は総裁にこのことを聞くのは逆に言えば酷かもわかりませんけれども、第二、第三の電電というものが生まれるということについて総裁はかなり楽観的に見ておられますでしょうか。
  112. 真藤恒

    ○真藤説明員 端的に御返事申し上げますと、現在の私どもの料金体系をこのまま続けたならば、新規参入はやすやすと入ってこれるということだけは確かでございます。やすやすと入ってこれる新規参入に対抗するためには、私どもが従来の動きでは全然不可能でございまして、法体系が対抗できやすく、動きやすい法体系に移していただいて、そして私どもが言いわけできない形にしていただいて、その中で私どもの責任と権限というものを明確にしていただいて、その中で対抗していくということを自主的に責任を持ってやれるようにしていただくということが、今度の新しくできました法案の中に明らかに書き込んでございますので、そういう意味で私は、今度の法案というものは非常に意味があるんじゃないかと思っております。  また、今度の法案で私どものあり方というものを四、五年様子を見ていただいて、不十分であれば法案の見直しという条項も入っておるようでございますから、そこでまた見直していただく。また、私どものあり方もさらにまた厳しく締めていただくか、私どものあり方をそれでいいならいいというふうに見ていただく。最初の五年間の勝負が第一段の勝負だというふうに私は見ております。
  113. 永江一仁

    ○永江委員 ありがとうございました。  このことにつきましては、いずれ法案が出ましてさらに詳しくこの委員会でも審議されると思います。またそのときに、今、総裁はある意味ではかなり現在の料金体系では新規参入はやすやすとできるというお話でございましたけれども、いろいろ聞いてみると、技術的には難しい面があるやにも聞くのでございます。何せ天下の電電公社を相手に果たして民間が、よく言われみように参入できるのかどうか、こういう問題については今後の審議の中でまたお尋ねしていきたいと思います。この問題はこれで終わります。  もう時間がございませんので最後に一点だけ。  地元のことでございますが、これはどこの局になりますか。記念切手というものがよくあるのでございますが、この発行の手順等につきまして、どういうような形で発行されてくるのかお尋ねいたします。
  114. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 記念切手の発行につきましては、郵政省から各省庁に照会をいたしまして、現在でございますと六十年度に発行を希望する記念切手につきまして照会をいたしておるところであります。そこでいろいろな大きな行事とか、地元の各省の関係の団体からそれぞれの省を通して郵政省に希望が出てまいりますと、私どもの方で審査をして六十年度の切手の発行を年内に決める、そういう段取りになっております。
  115. 永江一仁

    ○永江委員 現在お願いすると六十年度の発行ですか。そうすると、今年度は去年もう済んでいるわけですね。六十年度の分の発行が今年いろいろ各省庁からの要請でできるということですね。  そこで、実は私の地元のことで恐縮なんですが、来年、一九八五年の九月に神戸でユニバーシアード大会があるということで、実は地元ではこれは記念切手でなくて本当は補助金のつく切手をお願いしたかったのでございますが、これは非常に時期的にもう無理だということなんでございますが、調べてみますと昭和四十二年の東京大会でも記念切手が二種類発行されておるということでございますので、学生のオリンピックと言われるこのユニバーシアード大会に対して記念切手を発行してもらいたいというお願いを神戸市としてはいろいろしておるようでございますが、こういうのは、今のお話では郵政省へ直接お願いしても無理なんですか。どこか省庁を通じてのお願いでなければ発行していただけないということのようですけれども、その点どうでしょうか。
  116. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 その件につきましては、既に文部省から私どもの方に申請が参っておりますので、御希望に沿う方向で検討させていただきたいというふうに思っております。
  117. 永江一仁

    ○永江委員 それでは、文部省を通じておたくの方へ行っているということでございますから、来年のことでございますが、ぜひ決定していただきたい。大体いつごろこういうものは決定される手順になるのでしょうか。
  118. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 大体ことしの十二月ごろだというふうにお答え申し上げておきます。
  119. 永江一仁

    ○永江委員 質問を終わります。
  120. 志賀節

    志賀委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時十二分開議
  121. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。森中守義君。
  122. 森中守義

    ○森中委員 質問に入る前に、郵政大臣に特にお願いしておきたい。  既にせんだって以来いろいろお骨折りによりまして、ようやくそれらしい有額回答の線まで来たようですけれども、それにまた大蔵省が横やりを入れて一とんざ来したようでございますが、そういうことで、最初からひょっとすると十八日にずれ込むかわからぬというお話だったらしいので、それはそれで了承いたしますけれども、余り長くならぬように、そして中身が非常に大きく変化しないように、特に、こっちをふやすからこっちを削るというおかしな図にならぬように、ひとつお願いしておきたいと思います。電電公社も控えておりますし、役人任せにしないで、大臣お骨折りですが、ひとつみずから陣頭に立っていただくように、特にこの際要請しておきたいと思います。
  123. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 今、先生指摘のとおり、有額回答、労使関係、いろいろ職員の重大な関心事でもございますので、現在の段階民間賃金の動向、そういったものも考えながら、できるだけ早く回答するように努力していきたい、そのように考えております。(森中委員「時間がないんだから余計なことを言っては困る」と呼ぶ)
  124. 奥田敬和

    奥田国務大臣 何かいろいろ年度末調整を絡めての動きもございましたけれども、私たちは毅然たる姿勢で早期に有額回答をできるように今、折衝を詰めております。御期待に沿うように……。
  125. 森中守義

    ○森中委員 大変結構です。  それでは、午前中から通産省お待ちいただいているようですから、テレトピアの方からちょっとお尋ねしたいと思います。  午前中も大分竹内議員さんからありましたから、重複を避けたいと思いますが、これはどうなんですか。同じ内容のもので一つの政府が片や郵政省、片や通産省、きょうもさっき私の地元から町長がたくさん来ましたけれども、自治体の方でも物笑いですよ、これは大体どうなるんだ。もちろんこういうようなことは、郵政省として自治体絡みの仕事は非常に数が少ないようで、珍しいことですから、非常に関心を持っている。それなのに、郵政は来年の二、三月に十カ所の地域指定をする、通産は六、七月に全国で七カ所をするということになると、どっちにどう相談に行っていいものかわからぬというのが自治体側の言い分ですね。ですから、今までこういう話を郵政は通産としたことがあるのかないのか、その辺をちょっと聞かしてください。
  126. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これからいろいろな協議もやっていかなければならぬと思いますけれどもテレトピア構想というのはもっと簡単に言うとハードな面、はっきり言うとディジタル・サービス・ネットワークをまず具体的に構築しよう。ですから、ハードな面を先に構築して、そして地域のそれぞれの特殊な学園型なり福祉型なりそれぞれの地域ニーズも考慮に入れた上でやろうということで考えております。  これは通産当局からもお答えになると思いますけれども、通産当局のニューメディア構想は、地域住民のニーズをまず調査して、それを利用でき得るソフトの技術面も含めてそういった形の中から相談相手になっていく。ですから、目指すところは高度情報社会にふさわしい都市づくりの方向に行きますけれども、我々はまずハードな面を構築して、それにいろいろな新しいメディアのサービスを利用していく。その利用方法については自治体なり関係住民とよく相談していくということで、ソフトの面を重点に置くのとハードな面を重点に置いてかかっていくのと、その点で私は、目的は、目指すところはそういった方向では一緒になっていくと思いますけれども、まず最初の取っかかり方の相違というものは大ざっぱに言ってそういうことだろうと思っております。
  127. 森中守義

    ○森中委員 大臣、それはどっちにしても異質のものじゃないわけですから、政府の機関でやるというならば、二省で別々にしないで一緒になったっていいんじゃないですか。通産省はかつて新産都市とかいろいろやってきているから、着想は着想として否定はしませんが、本来これは郵政省の仕事じゃないですか。さっき、予算編成のときに一度話したことがある、こういうことなんですが、もっと継続的に――今、郵政省は基準づくりをやっている、通産省はもう既に仕上げに近い、こういうことですね。そして片や七カ所、片や十カ所ということでしょう。通産が先に七カ所指定をする、その指定した後に郵政が追っかけて十カ所ということになった場合に、同じ地域に七カ所重複した、三カ所別だった、あるいは五カ所が一緒で五カ所は別だったということになると絵になりませんね。まことに格好が悪い。どうにかならぬですか。
  128. 奥田敬和

    奥田国務大臣 テレトピアの場合はこれから地域指定基準等々慎重に考えていただきます。電電とも相談してまいらなければなりませんけれども、そういったディジタル網の構築に当たっては相当な経費の投資も必要でございますし、そういった意味合いでは多少選定に時間がかかっても慎重にやっていきたいと思っております。ただ、重複することはないと思います。こちらも競争率――競争率と言ったらおかしいですけれどもテレトピア構想指定を受けたいという都市が既に百都市以上も出ておるわけです。通産の側がそういった住民のニーズを踏まえたメディアの利用ということを考えた形で選定される、それと重複することはまずないだろう、またないように配慮していきたいとも思っております。
  129. 森中守義

    ○森中委員 そうおっしゃっても、これは予算を持ってきてつくれというわけじゃないんだから、そういう意味では、地元でもこれで大仕事ができる、雇用の安定になる、そういうことは余り考えていないようです。しかし、将来で見た場合にそうもいきますまい。これは新聞ですけれども、通産でも何か諮問機関的なものをつくる、郵政は既に検討機関をつくっていますね。こういう検討段階では、少なくとも基準作成のときくらいにはやはり両方が持ち合いをするとかあるいは通産から郵政の検討委員会に入ってもらうとか、何かそういう整合をやってもいいのじゃないですか。
  130. 小山森也

    小山政府委員 先ほども大臣から申し上げたところでございますけれども、私どもの方は、大臣のお言葉をかりますればハードの面からということでございまして、施設としては先行するわけでございます。  ただ、利用者の側から見た場合にどういう形の問題が生じるかということにつきまして調査実験をするのが通産省でございますから、私どもといたしましてはそういったハードのインフラを構築した後、それを資料としていただいてお互いに交換し合うということによって次のステップに進んでいくということは当然あり得ることでございます。したがいまして、先生指摘のように今後両方の省が相談し合いまして、資料などを交換し合うということによってお互いのアプローチの仕方が違うわけでございますけれども、それをいつかの時点において一致させてよりよい段階ステップを上げていくという努力はすべきであろうと思っておりまして、先生の御指摘に沿った形のものにしてまいりたいと思っております。
  131. 森中守義

    ○森中委員 そうすると、インフラストラクチャーを通産でやっていく、その上に郵政が乗っていこう、局長、こういうことですか。
  132. 小山森也

    小山政府委員 インフラの構築の方は郵政省が責任を持ってやる、それをどのような形で利用していくかということを早期から想定して、そこにおいて実験的にテストを繰り返して一つステップをつくる。それで、利用者側から見たソフトの面をどういうふうによりよい形で利用できるかということを考えるのが通産省の方のニューメディアコミュニティー構想だと聞いております。
  133. 森中守義

    ○森中委員 ともかく世間の物笑いにならぬようにしっかりやってもらいたい、局長いいですね。
  134. 小山森也

    小山政府委員 先生指摘の点をよく肝に銘じて仕事を進めてまいりたいと思っております。
  135. 森中守義

    ○森中委員 そのとおりです。しっかりやってもらいたいと思います。  それからもう一つ、パーソナル無線についてですが、このごろこういう新聞の記事が非常に目立ってきました。「狙われた電波」「トラブル防げれば」「暴力団が用心棒代稼ぎ」「違法増幅器売り出し」「暴力団が会員制クラブ」大臣、これは一遍お読みになってください。本来は昨年のパーソナルを実施したときにいち早くこういう対抗策を講じておくべきであった。例の有線放送などが午前中も質問があったように依然として解決をしない。郵政省は一体どうしているのですか。郵政も新聞を見ていると思うのだけれども、今何か対策を考えているのですか。
  136. 鴨光一郎

    鴨政府委員 パーソナル無線でございますけれども、モータリゼーションの進展に伴う一般市民の無線利用に対するニーズの増大にこたえるというのが一つ、それから不法市民ラジオ対策の一環という意味が一つございまして、御指摘のように昭和五十七年の十二月から導入したものでございます。  それで、これは従来の市民ラジオに比べましてチャンネル数あるいは通話可能距離が大幅に改善されているということで、利用者が急増しているところでございます。昨年末で五十三万局強というふうな状況にございます。  一方で御指摘のように私ども新聞で承知をいたしておりますのは、例えば昭和五十八年七月一日付の朝日新聞の記事のようなものは承知をいたしております。こうした違法行為、当省に寄せられております苦情申告という形の中でもこれに該当すると思われるものが七十件ほどございます。当省といたしましては違法行為、暴力ざたという問題につきましては当然警察のマターでございますけれども、逆にいわゆる市民ラジオでハイパワーのもの、あるいは最近ではパーソナルについてもハイパワーのものが出てきたりしておりますが、そういったものにつきまして捜査当局と協力をして厳正な対処をしてまいりたいと考えております。
  137. 森中守義

    ○森中委員 これは目には目、歯には歯、そういうやり方のほかに、もう少し抜本的な対策を考えていないのか、これを聞いているわけです。
  138. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ただいまお答えいたしましたことでもう一つつけ加えさせていただきたいのは、これも昨年の一月でございますが、国会の方で先生方のお力添えで改正をいたしました不法開設罪というものがございます。これによりまして、これもまた捜査当局との協力が必要でございますけれども、十分協力をし連絡をとり合いながらこうした面の取り締まりも厳正に行っていきたいと考えております。不法開設罪という形のものを五十八年の一月一日から実施をさせていただいているわけでございます。
  139. 森中守義

    ○森中委員 具体的な実績はどういうことですか。何も効果が上がっていないのじゃないでしょうか。
  140. 鴨光一郎

    鴨政府委員 実績は上がっておりますけれども、ちょっと申しわけございませんが、手元に数字は持っておりませんけれども、不法開設罪ということで捜査当局で対応してもらったものがかなりな数になっております。
  141. 森中守義

    ○森中委員 これはまた機会がありますから次の機会にいたしましょう。  その次に労使問題をちょっとお尋ねをいたします。  郵政大臣、二月二十八日に全逓信労働組合の太田清治さんという人から大臣あてに要求書が出されておりますね。ごらんになりましたか。そしてこの要求書の回答が四月十一日に「郵便事業発展の支えとなる労使関係をめざして」ということで郵政省人事局長名で回答が出ている。この回答はいわゆる概念の回答であって、中身は一つもない。この概念の回答で門前払いをしたということはどういうことでしょうか。
  142. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 太田委員長の方から奥田郵政大臣あてに「郵政事業の危機を憂い労使関係改善を求める全逓の考え方」という文書が提出されております。  それに対応いたしまして私どもの方で鋭意組合といろいろな考え方を腹を打ち割って話し合ったわけでございます。一応それに対する回答といたしまして、三つの項目に分けましてまず第一に事業の共通認識の問題、それから事業改善のための諸施策の積極的推進、三番目といたしまして労使関係の改善、この三つの点にまとめまして組合と話しまして合意を見た、そういうところでございます。これによりまして労使関係の改善ということについて一歩進めるということで改善を見たわけでございまして、これに従いまして、中央労使の交渉も一時中断されておりましたけれども、これがこの解決に伴いまして話し合いが再開される、こういった形で労使関係の改善が進んだ、このように私ども理解いたしております。
  143. 森中守義

    ○森中委員 門前払いであるかどうかというその答えはないね。もうちょっと答弁きちっとしてください。言ったことに答えをしない。  それでこの回答書ですが、これが去年の十月二十日、内容はほぼ同じような趣旨のことが答えられている。それから昭和三十二、三年から今日に至るまで同様趣旨のものが大体何回約束事として回答したのか、ちょっと回数を教えてもらいたい。しかも同じようなことを何回も回答しなくちゃならないようなことは一体どういうことなのか。要するにつづり方、作文なのか、真心込めて実行しようというのか。それでなくても大臣なんて一期半期だと言って役人がなめておる。こんな立派な大臣に恥をかかしてはいかぬよ。歴代の大臣、よくもそうやって我慢してきたものだと思う。こういうことを検証したことがあるのか。そして地方で聞く話だけれども、やり方が変わったから、これはどういうことだろうと思って本省へ電話して聞けば、それは今までと全然変わらぬ、在来どおりの労働問題処理しなさい、こういう返事を口答でやるらしいね。変わるはずないじゃないの。その辺が問題ですよ。
  144. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 私ども国家公務員といたしまして、大臣には歴代誠心誠意を持って仕えて誤りなきを期していく、そのような態度でもっていつもやっているところでございます。それから過去においていろんな、こういう意見の一致といいますか、こういったそれが出たではないかという御指摘でございますけれども、幾つかございます。現在の労使関係における一番の大きな過去にさかのぼる問題といたしましては、五十三年年末闘争、その後の五十四年十・二八確認というものがございますけれども、これに基づきまして労使の共通の認識、それによりまして事業を一諸にやっていこう、こういった認識がございます。これに基づきまして、組合の方、人事路線変換とかそういったことをいたしまして、お互いに現在パートナーとして一諸に郵政事業を守り立てていく、こういった考え方に立っているところでございます。昨年の十月それから今回の四月十一日、こういった性質でございますけれども、昨年の十月二十八日、一応五九・二と称しております五十九年二月の郵便の輸送システムの改善、これに対するいろいろな双方の取り組みということで、十月二十八日に全体の問題についての見解を示したということでございます。それから最後の四月十一日、せんだってでございますけれども、こういった長年のあれを踏まえまして、特に先ほど申し上げました十・二八確認以来五年間を経過しておる、そういったことになりますと、新しい管理者というものも多数ふえてきておる。しかもまだ十・二八確認時代のことと違いまして、事業の置かれている状況というもの、これは当時と比べものにならないほど厳しい条件のもとにある。こういったあれに対応いたしまして、労使としていかに対応するか、そういったものを厳しく認識いたしまして、これに基づいて労使双方が合意した、こういう性質のものでございます。
  145. 森中守義

    ○森中委員 それは人事局長、反対だ。労働組合がそれを言っているんだよ。おまえさんたちは事業の危機とか何とか口先で言っているけれども、本当にそういうものを考えているのか。まさに郵政三事業はお話にならぬ。これが本当に実行に移されているならば、全逓が言うように不当労働行為なんかあり得ないわけだけれども、依然として不当労働行為が後を絶たぬのはどういうことか。地方の郵政局から、こんな文書が来てこれはちょっと変わっておるものだからやはり照会するだろうね。本当に変わったのかと言えば、いや変わってない、そう言って本省は返事するというのだよ。それから、我々ちょこちょこ大臣にこういう問題でお目にかかろうとすると、郵政の局長、次長か知らぬけれども、全逓に対して、何で議員団動かすのか、こう言うのがいるらしい。裏を返すならば恫喝していると見える。変なことをやると組織に介入して壊滅してやるぞ、こういうおどかしをかけておるようなものだ。意外にそういうのがいるよ。直接聞いたことはないけれども、言うだけ言わしておけ。選挙のときなんかあのやろう落とせというのが、ちゃんと腹の中で考えておるのがその辺に並んでおる中におる。そういうのが昭和三十二、三年以来何回も、作文はするけれども実行に移されぬという証拠じゃないですか。大臣、私は次官に二冊書物を差し上げたけれども、お暇のときは一遍ごらんになってください。田原総一朗さんも室伏哲郎さんも非常にいいことを書いておる。郵政の役人というのは非常に典型的なものだ。あなたがしっかり監督しないと直りませんよ。だから本当に三事業の危機をお互いに認識するならばまずこの人たちから洗脳しなければだめだ。大臣どう考えるか。
  146. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御存じのとおりに、郵政三事業を取り巻く環境というものは決して生易しいものではありません。しかしおかげさまで五九・二の大きなシステムの改善にも組合関係もよく協力していただいておりますし、今日ほど、生意気なようですけれども、新米大臣でありますけれども、労使関係が比較的安定的、良好な形にあるというときは、今は一番大事な時期じゃなかろうかという自覚の上に立って三事業の効率的な運用に協力をしていただいておることを、大臣としても非常に感謝申し上げております。組合関係のいい慣行はぜひ大切にして今後とも流れを大事にしていきたいという気持ちでおります。
  147. 森中守義

    ○森中委員 そういう大臣のお考えを非常に私どもは尊重しておる。ぜひ任期中にそれを実るようにしてください。要するにいかに局長がいい答弁をしましてもその場限り、一回も実行に移されたことがない。結局機構で動いておるわけですからね。しかも文書の中には端末に至るまで指導するというけれども、さっきちょっと申し上げたように、一応照会しできますね、余り変わったものを出すとおかしいなと言って。そうするといや変わってないよ、以前のとおりだよと答えるらしい。局長そう答えておるだろう。そんなことをやったら直るはずはないじゃないか。ですから、私は熊本ですが、このごろ熊本貯金局の労働慣行なんてめちゃくちゃですよ。せんだってちょっとお骨折りいただいて皆感謝しております。あんなこと平気で地方でやっておる。長年積み上げてきた慣行を一方的に破棄しています。これが貯金局の実態です。今の電波局長が貯金局長のころ、郵貯懇で、国会で我々を使っておきながら、その裏では地方貯金局の労働慣行は全部崩してしまう。こんなことをやっておるわけだ。その辺に座っておる前の人事局長、心当たりがあるんじゃないの。これはどうでしょう。具体的にこういうものを実行に移すための要求の内容を門前払いじゃ甚だけしからぬですよ。個々の内容の中に裏づけしようという幾つかの項目がある。これは全然答えもしていない。今、交渉をやっている、難しい難しいと言って逃げ回っているようですな。特に私はこういう機会に、地方の大きな郵便局に労務連絡官というのを配置していますね。これはいつの間にできたのか。こういうのは設置法にはない。勝手に労務連絡官なんていうのをつくっている。普通局長なんかはちゃんと大臣が任命する。設置法にも何にもないような労務連絡官というまだ二十七、八前後のこれこそくちばしの黄色い、事業に入って四、五年よりかたっていないそういう連中を労務連絡官と称して、そして局長に命令するらしい。一切合財その局の貯金でも保険でも郵便でも、運行については労務連絡官の許可なしに運行できぬ、こういうところがちょこちょこあるようですよ。これは今の臨調行革のあれからこういうものこそずたずたやめさせた方がいい。いろいろなものをつくっていますからね。どうですか、この労務連絡官なんかこの際切りかえたら。
  148. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 ただいまの労務連絡官でございますけれども、これは昭和三十七年に通達に基づいて設置したものでございまして、受け持ち区域内の労務状況を把握いたしまして郵政局に連絡する、それと同時に各局の労務関係につきましてできるだけ早く的確な指導を行う、こういうことを任務としておるものでございます。これによりまして郵政における労務管理の推進、それから労使関係の改善、安定、これによりまして郵政事業の円滑な運営に資する、こういうことでございまして、今後とも非常に必要なものである、このように考えております。
  149. 森中守義

    ○森中委員 それは人事局長実態を知らぬからだ。それは監視労働の権化だよ。いいかね。職員がお便所に行くのに、席を立って便所から帰ってくるまで何分かかったとか、そういう採点をちゃんとやって、これは好ましい人物、好ましくない人物、そういう考課表をつくっているだろう。何が改善になるのか。紛争、トラブルの原因をそれがつくっておる。これは大臣一遍細かく聞いてください。必要があれば証人を幾らでも連れできます。また、この連中のレクチャーでは一方的なことしか言いませんから、いつでも私をお呼びいただくと万難を排して大臣に御進講に行きますよ。こういう無用の長物は直ちにやめさせた方がいい。紛争の原因をつくっている。
  150. 奥田敬和

    奥田国務大臣 人事局長も大変苦労しているようでございますけれども、私は常に言っていることですが、労使の組合の皆さんともよく話し合って、求めるべきは向こうは求める姿勢でくるだろうし、こちらはやはり一つのこういった国民のサービスを担っている大事な役所でもございますから、ただすべきはただすという姿勢で、それも決して押しつけがましい形ではなくて、話し合いという大事な慣行の場でやっていきなさいよということは常に申しておるところでございます。今、不当労働行為があるような御指摘でございましたけれども、私たちはそういうことはあってはいけないと思っておりますし、また今の労使の慣行はいい形でいっておると承っております。また、私も組合幹部とお会いしてもそういった印象を深くしております。
  151. 森中守義

    ○森中委員 大臣、そのことは私も是認します。しかし、一皮むけばもうこの連中何をやっているかわからぬ。これはひとつ忘れないように。結局機構でやっているわけだから、幾らこういう作文をつくってもこの連中にはその気がないわけですよ。だから、そこのところを大臣がよほど抑えていかないと、それはおっしゃるように全逓は三事業の危機をだれよりも真剣に考えていますよ。事業あっての組織、こういう認識ですからね。その危機の上に立って三事業の改善をやっておるけれども、ところが口の先でパートナーだパートナーだと言うだけで、ちょっと和解してみて、後は何をやっているかと言えば、不当労働行為ばかりやっている。そうだな、局長
  152. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 私ども不当労働行為というものは決してあってはならないし、してはならないものである、そのことを十分に認識いたしておりまして、先ほどの四月十一日のあれでございますけれども、これは労使でお互いに話し合ってこういった形でいこうということでお互いに意見の一致を見たものでございます。これに従いまして、労使の現場においても我々の現在の事業、認識というものを一致させてこれでやっていこう、こういったかたい決意のもとに合意されたものでございますので、その点御了承をお願いいたしたいと思います。
  153. 森中守義

    ○森中委員 それは、いいことは合意するよ。しかし、余りでかいこと言わぬ方がいい。私も具体的な中身に入るのはきょうは控えようと思ったけれども、余りそう抗弁するのなら一つ言おう。  九州郵政の例で、毎年少数でありますが、郵政の職員を採用しますね。採用の直前に組合加入の促進に行けば、もうどこからか漏れてしまって、もう一つの方の組合から勧誘に来ている。そして親兄弟まで、全逓という組合はひどい組合だそうですな、こう言って非難をする。それはもうどこかで漏れなければわかりませんね。ずっと組合がいろいろ検討してみると、九州郵政人事部の中に要員課というところがある。その要員課の中に課長とか補佐とかいろいろおりますが、こういう連中が全郵政の組合員らしい。この辺から全郵政の組合員にどんどん漏れていって、何町何番地のだれそれが今度郵政の職員に採用されるからひとつ早く行って勧誘してきなさい、こういって全部やるらしい。こういうのはなかなか表に出てきませんよ。しかし、全国的に大体そういう体制になっているわけだね。これは全くしょっぱなからの不当介入。これでは、職員に新しくなろうとする人たちに労働組合の選択の自由も与えぬわけだからね。こんなことを平気でやっている。大体公務員として仕事の上で知り得たことを他に漏らしていいのかね。これは公務員法で罰せられぬのか、そういうことは一遍チェックしなさい。これはほんの一つの例にすぎない。
  154. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 秘密というものは漏らしてならないものである、これは当然のことでございます。そういった問題につきましては厳にやっておるということでございます。それから、九州管内で全逓地本から指摘があったということは承知しておりますけれども、その後郵政局と地本の間で話し合いが行われまして解決が済んだ、こういうふうに聞いておるところでございます。いずれにいたしましても、私ども決して不当労働行為がないようにこういった指導を再徹底する、そういうことでございます。
  155. 森中守義

    ○森中委員 もちろん、ないようにしてもらわなければ困る。困るけれども、私は今、実例を言ったわけだから、そういうのがあるという事実を認識するかどうか、こう聞いているわけですよ。
  156. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 今申し上げましたとおり、具体的な内容については存じておりませんけれども、地方の労使関係で冷静な話し合いが行われた、それに従いまして円満に解決した、このように承知いたしております。
  157. 森中守義

    ○森中委員 それから、郵務局長、私は昭和四十年ぐらいに熊本県内に外国郵便の来る話を郵政省にしておいた。その返事が来たのがことしの二月ぐらい。管理課長の福味君来ているかな。――催促に催促して、十年ぶりにやっと来た。門司に外国郵便物が陸揚げされて九州の受け手に届くまで一週間かかっていた。それで、商工会議所とか方々からこれは困る。だから、結束を強化するために、長崎の外国郵便を通らないで門司から真っすぐ熊本まで持ってきたら一日で来るじゃないかという話をしておいた。やっとこのごろですよ、改善をしたのは。何が郵便事業の改善だよ。それとも相手を見て早く返事したり返事しなかったりするわけかい。
  158. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 私が就任しまして以来、その件につきまして国際業務課を通してそういった話がございましたので、先生のおっしゃる方向で解決するように努力し、現在は大幅に改善されているというふうに思っております。
  159. 森中守義

    ○森中委員 一応それは片はついたから別段頭を下げて頼みはしない。私が言うのは、頼んだ人によって早かったり遅かったりするかということ。それと結束なども、門司から長崎に持っていって長崎から熊本に持っていかなければならぬような、そういう逓送の順路なんてあるのか、こう聞いているわけよ。
  160. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 長崎に税関が設けられましたのはかなり古い話でございまして、結局九州に陸揚げされる郵便は昔は主に長崎であったと思いますので、時代が大きく変わってきておるにもかかわらず郵便事業もそういう古い体制がそのままにされているというのが見受けられるわけですが、そういった問題は非常に積極的に大胆に改善していかなければならないと思っておりますし、今日ではそういう考え方でやっておりますので、御要望された先生によってどうこうするといった考えは全くございませんし、公平に国民の皆様の立場に立って郵便事業を運営してまいりたいというふうに思っております。
  161. 森中守義

    ○森中委員 それから、もうちょっと古い話だけれども、今の人事局長はもちろんいない、後ろに座っている前の人事局長、その前だったかな、一般会計の電波の方に労使関係が安定しているのは適当でない、特別会計と同じようにいま少し既存の労使関係というものを特別会計並みに直せ、こう言って文句を申し込んだ例があったようだったな。今からそんなことする意思あるの、あったら承知しないからね。よその領域まで入り込むような労務関係やるつもりかね。
  162. 三浦一郎

    ○三浦政府委員 そのあれは存じませんけれども、全電波は国家公務員法に基づく職員組合であり、そして全逓、全郵政等郵政事業にあるあれは公労法に基づく労働組合、こういうふうに承知いたしております。その間団体交渉権とかそういった点につきましての差異がある。そういった差異を十分に踏まえつつ双方正しく対処していくというのが筋であろうかと存じております。
  163. 森中守義

    ○森中委員 大臣、少し言葉が過ぎましたけれども、ざっと申し上げてこういうこと。こういうことをちょこちょこやらぬでいいようにしてください。そして、あの人を中心に、郵政省の中の労務屋というのがいる。この労務屋が悪いことばかりしている。時にはOBまで引っ張り出してやっているという話もありますから、大臣の在任中に一刀両断のもとに一遍すかっと切り捨ててください。  それから、何かこのごろ防衛庁が、宇宙開発について国会の決議あるいは宇宙条約等で縛られているのは適当でないから、CS、BSを防衛庁に乗っけようということで見直しをやろう、こういう話です。きょうは科学技術庁来ておりませんから、議論の時間がありませんから申し上げませんが、国会決議と宇宙条約、国連の宇宙空間の平和利用に関する決議というのは、いかなることがあっても郵政省も、BS、CSはそういう防衛関係とは全然別個のものである、見直しを求められても絶対これは拒否されるように大臣としてのお考えを最後にお尋ねして終わりたいと思います。
  164. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ちょっと事務的にお答えをさせていただきます。  通信衛星二号を利用いたします公衆電気通信役務の防衛庁への提供につきましては、昨年の八月、関係省庁の検討の結果といたしまして、宇宙関係電電公社がCS2を利用して公衆電気通信役務を何人に提供したとしてもその業務の性格が変わるわけではないということ、また硫黄島を電話加入区域に指定し、利用者の申し込みに応じて役務を提供することについてもいわゆる公衆法の公衆電気通信業務に関する枠組みの中で行われるものであるということ、また防衛庁が一般の者と同様の地位において電電公社が提供しますサービスの提供を受けようというのであれば、これを別に扱ういわれはないというふうな理由から、防衛庁に対します公衆電気通信役務の提供につきましては宇宙開発事業団法及び国会の決議、もちろん国会の決議に関しましては国会で御判断をいただくべき事柄でございますけれども、私どもといたしまして、これに反するものではないという結論に達しているわけでございます。  ただ、先生の御指摘は、ごく最近新聞に載りました防衛庁によります直接のトランスポンダーの利用のことかと思いますけれども、この点に関しましては私どもまだ具体的な話を承知いたしておりませんので、そのような要望もまた出ておりません。具体的な要望がございましたらば関係省庁との間で検討をしたい、このように考えているところでございます。
  165. 奥田敬和

    奥田国務大臣 国会決議の推移を見守りながら慎重に対処するということでございます。
  166. 森中守義

    ○森中委員 時間が来ましたから、最後になりますが、一番最初にお願いしました例の有額回答の件、後の労使関係の問題、大変お骨折りですけれども大臣在任中にきちんと処理していただくようにお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  167. 志賀節

    志賀委員長 中村正男君。
  168. 中村正男

    ○中村(正男)委員 大変お忙しいところを電電公社の真藤総裁以下関係者の方、御出席をいただきましてありがとうございます。今日まで電電公社が進めてこられましたいわゆるINS構想高度情報通信システムにつきまして概要なり概念について御質問をしたいと思います。  まず、このINS構想の概要と、それに対して今日現在順調に進んでいるのかどうか、そのあたりからお尋ねをしたいと思います。
  169. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、今、社会は情報化社会へと向かって進展を続けておると言われております。すなわち情報の流通、処理といったことが持つ価値あるいはそれが社会活動に占める比重が今後大きくなっていくであろうということでございまして、これは当然我が国のみならず世界の先進国すべてが、より豊かな国民生活あるいはより活発な社会経済活動というものの実現を目指しまして、こういった情報化社会に必要な情報流通のインフラストラクチャーといたしまして世界先進諸国競って通信網の高度化、ディジタル化ということによってこれを実現していこうという趨勢にございます。それから、我が国といたしましても当然こういった世界の進展におくれることなく、やはり日本にも豊かな国民生活、活発な経済社会活動というものの実現を目指しまして、その情報化社会の基礎となりますインフラストラクチャーとして高度情報通信システム、我々これを略してINSと申しておりますが、これを形成してまいりたいと考えておるところでございます。  現在公社は、急速に進展しておりますディジタルの技術でありますとか光ファイバーの技術というものを積極的に導入してまいることによりまして、より豊富な電気通信サービス、電話のみならずいろいろな形のデータ通信、画像通信といったような豊かな、より豊富な電気通信サービスを、地域にかかわりなくより安くより便利に国民の皆様に利用していただけますように、このINSというものを高度情報化社会インフラストラクチャーとしてなるべく早く全国的に展開をいたしたいということで、現在その線に沿って進めておるわけでございます。INSをより利用しやすいものといたしますために、公社といたしましては今後とも技術開発をさらに進めまして経済化を図りますとともに、一層事業の効率化によりまして遠近格差の極めて少ない料金体系を実現するように努力をいたしておるところでございます。
  170. 中村正男

    ○中村(正男)委員 この計画は直接投資額だけでも三十兆円とも言われておるわけですけれども、公社自身が実際に投資をされる額は総額的にどれぐらいを見積もっておられるのかお聞きをしたいと思います。
  171. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  このINS実現してまいります具体的なやり方といたしましては、現在既に全国に張りめぐらされております電話のための通信網これは御案内のように二十年、三十年をかけて建設をしてまいったものでございますので、当然年々計画的に設備の更新を要する部分がございます。それから、今でも年々百万加入を超えます新しい電話の加入者がございますので、増設のための設備も必要でございます。こういった現在のサービス水準を維持し、あるいは新たに入ってくるお客様の要求におこたえしていくということのために公社は年々設備投資をいたしておるわけでございますが、このINSと申しますのは全部がディジタル化された全国を覆う一つのネットワークであらゆる種類の情報を共通に汎用のネットワークとして通していこうという形になっておりますので、この現在の電話網、これを設備更改をいたします際に、電話のためだけを考えましても、現在ディジタルの技術で置きかえていった方が安くなります。そういったことで置きかえをやってまいりますと、そこにおのずからディジタルネットワークというものが構成をされてくる、いわば一石二鳥の形でこのINSというものが実現をされてくることになります。  現在公社がこういった設備の更改あるいは新しいお客様に対する新増設設備、この設備投資といたしましては大体ここ一、二年、年間一兆七千億前後の設備投資を行っておるわけでございますが、この程度の水準を今後とも続けていくことによりましてこのINSというネットワークが構成されていくということに相なります。日本全国の設備が全部ディジタル化をされませんでも全国的にこのINSサービスを受けることはできるわけでございまして、それにはある程度、太さは余り太くなくても全国を一様に覆うようなINSを、ディジタルネットワークをつくればよろしいということになります。私どもの現在の計画では六十二年度末から、あと約三年、四年後ぐらいには全国いずれの地域においてもこのINSサービスが受けられるように今、計画を順調に進めておるわけでございます。  そういう観点から申しますと、この先生御質問のINSをつくるためだけに幾らお金が要るのかという御質問にはなかなか確定的にはお答えできにくいわけでございますが、現在の設備更新あるいは必要な増設というものをディジタルの機器でやっていくことによりまして、その投資が生きて、INSというものが自然に形成をされていくということに相なりますので、この年間約一兆七千億の設備投資というものが丸々すべてINSの設備投資となっておるわけではございませんが、そのある部分がその形成に使われておる、こういう形になっておるわけでございます。
  172. 中村正男

    ○中村(正男)委員 三、四年先には全国の各地域実用化ができる、こういう御答弁、すべてがこのINSの費用だけではないということですが、それにいたしましても年間二兆円近いものがこれから続いていく。これは相当な投資になるわけですけれども、今確かに答弁の最初の方に言われましたこの情報化という問題は急速に高まっておるという認識においては私も異論はないわけでございます。  ただ言えることは、今日のこの情報化というのが産業分野において先行しておる。言いかえますといささか過熱ぎみという見方もできると思うのですが、他方一般的な社会生活分野においては産業分野ほど進んでいない、私はそういう見方をいたしております。当然このINS計画というものが本当に利便性を持って国民のサービスにつながっていくということにしていくためには、何といいましても今日現在のこのアナログの電話の加入者、約四千万ほどあるわけですけれども、こういう一般の家庭を包み込んだ形でのINS網にしていかないと、私はこれは投資の割には大変な、実際国民が使ってくれないということになるんじゃないだろうかというふうに思っております。  そこでそういう意味合いで、この一般の利用者が、数年先にはそういった網ができるわけですけれども、この高度情報化ニーズというものを果たしてこのINS構想が国民から引き出せるのかどうか、その辺の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  173. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  確かに先生おっしゃいますように、このINSによる高度情報通信というようなものは、企業の効率化、そういうものに大きな効力を発揮するであろうということで世間に大変華々しく論議をされ、報道されておることは事実でございますが、当然先ほども申し上げましたとおり、このINSというのはより豊かな国民生活、これを一つの大きな目標にしておるわけでございまして、若干の例を申し上げますと、例えば間もなく電電公社はこういったINSというものが家庭生活なり企業なりにどのように便利にお使いいただけるかということをテストいたします目的をも持ちまして、三鷹、武蔵野地域モデルシステムというものの試行を行おうといたしております。この中におきましては、例えば家庭生活等に使われますホームショッピング、これは現在職業をお持ちの家庭主婦が非常に多くて、買い物の時間がないというような方のために便利にお使いいただけると思いますし、それから聾唖者等のためにはディジタルスケッチホンというような形で、電話で話をするかわりに手書きでお互いに通信ができるといったようなサービスでありますとか、あるいはちょうど育児時期になりました有職の御婦人が、家庭にいながら仕事ができる。例えばソフトウエアの作成をやるといったようなことを、在宅のままで育児をする傍らそういった仕事がやっていけるといったようなものとか、いろいろな形で家庭生活、一般の個人生活あるいは障害者あるいは高齢者世帯、そういったものの便宜に使っていただけるサービス、こういうものも実験をいたしまして、今後広くお使いいただけるように開発をしてまいりたいというふうに考えております。
  174. 中村正男

    ○中村(正男)委員 大変結構ずくめなお答えがあったのですけれども、私はきょう主としてお聞きをしたいのは、むしろそういう未来がバラ色ということだけではなしに、その隠されたといいますか、余り表で論議されてない陰の部分について、一体公社なり郵政省はどういうふうにお考えになっているのか、その点をお聞きをしたいと思っております。  そこで、変な表現を使うわけですけれども、今、一部の人がおもしろ半分に言っていることには、このINS、日本語でこういう言い方をしておるわけですが、「一体何をするのだ」、この頭文字をとりますとこのINSになるわけですね。それほど一般の社会生活の面では大変な戸惑いがまだ先に立っていると私は思います。それは、今までいわゆる音声を中心にした従来の電話、その情報に大変国民としてはなれ親しんできた、そこへ突然新しい通信経路が出現をする、一体これはどういった能力があるのか。なかなかまだ大衆的にはなじんでないというふうに私は思います。もちろんこの光の部分というのは、いろいろ今言われたように、国民へのサービスが向上する、あるいはニューメディア産業をつくり出していく上においての寄与率がある、また地域間の情報課題の改善等々言われておりますが、しかし、一方の陰の部分、この論議あるいは対応が十分なされてないんじゃないだろうか。こういう高度な情報通信システム全国ネットででき上がりますと、あらゆる分野に大変な影響が出てくると私は思うわけです。  その中で二、三お聞きをしたいと思うのですが、まず第一は、こういった高度なシステム全国ネットででき上がりますと、当然そこで起こってくる問題の第一としては、個人が持っておる個人のプライバシーの問題、これはこの情報というもの自体が売り物になるわけですから、個人生活にとっては非常に危惧の念が先に立つわけでございます。これはアメリカでの調査の結果でございますが、一九八二年に政府が市民個人の情報をファイルしておる数が三十五億二千九百七十四万三千六百六十五、市民一人当たり約千五の情報が政府に握られている。一方、企業の方は、これはもう政府以上に市民個人の情報を握っておるというふうな恐ろしいデータが発表されております。そんなことから、アメリカではこの情報プライバシーのための法的規制ができておるわけですが、我が国としても早急に、もう今、既に対応をしておかなければいけないと思います。その点について郵政省なり法務省、きょうは出席してもらっておると思いますが、お考えをお聞きをしておきたいと思います。
  175. 堤守生

    ○堤説明員 お答えいたします。  先生も先ほど御指摘がございましたように、高度情報化社会の進展に伴いましてコンピューター等の利用が進みますと、個人のプライバシーにわたる各種データが集積されるわけでございますが、これらデータが違法不当な手段で収集されて、それが種々の目的に利用されたり、あるいはある目的で収集されたデータが収集目的以外に利用されたり、それから、正当な権限を有しない者が不当にデータにアクセスしてデータを改ざんしたりあるいは漏えいすること等により個人のプライバシーが侵害されるおそれがあることは否定できないところでございまして、データ処理に伴うプライバシー保護対策につきましては人権上十分な配慮がなされるべきものと考えるわけでございます。このような観点から、現在、公的部門における情報処理に伴うプライバシー保護につきましては、行政管理庁を中心にその対策のあり方等について研究、検討を進めておられると聞き及んでおりますし、また民間部門につきましてはそれぞれ主務官庁において対応策を慎重に検討され、自主規制の推進等適切な指導がなされるものと考えている次第でございます。
  176. 小山森也

    小山政府委員 先生指摘のように、確かに現在情報社会といいましても、いわゆる産業活動から家庭という流れをとっております。そういったことで、一面におきまして経済社会全般の活性化というのが促進されて、個人生活の段階においても労働時間の短縮とか余暇というような、人間性尊重というふうな面にプラスになるかとも思いますが、その反面、確かに産業構造の変化とか失業者の増大というようなもの、それから情報化不適応者というような者も中には出てくるであろう、そういったマイナスの面がある、これをどうやって防いでいくかということがやはり行政政策の一つの基本であろうかと思っております。  そこで、先ほど来出ておりますテレトピア構想でございますけれども、こういった社会がどういうことになっていくかということは、私ども日本だけでなしに世界各国ともまだ未体験の分野でございますので、不透明の部分が非常に多い。したがいまして、そういったこれからつくられるであろう高度情報社会のいわゆるハード面というのをまず構築してみて、それによって、利用したところから来る制度的な課題、例えば今申し上げましたような中の、法務省から申されましたようなところの通信の秘密というのがどうなるか、個人のプライバシーというものがどのようになるかというようなことを見きわめ、それに制度としてどういうふうに対応していくべきかというようなこと、それから経済的な諸課題、一番の問題は、そんな社会になった場合に一体家計の中で通信費にどれくらい処分できるのであろうか、通信費倒れに家計がなるのではなかろうかというような問題、こういったものをやはり一つの問題として先取りして対応策考えようというのが一つテレトピア構想でございます。  しかし、こういったものが不透明であるから、それであるからそれはやってみなければわからないというのでは私たちの仕事にはならないわけでございます。したがいまして、今度の法制上におきましても通信の秘密電気通信のシステムの安全性、信頼性、これを確保するために電気通信事業法に規定を設けているというようなことでございます。
  177. 中村正男

    ○中村(正男)委員 二つ目の問題は、今も少しそれに触れられたわけですが、いわゆる情報の不平等という問題が当然起こってくると思うのです。  かつて電話にいたしましても、テレビにいたしましても一般に普及するまでは大変高価なものとされておったわけですが、いわゆる所得格差、購買力の差によって、これからますます高度な通信システムが発達をしてきますと、そういう所得格差によって情報の質と量の差が社会生活の中で大きな問題になってくると私は思うのです。端末機の種類あるいは数の差で引き出す情報の違いが際立ってくる。とりわけ低所得者、一般の大衆としてはそういうシステムの中で一番得たい情報としては医療システム、医療の問題についてのサービスを受けたい、こういうふうに考えると思うのです。しかしそれにしてもそれを引き出せるだけの端末をそろえなければいかぬ、こういうような問題が起こってまいります。これは今、局長も予測できない不透明な部分が多いと言われたのですけれども、私は今現在でもそんなことは十分考えられると思うわけであります。郵政省としては、所得の格差が社会の不平等をさらに助長していくという点についてどういうふうなお考えを持っておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  178. 小山森也

    小山政府委員 電気通信の特性というのは、やはり時間をなくすることと距離をなくすることでございますけれども、しかしこの特性が最大限発揮されるための一番の問題は、経済的な格差をなくすということだろうと思います。  当面の私たちの政策といたしましては、一番の問題である経済的な格差というのは、まず第一にその基本となります通信回線、これを低廉な料金で使えるということに重点を置きませんと、実際にそこにいろいろな機器があってもとても高くて使えないというようなことでは情報社会であっても何にもならないわけでございまして、やはり低廉な通信料金ということでまずこれを政策の課題にすべきであろうと思っております。  それから、御指摘の端末機の問題でありますけれども、これにつきましては今、具体的にどのような形でどうするかということまで検討が熟していないことを申し上げておきたいと思います。
  179. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今、低廉な料金でもってサービスをしていく、こういうことがあったのですが、いわゆる遠近格差のない一律料金、こういうことを表明しておられますけれども、一体そういったことが具体的に国民の立場からしてわかりやすくなるというのはいつごろになるのか。どういうシステムで、どういうふうに使えば、例えば一分幾らになるとか、どこからその情報をとればこれぐらいの料金でそのサービスが受けられるということが国民の側から見てわかるのはいつごろになるのか、その辺のめどをお聞きしたいと思うのです。
  180. 草加英資

    ○草加説明員 お答えいたします。  現在先生の御質問の通信料金の問題でございますが、安い情報を全国一律に入手できるということにつきましては、御指摘の通信料金の問題、それから情報料金、こういうものがあるわけでございます。私どもはこの通信を受け持っているわけでございますが、先ほどから話題になっておりますINSの完成を目指しまして、現在のアナログの設備をディジタルに切りかえ、コストを下げながら全国一律の料金を目指しておるわけでございます。その場合、ディジタル回線には電話のみならずデータ、ファクシミリ、その他あらゆる種類のサービスが乗るわけでございますので、豊富なサービス全国一律にしかもそれらを潤沢に使っても可処分所得の範囲内で利用できる、これが私どもINS一つ目的でございます。INSの完成といいますか、全国的にディジタルが普及いたします今から十数年先には、遠近格差のない、可処分所得の範囲内で手軽に利用できる通信回線というものを完成いたしたい、このように思っておるわけでございます。
  181. 中村正男

    ○中村(正男)委員 ということは、そういう全国一律の遠近格差のない料金というのは、完全にこのINS計画が完成をした段階で、こういう受けとめ方でいいわけですか。
  182. 草加英資

    ○草加説明員 現在の電話料金は、遠近格差が非常に大きいという非常にマイナス面を持っております。そのために、私ども過去三回にわたりまして、遠距離の値下げ、さらに前回委員会で御可決いただきました中距離の値下げをことし夏やる、こういうことで遠近格差の縮小に努めておるわけでございます。今後もこの遠近格差の縮小を徐々に進めるということをやりながら、遠近格差を縮めながら、将来の遠近格差ゼロと申しますか一と申しますか、遠近格差のない料金に持っていく、こういうことでございますので、ある日突然に遠近格差がなくなるということではございませんで、傾斜的に遠近格差をどんどん少なくしていく、こういう進め方で御理解いただきたい、このように思うわけでございます。
  183. 中村正男

    ○中村(正男)委員 郵政省の方にお聞きをしたいと思うのですが、今、大変話題になっておりますこのINS計画、公社の考え方郵政省考え方というのは完全に一致しておられるのかどうか。特にこの計画の基本については、何といいましても自由な通信形態というものが保証されないといけないと思っております。その辺についての郵政省考え方をお聞きしたい。  それから、新しく通信回線が統合されてくるわけですが、このINSには画像通信まで含めるというふうに受け取っていいのか、その辺もお聞きをしておきたいと思います。
  184. 小山森也

    小山政府委員 公社で言っておられますINSというものは、結局統合ディジタル網の構築だろうと思います。これはもう私申し上げるまでもなく、世界的な電気通信の流れでございまして、これを構築しないことの方がこれからの電気通信のあり方としてはむしろ疑問が出る点でございます。したがいまして私どもといたしましては、電電公社の進めておるディジタル網の構築ということについては全く異論のないところでございます。  それから、御指摘の点と若干ずれるかもしれませんけれども、問題はこの通信回線を持つ者がすべてこの通信回線の利用の仕方を支配する、こうなりますと問題だと思いますけれども、徹底した形でいわゆる世の中のインフラストラクチャー構築というところに構築者が専念して、それを自由な形で御利用いただくということに徹すること、これによって本来のディジタル網というものが生きたものになるのであろう、こう考えております。
  185. 中村正男

    ○中村(正男)委員 画像通信まで含めるのかについての答弁がまだないのですが。
  186. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  画像通信といいますのは非常に広い範囲をカバーしている言葉でございまして、ファクシミリのようなものから、現在実験が行われておりますキャプテンといったような静止画像、それからテレビジョンのような動く絵あるいは先ほどお話ししました聴覚の障害者のためのスケッチホンといったような画像もございます。多くのものはこのディジタルネットワークでやってまいりますのが経済的でございますので、これらのものはINSネットワーク、統一されたディジタルネットワークの中で伝送されていくようになってまいります。一部のものは純粋に技術的な理由で若干、例えば短距離の動画像といったようなものは、これがディジタルネットワークに組み入れられますのは、技術的な理由で若干その他のものよりも時期が遅くなろうかということでございます。
  187. 中村正男

    ○中村(正男)委員 先ほどプライバシーの問題、答弁いただいたのですが、これはもう既に起こっている大きな社会的な問題になっておりますけれども、いわゆるコンピューター犯罪、情報が過って用いられるという問題、そういうこととか、これだけシステムが大規模になりますと、例えば停電だとかそういった事故が非常に社会全体を大きく混乱さしていく、こういう情報機能の惰弱性といいますか、それに伴う社会の混乱、そういうことに対する対策あるいは予防措置というようなことについてどういうふうに検討されているのかお聞きをしておきたいと思います。
  188. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  通信のシステム先生も御案内のとおり、よく国の神経であるというふうに言われております。これは現在サービスいたしております電話につきましても全く同様でございますし、今後の高度な情報通信システムについても同様に重要であろうと思っております。現在の電話につきましても、我々は、故障が起きました場合には自動的に故障の起きていない回線に切りかわるとか、あるいは故障の起きた装置が自動的に健全な装置に置きかえられるといったような方法、あるいは当然もともと故障の起きにくい信頼度の高い機械を、設備を設計するといったようなこと、あるいは一たん大きな災害等が生じました場合にはなるべく早期に復旧できますような各種の災害対策機器、こういったものを用意いたしておりまして、なるべく国民に御迷惑をかける、通信が途絶するということのないように、混乱することのないように心がけてまいっております。  今後、高度情報通信システム高度情報化社会といったことになりますと、ますます情報通信システムに対する世間の活動の依存度というものが大きくなってまいりますので、今後もさらに一層この通信システムの信頼性の向上ということに関しましては、あらゆる面から万全の策を講じてまいりたいと存じております。
  189. 中村正男

    ○中村(正男)委員 このINS構想というのは、確かにこれからの未来を切り開いていく大きな期待がある反面、今幾つか申し上げました危険な部分もはらんでおる。さらには、社会生活の面でさまざまな問題波及が考えられます。  例えばこういったシステムが高度化してきますと双方向の通信が手軽にできてくる。そういう社会状況になれば当然ですが、世論調査あるいは市場調査、そういったことが手軽に行われるようになる。そうなりますと結果としての数字社会、数字だけが先行するような社会の風潮になりかねないわけでして、いわゆる賛成か反対か、マル・ペケ思考、そういう社会構造といいますか、そんなことも懸念をされますし、具体的な家庭の中に入ってみますと、個人の情報がいわゆる公的機関また企業に蓄積管理をされる。そういう管理社会化への限りない不安の増大、もう一部には実施はされておりますけれども、在宅勤務、こういった問題が広がっていきますと、いわゆる日本的な家庭の秩序というものも大きくさま変わりをしてくるだろうし、また教育の面を見てみましても、ファクシミリを使って、双方向ディジタル通信を使って子供の学習ということがふえていけば、教育条件なり環境も大きくこれまた変わってまいります。そこには子供の個性が画一的になっていく。また教育の基本が揺らいでくるというふうな懸念もあるわけでして、さまざまな問題が考えられます。  また、情報と人間性の問題ということを考えますと、今日でも活字人間とテレビ人間というものの分化が大変進んでおると思うわけですけれども、こういう新しいメディア時代になりますと一体そういうことはどうなっていくのか。非常に予測を超える問題が数々、私は今からでも考えておかなければいけないことではないだろうかというふうに思います。  最後に、答弁の中でも言っておられたのですけれども、とにかく不透明な部分が多い、こう言いながらも社会は動いております。要は先取り的な論議を今から急いでしておかなければいけないと思うのです。我々も全く未知の世界ですし、もちろん政府もあるいは高級官僚の方々も今の段階では大したことはわかってないんじゃないか。すべてがわからないままにどんどんこういう高度情報化社会が進んでいく。非常に危険なことではないかと私は思います。  そういう意味合いで大臣なり、それから総裁にぜひお聞きしたいのですが、そういう未来のといいますか、逆にすぐやってくる高度情報化社会、それに対応するいろいろな社会の、影響する社会の問題を広く討議する、そういう機関を今の間にぜひ設けるべきではないか。学識経験者なりあるいは国民の幅広い階層から参加をしてもらって、そういう心配される問題についての討議機関、そんなものの設置が必要だという認識に立っておるわけですけれども郵政大臣、それから真藤総裁のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  190. 奥田敬和

    奥田国務大臣 なかなかいい、勉強させていただいた御指摘だったと思うのです。実は私も今はやりになっておるニューメディア、これは未来の私たちの生活の中には欠くことのできない分野になっていくと思いますけれども、確かに光と影の部分、特に影の部分に有識者と申しますか、政治家を含めて非常に慎重に対応していかねばいかぬだろうと思うわけです。確かに高度情報社会の目指すものという、先般テレトピアの私的な懇談会でもこのことが非常に問題になりました。物質的にも精神的にも豊かな生活を目指していくわけですけれども、その過渡期というか、そのスタート台が今だという認識の上に立っておるわけです。そういう意味において、今、日本はINS、もう世界でも先導的な役割を果たす、しかもまだ未知な分野に突入する時期と言うのが正しいだろうと思います。ただ、この中であくまでも忘れていけないのは、やはり人間性が尊重される社会でなければならぬ、また新しい文化の創造、そういったものに我々も真剣に取り組まなければいかぬ、そういうことになりますと、恐らく新しいこういったディジタル・サービス・ネットでいろいろなメディアが私たちの平生の生活の中に大変な余慶と申しますか潤いをもたらすことは間違いないと思います。便利さをもたらすということも間違いないと思います。しかし、時間的、経済的なゆとりを自分たちがどう生かしていくかという形も非常に大きな課題だと受けとめております。いずれにしてもこういった基本的なポリシーといいますか、豊かな人間性を失わない社会形成に向かって努力していくという形の中でやはり情報格差をなくしていく、文化格差をなくしていく、環境の有効利用によって、国土を非常に有効に環境整備も図ってこのメディアを活用していく、そういった形の中で生かされるとするならば、確かにニューメディアは我々に新しい文化とユートピアをもたらすのではないか。しかし、他方、先生指摘されるように、常に陰の部分というものに配慮をしつつ、そういった方向に、プライバシーも保護され人間性も豊かに全うされていくというような、常に陰の部分に対して慎重に配意していくという姿勢が必要であろうと思っております。
  191. 真藤恒

    ○真藤説明員 私ども通信設備を自分で設備をしてそれを世の中にお使いになっていただくという立場にある者どもにとって、一番この辺で気をつけなければならないのは、まず今までお話の中にありましたように、地域格差あるいは経済力の格差により情報量の利用の仕方に格差ができないような状態に、できるだけ早くどうやって持っていくのかということであろうというふうに心得ております。  それから第二番目は、私どもこういう公共事業あるいは公益事業の形でやっておりますが、実質上今日まで完全な独占体系でまいっております。したがいまして、独占組織の中におる人間の常識と、私どもの提供いたしますサービスを御利用なさる方々の間にかなりの常識の差があるということは現状では否定できません。したがいまして、その問題と、今お話にありますような陰の部分をいかに早く私どもとしてキャッチして対策を立てるかということをやるためには、どうしてもお客様の直接の声を身近に聞くような形をとらざるを得ないわけでございまして、それも中央だけで幹部同士だけであるいはオピニオンリーダーだけでやりとりすることも大事ではございますけれども、電話局の人間とその電話局管内のお客様との間の密接な対話というものが一番根幹をなすものだというふうに認識いたしまして、私着任以来、地方の電話局にお客様代表者会議というものをつくっていただきまして、それから、その上の段階の通信部にやはりつくっていただいて、それからまたその上の通信局につくっていただいて、今、最終の段階の本社の組織がほとんどでき上がるところに来ておるわけでございますが、組織が全体にでき上がる前に既に地方のおのおのの電話局とその管内のお客様との間の会議は活発に動いておりまして、今日まで二千件ぐらいのいろいろな御意見あるいは御叱責というものをいただいておりまして、それを私の責任で一カ月以内に返事をするということで約一年半やってまいりました。そういうことをやりながら、私どもの姿勢なりやり方なりということをお客様から直接最末端までおっしゃっていただいて、それを責任を持って私どもが処置するということを始めておりますが、これをもう少し強化しながら、合理的に運営しながら、今いろいろお話がありましたようなことを着実に、間違いなく進めていこうという方向で努力いたしております。
  192. 中村正男

    ○中村(正男)委員 時間が来ましたので、終わります。
  193. 志賀節

    志賀委員長 松前仰君。
  194. 松前仰

    ○松前委員 まず最初に、郵政大臣にちょっとお伺いしたいのですが、今まで私も委員会に出させていただいて大臣の御答弁をいろいろ聞いてまいりましたが、大変率直に人間味のあふるるすばらしい大臣だと思っておるわけであります。そこで、先ほどからの議論がちょっとありました中で一つだけ最初に御質問させていただきたいのですが、テレトピアニューメディアコミュニティーというのが二つ、郵政省通産省、同じ目的でありながら両方でやっておる、こういうようなことがある。こういう状態でもってこれから進むと、その指定を両方受けたところは混乱に陥るとかいう話もございました。昨今のVAN論争も同じでございまして、郵政と通産の縄張り争いと言っていいかもしれませんが、そういうような状態で、いつでも情報と通信という面がけんかをしているというような形になっておる。そういう通産、郵政の方々は、高度情報化社会、それから技術が非常に進展して通信も情報ももう融合する時代になったというようなことが常に言われておるのですが、しからば行政の方もやはり融合していかなければならぬのではないか。例えば情報通信省とか、そういうような形で一緒にやっていかなければならぬような時代になってきてはいないか、そういうような方向に変えていかなければならぬのではないだろうか、そういうように私は思うのですが、大臣のお考えはいかがでございましょう。
  195. 奥田敬和

    奥田国務大臣 各行政区分はございますけれども、今言う高度情報社会への構築に向かって目指す方向は、目標は全く一緒だと思っております。通産省は今日までコンピューターのこれだけの技術革新をやってくるために大変な努力と行政的情熱もかけてきたわけでございますし、また私たちは、電電の一元体制のもとではありましたけれども、蓄積された高度な通信技術というものもそういった面に劣らない形で大変な技術革新を唱えてやってまいったことは全く一緒であろうと思っております。しかも、御指摘のようにこれからのそういったメディアを利用して多彩な情報社会をつくっていく上におきましても、この情報という分野と高度通信という分野が全くミックスして、お互いに協力、共存の関係の中でやっていかなければならぬということも事実でございます。  したがって、先般来、通産と郵政の分野で、VANならVANという新しい産業分野に対して非常に醜いデスマッチのような形で世間にとられたということは非常に残念でございます。そうじゃなくて、これはCアンドCと申しますかコンピューターと通信、コミュニケーションのまさに接合点がこの分野であったということも言えると思うのです。したがって、今度のいろいろな話し合いの中でこれらも通信主管庁として通信事業としての分野という形で一応明定された形になりましたけれども、今後これらを利用していろいろ花開く状態に持っていくためには、通産と不断の緊密な協力関係は必要でございます。  先ほど来テレトピア構想ニューメディアコミュニティー構想というものも話題になりましたけれども、ハード面を主としていくという立場、そしてモデル都市を先行的につくり上げるといったメディアを利用する形のまず基礎、そういったディジタルネットワークをともかく先行的につくっていく、そして、その上に立ってその地域ニーズに応じた利用方法を個性のある形で指導していくというテレトピア構想と、住民が何を望んでおるのかというニーズから、それを基礎にしながら、今度はそのコミュニティー社会の中で一番役立つ形のソフト技術面も含めて調査して協力し合おうというニューメディア構想というものとは決して相反するものではありませんし、私たちはむしろハード面を担当して、そういったものを利用する土台をつくる。そして今度は、それを利用する段階においてはそういった通産省の技術の面を大いに利用もさしてもらい知恵もかしてもらい、そういう形でやっていくという形において、私は、世間がそういった対立抗争的な立場でとらえるより、むしろ協力関係の中で、共存関係の中で新しい花を吹かせた方が行政的にもより効果的ではなかろうか、そう思っております。
  196. 松前仰

    ○松前委員 恐らく今、非常に過渡期にあるからそういうお話になると思いますけれども、これから先はCアンドCという時代ですから、両方が融合して進まなければいかぬことですから、世間で言われましたような醜い競争、醜い戦争というような目で見られるああいうことのないようにこれからしっかり頑張っていただきたいと思います。  話はまた変わりますが、四月十三日の新聞で、逓信委員会が行われた次の日でしたか、マル優の関係で大蔵省が新聞に話を出しております。大蔵省はマル優制度のあり方について本格的検討を開始した、少額利子控除方式をマル優に導入する案が出ている、八月までに検討、結論を得たいとしている、こういう話が出ておったわけであります。これは御承知のように、マル優、郵貯などの架空名義を悪用して脱税というような行為がある、そういうものを考えてみると、マル優悪用の脱税は五兆だ、郵貯の口座は三億四千七百万口だ、このように書いております。郵貯の口座数がこんなに多いかどうか私知りませんけれども、こういうようなことを一掃するためにこういう制度を考えようとしているということが書いてあります。  よく読んでみますと、これはどうもグリーンカード制度というものが三年間の凍結があって、六十一年一月解除する、その前にこのグリーンカード制度を流すといいますか、そのためにこういうことを一生懸命考えなければいかぬということで検討を始めたというようなことも書いてあったし、また郵貯の口座数が少ないにもかかわらず、それがあたかも郵便貯金が脱税の根源となっているような書きっぷりでもあったり、税務署への還付請求の手間、これが非常にふえる、また泣き寝入りを期待して税金を取ろうというような形、いろいろな点でグリーンカード制度の凍結解除を恐れるためにこういうようなことを考えてやってきている。私も玄人じゃないのでわかりませんけれども、何か大変おかしな制度ができるんじゃないだろうか、そんなような気がしてならないのであります。こういうことについて郵政省の今お考えになっていることをお聞かせいただけますでしょうか。
  197. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  少額貯蓄制度を全般的に見直すというようなことが話題になっているわけでありますが、私どもグリーンカード制度の存廃ということにつきまして、グリーンカード自体が、名寄せということについて技術的なサイドから見れば非常に厳格を期する制度であることは評価するわけでありますけれども、反面、そういうことの悪用ということにかかわりのないほとんどの国民にいろいろな手間をかけるというような問題もございまして、今後の推移を眺め、よりよいシステム構築されることを期待をいたしているわけでありますが、ただ、グリーンカード制度の存廃に関連をしまして利子配当課税の見直しということでむしろ財源探しという面が強調されまして、郵便貯金やマル優の非課税制度も廃止をして財源に充てるというようなこともうかがわれるわけであります。  非課税制度を廃止いたしましても、ちまたでいろいろ言われておりますような増収が三兆円というような話というのは、税の還付を無視したような幻の数字であろうと思うわけであります。またマル優や郵貯、非課税を廃止するといたしましても税制上有利な非課税の金融商品が現にございますし、なお、そういったものが開発をされ、そちらの方にシフトするわけで、税の増収ということは、利子非課税を廃止したからといってもそう多くは望まれるものではないであろう。むしろ国民の貯蓄のあり方に大変大きな影響を与えるし、また我が国の金融経済に大変不測の混乱を与えかねないと思うわけであります。貯蓄というのが経済社会発展の基礎であって、国民の高い貯蓄率が国の今日までの発展に大きな貢献をしてきたし、また今日国債の大量発行というような状況の中でインフレ圧力もはね返るし、またクラウディングアウトというようなことも生ぜずに経済の安定運営というものが図れていくというのも高い貯蓄率のせいであるということで、これは諸外国からは評価を得ているわけであります。  今後の国債の大量発行ということを考えれば、むしろ国民の貯蓄というものを軽視するというような施策はとるべきではないであろうと思われるわけでありますし、またなお高齢化社会の到来というようなことの中で、国民が将来の老後に対して大変不安を感じておる、また自助努力ということに大変な関心を持ち、また貯蓄をそういう形で行っているということを考えた場合に、むしろ国はその自助努力に対する手を差し伸べるという政策こそとるべきであろうと思うわけであります。また、物価と貯金の利子の関係を眺めてみましても、この十年間では約一割以上も物価の上昇率が上回っておるというようなことでございます。したがいまして、貯蓄は目減りをしておる。第二所得でありながら、名目上の所得であり、実質的にはマイナスの所得である。これに税金をかけるというようなことは、これは断じてすべきではなかろうと思うわけであります。  私どもの郵便貯金限度額管理というものについてとかく言われがちでありますけれども、今、先生指摘の郵便貯金の口座が大変多い、あるいは三億五千万口座もあるというようなことが言われていたことがございます。しかし、郵便貯金の口座というのは六千三百万口座でございます。これは、実は私どもは通常貯金だけを口座ということで言っておりますけれども、この三億何千万口座というのは恐らく定額貯金の証書を一枚一枚目座として数えた数字であろうか、定額貯金は、これは千円から一枚の証書を発行いたしておりますから、現在数としては二億七千万ございますので、これと六千万を足しますと、三億五千万というようなことでございます。現に郵便貯金の限度額管理につきましては、オンライン化も進みましてそういった形で効率よく厳格にやっておりますし、オーバーした方々に対してはこれを発見次第減額措置をしていただいておるというようなことでございます。ほんの一部の不心得と申しましょうか、悪用者のために全般的なマル優制度というものがなくなり、貯蓄の重要性というものを損ない、また国民の将来に対する蓄え、自助努力というものに水を差すというようなことではなくして、今日ある限度額というものをさらに充実をしていくというようなことこそ必要ではないか、こういうふうに考えております。
  198. 松前仰

    ○松前委員 詳しい説明をお聞かせいただいて大体わかったわけでございますが、この点につきましては大蔵省との間でかなりのやりとりがあるやにも聞いております。我々の求めます福祉そのものが雇用とか健康とか老後の標準的保障ということを要求しているわけでありますけれども、第二次臨調の場合には真に救済を必要とするものというようなところに限定されておるという状況からすれば、貯蓄というものは、その必要性というのは非常に高いわけであります。何としてもやはりこれに対する課税というものについては避けていかなければならぬだろうと思っておるわけでございます。そういう点で、これから郵政省の皆さん、その理論を持って本当に国民のためになるような制度というものを確立していただきたいと思う次第であります。  次に、FMの免許の一本化の問題についてちょっとお伺いしたいのですが、これは私NHKの審議のときにちょっと触れたわけでございますけれども、これについて少しお伺いしたいと思います。  今、一本化の調整というものはもう普通になってきておるわけでございますけれども、これには実際に受理した申請書を一括して一本化調整を関係地区の都道府県知事とか財界有力者、そういうところに郵政大臣がゆだねておるということですが、これについてこのだれを選定するかというようなことはどうやって決めているのでしょうか。
  199. 鴨光一郎

    鴨政府委員 お答えいたします。  FM等の申請でございますけれども、一般的に一周波数に対しましてかなりの数の申請が出てまいるというのが常態でございます。私どもといたしましては放送局の免許に当たりまして地元への密着性の確保ということを基本方針の一つといたしております。そういうことで申請が多数出されておりますような場合には、これらの申請の中から一つを選ぶよりも、できるだけ多数の申請者が一体となって放送局の運営に当たっていただく、いわば大同団結という形で地元に密着し、かつまた経営的にも確固たる基盤を持った放送局をつくっていただくことが望ましいというふうに考えております。いわゆる一本化調整というのはこのような観点から行っているわけでございまして、その方法につきましては特段法律の規定があるわけではございませんで、あくまでも免許を円滑に進めるための措置ということでやっておりまして、ケース・バイ・ケースで私先ほど申し上げましたようなことに最もふさわしい方に御依頼を申し上げるということでまいっております。
  200. 松前仰

    ○松前委員 その場その場でふさわしい人に依頼するということでございますが、その点がどうもこの免許の一本化についての不公平といいますか、公正でないような点がかなり出てきているような気がするわけであります。例えばその免許を受けたいとして申請をしている人以外の人も利権を発生するということはこの間申し上げましたけれども、そのほかに郵政省の方で指導されているということを聞いておりますが、マスコミ集中支配を排除するというような建前からそういう方針を各地に出されておる、こういう話がありますし、また文書も北海道の例なんか私持っておりますけれども、そういう指示が出されておるにもかかわらず、例えば神奈川あたりでは新聞社系の申請者といいますか、それが堂々と名を連ねておる、こんなような状況があるわけであります。しかもその資本割り当てというのは非常に大きいということがあるわけであります。こういう点も郵政省がせっかく指導方針を出しながら、それがどうも一本化調整された先においてはそれをそういうぐあいに受け取っておらないというような状況になっているようでございます。こういうところは郵政省の方としては状況を常時つかみながらやっておられるのでしょうか。
  201. 鴨光一郎

    鴨政府委員 私ども一本化調整を御依頼申し上げます状況につきましては、先ほどお答えいたしたとおりでございますが、御指摘のようにその放送局の免許に当たりましては電波法の規定に基づきます審査を行うわけでございます。この点は一本化された申請につきましても同様に当然のこととして、一本化されたから直ちに免許するということではございませんで、一本化されたものにつきましても電波法等の規定に基づく審査を行った上で免許を与えているわけでございます。  御指摘のマスメディアの問題につきましては放送の公正かつ能率的普及を図るという観点から、従来からでございますけれども、マスメディアの集中排除ということを我が国の放送政策における基本方針の一つとしてきております。  特に、FM放送の場合につきましては、既存の放送事業者それから新聞社といった、いわゆる既存のマスメディアの主体につきましては、既に大衆情報手段というものを所有しているということでございまして、FM放送局の免許をこれに与えること、あるいはこれらの既設のマスメディアが出資というふうな形でFMの経営に参加することにつきましては、マスメディアの集中排除という観点から望ましくないというふうに考えているわけでございます。  FM放送につきましては、新会社に対するそういった既設マスコミからの資本的参加は全く認めない、また人的参加につきましても一定の場合以外は認めないということで考え方を固めておりまして、実はその一本化調整をお願いいたしますときにもそのような考え方、先ほど申しました地域密着性といったことも含めまして、調整をお願いした方に私ども考え方をお示しをして、できるだけその線に沿って調整をしていただくようにしているところでございます。
  202. 松前仰

    ○松前委員 そういうことであるようですが、実際にはなかなか郵政省指導というものは伝わっていないということのようであります。  例えばちょっと例を申し上げますが、神奈川の場合においては申請者の持ち株、申請者株、これが全体の三一・五%、約三分の一しかない。地元関連企業の関係が二八・五、中立安定株三〇、役員株一〇、こんなようなことで、申請者には三分の一くらいしか割り当てがない。しかも、その割り当てられた申請者の方の資本につきましては、新聞社関係が一九・五%、それ以外のところが一二%。新聞社側に一九・五%の資本割り当てが行っているというような状況であるわけでありまして、こういうことになると、郵政省最初意図しておったマスコミ集中排除というようなことがなかなか指導が行き届いておらないということを如実にあらわしておるんじゃないだろうかと思うわけであります。  そういう点で、どうか郵政省ももっと指導を強化してほしい、こう思いますけれども、しかしながら、マスコミの集中排除がいいかどうかという点についても、これはまだはっきりした法的根拠だってないわけでありますから、そういう点で、この一本化調整というのはその場その場でもって行われる。郵政省が自分の責任を相手にといいますか、その地方の人に任じちゃった、自主性がない、主体性がないというように私思うのでございますけれども、その点についてちょっと御見解をお聞かせください。
  203. 鴨光一郎

    鴨政府委員 放送局の申請に当たりましては、いろいろな系列があるというふうな話は私どもも聞いているわけでございますけれども、この点は申請者の内部事情ということで必ずしも外部には明らかにされないということで、具体的な申請につきましては、これがどのような状況にあるのかということについて私どももいろいろ把握するための努力はしておりますけれども、なかなか実態の把握が困難でございます。  神奈川のケースにつきましては商工会議所の上野会頭に調整の御依頼をしているところでございます。御依頼をした形の中で先生もお話のようなものが固まりつつあるというふうに思うわけでございますけれども、私どもまだ最終的な話としては聞いていないわけでございます。  ただ、FMにつきましては、先ほど申しましたように、既設マスコミの関与ということは私ども排除するという考え方でおりますが、ただその中でいわゆるダミーと言われる申請が考えられるわけでございます。何をもってダミーとするかというのがこれまた難しい問題でございますけれども、私どもとしては、極力そういったものを把握できる限りにおいて排除をした上で、できるだけ地元の地域密着性を持ち、なおかつマスコミの集中排除の形のもので一本化されることを期待をいたしているわけでございます。  先ほど申しました一本化調整を御依頼申し上げますときに、私ども考え方をお示し申し上げますと同時に、御依頼申し上げた調整者の方とは適宜御連絡はいろいろとらしていただいて、私ども考え方も反映させていただいている。それから、先ほど申し上げましたように、最終的な一本化の段階におきましての電波法上の審査ということは、電波法あるいはその下位法令でございます省令等に基づきまして十分慎重な審査をしてまいる、あるいはまいってきているという状況でございます。
  204. 松前仰

    ○松前委員 この調整については非常に難しい問題があろうかと思いますけれども、調整役から提出された出資割り当てとか役員候補その他について異を唱えた申請者は、最終的には一本化調整に協力せずということで、実際には郵政省から免許拒否処分を受けるというようなこともあるやに聞いております。そういうことになると、調整役の行政権限に等しいような権力が付与されていると見るよりほかないのでありまして、そういうような行政処分に対して、調整役のさじかげんとか基準の示されないような各地まちまちの放送局の免許に対する調整というものに非常に疑問がわいてくるわけなんです。  私が申し上げたいのは、今ここでそういうことを事細かく議論をしても仕方がないのであります。今そういう状況で進んでいるわけでありますから仕方がないのでありますけれども、五十三年の十月十八日に、自民党政調通信部会、ここでFM充実に関するプロジェクトというものがあって、その最後の方に、こういう免許については大変な問題があるから、電波法、放送法について、その改正について検討する必要がある、こういうように言われておるわけです。それから今五十九年、非常に時間が長くたって、その当時言われていたことと全く同じことをずっとやってきて、また申請者がいろいろと文句を言うような状態になってきている、こういうことでございまして、この一本化調整じゃなくて、郵政省郵政省指導性というものを発揮できるように何としても早く免許を与える基準、そういうものをつくっていっていただきたい。大変難しい作業かもしれないけれども、それがないと申請者が大変不安であるし、また文句も出てくるわけでございます。どうかすっきりとした公平な免許を与えられるようにこれから御努力をお願いしたい。郵政大臣、その辺についてお考えがありましたらお答えいただきたいと思います。
  205. 鴨光一郎

    鴨政府委員 大臣への御質問でございますが、その前にちょっと事務的にお答えをさせていただきたいと思います。  それから、先ほどちょっと申し落としましたが、申請者以外の株の割り当てという点についての御質問があったかと思いますけれども、私ども確かに一本化調整の過程で中立安定株としての中立的な株あるいは地元企業の株といったものにつきまして、当然一定割合という制約の中でございますけれども、放送局の経営というふうな面あるいは地元密着性といったことを考えた場合にはそういったことも必要なことではないかというふうに考えているところでございます。  それから、申請に対する審査の具体的な基準をというお話でございますけれども、私ども行政に携わる者といたしまして、当然法律の枠の中での最大限の努力をして対処をしているわけでございますが、現在では電波法、それからそれに基づきます郵政省令、名称といたしましては放送局の開設の根本的基準というもの、そしてまたさらにそれを適用いたします場合の方針といったものを郵政省として持っているわけでございます。審査に当たりましては、先ほども申し上げましたマスメディアの集中排除、それから地域密着性の確保、またFM放送の場合には超短波放送の特質を生かした放送をするというようなことを基本方針にいたしまして審査を行っているところでございます。この審査に当たりまして仮に一本化の過程の中で幾つかの申請が外れたということでございますれば、当然競願申請、競願処理ということをすることに相なりますけれども、私どもといたしましてはこういった審査基準に基づいて厳正に審査をし、なおかつこれも法定された事柄でございますけれども、電波監理審議会に諮問をいたしまして、その答申をいただいて免許をするということにいたしてございます。
  206. 奥田敬和

    奥田国務大臣 有限貴重な資源である、電波はまさにそうだと思います。  そこで、大変たくさんな申請者がFMに限らずテレビでもございます。しかし、結局最後にはできるだけ公正な調停をできる人ということで、一本化の調整を依頼するのはやはり大抵知事さんらになるケースが多いわけでございます。それは、一つには今も話しましたように地元との密着性と申しますかそういった地元の世論の動向もよく踏まえておられる方、そして経済基盤がある程度発足後もできている形でありませんと、やはり公正放送というようないろいろな公共のメディアでもございますから、そういった意味合いでは従来のパターンは大体地域代表である知事さんにお願いするというパターンをとっておるわけでございます。  しかし、先生指摘のような点でなお不明朗な面がありとすれば、これは大変なことでございますから、またできるだけ御意見等をお聞かせ願って公正な調停の方向にさや寄せしていくように私どもも努力したいと思っております。
  207. 松前仰

    ○松前委員 話を変えますが、次に、これは四月十七日の日経ですが、ほかのところにも出ておりましたが、参議院の決算委員会で防衛庁の木下装備局長が通信衛星の自衛隊利用、これについて研究課題としたい、こういうようなことを答弁をしておるわけでございまして、通信衛星を自衛隊に利用させるということについてはかなりの方々があちらこちらで質問をされておるわけでありますけれども、宇宙の利用というものについては平和目的に限る、宇宙開発事業団法や国会決議で出ておるわけですが、そういう中で自衛隊の衛星利用を研究課題としたいということを答弁されているということについて、これは科学技術庁の方ですか、宇宙開発事業団法は平和目的に限る、こう言っている。そこのところでこれに対してどういうお考え方を持っておられるか、聞かしてください。
  208. 清水眞金

    ○清水説明員 お答えいたします。  今、先生がおっしゃいましたのは、新聞で見ましたところでは恐らく通信衛星三号のことをおっしゃっているのかと思いますけれども、現在のところ防衛庁に通信衛星三号の利用の計画があるというふうなことは特に伺ってはおりません。今後もしそういうような御要望というものが防衛庁の方から出されれば、その時点で関係省庁間において対応等につきまして検討することになるのじゃないかというふうに考えております。
  209. 松前仰

    ○松前委員 その時点で検討するというような御発言がありましたけれども、もう既にこの宇宙の利用というものは平和利用に限るということになっておりますから、その時点よりも現時点でこういうことについては答えが出るのじゃないかと思うのですけれども、こういう発言が出たことに対してこれは妥当であるとお考えですか。
  210. 清水眞金

    ○清水説明員 今まで通信衛星二号を利用して公社が行います公衆電気通信業務から出てくる役務を自衛隊に提供することがどうかということは検討いたしまして、公衆電気通信法の範囲内で行われるのならば特に問題はないという結論を得ておるわけでございます。それ以外のことにつきましては、特に現在検討はしておりません。
  211. 松前仰

    ○松前委員 そこで郵政省の方にお聞かせいただきたいのですが、公衆電気通信法の範囲内でその利用はいいというお話でございますけれども、打ち上げのときには平和利用の目的でもって打ち上げた。今度は使う段階になったら公衆電気通信法の範囲内ならば自衛隊が使ってもいいよ、こういう話になってくる。公衆電気通信法で言えば通信の秘密というのは守られる。そうなるとこれは一体軍事目的に使っているのか使っていないのかさっぱりわからないというような状況になってくるわけでありまして、郵政省の方としては衛星は平和利用目的で上がっているけれども、その先は我々の分野だから使い方についてはそんなことは関係ないよ、こういうような感じがするわけですが、その辺はどうでしょう。
  212. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生指摘の公衆電気通信法に基づいて行われます電電公社の公衆電気通信サービスの提供、このこと自体は平和の目的に反するものではないというのが、先ほど科学技術庁の方からも御答弁がありましたように、関係省庁で昨年の八月にいろいろ検討いたしました結果として出てきた結論でございます。私どもといたしましては、このような考え方の基礎といたしまして、電電公社がCS2の利用による公衆電気通信サービスを何人に提供したとしてもその性格が変わるわけではないということ、そしてまた公社は公衆電気通信法によりましてあまねく公平に公衆電気通信サービスを提供する、差別的扱いをしてはならないということ、そしてまたこれも今、先生が御指摘のように、公衆電気通信サービスの提供に当たっては検閲の禁止、通信の秘密の確保といったことがございまして、内容に立ち入ることができないということがございます。こういったことを含めまして、また防衛庁が一般のものと同様の地位においてCS2の利用による公衆電気通信サービスの提供を受けようというのであれば、これを別に扱ういわれはないというのが私ども考え方でございます。こういうことで、先生お話しのように、打ち上げるときには平和目的だったけれども打ち上げた後はというふうな変化をするものではなくて、私どもといたしましては、この公衆電気通信役務あるいはサービスの性格からいたしまして、今申し上げましたような考え方に結論としてなるというふうに考えているところでございます。
  213. 松前仰

    ○松前委員 時間が終了いたしてきましたので、これ以上議論をするつもりはありませんが、この点についてはこれからは大変大きな問題になってくるだろうと思います。ここに書いてあるように、非軍事とはいかなる意味か、こういうことを一つ考えただけでも大変な議論になるわけで、特にこういう通信の秘密を守る、公衆電気通信法という中でもって、平和利用なのか軍事利用なのかわからぬという状況の中で、平和利用のために打ち上げたという、それを守るということがどれだけ難しいかということは皆さんよくおわかりだと思いますが、この点については何としてもやはり一番最初に、宇宙の場合にはとにかく平和目的に限るというものが大きく大前提にあるから、それをしっかりと最後まで守って、地上の公衆電気通信法とはまたそこで違った意味を持っているということを御承知いただいて、これからあちらこちらで出てくる議論に対処していただきたいと思う次第でございます。後、御答弁いただかなくて結構でございます。  持ち時間が終了いたしましたので、またこの問題については次の機会にさせていただきます。どうもありがとうございました。
  214. 志賀節

    志賀委員長 鳥居一雄君。
  215. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 先ほども同僚委員の方で問題提起されたわけでありますが、まず有線音楽放送につきまして何点か伺っておきたいと思うのです。  この問題は、さかのぼりまして昭和五十二年、三年当時からさまざまな角度から対策を検討し、ようやく立法化ができ上がり、そして昨年の十二月一日から施行という段取りになったわけでありまして、極めて今、重要な時期に差しかかっているだろうと思うのです。郵政省対応違法業者は見ているだろうと思いますし、今どういう手が打たれるのかということが極めて重要だろうと思うのです。  それで、私はまず伺いたいのですが、昨年の十二月一日の施行後、違法業者の無断添架がその後ふえてきている、こういうふうにも言われているわけでありますけれども郵政省としてはその実態をどういうふうにつかんでいらっしゃるのか。無断添架を追認するという形でどうも臨もうとしているんじゃないか、そう見えてならないのですが、この点につきまして。
  216. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ただいまの御指摘は、昨年の十二月一日以降の法改正後の問題だというふうに承りましたけれども、実は大変申しわけございませんですけれども、現在のところ私どもそうした状況を明確には把握いたしておりません。
  217. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは全国各地の電波監理局がその主たる業としてやっているわけですから、電波監理局がつかまなければ郵政省としてはどこもつかむところがないのです。全くつかんでいないということは一体どういうことなんでしょうか。これからもつかみようがないものなんでしょうか。
  218. 鴨光一郎

    鴨政府委員 有線ラジオ放送につきましては、先生御案内のように法律によりまして届け出をしていただくということが大きな法律上の前提になっておりますけれども、ただいま御指摘のありました問題は届け出自体のないものというふうに私ども考えているわけでございます。届け出のない中でなおかつそういう状態があるのではないかというふうには私ども推測し得るような状況は耳にはいたしておりますけれども、私どもの手で先ほど申しましたように確実な把握をし切れてないというのが現状でございます。
  219. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この有線音楽放送事業者というのは届け出をしますね。届け出をして仕事を始めるに当たりまして、無届けかどうかという問題は電柱使用の問題なんです。ですから郵政省としては、掌握しても事業の内容を点検してみると法律に違反しておる悪徳業者である、こういう判断をするかしないか。実態を追認していくのだという形をとるならばそれは今日の姿のような要するに行政上の掌握だろうと思うのです。ところが届け出をした業者の中に今回問題の業者が挙げられておるわけでしょう。三十日停止あるいは四十五日業務停止、これは全部郵政省としては届け出を受けておるじゃないですか。ですから届け出を既に行っている業者であろうがなかろうが、いわゆる正常な業者であるかないかという実態掌握ができておるのかできてないのかという質問なんです。
  220. 鴨光一郎

    鴨政府委員 昨年の十二月一日以降におきまして、届け出があります場合には、私どもといたしまして先ほどのお話の電柱なら電柱添架の承諾を得ているかいないかということを見きわめた上で、届け出の受理をするかしないかを決めております。  それから、先生お話にございました四月二日に業務停止命令処分をいたしました施設自体は、以前からそういう状況にあったものについての処分をしたということでございます。さらに、付言をさせていただきますならば、過去に届け出のあったものの中で依然として違法な状態のものが十だけに限るのかどうかという点につきましては、私ども十分手が回らないために確実な形でつかんでおりませんけれども、十以外にもそのようなものがあるというふうに思ってはおります。ただ、法律上の業務停止処分をいたします場合には、それ相応の実態把握ということは当然必要でございますので、その点につきましては、調査が可能になりましたならば、もちろんその前に業者に対する指導といったことも並行的にやってまいりますけれども、なおかつ、その事態が改善されない状況があるとすれば、それを十分に把握いたしまして法律上の対処をしてまいりたいというふうに考えております、
  221. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは重ねて伺いますけれども、法律施行後、大阪におきます違法業者が、従来この有線音楽放送に使ってまいりました架線とは別にもう一条、同軸ケーブル風でありますからCATV用と見られておりますけれども、これを張っているという事実を承知していらっしゃいますか。
  222. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ただいまのお話の点も私ども耳にはいたしておりますけれども、先ほど申し上げました届け出自体がないものということでございますので、確実な把握をいたしかねているという状況でございます。
  223. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、電波監理局長、それは同軸ケーブルが張られつつある、目で見て張ってある、こういう事実があっても張ってあるとは認定しないのですか。
  224. 鴨光一郎

    鴨政府委員 無届けのものにつきましては、これは届け出があって、先ごろ改正をしていただきました三条の二に該当するかどうかというものとは別に罰則がございます。もしそういう事実が私どもとして的確につかめました場合にはその罰則の適用を検討してまいりたいと思っておりますが、先ほども申し上げましたように今の段階で手が回りかねているという実情がございまして、大変恐縮でございますけれども、先ほどからお答えをしているような状況にあるというのが実情でございます。
  225. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それではもう一つ伺いますが、先ほどの議論の中に正常の業者、こう表現されていますけれども、一体正常の業者というのは何を指していらっしゃるのか。  一例を挙げます。道路使用許可を取り、電柱の共架契約をし、料金を支払っている業者を正常の業者と思うけれども、この点について、それを正常の業者と言うのだと私は思いますが、局長はどう考えられるか。つまり、これはある特定業者でありますけれども、国道使用料一億九千万円の滞納があります。このうちの一部を納付しました。残る約一億円、これは未納のままになっているわけです。そのほか、都や区、市町村あるいは電力会社に対する電柱使用料、これも全く支払っていないという状況にある場合、この業者局長の言う正常な業者なのか。払う意思があるから正常の業者とは言えるのだ、こういうお考えに立つのか。いかがでしょうか。
  226. 鴨光一郎

    鴨政府委員 ただいま御指摘のものにつきましては、私どもが承知をしております限りでは、国道の占用契約が済んでいるけれども、地方道の契約が終わっていないというふうなケースがあるということは事実でございますが、これにつきましては建設省あるいは電柱所有者との間で、これらの業者の側で正常化の条件を受け入れて具体的履行を行いつつあるものというふうに私ども見ているわけでございます。ただ、真の意味で正常かどうかという点に関しましては、私申しました具体的履行が完了したという状況を指すもの、つまり先生が先ほどお話しになったような状態を指すものと考えますけれども、今の業務停止処分との関係におきましては、これらの正常化の条件を受け入れて具体的履行を行いつつある状況のものにつきましては、将来におきます正常化のいわばめどというふうなものが見えるわけでございますので、一応その状況を見守っているというところでございます。
  227. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣に伺いたいのでありますけれども業務停止命令という非常に厳しい措置をとったわけでありますけれども、やはりこれで終わってしまってはならない。成り行きが非常に注目される、今、非常に大事なときだと思うのです。告発という厳然たる法的措置をもって今回は決着をつけなければいけないと思っておりますけれども大臣の取り組むお考えについて伺っておきたいと思います。
  228. 奥田敬和

    奥田国務大臣 法的に厳正な措置をとってまいります。
  229. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、テレビジョンの文字多重放送につきまして伺ってまいりたいと思います。  文字多重放送につきましては、昭和五十七年ごろもう技術基準あるいは標準化のための手だてということで、我が国におきまして相当にこの作業が進んできているはずでございます。ヨーロッパ各国見てみますと、イギリスにおきましてはかなり文字多重放送につきまして盛んでございまして、BBC放送がシーファックスという名前実験を始めたのが一九七二年、七四年の九月から実用化試験を経まして本放送を始めておりますし、また、民放のITV、これはオラクルという名前で放送開始が八一年の十月スコットランド、八二年、さらに広がりまして全国ネットワーク、八一年の九月からは番組の中にコマーシャルが登場するという形で進んでおります。イギリスにおけるテレビのメーカーの一つの数字でありますけれども、文多の受信ができる設備は八二年の八月現在で八十二万台、月産四万台で推移をしている。イギリスの特殊な事情だと思いますが、レンタルが非常に多くて、これは通常のテレビが月九ポンドであるのに対しまして文多のシーファックスつきのものが月十五ポンドである、こんな状況ですから、非常に文字多重放送については普及がなされて今日に至っているようであります。番組内容なんかもニュースあるいはチャンネルを変えますと、解説、料理、そういうのが百ページ提供できる。待ち時間も大体十二秒というのが最大の待ち時間だといいますから、メディアの一つの違いとして、一方通行であるあるいは十二秒も待たされるというような点もあるわけですけれども、一方におきましては非常に手軽であるあるいは料金の付加がない、逆に言うとこういう利点があります。  同じように、フランスにおきましては、七七年からアンティオープという名前で第1チャンネル、第2チャンネル、一日十三時間放送ということでもう既に始まっておりますし、視聴契約の内容からいきますと、これはまた一般化という点でいま一つという状況のようです。  アメリカは、このシーファックス方式とフランスのアンティオープ方式、カナダのテリドン方式、この三つがそれぞれ並行して今、進んでいるようであります。  我が国における文多はもっと早く実用化に踏み切られていいんじゃないだろうか、郵政省の行政の一つのウイークポイントがここに出ているんじゃないだろうかという気がしてならないのであります。つまり、ソフト次第によってはビデオテックスCATVと十分競合すると見られるこの文多、文字多重放送。郵政省考え方として、文字多重放送の実用化というのはキャプテンシステムの競合の対象で、同時出発ぐらいにした方がよい、こういうお考えはありますか。
  230. 鴨光一郎

    鴨政府委員 郵政省といたしましては、現在パターン方式によりますものをNHKが東京大阪地区で実用化試験局として実施をいたしておるわけでございますけれども、私どもパターン方式のほかにコード方式を含みますいわゆるハイブリッド方式につきまして現在電波技術審議会に諮問をいたしているところでございますが、決して実施をおくらせようということではなくて、確かにお話のように諸外国に比べますと実施がおくれているという点があろうかと思いますけれども、ハイブリッド方式の技術的な検討を待たずにとりあえずパターン方式でスタートをしようという腹を固めましたのは、一つには、目の御不自由な方々の御要望にこたえるためということがあったわけでございますが、そのほかの状況等も見まして、少しでも早く行いたいということで踏み切ったわけでございます。ただ、外国との比較においておくれていると言えばその御指摘は当たっているかと思います。
  231. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、今日まで標準化のためにいろいろ電技審の方でも御苦労されておるところだと思うのですけれども、常識的に、今ここまでは言える、こういう線がもうほぼあるんだろうと思うのです。  まず一つは伝送方式ですけれどもパターン方式、コード方式、混合のハイブリッド方式、電技審で答申が下るであろう内容は、パターンからむしろハイブリッド、こういうふうに考えて間違いありませんですね。
  232. 鴨光一郎

    鴨政府委員 パターン伝送方式につきましては、五十七年十二月に技術基準を標準方式ということで電波技術審議会からの答申を既に受けて策定をいたしております。一方で、今お話のございましたハイブリッド伝送方式の技術基準につきましては、現在電波技術審議会に諮問いたしているところでございますが、こちらの方は来年の三月に答申をいただける見込みでございます。もちろん郵政省としましては、この答申をいただきましたならば、標準方式等の省令を改正する予定でございますが、ハイブリッドの伝送方式につきましては、従来ゴーストや雑音による符号誤りに弱いというふうな弱点がある反面、パターン方式に比べまして五倍から十倍の番組伝送が可能であるという特徴がございます。したがって、それらをあわせ持ったハイブリッド伝送方式の検討を行っているわけでございます。  今申し上げましたような状況でございますので、おおむね一年後に答申が得られましたならば関係法令の整備をいたします。同時に放送局側の機器の整備あるいは受信機の製作といったことに若干のその後の日時は必要であろうかというふうに考えておりますが、なるべく早い段階でハイブリッド方式も取り入れられるようにしていきたいというふうに考えております。
  233. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、ハイブリッド方式における一つのポイントになっているのが文字発生器。日本語の特色としてかなりの数の漢字がある、コードでの伝送でゴーストその他による影響によって、発生される漢字が違う漢字が再現される心配がある。ですから、この文字発生器の開発、それからLSIあるいはICの技術開発による値段的にもかなり割安な手ごろなそういうものが手に入る時代になってきている、こんなふうに考えてみたときに、電技審における審議の状況というのはどうなんでしょうか。もうそんなに長い時間かけずに答申が出せるような状況にあるんじゃないのでしょうか。
  234. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先ほど申しましたようにハイブリッド方式の答申は約一年後にいただけるものと思っておりますが、その前提というような形でございますけれども、昨年の三月に電波技術審議会の方からパターン伝送方式と整合のとれるハイブリッド伝送方式の基本パラメーターというものが答申をされておりまして、いずれハイブリッド伝送方式が導入される場合にもこれを踏まえて決定をされることになるわけでございまして、御指摘のようにパターン伝送方式を既に始めておりますが、この整合のとれるハイブリッド伝送方式の基本パラメーター自体が既に得られておりますので、一年後にはハイブリッドのものの答申がいただけるであろうと考えているところでございます。
  235. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この延長線上にある議論なんですけれども、電波の有効利用ということにおきましては、今日電波行政を預かる郵政省としても、取り組みとして大変重要な役割の一つであると思うのです。  それで、ラジオの中波のAMステレオ放送につきまして、ここのところアメリカにおきます標準化のための作業がずっと進んでまいりました。確かに、広い大きな国と我が国と比べますと、電波の事情も、混信であるとか大変な状況の中にあることは言えるだろうと思うのです。しかし、アメリカにおきまして方式が、例えばマグナボックスあるいはモトローラ方式、最後に生き残って四方式がございまして、最終的に四者のうちのどれかが市場を占有する形になってくるんだろうと思うのですけれども郵政省は我が国における中波のAMステレオについて非常に冷たい。これは、一つはNHKがラジオの聴取料を取らないということもあるだろうと思うのです。しかし、この聴取者側の方からいきますと、FMのステレオというのは部屋の中でじっと聞くものでエリアが限られておりますけれども、少なくとも関東地方ぐらいの中を移動しながらステレオのだいご味を味わえる。これは中波の性質を活用するしかない。アメリカにおきましては、これは七五年FCCの方で裁定に入りまして、七七年にFCCが検討報告書を提出して、八〇年にマグナボックスを仮決定した。しかし、巻き返しその他があって、その後もう一度白紙に戻すというような何かおかしな現象がありました。こんなことが日本におけるAMステレオ化、これに全く着手しない理由になっているのかなあとも思うのですけれども、率直な見解、いかがなものでしょうか。
  236. 鴨光一郎

    鴨政府委員 確かにアメリカと日本の場合、国土の状況といったものが違うという点があることは事実でございますけれども、AMステレオにつきましては、アメリカにおいては中波放送を多重してステレオ化した方式ということで一九八二年ごろから実用化が始まっているわけでございます。  我が国の状況について申し上げますと、日本の場合は御案内のようにいわゆるITUの世界では第三地域に属するわけでございますが、一九七五年に取り決められました第一地域と第三地域、第一地域はヨーロッパ、アフリカ、第三地域はアジアとオセアニアでございますけれども、この二つの地域におきます長波、中波放送プランに従って日本は中波放送を行っているところでございます。このプランはAMのモノラル放送というものを前提にしておりまして、AMのステレオ放送を予定してつくられたものではないという点がございます。  一方、ITUの世界では世界が三つの地域に分けられておりますが、アメリカの属します第二地域につきましては一九八一年に取り決められました第二地域の中波放送プランでAMステレオ放送が認められているわけでございます。この南北アメリカの第二地域を除きます第一と第三の地域のプランでございますが、この一九七五年に取り決められました計画の中では実は極めて多数の放送の要求が各国から出されていたわけでございます。この多数の放送要求を収容するためにある程度の混信を許容するということを各国が容認をしたといいましょうか、前提にしてこのプランが固められたわけでございます。実際問題として、特に夜間におきまして外国波による混信があって、サービスエリアが狭くなるというふうな現象が生じているわけでございますけれども、ステレオ化いたしました場合にそういった意味での混信妨害がさらに受けやすくなるというふうな可能性もございます。こういった点がございますので、私どもといたしましては受信者のニーズもございますが、慎重に進めていく必要があるであろうというふうに考えているところでございます。
  237. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昨年の日本の国内の動きを見ていても、東京で帝国ホテルを使いまして二日間にわたってAMステレオのセミナーを開き、続いて大阪朝日放送のスタジオを使って二日間セミナーを開くというぐあいで、民間でも非常に関心の高い放送メディアですね。あるいはラジオ放送の技術陣がチームをつくりまして実際にアメリカのAMステレオの実施状況を見に行こうじゃないかという動きも出てきておりますよね。だから郵政省の電波行政で道を閉じてしまうという行き方は絶対とるべきじゃないと思うのです。技術的に可能であるのかどうなのかということの研究の姿勢だけは持っていくべきだと思うのです。バンドの幅だって、アメリカではこのAMステレオに必要な十キロヘルツ帯になっております。日本の国内ではわずか一キロ幅の狭い九キロというだけであって、技術的に何ら問題はないわけです。そういう見解をとっていますね。しかも両立性があります。仮にAMステレオの放送設備を使って放送を開始したとしても、従来どおりの受信機でそのまま受けようと思えばそのまま受けられる、混信もない、ひずみもない、そういうようなデータも出てきておるわけですから、これはやはり今後検討の価値が大いにある、私はそういうふうに判断しているから、今後の課題として取り組んでいただきたいことを要望として申し上げたいのです。どうなんでしょうか。
  238. 鴨光一郎

    鴨政府委員 AMのステレオの技術基準等の作成につきましては、先ほども申し上げました国際協定上の長波、中波放送プランの制約、それから混信といった技術的な問題のほかに、受信者のニーズあるいは放送事業者の意向といったことも考慮しなければならないと考えておりますが、同時に先ほどお話のございましたような幾つかの方式がございますので、日本でやるといたしますとやはり受信者の便宜あるいはコストダウンといったことから、この方式の統一も必要ではないかというふうに考えております。いろいろ問題はございますけれども、私どももこの方式の統一問題も含めましての検討はしてまいるつもりでございます。
  239. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、電波の有効利用ということで電波利用開発調査郵政省のもとで周波数資源の開発という作業が進んでおるようでありますけれども、プロジェクトのその後の――ついせんだってのレポートの中で今後メディアとして陸上移動関係が非常に今、周波数の逼迫が言われておりますけれども、向こう五年をめどに実現させようという一ギガから二ギガ帯、この開発計画はどういうふうに進められるのでしょうか。
  240. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先生指摘のように電波の利用が非常に需要が増大をしてきておる中で、移動通信に対する需要というのも急激に増加をしてきております。そうした中で従来使用してまいりました周波数だけでは将来対応できなくなる可能性もございますので、これに対処するために新たな周波数帯の検討が必要となってきております。もちろん一方で新しいものだけではなく既存のものにつきましても狭帯域化を図るというふうなことで、先生指摘の有効利用を図るという工夫も、努力も必要なわけでございますが、新たな周波数帯の検討という意味では、お話のございました一ギガヘルツから二ギガヘルツの周波数帯というものが将来の移動通信用周波数として非常に有望であろうと私ども考えているわけでございます。最近の技術の進歩発達という点からいたしまして、私どもこれに大きな可能性があるというふうに考えているわけでございますが、私どもといたしましてはこの周波数帯の特質を生かした移動通信方式の開発ということにつきまして、本年度から部内に研究会を設けるというふうなことで積極的な検討を進めていくことにいたしております。
  241. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 五十七年から始まりましたMCA、マルチ・チャンネル・アクセス、それとほぼ並行して進んでいるパーソナル無線、これは一つの典型的な、限られた周波数を有効利用しようという形で、しかも混信がない利用の仕方ということで、非常に注目されていると思います。五十七年以来の今日の推移と、どんな状況に置かれ、将来どういうふうにしていこうとされているのか。特に、東京から始まりまして、大阪、その後名古屋、札幌という計画があったと思いますが、この計画の延長上は、エリアとエリアを結ぶということが大きな課題だと思うのですけれども、これはやはり無線センター、財団法人の方にお任せするのではなくて、主導的に郵政省の方として計画をお立てになる、そういう必要のある事業じゃないかと思うのですが、その点についてもいかがでしょうか。
  242. 鴨光一郎

    鴨政府委員 MCAシステムでございますが、五十七年の十月に東京地区に導入されまして、その後、同じ年の十二月に大阪地区、それから一年置きました五十八年十二月には、京都、名古屋両地区にそれぞれ導入をされております。各地区の昭和五十九年三月末の加入数は、東京で約一万二千五百局、それから大阪で六千二百局、京都で約五百局、名古屋地区で約二千五百局、このような状況になっているわけです。このMCAシステム導入は、それぞれの地区におきます通信需要を考慮して導入計画が作成されるものでございますけれども、現在、今申しました四地区のほかに横浜、埼玉の両地区で導入計画が進められておりますほか、札幌、北九州等でも検討が行われているところでございます。  現在のMCAシステムにつきましては、移動局について複数のサービスエリアに加入しての運用が可能でございますけれども、将来の問題として、MCAシステムが逐次発展をいたしてまいりますと、広域的なネットワークとして運用するということも要望として出てくると思いますので、その広域的な運用を可能とするような利用形態あるいはシステム構成などについても検討しているわけでございます。  ただ、日本のMCAシステムは大ゾーン方式をとっております。先生大変お詳しいわけでございますけれども、このMCAのセンターの配置ないし運営につきましては、今申しました大ゾーン方式ということで運営をしていくことが適切ではなかろうか、それがまたいろいろな周波数の利用面あるいは利用者の意向等を踏まえましても適切なのではなかろうかというふうに私ども考えているところでございます。
  243. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、このMCAシステムでデータ通信が無線でできるという道が開かれておりますね。千二百bPSですから、データターミナルとしては非常におもしろい使い方が実はできるということ、それで、また反面、もうちょっと利用しやすくすればいいんじゃないかなという面が実はハンディーへの道、それで着脱式、普通マスコミの皆さんが使っているのが業務用の無線で、車からおりて取材先までちょっと離れたところへ行く、そのときには着脱式になっていますから、何も出力が十ワットということじゃなくて、例えば五ワットというものに切りかえて、すぐハンディートーキーとして持って出られるわけですね。ところが、MCAについてはその道が開かれてない。車から離れて使えるような着脱式のものを認めない、道を閉じてしまっている、こういうふうに私には思えるのですけれども、いかがでしょうか。
  244. 鴨光一郎

    鴨政府委員 MCAシステムでございますけれども、先ほども申しましたように、システム経済的な構成を図るために、無線ゾーンの構成方法といたしまして、大ゾーン方式をとっているところでございます。そしてまた、安定した通信を確保するという観点から、移動局の空中線電力といたしまして十ワットのものを使用することにいたしているわけでございます。その中で、お話のございました移動無線の機器の小型化、そしてさらにポータブル化ということは利用という形態から申しますと当然望ましいことでございますが、今申しましたような大ゾーン方式、そして安定した通信確保のための十ワットというふうな出力を維持しながらポータブルの機器ができないかということを考えているわけでございます。  ただ、現在の時点で考えますと、私ども決してその道を閉ざすということではございませんが、ただいま申しました大ゾーン方式、そして出力の関係からいたしますと、こうした機器が電池の容量の制約から開発されていない状況でございます。ポーダブルというからにはやはりある程度の重さ以下でないといけないかと思います。小電力のものを考えればそれもできるわけでございますが、ただ、小電力にいたしますと安定した通信の確保、あるいは現在行われておりますゾーンよりも小さくなってしまうというふうな問題も出てまいりますので、そうした点についての利用の効果あるいは社会的影響といったことを、仮に小電力のものを考えるとすればそういった点を考えなければいけないだろう。むしろ方向といたしましては、やはり十ワットの電力で、なおかつポータブルなものというのを私どもとしては開発の方向として考えているところでございます。
  245. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ぜひ検討をしていただきたいと思います。要するに技術的に壁を乗り越えることができるとすればその道が開くんだ、こういうふうに私理解しておきたいと思います。  つまり、出力十ワットと言いますけれども、無線設備規則によりますと、上限二〇%が許容範囲内なんですよ。下限五〇%。つまり、十二ワットから五ワットまでの幅のものは無線設備規則からいくと認めますよ、そういう大前提があるにもかかわらず、このMCAに関しては定格十ワットというふうに決めちゃっているわけですよ。法律では上限十二ワットから下限五ワットまで認めているのですよ、この法律、無線設備規則からいって「その他の送信設備」に入るのですから。ところが、赤坂のあそこにあるセンターに移動局が近づいてきますと、強電界地域に入りますね。強電界地域に入ると自動的に出力を落とせというような設備までついているわけですよ、MCAの送信側には、モービルの方の側には。それにもかかわらず検査の段階で十ワットでなければいけないというふうに決めていること自体ナンセンスだと私は思います。ですから、技術的な問題が絡みますからぜひ検討の課題としていただきたい。いかがでしょうか。
  246. 鴨光一郎

    鴨政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、大ゾーン方式を維持しながらそのサービスエリアの中で安定した通信ができるということが現在の状況では私ども考えている条件になるわけでございますが、この枠の中で先生指摘のように、技術というものの発展、開発の可能性というのはこれからもまだ多々あるだろうと私ども考えておりますので、そうした条件と申しましょうか、一定の制約の枠の中でできる限りの努力をしてみたい、これは当然、技術の問題でございますけれども、そうしたことに私どもとしても大きな関心を持ち、また、そのための努力もしたいというふうに考えております。
  247. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 簡易無線でありますけれども、これがまた非常に需要の高い、周波数の逼迫している一般業務用ですね、それで百五十メガ帯の周波数割り当てが九波、四百メガ帯が十波、合わせて十九波がいわゆる簡易無線として、業務用に割り当てられてきたわけです。これはもう既に四百メガ帯で十波ふやして二十波にした、だからすべて解決だというわけにはなかなかいかない状況の中にあるだろうと思うのです。例えば、タクシー無線と比べてみますと、このタクシー無線の全無線局数が十八万局、それで周波数が百波ですから、一波当たり千八百局、ところが、この簡易無線に関して見ますと、一波当たりの局数が二万八千局、この公共性からいって、非常あるいは災害、そうしたものに、あるいは警察無線というような役割の重要度がもちろんあるだろうと思うのですが、この簡易無線というのは非常に地域経済とつながる、あるいは市民生活に密着した機動性、即時性ということで非常に評判を呼んできた簡易無線だと思うのですね。優先度からいけばかなりのところに位置を占めていいのじゃないかと見られるこの役割でありますけれども実態においてはこんなような状況にあるわけです。これは今後の方向として、あるいは八百メガ帯の開発をする、あるいは先ほどのお話にありましたけれども、一ギガ、こういう中でどんどん割り当てられてしかるべきじゃないかと思うのですが、こういう点については、電波監理局として、どういうようなコンセンサスが今でき上がっているのですか。
  248. 鴨光一郎

    鴨政府委員 簡易無線の制度は、これも先生御案内のように、簡単な手続で免許を受けることができ、しかも、だれでもが簡便に利用することができる通信手段ということで、百五十メガ帯、四百メガ帯の簡易無線の制度が導入されているところでございますが、ことしの一月に四百メガヘルツ帯の方につきましては、狭帯域化を行いまして、従来の周波数十波に対しまして、さらに十波の増波を行いました。したがいまして、四百メガヘルツ帯ではトータルで二十波の波、そして、百五十メガヘルツ帯では従来からございます九波の波が利用できるようになっているわけでございます。これによって、小規模事業者等の簡便な通信手段として、一層の活用が図られるものというふうに考えておりますが、私どもも一般的に申しまして、これは既存の周波数でございますが、先ほどの狭帯域化による利活用、そして新しい周波数帯の開発といったことで、増大をしてまいります。波数需要と申しましょうか、ニーズにできるだけの対応をしていきたいというふうに考えております。先ほど大臣からもお話がございました電波自体が有限な資源であるという面があることは事実でございますけれども、そうした中でこれをできるだけ有効に活用する、そしてまた国民のニーズにこたえるようにしていくということが私どもの責任であるというふうに心得ております。
  249. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私の質問は、以上で終わります。
  250. 志賀節

    志賀委員長 小谷輝二君。
  251. 小谷輝二

    ○小谷委員 郵政行政が国の膨大な事業の中で最も国民生活に直結した事業であり、なおかつ郵政の三事業すべてが一般財源に依存することなく独立採算で行われておることにつきまして、もちろん料金値上げ等の支えがあったといえども大臣初め郵政省の幹部の皆さん方の努力に敬意を表するところでございます。国民生活に最も密着し直結しております事業だけに、全く現場での直結した問題を二、三御質問したいと思いますので、よろしくお願いします。  大臣の所信表明にもありましたように、郵政事業については、大臣は、「時代の要請に即応したサービスの開発、提供に努め、国民の信頼にこたえていく所存でございます」と、このように力強く決意を述べておられるわけでございます。  そこで、私たち現場で身近に感じております諸問題の中で、郵便局の整備問題、これは非常に重要な問題でございますのでお伺いしたいと思いますが、五十九年度の普通郵便局の新増設計画、まずこれはどうなっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  252. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便局舎の改善につきましては、従来から省の重要施策として予算の確保と計画の実現に努めてきているところでございますが、引き続きその改善整備を図る必要がございますので、昭和五十九年度予算におきましては、善通局の新増築は三十九局、約十九万平米でございます。特定局に関して付言いたしますと、特定局は新築七十局、約三万五千平方メートルを計画しておるということでございます。
  253. 小谷輝二

    ○小谷委員 私の地元で、大阪市内の南部に位置しております行政区で住吉区という行政区がございまして、この住吉区には明治三十三年に区の中心に住吉郵便局が設置をされております。それから長年郵便サービスを展開してきたわけでございますけれども、昭和四十九年に、大阪市の行政のサービスの充実ということで分区をなされまして、東西に大きく真半分に分かれたわけでございますが、郵便局はこの中心部にございまして、この郵便局がさらに五十五年に、分区になった西の端の住之江区の中心部に移転、新築されております。  この住吉区というのは、現在も人口十六万余りの大きな行政区でございますが、全く東西の交通の便がなくて、市内の中心部まで一遍出かけなければ住之江郵便局には行けないという状況になってしまいました。そこで、区内の住民の皆さん方から集配郵便局として住吉区民の利用のできるようなところに郵便局をぜひ設置してほしいという強い要望が出されておりますが、このことについては御承知であろうと思いますけれども、五十九年度予算にこの住吉区に集配郵便局の新設をするための用地取得費並びに建設費等が含まれておるのかどうか、またこの住吉郵便局を建設されるとすればその時期、また局舎の規模等、わかれば御説明をいただきたいと思います。
  254. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 大阪の住吉区と住之江区の郵便局のこれまでの経緯につきましては、先生今お話しのとおりでございまして、現在住吉区と住之江区と両区を受け持つ郵便局として住之江局というものがございます。したがいまして、住吉区内の住民の方から住吉区内に普通郵便局設置の要望が強く出されておりまして、私どももその必要性を痛感いたしまして五十九年度予算に土地買収のための予算を計上し、先般御承認をいただいたところでございます。なお、土地の面積といたしましては約三千六百平米を計画しております。したがいまして、現時点におきましては用地取得に近畿郵政局の建築部を中心に鋭意取り組んでおるところでございます。用地取得ができましたならば、計画といたしましては六十年の予算に建物の建設予算を組み込まさせていただきたいというふうに考えております。なお建物の面積は、まだラフな計画でございますが、五千平米程度のものが必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。
  255. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、郵便為替問題につきましてお尋ねをしておきたいと思いますが、その前に現在内閣委員会の方で付託されております郵政省の設置法一部改正法案がございますが、この法案の趣旨は、地方貯金局、また地方保険局、地方郵政局を統合するという第二臨調の答申に沿った行政改革の一環である、このように理解しておりますが、この統合によって国民サービスの低下を招くような心配はないのかどうか、この点はいかがでございましょうか。
  256. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 臨調の答申に基づきましてことしの一月二十五日に閣議決定されました行政改革に関する当面の実施方針というものに基づきまして、郵政省の設置法の一部を改正する法律案を今国会に御提案申し上げております。  その中身は、先ほど先生おっしゃいましたように地方貯金局及び地方簡易保険局を地方郵政局に統合するというものでございます。これは臨調答申を踏まえて郵政省の地方支分部局の簡素化、効率化、総合化を図ろうという組織改正の一環でございます。先生御心配の、これによって住民サービスが低下するようなおそれがないのかという御質問でございます。  地方貯金局、地方簡易保険局、いずれも国民生活、住民生活に非常に密接した仕事、為替や貯金の現金計算の後処理の事務あるいは証拠書類の取りまとめ、さらには簡易保険の契約締結の事務等国民の権利義務関係あるいは日常生活に非常に密接なかかわりを持ったものばかりでございますので、統合することによってかりそめにもそのような事務に支障が起きるようなことがあってはならないと思っております。したがいまして、組織的に地方貯金局と地方簡易保険局を郵政局に統合いたしますけれども、必要な現地の事務処理機関といたしまして貯金事務センター及び保険事務センターを置くことにしております。
  257. 小谷輝二

    ○小谷委員 郵便為替制度のことでお尋ねしたいのですが、この制度の利用状況システムはどうなっているのか。まず最初に御説明をちょっと願いたいと思います。
  258. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  為替の仕組みと取扱状況ということでございます。  為替は御承知のように為替証書を組みましてこれを送り、そしてそれを相手の受け取った局において現金化をする、こういう制度でございます。内国為替の場合、払い出しの件数といたしましては二千万口ということになっております。これは扱いといたしましては、普通為替あるいは電信為替、定額小為替というようなことがございます。払い渡し口数といたしましては、千九百万口数というようなことでございます。  以上でございます。
  259. 小谷輝二

    ○小谷委員 それでは振替の方はどうなっておりますか。
  260. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 振替の方は振替口座というものをお持ちいただいてそこにお金を振り込んでいただく、またあるいはそこから自分でそのお金を受け取る、こういうような仕組みでございますが、現在口座数といたしましては七十万口座ほど振替口座はございます。受け払いの合計といたしましては二億三千万口、それで一兆六千四百億程度の金額になっております。
  261. 小谷輝二

    ○小谷委員 この振替制度の利用状況をちょっと今お聞きしたのですが、私の手元に、昨年の八月一日に京都府の福知山郵便局から大阪市内に口座を持つ人に一万四千三百円振替が行われたという事例があるわけですが、それが受取人の手元で現金化したのが八月十五日、十五日間、半月かかっておるわけです。それからさらに一部改正されたようでございますが、これは兵庫県の氷上部の郵便局から九月十四日に振り込まれて九月二十二日本人が受け取っておる。またもう一件は十月三十一日に振り込んで十一月八日に本人が受け取ることができた。いずれも一週間前後の日にちがかかっておるわけでございますが、この郵便振替は現在、割賦販売、税金またNHKの視聴料金、あらゆる分野で非常に幅広く国民の中に利用され、また、今まで長い間この制度が生活の中に生き続けてきたわけですけれども、今のこのような、スピード化され、機械化され、高度化された時点で、余りにも遅いのではないか、もう少し何とか改良の余地があるのではないか、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  262. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 郵便振替につきましては、その取り扱いをオンラインで取り扱うということに、今、大体のところがそういう形で行われているわけでありまして、オンライン化の前の、いわゆる手作業でやっている場合と、それからオンライン化になった場合とを比較いたしてみますと、仮に、郵送期間を一日として見た場合に、郵便局で払い込まれた払込金というのを、これはまず地方貯金局で振替口座に記録をする、こういう作業がございます。それから、記録をして、加入者に払い込みの通知というのが届くまで、この間大体四日程度が必要になってまいります。これから、この払込金を加入者が払い出そうという場合に、また地方貯金局の方に払い出しの手続をするというようなことで、郵送等を入れまして四、五日がかかるということで、従来の手作業でやりますと、八日から九日程度というのが大体の目安であったと思うわけであります。もちろん、この場合に郵送期間がもっと、一日以上というような地域もあったと思いますし、その間に、日曜とか祝日あるいは土曜日というものが入りますと、その分作業がおくれるというようなことで、日数が延びたというようなこともあるわけでありますけれども、その辺は、オンラインになっても同じような状況でございますけれども、オンライン下におきましては、払い込みという段階までは従来の手作業と同じで、四日程度かかるわけでありますけれども、それから先が断然違ってまいりまして、払込金が口座に受け入れられた後は、加入者は即時に受け取ることができる仕組みがございます。したがいまして、四日程度短縮をされる、といいますのは、今までが八日あるいは九日だったのが、四日程度で現金化ができるということになっているわけでございます。  先生、今、御指摘の具体的な事例につきましては、私も今ちょっと、どういう事情であったかということについてつまびらかでないわけでございますが、恐らくは取扱日数の間に土曜、日曜というものが入った、あるいはお客様自体が加入者の即時受け取りということについて、その間に若干の日時を置かれたのではなかろうかというような感じがするわけでございますけれども、今後とも、そういう取扱時間が非常にかかるということのないように万全に努めてまいりたい、こういうように考えておるところでございます。
  263. 小谷輝二

    ○小谷委員 一層の努力を要望いたしておきます。  次に、郵便貯金の問題につきまして、ちょっとお尋ねしたいと思います。  貯金の総額限度額、これは現在三百万円のままで十年間据え置きになっておるわけでございますが、限度額の引き上げに対する要望もあるわけでございますが、引き上げられないその根本的な理由、これはどういう理由なのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  264. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 総額制限額につきましては、郵便貯金の場合、現行三百万ということでございます。これは四十八年に三百万に引き上げられてから十年間も据え置かれているということでございまして、この間の物価上昇というようなものを見ましても、実質的価値が半分以下になっているというような状況でございます。  利用者がちの強い要望もございますし、私どもの郵政事業についての審議、御意見をいただく郵政審議会からも、国民の健全な資産形成を促進するために早急に引き上げるべきであるというような答申もいただいておるわけであります。そういうことで五十九年度予算段階におきましても、重要施策事項としていろいろ努力をしたつもりでございますけれども実現に至らなかったわけでありますが、この問題は税制とのかかわりなどもございまして、特にグリーンカード絡みの問題で、利子配当課税の見直しを行おうというような方針のもとに、その一環として取り扱うというようなことで大変厳しい状況にございまして、今年度実現に至らなかったわけでありますけれども郵政省といたしましては、国民の貯蓄の重要性というものにかんがみまして、その実現に今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  265. 小谷輝二

    ○小谷委員 一般常識論として、普通の銀行は大手企業を中心に金融機関として資金の運用等を初め、利用されておるように私たちは思っております。信用組合等は、中小零細企業を中心に資金の運用を初め、金融機関としての利用が行われておる。これと郵便貯金は全く性格が異なって、労働者、サラリーマン初め、年金生活者、家庭の主婦が中心になって生活を何とか切り詰めて、せめて緊急時の資金のために、また老後のためになればと、このような目的、趣旨で貯金がなされておるものである、このように認識をしております。  したがって、例えばこれを増額するからということで、民業を圧迫するとか、また現在、今、答弁がありましたように、課税の問題等で制限額を例え三百万から五百万円に増額したとしても、この預金の内容、また性格からいいましても、当然、課税の対象にすべき預金の性格ではない、このように私なりに判断し、思うわけでございますが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  266. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のとおりに、郵便貯金は貯金、ためる金でございまして、働いた皆さん方の汗の結晶と申しても本当に過言ではないと思います。銀行のものは預金で、これは預けておく金で、これはいつでも、ちょっと出したり入れたりする。貯金の場合は、本当にそういった意味では、長期性も含めて、国の財投原資として果たしておる役割も含めて、大変大きな使命を果たしておると自負いたしております。しかも、今言いましたように少額、汗とあぶらの結晶という面から考えますと、非課税という形は何としても堅持してまいらなければなりません。と同時に、時代の推移もございまして、十年という長い間据え置かれておるという実態から見ても、やはりこの辺でひとつ非課税限度額を上げていただきたいというのが、全く素朴な預金者の気持ちであろうと思っております。  ただ、この問題は、利子配当課税等々、去年も大蔵とやり合ったわけでございますが、相当いろいろな、何というか意識的なデマも流されておりまして、実際は、郵便貯金口座は六千万口座しかないのに、三億五千万もあるような、いろいろな簡易保険のそういった証書の枚数まで全部数えたような形で、郵便貯金口座というのが全く安易な形で取り扱われておるような印象を与えられたケースもございましたし、大変残念に思っているわけです。また利子配当課税等々の問題、そういった問題もひっくるめて、今日大変厳しい環境にあることも事実でございます。しかし引き続きこの限度額引き上げの問題は、そういった先ほども申しました預金者の気持ちを体して、今後とも引き続き大蔵側と折衝して、引き上げに努力いたしたいと思っております。
  267. 小谷輝二

    ○小谷委員 今、大臣の説明で、ある程度何とか理解はできそうな気もするのですが、二月の七日の日に日銀が金融資産に関する調査報告書というのをまとめておりますが、この中を見ましても、高齢化の進行で老後にも備えなければならない、こういった事情を背景に国民は金融資産の運用に金利や収益を重視する態度が非常に高まってきた。したがって金融資産の中身を見ると、定額郵便貯金の構成比が非常に上がってきている。非常に期待され、定額郵便貯金に対する預金希望というかそういう形がふえてきておる、こういうように言われておりますし、したがってむしろそのような状況の中で国民の希望、ニーズにこたえるということになりますれば、シルバー貯金とでもいいますか、新たに高齢者のための老後に潤いのある生活をするためにという希望、または自助努力とでも申し上げますか、そのような願いをくんで新たに一千万円程度の非課税の預金制度を創設すべきではないか、こういう思いもするわけであります。また、自由経済というのは過去の経過から見てみましても膨張経済が続くわけでございますし、預金の価値もだんだんと下がることはあっても上がることはない状況にあるわけでございますし、非課税の預金枠をさらにふやすべきではないか、このように私たち思うわけでございます。特に、こういうふうな考え方に反して郵便貯金の非課税制度を廃止して増収を図る、このような意見が一部にはあるようでございますが、これは高齢化社会を迎えるに当たりまして、国民の老後の生活を考える自助努力を踏みにじるものであり、さらに大衆課税を強化しようという暴論である、このように私自身も思えてなりませんが、この点についての大臣のお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  268. 奥田敬和

    奥田国務大臣 シルバー貯金の創設に関しましては、かねてからの強い要望でございます。今、先生が御指摘のとおりに、高齢化社会へもう大変なスピードで入っておるわけでございます。大体五十も越えるとそろそろ老後の問題がちらついてくる。しかも公的年金必ずしも老後の不安を完全に満たすものではないということになれば、これはやはり老後の自助努力も含めて、そういった年金の補完的な意味も含めて豊かな老後ということに、私たちとしても、シルバー貯金でさらに五十五歳以上という一つの年齢設定も含めまして、高齢者対策も含めて、一千万ぐらいの枠が適当ではないかということで非課税措置をお願いをしておるところでございます。引き続き、これも先ほど言いましたような税制との絡みもございますけれども、私たちはこれは社会福祉制度として、自助努力、自立努力のそういった意味合いにおいてはむしろそれを奨励すべきものだ、年金を補完する上においても高齢化社会に対する布石としても、今後とも熱意を持って実現に努力してまいりたいと思っております。御支援のほどをお願い申します。
  269. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣も努力されておられることについては十分理解できますが、特に住宅積立郵便貯金の積立総額五十万、これも四十七年から十二年間据え置き。少なくとも十二年間と言えば世界経済もさることながら、時代は一昔、大きく変わるわけでございまして、なおかつこの制度がいまだにそのまま残り生きておる。これに対して、当時昭和四十七年ごろこの制度が創設されたときにはかなりみんな大きな期待もあり、また価値も非常に高かったわけでございます。これをいまだにこの制度が残り、あるということについて、一般国民側から見ましたら、十二年前のこの制度がいまだに利用されておると思う大臣初め郵政官僚の幹部の皆さん方の認識の問題、批判されると思うのです。なぜこんなものをいまだにそのままで十二年間もさわらずに放置され、しかもこの制度が生きておるかのごとくに考えておられるのか。この批判は我々が聞きましても、国民の側から見ましたら免れない、このように思うわけです。一貫した問題であろうと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  270. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 住宅積立貯金の限度額、先生指摘のとおり四十七年創設以来五十万ということで据え置かれておるわけであります。そして、当時は優先的に公庫の一般貸し行付が受けられる。その上に上積みということであったわけでありますけれども、今日、状況を見ましてこの限度額、そして現在百七十五万の上乗せということになっておるわけでありますけれども、この程度では十分お客様の御要望にこたえることにはなってないということについては先生指摘どおり私どもも十分感じているわけでございます。  それで、この引き上げ方につきましても、積立額を百万円に引き上げまして、そして積立額の上乗せといたしましては積立額の五倍、最高五百万までは一般の住宅金融公庫からの貸付額のほかに割り増し貸し付けができる、こういう制度にしたいということで、折衝を実はしてまいったわけでありますけれども、これが実現いたしますと、木造住宅建築の場合一般貸し付けと合わせて約一千百万円、マンション購入の場合は約千六百万円の貸し付けというものが可能になってくるというわけでありまして、御要望の一部をかなり満たすことになるのではなかろうかということでございますが、この問題につきましても、先ほど来申し上げております総額制限の引き上げということで、利子配当課税のあり方ということで、本年八月をめどに検討するということにされている、こういう関連実現が見送られたということでございますが、最近における住宅建設資金の上昇というようなことを考えますれば、ぜひこの限度額の引き上げあるいは上乗せ額の引き上げというものを実現してまいりたいと考えているところでございます。
  271. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは国民の希望である持ち家の促進にもなると思いますし、したがって、内需の拡大にもつながるわけでございますし、これが国策として景気対策上からもぜひ必要ではないか、このように思われるわけでございます。大臣初め幹部の皆さん方の努力を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  272. 志賀節

    志賀委員長 次回は、明十九日木曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会