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1984-04-11 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十一日(水曜日)     午前十時九分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 守良君       谷  洋一君    額賀福志郎君       長谷川四郎君    綿貫 民輔君       渡辺 紘三君    阿部未喜男君       伊藤 忠治君    中村 正男君       松前  仰君    森中 守義君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       中井  洽承    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         大蔵政務次官  堀之内久男君         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君         郵政省人事局長 三浦 一郎君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   寺島 角夫君         日本電信電話公         社総務理事   岩下  健君         日本電信電話公         社営業局長   草加 英資君         日本電信電話公         社業務監理局長 神林 留雄君         日本電信電話公         社施設局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社経理局長   飯田 克己君         日本電信電話公         社宅内サービス         本部長     山本 千治君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   小谷 輝二君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     小谷 輝二君 同月三十一日  辞任         補欠選任   園田  直君     綿貫 民輔君 四月三日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     浜西 鉄雄君 同日  辞任         補欠選任   浜西 鉄雄君     伊藤 忠治君 同月四日  辞任         補欠選任   永江 一仁君     横手 文雄君 同日  辞任         補欠選任   横手 文雄君     永江 一仁君 同月六日  辞任         補欠選任   松前  仰君     山本 政弘君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     松前  仰君 同月十一日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     谷  洋一君 同日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     原 健三郎君     ――――――――――――― 三月二十六日  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願上田哲紹介)(第一五四二号)  同(小川仁一紹介)(第一五四三号)  同(佐藤徳雄紹介)(第一五四五号)  同(細谷昭雄紹介)(第一五四七号)  同(稲葉誠一紹介)(第一六二六号)  同外一件(小川国彦紹介)(第二八二七号)  同外一件(左近正男紹介)(第一六二八号)  同(馬場昇紹介)(第一六二九号)  同(細谷治嘉紹介)(第一六三〇号)  同外二件(八木昇紹介)(第一六三一号)  同外三件(矢山有作紹介)(第一六三二号)  同外二件(山本政弘紹介)(第一六三三号)  同(渡部行雄紹介)(第一六三五号) 同月二十九日  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願左近正男紹介)(第一七九二号)  同外三件(武藤山治紹介)(第一七九三号)  同(八木昇紹介)(第一七九四号)  同(安田修三紹介)(第一七九五号)  同(吉原米治紹介)(第一七九六号) 四月二日  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願左近正男紹介)(第一八七八号)  同(前川旦紹介)(第一八七九号)  同(渡部行雄紹介)(第一八八〇号)  同(佐藤観樹紹介)(第一九八一号) 同月四日  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願川崎寛治紹介)(第二一四三号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二一四四号) 同月六日  脊髄損傷者に対する郵政行政改善に関する請願  (上野建一紹介)(第二二一三号)  同(武部文紹介)(第二二一四号)  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願外三件(伊藤茂紹介)(第二二八一号  )  同(竹村泰子紹介)(第二二八二号) 同月九日  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願城地豊司紹介)(第二三二七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二三二八号)  同(池端清一紹介)(第二三九六号)  同(堀昌雄紹介)(第二三九七号) は本委員会に付託された。 四月十一日  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願山下洲夫君紹介)(第一三六五号)  同(中村正男紹介)(第一四三九号) は委員会の許可を得て取り下げられた。     ――――――――――――― 三月二十七日  電電公社改革に関する陳情書  (第一六八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第八号)  簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関す  る請願山下洲夫君紹介)(第一三六五号)  及び同(中村正男紹介)(第一四三九号)の  取下げの件      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず、提案理由説明を求めます。奥田郵政大臣。     —————————————  公衆電気通信法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 奥田敬和

    奥田国務大臣 公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、電話通話料距離段階別均衡を図るため、中距離通話料を引き下げようとするものであります。  我が国の電話通話料は、諸外国料金に比較して、近距離通話料は安く、遠距離通話料は高いことからいわゆる遠近格差が大きくなっております。この格差を是正するため、これまで遠距離通話料中心改定してきたところでありますが、今般、これらの改定との均衡を図るため、中距離通話料を引き下げるとともに、その距離段階別区分を四段階に統合することとするものであります。  その内容は、区域外通話地域間距離が六十キロメートルを超え三百二十キロメートルまでの区域外通話料金について、六十キロメートルを超え八十キロメートルまでは十五秒までごとに十円を十五・五秒までごとに十円に、八十キロメートルを超え百キロメートルまでは十三秒までごとに十円を十三・五秒までごとに十円に、百キロメートルを超え百二十キロメートルまでは十秒までごとに十円、百二十キロメートルを超え百六十キロメートルまでは八秒までごとに十円を百キロメートルを超え百六十キロメートルまでは十・五秒までごとに十円に、百六十キロメートルを超え二百四十キロメートルまでは六・五秒までごとに十円、二百四十キロメートルを超え三百二十キロメートルまでは五秒までごとに十円を百六十キロメートルを超え三百二十キロメートルまでは七秒までごとに十円に、それぞれ改めることといたしております。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲において政令で定める日といたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました提案理由及びその内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 志賀節

    志賀委員長 これにて提案理由説明は終了いたしました。     —————————————
  5. 志賀節

    志賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。額賀福志郎君。
  6. 額賀福志郎

    額賀委員 貴重な時間を拝借しまして質疑をさせていただきますことはまことに光栄であります。  大臣、風邪を召されているそうで、ひとつ十分お体に気をつけて政務に頑張られんことをお願いします。  ただいま大臣から説明がございましたように、今回の法案はいわゆる中距離電話料金値下げする法案であり、最近ほかの公共料金というものが値上がりしている中で、まさに国民にとりましては一服の清涼剤ともいうべきものでありまして、まことに公社の御努力に対し多とするものであり、喜ばしい限りであります。ところが、先日新聞を見ておりますと、総裁は、今度は区域内料金につきまして実質的に値上げをするというような方向で改定をしていこうとする意向を明らかにされておりまして、多くの国民にとりましては、値下げしたり値上げしたり、何か不可解な面持ちを抱いているのではないかというような気がするわけであります。そこで、今後順次質問を展開する中におきまして総裁並びに郵政省考え方を明らかにしていただき、その真意を国民皆さん方に訴えていただきたいというふうに思うわけであります。  早速具体的に質問に入らせていただきます。  これまで電話料金につきましては、諸先輩の先生方の御論議の中でいわゆる遠近格差あるいはまた近近格差、そして区域内料金をどうするかというような問題に絞られていることは御承知のとおりであります。このうち、今回六十キロから三百二十キロメートルまでのいわゆる中距離料金値下げすることにいたしましたことは、公社にとりまして、また公社といたしまして全体の料金体系の中で今度の値下げを一体どういうふうに位置づけして、そして全体のことを考えるに当たってどういう意味づけを持っておられるのか、その辺をまず最初にお聞かせ願いたいと思うわけであります。また、これによって電話収入状況にどういうふうな影響を与えて、公社としての財務収支状況にどういう影響が今後起こってくるであろうというふうに見込まれているか、その辺からお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  7. 真藤恒

    真藤説明員 私が何か区域内通話料を値上げするという意味のことを言ったような新聞記事が出ましたけれども、あれは、記者会見の席上で懇談的に料金問題、今度の中距離料金値下げの話から起こりましていろいろ懇談的にフリーディスカッションをやっているときに、総合的な考え方ディスカッションをやっているときにああいうふうなにおいが出たものですから、そこをちょいとつまみ出されたというふうな記事であることを御了解いただきたいと思います。  それで、今、全体的に見てどうかという御質問だと思いますが、現在できるだけ財務基盤を壊さない範囲内で、また皆いろいろ努力して行いましてかなりその効果が出てまいりましたので、その分だけを遠距離料金から減らし始めておる状態でございます。今日まで国会の御指導政府の御指導をいただきながら過去大分下げてまいりましたけれども、まだまだ下げなければならぬことは間違いないのでございます。それと一方、後でまた詳細には御説明申し上げると思いますけれども区域内の三分十円というものを長い間そのまま続けてまいっておりますので、この三分十円というもので話せる相手の数、それから話せる物理的な地域の広がりというものが全国的に見ますと非常に大きな格差になっております。もちろん、その格差を補てんするために基本料金で何段階かに分けておりますけれども、とてもそれぐらいで補助できる程度のものではない。と申しますのは、近近距離区域内に比べてがたっと値上がりしておりますので、一方、地方でも都会でもだんだん自分の実質的な生活圏車社会の発展、交通網の便利さ、取引条件変化というふうなことでかなり昔と様子が変わってきておりますので、三分十円で具体的に仕事の上であるいは生活の上で用を足し得るということが昔と大分様子が変わってきているというふうに考えられます。  そういうふうなことも考えまして、まずさしあたりは遠距離料金を下げてまいりますけれども、どこかの段階ではやはりそういうことの方面のところも合理化していかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。それで、殊に国会でもグループ料金制を考えたらどうだという御意見も過去に出ておりますので、そういうことも考え合わせまして、これからさらにこの料金問題は深い研究が要るのだろうと思います。ただ、私ども財務基盤を崩しますと、これまた大変なことになって何もかもできなくなりますので、その辺との兼ね合いということがまた非常に大事でございますので、順序よく御指導をいただきながら事を進めていかなければならぬだろうというふうに考えております。
  8. 額賀福志郎

    額賀委員 この総裁発言につきましては、後の質疑で関連してまいりますからまたお聞きしたいと思うわけでありますが、さらに、五十八年度収支状況について、対前年比の伸び率を含めまして明らかにしていただければありがたいと思います。その中で、特に昨年も長距離電話料値下げしたわけでありますが、その値下げ通話利用やあるいは収支状況にどういうような影響を与えているか、把握している限り御説明をいただければありがたいと思います。
  9. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  五十八年度収支でございますが、端的に申し上げまして、おかげさまで大変順調に推移をしております。  収入につきましては、先生ただいま御指摘の昨年七月実施しました遠距離通話料値下げ、この影響は当然あるわけでございますけれども、片方で、基本的にはお客様の御利用に支えられまして、と同時に、私どもとしましても、社会的な情報あるいは通信に対するニーズに対応した新しいシステム、新しいサービスの開発に努力をする、さらにまた時宜を得ましたトラフィックコンサルティングといった職員の増収努力もかなりやってまいりました。この結果、まだ決算を申し上げる段階に至っておりませんけれども、今の時点の見通しといたしましては、予算に対しまして一千百億円以上の増収、金額にしまして四兆四千四、五百億円程度収入の確保が可能ではないだろうかと思っております。この見通しによりますと、五十七年度実績収入に対しまして増加率が四%前後になろうかと思っております。  また支出につきましても、いわゆる月次決算制度を軸にしました会社を挙げての経費の効率的な使用、こういったものに努力をすると同時に、金融取引の面でもいろいろ工夫をいたしまして、金融費用の節減がかなり大幅に図られるかと思っております。これによりまして、支出につきましては、予算に対しまして逆に約一千億程度の節約が可能だろうというふうに思っておりますが、これでまいりますと、支出額につきましては、五十七年度実績に対しまして四%強の伸び率になろうかというふうに考えておるわけでございます。
  10. 額賀福志郎

    額賀委員 昨年の長距離電話料値下げは、逆に電話利用がふえておったりあるいは社内の御努力によって収支にはそれほど影響がなく、むしろ収支状況としてはプラスであるというような御説明でありました。  それでは、公社といたしましては、五十五年に夜間料金を引き下げてから相次いで長距離料金値下げしてまいったわけでありますが、今回の中距離料金値下げも含めまして、いわゆる長距離料金市内通話赤字を埋めてきたというような電話収入構造、こういう構造パターンに今後幾らか変化が出ていくんだろうか、また、現にこういうパターンに何がしかの変化がある、あるいはこれまでのようなパターンで推移しそうだとか、その辺のところを、これから一番肝心なところになると思いますので御説明をいただきたいと思うわけであります。
  11. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  今、先生指摘値下げによって逆に増収というお話でございましたが、予定していた値下げよりも戻ることは戻ったわけでありますが、五十八年度値下げに当たりまして、千四百億の予定に対しまして九百億値下げだという意味では五百億戻っております。  それから、今回の中距離につきましては、形式上は千四百億円でございますが、利用者利用増によりまして四百億戻る、こういう意味でございますので、値下げによります減収は五十八年度平年度にいたしまして一千億、それから五十九年度の今回の値下げにつきまして平年度、昨年度九百億、今年度一千億へこのように御理解いただきたいと思います。  それから先生の御指摘市内赤字市外で埋めているという構造がどうなるかということでございますが、現在、五十七年度市内収入構造が、ダイヤル通話回数七〇%に比べまして収入が約二〇%、遠距離は、三百二十キロ以上は二・五%に対しまして約三〇%、このように収入構造通話回数とがかなり格差がございます。もちろん遠距離を下げることによって収入構造としては徐々に市内通話収入がふえてまいっておりますが、本質的に市内赤字分市外で埋めているという内容構造は変わっておらない、このように理解いたしております。
  12. 額賀福志郎

    額賀委員 ただいまの御説明ではちょっとわかりにくいのですが、本質的にはそういう収支構造は変わっておらない。しかし、値下げをしたころと今後のことを考えた場合に、今までは長距離の方がこれくらい、幅としては何%埋め合わせていたけれども、その幅が、パーセンテージはだんだん少なくなってきているとか大体並行的であるとか、そういった流れを知りたいわけです。だんだんと長距離値下げになりましたから市内に振り込む率が幅が少なくなってきておる、いや、依然として値下げしても変わりませんよ、そういったことはどうなのかということであります。
  13. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先ほど私が申し上げましたのは収入構造の比率が市内の部分が高くなってきた、こういうことを申し上げましたが、市内赤字分市外で埋めるということにつきましては横ばい、このように御理解いただきたいと思います。
  14. 額賀福志郎

    額賀委員 そうすると、横ばいということは、値下げしても長距離電話もうけ分というのはそんなに変わってないんだというふうに理解して結構なんですか。
  15. 草加英資

    草加説明員 実は市内コスト市外コストを厳密に分計することは、電話事業の特質から申し上げましていろいろな交換機を使うこと、またはルートが多ルートにわたるということから、実質的に現在数字を出しておらないわけでございますが、今、先生指摘のように、市内赤字につきましては過去から収入が同じでございますので同じように推移している、このように御理解いただきたいと申し上げたわけでございます。
  16. 額賀福志郎

    額賀委員 後でもう一回出てくると思いますので先に移りまして、さて、さきの総裁発言に移りたいと思います。  総裁といたしましてはいろいろな御努力公社の経営について基本的なものはやはり財務基盤を壊さないでいろいろな問題に対処していきたいということであります。今回の中距離料金値下げでこれまでの懸案であったいわゆる遠近格差というものが、比較するパターンがないわけですが、一応諸外国料金と比べて同じくらいになってきたから、言ってみれば今度はそういう近近料金単位料金、そういった問題に取り組んでみたいというのが総裁意向であろうと推察するわけであります。  その際、先ほどもいろいろとお話がありましたけれども問題点といたしましては、新聞等にも書いてありましたけれども単位料金区域をどういうふうに考えていくか、あるいはまた通話料金はどういうふうになっていくんだろう、そしていつごろ実施されるんだろうということが今後の課題であろうと思うのですが、仮に単位料金の場合なんかはいろいろな生活圏とか行政単位とかあるいは経済圏、そういったものを考えながらやっていかれることだというふうに理解しておりますけれども、その辺を総裁に、先ほど新聞記者においを感じ取ったと言われましたけれどもにおいだけではなく、国民にああそうかとぼんやりした形でもいいからお答えいただければありがたいと思うわけであります。
  17. 真藤恒

    真藤説明員 これから失いろいろの高度情報通信社会というものに、私どもの姿なり料金体系なりというものをどういうふうに適合させていくかということがこれから先の非常に大きな問題だと思います。高度情報社会になって高度情報通信というものがだんだん使われ出してまいりますと、どうしても今までの電話主体使い方大分様子が変わってくるはずでございます。電話ですとどうしても普通三分か六分で大抵の用事は終わるわけでございまして、一つの通話に使う時間の長さというものが案外短いものであるのが実情でございますけれども高度情報通信ということになってまいりますと、一たんスイッチオンしますと場合によって一時間、二時間連続してスイッチオンして使うという使い方が非常にパーセンテージが上がってこざるを得ない、また上がる傾向がある。そこへもってきて、高度情報通信になりますといわゆるどこかにいろいろな資料がありましてそれがコンピューターの中に入っていてその資料を取り出す、それで使うという使い方が相当発達してくると思います。そういたしますと、そういう資料というのはどうしても都会の、具体的に申し上げて東京中心に蓄積されていくと思いますので、東京の中でその資料を使う通話料と、北海道あるいは九州でそういう資料を使う通話料というものが、非常に大きな通話料の差が今みたいにございますと、高度情報社会というものは健全に発達することには絶対ならないと思うのです。  そこでどうしてもそういう点から考えますと、いつの日にでき上がるかわかりませんが、日本くらいの広さですと遠近格差がほとんどなくて、そしてしかも一カ月なら一カ月の通信料が可処分所得の中に入るようなところへ持っていかぬことには、高度情報社会とか高度情報通信システムとかいいましても、実際使いものになることにはなかなかなりにくいだろうと思うのです。物理的に技術的にああいうことができるこういうことができるということと、それが本当に世の中に役立つかどうかということは全然別物だと私ども考えておるわけでございます。役立つようにするのが私ども義務だろうと思っておるわけですが、そういたしますと、もちろんそういう時代になりますと通話の時間は非常に長くなりますので、今の三分十円あるいは三分四百円というもののあり方は、相当安い単価になっても総収入はかなりふえてくるだろうということも考えられます。  しかしながらそこのところいろいろ実際の動きを、じわじわと高度情報通信関係サービスが始まりますので、その使われ方の傾向を見ながら対処していかなければならぬということでございますが、この辺をどういうふうに切り抜けていくかということが問題でございますが、まず私どもがやらなければならないのは、私どもの一年間の総経費をいかに減らすかということが私どもの第一の義務だろうと思います。その総経費を減らすのにどういう方法をとるかということがいろいろ具体的に考えられるわけでございまして、そういう面から今度の法改正が行われるようになったのだと私どもは解釈いたしておる次第でございます。
  18. 額賀福志郎

    額賀委員 これからの料金体系について触れられてきたわけですが、それはやはり高度情報社会に対応して今後考えていかなければならないということでありますが、当面の問題として先ほどお話がありましたけれども、近近料金に取り組むに当たってこれはどうしても解決していかなければならない問題だ。その場合の考え方についてもうちょっと総裁区域についてはこういうことを考えている、料金についてはこういうふうに考えている、そういうお答えのもとで全体の料金体系というものをお答えいただきたかったわけであります。総裁にもう一度お伺いします。
  19. 真藤恒

    真藤説明員 当面次のステップをどこに手をつけるかでございますが、遠距離料金に手をつけることが現状では常識的だと思います。しかしながら、といって近距離あるいは近近距離、それからまた国会でいろいろなお話がありましたようなグループ料金制というものも考えなければならぬ時期がもう来ていると思います。それで三分十円の通話区域をどういうふうに修正するかということとあわせて考えなければいけないと思います。それで三分十円というものが仮に幾らか上方修正されたといたしましても、一カ月間に実際御使用になる通話のお支払い金がさほど大きく影響しないという形をとるのにはどういうことがいいかということも十分考えられると思います、ことに地方では。ですから一人一人の通話の総支払い料を変えずにもう少し、三分十円というもののいわゆる近距離単位料金範囲をどう広げて、すぐに向かい側の方だったらえらい高い値段になるというふうな不合理なことを解消するというのと、それから長距離料金をもう一段考え直すということと並行にするか、あるいは長距離料金をもうちょっと早く手をつけるか、その辺の兼ね合いのところがいろいろ問題だと思いますけれども、それはもう郵政の方なり政府の方あるいは国会の御指導を得ながらやっていきませんと、これから先は非常にデリケートなことになってまいりますので、今までは一本調子で長距離料金だけ下げてきまして問題がございませんでしたけれども、しかしながら、さしあたりはまだ長距離料金を先に下げなければいかぬのだろうと思っております。
  20. 額賀福志郎

    額賀委員 なかなかお答えしにくいところがあるかと思うのですが、電電改革二法案が今国会に提出をされておりまして、総裁としては、電話収入の収益というものを変えない程度に今後の料金問題を考えていくに当たって、今後やりにくいことは恐らく、民営化、きちんと民営化されるまでにやってのけておきたいというような気持ちがおありなんじゃないかというふうに思うわけであります。そういう場合にやはり大変難しい市内料金あるいは近接料金、これは領域を拡大すれば、幾らか値上げをするか、あるいはいろんな方策があるのでしょうけれども、その辺のところはやはりタイムリミットとして、民営化されるころまでに一つの全体の料金体系の中できちっとしておかなければならないではないかというふうに推察するのですが、総裁、いかがですか。
  21. 真藤恒

    真藤説明員 経営形態を変えるまでに料金関係で早くやるべきことはやっておきたい、これは全然頭の中にございません。やはり、経営の基盤を壊しますと、何もかもできなくなりますので、経営形態のいかんにかかわらず、料金問題というのはもう少し長期の考えで合理的に進めていくべきだと思いますので、経営形態を変える前に片づけておきたいという考えは、料金問題に関しては全然持っておりません。
  22. 額賀福志郎

    額賀委員 先ほど長距離料金市内通話料金との埋め合わせのパターンというものは、またそのもうけ、利益の出方、その幅というものは大概横ばいである、これまで横ばいの水準であったということであります。そうすると、遠距離はどんどん値下げしても、市内赤字を埋め合わすことができていく、そういう自信があるのだろうというふうに思うわけです。  そうした場合に、区域内の領域を広げていった場合に、市内通話料金といったものは何も料金に関係なく、これまでと同じように遠距離からだんだんと市内通話料金に近づけてくるというような方向で、将来の均一料金化に向かっていくことができるというふうに理解していいわけでしょうか。
  23. 真藤恒

    真藤説明員 今おっしゃったのが理想の姿だと思いますが、そこまではなかなか実際問題としてはいけないのじゃないかと思っておりますけれども、とにかくさっき申しましたように、当分の間、まだ長距離料金を下げながらというのが実際的であり、本当ではなかろうかというふうに考えております。
  24. 額賀福志郎

    額賀委員 これまで総裁並びに説明員からお話を伺ってきたわけですが、一連の料金格差の是正策というものは、国民に利便を図ると同時に、恐らく総裁としては、長距離料金の収益で市内料金赤字を埋め合わせるというパターンを是正して、しかも電話収入の収益度、収益率、そういうものを変えないでやっていごう、そういう形で考えていかなければならない、それが一番財務基盤を崩さないという方向に間違いないと私どもは推測するわけであります。なぜならば、電話収入が圧倒的なシェアでありますし、そういう中で私といたしましては、総裁の気持ちが財務基盤を壊さないということにあって、しかもいろいろな電話収入の収益率を変えないということは、今後の経営あるいは財務的なもの、そういった見直しを、改革を断行していくという、そういう姿勢にあらわれているものと理解しております。  これはそうすると、いろいろな収入構造について、経営の考え方について、今までは積滞解消とか全国自動ダイヤル化とかそういうときによく、これだけの何カ年計画で電話を何台普及させ、そしてダイヤル化も図っていく、そのためには設備投資としてこれくらい要る、そして人件費がこれくらいある、金利負担がこれくらいだ、しかしその目的を達成するためにはこれくらいの資金調達が要るから、したがって電話料金はこれくらいでなければならないという、そういう発想のもとで料金が決められてきた経緯があるかと思います。しかし、これは総裁のこれまでの発言からすれば、この問題にもうちょっとコスト重点主義の思想を盛り込んでいかなければならないのではないか。それを業界というか、この世界ではいわゆる総括原価主義という言葉を使っているんだそうでありますが、総裁の頭の中にはそういう大ざっぱな、どんぶり勘定的な総括原価主義というものを、もっとシビアにコスト主義的な物の考え方でもって経営していかなければならない、私はこれまでの総裁発言の中でそういうふうに感じるわけであります。たまたま電電公社が民営化されていくという中で、競争社会の中で今後勝ち抜いていく、戦闘体制を整えるというような意味でもそういったことをぜひともやっておかなければならないという総裁の認識ではないかと思うわけであります。  そうすると、全体の大ざっぱな考え方から、それじゃ公社電話とか電信とか専用線とか、そういった個別の業種ごと考え方も変えていかなければならないのじゃないかというふうに私は思うわけですが、その際に、いろいろな大きな壁にぶち当たってきますね。これは公営、民営を問わず大きな壁にぶち当たってくる。そういうときに総裁としてはこれをどういうふうに、どういう判断を持って解決していかなければならないのか。全体の枠の場合と個別の業種の問題と、この二つの点について総裁の御判断をちょうだいしたいと思います。
  25. 真藤恒

    真藤説明員 現在までは御存じのような、今おっしゃいました総括原価主義というふうな考え方が主流になって料金体系もでき、経営も進んでまいったわけでございますが、今、先生のおっしゃいますように、民営になった場合に、また新規参入が入ってきて競争原理に入ってくる場合になりますと、個別サービスの種類ごとにそれが自立する姿に持っていかなければいかぬ。もちろん新しいサービスが入りますとき当分の間は赤字になりましょうけれども、一つの事業体としてバランスをとりながらの新しいサービスの追加、普及ということを考えるのが本命でなかろうかと思います。  そういたしませんと、公益事業でございますので、料金というものはどうしても直接の認可制度にならざるを得ないと思いますが、認可の基準がどうあるべきかということにもかかわってまいりましょうし、競争というファクターも入ってまいりますので、やはり事業種別ごとに原価を分計して、それによって、行政指導を受けながら、自由競争の原理で仕事を続けていくというふうな形にならざるを得ぬと思いますので、今までの経営のあり方というものはかなり大きく転換しなければならぬだろうと考えております。
  26. 額賀福志郎

    額賀委員 事業種ごとの、この場合、例えば電話収入でほかのサービス赤字を埋めていく、こういった作業については、これも見直しをしなければならないのじゃないか。しかし、サービスの種類によっては、これは公営、民営を問わず、公社あるいは電電企業だけが背負って立っていかなければならない業種もある。その辺の考え方あるいは割り切り方、そういう点については、公営、民営を問わず、現在の時点でも、経営者としてはきちんとそういう厳しいコスト意識を持って取り組んでいると思うわけでありますが、その辺の考え方は、これまではいわゆる内部的な相互的な補助、そういったもので全体を丸くしてきたわけですが、その辺のところをもう一度お聞かせを願いたいと思います。
  27. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  今、先生お話しの内部相互補助でございますが、先ほど総裁が御説明いたしましたように、今後、厳しくコストの効率化を図って、各事業ごと収支が償うような経営を行っていくということでございますが、その中にあって、公益事業といたしまして、例えばそのサービスの提供の存続に対する社会的要請が強く、他のサービスに代替が困難な場合とか、新規事業の開設が容認されまして、その創設期におい赤字が発生して、近い将来黒字に転換する見通しがあるような場合、こういう場合には内部相互補助が理論的にも認められると思います。そういう意味におきまして、できるだけ各事業ごと収支均衡を志向しつつ、今言ったような内部相互補助を行っていく、このようにいたしたいと思っております。
  28. 額賀福志郎

    額賀委員 これは、今、上程されている改革二法案にも関連することでありますから、後でまた審議をするといたしまして、大臣、ずっと聞いておられまして、そういう電電公社、電電企業の経営の財務的なものあるいは経営の基本的な、そういう、全体的な調整をとるという考え方ではなく、企業の利潤あるいはコスト意識、そういった下から積み上げたものの考え方がこれから非常に重要なものになってくる、それが社会的な問題で壁にぶち当たっていく、この辺の考え方についてはどのようにお考えなのか、大臣の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  29. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御指摘はなかなか厳しいところをついておられるのです。今までの料金設定は総括原価主義と申しますか、もっと我々にわかりやすい言葉で言えば、どんぶり勘定式に、すごく言葉のとり方はあれですよ、まじめな企業努力の末のどんぶり勘定ですから、総収入総費用という形で決められてきておる。今これを、これから新会社に移行する、新規参入の競争相手も出てくるという競争原理が働くという形になった場合に、確かに御指摘のような問題点が起こってまいります。個別のコストというものをもうシビアにはかっていかなければならぬ。新しい参入の会社だけがうまいところだけ食っちゃって、そして市内の回線、いわばサービスという形の中の非常にコスト高のものだけは外にうっちゃっておいて、電電は逆に、個別計算の中では一番赤字の部門だけをごっそり担いでいくという形になっていく状態というものは、予想されないわけではありません。したがって、これからの、遠近格差を解消していく、そこには技術革新もあります。光ファイバーや、ああいうディジタル化された大量伝送の回線も含めて、そういった形でむしろ通話時間の方が問題になってくるという問題点もあるでしょう。  そういった等々のことを踏まえて考えますときに、そういった個別コストも含めて、しかも、遠近格差の解消という大きな目標に向かってやっていくときの今後の新会社の経営努力というのは、非常に厳しいものになるなという、実はさっきからの質疑のあれを聞いておりまして感じておりました。そういう点を非常に慎重に検討してまいりたいと思っております。
  30. 額賀福志郎

    額賀委員 本当に厳しい船出を控えまして、今後、日本の通信機能を背負って立つ電電でありますから、一層の御精進の上で頑張っていただくように、心からお願い申し上げます。残された問題については、二法案が上程されておりますから、後でまたいろいろと御当局のお考えをお聞かせ願いたいと考えるものであります。  時間もあとわずかでありますから、料金問題とは直接関係ないのですが、若干、総裁並びに大臣からお考えをお聞きしたいと思うわけであります。それは、中国の通信網に対して、関連いたしまして技術協力についてでございます。  既に中国の天津、上海、広州の電気通信の整備につきまして、政府としてはいろいろと取り組んでまいってきたわけでありますが、先日、中曽根首相の訪中の際にも、この問題が新規円借款の一つとして取り上げられ、決定されたように聞いております。しかも、政府では、来週早々にもこれまでの調査結果をもって最終的な報告というか、そういう形で訪中なさって最後の詰めを行ってくると聞いております。その辺について、報告内容の主要な点並びに計画の概要を簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  31. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 先生からお話がございましたように、昨年の三月、中国政府から日本政府に対しまして、天津、上海、広州の三都市における電気通信網の整備に関する調査の御依頼がございました。いわゆるFSと言っておりますが、フィージビリティースタディーと称しておるものでございまして、当該計画の実行可能性と技術的あるいは財務的妥当性を探るための調査でございます。  日本政府といたしましては、その要請を受けまして、国際協力事業団を通じて調査団を再三にわたって派遣しております。その都度当省からも職員を参画させておりますが、昨年四月と六月に事前調査を行い、七月から十月にかけて本格調査を終えたところでございます。その末に、一九八三年十二月に中間報告書を提出いたしまして、基本的な合意に達しております。ただいま先生がおっしゃいましたように、来週の四月十七日火曜日から十日間、調査団を派遣いたしまして、最終報告書の案につきまして中国側に説明をすることにいたしております。  その報告書の概要でございますが、これまで実施してまいりました需要予測、トラフィック調査あるいは伝送方式、交換方式といったようなものの結論に基づきまして、これからの推進する計画の概要を説明しようとするものでございまして、天津、上海、広州の三都市に存在しておる十五局に十五万回線の容量を持つ電子交換機を導入いたしまして、それに関連する伝送設備なり線路設備あるいは電力設備、局舎設備等を含めた総合的な電気通信網の建設を行おうという計画でございます。  なお、最終報告書そのものは五月末に中国側に提出される予定でございます。
  32. 額賀福志郎

    額賀委員 その円借款の内容についてはどういうものになっているか、償還期限とか金利とか、その辺についてちょっとお答え願います。
  33. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 ただいま御説明申し上げました本件計画は、五十九年度を初年度とする第二次の中国に対する円借款の一つでございます。  御承知のとおり、鉄道、港湾、通信、水力発電等々ございますが、これらの円借款の諸条件あるいは額そのものにつきましては、ただいま両政府間で鋭意詰めているところでございまして、間もなく日中政府の実務者間、具体的には外務、大蔵、通産、経済企画庁、それに私どもも加わりました中で協議が続けられて決定される予定でございまして、今のところまだ最終的な結論を得ておりません。  ただ今後、毎年度対象になる案件の進捗状況によっても額が増減いたしますし、我が国の財政事情にもかかわってまいりますので、こういったものを総合的に勘案の上、実務者間での協議が行われる予定になっております。
  34. 額賀福志郎

    額賀委員 今後日中間の友好を深める意味でも、大いに前向きの姿勢で頑張っていただきたいと思うわけであります。  中国に対する通信技術協力というものは、今のお話あるいは北京郵電訓練センター、クロスバー交換機の中国移転、そういうプロジェクトがあるそうであります。この中で、特にクロスバー交換機の中国移転につきましては、政府間の手続、そういったものも済んで、間もなく実施に移されるそうであります。聞くところによりますと、試験段階におきましては無償で交換機を提供する、これが、その結果本格的にやるというときは有償だよというような話も聞いているわけであります。公社には、撤去するクロスバー交換機あるいは端末機などが相当手持ちで、在庫として残っているやにも聞いているわけであります。まずその辺から、どの程度合残っておりまして、そして、その活用についてはどういうことをお考えになっているのか、お聞かせ願った上で、また質問をしてみたいと思います。
  35. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  クロスバー交換機の撤去でございますが、この五十七年度、五十八年度実績並びに五十九年度の予定、それぞれでございますが、年間約百万端子でございます。  それで、これは機械の名前で恐縮でございますけれども、C45型と申しまして、もう非常に古うございまして、また機能の低いものがございまして、これは廃棄してございます。しかし大部分は、C40〇型と申しまして、クロスバー交換機の中では新しいタイプのものでございます。それで私ども、この後の利用でございますが、それぞれ撤去いたしましたものは、当年度あるいは翌年度の撤去いたしました地域と別の地域での増設に使っている状況でございます。  それでは、なぜそこで撤去してその他の地域で増設するかということでございますが、クロスバー交換機そのものは古いタイプの交換機でございますので、古いタイプの交換機を買うということはやめまして、日本じゅうで増設が必要なものは新しいタイプの交換機を買いまして、古いタイプの交換機のところ、クロスバーのところを取りかえまして、それで各地方の必要なところの増設に使っているということで、いま申し上げましたような計画になっているわけでございます。しかし、先生が御案内のように、電電公社はINSということでございまして、将来にわたりましては全通信網をディジタル化するという計画がございます。その中では、クロスバー交換機はすべて撤去されてディジタルに取りかわるということでございます。  では、そういう計画の中で、クロスバー交換機、このC400型がどのように余ってくるかということでございますが、六十一年度ごろからは、撤去いたしましたものがその後転用されないで残ってくるというふうにクロスバー交換機については考えております。  申しわけございませんが、端末機につきまして私ちょっと所管しておりませんので、端末機専門の局長にかわらせていただきたいと思います。
  36. 山本千治

    山本説明員 お答えいたします。  端末機器につきましては、民間と競合しておりますところの事業所におきますビジネスホンでございますが、この辺のものがレンタルバックとしては多うございまして、五十七年度で約八十万、五十八年度も大体そんな数が予定をされております。これらのものにつきましては、私ども、原則的には修理をいたしまして古くなったお客さんのを取りかえるものに使うとか、あるいは保守販売等に利用させていただくということでございます。
  37. 額賀福志郎

    額賀委員 今お答えしていただきましたけれども高度情報化社会の光ファイバーとかそういう事業の進展によりまして、クロスバー交換機というのは六十一年度あたりから相当ふえてくるということでございます。端末機器につきましても、五十七年、五十八年、八十万台、修理して古くなった人に使ってもらうということでありますが、私は、そんなに多くないのではないかと推察するわけであります。  翻って、中国でクロスバー交換機を本格的にやる場合は有償だというのですが、有償の場合、これは金額がどのくらいなのか、私は存じ上げておりませんが、まあ多少のことであるならば、日中間の今後の友好のきずなという問題と、中国市場——市場というと語弊がありますが、中国ではいわゆる通信機器の整備、そういったものがおくれておりまして、経済発展の足かせにもなっているというふうに聞いておりますから、中国政府といたしましては、通信機器の整備に大変意欲を持って取り組んでおられると聞いております。また、市場的な、経済的な見方をすれば、欧米諸国の皆さん方も、潜在需要が多いであろうというようなことで大変熱心に中国に接近なさっているというようなことでありますから、その辺のことをいろいろ勘案しまして、そんなに価格がべらぼうなものでもなかったならば、むしろ高度な考え方で、クロスバー交換機あたりはもう無償で提供していったらどうなんだろうというようなこともふっと考えられるわけですが、その辺について大臣いかがですか。
  38. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、御指摘のように、クロスバー交換機の中国移転については、現在向こうの郵電部と言うのですけれども、向こうの郵政省、郵電部との間に交渉を詰めております。  それで、ちょうどこれは偶然ですけれども、実はきょう向こうの郵政大臣、郵電部長あてに書簡を出そうと思っています。それは本件について積極的に推進したい、したがって、あなたの方と電電公社の方と積極的な話し合いを進めていただいて結構であるという内容です。電電公社総裁あてにもきょう実はその件について公式にお願いをして指導してまいりたいと思っておるのです。  そこで今、わずかなことだから、はっきり言うとうちの方で必要でなくなった交換機のことだから、気持ちよく無償でしてあげたらどうだろうという御提案だろうと思うのです。しかし、中国側もこの件については有償で合意をしておると同時に、やはり何でもただならよいというそういったものではありません。向こうの中国は、通信網整備が一大ナショナルプロジェクトで推進をいたします。私たちの方でもできるだけ積極的に協力してまいります。しかし、中国側も必要な、例えば、今とりあえずやろうという試験室、これらに関しては無償でお願いしたいと言っております。もちろんこちらも結構でございます、協力いたしますということです。ただし、これから試験局をやってそして電電の方からクロスバー交換機を大量に輸送して設備していくという、実験段階から使用段階に入るという過程においては、向こうも正式にちゃんと有償形式によって整備を図りたいということを、これは向こう側からきちっと言って、決して日本側がけちって、何だおまえ、電電公社の方で必要でなくなったクロスバーならただでやってもいいという形式のものではなくて、向こうは必要な対価において有効に使わしていただくという合意がきちっとなっているわけです。  しかも電電としても、売却処分されて対価はちゃんと収入しなきゃいかぬということでございますし、また、電電の場合、移転に必要な経費が全然入らないということになれば、先生御存じのとおり、そういった形は今度は利用者である国民にはね返ってくるわけですから、帳簿上の処理も含めて、そういった形は財務上の観点からも望ましいものではないと私の方としては考えておるのです。それは結果的には利用者の負担増になってはね返ってくる。しかし、最大の技術的な面も含めて協力してまいりたいという基本姿勢は、いささかも変わるものではありませんし、電電の方にもそういった交換機の有償も最小限のものにとどめる形の中で協力をいただく、技術的な協力もお願いしようということで、非常にこれは日中友好のシンボル的な、象徴的な協力事業として推進をしていくという基本姿勢は変わりません。
  39. 額賀福志郎

    額賀委員 質疑時間が終了いたしましたので、これで終わりたいと思いますが、大臣おっしゃるとおりに、ただであれば——人間関係というものはそういうものじゃないということはよくわかりますし、中華思想もありますから、その辺はよくわかりました。ひとつ日中関係の今後のためにも電電公社並びに御当局の皆さん、ますます頑張ってくれるように心からお願いしまして、質疑を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  40. 志賀節

    志賀委員長 鈴木強君。
  41. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 本改正法案に入ります前に、一言、大臣総裁に御所見を承っておきたいと存じます。  それは時節柄春闘のことでございますが、御承知のとおり八四国民春闘もいよいよ大詰めに参っております。新聞が一斉に書いておりますように、きょうはJCを初め民間大手企業各社とも積極的な団体交渉を進めまして、組合の賃上げ要求に対する回答が提示される、こういうふうになっておるのでございます。  ところで、奥田郵政大臣真藤総裁、それぞれ今日まで全逓、全電通その他存在をする労働組合との間において、賃金問題についてはいろいろとお話し合いをされていると思います。その御苦労には敬意を表するわけでございますが、こういう民間単産との関連を見るときに、私はぜひ早期に春闘を解決するというその基本姿勢の上に立って、そのためには組合が納得できる有額回答というものを早く出してやる必要があるのではないか、こう思うわけでございます。  幸い四日の政労会談におきましても、政府側が仲裁、人勧は完全実施を目指して誠意を持って取り組むという御回答をいただいておるわけでございます。奥田大臣の場合には一般会計に属する電波がございます。ですから公労法上だけの問題ではないわけでありまして、人勧の適用される職員もおられるわけでありますから、非常に難しい点もあると思いますし、特に真藤総裁の場合には、現行の公社制度の中において限られた自主性等の点で、今日まで公社発足以来大変な困難を冒しながら春闘妥結のために努力をしてきておるわけでありまして、真藤総裁も同じような立場に今おるわけでありますから、御苦労は多いと思いますが、積極的に団交を重ね、できるならばひとつ来週早々、遅くも十八日くらいまでを目途にして有額回答を出してもらいたい。そして早く直接労使間における問題については決着を図り、後はいずれ、これは見通してございますけれども、調停なり仲裁というところにいくのだろうと私は思いますが、それについては政労間で確認されておりますような完全実施を目指して誠意を持って取り組む、こういう姿勢で政府一体となってやってほしいと思います。この場所では関係の大臣総裁に対して、私はそういう強いお願いを申し上げるわけでございますが、ぜひ御所見を聞かしていただいて、御苦労をいただきたい、御努力をいただきたい、こう思う次第でございます。
  42. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生のただいまの御発言の御趣旨を体して、全力を挙げて努力してまいるということになります。  労使関係の安定が大事であることは申すまでもありませんし、職員の今、最大の関心事は、まさにこの一点に集中しておるわけでございます。給与関係閣僚会議の手続も経なければならぬことでございますけれども、今、御指摘のように、有額回答の線で早急に円満解決に努力してまいるということだけはここではっきり述べさせていただきます。
  43. 真藤恒

    真藤説明員 今、給与改定につきましては、組合から要求が出ておりますし、鋭意交渉中でございます。今までの私どもの組合の動きということから見まして、できるだけ円満な解決ができるように、努力中でございます。もうしばらく時間がかかると思いますけれども、一番合理的な線に落ちつくことを切に希望しながら交渉していくつもりであります。
  44. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 総裁の立場は非常に微妙というか難しい立場にあると思います。そこで私は大臣にお伺いをし、大臣も誠意を持って早期に解決するために努力したい、もちろん関係閣僚会議等の開催も、当然でございますが行われます。それときびすを合わせて公社としても来週の早々、十六、十七、十八日のところが考えられるわけですけれども、その辺を、おくれても十八日くらいを目途にして有額回答が出されるような誠意ある配慮をしつつ、総裁として最大限の努力をしてもらいたい、こういうことなんですよ。ですから、その点ちょっと……。
  45. 真藤恒

    真藤説明員 御趣旨に沿って目下努力しておるつもりでございますが、今後ともさらに努力を続けていきたいと思っております。
  46. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。  さて今回の料金改定の問題でございますが、私は最初に料金決定の基本原則というもの、これは一体どうなっているのか、同時にまた料金値下げが今後の公社財政にどういう影響を及ぼすのか、長い目で見ていかなければならないと思いますので、そういう意味でひとつ最初にこれは総裁にお伺いをいたしますが、ここ数年来電電公社料金値下げを行っています。これは非常に結構なことでございます。昭和五十五年十一月から深夜割引制度、四割引きの導入、夜間割引対象は、対象時間の拡大、これを行いました。昭和五十六年八月からは五百キロメーター以上の遠距離通話料を下げました。これは一五%から一七%、加えて日曜・祝日の割引を実施した。さらに五十八年七月からは三百二十キロ以上の遠距離通話料金の引き下げをいたしております。これは一一%から三三%。今回また六十キロメーター以上三百二十キロメーターまでの中距離電話料の引き下げを行おうとしているのでございます。そこで私は、さっきも同僚議員から質問がございましたが、物価がどんどん値上がりしていく中で少なくとも公共料金が下がるというようなことは全く珍しいことでございまして、電電公社の皆さんの御苦労というものは本当に大変なことであるといつも感謝をしておる者の一人でございます。ただ、さっきも申し上げましたように、将来に向かって公社のあるべき電話料金体系というものがどうなのかということですね、これがまだどうもはっきりしていない。ですからお話がありましたように、ちょっと見ておりますと行き当たりばったり約あるいは細切れ的な値下げではないかというような印象を受けるのはこれは事実だと私は思うのですよ。総裁が四月四日の記者会見市内通話料の値上げについて触れられておりまして、二分で十円あるいは三分で二十円、これはいずれもインテラゲーションマークをつけた記事になっておりますが、そういう記事が出まして、私は一つの考え方であるということはわかりました。そのとき直観しました。ただ、全体的な料金体系というのをどうするかというそのことがまだ決まってないのではないかと思うのですよ。我々は早くからグループ料金制を志向するようにということで、何回も何回も、国会公衆電気通信法が審議される都度意見を出しております。  例えば昭和五十一年十月の公衆電気通信法の改正の際には、附帯決議をつけまして、その二項に「公平な料金決定方式を確立すること。」とつけました。それで政府公社に対して要請をいたしました。昭和五十六年四月の公衆法改正のときにもやはり附帯決議がついておりまして、その場合は、グループ料金制の導入を検討することというふうになっておるわけでございます。  それからずっと前でありますが、昭和四十六年、私、当時参議院におりましたが、広域時分制あるいは距離別時間差制等の実施の際にもいろいろな意見がございました。そのときにもやはり英国のようなグループ料金制を導入することが必要ではないか、特に距離別時間差制のときには、今は亡き遠藤正介氏が、もう御指摘のことはそのとおりだと思います、しかし今直ちにグループ料金制を志向するということは非常に時期的に無理でございますから、その方向に向かってまいりますけれども、とりあえずはこの距離別時間差制でやらしてほしいという意見もございまして、これはここに議事録もあります。  そういう長い歴史的な経過を経て電電公社の公共的な使命を持つ電話料金あるいは電報料金というものは一体どういうのがいいのか、その原理原則というものをはっきりさせておく必要がある、こういうふうになっておるわけであります。ですから、それをお決めになっておって、その一環として市内から長距離にわたってどういう料金体制に適正にしていくか。特にINSが入ってまいります。今もお話しのように、ディジタル化してまいります。そうしたら遠距離と近距離が確かに格差は是正しておりますけれども、それで果たしてINSというものがやれるのかどうなのか。やはり特別な料金制度を考えなければならぬのじゃないだろうか。いろいろあると思うのです。  ですから、そういうものを考えて、一面におきましては資産十兆円とも言われておりますが、六兆の借金を抱えておる。その借金を払っていかなければならない。しかもINS構想がいよいよ実行段階に入ってきますと、これからは全体的にたくさんのお金が必要になってくるでしょう。そういうときに、政府の方から四千八百億も、特別法をつくって公社法に違反するような上納金を取られているじゃないですか。さらに今も法案が出ておる。また二千億も取り上げようとしているのです。今まで何回かの料金改定で、どのくらいの数になりますか後で教えてもらいたいのですが、サービスはしているはずです。ですから国には奉仕し、お客さんにはサービスをし、そしてそこに働く職員に対してどういう待遇ができておりますか。私は上納金があったら、その金で六兆円の借金を返したい、できるだけ負債をなくしていきたい、そして将来の展望の上に立って仕事をやらなければいけないといつも思っておるわけなんです。ただ単に下げればいいというものではないんだと思うのです。利用者というのはよりよいサービスの提供を喜ぶでしょう。これから限りなく出てくる新しいサービスに対してどうこたえていくのか、それにこたえてくれることを国民は願っていると思うのです。そのために多少料金が現状維持であっても、いいサービスを提供すれば我慢してくれると私は思うのですね。ですから、その辺の政治哲学、経営哲学というものは、総裁は民間におられた方ですから非常に厳しい試練を経てこられていると思います。官僚のなまぬるいような世の中につかった経験はあなたはないでしょう。私はその点は厳しくやっておられると思いますけれども、そういう意味においてもう少し全体像を、こういうふうな体系で、将来はこういう展望があるから、こういうふうに料金を変えていっても大丈夫ですというような、みんなが安心できるようなものを示して、そして今度中距離はこう下げますというような、そういう展望なくしてこういう料金改正を出してきたところで正直言ってぴんとこないです。  私が一方的にしゃべりまくりましたけれども、そういう意味で、今までここで決議をした二回、三回の決議による電電公社料金というのは基本的なものはこうだというものを確立しなさいというものにこたえてやってあるのですか。そして、グループ料金制というものを今度はどの段階で導入していこうとしているのか。今、杉並区と吉祥寺、武蔵野市を境にして八十秒十円、二十二区はどこへかけても三分十円、ですから、そこらをもう少し工夫していけばいい知恵が出てくると私は思うのですね。そういうことももちろん考えておられると思いますけれども総裁、その展望はできているのですか。  ですから、さっきも総括原価主義とかいろいろ言われましたけれども、そういう料金はかくあるべきだという基本的な体制ができて、その上で、それではグループ料金制というものはいつごろから導入していくとか、そういうものがあるならひとつここで明確にしていただいて、我々が法案を審議するに当たって今度下げてみても心配ないというふうに安心できるような、ひとつうまい答弁をしてください。
  47. 真藤恒

    真藤説明員 さっきもお答えしましたけれども、さしあたり私ども料金で考えなければならぬのは、当分の間遠距離料金を目のかたきにして、合理的にバランスをとりながら下げていくということがまずは当面の問題と思います。そして、それがある程度下がってまいりますと同時に、それと並行に、前から長い問題になっております今のグループ料金制というものを、最近の車社会あるいは新しいサービスの追加というものに合わせてどういうふうに実質上——現在の三分十円の区域を単純にグループ料金化するんじゃなくて、もっと使いやすいグループ料金的なやり方があるというふうに考えております。  これは本当の試案でございますけれども、例えば県単位に均一料金にする、そして県との境目は市町村でグループ料金制にするということも一つの方法かと思います。しかし、そこまで持っていきますのには、随分下げましたけれどもまだ三分四百円、一時間八千円という料金長距離にございますので、こういう料金がある限りにおいては、いわゆる高度情報通信社会で本当に使いやすい、また、使い物になる通信ということはなかなか実現できないと思いますので、この辺のところを早く征伐しながら、今の近距離の問題も実生活にもう少し適合した形、使いやすい形に持っていかなければいかぬと思います。  経営形態がどう変わりましても、公益事業である限りにおいてはこの料金問題は、政府の認可料金でございますので政府の御指導をいただきながら今後進めていきたいと思います。しかし、そういうことができるためには、やはり通話量がだんだんふえていくということ、したがって、そのために総収入がだんだんふえる傾向の中にあって初めてそれができるわけでもございますし、また私どもの経営の総費用が減っていく方向で初めてできることでございますので、その辺のところの兼ね合いをとりながら、無理の来ないような形をとりながら進めていかざるを得ない、実際問題としてはそういう方向をたどるよりほか仕方がないと思うのです。  私どもがはっきり方針を決めるのに今一番わからぬ問題は、仮にあの法案が通れば新規参入がどういう姿で、いつごろどういう仕事へ入ってくるのか。また、新しいいわゆる高度情報社会に向いたいろんな新しいサービスをこれから次々世の中に出していきますが、それがどういう地方からどういうふうな量で使用につながるような展開をしていくのか。今のところ非常な大転換期でございまして、例えば世間でこのごろ盛んに言われているVANあたりはどういう姿で出てくるのか。ここのところもまだ確たる動きが出てまいりませんので、その点、将来を見通すのにここ一、二年非常に困難な状態に入っております。しかしながら、この長距離料金を下げていくということは、そういう困難な状態でもある程度やっても間違いなかろうかというふうにも考えられますので、大転換で先の見通しのしにくい間は長距離料金を先に下げておくというふうに、具体的な問題としては対処しなければしょうがないんじゃないかなというふうに考えております。  今の新しいサービスが追加した動き、VANなんかの動き、新規参入の動きというふうなことは、まだもうしばらく時間をいただかないと全然見当がつかない状態でございますので、その辺の見当がついて初めて全体の料金体系というものがおぼろげながらわかってくるということになろうかと思います。さしあたりは私どもの方が努力しながら、財務基盤を壊さない範囲長距離料金を次々下げさせていただくという方向をたどらせていただくのが一番妥当じゃなかろうか、これはもちろん郵政の御指導をいただきながらでないとできませんが、そういうふうに考えております。
  48. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ですから総裁、私がお尋ねしているのは、公平な料金決定方式というものを確立しなさいという決議をつけてある。それからグループ料金制についてもやはり導入するという方向で努力するということになっていたんだが、今日までなっておらない。これは非常に残念なことですね。ですから単位料金区域、昔は特別区域とか区域外とかいろんなものがありましたけれども、今は公社努力で大分なくなってきた、したがって、やりやすい条件も出てきていると私は思うのですよ。今まで料金決定原則というものが基本的にはっきりしてなかった、ここのところを私はついているのです。  あなたが四日に記者会見をされて、フリーディスカッションでやっていたら書いたんだとおっしゃるのですけれどもフリーディスカッションでも、記者の人たちは総裁の一言一言に非常に関心を持っておられるでしょう。ですから全体的な料金体系をどうするのか、そういうものの中で例えば市内料金が世界に比べて日本は安いのではないかという意見もあります。それから、今お話のありましたように、一県なら一県を単位にして隣接料金をやめてしまって、山梨県だったら二つに分けてやるとかあるいは一つにしてしまうとかいうようなこともやり方としては私はできると思うのですよ。ですから、そういうことも工夫して、そして全体の料金というものを決めておかないと将来に非常に問題を残すと思うから、私はそこを聞いたんですよ。だけれども、結論としてそういう料金決定原則というものが今までできなかったというお答えですね。  しからば新規参入がどうしたとかVANがどうしたとかいうことをおっしゃっているのですけれども、私はまだそのことは全然考えてないのです。今は電電公社ですから、電電の現行公社制度の中での話をしているわけであって、新規参入が来るなどということは考えてないのです。それはきのう法案が提案されたようですから、いずれ審議はしなくちゃなりませんけれども。今までの長い三十年を超す電電公社、そして明治二年以来の百十年の歴史の中で国有、国営でやってきたこの事業というものは非常に公共性が強い。そのためにこの公共料金というものが一つの国会承認としてできるだけ安い料金で確実に早く着く、それがこの事業の使命だったわけです。ですから、例えば専用回線料金の方をどうするのか、それから電報料金というのは一体どうするのか、そういうことに対しても全く皆無なんです。  質問が少しばあっとしていましたからお答えにくかったのかもしれませんけれども、どなたの担当になるか知りませんが、今までは長距離料金で近距離料金を補てんしていた、電報の赤字を黒字で補てんしておったと同じようなことだ、こうおっしゃっているのですが、電電公社の五十七年でいいのですが、八年がわかったら八年で市外通話、要するに長距離料金収入がどのくらいで、市内通話、近距離通話というのはどのくらいなのか、ひとつその額はわかりますか。
  49. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  ちょっと額は手元にございません。率で申し上げますと、五十七年度でございますが、区域通話収入分布が一九%でございます。それから隣接区域内から三百二十キロまでが約五〇%、遠距離、三百二十キロ以上が三〇%を占めております。一方通話回数の分布で申し上げますと、区域内が収入の二割に対して七割、それから隣接から三百二十キロまでが収入五割に対して三割、三百二十キロ以上の遠距離が三%の通話に対しまして三〇%の収入を上げておる、このようなことでございます。
  50. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 額はどのくらいですか。
  51. 草加英資

    草加説明員 ちょっと額は手元にございませんので、恐縮ですが、すぐ計算いたします。
  52. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 難しい時期でございますけれども、私はやはり物事はちゃんとすることはちゃんとして、それから前へ進むなら進むというふうにしないといけないと思うのです。けじめをちゃんとつけなければいけない。ですから、我々がこの国会で何回も何回も、十何年も前から話をして、グループ料金制の問題にしても附帯決議までつけてやってきておるにもかかわらず、そういった問題は横へ置かれて今日に至っているということは、率直に言ったら国会の意思というものを余り尊重していない。グループ料金制の志向についてはこの程度の時期にはいけると思います、せめてこのくらいの話はきょうは聞けると私は思ったのです。  それから、総裁のマスコミ対策というのは、ちょっとあれですけれども下手ですね。下手というか上手というか、あなたに聞くといやそれは何か記者が書いたんだと言うのですけれども、そのねらっているところはさっきも言ったように僕らにもわかるのです。ですから、こういうことをやるから非常に誤解を受けてくるのです。全体の体系の中であなたが出せばこれはわかるのです。それがなくて、ただこれだけぽっと出せば、何だ、今、三分で十円というのが二分で十円、とんでもないやつだというようなことになるわけです。何か思いついたようなことをぱっと言われるから、そこでまた新聞記事になってくるでしょう。あなたはマスコミ対策というのは上手だと思っていたのですが、いろいろ宣伝をやってきていますから、高感度なんかはそのとおりやってきておられるのですけれども、そういうマスコミに対して直接お話しするような場合には、今、私が申し上げたような体制もある、その中で描かれる一つの構想としてこういうものも考えられるじゃないかというようなお話であれば、これは私は通ずると思うのです。そこを言ってなかったじゃないですか、どうなんですか。  大変失礼なことを私申し上げますけれども、やはり事業を愛する者の一人として、今まで一生懸命やってきた者の一人として、そういう構想を持っておられて言ったとすれば私は一応評価できると思うのですよ。評価というかわかると思うのですよ。そういう構想はあるのですか。
  53. 寺島角夫

    ○寺島説明員 料金の体系につきまして基本的なお尋ねでございますが、先ほど総裁からもお答えを申し上げましたように、当面の問題といたしまして、いわゆる遠近格差が諸外国に比べて日本の場合大きいということが最大の問題でございまして、そういう認識をいたしております。御案内のとおり過去三回にわたりまして下げてまいりました。その結果一対七十二であったものが現在一対四十まで縮まってまいったわけでありますけれども、またこれで十分ということではございませんので、さらにこの辺の努力を積み重ねていかなければならないというふうに考えておりますが、この遠近格差を縮めるということは、裏から申しますとできるだけ全国の料金が、単一料金とまではちょっと申し上げかねますけれども、できるだけ格差の少ない料金に持っていくということが基本的な体系を考える場合の考え方であろうと思うわけでございます。そういう観点から遠距離を一対四十まで下げてまいりました。  そうなりましたときにそれでは中距離はどうなんだ、中距離がアンバランスではないかという御議論が当然出てまいりまして、それに対しまして今回中距離料金値下げという法案の御審議をお願いしているところでございます。さらにその中で、現在中距離が六段階ございます距離区分というものを統合いたしまして、四段階として政府の方から御提案申し上げでございます。これも先ほど申し上げましたように、できるだけ全国の遠近格差を少なくして差の少ないように持っていくという一つのステップとして考えておるわけでございます。そこで中距離の問題が仮にこれで終わりましても、なおその次に遠近格差の問題というのは依然残っておりますし、それから近距離をどうするかという問題がさらにあるわけでございます。こういうものをあわせ含めまして、政府の御指導を得ながら今後真剣に我々の不断の課題として検討を進めていきたい、こういうふうに現在思っておるところでございます。
  54. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それは事務当局が、五十一年十月のときの公平な料金決定方式を確立しなさいというその確立しなさいということをやってないのでしょう。あなた、長距離が高い高いと言うけれども、高いというのは、東京から鹿児島まで線を引っ張っていけばそれだけ設備投資をたくさんしているはずなんですよ。設備投資は従来どおり金がかかって、料金だけ下げていたら一体成り立っていきますか。昔は電柱一本つけるのに一万円かかった、十本つければ十万円、山の中へする場合にも。コストから来てそうやっているわけです。だから単に、高いから安くすればいいということであれば、技術改革をして、そして本当に今まで鹿児島まで一つの線を引くのに例えば百万かかっておった、それが五十万で済むというならば半分にしてもいいわけです。そうしなければ、経営そのものは成り立っていかぬでしょう。だからそれにはそれなりの理由があるのですよ。ただ高い高いというだけでは能がないのであって、こういうわけだから長距離は高いのですよという理屈だって堂々と述べていいはずです。そういう原価的なものも考えながら料金というものはつくっていかなければならぬのであって、ただ安ければいい、平等にしなければならぬということではないと私は思うのです。それだけもちろん公社の剰余金ができてそしてそれによってカバーできればまたいいですよ。しかし損益勘定上黒字が出ればそれはみんな建設勘定に持っていかれちゃって、そして今度逆に財投から金を貸し付けられて、借金をつけて倍額になるようなものが返されている。そんなにいじめられているんじゃないですか。そういう中で六兆もの借金を返していくわけですから、そう簡単に、料金が高いから安くしなきゃならぬというだけで経営を考えたら大変な間違いを起こすと私は思う。だからそういうことを言っているんですよ。料金決定方式というのが確立てきなかったことは非常に残念でございますが、早急にひとつ決定をしていただいて、そして今申し上げましたような将来に向かって電電公社がINS体制からディジタル化、相当金を使ってやろうとしておるわけです。そういう計画に支障がないということをはっきりしておいていただきたいと思うのですが、これは総裁、自信を持って答えられますか。
  55. 草加英資

    草加説明員 まず、ダイヤル通話料収入からちょっと申し上げさせていただきます。先ほど申し上げましたダイヤル通話収入区域内が約二割と申し上げまして約五千億でございます。それから隣接区域内から三百二十キロまでが五割と申し上げて、約一兆二千億でございます。それから三百二十キロを超える料金、三割と申し上げまして約七千五百億、このように御理解いただきたいと思います。  それから、先生指摘のように、遠距離をただ下げればよくはないというお話でございますが、遠距離通話につきまして、先ほど説明いたしましたように、通話回数に比較いたしまして収入が非常に多いということ、また諸外国に比べまして今回を含めた値下げを四回実施するまでは外国に比べて非常に高い、今回大体諸外国並みになったわけでございますが、近距離は二分の一から三分の一というふうに安いという実態からいたしまして、市外料金がかなり高いということは御案内のとおりでございます。したがいまして、これを下げまして遠近格差を縮めていくということは一つの私どもの方針でございまして、その点については御理解いただきたい、このように申し上げでございます。
  56. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 話がなかなかかみ合わないのです。私の言っているのは市外料金の高いには高いだけの理由があるでしょう。設備投資もしなければならない、それぞれリレーも置いて話が弱くならないようにちゃんとカバーしてやらなければならないのでしょう。ですから、金を使うからして、遠くの人へかける場合には高い料金をもらわなければ採算が合わないからやっているわけであって、それを、それでは今一対四十になった、もちろん収入が膨大に、膨大と言っては何ですが多くなって、そしてカバーして安くできるということであれば、それは結構なんです。それから設備投資その他についてもいろいろ新しい技術ができて非常に安くなった、それでこういうふうにできたということであれば、これは皆納得するわけですよ。そこのところを聞いているわけだ。
  57. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  市外通話コストが下がってきた実態についてお尋ねだと思いますが、私どもの原価につきまして交換の態様が非常に区々でございますし、それから遠距離にいく場合のルートその他かなりまちまち、いろいろな方向をとっておりますので、これらをコストとして分析いたしておりません。したがいまして、今後はこれをコストを分析いたすつもりでございますが、少なくともコスト的には新しい技術の開発によって徐々に下げておる、このように思っております。
  58. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 正直にそういうふうに言っていただけばわかるんですよ。だから従来やっていなかったけれども、これからはひとつコストも考えてやりたい、これはそうやってもらいたい。そして国民にも、なるほど、こういうふうに工夫して安くなりました、皆で努力してなりましたということになると、公社もほめられるわけであります。わけがわからないようなものでどんどんやるから、思いつきだ、場当たりだと言って非難を受けることになるわけですから、この点はひとつ総裁もよく考えてやっておいてもらいたいと思います。  時間がございませんので、あと専用線の料金の改正ですね。これはどういうふうに考えていますか。それからINS体制に入った場合にさらに特別な料金制度というものを考えていらっしゃるかどうか。それから電報の料金についてはどうお考えなのか、時間がないから簡潔に答えてください。
  59. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  まず専用線の料金でございますが、今回の中距離値下げに伴いまして該当する区間の専用線の料金につきまして今後政府の御指導を得ながら下げる方向で検討させていただきたい、このように思っております。  それから、INS料金でございますが、INSにつきましては、今後ディジタル化を進める過程におきまして、将来の全国均一料金、さらには可処分所得ダイヤル料金というのが理想でございますが、これにどのような形で現在のアナログの電話料金と整合していくかということが問題でございます。これにつきましては、先ほど総裁が申し上げましたように、今後の料金体系の合理化の中でINS料金への移行を真剣に検討していきたい、このように考えているところでございます。  それから、電報の料金につきましては現在いろいろな形で合理化を行っておるところでございます。電報の収支が現在四〇〇%ということでございますので、あらゆる努力をしてこの収支の乖離を下げるように努力をいたしておるところでございます。今後、電報料金につきましてはどのような形で対処するか、政府の御指導を得ながら考えていきたい、このように思っておるところであります。
  60. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 後、時間がないので、料金の徴収については公社も大変苦労されておると思うのでありますが、最近、料金に対する苦情というものがどの程度の申し出があるのか。最近二、三年間のデータを、時間がここではありませんので、資料として出していただきたいと思います。  それから、ダイヤル通話の長年の懸案でございました料金明細書内訳サービスもいよいよ本実施に移されるように聞いておりますが、これにはプライバシーの保護等の問題もありますので、その辺の慎重さを十分にしていただくと同時に、恐らく加入者、御希望の方々に特別な機械を入れるのだと思いますが、そういう機械を入れるのにはどのくらいの金がかかるのか。その辺もよくわかりませんが、もしその辺だけわかっておったら答えていただいて、後の方はプライバシーの保護を含めて、資料でも結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
  61. 神林留雄

    ○神林説明員 お答えいたします。  細かいところは先生お話しのとおり資料でお渡ししたいと思いますけれども、一点、わかっておったらというお話のありました料金明細の総費用ということでございますけれども、これは先生御存じのとおり、現在本実施について明確にはっきりした線は出ていない。現在運用試験ということで来月から始める、こういう状態でありまして、これが終わりましてプライバシー問題等、いろいろな問題が片づきました後で具体的にその導入計画を決めていく。導入計画の長さ、短さによって相当金が変わるわけであります。新しい機械が入ってくれば安く済むということもございます。したがいまして、ストレートになかなかお答えができないのですが、私どものざっとした試算ですと、十年ぐらい程度でやっていこうという前提ですと三千五百億くらいの金がかかるかなという、この程度の試算はいたしておりますけれども、期間その他によって相当変わりますので、その程度の数字としてひとつ御理解いただければありがたいと思います。
  62. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこはわかりました。資料で出していただいて。これは恐らく、つけてもらいたいという人につけるのだろうと思います。一方的に公社がつけるということではないと思うのです。  それから、料金の未収になっているのはどの程度あるのか、あれは民法との関係で時効消滅の点もありますが、従来この五、六年の間、時効消滅したような料金がどの程度あるか、それもできたら資料で出していただきたいと思います。それからもう一つは、通話停止がございますが、料金未納になりますと電話をとめています。それが年間どの程度あるか、それもひとつ資料として出していただきたいと思います。  それで、最後に大臣に一言お伺いしておきたいのですが、今、総裁と特に質疑をいたしました。長い歴史の中で今日の電電公社を迎えておるわけですが、やはりこの事業は非常に公共性の強い事業ですし、私も申し上げましたように、安い料金で確実に、しかも迅速に、これがモットーで、先人は大変苦労してここまで守ってきてくれたわけですね。今や、電報電話から情報化社会へと大きく転換する時期に来ております。したがって、料金体系の決定も非常に難しい点があると思います。ですから私は、ただ単に公社を一方的に批判することではなくして、我々が長い間、早い時期にグループ料金制等も志向しなさい、それからまた、基本的な料金のあり方についてもちゃんとしなさいということを随分言ってきたのです。ところが、今お聞きのような状態になって今日に至っておるわけであります。公社になった以上は、私は、郵政省国会というものは、余り公社に対してつべこべ介入するのは反対なんですよ。また、公社にした以上は自主的にやらせるというのが基本ですから、私はいつもそう思っております。  ですから、大臣に所見を聞きたいのは、大臣として御就任以来、非常に積極的に取り組んでこられたし、我々が知らないようなことまで勉強しておられるので実はびっくりするときもありますけれども、非常に精力的にやっておられます。ですから大臣が、短い期間であっても監督大臣として公社を見て、よくやってくれている、何か報いてやらなければならぬということも率直に感じると思うのですよ。これだけ努力しておっても、実際従業員の立場なんというものは全くもう踏んだりけったりですよ。  いろいろと御配慮をいただいているところもあるようですけれども、そんなわけで、もう少し公社がやりたいようなことについては、例えば、料金の認可もあなたがやらなければならぬですね、国会で決める以外の料金は。そういうものは来たらどんどんと早くぱぱっと認可してやるとか、三月も四月もほっぽらかされるというようなこともなきにしもあらずだったんですよ、そういうようなことを含めまして適切な御指導をいただいて、電電公社が所期の目的を達成できるように御配慮いただきたい、こう思いますので、最後に若干の大臣の御所見を承って、質問を終わります。
  63. 奥田敬和

    奥田国務大臣 公社が、一元体制のもとではございますけれども、渋滞解消を含め、全国の自動化も含め、大変な一元体制のメリットを生かして国民に、生活にも経済にも関係のある分野で非常に貢献をしていただいていることは事実でございますし、今日も、もうみんな諸物価高騰の折にもかかわらず、公共料金の体制の厳しい枠の中で、遠距離をまず最初に、今度は中距離という形で、徐々に遠近格差を解消する方向の中で料金値下げを行ってきておるという形は、まさに技術革新の成果、労使の協調、この実態をつくり上げて今日の成果を生んで国民に還元されておられるわけですから、料金値下げ自体はまことに喜ばしい限りでございます。  しかし、これは先生や私らの頭で考える以上に、時間と距離を超越した技術革新、このスピードというのはすごいもののようでございます。したがって、光ファイバーで東京から鹿児島まで引いたコストがどうのこうのという、もちろんコストはあります。しかし今度は、そのコストの何層倍の大量の回線、何千回線、何万回線という回線を利用する人がいなかったら、これは公社の営業も成り立たぬわけですから、そんなコストぐらい一遍に吹き飛ばすぐらいに多数の利用者がふえていく、遠近の格差がなくなって利用者がふえるという形の中での適正な料金形態、適正な経営形態というものが保たれていくのではないか。私たちの頭で考える以上に、これからのニューメディアの時代の中で、この回線の利用によって、公社が新会社であって競争原理にたえ得る形の中であっても、私たちはこれを積極的に支援してまいりたいし、また指導して——指導してという言葉はちょっとおかしいです。もうできるだけ関与しないで、自由濶達な競争原理の中でこそそういった夢のメディアの時代を実現してほしい。  理想は、先生も私も一緒だと思うのですよ。日本全国どこにおっても、均一料金で低廉なサービスが受けられる、そういう時代が好ましいのだけれども、企業の本体自体がおかしなことになるような労使の、果実の分配もないような状態の中で、理想だけ追いかけるなという御指摘も私はよくわかります。そういう両面をよく見ながら、適切にお互いに協力してもらいたいということでございます。
  64. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ありがとうございました。
  65. 志賀節

    志賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  66. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。武部文君。
  67. 武部文

    武部委員 午前中にいろいろやりとりがございまして、お伺いをいたしておりました。できるだけ重複する点は避けたいと思いますが、この値下げの問題につきましては、私は賛成であります。しかし、料金全般について、あるいは今後の電電公社料金体系のあり方についていろいろ意見も持っておりますし、お聞きしたい点がありますから、二、三お伺いをするわけであります。  最初に総裁にお伺いをいたしますが、先ほどマスコミの問題が若干取り上げられておったわけでありますが、ことし初めての総裁記者会見の模様が業界紙に詳しく載っておりました。それを拝見をいたしましたが、この業界紙の総裁記者会見の模様は一問一答式になっておりまして、どうやらこの内容を見ますと、テープによって後で再生したように思います。この記事を読んでみますと、料金の項で、納付金の問題とそれから今度の料金値下げの問題が総裁の口から答弁をされております。新聞記者の「料金値下げで場当たり的の見方もあるが。」という質問に対して、総裁の答弁は「どうしてだ。冗談はいわんでくれ。財政の見通しがあったから下げたんだ。少しでも早く料金値下げするのは、公社の良心だろう。文句をいうことではない。ただ、こちらの理想としては二年の間をおいて、思いきってやった方が経営はやりやすい。これはいってある。今回は政治的なこともあり、中距離を下げてくれといってきたから、財務見通しも立っているのでOKしたのだ。」こういう記事が載っているのであります。  私はことしの一月にこれを見ましたが、総裁にちょっとお伺いをするわけです。この中で言っておられる、今回の中距離値下げは「政治的なこともあり、中距離を下げてくれといってきたから、財務見通しも立っているのでOKしたのだ。」これは一体どういう意味なのか、これをちょっとお伺いしたい。
  68. 真藤恒

    真藤説明員 私はかねてから、料金値下げというのは、一回値下げしましたら、その後の通話量の変化を確認して、そしてまた次の値下げを自信を持ってやるということをやりますと、どうしても二年に一回くらいのサイクルでがたっがたっと下げていくのが経営の立場からは健全な方法だということを折に触れて申し上げておったのですが、今回は二年待たずに急に値下げをというお話が出ましたので、そういう発言をしたというふうに覚えております。
  69. 武部文

    武部委員 「政治的な」とはどういう意味でしょうか。どこからそういうお話があったでしょうか。
  70. 真藤恒

    真藤説明員 これは私の独断の言葉でございまして、具体的に政治的にどうのこうのということはございません。
  71. 武部文

    武部委員 この電電公社中距離値下げ問題というのは去年の夏ごろから既にちらほら新聞紙上に出ておったのであります。我々はそういう記事を見ておったのであります。したがって、今回また値下げが行われるか、しかもそれは三百二十、いわゆる中距離の問題をどうしてこんなに急いでやるのだろうかという疑問を当時持ったのであります。  午前中もいろいろやりとりがございましたけれども、電電公社料金体系というのは、五十一年の値上げ以降すっと値下げが行われてきておるのであります。くしくもあなたがおっしゃったように、こういう何か中途半端なようなやり方は本当はしたくないんだが、やれという強い要請があったのでやったんだというふうに、この新聞のやりとりの中から見るとうかがえるのでありまして、そういう意味で何か政治的な動きがあって、総裁に圧力がかかって、本来はもっと抜本的なことをやりたいのだけれども、そういうことがあったので、やむなくこういう値下げをしたんだ、このようにとれるのですが^そのように理解してよろしゅうございましょうか。
  72. 真藤恒

    真藤説明員 今申し上げましたように、私自身に、また公社の組織に具体的に政治的な圧力というふうなことはございません。ただ、世の中何となしに中距離を早く下げろというふうな空気が、今おっしゃいましたように、あちらこちらに出てまいりまして、そういうことからこういうことになったというふうに私は感じております。
  73. 武部文

    武部委員 よく理解できませんが、下げることは別に反対ではございませんから、それは結構ですが、私は、今回の値下げが中途半端なような気がしてならぬのであります。これは後で申し上げますが、同僚議員からもお話があったようなグループ料金制というようなものは、前からいろいろと経過があって、それなりの答弁もあり、私どもは次はそういうものも加味された料金体系の変更が値下げを含んで行われるであろう、しかも、新しい公社の経営形態というものが既に準備されつつある。そういう段階ならば当然そういう改革が行われてしかるべきだし、そのように思っておったのですが、今言ったように中途半端なものが出た。しかも、総裁の発言の中に「政治的」ということがはっきりとうたわれておる。これは何かそういう問題が起きて、公社としては踏み切らざるを得なかった、このようにとれる記者会見内容でありましたから、この際この問題を最初に明らかにしておきたかったのでありますが、総裁の答弁は同じことでありますから、これ以上のことは申し上げません。  次いで、それならば臨時納付金の二千億のことについてお伺いをしたいのですが、その前に、この納付金を四千八百億円、電電公社が大蔵省に差し出した。前回、当委員会で前倒しの話がありました。五十九年を五十八年に前倒しをして、二年分納付するという話がございまして、いろいろやりとりをしたときに、後ろの方からやじが出て、二度あることは三度あるぞというやじが飛んだことを私は覚えておりますが、紛れもなく今度は三度目の二千億というものが出てきた。そういうことを私は覚えておるのでありますが、四千八百億と二千億の問題についてお伺いをしたいのですが、四千八百億円という納付金は、前倒しによって、一応決着がついたわけであります。しかし、これは現実には借入金で処理されておりますから、四千八百億円に対して、利子が三千四百億円もつくのです。合計八千二百億円の金を公社は昭和六十九年まで払わなければならぬ、そういう納付金になっておるというふうに理解をいたしますが、間違いございませんか。
  74. 飯田克己

    ○飯田説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  75. 武部文

    武部委員 電電公社はこの納付金を昭和六十九年まで実に十四年間にわたって利子を払いながら処理をしていくわけであります。一体この納付金というものはどういう法律的根拠があるのか、こういう点についてもここでいろいろやりとりがあったわけですが、私の聞いたところでは定かではありません。しかし、国会法律によって決まってきたわけですから、それ以上のことは申し上げませんが、そのときに当委員会のやりとりの中で総裁は、これで終わり、当時の桧垣郵政大臣も、もうこれで終わり、払う意思は毛頭ない、こういう答弁を繰り返しやっておられました。もちろん我々もそういうものはもうこれ以上必要ない、ましてや借金までして何で利子までつけて電電公社が金を納めなければならぬのか、こういうことが言われまして、まさしく当委員会におきましては、総裁大臣委員会側も意見は一致、こういうことになっておったのですが、今回この二千億円というものが突如として出てきた、このように理解をしておる向きが多いようですが、実は私はそう思いません。この二千億円というものは既に去年の春ごろからそろそろ頭をもたげておった問題ではなかったか。なぜならば、議事録もございますが、去年の四月、衆議院大蔵委員会でこの問題が取り上げられて、四千八百億円の問題に絡んで大蔵大臣の答弁が行われておるのであります。このときから既に大蔵省は、四千八百億円で、五十九年度の前倒しでこれで一応は済むが、何らかの形で再び電電公社から金を召し上げようとねらっておったという事実が、この答弁の中にありありとうかがえるのであります。  この答弁はこのようになっておるのでありますが、現行の法律は当然打ち切りとなるが、その後の取り扱いについては軽々に判断できない、こういう答弁であります。大蔵大臣はこういうふうに述べておるのでありまして、後のことはまた後のこと、先のことは先のこと、とにかく四千八百億円のことについてはこれで一応打ち切りだ、既にこのときに、今までのような資本勘定でやれば抵抗が強くなるから今度は別な形で召し上げてやろうとひそかに考えておったに違いない、これがこの発言の中にうかがえておるのであります。案の定、今度は形態を変えて、五十八年度の利益金の中から取る、こういう形に変えて二千億円というものが出てきた、このように理解をするわけですが、堀之内さんにはわざわざおいでをいただきましてまことにどうも恐縮でございましたが、大蔵省はこの問題についてどのようにお考えでしょうか。
  76. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 ただいま武部先生の御指摘のとおり、今回電電公社に二千億の納付をお願いいたしたところでございますが、実は私もこの委員会で一緒に先生方と勉強させていただいた仲間でございますし、特にまた四千八百億を納付するときには、ほかの同僚の仲間の皆さんとともに相当抵抗した経験があるわけでございますが、図らずも今回大蔵省に参りまして今回のこうした計画を知りまして、ちょっと驚いたところでございました。しかし、五十九年度予算編成に当たりまして、政府といたしましては財政再建をする、こういうあかしを立てるためにも少しでも特例公債の減額をしなければならぬ、こういうことから、今回また、これは大変無理だとは承知しながら、五十八年度の利益金の中から一応御相談をということでお願いをいたしたのが経過でございまして、私自身電電公社の実態というものをよく承知をいたしておるつもりでございましたので、今回この点をお願いするに当たってもじくじたるものを感じましたが、しかし財政再建という、こうしたあかしを立てるためにも、どうしてもやむを得なかった処置としてお願いをいたした次第でございます。
  77. 武部文

    武部委員 この二千億円というものは、先ほど申し上げたように若干の兆しは既に一年も前からあった。しかし、金額はもちろんそのようなものであるとは想像もできないことでありますし、我々もよくわかりませんでした。しかし、予算編成の経過が逐次報道される中に、次第にこの問題が明らかになってきたのであります。我々は、一体どうなることかと見守っておったわけでありますが、自民党の通信部会の皆さんもこれに対しては激しく反対をされたということも我々は承知をしておりました。総裁も反対だった、郵政大臣も反対をされた、こういうことを聞いておったのであります。したがって、この二千億円がそう簡単に、予算の最終の段階であのような形で決まるとは夢にも思っておりませんでしたが、結果的に、最終的には政調会長や官房長官まで出て郵政大臣との間で決着がつけられた、このように聞いておるのでありますが、総裁はこの二千億円についてどういう態度をおとりになったか、郵政大臣はどういう態度をおとりになったか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  78. 真藤恒

    真藤説明員 私が一番恐れましたのは、利益金からというお話でございますが、利益金というものは、値下げしながら出てくる利益金でございますので、普通の状態で出てくる利益金ではございませんので、職員に及ぼす感情ということを非常に心配いたしまして反対いたしたわけでございます。しかしながら、ああいういきさつで結局納付することに決まったわけでございまして、その辺、非常に残念に思っておるというのが実情でございます。
  79. 奥田敬和

    奥田国務大臣 経緯については、今ほど大蔵政務次官からお話がございました。確かに、前倒しを含めての四千八百億納付というほかに、新たな形として財政当局から要望があったわけでございます。  元来、この独立採算、しかも利益はあまねく利用者に還元という一つの原則に立っておりますから、こういった形の納付にはなじまない公社の性格から見て、当初の形においては、郵政省としては、財政当局の要望にはこたえかねるという姿勢でおったことは事実でございます。しかしながら、こういった財政の危機的な状況であることにかんがみまして、また、利益勘定から、公社側として、二千億納付の後に経営基盤にいささかも支障があっては困りますので、その点を、利益差益という形の中で公社側とよく連絡をとり、その上で同意をしたという経緯でございます。
  80. 武部文

    武部委員 最終的には、反対を押し切って政府側、特に官房長官まで出て、政調会長とともに、電電公社や郵政大臣もねじ伏せて二千億円をついに決めた、このように我々は理解しておるわけです。この金額は、予算の復活折衝で各省が血眼になって奪い合う総額よりも大きい金額であります。二千億円です。そういう金額がこういう経過で、電電公社に対して支出を求めるということについては、私はどうしても納得ができないのであります。  総裁は、就任後、公社の経営形態に大変力を入れて、効率化、能率化、簡素化、合理化とか、いろいろな点で努力をしておられる、これを我々はよく承知をしておるのであります。そうした中で、公社の今までの中に新しいものが出てきた。例えば適正な月次決算による管理、こういう点は非常に評価をされておるようですが、本社の監査の実施項目や、あるいは地方の通信局、さらには通信部の監査報告も、基本方針も全部手元に取り寄せてみました。大変活発に監査が行われ、成果が上がっておるように思います。むしろ極端に言えば、ちょっとひど過ぎるのじゃないか、もう一枚の紙にまで大変厳しい効率化、合理化、そういうものが注がれておる、こういうことをよく耳にいたします。それほど公社の経営形態というものについて、新しい動きが出ておるということをよく承知をしています。  私は地方の電電のビルに行ったときにびっくりいたしました。電電のビルのエレベーターは、閉めるというのがないのですね。閉めるというところは紙が張ってある。これは一体どうしたことか。電電のビルは全部そうなっておる。よくよく聞いてみると、これも合理化の一端だ。しかも、この発想は、真藤総裁ではないかということを、職員の中では言っておりました。これはどういうことになるのか。閉めるというところを押さえる。それによって電力は消費される。それをしなければ、それでは一体どういう効果が上がるか、こんなことを言っていました。一回押さえるのをやめれば、これは十円節約になる。ほう、そこまで電電公社はやっておるか。なるほど電電公社のビルヘ行ってみますと、全部のビルのエレベーターには閉めるというところはありませんね。これは大変立派なことだと私は思うのです。これを全部のビルがやったら大変なことになると思うのです。それを先駆けて電電公社ではやっておる。それも、どうも総裁の発案のようだということを、私は職員の口から聞きました。そこまでしていろいろと合理化をし、能率化をし、そして利益金を上げておられる。その利益金の中から二千億円も大蔵省にこっそり持っていかれて、一体、職員はどういうふうにこれを思うだろうか。私はここが問題だと思うのですよ。確かにいろいろな努力をされて、公社の中身が変わりつつある。大変結構なことだと思うのです。しかしこの二千億円は、それならば、どういうところに、どんな目的で、何に使われるでしょうか。これは全くわからぬと言う方がいいでしょう。何兆円もの中に二千億円入っていって、どんな目的で使われたということは、もちろん、これはわかりません。これが値下げに使われるならば、具体的にはわかるでしょう。しかし、大蔵省の金庫の中にそれが入ってばらまかれてしまったら、これは何のために、どこへ使われたのか一向わかりません。せっかくそういうところまで努力をされておるならば、目に見えるようなそういう還元の仕方というものがあってしかるべきだし、そのことがまた次の公社の合理化や、能率化やそういうものに役立つのではないのか、私はこのように思います。  よく耳かきもっこという言葉がありますね。耳かきで一生懸命で集めたものをもっこでひょいと運んでしまったと、そういう言葉が出ておるのですよ。本当にみんなで一生懸命になって少しづつ集めた金を、大蔵省がもっこで金庫へひょいと持って逃げた。こんなことを職員が全部知ったら、それはやはり意欲にも関係すると私は思うのです。そういう面について、今回の措置は、私としてはどうしても納得できないのです。  しかも、後で申し上げますが、もう一つ、値上げの計画が出て、郵政省はこれを認可しておりますね。工事料金の値上げであります。これを少し述べなければいけませんが、そういうふうな問題がこの二千億円に絡んで発生をしておる。これは総裁としても、十分ひとつ頭の中に入れていただかなければならぬ、このように思うのです。これ以上のことは申し上げませんが、片一方では三千四百億ですか、利息を三千四百億円も払いながら、何で、二千億円も、利益が出たからといって、それを黙って差し出さなければならぬ、私どもはどうしても納得できないのであります。今、私が述べたことについて、総裁はどうお考えでしょうか、お答えいただきたい。
  81. 真藤恒

    真藤説明員 さっき申し上げましたように、みんなが協力して、今までやってないことをやってもらって協力してためたものがこういうふうに還元されずにすっ飛んでいくということが、勤労意欲というものに非常に大きな障害になるというふうに考えまして、その面について特段の御考慮をお願いいたした次第でございます。その結果、さしあたり今度の年末の手当の場合には〇・七カ月という満額の手当を出すことをお認めいただいたわけでございますが、私の立場からは、まだとてもこれでは足りないな、職員に済まないなという気持ちでおるのが実情でございます。
  82. 武部文

    武部委員 総裁年度末手当その他についていろいろ配慮されたことは、私も承知をいたしております。しかし、その額は〇・七でありますね。例えば郵政省ならば〇・五八ですから約〇・六でしょう。それが〇・七になった。〇・一確かに多い。その金額は、平均ベースにして職員は月約二十万弱ですよ、少なくとも〇・一は二万円であります。三十万ならば六十億円、全くこれは比較にならぬ数字であります。  しかし、そういう努力をされたことは認めますが、いずれにしても職員の側から見れば、紙一枚に至るまでそういう努力を言われ、努力をし、そして協力をしておるのにこういうことが出てくれば、勤労意欲に影響することは私は当然だと思うのです。そういう意味で、今後の経営形態の中にもこのことは十分ひとつ注意をしてもらい、また、大蔵省もそういう理不尽な主張はやめてもらわなければならぬ。  先ほど堀之内先生がおっしゃっておったが、あなたも一緒にここであっちへ向かって元気出して頑張っておったのに、そっちへ行ったら変わって、今度はあなたはこっちの方へ説得に来られたということを聞いたので、そう豹変してもらっては困るので、こういう問題はきちっとしてもらわなければ困る、こういうふうに思うのです。時間がありませんから、この問題はこれで終わりたいと思います。堀之内さん、もう結構です。  次に、料金のあり方について、グループ料金制の問題がいろいろ出ました。私も何回かごのグループ料金制の問題を主張をし、検討の約束を答弁でしてもらったわけでありますが、一向にこれが実現をしない。今回をむしろ一つのチャンスとしてグループ料金制を実施すべきではなかったか、こう思うのであります。今までの答弁を聞いておりますと、なぜ遠距離だけを下げてグループ料金制に踏み切らぬか、こういう私どもの主張に対して公社の答弁は、一歩先んじて、こういう言葉でした。一歩先んじて遠距離料金を下げていくのだ、そしてグループ料金制実施に近づけていくのだ、こういう答弁が議事録を見ますと何回も出てくるのであります。ですから、三回か何ぼ行われたわけですから、そういう段階で、次に、今度は公社の経営形態が変わるという、目前にそういう法案を提出するような準備を片一方で進めておるならば、当然今回の料金値下げにこのグループ料金制を加味して料金体系を検討すべきではなかったか。しかも、この値下げの計画は、先ほど申し上げたように、去年の夏ごろから既に強い要請が公社にあった。それを総裁がお認めになっているわけでありまして、そういう状況の中であったとするならば、日時は十分あったはずだ。  そこでお伺いいたしますが、現在の単位料金区域は、前回昭和五十六年のやりとりをしたときに、五百六十七という単位料金区域だということを答弁がございましたが、今でもその数字には差はないのでしょうか。
  83. 草加英資

    草加説明員 単位料金区域五百六十七は変わりございません。
  84. 武部文

    武部委員 もしグループ料金制を実施した場合、電電公社の減収はどのぐらいになるかという質問をいたしましたときに、大体平年度五百億ぐらいの減収になると想定される、こういう答弁がかつてございましたが、大体これで間違いございませんか。
  85. 草加英資

    草加説明員 グループ料金制をとるやり方はいろいろございます。いわゆる単位料金区域を、そのまま隣の単位料金区域までを区域といたしまして最低の通話料でかけられるというやり方をいたす方法がございますが、そのほか、グループ料金制を拡大した形での県内均一料金制という形も考えられます。  実は、グループ料金制を御提唱いただきました場合よりも、最近、社会生活圏というものが非常に発達してまいりまして、今の隣接のグループ料金制をとることによって解決しない問題が出てまいりました。そういうのを含めまして、もっと広域のグループ料金制という形で解決できないかというようなことも含めまして現在検討している次第でございまして、グループ料金制を採用した場合に減収が幾らかということは、現在のところはちょっと即断いたしかねる、このようにお答えいたします。
  86. 武部文

    武部委員 当時我々は、このカメの甲形のグループ料金制はイギリスを一つのモデルにして、これが一番手っ取り早いやり方ではないだろうかということで、イギリス方式を採用したらどうだ、こういう主張をしてきたことをよく覚えております。その場合に、今おっしゃったように隣接を同一料金にするという場合に、この五百六十七という区域で計算をすると大体五百億ぐらいだ、こういう答弁が公社側からあったので、今は少し変わっておるとおっしゃったけれども、金額にそう大きな差はないと私は思うのです。したがってこの金額は、まさしくこれだけの金額でグループ料金制度というものは実現できるという確信を私どもは当時も持ったわけであります。したがって、これができない理由がよくわからぬ、なぜこれを実施しないのかという理由がよくわからぬのであります。  午前中にもいろいろお話がございまして、一対七十二がだんだん遠近格差が縮まってきて一対四十になった、これはわかります。一体アメリカやイギリスやフランスの遠近格差の倍率はどのくらいだということも、いろいろやりとりしたときにも出てきたわけですが、これは、料金改定をしなければ、逐次この格差を縮めていかなければグループ料金制というのはなかなか実現できぬということはよくわかるのですが、例えばアメリカは、二十八年かけて、十五回料金改定をやっていますね。二十八年間に十五回やった、そのために遠近格差というものが非常に縮まって、現在では、割引のない昼間格差は三・五倍にまで縮まった、こういう報告を公社から私どもは受けたのであります。こういうことが現実に先進国の中では行われて、遠近格差というものはだんだん縮まってきた。日本は七十二、これではとてもお話にならぬというので、それが六十に縮まり、それから四十に縮まってきた。それでも一対四十であります。  今、アメリカは一対十八、イギリスは一対十二、西ドイツは一対十五、フランスも一対十五、日本は一対四十、これは間違いありませんか。
  87. 草加英資

    草加説明員 まず、諸外国遠近格差を申し上げます。先生の数字とほとんど変わりございませんが、念のためにもう一回読ましていただきます。日本が一対四十、アメリカが一対二十二、イギリスが一対六でございます。西ドイツが」対十五、フランスが一対十五でございます。  それから、先ほど先生のおっしゃるグループ料金制というのはイギリスのグループ料金制ということでございますが、現在、先ほど申し上げましたように、イギリスのグループ料金制をとると、隣接を最低単位の料金でかけられるようにするという形にいたしますと、先生五百億程度でできるというお話でございましたが、現在試算いたしますと、正確にはまだしておりませんが、やはり二、三千億かかるんじゃないか、このように考えております。
  88. 武部文

    武部委員 前回の五百億というのは、私も議事録にも載っておりますし、きちんとしておったので、今二千億と聞いてびっくりいたしました。これはどこにそういう根拠があるのかわかりませんし、ここでやりとりをしても時間がございませんから、これはまた内容をひとつ詳細にお伺いをしてからにしたいと思いますが、いずれにしても、このグループ料金制というのは、イギリスあるいはフランスで既に実現されておる、しかもそういうところでは料金段階がぐんぐんぐんぐん減っておるわけでして、イギリスは三段階ですね、それからフランスは五段階、日本はようやく十段階、こういうことですから、そういう意味では、やはり料金の体系としてはグループ料金制によって段階を縮めていく、これが公平な料金体系だ、これはだれの目にも明らかだと思うのです。したがって、そういう料金体系を目指して、たとえ困難があろうともやはり公平でなければならない。同じ十円でかけても距離に物すごく差がある、東京二十三区は皆十円で来いと、ほかのところへ行ったら、ちょっと隣へ行ったらもう市外区域だ、これじゃお話にならぬ。そのためにはグループ料金制というのは、一〇〇%立派じゃないにしても、とりあえず問題が一番手っ取り早い料金の体系の中では理想的なものに近づくものじゃないだろうかと我々は我々なりに理解をしておるのですが、そういう方向を公社としては今後もさらに検討をして、できるだけ早い機会にそういうものを実施する、こういう見解があるかどうか、お聞きをしたいのであります。
  89. 草加英資

    草加説明員 まず最初におわびいたします。失礼いたしました。前回の議事録の中で約六百五十億と申し上げて、先生の数字のとおりでございます。  それから、グループ料金制をとるかどうかというお話でございます。私どもグループ料金制をとって近近格差と言われる、道一つ隔てたところに行くと、料金が途端に三倍になるというような形のものを解消しようということを志向いたしております。  ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、現在の社会生活圏というのは非常に広がってまいりまして、グループ料金制をとりまして隣接に同じ通話料金でかけられるようになりますと、隣々接が非常に大きな格差が出る、こういう問題が改めて生じてまいりました。したがいまして、そういうものも含めて県内均一料金制と、もうちょっと発展した形でのグループ料金制を今後研究し、実現したい、このように現在研究をしているところでございます。
  90. 武部文

    武部委員 二千億というのは推定間違いないのですか。
  91. 草加英資

    草加説明員 大変失礼いたしました。先生のおっしゃる五百億が現在それとそう大きく変わらない金額でございます。
  92. 武部文

    武部委員 そうだと思います。ですから二千億じゃなくて六百五十億くらいのようですから、私どもは最初五百億と聞いておりましたが、六百五十億くらい、この程度で我々と皆さんとやり合っておったグループ料金制は実現できる。しかし、それとまた変わった意味で、総裁もおっしゃったように今度は県単位のグループ料金制ということになれば、これはまた違った意味で金額も違うだろうと思いますが、いずれにしても、そういう遠近格差、特に今度は近距離の不公平な料金体系というものは、できるだけ早く利用者の納得いくような料金体系に変えていく努力を、電電公社の側にも郵政省の側にも求めておきたいと思います。そうでなければ、料金の将来のあり方について国民はやはり納得できないだろう、こういうふうに思うのでありまして、ぜひそれの実現に向かってさらに努力を続けていっていただきたい、このように思います。  時間がありませんから、もう一つお伺いいたしますが、今度工事料金改定の認可が郵政省からおりました。これを見ますと大変な値上がりでありまして、電話機を取り外す場合、今まで千円であったものが三千三百円、三・三倍、プッシュ式ビジネスホンの取りつけは、今まで二万五千円であったものが五万二千八百円、これは二倍以上であります。  こういう二倍から三倍半も一挙に工事料の値上げが電電公社から申請をされて、郵政省がこれを認可しておる。しかも四月にこれを実施するということのようでありますが、これは報道によりますと、四十八年に工事料金を決めてからそのままになっておる、したがって、工事の実費が現在の料金を大幅に上回っておる、だから上げなければならぬのだ、こういう理由と、もう一つ、このままだと民間との公正な競争を妨げるからだ、こういうことが書いてあるのであります。  この二番手の問題は、経営形態が変わった後のことを考えてこれをやろうとしておることを意味しておるのだと思うのでありますが、一体、工事料金をこれだけ大幅に二倍から三倍値上げをするということを何でこの時期に、しかも公社は黒字で今日経営をされておるのに、こういうことを突如大幅な値上げをやってきたのか、この意味がよくわからぬので、説明をしていただきたい。
  93. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま先生がお述べになりましたように、実はこの工事料金、昭和四十八年に改訂されて以来据え置きになっているわけでございます。  そこで、ただ問題といたしましては、これはそれじゃコストに見合う料金というのでなしに、据え置きになっているならば、黒字ならばいいではないかという御説かとも思われますけれども、やはり料金というのは、コストに見合う料金にいつも近づけていくという努力が大事ではないか。したがいまして、それに見合う料金、例えば市外料金というのが下げることができるものは下げる努力をすると同時に、コストと余りにもかけ離れた料金の場合には、やはりいただくものはいただくという考えになった方がいいのではないか、こういうことで、電電公社の方から認可申請がありましたときにも、そういう説明でございますし、私どもの方としてもそういったような考えを持って認可したわけでございます。  こうなりますと、やはりその考え方といたしましては、PBXであるとかプッシュホン、付加機能つきの電話機等の各サービス、これは各サービスごとの設備で決められていたものを、今度は実際にかかった料金でもって積み上げていこうということで、屋内配線工事の料金であるとか機器工事等の各工程ごと料金額を定めまして、実際に行われる工事の態様によりまして、これを組み合わせて適用している料金にしたということでございます。したがいまして、既設の配線があるときには、従前よりも工事の料金値下げになる場合も出てきているということでございます。  また、いわゆる公正競争の問題でございますけれども、工事の態様によりましては、これは電電公社でなしにほかの工事業者によっても取りつけられます。そういったときに、ほかの経費をもって実際に使われる料金を賄うということは、やはり公正な競争を阻害する要因になるのではないかと思いまして、コスト主義ということでひとつ貫いたということでございます。
  94. 武部文

    武部委員 下がったのが一つありますね。たった二百円、一つ。コストに見合う料金にしたい、これはへ理屈ですよ。十年もほっておいて今ごろになってぼんと上げてコストに見合う料金なんて。これは泥縄ですよ、言うまでもなくこれは次の法律が変わったときに他との競争でぐあいが悪いから今のうちに上げておかなければだめだ、総裁は午前中の答弁のときに、経営形態が変わるのでそれまでの間に料金を変えておけなんということを毛頭考えたことはないというようなことを答弁されておりましたが、これ一つとってみても、これは経営形態が変わるので、その場合に競争にちゃんと間に合うように変えておかなければえらいことになるというので一生懸命急いでこれをやったのでしょう。それで十年間ほっておいたものを急いで早く申請して、郵政省もそれじゃ認可だといって、あっという間に許可したんじゃないですか。そういうやり方がこの工事料金の値上げですよ。しかも三倍以上。それならば十年間ほっておかないでコストに見合うように途中で上げたらどうですか。一遍にこんなことをして、ちょっと電話をかえようと思ったら前の三倍半も金を取られるというのは、二万五千円が五万何ぼになるのですよ。こんなことを思いつきのようにやってもらったんじゃ、これは困ると思いますね。  だからこれは経営形態の問題に関連しておるというふうに理解せざるを得ない、私はこのように思うのです。ですから、これは十分ユーザーの納得を得ないと、この点は相当不満が出るだろうと思うのです。二十三日ですか、から始まるのですが、さっき言ったように二万五千円が五万二千八百円になるのですからね。こういうふうに大変な金額の値上がりですから、そういうトラブルもあるいは起きるかもしらぬ、こういう点について、今おっしゃったようなコストに見合うような料金にしたというようなことを十年ほっておいてやったって、それはちょっといただけない、このように思いますが、いずれにしてもこれはもうあなた方が認可したわけだからこれ以上のことを言っても仕方がありませんが、今後はやはりそういう料金、工事料、そういう問題についても、今申し上げたようなことはひとつ十分配慮をしてやっていただかなければ、とてもユーザーの納得を得ることはできまい、このように私は思います。  時間が来ました。これ以上申し上げることはできませんが、一つ最後に総裁に申し上げておかなければなりませんが、これも同僚議員からお話のあった三分十円の問題であります。何か記者会見でお述べになったことが、ちょっとフリートーキングだとかにおいをかいで書いたとか、ところがこの新聞記事はそんなことで書いた記事じゃありません。そんなことは書けません。もう具体的に項目を挙げて料金について総裁考え方が報道されておるのです。一般の国民から見れば、いよいよこれは三分十円を二分十円か三分二十円か、三分二十円というのは技術的に不可能だと思いますから、恐らく二分十円ということで次の布石を打ってきたなというふうに、これを読んだ人は——私もそう思いました。いよいよそういう料金体系総裁は考えて新しい会社に移行する考えだな、こういうふうに私自身もそれを読んだんです。総裁はそれを否定されましたけれども、もう一回ひとつ見解を聞かせていただきたい。
  95. 真藤恒

    真藤説明員 三分十円を二十円というふうに単純に上げるというふうには夢にも考えておりません。仮に二十円と決まれば、二十円の利用価値のある二十円でなければならぬはずでございます。したがいましてさっきちょっと触れましたが、今の三分十円の範囲というものを見直す、いろいろお話がありましたように、グループ料金制にするか、もっと広い区域グループ料金制にするのか、そういうことをよく考えながら一番合理的な値段に落ちつけるべきものだと考えております。要するに一カ月の通話料が激変しないような形にして、できるだけ広い範囲にお使いになっていただく、そしてそれが大都会と過疎地帯とあるいは地方と大きな格差がないようにするということが非常に大事なことじゃないかと考えて、その観点から今の三分十円のあり方の姿は見直さなければいかぬだろうというふうに考えているのが私どもの立場でございます。  それと三分十円と言いますけれども、これは一時間使いまして二百円でございまして、今の公共料金の姿として果たして一時間使いっ放しで二百円でいいかという問題も、これはほかの物価との関係から考えましても少し考え直さなければならぬ問題じゃなかろうかとも考えております。
  96. 武部文

    武部委員 終わります。
  97. 志賀節

  98. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私の方から幾つかの点について質問を申し上げます。  まず初めに五十九年度、過年度の会計年度を終わりまして、決算はまだ時間がかかるんでしょうが、予算と対比をしまして、現在の見通しでいきますと、五十九年度決算の大体見通しというのは収支差額でどれほどのものになるのか。さらに中身としましてその増収分、さらに節約分は幾らかという点についてわかりましたら明らかにしていただきたいと思います。
  99. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問、五十八年度収支見通しについてかと思いますが、これにつきまして、まず収入でございますが、昨年の七月に実施いたしました遠距離料金値下げ影響は、これは当然減収としてマイナスに響いておるわけでございますが、しかし同時にお客様のこの情報通信の御利用に対する御要望は量、質ともに大変高まってまいりまして、そういった御利用に支えられながら、公社といたしましても新しいサービスあるいは新しいシステムを積極的に提供を申し上げる、と同時に、また地道な職員のトラフィックセールスといった増収活動、こういったものを積極的に展開をしてまいりました。その結果、現在まだ決算の数字としてはもちろん固まっておりませんけれども、今の時点の見通しとしましては、予算で予定いたしました収入を約一千百億円以上は上回るものが確保できようかと思っております。  それから一方支出につきましては、先ほどお話が出ましたこの月次決算制度といったものを軸にいたしまして、社を挙げての各種の効率化施策、これを本社から現場機関に至るまで展開をしてまいりました。また同時に資金取引の面でもいろいろな工夫をいたしまして、借り入れを予定したものについては、これは設備投資の財源でございますが、先ほどのような増収を充てることによって借り入れを減らす、あるいはまた同じ借り入れをするにしても時期をできるだけ後ろへずらすということによりまして金利の節減を図る、こういったものが相まちまして、支出の総額といたしましては予算に対しまして逆に約一千億円程度下回る節減が可能だろうというふうに現在のところ考えております。  したがいまして、これによりますと、五十八年度予算で予定いたしました収支差額一千三百億円でございますが、これを二千百億円以上上回るものが収支差額としては可能であろうというふうに今の時点では考えております。
  100. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、現在の見通しとしては収支差額は予算を上回ること三千四百億円、こういうふうに考えられるということですか。
  101. 岩下健

    岩下説明員 予算の千三百億円に対しまして二千百億円以上上回る、つまり三千四百億円以上の収支差額になるだろうということでございます。
  102. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 理解いたしました。  それで、今回の中距離通話料値下げなんですが、それぞれ先生方からも質疑がございましたとおり、実施することによる減収、反面また利用増があるわけですから、差し引きまして平年度減収見込みが一千億、非常に多額のサービスを還元するわけですが、それの減収分を今後の企業努力でどのようにカバーしていかれるのか。一口に一千億とは言いますけれども、私どもにとってみれば非常に大変な金額だと思いますし、今後の事業運営を展望しますときに、いろんな施策、サービスをしていかなければいかぬという立場に公社としては立っていると思うのですが、そうした場合に、この平年度一千億という今回の料金値下げによる減収額をどうカバーされていくのであろうかという点が非常に不安でございまして、その点についてひとつ御見解を賜りたいと思います。さらに加えまして、今回の値下げ実施に伴って公社自体のサービスが低下をすることのないように、さらに加えまして、職員の労働条件が圧迫をされるだとかあるいは現状よりも引き下がっていくということがあってはならぬと思うのでございますが、その点についての心配がございますので、ひとつ公社の見解を賜りたいと思います。
  103. 岩下健

    岩下説明員 お答えいたします。  ことしの夏値下げをすべく法案の御審議をお願いしておるわけでございますが、これによる財務上の影響としましては、値下げ額、つまりお客様に還元できる金額が千四百億円、また、これに伴いまして御利用の増加が約四百億円程度あるだろうということで、結局収入面にはね返ってくるものは平年度で約一千億円というふうに考えておるわけでございます。五十九年度自体といたしましては、実施が年度の初めではございませんので、約六百億円でございますが、いずれにしましても、五十九年度をとりますと事業収入約四兆五千億円に対しまして平年一千億円の収入の目減りというのは率にしまして二・二、三%に相当いたしまして、決して小さなものではございません。  したがいまして、こういったお客様への還元、サービスの向上をするということは私どもの至上命題でございますので、それだけにまた、こういった値下げによります財務上の影響は各種の経営努力によってぜひ吸収をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  具体的には、先ほども五十八年度収支見通しにつきまして関連しまして御説明申し上げたように、新しいサービスの積極的な提供あるいはまた草の根運動といいますか、個々の現場の職員に至るまで、本社を通じましての一体となった一種のセールス活動、こういったもので少しでも収入を予定したもの以上に確保していきたいということがございます。節約、経費の節減の面につきましてもこれは当然でございます。こういったことによりましてこの財務影響を極力小さく食いとめていきたい。これは決して易々たるものではございませんけれども、私ども努力をすれば不可能なことではないだろうというふうに考えております。それだけにまた、ただいま御指摘ございましたように、職員が張り合いを持って働けるような、そういった職場の環境を含めた全体的な仕組みといったものが必要かと思っております。  先ほど五十八年度におきます年度末手当についての御説明を申し上げましたけれども、これは五十八年度の手当の問題だけでなしに、こういった職員が本当に働きがいを持てるような仕組みあるいは具体的な施策、こういったものに誠意を持って取り組んでいくということは五十九年度あるいはそれ以降につきましても変わるものではございません。
  104. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今お答えがございましたが、セールス活動というのは今回の吸収をする施策の非常に大きな活動だろうと思うのです。そこで、関連してお聞きをするのですが、現在は新商品の販売で非常にセールス活動を強化されて成績を上げられていると思うのです。例えば一つの例なんですが、ホームテレホンDですか、これが最近非常に受けがよくて、売り渡し方式で売れに売れているというふうに聞いているのです。ところが、突然に品切れになりまして、お客さんには、契約というのですか予約などをもらって買えるんですが、品物を渡せないというような、そういうことを私たちちらちら第一線の現場の方から聞くのですけれども、実際、減収額の吸収策、セールスの充実ということは極めて重要だろうと思うのです。そういうふうなことが現実に起こったりしますと、セールス活動というのは思うように展開できないと思うのですが、その間の事情についてわかっておりましたらひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  105. 岩下健

    岩下説明員 お客様の御要望に基づいて、その御要望どおりの機種、また御要望どおりの期日に間に合わせるようにサービスを提供する、これはいわば私どもの販売営業活動の基本でございます。そういった趣旨で、販売部門のみでなしに、工事部門あるいは素材調達部門ともに努力をしてきたつもりでございますが、残念ながら、今、先生指摘の例として出されましたホームテレホンのケースにありますような、肝心なときに品物が間に合わないという例が実は絶無ではございませんでした。実はこの点は具体的な問題として、現場からそういった要望といいますかが本社の方にも参りまして、つい先月でございますが、本社での関係局長会議でもこれを取り上げまして、総裁からも、資材調達を含めて、こういった現場の人たちが張り合いを持ってセールス活動もできるように、ということは、つまりお客様の御満足のいただけるような体制を、現在のやり方を徹底的に見直して至急つくり上げるように、こういう指示を得たところでございまして、現在関係部門で現在ある問題につきまして洗いざらい徹底的に検討をしておるという状況でございます。
  106. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 解決するために努力をされているということをお聞きしまして私も安心をするわけですが、この種の事象というのですかケースは今後さらに頻度を増すんじゃなかろうかということを私は懸念をするわけでして、一番大切なことは、民間の皆さんであろうと電電の場合であろうとユーザーの多様なニーズにどうこたえるかということが一番焦点だろうと思いますので、そういう意味において在庫がないからどうだとか、売りに出たらすぐストップがかかるなどというのは、一般的に眺めてみまして何かそこに非常に不明朗なものを感じる、そういうようなことの起こらないようにぜひともひとつ公社の皆さんは皆さんでユーザーのニーズにこたえるような適切な取り組みをしていただきたい、このことを私の方から強く要望しておきたいと思います。  続いてお伺いするわけですが、今回の中距離料金値下げといいますのは、たしか収入分布上のウエートでいきますとこれは従来の一連の値下げと比べまして非常にウエートが高い、こういうふうに私は理解をしているわけです。法定料金ではございません専用料金の見直し改定の問題についてでございますが、これはお話を聞いていまして、総裁もおっしゃいましたが先行的に格差を今日まで是正をされてきている、こういうふうに私も理解をするわけですが、今後の専用料金遠近格差の解消ということになれば、残る近距離の是正問題といいますか、そういう点について法定料金よりも先行的に対処されていくというふうに理解をしていいのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  107. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  専用料金につきましては、ダイヤル通話料金をもとにいたしまして料金を設定するという最初の発想からスタートいたしております。昨年の遠距離料金値下げに伴いまして遠距離につきましてはそれと連動いたして下げたわけでございますが、その際、ダイヤル通話料とはまた別の体系と申しますか、段階を少しふやしてやるという形にいたしました。今回中距離のダイヤル通話料金値下げに当たりまして、これと連動した形で値下げをする方向で今後政府の御指導をいただきながら検討したい、このように思っているわけでございます。  近距離につきまして先生指摘でございますが、近距離につきましては、直接値下げをするということは現在のところは考えておりませんが、今後全体の料金体系の中で専用料金はどのようにあるべきかを慎重に検討し、政府の御指導を得ながら改定していきたい、このように考えておる次第でございます。
  108. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、もちろんこれは法定料金と関連させながら改定をされるということなんですが、今回のように法定料金を改正されますとそれに付随するような格好でやられていくのか、それとも全く別々に扱われていくのか、時期の問題もございますから。その点のかかわり合いについてひとつもう少し詳しくお話しいただければありがたいと思います。
  109. 草加英資

    草加説明員 今回検討いたします場合には、法定料金に付随して連動させるという形で検討いたすわけでございます。将来の問題といたしましては、専用料金のあり方というものを考えまして、先生おっしゃる法定料金というのはダイヤル通話料金のことかと思いますが、ダイヤル通話料金とどのようなかかわり合いを持つか、またはお客様がどのような利用の仕方をするかというようなことを含めまして専用料金のあり方を抜本的に考えながら進めさせていただきたい、このように考えているところでございます。
  110. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 わかりました。  次にお尋ねをしたいと思いますが、遠距離料金改定されまして今回中距離料金を是正されるわけです。そうすると、残りますのは六十キロ以内の近距離問題ということになると思いますが、この近近格差の是正というのは、一連の御答弁をなさっております。そういうことに包含をされて将来的にはお考えなのか。残っているからその部分はなるべく早い時期に、全体トータル的な料金体系改定とは切り離し、別にしてお考えなのか。このあたりの絡みが少しわかりませんのでお聞かせいただきたいのが一点。  二点目は、六十キロ以内の日曜・祝日の割引制度を実施なさるお考えがあるのかないのか。  この二点についてお伺いをしたいと思います。
  111. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先生御案内のように、電話料金の体系が遠距離が高く近距離が諸外国と比べて安いということから最重要課題としての遠距離を、今回の中距離料金改定を含めまして四回にわたって修正してきたところでございます。これが一対七十二から一対四十ということに縮まったわけでございますが、今回の中距離料金改定をもちまして、先生指摘の近近格差というのが一つあるということでございますが、もちろん遠近格差がこれですべてなくなったわけではございません。そういうことも含めまして遠近格差、近近格差、特に近近格差につきましては先ほどからいろいろと御指摘がございますように、道一つ隔てたところで三倍の料金を取られるとか、それから一つの加入区域、一つの単位料金区域に加入数、面積が非常に差があるとか、さらには社会生活圏の拡大、または行政区域との不一致というような問題がいろいろと大きくなってまいった、このような問題がございます。したがいまして、今後過去の四回の料金の修正を十分にプロットし、その経過を十分に見ながら、抜本的に遠近格差、近近格差とあわせまして体系的に解決をしていきたい。そのためには少し時間をかしていただきまして、今申し上げましたようにこれらの四回にわたる値下げの推移なりそれらの実施状況なりを十分に分析し、また国民の皆様の御要望を伺いながら、遠近格差、近近格差あわせて解決するというふうにしたいと考えておりますので、先生指摘の後者の方になろうかと思います。  日曜・祝日につきましては、先生指摘のように六十キロメートル以上が対象になっております。現在六十キロメートル以内は日本の場合対象になっておりませんが、諸外国を調べてみますと対象にしているところもございます。そういうことも含めまして、今後遠近格差、近近格差を抜本的に改正するという検討の中で検討を加えまして、政府の御指導を得て結論を出していきたい、このように考える次第でございます。
  112. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私もお聞きしておりまして、そのあたりがどうもはっきりわからぬわけです。総裁がたしかこういうふうなニュアンスでお答えになったと思うのですが、グループ料金制なり県単位料金制度、これは合理的ないい面をそれぞれ取り上げて新たなトータル的な料金体系に変えていこうというふうな説明の中で、そういうものに手をつけていく以前の段階でもう一度遠距離格差を先行的にというのですか、これはやはり考えていかざるを得ないだろう、たしかそういう答弁といいますか説明があったように私はお聞きしたのですが、今の局長の話を聞いていますと、近近格差の解消も、それから日曜・祝祭日の割引問題も遠近格差遠距離の是正問題もそれらもすべていつになるかは別にしますが、近い将来そういうものは総合的に検討して新たな体系をつくり上げていこうというような、こういうふうに聞こえるのですが、私の理解に間違いかなければどうもそういうふうに聞こえるのですが、どちらをおとりしたらいいのか、ひとつその点をお聞きしたいと思います。
  113. 真藤恒

    真藤説明員 私どもの考えでは、両方をできるだけ一緒にやりたいのでございますけれども、近近格差の問題を処理する方は世の中の御理解をいただくのに相当説明も要るし、御理解いただくのに暇がかかるんじゃなかろうかというふうに思っているわけでございます。これは大きな変革になりますので。また物の考えようによってはいろんな議論も出てくると思います。  それで、さっきから申し上げておりますように、具体的な問題としては遠近格差遠距離の方をもう少し下げるのが、実際問題として財務の余裕が出てくれば先に具体的にならざるを得ぬじゃなかろうか、そういうふうに私が考えているということを御説明申し上げたわけでございまして、本当のところを申しますと、いま営業局長が言いましたように、近近の問題を解決するのを急いだ方が王道なんでございますけれども、相当これには世の中の御理解をいただくのに時間がかかる。また、私どもももう少し勉強いたしませんと、御理解いただくような案を具体的に数字を挙げて御説明するだけの資料を整えるのに相当まだ時間がかかりますので、そういう意味でちょっと御理解しにくいような話の矛盾があったと思いますけれども、具体的な問題としては遠距離をもう一段早く下げた方がやりやすい、手っ取り早いということはございますけれども、やはりさっきちょっと触れましたように、一時間二百円という市内通話料金というのはちょっと今の時代にどうかな、それならもう少し範囲を広げてもう少し合理的なところへ持っていくということも考えられぬかなというように考えておりますが、これから先にいろんな、要するに新しいサービスに対する需要が今、急速にふえ始めておりますので、新しいサービスに対する需要のふえ方の傾向ももうしばらく見ておきませんと、これがまたどういうふうになってきますか、その辺のことも考え合わせながら、さっき営業局長が言いましたように、ちょっとここで時間をいただいてじっくり考えさしていただきたいというふうに申し上げる次第でございます。
  114. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 確かに言われる考え方というのは私も私なりに理解ができるのですが、今、総裁も王道と言われましたように、順序からいけば遠いところから是正をしていきまして中距離へやっときた、残るのは近距離なんだから、これは一般の加入者にしてみれば、日常一番生活圏で使う料金帯といいますか、そういうところなんですね。これは恐らく一般の方は待っていると思うのです。総裁なんかも随分その点はユーザー、加入者の皆さんの声をお聞きだろうと思うのですが、電電公社に対する見方というのは、私は特徴的に三つのようなところが目に映っているような気がすうのです。一つは、今も武部先生がおっしゃいましたとおり、とにもかくにも電電はよくもうかっている。それは政府に対する上納金の問題を言っていると思うのです。二つ目は、一連の料金値下げで還元をされてきている。三つ目は一般の利用者がどういう見方をしているかといいますと、全国どの地域に行きましても立派な局舎が建っていまして、職場に入っても非常にきれいだ。清潔感。もちろんじんあいには非常に気を使っている職場でございますからそうなんでしょうが、立派な建物が建っている。ですから、その中に入っている職員というのはさぞ多くもらっているんだろうな、こういう見方なんです。非常に強いと思います。  そうすると加入者、利用者にしてみれば、次は我々がよく使う近近の問題を是正をしてくれるのだろうという強い期待を持って見ておると思うのです。ところが、今言われたように経営者の立場で総合的に考えられますと、そちらに手をつけるというのはなかなか大変なことだから、時期的に言えばもう一度遠距離の方からやっていって、近近の問題解決は総合的な次の段階にトータル的に検討していこうなんということが言われるわけですが、利用者の立場に立ってみるとやはりその点はなかなかすとんと落ちないと思うのです。私の言っておることは決してやぶにらみではないと思いますが、そういう気持ちで公社サービスをしてほしいな、こういうふうに見ておると思いますので、この点は今後料金体系に手をつけられる場合にぜひとも重視をいただきたい。私はこのように強く強調したいと思うわけです。  その上でさらに質問を申し上げるわけですが、グループ料金制なり、県単位料金のどういう角度から是正を図っていくかということはおぼろげながら議論を聞いていまして自分なりにもわかってきたような気がするわけでございますけれども、しかしグループ料金制の導入問題につきましては、国会審議の経緯もございまして、これがもちろん一〇〇%完全ではございませんけれども、それがどういう部分はいいから、どのようにこれから料金体系全般を改定する際に加味されていくのか。この部分は非常に悪いからどうも採用するに当たらぬとか、そういう点をはっきり示してもらう必要があるんじゃなかろうか。でありませんと、一体、将来的にどういう考え方を基礎にして改定に踏み込んでいこうとされるのか。この点がどうもはっきりしませんので、その点をぜひとも注文をつけたい第一点と私は思うわけです。  その次の質問になりますが、現在は二部料金制でございますし、それから設備料の問題もございます。これらについては再三言われておりますとおり、今後のトータル的な料金体系改定することと関連をして見直す考え方がおありなのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  115. 草加英資

    草加説明員 設備料の改定をする考えがあるかどうかという御質問ですが、設備料につきましては、公社の熾烈な電話の需要に対する加入者からの当初架設費、そして通話できるためにいただく、通話するための設備の一部の料金として現在八万円いただいております。今後も電話の加入に対する希望というのはまだ年間百万件以上出ておりますし、それから今までいただきました方々との均衡またはこれによって生じておる加入権ということも考え合わせまして、現在のところこれをいじるという考え方はございません。  基本料につきましては、その性格からいきましていわゆる加入者専用部分を毎月負担していただく料金でございます。現在、この基本料につきまして、実際にかかっているコストとは必ずしもリンクしておりませんで、コストよりもやや低い料金でいただいておるわけでございます。しかし、残りの部分につきましては、通話料でカバーしておるわけでございまして、この基本料と通話料の二部料金制という形で実施しております。今後、この基本料をどのようにするかは全体的な体系の中での問題でございますが、基本料をすぐにいじるということは現在のところは考えておらないということでございます。
  116. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そうしますと、将来的にはこの基本料は見直す、改定をしていくということなんですか。
  117. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたグループ料金制を採用いたしまして同一単位料金でかけられる区域というのが広がる、または県単位料金制を採用いたしまして県に対してかけられる加入数というものが非常に多くなるというようなことになります。その際に基本料というものは一体どういう扱いにするかということも検討の対象になるということも含めまして、現在のところはいじらない、こう申し上げたわけでございますので御了承いただきたいと思います。
  118. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 それで、実はお二方からも出ておるのですが、総裁のマスコミの関係なんですが、私も読ませていただきました。一般の方は新聞を見ていますから、総裁がここで述べられたような真意というのはなかなかわからないと思うのです。記事になっていることを見ますと、これは大変だ、下げてもらえるのだと思っていたら、これは近い将来市内料金が三分十円のものが二十円に上がるのじゃないか、こういう見方が非常に強くなっています。これは総裁がどのようにそのときの状況説明されようと利用者全体には真意は伝わりませんから、記事を見ましてそのように恐らく加入者全体の皆さんというのは強く見ていると思うのです。  もう一つは、公社が発行なさっております「オレンジレポート」ですか、私もいただきましてこの二十三ページを読みますと、ここにも間接的な表現なんですが、やはり全体の格差を是正したいと思っている。そうなりますと、遠近の格差の解消、さらに近近格差の解消ですか、全体の格差を解消しようと思いますと、やはり今の単位料金をいじらざるを得ないというように全体を読んでいまして思います。だから、そういうところにどうしたってくると思うのですね。私たちとしては、事務用の電話より住宅用の電話利用なさっております全体の利用率というのですか、これは聞くところによりますとたしか七〇%近いですね。もちろん収入に占めます比率というのは、しかしこれも三分の一に近い、三分の一強なんですが、大事なユーザーだと思うのですね。公社の経営を考えますときに、住宅用の電話というのは景気に比較的左右されません。KDD、国際電電なんかは、国際通話を使うというのは余り個人では使いません。だから、通話の中身というのですか体質を言えば、電電の場合の住宅用電話というのは極めて貴重だと思うのです。だから、そういう利用者の皆さんに格差是正のしわ寄せが行くようなことは、将来の新たな情報化時代を展望しましても、これはそこに非常に配慮をしてやっていかなければいかぬ点だろうと思うのですが、料金政策を抜本的に見直すということを言われているのですが、その際に私が今申し上げているような考え方に立たれるのかどうか、この点をひとつお聞かせをいただければありがたいと思います。
  119. 真藤恒

    真藤説明員 さっきからいろいろ申し上げた中に、物理的にできることと世の中に役立つことは違うのだ、世の中に役立っためには一般の加入者の皆様の可処分所得の中に入って、それを自由にお使いになれるようにするということができなければ世の中に役に立つものにはならないのだという強い考えを持っておりますので、その線ですべてのことをやっていきたい、考えていきたいというふうに考えております。
  120. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 言われている意味は私もそれなりにわかろうとするのですよ。努力しておるのですが、それなら手をつけていただきたい。近近格差なりそういう近い距離の問題は順番からいったら次に来ているのだから、それに手をつけていただきたいというふうに私が申し上げますと、いやそれは時間がかかる、非常に難しいからこの遠距離の問題をもう一遍やってというところでお答えをいただく。今申し上げたように、そうは言うけれども、加入者の全体に占めます利用率からいいますと住宅用電話というのは非常に率も高いわけでして、収入もそれなりに公社の財政基盤に寄与してくれているわけですから、その点を重視してやってくれと言えば、今、総裁の答弁ですと、言われている意味は僕もちょっとわからぬわけですが、なかなかそこにぴたっとはいかないと思うのですよ。ですから、いずれにしましても、今回中距離料金値下げが断行されますから、そうしますと、次には電電の料金是正の手は近々どのように具体的に打たれるのだろうかということが明らかになってないものですから、私たちとしてはどうしたってそこに疑問がいくと思うのですよ。ですから、可処分所得云々と言われましても、住宅用電話利用なさる皆さん方にとってみれば、それは考えようによっては三分十円が二十円に上がるのか、それとも十円のままに据え置かれても利用する時間が二分に縮まるのか、二者択一を迫るような感じで眺めると思うのですよ。ですから、そこのところは、例えば総裁も心の中では思ってみえるのでしょうけれども、合理性のある料金体系を考えているのだというならば、それではっきり出された方がいいのではないですか。今のようなやり方をしていますと、新聞記事に出ましたように、ああいう点ではぼんと出る。こちらの「オレンジレポート」では果たして何を言われているのかなというような、どうも直接的にははっきりわからない。しかし、実際に考えてみえるのは、今お答えいただいたような格好で、これはもう近い将来そのように見直していこうというお考えだろうと思うのですが、こういうギャップが埋まらないと、何か新しい施策をやっていこうという場合にそれはもう単純に反対だというふうになりかねないと思うのですね。そこはやはり利用者のコンセンサスを得るということが経営の立場に立ちますと極めて重要なわけでございますから、そこらについてひとつ具体的に、しかも早期にこういう料金体系の是正問題については検討をいただきたい、かように思うのですが、その点とうでございましょう。
  121. 真藤恒

    真藤説明員 この問題につきましては郵政省ともまだ十分打ち合わせ、また勉強、御指導をいただかなければならぬところもたくさんございますので、今の先生の御趣旨に沿ってできるだけ早くそういうことがはっきりできるような方向に持っていきたいと思っております。
  122. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ぜひともお願いを申し上げたいと思います。  次に、これはもう総裁大臣の決意表明みたいなものを私はお伺いしたいと思っておるわけですが、時あたかも八四春闘のさなかでございますが、電電公社は納付金の問題で財政再建に非常に大きな貢献をされたと思っていますし、それから一連の料金値下げ利用者、加入者の皆さんには大変な成果配分といいますか、還元をなさったと思うわけです。ただ残っておりますのが、これは総裁も就任以降たびたびおっしゃってみえますが、企業は人なり、そこに働く職員や労働者の協力がなくしてその企業なり事業体の発展というのは語れないと思うのですが、そういうことを常々考え方の基本に置かれていることだろうと思うわけですが、月次決算の職場の実態が武部先生の方からも指摘をなされておりましたけれども、私も実はいろいろなケースを知っております。エレベーターのボタンの問題だけではなくて、日常仕事をやっていくに際して当然必要なそういう機器といいますか、事務用品というのは非常に細かい例なんですが、そういう常用物品といいますか機器が、節減策の中で本人も身が縮まってなかなか請求をできないというような空気が職場を支配しているということですね。第一線の現場あたりでは、卑近な例なんですが、電灯を節約しようと思えばどこが一番いいか、それはトイレだ。トイレの電灯は暗くしたって余り気づかぬそうです。だから、第一線の皆さんはそういうところまで大変猛烈な取り組みをやって経費の節減を図ってきているにもかかわらず、労働者の賃金というのは、横並びの関係は別にしましてほとんどその恩恵にあずかっていないというふうに言っても過言ではない、私はこう思うわけでございます。したがって、相当強い決意で総裁の立場として、具体的な問題は労使間の交渉になるのでありましょうが、賃金改善なりあるいは労働条件、待遇の改善について、取り巻く環境がどうのこうのと言いますけれども、電電の置かれている立場、努力をしています当該の労働者の努力というのは他に例を見ないぐらい猛烈な取り組みなんでありますから、それにこたえていくという基本的な立場を堅持されまして、とりわけここ五年たちますか、仕事にふさわしい賃金という点では、認識についても非常に全社的なコンセンサスができておるというふうに私は聞いているわけですが、賃金改定について問題解決のためにこれは自主決着が図られる、それに向けての最大限の努力を傾注していただきたいと思うのです。  さらに仲裁裁定の完全実施について、ある意味では当然なんでしょうけれども、当然のことがなかなかそうはいかない昨今でございますかも、この点についても今次の春闘段階では完全実施を実らしていただくように最大限の努力をいただきますように総裁大臣からのそれぞれの決意表明を賜ればありがたいと思います。
  123. 真藤恒

    真藤説明員 私も今の御指摘の点につきましては全力投球しておるつもりでございますけれども、今後いよいよ詰の場になってまいりますので、本当に全力投球してみんなの努力にこたえたいという覚悟をいたしております。
  124. 奥田敬和

    奥田国務大臣 労使の一体的協力と技術的な革新の成果を踏まえて大変な成績を上げ、そのサービスの還元によって国民に報いてきたという点においては公社職員の努力に対しては大変高い評価をしなければならぬと思っております。したがって、今回のそういった回答を含めて仲裁裁定の、自主努力によって解決されることが一番好ましいわけでございますけれども、完全実施に向けて最大の努力を傾注いたしたいと思っております。
  125. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 どうもありがとうございました。ひとつよろしくお願いいたします。  最後に、電報事業の問題について、実は次の関係します資料をぜひ次回までに提出いただきたい、こう思っているわけです。よろしゅうございますか。  一つは、電報の利用状況と取扱通数、二点目は収支状況、三点目は電報取扱局の推移、四点目は電報のサービス内容の推移。  言いたいことの中身は、取扱時間がどう変わっただとか例文がどう変わっただとか、電報の用紙がどのように変わってきただとかというサービス内容の推移でございます。これが五十一年度以降どのように経過をしているのか、ぜひとも資料を明らかにしていただきたい、かように思います。よろしくお願いいたします。
  126. 神林留雄

    ○神林説明員 資料要求ということでございますので、早速つくりまして出したいと思います。
  127. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  128. 志賀節

    志賀委員長 小谷輝二君。
  129. 小谷輝二

    小谷委員 ただいま提案されております公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして二、三質問をいたします。  今まで朝から審議された内容に重複する点があろうかと思いますけれども、御了承いただきたいと思います。  我が国の電話料金遠近格差が大きいことはほかに例がないわけでございますが、まず最初にこの理由についてお答えをいただきたいと思います。
  130. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  今、先生指摘のように、日本の遠近格差は、昨年の遠距離料金値下げによりまして現在一対四十、こういうことになっております。ちなみにアメリカにおきましては一対二十二、イギリス一対六、西ドイツ一対十五、フランス一対十五、こういうことでございます。  日本の場合、なぜ遠距離が非常に高いかということでございますが、沿革的に遠距離通話料金を非常に高く据え置きましてそれを値下げする機会が比較的少なかった、諸外国におきましては値下げを繰り返し行いまして現在の料金体系になったわけでございますが、日本におきましても昭和五十五年から今回の中距離を含めまして四回の値下げをいたしまして一対四十という諸外国並みになった、こういうことでございます。ただし、近距離、いわゆる単位料金区域料金につきましては、先生御案内のように諸外国と比べまして二分の一から三分の一という料金でございますので、この遠近格差と申しますものは比率でございますので、そういう点を勘案いたしますと、遠近格差は諸外国の一番多いところよりもむしろ下がって平均並みになったのではないか、このように理解いたしております。
  131. 小谷輝二

    小谷委員 設備投資といいますか設備の段階におきましては遠距離または遠隔地等につきましてはかなりの差があったんではなかろうかと思いますし、また当初は電話の局から局へ交換手を呼び出して次々と連携をとっていった、通信回線を接続していった、このような経緯の時代は確かに格差が必要であったかもわかりませんが、現時点では全国どこでも直ちにダイヤルを回せば即時通話という状況の中でこれほどの一対四十というふうな格差があってはおかしいのではないか、このように思うわけでございますが、そのような過去の経緯等が災いをして今日思い切った格差の是正ができないのではないか、このようにも思われるわけでございますが、この点はどうでしょうか。
  132. 草加英資

    草加説明員 ただいま申し上げましたとおり遠近格差の是正を着々と進めてまいって現在一対四十になったわけでございますが、今後特に市外回線が光ファイバーとか衛星通信を通じまして、先ほど先生お話しになりましたような延々と裸線を引くという時代から非常に合理的な、そして効率的な形になるわけでございますので、今後この遠近格差というのは加速度的に下げていく。そして将来INSになりまして、将来の理想といたしましては遠近格差がほとんどない料金体系というものを志向して現在進めておる、このように御理解いただきたいと思います。
  133. 小谷輝二

    小谷委員 将来の民営化に備えて今、遠近格差を解消しておかなければならないのではなかろうか、特にそのように思うわけでございます。そうでないと将来自由化に備えて参画する企業と電電会社を設立、運営される段階においては競争の段階で大変なことになるのではなかろうか、このように思うわけでございます。  先ほどからいろいろ問題になっております四月五日のサンケイ新聞真藤総裁記者会見内容の点でございますが、この内容について総裁の真意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  134. 真藤恒

    真藤説明員 今の三分十円という最低料金区域というものが通話の物理的な距離の広さあるいは三分十円でかけられる相手の数というものが非常に大きな格差がついております。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  殊に地方で範囲が狭くて相手の人数が少ない。ところが地方の実際の生活は、公私どもに最近は広がりが非常に大きくなっておりますので地方の方々にはかなりの御迷惑をだんだんかけるようになるんじゃないかというふうに考えられます。そういうことで、さっきからいろいろお話が出ておりますように、グループ料金制にするとかあるいはグループ料金制にしながら、その次の段階の安い料金を県内均一にするか、あるいは県内均一にして県と県との境の市町村のグループ料金にするかといういろんな方法を何かここで考えないと、INSとかなんとか言ったって実際使いものにはなりかねるんじゃなかろうかというふうに私は考えておるわけでございまして、そういうふうな説明をだんだんやっておりますと、やはりそれなら三分十円というものが少し値上がりせざるを得なくなるんじゃないかという疑問が世の中に出てくるというふうなことになった結果がああいうことになったんだというふうに御了解いただきたいと思います。  それで、さっきから何遍も御説明を申し上げていますが、じゃ今の一番高い三分四百円という長距離料金は長い将来それでいいのかというと、これもまた、長い将来どころではなくて近い将来にこれも高過ぎるということも、これは否定できないと思います。  ですから、私どもがこれからどっちを先にどういうふうにして整理していくかということになると、当事者としてやりやすいという方向からいくならば、長距離料金を先に下げた方がやりやすい。近々この三分十円の範囲内のことをいろいろ選ぶのには、まだ十分郵政省の御指導をいただきながら勉強しなければならぬ点もございますし、また世の中の御理解をいただくのにも相当時間がかかるのではなかろうかというふうに考えておるというのが私の今の立場であるというふうに申し上げている次第でございます。
  135. 小谷輝二

    小谷委員 電話は、今、国民生活の中に全く密着した最も公共性の強い事業でございますから、むしろ公共性から考えましたら、現在市内であろうと市外であろうと同一料金、これは大きな発想の転換ですけれども、そういう方向で考えてもいいのではないか、このようにも思われるわけです。今、既に電報は全国同一料金ですし、もちろん郵便、はがき、全部遠近にかかわらず同じ料金でございますので、その点も将来含めて考えるべきではないか、このように思います。  今、審議しております議案も、国会といいますか、利用者の代表として国会料金問題の審議をしておるわけでございますけれども、今回政府の方から出されようとしております新電電会社法、これが成立された段階におきましては、利用者の代表である国会の審議、採決というのが離れていくわけでございますけれども、われわれはそのように見受けておるわけでございますが、その時点になってから、今、総裁がおっしゃったような、要するに市内通話料金の問題なり、また長距離の問題なり料金体系の問題を、国会の審議が離れた後にやろう、このようにお考えなのか、そこらはちょっと我々にとりましては一遍聞いておきたい、このように思いますのでよろしくお願いします。
  136. 真藤恒

    真藤説明員 料金については、殊に基本の料金については、あくまでも政府の認可料金でございますので、私どもが、経営形態がどう変わっていこうと勝手にできるものじゃないというふうに心得ております。
  137. 小谷輝二

    小谷委員 じゃ郵政省の方で今回新たに電電二法案が出されようとしておりますけれども、会社法案の中で料金体系の問題はどうなることなんですか。この点御説明いただきたいと思います。
  138. 小山森也

    ○小山政府委員 主要な料金につきましては、大臣の認可料金になるわけでございます。
  139. 小谷輝二

    小谷委員 したがって国会の審議は必要としないことになるのではないかと思いますが、どうですか。
  140. 小山森也

    ○小山政府委員 そのとおりでございます。
  141. 小谷輝二

    小谷委員 ここはちょっと問題離れまして、将来電電会社として遠距離料金を現行のまま継続されるとするならば、これは新たに参入する企業、この通信回線の接続料といいますか、これが大幅な高額のものにしないと自由競争ということには耐えられなくなるのではないか、このように思われるわけですが、この点はいかがですか。
  142. 小山森也

    ○小山政府委員 御質問の趣旨がちょっととりかねるのでございますけれども、接続料、アクセスチャージを取るということに理解させていただきますとするならば、そういうような必要はないのではないかというのが、今、私どもの考えでございます。
  143. 小谷輝二

    小谷委員 新たな参入業者、一種事業、二種事業どっちになるのかよくわかりませんが、新たな電気通信事業を行う企業がもし電電公社のネットワークを利用する場合、この場合の接続料といいますかこれは考えなくてもいい、このようにおっしゃるわけですか。
  144. 小山森也

    ○小山政府委員 電電公社の回線を借りて営業をする場合においては、電電公社新会社の料金体系の中において借りていくということでいいのではないかと思っております。
  145. 小谷輝二

    小谷委員 わかりました。  そこで、この機会に現在焦点になっております電気通信事業全般にわたりまして郵政大臣並びに電電公社総裁にお尋ねしておきたいと思います。  まず、電気通信事業法案それから電電株式会社法案、この二法案は二月十六日に郵政省の原案が発表されましてから約五十日間ほど自民党やまた各省庁との調整にかかりまして、やっと四月六日、閣議におい政府案として決定した、このように理解しております。このような長い間かかって生まれた法律案でございますから、今後二十一世紀を展望して高度情報化社会の先導的な役割を果たすことが期待される電気通信事業であります。したがいまして、最も慎重の上にも慎重に審議する必要があると考えております。しかし、今国会は既に会期も残すところあと五十日そこそこのようになっておりますし、重要法案の審議は非常に難しい状況にあると思います。そこで、一部では会期延長論も出ておるようでございますが、大臣としてこの二法案の成立に向けての心境のほどをこの機会にお尋ねしておきたいと思います。
  146. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今回提出をして御審議を願うことになります二法案は、新しい臨調の答申に沿いまして、一元体制で果たしてきた今までの電電公社だけでは、多彩な国民的なニーズにこたえるにはまずいというよりも、かえって、巨大性なるがゆえに新しい競争原理をそこに導入して多彩なニューメディアの分野の開拓を図って高度情報化社会の実現に向けよう、しかも現在の公社の一元体制に新しい経営効率、そしてまた競争原理を働かしてやっていってほしいということで、御指摘のとおりに各省間との折衝の過程の中ではいろいろ問題点に対して議論のあったことは御存じのとおりでございます。しかし今日の過程において、現状から見ましてこの二法案は最適なものであるということで御審議を願うことになるわけでございますが、確かに国の運命を左右すると言っても過言ではない重要案件でございますので、先生方に慎重な御審議を煩わして、できるだけ早い形で御理解、御賛同を賜りたいというのがお願いでございます。
  147. 小谷輝二

    小谷委員 大臣の決意のほどはよくわかりましたが、今、大臣がおっしゃっておられるように非常に重要な法案でもございます。したがいまして我々といたしましてもまた野党各派におきましてもかなり幅の広い論議があろうかとも思います。したがってこの機会に野党の意向も十分酌み入れて、そうして一部修正するものであるならばそれにも応ずる、このような幅の広い大臣考え方で今回の法案もその中で早期に成立をしたい、このように幅の広い考えをお持ちなのか、それとも先ほどおっしゃったようにあくまでも政府案は最高のものであって、何が何でもこの政府案どおりということなのか、そこらのお考えをひとつお聞きしておきたいと思います。
  148. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、先生指摘のとおりに、私たちは現在の御審議を願う法案が最適なものであるという形で御審議を願うわけでございますけれども、あくまでも国会の審議を踏まえるということが条件でございますし、また先生方の与野党間のこの問題に対する対応ぶりを見た上で、私たちはそう願って、完全無欠とは言いませんけれども、最高の努力をした法案であるという形に基づいて御審議を願いますけれども、これは国会御審議の形の中でひとつよく御審議を賜りたいということでございます。
  149. 小谷輝二

    小谷委員 電電改革二法案の調整の成り行きが非常に注目されたわけでございますが、最後はやはり予想どおりに、全面自由化という主張であった通産省との間で、一般の第二種と特別第二種の規制でかなり紛糾、難航したようであります。公益性の強い電気通信事業でありますから、秘密保護また利用者保護、このような見地からある程度の規制はやむなしという当初郵政省の方の考え方を聞いておったわけでございますが、その結果、許可というのが届け出、それからさらに許可届け出というのが登録届け出、こういう形に結論がついたようでございますけれども、これがアメリカからの圧力なり通産省の言う自由化、これに郵政省の方が一歩譲った、こういう形になったと我々は理解をいたしております。  そこで、このような経緯から当初郵政省の方で心配をされておられた点について、今後将来懸念される問題点はないのかどうか、この点については大臣いかがでございましょうか。
  150. 小山森也

    ○小山政府委員 先生御説のとおり、今般電気通信事業分野に競争原理を導入するに際しまして、特別第二種の電気通信事業については、これは社会的、経済的な重要性にかんがみまして、通信事業の公共性を確保するという観点から許可制をとることとしていたのでございますけれども政府部内の調整におきましてこれが登録制になったわけでございます。  それでは、登録制によって何か懸念されることはないかということでございますけれども、登録制をとるということは、参入の場合に一定の場合に登録拒否ということができることも確かでございます。また、いわゆる登録基準といたしまして、法令違反者とか経理的基礎及び技術的能力、これに問題があるときには登録を拒否するということはあり得るわけでございます。そうしますと、許可制との差は何かということになりますと、いわゆる計画の安全性の合理性とかその他電気通信事業の健全な発達に支障がないことというような審査、これが外されているだけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後責任ある行政を展開していく上におきましてはこの登録制でも支障はないと考えております。  また、一般第二種の届け出制でございますが、これはもともと届け出制ということを我々主張していたものでございまして、通信の秘密の漏えいとかあるいは利用者の利益が著しく阻害されたときは、事業者に対しまして行政措置をとる道を確保するということになっておりますので、これにつきましても通信事業の公共性を確保し得る、こう考えております。
  151. 小谷輝二

    小谷委員 自民党内の裁定によって電気通信事業の定義、これは一部修正がなされたように承っておりますけれども、この適用範囲が今、非常に関心を寄せられておるところでございますが、今までの郵政省案よりも幅が狭くなった、このように思うわけでございます。現在既に一般産業の中で情報処理をしている業者が七千社あると承っております。またオンライン情報処理業者、これが六百社、一般VAN業者が二十社程度、このように承っておりますが、先般大蔵省から銀行のVAN構想なるものが発表されております。また、今回の法案の定義によりまして一体どの程度が、この今申し上げました現在ある一般産業情報処理業者の七千社とか、またオンライン情報処理業者の六百社とか、一般VAN業者の二十社程度、ここらがこの事業法の対象、適用になるのかどうか、ここらはちょっとはっきりしませんので、この際御説明をいただきたいと思います。
  152. 小山森也

    ○小山政府委員 情報処理業者、これはもう電気通信を使いませんので、初めから電気通信事業法とは関係ございません。それから現在データ通信事業、いわゆるオンライン情報処理を行っているのが六百社ほどございますが、これは電気通信設備を他人の通信の用に供してはおりますが、他人の通信を媒介する電気通信役務を提供しているというものではございません。したがいまして、これは適用除外でございます。それから、二十社ばかりあると仰せられておりましたいわゆる中小企業VANでございますが、これは他人の通信の媒介をする電気通信役務を提供しているということで、今後は一般第二種の電気通信事業としての規制を受けるということになるわけでございます。
  153. 小谷輝二

    小谷委員 わかりました。  電電改革の二法案の調整のポイントと言われておった経済摩擦の回避の点でございますけれども、外資規制、外国性排除、この取り扱いでかなり紛糾したようでございます。四月六日の閣議決定では、政府案の中で外国性排除の規定は取り除かれた、特に第一種事業のみ規制ありとして、第二種事業の特別、一般ともに規制は削除、このようになったようでございますが、これに伴う今後の問題点、すなわち今までいろいろな懸念された問題、この点は今後問題として残らないのかどうか、この点をお伺いしたい。
  154. 小山森也

    ○小山政府委員 問題は、外国性を排除することによって、優秀な外国系の企業と日本国内の企業とかいわゆる自由競争を通じて切磋琢磨することが得であるか、あるいは外資規制をすることによって、そういったものを排除することが日本の国益になるかということの判断だろうと思います。外国、特にアメリカの巨大な通信事業者は非常に膨大な資金力、技術力、それから長年にわたる経験を持っているということは確かでございまして、我が国の通信事業におきまして大きな力を発揮することはないかといったような心配、これがあったことは確かでございます。  しかしながら、こういったことを言っておりまして、自由競争市場で競争を行って、内外企業が切磋琢磨して電気通信事業の発達を図るということのメリット、これも除外してはならないのではないかと思ったわけでございます。その結果、日本企業の従来からの技術発展に対する対応力とか成長力等から考えますれば、外国企業に対抗して日本企業による健全な市場が形成されていくということが十分期待されるというような判断に立ちまして、総合的な比較、判断、その結果、第二種電気通信事業における外資制限という保護主義的な道はとらずに、内外無差別の原則のもとで自由濶達な企業競争による電気通信事業の発展という道を選んだものでございます。  以上でございます。
  155. 小谷輝二

    小谷委員 電電株式会社の株式の保有割合について、大蔵省との調整で、見直しの時期まで政府が三分の一以上保有するということで合意したようでございますが、株式の総額、そして見直しの時期はいつなのか。また、見直しの時期まで残りの三分の二余りの株式を毎年均等に公開される計画なのか、それとも時期とか状況において対応される計画なのか。要するに株式の公開計画を御説明願いたいと思います。それからあわせて、株式公開はかなり大型になりますので、証券業界また株式市場に与える影響等もかなり考慮しなければならないのではなかろうか、このように思うわけでございますが、この点についての考え方、またこういう点について将来予想されることを御説明いただきたいと思います。
  156. 小山森也

    ○小山政府委員 まず第一に、資本金は幾らかということでございます。これは一般論として申し上げますと、電電公社から継承する資産の性格とか内容を十分吟味した上で、配当負担等を勘案して決定する必要があろうと思います。しかしながら、今回の場合においては、具体的には会社法施行後に郵政大臣が任命する設立委員によって決められるということで、現在決まっておりません。したがいまして、確たる数字を申し上げる段階ではないということで御理解をいただきたいと思います。  次に、株式の処分の問題でございますが、法律上は三分の一以上を政府が保有するということになっておりますが、それではどのような形にこの処分をしていくかということでございます。  発足時は、当然政府が全株式を持つということでございます。それから、それではその後どのように処分していくかということにつきましては、国会の議決を経ることによりまして、慎重に対処していく。これは国会の議決を経ることになっております。それでは具体的にどのようにこれを処分していく方針を持っているかということでございますが、これにつきましては、現時点において具体的な計画は現在まだ立てておりません。また、立ててはおりませんけれども政府が保有する新会社の株式を具体的に処分するというに当たりましては、先生指摘のように、株式市場の規模とか動向等を勘案して処分株式を適切な売却価格というものを確保しなければならない、このように考えておる次第でございます。
  157. 小谷輝二

    小谷委員 株式の売却益、またその運用益、配当金等の使途、これは本来、公社は受益者負担の原則によりまして今日まで運営されたわけでございますし、また、組合を初め、関係者の努力もさることながら、受益者、利用者の高額な負担によって、電電公社の資産形成が今日までなされてきた、このような経緯もございます。したがって、今、大蔵省が言っておりますような財政の再建計画の中に組み入れて、一般会計に繰り入れる、こういう考え方は、この資産形成の経緯から見ましても好ましいことではないのじゃないか、このように思われます。したがって、すなわち受益者、利用者といいますか、何らかの形で還元すべきではないか、このように考えております。  ほかに、この売却益をどうすれば最も好ましいのかというふうな考え方をお持ちであるならば、この際お聞かせいただきたいと思いますし、また、あくまでも財政再建に繰り入れることが一番好ましいのかどうか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  158. 小山森也

    ○小山政府委員 電電公社の株の売却というのは一般会計の赤字補てんのためを目的として処分するものでないということは、これは当然のことだろうと存じます。  それではどういうふうにするかということでございますけれども、結論から申し上げますと、今、株式売却の利益とか配当金等の取り扱いの問題についていろいろ関係の向きと検討しているところでございまして、まだ結論は得ておりません。しかしながら、いろいろな議論の中におきまして、電電公社の純資産、これが五十七年度末で約四兆六千億ある、このうちの国の出資金というのは百八十八億円である、残りの四兆数千億円に当たる資産はすべて設備料、電話料等の利用者の負担により形成したものであるという御意見とか、このような電電公社の資産形成の経緯等にかんがみて新電電会社の株式の売却益及び配当金による収入については、電電公社の資産売却にふさわしい資金経理を行って我が国の電気通信技術に関する研究開発の推進等、電気通信利用者の利便の向上のために使用されるべきであるというような御意見、こういった御意見が多くあることを承知した上で、関係の向きと検討しているというのが現状でございます。
  159. 小谷輝二

    小谷委員 それでは、日本電電公社が発表されておりますINS構想につきましてこの際ちょっとお聞きをしておきたいと思いますが、電電公社資料によりますと、五十九年度には光ファイバー、これは日本縦貫ルートを完成する、さらに六十年度には東京−大阪−名古屋間の電話網のディジタル化を行う、六十二年度には県庁所在地級の都市の電話網をディジタル化する、七十年度には全国的に完成をする、このような計画、構想がなされておりますけれども、これの総投資規模は三十兆円とも言われております。この構想の達成のために投資資金の調達とか、また新会社移行後はこの計画についてはそのまま引き継がれるものと思いますけれども、資金調達その他いろいろな面から新会社としてはこの構想をどのような形で消化し実施していくのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  160. 真藤恒

    真藤説明員 今おっしゃいましたように、暦年の六十三年になりますと、どこでも御希望のある方にはディジタルサービスを差し上げることができるということでございますが、当分の間は現在の電話線のままのディジタルサービスを差し上げるということでございます。特殊な方がありまして、産業用なり何なりで、非常に高度な光ファイバーをじかに引き込むような御希望があればそれにも対応はいたしますけれども、それはそうたくさんあるものじゃないと思います。私どもはやみくもに現在の交換機をディジタル交換機に局ごとにかえていくという考えは持っておりませんので、そういう使い方をなさる方に必要な設備を、今申し上げたようなスケジュールで地方に及ぼしていこうというふうに考えておりますので、いつどのくらい需要が出てくるかというのはまだこれからの問題だというふうに思っております。  もちろん、私どもが予想しておりますよりも非常に急速に実需が出てまいりますと、それだけ収入がふえるわけでございますから、そのときには必要な資金は借り増ししてやっても、健全な経営の基盤を壊すことはないというふうに考えておるわけでございますが、普通の状態と言うと語弊がありますが、私どもの方が常識で考える状態で普及していくものならば、現在の一兆七千億から一兆八千億の間ぐらいの投資能力は、財務基盤を壊さなければ持ち続けることができますので、その範囲内で十分間に合わしていくことができるという見当はつけております。
  161. 小谷輝二

    小谷委員 この前の本年の二月二十四日の日本経済新聞社の「世界テレコム戦争」という本の中に真藤総裁のコメントが載っておるわけでございますけれども、「VAN業務は、本体ではやりません。しかし、子会社をつくってやることがないとは言えません。なにせ、三十二万人もが食べてゆかなければならないんですから。それに、(民営化によって)子会社は自由につくれるようになるんです」こういうコメントが載っております。三十二万人の電電マンのトップリーダーとして、責任感と実業家らしい姿勢がにじみ出ておると思いますけれども、最初にまずコメントの真意について総裁考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  162. 真藤恒

    真藤説明員 今度法が施行される段階になりますと、私ども一種事業者も本体の中でVAN業をやることもできるわけでございますけれども、その場合には兼業になりますので、この料金なんかがいろいろ制約が加わってくることになるわけでございますが、それは当然だと思います。  ところで、もちろん私どもがVAN業をやりますと申し上げましてもお客のあり方ということが問題でございますので、やはり一気に大きな全国的なVAN業をやろうといったって、それはなかなか商売になるものじゃないと思いますので、地方地方で実際のお客のお役に立つような姿から始めていくという形になるのが実際問題じゃないかと思います。それを本体の組織の中でやるか、あるいは別会社にしてやった方がより従業者のためにも都合がいいのか、そのときの場合場合によっていろいろ変化対応していかなければいかぬと思いますので、公社のときのように全国一律の姿でやっていくあり方、制度でやっていくということには恐らくならないだろうと思っております。
  163. 小谷輝二

    小谷委員 今度の電電二法案によりまして、外国の巨大企業がかなり日本に進出してくると考えられます。あわせて逆に、今度日本の巨大企業である電電公社が民営化されて株式会社になるわけでございますが、真藤総裁もかつては造船王国日本を築き上げてこられた原動力として随分闘われて頑張ってこられたわけでございます。したがって今後、日本の最大の企業と言われる電電株式会社がこれからも外国へどんどんと企業が大きく進出していく、こういうことも当然あるのではなかろうか、こう思うわけでございますが、その点についてもしそういうような具体的な計画があるなら、この際お聞かせをいただきたいと思います。
  164. 真藤恒

    真藤説明員 現状ではもちろん具体的な計画はございません。ですけれども、遠い将来ではやはり今おっしゃるようなことが起こる可能性はないと申し上げられないと思います、向こうから入ってきますからこっちの方も出ていけるはずでございますから。
  165. 小谷輝二

    小谷委員 次に、電電公社の日米資材調達問題につきまして郵政大臣にちょっとお尋ねしておきたいと思います。  日米資材調達の取り決めを三年間延長するということで安倍外務大臣と米国のブロック通商代表との間で書簡が交換された、このように承っておりますが、今回、公社の経営形態が大きく変更されたといたしましても、この件についての影響はないのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  166. 小山森也

    ○小山政府委員 去る一月末に外務大臣とブロック通商代表との間で電電公社の資材調達に関する取り決め、これは三年延長が合意されたわけでございますが、その際に経営形態の変更があった場合には別途日米間で協議するということになっております。したがいまして、具体的な取り扱いといたしましては現行の取り決めは公社形態を前提としておりますので、経営形態の変更という新しい事態に対応いたしまして、今後政府部内で慎重に検討していく事項である、このように心得ておる次第でございます。
  167. 小谷輝二

    小谷委員 それでは新たな問題として、これから決めていくということですか。
  168. 小山森也

    ○小山政府委員 そのとおりでございます。
  169. 小谷輝二

    小谷委員 真藤総裁が三月七日の記者会見で民営化の後は製造部門への進出は考えていない、不経済であるという内容の見解を明らかにされたようでございますが、特に通信衛星の購入につきまして外国製の通信衛星を将来購入していく考え方があるのかどうか。またそれとも我が国の国産の技術開発という非常に大切な至上命令もございます。経済性という面から国産衛星を将来購入し、使われていく考え方なのか。それとも費用、経費の面で現在まさっておる外国製の衛星を購入していく考え方なのか、この点はいかがでしょうか。
  170. 真藤恒

    真藤説明員 現状におきましては私どもは宇宙開発大綱の線に沿って動いておるわけでございますが、経営形態が変わりましてこれがどうなるかということについては、まだこうなるのだということをはっきり申し上げることができるような状態にはなっておりません。
  171. 小谷輝二

    小谷委員 今、電電公社の方の事業の中で最も頭の痛い事業として電報事業があるわけでございますけれども、この事業は年間千二百億からの赤字、このように発表されておりますが、利用者の利便等も考えながら今後民営化に備えてこの事業をどうしていくのか。重い荷物をそのままの形で行っていくのか。それとも新たな施策というのが考えられておるのか、この点はいかがでしょうか。
  172. 真藤恒

    真藤説明員 この問題は非常に大きな問題でございまして、今私ども強力な勉強チームをつくりましてこれをどうするかということを具体的に詰めております。何を申しましても現状のままではどうにもなりませんので、これは早急にかなり思い切った措置をとりながら順次改良していきたいというふうに考えております。  それともう一つ、この電報というものを新しい記録通信というふうに考えますと、これまた今までの仮名文字電報と違った分野がそのうちに非常に大きく開けてくる可能性も多分にございますので、それとあわせて問題の解決に持っていきたいというふうに考えております。
  173. 小谷輝二

    小谷委員 以上で質問を終わります。
  174. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 西村章三君。
  175. 西村章三

    ○西村委員 公衆電気通信法の一部改正、すなわち中距離料金値下げの審議に入ります前に、昨日国会に提出をされましたいわゆる電気通信改革二法案、この問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  御承知のように中曽根内閣の行革関連の目玉法案と言われますのがいわゆる日本電信電話株式会社法案及びニューメディアの、いわゆる将来への電気通信事業の法的な枠組みといいますか、これを中心とする事業法案、この二法案はもう既に同僚からも先ほどお話がございましたように、大変長い間時間をかけて調整作業が続けられました。ようやく去る六日に閣議決定がされまして、昨日国会提出の運びになったようでございます。問題がいろいろとたくさんございましたが、特に通産とのいわゆるVANをめぐる規制の問題、これが最大のものであったろうと思うのでありますが、この裁定結果について、郵政省はこれをどのように受けとめておられるのか、あるいはかねてから郵政省が主張しておられたような点がどの程度認められたと判断されておりますのか、これは大臣からお聞かせをいただきたいと思います。
  176. 奥田敬和

    奥田国務大臣 結論から申します。通信主務官庁としての分野にこのVAN業務がはっきり明定されたということでございます。  具体的に言いますと、確かにコンピューターの技術革新、それと高度な通信技術のそのちょうど接点になるような分野でございますから、通産と郵政省が、世よ言われるような縄張り争いでデスマッチを演じたような形になっておりますが、ただ、このことが通信役務であるという形の中で、主務官庁は郵政省ということにはっきり決まったことは、私たちとしては満足をいたしております。  と同時に、例えば許可が登録という形になったとか、あるいは一般VANが届け出でも比較的自由に近い届け出という形になったとか、いろいろな問題点はありましたけれども、総体として、私たちはこの裁定の結果に満足をしております。
  177. 西村章三

    ○西村委員 主務官庁が郵政省に決まったということで、おおむね満足だ、こういうお答えでございます。問題の焦点は、やはりVANをいわゆる電気通信業務と見るのか、あるいは情報処理と見るのか、この見解の相違が今度の問題の発端であり、かつその一番根本であったと思うのであります。そういう意味では、VAN業全体に電気通信事業として今回一括して網をかぶせられた、こういう理解だ、そう思っていいわけですか。
  178. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全く御指摘のとおりであると思います。
  179. 西村章三

    ○西村委員 きょうは、公衆電気通信法の審議でございますから、しかも、この法案国会に提出されましたが、まだ当委員会に付託をされておりませんので、内容的には、私も余り立ち入らないでおこう、こう思っておりますし、極めて重要な法案でありますだけに、裏から表から、いろいろと慎重審議を尽くさなければなりませんで、いずれ法案が出ましたら、また改めてやりたいと思うのであります。しかし、これまでの経過がありますだけに、さわりの部分だけでも、きょうはぜひひとつ聞かしておいていただきたい、こう思うわけであります。  そういたしますと、通産以外に、ほかの省庁との問題もございました。大蔵省、労働省、外務省、いろいろと調整点が残されたわけでありますが、これらは一体どういう決着になったのか、教えていただきたいと思います。
  180. 小山森也

    ○小山政府委員 通産省を含めまして二十三に上る関係省庁との調整があったわけでございますが、その調整はすべて終了いたしまして、全部調整済みとなっております。
  181. 西村章三

    ○西村委員 その中で、特に大事な問題は、いわゆる会社法の中での大蔵省との株式の売却益の処分の問題、政府の株式保有の比率の問題、それから労働省とのいわゆる新電電会社の労働関係、なかんずくスト規制法、これが非常に重要な関心であったわけでございますが、この決着について内容説明してください。
  182. 小山森也

    ○小山政府委員 まず第一点の株式の処理でございますが、これにつきましては、まだ今後の問題である、これについては慎重に今後問題点を整理して、協議しようということでございますので、これはどうするということは、後に持ち越されたということでございます。  それから、労働省とのスト規制はどうなったかということでございますが、これにつきましては、労働省の方でいわゆる調整を行いまして、今回、準備中の整備法案の中で、新会社に対する公労法の不適用、公労法を適用しないということと、労働三法の適用を行う、また労調法の一部改正によりまして、調停に関する暫定的な特例措置を定めることということで、今度の整備法の中での内容とする予定にしております。  政府の株式保有につきましては、当初から二分の一を政府が保有するか、三分の一を保有するかということで、若干の意見の違いがありましたけれども政府の意思が重要な部分で支配できるという限界である三分の一ということで、協議の一致を見たわけでございます。
  183. 西村章三

    ○西村委員 これらはそれぞれ大事な問題をまだまだ今後に残しておりますので、質問は保留をいたしまして、いずれ法案が出ました時点で申し上げたいと思うのであります。  ただ、もう一つ、先ほど同僚委員から出てまいりましたけれども、いわゆる外資規制の問題でございます。一種及び二種それぞれあったわけでございますが、二種の方は撤廃ということになってしまいました。当初の外資規制の、特に特別第二種の目的は何だったのですか。また、この撤廃をされたことによる影響、これはどのように予測をされるのか、また、それに対するこれからの対応をどうしようというのか、この三点について聞かしてください。
  184. 小山森也

    ○小山政府委員 当初、外資規制を行うといたしましたけれども、この当初の案といたしましても、外資が二分の一を超える場合には許可をしないことができるということでございまして、許可をしないという案ではなかったわけでございます。  それでは、なぜそういう条項を入れたかと申しますと、これにつきましては^通信が非常に重要な国益を左右するものであるという観点から、特別第二種の事業が外国性資本によって支配されるようなことがあった場合においては、圧倒的な支配を受けると、その結果、日本の通信というものが外国勢に制圧されるというようなことがあった場合においては、許可しないことができるという思想であったわけでございます。しかしながら、その後いろいろ検討し、さらにいろいろな御意見を聞く中におきまして、外資規制をそのような形でやる程度であるならばということと、それに、特別第二種というような業務は、電信電話公社が今現にかなり程度の高い業務をやっております。そういうような現状からいたしますと、外国勢に日本の通信を支配される、特に第二種でもって支配されるというおそれはないのではないかという意見の方が強くなりまして、いわゆるワン・オブ・セムの中に外国勢が入るということは、日本の通信外国性資本に制圧されることではないという判断に変わってきたわけでございます。  それでは、外資規制が今後外国の資本との関係でどうなるかということでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕  先ほども申し上げましたけれども、確かにアメリカの巨大通信事業者というものは資本力といい、技術力といい、経験といい、大きな力を発揮するという点があるのではないかという点で心配はございます。心配はありますけれども、今現在、高度に既に開発されました電電公社等の技術を考えますと、むしろ優秀な外国系企業と自由競争市場で競争を行うということの方が、我が国の電気通信事業の発達を図ることにおいてはメリットがある、このような比較考量の上に立ちまして、今後総合的に判断するならば、こういったことで自由競争市場にゆだねる方がよろしい、こういう判断に立ったわけでございます。
  185. 西村章三

    ○西村委員 郵政省からいろいろ資料をちょうだいした中で明確に記載をされておったことでございますが、この外資規制の問題は、特別第二種電気通信事業が持つ国際的、政治的、経済的、社会的な影響の大きさを考慮した上で、国家の安全保障の面からいっても必要最小限度の措置だと考える、こういうように書いてありますね。それからもう一つの資料の方では、いわゆる我が国の特別第二種電気通信事業について外国企業が我が国の通信を完全に支配することを避けるための最低限の措置だ、同時に通信の秘密の確保、これについても対処できる体制をとるんだ、こう郵政省は当初言っておったわけです。これらの担保は、そうすると何らかの形ででき得る、この法案の中でそういうものが担保されておるわけでしょうか。
  186. 小山森也

    ○小山政府委員 先ほども申し上げましたように、競争原理を導入して自由な市場でやることが日本にとってかえって有利であるということと、先ほど申し上げましたように既に電電公社等によって開発されたVAN業務というものがかなりの質を持っておるということから、外国勢に支配されるというおそれはないものと判断したわけでございます。それと同時に、これは許可制ではございませんけれども、登録制をとりまして、それによって行政的な担保ができる、このように判断したわけでございます。通信の秘密につきましても、登録制という措置をとりまして確保できる、このように考えた次第でございます。
  187. 西村章三

    ○西村委員 ちょっと質問が変わるのですが、私が今承知をいたしております範囲では、今、世界の中で大規模VANというのはたった二つしかシステムが実用化されておらない。すなわちIBMのインフォメーションネットワーク、それともう一つはATTのアドバンスト・インフォメーション・システム、AIS、この二つしか実用化されておらない、こう聞いておるのですが、これは間違いないでしょうか。
  188. 小山森也

    ○小山政府委員 実はそれはいわゆるINというAIS・NET一〇〇〇というので、御指摘の点はその二者だと思いますが、これもまた実用化されておりませんでして、今、研究開発途上にあるというわけでございます。
  189. 西村章三

    ○西村委員 私はなぜこの外資規制を申し上げるかといいますと、今回の一連の動きを見ておりまして、アメリカの公式、非公式を問わずに圧力がかかった、そのために撤回させられた、いわばアメリカの経済摩擦の解消という理由はあるにいたしましても、そうした圧力の中でこれが撤回をされたのではないか、そう感じられてならぬわけであります。しかも、今申し上げましたように、いわゆる成熟した米国のVANが日本でのネットワークを独占しやしないか、こんな懸念も我々は持っております。また情報の海外流出、こういう面でも非常に心配をしておるのですが、大臣、率直な御感想を聞かしていただきたいと思うのです。局長はこれはもう絶対に担保がされているから、登録制というものがあるんだから間違いがない、こうおっしゃっているんですけれども、どうなんでしょうか。
  190. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、先生の御指摘のあった点が私たちも当初心配した点であるということはまさに一緒でございます。ただ、私たちはこの問題に関しても、あくまでも原則自由で緩やかな規制を担保しようと思いました。その念頭にあったのは、先生は成熟したアメリカのVANというものを念頭に置かれますけれども、私の念頭にあったのは、それもございましたけれども、そればかりではありません。ある意味において安全保障上の特定国を指すわけにはいきませんけれども外国政府のそういった分野の進出のおそれなしとしないという面もあったことも事実でございます。しかし、現実面から今言われた、例えばATTなりIBMという実態も含めての形と、日本の、まだ未成熟とは言えこの分野に進出の意思を持っておる企業、もちろんその中には新会社移行の電電も入るわけでございますけれども、十分とは言いませんけれども、対抗し得るという形のある程度の実態が明らかになってまいりましたので、外国規制を取り下げて原則無差別ということでいく形に踏み切ったというのが真相でございます。
  191. 西村章三

    ○西村委員 日本人、日本の企業というのは適応性がございますし、それなりのいろいろな知恵を働かして運用に参加していくだろう、こういうふうに我々も希望的観測を持っておるわけですけれども、いわゆる通信サービスというものはだんだん独占化をしていく傾向も確かでございます。これは郵政省もお認めのとおりでございまして、通信サービスは加入者が多ければ多いほど多数の人々と通信が可能となり、ますます便利になります。例えば百人を結ぶ電話と一万人を結ぶ電話とどちらが便利か、これは明らかだ。このように通信サービスは規模が大きくなるほど便益を増す性質があり、したがって、一たびあるサービスが出現すると、そのサービスは独占化する傾向に発展していく、こういうことであります。  私どもが心配をいたすのはそのことでございまして、日本の電気通信事業、特にVANというのは一説によりますと、アメリカに比べて十年おくれておる、こう言われております。この問題は衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会でそれぞれ出たと思います。真藤総裁も慎重なお答えでございましたけれども、我々から見たら非常に力強い答弁をしていただいたように思っております。こういう点、我々は今後の電気通信事業の将来というものを展望しましたときに非常に寒心にたえない、こういう感じでございます。真藤総裁既にお答えになっておることでございますけれども、これらのアメリカの二社に対して、あるいはこれからの展開の中で電電公社としての抱負なり自信のほどをもう一度聞かしていただきたい、こう思います。
  192. 真藤恒

    真藤説明員 私どもの今やっておりますいわゆる私どもの言葉のINSというものは、実はVAN業の技術の根幹になる部分でございます。しかも、そういう技術のわかった人間を全国的に多人数配置しなければ、この情報社会というものはでき上がりませんので、今全力投球して人員の技術養成にかかって、それが今軌道に乗りかけておるところでございます。それだけの人間をディジタルサービス通信網に配置できるという企業は、今のところ恐らく電電公社とATT、どっちがどっちかわからぬぐらいの力になっておるという自負は持っております。  それとさっき小山局長からお話がありましたように、現在私どもがデータ設備サービスという形でやっております仕事の中に実質上VANというものがかなり広範囲に入っておりまして、そういうものをこれから先、さらに強力にお客を広げていくということはもう緒についておりますので、その面のことにつきましては全国的な大型のVANになる形の基礎が大体でき上がっているというふうに御了解いただいて差し支えないと思います。  そのほかに私どもが考えておりますのは、さっき申しましたように、そこの地域の御要求に応じて、その地域のVAN業みたいなものと、それからいわゆるINSの高度情報通信網というものをつなぎ合わせまして、地域社会ごとにまた一つのVANみたいなコミュニティーをつくって、それで、郵政のお考えになっておるテレトピアとか、あるいは通産でお考えになっている地域社会の通信の開発ということに御協力申し上げることのできる力を今養成しつつございまして、そういうのが全国的にVANの姿に急速に変わることのできる能力を持った素質のものでございますので、さっき申しましたように、全国一律の姿ではなくて、いろいろな形を変えた姿で私どもの仲間がそちらへ進出してエキストラの収入を期待できる、また、そういうことをやることによってのみ私どもは、さっきからいろいろ問題になっております通話料のトータルコスト、全体の費用を減らしていくことができて、しかも職員に対しては将来に見込みのある職業につけることができるという形をねらっておるのが、今度の法改正に伴う私どものねらいでございます。  そういうことで進みますので、予算委員会で申し上げましたように、例えIBMなりあるいはATTが来ましても、技術的な問題あるいはそれに伴うソフトは、彼らが仮にかなりすぐれたものを持ち込んでまいりましても、何さま日本の社会の実情に合うような、日本の社会のメカニズムに合うようにフィットインしてそれでお客を募るというのには、何といいましても彼らはかなり時間がかかると思います。私ども、そこら辺は大体でき上がっておりますので、彼らが来たから席巻されるということにはならない自信は持っておりますということを申し上げた次第でございます。
  193. 西村章三

    ○西村委員 ありがとうございました。  次の問題でございますけれども、特別第二種と一般二種とのいわゆる許可か届け出か、こういう問題でありましたが、裁定の内容は通産、郵政両省の主張を折衷した玉虫色のものだという見方もございます。そう言う方もございます。確かに、許可に近い届け出制、通告に近い届け出制ということになっておるわけでありますが、その内容はやはり大いに差異があるということでございまして、具体的にそれはどのような方式を指し示すのか、これが一つです。それから、届け出制の具体的な基準は政令にゆだねられたわけでございますが、これはいつごろまでに作成のめどをつけられるのか。この二点についてお伺いします。
  194. 小山森也

    ○小山政府委員 特別第二種と一般第二種との間の関係でございますが、これは別に玉虫色ということにはならないと存じております。調整の中での言葉の使い方として、ニュートラルゾーンというような変わった物の言い方をいたしておりますけれども、特別第二種電気通信事業と一般第二種電気通信事業の区分、これは政令で明確な基準を設けることとしておりまして、あいまいな中間領域というものは残らないものと思っております。  それから、許可に近い届け出と自由に近い届け出ということでございますが、許可に近い届け出、これについては登録制ということで決着をいたしたわけでございます。それから自由に近い届け出ということにつきましては、届け出に対する条件を、項目を若干減らすことにいたしております。
  195. 西村章三

    ○西村委員 そうすると、法文上では許可というのは登録制ということに変わっておるわけですが、この場合は、当然のことながら、命令なりあるいは勧告というものがなされるわけですね。また、いわゆる通告に近い届け出制の場合は、命令、勧告というのはできるのかできないのか、この辺はどうでしょうか。
  196. 小山森也

    ○小山政府委員 登録制は、先ほども申し上げましたとおり、当然、登録に際しまして登録を拒否するという条項がありますと同時に、この登録に伴いまして問題点があった場合は、登録の取り消しということができることになっております。  それから届け出でございますが、届け出というのは法律的に何かと申しますと、先生はもう十分御承知と存じますけれども、届け出することによりまして、法的に電気通信事業者としての一つの資格を得るということでございます。また、これは利用者側にとりましては、届け出をした業者というのは、そういった法的な地位を獲得した信用できる業者だというふうに見られるわけでございます。そうしますと具体的にどのような効果があるかと申しますと、いろいろ通信の秘密の問題あるいは安全性、信頼性に欠けるような場合があったときには、報告を求めることと、改善命令が出せるということになるわけでございます。
  197. 西村章三

    ○西村委員 わかりました。そうしますと、新聞で伝えられましたニュートラルゾーン、いわゆる特別第二種と一般第二種との間にニュートラルゾーンがあると言われたような裁定というものはあり得ない、こう理解をしてよろしいのですか。
  198. 小山森也

    ○小山政府委員 そのとおりでございます。
  199. 西村章三

    ○西村委員 わかりました。  最後に、もう一つだけお伺いをいたしておきたいと思いますが、この二法案に関連する整備法案、いろいろたくさんのかかわり合いがあると思いますが、これはまだ成案化されていないのですか。いつごろ国会に提出あるいは閣議決定をされる予定か、おわかりでいらっしゃったら教えてください。
  200. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまの予定といたしましては、十三日の閣議で決定する予定にしております。
  201. 西村章三

    ○西村委員 大変に失礼をいたしまして、電電の改革二法案の方はこれで終わらせていただきまして、電話料金改定問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の改定によりまして、いわゆる中距離と近距離、この料金格差は大幅に是正がされました。しかし、けさほど来の審議の中でも明らかになりましたように、まだまだ欧米諸国と比較をいたしましてなお遠近格差は相対的に大きいものがございます。中距離と近距離はほとんどなくなったわけでございますが、逆に今度は、今度の改正によりまして、中距離地域長距離地域の間に従来は四十円の格差しかなかったものが、百四十円に格差が広がった、こういうことがあるわけであります。  この現象は、料金改定に伴う新たな料金格差といいますか、そう申し上げると大変に語弊があるのですけれども、やはりこれは、距離段階制の修正に伴う部分的な料金値下げといいますか、分割的な値下げがこういう結果を生んだのではないか。一貫をして全部、中距離長距離も押しなべて一つの体系の中で是正をしたということではなしに、遠距離はもう早くやっていただいて昨年の七月から実施をされておる。今度中距離値下げすることによりまして、従来四十円の格差だった中距離長距離の間が逆に百四十円に広がった、こんな一つの矛盾も出ておるわけであります。  私は、当然これらの格差というものはこれからもやっていただかなければならぬことだと思うのでありますが、郵政省としてこの問題をどう考えられるか聞かしてください。
  202. 小山森也

    ○小山政府委員 確かにおっしゃるとおりに、この改正によりまして、従来三百二十キロ以遠は四百円、三百二十キロ以内が三百六十円という四十円の差だったのが、四百円と二百六十円という百四十円の格差になってまいります。ただしかし、これを五十八年七月の改定以前の三百二十キロの価格と比べますと、そのときが今の四百円のところが四百五十円でございます。また、三百二十キロのところはそのままですから三百六十円と、九十円の差でございますけれども、そういった差になっていたわけです。今回いろいろ距離段階別を余り細かくすることはどうかということで段階を少なくしたことによる差が出たわけでございますけれども、私どもといたしましては電電公社の今後の努力を期待いたしまして、これがまたさらに全体の遠距離そのものの価格の引き下げの努力というようなものがありましてこの差が縮まっていくことを期待いたしておる次第でございます。
  203. 西村章三

    ○西村委員 私が聞いておるところによりますと、いわゆる政府・与党と郵政省の間で、現在三百二十キロ以上が三分間四百円、これは近い将来、でき得れば新電電が発足いたしました後二百三十円ぐらいにまで値下げをしたい方向が既に方針として定まっておる、こういうぐあいに承っておるわけでございますが、これは政府としてはどうなんですか。
  204. 小山森也

    ○小山政府委員 お言葉でございますが、そのような具体的な話は私どもまだ存じておりません。
  205. 西村章三

    ○西村委員 では結構でございます。  この距離段階制というのはだんだん縮小されまして、今、四段階になってきたわけでございます。けさほど来の同僚委員質問の中でも、遠近格差是正をさらに一層推進をする、同時に近近格差をなくす、特に公社の方のお考えはまず遠近格差の是正が優先するのだ、こういうお話だったと思います。これは仮定の質問で恐縮でございますけれども、二百三十円ぐらいのめどをつけられるというのは一体いつごろなんでしょうか、公社の方、もしもそういう試算をなすっておるのでしたらちょっと教えていただきたいのです。
  206. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  私も二百三十円という数字は初耳でございます。それでは、仮定の話として二百三十円にするのはいつごろかというお話でございますが、実は今後遠近格差をさらに縮める、または近近格差をどのような形で制度化するかという問題がございます。今後、今まで、今回の分も含めまして四回行われました値下げの実施状況等を十分に時間をかけて分析し、あるべき姿を十分に検討した上で遠近格差の低減、それから近近格差の解消を図りたい、このように思っておりますので、現在のところ二百三十円という数字はちょっと即断いたしかねますのでお許しいただきたいと思います。
  207. 西村章三

    ○西村委員 もう既に出尽くした問題でございますが、やはり近近格差の解消も非常に待ち望まれておるわけでございます。特に区域内料金と隣接区域内通話料料金格差、これはもう総裁もおっしゃいましたように、十円でかけられる範囲というものが非常にアンバランスになってきておる。特に単位料金区域と行政区域が一致をしておらぬということがもう方々に見られるわけであります。しかも、それは都市周辺に非常に多い、集中をしておるということでございます。私は出身が大阪でございますが、他府県の市でありながら大阪市内と同一の料金というところもございますし、大阪府域内でありながら隣接料金になっておるところがほとんどだ、こういう実態もあるわけでございまして、せめて区域通話範囲をグループ料金ということで都道府県の中の一つのブロックということになるのか、将来もちろん同一府県は同一料金ということで御検討願わなければならぬわけでございますが、先ほどからグループ料金という言葉はたくさん聞くわけですが、今日まで、具体的に公社としてどういう方式が一番望ましいと思っておられるのか、検討の経過がありましたら、この機会に明らかにしてください。
  208. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  グループ料金制ということが言われました。これは一つの概念といたしましてイギリスのグループ料金制ということでございます。このイギリスのグループ料金制の場合には単位料金区域、全国五百六十七ございますが、これの隣の単位料金区域までは単位料金でかけられるようにするというのがグループ料金でございます。このグループ料金について私どもかなり検討いたしましたが、これはこれで一つの近近格差の解消になるわけでございますが、一つは道を一つ隔てたところの格差は解消いたしますが、もう一つ先の隣々接の格差が解消しないという問題、それから社会経済圏が広がりまして連檐が非常に大きくなるという問題、それからもう一つは今、先生指摘の行政区域と加入区域がほとんど一致しないところがふえてきた、このような問題を考えますと、隣接にグループ料金制を広げるだけでは解消しない問題も数々出てまいりました。そこで、このいわゆるグループ料金制をさらに発展いたしました県内均一料金制というものを想定いたしまして、現在鋭意検討いたしておる、このようなわけでございます。
  209. 西村章三

    ○西村委員 そういたしますと、言葉を返すようですが、公社として考えておられるのは、いわゆる区域料金と隣接区域のグループではなしにいわゆる都道府県を一つの単位とした、行政区域を単位とした料金制度のあり方といいますか区域のグループ制、こう理解をしてよろしいですね。
  210. 草加英資

    草加説明員 私の説明が不十分でございましたが、現在のグループ料金制といいますか、イギリスのグループ料金制で起こる問題点は県内均一料金制で解消いたしますが、そのほか広げれば広げるだけ今度は逆にコストがかかるというような問題もございますので、どれが一番最適な解決策がということは、私どもでも県内均一料金制を最適としたわけではございませんで、現在のグループ料金制並びに発展した県内均一料金制、それから先ほど総裁が申し上げましたが、同じ県内均一料金制でも県をまたがる単位料金区域をさらに広げる形にするとかいろいろな形がございますので、これらも含めまして検討の対象としておる、このように御理解いただきたいと思います。
  211. 西村章三

    ○西村委員 現在電話料金国会の議決を必要とするいわゆる法定制でありますが、新しい会社法が成立をいたしますと郵政大臣の認可料金ということになるわけであります。これを機会に料金体系の見直しといいますか、本当に合理的な料金体系の確立というものをやっていかなければならぬ、こう思うのであります。たまたま郵政省、特に電気通信政策局長の諮問機関として電気通信料金問題調査研究会ですか、これが既に報告書を出しておるようでございます。これの取り扱いについて電政局長、今のことと関連をしてどう活用なさるのか、この辺を聞かしていただきたいと思うのです。新しい会社ができますと大臣料金認可になる、それに伴って合理性のある料金体系というものを確立したらどうかというのが私の提案ですが、どうでしょうか。
  212. 小山森也

    ○小山政府委員 料金につきましては、それが公社の場合であっても会社の場合でありましても、やはり合理的な根拠というものに基づきまして、最も利用者の使いやすい料金にアプローチしていくというのがこれは当然のことだろうと思っております。  それから、研究会において出されました結論におきましては、そういった点におきまして非常に理論的な詰めがしてありまして、これは私どもとして尊重して、無論これは諮問機関でございますから、意思を決定するのは私どもの責任でやるわけでございますけれども、十分尊重してまいりたいと思っております。  ただ、問題は料金というものが非常に従来歴史的な一つの積み重ねであるということでございまして、そういった意味での長期的に見た安定した、何といいますか、いい意味においても悪い意味においても安定してしまっている点もございます。そういったものをどのような形で実体的な電話料金あるいは通信料金というものに組みかえていくかということでございまして、これには若干の時間がかからざるを得ないんではないか、こういうふうに考えておりますけれども先生指摘のように、ああいった一つの理論構成というものは私ども十分尊重していくべきであろう、こう考えております。
  213. 西村章三

    ○西村委員 合理的な料金体系というのは、これはもっともなことでございまして、ただ、今の電話料金のことにつきましては歴史的な経緯があるから、必ずしも合理的ではないということも裏返せば言い得るわけでございます。単に料金体系の合理性だけではなしに、料金決定原則あるいは料金水準の決定等は、特に決定原則なるものは、公に明らかにしておいた方がより国民から信頼が得られる、ユーザーから信頼が得られる、こういうことでもありますので、これは新しい会社が発足をし、料金認可が大臣の権限に移るというのであればなおさらのこと、私はこのことを早急に検討して実現に向かって努力をしていただきたい、こう思っておるのであります。これは要望でございますから特に御返事は要りません。  それから、もう時間がございませんので、もう一つ、二つになるかと思いますが、これも新聞の報道で申しわけないのでありますが、公社の北原副総裁が昨年の十月の二十九日にジュネーブのテレコム、世界電気通信展示会のフォーラムで講演をされております。その中で副総裁は、一九九五年すなわち昭和七十年には国内の電話料金を均一料金にしたい、こう述べたと報道がされておるのであります。この一九九五年という具体的な時期を明示されたのは、何か根拠があってのことなのか。今言われておりますINSの形成目標がちょうど実現をするのがこのころなのか、この辺をひとつ教えていただきたいということと、もう一つは、電気通信サービス、これの究極の目標は、いわゆる距離の克服だ、全国的に格差のない利用料金の実現あるいは全国的な均一料金の設定、すなわち距離の克服でありますが、その条件は一体何なのか、これは郵政省の方にお聞きをしたいわけであります。非常に難しい問題でございますけれども距離の克服という点について、その設定する、あるいはこれから整えていかなければならない条件というものがあるはずだと思うのでありますが、前者の方はひとつ公社の方で、後者の方は郵政省の方でお答えをいただきたいと思います。
  214. 真藤恒

    真藤説明員 一九九五年と申しましたのは、そうきちっとした意味で申したのではございませんが、大体そのころになりますと、順調にいきますと、日本の私ども通信網が大体大部分ディジタル交換機を通すようになるということでございまして、それから光ファイバーの中継線、長距離線が大体行き渡ってくるということになりますので、長距離の一つの通話当たりのコストが今とけた違いに安くなるということもありまして、それからまた、そのころになりますと、だんだんディジタルベースの電話以外の高度な使い方というものが世の中にかなり普及してくるだろうという予想をいたしまして、一つの理想案としてそういうことを申したということでございます。
  215. 小山森也

    ○小山政府委員 おっしゃるとおりに、電気通信というのは、結局私ども距離と時間ですか、この両者をゼロにするということでございます。ただ、しかしながら、これが経済的にゼロでない場合は実質的なゼロではないということでございまして、やはり全国民がどこにおいても同じ料金利用できるようにするということ、これは究極の理想でありまして、この理想に向かって私どもいろいろな努力をしなければいけないのじゃないかと思います。  具体的にこれは技術との関係がございますけれども、やはり統合ディジタル網というものの完成、これによりまして距離を克服していくということに努力すべきではなかろうか、このように考えております。
  216. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  217. 志賀節

  218. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最初に郵政大臣に一言お聞きしたい。  昨日国会に提出されましたいわゆる電電二法、これの審議は今後の日程になるわけでありますが、関連しまして新聞にさまざまな報道が行われております。利権争いがどうだとか、それからまた、株がKDDのときと同じように四十倍にもなるのじゃないか、こういうことで、それを当て込んで大手証券の社長が自民党の幹部のもとに出入りしているとかいったような報道がございます。別にそれがどうというわけではありませんが、そういうことについて郵政大臣としてどうお考えになっておられるか、そのことだけをお聞きしたい。
  219. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今度の電電改革二法案について、いろいろな役所との間の競合とか、あるいは今御指摘になったように株でどうこう、利権が発生するんじゃないか等々の御指摘もありますけれども、私はちょっとおかしいと思っておるのです。  ということは、これはもう国民資産の形成した結実でもございますし、しかも電電一兆円の株というものは、政府が全株持って、しかもそれを処分するに当たっては、国会の御承認を経ながら、市場動静、そして国民資産である株売却に伴う適正な価格がどうであるか、そういった形を国会の審議の過程を踏まえながら決めていく問題ですから、この間においていささかでも利権に類した行為が発生するということはとても考えられない、そういった形でおります。今マスコミがいろいろな形のとらえ方をしておるという点については、先生方自体が厳しい国民代表の監視のもとで、そういった電電資産のいろいろな株売却に伴う利益が国民に還元されるという形の点については、先生方自身がそういった気持ちで御決定していただければいいことだと思っております。
  220. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 中距離通話料の引き下げの問題です。今回中距離通話料の引き下げという措置をとられたことは私も結構なことだと思っております。この通話料の問題は既にいろいろな角度から質疑が行われておりますので、他方で、電話の工事料金改定ですね、これが行われようとしておる問題につきまして、それを中心にお尋ねをしたいと思います。  改定表を拝見いたしますと、二百円とか三百円とがわずかに値下げされるものも一、二あるようですが、あとは皆値上げです。しかも、かなり大幅な値上げになっております。例えば同一建物内での移転、これもこれまでは一括されておったのですが、配線のぐあいによりまして二千五百円から三千三百円になるとか、二千五百円のものが七千七百円に引き上げられるとか、さらには親子電話の取りつけ、これまで二千五百円だったのが八千百円になる。三倍以上ですね。非常に大幅な値上がりになっております。また、黒電話からカラー電話への取りかえ、この取りかえをするだけで二千円から三千円になるといったことで、一方で中距離通話料値下げですね、これは大変いいんですが、片方でどうもけたぐられるような感じがしておるわけです。しかも、この改定によりまして年間穴百億円の収入を見込んでおられる。これまでの倍ですね。つまり、三百億円の増収、これはかなりの大きな額だと思います。公社は五十九年度予算でも黒字予算を組んでおられるわけで、このような値上げをしなければならない必然性はないというふうに私は思うのですが、どうしてこういう値上げが今回出てきたのか、公社の御意見をまずお伺いしたい。
  221. 山本千治

    山本説明員 お答えいたします。  工事料金は、御案内のように実費を基礎といたしまして受益者の皆様方に御負担をいただくということで参っておるわけでございますが、現在の料金は昭和四十八年以来設定したものがほとんどでございまして、工事実費と工事料金との間に大幅な差が生じたということでございます。  また、民間との競争関係といいますか、屋内での工事等につきましては民間の皆さんと私どもと競合しているわけでございますが、そういったところでの工事につきましても私どもの方が安過ぎるという御非難をいただいておりまして、こういったものも適切にするといったことでございます。なお、そういった競合する宅内部門は現在考えられる実費ということで考えておりましたが、私どもが目下独占いたしておりますような引き込み線の部分、こういったところは実勢価格をそのまま適用することなく、現在減額をさせていただいているところでございます。
  222. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実費に見合った料金に改めたということの説明であったれけですが、実は先日御説明も求めたのです。そうしましたところが、実費については具体的には算出できないんだというお答えだったのです。工事改定に伴って収入はどれだけになるかは出るけれども、各工事ごとの実費は算出できないんだ。その点はどうなんですか。
  223. 山本千治

    山本説明員 お答え申し上げます。  この工事の内訳といいますのは、私たちにとりましては大変なノーハウでございますから、できましたら御勘弁いただきたいと思います。
  224. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ノーハウのすべてを明らかにせよとか言っているわけじゃないのですが、実費に合わせると言いながら実費については算出できないという説明なんです。  それなら、仮に親子電話の二千五百円がなぜ八千百円になるのかということだけでも結構です。
  225. 山本千治

    山本説明員 お答えいたします。  もし私どもが自分のところの計算ができないとお答えしているとしたら、これは大変な誤りでございまして、申しわけございませんでした。  一応工事料というものと、かかります共通的な費用というものも見まして創設費を出しまして、それに基づいて計算をする仕組みは電電公社以来ずっととり続けているところでございます。
  226. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それでは郵政省にお尋ねしたいのですが、今のようなちょっとあいまいといいますかはっきりしない御説明なんです。  それで、そういう公社からの申請に対して郵政省として認められた根拠といいますか、これは妥当だとどういう基準で御判断なさったのかをお聞きしたい。
  227. 小山森也

    ○小山政府委員 私どもへの認可申請という場合におきます資料によりますと、工事料金というのは明らかに工事時間とか労務費、旅費、消耗品費、それに間接比率というものを掛け合わせまして積み上げております。したがいまして、こういった工事料金は、それぞれの実費を積み上げていただきたいという認可申請というものに妥当性を見出しましたので、私どもといたしましては、必要なものはいただく、しかしながら、引き下げることのできる料金は引き下げることを明確にすべきである、そういう考えからこの認可をした次第でございます。
  228. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 では、少し別な角度からお尋ねをしたいと思います。  公社は、親子電話とかプッシュホン、また福祉電話などで付加使用料を取っておられる。この付加使用料を決める場合の基準といいますか、内訳はどういうものが含まれているのかというのをお聞きしたい。例えば親子電話の場合は三百円の付加使用料を取っているわけですが、この三百円の内訳、電話機本体の減価償却費、当然あると思いますが、それ以外の補修費だとかいうことで御説明いただけるとありがたいのです。
  229. 山本千治

    山本説明員 お答えいたします。  先生お話しのございました項目に加えまして利子、レンタルをしている期間がございますが、そういったものの利子あるいは管理共通的な費用を賄います。そういった共通的なものを合わせまして基本的には出させていただいております。
  230. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 その他についての御指摘は結構ですが、本体の減価償却費、補修費については金額は出ないのでしょうか。
  231. 山本千治

    山本説明員 私どもとしては一応算定して持っております。
  232. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それをお聞かせいただけないかということです。
  233. 山本千治

    山本説明員 できましたらお許しいただきたいと思います。
  234. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 どうして話せないのかちょっとわからない、理解に苦しむのですが、それでは黒電話機の値段は聞いておりますが、カラー電話機と黒電話機ではどのくらい値段が違うでしょうか、それぞれ幾らということで。
  235. 山本千治

    山本説明員 お答えいたします。  黒い電話機はそのときの市場によりましても若干違いますけれども、今、私たちが一つの目安として定めている金額は四千七百六十円でございます。それのカラー式電話、これが四千九百三十円、大体百七十円ぐらいだと思います。
  236. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そうしますと、カラー電話機に毎月五十円の付加使用料というのがついているのですが、これは大体耐用年数九年というふうに言われておりまして、簡単に計算はできるわけですね。五十円ですから一年で六百円ですか、六、九、五十四、五千四百円の付加使用料がカラー電話機についているというのはどういうことでしょうか。
  237. 山本千治

    山本説明員 お答えいたします。  今申し上げました値段の差といいますのは、カラー電話機の場合には、私たちそこにベルの調整をする機能をつけてございまして、先ほど申し上げました基本的に総原価でやると申し上げましたのですが、こういったようなものになってまいりますと、例えば既に売っております電鈴、ベルがございます。ですけれども、そういったものの値段を参酌いたしまして、この場合は五十円と決めさせていただいた次第でございます。なお、電鈴の方につきましては六十円といった値段、これは大変昔につくった値段でございますけれども、そういうようなもので決めてございます。
  238. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 付加使用料の問題、いろいろお聞きしていますのは、私はどうも決め方が非常に大ざっぱだという感じが絶対しておるのです、いろいろ個別に見てまいりましてね。今、説明のベルの話ですが、そんなにかかるとはとても思えないですね。黒電話機が四千七百六十円、カラーが四千九百三十円、電話機本体の値段の差は百七十円でしかない。それを毎月五十円の付加使用料を取るということは、いかにも取り過ぎなんじゃないかと言わざるを得ぬわけです。関連した問題でもあるわけですが、公社は昨年から電話機の売り渡し制度というのを始めておられますね。この売り渡した後の保守、定額保守という制度もつくられたようですが、これの利用者への費用負担はどういうふうになっておるでしょうか。
  239. 山本千治

    山本説明員 お答えいたします。  先ほどの原価から既に売り渡してございますものを差し引きます、例えば減価償却だ、利息だといったものは費用でございませんので、保守費を中心といたしまして、それに徴収する費用等見込ませていただきまして大体百円という値段を設定させていただきました。
  240. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 親子電話を架設する場合、売り切りというのを試験的に始めておられるわけですが、売り切り方式でやる場合と従来どおりのレンタルでやる場合と両方ができるわけですね。どちらも耐用年数は九年と見てよろしいですね。今、資料があれば答えてください。
  241. 山本千治

    山本説明員 申し上げるまでもなかったと思うのでございますけれども、売り切りの方につきましてはそういったものはございません、売ってしまえば私どもの財産ではございませんものですから。
  242. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 利用者の側から言うわけですが、売り切りの方式の場合、計算してみますと、最初に電話機の本体が七千八百円となっております。そしてローゼット、切りかえですね、これが二百円、計八千円です。それに定額保守、さっき御説明がありましたように、月百円。最初の一年間はこれはどこでも無料ですから、九年の耐用年数と考えて、後の八年間分、これは定額保守の契約をするといたしますと、合わせて一万七千六百円になるのです。一方従来のレンタル方式、これで設置いたしますと毎月三百円の付加使用料が取られる。そうしますとこの三百円の使用料だけで一年間で三千六百円、九年間ですと三万二千四百円になるわけです。同じ親子電話を売り切りで設置した場合は一万七千六百円、レンタルだと三万二千四百円ということになるわけです。これは非常に矛盾しているんじゃないか。同じ機能のものですね。公衆法の第一条で言っておりますあまねく、公平にということを引くまでもないと思いますが、ここは非常に矛盾している。これは結局金額から考えますと付加使用料が高すぎるのではないか。売り切りの場合は一万七千六百円で九年間使用可能なわけですから、それがレンタルの場合だと付加使用料で三万二千四百円、余りにも高い。これは直ちに引き下げるべきだというふうに私は考えるのです。さっきのカラー電話の付加使用料五十円も、大臣もお聞きになっていて高いと思われたんじゃないかと思うのですが、郵政大臣にその点をお聞きしたいのです。  工事料金改定をお認めになるということ、実質は大幅な値上げですね。それをお認めになるだけでなくて、できるものについては値下げの勧告、指導、そういうものもぜひやっていただきたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  243. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御指摘なさったようなことは、一般のユーザーである皆さんは余り知っていないんじゃないかと思うのです。九年間の長期にわたっての形からは、今、先生の御指摘になったように説明すれば、ほとんどの人は買い取ってしまうということになると思うのです。だからもうちょっと公社側もそういった、長期的には買い取っていただいた方がいいとか、やはり一つのサービスの分野として今後もそういった形でユーザーを指導していってほしいなと思います。  ただ、今、何というのですか、この保守料、貸したレンタル料みたいなもの、こういった形は、恐らく電電側も将来にあるべき姿ということになりますと、巨大であるがゆえにそれぞれの分野が独立しなければいかぬという時代が、好むと好まざるとにかかわらず来ると思うのです。そういったときに実勢に合った工事、保守価格とかという形で、単独で独立採算という面もやはり頭の根底にはあるんじゃないかと思うのです。ということは、今までは総費用に対するコストという形でどんぶり勘定式にぽんとやったような形跡なきにしもあらずだと思うのです。だけれどもそれぞれこれからはコストに見合った、市場実勢であらゆる公正な競争にも耐え得るという体質を個々の分野において確立しておかなければいかぬという問題もあるんじゃないかと思うのです。しかし先生の御指摘なさる点は、聞いておっても、ちょっとそっちの方が数字を頭でちょろちょろっと計算しても少し高いんじゃないかなと思いますから、その点については先ほど電電側からお答えもございましたけれども、さらに検討を加えて再考の余地がないかどうか、値下げの方向がいいに決まっているのですから、そういった方向で努力していただきたいということを私からも申し添えたいと思います。
  244. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ぜひそういう方向で御検討いただきたいと思います。今、大臣おっしゃったように実費コストできちっと決められているということであれば私も納得しやすいのですが、今、一、二例を申し上げましたように、かなり大ざっぱにと言いますか、この分野からどう利益をどれだけ取るかということから付加使用料が決められているんじゃないかという感じもするのです。これは今度の工事料の改定とは別に前から行われている問題です。例えばプッシュホンの場合で言いますと、一昨年でしたか付加使用料の値下げをやられた。プッシュホンはやられて親子電話はやられない。それぞれまた理由がおありかもわかりませんが、私の見た感じでは、プッシュホンの場合は大量普及をするために政策的に値下げをした、そういう感じがしております。今も言いましたように、今回の工事料金改定、個別に独立採算制といいますかそういう力を持ってということをおっしゃいましたが、私はそこに一つ問題があるように思うのです。やはり非常に政策的な感じがするんです。  この件で自営の端末を扱っている民間の電話業者の方からも直接お話をお聞きしたのです。そうしましたら、こういうふうにおっしゃっておられるわけですね。電電公社も私たちがこれまで積算している方法をとることにしたのですねという感想を言っておられる。大ざっぱな言い方をしますと、これまではどんぶりだったのを細かい単位に区切って単価を出して民間業者の積算と大体合わせる。つまりこのことはコストに見合ったというよりも、そういうことが言われているわけですが、あえてこの時期になぜそういう改定に踏み切られたのか、そこに政策的なものを思うわけです。同じことで言えば、去年もおととしも同じだったわけですね、理屈を言えば。そうじゃなくてこの時期に、しかも経営が困難になっているというわけではなくて黒字である時期にあえて料金改定、大幅な値上げをする。それだけ消費者の懐は三百億円痛むわけですから、私はやはりこれは適切ではないと言わざるを得ませんし、そういうことから考えてみますと、電電二法と絡んで民間業者が参入できる条件、参入しやすい条件あるいはそういう条件整備に一つ大きな意図があったのではないかと感じざるを得ないのですが、この点については、できれば総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
  245. 真藤恒

    真藤説明員 今お話の中で一つ私の方から説明が抜けておる点がございますが、レンタルの場合には耐用年数までそのものをレンタルしていただくということはほとんどございません。耐用年数が来る以前にレンタルバックになります。しかも、今みたいに端末機の種類が刻々と新しいもの、便利なものに急激に変わっている時代では、一たんバックされたレンタルの古いものを再使用するということは不可能でございます。そのために、現在レンタルバックされてきたもののストックがだんだん急速にふえておりまして非常に危険な状態にあるということをはっきりここで御説明申し上げておきます。ですから、レンタルというものはある意味からいいますと端末機械が改良されて新しいもの、より便利なものにどんどん変わっていく世の中では既に時代おくれの制度であるということが、今いろいろ御質問の中に矛盾が出てくる一つの理由になっておるということを御了解いただきたいと思います。  それで、そういう意味で売り切りというものの試用を一部の機種についてはお認め願って、今、試行時代に入っておるわけでございますが、そういうことでレンタルバックというものがこれから先私どもにとっても非常に危険な制度である、私どもの方に減価償却しない以前のレンタルバックがかさんでくるということは、結局そのコストは加入者の皆さんにおっかぶせる結果になりがちのものになるわけでございますから、このところが一つ私の方の説明が不十分でございました。  問題はこういう時期にということでございますけれども、今までの料金体系を決めて十年近くたっておりますが、当時の一時間当たりの人件費と現在の一時間当たりの人件費は一対三ぐらいの、二倍半ぐらいの変化をいたしております。したがいまして、こういう仕事は人件費が高くなったからといって昔一時間でやっていた仕事を二十分でやるわけにはまいりませんし、合理化のできる仕事ではございませんので、やはり人件費の値上がりに並行して刻々変えていくべきものが変えていなかったというところに問題の種があるように私どもの立場から考えておるわけでございます。
  246. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の御答弁で、もっと刻々に変えるべきものを変えていなかったというのはある面の真理だろうという気もします。しかしまさに二法が問題になっている時期にこういうことをやられるということは、民間参入の条件を整備していくということで国民に負担をかぶせることになるわけで、私としてはこれは好ましくないと言わざるを得ぬわけです。先ほど御答弁いただきましたが、大臣もそういう点含めてお考えいただきたいと思いますし、ほかの問題でも、付加使用料にとどまらずいろいろな問題でもっと精密な検討で、下げるべきものは下げるということをお願いしたいということを申しまして、次の最後の質問をさせていただきたいと思います。  それは、やはり電話関連でありますが、公衆電話会についてであります。公社の赤電話を各商店などが取り扱っておられるわけです。この受託者で公衆電話会というものがつくられていると聞いているのですが、どういうことを目的にした団体でどういう事業をやっておられるのか、その点をお聞きしたい。
  247. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先生質問の公衆電話会は、財団法人日本公衆電話会と正式には申しまして、公衆電話受託者の啓発等行うことにより公衆電話利用者の便益増進を図るため、昭和四十七年八月設立された団体でございます。公衆電話の受託者を会員といたしまして、その数は現在約五十万ということでございます。  具体的な事業といたしましては、公衆電話の設置環境の整備及び公衆電話の取り扱いの適正化に関する指導業務、それから公衆電話利用増進に関する啓蒙業務、それから機関紙の発行による会員との連絡、さらに公衆電話受託者の福利厚生及び相互共済のための事業、このようなことを行っている団体でございます。
  248. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 聞くところによりますと委託料、定額部分が月千円ということのようですが、これが全部受託者の方には届いていないと聞くのです。これは直接公社から受託者に支払われるべきものではないのでしょうか。
  249. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  現在公衆電話の受託者の方に公社から定額手数料として月額千円差し上げております、そのほかに御利用一回当たり一・五円、こういうことでございます。この定額手数料でございますが、年四回に分けまして、具体的には六月、九月、十二月、三月でございますが、これを公社から受託者の口座に振り込む、こういうことでございます。その際、受託者との間で契約を結びまして、六月の分につきまして千二百円、これは公衆電話会への会費でございますが、千二百円を日公会の口座に振り込む、このような契約を行っております。そのほかの一度数当たり一・五円の手数料につきましては、毎月の度数料と相殺してお払いしている、このようなことでございます。
  250. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これはほとんど受託者全員がこの電話会に入っておられるようですが、私ちょっと不明朗に思いますのは、任意団体ということであるのですが、事実上は会費を天引きされているということになるわけですね。天引き問題は以前国会でも問題になったことがあります。あくまで任意団体ならば、受託者に一たん公社から支払われて、後は任意で加入するというふうにするのが適切ではないか。その他いろいろ電話会をめぐっての問題もあるのですが、きょうはもう時間が来ましたので、そこは省略いたしますが、その点お考えを。
  251. 草加英資

    草加説明員 お答えいたします。  先生は任意団体とおっしゃいましたが、先ほど申し上げましたように財団法人でございまして、会費につきましては財団法人の定款で定めてございまして、年千二百円徴収する、このようになっておりますので、御了解いただきたいと思います。
  252. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  253. 志賀節

    志賀委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  254. 志賀節

    志賀委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  255. 志賀節

    志賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  257. 志賀節

    志賀委員長 この際、請願取り下げの件についてお諮りいたします。  本委員会に付託になっております請願中、簡易保険保険金限度額引き上げ反対等に関する請願第一三六五号外一件につきましては、それぞれ紹介議員より取り下げの願いが提出されております。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明十二日木曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四分散会      ————◇—————