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1984-03-26 第101回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十六日(月曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 志賀  節君    理事 加藤常太郎君 理事 戸井田三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       亀岡 高夫君    近藤 鉄雄君       近藤 元次君    左藤  恵君       佐藤 守良君    白滝 仁吉君       谷  洋一君    額賀福志郎君       長谷川四郎君    原 健三郎君       渡辺 紘三君    阿部未喜男君       伊藤 忠治君    中村 正男君       松前  仰君    森中 守義君       小谷 輝二君    鳥居 一雄君       小川  泰君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         郵政政務次官  関谷 勝嗣君         郵政大臣官房長 奥山 雄材君         郵政省電波監理         局長      鴨 光一郎君  委員外出席者         法務省人権擁護         局総務課長   堤  守生君         文部省社会教育         局視聴覚教育課         長       大谷  巖君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理          事)      矢橋 幸一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川口 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     荒井 治郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     横井  昭君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         長)      片岡 俊夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀田 一成君         逓信委員会調査         室長      芦田  茂君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十六日  辞任        補欠選任   足立 篤郎君    谷  洋一君   園田  直君    白濱 仁吉君   中井  洽君    小川  泰君 同日  辞任        補欠選任   白濱 仁吉君    園田  直君   谷  洋一君    足立 篤郎君   小川  泰君    中井  洽君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 志賀節

    志賀委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
  3. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 伊藤でございます。雰囲気や作法になれていませんので、どうぞひとつよろしくお願いをいたします。  NHK問題に入ります前に、大臣に対して冒頭にお伺いしたいことがございますが、電電改革法案についてでございますが、たしか提出期限が明二十七日に迫っているように伺っております。前回委員会でも先輩委員皆さんから若干の質疑がございましたけれども、それ以降現在時点でその調整作業がどの辺まで進んでおりますのか、明日には予定どおり上程運びになりますのかどうか、このあたりについてひとつ、大臣の方からできましたら事情の御説明を賜りたい、かように思います。
  4. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今、御指摘のとおりに、二十七日が法案提出の一応の締め切りめどになっております。現在の段階で申しますと、きょうは党の方で最終的な調整を行うということで、これは私が伝え聞くところでございますが、党の方の行財政調査会の御意見、そして正式には国際経済対策調査会という形になっておるかと思いますけれども、江崎さんが会長になっておる、そういった対外経済の方の担当責任者の御意見等々を踏まえて、できれば本日中に党としての結論を出したいということのようでございます。  したがいまして、私たちも本件の問題を党の裁定に一応ゆだねておるという立場上、その結論を待った上で法案提出という段取りになりますから、先生が御指摘されたように二十七日の締め切りまでに出すということは、今日の事態の模様からいうと、事務的には無理でございます。
  5. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしましても、この法案につきましては我が国の電気通信事業の百十年の歴史、しかもその歴史を踏まえまして二十一世紀に向けて高度情報化社会の進展に対応するためにも、悔いを残すということになってはならぬと思いますので、今、大臣もおっしゃっておられますが、これまでも大臣みずから強調されておりますけれども、電電改革問題がぜひとも正しい結論が出されますためにも、拙速主義には陥らないように慎重な対処をひとつお願いを申し上げたい、かように思います。  それでは次に、NHK問題に関連をしまして幾つかの点について御質問申し上げますが、まず受信料値上げ問題についてでございます。  今回の受信料改定につきましては、既に前回委員会でもるる議論がなされているわけでございますが、今回の料金改定しなければならないその理由というのはそれなりに明記をされているわけでございます。つまり一口に言いますと、五十五年度に改定がなされて以降、その値上げといいますのは五十七年度までの三カ年しかもたないところであった。しかし物価上昇鎮静傾向、さらに協会側要員効率化の推進、経費削減等努力によりまして、当初見通しょり百四十五億円の改善を図ることができた、この結果五十八年度の値上げを避けることができ得た、しかし五十九年度以降を見通しました場合に収支赤字が累積をいたしますことから、今回値上げに踏み切らざるを得ない、こういうことだろうと思うのですが、今回の値上げ理由はたとえそうだとしましても、三年先にはまた同じように値上げが繰り返されるのではないかということでございます。このような繰り返しが将来にわたって長く続いていくということになれば、その節々の値上げに対しまして、どうしたって、値上げは反対だとかあるいは値上げの幅を少なくしろというような意見が出るのは私はむしろ当然だろうと思うのでございます。  私が強調いたしたいのはそうではなくて、衛星放送がもう開始をされるわけでございますし、ニューメディア時代に突入していまして、視聴者の多様なニーズにこたえなければいけないという立場にあると思うのですが、BS3が五年先にはこれもスタートいたしますけれども、このような新たな情勢を踏まえました将来の経営対策受信料で言えばこのようにやっていきたいという料金政策が今時点で何ら示されていないというふうに思うわけでございます。やはりここに一番大きな問題点があるのではないか、このように考えられてしようがございません。乱暴な言い方で恐縮でございますが、五年後にはこのように料金体系改革をしていきたい、これは長期スパンで見れば視聴者皆さん負担を軽減することになるのだ、だから今回の値上げはそれに到達する過程一つの節である、したがって視聴者皆さんにもひとつ御協力をいただきたいという、具体的な展望を明らかにした上で値上げの提示をすべきだと思うのですが、こういう考え方について大臣あるいは会長の御見解を承りたいと思います。将来の具体的な展望をもし現時点でお持ちでございましたら、そのことも含めましてひとつお聞かせを賜りたい、かように思います。
  6. 川原正人

    川原参考人 協会の将来の経営、特に一番肝要な財政基盤につきましては、私どもも御指摘のとおりこれから先五年なり十年なりのところを十分展望しなければ経営はなかなか進められないと思います。  私どもとしましても、今展開を始めております新しいメディア開発、それがどのような形で受信者に受け入れられ、またそこに協会の新しい財政基盤を求め得るかどうか、これを十分議論をいたし、なおかつ今でもいたしております。私どもとしましては、やはりこの新しいメディア、特に衛星放送あるいは文字放送等がある程度普及をし、かつまたそのサービス番組というものが相当の受益感を持つようになれば、やはり受益者からある程度負担をしていただくということは当然考えなければいけないだろうというふうに思っております。  ただ、今の段階でそれでは何年先にそのような形の事業が展開できるかという点になりますと、一つ技術開発速度もございます。しかし同時に技術開発速度でなくて、やはりその中で提供するソフトといいますかサービス、どのようなものがこれから展開できるか。そしてかっそれが、高度情報化社会と言われておりますけれども、これからのそういう社会の中でどれだけ視聴者、国民に受け入れられるであろうか。この見通しは大変難しいところでございます。したがって、今三年先あるいは五年先にかくかくしかじかの方途を講じ、それでこのぐらいの量的な財政収入が確保できるということは、残念ながらなかなか申し上げられないという段階で、私どもとしては現在の受信料、この制度の上に協会経営を運営していくしかない。将来仮にこの種の新たな収入考え得るとしても、その最初の段階においてはそれほどの大きな額にはならないと思われますので、ここ当分今の全視聴者に御負担いただく受信料をもとにして協会経営、それからまた新しいメディア開発もその中で進めていくしかないだろうと思いまして、今回のような提案をしたわけでございます。  もちろん、先々単なる副次収入という程度ではなくて、もっと新しい財源を新しいメディアの中に求めていく。その姿勢は私ども十分持たなければいけないし、そのために日夜議論をさらに詰めていかなければいけないと思っておりますけれども、当分の間はやはり現行受信料制度というものの上に協会財政を進めていくしかちょっと方途は見つからないというのが正直なところのただいまの見解でございます。
  7. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御指摘は、もう非常に将来を見越しての深いところを御指摘になっているような気がするのです。それは私のような素人が聞くとよくわかるのですけれども、この宇宙放送にかけておる多額経費、こういった形が将来において恐らく料金に大きくはね返ってくるのじゃないか、それを心配されているのだと思うのです。一般放送受信料で特別な装置をしなければ見れない、はっき方言うと、特別な放送を見れる人に対価を全然払ってもらわないで、そしてなおかつBS2段階からBS3の段階に移った場合に民間が参入いたします。そういった場合に余りにも逆差別というか公共放送であるという性格が一方にあり、片やこの宇宙放送を継続していくために非常に多額経費がかかる。これらの競合関係も含めて、一体将来の見通しいかんということであろうかと思うのです。  非常に御示唆に富んだお話だと思いますし、実は私どもの悩みもまたそこにあるわけです。公共放送であるという関係、あまねく公平な受信料制度でございますし、それといま一つはそういった受信料制度にどういう影響を与えていくかという観点、これは非常に大きな問題だと思っております。しかも将来想定されるBS3の民間波との料金競合関係において新しい方式をひとつ考えなければいかぬ時代が来るのじゃなかろうか。これはもちろん国会の審議にまった上で、将来において放送法の改正にもつながるような大きな問題点をはらんでおるということでございます。したがって慎重に、将来のめどを含めての検討体制というものが必要ではなかろうかというぐあいに考えております。
  8. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今大臣もお答えいただきましたけれども、結局そのあたりがはっきりしていないものですから、放送衛星開発の分まで、我々は利用しないけれども負担をさせられるのか。それで今回はそういう値上げが出てきたんじゃないかということに対する視聴者の気持ちは非常に強いと思うのです。少なくともNHKという公共事業体、これは極めて重責を担われているわけですし、大きな事業でございますが、そういう場合には向こう十年間ぐらい見通して、将来はこのようにやっていきたい、具体的なことはともかくとして大筋はこのようにやっていきたい、その過程一つ値上げなんだから、例えば今回の値上げでは非常に不公平な部分があるけれども、将来長いスパンで見れば、これはむしろ軽減になる道であるということが明らかにされませんと、どうしたって値上げ問題だけで空回りするのじゃなかろうか、このように私は考えられてしようがございません。  そこで、経営委員会としては経営委員会立場でそういう将来を見通し議論というのは現実になされているのかどうか。なされているとするならばどの程度まで議論がいっているのか、この点は、わかりましたらお伺いをいたしたいと思うのですが、お見えになりませんでしたら、また次の……
  9. 川原正人

    川原参考人 その問題は、経営委員会の席でも議論されております。それは、経営委員会経営委員の方だけで御議論する場合もありますが、大体において、私以下執行部もその席に出て、いろいろ意見を求められております。  今回のこの経営計画策定過程において、その先の協会経営は一体どのように考えるべきか、かなり各経営委員からの示唆もございます。私ども、今いろいろ議論している過程は率直に申し上げております。ただ、こういう席にきちんとした形、文字にして出すまでに、申しわけありませんが、議論がまだ煮詰まっていないというのが実情でございます。
  10. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしましても、そういう考え方はお持ちでございますから、早急にひとつ御検討を賜りたいと思います。  続けますが、今回の料金徴収方法が、訪問の集金口座振替の二本立てに提案をされているわけでございますが、NHK財政視聴者受信料に依存して成り立っております以上、やはり納入しやすい方法考えていくというのは当然でございます。しかし、値上げの前に、現行料金体制あるいは徴収体制の中で不備な点はあるのかないのか、あるとするならば、そのあたり対策を充実させるために最大限努力を講じるという姿勢が極めて重要だろうと思うわけでございます。もちろん増収対策に焦点を当てるならば、既にこれは審議会でも一定要請がなされております。つまり、普通料金カラー料金の一本化についてでございます。それで、この点については、NHKの態度として、要請が出ておりますけれども、私たちとしては、その前にもちろんやることがございますので、この点についてどういうお考えをお持ちなのか、しかも、それの具体的な対処策を今後どのようにやられようとしておりますのか、この点一点御質問申し上げて、見解を賜りたいと思います。
  11. 坂倉孝一

    坂倉参考人 現行カラー料金白黒料金と申しますか普通受信料というのは、四十三年の受信料体系改定するとき設けたわけでございますけれども、その後、カラー放送は年々拡充されてまいりまして、五十二年からは、NHK放送はもうすべてカラー化されているわけでございますので、その放送を実施するという、そちらの経費の面から見れば、確かに先生指摘のとおり、カラー料金普通料金を区別する意義はないということも言えるかとも思うわけでございます。それから、先生お話ございましたように、この問題につきましては、いろいろな、NHKがこれまでお願いをいたしました審議会等におきましても、その一本化の方向について前向きに検討するようにという御提言をいただいておりまして、NHKといたしましても、その点につきましては検討を続けてまいっているわけでございます。これは、先般も会長から申し上げましたように、前向きの方向で、一本化の方向で進めていきたいと考えるわけでございますけれども、ただ、現在の状況でございますと、一挙に一本化するというのは、料金格差から見て無理があると申しますか、御理解を賜るにはもう少しその時期を見なければならないのではないかと考えておりますので、今回の受信料改定におきましては、この三百六十円という料額格差をこれ以上広げることはなく据え置くという、そういう意味では率の上ではカラーより高率になったわけでございますけれども、この三百六十円という格差を変更しないで、一本化が円滑に実施できる方向努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  12. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 お考えを伺いまして、一本化を急ぐために現行制度の中で打たなければいけない種々の問題がございますが、そのことが軽視をされるということではいけないと思いますので、私もその考え方は同意できます。  それで、そのことを前提にしまして強調申し上げたいのは、現在、普通契約ですか、普通料金契約件数が二百万あると、誤りでなければそういうように聞いておりますけれども、この皆さんはすべてがモノクロテレビだろうと思うのでありますが、これはそうでないという実態把握方法がございません。しかし、実際はカラー普及をしておりますので、その点を新たな開拓分野というふうに見ていいと思うのでございます。その場合に、それを切り込んでいけますのは、集金人皆さんでございまして、たしか四千名少し超えるぐらいの皆さんみえでございます。郵政委託を含めますと、数はもっとふえると思うのでございますが、そういう皆さんにひとつ努力をいただいて、現行体系下においてもそういう増収対策を強めていくということが、極めて重要だろうと思うのが第一点でございます。  二点目は、未納者滞納者対策を強めていく。これは、もちろん方針でも出されておりますので、NHK側としてもそのように対応なさるのでございましょうが、とりわけ、そういうことを考えますと、集金人役割というのは今後ますます重要になってくると思います。NHK視聴者の間を結びますパイプの役割を、この集金人皆さん方が実際には果たしておみえになるのじゃなかろうか、私たちはこのように考えるわけでございます。いい場面というよりも、むしろ厳しい対応を迫られるような場面が、そういう方は非常に多いわけでございますが、それにもめげずに頑張っていらっしゃるということが、今日のNHK財政基盤を支えているといいますか、確立をしている大きな役割を果たされていると思うのでございますが、今後ますますそういう対策を強めていくお考えなのかどうか、この点について協会側見解を伺いたいと思います。
  13. 林乙也

    林参考人 お答え申し上げます。  NHK受信料制度は、NHK放送を受信できる受信機を設置した方々によって公平に御負担をいただくのが本旨でございまして、そうした点からいたしましても、現在、私ども契約収納業務上とっております集金人方々重要性というものは、協会財政基盤を支えるものというように、非常に重要に考えておるわけでございます。  契約収納業務の内容を若干、御説明申し上げますならば、一般的な契約収納業務のほかに、ただいまも御指摘がございましたような、料金を滞っておられる方々だとか、あるいは未契約方々に積極的にお会いいたしまして、協会業務に御理解をいただく中で契約をいただき、また収納をいただかなければならないわけでございまして、そういった意味からいたしましても、委託によりましてお願いいたしております集金取扱者方々の活動というものを中心にして今後とも業務を運営していきたいというふうに考えております。
  14. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 時間がございませんので、次に移らしていただきます。ぜひともそういう積極的な立場対策を進めていただきますようにお願い申し上げたいと思います。  次に移りますが、衛星放送ニューメディアのことに関しまして質問をいたします。  衛星放送BS2、これを飛ばしますのに、NHK負担分だけでも三百六十億円という巨費を投じてやったわけでございますが、これを負担する全体の視聴者に対しましても衛星放送のメリットを還元するために最大限努力を払っていかなければならぬのじゃないか、かように考えるわけでございます。私はその立場に立ちまして、当面はNHKが既に計画をなされております再放送時間を活用しての独自番組を流すだとかあるいは時差放送を行うということで出発をするといたしましても、今後は逐年ごとにさらに魅力ある番組の制作に取り組んでいく、視聴者ニーズにこたえていくためにそういう努力をすべきだと思うのでございますが、この点について御見解を賜りたいと思います。
  15. 坂倉孝一

    坂倉参考人 このたび打ち上げまして五月から放送開始いたそうといたしておりますBS2のこの二チャンネルにつきましては、やはり何と申しましても難視聴解消を図るということが基本でございますので、そこを中心に置いた、地上の総合、教育テレビ同時放送ということを中心番組編成をいたしているわけでございますけれども、今先生おっしゃられました再放送時間につきましては、できるだけ普及促進のための編成上の工夫ということをいたしてまいろうというふうに考えているわけでございます。一般方々、つまり衛星放送をごらんにならない一般方々への配慮ということでございますけれども、私どもはやはり衛星の持ついろいろな可能性というものをBS2段階におきましても実験を重ねてまいりますし、さらに今まで山間僻地から機動的な中継ができなかったようなところも、こういった放送衛星を使って機動的な中継をするとか、非常災害時にはできるだけ活用するといったような有効活用については考えているわけでございますけれども、当然将来につきましては、衛星放送普及状況、それからどんどんふえてまいります視聴者方々の御要望、それにいろいろ経費負担問題等等もございますけれども、そういうものも含めてさらに検討をしてまいって、衛星放送の特性を生かした放送サービスの充実によって、衛星放送の一層の普及促進を図る方向に持っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  16. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 衛星放送のことに関連をしまして、次に、BS3の時代が五年先にはやってくるわけでございますが、既にそのことを予想されてまして、民放界からは参入という動きが活発でございます。申請がなされております。その中身としまして、料金問題についても一定計画が明らかに、大枠ではございますけれども基本的な考え方について明らかにされていると聞いておりますけれどもNHKの場合は、言葉が悪いですが、母屋を貸して何とやらというようにならないように、主体的にNHKとしてのBS3の衛星放送役割を担っていく、こういう責務があろうと思います。その場合の例えば新たな料金制度料金体系はどうあるかという政策が星の開発の後追いにならないように、早い段階から、NHKとしてはこのようなサービスをやっていく、料金はまたこのように考えているということを国民の前に明らかにされて、国民の判断を求めていくという積極的な姿勢がなければならぬと思うのでございますが、その点についていかがお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  17. 坂倉孝一

    坂倉参考人 その点につきましては、先ほど会長からも若干御答弁申し上げたわけでございますけれども、さしあたっては衛星放送の内容が難視聴解消あるいは新しい将来へ向けての実験的な開発といったようなことの研究という段階におきましては、これは今まで難視聴解消といったことに一般視聴者の御負担をいただいてきた総合料金ということで参るという考え方でございますけれども、これが今後衛星の特性を生かしました新しいサービスが充実をいたしました段階におきましては、当然地上放送とは異なる受益感の強いような内容になっていくわけでございまして、そういう段階になりますと、受信設備の普及状況ということも相当大幅に進むでありましょうし、受信状況ということを最大限に考慮しながら、そういった点では今、先生の御指摘の新たな料金体系の設定ということも考える必要があるわけでございますので、その点に向けましてさらに慎重な検討というものは現時点から深めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  18. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 簡潔にお願いしたいと思うのですが、お考えの趣旨は理解いたしました。  次いで、ローカル放送について御質問を申し上げますが、ローカル放送を拡充強化していくという考え方については協会側としてもそのように態度が述べられております。それで拡充強化の立場を前提にしながらその中身について以下三点についてぜひともお願いを申し上げたい、このように考えるわけでございます。  その一つは、ローカル放送拡充のためには時間枠を毎日設定してやる方法を考慮いただけないかどうか。しかもその時間帯といいますのは、多数の人々が視聴可能な時間帯を設定いただければありがたい。  二点目は、ローカル局への、番組だけではございませんで、そういう番組を立派なものにしていこうと思いますと、当然予算の問題、要員の問題、機材の問題、これらを増強する必要があると思うわけでございます。三つ目は番組編成に当たりましては、高齢化社会を意識された、高齢者に関心を持たれるような番組の作成についてもぜひとも配慮いただきたい。以上三点のローカル放送の依充強化について要望申し上げたいと思いますが、これについてNHK側の御見解を賜りたいと思います。
  19. 川口幹夫

    ○川口参考人 高度情報化社会という流れの中で情報を伝える側も、一つは国際化、ワイド化という方向に行きますけれども、もう一つはやはりローカルへの対応、それから地域社会の重視と、みずからの、内を取り巻く問題というものに対して目を向けなければいかぬと思っております。したがって私どもは、ローカル放送の強化につきましてはかねてから力を入れてきたつもりでございますけれども、五十九年はさらに幾つかの点で改善をしてまいりたい、かように思っております。  一つは、先生のおっしゃった時間枠の問題でございますけれども、時間の増をいたします。現在は十分程度の増を考えておりますけれども、六十一年度までにはローカル放送は三十分、ラジオもテレビも増加になるようにしたいと思っております。その中で、特にいわゆる視聴好適時間に合わせた番組編成もできるように十分考えていきたいというふうに思っています。  それから二番目に、ローカルに対する予算の拡充と要員、機材でございますけれども、いずれも協会はなかなか厳しい現状にございますけれども、その中で、予算、機材、人員とも適切な配置をしていきたいと思っております。これについては新しいローカル放送構想というものを立てまして、現在その実現に向かって検討を続けている段階でございます。  それから三番目には、高齢化社会に向かってのローカル放送ということでございますが、一つの例をちょっと御紹介したいと思います。  これは東北地方での五十九年度の番組編成に当たっての重点事項ですが、この中の第二項に、「高齢者比率の著しく高い東北地方における地域社会の構成の変化がもたらす諸問題と高齢者の雇用・健康・福祉など多角的に究明し、あるべき姿を検討する」こういう例がございますけれども、ほかにいずれの地方でも高齢化問題については特に念を入れたいというふうに思っております。
  20. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 最後に、放送のあり方について質問を申し上げたいと思います。  言うまでもなく、放送といいますのは極めて公共性の高いものでございまして、表現の自由が保障されるという点では民主主義の基本にかかわるものでございます。このような位置づけに立ちまして放送法第一条では、放送の不偏不党、公平中立をうたっているのだ、かように思うわけでございます。また、放送番組編成に当たりましては、政治的に公平であること、意見が対立している問題につきましてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、これが放送法第四十四条三項四号ですか、これに明記されているわけでございまして、これは放送法第一条のかがみを受けた、それの具体的な規定であるように踏まえているわけでございますが、こういう点について大臣はどのようにお考えでございましょうか。私は当然だと思うのでございますが。
  21. 奥田敬和

    奥田国務大臣 公共放送のもちろん原則的な建前として、不偏不党、政治的にも中立の公共放送機関であってほしいということでございます。大体うまくやっているのじゃないかと思うのです。ということは、私たち、これは全く党内においても、NHKに対する不平不満と申しますか、そういった不偏不党的な中立的報道という立場に関してはいろいろな意見が実はございます。ですけれども、政権党の立場からいってそれくらい、ぎゃあぎゃあというわけでもありませんけれども、表現が悪いですけれども、文句が出るくらいが公共放送機関として適正な道を歩んでいる、私はそのように感じております。
  22. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そこで、大臣お願いがございますが、実は、民放で放映をしております政府広報番組のことでございます。それで、十二チャンネルで一月二十二日の十時から放映されました「話題のひととき」、これはシーレーン防衛が強調されております。十チャンネルでは二月四日午前八時からの番組で、「あまから問答」と題しまして北方領土問題が放映をされているわけでございます。これらはいずれも世論を二分しかねない論争を含んでいる問題だと思うのでございます。ですから、政府側としては主張したいということがおありであるのは、当然私たちもそれはそうだと思うのでございますが、例えば「話題のひととき」の放映番組では、テープを起こしたわけでございますが、かつてのオイルショックと物資輸入をダイレクトに結びつけまして、こういうふうなやりとりがございます。「おいしそうなてんぷらそばですねえ。」と女優さんがおっしゃる。「でも、エビの七四%、そば粉の七八%は輸入に頼っているんです。ですから、輸入がストップしたら大変ですね。」こういうところでシーレーン防衛に結びつきます。次の場面では、「おお寒」とぶるぶる震えるようなまねをしながら、「何だか寒いと思ったらセーターがないんです。そう。ウールの一〇〇%は輸入に頼っているんです。」こういうやりとりがございまして、「だから海上交通の安全を確保するためにシーレーン防衛力の強化が必要なんだ。」こういうふうに結んで、このコマーシャルというのですか広報は終わるわけでございます。  私がお願い申し上げたいのは、五十九年度の総理府の広報予算が、間違いがございませんでしたら、把握しておりますのは百二十三億五千万円、テレビとラジオが五十億三千六百万円。これもいずれも国税を使って放送するわけでございますから、やはり不偏不党の立場で行ってほしいと思うのでございます。放送法四十四条の規定にありますとおり、もしやるのだったら、反対意見のあることもこの場合にはつけ加えていただかないと、そのことだけを聞きますと、やはりそのために世シーレーン防衛が絶対に必要なんだなということをワンサイドから強調することになると思いますので、不偏不党の立場で編集、放送がこれからもやられますように、監督官庁の責任者としてぜひともひとつ御配慮、御注意を賜りたいと思いますが、これに対しての大臣見解をお伺いしたいと思うのです。
  23. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先ほどの形は、NHKに関して、公共放送としての一つの原則的な立場で私は話したつもりです。今のお話は非常にデリケートです。これは、民間放送は有料方式をとっておりますから、恐らく先生の御指摘は、政府のそういった公費でもってやるのはけしからぬじゃないかということだろうと思うのですけれども……(伊藤(忠)委員「けしからぬとは言っていないですね」と呼ぶ)やはりあまねく広く政府の今とっておる政策立場を御理解してほしいといっても、NHKではなかなかそういう形になりません。  したがって、今数字をお挙げになりましたけれども、政府としても一つの限られた広報予算の枠を持っております。今、例を挙げられましたけれども、私も何回か出た経験がございます。政府の広報予算で、それは郵政省の郵便切手とかなんとか、その点を通じて、逆に郵政省が国民に密着しておる事業を果たしておるという形。これも余りどぎつくならない程度に、私たちは、わかりやすい形での政府施策理解をしていただきたいという一念からで、何も押しつけた物の言い方でなく、できるだけ客観的な中でPRをしたいということで、このこと自体がいい、悪いの論議は、私は差し控えたいと思います。民間放送とのタイアップ方式というのはむしろあるべき姿だなあと。しかし、今言われましたように、国会論議の過程の中でも最大の問題になっている点については、これからも慎重な姿勢での広報体制を維持するという方向努力します。
  24. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 時間がございませんので、最後に一言申し上げます。  今御答弁がございましたけれども、やはり放送法が定められておりまして、その四十四条では、そういう場合にはこういう配慮が必要なんだよということを明記をしておりますので、そういう立場を踏まえてぜひともひとつ御指導といいますか対処を賜りますようにお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。どうもありがとうございました。
  25. 志賀節

    志賀委員長 中村正男君。
  26. 中村正男

    ○中村(正男)委員 まずもって、今日まで大変長きにわたりましてNHKの労使の皆さんが日本の放送文化の担い手として非常に難しい環境条件の中で日夜努力をされていることにつきまして敬意を表するものでございます。  さて、質問の第一点でございますが、今回の受信料値上げとこれからの経営努力につきまして幾つかの観点から質問をいたします。  その第一点は、六十五年度をめどといたしております千五百人の純減計画についてでございます。私は、値上げのたびに、値上げを認めてもらうかわりにこれだけ人を減らします、こういう考え方についてはどうも賛成ができないわけでございまして、むしろこういう値上げ提案されるときには、先ほども論議がございましたけれども、長期ビジョン、先を見た効率化、これを第一に提起されるのが大変重要かというふうに思うわけでございます。二十三日の審議のときにもございましたけれども、どんどんNHK業務というのが肥大化をいたしております。私も率直に言ってどこかで歯どめをかけてスリム化を図っていかなければいけない、こういう立場に立つわけですけれども、しかし現実は星の打ち上げ、さらには放送時間の延長、そして番組の充実、四月からは週三本の特集番組になっていくというふうなことを聞いておりますが、制作現場は非常に負担がふえております。今でも人手が不足をしておる。加えて高齢化がどんどん進んでおるわけでして、一体これからどうなっていくのか、非常に不安がいっぱいな現場の状況だと私は思うのです。そこで、この一千五百人の純減計画につきまして、NHKの労使として相互理解がこの段階でできているのか、まずそれをお聞きしたいと思います。
  27. 横井昭

    ○横井参考人 お答え申し上げます。  私ども、今日の企業の経営というのは、健全な労使関係と労使の深い信頼関係の上に成り立つものだという基本的な認識をしております。特に効率化問題というのは労使双方にとって極めて重大で厳しい問題でございます。そういう意味から申し上げますと、通常の交渉以上に効率化問題については経営側としては組合と腹を割って話していく姿勢をとってきたつもりでございます。千五百人純減、一万五千人体制につきましては、昨年秋、組合に御説明をいたしましたし、今後年度の実施計画のたびに組合と話し合いを続けてまいりたい。しかし、この厳しい効率化の問題はそれなりにいろいろな経緯がございまして、なかなか難しい問題もある。しかし、我々は誠心誠意組合に御説明申し上げ、労使関係を抜きにしてこれは実現できませんので、協会が、NHK公共放送としての使命を達成する基本的な課題として我々は今後も誠意を持って組合と交渉してまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今の答弁では、率直に言いましてまだ組合側の意見考え方というものが十分協会幹部の方々については御理解できていないというふうに受け取るわけでございますが、相互信頼をさらに高めていく努力をぜひひとつ続けていっていただきたいというふうに申し上げておきます。  二つ目は、仕事がどんどんふえてくる、しかし人は減っていく、こうなりますと当然有効な人材活用が極めて重要になるわけですけれども、これも二十三日の審議の中で若干出ましたが、森本アナウンサーの退職問題、これはややペイか、また能力発揮の場が既にもうNHKにはないというふうに本人としては判断されたのか、そのどちらか、両方の要素があると思うのですが、私はそういうブラウン管に出てくる茶の間に親しまれているその人たちだけでなしに、もっと現場では有能な技術者だとかあるいは制作者、そういう方々が現在のNHKの労働条件なりあるいは仕事の場という中で不満を感じて、途中で退職されておる方々がかなりおるというふうに聞いているわけですけれども、その実態についてお答えをしていただきたいと思います。
  29. 横井昭

    ○横井参考人 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、我々放送局というのは文化機関であり、言論報道機関でございますし、その根底はやはりそれぞれ職員の能力と理性と見識というものがいい番組をつくり上げていく、こういうふうに考えております。そういう意味ではできるだけそれぞれの個人個人の能力を発揮し得るような環境を整備するのが我々の最大の課題だ、こういうふうに考えているわけでございますが、毎年の退職者というのは、定年退職以外に死亡と依願と両方ございまして、通常百人から百二、三十人依願、死亡による退職がございます。大体死亡が二、三十人ございますので、七、八十人ぐらいの職員が依願退職するわけでございますが、大きく分けまして女性の結婚が非常に多いわけでございます。その次に家業を継ぐとか、若年層は協会をやめて大学に行くとか、それから脱サラと申しますか、サラリーマンを脱して個人の能力を発揮していく、こういう層が年に十数名という数字が平均した数字ではないだろうか、こういうふうに思っております。
  30. 中村正男

    ○中村(正男)委員 具体的な識別の退職者の数が答えられなかったのですけれども、私は先ほども申し上げましたように、労働条件さらにはいろいろな本人の能力を一〇〇%発揮できる職場、こういう意味合いではこのNHKの中の有能な職員がかなりやめていっているという実態を聞いておるわけですが、今、答弁されましたように、極めて有効な人材活用、言いかえますと人的財産に対する経営幹部の率直な認識、またこの森本アナウンサーの退職を一つ象徴的に見ますようなことに対する反省というものが二十三日の審議段階では余り感じなかったのです。重ねて会長の方から基本的なそのことに対する考え方をお聞きをしたいと思います。
  31. 川原正人

    川原参考人 私どもは一人一人の職員の能力を十分に発揮してもらいたい、そういうふうな職場をつくり、そういうふうな仕事の進め方をすべきだと思っております。ただ、何分一万数千人の職員もおりますし、職員の一人一人の能力の発揮の仕方あるいは勉強の仕方あるいは人生に対する考え方はかなり幅の広いものがございまして、一つの組織の中で全部が全部を一〇〇%満足させることは時には困難なものも出るかもしれません。しかし、いろいろなケースのたびに私どもは部内的には、なぜそういうことが起きたのだろうか、それに対して一体我々は何をすべきであったあるいは将来どういうことを考えていけばいいのかということは、常に議論をし、反省もすべきところはしておるつもりでございます。
  32. 中村正男

    ○中村(正男)委員 これと関連しまして、要は人材の有効活用ということになりますと、現在おる人たちに一〇〇%あるいはそれ以上の能力を期待するということになるわけですけれども、現実は同業他社に比べまして極めて賃金、所得の格差が大きい、平均数値で見ますと、新聞社と比較して月額約二万三千円、民放と比較いたしますと二万四、五千円の格差があります。また年収で見ますと、三十五歳時点では、新聞社との間では七、八十万円ある、また民放とは二百万円から二百五十万円の開きがある。まずこの実態についてどのように認識をされておるのか、そしてこの格差の是正について具体的にどのように圧縮を図っていかれるのか、その計画についてお考えをお聞きしたいと思います。
  33. 横井昭

    ○横井参考人 お答え申し上げます。  他企業との賃金の比較と申しますと、労務構成なり、それから業務の内容によって厳密の比較というのは極めて難しいものがございます。一応同業他社と比較してみますと、新聞で千人以上の十四社、民放は先発VHFの五十五社、これを総合的に平均しますと、二十八万円から二十八万二千円くらいでございます。NHKの現在の基準賃金の平均が二十五万八千円でございますので、二万円から二万円強の格差がある。それから、その他の一流企業との比較も、これまた非常に難しくて、公的機関であります中労委とか日経連の調査によりまして、大卒三十五歳のモデル賃金で言いますと、協会が数千円から一万円低いというような実態でございます。  私どもとしては、NHKと申しますものは、何といっても放送機関、文化機関、言論報道機関でございますし、あくまで人間が番組をつくっていく、そういう点から申し上げまして、民放同業各社と遜色のない賃金を獲得することが望ましいことだ、こういうふうに考えております。ただ、NHK財政は、御承知のように、受信者皆さん方受信料によって成り立っておるものでございますし、そういう意味では受信者皆さん方社会的な納得と理解が得られるものでなければならない、こういうふうにも考えるわけでございます。  そういう意味で、協会としましては、年度の財政状況と同業各社の賃金の動向、それから民間賃金の水準等社会的な状況を総合的に勘案して当年度の給与を決定していきたい。先ほども申し上げました同業他社との格差につきましては、今言った考え方の中で鋭意格差の縮小に今後努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  34. 中村正男

    ○中村(正男)委員 大変抽象的な答弁に終わっているわけですけれども、これはここの場では結構ですから、ぜひひとつ労使の間で目標年次、いつまでにその格差を圧縮するのか、明確に労働者に展望が持てるようなそういう協議をぜひひとつ強めていきたいということを要望しておきたいと思います。  二つ目は、いい製品、番組づくりについてでございますが、私はNHKの使命というのは、いわゆる民放的な視聴率争いというのですか、競争に参加をしていくのじゃなしに、親しみのある番組を送りながら、そして自然に視聴率が高まっていく、同時に国民も、視聴者の側も、自分たちNHKだ、こういう意識が生まれてくるというのが一番望ましい、こう思うわけですけれども、二十三日の審議では「おしん」について極めて高い評価がございまして、これは一応認めるところでございますけれども、そこで大臣にお聞きをいたしますが、日曜日の大河ドラマ「山河燃ゆ」は見ておられますか。
  35. 奥田敬和

    奥田国務大臣 時々ですが見ております。連続にちょっと見てない場面も相当あるんじゃないかと思います。
  36. 中村正男

    ○中村(正男)委員 率直な感想をお聞きをしたいのですが、これはきょうはその本題でございませんが、当初に比べますとどんどん視聴率下がっている。難し過ぎる、暗過ぎる、いろいろあるのですけれども、一方では、国際的な問題として反米感情をあおるような、そういう受けとめ方が現地ではなされておるというふうに思うのですが、それについて一言だけお聞きしたいと思います。
  37. 奥田敬和

    奥田国務大臣 アメリカ側にとってみると、やはり非常に事実指樹の事実のドラマ化でございましょうけれども、非常につらい、古い、お互いの傷を思い起こすということで、アメリカでは何か上映をお互いにやめたようでございますけれども、他方、私たちから見ると、戦争中のそういった形、戦争がもたらす悲劇、国境を超えた中での、今だったら理解できることが、当時は非常に厳しかったのだなということで、恐らく戦争経験のない若い人たちにとってみると、これは非常に勉強になるドラマではなかろうかと思っております。
  38. 中村正男

    ○中村(正男)委員 私も期待をしながら見続けておるわけですけれども、いささか見るのがしんどいなというぐらいちょっと難しい場面が多過ぎます。ただ、こういう社会性のある番組こそNHKがやはり努力をしていくということが大切でございますので、ぜひひとつさらに続けての努力お願いをしておきたいと思います。  そこでお聞きをしたいことは、それとは直接的には関係ないわけですけれども経営努力のこれからのあり方として、二十三日の答弁の中でも、業務の外部委託をさらにふやしていくというふうな答えがあったと思うのですが、民放の場合は、制作すべてを外注にゆだねるあるいは部分的に制作現場をそういう人たちに任すというふうなことを聞いておりますが、NHKの場合、現実の問題として番組制作の外注化をどの程度やっておるのか、また人員がどんどん減っておる中でのいわゆるNHKでない職員、外部からの社外工といいますか、そういうものがかなりふえているというふうに聞いているわけですが、その実態についてお聞きをしたいと思います。
  39. 川口幹夫

    ○川口参考人 番組を外注してやっているというケースは、今のところございません。NHKが外部から買って放送するというケースは、いわゆる調達というのがありまして、例えば海外のテレビ番組あるいは映画を購入するとか、それから日本の場合も、外部でつくりました映画を購入する、あるいはアニメーション番組を購入するというふうなケースでございます。
  40. 中村正男

    ○中村(正男)委員 社外工の実態わかりませんか。外部から職員以外の人が入って制作現場で働いておる人たちがふえておるというふうに我々は認識しているのですが、その実態の数字、わからなければ、状況だけでも答弁していただきたいのですが。
  41. 川口幹夫

    ○川口参考人 関連団体をどう活用するかとか、それからいわゆる番組を制作する上での付随業務といいますか、本質でないところの業務委託をしているケースはございます。  人数につきましては、今、私は正確に把握しておりませんけれども、例えば小道具の製作、大道具の製作、操作それからタイトル、美粧それから出演者へのサービス業務、フィルム現像、効果音、そういったものにつきましては、関連団体もしくは外部の業者に委託をしている、こういうことでございます。
  42. 中村正男

    ○中村(正男)委員 これも抽象的な答弁に終わっておりますけれども、私は外部からそういった人たちがたくさん入ってくる、その中で制作が行われるということについては、確かに当面の経費の削減にはなると思います。しかし、NHK協会という性格からいたしまして、そういう人たちがどんどんふえるということについては余り好ましいことではないのじゃないか、そのことを通じて、一つには協会内部の労使関係という問題も大きな影響を受けますし、また社会的にも不安定雇用の拡大、産業の二重、三重構造を広げていくということになるわけですから、適正な歯どめというものを労使で協議すべきではないのかというふうに思うわけですけれども会長のお考えをお聞きしたいと思います。
  43. 川原正人

    川原参考人 本来NHKがやるべき仕事が私どもの職員で全部できればそれは恐らく理想の形だと思います。しかし、それは相当大きな財政負担にもなりますし、NHKが今、社会的にもできるだけ効率的な経営を求められている中では、やはりNHKの主体性を失わない範囲で、かつまた世の中で行われている社会的な分業、その中で十分活用を協力していただける仕事につきましては、私はできるだけそういう協会外の力もかりて仕事をしていきたい。ただ、番組編集の自主性といいますか主体性、これはやはり協会は持っていなければいけませんので、その編集権なり企画なり、それにかかわるようなところは協会がいかなる場合でもみずから主体性を持って運営できるようにそこはきちっとしておかなければいけないと考えております。
  44. 中村正男

    ○中村(正男)委員 この問題については、ぜひひとつ民放的なそういう経営体質にならないように、やはりNHKは日本の放送文化の担い手でもありますし、伝統的なその技術のよさ、そういうものは継承していくべきと思いますので、十分労使で話し合っていただきたいと思います。  三つ目は売り上げ、いわゆる受信料徴収の増を図っていく問題でございます。これも先般の論議の中で、私が聞き間違えておれば訂正をお願いしたいのですが、滞納者がふえておる、五十八年の上期では九十八万九千世帯、また意図的な不払い者、これはNHKの用語でございますが、これが十二万世帯あるというふうに聞いたのですが、まずこの数字、間違ってないのかどうか。
  45. 林乙也

    林参考人 五十八年上半期末におきまして、滞納契約者が九十八万九千、また意図的な不払い者が十二万という御指摘はそのとおりでございます。
  46. 中村正男

    ○中村(正男)委員 そこで、いわゆる口座の振替もふえている、そして一方では集金労働者もふえ、同時にその経費が非常にかさんできておる。現在の受信料カラーで八百八十円、そのうち百三十円が集金経費だということなんです。まずこのNHK的用語の意図的不払い者、それについてどういう認識を持っておられるのか、会長にお聞きをしたいというふうに思います。
  47. 川原正人

    川原参考人 私ども放送法に基づいて企業の運営をいたしておりますし、この法律によれば、NHK放送を見ることができる受信機をお備えの方はNHK契約をしていただかなければなりませんし、契約すれば当然のこととして受信料を支払っていただかなければならないわけでございます。  その意味で、法の定めに違反してどうしても契約を拒否される方というものは、私どもとしてまことに残念でございます。それは問題とすれば法律上の争い、つまり裁判で争うということも当然考えなければいけないことかと思いますけれども、私どもとしてはできるだけそういうことに立ち至らないように、多少経費もかかりますし手間もかかりますけれども、そういう方々に今の日本の放送制度あるいは受信料制度NHKのありようというものを繰り返し説明して、何とか御協力いただけるように努力を進めていきたいというふうに考えております。
  48. 中村正男

    ○中村(正男)委員 これは先ほど同僚議員の方から御質問がありました。集金労働者の苦労という問題あるいは役割重要性ということが問われておるわけですけれども、私は少し観点を変えまして、意図的不払い者という問題はいわゆる今日的な文化の価値観の多様化、同時にそのことはNHKに対する批判も多様化しておる、これを踏まえて考えなければいけない問題だと思うのです。そういうことを考えますと、単にこれを減らしていく、もちろん減らしていく努力をするのが当然でありますけれども、むしろふえていく心配の方があるんじゃないだろうかというふうに私は思うのです。アルバイトの集金人をふやしていく、またそれだけに頼っていくということでは本質的な問題解決にはならない、むしろこういった人たちについては、一定の文化の論理という立場に立っておるわけですから、NHKといたしましても堂々とNHKの文化の論理で説得をしていく、このことが極めて重要じゃないか、こう私は思うわけです。また、説得をすること自体が、説得作業そのものがNHKの文化的な一つの大きな意味合いを持つんじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。そういうことを考えますと、むしろ集金人という問題ではなしに、NHKのトップの方を先頭にNHK全体がこれに取り組んでいく、こういう姿勢と具体的なそのことに対する計画といいますかあるいはアクションといいますか、そういうものが私はぜひ必要じゃないかと思うのです。その点について、これは会長と同時に大臣にもひとつ見解をお聞きしたいと思うのです。
  49. 川原正人

    川原参考人 御指摘のように一種の価値観の多様化といいますか、そういう中で社会に対してもあるいはNHKに対しても非常に特別な価値観をお持ちで、非常に強い御批判を持っていらっしゃる方がいらっしゃるのも事実です。その意図的な契約の拒否というか不払いの方にもそういう方がいらっしゃることも承知しております。もちろんそういう点がはっきりしている方に対しては私どももそれなりの対応は続けてまいっているつもりです。広く言えば私どものやっている仕事、何といっても番組でございますけれども、この番組が今の世の中の非常に多様化した価値観といいますか非常に多様な要望を持っておられる視聴者の期待に十分こたえているかどうかというところが一番根底だろうと思います。その点についても、私どもいろいろな形で視聴者の要望を伺いながら番組のありようというものもいつもいつも常日ごろ検討しているつもりでございますけれども、なおかつそれを超えて非常に特殊な価値観をお持ちの方がいらっしゃるのも事実でございまして、そういう問題につきましてそういう点がはっきりしている場合には、私ども、それはもちろん経営の任に当たっている管理者も、あるいは場合によれば番組を担当している者まで行っていろいろな形でお話し合いを進めている。もちろんそういう中で事実解決し、わかったというような返事をいただく事例もございます。今後ともそういうことはさらに力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  50. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今NHK側の、何とか説得してNHK側努力によって不払い解消に努力したい、その中には、公共放送機関としての番組の質的向上も図って文化的使命を果たしているNHKということで、なくしたいという気持ちは私も理解できます。しかし他方、私は一般の聴視料を払っている国民サイドに立った場合、非常に負担の不公平感というものがこの一部の人たちによって助長されることもおそれます。ですから、意図的不払い者に対して、僕が今の立場で言うのはおかしいですけれども、党内においては法的な措置も場合によっては必要じゃないかというくらいの厳しい意見も現存していることは事実です。しかしそのことによって、他方NHK側では今、経営のひどいことも棚に上げて、公的な権力介入等々言論の中立、そういう意見もあるわけでございます。これは非常に議論の難しいところでございます。したがって、今、先生が御指摘なさったように、意図的不払い者がNHKの批判者であるという点において、NHKの自助努力によってそういった方たちを一人でも少なくしていく。しかし他方、不払いのために何倍かの人員増に、つながっていって、委託集金人がどんどんふえていくという形が逆に視聴者負担にはね返ってくるという、非常に多面的な問題を含んでおりますので、今後先生方と、言論の申立性を維持しながらもなおかつ料金体系はかくあるべしという形は、私たちも真剣に考えていかなければならぬ問題ではないかと思っております。
  51. 中村正男

    ○中村(正男)委員 今、大臣の方からそういう答弁をいただいたのですが、私が言いたいことは、単に集金人に任じていくというのじゃなしに、説得の作業そのものが、NHKの本来的な、文化を国民に伝えていく大きな意義がある、そのことをぜひひとつ受けとめていただきたい。大臣言われましたけれども、だからといって法的な規制を強めていくことはないように、これは今お答えいただきましたので安心したわけですが、協会として売り上げを伸ばしていくことに対して、私自身思うのですが、民間の企業努力といいますか、そういうところと比較しますといささかまだまだ十分でないという感じを率直に申し上げておきたいと思います。  次に移ります。新メディア時代NHKのあり方について二、三お伺いをしていきたいと思います。  五十七年春の放送法の一部改正によりまして、NHKは郵政大臣の許可を得て協会業務に密接に関連する事業に出資できることとなったということを聞いているわけですが、五十八年には四千万円、五十九年には一億円の出資をするということと関連いたしまして、先日新聞で見た限りでございますが、CATVへの参加が報道されております。これはソフトをつくる会社への出資というふうに受け取っておるわけですけれども、そのことについて、簡単で結構ですが御説明をいただきたいと思います。
  52. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  今お話ございました来年度出資を予定しております会社の一つに、新しいメディアの多様化に備えての番組供給ができる体制をということ、そしてまたあわせてNHKの新しい番組体制についての、例えば改編業務でありますとか、そういうところに機能するような会社の設立を考えているわけでございます。
  53. 中村正男

    ○中村(正男)委員 新メディア時代の特徴というのは十分NHK当局としては御存じだと思うのですが、いわゆるメディア間の融合、これはメディアのミックスというふうにとらまえるわけですけれども、と同時に競合も一方では起こってくる。通信と放送の境界というものが不明確になってくる。電気通信事業者の実施するキャプテンシステムと放送業者の行う文字の多重放送が競合する状況が当然生まれてくるわけです。  同時にまた、今電電公社が推進をしようとしておるINS構想が本格的に進んでいけば、当然CATVとの境界がこれまたなくなくってくる、競合関係となってくるわけですね。さらにこれが進んでいくと、INSが進めば、せっかく上げた放送衛星も不要になってくる、こういうふうに言われておるわけですけれども、こうした先の状況がもうすぐやってくるわけですが、NHK自身は蓄積された膨大な情報をどのように活用されておるのか、そのお考えを私はお聞きしたいのです。  具体的に言いますと、取材で得られた情報、ニュースというものを放送以外にどのように活用されようとしておるのか。それから、費用と人手をかけてつくった大変質の高い番組はたくさんあるわけですが、これを単に一、二回、再放送を含めてNHKでやるだけでは余りにももったいない感じがするわけです。そうした貴重な番組というものを今後CATVにどのように参入させていかれる方針なのか、この辺をお聞きをしたいと思います。
  54. 川原正人

    川原参考人 御指摘のとおりこれから先は新しいメディアが次々と開発されて、しかも競合、融合というのが非常に複雑に展開してくると思います。その中で、基本的に私どもとしましては、従来のNHK放送の枠といいますか、それに固執して小さく縮こまって外の世界と隔絶するようなことはとるべきではない、むしろ積極的にそういう新しいメディアの展開の中に私ども協力といいますか参画をしていって、そして私どもがこれまで長い間蓄えてきましたNHKのノーハウあるいは人材というものを、そういう新しいメディアの展開の中でできるだけ活用していきたい。御指摘のように、その際に、私どもが蓄えてきました情報もできるだけそれを外部に提供し、その中からまた協会の新しい収入の源も探ってまいりたい。それには今持っております情報がすぐにそのまま使えるとも限りませんので、既に幾つか番組の二次利用等で副次的な収入も上げておりますけれども、さらに進んだ形でこの情報を蓄積し、そしてそれをいわゆるデータバンクと申しますか、もっと利用のしやすい形に用意をいたしまして、そして新しい協会の仕事の展開を図ってまいりたいと考えております。
  55. 中村正男

    ○中村(正男)委員 時間がございませんのでこれで終わりたいと思いますが、今会長も言われましたように、大変巨大な情報や番組NHKは保有をするわけでありますから、ぜひひとつこれからの新メディア時代に、データベースとして活用していく、前向きな経営の進め方をお願いしたいと思うのです。とりわけ、今までのNHKというのは金を使っていく経営という印象が非常に強かったわけでございます。しかし、これからNHKの使命を全うしていくということを考えますと、むしろもっと踏み込んだ、新しいNHK的な経営の発想、端的に言いますと、金を稼ぐ経営というところまで私は大胆に持っていかなければいけないと思うのです。確かに今、いろいろ制約条件はあると思います。そういうことを前提にしながら、そうした新しい発想に立ったNHK経営ということについて、最後に大臣会長見解をお聞きをしておきたいと思います。
  56. 川原正人

    川原参考人 私どもも新しいいろいろなメディア、新しい技術開発、展開に際して、積極的にそういうものへ飛び込んでいく、新しいNHK経営の展開を図ってまいりたい。もしそのために現在の制度等で支障になるものがあれば、それはぜひ関係の方面にもそれの改革といいますか改めることもお願いしなければならない問題が出てくるかもしれません。それをもお願いして、なおかつNHKの新しい展開を図ってまいりたいと考えております。
  57. 奥田敬和

    奥田国務大臣 国民がNHKに期待しているのは公共放送としての番組の質的向上、しかし、それに甘えることなく、経営陣としての本当に国民サイドに立った効率的な経営に徹してほしいという願いであろうと思います。今、御指摘のようないい意味の外国にも紹介したり、大河ドラマ等々の副次収入等々に関しては、やはり多少は結局は国民負担の軽減につながっていくという観点に立って、民間並みとは言いませんけれども、そういった形にも大いに切り込んだ経営をやって努力してほしいというのが願いでございます。
  58. 中村正男

    ○中村(正男)委員 質問を終わります。
  59. 志賀節

    志賀委員長 松前仰君。
  60. 松前仰

    ○松前委員 NHKの皆様方には放送記念日というのがついこの間ありまして、お忙しい中をこの委員会に参考人として出席していただいたことに対して心から感謝をいたす次第でございます。  今まで質疑が続けられておりまして、私の質問しようとする部分もかなり出てまいりましたので、なるべく重複を避けて質問をしたいと思うわけであります。時間がありませんのでなるべく簡潔に御答弁をお願い申し上げたいと思います。  まず第一点ですが、東海大地震というのが前から言われておりまして、私静岡なものですから非常にその辺については敏感なわけであります。そういうことで、こういう御質問をさせていただくのをお許しいただきたいと思うのですが、まず静岡の東海大地震といいますか災害対策、静岡放送局といっていいかもしれませんが、そのNHK対策は十分だとお考えになっておりますでしょうか。その辺を御答弁お願いしたいと思います。
  61. 川口幹夫

    ○川口参考人 静団地区のいわゆる災害報道、東海大地震というふうなことに対しては十分な対策を立てております。  既に五十二年一月に東海地震放送対策本部というのをつくりまして、一つには放送確保のための施設の整備それから要員、機材等の支援体制、それに市民情報への対応をどうするかということで鋭意検討を続けてまいりましたけれども、五十三年六月に大規模地震対策特別措置法というのができまして、これに伴いました計画をさらに綿密に立てまして、現在のところ、本部それから全国各放送局を挙げての動員、応援、輸送計画、そういうものを立てております。この計画によりますと、本部を初め各放送局から静岡、浜松などへ具体的にどういうふうにして送るのかあるいはその場所はどこなのか、航空機等の輸送手段はどうなのか、人数とか取材や情報連絡の手段、そういった具体的なことまで細かく定めまして、万全の体制を整えております。また、五月に放送を開始する予定の衛星も、こういう場合の非常に大きな手段として役に立てようということを考えております。
  62. 松前仰

    ○松前委員 時間がないものですから、もうちょっと簡潔にお答えいただければありがたいと思うのです。  今支援体制というお話が随分出てまいりましたけれども、実は静岡の興津それから由比、あの辺の地区を御存じないかもしれませんが、あそこは鉄道も道路も幹線がたくさん走っております。そこは海と山に挟まれて為りまして非常に狭い地域でありまして、そこで地震が起こりますと一挙に東西の交通が遮断される、まず支援体制はそういう道路ではできないということがあります。それから西の方は安倍川という大きな川があります、これが地震になりますとだめになりますし、また大井川もございます、ですから西側の支援もだめ、北側は山である、そして海の方は今度津波で洗われる、こういうことですから、静岡は孤立するという形になる。孤立するということになれば静岡局独自の体制をきちっとやっていかなければならないと私は思うわけであります。そういう点で多少不足である。しかもNHKは地震防災の指定公共機関ですか、そういうふうになっておりますし、また静岡は地震防災対策強化地域でございますから、ぜひともあそこの地域のそういう対策についてもう一度しっかりお考えいただいてやっていただきたいと思うわけであります。  それはちょっと余談でございましたので本題にだんだん移ってまいりたいと思いますけれどもニューメディアの問題はかなり出ておりまして、つい二十三日の質問の中で会長の御発言がございまして、ニューメディアがどう社会に受け入れられていくか慎重に考える必要があるというようにお答えいただいたわけでございます。これはとりようによっては非常にマイナスの方向にもとる人もおると思うのですけれども、私はそうはとらなかった。NHKがこれからニューメディアをやっていくに当たって、健全なニューメディアの発展を目指すために一生懸命考えていくのだ、そういう内容の御発言だったと思うのですが、いかがでございましょうか。
  63. 川原正人

    川原参考人 そのとおりでございまして、私は決して消極的に考えているつもりはございません。ただ、今の世間で言われている新メディア議論の中には先々のことをどこまで本当に詰めて議論されているのかな、私どもも先輩国であります。アメリカにおける幾つかのニューメディア経営を見ておりまして、かなりいろいろな曲折を経ているような感じもいたしますので、その辺はよく見きわめながらしかも積極的に取り組んでまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  64. 松前仰

    ○松前委員 私も全くそのとおりだと思っておりまして、今のニューメディアフィーバーに対しては大変な危機感といいますか、このままいったらまずいところがたくさん出てくるというような感じもいたすわけでありまして、郵政省の方では、その辺は御理解いただいているかどうかちょっとわかりませんが、ニューメディアをかなり前進させようという方向で動いておられる、慎重な検討が必要だと思うわけであります。  そこで、ニューメディア関係につきましてはNHKが研究所を四つですかお持ちでありまして、NHKがそういうソフト面とかハード面含めましてこういう放送関係ニューメディアについては一番最先端にあると思うわけであります。創造的な問題についてはNHKしかできないと私は思っておりまして、研究所の活用ということを十分にやっていただきたいと思うわけでございます。私ちょっと御質問いたしますが、研究所の今度配分されます研究予算というものについてはこれで十分だとお考えになっておられますでしょうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  65. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  まず調査研究費として五十九年度に計上いたします予算は三十六億三千七百万でございまして、これは二つに分かれております。一つは、番組の調査研究費でございまして、これが八億八千六百万円、技術関係の方が二十七億五千百万円でございます。五十八年度に比べますと調査研究費全体としては四%の伸びで計上しているわけでございます。この金額そのものがどうかという御質問でございますが、私ども技術研究、番組研究、いずれもNHKのあすを開く研究でございますので、かなり重要な項目として考えておりまして、各年度における研究のテンポというものをよく見きわめながら充実した予算を組んでおるつもりでございます。ただ、協会全体としましては番組の制作の経費でございますとか、それから契約収納にかかわる経費もございますので、全体を見合わせながら適切な予算の向上に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  66. 松前仰

    ○松前委員 技術研究所の例をちょっととってみますと二十七億くらいでございますけれども、これを研究者一人当たりに割ってみますと、私は二百五十人くらいじゃないかと思いますが、そういうぐあいにして割りますと一人一千百万円、こういう数字が出てくるのであります。これはほかとちょっと比べてみると、日本の平均というのは、五十七年度一千七百八十四万円、そんな数字が出ている。諸外国はもっとずっと高いわけでありまして、西ドイツは三千九百万円くらい。お金でもって研究がうまく進むということにはならないかとは思いますけれども、やはりお金というものがないと研究そのものも非常にやりにくいという点がございます。NHKの場合は日本の平均から見ても非常に低いし、また諸外国について考えても非常に低い。こういう状態では、先ほどお話しましたように、NHKニューメディアのこれからの先頭を切ってそういう研究をやるには少ないんじゃないだろうか、私そう思うのですが、その辺の増額というようなことも考えていただきたい。その辺ちょっとお答えいただきたいと思います。
  67. 渡辺伸一

    渡辺参考人 五十七年度の例で各社との比較を一応やってみましたけれども、今おっしゃるように一人当たりの研究費はという比較もございましょうけれども事業収入との見合いにおいての研究費というものでお答えいたしますと、世の中でよく比較いたしますのが、研究費とそれから人件費、それに研究にかかわる建設費を加えて比較しているようでございます。それらがいわゆる売り上げとの比率でどうなるかという問題でございます。五十七年度の実績でまいりますと、全産業で比較いたしますと、売り上げに対して研究費の占める割合が一・八四というデータが出ております。NHKとしてはどうか。NHKの調査研究の中の技術研究だけをとってみますと、二・四五%に当たっております。これが一概に高いとは私申しませんが、一応のレベルではないかと思っております。しかし、今申し上げましたように、この研究がNHKのあすを開くわけでございますから、できるだけの増額を心がけていきたいというふうに思っております。
  68. 松前仰

    ○松前委員 今のお話で、できるだけ増額というようなお話がありましたから大変心強く思ったわけですが、現在では私は非常に少な過ぎると思いますので、漸次ふやして創造的なすばらしい研究をやっていただくように努力をしていただきたいと思う次第です。  次に、BSの話にちょっと移らせていただきますが、BSといいますか放送衛星のゆり二号でございますけれども受信機の問題が出ておりまして、三十万円というのは高いという声も上がっておるようでございます。その中で私一つ非常に疑問に思うのは、チューナーの値段が十三万円というのが出ておる。これは私思うに、今度はPCM音声というものにするということによって高くなったのではないか、そう思うのですが、いかがでしょうか。ちょっと簡単にお答えください。
  69. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のように、衛星テレビジョン放送につきましては、音声につきましてはPCM音声を導入することにいたしております。ただ、当初FM方式によりますものよりも若干高いことは事実でございますけれども、ディジタル技術あるいはマイクロエレクトロニクスの進歩によりまして、価格差は逐次縮小していくのではないか、このように見ているところでございます。
  70. 松前仰

    ○松前委員 価格差は逐次縮小するというお答えでしたが、五年先には今度は高品位テレビに移るかもしれない。移るということはだれも言っておりませんし、NHKの十分な実験の結果で判断して電波監理局の方に答申されると思うのですけれども、五年先には高品位になるかもしれないという感じもするわけですね。世の中も大体そういうことを言っております。そうなると、今PCM音声をやってチューナーを買った、そうしてその次にまた高品位テレビのチューナーにかえなければいけない。二重に損する、損するというか出費をしなければいけない。これは難視聴解消の人にとっては大変な問題であるわけでありまして、この辺はもう今、現在こうやって進行しておりますから、それをやめるわけにいきませんけれども、この次のBS3、ゆり三号、そういうときにおいて、移行の問題ですが、スムーズに受け入れられるように郵政省の方も考えていただきたい。どういうふうに方式を移行していくか。方式を変えるということは非常に大変ですから、方式の移行、それを郵政省の方でしっかり考えていただきたい。その辺の検討はどういうふうになっておりますか。
  71. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私ども高精細度テレビと申しております新しい放送につきましては、技術的条件と、それから社会的、経済的条件と申しましょうか側面、二つございます。  技術的条件につきましては、先ごろ電波技術審議会に諮問をいたしたところでございます。この高精細度テレビジョン放送は現在のテレビジョン放送にない特質を持っておりますけれども、ある意味で全く新しい放送でございます。そのために受信には新しい受信装置を設置する必要があるわけでございまして、この技術的な見通しを得るということのほかに、新しい放送という意味では幾つかの問題点、例えば実施主体がどうあるべきかあるいは放送衛星用チャンネル全体の利用のあり方とどうかかわらしめるべきかあるいは地上放送との関係をどう考えていくべきか、それから視聴者の需要動向がどうあるのか、そしてまた今、御指摘のございました視聴者の経済的負担、こういったものをどう考えていくのか。私ども現在の段階では技術的条件につきましての検討を進めているところでございますが、BS3の段階で明らかに移行するということを今の段階では決めているものではございません。
  72. 松前仰

    ○松前委員 BS3の段階で移行するということはだれも決めでないことは事実でございますが、それははっきりここで私も確認したいと思います。いずれにしろPCM音声というものを使って十三万円になりました。確かにICでもって安くなっているということもありますけれども、その先に高品位がある。ということになれば、メーカーの方もなかなか大量生産に踏ん切れないということがある。そうなると値段はどうしても高くなる。そういうようなことで値段が高くなってきているんじゃないだろうかと思うわけです。ですから、今走ってしまって仕方ないのでありますが、その次の高品位テレビの方式選択においてはそういう受信者負担というものをしっかり考えていただいて、余り大きな出費にならぬような移行というものを考えていただきたいと思うわけであります。そういう場合において技術的に非常に制約がある場合もあります。どうしてもこの技術はできませんという場合もあるから、そういうときに郵政省の方でこうしろ、こういうような技術的なことは余り言わないで、NHK技術に任せていただきたい、そういうように思うわけであります。  そのコストの問題で、もう一つアンテナのコストの問題、これについてはもう少しコストを下げる、十万というような大きな数字じゃなくて、もっと少なくする要素はあると私は思うのであります。郵政省の方にお聞きしたいのでありますが、BS3におきます衛星の出力を今どのくらいにお考えですか。
  73. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 BS3につきましては、現在三チャンネルを用いて、NHKの二チャンネルの放送民間の一チャンネルの放送を行うという前提に立っておるわけでございますけれども、三チャンネルをこのBS3という衛星の本体で送り出しますために、現在いろいろ検討を進めているところでございますけれども、送信電力につきましては、可能な限り大きな、大きなと申しましても百ワットをどの程度上回ることができるか、いろいろな、太陽電池等の制約条件がございますので、可能な限りにおいて大きな出力を得られるような検討を進めまして、そして地上におきます受信がなるべく簡易に、同時に価格的にも低廉になるようにということで検討を進めているところでございます。
  74. 松前仰

    ○松前委員 衛星出力を百ワットをどれだけというような話でありましたのですけれども、国際法上問題になるようなところ、上限がございますけれども、なるべくその近くまでは持っていく必要があるのじゃないか。NHKの方では恐らくもっともっと出力をふやして受信者負担を軽くする方向を望んでおると思うのでございますが、出力を上げますと、アンテナのサイズが小さくなるのは当然ですが、風圧も少なくなるし、またビームも広くなりますから方向調整も楽だし、いろいろな面で安くなる要素が、簡単に取りつけられる要素が出てくる。できるだけこれは上を大きくしていただいて、そして受信コストを下げる、それによって普及が図れるわけですから、どうかその辺を郵政省の方々は頭にしっかりと置いて、可能な限り上をふやすということに向けて、そういう方針で進んでいただきたい。百ワットぎりぎりでちょっとふやすぐらいのところじゃなくて、それをもっとふやしたときにいろいろな問題が出てくれば、それをいかに技術的に解決するか、この辺をきちっとみんなで討論して、前向きの姿勢で進んでもらいたいと思うわけでございます。  そういうことで、技術的な問題は大体そんなところで終わらしていただきたいわけですが、一つ、先ほどからずっと質問が出ておりまして、二十三日のときも話があったわけでございますが、簡潔に会長の方からお答えをいただきたいと思うのです。  今度の予算で仮に成立したということになりますと、その後その職員の給与、それから要員の問題、こういう問題についてはもうそれで終わりだということではなくて、労働条件の協議というものはこれからあるわけでありますから、今度決まりました、仮に通った予算の範囲を超えることもあり得るということを私は思うのですが、一言その辺の御見解お願いします。
  75. 川原正人

    川原参考人 予算につきましては、国会のこういう形で御審議をいただいて、最終的な御承認を今いただきたいと思っているわけでございます。  国会の御審議の範囲を超えてということは私も今ここでなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、その範囲内で、私としてできる最大限のことはやってまいりたい、そして、労働組合との間にも十分その辺はお話し合いをして意思疎通を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  76. 松前仰

    ○松前委員 今の御発言だと私は非常に不満なのでございまして、いろいろな方法がとれるはずでございます、弾力的な条項もあるわけでありますから。まだこれまで労使でそれほど話し合いをしておらないわけでありますから、そういう状態でここへ出てきているから、この後でそういう弾力的な条項、そういうものによって労使間でしっかりと話し合いをしていただいて、その結果できちっと決めていただくということが必要であろうと思うのです。それをちょっと確認したいのですけれども
  77. 川原正人

    川原参考人 もちろん賃金等の労働条件については十分組合と話して相談しなければ決められるものではございませんし、それから予算につきましても、総則その他を含めまして定められた範囲内では最大限の弾力的な運営を図ってまいりたい、かように私は考えております。
  78. 松前仰

    ○松前委員 今のお答えで大体よろしいかとは思いますが、まあ非常にお答えにくいところもあったかと思いますけれども、そういうことで今の御発言で私は大体納得できるような感じでございます。これについては後で労使間で十分に協議をしていただきたいと思う次第でございます。  郵政省の方に御質問をさせていただきたいと思うのでございますが、これはNHKとちょっと関係なくなるので大変申しわけないのですけれどもBS3の残りの一チャンネルについての使い方、これはもう前から、二十三日にも議論がございましたのですが、BS3の一本化調整ということが行われておる。稲山経団連会長お願いをして一本化調整をするという話があるわけです。聞くところによりますと、三月中に調整めどをつけなければいかぬという話があって、もうあとわずかなわけでございます。しかも、来年度にはその一本化されるところからお金を払わなければいかぬ、二億三千万でしたか、そのくらい払わなければいかぬということになっている。今、調整は大体どのくらい進んでおりますでしょうか。
  79. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のように、BS3の民間放送事業者に関しましては、先ごろ郵政大臣から稲山経団連会長調整を御依頼申し上げたところでございますけれども、私ども経費分担等の関係からできるだけ早くと、実は三月中にもというふうな気持ちでおったわけでございますけれども、諸般の状況等を考えますとこれが若干延びるのではないかなという状況になってきておりますけれども、何にいたしましても大変重要な事柄でございますので、できるだけ一本化、しかもそれもBSというものの特性からいたしまして、できるだけ多くの方々の公正中立な形での御参加をいただいてと、そういう前提での調整をできるだけ早くやっていただきたい、このように考えているところでございます。
  80. 松前仰

    ○松前委員 ことしの恐らく四、五月ごろに終わらないともう二億三千万ぐらいのお金を払うという時期が来てしまいますので、これは一本化調整というのは早くやらないといけないことは間違いないのですが、そのときに郵政大臣が、たしか同僚議員の質問の中で、介入するということをおっしゃった。そこでこれは質疑が終わったのでありますけれども、介入するということはちょっとおかしいのじゃないか。一本化調整を稲山経団連会長のところにお願いするということ自体も非常におかしいような気がするわけであります。  というのは、電波法の第七条ですね、その辺に書いてありますけれども、要するに、申請者が申請書を郵政省に出す、受理したら郵政省は、遅滞なくその申請が左の各号に適合しているかどうかを審査しなければならぬ、こういうふうになっておる。郵政省がそうしなければならぬのに、それをやめちゃって、稲山会長あたりに頼みます、こう言っている。  これはFMの問題も同じなんですね。今はFMの各局の免許申請が随分たくさんあって困っておられることもわかっておりますけれども、商工会議所に頼んでみたり知事に頼んでみたり、いろんなありとあらゆるところといいますか、一貫してないわけでありまして、こういう形でもって郵政省がやるということになると、これは利権の問題に絡んでくると思うのであります。これは私は非常におかしい、郵政大臣が二十三日に介入するとおっしゃったことはまるで逆で、まるで当事者能力がない、そう見るのでありますが、いかがでしょう。
  81. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先日大臣がお答えになりました御趣旨は恐らく、その一本化調整を御依頼いたしました関係上、依頼をいたしました方から種々のお話があるであろう、それを受けて私ども考えを申し述べることはあるであろう、こういう意味だと私ども理解をしているわけでございますけれども一般論としての一本化調整につきましては、先生指摘のように電波法の七条によりまして私どもが免許の審査をいたすわけでございますが、地上のFM局につきましても、御指摘のようにその地域地域で最もふさわしい方に地域の特性を生かした放送局というものを設立していただくべく御依頼をしているのは事実でございますが、これは多数の申請が出てきております場合に、一つを選びますよりも申請者ができるだけ大同団結をしていただくことがよりよい会社をつくることに稗益するのではないだろうかという観点からでございます。それでBS3につきましてもそのような観点から経団連の会長お願いをいたしたわけでございますけれどもお願いをいたします方につきましては、これは依頼自体が法的な前提に立っているものではございませんで、あくまでも免許申請の審査をスムーズに行っていく、免許をスムーズに行うということのためでございます。そういうことで御依頼を申し上げる方はケース・バイ・ケースでそのそれぞれに最もふさわしいと思われる方にお願いをしているところでございます。私どもといたしましては、一本化がどういう形で行われるか注目をいたしているわけでございますけれども、出てきたものにつきましては先生先ほどお話のございました電波法の七条によりまして厳正な審査をいたしました上で、主体性を持って予備免許を行っているというのが実情でございますし、これからもそのようにしていくつもりでございます。
  82. 奥田敬和

    奥田国務大臣 誤解を与えるといけませんので、介入するという言葉が適切じゃなかったかと思います。ただ、私は所管大臣として調整は依頼したけれども免許は私がするのだということで、介入という言葉よりも、法的には主体性を持って処置する。できるだけ調整した上で仲よく、そういった形の中でできるだけ調整することは願わしいけれども、ふさわしい方にお願いしたという経緯まではそうでございますが、もし介入という言葉が適切でなかった場合には取り消させていただきます。
  83. 松前仰

    ○松前委員 介入の話はそれで結構でございます。  先ほどからちょっと申し上げておりますように郵政省の主体性というのは非常に薄い。適当な方にお願いするということは、恐らく郵政省で全部申請書を見るとすべて整っているものだからこれは選びようがないというのでだれかに頼んでしまう、こういうことだと思うのですけれども、これをやると、FMなどの場合には今石川県あたりでは申請者同士けんかをやってしまって三年たってもいまだにまとまらない、こんなような状況があるわけです。今度もFMですが、地方自治体だとか銀行だとか電力だとかガスだとか、公共的企業、地方有力企業、こういうものが申請者と関係がないのに利権をもらう、こういうようなことになっておる。これは非常におかしいのでありまして、BS3の場合には申請者だけでもって純粋に審査をして免許を与えるというようなことをやっていかないと、何かあちらこちらに利権が絡んでくるということで大変不都合になると思うのです。  ですから私が申し上げたいのは、郵政省はやはりこういう免許申請をもらった場合にそれをだれに与えるかということについてこれからしっかり基準をつくってもらいたい。今、基準がないのです。今は困ったから便宜上こうやっておるのだろうけれども、その先困ると思うのです。BS3以外に放送衛星はまだ五チャンネル残っております。この五チャンネル、こういうものの免許を受ける場合に基準がないとまた大変なことになりますので、その基準をきちっと決めていただきたい。郵政大臣、ちょっとその辺についてお答えください。
  84. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政大臣への御質問でございますけれども、事務方といたしましてお答えをさせていただきますと、申請の状況によりまして、当然のことに私ども出てまいりました申請につきましてざっといたしました審査と申しましょうか、下調べはいたしております。当然のことに私どもとして受理し得る状況、もちろん技術的な問題等も含めましての内容で受理いたしております。特にBS3につきましては、テレビにつきましては十二の申請が出ているところでございますけれども、いずれも立派な申請であるということでございまして、全体を見回しましたときに、先ほど申しましたようにこれらをさらに総合してよりよいものができないだろうかという気持ちがございまして一本化の調整を御依頼申し上げておるというのが実情でございますが、いずれにいたしましても、私ども現在でも免許の審査に当たりましての審査基準というのは持っておるわけでございますが、そういう形で一本化されてまいりましたものにつきまして、その基準に照らしての最終的な予備免許を与えるか否かの判断をしている、これからもしてまいるということでございます。
  85. 松前仰

    ○松前委員 この問題はNHKの予算と関係ないものですからこの辺でやめますけれども、これからまた後で機会がありましたら議論させていただきたいと思います。  話が随分横道にそれてしまいましたけれどもNHKとしてこれからニューメディアもやる、さらにローカル放送も拡充しなければいかぬ。これは先ほどの受信の話もそうですけれども、地方分権というのが叫ばれておりまして、地域格差の解消ということも言われておる。そうなると現状でのローカル放送というものよりももっとさらにがっちりとしたローカル放送を組んでいかなければならぬ時代になるだろう。また衛星放送も出てくる。となりますと、衛星放送は全国ですから地上の方はローカルの重要性が非常に増してくる、こういうことでありまして、これから先NHKのそのローカルその他ニューメディアというものに対するお金とか人とかそういうものがたくさんかかってくるのじゃないだろうか、かなり心配をするわけであります。そういうことでございますので、先ほど会長の方からお話ございましたけれども、そういう時代を予測しながら現場としっかりと話し合いをしていただいて、あるべきNHK放送というものをきちっとつくっていただくことを私要望するわけでございます。  先ほど文化という話が出ましたけれども、文化を生むのはやはりNHKである、それしかないのだ、そういう創造的な仕事をするのはNHKしかないのだということを誇りに思っていただいて、NHKのこれからの経営を進めていただきたい。小さく縮こまらないで、外見的に見て、人を減らさないと受け入れてくれないというような小さいのじゃなくて、おれたちはこういうすばらしいすごい放送をやるのだから何とか受信料値上げもしてもらいたいというような姿勢を持って進んでもらいたいと思うわけでございます。  最後にちょっと申し上げますが、国際放送というか海外放送、これは今度インテルサットの予備ですかそれを使って、民放と一緒に一日じゅう借り切ってどんどんやるということも報道が出ていたわけですが、非常にいいことであります。国際化の時代と言われる中でそういうことをどんどん進めていただくということは、非常に重要でありますので、ぜひ、NHK放送をさらに国民の皆さんにわかっていただいて高める、そして、国際的である、非常に視野が広いというような方向に持っていっていただきたいと思います。最後に、会長の決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  86. 川原正人

    川原参考人 御指摘のとおり、私ども、いたずらに消極的に、ただ人やお金を減らすということではなくて、それはあくまで新しい時代に対応したNHKの発展のために、これまでの仕事を全部見直ししながら、より積極的に新時代に向かって取り組んでまいりたい、御指摘お話を十分体しまして、経営に当たってまいりたいと思います。
  87. 松前仰

    ○松前委員 終わります。
  88. 志賀節

    志賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  89. 志賀節

    志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。鳥居一雄君。
  90. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 午後の質問に入りたいと思います。  我が国社会は二十一世紀に向かいまして現在大きな転換のときに直面をしている、こう言われております。例えば経済審議会長期展望委員会は先ごろ「一〇〇〇年の日本」というレポートを出しておりますけれども、副題として、二十一世紀へ向かいまして「国際化、高齢化、成熟化」この三要素を実は挙げております。この成熟化ということがとりもなおさず高度情報社会、こう読みかえていいのだろうと思うのです。こういう時代にありまして、NHKに課せられましたその使命、責任、これはまことに大きいものがあるだろうと思います。私は、この点に関しまして、NHKが今般策定をいたしました経営計画の基本的な方向また新しいメディアについて既に対応が迫られているわけでありますけれども、それらの点について質問してまいりたいと思います。  まず初めに、NHKをめぐる経営環境、これを会長としてどのように認識をされていらっしゃるか、また将来に向けましてどのような経営課題を今背負っていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  91. 川原正人

    川原参考人 私どもの置かれました現代の経営の環境といいますのは、御指摘がありましたように二十一世紀へ向かって日本の社会もあるいは世界の文化も今非常に、急激な変化を遂げている。この根底には、二十世紀の初頭以来の科学技術の急速な発達、そしてそれを支えてきた高度の経済の成長、特に我が国の社会におきましては、ここ二十年ないし三十年の間における経済の成長と科学技術開発が一緒になりまして全く新しい時代が今来ようとしている。しかも、その中で生活しておられる視聴者方々というか国民の中には、これまた、今、御指摘のように非常に高齢化といいますか、そういう中で若い方は若い方でまた新しい別の価値観を多様にお持ちになっている。そういう中で私どもが文化機関としてあるいは情報機関としてそういった多様な視聴者の要望にどうこたえていくか、新しいメディアの発展とともに私どもは非常に大きな責任と役割を持たされていると思っております。  私どもの基本的な考えとしましては、そういう新しいメディアの出現に合わせまして、それを十分に国民の文化財として活用し、私どもがその文化の創造の担い手として国民の多様な要望に的確にこたえていくことだ。それには従来ありましたような私ども事業をそのまま継続するのではなく、その内容を全部洗い直し、新しい体質に生まれ変わってその時代要請にこたえていくことだというふうに考えております。今度の五十九年度の予算もその精神をもって編成したつもりでございますし、特に三カ年間の経営計画はそうした新しい時代に備えて、新しいNHKのこれからの経営の展開に備えての基盤をつくる一番大事なところだと考えて仕事をしてまいりたいと思っております。
  92. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、これからの三年間の事業経営は、基本的にはどういう考え方で臨まれるのでしょうか。
  93. 川原正人

    川原参考人 やはり新しい時代の変化、新しいメディアと申しますか、まず、私ども放送事業をやっておりますけれども、この放送に関しても、既に私ども自身の手で文字放送というものを開始いたしましたし、放送衛星も打ち上げて、間もなくその放送も始まろうとしておりますし、まさに新しいメディアがどんどん今その緒について展開しようとしておりますので、その中でこれらの仕事を的確に進めていく。ただし、これらにつきましてはやはり相当の経費もかかるわけでございます。いたずらに従来の仕事の上に新しい仕事を積み重ねるということではなくて、従来の仕事を全部見直しまして、その中でより効率的な経営方法を探し、合理的な経営の上に立って新しい事業を展開してまいりたい。そして、そのために必要な経費はやはり今の受信料制度基盤としながら全国の視聴者の方にそれをお願いしてまいりたい。しかし同時に、新しい放送、新しいメディアの展開にあわせまして、私どもまた別の意味での財政の展開も考えていかなければならない、かように考えているところでございます。
  94. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 NHKの基本的な経営財源というのは、言うまでもなく今おっしゃったとおり受信料でございます。受信料である以上効率的事業運営というのが基本になってくるのは当然過ぎるほど当然だと思うわけでありますが、このためにまず業務体制の見直し、要員の効率化、また第三には経費の節減、こうした取り組みがあって初めて効率的事業運営ができるのだろうと思うのですが、それぞれ今後どういうふうにされていくのか、伺っておきたいと思います。
  95. 横井昭

    ○横井参考人 お答えいたします。  要員の効率化と経営の合理化は、今、先生の御指摘にありましたように、NHK公共放送として受信料で成り立っている以上、受信者理解と信頼を得る必須の基本的課題だ、私どもはこういうふうに考えております。さらにまた、今後ニューメディア等の新しい業務運営に対処するための基盤整備の上からいってもなし遂げなければならぬ重要な課題である、こういう認識に立って五十五年度以降効率化を推進してまいっておりますけれども、五十九年度以降は新しく五十五年度以降の効率化の最終年度の五十九年を取り込んだ上で五九-六一の間に六百人の純減を図る、六十二年から六十五年の間に九百人の純減を図る、合計千五百人の純減を図る効率化計画を立てております。  その大きな視点が六点ばかりございまして、第一点は、組織・業務体制の簡素化によって部局数を削減していく。第二点は、本部、管内担当局にありますスタッフ並びに業務管理体制を縮減していく。第三点は、業務の抜本的な見直し。これは放送技術、営業、視聴者活動、もろもろの活動がございますけれども、それらについての業務体制を抜本的に見直していこう。第四点は、地方放送局体制のありようについて、ローカル放送並びに業務のあり方についての見直しをやっていこう。第五点は、NHK関連団体との間に機能的な業務分担を推進していこう。第六点は、外部機関に対する業務委託を拡充していこう。この六つの視点から、大変きつい数字ではありますけれども、今後七年間に千五百人、約九%の純減に当たりますけれども、このためには二千五百人、一五%の効率化をやった上で千五百人の純減体制を何とかして実現したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  96. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 公共放送として事業経営の安定を図らなければならない、そのために一方において効率的な経営は非常に重要な課題であり、また一方におきましては受信料収入を確実に収納していく、こういう形になっているだろうと思うのです。それで今後三年間にどう契約を推進し、収納を進めていくのか、具体的に伺いたいと思います。
  97. 林乙也

    林参考人 ただいま御指摘がございましたように、受信料収入協会業務運営の基盤でございますので、あくまでも公平負担を推進する上からも的確な契約収納を図ってまいりたいと考えておりまして、五十九年度から六十一年度までの三カ年で受信契約におきまして百二十九万件の増加を図るように計画をいたしておるところでございます。この数字は、今後見込まれる世帯の増加及びその中におきますテレビ受信機の設置世帯の増加等を見込みまして、世帯契約事業契約も加えました計画の中で策定いたした数字でございます。
  98. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、今後の契約世帯の増加策というのは数字で出てきているわけでありますけれども、この目標のとらえ方につきまして、本来あるべき契約また収納の実態と、現実において収納している状況がどうも何か乖離があるように私ども思えてならないのです。つまり、契約に世帯契約と非世帯契約がありますが、世帯契約として収納しなければならない契約数が非世帯契約数をカバーしてしまう。例えば五十八年度で三千八十六万契約、約三千百万契約がございます。そうすると、これは非世帯契約が加わって三千万何がしがが出ているのだろうと思うのです。それから、一方におきまして、二重、三重に契約している場合が考えられます。ですから、負担の公平という意味からいきまして、例えば一世帯でありながら二契約、三契約を持っている場合、それは二つ、三つと数えずに本来一つ考えられるものでありますから、実際には収納という形で二倍、三倍になって数字が出ていて結構だと思うのですが、あくまでも収納を目標とする以上、この契約率というのは厳格に押さえるべきだと思うのですけれども、どんなふうな実態になっていますか。
  99. 林乙也

    林参考人 お答え申し上げます。  ただいまのお答えに先立ちまして、御質問にございました世帯関係契約でございますが、現在の放送法及び郵政大臣の認可を得て定められております受信契約におきまして、世帯につきましては、二台以上の受信機が設置されておる場合においても一世帯一契約ということで契約お願いいたしておるところでございます。  そこで、先生指摘の世帯とその契約率の関係でございますが、日本におきますこれと比較いたします数字といたしましては、結局国勢調査の世帯統計によらざるを得ないかと考えておるわけでございます。我が国の国勢調査は、世界にも冠たる非常に精密な形で調査されておるものでございますので、私どもの受信契約の対象とすべき、母数とすべき世帯といたしましては若干のずれが生ずることも避けられないところでございまして、結局世帯統計から有料契約の母数となるべきテレビ所有世帯を推計していかざるを得ないわけでございます。また、その世帯の推計の場合に、私どもは立入調査権を持っているわけでもございませんで、結局は家庭を訪問いたしましてテレビ所有の有無につきましてお問い合わせをいただく中で母数となるべき世帯数を明らかにしていかざるを得ないということもございますけれども、一応私どもが五十八年度におきましてテレビ所有の世帯と推計いたしております世帯といたしましては、全国に三千二百万件のテレビ所有世帯があるのではなかろうかと考えておりまして、五十八年度現在、有料の世帯契約となっておりますのが二千八百九十四万件という形になっておりますので、それとの比較におきましては大体力〇%の契約率になっているのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。  ただ、この差のおよそ三百万をどういうふうに考えるかということでございますが、全契約世帯のうち一年間に大体一割を超す方が転居等によって廃止といいますか、契約の解除ということにならざるを得ないわけでございますが、一方、これをフォローすべき私ども業務体制といたしましては、二カ月に一回を一期といたしまして、外務職員あるいは集金受託者による巡回しての未契約世帯の調査あるいは訪問によりましてこれを埋め、さらに年度ごとの契約増加といたしております四十万から四十五万の契約増加を図っていくというような形になっておるわけでございまして、いわば世帯の移動と私どもの訪問いたします時間的なタイムラグ等もこれらの中には相当影響しておるのではなかろうかというように考えておるわけでございます。ただし、そうは申しましても、やはり私どもの営業のスタッフといたしまして、このギャップというのは契約の移動管理を的確にすること等によりまして極力埋めていくべきギャップではなかろうかというふうに私どもみずからに宿題を課しまして、そういったことを埋めるべく極力営業の努力として取り組んでまいりたい、取り組んでまいらなければならぬというように考えているところでございます。
  100. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ちょっと数字が合わないのですけれども、その国勢調査による世帯はこの際差しおいて、テレビ所有の推定の世帯が三千二百万、それで有料の世帯が二千八百九十四万ですね。そうすると、契約はしているけれども無料を認めている世帯数、それから転居等によって掌握がつきかねている分、これはどうなっているのですか。つまり、目標の数字として本来契約して収納すべき契約数が幾つであるのか、それと実際に収納している世帯が幾つであるのか、その正確な実態を押さえない限り負担の公平という原則は貫かれないのではないか、私はこういう危惧を持つわけなんです。この点についてもう少し説明してください。  それからなお、非世帯契約の実態について、本来契約すべき件数は幾つなのか、それに対して実際には何件収納できているのか、そうすると非世帯契約については契約数何%なのか、この実態をどうぞ。
  101. 林乙也

    林参考人 お答え申します。  ある年度の一時点をとりまして御説明を申し上げますならば、ただいま申しましたように、テレビ所有世帯が三千二百万で世帯契約が二千八百九十四万というような形で御説明申し上げたわけでございますが、その差は、結局、共働きの世帯とか、それから独身勤労者等々によりますいわば未契約層、あるいは転居と契約のフォローとのタイムラグによるもの、それから契約拒否世帯数、そういったものがその差を埋める世帯になるのではなかろうかというように考えておるわけでございます。  それから、世帯契約につきましては、実際にはある年度ごとの増加目標という形で私ども計画を策定することにいたしておりまして、これにつきましても、年間におきますテレビ所有世帯の増加といたしまして、一応三十六万世帯程度が増加するのではないかというように見込んでおりまして、これに対しまして、世帯契約といたしましては三十八万件の増加を図りたいというふうに策定をいたしておるところでございます。  また、非世帯の事業関係につきましては、現在テレビの設置をしておると見込まれております事業所が全国に約四十八万事業所あるのではなかろうかというように私ども推計いたしております。これらの事業所がテレビを設置しておると思われます台数が百十八万でございまして、これに対しまして、事業関係契約が五十八年度におきまして百六万でございます。  総契約数といたしましては、二千八百九十四万と非世帯関係の百六万と合わせましたおよそ三千万の契約が有料の全契約数ということになるのではなかろうかというように考えております。また、年度ごとの非世帯関係の設置増加目標といたしましては、五十八年度におきまして八万件の事業関係の増加を見込んでおるということでございまして、この両者を足しました四十五万件が五十八年度におきます契約増加の目標ということにいたしておるところでございます。
  102. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは限りなく一〇〇%に近い数字でなければならないだろうと思うのですね。それで、一〇〇%に近づけるための手だて、これが目下協会に課せられた重大な役割だろうと思うのです。いわば契約率と申しますか、これを五〇%にとどめておいてなおこの協会が安定的に経営を図ろうというのは、料金改定、重ねて改定をしていく以外にはないわけでありますから、これは限りなく一〇〇%に近づける努力がなければならないだろうと私は思うのです。そして今、推定世帯が三千二百万というお話でございましたけれども、これもひとつ十分御検討を願いたいと思うのです。この推定の数字が違ってまいりますと根底から揺らいでまいります。会長、いかがでしょうか、この一〇〇%に限りなく近づけるための御努力、この点について伺いたいと思います。
  103. 川原正人

    川原参考人 当然、私どもとしては、テレビをお持ちで、かつ有料の対象となるべき家庭あるいは世帯に対しては、それは限りなく一〇〇%に近づける努力をすべきだと思います。  ただ、現実の問題としまして、普通の世帯であれば、年間一〇%を超える転居といいますか移動の割合がある。特に大都市になればなるほどその割合が高くて、一番高いところはたしか北海道札幌あたりだったと思うのですが、二〇%近い年間の移動率がある。その中で、普通の電気、ガス、水道であれば引っ越しのたびに必ず届け出があって、届け出がなければ電気もつきません、ガスも出ませんので、そういうことがあるわけでございます。私どもの場合それがないという、ちょっと愚痴っぽくなりますけれども、そういう中でどうやって一〇〇%に近づけていくかということで長い間腐心しているわけでございます。  今、私どもとしては、やはりこれはある程度一軒一軒その世帯を訪ねて歩くというこの努力の手を抜くわけにはいかない。しかし片一方で、その人手が、経営の効率化といいますか合理化をする場合に、一つの難点になってまいるわけです。その間をどうやって知恵を出すかということで、今度御提案申し上げております、例えば銀行あるいは郵便局の預金から口座でお支払いいただく場合は若干の別の料金を立てまして、そうして受信者の方にもそこにメリットがあるという形で口座払いをふやしてまいると、その点では私ども大変人手が省ける。省けた人手を、この新しい、一軒一軒訪ねて歩くといいますか、一〇〇%に近づけるための、今抜けているところへ振り向けてまいりたい、そういうふうに考えて、今いろいろな手だてを講じつつあるところでございます。もちろん内部的には、単に従来と同じようなやり方でなくて、契約収納に当たっている人間の仕事の仕方、仕組み、それもごく少しずつではございますが、これは内部的なお話なんで、外の方にはなかなか御理解いただきにくいところがありますけれども、少しでも完全な契約をとればそれなりに働いた人にそのメリットもあるという形で、なるべく仕事を積極的にやっていただけるような、そういうシステムも考えながら、今の一〇〇%に近づける努力を重ねているところでございます。
  104. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 御努力願いたいと思います。  この経営計画事業面について一点だけ伺っておきたいのでありますが、最近のNHK番組の中には好評を博しているものが幾つもございますけれども、この経営計画によりますと、総合テレビジョンの定時放送時間を一日十八時間にする、またローカル放送につきましても、総合テレビジョンで一時間三十分のものを二時間にする、あるいはラジオ第一におきまして二時間のものを二時間三十分に拡大をする。この拡大の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  105. 川口幹夫

    ○川口参考人 まず、総合テレビの時間延長でございますが、現在の時刻表になりましたのはオイルショックのときでございます。省資源ということで時間を短縮いたしました。その後、高度情報化時代と一口に言いますけれども、そういう時代になりまして、この時間帯に対する視聴者の御要望が極めて多くなった。さらには、民放が今やっております番組との対比の上で、何とかNHKもそこの時間に努力をすべきではないか、このような御要望もございます。かたがた、昭和五十年、五十五年の国民生活時間調査によりますと、十一時以降に起きている方々の数が全国民の三〇%になっているというふうな現状もございます。したがって、この時間にNHKが適当な情報番組あるいは教養番組そのほかを出すことは非常に国民の御要望に沿うことになるのではないか、このように判断いたしまして、今回三十分の時間を増したいというふうに考えたわけでございます。  それからローカルは、先ほどの御質問もありましたけれども、私は、ローカルはやはり全中放送との車の両輪というふうな考え方でございます。したがって、今後情報がますます複雑化する中で我々の身近な情報というものを的確にお伝えする必要がある、そのためにはローカル放送の時間の充実と時間の増ということを同時に考えていかなければいけないというふうに思っておるわけでございます。  具体的に申しますと、ローカル時間は今後三年間の間に総合テレビ、ラジオともに三十分増をいたしたい。中身についても、細かい情報から、あるいはローカルが抱え込んでおる現状の分析あるいは提言、それから視聴者が持っております声をそのまま出す、いわゆるアクセス番組というふうなものについても内容の充実を図っていきたい、このように考えております。
  106. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この経営計画の中におきまして国際放送の強化も一つの大きな柱になっているわけであります。確かに、国際化時代の中にありまして国際放送というのはますます重要な役割を担うことになるだろうと思うのです。NHKとしてはどのような点に今後重点を置き実施をしていくのか、具体的な計画番組あるいは施設面について伺っておきたいと思います。
  107. 坂倉孝一

    坂倉参考人 国際放送重要性につきましては、今、先生がおっしゃられたとおりでございますので、NHKといたしましては日本の文化を海外に紹介いたしましたりあるいは海外在住の方々に的確な情報を提供するといったことのために国際放送の充実の方向考えているわけでございます。国際放送への要請にこたえまして、内容の充実刷新ということで五十九年度にはガボンの中継等を開始したいというふうに考えているわけでございますけれども、それに対応いたしまして、一般向けの放送放送時間を三時間拡充いたしまして、日本語あるいは英語による情報のサービスの充実を図ることにいたしたいというふうに考えるわけでございます。  それから、番組の内容でございますけれども、海外に在住される日本人の方々に幅広く国内の状況等をお伝えすると同時に、特に緊急事態がその地帯で発生したような場合には、その方々の生命財産の安全を守るための関連情報といったようなものを集中的にお伝えをして御期待に沿いたいというふうに考えるわけでございます。それから特に外国向けの放送でございますけれども、これは世界各国で、どちらかと言えば各国が情報に乏しいアジアの情勢について客観的に報道するといったような方向を充実いたしていくべきではないかというふうに考えるわけでございます。  それから、番組面につきましてはこういったようなことでございますけれども、施設面につきましては、これは受信状況の改善ということがこれまでもこの委員会でも附帯決議等でいろいろ御要望があったわけでございますし、特に八俣の送信施設の整備が緊急を要しているわけでございますので、NHKといたしましてはKDDの協力も得ながら四カ年計画でもって八俣の送信所の整備を進めようというふうに考えているわけでございます。これは五十九年度から四カ年で三百キロワット四台、百キロワット四台を整備いたそうということで、そのほか海外中継局、先ほど申し上げましたようにガボンの送信所の施設を、一日六時間ぐらい放送できるような借用というふうに考えているわけでございます。こういった施設につきましては、四カ年で百四十三億円ぐらいの予算が設備にかかるわけでございますので、NHKといたしましては、こういう財政の厳しい状況から、今後とも交付金の増額等各方面に強く御要望申し上げたいというふうに考えているわけでございます。
  108. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 高度情報化社会に向かいまして、もう既に新しいメディアとして衛星放送が五月から始まろうとしておりますし、また高品位テレビあるいは高音質PCM放送、こうしたものが続々と登場するわけであります。NHKとしては、この来るべき三年間を高度情報化社会基盤整備のための期間である、こう位置づけていらっしゃるわけですけれども、具体的に何点か伺ってまいりたいと思うのです。  まず衛星放送でありますが、一つは大きな目標として難視解消、もう一面は衛星放送の持つ価値、意味、これが番組制作の内容充実という点で大きな期待が寄せられるのだろうと思うのです。衛星放送番組については今後どのようになっていくのでしょうか。
  109. 坂倉孝一

    坂倉参考人 この五月からのBS2放送開始に備えましてNHKといたしまして考えております番組編成というのは難視聴解消ということが基本でございますので、やはり地上におきます総合テレビあるいは教育テレビ同時放送ということが中心になるわけでございますけれども、現在の番組にはいろいろ再放送の時間もございますので、そういったところを活用いたしまして時差放送と申しますか、地上放送とは違った時間に、まとめて一つ番組放送するとか、あるいは今までNHKがつくってまいりましたもので何度もアンコールの要望のありますような番組も多々ございますので、そういうアンコール放送といったようなものもこういう時間帯の中に設けていきたいというふうに考えておりますし、そのほか特に衛星では、全国同一の番組でございますのでとかくローカル情報というものに欠ける点がありますので、この点につきましては衛星放送独自のローカル情報番組というものを作成をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  それから将来につきましてはそういった難視解消という方向から一歩進みまして、特に普及促進といったような面では当然この衛星放送としての特性を生かした番組というようなものを、いろいろ普及状況その他を勘案しながらそういった方面の充実を図りたいというふうに考えているわけでございます。
  110. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 地上系の放送衛星放送と、ほぼ同じような番組放送段階では、これは別料金建てということはできないだろうと思うのですが、NHKとして、将来衛星放送に関しては新たな番組の充実を図る、こういう形になってきた場合の別料金建て、これはどういうふうに今検討されていますでしょうか。
  111. 坂倉孝一

    坂倉参考人 先生お話のように、当初におきましては難視聴解消あるいは今後の開発のための実験ということで、これは当然これまでどおり一般視聴者方々の総合料金といったようなことで、新たな料金はいただく考え方はないわけでございますけれども、将来につきましては先ほど申し上げましたような新しい番組サービスというものが充実をされていくというような状況で、衛星放送普及も大幅に進展をしたというような段階においては、衛星放送受信者を対象といたしました新しい料金体系の設定ということも慎重に、どういうような形にしていくかというような問題につきましては、今後さらに検討を深めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  112. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 BS2におきまして、放送の空き時間を利用したさまざまな将来のための実験が可能だろうと思うのですね。それで、NHKとしてもNHK自身の実験をお考えだろうと思うのですが、その内容、あるいは部外でこれを要求する場合にその対応策、この辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  113. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 お答えいたします。  NHKといたしましては、将来の新しいニューメディアの実用化に向けまして次のような開発実験を、主として衛星放送終了後の深夜が中心になりますけれども、実施していきたいというふうに思っております。高品位テレビジョンの放送、それからPCM放送、これは高忠実度音声の放送でございます。それから静止画放送、それから番組識別コード放送、これは番組に識別コードを入れておきまして、例えば深夜に識別コードを使って家庭のホームVTRに収録させるとか、そういういろいろな新しい機能を持たせたもの、あるいはファクシミリ放送、そういった実験をやっていきたいと思っております。特に高品位テレビジョン放送につきましては、この実験によりまして我が国の、日本としての高品位テレビジョンの方式並びに技術基準の制定に寄与していきたいというふうに思っております。  それから、御指摘のございましたNHK以外のいわゆる第三者の実験参加の要望は当然あると思います。それにつきましては、NHK放送並びに実験に支障のない範囲で実施することを考えております。具体的な実施方法につきましては、今後郵政省とよく相談しながら対処していきたいというふうに思っております。
  114. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 BS2に続きましてBS3、ここでいよいよ民間放送事業者が実際に衛星放送に加わってくるわけでありますけれども、今後どんなような手順で免許まで取り運ぼうとされているのか、郵政省から伺っておきたいと思います。
  115. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 BS3でございますけれども、昨年の十一月十八日に「放送衛星三号に関する当面の進め方」というものを明らかにいたしました。この中で、三チャンネルを搭載して、NHKが二チャンネル、一般放送事業者が一チャンネルを使用するということにいたしておりますが、このBS3を利用して衛星テレビジョン放送を実施したいとする一般放送事業者の申請は十二件提出されております。これはテレビジョン放送を実施したいというものでございます。それから、BS3につきましては、五十九年度から開発に着手する必要がございますので、この一般放送事業者分の開発経費負担する方を速やかに決定する必要がございます。そこで先ごろ大臣から経団連の稲山会長に一本化の申請を依頼したわけでございますけれども、郵政省としてはできるだけ新会社が早く設立できるように取り運んでまいりたい、このように考えているところでございます。  なお、免許方針等につきましては、これからの検討をした上で策定をしていきたい、このように考えております。
  116. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 BS3による民間放送、この場合に広告料収入とそれから有料方式、この両方によることにするという、方針の中に一項目がありますが、これはどういう理由でそういうことなんでしょうか。
  117. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま申し上げました十一月十八日に決定いたしました、これは基本的な大きな考え方だけをまとめたものでございますが、その中で、御指摘のように、有料方式をいわゆる広告料収入方式とあわせて用いるということをうたってございますけれども、御承知のように、衛星放送は全国を一挙にカバーするというものでございますので、広告放送のスポンサーといたしましては全国規模のものというふうに限定をされてくるという要素が一つございます。それから有料方式ということにいたしました場合には、視聴率が低くても、先ほど申しました全国を一挙にカバーするということから、絶対数はある程度確保できるという側面がございます。それから地上放送経営との関係ども考慮いたしますと、有料方式ということが考えられるわけでございますけれども、一面、有料方式につきましては、衛星放送受信の普及の度合いあるいは技術の発展動向あるいは受信者の需要動向といったものが不確定な要素もございますので、それだけではということで広告料収入方式との併用を考えているということでございます。
  118. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、有料方式にした場合に郵政省としてはどんなような方式が現実的に可能だと考えていらっしゃるのでしょうか。保守あるいは管理、技術の面から見てどうなんでしょうか。
  119. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 御指摘のございました技術方式につきましては、つい先日、五十九年度からの審議項目といたしまして電波技術審議会に諮問をいたしたところでございますけれども、その際、審議に当たってのポイントといたしまして、不正受信の確実な防止、それから画像の品質を損なわないことできる限り低価格であること、それから装置の保全管理が容易なこと、こういったことに十分配慮して審議していただくことを期待をして御諮問を申し上げているところでございます。
  120. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 文字多重放送ですけれども、現在NHKでパターン方式で実用化試験をやられておりますが、結局混合方式、ハイブリッド方式が確立されない限り文字多重放送についてはどうも我が国においては開始されない、こういう状況にあるだろうと思うのです。郵政省としては、どんな手順で、いつごろの段階でハイブリッド方式の放送が開始できると見ているのか、電技審における審議状況とあわせて御報告願いたいと思います。
  121. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 テレビジョン文字多重放送の御指摘のハイブリッド方式でございますけれども、現在電波技術審議会審議が進められておりまして、おおむね一年後に答申が得られるものと見込まれているところでございます。  ただ、実際的な問題といたしましては、この答申を受けまして関係法令の整備が必要でございます。さらには放送局側におきます機器の整備、それから受信機の製造といった問題がございますので、実用化につきましてはこの答申が得られた後若干の日時が必要であろうか、六十一年ごろになろうかと思われるところでございます。
  122. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 時間ですから終わります。どうもありがとうございました。
  123. 志賀節

    志賀委員長 永江一仁君。
  124. 永江一仁

    ○永江委員 二十三日以来既に十二人の議員の質問がございまして、かなり出尽くしておるわけでございますけれども、できるだけ観点を変えた中で御質問したいと思います。ただ、やはり料金改定、すなわち料金値上げにつきましては、重ねてNHKとしての態度その他について御質問したいわけでございます。  正直申し上げまして、国民全体から見れば、NHKに限ればわずかなことでございますけれどもことしは地方、国を問わず公共料金値上げがメジロ押し。大臣もその一番バッターで大変苦しい、我々大変苦しいのでございますね。きょうも我が党でも午前中に国対委員会がありましたけれども、大変厳しいのでございます。これは簡単に認めるわけにいかないという意見が大変強うございます。  そういう点で、しかしながらなぜNHKとしても値よげをせざるを得ないか。いろいろ資料を読ませていただきますと、当初は三年間で千五百四十八億円の赤字、最終的には何か千三百二十一億ですか、三年間の赤字を何とかしなければならないので料金改定お願いをする、これが一番の根本のようでございます。そういうことからいたしますと、逆算して考えますと、この料金改定が通りますと今後三年間で約千三百億の増収が確実にある、こう理解してよろしいのでしょうか。
  125. 坂倉孝一

    坂倉参考人 今、先生の御指摘のとおり、この三年間の経営計画につきましては、収支の見通しで千三百二十一億円の収支不足が見込まれるので、そこで今度の改定お願い申し上げているわけでございまして、この改定によりまして千三百二十一億の収支不足は解消させていただけるわけでございます。
  126. 永江一仁

    ○永江委員 ということは、我々国会がこの案を承認すれば千三百二十一億の増収があるということでございます。これに対して、それならばなぜこれだけ経費が要るかという中で、いろいろニューメディアの中で新しい施設をつくらなければいけないということも、この二日間の議論でよくわかりましたけれども、しかし、国民の素朴な感情からすれば、別に人工衛星の打ち上げまでNHKに頼んだ覚えはないという反発もあるわけでございます。その中でNHKとしては、それだけ国民に負担をかけるから、そのかわりとして、いわゆる経営合理化の努力ということで、これも二日間にわたっての御討議の中で、七年間で千五百人、今年度二百人ということでございます。端的に申し上げて、先ほど来議論がありましたけれども、やはり労働組合なりとの話し合いがつかなければなかなか実行に移せないという問題があるわけでございます。七年間で千五百人の合理化について労働組合との話し合いは完全に行い得るのか、その自信がおありかどうか、お尋ねいたします。
  127. 横井昭

    ○横井参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、公共放送として受信料の上に成り立っておるNHKでございます。その受信者理解と納得を得るためにも、私どもとしては効率化というものは絶対になし遂げなければならない基本的な命題であるというふうに考えておりますし、また今後のニューメディアに対する基盤整備のためにもぜひともなし遂げなければならない、こういうふうに考えております。  問題は労使間の問題でございますけれども、労使間の問題としては、私どもとしては誠心誠意組合と話し合いを行った上でこの効率化の目標を何としてでも実現していきたい。何と申しましても今日の経営基盤にありますのは、健全な労使関係と労使間の深い信頼関係の上に成り立っているのだという基本的認識を我々は持っておりますし、千五百人純減体制につきましても昨年組合にお話を申し上げましたが、各年度の効率化計画につきましては組合との間に特別の委員会を設けて、そこで我々としては誠心誠意御説明申し上げて、何とかしてこの目標を達成していきたい。もちろん労使関係を抜いて効率化はできるものではございませんし、双方にとって非常に厳しい、かつ重大な問題でございますので、今後も誠心誠意事に当たっていきたい、こういうふうに考えております。
  128. 永江一仁

    ○永江委員 NHKのような文化事業を行うところは人が財産でございますから、国鉄なんかと一律にするわけにいきませんけれども、国鉄は五年間で七万人削減ということからいえば、七年間で千五百人削減がどうであるかということは若干問題はあるかと思います。それにしても、このことは確かに労使の話し合いで決めることでございますけれども、やはり経営の最高責任者として、会長がこのことをやり遂げるという決意を披瀝していただかなければならないと思うのでございます。いかがでしょうか。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  129. 川原正人

    川原参考人 私としては、この効率化というものは絶対になし遂げなければいけないというふうに考えております。もちろんこれは一つ事業計画ではございますけれども、現在NHKが置かれております社会的な環境の中で、しかもこれから先新しい時代に対応していろいろな仕事も展開していかなければいけない。そのためには今回受信料値上げも全国民にお願いしなければならない。そういう中で当然我々として、我々の仕事の徹底的な見直し、そしてその中から最大限の効率化を進めて、やはり視聴者の方、国民の方にこたえていかなければNHKの将来はないと思います。私は、この効率化はどうしてもやらなければならないと決意いたしております。
  130. 永江一仁

    ○永江委員 我々もそこで働く人々の権利とか生活向上は大いにやるべきであるという立場でございます。ただ、先般来の御質疑を聞いておりましても、NHKの職員の方が民放よりも給料が安い。合理化するその中で、そこで働いておる人の給料を上げる。少なくとも天下のNHK民間放送よりも給料が安いのでは、人材確保においても問題があると私は思うのでございます。私たちの基本的な立場は、合理化するところはする、そのかわりそこで働いておる職員に対しては十二分にこたえていく、こういう近代的な経営をしなければ、月給を安くして大勢抱えておるというところでは本当の近代化はあり得ないという立場で聞いておるわけでございます。  あわせまして、民間企業とは、公共事業として若干違いがあるわけでありまして、三千万の契約世帯ということは三千万人が株主みたいなものですから、国民の立場に立ってこういった合理化というものはぜひやっていただかなければならないと思うのでございます。この点に関しまして大臣会長からもかなりの決意をお聞きしたわけでございますが、少なくとも、ここへ出されておる一万五千人体制をやり抜かせるということについての最高監督者と申しますか、大臣のお答えをいただきたいと思います。
  131. 奥田敬和

    奥田国務大臣 NHK側にとってみると、なかなかきつい減員計画だという見方もあります。しかし、また他方、なだらかな減員と申しますか、切り込み方がまだなまぬるいという形で御指摘を受ける向きもあるわけでございます。私もいろいろな面から御相談を受けて、ニューメディア体制も含めて増員をしなければいかぬという要素も相当あるわけですけれども値上げを国民の皆さんお願いする以上、何としても人材の活用と経営の効率化という面に最大の努力を発揮していただきまして、この計画は単に今日の値上げお願いするという言いわけじゃなくて、NHK経営責任者としての一つの公約であるという点において皆さん努力していただかなければならぬと思います。私もまたこのことを注意深く見守ってまいりたいと思っております。こういった形の中でのスリム化と申しますか、減量経営の中でぜひ公共機関としての使命もあわせて発揮していただきたいというのが私のお願いでございます。
  132. 永江一仁

    ○永江委員 NHKNHK立場がおありでありましょうし、労使で話し合いをするということは原則としては我々もわかっておるのでございます。ただこうやって、値上げのときには一つのスリム化、経営合理化を出して、結果は、いや話し合いはしたけれどもまとまらなかったんだということでそのことがなし崩し――まあ五十五年値上げのときの問題については、純減は最初から五百人ぐらいだった。しかしまとめて千二百人ということでそういう誤解といいますか、国民からも批判を買っておったわけでございます。今回ははっきりと千五百人の純減ということを再々お聞きしておりますからそういう誤解はありませんけれども、しかしながら、結果において労使の話し合いの中でやれなかったということならば、これは二重の罪を犯すことになると思うのです。こういうふうな合理化をするということで、NHKの職員は非常な合理化が進むんだという身構えを持つ。しかし、結果的にはできなかったということであれば国民をだましたようなことになる。それだけに、こうやってはっきりこの国会でもおっしゃるならば、これは必ず実行してもらうということをやっていただかなければ、この承認というものは我々も非常に責任が重いと思うのでございます。  ちょっと先ほど三年間で千三百二十一億と、これは大臣、千三百二十一億円、三年間でNHKさんは平たい言葉で言えばもうかるわけですね。これは民間一年に直せば四百億からの純益、民間企業で四百億円もうけようと思ったら大変です、実際問題。これは、会長以下幹部の方々も二日間ここで朝から晩まで座って本当にお疲れだと思います。また根回しその他で大変御苦労なさったと思いますけれども、しかしながら、民間企業で年間四百億の売上増だけでも大変です。四百億の増収を得るという、その血のにじむような努力から見れば、私は国民の立場からいえば、まだまだ言い足りないというふうにも思えるわけでございます。そういう点、やはりよく心にとめていただいて、何とかここでやれば、NHKの方は千三百二十一億増収になるからこれでいいんですけれども大臣以下我々議員は、この責任、ずっと尾を引いて負っていくわけですね。こういう点を考えますと、本当に今申しました少なくとも一万五千人体制ということならば、このことだけは絶対にやり抜くという、この決意と覚悟は固めていただかなければならないと思うのでございます。もう一度重ねてくどいようでございますが、会長の決意をお聞きしたいと思います。
  133. 川原正人

    川原参考人 私としては当然その覚悟、決意を持ってこの計画を提出しておりますし、これからもその決意で仕事を進めてまいりたい。その点につきましては、労働組合にも十分話をして意思を疎通して納得していただく努力を続けてまいりたいと思っております。
  134. 永江一仁

    ○永江委員 そういうことでその決意を子といたしまして、別に減量化だけを特に私言うわけじゃございません。ましてこれは千五百人削減といっても、我々は別に生首を切れと申し上げておるわけじゃございませんし、この程度の数ならば労働者を首切りということでは絶対ないはずでございますし、我々もそういうことを申しておるわけではございません。そのスリ人化の中で個々人の収入は上げていただきたい、そういうふうな視点からの要望であるということを重ねて申し上げておきたいと思うのでございます。  次に質問を移しますが、国民へのサービスについては、ニューメディアその他でいろいろ新しい放送をやっていくことももちろん大切でございます。同時に、既にNHKおやりでございますが、収入の少ない方とか身体障害者の方に対する聴視料の免除というようなことをおやりになっておるわけでございます。これは片一方では赤字がふえそうだというところで若干難しい問題かもわかりませんが、最近、私、一般の国民の方々からいただく要望では、内部疾患の方、私も五年ほど闘病生活をした経験があるのでございますが、身体不自由の方も確かにこれは気の毒でございますが、内部疾患、特に最近は人工透析なんというのがありまして、一日に何時間もそこでじっとしておらなければいかぬという方にとってはテレビ、ラジオだけが唯一の楽しみだ、そういう方々から投書もいただくのでございます。身体障害者の方に対する免除も確かにそれはそれでいいけれども、我々のような内部疾患の者、見た目にはどこも悪くないけれども、そういう内部疾患の者にも半額とか、そういう何らかの制度をやってもらえぬかという要望を二、三聞いておるわけでございます。こういう点について何か御答弁いただけないでしょうか。
  135. 林乙也

    林参考人 受信料につきましての免除措置につきましては、NHK公共放送事業体として負担すべき責任の問題と、また国の社会福祉あるいは教育上、公共の福祉のために考えてもらわなければならない問題と、いろいろ関連の問題がございまして、実は当委員会からもかねて再度にわたりまして受信料免除のあり方とその範囲の見直しについて御指摘をちょうだいいたしておるところでございます。そういった経緯の中でNHKといたしましては、昭和五十三年度に例えば図書館だとか博物館だとか刑務所、そういうような機関等六項目につきまして、また五十五年度におきましては大学及び高等専門学校につきまして、また本年度におきましては高等学校、青年の家、児童文化センター、公民館等につきまして免除措置を廃止し、それを有料契約に呼応させていただくような措置を講じてまいったところでございます。  そういった経緯の中で、確かにただいまお話しのような、内部疾患によりますところの肢体不自由の方につきましては大変お気の毒で、私どももいろいろ御指摘に対してお答えに苦しむところなのでございますけれども、やはりこういった免除措置の、現在まで御指摘いただきました経緯の中で、せっかくのお話ではございますけれどもNHKそれ自体の措置としてはなかなか難しいことではなかろうか。国によりますところのいわば公共の福祉に沿ったそういった必要、すなわち、具体的には財政措置等のそういった絡みの中で今後とも考えてまいる必要はあるのじゃなかろうかというように考えておるところでございます。
  136. 永江一仁

    ○永江委員 時間の関係がありますから次に移らせていただきます。  ことしはロサンゼルス・オリンピックの年ということでございますけれども、これは国民にとってもテレビを通じてしかなかなか見られないわけでございますから非常に関心が高いのですが、このロサンゼルス・オリンピックだけでなくて、最近のオリンピックの放送料が高くなっておるということをよく聞くわけでございます。今回の値上げがどの程度かということもあるかと思いますが、ただ、オリンピックの場合、NHKだけが放送するのでなくて民間放送もやられるわけでございますが、こういう民間放送との分担金の割合についてはどういうふうになるのでございましょうか。
  137. 川口幹夫

    ○川口参考人 ロサンゼルス・オリンピックの民放とNHKの分担比率については、放送権料として千六百五十万ドル、それから技術提供料等のサービス料というのが二百万ドル、合計千八百五十万ドルということで契約をいたしております。  このうち放送権料の千六百五十万ドルを、ミュンヘン大会、モントリオール大会の比率と全く同じでございますけれどもNHKが八六・七%、民放連が一三・三%というふうに分担することにしております。  技術提供料等の二百万ドルにつきましてはこれはNHK負担とする、ただしその後がこれまでと変わるのですが、放送を制作するお金が日本円にして大体九億円かかります。この金額は前大会、モントリオール大会ではNHKが六八・七で民放連が三一・七というふうになっておりましたものを、今回は五〇%、五〇%というふうに折半をして分担をすることにいたしました。  それから派遣人数も八十三人を予定しておりますけれども、これはNHKが五十三人、民放が三十人というふうな派遣人員を考えております。
  138. 永江一仁

    ○永江委員 ドルと円とごちゃごちゃに答えていただいたのでちょっとわかりにくいのですが、これは後で計算してみますけれども、千六百五十万ドル、合わせて千八百五十万ドルというのは、オリンピック委員会というのですか、あちらと民放、NHK一括で交渉の結果でございますか。
  139. 川口幹夫

    ○川口参考人 民放、NHKで交渉団をつくりまして、それで一体となってロサンゼルス・オリンピック組織委員会と交渉した結果でございます。
  140. 永江一仁

    ○永江委員 それでは結構でございます。よく、前々回のオリンピックあたりNHKと民放さんが競争してつり上げたというようなことも聞いたものですから、今回のこともお聞きしたわけでございますが、その教訓は十分踏まえてやった、こういうことに理解してよろしいですね。
  141. 川口幹夫

    ○川口参考人 オリンピック放送料の高騰というのは非常に大きな問題でございまして、これから後、またさらにソウル以後のオリンピックにつきましても、大変重大なことになろうかと思います。したがって、日本としては、民放連、NHKが一緒になって交渉をする、そのことで何とか放送権料の高騰を防ぎたい、このように考えております。
  142. 永江一仁

    ○永江委員 そこで、ちょっとオリンピックからは離れるのでございますが、スポーツ放送に関しまして、きょうから選抜野球も始まっておるのでございます。私も兵庫県選出ですから、甲子園を非常に身近に感じよく見るのでございますが、若干、朝から晩まで高校野球ばっかりという批判はなきにしもあらずでございます。私は別に高校野球の放送時間を減らせと言うつもりはございませんが、端的にお聞きしますけれども、高校野球の放送時間は、一年間トータルでどれぐらいありますか。それに対して高校の他のスポーツの放送時間は、トータルどれぐらいございますでしょうか。
  143. 川口幹夫

    ○川口参考人 春の選抜それから夏の全国高校野球とありますけれども、高校野球の放送は春、夏合わせて、テレビの放送が二百時間、それからラジオが百九十七時間ということになっております。それから野球以外の高校スポーツは、五十七年度の実績でございますが大体二十時間程度でございます。
  144. 永江一仁

    ○永江委員 これはそれぞれ好みでございますし、聴衆、国民的な関心の度合いということであればこういう比率になるのかもわかりませんが、高校生の立場からすると、野球はしょっちゅうテレビで放送する、しかしそれ以外のスポーツはほとんど放送されない。特に、私はオリンピックの年だから言うわけではございませんが、せめて高校総体の陸上競技ぐらいはもっと放送してやるべきでないか。四年に一遍のオリンピックになって、急に陸上競技や水泳で金メダルをとれとれと騒いでも、やはり無理だと思うのです。これは文部省の仕事があるいは体協の仕事かわかりませんが、NHKが文化という、日本の総合的なスポーツをある面で支えておるという立場からいたしますと、オリンピックにはまだ野球はありませんし、まことに片手落ちな気が従来からしておったのでございます。  今、二百時間に対して二十時間、ほかのあらゆるスポーツ全部合わせて二十時間、これははなはだアンバランス過ぎると言わざるを得ないと思うのでございます。特にことしはオリンピックの年でございますけれども、何といってもスポーツの原点は陸上競技と言われておるわけでございまして、こういう点やはり勘案する中で――ただ人がよく見るからということで放送時間を決めていくのであれば、民放と五十歩百歩になるわけでございます。そういう点、一遍よくお考えになっていただきたいと思うのでございますが、お答えいただきたいと思います。
  145. 川口幹夫

    ○川口参考人 高校野球が二百時間で多いという御意見もあります。私はよく存じております。ただ、私どもが高校野球をやります考え方一つに、いわゆるスポーツの中継放送という面だけでなくて、これは各地域の、特に夏などは県代表みたいな形になるわけですけれども、そういうローカルの全体を担って登場してきている、そういう意味では、ローカル放送の持っている一面も高校野球の中である程度は出てくるのじゃないか、そういう放送意味があると解釈します。  それから、高校総体については、夏の時間の、しかも非常にいろいろな特集が重なります中で実施いたしますので、もうちょっと時間的にはふやしたい、少なくとも永江先生おっしゃるような意味でのアマチュアスポーツ、特に陸上そのほかの競技の発展のためにテレビがあるいはラジオが何らかの意味でお役に立つような方向にしたい、このように思っております。
  146. 永江一仁

    ○永江委員 高校野球がそういうローカル性も含んでということの御答弁では何とも言いようがないのでございますが、私は別に、高校野球の放送時間を削れということよりも、そのバランスの中で、たまたまことしはオリンピックの年でございますから、日ごろ思っておりましたことの一端として、オリンピックになった年だけ急に陸上競技や水泳に力を入れるといったのでは手おくれだと思っておりましたものですから、そういうことについてはNHKが世界のスポーツという観点から一つのある程度主導性を発揮するという意味も含めて、そういう方向にも力を入れていただきたいと申し上げたわけでございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、これも二十三日の委員会で出たことでございますが、最近犯罪報道に対する呼称の変更ということが新聞等でも出ておるわけでございますけれども、その理由、これはこの前も一応お聞きいたしましたけれども、それと実施時期につきましてお尋ねいたしたいと思います。
  147. 川口幹夫

    ○川口参考人 犯罪報道の呼称問題につきましては、今、急に決めたというふうなことでは全くございません。長い経過がございまして、NHKの中で本格的にこの呼称問題の討議を始めたのももう一年以上も前になります。したがいまして、このことにつきましては基本的に、いわゆる人間の基本的人権を守るという立場に立って考えたものでございまして、一応の原則を決めましたので、この原則は四月二日から実施したいと思っております。
  148. 永江一仁

    ○永江委員 今のお答えで、急に決めたんじゃない、一年前からということでございますが、私から考えますと、一年前というのは必ずしもそう昔からとは思えないのですね。はっきり申し上げまして、これはロッキード事件という経過の中でこういった問題が出てきたということから考えますと、このロッキード事件の起こる前からこういうことは言われておって内部で検討してきたというならば、それは最近ではないと聞くことができるのですけれども、そういったロッキード事件を契機としてのいろいろな問題の中からこういうふうになったんじゃないかと、勘ぐりかもわかりませんが言わざるを得ない。この点についてどうでしょうか。
  149. 川口幹夫

    ○川口参考人 一年前と申し上げましたのは、いわゆる集中的な討議を始めたのが一年ぐらい前からということでございまして、その前から、これはもちろん新聞協会、そのほかのマスコミもすべて同じでございますけれども、相当前からこの犯罪呼称の問題につきましては検討を進めておりまして、直接的におっしゃったようなことと関連づけてやったものではございません。
  150. 永江一仁

    ○永江委員 そういたしますと、ちょっと端的にお尋ねいたしますが、四月二日からおたくの内部で決めたルールに従って変更する、しかしながらケース・バイ・ケースでいろいろあるように書いております。目の前の殺人者に対しては呼び捨てにするとか、いろいろ書いております。それと、有罪実刑判決を受けた者について呼び捨てにする、こうなっております。そういたしますと、端的に申しますけれども、田中元総理の呼び方はどうなるのでしょうか。
  151. 川口幹夫

    ○川口参考人 実刑の確定した者について呼び捨てにするということでございまして、控訴そのほか、また裁判上の手続が終わってない者につきましてはいわゆる肩書をつけるというふうなことでいくことにしております。
  152. 永江一仁

    ○永江委員 そうすると、元総理何々被告、こうなるわけですな。私は、二十三日の方の御質問と大体同じでございまして、基本的には、人権擁護の立場から呼び捨てをやめていくことについては賛成でございます。ただ、先ほど申しましたように、なぜそれがもっと前から俎上に上がらなかったのか、ロッキード事件の報道の中からされてきたというところにまことに残念な思いがするのでございます。そういう中でマスコミというものが人権を守るということにおいては今まで非常に大きな役割を果たしてきましたし、これからもそのことは期待するものでございます。しかも、そのマスコミの最も中心的な大きな影響力のあるNHKが人権擁護という立場に立ってこういった問題についても慎重に扱おうということは基本的に賛成でございます。それならば、本当に一般の国民の人権が守られるという観点からこういう変化が起こってきたならば本当にすばらしかったと私は思っておるのでございますけれども、残念ながら、たまたまそうかもわかりませんが、経緯の中で、やはりロッキード事件という影響の中でこういうところに来たのじゃないかということであれば、やはり権力を持っておる者の人権ということが中心にあるのではないかという釈然としない気持ちを私たちは抱くわけでございます。経過の後先ほどもかくといたしまして、ぜひそういう一般の国民の人権を守るという立場でやってもらいたいのでございます。  そういう点からいたしますと、先般、ある新聞であったと思うのですが出ておりましたけれども、ある有名な某銀行の女子職員がオンライン事件を起こして、仮釈放になったら、マスコミがぐあっと寄ってきて、そして表へも出られないということで、人権侵害の疑いありという法務省の人権擁護委員会あたりの何か申し入れ等があったと聞くのでございますけれども、この点について法務省の方からお答えいただきたいと思います。
  153. 堤守生

    ○堤説明員 お答えいたします。  御指摘ございました元女子銀行員が仮釈放になった直後に大勢のマスコミの関係者が自宅や保護監察所に連日のように詰めかけまして、当人はもとより、保護監察対象者の保護監察行政に非常に支障があるというお話を保護監察行政を担当しております保護局の方から私受けたわけでございます。それで、かねてから接触がございましたマスコミ倫理懇談会に私が他の用件で参りました際にこのような問題につきましては、マスコミ界自身の自浄作用として何か解決していく方途はないだろうかということをごくプライベートな形で担当者の方に御相談申し上げたわけでございますが、一部新聞紙上で報道されましたように、法務省が公式にマスコミ倫理懇談会に対して取材自粛の申し入れをしたというようなことはないわけでございます。
  154. 永江一仁

    ○永江委員 今の法務省の方のお答えの中で、もちろんマスコミの取材に対して公権力の介入についてはいろいろ問題があると思うのでございますが、私は本当に人権を守っていただくのが報道機関の大きな役割だと思うのでございます。そういう中で、今言われたような女子銀行員の自宅に押しかけておった中にNHKがいたのかいないのか、若干気になるのでございますけれども、お答えいただけますでしょうか。
  155. 川口幹夫

    ○川口参考人 実はその状況をつまびらかにしておりませんので何ともお答えできませんが、もしいたとしても、NHKの基本的態度はあくまでも基本的人権の尊重でございますから、決して出過ぎたことはしてないというふうに確信しております。
  156. 永江一仁

    ○永江委員 これはNHKが報道界の中心リーダーとしてぜひそういう人権を守る立場でやっていただきたいという趣旨からの質問でございまして、よく我々、国民から聞く中にも、いろいろ事故が起こると、そういうときに本当に嘆き悲しんでおる人にマイクを突きつけて聞いておる。もちろん我々国民にも知る権利がありますし、皆さんにもすべてを知らしていく、このことが民主主義社会での一応非常に大きな意味があるということでございますけれども、しかし、だれが見ても明らかに本当に嘆き悲しんでおる人に、改めて、悲しいですかと聞くこと自体にそれほどの意味があるのかという疑問はよく抱くわけでございます。  そういう点からいたしますと、私が先ほど犯罪者の呼称変更のことを取り上げましたその観点からいたしましても、そういう一般の国民の方々の人権を守るという観点からこういう犯罪者に対する呼び捨てについて一遍考え直すということならわかるのでございます。そうすると、私が言いたいのは、それならばなぜ肩書にこだわるのかということなのでございます。肩書はあくまでもつける、ここにこのこと自体の出発点が、本当の一般の国民の人権を守るのであったのか、あるいは肩書のある人の犯罪報道に対する批判に何とか逃げるという意味でやったのではないかと思わざる得ないのでございますけれども、いかがでしょうか。
  157. 川口幹夫

    ○川口参考人 報道の基本はわかりやすいということでもあろうかと思うのです。したがって、そういう意味社会的にわかりやすいという場合は肩書をつける、それから……(「田中角榮を知らない人はいないよ」と呼ぶ者あり)そういう考え方一つあろうかと思います。ただ、あくまでも、肩書をつけることあるいは容疑者で呼ぶことを基本的に差別をしてはいけないということは私ども考えております。
  158. 永江一仁

    ○永江委員 肩書をつけることが差別であるかないか若干問題があろうと思いますが、私はやはり肩書をつけるということにこだわって、肩書、それから元被告、何々被告、こういう発想の中にどうしても、今回の呼称変更の、NHK方々はそういう気持ちはなかったかもわかりませんけれども、何か意図的なことを感じざるを得ない。本当に一般の人々の人権を守るという発想からするならば、肩書ということが先に出てくるはずがないと思うのです。この点について大臣、どうでしょうか、やはりテレビで田中角榮と呼び捨てられたショックは大きかったのでしょう。いかがですか。
  159. 川原正人

    川原参考人 永江先生からいろいろ本当に含みのある御示唆をいただきました。私どもいろいろな今までの過去の長い経験の中から、かなりこのところは自分自身でも苦しんでここ一両年検討してきたつもりでございます。  私も長い間ニュースの仕事を実際にタッチしておりましたけれども、今でも記憶に残っておりますのは、あれは何年前でございましたか、東芝の、府中でもって三億円の強盗事件のときに、ある段階で地元の警察が一人の方を、私今でも名前をはっきり覚えていますけれども、重要参考人として召喚したときに、NHKも各新聞も一斉に呼び捨てにしたのです。ところが、二十四時間か三十六時間で釈放になったときにまた慌ててみんなさんづけをしたという、今でも記憶に残っております。まことにジャーナリズムの醜態でございました。私はそれも十何年も前のことを今でも覚えているのです。その後もいろいろな機会あるごとに、デパートの火災とかホテルの火災等に際して責任者が逮捕されるような事態もありまして、そういうたびに一体どう扱うべきものかと始終我々の中でみんなが苦しんで考えてきた問題でございます。  それで、最近の一連のいろいろな社会的な変化の中で、やはり人権というものはあくまで尊重しなければいけない、特にテレビの場合は新聞等活字でやる場合と違いまして、アナウンサーなり記者なり、しかも社会的に言いますと比較的若い記者の者が顔を出していろいろリポートするケースも非常にふえてきていますと、関係者の方には活字以上に抵抗感も多いという事実もございますので、その辺を何とかNHKが先頭を切って人権の大事さというものを、最初あるいはぎこちなく見える、聞こえるかもしれませんけれどもやっていくべきではないか、そういうことを主導、開拓していくのもNHKの責任であろうということで、今回私も相談に乗りまして踏み切ったわけでございますので、その点はひとつ御理解いただきたい、また永江先生の話の趣旨は私どももよくかみしめて事に当たってまいりたいと考えております。
  160. 永江一仁

    ○永江委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、報道関係が意図するしないにかかわらず、国民一人一人の人権を踏みにじるというと語弊があるかもわかりませんけれども、そのことで泣いておる人もあるということだけはよく見聞きするわけでございます。もちろん、報道の自由はあくまでも守っていかなければなりませんけれども、その中でぜひとも、本当に一般の国民の人権を守るという立場で今後ともマスコミ界で頑張っていただきたいということを申し添えまして、質問を終わらせていただきます。
  161. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 佐藤祐弘君。
  162. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 初めての質問をさせていただきます。ふなれな点はお許しをいただきたい。  私はまず最初に、ニューメディアに対するNHKの基本的な取り組みの姿勢といいますか、お尋ねをしたいと思います。  NHKは、昨年の文字多重放送に続きまして、ことしの五月には衛星放送を開始しようとしております。また高品位テレビなどの研究も進められております。私は、これらのメディアが文化の発展の上でまた国民生活を豊かにする上でも新しい可能性を開くものだと考えております。しかし、それはあくまで可能性でありまして、これらのメディアも使い方によれば国民の暮らしを豊かにする方向と逆行する結果になったり、あるいは負担を押しつけるだけのものになってしまうこともあり得ると思います。今盛んに言われております国民の多様なニーズにこたえるということにつきましても、何が本当に国民のニーズなのか見きわめることが大事だ、そしてニューメディアがまさに国民の生活を豊かにすることでなければならないと考えるわけであります。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕  NHK経営計画についての中でも「衛星放送の開始など新メディアの実用化を図り、」「真に社会と国民生活に役立つ、公正で質の高い放送を行う。」としておられますし、会長の御発言でも、我が国の放送界はこれまでと質を異にする大きな変革の時代に入る、そういう認識を述べておられます。  そこで会長に、ニューメディアNHKとして取り組む基本姿勢といいますか目的、それを改めてお尋ねしたい。また、五月から実施されようとしております衛星放送と国民生活とのかかわり、意義についてお答えをいただきたいと思います。
  163. 川原正人

    川原参考人 どのような新しいメディアでありましても、その活用が本当に国民の豊かな生活につながるものでなければ意味がない。その意味で、今NHKが当面しております新しい時代に対する対処の仕方としては、何よりも多様化していく国民の要望に的確にこたえる、そして国民の生活を豊かにしていく。今、新しい二十一世紀を迎えた時代が高度情報化の社会であろうとか、あるいは成熟化を目指す社会であろうとか言われておりますけれども、私としましては、これからの日本の生活は、もちろん経済的により豊かになることはなおかつ必要かと思いますけれども、それ以上に、やはり精神的な豊かさあるいは文化の豊かさというものを追求していかなければならない時代だろうと思います。そういう意味で、そのような新しい成熟というか精神的、文化的に豊かな社会に役立つように私どもニューメディアと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  164. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 具体的に衛星放送の問題で幾つかお尋ねをしたいと思います。  衛星放送は、この審議でもたびたび言われておりますように、難視聴解消を主目的として始まったわけであります。その後、今回の質疑の中でも、衛星放送は豊かな可能性を持っており、難視聴解消にとどまらず多面的、多角的に発展させていきたいという趣旨を会長初め強調しておられます。私は、豊かな可能性という点は全く同感であります。そのことについては後でも述べたいと思っておりますが、当初の目的としてきた難視聴解消、これ自体についてきちっとしておく必要がある、そういうふうに考えるわけであります。  今回の質疑でも出されましたように、なるほど赤道の上空三万六千キロから放送衛星の電波が全国に届く、しかしそれを受信するにはパラボラアンテナ十三万円、チューナー十二万円、さらに工事費を加えまして三十万円の負担が必要であるという問題があります。難視聴地域は世帯数にして四十二万と言われておるわけですが、果たしてどれだけの家庭が新しい負担をするのだろうか。とりわけ、先日NHKのテレビでも特集的にやっておられましたが、相次ぐ公共料金値上げ、物価高、そういう中でどれだけの家庭が三十万円を出すだろうか、私は甚だ疑問に思うわけであります。  この点、NHKとしては四十二万世帯の中で、五月の放送開始時点あるいはそれ以降、どれくらいの世帯が受信施設を設置すると考えておられるのか、その見通しをお答えいただきたい。あわせて、この衛星放送の開始に先立って、四十二万世帯に対する事前調査、こういうことをやられたことがおありかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  165. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 お答えいたします。  御指摘のように、確かに放送衛星受信機が新パラボラあるいはコンバーター、チューナーを含めまして三十万円と非常に高いのですけれども、今新聞紙上で出ておりますのは二十数万円ということになっておりますけれども受信機につきましては今後の量産化問題、もちろん衛星放送普及につきましては、送ります番組の内容が魅力があるということがまず第一でございますし、その次には受信機のコストが安いということが重要かと思います。それで受信機のコストでございますけれども、今申し上げましたように、これから日本のみでなく外国の方も衛星時代に入っていきます。一九八五年から六年にかけて外国の方も衛星時代に入っていくということで、日本の受信機が海外に向けても輸出されるということからいいますと、かなり普及が進むのではないか。  衛星受信機は私たちNHKがつくるわけじゃございませんので、これは一つの試算として御理解願いたいと思いますけれども、現在の衛星受信機の内容その他から検討いたしまして、またもう一つは、カラーテレビが普及した場合、カラー受信機がどういう経過で安くなっていったかというようなことも参考にいたしますと、現在二十数万の受信機でございますけれども普及が百万程度になりますと大体半額に近い十万から十五万ぐらいに下がるのではないかという一つの予想を持っております。  それから、次の四十二万の難視のことでございますけれども、これから我々といたしましては、今放送が見えない方々のために、難視の地域に衛星受信機普及ということを考えなければなりませんので、これから難視地帯の方々衛星受信機を持っていって具体的に、こういう形でこうすれば受信できますというような受信技術指導というのをやっていきたいと思っております。
  166. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 事前調査はやられていないということですね。
  167. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 調査はやっております。四十二万の中でどこに難視があってという実態の調査はやっております。
  168. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 質問がちょっと不正確でした。事前に、衛星放送が開始された場合に受信設備を備えるかどうかという意味の調査です。
  169. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 今お話し申し上げたように、番組の内容その他にもよりますけれども、具体的に、一年たって何万かという詳しいところまではやっておりません。
  170. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今申された量産化の見通しも非常に不確かなものでありますし、それを待つわけにいかないと考えます。いずれにいたしましても私は、何らかの対策を立てなければ、電波は送られているが受信されないということで、難視聴解消というのが当初の目的や建前だけのままになる、虚名に終わるのではないかという危惧を持っているわけであります。  そこで、郵政大臣にお尋ねをしたい。  これまで難視聴解消は、あまねく受信できるようにということでNHKもいろいろ努力をされてまいりましたし、郵政省、国としても、受信者の便宜を図る、負担をかけないようにということから自治体とともに一定の補助を出すなどしてこられました。その結果、これまでの難視地域の場合には、多くても五万円、大体五万円以下の負担で済んだというふうに聞いております。ところが今回は、直ちにつけるとなれば三十万円。半額になるという今のお話が何年先になるかわかりません。そうしますと負担というのは非常に大きいわけです。むしろ常識的に考えれば、放送法の精神からいいましても、今回こそ補助が必要である、補助を検討すべきであると私は考えるわけですが、いかがでしょうか。そうしなければな難視聴解消という名分が貫徹されないという結果になると思うので、お聞きする次第であります。
  171. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 辺地難視聴の解消につきましては、御指摘のように、従来、放送事業者による中継局の設置それからNHKあるいは国庫補助による共同受信施設の設置等によってその解消を図ってきたところでございます。ただ、こういった状況の中で残っております難視聴地域が散在化する、そしてまた狭域化するということでその解消効率が非常に悪くなってまいりました。そうしたことから、地上での難視聴解消を図るよりも衛星放送による難視聴解消を図ることがいいのではないか、これは長い経緯があるわけでございますけれども、そうした中で衛星による難視聴解消策が出て、またそれが現実のものになろうとしている状況でございますが、御指摘のように機器の値段が高いという問題、これは一面では番組等の内容によってそれが普及をしていく、あるいは量産効果によって普及をしていくということもございますが、今回の予算の中でも私どもといたしまして衛星受信用のチューナーの非課税措置を考慮いたしているところでございます。いずれにしましても、これからの難視対策ということではこれまでの経緯の中で衛星によることが適当であろう、同時にその衛星によります普及が大きな問題だと思いますが、私どももそうしたことに努力をしてまいりたいと考えております。  これまで御指摘のように一世帯当たりの実際の……(佐藤(祐)委員「補助金を出すのかどうかということです、質問は補助金の問題です」と呼ぶ)補助金につきましては、五十四年から五十八年度におきましてトータルで九億円、解消世帯数が約二万四千世帯ございました。ただ、先ほど申しましたように解消効率が悪化してきたということで、現在は衛星放送による難視聴解消を基礎にするということにしているわけでございます。
  172. 奥田敬和

    奥田国務大臣 お役人としてはああいう答弁になると思うのです。けれどもNHK側としてはあまねく波を降らさなければならぬ、しかし降らなかったという地域に、開発的な負担も非常に大きいけれども、何とかして受信可能な状態に一刻も早くしなければいかぬということで、この五月からは、放送開始となればNHKとしては放送法に決められた目的はほぼ達せられたことになるわけです。(佐藤(祐)委員「いやそうじゃない」と呼ぶ)波を降らすことで受信可能にする目的は一応できたのです。今度は受ける側ですよ。これは、今、先生指摘になったように、受ける側の負担が大変な値段だ。半分という予想も将来においては三分の一になるかもしれませんけれども、現実においては三十万円という高額負担をしなければ、波は降ってきているけれども受信できない。それに対して技術的な協力は惜しまぬとNHKはずっと言っているのです。ただ、かかるお金に対してこれで果たして難視対策としての目的が全部達せられたかというと、第一段階の目的は達せられたけれども、これからが政治家の出番になってくると思うのです。そういった難視の格差をなくするということはまさに今日的な政治課題だと思うのです。ですから、そういったサテライトを上げることによって受信可能な段階にまで持っていった計画から、今度はまさに、試験段階とはいえ五月からの放送開始で、実験的な放送段階からどの程度番組になるかは未知数ですけれども、私としては、今、御指摘のように受信者負担の軽減をいかにするかということに全力を挙げていきたいと思います。この問題は与野党挙げて、何としてもこのサテライトを上げた理由、主目的が横へずれないように御協力をお願いしたいと思いますし、私も先生と御一緒の政治家の立場としても、今も主管大臣ですけれども、もちろん積極的に働きかけていきますから、御協力のほどをお願い申し上げます。(「九十八点」と呼ぶ者あり)
  173. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 補助金を出そうということまでおっしゃれば百点だったのかわかりませんが、ぜひ本当に検討していただきたいと思うのです。そうでないと、さっきも言いましたが、本当に実体のない虚名になってしまう。  続いて、放送の内容といいますか、豊かな発展を目指していくということに関連いたしましてお尋ねしたい。  放送番組、もう拝見したわけですが、NHK考えとしては衛星独自放送、どういうものをやるかというこれの基本的な考え方、そのことと時間枠の限度、それを何%ぐらいと考えておられるかという点をまずお聞きしたい。
  174. 川口幹夫

    ○川口参考人 衛星放送の目的が難視聴解消でございますから、総合テレビ、教育テレビとも少なくとも再放送を除くものは全部衛星第一、第二でやりたいと思います。ただ、衛星第一放送が総合テレビそのままいけないのは、御承知のごとくローカル放送衛星では各個にできませんので、これは何らかの意味でローカルからうまく集めたものを東京から出すという形で衛星独自のローカル番組というものを考えたい、このように思っております。  その際、総合テレビから九二%ぐらい、あとは時差放送並びに独自放送合わせて八%ぐらいと思っております。第二テレビの方は、教育テレビの再放送を除きましたものは全部第二テレビでやりますけれども、大体二八%が時差放送ないしは衛星独自の番組というふうなことを考えております。この第二衛星テレビの独自番組につきましては、衛星が持っている利点といいますか高画質、高音質というものを最大限に使ったもの、あるいは時間帯の枠、今は窮屈なところが多少ありますから、そういうものも広げた番組考えるとか、この二八%の中をいろいろな工夫をすることによって魅力のある放送にしたいと思っております。
  175. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、この内容で幾つか検討すべき問題があるのじゃないかと感じておるわけです。  一つは、いわゆる時差放送と言われておるわけですが、大河ドラマなどの人気番組の先行放送をやられる、そういう予定になっているわけですが、これもNHKさんのおっしゃる編成上の工夫による魅力ということの一つだろうと思うのです。しかし、私はここに問題があると思う。これは恐らく難視聴地域だけでなくむしろ都市部での普及を図りたいということだろうと思う。しかし、このやり方ですと視聴者間に不公平が起きる、この問題を検討する必要がある、軽視することができないのじゃないか。つまり、具体的に言いますと、一つの職場でも比較的余裕のある方は早く購入される、また新しいものにすぐ飛びつく人、飛びつくという言い方は悪いかもわかりませんが、そういう方もおられます。そうしますと、同じ職場の中でも、先がどうなるかというのが楽しみな連続ドラマ、その先々を知っている人間が隣に座っている、話題にもする、これは本当におもしろくないと思うのですね。こういうやり方は、公共放送であるNHKがとるべきやり方ではないというふうに思うのです。この点は会長さんに御見解を伺いたいと思っております。  そして、こういうやり方ではなくて、せっかくの波ですからやはり新しいものを、新しいメディアを生かす道を考えるべきではないか。これは昨年の参議院の逓信委員会で我が党の山中郁子議員が提案をしたわけですが、例えば放送文化基金で表彰されたような優秀な番組がありますね。そういうものの再放送とか、それから全国各地の民俗芸能、非常にいいものが余り紹介されずに各地にあるわけです。どの県にもあります。そういうものをもっと意欲的に掘り起こしていくとか、そのほか、その気になればいろいろ考えられるというふうに思うわけです。せひそういう方向で、本当の意味で新しい魅力をプラスする、ほかの人より先に見せて、私は、いわばそういうこそくなやり方と言えるかと思うのですが、そういうやり方ではなくて進むことこそが本道ではないかというふうに考えます。その点お聞きしたいと思います。
  176. 川口幹夫

    ○川口参考人 先生指摘のとおり、時差放送というものを、いわゆる格差みたいな形で受け取られても大変困りますので、私どもが念を入れたいと思っておりますのは、先ほど申し上げました高音質、高画質の番組と、それからNHKが過去に非常にたくさんのすぐれた番組を蓄積してございます。これをサテライトライブラリーというふうな形でもって再編成をしたいというふうに思っております。それから、番組としても衛星独自の番組を、まず衛星を見る方の独特の楽しみ方というものに合わせて編成をしていきたいと思っておりまして、いわゆる時差放送中心編成するというふうなことではございませんので、御了解いただきたいと思います。  それから、ちょっと失礼でございますが、先ほど私が永江先生の御質問の中で、モントリオール大会の際の制作費の民放との分担比率をNHK分が六八・七%というふうに申し上げましたけれども、これは六八・三%の間違いでございましたので、ここで訂正させていただきます。まことに申しわけございませんでした。
  177. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の御答弁でしたが、いやそうではないようにこれまで聞いてきておりました。割合に時差放送を売り物にするといいますか、キャッチフレーズにするようにも聞いておりましたので、そういうことではない、それをメーンに置くのではないということであれば、その点はそういう方向で進めていただきたい。不公平感を生むのは本当にまずいと思うんですよ。子供たちの話題にも影響が出るというようなことになりますと、これは大変だと思う。  番組表に即しましてもう一点申し上げたいことがあります。再放送時間を有効に使うということで組み立てられておるわけですが、例えば衛星の第二で見ますと、全体には三〇%ですが、夕方六時以降で見ますと七〇%が独自番組になっているわけです。そのために幾つか犠牲になっているものがあります。例えば、高校講座の数学Ⅰと英語のⅠですね。これは夜の時間帯に再放送されておったわけですが、それが朝の七時半から八時という時間帯に繰り上がっているわけです。七時半から八時といいますと、大半の高校生は通学時間帯と重なるだろう、こういうことが一つあります。  それからまたもう一つは、これは部分の例ですが、「きょうの料理」というのが午後九時からあったのですが、それがなくなっております。特に私が気にしましたのは、先日、NHKの方から視聴者会議視聴者の意向を反映させる努力をどうしておられるかというお話をお聞きしました。そのときに、独身者とか共働きの家庭の強い要望があって、それを反映させるために「きょうの料理」というのをあえて夜のそういう時間帯にしたのだ、これは視聴者会議、懇談会の成果の一つであるという御説明を受けたわけです。ところが、今回の番組で見ますと、それが吹っ飛んでしまっているわけです。こうしますと、一体さきの御説明はどういうことだったのかという疑問も持ちまして、こうした点、さらに番組編成自体についても検討が必要じゃないかと思うのですが、その点お聞きしたいと思います。
  178. 川口幹夫

    ○川口参考人 確かにおっしゃるように「きょうの料理」等について、夜放送することのよさを委員の方から御指摘を受けましたし、現に教育テレビでは依然として夜の九時の時間帯にやるということにしております。ただ、衛星放送番組編成に当たりましては、これが五月にスタートしまして、視聴者の対応そのほかを十分に見きわめながら検討していきたいと思っておりますので、今のところでは、先ほど申し上げました有効的な利用というふうなことのために割愛されておりますけれども、これは当然後々視聴者の要望が深まれば、また検討もしてよろしいというふうに考えております。
  179. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう方向検討お願いしたい。  さらに、一つ大きな問題といいますか、どうしても私、解決が迫られている根本的な矛盾があるように思うのです。それは先ほどの御説明にもありましたが、衛星放送で難視聴解消という大義名分と、衛星放送の内容を豊かにしていく、魅力的なものにしていく、これは一定の時間の枠内でということかもわかりませんが、本来はそうでなかろうと思うんですね。そうしますと、物理的な矛盾がどうしても起きざるを得ないのじゃないかと思うのです。難視解消を衛星放送の主目的とするという設定を変えない限り、いつまでも放送時間の七割から八割、これは地上波と同じものを出すということが続くわけですね。それで何百億という多額のお金を使って、せっかく新しい技術開発しながらこういうことが続くということでは、私は、いわば非常に壮大なむだになるのではないか、メディアの浪費ではないかというふうに考えるのです。この点は、当然NHKの方でも内部ではいろいろ御議論なさっていると思う。皆様のNHKということでありますが、そうであるからには、率直明快なNHKであっていただきたいというふうに私は思うのですが、この根本矛盾をめぐって、これをどう打開するかというあたりでどういうふうに御検討なさっておるのかお伺いしたいと思います。
  180. 坂倉孝一

    坂倉参考人 この難視聴解消ということと、それから衛星独自の番組の拡充ということは、確かに物理的には先生おっしゃることで、ある意味では非常に矛盾する面はあるわけでございますけれども、しかしながら、まず上げます放送衛星というものは難視聴解消ということが基本的な目的でございますので、それに対する番組としては、やはり現在地上のテレビジョン放送で行っている番組というものを中心放送せざるを得ないと考えるわけでございます。しかしながら、将来につきまして全体のテレビジョンの放送というものの体制をどういうふうに考えるかということにつきましては、特にそのローカル放送といったような問題からいえば、やはり地上放送としての役割というものは今後も長く続くわけでございますし、また一方、先生は四十二万とおっしゃいますけれども、新しいそういう難視解消の対象となる地域の方々は、将来ともこの衛星放送だけの受信者になるわけでございます。そういった意味で、その辺の、本当に衛星放送が全く日本全国に普及をした段階における形につきましては、やはり一体どういった速度で本当にこの衛星放送というものが普及できるのか、そういう経過を見ながら将来の全体を含めたテレビジョンのすべての体制というものを総合的に検討しなければいけないと考えるわけでございまして、今の時点におきまして、それの最終形態をどういうふうにするかということはなかなか御回答申し上げかねるわけでございます。
  181. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の点で、私がお聞きしたのは、だからどういう可能性検討されておられるのかというあたりでお聞かせいただければと思ったのです。ともかく、難視解消の前提に立つ限り、七、八割はある意味で永遠に地上波と同じものが流れていく、構想しておられるのはこういうことではなかろうと思うのです。若干聞いていることもあるのですが、そのあたりで、現状の説明ではなくて、将来議論での幾つかの検討項目でも教えていただければと思ったのです、お答えいただければ。その点いかがでしょう。
  182. 坂倉孝一

    坂倉参考人 検討していく方向といたしましては、衛星放送というものが本当に普及した段階において、将来的には、先ほどからお話もありますように、民放も始まれば、新たに八チャンネルの全国の放送体制というものが全国的に民放も含めてできていくわけでございますし、そういう将来の段階において、一体日本のテレビジョンの放送体制というものはどうあるのか、そしてその中で公共放送としてNHKが、高度情報化社会ということで視聴者、国民からの情報に対する多様な要望が非常に出ている中で、どれだけそういったメディアというものを多様化し、それにおこたえするような体制をとり得るのか、その辺につきましては非常に不確定的な要素が多いわけでございまして、NHKが今、地上の二波とそれから新たに難視解消として始まりますこの衛星の二波、この四波をどういったような形で最終的には持っていくかということにつきましては、いろいろな可能性考えながらやっておりますので、今、先生具体的にと御質問でございますけれども、ちょっと、余り具体的に申し上げるものを持たないわけでございます。
  183. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 こういうことをお聞きしているのも、五十九年度の予算案とかそういうことにも絡む問題もあるのでお聞きもしておるわけです。衛星放送、全国的に受信できるような状態になるという想定、いろいろな可能性があるわけですが、それは省きましょう。  衛星放送に関する質問の最後に、高品位テレビについてお聞きをしたいと思います。  私は、先日NHKの総合技術研究所にお伺いいたしまして、実験中の実物を見せていただきました。大変丁寧に説明をいただいて、大変感謝をしております。確かに、映像は激密で、きれいですね。この高品位テレビは、NHK審議会報告では「実用化の時期はBS13段階になるものと考えられる」と言っておられます。午前の審議の中で、鴨局長の方からは、BS3の段階ということを明らかに決めているわけではないという御答弁があったのですが、NHKとしてはBS3をあくまで目標としてやっていかれるのかどうか、この点をお聞きしたい。
  184. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 お答えいたします。  ごらんいただいた高品位テレビですけれども、これはNHKで十数年前から将来の情報化社会にふさわしい新しい次世代のテレビジョンということで開発してきたわけです。それで実用化に向けまして着々と成果が上がってきております。これはごらんいただいたとおりだと思います。現状を申し上げますと、高品位テレビ用のカメラとかVTRとか、そういったいわゆるスタジオ技術としてはほぼ完成しておると言ってもいいと思います。したがいまして、そういったハードウエアを使えば、いわゆるソフト制作は可能であるという段階だと思います。  また、NHKは、高品位テレビにつきまして、国内はもちろんですけれども、特に海外の要請がありまして、主として先進国ですけれども、いろいろ海外でデモンストレーションをやっております。それで海外から大変大きな注目と高い評価を受けておりまして、特にアメリカ及びヨーロッパでは、将来のテレビジョンの方式並びに技術基準についてはぜひ世界的な統一を図ろうじゃないか。現在のテレビジョンは、残念ながら、御承知のようにNTSCとかPALとかSECAMという方式に分かれております。したがって、ニュースの交換あるいは番組の交換に非常に不便をしております。この次のテレビに関してはぜひ統一しようじゃないかという機運が盛り上がっております。特に、高品位テレビジョンにつきましてはNHKがその最先端を行っておりますので、NHKに強いリーダーシップというものが期待されているわけでございます。  それから、この高品位テレビにつきましては、御承知のように絵が大変緻密でしかもワイドでございますので、いわゆる伝送する情報量が、現在のテレビジョンの五倍の情報量が必要なわけです。したがいまして、放送衛星でやる場合に、従来は二つの衛星チャンネルを使って出さなければ放送ができなかった、これが、ことしの一月、新聞発表いたしましたけれどもNHKの研究所が新しいMUSEという方式を開発いたしまして、これを使いますと、放送衛星の一チャンネルで放送ができるということになりました。これは、日本あるいはヨーロッパのように衛星用のチャンネルの割り当てが比較的少ないところ、アメリカはたくさんありますけれども、そういうところでは、電波の有効利用という面からいいますと大変画期的なものでございます。その意味では、高品位テレビのいわゆる技術的な可能性というものを大きく前進さしたというふうに我々は考えております。  そのほか、高品位テレビにつきましては、ただ電波を使う放送だけではなしに、帯域圧縮技術を使っておりますので、パッケージメディア、例えばホームVTRあるいはビデオディスク、そういった面でも可能性が出てきたということで大変注目されているわけでございます。
  185. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 BS3で目標とするのかどうかというのが質問点です。能書きじゃない。
  186. 矢橋幸一

    ○矢橋参考人 失礼しました。要するに、これから実用化するに当たってどういう問題があるかという御質問だと思いますけれども、我々としては、国内的にはまず、この高品位テレビの方式並びに技術基準というものを決めなければならない。先ほど電波監理局長からお話がありましたけれども、五十九年度から電波技術審議会審議を開始する、そういうことで、これからその審議に入って、技術基準を決めるところへ入るわけです。そのほか、国際的にも、先ほど申し上げましたけれども、世界的なワールドワイドなスタンダードを決めなければならぬという問題がございます。(佐藤(祐)委員「質問のポイントに答えていただきたいのです」と呼ぶ)  あとは、受信機のコストダウンの問題がございまして、これは新しい方式ですから、受信機を安くしなければならない。これは我々の方でこれから今後十分研究していきたいと思っております。NHKといたしましては、早急に高品位テレビが可能となるように強い希望を持っておりまして、BS2での技術実験にも、精力的に実験をやっていきたいというふうに思っております。
  187. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実用化をBS3の段階というふうにやっておられるのは、その点とうかということを聞いているのです。今までのは一切答弁になっていないのです。
  188. 川原正人

    川原参考人 私からお答えします。  NHKとして、BS3の段階で実用化するという方針を決めているわけではございません。ただ、BS3の段階では実用化できるように、それまでに開発の準備を全部完了しておきたいといって、今、準備を進めているところでございます。
  189. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それで結構だったわけです。  それで、お聞きしたい点は一つであります。BS3の基本設計はたしか五十九年度中ということだったですね。それとの関連はどうなりますか。
  190. 川原正人

    川原参考人 もちろんその基本設計の中でそれをどう取り込んでおくかということは非常に重要な問題と思います。ただし、これは政府の方の今後の放送衛星に対する施策といいますか、それとも非常に重要な関連を持つと思いますので、私、技術基準のところはよくわかりませんが、その辺の政府の施策とも十分打ち合わせて進めませんと結論はちょっと今出しにくいのじゃないかと思っております。
  191. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 衛星はちょうど電波を反射する鏡のようなものとお考えいただいた場合には、ただいまの問題はBS3の基本設計には直接に関係ございません。地上からどういう形で送り、そしてまたそれをどういうふうに受けるか、そこが問題でございます。
  192. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 高品位用には予備機を使うというような場合は想定はされておるでしょうか。
  193. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 高品位テレビの問題につきましては、技術的には私どももできるだけの進展を図り、先ほど会長からお答えございましたような体制を整えていくということが国際的にも重要だと思っておりますけれども社会的、経済的な適用という面におきまして、特に幾つかの問題があります中に、受像機が、ちょうど白黒テレビとカラーテレビにつきましては両立性がございますけれども、高品位テレビとそれから一般のテレビにつきましては受像機の面で一つは走査線の数が全く違います。それから縦と横の比率が、先生御承知だと思いますけれども四対三と五対三というふうに違っておりますので、この点あたりがこれから、技術的な側面は詰めていく一方で経済的、社会的な側面として検討さるべき課題であるというふうに我々受けとめ、もちろんこれについての検討は進めていきたいと考えているところでございます。
  194. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 受像機の問題が今後大きいのだろうと思うのです。私、お聞きしましたところが、今の縦横の比率の問題と同時に、かなり大きくないと効果がない。小さなテレビでは、緻密になっていますのでさほど効果がないということですね。理想的なのは縦六十センチ、横一メートル、そういう画面が一番いいのだというお話です。少なくとも三十インチのブラウン管でないと効果がないということなんです。現在一般家庭では二十インチ以下ですね。十四、十六というのもありますし、最大で今売り出されているのは二十六インチです。それよりもはるかに大きい三十インチのテレビでなければ高品位の効果があらわれないということになる。これに関連していろんな問題が起きてくると思う。まず本放送に高品位を入れ込んでいきますと、一般受像機でも両方映るというふうにしなければならぬし、もちろん高品位では映らないわけですが、少なくとも普通状態では映るということですね。同時に縦横の比率がそれだけ違いますから、一般の受像機で受像すると両端が切れるか天地が空白になるかという問題が出てくるわけです。そういったいろんな問題があると思います。  詳しくはきょうちょっとできなくなりましたが、強調したいのは、そういったいろんな問題があるわけで、ほかにはペイテレビの問題とかあるわけです。いずれにしましても、新しい計画を進めていく場合には、でき上がってからではなくて可能な限り国民的に広く内容を明らかにして意見も求めていく、そういう意見も反映させて仕上げていくというようなことが私は大事じゃないかというふうに思うのです。といいますのも、でなければ冒頭に申し上げました衛星放送による難視聴解消のように実態が伴わない。それが何年続くかわからないわけです。そういうことにもなりかねぬと思うからです。今、放送界が、会長もおっしゃるように変革の時代、新しいところへ踏み出そうという時期だけに、こういう姿勢、国民に対してよく説明し理解を得る、意見も反映させる、そういう姿勢に立たれることがNHKに対する国民の信頼を培っていくのだというふうに私は思っているわけですが、その点いかがでしょうか。
  195. 川原正人

    川原参考人 私どもの仕事はあくまで全部の視聴者の支持の上に成り立っているわけでございますし、日ごろの仕事はもちろんでございますけれども、新しい仕事を展開していく場合にどうしても全国の視聴者の支持がなければ成功するものではないと思います。その意味では、通常の仕事もそうでございますけれども、新しい仕事につきましてもいろいろな手だてを講じまして視聴者意見を吸収していくということは今後とも努めてまいりたい。今までも、大体各県ごとに放送局がございますけれども、そういうところで視聴者会議等も設けて年に数回の会議も開いておりますし、そうでない場面でもいろいろな催し物等の機会にNHKの担当の者がいろいろな会合に出まして御意見を聞いておりますけれども、そういう方途をなお的確に講じてまいりたいと思っております。
  196. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 次に、今まではニューメディアといいますかそういう問題で御質問してきたわけですが、同時にもう一つ大事な問題があるというふうに思います。それはすぐれたテレビ番組の保存と活用の問題なんです。例えばNHKで言いますと、昭和三十六年当時大変評判になりました大河ドラマの「花の生涯」とか「赤穂浪士」、そういうものは放送史に残る名作だと思うわけですが、もう一本も残っていない。それから、NHKの名チーフディレクター吉田直哉さん、あの方が演出された「太閤記」も残っているのは「本能寺の変」一本だけなんです。これもたまたま、愛宕山のNHK放送博物館がございますが、そこの展示棚にビデオテープのサンプルとしてあった。それをある日確かめてみたらそれが「本能寺の変」だったという全く偶然の機会で生き残ったというケースで、かなりのものが、せっかくのものが消えてしまっている。報道番組で言いましても、昭和四十六年以前のものは、第一回日米宇宙中継、ケネディ暗殺の当時ですが、六本しか残っていない。民放でもいろいろあります。代表的な社会派ドラマとして有名なテレビ朝日の「判決」、これは新聞記者の方が調べられて、ことしの一月の新聞協会が出しています「新聞研究」に詳しく載っておりますが、三年前には四本残っていた。ところが今は一本しか残っていない。最終回の「憲法第二十五条」というのしか残っていないそうであります。そしてNHKがテレビ放送三十年記念番組で「判決」のビデオを借りて放送しようとしたところが、VTRの状態が悪くて使用に耐えなかった、それで断念したという経過もあるそうであります。  私、ここに「ビデオ・プール」といいまして「テレビ番組を開かれた文化財とする会」というのが発行している機関紙ですね、第一号が発行されたわけですが、それを持ってきております。これは放送の研究家であります常磐大学の後藤和彦教授、それから日本映像カルチャーセンターの牛山純一さん、NHKの総合放送文化研究所の平原日出夫さん、そういう方々が有志でアピールも出しておられるわけです。NHK、民放の枠を超えて歴史的、文化史的に価値のあるものを保存する、そうして一般に利用もできるようなビデオライブラリー、こういうものをつくろうという呼びかけなんです。さっきも申しましたように貴重なものが散逸、消滅しているということがあるだけに、私はこれは非常に大事な呼びかけだというふうに思うわけです。会長さんもこちらに一文を寄せていらっしゃるわけですが、会長さんの御意見をお聞きしたい。
  197. 川原正人

    川原参考人 今までテレビが放送開始になってから約三十年たったわけでございます。その間において私ども、これはNHKだけでなかったのではないかと思いますけれども放送事業者がとにかくテレビというメディアを国民の生活に役立てようといって、先へ先へといって夢中になった、なり過ぎたと言ったら言い過ぎかもしれませんが、実際の私どもの仕事をきちんと整理し、とっておいてそれを文化財として活用するというところに確かに目が落ちていたと思います。もちろんこの過程には、放送したものをきちんと録画しておく技術的手段も当初は非常に貧弱であった。キネスコープといいまして、非常に画質の悪いそういう装置しかなかった。それがビデオテープの開発によってかなり鮮明な形で残すことができるようになったという、技術的な一つの立ちおくれといいますか、ずれもあったかと思います。  それから、もう一つ大変難しいのは著作権法の問題がありまして、この種のものをコピーしてとっておくことについて幾つかのまた著作権者との話し合いの問題もなかなか難しい問題がありました。それらのことのためにこれらの保存が十分でなかったことは、テレビ事業者みんなが今後悔のほぞをかんでいるところでございます。  これに対しまして、そういうものを保存し、ライブラリーとしてまた文化財として役立てようという考えは出ております。これは一つ、二つではございませんが、幾つかのそういう動きをできるだけうまく育てて、これは放送事業者の間でも今そういう話が出ております、ぜひそういう形で文化財としてテレビ番組のライブラリーを育てていきたいというふうに考えております。
  198. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大変結構だと思います。  この点で文部省にお尋ねをしたい。  類似のものとして、たしか近代美術館だと思いますがフィルムライブラリーというのがありますが、このビデオライブラリーという構想についてどうお考えになられるか。また、適切な形でぜひ援助を検討していただく必要があるのではないかというふうに考えるわけですが、あわせてお答えをいただきたい。
  199. 大谷巖

    ○大谷説明員 お答え申し上げます。  古い放送番組がなくなりつつあるということは先生指摘のとおりでございます。先ほどのお話のように、関係者の間でこのビデオライブラリーをという構想があるということも私どもは承知はしているわけでございます。この放送番組の保存につきましては、現在NHKの総合放送文化研究所の放送博物館及び放送文化財ライブラリーとか、民間放送連盟記録保存所といったようなところにおきましてその保存にも努めておられる、こういうようなことも聞いておりますので、文部省といたしましては、このテレビ放送録画の保存、公開ということにつきましては、これら放送関係者の自主的な努力に期待したいというふうに考えているところでございます。
  200. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 現在それぞれNHKとか民放とか、またほかにも一定のものを保存しておられるところはあるわけです。ただ、総合的にやっているところはない。例えば映像カルチャーセンターという場合は、報道、教養番組が主だ、そういうことがあるわけです。やはり、単に放送の記録というだけではなくて、大きく言いますと民族の歴史といいますか、政治史、社会史、文化史、そういうものだと私は思うのです。そういうことからいいましても、ビデオライブラリーをつくるということは非常に大事な仕事ではないかというふうに思うのです。  しかも、あるテレビ局ということではなくて、NHK、民放を超えてやっていくということになりますと、これはぜひ国の方でも力を入れていただきたいと思いますし、お金もかかるのですよ。自主的な努力というふうにおっしゃったわけですが、それだけではなくてもっと積極的な姿勢を私はとっていただきたい。やはりそういう性質のものですから、国から必要な補助、援助を出す、しかし運営は、国から独立した自主的な運営ということは当然必要だろうと思っております。これはそういう意味で非常に大事な問題だと思いますので、直接の所管ではございませんが郵政大臣ももし御意見があればお伺いしたいというふうに思います。
  201. 奥田敬和

    奥田国務大臣 検討に値する問題だと思います。大事な作品が全然なくなっているというようなことを今聞いてびっくりしたのですけれども、いろいろな技術的な問題もあったようでございますが、今後そういった文化政策的な意味も含めて検討してまいりたいと思います。
  202. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ぜひよろしく御検討お願いしたいと思います。文部省さんにも積極的な姿勢での御検討を重ねてお願いをしたいと思います。  次に、受信契約集金関連しまして、詳しくはできませんが若干お尋ねをしたい。  いろいろ出ておりますように、委託集金の方とかNHKの外務職員の方とかが非常に御苦労なさっておるわけです。その方たちと御一緒にNHKサービスセンターに調査員という受信契約専門の仕事をしていらっしゃる方がおられるのですが、この方たちNHKとはどういう関係になるのでしょうか。
  203. 林乙也

    林参考人 現在、NHKサービスセンターで特に受信契約につきましての取り次ぎ関係業務お願いいたしております者が全国で約二百五十五名おりますけれども、これらの職員はサービスセンターの職員でございまして、協会サービスセンターとの間に業務契約を締結いたしまして、それに基づきまして業務を行っていただいておるということでございます。
  204. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう関係ということですが、そのためにちょっと矛盾が起きているといいますか、この方たちも毎日受信契約をとるために直接視聴者の方と会っておられるわけで、それでいろいろ意見も聞かれるわけです。しかし、実際にその意見NHKに反映させるパイプがないのだということを言っておられるのです。例えば受信障害の苦情を聞いたときにも、その調査員の方の場合には直接NHKに反映させる手だてがないので、受信相談のはがきというのがありまして、それを渡して、これを出してくださいというふうに言うことになっている。そうしますと、一般視聴者側からいいますと、NHKの受信契約に来た人に意見を言っても直接は聞いてくれなくて、これに書いて出せというふうにはがきを渡されるというので非常に不審にも思っておられるという状態があると聞いたわけです。それで、この点をお確かめしたいわけです。こういう調査員の方から意見を直接聞く場があるのかないのか、その辺の関係はどういうようになっているのかということをお聞きしたい。
  205. 林乙也

    林参考人 お答え申し上げます。  これらのサービスセンターの調査員の方々は、確かに勤務上におきましてはサービスセンターの職員としてサービスセンターの管理のもとにあるわけでございますけれども業務上はあくまでも協会から委託いたしました契約の取次業務に従事していただいておるわけでございまして、その業務の処理に当たりましては全国に配置されております放送局の営業部あるいは営業所と十分連絡をとりながら業務の処理を図っていかなければならないわけでございます。  したがいまして、ただいまお話のございましたような例えば受信サービスについての苦情等の問題がございましたならば、その担当の者が、特に受信サービスの問題につきましては受信技術関係業務のことにもなりますので、これはNHKの外務職員の場合でありましても、本人が直接それについての指導あるいは助言をするというようなことを受信者の方に対してできるだけの力がない場合が多いわけでございますので、いずれにしてもそういった苦情を取り次いで、それで技術担当の職員に連絡をしていただけるならば、早速にもそちらの方から出向きまして御相談をさせていただくということをやっておるわけでございまして、これは特にサービスセンターの職員、それからNHKの場合の集金受託者、外務職員の場合もこれは同様になるわけでございます。
  206. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう御説明でそのとおりならよろしいのですが、実際に調査員の方にお聞きしたところでは、NHKの人が出てこられるのは新年会と研修のときだけなんだ、日常的にはパイプがないんだということなんですよ。ですから、そういうことにそちらの方ではなっているのかもわかりませんが、実情が本当にそのとおりいっているのかどうか、十分調査をしていただきたいと思うのです。やはり第一線といいますか、いろいろ苦情も言われたりしながら受信契約に歩いておられる方は非常に大変だと思うんですね。そういう人たちの苦労が本当に報われるようにといいますか、そうしてその方たちを通して切実な生の意見が反映される、これは大事だと思うんですね。ここを大事にすることが非常に重要だと私は思いますので、その点をぜひお願いをしたいと思います。
  207. 林乙也

    林参考人 御指摘のように、受信の契約に携わっております者が受信者方々からの御意見、要望等を的確に把握いたしまして、協会業務に反映させていかなければならぬということでございますので、そういった業務に携わる場合の連絡、そういったものを密にいたしまして、受信者の方方に対するサービスの上で遺漏がないように十分対処してまいりたいと考えております。
  208. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最後になりますが、受信料値上げの問題で聞きたいと思います。  いろいろ公共料金が値上がりするという中でNHK受信料が上がるということを聞いたときの率直な感想は、NHKよ、おまえもかということだったわけです。先日、大臣も二十三日の答弁で、最初抵抗感を覚えたということをおっしゃいました。大変率直な御発言だったと思うのですが、国民の多くにはそういう気持ちがまだ残っているといいますか、お持ちだろうと私は思うんですね。それだけに国民的な理解を得るということが、そういう努力が、非常に大事だ。経営計画に関する審議会の報告でも、これは十二月に出されたものですが、「受信料額の改定は直ちに全視聴者に影響を及ぼすものであり、改定に当たっては、十分な理解を求めるよう最大限努力を払わなければならない。」こう書かれておるわけです。私は、今回の審議を通じましても、この受信料決定の進め方に若干矛盾を感じている問題がありまして、後でそれは発言したいと思うのですが、まず、この審議会報告で言っている「十分な理解を求めるよう最大限努力」、これをNHKの方では事前にしなければならないというふうにお考えなのか、事後でもよろしいというふうにお考えなのかという点をお聞きしたい。
  209. 川原正人

    川原参考人 それは尊前事後、双方だと私は思っております。
  210. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は恐らくそうだろうと思うのですが、事前が非常に大事なんじゃないかと思うのです。審議過程でも、新聞代との比較論も出ました。なるほど値上げ幅では新聞より低いということがあるわけです。また、一般的に言いまして、NHK経営受信料を基本にするという以上、絶えざる内部努力ということは当然といたしましても、物価や人件費の上昇を受信料値上げでカバーせざるを得ない、そういうことがあることは私も理解できるわけです。ただ、一つの大きな違いは、新聞の場合ですと、やめるとか、やめるのは極端にしましても、二紙を一紙に減らすとか、そういうことができるわけですが、NHK受信料の場合はそうはいかないわけです。ある日どこかで決まる。そうしますと、いや応なく払わなければならぬということで、受信者の人は割り切れない気持ちといいますか、そういう感じを持つわけです。それだけに、私は事前に最大限理解を得るということが非常に大事だと思うわけです。  今回は、特に暮れの総選挙以来の経過の中で、国会での審議が遅くなりました。しかし、日切れものだということで、本来は先にやるべき逓信委員会一般質問も後に回す、定例日以外にこうして審議をするということをやっているわけですね。この審議過程で、二十三日ですが、影響の大きい公共料金値上げ問題なんだから、本来なら参考人質疑をやるとか、もっと十分審議を尽くすべきだったんだという発言もございました。そして、大臣もその御意見に対して、十分審議できるような運びにならなかったのは申しわけない、二度とこのようなことにならないようにしたいということをおっしゃいました。こうした経過と、まだ実態として視聴者の十分な理解を得るに至っていないということと、それから私のきょうの質疑でも値上げにかかわる問題でなお明確にならなかったものもあります。そういう諸点から、今回の値上げは延期し、国民の理解をさらに得るようにすべきだと考えるわけです。それが滞納や不払いを広げないためにも必要なやり方ではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか、NHKさん。
  211. 川原正人

    川原参考人 料金の問題につきましては、事前にできるだけの視聴者の了解を得べきだということは、私どももそのとおりだと思います。私も実は昨年のこの委員会に出ましたときに、三年の計画を四年までは料金を上げずに延ばしてきたけれども、あるいはその先はそういう料金の問題も提案せざるを得ないかもしれないということを申し上げました。実はその後、昨年一年間、先ほども申しましたけれども、私どもは全国の放送局を単位に視聴者会議というものを設けておりまして、その場で、もちろんその当時まだ値上げを決定したわけでもございませんので、あるいはそういう事情に立ち至るかもしれないという協会の最近の事情をるる説明して、いろいろ了解の手だては講じてまいりました。しかし同時に、やはり私ども料金は国会の審議をいただきませんと最終的には決まらないものでございます。先ほども申し上げましたように、もし御承認をいただけますならば、その後直ちにここに至ります経緯をさらに詳しく各視聴者に説明しまして、そうしてその御了解を得て新しい料金の定着を図ってまいりたい、かように考えております。
  212. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう状況であることは私もそうだと思うのです。しかし、国民にとっては変わりはない、事前に納得していないものが降ってくるという点でですね。そういうことで、さっき申し上げました点がありますので、私はこの予算案に賛成することはできないわけです。棄権せざるを得ないということを申し上げる次第です。  そして最後に、今回のようなことを繰り返さないための方策の検討が必要ではないかというふうに思うわけです。NHK受信料値上げをしようとする場合には、もっと早く提起をしていただく。そして国会としても参考人の意見を聞くとか、あるいは視聴者会議などに国会議員が出かけていくということがあってもいいと思う。傍聴でも参加でも構いませんが、そういうこともあって、そうしたことを重ねて、視聴者理解を得るということと国会での十分な審議が並行して進んでいく、そうして合意を得る、そういう方途をぜひ検討する必要があるのではないかと思うのです。大臣がおっしゃった、今回のようなやり方を二度と繰り返さないということを現実に保証するには、そういう措置が必要だと考えるのですが、最後に大臣の御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  213. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生指摘のように、いろいろな観点から、今回の値上げ意見書を付するに当たりまして、本当にやむを得ない決断であったということを御理解賜りたいと思います。  手続上いろいろな問題については、まさに今後そのようなことがないようにはっきりとこの場でお約束申し上げます。
  214. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  215. 志賀節

    志賀委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  216. 志賀節

    志賀委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  217. 志賀節

    志賀委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  218. 志賀節

    志賀委員長 ただいま議決いたしました本件に対して、畑英次郎君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。畑英次郎君。
  219. 畑英次郎

    ○畑委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送の不偏不党と表現の自由を確保すること。  一 国際放送について、引き続き、交付金の増額を図るとともに、番組の充実と受信改善に格段の努力を払うこと。  一 協会は、衛星放送等の新メディア時代に対応するため、経営基盤確立と効率的運営に全力を尽くすこと。  一 協会は、衛星放送の実施に当たっては、視聴者の意向を吸収して、その普及にも資する施策を進めるとともに、ローカル放送の充実についても十分配慮すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四党共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありまするから、各項目については説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げる次第でございます。
  220. 志賀節

    志賀委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  221. 志賀節

    志賀委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、奥田郵政大臣及び川原日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。奥田郵政大臣
  222. 奥田敬和

    奥田国務大臣 日本放送協会昭和五十九年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。  これまでの御審議に当たりまして各委員から提起されました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後、放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)
  223. 志賀節

  224. 川原正人

    川原参考人 日本放送協会昭和五十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認いただきましてまことにありがたく、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、ご審議過程でいろいろ御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  225. 志賀節

    志賀委員長 なお、ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 志賀節

    志賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  227. 志賀節

    志賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十四分散会