○矢野説明員 いろいろお尋ねがございました。私、決して固定資産税の
負担が吹けば飛ぶようなものだとは
考えておりません。先ほどお答え申し上げましたのは、それが本当に生存権にかかわるまでの過重なものになっておるかどうかという点についてはそこまでのものではないのじゃないか。もし本当に生活上困るというような場合がございますれば、それぞれの
市町村の条例によりましてそれなりの減免の規定もあるわけでございます。
ただ、御指摘のように、確かに固定資産税そのものが二十年間に非常に大きくふえたということはそのとおりでございます。固定資産税そのものの性格が、先ほど申し上げたとおりまさに
市町村の基幹財源でございます。この二十年間におきましては、社会資本の整備なりあるいは社会保障
制度その他
行政サービスのレベルアップということが行われてまいりました。こういったものを支えてきたと言うこともできるわけでございます。また、それに応じた御
負担を他の税とともにしていただいてきておる、こういう
意味に御理解をいただきたいし、また固定資産税の果たしてまいりました役割をひとつ御理解を賜りたいと存じます。
評価
方法につきまして矛盾があるではないか、こういう御指摘でございます。丸の内の例とそれから世田谷の例、大きく開きがある、こういうような数字を挙げての御
質問でございます。おっしゃられました数字、正確に確かめておりませんけれ
ども、恐らくそういった
状況はあろうかと思います。
この点につきましては、先ほ
どもちょっと申し上げましたけれ
ども、御
承知のように三十九年におきまして評価
方法を標準地比準方式に切りかえたわけでございます。したがいまして、
昭和三十年代から四十年代の初めにおきましてはまだそういった方式が定着をしていなかったということがあろうかと思います。
それ以前の
時代におきまして、丸の内のような都心の本当に整備されたああいった地区における評価の水準と、それから近郊地帯の評価の水準というものは実質的に見てかなり不公平と申しますか、アンバランスであったという
状況が、三十九年の評価
方法の改正によりまして大きく是正をされてきたということであろうかと思います。したがいまして、四十年代の初めと今日とを比較いたしますと、そういった丸の内と世田谷との間の評価水準の倍率というものはそう大きな違いはないのではないかと
考えておるわけでございます。
また、そういった評価
方法に関連をいたしまして、この路線価のやり方で、特に道路に面したところが高くて、後が、奥行きが安くなる、そういった点の矛盾が出ておるのではないか、こういう御指摘でございます。
これは確かに昔の市街地の使い方といいますかの
状況におきましては、いわゆる奥行き逓減というものをかなり大幅に認めなければならない実態があったと思うのでございますけれ
ども、しかし最近のように非常に大きなビルがそこに建って利用するという場合には、道路に面したところと、それからずっと奥の方とそう大きな違いはないというぐあいに
考えられる点があるわけでございます。したがいまして、私
どもは、そういった奥行き逓減のやり方につきましても、そういった大きなビルがたくさんあるような大都市などにおいてはその実情に応じて
考えるべきだ、またそういった
方法を大都市等においては実行をしておるわけでございます。
また、今回の宅地一九・九%というものは増収を意識してのことではないか、こういうお尋ねでございます。ただ、固定資産税の評価につきましては、先を見通すことはなかなか難しいことでございます。どうしても後追い的になってくるというわけでございます。今回の基準地の一九・九は、前回の二四%強に比べますと、そういう
意味では全体としてだんだん地価の上昇が鎮静化しつつあるということを反映をしておるかと思いますが、ただ、それにいたしましても三年に一度でございますので、やはりさかのぼった時点からの地価の実勢というものを評価の基礎に持ってこざるを得ないわけでございます。
国土庁
調査の平均一五・八%、これは先ほ
どもお答え申し上げましたけれ
ども、地点が非常に大幅に変わりまして、二万数千の
調査地点、公示地点の約四分の三が変更され、残り四分の一だけが未変更である。その未変更の部分だけをとってみるとそういうことになるというわけで、率直に申しましてそのまま直ちに参考になりにくい。したがいまして、先ほど申し上げました相続税の路線価、これは非常に大きく上がっておりまして、五十六年から五十九年で二八・二%も評価の水準が上がってきておるわけでございますが、そういった相続税の路線価なり、あるいはその他の地価
調査、市街地価格指数、こういったものを参考にして出したわけでございます。
また、五十五年の半ばぐらいから五十八年の半ばぐらいと申し上げましたのは、これも国土庁の
調査でございますけれ
ども、この時点におきましては、評価の地点変更というのが五十九年に比べますとまだ
余り多くないというようなこともございましょうし、その時点をとってみると大体二〇%に近い数字になっておりますので、決して意識的に収入をふやすために評価を上げたということではなく、適正に評価をしたいということから基準地価格を決めたわけでございます。
なお、評価のやり方につきましては、こういった評価がえの年におきましては十分適切に
指導、適正な評価が行われるように
市町村を
指導してまいりたい、このように
考えております。