○加藤(万)
委員 極左勢力
ゲリラ行動の直接ターゲットの
成田空港の問題についての根源の火をまず消すこと、これが第一だと考えます。
二つ目には、実は当初申し上げました極左武力集団に対する
警察の
対応の仕方、前の土田
事件、それから日石
事件、法廷では率直に言ってこれはいずれも無罪ですね。そういう無罪になったことが、第一線の
警察官をして従来の
捜査の
方法について自信を失わしたのかなと実は思って考えてみたんですよ。そうでもなさそうだ。
それからいま
一つ、世上言うように泳がしていたんだろうか。泳がして、一方でそういう新左翼の小さな
事件を起こしながら一方では
治安立法を用意するという見方があったものですから、泳がせていたんだろうか。あるいは先ほど自民党の
事件については、一言で言えば虚をつかれたんだ、したがってという言いわけ的なことになっているわけですが、どうも新左翼の
行動があるたびごとに起きる幾つかの疑念を、今日
警察庁はその疑念に対してまともにこたえた改革の
行動というものをとっているんだろうかという実は疑問を持っているんです。
先ほど無線の問題も出ました。それから、私はこれはよく考えていただきたいと思うのですけれ
ども、
大臣もあるいは
長官も、
国民的な視野でこれをなくさなければ、こう言うのですね。今、新左翼のいろいろな
行動が
国民の目に映っていますか。
例えば私もこれは初めて聞いた。新聞には小さく載りましたよ、こう言ったのですが、第四インターの幹部がこの前やられましたね、一カ月ほど前に、両足切断だそうですけれ
ども。前は、新左翼の内ゲバというのは必ず新聞に出ました。私
どもよく見ましたよ。そして、なるほど新左翼の諸君は、新左翼の連中なんという言葉はいいかどうかわかりませんけれ
ども、ああいう形で襲撃するのか。電話線を切ってみたり、先ほど幾つが御指摘ありましたけれ
ども、内側に鉄のパイプをかってみたり、あるいはドアを鉄板で打ちつけてみたりして防衛する。そして逃げるときには、証拠の残らないように水で溶ける紙を使ってやっている。内ゲバのときに、お互いに死をかけてやっているわけですね、命をかけて。知恵は出ますよ。この内ゲバを内ゲバとして見てたんじゃないでしょうか。
彼らがその中から幾つか生み出した次から次への知恵を、
警察当局は、いやあれは内ゲバの中の知恵なんだ。それがそのまま今度はICを使い、リモコンを使い
火炎車を使ってくる、
火炎瓶が
火炎車になってくる、なおどんどんエスカレートしますよ。時限爆弾から今日は時限
火炎車、
火炎放射によって今度は自民党
事件が起きたわけですけれ
ども、そういうふうにエスカレートしますね。この間に、一体そういう内ゲバから出た彼らの知恵と
対応するだけの
警察庁側の知恵があったのかどうか私は疑問なんです。そこを解明しませんと、
大臣が言われるように
犯人を突きとめることも、あるいはこれから先制的に向こうの
状況をとっていくこともできないような気が私はするのです。
率直に言って
調査能力もあるいは襲撃をするための——今度の
自民党本部のことをいろいろ聞きましたら、南甫園のあそこに二台車があいているなんということはめったにないことですと言う、それをよく
調査したものだなと私は感心しましたよ。そして火が当たった窓が、その部分だ
けがガラスでちょうど真正面になるのですか、自動車を置いた位置がそういう位置づけになる。これも大した
調査能力だ。しかも十九日に
警察の最高幹部の交代があるというならば、これまた一種の驚嘆すべき彼らの
調査能力ですよ。そういうものに対しては
警察側はいわばこれは内ゲバだ。彼らの持っているそういう幾つか内ゲバで訓練されてきた条件というものを見過ごしていたのか、あるいはそれに
対応することを研究しなかったのか、あるいはそれは
国民的な影響はそんなにないのだということでネグレクトしておったのか、私はそこだと思うのです。
それから、一般
国民に対してこの
事件が悪いというなら、いろいろな点をもっと明らかにすべきだと私は思うのです。先ほど言いましたように、内ゲバの一カ月前に起きた
事件なんというのはどこか新聞には載っておったそうですけれ
ども、私は後で聞きましたよ、加藤さんこういう
事件も実は起きているのですよと。最近一年間ばかりは殺しの
事件はないようですけれ
ども、その前に幾つかあるわけです。
それから、今度おたくの方あるいは
調査室から私はもらいましたけれ
ども、この間にずっと起きているたくさんの襲撃
事件があるでしょう。大阪の
事件は新聞には載りましたが、細かな、先ほど自民党の
本部のコンクリート壁がやられたとか、そういう
事件等もあったわけです。今度あれほどの武器をもって、武装的なもの、
火炎放射の車その他を含めて、今の
事件はこういうことで新左翼の連中は
攻撃するのですよ、襲撃するのですよということがもし
国民の目にわかっていれば、自民党が
火炎放射器でやられたならば、それを目撃した人間が単に南甫園の従業員の方とやりとりしたというだけでなくて、もっと広い目で見る力を
国民は持ったと思うのです。
私は率直に言って、
警察の新左翼に対する
捜査の方向が余りにも隠密的だ、
国民の目の前にわからない。そのことが、
国民の力をかりて撲滅しなければという言葉と裏腹になっているのではなかろうか、こんな気がしてならないのです。
それから、これは後でグリコ
事件の問題とも
関係をしますが、実はグリコ
事件と共通的要素が幾つかあるという指摘がありました。私も興味深くその週刊誌を読んだわけでありますけれ
ども、例えばグリコ
事件の脅迫状を見てみますと、
警察は何をやっているのだというような話から始まりまして、おまえら電話を取って了解なんというやつがどこにいるのだ、了解なんというのは
警察官だけしか使わない言葉で、お金をよこせと言ったら了解というふうに言った。それから
警察官はいい洋服を着ているなとかいうことが手紙でやりとりがあった。
犯人の方が
警察の動きに対する
調査能力を持っているのですよ。これが私は非常に共通性があるという気がしてならなかったのです。
これは私見ですから今の問題はこっちへおくとしましても、そういう内ゲバの中で鍛え抜かれてきた彼ら側のいろいろな研究、
調査、そしてそれが
ゲリラという時点に発展する場合に巧妙に活用されている。その面に対して
警察側がどうもおくれをとっているのではなかろうか。そのことが、武器を貯蔵するところあるいは製造するところ、あるいは武器を使って逃走する場合に
国民的な共感を得るような情報を先制的に吸い上げることができないような機能になってしまったのではなかろうか。この辺はどうお考えでしょうか。