運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-10-05 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十月五日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君       大西 正男君    大村 襄治君       工藤  巖君    左藤  恵君       中川 昭一君    平林 鴻三君       古屋  亨君    松田 九郎君       細谷 治嘉君    安田 修三君       山下八洲夫君    岡本 富夫君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    三浦  久君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   田川 誠一君  委員外出席者         警察庁長官   鈴木 貞敏君         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     中山 好雄君         警察庁警備局長 柴田 善憲君         公安調査庁総務         部審理課長   堀内 國宏君         運輸大臣官房審         議官      増田 信雄君         自治大臣官房長 津田  正君         消防庁長官   関根 則之君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 松本  操君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 十月五日 辞任          補欠選任   経塚 幸夫君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   三浦  久君     経塚 幸夫君     ————————————— 八月八日  一、地方自治に関する件  二、地方財政に関する件  三、警察に関する件  四、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  警察及び消防に関する件(九、一九自民党本部  火炎放射装置付火炎車放火事件)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  警察及び消防に関する件について調査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁松本操君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 大石千八

    大石委員長 警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、九月十九日、自民党本部火炎放射装置付火炎車放火事件の概要について、政府から説明を聴取いたします。警察庁柴田警備局長
  5. 柴田善憲

    柴田説明員 自由民主党本部に対します放火事件発生と、その捜査の概況につきまして御報告申し上げます。  昭和五十九年九月十九日午後七時三十八分ごろでございます。自由民主党本部建物が、同本部に隣接いたします中華料理店駐車場に、宅配便車両に偽装して駐車いたしました二台の火炎車から放射された火炎により、炎上した事件でございます。  本件につきましては、事件直後の同日午後九時十分ごろ、都内の報道機関に対しまして、中核派革命軍を名のる男の声で犯行自認声明が架電されましたことや、火炎車の構造などから判断いたしまして、中核派による犯行と見ております。  警視庁におきましては、事件重大性に照らし、徹底した捜査を推進すべく、即日麹町警察署公安部長を長とする九・一九自民党本部火炎車事件特別捜査本部を設置いたしまして、目下鋭意犯人検挙に努めております。  これまでの捜査で判明いたしましたことは、事件発生直前に、自由民主党本部の北側に隣接する中華料理店敷地から、作業衣を着ました数人の者が立ち去るのを目撃されていること、犯行に使用されました車がいずれも盗難車であったこと、事件当日の午後八時十分ころ、千代田区六番町で車両が一台燃えておりますが、この燃えました車両は、本件と密接に関係がある可能性があることなどが判明しておりまして、さらに鋭意追及捜査中であります。なお、事件発生翌日の九月二十日には、中核派拠点であります前進社ビルに対しまして捜索を実施いたしております。  現在までのところ、いまだ犯人を特定するには至っておりませんが、これまでに実施いたしました現場実況見分などの結果を踏まえまして、犯行に使用されました盗難車両に関する捜査を初め、犯行声明を出しました中核派に対する捜査犯行に使用されました火炎放射装置などの凶器の組成物などからの捜査を行いますとともに、現場付近におきます聞き込み捜査を徹底いたしまして、必ずや犯人検挙すべく全力を挙げて捜査を推進中でございます。
  6. 大石千八

    大石委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  7. 大石千八

    大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤潔君。
  8. 小澤潔

    小澤(潔)委員 私は、この機会に三点について、関係大臣長官に質問いたします。  まず第一点は、去る九月十九日夜起きた自民党本部放火事件であります。  第二点は、成田空港に関する一坪再共有化問題、いわゆる一坪運動用地問題であります。  第三点は、関西新空港関係であります。  まず初めに、自民党放火事件についてでありますが、我が自由民主党本部ということではなく一般の建造物ということにおいても、この事件火炎放射という新しい手法を採用したという点と、警察無線を妨害する電波による情報ストップなど、かつてのこのような事件とは異なった特徴を持っているのではないか、これが私の率直な感想であります。  それはこの事件の端的な一面でありますが、本質的には中核派という革命集団が不気味に活動していることであります。いつどこで再度このような事件発生するか、その可能性が十分あり得るというのが私の懸念するところであり、それはまた国民の不安でもあります。その意味において、今後このような事件が絶対起きないよう、この事件の解明とともに今後の対策について明らかにしておきたいのであります。不幸中の幸いというか、死傷者がなかったことは何よりもよかったと思います。  さて、まずもって消防庁長官お尋ねをいたしますが、当日出動した消防車の数、そのうちはしご車消防士総数規模的に見て例えばランクは第何出場であったか。いろいろと大中小ということで指令をいたしておりますが、今回は第何出場であったかをお伺いいたしたい。私は消防団長をしておりますのでよくわかっておりますが、国民は第何出場と言ってもわかりませんので、ひとつ細かく御説明をいただければ幸いです。  消防士負傷者があったと聞いておりますが、その状況、鎮火までの所要時間等々、ひとつ細部にわたって御説明をいただきたいと思います。
  9. 関根則之

    関根説明員 自由民主会館火災に際しましては、消防出場車両数は五十二台でございます。このうち、はしご車は六台出場いたしております。出場隊員総数は三百一名ということになっております。  火災に際しましては、最終的に第三出場をかけております。火災覚知されまして、このケースでは一一九番によりまして通報がなされまして、三分後には現場消防車が到着をいたしております。的確な対応をいたしておりますが、これは初期的な出動でございまして、自動的に第一出場がなされるわけでございます。東京都の場合には、東京消防庁におきましては、警防計画出場段階を四段階に分けておりまして、だんだん火災規模なり重要性なりというものが大きくなりますと第二出場、第三出場、最終的には第四出場という形になるわけでございます。  第三出場というのは、分類によりますと、第二出場までをかけまして、さらに部隊増強が必要と認められ、かつ、高度な指揮判断が求められる、こういう場合におきまして、現場に行っております指揮本部長から部隊増強の要請がある場合に命令される出場の形態でございます。それ以上さらに大規模延焼がどんどん続いておるということになりますと、最終的には第四出場までいくということですから、火災への対応といたしましては第三出場というのは相当大きな出場である、警防態勢を相当広範囲にとった出場であるということでございます。  なぜ自由民主会館火災にこういった大規模出場を発動したかということでございますが、御承知のとおり、この建物社会的にも公共的にも非常に重要な建物であるという認識が消防当局にはございます。  それから、通常高層建築における火災というのは、一つの階から火が出まして、それがだんだんと燃え広がって熱が伝わって上の階に移っていく、順次広がっていくのが通常火災でございますが、この放火事件による火災は、多層階がほとんど同時に出火をするという極めて異常な火災でございまして、簡単な消防力をもってこれを防御するということが不可能である、こういう判断があったということが言えると思います。  それからもう一つは、出火時間が、夜とはいえ比較的夕方に属しておって、非常に忙しいお仕事をなさっている建物でもございますので残留者が相当程度いるのではないか。そうなりますと、閉じ込められて逃げおくれるような人も出てくる可能性がある、こういうことも懸念をされました。幸いにして人身事故は中にいらっしゃる方についてはほとんどなかったわけでございます。ただ一人、逃げおくれた方がちょっと軽いけがをなさったということでございますが、その程度で済んだわけでございますが、消防当局としては逃げおくれて中で人身事故等が起こる、人身被害が起こる可能性があるということを判断した、以上のような理由に基づきまして、消防としては大きな火災に対して的確に十分対応できるだけの出場態勢をとった、この判断は極めて適切な判断であったというふうに私は考えております。  それから、今負傷者の話をいたしましたが、負傷者は逃げおくれた方一人のほかに消防士が一人けがをいたしております。この消防士消火作業に従事をしておりまして、筒先を持って放水をしておりましたときに、窓枠が割れたところがございまして、その窓越し筒先を持って消火をしていたわけでございますが、そのときに窓のガラスの割れ残り窓枠についておりまして、それに手をひっかけまして切傷を負ったということでございます。手当てをいたしまして、既にけがは治癒をいたしまして現在元気で職務についております。御心配をいただきまして本当にありがとうございました。  それから所要時間でございますが、この火事覚知をいたしましたのが七時三十八分というふうになっておりますが、九時七分には鎮圧をいたしております。その間一時間半近くかかっておりますけれども延焼等は比較的早く防止ができたと思っておりますが、何しろ鉄筋コンクリートの建物でございますので外側からはしご車で消し、中から消防士呼吸器を自分で持ちまして入っていきまして放水をする、それによって消しているわけでございます。そういう手間のかかる火事であるわけでございますが、大体の火勢は比較的早く衰えたわけでございますが、中には壁の真とかあるいは天井裏等でちょろちょろと炎が出ておった。そういう状態が続きましたので、その炎がすべてなくなるまでには一時間半を要した、こういうことでございまして、消防活動としては極めて的確に、迅速効率的に消火が行われたものというふうに考えております。
  10. 小澤潔

    小澤(潔)委員 次に、警察関係に入りますが、その前に田川自治大臣並びに鈴木警察庁長官にお伺いをいたしておきます。  過激派によるゲリラ事件はことしになって既に三十八件目、そのうち中核派と見られるのは半数近くに上っていると聞いております。その大部分は成田をめぐるゲリラ事件であり、彼らが焦点を成田に絞っていることは想像できるところであります。目標がどこにあるにせよ、その主張を貫くために暴力的手段に訴えることは民主主義の否定であり、殺人的行為そのものであります。幸い今回は人的な被害がほとんどなかったものの、ゲリラの技術は高度化してきており、巻き添えとなる人が出る危険性は強まっていると見るべきだろうと思います。  昨年六月、千葉県四街道市で成田空港関連工事中に、時限式発火物を仕掛け、三人もの死傷者を出しているのであります。まだ記憶に新しい三菱重工爆破事件では多数の犠牲者を出しております。私はそのとき付近におり、目の当たりに爆音、破損の状況を見ましたが、理由のいかんを問わず、絶対に容認できないと思っておりました。ところが、再度彼らは挑戦し、今回のような事件を起こしたのであります。  そこで大臣並びに警察庁長官にお伺いをいたしますが、この事件をどう受けとめておられるか、率直に所信のほどをお伺いいたします。  なお、それに加えてお尋ねするのは、今後極左暴力集団跳梁ばっこを抑えて安全な社会を築くために、青少年が息も詰まるような管理社会への道を選ぶのか、それとも国民理解協力を得つつより徹底した民主主義的安全社会への道を選ぶのか、私は当然後者であろうと考えるのでありますが、その辺の感触を含めて答弁願いたいのであります。  もっとつけ加えるならば、もとより人命の安全は第一であります。そのことが強まれば、警備される側にいる国民としては、過剰警備というものに抵抗感を示すことも忘れてはならないように思うのでありますが、国を挙げて迎える外国のお客さんの身辺警護のための警備は、期間的に見ても国民として一応認めるところだろうと思いますが、いわゆる治安強化ということを直ちにとるべきだとお考えかどうか、ここが国民の最も明確にしてほしいところであろうと考えますので、この点についてお願いをいたしたいと思います。
  11. 田川誠一

    田川国務大臣 今回の事件、また今までたびたびございましたゲリラ事件のように、手段を選ばないで無差別に社会秩序を乱そうとする暴力行為というものは、これは国民の敵であると私は思います。特に政党本部のように議会政治政党政治一つ拠点であるようなところに火炎放射器のようなもので暴力行為を加える、こういう行為というものは民主主義に対する重大な挑戦であると私は思っております。  これに対処するには、とにかく徹底的に捜査をして、早期にこういうような行動をした者を検挙するということがまず緊急のことであると思います。またそれが再発を防止する一つ方法であると思います。もちろんこうした過激集団にすきを与えないような警備もあわせてやらなければなりませんけれども小澤さんが御指摘のように、ただ警備をするために過剰な、そして管理社会をつくるようなことは決して適当な手段ではない。やはり国民皆さんの御協力、御理解というものがなければ犯罪の捜査検挙もなかなか難しいことでございまして、小澤さんがおっしゃいましたように、国民治安を維持していくためには、あくまで国民理解協力を得ていかなければならないというような基本的な態度で臨んでいかなければならないと思っております。
  12. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)説明員 大臣がただいま答弁いたしましたとおり、この種事件民主主義法秩序に対する挑戦である、こう思っておりまして、この種事案につきましては、やはり警察の総力を挙げ、幅広い国民協力を得まして、一日も早く検挙するということであろうと思います。そして、その結果再発を防止するということでありたいということで全力を傾注して努力していきたい、こう思っております。
  13. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ありがとうございました。万全の備えてお願いをいたしたいと思います。  次に、警察庁関係に入ります。多くの質問がありますが、順次お答え願いたいと思います。この中には警察庁のほかに公安調査庁関係も含まれていますので、特に指名いたしませんが事項によって答弁願いたいと思います。  第一に、自民党本部放火事件として、事件当時、事件後の警戒警備状況についてお尋ねをいたします。答弁は明快にお願いをいたしたいのであります。  まず、先般九月の六日から八日まで大韓民国の全斗煥大統領が来日されたときには、国内外の厳しい情勢を反映して空前の大警備を行ったと報道もされたように、警視庁では重要な施設に対する警戒を万全に行うたと思うのでありますし、大事な外国の賓客の安全を守るという大任を果たされたところであり、この点大いに評価もし、誇りにすら思っているところであります。大変御苦労さまでした。また、このような大きな警備だけではなく、通常でも街頭等警戒に当たっている警察官の姿をよく見ているわけであり、頭が下がります。こういった姿をよく見ておりましても、今回このような中で事件発生したのであります。  今回の事件発生したときの自民党本部に対する警視庁警戒状況はどのようなものであったのか、率直に答弁お願いいたしたい、よろしくどうぞ。
  14. 柴田善憲

    柴田説明員 警視庁では、当時、九月二十五日以降成田用水着工ということで極左暴力集団がどこかへゲリラ攻撃をしかけてくるのではないかということを予想いたしまして、空港公団あるいは空港関連重要施設、それから皇居、官邸など十一カ所に対しまして、事件発生の当日でありますが、十九日から警察官固定配備を行うなどして警戒を強めておりましたやさきでございました。  ただ非常に残念でございましたが、自由民主党本部警戒態勢につきましては、これまで極左暴力集団がこの自由民主党本部成田闘争絡み攻撃目標にした、攻撃対象としたということがなかったということ、あるいはそういうことでよく列挙いたしますが、列挙されたこともなかったというような点がありまして、同本部につきましては、空港関連重要施設としての張りつけ、固定配備対象外といたしておりました。所轄麹警察署重点警らを行って防護警戒をいたしておった、こういう状況でございました。
  15. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今申し上げましたように、国民の耳目を集める大きな事件発生したわけですが、この事件発生したことについて、警視庁には何時ごろどのような方法連絡が入ったのか、また連絡を受けた警視庁ではどのような措置をとられたのか、特にどのくらいの警察官を出動させたのか、それらの警察官はどのようなことをしたのか説明願いたいと思います。
  16. 柴田善憲

    柴田説明員 警視庁では、本件事案発生を九月十九日の午後七時三十八分ごろでございますが、一一〇番の入電によりまして承知いたしました。  そこで入電と同時に、警視庁管下全体に対しまするいわゆる全体配備というものを発令いたしました。機動隊を含めまして警察官五千六百名余りを出動させ、車七百九十一台を動員いたしまして現場警戒安全確保などを図りますとともに、全管下で検問、検索など所要警察活動を展開いたしまして犯人検挙に努めたのでございますが、結局、犯人は未検挙のままに十九日の午後十一時十六分に全体配備を解除いたしております。
  17. 小澤潔

    小澤(潔)委員 事件のあった自民党本部には、十月二十九日告示の総裁選を控え党員名簿などがあったのでありますが、幸いにして関係者の敏速な処置によってこれらの焼失は免れましたが、もしこれらを失ったときのことを考えますと、今さらながら背筋が寒くなるとともに、改めて憤りを感じるところであります。今後このようなことが絶対に起こらないように、警察に十分な警戒お願いいたしたいと思いますが、事件発生後、自民党本部に対する警戒態勢はどのようになっているか、お尋ねをいたします。
  18. 柴田善憲

    柴田説明員 事件発生直後、警視庁におきましては、自由民主党本部警察官七十四名を急派いたしまして、安全の確保、各種の警戒に従事させたところであります。その後、この種事案防圧検挙のために、当分の間機動隊固定配備いたしまして、目下厳重警戒をいたしておるところでございます。
  19. 小澤潔

    小澤(潔)委員 次に、過去の例から見てもわかるように、過激派成田空港に関連した何らかの新たな動向があったと見ると、それに反発するという形でゲリラ等の不法な行動をとるのが従来の一つのパターンではないかと思うわけでありますが、この点については警察庁としても十分に知った上で種々対処されていると思いますが、警察庁では全国警察に対してこのような事件を未然に防止するため、重要施設警戒についてどのような指導を行っているのが、今回の事件後新たに何らかの指示をされたのかどうか、お伺いをいたします。
  20. 柴田善憲

    柴田説明員 九月二十五日以降に成田用水着工が予定されておりましたために、警察庁におきましては空港関連重要施設に対しまして、極左暴力集団等によりますゲリラ攻撃が予想されるということで、全国警察に対しまして九月十九日から警戒警備強化をするように指示しておったところでございました。  本事件発生後は、この種事案がさらに再発することを厳重に警戒いたしますために、警戒対象の見直しを含めまして、全国警察警備強化を指示いたしております。
  21. 小澤潔

    小澤(潔)委員 現在、過激派攻撃の的となっている成田空港に関連する重要施設というのは全国でかなりの数に上るものと思うが、それらを守るために必要になる警察官の数も当然多くならざるを得ないものと考えるところでありまして、警察の業務の中で少なからぬウエートを占めているものと思うのであります。また、そのような中で重要な警備があると、まさに全国から警察官を動員して対処しているのを見ているところであります。これらのことを考えると、現在の体制で本当にこれからの過激派ゲリラなどの多発する厳しい情勢対応していけるのかどうか、不安なしとしないところであります。  そこでお尋ねいたしますが、成田空港に関連する重要施設全国でどのくらいあるのか、また、それらに対する警戒態勢は一体どのようになっておるのかお伺いをいたします。
  22. 柴田善憲

    柴田説明員 全国にございます新東京国際空港関連重要防護施設の数でございますが、これは約千五百カ所ございます。これらの施設に対します警戒態勢でございますが、警察官を固定的に配備しまして警戒しております施設、これが二百カ所ぐらいに及んでおります。その他の重要防護施設に対しましては重点警戒ということで警戒警備を行っておる次第でございます。  なお、自由民主党本部火炎車事件以後は、固定配備の箇所をふやすとか、あるいは重点警戒にいたしましても頻度をさらに上げるとかいたしまして警戒態勢強化を図っているところでございます。
  23. 小澤潔

    小澤(潔)委員 私は警察警備態勢強化警察官増員をどうしても図る必要があるのではないかと思いますが、ただいまお聞きいたしますと、千五百カ所もある。どのくらいの増員がなければこれから国民におこたえをしていくことができないのか、率直に増員の数字でも申し述べることができる場合にはお願いをいたしたいと思います。
  24. 鈴木良一

    鈴木(良)説明員 警察官の一人当たり負担人口といいますものは、日本では諸外国に比べて大変負担が高いということでございます。さらに警察事象も大変増大してまいりまして、現在のこういうふうな過激派関係という形で、そういう意味で大変な情勢になっておるというところでございます。  私どもといたしましてはできるだけ内部努力をしながらそういうものに対処していこうということで努力しておるわけでございますけれども、毎年人口がどんどんふえてくる、警察事象というものも今後さらに厳しくなっていくということが予想されるわけでございます。私どもといたしましては、一つの目安といたしまして、昭和五十六年、五十七年度当時の警察官一人当たり負担人口の水準を維持してまいりたい、これが最低限ではなかろうかと考えておるところでございます。
  25. 小澤潔

    小澤(潔)委員 次に、報道によりますと、今回の事件では発生直後に、犯人検挙されていないのに、犯人検挙した旨の妨害電波を流して警察捜査等を妨害するということまでやっているところであります。また、聞くところによりますと、市販の発信機を使って容易に妨害電波を出したり、警察無線を盗聴できるようなことでは警察の活動に支障を来すと思うが、妨害電波対策として警察はどのようなことを考えているのか。また、このような妨害電波の発信源を探索するための対策はどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  26. 柴田善憲

    柴田説明員 警察で現在使用しております無線機は、大変簡単に妨害、盗聴を受けるというのは事実でございまして、これが弱点となり、各種警察活動に支障を生じておるのも事実でございます。  そこで現在、この種の妨害電波に対抗できて、容易に盗聴されたり妨害されたりしないといった機能を持ちましたいわゆるディジタル無線機、こういうものへの機種切りかえを漸次行っていこうとしておるやさきでございます。今回の事件などにかんがみまして、このディジタル化をさらに急速に促進すべきものではなかろうかと考えております。  なお、妨害電波の探索についてでございますが、この点につきましては、郵政省電気通信局など関係機関とも密接に連携いたしまして、この種事案の取り締まりに努めているところでございます。
  27. 小澤潔

    小澤(潔)委員 いま聞いておりますと、やはり妨害をされない対策をやりたい、このようなお話であります。それをするには相当の費用がかかると思うのですが、我々自由民主党の一議員といたしましても全面的な努力をしてまいりたいと思いますので、こういった妨害をされないような切りかえをひとつ早急にしていただきたいと思います。  次に入りますが、全斗煥大統領の来日中における警察の活動を思い起こしてみると、警視庁では総員の六割もの警察官を連日動員して、地上の警戒だけでなく、空からもヘリだけでなく飛行船を運航させて警戒警備に当たるなど、昨年秋のレーガン大統領の来日のときを上回る強力な警備を行ったと聞いております。その結果、ラングーン事件などに見られる厳しい内外の情勢にもかかわらず、有史以来初めてという大韓民国大統領の来日を成功させ、日韓新時代のワンステップを形づくった日本警察の働きは実に目覚ましいものがあったと確信をしているところであります。  しかるに、今回のような自民党本部への過激派の放火を許したのは実に残念であります。一部新聞では、全斗煥警備後のすきをつかれたと見ているものがあるが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  28. 柴田善憲

    柴田説明員 警視庁におきましては、九月の六日から八日まで全斗煥大統領警備のために最大時二万三千人という態勢で臨みまして、国民、都民の方の御協力を得ながら無事その責任を果たし終わったわけでございます。  同大統領の帰国後は警備態勢を縮小しましたのは事実でございます。ただし、これは全斗煥大統領警備を縮小したということでございます。既に成田闘争が控えておりましたので、九月十六日にも成田闘争がございましたが、この九月十六日、それから九月二十五日から予定されておりました成田の用水工事に伴う成田闘争警備、これに向けましてシフトを変えまして所要の態勢によります重要防護施設等の警戒警備に当たってきたわけでございます。  ただ、残念なことでございましたが、これまで極左暴力集団がついぞ自由民主党本部をターゲットとして挙げたこともなし考えたこともなかったのじゃないかといったようなことで、自由民主党本部につきましては成田闘争の関連施設、重要防護対象という考え方での固定配備をしないで重点警らの対象にしておった、それが今度の事件につながった、このようなことではなかろうかと思う次第でございます。
  29. 小澤潔

    小澤(潔)委員 私は、今回は自民党本部だけの問題ではないと思います。他の政党も何らかの形で成田空港など過激派の闘争目標に絡んでいると思いますが、警察としては、今後他の政党本部などに対する警戒はどのような考えをお持ちですか、お伺いをいたしたいと思います。
  30. 柴田善憲

    柴田説明員 今回の自由民主党本部に対するこのようなゲリラ事件が現実に発生したわけでもございますし、手段を選ばない、目的を選ばないゲリラ事件が展開されるおそれもあるわけでございますので、情勢、情報等を十分に勘案しながら所要警戒警備を行いまして、間隙のないようにしてまいりたい、このように考えております。
  31. 小澤潔

    小澤(潔)委員 以上は事件前後の問題点についての質問でありましたが、次に、捜査の進展状況、極左の実態、極左のゲリラ事件関係について具体的項目を挙げて質問をいたしてまいりたいと思います。  まず、先ほど捜査概要の説明がありましたが、事件発生から既に二週間以上経過しているのに、いまだ犯人検挙に至っていない。現在までの捜査の進展ぐあいはどうなっているのか。捜査上言えないこともあろうと思いますが、でき得る限り具体的に説明をしてほしいと思います。
  32. 柴田善憲

    柴田説明員 冒頭で御報告いたしましたように、警視庁の特別捜査本部、ここにおきまして遺留品の捜査、残されました火炎車ですとかいろいろな遺留品の捜査、それから中核派の組織の犯罪という疑いでございますので、中核派の組織そのものに対する捜査、さらに現場周辺の地取りあるいは聞き込みなど、捜査を強力に推進しているところでございますが、まだ犯人を特定するまでには至っておりません。特捜本部におきましては、連日多数の捜査員を投入いたしまして鋭意捜査に取り組んでおるところでございますので、必ずや犯人を挙げるという決意で捜査を進めておる次第でございます。  御指摘ございましたように、個々の捜査の結果、内容ということになりますと、今後の捜査に支障を来すということも心配でございますので、具体的な中身につきましては答弁を差し控えさせていただければありがたいと思います。
  33. 小澤潔

    小澤(潔)委員 しっかりお願いをいたしたいと思います。どうも説明が抽象的なので、具体的に何点か聞きたいのであります。  事件直後、各新聞は、犯人は五人ぐらいで、作業服を着た若い男であると報じておりました。これは三日の読売新聞の夕刊だと思いましたが、地下鉄有楽町線永田町駅周辺で、数人の通行人が逃走する犯人グループを目撃し、その証言によると、犯人は三十歳台の四人から六人ぐらいであろう、いずれも作業服を着ており、平河町の海運ビル前に待機させていたワゴン車に飛び乗って逃走したということでありますが、警察では、これら目撃者から話を既に聞いているのかどうか。聞いているとすれば、犯人像はある程度絞れているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  34. 柴田善憲

    柴田説明員 新聞等でいろいろ報道されておりますことは御指摘のとおりでございます。宅配便を装いました車で中華料理店に乗りつけました数人の作業服姿の男たち、これが犯人であるということは事実でございますが、それが本当は何人だったのかは捜査的にはまだ確定できる段階までには至っておりません。それから目撃者等も鋭意捜しまして、その人たちから犯人像というものを具体的に聴取しているのも事実でございますが、これまたこれが犯人だというふうに絞り切れているという状況でもないわけでございまして、捜査はやはりじっくりと固めて、やがて犯人像をしっかりと出していきたい、このような捜査を進めております。
  35. 小澤潔

    小澤(潔)委員 九月十九日、自民党本部放火事件の当日、千代田区六番町で車が燃やされた事件について、自民党本部襲撃事件捜査を妨害する陽動作戦とか、イスラエル大使館に向けた犯行放火事件犯人グループが犯行時に着ていた衣類などを車ごと焼き捨てたなど、さまざまな憶測が流れておりますが、実際のところ自民党本部放火事件とどのような関係があるのか、お答えをいただきたいと思います。
  36. 柴田善憲

    柴田説明員 事件当夜、六番町で燃やされました車両につきましては、自由民主党本部放火事件を敢行いたしましたグループが逃走用に使った車ではないかと見られる可能性が大変高いわけでございますが、この点につきましてもまだ断定には至らない段階でございますが、目下鋭意捜査中の点でございます。
  37. 小澤潔

    小澤(潔)委員 犯行に使われた車両については盗難車であると聞いておりますが、これらの車両についての捜査はどの程度進んでおりますか質問をいたします。
  38. 柴田善憲

    柴田説明員 犯行に使われました車両でございますが、御指摘のようにいずれも盗難車でございます。火炎を吹きました二台の車でございますが、一台は埼玉県で八月二十日ごろに盗まれた車でございます。もう一台は群馬県で八月二十五日ごろに盗まれた車でございます。先ほどの六番町で燃やされました車、これも事件関連の疑いが濃いわけでございますが、この車につきましては七月の終わりに都内で盗まれた車でございました。目下、この盗まれました場所の捜査、盗まれました場所から都内までの途上の捜査その他、鋭意警視庁並びに関係県警におきまして捜査を進めておるところでございます。
  39. 小澤潔

    小澤(潔)委員 犯行に使用されました火炎放射装置についていろいろと報道をされているところでありますが、どのような仕組みでどの程度の性能があるのか。二百メートルも飛ぶなどと報じている新聞がありますが、本当にそんなに飛ぶのかどうかお伺いをいたします。
  40. 柴田善憲

    柴田説明員 車の火炎放射装置についてのお尋ねでございますが、火炎放射装置の方はボンベを二本連結をして使います。一本の方は高圧ガスを入れてございます。もう一本の方にはガソリンとの混合液のようなものが入っておりまして、この高圧ガスのガス圧を利用いたしましてガソリンの方へこのガスを入れてガソリンを吹き出させる、その吹き出したガソリンにノズルで点火する、そうすることで火炎を放射させる、このような仕組みになっておるものでございます。  まだ細かい鑑定は終わっておらないのでございますけれども、性能につきましては、二百メーターも飛ぶというのはちょっと、そこまでは飛ばないのではないか、しかし三十メーター前後は火炎は飛ぶのではなかろうかな、こんなような見込みを持っておりますが、さらに正確な鑑定が必要であろうか、このように考えておるところでございます。
  41. 小澤潔

    小澤(潔)委員 事件発生後、都内の各報道機関に対し、中核派革命軍と名のる男から電話で「中核派革命軍は、本日、自民党本部を襲撃し、大炎上させた。この闘いは、自民党中曽根政府の発言に飽き、三里塚二期着工声明に対する二期絶対実力阻止の鉄の回答である」と犯行声明を行っているが、この中核派というのはどういう組織なのか御説明いただきます。
  42. 柴田善憲

    柴田説明員 中核派というものについてのお尋ねでございますが、中核派の正式名称は革命的共産主義者同盟全国委員会、略して革共同全国委とも申します。革命的共産主義者同盟全国委員会と申しまして、昭和三十八年の二月に結成されたものでございます。  現在同派は約五千人の勢力があると見ておりまして、極左暴力集団には多くの派閥がございますが、その中での最大派閥であると見ております。内ゲバやゲリラをやりますための実行部隊といたしまして、人民革命軍・武装遊撃隊というものを持っております。この中核派の表の活動の拠点は、東京都豊島区千早町にございますが、いわゆる前進社と呼ぶものでございまして、これを全国の中央事務所といたしております。このほかにも地方に、神奈川支社、関西支社、中国支社、九州支社などと呼ぶ支社をそれぞれ設けております。  同派の情勢認識でございますが、現在、国際情勢につきましては、戦争か革命かという情勢にあると分析をいたしております。また、国内情勢につきましても、日本帝国主義は世界危機の激化の中で憲法改正などによって延命しようとしており、日本労働者人民の怒りを全面的に爆発させていかなければいけないときである、こういう分析をいたしておるわけでございます。  こうした判断に基づきまして、八〇年代中期の一大階級決戦は、侵略戦争か日本を革命するのかという選択をかけた決戦である、このように位置づけまして、その八〇年代中期闘争への突破口になるのが成田闘争である、このような考え方に立っておるわけでございます。このために中核派成田闘争に非常に強い取り組みを見せておりまして、三里塚・芝山連合空港反対同盟の北原グループというのがございますが、これが主催する成田闘争では大体千数百人を動員いたしまして支援しておりますほか、二期決戦勝利のために革命的武装闘争、つまりゲリラ闘争でございますが、これを貫徹していこうということを呼号いたしまして、成田闘争関連のゲリラ事件を多数引き起こしているわけでございます。  なお、中核という名前がちょっとなじみがないのでございますが、これは革共同、革命的共産主義者同盟全国委員会が三十八年二月に分裂いたしてできましたときに、学生部分がちょっと数が少なかったのですが、中核という威勢のいい名前を与えることで数の少ないところを補った、元気のいい感じを与えようということでつけられたのが中核という名前だと言われております。  以上でございます。
  43. 小澤潔

    小澤(潔)委員 極左暴力集団は、ゲリラ事件を起こすと、報道機関犯行自認声明を出したり、わざわざ記者会見を行い発表する場合もありますが、声明の発表者やその団体の責任者、指導者を何ゆえ検挙できないのか、お尋ねをいたします。
  44. 柴田善憲

    柴田説明員 極左暴力集団は、犯行後に記者会見いたしましたり、報道機関に電話をいたしましたり、あるいは自派の機関紙などで、その犯行は自分らがやったものだ、自派がやったものだということを自認することが多いわけでございます。ただ、その内容を見てみますと、いずれも自分がやったとは言わないわけでございます。あるいは何のたれべえがやったということも言わないのでございまして、自派の組織が行ったものである、こういう組織がやったということを言及しておるにすぎないわけでございます。  この点につきまして、国民の方から何でつかまえないのだという多くの御指摘があるわけでございますが、現行刑法の個人責任主義と申しますか、個人に責任を問うという建前からいたしまして、自派がやったという自認声明だけでは、直ちに記者会見をやりました者とか、あるいは声明の発表責任者といった者を検挙するわけにはまいらないというのが実情でございます。  ただ警察といたしましては、自派がやったと言っているわけでございますので、この犯行自認声明などを捜査の有力な手がかりといたしまして、犯行自認声明などを用いまして、これを証拠に関係箇所の捜索、押収を行うというような活用はいたしておる次第でございます。
  45. 小澤潔

    小澤(潔)委員 新聞によりますと、中核派のほかに救国霊団と名のる団体から、本日の自民党本部火災は、政治結社救国霊団の戦後ポツダム体制への報復である、昭和維新断行万歳という内容の犯行声明があったと聞きますが、救国霊団というのはどんな組織が、またこの団体は今回のゲリラに関連があるのかどうか、お尋ねをいたします。
  46. 柴田善憲

    柴田説明員 九月十九日の午後八時十分ごろでございますが、事件発生後間もなくでございますけれども報道機関に対しまして、政治結社救国霊団という名前で犯行声明があったことは承知をいたしております。ただ、救国霊図なる名前の団体につきましては、警察といたしましては、それが実在するのかどうか、全く確認ができないでおる次第でございます。  ただ、今回の事件につきましては、火炎車の構造がこれまで中核が使ってまいりましたものと酷似しておりますこと、また中核革命軍という名前で犯行声明を出しておりますこと、機関紙にもその旨を載せておりますこと等からいたしまして、中核派による犯行と見まして捜査を進めているところでございます。
  47. 小澤潔

    小澤(潔)委員 一部の新聞の報ずるところによりますと、治安当局は中核派と新右翼の連帯の可能性もあるとして情報収集を急いでいるとか、気になるのは新右翼とのつながりであります。左右両翼の連携となれば、事件の衝撃は一層深刻となるといったことが言われているのであります。このような報道が事実であり、新左翼と新右翼が手を握って過激な闘争を展開するような動きがあるとすれば、国家の治安上極めて重大な問題であると思いますが、事実は一体どうなのか、そのような動きを実際に把握しているのかどうか、お尋ねをいたします。
  48. 柴田善憲

    柴田説明員 御指摘のように、右翼の一部に、思想的な立場は異なるけれども、極左の行動力には学ぶべきものがあるといった主張をするものがあるのは事実でございます。ただ、極右と極左が手を握りまして過激な闘争を展開するおそれがあるといったような点については承知いたしておりません。慎重によく見てまいりたいと考えております。
  49. 小澤潔

    小澤(潔)委員 過激派の組織、勢力については二十数派、数万人と聞きますが、具体的には中核派以外にどのような組織があるのか、また、日本全国の勢力は一体どのくらいか、これも聞いておきたいと思います。
  50. 柴田善憲

    柴田説明員 いわゆる極左暴力集団の分派状況でございますが、非常に多くに分かれておりまして、五流二十二派とか二十三派とかいうくらいに分かれておるわけでございます。主なものといたしましては、先ほどの中核派、それから革マル派、革労協、第四インター日本支部、戦旗荒派、戦旗両川派などがございます。そのほかにいわゆるアナーキスト、黒ヘル集団といったものがございまして、全国での総結集勢力は、大体三万五千人ぐらいではなかろうかと見ておるところでございます。
  51. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今回の事件を引き起こしたような極左暴力集団は、もともと日本共産党から分かれたものであります。いわば同種同根の存在であるやに聞いておりますが、両者はどのような経緯で分かれ、現在どのような関係にあるのか、お尋ねをいたしておきます。
  52. 柴田善憲

    柴田説明員 極左暴力集団と日本共産党とは、現在は別個の組織でございます。しかしながら極左暴力集団と日本共産党とは、マルクス主義に対します解釈には違いがありましても、ともにマルクス主義を源流といたしました革命理論を指導原理といたしまして社会主義革命を行うということを目標にした革命勢力でございます。  さらにまた今日、極左暴力集団の大きな二つの流れを形成しておりますが、革命的共産主義者同盟、これは昭和三十二年に日本共産党員らが結成したものでありまして、もう一つの流れでございます共産主義者同盟、これはブントとも略して申しますが、この方は昭和三十三年に当時の全学連の執行部を掌握しておりました日本共産党員でありました学生らが結成したものであります。これらに示されますように、極左暴力集団の大きな流れの多くは、もともとは日本共産党の分派といった形でつくられていったという経緯があるのは事実でございます。
  53. 小澤潔

    小澤(潔)委員 極左暴力集団は、この平和で民主的な日本の社会を暴力によって転覆させることをねらっていると言われますが、そのような恐ろしいことをたくらむ組織のメンバーがどういう連中で、何を考え、平素どのような生活また活動をしているのか、具体的に説明を願いたいと思います。
  54. 柴田善憲

    柴田説明員 極左暴力集団の活動実態といったようなものでございますが、逮捕されましたある活動家の話でございますが、取り調べに対しまして、自分らは組織から月々数万円の手当を受けている、そのほとんどを交通費に費やすために衣食にも事を欠く、一袋十円のパンの耳を購入いたしまして、主食がわりにしながら革命成就の日を夢見てきたという厳しい生活実態を取り調べ官に対して述べておるという事実がございます。  また、どこにおるかということでございますが、極左暴力集団の非公然活動家は、アパートやマンションなどを友人、知人の名義で借用しました上で、テツと称しまして、入り口や窓を鉄板ですとか鉄パイプで厳重に補強いたします。あるいは、ミリと称しまして、だれかが留守中にでも入ったらわかるといったような手段を講じましてアジトを防衛いたしております。また、キリと称しまして、尾行、追跡をかわしたり、これは滅却の却だと思いますが、キャクと称しまして、書類はすべて水に溶けやすいいわゆる水溶紙を用いて、捜索などがあった場合はすぐ近くにあるバケツ等に投げ入れてしまうということで証拠隠滅を図るなどいたしておるわけでございます。  以上申し上げましたように、非常に厳しい生活をしながら、自分もしっかりと守りながら、革命を夢見て暮らしておるというのが生活の実態であろうかと思います。
  55. 小澤潔

    小澤(潔)委員 中核派には革命軍という軍事組織があると報道されておりますが、完全秘密主義の地下軍事組織とか、構成員は二百とも三百とも言われるなど、さまざまなことが言われておりますが、警察は革命軍なるものの存在を把握しているのか、把握しているとすればそれはどのような組織で、メンバーはどういう連中であるか、お願いをいたします。
  56. 柴田善憲

    柴田説明員 中核派の革命軍についてのお尋ねでございますが、革命軍というものがあるのは事実でございます。当初、昭和四十七年ごろでございますが、人民革命軍・武装遊撃隊と呼ばれる組織をつくりまして、内ゲバやゲリラを実行いたしますための専門部隊としたわけでございます。これが革命軍でございます。  この人民革命軍・武装遊撃隊の組織ぶりでございますけれども、これは完全に縦割りの組織、ごくごく小さなものが寄り集まってつくる組織ということになっておりまして、組織人員は百数十名はおるのではないかと見ておる次第でございます。この百数十名の者が、現実に内ゲバやゲリラをやる部分、現実に犯行を犯すための調査をする部分、現実にやる部隊に対しましていろいろな物を供給するいわゆる兵たん部分等に分かれておるようでございます。  このメンバーの中心になっておりますのは、七〇年闘争当時逮捕されましたいわゆる筋金入りでございまして、いずれも人民革命軍・武装遊撃隊が結成されました昭和四十七年前後から一斉に地下へ潜行いたしまして所在をくらましております。親の葬儀にも出てこないといった徹底した潜行活動を続けておるような状況でございます。
  57. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今回自民党本部がねらわれたことについて、一部では極左が自民党に対して反発を強めていたといった報道も見られますが、警察自民党本部をねらうという不穏動向を把握していなかったのか、また極左の言動の中にも自民党本部襲撃を示唆する内容はなかったのか。今回自民党本部がねらわれた理由としてどのようなことが考えられるのか、また中核派はどう言っているのか、お伺いをいたします。
  58. 柴田善憲

    柴田説明員 中核派が今回のゲリラ事件を敢行いたします前に出しております資料ですとか入手いたしました情報等を分析いたしましても、総理官邸、運輸省などの政府機関は攻撃対象ということで挙がっておりましたけれども自由民主党本部をねらうというようなことを示唆するような情報等は一切ございませんでした。  また、極左暴力集団によります自由民主党本部に対しますゲリラ事件、過去にも起こっておりますが、これらはいずれも天皇陛下の訪米阻止、御在位五十年式典粉砕、あるいは全斗煥大統領の来日阻止などといいましたいわゆる政治闘争課題に絡んだものばかりでございまして、成田闘争関連では一回も起こっておらないわけでございます。今回のゲリラ事件は、空港本体を初めといたしまして関係重要防護施設に対します警戒が非常に厳しいものですから、もう少し警戒が厳しくないところはないかといったようなことで選んだものであるかもしれないという見方をいたしております。  なお、事件後、中核派は機関紙「前進」におきまして、自由民主党本部をねらった理由につきまして、自由民主党本部をねらったのは、自由民主党本部こそ日本帝国主義中枢の心臓部であり、三里塚二期着工攻撃の総本山であるという位置づけをいたしております。  以上でございます。
  59. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今後引き続き極左暴力集団が闘争手段をエスカレートさせるおそれがあろうと思います。警戒を強める必要がありますが、極左暴力集団成田闘争に関連してどのようなところを攻撃すると主張しているのか、また、関西新空港反対闘争関係ではどのようなところを攻撃すると主張しているのか、お伺いをいたします。
  60. 柴田善憲

    柴田説明員 極左のゲリラのターゲットでございますが、極左暴力集団は機関紙などに、空港と空港機能を完全に解体しなければならないとか、空港を警備する機動隊もまた総せん滅しなければならないとか、成田用水工事を落札した業者は二期強行に加担し、農民の血を吸って利益をむさぼろうとするやからである、人民の鉄槌を覚悟しなければならないなどという主張を掲げておりまして、これまで政府関係施設空港関連施設、公団用水関連業者の関係施設あるいは警察施設、さらに公団関係者警察官等を攻撃目標といたしましてゲリラを行ってきたところでございます。今後もこうしたものの中からねらいやすいところ、逮捕されるおそれの少ないところ、こういうところを選んで攻撃をしかけようとするものと思われます。  また、関西新空港反対闘争関係でも、新会社設立を爆砕せよ、新会社とその幹部は粉砕の対象以外の何物でもないといったような主張をいたしておりまして、新空港関係団体、企業、関連施設等を攻撃目標としておりますので、警戒を強めておるところでございます。
  61. 小澤潔

    小澤(潔)委員 中核派は、成田空港反対闘争に取り組んでいる過激派の中では最大の動員力を持つセクトであるということでありますが、それが実力闘争のためには巻き添え者が出てもやむを得ないといった主張もしていると言われております。中核派が引き起こしたゲリラ事件は本年に入ってからこれまでに何件発生しているのか、また、九月十九日の自民党本部事件以外にどのような事件を引き起こしているのか、お伺いをいたします。
  62. 柴田善憲

    柴田説明員 中核派が引き起こしたと見ておりますゲリラ事件は、本年に入りまして十六件発生いたしております。この中には、三月一日の都内の空港公団本社ビルのありますビルに、その前の高速道路上に駐車いたしました火炎放射装置つきの火炎車から火炎を放射いたしまして放火した事件ですとか、四月四日の大阪科学技術センターの内部に時限発火装置を仕掛けて放火した事件ですとか、九月二日の大阪第二法務庁舎に向けまして、火炎瓶の発射装置を使いまして大量の火炎瓶を発射した事件などがございます。
  63. 小澤潔

    小澤(潔)委員 成田闘争に限らず、本年中に中核派以外のセクトでゲリラ事件を起こした組織があるのかどうか。あるとすればどのような組織があり、また事件としてはどのような事件を引き起こしているのか、質問をいたします。
  64. 柴田善憲

    柴田説明員 中核派以外でゲリラ事件を引き起こしておりますセクトでございますが、これは犯行を自認いたしておりますものとしては、革労協、戦旗の荒沢、戦旗の両川派がございます。これらのセクトが敢行いたしましたゲリラ事件といたしましては、革労協につきましては、ことしの三月八日でございますが、京成スカイライナー車両放火事件がございます。また、戦旗荒派につきましては、同じくことしの七月十六日でございますが、米軍の通信所に対します時限式発火装置設置放火事件が起こっております。また、戦旗両川派の、ことしの九月九日萩原土建株式会社作業員宿舎放火事件等もありまして、いずれも現在鋭意捜査中でございます。
  65. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ゲリラ事件を引き起こしているセクトについてただいま御説明がありました。革労協、戦旗荒派、戦旗両川派、それぞれ説明があったわけでございますが、その内容をひとつもう少し説明をしてもらいたいと思います。
  66. 柴田善憲

    柴田説明員 大変名前がややこしくて恐縮でございますが、革労協と申し上げましたが、革労協の正式名称は革命的労働者協会と申します。これは昭和四十四年の十月に結成されましたトロツキストのグループでございます。この革労協はプロレタリア統一戦線戦闘団と名づけられております内ゲバ、ゲリラを実行いたしますための専門部隊、非公然部隊を持っております。なお、革労協全体の組織勢力といたしましては、全部で三千人くらいではないだろうかと見ておるところでございます。  次に、戦旗の荒派でございますが、この戦旗荒派は、当時日本共産党員でありました全学連の活動家が中心となりまして昭和三十三年十月に結成されました共産主義者同盟、これは共産同あるいはブントと申しますが、これが母体となったものでございます。この共産同は第一次安保闘争の挫折から分裂を繰り返しまして、昭和四十八年でございますが、現在の戦旗荒派ということになっております。  それから、戦旗の両川派でございますが、これは先ほど申し上げました戦旗荒派がさらに分裂いたしましてできたものでございまして、これもまたゲリラ闘争等を行っております。ただ、この戦旗派は、先ほど申し上げております中核派の五千、あるいは革労協の三千等の数に比べまして組織勢力としては小そうございまして、荒派の方は大体五百ぐらいであろう、それから両川派の方は三百ぐらいかと見ておる勢力でございます。
  67. 小澤潔

    小澤(潔)委員 八月六日の午前三時半ごろ、東京都大田区内の新東京国際空港公団工事局工事第二部長川本晴郎さん宅、また、横浜市緑区内の空港公団企画室関連事業対策室長中丸猛さん宅、さらに、千葉県船橋市内の空港公団理事吉田巌さん宅を時限式発火装置を使って放火したというゲリラ事件発生をしたわけであります。幸いいずれも家人が発見し、けが人も出ず、ぼや程度で済みましたが、このような対人ゲリラやテロ的な動きは今後とも起こる可能性があろうと思いますが、いかがでしょうか。
  68. 柴田善憲

    柴田説明員 この事件につきまして中核派は、機関紙「前進」におきまして、公団幹部職員はすべて農民殺しの直接の下手人である、我が革命軍は人民の敵に怒りの鉄槌を下して厳重な警告を発したのだといったような、極めて不当と申しますか、ひどい言いがかりと申しますかをつけておるわけでございます。さらに、中核派は、成田の二期工事を絶対阻止するという立場から、機関紙の「前進」におきまして、対人ゲリラ戦も辞さないとか、無制限、無制約のゲリラ戦に立ち上がるのは人民の当然の権利であると主張をいたしております。  また、戦旗両川派も、機関紙は「戦旗」といいますが、この「戦旗」で、すべての工事加担者に対しまして断固たる鉄槌を浴びせることは我々の権利だ、こういう主張をいたしております。したがいまして、極左暴力集団は今後ともあの種の事件を起こそうとたくらむおそれがあると思いまして、厳重に警戒を強めているところでございます。
  69. 小澤潔

    小澤(潔)委員 九月十九日の自民党本部へのゲリラ事件の暴挙は、自民党員はもとより国民の皆さんがショックを受けた事件でありますが、過激派の卑劣な蛮行に厳しい怒りを改めて感じているところであります。  過激派ゲリラについてその危険性のほどを見ると、昭和五十三年の成田空港の開港予定日に管制塔を破壊し尽くし、五月まで開港延期のやむなきに至らしめた事件や、五十八年六月に成田空港のパイプライン工事の附帯工事の請負会社の現場事務所が放火され、就寝中の社員二人が焼殺をされるという危険きわまりない事件が脳裏に焼きついておりますが、このような過激派によるゲリラ事件は一体どのくらい発生し、警察でそのうちどのくらい犯人検挙しているのか、お知らせをいただきます。
  70. 柴田善憲

    柴田説明員 ゲリラ事件発生検挙状況でございますが、新東京国際空港が開港されました昭和五十三年がゲリラ事件発生状況としてはピークでございまして、その後は漸次減少傾向にあったわけでございますが、本年は成田用水の着工といったような事情もあったかと思われますが、またちょっと上向きという状況になってきておるように見られます。本日現在の発生件数は三十八件ということになっております。  また、質的にも悪質巧妙になってまいりまして、ICを使用いたしました時限式発火装置や、火炎放射装置あるいは火炎放射装置つきの火炎車、こういうものを使用しました放火事件が多くなってきております。  過去三カ年におきますゲリラ事件検挙率を見てみますと、大体三三%ということになっております。この種の事件発生後相当捜査に時間がかかることが多いわけでございますが、警察といたしましては、すべてのゲリラ事件を解決すべく一生懸命捜査を続けていく所存でございます。
  71. 小澤潔

    小澤(潔)委員 過激派ゲリラ事件が本年に入り既に三十八件とただいまお聞きをしましたが、検挙率は五十六年以降の平均で、今もお話しのように三三%程度でありますが、この程度の検挙では非常に心もとない感じを受けます。検挙にまさる防犯なしのことわざがありますが、このような事件再発を防ぐ最大の決め手は、ゲリラ犯人検挙し、厳罰に処することと思うわけです。もちろん警察では懸命な捜査を行っておられることと思いますが、ゲリラ事件検挙が低調なのはどこに原因があるのか、低調な理由をお聞きいたしたいと思います。
  72. 柴田善憲

    柴田説明員 ゲリラ事件のほとんどは、非公然軍事部門と言われる地下に潜行しておる部分が行っておるわけでございます。これらの者どもは、非常に厳しい規律のもとで訓練を受けておりまして、お互い同士も相手の本名がわからない、それぞれペンネームで呼び合う、あるいはほんの二、三名の者が一つの組になっておりまして、隣の組の者には全くもう一つの組のことはわからないといったような厳重な縦割り組織にしておるといったことが、なかなかゲリラ事件犯人がわからない原因の一つであろうかと思います。  そのほか、彼らは非常に綿密な調査活動をいたしまして、警備の薄いところ、警察力の弱いところという間隙をついてくるわけでございます。さらには、犯行の形も必ず時限装置を使いまして、事件発生したときにはもう既に相当遠くまで逃げ延びておる、このようなことも犯人検挙を難しくしておる事情の一つであろうかと思う次第でございます。こうした事情のほかに、さらに彼らは、警察の動きを逐一無線傍受をして把握いたしまして、その裏をかく、あるいは無線妨害をいたしましてこれを動けないようにしてしまうといったようなことをやっております。  したがいまして、従来の捜査の常道でございます地取り、聞き込みといったような捜査だけでは犯人までたどり着くのはなかなか難しいのでございますが、警察といたしましては、しかしこれは絶対に検挙しなければいけないということで、鋭意すべての事件についての犯人捜査を続けていきたい、このように考えておるところでございます。
  73. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ゲリラ事件は、非公然軍事組織という過激派の秘密部隊警備が手薄なところをねらっては敢行しているようだが、自民党事件では二台のトラックが使用され、いずれも盗難車が使われていたわけであり、警察としてはゲリラの対策として具体的にどのようなことをしているのか、お伺いをしておきたいと思います。
  74. 柴田善憲

    柴田説明員 ゲリラ事件の対策でございますが、やはり一番大切なことは、中核派、革労協等でゲリラをやっておるもの、組織、人間、これを発見してつかんでいくということであろうかと思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、彼らの非公然化の程度というものは極めて強いということで、この解明には大変困難をきわめているわけでございますが、さらに国民の皆様方の理解と御協力をいただきながら継続的に粘り強く解明を図り、ゲリラ防圧に努めてまいりたいと思う次第でございます。  このほか、例えばこの軍事要員のおりますアジト、あるいは車を改装いたしますであろう地下工場、さらには盗みました車の移動の間等、ゲリラを見つけ出すチャンスはそれぞれあるわけでございますので、準備段階におきましても何とか工夫をこらして検挙してまいりたい。そうすることが最もいいゲリラ防圧対策になるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  75. 小澤潔

    小澤(潔)委員 自民党本部を襲撃した犯人は、中核派の非公然軍事組織の革命軍だということでありますが、このような非公然活動家を発見して取り締まることがゲリラ事件検挙する上で最も重要であると思いますが、警察は非公然軍事要員やアジトの発見のためにどんな対策を講じているのか、またその成果は上がっているのかどうか、この点も聞きただしておきたいと思います。
  76. 柴田善憲

    柴田説明員 アジトを発見するということは大変大切なことであるという認識を持ちまして、アジト発見のためにいろいろな努力をいたしております。ただ、この非公然部門におります連中はいわゆる筋金入りでございます。しかも相互監視をしながら、ほかとの接触は厳禁しながら動いておりますために、アジト発見が大変困難という状況にあるのも事実でございます。  例えば、警察の尾行をまきますためにはヒバリの原則と称するようなものがあるようでございます。これはちょうど春のヒバリが巣へ戻ります際に、巣のはるか遠くへおりて、周りを警戒しながら巣に近づくということがございますが、あれと同じようなことで、家に近づきますと徹底的に遠回りをして厳しく点検する、あるときは疾走するといったようなことで、尾行を完全にまいてそれを確認してからアジトに入るといったようなことがございまして、一つのアジトを発見するにも大変な時間と人をかけ、現場では苦労しながら発見に努めているわけでございます。  ただ、そうした地味な努力が認められることも、成果が得られることもあるわけでございまして、昭和五十七年には東京の町田で有力なアジトを発見いたしております。また、昭和五十八年には千葉の松戸で、ことしはまた兵庫でそれぞれ非公然軍事アジトを発見いたしまして、押収、捜索等を行いましてゲリラ事件の未然防圧に成功したというケースもございますので、さらに今申し上げましたような大変な時間と労力をかけながら努力をしまして、アジトの発見に努めてまいりたいと考えております。
  77. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ゲリラ事件検挙が非常に難しいこと、その中で警察検挙に向けて努力しているということはわかりますが、どうも警察が極左過激派に押しまくられているのではないか、こんな印象を強く持つところであり、過激派ゲリラ事件の他にもいろいろな事件を引き起こしていると思うのでありますが、ゲリラ事件を含めまして過激派をどのくらい検挙しているのか。昨年五月爆弾犯人検挙されたと聞いておりますが、最近の主な検挙事案としてはどのようなものがあるのかお伺いをいたします。     〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席〕
  78. 柴田善憲

    柴田説明員 極左暴力集団検挙状況でございますが、九月末にも成田用水工事の反対闘争をめぐりまして、現地におきまして五十六人を検挙いたしておりますなど、昭和五十六年以降ゲリラ事件を含めまして四百十件、九百二人を検挙いたしております。  最近の主な検挙事例でございますが、昭和五十七年には、先ほど申し上げました革労協の最高幹部二名を検挙いたしまして、同派の内ゲバ、ゲリラ事件の解決に大変寄与をいたしたという事実があります。また同年の七月には、三菱重工爆破事件等、いわゆる連続企業爆破事件犯人であります宇賀神という者を逮捕しております。さらには、陸上自衛隊の朝霞駐屯地におきます自衛官の殺害事件、この主犯でありました滝田修こと竹本も逮捕いたしております。昨年は五月に、いわゆる連続爆弾事件を敢行して逃亡いたしておりました加藤三郎、太田早苗という者を、七年近い捜査の労が報いられまして逮捕をいたしております。そのほか、多くの重要指名手配の犯人検挙しているわけでありまして、今後とも引き続いてこの極左暴力集団事件検挙に努めてまいりたいと考えております。
  79. 小澤潔

    小澤(潔)委員 以上で捜査状況、極左の実態とゲリラ事件検挙状況についての質問を終わりたいと思います。  次に、破防法の適用について警察庁及び公安調査庁に質問をいたします。  まず公安調査庁に質問をいたしますが、破壊活動防止法の第一条には「この法律は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行った団体に対する必要な規制措置を定めるとともに、暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を補整し、もって、公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」とこの法律の目的を規定しておりますが、この法律の運用に当たり、公安調査庁と警察の職務の区分はどうなっているのか、まずもってお伺いをいたします。
  80. 堀内國宏

    ○堀内説明員 御説明いたします。  今御指摘ございましたように、破壊活動防止法と申しますのは、自由で民主的な憲法秩序を擁護し、公共の安全の確保に寄与するための法律でありまして、その内容におきましては二つの面を持っているのでございます。第一は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行った団体に対する規制に関する事項であり、第二は、暴力主義的破壊活動に該当する行為を行った個人に対する刑罰規定の補整に関する事項でございます。  公安調査庁は、第一の団体に対する規制に関する事項を担当し、具体的には暴力主義的破壊活動を行うおそれのある団体について常時これを調査して、その結果、法律の要件を満たし、かつ規制の必要があると判断いたしました場合には、公安審査委員会に対しまして当該団体の規制を請求するものでございます。  そして、第二の刑罰規定に関する事項につきましては警察が担当しておられるのでございます。
  81. 小澤潔

    小澤(潔)委員 それでは警察庁に質問をしたいと思います。  ただいまの公安調査庁の答弁を聞いておりますと、刑罰規定に関する事項は警察が担当しているということでありましたが、破防法は昭和二十七年に施行され、既に三十年以上たっているわけです。この間、警察は破防法を適用して検挙した事件があるのかどうか。あるとすれば、その件数と団体の内訳及びその中に中核派があるのかどうかについてお伺いをいたしたいと思います。
  82. 柴田善憲

    柴田説明員 これまで破防法の罰則を適用いたしました事件は全部で十件、四十七人ございます。その内訳ですが、日本共産党関係四件、右翼関係一件、極左関係五件でございます。極左関係のうち中核派に関しますものは三件ございまして、その中核派に関しますものを申し上げますと、一つは四十四年のいわゆる四・二八沖縄闘争事件、これは、四十四年四月二十八日、沖縄闘争の日には首都制圧、首相官邸占拠をかち取る、我々はあえて内乱を恐れないなどという発言がございまして都内が騒然としたわけでございますが、その罪の扇動をしたということで三名の者を逮捕いたしました。目下東京地裁におきまして公判係属中でございます。  中核派が関連いたしましたもう二件は、いずれも昭和四十六年の事件でございますが、同年の十月二十一日、十一月十日、それぞれ機動隊をせん減せよ、直ちに国会に向けて猛進撃しよう、あるいは渋谷駅を焼き払おうではないか、機動隊をせん滅して大暴動を実現しようではないかといった言動がありまして、さらに都内が騒然としたわけでございますが、これをとらえまして破防法違反ということで、いずれも東京地裁におきまして一審公判中でございます。
  83. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今回の自民党本部放火事件について、中核派報道機関犯行声明をしたと九月二十日付の各紙が報道をいたしております。中核派犯行を自認しているのでありますから、警察は破防法を適用して一網打尽に逮捕できないのかどうか。また、公安調査庁は今回の事件に破防法を適用する考えはあるのかないのか、お答えをいただきます。
  84. 柴田善憲

    柴田説明員 破防法適用の問題でございますが、刑事責任を問われますのは、中核派という組織ではなくて個々の個人であるという点は、他の刑法上の殺人罪、放火罪等の罰則と何ら変わりがないことは御案内のとおりでございます。したがいまして、組織の中のだれかが今回のような犯罪を敢行したという場合におきましても、その予備、陰謀もしくは教唆をなし、またはこれらの罪を実行させる目的を持ってその罪の扇動をなした者にその責任を問いますためには、個々の行為者につきまして破防法の構成要件に該当する行為があったことを立証する必要があるわけでございます。  もとより警察庁といたしましては、そうした着眼で捜査に取り組みまして、その結果そういう状況が出てまいりましたならば、立証し得るものにつきまして破防法を適用し、検挙する方針であることは言うまでもございません。
  85. 堀内國宏

    ○堀内説明員 公安調査庁といたしましても、こうした極左暴力集団に対しましては厳しく臨まなければならないと考えております。ただ、団体の規制ということを行いますためには、暴力主義的破壊活動が行われたことのほかに、その行為が団体の活動として行われたこと、すなわち団体意思の決定があり、これに基づいて団体の役職員または構成員が当該行為を行ったことを立証することが必要とされるなど、さまざまな要件が定められているのでございます。  今回の事件に関しまして、各報道機関等へ革共同中核派の名による犯行声明が出ていることは、その行為が団体の活動として行われたことの有力な証拠の一つではございますけれども中核派につきましては、先ほど来話が出ておりますように、組織内の意思決定、伝達などの組織活動の大部分が非公然であるという体制をとっており、とりわけ彼らの言う軍事部門につきましては極めて秘匿性が強く、犯人も未検挙でございまして、現在は団体のだれが指示してだれが実行したのかを中心に、団体としての活動を解明するために全力を挙げている段階でございます。
  86. 小澤潔

    小澤(潔)委員 中核派等の過激派による悪質なゲリラ事件は、今後も発生するおそれがあると思われます。また、現実に成田空港の工事は過激派の反対で進んでいない状況であります。このような事態に対し、警察過激派に破防法を適用して厳しく取り締まるべきであろうと思いますが、取り締まる考えはあるのかどうか、お答えをいただきます。
  87. 柴田善憲

    柴田説明員 警察庁といたしましては過去にも、極左事件につきまして申し上げましたように、破防法の罰則を適用いたしまして検挙してきたわけでございますし、今後も破防法の罰則の構成要件を充足いたします場合にはこれを適用いたしまして厳しく取り締まっていく方針でございます。
  88. 小澤潔

    小澤(潔)委員 以上で自民党本部放火事件についての質問は終わりたいと思います。  次は、成田空港関係の一坪再共有化問題について空港公団にお伺いいたします。  聞くところによりますと、国会議員の中にも一坪を買収した地主がいるということでありますが、次の質問にお答えを願いたいと思います。  敷地内に一坪用地は何カ所あり、面積はどのくらいで、共有者は何名ですか、お答えをいただきます。
  89. 松本操

    松本参考人 お答え申し上げます。  本年九月現在の数字でお答え申し上げますと、一坪運動共有地と称されております件数は三十二件でございます。また、この共有者として私ども調査した限りにおいて承知しております人数は千三百四十五名、こういうことに相なっております。
  90. 小澤潔

    小澤(潔)委員 一坪再共有化運動、いわゆる一坪運動用地の問題でありますが、これはどんなことか細かく御説明をいただくとともに、また、この中に国会議員が一坪地主でおるということも聞いておりますので、衆参で何名いるか、党名と名を挙げていただきたいと思いますが、できなければ後ほど提出をしていただきたいと思います。  これはひとつ委員長に申し上げますが、資料要求という形で委員長に申し出をいたしておりますので、よろしくお取り計らいをいただきたいと思います。
  91. 西田司

    ○西田(司)委員長代理 取り計らいたいと思います。
  92. 松本操

    松本参考人 お答え申し上げます。  まず、一坪運動と呼ばれているものそのものの実態でございますが、これは当初、公団の行います。地の買収を困難にさせるということを目的といたしまして、極めて狭い土地を多数の共有者という形で台帳に登記をする、こういう形で出発したわけでございます。しかし、その後何年かかかっております間に、私どもといたしましても極力この買い戻し、買い受けということをやってまいりました。昭和五十八年あたりの時点におきまして、私どもとしては四百人を切るところまで一坪運動の共有者を減らしたわけでございます。 ところが、残念なことに、昭和五十八年、昨年の三月に、従来一本でございましたいわゆる反対同盟が分裂をいたしまして、通称北原派及び熱田派、こう呼ばれる二つの派閥に分かれました。この中の熱田派を支援しております第四インターと称する過激派集団、これが非常に力を入れ、てこ入れをいたしました。このわずか残った四百人足らずの者が所有しております一坪運動用地の中のごく限られた箇所、すべてではございませんが、これらにつきましてさらにこれを細分化いたしまして名義人の数をふやしていこう、こういうことになりますと、私どもといたしましては、買収をいたしますにしても、ほぼ全国的に地主が散らかってしまうというふうなことにもなりますし、仮に収用手続を進めるにいたしましても、事務的に非常に難渋をするということが出てくるわけでございます。恐らくそういうことをねらってのことであろうかと思いますが、そういう形で昨年の四月ごろから幾つかの、数は少ないのでございますが、限られた箇所の一坪共有地につきまして、再共有化と彼らは言っておりますけれども、一層細分化を図るということを進めました。  その結果、私どもが七百人以上の一坪の共有地主というものを説得して持ち分買収をしてまいったのでございますが、遺憾ながら、昨年四月にこの再共有化運動が起こりまして、またそれがややもとのもくあみ的な状態になりました。先ほどお答え申し上げましたように、千三百人をやや上回るというような状態になってしまっておるというのが実態でございます。  先生の御質問にございました国会議関係の部分でございますけれども、一坪運動というものが極めて華やかに脚光を浴びておりましたころには相当数の方がおられたようでございますが、その後いろいろな事情でこれらの方々はほとんどその名前を消していかれたわけでございます。現在極めて限られた状態になっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、成田の完全空港へ向かっての建設ということにつきましては、関係各方面の十分な御理解を得ながら円満に進めてまいりたいということを念願しておるわけでもございますので、いろいろないきさつで昔そういうふうなことに相なったのではなかろうかと存じますけれども、今後の私どもの心構えといたしましては、十分お話し申し上げれば御納得いただけることでもあろうかと存じておりますので、そういう形でこれらのものにつきましてはきちっとした形になるべく早い段階でまとめてまいりたい、このようにも思っておるわけでございます。  したがいまして、私ども直接承知をしておるわけではございませんで、土地登記簿を調べて承知をするという間接的な手段しかないわけでございますが、この場でどなたとかいうふうなことを私の口から申し上げるのはちょっとはばかられるようにも存じますので、大変申しわけございませんけれども、御客赦いただければありがたい次第でございます。
  93. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ただいまの答弁を聞きますと、やはり国会議員がいることは事実である、かように受けとめられるわけでありますが、ここでの名前公表は差し控えてほしいというニュアンスでありますので、私はあえてここでは追及はいたしません。資料要求としてお願いをいたしたいと思います。  また、この一坪運動は時間が長くたっておりますので既に死亡した人もいると思います。その中にまた国会議員がいると聞いておりますが、その権利関係は今はどうなっておりますか、ひとつ説明をいただきたいと思います。
  94. 松本操

    松本参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、一坪運動そのものは用地買収が盛んに進められておりましたころに盛り上がった運動でございます。したがって、例えばおやじさんが一坪運動に名を連ねている、しかしせがれの方は余り興味を示さない、こういう形がかなり頻繁に出ているようでございます。先生の御質問でございますが、丹念に数字的に私どもが拾ってみましたところでは、三十名ちょっとの方が一坪地主に名をとどめながらそのまま死亡なさっているという状態でございます。  しからばそれが正規に相続されて、そのせがれさんなり何なりがまた一坪地主としてその権利を主張しているのかどうかということになりますと、そのほとんどは相続すらされていないということがございます。ただ、相続されていないのでございますけれども、ここら辺が非常に微妙な点だと私は思いますが、一応前所有者が死亡なさったとすれば、その特段の意思が行使されていない限りは自動的に相続をしてしまうという現象が起こってくる部分がございます。先ほど私がお答え申し上げました千三百何名という数字におきましても、実はそういう形で、種はもっと小さいわけでございますけれども、この相続がいろいろと複雑に入り組んでまいりましたがゆえに形式的に数だけがふえてしまっているというふうな分もこの中には含まれているようでございます。ですから、こういう方は私どもが接触をいたしますと、そんなことがあったのかということで持ち分の買収に応じてくださるという形も多いわけでございます。  また国会議員でという御質問でございましたけれども、これは数字だけを申し上げますと二名あると承知をいたしております。ただ、非常に古い方のようでございまして、いつのことか実はそこまでは私ども調査しておりませんので、それ以上のことはわかりかねます。
  95. 小澤潔

    小澤(潔)委員 今の説明でいくと種は小さい、こういったことでありましたが、私は種が大きいから質問をしておるので、今の小さいという発言はむしろ取り消していただきたい。そしてまた、今二名ということで、古くてわからないとかいろいろ言いましたが、いることは事実でありますので、いる以上はこれも資料要求としてお願いをいたしておきますので御提出を願いたいと思います。委員長、よろしくお願いをいたします。  こういった関係でいろいろと今説明がございました。いろいろと追及もしてまいりたいと思いましたが、関西空港の問題がありますので、時間がなくなってまいりましたのでこの程度にとどめておきたいと思いますが、土地買収の折衝でこの地主たちはどういう態度をとっているのか、また今後いろいろな態度をとろうと思いますが、ひとつよく説得をしていただいて、とにかくこの問題は我々の日本に存在する政党が後押しをしておる、実にけしからぬ、これがこれだけの問題になって、今なおまた解決がつかないいろいろな問題を提起しておるということを国民の皆さんはよく存じており、よく承知の上で我々に徹底的に追及、究明をしてただして、皆さんにも御了解をいただいて、また関係地主にも迷惑はかかりますが、一刻も早く成田の空港が国際空港として名に恥じないようにまげてお願いをしてやっていただきたいというのが国民の皆さんのお願いでありますので、ひとつ特段の御支援を賜りたいわけであります。答弁は要りません。要望いたしておきます。  最後に、関西空港関係について質問をいたします。  この十月一日に関西新空港株式会社が設立をされ、六十年度工事着工に向け具体的な業務が開始されましたが、この関西新空港建設をめぐって極左暴力集団によるゲリラ事件がこれまでに数回発生していると聞いておりますが、どんなゲリラ事件が何回発生しているのか、またゲリラ事件のほかに、極左暴力集団による反対行動としてはどんなものがあるのかお伺いをいたします。
  96. 柴田善憲

    柴田説明員 関西新空港をめぐります反対動向でございますが、これは早い段階から反対の動きはあったわけでございますが、最近になりまして次第に反対が激しくなってきておるという事情にございます。ゲリラ事件といたしましてはこれまで三件発生いたしておりまして、昭和五十五年五月に、大阪国際空港の駐車場に駐車中のバス四台が時限式発火装置で放火された事件がございました。ことしになりまして二件ございまして、大阪府庁それから大阪科学技術センタービル、いずれも四月四日でございますが、ここに時限式発火装置が仕掛けられ放火された事件がございまして、合計三件のゲリラ事件が起こっております。  このほかにも、ゲリラ事件ではございませんが、府民説明会に中核派が妨害なぐり込みをかけて十七人逮捕された等々といったような事件がこれまでにも発生しておりまして、総じてこれからだんだん事件がふえていくのではないか、このような状況にございます。
  97. 小澤潔

    小澤(潔)委員 あと何点がまとめて質問をいたしますが、五分までということでありますので、その範囲でお答えをいただければ幸甚です。  次に、関西新空港建設をめぐってこれまで三件のゲリラ事件発生したというお話がございました。ゲリラ事件以外の反対闘争で何人か逮捕もしているとのことでありますが、極左暴力集団は関西新空港建設に対してどのように認識をしているのか、何ゆえゲリラ事件などの反対闘争に取り組むのか、その辺のところを聞かせていただきたいと思います。  なお、次の問題は、これまでに答弁をいただいたように、関西国際空港建設に対しても既に極左暴力集団によるさまざまな行動が繰り広げられております。関西国際空港建設がいまだ具体的着工を見ない段階でこのような過激な行動が見られるということは、今後関西国際空港着工問題が進展するにつれて、ますます極左暴力集団による反対闘争が激化することが予想されますので、警察としては現在の時点でどのような事案の発生を想定しているのかお聞かせをいただきます。もう一点ありますが、先に簡略にお願いをいたします。
  98. 柴田善憲

    柴田説明員 関西新空港建設をめぐりましてなぜ極左がゲリラ事件を起こすのか、反対闘争をやるのかということでございますが、この建設につきまして極左暴力集団は、あれは巨大な軍事空港であって、しかも日本初の二十四時間空港であるといった点、あるいは政府、地方自治体、財界などの共同出資会社による資本の延命のための空港であるといったようなとらえ方、さらには地方住民の生命、生活環境の破壊をもたらす空港であるといったようなとらえ方、こういうとらえ方で反対闘争を行っておるわけでございます。  次に、国際空港問題が現実化し、進展するにつれましていろいろな反対闘争が出てくると思われます。予想されますものといたしましては、ことし四月四日に府庁等で発生いたしましたような悪質な放火ゲリラ事件と類似のゲリラ事件が多発すると予想されます。また、建設工事そのものに対します直接妨害事案や、集会、デモなどの大衆闘争も当然活発化してくると思われます。これらに対しましては、警察といたしましては、警戒体制をさらに強めながら警備の万全を期してまいりたいと考えております。
  99. 小澤潔

    小澤(潔)委員 成田闘争では、第一期工事の完成を見るまでに極左暴力集団等による過激な反対闘争が繰り広げられ、死者をも含む多大な犠牲を払ったところであり、さらに第二期工事を目前にして極左等の反対闘争が激化しつつあるのであります。このような事態を踏まえまして、関西国際空港建設工事をめぐっても激しい反対闘争が予想されるのでありますが、その警備について御意見をお伺いいたしたいと思います。
  100. 柴田善憲

    柴田説明員 御指摘がございましたように、新東京国際空港の建設、それ以後の運営に伴います警備をめぐりまして、五人の殉職者と三千四百名余の警察官の重軽傷者を出してきておるわけでございます。私どもといたしましてはこの教訓を十分に生かしまして、運輸省その他関係機関との連絡をより緊密にいたしますとともに、地元におきましても関係府県警察がっちりと手をつなぎ合いまして、関西国際空港建設に向けての作業進捗状況警備情勢等を十分に勘案しながら、警備体制の確立など警備諸対策を総合的に推進いたしまして、この関西国際空港の建設をめぐります警備治安維持の万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
  101. 小澤潔

    小澤(潔)委員 ゲリラ事件を敢行する過激派は、非公然軍事組織をつくり、筋金入りの活動家が綿密な調査研究の上で計画を立てて、最も警戒の薄い時期をねらって敢行するため犯人検挙に結びつく証拠が少なく、検挙が思うように進まないところでありますが、国民警察を信頼し、警察への協力を行っているところでありますので、国民が安心をして暮らせるよう、警察の一層の努力を望むところであります。  以上、要望をいたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  102. 西田司

    ○西田(司)委員長代理 臼井日出男君。
  103. 臼井日出男

    ○臼井委員 ただいま同僚の自由民主党小澤議員から、今回の自由民主党本部放火事件につきまして、治安関係を中心としていろいろお話しをいただいたわけでございますが、私も関連をいたしまして御質問をさせていただきたいと存じております。  去る九月十九日午後七時三十五分ごろ、私ども自由民主党本部が極左暴力のテロによりまして放火炎上いたしたわけであります。この事件は、先ほど来お話にございましたけれども警備のすきをついて、自民党の裏側に当たる料亭の駐車場から火炎噴射装置によって火炎を吹きつけ、三階から七階に及ぶ広い部分が焼失をしたものでございます。当日は、新聞報道等にも出ておりましたけれども、かなりの人員がまだ会館の中に残っておったわけでありまして、ちょっと間違うと大変多くの死傷者が出たかもしれない、そういう危険さえございました。  そういうことを考えますと、あえて人命の損傷もいとわない、極めて凶悪な犯罪ということでございます。自由民主党という公党に対して公然とこうした攻撃をかけてくるということは、議会制民主主義に対する極めて激しい攻撃であるというふうに私どもは考えておりまして、当局におきましては、こういう点についてはぜひとも厳しい御追及をお願いをしたいというふうに期待をいたしているわけでございます。  まず最初に田川国家公安委員長、並びに御新任でございますが鈴木警察庁長官に、今回の事件解決に対する御決意のほどをぜひともお聞かせいただきたいと思います。
  104. 田川誠一

    田川国務大臣 今回の自民党襲撃事件は、先ほどもちょっと触れましたが、手段を選ばないで無差別に社会秩序を暴力で破壊していこう、こういう集団のやったことでございまして、これはもう国民の敵である、こういうふうに思わざるを得ないのでございまして、こういう暴力行為、破壊活動というものは、左翼であろうと右翼であろうと、思想のいかんを問わず、徹底的に検挙してこれを防いでいかなければならぬ、このような決意でおるわけでございます。  こうした事件を再び起こさないようにするには、警備に万全を期するということも必要でございますけれども、何としても早く犯人検挙することが大事でありまして、警察といたしましては相当の決意をもってこの事件に対する捜査活動をしているわけでございます。今後再発を防ぐ最大の手段は、早期に犯人検挙することという立場で臨んでいるわけでございます。
  105. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)説明員 今回の九月十九日の事件に限りませんけれども、現在国際的にもテロ、ゲリラの時代、そしてまた我が国内関係を見ましても、数多くのゲリラが敢行されているというふうなことでございます。こういう事態に対しまして、これはもうまさに先ほど来申し上げましたように、民主主義法秩序に対する挑戦であるということで我々も重大に受けとめておりまして、何としてもこれは一日も早く検挙する、そのためには警視庁だけではございません、全国警察を結集いたしまして一日も早く検挙すべく努力してまいりたいという決意でございます。
  106. 臼井日出男

    ○臼井委員 大変心強いお答えをいただいてうれしく思っているわけでございます。ぜひともこうした問題に対しては総力を挙げてひとつ取り組んで、早期検挙によってこうした事件再発をしないような御努力をこれからもお願いをいたしたいと考えております。  非常に長いゲリラの闘争の歴史というものがあるわけでございますが、今回の自民党の放火事件は、午後の七時半といいますと、まだかなり人通りも激しいわけであります。しかも、首あったように火炎瓶に火をつけてほうり投げる、そして逃走するというふうなことから、最近は、時限発火装置によって発火したときはもうどこに行ったかわからないというように極めて科学的になってきて、なかなか捕まえにくいというふうなことで捜査の困難を来しているということはよくわかるわけでございます。  しかし今回の場合はちょっと違っているわけでありまして、現実に数人の男があのかなりまだ人通りの多い時期に現場に来て火炎放射をした、しかも、顔も見られておる、逃走の状態も見られている、そうした中で、残念ながらこの東京のど真ん中で犯人をとうとう捕まえることができなかった。そういうことを考えますと、これからの警備状況あるいは捜査上の問題、態勢、そういったものももう一度基本から考えて態勢を組み直す必要があるのではないかと考えているわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  107. 柴田善憲

    柴田説明員 今回の自民党放火事件でございますが、やはり時限式の発火装置を使ったようでございます。現場犯人グループが離れてから発火までの時間は割合短かったという点は御指摘のとおりでございますが、やはりその間に何分間かの時間がございました。この何分間かの時間を犯人グループが使いまして、発火当時は現場から姿を消しておった、こういう状況でございます。  ただ、御指摘のように多数の目撃者もおる時間帯でもございますので、警視庁といたしましては、特捜本部におきまして、現在目撃者からの聞き込み、地取り捜査、遺留品捜査あるいは中核派に対する組織捜査等を徹底的に行いまして、早期に犯人を逮捕すべく目下鋭意捜査中でございます。  なお、この種の事件は現行犯的に逮捕するのが一番いいわけでございます。現場で逮捕できれば一番いいわけでございますが、彼らが使う時限発火装置といったものによる時間稼ぎというような問題があるわけでございますが、私どもといたしましては、そこらのところの警戒等につきましてもさらに工夫を凝らしまして、何とか現行犯的に捕まえられないものかという点につきましてもさらに努力をしてまいりたいと考えております。
  108. 臼井日出男

    ○臼井委員 先ほどお話を伺いましても、逮捕までに七年間もかかって逮捕したという大変な御苦労を重ねておられるわけでございます。その御苦労の状況はよくわかりますので、ぜひともひとつ一層の御努力によって検挙の効率を上げていただきたい、そう考えておるわけであります。  お聞きをいたしますところによりますと、先ほどの小澤議員の質問にも出ておりましたけれども自民党本部が炎上しているさなかに警察無線を妨害する電波が流されたというふうなことを伺ったわけであります。これによってにせの情報が流れたり、あるいは警察内部の連絡がとりにくくなったということも伺っております。この事実について確認をさせていただきたいと思います。  また、こうした外部の者による警察当局の無線に対する妨害というものがそう簡単にされたのでは、これからの重要な捜査に対して極めて大きな支障を来すものだと私は考えているのです。お伺いをいたしますと、警察無線が極めて旧式であって、もっと早くこれが近代化できるならばこうしたことも起こらなくなるということを聞いておりますが、それが事実であるかどうか。こうした無線に限らず、警備機器の近代化あるいは改良、そういったものをぜひとも進めていただきたいと思いますが、現在のそうした状況並びに将来の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  109. 柴田善憲

    柴田説明員 妨害無線が流れまして、一時警察捜査警備が妨害を受けたというのは事実でございます。事件発生直後から約四十分間にわたったわけでございますが、連続的に妨害電波が流れました。次々とこちらがチャンネルを切りかえますと、相手もチャンネルを切りかえて追っかけてくるという状況でございまして、現場警視庁本部との間の無線の交信に支障を生じたということはございました。  そこで、現在使用しております無線機でございますが、これは一般に市販されておりますものと同じ方式でございまして、簡単に傍受されたり電波妨害をされたりするというものでございます。これらに対処いたしますために、既に大分前から問題点が指摘されまして、それに対する対処案といたしまして、新しい方式のいわゆるディジタル無線機というものが一部導入されておるわけでございます。これを計画的に導入する計画でおるわけでございますが、この導入をさらに早めていくことによりまして、在来のように簡単に妨害される、あるいは盗聴されるというようなことのないようにしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。よろしくお願いします。
  110. 臼井日出男

    ○臼井委員 こうした点につきましても、お話を伺いますと、そう大して大きなお金がかかるわけではないようにも伺っております。総額で三百億程度のものがあれば全警察官にこうしたものが配備できるということでありますので、私ども自由民主党の中でもってできる限りの御協力をさしていただきますが、こうした近代化にはぜひとも一層の御配慮をいただきたいというふうに考えております。  行政改革の一環といたしまして、ここ数年間、警察官増員要求に対して極めて少ない増になっております。例えばここ三年間をとってみましても、二千五百人の要求に対して実質増千五百人、これが五十七年であります。五十八年が二千百人の増員要求に対して千二十人、五十九年が千五百人の増員要求に対してたったの五百五十六人、こうした増員しか認められておりません。これはもちろん政府がそうしたわけでありますから我々も責任がありますけれども、こんなことでは満足な警備なんかできるわけはないと私は考えるわけであります。  先ほどお話にもございましたが、私ども日本は、世界各国に比較をいたしましても、人口当たりに対しての警察官の数というのは少ない。そういう状況で効率を上げてやってきているわけであります。現在の警察官人口当たりの数といいますか、そういうものは一体どれくらいなのか、御確認をさしていただきたいと思います。  また、昭和六十年度の警察官増員要求はどのようなぐあいになっておるのか、お伺いをいたしたいと思います。これにつきましては関西新空港警備の人員というものが入っておるというふうに聞いておりますが、やがて成田の二期というものが始まりますと、恐らく現在の人数ではとても足りなくなってくると思います。そういうことを考えますと、もし成田二期というものが極めて早い時期に始まるとするならば、大体どのくらいの人数というものが必要になるのか、そういうこともお聞かせをいただきたいと思います。
  111. 鈴木良一

    鈴木(良)説明員 現在の警察官人口当たりの負担でございますけれども、これは警察官一人当たり五百五十三人になっております。     〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕  それから六十年度の増員要求でございますが、これは関西国際空港建設に係る集団警備力の確保要員といたしまして、三百七十五人の増員を要求しておるところでございます。  成田の二期工事が始まりましたときにどうなるかということでございますが、現在成田の空港につきましては、空港警備隊千五百人を中心といたします部隊によりまして警戒警備を実施しておるところでございますが、御承知のとおり、極左暴力集団は二期工事の阻止を呼号いたしまして、全国的に強力かつ継続的な反対、阻止闘争を展開しておるところでございます。そのためにはやはり集団警備力というものの強化が必要であると考えております。  当面は各府県の警察からの応援派遣等の内部努力によりまして対処することといたしておりますけれども、二期工事を控えまして、極左暴力集団のテロ、ゲリラを主体としました反対闘争というものが激化することは必至であると考えております。そういう意味で、本警備の万全を期するためには、今後の問題といたしまして、所要の体制の整備を検討していかなければならない、かように考えておるところでございます。
  112. 臼井日出男

    ○臼井委員 先般、私ども自由民主党治安対策特別委員会が開かれまして、その席上で警察当局の予算、これは極めて最近削減をされているわけでございますが、多くの議員の先生方が、この予算削減について心配の声をお出しいただいたわけであります。私ども自由民主党も、こうした点については、もちろん先ほど申し上げました行革あるいはマイナスシーリング、そういったものもございますが、これからも後半に向かって大いに御協力をいたしたいというふうに考えておりますが、田川国家公安委員長におかれましても、六十年度の警察予算、装備、人員ともにしっかりと確保するようなひとつ御努力をこれからお願いをいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  113. 田川誠一

    田川国務大臣 治安を安定にするということは社会の活動、文化活動、経済活動すべての基盤でございますから、そうした意味で万全を期していかなければなりません。  就任以来、私どももできるだけ警察力を整備していかなければならぬということで努力をしてまいりましたし、国家財政が御指摘のように大変厳しい中でございますから、なかなか困難なことではあるけれども、こうした警察力の警備に対する近代化が余り進んでいない、せめてこういう面を補強したいということで、概算要求以前にも、先ほど来お話のありましたように、通信の近代化をしていかなければならない。地方へ行きますと、まだ古い通信機を使っておりまして、東京にはディジタル化をされている部分もありますけれども、地方にはそういうのはないのです。  また、通信ばかりでなく、車両の性能などもおくれておりまして、犯人を追っかけるのにスピードが間に合わないなんという自動車もあるということでございまして、そういう意味を含めて、治安は現実の問題であるから何とかして予算をもう少し特別に考えていただかなければならぬということも主張をしてまいりました。なかなか思うようにまいりませんけれども、これからもひとつこういう事件を契機にして万全を期してまいりたいと思います。  人員の面につきましても、事務当局は遠慮してなかなか言っておりませんけれども、日本の警察官一人当たり五百五十三人というお話がありましたけれども、では外国はどうなっているか。私はよくいろいろなところで申し上げるのですけれども、私どもの調べた外国警察官一人当たりの数を参考に申し上げますと、フランスなどは人口二百七十八人ぐらいで済んでいるわけですね、西ドイツでは人口三百十八人で済んでいる。これは一、二年前の数字でございますけれども、アメリカでも人口三百九十四人というようなことで、先進諸国に比べたら非常に少ない警察官治安の任に当たっているわけです。  数が多ければいいということではありませんけれども、そうした限られた人数、限られた資材、こういうものでやっているわけでございまして、もう少し資材、器材の面で近代化を図っていくことが犯人の早期検挙につながってくる、こういうふうに思っているわけでございまして、先ほどのお話のように、自民党の治安対策特別委員会を初め、関係委員会で非常に御協力をいただくようなお話がございまして、私どもも大変ありがたく思っております。警察予算を充実していくことにつきましては、これからも全力を尽くしてまいるつもりでございます。
  114. 臼井日出男

    ○臼井委員 日本には自衛隊という組織もあります。しかし、こうしたゲリラ活動の警備に、いまだかつてそういうものが、自衛隊が出てきたということはない、すべて警察でやっていただいておるわけであります。それは極めて平和でまことにいいわけでありますが、しかし、争いということになりますと、普通のトラックを持っていって果たして防げるのかということもあります。そういう意味で、長期にわたって、こうした治安対策には警察側から犠牲者の出ないような御研究も、ひとつぜひともこれからお願いをいたしたいと思います。  こうした過激派によるゲリラ事件というものは、現在まで非常に多発いたしております。これから成田東京国際空港の二期工事が始まったり、あるいは関西空港の工事が始まったり、あるいは羽田の沖合展開の工事が始まったり、こうしたいろいろな国家的な事業が始まりますと、ますますこうしたゲリラ活動というものがふえてくるのだろう、そういうことが予想されるわけでございます。政府内部におきましては、こうしたゲリラ防止対策、これは先ほどお話にもございましたが、ここ数年間、毎年毎年かなり数が出ているわけであります。そして、関係者ばかりでなくて、罪のない方々の家屋が焼けたり、そういうこともしております。  そういう意味におきまして、政府部内のこうしたゲリラ対策の連絡機関といいますか、そういうものがあるのかないのか、できればそういったものをぜひともおつくりをいただきたいと思いますし、また警察庁当局に対しましても、やはり警察庁とかあるいは消防庁、公安調査庁、運輸省、法務省あるいは各空港公団、こうしたもののゲリラ対策の総合的な対策組織というものがぜひとも私は必要だと思います。もしこういうものがないとするならば、早急にひとつはっきりとした組織をおつくりいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  115. 田川誠一

    田川国務大臣 警察は、ゲリラ活動を防止するために、これまでも関係各省庁とその都度緊密な連絡をとってまいりましたが、御指摘のように、今後ももっと緊密な連絡をとっていかなければなりません。この種の問題については、そういうような関係の事案ごとに、お互いに強い連絡をとっていくことの方が効果があるのではないかと思うわけでございます。  きょうも朝、関西新空港の関係閣僚会議がございましたが、その閣僚会議におきましても、いろいろな面も含め、治安も含めて、関西国際空港関連施設整備連絡調整会議、ちょっと長いのですけれども、こういう会議が設けられることになりまして、この中に私ども警察庁も入っております。官房長、関係局長、こういう構成員でこのような連絡会議が設けられることになりました。こういう会議を通じまして、関係各省との連絡をさらに緊密にして防止を図っていきたい、対策を図っていきたい、このように考えております。
  116. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)説明員 今、大臣答弁のとおりでございますけれども警察庁としましても、警備局を中心に、全庁挙げて極左暴力集団ゲリラ対策に取り組むという構えでやっておりますし、また今後ともひとつそういう固めを強めましてやってまいりたい、こう思っております。
  117. 臼井日出男

    ○臼井委員 例えば、今回も犯行に直接二台のトラックが使われました。先般、千葉県の佐原で、前日の夕方盗まれたバキュームカーで、成田空港関連で工事している建設会社の事務所がふん尿だらけにされてしまったという事件もありました。こういうことを考えてみますと、たった一台のトラックが盗まれた、それが単に普通の乗用車等の盗難と違いまして特殊な意味を持ってくる場合がかなりあるんだろうと私は思います。  したがいまして、先ほど来お聞きをいたしましても、埼玉県や群馬県で盗まれた車が今回の事件に使われている、あるいは兵庫県とか九州とかとんでもないところのトラック一台の盗難が、どこかでもってそれが使われる、そういうことがあるわけであります。そういうことになりますと、そうしたトラック一台の盗難でも、相当広範囲な綿密な連絡をとらなければ、その意味というものは事前に察知することはできないと思いますので、ぜひともそうしたゲリラ対策の何か系統的なより強い組織というものをつくっていただきたい、これを警察庁当局にお願いをいたしたわけであります。  今回の自民党放火事件の後に、中核派革命軍と名乗る者が、成田東京国際空港第二期着工声明に対する二期絶対実力阻止の鉄の回答であるということを、新風社等に犯行声明として出したわけでございます。私が心配をいたしますのは、こうした成田空港関連のゲリラ事件というものがだんだんエスカレートしてくる、これによって成田空港の二期工事の着工というものが左右されてしまうのじゃないかというような危惧を持っているわけであります。この点についてはいかがでしょうか。  また、私はこの際、政府がこのようなおどしの暴力的行為によっては決して政策の変更をしないのだという毅然たる態度を国民に対して示すことが、こうした暴力行為というものをやめさせる一つの方向でもあろうかと思うわけであります。こういう点についてもぜひとも御決意のほどをお聞きしたいと思います。  今、私ども千葉県では、本当に政府は二期工事をやる気があるのかどうかという極めて強い疑問の声が上がってきているわけでございます。私はここにその切り抜きを持っているわけでありますが、十月二日の朝日新聞に「細田運輸相は一日、現在は一部を除き国内線専用に使われている羽田空港を、将来は国際線にも使用することを検討せざるをえないこというふうなことを、公式だと思いますが記者団に対して発表しているわけでございます。  現在私ども千葉県においては、この成田の二期を何とか進めなければいけない、そして成田を国際空港と胸を張って言えるようなものにぜひとも早くしたいということでもって、沼田知事さんを初め、本当に血眼になってやっておるわけであります。こうした声明の真意はどこにあるのかお聞きをしたいわけでありますが、二期工事の促進に対して水を浴びせる行為ではないかという感じも私はするわけであります。したがいまして、ぜひともこの発表についての御真意も伺わせていただきたいと思います。
  118. 増田信雄

    ○増田説明員 お答え申し上げます。  先般の自由民主党本部放火事件が、成田空港二期絶対阻止の名目のもとで行われたということにつきまして、私どもは大変遺憾に存じております。  ところで、新東京国際空港は開港後既に六年をけみしまして、今一年間でこの空港を御利用願っている利用者の数は一千万人を超すようになっております。しかも、そのうちの約二割近くが通過客でございます。このことは成田国際空港が単に日本の表玄関としての地位を確立しただけではなく、アジア全体のゲートウェー、その乗りかえ空港として国際的な地位を高めつつあるということであろうかと私どもは思っております。  ただ、残念ながら当空港は御案内のとおり未完成の空港でございます。したがいまして、その処理能力がだんだんと限界に近づいてきております。このような状況を考えました場合に、私どもといたしましては、国民の支持を受けられるような方法、そしてまた関係機関の全面的な協力を受けられるような方法で一日も早くこの空港を完全空港にする必要があると考えておるところでございます。今回の自民党の放火事件、その他いろいろな困難、障害が今後とも起こってくると私どもは覚悟いたしております。しかしながら、その困難の一つずつを解決し乗り切っていくのが私ども運輸省、公団に与えられた使命であり、義務と感じでおりますので、今回の事件によりまして私どもの信念が変わることはございません。  それから、第二の御質問でございます羽田の沖合展開あるいは関西の新空港の問題がございまして、地元でいろいろな御不安があるということはよく存じ上げております。しかし、これらのプロジェクトはそれぞれの目的を持って立てられたプロジェクトでございまして、事務的に見ても技術的に見ても、そのプロジェクトが進むからといって成田の完全な空港を目指す歩みを遅めていい、あるいは完全空港に向けての努力をしなくてもいいということにはならないと存じます。  細田運輸大臣の御発言でございますけれども、私どもが直接その趣旨をお尋ねいたしましたところ、大臣の申しておりますのは、羽田空港の沖合展開は国内の需要のために行われるものでございまして、なおかつ地元の騒音公害を解消するものであるということは十分に知っておる、そしてまた、成田国際空港が日本の表玄関として国際線を取り扱うべく完全空港に向けての努力を続けなければいけないということは十分承知しておる。しかしながら、その完全空港へ向けての工事がこれ以上おくれるとするならば、現在三十一カ国が日本と乗り入れの協定を結びたいということを申しておるにもかかわらず、それを受け入れられないという事態も懸念されるのではないか、そういうことになれば、世の中から羽田を使ったらどうだという議論が起きかねないという懸念を表明されたものでございます。  言いかえますならば、成田をなるべく早い機会に完全空港に向けて建設の歩みを着実に進めなさいというのが大臣の趣旨であろうと私どもは推察いたしております。
  119. 臼井日出男

    ○臼井委員 新聞記事の内容とは随分違うわけでございますが、しかし今のお話を伺って、私ばかりではなくて、千葉県民も非常に安心をしたと思うわけでございます。ぜひともひとつその心意気でお進めをいただきたいと思います。  成田のいわゆる二期工事は、昭和五十三年、空港の開港直後に凍結宣言がされたと私は漏れ聞いているわけでございます。それは運輸大臣によってなされたと言われておりますが、何ゆえにそのように打ち切ってすぐ二期に取りかからなかったのか、まずその辺の事情をお聞かせいただきたいと思います。  それから私どもは、運輸省当局が二期工事のゴーサインをいつ、どのような条件が整ったときにするのかということに非常な関心を持っているわけであります。現在私ども千葉県におきましては、千葉県知事初め隣接の二十カ町村が、すべて一刻も早く促進をしてもらいたいという決議をしているわけであります。千葉県においても十二分にその機が熟しているわけであります。そういう意味からも、例えば空港敷地内の十一戸の農家の方々と十分にお話し合いをしていただかなければならないわけでありますが、この十二戸がすべて片づくまで二期着工をしないのかどうか、その点も確認をさせていただきたいと思います。  今回、自由民主党政府におきましては、昭和六十年度の予算でもって二期工事のための条件整備として、最近では初めて概算要求で二十二億のお金を計上していただいた。私自身としては、これは事実上のゴーサインだと理解をしたいというふうな気持ちもあるわけですが、いかがでございましょうか。
  120. 増田信雄

    ○増田説明員 ただいまの開港当時の運輸大臣の御発言でございますけれども、運輸大臣が申し上げましたのは、混乱の中で開港したといういきさつにかんがみまして、この空港が将来とも地域社会と調和のとれた空港であるべきであり、また反対派の農民がおられるという事実もございますので、その農民の方と十分に胸襟を開いて話し合いをする必要があるという趣旨の御発言であったと存じております。したがいまして、先生の御指摘のような凍結だとか中断とかいうような発言は、私どもは承知いたしておりません。  ただ、私どもといたしましては、開港に引き続いてこの空港を完全な空港にすべく工事を予定いたしておりましたけれども、周辺の治安状況あるいは話し合いの促進ということの絡みで、いろいろな事情を考慮いたしまして一時中断をいたしているにすぎません。  それから、その次の先生のお話でございますけれども、私どもといたしまして、周辺の市町村の方々の大変な御努力、あるいはまた新東京国際空港公団の着実な地味な努力によりまして、周辺の住民の方々の新東京国際空港を見る目が徐々に変わってきつつあるというふうな認識を持っております。  中でも昨年の秋からことしの春にかけまして、成田市あるいは芝山町を初め関係の市町村の議会で、大変な混乱あるいは困難を排しながらこの空港の完成に向けて進むべきであるという御決議をいただいておりまして、その完成のための歩みというのが一つ加速され、機運が盛り上がってきたというふうに承知をいたしております。私どもは、そういう機運あるいは御期待にこたえながら、なおかつこの空港の需給の状況を見ながら、なるべく早い機会に完成へ向けての歩みを始めたいと願っておるところでございます。  しかしながら、いつどんな形で着工していくかということは極めて微妙な問題でございまして、一運輸省だけで決められる問題ではございません。当然のことながら千葉県を初め地方公共団体の方々、関係機関の方々と十分慎重に打ち合わせた上で、着工の時期あるいは着工の順序、方法等について検討をして決定せざるを得ないと考えております。  先生の御指摘のような着工の方法あるいは用地対策というものもあろうかと思いますけれども、まず、今運輸省、公団でやるべき仕事は、用地内に現在も居住しておられます十二戸の農民の方に対しまして、地方公共団体の首長の方々の全面的な、積極的な御協力のもとで誠実に話し合いを進めていく、そしてまた、その用地を任意で取得するめどを立てていくということであろうかと思います。そのめどを持った上で、また、完成空港の歩みを全体として眺めた上で、ある時点を決めまして着実な歩みを始めるのが筋かと思っております。  そういう意味で、六十年度の予算というものは、私どもがしなければいけないこと、あるいはしておくべきことを着実にやろうというための予算でございまして、これをもちまして本格的な工事にかかるには不足した金額でございます。なお、本格的な工事につきましてその決断が下されるならば、私どもは、予算は従来の繰り越しをもって充てられると思っておりますので、財政上の理由でこの工事がおくれるということはないように取り計らってまいりたいと思っております。
  121. 臼井日出男

    ○臼井委員 この工事の進め方ですけれども、小さい例ですが、よく私どもの周辺で道路をつくる場合に、のかない家があってもその周辺はどんどん整備してしまう、そして機運を高めていくというやり方もあるわけでして、どうして一期、二期とはっきり切ってしまったのかな、このことがかえって障害になっているのじゃないかという感じも私自身は持つわけであります。聞き及ぶところによりますと、運輸省では、従来の二期工事という概念はやめよう、今後は公団所有の土地と未買収地というものをはっきり区別をするのだ、そういう方針でやっていこうというふうなことを考えておられるということを伺いますが、この点について御確認をさせていただきたいと思います。  そして、このことは同時に工事の今後の進め方についても大きな影響があるのではないだろうか。未買収の用地の取得の問題と二期工事というものを同時並行して進めても私は構わないというふうな考え方にもつながってくるわけでありまして、ぜひとも考え方がどうなのか御確認をさせていただきたいと思います。また、公団側につきましても、この点についてどういう考えを持っているのかお聞かせをいただきたいと思います。  現在公団側では、以前から繰越金の形でもって二期の予算を約百二十億程度持っていらっしゃるということでありますので、こういうものを活用すればかなり大幅な、二倍以上の工事契約というものができるんだろうと私は思っております。ぜひとも手のつけられるところから工事をしていく、そういう姿勢を政府で示していただきたいと私は思うがいかがでございましょう。
  122. 増田信雄

    ○増田説明員 従来から一期、二期ということにつきましては、その使う人あるいは使う場所で極めてあいまいな概念でございまして、確定したものではございません。ただ、何とはなく二期工事という名前がつけば、その工事内容いかんにかかわらずこれをちゅうちょするというような風潮が従来あったかと見受けております。しかし先生御指摘のように、周辺の市町村の方の全面的な協力を仰げる、またやらなければいけないという状態になってまいりました場合に、どういう方法でやっていくのが一番摩擦がなく全体としてのバランスがとれるかということを今検討いたしておる段階でございまして、先生の御指摘のようなことを決めたという事実はございません。方法あるいは時期、やり方について模索中であるというのが正解だと私は思っております。  そういう意味で所有地あるいは未所有地を分けるとか、あるいは工事と並行しながら買収を進めていくということについても、私どもとしてそうすべきであるとかないということを決めてはおりません。そういうことを含めまして関係の方々と十分協議をし、また慎重に用地の任意買収に対する影響、あるいは周辺の方々との話し合いに対する影響ということを考えながら着工の時期、順序というものを相談してまいりたいと思っております。
  123. 松本操

    松本参考人 私ども公団の立場といたしましては、大筋は今審議官からお答え申し上げたとおりでございます。  ただ御記憶もあろうかと存じますが、開港直後私どもは引き続き工事を進めるということで契約までしたわけでございますが、これも先ほど審議官から御答弁ございましたように、当時の状況等にかんがみて中断せざるを得なかった。したがって、私どもといたしましては、いっ何どきたりとも工事を続行してまいりたい、こういう気持ちは非常に強く持っておるわけでございますが、ただこの工事は、広い原っぱで何にもないところで一人でやるというわけにはまいらない点がございます。そういう点を勘案いたしますと、やはり順序立てて、この仕事をする前にはこれが片づいていなければいかぬとか、こういうふうなものがございます。従来ともそういう点についてできる限りの努力をしてまいったわけでございますが、六十年度の予算におきましては、周辺自治体からの強いお力添え等も踏まえまして、これをはっきりと私どもは予算として運輸省の方にもお願いをした、こういう経緯でございます。  したがいまして、そのときが参りますれば、また大方の関係機関の御支持、御援助が得られますれば早速にも私どもとしては仕事に取りかかっていきたい、こういうふうな覚悟ております。
  124. 臼井日出男

    ○臼井委員 私もこの難しさは地元におりますからよく知っております。公団が仕事をしたいと思っても妨害する者がいるわけですから、警備も十分にしなければいかぬ。予算の方の問題もありましょう。したがいまして、そうなってくると一番問題なのは突っかけ待ちでもって、だれがどう動けばいつどう始まるのか、私どもも非常に気にしている点でございますが、さっき私が申し上げましたとおり、二期工事をできるところからやるというふうなことを早くお決めいただければ、地元としても大変ありがたいと思います。  成田東京国際空港は、昭和五十三年五月に開港以来既に六年余たっているわけでありますけれども、現在まで四千メートル滑走路一本でもって運航をしている片肺空港でございます。私ども日本人が外国人に対して胸を張って、これが我が日本の国際空港であるということはとても言える状態ではない、これは御承知のとおりでございますけれども、だんだんと旅客量もふえてきておりまして、空港ターミナルの限界、あるいはまた一本の滑走路でもってラッシュ時に運航できる限界、そういうものがそろそろ来ていると私は思っておりますが、それをどのように御判断をいただいているのか、お聞きをいたしたいと思います。
  125. 松本操

    松本参考人 お答え申し上げます。  個々の空港の施設の能力だけで空港の全能力を云々することは非常に危険でございますけれども、私どもの空港、何せまだ半人前であることは御指摘のとおりでございます。いろいろと不都合の面も出てまいっておるわけでございます。これを仮に施設ごとの能力の方から判断するといたしますならば、まず、現在使っております四千メートルの滑走路の能力というふうなことを考えますと、余り激しいダイヤ調整をしない。ダイヤ調整と申しますのは、航空会社の思うように飛行機が飛べなくなるという不便さを伴うわけでございますが、余り激しくダイヤ調整をしなくても何とかこなせるのではないかというあたりを目安に置きますと、年間大体九万回ぐらいというのがこの滑走路の能力であろうかと思います。  しかし、そうは申しましても、世界いずれの空港もダイヤ調整というのはあるわけでございますので、ある程度のところは我慢してもらうというような腹を決めまして、かなり大幅なダイヤ調整をお願いするということになりますれば十一万回程度は何とかこなせるのではないか、このように思っております。  ところが、ターミナルビルの方につきましては、今申し上げましたような機械的、物理的な数字とやや異なりまして、お客様を扱う施設でございますので、ある程度我慢していただければというふうなことを私どもが申し上げるのは大変失礼なことになるわけでございますが、仮にサービス水準が多少低下してもというふうなことを念頭に置きますと一千万、一千百万人ぐらいというふうなところはこなせるだろう。  それから、かつての羽田空港あたりを思い起こしていただけるとよろしいかと存じますけれども、ああいったような状態にピークのときになることをお許し願えるとするならば、千数百万人、四、五百万であろうかと思っておりますが、そのぐらいのところは今のターミナルのままでは無理でございますが、何がしかの改造をしなければならぬとは思っておりますけれども、こなせないことはないのではないか。  いずれにいたしましても、飛行機にお客様が乗ってくるわけでございますので、滑走路の能力とターミナル能力をばらばらに考えるのもいかがかとは存じますけれども、そういうところから、やや大ざっぱな言いようになって恐縮でございますが、私どもの空港につきまして、航空会社にもお客の方にも多少の御不便をお願いするようになるかもしらぬ、それは一年じゅうぶっ続けではなくて、ピークのときにはかなり御不便を願うようになるかもしらぬというふうなことを念頭に置いて考えますと、大体六十年代、割合早い時期にそういった状況になるのではないだろうか。航空需要の予測の仕方によっても変わってまいりますので、断定的に申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、大体六十年代の半ば以前ぐらいのところにはそういう状況になってしまうのではないだろうか、こう思っております。
  126. 臼井日出男

    ○臼井委員 今お話がございましたけれども、一千百万人、ターミナルビルは、比較的苦情は出るけれども何とか処理できるというふうな期間を想定いたしますと、既に本年、五十九年にはそういう状況になってしまうわけですね。ですから、滑走路、ターミナルビル、こういうものは何も同時にやらなくていいわけでありますから、ターミナルビルの方を先にやって、お客さんには御迷惑をかけないような状況、そういうふうなことで、ぜひとも手のつけられるところからやっていただければなという感じを私は持っておりますので、お願いをいたしたいと思います。  今、私ども千葉県、先ほどちょっと申し上げましたけれども空港公団は一体何やっているんだという声がしきりと出てきているわけであります。それは、関西新空港もできる、羽田も沖合展開をする、そういうことの焦りももちろんあるわけでありますが、二期工事がおくれている原因の大きなものの一つに公団側の努力不足があるんじゃないか、怠慢によっておくれているんじゃないか、そういう強い批判もあるわけであります。  その批判の理由一つとして、過激派並びに反対農民による公団用地内の不法耕作をなぜ見て見ぬふりをしているんだ、なぜ黙認をしているんだ、そういうことが強く指摘をされております。その不法耕作の現状をお示しをいただきたいと同時に、何でこんな、自分の敷地内を不法に耕作されておってあえてそれを黙っていなければいけないんだというふうなこと、それから、今こういうことに対する批判が国民の中で非常に盛り上がってきているわけでありますが、今後この不法耕作というものをこのまま見過ごすのかどうか。私は二期着工のためにも、この前段階であるこうしたものはぜひとも公団の中でもってぴっちりやってもらいたい、そう考えているわけですが、これについてのお答えをいただきたいと思います。
  127. 松本操

    松本参考人 お答え申し上げます。  現状のようなことに相なっておるのは、公団としての怠慢ではないかという強いおしかりでございます。私ども、及ばずながらそれぞれの問題点に対して、公団としてできる限りの努力はしてまいったつもりでございますが、しかしながら、結果的に見ていまだに完全空港としての体をなしていないこともまた事実でございますので、ただいまのおしかりは謙虚に受けとめて、今後の私どもの覚悟のほどに反映さしてまいりたい、こう存ずるわけでございます。  そこで不法耕作の点についてでございますけれども、いわゆる不法耕作と言われるものの中にもいろいろな種類がございますが、しかし、それらを平均的な点で押さえてみますと、現在のところ私どもが買収いたしました。地、既買収用地の約八%程度、数字で申しますと七十ヘクタールちょっと、七十一ヘクタールばかり、これがいわゆる不法耕作という考え方に包含されてよろしいところかと思います。しかし、この中には旧地主が立ち退きかねたまま耕作を続けておりますとか、あるいはお百姓の間でくわ延びという言葉があるそうでございますけれども、まだ自分の土地が残っている、その周辺を何となくくわが延びるという意味でございましょうが、へりを縁取るような形で延ばしてやっておるというふうなものも含まれておるわけでございます。全部が非常に悪質なものというわけではございません。  ただ、私ども非常に気になっておりますのは、これらの七十一ヘクタールの中で十四ヘクタールばかりが、先ほど来いろいろと議論されておりますいわゆる極左過激暴力集団と思われる連中によって耕作されておるということでございます。しからば、これらについて私ども何もしてこなかったかというとそうではございませんので、例えば、かつて表土を剥離してしまうとか、これは二期内をごらんいただきますと土まんじゅうのように積み上げでございますが、そういうふうなことをいたしましたり、あるいは濃厚肥料をヘリコプターで散布いたしまして植物が育たないようにするとか、あるいは立て看板を立てる、あるいは繰り返し警告を発する、いろいろな措置はとってまいりました。それによって減少させた面もございますが、しかしなお残っておることも事実でございます。  そこで、今後の対応ということになりますと、これらの問題のほかにも、空港の外側に私どもが取得をしておりますいわゆる騒音用地と呼ばれるところがございます。ここにも旧地主が依然として何となく残っているというふうなものを含めましていろいろな形の不法耕作があるわけでございますが、これらにつきましては、まず第一に私どもといたしましては、農用地利用増進法というものがございますので、それを使って農用地として積極的に周辺の農家の方に耕していただくという形を進めてまいりたい。これは現在いろいろと努力をしてまいりまして、五十九年度におきましても、従来から九ヘクタールばかりふやして六十三ヘクタールというのを既に貸し付けておるわけでございます。  第二点といたしましては、私どもの担当課がぐるぐる回っておりますが、耕作者がはっきりしておるところがございます。そこにつきましては、不法耕作をやめるように繰り返し申し入れ、説得をし、中には私どもの言うことを聞いて、去年はやっていたけれどもことしはやめたという方もございます。これはこれなりに粘り強く続けてまいりたいと思っております。  第三番目の一般的な不法耕作の問題として取り上げますならば、これはまさに私どもの用地管理保全の問題でもございます。先生のおしかりをもよく外しまして、公団用地の保全管理の強化という点について、関係方面とよく御相談をしながら、私どもとしてもできる限りの方策をもって用地の保全ということに努力をしていく、それによって不法耕作を防圧していくことにいたしたい、こう考えております。
  128. 臼井日出男

    ○臼井委員 不法耕作にも、今お話があったようにいろいろな種類があろうかと思います。その中でぜひとも過激派対策、明らかに敵意を持ってなかなか言うことを聞かない、そういう連中に対するものについては厳しい管理をお願いいたしたいと思います。特に現在、いわゆる団結小屋というのが十三棟建っているそうであります。この建っているところは未買収の土地でありますからどうしようもないわけでありますけれども、ここに居住する過激派の連中が、ここのいわゆる不法耕作でもってつくった物を自分らで食べたりあるいは売ったり、資金にしたりして自活をしているということも聞くわけであります。そういうことになりますと、この用地の管理が不徹底なために彼らを生かしておくようなことにもなりかねませんので、ぜひともこういう点については厳しい対処をお願いいたしたいと思います。  さてそこで、警察庁当局にお伺いをするわけでございますけれども、先ほど来公団等は、自分たちではどんどん進めたい気はあるのだが、何をやるにしても警備の問題が出てくる、また今お話がございました不法耕作等についてもやりたいのだが、そのことについてもすぐ警備の問題が出てくる、こうした警備について警察の即応といいますか、御協力といいますか、そういうものもぜひともお願いをしたいのだというふうな気持ちもあるようであります。警察当局は、公団からこうした不法工作物の撤去等の警備の依頼があった場合には速やかに協力する態勢があるのでしょうか。
  129. 柴田善憲

    柴田説明員 警察といたしましては、不法工作物の除去等が適法に行われます限りは、公団その他に対しまして全面的に協力することを惜しむものではございません。
  130. 臼井日出男

    ○臼井委員 今はっきりそのようにお答えをいただきました。公団当局にも聞いていただいたわけでありますので、今後ともよくチームワークをとっていただいてお進めをいただければと思います。  先ほど同僚の小澤議員からもお話がございましたけれども成田東京国際空港の全面開港というまでには極めて多くのいろいろな障害がございます。今お話をいたしました敷地内の農家の説得等もありましょうし、過激派による妨害等もあります。そのほかにもいろいろ要因がございます。  先ほど小澤議員がお話し申し上げました一坪再共有地問題というのも一つの大きな障害であろうと思います。空港が開港する前であるならばその闘争の手段として、相手が嫌がるわけでありますからそれは理由があった。しかし、既に空港が開港してしまって、一刻も早く名実ともに国際空港として完成をしなければいかぬ、そういう国家的な使命を帯びている際に、いまだもって一坪運動をやっているというのはまことにひきょうであるし、けしからぬというふうに私は思っているわけであります。熱田派の人たちがこういうものを再共有化している。これはそうした信念に凝り固まっている連中でありますからなかなか説得できないと思いますが、先ほどお話がございましたとおり、国会議員とか県会議員とか市会議員とか、その他社会においては極めて常識的な人として活動していらっしゃる方々が、この一坪運動にかなり参加をしているという話を聞くにつけても、こういう方々はぜひとも手を引いてもらいたい、私はそう思うわけであります。  先ほどのお話でもって、今すぐには名前を公開することは差し控えるという話でございましたが、私はあえて、すぐ今できないならばやがてしかるべき時期に公開をしてもらえないだろうか、あるいはそういう公開をする時期があるかどうか、その点について御確認をさせていただきたいと思います。
  131. 松本操

    松本参考人 先生のお説、篤と拝聴いたしました。私ども、今そこまでの詰めたお答えができるような状態にまで実は内部の議論が進んでおりません。したがって、いたずらに無責任な御返事を申し上げることは御勘弁いただきたいと思いますが、しかし、いずれにもせよこのような手段が非常に公正な手段だとは私も思っておりませんので、説得ということと同時に、何らかの方策によってこれらをつぶしていくということはどうしても考えなければならない、このように存じております。
  132. 臼井日出男

    ○臼井委員 ぜひともこうした不法な共有地が一刻も早くなくなるように御努力をいただきたいと思います。  千葉県側でも新東京国際空港については非常に協力をいろいろしてございます。成田空港開港当時あるいは航空機燃料の暫定輸送の開始に当たって、地元の自治体から各種の要望が提出をされているわけでありますが、その中でもってほとんどのものが何らかの解決をしていただいているわけであります。現在残っているものは七項目あるわけですが、そのうち五項目は知事が御努力をいただいて関係市町村との話し合いもつけていただきました。  残りの二項目、B、C滑走路の騒音地域の指定とその対策、そして二つ目としては航空博物館の建設、こういうものが、国が約束をしていながらまだ残っている問題でございますが、これについて、その実施状況を具体的にお聞きをいたしたいと思います。
  133. 増田信雄

    ○増田説明員 先生ただいま御指摘のとおり、地元からの要望は百四十一項目に上っておりまして、政府、公団一体となりまして逐一解決に向かって努力を続けてまいっておるところでございます。  第一の騒音地区の指定でございますが、これはお約束に従いまして、今月内に地元にその案を提示いたしまして、五十九年度内に指定をするように私どもは努力をいたしております。作業そのものは予定どおり進んでおりますので、特段の変更がない限り、予定どおりに、お約束どおりに実施できると考えております。なお、告示して決めました以上は、B、C滑走路が供用開始になる前までに民間の防音工事なども終わっておきたいと念願をいたしております。  それからいわゆる航空博物館でございますけれども、これにつきましては、航空の思想あるいはそういう技術の普及ということで、私どももその早期実現を大変希望いたしておりまして、その建設主体である財団の結成を見たわけでございます。ただいま航空局、公団が一体となりましてその建設資金の募集に入っております。私どもの今得ております感触では、展示内容、公示の内容等を含めまして、できるだけお約束の時期までにこれを完成させて地元に対する不信感の除去あるいは御協力のあかしとしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  134. 臼井日出男

    ○臼井委員 はっきりとした御回答をいただきましてありがとうございました。  最後に、今回いろいろ御質問を申し上げましたゲリラ事件法秩序を無視した過激派の無差別ゲリラ、こういうものが起こっているわけでありまして、多くの幸せに暮らしている市民の生命、身体、財産、こういうものが損害を受ける、こういうことはまことに遺憾でございます。国民の支持を受けてやっている国家的な事業が、こうした過激派の暴力によって支障を生ずることのないように、警備当局の不断の対策、研究並びに警備体制の整備を切にお願いをいたしまして私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  135. 大石千八

    大石委員長 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時九分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  136. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  137. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私は、九月十九日の自民党本部火炎車による放火事件について最初に質問いたします。  同じ政党政治を志す我が党といたしまして、自民党本部建物を初め党本部に多大な被害と影響をもたらしたこの事件、心からお見舞いを申し上げたいと思うのであります。同時にまた、私ども議会政治を志す者として、再びこのような事件が、自民党はもちろんでありますが、我が党初め各党に起きては相なりません。したがって、この観点から、私は幾つか御質問申し上げ、行政当局のこれからの対応をぜひ御検討いただきたいと思うわけであります。  午前中の質疑の中で、公安委員長である田川大臣警察庁長官本件に対する決意のほどはお伺いをさせていただきました。私は、今から十二、三年前の例の日石事件あるいは土田事件と言われた事件の折にも、恐らく同じことを国家公安委員長あるいは警察庁長官がお述べになったのではないかと実は推察をするのであります。たしか日石事件が起きたときには、公安関係の担当は前の警察庁長官ではなかったかと思うのでありますが、そういう重大な決意にもかかわらず、しかも日本の警察機構の本流と言われる公安関係の方が現要職にあるにもかかわらずこういう事件が繰り返されているということは、それを抑止する、ないしは再発させない努力が足りなかったのではなかろうか、あるいはまた、もし努力不足ではないとするならば、現在に至ってもそういう条件を生み出しているものに対応する仕方、いわゆる仕組みというものが、警察庁あるいは公安関係の各セクションの対応の仕方が間違っているのではなかろうか、実はそういう考え方を持つのであります。  そこで、公安委員長にまずお聞きをいたしますが、今回の事件は、先ほど御説明がありましたように中核派が行った、しかもその声明にもありますように、中核派の革命軍と言われる地下組織が襲撃を実行した、そういうようにみずから声明を発しているわけであります。今、中核派には人民革命軍・武装遊撃隊、あるいは革労協にはプロレタリア統一戦線戦闘団、あるいは核マル派には特別行動隊、戦旗は軍事部門を強化するなど、いわば成田の二期工事をターゲットにしながら、新左翼極左のセクト集団が武力による破壊というものをそれぞれの方針上に提起しながら武装闘争を強力に展開する、そういう方針を持っていることについて一体どういうようにお考えになるのでございましょうか。例えば、既成の我々のような政党が武装集団を設ける、こういうように運動方針に出た場合に、相当警戒といいましょうか、それを超えた捜査調査あるいはそれに対する治安としての諸施策、これが展開されていると思うのですね。  かつて、戦後でありますけれども、御案内のように火炎事件というのがたくさんありました。当時、山村工作隊などというものがありまして、これに対するいろいろな面での国の対応策が強くあったわけです。私はどうもこの新左翼極左集団に対する対応が甘いと言っては失礼ですけれども、甘かったのか、あるいは世上言うところの極左集団を泳がしているのか、あるいは極左集団というものが国民的な影響をそれほど与えない、したがってそれに対する対応の仕方が緩慢であったのか、いずれか。この事件をめぐり、また今日そういう方針を強化しつつある極左集団、特に軍事的な行動、テロ行動というものを背景に持つそのものについて今どのようにお考えになるのか、あるいはそれは従来のような対応の仕方、いわゆる決意のほどだけで問題の処理ができるのか。昭和四十六年当時の事件から見て、今日再びこの事件が起きたという経過を踏まえてどのようにお考えになるのか、まず国家公安委員長の大臣からお聞きし、同時に長官からひとつお聞きしたいと思うのです。
  138. 田川誠一

    田川国務大臣 最初に、警察がこうした極左集団の行動に対して甘い考えを持っておるとか、あるいはまたこれを泳がしておるとかいうようなことは絶対にございません。法を犯す者、特に手段を選ばず社会秩序を暴力でもって乱す者に対しては敢然として取り締まりの任に当たっているということだけは、最初にはっきり申し上げておく次第でございます。  なぜこういうような過激な者が出てくるか、なかなか難しい問題ではございますけれども、いつの時代にもその社会体制に対して不満を抱いている少数の人間がおるわけでございますが、そうした者が暴力によって社会を変革していこうとすれば、その行き着く先はテロとかゲリラとかというようなことになるわけでございます。警察警備のすきをねらっていろいろな行動に出てくるというのがゲリラの特徴でございまして、こういうものに対してどうやって対策を練っていくかということは、今、加藤さんおっしゃったように断固たる態度で臨んでいかなければいけないと思っておるわけでございます。にもかかわらずこういう問題が出てきた。ゲリラというのは正面から対策を練っているところにはやってこない。対策の打ち立てられていないところに向かってやってくるのがゲリラでございますから、そういう意味で絶対にこういうことをやらせないようにするということは、戒厳令をしくような形でやる以外になかなかないわけでございます。  それにしても、こういうような問題を撲滅していかなければならないこの対策というものは、先ほど来申し上げたとおりでございまして、何といってもこうした集団に対しては国民の皆さんの御協力がなければできないことであって、極左集団のやり口を見ておりますと、やはり相当研究をし、事前に準備をし、そうしてあらゆる偵察活動をし、内部ではお互いの間でも連絡をして情報が外へ漏れるようなことはしないというような巧妙なやり方をしているわけでございます。そういうものに対処するためにはあらゆる力を総合してやっていかなければなかなか対応が十分にできません。そういう意味から、国民の皆さんの御協力を得ながら万全の対策を立てていく、こういう心構えでおるわけでございます。
  139. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)説明員 極左暴力集団に対する警察の基本的姿勢でございますけれども昭和四十二年以来ずっと顧みますると、その間極左暴力集団の違法行為の取り締まりのために殉職しました警察官が十一名、また負傷しました警察官が二万数千人に及んでいる。こういった数字一つを見ましても、いかに歴史的にこれら極左暴力集団の違法行為に真剣に警察が取り組んできたかということの一端が御理解願えるのではないか、こう思うわけでございます。  ともかく第一次、第二次安保等を経まして、いわゆるマスとしての街頭闘争というものから現在はテロ、ゲリラ中心に極左暴力集団が動く、こういうふうな潮流になっているわけでございます。国際的にも国家を背景にしたテロ、ゲリラあるいは宗教的ないろいろなテロ、ゲリラ、けさの新聞もそういった爆弾事件等が世界各国で行われているというふうな報道があるわけでございますが、我が国内におきましても、午前中の答弁にもありましたように、現在三万数千名の極左暴力集団でございます。その中核になり、極めて秘匿性の高い軍事組織というものがまた別にその中にあるわけでございまして、相手を捕捉するというのが極めて難しい。彼らの言葉で言えば人民の海にというふうな言葉も使われているわけでございますけれども、そういった人民の海をとにかく狭めて、彼らを孤立化させるということがやはり必要だと思うわけでございまして、そのためには何といいましても幅広い国民の皆さんの協力というものを土台に、警察はこれからさらにふんどしを締めてかからなくてはならぬ、こういう気持ちでおるわけでございます。  また、したがって極左暴力集団の内容もずっと歴史的に変わっておりまして、過去は労働者といいますか働いている人が三割、学生が七割、こういうふうな一応常識的な線でございましたが、今はそれが完全に逆転しておりまして、そういう極左暴力集団の中核になっているのはむしろ労働者が七割、学生が三割というふうなことでもあります。また、非常に街頭行動の激しいころは、極左暴力集団の数は約五万数千名というふうな数になっておりましたが、現在は三万三千ぐらい、こういう格好で数は減っておる。そういう面におきましても警察の真摯な努力をひとつお認め願いたい、こう思うわけでございます。
  140. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 何も警察が全然対応してないとは言っておりません。やはり極左集団の軍事的な行動というものに対して、いわゆる国民的な影響というものが、率直に言えば今まで街頭主義でありましたから、そういう面ではさほどなかった。それに対して警察側の対応がおくれたのではなかろうか。  今度の自民党の本部のように、午前中にも論議がありましたように、いわゆるターゲットである自民党本部、と同時にそこには多数の一般国民がおる。それを殺傷しても構わないというテロ集団になってきますと、これは我々一般市民からいえば何ら防御する手段を持たないわけですね。その中へ火炎放射で投げ込んで、同時にそれは焼死状況を起こすようなことが今までにもあったわけですけれども、そういう軍事地下組織というものを一体どう壊滅するのか。午前中大臣が、犯人逮捕が緊急だ、これは確かに緊急ですよ。同時にいま一つその軍事地下組織をどういうふうに捕捉をして、それをどう壊滅するか、それがなければ私はだめだと思うんです。  午前中に警備局長が、自民党は、今度の成田の空港とは実は直接的な関係——ゲリラの場合に、我々はそういう用意はしてなかったというお話を質問に対してちょっとされました。どうですか。自民党の本部で五十九年七月十六日、コンクリートの壁の炎工事件というのがあったわけでしょう。それから御案内のように九月十九日は警察の首脳の交代の時期でもあったわけですね。あるいは過去の事件の経過をずっと見ますと、例えば観閲式などというときをねらって放火やテロ事件が起きたということもあるわけですね。  こういうこと等々を見てまいりますと、その事件発生に対する警察の甘さといいましょうか、あるいは午前中の話を私は聞いておりまして、自民党の本部成田空港の直接的なターゲットとは考えておりませんでした、したがって警備が、こういうお話があったときに、そうなんだろうか、七月十六日の炎工事件を見ていけば政党本部、なかんずく時の政権政党でありますから、その本部、それをねらわれることを予知するということは当然のこととして私はあり得ることだと思うんですよ。  そこで、私は後で述べていきますけれども、そういう向こうの見方あるいはそういうことのやや科学的な分析といいましょうか、その上に立って一体どういう対応をするのかということがないと、後追い、後追いの事件になってしまうんではないか、こう思うんです。どうなんでしょうか。私が警察対応が甘いと言った言葉というのは表現としては余りよろしくないかもしれませんが、そういう状況をどのように見られておるのか。これは国警長官でもいいですし、警備局長でもいいですが、お聞きしたいと思います。
  141. 柴田善憲

    柴田説明員 これまで成田闘争の攻撃目標になり得るものというのが、情報あるいは極左暴力集団の機関紙等々によりましてある程度限定的に列挙し得るわけでございます。そこで、自民党本部の場合を見てみますと、これまでにそのような攻撃目標となり得るということを推測させるような発言、情報あるいは機関紙の掲載等はなかったということでございます。  したがいまして、なるほど七月十六日に自民党本部時限式発火物が設置されたわけでございますが、これは全斗換の来日阻止闘争の一環として戦旗の荒派がやったという犯行でございます。そのときそのときの政治テーマによりまして警備の重点は変えていくわけでございますが、九月の末は成田闘争である、そういう観点で見ました際に、残念ながら自民党本部に対する攻撃は予測できなかった、そのために、他の新東京国際空港関連の重要防護対象に対しますような固定警備部隊配備は行わないで重点的な警戒に付しておった、このようなことでございました。
  142. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 攻撃目標が全斗換大統領の来日の関係であったといいますけれども、私も社会党の本部を預かる責任者をやったことがあるんですが、必ず事件が起こる前は警視庁の方から御連絡がありますよ。実はこういう警備強化をしてほしい、あるいはこういう状態が起きておりますので、例えば私どもについてもらっておりますSPの人を委員長の部屋の前までひとつ付き添わしてほしいとか、その十六日の事件があった後はそういう見方、我が党の場合には主として右翼でございましたけれども、私は自民党の本部にも恐らくあったと思うのですね。そのくらい第一線の方は警戒、監視といいましょうか、されておったのではなかろうかと思うのです。  にもかかわらず今度の事件なんですね。起きたから言うわけではございませんけれども、どう見ても言いわけの範囲を出ません。もう少し科学的な分析をされる必要があると私は思うのです。これはまた後でいろいろ質問していきます。  そこで私は、今回の事件をめぐって二つの問題点を抽出してみたいと思うのです。それは、そもそも今度の事件を起こした背景、成田空港の二期工事と言われるもの、あるいはその後に起きるかもしれぬ関西空港への襲撃、そういう問題を含めて、その背景を我々はどう見るべきかということを第一に考えなければいかぬのじゃないかと思うのです。  そこで、成田空港の問題について前者の質問でいろいろやりとりがございました。実は私の聞く話と現地の状況が大分違っているような気もするのであります。といいますのは、午前中の公団のお話ですか、あるいは運輸省の方のお話ですか、現地は徐々に空港建設に対する協力態勢がよくなってきている、例えば議会でもこういう形でというようなお話がございました。しかし、私が聞いているところではむしろそういう状況ではない。例えば公団の一般ロビーの売店経営などもだんだん大きな資本に押されて、成田空港ができた当初は売店の設置を地元の商店ないしは地元の住民で、そういうものが実はだんだんなくなってきてしまっている。したがって、大変な不満があるんだ。  それから用水問題でもそうですが、この工事をしなければむしろ批判的に空港を見る力が大変強くなってきている、そういう面で用水の工事。あるいは先ほど臼井先生から御質問のありました例えば博物館の問題にいたしましてもそういう状況。騒音問題に至りましては、防音工事も一室防音、全室防音まではなかなか至ってない等々を含めて、実は成田空港の二期工事建設に対して地元住民は冷ややかな目にだんだんなりつつある。さらに加えて、先ほど幾つか御説明がありました状況を見ますと、成田空港は不良空港になってしまっているのではなかろうかという気がしてならないのであります。これは一体私どもが耳にしているそういう状況の方が現実として正しいのでしょうか。  さらにいま一つ、時間がありませんからつけ加えて質問を続けさしていただきますが、羽田空港の拡張、同時にそれが国際路線としてもという細田運輸大臣の発言、これは二期工事の完成のめどが今の状況では立たない。しかも、先ほどの御説明では三十数カ国から国際線乗り入れの申し入れが行われている等を考えると、不良空港の成田をこれ以上やるよりも、むしろ羽田空港の拡張云々によってこの国際的な路線問題等々も処理できる、政府側の直接担当者ないしは現地にいる公団あるいは運輸省の直接担当者から見ればその方が早い、むしろその方が今の極左勢力から妨害されている工事の遅延によって起きる状況よりも早く完備できる、そういう状況下にあるのじゃないでしょうか。  さらに、いま一つ言わせていただきますが、あそこに新左翼と言われる諸君が何人団結小屋に宿泊しているか、率直に言って私は詳細には知りません。しかし、相当の人数であることは間違いないですよ。しかも七十数ヘクタールの農地を耕しながら、私も知っていますが、あそこでとれた野菜が方々で売られていますよ、しかもある団体を通しまして。それが資金になっていること等がありますと、農民が本当にこの勢力は我々の味方でないといった場合には放逐すると思うのですね。しかし、成田の場合になおそれを抱え込んでいるという状況は、公団あるいは運輸省、政府側のそういうものに対する不満の要素というものが、極左勢力を抱え込んでいく農民の土壌にもなっているのではなかろうか、こういうように推察がされるのです。  たくさんの点を並べましたけれども、運輸省、それから公団の方から順次御意見を聞きたいと思うのです。
  143. 増田信雄

    ○増田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の騒音対策あるいは博物館等の問題でございますけれども、私どもあるいは公団ともに誠意を尽くして周辺対策を進めてまいっております。例えば閣議の決定によりまして農業振興策というものを着々進めておりますし、あるいは民家防音あるいは共同施設の防音というのも相当な成果を上げております。ただし、これは現に使われておりますAランについての施策が主でございますので、午前中にも申し上げましたように、私どもはそういう従前の施策に加えてなるたけ早く、できればというか今年度内にB、Cランについての騒音の区域を指定いたしまして、B、Cランの供用開始までには民家防音等の対策を完成したいと考えている次第でございます。  それからなお、地元との約束の諸種の工事でございます。これは全体で百四十一項目ございまして、ほぼ処理は終わっておりますけれども、残された十の項目につきましてもつい最近大臣と千葉県知事の間で処理の方針が決まったわけでございます。そこで、千葉県あるいは空港公団とが一体として残った工事に臨める態勢が整ってきたと判断いたしております。  御指摘の博物館につきましては、私どももつくります主体である財団をつくりまして、既に二回の理事会を終わっております。なおかつ建設資金につきましても募金活動をただいまやっておりますので、目的の、あるいは芝山町にお約束いたしました時点までに努力をしながらつくり上げていきたいと考えておる次第でございます。そういう地道な努力がだんだんと浸透し、認められてきたと私ども理解をいたしております。  それから、その次に御指摘いただきました羽田空港あるいはその他の空港と成田関係でございます。  まず羽田空港でございますけれども、これは国内の航空の利用者の五割以上の方が羽田を御利用になっております。加えまして、地方の空港が拡張されましてジェット機が飛ぶような状態になってまいりました。だんだんとローカル空港と羽田を結べという要請が強まっております。現在のところ羽田空港は十五万二千回くらいの着陸回数がございますけれども、もはや限界に来ております。そういう地方と東京を結ぶためにも、あるいはこれから伸びていくであろう航空需要に対応するためにも羽田を沖に展開していかなければいけませんし、なおかつ地元の皆様、羽田のそばにございます太田区、品川区の皆様方に対する周辺対策の意味でも沖合に展開するものでございまして、これをもちまして国際空港とし、あるいは国際便を受け入れるということは、事務的にも技術的にもあるいは空港の容量としても困難でございます。  細田運輸大臣の御発言にお触れになりましたけれども、細田運輸大臣の御趣旨は、成田の二期がおくれるようなことであるならば大変なことになるぞ、成田の残った工事を急いでやらなければいけないという御趣旨と私ども受け取っておりますので、そのつもりで鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
  144. 松本操

    松本参考人 お答え申し上げます。  私どもの空港は、何せ現時点におきましては完全と言うのにはほど遠い状況でございますので、先生御指摘のような欠陥がないとは申しません。しかし、私ども直接に関係する人々とおつき合いをしながら、あるいは数字的に裏打ちをしながら見てまいりましたところによりますと、例えば御指摘の最初の方にございました主としてターミナルビルの五階で営業している地元の転業者の方々でございますけれども、見学者の入場数というものにかなり商売が左右されるという面はございます。したがいまして、決して楽な御商売をしているとは私も申しませんが、しかし公団サイドといたしましても、家賃その他の諸経費を大幅に割り引くということで、せっかく転業なさった仕事がうまくいくように何がしかの尽力をしてまいったつもりでございますし、ことしの夏あたりは非常に見学者の数がふえたこともございまして、そこそこの御商売をなさったのではなかろうか、こう思っております。  また一般的に、私どもの収入の中にこういったテナントから歩合でいただくものがございます。これの消長などを見ておりましても、やはり旅客数の増加に伴いましてそれぞれの御商売をなさっておるのではないか、こういうふうな感じが私どもとしては強うございます。  また、周辺の問題についても御指摘がございましたけれども、私ども実は用地管理という意味を兼ねまして、周辺の地域をよく担当の者どもが歩いております。その報告を私どもも随時間いておるわけでございますが、例えば中核の立ち入りを禁ずるというふうな札をかけた農家も最近はかなりあるようでございます。先生のおっしゃるような面が皆無であるかどうかは私は断言いたし切れませんけれども、必ずしもそういうことばかりではなくて、私ども判断というものも決して的外れなものではないのではないだろうか、当初の混沌とした状態に比べますると非常に落ちついてきておる、そして早くこういういいかげんな状態ではなくて、きちっとした、当初計画にのっとったものにすべきではないか、こういう御意見が強まってきているというのは私ども肌で感じているところでございます。
  145. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ことわざにボタンのかけ違いという言葉がよくありますけれども、私はイタリアのローマの新しい空港ができるときに、実は新しい空港のところは大変濃霧が強くて、当時の建設関係者は、ちょっと地点を横へどかさなければだめだ、特にタクシー運転手等が一番よく知っていて、その意見を取り入れた。入れたけれども、その空港はなお霧が非常に強くて、使い方が当初よりも効率が悪いのだという話を現地で実は聞いたことがあるのです。成田空港の場合も、公団や運輸省がいろいろ努力をされていることはよくわかりますよ。しかし、どうも政策上のどこか一つのかけ違いが今日工期のこれだけのおくれ、同時にまた細田さんは、先ほど何と答弁になりましたか、三十数カ国の国際線の申し入れに対して、今のような工事の進行状況ではこれの受け入れができないのではないか、こういう懸念を表明されて、羽田空港の拡張に、こういう御答弁であります。  私はいわばそういう政策上の一つのかけ違いといいましょうか、それが今日これほどまでの事態になっているのではなかろうか、こう実は推察をするわけであります。これは、私ども会議員もその責任がなしとはいたしませんから、当面の問題とは言いませんが、このままでいきますと、この二期工事と言われる全体像ができ上がるのは一体いつごろになるのでしょうか。同時に、それに伴いまして、新左翼の諸君がそこをターゲットにしているわけですから、それに対する警備態勢というものを当然とらなければいかぬと思うわけですね。今空港警察は恐らくあると思うのですが、新東京国際空港の警備隊というのは特別に設置されていますね。千葉県警の指揮監督下にはあるようでありますが、しかし、財政的にもこれは国が直接的にといいましょうか、その部分を背負い込んでやるということになっていますね。  そうしますと、これは二期工事の完成が終わるまで、全部済むまで成田における警備隊というのは存続をしなければならぬのでしょうか、あるいはそうではなくて、こういう状況が整えば今の成田における警備といいましょうか、あるいは警察官の配置というものは縮小してもいいのですというようなことが考えられるのでしょうか。というのは、何といっても火種を、一番火のもとを消さないことには起きてくる新左翼の各所におけるゲリラ事件がやんでいかない、一つには武器革命軍と言われるそこの根っこを断ち切ること、いま一つは起きてくる周縁の条件、これをまず解消することだろうと思いますので、前段のことについてひとつ御回答いただきたいと思うのです。
  146. 増田信雄

    ○増田説明員 新東京国際空港は、現在日本の表玄関としての地位を確立しておりますし、またさらに、アジア全体のゲートウェーとしての地位も高めつつございます。そういう意味で、私どもはなるべく早い機会にこの空港を完全なものにすべきであると考えておりまして、しかも、これを平穏のうちに工事を進めたいという前提で話し合いを進めている次第でございます。しかしながら、いつどんな形で着工をし、どういう展望のもとでこれを行っていくかということについては、極めて微妙な時期であり、極めて微妙な問題がございまして、ここで明言できないのが大変残念でございます。地元の市町村あるいは千葉県を初め、多くの関係の機関と調整をとりながら、早い機会に工事が進められるように努力をしてまいりたいと思っております。  なお、第一期、ただいま運営をしております空港の工事の状況等から見ますと、着工ができますならば五年程度で工事は完成できると信じております。
  147. 柴田善憲

    柴田説明員 御承知のとおり極左暴力集団は、第二次安保闘争までは安保反対ということを最大の政治テーマといたしましてこれと取り組み、それによりましてみずからの政治目標を達成しようとしてきたわけでございます。その後極左暴力集団は大きな政治テーマを失ったという状況になっておりますために、現下におきましては新東京国際空港、成田闘争が彼らの政治闘争テーマとして最もいいものである、こういう認識でございまして、この空港の廃港ということを呼号いたしておるわけでございます。  そういう意味におきまして、この極左暴力集団成田を最高の闘争テーマとし廃港を唱えておる限りにおきましては、やはり現在の空港警備隊をいつやめるかということはなかなか言えない状況ではなかろうかと思う次第でございます。現在は千五百名ございます空港警備隊を中心にして空港の平常の警備をいたしておりますが、二期工事の進捗に伴いまして、またその都度全国から機動隊の応援を求める等して警備強化を図りながら工事にかかっていくということになるのではないかと思う次第でございまして、現段階でいつになったら空港警備隊が要らなくなるとなかなか言えないという状況ではなかろうかと思います。
  148. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 二期工事と言われる総括的な空港の機能としての完成が大体五年後ぐらい、今の状況といいましょうか進行状況で、全くノーマルな状態でいけばということでしょうけれども。そうなってくれば警備の方も恐らくそれに合わせて漸次縮小といいましょうか、あるいは他の地点に今度は、関西空港がありますから、そういう方に全体の警備能力を移すのかもしれません。  この新左翼のテロ行動が、かつて例の管制塔襲撃事件がございましたね。次に一番心配しますのはパイプラインの問題ですよ。私はすぐそばに厚木の基地がございまして、御案内のとおり全斗煥問題の前に小さな事件がございました。火炎瓶の投げ込み事件です。これは横須賀と同時発生でございました。このときにも心配したのは、例のジェット機に対する燃料輸送ですよ。もしそこが襲撃をされるというようなことがあればこれは大変なことになるぞ。まして成田の場合には、貨車輸送もありますけれども、パイプライン輸送がこれからだんだん中心になるというような話も聞いています。パイプラインの警備というのは、率直に言ってなかなかできないですからね。  私は、パイプライン問題ではかつて質問をしたことがあるのですが、日本のような地震多発地帯では、パイプラインの強度については相当問題がありますよと言いましたら、それは地上に出すのでというような話がございました。地上に出せば、なおゲリラに対してここに埋まってますよということを示すようなもので、かえって危険度が強いのではないか、こんな話を実はしたことがあるのです。  そういうこと等を見ますると、単に二期工事の建設だけではなくして、将来空港全体を完全な形で運営する上においても、従来の羽田にある空港警察署より以上の警備といいましょうか、そういう条件がなお必要になってくるのではないか、こんな気がしてならないのですが、その辺はどうお考えでしょうか、御参考までに御意見を聞かせてください。
  149. 柴田善憲

    柴田説明員 御指摘のように、パイプラインの安全を図るというのはなかなか大変なことでございます。したがいまして、どうしても長い間の困難な警備ということになると思います。  現在、平常時は千葉県警の部隊を中心にいたしましてこのパイプラインの警備もいたしておるわけでございますが、現地で大きな闘争があるというようなときには、全国から応援を求めましてその都度の警戒を強めておる、こういう状況警戒をいたしておるところでございます。
  150. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 極左勢力ゲリラ行動の直接ターゲットの成田空港の問題についての根源の火をまず消すこと、これが第一だと考えます。  二つ目には、実は当初申し上げました極左武力集団に対する警察対応の仕方、前の土田事件、それから日石事件、法廷では率直に言ってこれはいずれも無罪ですね。そういう無罪になったことが、第一線の警察官をして従来の捜査方法について自信を失わしたのかなと実は思って考えてみたんですよ。そうでもなさそうだ。  それからいま一つ、世上言うように泳がしていたんだろうか。泳がして、一方でそういう新左翼の小さな事件を起こしながら一方では治安立法を用意するという見方があったものですから、泳がせていたんだろうか。あるいは先ほど自民党の事件については、一言で言えば虚をつかれたんだ、したがってという言いわけ的なことになっているわけですが、どうも新左翼の行動があるたびごとに起きる幾つかの疑念を、今日警察庁はその疑念に対してまともにこたえた改革の行動というものをとっているんだろうかという実は疑問を持っているんです。  先ほど無線の問題も出ました。それから、私はこれはよく考えていただきたいと思うのですけれども大臣もあるいは長官も、国民的な視野でこれをなくさなければ、こう言うのですね。今、新左翼のいろいろな行動国民の目に映っていますか。  例えば私もこれは初めて聞いた。新聞には小さく載りましたよ、こう言ったのですが、第四インターの幹部がこの前やられましたね、一カ月ほど前に、両足切断だそうですけれども。前は、新左翼の内ゲバというのは必ず新聞に出ました。私どもよく見ましたよ。そして、なるほど新左翼の諸君は、新左翼の連中なんという言葉はいいかどうかわかりませんけれども、ああいう形で襲撃するのか。電話線を切ってみたり、先ほど幾つが御指摘ありましたけれども、内側に鉄のパイプをかってみたり、あるいはドアを鉄板で打ちつけてみたりして防衛する。そして逃げるときには、証拠の残らないように水で溶ける紙を使ってやっている。内ゲバのときに、お互いに死をかけてやっているわけですね、命をかけて。知恵は出ますよ。この内ゲバを内ゲバとして見てたんじゃないでしょうか。  彼らがその中から幾つか生み出した次から次への知恵を、警察当局は、いやあれは内ゲバの中の知恵なんだ。それがそのまま今度はICを使い、リモコンを使い火炎車を使ってくる、火炎瓶が火炎車になってくる、なおどんどんエスカレートしますよ。時限爆弾から今日は時限火炎車火炎放射によって今度は自民党事件が起きたわけですけれども、そういうふうにエスカレートしますね。この間に、一体そういう内ゲバから出た彼らの知恵と対応するだけの警察庁側の知恵があったのかどうか私は疑問なんです。そこを解明しませんと、大臣が言われるように犯人を突きとめることも、あるいはこれから先制的に向こうの状況をとっていくこともできないような気が私はするのです。  率直に言って調査能力もあるいは襲撃をするための——今度の自民党本部のことをいろいろ聞きましたら、南甫園のあそこに二台車があいているなんということはめったにないことですと言う、それをよく調査したものだなと私は感心しましたよ。そして火が当たった窓が、その部分だけがガラスでちょうど真正面になるのですか、自動車を置いた位置がそういう位置づけになる。これも大した調査能力だ。しかも十九日に警察の最高幹部の交代があるというならば、これまた一種の驚嘆すべき彼らの調査能力ですよ。そういうものに対しては警察側はいわばこれは内ゲバだ。彼らの持っているそういう幾つか内ゲバで訓練されてきた条件というものを見過ごしていたのか、あるいはそれに対応することを研究しなかったのか、あるいはそれは国民的な影響はそんなにないのだということでネグレクトしておったのか、私はそこだと思うのです。  それから、一般国民に対してこの事件が悪いというなら、いろいろな点をもっと明らかにすべきだと私は思うのです。先ほど言いましたように、内ゲバの一カ月前に起きた事件なんというのはどこか新聞には載っておったそうですけれども、私は後で聞きましたよ、加藤さんこういう事件も実は起きているのですよと。最近一年間ばかりは殺しの事件はないようですけれども、その前に幾つかあるわけです。  それから、今度おたくの方あるいは調査室から私はもらいましたけれども、この間にずっと起きているたくさんの襲撃事件があるでしょう。大阪の事件は新聞には載りましたが、細かな、先ほど自民党の本部のコンクリート壁がやられたとか、そういう事件等もあったわけです。今度あれほどの武器をもって、武装的なもの、火炎放射の車その他を含めて、今の事件はこういうことで新左翼の連中は攻撃するのですよ、襲撃するのですよということがもし国民の目にわかっていれば、自民党が火炎放射器でやられたならば、それを目撃した人間が単に南甫園の従業員の方とやりとりしたというだけでなくて、もっと広い目で見る力を国民は持ったと思うのです。  私は率直に言って、警察の新左翼に対する捜査の方向が余りにも隠密的だ、国民の目の前にわからない。そのことが、国民の力をかりて撲滅しなければという言葉と裏腹になっているのではなかろうか、こんな気がしてならないのです。  それから、これは後でグリコ事件の問題とも関係をしますが、実はグリコ事件と共通的要素が幾つかあるという指摘がありました。私も興味深くその週刊誌を読んだわけでありますけれども、例えばグリコ事件の脅迫状を見てみますと、警察は何をやっているのだというような話から始まりまして、おまえら電話を取って了解なんというやつがどこにいるのだ、了解なんというのは警察官だけしか使わない言葉で、お金をよこせと言ったら了解というふうに言った。それから警察官はいい洋服を着ているなとかいうことが手紙でやりとりがあった。犯人の方が警察の動きに対する調査能力を持っているのですよ。これが私は非常に共通性があるという気がしてならなかったのです。  これは私見ですから今の問題はこっちへおくとしましても、そういう内ゲバの中で鍛え抜かれてきた彼ら側のいろいろな研究、調査、そしてそれがゲリラという時点に発展する場合に巧妙に活用されている。その面に対して警察側がどうもおくれをとっているのではなかろうか。そのことが、武器を貯蔵するところあるいは製造するところ、あるいは武器を使って逃走する場合に国民的な共感を得るような情報を先制的に吸い上げることができないような機能になってしまったのではなかろうか。この辺はどうお考えでしょうか。
  151. 柴田善憲

    柴田説明員 七〇年代に入りまして、極左暴力集団は次第に結集勢力を少なくしてまいるわけでございます。そこで、できるだけ効率的な闘争をやろうということで、その相手方拠点の切り取り合い等の中から内ゲバ事件が起こってきたわけでございます。同時に、できるだけ逮捕者も少なくしようということでゲリラ闘争というものも並行的に起こってきております。したがいまして、内ゲバだけがあってゲリラがなかったという時代は七〇年闘争を通じてないわけでございます。  したがいまして、警察といたしましても終始この極左暴力集団の内ゲバ、ゲリラと真剣に取り組んできておるわけでございまして、内ゲバ、彼らの中同士のことだから適当でいいということで放置している間にいつしか取り残されたというようなことは決してないわけでございます。  ただ、今御指摘がございましたように、見えるか見えないかという問題があるわけでございます。そこで、彼らは今姿を見えなくしているわけでございますが、この見えないものを警察捜査力で何とか見えるようにしていく必要がある、これがやはり御指摘のとおりの問題点であろうかと考えておるわけでございます。  そこで、この見えないものを見るために警察みずからの努力、いろいろな工夫も必要でございますが、国民の方々の見ておられるものの意味を私ども国民の方々にお知らせすることによりましして、ごらんになりましたことにつきましての意味づけをしていただいて私どもに教えていただくということが必要かと思うわけでございまして、現在、警察国民の多数の方々の御協力をいただいて行っております例えばアパートローラー作戦といったようなものは、まさにそこらに着目してのことでございます。したがいまして、見える、見えないの問題につきましては、見えるようにする努力をいろいろしておりますし、その努力が報いられておるというケースもあるということでございます。  それから、先ほど日石、土田が無罪で自信を喪失したのではないかという御指摘もございましたが、日石、土田につきましては、現在控訴審で争うということで公判がなお係属することになるわけでございますし、当時の捜査陣すべてはあの事件に自信を持っておるわけでございまして、自信喪失といったようなことはないと思っております。したがいまして、見えなくなりかけておるものの、極左のしっぽをしっかりとつかんで極左のゲリラ対応していくということが大切な時点であろうと思いまして、現在、種々創意工夫を凝らし、捜査全力を傾け、再発防止に努めておるところでございます。
  152. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 検挙率が三割ちょっとだというお話が先ほどございました。私は、内ゲバから一連のゲリラ闘争も含めて何にもしていないということはもちろん申し上げておりません。先ほど三十数%の検挙率、そんなにされているのかなと実は感心をしているのですが、全体の犯罪捜査、個別事件捜査その他から見れば、率直に言ってまだまだ検挙率を上げる条件は、物的な証拠も残っているという条件の中から見ればもっと上げることは不可能なことではないという気がしてなりません。  それから、これも警備局長、お言葉を返すようでまことに申しわけないのですが、確かに五万数千人の新左翼、極左勢力が三万数千人になっているということはわかりますよ。しかし、今度の中核派系全学連の四十四回大会は代議員の数が最高でしょう。全学連中核派というのですか、今年度いろいろなところで代議員大会をやりましたね。今度の代議員数は一番多いのでしょう。代議員数が多いということは、直接テロ行動をやる部隊としては極めてふえているということですよ。しかも中核派が、今いろいろなセクトがありますけれども、その中の最大の勢力だと言われているわけです。ですから私は率直に言って、五万から三万になったから云々ということはどうも聞こえないのですね。  それから、先ほど御指摘のありました五万数千人の時代は、恐らく学生が中心だったと思うんです、労働者が三割で。今は逆転しているというお話でした。残念ながら私もそういう連中と一緒にかまの飯を食わざるを得ない状況になったことがあるのですよ。そのときにとられますのは、例えば豚箱に入っておりますと、私どもにこういう呼びかけをするのですね。全員を釈放しろ、こうやるのです。全員を釈放しろということについては、すりもかっぱらいも全部賛成ですよ。私は、そういう戦略は今の場合やっていると思うのですよ。  例えば先ほど成田空港の周辺の農民の中に何で抱え込んでおられるのだろうかと言えば、それなんですよ。いわば、やっていることについては我々は大変悪いと思う。やってはいけないし、やらしてはいけない。そう思いますけれども、ある部分をとらえて共感を呼ぶものをある時点で爆発的に出せば、それなりに共感を呼ぶ勢力は抱え込めるのですね。そういう戦略をとっているのですよ。それでその戦略が幾つか緻密に積み上げられた中で実はゲリラ行動として展開をし、それが捜査の目から外れているのですよ。  ですから私は、実は最終的に捜査の公開制ということを言いたいのですけれども捜査の公開制が捜査の面でいろいろ支障になることがあるということは承知しています。しかしそういう意味で、直接暴力行為というものは議会制民主主義の否定なんだということをもっと国民的な視野に徹底させる意味でも、そういう面をもっとマスコミを通してアピールする。私は、捜査一つ一つを公開せよなんということを言っているのじゃないのです。内ゲバでこういう事件が起きた、あそこの学生がやられた、ここの子供さんがやられたというようなことがもし出てまいりますと、うちの子が、あるいは私の子供のグループが、こういう考えをだれだって世間の人は持ちますよ。そういう中でなくしていく。  私は、そういう新左翼、極左勢力に対する捜査の方向性というものを変えない限り、今やった犯人はとっ捕まるかもしれぬ。しかし、その軍事拠点をとっ捕まえることはできませんよ。この次にエスカレートしてくるであろうICを使った、リモコンを使った、あるいはより強大な、彼らの言う武装蜂起の条件の中に今の警察権力で対応するとすれば、まさにそれはまたおくれをとったものになってしまうのではないでしょうか。私は、そこが今度の事件を通して一番大事なところだと思うのです。  一つは、彼らに政治的に直接行動をとらしている成田空港のああいう、私が言う政策のかけ違いから始まった一連のことは、我々としては反省しなければならぬ問題でしょう。  同時に、今度は捜査の面で言えば、直接行動をこれからやめさせるためには従来の経験を生かして、その中で彼らの直接武器を製造する場所ないしはそういうテロをやるアジト、そういうものの急襲ができ得る先制的な条件というものを警察機構の中でつくり上げていく。それには先ほど大臣長官もおっしゃっておりますように、国民的な支持というものがなければできない、こういうわけですから、そこに焦点を置くことが必要ではなかろうか、こう思うのです。これが一つ。そういう中で捜査の方向といいましょうか、あるいは重点の置き方というものを検討される必要がある、こう思うのですが、いかがでしょうか。  それから、これは関連して御質問いたしますが、この事件が起きましたらすぐ例によって破防法という話が出まして、破防法の適用でできるんだろうか。セクト集団、今五派四十八セクトあるというわけですが、仮に破防法でやったところで、次に新しいセクト集団をつくれば何のことはないので、まあ既成政党と違いますから、その政党の解体をしたところで次の集団をすぐつくれる、そういう可能性があるので、何を言っているんだろうかというような気はしました。しかし、破防法を適用するということは、我々既成の政党あるいは一般市民集団からいきますと、これは大変問題のあるところであります。  例えば、凶器準備集合罪というのができまして、当初この法律は御承知のように右翼、特にやくざが凶器を持って殴り込みをかけたりなんかするときに対応しようという法律でありましたが、今日ではそれがだんだんと民主的な勢力と言われる労働運動やその他の部面にも応用、拡大をされている。治安立法というのは往々にしてひとり歩きをするのですね。ですから、我々はより神経質になるわけですけれども、破防法の問題は、住大臣は直ちに検討を加える、こうおっしゃいますし、中曽根総理はどこかの旅先で、そういうことは考えておりません、こう言います。これはひとつ法務省側から御見解をお聞きしたい、こう思います。
  153. 柴田善憲

    柴田説明員 最初に、極左の勢力は減退していると言うが、中核に関しては伸びているのではないかという点につきまして、ちょっとお言葉を返すようでございますが、申し上げたいと思うのです。  中核派につきましても、最盛時に比べまして減っていることは間違いございません。最盛時はたしか七千ちょっとあったと思うのでございますが、今は五千ちょっとであるというふうに認識をいたしております。それから、勢力減退がやはり一番はっきり出ていると思いますのは、平均年齢が非常に高くなってきているように思います。これは、現在街頭闘争に出てくる者で三十歳くらいになっております。また、ゲリラ等をやります者で逮捕しました者の平均年齢が、やはり三十六、七歳くらいまで上がってきておるわけでございます。そういう意味でも、全体としてはやはり勢力が落ちてきているということは間違いないように思うのでございます。  そこで、中核派系全学連の大会が非常に盛会であったではないかということでございますが、一部マスコミ等にも、そのように論じて増勢に転じているような論評があるわけでございますけれども、確かに昨年に比べましてことしの中核派系全学連の大会は多うございました。実は、これは在来ですと、代議員というものの資格を厳密にいたしまして、一定の資格のある者だけを大会の代議員にしておったのでございますが、ことしはシンパ層を大量に動員しまして勢いのあるところを見せようということでございます。数字はちょっとつまびらかにいたしませんが、たしか数百という数であったと思います。中核派系全学連の大会というものは、昔は千数百が必ず集まって非常に盛り上がったものでございますが、そういう意味でも、必ずしも全学連の大会が大変盛り上がったというようなことではないと思うわけでございます。  ただ、御指摘のように、数は減っているけれども、しかし、残っておる者は筋金入りの百戦錬磨の者ということになります。そういう意味では、知恵もございますしずるくなっているという点があるわけでございます。ここのところは警察といたしましても、やはり非常に対応に苦しむ、知恵を出さなければいかぬところだということでございまして、例えば十一月は、私ども全国で指名手配捜査強化月間というようなものを持ちまして、中核派系だけでも六十余名の者を指名手配いたしておりますが、こういう者の捜査全国で当たる、これに国民の方々の目をおかりする、自分の近くにこういう顔がないかということで目をおかりするといったような形での情報の公開による御協力お願いするといったような、国民協力をいただくための各種の施策を多面的にとりまして、今御指摘のようなおくれをとらないように、ずるくなってきている者に先を越されないように、警察が先制的にこれを抑え込んでいけますように、検挙していけますようにさらに努力をいたしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  154. 堀内國宏

    ○堀内説明員 ただいま御指摘の住法務大臣の発言に関します新聞報道と申しますのは、法務大臣が、中核派についてはさらに調査を進める必要があると発言されたことがこのような記事の形となったものでございます。  私ども公安調査庁といたしましては、今回の事件を敢行したと思われる革共同中核派につきまして、かねてより調査の対象として調査を進めてきたところでございまして、さらに今回の事件につきましても、破防法の定める諸条件について全力を尽くして現在調査をしておる、こういう段階でございます。
  155. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 田川大臣、今私は、短い時間ですから真意を尽くしていないかもしれませんが、大臣長官がおっしゃった決意を具体的にされるには、やはり国民への公開制というものをこの際思い切ってとることを基本に置きながら、捜査としてはどこまでが限界かという、新左翼を国民の側で囲い込んでしまうということがなければ、次の事件は防止できませんよ。  それからいま一つは、一番根っこにあるもの、今日彼らが言っている反帝何とかといういわゆる——私は、全斗煥大統領がお見えになったときの警備態勢が、確かに万全ではあったでしょう、万全ではあったけれども、あれが果たして我が国と友好をとるべき外国の賓客を迎える警備態勢だろうか、国民的な歓迎になっていたのだろうかということについては、率直に言って疑わざるを得ませんでしたね。そういうことが、議会制民主主義というものを通してはもう意思の反映ができないということにもしつながっていくとするならば、これは右翼、左翼を問わず大変なことになっていくわけですよ。  ですから、捜査そのものに対する一つの転換を、この事件を契機にして、国警長官を初め皆さんにひとつ研究検討してもらう。私はその基本は、方法論としては公開制というものを基本に置くべきではないか。同時にいま一つは、今住法務大臣のお話をお聞きをしましたけれども治安立法で、あるいは何か治安の法律で縛ることによって云々という中では本問題の解決はできない、むしろ、前から何回か申し上げますようないろいろな事態を国民の前に明らかにすることによって、再びこういう事件が起きない、そういう条件づくりをされる指示を国家公安委員会として、あるいは委員長としてされるべきではないか、こう思うのです。  同時にまた国警長官には、私どもは素人ですから、私どもの目で見た角度でしか物が言えませんけれども、それでも、どうも専門家が見るときよりも時には素人の側から物を見た方が案外と答えが正しかったなんということもあるわけですから、ひとつ私どものそういう意見をくみ入れて、捜査段階あるいはこれから行われるであろう犯人検挙のプロセスをもう一遍検討してみる、いい意味で検討してみるということもぜひ配慮していただきたい、こう思うのですが、ひとつ御意見をお聞きしておきたいと思います。
  156. 田川誠一

    田川国務大臣 犯罪が起こればこれを検挙する、逮捕して再発を防ぐというのは警察の役目でございますから、過去に犯罪が起こって検挙ができない事件があるということは反省して、足りない点は補って早期に検挙していくという努力をしていかなければなりません。  ただ、きょう御論議になっている問題につきましては、相当の長期の捜査も必要であり、犯罪の性質上なかなか時間のかかることもございます。私どもとしては、万全を期して今後もやってまいるつもりでございます。過去めいろいろな反省あるいは教訓、そういうものも含めて対処していかなければなりません。何か立法措置でやれというような御意見もありますけれども、私どもは、まず現行の法令を駆使して取り締まりの任に当たるべきであるというふうに考えております。  公開捜査云々のことについては、ちょっと専門的になりますから、長官からお答えをさせていただきます。
  157. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)説明員 先ほど来内ゲバ事件に対する警察の姿勢といいますか、そういうあれで加藤先生のいろいろの御意見を拝聴しているわけでございますが、私もかねてこういった内ゲバ事件は決して内輪の問題じゃない、ここで使われるいろいろのテクニックといいますか技術といいますか、そういったものは、これはやはり善良なる一般国民にも向けられる、そういう前提で、我々はずっとこの内ゲバ事件を極めて重視してやってきたというふうな気持ちでございます。  また、捜査の公開性というふうな問題、こういった問題につきましては、個々の捜査、これはやはり隠密性というものが捜査一つの本質といいますか、個々の事件についてはそうだろうと思います。しかし、おっしゃるようにこの内ゲバ事件の陰惨性あるいは各種テロ、ゲリラの手口、こういったものにつきましては、警察庁としましてもいろいろの広報関係手段がございます。そういう手段をフルに活用いたしまして、今後ともひとつ一般の国民の方に実態を十分理解していただけるように努力してまいりたい、こう思います。
  158. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私も四十年近くこの運動をやっておりますと、実はその周りにあれがそうかなということがございましたし、もし私が知っておればというようなことも何回かあったわけです。最近では例の動力車労働組合の幹部がやられたという事件ども、これは身近な事件で、そういうことを通して、もう少し彼らよりも優位性に立つような捜査方法というものを本気で考えないととんでもないことになるというようなことが、現実には自民党への放火事件というような形で今度は出てきたわけです。しかも、使っている武器その他がますますエスカレートして、国民を巻き込むということになれば、これはまさに国民の側は無防備ですから、そういう面ではできる限り綿密な検討を要請したいと思うんです。  警察機構としては、例えば全斗煥大統領が訪日になったときの警備体制なんぞというのは、まさに一糸乱れぬすばらしい状況だと実は私は見ているんです。日本の警察機構というものはなかなかそういう意味での統制あるいは力といいましょうか、それはある。しかし個々の事件になってまいりますと非常に例えば脆弱な面が出てくるんですね。  グリコ事件の問題にちょっと入らしてもらいますが、グリコ事件なんかも、今度は森永になりまして、恐らく警視庁と大阪の府警、こう二つにまたがってくるんでしょうし、個々の事件になってくるとどうしても脆弱さというものが隠せないんですね。今度のグリコ事件は例の犯人の終結宣言でやや終わって、特に事件の場所が食料品、しかも分別のつかない子供たちが食べるものを製造する会社でありますがゆえに、なお今度は森永にそれが移ったということになりますと、これはまた率直に言って大変な心配事です。犯人と森永との間だけならばこれはまだしも、例の青酸ソーダを入れたお菓子があるなどということになってまいりますとこれまた大変なことなんです。  しかもあれだけの物証がありながら、さらに犯人の逮捕ができない。私はこの場でも一体どういう捜査の経過になっているんですかとお聞きをしましたら、今のところ捜査中でありますので、こういう御答弁でございました。確かに経過としては捜査中でありますから、私どもがそれ以上に立ち入ることはできないんでしょうけれども捜査中でありますからということだけで問題を処理していた結果として、また森永に事件が起きてきたということになるとするならば、私はいま少し具体的にどうなんですか、大丈夫なんですかと国民にかわって聞く必要性というものを痛感をせざるを得ないのであります。時間がありませんからこれ以上のことは申し上げませんが、グリコ事件から発展する森永に対する警察当局の御見解をひとつお聞きをしておきたい、こう思うんです。  それから時間がありませんから、別の問題でありますが、重ねて一つだけ御質問させていただきます。  それは風俗営業法の関係です。実は下位法案に対する警察庁側の資料をいただきました。これによりますと、来年の二月実施、法施行に伴う各県段階で条例をつくる、それに対するいろいろの資料が出ているのですが、法案の審議の中で幾つか問題がありましたけれども、業界との懇談会は十月二日にやられたようでありますが、例の研究会ですね、ゲーム機械に対する検討をするために研究会を設けよ、あるいは浄化協会あるいは検査をする指定機関、こういうものを設けよというふうに法律上なっておりますが、この辺は二月の施行までに間に合うのでしょうか、あるいは間に合わないのでしょうか。この点は今の問題とは全然質が違いますけれども一つだけ御質問させていただきます。
  159. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 グリコ事件捜査状況について御説明いたします。  三月十八日に発生をいたしましたグリコ事件でございますが、食品の中に毒物を混入する、こういったことをマスコミを通して国民に公表する、こういうようなことで非常に大きなショックを与えた事件でございます。私ども警察の方といたしましては、そういった事件社会的な重要性を十分に認識いたしまして、警察庁指定事件ということで大阪府警、兵庫県警、それに九月に入りまして京都府警、こういったところを中心として現在鋭意捜査をやっているところでございます。  途中で終戦の宣言というようなことも犯人の側から出てまいりましたけれども、ああいった終戦宣言というものを私どもはうのみにしたわけではございません。これは一種の陽動作戦ということで、それまでの捜査をやってまいりました状況を鋭意また推し進めておったわけでございますが、この九月の半ばになりまして森永に対しての脅迫状が参りました。また事件は一段と進展をした、こういうことでございます。  現在、一つは物の捜査ということでいろいろ残っております遺留品、それから脅迫状に使われましたタイプライター、こういったものの物からの捜査、それからいろいろな容疑情報が参りますが、そういった容疑情報の中から出てまいりました不審者に対する捜査、それと大阪の北摂津、北河内を中心といたします、これに京都の南地区を加えました地域に対する特別巡回連絡、これをもとにしました聞き込み捜査、こういったものを主眼といたしまして現在捜査をやっておる、こういう状況でございます。  今のところ犯人に結びつくこれといったことを御報告できないのは残念でございますけれども、できるだけ早い機会に必ず逮捕する、こういうつもりで現在捜査をやっておるところでございます。
  160. 中山好雄

    ○中山説明員 風営法関係のことでまず急がれますのが政令の制定でございます。といいますのは、これの基準に基づきまして都道府県条例を制定するという必要がございます。そのために政令につきましては各方面の意見を広く聞きながら制定してまいりたいと考えておりまして、個別に関係者、業界の方などの意見も聞いておりますし、それから去る二日には学識経験者、それからマスコミ関係、地方公共団体の代表の方、それともちろん業界の方々などの出席を得まして風営問題の懇談会というのを開いて政令についての考え方をお示しし、御意見、御要望をお聞きしたところでございます。これにつきましては、これらの御意見を踏まえた上で各省庁とも協議をするなど慎重に検討し、今月中に制定をするべく努力してまいりたいと存じておるところでございます。  あと総理府令と国家公安委員会規則につきましても、この風営問題懇談会を開くなど各方面の御意見をお聞きした上、遅くもことしじゅうに制定したいと考えております。  なお、御指摘の法二十条で定めますパチンコ、遊技機の型式認定につきましても、これは二月の法施行までに間に合うように制度を整えたいと思っております。  それから、風俗環境浄化協会につきましては、二月に一斉にというわけにはまいりません。各都道府県のそれの母体となると私ども考えております防犯協会の体制等の強化を逐次図ってまいりたいということにしております。
  161. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 終わります。
  162. 大石千八

    大石委員長 草野威君。
  163. 草野威

    ○草野委員 今回の自由民主党本部放火事件につきましては、たまたま私ども大石団長を先頭にいたしまして、地方行政委員会の海外事情派遣のメンバーがちょうどパリにいたときにこの報に接したわけでございまして、正直言って大変驚きました。自分たちの目的を達成するために手段を選ばない、そしてこのような暴力行為に訴える、本当にもう心底から怒りを覚えたわけでございます。今まで何人かの方が民主主義に対する重大な挑戦だと事ごとにおっしゃっていましたけれども、全く私も同感でございます。  先ほどから田川委員長、また鈴木長官からお話がございましたように、二度とこのような事件を起こしてはならない、また今回の事件犯人については早期検挙するという非常に力強いお話もあったわけでございますけれども、ぜひともひとつ実行をしていただきたいとまず冒頭にお願い申し上げる次第でございます。  今回の事件に対しまして、私も自由民主党に対しまして心からお見舞い申し上げるものでございます。時間も限られておりますので、ごく簡単に御質問をさせていただきたいと思います。  まず一番初めに、今回のこの放火事件につきましてその犯人の逮捕の見通し、そしてまた逮捕が困難であると先ほどから言われておりますけれども、この犯人の逮捕の見通しと逮捕の困難な理由について、まず警察庁の方からの御答弁をいただきたいと思います。
  164. 柴田善憲

    柴田説明員 自民党本部に対します放火事件捜査につきましては、残念ながら現在まで犯人を浮上させ、これを犯人として特定するというところまでには至っておらないわけでございます。  この種のゲリラ事件犯人の逮捕が非常に困難である理由につきましては、結局、これがごく少数の非公然化された分子が犯行を行っておるということのせいであろうかと思います。この分子は非常に高度の訓練を受けております。また、組織が縦割りに極めて細分化されておりまして、そのためにその内部の情報もまたなかなか漏れ聞こえてこない、こんな状況にありますためになかなか逮捕に時間がかかる、こういう状況でございます。ただ、本件のような重大事件でございます。鋭意捜査を集中いたしまして、必ずや犯人検挙をいたすつもりでございます。
  165. 草野威

    ○草野委員 先ほどからこのような答弁をいただいているわけなんですけれども、繰り返して申し上げるわけではございませんけれども、逮捕困難な理由として、これらの過激派の連中がまず日ごろから非常に厳しい訓練を受けている、それで地下に潜っている、お互いの名前も全然わからない、グループ同士の接触も全然ない、そして犯行前には綿密な調査をやっている、必ず時限装置を使用している、逆に警察の無線の裏をかいている、このようなお話がございまして、こういうことだからなかなか逮捕は困難だ。一言で言えば、要するに役者が向こうの方が一枚上なんだ、こういうことなんですね。  確かに向こうの連中も知恵があるかもしれないけれども、日本の警察庁のこれだけの優秀なメンバーが過激派よりも知恵がない、こんなことになったら大変なことになるわけでございまして、何とかもう少し知恵を働かして頑張ってもらわなければならないと思うのです。  先ほどもちょっとだれか触れておりましたけれども、今回の事件にしましても、全然予測されていないとは言い切れない事件だと思うのです。ということは、ことしの夏の彼らの大会のときに、中核派は十月決戦ということを呼号したわけですね。何かやるということはわかったわけです。それがたまたま全斗煥大統領の離日の直後にこういう事件発生したということで、いろいろな理由はあると思いますけれども、やはり緩みみたいなものもあったのではなかろうか、こんなような気がしてならないわけでございます。  しかし、彼らがどんなに知恵があるか知らないけれども、優秀かどうか知りませんけれども、現在の日本の警察庁の調べによりますと、捜査本部を置くような重大事件の場合でもその六八%は検挙している、解決している、こういうデータをたしか伺っております。それにいたしますと、余りにもこの種の事件検挙率が低調過ぎるのではないか、正直に言ってそのように思わざるを得ないのです。  先ほどどなたかの質問の中で、泳がせているのではないか、こういうお話がございました。これは今始まったことではなくて、かなり以前からこういう話は出ております。私は国会の中で、泳がせているのじゃないか、こんなような話が出れば、第一線で一生懸命、それこそ自分の命を張って捜査活動に頑張っていらっしゃる警察官の方々はどれだけショックを受けるかわからないと思います。しかしそういうことがマスコミにも言われる、国会でもこれだけ話が出てくる、それほど検挙率が低調である。やはりそれにはそれなりの原因が幾つかあるのではないかと思います。私はこういう問題については素人ですからよくわかりません。ただ見ておって一つだけ感じることを申し上げたいと思います。  例えば関係機関の連携、それから捜査技術の問題、こういう観点から見た場合に、例えば公安警備と刑事の関係、片や非常に隠密性を持っている、情報収集の専門家の集まりである、また片や警察権というものは非常に弱い、こういう面もございますね。このような公安警備と刑事の関係、また警察と公安調査庁の関係、こういうものを見てみますと、こういうところにも何か問題がなければいいんだがなという、こんな気がしてならないわけでございます。ということは、皆さん一生懸命になってこういう事件に取り組んではいらっしゃると思いますけれども、末端では何か競争意識が働いてしまって情報交換が十分に行われていない、こういう事実がもしあったとすればそれは重大な問題じゃないかと私は思えてならないわけでございます。  こういうことを含めましてもう一度申し上げますけれども、今回の事件犯人逮捕の見通し、逮捕困難の理由、ここら辺についてもう一回御見解を承りたいと思います。
  166. 柴田善憲

    柴田説明員 警察各部門の協力関係は大変密接に行っておるように思います。今度の特捜本部の中にも警視庁におきましては刑事部門も入れ、あるいは偽造のナンバープレートの捜査が必要ということでひき逃げ捜査を専ら担当しております専門家も入り、あるいは科研、鑑識等あらゆる部門が総合的に入りまして捜査をしておるところでございまして、警察力を挙げた捜査ということになっておる次第でございます。  また、警察がこの種のものを軽視しておる、力を入れておらないためになかなか挙がらない、あるいは泳がせているんじゃないかといった点につきましては、これは毛頭そのようなことはないわけでございまして、全国警察官極左暴力集団と真剣に対決しながら捜査を進めておるところでございます。  ただ、申し上げますように、彼らもまたかなりの経験を積み相当の熟練者になってまいっております。ほんの一握りの者ではございますが、この者たちの練度は相当高い。警察といたしましてはこの者たちに匹敵するような力をさらに蓄えながら鋭意捜査に努めまして、できるだけ早く犯人検挙することに努めてまいりたい、このような覚悟でおる次第でございます。
  167. 草野威

    ○草野委員 このような左翼暴力集団の事件発生に伴いまして一般市民を巻き込む、そういう例が往々にしてあろうかと思いますけれども、過去にこのような一般市民を巻き込んだ事件数、これはどのくらいあったでしょうか。
  168. 柴田善憲

    柴田説明員 ごく最近のことになりますが、昭和五十六年以降に発生しましたゲリラ事件の統計を持っておりますが、このゲリラ事件で一般の人が巻き込まれましたケースは、死者が出ましたケースが一件、二人亡くなられたケースがございます。これは昨年の六月七日に千葉で発生いたしました事件でございます。また、負傷されました方が出ましたケースが二件、十二人出ております。いずれも軽傷ではございましたが、先ほどの千葉での事件に伴いまして一人の方がけがをされ、またことしの四月四日の大阪府庁及び大阪科学技術センター放火事件の中で十一人の方がけがをされております。     〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席〕
  169. 草野威

    ○草野委員 ただいまの御報告は人身に関するものだけでございましたけれども、財産の面においてはいかがでしょうか。
  170. 柴田善憲

    柴田説明員 家を焼かれる等のことで、一般の方が財産上の損失を受けられましたケースが幾つかあるわけでございますが、どれくらいの損害額になっておるかはちょっと今統計的な数字は持っておりません。
  171. 草野威

    ○草野委員 一般市民がこのような事件に巻き込まれた場合の補償の措置、これはどのように行われておりますか。
  172. 柴田善憲

    柴田説明員 人の生命または身体を害します犯罪行為によりまして、不慮の死を遂げられました方の遺族あるいは重障害を受けられました方に対しましては、その具体的な状況に応じまして、犯罪被害者等給付金支給法に定めるところによりまして犯罪被害者などに対します給付金が支給されることになっております。
  173. 草野威

    ○草野委員 このような場合の補償措置として、犯罪被害者等給付金支給法によりまして措置されているということでございますが、これはあくまでも人身の場合だけで、財産の損失の場合は含まれてないと思うのです。家屋だとか車両だとかさまざまなものがあると思いますけれども、財産の損害については何か補償される、そういうような考え方といいますか例といいますか、ございますか。
  174. 柴田善憲

    柴田説明員 物的、財産的な被害につきましては、これを制度的に補償するシステムはございません。主として民事的な手続によっての損害請求ということになろうかと思います。
  175. 草野威

    ○草野委員 こういうケースの場合ですけれども、やはり人身とともに財産の面においても何らかの形で補償できるようになればと私どもも考えております。早急にこういう制度を実現することは困難であろうかと思いますけれども、これは将来に向かって何らかの方法でぜひとも実現の方向へ持っていくように努力していただきたい。そのために、五十六年一月一日以降ということだけではなくてもう少し過去にさかのぼって、この種のゲリラ事件によって損失をこうむった、人身事故の場合においてもまた財産の場合においても、そこら辺の実態調査をぜひとも警察の方でやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  176. 柴田善憲

    柴田説明員 五十六年以降の数字を申し上げましたのは、犯罪被害者等給付金支給法の制定以降という形で、これに合わせて数字をとったわけでございます。私どもの手元にも既にこの種の事犯に伴う数字はございますし、さらに補足をしてとってまいりたいと思っております。
  177. 草野威

    ○草野委員 田川大臣お尋ねしたいと思いますが、今までいろいろな角度から今回の自民党本部放火事件につきまして議論がございました。この事件を契機として治安対策、警備対策を強化せよ、こういうような意見もございましたし、また行き過ぎについて心配する、そういうような議論もあったことは御承知のとおりであろうと思います。私どもが見ましてこういう事件は二度とあってはならないと思います。そのために警察全力を挙げて警備にも治安対策にも当たっていただきたいと思いますけれども、果たして現状以上の警備強化は必要であるかどうかということについては一考を要するのではないかと思います。  確かに、先日の全斗煥大統領の訪日時の警備状況を見まして、正直に言ってこれは一般の人はちょっと異常に感じたのではないかなと思うのです。あの警備状況を通しまして、市民的な自由だとか政治的な自由、そういうものもある面では損なわれたのではないか、このように受けとっている人もいるのではないかと思います。そういう意味におきまして、この治安対策、警備対策の強化の必要性ということにつきましては十分慎重に取り組んでいただきたいと思います。  そこで今回のこの事件につきまして、今回の事件は直接的には成田の二期工事阻止、こういうものを理由に今までの成田空港周辺のゲリラ活動から、首都の、しかも政権与党の本部目標を置いて、そしてそこを政治的な効果をねらってしかけてきたもの、こういう背景であろうと思いますけれども、さっきもちょっと話が出ましたように、これはやはり先日のグリコ事件とも非常に似通った面があるのではないか、例えば情報化社会の産物、こういう面においては同一性というものがあるのではないかな、このように思えてならないわけでございます。  そこで、大臣お尋ねしたいことは、現在でもなお三万数千人の過激派集団が存続している。三万何千人のそういうような集団が今でも存続している、そういうような社会的な背景というものは一体どういうところにあるのだろうか。そしてまた、その対策として、単なる警察権力だけに頼る対策ではなくて、大臣としてはこういう問題についてどのようにお考えになっているか、御見解を承りたいと思います。
  178. 田川誠一

    田川国務大臣 先ほどもちょっと触れましたように、どの国でも、どういう社会が来ましても、やはりその体制に反発するという人たちはある程度はどうしても人間社会に出てくるわけでございまして、それが外国の暴力革命を肯定するような指導者の思想にかぶれたり、そして自分の主張をどうも貫けないというようなことのはけ口を手段を選ばない暴力行為に向けてくる、こういうことから来ているのではないか。  そういうものがある社会問題の一つ、例えば空港建設問題というものにターゲットを向けてこういう行動を起こしてくるということで、だからこれは当たり前なんだということじゃございませんけれども、そういうような体制に対する一つの不満グループというものが、思想的にかぶれてこうした暴力革命の集団になってくるのではないかというふうに私は思っております。こういうような集団に対しては断固たる処置をとって検挙していく、これが再発を防ぐ唯一の道ではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  先ほど来話がありましたように、こういう集団は正面から向かってこない。すきを見て、あるいは警備のしてないところに向かって行動を起こしてくるわけですから、それだけにこれはなかなか予断を許さない、こういうことを十分踏まえて体制を整えていかなければならないと思います。  自民党本部が襲われたということも、やはり政党本部というのは余り警備をしてもらうといろいろ問題がある。むしろ警備は要らない、してもらっては困るというようなところもあるわけでございまして、そういう一つ政党に対するすきをねらった行為が今回の自民党本部に対する襲撃でもあるというふうに私は見ているのでございます。  何といわれましても、警察は犯罪が起これば検挙するのが使命でございまして、ちょうど代議士が選挙になれば絶対当選しなければならぬ、それと同じで、犯罪が起これば警察検挙するのが至上課題でございますから、それができないということでおしかりを受けるのは当然です。しかし、先ほど来申し上げましたように、その事件事件によってはそう簡単にすぐ検挙できない問題もある。そういういろいろな目的を達することができない、検挙できないいろいろな理由を十分教訓にして、反省を加えながらやっていかなければならないと思っております。  何回も申し上げますように、この種の犯罪を少しでもなくしていく、また早く検挙をしていくということは国民の皆さんの御協力を得なければならない。そういうことを十分しんしゃくしながら万全を期してまいるつもりでございます。
  179. 草野威

    ○草野委員 ただいま大臣は、選挙も犯罪の検挙も全く同じである、まあ、そうだろうと思います。田川さんも代議士としては一〇〇%当選の方でございまして、ぜひともそのノーハウをお聞かせいただきたいと思うのですが、ともかく今回の事件というよりこの種の事件は断固検挙するんだ、その大臣の決意は本当に私もそのとおりいただいているわけでございます。それと同時に、一般の犯罪と違う面もあるんだということは先ほどからお話があるとおりです。やはりこちらとしても戦法をいろいろと工夫しなければならない。例えば、こういう過激派集団に対する一つの消滅策として、いろいろな民間の学識者による総合的な対策、科学的な対策、こういうものも一度検討をすべきじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  180. 田川誠一

    田川国務大臣 警察は、国民の皆さんの協力を得なければ犯罪の検挙になかなか結びつかないのでございまして、従来から草野さんのおっしゃるような学識経験者を含めた国民の皆さんの御意見、あるいはお知恵を拝借しながらずっときているわけでございまして、今後も草野さんのおっしゃったようなことも踏まえながら国民の皆さんの英知を集め、また御協力をいただきながら完全を期してまいりたいと思っております。
  181. 草野威

    ○草野委員 ぜひお願いしたいと思います。  そこで、鈴木長官お尋ねいたします。  今も田川大臣がおっしゃっておりましたように、この種の事件を解決するためには国民協力が必要である。これは先ほど長官御自身もおっしゃった言葉でございますが、やはり警察への信頼があってこそ初めて国民、市民の協力というものが生まれてくると思うのです。最近非常に残念ではございますけれども、一連の警察官の不祥事件が続発しております。こういうことがこれからも続いていくような状態ですと、幾ら国民に、市民に向かって警察に対して信頼しろ、協力をしろ、こんなことを言っても、これは到底無理だと思います。  そういう面におきましてこの際お尋ねしたいことは、そういう警察の体質改善のために何らかのそれこそ知恵を絞ってもらわなければならないと思いますけれども、そういうことを含めまして鈴木長官の今回の就任に当たりましての抱負などをお伺いしたいと思います。
  182. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)説明員 警察法を持ち出すまでもなく、警察の原点といいますか基本は、まさに国民の平穏な生活を守り、そして公共の秩序を守るという使命を果たすために、日夜を問わず粉骨砕身その職務に精励するというところにあろうと思います。そういった警察官の姿というものに共鳴して、国民の信頼なり支持というものがおのずから得られるものであろうと思っているわけでございまして、信頼とか支持とかいいましても、それは我々が求めるものじゃなくて、まさに我々のそういった真摯な姿というものによって国民から与えられるものである、こういうふうな気持ちを絶えず持っておるわけでございます。  そういう意味で、一部の警察官によるいろいろの非行事件によりまして警察のイメージというものが非常に損なわれたということにつきましては、大部分の警察官が日夜を問わず粉骨砕身努力している、そういう心情を思うにつけて極めて残念なことであり、こういう不祥事犯は一件も起こってはいけないという気持ちでございまして、今後ひとつ人事管理を徹底し、あるいは教養の推進というようなものに十分配慮し、いろいろの手だてを加えまして、一人一人の警察官が我々警察の誇りあるいは使命感というものに徹しまして、厳正な規律のもとに生き生きと積極的に仕事をやっていく、職務を遂行していく、こういうことでひとつ努力してまいりたいという気持ちでおります。  したがって、そういう信頼なり支持を国民から得るためには、九・一九のこの事件を含め、こういった重大な事件、凶悪な事件というものにつきましては早期に解決するというのがやはり信頼を得る一つの大きな手だてであるという考えでございまして、そういう意味合いにおきましても早期検挙を期して努力してまいりたい、こういう気持ちでおります。     〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 草野威

    ○草野委員 ぜひともひとつ頑張っていただきたいと思います。  次に、消防庁にお尋ねをいたします。  今回の自由民主会館放火事件による火災でございますが、これは天下の自民党の本部のことでございますので、防火体制は十分に整っていたと私は思っております。万全であったと思います。けさほどの消防庁長官の御報告によりますと、焼失面積は約六百平米、延焼時間が一時間半、消防隊の出動は第三出場で五十二隊出動した、こういうような御報告であったろうかと思います。  そこでお尋ねしたいことは、消防の方の今回の火災に対する査察、これは全部お済みになっていると思いますれども、この査察の結果について簡単に御報告を願いたいと思います。
  184. 関根則之

    関根説明員 自民党本部のございます、正式には自由民主会館という建物でございますけれども、防火設備等につきましては、消火器でありますとかあるいは屋内消火栓の設備、自動火災報知設備等、いろいろ法律に定められておる事項がございますが、それらのものについてはすべて完備をいたしておりまして、法律の規定どおりの設備がなされておったということでございます。  また、防火管理者を設置しなければいけませんけれども、それもきちんと設置をされておりましたし、一たん火災が出ました場合、それを防御いたします消防計画等も作成されており、消防の訓練につきましても、法律に定められている回数を上回る訓練がなされておったということでございますので、設備面並びに訓練面におきまして自民党本部は全く問題がなかったというふうに考えております。  消防の今回の火事に際しましての査察ということでございますけれども、その消防活動につきましては先ほども答弁申し上げましたように、極めて迅速的確、効率的に処理がなされておるわけでございますので、消防面からは格別な問題はなかったというふうに報告を受けていますし、そういうふうに考えております。
  185. 草野威

    ○草野委員 念のためもう一点だけ伺いたいと思いますが、当然ここはマル通マークの対象ではございませんね。しかし、防火対象物としてスプリンクラー等の消防設備の設置が義務づけられているのではないかと思うのです。これは消防法の十七条に決まっておりますね。今回この自民党の場合スプリンクラー等は完全に作動していたのですか。
  186. 関根則之

    関根説明員 この建物は、法律上もスプリンクラーの設備は必要がない建物でございます。したがって、実際にもスプリンクラーは設置されておりません。
  187. 草野威

    ○草野委員 次に、成田空港の第二期工事の問題について若干お尋ねをいたします。  今までいろんな角度からこの第二期工事に対しての質問がございました。重複するようでございますけれども、お伺いしたい点は、運輸省としてこの成田の第二期工事に対してどのような姿勢で取り組もうとしているのか、こういうことをきょうはお尋ねをしたいわけでございます。  初めに、まず運輸省はいつごろを目標にしてこの第二期工事を完成させようとしているのか。目標はきちっと持っていらっしゃるんじゃないかと思うのですが、まずそこら辺からひとつお伺いいたします。
  188. 増田信雄

    ○増田説明員 新東京国際空港は、御承知のとおり未完成の空港でございまして、私どもとしましては一日も早い完成を望んでおりますし、また地元からの御要請もそのように受け取っております。しかしながら、いつどういうふうな状況においてどういうような手順でこれを着工し完成していくかということについては、ただいま非常に微妙な段階でかつ微妙な問題がございます。私どもは、これから場内の用地内に居住しておられます十芦の農民の方との話し合いを鋭意進めますと同時に、地元の公共団体の方々を初め関係の機関と十分慎重に話し合いを詰めて、早期着工、早期完成を目指していきたいと思っております。
  189. 草野威

    ○草野委員 先ほどからの御答弁の繰り返しで非常に残念なんですけれども、まず現実の問題として空港の安全確保措置法、いわゆる成田新法、これの適用が今まで非常に甘いんじゃないか、私もそういうふうに思うのです。どうでしょうか。
  190. 増田信雄

    ○増田説明員 新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法、いわゆる成田新法でございますが、これは御承知のとおり、開港を目前にいたしまして極左暴力集団の乱入という不幸な事件がございまして、それをきっかけにいたしましてこのような破壊活動を防ぐ、そのためにこのような多数の暴力的破壊活動主義者が集合するような施設を使用禁止ができるような措置をとるということでつくられた法律でございます。私どもはただいま三つの施設について禁止命令を出しておりまして、それはそれなりに抑止効果とそれから牽制効果があると評価いたしております。
  191. 草野威

    ○草野委員 そういう運輸省の姿勢が非常に甘いと言われているんですよ。もう六年たってこれだけの問題がいまだに残っているにもかかわらず使用禁止は三件だけ、撤去は一件もなし、こういう状況ですね。こういう問題についてはやはりもう少し毅然とした態度で臨まなければ、いつまでたっても第二期工事は完成は難しいんじゃないかと私は思うのです。  そこで、先ほども出ましたけれども、第二期工事に関する六十年度の予算の概算要求ですね、二十二億ということでございました。その内容については、道路のつけかえ工事だとか代替用地だとか埋蔵文化財だとか、こんなもののようですね。これ自体は、この概算要求は二期工事着工の意思表示、このように受けとめてもよろしいのでしょうか。
  192. 増田信雄

    ○増田説明員 私どもは、基本的には話し合いによって平穏裏にこの残った工事を進めてまいりたいと念願いたしております。しかしながら、話し合いがつくまでただ単に手をこまねいているだけではなくて、私どもの考え方が世論の中で支持を受け、さらにかつ、工事が始まった場合に遺漏のないように万全の準備を進めていきたいと考えておりまして、この費用だけをもちまして二期の着工、あるいは残った工事の着工という意味合いではございません。しかし、二期へ向かって私ども何とか万全の準備を進めたいという気持ちであることには変わりございません。
  193. 草野威

    ○草野委員 二期工事の着工の意思表示というふうにはっきりおっしゃらないわけですね。そこら辺のところが何かあいまいなんです。ここのところは運輸省はもう少しきちんと意思表示をすべきじゃないかと思うのです。きちんとあなたが運輸省として意思表示できない理由一つにこういうことがあるのでしょうか。  例えば、今話し合いをしながらということをおっしゃっていましたけれども昭和五十七年に問題になりました、例の成田二期工事は凍結という政府と反対同盟の間の覚書が明るみに出た事件があったと思うのですね。この覚書の問題につきまして、当時の公団の総裁は、覚書そのものについてははっきりコメントはしておりませんけれども、写真まで載っておって、その当時の政府の担当者の名前まで出ておるわけですね。こういうものを皆さんは否定されるのですか、それともこういうものの存在を認めていらっしゃるのですか。どちらですか。
  194. 増田信雄

    ○増田説明員 成田国際空港が物情騒然たる中で開港いたしましたときの悔しさ、あるいは反省の上に立ちまして、全力を尽くして反対派農民と話し合いを進めるということが決まったわけでございます。そのためにあらゆる立場の方が反対派と話し合いを進めてまいりました。その過程におきまして、ただいま先生の御指摘になりました政府の要職にあられる方と、反対同盟の指導者の間にいわゆるメモというものがあったということは事実でございまして、承知いたしております。  しかし、その中身について、いい悪いと言う前に、私どもは歴史的事実として受けとめてまいりたいと思っております。そのメモがあることが残りの二期工事への足かせになるかという趣旨でございますと、私どもはそれが足かせになって残りの工事がおくれているとは考えておりません。
  195. 草野威

    ○草野委員 時間がないので、この問題はそれだけにします。しかし、この二期工事については、先ほどから各委員から質問があったように、ぜひとも一日も早い完成を我々はお願いをいたしたいと思います。  公安調査庁に来ていただいておるので、一件だけお尋ねしたいと思います。  現在まで破防法による団体規制が一件もなかったのは一体どういうわけかということと、こういうことについての公安調査庁の評価、これが一つ。  それから今回の事件を契機にして、左翼過激集団に対して破防法を適用して団体規制を行う考えがあるかどうか、これが二点目。  それから三点目として、今後破防法を改正して、暴力主義的破壊活動を行う団体に対して安易に団体規制を行い得るようにするという考え方が一部にあるようでございますけれども、これについて公安調査庁はどのように考えていらっしゃるか。以上三点、お願いします。
  196. 堀内國宏

    ○堀内説明員 御説明いたします。  団体に関する法律としての破壊活動防止法は、暴力主義的破壊活動によって我が国の憲法秩序が破壊されることがないようにするため、破壊的団体に対する調査及び規制を行うことを目的とした法律でございまして、公安調査庁は、そのうち、同法に基づく調査活動及び規制請求に関する事務に従事しているところでございます。  そして、御指摘の団体規制の適用に当たりましては、事柄の重要性にかんがみ、公共の安全確保の必要性、緊急性を検討するなどして適正に対処しなければならないと考えているところでございます。過去におきましても、特別な調査体制をもって証拠の収集に当たったこともたびたびあるのでございますが、警察力等による犯罪鎮圧の状況治安情勢の推移などを見て、これらを総合判断した結果、いずれの場合も規制請求を行わなかったものでございます。それぞれのケースにおけるそうした判断というものは正しかったものと私どもは考えております。  次に、今回の事件について破防法を適用するかどうかという問題でございますが、今回の事件に関しましては、先ほども述べておりますが、今回の事件を敢行したと思われる革共同中核派についてかねてから調査をしており、さらに今回の事件についても、破防法の定める諸条件、とりわけその行為が団体の活動として行われたこと、すなわち団体意思の決定があり、これに基づいて団体の役職員または構成員が当該行為を行ったことなどを解明するために証拠の収集に努力している段階でございます。それ以上のことは今まだ申し上げるべき段階ではないと考えているわけでございます。  次に改正の問題でございますけれども、現在、委員御指摘のような動きがあるということにつきましては私どもは承知していないわけでございます。公安調査庁といたしましては、現在与えられた条件のもとで鋭意調査全力を尽くしている段階でございます。
  197. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  198. 大石千八

  199. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 各党の委員から大分お話がございましたので、できるだけ重複を避けながら御質問をさせていただきたいと思います。  今回の自民党本部事件につきまして、本当に法と秩序を守る、こういうような見地からは、民主主義に対する大変な挑戦でございますし、これから民主国家を立派に育て上げるという見地から申し上げましても重大な事件であるというように私どもは思うわけでございます。私ども懸念をいたしておりますのは、左翼の暴力集団のこういう事件が成功をする、そうなりますと、またこれに呼応するがごとく、新右翼の暴力集団というものもどういう動きに転ずるかわからないという危惧があるからであります。場合によっては、中核派を初めとする左翼の過激派集団と、新右翼の勢力がある一定のところへ来ますと一緒になるおそれもあるわけであります。  このようなことを考えてまいりますと、民主主義を守り、自由な平和国家をつくり上げる、理想的な民主社会をつくろうとする私どもにとりましては、いわゆる暴力というものは絶対に許してはならないということであると思うのであります。そのためにはどうしても国民的な面での信頼感と申しまするか、国民理解協力を得る面も多々あろうかと存じます。そういう意味では、国家公安委員長を初め、新長官におかれましても、国民理解協力を得られる、信頼される警察づくりということについて真剣にお考えの御様子でございまして、敬意を表したいと思います。  そういう意味におきまして、相当立派にやっているような感じですけれども、一面では空洞的なものが存在している、そして反社会的な活動というものがその間隙を縫って起きておる、こういうのがやはり実態ではなかろうかというふうに私は思うわけでございます。したがいまして、その辺のところを十分御勘案をいただきながら、これからの新左翼のこういう勢力の撲滅について特段の配慮が必要だというように思います。  今までの長い間の皆さんの御論議を聞いていましても、やはり時代の変化というものが相当あるのではないか。その時代の変化とともにこれらの集団が、数そのものは少なくなっておるけれども、身を捨ててやるというような、そういう一団のあることも事実でありまして、昔で言うならば特攻隊のような者がいるわけであります。したがって、そういう人たちにすきを与えないような状態をつくり上げる。私は好きな言葉、治にあって乱を忘れず、備えあれば憂いなしという言葉をよく使うのでありますが、いわゆる平和時に、問題のないときに乱を忘れずして常に備えていかなければならぬというのが警察のお仕事であるし、消防のお仕事だというように私は思うわけであります。  そういう意味からひとつ質問を展開をしていきたいというように思うわけでありますが、例えば新左翼の連中が自民党の本部に焼き討ちをかける、こういう事件が今度起きたわけであります。彼らにしてみると、どこにどんなすきがあるか、あるいはまた、やったら世間的にも最も効果のあるところをねらうというのが彼らの考え方であるし、戦術であるわけであります。私は、そういう点ではどうも警察当局の今までの考え方の手本と申しますか、そういうものの中にそういう考え方はなかった、見方そのものが甘かったのではないかというように思うのでございますが、これは私の考え方でございます。  例えば、政党本部を襲うこともございましょうし、あるいは首相官邸のようなところを襲うこともありましょうし、やはり一番防備の薄いところで、しかも彼らから見て効果的なところをねらうというのがいわゆる彼らの戦術であるというようにお考えをしていただいた方がこれからの対応が適切にできるのではないか、私はかように感ずるわけであります。  したがいまして、今回のこの自民党本部の問題も——さっき治にあって乱を忘れずということを言いましたが、韓国の国賓であります全斗煥大統領警備当たりましては皆さん大変な御苦労をかけました。一面では過剰警備だという御批判をいただきながらも、日韓新時代を切り開く、しかも韓国の国賓を迎えてのそういうことで過ちなきを期したい、少々金はかかってもやはり過ちなきを期したい、この気持ちは、国民の大方の人たちに認めていただいておるのではないかというように私は評価をさせていただいておるわけでありますが、そういう一つの面で大きな事業が終わった。私どもも無事全斗煥大統領がお帰りになって本当にほっとした。これは私もほっとしましたけれども国民の大多数、また警察首脳の人たちも率直に言ってよかったなという感じがあったのではないでしょうか。  そういう一つの間隙を縫って、国会の周辺を私も見ておりますと、大変静かになってしまいまして、もう閑散となりました。そういうことで、この周辺も途端にもちろん警備も少なくなりますし、そういうすきに乗じて今回の事件があったというように思うわけでありますが、やはりこの辺のところを警察当局も率直に認めるものは認めながら、そして後の祭り的な議論もありますけれども、こういうものに耳を傾けながら新たな対応をしていくということも必要ではなかろうかなというように私は思うのでありますが、どういうお考えでございましょうか、御答弁をいただきたいと思います。
  200. 柴田善憲

    柴田説明員 御指摘の点につきましては、実はこの七月に自民党本部が、全斗煥反対を呼号するものから時限式の可燃物をちょっと置かれたという事件発生しました。全斗煥警備の中では、自民党本部もまた極左の攻撃対象になり得るということで厳重警戒をしておったところでございました。その全斗煥大統領が帰られまして息もつがせずという感じでございますが、九月十六日から今度は成田の方へ闘争の重点が移ったわけでございます。そこで、警察といたしましてもこの成田闘争にシフトを切りかえまして、重防の警備になったわけでございます。  そこで、極左の間でこれまで自民党の本部成田闘争との関連ではどういう位置づけになっておったかということになりますと、極左が発言しましたもの、書きましたものあるいは情報、その他どこを網羅いたしましても、自民党本部攻撃目標になるという線が出てこなかったという点がございます。そのために、成田シフトで固定配備をつけておる中に自民党本部が入っておらなかったという非常に残念な状況があったわけでございます。  ただいま御指摘のように、今後は極左がどこをねらってくるかということをさらに十分に詰めて考えながら、情報収集にも努めながら警戒を厳重にしてまいりますとともに、この種のものの再発の防止にはやはり検挙が最も大切でございますので、検挙をすることによりまして再発の防止にもあわせて鋭意努力してまいりたい、このように考えているところでございます。
  201. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 それから、私の感じですが、これは通りがかりの者も感じておるのではないかと思うのですけれども、今自民党本部の前には、警備車というのでしょうか、お巡りさんが乗ってくる車が二台ありまして、先ほどの話では七十何人かあそこに警備態勢をしいておられると言いましたが、僕は極端過ぎるような気がするのですよ。今までにあれしたら、今度は二台もあそこに配置しているというのは何か大げさなような感じが本当にするのです。相手も利口でございますので、一回やったところにはめったに来ませんので、あそこに二台も、七十五人分も置くというのは、国民の税金を適正に使っていただくという面からいうといささか過剰な警備ではなかろうか。何かがあったから急にというのじゃなくて、やはり何かがあっても冷静に判断をしてそれに対応をしていくということが正しいのではなかろうかというように私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  202. 柴田善憲

    柴田説明員 御指摘のように現在機動隊の輸送車がついておりまして、機動隊を張りつけて警戒をさせております。七十数名というのは直後の態勢でございまして、現在は三十名足らずまで落ちております。今後さらに情勢をつぶさに勘案しながら増減を図ってまいりたい、このように考えております。
  203. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 その点は臨機に適切な処置を要望いたしておきます。  次に具体的な質問に入りたいと思います。  先ほど来の論議を通じましても、過激派集団、ゲリラが使う車両盗難車がよく使われておるということでございますけれども、その盗難車が具体的にどこで盗まれ、どうなっているかという状況を的確に早く把握することによって、こういう問題を未然に防ぐことができるのではないかというように考えるわけでありますが、そういう点の対策というのは具体的にどういうようにお進めになっているか、この機会に伺っておきたいと思います。
  204. 柴田善憲

    柴田説明員 御指摘のように、これまでのゲリラ事件はすべて盗難車によって敢行されているわけでございます。そういう意味盗難車をしっかりと掌握し、車泥棒を検挙することができればゲリラの未然防圧につながることになります。  そこで、この盗難車の手配ということが大変大切になってまいります。中でも車は、東京都内では盗まないで隣県、本件の場合は群馬県と埼玉県でとった車でございましたが、こういうところで盗んでくることが非常に多いわけでございます。したがいまして警視庁を中心にいたしまして、この近くの諸警察本部が一体となりまして迅速に情報を交換し合い、情報が入りましたならばこれについての捜査、検問その他を行ってその犯人検挙するということが必要かと思います。  警察といたしましても既にこの手は打ってきておるわけでございますが、盗難車全国では毎日約百台あることになっております。そこで、その中でどれがゲリラに使われてくるのであろうかということを見分けるのは非常に大事でかつ難しい問題になります。これまでは多くはいわゆるいすゞエルフという車が使われておったのでございますが、今回は一転キャンターという車に車種が変わったのでございます。そこらのところも、やはり使われる車が変わっていくことも読み込みながら手配をしていく必要があろうかと思います。  また、本件の場合は盗難の届けが非常におくれておった、また全く盗難の届けがなかったという車もございまして、そこらのところも盗難がありましたら即時届けていただく、これを県警同士が迅速に連絡し合う、直ちに現場におろしまして発見のための努力をする、このように努めてまいりたいと考えております。
  205. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今回のように、事件現場などを見てみますと、大体大型化してきておるといいますか大規模化してきておるわけであります。そうしますると、こういう集団の資金というのは一体どういうところから賄われておるのか。相当の金がかかっておると思うのですね。やはり運動をやるためには資金が必要なわけでございまして、そういう資金というのは一体どういうところから調達されてきておるのか。そういうことについても把握しておられましたらこの機会に御報告願いたいと思います。
  206. 柴田善憲

    柴田説明員 ゲリラをやっております極左暴力集団の資金源でございますが、同盟費とか機関紙代等の収入ももちろんございますが、やはり一番大口になりますのはそれぞれの構成員が組織に拠出するカンパということになろうかと思います。現在は極左暴力集団の中の構成が、学生部分がわずか三ぐらいに落ちまして、大部分、七が労働者ということになります。したがいまして、それぞれに相当な収入があるわけでございます。この相当にあります収入のほとんどを組織が取り上げておるような状況のようでございまして、拠出しております本人はわずか数万円だけ手元に残る、あるいはボーナス等につきましても、ボーナスの全額あるいは五割以上といったものを組織が吸い上げているというような実態もあるようでございます。  いずれにいたしましても、ここに一つの非常に大きな問題があるわけでございまして、このような極左暴力集団の資金源から考えまして、人からもらった金ではございませんで、組織の中から苦労して搾り上げてきた金でございます。したがいまして一銭一銭を非常に大切に使っていくということで、これがまた彼らのゲリラ活動に非常にいい影響を与えておる、このようなことになると思っておるわけでございます。この過激派の資金源の問題につきましては、私どもも非常に関心を持って今後とも注視をしてまいりたい、このように考えております。
  207. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 先ほどもこの過激派集団のいわゆる質の問題が論議されておりましたが、こういう問題が起きてから十数年、昔は学生が中心でございましたから若かったのですが、今は御指摘のように働いておられる人たちが中心で、年をとられてだんだんと高齢化してきておるという一つの方向があると思うのですね。それから十数年その道をやっておりますと、いわゆる昔のはね上がりの学生というような形ではなくて、相当活動家としての訓練を積んできておる人たちがその中に含まれている、こういうような見方をとって私は至当ではなかろうかというように思うわけでございます。  したがいまして、その辺の実態というのを、数が少なくなったからもう組織は弱くなったんだという甘い見方だけではどうかな。数は少なくなったんだけれども、余りこういうベテランがふえては困りますけれども、十年選手と申しまするか、そういう活動家があってお年寄りになったという質の変わり方だとか、あるいは十年選手の活動家が入っておるとかという質の変化というものについてどういうように掌握をされておるか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  208. 柴田善憲

    柴田説明員 ただいま御指摘のとおりでございまして、平均年齢は次第に高くなっておるというのは事実でございます。ただ、現在残っておる者はまさに筋金入りと申しますか信念と申しますか、一生涯を革命にささげるという分子ばかりでございまして、そういう意味では構成員の一人一人の質が高くなっているということが言えるだろうと思うのでございます。そういう意味におきまして、これに対応いたします私どももさらに精進努力いたしまして、みずからの力も高めてこれと対決していかなければいけない状態になってきている、このように認識をいたしております。
  209. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今柴田警備局長さんからの答弁のように、いわゆるプロになっておるというか、そういうような感じのことをお話をされておるわけなんですが、私どももそういうような一つ一つの変化があるのではないかというように見ております。したがいまして、これに対しては警察としても十分そういう実態に対応する目と申しまするか、そういうものを持ち合わせなければ、余り甘く見るとこれは大きなやけどをするということをまず御忠告を申し上げておきたいと思います、余りやけどをしては困るのでございますが。  それから、ずっと今までやってきた状況を見ておりますると、過激派集団というのが公然として年々非公然活動をしておるという状況がございます。いわゆる公然化ということを強めておるわけであります。しかし、一般に見ておるところでは全く一般の人と変わらないような、昔ならこれは過激派集団だなということがわかるような服装とかそういうものをしておったわけですが、このごろでは余り一般人と変わらない。そういう中で生活を送りながら、しかも先ほど言いましたプロとしての活動をしておるわけでございまして、そうしてまいりますると、先ほど来も多分話があったのではないかと思いますが、そういう過激派集団のところなんかは、金網で特別にやった事務所とか、いわゆるちょっとした陣地のような形につくり上げているところもございまするし、それから活動家個々も全く一般でも区分けがわからないような生活をされておるわけでありまするから、これから犯人を捜すといっても大変苦労があると思うのですね。  その辺のことをどういうような形で、そういう変化をしておる、一般人と同じような格好でございまするから、それを追跡し、犯人を押さえていくということは今までの頭ではなかなか割り切れない面があるのではないかというように思いますけれども、その辺はどのような頭の切りかえをしながらこれの発見に努めるように努力されておるのか。  先ほど来警察の信頼を高めるためには、何としたって——こうやって過激派集団がいろいろの事件を起こしておるけれども、余りにも一般の刑事事件と違ってこれらの事件の逮捕率が少な過ぎる、一体警察は何をしているんだ、こういう不信感というのが率直にあることを私ども耳にいたしております。このことは私は非常に大変なことであるし、これから信頼度を高める上にも大切なことだというように理解をいたしますので、この辺のことをどうお考えになって、どう掌握されておられるのか、この機会に伺っておきたいと思います。
  210. 柴田善憲

    柴田説明員 御指摘のとおりでございまして、俗な言葉で言いますと、極左暴力集団の中の非公然化している部分が極めて見えにくくなっているというのは事実でございます。平素の日常の生活は全く一般人と変わらない。余り酒は飲まない、身だしなみはよくする、あるいは近所の人には積極的にあいさつをする、盆暮れにはアパート、マンションの管理人にちゃんとつけ届けをするといったような気遣いをいたしまして、ある意味では一般社会人以上にまじめな暮らしをしておるという評価を受けて市民生活の中へ溶け込む、こういう努力をしておるわけでございます。  これに対しまして警察といたしましては、そういうものの中からやはり不審点を見つけてもらうということが大切でございますので、広範な国民の方々の協力を得ながら、アパートローラー作戦その他で、こういうことはございませんかというようなことで不審者を見つけ出す、見つけ出した者につきましては相当の時間をかけまして不審点を洗い尽くしていくといったようなことで、この種の非公然化しております分子を発見することに努めておるわけでございます。そういたしまして検挙をしていくということが、御指摘のようにやはり国民の信頼をいただき、さらに国民から御協力と情報をいただけることになる、それがまたいい方につながってくる、このように考えて努力をしている次第でございます。
  211. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今御答弁がございましたように、ひとつせっかくの御努力をいただきまして、先ほど国家公安委員長が話されましたように、やはり法治国家のもとで法が厳然として生きておるのだ、そこに住む人たちは平穏な生活ができるのだ、そこに民主主義の、あるいは民主社会の発展が期待できるのだ、私どもはこのような理想の社会をつくり上げてまいらなければならぬと思っておるところでございまして、御苦労でございまするけれども、せっかくの御努力を御期待申し上げまして、質問を終わります。
  212. 大石千八

    大石委員長 三浦久君。
  213. 三浦久

    三浦(久)委員 今回のにせ左翼暴力集団、中核派による自民党本部襲撃事件は、共産党が一貫して指摘をいたしておりましたように、彼らが非常に反社会的な犯罪者集団である、そういう本質を私はまざまざと見せつけたものだというふうに考えております。  午前中の質問を聞いてみますと、何か共産党と関係があるみたいなことを言っておりますけれども、この中核派とか革マル派というのは左翼を装った反共暴力集団であります。共産党とも、また科学的な社会主義とも縁もゆかりもない集団であります。彼らは、もう公安警察自身がよく知っておりますように、日共打倒とか、または日共の永続的解体というようなことを言って、そして日本共産党の打倒ということを主な政治的な目的としている、そういう集団であります。ですから我々は、こういう暴力集団と最も厳しく対決をし、その本質を国民の前に明らかにしながら闘ってきております。  これは昭和四十五年のことですけれども、佐藤総理も昭和四十五年の四月一日、これは参議院の予算委員会でありますけれども、共産党は合法政党だから暴力行為などなさろうとは思わない、共産党は暴力否定の政党だと言っておられる、だから私もさように思います、そこらは混同しないつもりでおりますということをはっきり言っておられますね。そしてまた、その発言を受けて同じく四月の八日でありますが、これは衆議院の法務委員会で大竹次官が、総理も答弁したように、これらの極左暴力集団と共産党を混同するようなことは絶対に考えていない、こういうように答弁をされているわけであります。  私ども共産党は、あの安保闘争のときでもそうですけれども、一部の知識人またマスコミ、そういうものが、このにせ左翼暴力集団を美化したことがありましたね。これはまじめな青年だ、まじめな青年の一時はね上がった行動だ、そういうような宣伝をやったときでも、我々は、彼らは犯罪者集団、暴力集団なんだということを指摘しながら闘い抜いてきた政党なのであります。  そして、今回の襲撃事件が起きましたときにも、我々はすぐ翌日に中央委員会の常任幹部会声明を発表いたしております。ここでは「どのような立場に立つ政党であれ、有権者の支持のもとに活動している党にたいし、言論、投票によることなく、その本部建物に放火という社会的にもっともにくむべき手段による攻撃をくわえた今回の事件は、議会制民主主義の根幹、言論の自由にたいするもっとも重大な攻撃であり、断じて許しえないもの」であると、その態度を明らかにしているところであります。ですから共産党としては、この犯行の徹底的な糾明、そして二度とこういうような犯罪行為が起こらないように、彼らに対して厳正な措置をとるように強く求めておきたいと思います。  この種の事件が起きますと、政府も警察もですけれども、いつも、厳正に捜査はいたします、そしてこの種の事件は根絶したい、こういうふうに言うんですね。ところがどうでしょう。この十数年間にこのにせ左翼の暴力集団による犯行というのは次から次へ起きて、全く後を絶たないという状況なんですね。そうして彼らは犯行声明を堂々と行う。電話でやったり、また機関紙で犯行声明を行ったり、その戦果を誇示したりというようなことをやっているのですけれども、それでもなおかつ犯人が逮捕されない。全く逮捕されないわけじゃありませんけれども検挙率は極めて低い。ですから一般の国民も、警察がこういう暴力集団に甘いからじゃないかということをこの十数年間の経験でもって直観をするようになっているというのが実情ですね。  これは、五十三年の成田の管制塔が襲撃されたときのことですけれども、福田総理がこう言っておりますね。五十三年三月二十九日の参議院の本会議答弁しておりますけれども、「私は、少しこの種の暴力、また秩序破壊の行動に対しまして、どうも政府も国民もみんな寛容な面があり過ぎたのじゃないかということをしみじみと感じておる次第でございます。」一国の総理自身がこういう答弁をなさっておられます。また、これは亡くなった自民党の幹部であります保利茂さんは、はっきり「三派全学連は泳がせておいた方がよい。そうしないと全学連は日共系一本にまとまる。」こういう発言もされておりますね。  この種の発言はもう枚挙にいとまがないわけでありますけれども、中曽根総理自身も、これは一九六九年五月三日の朝日の座談会でこう言っておられます。佐藤内閣をささえているのは、反日共系学生の暴走だという見方もある。彼らの暴走が、反射的に市民層を反対にまわし、自民党の支持につながる作用を果している、こういうふうに言って、いわゆる泳がせ政策の効能を語っておられるわけであります。  また、福田元総理もこう言っておられますよ。これはNHKの放送で、自民党の中にああいう暴力学生を泳がしておいた方がいい、そういう考え方の人がおることは間違いないということも述べられているわけですね。  警察法第二条は、第一項でもって、犯人の逮捕であるとか、また犯罪の予防であるとかいろいろ職務が規定されています。二項では、その職務活動というものは不偏不党でなければならない、公平中正を旨として活動しなければならないということが明記されております。したがって、そういういわゆる政治的な配慮、逮捕とか検挙とかそういう場合に政治的な配慮などすべき立場ではないというふうに思うわけであります。  したがって、私は自治大臣お尋ねいたしますけれども、このにせ左翼暴力集団の犯行を今後絶対に起こさせない、根絶するのだ、そういう決意で今回の事件に対処しているのかどうか、その点の御決意をひとつお尋ねいたしたいというふうに思います。
  214. 田川誠一

    田川国務大臣 けさほどからたびたび申し上げておりますように、この種の犯罪は人類の敵であると言ってもいいほど手段を選ばず、また人が死んでも構わないというような非情なやり方でございまして、そういう集団に対しては断固として臨んでいかなければなりませんし、こういう事件を二度と再発させてはならぬというふうに考えておりまして、非常に強い考えで警察としては対処をしているわけでございます。
  215. 三浦久

    三浦(久)委員 にせ左翼暴力集団の犯罪行為というのはたくさんあるのですね。ですから、どのくらいの検挙率がというようなことを一つ一つお尋ねするのも大変だと思いまして、特に殺人事件は内ゲバで起きておりますので、私の方で内ゲバ殺人事件についての検挙率の資料をいただきました。これは四十五年から五十九年まで出ておりますが、内ゲバ殺人事件は六十四件あるそうですね。そしてトータルですが、死者数が八十一人、検挙件数二十件、そういうふうに資料をいただいておりますが、これは間違いありませんか。
  216. 柴田善憲

    柴田説明員 四十五年以降六十四件発生いたし、八十一人が亡くなっております。検挙いたしましたものはそのうち二十件でございまして、検挙率といたしましては三割強ということになっております。
  217. 三浦久

    三浦(久)委員 ところが、これは実際の検挙率をあらわしていないのですね。例えばこれは件数でしょう。検挙率というのは犯人が何人おって何人逮捕されたかということが検挙率であって、一件で十人の犯人がいた、それに対して一人つかまえたという場合には、一件発生して検挙件数一件と出てくるわけでありますから、こういういわゆる件数で出してくるというやり方は、わずか一割のものが十割の検挙率だというふうになっているわけですね。ですから私の方は、これじゃ正確な資料じゃないから、ちゃんと犯人が何ぼおって、そして何人検挙されたのかという資料をください。それはだめだというのですね。警察の方はお出しにならない。どうしてこれは出せないのですか。ちょっとお尋ねいたします。
  218. 柴田善憲

    柴田説明員 内ゲバは必ずしも一人の人間が一件の事件を起こすということではない、複数の人間が一件の事件を起こすということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、一件の事件について何人も逮捕を出しているというケースもあるわけでございます。ただ、何件のものについて一人以上を逮捕しているかということになりますと、今のような統計になってくるわけでございます。  それから、資料の提出の関係でございますけれども、現在未検挙のものにつきましても、いずれも捜査継続中でございまして、その捜査の中身を申し上げることはできるだけ控えさせていただきたいと思ってあれしたわけでございます。
  219. 三浦久

    三浦(久)委員 捜査の中身を聞いているのじゃなくて、何人犯人がおって何人検挙されたのですかということを聞いているのです。そんなことが捜査の秘密ですか。そんなことはありませんね。  私も、余りにも資料を出さないのでちょっと調べてみたのです。おたくの、いただいた資料を見てください。四十八年は殺人件数一件になっていますね。死者が二名、検挙件数一となっています。これはわかりやすいから、この例を見てみましょう。  四十八年の事件というのはもう御承知ですね。これは四十八年九月十五日の神奈川大学構内内ゲバ殺人事件です。これで四十九年、翌年の警察白書を見ますと「被疑者二十六人の割り出しに成功した。」とちゃんと書いてあるのです。警察白書ですよ。これは五十七年に逮捕されているのですね。だから五十八年の警察白書によりますと、「指名手配中の革労協最高幹部を含む七人を検挙した。」とちゃんと書いてあるじゃないですか。何で秘密ですか。  そうすると、二十六人の割り出しに成功し、七人の被疑者を検挙した、あとの残っている人間について捜査継続でしょうけれども、ちゃんと発表しているじゃないですか。だから、何人犯人がおって何人検挙したというようなことは秘密でも何でもないのです。検挙されていない人間についてどういう捜査をやっているのかなんて聞いているわけじゃないのですからね。そんなことは、起訴されるわけですから当然はっきりわかっていることなのです。それを全然資料を出さない。どういうわけなのでしょうかね。  ですから、実際にこの分でも、例えば四十八年の場合には発生件数一、検挙件数一だから一〇〇%の検挙率になっているわけでしょう。実際には二六%の検挙率なのですよ。だから、こういうように三〇%強の検挙率だなんてあなたが今胸を張っていますけれども、実際は一〇%にも満たないだろうと私は思うのです。犯人の数が何ぼか、検挙した人数が何ぼかということになればこれは数%にしかならないだろうと私は思うのです。そういう検挙率が低いものだからこういう資料の出し方をしてくるのですね。こんなことを言っていると時間がなくなってしまうので次に移れませんけれども、本当に国民協力を得て検挙件数を上げたい、根絶したいというのであれば、国民に本当のことを知らせなければだめじゃないですか。  そういう意味で私は委員長に申し入れをしたいのですけれども、何人犯人がおって何人検挙したという資料を警察に提出していただくように委員長からもお申し出いただきたいと思います。
  220. 柴田善憲

    柴田説明員 ただいまの神大内ゲバ事件につきましては、革労協が攻めてまいりました革マルに反撃をしたという事件でございまして、被疑者の数は捜査が最後までいってみないと幾らになるかということはわからないわけでございますが、発生の直後から捜査に入りまして、何人かの人間を割り出して、それまでにも検挙をいたしておるものでございます。  犯人の数が何人かというのは秘密でも何でもないだろうというお話でございますが、実は犯人の数が何人いるかということは重大な捜査上の秘密事項になると思うわけでございます。と申しますのは、我々は、五人でやったのにまだ三人しか捕まっていない、五人と言っておる、そうすると、あと二人は捕まるなということになるわけでございます。そこで、彼らといたしましては急遽対策を講ずるということがあるわけでございまして、また、犯人の数につきましても、捜査を遂げてみませんと本当は何人でやったのかということがわからない場合が多いわけでございます。そこで、犯人の数を分母としまして、何人挙げたから何%という統計はなかなか出しにくいし、必ずしも実態に迫ったものではないだろう、このように思う次第でございます。
  221. 三浦久

    三浦(久)委員 それはあなたたちのへ理屈であって、では、何でここにそういうことを出しているのですか。二十六人の割り出しに成功した、そのうち七名逮捕した、そういうことをちゃんと堂々と発表しているから私言っているわけであって、秘密なら発表しなければいいでしょう。発表されているじゃありませんか。国民の前に真実を知らせるということをしなければ国民協力は得られないということだけは指摘しておきたいと思います。  では、次に行きましょう。  こういうように検挙率が非常に低いということについて、警察としてはどういうふうに思っておられるのですか。
  222. 柴田善憲

    柴田説明員 検挙率が低い事由といたしましては、やはりこの種の事件の特殊性があろうかと思う次第でございます。ごく高度の訓練を受けました者が内々に調査を重ねて行いました犯行でございます。この者ども犯行でございますので、なかなか検挙が難しい、また時間もかかるという点がございます。  もう一点、殺人事件の場合被害者は亡くなっておりますから情報はございませんが、しかし、多くの殺人事件ではその周辺からの情報があるわけでございます。ところが、被害者の例あるいはその周辺からの情報が全く期待できない。これもまた、この種の事件捜査を非常に難しくしておる点ではなかろうか、このように考えております。
  223. 三浦久

    三浦(久)委員 困難性があることは私も認めますよ。しかし、これはきのうきょう起きた事件じゃないのです。十何年も同じことをやっているのですよ。これだけの残虐な行動を繰り返し繰り返し十数年間やっておるのです。それで警察を侮辱するといいますか、あざ笑うかのように犯行声明を堂々と出し、その戦果を発表する。今度の自民党の襲撃事件でもそうですよね。法政大学とかあちこちの大学の門で、やった、やったと言って戦果を誇るような「前進」という機関紙をばらまいておるでしょう。十何年間ですよ、きのうきょう発生したというならまだ対策が講じられないということがありますけれども。  それはまさに、一般的には日本の警察力というのは非常に能力が高いというふうに世界的に言われているわけですね。そして、一般の殺人事件であればどうかというと、検挙率はうんと悪いとしても九五%、大体九七%検挙されております。しかし、この種の事件については、先ほどの一件一件という数え方をしたって三〇%。本当に人間の数でいったら数%しか検挙されていないというような異常な事態なんです。だから私は、ただ捜査の困難性ということだけを幾ら強調されてもなかなか納得できないですね。  例えば背叛社事件というのがありましたね。このアナーキストの事件の背叛社事件というのはどういうことかといいますと、一九六八年十月六日に、アナーキストグループの背叛社の和田俊一らが、新宿上落合のアパート小倉荘で火炎瓶を製造中誤って爆発事故を起こして捕まった、こういう事件です。  では、その和田たちはどういう人間がといえば、その同じ年の昭和四十三年の六月二十九日、仲間と一緒に共産党の本部を襲撃しているのです。その犯人です。共産党はこれを告訴しております。ところがその直後から一これはもう判決が出ておりますがら判決自身の事実認定ですが、共産党の本部を襲撃する。その直後である七月八日から九月二十五日まで五回にわたって間々田という警察官と、それからもう一人おりますけれども、主に間々田なんですね、間々田警部補と会合して警察に情報を提供させて、その謝礼として合計十一万円の金銭をやっておった。そういうことが事実認定されています。  そして、そうやって警察から資金援助を受けているその間、九月一日に和田被告人たちは仲間と一緒に会合を開いて、自民党と公明党の本部、それから警視庁その他の工場などを攻撃する計画を立てて、そして火炎瓶の製造をしていた。そして、先ほど言いましたように、十月六日に誤って爆発させてしまって逮捕された。こういうことが事実認定されているわけです。そして判決は、さらに右政党本部等の襲撃計画を九月の初旬に間々田警察官に報告していた、こういうことまで認定しております。  そうしますと、これはなかなか大変なことなんですね。共産党を襲撃した犯人です。その間々田が今度は十月二十日に自民党の本部、公明党の本部警視庁を襲って火炎瓶を投げつける、そういうことを警察官が知っておるわけです。知っておりながら、お金を渡して、それを資金にして火炎瓶をつくらせておるという事実ですね。ですからこれは、逮捕をしようと思えばいつでも逮捕できたわけです。共産党の襲撃事件で告訴されているんですから逮捕できますね。それから火炎瓶をつくっているわけですから、火薬類取締法でできるわけです。それをわかっていながら金を渡して泳がしておる。我々はこういうことを泳がしておるというふうに言っているわけなんです。そして、これはまた判決の事実認定ですけれども、このアパートの近所で何回も、多数回にわたり実験を行っている。それでも逮捕されなかった。だからこの犯罪について安易に考えたんだろうなんて、そういう認定までされているわけですね。  ですから私たちは根拠がなくて泳がせ政策ということを言っているのじゃないわけであります。我々はこういう泳がせ政策というものを清算すべきだというふうに思っているのですけれども警察は、こういう背叛社の事件をどういうように反省をされておられるのかお尋ねをいたしたいと思っております。
  224. 柴田善憲

    柴田説明員 背叛社事件について申されたわけでございますが、この事件は、あの当時の騒然たる情勢の中で、アナーキストが矯激な犯罪行為に立ち上がるという情報を得ました警察官が、情報収集のために協力者をつくりまして、この協力者に実費程度の謝礼を交付しておったという事件でございます。決してこれに爆弾をつくらせる、火炎瓶をつくらせる、あるいは各政党本部を襲わせる等のことをするために金を渡したものではございません。  これにつきましては、当時も国会で問題になりまして、当該警察官がはっきりと、さようなことは絶対にしておらない、犯罪には絶対走ってはいかぬということを言っておった旨を明確に答弁をいたしているところでございます。
  225. 三浦久

    三浦(久)委員 それは、警察官が自民党を襲えとか公明党の本部を襲えと言ったというふうに和田は言っているわけですね。それで間々田氏が証言に立って、そんなことは言っていないということは言っているんですよ。しかし判決自身は、間々田氏がちゃんと、十月二十日ごろ自民党や公明党の本部を襲撃するということを知っておったとはっきりと認定していますよ。知っておりながら何で火炎瓶をつくらせるんですか、金をやるんですか。これは泳がせですよ。逮捕しようと思えばいつでも逮捕できたじゃありませんか。だから判決自身はこうも言っていますよ。自民党本部を襲撃させてから逮捕する予定だったんだろうということまで裁判官自身が言っているんですよ。  ですから警察法二条を持ち出すまでもなく、警察の職務というのは、犯罪をやらせてから捕まえるのが任務じゃないでしょう。予防というものが先行しなければならないはずですね。そうすれば襲撃するということがわかっていながら火炎瓶づくりを黙認しておるようなことは、まさに泳がせじゃありませんか。そこから何らの教訓も酌み取らない、反省もしないというのであれば、皆さん方が今泳がせるなんてとんでもない話だ、絶滅するために頑張るんだと幾ら言っても私たちは信用できないじゃありませんか。
  226. 大石千八

    大石委員長 三浦君、時間が経過をいたしましたので……。
  227. 柴田善憲

    柴田説明員 間々田警察官は、事件の全貌が当時わかりませんでしたために事件の全貌を掌握し、犯行の直前にこれを一網打尽に検挙すべく情報を収集しておったものでございます。この事件に見られますように、ゲリラ活動を未然に防止するためにはどうしても情報が必要なんでございます。この情報が得られないために有効なゲリラの未然防圧ができないでおるわけでございまして、そういう意味におきましては、間々田君の当時の協力者運営には誤りはなかったと今も信じております。
  228. 三浦久

    三浦(久)委員 だからこれは判決と違うことを言っておるんですね。判決はそんなこと言っていない。  もう時間ですからやめますけれども、私は今回の事件を契機として、警察力を強化しようとか新しい治安立法をつくろうとかそういうような動きが見られるわけでありますけれども本件は単純な——単純ということはないけれども放火事件ですね。刑法と刑事訴訟法で十分に対応できる、取り締まりが可能な事件であります。したがって私は、国民の自由と権利を抑圧するという方向へ処置をすべきではないということを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  229. 大石千八

    大石委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会      ————◇—————