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1984-06-21 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十一日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       大西 正男君    大村 襄治君       小杉  隆君    左藤  恵君       長野 祐也君    平林 鴻三君       古屋  亨君    松田 九郎君       山岡 謙蔵君    五十嵐広三君       井上 一成君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    安田 修三君       山下八洲夫君    岡本 富夫君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員会         委員長)    田川 誠一君  出席政府委員         警察庁長官   三井  脩君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     鈴木 良一君         警察庁交通局長 久本 禮一君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     梅沢 五郎君         法務省入国管理         局警備課長   長山 頼興君         大蔵省主税局税 津野  修君         制第三課長         厚生省環境衛生 瀬田 公和君         局指導課長         通商産業省産業 小川 修司君         政策局商政課長         運輸省自動車局         整備部公害防止 藤野 團治君         課長         郵政省電波監理         局放送部業務課 村瀬 龍児君         長         労働大臣官房参 竹村  毅君         事官         地方行政委員会 島村 幸雄君         調査室長     ————————————— 委員異動 六月二十日  辞任         補欠選任   大西 正男君     稲葉  修君 同日  辞任         補欠選任   稲葉  修君     大西 正男君 同月二十一日  辞任         補欠選任   山岡 謙蔵君     長野 祐也君   五十嵐広三君     井上 一成君   宮崎 角治君     橋本 文彦君 同日  辞任         補欠選任   長野 祐也君     山岡 謙蔵君   井上 一成君     五十嵐広三君   橋本 文彦君     宮崎 角治君 同日  理事西田司君五月十五日委員辞任につき、その  補欠として西田司君が理事に当選した。     ————————————— 五月十五日  重度障害者固定資産税非課税に関する請願  (瓦力紹介)(第五四二一号)  同(野間友一紹介)(第五四二二号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量  制限廃止等に関する請願瓦力紹介)(第五  四二三号)  同(野間友一紹介)(第五四二四号) 同月十六日  重度障害者固定資産税非課税に関する請願  (福岡康夫紹介)(第六二二六号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量  制限廃止等に関する請願福岡康夫紹介)(  第六二二七号) 同月十七日  地方自治擁護に関する請願石田幸四郎紹介  )(第六二七四号) 六月十九日  地方財政拡充等に関する請願梅田勝紹介  )(第六七〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、委員長西田司君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 大石千八

    大石委員長 次に、内閣提出風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
  5. 臼井日出男

    臼井委員 今般上程をされております現行風俗営業等取締法改正について幾つか質問させていただきたいと思います。  現行風俗営業等取締法は、昭和二十三年に主として売春禁止あるいは賭博防止ということを目的としてつくられたわけでありまして、四十七年の改正以来、そのままでもって現在に至っているわけでございます。  近年、性風俗の急激な変化に伴う業態変化は極めて激しいわけでありまして、多くのいわゆるセックス産業がそのまま野放しのままでもって置かれているという状況は、私は極めてゆゆしき事態だというふうに考えているわけであります。特に、最近の青少年の非行というものがここ四年間連続して戦後最悪の増加を記録しているということは、やはりこうした環境の悪化というものが大きな要因の一つとして考えられるというふうに思うわけであります。今回の改正は、そういう意味でまさに必要な改正というふうに私は考えますし、むしろその改正が遅きに失している面もあると私は思うわけであります。  今回の改正で、今述べましたいわゆるセックス産業に、不十分ではありますけれども法の網をかけたことのほかに、例えば法の目的を明確に記載するようにしたこと、あるいは、従来都道府県の条例でもって決めておりまして各県まちまちであったものを、政令でまとめることによって基準を統一したこと、あるいは許可基準を整備することによって、特に暴力団等排除等目的とした人的な欠格事由を設けていただいたこと、あるいは許可手続簡素化によって相続の承認というものが容易になること、あるいは風俗関連業者に対する指示の項目ができたわけでありまして、こうしたことによって直罰によらないでもって早急な改善が行える措置ができたようなこと、あるいは深夜営業については、現行法では極めて現状と不適合な部分があるわけでありまして、むしろ不公平が起きている、そういう点を改善をしていただいたこと、そういう点については、私は今回の法律の極めていい面として評価をしているものでございます。  しかし、今回の改正というものが極めて全面的な改正に近い状態でありまして、この新法に入ってくる業態というものは極めて多くなってきているわけでありまして、業界でも極めて神経質になっている面もありますし、また不明確な部分が多いわけでありますので、そういう点についてお伺いをさせていただきたいと思うわけであります。  最初に、いわゆる「接待」の問題についてお伺いをしていきたいと思うわけであります。  今回の改正法で、風俗営業者を「接待」という概念でもって規定をすることになっているわけでありますが、この「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」という意味が極めて漠然としているわけでございます。改正法案によりますと、従来禁止をされておった旅館、ホテル等における接待行為についても、特定の部分について料理店等営業許可を取得することができるというふうに改められるということになっているわけであります。  具体的にお尋ねをするわけですが、例えばホテル等立食パーティーがあった、ホステス芸者さんがサービスに入ってくる、こういうふうな場合はどのようになるわけですか。また、ホテルの和室でホステス芸者さんがサービスに入る、これはよく会合であるわけですが、こうした場合はどういうふうな取り扱いになるのか。こうした具体的なものの判断基準というものをお示しいただきたいと思います。
  6. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お答えいたします。  ホテル等ホステス等が入りましてやる場合はどうかということでございますけれども、これはそういうホステス等がどういうことをやるかということに係るわけでございまして、そこに入りましたホステスあるいは芸者さん等が「接待」に当たるような行為をする場合には、それは風俗営業対象になるわけでございますが、そうでなくて、ただ給仕行為をするというようなものであれば、これは当然のことながら「接待」ではございませんので風俗営業対象にならない、こういう形になるわけでございます。
  7. 臼井日出男

    臼井委員 そういうことになりますと、その行為によるということで、その場その場でもって判断が違ってくるということになるわけでございます。  この「接待」であるかどうかを判断する、これは現場警察官になるのですか。その現場警察官がその都度判断をするのでしょうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  8. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 一言お断りいたしますけれども、実は、「接待」というのは従来からある概念でございまして、判例でも確立をしておるわけでございます。その考え方を今回法律でもって明定したというものでございます。したがいまして、この「接待」というものを従来からの考え方を変えるということは一切いたしておりません。  今お尋ねの、だれが判断するのかということでございますけれども、これは当然のことながら営業者の方からいろいろ事情を聴取する、これは聞きますのは警察署保安係等になろうかと思います。そういう者がいろいろ事情を聞きまして、そうして必要があれば現場へ行って調査をするというような形のことをやりまして、そういうものを積み上げた後、これが当たるかどうかというのを警察署の幹部が判断をするという形で現在行っておるわけでございますが、さらに今後もそういう形を徹底してまいりたい、かように考えております。
  9. 臼井日出男

    臼井委員 「接待」等の判断現場警察官判断によるわけでありまして、そういうことはないと思うわけでありますけれども、警察官の恣意的な判断によって左右されるようなことがあってはならない。例えば弘め住んでいる千葉県とお隣の東京都で「接待」等の判断について見解が異なるということが万が一にもあっては困るわけであります。  そういうことになりますと、この「接待」について基本的な基準というものがはっきりと決められて、明記をされて、しかもそれが現場にしっかりと通達をされなければならないだろう。この点についてどのようにされるのか、お伺いしたいと思います。
  10. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、決して現場の恣意的な判断になってはならないと考えます。そういうことで、そういう基準なり何なりというものをきちっと通達あるいは執務資料等で一斉に徹底をしてまいりたい、かように考えております。
  11. 臼井日出男

    臼井委員 ぜひとも不公平のないような現場指導お願いをしたいと思っております。  次に、立入検査についてお伺いしたいわけです。  改正案の三十七条で「立入検査等」について定めているわけでございます。これは、現法の第六条の「立入」というものをより明確に規定をしたというふうに考えられるわけでありますけれども、この改正法案条文によりますと、警察官現場に立ち入って、営業中であっても客のいる現場資料を調べたり、あるいは従業員に質問できることになっておりまして、これが状況によっては営業妨害になったり、あるいは職権乱用が行われるというふうなおそれもあるように考えますが、いかがでしょうか。
  12. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入りにつきましては、当然のことながら風営法目的を達成するために必要な行政監督上の手段でございますけれども、受ける側にとりましては、実際上その自由に対する制約になるということもございます。  そういうことで慎重な運用をしなければならないと考えておるわけでございまして、営業にできるだけ支障が出ないように配慮をしてまいりたい。また、立ち入らなくても済むような、例えば報告を聴取する、あるいは資料提出で済むというような場合には、そういうものによってできる限りかえてまいりたい、かように考えております。
  13. 臼井日出男

    臼井委員 この立ち入りについては、従来から行っていたわけでありますから特に新しい変更はないと思うわけでありますが、より具体的に記載をされているわけでありますので、ぜひともそういう点を注意をしながらやっていただきたいと思います。  第三十七条の二項で、警官が「その身分を示す証明書」を提示するというふうなことになっているわけでありますが、この「身分を示す証明書」というのは具体的に何を指すわけでしょうか。警察手帳を指すわけですか。
  14. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今後の検討でもございますけれども、警察手帳ということもございますでしょうし、あるいはそれぞれの府県で発行しております身分証明書による場合もあろうと思います。一応警察職員もおるものでございますから、そういう者にはそういうふうな身分証明書でやるということになろうか、かように考えております。
  15. 臼井日出男

    臼井委員 立ち入りを受ける側としましては、その格好を見ただけでは職分がはっきりしないわけでございまして、立入検査の際には、ちょうど犯罪捜査の場合は令状があるわけでありますし、保健等検査の場合も保健職員身分を証明する書類を発行しているわけでありますので、ぜひともこの点について、単に警察手帳ということではなくて、立入検査を受ける者に明確にその警察官がその業務に従事をしているということがわかるような何らかの証明書をお考えをいただきたいというふうに考えているわけであります。  この立ち入りの際に、営業者立入検査を拒否し、また改めて検査お願いをするというふうな権限があるのでしょうか。
  16. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立入検査につきましては、それを拒否するということができるということになりますと、実際上なかなか実効が上がらないという問題がございます。どの法律でもそうでございますけれども、改正法案でも四十九条六項第六号で、「立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」はやはり罰則の対象になるということでございまして、この点は拒否できないことであろう、かように考えております。
  17. 臼井日出男

    臼井委員 私は、ぜひとも現場において、やはりお客さん商売でありますから、法律はそう定められておっても、多少の幅を持って柔軟な対処をお願いしたいと思うわけであります。私は、この立入検査というのは法が公正に執行されるために必要であるというふうに考えているわけでありますので、ぜひともそういう点を御理解の上、ひとつよろしくお願いいたしたいというふうに思っております。  興行場法のことについてお伺いをしたいわけでありますけれども、今回の改正案ではいわゆる成人映画対象外とするという方針でありますが、そのとおりでしょうか。また、このことは具体的には、ちょっと言い回しがややこしいのでよく聞いていただきたいのですが、規制対象となるのは、第二条四項の二号で言う「善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるもの」というふうになっているわけですが、この政令成人映画を指定しない、したがって映画興行については改正案規制対象からすべて外れるというふうに理解をいたしますが、それでよろしいでしょうか。
  18. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 御指摘のとおりでございまして、今先生がお話しのありました条文対象としないということでございます。  理由でございますけれども、映画関係団体が非常に自主規制を徹底されておる、また映倫の審査も受け、今後さらに厳しくやっていこうというふうにされておる、映画団体組織率が非常に高いというようなことで自主規制も十分守られる、また大部分の県では青少年育成条例有害興行年少者への観覧制限が行われておるということもございます。そういうふうなもろもろの条件を考えまして、自主規制というものが続けられるのであれば、警察としても業界十分連絡をとりながら問題を生じないようにすることができるということで外したものでございます。
  19. 臼井日出男

    臼井委員 今お話しのとおり、映画興行界については自主規制によって一般の条例以上の厳しい規制をしているので、ぜひともこのまま対象外としていただきたいと思いますし、また、変更のある際にはぜひとも業界の方とよくお話し合いの上、改正等も考えていただきたいというふうに考えるわけであります。  次に、ゲームセンターに関連してお伺いしたいわけですが、改正法では新たにゲームセンター風俗営業対象に加えているわけであります。この中で、いろいろゲームの機種はあるわけでありますけれども、スロットマシン、これなどは全く偶然性に頼る賭博機であると私は考えております。青少年はこうしたゲーム機械で遊んではならないと考えておりますけれども、いかがでしょうか。  そして、この改正法では十八条、二十二条の条文を見ますと、青少年は午後十時までは立ち入っていいというふうに解釈されるわけであります。私は、青少年が、十八歳未満人たちが日が暮れて夜十時まで遊んでいいんだということを法律で決めるということはどうかというふうに考えておるわけです。むしろ、十八歳未満については、こうした賭博機があるところへは立入禁止であってもいいのじゃないだろうかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  20. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 スロットマシンでございますけれども、確かに外国では賭博機として扱っておるという例が非常に多うございます。ただ、スロットマシンというものそのものが賭博ということではないわけでございまして、やはり使い方になるわけでございます。それが例えば現金あるいは賞品に絡むというようなことになりますと賭博性が非常に強くなるということでございまして、そうでなくて、現在日本で行っておりますのは、そういうふうな現金だとか賞品だとかいうのがつかないで、ただそこで機械で遊ぶということでございまして、これ自体をもって賭博性があるというふうに考えるものではないと考えておるわけでございます。  それから、時間の関係でございますけれども、確かに子供はもう少し早い方がいいのかもしれません。午後十時という問題ももう少し早くするということもあり得るのかもしれませんが、現在は何せ野放しであるわけでございまして、少なくともやはり午後十時以降は立ち入りをしないという最低限度規制をしていこうという角度から規制を加えたものでございます。
  21. 臼井日出男

    臼井委員 この青少年問題についてはいろいろな面からみんなで考える必要があると思うわけでありまして、したがって、法律でこういうふうに規制されたからそれでいいのだということでなくて、ぜひとも文部省や総理府等と連携をとって、特に青少年に害を及ぼさないような配慮をお考えいただきたいと考えます。  テレビゲームというものが今非常にはやっているわけですけれども、これはかなり技術性の高い健全なものもありますし、あるいはさいころとか花札等テレビ化したというふうな偶然性の強い、賭博性の強いものまであるわけでありまして、非常に広範囲にわたっております。今はニューメディア時代と言われて、こうしたいろいろな機械というものがこれから出てくるわけでありますし、また、こうしたテレビを使ったものがいろいろな面で利用される可能性が強いわけであります。  風営法ではその健全なものと賭博性の強いもの、いいもの、悪いものといいますか、はっきり区別をしていただいて、その悪いものについてはしっかりと規制をしていく、そうではなくて健全性の高いものについては自由に営業ができるというやり方が好ましいと思うわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  22. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この遊技機を健全なものと不健全なものに分けるということがなかなか難しいということでございまして、いろいろなゲーム機がありますし、いろいろな名称で用いられておる。そのゲーム内容等でこれを分類するということがなかなかできないわけでございまして、これを認めますと、やはりそれを悪用して転用される危険性というものが大変高くなるわけでございまして、現にいろいろなテレビゲーム機で、なるほど技術性も高いしそれなりに効果があるということは私どもも認めておりますけれども、そういう機械が、例えばその結果が定量的にあらわれていくあるいは勝敗が決せられるというようなもので、それを利用して賭博が行われているという例もかなりあるわけでございます。  そういうこともございますし、それからもう一つは、現在何せ技術時代でございますから、ソフトウエアを簡単に取りかえることができるということでございまして、そういうことで、ゲーム内容等でこれを健全と非健全に分けて特定していくということは、逆に、脱法行為なりそういうふうな賭博類似のことを抑えようという法の本来の目的を逸脱することになるのではなかろうかと考えております。
  23. 臼井日出男

    臼井委員 今回の改正では、ホテルのロビーあるいはショッピングセンター、あるいはスーパー等コーナーなどで、区画をされない施設によるものについては規制から外すということになっているわけでありますけれども、私の友人の補導員から聞きますと、閉鎖されたところにはなかなか青少年は入っていけないけれども、むしろスーパーとかそういうところでありますと、下校の際にふらっとかばんを提げたまま立ち寄って遊んでいるというふうなことも間々見受けられるということを言っているわけでありまして、むしろ私はこうした開放されたコーナーについても何らかの配慮が必要ではないかと考えているわけですが、こういう点についてはどう対処されるのでしょうか。
  24. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この法の目的を達するためには、やはり賭博の問題、少年のたまり場の問題ということからいくわけでございますので、どうしても閉鎖された部分において行われやすいということは間違いのない事実だと思います。お話しのようなこともあろうかと思いますけれども、現実にあります事態は、やはり閉鎖されたところでそういうふうな問題が起きておるという実態でございます。  したがいまして、当面そういうようなところを対象必要最少限規制をしていくということにいたしたものでございまして、今お話しのように、開放されたところのものについては今後の問題として検討してまいりたい、かように考えております。
  25. 臼井日出男

    臼井委員 ぜひともそういう点についても各関連省庁連絡をとって、はっきりと手を打っていただきたいと思います。  次に、現行法の三条では営業所構造設備についての規制があったわけでありますが、これが改正案では削除されているわけであります。このことはいわゆる施設の併用が認められるようになったと解釈してよろしいのでしょうか。例えばサウナ等で今まで客寄せのためにマージャン機等を置いておったというふうなことがあったわけでありますが、正式には置くことができなかった。そういうところでマージャンお客にさせる場合、営業性が認められるものについては許可対象になるのだと解釈してよろしいわけでしょうか。
  26. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お説のとおりでございます。営業性が認められるものについては許可を取っていただくという形にしたいと思います。
  27. 臼井日出男

    臼井委員 この営業性というのは、端的に言ってどういうふうに解釈したらよろしいのでしょうか。
  28. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 営業と申しますのは、一応いわゆる財産上の利益を得る目的で同種の行為を反復継続して行うこと、これが営業というふうに言われておりまして、営業を営むということはやはりそういう目的が必要であるということでございます。
  29. 臼井日出男

    臼井委員 一番端的に言えば、お金を取ることが営業性があるということだと思いますが、そのほかに、例えば、お金は取らなくても、そのことによって営業にプラスをするというふうな場合も含まれると解釈してよろしいでしょうか。
  30. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 やはり全体として評価をしなければいかぬと思いますので、今のお話のような点も考慮していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  31. 臼井日出男

    臼井委員 改正案の三条三項でパチンコ、マージャン業に限って一年ごとの許可更新手続をしなければならないとなっております。これは、どうしてこの業種だけこうしなければいけないのでしょうか。原案に他の業種についても五年ごとの更新というのが一時あったわけでありますが、それが今回消えております。私は、この際、こうした業種についても二年あるいは三年というふうに更新期間を延長するとか、あるいは思い切って他の業種同様に許可更新を廃止してもいいのではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  32. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今回の改正ではパチンコ、マージャンに関する七号営業に関しまして、許可更新の関係は一切変更しないで現行のままにいくことにしたわけでございます。更新期間の問題につきましては、既に五十七年の改正で六カ月から一年に延長したということもございますので、そういうことで、特段の事情が認められないということで現行の形にしたわけでございますが、今後さらに検討してまいりたいと思っております。
  33. 臼井日出男

    臼井委員 後で質問いたしますけれども、今度新たに関連営業というものが入ってきたわけであります。こうした業種の方がむしろ問題が多いし、こういう業種についても、パチンコ、マージャンというものにこうしたものを加えるのであれば、当然あってもいいんじゃないかと考えているわけでありまして、ぜひとも今後この点について御検討をお願いいたしたいと思います。  今申し上げましたように、風俗関連営業が今度規制対象として加えられたわけでございます。先ほど私は、今回の改正許可基準の中に人的欠格事由が入ってきた、これによって営業に適さない人たちが排除されるということになるわけでありまして、これは結構なことであるというふうに申し上げたわけでございます。今回、風俗関連営業許可営業としないで単に届け出営業にした理由は何でしょうか。
  34. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗関連営業というのはいわゆる性を売り物にした営業でございまして、これは公に許可をして認知をするという性格のものではないというふうに考えておるわけでございます。そうして、この性を売り物にする営業は、行為そのものが一定の幅のものに限定をされざるを得ないということでございまして、営業を営む人的な事由によってその内容が左右されることは比較的少ないというふうに考えられるわけでございまして、欠格事由を設けてそれによって営業の健全化を図るとか業務の適正化をやっていくというものにちょっとなじまないということでございます。そうでなくて、むしろ我々の方は、必要な規制を行いまして、それに違反をすれば厳正な措置をとっていくという方が望ましいのではないかという形で臨むことにしたものでございます。
  35. 臼井日出男

    臼井委員 今回、今お話をした人的欠格事由というものが、風俗関連営業には規制の項目がないわけであります。現実に見ますと、社会的に青少年の健全育成とか善良の風俗というものを考えますと、むしろ関連営業の方に人的欠格事由の項目があっていいのじゃないだろうか。これは単に届け出制であるからというふうなことであるかもしれませんが、どうしてこの関連営業については人的欠格事由が項目として入ってこなかったのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  36. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 ただいまの関係を繰り返すようになるわけでございますけれども、本来、許可といいますのは、今申しましたように、許可と届け出の差がどこにあるかといいますと、具体的には人的欠格事由に係るということになるわけでございまして、人的欠格事由を見るということはその営業の健全化を図るというようなことを考えることになるという関係がございますので、そういうことで見ないことにした。我々としては実態を把握するために届け出てもらうという意味しか今回の場合はないのでございます。  それで届け出をしてもらいまして、必要な、先ほど言いましたような厳しい規制をすることによりまして、違反があれば厳正に対処するということの方が効果が上がるのではないかと考えたことに基づくものでございます。
  37. 臼井日出男

    臼井委員 この風俗関連営業というのは正式に認知をして奨励をすべき業種ではないという御趣旨でありますけれども、実際、現に営業しているわけでありまして、特に社会に対して大きな影響を与えているのは現実でありますので、こういう点についてもぜひとも将来前向きに御検討いただきたいと思います。  今回の法改正で、従来のモーテルと同様に、専ら異性を同伴する客の宿泊、休憩の用に供する施設、いわゆる疑似モーテルとかラブホテルを指すと思うわけでありますけれども、これも風俗関連営業として対象とすることになっております。この点で、一般の健全な旅館、ホテルや、あるいは家族向きのペンションとかモーテル、こういうものと一体どの点で区別されるのかということを業界の方は非常に気にしているわけであります。これは当然のことですが、具体的には、専ら異性を同伴する客の宿泊、休憩の用に供する施設と一般のものとどういう点で分けていくわけでしょうか。  例えば、どこに行ってもフロントというものがありますが、こういうものが要件の中に入ってくるのか、あるいは食堂の広さが問題になるのか、あるいはいわゆる同伴専用ルームの問題もあろうかと思いますが、例えば一部屋あってもだめという場合もあるかと思いますし、総体の部屋の率でこの程度以上あってはいかぬという場合も考えられると思うわけであります。そういう点についてどのように判断をされますか、お伺いをしたいと思います。
  38. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 問題のモーテルなりあるいはラブホテルなりというものを対象にしながら、しかも逆に一般旅館は絶対に入らないようにするということをやっていかなければならないと私どもも考えておるわけでございまして、現実にはこの法律の中における政令の書き方の問題になろうかと思います。  そこで、一体どういう施設なり構造、設備をとらえていくのかということになるわけでありますが、今申しましたような一般旅館、ホテル等対象にならないように配慮するという建前でいろいろ検討を進めておるわけでございます。  例えば、施設政令といたしましては、次のいずれかに当たるようなものを考えたい。例えば一定の規模以上の食堂だとかあるいは調理場を持っていないとか、あるいは広さも一般のホテルの食堂等の広さの水準を考慮して決めていきたい。それからフロント等を経由せずに客が部屋に入れるというようなもの、あるいは構造の方の政令といたしましては、モーテルの方も考えていかなければいかぬわけでありますが、自動車の車庫が個室につながっている、これは現在でもそういう形でございますが、現在は「個個に接続」というふうに限定をしておるものですからやや狭いわけでございますが、これは「個室に接続していること」で足りるのではないかと思っております。  あるいは設備の方の政令といたしましては、振動ベッドあるいは回転ベッドというような特殊の構造のベッドがあるとか、あるいは客室内の浴室の内部が当該浴室の外から見えるものであるとか、あるいは就寝する姿を映す鏡、これも非常に大きな鏡が天井なりベッドに張りついておるとか、あるいは大人のおもちゃとかビデオカメラ等が客室に備えつけてあるとか、そういう施設なり設備なりというものを考えながら、一般旅館が入らないような基準を設けてまいりたい、かように考えております。
  39. 臼井日出男

    臼井委員 こうしたものについては政令で定めるということになっているわけでありますが、この法案が提出をされるようになってからかなり時間もたっておりますし、この法案が成立しますと六カ月以内に施行されるというふうなことにもなっておりますので、もうそろそろ具体的な基準というものが明らかになっていてもいいのではないかなと私は思うわけであります。  食堂等が広くて全く問題にならないような旅館であれば心配する人は少ないわけで、その中間にある旅館というのも結構あるのではないか。したがって、この政令については、ぜひとも食堂等の広さについては明確な規定というものを早くお決めをいただきたいと思います。例えば、総収容数の何割程度の席がなければいかぬとか、広さがどのくらいとか、そういうふうに具体的に決めないと、現場としても非常に神経質になっている面があると思いますので、ぜひともこの点についても早くお決めをいただきたいと思います。  それから、先ほど専用ルームについてお尋ねいたしましたけれども、一室あってもだめなんでしょうか、それともある程度の率までは許されるのでしょうか。
  40. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 非常に規模の大きいところにつきましては、そういうふうに一室あっても別にどうということはないと思いますけれども、非常に規模の小さいところになりますと問題がある形ではないかと考えております。
  41. 臼井日出男

    臼井委員 こうした問題についても、これから審議が続きますが、できるだけ早く明確なものをお示しをいただきたいというふうに思っております。  風俗環境浄化協会の件についてお伺いしたいと思うわけでありますが、この浄化協会というものは新たにつくるものではなくて、従来ある防犯協会、これは二枚看板でもってやろうというふうなことだとお伺いをしておりますが、その解釈でよろしいでしょうか。
  42. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 都道府県の浄化協会は都道府県の公安委員会が指定することになっておりますけれども、私どもとしては、現にあります防犯協会等を中心に指定をしてまいりたい、かように考えております。
  43. 臼井日出男

    臼井委員 この浄化協会に関連をしてお伺いをしたいわけでございますけれども、改正法の第三十九条二項五号及び六号によりますと、都道府県風俗環境浄化協会は、公安委員会の委託を受けて風俗営業営業所調査をすることになっているわけでありますけれども、これは従来から行政書士法により行政書士が行っておる職務ではないかと私は考えるわけでございます。最近貸金業協会で、貸金業者の登録申請を代行しているとかという話も聞いております。このように法律に基づく業者、団体業務が行政書士の職務と競合するというケースもかなり多くなってきているように思われるわけであります。  この浄化協会が報酬を得ないでも公安委員会提出する書類の作成事務を行ったり、あるいは書類の提出手続を業者にかわって行うということがないように指導できないでしょうか。
  44. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 浄化協会は、環境浄化活動の中核として活動をしてもらうということを予定しておりますので、御指摘のようなことは私どもとしては予定をしてないところでございます。  しかし、その点につきましては、法律に反するということではございませんので、今後もしそういうようなことがあれば、行政書士ともつ一つは利便を感ずる営業者とのそれぞれの立場を踏まえまして適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  45. 臼井日出男

    臼井委員 現状を見ますと、行政機関と隣り合わせで行政書士の事務所があるために、その行政書士が事実上その行政機関に関する行政書士の職務を独占しているというケースもあるように聞いております。そこで、浄化協会の事務所が置かれている建物または土地が警察の管理するものである場合には、公正を期するために、その建物または土地に行政書士の事務所を設けさせないようにすべきだと考えますが、どうでしょうか。
  46. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お話しの点につきましては、風俗営業者等、住民の側の利便も考えなければならないと思いますけれども、今後そういうふうな行政書士とそれから風俗営業者とのそれぞれの立場を踏まえまして、適切かつ公平に対処をしてまいりたいと思います。
  47. 臼井日出男

    臼井委員 行政書士の皆さんは、今回の浄化協会の業務がどうなるか、それによって自分たちの職務が奪われることがないかどうかということについて非常な関心を持っているわけでありますけれども、浄化協会の必要性はもちろん私は否定できませんけれども、警察庁には、浄化協会及び浄化協会に勤務する者が風営法の運用に関し行政書士法に違反することのないように、適切な指導を行ってもらいたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
  48. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 法を執行する機関の当然の責務といたしまして、先生が今御指摘になりましたようなことのないように適切な指導を行ってまいりたい、かように考えております。
  49. 臼井日出男

    臼井委員 ぜひともこういう点については、今後何か問題が起きましたら行政書士会の方と緊密に連絡をとって善処をしていただきたいというふうに考えております。  もう時間がございませんので、以上、私は今回の改正法案についていろいろな点について触れさせていただいたわけでございますが、法の施行に当たって一番大切なことというのは、何よりも公正にその法が施行されるというふうなことであると考えるわけであります。最後に、警察庁長官にこれからの法の施行に当たっての御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  50. 三井脩

    ○三井政府委員 今回の改正は、現下の社会情勢にかんがみてこのような改正を行いたい、こういう趣旨でございます。同時にまた、そのことはいろいろの営業者関係者にも影響するところが大きいわけでございますので、この運用に当たりましては、十分警察官に徹底をして誤りなきを期していきたいと考える次第でございます。
  51. 大石千八

  52. 長野祐也

    長野委員 近年における非行青少年の推移の傾向とその内容の凶悪化、あるいは性非行の増大及びいわゆるセックス産業の目に余る行き過ぎなどに対する何らかの法的規制の強化につきましては、その必要性を認めるものでございます。  この種の規制立法の問題点は、この規制措置を行うことによって、規制以前に存在をした状態がどのくらい改善をされて、社会が安全になり、かつ健康的になり道徳的になるか、つまり効用の問題と、一方、新しい規制措置によって影響ないし犠牲を受ける側、すなわちこの規制により規制以前に存在をした権利、自由がどのくらい制約を受け、これに関連する善良な利用者あるいは営業者に犠牲ないし損失を生ずるかという問題点を考えなければならないと思うのであります。  私は、この二つの争点のうち、後者の立場に立ちまして御質問申し上げたいと思うのです。  申すまでもなく、より少ない犠牲で、法の目的内で効用を達成できる規制であることが最も望ましいわけであります。特にこの改正案で影響が大きいことが予想されます飲食業については、ごく一部の悪質者のために、まじめに額に汗して働く善良で健全な多くの飲食業営業者の生業にまで犠牲を強いたり、国民生活の多様化に伴う活動時間の広がりに対しまして利用者に不便を生ずることのないように、慎重かつ十分に配慮する必要があると思います。  飲食業界の特質といたしまして、母子世帯の母親あるいは未亡人など女性経営者でありますことや、家族経営等、社会的弱者が御案内のとおり多いわけであります。このことは、たとえ警察側にとっては何でもないことでありましても、お目こぼしにあずかるために長い物には巻かれろというような卑屈な気持ちになりやすいということを第一線まで徹底をして、かりそめにもこの改正が非行警察官の温床になるようなことの絶対ないように、運用について、業界側にもわかりやすい、かつ明確な基準を可能な限り策定をして、そのあいまいさが残ることによって起こる不信や不安を取り除く最善の努力をしていただきたいということを最初に強く望むものであります。  こういう観点から、幾つかの事例についてお尋ねを申し上げたいと思います。  まず第一点は、今回の法改正において、先ほど申し上げましたように、まじめに営業を行っている飲食店営業者等が新たに多大な規制を受けて、仮にもそのことによって今でさえ苦しい営業がさらに苦しくなる、そういうことがあってはゆゆしいことであると思います。この点について、まず警察庁長官から、今回の法改正がまじめな零細業者に対して十分な配慮を行って改正案をおまとめになったかどうかという点と、この零細業者の経営に対して法改正がどういうような影響を与えるというふうにお考えになっておられるか、その基本的な御認識を伺いたいと思います。
  53. 三井脩

    ○三井政府委員 今回の改正は、一つは、現下の少年非行問題、これの原因といいますか悪化の条件の一つに、社会環境少年を取り巻く有害環境というのが大きな影響を与えておるわけでありまして、これはまた、いわば大人の責任でありまして、大人がいろいろな状況をつくり出しておるために悪い影響を与えておる、これを何とかその環境を浄化していこうといいますか、これを整えていこうというのが一点でございます。  もう一つは、この法律ができましてから相当の期間がたちましたし、またその間に、ただいまの点も含めまして社会情勢が大変変化いたしました。これにマッチするという観点からいいますといろいろ問題点もございますので、これに対して的確に適合したように既存のものについても手を加えていこう、大きく言えばこういうような観点があるわけでございます。  その中で、今御指摘のように、特に現在まじめに風俗営業等をやっておって問題のないところ、これに無用の負担をかけるということはあってはならない、むしろそういう点については負担を軽減するというくらいの考え方でいろいろ改正を検討していこう、こういうことでやったわけでございまして、そういうような点もこの中にいろいろとあらわれておるわけでございますが、基本的な姿勢としてはそういうことで検討を加えたわけでございます。
  54. 長野祐也

    長野委員 ただいま、まじめに営業をしている問題のないところに無用な負担をかけることがあってはならないという、大変心強い御答弁を伺いまして、関係者はまことに心強いことと思います。  そこで、今回の改正案を見てみますと、先ほど臼井議員の御指摘がありましたように、「接待」の定義というものがはっきりいたしておりません。  そこで、この「接待」を行うか否かということが、飲食店にとっては風俗営業許可を受けなければならないのか受けなくてもいいのかという境目になるわけでありますので、法案では、「接待」というのは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」というふうに定義をされておりますが、具体的にどういうケースがそういう場合に該当し、どういう場合が該当しないのか、具体的な例を二、三挙げていただきたいと思います。
  55. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 まず、「接待」に含まれるものといたしましては、例えば客とともに歌や踊りに興ずるような行為、あるいは客の傍らにありまして酒類の酌をしたりあるいは談笑の話し相手になるというような行為、あるいは積極的に客に歌うことを取り持ちをしたり褒めそやす行為、そういうふうな、その場の雰囲気を盛り上げる行為があるということが当たるというふうに考えておるわけでございます。  これに対しまして、「接待」に当たらないといいますのは、例えばウエートレス等が客の注文した酒食を客席に運搬する行為、これは単なる給仕行為でございます。そのときにたまたま、客席にはべるのではなくてコップに酒やビールをついでいく行為というのは、これは給仕行為でございまして、「接待」に当たらないというふうに考えております。それからまた、先ほどのように話し相手になるということでございますけれども、これも、単なる社会儀礼的なあいさつを交わす程度では、ならないということでございます。また、いろいろショー等を見せるという行為でございますけれども、これも、客を特定しないでショーを見せるという行為は「接待」には当たらないということでございます。
  56. 長野祐也

    長野委員 今、「接待」に当たる例と当たらない例を具体的にお示しいただいたのですが、そういう例があることはわかるのです。  その個別の判断というのはやはり現場警察官が行われると思うのですが、そういう現場警察官に具体的にどのように徹底をされるのか。ともかく、現場警察官の気分によって運用されていきますと、これは業界の側に立ってみると安心して仕事ができないわけでありまして、そういう基準を具体的にどういうふうに運用されていくのか、お示しいただきたいと思います。
  57. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおり、こういう基準がはっきりしない、現場警察官判断に任せられるということではいけないわけでございまして、私どもも、先ほど申しましたようなことを具体的に内部的にも十分統一して徹底をしてまいりたい。徹底する方策はいろいろあろうと思いますけれども、通達なりあるいは執務資料なりということによりまして現場に具体的に指示をしてまいりたい。また、現実に現場で当たる警察官にいたしましても、できる限りといいますか、まず、専務の防犯、保安係の警察官等が業者からよく聞きまして、必要があれば現場調査もする、そうしてそういうものをもとにいたしまして幹部の判断をとりまして、そうしてそういうふうな区々にならないように努めてまいりたい、かように考えております。
  58. 長野祐也

    長野委員 そういうことにならないように内部的に統一をして執務資料であるとか通達を出すという答えなんですが、私がもっと伺いたいのは、そういう通達だとか執務資料等を細かく決めましても、末端で恣意的な運用が行われるという可能性がやはりあると私は思うのですね。そこで、警察官の一方的な判断だけでなくて、客観的にだれが見てもこれは風俗営業だ、これは違うというその基準というのが必要になってくると私は思うので、ひとつ御提案を申し上げたいのです。  委員長にお許しをいただきたいのですが、資料をちょっと配らしていただきたいと思います。よろしいですか。
  59. 大石千八

    大石委員長 はい、どうぞ。
  60. 長野祐也

    長野委員 今からお配りする資料は、料理飲食等消費税についての免税適用店がそうでないかという認定の基準資料でございます。実は、客観的に風俗営業風俗営業でないかという基準を示すために、私が御提案申し上げたいのは、お手元にあるような、これら秋田県の資料だと思うのですが、「料理飲食等消費税業種認定指導基準」というものをつくっておりまして、御案内のとおり現在一人一回二千五百円までは飲食については免税になっておるわけでありますけれども、地方税法の規定では、遊興を伴う飲食については免税点の適用がないわけです。  そこで、この場合との店が適用店がそうでないかということは大変大きな問題になってきますので、この資料にありますように、秋田県等で、接客者の接客の状況、あるいはテーブルのセット数に対する接客者の割合、ボックス、あるいは音楽、演奏、料金、こういうような各種の項目に点数をつけまして、これが例えば百点あるいは百二十点以上は免税点の適用がない、それ以下であれば免税点を適用するというような方法をとっているわけであります。  この方式ですと、営業者の方もあるいは利用される方も、警察の客観的な基準がわかって、警察官の今の法運用よりも明確にされて、現場のトラブルが減ってくるのではないかと私は考えるのですが、こういう方式も一つの方法として、実際に今から法律を運用する際に御検討をいただけないかどうか。また、この方式は届け出を要する深夜飲食店についても同じように行えるのではないかと思うのですが、御検討していただけるかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  61. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほど申しましたように、「接待」という行為は必ずしもここにありますようないろいろな状況と密接に結びつくものではないかとも思いますけれども、確かにお話しのとおりいろいろ参考になる点もございますので、先生の御趣旨を十分踏まえまして検討していくことにいたしたいと思います。
  62. 長野祐也

    長野委員 御検討していただけるということで、ぜひ御検討いただきたい。業界にも警察側にも共通の理解といいますかが得られて、先ほど申し上げたような現場のトラブルがないような運用をしていただくために、ぜひ前向きに御検討していただきたいと思います。  次に、旅館の関係伺いたいと思うのですが、今回の改正ゲームセンター風俗営業許可対象になるということが大きな問題であるわけであります。現在、大抵の旅館では旅館の中にゲームコーナーを設けておりますけれども、これについても風俗営業許可を取らなければならないのかどうか。旅館のゲームコーナーというものは主として宿泊客のものでありますから、法の趣旨から見て青少年の非行とは直接かかわることが少ないのではないかと私は解釈するわけであります。例えばロビーの傍らに置いてあるとか、あるいは密室性ではなくてガラス窓がついていて外からのぞけるとか、そういうようなもの等については許可を必要としないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  63. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 旅館内におけるゲーム機の設置の仕方につきましては、いろいろな形態があると思います。それを見なければいかぬと思いますけれども、今先生が例に挙げられましたようなロビーであるとか、あるいは密室でない、例えばガラス張りのところでやるとかというようなものにつきましては、そういう賭博になる弊害性、危険性が少ないと私どもは考えますので、こういうものは対象としないというふうに考えておるところでございます。
  64. 長野祐也

    長野委員 次に、営業者に対する規制の問題を御質問したいと思うのです。  今回の改正では、風俗営業あるいは関連営業、深夜飲食店を問わず、従業者名簿を整備しなければならないとされております。ところで、この従業員について十八歳未満の者を使ってはならないというふうになっておるわけでありますが、深夜飲食店などの場合に、本人の申し出によって営業者の方はこの人は十八歳以上だというふうに思っていたけれども、実際はそうでなかったというようなことが後でわかった場合のその営業者の責任というのはどういうふうになるのでしょうか。それから、厄介なのはお客さんで、常識的にはある程度年齢はわかるでしょうが、最近の体位の向上なんかを見ますと、一々お客さんにあなたは十八歳ですか、そうじゃないですかというようなことを聞くことは実態的にはできないと思うのですが、その辺の店の責任というようなものはどうなるのでしょうか。
  65. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 従業者の年齢確認につきましては、現行法でも同様の規定がございます。したがいまして、改正法案でもその解釈に変更を加えるものではございません。改正法案の四十九条四項は現行法に従って書いておるわけでございますが、確認の方法は、一般に例えば運転免許証であるとか学生証等で確認をする、人の年齢を知るために通常とり得る手段をとった、しかし従業員の年齢が十八歳未満であるということが判明しなかったというようなものまで処罰するというものではないと解されておりまして、私どももそういうふうな解釈に従って今後も運用してまいりたい、かように考えております。  それから、客の場合でございますけれども、これにつきましても現行法と全く同じでございます。客の関係につきましては法案の四十九条四項のような年齢確認の義務が設けられておりませんので、この規定の違反が成立いたしますのは、通常の故意犯と同様に、当該立ち入ろうとしている者が十八歳未満であることを営業者が認識していることが必要となるわけでございまして、具体的に申しますと、小中学生の場合なんかは通常十八歳未満であることが明らかでございましょうけれども、十八歳未満がどうかよくわからないという場合であっても、例えば制服を着ているとか、あるいは顔見知りであるとか、その他合理的な注意を払えば十八歳未満であるという疑いが生ずる場合、そういう場合には営業者の責任が出てまいりますけれども、そうでない場合には出てこない。  ただ、十八歳未満でないかどうかという疑いがあった場合にどうするかということですが、あなたは十八歳未満ですかどうですかということを問いただす程度の措置を講じていただければ足り得るということであるというふうに現行法も解釈されておりまして、今後もそういう形で運用してまいりたい、こう思います。
  66. 長野祐也

    長野委員 警察職員立入検査についてお尋ねをしたいのですが、立ち入りについては、旅館については現に客のいる客室には立ち入らないとか、あるいは深夜飲食店についても深夜にしか立ち入らないこととしている点は評価ができるわけでありますが、個室のない営業所の場合に、客席に警察職員がしばしば立ち入るということになりますと、どうしてもお客さんの方が落ちつかなくなりますし、結果的には営業に支障が出てくることになると思うのです。この法律立ち入りの趣旨はそういうことを目的にしているものではないと思うのです。先ほどの臼井議員の御質問に対して、慎重にという答弁もあったわけでありますが、関係者にとっての重大な関心事でありますので、もう一回この点について、なるべくお客さんの目の前で行うことのないような配慮をすべきだと思いますが、この点について再度お尋ねをいたしたいと思います。
  67. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおり、やはり立ち入りというものは慎重に運用しなければならないということでございまして、営業に支障ができるだけ少なくて済むような方法をとってまいりたい、かように考えております。
  68. 長野祐也

    長野委員 今回の法改正によりまして風俗営業許可について許可基準が定められております。この許可基準営業所の構造または設備が適合しないときは許可をしないとされておるわけでありますが、この基準国家公安委員会規則で定めることになっているわけであります。  風俗の観点からの規制を行う法律において、どのような観点からこの構造、設備について規制基準を設けるのか、この規制は料理店、社交業におきましては食品衛生法等による規制もかかっているわけでありまして、他の規制法とのすり合わせが十分に行われ、いやしくも風俗的な観点から逸脱するような規制は行うことができないと解釈をしますが、この点についてはどうでしょうか。
  69. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 御指摘のとおりでございます。その構造、設備の規制現行法でもやっておるわけでございまして、構造の基準として、営業所の一客室の面積であるとか踊り場の面積であるとか、あるいは設備の基準では、客席の照度であるとか必要な防音装置の備えつけ義務などというものを設けておるのでございまして、今回新たにつけ加えた規制ではございません。  御指摘のとおり、私どものやりますのはあくまでも風営法目的に沿った必要な範囲内においてやるものでございまして、現行規定にあるものを大幅に変えるという考え方は毛頭持っておりません。そういうことで、衛生の観点に立つ地法と抵触するようなことはないというふうに考えております。
  70. 長野祐也

    長野委員 最後に、風俗環境浄化協会についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  今回の改正によって設けられます協会についてでありますが、この協会は、民間の自発的な風俗環境浄化の運動を促進するための民間団体であり、その活動には権力的な内容が含まれないのは民間団体として当然だと考えられますが、この点はいかがでしょうか。  あわせて、都道府県風俗環境浄化協会の事業の中に挙げられております「風俗環境に関する苦情を処理すること。」ということは、消費者等の苦情に関する相談に応ずることがその内容であって、例えば強制的に各営業者にその指導に従わせるというようなことは本来あり得ないことと理解をしておりますが、そういう解釈でよろしいでしょうか。
  71. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生のお話しのとおりでございます。
  72. 長野祐也

    長野委員 今のお答えでだんだん目的が明らかになったわけでありますが、新たに設けられる団体であるために非常になじみがないわけであります。こういった民間団体が活動を十分に行うためには、いわゆる環境衛生同業組合の既存の団体と密接な協力を行いながら仕事をやっていくということが不可欠ではないかと思われますが、特にこの改正法の三十九条の第二項第四号、第五号、第六号にあるような講習会や調査の事業は、各業種ごとの環境衛生同業組合の協力なしにはその円滑な実施が困難ではないかと思われますが、その点についてはいかがでしょうか。
  73. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 御指摘のとおり、講習会や事案の調査などの実施に当たりましては、それぞれの目的を効果的に達成するために、必要に応じまして環境衛生同業組合などの業者団体とも連携をしてまいりたい、かように考えております。
  74. 長野祐也

    長野委員 ただいまの答弁で営業者の方々の不安も消えたと思います。  そこで、最後に警察庁長官にお伺いをしたいのですが、こういう環境営業者というのは、先ほど申し上げたように大部分零細な営業者でありまして、日々激烈な競争の中で営業を行っているわけであります。そういう中で、ともすると風俗の観点から見てどうかというような事例、あるいは法律を知らないための違反等があるかもしれませんが、これらについて、私は取り締まりを優先させるという姿勢ではなくて、むしろ親しく教え導くといいますか、ぜひともそういう法運用の姿勢が必要であると思いますが、最後に長官から基本的な姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  75. 三井脩

    ○三井政府委員 取り締まりのみで事を運ぶのではなくて、その前の行政指導とか、あるいはまた行政指導のもっと前のいろいろの相談とか、こういうようなところにも力を入れていくべきだという御指摘でございますが、今度の法改正も、そういう観点に立ちまして、罰則の適用のほかに行政処分を考えるとか、あるいはまた行政指導に重点を置いていくとかというような観点を踏まえておりますので、今御指摘のございましたような点も十分に踏まえて運用に心がけてまいりたいと存じます。
  76. 長野祐也

    長野委員 最後に要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。  私は、こういう法改正によって多大な影響を受ける環衛営業につきまして、中小零細業者の立場から数点質問と御提案を申し上げました。そもそも、この関係営業は現在全国に事業者数において二百二十六万の事業所を数えておりまして、今回の法改正によって何らかの影響をこうむる営業者は、この全体の中から理容所と美容所とクリーニング所を除くすべての営業者でありまして、飲食、喫茶、旅館、ホテル興行場、総数で百六十万にも上る膨大な数であります。  そして、これらの営業者は、先ほどから申し上げているように非常に零細規模の経営でありますし、夫婦二人で深夜飲食店の営業を行う、あるいは酔客に絡まれることもある、そういう中で必死に日夜その設備の借金を返し、店舗の借料を払い、仕入れ代を捻出をするという毎日を過ごしているわけでありまして、サラリーマン等と違って社会保障の面でも大分見劣りが現実的にしているわけであります。  そういう現状の中で、日々の糧を稼ぎ出さなければきょうを生きることができないという境遇に置かれている中で、少々体の調子が悪くても働き、あるいは罵声にもじっと耐えて、収入支出のやりくりの中で、ともかくこの衛生水準を向上させるということで頑張っておるわけでありますし、サラリーマンに一日の慰安を与え、あすへの仕事の活力を生むという、社会の中で重要な役割を果たしておられるわけでありまして、こういう零細な環衛業者に不安や犠牲を与えることなくこの目的が達成をされますように、特にきょう私が指摘を申し上げました「接待」の定義について十分明確にしていただき、法運用に当たって慎重な姿勢で臨まれることを強く御要請を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  77. 大石千八

    大石委員長 松田九郎君。
  78. 松田九郎

    ○松田委員 長官にお尋ねしたいのですが、今回の風俗営業改正について、その評価がいろいろあると思いますが、個々の問題については既に自民党の方でも臼井議員あるいはただいま長野議員等から詳細にそれぞれの御意見が述べられて、またそれぞれの責任ある皆さん方の方から答弁がございました。私は少し角度を変えてというか、幾らか先輩の皆さんの意見とは重複するかもわかりませんが、以下所要の問題について御質問したいと思います。  総括的に今回の風営法改正を評価いたしたときに、本貫の判断からすればまだまだの感がある。もう少しく突っ込んですべての問題についての法改正ができなかったかという感じがしてなりません。まさにかゆいところに手が届いていないというか、本来の風営法というものは、その本質的な構造、あるいは法律が制定をされたゆえんのものは、少なくとも風俗関係のあらゆる施設、業種、そういう皆さん方に、公衆衛生上大衆に対して健全な場所、あるいは健全なムード、そのためには清潔ムードオンリー、時間的なことについてもやはり健全を目的として法はつくられておったと思いますが、その中から、いわゆる今日の社会環境の進展からいたしまして、また現在の国民の生活向上からして、きれいにしなさいという、従来の風営法のあり方というものは、きれいにしなければお客さんは来ない時代になっておるのですから、以前のように、きれいでない旅館には来ないなんという、そういうものをきれいにしなさいという例えば指導なんか、あるいはそういう風営法を必ずしもつくらぬでも、規制をしなくてもおのずから問題は解決をする。  今必要なことは、それよりもさらに前進をしてきて、環境を利用するいわゆる性犯罪の温床となりかねないような業種、業態が、法の網をくぐってというか、かなり巧妙に、青少年を不良化するような、犯罪が発生をするような、そういう広域的な温床になりつつある。言うなれば、それに対応するための風営法改正でなければならなかったのだと思うけれども、率直に言って、むしろものによっては従来の直罰から行政処分という形に後退をしておる。また、許可を受けなければいかぬという申請事項が登録でよろしいですよというように後退をしておる。  一体何のための法改正なのか。長官として、総体的に今回の風営法の価値判断、評価を当事者としてどのようにされておるか。同時にまた、今回の風営法によって今後間違いなく、自信を持って、特に青少年の不良化、犯罪防止については対応できるという自信を持っていらっしゃるか。まず基本的な問題として、最初に長官の意見を伺っておきたいのであります。
  79. 三井脩

    ○三井政府委員 お話がございましたように、今回の改正は最近の目に余る少年非行の問題、これに対応するための有害環境を是正していくという大きな柱がございます。それからまた、それも含めまして現在の社会的情勢の急激な変化に対応するために、今までのものに対して整備をしていく、こういうような観点でございまして、現在の少年非行を中心とした情勢が極めて深刻である、これにはいろいろな対応がありますが、環境という点に焦点を当てますと、これの是正がこの風俗営業の問題として浮かび上がってまいりますので、これに大きな整備をしていこう、こういうことでございます。  したがいまして、この問題に対応して、風俗営業という問題でいきますと、警察の取り締まりは現在でも精いっぱいやっておるわけでございますけれども、なおかつ問題が起こっておるという現状でございますので、取り締まると同時に、風俗営業者を中心とした、そしてまた第三者の、この場合は少年補導員等第三者の方もございますが、こういう人たちの協力あるいは自主的な健全化への努力、こういうものも促進するということが大きなねらいとして大事だろう、こういうふうに思うわけでございます。  そういう観点からいきますと、現在の少年非行等の情勢の深刻さとの兼ね合いからいいますと、まだまだこの改正は手ぬるい、こういうような御批判もあろうかと思いますけれども、今言うような観点からいきますと、現在の情勢の中でこのような改正ができる、こうい一つように考えますと、現在の情勢との兼ね合いでは大変な進歩であろう、前進であろう、こういうふうに思うわけでございます。  あとは関係者がこの法律を十分に的確に運用していくかどうか、あるいは守っていくかどうか、これは、警察の側から言いますと、指導取り締まりを的確にやっていくかどうか、あるいは少年補導員等を十分的確な活用をするかどうか、また、関係の業者が健全化に向かって自主的な努力を十分にされるかどうか、こういうような運用の問題になろうと思いますので、現在の情勢からいくと大変いい改正ではなかろうか。しかし、これでベストかと言われますと、いろいろまだ批判も、不十分な点もあろうということは十分考えながら運用していきたいというように思うわけでございます。
  80. 松田九郎

    ○松田委員 今長官自身も率直に意向を表明されておりますように、問題は、法改正そのものも私から言うとまた十分なものではないということと相まって、特に自主規制という言葉が今ございました。そのとおりです。この種の問題は、相手側である各種の営業者というものの自主的な、いわゆる法を遵守するという形における、社会環境をよくならしむるというそういう配慮と善意の中で協力がなければ法は全きを得ない。  そこで、従来、この法をつくられることに先立って、各業界との根回しというか、あるいは将来に向かっての協力要請というか、そういうものが当然なされた上で今回の法改正が上程をされ、今審議をされておるという段階であると思いますが、現状を総括的に、一体、各業界の自主的ないわゆる規制というか、自主的な協力姿勢というか、法を積極的に自分たちも守って、一部の悪徳業者——これは一部です。一部の悪徳業者のために全般的な風俗営業関係者があたかも悪であるかのごとき現在の風潮、流れの中ではどうもならぬじゃないかということで、積極的に自主規制に取り組もうとしておる動きがあるかどうか、あるとすればその事例について、ひとつせっかくの機会ですからお聞かせをお願いしたい。
  81. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 業界の方々に今回の法改正の問題につきましていろいろ御意見を伺ってまいったわけでございます。そういうことで、その中で業界の方でもいろいろ御検討をされ、自分たちの方はこういうふうにしてほしい、しかし自分たちもこういうふうにしたいというような形で、今お話しのような自主規制の機運というものは非常に盛り上がっておるというふうに考えております。私どももそういう面で努力をしていく。  また、今申しましたように、逆に私の方の関係がやや細か過ぎて自主規制を阻害しておる、取り締まりだけで臨んでおるということが逆に自主規制を阻害しておるという面もないではないという御意見も多々ございました。そういうことを踏まえまして、むしろそういうふうな自主規制をやっていただくということを前提にして、私どももそういうふうな形で健全化を図っていこうということにいたしたわけでございまして、業界の中ではそういう機運は非常に盛り上がっておるというふうに考えております。  ただ、風俗関連営業と申しますいわゆるセックス産業でございますが、これはやはりこういう機会に法の施行を前に一もうけしようという動きもないわけではないわけでございまして、こういう面でなかなか自主規制を期待するということが不可能な業種もございます。そういう面につきましては、やはり厳正に取り締まっていくということが必要である、かように考えております。
  82. 松田九郎

    ○松田委員 本貫が先刻未から風俗営業ということをかなり表現をしておりますが、これはおよそ誤解があってはいけませんから、今部長が言っておるように、私が指しておるものは主としてセックス産業対象の意見であるということを念頭に置いて、今後お答えなりあるいはそういう対応をひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、今お話しのとおりに、今の状態の中でセックス産業というものが自主規制を本当に今後みずからの責任においてやっていただくのかどうか。諸外国の例を用いるまでもなく、この種の問題については、日本以外の国は、電波であろうが何であろうが、すべての面についてみずから自主的に規制をしていっておるのですよ。それで、両々相まって効果を上げておるということを考えると、この際はひとつ警察庁においてそういう面について積極的にPRなりあるいは指導なり、そういうものをしていただかなければいかぬと思うが、そういう具体策があればひとつお聞かせをお願いしたい。
  83. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 いわゆるセックス産業につきましては、今後この法律がお認めいただけますと届け出をしてもらうということになるわけでございまして、その段階で十分指導をしていくということをやらなければならない、こう思います。また、この法案の中にも入れてございますような風俗環境浄化協会等が、地域の環境の浄化のために地域の住民の方々と一緒になって努力をしていくということも期待をしておるところでございます。そういうことと相まって十分PRに努めてまいりますし、また、指導も徹底をしてまいりたい、かように考えます。
  84. 松田九郎

    ○松田委員 従来の風俗営業法の取り締まりというか指導というか、そういうものの中で、主として従来は直罰的な、場合によっては指導をしていくという考え方、そういう内容が多かったのだけれども、むしろ今回の法改正ではこれを末端の行政地域に任せる、言うなれば条例でやる、行政処分でやる、そういうケースが逆に多くなってきておるような感じが私はしてならないのだが、そういうことで本当のいわゆる性犯罪、不良化防となりあるいは健全なる風俗営業というもののあり方が将来期待をできるかどうか。  私から言えば、何でその辺は後退をしておるのか。むしろ関係業者の自主規制と相まって、取り締まりの当事者であるあなた方は、どうしても聞かぬ者には直罰でやらざるを得ないというぐらいの考え方でやっていただかなければいかぬと私は思うのだが、何で後退をしたのか。そこら辺の事情をひとつお聞かせ願いたい。それと、今後はそれで十分やっていけるのだ、こういうことなんだよという説明があれば、あわせて説明をお願いしたい。
  85. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 直罰の規定を今度は例えば指示にするなりあるいは行政処分にしようといいますのは、許可対象となっておりますいわゆる風俗営業でございまして、こちらの方は業の健全化を図るためにそういう自主的な動きを十分期待をしながらやれる業種だということで、そちらの方を緩和したと申しますか、そういう形で取り組もうとしたものでございます。  お話しセックス産業につきましては、そういうふうな形でいくものではないというふうに考えておるわけでございまして、こういうものにつきましては、特にセックス産業につきましては、従来規定がありましたのが、トルコぶろの関係につきまして行政処分と地域の規制ができるだけであったということでございます。それから、興行場法につきましては、違反がありましたときに行政処分ができるというだけでございます。それからモーテルにつきましては、一定の地域規制ができまして、そこでやっている者に対しては廃業命令が出せる。  こういう非常に中途半端な規制しかできないことになっておりましたのを、それではいけないということで、セックス産業全般に対しまして、年少者に対する従業の規制であるとか、あるいは立ち入り規制であるとか、あるいは広告の規制であるとか、地域規制であるとかというものを全部一律にかける、そうしてそこで違法がある場合には必要な指示をし、行政処分をきちっとかける、また、禁止区域内でやっております営業につきましては廃業命令も出せるというふうな形で非常に厳しく対処することにいたしておりますので、決して先生のおっしゃられたようにセックス産業については緩和したものではございませんで、厳格な形でもって規制をしていくということにしておるものでございます。
  86. 松田九郎

    ○松田委員 今の部長のお話、ちょっとおかしいんじゃないの。セックス産業は登録制になっておるのでしょう。
  87. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 セックス産業は届け出をさせるというだけでございまして、これは実態を把握するために届け出だけはしてもらうということでございまして、許可対象とは別でございます。
  88. 松田九郎

    ○松田委員 だから、私はそれを言っているのです、登録——許可ね。届け出をしただけで何でもかんでも野放しにやれるという現行のあり方がこのような問題を生んできていると私は言っているのですよ。ほかの業種は、許可を受けなさいといって、ある意味では健全にやっておる。一般の料飲店関係には厳しくチェックをする機会があるわけだ。今我々が問題にしておるセックス産業なんというものは、とにかくやっておりさえすればいいということになるのではないですか。だれがチェックするのですか。  一体、やっておる人、事業主体者が第三国人であるかどうか、資産がある程度あるのかどうか、どういう経歴の持ち主であるのか、社会的にどれだけの責任を持ち得る人であるのか。実態はあなたが御承知のとおり、第三国人が次から次に名前をかえてやってくる。一人や十人じゃないのですから、どんどん届け出てやりますよ。営業停止を食らう。一カ月、二か月、また次にはかわった者がただ名前を出してくる、届け出ましたよと。あなた方はどこでそれをチェックしたり事態を掌握されますか。また、暴力団もそうでしょう、何千何百とおるのでしょう。これがまた届け出、届け出とやってきて、どこでチェックされるのですか。  それをびしびしやりなさいというのが本員が言っていることですよ。ほかの善良な風俗営業はそんなこと言っているのじゃないのですよ。セックス産業になぜもっとぴしっとしたチェックをするような何らかの法改正ができなかったのかということですよ。何もないでしょうが。あなた、実態把握って、何で実態把握されますか。部長、どこで実態把握するの。届け出するだけで何の実態が把握されるかね。ぐるぐるかわっておるだろうが。
  89. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 従来のセックス産業は、先ほど言いましたようにトルコぶろなり興行場営業なりあるいはモーテルでございますが、これは届け出もなかったわけでございます。したがいまして、どこでやっておるかということもはっきり言ってわからない状況に置かれておったということでございまして、ありますのは、従来はこれが衛生面でとらえられる形で許可なり何なりが出ているもの、例えば旅館業法なり公衆浴場法なり興行場法でそういう形が出ておるものは厚生省サイドでとらえられておりますけれども、必ずしも全部が全部そういう許可なり届け出が必要であるということになっておらない。ましてや風俗営業法上は届け出も必要なかったものでございます。  今回はそうでなくて、まずそういうふうに届け出をさせて、そして厳しい規制をかけていこう、こういうふうにしたわけでございまして、従来よりもかなり前進をし、我々も実態把握をして、その上で必要な規制なり取り締まりが可能になると考えておるわけでございます。
  90. 松田九郎

    ○松田委員 従来のやり方がこうだったから、これでいいじゃないですか。そういう理論は三段論法的な話でおかしいじゃないですか。今まで届け出制も何もなかったんだから、今度は一歩前進させて届け出にしたんだから、これで万能ですよ、今あなたの話を聞いておるとそういうふうに聞こえるが、そんなことはこっちも百も承知だ。そんなことじゃない。今までやっておったことが、環境保全から、実情から全くそぐわないから、特に青少年の悪の温床になっておるから、思い切ってやりなさいよ。やりますよということだから、ワンステップ上がったからいいじゃないか、前進したじゃないかという話がどこにある。  はっきりしたものであれば十段でも飛び越えていかなければならない。今のあなたの考え方は、二歩前進、一歩後退でいきますよという、一歩前進の話じゃないの。あなた、そんなことでやれるの。もう一回はっきりしたお考えを聞きたい。今まで悪かったやつがまかり通るような話がどこの世界にあるのだ。
  91. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私どもが考えておりますのが必ずしも十分であるというつもりで申し上げているわけではございませんけれども、許可と届け出の差なんでございますが、先ほどお話しのような人的な事由というものをチェックするというのは、今の形でまいりますと許可という形で運用をするということになるわけでございます。許可ということになりますと、これまた公的なものがそういう営業を公的に認めていくというふうなニュアンスも出かねないことでございまして、そういうこともおかしいんではないかということもあるわけでございます。  そういうことで、我々はそういうふうな営業に対して実態を把握いたしまして厳しい規制をかけていく。そうしてその厳しい規制の中で一番大きく厳しくなりますのは、やはり地域の規制というものが許可営業とは違いまして格段に厳しくなっていくという問題でございます。そういうふうに非常に問題のある地域につきましては、そういう営業をしてはならないという形で本来営業ができなくできるということもこの法律案の中に入っておるわけでございまして、これは従来からトルコぶろあるいはモーテルにつきましてそういうことができるということになっておりますけれども、そういうものを他の業種につきましても及ぼしていくということでございまして、こういうふうな規制はある意味では一番厳しい規制になるわけでございます。  しかもその中で、例えば既に営業しているものにつきましては、営業権との兼ね合いもありまして、その地域規制がありましてもその後引き続いてできることになるわけでございます。しかし、そこで違反がありました場合は営業の廃止命令までかけられるという形のものでございまして、最も厳しい規制がなし得る形になっているわけでございまして、あとは法の運用として、そういうふうな違反というものがありました場合にきちっと対処するということで法の目的は十分達成できるのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  92. 松田九郎

    ○松田委員 今の部長の答弁、全く不満足で了解しませんけれども、そのことだけを論議してもしょうがないから一応それをおくとしまして、先刻もちょっと申し上げましたが、いわゆる風営法風俗営業法が従来画一的に全国同じ形、同じ枠内、同じ法律の枠組みの中でやっておるんじゃなくて、その多くは地域的に条例でこれを規制をしていっておるということから、同じ日本列島でありながら、言うなれば俗にうまくいっておる地域と全く紊乱、どうにもならぬという状態に置かれておるところ、例えば先般来からも当委員会でも陳情があっておるような東京都の歌舞伎町かいわいの問題なりそのほかたくさんあります、全国の都市の中にはどうにも手がつけられぬというようなところが。しかし、だからといって日本列島全部同じじゃない。よくいっているところもある。  失礼だけれども、私の県なんかはトルコぶろはまさにないんですよ。二軒営業権を持っているけれども、開店休業だ。私のところは長崎という観光都市。佐世保も近いし、西海国立公園、国立公園は二カ所もあるんだ。アメちゃんがいっぱいおる、佐世保という基地もある。それでもそういう状態でやっておるところもあるんですよ。そういう中で、山一つ越えれば、何というか接客婦というのか、よその県まで言う必要はないけれども、とにかく何百人と山一つ越えたところに待機しておるんだ。トルコぶろは大はんらんだ。セックス産業まさに花盛りという状態。何でそんなに違うか。私はかつて地方議会に長くおるときにかなりそのことについては厳しく言ってきて、ある意味においては成果を上げたと思っているんだ。  同時に、その折の論議として、反対する意見の皆さん方からよく言われたけれども、長崎県は取り締まりが厳しい、こういうことも言う。今度は逆によその県に言わせるというと、我々は法にのっとってやっておるんだ、こういうことをまた言う。だから、よその県のやっておることが当たり前で、長崎県は行き過ぎておるんだなんというまさに主客転倒した論議まで出てきたんだ。まさにまじめに法を遵守していこうとする業者、それこそ善良な業者だ。そういう者は法を遵守しながらある意味において不利益を受けておる、片や取り締まりが緩慢であるというか適切でないということ等と相まって花盛り。  そういう問題について、今後今度の法改正の中でどのように警察庁全体として指導取り締まりをやっていこうと考えられておるか。法はすべてに平等でなければいかぬ。国民についても列島全域についても同じでなければいかぬが、既にそういう事例が枚挙にいとまがないのだ。そこら辺の今後のいわゆる画一的な指導について、あなた方は具体的にどう対応しようとするのか、その間の事情を聞きたい。
  93. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今までの運用の中で県間のばらつきがあったことはおっしゃるとおり確かだと思います。こういう問題で県間の特殊事情があっていい部分、それからやはり全国的に斉一を期さなければならぬ部分、二つあると思います。そういうことで、全国的な斉一を期さなければならない問題というのは今回も条例部分から法律事項に上げてお願いをしているところでございますし、その運用につきましてもよく指導いたしまして、全国的な統一、斉一化を図ってまいりたい、かように考えております。
  94. 松田九郎

    ○松田委員 このセックス産業、ピンクムード花盛りの中で最近顕著になってきたことは、御承知のとおりに性病が大蔓延の状態である。数年前までは、性病は日本の医療保険制度の拡充と相まって漸次減少の一途をたどったと思う。しかし、この五、六年前から逆にセックス産業に影響されてどんどん急上昇、ここ二、三年来の実態からいうと、三年前の実績と今日では既に約三倍近く全国的に淋病などについても急上昇の傾向にあるわけですよ。  そこで、総理府あたりに売春とか性病とかいう審議会か何かあると思うのだけれども、一体そういうものは何をしておるのか。私が調査したところでは、名前があるだけで何の指導もあるいは何らの法的な枠組みもないと私は思う。売春対策審議会か何かという名前があるだけじゃないか。ほかには何もやっておらぬ。  それなら警察がどこまでやれるか。総理府と警察庁との間にそれぞれの問題についてお互いの連携がありますか。ないでしょう。そういうことをやっておるから性病がどんどん蔓延をしてきて新聞に毎日載っておるのだ。「淋病患者六年で二・五倍増 セックス産業拡大と歩調」、これは権威ある日刊紙だ。読めば時間がなくなりますから読みませんが、それから「セックス感染症潜行」、クラミジアについて千葉大などで今調査中であるが、トルコ嬢の九割はこのクラミジアを持っておるというんだな。権威ある日刊紙が書いておるのだ。文句があれば日刊紙に文句を言わにゃいかぬ。  しかし、私はこれを、そうなっておるという趨勢を信じておる。トルコ嬢の九割までクラミジアという病菌を持っておるとはっきり書いてあるのだ。千葉大でこれが問題になっておるという。こういうセックス産業というものがそれこそ青少年の一般的な不良化の温床であると同時に、ゆゆしい性病、淋病、クラミジア等の新しい病菌の温床になっておるということを警察庁はどのように把握されておるか。  それから、総理府は売春予防とかなんとかということで何かやっておるかどうか、ひとつお答え願いたい。
  95. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 性病の関係が五十三年以降増加傾向にあるということは承知をいたしております。この原因でございますけれども、なかなか難しいわけでございますが、性に対する意識が大変変わってきておる、それからまた、今までお話のありますようなセックス産業が大変増加をしてきておるということと無縁ではないと考えております。
  96. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 私は総理府でございますが、青少年対策本部ということでございまして、一般の売春対策につきましては審議室の方で所管しておりますので、コメントする立場にはないということで答弁は差し控えさせていただきます。
  97. 松田九郎

    ○松田委員 一般の売春と二般の売春とあるの。売春は同じものじゃないの。あなた、何を言っているんだ。責任者を連れてこい。
  98. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 青少年対策と非行防止という観点から見まして、少女売春といった問題が非常に大きな問題になっておる、こういうことでございます。総理府青少年対策本部といたしましても、そういった少女売春等を含めまして少年の非行防止、特に環境浄化活動というものを強力に進めてまいりたいというふうに考えております。  実は去る二月二日でございますが、総理府総務長官を議長といたします非行防止対策推進連絡会議を開催いたしまして、特に最近いろいろ青少年をめぐる俗悪出版物なりあるいは享楽的施設の増加が見られますので、各省庁連絡連携しながら強力に環境浄化活動というものを進めてまいりたいと考えております。  それで、私が先ほど一般の売春対策云々ということは審議室だと申し上げましたのは、いわゆる三悪追放ということで一般的に審議室の方で取り組んでおられるので申し上げた、こういうことでございます。御了解をいただきたいと思います。
  99. 松田九郎

    ○松田委員 今の、だれか知らぬけれども、参事官が、今のでは答弁になっておらぬよ。君が責任持って答弁し切れなかったら文部省をすぐ連れてこい。  とにかく売春問題についてさっき僕は指摘しただろうが。あなたよく聞きなさい、委員会の意見というものを。何を聞いておったのですか。私言っておるのは、総理府に今売春対策審議会というものがあるでしょう。それは一体どういう仕事をしてきておるか。本員が調査したところでは何もしておらぬ。名前だけのものではないかということと、もう一つ、あなたたち売春対策審議会は警察庁とよく横縦の連携をとって今対応しておるかどうか、二点を聞いたのだ。なぜその答えができぬか。
  100. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 先ほども申し上げましたように、総理府青対本部といたしましては先ほど申し上げたような対応をやっているということでございます。  ただ、ちょっと先生誤解していらっしゃるかとは思うのですけれども、先ほども申し上げましたように、一般の売春対策云々という問題は審議室の方でやっておりまして、私の所管外でございますので……。
  101. 松田九郎

    ○松田委員 これは話にならぬ。所管外の者は答えられぬでしょうが。それならば所管の者を連れてきなさい。
  102. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 非行防止との関係ということでちょっと御答弁申し上げた、こういうことでございます。(松田委員「しばらく休憩だ」と呼ぶ)
  103. 大石千八

    大石委員長 総理府の担当官、今から出席できますか。——
  104. 松田九郎

    ○松田委員 では、次回にまたやります。いいでしょう。  ところで、今のことは文部省なり総理府に関係があるのでお尋ねしたいのですが、風俗営業に関連をして考えられることは、最近青少年の不良化あるいは犯罪はもうウナギ登りに急上昇ですね。昔から言われるように、青少年を毒することについての方策は俗に言われる三S政策です。スクリーンであり、セックスであり、スポーツである。そういう面からすると、今やエロ映画はんらん、花盛りですね。  厚生省は来ているかどうか知らぬが、とにかく今エロ映画は野放しでやっておるわけでしょう。これは郵政省にも聞きたい。深夜の二時、三時までスイッチをひねりさえすればどこでもここでもエロ映画が見られる。子供はいつまでも見ておるのだ、規制がないのだから。アメリカのようなところは、御存じのとおり、エロ映画なんというのは大人だけが必要であれば申し込みをして、別料金で見ているんですよ。自主的に規制してそうなっているんだ。外国では、日本のようにむちゃくちゃにこんなに電波を使っているところは一国もない。欧米なんか二局がどんなに多くても三局だ。アメリカでも日本のように多くないですよ。しかも、そのアメリカにおいては自主規制というのが徹底しているんですよ、視聴者を中心として民放の放映を委託するスポンサーに至るまで。日本のようにスポンサーは何ら反省をせぬで、いかがわしいもののスポンサーになって後押しをしてギャラを払う。まただれでも彼でも、子供でものべつ幕なしに見せる。  アメリカは有線式になっているんだ。御承知でしょう。とにかく放映というのはそんな簡単にできない。好きな者だけが、大人だけが金を出して見る。そうでしょう。時間も制限されておる。大体外国のテレビなんというのは十一時から十二時で終わりだ。日本のように二時も三時も回って、「11PM」なんというのは二時か三時までやっているんじゃないの。前は私も見ていたけれども、今は見ぬからわからぬ。とにかく大人は分別があるからいい。それなりに消化するでしょうが、未成年者や子供が勉強をやめて見ているんですよ。  それに関連して、小さいことだけれども、ゲームセンターは今度十時にしたというんでしょう。何で十時で効果があるんだ。子供は勉強して寝る時間でしょう、十時は。どうしてもやらなければいかぬというなら八時くらいでやりなさいよ。(「九州時間だ」と呼ぶ者あり)九州時間というやじがあるけれども、しかし九州でも十時は遅いぞ。北海道や東北の十時といったらどうなるの。深夜です、深夜。言葉で言う宵の口じゃないですよ。十時なんというのは子供はねんねする時間だ。そこまで子供がゲームセンターで狂っておってたまるものか。何でそういうことになるか。(「沖縄は……」と呼ぶ者あり)沖縄を基準にして物事を判断するわけにはいかない。  郵政省、来ておるんなら、まず電波の問題で答えなさい。もっと規制しなければいかぬじゃないか。
  105. 村瀬龍児

    ○村瀬説明員 お答え申し上げます。  民放の放送番組に関しまして先生御指摘のような御批判が出されましたことは、放送行政を担当する者として重大な問題であると認識をしているところでございます。  しかしながら、放送法第三条におきまして「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と規定をされておりまして、放送番組の編集につきましては、放送事業者が自主的に行うこととなっております。したがいまして、放送事業者は、与えられた責任を十分自覚いたしまして、放送番組の質の向上にはみずからが不断の努力を傾けるべきものと私どもは考えております。  私どもといたしましては、放送番組の質的向上は、ただいま申し上げましたように、放送事業者が最も真剣に考えるべき課題であるということを常に念頭に置いて放送行政に当たっておるところでございます。  具体的に申し上げますと、放送事業者は、みずから定めました番組基準を誠実に遵守するとともに、放送法により設置することを義務づけられております放送番組審議会の機能を十分活用することなどによりまして放送番組を一層向上させるよう努め、国民の期待に沿うよう心がけてもらいたいと思っておりまして、機会あるごとに関係者には要望をしておるところでございます。
  106. 松田九郎

    ○松田委員 今の答弁、全く何を言っておるか私には理解しにくいんだけれども、放送の正常化というか健全化というか、秩序を確立するために審議会か何かあるんでしょう。だから、そういう中で今私が申し上げておるような意見をひとつ十分考慮していただいて、もっと積極的に——第一には電波の、エネルギーのむだ遣いでしょう。資源のない日本で、そんなよそでもやっていない、どこの国でもやっていないことを日本だけで野放しにやるような電波監理というものがまず第一に問題。  第二には、そのことによって生ずる青少年の不良化。電波が健全育成を阻害しておる。だから、そこら辺については郵政省も今後——これは郵政大臣にちょっと厳しく一度言わなければいかぬと思っておるけれども、そんなことをあなたたちは今まで野放しにしておるんだ。外国の先進国家並みにやりなさいよ。それを特に郵政省には注意を喚起しておきます。  時間がありませんから最後になりますけれども、法務省がどういうふうに出入国管理をされておるのか。最近は、東南アジアの特に婦女子が観光ビザという名目でどんどん入ってくる。観光で来るのは大いに結構、歓迎します。しかし、それが法の盲点をくぐって、最近は地方都市に至るまで接客婦となっている傾向が多分にある。それも逐年、ここ二、三年では急上昇。私の調査したところでは、はっきり把握しておられる警察庁の資料によっても、既に二千数百人がいるんじゃないですか。実数はまだまだその何倍もということでしょう。  これはいわゆる目的外のことをやっておるし、第一に出入国についての条件を欠格しておるのだ。同時にまた、警察方面がこれを本当にチェックすれば、たちどころにそういうものはやれなくなるんだ。ところが、現状、町に行ってみると、これはフィリピン産ですよ、これは台湾産ですよと言って、それも一人や二人じゃなしにいっぱいおるのだ、十人でも十五人でも。そういう実態を調査したことがありますか。何でそんなのを指導なりチェックなりして、目的外の、特に接客婦になっておるという状態について指導されないのか。ちょっとだれかが通報しただけでわかるはずですよ。  例えば、のぞき窓のところに立っておってのぞくようなことになっておる。五人も八人も十人もの大勢のお客さんが入っておる。しかも長期にわたって、半年もの間、三カ月のいわゆるビザを切りかえ切りかえしてきておるんだ。それについては何らの今指導がないように私は思うんだが、警察庁は一体どういうふうにしておるか。  まず、その前に法務省、そういう目的外のビザを利用して来た者についてはどういうように今まで処置をしてきたか、あるいはそのことについてどの程度の強制退去を命じたか、その辺の実数があれば、それをひとつお答え願いたい。
  107. 長山頼興

    ○長山説明員 入管の立場からお答え申し上げます。  先生のおっしゃるような実態が現実にあることはよくわかっております。そこで、入管としましてこれまで統計的にいろいろ把握したところをごく簡単に申し上げてみたいと思います。  最近三年間におきまして摘発しました外国人女性のいわゆる資格外活動事犯、それから在留期間を経過して稼働をずっと継続しておったいわゆる不法残留事犯、これを見てみますと、昭和五十六年が千二百二十七件であったのですけれども、五十七年には千七百五件にふえておる。昨年五十八年には二千百三十九件に急増しておる。三年間を合計しますと五千七十一件でございます。  このうちの主な活動内容を見てみますと、ホステスが三千七百六十九件で全体の七四・三%も占めるという実態でございます。さらに、ストリッパーが八百十件で全体の一五・九%を占めておるということを入管で把握しております。  また、国籍別に見ますと、一番多いのがフィリピンでございまして、千六百八十二件、次に中国、と申しましても台湾とか香港ですけれども、千六百六十八件、三番目がタイで千百件、それから韓国二百十二件などとなっております。これが今統計的に入管の方で把握している実態でございます。  それから補足的に、じゃあ入管の方でどのように規制、取り締まりをやっておるかという御質問につきましてもごく簡単にお答えしたいと思います。  こういう外国人女性が我が国におきまして風俗関係業務に従事するということは、国際的に見ましても国内的に見ましても好ましくないということは十分考えられますので、私どもとしては鋭意取り締まるようにしておるのでございますけれども、こういう外国人女性の資格外活動とか不法残留事犯というのは、やはり潜在的にこっそり行われるというところがございますので、取り締まりの協力を一般から得るための広報活動に努めたり、あるいは関係資料を収集整備するということなどをやりまして、一生懸命摘発に努めているところでございます。  しかし、翻って考えてみますと、こういったような女性だけを単に摘発するというのではこの事犯を根絶することは極めて困難であるというふうに考えております。雇い主とかブローカーなど悪質な者が背後におりますので、こういった者も取り締まるというふうに考えまして、それにはやはり入管だけでは力が足りない。そこで警察機関とも緊密な連絡を保ちつつ徹底的に取り締まろうとしてやっておるところでございます。
  108. 松田九郎

    ○松田委員 警察庁、ひとつ……。
  109. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 御指摘のとおり、大変こういうふうな女性が多くなっているという事実でございまして、私の方も懸命な取り締まりを続けておるところでございます。しかし、今お話しのように、取り締まりだけで済むものではこざいませんので、私どもも、現行法、さらには改正法ができますれば、そういうものを十二分に活用しながら指導に努めてまいりたい。指導と取り締まり両方相まって、こういう女性の関係につきまして適正化を期してまいりたい、このように考えております。
  110. 松田九郎

    ○松田委員 持ち時間が経過をいたしましたので、本日の私の質疑はこれで終わります。ありがとうございました。
  111. 大石千八

    大石委員長 小杉隆君。
  112. 小杉隆

    ○小杉委員 今提案をされている風俗営業法の改正というのは、その目的は、青少年の健全育成とかあるいは風俗環境を浄化する、こういう目的でございますが、これに関連しまして、本論に入る前に、私はやはり青少年の問題として暴走族の問題にまず触れたいと思うのです。  昨日、六月二十日の午前三時ごろ、東京都の福生市で検問中の警察官の方が暴走族を追跡してきたパトカーに過ってはねられて死亡するという事故がありました。亡くなられた椋木巡査部長の御冥福をお祈りしたいわけですが、これも暴走族の騒音に対する苦情が一一〇番されまして、そしてこの亡くなった巡査部長さんが道路に出て赤色灯を振って、オートバイ四台が横一線になって時速八十キロものスピードで走ってくるのをとめようとした結果こういった被害に遭われたわけです。暴走族はこの制止を振り切って逃げていきまして、この巡査部長さんはすぐその後を追跡してきたパトカーに接触して死亡されたわけです。  今、現場警察官の方は、このように必死になって暴走族の取り締まりに努力をされております。この事故は、パトカーを運転していた同僚の警察官の責任が問われるばかりで、逃げてしまった暴走族は検挙されない。社会のルールを乱し、住民に迷惑をかけている暴走族を取り締まる人たちが、一方は命を落とし、一方は業務上過失致死の罪に問われている。まことに理解に苦しむというか釈然としない、理不尽なふうに思われてならないわけですけれども、この事件に対しまして、ひとつ長官の御所感を伺っておきたいと思います。
  113. 三井脩

    ○三井政府委員 大変残念な事件が福生で起こったわけでございますが、事情を詳細聞いたところで、当時の状況の中で避けることは極めて困難であったという判断をしておるわけでございます。  問題は暴走族でございます。暴走族は、大変力を入れて取り締まりをしておりますために、その数は、波がありますけれども、以前のような大きな幅でふえるということはなくなってまいりました。そしてまた、大集団を組んでやるということもだんだん減ってまいりました。しかしながら、小集団でやるとか、あるいは具体的な場合にはさらに集団から離れて単独でやるというような事態がだんだんふえてきておりますので、取り締まりの方に言わせると、取り締まりの壁に阻まれていわば分散拡大をする、こういう傾向がございますので、これに対する対応を我々としては考えておるわけでございます。  そのためには、取り締まる警察官の側も少数に分かれてミニ検問というようなことでやるわけでございますが、このミニ検問で今度の事件が起こった、こういうことでございまして、暴走族という大変なスピードで走るものでございますから、これの取り締まりにはどうしても避けがたいリスクは伴いますけれども、それをさらになくするための方策というものを十分に考えてやっていきたいと考えておるわけでございます。
  114. 小杉隆

    ○小杉委員 これから夏で蒸し暑いから窓をあけて寝るとか、また日が長くなっておりますから、これから暴走族の相当多くなってくる季節でございます。現に私どもの近所でも、幹線道路から相当離れている場所でも、金曜日の晩とか土曜日の晩、場合によっては明け方までこの集団暴走による騒音の被害を受けているわけです。  ここで私は、やはり今の暴走族の親たちの自覚というものにも訴えなければいかぬと思うのです。この暴走族の多くは大体十六歳から十九歳程度の少年たちであって、自分で稼いでオートバイや乗用車を買った者もいるでしょうが、ほとんどが親が買い与えたものだということを聞いております。こういった親の自覚あるいは世論への訴えという面でも、私は、警察庁はもっと努力をすべきじゃないかと思います。この点についての御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  115. 久本禮一

    ○久本政府委員 暴走族の取り締まりにつきましては、ただいま長官が申しましたように取り締まりを厳しくやることはもちろんでございますが、同時に、先生御指摘のとおり、親に対する働きかけ等の比重が大きいということは私どもも常々痛感しているところでございます。したがいまして、暴走族対策は、取り締まりを含めた総合的な対策が必要であると思うところでございまして、おっしゃるような家庭、学校、職場といった暴走族に参加をする少年の接点になるところに強力に働きかけをするということにつきましては、平素から交通警察に対しましてもそのような取り組み方について指導をしているところでございます。  率直に申しまして、この方策は非常に気骨が折れる割には即効性のないという点で数多くの問題を抱えているところではございますが、しかし、だからといって放置をしておいて済む問題でもございませんので、即効はなくても、長期にわたって確実にそのような成果を求めていきたいという考え方で取り組んでいるところでございます。
  116. 小杉隆

    ○小杉委員 先ほど長官のお答えにもありましたように、最近の傾向は集団的に暴走をしているという形から分散拡大型という形に変わってきたわけで、それに対応した取り締まりの方法を考えていかなければいかぬというお話がありました。私は、きのうの事故がこれからも起こらないという保証はない、むしろそういう危険性がより多くなったと考えているわけですが、そういうこれからの趨勢に対しまして、私は一つの試みとして、今、改造した車両に対する検査というものがまだまだ不十分なんじゃないだろうかと思うわけです。  今、道路運送車両の保安基準の第三十条でこれは検査ができることになっておりますけれども、騒音を規制する基準というものについてもっと見直しをする必要があるのではないか、そして、もっとこの規制の機会をふやしていくことが必要ではないかと思うのですが、今の根拠となる法律についてどう思うのか、実効ある対策、対応が望まれると思うのですが、この保安基準の点についての御見解を伺っておきたいと思うのです。
  117. 久本禮一

    ○久本政府委員 保安基準の問題につきましては運輸省の主管されるところでございますので、私どもの方がとやかく申し上げる筋合いではないと思いますが、私どもとしては、現行基準を最大限に有効に活用いたしまして、その実効を上げるに努めてまいりたいと思うところでございます。  ただ、先生がおっしゃるとおり、特に夜間の走行中の吹かし音などが相当やかましいと感じられる場合に、今の測定方法で八十五ホンというのが一つ基準になっておりますが、測定してもなかなか達しないという例が多いことは事実でございますので、その辺は今後、住民が騒がしいと感じられる内容と具体的なことにつきましては、いろいろ勉強していく必要があるというふうには考えております。当面、私どもといたしましては、現行基準を最大限に活用して取り締まりに精を出すのが最大の課題であると考えておるところでございます。
  118. 小杉隆

    ○小杉委員 運輸省の方来ていますか。——今答弁がありましたように、八十五ホンという基準に達しないのが非常に多いということですけれども、この基準を見直すようなおつもりがあるかどうか。
  119. 藤野團治

    ○藤野説明員 お答えします。  自動車の騒音防止対策としましては、従来から段階的に新車規制の強化を実施してきたところでございます。今後は新車規制の効果を維持するため、新車規制の強化に対応しました使用過程車の合理的な規制方法を確立する必要があると考えております。  現行の測定方法は、暗騒音の影響を受けない試験場所あるいは相当の長さの試験路が要るなど、場所的な制約がございまして、路上で容易に測定することが困難であります。このために、暴走族の車両のマフラー改造等により過度の騒音を発する車両に対して取り締まりの実効を期するには、現行の測定法のみでは対応が難しいことにかんがみまして、新しい測定法を検討することにしており、この結果を踏まえまして、暴走族による車両不正改造の防止に資するよう道路運送車両の保安基準を前向きに見直してまいりたい、かように考えております。
  120. 小杉隆

    ○小杉委員 それは現状に対応するようにぜひ早く改めていただきたいと思います。  それから、別の観点からもこの暴走族の問題を考えていかなければいけないのです。暴走族の方へ目が行く余り、健全な青少年のライダーとかドライバーに対して過度の規制が行われてはいけないと思うわけです。やはり青少年期のエネルギーを健全な形で発散させるという側面からも考えていかなくてはいけないわけですけれども、現状は、残念ながら取り締まるばかりで、適当に発散の場を与えるという側面が忘れられているのではないか。今や我が国はかつて自動車大国と言われたアメリカヘの自動車の輸出を自主規制するところまで来ているわけでありまして、世界一の自動車王国と言ってもいいモータリーゼーション、この中で自動車愛好家とかモータースポーツについての認識をもっと深めて、暴走族と愛好家とを一緒くたに考えていくことはやはりまずいのではないか。  最近、葛飾区の水元公園で、暴走族の騒音にたまりかねた何者かがロープを張って、そのためにオートバイに乗った少年が死んでしまったロープ殺人と言われている事件が起こりましたけれども、こういう事例も、もっと自由に乗り回せる場所が多くあれば水元公園の中で運転するというようなことをしなくても済んだわけです。  例えば関東近県で考えますと、オートバイや自動車の愛好家が自由に走り回れるサーキットというのは、筑波とか静岡の富士スピードウェイ程度でございまして、これらはいずれも遠いわけでございます。もっと手近にそうした健全なモータースポーツや自動車の愛好家が楽しめる場所をつくるべきだ。例えば河川敷とか埋立地などにもっともっとそういった青少年のエネルギーを発散させる場所をつくるというような、きょうは建設省を呼んでおりませんので、これはまたいずれかの機会にやりたいと思いますが、そういったことについてもやはり警察側では建設省など関係団体に働きかけるべきじゃないか、都道府県、市町村などにも働きかけていくべきじゃないかというふうに思うわけです。  警察が持っているコースがあるのですね。例えば多摩川の河川敷に警視庁の運転試験場ですか、警察官の練習用につくったコースがあるわけですけれども、こういったようなところを、使わないときには民間に開放するとか、そういった側面からの対応ということも私は必要だと思うのですけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
  121. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生のおっしゃいますとおり、モータースポーツの健全育成を図るということは、特に車社会における安全な利用促進という意味も含めまして、青少年の教育、特に交通社会の発展ということから考えて、基本的には大変好ましいことだと考えております。したがいまして、私どもといたしましても、できるだけ関係機関、団体等にも諮りながら、これは交通安全教育の延長線上にあるという考え方で積極的に取り組んでまいりたいという気持ちはございます。  ただ、こういう財政状況でございますので、私どもが基本的な安全教育を推進する上にもっともっと整備したいということすら十分にやれないという状況でございますので、手にとるように近いうちに実現するということについては率直に申し上げて悲観的ではございますけれども、そういう交通行政の中に広いすそ野の広がった今のドライバー社会というものを踏まえてのそういう夢があってもいいではないか、そういうものの中で今の車社会にふさわしい安全を身につけたライダーも養成されるのではないかという気持ちは十分に持っておりますので、おっしゃるような点を十分に踏まえまして、ひとついろいろお知恵や御支援も得て、そういう方面にはできるだけ目を向けてまいりたいという考えでございます。
  122. 小杉隆

    ○小杉委員 確かにこれはお金もかかるし時間もかかると思うのですが、そういう努力をぜひやっていただきたいということと、それから当面まだまだ現在の法律の中で、見直すことによって青少年がもっとそうした発散の場を見つけ出すことができるのじゃないか。  例えば今都心の方では二百五十cc以上のオートバイは通行が禁止されているわけですね。ですから、走る場所がないのでいろいろなところを見つけて走るわけですけれども、例えば今機械が大分変わってまいりまして、二百五十cc以上のオートバイというのは大体水冷になっておりますから、百二十五とか五十とか、そういう空冷の小さな通行を許可されている車よりもむしろ静かになっている。そういう構造が変わってきているというようなことももっと考えて、いたずらに大きいから通さないというようなことで取り締まるのではなくて、そういった新しい時代に対応した考え方で緩和をするというようなことも考えていいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  123. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生は恐らく現在警視庁が実施しております夜間の都心部の二輪の通行規制のことを頭に置いてお尋ねではないかと思うのでございますが、この規制につきましては、御指摘のとおり、二輪の夜間における騒音が特に住宅地において安眠を妨げるという苦情が非常に強かったという点にかんがみまして、警視庁が早くから対応してきたものでございます。道路状況あるいは周辺の居住条件等によっていろいろ差はございますけれども、その後そういう考え方を地方で、特に住民の要望等にこたえて採用するというところも幾つかございます。  この辺は非常に難しいところでございまして、おっしゃるとおり、いたずらにライダーの正常に通行する権利を抑えつけてはいけない、それは総体的に見てかえってプラスにならないという面も十分に承知をしているところでございますが、反面、御承知のとおり日本の都市は車が通る道路と居住環境というものが合理的に十分分離されていないという面もございますので、やはりその両者のバランスがどの辺にあるかということを考えて、ある場合にはライダーに、通りたいのに非常に不便だという感じを持たれつつも、やむを得ずそういう規制をしていくという点もございます。  おっしゃるとおり、車の性能等がよくなりますれば当然そういうことを規制の内容に加味してもよろしいと思いますが、そういう点を踏まえましても、今の警視庁の考え方では、十分にその点に目配りしつつも、現行規制はどうしても周辺の住民の考え方等にも徴した場合に必要ではないかと考えているようでございまして、これは今後も私どもの一つの留意点として、十分にその辺の目配りもしながら今後対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  124. 小杉隆

    ○小杉委員 おっしゃるところはよくわかりますが、新宿副都心とか、夜間余り住民が住んでいないというようなところまで全部一律に禁止しているわけですね。ですから、厳しく取り締まるところは徹底的に取り締まるけれども、逆にまた緩和するところは緩和していく、そしてできるだけそういう発散の場を与えるという考え方も必要ではないかと私は思うのです。  これは、例えば高速道路の料金なんかも、普通の乗用車、四輪で定員が五人も六人も乗れる車も二輪車で一人しか乗れないものも料金が一緒だというような点も、これは若いライダーにとっては非常に不満の種なんですね。そういう点でもひとつできるだけ細かい配慮関係方面に働きかけていただいて、取り締まるという側面と、それからできるだけそういう若い人たちの健全なエネルギーの発散を図るという機会をふやすというところと、両面を考えてこれから対処していただきたいということを申し上げて、この問題はひとまずまた次の機会に譲りたいと思います。  それで、今度は本論の風営法改正でございます。  まず、先ほど来の質疑を通じまして私が感じたのは、今回の改正では風俗関連営業という新たな概念を導入したわけでございますが、従来の風俗営業法は大体許可制度、新たに加えたものは届け出制度ということで、むしろ関連営業に対しては規制が少し甘いのではないか、規制のレベルが低いのではないかという指摘があったわけです。  これに対して保安部長のお答えは、今度新たに風俗関連営業に加えられたものは、性を売り物にしたもので公に認知すべきものではない、欠格事由を設けて健全化、適性化を図るものではないというふうに言っていますけれども、現実には、例えばラブホテルとかモーテルというのは全国で一万一千軒あるわけでして、これは好ましくないから本来は公に認知したくないんだというふうにおっしゃられても、現実にこれを全部ゼロになくすわけにはいかないわけですから、こういった問題について、私はもう少し関連営業に対する考え方を徹底してやった方がいいのではないかと思うのですが、その点についてお答えいただきたいと思うのです。
  125. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗関連営業につきまして、私どもは届け出をさせまして、そしてそれに必要な規制をかけていくというふうに考えておるわけでございまして、現在あるものにつきましてその営業をやめるとか、それができなくなるとかということを考えているものではないわけでございます。一定の規制の枠内で営業をしてもらうという形で考えておるものでございます。  ただ、そこに問題がある、違反行為があるということがございますれば、それに対しては必要な措置をとり、場合によりましてはその営業自体に対して廃止命令を出すというような形で対処をするということになっていくものだというふうに考えております。
  126. 小杉隆

    ○小杉委員 少しそういうことに関連して具体的に聞いてみたいと思うのです。  今度の改正風俗関連営業の範囲が必ずしも十分ではないんじゃないかと思うわけです。例えばポルノ映画館とかノーパン喫茶、あるいはポルノ図書自動販売機などは今度の法の対象になっていないと思うのですが、どうしてこういうものを対象としないのか、お答えいただきたいと思うのです。
  127. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今お話の出ましたポルノ映画館につきましては、いろいろ検討をいたしました。その結果、業界の方でもきちっと自主規制をやっていくという形で、既に自主規制を始めておられます。この自主規制は、映画業界の特異性といたしまして非常に全体のまとまりがいい業界であるということでございますし、また映倫等の審査もある、現実に自主規制をやりましてかなりの効果が上がっておるということがございまして、それではそういう自主規制を見守っていこうということにいたしたわけでございます。  それから、ノーパン喫茶といいますのは、要するに裸体に近いあるいはそういう格好で飲食物の給仕行為をするようなものを本来ノーパン喫茶という形でとらえておったわけでございますけれども、このノーパン喫茶という実態は、一時は大変問題になりましたけれども、その後そういうことだけではなかなか営業が成り立たないという形で、現実にはノーパン喫茶という、先ほど申しましたような給仕行為にとどまるような形でやっている営業というのは大変少なくなりました。むしろそこの営業は、今度の法の対象として考えておりますような例えばマッサージだとかなんとかというようなものを伴うものに変わってきておるということでございまして、そういうようなことで、私どもはそういう形としてとらえることができるのではないかというふうに考えております。もちろん、ノーパン喫茶自体で、それ以上にいかない営業形態のものにつきましては、飲食店に対します必要な規制が設けられることになっておるわけでございますから、そういうものに対して厳正に対処をしていくということにいたしたい、かように考えております。  それから、自販機の問題でございますが、これは雑誌等自販機の問題につきましては、雑誌の販売というものを風俗営業という観点からとらえるということはちょっとなじみにくい問題があるということもございますし、それから多くの府県で現在青少年保護育成条例ができておりまして、それによる規制が行われておるということもございますので、今回は対象としなかったものでございます。
  128. 小杉隆

    ○小杉委員 今全国に自販機というのは大体どのくらいあるのか。それと今のお答えですけれども、今度アダルトショップというのが対象に入ってきたわけですが、アダルトショップというのは今何軒くらいあるのですか。これもかなり多いわけですが、むしろ私は、青少年への影響から考えると、アダルトショップというのは比較的繁華街に局地的にあるわけですけれども、ポルノ自販機などは住宅街にもどんどん入り込んできているということから考えますと、アダルトショップは規制対象にしながら、もっともっと青少年への影響の大きいこの自販機については全然対象にしていないというのは少し片手落ちじゃないか。  各地区で青少年保護育成条例でやっているからいいじゃないかというものの、アダルトショップなどは比較的東京、大阪、名古屋あるいは札幌とか福岡という盛り場に多いわけですけれども、自販機はむしろ全国的に、そういう盛り場に限らず住宅地にもどんどん出てきているわけなので、この辺の対策というのは各県の条例に任せておいていいのだろうか、一律に法律である程度の対応を考えるべきじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  129. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 自販機の数でございますけれども、五十八年の調査によりますと、雑誌の自動販売機は約一万四千五百というふうに把握をいたしております。そして、そのうちいわゆる問題のビニ本と言われておるような本が入っております収納機は七千六百余り、半分ちょっとということになっておるわけでございます。  確かに自販機の問題というのは、住宅の中にまで入り込んでくるということで大変な問題であるということは承知をいたしておりますけれども、今申しましたように、何でもかんでも風俗営業法の対象にするというのにはなじまない問題というのがあろうと思います。それは、その他の雑誌の問題あるいはテレビの問題、そういういろいろな問題と同じように、そういう問題につきましてはやはり青少年保護育成条例等におきましていろいろ考えていかなければならない問題であろうと考えておるわけでございます。  そういうことで、今後とも関係の省庁とよく打ち合わせをしながらそういう面に対しての指導、対策について検討してまいりたい、かように考えております。
  130. 小杉隆

    ○小杉委員 この辺はちょっと見解が違いますが、どうぞこれからの事態の推移に応じて十分に考えていただきたいと思います。  次に、風俗関連営業には構造、設備の基準がないのですね。これは先ほど人的欠格理由がない、風俗営業にはあって風俗関連営業にはないじゃないかという指摘がありましたけれども、それと同じように、風俗営業には非常に細かい構造基準が設けてあるわけですけれども、むしろ風俗営業よりも青少年に与える影響の大きいこの関連営業の方にこそもっと構造、設備の基準を設けるべきじゃないか。例えば個室ヌードとか個室マッサージなんというのが最近ふえてきていますね。これは新宿だけじゃなくて渋谷なんかにもどんどんふえてきておりますけれども、こういうところのドアにガラス窓を設けさせるとか、そういった構造基準を設けるということが必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  131. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗関連営業と申しますのは、その行為から規制をするのになかなかなじまないものではないかなという感じを持っておるわけでございます。  その行為そのものは、法律違反になるものはもちろん当然のことながら対象として取り締まってまいらなければいけませんけれども、そうでない程度のものを行為そのもので抑えるということは……(小杉委員行為じゃなくて構造です」と呼ぶ)行為ですね。私ども申していますのは、そういう営業者なり従業員が行います行為そのものを対象にするのにはなじまないのではないか。したがいまして、構造をいろいろ考えてみましても、そこで行われます行為というものが構造を変えたためによくなると期待できるという形にはなかなかならないのではないかという感じを持っておる、そういう種類の営業ではなかろうかと考えておるわけでございます。  したがいまして、今申しましたように、こういう営業形態に対しましては、やはり厳しい遵守事項を設けまして、それに違反するという形のものに対しまして厳正に対処するということが適当ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  132. 小杉隆

    ○小杉委員 私は、できるだけ問題を絞って質問しているので、余り拡大して言ってはいないので、例えば、現実に個室ヌードとか個室マッサージで行われていることはやはげ問題があるわけですから、少なくとも風俗営業では一定のそういう窓をつけさせたり外からのぞけるような構造基準というのを設けているわけでしょう、同じ類似の行為をするおそれのある、行為そのものには何もチェックできないと言いますけれども、そういうおそれのある構造については、最小限度他の風俗営業と同じような構造基準を設けていくべきじゃないか。これは実態から考えましてそういうことをやるべきじゃないかと思うのですけれども、再度お答えいただきたいのです。
  133. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 そこで行われます行為が売春なりわいせつ行為という法律違反、これは絶対にやらせてはならない、かように考えておるわけでございます。これがあれば、当然のことながら法律違反として検挙し、厳しい行政処分をかけるということになるわけでございますが、現在行われております行為につきまして、これは今申しました法律違反の程度には至らないものもあり得るわけでございます。構造、設備を、先ほど言いましたように見通しのよいような形にいたしますと公然わいせつになるという問題も逆に生じてくるということもございまして、ここら辺のところはなかなかどうも、こういう営業に対する規制は難しいところではないかと思います。  したがいまして、私どもはこういう営業に対しましては、法律に違反することは厳しくやっていく、その法律に至らないグレーゾーンの部分、これはある程度必要な遵守事項等をかけながらやっていくということでありまして、このところをきちっとやろうということになりますと、これはまたああいう営業というものが必ずしも成り立たないということにもなりかねないところがあるわけでございます。  大変難しい問題だとは思いますけれども、私どもは、今申しましたように、こういう営業に対しましては法律に違反するものは厳しくやる、そしてそこで行き過ぎたものに対しては厳正に取り締まるということでいくことが現在の情勢からいきまして適当ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  134. 小杉隆

    ○小杉委員 法律規制するのが難しければ政令にゆだねるというようなことで、そういうおそれがある、全く密室の中で何が行われているかが把握できないような構造については、最小限度今の風俗営業と同じような構造基準、例えば窓で中がのぞき得るというような一つ規制というものを十分に考えていくべきだということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  次は名義貸しの問題です。今度の風俗関連営業に対しては名義貸しの禁止という規定がないわけですけれども、これはどういうわけなのでしょうか。
  135. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 名義貸しの禁止規定というのは、許可営業と連動しているというのが普通のあり方でございます。風俗関連営業につきましては許可制度をとっておりません、届け出制度にとどめておるという関係でございまして、そういうことで名義貸しという規定を置くことがなかなか難しいという問題があるわけでございます。  名義貸しと申しますのは、要するに許可は取っているけれども実質的にはほかの者にやらせておる、こういうことになるわけでございますが、私どもは、あくまでも風俗関連営業に対しましては実際にその営業を経営している者に着目して必要な措置をとるということでございますから、この名義貸しの規定がなくても、現実にそういう営業を経営している者というものをしっかり把握いたしまして、その者の違反があれば必要な措置がとれる、かように考えておるわけでございます。
  136. 小杉隆

    ○小杉委員 この答弁もちょっと納得がいかないのですね。現在でもストリップ劇場なんかで興行場許可を取っているわけですけれども、興行場許可を取っている名義人と実質の経営者とが異なるために、実際に立入検査をしても処分ができないというケースがあって、これは恐らく警察でも一番困っているところじゃないかと思うのです。  それで、今度の法律でも風俗関連営業にも立入検査が認められておりますし、それから二十歳未満の者には飲酒とかたばこを禁じていますし、十八歳未満従業員とかお客禁止している、実質的に立ち入りの権限も持たせながら、しかし名義貸しの禁止規定がないために有効な規制ができない、そういう実効性においてしり抜けになってしまうのじゃないかという懸念を持つわけなので、この点どうしても名義貸し禁止規定が必要じゃないかと私は思うのですが、再度……。
  137. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今までの例えばストリップ劇場に対します取り締まりと申しますのは、興行場法に基づいてやっておるわけでございます。したがいまして、その興行場許可を取っている者に対して法の規制が及ぶかどうかということでありますが、これが今お話しのように、逃げられましてなかなか本来の許可を取っている者に及ばないといううらみがあったわけでございます。今度は、私どもの方が第二条の四項二号でもって書いております興行場は、あくまでも「興行場として政令で定めるものを経営する営業」という実質に着目をすることになるものでございますから、その点につきましては従来と違った形でできるというふうに考えておるわけでございます。
  138. 小杉隆

    ○小杉委員 今本会議の予鈴が鳴っておりまして、少し早目に終わりますが、この点は私はもう少し突っ込んで聞きたいところです。これは実態からして、名義貸し禁止規定がないために有効な手が打てないというケースが相当しばしば出てくることを恐れるわけです。これはひとつ今後とも検討していただきたいと思います。  それから、あと二つばかりそれじゃまとめてやりますが、広告、宣伝の規制というのがありますけれども、これが、例えば「清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で」やってはならないというような非常に抽象的な表現になっておりますけれども、これは規制の実効性を高めるためにも、また表現の自由に対する侵害を避ける意味でも、もう少し細かい具体的な基準を設けるべきではないか。そうした実効のある方法を基準として示した方が乱用を防ぐためにも有効じゃないかということが一つ。  それからもう一つは、風俗関連営業に対する行為の制限というものを条例でも決められるようにしたらどうか。今までの風俗営業については必要な制限を条例で決められるようになっておりまして、例えば東京都なんかも相当きめ細かな制限を条例の中で規定しているわけですけれども、今度の風俗関連営業についてはそういった条例に委任をするという点が非常に少ないわけでございます。  こういう風俗関連営業というのは、先ほど申したように東京とか大阪とか繁華街のところに多いわけですから、地域特性に合わせた規制というものが必要なのじゃないだろうかというふうに思うわけなんで、この辺も、私先ほど来申し上げているように、風俗営業に対しまして風俗関連営業、これがかなり甘いのじゃないか、かなり低いレベルの規制にとどまっているのではないかということで指摘したいわけですが、以上二点についてもお答えいただきたいと思います。
  139. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 広告、宣伝の規制がもっと具体的なものの方が効果的ではないかというお話でございますが、広告、宣伝の規制はあくまでも善良の風俗を害する行為あるいは環境の浄化、少年の健全育成に障害を及ぼすおそれのある内容を考えておるわけでございまして、具体的にはヌードの女性のポスターであるとか、わいせつ行為を示すストリップ劇場のポスターであるとか、卑わいな形状の看板による広告だとか、風俗営業法が考えております対象はいわゆる飲む、打つ、買うというようなものに代表されますような、そういう生活関係というものを考えてのものでございますので、それなりに具体性はあるというふうに私は考えておりますし、具体的な運用につきましては、今申しましたような観点から決して行き過ぎのないように運用をしてまいりたい、かように考えております。  それから、風俗関連営業につきましてもう少し条例にゆだねたらどうかというお話でございますが、先ほども申しましたように、風俗関連営業で行われます行為というものは非常に限定された形になっておる。一方、風俗営業の方は、非常に幅広いいろいろな形で、本来それは健全に営まれれば問題はないという形でございますから、いろいろな府県でいろいろなことを考える余地があるわけでございますけれども、風俗関連営業につきましては、各府県で独自性を考える余地というのが非常に少ない分野である、むしろないと申し上げていいのではないかということがございまして、それで規定をしなかったというものでございます。そういうことでございますので、これはやはり法律にある規制でもって、遵守事項で足りるのではないかというふうに考えているところでございます。
  140. 小杉隆

    ○小杉委員 まだまだ不十分というか不満足な点が多いのですが、本会議もありますので、私は次に機会がありましたらまた議論を深めていきたいと思いますので、きょうはこれで終わりたいと思います。
  141. 大石千八

    大石委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  142. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。
  143. 井上一成

    井上(一)委員 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案のねらいは、最近増加傾向にある少年非行の抑止が目的ということでありますが、この法改正によって少年の非行が減っていくのかどうか、どういうような認識を持っていらっしゃるのか、まず伺っておきたいと思います。
  144. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この法改正によりまして、問題となっております営業に対しまして、そこへの少年立ち入りあるいは従業の規制の問題、あるいは少年のたまり場となっておりますものに対する適正化ということが図られることになると考えておりますので、現在、少年非行が第三の波ということで戦後最悪の記録を四年続けておるわけでございますが、それを収束させる決め手の一つになるというふうに確信をしておるところでございます。
  145. 井上一成

    井上(一)委員 ただ単なる法の改正がすべての問題を解決する、そういう認識は少し甘いのではないだろうか、私はこういうふうに思うのです。もっと、社会全体の秩序をいかに安定的に保持していくか、そういう意味合いから、今日的な問題として今社会不安を引き起こしている大きな事件、問題として、グリコ事件の解決が当面の社会不安をなくしていく、先決すべき問題である、こういうふうに私は思うのです。  そこでお尋ねをしておきたいわけですが、このグリコ事件について、当局はどのような認識を持っているのか、まず伺っておきたいと思います。
  146. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 グリコ事件でございますが、御承知のように三月十八日の夜に発生をいたしたわけでございます。この事件につきましては、当初の犯行の日の大胆な手口、それから被害者が解放されました後の犯人側からの執拗な脅迫、特にグリコ製品に毒物を混入する、こういった社会に非常に不安を与えるような脅迫ということで、私ども警察といたしましては、本当に緊急に解決しなければならない社会的に大きな問題というふうに認識をしておるわけでございます。
  147. 井上一成

    井上(一)委員 これは、市民を巻き込んだいわば社会に対する一つの挑戦であり、一つの犯罪という位置づけ、そういうものでとらえるべきではない。むしろ、一企業の社長を誘拐したという犯罪的な位置づけよりも、これは社会問題として強く認識をすべきである、私はこういうふうに思うのですが、当局はいかがでございますか。
  148. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 一つの企業に対する犯罪というところから始まったわけでございますが、その後のいろいろな状況からいたしまして、一企業に対する犯罪から社会に対する犯罪、こういうふうに私どもの方も認識をいたしております。したがいまして、この種事件が特に模倣性が強くて、この事件の成り行き次第によりましては同じような種類の犯罪が後から後から相次ぐ、こういうことも考えられますので、警察といたしましてはできるだけ早く解決をして社会に安心を与える、こういうことでやっていきたいと思います、
  149. 井上一成

    井上(一)委員 当然、一日も早い犯人の逮捕ということ、これがすべてが望むところであるわけです。そのためにどのような対応を警察がしてきたか。これは兵庫県警と大阪府警の両府県にまたがる広域的な犯罪でありますが、やはりそういうところに、初期初動の問題も含めて、あるいはコミュニケーションの問題も含めて、十分な意思の疎通があり体制がとられてきたのかどうか、国民は非常に不安を持つわけであります。  幸い、兵庫県警に不祥事をきっかけに大阪府警から本部長が行かれて、非常にパイプがよく通った、そういうことも聞きますので、両府県あわせて一線では一生懸命やっていらっしゃる、私もそれは多とするわけであります。  しかし、六月二日の夜のいわゆるグリコ事件の犯人からの摂津市内におけるレストランにおいて市民を巻き込んだ現金要求に対する捕捉体制が、結果的に犯人が捕らえられなかった、捕まえることができなかった。これは警察に対する信頼がやはり一部薄らぐことにもなりますし、より不安を募らせる。このことについて捜査上に手落ちがなかったのかどうか、あるいはどこに問題があってあのような残念な結果になったのか、このことについて聞きたいと思います。
  150. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 警察の捜査体制につきましては、今お話がありましたように、そもそもの発生が兵庫県でございまして、その後の放火事件から一連の脅迫事件、これは大阪府警の管轄でございまして、両方の県と府にまたがる事件ということで、私どもの方といたしましては、四月に、警察庁指定の百十四号事件、こういうことで、この両府県警はもとよりでございますが、近畿管区内、また全国の警察に指令を出しまして、細かな情報でも全部警察庁に吸い上げまして、この情報交換を含めて一体的な捜査体制をとっておるわけでございます。  特に大阪府と兵庫県警は、現在、警察官だけでも千六百名の警察官を毎日この捜査に動員をいたしておりまして、全力を挙げて捜査をやっておるということでございます。  それから、六月二日の件でございますが、当日は、犯人が第三者を利用しまして現金の受け取りの車運搬に向かわせたわけであります。捜査員の方といたしましては、途中でこの第三者に対して職務質問をするということで、この第三者が当日の犯行に関係ないということがわかったものですから、その後、指定をされました地点まで車を運びまして、そこで犯人との接触を待ったわけでございますが、ついに犯人側はあらわれないということで、捕捉できないという残念な結果に終わりました。  しかし、当時の状況といたしましては、捜査員の判断として、これは少数の捜査員が非常に厳重に保秘体制を保った上での捜査活動をやっておりまして、当時の現場状況としては、職務質問をしその第三者の身分を確かめる、こういう行為は当時の状況として必要な状況であった。その結果、犯人捕捉に至らなかったという結果は出ておりますけれども、当時の捜査に特に問題があったというふうには認識をしていないわけでございます。
  151. 井上一成

    井上(一)委員 グリコ本社が、犯人側からの要求に応じて、警察に届け出を行わずに犯人側と裏取引をしたとの報道が一部なされたわけですが、これが事実とすれば、グリコの行為は問題があると思われるのです。そういう事実があったのかどうか、この点についても聞いておきたいと思います。
  152. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 これまでのところ、会社側と警察とは十分な連絡をとり合って捜査を行っておるということでございます。  ただ、会社側と警察側がいろいろ連絡をとり合っております。その詳細につきましては、今後もこの犯人から会社側へのいろいろな接触があると思われますので、その詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  153. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、この報道については事実であるのかどうかということについてはお答えができないということですか。
  154. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 ただいまもお答えいたしましたように、会社側と私どもの方は連絡をとり合ってやっておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  155. 井上一成

    井上(一)委員 私は、いわゆる社会問題という認識に立つならば、やはりそういう裏取引というような手段を一切排除して、堂々と正面からその問題の解決に取り組んでいくべきである。そのためには、当局としてそれぞれの関係省庁との連絡あるいは対応について、協議の上に立ってこれは行っていくべきである、そういうことをなされているのかどうか、その点についても聞いておきたいと思います。
  156. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 会社側と、警察といたしましてはそれぞれの段階で意思の疎通を十分に図るということでやっておりますし、これは大阪府警の本部長も江崎社長と二人だけで十分に話し合うということも行っておりますし、そういう意味で、お互いに事件の解決に向けての意思の疎通は図っておるというふうには感じております。
  157. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私がお聞きをしたいのは、関係する諸官庁との連絡等についてはどういう対応をなさっていらっしゃるのか、こういうことです。
  158. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 現在までのところ、まず何をおきましても犯人を逮捕する、これが社会の大きな問題になっております事件の解決でございますので、それを第一義的に今行っておるわけでございますが、今までも事態によりましては一部関係官庁と連絡をとっておる、こういうことでございます。
  159. 井上一成

    井上(一)委員 私は、犯罪予告において例えば流通機構に大きな混乱を生じ経済秩序を破壊していく、こういうことに対しては、通産なら通産がどういう対応を考えているか、あるいは企業で働く人たちが今、自宅待機を含めて大変な被害を受けている、このことにおいて労働省は一体どう考えているのか、さらに、この問題で企業倒産に追い込まれていく、そういうようないわゆる社会不安が連鎖して引き起こっている、こんなことに対してどうしようとしているのか、このことについてひとつ聞いておきたい、こう思います。
  160. 小川修司

    小川説明員 ただいま流通機構の御質問でございますので、通産省でございますが、お答えいたします。  グリコの製品を小売店の店先から撤去するあるいは返品するというようなことが、一部のスーパーあるいは小売商の間で行われているということは承知いたしております。ただ、一方では、そういうふうにグリコの製品を店先から撤去するというようなことは、むしろこういう社会悪を助長することになるという考えのもとに、撤去はしないで、あくまでも消費者の選択に任せるというような方針をとっている企業もあるというふうに伺っております。  いずれにせよ、この問題につきましては、こういう形でそれぞれの企業の判断あるいは当事者間の話し合いでうまく円満な解決が図られるというようなことが最も望ましいと私どもとしては考えておりまして、個別の私企業の取引でございますので、直接のいろいろ行政的な介入はできませんが、そういう当事者間の話し合いでうまく解決していくことが望ましいと考えております。  いずれにせよ、流通の関係業界にも非常に影響を与えておるということでございますので、一日も早く事件が解決することを望んでおるわけでございます。
  161. 竹村毅

    ○竹村説明員 ただいま先生から御指摘がありましたように、この事件の影響によりまして江崎グリコ等で大幅な減産を余儀なくされ、そういう結果、それに伴いまして、特に江崎グリコ等に対する依存度が非常に大きな関連下請について、先生から先ほどお話がありましたように自宅待機とか一時帰休、そういう雇用不安が出ております。  労働省といたしましては、今後、こういう雇用不安がさらに深刻化するおそれがあるということから、これら下請企業に対しまして雇用安定のための対策を早急に講ずる必要があるというふうに思っておりまして、現在、早急に対策をとるように鋭意検討中でございます。
  162. 井上一成

    井上(一)委員 私は、通産も労働も十分な答えだと思わないのです。これは、大臣が来てから残余については聞きましょう。  警察当局に。やっぱり社会問題であるという認識に立つなら、犯人逮捕というのは、これは警察の仕事です。役割です。しかし、起こっている社会問題をどう解決していくか。法律改正してこうだああだと言って議論をしておってもだめなんだ。そういうところから、再発を防ぐ防犯的な見地からの対応策、そういう意味では関係省庁との対策会議を持つべきではないだろうか、あるいは今後、犯人逮捕、捜査協力にそれがつながるのではないだろうか、こういうことなんです。そういうことをやらぬことには本当に社会の秩序を守ることができないし、警察の役割はそこには存在せぬ、こう思うのです。いかがですか。
  163. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 先ほどもお答えをしましたとおり、社会のゆゆしい問題というふうに認識をいたしております。私ども警察としましては、繰り返すようでございますが、一日も早く犯人を逮捕しまして、この不安を一掃したいというふうに思っておりますし、いろいろな面から、適時適切に関係各省庁に対しましていろいろな連絡をしてまいりたいというふうに考えております。
  164. 井上一成

    井上(一)委員 ちょっとここで長官に、一日も早い犯人逮捕、これは繰り返す必要はないわけですけれども、ひとつ決意を聞かせてもらいたいと思います。
  165. 三井脩

    ○三井政府委員 グリコの事件は、現代社会の弱点をついた最も卑劣で重要な犯罪でございます。したがって、その社会的広がりも大変大きいということで、これの一日も早い解決がすべてであるというように思っております。被害者であるグリコ当局も警察には十分協力しておりまして、先ほど御質問のようなことは毛頭ございませんので、あとは我々が全力を挙げて一日も早く解決する、こういうことでございます。  大阪、兵庫両府県も、一部の御心配をいただいておりますけれども、これは極めて緊密にやっております。府県が二つにまたがるから漏れがあったらいかぬという御心配をいただくのはありがたいわけでございますが、現実には極めて緊密にやっておりますので、一日も早く解決したいと考えておるわけでございます。
  166. 井上一成

    井上(一)委員 残余の質問は、大臣がお越しになってからもう一度いたしたい。  長官、一日も早い犯人の逮捕を私たちは強く期待するし、両府県警の活躍、捜査に対する取り組みを強く期待して、あとは大臣に質問をいたします。
  167. 大石千八

    大石委員長 小川省吾君。
  168. 小川省吾

    小川(省)委員 今回、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案が提案をされました。現行八カ条の法律を五十一カ条に変えようとするものでございます。  法案の名称でありますが、これでは一部を改正する法律案ではありません。まるっきり新しい法律であるということと同様であります。なぜ風俗営業法の全面改正をする法律案としなかったのか、まずお伺いをいたしておきたいと思います。
  169. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お答えいたします。  風俗営業法は現在十六カ条でございます。八カ条までありますが、枝番がついておりますので、実質は十六カ条でございます。それが五十一カ条になったということでございますが、実は、従来条例規定していたものが三十一カ条ばかりございまして、すべてが条例がぴたっと合うわけではございませんが、それを法律規定をするということがかなりあるわけでございまして、実質的に全面的に改正したというものではないわけでございます。しかも、法律の物の考え方は一切変えておらないわけでございまして、現在の法律にも、やはり善良の風俗風俗環境の浄化、また青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するということがあるわけでございまして、そういうものを明定した、そうして法律上きちっとしていく。  また、許可対象の業種は、ゲームセンター等を一業種加えますけれども、それからまた風俗関連営業といいますのは、従来からストリップ劇場あるいはトルコぶろ等に対する規制も入っておるわけでございまして、それを整理したというものでございます。また、深夜飲食店につきましても従来から規制があるわけでございまして、これを一部手直しをしたというにとどまるものでございまして、やはり従来の法律の物の考え方はそのまま生かして、その上に立って必要な手直しをしたというものでございますので、やはり一部改正が一番適当であろう、こういうふうに考えたものでございます。
  170. 小川省吾

    小川(省)委員 いろいろ説明がございましたけれども、まさに全面改正であると言って差し支えないと思っております。  第一条に、この法律目的とするところが書かれておりますが、この中に、「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」とありますが、どうもこれに若干ひっかかるのでございます。少年は多少の障害になるような環境を切り抜けてこそ、そういう中を泳いでいって育っていくところに健全な育成が期せられるのだという説もあります。ある意味での試練は必要なのだという意見があるわけでありますが、これについてはいかがお考えですか。
  171. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 少年の健全育成をどうするかという問題はなかなか難しい問題でございますけれども、現実に起きております実態は、実は青少年がいわゆるセックス産業等でいとも簡単にそういうところで従業する、特に非常に若い女子、最近は高校生からある意味では中学生にまでおりてくるような形でございますが、そういう女性まで含めて、非常に問題のある営業所で従業をする。しかも性に対する物の考え方が非常に変わってまいりまして、はっきり言いましてそれほどの目的がない、例えば遊ぶ金が欲しいというようなことで簡単にそういうところで勤めるというようなことも起きておるわけでございます。  そういうような大変行き過ぎた部分に対しましては、やはり何らかの措置をとり、営業者に対して厳正に遵守事項を守らせていく必要があるのではないかということでございまして、いわば非常に行き過ぎた部分につきまして必要最小限度の規制を加えよう、かように考えたものでございます。
  172. 小川省吾

    小川(省)委員 本風営法の一条の目的ですが、警察法第二条の警察の職務に四つの項目が挙げられておりますけれども、どこに属しているのかお伺いをします。  それと同時に、青少年の健全育成をうたっておりますが、総理府の青少年対策本部、各府県、市町村の青少年対策課との関係はどのようになってまいりますか。
  173. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 警察法のどこに当たるかというお話でございますが、警察の責務は、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」ということがあるわけでございまして、最初の方の「個人の生命、身体及び財産の保護」に任ずる問題もございますし、それから後段の「その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」ということにも当たろうと考えております。
  174. 小川省吾

    小川(省)委員 第二条一項の七にマージャン屋、パチンコ屋が出てまいります。前々から思っていたのですが、ささやかな大衆娯楽であるマージャンやパチンコは、風俗営業法から外すべきだと思っていたのでありますが、これだけの大改正をやりながらこの法律の中にまた取り入れてしまったわけであります。なぜのぞきや個室マッサージなどとマージャン、パチンコの問題を同類に扱うのか、外して別個の法律になぜできなかったのか、お伺いをいたします。
  175. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風営法は本来善良の風俗あるいは清浄な風俗環境を守る、あるいは青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するという目的でできておるわけでございまして、そういう形でまいりますと、やはりマージャン屋、パチンコ屋、それは非常に健全に行われる場合には大変国民に憩いと娯楽を与えるものでありますけれども、一たびそれが不健全な形になりますと問題があるということで現在規制をされておるわけでございまして、現実にも射幸心をそそるおそれがあるという形で、問題も幾つか起きておることもあるわけでございます。そういうことで、やはり必要な規制をして、指導して健全化を図っていくことが必要であろう、こう考えておるわけでございます。  それから、ほかのいわゆるセックス産業となぜ一緒にしたのかということでございますが、現在の法律も、風俗関連営業という定義こそ置いておりませんけれども、いわゆるトルコぶろ、興行場関係、モーテル関係、これについては規定をしておるわけでございまして、この関係は今度風俗関連営業というふうに定義をして、整理をして規定をしたというだけにすぎないわけでございまして、決して従来の立て方と変えておるものでも何でもないわけでございます。  ただ、我々の取り組みの姿勢は今度ははっきり変えておるわけでございまして、先ほどのように、マージャン屋、パチンコ屋等の遊技場につきましては、それは健全に行われれば国民に必要な憩いと娯楽を与えるというものでございますから、これはでき得る限り業者の自主規制をもってそれが健全に発展するように指導をしてまいりたい、そういうふうに位置づけをしたい。  しかし一方、先ほどのような風俗関連営業というのは、健全化だとか育成というものにちょっとなじまない営業でもございますので、やはり必要な規制をして、もしそこに違反があれば厳正に対処するという形で臨んでいきたいということで、法律で書いてあることは現行の法体系と同じでございますけれども、物の考え方はきちっと整理をして書いたということでございます。
  176. 小川省吾

    小川(省)委員 それから、第二条の三に「接待」の定義がございます。「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。」というふうに示されておりますが、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法」とはどんな方法なのか伺いたいわけであります。先ほど臼井議員の質問に対して保安部長の答弁では、同席をして歌を歌って盛り上げるなどというふうな御答弁がございましたけれども、一般の料理屋さんでも、古い仲居さん等はそばにはべって一緒にピールを飲んだり歌を歌ったりするというのは通例でございますけれども、そういうものとどうこれが変わるのか、お伺いをいたします。
  177. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員  「接待」の定義は先生がおっしゃられたとおりでございまして、私どもは営業者側の積極的な行為を考えておるわけでございます。客とともに歌や踊りに興じたり、あるいは傍らにあって密着した形でもてなしをする、あるいは継続して酒食の取り持ちをする、あるいは談笑の相手になる、こういうような行為を「接待」というふうに考えておるわけでございます。  だれがやるかということは、これは必ずしも法律上特別なものがあるわけではございませんので、仮に今先生のお話しのような仲居さんのそういう行為が今申しましたような行為に当たるとすれば、これはやはり「接待」にならざるを得ないということだと思います。
  178. 小川省吾

    小川(省)委員 今の保安部長の見解は違うんじゃないでしょうか。一般の料理屋さんなんかでも仲居さんが一緒に歌を歌うなんというのはいっぱいあるわけですね。そうなると、全部の飲食料理店が風俗営業に該当してしまうということになります。ここに言う「歓楽的雰囲気を醸し出す」というのは別な意味があるのではないですか。どうなんですか。
  179. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 これは今私が申しましたようなことでございまして、先生が御指摘の、例えば仲居さん等が、本来給仕行為をやるということで来ておる。そこで酒食を運んだついでに酒なりビールなりを一杯ついでいくというような行為、あるいはちょっと世間話の相手になるというような行為をすぐに「接待」だというふうに我々はとらえているわけではないわけでございますけれども、先ほど言いましたように、ずっとわきにはべって、そして今言ったような形でもてなし、取り持ちをするということになりますと、これはやはり接待行為にならざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  180. 小川省吾

    小川(省)委員 その辺の見解はちょっと違うようですから、警察庁の考え方がかたいのか、あるいはやわらか過ぎるのかどうかわかりませんが、その辺のところは十分に検討をして、ここで言う「歓楽的雰囲気を醸し出す」接待というものについてはもう少し検討することをひとつお願いをいたしておきます。  また、第二条の四の一に「浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」というのがあります。いわゆるトルコのことを指すのでしょうが、現在のトルコでは本番が通常になっております。「異性の客に接触する役務を提供する業務」というのはこの本番を指すのかどうか。これは、売春防止法における売春を、今回の風俗営業法が届け出によって公認をしていくことになるのではないかという意見もあるわけであります。これに対してはどのようにお答えになりますか。  また、役務の提供が本番を意味しないというのならば、現実に目をつぶられるのですか。  また、トルコは風俗関連営業となっておりますが、なぜ風俗営業ではないのですか。
  181. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 お尋ねの点でございますが、まず、客に接する役務とは何かということでございます。これは、客の身辺に接します、または客の身体に触れる役務、いわゆるマッサージとか体を洗うとかというようなことを意味しているわけでございまして、売春まで含むというものではないというふうに考えておるわけでございます。  そうして、もしそうだとすれば、なぜ売春に目をつぶるのか、こういうことでございますが、私どもはトルコふろで行われる売春というものに目をつぶるというようなことは毛頭考えておりません。そこで売春行為があれば、当然厳正に取り締まっていくというふうに考えておるものでございます。  それから、なぜ風俗営業にしなかったか、こういうお尋ねでございましたけれども、先ほどもちょっと申しましたように、私どもの法律の立て方は、風俗営業というのは許可営業として、そうしてそれはその業の健全化を図るということで持っていくというふうな考え方をとっておるわけでございます。  ところが風俗関連営業というのは、公に我々がそれを認めてそれの健全化を図るということにはなじまない営業というふうに考えておるわけでございまして、許可営業というのにはなじまないというふうに考えております。そうして、実態を把握するという意味が届け出でございますが、届け出という形をとりまして必要な規制を行い、違反があれば厳正に対処していく、我々はこういう形で臨んでいきたいというふうに思っておるわけでございます。
  182. 小川省吾

    小川(省)委員 若干苦しい御答弁ですが、保安部長、現在のトルコは大体本番をやっているのですよ。売春があれば手を出すんだというふうに言っておりますが、どうもちょっと考え方がおかしい、違うんじゃないですか。どうですか。
  183. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今のトルコの実態を、すべてが売春をやっておるというふうに認定をしていくというのはいささか難しいのではなかろうか、こう思っております。世上いろいろ言われていることは私ども承知をいたしておりますけれども、現在の段階では、我々がトルコに対しましてできることは、御存じのとおり地域規制ができることと、そこで売春等が行われれば行政処分を科し得るという行為ができるということになっておるわけでございます。  実はトルコぶろにおける売春を取り締まるのは大変難しい捜査技術、手法、時間もかかるということがございまして、もちろん懸命にやっておるわけでございますが、必ずしも徹底ができない状況にあるわけでございます。いずれにいたしましても、トルコぶろがイコール売春だというふうに決めつけるのは現時点ではいかがか、こういうふうに考えております。
  184. 小川省吾

    小川(省)委員 まあいいでしょう。  また、この第二条の中にはないのですが、歌舞伎町以外にも、女性だけを旅館やホテルに派遣をするマッサージ業というのが今や雨後のタケノコのごとくできております。明らかにこれは売春であります。また、愛人バンクなりデートクラブなど、七百余の営業所があると聞いております。この法律でこれら女性派遣のマッサージ、愛人バンク、デートクラブ等は取り締まれないようでありますが、これらはどのように扱っていくおつもりですか、営業の自由で放任をしておかれるわけですか。
  185. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 個室マッサージあるいはファッションマッサージとか、いろいろな名称で呼ばれております営業形態がございますけれども、これは実は私どもは今度の法律の第二条第四項第五号の営業としてとらえて政令で定めていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。  それから、マントルとか愛人バンクとかデートクラブとかいういろいろな形態のものがあるわけでございますが、その中には、先ほど言いましたように、名前はともかくとして個室マッサージに当たるものもあるだろうと思いますし、それからその他の営業に当たるものも中にはあるかとも思います。ただ、純粋にデートクラブだとか愛人バンクだとかというのは営業の場所を必ずしも持ってやらないということでございまして、これを営業ととらえるというのはなかなか難しい。しかもやっている内容は、まさにこれこそ売春あるいは売春類似の行為というふうに考えられるわけでございまして、これを営業としてとらえてやっていくということにはなじまないものだというふうに考えておりまして、やはりこれは私どもはあらゆる能力を傾注して取り締まっていくという以外にないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  186. 小川省吾

    小川(省)委員 政令でやっていかれるというからいいでしょうけれども、私は赤坂の宿舎に住んでおるのですが、宿舎のボックスの中には婦人を派遣するマッサージの広告など、小さなカードなどがよく入っておるわけでありますから、こういう売春同様のマッサージ業などというのも取り締まっていただかなければ困ると思っております。  それから、第四条の「許可基準」のところにいろいろ欠格条項が列挙されております。  まず、交通違反等で有罪になった場合なども含まれるわけですか。交通違反等の有罪も欠格条項に該当いたしますか。
  187. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 第四条の「許可基準」の中の欠格条項の二の中で、「一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ」という規定がありまして、これは欠格条項になるわけでございます。ただ、通常の交通違反で一年以上の禁錮または懲役に処せられるということはまずなかろう、これに処せられるというのは、いわゆる悪質な業務上過失致死傷に限られるというふうに考えております。  そういうことで、今度の改正法案では、今申しましたように、「一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は」「その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者」は風俗営業許可の欠格条項に該当するというふうになるわけでございまして、そういう場合には欠格条項に当たるということになろうと思います。
  188. 小川省吾

    小川(省)委員 第十六条に「広告及び宣伝の規制」という項目がございます。「営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法」というふうになっておりますが、これはいかなる方法を言うのでしょうか。また、憲法の表現の自由や営業の自由との点で問題はありませんか。
  189. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 「広告又は宣伝」でございますので、聴覚に訴えるか、あるいは視覚に訴えるかというものになろうと思います。したがいまして、看板、ポスター類あるいは音声によるものというものが入るというふうに考えております。そうして、その程度でございますが、これはあくまでもその周辺に及ぼす影響を考えておるわけでございますから、やはり通行人等へ到達するということがないといかぬと思います。そういう意味で、広告の大きさだとか宣伝の音量の大きさというものが、今申しましたように通行する一般の多くの人に見え、あるいは聞こえるということが条件になるであろう、こういうふうに考えております。  それから、この内容として考えておりますのは、いわゆる善良の風俗等を害するものでございますので、ヌードの女性のポスターであるとか、あるいはわいせつ行為を示すストリップ劇場のポスターであるとか、あるいは卑わいな掲示をした看板だとか、こういうようなものが当たると考えております。広告、宣伝というのは本来公然と行われるものでございまして、しかもだれでも目につく形、女性も子供も目につくというようなものでございます。  これは私どもいろいろ調べてみますと、欧米の先進国ではほとんどこういう規制は行われておるということでございまして、やはりこの程度のものは社会生活上受忍すべき範囲ではないかというふうに考えておるわけでございます。憲法のお話もございましたけれども、やはり憲法の公共の福祉による制限の範囲内として許容されるものではないかというふうに考えております。  ただ、もちろんこの規定の運用につきましては、十分その趣旨を踏まえて、みだりに拡張することのないように慎重な運用に努めてまいりたい、かように考えております。
  190. 小川省吾

    小川(省)委員 第二十条の三、四、五に、公安委員会遊技機の規格を定めたり、検定をやったり、指定試験機関を設けることまで書いてございます。これらは従来は都道府県の公安委員会に任されていたのではないかと思うのでありますが、なぜそれではまずいのですか。
  191. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 遊技機の認定等は、お話しのとおり従来都道府県にゆだねられておりました。一つの県で認定を受けたものは、その一つの県だけで通用する、他の県ではまた認定を受けないといけない。その場合に、また、ともすると取り扱いが異なってしまうというような面もございまして、この点が大変問題ではないかという御指摘を従来から受けていたわけでございます。そういうことで、こういうふうに遊技機基準を統一化いたしまして、そして遊技場の営業者の便宜のためにそういうふうな認定を行うことができるようにしたということでございます。  これまた、現在やっておりますのも大体サービス行為として行っておるわけでございまして、厳密な議論をいたしますと、それぞれ、例えばパチンコ屋に機械が導入されるときに、それが適するか適さないかという判断が今の法律の建前になってしまうわけです。これをやりますと、もうどうにも動きがとれなくなるということで、今度のものをつくったということでございます。  ある意味では、これでメーカーの方も費用、事務量等も相当簡素化されるというふうに考えておるところでございます。
  192. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣なかなか来ないですね。  千葉県の警察本部にNという偉い人がおります。遊技業の世界では評判の悪名の高い方であります。きのうの千葉のパチンコのフィーバーの検挙も恐らくこの人のさしがねだろうというふうに思っていますが、Nという頭文字を言えば思い当たると思います。もしも思い当たらなければ名前まで申し上げてもよろしいのですが、一応下げます。  業界も過当競争で、玉を競争で出したり、悪い面もあるわけでありますが、しかし警察には指導する責任もあるはずであります。しかし、このNさんは、業界の競争を見て見ぬふりをしながら、警察庁には報告をするが、業界指導をしようとはしません。特に悪い業者を呼んで注意をすれば、この業界は一罰百戒ですぐ通る業界ですから、善良な業界にもしもしたいのならば、このNさんに対して十分注意をして指導をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  193. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今のお話の関係は、私、具体的な事情をよく存じ上げませんので、よく調べまして、必要があれば指導をしてまいりたいと思います。
  194. 小川省吾

    小川(省)委員 思い当たりませんか。Nという頭文字を思い当たりませんか。
  195. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私自身はちょっと今思い当たらないのでございます。
  196. 小川省吾

    小川(省)委員 恐らく保安課長か何かで、「ナガイ」という人だと思いますが、十分に指導していただきたいと思います。  この法律は、青少年の健全な育成に資することを目的一つとしておるわけでありますが、第二条第一項八号の営業では、国際的に有名な賭博機械であるスロットマシン警察白書でもギャンブル機械だと言っておるわけでありますが、あるいは花札やさいころ、トランプ等の賭博機械を夜の十時まで少年に使用させることを認めております。青少年にこのような賭博機械を使用させては、広く国民に奔放な射幸心を蔓延させることとなり、教育上も問題があると思います。むしろ、風俗営業法では少年立ち入り禁止をすべきではないかと思っております。  また、テレビゲーム機については、健全なものと非健全なものとかございます。健全なテレビゲーム機営業するものは法の対象から除外をして、これからの新しいコンピューター文化の発展を阻害しないようにするべきではないかと思っております。  第二条第一項の五号及び六号においては、明るさ、あるいは広さ等を具体的に明示をしておりますが、テレビゲーム機にはなぜ具体的に明示をしていないのか、お尋ねをしたいと思います。
  197. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 スロットマシンテレビゲーム機等のその他の遊技施設等が、一定の場合には、ゲームセンターに設置される場合には、これが許可営業対象になるわけでございます。  今お話しスロットマシンと申しますのは、いろいろあるわけでございますけれども、スロットマシンはやはり使い方の問題だというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、スロットマシンゲームをして、そこからいきなり現金が出てくるとか、あるいはそれが商品とすぐ取りかえられるというようなことになりますと、これは非常に射幸心をそそるおそれがあるという形になるわけでございます。  外国ではそういう例も多いわけでございますが、日本で今やっておるスロットマシンというのは、それ自体は遊技機で遊ぶということでございまして、そこで商品を出したり現金を出したりというようなことをしておるものではないわけでございます。そういうことで、そういうことになるおそれというのはあるわけでございますけれども、それ自体がすぐに問題の機械である、使わせるべきでないということにはならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  同様に、機械の中に非常に知的な能力を高めるというものもあることも私も承知しております。ただ、ゲーム機の名称あるいは中身、内容でゲーム機を健化なものと不健全なものに分けるというのは、これは大変難しい問題であろうというふうに考えております。それが現在行われておりますいろいろな実情を見ますと、例えばそういうふうな勝敗にかかわる、あるいは勝敗の結果が出てきて点数で表示されるというふうなものが結びついて、それが賭博ということで営業者が検挙されるという例もかなりあるわけでございます。そういうようなこともございまして、ゲーム機の中身でこのゲーム機は健全なもの、このゲーム機は健全でないものということを区別するというのは非常に難しい状況ではないかというふうに考えるものでございます。  ただ、テレビゲーム機等が全くそういうふうなおそれのないものであるということであれば、これはまた違うものであろうと思いますけれども、今申しましたように、現状ではこういうふうなことになっておるわけでございます。そうして、テレビゲーム機というのも、これはまたソフトウエアをかえますと簡単にゲームの内容も変わってくるということもございまして、今申しましたような形で分けていくということがかえって脱法行為を助長する危険性があるということで考えておるわけでございます。
  198. 小川省吾

    小川(省)委員 技能や勘や運動神経等を十分に利用してやるものと、そうではなくて全く偶然性に頼るものとがあるわけです。そういう努力に頼るようなものは伸ばしていっていいとは思うけれども、そうではないものはやはり取り締まっていかなければならぬというふうに思っております。おそれのあるスロットマシンなどは、当然、少年が十時までは立ち入れるというような状態をつくることはよくない、こう思っておりますから、さらに検討をお願いいたしたいと思っております。  大臣も参りましたが、この法律を一読をしてみますと、総理府令や国家公安委員会規則に委任するところがむやみやたらに出てまいります。調べたところによりますと、手続的なもので、政令、総理府令、国家公安委員会規則、条例、これが三十八項、実態的なものとして、政令、総理府令、国家公安委員会規則、条例、これが四十四項目、計八十二項目が委任をされておるわけです。このようにがんじがらめに政令、規則に委任しておるわけであります。  このことは、警察風俗営業あるいは風俗関連営業を通じて行政警察の権限を拡大をし、往時の警察国家への突破口を図るものではないかという意見もございます。こんなことを公安委員会規則にゆだねる必要があるのかというものまでがあるわけでございます。大臣は、警察国家の再来とも言われているようなこの法律案についてどのようにお考えでございますか。
  199. 田川誠一

    ○田川国務大臣 今回御審議を願っております改正案につきましては、法律の委任の範囲内の技術的な事項につきましては政令、総理府令及び国家公安委員会規則に、地域の実情を反映して定めるべき事項については条例に、それぞれ委任することにしているのでございます。  しかし、これらはいずれも法律で具体的に委任された内容を個別具体化し、また技術的事項を規定しているものにすぎないのでございまして、おっしゃられるような警察国家を再来する、あるいは権力を集中してやるというようなものでは毛頭ございませんで、環境改善する、あるいは青少年の非行化を少しでも防いでいこう、そういうようなことを主として改正をしているわけでございまして、どうかこの点はひとつ十分御理解をしていただきたいのでございます。
  200. 小川省吾

    小川(省)委員 国家公安委員長としては毛頭考えていないということでございますが、三井長官、いかがですか。
  201. 三井脩

    ○三井政府委員 下位の法令に委任すればするほど具体的になってくるということであります。しかしながら、その委任の内容が基本のところで法律でからっと枠がはまっておるということでございますので、風俗営業及び風俗関連営業の大変バラエティーに富んだその実態に即するためには、下位法令への委任ということもある程度やむを得ないのではないか、こう思うわけでございます。  冒頭に御質問がございましたけれども、今度の法律は、今まで条例に相当ゆだねておった部分がありましたので、そのうち全国的に統一すべきものをこの法律に拾い上げるといいますか、法律規定した、こういうことで、現行法よりは改正法が相当条文数が多くなったのはそういう事情でありますが、そういうふうに一方で統一するために条例事項を法律に持ち込むというのと同時に、条例規定されておるものの中で、地方の実情にマッチしたように、またそれに任せるべきものは下位法令に委任する、こういう思想でございますので、そのことが法律の枠の中であり、また法律の枠の決め方がしっかりしておるということであれば、憲法上とか法律論上とか特に問題はないと思いますし、また実態にその方がよく合うのではないかと思っております。
  202. 小川省吾

    小川(省)委員 国家公安委員長警察庁長官に強く要請をいたしておきますが、この法律が仮に通って、警察国家の再来であるとか警察の権限ばかりが強まったというふうなことのないように十分に配慮してやっていただきたい、このように思います。  それから、第二十三条に「遊技場営業者禁止行為」というのがございます。この二と四に景品の買い取りと保管書の発行というのがございます。これはいわばパチンコ営業の恥部ではありますが、この業界はこの恥部のゆえに存立があると言っても過言ではありません。なぜこのような恥部にまで警察が手を突っ込むのか、甚だもってわかりません。この第二十三条は全面削除をしてまいるべきだと思います。削除を検討してくれますか。こんなことこそ従来と同様に条例に委任をしておけばよいのではないかと思いますが、いかがですか。
  203. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 今先生からお話がありましたように、この二十三条に書いてあります内容のほとんどは条例で書いてあるものでございまして、これを、共通的な問題であるということで法律にしたというだけのものでございます。  なぜこれを依然として維持していくかということでございますが、賞品を買い取るという行為は、遊技の結果に対しまして営業者から客にある意味では現金を提供するのと同じようなことにもなるということで、射幸心をそそるおそれが大変強いということが言えるわけでございます。  保管書につきましても同様でございまして、実は保管書を営業者が客に出しますと、保管書がある意味では現金と同様に有価証券のように流通をいたしまして現金化されていく、これまた同じように射幸心をそそるおそれがあるわけでございまして、業界の健全化を図っていくためには著しく射幸心をそそるおそれのある行為はどうしても規制をしていかなければならない、かように考えておるところでございます。
  204. 小川省吾

    小川(省)委員 私はあえて業界の恥部だと申し上げたわけなんですが、これがあって初めて、暴力団がのさばるのが今ないわけですね。それでは保安部長は、暴力団がのさばってきて、パチンコ業界を席巻していっても差し支えない、このようにお考えですか。
  205. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 決して暴力団がのさばっていいと考えているわけではございませんで、そういうことで私どもの方はこれを規制はいたしますが、さらに、実は従来の条例ではほとんどの県で、客に提供した賞品を買い取ることのほかに、他の者に買い取らせないことという条項も入っていたわけでございます。もし各府県で暴力団がこういうものに介入して、こういうものを利用して、これが規定されてないことをいいことに暴力団が介入してはっこするようなことになるおそれがあるならば、これはやはりそれぞれの県で条例で手当をしていなかなければならないというふうに指導してまいりたいと考えております。
  206. 小川省吾

    小川(省)委員 ですから、そういう意味で私はこの点は府県の条例に任せておいてよろしいものだと思っておりますが、長官、この点は検討していただけますか。
  207. 三井脩

    ○三井政府委員 この法案を立案の過程でも十分検討したところでございまして、ただいま保安部長からも答弁申し上げたように、運用については十分注意してやっていきたいと思いますが、条文としてはこれを維持してまいりたいと考えておるところでございます。
  208. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、こういう業界の恥部、しかもこれが暴力団を抑える一つの有力な手だてになっているということを考えれば、従来と同様にすべきであると思っていますから、ぜひひとつ検討してもらいたいと思っております。  それから、大阪、兵庫、秋田等で警察の不祥事が大変発覚をいたしております。世上言われておりますように、松橋忠光さんの本によるまでもなく、現在警察本部長が転勤になるときはせんべつが一千万は下らないと言われております。交番のお巡りさんでも数万円のせんべつを集めると言われております。このような事実を知っている下級警察官が、このくらいはということで暴力団とつながったり、あるいは悪いことに時には目をつぶったり、時には手をかすということもないわけではないんだと思っております。このことは当たり前だと言う人もおるわけでありますが、警察庁の内部の偉い人でも、大分赤字もあるから、そういう意味で県警本部長に出たいなどという人もあなた方の中にもいるんだろうと思うのであります。そういうふうな風潮が警察界の内部にあることすら問題だと思っていますが、このようなことを正していくにはどうしたらいいのでしょうか。
  209. 太田壽郎

    ○太田政府委員 基本的にはやはり警察官として廉潔を旨とする、それで国民に奉仕するという基本的な姿勢を貫いていくという心構えと、それを実行する態度ということが非常に必要だということでございます。  私自身も警察本部長を二つばかりやらせてもらいましたけれども、ただいま先生からお話がございましたような、そういうせんべつをいただいたという記憶は全くございません。そういう事実はございません。
  210. 小川省吾

    小川(省)委員 私はもらったことがありますという答弁はできないからそうだと思いますが、私も県会議員当時、それから国会に出て一年ぐらいは警察署長が転勤になるときには五千円ぐらい包みましたよ。こういうことを知って、国会に出て一年過ぎた以降は、現在はせんべつもやっておりませんけれども、事実そういう事実があるわけですよ。そういうのを下級警察官が知っておれば、ある程度悪いことも出てくると私は思いますので、こういう手だてを、通達で出すというわけにもいかぬでしょうが、折に触れて何らかの是正をされるような方途を講じていただくようにお願いいたしておきたいと思っています。  それから、先ほどパチンコ業界の話を申し上げましたが、パチンコ機械の製造会社の話をひとつ取り上げてみたいと思うのであります。  私の県、群馬県は、パチンコ機械の製造については日本一のところでございます。先日、郷土の新聞、上毛新聞に載ったのですが、本年の法人所得のランクでは平和工業というパチンコ機械の製造業者が第一位でございます。従業員は三百五十人、年商五百億、申告所得が実に百八十五億余、二七%でございます。第二位が東京三洋電機という電機機械メーカー。年商二千六百八十二億、従業員一万人で、申告所得は百三十二億余。第三位が地方銀行の群馬銀行です。預金現在高は二兆七千億で、従業員約四千、申告所得が百三十二億円でございます。  このように、年商五百億でその二七%が申告所得なんでありますが、従業員一万人の二千六百八十二億の年商の会社よりも、預金二兆七千億を持つ銀行よりも申告所得が多いのです。製造原価が二万円から二万五千円の機械を七万五千円から十万円でパチンコ業者に売っているわけであります。  こういうパチンコ機械製造業者に対する指導の問題なんでありますが、大蔵省からおいでをいただいておりますので、こういうふうな点についてどのような指導をなされようとするのか、なされておりますのか、お伺いをしたいと思います。
  211. 津野修

    ○津野説明員 パチンコの製造業者に対する指導ということでございますけれども、これの税務の面からの指導という点につきましては、当然法人税等については調査等をやっておりますし、それから物品税等については、そういう面におきまして物品税の把握漏れがないようにきちんと把握しているということでございます。
  212. 小川省吾

    小川(省)委員 パチンコ機械規制がありますと、業界が損をして機械メーカーがもうかるという悪循環ですね。こういう点は、どこになるのかわかりませんが、ぜひひとつ心にとめておいていただいて、適切な指導お願いいたしたいと思っております。  それから、第三十七条なんですが、「立入検査等」を定めております。先ほど臼井委員の方からも話がありましたけれども、店舗に立ち入って、帳簿、書類その他の物件の検査や、関係者に質問することができるようになっておりますが、現行法では、税務署でも令状をとって初めて帳簿や書類を見ることができるわけですね。警察官は令状もなしにいつでも帳簿を見ることが可能となるわけであります。これを拒否することができないとなると、これは臨検の復活ではないかというふうに思うのですが、憲法との関連はいかがなんですか。  それから、質問に対して自己に不利益な事項の供述を強要されないということが憲法第三十八条にありますが、不利益なことについて答えないということは当然許されると解してよろしいわけですか。
  213. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入り規制は実は現在もあるわけでございまして、当然のことながら風俗営業と深夜飲食店に現在もできることになっております。今度は法律を整備いたしまして、風俗関連営業というものを設けましたので、そちらの関係にもできるという形にしたものでございまして、決して立ち入り関係を改めてつくったものでも何でもないわけでございます。  そして、この立ち入り規制につきましては、あくまでも公益上必要な限度にとどめるべきことを明らかにしておるわけでございます。また、個人のプライバシーを保護するために、客が在室している個室を除く旨の規定も明確に置いております。  また、犯罪捜査のために認められたものではないということも明言をしております。  さらに、身分証明書の提示は、従来は請求があった場合に呈示することになっておりましたけれども、今度は請求の有無にかかわらず提示をするという形でございまして、従来のものに、必要な、十分な配慮を加えて立ち入りという制度を続けていくということにしたものでございます。  今お話しのありました税務の関係は、私も必ずしも詳しくございませんけれども、大体この立ち入り規定というのはいろいろな形の立法例を参考にしてつくったものでございまして、今度の風営法が格別に厳しいものというものではないと考えております。むしろ私どもは、先ほど申しましたようなもろもろの配慮を加えた、立ち入りとしては非常に画期的なものであるというふうに考えておるようなものでございます。  それから、自己に不利益なことを供述しないという問題でございますけれども、これも一応犯罪の問題に関してそういう判例があることは承知をしておりますけれども、立ち入りという行政の目的を達するためには、それは本来は認められないものだというふうに考えておるところでございます。
  214. 小川省吾

    小川(省)委員 質問に対して拒否をすることは、自己に不利益なことも認められないわけですか。
  215. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 その不利益な供述が自白になるというような場合には認められるというふうに思いますけれども、そうではない場合には、その拒否をするあれはないというふうに考えております。
  216. 小川省吾

    小川(省)委員 憲法に違反をしないようにやっていただきたいと思います。  それから、許可の取り消してございますが、先ほども申し上げたとおり、交通事故で刑罰が決まれば、執行猶予でも許可を取り消すことができるようですね。どんな前科でも前科がつくと営業がだめだということになれば、悪法きわまれりと言うべきだと思います。  また、遊技機の認定なのでありますが、全国統一的に国家公安委員会が行うことになるようであります。業者は頭を絞って新しいおもしろい機械を考案いたします。統一的な認定ではおもしろい機械は認められないだろうと思います。新製品が出てこなければ斜陽化をすることは明らかであります。大体一般の人は一万円か二万円も負ければやめてしまうわけでありますから、数万円を使うなんというのはほんの一握りの人であります。ささやかな庶民の楽しみに警察が介入をしてくるのは歓迎をされるはずがありません。ささやかな楽しみまでなぜ奪おうとするのか。大体パチンコや遊技場やマージャンを、のぞきや個室マッサージと一本の法律で律しようとするところに問題があるのだと思いますが、いかがですか。大臣、どうですか。
  217. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほどもお話を申しましたように、許可営業というのは、健全に発達をさせるために私どもの方は罰則もできる限り行政処分に切りかえる、そうしてその自主的なものを伸ばしていくというふうな形で考えておるものでございます。風俗関連営業は、先ほども申しましたように、許可をして健全に発達させるというものではないわけでございますので、これはやはり必要な規制を行いながら、違反があれば厳正に対処するという形で臨むものだと思っております。  遊技機等の問題がございましたけれども、ささやかな楽しみを奪おうなんということは毛頭考えてないわけでございまして、例えば二十条等でいろいろ認定等の作業ができるようにするのは、先ほども申しましたように、機械が入る段階で初めていろいろチェックをするというのではかえって迷惑である。しかも、全国的に通用している機械というのはある程度決まっておるわけでございますから、そういうものが各府県で区々になったりということではかえって迷惑であるということで、やはり業者の皆さんの便宜も考えて実は改正をしようということにしたわけでございます。そういうことで、決してささやかな楽しみを奪うとか、厳しく規制をするとかということは一切考えていないところでございます。
  218. 小川省吾

    小川(省)委員 ちょっと先ほどの答弁でひっかかったのですが、憲法三十八条に「自己に不利益な供述を強要されない。」ということがあるわけでありますが、これについて、私は不利益なことについてはお答えはできませんというふうな答弁があっても、さらに令状なしで警察官が犯罪に関係なくどんどん質問できるということになりますと、これは憲法違反として問題になる事項でありますが、もう一回保安部長の確固たる答弁をお願いしたいと思います。
  219. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 私どもが立ち入りをやりますのは、あくまでも行政目的のために行うわけでございまして、犯罪捜査のためにやるものではございません。  そういうことで、行政目的のために質問をするということは許されるものというふうに考えておるわけでございまして、先ほど申しましたように、それが犯罪に結びつくような、自白につながるような問題があるとすれば、それは拒否するということが可能でございますが、行政目的という形で聞いておるものにつきましては、これは拒否をするということはできないというふうに考えておるところでございます。
  220. 小川省吾

    小川(省)委員 だかも、その辺のところに行政警察がますます強化をされる危険性を私は感ずるわけであります。そういう意味で、行政警察だから何を聞いてもいい、何をやってもいいことになりますとこれは大問題でございます。  そういう意味で、私はこの点もう一回三井長官からはっきりした答弁をお聞きしたいと思います。
  221. 三井脩

    ○三井政府委員 明文で犯罪捜査のためのものではないということを念のために規定しておりますが、あの規定がなくても、質問は行政目的に限られみわけでございます。  したがって、その行政目的について質問をするわけでありますから、それが不利であったから犯罪になるわけではありませんので、質問の方を行政目的に絞れば、犯罪捜査目的で質問するのではないということでございますので、行政目的の質問には不利である云々という問題は出てこないというように考えます。  別の観点から不利ということはあると思いますけれども、犯罪になる、ならない、不利かどうかというのは、自己負罪というように、そういうことに答えれば犯罪になるおそれがあるということでありまして、犯罪になる、ならないと関係のないことを聞くわけですから、例えば税金の目的で、それをしゃべったら税金を取られるということは犯罪とは関係ありませんから、それはもう答えないというわけにいかないというような例がございますけれども、この場合適切かどうかは別として、犯罪捜査でない質問、それに限定されますし、またそれについては正しく答えていただきたいということでございます。
  222. 小川省吾

    小川(省)委員 行政目的に絞れば何をやってもいいんだということになりますと、これは警察官は何をやってもいいんだということにつながるおそれが出てくるわけですよね。そういう点で私は、行政警察の権限が強化をされるというおそれが、その突破をねらうというねらいがこの法律を通じてどこかに潜んでいるのではないかというふうに思っておりますので、そういう点については十二分に配慮をしてやってもらいたい、こう思っていますが、大臣、いかがですか。
  223. 田川誠一

    ○田川国務大臣 御懸念のようなことは絶対にないものと私は信じておりますし、この法案の作成に至る今日まで、関係業界関係者とも随分意見の交換を当局としてやってまいりましたし、どうぞこの点を十分御理解をしていただきたいのでございます。
  224. 小川省吾

    小川(省)委員 まだいろいろ問題はありますが、この点は私どもの党の後の委員の質問に任せたいと思います。  それから、先ほど臼井さんの方からも質問があったわけでありますが、第三十九条、四十条に風俗環境浄化協会が規定をされております。天下り先の少ない警察のことですから、このようなものをつくりたいという気持ちはわからないわけではありません。しかし、この浄化協会の行おうとする業務が行政書士会の業務と重複をする面が多々あるわけでございます。行政書士会との業務の分担をどうされようとするのか。それとも浄化協会の役職員については行政書士をもって充てていこうとされるのか。また、これに対して天下りなどをやたらに行わないということは言明をできますか。
  225. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 風俗環境浄化協会と申しますのは、それぞれの地域において風俗環境の浄化を図るために民間の活力を導入したいという目的でやるものでございまして、現実に、これは府県で府県の公安委員会が指定することではございますが、私どもといたしましては、現在あります防犯協会を指定してまいりたいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、現在既に防犯協会等があるわけでございますから、天下りのためにこれを送り込むということでは決してないというふうに御理解を賜りたいと思います。  それから、行政書士会との関係でございますが、今申しましたように、あくまでも浄化協会はこの風営法目的を達成するためにやるわけでございまして、公安委員会の本来事務を必要な場合にこの協会に委託できるようにしようとするにすぎないものでございます。したがいまして、行政書士の方々が行ういろいろな業務とはこれは重複をしないというふうに考えておるところでございます。
  226. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣と長官に要請をしておきたいと思いますが、今私がちょっと触れただけでも、この法律案は非常に多くの問題を含んでおるというふうに思っております。そういう意味で、この法律の運営に当たってはぜひひとつ存分な配慮と慎重な取り扱いを期して、いやしくも警察が権限を強化する突破口としたとか、行政警察等の強化で警察国家の再来だというふうなことが言われないように、十分な配慮を払ってほしいというふうに思っておるわけでありますが、長官と大臣から一言ずつ御答弁をいただきたいと思います。
  227. 三井脩

    ○三井政府委員 この法律は、現下の情勢にかんがみて何とか有害環境を是正したいというようなことを中心に考えたものでございまして、それに便乗して警察権限をふやそうとかそういうことは全く考えておらぬわけでございます。また、新たに警察権限をふやすような規定は毛頭ございませんで、立ち入りにしても現行法のままでございまして、何らつけ加えるものでないのみならず、現行法でない念のための規定を二つも三つもつけ加えたというように、絞りをかけておるわけでございますから、私たちはそういう気持ちでございますし、これを第一線によく徹底をしてやってまいるようにいたしたいと思っております。
  228. 田川誠一

    ○田川国務大臣 長官の言ったとおりでございます。特に最近青少年の非行化やらあるいは非常にひどい環境のところ、こういうところを何とかして少しでも改善をしていきたい、それがまた世論でもあると思うのです。そういう世論にもこたえてこのような改正案になったわけでございまして、御心配になられるようなことは絶対にないと私は確信をしております。
  229. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣の答弁、よくわかりました。  それから長官の答弁で、第一線に徹底をするという答弁がございましたけれども、ややもすれば親の心子知らずというのですか、警察庁の幹部が考えていることが第一線に徹底をしていないからこそ、兵庫や大阪あるいは秋田、いろいろなところでいろいろな犯罪が起きておるわけでありますから、本当に第一線にまで警察庁の幹部の心が徹底をするように、ただ強権的な指導ではなくして親心を持った温かい指導を徹底してやっていただくことを切望いたしまして、私の質問を終わります。
  230. 大石千八

  231. 井上一成

    井上(一)委員 大臣がお越しになりましたので、残余の質問について一、二、問いただしていきたいと思います。  御承知のように、グリコ事件については、先ほど警察当局は、犯人対警察、そういう一つの犯罪だという位置づけから、既にこれは社会問題だという認識に立っていらっしゃるわけです。大臣もそういう認識を持ってこの問題に取り組まれていると私は思いますが、その点はいかがなのか。  あるいは社会問題として認識をお持ちであるなら、もちろん一日も早く犯人の逮捕というのは第一でございますが、しかし、先ほども申し上げたのですけれども、三カ月を過ぎて、あらゆる挑発を受けながらまだ犯人逮捕に至らないという残念な現実がある。  そういう中で、連鎖的な類似犯罪も予防していく、いわゆる防犯的な見地からも、さらにこの際政府全体として抑止対策を講じていくべきである。自治大臣は警察当局の最高責任者であると同時に内政における最高の責任を持っていらっしゃるわけですから、私は内閣の一員として特に田川自治大臣に大いなる期待を持っているわけでございまして、政府は抑止対策を速やかに講じて、内閣が社会不安をなくするための取り組みを表明すべきではないか、取り組むべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  232. 田川誠一

    ○田川国務大臣 最初の御質問のグリコ事件に対する考え方は、前に警察当局が述べられたようでございますけれども、私も、大きな社会問題でもあり、社会の敵である、このようなことをこのままいりまでも続けさせていくことは絶対いかぬという強い気持ちを持っているわけでございます。  そして、こういう問題を再び起こさせない、今後も起こさせないというようなことをどうやってやるか、なかなか難しい問題ですけれども、犯人を何とかして早く捕まえること、これが第一番である。よく言われておりますように、検挙にまさる防犯なし。ですから、とにかく私は警察当局にも毎日のように早く何とかして捕まえられないかということを言っているわけでございまして、第一線の者も懸命にやっております。私は必ず御期待にこたえられるような時期が来る、こういうふうに確信を抱いているわけでございます。  今先生から言われました今後の対策を政府部内でやっていけないかというような御意見でございますが、私は、まず第一番に犯人検挙に全力を挙げるということが一つ。それから、今御指摘になりましたような御提言も有力な御意見であると私は思っておりますので、政府の部内におきましてこういう問題を検討していくべきではないかとも考えております。とにかく複雑な問題でございますので、十分慎重に対処をしていきたい、このように思っております。
  233. 井上一成

    井上(一)委員 いろいろと対応策があろうと思うのですが、労働省なり通産省なり厚生省なり農水省なり、この問題はいろいろな意味で波及的な問題としていろいろ関連してくる問題なんです。そういう意味では政府として統一した対応策が必要である。そういう対策委員会を即座に設けて、犯人逮捕のきっかけを一日も早くつかんでいく、そのことが犯人逮捕につながっていく、こういうふうに思うのです。  そういうことを政府部局で自治大臣が率先して御提言をいただけるかどうか、そのこともお考えを聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  234. 田川誠一

    ○田川国務大臣 犯人の逮捕については、せっかくの御意見でございますけれども、政府部内にいろいろな委員会をつくって協議することが果たして早期の検挙につながるかどうかというのは、せっかくのお言葉ですけれども、いかがなものかと思うのです。早期検挙というのはやはり警察が全力を挙げてやる。そうして国民の皆さんに御協力をいただきながら、政府の内部よりもむしろ国民の皆さんの御協力が一番大切だと思うのです。  政府の内部で検討するということが大変貴重な御意見だと申し上げましたのは、こういう問題をどうやって防いでいくか、あるいは実際の被害者の問題であるとか薬物の問題であるとかということについては、井上さんのおっしゃったようなことも一つの有力な意見として考えていかなければならぬのではないかということを私は申し上げたので、犯人を捕まえるということは国民と警察とが一体となってやっていく。私は必ず捕まえることができるというふうに思っております。
  235. 井上一成

    井上(一)委員 時間がないのですが、大臣、捜査協力というのは警察からの働きかけがある。しかし、行政協力というのは政府部内でやっていかなければいけないのですよ。一体だれが音頭をとるのだ。通産、厚生、農水、ばらばらじゃだめなんですよ。今言われたように、国民の協力だとか、内部の協力態勢はどうなんだ、各省庁がばらばらじゃだめなんですよ。だれがそれをまとめていくか。その力が結果的に犯人の逮捕に結びつく、私はこういうふうに言っているのですよ。  だから、そういうことをあなたがどこで発議をし、どこでそういう問題に取り組む決意を示されるのか。政府としては、今社会問題をおさめていくことが一番大事なんですから、そういうことを考えれば、そういう対応を速やかにすべきではないでしょうかと言っているのですよ。いかがですか。
  236. 田川誠一

    ○田川国務大臣 井上さんがおっしゃっているのは、恐らく国民に対する一つの心理的な、と言ってはちょっと言葉が行き過ぎかもしれませんけれども、安心感を与えるということだと思うのです。そういうことであれば、現に、実際はそういうことをやっているのですよ。ですから、一つの形をつくるというよりも、今おっしゃったようなことは、それぞれの各省との連絡をしつつやっているということを私どもはここではっきり申し上げておきます。
  237. 井上一成

    井上(一)委員 中曽根総理は、このことについてあなたから報告をして、このことに関心を示されましたか。
  238. 田川誠一

    ○田川国務大臣 こういうような話は合間合間に、中曽根総理ばかりでなく、私どもは個人的にも、こういう問題は一刻も早く片づけていかなければならぬということをお互いに話し合っております。
  239. 井上一成

    井上(一)委員 内閣として、改めて政府は全力でこの問題に取り組むという決意の表明が当然必要である。閣議であなたから発言をなさるとか、あるいはいろいろな意味での場をとらえて、ぜひこの問題に取り組む政府の姿勢を示すべきである。いかがですか。
  240. 田川誠一

    ○田川国務大臣 井上さんがこうした一連の問題について非常な熱意を持って御発言をされていらっしゃることは非常にうれしく思っておりますし、警察に対する大きな激励だと思います。しかし、やはりひとつ警察当局を信じていただきたい。そして、犯人を逮捕することは警察の全責任である、こういう考えで私たちは臨んでおります。  先ほど来しばしば申し上げましたように、問題によりましては各省と協議しなければならない問題も幾つかございますが、そういう問題は現にやりつつある。そして、犯人逮捕については警察を信頼してもらいたい。これは今後もひとつ一層力を注いでやってまいります。
  241. 井上一成

    井上(一)委員 最後に、もう一点大臣にお聞きをしたいと思うのですが、私は、好まないことだけれども、あってはいけないことだけれども、万が一またこのような類似した状態が起こり得ないという保証もないし、そういうことは社会の秩序を根源から破壊していくし、経済の流通機構をそれこそのちゃくちゃにしていく。そのためにいわゆる被害を受ける関連の人たち、企業も含めて、その人たちに対する救済の行政というものはやはり必要なわけなんですよ。そういうことはやはり手だてをしていかなければいけない。その手だてが犯罪の抑止力になる、私はそう思っているのです。  通り魔の犯罪被害者救済の法律ができたというのも、まさにそういう発想からあの法律がつくられたものであって、社会に生きていく、そういう状況でいつも安心ができるというのは、やはりいろいろな手だて、それが政治だと思うんですよ。私は、あえてここで、今どんな法律をつくりなさいとか、あるいはどういうことをやりなさいということを具体的に申し上げるわけじゃない。今申し上げたように、もし万が一こういう問題があったときに、好まないことだけれども、関連する被害を受けるその人たちに対する救済の手だてを検討すべきではないか。そのことがやはり政治であり、そのことが社会問題であるという認識に立つ裏づけだと思うんですよ。  担当の通産や労働で聞いたって、今の法律の中でそれを当てはめていこうとするが、それはできる部分もあればできっこない部分もある。まあ私の意見は差し控えますが、ひとつ私の今の質問に対して、大臣から率直な御意見を聞かしていただきたい。
  242. 田川誠一

    ○田川国務大臣 井上さんがこうした被害者に対する救済措置、こういうことを真剣にお考えになっていらっしゃる、また案もお持ちであるということでございますれば、また後ほどお聞きすることにいたしまして、大変敬意を表することでございます。  ただ、今度のような問題、例えばグリコという会社の問題、そういうものに対する一つの救済措置ということになりますと、従来あります通り魔犯罪の被害者に対する救済金の問題とは多少違うことでございまして、いろいろ複雑な問題がございます。せっかくの御提言でございますので、私ども、今おっしゃられたようなことを一つの御意見として十分検討させていただきたいと思います。
  243. 井上一成

    井上(一)委員 一日も早い犯人の逮捕を私たちは国民の皆さんとともに待ち望んで、警察の、この犯人に対する取り組みの強化ということに強い期待を持っているということを申し上げて、私の質問を終えます。
  244. 大石千八

    大石委員長 安田修三君。
  245. 安田修三

    ○安田委員 私は、今度の風俗営業法の改正案は、やはりいろいろな意味で法体系の上では重要な改正ということになるのではないかと思います。特に、風俗営業でありますから、風俗というのは時代の変遷によって変わってまいりますし、そういう点では、絶えずこういう立法府の場でそういう時代変遷に応じた議論をし、そして立法化されるということは必要でありましょう。  ところが今度の場合に、風俗営業の範囲そのものは、従来から比べれば関連営業等の拡大という点にとどまっておりますが、この取り締まり規制、特に規制よりもその手続関係等については従前と抜本的に変わってしまった。そういう点で、これは法そのものの持つ中身というのががらりと変わってしまったというところに、大いに議論をし、関係者の意見もよく聞き、そして戦後、民主警察制度になって民衆と警察の信頼関係というものが築かれてきた、その上に立って、犯罪の予防なりあるいは犯罪の解決ということをこれからの新しい時代に向けていくときには、こういう風俗営業の場合にどうあるべきかということを議論して、法改正に臨むべきではなかったかと思うわけです。  そういう点で、今度の風俗営業等取締法改正の場合に、皆さん警察当局の中に何か焦りがあるのじゃないだろうか。今の社会情勢の中で、例えば非行少年がふえてくるという、あるいは低年齢層にだんだんそういう非行化がふえていくとか、あるいは場合によったら婦人層にもだんだん広がるとか、こういうことに対して何かしなければならぬという気持ちはみんな持っておると思うのです。ですから皆さんが、風俗営業法の改正という問題が出たときに、案外すんなり、いろいろな利害関係者にはがたがたあったけれども、案外、そうだなあという気持ちをお互いに持った人も多かったのじゃないだろうかと思います。  だが、実際法案が出されて見てまいりますと、これは重大だなということが非常にたくさん出てきた。特にそういう中に、本来この種のものは、本当に警察と民衆との間に密着感、信頼感があれば余り事件が出ないし、事件が出た場合も解決が容易になるということが多いにもかかわらず、そういう点では何かその間に懐疑の考えがあるのじゃなかろうか、そういう感情があるのじゃないかということを私は大変心配いたします。  社会情勢が大変複雑多岐にわたるときに、第一線で働く行政警察や司法警察の両任務を持ってやっておられる方々には、御苦労を多としなければなりません。しかしながら、先ほど井上委員からも質問がありましたグリコ事件、きょうの日刊の某大手紙の中の「ちょっと ひとこと」という中にも、三十歳の主婦の方でしょうか、最後に、早くグリコ事件を警察は解決してもらいたいという投書が出ておりますが、そういう点では皆さんも万全を期しておられると思うので、素人筋からとやかく言うのもおこがましいが、これは週刊誌とか推理とかいうことで私たち見ておるだけでありますが、ただ、だれが見ても、通報も遅かったということもあるけれども、初動捜査において手落ちはなかったか、あるいはまた、捜査の基本に欠陥がなかったか、そんなようなことについて、それぞれ世間では非常にわいわいがやがやお互いに議論が助長されているわけです。  そういう点では、皆さんも針のむしろに座っているような感じがするかもしれませんけれども、もし率直にそういう点で見直すべきものがあって、新たな捜査体制をしくならしくという毅然とした態度も必要であろうと思います。広域犯罪だとはいいながら、人口密集地とはいいながらも、極めて範囲の狭いところで起きている事件であります。  ましてや、最近、秋田の免許証偽造事件は大きな衝撃を与えました。内部監察が緩んでいるのではないか。あるいはまた、再三以前にも起きてまいりました大阪とか兵庫とかいいますと、何か警察と暴力団が癒着しているような印象さえ世間に与えて非常に残念だと思うのでありますけれども、そういう点が第一線警察官の士気に影響しては困るということを私たちも大変憂えるのであります。  つい今月の新聞にも、また兵庫の事件、岐阜の事件が出ております。十六日には、某大手紙から報道されましたように、兵庫県警の竜野署長、この方が姫路市の下水道管理センター技師松尾さんとの、いわゆる汚職事件で逮捕された人とのかけマージャン事件、あるいはまた、十九日の某大手紙に報道されましたように、岐阜県古川署の方が、これまた弁当総菜販売会社社長西尾という十億円詐欺の方と岐阜の有名な柳ヶ瀬での豪遊、競輪、競馬、釣りにふけっておったということで、二名退職、ほかに三名が訓戒を受けた。あるいはその中に、一部報道に是正しなければならぬものもあるかもしれません、私は報道だけで言っておるのですから。だが、書かれてきたその経緯については私は紛ろうことはなかろうと思います。  こうしたことが起きていることは、そこに民衆と警察の間に何か疎外感、不信頼感というものが醸成されていく。こうしたことが起きること自身が、私は今、戦後警察にとって一つの試練期だと思います。民主警察が育って三十数年のうち、今の制度に変わって三十年。一つの過渡期であり試練期である。いわゆる今の警察の中に、変化する社会情勢に慣熟し得ない一つの流れがあるのじゃないか。  これはかって十数年前に、当時の後藤田長官、今の大臣が長官時代に、二十年前後の警察で育った人は地方自治その他でやはり一定の水を吸ってきておるが、それからの分については私も心配しておるという当時の長官答弁がありますが、そういう点では、一般行政になじむという方が、人事交流されていても非常に少ないんじゃないかという点もあるわけでありますけれども、そういう点で、社会情勢に慣熟しない、あるいは民衆との接点が少ないとか、あるいは実質的な信頼関係をつくることについてどうも余り堪能でない。ですから、警察に事件の関係で何か通報しても、逆に通報した者は何か犯罪者のような感じで見られるのじゃないかということがあって、なかなか通報しがたいとかという不信頼感、いろいろなものが山積しておる。  これを越えなければならぬ重大な時期、そういうときに、今の風営法が何か、先ほどうちの小川委員もおっしゃったように、警察権力だけが肥大するような感じを与えているということは私は極めて遺憾だと思うのです。  そこで、まず初めに私は長官に、こうした一連の警察の不祥事、私たちは余り国会の場でこういうことを大きく言いたくないが、これだけ立て続けに毎月毎月出てくるという今日の状態に対しまして、皆さん方はどのように対処をし、またこれからどのようにこれをきっちりしていかれようとするか。警察官もまたそれぞれ人の子であります。決して私たちも一つや二つのことで目くじらを立てたりあるいはどうのこうの言いたくはない。だが、これだけ出てくると一体どうなのかということです。長官の答弁を承りたいと思います。
  246. 三井脩

    ○三井政府委員 警察官の不祥事が続いておりまして、まことに申しわけないと考えておるところでございます。  それぞれの県におきまして、警察における規律は警察としての組織体の生命とも言うべきものでありますので、一生懸命それの維持強化といいますか、日々そのために努力をしておる、こういう現状でございますが、なおかつこういうようなことが起こっておりますので、さらに各県では、それぞれの事案の原因等を究明いたしまして、それぞれの原因にふさわしい対策を各論としては講じていく。同時にまた、基本的な問題として、これは警察官のバックボーンであるべき問題でありますので、この点については日々の勤務、とりわけ職場における勤務を通じて職責の自覚を促していくというように努めておるわけでございます。  なおかつそれでも出てくる事案につきましては、信賞必罰ということで適切に処分していく、こういう姿勢で臨んでおりますので、ただいままで出た問題についてはまことに申しわけないわけでございますけれども、これからは、速やかにこういう事案を根絶いたしまして国民の信頼を回復してまいりたい。  そういう意味におきましても、御指摘もございましたが、警察がそのような内部規律を厳正にするのは公共の秩序維持というこの任務を遂行するためでございますので、当面一番差し迫っておるグリコの事件、これの解決を初め、当面の重要問題に力いっぱい取り組んでまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  247. 安田修三

    ○安田委員 田川公安委員長に同様お伺いするわけであります。  委員長も、この種の事件等があって大阪にも足を運ばれたとも聞いておるわけでありますが、いずれにしましても、公安委員会自身の立場で、警察内部のその種の教養を高めたり、あるいはまた、これはもうその仕事が任務ですから、ほかだったら何でもないことでもこれは厳正にしなければならぬというわけで、これは記憶にも新しいように、現職警察官が東京で女子大生を殺したというああいう事件があって一遍に信頼を失墜した。まあ何とか信頼が高まると、またこういう事件が起きる。こうしますと、こういう風俗関係がこうなっても、取り締まる当局がそれじゃ、一体何を言っておるのだ。これじゃ逆、逆となるわけですね。  私は、公安委員長にも、長官から答弁をいただきましたが、公安委員長としての所見をぜひお伺いしたいと思います。
  248. 田川誠一

    ○田川国務大臣 犯罪を取り締まるべき者が犯罪を犯す、これほど恥ずかしいことはありませんね。今長官が述べられた一語に尽きるわけでございまして、公安委員会といたしましても、こういう問題をできるだけ起こさないように、これはもう警察官二十数万いるから外国の警察よりもずっと規律がいいと幾ら言っても、一人でもこういう犯罪者を警察官の中から出してはいけない、こういうふうに思っているわけでございまして、このために一体どういうことをしたらいいか、いろいろ管理の問題、そういうものは警察庁自身で考えております。私ども公安委員会といたしましても、こういう問題を二度と起こさないように今後も努力していくつもりでございます。  先ほど安田さんから、国民の信頼を得るということでございますが、警察は悪いやつを取り締まっていくというようなことが一番大きな仕事でございますから、とにかく凶悪犯人を検挙する、こうして信頼にこたえようということで一生懸命やっているわけでございまして、警察官の九九・九%は日夜一生懸命努力しております。昨日も、殉職をした警察官がありましたが、ああいう問題はやって当たり前で、ふらちなことを起こす者が一人でもあればこうして指弾を受ける、そういう立場にあるものでございまして、今後もひとつ一生懸命精進を続けるように努力をしてまいるつもりでございます。
  249. 安田修三

    ○安田委員 特にこういう風俗営業関係は、現職警察官といえども、どちらかというと誘惑に駆られやすい一つの世界に飛び込む仕事であります。そのために、間々、世上いろいろなことが実はそこの中へ介在し、不信感も出ております。後ほどまた触れることにいたしますが、そういう点では、委員長それから長官の方では、これは警察官も人の子でありますから、人間的な中にひとつ問題がきっちり厳正になるように、内部の指導、監査を強めていただきたいと思います。  そこで、風俗営業法の関係で、今度の法改正目的は、少年非行がふえ続けておるので良好な風俗環境を保持したい、午前中からの答弁の中にも出ておりました。しかし、少年非行防止のために風営法の全面改正を行うというのは、風営法本来の目的と違ってくるのじゃないか。また、少年非行防止というのは、教育や家庭を中心にした青少年対策で、こういうものと実は本来はなじまないのじゃないか。風営法は、今日まで再三改正されてきた中で、当初の法ができたときの法の趣旨からだんだん拡大されて、そして社会がだんだんこういう風俗営業関係が盛んになってくると同時に、少年の非行を防ぐ、あるいは環境浄化ということでだんだんそういう目的が入ってまいりました。  しかし、本来的には即風俗営業少年の非行を結びつけるのは困難なのではないか。これは全然そうじゃないとは言いません。だが、困難なのじゃないか。先ほどの部長さんの答弁を聞いておりますと、即結びつくような感じが出るわけですが、その点、直ちにそれは結びつくものじゃないんじゃなかろうかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  250. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおり、少年問題というのは家庭の問題であり学校の問題であり社会の問題であると思います。そういうもろもろの施策が整合性を持って行われなければ本当の対策にはならないということは、私どもも十分承知をしておるところでございます。  ただ、何と申しましても、先ほども申しましたように大変行き過ぎた社会環境がありまして、それが少年の非行の増加の一因になっておることも間違いない事実でございまして、私どもは風俗に対する責任、社会のそういう環境に対する責任を負っているわけでございますから、そういう面から責めを果たしていく必要があると考えて、必要最小限度の対策を立てていこう、こういうふうに考えて法改正提出したという経過になっておるわけでございます。
  251. 安田修三

    ○安田委員 今度の場合、風俗営業そのものの必要最小限度の規制について、限界についてはいろいろ問題があるのですが、そのことについて私も否定はしないのです。ただ、少年問題をぐんと前面に出してきておられる。これが何か踏み台になっているような感じがしますね。  そこで、では風俗環境というのは少年非行の中に背景としてはないかというと、ある。だが、直接結びつくかどうかということについては、例えば皆さんの警察白書の中でも、少年非行の刑法犯がふえておるけれども、例えば凶悪犯の中で性的犯罪の主である強姦関係は減っておるわけですね。凶悪犯はもちろんふえておりますが、今言ったように性的関係では減っておる。粗暴犯とか窃盗犯がふえておる。いわゆる好奇心型非行といいましょうか、そういうシンナー、覚せい剤関係の犯罪、女子の性非行もちょっとふえております。しかし、全体で一一・九%の犯罪増加の中で、例えば今言った女子の性非行の増加は五・三%で、一つもふえなければいいので、減れば一番いいのですが、社会的趨勢の中ではそんなにふえてないという事実が皆さん自身の中から出ておるわけです。  そうしますと、今の法改正の中に少年問題が何かもうにしきの御旗のようになって、踏み台になって出てくるというのはお門違いじゃないだろうかと私は思いますが、どうでございましょうか。
  252. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 少年非行の態様にはいろいろございます。おっしゃられるとおりに、窃盗関係もあれば暴力型の非行もあれば、あるいは好奇心型の非行もあれば、いろいろなものがあると思います。それはそれぞれの対策を進めておるわけでございます。ただ、これはやはり家庭なり学校なりと協力をしながら進めていくべきものでございまして、法改正をしてどうこうしようというものにつながるものではないわけでございます。  先ほど申しましたように、少年非行の中で、なるほどその一部かもしれませんけれども、性非行は依然としてふえており、しかももう一つ問題は、少年非行がふえておるだけじゃなくて、逆に、大人が子供を食い物にする犯罪、福祉を害する犯罪、こう言っておりますけれども、これが実は大変ふえておる。これが少年をむしばんでおるということも事実でございます。これは実は戦後最悪の記録を現在三年続けておるということでございまして、両々相まって、やはり手の打てるものは打っていこう、こういうことで改正を検討したということでございます。
  253. 安田修三

    ○安田委員 今部長がおっしゃったように、いわゆる福祉犯といいますか、そういう少年あるいは少女を食い物にしてというのはふえておる。そうしますと、いわゆる少年非行というのが前面に出されてくる感じというのはそもそも間違い——間違いとは断定しなくてもやはりちょっと違ってくる。そうしますと、法の規制の仕方におのずと限界が——今の部長さんの答弁がそのとおりであるならば違ってくるんじゃないか、私はこう思うわけです。  国会論議の中でもこの種のことは法改正のたびにずっと議論されておるわけでありますが、例えば日弁連で、本年の五月二十六日に少年改正反対の決議というのが採択された。ただ「決議」という名前ですが、中身はいわゆる少年改正反対の決議です。これで非常に興味あることを実は提案理由の中に見出すわけであります。この中の三項目目に「他方、警察は、その大きな組織力を背景に、非行の捜査、防犯活動、補導等を通して家庭学校・地域社会に影響力を増大させ、実質的な指導力を強めようとしている。こうした中で、違法取調べ、誤認逮捕など警察官による少年の人権侵害がしばしば引き起されている。われわれは、少年警察の果すべき役割に対しては正当な評価を惜しまないものであるが、少年問題は何よりもまず教育・福祉の問題であり」、こう述べておるわけであります。  この日弁連というのは、人権擁護や、あるいはまた私法の関係では法の執行に携わっている。これはまさに立法府とは両輪の関係でやらなければならぬ。この日弁連の提起というのは貴重な提言として傾聴しなければならぬと私は思うのであります。ここにあるように、「少年の人権侵害がしばしば引き起されている。」他の団体が言うのじゃなくて、日弁連の方でこういうように提起されておるということは、これはやはり重視していかなければならぬと私は思うのです。  そこで、実際そういう場面は私たち自身も今まで見たり聞いたりしております。しかし、私も、さっき言ったように警察官も人の子だ、たまにはここにあるように誤認もあろう、行き過ぎた言い方もあろう、また相手の態度によって、同じ人間同士だからエスカレーションすることもあろうと思うこともあるが、こういうぐあいに提起されてきますと、これは非常に重大です。  まして、少年非行問題は、こういう行政警察の中の少年警察で皆さんの手にはあるけれども、本来は皆さんの方で解決すべきものではなくして、皆さんは事件が起きた場合あるいは予防という観点であって、これは本来は総理府の方でやるべき問題であります。そういう点では、ここでこの解決を議論するということはなじまぬわけであります。  しかし、家庭の健全化とか学校教育の充実とか、地域的連帯の回復あるいは社会構造の正常化、こうした社会の教育力を強めていくということが必要で、そこにプラス少年警察の適切な運用、これは部分的補完ではないかと思うのです。こうして初めて少年の非行化、あるいはまた先ほど言ったような少年少女を食い物にする犯罪というものもなくなってくる、こう思うのであります。  私は、そういう点から、もう少しこの風営法改正についての意味合いというものを限定される必要があるのではないかと思いますが、行政効果等の関係からは皆さんは一体どこに焦点があるのだろうか。例えば少年のそういう非行化をふやさないために、今度「目的」が新たに入ってきたのですが、やるのか。あるいは、今言ったように風俗営業そのものをずばり規制しよう、そのことが社会の環境浄化になる、即少年非行その他にもつながっていくということか、一体皆さんの方でどこに重点があるのか、お聞きしたいと思います。
  254. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 日弁連から少年の事件についていろいろ言われていることは承知しております。ただ、一つ一つのケースにつきましては、私どもも懸命に適正化を図って努力をしておるところでございまして、日弁連で言われているものと私どもの意見はかなりの部分で食い違っておるというところがあるわけでございます。  それはさておきまして、今お話しの一体どこに焦点があるのかということでございますけれども、「目的」で私どもがうたっておりますように、「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」ということに主眼がございます。したがいまして、実際に大人が子供を食い物にする関係一つは十分やっていかなければいけないということでございまして、そういう意味で、そういう問題の営業所少年を立ち入らせたりあるいは少年を従事させたりしてはならないということを営業者、大人に義務づけておるということを主体にして、いわば少年に対しましてはそういう有害な環境から隔離をして悪い影響が及ばないようにしていこうということを第一のねらいにしておるところでございます。
  255. 安田修三

    ○安田委員 まあずばり言って、風営法本来からのということになれば、賭博それから売春、それが犯罪の温床として、今の場合もそれが本来重点で、そこに今言われる少年が従事したりあるいは近寄らないように隔離する。  私は、隔離ということについてはいろいろ問題があろうと思うのです。何でも隔離してしまうと、やはりそこに免疫性が出なくなる。隔離して見えないところはなお見たがる。よく青少年保護条例等で全国的に議論になったときにも、どこの都道府県でも議論があったはずです。  小さいときは、よその庭へ行ってカキをとったり泥棒と言って追われたり、だが昔は、そうであってもそれは決して泥棒をしたとか窃盗をしたとかという行為にもならなかったし、それで遊びの中から一つ社会道徳あるいは道徳規範も酌み取ってきた。最近は、その種の遊びもなければ何もない。逆に、学歴社会、受験地獄と言われるように、閉鎖社会の中に閉じこもるような傾向にある。それだけに、一たん目新しい社会に飛び込めば一遍に染まるという傾向があるということは、また否定できない事実である。それが余りにも刺激が大き過ぎる。  そういう点では、私たちは、その種の隔離政策ということについて、一体いいのかどうか。この点は、学校教育やあるいは家庭教育やあるいは社会の力でその善悪を教えていくということのシステムも、また青少年対策という行政の面から当然考えられる必要があるのではないか。そこに少年警察が一部入り込むということはあってもいいが、今度の場合全面的に入り込むような仕組みになってきておるのではないか。そういう点で、私はこれはちょっといわゆる今の警察の消極目的からすれば範囲の逸脱でないだろうかという点を感ぜざるを得ないのでありますが、部長はどういう見解ですか。
  256. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 隔離という言葉は必ずしも適当でないかもしれません。ただ、私が申し上げたいのは、やはり青少年には有害な環境がありまして、どうしてもこれ以上は子供たちとそういう環境を切り離しておく必要があるというところが必ずあるというふうに考えておるわけでございます。これは欧米先進国におきましても、子供はそういうふうな有害環境から切り離すという政策はどこでもとっておるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、そういう意味で必要最小限度そういうふうな問題のところから切り離すということはやるべきであろう、こう考えておるわけでございます。  したがいまして、例えば遊技場、ゲームセンター等にいたしますと、私どもは何もそれが全部だめだと言っているのではございませんで、風俗関連営業につきましては完全に隔離をしようということではございますけれども、例えば今申しましたゲームセンター等、あるいは今度はダンス教授所等につきましても、今までは十八歳未満は全く立ち入りができないということでございましたけれども、問題のない営業所には立ち入りをできるようにしょうということにもいたしますし、ゲームセンターも午後十時まではいいではないかというような考え方をとっておるわけでございまして、やはりそれぞれの業種に応じて、これはどうしても絶対にまずいだろう、これはある程度のものはいいだろうということがそこで仕分けされなければならないというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、今私どもの考えております内容は、今の社会実態から見て妥当なものではないかというふうに考えておるところでございます。
  257. 安田修三

    ○安田委員 今部長の答弁で出ましたので、私、後にと思ったのを先に少し出します。  そこら辺の立て方が、皆さんの一貫性が今度の場合に何かちょっと筋が違っているような感じが私はするわけです。  例えば風俗関連営業の届け出制の問題が出ましたが、私はむしろ本来、そういう少年少女を食い物にするというセックス産業等があるなら、しかもそれはほとんど管理売春だ、その最たるものが先ほども議論されていたようにトルコぶろである。だが、それはトルコぶろ全部がというと、そうでない。住民の力とかいろいろなものがあればできないところもある。  私の県では、御存じのようにトルコふろは一軒もございません。条例で全部規制しました。隣の両県へ行きますといっぱいあります。うちの県から何十億も運び込んでおるのじゃないか、富山の警察は取り締まりが厳しいぞと、いつも県議会でも議論がありました。だが、この間も本部長は、ちょっとほかでお会いしておったら言っておったのですが、それはそこの県民性もあろう、土地柄もあろう。だからといって、じゃあうちの県の人間が好きでないのかといったら、そうでない、隣へ遊びに行っておる。ですから、それはいろいろな住民のパワーで、例えばパチンコ屋、それからモーテルがことしも幾つか住民パワーでできないところができました。そういう点で、やはりそういうものが地域のいろいろな実情に応じてできていくという、こういうことが実は必要であろうと私は思うわけです。  そこで、これもまた日弁連の文書を引用して恐縮でありますけれども、トルコぶろについては全面禁止しろ、日弁連から実はこういう提言がなされております。五十一年、五十五年、五十八年、三回にわたって提言されておる。日弁連は弁護士さんの集まりだから、おかたいところだからということで実はうっちゃるわけにはいきません。  ここには理由として、管理売春の温床じゃないか、現行法の場合、売春防止法の十二条、十二条を活用して取り締まることもできるし、あるいは売春業者及び資金、建物等の提供者を取り締まることによって実効の確保もできるのではないかということも要望されておりますが、先ほどからおっしゃったように、皆さんが、風俗営業としてそういうセックス産業が今非常に好ましくない、犯罪の温床になっておるというように見られるのなら、トルコふろは公衆浴場法を改正してずばり禁止していいんじゃないか。  実は、新宿区等が風営法改正の陳情に見えておられますが、その中に、個室ヌード、個室マッサージ、こういうものがふえて、いわゆる個室で異性のサービスをする業務がふえておるという。本気でやるのなら、法律によってそういうものもずばり禁止しようと思えばできると私は思う。なぜか。そういう個室で異性のサービスということになれば、これはただごとではないのですから、営業としてやっている以上は。  そういう点では、皆さんがずばりやるのなら、風俗関連営業ということでそこら辺を、何かふらりふらりクラゲのように放してあって、捕らまえるでもなし捕らまえぬでもなしということではなくして、ずばり禁止だ。こうして、本来の健全な社会の娯楽その他で皆さんが当然それは助長すべきであると思っておられるものとの区別を厳密にやってよかったのじゃないか。そういう点で、私は何か一貫性がないような思いを持っております。そういう点でどうでしょうか。
  258. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 トルコぶろのようなものに対してどういう形で臨むのがいいかということに尽きるだろう、こう思っておるわけでございます。なかなか難しい問題があると思います。全面的に禁止をするというのも一つ考え方であろうと思います。それで全部世の中うまくいくというのであれば、そういう形で臨むことも一つの政策であろうという感じはするわけでございますが、現実には、実は先ほどもいろいろ御指摘がございましたけれども、セックス産業はすべてがこの法律でとらえられておるわけではない。  現実の形としては、先ほども出ていましたように、愛人バンクとかデート喫茶とか、まあ恐らくこれからもいろいろな知恵を働かせていろいろなものが出てまいりますでしょう。トルコぶろを禁止したらそれでセックス面が解決できるということであれば、これはまた一つの方法であろうというふうに考えますけれども、必ずしもそういうふうには私どもとしては考えておらないわけでございます。  そういうことで、現時点で行き過ぎのあるものをきちっと規制をして、厳正な態度で臨むことが適当ではないかと考えておるわけでございまして、決して中途半端にしておるつもりはございません。」  この風俗関連営業に対します規制は大変厳しいものがございます。一番厳しいのは、何と申しましてもその地域で営業できないことになるという地域規制がかかるという問題でございます。そういうふうなことで営業そのものができなくなる地域もできておるわけでございます。  現時点でもそういうことができるわけでございますが、今度は、そういう中で違反があって非常に問題であれば、廃業命令まで出せるというところまで、その禁止地域におきましてはそういうこともあるわけでございまして、そういうことで、その営業の実態をよく規制をし、監視をしながら、そこで行き過ぎがあれば厳正に対処する、それが現時点でこういう問題に対する解決を図るのに最も適当ではないかと考えて私どもとしては改正案提出した、こういういきさつでございます。
  259. 安田修三

    ○安田委員 部長さん、それは禁止したからいいということではない、私も同感です。私自身、そういう建前を持っておるのです。この方だけは、やっぱりお互い人間である以上は、それは抑え切れるわけじゃないし、また、それは当然本来は発現しておくべきものであろうと思います。日本の場合だって、それは明治以前はなかなかおおらかであったようでありますけれども、明治政府以後は、諸外国の手前もあって、これは国内の秩序からもということでかなり厳密に法的に制約されておったようであります。そういう点では、これはそこの環境さえ許せばおおらかでいいと思うのです。抑えてもまた別のものが出てくる、その議論からすると、私たちもそうなんで、余り何でもかんでも規制規制と言うとかえってまずいんじゃないか。そういう点では最小限度にすべきだ。だから、その最小限度にして規制するものについてはずばりメスを当てなければだめだ。  そういう点で、後ほどまた触れますけれども、政令あるいは国家公安委員会規則等、先ほど部長さんが答弁しておられましたけれども、いろいろな委任事項がたくさんあるけれども、例えば今の二条四項五号では政令にたくさん任せることになります。こういうぐあいに政令ではなくて、やっぱり最小限のものを法律の中できっちり決める。  ここで、なぜ法律でそのものを制限しなければならぬのかとかいう議論が、国民にこの種のいわゆる風俗についての議論なり自主的な規制というものが出てくるのではないかと私は思うのです。皆さんの方である日突然、政令でこういう業種のものは規制されましたというのは、私どもにはわからない。やはりこういう場で、なぜか、なぜかと一つ提起すれば、反対派もあるわけですし、賛成派もあるわけですから、私は、そういう点ではなるべく政令や規則というものにはしたくない。そのためにここで、議論するために国会があるのだから、当然、ここで法律をつくるべきである。  また、その趣旨について、かつて国会の議論の場でもそういうことが実は言われております。皆さんから配付されておる中に三十九年の地行委の意見書が出されておりますが、同時にまた、当時の同会議論の中では、「法に目的を明示し、規制の内容についても、特に重要な規制事項は具体的なことにいたるまで、法律又は政令に明記し、実効を確保しては」と、いわゆる法律または政令ということは、当然、これは法律が優先です。こういう点で実は注目すべき発言が多かったということが言われておるわけです。  そういう点で、私は、なるべく風営法の中に——それは、あれもこれもと言ったら大変だろう。だが、そうでなければ法の目的を達することはできないんじゃないか。しかし、それでも網の目から逃れるものは出てくるだろう。それはやむを得ない。それは社会の浄化の力でやっていかなければならぬ、こういうことが必要であります。  そういう点からしますと、私は、今度の風営法はどうも府に落ちかねる。風営法だから腑に落ちかねるというわけではない。ぜひともその点、私は部長さんの答弁をいただきたいし、また、実際の立法の責任者は委員長なんでしょうが、長官自身の第一線の統括者としての御答弁もいただきたいと思います。
  260. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 なるべく下位法令に委任しないで法律で書いていくことができるということが望ましいという形で私どもも臨んできたところでございます。  しかしながら、今例に挙がりました二条四項五号でございますけれども、この規定も実は、もちろん政令で定めることでございますが、ある日突然にこういう中身、今まで全然議論されてないものが出てくるというふうな、全く予想もされないものが出るということはあり得ないというふうに考えております。それはやはり、下位法令に委任をする場合には、法律の中で、どういう趣旨でどういうものが政令に委任をされているかということが具体的に明確になっていることが大切であるからでございます。  この五号だけを読みますと確かにそういう御懸念をお持ちになるかと思いますけれども、実はこの五号は、前からの四号を全部受けておるわけでございまして、前の一号から四号までが一つの例示でございます。そういう例示がありまして、そうしてさらに「性風俗に関するものに限る。」ということを五号の中で明示をしてございます。そういうことで、ここにありますものはそれなりに法律の委任の仕方としては十分具体的になっておるというふうに私どもは考えておるものでございます。  そうして、ここで考えられますものは、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、個室マッサージであるとかあるいはファッションマッサージみたいなものが当面考えられる。あと今ちょっとどういうものがあるかというのは思い浮かばない状況にあるわけでございます。  ところが、はっきり言いまして、私どもよりも営業者の方がよほど知恵があるわけでございまして、そういう方々がどういう知恵を出してこられるのか、これはなかなか予測がつかない。そのときに法律改正お願いするということも一案でございますけれども、ここにありますように、それなりに具体的になっておるというものであれば、お任せいただいて、それを書かせていただくということもやはり行政の対処の仕方ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういうことがございまして、いずれにいたしましてもできる限り具体的に、しかも範囲は今申しましたような形で、限定的に列挙した形で私どもも対処をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  261. 安田修三

    ○安田委員 四号まであることが例示されておる、これは例示というのは、実はずばり制限業種として出ておるので、例示だから以下同文というような、あるいはそれらと一緒にみなしておくというわけにはいかないものじゃなかろうかと私は思う。さっき言ったように、取り締まるならびっしり取り締まる、そうでないものはすっぱり解放していくということが、ここら辺が一番大切なところであって、何か漠然とやっていく。だから、こういう網をかぶせておけば、それがいかにも公認された産業のように、あるいは商売のようになっていくという見方をされたのでは社会に大きな禍根を残すのじゃないかと思う。だから、手間暇はかかるけれども、また一つ一つ議論をして、個室マッサージとかがあるけれども、何やらまた出てきた、これをまた入れようか入れまいか、こういう議論が、法改正をやりながらここであってしかるべきではないかと私は思う。  例えば、これは単純なんですね。個室で異性のサービスをさせる営業なんというのは、そういう表現をされておるのがありますけれども、そんな素人で個室で異性にサービスをさせる営業なんて——もちろん素人は営業しないのですから、あるわけないのですから、そういう点ではこれは極めて単純明快に、しかし法的にはもっともっと研究しなければならぬ問題があるのでしょうが、極めて規制しやすいような業種の選定というのができるわけです。そういう点では、私はやはりこういう点は手間暇かかっても、五号のような包括的な政令委任というのは困るのじゃないかと思います。  特に、「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」ということがこの風俗営業法の建前でありますけれども、どういうぐあいにその価値判断をするか、具体的なものは一体どう見たらいいのか、その定義、内容というのは実は不明確であります。冒頭言いましたように、時代によって意識の変化、あるいは個人の思想、信条が変わることによってもまた解釈も違ってまいりますし、このことはまた逆に言えば、生活とか思想の統制にまでつながる危険性もありますことは、戦前の風俗関係取り締まりの場合に、公安の安寧ということ等が入っていたことからも御存じのとおりでありまして、あれは昔のことだからというわけにはいかない。  法の流れというものは、法をいじくる者は、当然歴史的背景というものは絶えず見ていかなければならぬ。その上に立って、今日のこういう警察なり、あるいは対処なり建前ができてきておるわけでありますから、そういう点で、この種の今言ったことを皆さんに、例えば「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」ということについて、どういうぐあいに具体的に定義、意義を明確に言うかということになりますと、それはとてもじゃないが、微に入り細に入り、言うことはなかなか困難な話です。  困難なことを承知で私はまだ言っておるわけですが、だが、それだけに判断の誤りということも当然出てきやすいために、やはり政令の包括的な委任というものは最小限にとどめなければならぬ。やはりこういう種類のものは法律で定義をして、皆さんのよく言われる具体的な構造とかそういうものについて、これは政令でないとだめだぞ、そんなことを法律で決めるわけにはいかぬじゃないか、そうかといって、車両運送その他では構造まで決めているものもあるのだけれども、だがこの種のものはそうはいかんまい、きょう言ったらまたあす変わるかもしれない、じゃこれは任せろ、それならわかります。  そういう点では、私はちょっと関連していろいろなところへ進みましたが、そういう点の見解を承りたいと思います。
  262. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 この五号で言っております善良の風俗あるいは風俗環境の浄化、少年の健全な育成を阻害する行為の防止という言葉が抽象的ではないか、こういうお話でございます。  言葉としてはそういうことでございますけれども、風俗営業法で言っております言葉の意味は、当然この法律目的とここに規定されております内容からある程度明確になってくるということであろうと思います。それは、風俗といいますと、何せやや広い概念でございまして、古くからいろいろ行われている生活上の決まりといいますかしきたり、そういうものを風俗といいますが、この風俗営業法で言うのは、当然のことながら、飲む、打つ、買う、そういう言葉に代表されるような人間の欲望についての一つの生活関係、こういうふうなものと理解をしなければならないと考えておるわけでございます。  そうして、そういうふうな善良の風俗を害するというのは、したがいまして飲む、打つ、買うというのに代表されるということになりますと、例えば売春、わいせつ、賭博、そういうもので人心に非常に不良の影響を与えるもの、こういう限定がやはりそれなりに明確に出てくるというふうに考えておるわけでございまして、先ほど申しましたように、一号から四号までが一つの五号を解釈するに当たっての大変大きなメルクマールであり、さらに五号の今申しましたような言葉は、それぞれこの法律の立て方と、それから法律の内容によりまして明確になっておるというふうに理解をしておるわけでございまして、この政令、ここに書きましたものはやはり法律の委任としては十分なものであるというふうに理解をしておるものでございます。
  263. 安田修三

    ○安田委員 大体、今度の場合、例えばこういう政令とかあるいは総理府令、条例  まあ条例関係現行法でもありますが、今度はめちゃくちゃにふえて、あるいは国家公安委員会規則、先ほどは長官は、さきの質問者、委員への答弁では、ある程度やむを得ない、こういうお話でありましたが、八十二もあるという。手続的なもので三十八、実態的なもので四十四。その八十二のうち公安委員会規則が三十七という。  これほど膨大に一つ法律にあれもこれもおれたちに任せると言う。それははたから見るとそういう感じになってくるでしょう。それほど皆さんに全部お任せしましょうといって、一体立法府の権威というものはどうなんでしょうか。私は、やはりこういう社会の一般的な社会現象に大きな影響を与えることの規制だけに、それは規制が重大であるとかないとかは別にして、この場で議論しなければならぬ。  議論の中に非常におもしろいのがありますよ。例えばこの場で今までの議論を見ましても、なかなかユニークなことを言っておられる。今さらこういう問題が議論になるかと思うことが再々繰り返されておるわけでありますけれども、四十七年当時、当時の中村公安委員長がやはりポルノ論争で、例えば一つの事例だかと言って答えているのです。「私が四十一年に運輸大臣をしておるときのことでございますが、時の厚生大臣が、ある女子高等学校の身体検査の結果、二〇%が花柳病を持っておる者であったということを報告したのです。横におった大臣が、それはマル一つ間違えていないか、二%の違いじゃないのかと言いましたら、そうじゃない、二〇%であると言うのです。そして、その他の地方の例も名前を出して申しておりましたけれども、名前を申し上げることははばかりますが、一六%、一七%というのはざらであると言うのです。その話を聞いて佐藤さんがびっくりして、それは特別の対策を早急にやれということを言われたことを私は記憶しております」、こういう閣議のときの話がここのポルノ論争で答弁になっておるのです。  私もこれを見てびっくりしました。女子高校でそんな花柳病が二〇%、地方によっては一六%も一七%も、時の公安委員長が言っておられる発言ですからまさか山がかかっているわけじゃなかろう、そういう話はやっぱりあったんだろう、全部じゃなかろうけれども、厚生大臣の報告にあったんだろうと思います。この種の議論がやはりこういう場でなければならぬ。あってこそ私たちはこういうことを読んで初めて、そういう実態も見ないところにまたあるか、こうなるんです。やはり絶えずこの場に、法改正なりいろんなことをやりながらここまで出すということが必要じゃないか。  そういう点では、これだけ八十二からの膨大な立法上例を見ない多くの委任事項を出したということは、部長さんの先ほどからの答弁はいただけないし、それから長官もさきの委員のときにおっしゃっておりましたけれども、どうもこれは余りにも御都合主義になってみえないだろうか。皆さんにすれば間髪を入れずとかいろんなことで都合はいいかもしれぬけれども、国民が置き去りにされないでしょうか。  皆さんが、規制したい、いわゆる犯罪があったら規制してもらいたい。擁護していただきたい。だがこういうぐあいになってくると、消極的目的を持った本来の警察の性格からしたら、警察権力は余りにも肥大化、行き過ぎになっていくんじゃないかと私は思いますが、どうでしょうか。
  264. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 下位法令の数が八十二というのは、私どもちょっと今数えたのが七十七……(安田委員「ああそうですか」と呼ぶ)それにいたしましても大した違いではないのかもしれないのでございますけれども、いずれにいたしましても、今度の法律がこういう形で下位法令に任じておりますのは、構造、設備その他の面で非常に技術的な面が強いということと、業種も非常に多種多様にわたっておるということもございます。  それから、従来例えばほかの法律で既にとらえておりますものでございますね。例えばモーテル、ラブホテルみたいなものも本来旅館業法でとらえておりますけれども、それを別の角度からとらえようということになるということになりますと、どうしてもそこのところを、国民のために明確にするためには大変細かく書いておきませんと、逆に国民の皆さんに迷惑がかかるということになるというふうに考えておるものでございます。そういうことで多くなっておるということを御了解いただきたいと思います。決して警察が懇意的にそこでもって何かをやろうということでこういうふうにしたものではございませんで、いま申しましたようないきさつからどうしても下位に任せる形が多くなったということを御了解賜りたいと思います。  法律の中には、条数もありますし、法律の性格にもよりますけれども、例えば私どもが承知しております中では、外為法みたいに非常に下位の法令に委任しているものもあるわけでございまして、やはりその法律の持つ性格というものによりましてどうしても違ってくる面があるんではなかろうかという感じでございます。  それから、もう一点御了解を賜りたいと思いますけれども、実は四十七年のときにモーテルの規制をいたしました。そうしていろいろ御議論をいただいてああいう形で規制をしたわけでございます。ところがあれも実は下位の法令、総理府令に任しておる部分があるわけでございますが、それはともかくといたしまして、そういうふうに規制はいたしましたけれども、現在モーテルとして残っておるのは全国で七軒しかない。そうしてそのモーテルの規制が外れた、いわゆる法的には措置のとれない類似モーテルが七千三百軒ばかりあるという実態になっておるわけでございます。  もちろん、その間に法律を直せばいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても業者の皆さんの方が大変質いわけでございまして、我々の方がいろいろあれいたしましても、法律ではどうしても追っつかない部分が出てくるということも考えられるわけでございます。したがいまして、私どもとしてはできる限り法律でその趣旨がはっきり出ますように書かしていただきまして、そうして下位の法令に委任をさせていただくという形でやらしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  265. 安田修三

    ○安田委員 部長の答弁をいただきました。  長官にお尋ねいたしますけれども、今言ったように数が七十七、私は八十二、数え損いがあるかもしれませんが、いずれにしても非常に膨大な数。今、部長から、なるべく法律で詳しくしてあとはということだが、法律で詳しくしてあとはというのはわかるのですけれども、余り法律で詳しくないのに、包括的に委任されるのが多いということを私は指摘しておるわけです。  それは手間暇かかると私は言うのですよ。手間暇かかるけれども、例えば個人の人権あるいは営業の自由、いろいろなところに差しさわる。面倒だけれどもそうでなければこの法の目的を達するわけにはいかない。そういう点で、冒頭申し上げたように警察と民衆との信頼関係、戦後の非常に重大な時期を乗り切らなければならぬときに、こういう警察権力が肥大化するのじゃなかろうか、そういう懸念がこの法の中身を見ますと出てきているということは少なくとも好ましくない。警察の大事な転換期として好ましくない。  そういう点で長官、これだけ委任事項を多くしなければ立法技術としてできないものでしょうか。もう少し法に具体化して、そして切るべきものは切る、法に明記するものは明記する、その上で委任するものはするというように、もう少しここら辺は簡素化する。しかし、法の方はもうちょっと膨大になるかもしれませんよ。そのようにできなかったものでしょうか、またそういう考えはないでしょうか。
  266. 三井脩

    ○三井政府委員 立法技術に関する問題でございますので、関係省庁とも十分徹底して詰めたところでございます。  さっき議論がございましたが、二条四項五号、あれは解釈の違いだと思いまして、私たちは疑問の余地はないと思っております。  そういうようなことでございまして、立法技術的に、解釈といたしましては、いろいろな判例、あるいは取り締まりをいたしますと裁判にかかる、裁判にかかってこれはあやふやな法律だから罪刑法定主義に反するということになれば立件をすることもできないというようなことでありまして、私たちの法律は、行政指導もいろいろありますが、犯罪捜査、取り締まりというところで締めくくりがつくわけでございますので、その前段としてのいろいろなことがいわば構成要件的に明確でないといかぬ、我々考えるときにあらゆる法令についてその点は厳格に考えておるわけでございます。したがって、先生御懸念のように、あの五号なんかを何でもできるというように解釈をして、あと細かな下位の法令で決めるとしたら、これはさっき言いました罪刑法定主義上問題ありということにもなりかねませんので、厳密に処理をしていく。  したがって、立法に当たりましても、あの条文でもわかりますように、ほかの条文でもいろいろありますけれども、四号までに書いてあることを、五号ではその他と、その他のなにが下に書いてあるわけですから、下のことは四号までも皆当てはまるわけですね。五号の最後に書いてある部分の例示を四号までに挙げておる、そのほかにというわけでありますから、それは五号が独立しまして四号に匹敵するような大きな穴があいているというような性質のものではございません。まさに四号までで大部分はカバーできるんだけれども、どうしても抜けるものは、今考えたところで思い浮かばぬけれども、出てくることがあるだろうということをこれでカバーしよう、いわゆるセービングクローズでございます。  もっとも基礎があって初めてセービングというのは生きてくるわけでございますので、今までのものとは全然異質なあるいは相当かけ離れたものとしてその他を考えているわけではないというようなことでございまして、大変厳密に考えておるということでありますから、数の多さというのは立法技術上の問題でありまして、数が多いということはまたそういう疑いを生むということかもわかりませんけれども、一つ一つを厳密に考えてああいう形になったということでございますので、その辺を御理解をいただければと思う次第でございます。
  267. 安田修三

    ○安田委員 それは皆さんの方では都合のいい解釈で、これは今の五号の問題が出ましたけれども、四号まで——私が言っているのは、そういうぐあいに今の風営法の場合にはそういう一つ一つの業種を幾つか特定していくということがやはり必要だということを言っているのですよ。皆さんはそれは必要でないと思っているからそういう解釈になるわけ。だから、四号まで例示だから、それと類似のものが出た、それと全然別個のものは出ませんよ。例えばあそこに突然ほかの、トルコとかそういうこととは無関係のような業種は出ませんよということ、それは当然なんでしょうが、私が言っているのは、一つ一つの業種について特定していくということが風営法の場合に必要じゃないか、そういう手法を今まで積んできたし、またそうであるべきだ、そのためにこういう議論をすべきじゃないか、こう言っているわけですよ。  そこで、時間もちょっと迫ってきましたので、さっきうちの小川委員から質問しておったことで、立ち入り権の問題をちょっと聞いておきます。  立ち入りを拒んだ場合、どうなんですか。
  268. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 立ち入りを拒んだ場合には、これは罰則がかかることとなっております。
  269. 安田修三

    ○安田委員 それは罰則がかかる。  そこで、先ほどは従前と変わらぬと言う。私は従前と変わると思うのです。ただ、立ち入り権という問題については、それは法解釈上、立ち入った場合に質問あるいは帳簿の検査というものは伴う、こう言われております。そういう点では、従来はただ立ち入り権だけが明記されておったが、今度はそれに帳簿の検査、質問、こういう点等も加わってきたわけですね。  そこで、先ほどはうちの小川委員から、質問を拒んだらどうなるか、憲法の違反にならぬだろうか、こういう質問に対して、そうじゃない、こういう話があったわけですが、そこのところを私はもう一遍お聞きするのです。  今度は新たに立ち入りに、質問、帳簿の検査、前段には公安委員会への報告とか、そういうのがいろいろ出ておりますけれども、新たに具体的になってきた。そこで、質問をした場合に拒んだらどうなるか。それは憲法違反でない、こう答弁があったのですが、そこの辺、もう一遍答弁いただきたいと思います。
  270. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先ほどのお話は、供述拒否権というお話が出ましたので、これは刑事上の問題でございましょう、こういうふうにお答えを申し上げたわけでございますけれども、やはりこの趣旨は行政法関係におきましても十分尊重しなければならないものというふうに私どもも考えております。したがいまして、立ち入り規定におきましても、この質問におきましても、自己の犯罪を申告せよなどということが強要されることがあってはなりませんし、我々も行政目的であるということを明確にして、決して捜査のために行うべきものではないということを明示していくということになろうというふうに考えております。  なお、質問に答えなかった場合どうなるかということでございますけれども、それはすぐに罰則が適用されるものではございません。単にしゃべらない程度のものは、罰則が適用になるというものではないということをちょっとつけ加えておきます。
  271. 安田修三

    ○安田委員 そうしますと、先ほどの小川委員に対する答弁は変わるわけですね、今おっしゃったことは。先ほどは、質問に対して答えなかったらというと、皆さんの方ではそういうわけにいかない、こうおっしゃったんだが、変わるわけですね。
  272. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 答弁の内容は変わりません。先ほど申しましたように、供述拒否権、自己に不利益な供述を強要されないという憲法上の問題がこの立ち入りの問題にあるか、こういうお尋ねでございましたので、その問題は刑事手続上の問題でございますということで、立ち入り権の問題はこれは行政上の問題でございますので、行政目的でやります行政上の問題につきましては直ちに適用になるものではないというふうに考えております。これは現実も幾つかの判例があるところでございます。それは私どもは、あくまでも立ち入りは行政目的のために行うということに限定をしてやっていくつもりでございます。  先ほど、質問に答えてもらうというのは、私は立ち入り権の中身としてあるというふうに思いますけれども、答えなかった場合にすぐに罰則がかかるものではないということを申し上げたわけでございまして、先ほど小川先生にお答えしたのと内容が変わるものではないというふうに考えております。
  273. 安田修三

    ○安田委員 いいですよ。これは時間がなくなったので、続きをまた後の人にやってもらいます。  要するに、部長さんは先ほどは、私は聞き違えたのではないと思いますけれども、答えなければならぬ、ここで議論になったのですが、今の場合はそれは行政目的に入るのだから質問に答えない場合はそれでいい、直ちに罰則があるわけではない、こういうことですね。
  274. 三井脩

    ○三井政府委員 自己負罪というのは刑事上のことですから、今問題は行政上のことですから、全然関係がありません、この問題はかかってきませんということを言っているわけです。したがって、自分に不利なことでも、聞かれたら答えなければいかぬ、質問しているのですから答えるべきだ、そういう立場にあるということを言ったのです。  では、実際に答えなかったらどうなるのか。ところがこの罰則は、答えなかった者を罰するとは書いてないのです。答えなかった者を罰するという罰則はここにないわけです。どんな罰則があるのかというと、「立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」、そうすると疑問は、答えなかったら立入検査を拒んだことになるのではないかという御疑問だと思います。それには当たりません。  つまり、さっき言いましたように、刑罰法令というのは厳密に解釈しなければいかぬわけですから、立入検査を拒むということは、もっと積極的に拒むことを言うのであって、質問に答えなかったというようなことぐらいでは拒んだということになりません。ちゃんと答えてもらいたいのだけれども、答えなかったからといって罰則はありませんということを言ったので、行政上のことと刑事上のことは別です、こういう意味でございます。
  275. 安田修三

    ○安田委員 今の長官の答弁で、先ほどのはこれでわかりました。  そこで、厚生省きょうは来ておられるので、せっかく待ってもらって全然一言もなく帰ってもらったのでは、また行政のむだ遣いだとおっしゃられてもあれですから、これは警察当局にも聞きたかったのですが、時間があと五分ほどですので、厚生省の方に伺います。  今度、厚生省所管の環境衛生関係の方で風俗営業はかなり広がってまいるわけですけれども、公衆浴場法の中にも風紀という問題が出るし、旅館業法の中にも風俗という問題が出ますし、本来は厚生省の行政指導で本気でやればかなり規制できるものがあると思うのです。しかし、警察規制とはもちろんおのずと違っている部分があります。  例えば指示権の問題が今度出ておるわけですが、これも第二十五条の場合に、法令または条例違反の場合には必要な指示をするということで、具体的にどうするかということもようわかりません。難しいことを指示されてもできないし、これはなかなか難しい問題です。本来はこういう点は、厚生省関係に係るものは厚生省関係の方で行政指導すべきであるという点が一つあります。  それからまた、環境浄化協会ができるのだけれども、同業組合あり環境指導センターあり、厚生省関係でこういう行政指導の分野ではいろいろ網はかかっておるわけだが、どうもここら辺がちょっと力が弱いのではないか。国民の生活とか衛生とかという点から見て、本来はこの種のものを社会的に律して、善良な風俗を描いていくという点できっちり進めるべきではないかと思います。そういう点で厚生省は、ここら辺の行政指導についてどうも意欲がなさ過ぎる。もうちょっと厚生省は言うべきことは言って、皆さんの分野をはっきりしませんと、厚生省の予算はだんだんふえなくなってくることも出てくるのではないかと思います。厚生省の見解を聞きたいと思います。
  276. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 本当に御激励ありがとうございます。  確かに環境衛生関係営業につきまして、約二百万軒に近い飲食店その他が今度風俗営業取締法の改正対象になってくるわけでございますけれども、今先生がお話しになりました私たち厚生省の公衆衛生または環境衛生の立場からの行政指導につきましては、飲食店関係につきましては、先生御承知のように食品衛生監視員は全国に約六千名ほどおります。それから、旅館その他の環衛業につきましては、環境衛生監視員と呼んでおりますが、やはり六千七百名ほどの監視員がおりまして、私たちとしては、先生おっしゃったような点につきまして一生懸命に行政指導その他をやっておるつもりでございますけれども、先生に御指摘されましたように問題点が多いという実情もございまして、今回の風俗関連営業その他の改正にもつながったものというふうに私たちも考えております。  今後とも行政指導を強化いたしまして、先生の御期待に沿うような形に厚生省といたしましても持っていきたいと思っておりますので、まげて御了承いただきたいと思います。
  277. 安田修三

    ○安田委員 最後ですので長官にもう一つ伺いいたしますが、先ほど言いました指示権。法令違反、条例違反、そういう場合に必要な指示をする。どういう程度の指示をされるのかということと、それからこういう場合には、立法技術上、本来私はなるべく厚生省所管のものは厚生省が初めに行政指導等して、そこで手に負えなければ、これは司法警察の皆さんにゆだねていくという、そういう行政指導が前置になるという方式がやはり好ましいんじゃないだろうかと思うのですね。今度の場合はなるべく行政指導でやるんだ、行政警察としては、もちろんそれは皆さんの範畴に入れようと思えば入るけれども、だがやはりいろいろな所管がまたがる場合には、普通の一般行政の官庁が先に出るというのが望ましいのではないかと思うのですけれども、どうでしょう。
  278. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 営業には二面あるわけでございまして、風俗営業等も一面では飲食店業等の許可を取っておるということでございます。そういうふうな面で、環境衛生面でいろいろな指導をしなければならぬということは厚生省サイドがおやりになることでございますけれども、風俗営業上の問題でございますと、やはり風俗営業法に基づいて私どもが行うという建前になるわけでございます。  そこで行います指示というのは、例えば照明の照度をこれ以上保たなければいけないというときに、それ以下になっておるので照度をもっと上げなさいとか、球を取りかえなさいというのもあれかもしれませんが、要するに照度を上げなさいというような指導をするとか、あるいは許可証の掲示をすることになっておりますけれども、そういうふうなものの掲示を怠っておるということであれば、そこに掲示しなさいというような形で、いわゆる行政指導一つの変形であるというふうにお考えいただければよろしいのではないか、かように考えております。
  279. 安田修三

    ○安田委員 これで終わりますが、委員長、長官に最後に要望しておきます。  私は、風俗営業法の関係では、これは大いにここで議論して、また今まで附帯決議もいろいろな角度で改正のたびについておるわけですから、やはりそういうことを踏んまえながら、法案を出したらこれで変えないぞということじゃなくして、そういう議論を踏んまえた中で、法案の修正その他弾力的に処理される必要があるんじゃないかということを要望しておきます。  終わります。
  280. 大石千八

    大石委員長 次回は、来る二十六日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会      ————◇—————