○安田
委員 私は、今度の
風俗営業法の
改正案は、やはりいろいろな
意味で法体系の上では重要な
改正ということになるのではないかと思います。特に、
風俗営業でありますから、
風俗というのは
時代の変遷によって変わってまいりますし、そういう点では、絶えずこういう立法府の場でそういう
時代変遷に応じた議論をし、そして立法化されるということは必要でありましょう。
ところが今度の場合に、
風俗営業の範囲そのものは、従来から比べれば関連
営業等の拡大という点にとどまっておりますが、この取り締まり
規制、特に
規制よりもその手続
関係等については従前と抜本的に変わってしまった。そういう点で、これは法そのものの持つ中身というのががらりと変わってしまったというところに、大いに議論をし、
関係者の意見もよく聞き、そして戦後、民主
警察制度になって民衆と
警察の信頼
関係というものが築かれてきた、その上に立って、犯罪の予防なりあるいは犯罪の解決ということをこれからの新しい
時代に向けていくときには、こういう
風俗営業の場合にどうあるべきかということを議論して、法
改正に臨むべきではなかったかと思うわけです。
そういう点で、今度の
風俗営業等取締法改正の場合に、皆さん
警察当局の中に何か焦りがあるのじゃないだろうか。今の社会情勢の中で、例えば非行
少年がふえてくるという、あるいは低年齢層にだんだんそういう非行化がふえていくとか、あるいは場合によったら婦人層にもだんだん広がるとか、こういうことに対して何かしなければならぬという気持ちはみんな持っておると思うのです。ですから皆さんが、
風俗営業法の
改正という問題が出たときに、案外すんなり、いろいろな利害
関係者にはがたがたあったけれども、案外、そうだなあという気持ちをお互いに持った人も多かったのじゃないだろうかと思います。
だが、実際法案が出されて見てまいりますと、これは重大だなということが非常にたくさん出てきた。特にそういう中に、本来この種のものは、本当に
警察と民衆との間に密着感、信頼感があれば余り事件が出ないし、事件が出た場合も解決が容易になるということが多いにもかかわらず、そういう点では何かその間に懐疑の考えがあるのじゃなかろうか、そういう感情があるのじゃないかということを私は大変心配いたします。
社会情勢が大変複雑多岐にわたるときに、第一線で働く行政
警察や司法
警察の両任務を持ってやっておられる方々には、御苦労を多としなければなりません。しかしながら、先ほど
井上委員からも質問がありましたグリコ事件、きょうの日刊の某大手紙の中の「ちょっと ひとこと」という中にも、三十歳の主婦の方でしょうか、最後に、早くグリコ事件を
警察は解決してもらいたいという投書が出ておりますが、そういう点では皆さんも万全を期しておられると思うので、素人筋からとやかく言うのもおこがましいが、これは週刊誌とか推理とかいうことで私たち見ておるだけでありますが、ただ、だれが見ても、通報も遅かったということもあるけれども、初動捜査において手落ちはなかったか、あるいはまた、捜査の基本に欠陥がなかったか、そんなようなことについて、それぞれ世間では非常にわいわいがやがやお互いに議論が助長されているわけです。
そういう点では、皆さんも針のむしろに座っているような感じがするかもしれませんけれども、もし率直にそういう点で見直すべきものがあって、新たな捜査体制をしくならしくという毅然とした態度も必要であろうと思います。広域犯罪だとはいいながら、人口密集地とはいいながらも、極めて範囲の狭いところで起きている事件であります。
ましてや、最近、秋田の免許証偽造事件は大きな衝撃を与えました。内部監察が緩んでいるのではないか。あるいはまた、再三以前にも起きてまいりました大阪とか兵庫とかいいますと、何か
警察と暴力団が癒着しているような印象さえ世間に与えて非常に残念だと思うのでありますけれども、そういう点が第一線
警察官の士気に影響しては困るということを私たちも大変憂えるのであります。
つい今月の新聞にも、また兵庫の事件、岐阜の事件が出ております。十六日には、某大手紙から報道されましたように、兵庫県警の竜野署長、この方が姫路市の下水道管理センター技師松尾さんとの、いわゆる汚職事件で逮捕された人とのかけ
マージャン事件、あるいはまた、十九日の某大手紙に報道されましたように、岐阜県古川署の方が、これまた弁当総菜販売会社社長西尾という十億円詐欺の方と岐阜の有名な柳ヶ瀬での豪遊、競輪、競馬、釣りにふけっておったということで、二名退職、ほかに三名が訓戒を受けた。あるいはその中に、一部報道に是正しなければならぬものもあるかもしれません、私は報道だけで言っておるのですから。だが、書かれてきたその経緯については私は紛ろうことはなかろうと思います。
こうしたことが起きていることは、そこに民衆と
警察の間に何か疎外感、不信頼感というものが醸成されていく。こうしたことが起きること自身が、私は今、戦後
警察にとって
一つの試練期だと思います。民主
警察が育って三十数年のうち、今の制度に変わって三十年。
一つの過渡期であり試練期である。いわゆる今の
警察の中に、
変化する社会情勢に慣熟し得ない
一つの流れがあるのじゃないか。
これはかって十数年前に、当時の後藤田長官、今の大臣が長官
時代に、二十年前後の
警察で育った人は地方自治その他でやはり一定の水を吸ってきておるが、それからの分については私も心配しておるという当時の長官答弁がありますが、そういう点では、一般行政になじむという方が、人事交流されていても非常に少ないんじゃないかという点もあるわけでありますけれども、そういう点で、社会情勢に慣熟しない、あるいは民衆との接点が少ないとか、あるいは実質的な信頼
関係をつくることについてどうも余り堪能でない。ですから、
警察に事件の
関係で何か通報しても、逆に通報した者は何か犯罪者のような感じで見られるのじゃないかということがあって、なかなか通報しがたいとかという不信頼感、いろいろなものが山積しておる。
これを越えなければならぬ重大な時期、そういうときに、今の
風営法が何か、先ほどうちの
小川委員もおっしゃったように、
警察権力だけが肥大するような感じを与えているということは私は極めて遺憾だと思うのです。
そこで、まず初めに私は長官に、こうした一連の
警察の不祥事、私たちは余り国会の場でこういうことを大きく言いたくないが、これだけ立て続けに毎月毎月出てくるという今日の状態に対しまして、皆さん方はどのように対処をし、またこれからどのようにこれをきっちりしていかれようとするか。
警察官もまたそれぞれ人の子であります。決して私たちも
一つや二つのことで目くじらを立てたりあるいはどうのこうの言いたくはない。だが、これだけ出てくると一体どうなのかということです。長官の答弁を承りたいと思います。