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1984-04-24 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十四日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       愛知 和男君    大西 正男君       大村 襄治君    工藤  巖君       小杉  隆君    高村 正彦君       左藤  恵君    中川 昭一君       平林 鴻三君    古屋  亨君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       五十嵐広三君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    安田 修三君       山下洲夫君    岡本 富夫君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 田川 誠一君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      大出 峻郎君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房審         議官      田井 順之君         自治大臣官房審         議官      津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         環境庁自然保護         局施設整備課長 諏訪薗辰雄君         大蔵省主計局主         計官      藤井  威君         厚生省公衆衛生         局地域保健課長 古市 圭治君         厚生省環境衛生         局指導課長   瀬田 公和君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         厚生省医務局総         務課長     古川貞二郎君         厚生省保険局国         民健康保健課長 阿部 正俊君         農林水産省農蚕         園芸局普及部普         及教育課長   坂柳 迪夫君         工業技術院標準         部電気規格課長 太田健一郎君         労働省労働基準         局庶務課長   菊地 好司君         労働省労働基準         局労災管理課長 新村浩一郎君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     松本 邦宏君         建設省計画局公         共用地課長   田丸 勝朗君         建設省都市局都         市再開発課長  富永 栄一君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     愛知 和男君   松田 九郎君     高村 正彦君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     江崎 真澄君   高村 正彦君     松田 九郎君     ————————————— 四月二十四日  重度障害者固定資産税非課税に関する請願  (愛知和男紹介)(第三三六二号)  同(田邉國男紹介)(第三三六三号)  同(高橋辰夫紹介)(第三三六四号)  同(野呂田芳成君紹介)(第三三六五号)  同(葉梨信行紹介)(第三三六六号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量  制限廃止等に関する請願愛知和男紹介)(  第三三六七号)  同(田邉國男紹介)(第三三六八号)  同(高橋辰夫紹介)(第三三六九号)  同(野呂田芳成君紹介)(第三三七〇号)  同(葉梨信行紹介)(第三三七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一九号)  地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に  関する法律案内閣提出第三八号)  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第四六号)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案及び内閣提出地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下洲夫君
  3. 山下八洲夫

    山下(八)委員 まだまだ全くの勉強の段階で、きょうもまたいろいろと教えていただきたい、そういう立場で質問させていただきたいと思うわけでございます。  臨時地方特例交付金については、利差臨特とかあるいは地域特例臨特とか、いろいろと臨特があるわけでございます。そういう中で利差臨特性格を見ますと、五十一年度から五十六年度まで、及び五十八年度までの地方債発行による金利負担を軽減するため措置されていた臨時地方特例交付金で、地方債計画一定率に相当する額について、政府資金公募地方債との金利差を後年度一般会計から交付税特別会計繰り入れることとしているものである。また、五十一年から五十六年度分については、五十六年度からは借入金処置をし、後年度全額国庫負担とすることとされていたわけです。五十九年度繰り入れが予定されている臨時地方特例交付金に相当する額は九百二十五億円となっていますが、これで間違いございませんでしょうか。
  4. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度分につきましては、御指摘のとおりでございます。
  5. 山下八洲夫

    山下(八)委員 地域特例臨特につきましての性格をちょっと御説明いただきたいと思います。
  6. 石原信雄

    石原政府委員 昭和五十七年度行革関連法案によりまして、いわゆる地域特例立法によって補助率等かさ上げ措置がなされております事業について、三年間に限り、そのかさ上げ分の六分の一を切り下げるという法律が制定されましたが、その切り下げ額については、地方公共団体財政運営に影響を及ぼさないという意味で、その引き下げ相当額地方債発行を認めまして、そうしてその地方債元利償還金の二分の一相当額臨時特例交付金として交付税特別会計繰り入れる、このような約束がなされております。これがいわゆる地域特例臨特と称するものでございます。
  7. 山下八洲夫

    山下(八)委員 財対臨特はどのようになっているのですか。
  8. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる財対臨特は、これまでの各年度財政状況に即応いたしまして、自治大蔵大臣折衝の結果定めてきたものでありますが、分離課税選択した利子所得について住民税課税されていない、こういう状況背景にして、その年度財政状況において一定の額を交付税特別会計繰り入れる、こういう性格のものでございます。
  9. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私は、自治大蔵大臣が協議をして決めるものだというふうにこの点については思うわけですが、そういうことを見ていきますと、どうも今回の五百億円もつかみ金的な感じが私はするのですが、その辺はいかがですか。
  10. 石原信雄

    石原政府委員 折衝の過程におきましては、私どももできるだけこの金額を多くするように努力いたしたわけでございますが、五十九年度の国の財政状況が御案内のように大変な状況になっております。こういった背景のもとで、私どもは、少なくとも財対臨特背景となっております分離課税選択された利子所得についていまだに住民税課税が実現していない、こういう事情もありますので、何としてもこのような理由に基づくいわゆる財対臨特を確保したいということで、折衝の結果五百億円という金額に落ちついたわけであります。  したがいまして、私どもはこの金額では決して満足しているわけではございません。当初は少なくとも、前年度千百億円でございましたが、それを確保したいということで予算折衝に当たったわけですけれども、ただいま申し上げましたように、何分にも厳しい国の財政環境のもとで、結局五百億円ということで決着を見た次第でございます。
  11. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう一つ、この際ですから償還臨特についてもお尋ねしたいと思うのです。その性格をぜひ教えていただきたいのですが……。
  12. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる償還臨特、これは法律でこれまで各年度臨時特例交付金の額が定められておったわけでありますが、この償還臨特は、正確には五十年度補正以降の地方財源不足に対処するために、交付税特別会計借り入れまして、その借り入れた額の二分の一を国庫負担するという方向が確認されました。五十一年度については、初めは覚書で処理されておったわけであります。それから五十二年度は単年度処置としていわゆる償還臨特が法定され、五十三年度以降は一定ルール化が実現しまして、借入額実質二分の一を国が負担するということで、臨時特例交付金として各年度繰り入れるべき額を法定している、これが現状でございます。  今回御提案申し上げております改正案では、いわゆる償還臨特相当額の総額を国の一般会計借入金として引き取っていただく、こういうことにいたしているところでございます。
  13. 山下八洲夫

    山下(八)委員 大臣にちょっとお尋ねしたいわけでございますが、私は自治省のある方から、自治省の中には風鈴という言葉があるということをお聞きしたのです。風鈴というのは、私は何か夏に軒下にかけてちりちりん鳴る、あのことを風鈴だと思うわけですが、自治省の中にもそのような言葉がときどき使われている。この風鈴意味をちょっと教えていただきたいと思います。
  14. 田川誠一

    田川国務大臣 ちょっとそういう言葉は聞いたことはありません。わかりませんです。
  15. 山下八洲夫

    山下(八)委員 その方の説明によりますと、今臨特関係を若干お尋ねしたわけでございますけれども、いろいろと臨特がある、そういう臨特の臨をどうも絡めているようであるわけですが、風鈴の中は空洞になっておりますし、風が吹けばどっちへでも回っていって鳴る、それぐらい臨特については軽くあしらわれているというような意味のことを話されたわけでございます。ああなるほどなと、私のような素人でもある一瞬笑えてくるような言葉であったわけでございます。  そんなことを考えていきますと、今利差臨特やら地域特例臨特やら、また財対臨特のことをお尋ねしたわけでございますが、もう一つ地方交付税関係資料等を見ますと、これにはやはりそれぞれの臨特がきちっと項目別予算が計上してあるわけでございませんし、そういうことを考えていきますと、これもまた出てくるかとも思いますが、補助金なんかもたくさんあるわけです。これについても総合メニュー化すればいいじゃないかというような意見が一方ではあるわけでございますが、この臨特につきましてもそろそろ考えてみるべき時期に来ているのではないか、そう思えてならないわけです。その辺につきましての御意見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  16. 石原信雄

    石原政府委員 たくさんの名称を冠せられた臨時特例交付金がこれまで存在いたしました。これらの臨時特例交付金は、これができたときの経緯が、ある意味でそのまま地方財政の歴史ではないかと思うのであります。  私どもは、その臨特交付税会計繰り入れなければならないような事態になった時点では、いずれも交付税率引き上げでありますとか、より基本的な制度改正によって地方財政状態を改善したいということで要求してまいったわけでありますが、何分にも国の財政状態が恒久的な制度改正に、よる問題解決を許さなかったということで、各年度において、いろいろな経緯がありましたけれども臨時特例交付金ということでその年度財政運営を乗り切ってまいったわけであります。したがいまして、あくまでこれは臨時特例交付金臨時が示すように恒久的なものではありません。そのときの財政状況に対応するために、いわば応急的にと申しましょうか、まさに臨時的にとられた措置であります。  そこで、御提案申し上げております今回の改正法案におきましては、各種のいわゆる臨特のうちで最大の柱になっております償還臨特については、その償還臨特の繰入予定額総額に見合う借入残高を国の一般会計がこの際引き取る、この件については今回まさに抜本的に解決することにいたした次第でございます。  それから、それ以外の臨特はいずれも自治大蔵大臣の確認によってこれまで繰り入れがなされてきたものでありますが、今回の制度改正によって一応これは臨特としては廃止する。臨特という制度は五十八年度限りで打ち切りまして、五十九年度以降は、御提案申し上げております交付税特例措置の中でこの過去の経緯は消化していきたい、このように考えているところでございます。
  17. 山下八洲夫

    山下(八)委員 覚書を読みましても、今お話のあったようなことは一言も触れてないわけでございますね。特に、特例措置分ということで千七百六十億ですか、確かに措置されておりますことは今お話しのとおりでございますが、だから、そのようにするのであれば、はっきりとこのことを思い切って整理をして、そしてもっと私たちにもよく、簡単に言えば予算書は一日で見れるようにもうちょっと努力をしていただきたい、そのように思うわけでございます。  その辺のことにつきましては以上にいたしまして、次にもう一つお尋ねしたいことがあるわけでございます。  地方交付税増額についての特例措置についてお尋ねしたいと思います。  特に、今回巨額の財政不足を生じている地方財政は、地方交付税法の第六条の三の二項に該当すると理解しているわけでございますが、その辺について間違いないかどうか。このような事態を解消するためには、地方交付税引き上げという制度改正を行うことが基本ではないかと思うわけです。特に六条の三の二項の規定をどのように解釈をすればいいのか、その辺をしっかりと教えていただきたいと思います。
  18. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度を含めて最近の地方財政は、地方交付税法の第六条の三第二項の規定に該当する事態である、このように認識いたしております。そして、そのような認識のもとに、今回御提案申し上げているような形で地方交付税安定確保を図るための制度改正をお願いいたしているところでございます。
  19. 山下八洲夫

    山下(八)委員 地方行政制度変更とは、具体的にはどのような内容を指しておるのですか。
  20. 石原信雄

    石原政府委員 六条の三第二項の規定による地方行政制度改正、これは具体的には、地方財源不足するような事態の場合には、行政制度改正によって、事務の削減その他あるいは国への移譲その他によって地方負担の減少をもたらすような内容改正、これを意味しているものと思います。今日はそういう事態でありますが、逆に地方財源が余裕があるというような事態のときには、国の事務地方に移譲するというような形での改正も法文上は意味することになるのではないかと考えております。
  21. 山下八洲夫

    山下(八)委員 財政制度改正とは、恒久的措置を予定して、そして財源不足が生じないような財政構造とするものと私は理解をしているわけですが、それでいいわけですか。今回の特例加算措置は法の要件を満たしていないのではないか、そう思えてならないわけです。その辺について教えてほしいと思います。
  22. 石原信雄

    石原政府委員 交付税法第六条の三第二項の規定による財政制度改正、これは法律立案当初からの考え方として、普通交付税の額が地方財源不足額と引き続き著しく異なるような状況になった場合には、その異なる状態を解消できるような制度改正、まさにそういう内容改正が行われるべきだということが立法趣旨になっていると思います。  すなわち、今一番典型的な例は、税制改正によって地方税源充実強化が図られるような事態、あるいは国庫補助負担割合見直し等によって実質的に地方負担が軽減されるような事態、こういったことが同規定による制度改正の本来のといいましょうか、立法当初の考え方であろうと思います。  ただ、五十二年度、五十三年度以来、この問題については論議をいただいているわけでありますけれども、今日の国、地方を取り巻く財政状態が、交付税法立法当初の考え方に沿った恒久的なより抜本的な制度改正を許さないような状況になっている、残念ながらそれができない状況になっている、そういう事態のもとで、しかし今日の地方財政が六条の三第二項のケースに該当するような状態でありますから、何らかの制度改正を行わなければならないということで、いわばぎりぎりの選択として五十二年度あるいは五十三年度制度改正が行われ、また今回、新たな見地に立っての制度改正をお願いしているわけであります。  そこで、このようにいわゆる恒久的な財政制度改正でなくて、当面の事態に対処し得るようなたぐいの制度改正が六条の三第二項の規定による財政制度改正として含まれるかという点については、法制局とも協議いたしまして、やはりその制度改正というのは、立法趣旨からすれば、望ましい姿としては恒久的な制度改正であろうけれども、やはりその状況によって、当面の地方財政運営に支障なきを期するためのいわば応急的といいましょうか、臨時的な内容制度改正であってもそれには含まれる、このような解釈をちょうだいしております。私どもも、ぎりぎりの選択としてはそれは許される、その規定で読める、このように考えております。今回御提案申し上げております改正も、そのような意味財政制度改正と、このように理解をいたしているところでございます。
  23. 山下八洲夫

    山下(八)委員 法的にぎりぎりに認められる、だから改正するんだ、そのようなことは余り望ましいことではないのじゃないか、そう思えてならないわけです。  特例措置地方交付税法の六条の三の二項の制度改正に該当することの妥当性については今お話があったわけでございますが、財源不足が生じないようにすることが制度改正である、そのように私は思うわけです。だけれども、今回のはそのような趣旨のようには私自身はまだ受け取ることができないわけです。制度改正に該当するならば、少なくとも財源不足額の国の負担ルールをきちっと明記すべきではないか、そう思うわけです。また、従来の措置も、今のお話のとおり制度改正はされてきたわけでございますが、その場合、財源不足額のおおむね二分の一は特金借り入れ措置され、そしてその二分の一は国の負担とされていたわけでございます。したがって、今回の制度改正であっても、従来の政府措置にならすとすれば、少なくとも四分の一程度は国の負担にすべきではないか、そのように私は考えるわけです。その辺についてもう一度お答えいただきたいと思うわけです。
  24. 石原信雄

    石原政府委員 財政制度改正内容が、望ましい姿としては将来にわたって再び財源不足を生じないような恒久的なものであるべきだという点は、御指摘のとおりでございます。それが望ましいし、また、交付税制度立案のときの考え方というのはそういうことであったわけです。しかしながら、先ほども御答弁申し上げましたように、今日の事態は、そのような将来にわたって恒久的に地方財源不足を解消できるような制度改正がどうしてもできない、国の財政が厳しい状況のもとでそれはどうしてもできない、そこで今回御提案申し上げているような内容制度改正にいたしたわけです。  この制度改正は、今後財源不足事態が生ずれば、これに対して必要な特例措置を講ずるという制度改正でございます。そういう不足が出ないような制度改正が望ましいわけですけれども、それができないために、もし不足が生じて必要が生ずれば特例措置を講じますということを定めているわけです。  法律構成としては、交付税法の附則第三条におきまして、地方交付税安定確保を図るために特例措置を講じますということをうたい、そして具体的な内容については、四条で各毎年度必要なその特例措置内容を定める、五十九年度につきましては千七百六十億円の特例加算を行うことを定めておりまして、これから六十年度以降におきましても、各年度財政状況によって地方交付税安定確保を図るための必要な特例措置を具体的に法律をもって定めることを今回規定しようというのが、御提案申し上げております改正案内容でございまして、私どもは、これも制度改正として位置づけられる、このように理解しているところでございます。
  25. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今、不足が出ないのが望ましいと、私もそうですが、大変難しいわけですけれども、今度の制度改正では確かに特例措置になっていることは前々から何回も議論があるわけでございます。今までは特例増額になっていたわけでございますから、その辺が、今回また私も素人なりにまた心配する部分であるわけでございます。  この辺で、せっかくの機会でございますので、大臣にちょっと一言だけお尋ねしたいわけですが、今後特例減額にならぬような、またそのような方針でいくんだというようなことでの決意をひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。
  26. 田川誠一

    田川国務大臣 本来なら、こうした情勢の中に交付税税率引き上げるということが非常に望ましい姿でございますけれども先ほど財政局長が述べましたように、国の財政も非常に厳しい中でございます。そういうことでこうした特例措置を考えなければならないことになったわけでございます。  私どもといたしましては、将来の展望としては、できるだけ地方自治体に御心配をかけないように努力をしていかなければなりません。そうした意味で、今後とも大蔵当局との交渉に当たりましては、できるだけ地方に御迷惑のかからないように努力をしてまいるつもりでございます。  ただ、国と地方との関係というのは、これまでもしばしば申し上げましたように、車の両輪のようなものでございまして、ともにこの厳しい財政状態を打破していかなければならない、そういう情勢でございますので、私どもといたしましては、大局を見てやっていかなければならないところに非常に苦しい立場があるわけでございまして、どうぞこの点もひとつ御理解をしていただくようにお願いいたします。
  27. 山下八洲夫

    山下(八)委員 五十九年度交付税率実質的には三二%を下回ることになるのではないかと思うわけです。交付税率の法定の趣旨を逸脱しているのではないかと思うわけです。これは、交付税率変動税率制の採用に踏み切ってきたのではないかという心配もいたしますし、また、地方交付税地方固有財源制に反することになってくるのではないかと思うわけです。そのようなことがないように、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと考えるわけです。  先ほどもちょっとお話が出ましたけれども特会借入制度を廃止した、特例措置の導入の点で新たな借入制度になったのではないか、また、現行の特会借入金償還時の実質二分の一の国庫負担措置より今回の措置はまた後退してきたのではないかと私は見ているわけです。その辺について御答弁いただきたいと思います。
  28. 石原信雄

    石原政府委員 今回御提案申し上げております法案内容といたしまして、五十九年度特例措置の額のうち、三百億円については昭和六十六年度及び六十七年度においてそれぞれ百五十億円ずつ減額精算することになっております。  そういう意味で、精算されるという意味では借金と同じではないかという御指摘でございますが、従来の交付税特会借入金は、文字どおり交付税特会資金運用部から借り入れまして、それに金利を払って償還していく、言うならこれは一般会計の枠外で運用されておったわけであります。それに対して、今回は一般会計の枠内で、国と地方財政状況を踏まえて、基本的には地方財政の運営に支障なからしめるように必要な交付税の額を確保する。そしてそれが、御提案申し上げております交付税法の本来の法定額、それから金利を引いた額になりますけれども、その額では地方財政運営に支障が生ずると考えられる場合には必要な特例加算を行う。そうして特例加算のうち、過去の経緯から臨時特例交付金相当額として除外される額以外のものについては精算する、こういう考え方でございます。  精算額について過去の借入金のように二分の一負担がないのは後退ではないかという御指摘でございますが、今回御提案申し上げております特例措置考え方は、一応特会借り入れを廃止して、いわば一般会計の枠内で国、地方それぞれの財政状況を踏まえて必要な措置を講ずるということでありまして、まさにこれは交付税の法定額に対して特例でございますから、特例加算したものは原則としては将来返していく。返す時点での財政運営に支障がないように当然しなければならないわけでありますが、ともかく今回の制度の運用としては、特例加算したものは将来精算するという制度として組み立てているわけでございます。  五十年度以降の交付税特会借り入れについては、その背景あるいは金額等が非常に異常であったために二分の一の国の負担を導入したわけでありますが、それ以前の年度において何度か交付税特例措置が講じられたことがございます。それらについては、いずれも全額交付税会計負担において償還がなされております。そういった意味では今回の特例措置は従前の五十年度以前の特例措置と類似の考え方に立っているということもできると思いますが、いずれにいたしましても、私どもは、これからの国、地方それぞれの財政状況を踏まえて、特例措置については原則は交付税会計負担において将来精算していく。そして、精算する時点でそのときの財政状況いかんによっては当然また何らかの対応が必要になると思いますけれども、基本的にはその精算によっても地方財政の運営に支障なきを期する、こういう前提のもとで今回の新しい方式を御提案申し上げているところでございます。
  29. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今回の特例措置は私は大変大きく後退をしているというふうに思うわけでございますが、三百億円の精算は年度間調整を行おうとするものではないかというふうに私は思いますし、また、この精算額の三百億円の算定根拠がどうしても私には不明確でわからないわけです。その辺について御説明いただきたいと思います。
  30. 石原信雄

    石原政府委員 三百億円という金額が、どのような過程、どのような計算の結果出てきたのかというお尋ねであろうかと思いますが、五十九年度地方財政収支を計算したところ、一兆五千百億円の財源不足になる。これについて建設地方債の活用を行う。この活用の仕方についてはいろいろ議論があったわけでありますけれども、ともかく今日の国、地方を通ずる財政環境のもとで建設地方債をある程度活用せざるを得なかったということで、一兆二千億円余りの建設地方債の活用を図りまして、そうして残りの三千億余りの額を交付税特例措置で補てんする、このようにいたしたわけであります。  そして、その際、この財源不足額の計算の前提としては、五十九年度交付税会計借入金償還を予定しておりまして、その償還のうち千二百八十九億円が交付税会計負担になることになっておりましたが、この償還を棚上げするということにいたしました。国が引き取った借入金償還についても同様の措置を講ずるわけでありますが、そうしますと、最終的に不足する額が千七百六十億円になったわけであります。  そうして、千七百六十億円のうち、先ほど来御論議いただきました過去の経緯等から臨時地方特例交付金として交付税会計繰り入れることが約束されているもの、あるいは財政対策としてこの際決めるもの、これらを含めて千四百六十億円につきましては精算対象から除外する、いわば特例措置として地方がもらいっきりにする。その結果、最終的に残った額が三百億円、これは本来の原則に戻りまして六十六年度以降精算する、このような取り扱いにいたした次第でございます。
  31. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今までの臨特相当額の確保は今後ともできるのかどうか。同時に、特例措置額が財源不足を補てんするものであるとすれば、その内容が今までの臨特相当額程度でよいのかどうなのか、その辺はいかがですか。
  32. 石原信雄

    石原政府委員 六十年度以降、今回御提案申し上げております新しい方式でもって必要な交付税総額確保措置を講じてまいりたいと考えております。その大前提として、当然各年度地方財源状況を計算しております。財源不足がどうなるのか算定いたしまして、財源不足が生ずればその不足額を補てんするための措置を講ずる。その措置を講ずるに当たりましては五十九年度のやり方と基本的には同じ考え方でいくことになると思いますが、ただ、私どもはできるだけ地方債への依存は引き下げていきたい、今後とも地方債の活用はなるべく抑えていきたいと思っております。そういった意味で、交付税特例措置による額をなるべく多く確保して地方財政の健全性を守っていきたい、このように考えております。  その際に特例加算措置というようなことが行われますれば、過去の経緯臨時地方特例交付金として繰り入れを約束しておりましたものについては、この制度としては廃止になりますけれども、新しい特例措置の扱いの中でこれは当然生かしていくべきものと考えております。
  33. 山下八洲夫

    山下(八)委員 交付税総額の安定的な確保のために、毎年度その内容は附則で書くことになっているわけでございます。必要な特例措置内容を今度は具体的に法律上に明記すべきじゃないか。今日までのことを私なりに眺めてみますと、もうそろそろ附則ではなくてきちっと法律上でやっていく、そういうふうにした方がいいのではないか、そう思うわけでございます。その辺についての考えをお聞かせいただきたいと思います。
  34. 石原信雄

    石原政府委員 私どもとしましては、交付税法本則で、第六条の規定によりまして地方交付税総額は国税三税の三二%、このように法定されているわけでありますが、その特例を本則で書くということにはやはり抵抗を感ずるわけでございます。その必要があれば、また、望ましい姿としては三二%というこの交付税率そのものを改めていくべきであって、交付税率をそのままにしておいて本則でその特例を書くというのは立法形式としてもいかがなものかと思いますし、また、私ども交付税というのは本来すっきりした姿でいきたい、そうあってほしいと考えますので、やはり今回のような特例措置はあくまで特例、なるべく早くそういう状態からは脱却したいという意味も込めて、やはり特例措置として附則で規定するしかないのじゃないか、本来的に内容的に本則事項ではないのじゃないか、このように考えております。
  35. 山下八洲夫

    山下(八)委員 附則だからいろいろと問題が出てきているのだというふうに私は理解いたしますので、その辺については今後の努力でできれば本則にしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、地方債の不許可または制限の条件、また、今回あたりは一部カットされたような団体もございますので、その辺を中心に若干お尋ねしていきたいと思います。  まず最初に、特に地方債の不許可の条件でございますが、これは歳入欠陥を生じた団体とか、あるいは普通税の税率が標準税率未満の地方団体とか、あるいはまた地方債の元利償還費の延滞のある地方団体とかいろいろとあるわけでございます。これは起債の不許可のところでございますが、制限を受けるところはどのようなところですか。
  36. 石原信雄

    石原政府委員 従来、地方債許可方針におきましては、例えば地方税の徴収率が著しく低い団体でありますとか公営競技の収益金が多額に上る団体、こういった団体が地方債発行額を制限されるということが定められております。そのほか、各事業債ごとに、その団体の財政状況あるいはその当該事業債の将来の財政運営に及ぼす影響といったものを考慮して地方債の額を定める、このような規定がございます。そこで、財政状況いかんによっては地方債の額が真にやむを得ざる限度に抑えられるという意味で抑制されることがあり得る、こういうことが許可方針の中に定められております。
  37. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今回、これは制限に当たるのかどうかちょっとわかりませんが、それ以外にまだ、例えば大阪周辺とか東京周辺の方に起債の制限を受けたような団体があるかのように聞いているわけですが、それはどこに当てはまるのですか。
  38. 石原信雄

    石原政府委員 五十八年度地方債の許可に当たりまして、一部の団体について、一般事業債について起債の許可申請額について若干の金額を抑制いたしました。この根拠は、許可方針の中の一般事業債について、その当該団体の財政状況を勘案して地方債の額を定めるというくだりがありますけれども、この財政状況を勘案して金額を若干抑制したということでございます。  その考え方としましては、今回対象になりました団体は、いずれも昭和五十六年度に給与の水準が著しく高いということで、将来の財政への配慮もありましてその給与の状態を改善していただくように計画を提出願っているところでございますが、その提出いただいた計画について、五十八年度中に効果的な合理化措置が行われなかったということで、これらの団体については将来の財政運営に非常に不安が持たれる、償還能力の面で不安が持たれる。それから何よりも、やはり他の団体に比べて著しく高い給与の状態にあるということは、一面から見ればそれが可能な程度に財政的なゆとりがあるという考え方もできるわけでございます。それらの事情から、申請額について一部抑制措置を講じたということでございます。  なお、東京都などにつきましては、御案内のように、五十八年度の給与改定につきまして、国や大部分の地方公共団体の給与改定率の二倍を超える水準で給与改定が行われまして、これまたそういったことが可能な財政状態にあるという考え方のもとに、一般事業債の一部について抑制措置を講じたところでございます。
  39. 山下八洲夫

    山下(八)委員 まだ私はよく理解できないわけでございますが、そうしますと、よく百五十三団体という数字やら言葉を聞きますし、また最近では二十三団体というような数字やら言葉を聞いたりするわけでございます。私はその二十三団体が一部起債が抑制されたというふうに理解はいたしておりますが、今の御答弁では、ある面では給料が高いから、また将来財政的不安が生じるから一部起債をカットしたんだ、抑制したんだ、あるいはまた一方では、給与が高いということは財政的ゆとりがあるからそうなさったんだというような答弁に理解をさせていただいたわけでございます。  特に、給与の問題が絡んでいるということは、給与というのは労使間で決定することでありますし、そこへ向いて自治省の方から個別指導をされるということは、ある面では行き過ぎではないか、私はそのように考えるわけです。その辺についてどのようにお考えになるのか。また、この百五十三団体はどういうところを百五十三団体と、固有名詞まで挙げていただかなくても結構でございますが、百五十三団体を個別指導するんだということで決めました何か一つルールがあろうかと思いますが、それをお答えいただきたいと思います。
  40. 中島忠能

    ○中島政府委員 百五十三団体でございますが、先ほど財政局長からお答え申し上げましたように、五十五年四月一日現在の給与水準が非常に高いというところを、私たちの方では個別に、なぜ給与が高いのかというところをひとつ分析してみようじゃないか、そしてその給与が高くなっている原因というものを分析いたしまして、それをそれぞれの団体にもう一度よく認識していただこうということで個別指導というものを始めたわけでございます。  そこで、私たちの方にもそれだけの、作業をするには相当な人的能力が必要でございますので、その人的能力の面もがみ合わせまして、上からおおむね百五十ぐらいは対応できるだろうということで選んだところが、五十五年四月一日現在のラスパイレス指数で一一五・三というところでちょうど百五十三団体になったということでございます。
  41. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは違った角度からちょっとお尋ねしたいわけですが、多分国のラスを一〇〇としての個別指導でございますから、逆に今度は八五以下ぐらいの団体は、全国で、数だけで結構でございますから、幾つぐらいございますか。
  42. 中島忠能

    ○中島政府委員 お尋ねの八五というところで私たち統計をとっておりませんので、手元にある統計で御答弁申し上げますと、市では九五未満のところが十九ございます。そして町村では九〇未満が三百十ございます。こういうラスパイレス指数一〇〇未満のところをどうするかという議論は当然出てくるわけでございますけれども、そういう団体のところの地域の実情というのをいろいろ見てみますと、例えて言いますと、民間賃金の地域差指数というのがございますけれども、民間賃金の地域差指数を各都道府県別に見ました場合、全国平均を一〇〇といたしますと、九五未満の都道府県というのが実は三十ぐらいございます。また、そういうラスパイレス指数の非常に低いところは、それぞれの団体の組織規模というものも非常に小そうございます。したがって職制というのも小ぢんまりしておるというような実情にございます。  そういうような民間賃金の状況とか当該団体の組織規模というものをそれぞれの団体で勘案しながら、長と議会がいろいろ相談し、また職員団体の話も聞きながら、それぞれ自主的にお決めになっておりまして、そのことにつきまして、現在私たちの方では特段国が乗り出してまで指導するような状況ではないのではないかというふうに、考えております。
  43. 山下八洲夫

    山下(八)委員 九五よりもっと低いところで、私は参考に岐阜県の——私、岐阜県出身でございますので。岐阜県には市町村がちょうど百あるわけでございます。百団体であるわけです。ここで見てみたわけでございます。そうしますと、百団体のうちラスが八五未満のところ、これが八つもあるわけですね。今の数字からいきますと、全国的に見ていきますと八五以下がかなりの数出てくるのではないか、そのように思うわけです。今お話がございましたけれども、岐阜県の各団体を見ておりますと、県都の岐阜市のベッドタウンのようなところが八五を割っているわけですね。これで本当に生活ができるんだろうか、これを手に入れて初めて私は大変びっくりしたわけでございます。仮に地域の農協より賃金がよかったとしても、全体的に抑えられているように思うわけです。  その辺のことを考えますと、ラスの高いところを個別指導するのであれば、余りにも低いところもやはり個別指導をして、平均的な、文化的な生活が営めるようにするのも大変大事なことではないか、そのように思うわけです。その辺の指導をするというお考えはないのでしょうか。
  44. 中島忠能

    ○中島政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、地方公務員の給与について国が指導に乗り出すというからには、それだけの相当な理由がなければならないというふうに思います。現在私たちが指導しておりますのは、給与が著しく高い、その著しく高いことに対しまして各方面からいろいろな御批判を私たちは現在いただいております。  そこで、その御批判というものにこたえていくためにはどのようにしたらいいのかということで、それぞれの団体というものをよくにらみましたところが、それぞれの団体の、例えて言いますと給料表とかあるいはまた昇給昇格基準とか、そういうものに今の給与決定原則から見まして問題があるということで、私たちの方が個別に助言をしておるわけでございますけれども、今先生がお尋ねのそれぞれの団体というものを私たち一つ一つ精査したわけではございませんけれども先ほど申し上げましたその地域の民間賃金の地域差指数とか消費者物価の地域差指数というものを見、あるいはそれぞれの団体の組織規模を見る、そしてまたそういう団体が置かれておる地域の実態というものを見た場合に、当該団体の給料表とか昇給昇格基準、あるいは初任給というものが著しく不適当だということになれば助言しなければならないと思いますけれども、全体的に見た場合には、私たち岐阜県の場合にも、それぞれ細かく調べたことはございませんけれども、それぞれの議会といいますか、長といいますか、おおむねそういう団体の自治の範囲に任せておいて、そんなにとんでもないところには現在来てないというふうに、私は認識いたしております。
  45. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう一度だけ繰り返しでお尋ねをさせていただきますけれども、著しく高いというようなところを個別指導なさっているようでございますが、この著しく高いところ、仮に私は百歩譲って考えてみましても、ではそこの地域性から見ていて本当に今御答弁ありましたとおり著しく高いのかどうか。逆に言いますと、うんとラスの低いところで、仮にその地域の事情によって低いとすれば、高いところもそれなりに地域の事情も大きく加味されてくると思うわけです。それと同時に、高いところは何か給与の問題で昇給がどんどんいくような仕組みになっているということであれば、低いところは働けど働けどなかなか上げてもらえないという逆の悪い仕組みになっているのではないか、そういうことも裏返して考えれば考えることができると思うわけです。  そういたしますと、著しく低いところ、その辺につきましては、今度逆に文化的な最低限の生活ができるように——その地域にそのような産業がなければ比較しようがないと思うわけですね。そういうことを考えていきますと、公務員は公務員並みの文化的な生活が、東京にいようと地方にいようとできるように個別指導されることが、またある面では大切になってくるのではないか。個別指導を全然されないというのであれば、これはこれでまた私は理解できるわけですが、高いところを個別指導し、起債の一部抑制をするという強硬手段に出ているように私には見えるものですから、そうであれば、低いところも同じように温かい手を差し伸べてあげるということが行政上必要になってくるのではないかということを申し上げておきたいと思います。  時間がなくなってきますので、次へ移りたいと思うわけでございますが、その中で、私は技能労務者を見ますと、本当になおびっくりしてしまうわけです。今地方団体は、特に現業部門を中心にかなり民間委託をさせつつあるわけでございます。これは私は、ある面では自治省も積極的に行政指導をして民間委託をしなさいとおっしゃっているのではないかなと思ったりするわけでございますが、岐阜県の技能労務者のラスパイを見てみますと、それこそ百団体のうち八五未満のラスパイのところがびっくりするほど、八十二もあるわけです。ほとんど八五以下です。岐阜県百団体のうち、八五以上がたったの十八ですからね。  そういうことを見ていきますと、いかに技能労務者が低賃金で使われているか、にもかかわらず、今度は現業部門を中心として民間委託がどんどんなされているというふうに思うわけです。私は、この現業部門については、隠れたところでは本当に苦労しているような気がしてならないわけでございます。ですから、ぜひそういう点にも温かい手を差し伸べていただきたいと私は思います。  同時に、民間委託をされる、特に清掃部門あたりではかなりの事故が起きているわけでございます。今地方団体に対して、言葉は悪いわけでございますが、第二臨調、行革路線によってどんどん財政がないということで切り詰める、切り詰めることによって、民間も十分にやっていけない低賃金で民間下請をやっている。そのことからたくさんの清掃事業を中心とした事故が起きてきているのではないか、私はそう思うわけです。簡単に申しますと、警察官というのは大変危険な仕事についていらっしゃいますので、ある面では事故も多くあろうかと思うわけです。この警察官の千人当たりの事故件数が三十一・三であるわけですが、清掃事業職員というのは本当にそれに次ぐくらい高いわけでございます。  そういうことを考えていきますと、私はこの清掃事業は自治体固有の仕事であると思いますし、ある程度は民間委託させないような方向の行政指導をしていただきたいなというふうに考えているわけですが、その辺についてまずお尋ねしたいと思います。
  46. 中島忠能

    ○中島政府委員 清掃事業についていろいろ御指摘がございました。私たちも、御指摘のございました事故発生の件につきましては大変心を痛めております。そこで、私も今の仕事に就任いたしましてから清掃工場等を見学いたしましたけれども、その事故が起きておる原因というのは実はいろいろあるだろうと思います。その原因というものを私たちの方ももう少し分析して対応を考えなければならないと思いますけれども一つは、先生もよく御存じだと思いますけれども、安全衛生の管理体制というのは、今までの通常の指導によってはどうももう一つはかばかしく進捗してない。したがって、この体制を整備させるために今までとは違った指導をしていかなければならないだろうということを考えております。十七日の地方行政委員会でしたか、大臣からも強力に指導するというふうに御答弁申し上げましたけれども、その趣旨を踏まえまして、この体制の整備については強力に指導してまいりたいというふうに思います。  もう一つは、今までいろいろな事故が発生いたしておりますけれども、その今までの事故例というものを調査分析いたしまして、どういうようなことでその事故が起きたのか、その事故を防止するためにはどういう点に留意する必要があるのかということをこれから研究して、それを地方団体の方にお渡しいたしまして、地方団体の方でそれを参考にしていただく必要があるだろうというふうに考えております。  私たち、労働安全衛生のことについては特段専門的な知識も経験もございませんけれども自治省としてできる限りのことはこのことについてはやってまいりたいというふうに考えております。
  47. 山下八洲夫

    山下(八)委員 各団体が民間に清掃事業の許可を与えるというようなものが、民間委託をしていればあっちこっちであると思うわけです。それにつきまして、例えばどういうところには許可を与えていいよ、どういうところには許可を与えてはいけないよと、ある程度の事業規模によりまして指導なさっているのか、またその指導要綱みたいなものがあるのか、その辺につきまして教えていただきたいと思います。
  48. 中島忠能

    ○中島政府委員 私たち所管しておりませんので詳しくは存じませんけれども、清掃法の施行令の第四条だったと思いますけれども、その第四条の第一項に事業を委託するに当たっての基準というのが定められておったように記憶いたしております。その法律は厚生省が所管しておりますので、詳しくはまた厚生省の方からもお聞きいただきたいと思いますが、私たちも、事業を委託するに当たりましては、受託する側の人的な能力とか施設整備の能力とか、そういうものをよく考えて、今先生が御指摘のような事故が起こらないように配慮していかなければならないだろうというふうに思います。これは一般的な考え方でございますが、詳しくは所管省の方からお聞きいただければというふうに思います。
  49. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私も門真市の方で、事故現場を含めまして業者また団体、それぞれを視察させていただいたわけでございます。それで門真市のことを例に挙げますと、あそこの許可業者は全部で十ばかりあるわけでございます。その許可業者の中を見てみますと、例えば車が三台で四人の方でやってみえるとか、あるいは車が二台で、運転されて作業をされる方は三人しかいないとか、また、車が一台で二人とか、そのようになっているわけです。  門真市の場合の事故を振り返って考えてみますと、一人で作業をし、ある工場の中でごみを積んでいまして、何かひっかかったんだと思うわけですが、自分自身が巻き込まれて入ってしまった。運転手がいないので、夕方の四時くらいまで一生懸命捜した。捜したけれどもわからない。そのごみはほかの運転手が焼却場で焼いてしまった。そして、不幸にも灰になって、死体として発見された、大変痛ましい事故であるわけです。  そこの企業は、その中ではまだ比較的大きいところの企業であるわけです。だがやはりある面では一人作業をさせている。一人作業でなくて二人で作業していれば、ひょっとして、この事故で、痛いとか助けてとか声を出しますから、もう一人の方がとめたりすることができたと思うわけです。  民間にこのような作業をさせているから、どうしてもある面では利潤を追求していく、そういう点での無理が出てくる。もう一方では、ある業者におきましては、これ専業だけでは食べていけないんだというような意見もあるわけです。そういう意味でいきますと、ある面ではまた自治体の方も、なるべくコストを安くしたいという努力の上で、本当に専業としてやっていけないほど安く抑えているのかなと私は思ったりもするわけでございますが、いずれにしましても、この基本というのはあくまでも自治体固有の仕事でありますので、私は自治省にぜひお願いをしたいと思うわけでございますが、少なくとも、まだまだ今の時点では民間に対して委託とかをしないで、固有の仕事として取組むようにぜひ指導していただきたいというふうに考えるわけですが、その辺についていかがお考えでしょうか。
  50. 中島忠能

    ○中島政府委員 清掃事業に係る事故に関連いたしまして、これをどういうふうに実施していけばいいかということでございますけれども、現在、地方団体の方ではその仕事というものを適正に処理するということを前提にいたしまして、それぞれの地方団体が自主的に判断して直営にするとかあるいはまた委託にするとかいうことを考えておるというふうに思います。  また、直営にする場合にはどういう体制でその仕事をやってもらったらいいだろうかということを考えてそれぞれ実施しておるというふうに理解しておりますが、どうしてもそれを直営にしていかなければならないというほどの合理性はないだろうというふうに私は思います。いろいろな研究というものの成果を読んでみましたら、やはり直営よりも委託の方が効率的だというような資料もございますし、委託にするからまた事故が起こるんだということであってはなりませんので、それぞれの所管省庁の方からその事故防止のための適正な指導というものをしていかなければならないだろうというふうに思います。  先生と若干考え方が異なるかもわかりませんけれども、私たちは、その仕事というものを適正に効率的に処理するためにいかにしていけばいいかということを地方団体が命まで判断して実施してきておる、この経過というものはやはり尊重していった方がいいのじゃないかというふうに思います。
  51. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ちょっと労働省の方にお尋ねしたいわけでございますが、第六次労働災害防止計画の中で、重点業種に清掃業を入れて対応しているということですが、具体的にどのようにしているのか。また、調査によりますと、管理要綱の徹底がなされていない労基署もあったように聞いたりしているわけです。また、八三年度の運営方針の中でも重点的にとらえていると言うが、ある労基署におきましては、だからといって何もやっていないと言っては言い過ぎかもわかりませんが、余り力を入れてやっていないというふうにも聞いているわけですが、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  52. 松本邦宏

    ○松本説明員 労働省といたしましては、昨年、五十八年度に第六次の労働災害防止計画を定めたわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、清掃業につきましてはかなり労働災害の事故が発生しておるものでございますので、五十七年当時、安全衛生法の施行令の改正あるいは酸欠則の改正のような規則改正並びに清掃事業における安全衛生管理要綱というようなものを定めて強力に実施しておりましたけれども、まだまだ事故が減らないというようなこともございますので、この災害防止計画の中でも重点業種として指摘をいたしまして、重点的に取り組むようにという指導をいたしております。それから今年度の運営方針の中でも、今御指摘がございましたように、重点的にやれという指示を特にいたしておるところでございます。  ただ、今御指摘ございましたように、各監督署の段階では、それぞれそのほかにも重点的な業種がございますので、優先度といいますか、そういうものに若干の差はあるかと思いますけれども、我々としては、繰り返しこの災害防止についてはやるようにということで指示しておるところでございます。
  53. 山下八洲夫

    山下(八)委員 自治省と厚生省と労働省の三省で部内に検討対策委員会を設置しているというふうに聞いておりますけれども、その結論はいつごろまでに出るのか、ぜひ教えていただきたいのです。
  54. 松本邦宏

    ○松本説明員 本年の二月に労働省の担当三課長と厚生省並びに自治省の課長で連絡会議を設けておりまして、実は昨日も会議をしたところでございますが、これは特にいつまで結論を出すという会議ではございませんで、事故等が発生いたしました際にその事故分析のようなものをやって、どういうふうに手を打つべきであろうかというようなことを寄り寄り協議するという会議でございますので、最近の事故発生事例などを見ながらどういうふうに手を打っていったらいいかというようなことを、情報を集めながら相談をしょう、こういうものでございます。
  55. 山下八洲夫

    山下(八)委員 せっかく三省でそのような立派な検討委員会をつくったのであれば、事故が起きたのを検討してということではなくて、いかに事故が起きないようにするかという方針を出すのがやはり一番大切なことではないかと思うわけです。結果論だけ追ってもとうとい命は返ってくるわけではございませんし、また、そのことをなくすることが一番大切なことであるわけです。逆に言いますと、もしそのようなお考えであるのであれば、この検討委員会の設置というのは何ら意味を果たさないだろうというふうに私は考えます。これからいかにして起こさないかということを常にこの三省が中心になってやはり前向きに検討をして、そしてこうすればいいのだということを指導をするなり、また御報告等をいただくようにしてもらいたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  56. 松本邦宏

    ○松本説明員 もとよりこの委員会は、事故が起こりましたときに事後的に分析をしておるという会議ではございませんで、いろいろ対策要綱のようなものを定めておりますが、それで十分でなかったことによっていわば事故が起こっているわけでございますので、さらに事故が起こらないようにするためにどうするかということを、事故の分析の中から得て次の対策を打っていこう、こういうものでございますので、事故を分析した上で自後の予防ということをあくまで考えてやっているつもりでございます。
  57. 山下八洲夫

    山下(八)委員 たまには労基署の立入検査をして点検をしているのかどうか、その辺をお尋ねしたいと思うわけです。特に言いますと、清掃業だけに立ち入りするわけではございませんし、今の労基署の監督官の数だけで、本当に安全衛生の面を含めていろいろな面で実際やっていけるのかどうか、私はそのことが心配でならないわけです。どこの労基署でありましても、監督官が余りにも少ないのじゃないか。だから、労働省がもうちょっと積極的にやりたいと思ってもある面ではできないのではないか、私はそう思えてならないわけです。  私たちは、積極的にどんどん立ち入りをしていただいて、その中で安全を確保していく、このことがやはり一番大事なことだと思いますが、その辺、実際にどの程度立入検査をしているのか教えていただきたいと思います。
  58. 松本邦宏

    ○松本説明員 ちょっと今手元に具体的な立ち入りの件数までは持ってまいっておりませんが、監督署の職員は、定期的な監督並びに申告監督につきまして一定の業務量のようなものを決めまして、年間の計画に基づいてやっておりますし、また、事故が起こりました際には、その事故の調査のための監督等もやっておりまして、いわばフル回転はやっているつもりでございます。
  59. 山下八洲夫

    山下(八)委員 フル回転をやっていらっしゃるということは大変ありがたいわけですが、私は、今、ある面では労働省もこの第二臨調、行革路線の名のもとに統廃合があるのじゃないかと一方では不安を感じているわけです。そうしますと、ますますいろいろな面で支障が起きてくるのではないか。  そのことがないように、たしか予算でいきますと監督官というのは本年度三十四名ですか、ただそれだけしかふえてないわけでございますね。これだけいろいろな複雑な業種がふえ、そしていろいろな法人がたくさんふえ、やっている中で、本当に一生懸命やられても、ほんの一握りだろうというふうに私は思うわけです。ですから、手抜きはしていないわけですけれども、どうしたって手抜き的になってくる。だからいろいろなところで、特に今回で言いますと、この数年というものは、清掃事業にこのような大変な事故が起きてきたというふうにも思うわけでございます。そういう意味では、大変でしょうが、少なければ少ない数なりでやはり精いっぱいの努力をされていると思いますけれども、ぜひそれ以上の努力を心からお願いをする次第でございます。  そういう中で、この間一貫して事業の民間委託を、先ほど自治省の方はそのようなことはないとおっしゃいましたけれども、民間委託を指導しているのではないか、そう思えてならないわけです。だから民間委託業者に悲惨な死亡事故が多発してきているというふうに私は見ているわけですが、これからまだ各固体に民間委託しようというような動きがあれば、自治省としては、もう少し民間委託のブレーキ役になって、直営でもうちょっと頑張れというような方向で指導をしてもらいたいというふうに私は思うわけです。  百歩譲って、もし民間委保証を行政指導としてされるのであれば、まあされていなくても、そういうものを民間委託をされるような団体に気がつけば、少なくともILO九十四号の公契約における労働条項に関する条約、これを批准をしてからそのような民間委託をしても遅くはないというふうに思うわけです。特に、私、先ほどもちょっと触れましたけれども、業者によっては、民間委託をされてもそれだけで食べていけないというぐらいな業者もたくさんあるわけですから、どうしても無理が出てくる。禁止されている途中での積みかえなんかをやってでも、やはりコストを下げて何とか頑張りたい、民間は民間なりに無理しているから事故が出てくると私は思います。これは危険な作業でございますから、まだ直営でやっているところは少なくとも直営を維持させていって、そしてILO九十四号の条約が批准されてからもう一度自治省としても考えていただきたい。また、労働省は労働省なりにその方向で検討していただきたいというふうに考えますが、その辺についていかがお考えか、両省からお尋ねしておきたいと思います。
  60. 中島忠能

    ○中島政府委員 清掃事業の民間委託につきましては、先ほど来、先生からいろいろ御質問がございましたので、るるお答え申し上げましたが、これを直営でやろうがあるいは民間委託しようが、事業の実施の過程において事故が起こるということはどうしても避けていくように私たちも努力していかなければならないというふうに思います。  先ほど来労働省からも御答弁がございましたように、私たち三省で協議会をつくり、また自治省ではそのための研究会もつくって取り組もうという態勢でございます。いずれにいたしましても、その事業の実施の過程で事故が起こらないように、自治省としても最大限の努力をしてまいりたいというふうに思います。  なお、ILO九十四号条約というものは、私も詳しく存じませんけれども、日本がILOに加盟する前の条約でございまして、その条約と清掃事業との関係がどうなるかということは、専門の労働省の方から御答弁があろうかと思いますが、それを批准する批准しないにかかわらず、事故の防止のためには、公共団体もまた本省も、あるいはまた当該事業者も最大限の努力をするようにそれぞれ自覚をして取り組むべきものだというふうに考えます。
  61. 松本邦宏

    ○松本説明員 清掃事業につきましては、直接自治体がやっておられるケースと、今おっしゃいましたように委託されているケースがございますが、労働省としましては、どちらでやられた場合であっても、安全は十分確保していただかなければいかぬという姿勢で監督指導をやっていきたいというふうに考えております。  今御指摘のILO九十四号条約につきましては、内容は、公契約に基づいて使用される労働者の労働条件を、当該地方関係ある職業あるいは産業における同種の労働者の労働条件と比べて劣らないことにすべきであるというようなものを規定したものでございます。我が国では、この条約で規定しておられますような内容のものを直接法令で定めたものはございませんけれども、労働基準法あるいは最低賃金法、あるいは私どもの方で所管しております安全衛生法、いずれも労働条件の最低基準を定めているわけでございます。これらについては公契約の履行に従事する労働者についても一律に適用されるわけでございますので、この履行確保を図っていけば、一応その他の産業労働者に比べても遜色のない労働条件は確保されるだろうというふうに考えておるところでございます。
  62. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ただ、清掃事業で申し上げますと、直営の場合は、運転手さん、それから作業をされる方と、きちっと分野を分けて作業している団体が比較的多いわけでございます。だから、そこでまた比較的安全が確保もされていると思うわけです。民間で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、車が二台で作業員が三人しかいない。それも運転込みですから、少なくとも車二台を動かすのには、一人の人間を二つに裂くわけにいきませんから、一台は二人で作業しても、もう一台の方は一人で作業されていると思うわけです。だから私は危険な状況が起きてくるというふうに思うわけです。  特に車は、普通のトラックと違いますから、五百万も六百万もする高額な車であるわけですね、特殊な車ですから。当然遊ばせておくわけにいかないわけですね。そうしますとどうしても無理して作業をされる。私はそこに危険が起きてきて、このような事故が多発しているというふうに理解しているわけです。  ですから私は、少なくともILO九十四号条約を批准して、そうして直営をやっているそういうところと同じ環境をつくってやるということが私たちに課せられた大きな責務じゃないか。そういう立場で、仮に民間委託するのであれば批准をしてからでも遅くはないのではないかというふうに考え、その点についてお尋ねをしたわけでございます。  私はあとの時間を譲ることになっておりますので、以上申し上げまして質問を終わりたいと思いますが、今のことにつきまして、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  63. 松本邦宏

    ○松本説明員 現状の法律は、先ほども御説明いたしましたように、労働基準法、安全衛生法につきまして、直営であろうが民間であろうがすべて適用されておりますので、それを十分に監督指導していけば足りるのではないかと考えております。  ILO条約の批准につきましては、一応国内法制との整合性を整えた上で批准をするということをやっておりますので、現時点では、直接該当するような条項がございませんので批准は困難かと思いますけれども、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  64. 山下八洲夫

    山下(八)委員 どうもありがとうございました。
  65. 大石千八

    大石委員長 小川省吾君。
  66. 小川省吾

    ○小川(省)委員 質問に入ります前に、大臣にちょっとお聞きをしたいと思っております。  ここに一冊の本がございます。そうです、大臣がお書きになった「ドキュメント 自民脱党」という本でございます。私は昨年十一月、ちょうど選挙前でございますけれども、ある種の感動をもって拝読をいたしました。ことし二月になってから読み返してみましたけれども、その際には余り感動は感じませんでした。  あの記述の中で、社労委員長をしておられた当時の田川さん、大臣ですね。田川さんが、強行採決を指示されながら、結局強行採決を避けたという記述がございました。あの辺を読んでみますと、選挙直後に連立をされたことがどうも納得できないような感じがするわけでございます。もちろん、大きな心境の変化や政治情勢の変化があっての上のことだろうと思いますが、その辺の経緯はいかがなものでございますか。
  67. 田川誠一

    田川国務大臣 社労委員長をやっていた当時の心境と今と、全く政治に対する考え方は変わっていないつもりでございます。  昨年暮れの連立の行動は、私どもも小さいながらも一つの政党でございますから、すべて私の思うとおりに行動するわけではございませんで、合議で政治行動をとっているのでございます。特にああした大きな変化をもたらす行動につきましては、少なくとも現職の国会議員の完全な意思統一がなければできないのでございます。私は、今回のこのような連立の形になりましたことについては多少は消極的でございました。むしろ当初考えていたものよりも随分違った形になったというのが私の偽らざる心境でございます。  ただ、前にも予算委員会などでたしか説明をしたはずでございますが、我々が野党として、数は総選挙の結果伯仲状態になりましたけれども、実際の中身は、実質的には野党側の方が一本になる可能性は非常に少ない。例えば、共産党は独自の行動をおとりになる、あるいはまた、社会党と民社党とは外交、防衛についてかなり政策の隔たりがある、こういうことを考えますと、数の上では伯仲状態になったけれども実質的にはなかなか伯仲状態にはなっていない。そうして、我々は野党の中におきましては非常に微々たる勢力であって、私どもが我々の基本政策を政治に実際に反映させるには、野党の中にいたんではなかなか難しい。  こういうような考えのところに、自民党から連立のお話があり、そうして私どもが条件とした幾つかの条件を自民党の方がのんでいただいた、つまり政策合意をした、こういうところに連立が実現できたのでございまして、ちょっと長くなりましたけれども、私たちが今回の連立の選択をとった陰には、今申し上げたような背景があったのでございます。
  68. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また過日、新聞記事で、大臣が閣議の席で余り発言をなさらない、予算が通過をすればまた別だというような記事がございました。全地方自治体のために大臣は閣議で大いに発言をしてもらいたいと思っているんですが、最近はどうなんですか。
  69. 田川誠一

    田川国務大臣 今まで閣議で別に発言をしなかったわけではございませんで、予算の成立するまでにはなかなか閣議で発言をできないような問題もあるわけでございまして、そういう意味から新聞記事で出たような私の談話になったのではないかと思うのでございます。従来閣議で発言をしなかったということはありません。  ただ、政治的な問題については閣議で何でも話せるわけではございませんで、おのずから閣議にかかる問題についてあるいは内閣全体の問題について討議をするわけでございまして、全く内閣と別個の問題について閣議で発言をするというのはいかがなものかと思います。予算成立後、閣議でまだ地方財政について発言する機会はそれほどございませんでしたけれども、一、二発言はしているわけでございます。  重ねて申し上げますが、従来黙っていて何も言わなかったということではないのでございまして、この点は誤解のないようにお願いをいたします。
  70. 小川省吾

    ○小川(省)委員 よく承知をいたしておりますが、大臣の後ろには三千三百の地方団体があるわけでございまして、大いに刮目をし期待をいたしておりますので、今後とも地方に関する点についてはぜひひとつ発言をして大いに頑張っていただきたい、このことを要請をいたしておきたいと思います。  財政局長が今ちょっと席を外しておりますから、後でやろうと思ったのですが、先ほど山下さんがやりました清掃関係の問題について、引き続いて若干お尋ねをいたしておきたいと思います。  先ほど山下さんが言ったように、最近清掃関係の職場では死亡事故が大変多発をいたしております。五十七年度で十四名、五十八年度で十名、本年に入ってからも既に五件、六名が死亡をいたしております。とうとい人命の死亡事故でございますからぜひ十分な注意を払っていただきたいと思うのでありますが、大臣はこの事実をどう受けとめ、どのような対策を講じていかれようとしているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  71. 中島忠能

    ○中島政府委員 労働災害の多発の問題につきましては、十七日の地方行政委員会におきましても御指摘がございまして、私たちの方では、この問題は人命にかかわることでございますので、ひとつ本腰を入れてといいますか、今までとは違った取り組みをしていかなければいろいろな方々の御指摘にこたえられないだろうというふうにかねがね考えております。  大臣からも私たちに対しましては厳しい態度で取り組むようにという御指示もございますし、我我も本気でこれはやっていかなければならないというふうに考えております。こういう痛ましい事故が続発しないように、最大限の努力で取り組んでいくつもりでございます。
  72. 田川誠一

    田川国務大臣 民間委託であろうと直営であろうと、今公務員部長が申したように事故が多くなっているということは大変残念なことでございまして、事人命に関する問題でございますので、今後も引き続き、むしろこれまでより以上に、事故が起こらないように万全の対策をとるように指示をしてまいるつもりでございます。
  73. 小川省吾

    ○小川(省)委員 厚生省も参っておられると思うのですが、厚生省はこのような事実をどのように感じ、どう対策を立てているのか、また立てようとしていられるのか。
  74. 小林康彦

    ○小林説明員 厚生省といたしましては、廃棄物の適正処理の推進の観点から、従来から事故防止につきまして努力を重ねてきておりますけれども、なお事故が発生しておりますことはまことに遺憾と存じております。  厚生省として廃棄物の処理事業におきます労働安全衛生対策の充実を図るためにとってまいりました措置といたしましては、年一回行っております全国環境衛生主管部局長会議及び全国主管課長会議におきましての各地方公共団体に対する指導徹底の要請、それから廃棄物処理施設整備の国庫補助事業に当たりまして、その施設の構造指針の策定及び指導、さらに廃棄物処理事業に従事をいたします技術管理者の講習等におきまして、これらの内容の徹底及び一般職員の資質の向上への努力、さらにメーカー団体でございます日本環境衛生工業会に対しまして労働安全衛生対策の充実についての協力依頼などを行ってきたところでございます。  現在、市町村の代表、作業従事者の代表及び学識経験者から成ります廃棄物処理事業における事故防止対策検討委員会を設置しておりまして、今までの事故の内容を整理いたしまして、事故防止の観点からチェックをするべき事項の整理を行い、地方公共団体が利用できるような形で事故防止の手引を提供したいということで取りまとめ中でございます。さらに、昭和五十九年度新規に予算を計上いたしまして廃棄物処理施設の安全設計に関する調査に取り組むことにしております。  今後とも、今まで以上に関係省及び関係者との密接な連絡のもとに情報の収集に努めるとともに、引き続き機会あるごとに労働安全衛生対策の充実について地方公共団体等を指導してまいりたいと考えています。
  75. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また、労働省はこのような現実をどう感じ、再発防止等についてどう対処をしていかれようとしておられるのか。
  76. 松本邦宏

    ○松本説明員 労働省といたしましても清掃事業におきます事故が多発している現状を非常に憂慮しておりまして、昭和五十七年には労働安全衛生法施行令を改正いたしまして酸素欠乏危険場所の追加などを行い、それから酸素欠乏症等防止規則の改正等を行ったところでございます。また、従来から清掃事業における安全衛生管理要綱というものを策定をいたしておりまして、その改正も五十七年に行ったところでございます。  しかし、残念ながらこういった内容がまだまだ清掃事業の現場まで十分に浸透しておらないというようなことが、その後の一連の事故になっているのではないかというふうに考えております。  そこで、従来からもやっておったことでございますが、地方公共団体の運営あるいは委託にかかわります清掃事業に対しましては、引き続き重点的な監督指導に努めますとともに、都道府県の環境衛生主管部局などと連携をいたしまして、清掃業を対象といたします安全衛生管理のための連絡協議の場の設置、あるいは集団指導の場を各都道府県基準局に行わせておりまして、自主的な安全衛生活動が確立されるように、努力をしておるところでございます。また、清掃事業におきます労働災害防止に資するということで、先般、労働省、厚生省、自治省の担当課長レベルの会議でございますが、一応対策会議を設けまして、いろいろな災害事例の報告、それの分析に基づく今後の対策、そういったものについて検討をしておるところでございまして、今後とも、関係省庁と密接な連携をとりながら災害防止の実効が上がるよう努めてまいりたいと考えております。
  77. 小川省吾

    ○小川(省)委員 恐らく自治省は、一方では民間委託を進めておりながら、民間委託労働者の死亡事故については把握をしていないのではないかと思われるのですが、民間委託の部門でも事故は多発をしておるわけであります。実は、清掃やし尿処理は自治法で定める自治体固有の業務であり、安上がりの民間委託がこの事故の大きな原因であることは先ほどの質問でも明らかなとおりであります。そういう意味では、民間委託を再考をすべき時期に来ているのではないかというふうに思っております。  我々調査団に対して、ある業者は、委託費が余りにも安いので、健常者は雇えないから身体障害者に頼らざるを得ないとも言っております。このような事実を自治省は知っておりますか。
  78. 大林勝臣

    ○大林政府委員 民間委託の場合の、例えば御質問の清掃関係についてどういった料金で委託をしておるかというところまでは私どもは把握をいたしておりません。ただ一般的に、事業を委託いたします場合には、委託に適する事務事業の選択、相手方の選定あるいは原価計算、その後の監督、そういった点について十分に検討して行うよう指導いたしておるところであります。
  79. 小川省吾

    ○小川(省)委員 死亡事故が発生をしている自治体では、ほとんど安全衛生委員会がありません。あっても機能しておりません。それが実は死亡事故につながっておるわけでございます。人事委員会のあるところは人事委員会、ないところは市長が責任を持つわけでありますが、事故があって市長が市長の責任を追及するなどというのも変な話で、ですから事故後の対応が著しくおくれております。この辺のところをどう考えておりますか。
  80. 中島忠能

    ○中島政府委員 先生が先ほどから御指摘のように、清掃工場においてそういう事故が起こる、あるいは清掃事業に関連してそういう事故が起こるというのは、私たちもかねがねこれは大変なことであるというふうに認識して取り組んでいきたいと考えておりますが、その事故が起こる一つの原因というのが、安全管理体制の整備が不十分であるというところにあるということも、これまた否定できないと思います。  私たちは、そういう意味におきまして、その安全委員会、衛生委員会というものの整備を、今までと同じような方法で指導しているのでは同じような進捗状況しか得られませんので、違った方法で指導していかなければならないというふうに認識いたしております。
  81. 小川省吾

    ○小川(省)委員 労働省に聞きますが、調査で、ある監督署へ行きました。五名の監督官で約二万の事業所を担当しておりました。これでは到底巡回指導や立入調査ができるはずがありません。  現在、監督官の配置基準はどうなっているかをお尋ねをいたしたいわけでありますが、全体にわたって答えられないというふうにも思いますので、ぜひ後ほど文書で回答をしていただきたいと思います。  徹底的に人手が足りないのではないかと思います。増員の要求を堂々と大胆にすべきであると思いますが、いかがですか。
  82. 菊地好司

    ○菊地説明員 監督官の配置につきましては、トータルの定員を都道府県別に業務指数で配分いたしまして、その後は都道府県の基準局長の判断で監督署ごとに配置してございます。  行政需要が非常に増しておる中で、監督官の数が少ないという点は十分認識しておりまして、今後とも、労働者の生命、健康が最も大事であるという基本的な理念に立ちまして、増員については最大限の努力を続けてまいりたい、かように考えているところでございます。
  83. 小川省吾

    ○小川(省)委員 昨年の十一月二十六日、浦和市のゴミ処理場大崎工場で従業員二名が酸欠によって死亡いたしました。私は現地調査に行ってまいったわけでありますが、破砕機に物がひっかかって有毒ガスが発生をしており、技師と専門員が酸素マスクをつけて破砕機室へ入っていきましたが、三十分たっても戻ってこないので見に行ったところが死んでおったという事故であります。  二人の使用していた酸素呼吸器は、酸素発生型循環式酸素呼吸器と呼ばれるもので、酸素発生剤を入れたクロレートキャンドルが逆にセットをされていて、酸素が発生をしていなかったことが調査でわかったわけであります。この器械はミドリ十字社製のものであり、クロレートキャンドルはどちらからでも挿入をされるようになっておったそうです。私もこの器械を現実に見たのですが、そうでありました。  この工場では三年前にも爆発事故がありまして、労基署から改善勧告、安全衛生委員会の設置が勧告をされておったという話であります。早く安全衛生委員会をつくっておけば起こらずに済んだ事故であります。市長に聞けば、ようやくこの三月になって安全衛生委員会をつくったそうであります。この事故を見るときに、明らかに器具使用についての初歩的なミスであり、いかに安全衛生教育がなおざりにされていたかが歴然であります。  そこで通産省に聞くのですが、このミドリ十字社製の器具はどうも検査の対象外のようでありますが、このように事人命に関する器具が、JIS規格といいますか、そういう検査の対象外であるということはどういうことなんですか。そういう意味で検査の対象にすべき器具ではないかと思いますが、いかがですか。
  84. 太田健一郎

    太田説明員 JIS及びJISマーク表示制度は、工業標準化法に基づいて鉱工業品の生産の合理化、使用、消費の合理化という観点から逆用されているものでございます。  御指摘の酸素発生型循環式酸素呼吸器は、現在のところJISマークの指定商品となっておりませんが、この工業標準化法の目的であるところの生産の合理化、使用、消費の合理化という観点を踏まえまして、関係方面とも連携をとりまして、慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  85. 小川省吾

    ○小川(省)委員 私はこの破砕機室にも入ってみました。体を横にしなければ通れないような通路なんです。労働省はこういうところこそ立入検査をして具体的な指導をすべきだと思いますが、いかがですか。
  86. 松本邦宏

    ○松本説明員 私どももこの事業場に対しましては、五十五年の事故発生の際に監督をいたしまして、違反事項等を指摘したわけでございます。  その中では、特に先生が今おっしゃいました安全管理体制が不備であったということで指摘をしたわけでございますが、その辺の体制がとられておらなくてまた今回の事故につながったのではないかということでございまして、安全管理体制をきちっととっていただくということがやはり必要かと考えておりますが、その点につきましては、ようやくことしの四月になりまして、安全委員会あるいは産業医等すべて法制的な体制は一応とられたということになっております。  機械、設備の細かい点について監督指導はなかなか難しい面もあるかと思いますけれども、私どもも清掃事業を今重点的な監督指導の対象にいたしておりますので、御指摘の点を踏まえて十分な監督を行いたいというふうに考えております。
  87. 小川省吾

    ○小川(省)委員 これも労働省だと思うのですが、幾つかの県で協議会を結成をして対策を講じているようであります。その県名を明らかにしてもらいたいのですが、具体的に全部の県の名前を言うのも大変でしょうから、先ほどの監督官の配置と一緒に文書で要求をいたしておきたいと思いますが、いかがですか。
  88. 松本邦宏

    ○松本説明員 具体的な県の名前は後ほどといたしまして、現在既に連絡協議会の場を設置しておりますのが二十一ございます。五十九年度に設置を予定いたしておりますのが十六でございます。  ただ、我々の指導は、連絡協議会を設置するか、さもなければ集団指導をやれという形で言っておりまして、集団指導を実施しておりますのは既に四十五で、残りが二つでございますが、これについても本年度早期に実施する予定ということになっております。
  89. 小川省吾

    ○小川(省)委員 後で文書をくれますね。  この再発防止には現場労働者の声の反映が何よりも大切だと思いますが、現在、労働者代表を参加させるようになっておるのですか、なっていないのですか。もしなっていないとすれば、現場労働者の代表を参加させるように計らってくれますか。
  90. 松本邦宏

    ○松本説明員 現在のところ、この連絡協議会の構成メンバーにつきましては各都道府県の地域の実情に応じて運用するようにということにいたしておりまして、その連絡協議の性格から、関係の行政機関だけで行っているようなケースもあるかと思いますが、必要に応じ、適当な方法によりまして現場の方々の御意見を聞く機会を設けるような工夫もいたしたいというふうに考えております。
  91. 小川省吾

    ○小川(省)委員 ということは、現場の代表は参加をさせてくれないのですか。
  92. 松本邦宏

    ○松本説明員 代表を参加させないということではなくて、適当な方法で参加させる場合もございましょうし、あるいはそれ以外の適宜な方法で御意見を聞くというふうなことも、その地方地方の事情に応じてやってもらおうと考えております。
  93. 小川省吾

    ○小川(省)委員 現場代表を参加させるように、ぜひひとつ御指導をお願いいたしておきたいと思います。  それから厚生省に伺いますが、清掃工場やし尿処理工場には構造指針があります。これらの構造指針の中で安全対策についてもわずかだけ触れられておりますけれども、調査によれば、基本的な安全基準が守られていないところが多いわけであります。そこで、労働省の協力を得て全国の清掃工場やし尿処理工場の立入検査をやったらどうかと思っております。このことは、清掃事業関係施設の補助金を交付している厚生省として、構造指針をもとに審査をして、具体的なことは市町村に任せておるわけでありますが、今の状況の中でいかに安全対策がおろそかにされているかということが明らかになると考えられますし、再発防止のために立入調査はぜひとも必要であります。そして、構造指針の中の安全対策の条項をもっと具体的なものにすべきだと考えておりますが、いかがですか。
  94. 小林康彦

    ○小林説明員 厚生省といたしましては、労働安全衛生の確保が廃棄物処理の上で極めて重要な課題というふうに受けとめておりまして、労働省とも連絡を密にするとともに、補助事業につきましても、御指摘のような点も踏まえて検討しているところでございます。  廃棄物の処理施設につきましては、補助事業につきまして構造指針を定め、それに合う形での事業実施をお願いしておるところでございますが、五十九年度から廃棄物処理施設の安全設計に関する調査を行うこととしておりますので、その成果を見まして、必要があればさらに具体的な内容を織り込んでいきたいというふうに考えております。  それから、廃棄物処理施設につきましては、市町村が設置をいたします場合も届け出をしていただいて、その内容を都道府県が審査をするという制度になっておりますので、その制度のさらなる徹底を図っていきたいというふうに考えております。
  95. 小川省吾

    ○小川(省)委員 最近、ダイオキシンやあるいは電池の水銀等が清掃工場でいろいろ問題を起こし、都市問題として社会問題化をしているようであります。この点については別の機会に触れたいと思っておりますが、この件について一言、労働省と厚生省がどのように受けとめておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  96. 小林康彦

    ○小林説明員 廃棄物処理にかかわります水銀及びダイオキシンによります問題につきましては、現在直ちに問題となる状況にはないというふうに考えておりますが、環境汚染の未然防止及び廃棄物処理の円滑な推進の観点から、厚生省としても重大な関心を持っておるところでございます。  このため、水銀問題につきましては、当面の対策といたしまして、使用済み水銀電池の回収及びアルカリ電池の水銀の減量対策等につきまして、通産省とともに関係業界に要請をしてまいりまして、関係業界の対策もまとまりましたので、その回収活動に協力することにつきまして地方公共団体へも通知をしたところでございます。  それから、長期的な問題というとらえ方をいたしますときに、これら有害物質等を含む家庭系廃棄物の広域的な回収処理の体制のあり方につきまして、五十九年度より調査を実施することとしております。  廃棄物処理にかかわりますダイオキシン等の問題につきましては、極めて知見が乏しかったというような状況もございまして、まず試験方法の確立、それから国の内外で廃棄物処理に伴って生じております、検出されている値、これの評価、及び今後この問題にどのように取り組んでいったらいいか、その調査研究計画の作成、こうしたテーマにつきまして、現在、学識経験者によります専門家会議で検討をしていただいておりまして、その報告を受けまして適切な対応をとっていきたいというふうに考えております。
  97. 松本邦宏

    ○松本説明員 労働省といたしましても、ごみ処理の過程で今御指摘のような問題が提起されておりますことは十分承知をいたしておりまして、社会的にも関心が集まっておりますので、関係の厚生省等と連携をとりながら今後の必要な対策を講じていきたい、かように考えております。
  98. 小川省吾

    ○小川(省)委員 労働省、厚生省、通産省、結構でございます。  財政局長がお戻りになっておりますので、交付税法の質問に入ります。  昭和五十九年度地方財政対策でございますけれども、五十九年の地方財政対策は、昭和五十三年からそれなりに定着をしてきた制度を一変させるものとなりました。抜本改革といっても、私に言わせれば抜本改悪と言わざるを得ないと思われるわけでありますが、自治省では抜本改革と受けとめて、意識的にそうしているのかもしれませんが、今後の地方財政健全化のための一つ制度改正であると言っております。しかし、今回の地方財政対策のやり方で、将来の地方財政の健全化を図り、地方交付税制度を守り抜いていく足場が本当に築かれたのかどうか。そういう制度改正が行われたと自治省は考えているのでしょうか。もしそうだとすれば、対応が非常に甘過ぎるのではないかと思います。  臨調以来、財界あたりでは、地方財政余裕論を展開しながら地方財政の懐にまで直接手を突っ込もうとしているときに、防戦に回ってその場だけを何とかしのごうと考えているのではなくして、国と地方財政秩序のあり方、地方財政制度の根本に返った議論をしながら、反撃をすべきときではないかというふうに思っています。  そのような立場で、五十九年度地方財政対策について改めて自治省考え方を聞いておきたいと思うわけであります。  まず、五十九年度財源不足額についてでありますけれども、昨年の九月ごろは二兆円前後の財源不足が出るというふうに言われておりました。十二月ごろには二兆円か三兆円かというような見方がされておったわけでありますが、自治大蔵両省が合意した財源不足額は一兆五千百億円となりました。  この直接的な要因というのは、歳入面で地方税の自然増収を六・八%の伸び率とするなど強気に見込んだこと、個人住民税の減税三千百二十九億円の減収を、自動車税の税率引き上げなど税制改正で三百五十六億の減に押しとどめたこと、歳出面で投資的経費をマイナス三・四%の伸びにするなど、歳出を圧縮したことによるものだと思いますが、それにしても、当初の二ないし三兆円と見込まれていた財源不足類がなぜ一兆五千百億円にまで、半分程度にまで簡単に圧縮をされてしまったのか。毎年度、この地方財源不足額の算定方法や算定基準といったものを国民の前に明らかにしてもらいたい、こういうふうに言ってきたわけでありますが、自治省は一度も明確に述べたことがありません。ことしはひとつこの点をはっきりしていただきたいというふうに思っています。
  99. 石原信雄

    石原政府委員 私ども、毎年度地方財政対策を講ずるに当たりましては、秋口からいろいろなデータの収集、処理を行い、情勢分析を行っております。どうしても早い時点におきましては、歳入の見積もりはできるだけ控え目に安全サイドで行い、歳出の見積もりはできるだけ不確定要因は歳出の増としてとらえていくものですから、意図的ではないのですけれども、どうしても傾向的に早い段階では財政収支の見方が厳しくなると申しましょうか、私どもとしては財源不足をどうしても大きく見積もるような傾向があります。率直に申しまして、そういうことは否定できないと思います。  ところで、五十九年度財源不足額につきましては、確かに十月、十一月の時点では、歳出の増加要因は、公債償還費とか給与関係経費とか、こういったものはある程度従来のルールがありますからそう大きな変化はないのですけれども、公共事業などがどうなるのか、これは国の予算編成の内容、詰めによって影響されてまいりますし、それから、一般行政費の中の補助事業系統のものも、やはり国の予算編成のおさまりによって大きく規制されます。そういった意味で、歳出要因では、当初私どもが考えておったよりも一般行政費も投資的経費もシビアに国の予算編成が行われた。これとの関連において、地方歳出についても当初の予想よりも抑制基調で最終的な決着を見たということが言えると思います。  しかし、早い時点で私どもが見通しておりました財源不足額よりも最終的に財源不足額が小さくなりました一番大きな原因は、やはり歳入面でございまして、地方税について申しますと、早い時点では住民税の減収補てんがどのように行われるのかはっきりしませんので、私ども住民税の減税分は減収としてカウントする。それから、自然増収も早い時点ではかなり慎重な見方をしておりましたので、最終的に、国の税収見積もりとの関連において、御案内のように一兆をかなり上回る自然増収が見込まれるに至ったわけであります。それから、国税三税の見積もりにいたしましても所得税の減税の補てんにいたしましても、早い時点で私どもが考えておったよりも、何というか、収入増に立った、このように言うことができると思います。  いずれにいたしましても、早い時点では二兆円あるいは三兆円というような見方をした時期もありますけれども、最終的には一兆五千百億円に落ちついたわけですが、その財源不足の幅が減少した主たる理由は、地方税及び交付税の収入見込み額が私どもが当時考えておったよりも大きくなったというところに原因があると考えております。
  100. 小川省吾

    ○小川(省)委員 さて、今回自治省が「地方財政の健全化に資するため」に大蔵省との間に合意を見た、財源不足の補てんに関する制度改正問題について、少しくただしておきたいと思います。  まず、今回の新しい補てん対策は、昭和五十三年度以来の方式を改め、すなわち交付税特別会計における借入金方式を廃止して、建設地方債の増発といわゆる特例措置の二本立てでいくことになったわけであります。交付税特会借り入れをやめること自体は、それだけとってみれば評価をすべきことで、あるいは地方財政の健全化に資する面があるかもしれません。しかし、借り入れをしなくても済むような地方財政の健全化に向けた行財政制度の改革や、財源不足額地方交付税率の引き上げなど地方交付税法の本来の制度趣旨に基づいて補てんをしていく、そういった文字どおりの地方財政の健全化を図ることからはほど遠いものであるとしか言えないのではないかと思うのであります。  特に、今後財源不足額が生ずれば、建設地方債の増発による補てんに今まで以上に頼らざるを得なくなることは明らかであります。地方債は言うまでもなく地方の借金でありますから、地方債残高がふえるばかりで、少しも地方財政の借金体質を変えることにはならないのではないか。しかも、地方債の借金償還には交付税特会借り入れのように国の二分の一負担もない、全くの地方負担です。これでも「地方財政の健全化に資する」と言えるのですか。
  101. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度地方財政対策を決めるに当たりましては、私ども、気持ちとしてはできるだけ地方債への依存を引き下げたいということで臨んだわけです。しかし、現実問題として、国の財政の面では投資的経費のほとんど全部を建設国債に依存している、そういう状況との均衡もありまして、地方財源不足額の補てんに当たって建設地方債の活用をある程度図らざるを得なかったのが実情であります。  ただ、その折衝の過程におきまして、私どもとしてはなるべく地方債の活用の限度を下げていきたい、こういう考え方のもとに、五十九年度の場合はいわゆる財源対策債の充当率を五十八年度の九〇%から八五%に引き下げております。こういった努力をした結果として、最終的に建設地方債で足らざる部分、三千四十九億円について交付税上の特例措置を講じた次第でございます。
  102. 小川省吾

    ○小川(省)委員 それから、建設地方債が足りない場合は、赤字地方債発行すればいいではないかというような意見大蔵省あたりにはあるようでありますが、自治省としての考え方はどうなのですか、はっきり聞かせておいていただきたいと思います。
  103. 石原信雄

    石原政府委員 実は、昭和五十一年度以降、地方財源不足額が大きくなったときには、いつも、その財源対策の一環として、国庫当局からは、地方も建設地方債だけでなくて特例地方債発行していいのではないか、国の方が特例公債を出しているのだから、バランス土地方も特例公債を出していいのではないか、そして交付税会計借り入れを少しでも縮小すべきだという主張を何回かしたことは事実であります。しかし私どもは、国と地方財政体質の違いなどからいたしまして、地方公共団体がいわゆる特例公債を発行するということは、財政の節度という面で歯どめを失ってしまう、財政の健全性を大きく損なうおそれがあるということで、終始反対してまいりました。  実は、五十九年度の地財対策に当たりましては、特例公債を発行すべきだという議論は、具体的にはそういう点はなかったわけでありますけれども、これまで地方財源不足額が大きくなるたびにそういった議論があったことは事実でありまして、私どもは過去においても断ってきたわけですけれども、今後においても地方公共団体が特例公債を発行するということは避けていかなければならない、このように考えております。
  104. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また、今回自治省の言によれば、昭和五十九年度以降、交付税特会における新たな借り入れはやめる、これにかわる各年度の財源措置として、当分の間、地方交付税交付金の特例措置を講ずることとするとなっております。これによれば、これまでの借入金による増額措置にかわる特例措置ということになるわけですから、当然増額措置であることは明らかなことであります。  しかもこの特例措置は、地方交付税の根本にかかわる問題であり、一般的な予算措置などではなく、きちんとした法令事項でなければならないのは当然なことだと思います。大蔵省の発表にも、当然でありますが、「法律で定めるところにより必要な特例措置を講ずる。」となっております。ところがその後で、「地方財政状況によって、その中期的健全化を図る観点から、法律で定めるところにより減額措置もありうる。」となっております。これは毎年度法律で定めるということですから、この表現をもって直ちに、自動的な年度間調整制度ができ上がったものとは到底考えられないというふうに思っておりますが、どうなのですか。大蔵考え方はわかっておりますので聞こうとは思っておりませんが、自治省考え方を聞かせておいていただきたいと思います。
  105. 石原信雄

    石原政府委員 今回御提案申し上げております特例措置でございますが、これは各年度地方財政状況に応じて、交付税の法定額から利子負担額を減額したその部分に対して、各年度状況に応じて法律の定めるところにより特例措置を講じていく、こういうことでございます。  したがいまして、これはある意味では年度年度の対応を決めるという意味で一種の年度間の調整措置ということは言えると思いますけれども、通常巷間言われておりますような年度間調整制度とは全く異なります。かつて財政審などで提言されておりましたいわゆる年度間調整制度というものは、予算措置をもって交付税の法定額について一定の範囲で増減をしていくという内容と私は理解しておりますが、そういったものとは全く異なります。毎年度具体的にどのような形で特例措置を講ずるかは、その年度財政状況を踏まえて法律で定めていく、国会で御審議をいただいて決めていくということでございますから、いわゆる年度間調整制度というふうには私ども理解いたしておりません。
  106. 小川省吾

    ○小川(省)委員 臨調の答申や財政制度審議会の答申などでも、交付税年度間調整の制度化に言及をしているようでありますが、これは地方交付税制度の根本を覆す重大な問題であるにもかかわらず、単なる歳出削減の立場からのみ極めて安易に論じられているのは、今後の地方財政の健全化と地方財源安定確保立場から見てまことに憂慮にたえない問題であります。自治省としての対応が、防戦一方で押しまくられているばかりだからこういうことになるのではないかというふうに思っているのですが、ひとつ自治大臣のはっきりした決意のほどを伺っておきたいと思います。
  107. 田川誠一

    田川国務大臣 今の地方財政が非常に厳しい状態にあるということは小川さんよく御承知のとおりでございまして、こうした情勢をできるだけ早い機会に直していかなければならないのでございまして、このためには、行財政の守備範囲の見直し、行財政連帯の効率化等によりまして、地方歳出の徹底した節減、合理化を行わなければなりません。また同時に、国、地方間の財源配分、受益と負担のあり方などの問題を含めて、地方財政制度の抜本的な改革を図っていかなければならないと考えております。  大変厳しい環境にありますけれども、私どもといたしましては、全国三千三百地方団体の住民福祉のために、財源確保、地方財政の基盤を充実していくように、今後とも努力をしてまいるつもりでございます。
  108. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、これまでの交付税特会借入金の処理に伴う問題点ですが、まず償還開始年度昭和六十五年度まで繰り延べることにいたしました。これとて借金の先延ばしだけの話でありまして、地方財政の健全化に資することとは関係ないと思います。しかもこの償還方法の変更によって、本来五十九年度償還すべき金額千二百八十九億円が浮いてきたので、これを財源不足の補てん対策の一環である交付税増額措置三千四十九億円の中に入れておりますが、これとて交付税増額措置とは言えないのではないかと思います。  さらに、これまでの交付税特会借入金十一兆五千二百億円のうち、国が約五兆八千三百億円を一般会計借入金に振りかえ、整理することになりました。これは地方交付税法附則五条の関係から見れば、これ以上国から負担を押しつけられるという不安はなくなったという一面はありますけれども、反面、地方の側が五兆六千九百億円の借入金を元利とも負担することになったのは問題だと思います。特に利子が全額負担になったことは、これまで借入金はあくまで交付税の身がわりであり、したがって利子は国の負担だったものを、五十八年度に単年度限り二分の一負担として、しかもその全額を財源不足額に算入をしていたため、実際には四分の一負担で済んでいたものが、今回は利子の全額負担制度化されてしまいました。五十九年度実質的に地方自治体に配分をされる交付税が三一・三一・%に下がってしまったのはこの利子負担のためであります。今後特例措置が微々たるものになっていけば、三二%の交付税は丸々裸にされた上、そこからこの利子を返していくことになるわけでありまして、今後も引き続いて実質三二%の交付税の確保は困難になるのではないですか。この利子はあくまで国の負担とさせるべきではなかったのかと思いますが、いかがですか。
  109. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度地方財政対策をめぐる国庫当局との折衝の中で、実は最後まで争点として残りましたのがこの交付税特別会計借入金の利子負担の問題でありました。  たびたび御答弁申し上げておりますように、私どもはこの借入金というものが、本来のというか、より望ましい恒久的な制度改正ができなかったためのいわば応急措置臨時措置として行われてきた経緯、あるいは交付税制度の本来の役割、交付税制度によって地方公共団体に計画的な財政運営を保障するという国の責務、こういったものにかんがみまして、本来特会借入金の利子は全額国が負担すべきであるという主張をずっと続けてまいったわけであります。  五十九年度の場合も、そういった基本的な考え方のもとにこの利子負担の問題について折衝を行ったわけでありますが、今、御案内のように国の財政状態が大変な危機的な様相を帯びておりまして、現実問題として、五十九年度予算編成の中で特会借入金の利子を全額国が負担することがどうしてもできなかったわけであります。  かつまた、借入金の残高十一兆五千二百億円について、この際、国の負担分を恒久的に国の一般会計借入金に振りかえる、こういう措置がとられるということとも関連いたしまして、交付税会計の方に残る借入金については、交付税会計負担で利子を支払うということに決着せざるを得なかったわけであります。我々としてもこの結論については大変残念だと思っておりますが、しかし五十九年度の、あるいは今後の国の財政状況ということを考えた場合に、どうしてもこれが実現できなかった事情などについて御理解を賜りたいと思います。
  110. 小川省吾

    ○小川(省)委員 すると、国の財政状況いかんにもよりますけれども、今後引き続いて利子は地方負担をしていくのか。国の財政状況の転換いかんによっては、また国に利子を持ってもらうということもあり得るわけですか。
  111. 石原信雄

    石原政府委員 今回御提案申し上げております改正案では、当分の間、地方交付税の額は本則の国税三税の三二%の額から利子相当額を差し引いた額ということに定められておりますので、当分の間はこういう形でいかざるを得ないと考えております。  しかし、その利子分を差し引いた後の交付税額でもって地方財政の運営に支障が生ずるようであれば、今回御提案申し上げております特例措置によって必要な加算が行われる、こういうことでございまして、この新しい方式によって地方財政運営に支障のないような措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  112. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、これまでの利差臨特地域特例臨特、財対臨特など臨時特例交付金が今回の特例措置の中に一本化されてしまい、これまでの、国と地方の間でこれら臨特の位置づけをめぐる財政政策上の重要な争点もなくなり、かつまた、それぞれの臨特性格があいまいとなり、つかみ金的な要素が濃くなってきたと思うのであります。国の財政事情のあおりで簡単に消し飛んでしまうおそれが出てきたのではないかと恐れるわけであります。  さらに一つはっきりさせておきたいのですが、今回の特例措置の中に組み入れることによって、今言った三つの臨特は廃止されることになったのかどうか、この辺についてもお聞きをしておきたいと思います。
  113. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる臨時特例交付金という制度と申しましょうか、そういう措置は五十八年度限りで廃止いたしております。五十九年度以降は臨時特例交付金というものはございません。  ただ、五十九年度以降、今回御提案申し上げております改正法案に基づいて実施される地方交付税特例措置、この措置の具体的内容を決めていく際に、過去において自治大蔵大臣の間で確認されたいわゆる臨時特例交付金等については当然考慮されていくべきもの、このように考えております。
  114. 小川省吾

    ○小川(省)委員 以上、いろいろ申し述べてまいったわけでありますが、今回の地方財政対策は、自治省の言うように地方財政の健全化に資するどころか、将来の地方財政の根本、国と地方財政秩序を揺るがしかねない大きな問題点を含んでいるのではないかと考えているのですが、大臣、いかがでございますか。
  115. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度地方財政対策の内容及び今回御提案申し上げております交付税法改正法案内容に関連するお尋ねでありますが、たびたび御答弁申し上げておりますように、従来の特会借入金による交付税特例増額方式はもはや継続できない。その理由は、これ以上交付税会計借り入れをふやすということが、地方財政にとりましても国にとりましても、財政の健全性という意味でやはり問題があるということから、これを継続することはできないと判断したわけであります。  それからまた、より切実な、具体的な事情といたしましては、この十一兆五千二百億円の資金というものは現実には資金運用部の短期資金を借りているわけでありますけれども、これ以上巨額になりますと、この運用部の資金の方ももう対応できなくなってきている、こういう事情もありまして、今回、特別会計の借入金による特例増額方式を廃止することにいたした次第でございます。  そうして、御提案申し上げております新しい方式は、いわば一般会計の枠内で、国、地方それぞれの財政状況をにらんで、基本的には地方財政の運営に支障なきよう必要な特例措置を講じていこうということでございまして、端的に申しまして、一般会計の枠内での特例措置ということから、大変厳しい環境になることは避けられませんけれども、しかし、この新しい方式によって私ども地方財政の健全性を守っていかなければならない、また、いき得るもの、このように考えております。
  116. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、地方財源不足というのは、地方自治体が適正な行政水準と範囲を確保したり、景気対策上必要とされる地方単独事業を行ったりしながら、地域住民の福祉と生活を守るための行政運営を維持するために必要な一般財源が、現行制度で保障されているはずの一般財源、つまり地方税や地方交付税で賄い切れないために出てくるわけですね。  この地方財源不足が連続をして続く場合は、地方財政または地方行政制度改正を行うか、交付税率引き上げによって補っていくのが地方交付税法の基本的な考え方であるはずであります。法六条の三の二にも明定をされておるところなのです。ところが、五十三年度以来、この基本的措置をとらずに資金運用部からの借入金方式でやってきたわけですね。これを今度は五十九年度から廃止せざるを得なくなってしまいました。そのために、逆に地方財源不足額を圧縮せざるを得ないことになってしまったのではないかというふうに考えています。これでは考え方が逆だと思いますが、いかがですか。
  117. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度地方財政対策を講ずるに当たりまして、特例措置の方が先に決まっておって、それに合わせるように歳出の方を抑制したのではないかというような御指摘かと思いますが、決してそうではございませんで、私どもは、地方公共団体が法令の規定に基づいて地域住民の福祉を守るために必要な行政活動を続ける上で必要となってくる財政需要については、的確に、積算いたしたつもりでございます。  ただ、各種の公共事業、単独事業等につきましては、今日、国、地方を通じて歳出を抑制基調で運用しようという大方針がありますので、この国の予算編成方針と同一の基調に立ちまして、歳出万般について抑制基調で積算したことは事実であります。その結果として一兆五千百億円の財源不足が見込まれる。これに対してこれまで御説明申し上げたような特例措置を講じた次第でありまして、決して、特例措置内容が先に決まって、それに合わせる趣旨で歳出を抑制したということではございません。
  118. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、源泉分離課税選択された利子配当所得に対応する住民税減収分としての財対臨特は、前年度一千百億円から五十九年度は五四・五%減の五百億円に値切られてしまっているのはいかなる理由によるものでございますか。この残りの分は、今回の特例措置分一千七百六十億円の三つの臨特分千四百六十億円を差し引いた三百億円の純粋な特例加算分に振りかえてしまっているのではないかと思いますが、いかがですか。
  119. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる財対臨特と言われるものについては、これまで各年度の国、地方それぞれの財政状況を踏まえて、その金額自治大蔵両省の折衝で決めてきたものであります。そしてその背景は、ただいま先生御指摘のように、源泉分離課税選択した利子所得に対して住民税課税されていないという事情を念頭に置いて額を決めてきたわけであります。過去におきましては、この分離課税に係る利子所得住民税相当分といいましょうか、この推定額よりもかなり大きな金額として財対臨特を決定した年もありますし、また、その住民税相当額程度の額として決定したこともございます。  五十九年度につきましては、私どもも相なるべくんば五十八年度の千百億円を何としても確保したいという気持ちで臨んだわけでありますけれども、今日の国の異例に厳しい財政状況のもとで、種々折衝したわけでありますが、結局五百億円という金額で決着せざるを得なかったわけであります。  ただ、その過程でもしばしば論議されたわけですけれども、私どもとしては、この利子所得について源泉分離課税選択されたものに住民税課税されていないという事情を踏まえて一定額を決める、このことだけはどうしても確認しておきたいということで、その点は最後まで論議したわけであります。そもそもこの分離課税の問題につきましては税制でもって解決さるべきもの、このように考え、そのような努力もこれまでなされてきたわけですけれども、承るところによりますと、今年もこの問題がさらに論議されるように聞いております。  いずれにいたしましても、私どもとしてはこれは本来税制でもって根本的な解決がなされるべきものということを前提に置きながら、五十九年度措置としては、ただいま申し上げましたような経緯で五百億円という金額で決着せざるを得なかったわけでございます。
  120. 小川省吾

    ○小川(省)委員 最後に、四点にわたって簡単にお伺いをしたいと思います。  法六条の三の二がしばしば論議されてまいったわけでありますが、この条項は三二%に引き上げ昭和四十一年までであって、後はこの条項は生きていないのではないかというふうに実は思っておるわけであります。昭和五十年度以降はまさにこの条項を発動すべき時期であったのに、国の財政状況により発動できずに来ておるわけてあります。交付税特会の運用部資金からの借り入れも今回の特例措置も、その場しのぎにしかすぎないのではないかというふうに思っています。六条の三の二はまさに死文になっておるのではないかと思います。この条項を今後自治省はどう見ていかれようとしておるのですか。これは大臣に伺いたいと思います。
  121. 田川誠一

    田川国務大臣 五十九年度におきましては、交付税法六条の三の二項にございますように、交付税率引き上げ、または地方財政制度改正を行うべきでありますけれども、今のような国の財政事情が大変危機的な状態にありますから、国、地方間の恒久的な財源配分の変更が甚だ困難でございまして、従来の借入金方式をとり続けることも適切でない状況となっておりますために、今度のような各年度交付税総額について特例措置を講ずることとしたものでございます。  今度の改正は、必要な交付税総額を確保するための特例増額措置を講じているという意味で、地方交付税法第六条の三第二項に言う地方財政制度改正に当たるものと認識をしております。このような措置は、当分の間、地方財政状況に応じて対応し得る暫定的な制度改正でありますが、地方団体の財源保障についての国の責任を規定する交付税法第六条の三の二の基本的な考え方は生きている、こういうような認識でいるわけでございます。
  122. 小川省吾

    ○小川(省)委員 大分苦しい答弁のようですが、先に行きます。  また、財政計画と決算との乖離がしばしば問題になります。自治省財政計画作成に当たって、計画作成だけを考えて、決算の状況等は参考にしないで計画をつくっているのではないかというふうに思われるのですが、いかがですか。
  123. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは、地方財政計画を策定するに当たりましては、これが地方公共団体財政運営の指針にもなりますし、また、全体として国としての地方財政措置を決定するいわば基盤になるわけでありますから、その計画の内容と現実の地方財政の運営の結果である決算との関係がどうなっているか、これは重大な関心を持ち、常にその比較、分析を行っております。そして乖離が存在する面については、その乖離の内容、原因というものを究明いたしまして、地方財政計画の性格にかんがみ、必要な是正措置は常に講じてきたつもりでございます。  五十九年度におきましても、その一環として地方単独事業について若干の規模是正を行ったところでありますし、過去におきましては、主として人件費の面で、地方公務員の数の面で、給与実態調査の行われた年度においては、その実態の分析の上に立って規模是正等を行ってきております。  今後におきましても、決算と計画との乖離については常に原因分析を行い、必要な是正措置地方財政計画の方の適正化措置をしてまいりたい、このように考えております。
  124. 小川省吾

    ○小川(省)委員 地方自治体の少数精鋭主義についての問題なんですが、少数精鋭主義もラスパイレスの上では同じようにあらわれてまいります。自治体なりに努力をして、職員をふやさずに少数でやっていく、こういう流れを一律のラスパイレスで規制をするのは誤りと思いますが、いかがなものですか。別に検討をすべきことではないのですか。
  125. 中島忠能

    ○中島政府委員 先生よく御存じのように、ラスパイレス指数と申しますのは、地方公務員の給与が給与決定原則に基づいて運用され決定されているかどうかというものをはかる指数としては、現在開発されている指数の中でやはり一番信頼するに足るものだというふうに考えております。その指数に、先生が今お話しになられました少数精鋭主義というのが反映されていないというのは御指摘のとおりだと思います。  ただ、この少数精鋭主義に基づいて地方行政を運用しておるから、地方公務員の給与が高くてもいいんじゃないかというような御議論も一部にはあるかと思いますけれども地方自治団体をめぐる現在の諸法制を考えましたときに、またあるいは現在公務員をめぐる厳しい世論を考えました場合に、納税者といたしましては、やはり少数精鋭主義でできるだけ能率を上げてくれ、そしてできるだけ税金を安くしてくれというのが現在の納税者の考え方ではないかと思います。したがいまして、少数精鋭主義に基づいてできるだけ能率的に仕事をして、住民の要請にこたえていかなければならない。だからといって、地方公務員の給与が高くてもいいということにはならないのじゃないかというふうに私たちは理解いたしております。
  126. 小川省吾

    ○小川(省)委員 最近、外貨建ての地方債が増加をしておるというふうに言われています。自治省はこれを認めているようですが、応募者利回りも安いようだし、大型プロジェクトなどは皆ここへ走るのではないかというふうに思っております。また、公営企業金融公庫の外貨建て情もあるようですが、当然、公営企業金融公庫ですから又貸しをしていくわけでありますが、資金調達の方法としてこのようなものを認めておるわけですか。
  127. 土田栄作

    ○土田政府委員 お答え申し上げます。  外貨債の発行につきましては、国内資金の調達の場合といろいろ条件が異なるわけでございまして、市場によりまして、あるいは発行時期によりまして、国内に比べて有利になる場合、それから損になる場合、いろいろございます。現在で申しますと、例えばニューヨークで発行すれば国内よりはるかに高くなる、それからスイスで発行すればはるかに安くなるということでございますけれども、国内金利も変動いたしますし、外国の金利というものも変動をいたしますので、そこのところの情勢をよく見ながら発行しないといけないという問題がございます。  それから、もう一つの問題といたしましては、十年ぐらいの長期で借りておりますので、その間に為替がどうなるかという乙とによりまして、その差益が出たり差損が出たりという問題が出てまいるわけでございます。  それから、発行のための手数料というのも国内より割合と割高になっているというようなことがございますので、外貨債の発行につきましては、一回の発行額を例えば一億スイスフランとか、それから五千万ドルとか、国内で言いますと大体百億円くらいの単位で発行するということにならないと引き合わない。それから、継続的に発行していかないと為替リスクを回避できないということになります。それから、金利も期間も自由な市場ですから、ある程度名前の売れている地方団体であって、しかもどういう事業に充てて、それをどうやって元利回収するのかというようなこともはっきりさせる必要があるということもございますので、地方団体全体について外貨債の発行をするということも非常に無理でございます。  現在は東京都と神戸、それから横浜、この三つの団体につきまして、これは港湾の埋立事業、羽田沖の埋め立てとか、それからポートピアとか、そういうふうなものについて充当しているということでございます。そういう形でございますし、やはり外貨債の発行によります受益といいますのは特定団体に偏るということでございます。  それに対しまして、公営企業金融公庫は、従来から多くの地方団体にかわりまして資金を調達する、それで長期安定した資金というものを地方団体に供給するという立場でございますので、今回公営企業金融公庫についても外債の発行というものをいたしまして、できるだけ長期安定した資金というものを地方団体に調達したいという考え方で、五十八年度発行し、五十九年度についてもさらに二本出したいということで計画しておるところでございます。
  128. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、地方債の許可方針に関連をしてお伺いをしたいと思います。  自治省では、五十九年度地方債許可方針の中に、世上言われるいわゆる給与条項なるものを入れたようであります。なぜ地方交付税法が上がるまで、審議が終了するまで待てずに十六日に出されたのですか。
  129. 石原信雄

    石原政府委員 地方債の許可方針につきましては、例年国の予算が成立し、財投計画が国会の御承認を得ますと直ちにこれを決定し、地方債の許可作業に入っております。五十九年度の場合も、御案内のように公共事業の執行促進というようなことが現下の景気情勢その他から強く要請されておりますので、私どもとしてはなるべく早く地方債の許可作業を進めたい、こういうようなことで許可方針の内容検討を進めておったわけであります。  そうしてその中で、新たにいわゆる給与条項と申しましょうか、地方債の許可に当たって各地方団体の給与事情を考慮するという条項を取り入れることについていろいろ御意見もございましたので、これらの御意見も十分伺った上で決めたいということで、かつ、今年度の作業日程、ぎりぎりまで考えまして十六日に決定したわけでございます。例年よりもかなりおくれて決定いたしましたが、何とか今年度の許可作業を例年よりおくれないように準備を円滑に進めたい、このように考えております。
  130. 小川省吾

    ○小川(省)委員 せめて各党の質問が一巡をする、一日だけでありますから、十七日まで待って出すべきではなかったかということを一応申し述べておきたいと思います。  この問題については、現行の起債許可制度趣旨からいっても、基本的には許可権の乱用であるというふうに思っておりまして、やるべきではないという立場で我が党の細谷委員が過日見解をただしたところでありますが、これに対して自治大臣から、五十八年度以上に厳しくやるつもりはないという趣旨の答弁がなされておりますので、それはそれとしても、別の側面から心配される面がありますので、自治大臣考え方を伺っておきたいと思います。  私ども、今回の起債留保に関連をして、地方自治体の行財政に与える影響といった角度から、幾つかの都市に調査に行ってまいりました。その中で、地方自治体の率直な御意見ども伺ってまいりましたし、地方六団体の関係者の方々の話も伺っているわけですが、皆さん大変心配をしておられます。つまり、今回の起債留保が地方単独事業債を中心に行われたことから、これは臨調などでもしきりに議論されていたためもあるのでしょうが、地方自治体の単独事業を抑制をすることによって、標準行政といいますか、画一的な行政水準を地方に押しつけてくるつもりなのではないかといった心配があることであります。  御承知のように、地方単独事業は、中央、地方の景気浮揚を図るためなどといった政策的な面も当然あるわけでありますが、同時に、地方自治体が地域ごとに性格の異なる住民の要求に根差して行う行政サービスといった面も重要なことであります。まさに地方行政の特殊性というか、地方自治の持ち味が生かされる一面があるわけでございます。今度の起債許可方針は、こういった側面を抑制をし、切り捨てていくといった心配はないのか、全国でまじめに取り組んでいる首長さん方の心配を取り除く意味で、大臣から一言説明をしていただきたいと思います。
  131. 石原信雄

    石原政府委員 大臣から御答弁申し上げます前に、先生の御指摘の事柄について若干私から初めに御答弁させていただきます。  まず、今回、給与が著しく適正を欠く状態にあり、かつ、その適正化のための十分な努力が払われない団体について地方債の抑制措置を講ずる旨の条項を取り入れたのは、決して各地方公共団体の創意工夫をもととする自治活動を否定するというものではございません。むしろ、こういった特異な状態にある一部の団体についてその状態を適正化していただくということが、その団体の財政運営上ぜひ必要であるということばかりでなくて、そのことによって地方団体全体に対する世論の見方をより地方団体に好意的にしていただく、こういう意味合いも出てくると思います。  それから、この抑制措置の対象として一般単独事業を考えておることに関連して、一般単独事業の軽視ではないかというお尋ねかと思いますけれども、抑制措置を講ずるといたしましても、例えば義務教育施設でありますとか清掃施設でありますとか、住民サービスにとって緊急かつ基礎的な施設整備については、これはどのような事情があろうと必要な資金は確保されるべきである。一方、大きな庁舎でありますとか会館類でありますとか、望ましい施設でありますけれども財政状況によってはある程度規模を抑えてもいい、実施を見送ってもいい、こういうようなたぐいの施設が考えられると思うのであります。今回の給与事情等を考慮して抑制措置を考慮する対象事業としては、こういったいわば住民サービスにとって必要欠くべからざるもの以外の事業についてこれを対象に考えたいということを申し上げた次第でございまして、決して地方の単独事業一般を軽視するというような考え方に基づいたものではないことを初めに御答弁させていただきます。
  132. 田川誠一

    田川国務大臣 小川さんが、今地方の大部分の自治体が厳しい情勢の中で一生懸命努力してまじめにやっておられるということをおっしゃいましたが、まさにそのとおりでございまして、私もそのように見ております。だからこそ、一部の団体のためにすべての地方団体が財政が裕福であるとかいうふうに見られるというのは大変困るわけでございます。  そういう意味で今回の通達の中に抑制措置を入れるようになったわけでございまして、それも、「給与その他財政支出の状況が著しく適正を欠き」、さらにその上で、「かつその是正のために必要な努力を払わないもの」というふうにしてあるのでございまして、ただ適正を欠いているだけではなくて、努力をしないということを書き入れているわけでございまして、そういう面では、努力をしていらっしゃる団体については抑制措置をとらないというふうにしているわけでございます。  いずにしても、この厳しい情勢の中で一生懸命努力をしていらっしゃる自治体のためには、こうした措置をとった方がむしろよろしいんじゃないかというのが自治省考え方でございます。  また、起債の制限はできるだけしない方がいいというのはそのとおりでございまして、私どももそういうふうに思っておりますが、今の資金需要からいって、一遍に自由にするというわけにはなかなかまいりません。おいおいとこういうような制限は解いていくのが理想の姿である、このように思っております。
  133. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また別の面では、ある意味での革新自治体つぶしてはないかという声も聞いております。私はよもやそんなことはあるはずがないというふうに思っておりますけれども、一応お答えをいただきたいと思います。
  134. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは、地方債制度に限らず、各種の地方財政制度の運用に当たりまして、その団体の首長さんかどういう政党に所属しておられるかということは全く考えたことはございません。そういったことをまた考えてはならない、このように思っております。
  135. 小川省吾

    ○小川(省)委員 終わります。
  136. 大石千八

    大石委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  137. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮崎角治君。
  138. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今日まで多くの議員により自治省との質疑応答を重ね、そしてまた先般は大蔵大臣を迎えての各党の代表質問がございました中で、極めて疑問点といいますか、なかなか理解に苦しむ自治省の今回の法律案提出、それにまつわる地方転嫁への大きな疑念等々もあるわけでありますが、今までの御論議を通しての中から、若干自治省の方にお尋ねしたいわけでございます。いろいろと重複を避けまして、また幾つかは重複する問題もあろうかと思いますけれども、再確認の意味で、今回の地方交付税法等改正に対して若干の質問をしたいと存じます。  まず第一点でございますが、五十九年度交付税総額は、結果として国税三税収入の三二%を割り込むいわゆる三一・三%となっておるわけであります。これは今回の特例措置が、地方交付税増額どころか、その特例減額によって、実質的に地方交付税率の変動といいますか、低下をもたらすものであることを示しているんだと私は思うわけであります。地方財政交付税率引き上げを必要としている状態であるにもかかわらず、交付税制度の本旨を無視したこうした特例措置は、今回までも多くの御論議が交わされております交付税法の第六条の三の二項の空洞化、形骸化であると言わざるを得ないのであります。こうした実質税率の低下について、自治省の確たる意見を伺いたいのであります。よろしくお願いいたします。
  139. 石原信雄

    石原政府委員 御指摘のとおり、五十九年度について申しますと、最終的な交付税の額は、国税三税で割り返してみますと三一・三程度になっている、三二を割っている、これは事実でございます。  そのような結果に立ち至った最大の理由は、交付税会計がこれまで借り入れ借入金のうち、償還について地方負担することとされた額の利子を交付税法定額から減額したためでございます。今回御提案申し上げおります特例措置による加算額は千七百六十億円でございますが、その額が控除される利子の額を下回ったために、最終的に三二%を割り込む結果になったわけです。  この利子負担の点につきましては、これまでもたびたび御指摘がありましたように、私どももこのような結果に陥ったことについては大変残念に思っておりますけれども、今日の国の財政状況のもとで、従来どおり、五十七年度以前のようにその全額を国に負担していただくということができなかった今日の実情というものを御理解いただきたいと思います。ともかくそういった事情で利子を負担せざるを得なかったということが前提にありまして、それをベースにして講じられました五十九年度特例措置が、結果として三二%を割り込む形になったということではないか、このように理解しております。
  140. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 財源不足に対するいわゆる地方への転嫁、また地方と国とは車の両輪であるとかという言葉がよく言われているわけでありますが、今年度財源不足の補てんというのは建設地方債の増発というのが主体になっているのじゃないかと今日までの御論議の中に感じるわけでありますし、またそのように思うわけでありますが、財源不足額の八〇%と、過去最高の発行額となっておるわけでございます。今後ともこういった財源不足の補てんは地方債が主体となるのかというのが第一点であります。  あわせまして、地方団体の公債費の増加が著しいときにこのように地方債を増発するのは、財政の健全化に逆行するのではないかという危倶を持つわけであります。疑念を持つわけであります。それが二点。  三点目は、建設地方債の補てん額の限度はどのくらいなのか、その歯どめはあるのか、こういった点についての局長の御答弁を求めたいのであります。
  141. 石原信雄

    石原政府委員 まず、五十九年度地方財政対策におきまして、補てん措置内容地方債への依存が異例に高い、従来の中で一番高いじゃないかという御指摘でございます。この点につきましては、財源不足額の絶対額が大きいときには交付税による特例措置が大きくて、財源不足額の絶対額が小さいときには地方債による補てん額の方が割合として大きくなっているというのがこれまでの経緯であります。  これは、財源不足対策を講ずるに当たりまして、まず公共事業費等の地方負担については建設地方債を活用する、しかる後交付税特例措置を講ずる、こういう手法がとられていることと関係があるわけでありまして、これまでもたびたび御答弁申し上げましたように、五十九年度につきましては、私ども望ましい姿としてはやはり地方債への依存はなるべく引き下げたいということで折衝に臨んだわけでありますけれども、国の方の財政が大変な厳しい状況にあるということ、それから、国の予算編成におきましては、建設投資については一〇〇%建設国債に依存している、これとのバランス等もございまして、建設地方債の活用をある程度行わざるを得なかったわけでございます。ただ、その依存度は極力引き下げたいということで、いわゆる財源対策債の充当率を前年度の九〇%から八五%に引き下げた、若干ではありますけれども前進をさせた、このように考えております。  いずれにいたしましても、地方財政の現状におきましては公債償還費が年々大幅な増を示しております。財政構造の中で公債費の割合が非常に上昇している、これを私どもは大変心配しております。そういう見地からするならば、地方財政対策のあり方としてなるべくその地方債への依存を引き下げていくということは先生御指摘のとおりで、私どもも基本的にはそういう心構えで臨んでまいりたいと思っております。ただ、五十九年度につきましては、大変な国の財政危機という現実の前に、建設地方債をある程度は活用せざるを得なかったという事情を御理解いただきたいと思います。  そこで、しからば将来に向けて地方債活用の歯どめ、限界はどうなんだ、あるのかというお尋ねでございます。私どもは常日ごろから、地方財政の運営におきまして公債費比率が一五%を超すと地方財政としては非常に憂うべき状態にある、このような考え方を示してまいりました。そして、地方債償還費比率が二〇%を越せば、一般事業債について起債の、地方債の抑制措置を講じている、これは御案内のとおりであります。そういった意味では、今日の地方財政状況は、我々がかねてから地方財政一つの警戒ライン、公債費の警戒ラインと考えておりました一五%ラインにかなり近づいてきているという意味一つの限界が近づいているのじゃないか、このような考え方をしております。そして、これからの具体的な地方財政対策を考えるに当たっては、そういう状況を踏まえて地方債への依存を極力引き下げる努力をしていかなければならない、このように考えております。
  142. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今日までの経過措置の御説明並びに公債費の上昇気流という問題、あるいはまた一五%、二〇%という危険率、非常に重大な地方財政圧迫の今日であるわけであります。  いよいよこうなった場合に、赤字地方債発行につながるのではないかという懸念をするわけでありますが、この歯どめはどうなのか、これについて私は非常に憂うるものであります。結局は地方団体の借金の増加であり、国の責任を地方に転嫁したものであるとしか断じ得ないのでありますが、この点についての局長の御見解を求めたいと思います。
  143. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる赤字地方債、すなわち建設事業以外の経常的な経費についてまで地方債を財源とするということは、御承知のように現行法ではできません。地方財政法第五条の規定によりまして、普通会計の経常経費の財源として地方債を起こすことは禁じられております。  それで、私どもは、この地方財政法第五条の考え方、基本原則はどうしても守っていかなければいけない。既に建設地方債償還費だけでかなりの公債費比率になっておりますので、この上いわゆる赤字地方債発行を認めますと、それこそ歯どめがなくなってしまいます。地方財政の体質が急速に悪化するおそれがありますので、考え方としていわゆる赤字地方債は何としても避けなければならないと考えております。
  144. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 次に、所得税の問題でお尋ねしたいと思います。  所得税の源泉分離課税選択によります住民税の非課税による減収は、実際は一千二百六十八億円ではないかと思います。一千億円をオーバーしているわけであります。しかしながら、今年度措置内容を見てみますと、いわゆる財対臨特相当額は五百億円しかないわけであります。今回の一千二百六十八億円という非課税の減収に、対して、措置は五百億円。昭和五十六年が千三百億円、五十七年が一千億円、五十八年が一千百億円であったものが今回はわずか五百億円、過去最低であります。  こうなった理由は那辺にあるのか、非常に少な過ぎるのではないか、また減収分全額を見るべきではないかという考えを持っているわけでありますが、その理由、その多少の問題、そして全額国負担の問題、三点について要約して説明を求めたいと思います。
  145. 石原信雄

    石原政府委員 利子所得について源泉分離課税選択したものにつきまして住民税課税されていない、それによる住民税の減収額といいましょうか、本来入るべき額がどのぐらいになるのかという点については、いわゆる財対臨特の額は決まっておりますが、厳密な意味でこの分だというのはなかなかつかまえにくいのであります。過去においても、これは非常に複雑な計算でいろいろな前提を置いて推定しなければ出てこない数字でありまして、税務当局は今日出席しておりませんからなにですけれども、推計値でありますが、その金額が恐らく一千億を超える額になっていることは間違いないと私どもは考えております。  ところで、そういった事実を踏まえて、いわゆる財対臨特の額をどれだけにするかについては、これまでもそのときどきの財政状況に応じて変わってきております。具体的には自治大蔵大臣折衝を通じて金額を確定してきておりますが、率直に申しまして、五十年代の前半のころは、国の財政事情も今日ほど厳しくなかったということと、地方財源不足額が今日より非常に大きかったという両方の事情から、いわゆる財対臨特の額は利子所得に対する住民税相当額を上回る額で決定されてまいりました。しかし、最近になりましてからは、国の財政状況が格段に厳しくなったという事情もありまして、残念ながらその金額が年々傾向的には減少してきております。  五十九年度折衝に当たりまして、私どもは、相なるべくんば少なくとも五十八年度の財対臨特相当額千百億円を何としても確保したい、できれば若干でも増額できないかということで国庫当局との折衝を行ったわけでありますが、国側は、御案内のような非常な国の財政難ということを理由にして、そもそも財対臨特そのものについてこういう厳しい財政状況のもとでは難しいという主張をいたしました。  しかし、この問題は単に財政上の措置だけではなくて、その背後には税制上の問題がある。私どもは、これはどうしても税制上の問題として本来的に解決すべきであるという意識を持っておりましたので、この財対臨特が、分離課税選択した利子所得に対して住民税課税されていないという事情を踏まえて額が議論され、決められるものである、このことだけはどうしても確保したかったということでありまして、金額について紆余曲折あったわけですが、最終的にはそういう事情で、ともかくいわゆる財対臨特相当額を考慮に入れるということについては同意を見たわけでありますけれども金額の面では残念ながら前年度の額を大幅に下回る五百億円ということで決着をせざるを得なかったわけであります。  したがいまして、その金額が減少した理由は、何といいましても国の財政状況が格段に厳しさを増している、そういう状況のもとでこのような金額で最終的な決着を図らざるを得なかったという点を御理解賜りたいと思います。     〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕
  146. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 地方転嫁への非常に重大な、地方財政の圧迫の元凶とも言うべき問題が今説明になったわけであります。  次にお尋ねしたいのは、特会借入金の残余でありますが、これが五兆六千九百億円、この元利償還地方負担となっているわけでありますけれども、元金については、その元金の発生原因であります交付税特会借り入れ自体が、国がなすべき税率引き上げが国の財政事情で不可能であったことのかわりであるから、国の責任で処理すべきであると考えるわけであります。また、その利子についても、当然に国が負担すべきものであるわけであります。昨年の当委員会会議録等々を見、また、国会論議をひもといてみましても、自治省地方負担は筋論としておかしいと答弁されているのであります。この点の見解を再度明確にお答えいただきたいと思います。
  147. 石原信雄

    石原政府委員 交付税特別会計借入金の利子負担のあり方につきましては、私どもは年来の主張として、先生が御指摘になったような考え方でおります。  そういった基本の考え方で五十九年度の場合も折衝に臨んだわけでありますけれども、残念ながら、今日の国の格段に厳しい財政環境のもとで、借入元金のそれぞれの処理に対応して、利子についても地方負担せざるを得なくなった、そういう形で決着をせざるを得なかったわけであります。私どもは、本来の考え方としては先生がるるお述べになったような考え方を持っておりまして、そういうことで折衝を行ってきたわけですけれども、現実の財政難のもとで、今回御提案申し上げているような形で決着をせざるを得なかったという事情を御理解賜りたいと思います。
  148. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 苦しい国の財政、局長の答弁ごとにその点を耳にするわけでありますが、今回の特例措置を含めまして、近年の地方財政対策というのは、いわゆる国の財政再建の犠牲になっている。昨年のこの地方行政委員会での論議で、財政対策は決して望ましい姿とは考えていない、こういう当局の答弁でもあるわけでありますが、地方自治の自主性とか自律性を損なうものであります。  今後こういった状況がますます悪化をしていく中で、地方財政の再建のめどはあるのか、抜本的な地方財政対策を講じるべきではないかと思いますが、この点については田川大臣の答弁を求めたいと思います。
  149. 田川誠一

    田川国務大臣 こういうような情勢をいつまでも続けていくわけにはまいりませんので、一日も早く地方財政を健全化に向かって進めていかなければならないと思っております。そのためには、国と地方との負担区分を明確にすることを初めとして、国の関与をできるだけ少なくするようなことも講じていかなければなりませんし、必置規制あるいは補助金合理化、縮小、こういうことも進めてまいらなければなりません。とにかく国の役割、地方の役割ということを明確にして、そして地方財政の基盤を固めていく、こういうことを考えていかなければならないと思っております。
  150. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 この点については大臣の今後の決意なり方向なりについて伺ったわけでありますが、本日与えられている時間内で私がこれから質問を展開したいことは、自治省を先頭にして、かなりこういった違法的な、あるいは法に触れるような、あるいはまた、今日までの議会答弁の問題等々とは逆の方向が、中曽根内閣の今回のこういった法律案提出と相まっているのではないかと思うわけでありますので、十分質問の要旨をお酌みくださって、的確な答弁をこれから関係各省にもまた求めていきたいと思うわけであります。  第二項といたしまして、今度は医療関係でありますけれども地方の公立病院の経営の状況についてお伺いしたいと思うわけであります。  公立病院は、その性格上、採算性の悪い地域にあるなどの理由で経営が悪化しているところが非常に多いのです。こういった公立病院の経営状況の悪化の原因をどのように認識されているのか、ひとつ自治省の方にお尋ねしたいと思います。
  151. 土田栄作

    ○土田政府委員 公立病院は非常にたくさんございまして、一つ一つ見ますと、非常に経営のよくなっているところ、それから非常に悪くなっているところ、あるわけでございます。それらにつきましては、一つは病院の立地条件という問題がございます。それから病院の医療に対する信頼度といったようなものも大きく響いてくるわけでございます。  そういうことでございますので、個別にはいろいろあるわけでございますが、全体として経営が悪くなるという原因は、一つは社会保険診療報酬の改定と自治体の実際の所要額とが見合っているかどうかということでございます。それからそのほかの要因としては、それぞれの病院がどれくらい経営努力をしているかという経営努力の髪もございます。もう一つは、デラックスな病院をつくりますとか建設投資を非常にたくさんいたしますと、その借金返しのために金が非常にかかる、大まかに分けますとその三つぐらいに分かれるというふうに思います。
  152. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 立地条件とか信頼度の問題とかあるいは新しく建てた場合のいろいろな経費増の問題とか、多くの要因を並べられたわけでありますが、経営の悪化している事業については法に基づいて財政再建を行うなど、いわゆる収支の均衡を図るとともに、過去から累積いたしました不良債務を計画的に解消する必要があるのじゃないか。これからそういった健全化の措置をどのように講じていかれるのか、ひとつ明快に答弁を求めたいと思います。
  153. 土田栄作

    ○土田政府委員 私どもも全体としての公立病院の経営がどうなっているかということについては非常に関心を持っているところでございまして、全体としての公立病院の経営がよくなっているか悪くなっているかということで、それぞれの年度における対応というものを考えているわけでございます。  赤字病院の数で申しますと、昭和五十一年度から昭和五十四年度くらいまでは赤字病院が減ってまいりましたけれども、五十五年度と五十六年度はまた悪くなった。それから五十七年度につきましては、若干でございますけれどもよくなったという状況でございます。ただ、若干よくなりましたけれども、全体の事業数で言いますと、五二%の病院が赤字、逆に言いますと四八%の病院が黒字、こういうことでございます。  そういうことでございますので、赤字病院についてどのように赤字の解消策を進めていくかということが問題でございます。実は私どもは、病院経営というのはずっと続いている問題でございますので、五十三年度に新しい健全化措置というのをとりまして、そこでの不良債務額が幾らあるかということを確認させ、その不良債務につきまして年次別に経営改善計画というものを出させ、年次別に赤字を解消させていくという方途をとったわけであります。その状態におきましても、その後さらに経営が悪化しまして、非常に経営が行き詰まるという団体が二つございました。この二つにつきましては、地方公営企業法の第四十九条の規定に基づきまして、準用再建という措置をとったところでございます。  今後の対応でございますけれども、五十七年度は経営がやや上向きになったわけでございます。五十八年度、五十九年度とどうなっていくかということについては、私ども非常に関心を持っております。五十八年度、経営が横ばいとかややよくなるということであれば新しい措置は必要でないし、どんどん赤字病院がふえていくということであれば今後の対応策というものを検討してまいる必要があろう、そういうふうに存じております。
  154. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 公立病院の地域医療へのかかわりとか、さらには経営の安定を考える場合に、医師とか看護婦を初めとするいわゆる医療の従事者の確保が必要不可欠であろうかと考えます。しかし絶対数の不足や地域的偏在が甚だしい。とりわけ離島、山間等の僻地における医師の不足というのは深刻なものとなっているわけであります。それに対して厚生省はどのような対策を講じられていくのか。
  155. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  先生が御指摘なさいましたように、離島あるいは僻地等におきましては医師が非常に少ない。国は昭和四十五年に、人口十万対で百五十という目標をセットしたわけでございますが、全国平均的にはそれが五十八年度でほぼ達成されている。しかしながら、離島というようなことで見ますと、昭和五十七年でございますけれども、離島百八十七市町村に勤務する医師は約六百四十人、これを人口十万対で見ますと八十七・六というふうに大幅に下回っている。したがいまして、全国平均は相当の数に達してはおるけれども、地域差が物すごいということは御指摘のとおりでございます。  こういった点では、私ども、やはり医療というのは国民生活にとって最も大事なことでございまして、国民医療を確保するというために、離島あるいは僻地、そういったところにおける医師不足の解消ということを図る、そしてまた医師の地域偏在を是正するということは、極めて重要な課題であるというふうに考えておるわけでございます。このためにも、従来から無医大県の解消を図る、あるいは中核病院による医師派遣、将来僻地に勤務しようとする医学生に対する修学資金の貸与、僻地勤務医師の紹介、あっせん等、僻地医療対策の充実に努めてきたところでございます。  なかなか難しい問題がございますが、先ほども申し上げましたように、どこでも医療を受けられるというような体制をとるということは非常に大事なことであるということで、今後なお一層こういった施策の拡充に努めてまいりたい、かように。考えておるわけでございます。
  156. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 総論的には今の説明でよくわかるわけでありますが、厚生省が目標を決めたのは、多分昭和四十五年ではなかったでしょうか。人口十万に対する医師の数を百五十人というふうに目標を決めたわけでありますが、これが五十八年末で達成したということになりますと、非常にすばらしい目標設定だったなと考えているのか、この百五十人という設定は極めて易しい、低いレベルでの目標だったのか。この目標の根拠はどこから出てきたのか、この辺についてひとつ明確に答弁をお願いしたいわけであります。
  157. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  目標を十万対百五十人と決めましたのは昭和四十五年でございますが、ほぼ達成をいたしましたのは昭和五十八年でございます。  御質問は、人口十万対百五十人、これを確保するというふうに昭和四十五年に決めた根拠ということでございますが、医師が非常に不足しているという状況を踏まえて、当時の受療率、これは人口十万人当たりの患者数でございますが、それと医師一人当たりの患者数、医師一人当たりがどれくらい患者を診ているのかというようなことを踏まえまして、その算定で、当面の目標として、医師の場合には人口十万対百五十人、歯科医師の場合には人口十万対五十人というふうな目標を設定した次第でございます。
  158. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 設定の理由についてはよくわかりました。  これは離島を含めての設定だったのかということと、先ほどの低過ぎはしなかったのかという点について、もう少し明快に答弁していただきたい。あわせて、今日まだ未整備の分野がかなり多い。未整備の分野についてはどのように把握されておるのか。この三点について答弁を求めます。
  159. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  人口十万対百五十人というふうに決めましたのは、全国平均で決めておりますので、観念的には離島を含むということになろうかと思うわけでございます。  それから、低かったかどうかということでございますが、医療の需要、疾病構造あるいは人口構成というようなものが非常に変化してくるわけでございます。といいますのは、例えば人口が非常に老齢化している、老齢化すればどうしても疾病になりやすい、医療需要もふえてくるという問題があります。それから、疾病構造が変化してくる、あるいは医学、医術が進歩してくる、いろいろな変化に応じて、医師といいますか、供給側の要件が変わってこようかと思うわけでございますが、四十五年当時としましては、先ほど申し上げたような受療率、あるいは医師がどのくらい診るのか、これを医師一人当たり四十三・幾らというふうに見たわけでございますけれども、これも医療の中身、病気によって、非常に丁寧に診るかどうかというような問題もございます。したがいまして、低かったかどうかということはにわかには言えないわけでございますけれども先ほど申しおくれましたが、私ども昭和六十年に百五十人が必要であるというふうに当面の目標として決めたわけでございます。  それから、未整備ということでございますけれども、いずれにしてもこれは全国平均でございまして、先ほど申し上げたように医師が非常に多いところもあれば非常に少ないところもある。国民医療という観点からいきますと、現状は地形、地勢いろいろと条件が異なりますので一概には言えないと思いますけれども、基本的には、日本国民としてどこにおっても医療の機会を十分受け得るような体制をとっていくという観点から対処していかなければいかぬ。そういう意味で言うならば、現状は非常に不備な点が御指摘のとおりあると私どもも思っておりますし、それを何とか解消するよう一歩でも努力していきたいと考えておるわけでございます。
  160. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 全国自治体病院協議会の「へき地医療の現状と対策」の中で、石原財政局長さんとか厚生省の前大谷医務局長さんのこの本の推薦の言葉があるわけであります。この中で、急速に医療水準が高まったという石原財政局長の冒頭の言葉でありますが、「その一方では依然として医療に恵まれない離島・山村等のへき地も数多く存在しており、医療の地域格差の是正は、今日の最も重要な課題の一つとなっております。」というくだりがあるわけであります。非常に全体的な見地で見ていられる推薦の言葉だと思います。大谷前局長につきましても、無医地区というのは徐々に減ってきた、これから総合的かつシステマチックな観点に立った医療供給体制の計画的な推進をやっていくということでありますが、今お話しになった昭和六十年度を目標にした百五十名——総理がいつも言われておりますが、二十一世紀云々という、六十年、六十五年、七十年、こういったときの医師の充足率といいますか人口に対する医師の比率といいますか、もし二〇〇〇年までのプランがおありだったらここでお示し願いたいと思います。
  161. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  まず、二〇〇〇年までのプランがあるかということでございますが、プランというものはないわけでございます。ただ、御参考までに、現在人口十万対百五十と言っておりますが、大学の医学部の定員は今八千ございます。そういう状況の中で、このまま推移したとするならば医師がどのぐらいになるのかということはお示しできると思いますので、それを申し上げたいと思うのでございますが、それでいきますと、昭和七十五年、これは二〇〇〇年でございますが、これが二百十名。それから昭和百年、二〇二五年になりますが、三百人になるということでございます。これは諸外国、西ドイツとかそういったところが今は人口十万で大体二百人から二百十人ぐらいだと思うのでございますが、そういうようなことでございまして、これはプランではないわけでございますが、今の大学の医学部の定員が八千というところから算定をいたしますとそういうふうになる。  したがいまして、全国平均的にはそういう状況ですが、医師の数そのものについては、医療の需要供給ということを見通した行政の見直しをすべきではないかということで、厚生省といたしましては近く医師の需要供給に関する見直しをしたいと考えておるわけでございます。  なお、ここで非常に大事なことでございますが、先生の御指摘のように、二百人とか二百十人とか三百人といいましても、これは平均でございまして、医師がふえるからといって、それでは僻地なり離島の医師数不足が解消するかというと、直ちには解消しない。医師がふえていけば、それはまた都会へ——例えば医学、医術に対する研さんの場がないとか、あるいは子弟の教育の問題があるとか、日常生活が不便であるとか、いろいろな条件がございますので、単純に医師がふえるからといって、僻地、離島がふえていくということにはならないということで、医師の見直しと同時に、そういった点の検討が必要であろうと考えているわけでございます。
  162. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 その需給体制見直しの問題ですが、今後の我が国の医療の確保の問題、医師並びに医療従事者をあわせましての問題だと思いますが、いつごろそういった問題の着手並びに発表というものができるのかということ。  それから、未整備の分野の中で、今も出ましたように高齢化による老人病の対策とか保健のサービスの問題とか、地域医療の対策の問題あるいは無医地区の問題というのがあろうかと思うわけであります。この辺について、昭和青年が三百名、七十五年が二百十名ということになるわけですか、今平均的な数字どおっしゃいましたが、これと離島医療、離島の医師、この格差是正、この辺との兼ね合いについてはどういう見解を持っていらっしゃるのか、あるいは省としての対策はどの辺に持っていらっしゃるのか、ひとつ定かにしていただきたいと思います。
  163. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げた医師数あるいは歯科医師数に対する需要供給に関する検討会でございますが、これは本当に近々発足をさせたいということで、これは恐らく厚生省の医務局長の懇談会という形になろうかと思うのでございますが、五月中にも発足させたいということで準備を進めている状況でございます。  それからプライマリーケア、特に先生御指摘のように人口構造が高齢化していくということの中でのプライマリーケア、いわゆる初期医療といいましょうか、そういったことを重視していくことが非常に大事であるということは私ども全く同感でございまして、そのためにも、健康保持の自己管理責任の明確化を図っていく。特に先生御指摘のように、最近の疾病構造は、結核なんかのような感染症ではなくて、心臓だとか血管だとかいうふうな内からの病気が非常に多くなってきておりますので、したがいまして循環器系統の病気が多くなってきておりますので、健康管理ということの対応が必要であろう。健康増進から疾病の予防、それから早期発見、治療、リハビリ、そういったものに対する包括的な保健医療サービスというものが必要ではなかろうか。特にそういった点で診療所から高度専門医療施設に至るまでの各医療施設の機能、役割の明確化ということが必要であろう。特にプライマリーケアというのは日常の健康管理、疾病時の診療等において重要でございまして、そのためには医師に対する臨床研修の充実、指導医の養成あるいは地域医療研修センターの整備などの施策が必要であろうと考えているわけでございます。  ただ、離島、僻地の問題とのかかわり合いでございますけれども、それがやはり非常に大きな問題になってくるということでございまして、離島、僻地については、先ほど申し上げましたような、例えば医師のあっせんというような問題もありましょうし、離島、僻地に。おられる医師が研さんをするために学会に行く場合の費用とか図書を購入する場合の費用、そういったものも必要でしょうし、それから、ワークショップといいまして、大学を出まして、臨床の場、ワークショップヘ行って僻地、離島の医療の実情を見ながら研修をしていく、そういうことによって僻地医療に対する情熱、熱意あるいはそこにおける医療のあり方というものを研修、研さんしてもらうというようなことでの進め方とか、修学資金の貸与、これらは一挙に解決できるものではないと思うのでございます。また、医学を志す人々の熱意によることもあるし、受け入れ側の住民の気持ちにもよることがあろうとは思うのですけれども、私どもとしてはできるだけそういったことを充実していく。  そして、例えば先生の長崎でございましたら国立長崎中央病院というのがございますが、ああいった大きなところを中核とした医師の派遣とか連携機能、あるいは教育研修というようなことを強めていかなければいかぬ、かように思っておるわけでございます。
  164. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 離島、僻地の医療確保に対しては非常に悩んでいるところでありますが、大きい東京都であろうと北海道であろうと、四十七都道府県一律に八千六百三十万円を負担して栃木県の自治医科大学というのがありますが、これは同額負担でございますから、一県に一度に二名ないし三名という形で定員百名であります。これは義務的に、ひもがついて、卒業したら離島、僻地に行くんだということが条件でなされているわけでありますので、成績順でいけばひょっとすれば東京都が一番合格者が多くなるかもしれないけれども、同額負担でありますからこういった形にしているわけであります。そういう医師の確保につきましては、各自治体がこうして負担金を出している医師の養成機関もあるわけでありますが、これについては、二十七日に一般質問があるかもしれませんので、またそのときにゆっくり論議をしていきたいと思います。  私は、我が国の医療の確保について最も大事なことは、今もお話がありましたように、第一には医師の養成の確保であると考えるわけであります。全国的には人口十万に対して百五十人確保という目標がもう既に達成された。私の承知しているところでありますが、全国は推計で百四十九・二名ですか、おおむね目標に達している。しかし、我が長崎県の実態は、県平均で百七十一・五人、離島が八十二人で約半分だ。このような現状に対して長崎県では、離島、僻地におきまして、台湾並びに韓国の外国のドクターを各首長は三顧の礼を尽くしながら招聘している。それで一時しのぎをするといいますか、カバーをしているというような実情でございます。  このような実情は、長崎県だけではないはずです。沖縄、鹿児島、東京都、北海道、愛媛と、全国的に離島を持つ県については同様な実態ではないかと推察されるのでありますけれども、厚生省はどのように把握をされ対処されようとしているのか、ひとつ明快な答弁を求めたいと存じます。
  165. 古川貞二郎

    ○古川説明員 お答えいたします。  五十七年末で外国の方々の医師は千六百二十一人いらっしゃるわけでございます。もちろんこういう方々がすべて辺地で働いておられるということではないわけでございますが、離島等におきましてもかなりの数の外国人の医師が従事しておられるということは私どもも承知しているわけでございます。  外国人の医師でございますけれども、日本で医療を行うというのは非常に厳しい条件がございまして、御案内のように、日本の医師免許を受けておるというようなことが必要であるわけでございます。医療技術の面では特に問題はないわけでございますので、こういった外国の方々が離島、僻地でいろいろと医療に活躍なさっていただいているということは、差し迫った事情等もございますし、やむを得ない問題であろうというふうに私どもは思うわけでございます。  ただ、外国の方は、先生御案内かと思いますけれども、非常に御高齢の方が多いという問題、それから、医療という面に対する恒久的な対策であるかどうかということについては、私は、外国人の方々が僻地、離島の医療を請け負うというようなことが恒久的なものであるとは、あるいはそれがいいというふうには必ずしも思わないわけでありまして、なかなか難しい問題ではございますけれども先ほどのような僻地、離島の医師の確保ということについては、私どもも十分心していかなければいかぬ、かように考えているわけでございます。
  166. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 離島、僻地の医療の格差というものが是正されて、初めて日本の医療体制というものが確立されていくと考えるわけであります。いろいろな書物にも出ておりますように、かつてアメリカではプライマリーケア施策が非常に功を奏しまして、卒業したら半分はそういった方向に行くとか、あるいは何年間のプランの中で現実をどう進めていくかという見事なプランが功を奏して、医療体制が確立しているということも仄聞するわけでありますが、今後の検討課題として、五月から発足するであろう需給対策のプランについて、どうか鋭意努力していただきたいと思うわけでございます。厚生省関係については、また後日ひとつお願いいたします。  最後の項目でございますが、これは国と地方公共団体間の財政秩序の確立についてでございます。  地方財政再建促進特別措置法の第二十四条の二項の規定によりますと、国、公社等が設置する施設に対して公共団体が経費を負担することは禁止されております。無償貸し付けも含むのであります。にもかかわらず、国、公社等が、施設の用に供する土地、建物等を地方団体より無償で借り受けている例が多数見られるのであります。自治省でも各省庁にこれらの点の改善措置を求められているようでありますが、この無償借り上げについての法制局の御見解をまず伺いたいと思います。
  167. 大出峻郎

    ○大出政府委員 国または公社等に対する地方公共団体のいわゆる土地の無償貸し付けと、ただいま御指摘のありました地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の規定との関係につきましては、昭和五十二年三月十八日の衆議院予算委員会におきまして御質問がございまして、当時の内閣法制局長官が御答弁申し上げているわけでございますが、その見解は現在でも変わっておらないわけであります。  すなわち、地方財政再建促進特別措置法の第二十四条第二項の規定といいますのは、国と地方財政秩序の確立を図ること、それから地方財政の健全性を確保する、こういうためのものでございまして、国または公社等に対する地方公共団体の寄附金等は、たとえ地方公共団体の自発的な意思に基づくものでございましても、当分の間は原則的にこれを禁止をする、こういう趣旨規定であるわけでございます。  この条項の中には、「寄附金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するものを支出してはならない。」こういう書きぶりになってございますけれども、この規定の文言に則した場合には、必ずしも先ほど指摘のございました。地の無償貸し付けというようなことについては直接条文上書いているわけではございませんが、先ほど申し上げましたような同条同項の規定趣旨ということから勘案して読んでまいりますというと、国または公社等に対する地方団体の土地の無償貸し付けというのは、一般に実質的に寄附金的な性格のものに当たるというふうに考えられるわけであります。そのようなものはこの第二十四条第二項に言う寄附金等の支出に含まれる、したがってそのような形のものは適法なものとは言いがたい、こういう趣旨の当時の法制局長官の答弁でございましたけれども、この考え方は現在も変わっておらない、こういうことでございます。
  168. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 昨年の七月でしたか、自治省が各省庁に要請した中に、無償借り上げの例として各省庁の施設名が挙げられております。その中に挙げられていないもので、雇用促進事業団の勤労者の体育施設と農村の教養文化体育施設、または労働福祉事業団の労災病院等があるようでありますが、その中にこれらの施設が挙げられていないのはなぜか、自治省に理由を伺いたいと思います。
  169. 津田正

    ○津田政府委員 まず、第一点の雇用促進事業団が設置いたします勤労者体育施設等の関係でございますが、これにつきましては、他の国の施設、行政機関の施設と若干異なりまして、原則として経営管理を地元地方団体に委託する、そして、しかもその使用料、利用料を取る場合には、その用地代の分を含めて利用料を取れる、こういうような形態のものでございます。そういう意味におきまして、財政再建法二十四条の規定によりますいわゆる実質的な意味での寄附金というような地方団体の財政負担はない、利用料の中でその用地代を確保できる、こういうような性格のものでございますので除いてある次第でございます。  それから、第二点の労災病院でございますが、これは五十三年度財政措置についての申し入れに際しまして挙げておったわけでございますが、その際には、労災病院のほか、職業訓練施設あるいは心身障害者職業センター等と一緒に掲げておったわけでございますが、職業訓練施設、心身障害者職業センターにつきましては国の予算措置をする、そして労災病院につきましては各病院において措置をする、こういうような連絡を私ども労働省から受けておるわけでございまして、そういう意味におきまして昨年の申し入れには掲げておらないわけでございます。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 五十三年に挙げていて、その経過についてるる説明があったわけでありますが、労働省としてはこの点についてどう考えているのか、所見を伺いたいと思います。
  171. 新村浩一郎

    ○新村説明員 労働福祉事業団が設置をいたしております労災病院等の設置でございますが、これは業務災害あるいは通勤災害をこうむられました労働者の方々の早期治療なり社会復期の促進を図ることを主たる目的として設置されているわけでございます。しかし、現実といたしまして、労災病院が設置されますと地域医療に対しましても多大な貢献をするわけでございますので、敷地の提供等をするのでぜひ自分のところへ建ててほしいというような地方公共団体からの積極的な誘致を受けてそれぞれ設置したというケースが多いわけでございます。  このような事情がございますので、土地を無料で借り受けているという施設が現在あるわけでございますが、御指摘のような法律上の問題点もあるわけでございますので、早急に関係地方公共団体と話し合いを進めますよう、労働福祉事業団に対しまして既に指示をいたしておるところでございます。
  172. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今後の対応といろいろな方策、方途につきましては非常によくわかるわけでございますが、ぴしゃっとしていただきたいと思うわけであります。地方には非常に厳しい立場で接していくであろう国の各皆さん方が、みずからの立場において、この問題についてはひとつ十分御検討なり、対処をしていただきたいと思うわけであります。  次に、環境庁にお伺いをいたします。  今全国で何カ所あるでしょう、私は三十数カ所だと思いますけれども、国民休暇村というのがあります。公園事業対象施設の用地に、無償で借り上げている例が非常に多いのじゃないか。その現況と件数と合計の広さ、面積等についてお伺いしたいと思います。
  173. 諏訪薗辰雄

    ○諏訪薗説明員 国民休暇村は、現在自然公園法上の措置といたしまして三十一カ所指定してございますが、一般に供用されておりますのは三十カ所でございます。このうち国立公園の中が二十三カ所、あと残り八カ所が国定公園でございます。それから、面積につきましては、御指摘の今まで無償で借り上げてまいった面積だけ持ってきているのですが、九百十四ヘクタールでございます。これは数で数えまして十九カ所になります。国立公園の中の二十三地区のうちの十九カ所の休暇村につきまして、従来無償で借り上げてきたわけでございます。
  174. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 これらの広さは九百十四ヘクタール、十九カ所のようでありますが、これは本年度より無償じゃなくて、いわゆる有償借り上げですか、または買い上げた、その事例がありますか、あれば具体的に答弁を求めます。
  175. 諏訪薗辰雄

    ○諏訪薗説明員 先ほど申し上げました十九カ所全地域につきまして有償化すべく予算措置をいたしまして、現在関係地方公共団体との合意のもとに有償契約につきまして事務の手続を進めております。
  176. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 有償になったということについては、国会で大変論点にもなったし、当然法に抵触するということから、省としても序としても鋭意努力されたわけでございます。  次に挙げますのは、私のふるさと長崎県の事例でございます。  雲仙天草国立公園の中にあります小浜町の町有地でありますが、広さが四十二万七千三百八十三平方メートルです。これは尺貫法でいきますと十二万九千二百八十三坪になりましょうか。比喩していきますと、後楽園球場の広さが一万一千四百九十三平米ですから、後楽園球場の三十七・二倍になろうかと思います。私のふるさとですからよくわかります。  実は、この後楽園球場の三十七・二倍という小浜町にあります休暇村でありますが、昭和四十八年二月より環境庁が無償で、当初三十年契約ではなかったかと思いますが、借り上げて、それで国民休暇村をつくっている。前には「環境庁」という物すごい大きい掲示板が出ている。一方通行になっているところでございます。  ところが、法的に問題があるというようなことで、この土地について昭和五十九年度、今年より改善措置がとられているわけであります。今言われた十九カ所等々になりますが、有償で借り上げていくことになったわけですけれども、私はこの値段を聞いてもうびっくり仰天、あいた口がふさがりませんわ。年間一円ですよ。何ということですか。ばかにしているのですか。一年間、平米当たり一円ですわ。後楽園球場の三十七・二倍もある莫大な広い町有地を、何か国会で問題になったからといって、わずか平米当たり一円。まことにこれはあいた口がふさがらない。考えてみますと、もう腹が立つような感じがするのです。それも年額なんです。一年ですよ。年間わずか一円ですよ。これで有償と言われているその姿が私はちょっと腑に落ちない。  今申し上げた土地の隣接地で、今度は町が個人に貸しているところがございます。きのう、おととい、私も行ってきました。自分の車で、自分で運転して行っております。ちゃんとキーは持っておりますから、何も公用車は使いません。その隣接地で町が個人に貸している例があるのです。これは平方メートル十五円であったのが三十円になっております。これは月ですよ。月額ですよ。今言ったのは年額一円です。年額にすれば三百六十円ですわ。  もう一つ比較例を申しますと、同じく雲仙にあるのですけれども、長崎県が福岡の気象台に一平方メートル年額五百二十一円で貸しているのです。広さは七百三十六・五三平方メートルであります。この五百二十一円というのは県の雲仙公園使用条例によってなされているわけでありますから、今挙げた例と比較しますと、環境庁のとった措置は余りにもお粗末ではないかと思うのですよ。改善したらどうかと言いたいのです。環境庁の見解を求めたいと思います。
  177. 諏訪薗辰雄

    ○諏訪薗説明員 国民休暇村事業につきましては、自然公園法に基づきまして、いわゆる自然環境の保護を図りながら自然に親しむ健全な野外活動を確保する、あわせまして地域住民の福祉の向上を図るということから、たまたま雲仙につきましては、非常に市街地にといいますか生活環境の場に近い場所でございますけれども、多くはいわゆる従来未開発の僻地といいましょうか、非常に自然の豊かな場所に設置をいたしておりまして、従来、制度ができましてから長いところは二十数年になるわけでありますけれども、自然保護と健全な自然環境の利用というサイドから、地元の御協力のもとに現在に至ってきたわけでございまして、その無償の借り上げが御指摘のように法に抵触をするということから、これが改善策につきましてはいろいろと関係の公共団体と協議を進めながらまいったわけでございますけれども予算等の措置につきまして十分な予算の確保が難しかったということもございますけれども、大方は一応適正な対価であるというふうに考えております。中には、非常に市街地近郊に近い場所におきましては先生の御指摘のような点もあろうかと思いますが、現時点では一応改善をされた、適正な対価に少しでも前進をしたというふうに理解をいたしております。
  178. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ただよりましたという考え方でしょう。  それなら申し上げますけれども、同じ国の所管、あなたの方の所管じゃないんです。雲仙に、同じ町にあるんですが、消防署の格納庫の前あたりです。これは国が今度地方団体へ貸しているんです。これは二百八・四四平方メートルで、平方メートル当たり二百六十円なんですよ。年に五万四千三百四十一円。また、雲仙の会館の後ろの方になるんですけれども、これが年に平方メートル当たり千五百円なんです。あるいはもう一つは、八十九円とかある。そういう国が地方に貸しているのは、何が適正価格ですか、妥当な措置ですか。地元が国から、国がまた地元から借りる。国が貸している分と地元が国へ貸している分とは、どう言えばいいですか、これは私は許されません。適正価格の問題について、今後どのようにあなたの方は考えていかれるのか。  また、これは一応自治省に聞いてみたい。自治大臣、答弁いかんによってはこれは問題にします。委員長にお諮りいたしまして、各党の理事さんにまた御配慮願って、これは附帯決議として当委員会の名において適正な方向にしていかないと国民は許しません。この点について自治省の見解を伺いたいと思います。
  179. 津田正

    ○津田政府委員 価格が適正かどうか、地域によって状況が異なると思いますので一概には言えないと思います。しかし、法の趣旨からいいまして、その価格は近隣の地価等に比べて適正でなければならない。名目上有償になったからいいというものではないと思います。私どもとしましては、今後実情を調査いたしまして、この法の趣旨に沿って適正な措置がされるよう関係省庁等に要請してまいりたい、かように思います。
  180. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 実情に合ってないから私はこれを指摘しているのです。今言ったでしょう。私は行ってきたから、ちゃんと知っているから言っているわけですよ。何も隠しません。同じ山林にしても、隣は十円です、八円です。違うでしょう。  ちょっと自治省としても、これはお願いじゃいかぬですよ。各省へ改善計画の提出を求めるなど、抜本的な対策を講じなければ、何でこんなものがまかり通っているのか。あなたの方も、完全に措置しましたから、ああそうですか、結構ですといって、そのまま御了解になっているのじゃないですか。もう一遍答弁してください。
  181. 津田正

    ○津田政府委員 休暇村の問題につきましては、昨年の予算要求前に自治省が環境庁に要請したところであり、それについて予算化されたわけでございます。  問題は、その予算化のされ方が実態に即さないということでございますので、私ども実情をよく調査しまして、本当にその適正な価格というものがどうなのか、それを調べた上でまた関係省、もちろん私ども大蔵省にも申し入れておるわけでございまして、こういう方面にも協議してまいりたい、かように思います。
  182. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 実情調査をされるということですが、非常に結構なことです。町民も、また国民の一人一人が、国の対応について、また各省間のいろいろなタイアップの中で、納得のいくような、時代に合うような、こういう体制でいかなければならぬと思うわけであります。こういったチェックをし、反省をし、是正をする、要改善の気持ちがするわけでありますが、最後に、こういった点につきまして、まとめて田川大臣の所信を伺っておきたいと思うわけであります。
  183. 田川誠一

    田川国務大臣 地方財政再建促進特別措置法の精神が生かされるように、今審議官が申したように、ひとつ厳格にこれを調査して、遺漏のないようにしたいと思っております。大変いい御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
  184. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今後とも、どうかひとつ鋭意各省間の見事な連携と、国民の納得するような方向に行政が行われますように心からお願いをし、次回までのこの推移と経過と方向についてまたお尋ねしたいと思いますので、お約束申し上げまして、本日の私の質問を終わりたいと思います。
  185. 大石千八

    大石委員長 岡田正勝君。
  186. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 農水省と厚生省の方、お見えになっていますか。——両省の方には、先般の質問のときに説明を要求しておきながら、時間が超過してしまいまして待ちぼうけを食わしまして大変申しわけないことをいたしました。きょうは、罪滅ぼしのために一番最初に質問いたしまして、しかも一問ずつということにさせていただいて、済み次第お引き取りをいただきたいと思います。  それでは、まず国庫補助金制度に関連をして質問をするのでありますが、農水省の方にお答えをいただきたいと思います。  臨調の答申で人件費補助の整理がうたわれまして、五十八年度は農業改良普及員等に係る補助負担金が一括して定額の交付金に組みかえられました。しかし、農水省では各県に普及員の定数などを示しておられるために、実態は余り変わっていないと聞いておりますが、実態はどうなっておりますか。
  187. 坂柳迪夫

    坂柳説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の農業改良普及職員の件でございますが、従来、協同農業普及事業は協同農業普及事業負担金という仕組みで運営をされておったわけでございますが、その制度を見てみますと、国の予算自体が個別経費の積み上げというようなものによって定められておりまして、都道府県の予算におきましても、人件費とかあるいは物件費等の経費間の流用といいますか、配分が制約をされる、こういう問題があったわけでございます。そういうようなことも含めまして、都道府県の自主的な事業の運営が阻害されがちではないか、こういう御指摘がございました。  それにこたえまして、昨年五月でございますが、農業改良助長法の改正をお願いいたしまして、従来の先ほど申し上げましたような方式を改めまして、いわゆる交付金制度というものを導入したわけでございます。そのことによりまして、都道府県の事業運営の自主性といいますか主体性といいますか、そういうものが大幅に尊重されるような仕組みになったというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、ただいま先生御指摘のように、従来でございますと普及職員の人件費あるいは普及所の運営費というようなものが国の予算の段階から別建てになっておりましたものが、現在はそういうふうになっておりません。一括して交付金ということでございます。したがいまして、都道府県別に農業改良普及職員の定数を示す、こういった意味での定数管理というものはなくなっておるわけでございまして、具体的なその数を示してあれこれ言っているのではないか、こういう点につきましては、御指摘のような事実はございません。
  188. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ちょっと念のために確認をしておきますが、そうすると、今まで農水省で各県にお示しになっておりました改良普及員の定数というのは五十八年度をもって解消された、もう一切ない、こう理解してよろしいですね。
  189. 坂柳迪夫

    坂柳説明員 先ほど御説明申し上げましたように、五十七年度までは各県別の定数というものがございました。五十八年度からは定数というものはございません。  そこで、五十八年度からは新しい法律のもとで、協同農業普及事業の運営につきまして国と都道府県が相互に協議をしていくという仕組みを設けていただきまして、国は国の立場、都道府県は都道府県の立場、そういうものをすり合わせることによって効率的な的確な普及事業の運営をしていく、こういうふうな仕組みにしたわけでございます。全体として見ますと、そういう方針に基づきまして事業の運営をしておる、こういう実態でございます。
  190. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。もう結構でございます。  厚生省の方にお尋ねをいたします。  五十九年度は、保健所の職員措置費につきまして同様に交付金に組みかえられるということになりましたが、これによってどのような変化と成果が期待されますか、お答えをいただきたいと思うのであります。
  191. 古市圭治

    ○古市説明員 ただいまお尋ねの保健所運営費補助金の件でございますが、現在、補助金方式から交付金方式への変更ということで今国会に保健所法の一部改正をお願いしておるわけでございまして、国の人件費に対する定率の補助を改めまして、保健所の事業費に対して定額の交付金によって事業を行うということでございます。  そのねらいといたしますところは、地方の保健医療に対する要求というものは、地域の状況によって非常にまちまちでございます。そういうことから、地域の需要に応じた弾力的な運用ができる、また、国の一律の補助ということでなくて地方自治体の自主性に応じた運用ができる、これをねらいとして、今回補助方式を変更をお願いするということにしたものでございます。
  192. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。両省の方、どうもありがとうございました。どうぞお引き取りください。  そこで自治省の方にお尋ねをいたしますが、この人件費補助から交付金化するといいますか、に変えるものとして、自治省といたしましてはどのようなものが適当であるとお考えになりますか。
  193. 石原信雄

    石原政府委員 私どもといたしましては、かねてから補助金制度のあり方として、事業内容地方事務として同化、定着化したものはなるべく地方一般財源化することが望ましいという考え方を持っております。特に、いわゆる人件費補助につきましては、地方公務員の設置に要する経費について補助金が交付されるということは、地方自治の理念からいっても余り好ましいことではない、基本的には地方公務員の設置に要する経費は地方一般財源で確保されるべきだ、このように考えております。  しかし、そうはいいましても、いわゆる各補助職員については、それなりの経緯があり背景があって今日まで補助金として存続しておりますので、これを一挙に一般財源化するということについては反対もありますし、またいろいろ議論もあるわけです。  そこで、五十八年度、農業改良普及員について交付金化が図られ、今回保健所職員について交付金化が図られるわけでありますが、要は、こういった地方公共団体事務としてかなり定着化し一般化している事業について、地方公共団体の創意工夫というものが大幅に生かされるような形で国庫金が交付されるということ、これは私ども補助金制度合理化という意味から一歩前進であると考えております。今日まだなお残っております各種のいわゆる人件費補助についても、できるだけこういった地方公共団体の創意が生かされる方向で解決されることが望ましい、このように考えております。
  194. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、前回の質問でありました地方交付税制度の改革についての質問の続きをさせていただきます。  いずれにいたしましても、地方交付税制度地方制度の改革とあわせまして抜本的に見直すべきときでありますが、少なくとも以下述べるような点で改善をすべきではないかと私は考えておるのでありますが、いかがでありましょうか。  まずその第一は、地方交付税制度の集権化、固定化、補助金化が言われて久しいのでありますが、交付税の運用に当たって自治体の不信を拡大をしておるものに、特別交付税の配分方法があると思います。算入あるいは減額などが自治省の専決で行われているばかりではなく、算入額、減少額は自治省の全く密室査定となっています。したがって、特別交付税の算定基準を公開すると同時に、既にルール化しております一般化したものについては一般交付税にするべきではないかと私は思いますが、いかがでありましょうか。
  195. 石原信雄

    石原政府委員 特別交付税の算定に関するお尋ねかと思いますが、特別交付税の算定方法につきましては、基本的な算定要素、算定方法については自治省令によって定められております。そして、具体的な算定作業におきましても、都道府県分については直接自治省が行っておりますが、市町村分については都道府県の地方課などと緊密な連携のもとに作業を進めておりまして、私どもは決していわゆる密室の作業というようなことではなくて、省令の規定に基づきまして公共団体の協力を得ながら公明正大に行っている、このように考えております。  それから、特別交付税はそもそも普通交付税の算定の画一性を補完するために設けられている制度でありまして、今日の算定項目も、多くは算定技術上の制約あるいは算定時点の制約から特別交付税として算定しているわけでありますけれども、算定技術がある程度向上し、データ等も客観的なデータが把握できるようになりましたならば、なるべくこれを普通交付税の算定に移しかえる、こういう努力を行っております。その点では、先生御指摘のとおりの考え方をもってこれまで努力してきたつもりでありますが、今後におきましても同様の考え方で臨んでまいりたい、このように思っております。
  196. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 公明正大にやっておるので決して密室ではない、全くそのとおりならこれくらいうれしいことはないのであります。  それでは具体的にお尋ねをいたしますが、先般、田川さんが自治大臣になられましてどんどん発表されました中で、人件費、特にラスパイレスが、あのときはたしか一一五以上の団体でしたかに対しては制裁を加える、言葉は悪いけれども制裁を加えるぞ、こういうことで特別交付税で減少させるのだというので、新聞には全部の金額で百何十億だとかなんとかいうようなことを発表しておりましたが、例えば、兵庫県の中で六つか七つの市がどうも減額措置を受けるらしい、新聞にはそう載っておる。総額は載っておる、ところが個個の市町村においては一体どれだけ減額をされたのかということがさっぱりわからぬ。議会の人間が大体これを知ることができない。行財政の改革のために一生懸命になっておる議員たちが、どういう措置を受けたんだということをなかなか知ることができない。そこで私の方に注文がありまして、自治省の方に聞いてもらえぬかということがありました。それで自治省の方に聞きましたら、自治省の方では、それは言えないことになっております、発表できないことになっております。発表できない、言えない、どういう操作をしたかということもわからない、これは密室じゃないんですか。公明正大、大っぴらですか。
  197. 石原信雄

    石原政府委員 特別交付税の算定におきましては、減額項目として、いわゆるプラスアルファと申しましょうか、期末・勤勉手当などについて国の基準を上回って支出した額については、一つの財源余裕額という考え方のもとに減額いたしております。これを公表すべきではないかという御指摘であろうと思います。  この点については、都道府県の協力を得ながら各市町村ごとの算定作業を行っておりますので、もちろん積算の根拠として各都道府県は全部承知しております。ただ、個々の団体の運営指導に当たりまして、その団体の減額項目をオープンにすることがいいのかどうか、いろいろ考え方もありまして、この点については各都道府県の扱いに任じているところでありまして、自治省の方で何々市は幾らというようなことは発表することを差し控えているところでございます。結局、各団体の財政運営の指導について都道府県の判断を尊重するという考え方でこのような扱いをしているところでございます。
  198. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 市町村についてはその取り扱いを県の方に任せておるとは申しましても、実際には市町村からそのデータを取り寄せるのは県、そしてペナルティーとしてこれだけ減額をするんだという、その減額を自治省から示された規定によって計算してみたらこれこれの金額に相なります、これでよろしいでしょうかというお伺いは当然自治省に参りますね。自治省に来ぬずくに県知事が勝手にやりますか。
  199. 石原信雄

    石原政府委員 もちろん算定作業は、基礎データは都道府県が収集をしていただきまして、かつ省令の規定によりまして都道府県で基礎的な算定作業をしていただきますが、算定結果につきましてはすべて私どもに報告が参ります。
  200. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ということになりましたら、各市町村団体における少なくとも議会議員が、その市民全体に、こういうことは公に知らせるべきだと私は思うのですよ。ラスパイレス指数がかくかくしかじかで、これこれの特交の減額を受けるに至ったということは、その市町村が、えらいことになった、これから考えにゃならぬなという姿勢を住民にはっきりさせるためにもやはり公表すべきじゃないのでしょうか。  わけのわからぬところで、議会もわからぬ、だれが知っているんだ、市長と助役くらいじゃないのかなというような状態で、全く暗中模索というような状態だったら、何のためにペナルティーを科したのですか。そんなことやる必要ないじゃないですか。公表するという態度がとれないものですかね。それは各都道府県に任じておるんだということじゃ済まされぬ。やはり責任者である自治省が、公表すべしということを明らかにすべきじゃないんですか。そういう指導をやるべきじゃないんですか。
  201. 石原信雄

    石原政府委員 特別交付税の算定内容について、これをすべてオープンにすることがいいのか、あるいはその主要な内容だけにとどめるのがいいのか、特に今のプラスアルファの減額項目につきましては、都道府県それぞれいろんな御意見がありまして、私どもとしてもこれを全面的に公表することがいいかどうかについて結論を得ていないところでございます。  もちろん先生御指摘のように、この趣旨は、乏しい特別交付税を公平に配分するという見地に立った場合に、期末・勤勉手当等について国の基準を上回って支出している団体は、それだけ財政的な余裕があるという判断に立って従来から作業をしているわけでありますから、そういったものを明らかにすることの方がむしろこれからの地方行政指導の上で適切じゃないかという御意見もあります。しかし、また一部には、そういった事実は関係者は十分承知しているわけですけれども、みずからの努力でできるだけ適正化をしている際でもあるから公表は差し控えてほしい、こういう御意見もあり、また、そうすることの方が問題を適正化する上で早道である、こういう意見も都道府県の中に多いものですから、これを公表する乙とを現在は差し控えている次第でございます。  もちろんそういった先生のような御意見もありますし、私どもも、この問題については、交付税制度の本旨あるいは今日の地方行政の指導、両面から考えてどちらの方が正しいのか、今後とも慎重に考えてまいりたいと思います。
  202. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 もっとすっきりしたことができないものですかね。例えば東京都の場合は、国のベアを上回るベアをしたからというので、はっきりと、地方債発行について認可をしない、それはこれこれという起債である、その金額は幾らであるということは明確になって、国民の目にもよくわかりましたね。非常によくわかりました。だが、正直に言いまして、国家公務員の給与よりも高い給与のことをラスパイレス指数をもって示しておる、それが地方住民の大変な批判の的になっておることも御承知のとおりであります。  行政改革というのはむだを省く、そしてとんでもない高給与を是正する。これをその市の中においてそれぞれがまた密室の中でやる、これが行財政改革でしょうか。市民にその実態を明らかにして、市民の盛り上がる声を聞き取りながら行財政改革の実を上げていくというのが本当じゃないでしょうか。これはだれの金でもありはせぬ、国民の金ですよ。特別交付税にいたしましても、これは国民の金です。その国民の金がだれにも知られぬところで操作をされて、何かわけわからぬが減ったらしい、いやふえたらしい、そんなことが許されていいのですかね。この点についてに大臣のお考えはいかがでございましょうか。私はもっと明朗正大な政治をやってもらいたいと思います。
  203. 田川誠一

    田川国務大臣 一般論としては、はっきりと国民の皆さんにわかるようにした方がいいと思います。ただ、個々の問題になりますと、先ほどお話のように、まだ決まってないときに特に皆さんからお話があって、まだわからないという例もあったと思うのです。一般論としては、なるべくはっきりして、わかるようにした方がよろしいのではないか、私はこういうふうに思っております用地方の実情その他、特殊な例もありますから、必ずしもそうも言えないと思いますけれども、一般的にはその方がいいという感じを持ちます。
  204. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 では、この問題で余り時間を食ってもいけませんので、強く要望をしておきますが、いわゆるプラスアルファする、あるいはマイナスをするというような操作を行ったということは、そこの町に住む住民に対してわからなければ意味がないですね。そういうのを私は密室政治と言うのではないかと思うのです。特別交付税大臣のポケットマネーで配られるのだったら私は何も文句を言いません。だが、とうとい血税じゃありませんか。その血税を操作するということになったら、その具体的な操作はしかるべき関係筋でおやりになって結構でありますけれども、その結果については、国民に対して、あるいは市町村民に対して公表する、そういう姿勢が望ましいと私は思いますので、強く要望申し上げておきたいと思います。  次に入らせていただきます。  地方交付税地方公共団体の固有の財源であるにもかかわらず、地方自治体には、交付税算定の基礎について不服がありますという場合でも、審査を請求する以外、交付税の運営に参加をする道がないなど、まことに閉鎖的になっております。したがって、地方公共団体地方交付税の配分方法、積算方法の決定などにつきまして意見が言えるような制度の改善を図るべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
  205. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、制度的な面と現実の運用面と両面から地方公共団体の御意見を拝聴するように、私ども日ごろから大変努力しておるつりでございます。  制度的な面で申しますと、毎年度地方交付税の決定に当たりましては、大臣決裁を得る前に地方財政審議会の議を経ることにいたしております。そして、この地方財政審議会にはそれぞれ地方六団体の推薦する人が委員に参画していただいておりまして、それぞれの立場から適切な御意見をちょうだいいたしております。  それから、事実上の運用上の扱いの問題といたしましては、毎年度交付税法改正法案が御承認いただきますとその年度の算定作業に入るわけでございます。通常でございますと五月末から六月、七月にかけて算定作業に入るわけでありますが、その時点で、具体的なその年度の算定内容、補正係数の問題、数値のとり方の問題等について、法律で大筋は決まっておりますけれども、具体の扱いについては各都道府県や市町村の御意見を拝聴する場を設けておりまして、毎年度適切な御意見をちょうだいしております。  それから、実は算定作業の直前では現実問題として対応し切れないものがあります。内容によっては法律改正を要するものもありますから、そういったことも踏まえまして、毎年度交付税の算定が終わった後に、また時期を決めまして各都道府県、市町村の実務者の御意見をちょうだいするようにいたしております。これまでの算定方法の改善の多くのものは、このような場を通して各地方の御意見を拝聴した結果実現したものが多いわけでございます。
  206. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次に、地方債制度の問題につきまして以下何点か質問をさせていただきます。  現在、地方債発行については自治大臣または知事の許可を必要とすることになっていますが、許可制をとっている根拠と理由は何でありましょうか。
  207. 石原信雄

    石原政府委員 今日、地方債発行につきまして自治大臣または都道府県知事の許可を要件としておりますが、その理由は、大きく言いまして二つないし三つ挙げることができると思います。  一つは、国内の限られた資金を公的部門と民間部門に計画的に配分する、これは財投計画の役割だと思います。その財投計画の中で国と地方がどのように資金を使うか、この仕分けもするわけです。そうして、地方の分として仕分けられた資金を今度は各都道府県、市町村に計画的に配分していく、そういった意味で、国内の限られた資金を計画的に配分し調整する、こういう役割が一つであろうと思います。  それからもう一つの役割は、個々の団体ごとに地方債発行について適正な限度を保持して、その団体の財政の健全性を確保するという役割でございます。この後段につきましては、もちろん地方債発行は各地方公共団体の議会の議決が必要であります。議会の場で、その団体として将来に負担を残すわけでありますから、どの程度が適当かという御審議をいただくわけでありますけれども、やはり国全体の立場から適正限度を確保するという必要が今日依然として強いと申し上げざるを得ないわけです。そういった意味のいわば財政の健全性を確保するために必要である。  三つ目は、実は今回御提案申し上げております交付税法改正などとも関係があるわけでありますが、最近は、財政上の事情もありまして地方債によって必要な地方財源を確保しなければならない場面が多いわけであります。そうしますと、これは実質的には各団体に対する財源付与の役割も果たしております。こういった面については、どうしても許可制度によってこれを定めていかなければいけない、各団体の自由というわけには本来いかないわけであります。  大きく言いまして、この三つの事由が今日許可制度を必要としている理由と考えております。
  208. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この地方債発行の許可につきましては、地方自治法の二百五十条で、当分の間、許可を必要とする、こういうことになっておるのでありますが、その当分の間というのが早くも三十六年間経過をいたしましたね。この三十六年間続くこと自体がおかしいのでありますが、政府といたしましては、近い将来、この許可制を廃止するという考えはございませんか。
  209. 石原信雄

    石原政府委員 現在の地方自治法二百五十条ができた当時の経緯を調べてみますと、考え方として、地方債発行は各団体の固有の権限と申しましょうか、その団体の議会の議を経て決めるというのが本筋である、それが地方自治法二百三十条で規定されているわけでありますが、しかし当時の地方財政を取り巻く状況のもとで、いわゆる自由発行は言うべくして到底実現できない、現実的でないということで、当分の間の措置として、いわば暫定的な措置として二百五十条の規定が置かれたようであります。  私どもは、地方公共団体地方税を初めとする自主財源が財政需要に対して十分な額に確保され、各地方団体が地方債に頼るというのはむしろ例外的な場合に限られる、そして地方団体がそれぞれの自主的な判断で財政運営ができる、こういう理想の状態が来るならば、この二百五十条の規定は要らなくなるのではないか、こういう考え方もいたしておりますけれども、残念ながら、今日の状況はこの許可制度を廃止できるような状況にない、このように考えております。  しからば、これがいつまで続くのか、見通しについてのお尋ねでございますが、私どもはなるべく早い時期にこの地方財源充実強化が図られることを望んでおりますけれども、御案内のように、現在は「増税なき財政再建」が至上の課題となっている状況、我が国の財政を取り巻く環境、こういったことを考えますと、いつまでにというその見通しについて的確な御答弁ができるような状況にないということを御理解賜りたいと思います。
  210. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 地方債発行について許可制をとる政策上の理由というのは、今局長が御説明に相なりました。詳しく言うならば、第一に国及び民間資金の需要調整という資金統制論、これがまず第一ですね。第二は、有力団体への資金の偏在ということを調整するいわゆる弱小団体庇護論、これが第二の理由です。第三には、償還能力以上の起債の調整、いわゆる健全性保障論とでもいいますか、そういう三つにあると思うのであります。しかし、このような政策上の理由は今日非常に乏しくなってきておりますね。  それで以下質問をさせていただきますが、第一の資金調整につきましては、地方債計画とか金利操作とか、マクロの間接的な手段による調整で十分行われるのではないでしょうか。
  211. 石原信雄

    石原政府委員 マクロとしての公共部門と民間部門の配分、それから公共部門における国と地方の配分、これはマクロの議論、財投計画の議論でいいわけでありますけれども、その限りにおいては、それが許可制度を必要とするという直接的な理由とはならないのですが、ただ、その公共部門の中で国と地方の割り振りを決め、さらにその地方の中で団体ごとの割り振りを決める、先ほど先生御指摘のように、団体によって、非常に財政規模も大きく信用度の高い団体とそうでない団体とがありますから、それらの団体の力関係に任した場合には必要なところに必要な資金が行かなくなるというおそれがあります。そういった意味で、資金統制論といいましょうか、資金調整という意味からも、個々の団体ごとに必要なところに必要な資金が確保されるということにするためにも、やはり許可制度が必要である、このように考えております。
  212. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、次の問題でありますが、第二に資金偏在の是正ということを今お話しになりましたが、およそ理由にならぬのじゃないですか。大都市であれ過疎の村であれ、教育あるいは福祉施設、下水道、公園事業などというような市場ベースに乗りにくい投資は、全額政府資金が与えられるべきでありまして、その意味政府資金の許可制の理由がある、私はこういうふうに思っておるのであります。非市場サービスは政府資金で行い、市場サービスは民間資金でという融資の原則が守られていけば、少なくとも民間資金についてまで許可制をとる必要があるのかなというような感じがするのであります。その点はいかがでありますか。
  213. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる資金調整の意味からするならば、政府資金は確かに限られたものだから必要だけれども、民間資金は自由でいいじゃないか、こういう御指摘でございますが、現在地方公共団体の必要とする地方債資金の総量に比べまして、政府資金の総量というのは残念ながら極めて不十分であります。真に必要とする施設の起債財源としても政府資金不足しております。ですから、政府資金だけについて調整すれば、民間資金についてはフリーでいいという状態にはないと思います。民間資金についても、許可制度によってある程度オーソライズすることによって、弱小団体にも民間資金が確保されるようにする必要がある、このように考えております。  さらに申しますと、初めにもちょっと申しましたように、今日の地方債の許可制度背景には、地方債による投資的経費の財源付与という意味合いがかなり濃厚にあります。その場合、財源付与の手段としての地方債の原資が政府資金で完全に賄えるほどに政府資金が十分でない、そういう手段として民間資金を活用せざるを得ないという現実もございます。  そういうわけでありまして、政府資金以外についての許可制度は必要でないじゃないかという点については、残念ながら、私どもはそのような現実にないとお答え申し上げざるを得ないのであります。
  214. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 第三の問題でありますが、地方債発行の限度の問題は、一定額以下の発行限度額を法律やそれぞれの団体の条例で決定すればよいのでありまして、許可制によって保障をすべきものではないのじゃありませんか。
  215. 石原信雄

    石原政府委員 各団体の財政規模等によって一定のラインを定めて、そのライン以内であれば自由発行、それを超える場合についてのみ許可制にしたらという御意見、これは、かねてから地方債の許可制度の運用のあり方としてそういった御意見があることを私どもは承知しております。  ただ、今日の状況では、一定限度以下のものはすべてフリーにして、それを超えるものだけを許可制度にするという、その限度をどこに引くかということにもよりますけれども、残念ながら、一定限度以下はフリーにするというほどに、国内の資金のうち公共団体に振り向けられる部分が十分でないという実情にあると思いますし、先ほど申しましたが、何よりも今日地方債による財源付与という意味合いの濃い分野がかなりありますので、一定限度以下はフリーということは、こういう実質的な財源付与制度としての許可制度を考えますと現実的でない、このように思います。
  216. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 では、次に進ませてもらいます。  昭和五十七年度の、本来地方税で与えるべきものを減収補てん債という起債で穴埋めをした措置、五十年度以来続けられております地方交付税の基準財政需要額の一部を財源対策債の発行という形で地方債に振りかえる措置など、政府のこれまでの措置は、地方債を政策手段として利用し過ぎてきたのではないのでしょうか。
  217. 石原信雄

    石原政府委員 御指摘の点は、いわゆる地方税の減収補てん債の問題と、それから財源対策債のことについての御指摘かと思います。  まず、減収補てん債ですが、この額が非常に大きな額として相当の団体に発行されたのは、昭和五十年度の補正の際と昭和五十七年度の補正の際であります。いずれも、年度途中に景気の後退等によりまして、法人関係税を中心に大幅な地方税の減収が生じました。かつて四十九年度以前の時点において地方交付税が相当潤沢に増額されたような時期におきましては、このような法人関係税の減収が生じますと、それだけ交付税をふやして、基準財政収入額の再算定をすることによって補てんしたわけです。そうすることが地方財政立場からすれば望ましい姿であろうと思います。  しかし、五十年度の場合も五十七年度の場合も、残念ながら国、地方ともに大変な財源不足状態に陥ってしまって、やむを得ず減収補てんのために地方債発行を認めて、その地方債につきましては、その償還費を基準財政需要額に後で算入する、そして実質的に法人関係税の再算定をしたのと同じように、個々の団体にとっては同じような扱いになるようにしたわけでございます。ですから、私は、これは望ましい措置としてやったのではなくて、その時点の財政状況からやむを得ずこういう方法に頼らざるを得なかったという事情にあったことを御理解賜りたいと思います。  それから、いわゆる財源対策債についてでございますが、御案内のように、五十年度以降の各年度の巨額の地方財源不足について地方財政対策を講じたわけでございますけれども、その際、不足額の一部は建設地方債の活用で対応せざるを得なかった。具体的には、従来交付税の基準財政需要額で算定しておりました投資的経費の一部を地方債に振りかえざるを得なかった。これは、各年度財政状況のもとで、本来なら交付税でこれが措置されればこのような振りかえは要らなかったわけでございますけれども、残念ながらそれができなかったために、このように振りかえたわけです。  ですから、政策的にと言えば政策的にでございますけれども、方式として望ましい姿としてこういう手段をとったのではなくて、財政上の制約からやむを得ずこういう方法をとらざるを得なかったものである、このように理解をいたしております。
  218. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 地方債発行の許可制をとっていながら、政府資金の比率が年々低下しておりますね。昭和二十八年におきましては八〇・九%、昭和四十年が六一・九%、そして昭和五十九年が四八%という状態になってきておりますが、地方債の市場が未発達のまま、資金の五割以上を民間資金へ求めるように追い込んでいった政府の責任は免れないと私は思います。政府はこの責任をどうおとりになるおつもりでございますか。
  219. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは、地方債制度の運用に当たりまして、低利、長期の政府資金をなるべく多く確保したいということで努力してきたわけでございます。しかしながら、昭和五十年度以降、国の方で国が大量に発行されている、そして現実にその国債を資金運用部が引き受けをせざるを得ない。こういう状況のもとで、地方債に振り向けられる政府資金の割合が低下してきたことは事実であります。それなるがゆえに、昭和五十年度以降五十八年度までは、いわゆる利差臨特というような方式で金利負担実質的な軽減措置を講じてきたわけでございます。  ただ、決して十分とは申しませんけれども、五十九年度の財投計画の策定に当たりましては、地方債資金の確保に重点を置きまして、御案内のように、五十八年度政府資金比率四一・一%であったものを四八・五%まで引き上げた。政府資金総額を四千億ふやしまして、財投資金の配分の中では地方債への増額が飛び抜けて大きかったということが指摘されておりますけれども、私どもとしては、五十九年度は、いろいろな制約のもとではありますが、この政府資金の確保には一定の前進があったもの、このように考えております。しかし、これで満足せずに、今後とも政府資金のシェアアップに努力してまいりたい、かように考えております。
  220. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 財政自治の原則からいたしますと、地方債の許可制度は、少なくとも政府資金以外についてはこれを廃止すべきではないんでしょうか。
  221. 石原信雄

    石原政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、現在の地方債の資金需要と政府資金の現実の額との関係からいたしまして、政府資金以外の分について許可制度を撤廃できるような状況にない。政府資金以外につきましても許可制度によって計画的な配分を確保する必要がある。さらに、個々の団体の状況によっては、財政の健全性を担保する意味からもやはり許可制度の存続が必要であると考えておりますし、さらに、先ほど申しましたように、投資的経費の財源付与の一手段として地方債を活用せざるを得ない状況にあるということからも、許可制度は維持せざるを得ない、このように考えております。
  222. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 現在地方債の許可手続が、大蔵省、いわゆる出先の財務局、そして自治省に分かれまして、それぞれの所要の手続を求められておりますね。非常に煩雑であります。一本化すべきではないかと思います。なぜ、起債の許可を受けるに当たりまして大蔵省との協議が必要なのでありますか。
  223. 石原信雄

    石原政府委員 大蔵省は、財政金融の総括的な調整を行う役所として、地方債に限らず、すべての金融関係について関与しているわけであります。もちろん、地方債の許可制度の運用の実態からいたしまして、地方立場からするならば、大蔵大臣との協議によってそれだけ事務が煩雑化しているという指摘もあり、これを廃止すべきではないかという議論がかねてからあることは事実であります。しかしながら、現実問題として、財政と金融の調整という見地から、大蔵大臣としてはこの地方債の許可にどうしても一定の関与は必要である、こういうことで今日に至っているわけでございます。  しかし、そういった建前論は建前論といたしまして、現実の事務の簡素化の見地から、協議というのは必要最小限度にとどめるべきだと考えておりまして、従前に比べますと、今日の地方債の許可に当たっての協議は相当大幅に簡素化されたと私どもは考えております。今後ともそういった方向で努力してまいりたいと思います。
  224. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この際ちょっと伺っておきますが、地方債計画というのは、あれは自治省単独で毎年出すのでありますか。
  225. 石原信雄

    石原政府委員 自治大臣大蔵大臣と協議して、自治大臣が定めております。
  226. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ということになりますと、大蔵省は、国家財政への影響、資金の効率的な使用、そういうものからその存在理由を主張しているのでありますが、そのような政策上の要求は、毎年度地方債計画に当たりまして、今言うように大蔵省と自治省との間で事業別、資金別、それぞれ十分に協議を行ってつくったものでありますから、それによってその趣旨は達成されておるのですね。変更があれば、その都度両省において協議をされれば済むことじゃないのでしょうか。何で一々地方債発行するに当たって大蔵省の認可が必要なんですか。地方債計画は要らぬじゃないですか。
  227. 石原信雄

    石原政府委員 まさに先生御指摘のとおり、大蔵大臣との協議は地方債計画をつくるときでいいじゃないか、マクロの段階で、大蔵大臣財政金融の総括責任者としての意見はそこに反映するのだから、あと個々の団体ごとの配分は自治大臣なり都道府県知事に任せたらいいじゃないか、こういう御意見がかねてからあります。私どもの役所の中にもそういう意見が非常に強いのでありますけれども、しかし大蔵省の立場からしますと、トータルだけではなくて、個々の団体の資金配分についても承知する必要がある。特に政府資金については融資官庁としての立場がありますけれども、しかし民間資金についても現在協議が行われているわけでありますから、政府資金だけでは説明がつかないわけです。  いずれにしても、この点については先生御指摘のような意見がかねてから強く存在していることは事実でございますけれども、その点は残念ながら今日根本的な解決は見ておりません。したがいまして、私どもは、この協議制度に伴う弊害、これは事務の複雑化、事務の遅滞、こういう点に出てくると思いますので、この点はできるだけなくすように努力してまいりたい、このように考えております。
  228. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 局長さん、正直なところをお話をしていただいたのでございますが、いずれにしましても、これによって地方債の許可手続が物すごく煩雑である。地方自治体にとっては多大な負担を強いられておるということは局長も御認識のとおりでございますが、この大蔵省との協議は、地方債計画をつくる段階で十分協議が行われておるわけでありますから、あとは自治省の方に任せてもらうというのが自治省のとるべき姿ではないかと思っておるのであります。この個々の協議の廃止、これについて大蔵省に決然として強く求めていくということはしませんか。
  229. 石原信雄

    石原政府委員 この問題は、許可制度が始まったとき以来のいわば懸案といいましょうか、争点になっている事柄でありまして、私も役人になりましてから、地方債関係に、携わってから、何とかしてこの点での実質的な簡素化を図りたいということで努力してまいりました。しかし、残念ながら協議制度そのものを廃止するというに至っておりません。  したがいまして、私は、具体的な弊害が生じないようになるべく協議を簡素化する、協議制度は言うなれば大筋で協議する、細かい点については自治省なり各都道府県なり各自治体に任せてもらう、こういうことで運用の実を上げていきたい、このように考えております。
  230. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは昨年の予算委員会であったかと思いますが、そのときに、私は何でもかんでも大蔵省が出しゃばってくることに対して頭にきておる議員の一人なんですが、例えば厚生年金の積立金にいたしましても、三十兆円から積立金がある、これは資金運用部の方で自由に操っておりますね。これの金利は七・二%で操作しておりますね。だから時の厚生大臣に、こんなことをやられておってあなたは悔しくないかと言いましたら、その厚生大臣は非常に率直に言いましたよ。残念です、これは厚生省に任せてもらいたいと。厚生省に任せてもらいたいと大臣は今言われたが、あなた、任せてもらったらどう運用するつもりかと私はこう聞いたのです。  これはなぜそういうことを聞いたかといいますと、例の国家公務員の給与が凍結された年でございますね。そこで、同じく厚生年金の方も引き上げをやめる。その引き上げをやめるという理由は何ですかと言ったら、引き上げるためには原資が二百八十億円必要であります、ところがその金がありません、全部大蔵省に握られておりますので厚生省で運用ができませんと、こう言う。それを厚生省に任せられたらどう運用するかと言ったら、十年国債を買う、七・五%の利子である、その利子の差が〇・三%ある、したがってそれだけで九百億円その利子の差額が出てくるわけでありますから、必要な財源二百八十億なんてそんなものは何じゃらほいだ、何でもないことである、こう言って、時の厚生大臣は非常にわかりやすく厚生省の態度を明確にいたしました。  その後、閣議でけんかしたのかどうか知りませんけれども、とにかく自治省におきましても、地方債計画をつくるときに、大枠の中で、あの中でいわゆる政府資金と民間資金との枠だってちゃんと決まっておることですし、それを一件一件その起債の許可を大蔵省に求めなければならぬなんという、つまらぬことに時間と手間をかけないように、これは田川さん、自治大臣になったのでございますから、厳しく言ってこの制度改正してもらうようにひとつ頑張っていただきたいと思うのであります。  さて、自治省昭和五十二年の予算編成のときに、地方団体金融公庫を創設したいということを要求なさったことがありますね。その後、この構想は一体どうなったのでございましょうか。大蔵省にこの構想が認められなかったということが主な理由ではないかと思うのでありますが、もしそうであるとするならば、その理由は何であったのでしょうか。
  231. 石原信雄

    石原政府委員 御指摘のとおり、五十二年、五十三年にかけまして、公営企業金融公庫を改組して普通会計も貸付対象とする新たな公庫をつくりたい、こういう要求をいたしました。私ども考え方としましては、五十年度以降大変な地方財政危機になりまして、地方債への依存が好むと好まざるとにかかわらず避けられない。そうして、政府資金に限りがある以上は、民間資金の調達について、個々の弱小市町村等についてはやはり公庫がかわって資金調達を行う必要があるのではないかというようなことで改組を提案したわけでありますけれども、残念ながら、大蔵省当局の大変強い反対に遭いまして、私どもの要求した原案のような形での改組は実現いたしませんでした。  大蔵省が反対している理由は、一般会計といいましょうか、地方財政一般についての資金は政府資金がこれまでできるだけの協力をしてきたということと、それから民間資金についても、交付税制度等によって地方債償還が確保されているから、許可制度を通じて十分確保できるじゃないか、そのような公庫の改組がなくとも必要な資金は確保できるじゃないか、また、その必要があれば大蔵省が個々の金融機関を指導して十分それが可能なようにするから、何も公庫を改組する必要はないじゃないか、こういうことであったように思います。  しかし私どもとしては、この公営企業金融公庫が普通会計についても融資を行えるようにしたいということが非常に大きな眼目でありまして、結局この点については、臨時地方道整備事業、臨時河川等整備事業及び臨時高等学校整備事業、その当時、最も緊急に資金が必要と考えられる三つの事業について、臨時的な扱いとして公営企業金融公庫が融資できるようにいたしました。この改正は今日も実行されているところであります。したがいまして、当初私どもが考えました、より抜本的といいましょうか、根本的な公庫の改組は実現いたしませんでしたけれども、ある程度の前進はあった、このように考えております。
  232. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 政府は、地方債発行に当たりましては、許可だけはいたしますが、政府資金というのは必要額の約半分です。民間資金を半分当てにするのでありますが、民間資金は自治体が自力で融資先を探さなければならぬ。各自治体はだんだんふえていきます地方債の消化に全く悩み苦しんでおるという状態にあります。  このような状態にかんがみまして、先ほど局長からお話がありましたような、公営企業金融公庫を拡充強化して、普通会計事業全般につきまして同公庫が融資できるようにするということにしたらどんなものでございましょうか。そしてその公庫を、先ほど申し上げました地方団体金融公庫に発展改組するべきではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
  233. 石原信雄

    石原政府委員 確かに今日、地方債計画上でも民間資金への依存というものがかなりの割合になっています。五十九年度で言いますと、三五%というものが純粋の民間資金依存になっております。そういった意味で、今後を展望して、公営企業金融公庫が普通会計についてもより寄与できるような形にすべきだという御指摘、私ども全く同感でございます。そういう気持ちを常に持っております。  ただ、先ほど申しましたように、五十二年、五十三年の改組をめぐっての論争、その考え方、これは今でも同じ考え方関係者は持っておりまして、この公庫の基本的な改正というのは、率直に申しまして大変厚い壁があると思っております。しかし、私ども一つの目標としてそういった方向を今後とも模索していきたい、そういう方向で努力していきたいと思っております。  ただ、民間資金が三五%ありますが、この償還につきましては責任を持っていかなければならないと思っております。幸い、現在の地方債の消化をめぐる環境を申しますと、民間資金について消化に苦しんでいるというような自治体は、私ども聞いておりません。幸い、今非常に順調に消化されているように承知しておりますが、もし金融情勢が悪くなって消化が難しいという事態になれば、これは金融の責任者である大蔵大臣とも協議して消化ができるようにする。これは五十九年度地方財政対策の自治大蔵大臣の最終決着の際に、両省、両大臣が協力してこの円滑な消化に努めるということを約束いたしておりますので、現実の問題としては御心配のようなことはないものと私は考えております。
  234. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大変明るい話を開いて安心いたしました。地方自治団体で地方債の消化に苦しんでおる団体は一つもない、心配してくれるな、しかもその地方債の消化については政府が責任を持つのだと、非常に決然とした態度でありまして、わかりやすいですね。非常にすばらしい答弁だと思います。  そして、普通会計事業全般についてもこの融資をしてもらえるようにということは今でも捨てておらぬ、それで地方団体金融公庫の設置についても決して希望は捨ててない、壁は厚いがあくまでも頑張っていく覚悟である、非常に決然たる決意を承りまして、私も心強く思っております。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、今年度全く新しく出てまいりましたまちづくり特別対策事業について、以下質問をさせていただきます。  このまちづくり特別対策事業のねらいと考え方は一体何でありますか。
  235. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度地方財政、御案内のように全体として厳しい歳出の抑制基調のもとで地財計画が策定されておりますので、全体として、各地方団体は財政運営に非常に努力、工夫していただかなければならない状況になっております。  そうした投資的経費の財源の伸びが抑制されている中で、各地方団体にその地域の町づくり、広い意味の地域づくりを行っていく意欲を失わせては大変だ。そこで、一定の単独事業の枠を設定しまして、各地方団体が自主的にその地域の実情を踏まえた町づくり計画をおつくりになった場合には、これに対して地方債資金を手当てすることによってプッシュしていきたい、そういう考え方の事業でございます。  なお、この具体的な配分をどうするか等については、現在、省内の関係部局で検討していただいておりますけれども、基本的な考えは、厳しい財政環境のもとにあっても、各地方自治体が自主的に地域づくり、町づくりに取り組んでいただけるような財政的な裏打ちをしたいというのがこのねらいでございます。
  236. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 このまちづくり特別対策事業は、ひもつき補助の国庫補助金ではなく、自治体の知恵、アイデアを生かせる自主的な財源だという御説明でありますが、これは、私どもがかねてから言っておりますいわゆる第二交付税的なものへ一歩踏み出した新制度と考えてよろしいのですか。
  237. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる第二交付税制度というのは、一定国庫資金を一定の基準で改めて配分して、その中で各地方団体に一定の目的のもとで自由に使っていただこうという構想と承知しておりますが、個々の地方団体の創意工夫を大いに伸ばすようにしていこうというそのねらい、気持ちとしては共通するものがあると思います。ただ、私どもが今度考えております特別対策事業は、あのか、それとも、もうわあっとみんなから、とにかく三千三百の団体から募るような形ですね、その中からくじ引きみたいな格好で選んでしまうのですか。その大まかなところはどうなんですか。
  238. 石原信雄

    石原政府委員 考え方としましては、今過疎債とか辺地債については、一定の基準で各都道府県に枠を配分して、その枠の中で各市町村が具体的な過疎地域の整備計画を立てて、それに起債を充当しておりますが、今回はそれとは全く同じじゃありませんけれども、似たような考え方で、一定の基準で、例えば人口でありますとか可住地面積でありますとかあるいは市町村の数とか、こういった一定の指標でまず各都道庁県ごとに総枠を配分しまして、その中でまた各都道府県が市町村と相談しながら具体的な割り振りを考えていく。  その場合に、いきなりその県下の市町村にべたに配分することになるのか、そうすると非常に小さい額になってしまいますから、そうではなくて、今日では大部分の都道府県がいわゆる広域市町村圏をつくっておりますから、そこで広域圏の事業計画というものがあるわけですね。それが財源上の制約から実現できないでいるようなプロジェクトもたくさんあるわけです。そこで、その枠の中で、団体によっては当然広域圏計画と調整しながら具体の事業を決めていくということになると思います。  ただ、私どもは、基本は市町村がそれぞれ知恵を出してもらうというのが基本だと思っておりますが、途中実際の資金の割り振りのときには、都道府県あるいは市町村のいろいろな意見の調整の場としての広域市町村圏というものが具体的な役割を果たすことは十分考えられると思っております。
  239. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは国庫補助金制度につきまして、以下何点か、時間の許す限り質問をさせていただきたいと思います。  地方で一番困っていることは、各省庁が補助金によって細部まで干渉してくる、また、書類づくりや手続に膨大な手間がかかるということであります。  都市経営総合研究所の調査によりますと、国に何を望みますか、今市町村を縛っている最大のものは一体何でありますかという質問をいたしましたところ、国庫補助金による干渉から逃れたいと答えたものが八〇%に及んでおると聞いております。また、市町村では日常どんな業務に忙殺されていますかという質問に対しまして、国や県への補助金の申請事務に三六・九%という答えが出ております。国、県からの調査を依頼されることが二三・二%、関係住民の説得と対応に二五・二%というような状態でありまして、国庫補助金やそれに関連する調査、その事務、それで市町村事務の約六割を占めておると言われておるのであります。  自治省は、このような補助金の実態をどのように考え、各省庁にどのような改善をこれから呼びかけていくおつもりでございますか。
  240. 津田正

    ○津田政府委員 補助金制度につきましてはいろいろ意見がございますが、確かに全国的に一律の行政水準を確保する、こういう意味では非常に効果があると思います。しかし、中央各省が具外的に事業内容まで決めるということによりまして、本当にその地域の実態に即した事業であるのかどうか、そういう意味での問題点と、それから御指摘の国と地方との間で補助金事務で費やされるエネルギーというものは、いわば税金のむだ遣いとも言えるようなもので、その分だけむしろ国民生活に関連する経費に充てられるべきものであるわけでございます。そういう意味におきまして、事業の実効性を確保するということ、そしてむだな労力を費やさないということが必要かと思います。  そういう意味におきまして、自治省といたしましては、零細補助金の廃止、補助金の統合メニュー化あるいは総合補助金の導入というようなことと同時に、最初御指摘がございましたいわゆる交付金化というような問題を取り上げまして、地域の実情に即するように補助金が使えるようにするとともに、その手続の簡素化につきましても毎年度各省に申し入れておるような次第でございます。地方団体からの要望もございますし、今後とも強力に進めてまいりたい、かように思います。
  241. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 五十九年度の地財計画におきまして、直轄事業、公共事業及び災害復旧事業におきまして地方負担の割合がふえてきておりますね。例えば直轄事業でいいますと、五十八年が国が六八・八、それが六八・二に落ち、公共事業の関係では国が五八・九だったものが五八・一に落ちてきておりますね。これら事業における地方負担の転嫁が進んできておるんじゃありませんか。
  242. 津田正

    ○津田政府委員 マクロ的に見ますと全体の事業費が抑えられておるわけでございますが、国費の減少額よりも地方負担の減少額が少ない、そういう推測もあるわけでございますが、この原因は、一つは各種の地域財政特例措置に伴います国費のかさ上げ額の減少というものがございます。それともう一つの大きな流れとしましては、やはり国土の根幹的な事業というものの整備が大体終わってきまして、住民生活に密着した事業に事業の内容が移っている。そういうような動きというものは、国費面で見ますと、国土の基幹的な事業というものは国費率、要するに補助負担率が高い、ところが限られた地域の事業になってまいりますと補助率が低い事業である、もともと性格的にそういうようなものです。事業が大きな事業から小さな事業、国民生活に密着した事業に移っておるということが、先ほど申しました国費の大幅な落ちほど地方費が落ちない、こういうことかと思います。  したがいまして、これは国の責任の地方への転嫁ということではなくて、やはり国民生活に必要な事業に事業の内容が時代とともに変わってきた、整備水準が上の方からだんだん下の方に移ってきた、こういうことの一つのあらわれと考えております。
  243. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が参りましたので、最後の質問をさせていただきますが、国の直轄公共事業については、本来、国の施策として行うという事業の性格からいたしまして、地方自治体が負担をするということは筋違いではないのでしょうか。その事業主、いわゆる原因者が負担をするというのが当然じゃないか。原因者負担というのが大原則である、こう思いますが、自治省はこれに対してどう思われますか。
  244. 津田正

    ○津田政府委員 単純明快には事業主体がその財政負担も全部しょうということも考えられるわけでございますけれども、現行制度におきましては、国の直轄事業に対して地方負担する、そのかわり県がやります事業についても国の負担事業ということで国費を取ってきておるわけでございます。  そういう意味で刺し違えなわけでございますが、ただ、私ども自治省としましてかねてより問題にしておりますことは、直轄事業におきましては維持管理の事業は地方負担を取っておきながら、地方団体がやります維持管理の経費については国費負担がない、これはおかしいじゃないかということでかねてから関係各省に申し入れておるわけでございまして、地方団体からもそういうような要望がございますので、今後とも関係省庁に申し入れを行ってまいりたい、かように考えております。
  245. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  246. 大石千八

    大石委員長 岡本富夫君。
  247. 岡本富夫

    ○岡本委員 朝十時から晩大体七時か八時を過ぎるのじゃないかと思うくらい熱心にこうして質疑を続けて、大臣あるいは局長さん、大変御苦労さんです。しかし、私見ておりまして、質疑をしたら少しでも交付税がふえるというのであればまことに好都合なんですが、余りふえないようですし、自治省とやっていると内々でやっているわけで、もう一つ気勢が上がらぬわけです。  しかし、何と申しましても、国税が六三・七に対し地方税が三六・三、こういうような税源配分でありながら、仕事になりますと、今度は国が二二・九それから地方が七七・一というような実質のか、それとも、もうわあっとみんなから、とにかく三千三百の団体から募るような形ですね、その中からくじ引きみたいな格好で選んでしまうのですか。その大まかなところはどうなんですか。
  248. 石原信雄

    石原政府委員 考え方としましては、今過疎債とか辺地債については、一定の基準で各都道府県に枠を配分して、その枠の中で各市町村が具体的な過疎地域の整備計画を立てて、それに起債を充当しておりますが、今回はそれとは全く同じじゃありませんけれども、似たような考え方で、一定の基準で、例えば人口でありますとか可住地面積でありますとかあるいは市町村の数とか、こういった一定の指標でまず各都道庁県ごとに総枠を配分しまして、その中でまた各都道府県が市町村と相談しながら具体的な割り振りを考えていく。  その場合に、いきなりその県下の市町村にべたに配分することになるのか、そうすると非常に小さい額になってしまいますから、そうではなくて、今日では大部分の都道府県がいわゆる広域市町村圏をつくっておりますから、そこで広域圏の事業計画というものがあるわけですね。それが財源上の制約から実現できないでいるようなプロジェクトもたくさんあるわけです。そこで、その枠の中で、団体によっては当然広域圏計画と調整しながら具体の事業を決めていくということになると思います。  ただ、私どもは、基本は市町村がそれぞれ知恵を出してもらうというのが基本だと思っておりますが、途中実際の資金の割り振りのときには、都道府県あるいは市町村のいろいろな意見の調整の場としての広域市町村圏というものが具体的な役割を果たすことは十分考えられると思っております。
  249. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは国庫補助金制度につきまして、以下何点か、時間の許す限り質問をさせていただきたいと思います。  地方で一番困っていることは、各省庁が補助金によって細部まで干渉してくる、また、書類づくりや手続に膨大な手間がかかるということであります。  都市経営総合研究所の調査によりますと、国に何を望みますか、今市町村を縛っている最大のものは一体何でありますかという質問をいたしましたところ、国庫補助金による干渉から逃れたいと答えたものが八〇%に及んでおると聞いております。また、市町村では日常どんな業務に忙殺されていますかという質問に対しまして、国や県への補助金の申請事務に三六・九%という答えが出ております。国、県からの調査を依頼されることが二三・二%、関係住民の説得と対応に二五・二%というような状態でありまして、国庫補助金やそれに関連する調査、その事務、それで市町村事務の約六割を占めておると言われておるのであります。  自治省は、このような補助金の実態をどのように考え、各省庁にどのような改善をこれから呼びかけていくおつもりでございますか。
  250. 津田正

    ○津田政府委員 補助金制度につきましてはいろいろ意見がございますが、確かに全国的に一律の行政水準を確保する、こういう意味では非常に効果があると思います。しかし、中央各省が具外的に事業内容まで決めるということによりまして、本当にその地域の実態に即した事業であるのかどうか、そういう意味での問題点と、それから御指摘の国と地方との間で補助金事務で費やされるエネルギーというものは、いわば税金のむだ遣いとも言えるようなもので、その分だけむしろ国民生活に関連する経費に充てられるべきものであるわけでございます。そういう意味におきまして、事業の実効性を確保するということ、そしてむだな労力を費やさないということが必要かと思います。  そういう意味におきまして、自治省といたしましては、零細補助金の廃止、補助金の統合メニュー化あるいは総合補助金の導入というようなことと同時に、最初御指摘がございましたいわゆる交付金化というような問題を取り上げまして、地域の実情に即するように補助金が使えるようにするとともに、その手続の簡素化につきましても毎年度各省に申し入れておるような次第でございます。地方団体からの要望もございますし、今後とも強力に進めてまいりたい、かように思います。
  251. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 五十九年度の地財計画におきまして、直轄事業、公共事業及び災害復旧事業におきまして地方負担の割合がふえてきておりますね。例えば直轄事業でいいますと、五十八年が国が六八・八、それが六八・二に落ち、公共事業の関係では国が五八・九だったものが五八・一に落ちてきておりますね。これら事業における地方負担の転嫁が進んできておるんじゃありませんか。
  252. 津田正

    ○津田政府委員 マクロ的に見ますと全体の事業費が抑えられておるわけでございますが、国費の減少額よりも地方負担の減少額が少ない、そういう推測もあるわけでございますが、この原因は、一つは各種の地域財政特例措置に伴います国費のかさ上げ額の減少というものがございます。それともう一つの大きな流れとしましては、やはり国土の根幹的な事業というものの整備が大体終わってきまして、住民生活に密着した事業に事業の内容が移っている。そういうような動きというものは、国費面で見ますと、国土の基幹的な事業というものは国費率、要するに補助負担率が高い、ところが限られた地域の事業になってまいりますと補助率が低い事業である、もともと性格的にそういうようなものです。事業が大きな事業から小さな事業、国民生活に密着した事業に移っておるということが、先ほど申しました国費の大幅な落ちほど地方費が落ちない、こういうことかと思います。  したがいまして、これは国の責任の地方への転嫁ということではなくて、やはり国民生活に必要な事業に事業の内容が時代とともに変わってきた、整備水準が上の方からだんだん下の方に移ってきた、こういうことの一つのあらわれと考えております。
  253. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が参りましたので、最後の質問をさせていただきますが、国の直轄公共事業については、本来、国の施策として行うという事業の性格からいたしまして、地方自治体が負担をするということは筋違いではないのでしょうか。その事業主、いわゆる原因者が負担をするというのが当然じゃないか。原因者負担というのが大原則である、こう思いますが、自治省はこれに対してどう思われますか。
  254. 津田正

    ○津田政府委員 単純明快には事業主体がその財政負担も全部しょうということも考えられるわけでございますけれども、現行制度におきましては、国の直轄事業に対して地方負担する、そのかわり県がやります事業についても国の負担事業ということで国費を取ってきておるわけでございます。  そういう意味で刺し違えなわけでございますが、ただ、私ども自治省としましてかねてより問題にしておりますことは、直轄事業におきましては維持管理の事業は地方負担を取っておきながら、地方団体がやります維持管理の経費については国費負担がない、これはおかしいじゃないかということでかねてから関係各省に申し入れておるわけでございまして、地方団体からもそういうような要望がございますので、今後とも関係省庁に申し入れを行ってまいりたい、かように考えております。
  255. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  256. 大石千八

    大石委員長 岡本富夫君。
  257. 岡本富夫

    ○岡本委員 朝十時から晩大体七時か八時を過ぎるのじゃないかと思うくらい熱心にこうして質疑を続けて、大臣あるいは局長さん、大変御苦労さんです。しかし、私見ておりまして、質疑をしたら少しでも交付税がふえるというのであればまことに好都合なんですが、余りふえないようですし、自治省とやっていると内々でやっているわけで、もう一つ気勢が上がらぬわけです。  しかし、何と申しましても、国税が六三・七に対し地方税が三六・三、こういうような税源配分でありながら、仕事になりますと、今度は国が二二・九それから地方が七七・一というような実質の配分になるわけですね。それだけ地方が仕事が多い。また、そのうちで地方税に次いで大切な地方交付税、この地方交付税の財源確保というものが地方自治体に及ぼす影響というのは非常に大きかろうと思うのです。  そこでお聞きをいたしますけれども、今度の法律の「交付税総額についての特例措置」、附則にありますけれども、ここに「交付税総額の安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずる」という条文がありますけれども、この「安定的」というのはどういうように理解をしたらいいのか。要するに、国税三税の三二%を交付税とした、この安定した財源対策を言うのだろうと私は思うのですが、そうとっていいわけですか。
  258. 石原信雄

    石原政府委員 地方交付税安定確保というものの意味するところは、各年度財政状況のもとで地方公共団体が計画的な財政運営ができるように必要な交付税総額を確保する、財政需要との関係で必要額を確保する、そして計画的な財政運営が可能なようにする、このように理解しております。
  259. 岡本富夫

    ○岡本委員 局長さん、自治省がそんなことではちょっと話にならないと思うのですね。それであれば、この国税三税の三二%という交付税をきちっと確保した法律趣旨と違う。交付税の率ができるまでは、平衡交付金ですか、これで毎年大蔵省とやり合って、そして何とか財源を確保して、それから各地方自治体に配給したといいますか交付を決めた。これですとその当時に戻ったことになるのじゃないでしょうか。いかがですか。
  260. 石原信雄

    石原政府委員 御案内のように、地方財政平衡交付金時代におきましては、平衡交付金の本来の額というのはないわけです。毎年度地方財政計画で歳入歳出をそれぞれ積算しまして、その差額として平衡交付金が決まってくる。だから、本来の平衡交付金の額というのはないのです。すべて根っこから積み上げでございます。  ところが、御提案申し上げております交付税法改正による今後の交付税安定確保の方策というのは、交付税法第六条の規定による国税三税の三二%に相当する額としての交付税、いわゆる本来の交付税というのがまずありまして、それから交付税特会が今後返済することになっております借入金、それの利子を差し引く。これは、今度御提案申し上げております法律案によって交付税会計負担になるわけでありますから、法定額三二%相当額から利子負担額を引いた額、これが交付税額としてまず決まるわけです。法律上、法定額としてまず決まってくる。それをベースにして、各年度財政状況によってどれだけの交付税の加算をすべきかどうか、こういう検討が行われる。  ですから、平衡交付金の場合には、言うなれば法定額というのは全くないわけで、根っこから収支計算の結果決まってくるわけでありますけれども、御提案申し上げておりますこの方式では、まず法定額というものが決まっておりまして、それをベースにして、各年度財政状況に応じてどれだけの特例措置を講じたらいいかということを御決定いただく、こういう仕組みになるわけです。言うなれば二段構えと申しましょうか、基本はあって、各年度特例措置について御判断いただく、こういうことになりますから、その点では、私は、根っこから全く決まってない、いわばもとから積み上げ計算をするところの平衡交付金とは根本的に違うものと考えております。
  261. 岡本富夫

    ○岡本委員 要するに、どうあれ国税三税の三二%を確保する、これが地方交付税の一番根本ですね。そうして、いろいろなものを出していますけれども、そういうのは全部国が今までは持っていたわけですね。この間、ここで、附則第三条の安定的な確保に資するための特例措置、それに対してあなたの方でどう答えたかといいますと、国の財政再建下における国、地方間の安定した財政の仕組みの必要性について、地方制度調査会で検討してもらいたいという答弁があった。これは明らかに、今あなたが言っていることではなしに、財源が少なくなったときにどうするかというのをもう一遍ここで検討し直そうというわけですよ。そうでなかったら、地方制度調査会でもう一遍検討する必要は何もないじゃないですか。いかがですか。
  262. 石原信雄

    石原政府委員 「増税なき財政再建」という大方針のもとで運営されております今日の地方財政、そういう厳しい環境のもとで必要な交付税額を確保したいという考え方から、今回交付税法改正を御審議いただいているわけでありますが、ただ、国の財政再建とも関連いたしまして、これから地方行政がどうなっていくのか、地方財政を安定的に運営していくためにはどうあったらいいのかということについては、今回御提案申し上げております制度は今の財政環境のもとでこの方式で運営していかざるを得ないと考えておるわけですけれども、それはそれとして、さらに広い立場から、今後の国、地方それぞれの財政を展望しながら、地方財源安定確保のためにはどういうことが考えられるのか、どういう検討が必要なのか、こういったことを地方制度調査会で御検討いただきたいということをこの前御答弁申し上げたわけであります。  地方制度調査会は、御案内かと思いますけれども、第二十次の調査会が発足いたしまして、これからいろいろな角度で地方財政について御検討いただけるようでありますが、私どもの気持ちといたしましては、今回は、税財政制度、特に地方財源安定確保のためにどういった方法が望ましいのか、こういったことも御検討をお願いしたいということを前回御答弁申し上げたところでございます。
  263. 岡本富夫

    ○岡本委員 実質的な地方交付税率の推移というあなたの方からの資料がありますけれども、これを見ましても、実質的な交付税率は、五十八年度で三五・二%、五十九年度になると三一・三%、ちなみに五十七年度は三八・九%、こういうように皆三二%を超えているわけですね。それでありながら今日これだけ地方自治体の赤字、五十何兆円というような大きな赤字がいろいろと出てきておるわけでしょう。したがって、この交付税率、すなわち三二%だけはどんなことがあっても切らないという決心でなければ、そして大蔵省と折衝しないと、どうもあなたの話を聞いていると、三二%を放棄したような御答弁が戻ってくる、これは私は納得いかないのですが、いかがですか。
  264. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは、交付税率三二%は何としても守っていきたい、このように考えております。ただ、五十九年度につきましては、その三二%相当額から、御提案申し上げている内容に沿って交付税特会借入金地方負担分に係る利子を負担するということになったために、最終交付額が三二%を切ってしまっております。現実に交付される額は三二%を切っておりますけれども、それは利子を負担することになったためでありまして、このもとの交付税率三二%というものはあくまで確保してまいりたい、このように考えているところでございます。
  265. 岡本富夫

    ○岡本委員 どんなことがあっても三二%は譲らないという決心でひとつやっていただきたい。  それから、起債制限団体ですが、これが既に五十七年度で十六団体、五十八年度が二十五団体、これは給与費が高いというのじゃなくして、本当の赤字団体ですね。こういうのがありますけれども、五十九年度はどのくらいに達する見込みか、ひとつお聞きしておきたい。
  266. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度の団体がどのくらいになるか、まだ最終的な数字は申し上げられる段階ではないのですけれども、今のデータから推定いたしますと、恐らく三十二団体程度になるのではないかと思っております。
  267. 岡本富夫

    ○岡本委員 公債費比率が二〇%を超えるものが起債が制限されるということですと、資料を見ますと、五十五年が二百三団体、五十六年が三百六十団体、大体一割程度は起債制限を受ける団体になっておりますね。先ほど答弁があったのと若干食い違いがあるわけですけれども、これはいかがですか。
  268. 石原信雄

    石原政府委員 いわゆる公債費比率が二〇%以上の団体は先生が今申されたような数字であろうと思いますが、具体的に起債制限を行う場合の起債制限比率としての公債費率と申しましょうか、公債償還費比率と申しましょうか、これはちょっと計算方式が違いまして、通常の決算統計で使っております公債費率というのは、公債償還費の一般財源負担額を一般財源総額で割り返した率、これを公債費率と呼んでおります。それは先ほど先生が御指摘になったような数字なんです。  ところが、公債費の中で一部のものは元利償還金地方交付税の計算上基準財政需要額で算定されますので、具体の起債制限をかけるかどうかの判定の場合には、交付税で算定される分は除外しております。そういう意味で、具体的に起債制限にかかりそうな団体は三十二団体程度ではないか。ちょっと計算式が違うものですから、団体数が違ってくるわけでございます。     〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕
  269. 岡本富夫

    ○岡本委員 今後さらにこういった財源措置を、要するに今までは特会から借りたものを今度は地方債に振りかえるわけですから、そうすると、ますます公債費の高いところの地方自治団体がたくさん出てくるのじゃないでしょうか。そして最後はどうなるかというと、あなたの方のあれで起債も発行できないようになって行き詰まってしまう、これを私は恐れるわけです。しかも、御承知のように、今政府の方針としては、公共事業も前倒しにして景気をよくして、そして少しでも財源をふやしていけるような、こういう片一方では方針をとりながら、地方自治体はそうしてあなたの方で抑えていくことになれば、これは話がおかしいと思うのです。この点ひとつ御見解をお聞きしたい。
  270. 石原信雄

    石原政府委員 確かに、マクロの議論として地方財政全体の公債費率が年々上昇しておりまして、私どもが健全な財政運営一つの限界と考えております公債費率一五%に近づいております。そういった意味では、地方財政対策として地方債への依存をするということは極力避けなければならない状態になっていることは事実でございます。私どももそのような認識でございます。  五十九年度の地財対策に当たりましても、地方債への依存をできるだけ引き下げたいということで努力をいたしたところでございますが、大体の充当率を前年度対比で申しますと五%引き下げたわけですけれども、今日の地方財政状況から見ますと決してこれで満足できる状態ではない、望ましい姿としてはもっともっと地方債を抑制すべきである、このように思います。そういった意味で、地方財政対策として地方債への依存をなるべく避けなければいけない、こういう一般的な状況にあることは事実でございます。  しかし、それと同時にまた、各地域の経済の活性化などをもたらすために公共事業等が積極的に実施されなければならない地域があることも事実であります。そういうところは地域経済を活性化させるために地方も協力せざるを得ない、そうした場合にはやはり地方債を活用しなければいけない、こういう矛盾と申しましょうか悩みがあるわけでありますけれども、私どもとしては、まず基本として、地方財政全体として、地方財政対策として地方債を活用する場面というか、そういう要素というのはなるべく避けていきたい。そうして、個々の団体がその地域の実情に応じて対応できる余地、余力というものをなるべく高めたい、このように基本的には考えております。
  271. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、大蔵省来ていますね。——伝え聞くところによりますと、大蔵省の財政制度審議会が去る一月十八日の報告で、地方交付税年度間調整措置制度化を提案している、こういう報道がありますけれども、これはどういうものなんですか。
  272. 藤井威

    ○藤井説明員 一月十八日に、財政審の歳出の合理化に関する報告というものをいただいております。その中で、今後の地方財政対策として、財政再建期間を展望した中期的な国と地方財政状況にふさわしい合理的措置の検討の必要をまず述べまして、続きまして、巨額に累積している交付税特会借入金依存による地方交付税増加措置の脱却、それにかわる建設地方債の増発及び臨調答申で指摘している地方交付税年度間調整措置制度化、大きく言いまして三つの柱を御提案いただいております。  ここで言っております年度間調整の制度化の意味でございますけれども、過去毎年、地方財政対策において、それぞれの年度地方財政状況を勘案しまして、地方団体に実際に交付される地方交付税総額について、国税三税の三二%の上に、単年度措置としてたびたび所要の特例加減算を講じてきた経緯がございます。これらの加減算の精算は後年度に行うという原則のもとでそういうことをやってまいりました。結果としては、そういうものが交付税年度間調整の効果を持ってきたわけでございますが、この財政審の答申で言います制度化というのは、こういう年々の年度間調整的な効果を持ったそういう措置を、何らかのルールをつくって毎年ルールのもとでやっていく、そういうことによって地方財源の保障機能を弾力的に発揮させたらどうだ、そういうルールに伴う制度化というような御提案であろうと思っております。
  273. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも難しいことばっかり言って、はっきりしたどうだという決め手がないような回りくどい話だからわからない。はっきり言うと、国税の三二%の地方交付税大蔵省が手を突っ込むということなんだ。そしてその年度で前の借金を返してみたりいろいろする、そういうことになるんじゃないでしょうか。
  274. 藤井威

    ○藤井説明員 交付税法の六条にございます三二%の部分を、手を突っ込むといいますか、それを基本的に動かすつもりは全くございません。そこがその年度間調整という言葉意味だと思います。その点は、自治省御当局の答弁と我々全く同じ考えでございます。  それで、先ほどルール化に伴う地方財政調整というものの御提案をいただいたということでございますが、今回御提案しております措置は、そのようなものだとは考えておりません。効果としては、当然それは財政調整の効果がございますけれどもルールに基づいてそういうことをやっていくのだ、そういう制度化を御提案しているわけではございません。
  275. 岡本富夫

    ○岡本委員 大蔵省にもう一遍聞きますけれども、三二%の地方交付税が決まれば、自治省から各市町村に交付税を配付しますね、特別交付税は別として。その配付を皆待っておるわけですが、その配付をせずに置いておいて、それで少しずつ調整していこうという考えではないのでしょうか。
  276. 藤井威

    ○藤井説明員 全くそういう考えではございません。
  277. 岡本富夫

    ○岡本委員 自治省はこの年度間調整についてどういうふうにお考えになるのか、ひとつお聞きしたい。
  278. 石原信雄

    石原政府委員 ただいま主計官が答弁申し上げたことと基本的には同じでございますが、私ども理解では、年度間調整の制度化というのは、一定の方式を法律上定めまして、いわば予算措置でもって交付税の法定額が一定の範囲で増減できるような仕組みを考える、これが年度間調整だと思います。  そういうものについては私どもは反対でございまして、今回御提案申し上げておるものはそういうものではない。各年度財政状況に応じて個々具体的に法律でもって国会で御審議をいただいて具体的な内容を決めていくわけでありまして、予算措置でもってその増減を自由にできるというものではございません。いわゆる年度間調整の制度化というのはそういうことであろうと私ども理解しておりますが、そういうものには私どもは賛成いたしかねるところでございます。
  279. 岡本富夫

    ○岡本委員 ここではっきり物を言っておいてもらわぬと後になって困る。なぜかといいますと、この五十九年度特例措置の千七百六十億円のうち、三百億を六十六年と六十七年に返済するわけですね。これを三二%の交付税から年度間調整をしょう、こういうようになってくるのではないかと思うのですが、これはどうですか。大蔵省、そういうふうになりますか。
  280. 藤井威

    ○藤井説明員 五十九年度の場合には、法定の三二%に千七百億円余りの特例加算を行うという措置をとっておるわけでございますが、基本的に三二%という率は動かさない、その上に千七百六十億円加える。したがって、その加えた分については将来返していただくという意味で、六十六年度以降に三百億円は返していただく、こういうことを法律規定していただくということを御提案しているわけでございます。  そういう意味では、結果的には年度間調整といいますか、三二%自体は動きませんけれども、それに対するプラス、マイナスが年度間によって若干行われるという効果は持っておるということが言えると思います。しかし、先ほど自治省財政局長が御答弁になりましたように、何らかのルールあるいは一定の率とかというようなことで、予算措置あるいは行政当局の判断で三二%を自由に動かすという意味での制度化ではございません。
  281. 岡本富夫

    ○岡本委員 せんだっての十七日に、吉井委員地方交付税特例措置について、今後この特例措置による加算額が借入金の利子負担額を下回る場合には、交付税実質的な税率は法定の三二%を下回るのではないかという質問をしたときに、あなたの方はそうだと答弁しているわけですよ。だから、結局何だかんだ言いながら、なし崩しに三二%はいろいろなもので実質的に減っていくわけです。ですから、ぜひひとつ三二%は減らさないようにやってもらいたい。
  282. 石原信雄

    石原政府委員 私どもは三二%という現行交付税率は守っていきたい。実は一部の新聞の社説などでこの際三二%を引き下げてはどうかというような御提案もありますけれども、私どもは今の地方財政状況のもとでは三二%は絶対に守っていくべきものと考えております。  ただ、利子負担につきましては、御提案申し上げておりますように、いろいろ折衝の結果として交付税特別会計償還することになりました五兆七千億弱の元金に対応する利子は、交付税特会負担で利子を支払っていかなければいけませんので、その限りにおいてはその三二%に食い込むわけでございます。大変つらい話でありますけれども食い込むわけでありますが、しかし三二%のもとの率は何としても守っていきたい、こういうことを申し上げているところでございます。
  283. 岡本富夫

    ○岡本委員 こればかりやっておっても仕方がたいから、次に手数料の改正について少しお聞きしておきます。  まず、手数料の算定基準はどういうことになっておるのか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  284. 津田正

    ○津田政府委員 お答えいたします。  今回提案しております法律案におきましては、「実費を勘案して」というふうにしてございます。要するに、手数料は地方団体が特定の者のために特定のサービスを提供するものでございまして、その費用を賄うために、または報償として徴収するものでございまして、特定の者の受ける限度において当該事務に要する経費たる実費を目途としておるわけでございます。  ただし、実費と申しましても、この場合個々の事務の実費というのはそれぞれ異なるかと思いますが、私どもとしましては実態調査等を行いまして、その実態調査の結果を踏まえ、関係各省とも協議しながらでございますが、要するに標準的な実費というものを勘案して定めるつもりでございます。
  285. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは機関委任事務ですね。実際に仕事をしておるのは地方自治体ですね。ですから、本当からいえば、こういうのは条例でその地域に応じて決めさせるのが本当の実費になるわけです。国で一律に決めてしまうということは、やはりいろいろと違うわけですよね。ですから、地方自治体が条例で決めたものを採用するのが本当の実費ではないかと僕は思うのですが、いかがですか。
  286. 津田正

    ○津田政府委員 地方団体で取ります手数料としましては、御指摘の機関委任事務に関する手数料、それから当該団体の事務の手数料あるいは団体委任事務の手数料と、いろいろな性格のものがあるかと思いますが、団体自体の手数料あるいは団体委任事務の手数料につきましては、団体意思の決定ということでございますので、条例で決めるということが本則かと思います。  それに対しまして、機関委任事務の手数料につきましては、事務自体が本来国のものを地方団体に委任する、地方団体の機関に委任するというようなものでございますので、法令に根拠を置きながらその具体的なものは地方団体の規則で決める、こういうことが建前になっておる次第でございます。
  287. 岡本富夫

    ○岡本委員 機関委任事務だから、国で算定をしてそれだけの分を全部いただければちゃんとできるんだ、あなた方の方は地方自治体に対してそういう考え方をしておる。ところが、各地方自治体を見ますと確実にほとんど持ち出しですよ。後でまたやりますけれども、例えば国保の委任事務にしましても、四万ぐらいの都市で年間六千万ぐらいは持ち出しになっている。こういう一つの姿を見ましても、国で決められたものを、機関委任事務でやってその手数料できっちり賄えるかというと、そうではない。私が調べますとそういうのがたくさんあるわけです。  それはそれとして、こういった実費というものは地方自治体、すなわち現場で手数料を決める。決めるのは、やはり何と申しましても地方議会がありますから、めちゃくちゃ高くは決められない。それの方が私は本当の実質的な手数料になるんではないかということを申し添えておきます。  次に、手数料については三年ごとに見直しということであるけれども、三年ごとというのは、三年後のことを考えての改定なのか、または現時点を考えての改定なのか、これをひとつお聞きしておきます。
  288. 津田正

    ○津田政府委員 今回の法改正に伴う手数料の額を改定するに当たっては、現時点におきます人件費だとか物件費等の経費を基礎としまして、先ほど申しましたような当該事務に要する標準的な費用を算出しまして金額を決定することとしておるわけでございます。
  289. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、眠たくなりますから一つお聞きしておきますけれども、きのうでしたか、臨調の土光さんとお会いになったそうですが、土光さんの方から自治大臣に対して申し入れがあったと思うのです。地方自治体の行革について、どういう申し入れで、今後どういうようになさるのか、ちょっとお聞きしておきたい。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕
  290. 田川誠一

    田川国務大臣 きのう土光さんが大槻さんと一緒においでになりました。行革関連法案が幾つか出ておりますから、これができるだけ早く国会を通るように御協力をお願いしたいということが一つと、それからもう一つは、地方の行政改革を推進できるようにひとつできるだけ地方に対して強い指導をしていっていただきたい、こういう二つの要請がございました。
  291. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、大臣はその御要請にこたえてどういうようになさるか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  292. 田川誠一

    田川国務大臣 最初の要請は、恐らく私どもの新自由クラブの代表として協力要請があったと思うのです。私は政府側ですから、法案を通していただくのはもう当然のことでございまして、むしろこちらからお願いをしなければならない事項でございまして、最初の行革関連法案のことについては余り話はいたしませんでした。こちらこそお願いをしたい、こういうことを申し上げた。  地方の行革については、地方団体の多くは、好むと好まざるとにかかわらず行政改革をやらざるを得ないので、一生懸命やっているということを申し上げました。これに対して土光さんは、地方は余りやってないような意味のことを言われました。ですから私は、考え方が土光さんとは少し違うということを申し上げまして、地方財政が豊かであるというような考え方をお持ちになっていらっしゃる方が行革審の一部にいるのは非常に残念だということで、私の考えを申し上げておきました。  それから、大槻さんから行革に関連して地方議員の定数をもっと大幅に減らすべきじゃないかというお話もございました。私はこれに対して、地方議会は随分自主的に減らしている、これは何も自治省が指導しなくても自発的に議会の議員を減らしているじゃありませんかということを申し上げておきました。それに対して、恐らく地方自治法を改正して地方議会の標準の議員の数を減らせというお言葉だと思いました。ですから私は、そういう国民的な声として議会の議員の数を減らせという風潮は出てきておるけれども、今、国会が何もやらないのに、地方議会の議員だけ減らすなんということはとてもできない。地方議会の議員定数を減らすということであれば、少なくとも国会議員の議員定数を減らさないで、何で地方の議会の議員定数を減らすことができるかという意味のことを申し上げておきました。
  293. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、土光さんの方から地方の行政改革について御要請があったと思うのですが、一つはこういうことを答えてもらいたかった。それは、機関委任事務、これが余りにも多過ぎる。それからもう一つは、先ほども話がありましたように、零細補助金で非常に忙しい。もう一つは、必置規制で法律を変えなければ行革ができない。この三つが非常に災いをしているのではないかと思うのです。そういうことを率直に答えてもらったらよかったと思うのですが、いかがでしょうか。
  294. 田川誠一

    田川国務大臣 それほど詳しくは申しませんけれども、大体そういうような、国のかかわりによって地方負担を受けるようなことがあるということはもちろん申し上げました。土光さんはよく私のところに来られますので、その都度そのようなことは申しております。ただ、大分お年をとっていらっしゃいますから、一たん思い込みますとなかなか御自分の考えを変えるような人でもないようでございまして、なかなか大変でございます。
  295. 岡本富夫

    ○岡本委員 それをまた上回ってちゃんと説得をする。同時に、土光さんを説得してもだめなんですね。これは自治省として各省を説得をして、それでこの機関委任事務で必要のないものはやめさせていく。  そこで、行革の推進ということで二年間に一割程度の整理合理化を実施するというような方針が出ておりますけれども自治省としてはどういうように取り組み、またどういうようにやっておるのか。地方制度調査会で数次にわたって根本的改革を求められておりますけれども、二十七年から比べると、この別表を見ますと、抑制どころか二倍になっているのですね。びっくりするくらいふえている。抑制せい、ふえてくるでは、これはどうも話にならぬ。これについて自治省のお考えをひとつお聞きしておきたい。
  296. 大林勝臣

    ○大林政府委員 機関委任事務の整理につきましては、委員と私ども全く同じ意見でございます。ただ、この機関委任事務が、仰せのように戦後二十年代から比べまして倍になるほどふえてきました。これにはいろいろ理由もあるわけでありますけれども、とにかく行革の一番重要な一環として、この機関委任事務の整理というのが最初の仕事である。  ただ、この問題が臨調の中におきまして意見が非常に対立したという経緯があります。地方側は、機関委任事務の廃止論ないし大幅な整理を主張するのに対しまして、国側と申しますか、従来の国の各省庁の考え方というのは、どちらかというと機関委任事務をさらに活用すべし、こういう全く反対の意見が対立したわけであります。そこで、調査会としましても結論を出せないままに、当面二年間に一割削減をするという、少し中途半端な仕組みに現在はなっておるわけでありまして、先般の第百国会におきまして一割整理というものを一通りやったわけでありますが、その際にも、私どもが各省に対しまして相当働きかけましてもかなりの抵抗がありました。  結局は、機関委任事務の問題というのは、臨調の答申に基づきまして、行政改革推進審議会という新しい場で根本的にそのあり方について論議をする必要があるということで、現在小委員会を設けられて論議をされておるわけでありますが、その結論を待つまでもなく、とにかく今後機関委任事務はできるだけふやさない、こういう方針のもとに、現在各省から法案協議——地方団体に関します法案は必ず協議が自治省に参ります、その協議の際に、この事務は機関委任事務を団体事務にしてほしい、こういう要望をいたしておりまして、相当成果が上がっておると私どもは思っております。  そういった法案協議を通ずると同時に、行政改革推進審議会の機関委任事務の根本的なあり方の論議の結果を待ちまして、私どもはさらに大幅な改正に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  297. 岡本富夫

    ○岡本委員 行政局長の今の話を聞いていると、全然論理が合わないのですよ。各省庁が反対をしてできない、だから今後はふやさないように言っております、そういうふうに注意をしておいて、今後は整理をしていきます。最前から聞いているとどうも話が合わない。漫画みたいな話に聞こえるのです。  田川自治大臣の時代に、相当やはり抵抗があろうと思うのですけれども、あると申しましても、一つ一つ聞いてみますとこういうことなんですよ。  例えば、建設省来ておりますね。——公有地の拡大の推進に関する法律、要するに都市計画によるところの先行投資ですね。こういう事務、これも建設省の委任事務になっているのですね。これはどうですか。
  298. 田丸勝朗

    ○田丸説明員 お答えいたします。  御承知のように、都市計画区域内の土地の先買いにつきましては、公有地の拡大の推進に関する法律昭和四十七年にできてまいりまして、この法律規定されているところでございます。  具体的に申し上げますと、都市計画区域内に所在いたしております一定の要件に該当いたします土地の所有者が、その土地を有償で譲渡しようといたしますときには、都道府県知事に届け出をしなければならない。また、その土地を地方公共団体でございますとかあるいは土地開発公社等による買い取りを希望いたしますときには、都道府県知事にその旨を申し出ることができる、こういうふうにされておるわけでございます。さらに、都道府県知事は、この届け出でございますとかあるいは申し出にかかわります土地の買い取りを希望いたします地方公共団体あるいは土地開発公社等を定める、こういったようないわゆる先買いに関します事務を行うこととされておるわけでございます。  このように、公有地の拡大の推進に関する法律規定されております土地の先買いに関する事務につきましては、先生先ほど指摘のとおり都道府県知事が行うこととされておりまして、いわゆる機関委任事務というふうにされておるわけでございます。  その理由といたしましては、この先買いの対象となります土地といたしましては、都市計画施設等の用地であります。また、土地の先買い団体といたしましては、先ほども申し上げましたように地方公共団体でございますとかあるいは土地開発公社だけではございませんで、例えば住宅・都市整備公団でございますとか、あるいはさらに地域振興整備公団、こういったようないわば国の機関があるわけでございまして、そういう意味におきまして、土地の先買いに関する事務につきましては、一公共団体のみの観点からでございませんでより広域的な観点から行うものがあるわけでございます。そういう趣旨で、都道府県知事という一元的な窓口機関を設けましてこういう事務を行っているのが妥当だというふうに考えておる次第でございます。
  299. 岡本富夫

    ○岡本委員 こういうのは、一々国に伺いを立てなくたって、知事でやれるのだったら、もう国の介入は要らぬと私は思うのです。こういうのはもうみんな権限を自治体に渡せばいいのですよ。  もう一つ、今度は旅館業法。これは厚生省ですか、営業の許可、施設の構造設備、またその付加的基準の策定、施設への立入検査、これは厚生省どうですか。
  300. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 旅館業法につきましては、国の機関委任事務ということで地方公共団体に処理を願っておるわけでございますけれども、旅館業法と申しますのは、風俗的な規制というふうなものもございまして、風俗営業等取締法と調整を要するというふうな点がございます。さらに、運輸省の法律でございます国際観光ホテル整備法、さらに、通産省の法律でございます中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律、いわゆる分野調整法でございす、そういったものとの調整を要することでございますので、いろいろと御指摘の点はあるわけでございますけれども、こういった関連する法律がいわゆる機関委任事務ということになっている関係もございまして、各関連省庁と協議をする必要がございますので、なおしばらく時間をいただきまして検討したいというふうに考えております。
  301. 岡本富夫

    ○岡本委員 分野調整とか、旅館つくるのにそんなばかなことを言ったらこれは話になりませんよ。何か権限を持っていないということで放さないようにしておる。また、これは風俗営業であれば警察の方ですから、地方自治体で団体委任しておるわけですから、そういうことは絶えず立ち入りしてできるわけです。だから、こんなのは一々国で機関委任事務として残さなくたって地方自治体で十分できる。  それから、もう一つ言いますよ。興行場法、これは映画館ですか、経営の許可、施設への立入検査、これも厚生省だ。
  302. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 興行場法につきましては、昨年三月の臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえまして、行政管理庁、自治省も御協議をいたしまして、先般の行政事務の簡素合理化及び整理に関する法律におきまして、その事務を団体委任事務ということにして既に処理してございます。
  303. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間があれですから、最後に一つ、建設省、来ておりますね。——駐車場法ですか、路上駐車場設置計画の決定、路外駐車場等の立入検査、これも機関委任事務になっていますか。
  304. 富永栄一

    ○富永説明員 お答えいたします。  お尋ねの路上駐車場設置計画でございますが、これは都市計画の中に位置づけられることになっております駐車場整備地区というものの中におきまして、既存の路外駐車場だけでは自動車の駐車需要に応ずることができないということで、必要な路上駐車場の配置及び規模というものを定める計画でございまして、現行法では都道府県知事または市町村が定めるということになっております。  この路上駐車場の設置計画は、近隣商業地域あるいは商業地域等、自動車交通が著しくふくそうする地区におきまして、一般の路外駐車場が十分整備がなされるまでの間、一般交通を阻害しない範囲内で一般道路の一部を駐車の用に供するという目的で定められるものでございます。そういうわけでございますので、路外駐車場の整備がまだ十分でない地域におきましては、なお路上駐車場を設置する必要があるというふうに考えておりますので、この事務自体を廃止することは適当でないと考えております。  ただ、実態から申し上げますと、知事が定める路外駐車場設置計画は極めて少数でありまして、ほとんどは市町村が定めておるということでございます。
  305. 岡本富夫

    ○岡本委員 皆市町村でやっておるのですよ。ですからこういうのは国の機関委任事務にしなくていい。  そこで、自治省で再検討をして、これは行革の方ですから、自治省から強力に言ってもらわなきやならぬと思うのですが、地方公共団体の区域内でもう完全に事務ができ、その結果が国の施策の遂行上格別の影響のないような事務先ほど申しました旅館とか公衆浴場、映画館あるいはまた公有地拡大推進法あるいは墓地埋葬法、駐車場、こういうものは機関委任事務から整理してしまう、そしてそれについていろいろ必要な費用は交付税で出す。そして地方自治体が軽く仕事ができるように、先ほど申しましたように行革が推進できるようにしてあげてもらいたいと思うのです。また、地域的な特性には関係なく全国的に画一的な基準づくりをしなければならぬもの、こういうものはやはり私は残さなきゃならぬと思っております。そういったものをきちっと分けて、一日も早く機関委任事務の整理再配分、これをひとつ要請をしておきたいと思うのですけれども大臣の決意を承っておきたい。
  306. 田川誠一

    田川国務大臣 かねてから機関委任事務の整理統合というのは私ども強く主張していたところでございまして、今後ともこの問題は強力に推し進めてまいります。
  307. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、どうも政府の今の姿勢を見ますと、地方自治体に権限はおろさずに負担だけをどんどん押しつけていくような感じがしてならない。  そのうちの一つは児童扶養手当、これも地方自治体に二割負担を強いております。その上に、児童扶養手当は母親の年収が三百六十一万円未満で子供が十八歳未満だと月に三万二千七百円支給されていたものが、今度は母親の所得制限を三百万円とし、しかも年収百五十一万円以上は支給額を月二万一千円へと大幅に削減した。期間も、支給開始から七年間。せめて高校卒業まで、こういうようなささやかな願いであったけれども、今度は大幅に切ってしまった。しかも未婚の母と、別れた夫の年収が六百万円以上ならば無条件に支給対象外とする、別れたお婿さんが前のお嫁さんに金を渡すというのはなかなかない時代ですが、こういうように改悪をしながら、さらに地方自治体に二割の負担を押しつけていく、こういうような姿勢はひとつぜひ自治省の方でも、これは大体厚生省ですけれども、福祉の後退のないように注意をしていただきたいと思うのですが、これもひとつ大臣に政治的な配慮から御答弁をいただきたい。
  308. 田川誠一

    田川国務大臣 児童扶養手当の問題につきましては、この予算編成をめぐりまして厚生省、大蔵省、自治省、三者で随分議論をしたところでございました。児童扶養手当の性格が年金の補完的なものから福祉政策的なものに変わってきたということで、私ども、厚生省との話で折り合ったわけでございます。できるだけ地方負担のかからないように配慮をしなければならないということで手当てをするつもりでございます。  これは、単に地方がかぶるということではなくて、児童扶養手当の問題についていろいろ議論がございまして、その結果、福祉政策の一環として国と地方と分担をしていこう、こういうことになったわけでございまして、今後とも負担のかからないように努力をしてまいりたいと思います。
  309. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも、あった議論というのは、自分の主義による片親世帯への支給はおかしいというような議論だったと思うのですけれども、子供には何の罪もないんですよ。それから、どんどん人口が少なくなってくるような時代ですね。幼稚園でも随分皆大変だと言っているわけですから、これからどんどんふえてくるというのじゃないんでしょうから、将来の日本の国を背負う子供たちですから、財政の許す限りやってもらわなければならぬ、こういうように強く要望しておきます。同時に、地方自治体にその財源を肩がわりさせるということはまずい、こういうことを強く要望しておきます。  そこで、もう一つ補助金の問題なんですけれども、農林省——来ていないですね。  零細補助金、例えば、同じようなものが、農村婦人の家、(農業の)担い手センター、農業就業改善センター、農業地域多目的研修会施設、(農業近代化の)総合地域施設、農林漁家高齢者センター、農林漁業者トレーニングセンター、ふるさとセンター、生活改善センター、多目的集会施設、山村開発センター、基幹集落センター、これは皆二分の一の定額補助になっておるのです。まあ名目は違うのでしょうけれども、こういう同じようなのは、どうでしょうかね、必要なものには補助金を出してやってもらうのは必要ですけれども、名前だけ違って、課がたくさんある、その課が一つずつ、少しずつ分配するというようなやり方はいかがかと思うのですが、自治省、これはどういうふうに考えられますか。
  310. 津田正

    ○津田政府委員 御指摘のように、利用の実態が非常に類似している施設等に係る補助金が幾つもある、こういうようなことでございまして、私ども、各省に対しましては、地方団体におきます施設の有効利用、効率的な管理運営等を図る見地から、そのあり方に関し相互の調整を十分に行っていただきたい、このように要請しておるところでございます。
  311. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう一つ、物価安定対策事業費補助金、これは定額ですけれども、経済企画庁からと通産省からと農林省、この三省から同じ補助金が出るわけです。この申請の手続の煩雑、こういうものを整理統合して、一カ所にすればちゃんと出てくるというような補助金制度に変えたらどうかと思うのですが、この点はいかがですか。
  312. 津田正

    ○津田政府委員 そのような補助金につきましては、統合メニュー化というような格好で一つ補助金の中にくくり、かつ地方団体の実情に即して若干の流用はきくような補助金にしてもらいたい、このように私ども申し上げているわけでございまして、若干進んできております。
  313. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう時間がありませんから続いて言っておきますけれども、もう一つは、文部省の補助金をもらうときに、国庫負担の教材費の仕分けをずっと出さなければいかぬのですね。例えば小学校では、紙芝居とか舞台とか三十四品目、社会では郷土、都道府県地図等二十四品目、国語、作文指導用黒板、これが八品目、算数は教授用算数セット等六十品目、音楽では、音楽家の肖像画ですか、こういうものが五十二品目、図画工作では教授用掛け図等七十九品目、家庭では教授用掛け図五十二品目、体育では記録用黒板等五十四品目、クラブ活動では園芸用具等四品目、こういうような細かい品目を一つ一つ各小学校から出しているのですが、これは文部省のどこで見ておるのでしょう。——答弁は要りませんよ。  ですから、こういうことも、大臣聞いてくださいよ、あなたの方から言ってくれぬと、これは今の自民党さんだけではだめです、悪いけれども。こんなことは常識でわかっておるわけですからね。毎年毎年、補助金をもらうためにこういうように一品一品出す。これはもう地方自治体に任す、会計監査もあるんだし。黒板がちょっと大きいとか小さいとか、色がどうとか、そんなことばかりにとらわれて、結局この手数料が非常にかかる、先ほども話がありましたように。そこで、本当に教育の方に力が入れられるようにした方がいいと私は思うのですよ。この点について、ひとつ大臣の確たる答弁。そのように申し伝えますとかじゃなくして、これだけ地方自治体の交付金も少なくなってくるときですし、また行革もうんとやらなければならぬ。だれかの時代に先鞭を切らなければ私はできないと思いますよ。これだけまず申し上げておきます。
  314. 田川誠一

    田川国務大臣 私どもがかねてから主張しておりますように、零細な補助金地方でできるようなそういうものはできるだけ統合して、メニュー化してやっていくように努力をしてまいります。
  315. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣地方自治体の仕事を軽くして、そしてあなたが土光さんにお約束なさった行革が進んでいくように、さらにひとつ一段の御配慮をお願いいたします。  最後に、もう時間がありませんから、退職者医療、これも地方自治体に大きな負担をもたらす、こういうことですので、この制度について厚生省からひとつ御説明願いたい。
  316. 阿部正俊

    ○阿部説明員 今回の医療保険制度、各般の改革の中で退職者医療制度というものをつくるということになってございます。  その退職者医療制度考え方でございますが、被用者保険は、定年等で退職いたしますと、これが雇用関係がなくなるものですから国民健康保険の被保険者になるという格好に現在ではなるわけでございますが、この階層の方々といいますのは、医療費が非常にたくさんかかるような方々でございますし、かつまた、納付されている保険料額といいますのは、年金等が中心になるものですからそう多額なものではないということで、財政的な見地から見ましても、国民健康保険に対しまして相当な負担の要素になっておるわけでございます。  今回の改革の中で、これから先の高齢化社会に対応するというふうなこともございまして、この退職者医療制度というものを、国民健康保険のサイドの負担ではなくて、被用者保険のサイドの方の負担で賄うという姿にしましょうというふうに考えたわけでございます。  ただ、どういったふうな制度で退職者医療制度をやるかということになりまして、いろいろ検討したのでございますが、現在国民健康保険の被保険者になっている方々でございますので、それを別建てにいたしまして全国一本で新たな制度をつくるということは、これまた先生御指摘のような意味で、行革ということからしても、また多数の事務を要し、かつ人員も要するということになりますので、国民健康保険の制度の中で処理をするというふうにその構成を考えたわけでございます。  先生御心配負担関係でございますが、事務面での負担というのと、それから財政面での負担というのがあろうかと思うのでございますが、事務面での負担ということからしますと、もう既に現在でも国民健康保険の被保険者になっておる方々でございますので、その方々につきまして、例えて言えば、その経理を別にいたしましてその経理負担というものを被用者保険サイドの方で負担するということになりますので、事務が全然ふえないというのはちょっと言い過ぎかと思いますけれども、当初のスタートのときの事務は多少要するというふうに思っておりますけれども、恒常的に考えますと、その資格だとか保険料の徴収とかいうのは従前とそう変わりませんので、長期にわたった事務的な負担というものを市町村にかけるものではないというふうに考えております。  それから、財政的な意味での御負担でございますけれども、退職者医療制度の対象の方々といいますのは医療費が非常に高くかかる方々でございますし、かつまた保険料がそれを賄うに足るものが出ておりませんので、むしろ今の姿で市町村国保の負担になっておるということもございますので、これができますと負担が軽くなるというふうに考えていいのではないか。一方、こういう財政再建というふうな時期でもございますので、国民健康保険に対する国庫補助の整理合理化という面ももちろん加味してございますから、全体的にいえば保険料負担水準もそう上がらないで済むような形での国庫負担の削減が行われておりますので、長期的にはともかく、短期的には一挙に楽になるということはございませんけれども財政的な意味では特段市町村に御負担をかけるものではないというふうに理解しているところでございます。
  317. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういうふうに理解されては困るのですね。大蔵省と厚生省は本当に頭がいいのですよ。退職者の人たちの医療費はもとの組合の方から回ってくるからそれだけ減るぞ、確かにいいなと思っておったら、今度は補助金ですばっと切ってしまう。今までは医療費の四〇%の補助金が厚生省から来ておったが、今度は給付費の四〇%。こういうようなのを試算しますと、細かい説明を抜きますが、これは四万二千四百八十一人の国保加入者の市の計算をしてもらった。そうすると、この退職者医療制度では確かにこれによって財源は少し入ってきますけれども、今度はあなたの方で補助金を切った分、これと計算しますと年間一億五千三百四十九万六千円、これは一つの市です。それから全国平均九%の退職者医療の人数と見て、一〇%の該当者がいるもう一つの市で計算をしてもらいますと七億八千四百万、一三%で計算すると四億八千二百万。要するに一六%退職者医療の該当者がいると大体とんとんになる。一六%もとても見込まれないと思うのです。  そこで、もうきょうは時間がありませんからあれしますけれども、今度こういった退職者医療制度が実現しまして、そして結局各市で赤字になった分は調整交付金で厚生省が見るようにきちっとなっておるのですか、いかがですか。
  318. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  退職者医療制度の創設に絡みまして、国庫補助金の削減ということを行っておるわけでございますので、先生御指摘のように、国庫補助金の絶対額、それだけを比較いたしますと、退職者医療制度の加入者が多い、少ない、特に少ないところにおきましては額が減るというふうなことは事実問題としてあろうかというふうに考えております。ただ先生、国庫補助金の削減政策が市町村財政にどういうふうな影響を及ぼすかというふうなときに考えていただきたいのは、医療費がどういうふうに変化していくであろうかということが一つございます。あと、保険料そのものもある程度毎年上がってきておりますし、所得の増加及び人数の増、あるいは医療費が特に高いところはある程度上げていただかなければいかぬというふうな市町村も出ようと思うのでございますが、すべての市町村について、今年度財政補助金どこの退職者医療制度の創設によってもたらされる結果とで比較いたしまして、その絶対額だけで財政的な影響というものを御判断いただくのは、そういう見方もあろうかと思うのですが、財政的な影響という意味では、医療費の動向がどうなのかということ、それから保険料の水準というのはどういうように変わっていくのかということとあわせて考えてみなければいかぬ問題じゃなかろうかというふうに、考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、全国レベルで考えますと、今回の国庫補助の合理化というふうなことによりまする影響は、それによりまして直接市町村の保険料負担水準というものを上げるということにはつながらないというふうに理解しておるわけでございまして、個別的な市町村におきましては、医療費が非常に上がったとか、あるいは——今回私どもは、ほかの対策とあわせまして医療費の適正化対策というものを非常に強力に推進する、現にやっておりますが、せんだっても大阪の中野診療所の取り消しというふうなこともやっておりますけれども、そういったような意味で、かなり強力な医療費の適正化対策というのをあわせて考えますと、全体的に市町村国保財政に今回の制度改正が著しい悪影響を及ぼすということはないだろうというふうに見ておるわけでございます。
  319. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたはそう見ているか知りませんけれども、実際にこの市の姿を見ますと、この四万都市で年間二億くらい一般会計から入れておる。そして事務費を別に六千六百万出しておるのです。しかも低所得の方が多いこの国民保険でありますから、被保険者の皆さんの負担は能力いっぱいにきている。しかも医療費の伸びは、医療技術が相当伸びできますから、こういうことを考えますと、やってみなければわからぬというのも一つありますけれども心配だというのが地方自治体の国保を担当しておる皆さん方の意見なんです。したがって、あなたの方ではちゃんと見合うんだ、そういうように見ているのだけれども、話にならぬ。赤字になったらそれだけのものは調整交付金で見ます、こういうように約束をしてもらわなければ話にならぬと思うのですが、もう一遍。
  320. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  赤字になるのかならないのか、これは先生今お話しのように、医療費は非常に動くものでございますので、やってみなければわからぬということは確かにあろうかと思うのでございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、全体的に見まして市町村の国保財政に著しく悪い影響を及ぼすものではないと考えております。  一つは、市町村間によりまして退職者医療制度の加入者数に非常にばらつきがございます。小さな市町村になりますと数名しかいないとか、あるところでは三割を超すとかということがありますが、そういうふうなばらつきにつきましては全体的に調整をするというのが一つございます。  それからもう一つは、これは年度がもう少し先になってみないとわからぬという面がございますので、全国的に見まして国保全体の財政が立ち行かないというような、心配されるような状況に仮になった場合には、これは私が言うのもなんでございますけれども、全体的にしかるべく弾力的に対応するような措置も考えていかなければいかぬのじゃなかろうか、こんなふうに考えております。
  321. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に、退職者医療は七月から出発するのですか。どうなんですか。
  322. 阿部正俊

    ○阿部説明員 ただいま国会に審議をお願いしております政府原案では、七月一日からのスタートという前提で法案を作成してございます。
  323. 岡本富夫

    ○岡本委員 この法案、通らなければなんでしょうけれども地方自治体では、今から始めても七月までにはこれだけの退職者の方々の掌握はとてもできないし、いろいろな準備がなかなか難しい。したがって、準備期間を少し置いてもらわなければならぬというのが意見であります。  それについては、厚生省に、地方事務制度について、退職者の皆さんに関連するからその問題をきょうは論議しようと思ったのですが、ちょうど時間になりましたから、次の機会に譲ります。
  324. 大石千八

    大石委員長 加藤万吉君。
  325. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いよいよ交付税で最後の質問になりました。  そこで、交付税に対する各党のそれぞれの立場での御意見の発表がありましたが、問題は、この交付税法ルールの変更というものが、今日地方財政の置かれている状況から脱出する条件の一歩になるのだろうか。率直に言って、私ども意見、あるいは野党側のそれぞれの皆さん方の意見を聞いておりましても、地方財政の再建に向かっての第一歩というよりも、むしろ五十二兆円余になる交付税借入金の問題、地方債残高あるいは公営企業の一般会計負担分、こういうものがそのままの状況の中で当面をしのいでいくという、言うところのまさに暫定的な処理ではなかろうか。問題を全部先送りにして、今日の応急的な対策というような範疇を超えないというのが私どもの感想なのでありますが、全般を通しましての大臣の御意見といいましょうか、感想を含めてお伺いしたいと思います。
  326. 田川誠一

    田川国務大臣 今度の措置は、地方財政の従来の借入金体質にメスを入れて、そうして地方財政の再建を図っていこう、そのために特会借り入れを原則として取りやめたり、あるいは既往の借入金残高を繰り延べたり、国と地方との負担区分を明確にするというような見直しを行ったわけでございます。本来なら、こうした厳しい情勢の中でございますから法定税率引き上げるということであるべきだと思いますけれども、それもなかなかできないというようなことで今度の特例措置をとったわけでございまして、今度の措置は、そうしたことから見ると、中期的な展望に立った場合には、地方歳出の徹底した見直しが促進をされる、そういうことなどによりまして地方財政の健全化に資するもの、私はそのように思っているわけでございます。
  327. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 予算委員会で国の予算を審議したときに、赤字国債の解消を昭和六十五年度に置きました。いわゆる国債発行をゼロにする。私は、今度交付税特会借り入れを廃止したということは、そのまま即とは言いませんけれども、赤字国債をゼロにするという条件に等しい地方財政の見直しではなかろうか、実はそう思うのです。  これは大臣御案内のように、予算委員会で、ゼロにするために単年度一兆円ずつ赤字国債を減らしていくと。だが五十九年度は残念ながら一兆円になりませんでしたね、六千億ちょっと超えただけです。なぜ一兆円にならないかという中には、国の場合に、利子負担分を今度は一般会計から歳出を外して国債に肩がわりをしたわけであります。これだけで大体四千億近い金が一般会計からは浮いているわけですね。それでもなお赤字国債の六千億の消化しかできない。いわゆる減額しかできない。  今度の場合に一兆五千百億円という地方財源不足額は、いわばノーマルな地方財政を相当抑制しても、なお本来は、新聞やその他に報道されましたように二兆円ないしは三兆円あったんだろう。それを一兆五千百億円に抑えたわけですね。ちょうど言いますと、六十五年度に赤字国債をゼロにするというような状況を、五十九年度の段階で交付税借り入れをゼロにするという条件と並びとは言いませんけれども、政策的にはやや無理というものがこの中に出ているんではなかろうか、こんな気がしてならないのです。これは財政局長でいいですが、そういう物の見方を私どもして、今度の地方財政交付税法案が提起をされているというように私は理解するのですが、いかがでしょうか。
  328. 石原信雄

    石原政府委員 今回御提案申し上げております交付税法改正法案の大前提といたしまして、交付税特別会計借入金方式を今後は行わないということが柱になっているわけでありますが、これは、これ以上交付税会計借り入れを継続するということが、地方財政にとりましてもまた国にとりましても、今後の財政の健全化にとって大変なことになる、これ以上借金を続けることが許されないところまで来てしまったという事情と、それから現実に、交付税特会の借入原資であります資金運用部の短期資金の方も対応能力が限界に来ている、こういうような事情から借入方式を廃止することにいたしたわけであります。  そして、五十九年度地方財政対策を具体的に御提案申し上げているわけでありますが、その前提としての地方財源不足額一兆五千百億円というものが算出されましたが、その算出の根拠として、確かに地方歳出について極力抑制するという措置が講ぜられております。ただ、この場合、国より一足早く借入金から脱却するために国より厳しい歳出抑制措置を講じたということではないわけでありまして、歳出の抑制基調としては、あくまで国と同一の基調に立っている、そういう前提で歳出を積算した。それが地方団体にとって大変厳しい財政運営意味することは否定できませんけれども、これは今日の国、地方を通ずる財政状況のもとで、国に準じて国と同一の基調で歳出の抑制措置を講じた、こういうことであろうと理解しております。
  329. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 抑制の結果、一兆五千百億円ですね。その背景地方裕福論があると私は思うのです。したがって、今度は特会借り入れを廃止しても地方は単独事業でそれをカバーする、ないしは自主財源でそれをカバーし得る。五十九年度はそれで済んだと私は思うのです。しかし、六十年度、さらには六十六年度償還が始まる状況等を見てまいりますと、恐らく建設地方債でも吸収し切れない、事実上の赤字地方債発行せざるを得ない条件がこの中で生まれてくるのではなかろうかと危惧するわけです。  そこで、締めくくり質問ですから細かには申し上げませんが、この財政再建の方向を地方交付税の中だけに限って議論をし、ないしはそれについている特会とかいわゆる風鈴部分で解決をしようとしても事実上困難ではなかろうかと私は思っているのです。  財源不足額は一体何から生まれているかということを、ちょうど大臣おいでになりませんでしたが、参考人の意見を聞いて私は大変参考になりました。それは、財政指数がAという都市が一、Bという都市も一だったという場合には財源不足額は出ないわけです、ところがAという都市が財政指数が一・二になり、Bという都市が〇・八になったときには、地方交付税が当然Bという都市に配付されなければならぬという状況が起きるのです。一体その財源不足額は何で起きたかといいますと、従来の産業構造が変化をした、例えば第二次産業が第三次産業に変化をした、あるいは就労の構造が変わってきた、したがってそこの税目について目を注がなければ財源不足額の徹底的な充足は望めない、こういう御意見があったのです。私は傾聴に値しました。  そうなりますと、実はこれは後で質問しようと思っているのですが、たばこの消費税の問題も、これは物品税ですが、流通過程における税目をどう捕捉をするのかということが大変大きな課題になるのではなかろうかと思っておるのです。きょうは大蔵省も見えておりますが、大蔵省はこの前中期財政試算を出しました。五%の財政の伸びで九兆九千億。この中には今度国が負担する利子分を一体どう取り込んでいるか。私は残念ながら知らないわけですが、仮に国債に逃げていっても九兆九千億、六十五年度には財源不足だ。したがって、国が出した中期財政計画は、当然のことのように大型消費税あるいは新しい税目をとらない限り昭和六十六年度以降の我が国の財政再建はできませんということを意思表示していますよ。  さて、それに見合って今度自治省の方で新しい地方財政試算を出していただきました。これは、細谷議員や私どもが追及するに値しない、いわゆる討議に値しない。確かに今ある実態の計算だけで伸ばしていけばこういう数字になるでしょうけれども、今言ったように、これから日本のあるいは地方都市の財政構造や就労構造あるいは経済の成長の伸びなどを地方なりにとらえて財政試算をある程度出していただかないと、どうも大蔵省の出したものを単に援用するだけでは今の地方財政の赤字からの脱却はできないのではないかと我々は思うわけです。  そこで質問ですが、そういうところに手を触れなければ——今大臣は、交付税改正は、地方の需要を抑えて、そういう中でできる限り財政再建の方向を見出そうという役には立っていると言いますけれども、それは今のルールの中の抑え方だけなんです。新しい条件を提起してどうするかという問題には一つも触れていないのです。私は、そういう財政構造というものを考え、新しい税目というものを考えていく、同時に皆さんからしばしば議論がありますように、補助金、交付金、国庫の支出金、これもいま一遍洗い直してみる。これを全部洗い直して今出せなんて言ったって、できるものじゃないです。したがって、それが入り口として、あるいは将来として展望されるという方向性を持った交付税内容改正案が欲しいですね。でなければ、単に今あるものをちょっとひねくり回してみて、問題の先送りをしてみたり応急措置をとってみたりという以外にはないと思うのです。  これは非常に残念なことですけれども、私はこれで何代目かの大臣と質疑応答するわけですが、当委員会でそういう長期的な議論をしたことが、次の政策として、長期的なものとしてとらえられていかないのです。非常に残念です。今度、田川さんが新自由クラブから大臣になられたわけなんで、新自由クラブの大臣ならば新自由クラブという党を通して政策の継続性というものは私は私なりに理解できますけれども、もし大臣がおかわりになって、今度は連立の中で自民党の大臣がお見えになりましたというと、今せっかく私どもが提起しました、税項目や補助金や何やらを含めて新しい地方財政というものをその視点から検討するという、その入り口の問題でも出してくださいよと言ったそのこと自身も消えてしまうのです。どうでしょうか。そういうことを今まで我々はずっとやってきたわけです。やってきた結果として、また今日そういう状況の中で交付税法案を審議せざるを得ないという状況を、私どもは苦い経験を踏んでいるわけですけれども、私は、そういう視点から今度の地方財政を見直すべきではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  330. 田川誠一

    田川国務大臣 加藤さんがお述べになりましたお考えは、全く傾聴に値する御意見でありまして、地方財政の再建をするに当たっては、もっと大きな立場から、財源の配分その他根本的な問題を解決しなければなかなかできないと思います。  そういう意味で、今私に対する御質問でございますが、大臣がどんどんかわって根本的な改革を継続的に主張していくことがなかなかできないというようなことでございますけれども、これは今の内閣制度の問題でございまして、私はいい意見というものは、仮に閣僚がかわっても自治省なりその役所が受け継いでいけるものと思っております。もちろん、私どもの任期がどうあろうといいものは継続して続けていかなければならない。これはいろいろやり方があると思いますが、そういう意味で、地方財政の問題は根本的な改革ができるように、この際もうそろそろやっていかなければならない、地方制度調査会の御審議をいただき始めたというのもそういうところにあるのではないかと思っています。
  331. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 率直に申し上げまして、私が先ほど述べましたのは一つの私見です。いわゆる消費流通構造というものが第三次産業として発展する、それに対して我々が税というものを考えていく時期があるのかどうなのか、これは学者の意見を聞かなければならぬでしょう。  ただ問題は、大臣大臣の任期中にぜひ種を残しておいてほしいと私は思うのです。それは、今おっしゃられましたように地方制度調査会でもいいでしょう、あるいは今自治省の担当の有能な官僚の方がいらっしゃるわけですから、そういうものに何かこれは残していく。大臣が仮に交代されたにしても、この委員会としてはその種が次に私どもが芽として今度は議論ができる、そういうことをぜひひとつ、せっかくこれだけの議論が各党からあったわけですから、お願いをしておきたいと思うのです。  それから次に、項目に少し入らせていただきます。  財政局長特例措置とその財源ですが、いろいろ御意見はお聞きをしました。やはりわからないのです。一体、特例措置と特例財源は、平衡交付的要素を持つ措置として法案を提起されたのか、それとも新たな交付税借入金制度として実は取り入れたものでしょうか、それとも今回に限って、財源が全体として三百億不足ですから、三百億について財源不足分という意味で単年度のものとして提起をされたものでしょうか。簡単でいいですから、そこだけ答えてください。
  332. 石原信雄

    石原政府委員 今回御提案申し上げております内容は、新たに交付税法附則第三条を設けまして、現下のこういう財政環境のもとで地方交付税の法定額では不足するような事態が起これば必要な特例増額を行う、そういう基本的な考え方、方式を三条で定めて、そして具外的な措置は毎年度法律で定める。その五十九年度の具体的な措置として、今回千七百六十億円の加算を御提案申し上げているところでございます。そして、千七百六十億円のうち、過去の経緯にかんがみまして千四百六十億円は精算対象から除外して、残りの三百億円について精算する。交付税の本体の三二%は変えない。これはそれに対する特例措置でございますから、それは将来精算する、こういうことでございます。
  333. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 交付税会計は、御案内のようにできる限り単年度会計で処理するというのが従来の基本的な方向ですね。今度六十六年度以降にこれは返済をするわけですが、どうなんですか。今度の三百億を一般会計からお借りをしました、またお返しをします。貸借関係だけで言うなら、地方団体から見れば交付税特会から借り入れたのと何ら変わらぬじゃないですか。貸借関係一般会計にしたのかあるいは特別会計にしたのか、その差だけじゃないですか。したがって、貸借関係のそういう交付税特会を清算をしたものをさらにここに行うというのは、まさに矛盾じゃないですか。いかがでしょうか。
  334. 石原信雄

    石原政府委員 従来の方式は、交付税会計がいわば外から、運用部から借金をしまして特例措置を講ずる、特例加算をするという方法をとったわけですが、これは借金が十一兆五千二百億円にもなりまして、これ以上続けられないということで、今回五十八年度限りで廃止したわけであります。  今回新たに御提案申し上げている方式というのは、言うなれば一般会計の枠内で、交付税の法定額では当面不足を生ずるというときには特例措置として加算をする。しかし、それはもともとの交付税率三二%は変えないという前提の上で、各年度状況に応じて必要な特例措置を講ずるということでございまして、因の一般会計との間で必要な特例措置を講ずるということと、従来のようにこれとは別の枠から、いわば運用部から借金をするということとでは、根本的に違うと思うのであります。  地方財政の安定化という意味で必要な額を確保するという意味では、どちらだって地方の目から見れば同じじゃないかという御指摘でございますけれども、借入方式というのはやはり歯どめがないというか、財政の節度という意味でもうこの辺が限界だということで五十八年度限りで廃止することにしたわけでありまして、その点では私は基本的に違うと思うのであります。交付税の三二を基本にしながら必要な限度において特例措置を講ずるということとは、本質的に違うことになるのではないか、このように、理解しております。
  335. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 直接的に借りたのか、交付税特会を経由して借りたのか、お札に色はついていませんからね。実際的には、地方団体から見れば一般会計だろうが特別会計を経由しようが、借りたお金は借りたお金ですよ。したがって、片方で清算をしながら片方で新たな貸借関係を生むということは、片方が廃止をするという以上は、そういう矛盾した方向性というものはとらぬ方がよろしい。本質的に違う、変わった、こう言いますけれども財政局長が言えば言うほど本質的に変わってないと皆さんは受けとめますよ。  それは先ほど言いましたように、確かに一般会計で始末をする、ですから私は当初申し上げましたように、これは平衡交付的要素を持つのですかというのです。財源の不足類なりあるいはその三二%の問題を含めて、将来、例えば昭和六十六年度以降そういう状況が起きた場合に、償還財源を含めて実質上三二%を、今度の場合でも三一・三%になっているわけですけれども、切った場合に、平衡交付的要素もこの中に加味されて法案として提起をされるならば、それなりに長期的な意味はわかりますけれども、そうでなくて、五十九年度の分、ないしは本年度のいろいろな試算上から見てこれが出たというならば、交付税特会を廃止をしたというその方向性とは余りにも矛盾をしませんかということを実は指摘をしておきたいと思うのです。  特例財源は五十八年度が千百億で、今年度が三百億、これはよく新聞その他、地方財政に明るい先生方がおっしゃっておりますように、五十八年度補正分で三百二十二億を食い、財対臨特で五百億を取り、そして残りが三百億になりますから、それが今回のこの特例財源になったのではないかという指摘がされているわけであります。したがって、どうも私どもから見ても、あるいはこの今回の質疑をずっと聞きましても、やはり千百億円の五十八年度分を、五十九年度はやや分解をして、その分として三百億円が特例財源としてつけられた、こういう見方以外にはなかなか出ることはできません。したがって、私どもは、それならば財対臨特が五百億なんですから、それに加算をして八百億にされて、この特例措置ないしは財源をこの法案からなくすという方向が正しいのではないか、こう思っているのです。意見だけ申し上げておきたいと思います。  次に、投資的経費と地方債、それから給与条項の設定についてお伺いをしておきたいと思います。  投資的経費が、本年度五千三百四十一億円地方財政計画上はマイナスになりました。そこで、この地方財政計画と決算との乖離が余りにもひどいじゃないかという指摘を我が党から大臣にいたしました。この場合に一番問題になるのは、投資的経費とそれから準公営企業に対する一般会計の繰出金の問題だろうと思います。もちろん人件費の問題もないわけではありませんが、これは定数問題で徐々にその乖離を埋めようという努力があるわけでありますから、これは少し時間を置いて判断をしなければなりませんけれども、今言いました投資的経費とそれから準公営企業への繰出金、例えば五十六年の公営企業への繰出金は一兆二千九百九十億円です。ところが五十九年度、今年度予算は一兆一千二百七十七億円なんです。五十六年から三年たってもなおマイナス千七百億円では、私は出すというのはどうも解せませんね。  しかも、五十六年度も決算との乖離があるという指摘を私はしたことがあるのです。特に水道事業関係は、御案内のように、地方債の問題を含めて相当の乖離があるわけでございますね。補助事業と単独事業との間の乖離があるという話もこれはありますが、これはさておくとしても、できる限りその面の乖離を解消していく、実態に近いものにしていく、そういうことでありませんと、地方財政計画を一つの指標にしながら行っている地方団体などが、指標を失ってしまうのではないか。  また、私どもここで地方財政計画を審議しましても、何か空虚に感ずるわけですね、四〇%も違うというのは。私は一〇%、二〇%違うというのはあると思うのです。例えば、地方団体は基準財政収入額との差は当然初めからあるわけですから、その分ぐらいは乖離があるのは当然だろうと思うのですが、四〇ないし五〇あるというのは、地方財政の指標としても、あるいは私どもここで論議をする地方財政の新しい再建の方向を見出す素材にしても、余りにも違い過ぎやしないか。したがって、その乖離をできる限り解消するためにどういう策をとっていかれるか。今までの議論を踏まえて、財政局長、ひとつ総括的に御答弁をいただきたい、こう思うのでございます。
  336. 石原信雄

    石原政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、地方財政計画は地方公共団体財政運営の指針としての役割を持っておりますし、また現実的には、この地方財政計画上の歳入歳出の見込み額によって毎年度地方財政対策が講じられておりますから、この内容というものが現実の地方団体の財政運営の結果である決算とどういう関係になっているのか、私どもこれは常に比較対照し、またそこに乖離が存在する場合においては、その乖離の内容が何であるのか、これを分析いたしまして、必要に応じて地方財政計画の是正を図ってまいりたいと考えております。これまでも、そういった見地に立って幾たびか地方財政計画の積算内容の是正も試みてきておるところでございます。  そういった意味で、乖離の大きい費目といたしましては、給与関係費、一般行政費、それから投資的経費、それから公営企業の繰出金、これらの項目が挙げられるところであります。  これらのうちで、給与関係費につきましては、給与水準の問題については、これは地方財政計画の性格上、実態に合わせるというわけにはまいりません。やはり国家公務員の給与ベースを基準にしながら積算を行わなければなりませんが、人員の面では、実態と計画との乖離の内容によって、いわゆる規模是正の必要性が生じてくる面もあると思います。過去においてもそのような扱いがなされております。  それから一般行政費については、これはその非常に多くの部分がいわゆる年度内貸付金でありまして、そういったものをすべて計画に計上するのがいいのかどうか、これは地方財政計画の性格論とも関連しますが、この乖離は本質的なものと若干違うのではないか、こういう理解をしております。  そこで、問題は投資的経費でありますけれども、投資的経費については、端的に申しまして、補助事業関係では、計画と決算の乖離が、計画の方が少なくなってくる、実際の方が大きくなっております。その原因は、一つは決算統計上の問題があるのではないかというふうに考えております。それでほぼその開きが説明がつくと思うのでありますが、単独事業の方については、計画よりも決算の方がかなり下回っております。これについてはいろいろ単年度限りの事情もありますけれども、やはりある程度長期的に見て存在する乖離についてはこの際是正をした方がいいだろうという考え方のもとに、五十九年度の地財計画におきましては五千八百億円の規模是正を行ったところでございます。  そこで、御指摘の、公営企業会計への繰出金の実態と計画との乖離でございます。確かに五十六年度現在で四〇%を超える開きがございます。この内容については、各事業ごとにその乖離の内容を分析いたしております用地方公営企業法の原則に基づきまして私どもは繰出金を積算しているわけでございます。問題は、いわゆる経営努力によって解消していただくべき部分がどの程度あるのか、端的に申しまして、決算の中で経営努力が足りないことに伴う分はどの程度あるのか、この辺が一つの見方の分かれるところではないかと思います。私どもは、もちろん公営企業法の原則に沿って一般会計負担すべき分は的確に算定していかなければならない、このように思っておりますが、同時にまた、今日の地方財政状況のもとで、各公営企業とも経営改善に一層の努力をお願いせざるを得ない部分もあります。そういった意味で、私どもはこの開きの実態をよく分析いたしまして、この地財計画の積算内容の方を改むべき分がどの程度なのか、この辺は今後さらに検討してまいりたい、このように思っております。
  337. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ぜひ検討してみてください。その中で、検討する際に、自治省で当初、起債なり事業計画をそれぞれ承認、許可した、そのほかに建設省とかで、例えば国道をつくれば、今度は附帯して何なりの道路を補助事業としてやってくれという追加を後でされる事業がいろいろありますね。本来、地方自治体が当初計画したものよりも追加をされていく。自治省も知らないということはないのでしょうけれども、時には当初の地方財政計画に入れないまま、建設省なりあるいは通産省から、この港湾設備をやってくれとか、あるいはこの道路をやってくれとか、こういう問題についても、自治省が後追いではなくして事前に把握をして、一年なんですから、建設省なりあるいは運輸省でやる港湾事業なりそういうものを、地方財政計画の事業内容に取り込めるような方法論をぜひ考えてほしい、こう思うのです。もちろん後追いだけじゃないと思いますけれども、できる限りそれは捕捉をしてもらいませんと、今言った乖離の面が充足できない、こう思いますので、ぜひ御検討の一つのテーマに入れていただきたい、こう思います。  それから、先ほどの町づくりの三千億円の新しい投資財源。この町づくりは、例の広域市町村計画がございますね。これは大臣、一部では余りうまくいっていないんですよ、率直に言って。大平さんのときには地方の何とかというのをつくりましたね。それから、その前の総理のときは地方の総合計画をつくりました。それから広域市町村計画あり、その前には新産都市計画もございました。全部余りうまくいっていないんですね。ですが、今度町づくりの計画でその案をいただきました、例えば地域的なコミュニティーをどうするとか。今までの広域市町村事業計画を一遍洗い直していただけませんですか。  例えば消防署がありますね。きょう質問はやめますけれども、広域消防署を事務組合でつくったんですよ。ところが、範囲が広過ぎちゃって、結局ある都市の消防署になってしまっている。結果的にはそのほかの市町村は損なんですね。おれのところは金だけ出して、消防の役には立たぬわいというようなことがあってみたり、あるいは一部事務組合は人事の交流ができない、広域市町村で事務組合でありますから。そういう面があってみたり、あるいは消防だけでは事務組合としての経費がもたぬから、この際終末処理も含めて一つ事務組合として統合しようじゃないかというような動きがあってみたり、いろいろあるわけです。  したがって私は、三千億が、片方で一般投資経費を削ったから片方で三千億で復活させたのだという自治省の気概はそれなりに評価はしますけれども、同時に、実際にそれを使う面においては、今までの広域市町村のそういう事業を一遍見直しをして、そして何が適正であるか、何が一番緊急度を要する公益的な事業計画であるか、これはひとつぜひ御検討いただきたい、こう思います。  大蔵省見えていますね。——先ほど財政局長は、今年度交付税特会の中で、政府資金に余り余裕がなかった、政府資金一つの限界に来たので、それも一つの材料として交付税特会借り入れをやめたのだ、こう言うのですが、そんなに窮屈なんですか。どうですか。
  338. 藤井威

    ○藤井説明員 今回の御提案申し上げております改正の目的の最大のものは、石原財政局長も答弁されましたとおり、交付税特別会計の段階での借入金から脱却する、それによって後年度負担が国、地方両方に重くかかってくるのを避ける、あるいは金利の負担をこれ以上ふえるのを避ける、そこのところに最大の問題点があったわけでございます。御指摘資金運用部の資金需要の問題は、二次的な問題だというふうに考えております。
  339. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、資金運用部の資金の面からの拘束というのはそう厳しく考えなくてもよろしい、こういうふうに理解をいたします。  そこで、地方債計画の資金増加は四千億、昨年度比一一・四%の増ですね。どうなんですか、ことしは地方債に対する臨特があるのですか。利差臨特はありますか。
  340. 石原信雄

    石原政府委員 五十九年度はいわゆる利差臨特は考えておりません。
  341. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 あれは五十七年度だったですか、やはり利差臨時がなかったのがありますね。あのときには地方債に対する政府資金の充足率は五〇%を超えているのじゃないですか、どうですか。
  342. 石原信雄

    石原政府委員 五十七年度地方債計画では五〇・五でありまして、そういう事情もありまして利差臨特を行わなかったわけです。
  343. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 どうですか、今大蔵省に聞いたら、そんなに大蔵省の運用部資金の金は詰まっているわけじゃございません、こう言うのですよ。今年度は四八・五でしょう。せめて一・五%ぐらい積み上げてやって、地方としては良質な資金計画をやってもいいじゃないですか。というのは、交付税特会の五十八年度借り入れは一兆八千九百五十八億円ですよ。そして地方債のお金は三兆一千億、合計四兆九千九百五十八億円でしょう。今年度地方債のみですから三兆五千億円ですよ。その差一兆四千九百、約一兆五千億円のいわゆる運用部資金からの借り入れを、運用部資金が金がないからということもあったのでしょう、大蔵省に押し切られたのかどうか知りませんけれども、せめて、この利差臨特がないならば五〇%ぐらいまでの地方債に対する資金需要計画をつくってやってよろしかったのじゃないですか。いかがですか。
  344. 石原信雄

    石原政府委員 私は先ほど答弁で、交付税特会借り入れ方式を五十八年度限りで廃止した理由の一つとして、主たる理由は財政の健全化を期するという意味でありますけれども、付随的な理由として、これ以上交付税特会借り入れをふやすことが資金運用部の短期資金の原資の関係でも難しくなってきているということを申し上げたわけです。(加藤(万)委員大蔵省はないと言っているのだよ」と呼ぶ)まあ主計官の答弁はそれが主たる理由ではないという答弁を申し上げたと思うのですけれども、これはいわゆる短期資金の借り入れをやっております。それから、地方債計画の方に計上される政府資金は、これはいわゆる長期資金でございます。  五十九年度地方債計画を策定するに当たりましては、私どもももちろん相なるべくんば政府資金比率五〇%以上を期待して理財局との折衝を行ったわけでありますが、御案内のように政府資金の長期資金全体の原資がかなり窮屈な状況の中で地方債への割り振りを最優先していただいた、それが四千億円でございます。  短期資金の方の一兆九千億近く、当初の段階で五十八年度借り入れがあったのがないじゃないか、なくなったじゃないかという御指摘かと思いますが、こちらの方は詳しくは理財当局の方から御答弁いただいた方がいいと思いますけれども、こちらは短期資金の方の話でございます。地方債計画の方の原資は長期資金の方の話でございまして、長期資金の方では、私どもとしても、苦しい全体の状況を見ますと四千億というのはかなり奮発していただいた、このように評価しております。しかし、我々は希望としてはもっと高いことを希望して折衝したところでございますけれども、今申し上げたような環境の中で四八%台に到達するのが精いっぱいだったというふうに理解しております。
  345. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 地方債ですから借金になるわけですよ。私、聞きますと、地方によっては何も政府資金よりももっと金利の安いところもあります、こういう話ですが、何としても安定した良質な資金ということは政府資金でありますから、四八・五を一・五%くらい上げて、そして、利差を見ない、今度は利差臨特がないわけですから、せめてそのくらいのことをしてやらなければ、先ほど言いましたように、交付税特会の廃止に伴う地方の借金の負担の幾らかでも、そういう軽減の方向というものを常にどこかで見てやっている、そういうことがなければ地方財政はなかなかしのげないのじゃないでしょうかね。そういう意味で私はぜひお願いをしておきたい、こう思います。  そこで、一つ質問を落としましたが、今度の地方財政の抑制の段階で、いわゆる給与の問題を地方債の許可条件として取り入れる、五十九年度については後にしまして、五十六年度から実行されて、五十八年度やっているわけですが、これはどうなんですか、当初の起債計画に対しても、同じような条件で地方団体に対しては許可条件の一つの対象にされるということがあったのでしょうか。私ども、追加事業に対してそういう措置を講ぜられるということは説いておりましたが……。これが第一点。  いま一つは、それぞれ地方団体は事業計画を含め改善の計画をお持ちになって、五十八年度はそれぞれがクリアするという状況も私ども伺っておるわけですが、そういう方向を求めていく地方団体に対するこれからの起債の許可条件として、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  346. 石原信雄

    石原政府委員 五十八年度地方債の許可に当たりまして、一部の極めて給与水準の高い団体で、かつ昭和五十六年に御提出いただいた給与改善のための計画について実効ある改善措置がなされなかった団体につきましては、その団体の財政状況万般を勘案いたしまして、申請された地方債の額の一部を抑制したところでございます。また、いわゆる指定団体、高給与の状態にあってその是正について個別指導を受けている団体の中でも、五十八年度中にある程度の効果的な適正化措置を講じた団体につきましては、申請どおり地方債の許可を行った次第でございます。このような考え方は、五十九年度地方債の許可におきましてもとっていきたい、そのために許可方針の中でその趣旨を明定したところでございます。
  347. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、言うまでもありませんが、地方の自主的な財政運用を阻害する条件、地方債の許可をするということの権限を給与の条項まで取り込んでくるというのは、率直に言って、必ずしも正当な道といいましょうか、やや邪道に近い方向ではないかと私は思うのです。むしろそれよりも、実際の事業計画なり財政の計画をもっといい意味で見直していただいて、そこで地方財政の再生策というものを考えていくという基本線は常に崩さずに——五十九年度事務次官書簡が出ているようでありますから、いずれこれは後ほどこれに限ってまたいろいろ政府側の御意見自治省意見をお聞きしたいと思っておりますが、そういう基本路線をぜひひとつ堅持して、その中で弾力的な判断をしていただくことを大臣にお願いしておきたいと思いますが、もし御意見があれば、ここで一言意見を聞きたいと思うのです。
  348. 田川誠一

    田川国務大臣 本来ならこういうような措置はとらない方がむしろ好ましいと私は思っております。ただ、御承知のように、ごく一部の団体が著しく高い給与を払う、そしてそういうことが地方財政余裕論の一因にもなっている。そういうことで、かなり世論も、いろいろ問題があるし、またこれを立法措置で何かやったらいいだろうというようなことも起きている。また、この厳しい財政状態の中で職員も理事者も一生懸命努力しているという団体が多いのでございまして、そういう団体のことも考えれば、この際こういうようなことも一つの指針としてやらなければならないという苦しい事情を、ひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
  349. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 次に、たばこ専売の改組に伴って専売の納付金制度が今度は変わります。同時に、我が地方付政委員会でも、地方へのたばこ消費税問題にかかわる法案が用意をされているように聞いておるわけであります。私は、これは法案が出ましたときにいろいろ議論をしたいと思いますので、たばこ消費税そのものについてはきょうはやめます。  ただ、これは皆さん御承知でしょうけれども、たばこ消費税は都道府県段階で三千八十五億円、今年度は八・八%の伸びを見ておりますし、そして市町村段階では五千四百二十二億円、合計で約八千五百億円の地方財政の財源であるということを改めて認識をしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、私は、先ほど大臣に御見解をちょっとお聞きしましたが、これを機会に、流通過程における物品税という問題について、あるいは流通過程における消費税という問題についていま一遍見直す必要があるのではなかろうか、実はこう思うわけであります。先ほどもどなたか御質問がありましたが、第二交付税という要素を、これは違った次元でどうかというお話も実はございました。あるいは、たばこの地方消費税への展開の仕方いかんによっては、国が配分をする何か第二交付税的要素、そういうものになることを実は逆にちょっと恐れるわけです。それよりも、むしろたばこの消費税を課税段階でどうとらえるかによっては、地域性や普遍性が非常にあるわけですから、地方税の要素として、税目としていくというとらえ方があるのではなかろうか、こう思うのです。  したがって、大蔵省が国庫への納付金制度に絡めて何となし売り上げた本数を地方に配分すると、私は、地方によっては困るところがあると思うのです。どういう基準で配分されるかわかりませんけれども、おれのところはたばこの消費税が今までこれだけ入ったのに、全国的に均一化されてしまったためにこれだけの財源が不足になった、あるいはところによっては非常に多くなったという問題も出てくるのでありますから、できれば地域のそういう普遍性を持った税目としてこの問題をとらえていくという方向、同時にそれは、やがて起きるかもしれぬいわゆる消費税への展望を踏まえた、その方向性というものがこの中ににじみ出るようなことはできないものだろうか、実はそういうふうに思っておるわけですが、どうでしょうか。  これは大胆というよりも、専門的に技術論としてまずお聞きをして、そして大臣の見解をと、こう行きましょうか。
  350. 関根則之

    ○関根政府委員 税の今後のあり方の基本的な視点から、経済の構造の変化なりあるいは就業構造の変化なりそういったものに対応して税制のあり方を考えていくべきではないかという趣旨お話につきましては、私どももそのとおりというふうに考えております。経済のサービス化という問題が言われて、ここ特に強調されてきておるようでございますが、経済の実態、構造変化、そういうものに対応しまして税制もくっついていきませんと、必要な財源も確保できないということになりますし、時代おくれの税制になってしまうわけでございますから、そういった変化に対応するように今後は当然考えていくべき筋合いのものだと考えます。  そこで、たばこ消費税の問題でございますが、御指摘いただきましたように、地方たばこ消費税は地方の間接税の中で最大の税収を持つ極めて重要な間接税でございます。普遍性も極めて高うございましたし、従来から伸長率も結構大きな税であったわけです。地方独立税として極めて重要な地位を占めていたと私どもは考えておりますので、今回の専売の改組に伴いましても、私どもといたしましては、地方独立税としてこれを堅持するという考え方、なお、税収の額につきましては、従前の制度における税収を絶対に下回ることのないようにしたいという考え方を持って臨みましたが、そういう考え方が、先日十六日に国会に提出をいたしました法案におきましてはほぼ貫き得たものというふうに考えております。  なお、第二交付税等との兼ね合いのお話がございましたが、私どもは、たばこ消費税につきましてはあくまでも将来とも地方独立税として残していくという考え方でございますので、これを原資として交付税の対象に入れるとか、あるいはそれだけ取り離していわば譲与税化するとか、そういった物の考え方には反対でございまして、そういう基本的立場を今後とも貫いていきたいと考えております。
  351. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これは法案が出ました段階でもう一遍議論をして——私の言っていることは、たばこ消費税を一つの契機にして、地方財源をそういう面から一遍見直してみるということを自治省の方もお考えいただく、同時にまた大臣もそういう示唆を与えて、財政当局なり事務当局の方を叱咤激励していくことが必要ではないかということを実は言いたかったわけです。これは後でまた法案が出たときに議論しなければなりませんので、残しておきます。  最後に、手数料の問題について触れておきます。  手数料問題は、実は、私、昨年地方行政委員会で行政改革に伴う機関委任事務の問題を幾つか取り上げました。前の質問者も地方機関委任事務についていろいろ意見を述べられたようであります。手数料問題は、いわば機関委任事務をどこまで地方に委任をするのかということに関係してくる問題であろうと実は私は思うのです。したがって、これだけを取り出して手数料を政令で定めるということにはどうも私は賛成がしがたい、こう思います。本来は行政改革の中でセットで議論をされていくべき問題だろう、こういうふうに思います。  そこで、二つ質問をします。  まず第一に、地方の単独の手数料はそれぞれ地方の条例で定めるということを地方自治法では決めております。今度の場合、政令で定めるということになりますと、地方の条例で定めるという法律の体系とバランスが一つ崩れるのではないか、こう思いますが、これに対する御見解はどうでしょうか。  いま一つは、警察関係の手数料について改正法が出ていないのはどういうことでございましょうか。これは、あえて申し上げますれば、機関委任事務として地方自治法の別表に記載をされている条項でありますね。ですから、機関委任事務ではないという面で手数料はこの改正対象から除外をしたというならば、地方自治法の別表を落とすべきである、こう思います。いや、そうではない、国と地方と特殊な関係だというならば、そういうあいまいなことはせずに、どっちかになさるべきではなかろうか、こう思います。同じように、例の火薬関係取り締まりですね。これは大蔵委員会改正案が出ているでしょう、政令として。にもかかわらず、この地方行政にかかっている警察関係の手数料の改正ではこれを対象から除外しているというのは、どうも私は、腑に落ちません。一貫性がないというように実は思うのです。火薬類取締法関係で政令条項に落としておられるならば、これ自身もここで政令に落とすというふうに対象に加えられるか、もしも政令に落とさないとすれば、機関委任事務なんですから、機関委任事務条項としてきちっとここで手数料の改正条項を何らかの形で意思表示をされるべきだ、こう思います。したがって、この二つの点について質問をしておきたいというふうに思います。
  352. 津田正

    ○津田政府委員 地方団体の取っております手数料につきましては、御説のとおり、団体事務の手数料に関する事項については条例で定めることとされております。しかし、機関委任事務の手数料に関する事項につきましては、法律またはこれに基づく政令に定めるものを除くほか規則で定める、こういうような体系になっておりまして、要するに、団体委任事務でございますと団体意思の決定としての条例、機関委任事務であれば法律または政令がまず第一義的に参りますが、そういうものがなければいわゆる機関である長の決定する規則、こういうような仕分けにしておるわけでございます。
  353. 太田壽郎

    太田政府委員 現在の警察、都道府県警察の事務性格、これについてはいろいろ議論のあるところでございますけれども、私ども考え方といたしましては、現在の都道府県警察というのは、国家的な性格地方的な性格、それをあわせ持つ特殊な性格事務であるというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、ただいまお話がございましたような、いわゆる自治法の別表の第三の(四)に掲げられておりますけれども、この問題につきましてはその事務性格がはっきりいたしません。今申し上げましたような国家的な性格地方的な性格をあわせ持つという面から見まして、別表第三の(四)に掲げられているものがすべて機関委任事務であるということになりますと、そういうふうに解釈されるということであれば、ここに入っていることについては問題があるということで、この面につきましては、もしそういう解釈であるとすれば、別表を改正することを含めまして自治省の方と協議、検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  354. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今火薬類取締法のことはお答えがありませんでしたが、火薬類取締法から見ても矛盾が起きるでしょう、片一方では改正法案を出しているのですから。今おっしゃったように自治省と相談をされてどうされるか、そこをやはりきちっとされた方が私はよろしいと思います。  それから大臣、この手数料問題を含めてそうですけれども先ほどの岡本さんがおっしゃったように、機関委任事務がどんどんふえているのですよ。私は齋藤元行管庁長官に言ったのです。あなた知っているのですか、今各省でつくっている法律の中で機関委任事務がどんどんふえているのをと。そうしたら、よう知りませんでしたよ。そして、新しいものはこれとこれとこれとがふえていますよと。結局機関委任事務昭和二十七年にできたものの二倍半、そして四十九年度に見直しをしまして、今度一割削減でやりましたけれども、それを上回るものが次から次にできている。私も今度これを勉強したときに初めてわかったのですけれども、警察庁関係で警備業法の十六条の二、これもまた「政令で定める」ということで機関委任事務になっているのですね。これは政令で定めるのですから自治法の方には載っていないと思うのですけれども、いずれにしても機関委任事務です。これも新しいものとして加わったんじゃないでしょうか。  いずれにしても、行政改革が私はあそこでどうもしっぽが切られちゃっているような気がするのです。九月に、機関委任事務それから団体委任事務を含めて土光臨調でいま一遍やると言っていますから、私はそれに期待したいと思っているのです。そして、今言った機関委任事務、団体委任事務、権限の分権化の問題を含めて、徹底的に議論をしてもらいたい。その中における地方の手数料と国の手数料、さらにその手数料の中でも物価に影響する問題ですね。単に現物的な試算だけではなくて、これは手数料として抑えておかなければならぬという問題も私は政策的にあり得ると思うのです。そういうことをされた上で手数料という問題を提起してほしいと私は思う。単に大蔵の方で手数料の改正があったからこっちの方でも改正する、これでは余りにもおざなり過ぎた法律案というふうに思います。したがって、私どもの態度としては残念ながら賛成しがたい、今言った諸点を含めて御検討いただきたい、こう思います。  私の質問はこれで終わらせていただいて、あと佐藤議員に補足質問をさせていただきますが、今まで申し上げましたことも含めて、地方財政あるいは地方行政に対する大臣の御見解をいま一遍お聞きをしておきたい、こう思います。
  355. 田川誠一

    田川国務大臣 加藤さんの大変示唆に富んだ御意見を踏まえてこれからも臨んでまいります。特に最後の機関委任事務につきましては、最近後藤田行管庁長官ともしばしば話をしております。御承知のように地方財政については経験の深い方でございますし、後藤田長官もこのことについては非常に強い関心を持っておりますので、こうした問題をできるだけ解決していくように努力してまいります。
  356. 大石千八

    大石委員長 佐藤敬治君。
  357. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私は、国保の問題に関してだけ質問をします。非常に時間が限られておりますので、端的に御答弁願いたいと思います。  大臣、これはけさの読売新聞の一面トップです。読みましたか。(田川国務大臣「いや読んでいない」と呼ぶ)国保課長はいますね。これを読みましたか。——大臣、こういうのなんです。「国・健保の減額査定分 二十三年間、患者に戻らず”眠った権利”一千億円 五十七年度は百二十六億円」、国というのは国保ですね、これは戻すべきものが戻っていない。これはもう御承知のとおりに、例えば十万円医療費がかかる。そうすると、国保の場合は患者三割ですから、三万円納入する。ところが、それがレセプトをやって査定された結果八万円、二万円減額になった。そうしますと、実際は、患者が納めなければいけないのは二万四千円なわけですね、三、八、二十四で二万四千円なわけです。ところが、どこからも減額された通知が来ない。患者が取る権利があるのに、どこからも通知が来ないから、どうなっているかわからないからそのまま放置しておく。そうすると、その金を病院が懐に入れているのですね。そういう金が今まで積もり積もって一千億円、五十七年度だけで百二十六億円あるというのです、当然患者に返るべき金が。これは非常に盲点でありまして、前からもいろいろ問題になっておって、訴訟なんかも起きておるようです。  これの中に、「阿部正俊・厚生省保険局国民健康保険課長」——あなたですね、その話としてここに書いてありますが、これはあなたこのとおり話したのですか。
  358. 阿部正俊

    ○阿部説明員 今の先生のお話しの新聞記事に絡んだ話でございますが、読売新聞社の記者から電話で御照会がございましたので、言葉遣いみたいなものはもう忘れましたけれども法律関係といたしまして、そういったふうな性格のお金であるということをお話し申し上げました。
  359. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私はこれを見て、何というか、大変官僚的なあれだなと思ってびっくりしたのですね。こう書いてある。「患者の個人負担額に差額が生じれば、当然、患者は請求する権利を持つだろうし、請求があれば保険医療機関は返すべきだ。積極的にPRしていないが、市町村や社会保険事務所に問い合わせれば、減額されたかどうか、患者側も確認できるはずだ」と書いてあるのです。  ところが、一体どこで減額されてどういうふうになっているのか、患者は全然知らぬのですよ。それをあなたの言うように、市町村や社会保険事務所にどうして問い合わせるのですか。患者は全然知らぬのですよ。それをあなたは、患者が行けばわかると言っているのですよ。こんな人をばかにした話がありますか。自分の方で余計取っておきながら、自分の方が悪いのに、まるで悪いのは患者だ、取りに行かないのが悪いという話なんですよ、これは。官尊民卑というか官僚的というか、こんなばかばかしい話はありますか。大臣はどう思います。
  360. 田川誠一

    田川国務大臣 なかなか一般の人にはわからないと思います。新聞の談話だけ、今お読みになったのを聞いただけで見ますと、大変残念だと思います。しかし、私も新聞記者を長くやっていましたけれども、新聞の談話というのはなかなか物によりけりで、そのとおり伝えていない面も随分ございますから、新聞記事だけで判断するというのはかわいそうだ……
  361. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 大臣、そうじゃないのですよ。これは、減額されたその減額通知というものが、国保連合会からも、病院からも、市町村からも、あるいはまた社会保険事務所からも一切患者のところに来ないのです。あなた、新聞がどう書いておるか、その話は別にしても……(田川国務大臣「今談話のことを言っておる」と呼ぶ)いやいや、こんなひどいことは、これは恐らくこのとおりだと思うのですよ。どこからも一切患者には一言も言ってこないのです。どうして患者が減額されたことがわかるのですか。それを、課長の言うように市町村なり社会保険事務所へ行っておれの分を返せといってどうして行けますか。こんなばかばかしい話ってないのです。  これは談話が間違っているとおっしゃるが、これは制度が確実に間違っているのです。さっきも言いましたとおり、この減額された中には、いつも問題になりますけれども、やらない薬をやったとか、やらない検査をやったとか、そういう架空の診療も入っていますよ。要らない薬をやって、そうして濃厚診療で削られたのも入っているのです。そういうのに金を納めているのですよ。悪いのは自分たちの方なんです。それを、取りに来ないのが悪いと言う。これはあなたは新聞記者をやられたというから、大分新聞記者のことを擁護しているようですけれども、実際こんなばかばかしい話というものは私はないと思うのです。そうでしょう。  それで私は大臣にお願いしたいのですけれども、市町村や社会保険事務所、その減額したということを知っているのはここしかないのですよ。あるいは病院だ。どこからか義務的に必ず通知をやるか、あるいは戻し税というものがありますから、あれの例に倣って戻してやればいいのです。悪いのは自分たちなんだから、正当に戻さなければいけない。権利なら当然戻してやるべきだ。今は患者に戻すやつを病院が取っているのですよ。さっき言ったように、十万円で三万円納めた。二万円減額された。二万四千円ということになりますと、八万円しか病院は取る権利がないのに八万六千円取っているのです。こんなばかばかしい話はないですよ。  時間がないから単刀直入に話しますけれども、減額された分を必ず患者に通知して金を返せるような手段をぜひひとつとってもらいたい。大臣と課長から……。
  362. 阿部正俊

    ○阿部説明員 若干御説明させていただきますが、現在、医療保険制度ではいわゆる現物給付という方式をとっておりますので、別途審査ということで、国保連合会なり支払基金で審査をいたしまして適正な額を決定するというふうな格好になっておりますので、患者の一部負担がある場合には、一部負担金額とそれから査定後の金額との間に一定の差が仕組みとしては生じてこざるを得ないというふうな、一つの宿命みたいなものがございます。それを御説明したからといって特に先生の御納得を得るのは難しいと思いますけれども、これが仮に償還制というふうなことになりますと、そういったふうなものが出ないということでございます。  私が申し上げましたのは、取りに行かないのが悪いのだということは申し上げておりません。そういったふうな法律関係として、そういうふうな減額査定をされた場合に、患者さんの御負担された中の査定分、これはやはり今の仕組みとして医療機関と患者さんの間での法律関係で処理してもらうしかないというふうなことを申し上げたわけでございます。  私どもも、そういったようなことで患者さんにできるだけ医療費の内容につきまして、査定後のといいましょうか、正確な医療費というものをおわかりいただくためにも、いわゆる医療費通知というものを年々拡大してきております。現在医療保険者の方から各被保険者に対しまして、あなたの医療費というのはこうだということで連絡してございます。また一方で、これを被保険者に全数知らせるためには相当な事務量が要るわけでございますので——査定に該当するレセプト、診療件数といいますのは全体の一%程度でございますから、どの程度の事務量で済むかというふうなこともございますので、これから先、被保険者に何らかの形でもう少し医療費の実態について徹底していかなければいかぬというふうに思っておりますけれども、今までのところそういったふうなことで、新聞記事の金額はともかくといたしまして、法律関係としてそういったふうなことになるというふうなことでございますので……(佐藤(敬)委員「そんな長いことを聞いていないよ、返るようにしてくれるかどうかと聞いているのだ」と呼ぶ)先生の御意見も体して、被保険者に対してもう少し趣旨の徹底を図るように何らかの工夫はしてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  363. 田川誠一

    田川国務大臣 さっき佐藤さんのおっしゃったことを否定したのじゃないのですよ。私もひどいということを申し上げたので、ちょっと誤解されていると困るので。きょうは新聞読む暇がなくて、ここへ来たり、閣議があったりなんかして朝早くから出ちゃったもので新聞読みませんで、今お読みになったことはもっともだということを申し上げたのです。言葉の使い方が悪かったので大変誤解を受けちゃって申しわけない。ただ、談話をちょっと御披露されたから、談話というのは時時行き過ぎがあったりなんかするということを申し上げたのでございまして、御指摘の点は大変なことだと思っております。
  364. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 ぜひ当然の権利として必ず患者に返っていくようにひとつあれしていただきたいと思う。病院だけが不当の利益を受けているのですよ。  それから、先ほども出ましたけれども、退職者の医療制度のことについてお伺いしたい。  退職者医療制度はできましたけれども、これは国保の加入なんですね。ところが、国保の中にはこれができたために格差が出てくる。給付される人には、退職者医療の適用をされる人と従来の適用の人と二つ出てくるのです。同じ国保でありながら、片っ方の従来の方は七割給付であります。ところが、新しい退職者医療の適用者は八割給付なんです。同じ国保の中にいて、今まで一生懸命やってきた人が七割で、今度新しくできた人が八割もらうなんというのはおかしいじゃないですか。これは、こういう制度ができたならば、今までの七割給付である同じ国保、私はこれを八割に当然引き上げるべきだと思う、そして提案してくるべき性格のものだと思いますよ。同じ金を納めて給付が一割違う、こんなばかばかしい話はないと思います。大臣、どうですか。
  365. 阿部正俊

    ○阿部説明員 今回の退職背医療制度は、先生御指摘のとおり八割給付になっております。国保は七割給付でございますので、その間に一割の差があるというのは御指摘のとおりでございます’ただ、私ども理解といたしましては、退職者医療制度といいますのは被用者保険サイドの制度である。その費用につきましても被用者保険サイドでの負担をするというふうな格好になっておりますので、それを仮に国保から抜きまして別建ての制度でやることも理論的には可能なんでございますけれども先ほど申し上げたとおり、事務的な面あるいはその保険料徴収等の面を考えますと、やはり国保の中でやるのがベターであろうというふうな判断で、そういったふうなことにしておるわけでございます。  ただ、先生御指摘のとおり、将来のあるべき方向としては、やはり国民健康保険も含めて全部の医療保険の給付内容の統一というのはこれからの課題であると思っておりますので、長期的にはそういった方向で改善を考えたい、こんなふうに考えているところでございます。
  366. 田川誠一

    田川国務大臣 これは厚生大臣が答えることで、私の方の管轄じゃございませんけれども、一般的に言えば、やはり同じようにした方がよろしいと個人的には思います。
  367. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 今、いみじくも大臣から、厚生大臣が答えるべきものだと、そういう言葉が出ましたけれども、私は大変不満なんです。大体、私はしょっちゅう国保の質問を自治省にしますけれども、これは厚生省のもので我々のものでないような顔を頑としてしているのですよ。厚生省のものであなた方のものでなければ、国保のあれをなぜ委員会で出すのですか。国保はみんなあなた方の法案なんですよ。それを自分のものでないと思っておる。だから幾らあなた方に言っても馬耳東風で、相談しているか相談していないか、何もわからないのですよ。  国保というのは、あらゆる税金の中で一番過酷な税金だと思っていますよ。私の知っているときから、三万円から始まって、三万円が五万円になり、七万円になり九万円になり十三万円になり十五万円になり十八万円になり二十一万円になり二十五万円になり二十八万円になって、三十五万円になりました。これは大変な負担です。大変な過酷な税金だと私は思っております。ただ、病気に、なったとき困るから、みんな涙を絞って、歯を食いしばって出しているだけです。しかも、赤字なものだから一般会計から膨大な金を出しているのです。  これだけ二つを考えてみても、地方住民にとっては大変な問題なんです。というのは、すなわち自治省にとっても大変な問題だと私は思うのです。それを、国保の問題は厚生省の問題だ——あなただけじゃないですよ。みんなそう思っているんですよ。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)本当にけしからぬと思う。私はやはり真剣に考えていただきたいと思う。今の八割の問題でも、これだけ過酷な税金を取るならば、やはり八割にしなければ住民はおさまらぬと考えるのは当然だと私は思います。  それはそれにしまして、ただ、長期的に見れば、そして片っ方には健保も入っているからやむを得ないのだ、こう言うけれども、健保は八割なんですよ。だから健保の人は文句を言わない。ところが国保は七割なんですよ。健保からだけじゃなくて国保からも金を出しているのですよ。自分たちも金を出しているのに、なぜ国保が七割で退職者医療が八割なんですか。健保は同じ金を出しても八割だからいいですよ。片っ方は同じ金を出しても七割なんですよ。おかしいでしょう。あなたは健保が金を出しているからこれでもいいんだと言うのだけれども、健保が金を出していれば国保も金を出している。同じ金を出しているのが片っ方は八割で片っ方は七割、そんなばかな話はないでしょう。直すつもりがあるのか、直すならば一体いつごろどうやるのか、もう少し正確に具体的に話してください。
  368. 阿部正俊

    ○阿部説明員 退職者医療制度の該当者につきましては医療給付八割ということでございますが、その保険料をどうするかというふうなことに絡む問題だと思っております。それにつきまして、先ほど申し上げましたとおり、退職者医療制度を完全に別建てにいたしまして、保険料につきましても別々に全国一律で取るとかいうふうなことも理論的には考えられるわけでございますけれども、一方で、市町村の保険料徴収の事務負担等の問題を考えますと、市町村の、ほかの同じ所得者につきましての保険料ということで、従来の国保の被保険者として納めておるであろう保険料を退職者医療制度の加入者の保険料として考えるということで、今回整理をしたということでございます。  なお、将来国保につきましても同じ給付率に統一するようにということでございますけれども、現下の情勢等考えますと、短期的に考えますとなかなか無理な面もございますので、できるだけ早い機会にと頼っておりますけれども、いずれ統一すべき問題だというふうに考えております。
  369. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 あと五分しかないそうだからちょっとあれしますが、私たちが地方を回って歩きまして、大臣、今度国保税の課税上限が三十五万円になりましたね、それで、場所によってはこの三十五万円取られないところ、あるいは取らなくてもいいところもあるのです。三十五万円全部取ると条例で決めるとは限らない。大きいところは三十五万円で決まってないのですね。二十八万円くらいで決まっているところもある。そうしますと、これを全部取らないからといって、さっきの話じゃないけれども、特交を制限したりあるいは起債はやらないぞと言ったり、こういうようなことが間々あるという話が開かれます。こういうことはあるのですか。財政局長でもいいです。
  370. 石原信雄

    石原政府委員 その特交というのは特別調整交付金の方の話ではないかと思います。私の方の所管では、国保税の上限が法定額より下だからということで特別交付税の配分上考慮したというようなことはございません。
  371. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 起債は……。
  372. 石原信雄

    石原政府委員 起債もございません。
  373. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この間から、退職者医療制度ができまして、これができても国保は現在以上に財政を悪化しない、こういって盛んに厚生省から説明しておりますけれども、その根拠が非常に抽象的で私はよくわからぬのです。  きょうは時間がないから余りしゃべられませんけれども、さっきもちょっと出ていましたが、都市では退職者がたくさんおりますよ。しかし私どもの秋田みたいな、青森みたいな、山形みたいなところへ行ったら、退職者というのはほとんどいないのです。(「兵庫五区も」と呼ぶ者あり)兵庫五区も同じです。国保で苦しんでいるところには退職省というのはほとんどいないのです。そうするとどうなるかといいますと、退職者医療制度に行くという利益は何にも受けないのです。そして補助金をカットされたという不利益だけをこうむるのです。理論的に言ったってそうなるのです。それなのに、何にも現状より悪くならない、悪くならないと言って、一生懸命厚生省や自治省が説明しておる。私は必ず悪くなると思う。総体的に見ればわかりませんよ。しかし総体的に見ても私は悪くなると思います。  というのは、例えば都市の中で退職者が出てくる。退職者が出てきてプラスになる反面、おまえのところはいいだろうと言って今度は補助金をカットする。非常に単純な計算ですが、プラス・マイナス・ゼロですよ。農村の方はどうかというと、プラスがなくなってマイナスだけですよ。そして総体として見ますと、都市も農村も合わせたって私は決して財政状態がよくならないと思う。よくなると言っているけれども絶対によくならないと思う。それをよくなる、よくなると言っている。二、三年してみなさいよ、大変なことになる。  大臣、これは一般会計からうんと入れなければいけなくなりますよ。ちゃんと理論的にそうなるのです。それを抽象的に大丈夫だ、大丈夫だと言っているだけなんです。私はこれ以上言いませんけれども、これは大変気をつけてもらいませんと、後から非常に国保会計が困り、それに連動して一般会計からうんと出さなければいけなくなると思います。調整交付金が今度は補助金の切りかえでもってふえると言っているのです。計算してみても、何もこれはふえませんよ。あるいはつめのあかほどふえるかもしれませんけれども、目に見えるほどのふえは何もないのです。これはやはり大変大きな問題だと思います。  今でなくてもいいですから、厚生省はこれをもっと具体的に——抽象的にただそうなるだろう、そうなるだろうじゃなくて、去年の実績、おととしの実績があるのですから、それに新しい制度を当てはめたら一体どういうものが出てくるのか、はっきりしたものをひとつ出していただきたいと思うのです。
  374. 阿部正俊

    ○阿部説明員 総体的なことを申し上げましても御理解いただけないと思うのでございますが、これは調整交付金の配分の仕方なりに絡む問題でございます。法律制定後、政令等で決めることになっておりますので、現在細部については検討中でございますが、いずれ市町村等にもその内容等について十分お話をいたしまして、理解を得るようにしたい、こんなふうに考えております。
  375. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 時間がなくなりましたが、すぐ終わりますから、もう一つだけ。これは大臣にお願いしたいのです。  児童扶養手当について自治省は非常に強硬に反対していました。おととしでしたか、例の行革特別国会がありましたね。あのとき私は理事になって委員会に出ておりましたけれども、安孫子自治大臣は、こんな理論を無視した暴論はないと言って、暴論とまで極言しているのです。あんなに激しく反対しているのに、あなたが大臣になったらけろっと音なしの構えになってしまった。君子豹変というが、豹変の陰には必ず取引があるものだけれども、一体どういうことでこういうふうに音なしの構えになったのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思うのです。
  376. 田川誠一

    田川国務大臣 私どもも、先ほど申し上げましたように、議論に議論を重ねた結果でございまして、簡単に妥協したわけではありません。
  377. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 時間がないからやめます。
  378. 大石千八

    大石委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  379. 大石千八

    大石委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。小澤潔君。
  380. 小澤潔

    ○小澤(潔)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案に対して、賛成の意見を表明するものであります。  今回政府によって提出された地方交付税法等の一部を改正する法律案は、第一に、従前の交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金措置を原則として廃止し、かわって、地方交付税総額の安定的な確保に資するための特例措置制度化するとともに、その具体的な内容として、昭和五十九年度地方交付税総額を確保するため必要な特例加算を行うこととすること、第二は、地方交付税の算定に用いる単位費用を改正すること等を内容とするものであります。  第一に、地方交付税の総棚に係る改正についてでありますが、地方財政の健全化に資するため、昭和五十九年度以降、交付税及び譲与税配付金勘定における新たな借入金措置は原則として行わないこととし、かわって、当分の間、法律の定めるところにより、地方交付税総額について、その安定的な確保に資するため必要な特例措置制度化することとしております。  さらに、交付税及び譲与税配付金勘定の借入金のうち国が負担することとされていた額に相当する借入金については、その償還時に一般会計から臨時地方特例交付金として繰り入れることとしていた制度を廃止し、当該借入金一般会計へ振りかえるとともに、残った同勘定の借入金については、今後これに係る利子を含めて地方負担することとし、あわせて当該借入金償還期間を昭和六十六年度以降に繰り延べるものであります。  また、昭和五十九年度分の地方交付税総額についてでありますが、借入金償還期間の変更に伴い、その総額は、地方交付税法第六条第二項の額から昭和五十九年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千六百三十八億円を減額した額に、地方交付税総額特例措置額千七百六十億円を加算した額としております。  なお、昭和五十九年度特例措置として加算される千七百六十億円のうち三百億円に相当する額については、昭和六十六年度及び昭和六十七年度の両年度において、当該各年度地方交付税総額からそれぞれ百五十億円ずつ減額することとしております。  第二に、昭和五十九年度普通交付税の算定に用いる単位費用についてでありますが、福祉施策に要する経費、教育施策に要する経費、住民の生活に直結する公共施設の維持管理に要する経費の財源を措置し、あわせて投資的経費については地方債振りかえ後の所要経費の財源を措置することとし、所要の改定を行うものであります。  これらの措置内容とする政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢、国及び地方財政状況等を考慮しつつ地方財政の円滑な運営を図る適切なものであると認められるので、この法律案に賛成するものであります。  なお、地方財政は引き続き巨額の借入金残高を抱え、今後とも厳しい財政運営を余儀なくされるものと見込まれますが、政府におきましては、生活環境施設の整備や地域住民の福祉の向上に果たす地方団体の重要な役割にかんがみ、今後とも地方団体に対する財源措置の一層の充実に努めるよう、強く要望するものであります。  以上をもちまして、政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の意見の表明を終わります。(拍手)
  381. 大石千八

  382. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 私は、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案に対し、日本社会党・護憲共同を代表し、反対の討論を行うものであります。  対GNPに占める地方財政の比重は、最近では、昭和五十六年度の一九・三%をピークに漸減し、昭和五十九年度見込みにおいては一六・三%と、昭和五十三年度に次いで低いものになっております。医療、教育、環境保全、福祉はもとより、地域経済振興においても地方財政の役割が増大しているにもかかわらず、これと全く逆に比重が低下してきているのであります。  この原因には幾つかの要因があるとしても、対GNPに占める一般会計全体の比重がさして低下をしていないことを考えれば、国の地方財政対策にこそ問題があることは明らかであります。  その原因は、政府の行政改革によって地方財政規模が特にここ一、二年強く圧縮されたことに加え、本来国が負うべき財政責任を地方に転嫁しているからにほかなりません。この際、政府は、このような政策が地方財政のみならず国民経済的にも重大な禍根を残すものであることを強く肝に銘ずべきであることをまず申し上げるものであります。  以下、主たる反対理由を申し上げます。  第一は、本年度地方財政対策の柱である特別会計における借入政策の取りやめと特例措置の問題であります。  地方財政において昭和五十年度以降続けられてきた交付税特別会計における借入金をやめることは、確かに国、地方の責任区分を明らかにする意味を持つものではありますが、しかし、最も大切な借金政策をやめるための条件、すなわち地方交付税法第六条の三第二項に言う措置が全く顧みられていないことは、地方財政の存立基盤をますます危うくする結果となっているのであります。  第二は、特例措置内容と既往の借入金負担の問題であります。  政府は、特例措置を盛んに制度改正と強調しておりますが、その実態たるや、既往の利差臨特、地域臨特、財対臨特を単に置きかえたものにすぎません。従来国が交付することを約束していたこれら臨時特例交付金を衣がえしただけの、むしろ著しく後退した措置であって、これを制度改正などと強調することは地方財政に対する甚だしい冒涜、軽視と言わなければなりません。  第三は、交付税特別会計における既往の借入金の折半問題であります。  十一兆五千二百億円について、国五兆八千三百億円、地方五兆六千九百億円とそれぞれ折半することとしておりますが、これら借入金は、昭和五十年度以降の地方財政対策においてその不足額を本来国が措置すべきものであったことは言うまでもありません。ところが、今回これをほぼ折半し、地方財政自立の美名のもとに、三千六百三十八億円の利子負担地方に押しつけることは、地方交付税率が表面的には三二%に維持されているとはいえ、実質的には約〇・七%切り下げられるという結果を生んだものであり、この点からも本年度特例措置特例措置の名に値しないと断ぜざるを得ないのであります。  第四に、財源不足の補てん方法と健全化の問題であります。  一兆五千百億円の不足額について、その根拠がないままに一兆二千五十一億円の財源対策債で約八〇%を補てんしたことは、従来の措置方式を全く無視したやり方であります。周知のように、これまではおおむね五対五程度であり、これが一気に二対八と後退したことは、健全化のために交付税特別会計における借り入れをやめたと言いながら、実際には地方財政の健全化を大きく阻害するものと言わなければなりません。  本年度地方財政対策の発想が、表向きにはこれ以上の借金を行わないことを建前としながらも、その根底には、結局、大蔵省が国の一般歳出を対前年比マイナスにしようとする考えに力点が置かれ、そのためのテクニックとしてとられた措置を受け入れたにすぎないものであったことは既に明らかなところであります。そこには、地方財政本来の自立自助の基盤を整備しようとする視点は全くありません。ただあるのは、国の都合から地方は自前で借金しろという負担の押しつけだけであります。このような対策が地方分権を標榜する旧川自治大臣のもとで行われたことは極めて残念なことと言わなければなりません。三千三百を超える自治体にとっては、昭和五十八年度における地方債の許可権の乱用と相まって、地方財政の計画的かつ効率的運用を大きく阻害するものであり、迷惑千万と申すべきことであります。この際、自治省地方自治体と住民を守るために一層の御奮起を願うとともに、政府の反省を促したいと思います。  以上申し上げ、私の反対討論を終える次第であります。  なお、冒頭申し上げました「及び地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案」という字句につきましては、撤回をさせていただきます。  以上であります。(拍手)
  383. 大石千八

    大石委員長 草野威君。
  384. 草野威

    ○草野委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行います。  地方財政は、五十年度以降連続十年もの間慢性的な財源不足が生じており、五十九年度においてもその額は実に一兆五千百億円にも上っております。このような状況は、現行の地方財政構造の欠陥をあらわしているものであり、当然、交付税法趣旨に沿って交付税率引き上げまたは抜本的行財政制度の改革を行わなければならない事態に至っているのでありますが、政府は場当たり的な対策に終始し、根本的改革を見送ってきたのであります。  こうした姿勢は、今回の交付税法改正を見ても明らかなように、逼迫する地方財政に対応するどころか、ますます地方財政を窮地に追い込む施策と言わざるを得ないものであります。  すなわち、その一つは、従来とり続けてきた交付税会計からの借り入れを取りやめ、新たな特例措置をとることとしておりますが、その実態は財源不足の八割を地方債に振りかえることになっております。今日の地方財政は、これまで続いてきた地方債増発のために公債費比率が年々急上昇しており、地方財政運営はますます苦しくなっていくのであります。それに追い打ちをかけるような今回の地方債措置は、今後の地方財政を一層厳しいものに追い込むことになることは明らかであります。しかも、これまでの交付税会計借入金の利子については、地方負担制度を永続化させること等によって、五十九年度地方交付税率は、法律上三二%と規定されているにもかかわらず、実質はこれを下回る三一・三%に低下しているのであります。このような措置は、いずれは、憂慮されている地方交付税率の引き下げにつながるのではないかと懸念するものであります。  交付税制度については、交付税特別会計借入金の国の二分の一負担制度化、及びそれに引き続いての今回の特例措置は、地方財源の保障という地方交付税制度自体の機能を形骸化するものであり、地方財政制度の基本が崩れ去ることを真に憂えるものであります。交付税法趣旨に沿って、交付税率引き上げあるいは地方財政制度の抜本的改革を早急に行うことを強く要求するものであります。これが第一の反対理由であります。  次に、国の負担地方転嫁についてであります。  五十九年度地方財政の中身を見たときに、事務事業を残したままでの補助金の補助率引き下げや、対象事業の縮小を初め、児童扶養手当の二〇%地方負担導入、医療保険制度改正に伴う国民健康保険補助金の補助率引き下げ、私学に対する国の補助削減に伴う地方の肩がわり等々、例年に増して国の負担が大幅に地方団体や住民に転嫁されております用地方財政法第二条第二項に、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を打ってはならない。」とあります。この規定趣旨に反する負担転嫁は、今後の地方財政をますます圧迫するものであります。このような国、地方間の財政秩序の軽視は、地方財政の自主性、自律性を著しく損なうものであり、地方自治にとって極めて憂慮すべき事態であります。これが第二の反対理由であります。  次に、補助金制度であります。  今回政府は、補助金について大幅に削減するとともに、補助金の総合化及びメニュー化を進めていると聞いておりますが、その中身を見ると、補助金を削減しても地方事務事業はそのまま残されているために、その分地方負担が増大しているのであります。このために新たな超過負担の増大を招いているのであります。また、補助金の総合化、メニュー化の促進といっても、手続の実質的な改革ではなく、単に今までの補助金をあわせたものにすぎず、また必要でない補助金を押しつけるなど、実質的なメニュー化とはほど遠いものであります。したがいまして、今後地方団体の事務として同化定着している事務事業に対する補助金等については、一般財源に振りかえるとともに、類似ないし同一目的の補助金についての実質的統合メニュー化を進めるべきであります。  以上をもちまして、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の表明を終わります。(拍手)
  385. 大石千八

    大石委員長 岡田正勝君。
  386. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ただいま上程中の地方交付税法等の一部を改正する法律案について、民社党・国民連合を代表いたしまして、反対の討論を行うものであります。  反対理由の第一は、昭和五十年度以来の地方財政状況は、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する事態にあるにもかかわらず、政府は、地方財政制度の抜本的改革あるいは交付税率の見直しといった制度改革を行わずに、その場しのぎの対策に終始していることであり、第二は、今回の改正、すなわち資金運用部からの借り入れを廃止し、毎年法律により一般会計からの特例措置に頼ることにより、国と地方の間に、乏しい一般財源の確保をめぐりまして激しい争いが繰り返されることになり、地方交付税総額の安定的な確保は不可能になることであります。  と同時に、第三の理由は、地方財政が不安定となり、各自治体が中長期的に安定的かつ計画的な財政運営を行うことを不可能とすることであります。  第四は、その結果、政府の今回の措置では、地方財源不足に対して財源対策債の発行といういわゆる利子つき交付税で対応せざるを得ず、財政の硬直化と借金財政で悩んでいる自治体の財政運営をさらに苦境に陥れることになることであり、第五は、交付税特別会計における資金運用部からの借入金地方負担分の償還を六十六年度以降に繰り延べたことは、地方財政に毎年巨額の利子負担を強いることになり、地方交付税率の実質的な切り下げにつながることになるからであります。  以上、反対の理由を申し述べて、私の討論を終わります。(拍手)
  387. 大石千八

    大石委員長 経塚幸夫君。
  388. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案に、反対の立場から討論を行います。  反対の第一の理由は、今回の特例措置なるものは、何ら財源不足を補てんしないばかりか、逆に交付税率引き下げに道を開く結果になりかねないということであります。  五十九年度財源不足額一兆五千百億円のうち、特例措置と称して加算された額はわずかに千七百六十億円。しかも、そのほとんどが利差臨特、地域特例分など、従来財源不足対策とは別枠で措置してきたものであり、新たに加算された三百億円も将来精算されることとなっており、特例の内容は何一つないに等しいのであります。  しかも、従来国の責任で措置された借入金の利子も、二分の一が地方負担に転嫁されたため、交付税率は事実上三二%を割り三一・三%となっているのであります。  さらに、特例措置は加算だけでなく減額もあり得ると答弁されましたが、これは明らかに交付税率の変動制の導入であり、交付税率引き下げに道を開くものと言わなければなりません。  第二の反対の理由は、今回の措置は、財源補てんに対して負うべき国の責任を地方に転嫁するものであり、容認できないのであります。  政府は、交付税特会借入金元利の支払いが財政圧迫の要因となっており、地方財政の健全化に資するため、新たな借入金措置は行わないこととした、こう説明をされておりますが、借入金が巨額に達した原因と責任は、交付税率引き上げに耳をかさず借入金で糊塗してきた政府にあり、その責任は挙げて政府が負うべきであります。ところが、みずからの破綻の責任を負おうとしないばかりか、今後財源不足額の大部分を地方債負担させようとする態度は、責任を地方に転嫁するものであり、地方自治の本旨に基づいて財源補てんと独立性の確保をうたった地方交付税法に反するものと言わなければなりません。  第三に、このような措置によっては、地方財政の危機が打開できないばかりか、一層深刻化せざるを得ないでありましょう。  五十九年度地方財政計画で明らかなように、単独事業費は何と二十九年ぶりにマイナス。補助事業もマイナス三%と歳出を大幅に抑制しながらも、地方交付税国庫支出金が削減されたため、地方税が六・八%、使用料、手数料に至っては七・四%と大幅な引き上げとなっています。今回、法律で定められていた手数料の額が政令で決められ、国会の審議を経ずして自由に引き上げられるという改悪がなされようとしていますが、今後住民負担が一層強化されることは明らかであります。住民の福祉を守るべき自治体が、その役割を果たせないばかりか、国と同一基調の名のもとに、政府の国民収奪を一層加速する結果になることは明白であります。  真に地方自治を保障する財政再建の道は、第一に、地方交付税率を引き上げ事務権限の民主的再配分に立った国と地方の新しい機能分担にふさわしく税源を移譲すること、第二に、大企業優遇の不公平税制を改めること、第三に、交付税、起債、補助金を通じての介入、干渉をやめ、財政自主権を強化すること以外にないことを申し添えまして、討論を終わります。(拍手)
  389. 大石千八

    大石委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  390. 大石千八

    大石委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  391. 大石千八

    大石委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  392. 大石千八

    大石委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して臼井日出男君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。臼井日出男君。
  393. 臼井日出男

    ○臼井委員 私は、この際、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近における厳しい地方財政状況等にかんがみ、次の諸点について善処すべきである。  一 今回の地方交付税総額についての特例措置は、やむを得ずとられた暫定的な措置であることにかんがみ、今後、地方交付税法第六条の三第二項の本来の趣旨に沿い、恒久的な措置を講ずるよう努力すること。  二 交付税特別会計借入金の利子の地方負担については、その軽減に努めること。  三 地方自治の拡充強化を図るため、利子所得課税合理化を早急に行うとともに、税財政制度の抜本的改正に努めること。  四 地方公共団体事務事業として同化定着しているものに係る補助金等については、一般財源に振り替えるとともに、類似ないし同一目的の補助金については、極力統合・メニュ一化を進めること。  五 第九次道路整備五か年計画に、おける地方道整備の促進を図るため、地方、特に市町村の道路目的財源を拡充強化すること。  六 地方財政計画について、地方財政運営の指針としての機能を発揮させるため、その内容の充実を図ること。  七 国及び地方の機能分担の適正化を図るため、機関委任事務について早急に整理し、地方分権の充実を期すること。  八 地方公共団体の職員の増加をもたらすような施策は厳に抑制するとともに、現行の法令等による職員の必置規制については、早急に見直しを行うこと。  九 地方公共団体に対し行政改革を推進させるに当たっては、地方公共団体の自主的・計画的な財政運営をそこなわないよう留意すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  394. 大石千八

    大石委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  395. 大石千八

    大石委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、田川自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田川自治大臣
  396. 田川誠一

    田川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  397. 大石千八

    大石委員長 次に、地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  398. 大石千八

    大石委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  399. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  400. 大石千八

    大石委員長 これより、内閣提出昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を求めます。田川自治大臣。     —————————————  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済   組合法の年金の額の改定等に関する法律等の   一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  401. 田川誠一

    田川国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、地方公務員の退職年金等について、別途本国会において御審議をいただいております恩給法等の一部を改正する法律案による改正内容等を参酌し、その額の引き上げ等を行うとともに、掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額の引き上げ等を行うほか、地方団体関係団体の職員の年金制度についてのこれらに準ずる所要の措置及び地方会議員の退職年金等についての増額改定措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、地方公務員共済組合制度改正に関する事項についてであります。  まず、その一は、恩給等における措置を参酌し、地方公務員等共済組合法に基づく退職年金等について、その年金の額の算定の基礎となった給料を昭和五十八年度の公務員給与の改善内容に準じて増額することにより、同法の施行日前の期間に係る年金額については昭和五十九年三月分以後、同法の施行日以後の期間に係る年金額については同年四月分以後、それぞれ平均約二%増額する措置を講ずることとしております。  その二は、恩給における最低保障額等の改善に伴い、長期在職者に係る退職年金等並びに公務による障害年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることとしております。  その三は、昭和五十九年四月分以後の掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額を公務員給与の改善内容を考慮し四十五万円に引き上げることとしております。  以上のほか、全国市町村職員共済組合連合会が行う短期給付に係る財政調整事業の対象に、都市職員共済組合の短期給付に係る事業を加えることとする等の所要の措置を講ずることとしております。  第二は、その他の年金制度改正に関する事項であります。  すなわち、地方団体関係団体の職員の年金制度について、地方公務員共済組合制度改正措置に準じて所要の措置を講ずるとともに、地方会議員共済会が支給する退職年金等について、その額の増額改定を行うこととしております。  以上が昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由及び内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  402. 大石千八

    大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十七日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時散会      ————◇—————