○経塚委員 私は、これは実態に即した国の基準に改めるべきだと思いますよ。
それから局長、保育料の問題についても、
使用料を
引き上げなければならぬ、こう言っておりますけれ
ども、これは厚生省の基準で実費
どおり徴収するということになれば、保育料は何と現在の十倍からになるのですよ。一人十四万円ぐらいの
負担になるのです。これだったら児童福祉法も何も要らぬわけですよ。国も
地方公共団体の
責任も全然要らぬことになるのですよ。まさかそんなことは考えておるとは思いませんけれ
ども、今日の保育の実態を考えてみれば、軽々に実費に即して保育料も
引き上げるべきだというようなことは言える
状況にはないと思いますよ。
これは行政管理庁の五十六年九月の調査でありますが、入所辞退児の二〇・九%が「保育料が高いため」、こういう回答を寄せておるわけです。経済的理由によって児童福祉法から子供が排除されるようなことはあってはならぬと思うのです。子供が保育所で保育されるということについては、単に母親が働いておるからその子供を預かるという託児所的な性格というのは過去の話。今は、子供が心身ともに健やかに成長するためには集団の中で育っていくことが最も正しい子供の成長方法なんだということは、もう専門家の見解として明らかにされておるところであります。この問題につきましては、この程度にとどめておきます。
そこで、最初の局長の
考え方に戻りたいと思うのですが、改めて局長の論文に触れておきますと、今までの
地方団体がやっておった行政サービスの直営
方式はできるだけ民間に切りかえていく、大幅に民間委託
方式に切りかえる、これをおっしゃっておられる。それから、今後はどうしても行政対象そのものの
見直しにまで踏み込む必要がある、こうもおっしゃっておる。老人だとか教育、つまり福祉や教育ですね。これを行政の
責任において進めるかどうかについては、行政対象から外すかどうかというような問題まで検討しなければならぬ、こういうことも言っておられる。局長が考えておるようなことをやっていきますと、住民に対する行政サービスは大幅に民間に振りかえていく、あるいは
受益者負担の名のもとに
手数料、
使用料は実態に即してどんどん
引き上げていく、あるいは今まで行政が
責任を持って見ておったものも、今後行政の対象として扱うかどうかも踏み込んで再検討しなければならぬ、ここまでまいりますと、これは一体何のための
地方自治なのか。昔のように
地方という名前はあるけれ
ども地方自治がないじゃないかという
状態にまで
地方自治が形骸化しかねませんよ。私はそれを憂えるものです。
あなたは相当な決意でこのことをおっしゃっておられる。これは世界的に例のない壮大な実験だとも言っておられる。恐らくここまで踏み込んだ見解を、全国三千三百の市町村の行政を援助し指導すべき立場にある自治省の、しかも生殺与奪の権を握る
財政の
責任ある立場におる人が論じたということは異例のことでしょう。これはあなたのおっしゃるとおり、世界的に例のない壮大な実験となるでしょう。目標達成のためには、「教育
制度、社会保障
制度、産業経済
制度等々、すべての行政分野にわたって現行の
制度を全面的に
見直し、また行政のシステムを思い切って改変することが必要です。」とまで言い切っているのです。
私は最初に
交付税の
論議のときに、一体自治省はどこまで真剣に今日の
財源不足を補うために創設をされた
交付税制度を守り、そして
交付税率を
引き上げるということを大蔵省に対しても
政府全体の緊急課題として要請される姿勢があるのかどうか疑わしいと申し上げたのは、後に出てくるあなたの見解がこういうことを平然と言っているからなのです。これがなければよろしいよ。なければ、本当に苦労されているのだな、この
財政の厳しい中でいろいろと知恵を絞ってと、同情に値するとは思うのですが、後段で、ここまで踏み切った、
地方自治を形骸化するような中身にまで踏み込んだような
論議をあなたが展開され、見解を持っているということになりますと、これは大変だと私は思います。その点、どうですか。