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1984-03-27 第101回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十七日(火曜日)    午前九時三十五分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 臼井日出男君 理事 小澤  潔君    理事 谷  洋一君 理事 西田  司君    理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       大西 正男君    大村 襄治君       工藤  巖君    小杉  隆君       左藤  恵君    中川 昭一君       平林 鴻三君    古屋  亨君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       五十嵐広三君    細谷 治嘉君       安田 修三君    山下八洲夫君       岡本 富夫君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 田川 誠一君  出席政府委員         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治省財政局長 石原 信雄君         消防庁長官   砂子田 隆君         消防庁次長   坂  弘二君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   大西 正男君     平泉  渉君   大村 襄治君     藤井 勝志君   工藤  巖君     村上 茂利君   中川 昭一君     椎名 素夫君   古屋  亨君     森  美秀君   松田 九郎君     山中 貞則君   山岡 謙蔵君     田中 秀征君 同日  辞任         補欠選任   椎名 素夫君     中川 昭一君   田中 秀征君     山岡 謙蔵君   平泉  渉君     大西 正男君   藤井 勝志君     大村 襄治君   村上 茂利君     工藤  巖君   森  美秀君     古屋  亨君   山中 貞則君     松田 九郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  消防施設強化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三一号)  地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に  関する法律案内閣提出第三八号)      ――――◇―――――
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  内閣提出消防施設強化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 どうも質問とは名のみの極めて異例の時間しかいただいておりませんので、答弁の方もひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。  今度の法案は、消防施設強化促進、これは延長でありますけれども、単純延長ではなくて手直しをしている理由は何でしょうか。
  4. 砂子田隆

    砂子田政府委員 今回の消防施設強化促進法内容につきましては、既に御案内のとおりでありますが、人口急増に係る分の不足につきまして、その分が今年度で一応終わるわけでございます。  その補助金かさ上げが終わりますこの機会に、全国的な急増市町村実態を見てみますと、まだいろいろな施設整備消防のみならず他の多くの施設整備をしなければならぬという実態がございまして、そういう点から考えますと、人口急増市町村につきましてやはり今後五年間ぐらい延ばしていかなければならないのではないかというふうに考えまして、御提案申し上げた次第です。
  5. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 私の聞いておる質問は、今までの指定基準というものを変えておりますね。五年間五千人というのを三年間三千人と変えておりますね。それはどういう根拠なのかということです。五年延長なんですからね。
  6. 砂子田隆

    砂子田政府委員 今までの指定要件というのは、今お話がございましたように五年間で人口が五千人伸びるとか、そういう話でありまして、これを三年間で三千人にするという指定要件に、この法案を変えました後で政令の改正をいたそうと思っております。  この内容につきましては、最近の人口動態を見てみますと、このごろの一年間の人口増加率というのはおおむね一%弱でございます。それを見ますと、人口急増ということを考えますと、どうも二%ぐらいが人口急増じゃなかろうかというのが一つ問題点。しかも、人口の移動が最近非常に少なくなっておりまして、むしろ短い期間で見る方が実態に合うのではなかろうかということを考えまして、今回の改正につきましては、単純延長ではなくて、中身を少し変えたということでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 それによりまして、新しい指定基準に基づいて、対象はどういう変化が起こっておりますか。ふえますか、減りますか、どうなんですか。
  8. 砂子田隆

    砂子田政府委員 今までのやり方でやってまいりますと、市町村人口急増の数は百七十ぐらいになるわけでありますが、改正をして指定をいたしますと百八十一になる予定であります。
  9. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そうしますと、百七十が百八十一ということですから、指定基準は結果としてはやや緩和される、こういうふうに見てよろしいのですね。
  10. 砂子田隆

    砂子田政府委員 これは来年またいろいろな問題が起きまして、三年間で見ますからどうなりますかわかりませんが、昭和五十九年度に指定するものに限りましては十ぐらいふえるという状態になります。
  11. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 対象市町村でありますけれども、十ぐらいふえるということは、金額的にはどうかわりませんが……。  それでは、予算内容について少し伺いたい。  今度の消防庁関係予算というのは、トータルでは五・七%のマイナスですね。ところで、問題の消防施設等整備費補助金マイナスの六・五%ですね。そうして、その消防施設等補助金のうちのこの法律対象であります人口急増分というのは、マイナスの一〇・八%です。消防の全体よりも消防施設予算のへっこみが多い。その多いへっこみよりもさらに人口急増分マイナスの一〇・八%と予算が減っております。対象はふえる、そして予算というのは一割も減る、これはどういうことなんですか。
  12. 砂子田隆

    砂子田政府委員 お話がございましたように、五十八年度の予算人口急増分というのは二十三億何がしかございました。今回の予算で組んでおります人口急増分は二十一億を超えるわけであります。お話しのように、一〇%ぐらい減っているではないかというのは、数字の上ではそのとおりであろうと思います。  ただ、各市町村からの、人口急増地域からのいろいろな御要望を、おおむねどの程度になるかということを聞きまして一応まとめてみますと、おおむねそれで落ちつくのではないかというのが第一点であります。  それから第二点は、また御質問があるのかもわかりませんが、財政事情のよいところにつきましては補助金額を若干落としてございまして、その点もろもろ合わせますとそういう形になりまして、人口急増市町村の方々には御迷惑をかけるようなことはないというふうには考えております。
  13. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 御迷惑をかけることはないと極めて抽象的に言っておりますけれども、私は数字的に物を申しているのですよ。  それでは、人口急増分についての内訳を見てみますと、五十八年度は、例として化学消防ポンプ自動車人口急増地帯というのはやはり化学消防ポンプというのは絶対必要です。これは、五十八年度は十三台予定したのです。五十七年度は十五台ですよ。十五台が十三台。そして五十九年度は幾らになったかというと九台です。数からいきますと、漸減もいいところです。もう一つ、やはり人口急増地帯でありますから、だんだんビルが高層化していきますから、はしご自動車はどうかといいますと、五十七年度が二十五台、五十八年度は二十台、五十九年度は十三台、こういうことですね。人口急増地帯消防ポンプ等の構造が化学消防なりはしご自動車に移っていくという時期に、これは急減しておりますよ、急減という言葉を使いますがね。こうなってまいりますと、一体どういうことなのか。  私はこれをあえて言うのは、これはたまたま当たったのかどうか知らぬけれども、この間宮島で山火事がありましたね。去年岩手県で山火事がありましたね。それを見越して重点的に予算要求したのでしょう。コンビナート関係予算が五十七年度と比べて急減していますよ。急減している理由は、「近代消防」という本にあなたの方の担当者が書いているのですが、それは必要なくなったから急減したのだと書いてあります。冗談じゃありませんよ。そんな言葉じゃ許せないのです。それで今度は山火事に対して対応しております。新しい要求もしてあります。ところが、延長するのだというものについてはそのまま同じスピードで、二十五台が二十台、二十台が十三台、こうなってまいりますと、どうも名のみの延長にすぎないのじゃないか、こう思います。  大臣、そういうことなんですよ。私は数字的に言っているのですから、言葉だけじゃ困るのです。お答えいただきたい。
  14. 砂子田隆

    砂子田政府委員 今お話がございました予算につきましては、まさにそのとおりでございまして、実は今年度、今お話がございましたはしご草なり化学消防車、それぞれ二十台、十三台とあるわけですが、今、私たちの方も、中高層の建築なり化学的な多種多様な火災の発生を防ぐという意味からもこういうものはぜひ必要であるというふうに考えまして、市町村には督励をいたしておるのでありますが、正直申し上げまして、この二十台あるいは十三台というのもなかなかこなし切れない状況にあることは事実であります。  そういうことをいろいろ考えまして、来年度の予算を組みますときにも、市町村実施予定数量というものを加味して予算を積算しなければならぬということがございまして、市町村からその実態をいろいろ聴取いたしました結果、おおむねこの線でいけるということでやったわけでありまして、例えば、無線に非常に多く予算配分をした、あるいは、お話がございましたように、林野火災対応するためのヘリ基地をつくるためにそこに予算配分をしたというのも確かでありますが、そのためにこちらを減らしたというわけでは別にございません。
  15. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 この本にあなたの部下がこう書いているのです。「林野火災対策分は五六・五%増と大幅な伸び率となっている。これは、昨年の東北地方を中心とした大規模林野火災の教訓にかんがみ、補助金額を大幅に増額する必要があったことによるものであるが、内容的にも、新たに、空中消火等補給基地(二か所)や自然水利利用施設(三か所)を補助対象とするほか、可搬式送水装置及び消防無線受令機補助対象メニューに追加することとしている。」「林野火災に備えて従来の防火水そうのほか、自然水利をもっと有効に活用するための施設」云々と書いてある。そして、「なお、石油コンビナート分については大幅な減額となっているが、これは、全国的に資機材の整備がピークを過ぎたことによるものであり、要望には十分対応できる」、あなたが言っていることと同じことをあなたの部下は書いているのですよ。  そこで、時間がありませんから質問いたしますが、今のあなたの方の消防力基準整備状況をちょっと申し上げてみたい。  五十三年四月現在消防ポンプは八五・八%、三年過ぎた五十六年四月八七・九、二%ばかり伸びております。小型動力ポンプ、六六・八が六七・九。問題のはしご自動車は、驚くなかれ五五・三が五七・七%、わずかに二%しか伸びてないのですよ。化学消防ポンプは五二・七が五四%、さすがに救急車は九七・一が九九・五、消防水利は六三・三が六五・九ということで、あなたが決めた消防力基準と比べても、そんな言葉は出てこないのですよ。やるだけやっております、心配要りませんと言っても、問題のはしご草なり化学消防車充足率がわずかに五〇%台ですよ。これが私のつかんでいる数字であります。この数字誤りですか。誤りであるならあなたの言うことが正しいのですよ。この数字ならあなたの言うことはごまかしですよ。どうです。
  16. 砂子田隆

    砂子田政府委員 今お話し数字は、そのとおりでございます。  ただ、化学消防自動車を使うというのと、その本に書いてあります石油コンビナートの中で化学車が必要であるというのとはちょっと別でございまして、御案内のとおり、三十三の都道府県の中の八十一地区、七十八の消防機関がこれを必要としているわけでありますが、石油コンビナートについてだけ見ますと、この整備状況はおよそ九二%充足しているわけであります。石油コンビナートに関しましては、そういう点でなるべく速やかに整備計画を立てるように各消防機関に連絡をしておりますから、石油コンビナートの方の問題というのは、ここ二、三年の間には相当高い充足率になると思っております。  ただ、一般的に化学消防車を必要としている都市コンビナート以外のところでこの化学消防車充足率が非常に落ちているということが全体的に足を引っ張りまして、今お話しのような充足率になっているわけですが、コンビナート分に関しましては、今申し上げましたように高い充足率を示しておりますので、その点は別に数字的な誤りではないと思っております。
  17. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 この人口急増分内訳数字的に見ますと、林野火災についてかなり重点的な予算配分あるいは予算獲得をしている消防庁としては、人口急増については機械的に、九〇%を超したものも三年間に二%ぐらい、五〇%台のこれから重要になるだろうと思うものまでやはり二%台ぐらいです。極めてのっぺらぼうな、重点策がないような予算の組み方をしている。これを私は指摘している。  大臣、こういうことなんですよ。ある部分では対応して、私は評価している部分もあるのです。林野火災について、しかも、それが最近の宮島ではったりと消防庁長官の予想が当たったわけだ。当たったというのはおかしいけれども、全く裏づけしているのです。しかし、この辺になりますと全くだめなんですが、どう思いますか。
  18. 田川誠一

    田川国務大臣 限られた予算の中で整備を充実していかなければなりませんので、予算の用い方といいますか、年度ごと重点をつけて予算配分するという考え方もございますし、できるだけ限られた予算の中でも総花的に配分していくという方法もあると思うのです。恐らく消防庁としては、重点的に考えでこのような措置をとったのではないか、このように私は思っております。
  19. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 今の大臣言葉は、解せない点があるのです。消防庁としては重点的にとったのでしょう、あなたは他人事のようなことを言っているじゃないですか。それではいかんですよ、やはり最高責任者としてきちんと基本方向を示していただかなければ。まあ、この辺になりますと、もう時間がありませんから、この辺で物を言いたいことがたくさんありますけれども、言いません。  次に移りたいと思います。  今度の予算を見て、やはり一つの弱点は大震火災対策についての施設等整備費補助金、これは悪いのですね。長官、ごく最近の日本経済新聞に、三月二十四日ですが、「都市防災事業積極展開を」、こういう論文が載っております。それによりますと、都市防災不燃化促進事業費として七千二百億円を投資すると、延焼遮断帯による建築物直接被害軽減で約五兆円程度メリットが出る、延焼遮断帯による商工関係の直接被害軽減で三兆三千億円のメリットが出る、それから他産業への波及効果で十五兆円程度メリットが出る、こういう論文が出ておる。これは専門家が計算したものなんですよ。このことは、とりもなおさず、災害は起こったときでないとわかりませんで、あとは忘れてしまうのですから、そういう観点からいって、震災対策についてはもう思い切った、ある意味ではこれは聖域ですよというぐらいの予算措置をする時期に来ておるのではないか、こう思います。大正十二年の関東大震災というのが、もうかなり近い将来、目の前に起こる可能性がある、こういうことが言われているわけでありますから、これは大切なことじゃないか。震災対策にもっと予算を、もっと重点を、こう私は思います。長官大臣、どちらかお答えいただきたい。
  20. 砂子田隆

    砂子田政府委員 日本経済新聞のその論文は私ちょっと読んでおりませんので、内容についてどうのこうのと申し上げることはできないのでありますが、震災対策につきましてはお話のとおりだと思っております。  若干評論めいたことを申し上げて恐縮ですが、私は、国を守るということと地域防災をするということとは、国民の生活の安定という点から申し上げますと同じ比重がかかっているのではないだろうか、ある意味では消防予算は私たちも聖域化するぐらいに努力すべきだと今でも思っております。  そういう点では大変御激励をいただいてありがたいと思いますが、先ほど大臣からお話を申し上げましたとおり、ことしのような財政事情が大変窮屈なところで、特に消防のような奨励補助金のようなものが大変ねらわれやすかったことは事実であろうと思いますが、私たちは、ともかくそれでも消防予算というのは地域の住民の安全を図る上には極めて大事なことなのだ、しかも火事ということだけではなくて、災害全体の総合防災という点からもっと気をつけなければいかぬということを財政当局とも随分論議をしてきたわけであります。  しかしこういう結果になりましたことは大変申しわけないのですが、震災対策につきましては私たちも人一倍苦労しなければならぬことだと思っておりますし、今後ともそういう震災対策につきましては十分に意を用いていきたいと思っております。
  21. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 長官、もし消防法なり消防組織なかりせば、自然のまま出火したらどのくらいの災害が、現在毎年起こっている災害の何十倍何百倍ぐらいになるかということをコンピューターか何かで試算したことがありますか。
  22. 砂子田隆

    砂子田政府委員 ございません。
  23. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 消防なんというのは、平素は、何もないときは遊んでいるようですよ。これは、下手するとあんなものはむだじゃないかという議論も出かねない。最近は、救急車というのがありまして救急出動がありますけれども、昔は、何にもないと、全くもう何してんだろうかと言われるくらい暇なときもあった。これは、消防にとっては、暇なときはいいわけでしょう、そう思います。素人にもわかりやすくひとつはじいてみたらどうですか。江戸なんて大変なことになりますよ。  そこで、この震災について、今度の予算で私は注目すべきことでいいことだと思ったのは、二、三年前から始まりました耐震性貯水槽というのが強化地域一般地域と両方に、しかも六十トン程度規模のものがかなり重点的に、五十八年度で全くなかったものが今度は予算にあらわれております。これは大変結構なことだと思うのです。水がなければどうにもなりませんけれども、その水のピットが皆壊れてしまうのですからね。ですから大変結構なことであります。これは今度の予算編成で私は評価いたします。評価いたしますけれども、全体としては震災対策も質不十分、こう思いますから一この新聞の論文を読んでいないようでありますけれども、長銀の都市防災対策専門家が書いておりますから、読んでみて、この辺の検討をしていただきたいと思います。  私は、いつも申し上げている点は、消防庁というのは、官庁の中で一番力の弱いのが消防庁だ、こう思っておるわけです。消防庁が一番強くなれなんて言っているんじゃないですよ。一人前に、もちはもち屋としての任務を果たせるような体制だけは、法律的にも法制的にも、あるいは実際の力からいっても、そういうものをつくるべきだ、こう思っております。  その点でお伺いしますが、消防法五条措置命令を発した例は、今日まで何件ありますか。
  24. 砂子田隆

    砂子田政府委員 五十八年度はまだ統計をとっておりませんからあれですが、五十七年度の統計によりますと、一応二十七件出しております。
  25. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 後ほどその二十七件の内容等について教えていただきたいのですけれども、この「近代消防」という雑誌に「消防法五条等問題点」という形で、ずっと毎月専門家法律家の間の対談が出ております。これを拝見いたしましても、やはり問題があるのです。その問題は、五条の後段ですよ。「但し、建築物その他の工作物で、それが他の法令により建築、増築、改築又は移築の許可又は認可を受け、その後事情の変更していないものについては、この限りでない。」排除しているのです。この五条という非常に重要な消防立場を守り得るものが、ただし書きのところで完全にひっくり返ってしまっている。完全にひっくり返って、ああしたいと思いながらできなかった体験がありますか。
  26. 砂子田隆

    砂子田政府委員 まさにその五条の適用をいたしますときに、ニュージャパン既存適格の問題がございまして、非常にほぞをかんだことがございます。そういうことを思いますと、既存適格をどこまでさかのぼって適法だというふうに理解するかというのは、実は消防立場から申しますと大変難しい、苦しい問題であると思っております。  そういう点から考えますと、五条法改正あるいはその他の問題についても十分検討をしなければならぬと思っておりまして、現在そういう問題の検討をいたしているところでもございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 もう時間がありませんが、ただし書きで本文の規定というのは完全に消えてしまっている。過去に合法的にやったものについてはその限りでないということですから、手がつけられぬということですよ。新しい対応ができないということです。これでは困るので、私はこの五条ただし書きのところについては手直しをしなければ対応できないのではないかと思っております。  そういう問題について、この間、静岡県で大変大きな問題が出ましたね。時間がありませんから余り申し上げられないわけですけれども、山梨県のLPガス協会常任理事をしているLPガス専門家が、「ガス漏れ防止基準の統一から」という意見を朝日新聞の「論壇」に掲げております。言ってみますと、幾つかの法律はちゃんとあるけれども、防災という魚をとるには、網は三つ四つもあるけれども、みんな逃げられるような網なんだ、これでは困るので、一匹の魚をとるには四つとも逃げられないような網を張っておかなければいかぬじゃないか、そうでなければ安全じゃないじゃないか、こういうことを言っております。私もそう思います。  そこで、もう時間がありませんが、もう一つ問題点は、これは臨調答申にも出ておるのですが、石油コンビナート等災害防止、最近幸いなことに石油コンビナートの大事故が起こっておりませんけれども、これは起こったら大変です。その新設、運転、修繕、いろいろなものについて、高圧ガス取締法がひっかかる、消防法がひっかかる、労働安全衛生法がひっかかる、三つ法律がひっかかってくる、それを全部パスしなければいかぬ、三つをパスするのは大同小異、けしからぬじゃないかという形で、臨調の方は何らか協議して対応したらどうか、こう言っておるのであります。  簡素化することは結構であります。しかし、この三つが個々にやってややこしくする、特に権限争いをすることはいけませんけれども、統一するという臨調意見には私は批判的なんです。この種の安全なんというものは、消防消防立場から、高圧ガス高圧ガス立場から、労働安全衛生のことは労働安全衛生のところから、労働省が、通産省が、消防庁が十分に確信のある許可なり対応をしていく。そこでオーバーラップしても、事故を防ぐためにはやむを得ないと思うのですよ。ですから、炭鉱の事故について、生産する方と保安という関係一つの省、一人の大臣が管理するところに問題があって、本当のチェックシステムができていないのだ、こういう批判がよくあります。私もそう思うので、臨調答申のように簡単に整理統合してしまえということは、安全性ということからいって極めて心配があると私は思います。したがって、簡単に整理統合なんという、簡単であればいいのだ、経費が安上がりでさえあればいいんだということが大事故につながりますから、そうすべきではないと私は思っております。この点については批判的であります。  消防庁はこの法律検討する段階に来ていると言うのですが、そういう問題と、この一連の問題についての大臣の所信のほどを承って、私の質問を終わっておきたいと思います。
  28. 砂子田隆

    砂子田政府委員 ただいまお話がありました臨調答申にかかわります危険物その他いろいろなことに関します、特に保安四法の関係につきましては、現在関係省庁の間で検討委員会をつくって議論をいたしております。  この中身は、今お話がございましたように、消防でやれることは消防でやることであるし、労安法でやれることは労安法でやることであるし、いろいろなことで各省それぞれの立場でいろいろ今議論をいたしているところであります。その中で、どうしてもお互いに少し議論をしなければいかぬという、例えば検査に各省がばらばらに行くよりは一緒に行って検査をしてあげる方がべターではないかというのは、これはだれが見てもそうでありますから、そういう点はみんなで考えたらいいだろうとか、できることはなるべくしてやる。書類のことでも、二通つくる必要がないものを二通つくらせたり、そんなことまでは何もすることはないだろう。そういう簡素化でありますとか、今申し上げたような検査に対する相手方の、今の言葉で言えば気配りといいますか、そういう点は考えてあげてもいいではないか。しかし、事本質に関する部分というのは、今も先生申しておりましたように、いろいろなところに問題点が残されておりますから、今後この検討委員会で十分議論をしながら、国民を災害から防止する立場に立って消防としても議論をしていきたいと思っております。
  29. 田川誠一

    田川国務大臣 防災とか住民の生命の安全を図るためには、単に簡素合理化を一律にやるだけでこれを全うすることはできないのは御指摘のとおりでございまして、私どもも消防行政についてはそういうことを念頭に置いてこれからも対処してまいりたいと思っております。
  30. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 終わります。
  31. 大石千八

    大石委員長 宮崎角治君。
  32. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 全国の消防隊初め消防職員、特に私は一昨年の長崎の大水害において大変果敢な行動をとられた消防隊に対して感謝するとともに、今回の法律案をもとにしまして、前語りを抜いて、単刀直入に大臣初めお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  まず初めに、消防力基準についてでございます。  これは、消防力基準との対比における消防施設等の整備状況を見てみますと、充足率が非常に低くなっておるわけであります。消防力基準の第一条をひもといてみますと、確かに、「この基準は、市町村火災の予防、警戒及び鎮圧並びに救急業務等を行なっために必要な最少限度の施設及び人員について定めるものとする。」というのが第一条の規定でございます。「必要な最少限度」とあるわけでありますが、早急にこの消防力基準に到達するように整備すべきではないかと本議員は思うわけであります。その点につきまして具体的にいかなる方策を考えておられるのか、しかと承っておきたいのであります。これが最初であります。
  33. 砂子田隆

    砂子田政府委員 まず初めに、消防に対しまして大変御理解を示していただきまして、ありがとうございました。  私たちも、今お話がございましたように、消防力基準を告示しております関係上、一日も早く市町村がこの基準に対して充足されることを望んでおります。しかし現実に、今先生が申しておりましたように、なかなか充足されない町村が多うございます。こういう町村に対しまして、私たちも常々、整備計画をつくって早く整備の目標に到達するように指導はいたしておるのですが、なかなかそういうところまでまいっておりません。事は住民の生命、身体、安全に関することでありますから、一日も早い充足がされることを望んでおります。  私たちといたしましては、そういう点から三年ごとにこの充足率の調査をいたしているわけであります。しかし、五十六年の四月一日でとらえましたところでは、なかなか全体的に結構だという点までは来ておりません。ちょうどことしがまたその充足率に対する調査をいたす年になっております。この三年ごとにやはり市町村自身も整備目標をそれぞれ設定しながら、その目標を達成するための整備計画を策定するように常々指導しておりますので、この三年間でどれだけその目標が具体的に出てくるのか、それをことしはじっくりと調査したいと思っております。特に、基礎的な消防施設の充実というのはもちろんでありますが、施設の科学化でありますとか、そういう問題も最近の都市構造から見まして大変必要なことでありますので、そういう点を含めて今後も目標達成のためにやはり具体的な指導をしていかなければならぬというふうに思っております。
  34. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 整備計画の到達に対する、また充足度に対する指導については、それぞれ当局として努力をされているわけでありますが、なかなか到達の到のところまでいかないという現実の中に、今回また新たに調査の段階になるようでございます。  私は、「必要な最少限度」という、この日本の国語的な語彙が非常にわからないわけであります。最少限度ですからミニマム、または努力目標なのかどうなのか。どうしても必要不可欠であり、もうこの限度でなければだめなんだという非常に重大な、私はここに意味があるのではないかと思いますが、当局としては、日本語の解釈として、努力目標なのか、必ずこれを到達しなければならないのかという、その辺のところのニュアンスをもう少し具体的に所信を伺っておきたいと思うわけであります。
  35. 砂子田隆

    砂子田政府委員 消防力基準は、お話しのように最少限度必要な施設として消防庁長官が告示しているものであります。  ただ、市町村が住民の生命、身体、安全を守るという見地からいえば、市町村の議会の中で多くの問題が提起されてくるべき筋合いのものではないかと私は思っております。その条文の後の方の市町村の実情に応じてというのは、私たちはむしろ最少限度以上に市町村の実情に応じて備えておいてくれというふうに理解をしているのですが、現実にはどうも今おっしゃられましたように最少限度という方が少ない方に足を引っ張って、実情の方も少ない方に引っ張っているという感じがしないわけではありません。しかし、消防力基準を告示している以上は、やはりそこまでは到達してほしいというのが私たちの願いであります。
  36. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 決意と現実がなかなか合致しないというところに大変なもどかしさを感じるわけであります。先ほども先輩委員が言われておりましたが、充足の率からいきますと、五十六年四月現在におきましては、ナンバーワンが救急車の九九・五%ですか、それから消防ポンプ自動車の八七・九%が第二位でしょうかね。それから現有車両に対する消防職員の充足率が第三位の七七・九%のようであります。さらに第四位が小型動力ポンプの六七・九%、そして消防水利、さらにははしご自動車、一番悪いのが化学消防ポンプ自動車の五四・〇%となっているわけであります。こういうことで、全国的な流れの中で消防庁としてお考えになっていることが少しなまぬるいというのと、もう少し強力な行政指導というものと、充足に対するいろいろな現地の実情についてさらに今後鋭意努力してもらいたいと思うわけであります。  第二点にお尋ねしたいのは、消防費の基準財政需要額と決算額との比較でございますが、消防費の基準財政需要額と決算額を比較してみますと、私の調査では、毎年恒常的に約一〇%余っている勘定になるわけであります。この約一割が余っている理由について、なぜこうなってきているのか、この辺をひとつ定かに説明を求めたいと思うわけであります。
  37. 砂子田隆

    砂子田政府委員 お話にございましたように、私たちの方も消防力の充実を図るということが大変大事だと思っておりまして、毎年財政当局と話をしまして、地方交付税の措置につきまして拡充を図ってまいったわけであります。  ちなみに、五十七年度の決算で見てみますと、市町村消防費に充当いたしました一般財源は七千七百六億余でございます。これに対しまして、交付税で算定しております基準財政需要額は八千七百六十三億余になっておるわけであります。この比率を見ますと、今お話がございましたが、八七・九%しか一般財源に充当をされていないというのが市町村の姿であろうと思います。  御案内のとおり、もともと交付税自身は一般財源でございますから、消防に全部充てるということ自身があるいは無理なのかもしれませんが、私たちの方といたしましては、少なくとも、現行の充足率から見ましてもこの消防費がもっと目いっぱい使われてしかるべきではないかということを考えまして、全国の消防会議が実はあるわけですが、そういう場合でありますとか、あるいは各ブロックごとの消防会議に私自身も出てまいりまして、そういう財政の状況にあるということをよく認識の上で、市町村のそれぞれの財政当局と折衝して、一日も早い消防施設の充足をするようにということを再三くどいように実はお話を申し上げているところでもあります。  この中身がどうしてこんなに乖離があるのかという話になりますと、これはどうも一般財源の話でございまして、それが他方にどういうふうに使われているかということがなかなかわかりづらいところであります。ただ、私たちの方といたしましては、せっかくそういう交付税で見られている金額が、少なくとも消防力の充実のためにやはり使われるようにということだけは願っているわけでもあります。
  38. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 本議員は、一割も余っている理由が那辺にあるのかというところに力点を置いて質問をしたわけでありますが、これは端的に言って、ひもつきでないから、全国のそれぞれの首長、市町村長がその裁量によって、あるいはもっと極端に言いますと、首長の姿勢に起因するのか、その辺についての見解はどうなんですか。
  39. 砂子田隆

    砂子田政府委員 先ほど申し上げましたように、交付税自身が一般財源でありますから、その使い方について私たちがとやかく申し上げるというわけにはなかなかまいらないだろうと思います。  ただ、少なくとも、せっかくそういう交付税で見られておるような消防費については、しかるべく使っていただきたいというのが私たちの願いでもあります。ただ、私は、それが、執行部と申しますか、首長が自分の施策のために任意に使っているということもこれはあろうかと思いますが、先ほどのお話の中でもお答えいたしましたように、やはり住民を代表している議会というのも市町村の中にあるわけでして、消防の充足の問題についてもっと議会の中で大いに議論をしてもらって、そういう充足されていない部分について激しい議論がなされて、その中で充足されていくという方向が本当は望ましいのではないかと私は思っております。  そうしませんと、こういう問題というのは、消防力の問題のみならず、一般的に言いましても解決をされるということがなかなか難しいような情勢にもありますから、やはり議会と執行部との間の大いな議論の中で、そういうことの中からうまい結果が出るようなことを期待しておるというふうなことを申し上げておきたいと思います。
  40. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 次の問題に進みます。  国庫補助基準額の据え置きについてでございますが、今まで毎年補助基準の単価が上がってきたわけであります。今回据え置きになっているわけでありますが、この据え置きになった理由をひとつ明快に答弁を求めたいと思うわけであります。
  41. 砂子田隆

    砂子田政府委員 御案内のとおり、補助基準額の設定につきましては、毎年度の補助金によって購入をした消防施設の価格調査を行っておりまして、この調査を踏まえながら、物価上昇の要因を考慮して調整を行ってきたわけであります。  五十八年度はそれぞれの施設につきまして単価の上げ方が違っておりますが、平均して五十八年度、今年度は一・七%単価アップをいたしたわけであります。今回は、いろいろ実勢を調査いたしました結果、それほど違っていないということがございましたので、基準額の改正は五十九年度は行わなかったわけであります。  今後におきましても、私たちはこういう価格調査というものを実際に行いまして、補助事業を円滑に執行する必要がございますので、実勢に合ったような補助額の決定をしていきたいというふうに思っております。
  42. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 物価上昇等々の問題も勘案に入れてのことということでございますが、今回は物価上昇率は大体二・八%の上昇ではないかと思うわけであります。何%になったらこの基準単価のアップにつながるのか、その辺についてもひとつ御所見を承りたい。
  43. 砂子田隆

    砂子田政府委員 何%上がったらということであろうと思いますが、実際各県によって施設を購入する値段というのが大変格差がございます。これを実は実勢の調査を行っているわけでありますが、公共団体の中で乖離が非常に大きいということになりますと、これはある程度やらなければいかぬとは思いますが、今ここで平均的に見て五%上がったらやるとか一〇%になったらやるとかいうことを申し上げるのはどうも大変つらいところがありまして、そういう日本全国の市町村の実勢を見ながら、公共団体の方のいろいろな要望、そういうものを加味しながらこういうものを直していきたいと思っております。
  44. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 公共団体との乖離というのが全国的に非常に大きな問題となって、私は本会議でも、超過負担の問題について、せめても国と地方とのサイクルの中でこういった委員会をつくって、実勢価格に即応するような方向で国もしていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに申し上げたわけでありますが、実際、具体的に国との差が非常に大きいのが一つあるわけです。  その具体的な例は、化学消防ポンプ自動車の大Ⅱ型であります。これを一昨年五十七年、長崎県の対馬で一台購入したわけでございますけれども、総事業費が四千五百五十七万八千円であった。基準額が三千九百八十一万円、その差が五百七十六万八千円と相なるわけであります。こういう乖離、差が超過負担という非常に大きな問題に直面している状態がございます。また、長崎に佐世保市というところがございますが、ここで五十五年に買いました屈折はしご付消防ポンプ自動車でございますが、これは一台で三千八百九十万円、このうち補助の基準額が三千二百四十万円、補助額が一千八十万円で、佐世保市は一般財源から二千八百十万円出されている。  こういったそれぞれの自動車は、地元ではほとんど九〇%を起債でやっていかねばならぬという状況の具体的な問題につきまして、単価もずっと上がってきた中で、今回は無線機の方もマイナスになるし、はしご車の方もマイナスになるし、化学車の方もマイナスになるという中で、しかも国と地方との格差というものがあるということになれば、人命と財産を守るべき消防隊の士気、活動、いろいろな面に大きなマイナス面が出てくるのじゃないか、このように思いますけれども、この辺についての所見をひとつ伺いたいと思います。
  45. 砂子田隆

    砂子田政府委員 私たちの方も実は五十八年度の契約がどういうことになっているのか、今実績の調査をいたしているところであります。今わかりましたところだけ見ましても、その県によりまして、先ほど申し上げましたように、契約額と補助基準額との間のずれがございます。どうして同じ物を買っても県によって値段が違うのか、私たちも大変不思議ではありますが、ともかく実態がそういう形でありまして、同じはしご車を買うにしましてもA県とB県とは違っておりましたり、化学車を買うにいたしましてもまた違っておったり、いろいろなことをしております。  そういう点をもう少し調査をして、業者にはあるいは私たちの方からよく申し上げておかなければいかぬことかもしれないと思っておりますが、いずれにいたしましても、そういう実態があることは私たちも承知をいたしておりますので、今後とも十分内容検討しながら是正をしたいと思いますし、それが公共団体の負担増を多く招くということであれば、やはり実勢単価を改めるということにしていきたいと思っております。
  46. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 大変ありがたいあれでございますが、A県とB県、あるいはまた単価の問題、今申し上げた対馬の離島関係でございますが、この金額は運送費は入っていないのです。運送費をのけているのです。運送費が、大阪から陸路で来て、また海上輸送で来ますと四十万かかるのですが、これが抜けているのです。それでなおかつ五百七十六万八千円とすごい差額が出るということになれば、この辺について国としても、メーカーもたくさんございましょうが、十分ひとつ検討してもらわないと大変なことになるのじゃないかと思いますので、特にお願いを申し上げておく次第でございます。  最後に、私は、五十五年の川治温泉ホテルにおける六十七名の罹災者を出しましたあの悲しい惨事が今脳裏から離れませんが、これによって全国的に「適」マークがいよいよ入ったわけです。  今日までの「適」マークの適用施設が、ちょうど五十八年度から拡大されたようでありますが、新たに対象施設に加えられた一定規模以上の劇場、映画館あるいはまた百貨店などへの交付率が三一・四%に相なっているのじゃないかと思う。また、特に秋田県、富山県、奈良県、鳥取県などでは交付率がゼロになっている。なぜ、今日までのいわゆるプロセスの中でこういうふうに引き下げられてきたのかということ、今の「適」マークについての明快な経過と、そして今後のいろいろな適用並びに交付の方向についての所見をひとつ定かに求めたいのであります。
  47. 砂子田隆

    砂子田政府委員 「適」マークにつきましては、御案内のとおり、人命を尊重するという立場から、最も必要な最低の基準というものに合致しているかどうかということで交付をいたしておるわけであります。お話しのように、五十五年十一月二十日にありました川治のプリンスホテルの火災を契機といたしまして、五十六年度から創設をいたしたものでございます。  旅館、ホテルに関します「適」マークの交付率に関しましても、実は五十六年から交付いたしましたときには、その五十六年の年度末で四二・七%でございました。その後、防災の設備計画をいたしたり、あるいは二十四項目の指示をしておりますが、その中の避難訓練の実施などということでいろいろ対象の方でも考えまして、五十八年の九月末にはようやく七七・一%になったわけであります。これはやはりある意味では、国民の間にも旅館、ホテルというものを選ぶに当たって「適」マークの交付をされている方がより安全であるという認識もありましたでしょうし、あるいはホテル、旅館側にも、防災安全に関する不備事項の是正ということをしなければお客が来てくれないということもありましたでしょうし、そういうものが相まちまして、さらに経営者の認識が高まってこれだけになったものだと思っております。  ところが、今お話のございました劇場でありますとか映画館あるいは公会堂、そういうところの交付率というのが年度末におきまして三一・四%でありますことは御指摘のとおりであります。これもやはり先ほど申し上げました旅館、ホテルと同じ傾向にありまして、やはり指導の期間がまだ比較的短いということもございます。そのために交付率が非常に低いということもありますでしょうし、さらに、お話がありました秋田県その他のところで交付率がゼロというのがありますが、実はこれは調査をしていないわけではございませんで、仄聞をするところによりますと、調査をしているけれども、「適」マークの交付は一斉にしたいということで、調査は終わっているがまだ交付をしていないということもあるというふうに聞いておりますので、次第に交付率は上がっていくものだと思っております。現に東京でありますとか、そういう前々からやっておったところではこの交付率が割合高いわけでありますから、次第にこの交付率も全国的に高まっていくだろうと思っております。  どちらにいたしましても、今後この新しい「適」マークにつきましても、防災安全上の不備事項の是正推進が進みますように指導いたしますとともに、やはり何と申しましても不特定多数の人が集まる場所の防災に関しましては、経営者がやはり十分に意を用いなければならぬということもございますので、そういう点にも意を用いながら、この「適」マークの交付率が上がりますように今後とも努力をしていきたいと思っております。
  48. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 二十四項目という基準もございますし、また一年ごとのいろいろなチェックということがございます。今の四県については、いよいよ間もなく出るのではないかと思っておりますが、最後に私は大臣に、いわゆる自治体消防になりましてから今日まで三十六年、警察の一部であった消防が独立いたしましてから、今日、日本の四十七都道府県における人命の損失並びに林野の問題、国土のいろいろな損失という問題がございますが、この消防行政に対する、また地方に対する行政指導の強力な指導のポイント、今後の大臣としての御決意並びに御方針をひとつ最後に承って、終わりたいと思います。
  49. 田川誠一

    田川国務大臣 消防の第一線に活躍しておられる常設消防の人はもちろんでございますけれども、いわゆる消防団として、一たん災害があった場合に出動されるそういう消防団の方々の日夜にわたる御労苦というのは大変なものだと思います。  私どもは、できるだけこうした火災災害に備えて平素待機しておられる方々が、一たん事故があった場合に、住民のために身を顧みず活躍できるようなそういう体制にしていかなければならないと思いますし、また、それに報いるようないろいろな表彰制度とかそういうようなことも考慮に入れていく必要があると思います。先ほど細谷さんからもお話がありましたように、事故が、あるいは災害がありませんと、そのありがたさというのはわからないんですね。そういうことを十分念頭に置いて、私どもは、消防に従事される方々に対する待遇であるとか処遇であるとかいう面を今後も十分考えていかなければならない、このような姿勢で行政に当たっているつもりでございます。
  50. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 終わります。
  51. 大石千八

  52. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 この機会に、消防行政につきましての質問をさせていただきたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、消防行政というのは大変地味な仕事で、しかも国民生活にとりましては、この完璧を期せられるかどうかということが、そこに住む方々のいわゆる安心感と申しまするか、一面から見れば行政の信頼感と申しまするか、そういうものを決める尺度になっておるのではないかと思うのでございます。治にあって乱を忘れず、そして常に備えあれば憂いなし、そういうことで一たん有事に備えておられるわけでありまして、そういう地味な運動の累積が国民の皆さんに対する消防の信頼感となり、また地域住民にとりまして、その充実強化というものは大変必要な事柄だというように感じておるわけでございます。  したがいまして、この中身といたしましても、防火防災の仕事を初めといたしまして、いかなる大震災にも備えようとする備えの準備のための強化というものも当然必要でございます。また、今のような時代の変化あるいは都市構造の変化に伴いまして、救急業務を初めとする仕事というものも多くなり、多様化いたしておるわけでございます。また、職員を初め、消防団員あるいは自主防災組織等々によって、いわゆる我が町は自分たちで守ろうとする郷土愛というものもこれまた大きく育て醸成をさしていかなければならぬのではないか、かようにも考えておるところでございます。  そういう観点に立ちまして、自治省、消防庁におきましても大変御苦労をかけておるところでございますけれども、その意のあるところを私どもも十分承知をいたしながら、消防力の強化のためにどうぞひとつせっかくの御努力を煩わしたいと思うわけでございます。  ところで、今まで質疑された方々とは重複をしないような形の中で御質問をさしていただきたいと思います。  一つは、警備保障会社等に関連をする問題であります。防火管理業務に関する質問をいたしたいというように思います。  ホテル、学校、公共施設等で、防火管理業務を部外者、特に警備保障会社等の警備業者に委託するところが既に一万五千件に上っておるのでございます。毎年二〇%ずつの割合でこの警備会社がふえておる現状でございます。これらの業者に委託されておる現状についてどのように把握をされておるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  53. 砂子田隆

    砂子田政府委員 まず最初に、消防に対しまして温かい御理解をいただきまして、大変ありがとうございました。御案内のとおり、消防に従事しておる職員というのは、極めて地味な仕事でございまして、しかも多くの生命財産を守るために日夜活動いたしているわけでありまして、その点に対し、大変温かい御理解、まことにありがとうございました。消防自身も、現在の火事の発生件数からいいましても六万件でございまして、おおよそれ分に一回の出動をなされますし、救急車につきましてはまさに二百万回を突破いたしておりまして、十四・八秒に一台の出動を要請されておるという中で、消防職員が住民のために行動しておりますことを、まず申し上げておきたいと存じます。  防火管理の問題につきましては、最近、合理化でありますとか省人化の傾向が大変強くなっておりまして、防火管理業務の一部を部外者に委託する例が大変多くなっておりますことは今お示しの数字のとおりであります。  しかし、この防火管理業務の一部が委託されました場合に、いろいろの問題が提起されておるわけでありまして、一つは、委託業務の範囲なり権限というのが非常に不明確で、火災が発生したときの初動の措置に多くの混乱が生じていることがございます。これは各消防機関においても、そういう点で、業務委託された受託者との間でやはりいろいろな問題を提起しながら解決に努力しているところでありますが、いずれにしましても、初動の措置に混乱を生ずるおそれがあることは事実であります。  第二番目に、委託を受けて業務に従事する人たちが、防火管理についての基礎知識なりあるいは技能というのを欠いているのではなかろうか、そのために適切な防火管理を遂行できないというような問題があることも事実であります。  そのために、私たちの方といたしましては、消防法の施行規則を改正いたしまして、防火業務を委託した場合には必ず消防計画に所要の事項を明記することを実はやったわけであります。これによりまして、委託機関について消防の機関がそれぞれ事情を知ることができますので、その指導に当たるということができるようになりました。  さらに、防火業務の受託を業とする法人に対しましては、防災に関する知識というのをやはり普及する必要がありますので、これに対しまして強力に指導しながら消防機関がこれらの講習を行うということをいたしていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、委託によって防火管理業務が十分に図られますように、責任体制を明確にしていくことが大変大事なことであるというふうに思っております。
  54. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいまもちょっと内容に触れておりまするけれども、内容的にこの機会にちょっと伺っておきたいというように思います。  これらの業者の業務の範囲や防火知識等の資格要件はどうなっておるのか、それから、当局はどのような指導を行っておるかということを一点伺っておきたいと思います。  それから、引き続きまして、これらの業者のうち、防火管理業務が委託できるのは一体どの程度あるのか、この点につきましてもあわせ御答弁をいただきたいと思います。
  55. 砂子田隆

    砂子田政府委員 防火業務の委託管理につきましては、先ほど申し上げましたような点があるわけでございます。一般的には、施設について防火管理者を法律上置かなければいけないことになっておりますが、必ずしも委託された方の会社が防火管理に十分な知識を持っているとは限りません。そのためにいろいろなトラブルが起きていることは、先ほど申し上げたとおりであります。  そのために、特に警備会社でありますが、こういう警備会社に対しまして、講習等を通じまして防火管理の知識をやはり普及させる必要があると思っております。しかも、ある意味では法律上の防火管理者としての地位を取得していただくのが一番よろしいのですが、そこまではなかなかまいりませんので、一応、防火管理者、先ほど申し上げました消防計画の中に明記することによって、防火管理の委託を受けながらやるにいたしましても、そういう知識が十分持てるような仕組みにいたしたい、そういう指導をしていきたいと思っております。
  56. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 このような業者の多くは、電話回線等を使った機械警備による防火システムを行っておるわけでございまして、事故発生の報を受け、現場未確認のままで消防車とか救急車等を要請するものが大変多くなっておる実情にございます。一一〇番の受理件数の中で、五十六年の十月から約一年間で、千二百七十四件のうち九百六十件ほどとなっておりまして、全体の七五%に結局なっておるわけでございます。それで、一一九番の機械警備の受理件数、例えば横浜市の場合でございまするけれども、五十七年のときに、百三十九件のうち百三十二件が誤報であったという報告がされておるのでございます。このような誤報は、一分一秒を争う救急業務にとりまして大きな支障となり、消防強化促進に実際は逆行をしている、こういうような現象があるわけでございます。このような公共システムを利用するものに対してどのようなことを考えておられるのか、そして、このような誤報の実態状況が生まれてくる原因について十分検討されておるかどうか、この辺のことについてこの機会に伺っておきたいと思います。  また、関連をいたしますけれども、全国消防長会の会長であります花塚辰夫さんから全国警備業協会の飯田会長さんあての「警備保障会社の行う家庭用防災システムの緊急信号による緊急車出動要請について」というのがございまして、この中でも今言ったようなことが書かれておりますし、現場を確認もしないまま救急車の出動を要請しておるということもございます。  それから、警備会社等によりましては、宣伝文句の中に、そういう公共システムとの関係の中で警備その他ができますよと言って広告をしておる会社もあるのでございます。これは私はどうも行き過ぎではなかろうかと思います。しかも、警備業法に照らしましてもこの点は行き過ぎじゃないかと思うわけでございまして、この辺、法律の欠陥を抜いて、欠陥の穴を見てこのような処置をいたしておるように私どもは考えられるわけでありますが、このようなことについてどのような行政指導をされておるのか、この機会に伺っておきたいと思います。
  57. 砂子田隆

    砂子田政府委員 後の方からお答え申し上げますが、私たちの方にも全国消防長会の会長から緊急出動の場合に対する御注文がございました。この問題は、今お話がございましたように、宣伝内容の一部に公共機関と一体であるかのような表現がございまして、住民に誤解を招くおそれがあったことは事実であります。そういう点で消防長の方から問題が提起されましたので、私たちの方といたしましても、現場確認を励行するようにということを申しております。現実に、この問題は特にマイドクターの問題として起こった問題ですが、五十八年一月から七月までの間に救急要請の件数は全国で三件ではありましたが、そういうことが起きないように今後とも私たちの方も注意をしていきたいと思っております。  前半の方の遠隔移報警備の問題は、防火対象物の自動火災報知設備からの火災信号を電話回線で警備会社の中央管制システムに移報して、そこから指令が出て警備員が火災の確認をするなり初期消火等の対応をするというのが今の例になっておりますが、実はこれは最近そういういろいろな問題が起きましたために、警備員が火災の確認をするとか初期消火の対応をするということになったわけでありまして、一般的には、防火対象物に対しましては完全に無人化をしておりましたり、あるいは何の対応も行っていないというものがありまして、単に通報によって出ていくようなシステムであったわけであります。  これでありますと、先ほどお話がありましたように、実火災がないのに実火災だと思って出動する、その間に新火災が別な方で起きるという問題が起きまして消防隊が大変迷惑するわけでありますし、あるいは現実に災害に遭っている人を救済できないという問題がここに起きてきたわけであります。そこで、そういう問題を回避するために、警備会社においては必ず火災を確認してから消防機関に通報するようにということを私たちの方で指導いたしております。  こういうことがいろいろございましたから、消防庁の中におきましても、この問題の実態を踏まえまして防火管理体制研究委員会を設置いたしまして、その中で研究を進めております。ことしの一月になりまして、その委員会から報告書が出されております。この報告書では、遠隔の移報警備に対する対策として非火災報対策の推進でありますとか、デポと申しますか、前進基地の要員の確保あるいは遠隔移報警備システム全体の改善について特に提言をされておりますので、今後はこの提言をもとに各警備会社を指導していきたいと思っております。
  58. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいま御答弁をいただいたわけでございますが、これらの現状から見まして、一つは、警備会社に対する現場確認の義務づけのようなものをきちっとさせるべきではなかろうかと私は思うのです。  二番としては、今のような、警報が鳴って行ったら実際は火災でないというのがあるわけでありますので、正確な火災報知機等の開発を国と地方自治体が協力してやっていく必要があるのじゃないかと思うのです。例えば、東京消防庁は東京消防庁でつくるとかいうことでなくて、今の経費を節減する面からいきましても、何か地方自治体でも強いところはどんどん先行するということではなくて、国と両方で協議をしながら、こういう正確な火災報知機のようなものは協議の上でやっていくようなことが望ましいのではなかろうかと考えるわけです。  それから警備会社にも、この現場確認の義務づけとやや似通っておりますけれども、例えば会社の目的などで明らかに法律に違反しているようなところは直させる必要があるのじゃないでしょうか。私はどこどこの会社とは申し上げませんけれども、事実ここに持っておりますけれども、そういうところは法に抵触するからこの目的から外しなさいと言ってやるぐらいの行政指導は当然じゃないか。言葉は悪いのですけれども、住民をだますことにもなりますし。だから、この辺のところは行政指導の徹底を期してもらいたいと思うのです。  それから、今の全体の防災システムの総合的な見直しというものも、今のような都市の過密化に対応して見直す必要があるのではないかと考えるわけでございます。  以上、四点を申し上げさせていただきましたけれども、長官のお考えを承りたいと思います。
  59. 砂子田隆

    砂子田政府委員 まず初めに、現場確認の問題ですが、これはおっしゃられているとおりだと思っておりますので、私どもの方からもよく申し伝えておきたいと思います。  それから、火災報知機などの遠隔システムにつきましては、現在委員会を発足いたしておりまして、この中に公共団体の方の代表者も入れながら話をして続けていきたいと思っております。  それから、違法なことをやっている者につきましては、これは私どもの方から厳重に注意をしていくべきだと思いますので、その行政指導はいたしたいと思っております。  さらに、防災システムの問題ですが、これからの防災は総合システムにしていかないとなかなか防ぎ切れない部分もございます。そのために、五十九年度に総合システム研究検討会を発足させることにしておりますので、その中で議論していきたいと思っております。
  60. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 消防職員と消防団員の処遇の改善について、この機会に伺っておきたいと存じます。時間がございませんから、まとめて伺いまして長官からまとめて御答弁をいただきとう存じます。  一つは、消防職員の勤務形態は今どのようになっておるのかということであります。  それから第二点目は、隔日勤務者の勤務時間は今どのようになっておるのかということであります。  第三点目は、消防職員の週休二日制についてでありまして、消防職員の四週一回の交代半休制の実施状況はどのようになっておるかということでございます。  一、二、三をまとめて、消防職員に関する問題でございますので、ひとつ御答弁をいただきとう存じます。
  61. 砂子田隆

    砂子田政府委員 まず最初に、消防職員の勤務状態の問題であります。  消防職員は、御案内のとおり、消防業務が地域住民の生命、身体、財産というものを各種災害から保護をして、その被害軽減、防止を図るという特殊な任務を帯びておりますことから、各種災害に対しまして常時対応できるような態勢をとっておかなければなりません。そのために交代制勤務というものをやっておりまして、当番日と非番日との組み合わせによる二部制の交代制勤務と、それから当番日と非番日と日勤日を組み合わせました三交代制、三部制と申しますか、三部制による交代制の勤務というものを実施をいたしております。大多数の消防本部につきましては今申し上げましたうちの二部制をとっておりまして、全本部の九三・九%が二部制であります。東京を初め一部のところの消防本部、全体の六・一%ぐらいですが、それが三部制を実施しているというのが現況でございます。  それから、この隔日勤務者の勤務時間の問題でありますが、交代制の勤務者は、午前八時三十分から翌日の午前八時三十分までの間、休憩時間を含めまして二十四時間庁内にとどまりまして勤務を行うということになっております。その翌日の午前八壁二十分から、非番日として勤務を要しない時間というふうになっております。当務日の二十四時間は、一般的には十六時間の勤務時間と休憩時間の八時間、これは拘束時間であります、に分けられまして、この勤務時間の割り振りにつきましては、各消防本部の組織、人員あるいは災害の発生状況等により多少異なっているというふうになっております。  それから、週休二日制の実施状況でありますが、消防職員の週休二日制の実施状況は、昭和五十八年の四月一日現在の調査の結果によりますと、組合消防を除きました一般の消防本部、四百九十二ございますが、そのうちの百八十四本部では週休二日制を実施しております。ちなみに、市町村全体で三千二百七十八ございますが、このうちで週休二日制を実施しております市町村の数は千二百四十六でございまして、三八%が今の市町村の中では週休二日制を実施しているという状況にございます。
  62. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいまの御報告を伺いましても、まだまだ職員の勤務の状況というのは厳しい状況にあるような感じを受けます。したがいまして、二部制の完全実施あるいは三部制への移行、こういう問題を含めまして今後前向きで検討していただければありがたいと思います。要望いたしておきます。  それから、次は消防団員の問題でございますが、消防団員の公務災害につきましては、いわゆる消防職員に準じて処置をいたしておるというように伺っておるところでございます。  ただ、問題といたしましては、消防団員の場合はいわゆる階級制、団長、副団長、分団長、副分団長とかという階級がございますが、階級によるところの基礎額ということで考えておられるようでございまするが、私は、職員も給与ベースでやっているわけでございまするので、やはり団員の場合も、今後の新しい方向としては、団員の中で給与所得者があるわけでございましてある程度見積もりもできるわけでございまするから、したがって、そういうものも加味した形の中で考慮をすることが、やはり郷土愛に燃えて、お仕事をしながら防火防災に挺身をするこれらの方々の気持ちに沿うことではなかろうか。何か団長さんやなんかというのは特によくして――一般団員の人たちも一生懸命でやるわけでございますので、そういう人たちの、民間の給与をいただいているわけでございまするので、そういうものを加味しながら公務災害の支払いを改善をさせる必要があるのではないかというように思うわけでございますが、この点についての長官のお考えを承っておきたいと思います。
  63. 砂子田隆

    砂子田政府委員 団員の公務災害補償の問題は、お話しのとおり、国家公務員なり地方公務員と同様に取り扱っているわけであります。扱っているところは、消防団員等公務災害補償等共済基金というところに、市町村との間で契約を結びまして、その掛金を払うことによって補償を払うという仕組みになっております。  ただ、今お話がございましたように、団員それぞれの方々がそれぞれの持ち場において、給料をもらっておるという方もおりましょうし、自家業に努めておる方もございましょうし、どういう給与にするかというのは大変難しい問題だと私は思います。一つ検討事項ではあろうと思いますが、どういう形でそういう一定の掛金というものを押さえることができるか、あるいは給与というのをどういうふうに把握するか、団長、副団長あるいは分団長の間でどういう形になるのか、むしろ職業によっては分団長の方が非常に給与がよかったりいろいろすることもありましょうし、一概にそういう給与をもとにしてやるのは、正直言ってなかなか難しかろうという今感じを持っております。しかし、御提案でもございますから、少しは検討してみたいと思いますが、大変難しい問題だと思っております。
  64. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 大変難しい問題だと思いながらも、いま少しその辺は考えた方がよいのじゃないかと、実際消防団員に接しておる一人といたしまして、感じたままをお願いを申し上げておるところでございます。  それから、団員が、これは東京などで見ましても、二十三区は大変高齢化でございます。先生の方は大変若い方々が充足されておるわけでございますが、例えば二十三区内ですと、六十歳以上の人が七百八十八名、七十歳以上が百四十名、あるいは八十歳が二名おられるというようなことで、大変お年寄りの皆さん方を酷使しておるような感じがいたしまして、地域に奉仕をしていただくのはありがたいのでございますが、やはりお年寄りから若い世代にかわるというそういうことも大変必要なことではなかろうか。そういう点では充足率を、お年寄りの皆さんから若い方にかわるようなそういう指導というものも大切ではなかろうかというように考えるわけでございますが、このことが一つ。  それから、東京などでは自主防災組織というのが大変進んでおりまして、特別区では八五・八%、いわゆる一般の人たちが消火隊というのをつくりまして、それぞれの町会別に何とか自分の町は自分たちで守ろうということで、可搬式ポンプをちょうだいをしてそれぞれの地域で活躍しておられるのでありまするが、東京都では震災予防条例に基づきましてこれらの方々でけがをした人たちに公務で補償するということになっておるわけでございまして、一挙に十分できなくても、やはり今後は、こういうような先例があるわけでございまするので、自主防災組織をつくった人たちでけがをした人たちには公務災害で面倒を見てあげますよというような行政指導は、私はこれまた必要ではなかろうか、東京都が先例をつけておりますので、この辺のお考えをこの機会に伺っておきたいと思います。  前向きでの御答弁をお願いをいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  65. 砂子田隆

    砂子田政府委員 消防職員の高齢化の問題につきましては、私たちも大変心配をいたしているところでもございます。だんだん年齢が上がってまいりまして、五十歳以上の消防団員の構成比率が逐年高くなってきている傾向にございます。しかし、消防団員というのは消防活動に従事をしていただくわけでありますから、体力を必要とする職種であることは間違いございませんので、やはり若い団員を確保するというのがこれからの課題であろうと思っております。  ただ、これは一概に課題だと申し上げましても、若い人が必ずしも参加してくれるという趨勢にはなかなかなくて、それが私たちの悩みでもございます。今、地域的に自分たちの町は自分で守るという、まさにコミュニティーの精神と申しますか、自治の原点の議論というのが大変大事にされる時代でもありますから、少なくとも若い人たちも、自分たちが住んでいる町を守るために、そういうボランティアの活動には一生のうち一度はやはり参加をするという気持ちがなければ、本当は自分たちの町は守れないのではないか、そういう感じがいたしておりまして、コミュニティーの活動と相まちながら、ボランティアの精神の高揚、理解を深めていくということが、今後の消防団の拡充のために大変必要なことだと私は思っております。  さらに、市民消火隊と申しますか、自主防災組織の問題につきましてお話がございましたが、これもまた大変ありがたい組織だと私は思っております。このほかにも、婦人防火クラブでありますとか、幼年クラブでありますとか少年クラブでありますとか、いろいろなものがそれぞれの場所において自分たち地域防災に当たっていただいておりまして、これは本当に感謝を申し上げているわけであります。  ただ、こういう人たちが消火に当たりますとかあるいは従事をするということでありますれば、それぞれの法律に従って協力者なりあるいは従事者に対するそういう補償の問題ということが起きましょうが、一般的にけがをしたということでこの人たち災害上の補償を与えるというのは、なかなか難しい問題があると思っております。
  66. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 終わります。
  67. 大石千八

    大石委員長 経塚幸夫君。
  68. 経塚幸夫

    ○経塚委員 政府原案につきましては、期間の延長には私どもももちろん異議のないところであります。しかし、政令で定める市町村につきましては補助率を引き下げる、この点につきましては合点がまいりませんので、以下幾つかお尋ねをしたいと思っております。  まず最初に、先ほど来から論議になっておりますが、公布されました消防力基準、これはそこそこ守ればいいというものなのか、あるいはどうしても守らなければならないものなのか、その点についての解釈はどうですか。
  69. 砂子田隆

    砂子田政府委員 消防力基準というのは、私たちといたしましては消防に必要な人員あるいは施設について定めておるものでございまして、市町村が、それぞれの実情に即して、それを充足をしておくという計画を定めながらその整備を図っていくことが必要だと思っておりますが、これはそこそこやればいいというものではございませんで、消防力基準の中に最少限度必要だ、こう書いてありますが、まさに最少限度必要なものでございまして、それをなるべく早目に充足をしていただくというのが私たちの指導の方針でございます。
  70. 経塚幸夫

    ○経塚委員 守らなければならない基準だという解釈はできますがね。  ところが、今回の政令で定める市町村でありますが、これは一つは政令指定市、それからもう一つは財政力指数一を超える市町村、こういうことでありますが、私ども調査をしてみますと、例えば政令指定市、これは札幌市が該当いたしますが、札幌市の場合はポンプ車が充足率七六%、それから化学車が七五%、さらに、はしご車も七五%であります。さらに、財政力指数一を超える市町村、幾つか見てまいりましたが、例えば一・〇五の羽村町、これは消防ポンプ充足率は四四・四%。それから市原市の場合は、化学消防ポンプ車が二八・六%、はしご車が四〇%。厚木市は、ポンプ自動車が五四・五%、はしご車に至りましては何と三三・三%ですね。寒川町はポンプ自動車が二五%ですね。豊田市は化学消防ポンプ車三三・三%。物によっては全国平均以下の項目もあるわけですね。  したがいまして、こういうところの補助率をなぜ引き下げようとしておるのか。むしろ私は引き下げよりも、充足率状況から判断をいたしますと、従来の二分の一よりもまだ引き上げてもいいんじゃないかとさえ思われるのですが、なぜ引き下げるという措置を講ぜられたのか、この点ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  71. 砂子田隆

    砂子田政府委員 なぜ引き下げるかということは、私から申し上げるのは大変難しい問題でもあろうかと思いますが、一つには、こういう国の財政状況であるから全くやむを得ないというふうに申し上げるほか手がないわけであります。私たちも、この政令指定市なりあるいは財政力指数が一を超える市町村についてあえてつらく当たっているわけでは毛頭ございませんで、国の財政力があれば私たちもやはり二分の一、一般の人口急増市町村と一緒にしたいというのが心からの願いでありますけれども、なかなか現実にはそうもいきませんで、臨調答申を受けました財政再建に係る問題がいろいろございますので、ある程度財政運営について機動的に行う余地のある市町村あるいは財政の運営に余裕があると見られている市町村については、若干その部分を負担していただくということにいたしたわけであります。
  72. 経塚幸夫

    ○経塚委員 先ほどからの論議で、市町村の議会においてもこの充足率の問題については大いに論議を深めていただきたい、もっと消防力の充実については市町村の議会も真剣になるべきじゃないかというふうにとれる御答弁がございました。私は、市町村の議会で消防力充実についてもっと論議を深めていただきたいと一方で言いながら、一方では、政府の方が補助率を引き上げなければならない状況にあるような市町村に対しても今回補助率の引き下げを提案なされる、これはつろくしないのじゃないですか。むしろ政府として果たすべき責任を明確に果たす。市町村もお困りだろうが補助率は引き下げなければならぬという第一次臨調答申はあるけれども、総額にすれば三千万円そこそこだ。ひとつこのくらいのことは頑張って、補助率は二分の一で継続しますよ、こういうみずから果たすべき責任を果たしておれば、それは長官のおっしゃるように、あとは市町村でもうちょっと論議を深めて消防力充実についてしかるべき配慮をして当然じゃないかという論議、これは成り立つと思いますが、政府の方で果たすべき責任を果たさずにおいて、補助率を引き下げておいて、論議を巻き起こせといったところで片手落ちじゃないですか。私はまず政府の方から責任を明確にすべきだと思うのですが、いかがですか。
  73. 砂子田隆

    砂子田政府委員 先ほども申し上げましたように、国の消防補助金というのは予算によります奨励的な補助金でございます。しかも、そういうことを言うとあるいはまたおしかりを受けるのかもしれませんが、自治体消防三十五周年と申し上げておりますけれども、国の消防から離れまして市町村が自分の力で消防というものをやっていくんだ、これからは自分たち地域はみずからで守っていくんだ、そういうことに立脚しながら市町村消防ということに戦後衣がえをしたわけであります。しかし、そう申し上げましてもなかなか一発的に一般に市町村全体が消防力の充足をするというのは難しいという観点から、国としても補助金を出しながらこれを奨励的に充足を高めていこうというふうに図ったわけでもあります。  ところで、人口急増市町村というのは、消防施設のみならず、自分たちの環境改善のためにもいろいろな施設が必要である、そのために人口急増市町村に若干の補助金かさ上げをしようではないかというのが今までの思想であったと思います。今回もその思想は受け継いでいるつもりでありまして、そのために、一般の市町村は三分の一の補助金でありますが七分の三にしよう、こういう挙に出たわけであります。これも、苦しい財政の中でありますが、十四分の一ぐらい若干我慢してくれ、そのところは、財政運営にも余裕があるしあるいは財政的にも弾力的な運営ができるのだから、十四分の一くらいのところはひとつ我慢していただけないかというのが私たちの考えでありまして、人口急増市町村を一般市町村と同じく取り扱っているわけでもありませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  74. 経塚幸夫

    ○経塚委員 長官要望した結果、大蔵との折衝の過程でこうなった。第一次臨調答申のところで言われております地域かさ上げの特例については終年次には見直さなければならぬ、あるいは継続という場合には補助率を引き下げなければならぬという枠の中で作業しなければならない苦労はあったとは思いますよ。あったとは思いますが、現在、政令で定めておる市町村にいたしましても、補助率を引き下げるような状況にはないと思うのですよ。この点は恐らく長官もお認めになるところだろうと思うのです。二分の一の期間延長をするとすれば、二分の一を全部丸々継続することは難しい。そこで、ゼロにするわけにもいかず、真ん中をとって、七分の三という苦肉の策で二分の一のもう一方の延命策を図られたのが実際はうがったところではないかと思うのです。しかし、これではやはり市町村消防力充実について一層励みになるということにはならないと思います。  そこで、この充足率の問題についてさらにお尋ねをしたいと思うのですが、全国的に見ましても、この基準に対しておくれておるという実態がいろいろ出されました。私も特に大都市の例をちょっと調べてみたのですが、例えば大阪府下の市町村状況ですと、消防ポンプが吹田市は五六%ですね。富田林に至りましては三七・五%、大東市も三三・三%ですね。大阪全体を例にとりましても、消防ポンプの不足台数は何と百二十七台、はしご車五十一台、化学消防車は十六台ということです。消防職員に至りましては六二・六%の充足率。東京都かを例にとりましても、消防ポンプが日野市の場合は六〇%、町田市五七%ですね。はしご車は日野市が五〇%、八王子市に至りましては二〇%、こういうことなのです。  基準が公示されたのが、新しい公示が三十六年だったと思いますが、あれから勘定いたしますと実に二十数年たっておるわけですね。それでこの間、昭和四十一年から充足率実態について三年ごとに調査をされてきた。こうなりますと、四十一年から調査を開始いたしましてもこの調査回数自体がもう既に七回になるのですが、三十六年に発足をして計画を立てて、その充足率を三年置きに調査をされてきてまだこんな基準に対する充足状況なのですね。  そこでお尋ねをしたいのですが、何年度にこの基準に一〇〇%到達をさせるという指導の計画は、消防庁自身持っておられるのですか。
  75. 砂子田隆

    砂子田政府委員 この消防力基準というのは、先ほど申し上げました形の中でできているわけでありますが、この消防力基準が本当に現代の市町村実態にマッチしているかどうかというのは、私は若干疑問があると自分で思っております。もともとこの消防力基準というのは、密集地帯でありますとかそういうことを仮定しながら、八分消防と申しますか、初動以来八分でともかく現場へ到達して火事を消せるというのが消防力基準を決めた一つの姿勢でありました。  しかし、その後、戦後の三十年をとりましても大変多くの都市構造の変化を来しているわけであります。ですから、こういう消防力基準というのが本当に今の市町村実態にマッチしているかどうかについて少し私たちも考えてみなければならぬ部分がございまして、今、内々にこの消防力基準をどういうふうに見直しをすればいいのかというのが一つの私たちの課題になっております。  今、先生から御指摘がありましたように、何年たったらこんなものが充足するのかという議論になりますと、これは本当になかなか大変なことであろうと思います。ある意味では、市町村が自分の財政力の大部分のものを生命、身体、財産の保全のために使うのだということで懸命になってやれば、今の消防力基準というものはたちどころによくなると私は思いますが、なかなかそういう体制になってくれません。  なってくれないからといってこれを放置するわけにいきませんし、市町村実態を見てみましても、今のこの程度消防施設であるいはいいのではないかと思っている市町村がないわけでもありません。五〇%とか六〇%とかいう充足率でありますが、その市町村にとってはもうこれでいいのだと思っている市町村がないわけでもないのであります。そこに今の消防力基準実態と合わない部分が生じているわけでもありますから、とすれば、実態にもう少し近づけた議論をしてみる必要もあるのではないか。そういう点を今考えておりますので、ここ何年の間に全部がうまくいくのかという御質問には正しくお答えをしなかったと思いますが、そういうことを今考えているということを申し上げまして、御理解を得たいと思います。
  76. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これが、例えば数年前に新しい基準に基づく第一次の計画年度が始まったというものならばなんですけれども、もう二十三年にも前に基準が設置されて、その間五カ年ごとの計画ということになれば、恐らく第一次、第二次、第三次、第四次、第五次と五カ年計画自体がもう何回かにわたって立てられてきていると思うのです。そして三年ごとの調査なんでしょう。二十有余年、計画調査、計画調査の繰り返しをやってきているわけですからね。  今、長官が見直すとおっしゃった。それは見直しは見直しで結構だと思いますよ。しかし、見直すと言う以上は、そのもとになる何年度達成という計画がなければならぬと思うのです。何年度達成という年次計画がなければ何を一体見直すのか、こういうことになります。だから、私が不思議に思っておりますのは、何年度達成という当初からの計画を持ってやってきたのか、何年度達成という計画を持たずにやってこられたのか、計画は市町村がお立てになるものだ、それをトータルしたものを概算要求なされるという程度のことなのか、そこの点をお尋ねしているわけです。
  77. 砂子田隆

    砂子田政府委員 最初に申し上げましたように、消防力基準の定め方というのは、少なくとも消防施設なり人員について最少限度必要だということのための一つ基準を示したわけでありますから、それになるべく早く到達をするための整備計画市町村で立てていただくことが大変大事だということを一番先に申し上げたわけであります。  国におきましても、そういう市町村の立てました整備計画をもとに、それがどのくらい充足されていくかを見ながら実は予算措置をいたしているわけでありまして、その市町村整備計画どおりなかなかやってくれなければ、また先に行って計画が達成できないということになるだろうと思うわけであります。ですから、私たちの方といたしましては、昭和三十六年に消防力基準の告示の変更をいたしました時期から考えましても、四、五年の間には達成できるという感じをあるいは持っていたかもしれません。しかし、現実はそういかなかった。いかなかったのは何だという反省も我々の方にあるということを、先ほどそういう意味で申し上げたわけであります。
  78. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今の長官の御答弁でも私は得心がいかないわけでありますが、例えば年度年度概算要求されるに当たっては、何年度に一〇〇%到達をさせるという計画を消防庁が持ち、あるいはそれに基づいて市町村を指導される、そして市町村予算化をされる、それをトータルされて概算要求をされる、翌年度は前年度のそういう実績を踏まえて、さらに指導で水準を引き上げさせる、つまりこれは、そのためには一つの物差しを消防庁が持っておらなければならぬと思うのですね。それを持っておられないということになりますと、幾ら市町村を指導すると言ったところで、これは物差しがないということになります。  それからもう一つは、予算を見てまいりますと、五十六年度をピークにいたしまして、五十八年、五十九年と予算が減額をされてきておりますね。これも論議ありましたけれども、予算が一・四倍に増額をされました五十三年から五十五年を見ましても、充足率の引き上げ幅がわずかに二ないし三%だったんでしょう。加えて予算が減額されてきているという状況の中で、この充足率がさらに低下することはもう火を見るよりも明らかなんですね。そうしますと、市町村の議会で頑張りなさい、頑張りなさいと言いましても、肝心の消防庁が年次計画一〇〇%到達の年度の見通しも持たないで、それで予算が一方で減額をされていくということになりますと、それこそ百年河清を待つじゃございませんけれども、一〇〇%に近づける充足率の到達は一体いつになったらできるのか、こういう疑問が当然わいてまいりますよ。消防庁の指導力というのは一体どこで発揮なされるのか、その点どうなんでしょうか。
  79. 砂子田隆

    砂子田政府委員 お言葉ではありますが、百年河清を待つかどうかは別といたしまして、消防力が一日も早く充足されることを私たちは願っているわけであります。が、今るるお話がありましたような経過をたどりながら現在まで来ております。  これを一日も早く解消するためには、国が相当の奨励的な補助金を交付しなければ市町村がやらないのか、あるいは奨励的な補助金を交付しなくても市町村みずからがおやりになるという意思があるのか、やはりその辺の兼ね合いだと私は思っております。先ほど御質問がありまして申し上げましたように、決算額と基準財政需要額との間の乖離を見ましても、約一割以上、七百億以上あるわけであります。これは補助金の額をはるかに上回る額であります。もし、住民の生命でありますとか身体でありますとか、そういうことをもっと大事に考えてくれて市町村が支出をしてもらえるならば、あるいは消防力というのはもっと充足されるかもしれません。  しかし、国の補助金というのは、何回も申し上げますように、あくまでも市町村がやりやすいような奨励的な補助金を出すというのが基本でありまして、国の補助金がなければ消防力というのが充実されないというものでもないわけであります。ですから、国と地方とが両方相まちながら消防力の充実を図っていくということのために、市町村にその整備計画というものを自主的に立てさせて、それが実行できるように我々が陰の方で援助をしていくというのが今の国の立場であろうと思います。そういう点から申し上げまして、三年ごとにいろいろな計画をとりながら、その計画が充足されるように、補助金の額を財政当局と交渉しているわけであります。
  80. 経塚幸夫

    ○経塚委員 奨励的な性格であっても、増額をされていっておれば、それは市町村の積極的な取り組みを促進することになりますが、減額をされていっている。しかも今度は、政令で定めるところにつきましては補助率が従来よりも引き下げられる、こういうことではやはり積極的に奨励ということにはならないのじゃないかと思います。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、出火原因を見ますと、例えば五十五年、放火が九・六%で第四位であったものが、五十七年には一二・二%で第二位に上がっているわけですね。たばこの失火とほぼ並んできているわけです。これは全国平均ですが、特に大都市になりますと、大阪などの場合は、放火が五十五年一二・四%だったものが、五十八年には何と二三・六%でトップの座を占めているのですね。今日の社会情勢の反映であろうかと思いますが……。失火の場合は、いずれにしましても人がそこにおるという状況が想定されます。しかし放火の場合は、知らない間に火をつけられるわけでありますから、いつ大火に発展をするかもわからぬという危険性をはらんでいるわけです。こういう状況もありますし、一方では消防力充足率がなお遅々として進まないという状況もあります。この際、市町村に積極的に奨励策を前向きで進めるという立場からも、予算の増額につきまして格段の配慮を払うべきだ、かように考えているのですが、いかがでしょうか。
  81. 田川誠一

    田川国務大臣 消防予算が減額をされているということはまことに残念に思います。これまで各委員からお話がありましたように、住民の生命、財産の保護の立場から見て、また予期しない災害の発生に備えて、消防力の充実を図っていかなければならないことは当然でございまして、きょう各委員からいろいろと御意見が述べられましたが、そうした点に十分留意をして、これから消防予算に万遺漏なきよう頑張ってまいるつもりでございます。  それから、経塚さんから先ほどいろいろ御提言、御意見がございました。ひとつ消防庁の苦しい立場を御理解していただきたいのは、日本の消防が自治体消防であり、各市町村、そういうところの自主性によってつくられているという現況でございまして、自衛隊とか警察――警察は都道府県ごとに統一されておりますけれども、そういうものとは違った立場で、自治体ごとの消防になっているというところに総合計画がなかなか立てにくい、そういう面がある。そういう中で消防力を充実させていくように政府が指導していかなければならないところに難しさがあるということはひとつ十分御理解をしていただきたい。各党の皆様方から御激励をいただきまして、大変私どもも力強く思っております。足りない力を振り絞って、次からの消防予算の獲得に全力を尽くしていくつもりでございます。
  82. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最後に、三井三池有明鉱の事故の問題につきましてお尋ねをしておきたいと思います。  御承知のように、事故発生は一月十八日でございますが、一つ疑問に思いますのは、事故発生は十三時五十分でありますが、最初に鉱山保安監督局に火災が起きたと連絡があったのが十五時三十分、そして十六時三十分には監督官四人が現地へ行かれた。ところが、消防救急車を含めて出動いたしました時間が二十時十三分、こうなっておるわけですね。  そうしますと、最初に事故が発生し、鉱山保安監督局に連絡があって、救急車を含めて消防が出動するまでの間の時間が余りにも長い、この疑問が当然わいてくるわけであります。それでいろいろ問い合わせをいたしましたところ、十八時四十分に、消防本部に対しまして報道関係者から火災事故が発生したんじゃないかと問い合わせがあった、そこで消防本部としては会社に連絡をとったところが、電話が通じなかった、そこで二十時ごろ出張所に確認の電話を入れた、その直後会社から出張所に救急車の出動要請があった、こういうことなんです。問題は、十八時四十分から二十時の間に消防本部の方では会社側にずっと連絡を入れておったということなんですが、この間の経緯を見ますと、もう既に十六時三十分には鉱山保安監督局の四人が現地へ行かれておる。それから、警察はどうしておったかといいますと、警察も十八時ごろ、報道関係者から事故が起きたらしいという連絡を受けて、そして直ちに警察の幹部が情報収集のため現地へ、会社側へ行っておるわけなんですね。そして、十九時十五分には警察は対策本部を設置されておるのですね。  私は、ここでお尋ねをしたいのは、現地の消防本部が保安監督局にこの間問い合わせをしたのか、警察に連絡をとったのか、あるいは保安監督局から消防本部へ連絡があったのかなかったのか、警察から逆に連絡があったのかなかったのか。もう一つは、なぜ消防本部が現地へ警察と同じように幹部を派遣しなかったのか。消防、警察、そして保安監督局、この三つが、この状況から見ますと全く縦割りでばらばらで、そして最も先に出動すべき消防本部の出動が一番最後になっている。これはどうも合点がいかぬのですね。  以上、申し上げました点について、御答弁をいただきたいと思います。
  83. 砂子田隆

    砂子田政府委員 今お話がありましたことは、私たちも地元からそういうことを聞いておりますので、そのとおりだと思っております。  ただ、御案内のとおり、鉱山に関しましては、消防が消火に当たることが実は義務づけられていないと言えば変な話ですが、義務づけられていないわけでもあります。というのは、一般的に、鉱山保安法に従いまして鉱山自身の自主防災組織といいますか、その人たちが消火に当たることになっております。そのために消防火事だということの連絡がなかったのだと私は思っております。  ただ、いろいろな事情を勘案しますと、会社の方から発災の時期、十三時五十分にそういうことがあったということを知らせてくれてもいいのではないか、私個人としてはそういう感じがいたしますが、法律の建前上あるいはそういうことになったのかとも思います。  ただ、一般的に、警察と消防との間には電話連絡が常になされることになっておりまして、警察の方でわかれば消防に教える、消防の方と警察というのはむしろ電話が一般的に即時に通ずる格好になっておるわけでありますから、そういう事態が発生したときに教えていただければありがたかったとは思います。ただ、恐らくそういう炭鉱の火災であるということであるいは警察の方もお知らせいただけなかったのかもしれません。したがいまして、最終的には、救急の出動の要請のみについて会社から要請があったために、このような事態が起きたものだと私たちは思っております。
  84. 経塚幸夫

    ○経塚委員 いずれにいたしましても、よく実態を再度調査されまして、三者相互の連絡体制が特に鉱山地帯などでは確立されるように、十分な御指導、御検討をいただきたい、このことを申し述べまして、終わらしていただきます。
  85. 大石千八

    大石委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。      ――――◇―――――
  86. 大石千八

    大石委員長 これより、内閣提出地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田川自治大臣。     ―――――――――――――  地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に   関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  87. 田川誠一

    田川国務大臣 ただいま議題となりました地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方公共団体の行う国の機関委任事務に係る手数料について、経済情勢等の変化に対応し、費用負担の適切な調整に資するため、その額を実費を勘案して政令で定めるよう規定合理化を図る必要があります。  これがこの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案について御説明申し上げます。  大麻取締法ほか八法律に定める地方公共団体が行う免許、登録等国の機関委任事務に係る申請等手数料について、その額を実費を勘案して政令で定めるよう規定合理化を図ることとしております。  以上が地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  88. 大石千八

    大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。      ――――◇―――――
  89. 大石千八

    大石委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、出席を求める日時並びに人選につきましては、委員長に御一任願うことといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 大石千八

    大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十九日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十六分散会      ――――◇―――――