○岡田(正)
委員 今回のこの法案の審査に
当たりまして、
国民は白けた気持ちで見ているのではないかと私は心配をしておる一人であります。内容を見てみますと、まさに
減税はちょっぴりで増税はたっぷりということであります。
そのことについてはたくさんの
質問者からそれぞれ御
質問がありましたので、私はちょっと
観点を変えまして、不公平
税制を正すという
意味から、個人企業と
法人企業の
税負担の公平のために、正直者がばかを見ないで済むように、青色申告制度につきまして
質問をいたしたいと思うのであります。
御
承知のように、戦前の賦課制度から、戦後は
昭和二十二年に民主的な申告制度に変わりました。その中で、青色申告制度というのは
シャウプ勧告によりまして
昭和二十五年に創設されたものであります。この制度は、記帳を奨励するために、一定の帳簿、書類の備えつけを義務づけるとともに特典を与えるというものでありまして、
昭和五十八年現在の
数字でいいますと、青色申告者の数は三百六十五万人に上っております。その普及率は五二%に及んでおります。そのうち、みなし
法人の届け出は七・一%でありまして、約二十四万人であります。
また、戦後、個人企業から
法人企業に組織変更するいわゆる
法人成りが相次ぎまして、現在もどんどん続いております。戦後は十万社と言われたのが、現在では百五十万社にまで上っております。しかも、その三分の二は資本金が五百万円未満の個人類似
法人でありまして、全
法人の半数は赤字
法人という状態であります。
どうしてそういうことになってきたのかというこの
法人成りの原因でありますけれ
ども、会社にすれば税金が安くなるよということで
法人成りがどんどんふえておるのであります。なぜ安くなるか。これは、事業主は社長報酬が取れますし、奥さんや子供さんも役員あるいは社員として報酬や給与が取れるというわけであります。したがって、個人企業は事業主と家族が一家総ぐるみで働きましても、家族の労働価値はゼロでありまして、事業主一人の
所得として集中
課税されるから損をする、こういう仕組みであります。
そこで、青色申告会の方々はその不公平を訴えまして、事業主報酬と家族従業者給与を認めよという要望を出したことは御
承知のとおりであります。その結果、
昭和二十九年には奥さんも専従者に認めるという解決がつきましたが、青色専従者の完全給与制が認められましても、事業主報酬が認められないのは、同族会社に比べて非常な不公平というべきであります。この事業主報酬を認めよという声は、今や青色申告会だけではございません。全国の中小企業諸団体の共通した要望であります。
そこで、中小企業庁も小規模企業対策としてこれを取り上げまして、
昭和四十七年には与
野党がこの
改正を公約するような形となり、自民党におきましても多年の懸案である事業主報酬の創設を断行することを決定いたしましたが、残念なるかな、
政府の
税調におきましては反対の答申をいたしましたので、この二つの
意見が合掌立ちになったため、あの有名なみなし
法人課税制度ができ上がったのであります。現在は、国税におきまして事業主報酬制度が創設されたのを受けて、翌年の
地方税法
改正で
住民税にもみなし
法人課税制度が認められて今日に至っております。
ところが、残念ながら、事業税計算には事業主報酬制度が認められておりません。そこで、事業主報酬制度は個人企業と
法人企業との
税負担の公平を図るために青色申告会が要望をしてきたのでありますが、その要望がなかなか通らないということから、東京都内の青色申告者の方々が都知事を相手取りまして、事業税の計算に事業主報酬を認めてもらいたいと訴えておりましたが、東京地裁で敗訴いたしまして、東京高裁に控訴していました。しかし、先月十五日、高裁は控訴を棄却したと言っておりますが、この事件を
自治省としてはどのように考えていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。