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竹下国務大臣 私も幾たびかの経験の中で感じておりますのは、
予算編成、これは十二月に行うわけであります。十二月になりますと、少なくとも九月決算あるいは九月税収等々まではおおむね実体が明らかになる。したがって、概算要求の八月末というのは、言ってみれば、その以前の時点からいいますと五十九年度、ことしに例を例えれば、いわば六月税収もわからないときから作業に入っていくわけでありますから、したがって、歳入とかあるいは景気の将来の見通しとかをどう見ていくかというのには、やはりおのずから限度があるのじゃないかと思うわけであります。
今も御
意見を交えての御
質問でございましたが、確かに五十八年度は、三・四%が結果として三・七%、こういうことになるわけであります。したがって、それだけのげたを履いてみますと、四・一は少し低目じゃないか、上方修正してもいいじゃないかとかいうような
議論が各研究機関等からも出ておることは、私も承知しております。
そうして、一方また
考えてみますと、諸般の諸指標と、それから昨年の十二月時点でございますけれ
ども、いわば個別積み上げによって
法人税等は二けたを超す伸び率を予定しておるわけでございますから、必ずしも大きな伸びを期待できる客観
情勢には今日の時点はない。
そうなると、概算要求というのはどういうふうに位置づけるかと申しますと、結局いわゆる各省ごとの、全体としての概算要求総額の
限度額ということであって、その限度をどうして算出するか、いわば
予算編成の事務手続の一こまでないかというふうな位置づけになるではないかというふうに
考えるわけであります。そうなると、今までの例で申しますと、人件費、年金等につきましては、その経費の硬直的な特別の性質に着目して例外的に増加分を加算した、それから生活保護とか医療費とか利子補給等、いわゆる義務的経費については削減率を掛けなかった。そうすると、今
伊藤委員がいみじくも御
指摘なさいましたように、残余の経費に削減率を掛けたわけでございますが、四兆数千億に対する一〇%、それから投資的部門の人件費を外したら七兆数千億ですか、これに五%というものを掛けた概算要求総枠の算出の技術的な
計算方法というような位置づけではないかなと、こういうふうな
考え方であります。
そこで、その総枠の中であらかじめ経費ごとにその政策の優先順位を
検討して、あるものには厳しく、あるものには配慮するといった、言ってみれば政策の優先順位を
検討して設定したというものではなく、あくまでもそういう
計算に基づいた概算要求の総枠であるという位置づけにすべきものではないかな、最近そういう
議論をたびたびしておるわけでございます。その中では、従来私
どももよく言いました、指名手配方式とか申しましたが、そういう
考え方でなしに、一番お詳しいのは原局の
皆さん方でございますから、その原局の
皆さん方がその
限度額の範囲内において優先順位の厳しい選択等を行って、そして概算要求というものが八月末に
法律、政令に基づいて出てくるという
性格の位置づけとすべきではないかというふうに
考えるわけであります。
ただ、シーリング問題というのが、今
伊藤さんがかみ砕いて
お話ししていただきましたが、
国民全体の中には、あるいは五十兆全体が一割ずつ切られるんじゃないかとか、あるいはまた、仮に国債費と地方交付税を残しまして、あと三十二兆ぐらいになりましょうか、少なくともそれは一律ではないかというある種の誤解というものもあろうかと思うのであります。したがって、これから私
どもは、今
伊藤さんからのかみ砕いた御
意見を交えた御
質問があったような形で、
国民の皆様方にも周知していただかなければならぬというふうに
考えるわけでございます。が、それ以上にシーリングというものに
国民の関心が集まったということは、かつての五〇%増のシーリングのときは余り集まりません。やはり厳しくなったから余計集まって、何か
予算全体がシーリングのときが勝負であるというふうな印象をいささかお与え申し上げ過ぎておるのではなかろうか、こういう反省にも立ちまして、今かみ砕いて言っていただいたような問題を、これからも折に触れ、
国民の皆様方にも周知するような
努力を我々も重ねなければならないなと、こういうふうに
考えておるところであります。