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1984-07-11 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十一日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員   委員長 瓦   力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       大島 理森君    熊谷  弘君       小泉純一郎君    近藤 元次君       笹山 登生君    椎名 素夫君       田中 秀征君    中川 昭一君       東   力君    平泉  渉君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       宮下 創平君    村上 茂利君       山岡 謙蔵君    与謝野 馨君       上田 卓三君    川崎 寛治君       沢田  広君    渋沢 利久君       戸田 菊雄君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    柴田  弘君       矢追 秀彦君    安倍 基雄君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      大出 峻郎君         公正取引委員会         事務局経済部長 厚谷 襄児君         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵大臣官房審         議官      角谷 正彦君         大蔵大臣官房審         議官      山崎 高司君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局次         長       中田 一男君         大蔵省証券局長 佐藤  徹君         国税庁間税部長 山本 昭市君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部少年課長  山田 晋作君         総務庁行政管理         局管理官    八木 俊道君         法務省民事局参         事官      稲葉 威雄君         外務省経済局国         際機関第一課長 野上 義二君         農林水産省経済         局保険業務課長 原  昭夫君         自治省税務学府         県税課長    湯浅 利夫君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本専売公社総         務理事     岡島 和男君         日本専売公社総         務理事     西村 忠弘君         日本専売公社総         務理事     森  宗作君         日本専売公社理         事       生平 幸立君         日本専売公社理         事       遠藤  泰君         日本専売公社理 丹生 守夫君         事         日本専売公社理         事       友成  豊君         日本専売公社中         央研究所長   野口 正雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 七月十一日  辞任        補欠選任   塩島  大君    近藤 元次君 同日  辞任        補欠選任   近藤 元次君    塩島  大君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  連合審査会開会申入れに関する件  たばこ事業法案内閣提出第七四号)  日本たばこ産業株式会社法案内閣提出第七五  号)  塩専売法案内閣提出第七六号)  たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出第七七号)  たばこ消費税法案内閣提出第七八号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案起草の  件     —————————————
  2. 瓦力

    ○瓦委員長 これより会議を開きます。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢追秀彦君。
  3. 矢追秀彦

    矢追委員 今まで先輩また同僚委員からかなりたくさんの質問が出されました。私はなるべくダブるのを避けながらやりたいと思いますが、一部重なる点については御了承をいただきたいと思います。  初めに特殊会社についてお伺いをいたします。  まず特殊会社定義、それから現在特殊会社と言われているものは幾つあるのか、お伺いしたいと思います。
  4. 八木俊道

    八木説明員 お答え申し上げます。  通称特殊会社と申しておりますのは、いわゆる特殊法人の中の一つ類型でございます。特殊法人ということも、これもまあ法律上の正確な概念ではございませんで、総務庁設置法第四条の十一号、ここにいわゆる特殊法人法律的な定義がございます。「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人」これをいわゆる総務庁審査対象法人といたしておりまして、それを通称特殊法人と称しているわけでございます。その特殊法人の中に、公社でございますとか公団事業団あるいは特殊会社といったさまざまな類型のものがございます。  委員質問のいわゆる特殊会社グループに入りますのは現在九法人でございまして、東北開発株式会社電源開発株式会社国際電信電話株式会社日本航空株式会社、それから東京中小企業投資育成株式会社名古屋中小企業投資育成株式会社大阪中小企業投資育成株式会社日本自動車ターミナル株式会社沖縄電力株式会社、以上九法人でございます。これらにつきましては、商法の原則的な適用があるという点で一般公団事業団とは異なった体制でございますが、しかしながらいわゆる特殊法人の一類型でございます。  以上でございます。
  5. 矢追秀彦

    矢追委員 大蔵省からいただいている資料の中には特殊会社は五つしか書いてないわけですが、これは政府からお金が出ていないということで今言われた九つのうち幾つか省かれておるのか、その点はいかがですか。
  6. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと今手元に急に資料が見当たらなかったものでございますから、推測で申し上げますが……(矢追委員資料を示す)ただいま総務庁の方から御回答ございました法人のうち、東京大阪名古屋投資育成株式会社につきましては、たしか中小公庫からの出資があったかと思いますけれども政府からの出資がなかったので、この表には恐らく載せておらなかったのだろうと思っております。
  7. 矢追秀彦

    矢追委員 総務庁にお伺いいたします。  先ほど少し御説明がありましたけれども、それでは公社公団事業団機構、それから今指摘をされましたいわゆる特殊会社、この辺の区別というものはきちんとしたものがあるのかどうか。実際の業務内容等を見ますと、かなりオーバーラップしている面が見られるわけですけれども、この辺はいかがなものですか。
  8. 八木俊道

    八木説明員 いわゆる特殊会社グループは、特殊法人の中ではかなり特別な類型だと存じます。と申しますのは、先ほど申し上げましたとおり、商法の原則的な適用があるという点で他の法人とは全然その性格を異にするわけでございます。他の法人は、どちらかといえばそれぞれの法律によってその設置、任務あるいは活動態様政府監督、規制のあり方等が定められておりますが、あえて例を求めれば、民法の財団法人あるいは社団法人に比較的近い類型のものと非常に荒っぽくお考えいただければ、そういう性格のものが多いかと存じます。  それに対しまして、いわゆる特殊会社は、これは商法原則的適用があるわけでございまして、例えば株式概念がございます。したがいまして株式による議決権概念がございます。あるいは商法上の機関概念がそのままおおむね適用されるというようなことでございます。ただ、一般のいわゆる商法上の通常の株式会社に比べますと、その公共性あるいは行政目的等から事業目的というのが明らかに定められておりまして、これに対応いたしまして政府側の一定の監督関与、場合によっては出資の根拠になる条項等が定められているという点で一般株式会社とは若干異なった公共約な関与がある、こういうことでございまして、一連の特殊法人の中では最も企業経営的な効率性が発揮しやすい、そういうグループの存在でございます。
  9. 矢追秀彦

    矢追委員 大臣、次にお伺いしたいのは、これもずっと議論はされてきておりますが、今こういうことを聞いたのは、どうして今回専売公社特殊会社にされたのか。今言われたようなほかのもの、公社も含めまして、それでは競争に耐えられない、また臨調答申もある、そういうようなことでなったと言われておりますが、実際問題、今度の新会社というものがこの特殊会社になることによって、本当に言われている面が克服できるのかどうか、私はまだまだ大変疑問に思うわけです。今後、歴史的な経緯等議論も展開してまいりますけれども、まずこの特殊会社にされた一番の理由は何ですか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 ポイントで申し上げますならば、やはり開放体制に即応するという我が国国際社会に置かれた客観的立場というものを認識していくならば、そこでまず輸入自由化、これを是認しなければならぬ。そうなりますと、当然のこととして今日の専売公社の有しております能力というものが、より国際的に競争力を発揮する体制をとるためには、可能な限りいわゆる当事者能力の発揮できる企業経営の形に近いものに改組しなければならぬ。しかし、そこにどうしてもやはり今日の国内産葉たばこを抱えた現状からいたしますならば、製造独占というものだけは残していかなければいかぬ。その三つの考え方というものが、今次専売公社を改組する基本的なものではなかろうかというふうに考えております。
  11. 矢追秀彦

    矢追委員 専売公社になったのは昭和二十四年でありまして、昭和二十三年に国会法案が出されておるわけでして、その前は御承知のように専売局でございました。それがマッカーサー書簡によりまして、いわゆるパブリックコーポレーションということで公社制度というのが日本の国へ導入をされてきた。専売公社になるわけですけれども、このときの議事録を私二、三読ましていただいたのですけれども、このときの議論の中でも能率ということは非常に盛んに議論されているわけです。専売局のときよりも公社にした方が非常に能率もいい、しかも給料の決定とかそういうような、いろいろ今までは官僚統制的であったのが非常に能率的になる、そういうことを盛んに政府答弁あるいはまた質問に答えて言われております。また、もう一つ議論としては、いっそのこと民間に移行してはどうかという議論質問者の中にはございまして、一つ一つ読むと時間がかかりますから申し上げませんけれども、要するに公社になることによってかなり能率的になる。で、公社になって今日まで三十五年の経過を見て、今度は公社はだめだから特殊会社、こうなってきたわけでして、果たして専売局から公社になって能率的になったか、いろいろな点が指摘され、その後改正はいろいろされましたけれども機構的な改正というのは余りないと私も思います。したがって、この三十五年間もっと経営努力なりなんなりをしてくれば、今ごろ——非常に外圧が強まって、また臨調という大きな刺激がなければこの特殊会社にできなかったのかどうか。臨調答申は、大臣承知のように、「政治的関与監督機関の介入、惰性的経営等により、その企業性が阻害され、ひいてはその果たすべき公共性さえ損なわれがちであって、国民経済的にも重大な問題となっているからである。」こういう答申があるわけで、国鉄なんか一番ぴたっと当たっていると思うのです。たばこの場合は、私は余り当たらないと思うのですけれども、それは別といたしまして、まず専売局から公社になっただけかなり能率的に実際はなっていかなければならなかった。それはお認めになりますか、ずっと来たと。大臣、どうですか。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 矢追さん、これは今いみじくもマッカーサー書簡から説き起こしてこられた議論でございますが、そのマッカーサー書簡というのは、要するに、国家公務員制度というものができた、それで一般労働者というものとのいわゆる労働問題に対する画然たる整理ができた、その中間的と言うと必ずしも言葉は適切ではございませんが、今おっしゃいましたパブリックコーポレーションというものに焦点を当てた。当時もちろんGHQの間接統治下にある日本でございますから、それに基づいて立法府が、あるいは行政府が今の公社制度にした。  それで、私は、いわゆる専売局であった時代とそれから公社制度になってからというものは、やはりかなりの違いがあったではないかというふうに思っております。公社全体の問題になりますと、今いみじくもおっしゃいました最近の臨調の文から見れば、国鉄なんかのことが非常に念頭にあった書き方になるわけでございましょうけれども専売公社というものの歴史を見ますと、少しでも当事者間の自主性を尊重された形で推移してきたではないかというふうに、私は私なりにこれを評価しておるわけであります。すなわち、その間のことは、矢追先生御勉強なすった問題でございますが、いろいろな公共企業体合理化審議会が二十八年から二十九年までとか、ずっとできて、そのいろいろな経緯の中に問題がいろいろ指摘されておるその指摘事項を見てみましても、その指摘は今日に至るまで、機熟さなかったと思います。やはり開放経済体制下日本国際社会における地位というものがここまで上がってきた、その前の段階でございますから、今日の時点まで機は熟していなかったと思いますが、その類似の審議会等は、確かにそのときどきの現状をにらみ合わせながら、より効率的なものにする建前の御答申なり意見がずっと数限りなく寄せられてきたものではないかというふうに私は理解をしております。
  13. 矢追秀彦

    矢追委員 私は専売の方から「マッカーサー書簡公社発足経緯」という資料をいただいたわけですが、その中に、「九月二十九日に北村大蔵大臣中間報告を提出した。その結論を要約すれば、専売機構の問題はわが国の目下の状況においては、国家財政に重きを置いて考慮することが適当であり、この見地よりすれば現存の官庁たる専売局機構の下において、事業民主化および能率化を図るため必要な改善を行なうことが最も適切であるということであった。ところがその間において諸般の情勢は変わり、九月上旬になって鉄道と専売機構公共企業体とするため、法案を至急作成して第三国会に提出しなければならないこととなった。」ずっと続きまして、「また政府公共企業体の運営については、その合理化能率化に重点を置き、その経理などの面について真に企業経営に適応した制度とすることを企図したが、短時日間に法案を作成しなければならなかったため、経理制度などについてじゅうぶん検討の上関係方面の了解を得ることが困難となり、やむを得ずこの際は現存専売局会計制度になるべく変革を加えないでいくこととなった。」そして、昭和二十三年十一月十一日に法案が提出される。その法案も、正誤が数限りなく——数限りないこともないのですけれども、かなりたくさんの誤りがこの印刷の中にあるというのは、議事録についておるわけでして、非常にあわててずさんにつくられたものであるという感がするわけでございまして、その後にも出ておりますが、「主として財政収入確保見地企業能率化民主化見地などについて論議されたが、結局一部修正の上第三国会最終日である十一月三十日に両院を通過した。」こういうふうな経緯のメモをいただいたわけです。  このときにいろいろ指摘された問題、今大臣言われましたが、その後いろいろ指摘をされてきたけれども、現実問題としてこの三十五年の長きにわたって基本的には変わってこなかったのではないか、こう言いたいわけです。今機が熟してきたと大臣は言われましたけれども貿易摩擦、いわゆる海外からの外圧というものはきのうきょう始まったのではなくて、たばこについては五十二年から始まったと私は認識をしておるわけです。となると、それからも七年たつわけですね。ほかの電電公社国鉄との絡みがあるからというふうなことを言われるかもわかりませんけれども、そういう意味では、今回このような民間への、特殊会社への衣がえ、模様がえということになるわけですが、もしやるとすれば、なぜもっと早い時点でできなかったのか。ここまで延ばしておいたのはやはり政府に大きな責任があるのではないか。国鉄などはもう昭和三十九年から赤字に転落しておるような状況の中で、これも大きな責任がありますよ。専売とて、今ここに指摘されておるような面、切実に当初から言われておる問題が今なお残っておるとすれば、ただ外圧だ、臨調答申があったから、きっかけはそうかもしれませんけれども、私としては、もっと早い時点から検討の余地はなかったのかどうか、極端に言えば政府の怠慢ではなかったか、こう言いたいわけですけれども、その点いかがですか。
  14. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、やはりたばこに限らず、各種産業ともに、国内の産業競争力ができるまでの間、確かに一九六〇年代はまだそれが十分許された時代ではなかったかと思う。したがって今御指摘のように、最初やってきたのは流通自由化要請でございます。もっと外国たばこ等流通が簡便にできるようにすればいいじゃないか。何分流通独占でございますし、製造独占であるわけですから、それに対応して漸進的にこれに対応していったと思いますのは、まずは価格決定方式明確化というものをやって、そうして次は輸入品取扱店舗拡大、それから小売マージン率、そして広告宣伝販売促進活動制限緩和、それから関税率の引き下げ、これが五十五年四月の九〇%を五十六年の四月、一年間で三五に落として、今度は二年間で二〇%に落とすわけでございますから、それ等によって、そういういわゆる開放要求に対する漸進的な対応策はやってきた。しかし、徐々に我が国国際社会に占める地位等が高まってまいりますと、基本的には開放経済体制を志向する我が国であるということになれば、やはり独占一つを取り除かなければならぬということで、いわゆる流通独占というものを取り除いて輸入自由化というのが、今度法案をこのようにして御審議いただくに至った経緯ではないかな。  だから、開放要請が国際的なものになってから、価格の問題、店舗拡大の問題、関税率、そういうふうな形で逐次それに対応してきて、そこで今度は本体の、いわば輸入自由化というところにまで踏み込んでいった。さらにこれを突き詰めていけば、恐らく資本の自由までという意見もそれはあろうかと思います。当然、諸外国というより、経済理論の上からも、貿易自由化ということを考えればそういう問題もあり得るでございましょう。そういうところには、もちろん今日我が国の状態からいえば、行くことは困難だということで、製造独占というものを認め、そして輸入自由化というものを認め、それでそれに対応する対応力をつけるための制度改正を行う、こういう手順になるのじゃないか。だから、今矢追さんおっしゃいました、七年前から自由化要請というものはいろいろ言の葉に上り、また正式な会合等でもそういうものが出ておっても、それをただ腕をこまねいておったわけではなく、一つ一つ対応しながら今日に至ったということで御理解をいただくべきことではなかろうかな、こういう感じでございます。
  15. 矢追秀彦

    矢追委員 今大臣が言われた、一つ一つ対応してきた。さっきも少し触れられましたが、今回輸入の方は自由にした、開放した、製造独占ということでまだかたくなに守っている。じゃ、この次またやあやあ言ってきて、今度また製造もどうぞ御自由に、こういうことになると、そうでなくても日本たばこ産業は将来が、たばこ自身製造販売からいうとそう明るいものではないと思います。だから、じわじわあけていってだんだん踏み込まれて、今度はまだその次踏み込まれて、あとは気がついたときはもう何もなくなっていた、極端に言うといつのまにかビッグスリーが占領していた。ここまでいくと大変私は心配になるわけで、少なくも今大臣が言われた、もう今ここまで来てやむを得ないわけですから、要するに輸入自由化の歯どめだけで、特にアメリカが納得して今後それ以上のことは迫ってこないという保証というか、見通しというか、そういうものはあるのですか。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 今日時点の正確な私の感じ取り方を申し上げますならば、最終的には先般のサミットでアメリカリーガン財務長官と会談いたしました際、いわば三五を二〇に下げたときからある種の評価をしておったが、しかしそれ以上に踏み切って輸入自由化というものを目された、それに対しては私ども現状において評価をしております、ただ、法律が通らなければ実現したとは言えません、こういう種のコメントとでも申しましょうか、そういう感じでございましたので、私は今日の時点においては、経済理論全体からいえば、当然資本自由化というようなこともあり得るわけでございますが、この踏み切り方に対しては大変な評価をしておる、そして私どももこれが現状認識において限度いっぱいである、分割・民営のいわばステップとしてこれを位置づけてはいないということをたびたび明らかにしておりますことも、相手方も承知の上のことであります。
  17. 矢追秀彦

    矢追委員 総務庁、まだいらっしゃいますか。——この問題で聞いて、そちらは結構ですが、ちょっとまた公社の論議に戻って恐縮ですけれども大臣は今、開放体制輸入自由化製造独占、そうするためにもこういう特殊会社にした。じゃ公社立場であれば、こういうことはいかなる法律改正をしても絶対できないのかどうか。要するに公社というものは、臨調答申からいうと性悪説をとられていますね、さっき私が読みました文章。もともと公社というのは能率が悪くて、国民経済にとってはマイナスでどうもならぬものだ。性悪説という立場をとられておる。ところが私が申し上げた昭和二十三年の第三回国会に出た専売公社法案というのは、そこの「目的」、これは現在でも、言葉はちょっと変わっておりますけれども、続いておりますね。国の専売に属する事業の「健全にして能率的な実施に当たることを目的とする。」全然性悪説に立っておらぬわけですね。ところが三十五年たったらいつの間にか性悪説に立ってしまったわけです。  ここで総務庁にお伺いしたいのですが、じゃ公社というのは今後なくなった方がいいのか、要するに現状においては公社というのは性悪なのかどうか。そうすると、今度はあと公団とか事業団とか機構とか、そういうものも次の段階にまた性悪ということになってきやしないか。果たしてそれはどうなのか。そういう点を総務庁に……、お答えいただきにくければ結構ですけれども
  18. 八木俊道

    八木説明員 率直に申しまして大変難しいお尋ねでございますけれども政府社会経済情勢要請に応じましてさまざまな公共的な事業を運営すべきであると考える場合に、国が直営する場合と、それからさまざまな法人をつくりまして、これに政府の実質的な機能を代行させていく場合と、いろいろございます。監督態様として、かなりきつ目に政府監督したいという事業があるわけでございまして、それらにつきましては公社とか公団事業団、いろいろなパターンをつくるわけでございますが、特殊法人の中では最も自主的、弾力的な体制をとり得るものとして特殊会社グループを考えているわけでございます。  今後、公社制度はどうかという点でございます。この点は個々の事業の問題をどう見るか、これに対する国会政府関与の必要性をどう見るかということによっておのずから決まってくるわけでございまして、公社制度でございますと、予算の統制が国会の手続を含めまして非常に厳しいものがございます。あるいは労働関係につきましても、公労法の適用あるいはその他政府の万般の監督、規制がなかなかきついわけでございますが、これを非常に緩める、そういう社会環境、経済環境にある事業体につきましては特殊会社化をしていく。場合によってはさらに一層民間的な存在のものに改めていくということも、今後一般論としてはあり得るわけでございまして、社会経済動向いかんによりまして、公共的な事業をどういった主体に担わせるか、これは情勢の変化によって考えていくべきものであると思います。たまたま、今回専売公社及び電電公社については、とりあえず特殊会社化ということで、監督、規制の態様を緩めるわけでございますが、国鉄の場合はまだ今後の問題でございます。公社制度あるいは公団制度事業団制度というものを、もちろん全面的に否定するつもりでは全くございませんで、この辺は国会の御意向も承りながら、当該事業がどのような公共性を持つのかという点で、専ら判断をいたしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  19. 矢追秀彦

    矢追委員 総務庁、結構ですから……。  大蔵大臣は今の質問にどういう御見解ですか。
  20. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的に考えまして、国民の租税等の負担によっていわゆる国なり地方なりの予算が組まれ、それはある意味においては経済効率をネグって、それらが地域の均衡的な発展とかあるいは富の再配分とかいうことに使われていくものがあろうかと思います。したがって、専売局であり、あるいは鉄道省であり、あるいは逓信省であるという時代には、そういう範疇の中に、私は今の専売公社なり電電公社なり、あるいは日本国有鉄道というのもあったのではないかというふうに思います。  それがマッカーサー書簡ということになりますが、要はまさに占領政策で、残念ながら占領軍の間接統治下、すなわち完全なる独立を回復していない状態の中で、ある意味におけるオーソリティーが私はマッカーサー司令部だったと思います。そういうGHQからの書簡などというのは、今では考えられないことでございますが、私どもの選挙にしても、昭和二十一年は、これはまさにいわゆる大選挙区制で、連記制なんというのもありましたし、その後一片の勧告でまた今の中選挙区に返ってみたりというオーソリティーが別にあった時代であったと思います。しかしながら、国民もより民主化した時代の中において、いま少し自由な形といいますか、当事者能力も発揮できる形のものがあってしかるべきだという考えがあったと思いますので、したがって、あのときの法律北村大蔵大臣であり泉山三六大蔵大臣時代でございますが、一夜漬けもいいところじゃなかったかと思います。国会へ出て、誤差脱漏どころか、絶えず誤植を訂正するような時代であったわけでございます。そういう中で、とにかく各種公社制度というものがひとり歩きをするようになった。  その中にあって、たまたま私の所管でございますが専売公社というのは、それをより効率的に改革していこうという各種審議会から、絶えずいっぱいいろいろな議論をいただきながらも、その線に沿って、労使のたゆまざる努力の中に、孜々営々として今日に至った。そこへもってきて、おっしゃいますように、自由化要請というものが、国際社会地位が上がるに従って出てくる。それに対応して、価格だの関税だの店舗の拡大などというのをやりながら、今度いよいよこの輸入自由化に踏み切った。  それで、やっぱり総合的に考えますと、民営でいわゆる企業の採算性、合理性の中で行われるものは、私は民営で行った方が、負担と受益の関係からも一番わかりやすいし、いいと思うのであります。が、どうしてもそれでできない部分は、国そのものが国民の租税等によっていろいろなこともしなければならぬでございましょう。したがって、その中間的なもので、いわゆる民営の活力と、そして若干のリスクを企業自体が負わないで、国もそれを負っていこうという中間的な存在として、やっぱり公社というようなものが今日までその機能を果たしてきた。しかし、世界の中で一番頭がよくて一番よく働く国民でございますから、なお一層これにいわば当事者能力と民営における活力を与えることがより好ましいというふうに、世の中が今流れてきているのではないか。その流れの一環であると同時に、自由化要請に対する対応をしたものが、今回御審議いただいておる法律そのものではないか。  だから僕は、公社公団性悪説というものには立ってはいかぬじゃないか。それは、国そのもののやることと民間の経済合理性の中において行うことと、国そのものが国民全体に対する奉仕者の立場から、幾ばくかのリスクを負いながらも、この中間的存在としてのそういう機構とか、まあいろいろございますが、より多くが自由な経済合理性の中に昇華されるようになることが好ましいとはいえ、私は、これが全くなくなってしまうことは、国民にとって決して幸せなことではないではないか。だから性悪なるものではなく、その中の人なりあるいは人間関係とかあるいは労使関係とか、そういうものの中で私は、やはり必要悪ではなくして必要善なるものとして存在はしていくべきものではないかというふうに考えております。  少し長くなりましたが……。
  21. 矢追秀彦

    矢追委員 そういうことで、現実としてはもう公社は三つのうち二つがなくなって、あと国鉄だけが残る。これも再建監理委員会でどういうふうなことになるか、恐らくまた同じような経緯をたどって、公社というのは日本から存在しなくなるような気がするわけでございますけれども、それは別といたしまして、次に、やはり公社にしても政府直轄の事業にしても、公共性ということで行われてきたと思うのですね。  臨調答申にも、公共性さえも損なわれるから変えなければいかぬというような答申になっておるわけですが、このたばこについて、現在は専売公社、これの持つ公共性というのは何ですか。税収と、それからいわゆる葉たばこ耕作者等を擁護していく、この二つしか考えられぬと思うのですけれども、いわゆる電話とか電電公社国鉄とはまた違った、公共性という意味では、まあ害あって益なしですから、たばこそのものに公共性はないと思いますので、やっぱり財政の面だけかなと思うのですが、そのたばこ公共性はいかがですか。
  22. 竹下登

    竹下国務大臣 ちょっとこれから参議院の本会議へ行かしていただきます。すぐ帰ってまいりますが、やっぱり財政物資であるということが公共性の大きな要因であるというふうに思っております。その財政物資としてのたばこを支えるいわば軍団としては労使が存在し、耕作者が存在し、販売店——販売店といえばある意味においては税の取次店かもしれませんが、そういうものが一体になって支えておるという公共性が、やはり専売物資すなわち財政物資であるということではないか。  余り専門家じゃございませんので……。また帰ってまいります。
  23. 矢追秀彦

    矢追委員 もう一つ国民経済の重大な問題となっておるという、これは臨調答申にあるのですが、国鉄の場合はわかるのですが、果たしてこのたばこについて、この点は指摘として当たっているのかどうか。今公共性という面は申し上げたんですけれども、今大臣言われましたが、公共性が果たして今損なわれているのかどうかとなると、むしろ利益が減ってでも、今度の財確法のようにいわゆる納付金はたくさんふやされているような状況ですから、公共性というのはそう損なわれていない、こう思うのです。現状ですよ。新会社もこれから問題を言いますけれども国民経済の面について、これは果たしてどうなのか。いかがですか。
  24. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  明治三十七年の専売制度創設以来、専売制度あるいは専売局専売公社が財政収入の確保という公共的使命について多大の貢献をし、その機能を発揮してきたということは先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、臨調答申の申しておりますことは、私見と申しますか、こういった状況のもとで輸入自由化というふうなことをやっていかなければならない、その中で公社自体の国際競争力が失われるならば、ひいては財政収入の安定的確保に影響を及ぼすおそれもないではないというような意味に考えてよろしいかと思っております。
  25. 矢追秀彦

    矢追委員 そこで、さっき大臣公社というものが性悪ではない、いい部分もあるのだ、こう言われたわけです。現在の専売公社制度のままでは、いろいろな法律改正も含めて、公社そのものの形は公社とした中で、今の国際競争力というのは絶対だめなのかどうか。やはりこういう新会社特殊会社にしない限りはもう絶対できないのかどうか。この点はいかがですか。
  26. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、公社は今まで専売制度の実施主体として非常に大きな役割を果たしてこられたわけでございますけれども、先ほど来大臣からも御説明ございましたように、現在のようなこういう開放経済体制を志向する我が国として、たばこ事業をいつまでも閉鎖的な状況のもとに置いておくことは適当ではない、そういう意味でこの際専売制度を廃止して輸入自由化に踏み切るということにしたわけでございます。こういう状況のもとにおきましては、我が国の市場において国産たばこ輸入たばことがいわば対等の立場競争を展開することになるわけでございます。従来、いろいろな輸入自由化のための措置を講じてきたわけでございますけれども、基本的には、やはり公社外国たばこ輸入して、みずからの商品として販売するという建前は崩れていなかったわけでございますが、今後は全く対等の立場競争することになる。そういう中で、我が国たばこ産業が国際競争力を確保しながら健全な発展を遂げていくというためには、やはりたばこ産業の中での中心的な役割を担っております専売公社を、合理的企業経営が最大限可能な経営形態とする必要がある。そのためにはやはり専売公社特殊会社にするほかにはないというふうに判断したところでございます。
  27. 矢追秀彦

    矢追委員 いや、総論的にはわかるのですけれども、具体論として、じゃどこがネックで公社はだめなのか、もう少し具体的に言えませんか。それは監督がきついとか予算の問題とか、いろいろあるでしょうけれども、現実は何が変わったかというと、製造関係は全然変わってないわけですよ、相変わらず独占ですし。外国たばこ輸入と販売ですね。それを何とか切り離した形で、公社さえしっかりしていれば競争はできるのではないかというのは、これは素人かもわかりませんけれども私はできるような気がしてならぬのですよ。というのは、専売局から公社になったときには、能率的にやるということをちゃんと目的に書いてあるわけでして、能率化されたはずなんです。それが今日までできなかったというのは、やはり内部のいろいろな問題があり、経営努力といいますか、あるいは親方日の丸的な惰性みたいなもの。そういうのはある程度精神的な面。あるいはまた法律というのは変えればいいのですから、いろいろな問題があれば外すようにできなかったのか。私は基本的にはこの民営に反対しているのではないんですよ。その点はいかがですか、もうちょっと具体的に。
  28. 長岡實

    ○長岡説明員 公社株式会社組織の特殊法人と比べましたときに、事業運営の面におきまして、例えば予算制度であるとか、いろいろと異なる点はございます。これらの全体を通じまして、公社よりは特殊会社の方が機動的な業務の運営には適する、小回りがきくと申しますか、あるいは情勢の変化に即時に対応できるといいますか、そういったような面では、公社とただいま御審議をお願いいたしております特殊会社とではある程度違いがあると思うのでございます。  これはお答えになるかどうか存じませんが、やはり一番大事なのは、企業は人なりと申しますけれども、新会社で働く職員全体、この人たちが株式会社組織になることによっていわば合理的企業経営を志向せざるを得ないような環境に置かれる。公社の場合でも親方日の丸意識であってはいけないわけでございますけれども、新会社になればやはり自分たちの仕事の結果が比較的はっきりと企業財務の面にも反映される。たばこ産業の場合には、民間の類似産業に何を求めるかという問題はございますけれども、例えば食品産業なら食品産業と比べましたときに、自分たちの企業努力が一体どういう形ではっきりと出てくるかということになりますと、どれだけの収益を上げ、そしてどれだけの配当も行える企業として運営されているといったようなことが非常にはっきりするわけでございます。もちろん、特殊会社でございますから、企業利潤の追求だけを考えてほかのことを考えないというわけにはまいらないと思いますけれども、それにいたしましても、公社と比べますとそういう合理的な企業経営をいや応なしに行っていかざるを得ないような仕組みになっていくのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  29. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、たばこ事業法の「目的」の中に「もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」こうございます。他のいわゆる特殊会社目的には、こういう財政収入の安定確保とか国民経済の健全な発展というのは全然ありません。それからまた現行のたばこ専売法の目的にもありませんし、また日本専売公社法の目的にもこれは入ってないわけです。どうしてこのたばこ事業法の目的に突如これが入ってきたのか、その経緯説明してください。
  30. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。たばこにつきましては、明治三十七年以来、専売物資として財政収入に多大な貢献をしてまいったことは先ほど申し上げたとおりでございます。今次改革におきましてたばこ専売法を廃止して、新たにたばこ事業法を制定するということにしておるわけでございますが、この間におきましてもたばこの財政物資としての性格は変わらないわけでございますし、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、たばこ事業公共性というのは財政収入の確保ということにあるわけでございます。そういう意味におきまして、今回のたばこ事業法におきましても、たばこの財政物資としての性格にかんがみまして、我が国たばこ産業の健全な発展、たばこ事業関係者の激変回避等の要請とともに、財政収入の安定的確保の要請というものも常に念頭に置いておく必要があったということでございます。このような見地から、たばこ事業法の目的一つに財政収入の安定的確保という規定を置いたところでございます。  それから専売法につきましては、明治三十七年の法律でございますし、全く私の推測でございますけれども専売制度それ自体が財政収入の確保ということを目的にしておるということで、たばこ専売法という名称の中自体にも既にそういう趣旨が入っておったのではないかというふうに考えております。
  31. 矢追秀彦

    矢追委員 財政収入の安定的確保という面でございますけれども、この新会社になった場合、現在の納付金よりも負担は相当多くなる、私はこう見ておるわけですが、その点についてちょっと御説明を、きちんとはいかぬと思いますが、大体五十八年度で比べていただいて、何がふえて、それがどうなるのか、それから現在の納付金と比べてプラスマイナス、それをちょっと御説明いただけますか。
  32. 長岡實

    ○長岡説明員 公社から新会社に移行いたしました場合に、専売納付金が消費税に変わりますけれども、この分につきましては大体現行納付金率を前提にして新しい税制の仕組みが考えられておりますので、一応同じようなものが続くとお考えいただいてよろしいと思います。  そこで、問題は株式会社組織になるための新たな負担が加わるわけでございますけれども会社に移行しました後の財務見通しにつきましては、輸入自由化後に輸入品のシェアが一体どのくらいになるのかとか、いろいろと不確定要素が多うございまして、今のところ見通しはなかなか困難でございます。  そこで、五十八年度の決算を用いまして、会社化による変化を大まかに推計いたしてみますと、五十八年度のたばこ事業は、決算上の利益が八百七十億円ございます。これに対しまして会社化されました場合には、印紙税その他諸説及び法定福利費の負担増が約百億円ございます。それから、納付金制度が消費税制度になりますと、納税時期の繰り上げによって借入金をする、その支払い利子の負担がふえますが、これが約百億円、合計二百億円がまずただいま申し上げました八百七十億円から差し引かれるわけでございまして、税引き前の利益が六百七十億円になります。この六百七十億円の利益に対しまして法人税、事業税等の利益課税が行われるわけでございまして、これが大体三百七十億円程度と推定されますので、税引き後の利益は三百億円程度になるということになります。八百七十億円と三百億円でございますから相当の差が出てくるわけでございます。しかもその三百億円の利益の中から配当を支払うということにもなるわけでございます。この金額が多いか少ないかという点はいろいろの見方がございますけれども民間企業の最近の動向等から比べまして、ほどほどのところではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  33. 矢追秀彦

    矢追委員 今総裁が言われた数字ときのうの日経新聞に出ている「専売公社の五十八年度決算」というのはちょっと違うのですが、これは「純利益は前期より二百二十億円減って九百三十一億円にとどまった。」これは塩が入っておるのですか。——そうですか。わかりました。じゃあ訂正いたします。  今適当ではないかと言われましたが、そこで私が心配するのは、今後たばこ産業というのは、たばこだけの製造に限られておる限り、将来の見通しはそんなに明るいものではない。日本国内におけるたばこ消費量もそうふえない。むしろ減る可能性が強い。さらに、外国たばこ自由化されて、いわゆるビッグスリーが巨大な資本力に物を言わせて、それこそダンピング競争でもしてきた日にはかなり影響が出てくる。そういうことを考えた場合、現在の納付金でやっているより、会社にとっては非常な負担になり、八百七十億円の純利益が三百億円という、約六百億近く、五百七十億円も利益が減ってしまう。それだけ国家財政には貢献しているということになるのですけれども会社の経営ということを考えた場合、将来展望に立った場合大変問題がある、私はこのように思うわけです。  そこで、「目的」の中にも書いてありますが、いわゆるたばこ製造、極端に言うと製造だけしかできない。また業務範囲として、それに関連する周辺の業務ということになっておりますので、今のままいくと余りたくさんできぬのじゃないか、私はこう思うわけですが、この問題も再三議論されておりましたけれども、実際どこまでが可能なのか。  御承知のようにフィリップ・モリスはビール会社も持っておるわけですが、日本たばこ産業株式会社がビール会社のつぶれかけたところを買収するということは、法律に関してはできないわけです。ビール会社でもいいところと悪いところと、現状だってあるわけですから、買うぞと言ったらどうぞというのはあるかもわかりませんよ。そのほか今いわゆる跛行性の強い時代ですから、不況業種がいっぱいある。専売公社は、その気になれば幾らでも会社の、悪い言葉で言えば乗っ取り、買収ができるわけですけれども、そういうことはなかなかできないようなんです。そうなると、非常に限られた周辺のことしかやっていないと、アメリカの方はすごい力を持って来る。そこへもってきて、今言ったように利益率は減っていく、将来消費は伸びない。こうなると業務拡大しかないと思うのですけれども、その点はいかがですか。  それから、昨日の新聞にも、「たばこ輸出を倍増」、五カ年計画で「中東・中国で販売強化」、こういう記事が出ておりましたが、こういったことも含めまして、いわゆる業務の拡大という面についてさらにどうお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  34. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  新会社の経営という面につきましては、後ほど公社の方からお答えいただく方があるいは適当かと思われますけれども、このような法律にいたしました理由につきまして若干御説明さしていただきたいと存じます。  先生今おっしゃいましたように、外国たばこ企業、例えばBATとかフィリップ・モリスとかR・J・レイノルズとか、そういったようなところはビール会社であるとか海運会社であるとか石油とかあるいはファースト・フード・チェーンとか、いろいろなたばこ事業以外の事業を吸収合併して、事業経営の多角化を通じて経営基盤の強化を図っておるところでございます。新会社が国内市場におきましてこういったような外国企業との競争に勝ち抜いていくためには、おっしゃいますように、可能な限りの事業範囲の拡大等を通じて国際競争力を強化するという必要性は、私どもも十分痛感しているところでございます。  ただ、一般株式会社でございますれば、御案内のように、その事業範囲は株主総会において定款をもって自由に決定することができるわけでございますけれども、新会社につきましては、一つには我が国たばこ産業の健全な発展を図るという政策目的を達成するために設立された特殊会社であるということから、その事業につきましてはやはり設立目的を達成するために必要な範囲内であろう。具体的に申しますれば、本来事業、附帯事業及び目的達成事業事業範囲としているわけでございます。しかしながら、これによりまして新会社は、自己の保有する資産あるいは技術、そういったようなものの活用を通じまして、従来に比べればはるかに経営基盤の充実を図る可能性と申しますか、基盤ができたということは言えるのではないかと考えております。
  35. 長岡實

    ○長岡説明員 先ほど、株式会社になりますと、公社のときよりも公租公課その他の負担がふえまして、利益と申しますか、社内に留保される分が減るという数字を申し上げましたけれども株式会社組織になってそういう負担をするということは、一面におきましてはそのかわり公社のときに比べまして株式会社らしい経営ができるようにしていただくための代償とも考え得るわけでございます。それは何かと申しますれば、やはり事情の許す限り業務範囲の拡大も図っていただきたい、そういうことによって私どもは利益を上げていかなければならない、また職員の雇用の安定も図っていかなければならないと考えておるわけでございます。  具体的にどういう事業をどの程度の規模でというところまでまだお話し申し上げられないのが恐縮でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、現在まで公社が積み上げてまいりました技術の蓄積の中から新しいものを求めていく面がある、あるいは公社が持っております資産等も利用価値があろうかと思います。それから輸出の面につきましても、矢追委員がおっしゃいましたように、例えばたばこの輸出で申しますと、本輸出は二億九千百万本でございますが、これはせめて五年間にはやはり倍増ぐらいしたいという気持ちでございますし、それからたばこの機械、たばこの技術輸出といったようなことにつきましても、私どもでやれる分野はまだまだあるのではないかというふうに考えております。  そういったようなことで、中研、中央研究所で今まで研究してまいりましたバイオケミカルスの技術の活用といったようなものも含めますと、全くたばこに関係のない分野というものは大変難しゅうございますけれどもたばこに関係のある分野で申しましても、たばこ製造を中心としました、ただいま申し上げました技術、機械、あるいは喫煙具等の周辺の産業と申しますか、そういったようなもの、もう一方は葉たばこに関連をいたしまして、葉たばこからたばこ以外に利用できる分野が一体どの程度あるかといったようなことを求めてまいりますと、相当程度の範囲で私どもの新会社の業務の範囲が拡大できるのではないかというふうに考えております。
  36. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、行政事務の問題にちょっと移りたいと思います。  この間提出いただいた「主な政・省令委任事項等の概要」という資料がございますが、この事業法の四十三条に「事務の一部委任」というのがあります。この資料の中に、こういう事務の一部委任というのは出ていないように思うのですが、新会社になった後にどのような行政事務を取り扱うことになるのですか。
  37. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  たばこ事業法の施行に関する事務の一部を会社へ委任することにつきましては、会社日本たばこ産業株式会社法により規制される企業でございまして、大蔵大臣監督を受けておるわけでございますが、第二に、会社専売公社の人的、物的資源を一体として引き継ぐものでございます。したがいまして、現在専売公社として行っております行政事務の一部を行うに足るたばこ事業についての知識、経験等が極めて豊富な職員を数多く擁しているわけでございます。第三に、たばこ事業法の施行に関する事務は、例えば小売業等につきましては二十六万店。相当数が多いわけでございますので、大蔵省がこれを直接行うということにいたしますと、大幅な機構、定員の増加措置をとるというような必要性も生じてくるわけでございまして、これは本来の行政改革の趣旨に逆行するではないか。  そういったような点を総合的に勘案いたしまして、行政の効率的執行の見地から、たばこ事業法を施行するため必要な事務の一部を会社に委任することとしたものでございます。その委任すべき事務につきましては今後政令で規定してまいるわけでございますが、現在私どもが考えておりますのは、事業法を施行するため必要な事務のうち、定型的な事務であって委任になじむものに限定するつもりでございます。具体的に申しますと、小売販売業の許可に関する事務。ただ、その許可に関する事務と申しましても、許可申請書の受理であるとか定型的な許可要件の調査とか許可の通知とか、そういったまさに定型的な事務でございまして、裁量の余地のないような事務、そういったものを委任する予定でございます。
  38. 矢追秀彦

    矢追委員 特に問題となるのは小売販売業の許可認可の問題ですけれども、これは外国の方からクレームがつかないかどうか、その辺はいかがですか。
  39. 小野博義

    小野(博)政府委員 先生の御指摘ごもっともでございまして、私どももこの点についてはいろいろ内部で検討いたしました。ただ、ただいま申し上げましたように、事務の一部を会社に委任することといたしましたのは、行政の効率的執行等の見地から望ましいと判断したことによるものでございますけれども、ただいま申し上げましたように、極めて定型的な事務であって委任になじむもの、そういったような意味でございます。したがいまして、例えば許可業務につきましては、許可をするかしないかという判断権は大蔵大臣あるいは大蔵大臣の権限委任を受けました財務局長が持っておるわけでございます。公社が行います事務というのは、申請書の受理であるとか定型的な許可要件の審査、例えば小売販売業の許可の中には距離基準とかあるいは取扱高基準とかいうのがございますけれども、既存の店舗からの距離などというものは、だれがはかりましても、百メートルは百メートルということでございます。  そういったようなことから、さらにその許可要件につきましても、今後できるだけその客観化を図っていくということを考えておりますので、この委任事務の遂行によりまして会社が小売販売業者に影響力を及ぼし得るものではない。従来の指定制でございますと、その最終的な決定権は公社が持っていたわけでございますから、そういう意味で影響力を及ぼす可能性があったわけでございますけれども、今回の場合、まさに客観的な事務だけを行ってもらうということから、その影響力を及ぼすおそれがない、またそのような批判が生じないように、今後十分その委任事務の遂行につきましては会社を指導監督していくつもりでございます。このようなことからいたしまして、会社に対し、ただいま申し上げましたような事務の一部を委任いたしたといたしましても、外国企業理解は得られるのではないかというふうに考えております。
  40. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、たばこ事業法第三十六条第一項ただし書きの省令につきましては、この提出資料には触れていないわけですけれども、この点は具体的にどのような内容になっておりますか。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  41. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  三十六条一項ただし書きの規定は定価販売義務の例外規定でございますけれども、ここで考えております大蔵省令は、小売販売業者の定価販売義務が免除される場合を規定することを考えておるわけでございます。具体的には省令制定の段階で詰めていくことになると思いますが、例えば小売販売業者が他の小売販売業者に臨時の。在庫補充用、ある販売業者の在庫がなくなった場合に融通をしてやるというような場合であるとか、あるいは廃業等により営業を継続することができなくなった場合において、その在庫でございます製造たばこを消費者以外の者に販売する場合、そういった場合を予定しているわけでございます。
  42. 矢追秀彦

    矢追委員 この問題について、十年ぐらい前になりますか、我が党の議員が参議院の予算委員会で、いわゆるパチンコ店に定価でないたばこが売られておる、これが常識化しておる、こういう問題を追及されまして、なかなかこれについては決着を見ないまま、何か現状黙認みたいな形でずっと来ているわけです。今私がお伺いしたいのは、この点をどうされるのかですね。相も変わらず何か目をつぶるという形で行くのか、何らかの形でこの省令の中でそういったこともある程度できるような、これはいろいろな厳しい条件をつけてそういうことを前向きに考えられておるのか、あるいは厳しい禁止の方向で行かれるのか、その点はいかがですか。
  43. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  パチンコ店に対する景品用たばこの値引き販売につきましては、昭和五十年ぐらいでございますか、予算委員会等におきましていろいろ御議論があったことは私ども承知しておるわけでございます。大変難しい問題であることもまた事実でございます。先生おっしゃいますように、パチンコ店に対する景品用製造たばこの値引き販売というのは、従来より実体的に行われてきたものでございますし、一種の商慣習みたいになっているということも言えようかと思います。ただ、その場合の値引きのあり方が、例えばストレートに値引きをする場合もございますし、あるいは他の商品を一緒に卸しているような場合には、たばこは一応定価で販売いたしまして他の商品の値引きをするというようないろいろな形態があるわけでございます。他方、そのパチンコ店への値引き販売を認める場合には、他の業種へ波及するという可能性も考えられないわけではございません。そういった場合、定価制維持の観点から問題が生ずる可能性もあるわけでございます。  そういったような種々の角度から検討する必要があるわけでございますけれども、今後もし法律的な手当てをするといたしますと、この三十六条ただし書きの省令の中で何か手当てをするということになろうかと思われるわけでございますが、省令制定段階においてなお慎重に検討いたしたいと考えております。
  44. 矢追秀彦

    矢追委員 この問題、要するに詰めれば現在は法律違反が実際はやられておる、どうしようもない状況でありますが、今度特殊会社という装いも新たにかなり公社法とは違う法律に縛られるわけですから、私は何か知恵があるのではないかと思いますので、ひとつ前向きに検討していただいて、かりそめにも法律違反というようなことが指摘されないような形でお願いをしたいと思います。  あと大臣がお戻りになってから二、三聞くことはちょっと残しまして、次に自動販売機についてお伺いしたいと思います。  その前に、第四十条の「広告に関する勧告等」についての立法の精神をお伺いしたいのです。
  45. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在製造たばこに係る広告の実施につきましては、専売制ということで専売公社が一手販売をしておる関係もございまして、その枠組みの中で専売公社外国たばこメーカー、輸入業者等の間で広告の内容及び広告の量に関して自主規制が行われておるわけでございまして、それなりの実効が上がっておるものと考えております。しかしながら、専売制度の廃止あるいは輸入自由化によりまして、流通段階での競争がかなり激化してくる可能性がある、場合によっては業界の自主規制が守られないことも想定し得る。こういう状況が考えられますので、このような事態に備えて何らかの法律上の整備を行うことが必要であるというふうに考えた次第でございます。  一方、その製造たばこの広告の実施に関しまして、法律により規制を加え、これに違反した場合には罰則等で担保するという方法ももちろんあるわけでございますけれども、こういった方法を採用することにつきましては、業界の自主規制がそれなりに実効を上げている現状におきましては、当該規制が国民の権利、営業の自由であるとか表現の自由であるとか、そういうことを制限するものであるだけに、慎重に対処すべきものであろうかと思っております。したがいまして、製造たばこの広告につきましては、基本的には制度改革後におきましても引き続き業界の自主規制にゆだねるということを原則といたしまして、必要があれば別途設置されるたばこ事業等審議会の意見を聞いて大蔵大臣が適切な指導等が行えるように、所要の法律上の整備を行ったわけでございます。
  46. 矢追秀彦

    矢追委員 これも当委員会でも再三指摘をされておりましたけれども、広告については、外国ではテレビ、ラジオは禁止されておる。しかし総額的にはアメリカたばこの広告料というのは巨大なものがありまして、今自主規制も言われましたし、これから外国から入ってきた場合、日本の自主規制の範囲内に抑えてくれということになろうかと思いますが、現実に例えばキャメルの広告などは相当でかでかと出始めておりますし、それは私はかなり効果が出て、割合キャメルも何か伸びているような感じを受けるわけです。実際をちょっと後で聞きたいんですけれども。  やはりアメリカ資本力に物を言わせて、かなり広告の面に圧力をかけてくることは十分考えられますし、また現在やや回復期にあるとはいうものの、まだまだ跛行性もある時代ですから、広告業界というのも決して昔の高度成長のような状況でない。となれば、アメリカの巨大な広告はやりたい。幸いテレビ、ラジオも日本は禁止されてないから、どんどんテレビに入ってくる可能性も十分あるわけでして、そういった面でアメリカがこの日本の自主規制あるいはこういう広告費を抑えるということに本当に納得してくれているのかどうか。先ほど大臣は、今回の改正によってアメリカが文句言う点は大体決着したと言われますが、今後は果たしてどうなのか。日本へ乗り込んできて、仮に期待した以上にたばこが売れなかったとした場合は、そういう面でつついてくる可能性は十分考えられるわけですが、その点はいかがですか。
  47. 森宗作

    ○森説明員 お答え申し上げます。  この広告宣伝につきましては、喫煙と健康の問題、また未成年者喫煙防止の問題、こういったものに対しましての社会的な動向に対応しまして、先生御案内のとおり、私ども昭和四十四年から自主規制をいたしておりまして、昭和五十六年になりまして、外国メーカーが日本におきましても広告宣伝を行うというようなときに当たりまして、従来の自主規制を踏まえまして内外共通の基準を設定いたしまして規制を行っておるわけであります。  内容としましては、テレビ、ラジオにつきましては新製品の紹介、そのほか広告媒体等の選択なり広告表現の内容につきまして配慮を行っておるわけであります。私ども会社になりましても、今後ともこういった趣旨を踏まえまして、たばこ事業法第四十条の精神にのっとりまして規制を行ってまいりたいと思います。  なお、外国メーカーでございますが、昨年この広告宣伝等につきましてのいろいろな話し合いを行いました際にも、十分我が国の事情につきまして、喫煙と健康問題、未成年者喫煙防止問題を説明をいたしました。もともと外国メーカーは、こういった規制の完全撤廃ということを当初強く要求しておったわけですが、この点につきましての理解を深めた結果、この広告宣伝基準につきましても今後実施をしてまいるというような話し合いにもなっておるわけでございます。私どもはもちろん今後外国メーカーとも十分協議をいたしまして、たばこ業界全体としてこの自主規制を守ってまいりたいと思っております。  なお、最近におきまして、先ほど御指摘にありましたキャメルマイルドは、本年から全国の輸入品の取扱店で発売をされておる銘柄でございまして、レイノルズ社がかなり力を入れておりますが、これもいずれにしましてもこの規制の枠の中で実施をいたしております。現在のところ販売数量は月約一千四百万本程度でございまして、販売数量としましてはそれほど大きな数量ではないというような現状でございます。
  48. 矢追秀彦

    矢追委員 アメリカは納得していると言っておりますけれども、大体いわゆる経済摩擦、貿易摩擦と見られる面のアメリカ側の主張というのは、非常に身勝手な面も今までたくさんあると思います。日本の国内の事情あるいは特に日本の国内事情という以上に、歴史的な過程は非常に無視をして、アメリカの実情をそのままぶつけてくる、こういうふうな非常に勝手なことを言う。例えば自動車の物品税一つ上げるにしても、これはけしからぬ、日本で自動車の物品税を上げることが結局アメリカでは日本の自動車が安く入ってくるんだ、こういう非常にむちゃくちゃな論議までするような始末が現状です。今までは門戸を開いた点で満足していますから、今はそんなにがたがた言ってこぬと思いますけれども、今後は広告合戦というのは相当やられるのではないか、こう私は思いますので、ひとつ厳重に頑張っていただきたいと思うわけです。  それで、広告の問題で、未成年の喫煙防止のための広告が、私はまだまだ甘いと申し上げたいんです。テレビのコマーシャルを見ておりましても、十五秒間やる中で、その最後の〇・五秒ぐらいで小さい字でちょこっとしか出ぬのですよ。もちろんその十五秒間全部未成年のためというのも、これまたそうもいかぬでしょうけれども、これは、実際コマーシャルをつくるのは、どうせどこかに頼まれて、そしてそういう企画をやるプロの方なので、やはりきれいなもの、あるいは新しい時代に即応したということになると、こんな未成年はのんじゃいかぬなどというのが広告、CMとしては格好の悪いものというのは、私もPRを担当しておりますのでよくわかります。しかし、やはりそういう青少年の教育、喫煙防止ということは非常に大事な問題ですから、もう少し何か、今の若い人にわかるように、しかもしゃれた広告で、そしてもうちょっと強烈なものが案外考えられるのではないか。だから、どこかの広告代理店にたくさんの金を出して任さないで、公社の方で、新会社の方で、これからそういう優秀なスタッフを雇われてそういうのを専門に研究して——今そういうCMをつくるいわゆるコピーライターにしても、そういうことをやる方はいっぱいいるんですから。何だったら私、知恵をかしてもいいと思います。しかし、これはちょっと短過ぎる。雑誌にしても何にしても小さ過ぎます。確かに字がでかくなるとみっともないんですよ。これはもう反発を買うことはよくわかるんです。しかし、広告によっては、若い人を非常に打つものがいっぱい今でもありますので、その点はもっと工夫していただきたい。  大体、お役所のやる広告というのは、最近大分政府も思い切ったことをやられて、しゃれた広告が出るようにはなりました。また、しゃれ過ぎてちょっと行き過ぎというのも、私の感じとしてはちょっとありますけれども、そういった点はひとつこれから、販売促進を一生懸命やられるだけに、今度はそういう喫煙に対する害、特に青少年の非行防止化の上からも、ぜひこのテレビあるいは雑誌等のコマーシャルの分は御検討願いたいと思いますが、これは総裁いかがですか。
  49. 長岡實

    ○長岡説明員 十分に検討いたしてまいりたいと思います。
  50. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、国税庁お見えになっていると思いますが、自動販売機に関連して、自動販売によるお酒の小売の深夜の禁止、この現状と、どういうふうな通達を出されてやられているか、お伺いしたいと思います。
  51. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 自動販売機によります酒類の夜間販売につきましては、ただいま未成年者の飲酒防止、そしてまた飲酒運転によりますところの交通事故防止という見地からいたしまして、酒類小売業界といたしましては、昭和五十年四月一日から夜間、これは二十三時から翌朝五時までを夜間というふうに申し上げておりますが、販売の自粛を行ってまいったわけでございますが、さらにその度合いを強めるべく、五十五年六月一日からは、公正取引委員会の認定を受けました酒類小売業における酒類の表示に関する公正競争規約というものを定めまして、その中で酒類の夜間販売の自主規制を行っておるわけでございます。  具体的な内容を申し上げますと、事業者が自動販売機を設置いたします場合におきましては、見やすい箇所に邦文で明瞭に、まず第一に自販機による販売時間、第二に自販機の管理責任者の氏名等、第三に未成年者及び自動車運転者の飲酒禁止、こういう三点を表示しなければならないというようなことになっているわけでございます。これの違反につきましては、公正競争規約でございますから、違約金の徴収、その他罰則の措置がございます。  税務当局といたしましては、昨年三月の臨調の第五次答申の中におきまして、この酒類の自動販売機につきましては、酒類が致酔性を有するという特性を考慮して、夜風販売の自粛についてさらに徹底すべきである、こういうような御指摘をいただいたわけでございますが、それを踏まえまして、五十八年の七月七日付で酒類小売業界に対しましてこの公正競争規約に定める酒類の夜間販売自主規制の徹底ということを通達をいたしております。現時点におきましてかなりの程度履行されているというふうに考えております。  以上でございます。
  52. 矢追秀彦

    矢追委員 国税庁にもう一つ伺いますが、お酒の自動販売機の設置場所には制限があるのかどうか、いかがですか。
  53. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 従来におきましては自動販売機のみの小売免許という制度がございましたが、四十八年以降はそれはございませんで、自動販売機の設置は酒類小売免許を有しますところの小売免許者がその管理可能な地域に設置をするということになっているわけでございます。
  54. 矢追秀彦

    矢追委員 そこで、たばこの問題になりますが、これはお酒の場合の深夜に売ってはならないというのとは、ちょっとすぐにはなじまないかと思いますが、やはり先ほど来の未成年者にできる限りのませないというふうなことで、この自動販売機のあり方、私は、ホテルの中などは夜遅くまで、人が泊まったりするわけですから、これはある程度やむを得ないかなと思います。また、そういうところは余り青少年がたむろするような場所でもない。ところが、いわゆる町の店頭にある場合は、少々の監督に行けるところにのみ許可をし、そうでないところは深夜に禁止するのもいかがかな、こう考えるわけです。というのは、酒屋さんもやはり物を売りたいという立場になると夜中も売りたいわけですよ。たばこ屋さんも一緒だと思うのです。しかしやはり未成年の健全化、非行化をなくすんだということを考えて、お酒の場合は自粛されておる。たばこの場合はいかにあるべきかということは検討されたのかどうか、これから検討されるのか、今後の方針はどうなのか、お伺いしたいと思います。
  55. 森宗作

    ○森説明員 お答え申し上げます。  たばこの自販機につきましては、管理者氏名の貼付、また未成年者の喫煙は禁止をされておりますといった旨の文言を必ず表示するというようなことも行っております。また、一般に販売店の併設という形で自販機がございますけれども、先ほどお話の出ました自販機コーナーといったようなところにつきましては原則として許可をしないというようなことを行っておるわけであります。  なお、夜間規制の問題でございますが、これにつきましては、私どももいろいろ検討いたしたわけでございます。ただ、たばこの場合は、酒のような致酔性と申しますか酔う、場合によっては交通事故にもつながる、こういうような特性はないわけでございますが、これにつきましては、販売店の地域条件も区々でございまして、また、現在、自販機は全国で約三十二万台ございまして、推定の売上高比率でも二八・一%というようなことになっておりまして、大変消費者の御便宜に供せられているということもございます。また、自販機の所有者は販売店でございまして、そういった意味で、営業の自由と申しますか営業権というような問題もございます。したがって、私どもの方で画一的な規制とか指導ということを行いますことにはいろいろ問題がございまして、夜間規制につきましては、販売店の意思が配慮されたような形で処理されることが望ましいというふうに考えまして、こういった趣旨から、昭和五十七年でございますが、この販売店の上部団体でございます全国たばこ販売協同組合連合会に対しまして、自販機の深夜停止につきまして、文書によりまして、地域との調和を配慮しながら、話し合いに基づき、個々の販売店の自主的な御判断によって自動販売機の深夜停止を行うよう協力の要請をいたしたわけでございまして、こういったことで未成年喫煙防止ということに努めておるわけでございます。
  56. 矢追秀彦

    矢追委員 なかなか難しい問題があると思いますけれども、ひとつこれはぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  それから、今小売店にそういう通達をされておりますが、この間、ある新聞を見ましたら、未成年数人にたばこを売っているたばこ屋さんを見たという投書も出ておりまして、まだまだ店頭で実際に人間が売っても徹底していない。だから自動販売機で規制なんて、もう一つ大変だなと思っておるような次第です。そういうような状況でございますので、やはり酒、たばこというのは青少年の場合、大体非行のスタートじゃないかと思うのですね。そういった点で、ぜひお願いをしたいと思います。  大臣お帰りで、最後は大変失礼な質問になるかわかりませんけれども日本たばこ産業株式会社という名称はどうしてこういう名前になったんですか。というのは、先ほど事業の範囲で、将来いろんなことをやらなければいかぬ。フィリップ・モリスだったらビール会社まで買収しておる。だから将来のことを考えると、もうちょっと違った名前にしておいた方がよかったんじゃないか。私もアイデアはございますけれども、まず大臣のお考えを聞いてみたいと思います。
  57. 竹下登

    竹下国務大臣 新会社の名称、確かに我々もいろいろ議論をいたしました。政府関係の特殊法人であって、そうして我が国たばこ産業全体の健全な発展を図るという使命を持っておりますということになると、日本たばこ産業株式会社のほかになかなかいい名前がございませんし、「含む塩専売」なんというわけにもいきませんし、一応一番素直な名前ではないかなと思っただけでございます。
  58. 矢追秀彦

    矢追委員 なぜこんなことを言うかといいますと、先ほどの事業にも絡むのですけれども、例えばアメリカだったらフィリップ・モリスとかBATとかレイノルズとか、しゃれた名前ですね。将来、JALのように何か略称で横文字で、今度外国へどんどん出る場合は、それはお考えになっていますか。例えばJTCとかJTICとか、それはいかがですか。
  59. 長岡實

    ○長岡説明員 いわば愛称と申しますか、ペットネームにつきましては、現在私ども、やはり新会社移行後に、国際的にも通用するような名前ということで検討をいたしております。職員の意向も調査しながら検討中でございます。
  60. 矢追秀彦

    矢追委員 ぜひそういった面も、案外ネーミングというのは何でも大事でございますから、もうできちゃった「たばこ産業」を変えろ、今さら修正しろというわけにいきませんから、これでやむを得ないと思いますが、ぜひ外国向けの横文字ぐらいひとつしゃれたものを、できたら公募くらいして、国民的な盛り上がりの中でつくっていただくとありがたいと思います。  それからもう一つ特殊会社の中で「総裁」という名前は電発だけなんですね。あと全部「社長」になっているわけです。これも社長になるわけですね。長岡さんは総裁から社長になるのであって、総裁がいいのか社長がいいのか私もよくわかりませんけれども、今の時代から言うと、社長の方がいいかな。総裁というと何か偉そうに見える、だから社長になると格下げみたいな気もする。この点、これはまじめな議論として、いわゆる取締役というのと総裁というのはどう違うのですか。その点をお伺いして終わりたいと思います。
  61. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  会社の役員の名称につきましては、通常定款で定められておるようでございまして、一般株式会社におきましても、総裁という名前を使おうと思えば使えないことはないのかと思いますけれども、ただいまおっしゃいました電源開発等におきましては、いずれも内閣または主務大臣の任命により選任されておるわけでございます。そういったものについて総裁という名称を従来は使ってきておるようでございます。
  62. 竹下登

    竹下国務大臣 これは定款でどう呼ぶかということを任意的に定めるわけでございますが、社長というのは一番ポピュラーじゃないかな、総裁といいますと、予備選挙のある総裁とない総裁とが……。いろいろ任命方式が違いますので、社長ぐらいが一番いいんじゃないかなという感じでございます。
  63. 矢追秀彦

    矢追委員 最後に、新しい出発でございますし、日本経済も国際化の大変厳しい中で出発するわけですから、葉たばこ耕作者のいろいろな不安、また現在働いておられる公社の労働者の皆さんも、首切られるんじゃないかとか、合理化されて困るんじゃないか、私の部屋にもこうやってはがきがいっぱい来るような状況でございます。また、たばこ産業自身の非常に大きな改革期なだけに、将来いろいろな問題をはらんでいると思いますが、ひとつこの「目的」にありますように、財政収入の安定的確保と日本経済の発展にきちんと寄与されるように、政府みずからしっかり努力をしていただきたい。  御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  64. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 正森成二君。
  65. 正森成二

    ○正森委員 七月四日に質問させていただきましたが、その中で一、二留保した点がございますのと、なお質問の残りがございますので、私に割り当てられた時間の範囲内で質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、質問を若干留保いたしました点について、念のために伺っておきます。  その第一点は、大蔵省からいただきました資料では、五十九年度末たばこ事業貸借対照表の純資産が一兆一千二百二十億である。その中から未払い地方たばこ消費税、退職給与引当金等四千百億円を引いたら、たばこ事業に係る出資財産の価額は七千百二十億円である。そこから、五十四年度から五十九年度までのたばこ事業に係る利益の合計額五千五百九十億円を差し引いて、資本金の上限は千五百三十億円であるという資料をいただきました。  それについて、五千五百九十億円分については資本準備金ということで財務上考えておる。したがって、資本及び資本準備金の合計が七千百二十億円になり、それがこの日本たばこ産業株式会社法案の附則第四条の発行価額というものになると思われるという答弁がございました。  そこで、附則の第四条では、「会社の設立に際して発行する株式については、商法第二百八十四条ノ二第二項本文の規定にかかわらず、その発行価額の二分の一を超える額を資本に組み入れないことができる。」というようになっておりますが、そのような解釈でよろしいのかどうか。まず第一に大蔵省に、次いで商法の有権解釈を行うとされております法務省から、お答えをそれぞれいただきたいと思います。
  66. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  今さら先生に申し上げるのもやや失礼かと思いますけれども株式の発行価額とは、発行に際しまして株式引受人が会社に払い込む株式の対価でございます。したがいまして、本会社の場合、設立に際しまして公社会社に対し、塩専売事業に係る財産を除き、その純資産の全部を出資するわけでございますけれども、その中から、この前ちょっと御説明申し上げましたように、いわば負債性の四千百億を引いた七千百二十億、狭義の純資産とでも申しましょうか、何と申し上げたらよろしいかよくわからないのでございますが、そういったものが会社の設立に際して発行される株式に対して払い込まれるものだというふうに考えております。そういう意味で、七千百二十億が株式の発行価額の総和というふうにお考えいただいてよろしいかと思います。  ちなみに、商法株式の発行価額というのは、通常一株当たりについて言っておりますので、そういう意味で申しますと、本会社の場合一株当たりの株式の発行価額は、仮に資本金を千五百億といたしますと、千五百億分の七千百二十億倍ということになるわけでございますので、仮に五万円株式といたしますと、二十三万七千円、これが一株当たりの発行価額になろうかと思います。  それから、そういうことで七千百二十億の発行価額でございますと、商法の原則によりますれば、その半分の三千五百六十億を資本に組み入れるということになるわけでございますが、附則の特例規定によりまして、五千六百二十億を組み入れないということにいたしますと、発行株式の券面総額といたしましては千五百億ということになるわけでございますし、また同時に資本の額も千五百億、その残余については資本準備金として経理をする、かようなことになろうかと思っております。
  67. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 株式会社の設立に当たりましては、普通のケースでございますと定款で、まず会社が設立に際して発行する株式の総数を定め、それとともに定款または発起人が株式の発行価額を定めるという建前になっております。したがいまして、これを乗じた総額が会社に払い込まれるわけでございますが、この場合に発行価額というのは、専ら会社の資金需要が設立当時においてどのくらい必要かということを念頭に置いて決められるわけでございます。  ところが、このたばこ産業株式会社の場合には、そういう新たに出資を仰ぐということではなくて、公社企業と申しますか、そういうものを全額、全部出資をして、それで新会社を形成するということでございますので、公社企業価値が現物出資をされるということになります。そして現物出資に関しましては、商法は百六十八条第一項第五号という規定を置いておりまして、「現物出資ヲ為ス者ノ氏名、出資目的タル財産、其ノ価格並ニ之ニ対シテ与フル株式ノ額面無額面ノ別、種類反数」これを定款に規定することになっております。したがいまして、この場合には公社出資します財産を評価いたしまして、それを定款に記載して、そして公社に与える株式数を記載する、こういう仕組みになるのであろうと思います。そして、その額が、今先生御指摘の七千何億ということになって、そしてまた公社に与える数が、同時に設立に際して発行する株式の数ということになる。こういう関係になりまして、結果的には先生の御指摘のようなことになるのではないかというふうに考えております。
  68. 正森成二

    ○正森委員 それで解釈がわかりましたが、念のためにもう一つ伺っておきます。  いただいた資料の中の四千百億円というものの中には、退職給与引当金が入っておるのですが、その後いただいた資料では、昭和五十九年度末に全職員が退職したと仮定した場合の退職給与引当金は約二千七百億円、こういうぐあいになっておりますね。それは税法では四〇%が限度で、それ以上の場合は有税で引き当てるということになっております。それで今回の場合は、新たに発生した利益でなしに、従前積み立てておった利益積立金をどういうぐあいに新しい会社に移行するかということでございますけれども、こういう移行に伴って万が一税金を新たに納めるということになれば、これは公社の資産を失うことにもなりますし、その辺の考え方あるいはこの部分について税を払わなくてもいいということになるのであろうと思いますが、そういう解釈を念のためにお聞かせ願いたいと思います。
  69. 小野博義

    小野(博)政府委員 先生おっしゃいますように、通常の法人税決算における退職給与の引き当ては四〇%でございますが、そのほかに有税で引き当てているような場合もございます。観念的には、今回の場合は有税で引き当てたものということになるかもしれませんが、その時点においては公社は非課税法人でございますし、今回この経理によって法人税がかかるというふうには考えておりません。
  70. 正森成二

    ○正森委員 ですから、念のために伺いますが、二千七百億円をそのまま退職給与引当積立金というように経理することは新会社はできないので、その四割を退職給与引当金といたしまして、六割の部分は利益準備金というような格好で経理をするということになるのでしょうか。そうしてその部分について、今度退職給与引当金が四割を超えるというようなことになれば、これは有税でなければならないということに経理上なるわけでしょうか。
  71. 遠藤泰

    ○遠藤説明員 お答えを申し上げます。  私どもの勉強しましたところでは、今専売監理官からお話し申し上げましたように、今回の二千七百億というのは課税の対象にならないというふうに私たちも考えておるわけでございますけれども経理の仕方といたしましては、二千七百億の引当金のうちに、観念といたしましていわゆる課税の対象になると考えられます四〇%と、その残りのものは任意引当金というような形で経理されますが、この扱いにつきましては、今回の移行の際に、政令におきまして二千七百億のうち四〇%分についてはいわゆる税法上の対象になる積立金というものにするということをお決めいただくようなことで御相談を申し上げているところでございます。
  72. 正森成二

    ○正森委員 それじゃ、その部分については政令で誤解のないようにする、こういうことに聞いておいていいわけですね。  時間の関係で次に移らしていただきます。  先日、株式をいずれは公開するといいますか、民間に売りに出すという場合に、株式の値をどうするのかという基本的な考え方について伺いたいと言っておりまして、質問事項が十分伝わっていなくてお答え願えなかったのですが、きょうは証券局長がおいでになっておるようでございますから、現実にいつ公開するということにはまだなっておりませんのでお答えにくいと思いますが、概略の考え方だけ御説明願いたいと思います。
  73. 佐藤徹

    ○佐藤(徹)政府委員 お答えいたします。  御質問の中でも御指摘がありましたように、株を民間に売ってまいります場合に、上場し、それに伴って売り出しをしていくという場合と、上場を前提としないで売り出す場合とあると思います。私どもの所掌いたしております範囲のお答えは、上場して、それに売り出しが伴う場合にどういう株価の決め方をするのかという形でお答えをさせていただきますが、通常上場いたします場合には、売り出しという行為をいたすわけでありますが、その売り出し価格をどうやって決めるかという点につきましては、類似会社比準方式というものをとっております。  類似会社比準方式と申しますのは、これも幾つか内容があるわけでございますが、基本的には、売り出し価格を算定いたします会社事業内容が類似しております上場会社を選定をいたしまして、その選定いたしました会社の三つの要素、一株当たりの配当金、それから一株当たりの純利益、第三に一株当たりの純資産、それぞれにつきまして、当該会社と類似会社との比率を出します。この三つの比率の平均値を出しまして、その平均値を類似会社の株価に掛ける。そうして得た答えが当該会社の売り出し価格になるというやり方でございます。その類似会社は、非常に類似性が強い会社があれば一社でもよろしいわけでございますが、普通は三社程度を選ぶというのが通常のやり方でございます。
  74. 正森成二

    ○正森委員 今お答えいただいたようになるようでございますが、たばこ産業株式会社というのは、類似の会社が事実上ないわけですね、専売ですから。そういう場合には、証券会社などの申し合わせによりますと、業績や成長性あるいは資本規模、配当性向というものが似ておるものについて比較する、こうなっているのですね。そうすると配当性向というものは、決まれば別ですけれども、その時点で、まあその時点にはもうわかっておりますかね。だから、残るこういう三つぐらいの部門について、やむなく比較対照するものを選ぶということになるだろうと思うわけであります。  今、証券局長は売り出しの場合についてお答えになりましたが、質問をお伝えする段階で、売り出しにならないで処理される場合もあり得るというようなことを伺いましたが、それはどういう場合で、その場合にはどういうぐあいに値をお決めになるのでしょうか。理財局の担当だそうですが、お答え願います。
  75. 中田一男

    ○中田政府委員 お答え申し上げます。  これまで一般会計ないしは産投会計で保有しておりました株式を売りに出した経験というのは、会社の名前で挙げますと、四つばかりございます。そのときの値段の決め方ですけれども、例えば日本航空の場合などは、先ほど証券局長お答えのとおり、上場されておりましたので、むしろ値段がついておりましたから非常に簡単でございました。例えば電源開発株式会社の場合ですと、これは上場を前提としておりませんで、むしろ株式を九電力会社に引き取ってもらうというふうな形でございました。  この場合の値段の決め方については、国有財産中央審議会等とも御相談をいたしまして、純資産方式というふうな値段の決め方を御答申いただいております。その基本的な考え方は、一応純資産を計算して、それを一株当たりで割る。しかし、若干の調整、例えば電源開発株式会社の場合ですと、減価償却の超過額があったので、それを調整するというふうな微調整はいたしておりますが、考え方としては純資産方式を採用して値段を決めた、こういう事例がございます。
  76. 正森成二

    ○正森委員 私が、まだ現実に来年というような問題になっておりませんのにこういうことを念のため伺っておきましたのは、売り出し価格とかあるいは引受価格というものが公正妥当に決められない場合には、引き受けた人が売却した場合に非常に莫大な利益を得ることになるんですね。それが、こういうことを言ってはいけませんが、いろいろ不明朗な事件を起こす場合がある。これは一般会社でも、初めて上場する場合には、会社の公開値とそれから現実に売買される値の間に非常に差額ができまして、それについて、割り当てられた企業あるいは個人が非常に大きな利益を得る。それが場合によっては政治資金にも回るという例が間々ありますので、そういう不明朗なことのないように、事前にお伺いしておくということをしたわけであります。できるならば現実の実勢に見合った値が決められて、たばこ産業株式会社が損失をこうむらないように、今後とも経営を担当される方にお願いしておきたいというように考える次第であります。  最後に、塩専売事業について伺いたいと思います。  塩専売事業については大臣にもちょっとお聞きしたいんですが、非常に異例の決め方なんですね。第四条では、三条の「塩の一手買取り、輸入、再製、加工及び販売の機能は、国に専属する。」との「前条の規定により国に専属する機能及びこれに伴う必要な事項は、」「日本たばこ産業株式会社に行わせる。」ということで、国に専属する機能を一民間会社にさせておるわけであります。そして六十一条では、「この法律に基づく会社の行為に関しては、請願法その他政令で定める法令については、政令で定めるところにより、会社を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。」こうなっており、六十三条では、その「会社の処分等に不服がある者は、大蔵大臣に対して行政不服審査法による審査請求をすることができる。」というようになっております。ほかにいろいろ規定がございますが、時間の関係であえて読みませんが、これは非常に異例の決め方であると思われるのですね。  御承知のように、行政権の行使というのは、原則として内閣の統括下にある行政機関が行うものであります。一般の行政権の行使は、内閣の統括のもとにおける行政機関によって行われますが、これを一定の条件つきで公社公団事業団等の独立行政法人から構成される特殊行政組織にまで拡大するといたしましても、日本たばこ産業株式会社のような特殊法人というのは、この独立行政法人と見るべきかどうかさえ非常に疑問とされております。これは田中二郎教授も言っておられますが、こういうような決め方をすることが妥当であるのかどうかというのは非常に問題だと思われるのですね。そして、公社公団事業団、公庫、特殊銀行などは、国にかわる一種の行政主体として、政府の行うべき公的な、公共的な事務事業を代行することをその存立目的としておりますが、この場合も、特定の公共性を持った事務事業に限定されておりまして、許認可権や立入検査権や報告の徴収などのような行政権の行使を行うものとはなっておらないのが通常であります。ましていわんや、特殊会社のように独立行政法人と見るべきかどうかさえも疑問とされているような法人にこれらの行政権を行わせることは、非常に問題であると言わなければなりません。許可等の行政行為を特殊会社が行っている実例というのは、私の見る限り皆無であると言っても差し支えないと思います。そういうものをなぜ本法に盛り込んだのか、御説明を願いたいと思います。
  77. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  まず、私どもがこのような考え方をとるに至りました背景からちょっと御説明させていただきたいと思いますが、先生おっしゃいますように、塩専売事業は、塩の買い入れとか売り渡しといういわば通常の事業行為に当たるものと、製造者、販売人の指定等の行政行為から成るわけでございまして、あえて申しますならば、むしろ行政行為が主体と言ってもいいぐらいのことだと思っております。現在公社が一体としてこれを実施しているところでございますけれども、先ごろ来当委員会でいろいろ御答弁申し上げましたように、現在の国内塩産業につきましては、その自立化達成ということに向かって鋭意努力をしているわけでございますが、そういう中で、その行政行為と事業行為というのは、ある意味では密接不可分の関係にあるわけでございます。そういう意味で、この両者を分離して別々の主体に行わせるという場合には、事業運営の一体性であるとかあるいは機動性が損なわれるというような問題があるのではないか。そういうことがございまして、今次改革においても引き続きこれを一体として日本たばこ産業株式会社に実施させることが適当であるというふうに考えたわけでございます。  ただ、まさに先生がおっしゃいますように、たとえ特殊会社といえども、無条件で一般私人の権利制限にもつながる行政行為を株式会社に行わせるということにつきましては、まさに前例もなく、国民に不安を与えるという可能性は十分にあるわけでございます。そういう意味で、先生が時間の関係で省かれたわけでございますが、今回の改正法案におきましては、大蔵大臣が指名して監督する塩事業責任者といういわば単独の責任者を設けまして行政行為を決定させる、大蔵大臣との意思の一体化を図る。そういうことによりまして、その行政責任の所在を明らかにする、あるいは会社の行う行政処分基準を極力客観化いたしまして会社の恣意性を排除する、あるいは会社の行う処分等が法令に違反し、または不当であるような場合には、大臣はその取り消しを命ずることができる、あるいは大蔵大臣に対する審査請求の道を開くということで、これらの措置によりまして、行政行為を行う上での公共性は十分に担保されるのではないか。これだけの措置を講じた上においては、たばこ産業株式会社に塩専売事業という行政行為を含む事業を一体としてやらせることも可能ではないか、こういうふうに判断したわけでございます。
  78. 正森成二

    ○正森委員 今監理官がお答えになったのはそれぞれの条文に載っておりますが、それだから余計また別の疑問が起こってくるんですね。  条文を見ますと、例えば第四十条は、「大蔵大臣は、会社の推薦を受けて、代表取締役のうちから塩専売事業責任者(以下「塩事業責任者」という。)を、取締役のうちから塩専売事業の担当者(以下「塩事業担当取締役」という。)を指名する。」こうなっておりまして、それでその三項では、「この法律の規定による会社の処分その他塩専売事業に関する重要な業務に係る事項として大蔵省令で定めるものは、塩事業責任者が決定するものとし、取締役会は、これらの事項について、議決することができない。」こうなっておるんですね。まさに、たばこ産業株式会社の中に独立した別の組織を認めるものにほかならず、長岡総裁あるいは社長は、この問題については関与できないんですね。会社の取締役会が決めることのできない独自の権限を持った人が塩事業責任者として、その代表取締役の中から一人指名される、こういうことになるわけですね。  あるいは四十三条を見ますと、 「取締役会が商法第二百八十一条第一項各号に掲げる書類を承認するには、同項第一号から第三号までに掲げる書類のうち塩専売事業に係るものについて、委員会の承認があることを要する。」この「第一号から第三号まで」というのは、貸借対照表、損益計算書、営業報告書という最も重要な部分であります。だから、これについても委員会の承認がなければならない。その委員会はどうやって組織されるかといいますと、米沢委員質問がありましたが、塩事業責任者と、塩事業担当取締役のうち塩事業責任者が指名する者一人と、塩専売事業に関し、すぐれた経験と識見を有する者五人、この七名ですね。だとすると、本当はこの塩専売事業運営委員会というのは、まあ言うたら今度のたばこ産業株式会社の中にある独立の組織で、こういうものをつくり、そしてここが大蔵大臣から直接権限を与えられ、ある場合には解任もされるというもとで行われるという場合には、これはむしろ塩事業公団あるいは事業団というようなものに本当は匹敵するものではないか。あるいは、そうでなければ大蔵省の中の専売局あるいは専売部というものにこの七人のボードをやるのがよほどすっきりするというように思われるんですね。こんなものをたばこ産業株式会社の中に置いておくというのは、まさに異質のものであると言わなければならないと思うのです。  さらに次まで言ってしまうと、そうしたいのはやまやまであるが、臨調行政改革のもとではスクラップ・アンド・ビルド方式で、公団事業団一つつくろうと思えばどれかをつぶさなければならない。ところでつぶすものはない。そうかといって専売局なり何なりを置いてやるとすれば行政改革の趣旨からいって合わない。だから、しようがないから日本たばこ産業株式会社にやらせろ。しかし民間になっておるのだから、余り取締役会や社長が口出ししては困る。だから塩事業責任者ということで、それはがっちり大蔵大臣が握って、そして異例中の異例の行政権の行使をさせる、こういうことになったと思うのですね、私の解釈するところではですよ。これは臨調行政改革というようなものがぼんとあるからやむなくそういうぐあいにしたのでしょうけれども我が国の行政権は内閣に帰属して国家行政組織法や地方行政組織できっちりやっているものについて、異例中の異例のものを持ち込むものにほかならないということで、私は非常に問題であるというように思うのですが、大臣、あるいは法制局が来ておられるようですが、お答えを願いたいと思います。
  79. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えをいたします。  一般論として申し上げてまいりたいと思いますが、先生御指摘のように、憲法第六十五条におきましては「行政権は内閣に属する。」こういうふうに規定をいたしておるわけであります。したがいまして、国の行政事務につきましては、内閣の統括のもとに国の行政機関あるいは権限の委任を受けた地方公共団体の機関、こういうところにおいて種々処理をされるというのが通常であろうかというふうに思うわけでございます。ただ、国の行政事務でございましても、内閣としてその処理について責任を負い得るような、そういう仕組みのもとであれば、国の行政機関あるいは地方公共団体以外のものにその処理の権限を委任するということも、全く許されないというわけではないであろうというふうに考えるわけであります。  もっとも、広く国の行政事務といいましても、これは私法関係に属するもの、あるいは管理関係に属する非権力的なもの、あるいは許認可のような権力的なものというようなものがいろいろあるわけでありますが、このうち最後に述べました権力的な性格を有するものというものにつきましては、これは行政主体が優越的な主体として活動するということでありますから、国民の権利義務にも関連を持ってくるということになるわけであります。したがいまして、国または地方公共団体以外のものにこれを委任する場合におきましては、私法関係のもの、あるいは管理関係のもの、そういう行政事務を委任する場合に比べまして一段と慎重な配慮が必要であるということであります。すなわち、当該行政事務の処理に当たっての公正さ、判断の客観性を担保するという措置あるいは当該行政事務の処理に対する国の監督体制を十分に確保するということ、こういうことについて十分な考慮が加えられることが必要であろうということであります。今回の改正法案におきまして、先生先ほど御指摘になられましたようないろいろな措置がなされておるわけでありますが、これはいわば行政事務をこの株式会社に行わせるということに伴う特別な配慮措置ということで、そのような条文を設けたということであります。
  80. 正森成二

    ○正森委員 まあ苦心惨たん、そういうぐあいにしたのですな。それ以上はもう聞きませんが、大臣、異例中の異例なんですね。  最後に、仮にこの法案が通りますと、大蔵省としてもやはり組織が変わらざるを得ないと思うのですが、この長い審議の最中、小野監理官は非常に御努力なさって答弁されたのですが、恐らく監理官というのもなくなると思うのですね、あるいは監理官室も。どういうぐあいな制度改革をなさるおつもりか、大蔵大臣から御答弁を願って、私の質問を終わります。
  81. 小野博義

    小野(博)政府委員 大臣がお答えになる前に、ちょっと事務方として。  少なくとも現在日本専売公社監理官というのは、先ごろの法律改正によりまして政令職になっているわけでございますが、日本専売公社監理官という名称は変わらざるを得ないと思っております。ただ、しかしながら事業法なり会社法なりの執行の責任者といたしまして何らかの組織は必要であるというふうに考えております。ただ、これは六十年度予算において考えるべき問題でございまして、内部でいろいろ試案などは考えておりますけれども、まだ到底この場でお答えするにたえるようなものにはなっておりませんので、お許しいただきたいと存じます。
  82. 竹下登

    竹下国務大臣 まず最初に異例中の異例、それは私もそういう事実認識は等しくしております。したがって、意見としてお述べになったもの、すなわちまさか新しい公社公団をつくるわけにいかぬだろうとかいうような流れもそのとおりであると思います。  いま一つだけ私どもの考えを付加して申し述べますならば、今の専売公社内で、要するにその人員の中で両方やっておるわけでございます。したがいまして、それらの方々はいずれの分野にも精通しておる。したがって、同じ体制の中でやった方が合理的であろうという考えも、一つだけつけ加えて申し上げるならば、ありました。随分議論した問題でございますから。  それから今の、みずからが答弁しましたが、専売がなくなりますから、専売監理官は当然なくなります。しかし、どういうことにするか、これはまさに予算編成時点において、余りシーリングとは関係のない話でございますが、これから知恵を絞っていかなければならぬことだという考え方を持っておりますので、いろいろ知恵を絞ったことをまた相談もしなければならぬのかなというような認識はいたしております。
  83. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  84. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  85. 瓦力

    ○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤茂君。
  86. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 本法案の審議もいよいよ大詰めという段階になってまいりました。大臣も総裁も監理官も大変御苦労さまでございます。  今までたくさんの方から精力的な質疑または御答弁ございまして、それらを含めまして幾つか確認をといいますか、詰めをさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、一つ専売公社も含めて、全体論として公企業に対する認識というものを大臣に伺いたいわけなんです。  先ほど矢追さんへの御答弁の中で、専売公社が果たしてきた公的役割の中心といいますか、公共性の中心は、財政に寄与したというのですか、財政物資としてというふうなお話がございましたが、大蔵大臣としてはまことに職務に忠実な御評価でございますけれども、私は、公企業全体を考えますとこういう気がするわけであります。それは特に専売、電電、来年の今ごろは国鉄というふうに、それぞれ百年とか数十年の大きな転機を迎えている。私は、振り返ってみますと、日本公社、安企業というのは、国際的に見ても特殊な経過と足取りをたどってきたというふうな気がしてならないわけであります。諸外国の場合にも、随分昔のアメリカのTVAから始まって、さまざまの意味でのパブリックコーポレーションという概念についての運用がございましたし、また、最近ではフランスの場合その他いろんな意味でパブリックなコントロールというのか、あるいは狭い意味の公企体、パブリックな分野の仕事だけではなくて全体にわたる一つの変革思想といいますか、将来社会にふさわしい構想をどう持つのかということが模索をされているというふうな状態でありますが、日本の場合には、私ども従来から指摘をしてまいったわけでありますけれども、いろんな意味で政治的な制約あるいは行政からの規制というもの、さまざまの拘束が非常に強く行われてきた。  国鉄なんかを見ても、私は職員も気の毒だと思いますね。親方日の丸と言われる、それから職員に本当の意味での働きがいが出てこない、それに対する社会的批判が起きる。なぜそうなったのかというと、やっぱり現在の仕組み自体が非常に拘束性の強いものであるために、自発性なり、参加なり、働きがいなりというものがなかなか発揮できないというふうな関係が起きたんではないだろうかというふうに私は思うわけでありまして、これから公社から特殊会社という新しい方向に転換をするという時期に来ているわけでありますが、こういう時点でやはり今までについてのそういう問題意識というものをひとつお考えいただいて、これからの発展に厳しい、あるいは悪い見通しを持たないように、また、公社から会社に変わるけれども、何となく認識、対応に従来の惰性があるとかいうことがないことが必要なのではないだろうかというふうに思うわけであります。  大臣、今まで各公社議論をいたしますと、現在の制度に対して、これはまずいというふうなお話ができないと思いますけれども、もう変わり月に来たわけですから、率直に過去を振り返り、新しい会社に向かって、単なる惰性ではない発展というものを考えなければならない、そういう段階だと思いますので、そういう私の申し上げたものを含めまして、本来的なパブリックコーポレーションという発展がなかなか日本ではできなかった、また安企業認識というものについてもお考えになることがあるのではないだろうか、その辺のお考えを前提としてお伺いいたします。
  87. 竹下登

    竹下国務大臣 一九四五年、戦争が終わった後五年間いろいろな変革がなされましたが、その中の大きな変革がいわゆるパブリックコーポレーションというものが、概念的にも実体的にも日本の民主主義社会に入ってきたことではないか。私は、それが果たしてきた役割は評価すべきだと思っております。  例えば国鉄にしましたところで、昭和三十九年までは、これは厳密にいうと昭和三十八年まででございますか、黒字でございます。三十九年、たまたま佐藤内閣ができまして、鉄道省の出身者が総理大臣になったら赤字になったと私は冗談で言ったことがございますが、それはそれなりのモータリゼーションの変化とかそういうものがあったのであって、しかし、労使双方に使命感が完全であったかどうか、それはいろいろ議論のあるところだと思うのでありますが、いずれにしても今日までパブリックコーポレーションというものが果たしてきた役割というのは、私はそれなりに認めていくものであろう。ただ、これが国際社会の中で世界の第一等国となってまいりますと、やはりその中で自由闊達な活力がもっと必要であるという考え方が出てくるのも、これは当然であろうと思います。それがいわば従来のパブリックコーポレーションを改善するための意見として、外圧によるたばこ輸入問題を外に置きましても、そういう議論は出てくる必然性が一つあるではないか。  したがって、私の所管だからかわいいということを差し引いていただいても、日本専売公社の労使関係というのは世界に冠たるものだと、いつでもどこでも胸を張って私は申しておりますので、そういう完熟した関係というものにさらに活力というものが結果として与えられることになれば、国際競争というものにも、いろんな難しい問題を抱えながら、最後には人間関係と知識水準の高さで対抗できるものじゃないかという期待を大いに持っておるというのが、今日の私の実感であります。
  88. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 私は、そういう一つの変わり目から申しまして、発想の転換といいますか、やはりいろんな新しい姿勢と新しい発想と新しい対応をしなければならないというのが今日の段階ではないだろうかというふうに思うわけであります。  今日まで、たくさんの方から御質疑がございました。その中でも、この法律によっても政府の方は非常に大きな法的権限を持つ。監督官庁としての権限もございます。たくさんある許認可についての権限もございます。また、当面全株保有でありますから、株主としての権限もございます。これらをハードに、フルに活用したら、大変な権力、権限を持つというふうなことになってしまうわけでありますが、今まで総裁の。方からも、自主的に、精力的に、また活力ある経営をしていかなければならないという御答弁が繰り返しございましたし、大臣の方からも、何かハードな規制、監督、指導をするとかいうことではない発展を期待している、いろいろと率直なお話もございました。私もそういうことは結構だと思います。  同時に、やはり認識の問題、考え方の問題として、形式的には政府の権限という形でさまざまあるわけでありますけれども、これは電電の場合も国鉄の場合もそうなんですが、逓信委員会の審議でも言われているようでありますけれども政府が株を持つ、政府がさまざまの監督、許認可の権限を持つ。しかし考えてみたら、政府が掌握をする株式その他というものは、当然ながら国家の財産であると同時に国民の財産ということだと私は思います。したがいまして、私どもは、政府が権限を持ってという認識ではなくて、やはり社会全体の視点、国民全体の視点に立ってすべてのことを行使をしていく、法律上与えられた政府の権限というものを行使をしていく、そういう姿勢が当然ではないだろうか。哲学と言ったらオーバーですが、そういう認識が前提にはっきりしていれば、こういう心配はないかこういう心配はないかということを根掘り葉掘りお伺いをしたり追及をしたりということでない確認が、やはりできるのじゃないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  89. 竹下登

    竹下国務大臣 これは今大蔵大臣と呼んでいただきましたが、そもそも大蔵省という名前はなぜできたかということを私なりに勉強してみましたら、大体「大蔵」などというのは、恐らくほかの国の言葉では訳せない字だと思っております。そもそもは斎蔵というものがあって、これは祭政一致の昔、恐らくお祭り事に使うものをおさめておくところが斎蔵であった。しかし、それをさらに大きくして、いわゆる皇朝の、皇居の財産というものを今度は内蔵と言った。それで、国民全体の財産は何と言うか、これは大蔵と言うべきだ、そういうことを物の本で読んだことがございます。したがって、大蔵省という名前がついておること自身も、国民の財産というものを対象にしておるのであって、なかんずく今具体的におっしゃいました、国がいわゆる所有するといったって、これは帰属するところは、まさに国民全体の資産をたまたま管理さしていただいておるという認識ですべてに対応すべきものだという考え方であります。
  90. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 もう一つだけ、一般的考え方でお伺いしたいのです。  今申し上げましたような発想からいいますと、さまざまの面で心配のないというのか、あるいはより創造的な方向が考えられるのじゃないだろうか。例えばの話でありますが、労使関係の問題もございます。今までの経過からしますと、労働組合の方は今までのさまざまの公労法その他の拘束から、労働三法が完全に適用される、言うならば近代的な労使関係という方向への新しい発展というものを展望できることになるわけでありますが、私は、今申し上げましたような物の考え方からいいますと、こういうことも言えるのじゃないかと思います。これからの産業、これからの社会をどう築いていくのかという場合に、これは資本と経営が中心となって労働者を使い、物を売りという形とは違った状況、やはりさまざまな意味で、経営参加とか新しい経営体、経営形態の模索とかが行われております。国際的にも、フランス流の国営化による新たな活力という実験もございますし、西ドイツの共同決定法とかございますし、いろいろな努力が、模索がなされているというのが現実であろうと思います。私どもの革新勢力の中でも、自主管理社会主義とか、いろいろな意味での模索もやはりなされている、そういう時代だと思います。  そういう気持ちを持ちながら見てみますと、日本の中でも、不思議なことに民間の方、民間企業の方が、経営参加問題とか、労使対等の発言と権限と主張を持ちながら、どう産業を発展させ、活力ある経済を形成するかというふうな努力がなされている。私は、こういうものの将来というのは日本の社会構想にとっても非常に大事なことだと思います。ところが、パブリックな部面、従来の公企体はその典型でございますけれども、そういう方はそういう問題意識や対応というものがほとんどないというのが日本的な状況でございまして、確かにこれは経営の面での対応姿勢もございましょうし、労働の側でもやはり単なる要求型から参加型といいますか、より勉強した、社会的責任を持った方向に発展をしなければならない、双方の問題があると思います。  先般大臣は、専売の労使関係は世界一、労働組合が世界一でしたか、という高い評価をなさいましたけれども、こういう多くの人に使っていただく商品をつくる、また健康にも関係がある、財政にも非常に大きな寄与をしているという分野でありますから、私は、労使ともに何か民間以上に、そういうお話し合いなり研究なり努力なりがなされていくというようなことが望ましいのじゃないだろうかという気がするわけであります、日本の社会も、これから十年、二十年、二十一世紀を考えますと、さまざまなそういう発想がなければ、活力ある、働く人も生きがいのある、仕事のしがいのあるシステムにならないのじゃないだろうかという気がするわけであります。かたくなな経営者意識とかあるいは株主意識とか、おれは社長であるとか、長岡総裁はそんなお人柄じゃございませんけれども、そういう姿勢でない何か御努力というものが、特にこういう財政面から見ても国民から見ても、パブリックな分野であってしかるべきじゃないだろうか。今すぐの問題ではありませんけれども、そういう姿勢といいますか発想というものは常に豊かに持っておられることが、単なる新会社だけではない、社会全体にも必要なことじゃないだろうかと思うわけでありますが、御感想いかがでございましょうか。
  91. 長岡實

    ○長岡説明員 私どもの労使関係を大臣からお褒めいただきましたけれども、従来も、公社という公共企業体ではございますけれども、私どもなりに企業経営合理化と申しますか、そういったような面には随分努力をいたしてまいりまして、しかもそれは労使間で十分に話し合いをして、お互いの理解の上に積み重ねて今日に至っております。そういったことの必要性というのは、ただいまもお話にございましたように、ますます今後重要性を増してまいるわけでございますし、しかも単に株式会社であるから利潤追求だけを考えればいいということではなくて、やはり一つ公共的な目的に奉仕する特殊会社であるという面もあるわけでございます。  そういったような意味で、今後の新会社の運営につきましては、従来にも増して労使関係で本当に真剣に討議しながら結論を求めていく、お互いに理解を求めていくという姿勢が必要であろうと存じます。当事者能力を持って、経営者側もそれから労働者側も、お互いに自分の立場を主張しながらも、究極的には、我々の企業をどうやって存立させていくかという点においては利害関係は一致するわけでありますから、そういったことを中心に、従来にも増して労使が腹を割って話し合いをしながら、その理解の上に将来のあり方を求めてまいりたいというふうに考えております。
  92. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 具体論に入っていきたいと思います。  今までもなくさんの議論がございましたが、余り変わらぬではないかという社会的な評論も今回の改正についてはございました。各新聞の論説にも、骨抜き、変わらぬとか、法案ができ上がったときには一斉に言われてきたわけであります。また一面からは、いろいろな意味での不安がある。これで公社から会社に変わる、そのときに激変といいますか、えらく大きく変わるということはなさそうだ。しかし、将来どうなるのかということを考えますと、葉たばこ農家にしろ職員の皆さんにしろ、いろんな意味での不安があるというふうなのが現実ではないだろうかと思うわけでありまして、そういう面からいいますと、中期的な展望に立って、今できるさまざまの押さえといいますか、意思統一をしながらスタートをさせるということが必要なのではないかと思います。  まずその前提に、中心となるのは会社の経営が黒字か赤字がどうなるのかということでございますから、移行された途端に一体どんな姿が想定されるのかということを私なりに、関係者の皆さんに御協力いただきましてちょっと計算をしてみました。これは甘くというわけでもなく、えらく厳しくというのでもなく、まあクールなところでの計算というふうに実は考えているわけです。ちょっとごらんをいただきたいと思いますが、さまざまこれから変化のしようがございますから、確実に新会社は六十年度決算はどうなるのかというふうなところまでは無理だと思います。そうではなくて、五十九年度の予算をほぼ横滑りといいますか、ベースにした場合に、まあ大体こんなことかなというくらいの試算としてお考えおきをお願いしたいと思います。  大体書いてございますように、当期純利益ということにつきましても、過去三年間の純利益の減は平均二百億円ずつ減っているという状況をたどっております。そう高目に見るわけにはまいりません。それから、自由化対策と言ってはなんですが、会社に移行するためには、例えば五十億円なりかかるだろうとかそういうのを考えてみまして、事業当期純利益百億円。それから総裁のこの間の御答弁がございましたが、輸入品のシェアがどの程度になるのか。現在一・八、その倍程度、大体四%くらい。試算をいたしますと、特別納付金、それから当期純利益見込み、それぞれ千三十億、千百三十億というようなところになるんではないだろうか。退職給与引当金の問題は先ほども同僚議員からお話がございましたが、これはゼロとして考えてみて、その場合に、事業税百億。印紙・登録税等国税増加額二十億。固定資産・事業所税等地方税の増加額六十億。それから支払い利子、法定福利費等の増加額が百二十億。事業損金算入の増加額が全部合わせまして三百億。そういたしますと、調整した後の純利益見込み額が八百三十億。法人税額が、これはルールですから三百五十億。それから法人の地方税の負担が六十億。税引き後の純利益見込み額が四百二十億。  それで、ケース1、ケース2と書いてございますが、例えば資本金千三百億の場合には、世間並みの配当でございましたら、一〇%として百三十億。ケース2で一千億の資本金の場合には一〇%ですから配当百億ということ。そのほか千五百億上限とございましたので、千五百億ということで考えれば、ケース。として百五十億という配当金額が入る。そういたしますと、ケース1の場合は、配当後純利益見込み額二百九十億。それからケース2の場合には三百二十億。それからケース〇と申しますか、書いてございませんが、資本金千五百億の場合には二百七十億。こんなことをちょっと、全くの仮定試算としてさまざまの変動要因を抜きにして、一つのめどとして描いてみたわけでありますが、総裁、どのようにこれをごらんになりますか。
  93. 長岡實

    ○長岡説明員 個別の項目について必要があれば担当理事から御説明申し上げますけれども、全体といたしまして、ただいま伊藤委員がお示しになりました数字は、制度改革に伴う財務への影響等をお考えになって計算をされた一つの合理的なマクロ試算であろうと存じます。  ただ、細かく考えてまいりますと、会社になりますと、やはり経営基盤の強化のために欠かせない試験研究費をもっと充実しなければいけないんじゃないかといったような問題、あるいは新規事業の開拓にはまたそれなりのコストがかかるんではないかといったよう次要素もございまして、率直に申し上げさせていただければ、ただいまお示しいただきました利益はやや大き目に出ているのではないかというような感じでございます。
  94. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 さっき申し上げましたように、幾つかの仮定を前提にしためどという意味での数字でございますし、それから私も、そう甘くもなく、そう辛くもなく、クールに見たらこんな数字かなと思ってしてみたのです。  今総裁のお話がございましたが、黒字でスタートをする。しかし、従来公社が上げてきた六百、七百、八百とかいう単位の利益から見れば、相当少ない額というのが平均的に、ほぼ常識的に推定し得るところではないだろうかと思うわけであります。要するに、スタートのときには黒字でスタートできると思うけれども、甘い状態ではない。ですから、来年四月一日新会社発足式典もパーティーもあるかもしれませんが、そのときに新しい社長が、何かにこにこ先は明るいというふうなことじゃなくて、むしろ引き締めて緊張して、大いに努力をした事業をしなくちゃならぬというふうなことが、明年四月一日のスタートに当たっての新社長のごあいさつになるというようなところではないだろうか。今の長岡さんの御活躍ぶりから見ましても、そういう気持ちで今もおられるんじゃないだろうかというふうな感じでいるわけであります。問題は、そんな格好でスタートをする、総裁のお話がございました試験研究、新事業開発、そのためのコストなどなどのこともございます。それらを含めまして、それではこんな格好でスタートするかもしらぬけれども、さまざまの変動要因あるいはさまざまの問題がどうなるのかということを何点がこれからお伺いをいたしてまいりたいと思います。  そういう中で、今指標的にわからぬこともたくさんございますし、それから今すぐ公式にまだ明らかにできないこともあるでしょう。しかし何か、今までの御議論もそうでしたが、関係者の皆さんの不安感を極力除いて、次に備えることができるようにしていきたいというふうに思うわけでありまして、いろいろ微妙な点もあると思いますが、そういう意味では、たばこの審議だからといって煙に巻くようなことのないようにお願いをしたいと思います。  これは、一つは今までお話がございました、例の三十四銭の特例納付金の扱いの問題がございます。大臣からも、これはたしか主計の方からもお話があったわけでありますが、新しい会社の試算をする際にも千三十億、これのあるなしというのは重大な扱いの問題になるわけでありまして、この辺はこの表を見ましても、この三十四銭問題がどうなるのかというのは決定的と言っていいほど大きな影響力を持つということですから、改めて数字を前提にした上のことも含めてきちんとした御確約をまず伺っておきたい。
  95. 小野博義

    小野(博)政府委員 この問題につきましては、先般当委員会で主計局からも御答弁申し上げたところでございますが、三十四銭の特例納付の措置は、定価改定により公社の増収と認められる分を、国の危機的財政事情にかんがみ特例的に国庫に納付することをお願いしたものでございまして、法律上五十八、五十九年度限りの措置としてあるものでございます。
  96. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 特例というよりも臨時異例ですね。  それから、これからスタートした後どうなるのかという要素のまず第一にお伺いしたいのは、さまざまな合理化努力の問題であります。例えば労働生産性でいって、指標を見てみますと、昭和四十七、八年ごろからアメリカ——アメリカと言っても全米平均の指標のようでありますが、それよりは公社の方が労働力当たり生産本数がよくなっている。その前、四十年ごろと比べると、非常に大きな変化を示している。四十年から四十八年のこのような労働生産性向上の中心は、新たな機械、設備の革新ということではなかっただろうかというふうに思うわけでありますが、伺いますと、今日本では巻き上げ機械でも二千五百本、それから一分間四千本、半々ぐらいとかというようなことも伺っているわけでありますが、正確な数字は別にいたしまして、そういう状態で今やられている。  ことしの秋から一分間八千本の巻き上げ機械が導入される。この間平塚の試験場でもその話を伺ってまいりました。一体そういうものがどんなテンポで進むのだろうか。昭和四十年代以降の変化を見ましても、相当大きな変化があるわけでありますけれども、この八千本巻き上げ機械というものが現在三十七工場、それの統廃合も行われるわけでありましょうが、メーンが八千本時代になる、そういう展望といいますか、変化というものはどのように起こってくるのでしょうか。今秋から八千本巻き上げ機を導入するというような話でしたね。設備投資の額も随分かかるでしょうし、そういう機械が高速化、連続化とか伺いましたが、ワンセット幾らぐらいするのか知りませんが、相当多額の設備投資というふうなことになるだろうし、何か本で見ましても、たばこ産業というのは製造職員一人当たりの資本投下額は全産業トップクラスぐらい大きいというぐあいにも伺っておりますが、その辺労働生産性の向上、新設備投入というものをどんなテンポでお考えになりますか。
  97. 西村忠弘

    ○西村説明員 ただいま今後の新しい機械の導入について、特に八千本の導入について今秋からというお話がございましたけれども、私ども、明年度以降ということで御説明していたつもりでございます。  八千本の開発の状況は、現在一号機の組み立てを行っている最中でございまして、来年度平塚試験場及び後段は工場に持ち込んで試運転を行って、その後量産体制に入るという準備をしております。そういう意味で、本格的な工場への導入というのは六十一年度以降になろうかと思います。従来も巻き上げ機の二千五百から四千へ、さらに五千巻き法直結機へという高速機械の導入を行ってまいりましたけれども、今後は五千の中間段階の導入というものを飛び越えて八千の直結巻き上げ機の導入に入っていくことになろうかと思います。  そのテンポはどういうふうになるのかという御質問でございますが、私どもはなるべく早くビッグスリー等の生産性への接近ということを考えて、早期に全工場への導入を図りたいわけでありますけれども企業経営の中でやはり幾つかの要素をいろいろ考えながらやっていかなければなりません。一つは労働力との兼ね合い、需給関係、それから年間の製作台数、そういったこともございまして、そういうものの兼ね合いを考えながら、なるべく早期に全工場に導入を完了していきたいというふうに思っております。何年ぐらいかかるのかということについては、これは非常に難しい問題でございまして、いろいろ雇用労働力との兼ね合いを考えますと、先ほど来お話に出ておりますような関連事業範囲の拡大等の問題もあわせ考えながら、経営として総合計画を立てなければならない問題だと思っております。
  98. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 話はわかります。何か聞きますと、フィリップ・モリスとか、いわゆるビッグスリーと言われるところでは七千二百本巻き上げ機械ですか、もうどんどん入っているというふうな話もこの間ちょっと伺いましたが、そんなことを考えますと、競争力のある経営としてはそうのろいテンポでやっているわけにはまいらぬ。それから、今おっしゃったようなさまざまな要因がございますから、いつまでどうというプランまでなかなか行きにくいということもよくわかります。しかし、全体的なそういう状況を考えますと、そうゆっくりでなく、十年、二十年のタームというのではなくて考えなければならぬことかなという気もしますし、それから金額の面でも相当大きいと思います。四千本の機械よりは八千本の機械の方が高いのだろうと素人には思えますけれども、そういう合理化、新鋭設備導入、設備投資をすると、従来のテンポよりも低くて済むということはないと思うので、会社に移行した後、設備投資額のテンポは高まらざるを得ないと思いますが、どんな感じですか。
  99. 西村忠弘

    ○西村説明員 機械の耐用年数は一応十年ということになっておりますけれども、十年すればもう使えなくなるかというと、そうではありませんで、メンテナンスをしっかりやれば、二十年でも三十年でも使えるわけでありますけれども、高性能の機械が出てまいりますと、回転数の増大に比例して機械の値段が高くなるわけではありませんで、二割とか三割とか高いというようなことでございまして、それで人的な生産性が節減されれば、新規機械を導入して投資をしても採算が合う、利益の増大につながる、あるいは生産性が向上するということでございますので、そういう点をしっかり検証いたしまして新規機械の導入を図っているところでございます。  御質問の趣旨、それでよろしゅうございますか。
  100. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 次の要素として、雇用問題の見通しですね。概括的にどう思っているか伺いたいと思います。  この間、郡山工場を拝見をいたしまして、工場長さんを初め、いろいろと詳しい御説明をいただきました。その中身のことを質問するわけじゃありませんから結構なんですが、そこで簡単な指標を伺いましたら、統合した工場をつくった、統合前は九百八十七人、億本当たり人員は十五・五。それから五十年ですか、MMC四〇〇〇、四千本機械を導入いたしまして、現在では総人員が五百十九名、製造部門担当が三百七十六人、億本当たり人員が三・一人。十五・五人の当時から三・一人へというのは非常に——統合前が十五・五ですかね。それにしても、非常に大きな技術革新の変化だと思います。新しい機械の導入によりまして、大ざっぱに言って四千本機械が入りましてから、今は四千本機械三十八台、二千五百本巻き上げ機械が十四台というふうに伺いましたが、大体半分以下の人員で同じ生産性がという状態になっているわけであります。これから、テンポは別にいたしまして、フィリップ・モリスその他の方でも七千二百本巻き上げ機械ということになりますし、生産性を上げる意味からいいましても、逐次八千本巻き上げ機械が導入をされる。機械的にいいますと、それが行き渡る時代には、少なくとも製造部門で見ても、現在の体制から半分あるいは半分以下の人員で間に合うという状態になるんではないだろうか。その辺はどうお考えになりますか。
  101. 西村忠弘

    ○西村説明員 現在私どもの最新の工場は関西工場、北関東、東海工場にございますが、これらの工場は全部四千回転になっておりまして、以前と比べますと、人員は約半分、これらの最先端を行く工場の労働生産性は、現在のビッグスリーとそう大差ないところまで来ております。それで今後、先ほど申し上げました新機械を導入していけば、人員はどのくらいか、半分くらいになるのではないか。先生御指摘のとおり、そのくらいに減っていくことと思います。
  102. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 対応措置などの考え方は次にだんだん伺ってまいりたいと思いますが、三つ目の要素として、スタート以降の要素として伺いたいのは、工場の統廃合の見通してあります。皆様からいただいている資料でも、昭和三十五年四十工場、昭和五十八年で三十五工場、その間に幾つかの統廃合が数回ございました。今後も、より新鋭機械にまた集約をしていくということになると思います。現在、平均的には百億本生産工場ぐらいが、計数割りをいたしますと標準的かもしれませんが、今伺ったような状況からいいますと、モデル的標準的工場というのは、生産本数からいいましても二百億、三百億というような形になってくるということになるんではないだろうかというふうに思いますが、今後のそういう統廃合のテンポはどういうことが想定されますか・
  103. 西村忠弘

    ○西村説明員 工場の統廃合問題につきましては、工場の数が多いということ即問題ではありませんで、やはりねらいはコストであり、生産性であります。そういう意味で、機械の高遠化によって直接労働者の生産性は極限まで、機械の更新によって改善をされていくわけでありますけれども、最後に残る間接人員の問題と工場運営経費の面でのコストを考えますと、今後もできるだけ統廃合は進めていかなければならないというふうに思っております。  その場合、今までは比較的近い工場を中間地に新しく姓でて工場の統廃合を進めてまいりましたけれども、今後はその地域の近いところだけということでは限界がありますので、いろいろ労働対策としても工夫をしながら、労使で十分話し合いながら今後の統廃合は進めていかなければならぬと思っております。そういう意味で、統廃合のテンポはどうなるのかという御質問でございますが、現在この中身につきましては鋭意多角的な検討を進めている段階でございまして、現在テンポなり地域なりを特定して申し上げる段階ではございませんので、その点御容赦を願いたいと思います。
  104. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 統廃合に関連してもう一つ伺いたいんですが、今まではやや近いところでの統廃合という形ですね。そのような範囲でも、統廃合を主なる理由にしておやめになった方、男子の場合よりも女子労働者の場合の方が多いんじゃないだろうか。要するに御家庭をお持ちの女子労働者の皆さんですね。工場へ伺いましても、娘さんよりもそういう方々の方が結構多いんじゃないかというふうに拝見をしたのですが、そういたしますと、男の場合は、工場が向こうへ行ったから、そちらの方へ引っ越しするか通うか考える。女性の場合にはなかなかそういきにくい。何か伺いますと、正確な数字で伺っているわけではありませんが、女子職員の場合には、そういう事情も兼ね合わせて統廃合のときにおやめになるという事例もあったようでありますが、その辺はどうお考えか。  それから確かに、今伺ったように、これからやはり生産性を上げる、より新鋭工場をつくるとなると、地理的、物理的に言って中間点にまとめるというだけではいかない場合も起きてくるだろう、そういう問題もさらに深刻化するのではないだろうか。今までのその辺の事情はどんなだったでしょうか。また、それに対してどういう御手配をなさったんでしょうか。
  105. 西村忠弘

    ○西村説明員 工場統廃合を行います場合に、先生御指摘のとおり、公社の従業員構成は、製造工場の場合には女子従業員が半分をちょっと超す程度、六割、四割というような比率で女子の方が多いわけでございまして、そういう意味で、男子職員が大部分の一般民間の大きな工場と比べまして、大変統廃合等がやりにくい労働環境にあったかと思います。そういう意味で、勤務時間も二交代化をどんどん進めてきたわけでありますけれども、統廃合と二交代化で、ともに女子従業員対策というものに対して私ども細心の注意を払いながら、労働組合の要求と我々の達成をしたい目標というものの接点を見つけながら、今日まで合理化を進めてきたわけでございます。現在まで五カ所の統廃合をやってまいりましたけれども、結果的には最終的に労働組合の納得を得て円満に解決をして今日に至っておりますが、今後もそういう条件がもう少し難しくなる面はありますけれども、今までの延長ということで、今までの経験を十分生かしながら、私ども、とり得べき解決策を見出していくようにしていきたいと思っております。
  106. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 工場へ伺いましても、巻き上げの機械の周辺の仕事というのは女子労働の皆様が多いというふうに聞いてまいりました。また高卒ほやほやの若い娘さんというよりも、若奥さんかおばさんかなという感じの方も随分いらっしゃいましたし、まあ冗談で言ったんですが、昔の歌劇のカルメンはたばこ工場へ勤めた女工さんというのですが、歌劇を見ても、何をやっていたのかわからぬですけれども、現代のカルメンは最新鋭の機械をいながらに動かしているという話などをしながら回ったのです。ただ、やはりそういう方々にすれば、雇用機会というのはそう門戸が広いわけではありませんから、今日の時代、厳しい雇用機会の条件のもとにある、ちょっと深刻な問題だろうというふうに思います。まあ一定の内容で労働組合とも協議をなさって、最終的結論を出されているということのようですが、残される大きな問題ではないだろうかと思います。  中期的に見た四つ目のエレメントとしてお伺いしたいのは、今までも御議論がございましたが、開発研究の問題であります。これは総裁からも繰り返し、鋭意さまざまの研究開発に当たっていく、それについてのさまざまの投資もふやしていかなければならないというお話も伺いましたし、先般横浜の中央研究所へ伺いましても、何か最先端の技術開発を非常に精力的に、また真剣に追求をされているということなどを見させていただいたり、またお伺いをしたわけであります。  ただ、私は思いますが、これからの状況を考えますと、例えばですが、外国たばこが五%シェアを占めたとします。百五十億本。その部分を消費に上乗せをするというわけには必ずしもまいらぬでありましょう。そのほか、さまざまな負担も加わってくるというふうな状態になってまいります。また、禁煙、嫌煙、健康と喫煙などについての社会的なさまざまの調和といいますか、動きといいますか、こういうものについても、やはり今日の時代ですから、高まる方向に行くだろうというふうに思います。そう考えますと、例えば今日たばこで三兆円の売り上げ。しかし、現実には数千億円の何かカバーしなければならぬ部面が生まれてくるというふうな状態になるのではないだろうか。  そう考えますと、いろいろな開発をやっております。もっとやっていきたい。例えば心臓の薬でも結構ですし、農薬もそうでありますし、香料、葉たばこ成分のたんぱく質あるいはたばこからつくったおそばまで、いろいろな研究はまことに大事なことだと思います。しかし、経営としての戦略から見れば、さらに一生懸命やっていきたいだけではない、できるならば、例えば中期的に見て、これから五年後なら五年後、三兆円のうち数千億円ぐらいの分野を、雇用問題も含めてカバーできるぐらいの一つの戦略というものを持たないと、積極的な研究開発という要求の中身には該当しない。なかなか難しいところだと思いますね。どのような御商売をやれるか。あるいは、後ほど質問いたしますけれども、その認可の問題を含めてあると思いますが、一般論としての積極的研究開発というよりも、会社の経営、責任会社の経営自体としてはそういうめどを持った体制をとらなくちゃならぬ。それに伴うような基礎的研究開発から、商品開発から、あるいは経営戦略の重要な柱という部面も必要なのではないだろうかと思いますが、いかがでありましょうか。
  107. 長岡實

    ○長岡説明員 私、公社に参りまして三回予算を経験いたしておりますけれども、大変厳しい予算の中で、研究開発費だけは、ほかの経費等に比べまして相当程度増額をお願いして今日に至っております。しかしながら、現時点におきましても、売上高と試験研究費の比率等を眺めてみますと、全産業平均で申しますと一・八四%という数字がございますのに対しまして、私ども公社の比率ははるかに低い。どういうふうにとるかという、そのとり方はございますけれども、恐らく半分以下だろうと思います。  そういう実態から考えますと、会社に移行した後何年間でどれだけの研究開発費を投ずるかという具体的な数字は持っておりませんけれども、それからまた、最初に伊藤委員から御指摘がございましたように、会社に移行すれば、今までに比べますとやはり会社の利益というのは減るという傾向にはございますけれども、やはり何と申しましても研究開発費というのは将来の企業の死命を制するぐらいの意味を持っておるという認識に立ちまして、たとえ新会社の財務内容が相当苦しいものになりましても、研究開発費だけはむしろもっともっと増額する、充実するという方向で考えていかなければならないというふうに思っております。
  108. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 それ以上はもう言いませんけれども、私が申したいのは、とにかく研究開発に力を入れる、総裁もそういう面では非常に関心を持ち、御努力なさってきたようであります。新会社もさらにそうでなければならないでありましょう。研究員や研究所の予算も、非常に何か意欲的にそういう御努力をなさっているということも私ども承知をいたしております。ただ大事なのは、一般的なそういう気持ちだけではなくて、現実起こってくるであろう経営経理内容の変化、そういう中で一定のシェアというものをそういう分野で得なければならないという経営上の一つ要請というものが生まれてくると思います。産業全体が急テンポに縮小していいというのなら、それはそれでもいいですけれども、やはり雇用その他を考えればそうはまいりません。ですから、そういう戦略的に位置づけを持った、これくらいのウエートのものは、例えば五年かあるいは七年か知りませんが、この五年か七年かのうちにはとにかく五千億なら五千億分の売り上げをカバーするような開発をするとか、そういう意味で、基礎的研究だけではない、経営戦略をその部面に充てるということが必要ではないだろうかということを申し上げたかったわけであります。  関連いたしますので、六番目の中期的な要素として事業範囲の問題でお伺いしたいと思います。  前にもちょっと同僚委員の御指摘がございましたが、会社法第五条、一、二、三とございますけれども、それによりますと「会社は、その目的を達成するため、次の事業を営むものとする。」一、二、三。三のところに「会社目的を達成するために必要な事業」とございまして、第五条第二項に、その事業を営もうとするときには大蔵大臣の認可を受けなければならないということが書いてございます。そうして会社目的というのは事業法の第一条に移るというわけでありまして、事業法の第一条には「製造たばこの原料用としての国内産の葉たばこの生産及び買入れ並びに製造たばこ製造及び販売の事業等に関し所要の調整を行うことにより、」云々というように書いてございます。これを大ざっぱに読みますと、事業法の第一条の冒頭「製造たばこに係る租税が財政収入において占める地位等にかんがみ、」というのがまくら言葉でございまして、そういう意味からいいますと、たばこを一生懸命売って税金をたくさん払いなさい、言い方は悪いかもしれませんが、たばこを売って税金をもっと納めてくださいというのが主眼。それから、今も出たような積極的な研究開発をやる、事業分野の拡大も図る、それが雇用をカバーするためにも必要だということになるのですが、その扱いを見てみますと、「会社目的を達成するために必要な事業」。会社目的とは大ざっぱに言えばたばこをつくって税金を払う、それはやるときには大臣の認可を受けなさい。意欲的にやらなければならないという方向とこの法律の表現とを考えますと、ややギャップがある。法律の方はえらく拘束的に、制約的に表現をされているし、それから、やらなければならない方向については、非常に意欲的に考えなくてはならぬということを感ずるわけでありますが、具体論の前にまずこの辺の法的解釈ですね。内閣法制局からお越し願っていると思いますが、どういう解釈になりますか。
  109. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいま研究開発に関連をいたしまして、会社法の第五条第一項第三号に「会社目的を達成するために必要な事業」というふうに規定されておりますが、これに関連しての御質問であったかと思います。この第三号に言いますところの「会社目的を達成するために必要な事業」の「会社目的」というのは、先生御指摘のように、言うまでもなく会社法の第一条の「目的」を指しておるわけであります。  ところで、この会社法第一条でございますが、これは事業法の第一条の方を引用いたしておりまして、事業法の第一条の方におきましては、先生が御指摘になられましたような規定のほかに、さらに我が国たばこ産業の健全な発展を図ることを目的とする、こういう趣旨のことが書かれておるわけであります。この目的にはどういう範囲のものが含まれるかということでありますが、製造、販売、輸入事業を行うということが本来事業でありますが、この会社の本来事業に貢献するような事業である限り、例えば先ほどのお話の研究開発というようなもの、あるいはその研究開発の成果を活用していくというようなものも、広くその目的のうちに含まれるというふうに理解をいたしておるわけであります。ただ、この三号の目的達成事業といいますのは具体的、個別的に判断すべきものであるということでございますので、その辺につきましては五条第二項というところで大蔵大臣の認可にかかわらしめて、個別具体的に検討してその範囲を決めていくというふうな仕組みにいたしておるところであります。
  110. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 解釈の御説明ございましたが、法案を提出された大蔵省の方でも、その法案の解釈として、今これからのたばこ産業あるいは新会社が求められる、そういうことには制約になるというふうな解釈や取り扱いではないということだと思いますが、そうですか。
  111. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  今回の制度改正の趣旨にかんがみまして、会社の業務範囲ができるだけ広い方がいいということは先般来いろいろ申し上げているわけでございますけれども、さはさりながら一定の政策目的を持ち、製造独占を許された会社としてはおのずからなる制限があるであろうということで、こういう法律構成にしておるわけでございますけれども、具体的には製品及び原材料品の品質もしくは技術の向上に貢献し、そのことによって本業であるたばこ事業のコスト節減等に資する事業またはたばこ需要の創出に資する事業あるいは本来事業または附帯事業に係る技術等を活用する事業、こういったものがこの目的達成業務に入ろうかと思っております。  そういうことで、こういうことの範囲内でできるだけ幅広くこういう目的達成業務というものを考えていきたいというふうに考えておりますけれども、具体的にどのようなものが認められるかにつきましては、その時点、その時点でケース・バイ・ケースで判断していくということになろうかと思っております。
  112. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 私が申し上げたかったのは、とにかく監理官、いつも答弁でえらくすき間のない精密な御解釈を述べておられますけれども、要するに会社の経営なりたばこ産業の将来としては精力的に研究開発、新分野ということも考えなくちゃならぬ、それに障害のあることではないというふうに法制局が解釈を述べられ、皆さん方もそう対応なさるという趣旨にとらえておきたいと思います。法制局、もう結構ですから、ありがとうございました。  六番目の、中期的な要素として消費動向、消費の展望について二点お伺いをしたいのです。  公社の皆さんも、たばこはこれからがっくり減るだろうというようなお答えはしにくいだろうと思いますけれども、大体世間の常識からいって今国内の消費は三千億本少々、これが急激に伸びるということもないだろうし、ほぼ同じレベルでの移行の道をたどっていく、あるいは場合によっては低下するかもしれない。最近の日本における喫煙率の状態あるいは国際的な喫煙率の変動などからいっても、特にこの数年間は大分顕著に低下があらわれているわけでありまして、そういうふうな状態ではないだろうと思うわけでありますが、その中でできるだけ有害性のないたばことか安心できるたばこの開発という部面にもっと精力的な御努力があってもいいのではないだろうか。  これは嗜好品の問題でありますから、吸わない方がいいと言っても、嗜好品で私は吸いたいという人もあるでしょうし、それから節度のある喫煙もしなくてはならぬというのも今日の状態だと思います。私なんかは年じゅうぷかぷか吸って恐縮しているんですが、たばこを吸ったおかげでのどを悪くしたとか肺を悪くしたとか、肺がんになったということもございませんので、禁煙をする決意も固めないで吸ってはいるのですが、当委員会のさまざまの議論を通じて自粛自戒、どう考えたらいいのかということを思いながら伺っています。これは個人差もあると思いますから一概には言えないと思いますが、いろいろな意味での開発が必要ではないか。たばこが人類の歴史にとってない方がいいというふうにお考えの運動もさんざんぱらいろいろとあるわけでありますけれども、五世紀、六世紀続いてまいりまして、これから後何世紀続くかわかりませんが、人類とたばこのつき合いが現実にあるうちは、安心して吸える安いたばこを安定して供給するということが、新会社としてもパブリックな使命ということであろうと思います。  この間、研究所に参りましたときにも、超マイルドといいますか、現在のニコチン、タールの含有率の低い部分よりもさらに一けた低い試作品を拝見いたしまして、ちょっと試させていただきましたし、また、たばこに火をつけて吸っていても、吸い口でない、燃えている方から煙が半分以下とか、ほとんど出ないというたばこの試作品なんかも試さしていただきました。いわゆるパッシブスモーキングというものに対する一つの対応としても意味があるんじゃないだろうか。吸わない人あるいは吸うべきでないという人から見ればせせこましい話かもしれませんけれども、現実に吸っている人がたくさんいる中では問題があると思います。  それから、総裁も御承知のように、この間、中南海というたばこに非常に関心があって、皆さん方もお試しになったと思います。私どももいただいて試してみたわけでありますが、このたばこをカートンでいただきましたのでこのカートンの箱を見ましたら、この品物はたんを除き、せきを鎮め、安全である新型。たばこは有害でありますなんて表示に書いてありませんね。時制、安全、たんを除き、せきをとめるということが書いてございます。このたばこ大臣はまだお吸いになっていませんか。一箱ございますから、どうぞお試しください。私も吸ってみましたが、非常にマイルドな、表示のせいじゃないけれども何となく安心感があるような感じがするわけであります。これは中国でも市販されているようではないようでありますから、どのようなあれかわかりませんが、専売公社の研究所の方でも手に入れて分析を一応なさって、分析の上に立って、漢方薬のエキスか何か入った試作品もおつくりになったということで、これも試させていただきましたが、そっちの方がずっとうまかったです、まだ試作の段階ですから。  私は、そんなことを考えますと、たばこは健康に有害であるというのを切りかえて、せきを取ります、たんを除きますという表示に変えたようなものをつくればいいじゃないかということ。余りドラスチックにやりなさいという言い方ではありませんけれども、例えばこういうものが出ている。何か幻のたばこなんて話があったので、こんなものを手に入れるようになったのですが、手に入れてみれば、なかなかおもしろいアイデアだということもあるというわけであります。そういうことも含めて、分析結果も研究をなさっているようでありますから、できたらお伺いしたいと思いますが、安心できるたばこをつくる、従来の低ニコチン、低タールを競争でもうちょっと低くするとかということがこのところずっと続きましたね。日本ではチャコールも含めてそういう開発がされてきたというわけでありますが、もう一つ画期的開発努力があってもいいんじゃないだろうかという気もいたします。たばこを吸う者の一人として特にそう思いますが、いかがでございましょう。
  113. 長岡實

    ○長岡説明員 世界的な傾向でございますけれども、喫煙と健康の問題もあり、また喫煙者の好みの方もそういう傾向をたどりまして、現在低ニコチン、低タールの製品の開発を競争的に行っている時代であるということが言えると思います。ただ、ニコチン、タールの量を減らすということだけでは、やはり消費者の方はなかなか満足していただけませんので、低ニコチン、低タールであって、なおかつたばこをお吸いになったときに満足感を与えるような製品の開発ということが、現在のところの一つの大きなターゲットでございます。  伊藤委員がおっしゃいましたように、そのニコチン、タールの量を減らしていくという延長線上よりもはるかに超えて、もっといわゆる健康の面で安心して吸えるたばこの開発の方に力を入れてはどうかという点につきましては、私どももその必要性は十分認識いたしておりまして、現在まだ研究所における研究の段階ではございますけれども、先ほどおっしゃいましたように副流煙、たばこの先の方から出ます副流煙の出方の非常に少ないたばことか、あるいはちょうど中国の中南海のように、せきをとめたりたんを切ったりするような、これは表現として許されるかどうか存じませんけれども薬用たばこ的なものとか、そういったものの開発にはもう既に取り組んでおります。まだ商品化の段階には至っておりませんけれども、それは将来の方向としては一つの大きな課題であろうと考えまして、その研究にさらに力を入れていきたいというふうに。思っております。
  114. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 もう一つ消費に関連をしてお伺いしたいのですが、最近の時代になりますとたばこ吸い、特に私のようなチェーンスモーカーというのは、何となく肩身の狭い思いで吸っている。世間へ出てもそうだし、家へ帰ってもやかましく、たばこをやめなさいと言われるというふうな社会的風潮でございます。それぞれ事情はございますけれども、やはり社会的に節度のある喫煙と申しますか、例えば病院ではたばこを吸わないようにしましょうとかなどなどのたぐいは、私は学校の教員室はわかりませんけれども、病院で吸わないとかなんとかということは、今の社会から見ていいことだろうと思いますし、私も病院にお見舞いに行くときにはたばこを吸わないように、何となく気をつけるというようなわけでありますが、何か社会的調和というのか、禁煙を主張なさる方々からは調和ということ自体がおかしいということかもしれませんけれども、こんなみたいなことを、たばこをおつくりになる方も政府の方もお考えになるということが、愛煙家にとってはむしろ好ましいことじゃないだろうかというふうな気がするわけであります。  この法律によりますと、例えば広告宣伝などについても四十条などございますが、「広告が過度にわたることがないように努めなければならない。」必要と認めた場合には「審議会の意見を聴いて、」——どの部分の審議会かわかりませんが「意見を聴いて、」「指針を示すことができる。」従わない者には勧告でき、「公表することができる。」というふうなことになる。要するに目に余る場合には注意しましょうという、非常におっかなびっくりという感じですね。たばこをたくさんつくって税収を期待するという立場ですからそうなるわけですが、そうすれば、社会的責任からいうならば、私ども愛煙家にとりましても明確な指標を早期につくって、そして節度ある喫煙とかそういうコントロールがあった方が、むしろ社会的には望ましいんじゃないだろうかというふうに思いますが、法案自体からいいますと非常に消極的な表現になる。もう一歩やはり現段階でも明確な指標その他をもって対応されるという方がいいんじゃないだろうか。そうでないと、先ほど同僚委員の御質問にもございましたが、流通自由化である、当然競争は激化します。宣伝はその競争に何倍か激化をしますという状況が顕著にもう既にあらわれているという状態ですから、新法で来年四月以降どうかというよりも、むしろ先行してそういうものがあってもいいんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
  115. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在製造たばこに係る広告宣伝につきましては、専売公社外国たばこメーカーとの間で、広告の内容及び量に関しまして自主規制が行われているわけでございまして、今までの質問にも出てまいりましたように、金額的にも量的にも、外国に比べるとはるかに少ないという実情にあるわけでございます。それなりに自主規制の実効が上がっておるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、製造たばこの広告につきましては、基本的には業界の自主規制にゆだねることが一番適切であるというふうに考えておるわけでございまして、法施行後、当面は引き続き業界の自主規制を見守ってまいりたい。先生おっしゃいましたように、たばこ販売合戦と申しますか販売競争が激化してまいりまして、従来のようには自主規制が機能しなくなるというような事態も考えられないわけではございません。私どもとしても、広告宣伝のあり方、あるいはそれが過度になってはならないというようなことについては深い関心を持っているわけでございまして、十分注意深く見守りながら、時期を失することなく、審議会にお諮りした上で、必要とあらばそういう指針をつくっていきたいと考えております。  なお、審議会につきましては「政令で定める審議会」と書いてございますけれども、現在専売公社法の中に専売事業審議会というのがございますが、これを政令で引き継いで、仮称ではございますがたばこ事業等審議会という名称で引き継いでいこうというふうに考えているものでございます。
  116. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 さまざまの今度の変動要因のうち、七番目に外国との商品競争競争力という視点をひとつお伺いしたいのですが、先般来の御答弁の中で、外国たばこ日本のマーケットで占めるシェアというものが五%程度というお話がございましたが、例えばフランスのように三〇%、四〇%になってしまった。いろいろな要件が向こうはあったようでありますが、そうならない根拠なり条件というものを一体どう御判断になるのか。  この法案作成の過程で私も何遍か勉強会をやりまして、そのときには五%か、一〇%か、三〇%かとさまざまの議論がありまして、そのためにはいろいろなエレメントがあるであろう。例えば嗜好品、商品開発、品質という要素も当然ございますし、宣伝力もございますし、あるいは小売マージンということもございます。それから価格差の問題、価格競争もございますし、関税の問題もある。いろいろな要素が総合されて出てくるであろうというふうなことを勉強し合ったところでありますが、それらを含めて五%程度。  私、機会がありまして、ビッグスリーの一つのアジア支社の役員の人と会いましたときに、あなた方のところはどれくらいを目標にしているのかと聞きましたら、本社の方では高い比率の営業目標を指示してきております、しかし私どもが現実にやれるのは、まあ五年間で五%ぐらい。ビッグスリーの中の一社ですね、五年間で五%ぐらいはぜひとも実現をしたいというふうに思っておりますというふうなお話がございました。そういたしますと、一社で五%はぜひというのですから、ほかも含めると七、八になるかもしれぬ。商売をする方は、五%確実なシェアをとろうと思ったら、大体その倍ぐらいの目標を掲げて活躍をする。私どもの選挙運動もそうで、実際の得票目標よりは高い目標を掲げてやるわけでありまして、商売の方もそんなものだろうと思います。相当激しいことになるだろうというふうに思いますが、大体のめどという中で五%程度というものの根拠というのは、さっき申し上げた幾つかの条件を含めて一体どう判断できるんだろうか。競争ですから、これからの努力の中で結果が出てくることですから、予見的にはそうはっきり言えることではないというふうに思います。  それから、いずれにいたしましても自由競争に移行するわけでありますから、今まで以上にシャットアウトすることは当然考えられないというわけであります。相当のことは覚悟しなくてはならぬというのが現実問題であろうと思います。また、この審議の中で指摘がございましたが、五%、百五十億本といえば、工場一つか二つなくなってしまう、要らなくなってしまうというようなことにも当たり、その影響力はさまざまな面で出てくるということでございます。  それから、いずれにいたしましても、調べてみますと、いわゆるビッグスリーはそれぞれ高い収益力を持っている。利益率を見てみますと、全産業平均よりも非常に高い利益率を持っているし、それだけの資本力を持っているし、したがって宣伝費にしてもマージン率にしても、相当思い切った巨額の投入をすることもできるのではないだろうかというふうなことも言われております。場合によっては、来年四月一日自由化ですね、その日を記念して、日本たばこは横文字が多いのですが、向こうの方で逆にサクラマイルドとかいうようなものを、例えばどこかの会社が一斉に売り出す、日本的デザインで、日本人好みで。花は桜、山は富士というわけでありますから、そんなみたいなこともあるかもしれませんね。これはもう自由競争の世界ですから、いろいろと大変な努力をしながらやらなくてはならぬということになるわけでありますが、その辺、このめどの根拠というものをどんな御判断でいらっしゃるのだろうかということ。  それから、だんだん時間が短くなりますから、あわせてマージン率八・五についてどういう動きが予想されるか。それから関税について、EC、アメリカと比べて現在二〇%という非常に低いレベル。これはアメリカから言われてこうなったわけでありまして、いろいろな意味で、やはり日本日本としての国際性もあり、主体的な立場を持ちながらということになりますと、このレベルがだれかから言われたからまた低くなったとかいうようなことがあってはならぬ。先般大臣は、適切な率だと思いますというふうな趣旨の御答弁をたしかなさっていたようでありますが、この辺はさらに今までの経過のように九〇から三五、二〇と下がっていくという経過でない、相当長期にわたって関税率はこれ以上は動かすべきではないという御判断が必要ではないだろうかと思いますが、その辺を含めていかがでございましょうか。
  117. 長岡實

    ○長岡説明員 輸入自由化後に輸入品のシェアが日本のマーケットの中でどのくらいになるかというめどを立てるのは大変に難しい問題でございます。私が数年後に五%程度のシェアになることは当然覚悟していなければならないと思うということを申し上げましたのも、まだ自由化が行われていない現行制度のもとにおきましても、関税が引き下げられ、小売店の数がふえるに従いまして輸入品のシェアが着実に伸びております。五十七年度で申しますと一・四%のシェアであったものが五十八年度には一・八%になり、五十九年の四月あたりを見ますとそれがもう二%になっておるということから考えますと、輸入自由化後そう遠からざる時点において五%程度のシェアになるのは当然覚悟しておかなければならないということを申し上げたわけでございまして、確たる数字の根拠があって申し上げたわけではございません。したがいまして、現時点におきましては、何年後にどの程度までのシェアを覚悟するかという具体的な数字の上に立ってのめどは、まだ立ちがたい状況にございます。  ただ、フランスの例その他から見まして、もちろん日本に輸出をするアメリカの大きなたばこ会社その他は、フランスその他の例を見ながらシェアを高めようと思っておると存じますけれども、フランスのようにならないだろうということは私ははっきり申し上げられると思いますのは、やはり競争の中で、たばこは嗜好品でございますから、商品としての競争力がまず一番大事である。もちろん価格競争力も大事でございますけれども日本たばこをのんでおられる嗜好者に好まれるような商品を私どもが絶えず供給しておれば——ただいまお話にございましたように、外国のメーカーが日本人向けのたばこの開発をすることも考え得ると思いますけれども、常日ごろ私ども日本たばこ消費者に好まれるような商品開発を怠らずやっておれば、そうフランスのような例にはならないのではないかという気持ちでおりまして、この点につきましては、ここ数年間も相当努力してきたつもりではございますけれども、今後とも新しい商品、しかも現在の日本たばこをのまれる方に好まれるような新商品の開発というのには最大の力を注いでやってまいらなければならないと考えております。
  118. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 もう一つ輸入の逆の輸出の方で、先ほどの同僚議員の質問にもございましたが、日本たばこインターナショナルですか、資本金一億円とか、ささやかな規模のものをおつくりになったようであります。ささやかな方がいいのかでかい方がいいのか、これもさまざまな価値判断のあるところではございますけれども、きのうか何か新聞を見ましたら「倍増」と書いてございまして、「倍増」という見出しだからどれくらいかなと思ったら、「五年間でそのほぼ二倍にあたる六億本(約十四億円)にまで伸ばす計画。」と書いてございました。ささやかな量ですね。それから、これもほかの御質問ございましたが、外国たばこを大量に売るということの持つ意味合いが、人類にとってふさわしくないというみたいな御意見もございました。  いろいろな御意見があるだろうと私は思います。しかし、少なくとも私は、外国日本たばこを買っていただくという仕事をするからには、さっきの研究開発とも兼ね合いますけれども、今その国の皆さんが吸っておられる商品よりもより安心できる品物であって、しかも品質管理その他もよくて、また安く提供できるとか、そういう意味での物がなければ、何か知らぬけれども人体に有害なものをどかどか日本が売ってきたという悪印象が先に立つとか、またそういう市民運動も起こるとか、こういう時代ですからあり得るんだろうと思うのです。そういう視点も含めた活動という必要があるのではないだろうか。私は、日本たばこインターナショナルの活動が大小どちらが望ましいかというのはよくわかりません。価値判断ができませんので申し上げませんが、今申し上げたような視点があるべきじゃないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  119. 長岡實

    ○長岡説明員 喫煙と健康の問題は、現在世界的な傾向として各地で問題になっておることでございますから、私ども外国たばこを輸出いたします場合にも、例えば広告宣伝が過度にわならないように、あるいはその輸出先の国の諸規制を十分に守るようにといったような配慮は当然必要であろうと存じます。そういったような配慮をしながら、伊藤委員もおっしゃいましたように、できるだけニコチンやタールの量も少なく、安心して吸えるたばこを買っていただくということが、輸出会社としての大きな使命であろうと存じております。
  120. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 さまざまな要素の八番目、最後でありますが、葉たばこ問題についてまとめて伺いたいと思います。  先般答弁を伺っておりますと、総裁が、葉たばこ農家の皆さんはたばこ産業株式会社の現業部門という位置づけといいますか、そういう気持ちで対応していきたいと言われまして、現実問題として葉たばこ農家の要求と、会社合理化あるいは利益等含めて相反する場合も政策的には当然出てくるわけでありますが、そういう広い視野を持って対応されているということは、私は大変立派だなと思っております。  それで、一体どうやっていくのかということについて今までの質疑を伺っていた感じなんですが、一つには、例えば過剰在庫の処理の問題があります。それはなかなか簡単じゃないと思いますね。処理する方法について、改善をして利用するとか、国産葉の利用率を高めるとか、輸出の問題とか、いろいろ解決をするための努力の柱はお話がございました。これは難しいと思いますが、これから十年、二十年どこんなお荷物を長期にわたってしょっていくということでは、今まで伺ってきたようなさまざまな厳しい要件という中ではとてもかなわぬだろうと思いますね。なるべく早く解決をしなくちゃならぬ。数字で何年とは言いにくいと思いますが、その辺のめど、心構えといいますか、というものをどうお考えになっているか。  それから、原料としての葉たばこのコストダウンのさまざまの御努力ということも、今まで質問に対するお答えがさまざまございました。集約化とか技術の向上とかさまざまの面での御努力、あるいは必要な農業機械を開発をするとか、いろいろな御努力をなさっているようでありまして、それはそれで結構なのですが、この国会が終わって八月にはまた葉たばこ審議会が開かれる。三年後の耕作面積ですか、含めて審議して決めなければならぬ。そうすると、会社が発足をするしばらく前に、これから先の耕作面積を決めなければならぬ、語らなければならない、御審議をいただかなくちゃならぬ。また、来年だけではなくて、これから何年かの動向に影響してくる。  私は思うんですが、総裁も言われておりますけれども、それらについて、強権的か無理やりではなくて、理解と合意を持って、やはり真剣にたばこ産業生き残り作戦といいますか、展開していきたい、私もそのとおりだと思います。ただ、今置かれている局面からいたしますと、新しい会社が発足をして、新しい仕組みでどう対応するかということの前に、もう八月の時点でも、内外置かれている今日の状態に対してこういう視点が必要ではないか、生き残ると言ってはせせこましいかもしれませんが、将来の安定的な事業を図るためにはお互いにこういうことが必要ではないかということを、やはり大胆率直に、しかも広い視野から出されて理解を形成していく、あるいは合意を形成していく。先延ばしてはなくて、会社になる前からそういう姿勢で臨まれることが、新会社の将来などを含めても大事ではないだろうか。当然その中には一定の減反問題があり得るんじゃないかと私どもは思いますが、総裁、どのようにお考えになりますか。
  121. 長岡實

    ○長岡説明員 葉たばこの問題は、確かに新会社にとりましても大変頭の痛い問題でございまして、新法によりましても、日本の葉たばこ農業まで含めまして、たばこ産業全体の維持発展を図っていくのが新会社の使命でございますけれども、一方においては、率直に申しまして、国際的に見て割高であるということ、しかも今の需給事情から見れば過剰ぎみである、既に一年分の過剰在庫を抱えておる、この事態を一体どうするかということは当然考えていかざるを得ない問題でございます。  過剰在庫の解消につきましては、たびたびお答え申し上げておりますように、国産葉の使い込みであるとか、あるいは国産葉そのものを輸出するとか、いろいろの努力は私どもとしては最大限にいたすつもりでございますけれども、それをもってしても、五年間で果たしてどの程度の過剰在庫の解消が図れるか、まあその半分ぐらいまでいけばいい方ではないかといったようなところが正直な感じでございます。そうなりますれば、それでは残る半分をどうするんだといったような問題まで含めまして、やはり耕作者の方々に御協力を求めざるを得ない。  ただ、これも再三申し上げておりますけれども昭和五十六年の夏の耕作審議会で、五十七年産の面積について一割近い大幅減反の御協力をお願いいたしましたときの経緯もございまして、今回また何がしかの減反について御協力をお願いする場合には、葉たばこ農家にだけしわ寄せをして日本たばこ産業が生き残ろうとするのかというお気持ちが、当然のことながら葉たばこ耕作農家の方々にはあり得ると思うので、そうでないような説明がどこまでできるか。公社公社としてこれだけの努力をいたします、そういう意味で、原料部門ともいうべき耕作者の方々にもまた御協力をお願いしますといったような形でどこまでその御説明ができるか、実は率直に申し上げまして、私ども今苦慮はいたしておりますけれども、八月末までの間には最大限に努力をいたしまして、耕作者の方々に御理解いただけるような説明ができるように今後詰めてまいりたいというふうに考えております。
  122. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 八つほど、さまざまの要素を伺いました。  それで、最後に大蔵省の方に、これから数点伺いたいわけであります。  今までお伺いしてまいりましたように、スタートの時点で、大体会社がどんな状況が予想されるかということを考えてみますと、先ほどごらんいただきましたように、思ったよりも厳しい数字が出てまいります。私は、当初、まあ今まで六百、七百、八百億円という数字が出てきたのだから、会社になっても四百億ぐらいには、配当と法人税を払ってもなるかなと思いましたら、さっき申し上げたようなことでありまして、三百内外、それから資本金によっては三百億円を割り込むというふうな数字になってまいるわけであります。  それで、一つ資本金に対する考え方を伺いたいと思います。最高限千五百億という資料をいただきました。また、それについての内容などのお考えもいろいろと御議論がございました。今の段階で、それでは一千億にしましょう、一千百億にしましょう、三百億にしましょうとか、数字は無理だと思います。私もそれはわかります。実は詰めていく段階で物の考え方を伺いたいわけであります。三兆円産業ですから、社会的ステータスからすればもっと大きな、到底電電とは比べものになりませんけれども、それでも相当大きな額の資本金があってもしかるべきじゃないだろうかという印象を、一般的にはお持ちになる方もいらっしゃると思いますが、三兆円産業といいますけれども、半分以上が税金に行くわけでありまして、こんな商品とこんな商売は、たばこ以外にはどこにもないわけであります。一生懸命つくって売ったら半分以上が税金に行くという、極めて特異な、特殊な産業分野であります。その他、先ほど御答弁のございました状況、葉たばこの在庫の問題、その他抱えている問題というようなことを考えますと、表向きは三兆円産業だが、ネットで普通の商売の感覚でいうならば、収入、普通の水揚げという感覚でいうならば一兆円産業というようなところじゃないだろうか。そんなことを考えますと、最高限千五百億というお話がございましたが、やはりその数字よりは大分低目に抑えられるというのが、実は正直言った経営内容からいった状態ではないだろうか。  それから、さっき数字でケース1、ケース2と申し上げました。それからまたケース〇で資本金千五百億というものがあるとすれば二百七十億の配当後純利益、千三百億の資本金の場合には二百九十億、一千億の場合には三百二十億という数字を申し上げましたが、ケース1、ケース2で三十億の差がございます。三十億円と考えますと、たばこの売り上げと考えてみますと相当重い比重ではないだろうか。単純にいいまして三億本分ぐらいに当たりますか。千五百万箱になるのかな、三億本分ぐらいに当たる。今のたばこの販売状況からいきまして、三億本分の持つウエートというのはちょっくらさっとどうカバーするかということは非常に言いがたい内容を持っているというようなことではないかと思うわけであります。  そういう面等、今までさまざまな御答弁を伺ってまいりまして、改めて繰り返しませんけれども、今後の設備投資負担あるいは予想される深刻な雇用問題、それをカバーするための新規の開発研究投資、あるいは統廃合から起こるさまざまな問題、低迷する消費の状況外国との競争あるいは葉たばこ農家対応という意味での、重いお荷物と言っては失礼かもしれませんが、厳しい条件。考えてみますと、たくさんのそういう条件をはらんで、厳しい環境のもとに緊張して、どうするかという状態にある。私は資本金の発想についても、そういうことを考えますと、最高と言われた数字で固まるのではなくて、もっと低目に抑えていくという発想が必要なんではないだろうかと思います。しかし、そうかといって今の段階で、これから準備の段階で、その他決まることで進めていくことですから、計数的にも詰めることですから、そう簡単には言いがたいというふうに思いますけれども、そういう三兆円産業と言うがネットでは一兆円、あるいは資本金の額で、例えばケース1、ケース2で見た場合でも、その違い三百億円というものが非常に大きな重みを持つ。そういう要素も含めて検討をしていかなければならないというふうに思いますが、そうお思いになりますか、なりませんか。
  123. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  たばこ産業株式会社資本金の額につきましては、考えるべき点は二つあろうかと思います。やはり資本金というものは、国民の重要な財産である株式会社の一種の顔のようなものでございます。先生おっしゃいましたように、少なければ少ないほどいいというわけのものでもなかろうと思います。しかしながら、まさに非常に難しい状況を抱えた中で余り過大な資本金とすることは、今後の会社の健全な経理に影響を与えるというようなことも十分配慮しなければいけないものだろうと思っております。そういうことを含めて、今後の設立委員会において検討してまいることになろうかと思っております。
  124. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 小野さんは常にすきのない模範的なお話をなさいますので、教科書どおりですね。要するにさまざま要件がございます。それから、さっき言った社会的ステータスその他を含めての観点、その他もございますでしょう。ただ、そういうさまざまの要素の中に、今申し上げた、例えば電電公社の場合には十兆円産業で一兆円とか、それに対応して、こっちは三兆円だから何ぼとかという感覚と違いますよ、中身は。とにかく水揚げの半分以上が税金に自動的に行ってしまうという商売はどこにもほかにないですから。ネットでいったら一兆円になっています。  それから、さっき言った千五百億か千三百億か一千億かということの違いの点なんかと比べたら、わずかの額ですよ。二十億、三十億というものの持つ重みというものは、たばこ産業からすれば、さっき言った八項目ほどの要素からいって非常にきついんだ。さまざまの要素の中にそういうこともぜひ含めてお考えいただけますか。今後検討されますか、されませんかと伺ったので、当然そういうことも入ると思いますとおっしゃるのだと思いますが……。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  125. 小野博義

    小野(博)政府委員 ただいま申し上げましたように、そういうことも十分考慮に入れて検討されることになると思います。
  126. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 それからもう一つ伺いたいのは資金問題の対応でございます。時間がありませんから詳しくは申し上げませんが、三年間という形で融資の規制がされているわけでありまして、私はこれから先を考えますと、例えば三百億くらいのもうけで一年目はスタートできるかな、それから二年目、三年目、四年目、五年目となかなか難しいところだと思うのです。それから、思わぬ事態も場合によっては考えないわけにはまいらぬかもしらぬ。そういうことを考えますと、法律には三年となっています。修正できれば私は一番いいと思うのですが、それが非常に難しいということならば、三年目のときには三年のときの状況を見て一番ふさわしい対応をとる。三年たちましたから、法律でこう書いてあります、たばこ産業株式会社か関係業界がどうなっていようと、はいさようならという、現実政治というものはそういうものじゃないだろうというふうに思います。大臣いらっしゃらないけれども、監理官、わかっていますね、その辺は。
  127. 小野博義

    小野(博)政府委員 先生御存じのように、資金運用部資金の運用対象と申しますのは、安全、確実性と公共性を最大限に保証するという見地から、資金運用部資金法の第七条において、原則として、国、地方公共団体、政府関係機関及び特別の法律により設立された法人で国、政府関係機関、地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行し得るもの等、民間資金の入らない機関に限定されているわけで、一般特殊会社は運用対象から除外されているわけでございます。しかしながら、たばこ産業株式会社におきましては、専売納付金制度からたばこ消費税制度への移行に伴い、初年度において、前年度の専売納付金と当年度のたばこ消費税の両方を納付しなければならない。非常に大ざっぱにいいますと、二年分を納付しなければならないという状況になるわけでございますので、税制面、資金面での経過措置を講ずることとしたわけでございます。  資金面におきましては、もう既に先生御案内のとおりと思いますけれども会社成立後三年間に限り、特例的な措置として資金運用部資金を借り入れることができるということを附則に書いたわけでございますが、これを三年間に限定いたしましたのは、そういったような経過措置を設けた趣旨あるいは当該貸し付けが極めて特例的なものであるということを総合的に勘案したものでございまして、将来延長することは前提としていないわけでございます。
  128. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 現実の政治の対応という面から見たあれは、最後に大臣に伺いたいと思いますが、その前に、お待ちいただいて恐縮なんで、外務省にちょっと伺っておきます。  政府調達に関する協定というのがございます。また政府調達に関する協定対象機関というのがございまして、内容は大体おわかりだと思いますから中身を申し上げませんが、日本国有鉄道、日本専売公社日本電信電話公社というのが各官庁と並んでございます。この政府調達協定に基づく物品調達の手続、その内容というのは、今回、公社から会社に移る、積極的自由な商売、お仕事をやってもらわなくちゃならぬというわけですから、その対象から除かれるのが当然ではないだろうか。諸外国のこともちょっと調べてみましたが、ほかの国のこのようなたばこ会社公団含めて、そういう例はないようでありますが、どうでしょう。
  129. 野上義二

    ○野上説明員 お答え申し上げます。  御指摘の点に関しましては、幾つかの点を考慮に入れて今後政府部内で検討していくことだと思いますが、まず第一に協定の趣旨、第二に従来協定適用対象として専売公社を掲上していたのは専売公社公社形態をとっていたこの事実、それから第三に類似のケース、今先生御指摘ありましたけれども、諸外国の類似のケース、そういった点を考慮いたしまして、協定の規定に基づきまして加盟国と協議した上で、今後どういった具体的な対応をとるかということを政府部内で慎重に検討していくということにしております。
  130. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 私がちょっと申し上げました趣旨で対応をぜひお願いしたいと思います。外務省、御苦労さまでした。  もう時間ですから、最後に二、三大臣に簡単にお伺いをして終わりたいと思います。  大臣、長時間お聞き願って御苦労さまでございますけれども、先ほど来お聞きのように、スタートのときにはもっともうかるのかなと思ったら、クールに計算してみたらそうでもない。それから先を考えますと、今後の設備投資の問題あるいは深刻化する雇用の問題、統廃合、これもさまざまの問題が兼ね合うわけであります。研究、開発、事業分野の拡大、それに対しても積極的な投資あるいは営業活動をしなければならない。消費の動向は、働けばどんどん伸びるというものではありません。外国との競争についても一定の覚悟をしなければならぬ。葉たばこ農家についても、総裁が前から言われているように、葉たばこ産業の原料部門と合意を通じて問題を解決しなくちゃならぬ、これも大変御苦労な仕事だと私は思います。ですから、スタートはする、そのときには何も赤字会社からスタートするわけじゃないけれども、先行きは非常に厳しい。精いっぱいの努力をしなくちゃならぬ、新しい知恵も出さなければならぬというふうなわけでございまして、そういう部面から、先ほど監理官に御答弁いただきましたが、資本金の問題でもそういう要素を含めて御判断をいただくということを御注文申し上げます。  大臣にひとつお伺いしたいのは、農政負担の問題がございます。詳しくは申し上げません。前に沢田さんも言われておりましたが、ほかのさまざまの農産物と比べて、買い入れる会社の側、現在は公社の側がすべて負担をしているという特異な状態で今日まで来ております。しかし、例えばビール麦のように、ビールの会社が買うのだけれども農政として、農水省を中心としてさまざまの温かい対応を考えているというふうな例もございます。いろいろな状況があるわけでありまして、筋論からいいましたら、今までは公社ですから、行政の一環としてさまざまな経費もしょっていくということになります。しかし、これからは特殊法人特殊会社でありますけれども、やはり活力ある会社としての活動をしなくちゃならぬというわけでありますから、行政、政府会社はおのずから違ってくる。そういう建前からいっても、筋としては農政費は当然政府の方が持つべきであろう。さっきの試算でも、新しくたばこ消費税以外に入るお金というものは、配当を見ても、あるいは法人税を見ましても結構な額になるわけでありまして、何百億かの額になるというわけであります。また、現在農政費の勘定の仕方というのは非常に難しいようですが、例えば百億なら百億という勘定も、時間がありませんから申し上げませんが、私なりに指標をずっと計算してみますと百億ちょっとぐらいのものになるというふうに、現在の公社のやってきた経過の各項目を拾ってみましても判断ができるわけであります。  また同時に、現実にこの法案を提案をされている皆様、私はわかりませんが、答弁予定の方の中には、たばこ製造独占を認めるということなんだから、その見返りとして今までの農政費は当面公社の方で負担してもらいたいというふうな合意になっているという御答弁の予定になっているのだと思います。  少なくとも私は思うのですが、これからのさまざまの要素を考えますと、これらのことについて、これから可能性を持つ、これから必要かもしれない課題として、これは大蔵大臣だけじゃなくて農林水産省その他仕組みの問題がございますから、お互いに検討が必要でございましょう。やはりこれからあり得る、または必要かもしれぬ問題として、農政費のあり方の問題について研究をしていく、あるいは将来対応の勉強をしていくということはまず最低必要ではないだろうか。大臣承知のとおり、実はうちの方のたばこ産業関係の特別委員長と、与党の方の特別委員長とも、全くそのとおりというふうなことでもって、これは与野党の相当の人が相伴って御要望したいというふうなことになっているわけでありまして、自由民主党の一定の方々の立場も含めて要望したいというふうに思いますが、これは政治判断の問題と思いますから、いかがでございましょうか。
  131. 竹下登

    竹下国務大臣 従来とも農林水産省におかれましては、あるいは土地改良あるいは機械近代化資金等々、農政としての位置づけの中でそれ相応の政策経費を工面していただいているわけであります。それから公社自体で見ましても、これも今御指摘のございましたとおり、かつては転作奨励金に類する、概念的にいわゆる農政の中へ入るようなものも支出をされておるという状態にあるわけであります。そこのところで私どもがいわば製造独占というものも決断いたしましたのは、やはり国内産葉たばこ問題というものが存在するというのが一番大きな意義ではないか。だがしかしながら、新会社が初めからいわば財政措置というものを背景に踏まえてこれに対応していくという考え方はとっておらないわけであります。すなわち、そういう背景を除去した中でこそ、本当にこのたばこ産業全体を支える、しかも大きな分野の一つである耕作農家の方々も、そういう環境の中で努力されていくというのが、今回の環境整備そのものではないかという位置づけのもとに出発すべき問題ではないかというふうに私は理解をいたしております。
  132. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 大臣、出発のときにはここまで来ている話ですから、先ほど八項目を申し上げましたが、さまざまの将来展望というものも含めて、今すぐこの改正を指導しますということは困難だと思うのですけれども、これから先の状況を見ながら、政治の対応として、例えばさまざまの厳しい条件のもとで、これは筋からいっても実態かげいっても政策的カバーが、ほかの農作物もあるいはビール麦もいろいろな例があるわけですから、公社だけに全部負わせるのは大変だというような状態もあり得ると思います。そういう現実判断、あるいはそういう状況展望などの可能性の研究とかということを念頭に置いてやられることが必要ではないだろうか。そうでないと、非常に不幸な事態が起こった場合に、ちょうどまたそのとき竹下総理大臣であったといったような場合、非常にまずいことになるというふうに思いますので、そのことを一言、気持ちをお伺いしたかったわけです。
  133. 竹下登

    竹下国務大臣 大改革でございますし、それは大きな問題であるという事実認識は十分持っております。ただ、出発の時点において、関係者がいわば財政の出動の期待感を背景に出発するということについては、この競争原理の中でこれから双方が努力していく場合に、最初からそういう背景を伴っておるのはとかくイージーに流れやすい。しかし、問題の今伊藤さんのおっしゃる実態は、私とてそういう地域に住んでおりますし、よく私自身は理解は持っておるつもりであります。
  134. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですから、あと大臣と総裁に簡単に一言だけ御要望を申し上げ、御感想を伺って終わりにしたいと思います。  最後に大臣に実は確認したかったのは、冒頭に申し上げましたような物の考え方を含めまして、事業計画の認可あるいは監督権、許認可の扱い等々について再確認したかったわけでありますが、今まで相当率直な御答弁も、長い審議を通じてございましたから、改めて繰り返しません。例えば、先ほど正森さんの御質問の最後に、監理官、どうなりますかという話がありました。これから研究ということでございまして、いろいろと御意見を伺ったりなんかしながらやっていきたい。謙虚なお話であります。私は、そういうことについても思うのですが、今までは文字どおり監理。公社ですからね。これからはやはり基本的なあり方として、温かくというのかクールにか見詰めながら、監督についても大臣は、法に違反しない限りさまざま理屈を言ったり、あれこれ注文をつけたりということはない、自主的、自発的発展を期待しておりますというお話もございましたが、あり方として、名称も仕事内容も、それから小野さんのように非常にまじめな、よく働く人間も含めて配置されるというふうなことを含めた、基本姿勢というものを持って御対応をお願いしたいということ、最後に要望です。  それから総裁に要望したいのは、先ほども申し上げましたように、労使関係、雇用問題その他非常に厳しい問題があります。最終的には労働組合と合意がありますけれども、労働組合にしても、例えば長年働いてこられた地元の中年の女性労働者の皆さんをどうするのかということは、やっぱり頭の痛む、心の痛む問題だと思いますね。そういうものを最高、最大限どこで切るかという気持ちを持って、労使ともに御苦労なさるというようなことだと思います。そういう気持ちも含めながら、この法案審議、これから衆議院大詰め、参議院と渡るわけでありますが、例えば法案審議の過程を通じて並行しながら、お互いに基本的に合意をしたいという御注文のある点については誠意を持って対応される。まあ長岡さんの人柄ですから、法案通っちゃったら後は相当がめつくやろうなんというお気持ちは全然持たれないと思いますけれども、そういうようなことをきちんとやられるようにしていただきたい。これは要望ですが、一言ずつ感想ございましたら伺って、終わりたいと思います。
  135. 竹下登

    竹下国務大臣 きょう、この新会社が発足をすればおよそ予測される問題点、一つ一つ羅列していただいた。そして、それに対する基本認識、これは総裁からお答えがありました。私も、一つ一つむべなるかなという感じを持っております。  と同時に、いわゆる専売監理官というのは、専売がなくなるのでございましょうけれども、後々の対応の仕方については、御意見を承りながら善処をすべき問題である。これは予算編成までには名称も含め検討しなければならぬし、そしてそれの対応の仕方については、私は、まさにこういう変化があったわけでありますから、変化に順応するだけの、極めて自主性を尊重しながら対応していくという基本姿勢を持たすべきであるという考え方であります。
  136. 長岡實

    ○長岡説明員 新制度移行後におきまして、やはり企業としての合理化は避けて通れない道だろうと思いますけれども合理化を進めていく場合には、労使間で誠意を持って話を詰めるという姿勢は絶対に崩さないつもりでおります。
  137. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 終わります。
  138. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 坂口力君。
  139. 坂口力

    ○坂口委員 質疑もいよいよ大詰めに参りまして、私の方も五人の議員が質問をさせていただきました。全体といたしましては民営化の方向を持っていることだけは明確になりましたけれども、民営化の方向は向いてはおりますが、目標に向かってどの程度の速さで進むのかというところが明確でなかった。いろいろの質疑の結果はどうもデンデンムシの運動会みたいな感じでありまして、いつ到達できるかわからないような感じでございますが、その辺のところを不満としながらも、きょうは最終の質問を続けさせていただきたいと思います。  まず最初に、私の前の職業柄、医学的なことを先にお聞きをしなければならないわけでございますけれども、私の前の職業としての公衆衛生医という立場からいたしますと、新しい株式会社にならずに、今の専売公社のままでだんだんと喫煙者が少なくなっていって、「ただいま御臨終」という形になることの方が望ましかった、こう考えているわけでございます。しかし政治家としての立場から申しますと、そんなわけにはまいりませんで、「孝ならんと欲すれば忠ならず」、そんな心境でございます。  まず最初に、このたばこの有害性につきましては多くの議員からもいろいろのお話がございましたし、また公衆衛生的な場におきましても、いろいろのことが実は言われているわけでございます。それをトータルをいたしますと、いろいろな分野から健康問題にかかわっていることが言われておりまして、一番極端な言い方は、一本たばこを吸えば寿命は十四分三十秒縮まりますよ、こういう表現まで実はあるわけでございます。  また、いい方は後で申しますからひとつ辛抱して聞いていただきたいと思いますが、例えば子供の風邪引きでございますとかぜんそく、気管支炎の発生率というようなものを調査したものもございますが、これは家庭における父親の喫煙量と密接な関係にあるという報告がございますし、また排気ガスに含まれておりますスモッグのひどいところでも、二酸化窒素は三ppmぐらいでございますが、たばこの煙には二五〇ppmも含まれている。それから発がん物質を含むタールは、たばこを吸う人のいわゆる本流煙よりも周囲の人の吸われる副流煙の方に三・三倍も多く含まれている。ニトロソアミンに至りましては五十倍以上の大量が含まれているというようなこともございます。またよく言われておりますように、妊婦がたばこを吸うと母体の二ないし三倍量のニコチンが胎児に移行するという話もございますし、また英国の調査によりますと、知能指数は、たばこを吸わない母親よりもたばこを吸う母親から生まれた子供の方が十低いというような報告もございます。  あれやこれや、いろいろの話がございますけれども専売公社の方ではこうしたこともいろいろと研究もされておるようでございますし、また一方では有害性という問題と絡めてフィルターの研究等にもいろいろと着手をしておみえになるようでございます。したがいまして、まず最初にこの皆さん方の方のフィルターの効用というのはどのぐらいあるのかということをお聞きをしたいと思います。
  140. 野口正雄

    野口説明員 お答え申し上げます。  フィルターの効用でございますが、フィルターは、基本的に申しまして緩和で味や香りのある豊かなシガレットをつくる上で非常に重要な役割を果たしておると思っております。  その効果は大きく分けまして三つございまして、その第一は、先生御案内のようにニコチンやタールを取るということでございます。それから第二は、喫味を緩和にするという作用がございます。第三に、フィルターにいろいろ付香をすることによりまして、たばこ自身にも香りや味を与える。以上の三つが主要な効用であると考えております。
  141. 坂口力

    ○坂口委員 確かに今御指摘になりましたような効用があるわけでございますが、また一面で、実はこういう実験結果が出ているわけでございます。これはオックスフォード大学の附属病院の研究でございますけれども、このたばこが心臓に与える影響というのは、ニコチン酸だけではなくて一酸化炭素であるという研究がございます。そして紙巻きたばこを吸う人に心臓病が多いということがございまして、それを研究をしていきますと、フィルターをつけますと一酸化炭素の量が多くなるということから、かえって心臓病がふえるのではないかという研究が実は一方でございます。  これはその後の研究がいろいろ実はございまして、右、左かなり揺れたわけでございますが、その結論だけを申し上げますと、このフィルターをつけることによって深く吸う、吸い込むと申しますか肺喫煙と申しますか、深く吸うということによって一酸化炭素をより多くとるのではないかというふうなことが議論をされておりますのと、しかし一方におきまして、日本のフィルターはかなり進んでおりまして、初期のフィルターとは違って最近はかなりよくなっている、とりわけ日本のフィルターはいいというような結果も出ておりまして、このフィルター議論というのも実はいろいろ話題を呼んでいるところでございます。  それからもう一つは、これは専売公社からちょうだいをいたしたプリントでございますが、喫煙と健康に関する研究についていろいろと委託研究をしておみえになる。かなりな金額を投じて研究をなすっているわけでございます。これを拝見すると、例えばたばこが肺がんなら肺がんに結びつくかということについては、なるほどいま一考を要するというような結論が出ているわけでございます。皆さん方からいただきましたこのパンフレットを見せていただきますと、若干専門的なことになりますけれども、肺がんを起こします病理上の問題といたしまして三つの形がある。その三つの形というのは、扁平上皮がん、未分化がん、腺がん。そして扁平上皮がんとか未分化がんというのは外国に非常に多くて、日本には腺がんが多い、こういう結論でございます。そして扁平上皮がん、未分化がんは、どちらかといいますと太い気管支との関連が大きいということが書いてあるわけです。それで、もしもたばこが大きい気管の方により影響をしやすいものであるならば、むしろ扁平上皮がんや未分化がんの方が多いはずなのに、日本では腺がんの方が多い。こうした結論から、皆さん方が出されました「喫煙と健康に関する研究について」というパンフレットにおきましては、結論ではございますけれども、必ずしも肺がんとの関係は言いがたいというようなニュアンスのことが書かれているわけでございます。しかし、これは私どもも謙虚に見せていただかなければならないデータではないかというふうに思っております。ややもいたしますと声の大きい方が勝つというような世相でございますけれども、研究は多数決ではございませんで、少数意見たりとも正しいことがあるわけでございますので、あるいは専売公社が出されたこの結論の方が正しいということも考え得るわけでございます。  それで、一つ申し上げたいことは、こうしたいろいろの研究を皆さん方もやられましたし、それからまた一般の方でも病理学的に、あるいはまた疫学的にいろいろの研究がされて、いろいろの結論が出ておりますが、必ずしも結論は一致をいたしておりません。そこで、これから日本たばこ産業株式会社という新しい会社になるわけでございますけれども、これから先こうした研究はさらに続けていかれるのかどうか、その辺のところをひとつお聞きしておきたいと思います。
  142. 丹生守夫

    ○丹生説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、昭和三十二年以来二十数年にわたりましてこの委託研究を続けてきているわけでございまして、今日では四十四機関ほど、国公立の大学、医療機関にお願いをいたしまして、大変幅広い研究を行っているわけでございます。この実績を踏まえまして、これをさらに発展をさせて、問題を少しでも解明していきたいということでございますし、この種の問題につきまして対応していくということは、何といいましても製造者の大きな責任であるというぐあいに考えますので、新会社におきましてもこの研究はさらに発展をさせて継続させていきたいというように考えております。
  143. 坂口力

    ○坂口委員 それから、悪い例を出しましたついでに、未成年者喫煙禁止法の違反者というものがございますけれども、警察庁お越しいただいておりますか。——それじゃ大体どんなことになっておりますか、概略だけ御説明をいただきたいと思います。
  144. 山田晋作

    ○山田説明員 未成年者喫煙禁止法違反で検挙いたしました人員は、昨年中二百二十名でございます。その内訳を申し上げますと、親権者等の不制止、いわゆる親権者等が、子供が吸うということを知りながらそれを制止しなかった、こういったケースが百六十七人。それから営業者の知情販売、これは未成年者が自分の用に供することを知りながら、たばことか器具を販売した業者、これが五十三人でございます。  具体的なケースといたしましては、親権者の不制止の事例といたしますと、これは昨年の六月でございますが広島県でございましたのは、中学一年生ごろからたばこを吸い始めて、十六歳になって一日にロングピース一箱ぐらいを吸うようになった娘に対し、母親が、人前では吸うなとか、火事に気をつけなさいというふうなことしか言わないで、しかも自分のロングピースを与えておったというような事例。また昨年の五月でございますけれども、三重県下でございましたケースは、小学校五年ごろからたばこを吸い始めて、十五歳になって自動販売機で買ったたばこを一日に十数本から二十本ぐらい吸っていた子供に対して、母親が知らぬ顔をしておった、こういうケースがございます。  また、業者の知情販売のケースでございますが、昨年の十二月、長崎県でございましたのは、高校生にたばこをばら売りしておいて、喫煙場所までそっと与えてたばこを吸わせていたというふうな雑貨商とかたばこ小売商を検挙した事例がございます。またことしに入りましては、五月に青森県下で、高等学校の近くで食堂経営者が、食事を注文した生徒に限ってたばこを売って、外から見えないように食堂の二階を喫煙所として提供していたというケースがございます。これはいずれも警察の方で違反ということで検挙したケースでございます。
  145. 坂口力

    ○坂口委員 青少年との絡みでこのたばこの問題がいろいろと問題になることもまた事実でございまして、ただいまお聞きをいただいたとおりでございます。また、いただきました資料を見せていただきますと、喫煙によります不良行為少年の状況というのはこの五年間にかなりふえつつある、こういう調査もちょうだいをしているわけでございます。  以上のように、健康の問題あるいはまた青少年の問題から、現在たばこの悪い面を取り上げたわけでございます。しかし、これだけいろいろと言われながらもなおかつ愛好者が多いというのは、たばこにもまたいい面もたくさんあるのだろうと思うわけでございまして、ひとつ専売公社総裁から、いい面をできる限りPRをしていただきたいと思います。
  146. 長岡實

    ○長岡説明員 私、とても医学的な御説明はできないわけでございますけれども、嗜好品としてのたばこが人類の生活に非常に深く根差して、長い歴史を持って今日にまで至っておるということは、やはりたばこにそれだけの魅力があると申しますか、確かにいい点を見出して今日に至っておるのだろうと思います。  その中でよく言われておりますことは、たばこというのは一体何だといえばニコチンということになるのだろうと思いますけれども、私どもが聞いておりますところでは、ニコチンが自律神経に作用しまして、興奮と鎮静と二面作用を行う。よく例にとられますのは、自動車の運転をしている方が混雑したところを出てほっとしたときにたばこを吸う場合、あるいは逆に気分を引き締めるために、例えば眠気を催したりしたようなときにたばこを吸う。これは全然逆の場合でございますけれども、そういう興奮と鎮静との両方の作用があるのではないかと言われておるように承っておりますけれども、総じて申しますれば、やはりたばこの持つ効用の最大のものの一つがいわばストレス解消に役立っているのではなかろうかというふうに存じております。ほかにもいろいろたばこの効用というのはあろうかと存じますけれども、そのうちの代表的なことを申し上げますれば、やはり日常生活の中でストレスの解消を求める場合に吸われることが多いのではないかというふうに思っております。
  147. 坂口力

    ○坂口委員 私もいろいろ悪い点を挙げましたので、いい点を挙げるにはどうしたらいいか、いろいろ考えたわけでございますが、皆さんの方からこの「文学作品に見る嗜好」という本をちょうだいをいたしました。文学は現実よりもより現実的である場合がございますので、二、三紹介をさせていただきたいと思います。  これは森鴎外の「雁」でございますが、その中に、主人公の末造が妻と争う場面で、こういう場面がございます。   『末造はおりおり煙草をのんで畑を吹きながら、やはり女房の顔を暗示するようにじっと見て、こんな事を言っている。』   末造は少しずつ嘘の説明をしては妻の顔を見、たばこを吸いながら反応をうかがっている。うそぶいている、という感じが「畑を吹きながら」という態度にあらわれている。   『それやこれやで、こないだからちょいちょい寄って、煙草を二三服のんだ事があるもんだから、近所のやつがかれこれ言やあがるのだろう。』 これは末造が、浮気がばれたときの言いわけをしているわけでございまして、   ここで末造は弁解に、仕事の話でちょいちょい寄ったがそれは何でもない、 ということを「煙草を二三服のんだ事がある」という言い方で表現をしているわけでございまして、うそを言ったときの小道具に使っているわけでございます。  もう一つ「青年」がございます。「青年」の中に、   『「君も寂しがる性だね」と言って、大村はあぐらをかいて、また紙巻きを吸い付けた。「寂しがらないやつは、神経の鈍いやつか、そうでなければ、神経をぼかして世を渡っているやつだ。酒。骨牌。女。Hashisch」』  たばこに火を付けるのは、もう少し腰を落ち着けようという意思表示である。ここでも、大村のことばの中に、酒やハッシシが、かるた、女とならんで人間が神経をぼかすために使うものの例として出てくる。神経を麻痺させる例としてここに出ているわけでございます。  もう一例、永井荷風の「牡丹の客」というのがございます。小れんという芸者と二人連れで船に乗ってボタンを見に行くわけでございますが、その中で   『小れんは厭な顔をして自分の膝をつき、  「あなた煙草を頂戴。」』   船頭の話し方が不愉快で、それを避けるために小れんは煙草をねだっている。   何もしないでいると船頭の話を聞いていなければならないので、それを避けるために煙草をねだることにしている。   煙草を吸っていれば、話が聞えていても聞えないようなふりをしてとりあわないでいることも出来る。大臣もときどきたばこを吸っておみえになりますが、こういうふうな態度でお吸いになっていることもしばしばあるわけでございます。  ついでにもう一例、島崎藤村の「夜明け前」がございますが、これをもって最後といたします。  「且那の前で煙草をふかして見せる手つきのよかったというだけでも、旦那はもうそれらの女の方へ心を誘われて行くようである。』   夫の茶屋遊びという病のことを思って胸をいためているお粂が、男というものは「煙草をふかして見せる手つきのよかった」ことで、女に心を奪われるものらしい、と考えている。ここでは、特定の誰がふかしている、ということではないが、水商売の女が媚を売るために軽くやって見せる煙草は、やはり『ふかす』といった表現が適当なのであろう。本人が吸うのが目的なのではなく、恰好を見せる煙草である。こういう効果もあるらしいということでございまして、効用の一節を文学作品の中から御紹介を申し上げたわけでございますが、さて、そうしたことをしていよいよ本論に入らせていただきたいと思います。  葉たばこ審議会をつくることになっておりますが、この葉たばこ審議会で学識経験者というのを入れることになっておるわけでございますけれども、この学識経験者というのは一体どういう人を指すのだろうか。例えば葉たばこのつくり方の非常に専門的な人といえば、これは耕作者になるわけでございますし、あるいはまた遺伝学でございますとか植物学でございますとか、そうしたことに熱心な農学部の先生なんということになりますと、これはまた専門的に過ぎるわけで、ここではどちらかといえば値段をどうするかということを決めることになるんでしょうから、それじゃどういう人を選ぶのかな、そんな素朴な疑問を持つわけでございまして、まずそこからお聞きをしたいと思います。
  148. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  葉たばこ審議会につきましては、学識経験者と耕作者を代表する者から成っておるわけでございますけれども、学識経験者の法文上の解釈という意味で、ちょっとお答え申し上げさしていただきたいと思います。  葉たばこ審議会の学識経験者とは、一般論でいいますと、たばこ耕作のみならず、広く我が国農業あるいは経済等に関して学識を有する者であるというふうに考えられますけれども、ちなみに現行のたばこ耕作審議会を見ますと、学識経験者といたしましては、例えば農業経済の専門家の方が二人、農業行政の精通者の方が一人、大蔵行政の精通者の方が一人、農政ジャーナリスト、それから民間会社の経営者がお一人というように、かなり広い範囲から選ばれているわけでございまして、今後の参考になるのではないかと考えておるところでございます。いずれにいたしましても、第一次的には新会社の社長が委員を委嘱する、それを大蔵大臣が認可をするという形になっておるわけでございます。
  149. 坂口力

    ○坂口委員 耕作者の代表、そして学識経験者、今お答えをいただいたような方々になるわけでございますが、欲を言えば、学識経験者の中でどちらかといえば消費者を代表するような、たばこをお吸いになる方でそれを代表なさるような方もこの中に加えていただければ、消費者代表というのは消費者団体があるわけじゃございませんから、そうした経験者の中でそういう点を加味できるような人があればそれでいいと私は思うわけでございますが、ぜひそうした点も考慮に入れながらひとつお考えをいただきたいと思います。その点、一点だけお聞きをしておきます。
  150. 小野博義

    小野(博)政府委員 ただいまお話ございました消費者の代表というようなことでございますけれども、御指摘の点をも加味しながら入選が行われるのが適当ではないかと考えております。
  151. 坂口力

    ○坂口委員 質問が若干前後いたしましたが、中央研究所の野口所長さんにお見えをいただいておりますので、もう一言お聞きをさしていただきたいと思います。  先ほど来、たばこの話、いろいろ健康にかかわる問題もしたわけでございますけれども、いわゆる嗜好性というものを損なうことなしに、しかもなおかつ健康のためによりよいたばこというものは、夢物語ではございますけれども、果たしてでき得るものであろうか。現在いろいろ研究をなさっております。その中から、そうした芽というものは出てきつつあるものなのだろうかどうかというような点をひとつお聞きをしたいと思うのでございます。
  152. 野口正雄

    野口説明員 お答え申し上げます。  たばこの味を残して、しかも健康的なものをつくることが可能かという御質問でございます。  喫煙と健康の問題に関連いたしまして、私どもはまず低ニコチン、低タールのたばこの開発ということを第一の目標にして仕事を進めております。たばこの味とかあるいは香りというものを残しながら、しかもニコチン、タールを少なくするという製品を開発することは、これは世界のすべての企業の大きな目標になっておりまして、私どもにおきましてもこれを大きな目標として日ごろ研究を続けてまいっております。  具体的な仕事の進め方といたしましては、たばこの中に含まれております味あるいは香りに好ましくないような成分は選択的に除去するような技術の開発ということを一つ考えております。また、低ニコチン、低タールになりましたものにさらにたばこらしい味や香りをつけていくという、新しい技術の開発等にも取り組んでいるところでございます。
  153. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。そういたしますと、将来にある程度の希望を持ちながら研究成果を待たせていただいてよろしいようなお話でございますので、ぜひひとつこれまで以上の研究をお進めをいただきたいと存じます。お礼を申し上げるのが大変おくれましたが、先日はたくさんがお邪魔をいたしまして、非常に立派ないろいろな施設等を見せていただきましてありがとうございました。  それでは大臣の方、お待たせをいたしまして、大臣の方の質問に移らさしていただきたいと思います。  たばこ事業法を見せていただきまして感じますのは、これは決して竹下大蔵大臣のせいではないわけでございますけれども、この法案を拝見をいたしますと、大蔵大臣の許認可事項というのが非常にたくさんあるわけでございます。新しい会社ができまして、社長さんには当事者能力が与えられるというふうに聞いております。労働関係におきましても、いわゆる公労法は適用しないということだそうでございまして、当事者能力が与えられるということでございますが、これだけたくさん許認可事項というものがございますと、果たして当事者能力というものを社長さんが持つことができるんだろうかなという心配を実はするわけでございます。ざっと見ましても、このたばこ事業法に、主なものだけをピックアップいたしましても十項目ぐらいございまして、先ほど挙げましたたばこ審議会の委員もそうでございますし、それからこの最高販売価格並びにその変更の許可申請すべきことを念ずるということになっておりますし、特定販売業者登録簿に登録をすることもそうでございますし、製造たばこの小売販売の許可、不許可、営業所の移転、出張小売の許可、不許可、小売定価の許可、定価の変更、広告の指針、卸売販売業者の登録業務の報告、これらすべて許可あるいは認可ということに実はなっておりまして、たくさんあるわけでございます。  余計な心配かもしれませんけれども、こうした許可、認可にはなっておりますけれども、多くは社長さんにお任せになるのではあろうとは思いますが、この法案を見まして、これだけたくさんの「大蔵大臣はこという言葉が出てまいりますと、何となくそういう心配にも実はなるわけでございます。その辺は今後どのようになさるのか、ひとつお聞きをしたいと思います。
  154. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的に考えますことは、いわゆる特殊法人とはいえ商法適用を受け、一方労働三法の適用を受けていくということは二つの柱ではないか、すなわち当事者能力を十分に生かし得る環境の二つの柱ではないかというふうに私は考えております。しかしながら、一方財政物資であるということ、そしてまた製造独占であるということ等々からいたしますと、お読みいただいて、確かに私のような素人でもそう感じますが、許認可権が多く目につくということは、私も坂口さんと余り違った感じは持っていないと思うのであります。  しかし、この法案を作成いたしますときに、今まである特殊法人をみんな洗ってみようじゃないか、その中で最もいわゆる関与の度合いの少ないものに右へ倣えするということから作業を始めてみようという議論をいたしました。既に完全な民間になっております日本合成ゴム会社なんという、過去の話になりますけれどもそういうものはどうだったかなというようなことをわざわざ指摘しながらこの議論をいたしまして、ざっと見ますところ、日本航空等がある意味においては一番当事者能力を与えておる一つの判例になるんじゃないかな、こういうような感じでもって可能な限り関与の度合いを薄めていくという努力はいたしてみたわけであります。  そうして、今度は実際に当たる方々も、当然のこととして、この国際競争下にあって自助努力をなさいますときに最も大事なのは当事者能力でございますから、それが十分に生かし得るように、我々所管官庁の所管大臣であることは事実でございますけれども、そういう精神を今後とも貫いていかなきゃならぬ。それらがむしろこの国会等の議論を通じて速記録に残り、また後世に残ると言うと少しオーバーになりますが、私ども、人にはいかにつかさ、つかさの変更はあろうとも、そういう精神が残ってくる土台、裏づけがまた本院等における審議の問答そのものじゃなかろうかというふうに私は考えております。
  155. 坂口力

    ○坂口委員 総裁、総裁が新会社の社長さんになられるかどうかはまだ決まったわけではございませんで、新会社の社長さんとして発言をしてほしいというのは酷なことではございますけれども、仮になったとしていただいて、どうでしょうか、いろいろの許認可がございまして、例えば組合交渉等の場合にいろいろの発言をしなければならない、しかしどれをとりましても一々大蔵省のいろいろのお話を聞かないことにはなかなか答弁がしにくいというようなこともあるのではないかという気がいたしますが、現在の専売公社側から見てその心配はございませんか。
  156. 長岡實

    ○長岡説明員 新しい制度のもとにおきます許認可事項であるとかあるいは大蔵大臣監督のお立場等は、やはり考えてみますと新しい会社が純然たる民間企業ではない、一定の政策目的に奉仕していかなければならない使命を帯びている、その政策目的達成のために必要な最小限度のものではなかろうかと考えております。したがいまして、私どもといたしましては基本的には、例えばその決められたルールの中で私どもが営業を行ってまいります場合に、表現は悪うございますけれども、はしの上げおろしにまでおしゅうとさんから注意を受けるような会社にはならないと思いますし、それから労使関係におきましても、私どもは本当に両者が当事者能力を持って、将来の企業のあり方を真剣に議論し合えるような労使関係が生まれるものと考えております。
  157. 坂口力

    ○坂口委員 余分な心配だという御答弁でございますので、私もこれ以上の心配はしないことにいたします。  そこで大臣、これは先般来既に議論にもなったことでございますが、代表取締役並びに取締役その他の役員の皆さん方、すべて大臣の認可事項の中に入っているわけでございまして、同僚議員からも意見が出ましたけれども、代表取締役あるいはまたその副になるぐらいな方ならばこれはいたし方ないだろうけれども、しかし平と言っては大変失礼でございますけれども普通の取締役にまでこの認可を進めていく、これは少し行き過ぎではないだろうか、少々フリーハンドなるものも新しい会社の社長さんに与えてもいいのではないか、そうしないとやる気をなくするのではないかというような議論も実はあるわけでございます。こうして法律に出てまいりましたから、この修正ということも非常に難しいかとは思いますけれども、ここの辺のところはでき得るならばひとつ考え直していただきたいと我々は考えているわけでございます。この辺に対してどのようなお考えをお持ちになるのか。これはどうしても直し得ないことなのか、それとも現在はこのままでも、将来はここについては十分考えるということになるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  158. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題について私は見解の相違という言葉を使いましたが、あれは余り適切な言葉じゃなかったなと今反省しております。  要するに、できるだけの民間活力と申しますか、そうしたものを生かすためにはどうしたらいいか、これも特殊法人全体について洗ってみました。意思決定機関といえば取締役会である。だからある意味においては一番大事なのは意思決定機関が。そうして代表取締役についてはその意思決定機関自主性にゆだねる。その方がいいではないかという見方もあると私は思うのであります。代表取締役なりナンバーツーなりをいわば許認可あるいは任命して、そしてその方々がまた取締役等を御選任なさる、これももちろんあり得る一つの姿でございますが、いわば自主性ということを尊重した場合には、意思決定機関という発足早々の、いわば未熟、ある意味においては非常に熟していない、これからという場合、意思決定機関において認可権を持ち、その自主性において代表取締役の方が決まっていくというのがより現実的ではなかろうか。今坂口委員のおっしゃった議論もしながら、私どもとしてこういうことで決定を見たわけでございます。  だから、私もそういう議論を過程でしました。したがって両面の意見——だから見解の相違という言葉を使いました。見解の相違というのは適切でなかろうと思いますが、そういう両方の見解を議論しながら、結論的に意思決定機関を認可にあらしめ、自主性の中でキャップができていく、こういうシステムにしたという経過でございます。
  159. 坂口力

    ○坂口委員 これは大事な点でございますので、もう一度念を押させていただきますが、そうしたプロセスにおきましていろいろの議論があったということを今お話しいただいたわけで、それは私も了解をいたしますが、これから先どんな形でこの新しい株式会社が進んでいくのか、ちょっとなかなか想像をすることも難しいわけでございます。しかし、より活力を与えていくという立場からするならば、できる限り口は出さない方がよりいいという結果が出るかもしれませんし、あるいはまた逆な方向が出るかもしれないと私は思うわけであります。このことについて、三年後とか五年後にあらゆる制度を一度見直しをされるようなことがあるときには、その中の一つとしてこれも十分に見直しの対象になり得ることだとお考えになっているか、いやこの点だけはもうこのままで将来もいきたいとお考えになるか、この辺の御意見だけひとつ、大事な点でございますのでお聞きをさせていただきたいと思うわけです。いよいよ賛否の決定を迫られているときでございまして、現在のこの論点はそういう意味で非常に重要な点でございますので、お答えをいただきたいと思います。
  160. 竹下登

    竹下国務大臣 発足したばかりの際にいわゆる時限的な見直しとかいうことになりますと、関係方面に与える影響も大きかろうと思っております。が、原則的に申し上げますならば、なかんずく発足いたします新会社というのは、都合によって絶えず見直していくという姿勢は持っていないと、これは私はいけないことだと思うわけであります。  したがって、今の問題につきましては私も、先ほど申し上げましたようないろいろな議論の積み重ねの中で最終的に意思決定機関を決めて、その中から自主的に代表をということでお願いしておる限りにおいて、今はそれが妥当だという考え方に立っておりますが、その任命行為そのものは、他に類似のものもございますように、代表者だけをやった方がより効果があるというような事態が生ずれば、これを改めるにやぶさかではない。しかし、現在出発に際してあらかじめそれを予測するわけにはまいりません。それは随分議論した問題でございます。他の特殊法人等とみんな比較いたしまして、その中で議論の集積としてお願いをしておりますので、今から予定するわけにもまいりませんが、おっしゃる趣旨は——なかんずく大きな法律で改革されたものが、出発に際し不都合があったら、それは絶えず見直していくという精神の上に立って運用を図っていくべきものであるという考え方の中にそうした問題が生じたといたしますならば、それはそうなるであろうことの必然性があるではないか。責任を持って法律をお出ししておるときに、あらかじめ予測したお答えを正確に申し上げることはいささか差し控えるべきかな、こういう感じでございます。素直に申し上げました。
  161. 坂口力

    ○坂口委員 人間というのは若いときと申しますか、前の職種が何であったかということがその次のポジションにつきましてもいろいろと影響を与えるものでございます。したがいまして、長岡総裁は専売公社に行かれましても、あるいはまた新しい会社の社長さんになられましても、大変大蔵省的行き方でございましょうし、これはなかなかとれにくいものでございます。我々も同じでございまして、なかなか前の職種の傾向というのがとれなくて弱るわけでございます。そうした意味で、大蔵大臣が代表取締役並びにその他の取締役も全部、一人でお決めになるわけではもちろんないとは思いますが、しかしお決めになります場合に、例えば大蔵省的発想で、大蔵省の出身の方ばかりをずらっと並べられたということになりますと、これは会社の活力というものが果たして出るだろうかな、非常にかたくはいけるけれども、しかし前進があるだろうかな。これもまた余計な心配がもわかりませんが、そうした議論もそこに起こってくるわけでありまして、そんなことも絡めてひとつ、今後十分に御検討をいただく項目にしていただきたいと思うわけでございます。  この問題はこのぐらいにしておきまして、次にコストの問題でございますが、これは皆さんの方には申し上げてございません。皆さん方の方もお答えになりにくい問題でございますので、深くお聞きをする気持ちは私もさらさらございませんが、参考人の皆さんにお越しをいただいて昨日お聞きをしましたときに、参考人の方から製造原価のお話でございますとか材料費や人件費のお話が実は出まして、前回には、皆さん方の方も言いにくいからそこは聞かないでほしいというようなお話もあったわけでございますけれども、参考人の皆さんからお話しになったということもございまして、あえてお聞きをさせていただいたわけでございます。  参考人の皆さんのお話によれば、製造原価というのは日本の場合に七〇%ぐらい高い、そしてまた材料費、人件費合わせて大体二〇%ぐらい高いのではないか、こういうお話でありまして、今後これをどのようにしていくかということが経営上大変重要になってくるというお話をなすったわけでありまして、率直な御意見だというふうに私も承ったわけでございますが、私の聞き間違いかなければその数字であったというふうに思います。したがって、これから新会社はコストの問題に真剣にお取り組みをいただかなければならないわけでありますので、こうした製造原価並びに材料費をどの辺までおろすことができるか、なかなか企業秘密もあって言いがたい面もあろうかと思いますけれども、率直な御意見をひとつ承っておきたいと思います。
  162. 長岡實

    ○長岡説明員 製造コストにつきましては、当面と申しますか、輸入自由化後の一番強力な競争相手でございますアメリカ企業等と比べましたときに、葉たばこ日本の方が高こうございますし、その他の面についてもまだ若干コストが高いというのは坂口委員の御指摘のとおりでございます。  そこで、これをどこまで合理化等によりましてコストのかさを縮めていくかという問題になるわけでございますけれども、率直に申しまして、全くイコールフッティングまで合理化を図るということは大変難しいと存じます。しかし、御承知のように、現在二〇%の関税もあるわけでございまして、そういったようなものを加味した場合には、しかも若干の内外品の価格差を維持して将来競争していくという場合には不可能な数字ではない。相当な努力を私どもも払わなければいけませんし、また葉たばこ耕作農家にも、生産の合理化等について御努力を願わなければならない問題ではございますけれども、それは不可能な数字ではないというふうに考えております。
  163. 坂口力

    ○坂口委員 ひとつぜひそういう意気込みでお願いを申し上げたいと思います。  コストの問題に絡みまして消費税の問題がございます。これは約五六%含むという消費税でございますが、最初にこれは見込まれているわけでございますから、これを出せないというわけはないということになるだろうと思いますけれども、経営でございますから、会社の資産状況がどうなっていくか、これはわからないわけでありまして、五六%消費税を見込んだ値段でありましても、一年を振り返ってみると、外国からの輸入の問題あるいはまた国内における売り上げの問題等を含めまして、非常に厳しい結果に終わるということはあり得ることだと思うわけでございます。その場合に、それじゃ五六%というものをどうするのか。これはもう何が何でも動かしがたいものというふうに固定していくということになりますと、たばこ産業は非常に厳しい局面に立たされることもあるのではないかというふうに予測をするわけでございますが、この辺の、消費税というものをどの程度にお考えになっているのかということをまずひとつお伺いしたいと思います。
  164. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいま御審議をいただいておりますたばこ消費税法案におきましては、現在は専売納付金でございまして、これも極めて消費税的性格を持っておるわけでございますが、今回の制度改革で公社形態から会社形態に移行するに当たりまして、従来の専売益金を制度的にも消費税として純化させていただくという提案を申し上げておるわけでございます。  そこで、税率をどういう水準に設定するかという点でございますけれども、この点につきましては、国税たる消費税と地方たばこ消費税の合計の額が班行の納付金率と同一の水準になるようにという設定をいたしまして、そのうち、税率の立て方でございますけれども、これは基本的には消費税という性格上、従価税割を基本にしながら、やはり今回のたばこ消費税は、税の性格といたしましては、消費税であると同時に、なかんずく個別嗜好品課税と申しますか、そういう側面もございますので、諸外国の税制等も勘案いたしまして、新たに従量税割を導入いたしまして、二本建ての税率に設定させていただいておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、今後はいわば消費税として純化されるわけでございますから、この消費税の税率をどう設定するか、どう設定するかと申しますか、今後どういう方向に持っていくかという点につきましては、たばこ消費税に限りませず、やはり消費税であります以上は、基本的には必要な財政収入が得られるという水準であると同時に、より基本的には、やはり消費税でございますから、最終的な負担者は消費者でございます。したがいまして、消費者に確実に転嫁されるような水準でなければいけない、転嫁ができないような水準あるいは逆に、消費の実態から見て著しく高い水準、高過ぎるような水準であっては消費税として機能しないという面もあるわけでございます。  したがいまして、そういった点を考えながら、今後の税率の設定についていろいろ考えていかなければならないと思うわけでございますけれども、ただ、新会社の経営上、この消費税の税率水準が問題になるということではございませんで、あくまで消費税でございますから、ただいま申し上げましたとおり、消費者に完全に転嫁される水準あるいはたばこならたばこの消費の実態に即した税率水準ということになるわけでございます。したがいまして、結果的に著しくたばこ消費税の税率水準が消費の実態等に照らしまして不適当な結果、それが公社の経営に結果的に悪い影響として現象面で出てくるというふうなこともあるいはあり得るかもしれませんけれども、物事の考え方といたしましては、ただいま申し上げましたように、必要な財政収入を得、かつ最終消費者に確実に転嫁され、なおかつたばこの消費の実態に即した水準というふうな点を勘案しながら、税率水準を今後についても考えていかなければならないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  165. 坂口力

    ○坂口委員 難しい議論でございまして、私、今悪かった点だけを申し上げたわけですけれども、逆に経営が非常によかった場合もあると思うのですね。例えば、よかった例を申し上げると、経営の結果が非常によくて全体の成果が上がりましたときに、今までの経緯はそういうことで決まったんだけれども、一番先に消費税を、五六%をそれじゃもう五八に上げようかというようなことになってしまいますと、一生懸命企業努力をなすった、それで、例えば今まで従業員の皆さん方に十分に支払いもしてこなかったけれども、これで何とかしてあげられるのではないかと思った矢先に消費税の方を先に五六を五八に上げますぞ、そこを一番先にやられますと、なかなかそんなわけにもいかないということも起こるわけですね。あるいはまた逆に、今度は非常に悪かった場合に、それならばまず一番先に消費税を下げてくれるかといえば、ここのところは一番最後までそれはいろえませんぞ、ほかのところで全部いろいろなことを考えてひとつ経営をやっていきなさい。この五六%は最後の最後まで動かしませんぞ、こう厳しく出られたのでは、新会社、なかなか大変なことだ。その辺のところを、難しいことではありますけれども、余り厳しくやられると大変ではないかというふうに思ったものですから、今後の話として、今までの決められた経緯としましては十分にわかりますが、これからの問題として、その辺はどうなんですかということをお伺いをしたわけでございます。  では、もう大体主税局長のお話は懇切丁寧にしていただきまして、わかりましたので、では大臣、一言お答えをいただいて次に行きたいと思います。
  166. 竹下登

    竹下国務大臣 これは私よりも数層倍の知識と経験を有する梅澤主税局長が、しかも坂口さんから丁寧に言ってよかったと言われた限りにおいては、それ以上のお答えは私の能力の限界でございます。
  167. 坂口力

    ○坂口委員 うまく煙に巻かれましたが、では、私が申し上げた意味は御理解をいただけますか。多分御理解をいただいてお答えをいただいたものというふうに理解をいたしますが、余り詳しく説明をしていただき過ぎまして、理解のできなかった部分も実はあるわけでございます。  公取の方、お越しいただきましたか。——今回のこの会社株式会社ということであります限り、これは私的機関になるわけでございますから、独禁法との関係が理論的には出てくるわけでございます。卸売の価格でございますとか小売の価格でございますとか、こうした問題は、先ほど議論がありましたように、大臣の許認可事項ということであります間は独禁法には触れないのであろうと理解をいたしております。しかし、よく問題になります「当分の間」が過ぎて、そして株式も半分は放出をされる、そしてまた小売価格や卸売価格につきましても、大臣の許認可事項がもしなくなっていけば、その時点においてこの独禁法との絡みが議論になってくるだろう、こういうふうに受けとめておりますが、その受けとめ方でよろしゅうございますか。
  168. 厚谷襄児

    厚谷政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘がございましたように、日本たばこ産業株式会社法案によりますと、日本たばこ産業株式会社という株式会社になるわけでございます。したがいまして、一般的に独占禁止法上の事業者として適用があるわけでございます。たばこ事業法案によりますと、たばこ製造日本たばこ産業株式会社独占ということでございます。それから小売の販売業につきましては許可制、小売価格については大蔵大臣の認可制度ということになっておりますので、その限りにおいては独占禁止法の適用はないということになるわけでございます。  将来法律改正されまして、そういうような制度が全くなくなった場合どうかということでございますが、これは、将来におきましてどのような仕組みになるかというところが、私どもまだ予測もつきかねるので、ごく一般論としてお答え申し上げなければならないのでございますが、全くの事業者の活動ということになりまして法的規制がないということになりますと、御指摘のとおり独占禁止法の適用ということが出てくると思います。
  169. 坂口力

    ○坂口委員 この法案は、将来どの程度まで事を進めていくか、そういうところが非常にたくさんございまして、それがどこまで進むのかということがなかなか理解しにくいわけであります。小売価格や卸売価格というような面につきましても、将来ともに大臣の許認可が一々要るということになるのか、こうしたことはある程度軌道に乗っていけば新会社に任されていくものなのか、その辺もなかなか予測のつかない問題ではございますけれども、どういうふうなお考えを持っているかということをひとつお聞きしておきたいと思います。  それから、そうなりましたときには、今お話のありましたように、一般論ではございますけれども、独禁法との絡みが出てくるわけでございます。そうしたことをあれこれ考えますと、どうもそこまではなかなかいかない。この法律はそうした点はあくまでも抑えて、そして適用除外と申しますか、独禁法にはかからない形で将来ともたばこ産業は行くのかなという気も一面ではするわけでありまして、これはどれくらい先の話かは別にいたしまして、将来はその辺までも行くようなおつもりなのか、それともその辺までは行かない方がいいとお考えになっているのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。     〔熊川委員長代理退席、中西(啓)委員長     代理着席〕
  170. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  独禁法との関係でいろいろお尋ねがあったわけでございますけれども製造独占につきましては法律によって規定されておるわけで、これは独禁法とは直接には抵触しないというふうに考えております。ただ、会社自体が独禁法の適用除外ということではございませんので、そのために会社製造たばこの蔵出し価格の認可という制度を設けておるわけでございます。  若干御説明させていただきますと、今後の我が国の市場における国際競争状況を考えますと、会社がかなり恣意的な独占利潤を上げ得るような価格を設定するという状況はなかなか難しいことかと思っておりますけれども、万が一市場状況によりましてそういう独占利潤を得る、その結果として消費者に不当に不利益を生ずるというようなことが万々一ないように蔵出し価格の最高価格を認可しておるわけでございまして、そういう意味からいたしますと、これについては将来とも製造独占が与えられております限り、こういう制度はつながっていくものだと考えております。  それからまた、小売定価の認可制度につきましては、全国二十六万のうち、相当大部分が零細小売店であるという小売店の状況にかんがみまして、それらの方々に対する激変を回避するために、当分の間の措置として小売定価を設定したものでございますから、これは、当分の間の期間と申しますものは、新しい制度のもとにおきまして新しい流通秩序がおのずと形成されて、小売定価というものを仮になくしたといたしましてもそのような激変が生じない、零細小売店に多大の影響を及ぼすことがないというような状況になるまでは続けるものでございます。ただ、これは法律をもって定められておりますので、直接独禁法に触れることはないというふうに考えております。
  171. 坂口力

    ○坂口委員 そうすると、独禁法との絡みが出てくるようなことは将来とも起こりにくいということですね、一言で言いますと。長く説明していただきましたが。
  172. 小野博義

    小野(博)政府委員 現行制度におきましてはおっしゃるとおりであろうかと思います。
  173. 坂口力

    ○坂口委員 現行制度はそうだけれども、将来はどうか。将来にも近い将来と遠い将来があるけれども、近い、遠いは別にして、将来はどうなんですか。方向性としては、それもそういう方向に行くのですかということをお聞きしたのであって、この法律は現在だけではなくて、将来に対しても効力を発揮するわけですから、近い、遠いは別にしてそうなっていく可能性があるのですか、それともないのですかといことをお聞きをしているわけで、現在はもうこれは見たらわかるのですから。
  174. 小野博義

    小野(博)政府委員 特段将来にわたりましても独禁法との関連が生ずるようなことはないかと思っております。
  175. 坂口力

    ○坂口委員 ないということは、余り変わらぬということだね。そうでしょう。そういうことでしょう、ないというのは。
  176. 小野博義

    小野(博)政府委員 先ほど現行制度と申し上げましたが、やや不正確でございまして、改革後の制度でございますけれども、その改革後の制度が続く限りにおいては、ないことは間違いございません。それからその後において、例えば「当分の間」が外れたような場合、これはむしろ小売定価が自由になるわけでございますから、問題はないわけでございます。ただその中で、例えば独禁法に触れるような形で実質的に定価制を維持するようなことをすれば、それは問題があろうかと思いますけれども、自由になれば問題はございません。それは一般原則に立ち返るということであろうかと思います。
  177. 坂口力

    ○坂口委員 わかりました。  総裁、先日の新聞に社債発行の記事が出まして、円満なお顔とともに社債発行の大きな文字が出ておりました。これは委員会でも余り出なかったことでございまして、あるいはマスコミの予測記事なのか、それとも本当の発言なのか。そしてまた記事を見ますと、大体額まで、設備投資規模と同じ年間五百億円程度とえらい細かな数字まで実は入っておりますが、これは本当なんでしょうか。
  178. 岡島和男

    ○岡島説明員 お答えいたします。  先般の新聞につきましては、私ども、見てびっくりしたようなことでございまして、私どもの方から申し上げたということは何もないわけでございます。  私どもの現在の勉強状況というようなものにつきまして若干お話をさせていただきますと、御存じのようにたばこ消費税制度が導入されることによりまして、新たな資金需要が出てまいるわけでございます。前倒しになるわけでございます。今までは年に一遍であったわけでございますが、今度は前倒しになります。その点についてはもちろん三年間の経過措置が設けられておるわけでございます。それからもう一方、そういうことの資金繰りに対応するために、先ほども議論が出ておりましたけれども、資金運用部からの借り入れというのも経過的に予定をされておる、こういう事実がございます。こういうような経過措置を考慮しながら、具体的な資金調達の方法について現在いろいろ勉強中でございます。  今まで公社は国庫預託制度というのをとっておりましたもので、一般の市中からの借り入れというものについては余り縁はございませんでした。もちろん借り入れということはできたわけでございますけれども、それほど縁がなかったわけでございます。ところが、今度国庫預託制度がなくなるものでございますから、そういうことになりますともっと一般金融市場とのかかわり合いというものも広くなってくるわけでございます。先ほど申しましたような資金繰りの状況、税の納付あるいは資金運用部からの借り入れというような事態が発生するものでございますから、この三年間の経過措置の間にいろいろな本格的な資金調達繰りを勉強していかなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。その中にもちろん社債の問題も入っておるわけでございます。社債の発行につきまして額をどうするかというようなことは、もちろんまだ勉強いたしておりません。社債発行については特にそういう経過措置もあるものでございますから、中期的な課題ではないかというふうに今のところ考えている、こんな状況でございます。
  179. 坂口力

    ○坂口委員 この新聞の記事を見ますと、新会社になりましたらすぐにでもこの問題が俎上に上るような書き方でございますが、そうすると、そう差し迫った話ではないというふうに受け取らさしていただいてよろしゅうございますね。  中期的な話ではあろうかと思いますが、そのようになりましたときに市中銀行からの借り入れ等のお話も出るわけでありまして、先日、電電の方でも議論があったようでございますが、メーンバンクをどこにするかというようなこともまたその中に出てくる問題ではないかということも思うわけであります。  その辺もまたあわせて後でお答えをいただいたらよろしいかと思いますが、時間も迫ってまいりましたので、最後にもう一つたばこの問題。  一つは対外摩擦の問題がございまして、そうしてこの法案の提出時期等にも大きな影響を与えたと考える一人でございます。対外摩擦、アメリカあたりは関税の撤廃でございますとか資本進出の自由化でございますとか、こうした問題をさらに、この法案決定をされたといたしましてもなおかつ言ってくる可能性というものは多分にあると予想をするわけでございますが、これに対してどんなふうに対処されるのか。もうここまでやったのだからこれ以上はできぬぞと突っぱねることができるのか、それとも、そうむげに突っぱねることはでき得ない状況なのか、その辺ひとつお聞きをしたい。
  180. 竹下登

    竹下国務大臣 これはいささか個人的な考え方もまじるかと思いますが、先般サミットへ参りましたときにも、アメリカリーガン財務長官は、今度のこの法律案に対しては大変な評価をいたしておりました。さかのぼってみますと、関税率が九〇になり三五になり二〇になり、その間にいわゆる販売店の拡大とかいろいろな対応措置をやってきた。しかし、今度はまさに輸入自由化というものを、向こうから見ればあるいはから得たという表現を使っているかもしれません、国内ではよくわかりませんけれども。いずれにしても、我々としても開放体制に備えてそこまではやった。だから、この法律が実際に実行されるのは国会を通過しなければならないわけだから、その国会を通過することを心から期待しておるということで、私は評価としては大変高い評価一つではなかったか、こういう感じもいたしております。  現実問題として、経済人として考えた場合、あるいはいわゆる貿易自由化資本自由化、金融自由化という世界全体の流れの中で、資本自由化とかあるいは流通面の問題とかに対して関心を持っておる人は、それは当然のこととしておると思いますが、私どもは現在の二〇プロという関税率はまさに至当なものである、そして今度の問題は日本側にとっても開放経済体制下に対応した至当なものである、そういう考え方の上に立って、今後どういう推移がありましょうともそれに対応していくべきだ。今日それは経済人個々に考え方は違いますが、一応米国におけるいわばたばこ産業監督官庁である財務省等は、これに対して十分な評価をしておるというふうに私は認識をいたしておるものであります。
  181. 坂口力

    ○坂口委員 ひとつその点誤りなきようにやっていただきたいと思います。  そして、いよいよ最後に、宮地議員の質問で皆さんにもいろいろと考えていただきまして、この法案の中のいろいろの問題、今後の扱い方についての考え方をまとめていただいたわけでございますが、もう一度念のために念を押させていただいて、最後のくくりとさせていただきたいわけであります。  多くの議論がございましたように、株式の問題にいたしましてもあるいはまた許認可の問題にいたしましても、将来どのような形で決着をするかという、着陸地点というものがあいまいな形での今回のこの法案でございまして、我々審議をする側の者にとりましては、その辺が果たしてどうなのかなと。大臣からは、常に見直しの気持ちでやっていきたいという発言もございますし、そして、今回法案を出す、そのときから次の見直しの話を言うのもいささかどうかというお話もございまして、そのおっしゃる意味は私たちもよく理解をできるわけでございますが、私たちの立場からいたしますと、そのことは理解をしながらも、しかし、どこに一体軟着陸するのであろうかという心配もまた、実は残るわけでございます。  そこで、細かなことは言わないけれども、一応五年なら五年後には、その点も含めていろいろと見直すということができるのかどうか。見直しもいろいろ時期がありまして、五年先、十年先、十五年先、そう遠い先ではなくて、少なくとも中期的な意味での、もう一度新しく事業を始めることでありますから、そこでどのような状態になっているかということを見直すという作業はなされてしかるべきではないか。そのことを何度も何度も実は念押しをさせていただいて、最終を迎えたわけでございます。大変くどいようではございますけれども、非常にあいまいな点の多い今回の法案でございますだけに、その点は今回の審議の大きなポイントになるというふうに考えてきたわけでございまして、ぜひひとつ、その点の最後の詰めをさせていただきたいと思うわけでございます。大臣からも何度か答弁はございましたけれども、もう一度ひとつ決意を聞かせていただいて、そして最終にさせていただきたいと思います。
  182. 竹下登

    竹下国務大臣 まず最初申し上げますと、国会で新しい法律議論していただく際に、その法律が全体的、国民的コンセンサスを得がたい場合には、いわばこの法律が通ったら、その先はこのように見込んでおりますというようなことを軽々に申し上げると、むしろそれは国会に対して非礼ではないかといっておしかりを受けることが多いのでございます。その点私も、長い国会の体験で十分承知しておりますが、今度に限っては、先の先まで心配していただいて、御質問いただいたのでございますから、これはありがたいことだなと、率直にそう思っておるわけであります。  したがいまして、この議論を通じていろいろ出てまいりました見直しの問題です。確かに、この法律をまとめるに当たりましては、各方面の意見も聞きました。中には、ある種の既得権という意識の方も、多くの方の中にはいらっしゃるでございましょう。そうした方々が、自分らの既得権が見直し期を設定することによってある程度奪われていくのではないかという不安を持たれるのも、またいかがかという感じもいたしております。したがって、私どもは、今度先の先まで御心配いただいてもろもろの御叱正なり御意見をいただいたわけでございますから、この新会社が発足いたしましたら、まさに一つ一つの行政行為、それに反応する業態のあり方等については、絶えず見直す姿勢を持って対応していかなければ、関係者の皆さん方にも、また先の先まで心配して御審議いただいた国会の先生方にも、これは本当に申しわけないことだ、そういう姿勢でこれからも貫いてまいりたいと思っております。
  183. 坂口力

    ○坂口委員 坂道を上っていくようなものでございまして、上っていく方向といたしましては間違いがない、そう考えてはおりますけれども、上り詰めました山の向こう側に海が見えるのやらまた山があるのやら、そこがわからない。そのことを不安のままに残して、方向として間違ってないからこのまま上り詰めていっていいのかどうか、実はそこに私たちは大きな不安を感じるわけでございます。たとえその向こうに何があるのかということがはっきりはわからなかったとしても、この向こうにはまた山があります、おぼろげではありますけれどもそうしたことだけでも明確になっていれば、我々は今勢いをつけてこの坂道を上ることができるということでございまして、実はそういう意味でお聞きをしているわけでございます。先の先まで約束をしろということを申し上げているのではなくて、少なくともそうしたある時点までいけば、この道はこれでよかったかと振り返ることができる、そういう時を持つのでしょうか持たないのでしょうかということを実はお聞きをしているわけであります。我々がこの法案を審議をさせていただくに当たりまして、そうした点を不明確なままで終わらせるということは、これまた国民の皆さん方に大変申しわけないことである。大事な法案でありますだけに、そうした点につきましてはよく見通しをつけてけじめをつけたい、こういう思いで申し上げているわけでございます。  さらにつけ加えることがございましたらひとつつけ加えていただきたいと思いますし、もしもございましたら総裁からお話をいただいて、最後にしたいと思います。
  184. 竹下登

    竹下国務大臣 よく世の中にトライ・アンド・エラーという言葉がございますが、試行錯誤とでも申しましょうが、この法律案は、トライはあってもエラーはあってはならぬと思っております。したがって、今の坂口委員の精神を私なりに整理してみますと、トライして、時には立ちどまり、振り返り、そしてまた走り出していく、トライ・ストップ・レシンク・アンド・ラン・アゲイン、こういうことじゃないかなと思って、感心をして聞かしていただきました。
  185. 長岡實

    ○長岡説明員 最初に、先ほどお尋ねがございました取引銀行の問題でございますけれども、銀行取引をどういうふうにしていくかというのは、具体的な検討はこれからの問題でございますけれども、現時点で申し上げますれば、いわゆるメインバンクというのは、いろいろ包括的な取引を行う、例えば社債を発行するときには幹事銀行になるとかいうことまで含めてメインバンクと言っておるのだろうと思いますけれども、そういうようなものは現在のところは考えておりません。  それから、この制度の将来の問題でございますけれども、私どもといたしましては、たばこ産業集団のいろいろの立場の方々の議論を尽くしに尽くした結果、今日御審議をいただいております制度改正案に到達したわけでございまして、そういう意味では、とにかくこの制度のもとで全力を挙げてみる、挙げなければならない、また、いわば背水の陣で、各分野ごとに合理化の必要に迫られながら合理化努力を行って、外国企業に負けないようにやっていくということで精いっぱいでございます。その気持ちはわかるけれども、将来、非常に不安がないのか、将来、制度の見直しをする必要があるんじゃないかというありがたいお言葉をいただいておりますけれども、私どもといたしましては、本当に制度を直していただかないととってもやっていけないというような時点になります場合には、何年後見直しと言わずに、もうその時期には時期を誤らずに御相談を申し上げないと、日本たばこ産業がおかしくなってしまうというふうに考えておりますので、現在のところはとにかくこの制度で全力を挙げさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  186. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。
  187. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 戸田菊雄君。
  188. 戸田菊雄

    ○戸田委員 同僚の伊藤委員の後を継ぎまして、各論で質問してまいりたいと思いますから、明確な答弁をひとつお願いしたいと思います。  第一点は、自主性当事者能力等について、事業計画の認可問題であります。会社法の第九条、これなのでありますが、新会社制度改革後、内外市場での激しい競争に打ちかっていかなければいけない。これは何回も強調されてきているわけでありますが、同時に職員の雇用の安定、労働条件の維持向上、こういうものが実は不可能になったのでは困るのでありまして、あるいはまたたばこ耕作者等、事業関係者の生活の安定、こういうものも図っていかなければいけない。こういうことで、現在、特殊会社というのは幾つかありますが、そういう中において、競争対象のある特殊会社というものはありましょうか。まず、この点からお伺いします。
  189. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在、特殊会社というものは大体九つあるというふうに私ども理解しておりますけれども、一番典型的な例は日本航空であろうかと思います、競争関係という意味におきましては。
  190. 戸田菊雄

    ○戸田委員 その九つある特殊会社の中で、法律事業計画の認可、これだけにとどめておるものは幾つありましょう。
  191. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  事業計画の認可だけにとどめておりますものは、ちょっとそういう意味で今まで数えたことがないものでございますので、申しわけないのでございますけれども、ここで数えさせていただきますが、ちょっとお時間いただいて恐縮でございますけれども、例えば東北開発、それから電源開発等につきましては、事業計画、収支予算、資金計画、それぞれについて主務大臣の認可でございます。それから、国際電信電話株式会社につきましては、事業計画の認可はございますが、収支予算、資金計画については規制がございません。日本航空につきましては、事業計画の認可はございますが、収支予算、資金計画については、事業計画の添付書類ということにされております。(戸田委員「監理官、全部でなくていいです。競争相手のあるものだけで結構です」と呼ぶ)それじゃ、ただいま申し上げました日本航空につきましては、事業計画の認可と、収支予算、資金計画につきましては事業計画の添付書類ということになっております。また給与統制につきましては特に規制がございません。
  192. 戸田菊雄

    ○戸田委員 結局、現在特殊会社九社ありまして、そのうち競争相手のあるものは二社だけですね。一つ日本航空、これは全日空なり東亜航空がありますからね。それから国際的に見ますと各航空会社がある、こういうことです。それから国際電電、これは海外のみの競争相手ですね。国内にはありません。そういうところからいきますと、今回の特殊会社は大変な競争相手を持つわけですね。製造面では完全に独占ですけれども、販売競争においてはこれは大変な競争。そういう状況からいって大変な厳しい条件にあるということは、もう再々主張されているとおりであります。  そういうことでありますが、そういう中で事業計画を出すときには、会社のしきたりとしていわば給与とか予算とか、そういうものを伴って出していきますね。そうしますと、建前上は関与はしません、まあ間接関与といいますか、そういうことになるかもしれませんが、勢い、事業計画を通じて給与や予算等にタッチできる状況にあるわけですね。だから、そういう場合に統制その他、政府が何だかんだと、会社が自主的に事業計画を立ててきた内容について口出しをしてもらうのは困るのですね、自主性その他、経営能力のいわば当事者能力拡大等々からいって。そういうことはありますか。どうですか。
  193. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま幾つかの特殊会社の例を申し上げたわけでございますけれども特殊会社につきましては、それぞれの政策目的を持って設立された特殊法人であるということから、各社とも、すべて事業計画については主務大臣の認可対象になっているわけでございますが、いずれにいたしましても、日本たばこ産業株式会社の場合におきましても、法律上認可を必要とするのは事業計画のみでございます。その事業計画の範囲とか添付書類をどうするかにつきましては、現在詳細につきまして公社と協議中でございまして、大蔵省令の制定までに結論を出したいと考えておりますけれども、今のところは、先ほど申しました日航の例等に倣いまして、資金計画、収支計画を添付書類として出していただくというふうに考えておるところでございます。  また給与の問題等につきましては、現在も労使間で決められている事項でございますけれども、新会社におきましてはこの点をさらに徹底させまして、給与総額制とか給与準則の規定は設けておらないところでございます。
  194. 戸田菊雄

    ○戸田委員 結局、大臣の認可ではありまするけれども、そういった予算あるいは給与等に対しての統制は行わない、こういうことで言っておりますね。そのとおり理解していいんですか。どうですか。
  195. 小野博義

    小野(博)政府委員 今回の改革の趣旨からいたしますと、新会社につきましては、できるだけ経営の自主性あるいは責任体制の確立ということが必要なのは申すまでもないことでございます。ただ、さはさりながら、一定の政策目的を担って設立された特殊会社ということから、事業計画つまり事業運営の基本的な大枠であります事業計画については主務大臣の認可にかかわらしめているわけでございますので、それが法律の趣旨に反するとか、法律の趣旨から見て極めて好ましくないとか、そういうことでない限りは、できるだけその会社の経営の自主性なり責任体制なりを尊重していく方向で考えていくべきが当然かと思っております。
  196. 戸田菊雄

    ○戸田委員 監理官、質問要旨をひとつよく理解してもらいたいと思うのです。九社ある特殊会社で、そういう給与の統制その他を行っているところがありますか。大多数は認可条件が入っていますけれども、ないんじゃないでしょうか。どうですか。
  197. 小野博義

    小野(博)政府委員 お尋ねのように、九社について給与規制は特にございません。  私、申し上げましたのは、事業計画について申し上げたつもりでございましたので、失礼しました。
  198. 戸田菊雄

    ○戸田委員 給与はないですね。
  199. 小野博義

    小野(博)政府委員 給与規制は、特殊会社についてはございません。
  200. 戸田菊雄

    ○戸田委員 ありませんね。したがって、今回の特殊会社についても、そういう法律上の規制は何にもないのですから、当然給与、予算等の統制はやらない、こういうことになりますね。
  201. 小野博義

    小野(博)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  202. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それでは次に資本金、配当等の問題について若干お尋ねをしていきたいと思うのですが、同時に税制の問題もございます。  先ほど同僚の伊藤委員の方からもいろいろとお話がありましたから詳細は省きますが、五十七年度の公社の資産総額、これは一兆八百九十二億二千八百万円。そのうち資本金が二百三十二億六千万円、資本金積立金百二十六億四千六百万円、利益積立金九千三百八十二億六千九百万円、この合計が九千七百四十一億七千五百万円、こういうことになっております。それに五十七年当期純利益千百五十億五千三百万円、これを加えますと、資産総額が大体一兆八百九十二億二千八百万円、こういうことになります。したがって、今回この資本金の確定に当たって、その半分は商法から除外規定がありまして、それで資本金はその半額以下ということに限定されます。  先ほど来、同僚の伊藤委員にもいろいろと答弁があったようでありますけれども、この資本金は、きのう参考人の皆さんにお伺いしましたら、残念ながら大月参考人からは明確な回答は得られませんでした。ただ、建前上はそれははっきりしておったのですが。しかし別な参考人からは、千五百億見当が妥当じゃないかなというような御意見がございました。この辺の問題についてどうお考えになっているか、ひとつその回答をいただきたいのですが、先ほど伊藤委員に対して、こういう問題については十分配慮をいたします、こういう御意見があったようですが、もしそういう配慮があったとすれば、設立委員会に政府の意向というものを率直に伝えていただいて、そういうものを実現するように努力をしていただきたい、私はこう思うのでありますが、それはどうでしょう。大臣、いかがですか。
  203. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  資本金につきましては、先般、おおむね千五百億円を上限とするということでお答え申し上げたわけでございますけれども、その際もちょっとお答え申し上げましたように、ただいま先生もおっしゃいましたように、法律上は設立委員会において定款をもって定められることになっております。その場合、考慮すべき事情として、会社の経営の健全性と申しますか、あるいは過大な資本金が会社の経営を阻害するようなことがあってはならないという視点も十分考慮に入れて御議論されることだと思いますけれども、私どもとしても、そういう点につきましてはそれなりに配慮してまいりたいというふうに考えております。
  204. 戸田菊雄

    ○戸田委員 監理官、配慮は結構なんですが、さっき同僚の伊藤委員にもそういう答弁をされています。その配慮したものを設立委員会に十分反映させるということでいっていただきたいと思うのですがね。これは大臣、どうでしょうか。
  205. 竹下登

    竹下国務大臣 配慮という言葉の中に、広義な解釈をすれば、いまおっしゃった精神が入るべきものであると考えております。
  206. 戸田菊雄

    ○戸田委員 もう一つは配当なんですが、先ほど伊藤委員質問に対しては答弁がなかったように理解をするのですが、配当は、これも商法上七%から一二%の範囲、こういうこと。これから恐らく電電公社もそういう状況になってくる。場合によっては、あるいはまた国鉄もというようなことで、次々と行革関連で民営化方式というものが打ち出される状況にあるわけであります。これは専売が初めてですね、今回、特殊会社。いずれも政府出資ですから、そういうものに対してこの専売適用するベースが以下同文で連動されると私は思うのですね。だから非常に大事である。配当、どの程度を一体考えているのか、これをちょっとお聞かせ願いたい。
  207. 長岡實

    ○長岡説明員 新会社が発足いたしまして、初めて一事業年度が終わりまして、どの程度の配当を行うべきかという問題は、当然のことながら新会社の経営者としての非常に大きな仕事の一つになるのであろうと存じますけれども、経営者がどの程度の配当率が妥当であるかということを判断する場合の判断の基準と申しますか、そういったようなものといたしましては、たばこ産業株式会社については全く同業種がございませんけれども、例えば食品産業、比較的類似した企業である食品産業がどの程度の配当をしておるかといったようなこと、あるいは企業の規模といたしまして売り上げあるいは資本金額、そういったようなものから見まして、比較的類似した規模の企業が一体どの程度の収益を上げ、そしてどの程度の配当を行っておるかといったような問題を恐らくいろいろと参考にして、なおかつ最終的にはその配当負担が過大であって次年度以降の新会社企業経営に悪影響を及ぼさない程度にというようなことを考えながら恐らく決めて、結論を出すのではないかというふうに考えております。
  208. 戸田菊雄

    ○戸田委員 数字的に大体この辺だというめどはできませんか。
  209. 長岡實

    ○長岡説明員 まだ資本金そのものが、こういう計算でいけば上限はこのくらいとか、これはあとは設立準備委員会で決めていただくということになりますので、配当の金額まではちょっと現時点では申し上げかねます。率で申しますれば、恐らく常識的には一〇%とか八%とか、そういうところを一つ念頭に置いて考えていくべき問題かなという気がいたしております。
  210. 戸田菊雄

    ○戸田委員 非常識な額は要求いたしません、おおむね想定するに一〇%か八%見当、これが非常識にわならない範囲、こういう理解でいいですか。
  211. 長岡實

    ○長岡説明員 今、突然の御質問にお答えをしたものでございますから、先ほど私がその前に申し上げました食品産業が一体どのくらいの配当率なのか、あるいは千五百億とか千数百億程度の資本金の規模で売り上げが三兆円くらいの企業が、まあどれをとるかにもよりますけれども、どの程度の率の配当を合いたしておるかを承知いたしておりませんので、的確なお答えにはならないと存じますけれども、常識的にはその辺のことが一つの判断の基準になるのではないかというふうに考えております。
  212. 戸田菊雄

    ○戸田委員 これは総裁はベテランですから、当然その辺は頭に描いて答弁をされたと私は理解をするわけです。したがって、仮に五十八年度の利益計算等でいきますと八百数億、こういうことになっている。それに対して各般の控除をずっとやっていきますと、最終的利益額は三百億見当じゃないか。そうしますと、仮にそのときに一〇%と仮想しますと、それでも百億持っていかれるんですよ。これは総体からいけば非常に大きい。後で触れますけれども、そのほかに税金がごっそりいくわけですからね。だからそういう状況を総合的に判断すると、今総裁が言われたように、想定図というものは大体一〇ないし八という、非常識にわならないそういう範囲で恐らく確定されるであろう、こういうことで理解していいですね。——結構です。頭を上下していますから、十分わかりました。  それで、税金の問題でございますけれども、今回納付金はたばこ消費税ということに相なりました。しかし、現状の増減なしですから、率でまいりますると国、地方合わせまして五五・九%、こういうことに相なりますね。そのほか、会社に移行することによって新課税、課せられるものがありますから、その負担増はどのくらいに見ておりましょう。
  213. 遠藤泰

    ○遠藤説明員 お答えを申し上げます。  印紙税、登録税等で約二十億円でございます。その他の諸税といたしまして住民税、事業所税等地方税関係で約六十億。これは税というよりも法定福利費でございますけれども、負担という意味から申しますと労災保険料、雇用保険料、これが約二十億というふうに考えられます。もちろん、利益課税としての法人税、事業税等は別でございます。
  214. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間がなくなりますから、こちらで一応の一定の試算計数を出したものを読み上げますから、間違っていればひとつ指摘してください。  国の関係では法人税。例えば利益六百億と計算をした場合、そのときには法人税は二百六十億、印紙税が十八億、登録免許税四億、合計二百八十二億。それから地方税で新課税がなされますから、事業税で七十二億、都道府県民税が十三億、市町村民税が三十五億、固定資産税が二十八億、事業所税が十億、不動産取得税が六億、都市計画税七億、特別土地保有税ゼロ、計百七十一億。合わせて四百五十三億、こういうことになりますが、これはどうですか。
  215. 遠藤泰

    ○遠藤説明員 私どもの試算いたしました数字も、ただいま先生からお話がございました数字と同じでございます。
  216. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それから同じように税引き前利益三百億円の場合は、国の方で法人税が百三十億、印紙税が十八億、登録免許税四億、合計百五十二億、それから地方税で事業税が三十六億、都道府県民税が七億、市町村民税が十九億、固定資産税が二十八億、事業所税十億、不動産取得税六億、都市計画税七億、特別土地保有税はゼロで百十三億、合計二百六十五億ということになる。これも間違いありませんか。
  217. 遠藤泰

    ○遠藤説明員 先生の御指摘のとおりかと思います。
  218. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そこで、自治省から来ておると思うのですが、今度新会社によってこのくらいいわば課税対象税目がふえた。これは全部都道府県、市町村がそれぞれ担当するわけですから、このくらいふえた分に対して対応措置は、従前のままでは足らないと思いますね。この点が第一点。  それからもう一つは、三千三百有余の地方団体がありますね。今回は従価八、従量二、この組み合わせですから、そうしますとこの売れ行きのいい、収入の入ったところはそれなりに税金は多く交付される格好ですけれども、そういうアンバランス、地域的、全国的にたばこの売れ行きによっては違ってくる。そういう状況に対する調整、整合性といいますか、今国から地方交付税交付金とか国庫支出金とかこうありますが、そういうものを含めて税制上の、今まで納付金体制であったものがそういう状況になっていくのですから、各市町村の収入額はアンバランスになってくることは避けられないと思うのですね。だけれども、これは地方自治体からいけば、従前もらっていたくらいは必ず支給してください、こうなってくると思うのですね。だから、そういうアンバランスが生じた場合にどういう調整をやるのか、その辺の見解についてお伺いしたい。
  219. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 今回の改革に基づきまして新たに地方税法の改正を今御提案中でございますが、それによりますと、地方たばこ消費税以外におきまして、ただいま御指摘のようないろいろな税目につきまして全体としての増収が図られるわけでございます。これが本来一般法人でございますと、当然収入としてそれぞれの地方団体に帰属するわけでございますので、それが帰属するということでございますから、その分は確かに地方税収入としてはそれぞれの団体についてプラスの要素として働いてくるということは言えようかと思います。それを踏まえまして、地方交付税で最終的に財源調整をどうするかという問題に帰着するのではないかと思うわけでございます。  地方たばこ消費税につきましては、基本的には従来の税率を維持をする、技術的に税率として、数値としては変わっておりますけれども、基本的には従来と同じような考え方で税率を決めているわけでございますので、総体としての額は、改正による増減はないというように私どもは考えております。地方団体ごとの金額につきましては、算定方式を若干変えますから、それによる多少のでこぼこは出ると思いますけれども、総体としての総額は変わりませんので、あとは財源調整措置でございます地方交付税によりまして、最終的に財源調整をしていく、こういう形になっていくのではないかと思います。
  220. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そうすると、一たん徴収したものは全部自治省へ集めて、それから従前の配分方式で均等的に、既得権を下回らないように、そういう配分をやっていくというのですか。そういう総合調整をやるのですか。  それからもう一つは、第一点の問題で、特殊会社になっていくのは専売だけじゃないのでしょう。今度また電電が仮に通れば、これもそういうことになっていくのですから、業務量は相当数ふえるのですよ、これだけでもこのくらいふえているのですから。だからそういう対応措置を明確にどういうふうにとっていくのか、そこを聞かせてください。
  221. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 今回の改正によりましてそれぞれの団体に税源が帰属した場合には、それを基礎にいたしまして財源調整を行うわけでございますから、それは基準財政収入額の算定上それを基礎にいたしまして算定をし、そして地方交付税の配分の基礎にするということになりますので、税収入の変動につきまして、増減につきましては、最終的には地方交付税の財源調整によってならしていくという形になってくるわけでございます。その場合に、やはりこの税収の実績というものが基準財政収入額の算定基礎になってくる、こういう考え方になろうかと思います。  それから、いろいろな税制改正の措置によりまして事務量がふえてくるのじゃないかという御指摘でございますが、一般的に、今回の改正によりまして新しく増収になります税は、事業税にいたしましても住民税にいたしましても、これはほとんど申告納税でございます。それから地方たばこ消費税につきましても、基本的には申告納税のシステムをとっているわけでございます。申告納税は、あくまでも納税義務者と徴税側との信頼関係に立って税を納めてもらうというシステムでございますから、この限りにおきまして事務量がふえるということはないわけでございます。ただ、いろいろな面でこの申告が適正に行われているかどうかというチェックをする必要はやはりあろうかと思います。そのための措置といたしましては、できるだけ人手のかからないやり方を考えて、徴税費あるいは徴税吏員がふえるというようなことのないようなやり方を現在鋭意検討をしているところでございます。できるだけそういうことのないような形にしたいと思っております。
  222. 戸田菊雄

    ○戸田委員 要員はふやす状況にあるのですか。
  223. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 ただいま申し上げましたとおりでございますので、私どもは現段階では、この改正によって人員がふえる必要性があるというふうには考えていないわけでございます。
  224. 戸田菊雄

    ○戸田委員 国税等を含めてなのですが、徴税事務をやっておる皆さんは、今健康を全体として非常に悪くしておりますね。これは労働条件その他において非常にきつい状況にある、こういうことは否めないと思うのです。だから、そういう状況の中でこのぐらい膨大な事務あるいは執行内容がふえているのですから、それはぜひ検討してくれませんか、どうですか。
  225. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 現在、御案内のとおり、あらゆる面で行政改革を進めているわけでございまして、徴税事務につきましてもできるだけ簡素化をしていくということで、各自治体とも鋭意検討をやっているわけでございます。そういう中で今回の改正でございますので、当然のことながら、人員のふえないような徴税事務というものを前提にしていろいろな事務の内容を検討していく、特にコンピューターが非常に発達してまいっておりますので、そういうものをフルに使ったいろいろなチェックシステムというようなものは今後考えていかなければならぬということで、人員増に結びつかないような検討を今後とも鋭意進めてまいりたいというふうに考えております。
  226. 戸田菊雄

    ○戸田委員 私もいろいろ試算をした資料を持っていますから、いずれ時間のあるときに再度またやることにいたします。きょうはありがとうございました。  では、次は国の方なのでありますが、結局納税義務者は公社ですね。ただし、輸入たばこは保税地域から引き取ったとき、こういうことになるのですね。そうしますと、これはどうでしょう。一回国が全部吸い上げて、それで後、配分ということになりましょうか。そういう理解でいいのですか。
  227. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 輸入たばこにつきましては、保税地域から引き取るときに納税義務者が納税をするということでございますので、引き取り業者がそれぞれ納税されるということになるわけでございます。
  228. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それで大臣、従前の納付金の税率をそのまま現状維持をする、五五・九%。それに新課税分を含めまして、割合にしますと約六〇%ですね。企業でもって六〇%税金に持っていかれる、あとの四〇%で内部留保なり配当、あるいは事業経営、こういうことになるわけですね。こういう会社はちょっとないですね。旧会社特殊会社を見ましてもそういうのはほとんどない。したがって、現行の税率を上げないことはもちろんですが、この辺の何らかの税制上の妥当な線の検討といいますか、そういうものをやるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  229. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいまたばこ消費税法案のほかに関係法案に基づきまして、公社形態から新会社に移行をされますと、当然直接税等の系統におきましても、税法上のいわゆる普通法人と同じ課税上の地位に新会社は立っていただくということになるわけでございます。その場合に、今委員の御設問は、国税たるたばこ消費税のほかに地方消費税も含めると、ほぼ価格の六割近い負担になる。したがいまして、新たに税負担になるそういう諸税のことも考えると、トータルとして税負担の調整を何らか考える必要があるのではないかという御指摘であろうと思うわけでございます。  言うまでもないわけでございますけれどもたばこ消費税は文字どおり消費税でございますから、これは価格の中にその部分が組み込まれて価格が設定されまして、たばこの消費者に転嫁されるものでございます。したがいまして、そういった点から考えますと、消費税と新たに負担していただくことになる直接税を含めました諸税と直接結びつけて議論をするというのは理論的にもなじまないわけでございますし、実体論といたしましても、新会社に移行されまして、経営上いろいろな御努力をもちろん新会社はされるわけでございますけれども、税法上のいわゆる普通法人としての本来の負担をしていただくというのがやはり建前であろうということでございまして、たばこ消費税があるから直接諸税について何らかの調整をするということは、やはり建前としていかがかという問題であろうと思います。
  230. 戸田菊雄

    ○戸田委員 主税局長の言われる消費税の論理、そういうものについては私も納得しますよ。確かにそれは最終的に個別的な消費財貨に課税されていくのですから、それは別に公社からぼっこりその税金を出すわけではない。これはわかります。わかりますけれども、そういうものも全部たばこ製造その他の中に入っているわけです。そうしますと、最近、アメリカのラークですかなんかは値下げに入っているのですね。恐らく今後市場シェアを拡大していくということになりますと、これは製品の値下げをやっていくんじゃないか。そのときに、そういうものに日本がコストでもっていろいろやっていく、対抗できなくなるんじゃないでしょうか。その部面をどこから考えるかというと、一つは経営の合理化部面であり、あるいは場合によっては人員削減であり、工場の統廃合であり、あるいはもう一つは、課税部面から税率を少しでも下げてやれば、その分だけコストダウンにつながっていく等々の面から、総合的に検討しなければいけないのではないでしょうか。そういうことがありますから、本問題等についても十分検討する要があるのではないかと思いますが、その点はどうですか。
  231. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 新制度に移行の暁、いろんな問題が出てくることは当然予想されるわけでございますが、ただいま委員が御指摘になりました点との関連で申し上げますと、たばこ消費税は文字どおり内国消費税でございますので、これは内外無差別の原則でございます。輸入たばこも国産たばこも全く同じ税率のもとに服するということでございますので、たばこ輸入自由化との関連で新会社が当面するであろう競争関係あるいは市場関係の中でたばこ消費税の税率を云々するというのは、なかなか難しい問題であろうと思います。  それから一般論といたしまして、当然いろんな問題が起こってくるわけでございますけれども、それはたばこ価格政策なり、あるいは新会社ももちろん生産性の努力をいろいろされると思うわけでございます。そういった中で、消費税率の水準が果たして妥当かどうかという問題は、理論的には起こり得るとは思いますけれども、現実問題といたしまして、現在御提案申し上げております税率の水準というのは、現行のトータルとしての納付金の水準と実は同一のものに設定しておりまして、現状から激変が起こらないという点も勘案しておるということはぜひお含みおき願いたいと思うわけでございます。
  232. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間がありませんから、いずれ再度検討いたしますけれども、ひとつ十分そういった経営状況などを踏まえて、あるいは世界的な開放体制の中で、そのあり方についてひとつ御検討願いたいと思うのです。要望しておきます。  次に、最高販売価格の認可についてです。これはたばこ事業法の第九条でありますが、同僚の野口議員が前の質問のときに、種々本問題について触れまして、一応この第九条というものは政府関与条項であって、これは要らないのじゃないだろうかということで削除を要請しておったはずですが、これはどうお考えでしょうか。それから、最高販売価格を認可制とする根拠、理由は何でしょうね。
  233. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  最高販売価格を認可によらしめる理由でございますけれども、まず会社製造独占しているわけでございますが、常識的に申しますと流通自由化に伴って、国内市場において国産品と輸入品との間に競争が行われるわけでございますから、独占利潤の発生する余地はほとんどないのではないかと考えられるわけでございますけれども、市場の状況によりましてそのようなおそれが絶無とは言えないというふうに考えるわけでございます。そのため、万が一の弊害防止ということから、制度的な担保として会社の最高販売価格について認可制をしいたものでございます。したがいまして、具体的に申しますと、会社が自分で製造し販売する製造たばこの品目別の小売業者向けあるいは卸売業者向けの最高販売価格について、当該「最高販売価格で当該製造たばこを販売した場合に、消費者の利益を不当に害することとなると認めるとき」に限りまして、大蔵大臣は当該最高価格の認可をしてはならないということにしておるわけでございます。その消費者の利益を不当に害するか否かということにつきましては、会社の利潤とか原価とかを総合的に勘案して判断するということになろうかと思われます。
  234. 戸田菊雄

    ○戸田委員 本則の九条問題については、前に同僚の野口議員がやっておりますから触れませんけれども、そういうことであれば、製造独占を認める立法趣旨はどういうことですか。
  235. 小野博義

    小野(博)政府委員 製造独占につきましては、割高な国産葉たばこを抱えた現状のもとで国際競争に新会社が十分対処していくためには、やはり製造独占を与えて、そのもとで特殊会社にする以外にはないという判断をしたということをお答え申し上げたわけでございますけれども、まさにそういう趣旨から製造独占を認めておるわけでございます。ただ、それにいたしましても、従来の専売制度と違いまして、新会社につきましては独禁法の適用除外ということにはなっていないわけでございます。したがいまして、万が一にもそういう製造独占の弊害が生ずることがないように、今回の最高販売価格の認可制を設けているわけでございます。
  236. 戸田菊雄

    ○戸田委員 今、葉たばこ問題を新会社が抱えているわけですね。膨大な、おおむね三年分ですか、そのくらい抱えている。そういう状況ですから、製造独占による弊害というものは考えられないんじゃないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
  237. 小野博義

    小野(博)政府委員 具体的に申しますと、先ほど申し上げましたように、現実に会社はこれから外国たばこ競争していかなければいけないわけでございます。したがって、むやみに小売定価をつり上げるというようなことは考えられないわけでございますが、一般的に独占企業という立場にあるわけでございますから、いわば万一の担保として考えてこの制度を設けているわけでございます。
  238. 戸田菊雄

    ○戸田委員 結局、結論としては、製造独占であっても今のところ弊害は考えられない、こういうことはきちっとしているんだけれども、万が一の場合にといういわば予防のために、こういうことですね。弊害は考えられない、こういうことは理解できますね。
  239. 小野博義

    小野(博)政府委員 私どもが今考えます限りにおいては、恐らく製造独占の弊害というのは生じないとは思っております。ただ、くどいようでございますけれども、あくまでも万一のための担保というように御理解いただきたいと思っております。
  240. 戸田菊雄

    ○戸田委員 ほとんど落ちないのですなあ……。
  241. 長岡實

    ○長岡説明員 私からお答え申し上げるのはあるいは筋違いかもしれませんけれども、今度の制度改正を考えました場合に、やはり外国からの輸入と激烈な競争が展開されていく情勢のもとで、日本たばこ産業全体の維持発展を図っていく役割を新会社が負うということで発足するわけでございますけれども、その新会社の使命の一つには、国際的に見れば割高である国産葉を全量購買いたしまして、これを主たる原料として使っていく、その使命が一つございます。  そこで今度は会社の方でございますけれども製造独占のことを申し上げます前に、この会社は独禁法上の扱いから申しますれば当然の適用除外にはならないという性格のものでございます、株式会社組織でございまして。独禁法上当然の適用除外にはならないわけでございますけれども、農政を初め日本たばこ産業全体の維持発展を図るという政策的な目的に奉仕するために、そういう公共目的に奉仕するということで製造独占が認められておる。これがもしないといたしますと、私どもの行います仕事というのはたばこをつくって販売するということで、民間企業活動に非常に似ておりますから、なぜ独占体である必要があるんだという議論が当然出てくるわけでございまして、そういったような一つの大きな政策目的に奉仕する特殊な会社ということで製造独占が認められて、今回の法律として御審議をいただいておるわけでございますけれども、ただ、建前論はあくまで建前論としてございまして、実体としては独占の弊害は出ないと思います。  しかし、法律をつくる立場から各方面で議論をいたしますときには、やはりあくまで独占企業として発足させるからには、独禁法その他の立場から考えましても、独禁法上の弊害が出ないように、安全な措置を法律の中に講じておく必要があるじゃないか。実際にそういう事態が出る出ないにかかわらず、やはりそういうことを講ずることによって、製造独占立場を認めた新しい会社をここに発足さしてもいいじゃないか。こういう順序で議論が進みまして、そのうちの一つが、今戸田委員指摘していらっしゃいます、果たして本当に弊害が出るかどうかわかりませんけれども、一応最高販売価格というものを法律上規定して、独占の利潤をその新会社が上げることを公の立場から大蔵大臣がチェックされるという仕組みが、一応法律の中に盛り込まれているというふうに御理解いただきたいと存じます。
  242. 戸田菊雄

    ○戸田委員 仮にそういう状態が発生して最高販売価格を申請をするというようなことが出た場合、認可をする、その場合の基準はどういうところに置いて決定しますか。最高販売価格、どのような基準で認可対象に持っていくのですか。
  243. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  基準と申し上げますのは、法律に書いてございますように、「消費者の利益を不当に害する」か否かということでございまして、その場合に、不当に害するか否かということは、会社の原価であるとか、先ほど申し上げましたようなことを総合的に勘案して、いわばケース・バイ・ケースで判断していくということになろうかと思っております。
  244. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そうすると、あらかじめ一定の基準というものはないわけですね。
  245. 小野博義

    小野(博)政府委員 現在の段階でそういう基準を考えているわけではございません。
  246. 戸田菊雄

    ○戸田委員 独占弊害ということであれば、原価はチェックするのですか。
  247. 小野博義

    小野(博)政府委員 私どもが現在考えておりますのは、私ども直接その衝に当たっているわけではございませんので、詳細に存じているわけではございませんけれども、例えば公共料金の認可とか、そういったような場合、かなり詳細な原価のチェックなどが行われるというふうに聞いておるわけでございますけれども、私、ただいま申し上げましたのは、会社の利潤とか原価とか、そういうものを総合的に勘案して判断するということでございます。
  248. 戸田菊雄

    ○戸田委員 結局監理官、原価はチェックするのですか、しないのですか。
  249. 小野博義

    小野(博)政府委員 やはり原価、それから利潤、そういったものを考えながら、利潤が非常に高過ぎるというようなときには、これは明らかに「消費者の利益を不当に害する」ということになるだろうと思います。そういう意味で、原価が幾らであるかというのは、チェックと申しますか、勘案の対象になるということでございます。
  250. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そういうことであると、その構成要素である給与のチェックも当然するということになりますか。
  251. 小野博義

    小野(博)政府委員 この第九条を根拠にしてそのようなことをすることは考えておりません。
  252. 戸田菊雄

    ○戸田委員 第九条では考えられないけれども、別な方法はあるのですか。
  253. 小野博義

    小野(博)政府委員 ちょっと私の表現が不適切でございまして、この前もお答え申し上げましたように、給与準則とか、そういう給与規制をやるつもりはございません。したがいまして、ましていわんや、この条文を根拠にしてなどということを考えているわけではございません。
  254. 戸田菊雄

    ○戸田委員 必要があって原価をチェックする場合はあるけれども、給与等の構成要素についてのそういうチェックはやりません、こういうことに理解していいですね。
  255. 小野博義

    小野(博)政府委員 はい。
  256. 戸田菊雄

    ○戸田委員 急スピードで進めますから、明快な回答があればどんどんいきます。^
  257. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 お願いします。
  258. 戸田菊雄

    ○戸田委員 次に、事業範囲の拡大で、伊藤委員も十分触れたのでありますけれども、今後輸入品のシェアは五%程度に上がるであろう、こういう見通しが示されましたね。そうしますと、国内のシェアは、国産のたばこはそれだけ減るということを考えなくちゃいけないのじゃないでしょうか。どのくらいの目減りがあると考えておりますか、見通しについて……。
  259. 長岡實

    ○長岡説明員 新会社発足後の事業規模と申しますか、たばこの消費の量がどの程度になるかという見通しを立てるのは大変難しい問題でございまして、その一つの要素として、一体輸入品のシェアがどの程度になるのだろうかという問題があるわけでございますが、私が、数年後に五%のシェアになる程度のことは当然覚悟しなければならないと申しましたのは、別に確たる数字の根拠があるわけではございませんで、再三申し上げておりますように、五十七年度のシェアが一・四%、五十八年度にはそれが一・八%になり、本年度に入りまして、四月はたしか、ちょうど二%ぐらいになっておると思いますが、まだ輸入自由化にもならない現時点において、関税率が引き下げられ、小売店の数がふえただけでこの程度の伸びを示しておりますから、輸入自由化後には恐らくもっと大きな伸びを示す可能性がある。そういう点を考えますと、自由化後数年の間には、比較的近い将来だと思いますけれども、五%程度にシェアが高まることは覚悟すべきであろうということを申し上げたわけでございます。  ところで、それではその分だけ一体国産品の量が減るのかどうかという問題になるわけでございますが、私どもは、そのしわがすべて国産品の消費の減と申しますか、あるいは製造の減と申してもよろしいわけでございますが、そういうことにならないような努力はいたすつもりでございます。例えば輸出の振興も考えていかなければなりませんし、また、アメリカ等からの輸入品に十分対抗できるような新しい銘柄を開発して市場に投入するという努力も惜しまないつもりでございますけれども、何分にも喫煙と健康等の問題の影響もございまして全体の需要が頭打ちに近い状態にあるという中で、輸入品のシェアがふえてまいるとすれば、国産品の需要について若干落ち込むことも、これはやはり、私どもは将来のことを考えた場合に、計算に入れて将来の事業計画を考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  260. 戸田菊雄

    ○戸田委員 急であったけれども、大変な資料をいただいているのです。ですから、こちらで言ったことが間違っておったら御指摘願いたいと思うのです。  今、全国でたばこ製造工場が三十五工場ですね。年間、五十八年度でまいりますと三千六十三・二億本、こういうことですから、仮に今総裁が言われましたように、見通しで五%減少ということになりますと、そのときで既に一工場ないし二工場は閉鎖もしくは統廃合してしまわなければいけないという状況になりますね。私の理解では、一工場当たり六十億本ですか、そのくらい製造をしておるというのですから、そういうことになると、そのくらい減っていくわけでしょう。例えば五%で、三千六十三・二億本というと約百三十億本ぐらい減るのです。だから、その分だけ工場が減少するということになりかねないということですが、この理解はどうですか。
  261. 長岡實

    ○長岡説明員 将来の工場のあり方につきましては、その年のたばこの消費、国産たばこの消費が何本減ったから、それによってどこの工場を閉鎖しなければならないというような考え方ではなくて、もう少し長期的な考え方で工場のあり方を考えていかなければならないと存じます。現在まででも、大変に需要が伸びた年もあれば若干の落ち込みがあった年もございますけれども、それは各工場の製造量を増減することによって対処してまいっておりますので、輸入が伸びてその分国産品にしわが寄ったから、直ちにどこの工場を閉鎖するというような考えには立っておりません。  ただ、長期的に見た場合には、先ほどお答え申し上げましたように、なかなか全体の需要が伸びないとすれば、一方において輸入品がそのシェアを高めていくとすれば、全体の国産の製造規模をどの程度とすべきかということは当然考えていかなければならない問題でございます。それに工場の合理化、いわゆる設備の近代化等を含めた工場全体の再配置計画といったようなものは、これは大変難しい問題ではございますが、当然企業としては将来計画を持っていかなければならないと存じますけれども、これは率直に申しましてまだ具体案を持っている段階ではございません。いずれにいたしましても、非常に短期的に見まして、その年の需給の関係から前年度よりも製造本数が落ちる、それによって直ちに工場の閉鎖をするというような考えは持っておりません。
  262. 戸田菊雄

    ○戸田委員 内容はわかりましたけれども、数字的にちょっと教えていただきたいのです。  五%程度に輸入シェアがふえたということになった場合に、現行は三千六十三億本強、こういうことになっておりますが、数字的にはどういうことになりますか。  それからもう一つは、仮にそういうことで減ってきたということになれば、必ず雇用面での異動が起きてくるんじゃないか、この点はどうしますか。
  263. 長岡實

    ○長岡説明員 輸入品が五%のシェアを占めて、そして全体の需要量が変わらないといたしますと、国内品がそれだけ落ち込むわけでございますが、その量は約百億本になります。  雇用の問題につきましては、これはまた先ほどの工場配置計画と同様に、別途の角度から全体の合理化計画を詰める段階において、どの程度の人員にすべきかということを議論すべきでございます。また、そういう点につきましては再三申し上げておりますように、要するに生首を切るといったようなことではなくて、一定の年齢に達してやめていかれる職員の後補充の程度その他によって全体の職員数を減らすことも可能でございますので、そういうことについてはまたそういう立場から、従来同様労働組合とも十分に話を詰めながら考えてまいりたいと思います。
  264. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そういうことで、たばこだけで考えてまいりますと、勢いそういう状況が招来されることも予想される。ですから、結局その目的達成のために必要な事業、いわば拡大方式というものを図っていかなければいけないんだろうと思うのですね。これらの拡大についてはやはり真剣に考えていきませんと、雇用の問題に影響し、葉たばこ耕作者に影響し、各般の問題に全般的に影響してくる。そういう面からいっても、他事業の推進ということはどうしてもやっていかなくちゃいかぬと思うのですね。そういう問題については、若干の今までの表明でいろいろ内容はわかりましたけれども、私、極端に言ってキャバレーにまで進出しろ、こういうふうなことは言いませんけれども、しかし関連産業の、例えば葉たばこの品質改良あるいは肥料ですね、農協がやっておるように信販連というものをつくって、そして田んぼの肥料や農機具や各般のものをやっておるわけですよ。だから、そういうものの限度まで拡大をしていくような方式でなければ、多角方式でなければ、なかなかこれは容易じゃないんじゃないかと思うのですね。その辺はどう考えていましょうね。
  265. 長岡實

    ○長岡説明員 関連した業務の拡大の面につきましては、私どもはやはり事情の許す限り広く認めていただきたいという気持ちを持っております。その必要性と申しますれば、やはり戸田委員のおっしゃいますように、雇用の問題にも当然影響があるわけでございまして、何よりも一番大事なことは、企業として、その企業の将来性について職員全体が希望を持てるかどうかということが労働意欲にも関係してくる問題であろうと思います。たばこだけをとりましたときに、全体の需要がなかなか伸びないといったような状況のもとにおきましては、やはり業務範囲を拡大していただきまして、その分野において将来のあり方を求めていくということが、企業に働く職員たちの労働意欲を向上させるためにも大事なことではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  266. 戸田菊雄

    ○戸田委員 監理官、会社法の第五条、目的達成事業の認可、これはどうして必要でしょうね。それは経営の自主性に征して、多角経営をやりなさい、それは常識範囲でやるわけですから、そこは信頼をして、こういった条項はどうでしょう、必要ないんじゃないでしょうか。
  267. 小野博義

    小野(博)政府委員 会社の業務範囲の拡大につきましては、先生がおっしゃいますように、今後非常に大事なことになってくるというふうに考えておるわけでございますけれども、特定の政策目的を持ち、かつ製造独占を許された特殊会社という立場からいたしまして、目的達成業務ということに限っておるわけでございます。その場合、目的達成業務に限っております以上は、その目的達成業務の範疇に入るものであるのかどうか、あるいはその会社の本来の業務を妨げることがないものかどうか、あるいはそれが事業として成り立つかどうかというようなことを、主務大臣責任としてやはり判断をする必要があるということで、この規定を置いているわけでございます。しかし、基本的にはやはりそういう目的達成業務の範囲内におきまして、できるだけ会社自主性を尊重していくべきが当然かと思っております。
  268. 戸田菊雄

    ○戸田委員 よくわかりましたけれども大臣、多角経営の必要はあるんですから、そういう事業拡大については御異議ありませんね。
  269. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的精神は私も理解しますし、今監理官からお答えしたことで尽きると思います。
  270. 戸田菊雄

    ○戸田委員 葉たばこ関係でありますけれども、国内産の葉たばこ価格、諸外国と比較して非常に高いと言われていますが、何倍ぐらいになっていましょう。
  271. 生平幸立

    ○生平説明員 国によりまして値段がいろいろございまして、一般的にアメリカと比較した場合には約二倍ぐらいになっております。東南アジアは大変値段を安く生産しておりますので、例えばタイあたりの葉たばこに比べますと四倍ぐらいの値段になっております。
  272. 戸田菊雄

    ○戸田委員 製造原価に占める葉たばこの割合は何%ぐらいですか。  時間がありませんからついでに。割高な葉たばこを原料として、しかも関税率二〇%、小売定価にも大体八十円ぐらいの差が出ますね。例えばマイルドセブン二百円、ラーク二百八十円、こういうことですから、外国のメーカーはそれだけでも、日本で販売した場合は大量の利益が上がるということだと思うのですね。こういうものと比較してやっていくんですから大変なんですけれども、この辺はどうでしょうか。
  273. 生平幸立

    ○生平説明員 最初の御質問の、製造原価に占める原料の部分でございますが、約六〇%でございます。
  274. 戸田菊雄

    ○戸田委員 後の方は。価格差について……。
  275. 長岡實

    ○長岡説明員 御指摘のとおり、アメリカたばこ企業の利益の幅というのは、私どもはっきりわからないわけでございますけれども、私どもと比べた場合には相当大きいのではないかという推定は容易につくわけでございます。そうなりますと、輸入自由化後に、ダンピングと言われずに、適正利潤を得ながら価格を下げてくる余地というのは、ある程度あろうかと思います。私どもといたしましては、これは急激にはできないことでございますけれども、葉たばこまで含めまして、生産の合理化によってどの程度製造コストを下げ得るかということを今真剣に検討いたしております。確かに葉たばこ分野におきましては、日本農業の宿命と申しますか、経営面積が非常に小さいこと等のハンディキャップがございまして、なかなか生産コストを下げることは容易ではございませんけれども、現在、葉たばこ耕作者もその必要性を痛感して、この問題については真剣に取り組んでもらっておるところでございます。
  276. 戸田菊雄

    ○戸田委員 ぜひ検討していただきたいと思います。  もう一つは、私は、小売販売の方に影響するんじゃないかという気がします。仮にちょっとここで試算しましたが、ラークが二百八十円ですね。マージンは八・五%ですから、二十三円八十銭マージンが来るわけです。それから、マイルドセブンは二百円ですから、これは一〇%で二十円ですね。そうすると、三円八十銭だけマージンがいいのですよ。こういう状況になりますと、小売店でもそれに加担をして、少しでも利益の上がる方向にということになりかねない。そういうことで、国産たばこのシェアが狭まっていく心配はないかどうか。私は青山宿舎に住んでいるのですけれども、入り口に自動販売機があるのですよ。しょっちゅうショートホープをやるものですから、四、五日前にあそこへ行ったら、ショートホープは廃止されちゃってアメリカたばこが入っているのですよ。こんな自動販売機は要らないと思ったのですけれども、とにかくそういう状況で、自動販売機でも小売店でも、少しでもマージンの率のいい方向に進むのですね。そういう心配はどうですか、ございませんか。
  277. 森宗作

    ○森説明員 お答え申し上げます。  確かにラークとマイルドセブンを比べますと、単品については先生御指摘のとおりであります。ただ、一般的に申しまして、販売店の方々は、各銘柄につきましての総体の利益ということに大変関心がございます。私どもでも二百六十円という製品がございますけれども、なかなか数量としては伸びておりません。マイルドセブンとラークとでは圧倒的にシェアが違っておりまして、そういった意味からも、最終的には消費者の方々が御決定する問題でございますが、販売店としても、どちらかといえば各銘柄の総体の利益に関心をお持ちでございまして、ただ価格が高いというだけで御商売をしているというわけでもないようでございます。
  278. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それから、農水省が参っておると思いますが、遅くなって済みませんが、米国それからECは葉たばこ耕作者に対しては適切な保護政策をとっていますね。日本はなぜこれをとれなかったのですか。きょうは時間がありませんから、詳細は私もあれしませんが、農業共済というものがあって、現在のところ七共済、これはたばこだけが除外されているのですね。これはどうしてそういうことになったのでしょうね。時間がありませんから内容は言いません。
  279. 原昭夫

    ○原説明員 たばこの共済制度につきましては、従来から専売公社が実施しております拠出制によるたばこ災害補償制度がございます。それから、新しい制度におきましても、同じような形で続けられていくと聞いております。五十四年の五月に、全国のたばこ耕作組合中央会の総会におきまして、従前の災害補償方式が充実されたこともございまして、今後ともたばこの災害補償制度につきましては、たばこ災害補償制度のもとで運営していくという決議がなされておるというようなことがございます。したがって、現在たばこの耕作者団体の方からも、農業災害補償制度の対象にせよというような御要望が来ておりませんので、私どもといたしましては、農業災害補償制度の対象として実施していくという考えは今のところ持っておらないところでございます。
  280. 戸田菊雄

    ○戸田委員 今そういうことで考えていないということですが、これはこっちで検討して、そのうち出すつもりでおりますから、検討してください。  それはなぜかというと、今葉たばこ農家への助成の内容ということで、品質改善高能率生産施設整備事業、こういうものがあって、施設の種類としては五つほどありますが、総額において三十二億七千四百万、公社で負担しているのです。これは莫大な金ですね。確かに葉たばこ専売制としてやってきたから公社が全部面倒を見てきたのですけれども、このくらい農政部分に関係するものですから、これは検討する必要があるのじゃないですかね。どう考えますか。
  281. 原昭夫

    ○原説明員 先ほど申し上げましたように、私ども制度でございますと、掛金を農家の方からいただくというようなことでもございまして、今まで無拠出制のもとでずっと続けられた補償制度が長い間定着してきたというようなことがございます。耕作者の方々から農業共済制度の対象を考えてくれというような御要望が強くなってまいりますれば、私ども制度化についての検討をしてまいりたいと考えております。
  282. 戸田菊雄

    ○戸田委員 付言して、もう一度検討をお願いしたいのです。例えば土壌改良用機械施設というのがあるのです。その中には堆肥蔵置施設、堆肥材料調整用機械、運搬用機械、堆肥材料収集用機械その他機械施設、こういうことで八億六千二百万出費しているのですね。普通の農家だって、農水省で今まで農機具に対して一定の助成金やっておったでしょう。こういうものに対しては同じようなものなんですね。葉たばこの乾燥施設その他については、付随事業だから、公社で当面見ることはやむを得ないと言えばそれまで。それはやむを得ぬ。しかし、それにしたって、こういう問題は本来農水省で検討し、面倒を見るべきものを、公社で負担をしてやっているわけです。殊にこれからの経営状況は非常にひどくなってくるわけですから、そういう点はぜひ検討していただきたいと思うわけですが、いかがですか。
  283. 原昭夫

    ○原説明員 たばこを共済に加えることはどうかということにつきましては、従来の無拠出制の公社がやっておりますような制度から、私ども制度にした方がよろしいという耕作者の方々からの御要望がかなりございますれば、私どもも十分検討させてもらいたいと思っております。
  284. 戸田菊雄

    ○戸田委員 今のことについて大臣はどうお考えでしょう。
  285. 竹下登

    竹下国務大臣 一つの考え方であろうかと思いますが、私もいましばらく勉強させていただかないと、戸田さん、私もこうですと言うだけの自信が今のところございません。
  286. 戸田菊雄

    ○戸田委員 あとまた課題もありますから、これ一点で終わります。  公社の葉たばこ農家に対する助成措置は十分わかりましたけれども資料は読み上げませんのでちょっと議事録に載りません。品質改善高能率生産施設整備事業、これは総体で三十三億七千四百万。内容等は時間がありませんから読み上げません。これは間違いありませんね。これだけ確かめておきます。
  287. 生平幸立

    ○生平説明員 間違いございません。
  288. 戸田菊雄

    ○戸田委員 駆け足で、項目的に非常に細かい問題で、しかし内容は極めて重要な問題でありますから、そういう点についてぜひ今までの確認をした内容等についてそのとおり実行されるように希望をいたします。そして総体的に大臣に、今までいろいろと御答弁のあったその内容等についてはぜひ誠実に実行していただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕     —————————————
  289. 瓦力

    ○瓦委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま議題となっております各案について、地方行政委員会及び農林水産委員会より連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾し、連合審査会を開会することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  290. 瓦力

    ○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会は明十二日午前九時五十分より開会の予定でございます。      ————◇—————
  291. 瓦力

    ○瓦委員長 租税特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、理事会等において協議を続けてまいりましたが、その結果に基づき、越智伊平君、熊川次男君、中西啓介君、中村正三郎君、伊藤茂君、野口幸一君、坂口力君及び米沢隆君から、四派共同をもって、お手元に配付いたしておりますとおりの租税特別措置法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの提案がなされております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。越智伊平君。
  292. 越智伊平

    ○越智委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び大要を御説明申し上げます。  御承知のとおり、去る三月、自由民主党・新自由国民連合と日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の三党派との幹事長・書記長会談において合意を見た、給与所得控除の最低控除額を二万円引き上げる立法措置について、先般来、当委員会の各党派間で御協議願いました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。  以下、本起草案の趣旨及び大要を御説明申し上げます。  本起草案は、さきに政府提案による所得税法等の一部を改正する法律案の成立により、配偶者控除の適用対象となる配偶者の給与の収入限度額が八十八万円に引き上げられたところでありますが、最近における社会経済情勢にかんがみ、いわゆるパート主婦の配偶者控除の適用対象を緩和する等のため、さらに、その限度額を二万円引き上げて九十万円とする特別措置を行うものであります。  すなわち、昭和五十九年分以後の所得税について、所得税法本則で定める給与所得控除の最低控除額五十五万円を五十七万円とする特例を定めるとともに、これに伴う所要の調整措置を講ずるものであります。  なお、本案による国税の減収額は、昭和五十九年度において約百五億円と見込まれております。  以上が本起草案の趣旨及び大要であります。何とぞ御賛成をくださいますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————  租税特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  293. 瓦力

    ○瓦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。竹下大蔵大臣
  294. 竹下登

    竹下国務大臣 この法律案については、政府といたしましては諸般の事情に照らしてやむを得ないものと考えます。
  295. 瓦力

    ○瓦委員長 お諮りいたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、お手元に配付の草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  296. 瓦力

    ○瓦委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  なお、法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  297. 瓦力

    ○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  298. 瓦力

    ○瓦委員長 次に、連合審査会開会申し入れの件、についてお諮りいたします。  逓信委員会において審査中の日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について、連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 瓦力

    ○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、関係委員長間で協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。  次回は、明十二日木曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十八分散会      ————◇—————