運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-07-04 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月四日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 瓦  力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       熊谷  弘君    小泉純一郎君       椎名 素夫君    田中 秀征君       中川 昭一君    東   力君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    村上 茂利君       山岡 謙蔵君    与謝野 馨君       川崎 寛治君    沢田  広君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       堀  昌雄君    柴田  弘君       宮地 正介君    安倍 基雄君       玉置 一弥君    正森 成二君       簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵大臣官房審         議官      山崎 高司君         大蔵大臣官房審         議官      橋本 貞夫君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君  委員外出席者         臨時行政改革推         進審議会事務局         参事官     新村 淳一君         大蔵省主計局共         済課長     坂本 導聰君         厚生省保健医療         局健康増進栄養         課長      大澤  進君         自治省税務学府         県税課長    湯浅 利夫君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本専売公社総         務理事     岡島 和男君         日本専売公社総         務理事     西村 忠弘君         日本専売公社総         務理事     森  宗作君         日本専売公社理         事       生平 幸立君         日本専売公社理         事       遠藤  泰君         日本専売公社理         事       丹生 守夫君         日本専売公社企         画開発本部研究         開発部長    中山 道夫君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 七月四日  辞任         補欠選任   山田 英介君     矢追 秀彦君     ――――――――――――― 七月三日  公共事業用地取得に伴う税制の改正に関する陳  情書外一件  (第三三二号)  北海道における燃料手当の非課税に関する陳情  書外三件  (第三三三号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  たばこ事業法案内閣提出第七四号)  日本たばこ産業株式会社法案内閣提出第七五  号)  塩専売法案内閣提出第七六号)  たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出第七七号)  たばこ消費税法案内閣提出第七八号)     ―――――――――――――
  2. 瓦力

    瓦委員長 これより会議を開きます。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍基雄君。
  3. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この委員会が開かれまして、随分いろいろなことが議論されましたから、今さら掘り出すべき問題も少ないかと思いますけれども、若干の重複は勘弁していただきまして、私なりに私の質問をさせていただきたいと思います。  私自身考えますのに、どうもこの議論過程臨調答申がいわば憲法みたいな感じを何となくみんな持っておる。臨調答申に沿う、沿わないということが何となく一番の論点になっておるかと思いますけれども臨調答申そのものについても私はでき、ふできがあるのじゃないかという感じがするのでございます。委員の一部から、臨調答申を果たしてこのまま守るのかという質問もあったわけでございますが、この点ひとつ、ちょっと行管関係と申しますか、臨調関係の方にお聞きしたいのでございます。  万が一大蔵委員会が全く別のリポート結論を出す、例えばアメリカなんかの場合には、上院の外交委員会とかいろいろな委員会がそれぞれのリポートを出すわけでございますが、大蔵委員会が全く臨調答申と相反する結論を、今すぐ出すというわけではないのでございますけれども、出したとするならば、いわばそれの取り扱いと申しますか、臨調答申との関連をどうお考えになるか、臨調関係の方の御答弁をお伺いしたいと思います。
  4. 新村淳一

    新村説明員 お答え申し上げます。  大変微妙な問題でございまして、今直ちに的確にどうお答えすべきか、非常に難しい問題だと思うのでございます。  ただ、臨調答申内閣総理大臣答申を申し上げ、そしてこれは緊急答申にも書いてあるわけでございますが、臨調答申が提案いたしました「行政改革実現には国会政府がその総力を挙げて取り組む必要があることはいうまでもないが、それにもまして決定的なものは、国民の理解と協力である。」ということを緊急答申の序文のところで書いてあります。  私ども現在の臨時行政改革推進審議会は、臨調組織の後の組織でございまして、臨調答申自体について、今先生のおっしゃいましたような微妙な取り扱いについて最終的にどうお答えするかというお話はもう少しよく吟味しなければいけないと思いますけれども臨調答申総理に御意見を申し上げ、そして国会にも報告するという扱いになっておる。そして、臨調答申政府国会がその改革をできるだけ実現していただきたいということをお願い申し上げておる、そういう立場にあると私ども考えております。
  5. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私自身の見方は、臨調答申行政府に対する答申である。でございますから、行政府法案を提出するときには当然それを尊重して、それに基づいてつくっていかなければいかぬ。しかし、立法府別個立場考えることはできる。国会に尊重してくれというのは臨調の希望であって、臨調そのもの総理大臣のいわば諮問機関としてできたわけでございまして、国会全権白紙委任をしたのであれば、国会はその結論に従う必要はあるかと思いますけれども白紙委任をしていなければ、その内容はあくまで参考であって、委員会別個結論を出すことを妨げるものではない。その場合に総理大臣がそれをどう取り扱うかということは、大蔵委員会結論を尊重しなければ法律が通らないという意味合いにおいて事実上の力を持つというぐあいに考えるのでございますけれども、いかがでございますか。
  6. 新村淳一

    新村説明員 お答え申し上げます。  繰り返しになりまして恐縮でございますが、臨調答申につきましては、内閣総理大臣意見を提出し、国会に報告を申し上げる、そして内閣総理大臣はその意見を十分尊重して処理をされる、これが臨調をつくりましたときの法律上の立て方でございます。そして、それを実現していく過程政府はその趣旨を十分尊重されて対処され、最終的には国民を代表される国会において適切に対処される。  ただ、臨調お願いしておりますことは、臨調答申がいろいろ御提言申し上げました行政改革内容を、政府国会が全力を挙げてその趣旨実現に対して取り組んでいただきたいということを臨調答申は御提言申し上げている、さようなことであると心得ております。
  7. 安倍基雄

    安倍(基)委員 したがいまして、私の理解するところは、大蔵委員会としては別個の見解もとることができる。もし大蔵委員会アメリカ委員会と同じレベルでもって立法の準備ができる、議員立法もできる、研究機関もあるという力を持っておりますならば、名実とも臨調答申とはまた別個大蔵委員会リポートというものも出し得ると思うし、そういった形でこれから国会が動くことも考えられる。場合によっては、瓦レポートというような形で臨調答申別個リポートも出せるというぐあいに理解いたしますけれども委員長、いかがでございますか。
  8. 瓦力

    瓦委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  9. 瓦力

    瓦委員長 速記を起こして。  安倍基雄君。
  10. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今どうお思いになるかということを突然お伺いしたのでございますけれども、私が言いたいことは、臨調答申そのものはあくまで行政府に対する勧告であって、国会最高機関でありますから、国会は全く別個答申もできるのである、この点は明らかではないかと思うのでございます。その意味合いにおきまして、臨調答申があたかも憲法であるかのごとき取り扱い国会において行う必要はないと考えます。この点、委員長、どうお考えですか。——それでは、この辺にして、それは余り追及いたしません。いずれにせよ、こういった考え方が理論的には正しいのじゃないかと私は考えております。  その次に、それでは臨調答申の場合に国鉄電電専売それぞれにつきまして、独占をやめる、民営に持っていくということを考えた根拠、何で国鉄電電専売独占であったのか、その独占を何で今度やめるのかということについての臨調答申の基本的な考え方臨調関係の方からお聞きしたいと思います。
  11. 新村淳一

    新村説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、電電専売は、戦後、国有企業形態から公社形態に移行したわけであります。それぞれにつきまして独占形態がなぜとられていたのか、それは昔のいろいろな経緯があるわけでございますが、私ども臨調の後組織として承知している範囲でお答えを申し上げますと、電電の場合には、公衆電気通信サービス公共性、それを一元的に運営していく、そして戦後の復旧から早急な立ち直り、普及を図る、そういうようなポイント、目的があったかと思われます。それから専売につきましては、やはり独占形態がとられていたわけでございますが、それは専売制度として財政収入を確保していくため一元的な事業運営を行っていくのがふさわしい、そういう歴史的な経緯があったものと思われます。  それで、臨調答申におきましては、それらにつきまして、表現の微細な点はございますが、基本的には民営化の方向ということを提言申し上げたわけでございます。  その提言趣旨は、それぞれのポイントを申し上げますと、公社現状を見たときに、なかなか企業性が発揮されにくい状況になっているというふうに臨調答申では第三次答申認識をいたしております。そしてその問題を解決していくために、公社制度について外部的な制約に対応して経営自主責任体制を確立し、合理的な企業経営が可能な形態にすることが必要ではないか、そういうふうに考えまして、経営形態民営またはそれに近い形態に持っていくことが必要であると考えた結果、提言をしたものであると私ども臨行審といたしましては心得ております。
  12. 安倍基雄

    安倍(基)委員 歴史的になぜ独占とされたのかということについて必ずしもはっきりした答弁ではありませんけれども、私の理解するところは、当初国鉄独占化されたのは、明治における軍事的な意味あるいは産業的な意味があったかと思います。電電、この通信関係独占は、やはり公共的な部門を国が押さえなければいかぬ。じゃ専売は何かと申しますと、これはあくまでもたばこという物品の性格から来る。財政収入と申しますが、これは全く商品性格から来るものだ。と申しますのは、たばこの場合には原価というものはそう大した額じゃない。それを市販すれば相当の価格でも売れる、原価販売価格が相当離れてもいい、いわゆる嗜好品であるという性格でございます。それから要するにこの差益をどうするか、これをやはり財源とすべきではないかということから来たかと思うのでございます。私の聞いておりますところは、明治の当初はたばこ消費税だった。ところが日露戦争の始まる直前に消費税形態にするかあるいは専売方式にするかという非常な論議がありまして、その結果できるだけたくさんのお金を国へ取り込むという意味専売制度になったかと私は理解しております。  したがいまして、このそれぞれの独占意味は必ずしも同じではない。今回の臨調答申はいろいろの理由を挙げて専売民営にすべきだという議論をしておりますけれどもたばこ産業特質がいわゆる通常のものと違うということでございます。これはちょっと質問事項にあらかじめ言ってないものですから、こちらから質問すると申しわけないから。私がたばこ産業特色考えますと、一つ国鉄電電のようなものは技術革新が非常に問題になる。たばこの場合には、技術革新といえば製造の機械の革新ということがあり得るけれども、そう本質的な問題はない。もう一つは、需要の開拓に限度がある。果たしてそれはたくさん売れた方がいいのかどうかという問題があるのでございますが、それとの関連で私は厚生省大蔵省の方にお聞きしたいんですけれどもたばこを何か「吸いすぎに注意しましょう」とラベルを張って売っている。こういった商品というのはほとんどないのでございますけれども厚生省の方にお聞きしたいけれども、このたばこは売れた方がいいのか売れない方がいいのか、ちょっとお聞きしたいと思います。    〔委員長退席中西(啓)委員長代理着席
  13. 大澤進

    大澤説明員 お答えいたしたいと思います。  大変微妙な、どうお答えしていいか難しい問題かと存じますが、厚生省といたしましては、かねてから、一般的に喫煙というものは健康に悪い影響を及ぼすということで、保健所等を通じましてそれらに関する健康教育をしてまいったわけでありまして、国民において過度の喫煙が行われぬよう啓発普及を行ってきておるところでございます。しかし、たばこというのは御存じのように嗜好の問題あるいは習慣と深い関係もございまして、なかなかこの趣旨の徹底というのは難しいわけでございますが、我々といたしましては、今申し上げたような観点からこの趣旨が徹底されることを強く望んで、今後ともその健康教育に努めてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  14. 安倍基雄

    安倍(基)委員 何だかちょっとわかったようなわからないような答弁でございますけれども、これは大蔵省立場から言えば売れた方がいい、売れてたくさん税収が上がった方がいい。しかし厚生省立場から言うと、余り売れ過ぎても困る。ということは、余り安くなり過ぎても困る。大衆の手の届くところにあることはいいわけでございますけれども、例えば価格が今の半分になるあるいは三分の一になるという話で果たしていいのだろうかという問題が起こる。  その面におきまして、需要が停滞しておると申しますけれども需要はある意味からいいますと価格の関数である、したがいまして、これをもっともっと安くすれば恐らく需要がふえるでありましょう。ただ、二分の一、三分の一に安くしてもいいのかどうかというような問題がある。これは電電とか国鉄とかいった部門はできるだけ合理化してできるだけ安く、その安い価格でみんなが利用できるということが必要でございますけれどもたばこの場合には、ある程度下げるにしても制約があるという要素があるわけでございます。いわば、第三の特色としましては第一次産業と密接な関連がある。原料を農業に頼っているということでございます。こういった意味合いにおきまして、たばこ特質たばこ産業特質、その両面からいって、これが長い間専売制度であったのではあるまいかと思うのでございます。  したがいまして、臨調が三公社それぞれを民営にするという横並び的な感じでもって一刀両断に民営化ということにつきまして、私は決して今ここで民営化がいかぬと言ってない、ただその論拠があいまいのままに何となく民営化路線を打ち出しておる。したがいまして、それぞれのいろいろの部門で非常にあいまいな答申というか表現が行われている。いささか口幅ったい言い方をしますと臨調専売についての答申が余りできがよくないんじゃないかと言うゆえんは、こういった専売特色というものを、この三者の違いというものを十分掘り詰めた上での民営化の提案だったんだろうか。民営による民間活力の利用ということは非常に聞こえはいいのでございますけれども、もしたばこというものが、合理化することによって値段を下げれば下げるほどいいというのであればそれも一つ考えでございましょうけれども、下げるにも限度がある、むしろ財政収入を中心に考えるべきなんだということを考えますときに、いわゆる三公社横並び民営化というのが果たしてよかったのかどうか、いささか疑問なしとしない。この点について、突然でございますけれども大蔵大臣の御意見を承りたいと思います。
  15. 竹下登

    竹下国務大臣 今の問答を聞いておりまして、一つには臨調答申というものは、先ほど来議論が行われておりますが、これは本院で議了していただいた法律に基づいて、一番前には佐藤喜一郎さんのときでございますから第一次臨調、それから先般が第二次臨調がその基本方針を決定する。そしてその臨調答申を、いわゆる行政改革推進本部でもってそれに基づいてもろもろの行政行為なり、あるいは立法府へのお願いをする、そういう筋で今日来て、そこで行革審は今度はそれらのフォローアップというような観点から今日いろいろな作業を進めておられる、こういうことであろうと思っております。  臨時行政調査会の中の議論で、国鉄、それから電電専売がいわば同列といいますか、その形で議論されたとは私は思いません。確かに特別な専売物資であるし、そして一方、先ほど来お話しのごとく健康に害があるという範疇の商品であるというようなところに、私どももいつもたばこと健康の問題を承りながらたばこを吸って答弁しているのですから、非常な矛盾を常日ごろ感じております、率直なところ。だから、財政物資だからとはいえ、ただいたずらに売らんかなというだけではいけないであろう、そこにおのずからなる節度が必要であろう、こういうことに相なろうかと思うわけであります。したがって、臨調においてもその種の議論は十分された上で今度お出しいただいた結論であるというふうに私は認識をいたしております。しかし、やはりその産業にかかわる分野の方々、例えば労働組合を含めた当事者、それから耕作者あるいは小売店、そういう関係者が多いだけに、これらの人といろんな連絡協議を重ねた上で今次の法律案お願いをしておるということに相なるわけであります。  しかし、基本的にはもう一つは、やはり開放経済貿易立国をもって立つ我が国としては、その分野からの見方というものももう一つ大きな意義であるではなかろうかと思うわけであります。しかし、現状においてはということで、臨調答申から見ればあるいは後退したではないかという新聞論調等もいただきながら、これが最も現実的であるということでお願いをしておるわけでございます。  したがって、今安倍さんがお話の中に自問自答しておられると推察されると同じように、私も自問自答しながらお答えしておるというのがこのたばこに関する法律に対する私の偽らざる心境ではないかというふうに考えております。
  16. 安倍基雄

    安倍(基)委員 大臣の率直な御意見を承りましたが、臨調答申で幾つかの民営化理由を挙げております。一番目が需要の停滞、それとともに外国との競争、二番目が十二カ月の在庫とか三倍強の原価とか。実はこの十二カ月の在庫とか三倍強の原価とか、こういうことは民営官営にかかわらず、むしろ官営公社のもとにでもきちっと処理のできた問題であったわけでございます。臨調答申はいみじくも政府もしくは国会の関与のためにこういったようなことができなくなると言っておりますが、これは政府もしくは国会の方がある意味からいうとだらしなかったというか責任があるのでございまして、これは民営化をしなければできない問題ではなかったと思います。  しかし、外国との競争という面におきまして、果たして今までどおりのやり方でやっていけるのかどうかということが大きな問題である。その意味合いにおきまして、基本的には私は今回の公社から特殊会社への移行ということは間違ってはいないと考えておりますが、しかしその場合にどうするのかと申しますと、やはり合理化によって原価を下げていく。ただ、原価が下がった、それと並行させて定価を下げていくのかというところにはいささか問題がある。もちろん大衆の手の届くところという、安い方がいいという要望はございます。しかし、通常電電あるいは国鉄合理化すればその分だけ全部下げれば下げるほどいいという性質のものではないと私は考えております。  それとの関連におきまして、定価制度の問題に移りますけれども海外主要国の中で定価制度をとっている国、とっていない国、その税率、そして国民一人当たり所得に対して一般の銘柄が格安であるかどうかということを主要国についてお答え願いたいと思います。
  17. 遠藤泰

    遠藤説明員 お答えを申し上げます。  製造たばこ定価制度につきまして私ども調べてみましたところでは、外国の場合に、専売国でございますフランスイタリー、それからオーストリーという国々においてとられているほか、専売国ではございませんけれども西ドイツなりベルギー等の国においても採用されているというふうな実情にございます。  これらの定価制をとっております国と定価制をとっていない国におきます税率小売定価というふうなことを比較をいたしてみますと、税率につきましては、付加価値税を除いたものでございますけれどもばらつきがございまして、四七%ないし六一%程度の中にばらついてございます。私ども拾ってみましたのは、専売国としてイタリーフランスオーストリー、それから非専売国といたしまして西ドイツイギリスアメリカというものを比較した感じでございます。これは定価制度の有無による差異ということではなくて、それぞれの国におきます税制上の違いからこういうことになっておるのではないかと思います。
  18. 安倍基雄

    安倍(基)委員 付加価値税を含めると大体どのくらいになりますか。
  19. 遠藤泰

    遠藤説明員 付加価値税を含めました場合には、これも若干ばらつきがございますけれども、七〇%ないし七五%ぐらいの税率になろうかと思います。
  20. 安倍基雄

    安倍(基)委員 代表銘柄国民一人当たり所得に対する比較というのを私は調べてもらうように言ってあったはずでございますけれども、ちょっとその辺を御説明願えますか。——それでは、私はレクチャーの過程で聞いた語ですから、まあ余り正式に質問しておりませんでしたからあれでございますけれども、例えば個人当たり所得イギリスあたり日本よりもちょっと低い百七十万円の個人所得のところで代表銘柄が三百九十七円、西ドイツでは国民所得一人当たり二百十五万のところで三百七十八円、日本の場合には一人当たり国民所得が百八十五万円のところで二百円という形でございますから、ほかの国の場合には日本よりも大分高くなっているということは理解できるかと思います。  私は、何もここで税を上げろとか言っているのじゃないのでございますけれども、いずれにいたしましても、各国において意外とたばこは高いものだな、と。アメリカの場合には、ちょっとその辺が相当低くなっておる。もっとも、これは一人当たり国民所得が二百五十万円のところで二百六十五円ということでございます。これは御参考まででございますけれども、いずれにいたしましても、定価制度というものを多くの国はとっておる。  そうすると、今回の御説明で、当分の間、定価販売義務を置くというけれども、どのくらいの期間置くのか、あるいはその理由づけは何かということを聞きたいと思います。
  21. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  当分の間、定価制度を置くということにしておるわけでございますけれども先生御案内のように、たばこにつきましては、明治三十七年以来約八十年もの長い間にわたりまして定価制というものをとってきておるわけでございます。したがいまして、その間におのずと一定の流通秩序というものが形成されておるわけでございますが、この定価制を一挙に廃止いたしました場合には流通秩序の混乱を招く、一部小売店等による廉売が行われるようなおそれもあり、御存じのように、全国二十六万店のたばこ小売店の大半、やや古い統計でございますけれども、七五%以上が月当たりの売り上げが百万円以下であるというような零細経営者が多い状況でございます。そういう既存小売店に大きな打撃を与えるなど、深刻な社会問題を引き起こすおそれがなしとしない、そういう意味で、激変回避という見地から「当分の間、定価制を維持すること」としたわけでございます。  ところで、この当分の間でございますけれども、輸入自由化後、新たな流通秩序が形成されまして、定価制を廃止いたしましても小売に対して激変が生じないというような状況に至るまでの間、この間においては定価制が維持される必要があると考えておるわけでございます。したがいまして、事柄の性質上、その時期がいつになるかということにつきましては、現時点においては明らかにするのは非常に難しいのではないかと思っております。
  22. 安倍基雄

    安倍(基)委員 臨調答申におきまして「定価制度については、政府において検討する。」という文言がございますけれども、これは、将来自由化をするという意味であるのか、そういった定価制度をそのまま続けるという意味合いも含めた意味答申であるのか、いずれでございますか。
  23. 新村淳一

    新村説明員 お答え申し上げます。  臨調答申におきましては、「定価制度については、政府において検討する。」という提言をいたしております。これは、答申では、たばこ、消費税の課税標準と定価制度税制面と定価制度というものが密接な関連を有していること、それから別途、別の場所で答申では、たばこ消費税のあり方につきましては政府において検討すべきであるということを御提言申し上げているわけでございますが、それとの関連で、税と定価という問題は政府において検討していただくことが適当ではないかと考えたということでございます。  その審議過程としては、臨調内部で、私どもが承知している範囲では、ある程度自由化をすべきであるとか、いやそうでない、いろいろな意見があった末、そこは政府において適切に検討すべきであるという提言を行ったと承知しております。
  24. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この定価制度を当分の間続けるのがいいのか、それとも定価制度そのものというものはあるいはたばこ性格からいって保持すべきものかどうか、その辺は、臨調の今の話だと必ずしも決めたわけではないというようなぐあいに私は聞いたわけでございます。これはいろいろの議論もございましょうけれども、当分の間持続して、後は自由にするのかどうかというのもいささか一つの問題点ではあると私は考えております。  これは、一番最初にお話しいたしましたように、単に安ければ安いだけいい、合理化すれば運賃も安くなる、通信料も安くなる、技術革新によってぐんぐん安くするというのと、たばこ産業は若干意味が違うのではないか。もちろん、余り高くなっては困る。やはり庶民の手の届く値段でなくてはいけない。ただ、この定価制度そのものを当分の間持続すべきなのか、あるいはもう少し、定価制度そのものをむしろ維持すべきなのか、いささか問題なしとはしないのではないかという感じがするのでございますけれども、この点、どなたの御意見を承ったらいいか、どなたかお答えいただけますか。
  25. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  私どもたばこについて定価制を採用することとした考え方は先ほどお答え申し上げたとおりでございますけれども、従来、国がたばこの流通について専売権を持っていたわけでございますけれども、今後、専売制度の廃止のもとにおきましては、小売店につきましていわば営業の自由というものが復活するわけでございます。そういう状況の中におきましては、小売店の営業あるいはその売るべき商品価格をいかに定めるかということは、本来的にはそれらの小売業者あるいはメーカー、輸入販売業者等が決めるべきものであろうかと思うわけでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたような理由によりまして、一挙にそういうことを行ったのでは、八十年来の伝統的な流通秩序の中で生活してこられたいろいろな零細なたばこ小売店であるとか、あるいはたばこ小売店の中には特に社会政策的な見地から、寡婦であるとかあるいは母子家庭の母であるとかあるいは身体障害者であるとか、そういう方について配慮も行われていることでございますし、そういう方々に非常な激変が及ぶということは決して好ましいことではないというような観点から、繰り返しになって恐縮でございますが、激変回避という観点から定価制を維持するという判断をしたわけでございます。そういう意味におきまして、これはその具体的な時期は先ほど申し上げましたように明示できないことでは。ざいますけれども、やはり当分の間とすることが適当であろうかと考えておる次第でございます。
  26. 安倍基雄

    安倍(基)委員 定価制度の問題はその辺でおきまして、今回のいわば特殊会社への移行というのは、一番の問題はいわゆる合理化によって原価を下げていくというところに主眼があると思います。民間経営的なセンスを持ってこれを下げていく。それは原料段階、加工段階、流通段階、それぞれの合理化を進めていく必要があるかと思いますけれども、ちょっと話がジャンプいたしますけれども、それぞれの段階で公社としてはどのように合理化を進めていこうとしておられるのか。それでしかも、その中でどれに重点を置いていこうとしておるのかということについての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  27. 長岡實

    ○長岡説明員 たばこ消費が構造的に停滞傾向にあります中で、輸入自由化に伴う市場競争の激化が想定されますことから、日本たばこ産業集団の中核的な存在といたしまして私どもが市場競争にたえ得るように経営全般の合理化に邁進せざるを得ないことは申すまでもございません。そのために、御指摘のように原料調達の効率化から始まりまして、原料工場、製造工場での生産性の向上と合理化の推進、最後には営業体制の強化、物流の整備、また全体を通じての間接部門の簡素化等、事業全般にわたる効率化が必要であると考えて、現在その具体案を鋭意検討中でございます。  どの部門から合理化を進めるべきであるか、どの部門に最重点を置くべきであるかというような順序をつけて行うべき問題と申しますよりは、私どもは全社的と申しますかあるいはたばこ事業全般について各般についての合理化策を検討しておると申し上げた方が現状を御説明申し上げるのには正しいのではないかというふうに考えております。
  28. 安倍基雄

    安倍(基)委員 以上は大体の総論でございますけれども、私考えますのに、このたばこの問題というものは、臨調答申もさることながら、たばこというものの原点に立ち返って考えてみなくてはいけないんじゃないか。第二といたしまして、たばこ産業というのは何も耕作者のためにあるものでもない、専売職員のためにあるものでもない、これはやはり国の財政ということを中心に、しかも消費者と、その両方を絡めて考えるべきであるということかと思います。どちらかと申しますと、今まではたばこ耕作者——もちろん激変緩和措置は必要でございます、これはよく考えなくてはいけないわけでございますけれども、基本的には今までのやり方がそういった耕作者保護ということに余りに重点が置かれておったのではないか、これがある意味からいいますと、臨調民営化をすべきであるということを持ち出してきた大きな原因であるかと思うのでございますから、この点につきましてこれから論議をしておきますけれども、こういった考え、基本原則に立って考えていかなければいかぬと考えるのでございます。  次に移りまして、今回の特殊会社移行の基本となりました輸入自由化の問題でございますけれども、これとの関連で私が第一にお聞きしたいのは、主要国において外国たばこのシェアは大体どのぐらいになっておるのか。  もう一つは、米国の巨大企業が買収等を通じて世界におけるシェアを拡大しておると聞くけれども、その実情はどうかということでございます。
  29. 遠藤泰

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  主要国におきます外国産のたばこのシェアはどうなっているかという点につきまして、一九八二年の実績で私どもが把握しておるところによりますと、アメリカの場合には〇・一%ということで大変少のうございますが、イギリスで三・七%、ドイツが四%、フランスが三三%、イタリーで三四%というふうな輸入品のシェアになっておるところでございます。それから外資系の企業のシェアが今申しましたような国々の場合にどれぐらいになっておるかということにつきましては、アメリカの場合には一三%、イギリスの場合に三二%、西ドイツにおきましては六七%ということで、フランスイタリーにつきましては、専売制下での一社独占製造体制をとっております関係上、当然のことでございますが、外国系企業のシェアはございません。  それから、二番目のお尋ねの欧米有力たばこ企業がどのような形で海外に進出をしているかというお尋ねについてお答えを申し上げたいと思います。  現在世界的に見まして、たばこ産業の中で私ども通常ビッグスリーと呼んでおります大変な巨大な企業がございます。たばこ産業は歴史的な経過の中で、その産業特性ということもございまして、世界市場が非常に寡占化しつつあるということから、イギリスに本拠を置きますBAT、それからアメリカに本拠を置きますフィリップ・モリス、それからR・J・レイノルズ、こういうところが現在世界市場におきまして大変な寡占化を実現しておるということでございます。  この三社の世界市場におきますシェアということでお話を申し上げますと、一九八二年でございますが、BAT社が一九%、フィリップ・モリス社が一七%、R・J・レイノルズ社が一二・八%、これを合計いたしますと約五〇%になります。したがいまして、これは自由国市場ではございますが、この三社が世界市場の約五割を占有しておる、こういうふうな状況でございます。  こういう寡占化が進む過程におきましては、いろいろな国に対しましての資本進出ということで、現地たばこ企業を買収するとかあるいは積極的に資本参加をするとかいうことで、幾つかの企業を系列化するという中でこういったシェアを確保するような現状に至っておるというような状況でございます。
  30. 安倍基雄

    安倍(基)委員 そういたしますと、さっきの、イギリスとかドイツの輸入たばこのシェアは非常に低いけれども、結局外資系企業が生産しているために外国たばこのシェアが、例えばイギリスでは三二、ドイツでは六七となっているということでございますね。
  31. 遠藤泰

    遠藤説明員 お話のとおりでございます。ドイツの場合でございますと、資本系列ということで見てまいりますと、ドイツのいわゆる民族系資本で経営されておりますのはレムツマ一社でございます。今先生の御指摘のとおりだということでございます。
  32. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今承りますと、いわゆるビッグスリーで大体世界の五〇%を占めておるという話でございます。こういう面におきますと、いわゆる製造独占を将来どうするのかという問題について非常な大きな問題が出てくるかと思います。  それに移ります前に、次に、きのうでございましたけれども、柴田委員から内外の価格差と申しますか、それについて非常に詳細な御質問がございました。一体競争力があるのかないのかという話がございましたけれども、輸入たばこ価格決定の仕組み、これまで、どうなっているのか、これからどうなるのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在輸入たばこの小売価格につきましては、一定の価格式と申しますか、購入原価、これに二〇%相当の関税がかかるわけでございますけれども、これに販売管理費、これは公社外国たばこの輸入業者との間で決まっているものでございますが、一定の販売管理費、それに地方たばこ消費税専売納付金並びに小売マージンを加えたものが小売価格になるわけでございます。  こういう算式によって決定されているわけでございますけれども改革後におきましても引き続きこのような価格式に基づき定価申請が特定販売業者からございました場合には、原則として申請どおり認可をするというふうに考えておるわけでございます。  ただこの場合、販売管理費につきましては特定販売業者が主体的に決めることになると思いますとともに、小売マージンにつきましては、特定販売業者と小売販売業者、中に卸売販売業者が介在する場合もございましょうが、そういうものを含めて、流通マージンにつきましては特定販売葉者と小売販売業者もしくは卸売販売業者との間の契約により定められることになるというふうに考えております。
  34. 安倍基雄

    安倍(基)委員 そういたしますと、いわゆる向こうが非常に低いCIF価格で持ってきてやった場合に、幾ら安くてもそれはそれなりでチェックできない、それなりの定価をつけてやらなくてはいけないということになると思います。その結果、例えば不良品、粗悪品、それから非常に安い値段で輸入してきたもの、一つ考えられますことは、ビッグスリーなんかの場合には、たばこ以外にいろいろな事業を兼営してございますから、そういったところの利潤をつぎ込んでたばこ部門における利潤を非常に狭めて低く、少なくして、いわゆるダンピング的な攻勢をかけてきたときには、どういうことをなさるのでございますか。
  35. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ただいま輸入たばこ価格決定についてのいわば原則的な場合を申し上げたわけでございますけれども小売定価につきましては、輸入自由化による国内での公正な競争を通じておのずと妥当な水準になるものと期待しているわけでございますけれども、一方、基本的には特定販売薬者が申請し認可を受けた定価で小売販売業者は販売しなければならないという義務を負っているわけでございますので、そういう価格が不当のものであってはならないということもまた事実でございます。  今御質問のように、例えばダンピングというような場合でございますけれども、ダンピング関税あるいは緊急関税という制度があるわけでございますが、こういうものが課されるような不当に低い価格については、あらかじめ大蔵大臣がチェックする仕組みになっているわけでございます。
  36. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私の理解によりますと、ダンピング関税というのはなかなか発動しづらいというぐあいに聞いておりますけれども、過去においてダンピング関税をいろいろ発動した例があるのでございますか。
  37. 山崎高司

    ○山崎(高)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、ダンピング関税の発動例というものはございませんが、ダンピング関税に関連いたしまして、不当廉売関税あるいは相殺関税というふうな問題の申請があって調査をしたという事例はございます。また調査をしていきます過程で、先方がそうした不当な行為を取りやめるのでこれは取り下げになったというふうな例もございます。  いずれにいたしましても、先ほど専売公社監理官から御説明ございましたように、ダンピング関税に該当するようなケースあるいは不当に補助金つきの輸出が行われるというふうなことがございまして、国内産業に損害が生じるような場合におきまして、国内産業を保護するためのアンチダンピング関税とか相殺関税というふうな制度が関税定率法とかガットコード等によって設けられているわけでございますから、万一、輸入製造たばこの輸入自由化後、こうした諸規定の要件が充足されるような場合には、このアンチダンピング関税等を発動して国内産業の損害を防ぐことは可能な仕組みになっております。
  38. 安倍基雄

    安倍(基)委員 昨日、柴田委員からも原価的なことをいろいろお聞きいたしましたので、若干重複するかと思いますけれども、現在の状況で、二〇%の関税というところで外国たばことこちらの国内産たばことの競争力ということについてどのようにお考えになっておりますか、お考えをお聞きしたいと思います。
  39. 岡島和男

    ○岡島説明員 現在のところは、輸入品に対しまして二〇%の関税が課せられているわけでございます。それをもとにして輸入品の価格も計算されておるわけでございますけれども、現在のところ、輸入品の主力銘柄は二百八十円ということでございます。それから公社の主力製品の価格は二百円ということでありまして、八十円ぐらいの価格差が一応ついているわけでございます。  そういう中におきまして、国内品の方は、全体として需要が横ばい程度、輸入品が対前年二割ぐらいの伸びを示しているということでございます。これが将来どの程度にどうなるかということになりますと、一概に予測はできないわけでございますけれども、二百八十円と二百円というような価格差がある場合には、どこかでこのシェアの伸びというのも一定のところに落ちつきまして、そこで競争の結果、私どもの方の国産品と輸入品とが競争上拮抗できるという場面が来るのではないかと思っております。  ただ、先方がどのような輸出価格を持ってくるかということにつきましては、今のところ定かでございません。そこが私ども、これから向こうの出方を見なければ何とも言えないわけでございますけれども、一方において、小売マージンが現在のところ輸入品は八・五%になっておりますが、それを一〇%にするというようなことが輸入品を同じように扱う小売店の方からも要望がございますし、そういう価格引き上げ的な要素もございます。それから先方におきましても原価は若干ずつ上昇しているという面もございまして、その辺のところは軽々に予測できないわけでございますけれども、向こうがそう大幅に、急速に値段を下げてくるということも、現在のところは直ちに想定はされないんじゃないか。  ただ、私どもとしては先方が輸出価格をある程度引き下げてくるということも想定いたしまして、私どもの国産品の定価が今後できるだけ長い間安定するように、定価の引き上げが行われないで済むように、私どもとしては生産、製造、流通の各分野にわたりまして合理化を図っていかなければならない、こんなふうに考えておるわけでございまして、大変に抽象的なお答えで恐縮でございますけれども、そういう中において、輸入品に対して負けないように国産品の競争力を培ってまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  40. 安倍基雄

    安倍(基)委員 さっきお話しいたしましたように、ビッグスリーあたりは、今まではすべて卸売的な役割を公社が持っておりましたけれども、これからは自由にできるわけでございますから、相当価格的なサービスというか、ほかの部門でもうけた部分をつぎ込んでも市場に乗り出してくる可能性もあるかと思います。こういったことを勘案したときに、関税率ということが非常に問題となると思うのでございますけれども、この点、既に質問もあったかと思いますけれども大蔵大臣、今後の関税率についてどうお考えでいらっしゃいますか。
  41. 竹下登

    竹下国務大臣 九〇、三五、二〇、これがここのところ数年間に急激に関税を下げたわけであります。したがって、私は今の二〇が適切なものであるという考え方の上に立っております。
  42. 安倍基雄

    安倍(基)委員 そうすると、将来いろいろの要求があってもそこは頑張るということでございますか。
  43. 竹下登

    竹下国務大臣 二〇が解決つきましたのは五十八年からですから、私が大蔵大臣に就任してからでございますので、これについては、私はこれが適切だということを申し上げておるのは、それ以上にも以下にもする考えはないということで、あえてそういう表現をさせていただいておるわけであります。
  44. 安倍基雄

    安倍(基)委員 それから、ちょっと話が飛びますけれども公社としていろいろな業務をなさっていかれるところで、輸入ばかりでなくて、逆に日本たばこを相当輸出するようなことも考えていらっしゃいますか。
  45. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  たばこ嗜好品といたしましてのいわゆる国際商品でございまして、各国とも実情に合わせまして輸出を行っておるわけでございますが、公社におきましてもこれまで輸出を行ってまいっておりまして、五十八年度におきましての国内品の輸出実績は十一億二千三百万本でございます。  最近におきましての国内での需要の停滞傾向、また、輸入品のシェアの増加傾向という中にありまして日本たばこ産業の維持発展ということを図ってまいりますためには、ますます輸出の増大というものが急務になるわけでございます。公社では、この四月に新しく発足をいたしました輸出会社と密接な連携をとりながら、今後とも東南アジアあるいは中東といったような地域を中心としまして輸出の増大というものに努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  46. 安倍基雄

    安倍(基)委員 それでは、第二部の輸出入の問題はそれぐらいにいたしまして、次に、問題はいわば合理化問題でございます。  さきに、原料段階の合理化と加工段階の合理化と流通段階の合理化ということが大きなテーマとして出てきたわけでございますが、原料段階の合理化の前に、たしか、全体の費用のうち原料費というものが非常に大きな割合を占めておると私は理解しております。大体五、六〇%が原料費。  ここで一番問題となりますのは、臨調答申にもございましたように、葉たばこ原価が三倍ぐらいあるということでございますけれども、この主な原因をどういうぐあいにお考えになっていらっしゃいますか。
  47. 生平幸立

    ○生平説明員 お答えいたします。  葉たばこの国際価格比較する場合に、栽培しております種類、品種、そこからきます品質をどのように評価するか、あるいは生産制度の違いというようなものもございますので、それらの評価の仕方でいろいろ問題もございますけれども、一応そういう問題を抜きにしまして、葉たばこの農家が売り渡す価格につきまして単純に比較をしてみますと、国内産葉たばこは五十七年産の黄色種で見てみますと、アメリカの約二倍でございます。東南アジアの方の代表であるタイの葉たばこ比較いたしますと約四倍程度になっております。  一方、我が国の農業の実情を見ますと、農産物全般にわたってその価格は国際的に見て割高傾向にあるということが言われておりますけれども、基本的には、たばこ作を含めまして、我が国の農業の小規模経営、そこからきます生産性の低さ、高能率の機械の導入が難しいというようなところ、そういう生産構造が大きな原因ではないかというふうに考えております。
  48. 安倍基雄

    安倍(基)委員 さっき臨調答申の欠点も言いましたけれども、もちろん大部分がいいところでございますので、臨調答申が葉たばこの収納価格の見直しを行うべきであるということを答申しておりますけれども、これは見直しは行われておりますか。
  49. 生平幸立

    ○生平説明員 葉たばこの買い入れ価格でございますが、現在、生産費を初め物価、労賃あるいは需給事情その他の経済事情を参酌して決定するという、いわゆる生産費補償方式をとっているわけでございます。この方式を採用いたしましたのは昭和三十六年以降でございまして、今日まで関係者間に共通のルールとして定着している方式でございます。  公社としましては、この方式を基本としながら、より一国会理的な価格形成に向けて従来から内部的にいろいろ検討をしてまいっておりまして、耕作審議会の議を経た上で収納価格が決まるわけでございますが、収納価格の決定の方に反映してまいっておるところでございます。今後とも葉たばこの買い入れ価格の合理的な形成には努力してまいりたいと考えているところでございます。
  50. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私の申している答申は、特殊会社に移行するまでの間における合理化措置ということでございますけれども特殊会社に移行するまでに、この葉たばこの収納価格の見直しを行っているのでございますか。
  51. 生平幸立

    ○生平説明員 現在の葉たばこの買い入れ価格のルールが法律にも書いてございまして、先ほど申し上げましたように、生産費を基礎としまして、その他、物価、労賃あるいは需給事情、その他経済事情を参酌して決めるということになっております。  ただ、先ほど申し上げましたように、現在、国際的に大変割高であるというようなことがございますので、できるだけ国際的な価格差といいますか、それを埋めるように努力したいと思っておりますけれども、そういう価格形成の基本原則というものがありますから、その中で、需給事情とかそういうものを追い込み、ほかの農産物の価格動向、そういうようなものを頭に置きながら、いかにして合理的な価格に持っていくかということで耕作審議会の御議論をいただいて決めていく、そういうことをやっているところでございます。
  52. 安倍基雄

    安倍(基)委員 いろいろの御事情もございましょうけれども、今問題となりますのは、いわば購入価格とそれから全量買い入れという問題でございますけれども、話はちょっと飛びますが、たしか、国産葉たばこと輸入葉たばことのいわばブレンドの割合でございますか、これがある程度法定されているというか決まっていると思いますけれども、これはいかなる根拠に基づいて決められておるのでございますか。
  53. 長岡實

    ○長岡説明員 御指摘のように、国産の葉たばこの使用割合と、それから輸入の葉たばこの使用割合、一応輸入のたばこの割合がおおむね三分の一程度ということになっておりますが、これは別に特段の法的根拠その他があるわけではございません。  これまで製品たばこに対する消費者の嗜好は、一方高級化の傾向がございますけれども、そういった中で、セブンスター、マイルドセブン、キャスターといったような国産葉の使用割合の高い銘柄を開発し、それは国産葉の加工処理技術の向上によってそういうことが可能になってきておるものと思いますけれども、そういった努力を積み重ねた結果が、最近においては外集率が三分の一程度に維持されてきているということであろうと存じます。
  54. 安倍基雄

    安倍(基)委員 原価を下げるという趣旨からいいますと、この割合というものをずっと維持していくということはいささか問題があるのではないか。いろいろ耕作者側の意見もございますけれども、今回のこの民営化は、もちろん私は激変緩和ということはどうしても考えなければいかぬという要素はございますけれども、将来ともにこのブレンドの割合をこのままでいくのか、あるいは将来変えていくのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  55. 長岡實

    ○長岡説明員 ただいま、コスト競争力の面からいって割高な国産葉を現在のような使用割合で続けていくことはいかがなものか、競争条件が大変不利ではないかという角度からの御質問であろうかと存じますけれども、その問題もさることながら、私ども現在過剰在庫の問題を抱えております。過剰在庫処理のためには、一時的にはむしろ外葉に依存する割合を低めないと、過剰在庫の解消のための国産葉の使い込みが進んでいかないといったような事情もあるわけでございます。  それはさておきまして、一般論として、競争条件の立場から考えて割高の国産葉と割安の外集の使用割合を将来どう考えていくかという問題でございますけれども、私どもといたしましては、やはり国産葉自体の生産性向上に努めて、少しでも内外葉たばこ価格差を縮めていくという努力に全力を傾けながら、全体として、将来にわたって国産の葉たばこを主原料という位置づけで使っていくという方針は維持してまいりたいというふうに考えております。
  56. 安倍基雄

    安倍(基)委員 在庫の問題は一時的な問題でございますが、これは大きな問題でございますから、一時的といっても大問題であるし、臨調答申もそこをわざわざ挙げておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、もし国産の葉たばこが高い値段のままであり続けるというのであれば、この問題はやはり検討していかなくちゃいけないと思いますが、いかがでございますか。
  57. 長岡實

    ○長岡説明員 お説のとおりであろうと存じます。耕作者といたしましてもその点は十分に認識を持ってくれておると考えております。公社耕作者が一体となって国産葉たばこの生産性向上に取り組んでいる現状でございます。
  58. 安倍基雄

    安倍(基)委員 もう一つ、全量買い入れ義務でございますけれども、これはほかの国でもそういったことが行われているのか、また、あるいはたばこ耕作審議会のようなものがあるのかどうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  59. 生平幸立

    ○生平説明員 外国の例でございますが、その代表としましてアメリカの例を申し上げますと、アメリカでは競売制度をとっております。したがいまして、生産者、葉たばこ耕作者は競売場に持ってまいりまして競りにかけるわけでありますが、一方、それとは別に、支持価格制度をとっておりまして、最低の価格をあらかじめ決めておりまして、競売の結果競売が成立しなかった場合には、その最低の支持価格によって、スタビリゼーションコーポレーションと言っておりますが、安定公社というようなところにその葉たばこが引き取られる、そういうような仕組みになっております。  フランスは、契約によりまして、契約したものにつきましては全部買い入れるという仕組みでございます。それから、株式会社で専売制をとっておりますオーストリーでは、法律によって全量買い入れるというような制度になっております。審議会というようなものは特に私ども把握している限りにおきましてはないというふうに考えております。  ただ、韓国とか台湾は、日本の制度と非常に似ておりまして、審議会で価格や面積を決めるというような制度をとっているというふうに承知しております。
  60. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今フランスの例を聞きましたけれどもフランスは契約したものは全量買い入れとおっしゃるけれども、そうすると、いわばことし契約して来年契約しないとか、そうやって契約の相手方をふやしたり減らしたりすることはできるのかな。
  61. 生平幸立

    ○生平説明員 フランスの場合には、SEITAという会社がございますが、そこが耕作者と契約をするわけでございます。葉たばこの耕作につきましては、乾燥室というような投資をする、それから大変高い耕作技術を必要とするというようなこともございますので、大体今まで耕作している人と継続的に契約をしていくということになっているのではないかと思いますが、ただ、審議会とかそういうことではなく、そのSEITAと耕作者を代表する中央会というようなものと協議をして決めていくという仕組みになっておりますので、そこで円滑にやっておられるのではないかと思います。中身の詳しい運用の面については、ちょっと私どもも十分わかっておりません。  以上でございます。
  62. 安倍基雄

    安倍(基)委員 いわゆる全量買い入れ義務というのはずっと継続するおつもりでいらっしゃいますか。
  63. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 今回の改革法案におきまして会社以外の者の製造たばこ製造を禁止しておるわけでございますが、その結果といたしまして、耕作者の生産した葉たばこの販路は日本たばこ産業株式会社のみに限られるわけでございます。もちろん製造たばこ製造原料用以外の用途という目的であれする場合は自由なわけでございますけれども、輸出は現状下では、先ほど来国産葉たばこの割高な事情が御説明ございましたように、ほとんど不可能でございます。また、葉たばこにつきましては、他の用途に向けることは自由であるとは申しながら、かつて昭和三十年代ぐらいまでは農薬の原料に使われたというようなこともございますけれども、現時点では、価格等の関係もございまして他の用途に使用するということも非常に困難なわけでございます。そういうことから、葉たばこの買い入れ契約を面積契約といたしまして、その契約に基づいて生産された葉たばこを全量買い取るという制度にしたわけでございます。  こういうような意味合いにおきまして、この全量買い取り制というのは、今次改革法案におきましては恒久的な制度として位置づけられているものでございますし、したがって、会社の全量買い入れの義務というものも恒久的なものとして位置づけられているわけでございます。
  64. 安倍基雄

    安倍(基)委員 時間の問題もございますからはしょりますけれども、今度の法律では、耕作は自由、こういうぐあいにしていますけれども、じゃ自由に耕作して合理化努力を行った耕作者が、会社と安い契約でひとつ買ってくれと言い出したときにはどう扱われるのでございますか。
  65. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 現在の専売制度のもとにおきましては、耕作許可、全量収納ということになっておりまして、たばこの耕作は一般的に禁止されて、公社が特定の者について許可を行う仕組みになっておりますけれどもたばこ事業法のもとでは、先生今おっしゃいましたように耕作そのものは自由である。ただ、製造たばこの原料として新会社にその葉たばこを買ってもらいたいと思う者は、あらかじめ新会社と契約をした後に耕作をするということになるわけでございますので、ただいま申し上げましたようになかなか現時点では困難でございますけれども、例えば医薬品の原料であるとかあるいは鑑賞用であるとか、そういったものとしては自由なわけでございます。  ただ、いろいろな意味合理化努力をした結果、一般的な葉たばこの生産コストよりも安いコストで生産できるという方がおられたといたしまして、そういう場合にどうするかということでございますが、事業法のもとでは、国内産葉たばこの買い入れにつきましては、新会社と耕作者という当事者間の契約によることになるわけでございますけれども価格につきましては、葉たばこ審議会で公正な審議を経まして適正な価格答申されることになっておるわけでございまして、会社はその価格を尊重して契約をするということになっておるわけでございますので、通常この会社が提示する価格以下で契約を申し込まれるというようなことはまずあり得ないのではないかと考えております。
  66. 安倍基雄

    安倍(基)委員 そういう意味からいうと、耕作は自由といってもこれは余り意味のない規定でございますね。自由に耕作した人間はじゃそれを何に売るのか、これはたばこ以外の何かに売るしかない、ちょっと耕作の自由というのは、いかにも自由にしたような形で実質は余り意味のないような規定と思われますけれども、いかがでございますか。
  67. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 最近の科学技術の進歩と申しますか、バイオテクノロジーとかいろいろな技術進歩も考えられるわけでございますし、また、あるいはかなり遠い将来のことであるかもしれませんけれども、国産葉たばこの耕作の合理化というものが進んで、仮に輸出競争力が生じたというような場合においては、それなりの意味を持ち得ると思いますけれども、現時点では、先ほど申し上げましたように、葉たばこにつきましては会社に売る以外にはないというのが現実だろうと思います。
  68. 安倍基雄

    安倍(基)委員 余りこれ以上あれでございますが、問題は、やっぱり葉たばこ審議会というのが結局これから大きな役割を占める。今までも大きな役割を占めてきた。これがある意味からいうと、私は、最初の出だしは、結局公社独占権を持っている、葉たばこ耕作者のいわば権利を守ってやるというような感じでできたのかと思いますけれども、それが現実問題としてはいわば圧力機関になっている感じに受け取られるわけでございますが、これから審議会の構成メンバーをどうしていくのか。これはやはりどうしても一つの圧力機関として存続していきますと、新しい会社の足を引っ張るのではないかという懸念があるのでございますけれども、それについていかがお考えでございますか。
  69. 長岡實

    ○長岡説明員 葉たばこ価格と面積につきましては、これは耕作者経営にとっては極めて重要な問題でございますことから、その決定に当たって生産者の意向も十分考慮して行われなければならないという趣旨のもとに、適正公平な機関として、たばこ耕作審議会が設置されていると理解いたしております。  この審議会は、各界の学識経験者六名及び全国各産地から選ばれました耕作者代表委員五名で構成され、さまざまの見地から自由な論議の場を通じて、十分に適正公平に運営されているものと考えております。この趣旨は当然ながら、新法によって設置されます葉たばこ審議会に引き継がれるわけでございまして、私どもは、やはりこの場を通じて自由に議論をし、かつそこで適切公平な結論が出るように運営をしてまいりたいというふうに考えております。
  70. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ただいま総裁から現行のたばこ耕作審議会についての御説明がございましたので、葉たばこ審議会の構成について若干補足させていただきたいと思います、新しい法律事項でございますので。  葉たばこ審議会、ただいま御説明ございましたように、「原料用国内産葉たばこの生産及び買入れに関する重要事項を調査審議する」という意味においては、現在の耕作審議会の機能を引き継いでいくというわけのものでございますけれども、その構成メンバーにつきましては、耕作者を代表する者及び学識経験を有する者の中から大蔵大臣の認可を受けて、会社の代表者が委嘱することとなっているわけでございます。委員の委嘱に当たりましては、制度本来の趣旨に沿いまして、公正に関係者意見が反映されるような人選とすべきであると考えておりますし、かかる見地から委員の認可も行ってまいることになると考えています。
  71. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は、今回の答申、また特殊会社移行で一番大きな要素は、こういった原料が高過ぎる、これをどうしていくのかということが大きな眼目であるかと思うのでございますが、その際に私は、繰り返すようでございますけれども、もちろんいわゆる激変緩和措置は必要である、しかしそれだからといって、従来と同じような形でいわば審議会が運営されていくとするならば、せっかくそういった特殊会社にした効果が全くなくなるんじゃないか。でございますから、葉たばこ審議会の構成メンバーあるいはその活動、それについて非常に注意していかなくちゃいかぬ。これが今までどおりの圧力機関という形であれば、ほかの部分は幾ら自主性を与えるとかなんとかいっても、まあ絵にかいたもちであると私は考えます。  その意味において、葉たばこ審議会の今後のいわば構成もしくは運営について大蔵大臣はいかが考えていらっしゃるか、その点の御意見を承りたいと思います。
  72. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ただいま、ちょっと私の方が先走って御説明申し上げたようで恐縮でございましたですが、先ほど申し上げましたように、今回の葉たばこ審議会につきましては、会社が製造独占を与えられておるという関係から、いわば実質的に会社が買い手独占と申しますか、独占的な買い手としての地位に立つわけでございます。そういうことから、その独占的地位を利用して会社が極めて恣意的な価格設定をするというようなおそれが、万々ないとは思いますけれども、そういうことを防ぐと申しますか、そういう中で適正な葉たばこ価格を決定するという意味において今回の審議会を設けることとしたわけでございます。したがいまして、審議会の委員のメンバーの人選に当たりましても、あるいはその委嘱された委員の認可に当たりましても、ただいま申し上げましたような趣旨が公正に反映されるような人物でなければならないというふうに考えておりますし、認可の方針もそういうふうにしていきたいというふうに考えております。
  73. 安倍基雄

    安倍(基)委員 大蔵大臣のお気持ちはいかがでございますか。
  74. 竹下登

    竹下国務大臣 今小野監理官からお答えをいたしました筋でございますが、要するに、どういう角度からこれを見ていくかということになりますと、いわば耕作者の方々の団体というものが一つのプレッシャーグループであるという位置づけをした場合に、いわゆる収納価格等がコストダウンの面からいえば逆に足を引っ張る要因になる。が、私はプレッシャーグループというような認識でこれに対応して今日まで至っておりません。いわば日本の今までは専売、いわゆる製造独占はもとより、流通専売をも含めておった。この耕作者団体というのは、たばこ産業の中の一員としての位置づけをしておくべきものである。そうなればおのずから良識も働くし、またメンバーの中にはいわば学識経験者等、諸般の情勢を公平に勘案して適正な意見が開陳される、そういうような方々の集まりであるだけに、自主的に適切な価格が設定されていくべきものではなかろうか。一つの利害関係団体としてとらえる以上に、日本たばこ産業の中の構成員の重大なる一グループである、そういうように考えた場合に、私はプレッシャーグループとそれに対する受け身の関係とかいう形で対応すべきものではないではなかろうかというふうに考えております。
  75. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ただ、現実的に国内葉たばこ原価がこれだけ高いということと、これだけの過剰在庫があるということは、過去におけるこの審議会がそういった大局的な立場に立って決めておったのか、あるいはやはり自分たちの権利擁護という面で動いておったのか、いささか結論は私は大臣と異なっているのではないか。そういう意味合いにおきまして、これからの審議会というもの、新しい特殊会社に移行した後の審議会というものに我々は重大な関心を持たざるを得ないと考えております。もちろん、今まで一生懸命働いてきた連中をどう合理化していくかというか、彼らの生産性をどう上げていくかということを次にお答え願いたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、この審議会の運営について大臣の御決意をお聞きしたいと思うのでございます。
  76. 竹下登

    竹下国務大臣 まさに、まず審議会のメンバーの人選から始まっていくわけでございますが、公正な、いろいろな立場を総合して勘案していただける方々をまず選ばなければならない。そうなれば、それらの方々の意見というものはまさに公正な意見が出るべきものであるし、私どもそうであろうという大きな期待を持ってこれに当たるわけであります。したがって、いわばある種の懸念、すなわちこれは利害だけの衝突という場にしてはならない、あくまでも日本たばこ産業を背負う一つ一つのセクトの方々という立場にあって対応すべきものであろうというふうに考えております。
  77. 安倍基雄

    安倍(基)委員 では次に、一番問題は、これからどうやって生産性を上げていくかということかと思います。  現在減反政策が中心でございますけれども、これからの葉たばこ耕作者のいわば合理化努力にどういうぐあいに手をかしていくか、減反でいくのか、大規模化でいくのか、その辺の方針をお聞かせ願いたいと思います。
  78. 長岡實

    ○長岡説明員 減反の問題につきましては、現在のたばこの需給事情からして原料の葉たばこがやや過剰ぎみにあるということは事実でございまして、これを将来にわたってどう受けとめていくかという角度から考えていかなければならない問題でございます。  御承知のように、昭和五十七年産のときに、やはり在庫の過剰ぎみから大幅減反について耕作者の協力をお願いしたわけでございますけれども、その後の推移を見ますと、一年分の過剰在庫の解消、いろいろ努力をいたしておりますが、なかなか解消が進まないといったようなことが現状でございまして、新会社にもなっていくという時期に、これから先どう考えていくかというときには、私は率直に申し上げまして、耕作者の皆様に理解を得てある程度の面積調整についての御協力を求めざるを得ないのではないかと考えております。ただ、五十七年のときの経緯もございまして、耕作者にのみしわ寄せを行わせることではなかなか理解が得られませんので、たばこ産業集団全体で合理化を図っていくという角度から、公社としてもどの程度の合理化に取り組んでいけるかというようなことをでき得る限り御説明をしながら、来るべき夏の審議会で議論していただきたいと考えております。  それから面積の広い方がいいのではないかというのは、これは当然のことでございまして、現在全国的にございます葉たばこの生産地の中で、やはり主産地形成という角度から指導を行ってきておることは事実でございます。ただ、それだけではございませんで、合理化の問題について現在いろいろと取り組んでおりますので、これは担当理事の方からお答えを申し上げるようにいたします。
  79. 生平幸立

    ○生平説明員 葉たばこ生産の生産性向上の施策でございますが、大きく分けまして、一つは、いろいろな高能率の機械、施設の導入という点がございます。それから、面積の配分をします場合にできるだけ主産地を育成する、その中でも一人当たりの耕作規模ができるだけ大きくなるような、そういう配慮を加えながら配分していくというようなことも現在やっております。その他、生産の技術の革新がどんどん行われているわけでありますが、その期待にこたえてやっていけるような良質の葉たばこ、あるいは低生産費で生産できるような優良な農家を育成していくというような観点、そういうような施策を推進しているわけでございます。  それにつきまして、現在技術援助をやっているわけでありますが、そういう標準的な作業体系を実際に展示して見せるという必要もあると考えておりまして、そのために全国に百九十カ所の展示農場というものを設けまして、そこでその生産性の向上というものを実際に見て、それによってさらに一般の農家にも普及をしていくというような施策もやっているわけでございます。  新しい制度に切りかわりましても、このような生産性の向上あるいは品質の向上のための必要な施策については、技術援助あるいは必要な助成措置を続けてまいりたいというふうに考えております。
  80. 安倍基雄

    安倍(基)委員 時間もございませんから、この辺でいわば原料段階における合理化は打ち切りますけれども、私自身がつらつら考えますのに、今まで働いてきた皆さんの権利も考えなくてはいけないけれども、やはり米と同じように単に価格をつり上げていって彼らの生活を見るというのではなくて、生産性向上ということで、もしそこで人間が余ればほかの部門へ動いてもらうということを重点にしていかないと、これからは対応できないのではないかと私は考えます。この点、公社も同じ御意見かと思いますけれども、生産性向上ということを中心によろしく考えていただきたいと思うのでございます。いかがでございますか。
  81. 長岡實

    ○長岡説明員 おっしゃるとおりだと思います。日本の農薬が今当面しておる問題として、価格政策よりも構造政策といったようなことが言われていることも私ども承知いたしておりますし、葉だぱこにつきましてもその例外ではないと存じております。したがいまして、生産合理化対策には真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
  82. 安倍基雄

    安倍(基)委員 次は流通段階でございますけれども、これからの小売、卸のマージン、特に外国たばこについてのマージンなどについてもどういうぐあいの方針で臨むかということでございます。これは国内と外国製の輸入品と同じマージンでやっていけるのかどうか、その辺はどういう方向になるわけでございますか。
  83. 森宗作

    ○森説明員 マージンの問題でございますが、まず国産品につきまして申し上げますと、現在、国産品のマージンにつきましては、本土におきましては一〇%ということになっておるわけであります。このマージンにつきましては、制度改正後におきましても、私どもとしましては一律一〇%というものを踏襲してまいりたい、いわば地域によりあるいは小売店によって差を設けるというようなことは考えていないわけでございます。  それから、輸入品のマージンでございますが、これは現在八・五%ということになっております。これにつきましては、かつて昭和五十五年当時におきまして、国産品と同率のマージンに引き上げたいという外国メーカーの希望もございましたが、いろいろ話し合いの結果、とりあえず八・五%、当時は七%でございましたが、八・五%ということにいたしまして、その後状況に応じて国産品並みに引き上げるというような話があったわけでありますが、その後におきまして外国メーカーは現在の八・五%というものの据え置きの希望をいたしております。  ただこれは、本年、輸入品につきましての輸入価格の交渉を行いました際に、外国メーカーといたしましては、このマージンにつきまして小売店から大変強い一〇%への要望があるわけでございますが、そういったことも理解して、近い将来引き上げについて優先考慮するということを言っております。いずれにしましても、このマージンは国産品も輸入品も同様でございますが、今後は契約ということになるわけでございます。この点について、現段階でまだ具体的にどうするかということについて外国メーカーは明らかにいたしておりません。  以上でございます。
  84. 安倍基雄

    安倍(基)委員 そういたしますと、輸入業者でかつ卸をやる連中が、今度は公社関係なく小売店とやるわけでございますけれども、それについてのマージンは彼らの自由になるわけでございますか、それとも、会社のある程度の関与があるわけでございますか。
  85. 森宗作

    ○森説明員 卸のマージンにつきまして、これはまた小売のマージンと同様に、外国メーカーと卸売販売業者との契約ということになるわけでございます。
  86. 安倍基雄

    安倍(基)委員 それで、卸商から小売へのマージンはどうなるのですか。それは彼らの自由になるのですね。
  87. 森宗作

    ○森説明員 これも具体的には、そのマージンにつきまして、卸、小売という段階でのマージンを外国メーカーと関係業者とがいろいろ相談をしながら決めてまいるということになると思います。
  88. 安倍基雄

    安倍(基)委員 そうすると、国産品について一〇%のマージンを確保する、あるいは輸入品についてもこれを八・五から一〇にするといっても、全く彼らといわば競争関係に立つわけでございますね。
  89. 森宗作

    ○森説明員 そのとおりでございます。
  90. 安倍基雄

    安倍(基)委員 となりますと、いわば輸入会社が相当のマージンを弾んだりあるいは減らしたり、いろいろな動きが出てくるわけでございますけれども、そういったことで一〇%がどうなるか、これはまた自由市場でやらざるを得ないという形になるわけでございます。その面では非常に合理化が進んでいくかと思いますけれども原価と比べまして流通段階につきましては、割合とたばこ小売店的なものがいわゆる身障者とか母子家庭とかがあるという要素は理解しておりますので、その辺は一応会社としては今と同様の配慮を加えるというぐあいに聞いておりますけれども、その点はいかがでございますか。
  91. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ただいまお尋ねがございました身障者、母子家庭等への問題でございますけれども、現在、小売人の指定に関しましては、身体障害者福祉法の適用を受ける身体障害者の方並びに母子及び寡婦福祉法の適用を受ける母子家庭の母の方及び寡婦の方からの申請があった場合には、専売公社は指定基準のうち、既設販売店との距離及び取扱高の標準につきまして二割緩和して適用しているということになっております。制度改革後におきましても、たばこ事業法の小売販売業の許可基準につきましては、現在の指定基準と同じく、距離基準及び取扱高基準を維持することとしているわけでございますが、身体障害者福祉法の適用を受ける身体障害者並びに母子及び寡婦福祉法にいう母子家庭の母親及び寡婦につきましては、専売法のもとにおける距離基準及び取扱高基準の緩和の果たしてきた社会政策的な役割にかんがみまして、今までと同様にこれらの基準を緩和してまいりたいと考えております。その緩和の程度でございますけれども、現在と同じく二割程度というふうに考えております。
  92. 安倍基雄

    安倍(基)委員 いずれにいたしましても、流通段階では相当競争というか、輸入たばことのあれがあるという面におきまして、これは原価に対する合理化とはまた別に、十分進んでいくのじゃないかと私は考えております。  時間もあれでございますから少しはしょりまして、流通段階の話はそのくらいにいたします。  あと、税金と、たばこ会社の公的制約の問題でございます。  公的制約の問題につきましていろいろ我々議論をしているのでございまして、今回のいわば新会社につきまして、取締役、監査役の選任について認可にかかわらしめているのでございますけれども一つ考えは、代表取締役だけでもいいじゃないかという議論もございます。これはほかの法人、特殊法人あるいは他国の例との比較と申しますか、なぜ取締役、監査役までを認可のあれにかかわらしめたかということについての御説明をお願いしたいと思います。
  93. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  取締役の選任決議につきまして「大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということにいたしておりますのは、新会社は我が国たばこ産業の健全な発展を図るという使命を持った法人であるということ等にかんがみまして、業務執行に関しまして新会社の意思を決定する機関すなわち取締役会について、その適正さを確保するという観点からでございます。  なお、代表取締役についてでございますけれども大蔵大臣の認可を受けて選任されました取締役によって構成される取締役会が、その中から互選によって代表取締役を選定するわけでございますので、人事の適正という点につきましては十分に担保されるものというふうに考えております。また、経営層内部のコンセンサスという面から見ましてもこれを確立し、また経営自主責任体制を確立するというためには、大事について取締役の自主性と責任体制にゆだねるということが望ましいというようなことを考慮いたしまして、大蔵大臣は代表取締役の選任については関与しないこととするのが適当であるというような判断から、大蔵大臣の認可対象から外したものでございます。  また、監査役につきましては、取締役の職務の執行等会社の業務を監査するという職務を担っているわけでございますので、その大事についての適正さを確保する必要から大蔵大臣の認可を受けることとしているわけでございます。  お尋ねのございました他の特殊会社の例でございますけれども、取締役及び監査役の選任について主務大臣の認可対象となっているもの、ただいま御審議願っております日本たばこ産業株式会社法案と同様の規定をされておりますのは、国際電信電話株式会社、それから現在審議中でございますが、日本電信電話株式会社法案がそのようになっております。また、次に先ほど先生がおっしゃいました代表取締役及び監査役の選任について認可対象となっているものといたしましては、中小企業投資育成株式会社、日本自動車ターミナル株式会社、それから関西国際生港株式会社がございます。それからまた、取締役、代表取締役及び監査役の選任について認可対象となっているものもございまして、これは沖縄電力株式会社、日本航空株式会社がそのようになっております。なお、その認可対象とはちょっと違うのでございますけれども、東北開発株式会社につきましては、総裁、副総裁は内閣総理大臣が任命する、理事、監事は株主総会で選出された候補の中から内閣総理大臣が任命するということになっておりますし、電源開発株式会社につきましては、「総裁、副総裁、理事及び監事は、株主総会の意見を聞き、内閣が任命する。」ということになっております。
  94. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私がお聞きしているポイントは代表取締役の認可だけでいいのではないかという質問でございますが、代表取締役だけの認可と個々の取締役、監査役の認可と、いささか後者の方が監督が厳し過ぎるのではないか、代表取締役だけでいいのではないかということについての質問でございます。その点についてお答え願いたいと思います。
  95. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま他の特殊会社の例で御説明申し上げましたように、会社の役員の大事について主務大臣としていかなる関与をするかということにつきましては、強弱と申しますか、硬軟と申しますか、いろいろな考え方があろうかと思っております。  私どもが今回のような法案といたしましたのは、先ほど御説明申し上げましたように、確かに先生のおっしゃるような考え方もあろうかと思いますけれども、取締役全員について認可をすることによって、むしろ代表取締役につきましてはそれらの認可された取締役から構成される取締役会が選ぶ方が、企業経営としてのコンセンサスあるいは経営自主責任体制という意味からいってむしろ好ましいものではないかというふうな考え方に基づいておるわけでございます。
  96. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この点につきましてはおたくの方にもいろいろ議論があると思いますけれども、いずれにいたしましてもできるだけ経営の自主性と申しますか、さっき外国との競争とかいろいろな問題が起こってきておる、しかもさっきの審議会という足かせもある。その足かせをどういうぐあいにうまく運用していくかという面からいきますと、やはり企業的なセンスで運営しなくてはいけないということが考えられますので、この点についてよく検討していただきたいと思うのでございます。この点についてひとつ総裁はいかがお考えでいらっしゃいますか。
  97. 長岡實

    ○長岡説明員 これは私からお答え申し上げる筋かどうか、いささか疑問でございますけれども考え方としては確かに二つあると思います。代表取締役だけでいいじゃないかという考え方もございますけれども政府の案にございますように、取締役については新しい株式会社の公的性格等に照らして大蔵大臣がその人選に関与されますけれども、後だれを代表取締役に選ぶかというところまでは大事に介入しないというのも一つ考え方ではなかろうかというふうに考えております。
  98. 安倍基雄

    安倍(基)委員 大蔵大臣が来られてからちょっと大蔵大臣の御見解もお聞きしたいと思っております。  いろいろ内部の問題につきましてあれがございますけれども、資金の借り入れ、一般社債の発行について認可の対象としなかった、これは特に理的がございますか。
  99. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 資金の借り入れ、一般社債の発行につきましては、金額のいかんによりましては会社にとって非常に大きなことではございますけれども、一方、経営自主責任体制を発揮しながら経営合理化に努めていくという会社のスタンスからいたしますと、これは適時適切と申しますか、機動的、弾力的に借り入れをしたりあるいは一般社債の発行をしたりしなければならないというふうに考えられるわけでございます。そういう意味で、会社の経営責任にゆだねるという意味で認可の対象から外しているわけでございます。
  100. 安倍基雄

    安倍(基)委員 時間の関係もございますから、さっきの公的規制につきましては大蔵大臣の御意見を承ることにいたしまして、たばこ消費税関連に移ってまいりたいと思います。  と申しますのは、さっき冒頭でお話しいたしましたように、専売納付金にするか消費税にするか非常に大きな問題でございまして、このたばこ商品特色から申してどの程度の消費税を課すかということが非常に大切なことになっておりますが、今回の税率の決め方は、承るところによりますと現行納付基準と同一水準になるようにつくったということでございますが、その納付金率はどうやって決めたんでございますか。この決め方が結局現在の税率にそのままスライドされているというわけでございますが、その納付金率そのものがよかったのかどうかというものが非情な問題になるのでございます。この点についての御説明を承りたいと思います。  その前に、ちょっと大臣が戻られましたから……。  今問題となりましたのは会社の公的制約ということでございまして、今回の法案では取締役、監査役すべてを大蔵大臣の認可に係らしめておる。それに対して代表取締役だけでいいんじゃないか。要するに企業的な要素を導入するという面からいいまするならば、一人一人の取締役、監査役を認可の対象に係らしめるのではなくて、代表取締役だけでいいのではないかという考えがあるのでございますけれども、これについて大蔵大臣のお考えを承りたいと思うわけでございます。
  101. 竹下登

    竹下国務大臣 それも一つ考え方だと私は思いますが、取締役をその認可にかからしめて、それの今度は自主性で代表取締役が選ばれる。だから、むしろ自主性を与えるという意味においては、今度の分がより私はいいんじゃないかな、いささか見解を異にするところじゃないかというふうに思います。  当然そのことも法案作成の段階で議論になった問題である。そこで、他の機関とのいろいろ比較をしたりして、結論的に申しますと、それそのものが認可を要する、そして、その中から代表取締役さんを自主的に選ばれるということの方がより妥当ではないかと思ったわけであります。
  102. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この問題は見解の相違もあるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、今後のこの法律趣旨が民間的なセンスでもって経営していかないと外国と太刀打ちできないよということでございますので、その点を十分考えていただきたいと思うのでございます。  次の、さっき言い出しましたたばこ消費税関係に移りますけれども、海外では相当高率なたばこ消費税である。これは付加価値税が加わった結果かと思いますけれども、私がここで御説明願いたいのは、現行の納付金率とどういうぐあいにして同一水準な形で税率を決めたのかということが第一点。  第二点は、この基礎となった納付金率というものが、過去の例から見ますと、これは専売公社にいろいろ御迷惑をかけたのでございますけれども、いろいろな形でもって特別納付金というような形でもって国庫へ出していただいた。それだけに、やはり納付金率というものはそれだけの利潤を生む形でできていたのではないか。といたしますと、このいわば税率の基礎になった納付金率が果たして正しかったのかどうか、若干甘かったのではないか。納付金率はどうやって算出されたのであるか。  この二点についてお聞きしたいと思うのでございます。
  103. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 現行の納付金率が今回のたばこ消費税率のベースとなっておるということでございますので、現行の納付金率についてまず御説明申し上げます。  現在の専売納付金率は、先生御案内のように、昭和五十五年に、製造たばこに含まれる専売納付金相当分の明確化に資する、それとともに財政収入の安定的な確保、それから専売公社経営責任の明確化、こういうことを目的として法定されたものでございます。  当時納付金率を設定するに当たりましては、高価なたばこほど高い率となるよう累進的なものとなることを基本理念として、全体としての平均納付金率の水準を過去十カ年の平均である五五・五%程度といたしまして、各種類別、等級別の納付金率の決定に当たりましては、その平均的水準を基礎に、五十四年度の予算ベースでございますけれども、五十四年度における各種類別、等級別の益金率の見込みを考慮して設定したものでございます。
  104. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 今回の専売制度改革に伴いまして、現在の専売納付金を新しくたばこ消費税法案として現在御提出申し上げているわけでございます。  現在の専売納付金が実質的には消費税の機能といいますか性格を持っておるということは、これは例えば五十五年に納付金が法定化されましたときに、政府税制調査会の答申等でもこの考え方ははっきり示されておるわけでございます。性格的には現在の納付金も消費税的な機能を持っており、そういう性格を持っておるということでございますが、今回の制度改革に伴いまして、いわば現在の納付金の持っておる消費税的な性格、機能というものを、機能面でも制度面でも消費税として純化するというのが今回の私ども御提案申し上げております消費税法案内容でございます。  そこで、税率をどのように設定するかという問題でございますけれども、御指摘になりましたように、ただいま御提案申し上げております新しいたばこ消費税税率は、従価税割と従量税割の二本立ての税率に設定させていただいておりますけれども、トータルとしての負担率は、まず現行の納付金率、これは国税たる消費税と地方たばこ消費税、両方合わせた負担率でございますが、それを合わせたところでトータルとして現在の納付金率の水準と同一にする、同時に、たばこの種類別といいますか、法案で申しております区分別の納付金率も同一のものとして設定するということにいたしております。  税率水準をどうするかというのはいろいろ議論があるわけでございますけれども、先般来御議論がございましたように、現在の我が国の納付金率を仮に消費税率というふうに観念いたしまして、各国比較いたしましても、欧米諸国の大体中位ぐらいの水準にもございます。ただいま付加価値税を含めたところではかなり低いのではないかという御指摘がございましたけれども、一面、そういう見方もございますけれども、一般的な消費税といいますか、付加価値税を持っておる場合の税体系とその中における個別消費税の負担率というものを比較する場合に、付加価値税を全部含めたところで負担するというのは果たして適当かどうかという議論は私どもあると思っておるわけでございますが、そういった議論はさておきまして、いずれにしても新しい制度が発足するわけでございますし、従来実質的な消費税としての納付金率というのはそれなりに定着しておったものでございますから、とりあえず現行の水準でもって新しい消費税制はスタートする、その後の税率展開等につきましては、これはたばこ消費税に限りませず、今後の財政事情とかあるいは消費の動向、それから我が国におきます間接税、なかんずく消費税体系とのバランス等を考えながら今後のたばこ消費税税率考えていくということになろうかと思います。
  105. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は何も、大衆の手が届かないように値段を上げるために税金を上げるとは言っていないのでございますけれども、ただ一つ、いわばこの納付金率と申しますものは、過去において、この納付金率でもって計算はしてみるけれども、もしそれ以上にお金がたまったらいつでも国へいざとなれば納めることができるという大きな財源であったわけでございます。今後は法人税を納めるからいいではないかという考えもあるかと思いますけれども、一度決めた税率というのはなかなか変えることはできない。特に外国たばこあたりがいろいろ入ってくるというときに、この税率問題というのは非常に大切な問題なんでございまして、今までの納付金率をそのまま踏襲するという形でよかったのかどうか、いささか疑問があるわけでございます。  要するに、一度決めた税はなかなか変えづらい。安くするのは簡単だけれども、高くするのはなかなか難しいわけでございます。そういう意味合いにおきまして、これから原価が下がってくるというような場合に、税率の見直しをするのかどうか。もともと、たばこというものが原価と小売価格との差額をもって財源とする、それを個人が山分けしてはいけないという趣旨から出てきた専売でございますので、この点、今回の納付金率をそのままスライドした形がいいのかどうかということはいささか疑問があるのでございますが、今後の推移によってこの税率の見直しをするのかどうか。これは大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
  106. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 大臣の御答弁の前に若干御説明を申し上げることをお許し願いたいわけでございますけれども、先ほど申しましたように、ただいま御提案申し上げております新しい税率の組み立て方は従量税割と従価税割というふうになっておりますが、なかんずく、従量税割につきましては、これはたばこ消費税に限りませず、現在までも各種の間接諸税の中で従量税割のものにつきましては、物価、経済の動向等に応じまして適宜見直しをし、その都度立法府に御提案申し上げているわけでございまして、今後の予測といたしまして、たばこ消費税につきましても、従量税割の部分につきましてはやはり物価の動向等を勘案しながら適宜見直しをしていかなければならないということは当然予想されるわけでございます。  それからもう一つ、今おっしゃいましたように、例えばコストが下がる、あるいはその結果小売価格が下がるといった場合に、従価税割の方は一定率にしておきますとそれだけ租税収入が減るということになることは事実でございます。したがいまして、そういった場合に従価税率をどういうふうに考えるかというのは、実はその前提といたしまして、そういったコスト状況になった場合に価格政策をどう考えるかという問題にもなるわけでございます。同時に、今度は新会社になりました場合には、先ほど御指摘になりましたように法人の利益部分については新しく法人税負担という形で新しい負担もしていただくということでもございますので、もちろん消費税率の水準というのが新しい情勢になりました場合の価格考える場合の一つの要素であるとは存じますけれども、そういった事態になりましたときに直ちにそれを消費税で吸収してしまうというふうなことを一義的に今の段階で申し上げるわけにはいかないということでございます。
  107. 竹下登

    竹下国務大臣 これは先ほど安倍さんの御意見を交えての御質問の中にもございましたが、一人当たり所得水準で各国のものを比較していらっしゃった。やはりどちらかといえばよく言われる直間比率の間の方へ重点のかかった税制志向をしておる国の方が高いというふうなことは大ざっぱにいえると思うのであります。  消費税、これもまた健康と喫煙とかいろいろな矛盾を感じながら常に考えるわけでございますけれども、やはりこの問題は絶えず将来見直すことはあり得ることであって、それはそのときの財政事情あるいは諸般の状況を判断して決めるべきことではなかろうか。だから一概に——極端なことを言う人があります。もう一本に十円ずつ値上げしてしまえ、そうすれば選択の自由がそこにあるのだからむしろそれくらいやった方がいいというような議論をする人も確かにございます。それだけに消費税というもの全体の中で検討していくべき課題だ、だからやはり見直しはあり得るという前提の上に立つべきではないかというふうに私は考えるわけであります。五十八年、九年の特例納付金の、例の一円値上げのときにもそうした議論をいろいろしたわけでございますが、あれは時限でございますけれども、たびたび議論されていく課題であろうというふうに私は事実を認識いたしております。
  108. 安倍基雄

    安倍(基)委員 余り税金を上げる話をすると選挙には非常に不利なんでございますけれども、納付金から消費税に移り変わるときにやはり慎重に考えるべきでなかったか。単に同じ額だけということでよかったのかどうか。しかも、納付金率というものは過去何年間のいわば実績を考えたウエート、というのは、つまり余り合理化されてない状況でやった率でございますので、そこで二週決めちゃうと後で困りはしないかというのが私の懸念でございます。  それはそれといたしまして、次に地方たばこ消費税関連でございますが、今までは公社が一括して各市町村に、あるいは県に納めておった。これからは卸売業者が個々にそれぞれについてやらなくてはいけない、非常に手続が煩雑になるのではないかということについての質問と、もう一つは、地方たばこ消費税は地方税でございますけれども、結果的には六大都市に集中しているのではないかということでございます。その場合に、府県税とそれから市町村税との合計の意味でございますけれども、いわば全体のたばこ消費税の中における六大都市の占める割合をお聞きしたいと思います。  第一点と第二点、自治省に御説明願いたいと思います。
  109. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 地方たばこ消費税につきましては、御案内のとおり昭和二十九年度に地方自主税源の充実をするという考え方のもとに大規模な税財政の改革が行われたわけでございますが、このときに設けられたわけでございます。  そのときの考え方は、この地方たばこ消費税というものは、税源が地域的に偏在をしておらず、またその税収入が年度間によって余りばらつきがなくて安定的であるということで、地方税としては極めて適切な税であるという考え方からこの税制が設けられまして、既に三十年の経過があるわけでございますが、その間、税率等は一貫して引き上げが行われまして、関係者の皆様方の御理解によりまして税制としては充実してまいってきているところでございます。  今回、地方たばこ消費税の問題につきましては、たばこ専売制度改革関連いたしまして、輸入の自由化というような問題についてどのように対応するかということでいろいろと検討を進めたわけでございますが、基本的には国産たばこの流通経路というものが現在と変わらないということもございまして、現行制度の基本的な枠組みを維持しながらこの制度に所要の調整を加えれば足りるという判断に立ちまして、今回関係法案国会に提出をいたしているところでございます。  したがいまして、制度的には全く複雑にするという考え方はございませんで、現在専売公社が行っている納税のやり方をそのまま輸入のたばこにつきましてもやっていただくという考え方で対応していきたいというふうに考えているわけでございます。ただ、取り扱い本数が極めて少ない納税義務者も最初のうちはあろうかと思いますので、その点につきましては申告時期の特例などを設けますなど、納税事務の簡素化につきましては配慮いたしまして、今後とも納税事務の便宜を図るように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  第二点の、六大都市にこのたばこの消費税というものが集中しているのではないかという御質問でございますけれども、私ども、手元には実は都市の分だけしかちょっと集計をしてこなかったわけでございますけれども、いわゆる背の指定都市、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の各市とそれから東京都の特別区、この六つの地域におきますたばこ消費税の市町村税のたばこ消費税全体に占める割合は約二二%でございます。
  110. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私がこの前もらったのには都も含めて三八・五%とあるけれども、数字がちょっとおかしいな。
  111. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 市町村税の税に限って私申し上げたわけでございますが、昭和五十七年度の全体の市町村税におけるたばこ消費税の総額が約四千八百七十八億円でございます。この中の先ほど申し上げました横浜市以下の六大都市の市町村たばこ消費税が一千七十六億円でございますので、第二二%という数字が出てまいります。
  112. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ほかの国では、たばこ消費税というのは地方税になっておるのですか。
  113. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 諸外国の状況につきまして、私どもすべての状況を把握していないわけでございますが、例えばアメリカにおきましては、連邦税のたばこ税のほかに州税としてたばこ税を徴収しているところがあるようでございますし、またカナダにおきましても同じように、連邦税のほかに州税を徴収しているところがあるようでございます。ただ、市町村税につきましては私ども詳細を承知いたしておりません。
  114. 安倍基雄

    安倍(基)委員 アメリカやカナダは連邦制でございまして、それぞれの州が半分独立国みたいな形になっておるわけなので、欧州諸国は御存じないですか。
  115. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 私どもが承知している範囲では、地方税としてのたばこ税はないんじゃないかと思います。
  116. 安倍基雄

    安倍(基)委員 臨調答申に言う「国及び地方のたばこ消費税の在り方については、政府において検討する。」というのは、どういう意味でございますか。
  117. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 私、最初に申し上げましたとおり、この地方たばこ消費税につきましては、昭和二十九年度に創設されて以来、この地方たばこ消費税は地方の独立税として維持することが望ましいという考え方に立ちまして、輸入の自由化に伴って所要の調整を行うという考え方からこの地方たばこ消費税に対応すべきものと我々は理解しております。
  118. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は臨調答申について聞いておるので、臨調関係の方にお答えいただきたいと思います。
  119. 新村淳一

    新村説明員 お答え申し上げます。  臨調の基本答申では「国及び地方のたばこ消費税の在り方については、政府において検討する。」というふうに提言しております。これにつきましては、国、地方のたばこ消費税のあり方は、ただ単にたばこ消費税としてだけ考えるのではなくて、税制全体の中で幅広く検討する必要があるだろう。それからもう一点は、相当技術的な側面も含んだ問題である。そういうことで、臨調としてはその中にまで立ち入る時間的余裕はとてもございませんで、政府において適切に御検討いただきたい、そういう提言をいたしたものと私どもは承知しております。
  120. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は何も地方の財源を全部国へ吸い上げろと言っているわけじゃないのですけれども、いろいろな税金が六大都市というか富裕県に集中し過ぎておるのじゃないか。地方自治の名においてそれぞれの独立財源を持つことは非滝にいいのですけれども、例えば東京都あたりが随分行革やったから給与を上げると言っておりますけれども、あれは行革を余りやらなくても自然に金が集まるように大きな都市は構造的にできていると私は考えているわけでございます。一方、地方の県あるいは都市は、財源を非常にもらったような形をしておるけれども、現実的に大して収入がない。ですから、美濃部さんがめちゃくちゃやったから赤字になりましたけれども、普通にやっていれば黙っていても東京都あたりは懐はほくほくなんだ。  これは一つのアイデアですけれども、地方税について、交付金みたいな形にして財政の苦しいところへ回すという種類の地方税体系をつくってみてはどうか、たばこ消費税をその一つのはしりにしてみるのも一つ考えではないかと私は考えているのでございますけれども、この点、自治省、そして大蔵省の御見解を承りたいと思います。
  121. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 地方税におきまして一番の悩みの種は、おっしゃるとおり税源が偏在しているということでございます。そういうことを勘案いたしまして、交付税制度におきましてもたばこの財源調整を現在も行っているわけでございますけれども、現在地方団体に付与されている税源は、私ども立場からいたしますと、地方自治を維持するための最低限の税源であるという理解の上にまず立ちまして、今後とも地方税収の充実をむしろお願いをしてまいりたいという立場でございます。  そういう点から、今回のたばこ消費税につきましては、特に税源の偏在が他の税目に比べて少ないという問題もございますし、また税収入が非常に安定的であるということから見ましてもむしろ地方税として非常にふさわしい税だということから、今後とも地方独立税として維持させていただくようお願い申し上げたいと思うわけでございます。
  122. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今、自治省とともに大蔵省はどう思うかということをちょっと聞いたのでございますけれども……。
  123. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 地方税制の問題でございますので、国税の税制当局者といたしましては具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思うわけでございますけれども、今回のたばこ消費税の問題につきましては、国税、地方税を通じまして税制調査会でも御了承を得た案で、政府の案として立法府に提案を申し上げておるということだけを申し述べさせていただきます。
  124. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今すぐどうこうということもちょっと答えにくいのでございましょうけれども、いずれにいたしましても中央の行革は一応軌道に乗り始めておる。地方の行革をしなくてはならない。そのときにおいて、税源をどう配分していくのかという問題は非常な問題になる。中央と地方のもたれ合いということを是正していかなくちゃいけない。そのためには地方税をどう考えていくか、そのときにその偏在をどうしていくのかという基本問題を考えていかなくちゃいけないと私は思うのでございます。たまたま地方たばこ消費税はだんだんと税率が上がってきておる。それが六大都市の方に集中していくのじゃないか。計算の話は、今の説明との関係がございましてちょっとあれでございますけれども、いずれにいたしましても、一つの例といたしまして、これからの検討課題にすべきなのではないかと思うのでございます。  そろそろ時間も参りましたから、最後に締めくくりでございますけれども、今回の法案臨調答申の悪口を言いましたけれども、今回の特殊法人化は基本的には誤りではない。しかし、それならば、さっき申しましたように、たばこ耕作審議会のような重荷を負った形でいってはおかしいのではないか、その運用をよくよく考えていかねばならないのではないか。また、原料段階のいわば合理化という面で、単にたばこ耕作者のエゴ、エゴという言い方は厳しいかもしれませんけれども、激変緩和は考えなくてはいけないけれども価格をつり上げることによってというのじゃなくて、生産性向上というところで処理をしていくべきなのではないか。そして、流通段階、加工段階の自由化をどう進めていくか。ただ、その場合に弱者に対する方法ということは十分配慮しなければいけませんし、激変緩和を考えなければいかぬということでございますけれども、そういう点を配慮していただきたい。  それからもう一つ、輸入たばことの競争というものをこれからどうしていくのか、たばこ消費税のあり方についてよく考えていくべきではないかという点でございますけれども、最後に大蔵大臣のお言葉をいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 今、みずからの質問を振り返って整理された締めくくりの御意見であったと思うわけであります。  その中で御指摘なさいました問題につきましては、いわばたばこ審議会等が、それぞれの立場に立った権利の主張というような形の中で運営されることは極力避けるべきである。だから私は、言葉で申しますならば、いわばたばこ産業全体を支えていく一つのグループとしてその中に公正な意見が語れるであろうし、またそういう方々をお選び申し上げなければならぬではないかというふうに申し上げたわけであります。  それから、流通段階の問題も、御指摘のあった問題それぞれもっともな御意見であろうかと思うわけであります。  そしてまた、最後の地方税の問題でありますが、これはやはり公経済を支える車の両輪としてのそれぞれのあり方がございますし、考えようによれば、かつては平衡交付金と言い、基準財政需要額、基準財政収入額、そういうようなものから勘案してそれが今の交付税という名前になっただけでも、私はこれは地方自治への一つの前進、言葉そのものも前進したではないかというふうに考えております。  そして地方税、いろいろなものがございますが、税源が偏在しておるという事実はございます。しかしながら、またそこには交付税制度の配分等によってそれなりの権衡を自治省そのものでおとりになっておりますし、また国全体の施策の中で見ますと、例えば東京都は東京都で収納される国税の恐らく九・何%しか還付されていない。還付倍率恐らく九・幾らだろうと思います。私の島根県とか沖縄のごときは四三〇とか四四〇でございますから、そういう税源の乏しいところにはまた総合的な政策の中でいわゆる配分がなされておるではないか。だから、今の場合もう一度、言葉が適切ではございませんが、中央集権的な物の考え方に返るということは私は適切ではないではなかろうか。ただ、税源そのものが偏在しておるというようなことからして、絶えず税制調査会等で広範な立場から御議論をいただく課題であるという事実認識そのものは持っておるわけであります。  いずれにいたしましても、新会社が仮に今国会で通していただいて四月一日に発足をいたすということになりますならば、その間に政令なり省令なりあるいは定款等々本院等の議論を中心にしながら詰めて、出発に当たっては万全を期さなければならない課題だと考えております。
  126. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私、今ちょっと誤解があってはいけないのですけれども、中央集権に戻れとまでは言ってないのでございます。いずれにいたしましても、地方税におけるアンバランスを地方税の内部である程度分けていくというシステムも要るのじゃないかという気がするわけでございます。  大臣、長い時間御苦労さまでした。ありがとうございました。
  127. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  128. 瓦力

    瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。正森成二君。
  129. 正森成二

    ○正森委員 現在継続しておりますたばこ関連の五法案について、これから質問をさしていただきたいと思います。既に多くの同僚議員が質問になりましたので、多少重複する点があるかもわかりませんが、お許しを願いたいと思います。  そもそもこの法案は、たばこにつきましては国に対する専売納付金が一兆円を超える、あるいは地方自治体に対するたばこ消費税が五十九年度予算ではやはり八千億円を超えるというような明白な財政物資関連する法案であります。  私は、総裁には申しわけないのですが、大学に入りましたときに結核になりまして、医師からたばこを厳重にとめられまして、以来、禁煙いたしまして三十有余年たばこを吸っておりませんので、専売益金に対しては貢献をしておりませんで申しわけないと思っておりますが、その分は毎日晩酌をしておりまして、酒税の方で大いに貢献をさしていただいておるということでバランスをとっております。  しかし、そういう重要な財政物資、しかも、後の方で質問をいたしますが、我が党の箕輪議員も非常に詳しく指摘されました喫煙と健康との関係という点から考えますと、専売公社という制度をやめて、特殊会社とはいえ民間会社に移行するということについては、国民の間に重大な問題点があるというように言われているわけであります。そういうように民間会社に移行する上で一番基本になりますのは、やはりどんな会社でも会社を設立するときには、資本金をどうするか、今後の利益処分をどうするかということが、いやしくも民間会社である以上、イロハであろうと思うんですね。  そこで、この間、渋沢委員などが御質問になりまして、資本金についてのおおよその考えを承りましたが、まず最初に総裁に、現在、日本専売公社は資本金が幾らであり、資本積立金が幾らであり、それはいかなる根拠に基づいてそういうことになっておるのか、御説明を願いたいと思います。
  130. 長岡實

    ○長岡説明員 現在の専売公社の資本金は二百三十二億六千万円でございます。  それから資本積立金が百二十六億四千六百万円でございます。  この資本金の金額は、私の記憶では、たしか公社発足のときに国からの出資ということで決められたように承っております。  それから資本積立金の方は再評価の積立金でございます。
  131. 正森成二

    ○正森委員 ここに日本専売公社の監査報告書があります。私は、最近のものだけでなしに、あとう限り過去にさかのぼって、専売公社に一冊しかないというようなものもございましたが借り出して、読ませていただきました。それを見ますと、おっしゃるように、公社が発足時の資本金は三十九億九千九百二十万四千円。その後、二十四年の固定資産及び棚卸資産の増加額百九十二億六千五十八万八千円を資本金に繰り入れて今おっしゃるような二百三十二億五千九百七十九万二千円になった。  それから、資本積立金は、ここにちょっと資料も持ってまいりましたが、資産再評価というのが昭和二十五年の法律でなされまして、特に昭和二十九年には資本充実法と略称して呼ばれておりますが、強制的に行うというようなことの関連もあって恐らく公社も再評価されたと思うのですが、三十年一月一日現在で行った固定資産及び無形資産の再評価による評価益を積み立てたものであるということになっておりますね。  そういうような経過を前提にいたしましてこれまでのいきさつを見てみるわけでありますが、その後、毎年毎年分社の利益積立金がなされておりますね。私が見ました監査報告書というのは、たしか三十年以降しかございませんね。そこで、それ以前のことはよくわからないのですが、あなた方の監査報告書によりますと、公社の利益積立金は昭和二十五年度から二十七年度までは棚卸資産、固定資産及び無形資産の増加額、それから昭和二十八年度から四十一年度までは固定資産及び無形資産の増加額、変わったのですね。それから、四十二年度から五十三年度までは棚卸資産、固定資産及び無形資産の増加額から長期借入金の増加額を控除——減少した場合はしたがって加算ですね、した額、五十四年度からは当期純利益を積み立てたものであるというふうに途中で三、四回の変遷がなされております。したがいまして、利益積立金につきましても一概に一律的に規定することはできないわけであります。しかしながら、そういう点を考慮してもなおかつ、いただきました資料による公社の資本金についての考え方については十分理解できないような点もあるやに思われるわけであります。  そこで、伺いたいと思いますが、この間大蔵委員会に御提出願った「日本たばこ産業株式会社の資本金についての考え方」ですね、これを見ますと、五十九年度末たばこ事業貸借対照表純資産額は一兆一千二百二十億である、そこから未払い地方たばこ消費税、退職給与引当金等四千百億円を引く、そうするとたばこ事業に係る出資財産の価格は七千百二十億である。それから五十四年度から五十九年度までのたばこ事業に係る利益の合計額五千五百九十億を引くと、一応資本金の上限と考えられるものは千五百三十億、おおむね千五百億円である、こうなっていますね。  そこで、二つの点を伺いたいと思います。  まず第一に、五十四年度から五十九年度までのたばこ事業に係る利益の合計額五千五百九十億円を引くということになるのですが、いかなる根拠で五十四年から五十九年度までを引くのか。  考え方としては、若干変遷がありまして、棚卸資産まで、増加額まで入れた時期がごく短い時間ございましたが、その後はほぼ似たような考え方で来ているわけですね。そうしますと、昭和五十三年以前の利益積立金というのは、ここに公社の資料を持ってまいりましたけれども、約六千億前後ですね。それを五十四年の段階で切って、五十四年以後の利益積立金だけは除いてということをなぜやるのか。その十分な合理的根拠がなければ、なぜ昭和五十五年から五十九年度のを除いてはいけないのか、あるいはなぜ昭和五十二年度から五十九年度までを除いてはいけないのかというのは疑問が当然出てくるのですね。したがって、なぜ昭和五十四年から五十九年度までの利益の合計額ということでお除きになったのか、その根拠を御説明願います。
  132. 長岡實

    ○長岡説明員 利益金概念というものについて、正森委員御指摘のように過去において何回か変遷がございます。これは経緯一つ一つ私勉強しておりませんので、どういう趣旨でそういう計算の根拠を変えたかということにつきまして、必要であればまた補足的に理事から御説明を申し上げさせますけれども、五十四年の法律改正によりまして納付金率が法定されました。いわばこれは今までの専売納付金の納付のルールが根本的に変わりまして、売上税的な要素になりまして、その納付金率の法定と同時に結局納付金を納めた残りのものが公社の利益であるという利益概念も非常にはっきりと確定をしたわけでございます。したがいまして、先ごろこの委員会にお示しいたしました資本金の上限計算の場合に、いろいろと議論がございましょうけれども、この範囲であればまず現在の民間企業の利益積立金等の概念に照らして御疑問がないであろうと思われる点に絞りまして、五十四年以降の利益金の合計額を表示したような次第でございます。
  133. 正森成二

    ○正森委員 一応の御説明になっているのですけれども、しかし、昭和五十四年から納付金率について、五六%前後でしたか、正確には端数があったかもしれませんが、決まって、利益金の概念が出てきたと言いますが、それまででも公社が代々利益積立金ということで積み立ててきて、その根拠を私なりにあなた方の方の監査報告書について申しましたが、考え方としては大きく変わっていないのですね。  資料がございますけれども、従前も、現行の納付金率制度が昭和五十五年に導入される以前、昭和四十六年度から大蔵省専売公社との覚書に基づいて行われていた専売納付金率制度というものがありますね。  それは総裁にお答え願うのはあれですから、理事お答え願ってもいいですが、時間の関係で私が申し上げますと、第一種納付金というのはたしか総定価代金の五六%ということになっておりました。間違っていたら言ってください。第二種納付金というのは残りの事業益金の三七・五%、こういうことになっていて、この残りの事業益金の六二・五%は日本専売公社が内部留保してよろしいということになっておりますね。したがって、この第二種納付金の考え方というものは明らかに利益金の考えをとっているということになれば、昭和五十四年以後とそれ以前とで大きく区別するいわれはないというように言わなければならないと思うのですね。そうじゃないですか。
  134. 遠藤泰

    遠藤説明員 ただいま先生御指摘がございました四十六年から五十三年の間にわたりましていわゆる覚書方式によりまして専売納付金がそのように算定されたというのは、御指摘のとおりでございます。  ただ、私どもが今回資本金をどう考えるかという中でいろいろ議論いたしました際に、もちろん利益という概念というものはこの覚書方式の中にも入っているのじゃないかというのは御指摘のとおりではございますが、五十四年以降のいわゆる納付金率の法定は、国会で御審議をいただいて法定化されたというそれ以降の問題でございますし、この覚書方式はいわば行政協定のようなものだというふうなことのその辺の扱いの違い等についてもいろいろ考えまして、五十四年以降の、納付金率が法定化された以降の利益の合計額を控除することが適当でないかというふうに考えたわけでございます。
  135. 正森成二

    ○正森委員 大臣、幾ら説明しても合理的な説明にならないのですね。そのことはその他の部分について見ても一目瞭然にわかるので、この間いただきましたのに、未払い地方たばこ消費税と退職給与引当金等四千百億円というのがありますね。その明細について私が事前に説明してほしいということで専売公社から資料をいただいております。  それを見ますと、四千百億円の内訳は、昭和六十年三月の見込み販売数量に係る未払い地方たばこ消費税を約八百億円と見込んでおる。これは問題ないですね。その次に、昭和五十九年度末に全職員が退職したと仮定した場合の退職給与引当金を約二千七百億円見込んでおる、三番目にその他の共済組合追加費用等を約六百億円と見込んだものである、こうなっておりますね。いいですか。  そうしますと、主税局長来ていますか——主税局長、全職員が退職したと仮定した場合の退職給与引当金として二千七百億円見ておるのですね。しかし、たとえ特殊会社とはいえ、普通の株式会社になった場合、現在の制度上、退職給与引当金を、公社の従業員の全員が一度に退職するとして積み立てるというようなことは税法上許されるのですか。私の理解しているのでは、ついこの閥までは五〇%で、この間、税制の改正があって四〇%を限度とするということになったのじゃないですか。それを、この場合には文章で書いてきているのだから間違いないのだけれども、全従業員が五十九年度末に退職した場合の退職給与引当金を全額見ておるのですね。これについて、主税局長はどう思いますか。
  136. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 先般委員会に提出されました資料の詳細について私も存じないわけでございますが、今委員の御質問趣旨に照らしましてお答えを申し上げますと、まず退職給与引当金でございますが、ただいま提案になっております会社法の附則によりまして、新会社に移行いたしました場合に法人税法の規定に即しましてきちんとした手当てができるような規定を設けさせていただいておるわけでございます。したがいまして、新会社発足後は、当然普通の法人と同じ税務計算上の退職給与引当金が税務経理上は認められる、それ以上のものは認められないということは、これは明らかでございます。  ただ、民間の会社等におきましても、有税の引き当てということを利益準備金の形でやっている会社も幾らもございます。したがいまして、ここに出ております資料の資本金の考え方の頭の整理が、いわゆる資本金なのか、利益準備金も入れたところの資本金という広い概念で整理されているのか、そういう問題ででざいまして、この数字が税法上許されるか許されないかという御質問にはちょっと関係のない問題の御提起ではないかと私は考えるわけでございます。
  137. 正森成二

    ○正森委員 主税局長が随分専売監理官と専売公社をかばった温かい答弁で、苦心の答弁であるというように思うのですね。私も、退職給与引当金にしろ、ほかの引当金にしろ、有税で積み立てることができるというようなことは存じておりますが、少なくも税法上認められるのは四〇%なんですね。ですから、今梅澤主税局長は、この中には利益準備金とかあるいはその他いろいろな概念が含まれるものがあるのじゃないかというように丁寧に言われたのですけれども、まさに私がこれから聞こうというのはそういうことで、しかし、それならそれで、そういうことがわかるようにやはり資料を出すべきなのであって、これは私が特に要求してこれだけのことが出たのです。それをさらに梅澤さんは詳しく説明したのですね。だけれども、当委員会に出したものは「未払い地方たばこ消費税、退職給与引当金等」となっておれば、だれでも有税でなしに、税法上許される退職給与引当金を引くのだなというように見るのは当然じゃないですか。だから、こういう書き方は、大蔵委員会に対する提出資料としては非常に不十分なものであるというように言わざるを得ないのですね。私は小野専売監理官の人柄が非常にいいということはよく知っておりますから、あえて不誠実というような表現は使いませんけれども、非常に不十分なものであるということは間違いがないと思います。  そこで、今梅澤さんが助け舟で利益準備金も入っているのじゃないですかとかなんとか言われましたから、そういうことを前提にして聞きますけれども、仮に税法上許されている四〇%を計上するとすれば、この二千七百億円という中から一挙に千六百二十億円ぐらい出てくるのですよ。そうすると、この資本金は一挙に三千億円ということにあなた方の考え方だったらなっちゃうのですよ。だからこんなもの、資本金が千五百億であるのか三千億円であるのかなんというのは重大な違いですからね。おまけに、あえてきりきりとは言わなかったけれども、利益積立金でも、後ろから理事がだれかが御答弁になったけれども、なぜ五十四年から五十九年にして、五十五年から五十九年にしないのか。あるいは五十二年から五十九年にしないのかということについても合理的な説明があったとは私には思えないのです。これらすべてのなぞを解くかぎは、初めに資本金ありきという考え方。ダグラス、グラマン事件のときに法務省の刑事局長が、初めに五億円ありき、こう言って有名な名言になったのですけれども、あなた方の場合は、初めに資本金ありきで、資本金がこれぐらいでないと将来の会社運営上、資本金をつくれば配当もしなければならないだろうし、あるいは税金も納めなければならないだろうしというようなことで困るから、初めに資本金ありきで、その資本金に持っていくためには、あなた方の持っている純資産、それは当然今までの利益積立金も含むのですけれども、それをどういうぐあいに説明のつく格好で圧縮するかという考えが根本になっているから、それでこういうことになるのです。それ以外に説明のしようがないのですね。資産の中から引く重大な二つの項目である退職給与引当金等についても、あるいはなぜ利益を五十四年から五十九年まで引くのかについても十分な根拠がないと言わざるを得ないのですね。  ただ、私がこう申しておりますのは、総裁、むやみやたらに資本金を大きくしなさいと言っているのじゃないのです。資本金が大きくなれば、それに対して配当をしなければならないとか、いろいろな問題が起こってまいりますね。今までは全部利益積立金として内部に留保できたのですね。それが会社から流出することになるわけです。それは今までの日本専売公社にはかってなかったことなんですね。そうしますと、その流出した部分をどこかで挽回しなければならない。むしろ、専売公社のときよりも明々白々経営は苦しくなるのですから、臨調経営合理化で民間の経営にした方がずっとよくなると言いますけれども、一番重大な部分については専売公社のままの方がはるかに楽で、内部留保は多いのですね。それで、国庫に余裕金があればただの金だって使えますし、それから資金運用部資金だって使えるわけでしょう。それが今度は、資金運用部資金は三年間か何か使えるということになっておりますけれども、国庫のただの金は使えなくなるでしょう。そういうような面も含めて、何か臨調ではいいことばかりみたいに書いてあるけれども、そうじゃないんで、悪いことだっていっぱいあるのですね。  だから私は、配当などに重大な関係のある資本金というのは、将来余分な負担を——たばこ産業に従事する三万九千人と思われる職員、大部分は労働者であります。あるいはたばこ耕作者約十万人、そしてたばこ販売で食べている二十五万余の小売店、その家族合わせますと百万を超えると思いますから、そういう家族の激変を避ける、生活を守るためには、堅実な経営でなければならない。それには過大な資本であればさまざまの資金の流出を伴いますから、考えていかなければならないとは思っておりますよ。思っておりますけれども、しかし、会社として一応説明のつく形態にしなければ、これは国会として法案を通すときに困ってしまうんじゃないですか。  だから、私がこれから申そうと思うのは、やはり資本金が幾らであれば、あるいは資本準備金をどうするとか、あるいは梅澤局長が言われましたが、利益準備金をどうするとか、外部に流出しないである程度置いておくことができる金、それをどういうぐあいにするか、その中でどうしても配当等に関係がある資本金、それはどうするかということで、資本の概念を、どこの会社でもやるように資本と資本準備金あるいは利益準備金その他の内部留保というように、やはり区分していく必要があると思うのですね。それをやらないで、一応、委員会委員がある程度大きい声を出したら二千億と言う。もう一つ大きい声を出したらこういうのを出す。きょうはまだ私、これで大きい声を出してないのですよ。予算委員会だったら大きい声を出すでしょうけれども大蔵委員会だから同僚に迷惑をかけたらいかぬと思って、正森成二としては穏やかに聞いているわけです。穏やかに聞いているのだけれども、重大な問題なんですね、本当は。この退職給与引当金のところだけでも、予算委員会なんかだったら、大きな声出してストップだと言えばとまってしまうのですよ。だから、それについてどういうように合理的にお考えになりますか。
  138. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 退職給与引当金の件につきましてでございますが、ただいま主税局長から御説明のございましたように、税法上は確かに四割ということでございます。ただ、公社が新会社に移ります際に、従来公社の職員につきましては国家公務員等退職手当法が適用になっていたわけでございますけれども、今後は新会社の労使協約によって退職金を定める、しかし、その職員の地位を安定するということから、公社に勤務していた期間は新会社において勤務していた期間とみなすという規定を附則に置いておるわけでございますけれども、少なくともその間に相当する分の退職金、これは公社時代の債務と考えてよろしいかと思います。  そういう意味で、六十年の三月三十一日でございましょうか、その時点における職員の自己都合退職金の総額、これはいわば公社から新しい会社に引き継がれる債務性のものであるというふうな考え方で、いわば全額を計上したわけでございます。  それから、五千五百九十億の件につきましては、先ほど公社の方からも御説明がございましたように、いろいろな考え方は確かにあろうかと思われます。ただ、その場合何を基準にするかということなわけでございますけれども、やはり納付金率の法定化というのは非常にはっきりした一つの基準であることは言えようかと思います。そういう意味で、五千五百九十億を差し引くわけでございますが、お手元の資料にございますように、たしか七千百二十億でございますか、それがいわば資本に相当するものでございますので、資本金といたしましては千五百億ということでございますけれども、その差額に純資産の、純資産と申しますか、その資本に相当する金額と資本金との間の額については、資本準備金として処理すべきであろうかと存じております。
  139. 正森成二

    ○正森委員 初めてそういう答弁をされたのですけれども、この日本たばこ産業株式会社法案の附則の第四条を見てください。附則の第四条の二項には「会社の設立に際して発行する株式については、商法第二百八十四条ノ二第二項本文の規定にかかわらず、その発行価額の二分の一を超える額を資本に組み入れないことができる。この場合において、同条第一項中「本法」とあるのは、「本法又ハ日本たばこ産業株式会社法」とする。」という規定があるのですね。商法では、その発行価額の二分の一以内の額しか資本に組み入れないことはできないのですね。つまり、二分の一以上はすべて資本に組み入れなければいけない。それをこれは二分の一を超えても資本に組み入れないでもいいということで、逆転させているわけですね。わざわざこういう規定を置いているのです。  そこで伺いたいのですが、この発行価額というのは、これはどういう意味なんですか。
  140. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 通常の場合でございますと、これはむしろ正森先生の方がよく御存じかと思われます、私余り商法に詳しくないわけでございますが、私が理解しておりますのは、例えば額面五百円の株を千円なりあるいは一万円なりで発行した場合に、その千円なり一万円なりという額であり、その発行価額、額面金額をたしか超える額だったと思いますが、それの二分の一を資本に組み入れる、資本充実のための規定だと理解しておるわけでございます。  今回の日本たばこ産業株式会社につきましては、現在の商法によりますと、資本金の額面額と申しますか、発行株式の総額、額面総額と申しますか、それといわゆる資本というものは必ずしも連動しておりません、切り離されておるようでございますので、この場合、七千百二十億でございますか、これが発行額ということになるんではないかと理解しております。
  141. 正森成二

    ○正森委員 しかし、それはそこまで答弁していいんですか。商法によりますと、二百八十四条ノ二第二項の本文と書いてありますけれども、ただし書きのところを見ていただきますと、ただし、その額面金額、それから無額面株の場合はたしか五万円を下がることはできない、こうなっているんで、ただし書きでは額面金額だけは資本に入れなければならないというようになっているんですね。そうすると、額面金額がともかく何ぼかになれば、それだけは資本にしなければいかぬとも読めるんですね。  そうではなくて、例えば株の公開をするというような場合に、どうせプレミアム価格がつくでしょうから、その部分についてだけ規定するというならこれは問題ないのですけれども、あなた方の場合は、これから後でまた質問しますけれども、いつ株の公開をするのかについても十分にはっきりした御答弁がないわけでしょう、当面は一株の額面を決めて、それで何万株発行、こういうぐあいになるわけですからね。だから、それについてもこの規定の適用があってその額は七千億円くらいになるんだけれども、そのうちの千五百億円だけを資本にしてもいいという解釈ですか。それは二百八十四条ノ二の二項のただし書きとの関係でそんなに気安く言い切っていいのかどうか、重大な問題がありますよ。  私は、あなた方は資本金と資本準備金というように分けてともかく資本の額は確保する、そうしなければ、利益だなんて思われたら利益の処分をどうするとかいろんな問題が起こってきますから、これだけは外へ出せないという額を持っておくべきだと思いますが、今の答弁は法務省なんかともよく相談してから答弁されないと、今ので決まってしまうと政府の有権解釈として後で問題が起こる可能性がありませんか。  私は、きょうここにできたら法務省の商法担当の人が来ておられた方が安全がなと思うのですが、それで維持されるというならそれでもいいんですよ。資本金だけでは無理なんでしょう。資本準備金やら何やらいうのを考えないと、この説明の仕方では無理じゃないですかということをきょうの質問一つのテーマにしたわけですから、それについては資本準備金という考えでいたしますと言っておられるのですからいいですが、それをこの七千百二十億というのでやっていいのかどうか。それが商法二百八十四条ノ二の解釈やら附則の四条の解釈に合致しているのかどうかについては構いませんか。構わないんならもう次へ行きますよ。
  142. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、千五百億を上限と申し上げてございますので、その範囲内において一応考えておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げなければならなかったと思いますが、これまた先生よく御存じのことと存じますけれども法律上は資本金の額は設立委員会において原始定款で定めることになっておるわけでございます。したがいまして、この法案を通していただきましたならば、設立委員会を開きまして、そこで新会社の資本金というものがいかにあるべきものであるかということは御検討いただくわけでございますので、今申し上げている数字はあくまでも国会の御審議のために、私どもが一応のめどと申しますか、そういうもので差し上げているということをお断りすべきであったのでございますけれども、それを申し上げ忘れましたので、ちょっとお許しをいただいて申し上げたのですが、資本金といたしましては千五百億を今上限として考えておる。七千百二十億につきましては、これは現在公社経理の上では利益積立金として積み立てられている部分が相当あるわけでございますけれども、これは今先生がおっしゃいましたように、国民の重要な財産の一部でございますから、みだりに流出してよろしいというわけのものではございません。そういう意味で、資本準備金として経理すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  その辺の点につきましては、さらに勉強いたしまして、またお答え申し上げます。
  143. 正森成二

    ○正森委員 私は、経理については、それは専売公社なりが自由にお決めになるから、そういう御解釈だというならそれで結構だと思うんです。  しかし、そうしますと、日本たばこ産業株式会社法の附則四条の二項の「その発行価額の二分の一」という、発行価額という解釈の問題にもなってくるので、これは恐らく法務省の管轄だと思うんです。したがって、委員長、申しわけございませんが、この部分については、短時間で結構ですけれども質問を留保させていただきます。自分の時間を短くいたしますから。そうでないと、後でいろいろ問題になるといけませんから。
  144. 瓦力

    瓦委員長 さように取り計らいます。
  145. 正森成二

    ○正森委員 それでは次の問題に移りたいと思います。  次は、先ほど私が一部もう既に申したことでありますが、会社の移行に伴って公社としては新たな負担が起こるんですね。それはまず第一に、利益があれば法人税や地方税を払わなければならない、これは今までなかったことであります。それから、相手が当分の間は国でありますが、配当をしなければならないということになるわけですね。これは今までになかった内部留保金の新たな流出であります。  そこで、大蔵大臣に伺いたいと思います。  大臣、仮に資本金を千五百億円としますと、千五百億円の会社に専売納付金を約一兆円以上縁いてくれ、それからたばこ消費税を八千億円以上稼いでくれということになれば、元が千五百億で、毎年毎年一兆八千億円から財政に寄与してくれるわけですね。これだけでも国家にとっては相当、柄の悪い言葉で言えば御の字だと思うんですね。その上に、国がその株式を持っているんだから、もうかったら配当よこせ。その前に法人税と地方税はまたもらうよということなれば、余り話がぼろ過ぎるような感じもするんですね。それは明らかに新たなたばこ産業株式会社に、専売公社時代にはなかった新たな負担と新たな資金流出を行わせることになるというように書わざるを得ないんですね。  それについて、財政危機の折から非常によいことであると思われるか、ちと話がぼろ過ぎるなという気を持っておられるか、御感想を伺いたいと思います。
  146. 竹下登

    竹下国務大臣 感想とおっしゃいましたので、いささか気が楽になりました。  確かに一般の、例えばサントリーさんにしても、法人税、地方税、そしてその配当等の上に、いわば消費税としての間接税である酒税の取り次ぎをしていらっしゃる。こういうことですから、民間になった場合は、やはりそれと同じ体制の中にこれは入らざるを得ない、理屈の上はそうでございます。  したがいまして、今度民間になった理由の方が、いわば開放体制に即応する当事者能力を含めた自由欄達な経営を一方期待しておるわけでございますから、やはりそのことは、国は配当をもらった上に、法人税もらい、地方税もらい、その上にいわば間接税の取り次ぎもしてもらうということはそのとおりでございますが、やはりいわば商法上の特殊会社になればそれは当然のことではないかな、こういう感じでございます。  感想とおっしゃいましたから……。
  147. 正森成二

    ○正森委員 いやいや、それを伺って、やはり竹下大蔵大臣はそれでなければ、財政危機のもとの大蔵大臣勤まらぬなというように思いますけれども、それは理屈はそうかもしれませんが、しかし専売公社からいえば、今まで納めてなかった法人税も払い、地方税も払い、配当という形で国にお返しもするんだから、その部分はたばこ消費税に移行する場合に、その率を下げてくれという理屈だって成り立つんですね。それが全体として今までの納付金と消費税の合計に合えば、国はそれによっていささかも損もこうむらないんだからという理屈も経営者としては当然成り立つと思うんですね。私率直に言いまして、私は野党も野党も共産党ですからそう言うことはないですが、もし日本専売公社の総裁であれば、それぐらいのことは言うと思いますね。経営を本当にやっていこうと思えば、今まで国に奉仕している分は納めます。それより少なくしてくれとは言わないけれども、それより余分のものを出して合理化負担を強いられるのは、あなた方の言われる開放経済のもと、アメリカのフィリップ・モリスとかいろいろなものと太刀打ちしていく上で余りにも国は過酷な負担を強いるものではないかという議論は起こっても、それは当然のことじゃないかと思うんですね。総裁盛んに共感の意を込めてうなずいておられますが、言葉には出しにくいと思いますから、あえて御感想は伺いません。  その私と同じ考えは、政府税調もやはり言っているんですよ。これは梅澤さんがおられますが、昭和四十三年ぐらいからこう言っているんですね。従来の納付金には、消費税に相当する部分だけでなく、公社の利益に対する利潤課税部分が含まれている。ということは、例えば昭和四十三年の税調の長期答申などには明白に書かれているんですね。だから、今まで納めている納付金と地方への消費税、それは単なる消費税だけでなしに、企業としての専売公社に対する利潤部分に対してもかけられているんだ、こういうことをはっきり言っているんですね。それが証拠に、昭和四十六年から大蔵省との覚書に基づいて、先ほど言いました第一種納付金というのは総定価代金の五六%、これは一律だ。そしていろいろな経費が要りますね。それを引いても、残りの事業益金の三七・五%を第二種納付金にするということに決めたのは、明らかに第二種納付金は利潤課税であるという考えでそう決めているんですね。だから、もう既に今まで納めているたばこ専売納付金と地方の消費税の中には利潤課税が含まれていると見なければならないのです。四十三年の政府税調もそう言っているんですからね。  ところが、今度のたばこ消費税についての法案が出まして、それは今の政府の収入をいささかも減らさないように率を同じにして、そしてその上に利益が出れば、今までずっと、最近では一千億円前後の利益が出ていますね、その利益について法人税は取る、地方税は取る、おまけに残ったそれこそとらの子は、政府に、もっと具体的に言えば竹下大蔵大臣に配当として差し出さなければならない、こうなっているんですね。  だから、私がこういうことを言いますのは、そういうぐあいに内部留保が今までと違って、余分な資金が、あるいは利益がと言ってもいいですが、流出するとすれば、それを賄う方法というのは三つしかないんですね。一つは、言うまでもなく三万九千人の職員に対して一層の合理化を強いて、そして経営効率をよくするということにするか、あるいはたばこ耕作者に対して買い入れ価格をたたいて、そして葉たばこ原価を切り下げるようにするか、あるいは三つ目は、もうこれ以上やれないでフィリップ・モリスや何かとは競争できないから、できれば、法人税も払い、地方税も払い、おまけに配当も払うのだから、たばこの消費税部分を引き下げて、それを足したものが従前のものと同じようになるくらいにしてもらえぬかと、これを勇気を持って言うか、その三つ以外にはこの余分な負担を何とかしていく道はないわけです。そして、現在見るところ、政府に対してそういう強硬なことを言う、強硬じゃなしに私は当然だと思いますが、そのことは多分おっしゃれないでしょう。そうすると残るところは二つで、葉たばこ農家をたたくかあるいは三万九千人の労働者をたたいて合理化するかということでこの余分の負担、内部資金の流出に対処するということを、外国たばこの輸入という厳しい条件のもとでやらなければならないということになるでしょう。これは、失礼ですが、総裁、よほどの経営手腕がないとできないですな。と私は思いますよ。いかがですか。私が今言うた、今のままでいけばそういう三つの方町で資金を生み出す以外にないというのは、これは諭理学の問題ですからね。
  148. 長岡實

    ○長岡説明員 株式会社に移行することによりまして、現行制度に比べまして公租公課の負担あるいは配当負担といったようなものがふえて、それが、公社と申しますか新会社にとって相当の負担増になることは事実でございます。新しい制度の方向としてどういう経営形態を求めるべきかということを私どもは私どもなりに勉強し、大蔵省との間でも議論を詰めながら、今回御審議をいただいております改革案に到達したわけでございますけれども、その過程においても当然この問題は議論され尽くしておる問題の一つでございます。  結論的に申しますと、やはり今回の制度改正が、それが原因で制度改正になったというわけではございませんけれども一つの大きなポイントは、開放経済体制に進む、その中でたばこの輸入の自由化が行われる。それによって、我が国のたばこ市場において外国品との間で相当激しい競争が行われていく。この激しい競争が行われていくことはつらいことではございますけれども、長期的に見た場合には、その競争に勝ち抜くことが初めて我が国のたばこ産業が生き残れるゆえんではなかろうかというふうに考えたわけでございます。  そうなりますと、一体どうしたら我が国のたばこ産業が勝ち抜いて、生き抜いていけるだろうかということを考えますと、やはり、厳しい問題ではございますけれども合理化すべきものは合理化して、いわば、もしぜい肉があるならばぜい肉を切り落として、そして長距離競争に耐え抜くような企業体質にしなければならない。そういったようなことが一体どういう経営形態のもとにできるかということで考えてまいりますと、もちろん公的な使命を負っておりますから民間の企業になるわけにはまいりませんけれども政府関係特殊法人の中で最もそういった合理的な企業経営が可能な経営形態と申しますと、やはり株式会社組織の特殊法人になることではなかろうか。  そこで一つのジレンマに陥りますのは、そうなれば負担がふえますよということでございますけれども、私どもは、つらいことではございますが、あえてその負担の増を耐え忍びながら、正森委員おっしゃるように、将来新会社の経営者になる人は恐らく大変だと思いますけれども、しかし、それは覚悟の上で取り組んでいかなければならない問題ではないかというふうに決意をいたした次第でございます。
  149. 正森成二

    ○正森委員 模範答弁で結構ですが、将来経営の衝に当たる人という可能性の一番大きいのはあなたですから、だから余り気安う言うてて、それで大変なことになったら困ると思うのですね。  梅澤さんが幸いおられますので伺いますが、貸借対照表では、五十八年三月三十一日現在の当期純利益は千百五十億円ですか、五十七年は千三百六十三億円ということなんですね。そうなりますと、当たり前だったら、これが全部利益に出てくれば法人税はどのぐらいになり、地方税はどのぐらいになるのですか。自治省は来てますか、一遍……。切りのいいように一千億円でいいです、いろいろな前提はあるでしょうが。
  150. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 突然のお尋ねでございますけれども、全くの目見当をつけるという意味でのお答えになるかと思いますけれども、純利益一千億でそれが全部課税所得である、決算上の利益と課税標準となるべき課税所得というのは往々にして食い違う場合がございますし、新会社も法人税法上いろいろな租税特別措置法上の適用を受けられるという意味で課税標準が減る場合もございますし、交際費のように課税所得がふえる場合もございますのであれでございますが、一千億円といたしまして、国税、地方税を通じまして、本年の法人税率引き上げ後の実効税率で大ざっぱに申しますと、五百三十億円余になると思います。
  151. 正森成二

    ○正森委員 やはり私の頭の中にある目の子勘定と大体合うておりますが、そのほかに、仮に資本金が千五百億で、いいですか総裁、それで恐らく配当は一割を超えることはないと思いますが、仮に八%の配当とすれば、やはり百二十億山さなければいけないですね。そうすると六百五十億でしょう。一千億としたら六百五十億は出ていってしまうわけです。残りは三百五十億しかない、こういうことになるわけです。だから、あなた方の経営にとっては大変なことになるということを申し上げておかなければいけないのです。  それで次の問題に移りますが、竹下大蔵大臣、当分の間、たばこ産業株式会社の株式の三分の二を持つということになっておりますね。当分の間ということの意義については同僚委員から御質問ありましたから、私はあえて申しません。しかし、私が伺いたいのは、株式の三分の二以上というからには、三分の一以下をいずれは公開せにゃいかぬわけですね。放出するということになりますが、例えば新聞紙上などでは、電電などは、法律上は最終は三分の一で当面が二分の一ということになっていますが、その二分の一を放出するのに、大体五年ぐらいで順次放出していこうというようなことが言われております。あなた方のたばこ産業株式会社の場合にはいつごろ公開するつもりですか、法律が通ったとして。
  152. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  株式の放出につきましては、前に別の御質問の機会に申し上げましたように、新会社の経営の実態とかあるいはたばこ事業の実態等を総合的に勘案して行われるものであるというふうに考えておりますけれども、前に公社の総裁からも御答弁がございましたように、輸入自由化後の新会社の事業規模あるいは葉たばこ農業の規模等、現段階でははっきり見通せない要素が多々あるわけでございます。そういう意味で、株式の公開時期について現時点ではっきりしたことを申し上げられる状況にはないということでございます。
  153. 正森成二

    ○正森委員 ほかの委員に対する答弁でも一応そういうようにおっしゃったり、それから別のところでは、三分の二を維持する当分の間というのはいつだということを聞かれて、それは今言われたような状況の中で、経営が安定するというか、やっていけるようになるまでだというようなことも言っておられるわけですね。私は、三分の二をいつ二分の一にするのかということについては、これは「当分の間、」というように法律でもなっているから、当分の間というのは経営が安定するするのを見届けないとなかなか二分の一にはできないということで時期を明示できないというのでもいいと思うのですよ。しかし、いやしくもたばこ産業株式会社になるんでしょう。それで、政府が全部いつまでも持っておるというんじゃ、これはたばこ産業株式会社といったって実体のないものですわな。だからこれは、三分の二以上というのを二分の一以上にする当分の間とは違って、それよりは早い時期でなければならないですわな、三分の一も公開しないのに二分の一にいつするかなんて言ってみたって始まらぬわけだから。だから少なくとも理論上は、三分の二が二分の一以上になる当分の間よりは前の時期であるというように考えなければいけないでしょう。それについて何ら、もちろん発足してないからと言えるかもしらぬけれども、三分の二を二分の一にするのは発足してから考えるということであっても、これからたばこ産業株式会社になるのに、いつ公開するかというめども全くつけないで国会の審議を通してしまおうというのは、これははなはだ国会議員あるいはその背後にある国民に対しても問題ではないか。それなら何もこんな法案を出さなくてもいいわけですね。  申し上げておきますが、私はこの法案には決して賛成してないんで、公社制度を改善して維持する方がいい、こう思っているわけですから余計聞くわけですけれども、どうなるか後はお馬に聞いてくれというような、のんきな父さんみたいな考えでは困るんじゃないですか。それでまた、そこを答えられないと次の質問に移れないんですわ。  ついでに言いますと、たばこ会社の株式の公開はどういうぐあいにしてするつもりですか。公開にはもちろん国会の議決を経てというようになっていますけれども、公開値をどうするかというようなことは、これは証券取引所なり大蔵省の証券局の指導で決まっているわけでしょう。私は念のために資料を持ってきましたけれども、証券局長——議官ですか、答弁してもらいましょうか。
  154. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 株式が公開になる場合は、私ども、既発行の株式の場合は売り出しという行為になりますが、その公開価格につきましては、そのときの引受証券会社がその内容を見ながら決めていくことになろうかと思っております。
  155. 正森成二

    ○正森委員 あなた、もうちょっとこの委員会の審議に合致した答えをせなければいかぬよ。既発行の場合ではと言って、たばこ産業株式会社というのはこれからできるんでしょうが。そんなものに既発行の場合はなんて言って、それでひょこっと座って、そんなもの、子供の質問じゃないですよ、もうちょっとまじめに答えたらどうですか。当たり前じゃないか。
  156. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 株式を不特定多数の人に公開していくという場合に、新発債の場合と既発債の場合とございまして、この場合には、恐らく株式が既に発行されておりまして、それがさらに売り出される、そういうふうに想定いたしますと、売り出しということになるんじゃないかと思います。新たに増資するような場合には、新発債として募集ということになろうかと思いますが、いずれにせよ、その価格というのは引き受けた証券会社の方で決定していくということになろうと思っております。
  157. 正森成二

    ○正森委員 今のような答弁をして、私が事前に調べでなかったら、あなたのその不得要領の答弁で、あるいはそんなものかわからぬけれどもわからぬということを言うのも国会議員として恥だからなあといって、通っちゃうんですよ。  私が聞いているのは、まさにその引受会社が決めるという、引受会社の決める基準はどうなのかということを聞いているのですよ。しかも、この場合には今までに株の公開をやっていないのでしょう。初めて株の公開をする会社のその株式公開時の株価はどういうぐあいにして決まるのかということを聞いているのですよ。そんなものは常識じゃないですか。  それについてはいろいろ申し合わせがあるわけでしょうが。その申し合わせを私はここにこう持ってきたけれども、それをあなた方の口から後見的に聞こうと思って持ってきたんだけれども、もし私がこんなもの持ってきてなかったら、あなたのその子供だましみたいな答弁で、はいはいと言って次へ進むということになったらどうするのですか。議員の質問を軽視するのもはなはだしいと言わなければならぬですよ。  恐らくそういうことを答弁するに違いないと思うから、国会図書館で「株式上場マニュアル」という本をちゃんと借りてきて、持ってきて、もう読んで勉強してある。それをそんな子供だましみたいな答弁してひょこひょこ座ってしまうなんて、もってのほかじゃないか。  しかも私がきのう、質問のときに株式の上場とか公開について聞くと言って、大蔵省専売公社の役人に詳細に説明しているんですよ。それなのに証券局は答弁の人間さえ出てきてないじゃないか。私がこの名簿を見て、証券局いないじゃないかと言って、初めてすっ飛んできたんじゃないか。私はきょうは余り大きい声を出さないつもりだったし、特に専売公社専売監理官には御努力願っているから大きな声を出さないけれども、言語道断じゃないか。調べてきているのか。それじゃ答えなさい。
  158. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 私ども、突然のお尋ねでございましたので一般論……
  159. 正森成二

    ○正森委員 ちょっと待て。突然じゃないじゃないか。きのう言っているじゃないか。それを議員の責任にするのか。それじゃ、私の質問聞いた人おるか、この中に。六人も七人も来たんですよ。それで私は、自分の質問の通告をするときに説明した紙もちゃんと持っているんですよ。それなのに、突然聞いたからとは何だ。自分の答えられないことを議員の責任にして、二十四時間前に言ってあることをそういうぐあいに責任転嫁するなんて、もってのほかじゃないか。——この点、質問留保しましょうか。
  160. 橋本貞夫

    ○橋本(貞)政府委員 大変不心得で申しわけございません。十分実態を調べまして、また御説明させていただきます。
  161. 正森成二

    ○正森委員 それでは、この点も質問を留保します。  念のために言っておきますが、「株式公開価格算定基準に関する申し合せ」というのができているのです。それは昭和四十五年六月一日、四十八年一月九日、四十八年八月十六日というように順次出ておって、それには、株価を決める算式やらあるいはいろいろ決まっておるわけです。質問は、あなたが調べてきてないからできないけれども、一番最初に株価を決めるには、まずその会社の類似会社を選ぶのですよ。類似会社を選んでその株価を調べて、その資産内容を一定の数式で調べて、そして株価を出して引受会社がいろいろやる、こうなっているんですよ。しかし専売公社の場合にはそもそも類似会社がないじゃないですか。だから株の公開をする、公開値を決めるなんて物すごく難しいのです。調べたら、類似会社のない場合にはどうするかということも決まっておるんですよ、これを見ると。だから、少なくともそこら辺から議論をするのに、今のような答弁するためにひょこひょこ出てくるなんてもってのほかじゃないか。  それじゃ、仕方がないからこの部分は留保して、次の機会に質問します。その部分、質問時間を残すようにいたします。それじゃ帰っていいですよ。あなた、気をつけなければいかぬよ。
  162. 瓦力

    瓦委員長 さように取り計らいます。
  163. 正森成二

    ○正森委員 いや、私はこういう点を見ていると、大蔵省は果たしてたばこ産業株式会社法案について本当に真剣に今国会で通す気があるのかどうか、疑わざるを得ないですね。それとも大蔵委員というのをよっぽど甘く見ておるか。恐らく後者がな。(「正森委員を甘く見過ぎたんだな」と呼ぶ者あり)いやいや、そんなことは言いませんけれども、余りにも不熱心というか、それではいかぬですな。私はずっとこの審議を見ていて、専売公社総裁、それから監理官が一生懸命やっておられるというのは我々見ていたからわかるけれども、それをサポートするほかの部局が我関せずえんというような態度ではいかぬじゃないですか。特殊会社でも、民間会社になるんなら株の公開をどうするかなんというのは自分らに最も関係があることじゃないですか、証券局は。それを、きのう質問しておいてもやってきもせず、来たらすかたんを言うというようなことでは本当にしようがないな。まあしかし、これ以上言っても仕方がないから帰ってよろしいです、委員長のお許しを得て。  それでは、次の質問に移ります。職員の労働条件について伺いたいと思います。  今度特殊会社になるについては、葉たばこ耕作者はもちろんですけれども、三万九千前後の専売公社職員というのは、労働条件がどうなるのか、退職金がどうなるのか、あるいは年金がどうなるのか等々について非常に心配をしているんですね。あなた方の答弁を先取りして言いますと、基本的には今までの労働条件が激変しないように、それ以後のことは労働組合経営者との団体交渉といいますか、協約、協定に基づいて行うというのが基本的な答弁であろう、こう思うんですね。しかし、そうはいいましても、やはり団体交渉というのは、公社側の、将来はたばこ産業株式会社の経営者の考え方というものがまずある程度わかりませんと、団交で決まる、団交で決まるでは、労働組合あるいは労働者にとっては非常に不安になるわけですね。ですから、言ってみれば団交に臨む経営者の態度といいますか、そういう観点で、団交で決まります、団交で決まりますというように言わずに、やはり答えられる部分——答えられぬ部分があるということは知っていますよ、答えられる部分は答えていただきたいと思うわけであります。  それで、まず最初に雇用の見通しについて聞きます。これは同僚議員もお聞きになりましたが、例えば上田議員などは、工場を整理して一万人人員を少なくするというようなことがある新聞に出ましたので、それはどうなるかということをお聞きになりましたが、そのことも含めて、例えば関西工場に三つの工場が整理統合されましたが、それによっても人員は相当浮いたといいますか、減少したと思われるんですね。あなた方の将来の経営方針やあるいは臨調答申などを見ますと、そういう面での合理化というものを非常に勧めているんですね。その点で、まず少なくとも職員の生首が飛ぶようなことはないのかどうかも含めてお答え願いたいと思います。
  164. 長岡實

    ○長岡説明員 新会社の将来を考えますと、やはり現在の公社で申します各部門にわたりまして合理化を進めざるを得ないと思います。具体的に申しますれば、機構を簡素化する、あるいは定員も減らせるところはどんどん減らしていくということにならざるを得ないと存じます。  ただ、それでは職員の生首を飛ばすかという問題になりますと、私といたしましてはそういう気持ちは持っておりませんし、それから、合理化によって人減らしをしていく反面、株式会社とはいえ独占企業体でございますから、どの程度の範囲の新規事業が認められるかは今後の課題ではございますけれども、新しい事業を求めながら業務の範囲を拡大して、その中での雇用吸収も考えていかなければならないというふうに思っております。
  165. 正森成二

    ○正森委員 きのうも御質問ございましたが、例えば病院があります。病院の赤字は十億円を超え、きのうの御答弁では十三億というようなこと童言われておったようですが、そうしますと、病院関係者は、この部分を切り離されるのではないかとかあるいは整理が進むのではないかというような心配があるようです。  他方、印刷工場になりますと、印刷関係の労働者の雇用条件というのは必ずしもよくないのだそうですね。そうすると、専売公社の印刷関係の労働者は印刷関係の全労働者の平均から見れば上の方にある。それが今度民営になれば、ここは印刷工場も一般並みにしようということになれば、下がるわけですね。  そういうように、部門によっても非常に違ってくるわけですが、典型的に病院と印刷工場を挙げましたが、それについてのお考えを総裁か理事からお答え願いたいと思います。
  166. 長岡實

    ○長岡説明員 最初に私から総括的なことを申し上げまして、補足的に理事から御説明を申し上げます。  病院につきまして収支相償わない、これはやはり企業体にとっては一つの負担であろうかと存じます。ですから、その改善は今後とも努めていかなければならないと存じますが、やはり私どもの職場にとって非常に大事な病院でございます。これは職員の福利厚生にも極めて重要な関係を持つ存在でございますから、いわゆる収支の採算がなかなかうまく軌道に乗らないからといって、直ちに病院そのものを例えば縮小するとか廃止するとか、そういう考えは持っておりません。ただ、せっかく私ども相当の設備の病院を持っておりますので、昨日も御議論いただきましたように、これを地域医療に貢献し得るような形で利用していただきたい、またそれによって私どもの収支もできるだけ改善いたしたいという気持ちは持っております。  それから印刷部門につきましても、これはもちろん最初に申し上げました各部門合理化の対象から外すということではございません。印刷工場は印刷工場なりに合理化を進めていってもらいたいと考えておりますけれども、今後の私ども経営の成績を判断する場合に、先ほど御質問の中に出てまいりましたように、たばこ製造業、販売業は私どもの一社でございますけれども、例えば広い範囲で見まして食品産業とかいうようなものまで念頭に置いて類似規模の企業、類似産業との比較をしながら判断をしていくのだろうと思いますけれども、そういう場合に印刷工場は民間の印刷会社とというような直接的な比較よりは、やはり新会社全体の比較ということになるのではなかろうかと思います。
  167. 岡島和男

    ○岡島説明員 病院の問題について私からお答えいたします。  総裁が今説明した以上につけ加えることは実は余りございませんけれども公社の病院経営につきまして、収支率の改善を従来から少しずつ図ってはきております。五十五年度に四〇%ぐらいの収支率であったものが、五十八年度には五四・七%ぐらいまで上昇いたしました。これは京都病院と東京病院と両方合わせたものでございます。京都病院については既に一般開放が実施されましたけれども、東京病院につきましては、昨日もちょっと議論になったわけでございますが、まだ一般開放になっておりませんが、一般開放も図らなければならないということでございます。基本的に、ただいま総裁からもお答え申し上げましたように、職員とその家族の利用というものが非常に大きな職員の福利厚生のための目的でございますから、今回の経営形態の移行に伴って廃止するというようなことは全く考えておりません。
  168. 正森成二

    ○正森委員 次に、専売公社では労働量従事人員という制度があって、一定の仕事をするには、例えばこの機械には何人要るとか、そういうのが決められているように思うのですけれども、これがたばこ産業株式会社になって急激に変わるとか、あるいは十分の相談なしに従事人員が減らされるというようなことになれば、これは労働者にとって相当重大な問題になると思うのですが、こういう点についての将来はどう考えておられますか。
  169. 西村忠弘

    ○西村説明員 お答えいたします。  従来でも作業条件、環境が変化のない状態で労働量を切り上げるとか変更するとかというようなことはいたしてきておりません。今後もいろいろ競争力を充実をしていくために合理化は続けられていくと思いますけれども、そういうことで機種が変わったり作業方法が変わったりいたしますと、それに見合った仕事量従事人員はどうあるべきかということは検討いたしまして、そういう点を労働組合に提案をして決めていくということになります。基本的には従来の考え方と同じであると思っております。
  170. 正森成二

    ○正森委員 次に、年休制度について伺いますけれども、これはこういう席で言わない方がいいのかもしれませんが、公社は一年の人は十日で二年目からは二十日ということになりますと、これは最低ですからそれより高くしても別に悪いことはないわけですが、そういう労働基準法で定められている最低の制度から見ますと比較的いいというように思われるのですが、その既得権を、今度たばこ産業株式会社になったというので六十年度から変えられたりいたしますと、これは労働者にとっては今までの労働条件が変わってくるというようなことにもなるわけですね。そこの問題について、従前どおりの制度が維持されるかどうかについても伺っておきたいと思います。
  171. 長岡實

    ○長岡説明員 現在の年次有給休暇日数の問題でございますけれども、この点につきましては、新会社の移行に伴って変更する考えはございません。
  172. 正森成二

    ○正森委員 それでは、ほかにいろいろございますが、時間の関係でお待たせしました。共済年金の関係について伺わせていただきたいと思います。  共済年金については、昨年の統合法案のときに、特に国鉄の問題について、国鉄財政の悪化から追加費用の問題が非常に重大な意味を持っているということをたしか質問したことがございます。そのときに課長もおられたと思いますが、今度たばこ産業株式会社ということで専売公社から変わるわけですけれども、もともと専売関係の方は、言ってみれば国鉄を救うために、救うためにといったらいけませんが、統合されて余分の負担を負ったというような経緯もあるわけですね。それが民間になったのに依然として公経済負担分を負わされるというようなことになっては、これはかなわないだろうと思うのですが、一五・八五でしたか、その部分についてどうなるかと、それからいわゆる追加費用ですね、その辺についてどうなるかについて、分けてお答え願いたいと思います。
  173. 坂本導聰

    ○坂本説明員 お答えいたします。  今の御質問の、まず公経済負担でございますが、先生御案内のように、専売公社は、公社として従来公経済部分を負担していたわけでございます。しかし、今後新会社に変わりますと、公権力の行使主体等と言えるかという観点から考えまして、それは無理である。したがいまして、新会社移行後は国が公経済負担を行う。  ただ、先生これも御案内のように、統合法のときに、公経済負担を拠出時から総付時に変えでございます。これは昭和六十年四月からでございます。したがいまして、過去の分を両方精算するという行為が出てまいります。したがいまして、昭和六十年三月までに公社として負担すべきであった額というものは負担していただく、しかしながら、一方、給付時負担に切りかえまして、昭和三十一年以降の公経済負担分について国が負担する、こういう形になろうかと思います。  それから、追加費用でございますが、これは性格を異にいたしまして、いわゆる新共済法以前の古い時代のものでございます。したがいまして、これは国も同様でございますが、公経済という形ではなくて事業主の負担ということでございますので、この追加費用は新会社が引き継いで負担していただく、こういう形になろうかと存じます。
  174. 正森成二

    ○正森委員 一五・八五については国が持つということを明言されましたので、次に移らせていただきたいと思います。  自治省はまだお残りですか。それでは、えらい申しわけございませんが、初めに聞くのを忘れておりましたのでついでに伺いますが、これまでは、地方自治体に配賦されるたばこ消費税関係は、専売公社が集めて、自動振り込みで地方自治体に出しておりまして、例えばこの間鹿児島から議員が来たのですが、「花は霧島、たばこは国分」というように、各地方自治体では重要な収入になっているのですね。徴税費用が全く要らない。それが今度変わりますと、徴税費用が要るのかどうかということについて非常に心配をしておるわけです。その点についてどういうぐあいに変わるのか変わらないのか、恐らく輸入部分についてだけ変わるのかとも思いますが、念のために御答弁を願います。
  175. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 地方たばこ消費税につきましては、現行の制度では専売公社が一括して輸入たばこも国産たばこも販売していただいておりますから、一括して税も納入されることになるわけでございますが、改正後におきましては、輸入の自由化に伴いまして販売経路が複数になってまいるわけでございます。その場合には、小売人所在の都道府県あるいは市町村に対しまして、卸売業者あるいは輸入業者が販売をした場合にはその卸売人あるいは輸入業者に対して課税をするということになりますから、現在のように納税義務者が一人ではなくなって複数になってくるということは事実でございます。その点では現行の制度よりも納税義務者がふえるということでやや複雑になってくるということになるわけでございますが、納税申告の申告のやり方としては、取扱本数の少ない納税義務者につきましては申告時期の特例などを設けまして、できるだけ納税事務の簡素化を行い、市町村、都道府県の徴税費用もなるべくかからないような形で処理をしてまいるように現在いろいろな検討を進めているところでございます。
  176. 正森成二

    ○正森委員 したがって、売上高の九八%前後を占める日本専売公社にかかる分については従前と同様である、こう聞いていいわけですね。
  177. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 国産たばこにつきましては、従来と同じような形で納税をしていただくということになっております。
  178. 正森成二

    ○正森委員 それでは、時間も残さなければなりませんが、もう少し質問をさせていただきたいと思います。  たばこと健康の問題について伺いたいと思います。この問題については我が党の箕輪議員が詳細にお聞きになりましたので、私は余り長く伺いたいとは思っておりませんが、しかしこれは大臣、総裁にもよく聞いておいていただきたいのです。  私どもは、日本専売公社の時代でも、現在はそうですが、たばこ専売物資で国の財政に大きく寄与をしており、そしてその関連業者が多いから保護しなければならないというだけにとどまらず、その公共性、公益性というのは、非常に遺憾なことではありますが、たばこ国民の健康にとって害がないとは言えない、もっとはっきり言えば有害であるということからしますと、その製造過程におきましても、販売あるいは宣伝の過程におきましても、これは節度というものが必要であるということもまたその公共性あるいは公益性の中に入っておるというように思っておるのです。他の御意見があればおっしゃっていただいてもいいのですが、たばこ特殊会社になるということでそれが弱められるというようなことがあれば、非常に遺憾なことですね。  もともと専売公社のときでも「Q&A」というのですか、クエスチョン・アンド・アンサーというのをお出しになりまして、ここに「恐るべきたばこ」という本を持ってまいりましたが、その中に引用されておって、WHOといいますか世界保健機構の考え方から相隔たること遠いという専売公社立場が批判されているわけです。念のために私も、中国で言う反面教師といいますか、「Q&A」を勉強したいと思って専売公社に御提出をお願いしたら、原本が一冊あるだけでと言って出し渋って、監査報告などは一冊しかないものでも気持ちよく持ってきていただいたのですが、「Q&A」は御提出いただけないということになっておるのです。しかし、ここに書いてある抜き書きを見れば、大体その観点はわかるのですが、そういう観点では困るわけなんです。  厚生省、お見えになっていますね。厚生省はそれとは異なって、WHOの見解が出るというようなこともあって、たしか十年ほど前非常にすぐれた健康についての本を出しておられますね。忘れましたか。一九七四年か五年ごろに本をお出しになったでしょう、厚生省が。違いますか。それをできればきょうも持ってきてもらおうと思ったのです、言わなかったけれども。何だったら、あなたが持ってきておられなければ、ここにその内容も書いてあるから読んでもいいのですが、時間がないから。厚生省厚生省として、さきの委員質問にもお答えになりましたが、遠慮は要らないです。下手なこと言ったらたばこの売り上げが減って、専売納付金が減って厚生省の概算要求で査定が厳しくなるとか、そんなことは心配しないでいいから、遠慮なくたばこと健康の関係について、WHOの考え方とかそれについての厚生省認識について、簡単に答えてください。
  179. 大澤進

    大澤説明員 お答えいたしたいと存じます。  たばこ関連いたしましては、御承知のようにWHOから一九七〇年以来数回にわたって勧告が出されております。さらにアメリカの保健教育省の公衆衛生局長の報告、さらには内外の各種の勧告、研究報告等においても、喫煙というものはある種のがんとか心疾患、気管支炎、分娩異常等の危険因子となっておる、こういうことが指摘されており、なおかつWHO関連では、健康の警告表示、広告表示の規制とかあるいは病院とか公共的な場所等における喫煙場所の規制等についての勧告がされておる状況でございます。  それで厚生省としてはこれらの勧告あるいは研究報告等を踏まえまして、従来からもたばこと健康の被害については一般に保健所等を通して健康教育に努めているところでございます。以上でございます。
  180. 正森成二

    ○正森委員 私は二冊ぐらいしか本を読みませんでしたが、たばこと健康については非常にいろいろ言われておりまして、肺がんなどは喫煙者はかかる確率が確実に高いとか、女性の場合は特に高くて非喫煙者に対して二十七倍であるとか、特に簑輪議員も御質問になったと思いますが、たばこをのみますとビタミンCが不足するのですね。たばこを一本のむごとにレモンを一個食べないとビタミンCが補給されない。そしてビタミンCが低いほど知能指数が低くなって頭が悪くなるという……(笑声)いや、これはうそじゃないのですよ、本当に出ているのです。だから、たばこをのんでおってなおかつ頭がいいという人はどれだけ頭がよかったのか。悪くなってそのくらいだからどれくらいよいかということで御理解願いたい。たばこをのんでおられる方が決して頭が悪いとは言ってないので、たばこをのんでもそれくらいであれば、のまれなかったときはどれくらいよかったかということで国家のために惜しみたいと思うのですけれども。そういうようなこととか、あるいは女性が吸う場合には妊婦に非常に影響があるということでここに書いてありますが、時間の関係で一々引用しませんが、統計では大体十一歳くらいまでの子供を見ますと成長が大体七、八カ月いろんな意味でおくれているとかいうようなことが出ているわけです。  それで関税局はきょうは来ていないかもしれませんが、アメリカ側が輸入を拡大せよということで交渉に来たのですね。外務省に来たりあるいは大蔵省に来たりということであったのですが、そのときにアメリカ側の交渉に対して日本大臣以下、アメリカたばこを目の前で、フィリップ・モリスだったか何か知らないけれども、ぷかぷか吸って、日本側は輸入に対していかに関心を持っておるかということを示したそうなんです。たしか渡辺大蔵大臣のときだったのじゃないかと思うのですけれども、あるいは竹下大蔵大臣のときだったかもしれません。多分渡辺大蔵大臣のときですね。そしたらアメリカ側は一服もたばこを吸わないのです。余りおかしいから、たばこを吸わないのですかと言ったら、我々はたばこは吸わない、アメリカではエリートはたばこを吸わないのだ、こう言ったというんですね。それだから日本たばこを吸うのはエリートでないとは言わないわけで、風俗、環境が違いますから日本ではエリートが大いにたばこをお吸いになるということであろうと思います。しかし、少なくともアメリカ側からたばこを売り込みに来た人が、たばこを吸わないのですかと言われて、いや吸いません、アメリカではエリートは吸わないのですと堂々と言うんです。それくらいアメリカではたばこは害があるんだ、たばこを吸えば頭は余りよくはならないのだということで、たばこについて白制するほどのこともできないような人間は指導者たる資格がない。申しわけありませんが、日本のことを言っているんではないのです。アメリカではそういうぐあいにこれに全部書いてあるんです。  こういうことで大キャンペーンをやった結果、アメリカでは約二十年の間に喫煙者数が二四%低下したということだそうですね。これに書いてある。非常なキャンペーンでニューヨークなんかは非常に厳しいんですね。それで一説には、これは私は真実であると思いますが、アメリカでもそういう傾向だ、それからヨーロッパでもたばこについては健康に対する害ということが言われて喫煙者が低下しているという状況の中で、アメリカの三大メーカーその他のたばこ関係者が生き残るためにどうしても輸出しなければならない。国内のシェアはこれ以上ふえない。国内で一生懸命宣伝するんですが、若者と女性に若干ふえますが成人男子はずっと減ってきているわけです。そこで一番目をつけたのが、たばこと健康との関係についての知識が普及していない東南アジア、そして、その点では経済は発展しているのに同程度である日本ということで、日本の方がたばこ消費量も大きいということで販売戦略を立ててきたというのが偽らざる実態なんですね。  そういう点を考えますと、我々は公益性とか公共性ということを考えた場合に、ヨーロッパやアメリカなどの先進国で健康に対して非常に害があると言われ、現にアメリカたばこ会社はアメリカ国内での販売量をこれ以上余りふやせないという状況の中で、そのはけ口を東南アジア、我が国に求めて、言ってみればたばこの健康に対する害を輸出してくるということになれば、これはそのシェアの拡大を決して喜ぶことはできない。しかもそのことは同時に、たばこと健康との関係では日本専売公社が害のないものだけつくっておるとは言いませんよ、専売公社も大いに責任があるんですが、それならまだしも、私は愛国者として、日本専売公社たばこを吸って多少は寿命が縮まる方がお国に御奉公かというように思わざるを得ないくらいで、何もおめおめとアメリカたばこ会社にシェアを拡大してやる必要はないというのが私の率直な意見であります。  そういう観点から考えますと、たばこの宣伝について政府考えている考えというのは私は同意することができないというように言わなければならぬと思うのですね。たばこの宣伝については、たばこ事業法案の第三十九条と四十条で広告に対する規制というのが行われているんですね。これは箕輪議員も御質問になりましたが、非常になまぬるいものであります。  そこで伺いますが、主要先進国でたばこの宣伝広告についてどういう規制がなされているか、お答えください。
  181. 森宗作

    ○森説明員 お答えいたします。  諸外国におきましてのたばこの広告宣伝の実態につきましてはさまざまでございまして、必ずしも私どもも十分な資料を持っておるわけではございませんが、私どもが入手いたしました資料によりますと、イタリアのように全面禁止というような国もございますが、一般的に先進国では、テレビ、ラジオの広告宣伝につきまして、法律あるいは業界の自主規制というようなことで使用が禁止されておるということでございます。
  182. 正森成二

    ○正森委員 「嫌煙の時代」という本があります。お二人の方の共著ですね。それから抜き書きした資料を持っておりますが、それを見ますと、そもそもたばこへの文言の表示でも、例えばアメリカなら、ほかの方も言われたように、「警告 公衆衛生総監は、喫煙はあなたの健康に危険であると決定した」というように書くとか、大分日本の穏やかなものとは違うのですね。  しかし、それ以外に広告規制について見ますと、主要先進国がずらっと十カ国ほど並んでおりますが、一応申しますと、アメリカは七一年以降、法律によりラジオ、テレビの広告禁止。イギリスは六五年以降、民放でも広告禁止。ドイツは七四年以降、ラジオ、テレビの広告全面禁止。フランスは七六年七月の法律でテレビ、ラジオ等の広告、公共の場における広告は禁止。オーストラリアは七六年以降、すべての広告を禁止。イタリアは六二年制定の法律によりテレビ、ラジオ等広告全面禁止。これはあなたのおっしゃったとおりです。スウェーデンはラジオ、テレビによる広告は禁止。ノルウェーはすべての広告が禁止。ベルギーはラジオ、テレビの広告は全面禁止。また保健大臣との協定で印刷媒体も削減。カナダは七二年一月以降、テレビ、ラジオによる広告は業界が自主的に中止。オーストリアは七四年以降、テレビ、ラジオによる広告は全面禁止。ソ連はタバコ広告はいかなる媒体によるものも禁止というようになっているのですね。  ところが我が国のこれを見ますと、これは広告については本当に指針を示す程度で、過度にわたることがないように努めなければならないという程度なんです。これは諸外国の例に比して非常に健康上問題があると言わなければならないと思うのですね。  私がこう言いますのは、ここを総裁よく聞いていただきたいのですか、専売公社をいじめるためにこう言っているのじゃないのです。えらい卑近なことを言ってあれですが、我々が選挙の宣伝、マイクだとかあるいはチラシだとかいうことをやりますが、その宣伝の期間が短かったり制限されると、一般的には現職が有利になり、野党よりは与党が有利になるのです。それはなぜかというと、新人というのはこれから出るのですから、自分のセールスポイントをどんどん売らなければ、強固なる現職、石川一区、二区などには有力な現職がおられますが、そういう方には勝てないのですね。それからまた、一般的には与党の方がよく知られておりますし、中曽根総理初め新聞にどんどん出るから、同じように制限されれば野党よりは与党の方が有利になるのです。だから、現在の状況を変えていくものほど、そして現職より新人ほど広告しなければ進出できないのです。  そういう意味からいうと、宣伝を諸外国で行われているように一定に規制するということは、たばこ産業についても現職が有利になるのですね。この場合の現職とはもちろん日本専売公社であります。だからそういう意味で私は、たばこと健康との関係で、国民の健康上のニーズにこたえて宣伝を一定の範囲に規制するということは、国民の健康にとっていいことだけでなしに、あなた方の言う開放経済の中でアメリカ等の巨大資本と太刀打ちをする場合に、明らかにそれは日本専売公社にとって有利になり、しかも、アメリカが既にテレビ、ラジオ等の宣伝を禁止しているわけですから、イコールフッティングで規制する限りはアメリカ側において何ら文句を言う筋合いはないのですね。日本専売公社もテレビやラジオでやるから同等の条件でやらせてくれ、こうなるので、だから日本専売公社も、アメリカで既にそうのようにあるいはほかのところではこれだけ規制しているのだから、ここまでWHOの考えに基づいて規制しますということになれば、これは同等の条件ということで制約することができるし、それが国民の健康上も有益だし、日本専売公社競争に打ちかつ点でも有利であるというのが私の意見です。それは何人も同意される、特に選挙戦を激しく戦い抜いて勝ち抜かれた皆さん方は胸に思い当たる点があると思うのです。こういう私の意見についてどういうように思われるか、お答えを願いたいと思います。
  183. 長岡實

    ○長岡説明員 正森委員御承知のように、私どもと申しますか、日本では一種の自主規制方式をとって、広告宣伝も節度ある広告宣伝にとどめるという努力を払って今日に至っておりまして、現在のところ、新会社移行後もそういう方針を継続していくつもりでおるわけでございます。  アメリカと比べましたときに、私ども日米貨易摩擦の渦中にあって、アメリカたばこメーカーあるいはその他の方々と接触していた段階で一つ肌で感じたことがございますので御披露申し上げますと、アメリカでは、ただいまも申し上げましたように、テレビ、ラジオの広告は法律で禁止されております。しかし、それ以外のものは、これは法治国家の考え方からいくと当然なんだと存じますけれども、それ以外のものについては、極端なことを言えば何をしてもいい、どんな広告をしてもいい、幾ら金をかけてもいいといった面がございまして、日本の自主規制がテレビ、ラジオに限らずほかのものにまで、新聞、雑誌等に至るまである程度自主規制で枠を設けていることに対しまして、これはいわばいじわるをしているのだというふうにアメリカがとっておったことは事実でございます。その制度の差を十分に説明いたしまして、日本ではテレビ、ラジオの広告が法律で禁止されていない、そのかわり、テレビ、ラジオだけではなくて、ほかのマス媒体等も含めて、全体として節度ある広告宣伝にとどめておるのだ、だから日本に来たならば、日本のやり方に同調してもらわなければ困るということで、紆余曲折があって、今日においてはアメリカ側も日本のやり方と申しますか、その方法に理解を示して、一応その自主規制の枠内にとどまるようにしていただいておるわけでございます。  正森委員の、思い切って広告宣伝を禁止すれば結局ニューカマーが損である、前からいる専売公社あるいは新会社の方が得になるのだからそういうふうにしてみたらどうだという御示唆は、確かに傾聴に値いたしますけれども、一方におきましては私どもも大変な不安を感じておりまして、将来競争が激化した中で、あくまで政府関係法人の中にとどまるわけでございますから、節度ある広告宣伝の態度は十分に堅持してまいるつもりではございますけれども、一種の冒険といったような形で、全く禁止して少しテストしてみたらどうかというところまで、率直に申し上げまして、私としてはなかなか踏み切れないというのが正直なお答えではなかろうかと存じます。
  184. 正森成二

    ○正森委員 私の方で資料をいただいておりますが、念のために記録にとどめたいと思いますけれども、たしかアメリカとのたばこの輸入についての話し合いのときに「製造たばこの広告宣伝および販売促進に関する規準」というものをお互いにお決めになったと思うのです。それを見ますと、いろいろ決まっておりますが、例えば「テレビ・ラジオによる広告宣伝は新製品(全国規模での流通後三年)に限定する。」とか、あるいは「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」——四媒体と言うのだそうですが、「による広告は、前年度販売実績に基づいて各社別に許容額が算定できるよう算定基準を定め、かつテレビの使用額は各社毎の許容額の三分の一以下とする。」というようになっているようですね。  この今申し上げたのが抽象的でわからないので、さらに説明してほしいということになったら、こういうのをきのうお出しになって、これを見ますと、五億円に達するまでは千本について千円ですか、前年度販売実績との関係ですね、それで十億円に達するまでは前年度販売実績が三十億になるようですが、五億円を超える部分につき千本について二百円、それから販売実績が三十億を超えますと三百億本までは千本について百円。それからそれを超えますと、これは制限なしですが、千本について四十五円、こういうことだそうですね。こういうことなんですが、このカーブを見てもわかりますように、初めはぐっと多いが、後はずっと緩やかになっているということで、販売実績の少ないものほど相対的には多い宣伝広告費を使えるようになっているんですね。これはそういうものになっているんです。  だからその点から見ますと、私は時間も残さなければいけませんので口で言ってしまいますが、同じく提出していただいた資料を見ますと、公社の宣伝広告費は、五十五体度が十二億八千八百万円、そのうちテレビ六億一千百万円、ラジオ三億五千六百万、五十六年度が十五億七千八百万円、テレビ七億三千九百万、ラジオ二億九千八百万、五十七年度が十九億四百万、テレビ八億四千三百万、ラジオ三億二百万ということになっておるようですね。これは、年々広告費がふえておること、その中でもテレビに非常に重点を置いていることを示していると思います。  これに対して、同じく提出いただいた「アメリカの主要企業のシガレットの国内広告宣伝費」を見ますと、アメリカではテレビ、ラジオが一切禁止されているのに、なおかつレイノルズは、ドルでなしに邦貨で申しますと、一九八〇年、これは同じ五十五年ですが四百八億円、一九八一年三百三十六億、一九八二年が四百四十七億。フィリップ・モリス一九八〇年二百七十四億、一九八一年三百四十二億、一九八二年四百九十一億。ブラウン・アンド・ウィリアムソンは省略します。そういうことになっておって、テレビ、ラジオが禁止されているにもかかわらず、国内での広告というのは我が国の二十倍をはるかに上回る。一社でですよ。  そういう点を見ますと、総裁がどうも不安だ不安だと言いますけれども、それはやはり、よそへ出ていく場合はともかく日本国内では、こんなことを言うたらいけませんが、今まで専売公社はそう悪いことしたこともないし、国内での信用というのはあるし、同じ日本人、日本民族であるし、言葉だとか風俗はもう悉皆御承知のことであるし、そうそうおくれをとるとは私は思わないのですね。専売公社職員三万九千人、たばこ耕作者十万人、たばこ小売店二十五、六万という強大な味方があるわけですからね。そういう点からいいますと、不安だ不安だと言って、売り上げ高の少ない者にあえて非常に有利になるようなこういう協定をやって、そしてテレビやラジオでもアメリカ国内ではやってないものを開放する。たばこは動くアクセサリーとか、美人がこんな格好をしてたばこを吸うているようなのがどんどん出てきて、私のように三十何年もやめている者はいいですけれども、やめようかと思っている者やあるいは中学校、高根の生徒はついつい、こうなるというようなことになるとすれば、大臣、この法律の規定の仕方は、大臣が何か指針を設けるとかいうような程度でなしに、やはりもう少し厳しいものを考える必要があるのではないか、それが国民の健康からいっても、あるいは財政物資を扱う専売公社、あるいは専売公社関係の職員、従業する農民やら小売業者の激変緩和のためにも大事なことではないかということを私は指摘せざるを得ないわけであります。  大臣に大きな政治的観点から御意見を承りまして、時間を少し残さなきゃなりませんので、私の質問をきょうはこれで終わらしていただきたいと思います。
  185. 竹下登

    竹下国務大臣 確かにたばこと健康の話を聞いておりますと、皆さんのお話を再三聞いたときから、ちょうどそのときだけは私も喫煙量が半分になります。したがって、それだけ頭の悪くなる度合いが少ないのかな。(笑声)事実、やはり注意深くこれは見守っておらなきゃいかぬ課題だという事実認識は私もいたしております。共産党の方は全員がおのみにならないかと思ったら、聞いてみたらそうでなかった。それだけは私は本当に関心を持って、この間すぐ聞いてみました。そうじゃないということを聞きまして安堵したわけではございませんけれども、しかしみずからに大変厳しくしていらっしゃるなという感じを持ちながら、とにかく重大な関心を持って大臣さんはこれを眺めていなければならぬ問題だという認識はその都度深くいたしております。
  186. 正森成二

    ○正森委員 それじゃ終わります。
  187. 瓦力

    瓦委員長 野口幸一君。
  188. 野口幸一

    ○野口委員 今回、日本専売公社が機構を改革いたしまして新たな日本たばこ産業株式会社と形態を変える案に当たりまして、既に同僚並びに先難からたばこの問題について各方面からの御意見があるところでございます。実は、私、告白をするつもりではございませんが、祖父の時代からのたばこ屋でございまして、三代目のたばこ屋でございます。したがいまして、前者とは変わりまして、たばこの功罪の功の方を少しく述べて御賛同をいただきたい、こういうように思うわけでございます。  たばこは一概に悪い、こうおっしゃいますが、確かに科学的に分析すれば悪い部分もなしとしません。しかし、もちろんたばこのいい方もありまして、泥棒にも三分の理という言葉がありますように、全部が全部悪いわけではでざいません。したがいまして、たばこの吸い方に問題があるのでありまして、実は私どもの商売をやっておりまして、一日大体二十本入り一箱程度お吸いになる方は非常に健康的で、良識的でエリートでございます。それ以上といいまするか、ヘビースモーカーとおっしゃる方は、どうか健康に気をつけて吸い過ぎにならないように、表示のとおり少しく規制なさる方がよろしいのではないか、こう申し上げるのが私の本意でございます。  さて、お気に召さぬ方もいらっしゃるかもわかりませんが、たばこ礼賛論を少しくやらせていただきます。  実は私も、この法案の審議が始まる前に各種のたばこに関する文献を読ませていただきました。これはアメリカのW・ホイットビーという医学博士の「喫煙が肺がんの原因であるという信仰は、もはや科学者の支持を受けてはいない」という趣旨のもとに書かれた本でございます。そこで、その中の一部を、なぜ喫煙は健康によいかということを読ませていただきたいと思うのであります。謹んで聞いていただきたい。   喫煙が健康によいなどといったら、禁煙運動の指導者のなかには発作を起こす者もいるかも知れない。しかし、これはどうしようもないことだ。   なぜならそれが事実だから——。   私の患者は、しばしば喫煙のおかげで咳の発作から救われだといっている。これは医学の教科書や講演でいわれていることと逆なので、私は最初のうちは、患者たちが単にそう思いこんでいるだけなのだろうと思っていた。しかし、そういうことが何年も続いたので、彼らの言葉には何か真実が含まれているのかも知れないと思うようになった。   やがて私自身の喫煙の経験が、彼らの正しさを証明してくれた。私は子どものときから、喉がひどくぜいぜいする気管支炎に悩まされてきた。私は医者からタバコを吸わないよう忠告を受けた。三十代後半になって、何度も呼吸器系統の病気にかかり、ときには肺炎になったりしたので仕事に支障をきたし、人生がみじめなものに思われていた。   ある日、田舎の老医師が私にいった。「わしも以前はあんたのようだった。ところがある人が秘法を教えてくれた。パイプを持つということだ。その通りにしたところ、これ以上よいことはないと思えるほど最高の健康状態になったのですよ」。 こういうことが書かれてあるわけでございます。  以後これを読みますと時間がたくさんかかるのでございまするが、少しくその主なるところの部分を読ませていただきますと、   「喫煙が精神の安定をもたらし、仕事の遂行能力を高める効果を発揮するという印象を、実験的証拠によって支持する見解が、ぞくぞくと増えているし。   私は喫煙者はおおむね幸福で、充実した人びとであることを発見した。喫煙者は非喫煙者より自殺指向が少ないだろうとも思っている。ということに始まりまして、今日までたばこを吸い過ぎて警察に御厄介になった人は余りいないが、酒を飲み過ぎて警察に御厄介になった人は多々ある、秩序、法例を乱し、いわゆる良俗を乱すということをたばこの害によってやられたことはおよそなかった、こういうことが書かれてあるのでございます。これは一つの本でございます。  さらにもう一つの本を読ませていただきます。これは、たばこは唯一の休息用品であるということであります。   活動には休息が必要である。多忙で緊張した日々の暮しに、一時的な休息と慰安を求めるのは生理的結果であって、たばこは普通の状態ならば、休息によって求められるくつろぎの状態を、人のたくらみとして作りだす結果、休息感でない休息を与えることである。しかも安い価格で軽便な形で、つねに手許に用意されているきわめてゆるやかな鎮静剤であり、人が作りだす休息用品として、生理的に心理的に心を惹くものである。 こう書かれてあるわけであります。  さらにその後に、人は喫煙によっていろいろなものを得ているが、一体何を得ているかということについてたくさんのことが掲げてありますが、一つだけ引用させていただきたいと思うのであります。   「わたしは亭主を九五%は死亡する肺ガンで失いたくないから禁煙させようと焦っているんです。わたしの愛と誠意を侮辱なさるのですか」と険のある目でにらんだマダムがあった。肺ガンと関係のあるのはシガレットだけで、パィプも葉巻も刻みも嗅ぎタバコも噛みタバコも一切肺ガンに関係はない。またそのシガレットにしても一日二十本までは有意の差はないから、一日二十本くらいにコントロールさえずれば、シガレットを目の敵にすることもない。   女心のデリカシイのわからないひぐまみたいな亭主への恨みつらみを、ニコニコして一時間も聞いてあげるコンサルタントのタバコは、絶対に必要品である。放心剤としてタバコほど有効な手はない。ストレス解消は、医師とかぎらず、作家でも判検事でも弁護士でもタバコは、不可欠の解消道具だろう。 こう書かれてあるのであります。  引用するものはたくさんあるのでありますが、余り刺激を与えるとぐあいが悪いので、そのくらいでやめさせていただきますが、私は、たばこが有害だけであると言い切ってしまうのは、余りにも酷ではなかろうかと思うのであります。したがいまして、私も、適当な量と適当な時間によって消費をするならば、決して有害ばかりではないと信じておる者の一人でございます。  そこで、論点を変えて申し上げてみたいのでありますが、実は私のところは三代たばこ屋をやっておりますが、余りよく売れるたばこ屋でございませんで、専売公社からたびたびおしかりを受けるたばこ屋の方でございますけれども、実は自動販売機を置いておりません。それは次の理由によるものでございます。  たばこに関する禁止の法律がございます。御案内のとおり、未成年者喫煙禁止法というのがございまして、この第四条に「満二十年二至ラサル者ニ其ノ自用二供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者八十円以下ノ罰金ニ処ス」、もちろんこの十円は後ほど変えられておりますが、この法律は生きております。したがいまして、たばこを売る立場から申しますと、その人が未成年でないということを明らかにして売らなければならないということがあるわけであります。  ところが、自動販売機は、夜中もあるいは人のいないときでもいつでも作動しているわけでありまするから、この法律からいいますならば、まさに無制限にたばこを売るという仕組みになっております。とすれば、私はこの問題こそまず解消しなければならない問題ではないかと思うのであります。  現在自動販売機の台数は、たばこの店舗一戸当たりに対しまして、全国で平均一・二台になっているわけであります。置いてないところもあるかわりに二台、三台と持っているところもあると思うのでありまするけれども、そうなりますと、たばこの禁止をしているこの法律から見まして、未成年者に対してもその判別をしないで売ることができるという自動販売機の設置の問題は、先ほど来同僚委員の方々がおっしゃっていますように、未成年者に対して、あるいはまたその判別が不可能な方々に対して無制限な喫煙を助長するという意味からも余りいいものではない、私はこう思うのであります。むしろたばこ屋がそのことを良識として持っていながら、その制限をみずからの販売の中に置いて売るようにするのが良識あるたばこ屋の存在ではなかろうか。  実は、私の近所に一日百四十本お吸いになるお客さんがいらっしゃいまして、箕輪さんだったら喜ぶかもわかりませんが、実はその方は肺がんでお亡くなりになりました。確かに一日に百四十本という本数は異例でございます。しかし、実は私どもの家内がその方にたびたび御注意を申し上げました。買っていただくのはありがたいが、おじさんたばこを吸い過ぎですよ、せめて二、三十本にしてはどうですかということを再三申し上げましたが、その方は六十歳を待たず五十七、八歳であったと思いますが、とにかく一日百四、五十本たばこを吸いまして、たまたまたばこが原因で肺がんになったかどうかは別といたしまして、とにかく肺がんで死んだことは間違いないのであります。したがって、そのことについての規制をたばこ屋自身が持つべきである、こういうのが私の持論であります。したがいまして、この自動販売機の設置は未成年者喫煙禁止法第四条に反するのではないかと思うのでありますが、この点についてまず総裁の御見解を承りたいと思います。
  189. 森宗作

    ○森説明員 自動販売機の問題でございますが、未成年者喫煙防止ということにつきまして大変社会的な関心の高い問題でございます。私どもといたしましても、自動販売機を設置いたします際には、必ずこの自動販売機に未成年者の喫煙は禁止をされておりますといった旨の文言を入れるというようなことをいたしておりまして、最近では製造当初からそういう表示が入っておるというような状況になっておると考えております。  また、この自動販売機につきましては、自販機コーナーという自動販売機だけのコーナーのようなものがございますが、そういったところで監視の目が行き届かないようなところにはなるべくたばこの自動販売機を設置しないというような方針もとっております。  それからまた、自動販売機につきまして、これを夜間よく未成年者が利用するというような御批判もあるわけでございます。こういった点につきましては、販売店の地域的な条件もいろいろでございまして、またこの自動販売機は販売店の方々が所有するものでございます。そういったことで、営葉の自由というものがございまして、これを私どもが画一的に指導する、あるいはこれを規制するということになりますといろいろ問題がございますので、販売店の意思が反映をされた形で処理が図られることが望ましいということを考えまして、昭和五十七年でございますが、販売店の上部団体でございます全国たばこ販売協同組合連合会に対しまして、夜間規制につきましては、話し合いに基づきまして地域との調和を図りながら販売店の自主的な意思によって規制を行うことが望ましいというような要請をいたしておりまして、いろいろ未成年者喫煙防止につきましての配慮をいたしておるところでございます。
  190. 野口幸一

    ○野口委員 私は先ほどたばこ礼賛論といいますか、たばこも害ばかりでない、いいところもあるということを申し上げましたが、同時に一方ではたばこというものに対するいろいろないわば弊害についての議論があるだけに、やはり規制すべきは規制し、そして良識的な販売を通じてたばこの害というものを和らげていくことに専念しなければならぬと思うのです。それが皆さん方に特にこれから考えてもらわなければならない課題だと私は思うのです。  確かに、たばこ屋も十時か十一時ごろに店を閉めます。それでも自動販売機を置いておけぱ夜中にたばこが切れた人がたばこを買ってくれます。それは確かにもうかります。しかし、それだけではなくて、それが青少年が悪用をしてたばこを買っているということになるとするならば、これはやはり何らかの規制をして、十一時以降なら十一時以降はたばこの自動販売機はとめるとか、そういうようないろいろな措置を考えるべきではないか。そういったことをやることによって少しでもそういった道への防止になるのではないか。それは専売公社というよりも、これから日本たばこ産業株式会社が仮に発足がされるとするならば、そういう起点に当たっても、特に先ほどの議論じゃありませんけれどもたばこによる弊害をみずからが規制をする姿勢という立場からぜひ指導をしなければならぬではないかというのが私の気持ちでございます。  総裁、そういったことを私は、単に広告を規制するとか、やれテレビがどうだとか新聞がどうだとかというよりも、実際に販売をしているその者みずからがそういう未成年者とか吸ってはならない人々に対して規制をしていくあるいは吸い過ぎにならないようにしなさいよとする良心的な販売に気をつけるという意味からも、この際少なくとも自動販売機は、たばこ屋の店先にあるものを除き、その他のところに無断に置かれる、例えばホテルのロビーに置かれてあるとか、その他会社のどこかのところに置いてあるとかいろいろなところで散見をいたしますが、少なくともそういったことも防止できる場所に限られるべきである。たばこ屋でありながらこういうことを言うとたばこ屋の仲間に怒られるかもわかりませんけれども、そのくらいの気持ちを持ってやらなければいけないのではないかという気がするのでございますが、総裁、この点について総裁のお気持ちをお聞かせいただきたいのであります。
  191. 長岡實

    ○長岡説明員 私ども専売公社、それから新しく新会社ができましても、たばこ製造する独占企業体でございますから、たばこ関連する諸問題、なかんずく健康と喫煙の問題あるいは未成年者の喫煙防止の問題等については、やはり企業としての一つの社会的責任があろうかと存じます。  そういう点についてただいまの御指摘の点は、本当に私どもといたしましてもごもっともなお考えだと思います。今後とも、公社といたしましてもまずそういったような問題には力を入れて取り組んでまいるつもりでございますが、また小売店の皆様その他にもいろいろと呼びかけましてその実を上げてまいりたいと考えております。  ただいまの自動販売機の問題でございますけれども、おっしゃることはよくわかりますが、先ほど森理事から申し上げましたように、何と申しましても今までのところは営業自由の原則と申しますか、そういったようなことから既に全国に約三十万台の自動販売機が存在しておるという事実がございまして、これについては先ほど森理事から申し上げましたように販売の業界に呼びかけて、何とか設置の場所なりあるいは自動販売機で販売する時間の制限なりあるいは自動販売機には未成年者の喫煙が禁止されているということを必ず表示するなりという努力はしておるつもりでございますけれども、いわば強制的な措置としてどれだけの制限がとれるかということになりますと、率直に申し上げましてなかなか簡単な問題ではないと思いますが、御趣旨のような方向での業界への呼びかけをさらに強めましてその実を上げるように我々としては今後とも努力してまいらなければならないと考えております。
  192. 野口幸一

    ○野口委員 そこまでのお答えしか出ないだろうとは思いますけれども、それでは未成年者喫煙禁止法第四条と自動販売機との因果関係をどう考えられますか。この中には、「其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ」云々ということになって、刑がはっきり決まっているわけなんです。それをわからないところで売っているわけですから、この法律からいえば違反であるとさえ言えるわけですが、この辺の見解はどうですか。
  193. 森宗作

    ○森説明員 未成年者喫煙禁止法によって処罰を受けますのは、未成年者がみずから吸うというような者に対しましてたばこを販売する場合でございます。そういったことで、自動販売機ではそういう判断がつかないわけでございますが、大体一般的に自動販売機は店頭併設という形になっておりまして、販売店の方々の目の届く範囲にあるというようなものでございます。また、先ほど申し上げましたように、自販機コーナーという、例えば清涼飲料水といったようなものと一緒になったような場所につきましては、私どもは、管理者の目の届かないというような場合には極力許可を行わないというような方向で運用を図っておるわけでございます。
  194. 野口幸一

    ○野口委員 私の言っている質問と少し違う答えですね。  この自動販売機というものはこの法律に抵触しませんかと言って聞いているのです。だから、抵触するというのか、抵触しないというのか、どちらか、イエスかノーをお答えください。
  195. 森宗作

    ○森説明員 大変難しい問題でございますが、これまで長く商慣習といたしまして、自動販売機によりまして消費者の方々の便宜を図ってまいっておるわけでございます。そういった意味では、直接法律的な解釈ということになりますと私もなかなか判断もいたしかねる点がございますが、このような形の販売というものは社会通念の上から許されるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  196. 野口幸一

    ○野口委員 まことに歯切れの悪い御答弁で、恐らくこの条文からするならば、自動販売機なるものは無秩序に売るわけでありまするから法違反であります。だから私は、先ほど総裁がおっしゃったように全国に三十二万六千有余の自動販売機が存在することを事実として知っておりますが、こういう時代になってきて喫煙の害というものが世上やかましく言われているときでありまするから、少なくともこういう法律がある以上、もうちょっと強い指導があってもしかるべきだし、またそのことを規制すること自体にも責任が存在をするのではないかということを申し上げたいのであります。少なくとも法律を真っすぐ読むならば、自動販売機は未成年者喫煙禁止法第四条違反であります。そのことがはっきりわかっている以上、これからのたぱこの販売について、いろいろ言われているそういった害を最小限にとどめていこうという姿勢があるとするならば、そこから改善するのが至当であろうと思うのであります。もちろん、先ほど来の話であります宣伝広告、誇大広告、いろんなことが言われておりまするが、それも大事でありましょうけれども、実際販売する場所において事実そういうことがあるとするならば、この問題もやはり積極的にお取り上げになるのが正しい処置ではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
  197. 長岡實

    ○長岡説明員 先ほど森理事からもお答え申し上げましたように、現在におきましても、店頭に置く自動販売機でないもの、すなわち目の届かないところに設置する自動販売機については、その設置についてできるだけ許可しない方針をとってまいっておりますけれども、ただいまの野口委員の御指摘のような事態が起きるのはやはり目の届かないところにある自動販売機にそのおそれが非常に大きいわけでございますので、今後はそういう自動販売機の設置場所につきまして、目の届かないところに置くという点については従来以上に厳しく私ども考え、かつ業界に対してもそういう方針で指導に当たってまいりたいというふうに考えます。
  198. 野口幸一

    ○野口委員 これ以上申し上げませんが、少なくとも一方そういう法律があり、かつまた巷間言われています喫煙の害というもの、特に未成年者に対しての害というのは、最もさることながら、年齢的な生育期にある者については特に大きいということも言われているわけでありまするから、特にそのことはわかっておりますだけに、この法律は既にもう明治時代にできた法律でありますけれども、未成年者に対してたばこを吸うことはならぬということができているわけであります。したがって、少なくともその辺からでもやはりきちっと守るようにしないと、片方では幾ら立派なことを並べてみても、実態的にはそれが野放しになっているではないかということになってくれば、これはもう喫煙禁止、禁煙という運動をやっていらっしゃる方などの全く好餌の的であるわけでありまして、そういう点から考えましても、こういうのをみずからが守っていくという姿勢をやはりおとりになることが必要ではないだろうかと思うのでございます。  実はこの質問はもっと後ほど申し上げるつもりでおったのでありますが、正森議員が禁煙をやかましく言われましたので、ついこの問題が先に出てまいりまして恐縮をいたしておりますが、いよいよ本題に入ってまいりたいと思います。  現行の日本専売公社の制度があるわけでありますが、今回のこの法律を読ましていただきますと、どなたかもおっしゃいましたが、あちらこちらにいろいろと非常に御配慮というのか、どういう気持ちがあってという、何といいますか、疑問点もないわけではないのです。  例えぱたぱこ耕作者に対する全量買い入れの継続あるいはたばこ小売人の資格の問題についても、これまた現行法上と余り変わらない。さらにまた、労働組合との話し合いの中にありましても十分な意思疎通ができ上がったというような背景のもとに提案をされているわけでございますけれども、それならばなぜこの専売公社制度というものの中で一部改正をして、いわゆる輸入たばこの問題、つまりたばこの自由販売という問題についてできないものなのか、自由化に対応できないものなのか。なぜこの現行の専売公社制度をやめようとなさるのか。その辺はたびたび御返事になっておりますが、私にもひとつお答えをいただきたいと思います。
  199. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  たばこの輸入自由化と申しますのは、我が国の輸入業者、法律の中では特定販売業者という言葉を使っておりますけれども、我が国の輸入業者が自己の計算と危険負担において外国から製造たばこを輸入し、国内販売ができるというものでございますけれども、現行の専売制度におきましては、製造たばこの輸入及び販売の機能が国に専属しておるわけでございます。その国に専属した機能を一括して専売公社に与えまして、これを専売公社に実施させているわけでございますが、こういう専売制度のもとでは、現在がそうでありますように、専売公社の手を通さずには外国たばこを販売することができない、こういうことになっておるわけでございます。しかしこれは、輸入業者なりあるいは外国たばこメーカーにとりましてはまさに競争相手の手を通さなければ販売できないということで、真の意味での輸入の自由化ということにはならないではないかという批判が起こるのは当然のことでございまして、そのような意味で現在の専売制度を維持したままにおきましては製造たばこの輸入の自由化というのは不可能であると考えておるわけでございます。
  200. 野口幸一

    ○野口委員 それはわかるのですよ。だから、専売公社法というのを改めて、その輸入をしなければならない、いわゆる自由化の部分についてのみ改正をなさってもよさそうなものだが、これを全般的に変えて、日本たばこ産業株式会社等々、事業法案として新たな民間事業にするという、そのメリットというのはそれじゃどこにあるのですか。
  201. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ただいま申し上げましたように、専売制度のもとから外国製造たばこを外しまして、いわば日本の国内市場で国際競争と申しますか、完全な自由な競争が行われるということになるわけでございますけれども、その場合、専売公社制度というものは確かに今まで財政収入の確保という面でそれなりの大変大きな役割を果たしてこられたわけでございますが、そういう新しい国際競争という条件のもとにおきましてそれらと十分な競争力を持っていくためには、やはり商法に準拠して設立された特殊会社、そういったようなみずから経営自主責任体制が確立され、あるいは当事者能力が付与され、自由な営業活動ができる形態、言いかえますと、合理的な企業経営が最大限可能な経営形態と申しますか、そういった形態がぜひとも必要である。それにつきましては、一方で現在のたばこ産業の状況下におきましてはそれなりの政策目的を果たしていただくという必要もあるわけでございますので、それらを彼此勘案いたしますと、やはり現在の政府関係特殊法人の中で最もそういう合理的企業経営実現が可能である特殊会社にする以外にはないという判断をした次第でございます。
  202. 野口幸一

    ○野口委員 そういうようになればいいことでありましょうけれども、私は、現行の製造たばこのシステムといいますか、特に葉たばこ耕作者に対する配慮等々を考えてみますときに、本当にそのような外国企業と戦っていくだけの体制ができるんだろうかということを心配するのであります。とにかく新会社をつくらなければならぬから、当座のしのぎに合意を得なければならぬからということで、葉たばこ耕作者にもあるいはまたたばこ小売人にも、言葉は悪いのですが、この際何とかうまく切り抜けようという気持ちがあるんじゃないですか。その辺の真意をお聞かせいただきます。
  203. 長岡實

    ○長岡説明員 ただいま監理官からもお答え申し上げましたけれども、輸入が自由化される、そうなりますと、国際競争と申しますか、我が日本たばこ市場における輸入品との競争が非情に激しくなってくる。その場合に、外国たばこ企業と対等に競争していけるような経営の体制を整えることが必要であるということに尽きるわけでございますけれども、そういったような観点から、政府関係法人の中にとどまりながら株式会社組織特殊会社を選んだということは、それによりまして経営の自主性が確保できる、また労使双方にとりましては当事者能力が確保できる、それから、公社制度に比べますと、もちろん制限はございますけれども、業務範囲の拡大もできるといったようなことで、公的法人の中では最も合理的企業経営に適する経営形態であろうかと存じます。もちろん、原料の葉たばこその他の問題について外国競争する場合にハンディキャップはございますけれども、それまで含めて、新会社のような方向を歩ませていただくことによって外国と互角に競争できるような経営体質を整えていきたいというふうに私ども考えている次第でございます。
  204. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、現在たばこはどのような経賞状態になってきているかということについて、少しくお尋ねをいたしたいと思います。  資料をちょうだいいたしましてあらかじめ私どもも知っておりますが、記録をするためにお答えをいただきたいのでありますけれども喫煙人口は我が国の場合どういうような傾向になってきているかということをまずお答えをいただきたいのであります。
  205. 長岡實

    ○長岡説明員 詳細な資料は後ほど御説明申し上げますけれども、ごく最近の時点について申し上げますと、これは大体毎年調査いたしておりますが、昭和五十八年六月の調査によりますと、成年人口に対する喫煙者率は約三九%、その前の五十七年五月の調査ではそれが約四二%でございますから、相当大きく落ち込んでおります。  ただ、この原因の一つは、もちろん喫煙と健康の問題等世界的な傾向もございましょうけれども、値上げの直後の調査であったという要素も若干入っておるのではないかと思います。
  206. 野口幸一

    ○野口委員 お調べいただきましたものをつぶさに拝見いたしますと、確かに喫煙者人口というのは昭和二十五年から比べれば大幅にふえてはおりますものの、特に喫煙と健康がやかましく言われてまいりました五十年度前後から五十八年までの間約七、八年の経緯を見てまいりますると、実は男女ともに減少をいたしております。特に大幅な減少をいたしておりますのは二十代の世代の喫煙者の減少であります。五十年に九百二十八万人と推定されております二十代の喫煙者が五十八年では六百八十四万人となっておりまして、およそ二百五十万ほど喫煙者が減になっております。これは二十代でございます。年寄りになりますほどその減少の率は下がりまして、六十以上になりますと、もうやけくそになっているのかどうか知りませんけれども、五十年に四百九十八万でありましたのが、逆に五十八年で五百二万とふえております。  こういう例外を除きまして、先ほど総裁の言われたように、ほぼ喫煙者人口が減っているわけであります。減っているということは、今日、展望してみた場合に、需要量そのものがこれ以上そう大幅にふえるとかあるいはたばこ産業そのものの未来に明るい展望があるというところまでいかないのじゃないだろうかと思うのは早計でしょうか。いかがですか。
  207. 長岡實

    ○長岡説明員 最近の傾向を見ますと、将来にわたってたばこ需要をふやす要因がもしあるとすれば、これは成年人口の増加と、それから、私ども今鋭意ニコチン、タールの含有量の少ない軽いたばこを開発いたしておりますので、軽いたばこになれば、重いたばこを吸っておられた方が軽いたばこにかえた場合には若干本数がふえるといったようなことがございます。しかし、全体として見れば、御指摘のとおりに、たばこ需要が今後末広がりに伸びていく、非常に明るい展望にあるというような状態にはないと思います。  ただ、それでは私ども、企業として全くしりつぼみになるかということでございますけれども喫煙と健康の問題が厳しくなればなるほど、そういったような問題に対する配慮も十分にした新しい製品の開発にも努力いたしたいと考えておりますし、それから、数量的には全体に影響を与えるはどの数量にはなかなかなりませんが、輸出部門にも力を入れて、でき得る限り経営の規模を維持してまいりたいというふうに考えております。
  208. 野口幸一

    ○野口委員 私も、総裁と同じように、これ以上たばこ産業が大幅に将来発展をして未来が明るい展望であるとは言い切れないと思うのであります。  そういう状態にありまして、先ほど来おっしゃっていますように、最近、ニコチン、タールの含有量の少ないものほど好まれるという傾向があることも承知をいたしておりますが、しかしこの問題は後ほど少し詳しくお尋ねすることとしてさておきまして、こういう状態でありますだけに、先ほども申しましたように、こういう専売制度をいわゆる会社にして、自助努力といいますか、みずからの力を十二分に発揮できるような経営形態というものを改善しながらやっていくということでございますけれども、一方には、がんじがらめになっている問題として葉たばこ問題が存在をしている。  この葉たばこ問題は、これもたくさんの質問者にお答えになっておりますように、現状これを維持するんだ、全量買い入れ制を維持していくんだ、こうなってまいりますと、勢い競争する相手、つまり外国たばことの競争の中で、どうしてそれじゃそのたばこ産業株式会社として日本たばこを維持していくことができるだろうかというところに来るわけであります。そうしてまいりますと、実はそれと相矛盾をした法律になっているような気がしてならないわけであります。  つまり、第三章の「製造たばこ販売価格」、ここのところの項目であります。 「第九条 会社は、その製造に係る製造たばこで現に販売をしていない品目の製造たばこを第二十条の登録を受けた者」以下云々とありまして、「販売しようとする場合においては、当該製造たばこの品目ごとに一の販売価格の最高額」云々、これを「大蔵大臣の認可を受けなければならない。」つまり蔵出し価格をはっきりとしなさいということになっているわけであります。また、もちろん小売価格もはっきりと大臣の認可を受けなさいということになっている。そうなりますと日本たばこはいわゆるコストがもうはっきりと公になってしまうのであります。  アメリカの方のいわゆる外国産のたばこの場合は、きのうですか御答弁にもありましたように、はっきりしない部分もあり、はっきりしているようにも想像ができるようでもあるということになっておりまするが、実は向こうの方はわかっていない、我が方だけはいわゆる蔵出し価格がはっきりとしている、こんなことでこれからの販売合戦に勝てるのですか。こんな条文というのは私は考えてみてもおかしいと思うのですね。  本来、商売しようと思ったらコストなんか最後まで隠しておくのが本当なんでしょう。ところが、これは蔵出しのときにはっきりとその額は大蔵大臣の認可を受けなければならぬ、はっきりしなさいということになっているわけです。これは競争するのに非常に不利じゃないですか。こんな条文をつくるというのは、外国たばこ競争するということについては全く不利な条件だと私は思うのですが、いかがですか。
  209. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 営業上の問題については後ほど公社の方からあるいは御答弁があるかもしれませんが、制度問題でございますので私の方から御答弁させていただきたいと思います。  会社の製造たばこの最高販売価格について大蔵大臣の認可に係らしめるのはなぜかということでございますけれども、今回の専売制度改革に伴いまして、国産葉たばこ現状にかんがみ会社に製造たばこ製造独占をさせることとしておるのは、今までしばしば御答弁申し上げたとおりでございます。そういう中で、このように会社に製造たばこ製造独占させるといたしますと、市場において自由な国際競争外国たばことの間で行われるわけでございますから、万々一、会社が不当な価格をつけるというようなことはないとは思いますけれども、それにいたしましても、市場の状況いかんによりましてはまだそのようなおそれが皆無と申しますかあるいは絶無とは言えないという可能性があるわけでございます。そういう意味で、万が一の弊害発生防止のための制度的担保として、会社の製造たばこの最高販売価格について大蔵大臣の認可に係らしめるというのがこの規定を設けた趣旨なわけでございますけれども、それによって特定販売業者との間で競争条件が著しく不利になるかどうかということなわけでございますけれども、特定販売業者につきましてはこういう製造独占というようなことはございませんで、いわば裸で競争する、そういう関係にございますので、こういったような最高販売価格の認可は不要であるというふうに考えておるわけでございます。  最高販売価格というのは、文字どおり最高額の認可でございまして、これにより、この価格で会社が小売店に即さなければならないあるいは卸売に即さなければならないという限定的なものではございません。これがいわば最高制限価格、最高販売価格でございます。そういう意味で、特定販売業者との間の競争条件が著しく不利になるということにはならないというふうに考えております。
  210. 野口幸一

    ○野口委員 それは甘いんじゃないですか。そんな、自分のところで製造したたばこの最高販売価格というのを公表しておいて、そして今度はたばこの小売価格を決めるわけでしょう。そこのところに差があるわけでしょう。プラスかマイナスか知らないが、あなたがおっしゃったように、そこは最高だからマイナスになる場合もある、そんなこと、はっきりしておるのを出しておいてたばこを売って、そのたばことコストがわかっていないやっと競争しようなんてことをしたら、これは当然はっきりした方が不利じゃないですか。わかっているんじゃ、手の内を皆見せているようなものじゃないですか。それで外国たばこ競争しよろなんて少しおかしいのじゃないですか。  私は、少なくともこの第九条なんていうものは要らないと思うのですよ。このたぱこの最高価格などというものをなぜこんなところで設けるのですか。こんなことを設けるからこそ余計ややこしくなるのでありまして、小売の価格を決めるということについては必要でしょう、しかし小売に至るまでの価格というものは会社が持っておくべき質のものじゃないですか。これを公表してしまっているということは、コストが大体どのぐらいかかっているか、どのくらい下げる余裕があるかということをみずから示しているようなものじゃないですか。外国たばことの競合の中にあってこんな不利な条文が入っているということはおかしいと私は思うのですよ。手の内を見せているような形になるわけですよ。だから、第九条なんていうものは要りませんよ。どうですか、もう二度。
  211. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 現在の専売制度のもとにおきましては、ちょっと名称を正確に言えないので申しわけございませんが、独禁法との関係というものは、いわゆる専売制度ですから、ないわけでございます。今度の制度改革後におきましては、政府関係特殊法人ではございますけれども株式会社として製造独占を与えられるということになりますと、独禁法の適用除外ということにはならないわけでございまして、やはり独占の弊害というものが生じないように手当てをする必要があるわけでございます。そういう意味におきまして、この最高販売価格の制限と、もう一つは目的達成業務の認可というのを、製造独占弊害規制の担保としていわば法律上規定しているわけでございます。  それからもう一つは、最高版売価格というものはいわば会社にとっての卸売価格でございます。そういう意味で、特定販売業者にとっても卸売価格というのはあるわけでございますけれども、卸売価格はその原価のほかにマージンとかいろいろなものが入っておるわけでございます。そういう意味で、ある意味では特定販売業者につきましても、小売定価が明らかになっておれば、逆算してまいりますと卸売価格あるいは輸出価格が、向こうの国にとっての輸出価格でございますが、当方にとっての輸入価格が幾らかというのはおのずと計算上出てくるわけでございますので、そういう意味で卸売価格がわかるということは、両方とも平等であろうかと思っております。
  212. 野口幸一

    ○野口委員 この問題は執拗に食い下がりますけれどもたばこ屋だから言うのじゃないけれども、自分のところでつくったものの卸価格をはっきりと決めておいて、そして小売価格というものはこれまた認可制で後から決めます、そんなものはっきりしたら、中間の業者のマージンというのははっきりわかるでしょう、卸売とか小売というのがはっきりしているわけだから。その間だけにしか余裕はないわけだ。例えば下げるにしても上げるにしてもそういうことになるわけでしょう。     〔委員長退席中西(啓)委員長代理着席〕 片方の外国の方はそうじゃないのでしょう。自由なんでしょう、許可を得るわけじゃないのですから。自分が勝手に決めた価格で来るわけですから。こちらははや決まっておるのでしょう。そんなもので競争するのですか。  だからこれは、例えば独禁法云々とおっしゃるならば、小売価格の方で規制があるわけでありますから独禁法にならないと思うのです。私はならないと思っていますよ。仮にそういうことを心配なさるとすれば、外国たばことの競合の中にあって、当然自国のたばこ製造原価というのは特にマル秘にしておかなければ意味がないじゃないですか。そうでなくても、葉たばこは全量買い付けますといってよそから見れば日本たばこはがんじがらめになっておるから、原価というものは想像がついている云々ということでこれ以上まけないよということは、ある程度はっきり向こうにもわかっているんだ。そうでしょう。そう言えるでしょう。言えば一年分以上の葉たばこを抱えて弱っている日本たばこ産業株式会社だから大体これ以上はもう下げることはできないだろうと思っているにもかかわらず、さらに大臣の認可によって卸売価格、いわゆる蔵出し価格をきちんと決める、こんな愚かしい法律をつくって外国たばこ競争しようなんというのはちゃんちゃらおかしいじゃないですか。監理官はたばこ屋じゃないかどうか知りませんけれども、商売やるのに蔵出し価格法律で決められている、そんなばかなものないですよ。産業株式会社でしょう。これから競争していくのに、蔵出し価格法律で決める、そんなばかげた株式会社というのはないですよ、そんなものは。どう思いますか、総裁。こんなことで懲罰するのですか。
  213. 長岡實

    ○長岡説明員 先ほど来、監理官がお答え申し上げておりますように、新しい会社は製造独占になるわけでございます。これはやはり外国との競争上、どうしても独占でやらせていただきたいということでこういうことになったわけでございます。  ところが、これが特殊法人とはいえ株式会社組織になりますと、やはり独禁法の適用除外にはならない。独禁法の適用除外にならないで、なおかつ独禁法に抵触するような一種の独占的な企業経営を営むためには、幾つかの法的な担保と申しますか、独占状態の弊害除去の制約が要る、そのうちの一つだというふうに理解いたしております。それは、あるのとないのとどっちがいいかという御質問であれば、率直にお答え申し上げれば、それはないにこしたことはないかもしれませんけれども、しかし現行法制下において独禁法を適用しながら許されるためには、こういうような法的な規制が必要なのではないかというふうに私どもは理解しておった次第でございます。
  214. 野口幸一

    ○野口委員 私、この法律全体を読んで、非常に厚かましいところもあるのですよ。公取の関係は非常に神経質になっておられますけれども、そのほかのところでは非常に厚かましい条文もあるのですよ。  例えばわいろのところなんですけれども、これはわいろの関係では、自首すれば罪を免除するということまで書いてあみのですよ。たしか、たばこ産業株式会社法だったかどこかにわいろの条文がありますね。十五条ですね。これは、刑法に定めてあるもの以外に、自首すれば刑を免れることができる、免責することができるということまで書いてあるのですよね。そこまで踏み込んで法律をつくっていらっしゃる。また、例えば資金運用部資金から金を借りる問題にしても、これもとにかく三カ年間はそのまま日本専売公社の時代と同じように資金運用部資金から金を借りることができるということにしてあります。都合のいいところだけ、よその法律まで入っていってこの法律をつくっておられるのですからね。九条の問題だけを、独禁法と関係するからといって、そんなにへりくだらなければならぬという理由はないと思うのですよ。  というのは、私が固執するのは、先ほど申し上げたように喫煙人口そのものはだんだん減少している。いわゆる販路の拡張というのは余り考えられない。そして一方、外国たばこは自由に入ってくる。うちの方は、どちらかといえば葉たばこを抱えて、ぞしていわば不利な条件の中で競争しようというのでしょう。その中にあって蔵出し価格をきちっと決めて、そして商売しましょうなんという、こんなばかげた条文、総裁はないことにこしたことはないと言いますけれども、全くこんなものは競争になりませんよ、本当に。こんなものが通って競争できると思いますか。
  215. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  再度の繰り返しになりますが、蔵出し価格の最高額でございますので、その範囲内において——つまりこの条文を設けました趣旨は、先ほども申し上げましたように、独占ということの弊害を除去するための規定なわけでございます。そういう意味で、これ以上で売ってはいけない、これ以上で売る場合には消費者の利益を害するから、それ以上ではいかぬ。それ以下で卸す場合には特段の問題があるわけではございません。したがって、この認可を受けた販売価格で売らなければならないというものではございません。  それと、私、申し忘れておりまして、大変申しわけございませんでしたけれども、もう一つは、小売定価というものは、当然のことながら公告して、世間一般に明らかにするわけのものでございます。しかし、蔵出し価格につきましては、公表するとかなんとか、そういった性格のものではもちろんございません。  そういう二点からいたしまして、独占の弊害を除去するとともに、この規定を置いたといたしましても特段の問題はないのではないかというふうに考えております。
  216. 野口幸一

    ○野口委員 私はどうも理解ができないのですけれども、この問題につきましては、いずれ再度、もっと時間をかけて話をさしていただきたいと思うのであります。少なくともこの九条というものは、これから外国たばこと競合していく上において非常に弊害になる。この問題は本当に真剣に考えなくちゃならない問題だと思うのであります。  今監理官おっしゃるように、これは公表しないものだからと言っておられますけれども、これは大蔵大臣の認可を得なければならないということは、秘密事項であるとかあるいはマル秘事項であるということについて、法律がある以上、そんなものは公表できませんとは言えないものでありましょうし、それはできないと言い切れるのですか。やはりそんなことできないでしょう。それであったら、やはりこの九条そのものは、競争していく上において弊害であるということにならなければならぬのですね。  小売価格との関係についても、蔵出し価格がはっきりしていて小売価格との間にいろいろな問題がこれから出てくるということになりますと、小売業者にとってもおもしろい問題ですね。マージンの問題から考えましてもいろいろな点からも、またいろいろな議論の出てくるところであります。少なくとも商売する人が、でき上がった価格を公表してしまって、そして小売業者に対して価格を決めるというような話はどこの商売でもないわけですから。そして片っ方ではそれが自由にやられている、いわゆる外国の輸入たばこは自由にやられている、片っ方では制限されている、そして競争しなさいと。残るのです、残る自信がありますとおっしゃるけれども、この九条を見る限りにおいては、これはなかなか難しいぞ、簡単にはいかないぞという気がするのは、私だけではないと思うのであります。少なくともこれは一考あってしかるべき項目だと思います。  この九条の問題については、後ほどまた時間を改めて御質問させていただくなり、あるいはまた人をかえて話をさせていただくことにいたします。ひとまずここでとどめますけれども、この九条は、たばこ事業法案の中でどうしても要らない条文だと私は思っております。  そこで、話題を少し変えまして、先ほど来ちょっと問題になっておりますニコチン、タールの問題について若干申し上げてみたいと思います。  喫煙者のたばこ嗜好傾向についてマイルド的なものが求められている、こういうことは先ほどもお答えがございました。ハイライトは、昭和四十二年にニコチンは一本に対しまして一・七六ミリグラム、タールは二十三・九ミリグラムでありましたが、現在、五十八年度では、ニコチンの含有量は一二二ミリグラムになり、タールは十九・〇ミリグラムに減っております。セブンスターは、四十六年にニコチンが一・二ミリグラムであり、タールが十九ミリグラムでありましたものが、現在、ニコチンが一・一、タールが十六ミリグラムと、これも減っております。マイルドセブンは、もちろん名前のとおり初めからそれを低くしたものでありまするから、発売の五十三年から現在まで同じ含有量であります。  さて、ニコチン、タールの含有量は一体どのようにして算出されておりますか。ちょっとお答えいただきたいと思います。
  217. 中山道夫

    ○中山説明員 お答え申し上げます。  ニコチン、タールの測定につきましては、国際的にはかり方の基準が決められてございます。それによりますと、一本当たり一分間に一回、一回については二秒間煙を吸う、吸う量は三十五ミリリットルというふうに決められております。それから、一本の中でどこまで吸うかという問題が一つございます。残す量は三十ミリというふうに決められております。
  218. 野口幸一

    ○野口委員 それで、お尋ねいたしますが、我が国のたばこの吸い殻を集めて、そして大体平均何ミリ吸われているかということを御研究になっていますか。
  219. 中山道夫

    ○中山説明員 大規模な調査はございませんけれども、小規模に調査した結果によりますと、大体四十ミリより少し多いというくらいだと思います。
  220. 野口幸一

    ○野口委員 私は、余り遠いところまで行けませんので国会内の吸い殻を調べさせていただきました。国会は時間がないのか、途中でやめている人が多いのか知りませんが、のみ量、いわゆる吸った量は二・九センチ、これは平均でございますが、二・九センチしか吸っておりません。非常に吸い殻の方が多いわけであります。これは私が吸っておりますキャスターでございますけれども、キャスターは六センチありますね。これで六センチのうち三センチを吸いますと、大体おっしゃる量になるわけですか。三センチでその量になるわけですか、どうですか。
  221. 中山道夫

    ○中山説明員 おっしゃるとおり、吸い口のところから三センチ残すのが規定でございます。(野口委員「吸い口から三センチですか」と呼ぶ)はい。ですから、燃える方は五センチ燃えるということでございます。
  222. 野口幸一

    ○野口委員 そうでしょう。だから、この表によりますとニコチン、タールの量というのは、実は吸い口、いわゆるフィルターの部分が二センチありますね、それと一センチのところまで吸ってこの量なんでございますね。そうなんですね。  そういたしますと、国会では吸った方が大体二・七センチから二・八センチか九センチまででございますから、ニコチン、タールを吸っている量というのはそれ以上減少しているわけですね。これは、例えば半分吸ったら、つまり、国会が二・九だから言うわけじゃありませんけれどもたばこの部分六センチのうち、三センチというところで仮にやめたとすればどのくらいの量になるかということはおわかりですか。
  223. 中山道夫

    ○中山説明員 今、正確に数値を持っておりませんけれども、御要求は、刻みの部分が六センチある、それの半分吸われたということでございますね。そうしますと、ニコチンとタールは、少し違いますけれども、公示をしておりますのの大体半分あるいはそれ以下ということになります。
  224. 野口幸一

    ○野口委員 私の聞き及んでおりますところでは、これは半分じゃなくて半分以下になるということでございます。  そこで、私はこの前も函館工場へ参りましたときに工場長に少しお話をしたのですけれども、三センチのところでラインを入れたらどうか。これがいわゆるヘルスラインという、ここまで吸えば、このくらいでたばこを捨てれば大体健康にはそう害はないよということになる。たばこも少し余計に売れるのじゃないかと思うけれども、それはたばこ屋だから言うのじゃないけれども、そのくらいで捨ててください、ここにヘルスラインを入れる。そのくらいで捨てれば、ニコチン、タールの量はここに表示してあるよりも半分で済みます、つまり、倍のたばこを吸っても大丈夫ですよということになるのじゃないかということになるわけですね。  こういうことになりますと、このニコチン、タールの表示というのは、先ほど来、同僚の方となたかがおっしゃっていましたけれどもたばこに表示をしろということを言っておられます。確かにたばこ屋の店頭でニコチン、タールの表というのが配布されてきてあります。大きさは大体このくらいでございます。全種類このくらいに書いてあります。総裁御存じでしょう。このくらいの紙が小売店にございます。うちの母親なんかは九十歳でございますから、もう目が見えませんので、聞かれますと老眼鏡をかけまして、何ミリでございます、こうやっております。よくわかりません。そんなことを聞く人は百人に一人もおりませんから大したことはありませんけれども、しかし、聞かれてもなかなか答えることのできないような表でございます。これは改善しなければならないと私は思います。  先ほどの話ではありませんけれども、みずからがやはり健康というものにもっと積極的におなりにならなければならぬ。と同時に、半分でおやめになればこのニコチン、タールの量は半分で済みますという一つのものも、ある一方お出しになることも必要じゃないでしょうか。そのことによって例えばこのラインが、ヘルスラインというのは私は簡単に言っているのだけれども、このくらいでたばこを捨てれば、例えば一日二十本吸う人は十本しか吸っていないということになってくるのじゃないか。健康の問題もそこで少しくはよくなるんじゃないかということを提唱をいたしているわけでございます。  だから、そういう意味では、このニコチン、タールの含有量そのものの表示についてそういうぐあいに積極的にお書きになると同時に、吸い方によって、先ほどの話じゃありませんけれどもたばこは害ばかりではない、吸い方によって違うんだよということをもっと積極的に宣伝なさる方法といいまするか、たばこにお書きになる方法があるんじゃないでしょうか。総裁どうですか。
  225. 長岡實

    ○長岡説明員 私も、恐らく無意識のうちにであろうと存じますけれども、見ますと半分まで吸わないで捨てておるようございますが、ただいまの野口委員の御意見、大変私どもにとっては参考になる御意見でございまして、私ども内部で十分に検討させていただきたいと存じます。
  226. 野口幸一

    ○野口委員 この際、もう一つ申し上げておきたいのは、ついでですから申し上げますが、実は、ある専売公社製造工場へ参りまして申し上げたことが一つございます。それは、口をつけるところが切り口にあって、そしてたばこの火をつけるところが下になっている、これは逆にならないか。労働をしている、田んぼで働いている人がたばこを吸おうと思ったら手が汚い。その汚い手でたばこの吸い口を出すのは大変なんです。ところがこれが逆に入っておったら、たばこの吸う方を汚い手でつまんでも口へ入れる方はきれいなんですから、これはどうして逆にならないのですか、専売公社はそこまで考えないんですかという質問をしたのです。そしたら、機械がそうなっておりまして、なかなかそれは先生難しゅうございます、こう言うのです。  だから、先ほどの話に戻るんですけれども専売公社も、特にいわゆる喫煙と健康という問題で、いろんなことについてもっと積極的に改善すべきところはあるのじゃないか。そういうところまで考えていくという姿勢を示すことがそういった方々に対する御理解をいただくためにもいいんじゃないかと思うのですが、このことについても総裁いかがですか。
  227. 丹生守夫

    ○丹生説明員 大変ありがたい御意見をちょうだいいたしておりますが、今の、たばこを逆さに入れたらよろしいのではないかというアイデアは確かに私どもとしても考えたこともございます。これをやりますと、今度は逆に、下の口じりがつきますところに刻みが落ちましてくっついてしまうというようなこともあるようで、そういったお客さん方の御便利を考えでいろいろなアイデアを日ごろちょうだいしているわけでございますので、私どもといたしましても、できるだけお客様の要望に沿うような商品の設計をいたしたいと思って、今後とも考えさせていただきたいと思っております。
  228. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、たばこ小売人について少しお話を承ります。  たばこ小売人の指定制をおやめになって、今度は契約制というのですか、制度を変える理由はどういう理由ですか。
  229. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 今回の専売制度の廃止によりまして、従来小売人につきましてはいわば専売公社の手足と申しますか支店と申しますか、そういう位置づけであったわけでございますけれども、原則といたしまして小売店の営業の自由というのは復活するわけでございます。  そういうことでございますので、本来であれば、たばこ小売店をやりたいという方はどなたでも小売ができるということになるわけでございますけれども、ただ、一方で明治三十八年以来八十年間の長い歴史と伝統を抱えた小売業界と申しますものはそれなりに一定の流通秩序というのを専売制度のもとで持っておったわけでございますし、また御案内のように、全国二十六万の小売店の七五%が月商百万円以下という極めて零細な小売店が多いわけでございますので、そのような小売店について、一挙に指定制というのを撤廃いたします場合には非常に社会的混乱を生ずる、零細小売店にしわが寄って非常に問題が大きいというようなことから、激変回避の意味小売店の許可制度ということに改めて、実質的に指定制を維持することにしたわけでございますけれども大蔵大臣の許可制にいたしました理由といたしましては、小売店というのはたばこの流通の末端なわけでございます。そういう意味で、新しい会社にとりましても、また特定販売業者にとりましても、重要な営業の最前線なわけでございますけれども、この最前線の指定を従来どおり公社の後身である会社にゆだねている場合には、これは到底公正な競争とはいえないというようなことから、大蔵大臣の許可制度ということに改めたものでございます。
  230. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると、いずれは小売人というのは許可制というのが外れるわけですか。もちろん当分の間ということになっておりまするが、いずれは、先行きは自由販売、たばこ屋はいつでもたばこ屋ができるということになるわけですか。
  231. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先生御指摘のとおり、小売販売業の許可制は当分の間ということになっておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、小売店に対する激変の回避という意味で設けた制度でございますので当分の間ということになっておるわけでございます。  それがいつまで当分の間であるかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、専売制度のもとで形成されておりました流通秩序が今度の新しい制度のもとでいろいろと変動を生ずるということが十分考えられるわけでございますけれども、やはりいずれは新しい制度のもとでの新しい流通秩序がおのずと形成されてまいるであろう。そうなってまいった場合に、小売許可制を廃止いたしましても小売店に激変が及ぶことがないというような状況になった場合には廃止すべきもの、本来営業が自由という建前があるわけでございますので、廃止すべきものだと考えております。  ただ、重ねて申し上げますが、そういったような状況が来た場合にということでございますので、具体的にそれが何年であるというようなことは、現時点では申し上げられないと考えております。
  232. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと、それは監理官おっしゃるように急速にはならないとしても、小売、卸売販売業もそうなんですけれども、いずれも「当分の間、」と二十条、二十二条に書いてあるわけですけれども、いずれかの時点では自由にたばこが売れるようになってくるということになりますと、たばこ小売業者二十六万人にとりましては、非常に戦々恐々としながらたばこ小売をしなければならぬということになるわけですね。どうしてこれは当分の間というものを入れなければならないのか。当分の間ではなくて、永久にやってもいいよとどうしてならないんですか。
  233. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 専売制度が廃止されますことによって、先ほど申し上げましたように一応小売店の営業の自由というのが復活すると申しますか、新たに生ずると申しますか、現在の専売制度のもとにおきましては、たばこの販売権というのは国に専属しておるわけでございまして、一般の国民にはいわばなかったということでございます。今度は専売制度がなくなりますと、許可を受ける受けないは別といたしまして、基本的には営業の自由というのは復活するわけでございます。そういう中で許可制をとるということにつきましては、やはり激変回避のため、当分の間ということであるべきであろうかと存じております。
  234. 野口幸一

    ○野口委員 また話がもとへ戻るわけですけれどもたばこと健康ということが言われ、また先ほども言いましたように、自動販売機そのものについてもこれは法律違反じゃないか、未成年者であるかどうか、それがみずからの用に供するか供しないかということを定めて売りなさいということになっているにもかかわらず自動販売機が置かれているではないかという話をしましたけれども、これがどこででもたばこが売れるようになってしまったら、ますますその問題は逆行するんじゃないですか。そうでなくとも非常に心配されている向きが多い中にありまして、いわゆる小売業の自由の問題から考えましても、それはおっしゃる意味もわからないことはないのですけれども、一方、たばこという特殊な品物であるだけに、許可制ということについては当分の間ではなくて、ずっとそういう許可制があってもしかるべきだと思うんですが、そういうことには法律上ならないんですか。どうしてもそれは当分の間でないといけないということになるわけですか。
  235. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 先ほど申し上げましたことの繰り返しになって恐縮なわけでございますけれども、おっしゃるように、確かにたばこという商品につきましては、未成年者喫煙禁止の問題であるとかあるいは健康と喫煙の問題であるとか、他の商品にはないいろいろな特殊性があろうかとは思っております。ただ、そういう特殊性はありますけれども、やはり一方で営業の自由と申しますか職業選択の自由と申しますか、そういったような憲法上の要請というのは非常に重みのある話であるというふうに考えております。そういう意味におきまして、現在のような許可制度をそのまま永久に恒久制度として続けるということはなかなか難しい、法律的にも難しい問題であろうかと存じております。
  236. 野口幸一

    ○野口委員 それじゃ、特定販売業の方は、当分の間ではないんですね、これは。なぜですか。
  237. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 特定販売業者につきましては登録でございますけれども、これについて登録製作を課しておりますのは、二つ理由がございます。  一つは、特定販売業者というのは、当然のことながら、たばこをたくさん自分で持っているわけでございますので、一方で無許可小売販売と申しますか、自分で勝手に小売をやるとかあるいはやみで流すとか、そういったようなことがないようにする、それを担保するための目的が一つございます。もう一つは、法律の三十九条で、たばこのパッケージに注意表示義務を課すことにしておるわけでございますけれども、これは特定販売業者にその注意表示の義務を課しておるわけでございます。およそ遠い将来におきまして全く健康に害のないようなたばこが出ればともかくでございますけれども、恒久的に注意表示義務というのは置かなければならないものだと思っております。そういう意味で、注意表示義務については恒久的な制度でございますので、当分の間というのは入れておらないわけでございます。
  238. 野口幸一

    ○野口委員 卸売販売業を登録制にするということになっていますが、卸売販売業を登録制にする理由と、そして、これもまた当分の間とした理由はどこですか。
  239. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 卸売販売業につきまして登録制をとりましたのは、小売店許可制との関連でございまして、小売店が許可制であるにかかわらず、卸売販売業が自分がたくさんたばこを持っておるという立場を利用して無許可販売をやるとか、そういうようなことがあれば、小売販売業許可制の実体が失われるおそれがあるわけでございます。そういう意味で、そういう法律違反を行ったような方をたばこの流通業界から排除するという意味で登録制をとっておるわけでございますが、これは、ただいま申し上げましたように小売販売業許可制の担保として考えておるわけでございますので、小売販売業許可制と同様に当分の間というふうに考えておるわけでございます。
  240. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、もう一つ関連をして申し上げますが、卸売販売業と小売販売業というのは兼業はできないのですか。
  241. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 卸売販売業の登録を受けた者が小売販売業をしようと思う場合は、結論からいうとできるわけでございますけれども、その場合、あくまでも小売人としての許可を受ける必要があるわけでございまして、営業所を特定して、小売業の許可をとって販売するということであれば兼業はできるわけでございます。
  242. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると、少し繰り返しになりますが、現在、許可制になりますたばこ小売店というものは一定の距離基準というものを設けておられますね。これは小売店にとりましても、自分がたばこ屋をやっているから言うのじゃないですけれども、隣りにたばこ屋ができたらとたんに競合になりまして売り上げが少なくなるのは当然のことでありますけれども、しかし、先ほど言われたように、将来はそういう自由という方向がとられるのだ、だれが申請しても小売店が許可になるというような形ですね、そういうようなことになるとするならば、今の基準の中で距離制がとられているということはちょっと矛盾があるのじゃないですか。そう考えられませんか、どうですか。
  243. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 言葉を繰り返すようで恐縮でございますけれども、今回の制度改正におきまして、小売店の許可制度を設けまして指定制を実質的に維持するということにいたしましたのは、零細小売店等に対する激変の緩和ということが目的でございます。したがいまして、現行の距離基準なりあるいは取り扱い高基準なりというものは実質的に維持していきたいというふうに考えております。つまり、それが激変緩和としての意味であろうかと思っております。
  244. 野口幸一

    ○野口委員 激変緩和はよくわかりますが、激変緩和をするために当分の間ということになりまして、いずれかの時点ではそれが解除されるのだということになってまいりますと、その言っておられることと今規制をしておられることとの間に、激変緩和なるがゆえに今許可基準というものを置いておられるわけですから、これを徐々に拡大をするなり、あるいはまたそれを緩和するということになってこそ初めて激変緩和ということが生まれてくるのでありまして、それをそのままにしておいて、ある日突然、いわば一方的に開放されてたばこがどんどん売れるようなことになるということはないんですね。では、どういうように将来を展望しておられますか、小売店、販売業関係
  245. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 小売店に対する激変の回避ということでございますので、現在の距離基準なり取扱基準なりは当面これを維持していくというふうに申し上げたわけでございますけれども専売制度のもとにおきましても、現在まででも小売人の指定基準は、人的要件を別にいたしますと、過去において社会経済情勢あるいは市場の状態その他に応じて幾たびか基準の改正を行っているところでございます。そういう意味におきまして、今後についても小売販売業者の許可基準につきまして、小売販売業者に対する激変を回避するという今回の小売販売業許可制度採用の趣旨を踏まえまして、小売販売業者の実態とかあるいは流通自由化の進展状況であるとか消費者の購買動向、そういったものを総合的に勘案しながら適時適切に対処していきたいというふうに考えております。
  246. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと、この小売販売業の許可の基準というものはこれからは徐々に緩和をする、そういうことですか。
  247. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 ただいま申し上げましたように、繰り返しになって大変恐縮なのでございますけれども、今回の許可制度を採用いたしました趣旨にかんがみまして、販売業者の実態であるとか流通自由化の進展状況とか消費者の購買動向、そういったものを勘案して、その時点においてどういう許可基準がふさわしいかということを判断しながらやっていくわけでございますから、例えば緩和できるようになれば緩和する。これは直接基準とは関係のない、ちょっと違う話かもしれませんけれども、例えば新しく団地ができて今まで田んぼ、畑であったところに人口が非常にふえたというような場合には、例えば従来三百メートルであったものが五十メートルになるというようなことは間々あるわけでございます。そういったように、四囲の状況等を勘案しながら考えていくべきものだと思っております。
  248. 野口幸一

    ○野口委員 だから、この法律施行によってこの小売販売業の許可基準は、いわば現在の小売店の権利と申しますか、そういうようなものを保持していくという上において実質的には当分の間継承をする。しかし将来は、考えてみればこれは自由になるべきものであるから、許可基準そのものを徐々に——全体的にという意味ですよ、あなたのおっしゃるようなそういう狭い意味じゃなくて。全体的に基準そのものを緩和をしていくという考えは当分ないということですね。そういうように解していいですか、どうですか。
  249. 長岡實

    ○長岡説明員 お説のとおりだと思います。
  250. 野口幸一

    ○野口委員 現在その許可基準の中に距離が、今も言われました三百メートルとかいろいろあるわけですけれども、御存じのように薬事法の違憲判決で距離の問題が問題になりまして、これは違憲と判決されております。先ほどの法違反じゃありませんけれども、今回のこの基準を守っていく上についても、先ほどは法律があって非常に大変なんだどいうことで、例えば独禁法に触れるとかいろいろなことをおっしゃっていましたが、そうなってまいりますと、最高裁の薬事法違反違憲判決というものについてはどういうお考えですか。そのことについてとその許可基準との関連はどのように思っておられますか。
  251. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 薬事法違反違憲判決でございますが、あれは薬局の距離基準について最高裁で違憲とされた非常に有名な判決でございます。  実は、あの判決につきましては、私どもも非常に関心と申しますか、いろいろ勉強したわけでございますけれども、あの判決の言っております趣旨と申しますのは、薬事法の距離制限というものが、国民の生命、身体、健康と申しますか、そういうものを守ることを目的にする、生命、身体が消極的だという意味ではございませんけれども、判例の言葉をかりますと、消極的、警察的目的である。言いかえれば、あるいは間接的なものだと言ってもいいのかもしれません。距離基準を守ることによって薬局の経営を安定させる、それがひいては国民の生命、身体の安全につながる、こういう仕組みになっておるわけでございます。そういう意味で間接的なものでございますけれども、そういったものについては、職業選択の自由と申しますか、営業の自由というものは非常な重みを持っておるわけである、したがいまして規制の方法と規制の目的との間の相当性が問題である、こういうふうな考え方だと思います。  私ども考えておりますのは、零細小売人に対する激変の回避ということをまさに直接にその目的にしておるわけでございまして、そういう場合には積極的と申しますか直接的、判例の言葉をかりれば積極的目的でございますけれども、このような場合には立法府の裁量は先ほどの場合よりはより多いのではないか。また、今回の小売店に対する激変の回避ということのために他に適当な手段があるかということになりますと、考えられるのは恐らくこういう手段であろう。そういう意味で手段と目的との間にそれなりの対応関係がある、そういうことから、今回の許可基準というのは許されるのではないかというふうに考えております。
  252. 野口幸一

    ○野口委員 法律によって、あるいはまた自分のところといいまするか、たばこに関してだけは勝手に解釈してというか、そういう感じもしないわけではないわけですけれども、先ほど来繰り返して私の方も言っておりますように、たばこという商品が一方では健康との関係があっていろいろ言われているときにありまして、営業の自由という立場からだけでの裁量によってそれぞれが自由に営業できるという問題というのはいかがかという問題もあるところであります。したがって、今後たばこ小売店の許可制というものについては、これは当分の間ということで言われておりまして、激変緩和という意味での当分の間なんでありますが、将来的にも小売店のあり方については別の意味でも考えなければならぬ、こう思うのであります。一般の営業の自由という中にあって、少なくともどこでもたばこは売っているというようなことは、先ほど来申し上げています理由から考えましてもおかしいのではないか。だから、少なくともこの許可制というのは未来永劫に向かって存続すべきであると私は思うのですが、この点について大臣はどうお考えでしょうか。この点だけです。
  253. 竹下登

    竹下国務大臣 おっしゃる意味はよくわかりますし、私どもはいわゆる薬局の違憲判決というのはかなり真剣に考えて、今度の決議論を詰めた上で、先ほど来答弁をいたしておるような方向で最終的に御審議いただいておる、こういうことになっておるわけであります。  したがって、今の御趣旨は、未来永劫という意味でございますと、それは未来永劫にそうでございますとはお答えできないだろうと思います、やっぱりいろいろな環境の変化とかございますでしょうから。が、御趣旨の意義は私も少しも否定する考えはございません。
  254. 野口幸一

    ○野口委員 私は、たばこ屋だからといってちょっと変に思われると困るんで言うんじゃありませんけれども、利益を守っていただくために許可制ということ、それから距離もという、その気持ちはわからないこともないが、一方、たばこと健康でいろいろなことを言われている、しかも未成年者、販売機の問題についてもこれは法律があるんじゃないか、そうまで言っている。にもかかわらず、いわゆる営業の自由だというのでどこでもたばこが売られるというようなことは、そういった意味からも逆に規制すべきじゃないか。だから、許可制というのは存続されるべき筋合いのものではないか。法律は改正するなりいろいろなことの問題があるかもわかりませんが、考え方として、そういった規制をする小売店の許可制というのは存続されるべきものであるということを私は主張しますが、大臣はどうお考えですかと、こう申し上げたわけです。
  255. 竹下登

    竹下国務大臣 わかりました。その趣旨は私も同感でございます。少なくとも、いわゆる財政物資であるという観点からとらえただけでも、それは必要なことであろうというふうに考えます。
  256. 野口幸一

    ○野口委員 その次に、ちょっと小売人のマージンについて申し上げます。  今、一〇%マージンをたばこ屋がもらっております。たばこ屋がもらっておるというとおかしいのですが、たばこ屋がマージンとして受け取っているわけでありますが、この一〇%という数字の出てまいりました根拠を少し教えてくださいませんか。
  257. 森宗作

    ○森説明員 このマージンにつきましては現在一律一〇%になっておるわけでございますが、マージン問題につきましては、これまで販売組合との間に大変長い経緯がございまして、いろいろ折衝を重ねた結果のものでございます。  この一〇%ということにつきましては、諸外国の例から考えましても、専売国でありますフランス、イタリア、これは八%というような数字になっております。そのほか、民営国でございまして定価制のありますような西ドイツあたりは一〇%というようなこともございまして、こういったようないろいろなことから現在の一〇%というようなことになっておるわけでございます。
  258. 野口幸一

    ○野口委員 外国がそうだから日本もそれにまねて一〇%とした、こういうようでございますが、今後外国たばこが大量に自由化になって入ってまいりまして、そのマージンが今は一〇%以下でありますけれども、それが一〇%になりあるいはそれ以上になってくるということが仮にあったとした場合にも、この小売業者に対するマージンというのは絶対不動のものであると考えておられますか。
  259. 森宗作

    ○森説明員 私ども、このマージンにつきましては、今度のこの制度改正ということがございましても、従来の一〇%、これは本土分でございますが、この一〇%のマージンにつきましては今後とも同様なことで取り扱ってまいりたい。一律一〇%ということでございまして、これは地域間、小売店間によって差を設けるというような考えはないわけでございます。
  260. 野口幸一

    ○野口委員 そういうことだとか、あるいはまた輸入品につきまして小売を定価制にするということなどは、輸入の自由化に反するということで新たな貿易摩擦を生ずるようなおそれはございませんか。そのような心配はないのですか、どうですか。
  261. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 小売定価制につきましては、小売人への激変回避の見地から当分の間やるものでございますけれども、内外製品に対しまして無差別に適用されるわけでございます。それからまた、定価の認可申請に際しましては、申請価格がダンピング価格などのように不当なものでない限りはこれを認可することとしております。それからまた、外国製品の場合は輸入価格を基礎として定価が認可されるわけでございますので、外国メーカーまたは輸入業者の意向が定価の設定に十分反映されるということからいたしまして、輸入品についても小売定価制をしいたとしても、これが輸入自由化に反するものとは考えておりませんし、新たな貿易摩擦を引き起こすことはないというふうに考えております。
  262. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、この小売の定価というものを認可制にしていますが、新会社がこの価格というものは大蔵大臣に届け出るというような形でもいいんじゃないか、何も認可制にまでしなければならないことはないじゃないかと思うのですが、なぜ届け出制でなくて認可制にしてあるのですか。
  263. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 小売定価制度につきましては、流通秩序を維持することによって小売人への激変回避を図るという目的でございますけれども、一たんこれが決められた以上は、小売店はこの定価を遵守する義務があるわけでございます。そういう意味で、その価格が不当なものでないということが必要であろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、それが合理的と申しますか通常の場合は、新会社なりあるいは特定販売業者なりが自由に決めてそれの認可を受けるわけでございますけれども、それが例えばダンピング関税が適用される場合であるとか、そういったような不当なものである場合にはこれをあらかじめ排除しておく必要があるということでございます。そういう意味で、届け出でなくて認可制度ということにしておるわけでございます。
  264. 野口幸一

    ○野口委員 これはまた別ですが、例えば外国たばこで同じ品物を、別の特定販売業者が異なる小売定価で認可申請があった場合、その場合はどういうふうに措置をされますか。
  265. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 小売定価制を維持いたします趣旨と申しますのは、たびたび申し上げておりますように、小売販売業者間の価格競争を排除して、大半が零細経営者である既存小売人への激変回避を図るということが目的でございます。したがいまして、一つ銘柄について二つの価格で売られるということは避けなければならないということでございますが、一本化の方法については、政令で定めることとしておりますけれども、現在考えておりますのは、幾つかの申請価格の中から一番低い価格小売定価として認可をするというふうに考えております。  ただ、製造たばこの場合におきましては、これはむしろ公社の方がお詳しいのかと思いますけれども、メーカーがそのイニシアチブをとっている例が大部分でございます。したがいまして、全世界的な視野からマーケティングをやっておりますので、例えばフィリップ・モリスがA社には二百八十円で売れと言い、B社には二百五十円で売れと言うというようなことはまず考えられませんので、ほとんどそういうことは生じないとは思いますけれども考え方としてはただいま申し上げたようなことで考えております。
  266. 野口幸一

    ○野口委員 繰り返しますが、そうすると、同一品目について異なる小売定価によって申請があり、認可をする場合は、とにかく安い方を認可するんだというのが基準だ、そういうことですね。  それで、小売関係を終わりまして、次に、製造たばこの代用品というのが出てくるわけですが、製造たばこの代用品というのはどういうものですか。
  267. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  製造たばこ代用品と申しますのは、製造たばこ以外のものであって喫煙用に供されるもの、具体的に申しますと、製造たばこというのは葉たばこを原料の全部または一部としてつくられたものということになっておるわけでございます。したがいまして、葉たばこ以外のものを原料として、製造たばこと同様の形態製造されて喫煙用に供されるものということでございます。ただ、その中で大麻取締法に規定する大麻であるとか、麻薬取締法に規定する麻薬であるとか、あるいはあへん法に規定するアヘンであるとか、薬事法に規定する医薬品とか医薬部外品とか、こういうものはそれぞれ別の目的があり、規制が行われるわけでございますので、これは規制の対象から外しております。  ちなみに、代用品の例としては、我が国にはまだないのでございますけれどもアメリカにはカカオビーンズの皮を主原料としたフリーとか、イギリスではタンポポを主原料とした、どんな味がするのかよくわかりませんけれども、ハニーローズとかいうのがあるそうでございます。
  268. 野口幸一

    ○野口委員 公社は御存じと思いますが、我が国にもネオシーダーという、たばこに類似をした薬用たばこみたいなものが売られているのを御存じですか。
  269. 長岡實

    ○長岡説明員 承知いたしております。
  270. 野口幸一

    ○野口委員 あれは今民間会社が勝手につくっているわけですけれども、そういうようなものも日本たばこ産業株式会社もおつくりになるおつもりですか。
  271. 長岡實

    ○長岡説明員 ネオシーダーというのは医薬部外品だそうでございます。それで、私どもまだ、どこまでそういうものに範囲を広げるかという点はそう詳しくは詰めてはおりませんけれども、現在の制度であれば、たばこ以外のものは売れない。しかし、たばこの代用になるようなものを手がける余地、研究の余地はあるのではないかと考えております。
  272. 野口幸一

    ○野口委員 せっかくたばこ産業株式会社になったのですから、いろいろなものを手がけられるのが当然だろうと思うのですが、今ちまたではあのネオシーダーというのは割合評判がよろしゅうございまして、私も吸ってみたのですけれども、とにかくたばこの指の感触だとか唇の感触が忘れられない者にとっては格好の品物なんです。  しかし、それもたばこ産業株式会社がお売りになるとするならば、これはまた利益の点では変わらないわけでありまして、そういった点でも今後いろいろなものを、たばこ代用品といいますか、そういうものを手がけられると思うのですけれども、そういう研究は今もう大分進められているのですか。
  273. 長岡實

    ○長岡説明員 私どもの中研におきましては、いろいろの角度から検討いたしております。たばこに漢方薬のようなものを香料として使ったりしたものがどういうものができるかというのもやっておりますし、それから、これはまた別の角度からのアプローチでございますけれども、バイオその他を研究いたしまして葉たばこでニコチンの含有量の非常に少ないものをつくっていく、こういう新しい植物といったようなことの検討もいたしておりますので、その研究の成果の中から新しい製品を生み出す余地は十分にあるものと考えております。
  274. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、製造たばこ代用品をなぜ喫煙用ということに限定をしたのですか。
  275. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 御案内のように、たばこ事業法におきましては、製造たばこ代用品も製造たばことみなしてたばこ事業法の規制のもとに置いて、また、たばこ消費税法においては、製造たばこ代用品も課税対象となっているわけでございます。したがって、罪刑法定主義と申しますかあるいは租税法律主義と申しますか、そういう見地からその定義を明定することとしているわけでございますけれども、現在国際市場で製造たばこ代用品として製造されておりますのは専ら喫煙用のものばかりでございます。そういう点が一つございます。  それからもう一つは、あと喫煙用以外のものといたしますと、かみ用とか、かぎ用というのがあるわけでございますけれども、これは用法とか内容、成分で他の物品と区別することは非常に難しい、例えばチューインカムみたいなものは一体何なのかという話でございますけれども、そういうようなことがございますので、現実に国際的に売られておりますのは喫煙用のみであるというようなことから、喫煙用に限ったわけでございます。
  276. 野口幸一

    ○野口委員 私はちょっと意見を異にいたしまして、先ほども言いましたように、国際競争に勝っていく日本たばこ産業株式会社にとっては、やはりその製造するもの、販売するものを余り規制ばかりで締めてやるんじゃなくて、いろいろなものをつくれるように範囲を広げてやっておいてもらいたい。そうでなければ、とてもじゃないが太刀打ちができないであろう。だから少なくとも、何も喫煙用に限らずいろいろなものをつくってもいいじゃないか。外国たばこの例じゃありませんけれども外国たばこ会社はスーパーマーケットもやっているという会社もあるようであります。それまでやれとは言いませんけれども、少なくとも嗜好品として人間が口にするもの、あるいはまた鼻でかぐものとか、いろいろなものを考えて売り出すことも決して悪くはない。何でこんなところに製造たばこ代用品を規定をしてやるのか。むしろそういうものを広げてやるところに意味があるのじゃないかと思うのですが、なぜこういうようなものをこしらえて規制をするのですか。長岡総裁、そういう点では異論はなかったのですか、どうなんです。
  277. 長岡實

    ○長岡説明員 新会社に移行いたした場合には、現在の営業の範囲に比べましてもう少しその範囲を広げていただきまして多角的な経営の方向を志したいということは、私、そのつもりで取り組んでおります。  ただ、このたばこ代用品の規定につきましては、やはりたばこという商品が、財政物資と申しますか財政商品として、国及び地方公共団体の財源の確保の役割を担っておる。それの抜け穴みたいなものができてはいけないという配慮もありますでしょうし、それは国の立場であろうと存じますけれども、私ども立場から考えましても、やはり日本たばこ産業全体を守っていく場合に、葉たばこ農業についてもこれは確かに割高であり、やや過剰ぎみであるということは正直に申し上げておりますけれども、しかし、葉たばこ産業の維持と申しますか、安定的な経営ということも私どもとして大きな使命になっておりまして、そういった場合に、葉たばこを材料としないたばこ類似品がどんどん出てくる、全く野放しにそういうものが出てくるということも我々の仕事に影響がないわけではございません。したがいまして、こういったような規定があることはやむを得ないことではないかと考えております。
  278. 野口幸一

    ○野口委員 私は、実は逆に思っておりまして、そういったハンディキャップ、葉たばこの全量買い入れというようなことは、新会社にとっては非常にしんどいことだと思うのです。しかし激変緩和といいますか、農業者の生活を守っていただくためにそのことについても配慮をいただくことについては結構でございますが、その意味でも、他の方で少しくもうけてそういったところの部分を補うことを考えてはどうかというようなことだとか、あるいは、後ほどちょっと質問をいたしますが、職員対策の面から考えましても、今お聞きいたすところによりますと分速八千本ですかの巻き上げ機ができ上がっている。現在は二千、四千で大体やっておられますが、仮に八千本の巻き上げ機が全工場に行き渡るといたしますと、従業員の数は大体どのくらい変化するものですか。
  279. 西村忠弘

    ○西村説明員 全部置きかわった状態の計算というのをまだしておりませんけれども、概算で計算をいたしますと、現在製造に直接従事している職員が約一万一千五百ぐらいございますけれども、おおよそその半分ぐらいになっていくと思います。
  280. 野口幸一

    ○野口委員 恐らく競争に勝っていくためにはそういう合理化を必要とするでしょうし、またしなければならぬと思いますけれども、そういたしますと、そこに従事する職員は、いわゆる半数とおっしゃいましたが、半数の者がいわば要らなくなるということは、結局首を切られていくか、やめざるを得ないということになるわけであります。そういう意味でも、先ほどから申し上げておりますように、他の部分についていわゆる製造、販売、いろいろなものをつくって、そういう減少していく部分の人間を食いとめるという意味からも、もっと幅広いところに手を出せるような仕組みというものを日本たばこ産業株式会社に与えるべきではないかというのが私の気持ちなのでございます。  したがって、例えば先ほども申し上げましたように、代用品を喫煙用だけだということに締めつけてあるのが随分がわいそうだなというような気がしまして、これはなぜこんなものに、喫煙用に限るものにしたのか、ほかのものにさせてやってもいいじゃないか、例えば余剰人員が仮にできた場合にそれを救うことにもなるじゃないかというようなことも考えまして申し上げているわけでございます。そこのところをひとつ十二分に御配慮いただきたいわけであります。  今、分速八千本の巻き上げ機の問題を出しましたけれども、仮に今の計画でこれが全工場に行き渡るというようなことを計画なさった場合、大体何年ぐらいかかってそのことをなし遂げられると思っておられますか。
  281. 西村忠弘

    ○西村説明員 現在、二千五百回転から四千へ、さらに五千回転の直結型に切りかえをやっておりますが、近いうちに開発完了いたしました八千ができますれば、今度五千への切りかえをやめまして八千の直結機の切りかえに入っていくわけでございますが、私ども合理化の今まで原則的にやってまいりましたことは、総需要と従業員の退職その他要員計画との兼ね合い、そういったものの兼ね合いでなるべく現場に大きな労働不安等が起きないように、そういうことも配慮しながら進めていくつもりでおります。ただ、そういうテンポではこれから国際競争に耐え抜くような生産性の確保というものが難しいかと思いますので、八千の導入ということになれば、どうしても今先生おっしゃるような、他の職種への労働力の吸収ということもあわせて考えながらその辺のところは計画をしていかなければならぬと思っておりますので、今何年かかるかと言われますと、何年ということは非常に言いにくいわけでございますが、十年から二十年ぐらいの間にその辺のところは終わるようにしいたいなというふうに思います。  なお、全工場が八千回転になってしまうということではありませんで、たばこ銘柄、品種に応じまして、例えば長いもの、太いもの、その他のサイズによりまして回転数の多少違うものをまぜて使わなければならない工場が全国に四つほどございまして、そういう調整多銘柄工場につきましては低速の機械が残っていくかと思います。
  282. 野口幸一

    ○野口委員 そういった外国たばこの輸入品との競争をしなければならないという立場にもあるし、また先ほど来申し上げておりますように健康と喫煙という立場もございますし、喫煙人口も減ってくるというような状況の中にありまして、さらにまたそういったものを乗り越えるために合理化をしなければならないとなりますと、勢い、しわ寄せが職員にかかってくる場合が非常に多うございます。職員が今日非常に心配をいたしておりますのは、専売公社に勤めて本光に何十年という方がたくさんいらっしゃるわけですけれども、先行きどうなるんだろうという不安を持っておられることも事実でございます。先ほども一部の方が質問をしておられましたが、その点につきましては特に関係労働組合とも十分な御協議をいただいて、協議の上でぜひとも円満に、合理化計画は無理をなさらないように、しかも、従業員の納得の上でそのことが整理されるようにお願いをしたいと思うのです。総裁、その点についてひとつ確約をお願いいたしたい。
  283. 長岡實

    ○長岡説明員 従来も、例えば新鋭工場をつくる、そしてその周辺にございますやや老朽化した工場を廃止するといったような場合には、判然のことながら労働組合と十分に話し合いまして、組合の協力を得て実施いたしてきております。新会社になりましてから以降は、合理化の必要性はいよいよ高まるとは存じますけれども、工場の整備あるいは機械の新鋭化、そういったような問題につきましては、労働組合と従来同様に十分に話し合いを詰めてやってまいりたいというふうに考えております。
  284. 野口幸一

    ○野口委員 五時半になりましたので、日没時間でもございますから残余の質問は後に回して、特に九条の問題は先ほど私固執をいたしておりましたので、後ほどまた機会を見て質問させていただきたいと思っております。  最後に、一言だけつけ加えさせていただきたい問題がございます。それはたばこ小売人の許可制の問題で、現在の指定書を書きかえるのは面倒だからそのままで生かしていただきたいというような御答弁がございました。私が現在もらっております指定書というのは、これくらい以下の小さな紙でございますが、そのぐらいのものを新しくおつくりになって配付する、幾ら二十六万人の小売人がいるからといって、そんなに高くつくものではありませんで、そんなものは新しくお出しになるのが当然だと思いますが、そのことについてはお考えをお変えいただきたい。そのまま読みかえるというようなものではなくて、新会社発足になれば大臣のいわゆる許可証というものをしっかりとお出しいただきたいと思いますが、その辺はいかがですか。
  285. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 まさに今先生がおっしゃいましたように、二十六万人の小売人の方がおられるわけでございます。法律的に申しますと、現在の公社の指定を受けている小売人はそのまま大蔵大臣の許可を受けた小売販売人とみなされるということになっておりますので、特段その指定書が許可証にならなくても営業に全く御不自由はおかけしないということではございますし、もう一つは、二十六万店という数の指定書を許可訂に取りかえるというのも、現在の財政状況のもとではなかなか難しい問題であると思います。
  286. 野口幸一

    ○野口委員 私はどうも固執するようでございますけれども、新しいたばこのポスターなんかだったらすぐ送ってくるのですね、たばこ屋へ全部。指定書というのはたばこ屋にとっては一番大事にしているものですよ。何かというと、出てくるときは指定書を必ず持参してというのが公社からは出てくるんだ。それほど大事にしているものなんだ。火事のときには一番に持ち出さなければならない指定書なんだ。それをただ読みかえでそのままいけというのは、余りにも小売人をばかにした話じゃないですか。二十六万の小売人に対してそれは余りひどいじゃないですか。今度ちゃんと許可制になったんだから、総理大臣竹下登の名前で許可をしたということではっきりお出しになる方が、たとえまた竹下さんが全国をお回りになっても非常に有利なんじゃないですか。これは冗談ですけれども、少なくともそれはしっかりとした切りかえをしたということを小売人にもぜひちゃんと示してやっていただきたいと思うのですよ。読みかえをするというようなそんな簡単なことじゃないと思うんですが、いかがですか。  これははっきり申し上げておきますが、本当に小売人にしっかりと、たばこは変わることになったよ、しかも将来はこういういろんなことがあるけれども、いわゆる激変緩和ということになっていろんなことをやったということの説明とともに、たばこ小売人を集めて、このたばこ事業法あるいはたばこ産業株式会社になったという経過もいろいろ説明をする中にあって新しい許可証を渡していくということこそ大事なことじゃないですか。そういうことをしっかりとおやりになることがこれからのたばこ産業を発展さすゆえんのものだと思うのですが、いかがですか。総裁、その辺しっかりとひとつ御答弁いただきたいと思うのです。たばこ店を代表して申し上げますよ。
  287. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 これは大蔵大臣の許可証でございますので、私どもの方で準備をしなければならないわけでございますけれども、いろいろ予算上その他難しい問題がございまして、できれば現行の指定書をそのまま大臣の許可証とお考えいただくというふうな方向で現在考えたいと思っておるところでございます。
  288. 野口幸一

    ○野口委員 やめようと思ったけれども、やめられなくなってしまった。それは余りにもしゃくし定規だと思うのですよ。例えば一枚あれを印刷する、どちらにしたって判こも印刷するでしょうが、単価は幾らかかりますか。それを二十六万に配ったって何ほどにもならないんじゃないですか。どうせ配るのは、たばこ小売人組合を通じて、みんな出先でちゃんと班長だとかいろいろなものが決まっていて配り歩くのでしょう。そんなのはきちっとすべきですよ、監理官。そのくらいのことはたばこ小売人にちゃんとするべきですよ。それをお答えいただかなければ、私、質問やめられませんよ。
  289. 小野博義

    ○小野(博)政府委員 いろいろ難しい事情もあろうかと思いますけれども先生の御趣旨よくわかるわけでございますので、今後検討さしていただきたいと存じます。
  290. 野口幸一

    ○野口委員 大臣、ひとつお願いします。
  291. 竹下登

    竹下国務大臣 そのまま通用するというのは、ある意味においてそういうお答えをすることが現在持っていらっしゃる人に対して安心感を与える、そういうことになっていると思うのであります。それからいま一つは、煩雑な手続は必要としませんよという証明にもなると思います。  しかし、今聞いておりますと、もっともな気が私もいたしますので、真剣に勉強さしてくださいませ、竹下登という名前を書くかどうかは別といたしまして。
  292. 野口幸一

    ○野口委員 これで質問を終わりますが、もう一つ申し上げます。  専売制度が廃止になりまして、実はたばこ産業株式会社になるわけであります。たばこ小売人として激変緩和をしていただきました。しかし、この辺のところが一つの機微であります。天狗たばこ以来何十年とたばこ屋をやってきた者が、いろいろな形で制度そのものも変わっていくわけであります。ここらで長年その専売制度を維持し、国に貢献をしてきたたばこ小売人に対して、何らかの感謝状措置といいますか、そういった措置をお考えになる気持ちはございませんか。
  293. 長岡實

    ○長岡説明員 この機会に感謝状の措置を考えておるというわけではございませんけれども、これもお答えとして非常に歯切れが悪くなりますが、新会社の経営者にとりましても全国二十六万の小売店は大変な財産と申しますか戦力になるわけでございますから、従来にも増して小売店との関係は緊密にしていかなければならないというふうに考えております。
  294. 野口幸一

    ○野口委員 くどいようでありますが、とにかく専売制度のもとで今日まで八十年、しかも公社を閉じられるに当たりまして、その配下で頑張ってきた二十六万のたばこ小売人にその機会にぜひそういった措置をおとりくださいますようにお考えをいただきたいということを申し添えまして、私の質問を終わります。
  295. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 次回は、来る六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会