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1984-07-03 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三日(火曜日)    午前十時十六分開議  出席委員   委員長 瓦   力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       熊谷  弘君    小泉純一郎君       笹山 登生君    椎名 素夫君       田中 秀征君    中川 昭一君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    村上 茂利君       山岡 謙蔵君    与謝野 馨君       川崎 寛治君    沢田  広君       渋沢 利久君    清水  勇君       戸田 菊雄君    堀  昌雄君       水田  稔君    柴田  弘君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       小野 博義君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    藤井  充君         文部省体育局学         校保健課長   青柳  徹君         厚生省保健医療         局健康増進栄養         課長      大澤  進君         厚生省保険局医         療課長     寺松  尚君         日本専売公社総         裁       長岡  實君         日本専売公社総         務理事     岡島 和男君         日本専売公社総         務理事     西村 忠弘君         日本専売公社総         務理事     森  宗作君         日本専売公社理         事       生平 幸立君         日本専売公社理         事       遠藤  泰君         日本専売公社理         事       丹生 守夫君         日本専売公社理         事       友成  豊君         日本専売公社原         料本部部長   佐藤 友之君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 七月三日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     清水  勇君   藤田 高敏君     水田  稔君   矢追 秀彦君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     上田 卓三君   水田  稔君     藤田 高敏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  たばこ事業法案内閣提出第七四号)  日本たばこ産業株式会社法案内閣提出第七五  号)  塩専売法案内閣提出第七六号)  たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等  に関する法律案内閣提出第七七号)  たばこ消費税法案内閣提出第七八号)      ————◇—————
  2. 瓦力

    ○瓦委員長 これより会議を開きます。  たばこ事業法案日本たばこ産業株式会社法案塩専売法案たばこ事業法等施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水田稔君。
  3. 水田稔

    水田委員 私は、塩専売事業について質問いたしたいと思います。  まず最初に、現在の塩の需給状況食用塩工業用塩含めてでありますが、これが一体どうなっているのか。  それからもう一つは、塩専売収支がどういうぐあいになっておるかということについて、まずお伺いしたいと思います。
  4. 長岡實

    長岡説明員 お答え申し上げます。  まず、塩の需給状況でございますが、昭和五十八年度の一般用塩需要は約百七十八万トンであり、供給国内生産塩約百二十四万トン。これは公社収納塩約九十二万トンと販売特例塩約三十二万トンでございます。それと輸入塩約五十四万トンでございます。一方、ソーダ工業用塩は約五百八十九万トンであり、これはすべて自己輸入塩で賄っております。  次に、塩の専売事業収支でございますが、最近五カ年間の塩事業収支を見ますと、昭和五十四年度は約二十一億円の黒字でございましたが、昭和五十五年度は、第二次オイルショックによる石油価格の高騰によりまして、生産コスト並びに輸入塩価格上昇等がございました。これに起因して約六十七億円の赤字となっております。  その後、昭和五十六年度は、塩の販売価格を五年ぶりに改定をしたことによりまして約五十億円の黒字となり、さらに五十七、五十八年度には、両年度にわたり塩の収納価格を引き下げたことや極力経費の節減に努力したことのほか、物価等も比較的安定していたことなどによりまして、五十七年度は約六十一億円、五十八年度は約五十九億円の黒字を計上することができた状態でございます。
  5. 水田稔

    水田委員 塩の需給に関して大事なことは、安定的に塩が供給されることと価格が安定すること、そういうことだと思うのです。昭和五十五年は第二次のオイルショックという異例の事態があったわけですが、その他を見ますと、量の点について逼迫したとか足らなくなった、そういうことはずっとないわけですね。  それから価格の点でも、例えばソーダ工業で塩が大変高くなってという、別の要素で大変厳しい状態がありますけれども塩そのもの値段では問題なかった。それから食用塩にしても、これが足りなくなったということもないし、値段の点でも、食塩では諸外国に比べて半値とか四分の一とか、むしろ安いという状態なんですね。  そういう点で、これまで運営してきた塩専売制度を今度変えるということなんですが、これは何か不都合なこととか、こういう点は問題があるからということ、そういう点を専売公社としてお感じになったのか、あるいは大蔵省としては、こういう今の総裁の御答弁にあったように、私は余り問題はなかった、むしろ十分機能しておる、そういうぐあいに思っておるわけですが、何かそういう点で不都合な点があったかどうかをお伺いしたいと思うのです。
  6. 長岡實

    長岡説明員 現行塩専売制度は、大正八年に財政専売から需給価格の安定を目的とする公益専売に移行いたしまして現在まで続いてきておりますけれども、この長期間の中で、戦中戦後の塩不足の困難な時代を専売制のもとで乗り切ったことや、あるいは昭和四十年代の塩田製塩からイオン交換膜製塩への切りかえによる安定供給体制の確立などのほか、塩の消費者価格昭和二十八年から五十年までの長期間据え置くなど、塩専売制度は塩の需給価格の安定に貢献してまいっておりまして、特段の不都合があったとは考えておりません。  なお、現行塩専売法塩田製塩を前提としているために、全面的にイオン交換膜方式に転換している現状にそぐわない等の点がございまして、この際、経済社会情勢変化に対応するように、所要の整備改善を図る必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  7. 水田稔

    水田委員 そうすると、塩専売制度、もちろんこれは続けていくわけでありますが、制度そのものに問題があるということではなくて、四十六年から七年にかけて塩田を使う製塩方法からいわゆる工場でつくるイオン交換膜に変えていった、そういう中で生産部門における変化といいますか、それに対応する法整備ができていなかった、そういう点を今回の法改正でやる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  8. 長岡實

    長岡説明員 そのように御理解いただいて結構だと存じます。
  9. 水田稔

    水田委員 そこで、現在の製塩方法に変わったのは、かつての入り浜式から流下式、そして四十六年の塩業整備及び近代化促進臨時措置法によって、今日のイオン交換膜による製法に変わったわけです。その際、たてりの大枠としては、一つ食用塩国内製塩で賄っていこう、工業塩輸入で賄っていこう、こういう考え方がそこにはあったと思うのですね。その点は今日でも変わりはないですか。
  10. 長岡實

    長岡説明員 その基本的な考え方は現在も変わりがございません。
  11. 水田稔

    水田委員 その際、いわゆる四十六年の整備のときの審議会答申というのはこういうことがうたわれておるわけですね。「当面の目標を達する過程においても、ソーダ工業用等輸入原塩を直接使用する分野にまで需要を拡大していくことが望ましいと考えられ、そのためには、企業自らの努力で製塩技術改良開発を進めるのみにとどまらず、海水総合利用、発電とのコンビナート化等を含めて、たえず技術革新を続けることが必要である。」こういうぐあいにうたってありますし、その当時の委員会での審議の中でも答弁をされております。将来、塩の需要工業用塩にまで進出できる可能性はあるのかという質問に対して、当面は食料塩分野でございますが、この五年先以後におきましては、工業塩にまで進出する道は十分にある、こういうぐあいに答えておるわけであります。そして、昭和五十六年十二月二十四日の塩業審議会答申でも「ソーダ工業原料塩の自給をも可能とするよう一層技術開発改善を進める」云々とうたっておるわけでございます。  これは後の質問関連がありますが、塩業生産現場合理化との関連もあるわけですけれども、この考え方というのは今日、さらに今日以降踏襲されていくのかを伺いたいと思います。
  12. 友成豊

    友成説明員 お答えいたします。  先生おっしゃられました四十六年の塩業審議会提言、それから五十六年の塩業審議会提言、ともに将来の工業用塩に向かっての技術開発というものを大変期待している提言でございます。  イオン交換膜によります製塩に切りかわりましてコストがかなり低下していく、そうすることによりまして輸入塩に対抗し得るところまで技術的な展望としてはあり得るのではないか。かつ、イオン交換膜利用といたしましては、製塩のみならず、多方面にわたりましての利用が現に進んでまいっております。そういうイオン交換膜の多面的な利用等は、今後の日本工業に及ぼす影響は非常に大きいというようなことで、イオン交換膜開発についてはなお積極的に推進していったらどうか。  つきましては、その中心である製塩面におきましても、このイオン交換膜技術開発には相当の力があるのではなかろうか。そういうことでもって、なお一層イオン交換膜による製塩コストを低下させることによりまして、これはコストのみならず品質の面もございますけれども、そういう問題を解決し得る、そういう展望があるのではないか、そこに向かって今後とも努力していったらどうか、こういうのが塩業審議会提言でございまして、私どもの方もそれを受けまして、イオン交換膜技術開発につきましては特段協力といいますか、指導援助といいますか、そういうものを今後とも続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  13. 水田稔

    水田委員 もともと塩業というのは個人塩田をたくさん持っておる人と、小さな塩田を持って組合をつくってやってきた、そういう人。今の会社の規模からいえば、いずれも中小企業なんですね。イオン交換膜改良していけばこういうことになるということはうたわれておるけれども、じゃ、そのイオン交換膜改良企業責任——中小企業ですから、それはちょっと酷なんじゃないか。例えば苛性ソーダのいわゆる水銀法からイオン交換膜への転換も、これはもともと膜の開発については政府研究開発を援助するという仕組みでやってきて、今日ではもう既に水銀法より以上に、コストの点でも品質の点でも上回るものができるようになった。これは大変短い期間に進歩したわけですね。  そういう点では、四十六年のことですから、それから既に十数年を経ているわけですね。それでなおかつまだ工業用塩まで行けないというのは、中小企業技術力も少ない、そして資金もそれほど持っていないところにそれだけを要求するという答申、私ちょっと疑念があるわけですね。むしろ専売公社がそういう技術開発のあれを、研究費を持ってやられるのか、あるいは膜の開発というのはいわゆる化学工場がやるわけですから、そこへ対する補助金として別途出す。それを実用のベースに乗せる。いわゆる提携してやるとか、そういうことは塩業に求められてもいいと思うのですが、そういう点では十分な手だてがこれまでやられたのかどうか、ちょっと関連してお伺いしておきたいと思います。
  14. 友成豊

    友成説明員 先生おっしゃられましたイオン交換膜技術開発につきましては、実際に技術開発をやっておりますのは旭化成、それから旭硝子、徳山曹達、この三社が中心になって膜の開発に努めてまいっております。実際に製塩を行っているとつの工場はこの三社の膜を買いまして、それでもって製塩を行うという実態にございまして、イオン交換膜のいわゆる開発自体につきましては、先ほど申し上げましたソーダ会社中心になって技術開発を進めていっているというような関係がございまして、専売公社とその三社との関係製塩七社を通じた関係ということで、直接的に私どもの方がソーダ三社に対しまして技術開発についての協力とかあるいは指導とかというような関係にまでは至っておりません。  ただ、そういう技術開発を何とか続行、さらに進めていってもらうという面で、製塩を通じてのいろいろなメリットといいますか、そういったものが生まれてくるというようなことをやはり考えていかざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。そういうことで、ワンステップの向こう側というような関係がございまして、公社との関係で直接ということにはまいりませんけれども、そういう製塩工場を通じての技術開発をさらに進めていっていただくというようなことで、かつてはいわゆる収納代金の中に技術開発のためのコストというようなことで若干織り込むということもやってきた経緯はございます。現在のところは、そういう意味ではいわゆる価格政策による合理化誘導といったようなことで、それが含まれているような含まれていないような、そういったような感じての収納価格の決定ということにはなっておりますけれども、私どもといたしましては、そういう製塩の膜の利用を高めることによって、メーカーであるソーダ三社が技術開発に力を注いでいっていただくというような点での御協力を申し上げたい。  なお、ほかにいろいろな協力の仕方がないのだろうかというようなことで現在知恵を絞っているといいますか、何か手だてはないかというようなことを検討している段階でございます。
  15. 水田稔

    水田委員 後でまた価格の問題のところで触れますけれども、いわば日本全体の産業の中で、先端産業に対する技術援助というのは今も続いております。それから、基礎素材産業活性化という問題でもいろいろ手当てをしておる。そういう点では所管が違うために、今までは価格の中に入れられておった。今年に千円以上も下げろと言うたら、そんなものを入れたら値を下げられぬでしょうから、恐らく合理化目標価格へ近づけるためにそういう点がネグレクトされたというように感じます。そういう点では中小零細企業、まさに零細企業です。だから、そういう点に対して価格の引き下げをやる、合理化を要求するというのであれば、一面でやれるような条件を政策的につくっていくということが必要ではないかということを申し上げて、これはまた後で触れます。  そこで、ちょっとわきへそれるようですが、先ほど総裁品質の問題と言われたのですが、こういう点はどうなんですか。品質というのは、塩というのはNaClが純粋に一〇〇%あれば、これは品質のいいものだという見方なのか。食生活ということを考えれば、人間の体の組成からして大体海水に近い状態人間は大体海の中から出てきたと言われておるのですが、そういうものでミネラルなりその他の塩化物も存在しておるということで、日本の味つけ、食文化というのは進んできたと思うのですね。  十数年間さらさら塩にならされてきたわけですが、そういう点での配慮、例えば食生活における食用塩だけについていえば、これはそういう点についての御検討なり論議というのは今までになかったのかどうか。そういう中から、一部には自然塩がいいということで、これは販売はできませんけれども自分たちでつくってお互いに分け合うというようなことも幾らか出てきておる。ですから、塩というのは単にいわゆる塩化ナトリウムという化学合成物が純粋にできればいいというものでなくて、国民に供給するのはその中でトータルの塩分として供給できるということも、従来有史以来、四十六年の流下式まではまさに自然の塩を食べてきたということで、そういう点の論議があったのかどうか、御検討なさったかどうかということも、ちょっと余談になりますが、お伺いしておきたいと思います。
  16. 友成豊

    友成説明員 お答えいたします。  直接のお答えになるかどうか、そういう面だけを取り上げてのいろいろな議論の場といったようなことは、ちょっと私記憶にございません。ただ、先生おっしゃられましたように、いわゆる特殊用塩分野での自然塩運動と称する人たちのそういう議論があることは承知いたしております。ただ、品質につきましてWHOでは、私ちょっと今手元に資料を持っておりませんけれども、非常に純度の高い塩を推奨いたしております。そういうことで、専売公社といたしましては、そういう世界的な機構であるWHOのこういう世界的な規格品質の塩をというようなことで技術開発を進めまして、今日の塩にまでようやくたどり着いたという現状でございます。したがいまして、私どもの方は、そういう世界的な規格にできるだけ日本の塩も合うようにということで、専らそういう面での技術開発を進めてまいった。これがまたいろいろな面でのコスト低下につながってまいっておりまして、それで今日の姿にあるわけでございます。  ただ日本の場合には、先生指摘のとおりに、塩田製塩からまいりまして、いわゆる昔はかますに入った塩をつぼに入れまして、そして時間がたつのを待ってにがりが下に沈んでと、そういったような塩に非常になれてきているというようなことがございまして、懐古趣味とは申しませんけれども、やはりどうしても昔の塩がよかった、そういったような声がないわけではございません。そういったような一般的な消費者の声を私どもの方も承知いたしておりまして、そういう意味で一昨年私どもの方も、家庭塩という新しい、水分の多いといいますか、そういったような消費者の好みに合った塩も商品化して出すといったようなこともやってきているわけでございます。  そういうことで、何分にも塩一人当たり大体十グラム前後、最近は特に塩を少なくとるようにというようなことで、十グラム以下がいいのではないか、こういったような議論もされております。一日にとる十グラムの塩の中で、ほとんどは加工食品を通じてとっているわけでございます。公社で売られている塩を家庭で使ってそのまま口に入れるという分野になりますと、ほんのわずかのグラムでございます。そういうわずかのグラムの中に入りますミネラルの量といった問題は、やはり家庭における総体として何を食べるかということの中で考えていくべきことではないだろうか、それを塩だけに求めるのほかえって食生活のアンバランスを生むのではなかろうか、こういったような感じも私個人としては持っている次第でございます。
  17. 水田稔

    水田委員 できるだけ品質のいいものというのは、例えば水であれば純粋の水を飲んだらうまいかというと、うまくないわけです。ミネラルが入って初めてうまい。そういうものが求められておる。今、「自然」と名がつけば、自然食品というのは幾らでも売れる。実際には農薬を使い薬品を使っても、虫をはわせて、出す前にちょっと葉を食わせて、これは自然の葉っぱだ、こういうインチキ商法もあるわけです。問題意識としては持っておられるということですから、どこかの部門で——大変大事なことだと思うのですが、日本人の舌というのは世界で最高に繊細な味覚を持ったものだと思うのです。ただ欠けておるのは、塩の辛いというのとトウガラシの辛いというのが言葉として分かれていない。中国や朝鮮で分かれておるというのは、そっちの方が食文化が進んでおったのかもわからないという気はするのです。人間は自然の中で発生し、育ってきたわけです。ですから、その状態というのが健康のためには一番いいだろうと思うのです。ですから、問題意識を持っておられるのですから、たまにはそういう論議もぜひ諸先輩の中で御検討いただければありがたい、そこだけにとどめておきます。  いよいよ具体的な法案の中身に入ります。  一つは、これまで専売公社塩専売事業というのをやっておったわけです。今度は新しくできる株式会社である日本たばこ産業株式会社に行わせるわけですね。これは商法に基づく株式会社、片一方は公益事業である塩専売という仕事。特例法でいろいろなことをやるからいいと言えばそれまでかもしれませんが、どうもそこいらで問題が起こるのではないかという疑念が起こるわけですが、そういう点はいかがなんでしょうか。
  18. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいまおっしゃいましたように、専売公社と違いまして日本たばこ産業株式会社は、商法基本原理として設立されております営利目的とする会社でございます。このような会社に無条件で公益専売たる塩専売事業をゆだねることにいたします場合には、やはり御指摘のような疑念が生ずることはやむを得ないことかと思っております。  そこで、先生もおっしゃいましたように、本改正法案におきましては、塩専売事業会社営利追求原理に影響されることなく、本来の公益性公共性の観点から実施されますように、各種の措置を講ずることとしているわけでございます。  やや細かくなって恐縮でございますが、具体的に申しますと、たばこと塩のそれぞれの事業について区分経理を行いまして、塩専売事業の計算をたばこ事業から遮断する。それとともに、塩事業によって得られました利益を配当などとして処分することを禁止しているわけでございます。これによって、営利性の遮断ということが行われようかと思っております。  また、経営面につきましては、大蔵大臣の任命した委員等から成る塩専売事業運営委員会を設置しておりまして、塩専売事業運営に関する重要事項を決定させる。さらに会社塩専売事業の実施を総理すると申しますか、責任を持つ塩事業責任者大蔵大臣が指名する、これらの措置を講ずることとしているわけでございます。これらの措置を講ずることにより塩専売事業公益性は十分に担保可能であり、会社塩専売事業を実施させることとしても問題は生じないものというふうに考えております。
  19. 水田稔

    水田委員 後で今の御答弁にありました個々の問題についても質問したいと思いますが、先ほど総裁答弁にもありましたが、大正八年から公益専売となった。もともとは財政専売ということで、明治三十七年ですか、できたものですが、それ以来公益専売としてやられてきたけれども法律には一項目もそれは触れてなかったわけですね。今度専売法改正に当たって一番の大きな、第一条の「目的」のところにいわゆる公益専売がうたわれた。これは、従来の長い年月の実体を法案に盛ったといえばそれまでですが、実際に公益専売をやりながら今まで長い間うたわなかったのを今回うたった。そういう理由は、一体何でしょうか。
  20. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、今回の法律の第一条におきまして「この法律は、塩の需給及び価格の安定を確保するとともに、あわせて国内塩産業の基盤を強化し、もって国民生活の安定に資することを目的とする。」という目的規定を入れたわけでございますけれども、今回の改正におきまして、塩専売制度の基本的枠組みとか目的とするところが変更されることがないということは、先生指摘のとおりでございます。  ただ、従来政府関係機関でございます日本専売公社塩専売事業の実施主体としてこれを実施していたわけでございますけれども、今回の改革におきましては、収益事業であるたばこ事業の実施主体である日本たばこ産業株式会社に、このような公益を目的とする塩専売事業を行わせるというふうな変化が行われるわけでございますので、この際、公益性をはっきり指針として塩事業を遂行し得るような法の目的を明確にしておく必要があるというふうに考えたのが第一点でございます。  それからまた、塩専売法が財政専売を主目的としてスタートしたということから、従来の法律には入っていなかったわけでございますが、法整備の観点からいたしますと、最近の立法例はその法律の前に目的を掲げるのが大体常例となっております。そういうことで、この際、法の目的をもって各条の解釈の指針とする、そういう二つの意味がございまして、今回新たに目的規定を入れることとしたものでございます。
  21. 水田稔

    水田委員 そこで、附則の第二条に、「国内塩産業の自立化の目途が得られた段階で、」こういうぐあいに「検討」という言葉が入っておるわけですね。こういう事態というのは、一体具体的にはどういう状態になったときと考えておられるのか、伺いたいと思います。
  22. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  国内塩産業の自立化と申しますのは、国内の製塩業製塩コストが国際競争力を持つということが主要な要件でございますけれども、より基本的に申しますと、塩の流通業界も含めまして、国内の塩産業全体が専売制度というこの制度に依存することなく、自力で存立発展することができ、かつ国民に対して塩を安定的に供給することが可能となるというような状態を想定して、その自立化というふうに考えております。
  23. 水田稔

    水田委員 大蔵省としては、例えば当面、粉砕塩でトン一万七千円、それは一つのめどなのか、あるいは答申にありますように、工業塩についてもとにかく国際競争ができる、これは大分違うわけですね。そういう点はどうなんですか。ずばりそういうことではなくて、今言われたそれ以外の、例えば私、心配するのは、塩というのは生活に欠くことのできない調味料であるわけですね。日本の商社というのは、もうかれば、モチ米が足らなくなればすぐ買い占めをやるという例があるわけです。例えば塩というのは、食用塩についていえば、絶対量というのは額的には知れたものなんですね。今の日本の力、商社とは言いませんが、そういう思惑を持った企業は、やろうと思えば、あるいは個人であろうとも、そういうことは可能なわけですね。その場合には大変な事態も起こる。そういったこと等も含めて考えなければならぬ、こういうぐあいに私は思うわけです。  じゃあ、今の御答弁は、粉砕塩でトン一万七千円なり、あるいは工業塩にまで使えるという、それは一つの条件。その他の条件を加味して、そういうことで考えるということなのかどうか、重ねて伺っておきたいと思います。
  24. 友成豊

    友成説明員 ちょっと一万七千円の話が出ましたので、私の方から答弁させていただきます。  一万七千円と申しますのは、五十六年十二月の塩業審議会答申に基づきまして、その答申の中で、先ほど監理官が申しました自立する状況、いわゆる塩産業全体が専売制度という制度に支持されなくても、塩産業全体として食料用塩が国内で外国の輸入塩に対して対抗し得る、そこまでのいわゆるコスト低減なり需給のあり方といったものが確立するというふうに認識しているわけでございます。そこに持っていくために、何年先になるかはわかりませんので、とりあえず五年先ごろに製塩についてはその目標を置いて、そこに段階的にまず近づいていったらどうかという意味で、その一万七千円という数字が当時の試算で出てきたというだけでございまして、基本的には、やはり食料用塩につきまして、外国から塩を輸入しまして、輸入した塩をそのまま食料用にはできませんので、やはり一度溶かして再製するなりあるいは粉砕をいたしまして、家庭の方なりあるいは漬物、しょうゆ、いろんなユーザーの方に持っていくという段階を経ざるを得ない。そういうものに国内の塩が対抗できるというところをねらっているわけでございますので、輸入塩をそのまま溶かして使う、いわゆるソーダ工業用塩、そこまでは期待しているわけじゃございません。  そういう意味で、自立の段階におけるあり方といいますのは、工業塩ではなくて、食料用塩について何とか国内でつくっていこう、こういうことを念じているわけでございますので、そこまでのワンステップとして、当面、五カ年先の試算として一万七千円という金額が出た、こういうことでございますので、とりあえず御説明させていただきます。
  25. 水田稔

    水田委員 それとの関連で、日本たばこ産業株式会社法案の附則三十二条に、会社は当分の間塩専売事業を行う旨を規定しておるわけですね。それは今の質問と裏腹になる問題だと思うのですが、この「当分の間、」こというのは、大蔵省はどういうぐあいに見ておられるのか、これを伺いたいと思うのです。
  26. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、まさに裏腹の関係になるわけでございまして、先ほどの塩専売法の附則の第二条におきまして、「国内塩産業の自立化の目途が得られた段階で、」塩専売法について検討を加える旨規定しているところでございますけれども、その際には、塩専売事業の実施主体につきましても、そのあり方とともに、その段階でどうあるべきかということが検討されることになろうかと考えております。そういう意味で、当分の間とは、それまでの期間を意味するということでございます。
  27. 水田稔

    水田委員 先ほど専売公社からお答えいただきましたように、いわゆる自立、当分の間というのは、例えば大蔵省としては、たちまち一万七千円すばりというのではなくて、それは専売公社として、あるいは今度の新しい会社ですか、の一つ目標としてやられておる。それイコール、即当分の間が終わるとかあるいは自立、こういう見方ではない、総合的な見方をするのだというぐあいに大蔵省もお考えになっていますか。
  28. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど公社の方からお答え申し上げましたように、一万七千円というのは昭和六十一年度の目標価格ということでございます。それに到達いたしましても、直ちに国際競争力ができるというわけのものではないように伺っております。そういう意味からいたしまして、現時点で、例えば六十一年度に一万七千円が達成されたからといって直ちに自立化されたというものではなく、先ほど御説明申し上げましたように、製塩コストが国際競争力を持つことも一つの主要な要件でございますけれども、基本的には、流通も含めまして、制度に依存せず円滑な需給価格の安定が図れるということが目標でございますので、総合的に判断すべきものと思っております。
  29. 水田稔

    水田委員 次には、たばこ事業では、小売店の許可等の行政行為は大蔵大臣みずからが行うことになっておるわけです。この塩の事業というのは、塩の販売人の指定も同様な行政行為ですから、これは当然大蔵大臣が行うべきではないか、こう思うわけですが、その点はいかがなものですか。
  30. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  たばこ事業の場合について申しますと、小売店の許可等を大蔵大臣が行うこととしておりますのは、たばこ専売制度が廃止されることに伴いまして、今度新たに特定販売業者、外国の製造たばこを扱う業者が市場に参入してくることになるわけでございますけれども、それはいわば卸売業者と申しますか、あるいは製造たばこ販売の一番の大もとと申しますか、そういう意味では新しい会社も特定販売業者も同じ立場にあるわけでございます。そういうような同業者の存在で、たばこ事業に関しまして競争条件を左右する可能性を持つ許可権者としてこの会社を位置づけることは適切でないという観点から、大蔵大臣が小売店の許可を行うこととしておるわけでございますけれども、他方、塩専売事業におきましては、先ほど申し上げましたように、塩専売事業公益性とか公共性というものを損なわないという十分の手当てをいたした上で、その基本的枠組みを維持した上で、専売事業全体を会社に行わせることとしておるわけでございますので、この特定の部分の行政行為だけを大蔵大臣に行わせるという場合には、塩専売事業における政策の整合性とか明確な責任体制を維持することが困難になるというような問題もございまして、引き続き一体として、会社に指定まで含めて行わせることとしているわけでございます。
  31. 水田稔

    水田委員 次に、日本たばこ産業株式会社たばこの製造をやるわけですね。そこへ、塩専売に従事する職員も一緒に同じ会社の社員として存在するわけですね。その塩専売事業に従事する役職員にはいわゆる守秘義務、「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」いわゆるみなし公務員という扱いになるわけですね。それは一体そういうことでいいのかどうか、あるいはまた、もう一面から見れば、株式会社の中での人事管理上問題が起こりはしないか、という心配はないのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  32. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  たびたび繰り返しまして恐縮でございますけれども公益専売事業としての塩専売事業公益性を担保するということは、今回塩専売事業日本たばこ産業株式会社に実施させるに当たって非常に重要な観点であるかと思っております。そういう意味におきまして、会社塩専売事業に従事する役職員は、塩専売事業運営上の秘密、あるいは指定とか承認とか帳簿の報告とか立入検査、そういった権限を行使することが可能とされておるわけでございますので、そういうことを通じまして一般私人とかあるいは塩産業関係者の私的あるいは営業上の秘密を知り得る立場にあるわけでございます。したがって、塩専売事業実施上の秘密の保護とか一般私人または塩産業関係者の秘密の保護を図るという観点からいたしまして、会社塩専売事業に従事する取締役、監査役、職員に対して守秘義務を課することとしておるわけでございます。  また、塩専売事業そのものは、国または地方公共団体の事務、いわゆる公務そのものではないわけでございますけれども、指定、承認等行政行為がある等、非常に公共性の高い職務である。そういう意味からいたしまして、公務と同じ程度に公正かつ円滑に執行される必要がある。そういう意味からいたしまして、塩専売事業に従事する役職員の職務に関する侵害行為は、これを公務員に対する侵害行為と同等に処罰するとか、あるいは役職員の一定の行為についても公務員犯罪と同等の犯罪として取り扱うというようなことによりまして、職務の公正かつ円滑な執行を期するため、「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」という旨を規定いたしまして、刑法等に定める公務員に関する罰則が自動的に適用されるということにしたものでございます。なお、株式会社としての職員管理については、公社の方から御答弁申し上げます。
  33. 長岡實

    長岡説明員 新会社が発足いたしますと新会社が塩の専売事業を実施するわけでございますけれども、この点につきましては、従事する職員から経理から、画然と区分をして運営されることになるわけでございます。したがいまして、塩の事業に当たる職員につきましては、やはり公益専売の仕事、端的に申しますれば従来と同じような仕事をやっていくんだという心構えで仕事に従事することは当然でございますし、新会社発足後におきましても、人事管理上問題が出る、塩の担当職員にだけ守秘義務等が課せられるということが人事管理上非常に問題になるというようなことにはならないのではないかというふうに私は考えております。
  34. 水田稔

    水田委員 ずっと変わらないということならともかくも、異動がありますね。そういう点を含めて問題はないかというお伺いをしたわけです。
  35. 長岡實

    長岡説明員 現在の専売事業におきましても、たばこ専売事業と塩の専売事業はいわば異質の仕事でございますが、その中におきましても、専売公社の職員では人事の交流といいますか異動はあるわけでございます。今後は、恐らくその異質性が一層強まることにはなろうかと存じますけれども、人事管理の面では従来と同じように運営してまいるべきであり、またそれが可能ではないかというふうに考えております。
  36. 水田稔

    水田委員 それから、塩の問題について、この法律に基づいていわゆるたばこ産業株式会社の処分等について不服のある場合、大蔵大臣に審査請求の道を新たに開いた、この趣旨は一体何でしょうか。
  37. 小野博義

    小野(博)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、営利目的とする会社に行政行為に伴う塩専売事業を実施させるため、その公共性、公正性を担保するための措置を講じることとしているわけでございますけれども、この審査請求もその一環として設けられたものでございまして、会社の処分に不服がある者は大蔵大臣に審査請求ができることとすることにより、事後的な救済の道を開く、このことによりまして私人の権利保護について万全を期するということがこの規定の趣旨でございます。
  38. 水田稔

    水田委員 それから、先ほどもちょっと答弁がありましたが、この会社の代表取締のうちから会社の推薦で塩専売事業責任者を指名するということになっておるわけですが、この塩事業責任者の性格と役割というのは一体何であるか、またこの取締役会、株主総会との関係はどうなるのか。例えば代表取締になれば、これはたばこ産業株式会社の代表ですから、当然たばこの方にも責任。それは塩に全く責任のない代表取締というようなこと。だから、塩の問題については法律に規定がありますから言わぬでもいい。そういうのが実際運営上いいようにいくのだろうかどうだろうかという心配も含めて御答弁いただきたいと思うのです。
  39. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  塩事業責任者は、その塩専売事業会社に実施させるに当たりまして、いわばその総括的な責任者と申しますか、その塩事業を総理するという意味で、会社の代表取締役のうち塩専売法により特別の役務を付加されている。まあ役務と申しますか、権限と申しますか、そういうものを付加されているわけでございますが、その内容といたしましては、第一に塩専売事業の実施に関してその業務を総理すること、第二に塩専売法で規定する会社の行政行為、つまり会社の処分に係る事項その他大蔵省令で定めることについて決定をすること、塩専売事業運営委員会委員の一員といたしまして、塩専売事業の運営に係る特定の基本事項の議決に参画すること、これが法律によって付加されている役務あるいは権限でございます。  この塩事業責任者の決定に係る事項につきましては、塩事業責任者を設けた趣旨からいたしまして、取締役会の権限を制限することとしているわけでございますし、また、これらの塩事業責任者の決定権と株主総会の議決事項では必ずしも重複する部分はございませんので、特段の問題はないかと思っております。  そういうことでございますので、塩専売事業という観点からいたしますと、取締役会等の制約を離れて、いわば大蔵大臣に直結すると申しますか、塩事業責任者の全責任において専売事業は運営されているということでございますので、特段の問題はないかというふうに考えております。
  40. 水田稔

    水田委員 塩だけに限って言えばそうかもしれません。例えば共通経費等がありますね。そういう問題は当然取締役会で全体的な問題として論議する。意見が合えばいいですけれども、合わない場合というのもあると思うのです。これは全体の中の事業本部というようなことなら、全体の中でコントロールもするわけですね。全然別ですから、会社の中に別の会社があるような形になるのですが、そういう点は心配はないのですか。
  41. 小野博義

    小野(博)政府委員 ただいま御質問ございましたたばこ事業塩事業区分経理の問題でございますけれども、共通経費の配分基準等につきましては、共通経費として発生するものとしては、両部門を有する本社とか支部局とか支所における管理部門に従事する役職員の給与あるいは管理部門に係る一般経費、例えば旅費、交通費であるとか、あるいは共通資産に係る経費、光熱水道料とか、そういったものがございます。既に現在の公社の中におきましても、たばこ事業塩事業については区分経理が行われているわけでございますけれども、今後この配分する基準をどうするかについては現在検討中でございます。例えばたばこと塩の直接人員比であるとか、あるいは売上高比等が考えられますので、区分経理を実施している他法人と同様、適正な配分基準を決定することは可能であろうかと思っております。
  42. 水田稔

    水田委員 同じようなことで、この塩専売事業を運営するために運営委員会を設置するわけですね。これはいわば株主総会にかわるような権限を持つようにも読めるわけです。ですから、この性格と役割、それから同じようにやはり取締役会、株主総会との関係ですね。この運営委員会を通ってしまえばもはや株主総会は関係ない、取締役会も関係ないというようなことにもとれるわけですが、その点はいかがなものですか。
  43. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  塩専売事業運営委員会につきましては、会社塩専売事業を実施させるに当たりまして、公共性公益性を担保するという観点から、会社の取締役会にかわりまして塩専売事業の運営に関する重要事項を決定する機関として設けるものでございます。  この議決事項といたしましては、会社事業計画、予算及び資金計画、第二に弁済期限が一年を超える長期の資金の借り入れ、第三に重要財産の譲渡及び担保への提供、第四に業務方法書、これらについて運営委員会が議決をすることにしております。したがいまして、塩専売事業運営委員会の議決事項につきましては、会社の株主総会及び取締役会は議決権を有しないということにしておるわけでございます。
  44. 水田稔

    水田委員 そうすると、例えば共通経費その他、今言われた以外の問題が会社運営ではあると思うのです。そういうものがやはり取締役会あるいは株主総会にかかるわけですか。一切もう別の会社のように、この運営委員会にかければ、塩専売事業に関する限りはとにかく、たばこ産業株式会社の取締役会あるいは株主総会には全くかけなくていいということですか。今説明されたもの以外のものが会社運営の中に全くないとは考えられぬわけですが、その点はいかがなんですか。
  45. 長岡實

    長岡説明員 あくまでたばこ事業と塩の専売を、事業を区分して運営していかなければならないわけでございますけれども、共通の問題もあり得るわけで、そういう問題につきましてはやはり取締役会その他にかかるというふうに理解いたしております。
  46. 水田稔

    水田委員 そこで、先ほども答弁ありましたけれどもたばこと塩と、本社なり出先等で共通経費等の配分、話をするわけですけれども、実際適正にそれが設定できるのだろうかどうだろうか、そういうことが心配なわけです。それが一つ。  それからもう一つは、塩専売価格安定準備金というものを置くわけですが、この性質と、これはどういう場合に使われるのか、機能というのは一体どういうものだろうかという二点についてお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  47. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  たばこ事業塩事業との区分経理につきましては、先生御案内のように、両方の事業はそれぞれ性格を異にするものでございますので、これが混交する場合には塩専売事業公益性公共性に影響を与えるということから行われるわけでございまして、配分基準としてはいろいろなものが考えられるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この点に遺漏のないように、公社とも今後十分詰めながら省令で定めることといたしたいと思っております。  それから、塩専売価格安定準備金の性質でございますけれども塩専売事業大正八年以来公益専売という性格に変わったわけでございますが、現在におきましては中期的な収支均衡ということを旨として運営しているわけでございます。このため、塩専売価格安定準備金を設けまして、利益が出たときには準備金に積み立てる、逆に損失を生じたときにはこれを取り崩して充当する、こういう仕組みにすることによりまして、単年度の収支が直ちに塩の価格に影響することのないように、中期的な収支均衡を図りながら価格の安定を図っていくという仕組みとして、この塩専売価格安定準備金というものを考えておるわけでございます。
  48. 水田稔

    水田委員 いよいよ会社ができるとしますと、当然公社から新しい株式会社へ財産を移すということになるだろうと思います。その中で、塩専売事業にかかわるものとして会社に対して拠出する財産の内容と形態、あるいは冒頭総裁からお答えいただきましたように、今までの塩の積み立てがどういう形か知りませんが、例えば赤じゃない、黒であるわけですね。今までは全体のものですけれども、今度は区分するとすれば、塩として今まで積んできたものというものも含めて、財産というのはどういうぐあいに移されるのかということをお伺いしたいと思います。
  49. 長岡實

    長岡説明員 公社がこの会社に対しまして、いわゆる塩の専売事業にかかわるものとして拠出をいたします財産でございますが、これは公社の解散の際に、現に公社が持っております財産のうちで塩の専売事業にかかわる資産と負債になるわけでございまして、具体的に申し上げるならば、資産は当座資産、これは預金、現金とか売掛金、それから棚卸資産そのものは塩になろうかと思います。それから固定資産は塩事業専用の土地、倉庫等。それから負債は流動負債としての未払い金あるいは固定負債として退職給与引当金等が内容になろうかと思います。現在、公社制度のもとにおきましても、やはりたばこ事業塩事業は区分的に経理もいたしておることでございますから、このような財産の区分も可能であろうというふうに考えております。
  50. 水田稔

    水田委員 そこで、今までもやっておられたのですが、これからの新しい塩事業の勘定で、退職給与引当金は同じように今後も設けていかれるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  51. 友成豊

    友成説明員 先生御承知のとおりに、公社の会計制度は議決予算制度ということで単年度主義でございまして、当年度の費用については毎年毎年支出権が公社に与えられるというようなことがございまして、これまで公社の中においては退職給与引当金というものを計上する必要はなかったわけでございますが、今度新しい商法なり企業会計原則が適用される会社に変わりますので、当然のことながら従業員の過去の勤務といいますか、それに対して会社が負担すべき退職給与に関する債務というものは、いわゆる財務の安全性といいますか、そういったような面から計上すべきものというふうに考えております。したがいまして、新会社になりましたときに、塩専売事業に従事する職員に関する退職給与引当金というものは計上したいというふうに考えております。
  52. 水田稔

    水田委員 今後の問題はわかりましたけれども、今までは公務員と同じように必要ないから積んでなかった。そうすると、過去のずっと長い歴史があるわけですから、それに対する退職給与引当金は、公社から会社へ引き継ぐときに引当金に見合うものを引き継ぐ、こういうことになるわけですね。
  53. 友成豊

    友成説明員 現在、塩事業の方の資産の中から、新しく全額移るときに、退職給与引当金を生み出して計上する、こういうことで、先生のおっしゃるとおりになろうと思います。
  54. 水田稔

    水田委員 そこで、これからの塩というのは、専売公社で塩をつくっておるわけじゃないのですが、七社で四十六年以降塩をつくってきたわけです。かつてはもう一万人を超す塩業労働者がおったわけですが、いわゆる流下式に変わって、それでとにかく半分以上職を失っていく。そして四十七年以降は、直接の塩業といいますか、七社に雇用される者は千人ぐらいになってしまった。まさに雇用という点から見れば、この転換というのは大変大きな変動を来したわけですね。これは、場所が割にへんぴなところにありますし、その地域では兼業農家的な人も大変多いわけで、なかなか移ることができないというような人も多いのです。そういう中で、いろいろ表に出ない話ですが、今までの数字を合わしてみると、一体公社は七社体制をどうするんだろうか、そういう心配があるわけです。この塩の製造の現在の七社体制を今後どういうぐあいにしていこうとお考えになっておるのか、お伺いしたいと思うのです。
  55. 長岡實

    長岡説明員 我が国の塩業政策の基本方向は、塩業審議会が一貫して明らかにしてきておりますように、我が国の塩産業が、国際競争の中にあって自力で存立発展できる近代的産業に成長するように、促進を図ることにございます。製塩業界におきましては、国際価格水準の早期実現を目指しまして、国内製塩コストの引き下げを可能とする合理化施策を一層推進いたしますとともに、国際競争に伍していけるだけの強い経営体質の企業となることが要請されているわけでございます。このために、今後の製塩業界の合理化の実施に当たりましては、我が国製塩業の将来の発展を図る見地から、企業同士の間での協業なども含めた業界の体制整備を進めることが必要であると考えております。  現在、製塩企業は、国内塩価格の国際価格水準への接近を図りますために、合理化計画を策定して鋭意推進中でありまして、特にその中心となっている燃料転換計画の実施につきましては、各企業ともこの一、二年間に集中しており、その成果が期待されておるところでございます。したがいまして、今後の体制整備を含めた生産政策のあり方につきましては、その推移を見きわめつつ検討を進めていきたいと考えております。  御質問の趣旨で、一体七社体制がどうなるのか、具体的に何社でなければいけないという考え方があるのかという点につきましては、先ほど申し上げました合理化の方針の中に、新しい能率のいい膜にかえていくこと、あるいは燃料転換を図っていくということ以外に、製塩業にはある程度規模の利益がございまして、その規模の利益から考えてまいりますと、七社全体がその方向で完全に合理化を進めていった場合に、過剰生産の状態になりはしないかということを私どもは憂慮しておるわけでございますけれども、それは専ら、ただいま御説明申し上げました、今後の体制整備がどのように推移していくかということを見きわめながら考えてまいりたいというふうに存じております。
  56. 水田稔

    水田委員 後でその点も、二つほど質問してから重ねて質問したいと思うのですが、今度の制度で塩の全量収納制を廃止して買い入れ数量割り当て制にするわけですね。これは一体なぜなのか。また、新しいたばこ産業株式会社が買い入れ数量を決定することになっているが、これは各社に対してどういう基準で割り当てるのか。もう一つは、数量について、生産者がおるわけですが、これは一方的にぱっとやられたんでは大変困るわけですが、生産者の意向は数量決定に当たってどういうぐあいに反映されるのか。その三点をお伺いしたいと思います。
  57. 友成豊

    友成説明員 第一点の問題でございますが、数量割り当て買い入れの問題でございます。  先生御承知のとおりに、塩田製塩のときには生産量というのはほとんど気象条件に左右されるということでございまして、ある年は非常に天気が続いたとか、ある年は非常に天気が悪かった、そういったようなことが生産数量に直接結びついてくる。そこで、経営しておられる塩業者の収入は、挙げて天気に支配されるというようなことがございまして、とにかくできたものは全量買いますということでやってきたわけでございますけれども、いわゆる装置産業としてのイオン交換膜という方式でございますとどうしても、例えばちょっと流す電力を余計流すといったような操作、あるいは稼働時間というようなものをちょっと延ばすとか、あるいは膜の技術がちょっと改良されたといってそれを導入するといったような、ほんのちょっとした経営者の判断で、同じ設備でも生産量がどんどんふえていくというようなことがございまして、どうしても設備で規制したのでは需給の安定が保てないといいますか、すぐ過剰在庫になってしまう。こういったようなことがございまして、塩田製塩から現行イオン交換膜に切りかわる段階で、いわゆる割り当てした数量を全量買いますというようなことで、近代化整備法でその措置が講ぜられたわけでございます。現行塩業近代化整備法とそれから塩専売法と両方でもって割り当て数量を買い入れるということをやっております。今回、法の改正に伴いまして、この両方の法律が二本である必要はないものですから、これを一本化したということで、全量収納を割り当て数量を買い入れる、こういう制度に切りかわったということでございます。  それから第二点の、各社に割り当てるのはどうしているんだということでございますけれども、私どもの方は、例えば本年度需要が幾らであるかという試算をいたしまして、その中から塩全体がどれくらい必要だ、需要がある、その中から、これは輸入塩でカバーする部分、これは輸入塩を粉砕したものでカバーする部分、これは再製したものでカバーする部分といったようなものを差っ引きまして、国内製塩で充てる部分をまずはじき出しまして、これを七社に割り当てるというやり方をやっております。  七社の割り当てに当たりましては、とにかく七社が公平にいくようにということで、公平を旨として割り当てているわけでございますが、実行に当たりましては、七社が現在工業会をつくっております。その工業会と公社が話し合いまして、それで、ことしはこういう形で割り当てていきましょう。需要というのはそんな大きな変動はございませんけれども、やはり夏の農作物が非常によかったとか、あるいは春の海藻類ですか、そういうもののとれがよかったとか、そういったようなことによって若干季節的な変動がございます。あるいは全体としての、当初見込んでおったよりかなりの違いといいますか、割り当てにはちょっと影響があるかなといったような需要の変動がございますので、現在は最初の一年分を大体見通しを与えまして、そしてあと四半期ごとにそういう工業会と話をしまして各社別の割り当て数量を決めている、こういう実態にございます。
  58. 水田稔

    水田委員 そこで、既に触れましたけれども、六十一年粉砕塩でトン一万七千円ということですが、これは今まで公社としてやってこられた、今度会社になる、そういう中で今後の収納価格をどういうぐあいに持っていくのか、その基本的な考え方、念のためにもう一遍お伺いしたいと思います。そこで後、いろいろ御質問さしていただきたいと思うのです。
  59. 友成豊

    友成説明員 先ほど一万七千円のときに若干御説明申し上げましたけれども、私どもの方、現在塩業審議会答申を踏まえまして、それで国内の塩産業の自立化ということに向かって進めているわけでございますが、いわゆる生産者価格を、輸入した塩の価格に対抗できるといいますか、それをしのいでいけるぐらいのところまで極力持っていきたいということで、そちらの方にコストを接近させなければならぬだろう、こういうことで、そういう方向に現在各社の合理化努力を期待し、それに向かっての価格、そういう合理化を誘導していく価格ということで価格を決めてまいっております。そういうことで、自立に向かってのいわゆる価格政策でございますので、現在行っている方向といいますか、それは引き続き今後もそういう方向で進めてまいりたいというふうに考えております。
  60. 水田稔

    水田委員 トン一万七千円というのは、それで国際価格と見る見方ができるのかどうか、私疑問に思うわけです。それは何か今の二万一千二百円ですか、今度千三百円下げたわけですが、そうやって一応とにかく下げる目安をつくった、それに数字を合わすためにやったので、実際に根拠があるかと言うたら語弊があるのですが、どうもその根拠は、むしろこの数字へ持っていくために、輸入塩を粉砕して包装して、それに関税を足したという形で逆に計算を出したような気がして仕方がないのですが、それに持っていけば日本塩業が自立できるというような、そういうつじつま合わせの感じがして仕方がない。これはちょっとひがんだ見方かもしれませんが、その点一万七千円というのは、そういう点では公社としては自信を持って設定されたというのか、ちょっとその点お伺いしたいと思います。
  61. 友成豊

    友成説明員 先生おっしゃるとおりに、ことしの六月十四日の塩の収納価格審議会におきまして、千三百円引き下げるということで本年度の価格決定をしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、価格を決めるに当たりましては、国内の塩産業が自立していく、特に製塩業コスト的に輸入塩に対抗し得るところまで合理化を進めながら引き下げていくということで進めてまいっているわけでございますが、一万七千円というのは先ほど申し上げましたように、先生がおっしゃるように輸入塩と本当に競争できるにはまだまだ時間がかかるだろう、しかし何年先がということで価格政策というのは進められませんので、当面五カ年先を見通してというのが一万七千円でございまして、一万七千円の内訳が今先生もおっしゃられましたように、輸入塩コストに関税相当二〇%という、いわゆる産業保護みたいな関税というものを想定いたしまして、それに先ほど申し上げましたように輸入原塩では食用になりませんので、少なくとも粉砕せざるを得ないだろうということで、粉砕塩コストというものをオンしまして、そこまでに価格をとりあえず五年後には持っていったらどうか。  この、持っていったらどうかというのは、単に机上の計算ではございませんで、五十七年度に、これから五年なり十年先に向かって各企業がどういう努力をしていくかという試算といいますか、それをやったわけでございます。そのとき、そういう急速にコストが下がるであろうという柱は、いわゆるイオン交換膜の性能が飛躍的にアップしたという技術開発一つあったことと、当時第二次オイルショック後のオイルの値段が非常に高かった。したがって、どうしても燃料転換をやった方がいいのではないか。オイルから石炭への燃料転換というものを図ったらどうか。そういう合理化をやりますと、六十一年度には一万七千円までいけるという一つの線が出まして、そういうことで七社がそういう考えられる合理化努力をやれば当然達成可能な価格というのが一万七千円であったわけでございます。  だからといって、私どもの方も、もうそういう線が出たから、あとは算術計算的にこういうふうに毎年毎年下げていくよということではございません。毎年価格塩業審議会にお諮りいたしまして、そして製塩業の実態としてはこういうことになっておりますというようなことも十分御審議いただきまして、その上で到達可能、実行可能な金額ということで、審議会の中で御答申を得て私どもの方は決めてまいっている。こういうことでございまして、決して先生が御心配なさるように、非常にむちゃくちゃな引き下げではないかということではなくて、やはり実態に沿った価格の決定、しかも合理化を誘導する価格というふうに私どもの方は見ているわけでございます。
  62. 水田稔

    水田委員 この点は専売公社はどういうぐあいに見られているのか、この際聞いておきたいのですが、日本国内で塩をつくれば、外国のいわゆる岩塩なりあるいは天日製塩に比べて非常に高い。それはけたが違うほど高いわけですね。実際消費者へ渡る場合には、アメリカやヨーロッパに比べて安いわけですね。その原因といいますか、専売公社としてはどういうところにあると見られていますか。日本の塩は高いという前提で今合理化合理化ですね。しかし、消費者食用塩として食べる塩というのは、日本では外国よりは非常に安く手に入っておるのです。その仕組みは外国と日本とはどういうところに違いがあるのか、どういうぐあいに見ておられますか。
  63. 友成豊

    友成説明員 端的に申し上げますと、いわゆる公益専売ということで、一切の段階ごとのマージンというものがございません。元売さん、小売さんを通じるその部分についてのマージンは当然あるわけでございますが、ほかの物資のように一次、二次、三次、四次といったようないろいろな経路を通っていくコストというのが、専売ということで非常に安くなっているということが一つと、それからいま一つ言えますことは、いわゆる一般家庭で買う塩も業務用で大量に使う塩も、それから輸入してきて国内よりも安い塩、そういったもの全体として経理をいたしまして、塩事業専売会計ということで中期的な安定を保たせるということで、それぞれの価格をセットいたしております。  したがいまして、家庭で買われる塩は、そういうほかの面、例えば輸入塩の上にオンさせてある部分、あるいは業務用の方でもっと引き下げてもいい部分を若干積んで、家庭用の塩とバランスをとるといったような価格のあり方といいますか、それがほかの国と違いまして全体としてバランスがとられ、かつ当然家庭で消費される塩と業務用とは値段が違いますけれども、そのもとになっている内訳としては、そういう負担率が違うといったようなことで、諸外国に比べて日本の一般小売店で売られている塩ははるかに安い、こういう結果になっているということでございます。
  64. 水田稔

    水田委員 まさに公益専売制というのが非常にうまく機能しておるというぐあいに思うわけですね。そこで、例えば今塩専売事業が、国内の塩産業製塩コストが高いために、このままではまさに暴騰するというような心配は全くないわけです。一面いえば国際価格へということで、あの数字を見ますと大体五十八年から三年間で四千二百円ぐらい、急激に下げなければならないんです。これはコストでいえば二〇%なんですね。塩がコストが高くて、いわゆる塩専売会計が米のような逆ざやで政府財政を圧迫するということは全くない。  そこで、それを急激にやれば何が起こるかというと、雇用不安というのが起こるわけですね。見ておりまして、何でそう短兵急に、緊急にとにかくそこまで持っていかなければならないか。もちろん国際価格に近づけていく努力はしなければならぬ。そして今考えられておるのは、いわゆる機械化、ロボット化というのが非常に進んでいく。そういう中で雇用の問題というのは、これからの日本産業の中で大変大事なことになってくるんですね。そういう点では、先ほども言いましたように、塩産業というのは、かつて一万何千人とおったのが今千人になるというように、雇用の場を喪失したわけです。さらに価格設定の、公社との間のいろいろな話を聞きますと、どうも立ち行かなければ七つでは多いから手を上げろと言わんばかりの、何かそういう雰囲気。言葉で言うたというんじゃないですよ。そういう感じもするわけです。それは、そこに働いておる人にとっては大変なことなんですね。  それから、先ほども言いましたように、塩産業というのはまさに中小零細企業なんですね。三年間で二〇%というと——いわゆるLSIは別です。あれは生産量がばっと上がってコストが下がる。これは大企業ですから、相当な設備投資をやってもやれるわけです。しかし、塩産業というのはそうはやれぬですね。例えば専売公社が言う重油を石炭に転化しろといっても、石炭のボイラーにかえていくことによって二十億円ぐらいの金が要るでしょうね。その金利を考えれば、コストは下がるにしても、その金利負担というのは相当ふえてくる。あるいはコストを下げるために膜を全部やりかえようと思えば、これまた何億か何十億かの金がかかる。それを全部自己資金じゃなしに、借金で賄っていかなければならぬという形で二万七千円に近づけていく。  それをやると、先ほど総裁からお話がありましたスケールメリットというのは、本来言えば、まさに今までの塩産業が置かれた環境で、合理化で一番つらいところはスケールメリットを求めることができなかった。量が限定された中でコストを下げる努力をしろ、しろというのは、例えばエネルギー効率の問題、あるいはいわゆる生産設備の改良、膜の改良、あるいは人件費を抑えるか、人を減らすか、それは同じ固定費で量がふえれば、固定費の負担が半分になるということができなかった。そういう仕組みを背負って今日までやってきた。それで三年間で二〇%のコストダウンをやれというのは、中小企業に対しては実に酷なあれだと思うのですよ。  努力をしなくていいという意味じゃなくて、そういう点ではやはりそれだけの合理化で、ボイラーの転換なり膜の更新なりをやるということは、大変な負担がかかっていく。そういう努力をしておるんだ。そういうことを見て、やって、なおかつだんだん下がって、コストが引き合わなんだらおまえのところやめろと言われたんでは、投資をする意欲もわいてこぬわけですね。そういうことにならぬように、中小企業ですから、国際価格に持っていくというにしても、対応できる時間的な余裕、あそこに働いておる人も企業と一緒に努力をして生き残っていけるという希望が持てるような時間的なものは十分考えなきゃならぬ。ことしも、トン当たり千七百円下げる予定のところを千三百円にされたというのは、千三百円でも本当は大変だと思うんです。そういう点では専売公社もそれなりの御配慮をしているとは思うんですが、基本的には、総裁、今言うように大変な設備投資をして中小企業がやっておる、努力をしておる。それに対してそれを、やったかいがあったという形になるように、時間的な点については余裕等は若干見る必要があるんじゃないか。基本的にはそういう気持ちで、国際価格に近づけるというのは、公社あるいは新しい会社になってもそういう対応をぜひしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  65. 友成豊

    友成説明員 先生おっしゃられますように、製塩各社は本当に熱心に合理化努力を重ねているというのが私の実感でございます。本当に製塩七社は大変な合理化をやりましてコストの引き下げを図っているわけでございます。おっしゃられたように、イオン交換膜の新しい膜への切りかえ、これもやはり十何億とかかります。あるいは重油から石炭への燃料転換、二十数億かかります。そういったような、資本投下に対する金利なりといったような負担も、確かにおっしゃるとおりにかなり重い負担を背負うわけでございますが、そういうもろもろを含めまして、なおいわゆる製塩コストというものはかなりの勢いで下がってきている。それに従って収納価格も、そういう実態を見ながら、実行可能でありかつ合理化誘導に結びつくといったような観点から、価格審議会にお諮りして決めてきている実態ということがございます。  先生おっしゃるとおりに、時間的な余裕を持ちながらということでございますが、こういったようないわゆる合理化を可能にしたといいますか、基本的にはイオン交換膜技術開発が、単に使用電力量が少なくなったためにコストが下がるといったような問題以上に、イオン交換膜からとれる濃い海水の濃度が上がった、こういったような、今まででは発想できなかったような新しいものが浮かび上がってきたために、そういう新しい技術というものをフルに活用する、あるいは重油から石炭への転換を行うに当たっては、そこで発生する蒸気量の利用率とそれによる発電量とのバランスを非常に有効に使うといったような新しい技術の有効活用を図っていきますと、どうしてもコストが下がりつつ、逆に下げれば下げるほどスケールが大きくなる、こういう相関関係がちょっとあるものですから、合理化すればどうしても一社当たりの生産数量がふえていってしまう。  その一社当たりの生産数量をふやすまいとすると、今言ったような合理化で、せっかくできた新しい技術というものが活用できない。こういう関係にあるものですから、やはり経営者が最大限の技術の有効活用を図ってコストを下げようとすればどうしても一工場当たりの規模が大きくなる。と、おっしゃるとおりに、塩の需要というのは、コストが下がったからふえるという関係にございませんものですから、どうしても工場が余るではないか、こういうことになってくる。そこが先生大変御心配なところで、御指摘の点でございますけれども、私どもの方も、やはりそこが一番問題、そこをどういうふうにプロセスを踏みながらやっていくかというのが一番問題なところではないかというふうに認識しております。そういうことで、そこをどういうふうに今後図っていくかということにつきましては、業界とも十分話し合いながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  66. 水田稔

    水田委員 一番大事なところは、やはりそれは言いにくいと思うのですが、塩というのは、生産をふやして、牛乳や肉のようにもっと食べると言うわけにはいかぬものです。これはむしろ、今は減塩時代ですから、食用については減る可能性の方が強いわけですね。ずばり言って、今の十八万トンよりは三十万トン、同じ固定費をかければ、それは半分近くに固定費は減るわけです。コストはぐっと下がる。何もしなくても下がるわけですね。今まではそういう条件を与えてなかったから、そういう点ではみんな苦労してきたわけですね。そういう計算をすれば、三十万トンにすれば、五つあれば結構足りるじゃないかという話になるわけですね。会社がたくさん工場を持っておって、生産をここで集中的にやるからここをつぶそう、これも困るけれども、まあ移動はできる。しかし、今の七社というのはそれぞれが長い歴史を持ってできてきた。それぞれ土着の企業として来ている。もちろん、今、膜の関係で化学会社が資本を出していますけれども、もともとの資本というのは土着なのですね。そういう点では、一つでもつぶれる、おまえのところやめろと言うのは、その地域に大変な雇用不安も起こすわけです。簡単に合併なんてできっこないわけですね。  そういう点から、審議会答申にあるように、膜の開発がそこまで行ったというのは、私が先ほども言いましたように、苛性ソーダであれだけいけたのですから、これは答申を出すだけ、専売公社は金を出さぬ、塩業会社を通じて膜を開発する会社はとにかくコストを下げなければいかぬから、おまえのところ、一生懸命研究しろ、自分のところの自前の研究費でやれ、これはちょっと酷だと思うのですよ。ですから、私は、いわゆるスケールメリットを求めるなら、やはりソーダ工業に使える——一遍に国際価格で使えるまでにはなかなかならぬでしょうけれども、いわゆる国内の食用塩というだけではなくて、工業塩を一部含めて、スケールメリットで全体の塩の消費八百万トンなら八百万トンの中における国内塩、そしてそれが工業塩と少しはダブって使えるかどうか、食塩だけじゃなくて、そういうこと等も考えながらいわゆるスケールメリットの問題を考える、そういうこともぜひ考えてもらいたい。  これは答申もそういう答申をしておるわけですし、それから何年前ですか、四十六年の答弁では、あれは専売公社の方ですね、答弁されたのは。それは、五年先は洋々たるものです、工業塩は膜でいけます、こう言っておるわけです。ここに記録があるのです。そういう自信を持ったのがなぜできてないか。十三年たってできぬというのは金を出さぬからですよ。通産省というのはそういう点では、産業構造、いろいろやるわけですね。大蔵省は金を取る方が多いのですかな、それと予算をつけるのでしょうが、割に抑える方ですね。ですから、数少ない大蔵省管下のものなら、そういう点では、国際社会で立ち行きのできる塩産業ということで、膜の開発についてはぜひ金を出すということも含めて、それから今申し上げました、少しは工業用も含めたいわゆるスケールメリットを考える、そういうことも含めて国際価格に近づける、そういう総合的な立場で考えることをぜひしていただきたいのですが、公社大蔵省と、両方からお答えいただきたいと思うのです。
  67. 友成豊

    友成説明員 国内塩の利用についてソーダ工業の方にもラップするぐらいというお話でございますけれどもソーダ工業用で使っております輸入塩コストと国内でつくれるコストとはやはり相当の開きがございまして、直ちにそちらの方にラップしてというのはちょっと無理かと思います。  ただ、現在、一番最初に総裁需給のところで若干触れましたけれども、いわゆる一般用の中で、例えばしょうゆ業界が使っている、原塩をそのまま溶かしておった輸入塩分野ですね、これを国内塩で若干カバーしていく、あるいはその他の窯業とかああいう一般工業用に今までは輸入塩が使われておったけれども、それを国内の特例塩でもってカバーするといったようなことで、ソーダ工業用としてはちょっと価格の開きがあり過ぎるけれども一般用塩の中で輸入塩が使われておった分野の中から国内塩が徐々にシェアを高めでいっている。こういうことでございまして、先生の御指摘のように、ソーダ工業までやれというのはちょっと無理かと思いますが、できるだけ輸入塩のシェアを国内塩でもってカバーしていくという方向で今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
  68. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま公社から御説明ございましたように、公社、業界一体となって自立化に向けて鋭意努力をされておるところでございますので、私どもとしてはその成り行きを深い関心を持って見守ってまいりたいと思っております。
  69. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議
  70. 瓦力

    ○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。水田稔君。
  71. 水田稔

    水田委員 午前の質問に対する答弁で、私はぜひこの点は公社に考えていただきたいのは、塩というのは使う場合に固形で使う、また国産で塩をつくるときに一番金がかかるのは、いわゆる煎熬に使うエネルギーなんですね。苛性ソーダというのは固形では使わないわけなんです。液状で使う。だから、一たん固形にしてまた液状にするということを考えないで、国産の塩をソーダに使う場合には煮詰めるという作業を抜いていいわけなんですね。そのままでは使いませんから、その固形のものをある程度かん水の中へ入れて飽和水の状態にするということなんで、そういう使い方を考えれば、これは国際価格という考え方の中で燃料費が大分違ってきますから、そういう点では変わってくるだろうと思うんですね。そういう発想をしない限り、審議会答申にあるような、膜の開発によってソーダ工業塩までいけるというのは、あれは作文に過ぎぬということになるわけです。あの発想は、当然そこでは液状で使うものは液状で使っていけるのだという考え方がないと、とてもじゃないが岩塩とか、あるいは天日でできる製塩に太刀打ちできるわけがないと思うんですね。ですから、国内のその他の塩の分野に国産塩を使っていく、それは大事なことです、ぜひそうしてほしいのですが、工業塩という場合には物の考え方、発想をそういうぐあいに変えていただきたい。それが一つ。  それから、大蔵省の御答弁は非常に優等生的な答弁なんですが、私が申し上げたように、これが例えば中小企業庁の関係だったら、この問題だったら恐らく膜の開発についてある程度の援助をしただろうと思うんですね。大蔵省所管であることで、塩業の業界は非常に苦しい立場に置かれたのではないかと思うのです。全く援助なしでおまえらの努力でやれ、あるいは膜を供給する会社の自前でやれということになっておる。ですから、これは大蔵省から直に金は今簡単には出せぬでしょうが、塩の価格を決めるとき等には、若干時間がかかっても、膜の開発についての、あるいはその技術改良についての研究開発費が企業としても持てるような、あるいは直接持てないのなら、新しい会社でも開発の研究なり資金的な面倒を見るとか、そういう考え方をぜひ持っていただきたいと思うのです。これは公社だけの御答弁で結構です。
  72. 友成豊

    友成説明員 先生おっしゃられますように、ソーダ工業は原塩を溶かしまして、それを電気分解することによって苛性ソーダ等をつくっております。したがいまして、ソーダ工業としては塩という結晶である必要はないわけでございまして、先生おっしゃられるとおりに、イオン交換膜で出たかん水をそのままソーダ工業へ使うという道があるわけでございます。膜メーカーの方もそういうことで現在研究を進めてまいっております。  ただ問題は、海水に含まれておりますNaとClだけだったらいいのですけれども、カリウム、カルシウム等がございまして、これが同じ陽イオンということで同じように膜を通過していくということがございまして、どうしてもカルシウム、カリウムの除去がなかなか難しい。それさえなければ、今の膜によるかん水のコストでもって十分輸入塩に対抗できるわけでございますけれども、何分にもそのカルシウム、カリウムという來雑物がどうしても苛性ソーダ品質を悪くする。かん水から塩に結晶する段階のときにそのカルシウム、カリウムというのが分離されるということで、どうしても一たん塩になったものから溶かしてソーダ工業に使う。現在のところはそれしかないというところでございますけれども先生おっしゃるとおりの、そういうカルシウム、カリウムを何とか除去できないかということで研究が進められているという現状にございます。実験室的にはその分離が可能だという報告も聞いておりますけれども、ただそれは工業化した段階ではべらぼうなコストがかかって、一たん塩にしたものを溶かした方が今の段階では安いということで、まだ工業化の段階には至ってないというのが技術開発現状のようでございます。  いま一つ、そういう膜メーカーに対する技術開発のための援助を何とかできないかというお話でございます。私どもの方も何とかそういう道がないかということで研究はいたしておりますけれども、何分にも先ほど申し上げました三社の競争的な条件の中での開発が進められております。したがって、技術開発をお互い三社が大変極秘に進めながら、それをそれぞれ特許化してやっていっているという状況なものですから、その三社が力を合わせて開発に進むという体制であれば私の方もやりやすいのでございますが、三社がそういう意味での競争関係にあるということがございまして、その辺を公社としてどういうふうに持っていけばいいのか、そういう問題がございまして、なかなかいい知恵が現在浮かんでいないという段階でございます。基本的にはそういうイオン交換膜技術開発製塩コストを引き下げるということに直結いたすものですから、そういう意味で私どもの方も大変な関心を持っておりますし、そういう方向で道があれば何とか講じたいという気持ちでございます。
  73. 水田稔

    水田委員 今の問題はもうそれだけで時間をとりますから、そういう点では技術開発について新しい会社も役割を果たしていくということでぜひお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。  そこで、これからの価格の決定ですが、収納価格は塩収納価格審議会に語る、こうなっておるわけですね。今までもそういうのがあったわけですが、今までは専売公社が諮問するという形になっておったわけですね。今後はそれが会社ですから、どういうぐあいに変わっていくのか、お答えいただきたいと思います。
  74. 長岡實

    長岡説明員 御指摘のとおり、現在の塩の収納価格は、公社総裁の諮問機関でございます塩収納価格審議会に諮りまして、その答申を得て決定してまいったところでございます。制度の改正後は、会社の恣意性を排除して公共性を担保するために、買い入れ価格につきましては大蔵大臣の認可を受けることとされておりますけれども、塩買い入れ価格塩業政策を遂行する上で重要な基本課題でありますとともに、生産者にとって経営の基本にかかわるものでございますので、その適正を期するため、塩収納価格審議会につきましては名称を塩買入価格審議会と変更し、引き続き会社塩事業責任者の諮問機関として現行どおりの運営を行ってまいりたいと考えております。
  75. 水田稔

    水田委員 それから、塩の製造はこれまでは許可ということになっておったわけですが、今回の改正では指定と変わるわけです、これは五条でそうなるわけですが、実体としてどういうぐあいに変わっていくのか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  76. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現行法では、公社が塩の製造を許可するということとされているわけでございますけれども、今次改革によりまして公社が特殊会社に改組される場合、塩の製造につきましては、専売法にございますように、直接専売権の対象になっているわけではございません。塩の専売権というのは塩の収納から始まるわけでございますが、そういう専売権の直接の対象外でもある塩の製造につきまして、極めて権利制限的色彩の強い法律構成を維持することについて疑義があるということから、会社供給責任を果たすに必要な塩を製造する者を指定するという法律構成に改めたわけでございます。しかしながら、会社が指定する者以外の者が自由に塩を製造することを認めることといたしますと、塩のユーザーが独自に塩を製造、使用するというようなことが起こりまして、専売法益も守れなくなるというようなこともあるものでございますので、指定を受けた者以外の塩の製造は引き続き禁止することとしております。したがいまして、許可が指定に変更されても、実体上の変化は特にないわけでございます。
  77. 水田稔

    水田委員 さらに、今度の改正案では塩元売人間の売買を新しく認める、こういうことになるわけですが、これは一体どういう理由でされるのかということを伺いたいと思います。
  78. 友成豊

    友成説明員 現在、塩の専売制度下におきましては、流通面につきましては公社が一次卸の機能を果たし、元売人が二次卸の機能を果たして、元売人から小売人、こういう流通の状況にございまして、非常に簡明なルートを通って消費者に渡るという形をとっているわけでございますが、今後塩産業が自立化していくということになりますと、先ほど来御説明申し上げておりますように、製塩の方だけが外国塩、輸入塩に対抗できる、コストを下げるというだけでは、塩産業が自立するということにはなりません。塩産業全体が自立するためには、流通業界の方におきましても、専売制度という支えがなくても十分にやっていける形といいますか企業に、どうしてもなってもらわなくてはならないわけでございますが、今申し上げましたように、現在の流通は二次卸である元売という形でございますので、どうしても公社が行っている一次卸の機能を担う元売ができませんと、そういう実体が生まれてこない、そういう企業になり得ないということがございまして、塩業審議会提言におきましても、公社が現在持っているいわゆる金融機能とか在庫機能、輸送機能、保管機能といったようなものを逐次そういう企業の方に譲りながら、一次卸の機能を十分果たせる元売を育成すべきである、こういう御提言をいただいているわけでございますが、そういう形で元売の中からそういう一次卸の機能のできる企業というものを育成する必要があるわけでございます。  そのためには、そういう新しく生まれます一次卸の機能を持った元売さんと、現在二次卸として機能をいたしておる元売さんとの間でのいわゆる消流といいますか、塩の売買というものが行われなくてはならない。現行専売法では公社から元売さんというだけの規定でございまして、一次卸というものが想定されていなかったために、一次卸の元売と二次卸の元売との間の売買というものが想定されておりませんでした。今回、専売法の改正に当たりまして、そういう流通における自立というものに向かって企業の育成を図るという見地から、一次卸の元売さんと二次卸の元売さんとの間での塩の売買が可能になるようにその道を開いたというのが、この元売人商売買の規定を挿入した理由でございます。
  79. 水田稔

    水田委員 午前の質問に対する答弁で、諸外国に比べて日本の塩はなぜ安く供給できるのか、それは製造、流通の過程が非常に簡素である、それも一つの理由だろう。今、日本でこれだけ経済が発展した中で、いろいろな商品について見ると、どこに一番問題があるかというと流通だ、こう言われているんですね。例えば塩専売をやめてしまって、一次卸、二次卸ができるのはいいでしょうけれども、まだ専売制度が続く中でそういうもう一つの段階を経るわけですから、ただでやるというわけにはいかぬわけですね。恐らくそこでは流通経費というのは当然かかるだろうと思うのですね。そういう点で、今までの塩専売制度がうまく機能してきた、安く供給できてきたという点では、一つは、今日本の社会全体の中で流通の問題が、例えば肉であるとか医薬品であるとか、一番問題になっているところを調べてみれば、非常に複雑多岐にわたる、その中で製造原価に比べて二倍とか三倍とかで売られることになっているわけですね。塩はそういう点がないから、今日安定した価格供給できるわけです。逆な方向に行くのじゃないか、そういう感じがしますが、その点、いかがですか。
  80. 友成豊

    友成説明員 先生おっしゃられますように、複雑な流通経路になりますと、その都度コストが高くなるという理屈はよくわかるわけでございます。現在、一次卸として公社が機能しておる機能を、今回新しい一次卸の機能を持つ元売に渡していく。したがいまして、公社から一次卸に行って二次卸に行くという形ではなくて、公社が果たしている部分を肩がわりするという形での一次卸を、私どもとしては想定いたしておるわけでございます。現行塩専売は、先生おっしゃられるとおりに、非常に簡潔な流通ルートを通っているために、コストは一番安いのではないかということでございますけれども、確かにそういう面がございます。非常に簡潔なことでコストを最も安く流通させるということで、流通コストが最低で私ども運営しているつもりでございます。  逆にそのことで、いわゆる二次卸という現在の元売さんの企業が、配給機能というか、そういうものに堕し切っちゃっている。要するに民間活力という一般に言われる問題一つ取り上げましても、元売さんは、これは民間でございますけれども、そういう専売制度という枠の中で活動をするということががっちりいっているために、テリトリーが保障されるとかいろいろなことの弊害等もございまして、かえってそれがいわゆる民間活力によるいろいろな意味でのメリットを打ち消しているという問題もないわけではございません。  そういうようなことで、専売制度についての批判もあるわけでございますので、そういったようなデメリットを消しながら持っていくということで、現在公社が行っている一次卸機能を肩がわりするものをつくっていったらどうだろうかということを私どもとしては想定しているわけでございまして、一次卸、二次卸ということについての今後の問題、先生指摘の問題等幾つかあろうかと私ども思っております。しかし、できるだけそういったようなデメリットになる部分は除去しながら、今後の流通再編に当たりましては検討してまいりたい、またそういうことで業界との間でも話を進めているということでございます。
  81. 水田稔

    水田委員 今の風潮として、官がやればすべて非能率という考え方はいただけない、間違いだ。逆に言えば、民間でも非能率なものもあるわけでして、たばこと塩の専売に関しては、私はうまく機能してきたと思うのですね。そのために、この法律では第一条でいわゆる公益専売をうたった。そして附則の二条で、先の問題をどうするかということをうたっておる。その間に問題があるところは直す。今言われることを聞けば、これは専売制をやめるのを段階的にここでやっていくのだ、そういう心づもりまであってやっておるように聞こえるわけですね。  最後にまた大臣にもお伺いするわけですけれども専売制度のあり方を根本的にいらうということは、ここではもう既に流通の過程で今から手をつけるという考え方があってやられるわけですか。途中のことはいいです、わかりました。その一番大事なところを……。今の答弁ではそういうぐあいに感じられる。基本に触れるのじゃないかという感じがするのですが、そこまでの論議はなかったわけですか。
  82. 友成豊

    友成説明員 現行塩専売制度におきましても、あるいはこの改正法案におきましても、公益専売ということで、価格の安定、需給の安定ということを第一義の目的として運用いたしておりますし、今後ともそういうことで運用していくということであろうかと思いますが、価格の安定、需給の安定という目的を今後とも維持しながら、その中で塩産業が自立していく方向に行くような産業の体制の再仕組みといいますか、そういうものをつくり上げていく必要があるのじゃないだろうか。  将来、塩専売制度を廃止する前提でというお話でございますけれども、私どもの方は、専売制度の本来の目的価格の安定、需給の安定ということで、それを維持しながら、しかも現行専売制度という産業を保護する手段がいいのか、あるいはほかにいろいろな手段があるのか、そういったようなことは今後ともいろいろ議論があろうかと思いますが、そういう議論がいかにあろうとも、今申し上げました塩の特性から見まして、公益専売といいますか、公益性を今後とも守っていく。そのためには、産業の仕組み自体がそれに耐えられる状態になくてはならぬのではないだろうか。したがって、生産面におきましても輸入塩に対抗し得るコストまで引き下げていくという体質強化を図りながら、流通の方についてもそういう体質強化を図っておきたい、こういうことで進めておるわけでございまして、今後ともそういうことで進めてまいりたいと思っております。
  83. 水田稔

    水田委員 それじゃその点はそれ以上申し上げません。  そこで、塩の価格の問題ですが、会社が売り渡し価格を決めるのは、大蔵大臣の認可を受けて公告することになるわけです。この場合の売り渡し価格及び販売人が販売する上限価格は、一体今後どのようにして決めていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
  84. 友成豊

    友成説明員 現在公社から売り渡しております売り渡し価格につきましては、まず中期的に塩事業会計が安定していくというような観点に立ちまして決定いたします。元売人が小売人に売り渡す価格を決める際には、公社からの売り渡し価格の上に、全国的に同じ消費者価格を守るという意味で、元売が公社から引き取る運賃、それから元売さんが小売人に売り渡す場合の配達運賃、これを全国的にプールいたしまして、いわゆる全国平均価格をセットいたしておりますが、それを公社の売り渡し価格に足します。それから、元売人のマージンといいますか手数料をそれにつけ加える。そのマージンといいますか手数料も、類似商品の手数料等を検討して、それに見合う形のものを見まして、元売り人の売り渡し価格を決めているわけでございます。それから小売人は、その元売人の価格にさらに小売人のマージンといいますか手数料、これもまた類似商品の小売店における手数料等を参考にして決めさせていただいておりますが、その手数料分を足しまして、これを小売人の価格ということにしているわけでございます。  それが塩専売法上、販売制限価格ということになっておりまして、そういう形で現在運用いたしておりますが、今回の法改正に伴いまして、名称を上限価格と変えまして、これを決めさせていただく。これは会社の恣意的なといいますか、そういったものを排除する、そういう面でそれぞれについて大蔵大臣の認可を得るという形で最終的に決定させていただく、こういう仕組みでございます。
  85. 水田稔

    水田委員 わかりました。  それから、五十六年十二月二十四日の塩業審議会答申の中に、塩の種類別のコストを反映した販売価格体系に一層近づけるべきである、こういう答申があるわけですね。そうすると、今御答弁いだだいたような価格の決定ですが、この塩業審議会答申では、塩の種類別というのは全部違いますが、その点は今後どういうぐあいに変わってくるわけですか。
  86. 友成豊

    友成説明員 塩専売につきましては公益専売ということでもう長年やってまいっております。その中の大きな柱が価格の安定でございます。そういう観点から、昭和二十八年から昭和五十年まで約二十三年間にわたりまして価格を据え置いてきたわけでございます。そのときは、先ほど私御説明申し上げましたように、全体をプールして、もうとにかく同じ価格ということで、輸入塩価格も、それから公社が売り渡しております並塩価格も、同じ価格を適用してきておりました。五十一年の価格改定に当たりまして、今先生おっしゃるような、ある程度コストに反映した方がいいだろうというようなことで、並塩価格との価格差を二千円設けたわけでございます。それから五十六年の五月にまた改定いたしたわけでございますが、そのときには価格差を七千円設けるというような形で、逐次こういうコストに反映したという形を実現してまいっております。これが十分かということになりますと、まだ問題があろうかと思います。今後ともそういうことで、コストに反映した価格体系に少しずつ移行していくという形で進めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 水田稔

    水田委員 それから、二十条の四項に、「塩の需給の安定に悪影響を及ぼす場合又は流通秩序に混乱を生ずるおそれがある場合」、この場合には特例塩の販売を承認しないことができる、こういう規定があるわけです。具体的にはどういう場合を言うのでしょうか。
  88. 友成豊

    友成説明員 販売特例塩は、公社を通さなくて、製塩メーカーから直接元売を通じてユーザーの方に売り渡すということになっております。実際公社の方の手を通さないで元売に行くわけでございますけれども需給の全体責任はやはり公社が持つわけでございますので、公社を通じて売り渡す塩と、それからそういうふうに公社を通さず、直接元売から消費者に行く特例塩の扱いについて、全体としての需給の確保といいますか、安定といいますか、そういうものを公社としては守っていかざるを得ないというようなことで、例えば需給の安定に悪影響を及ぼす場合は公社が——まあこれは例えてのお話でございますが、何月にAというメーカーから何万トン買って、それをどこの地域に輸送してその地域の需要に充てる、こういう計画があった場合に、その月にそのメーカーが、やはり特例塩の方がもうかるから、公社に売り渡すものを落として特例塩の方に持っていくといったようなことをやられた場合には、公社は何月にそこの会社から買おうという計画があるにもかかわらず、メーカーの方はその時期をずらすということになりますと需給が混乱するということがございますので、そういうときには公社の塩をまずつくりなさい、まず公社に売り渡しなさいということで、特例塩の販売を差しとめする必要があるというようなことがあろうかと思います。そういうのが一つあろうかと思います。  それから、中には、私どもの方がいわゆる需給計画を立てる場合に、あの地域ではこういう漬物屋さん等が何軒あって大体何万トンくらい買うということを前提に需給計画を立てているところに、必ずしもそこに売り込むという成約がないにもかかわらず、メーカーがその分の特例塩をつくる、売る、こう言ってきてかえって現地が混乱するというようなことが明らかな場合には、やはりそこのところはきちっと抑えておかないと需給全体が混乱するんじゃなかろうか、こういったような場合もございます。  あるいは、どういう理由かわかりませんけれども——わからないと言ってはなにですけれども、そういう特例塩がぽっと出てくると、全体として公社の方がどうも数字のつじつまが合わないなといったようなときには、ある程度整理をせざるを得ない。特例塩と公社の方の塩とを全体としてどういうふうにまとめていくかというような場合もあろうかと思います。そういう場合にはメーカーとの間で話をして、じゃ、この分はあなたの方はつくるのを当分抑えておきなさいといったようなこともあろうかと思います。そういったようなことを想定いたしまして、めったにそういうことはないかと思いますけれども、そういう場合には需給計画に悪影響を及ぼすというようなことで、特例塩の方を抑えるということをやらざるを得ない場合もあり得るのじゃなかろうか。  それからまた、流通秩序に混乱を生ずるというような場合の想定でございますけれども、これはめったにといいますか、ちょっと考えられませんけれども、いわゆる公正取引に反するような場合でございます。いわゆる取引条件なり取引価格等で差別的な扱いをやって、公取が問題を指摘するような場合に類するようなことがあった場合に、公取がわざわざ言ってくる前に、公社として打つべき手は打っておく必要があるのじゃなかろうか。そういうようなことで、流通秩序に混乱を生ずるおそれがあるときというような場合は一つそういうことが想定されます。  それと同様な事情といいますか、不当に安い価格とか、あるいは景品をつけて売るとか、そういったようなことがあった場合には、やはり公社としては流通秩序を守るという意味から、それ相応の処置をせざるを得ないのじゃないだろうか。こういったようなことが想定されるということで、こういう流通秩序に混乱を生ずるときには、特例塩に対してそういう特段措置をするという手が打たれているというふうに私どもの方は解しております。
  89. 水田稔

    水田委員 特例塩については、一応の専売の枠の中という考え方で今のような御答弁をいただいたのだと思うのですが、特殊用塩の場合、これは自由に販売できるわけですね。そうすると、この部分については塩の専売制というのを実質的に崩すといいますか、そういうことになりはしないのかと思うのですが、その点はいかがですか。
  90. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在、塩の販売につきましては、専売権の対象として公社の指定した販売人以外には販売できないこととしてきているわけでございますけれども、ただ、これはただいま申し上げましたような塩の流通とか需給とか、そういったことを維持するという専売法益の侵害がなされない範囲におきましては、社会の実情を考慮いたしまして、販売の対象となる塩の種類とか用途等により、規制の方法に程度の差異を設けることを妨げるものではないというふうに考えておるわけでございます。  特殊用塩につきましては、そもそものもとは公社の売り渡した塩であるとか、あるいは販売特例塩を原料として、二次的に再製加工をされてでき上がるものでございます。また、むしろ塩としてよりも香辛料とか調味料の一種として一般的に認識されておるわけでございますし、また、いろいろな種類のものがございまして、多種多様な消費者の要望もあるわけでございますから、こういったたぐいのものにつきましては、むしろ民間の活力あるいは市場の選択にゆだねることの方がより適切であるというふうに考えられるわけでございます。そういう意味で、特殊用塩の販売については、新しい法律のもとでは自由とするというふうに考えているわけでございます。
  91. 水田稔

    水田委員 今ソーダ工業用の原料塩については自己輸入制度という制度をとっているわけです。これは実際には自分でやるけれども、専売品ですから、公社に手続をしてやる、こういう形です。公社の方は手数料ですか、検査料ですか、トン三十円取っておる。公社の方は手間がかからぬで、判を押すだけでとにかく金が入ってくる、こういう制度になっているわけです。この制度は今後どういうぐあいにされるのかということと、それからこの制度が日本の化学産業の中で果たしておる役割というのを、これは公社だけじゃなくて大蔵省の方、どういうぐあいにお考えになっておられるのか、その二つをお答えいただきたいと思うのです。
  92. 友成豊

    友成説明員 現在ソーダ工業用につきましては自己輸入制度を認めて、それでやっているわけでございます。先生指摘のとおりでございます。ただ、先生、ただ判こ押して三十円とおっしゃられますけれども、決して判こ押して三十円ではございませんで、品質検査のために公社の職員が輸入地に参りまして、そして輸入された塩のサンプルをとりまして分析いたしまして、それでいわゆる売り手と買い手の間での品質の保証をやっております。専売公社品質分析は世界的にも大変権威がございまして、専売公社品質検査ということになりますと、売り手の方からも一切文句が出ないというぐらい権威があるものでございまして、そのための直接コストということで三十円いただいているのでございます。新しい会社になりましても同様の仕組みでやってまいりたいというふうに思っております。
  93. 小野博義

    小野(博)政府委員 ソーダ工業用塩につきまして自己輸入制度が認められておりますのは、かなり古い歴史があることでございますけれどもソーダ工業は紙パルプ、ガラス、塩化ビニール等国民生活に広範な関連を有する諸産業のいわば基礎物資を供給している基幹産業であるわけでございます。それからまた、輸出の振興であるとか国際競争力の育成という観点からも非常に重要なものであろうかと思っております。そういう意味からして、このソーダ工業用塩については自己輸入制度が認められておりますので、ただいま公社から御答弁がありましたように、今後ともこれを続けていきたいというふうに考えております。
  94. 水田稔

    水田委員 抽象的ではなく、今貿易摩擦がいろいろな分野で起こってきた、そしてまた再燃しそうだ、こういう事態になっていますね。今答弁いただいたように、これはいろいろな産業のいわゆる基礎的な素材であるのですね。ここで貿易摩擦は起こらないわけですね。これが、日本で塩が全く自由に販売されるという状態になれば、まさに日本の化学工業が壊滅するぐらい、ソーダ工業についていえばこれはやられるだろうと思うのですね。そういう点、この塩専売制度の中で自己輸入制度ということで量的にコントロールされておる、そのことが一つは大変長期にわたる化学産業の不況の中でも大変有効に機能したし、それから今貿易摩擦の中でアメリカから日本に対してこの部門について文句が出てこないというのは、日本で塩の専売制度をとっておることが有効に働いておる、私はこう理解しておるのですが、そういう点についてはいかがですか。先ほどの答弁のように大事なあれだからというのじゃなくて、大事な中でそういう具体的な役割を果たしておると私は理解しておるのですが、いかがですか。
  95. 友成豊

    友成説明員 直接の御答弁になるかどうか、日米貿易摩擦ということでございますけれども、かつては日本もアメリカその他多数の国から塩を輸入してまいっておりました。しかし、開発輸入ということでメキシコに大塩田をつくりまして、そこでできた塩を日本との間でピストン輸送を行うということで、大変コストを下げながら、かつ品質のいいものを輸入できるシステムに切りかわりまして以来、オーストラリアでもいわゆる開発輸入が行われまして、現在ソーダ工業界が輸入いたしております塩はメキシコとオーストラリアと中国と、この三カ国から輸入されている状況でございます。そういうことで、それぞれの国には日本からの資本がかなり投入されましての開発輸入という事情もございまして、現在のところ特段この塩の輸入に関しまして、メキシコなりオーストラリアからそういった貿易摩擦といったような要因は見当たらないというのが実態ではなかろうかと思います。
  96. 水田稔

    水田委員 答弁は結構です。これは大臣も聞いていただきたいのですが、私は化学産業の出身ですからそういうものに取り組んでまいりました。今申し上げたように、塩専売制度日本の化学産業、特にソーダ工業に大変機能しておる、有効に作用しておる、そのことだけはぜひこの機会に御理解をいただいておきたいと思います。その点も含めて大臣には最後にお伺いいたします。  次は課税の問題についてお伺いしたいと思うのですが、塩専売事業に関しては、一応専売でありますが、たばこ産業株式会社が扱うわけです。そういう点がこれまでと課税上の扱い——これは考え方だけでいいと思うのです、具体的な法律になりますと地方税関係も入ると思いますが、そこは触れられません、答弁者がおられませんから。大蔵省として課税上の扱いをどうするかという考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  97. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 お答えを申し上げます。  今度の制度改革によりまして公社形態から会社形態に移行するわけでございます。したがいまして、税法上は、例えば法人税法等の上におきまして、新会社はいわゆる普通法人と全く同じ課税関係といいますか、課税上の地位に移行するわけでございます。ただ、塩専売事業につきましては、公益専売という今公社でやっております事業の性格をそのまま踏襲する、何ら性格に変更がないということのほかに、したがいまして、そういう点も含めまして、新会社塩専売事業につきましては経理を区分しなければならないという規定もございますし、それから塩専売事業の利益につきましても、価格安定準備金でございますか、これに強制的に積み立てをさせられる、利益を自由に処分できないというふうなことでもございますので、そういった点も考慮をいたしまして、法人税法上は、課税所得の計算に当たりまして、ただいま申し上げました準備金の繰入額は損金として扱う、ただいま御審議いただいております塩専売法案でそういう規定を設けさせていただいておるわけでございます。したがいまして、塩専売事業につきましては、国税たる法人税上の実質上の課税は行われないという手当てもしてございます。  その他国税につきましては、登録免許税、これは一種の間接税、流通税でございますが、これにつきましても、塩専売事業の特質ということに着目いたしまして、従前どおり非課税という措置を講じております。
  98. 水田稔

    水田委員 塩専売事業のあり方を審議するために、現在は大蔵省専売事業審議会公社には塩業審議会があるわけですが、こういう審議会は今後一体どうなるのかということをお伺いしたいと思います。
  99. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在大蔵省専売事業審議会があるわけでございますけれども、今後は、新法のもとにおきましては政令で定める審議会を置くことになっておりまして、現在のたばこ事業及び塩専売事業について大蔵大臣会社を監督するわけでございますので、現行専売事業審議会、つまり専売事業及び公社の業務運営に関し調査、審議を行うという審議会でございますが、これを引き継ぐ形でたばこ事業審議会、仮称でございますが、これを大蔵大臣の諮問機関として設け、その中におきまして塩専売事業につきましても適宜同審議会に調査、審議をいただくことといたしておるわけでございます。  塩業審議会につきましては公社総裁の諮問機関でございますので、公社の方から御答弁させます。
  100. 長岡實

    長岡説明員 塩業審議会におきましては、制度改正後におきましても引き続き会社塩事業責任者の諮問機関として、現行どおり踏襲してまいりたいというふうに考えております。
  101. 水田稔

    水田委員 今度の法律を制定するに当たって、一つ製塩施設法を廃止する、それから、一つ塩業組合法を廃止するわけですね。例えば、四十六、七年以降塩田法をやめたわけですが、中には塩田の堤防を抱えて、いまだにその出費に悩んでいる会社もあるわけですね。現にあるわけです。それから、塩業組合も完全に解散したわけではなくて、現に生産のために存在しておるわけですね。そういう点から見て問題は起きないのか。あるいはそれに対する経過的な措置を考えなければならぬと思うのですが、その点はいかがですか。
  102. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  まず、製塩施設法でございますが、この法律は、塩田施設等を改良復旧する者に対して公社から事業費の補助を行わせるとか、あるいは塩田施設の保全及びその効用の維持のための措置をとるということを目的にいたしまして、昭和二十七年に制定されたものでございます。ただいま先生がおっしゃいましたように、昭和四十六年度において実施されました塩業整備により、塩田施設が全面的に廃止されたわけでございます。したがいまして、本法の対象とすべき実体が全くなくなっているわけでございますので、今次改正を機に、本法を廃止しようとするものでございます。それで、その実体がないということから、この製塩施設法につきましては経過措置も必要がないというふうに考えております。  次に、塩業組合法でございますけれども塩業組合法は塩田製塩業者の「協同組織の健全な発達により塩業合理化を促進し、もって塩の生産の維持増進を図るとともに塩業者の経済的地位の向上に資することを目的とする。」ということで、昭和二十八年に制定されたものでございますけれども、やはりその塩業整備によりまして塩田製塩が全面的に廃止されたわけでございます。それに伴いまして、塩田業者がすべて廃業し、その協同組織である塩業組合もすべて解散しております。そういうわけで、本法の対象とすべき実体がなくなったために、今次改正を機に本法を廃止するわけでございますけれども、なお、解散したものの清算中の塩業組合が七組合ございます。そういう意味で、清算結了までは本法に基づく手続等の一部が必要であるということで、所要の経過措置は講ずることとしております。
  103. 水田稔

    水田委員 もう一つは、今度の新しい法律でかん水を専売の対象から外しておるわけですね。これは先ほどもずっと論議がありますように、かん水のまま使えるということも、専売制から外れれば考えるものも出てくるだろうと思います。これはもうけになるということになれば、少々研究費をかけても早く膜の開発をやるかもしれない。そういう場合には、もしそういうことが起これば、塩専売制というのは崩れてしまうのじゃないかという感じがするのですが、かん水を外した理由は一体何でしょうか。
  104. 友成豊

    友成説明員 かん水の製造権を認めましたのは、先生御承知のとおり、塩田製塩というのは塩田でかん水をつくり、それから、かつては平がまだとかあるいは煎熬部門は次々と技術改良されて発展してまいりましたけれども、要するにかん水をつくる塩田業者と、それを煎熬して塩にするというのが完全に二つに分かれておりまして、したがって、それぞれに権利を認めてやる必要があるということでかん水製造権というのが認められて、いわゆるかん水製造人というのが必要だったわけでございますが、現在のイオン交換膜にかわりました段階で、そういうかん水だけをつくる製造人がいなくなったという実体がございます。そういうことで、現在、かん水製造人というのは一人もおりません。そういったようなことで、かん水製造権というのは実体上なくなったということが一つございます。  それから、先生おっしゃるとおりに、そういうことであれば、かん水を使う産業もあるんだから、そちらに対して研究してやろうというものがどんどん出てくるんではないか。むしろ私どもの方はそれを期待している。専売公社にかん水の製造権許可をもらわないとそういう研究もできないのか、研究のための許可をもらうためにはそれ相応のデータをつけてといったような煩雑さといいますか、行政改革の趣旨からいいましても、そういったものはむしろ民間が大いに研究投資したらどうかというようなことで、むしろかん水製造権はそういう面での制約になるんではなかろうかという面も一面あり、また、積極的にそういったようなことで、かん水で例えばソーダ工業なりあるいはしょうゆの方なりといったふうに使われれば、今まで輸入しておった塩にかわって日本の周りの海水からかん水がとれる。それが日本産業利用されるという意味で非常に喜ばしいことではないか。むしろそういう意味で、先生がおっしゃられるような意味で、その面での研究開発が自由に行われる方が望ましいというような積極的な意味もございまして、今回、かん水製造人というものを廃止したわけでございます。
  105. 水田稔

    水田委員 それから、今回の法制定によって、現行法の中からたくさん削除するものがあるわけですね。一つは塩の品質または等級の鑑定、現行十五条ですね。それから災害補償、十六条、塩の所有等の制限、四十二条、強制徴収、四十六条などの規定を削除することになっておるわけですね。これは一体どういう理由で削除されるのか、伺いたいと思います。
  106. 小野博義

    小野(博)政府委員 まず、鑑定の規定の問題でございますけれども、この規定は、そもそも塩田製塩のもとにおきまして生産された塩の純度であるとか水分等、塩の品質にかなりばらつきがあったわけでございます。そういう意味で、公社は塩の品質を鑑定いたしまして、その等級を定めて、等級に見合った収納代金を支払っていた、そういう状況であったわけでございますけれども、現在のようにイオン交換膜による近代的な工場製塩にかわったわけでございますので、出てくる塩は均質な、品質的に安定した塩が生産されてくるわけでございます。そういう意味で、塩田時代のような等級づけを行う必要性がなくなったわけでございます。したがって、その前提としての鑑定の規定を削除するということにしたわけでございます。  なお、買い入れに当たりまして、一般の物品と同様に受け入れ検査というのが行われるのは当然なわけでございます。  次に、災害補償の規定の件でございますけれども、これもその塩田製塩を専ら念頭に置いてつくられた規定でございまして、塩田製塩のもとでは天災等による被害が非常に大きい。また、零細な塩田所有者では必ずしも対応し切れない面もある。そういうことから、塩の生産力を確保して需給の安定を図るというために本規定を設けておったわけでございますけれども工場生産に転換した現在におきましては、自然災害をこうむる可能性というのは著しく減少しているわけでございます。また、仮に災害をこうむったといたしましても、自己責任で処理することが、自立化を目指す企業として、現在の社会通念に照らしても適当であるというような判断から、今次改正において本規定を削除することとしたわけでございます。  第三に、所有等の制限の問題でございますが、現行塩専売法におきましては、そもそも塩専売が明治三十七年でございますか、財政専売として発足したという経緯からいたしまして、また、法制定時の不安定な社会情勢下で反則件数が多発している、そういう状況もございまして、法律違反行為につきまして、単に行為者を罰する規定を各条において設けるだけでなく、四十二条で包括的に、不法または正当な理由がなくして塩を所有、所持あるいは譲り受け、譲渡した者について罰則を科することとして、十分な法益保護を図るということにしておったわけでございますけれども塩専売目的財政専売から公益専売へとかわってきたということもございますし、また、現在の安定した社会情勢のもとでは、反則事件も非常に少なくなっております。あえて現行法四十二条のごとく包括的な所有等の制限を課する必要もあるまい。むしろ各条の罰則規定のみで公益専売としての専売法の法益保護は十分担保されるというふうに考えまして、これを削除したものでございます。  さらに第四点、強制徴収の規定でございますが、これまた塩専売財政専売として発足したということから、公社は国税滞納処分の例によって強制徴収ができる旨を規定しているところでございます。しかしながら、先ほど申しましたような財政専売から公益専売への目的の変更、それから、現実には、現在に至るまで公社がこの強制徴収権を行使したことがなかったわけでございます。そういうことから、今回塩専売事業の実施主体が公社から株式会社にかわるということに伴いまして、本規定を削除することといたしたものでございます。
  107. 水田稔

    水田委員 もう一つは、所有の制限等を撤廃する、強制徴収等もなくする。しかし、塩専売制そのものは残るわけですね。それにもかかわらず、国税犯則取締法の準用をやめるわけですね。これは一体どういうことなのですか。
  108. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  現在国税犯則取締法が塩専売法の違反事件について準用されておりますのは、たびたび繰り返して恐縮でございますが、財政専売として発足したという経緯が一つございます。それからまた、かつては違反事件がいろいろ多うございまして、その事件がまた軽微であった。そういう関係上、一々司法による審理に付するのは、審理結了の遅延であるとか手続の煩雑さ、そういったものから問題があって、簡易な行政処分の方法を講ずる必要があったことによるものでございます。しかしながら、現在におきましては、財政専売から公益専売に転換しているということ、それから、法制定当時あるいは戦後の混乱期等と異なりまして、現在の社会経済情勢においては、違反事件の発生件数も著しく減少しておるわけでございます。そういうことから、国税犯則取締法の準用を廃止したといたしましても、専売法益が確保できなくなるおそれはないという判断をいたしまして、この準用をしないことにしたものでございます。
  109. 水田稔

    水田委員 最後に大臣にお伺いしたいのですが、長時間ずっと論議を聞いていただきまして、本当にありがとうございました。聞いていただきましたように、塩専売制というのは、今日、一つは、価格の点でも量の点でも安定的に供給できるということで、極めて有効に国民生活に寄与しておる、そういう制度であるわけです。それからもう一面は、若干答弁とは違いますけれども、我が国の基礎素材産業であるソーダ工業のいわゆる生産調整等のコントロールをする役割も果たしておる。専売制度があるから、外国からの貿易摩擦の問題についても文句は出ない、そういう点も機能しておるわけですね。  今度の法律では、第一条に公益専売ということを入れたわけです。しかし、臨調答申というのは、何でも官はだめで民がいいというようなお考えがあるのかどうか知りませんけれども、それへ向かっていけ、こういうぐあいに書いておるわけです。そして、自立の体制ができた時点で再検討ということは附則の二条で書いておりますけれども、ずっと論議を聞いていただきまして、大臣、私は、そう簡単に塩のいわゆる自由経済ということになれば、もう一つの面でいえば、論議の中でも申し上げましたように、わずかな額で買い占めができる。そういう点でいえば、食料塩の国内における投機ということも考えられる。投機商品のように使われる。そういう危険もあるわけでありますから、そういう点では、今役割を果たしておるこの専売制度については、大蔵省としてもぜひ慎重に考えていただきたい。そのことを申し上げ、たいのですが、大臣のお考えを伺って質問を終わりたいと思います。
  110. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ずっと議論を聞かしていただきまして、御意見も交えたいろいろの御議論でございまして、私ども素人にとりまして大変有益なものを、私自身が得さしていただいたわけであります。  確かに昭和五十四年の十二月二十九日、このときも私が大蔵大臣でございましたが、閣議決定で「塩専売事業については、国内製塩業の自立体制の確立を促進しつつ、専売制度を廃止するとの基本方針の下に、」云々と、こう書かれてあります。それから五十五年の十二月二十九日にも、この基本方針そのものはそのままにして、以下「生産、輸入及び流通の各般の部門にわたり、国内塩の生産確保等に必要な具体的な施策の検討を推進する。」その後が本法律案の基礎ともなっておるとでも申しましょうか、臨調第三次答申が五十七年の七月三十日、こういうことになるわけでございます。  そこで、これに基づいて法律案を出し、御審議いただいておるわけでございますが、私は、今日この塩専売制度というものがいわゆる公益専売として、国民生活の中に有効に機能をしてきておるということは、事実をそのまま素直に認識をすべきものだと思っております。それから、基礎産業としての部門における機能の仕方、これも今水田委員の御指摘に私は何ら異なった見解を持つものではございません。  ただ、もう一つだけ、いわば貿易摩擦の問題は、委員指摘の専売であったからというだけではなかろう、他にも要因があろうかと思うわけであります。したがって、将来の問題について申し上げてみましても、やはり「当面は専売制度を維持しつつ、その中において国内塩産業の自立化を促進することが望ましいと考える」、こういう基本的な考え方に立っておるわけでございますけれども、現在直ちに専売制度を廃止するとしたら、「国内塩産業に大きな打撃を与え、自立体制の確立が困難になるとともに、消費者価格の上昇も予想される。」その一つが、今おっしゃいました買い占めとか、そういったこともあるでございましょう。したがって、基本的に、私はたびたび申し上げておりますが、塩専売そのものは、やはりナショナルセキュリティーの問題をネグってこれに対応するわけにはいかぬ。そしてまた、ある種の、価格等においてその目標とする価格に到達いたしたといたしましても、その中にはまだ二〇%の関税というものがあらかじめ予測されておるというようなことを考えますと、やはり私は慎重に対応していかなければならない課題であるという認識は、御意見を承りながら一層強くした次第であります。
  111. 水田稔

    水田委員 終わります。
  112. 瓦力

    ○瓦委員長 清水勇君。
  113. 清水勇

    清水委員 大臣、私は、葉たばこの問題を中心に専売改革に触れて、幾つかの問題について所信を承り、かつまた、今日九万三千を数える耕作者の間に一定の不安というものがあるわけでありますから、そうした点の解明を期したい、こういうふうに思っておりますので、大臣及び関係者の明快なる決意を込めた答弁をお願いをしたい、こういうことを最初に希望をいたします。  さてそこで、実は九十六通常国会開会の前後に、アメリカ側から、日本専売制度は非関税障壁である、あるいは輸入たばこの自由化を妨げるものが公社制度であるから、この際民営化をすべきである等々の要求を、かなり執拗に行ってまいりました。特に、五十七年一月十四日には、時の総理大臣あてに、随分と理不尽と思われるような要求も出してきていたわけでありますし、かてて加えて臨調における論議も、それらを含めてかなり詰められつつあるというような状況であったと思います。  そこで私は、九十六通常国会の折に、予算委員会の分科会等の機会を通じて質疑をしたわけでありますが、時の渡辺大蔵大臣は、今の公社は近代化をし、人手をできるだけ使わないようにし、効率的によくやっていると思う、これが民営化をされたからといって特によくなるとは思えない、こういう見解を述べておりますし、また、時の泉総裁も、仮に専売制度が廃止になるというようなことになると、国及び自治体に対する財政寄与というものがかなり不安定になりはしないか、殊に分割・民営化というようなことを考えると、むしろコストアップをもたらしてデメリットの方が多いのではないか、こういうことすら実は見解として述べておられたわけであります。  さてそこで、今御両所の見解を私の方から紹介をさせていただいたわけでありますが、当時のそういう大蔵大臣なり総裁なりの見解あるいは所信というものについて、竹下大蔵大臣は今どのようにこれを評価あるいは受けとめられるのか、この際、最初にお聞かせをいただきたい、こう思います。
  114. 竹下登

    ○竹下国務大臣 あらかじめ御丁寧に清水委員からその御指摘をいただいておりまして、それを読んでみて、大事なところをラインを引きまして見ますと、まさに「民営から来るメリットというようなものはなくて、むしろデメリットの方が多いのじゃないか、こういう感じがするわけなんですけれども、その辺、いかがですか。」それに対しての当時の泉総裁は、最終的に「財政専売のたてまえからいたしますと、分割民営化ということは適当でないというふうに考えておる次第でございます。」それから渡辺国務大臣は、「どっちがいいものか、実際私にもわからないのです。」という極めて素直な出だしで、最終的に「私はいまのところでは余りメリットはないのじゃないかという気もするのですが、人様の意見も聞いてみないことには、余り唯我独尊になってもわからぬから、それは謙虚に耳を傾けたいと思っております。今後皆さんの意見を聞いた上で私の判断をしたいと思います。」極めて流れとして素直な議論が行われておるわけでございます。  それで、それから考えてみまして、私自身もその後の推移を振り返ってみますと、要するに私自身も、二回目の大蔵大臣になりました途端に出てきたのがたばこの関税の問題でございました。何だ、この間大幅にやったものをまたやらなければならぬかという、そんな素朴な印象を持って見たことは事実であります。その際、耕作者の方、販売店の方、あるいは公社当局、労使ともそれぞれの意見を聞きながら、総体的に申しますと、いわゆる開放経済体制化の中にあっての一つのあるべき方向として、それにいろいろな経過はございましたが、引き下げの方に合意をいただくような、いわゆる根回しを行ってそのような措置をとらせていただいたわけであります。  そこへもってきてもう一つ、おととしの七月の臨調答申がございます。その意見に沿って、先ほど申しました関係者というとやはり今の三者とでも申しましょうか、関係方面との意見の調整を図りながら検討を進めて今日に至った。基本的認識は、やはりその後この渡辺答弁があって以来いろいろな経緯を見てみますと、開放経済体制化を志向するという我が国にとっては一つの避けて通れない宿命、あるいは宿命という言葉は表現が適切でないかもしらぬが、そういう方向を志向せざるを得ない、いつまでも閉鎖的な状態に置くことはできないということで、ではまず自由化だけには踏み切ろうということがこの今日の御審議いただいておる法案のまさに一つの大きな柱であり、そしてそうなればなおのこと、専売公社の経営形態自身をより自由な競争に耐え得るように改める必要があるということで、法律を取りまとめたわけでございます。  そういう意味におきましては、そのときの答弁の中で、泉さんの答弁から敷衍してきましてやはりいろいろ考えてみましたが、割高な国産葉を抱えておる状況という大前提の上に立ったら国際競争力の点から問題がある、したがって分割・民営化はやはり適当ではない。これはまさに判断あるいは決断とでも申しましょうか、そのような考え方に立ったわけでございます。したがって、政府出資の特殊会社に改組しながら、これに製造独占だけはきちんと付与する以外にないという結論に到達いたしたわけであります。だから私どもの事実認識としては、やはりこの特殊会社化という経営形態と製造独占、このことは恒久的な措置とされたものであって、分割とか民営に至る一プロセスとの位置づけはしていないというのが、少し長くなりましたが、基本認識でございます。
  115. 清水勇

    清水委員 今の大臣の答弁の中で、いろいろの曲折があったけれども、この際法案を通じて改革をと、こういう話の中で、今度の改革の一つの大きな柱として開放経済体制にどう即応するか、そのための自由化というものに踏み切ることにしたんだ、こういうふうに言われたわけです。しかし、そうだとするならば、何も専売公社だからそれができないということにはならないのじゃないか、私はどうしてもそういうふうに思わざるを得ないわけですが、その点はいかがでしょうか。
  116. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これはいわゆる輸入の自由化でございますから、したがって私ども輸入自由化をいたしましても、一方国産はいわゆる製造独占というものを与えていく。そしていま一つは、販売店、小売店、これは自由化された外国たばこが、それを対象にアプローチをするわけでございますから、その既存の販売店というものもこれを維持し、そして一方製造独占を持ったたばこもその中で販売の競争の中へ入るわけでございますから、やはりこれを一本化した姿の中で対応していくというのが、私はいろいろ考えてみると現在一番理想的な姿ではないか、こう思います。
  117. 清水勇

    清水委員 大臣の話を聞けば聞くほど、例えば開放経済体制にどう対応するか、自由化をどう進めるか、そのために——後がどうもはっきりしない。それは今の公社体制のもとでも、その気になれば十分やり得るのじゃないか、私はこういうことがどうしても腑に落ちないのです。だから、その辺をちょっと聞かしてもらわないと先に進まないのです。
  118. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  製造たばこ輸入の自由化というものは、製造たばこ輸入して販売しようと思います者が、自己の判断と計算におきまして自由にたばこ輸入して国内に販売できるという、いわば当然のことでございますけれども、それは現在の専売制度すなわち製造たばこ輸入についても公社が専売権を有しており、その公社のもとでなければ輸入ができないという専売制度を残したままでは完全な輸入の自由化はできないというような判断で、今回の改革法案に踏み切ったわけでございます。
  119. 清水勇

    清水委員 監理官、どうして専売制度を残したままではそれができないの。ちょっと説明になってないと思うのだけれども
  120. 長岡實

    長岡説明員 専売制度のもとにおきましては、外国のたばこ業者が日本たばこを輸出したいという場合に、専売でございますから、流通専売のもとにおきましては、日本の国内で競争相手であるべき私ども日本専売公社に売って、日本専売公社が国内で販売するというルートしかないわけでございます。それが専売制度だと思うのでございます。  それから、開放経済体制を進めていくというのは、国家の大きな一つの方針として進んでおったことだと存じますけれども、私が公社へ参りましてから、アメリカからいろいろ声が聞こえてくるのを聞いておりますと、確かに日本への輸出がどんどんふえておった、日本における販売もふえておった、ただ競争相手である日本専売公社の手を通さないと日本で売れないというのは、何かアメリカでトヨタや日産が自動車を売ろうと思うと、GMの手を通さないと売れないのと同じようではないかという不満は確かにあったわけでございまして、そういう意味において、本当の意味での輸入の自由化を図るためには専売制度を改めざるを得ないという御説明になろうかと存じます。
  121. 清水勇

    清水委員 フィリップ・モリスとかレイノルズなどが、今たまたま総裁が言うように、かねてそういう主張をしていたことは事実なんです。しかし、そういう際に私は泉総裁あるいは当時の大蔵大臣議論をして、それでも専売制度を廃止してどういうメリットが得られるか、あるいは民営化をしてどういう利益が確保できるかというと、むしろデメリットの方が大きいのじゃないか、こういう答弁をされているわけですね。ですから現実の問題として、仮に流通専売という制度を維持しておくにしても、基本的には製造外国たばこ輸入というものは自由化をする、日本人の好みに応じて消費が広がれば、必要なものだけどんどん輸入をする、こういうことはやる気になればできるはずなんでして、それのために何も公社を廃止をして民営化をしなければならないということにはならないのじゃないか。なるほど流通専売という制度は仮に百歩譲って廃止をするにしても、公社を例えば新しい会社に仕立てなければそれができないということにはならないのじゃないか。これはどうしてもそういう疑問があるのですよ。大臣、いかがですか。私の疑問の方が愚かなんでしょうかな。
  122. 竹下登

    ○竹下国務大臣 決して愚かとも何とも思いません。流通専売というのは、百歩譲ってという前提でございましたが、仮にこれを是認していただいて、これがなくなる。だから、最初いわば観念的にアメリカのたばこ産業が考えましたのは、まさに完全自由化をして、そのたばこ産業ごとに一つはコカ・コーラの販売組織を通じて売るとかあるいはロッテのチューインガムの販売組織を通じて売るとか、そういうことがあっておったと私は思います。私どものこの問題のみでなく、いわゆるアメリカとのいろいろな関係における話し合いの中で、最初概念的に考えておったものは、そんなものではなかったかというふうに思うわけであります。  しかし、現実、日本専売公社も今世界第三位のたばこ産業輸入自由化するとなれば我が方も競争力をつけていかなければならない。しかし、流通専売を独占しておって競争力をつけるということは、要は国民のたばこの嗜好というのは売ってみなければわかりませんから、流通専売で独占しておれば、数量は言ってみれば割り当てみたいなことになるわけですね。こちらサイドのことになる。だから、自由化ということだけまではオープンにしましょう。したがって、今度私どものサイドでは、専売公社そのものがより自由に商法上のあるいは労働三法のそういう形になって、合理化努力をしながら競争力をつけていくためには、今のいわば三公社四現業の位置づけとして競争力を持つよりも、より自由な経営形態の中で競争力を持つことの努力がより可能性が強いということで、これを特殊会社にしていただこうというわけであります。  しかし、さはさりながら、単純な競争力を見た場合に、いわゆる国内産葉の価格等から見た場合、先ほどおっしゃいました九万数千を抱えておる、あるいは農政上の問題と位置づけられるかもしれませんそういう問題を一方考えてみた場合には、これは将来にわたっての完全な分割・民営の位置づけとしては不適当だ。だから、現在の公社制度よりも商法で、あるいは労働三法で、それぞれより自由に合理化、また競争力をつける形態に移しかえていこうということに結論づけたわけであります。
  123. 清水勇

    清水委員 このテーマは改めて川崎委員の方からまた後日続けてやっていただくことにいたしまして、私の主たるテーマじゃありませんからこの程度にしますが、ただ先ほどの大臣の答弁の中で、確かに二年前泉総裁が言うように、ここで仮に新しい法人に移行するにしても、分割・民営というのはなじまない、こういうことを大臣言われたような気がするのですが、そういう理解をしてよろしいんですか。
  124. 竹下登

    ○竹下国務大臣 当時の泉総裁清水委員との問答の中で、流れの中で、そのようなことをおっしゃっております。
  125. 清水勇

    清水委員 さて、大蔵大臣の所信の中で、いわゆる農政負担分等々のことも考えたりすると分割・民営というような方向はなじまないという発想を披瀝されておられるわけでありますから、それ以上はお尋ねをいたしませんが、いずれにしても今回の専売改革案というものは、かつて私が紹介をしたアメリカ側の主張、要求等に一面ではくみし、また一面では臨調答申を尊重する、こういう立場から提案をなさっておられる、こういうふうに見ているわけであります。  そこで、一つだけ聞いておきたいことは、臨調は答申の中で、当面製造独占は維持する、しかしながら葉たばこ問題が解決をしたら製造独占は廃止する、こう言っているわけですね。そういう臨調答申というものは尊重をされるのですか、されないのですか。
  126. 竹下登

    ○竹下国務大臣 基本的に言いますと、やはり臨調答申の趣旨に沿って改革案の検討を進めてまいりましたが、専売改革に関する臨調答申の基本、これはまず一つには、市場開放要請に適切に対応するとともに、競争原理の導入による効率化の促進を図るための輸入自由化です。それから二番目は、経営の自主責任体制を確立するための公社制度の抜本的改革、この二点に集約されますから、これらはいずれも今次改革案に盛り込まれておるので、基本的な趣旨については私どもはこれに沿ったものだというふうに考えております。  そこで、今局限した御質問で、いわゆる割高な国産葉を抱えた状況がなくなったらという前提でございますが、私どもはそういう現状を見た場合に、割高な国産葉というものを抱えた状況を現実に抱えておるわけでございます。そして、その背景には、今おっしゃいました九万数千の耕作者の方もいらっしゃる。ということになると、それは単純な論理の上で国際競争というものの外に出てしまう。したがって、やはり専売公社政府出資の特殊会社に改組して製造独占権を付与する以外にないと判断したわけでございます。したがって、時に新聞論調等に、かなり骨抜きをしたではないかという批判があったことも事実で、私どももそれについて、そういう批判があったことは十分認識をしておりますが、基本線は臨調の答申を守った案である、こういうふうに考えております。
  127. 清水勇

    清水委員 そうしますと、仮に臨調が言うように葉たばこ問題が解決をした場合にどうなるのか。臨調のあの答申の中ににじみ出ている雰囲気というものは、製造独占の廃止を通じていかにも分割・民営化の方向というものを示唆をしているんではないか、こう思うのですね。例えば輸入たばこについても、これを分離しなさいということを言っている。輸入たばこの取り扱いを分離をするということはそもそも分割への第一歩になりはしないか、こういうことも感じられなくはないので、基本的に臨調答申を尊重するんだ、そういう立場なんだということであるとすれば、その辺はどうなっていくのか。
  128. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  製造独占を特殊会社たる日本たばこ産業株式会社に与えて、それを経過措置として位置づけず、いわば恒久措置として位置づけていることにつきましては、ただいま大臣から申し上げたとおりでございますけれども、国産葉たばこ問題につきましては、農業問題ということもございまして、相当の時日を要するものかと思われるわけでございます。現在、たばこに関しましては、健康と喫煙問題あるいは海外との関係その他不透明な部分が多々あるわけでございます。そういう中で、国産葉たばこ問題が解決した暁に、日本たばこ産業自体が一体どのような状況にあるか、そういったようなことを判断しながら、その時点で改めて判断すべきものだと考えております。
  129. 清水勇

    清水委員 そうすると、葉たばこ問題が解決をした時点で改めて判断をする、何を判断するんですか。
  130. 小野博義

    小野(博)政府委員 ただいま申し上げましたように、製造独占をこの会社に付与しておるということは、割高な国産葉たばこを抱えて、そのもとで国際競争力をつけていかなければならないというこの会社の使命にかんがみて行われたものでございますので、国産葉たばこ問題が解決した時点におきましては、そういった現在の仕組みについて、改めていかがあるべきかということを検討するということになろうかと思います。
  131. 清水勇

    清水委員 そうすると、国産葉たばこ問題が解決をした時点において、製造独占について見直しを含めて判断をするということになるのかどうか、それを最初に聞いておきましょうか。
  132. 長岡實

    長岡説明員 ただいまの監理官のお答えをずっと延長していくと、今の清水委員のおっしゃるようなことになるのかもしれませんけれども、私ども考え方は基本的には逆でございまして、率直に申しまして我が国の国産の葉たばこ、いわゆる葉たばこ農業が本当に国際競争に耐えるような状態になるかどうか、これがやはり問題解決でございまして、切り捨てろというのであれば簡単でございますけれども、それは考えておりません。そうなりますと、いつになったらそれができるかということは簡単にめどが立ちません。ただ私どもは、そういう外国と比べてある程度ハンディキャップを持った国産の葉たばこ農業まで含めまして、日本たばこ産業全体を国際競争のもとに維持していかなければならない、そのために製造独占権も新しい会社に付与されるのだ、こういうふうに理解しておりますので、現在のところ、どの時点で見直すというようなところまで考える気持ちもございませんし、そういう余裕もないと申し上げるのが正直なところだろうと思います。
  133. 清水勇

    清水委員 これは当然だと思うのですね。先行きどうなるか、たばこ産業の見通し等についてこれから質問いたしますけれども、いずれにしても大臣が言われるように、単に暫定的な措置ではなしに、製造独占というものは将来にわたって維持していく。葉たばこ問題の解決というのは、今総裁が——これは本当は総裁答弁する話ではなくて政府側が答弁しなければいけないことなんだけれども、いずれにしても総裁が言うように、これはなかなか難しい問題ですよ。臨調が言うように、そんな簡単に処理できるという問題でもない。だから今はそんなことは一切考えられない、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  134. 竹下登

    ○竹下国務大臣 臨調の議論中心議論しましたときに、これはお答えになるかならぬかはわかりませんが、例えばバイオテクノロジーとか、いろいろ最近の農業部門においてもそういうものが伸びておる。そういう形の中で葉たばこ問題というのが別の次元で解決がついてしまった場合には、いわゆる葉たばこ耕作者という問題は、かつての木炭生産者というものがなくなって、あるいは木炭の販売店がなくなってプロパンにかわった。そういう大きな革命の時代が皆無とは言えないかもしらぬ。しかし現実は考えられないのじゃないか。したがって、現実認識に立ては、今の場合バイオのところまでその見通しを立てなくても、やはりこれは恒久的措置だという姿で認識すべきではないか。議論の過程でバイオの話をしたものですから、ついそんなことを引例して申し上げたわけであります。
  135. 清水勇

    清水委員 その点はよく理解をいたしました。  さてそこで、これは法案を提出をしている政府の側にお尋ねをいたしますが、これから先の我が国のたばこ産業の将来というものは、あなた方はどういう見通しを持っておられるのか、この際明快に御説明をいただきたい。
  136. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  我が国のたばこ産業の置かれている状況でございますけれども昭和四十年代当時は、成年人口の増加であるとかあるいは所得水準の向上であるとか、そういうことでたばこ需要が年平均大体五%ないし六%ぐらい伸びてきたわけでございます。その後、成年人口の増加率の減少であるとか、あるいは健康と喫煙問題が非常に議論されるようになったことであるとか、そういうことからいたしまして、五十年代に入っては年平均おおむね一%あるいは一%弱という伸びにとどまっておるわけでございます。  今後の状況を考えますと、恐らく喫煙と健康問題という議論はいよいよ盛んになる可能性がございます。そういう意味で、現在日本たばこ市場は約三千億の、世界で二番目の大きな市場ではございますけれども、これが急激に伸びていくということはちょっと考えられないと思っております。そういう中で製造たばこ輸入の自由化に踏み切るわけでございますから、新しい会社の経営というのもなかなか厳しいものはあろうかとは思いますけれども、今回、新会社の経営形態を特殊会社に改め、業務範囲を拡大し、あるいは当事者能力を与え、経営の自主性を大幅に与えることによって、日本たばこ産業中心であるたばこ産業株式会社がみずから経営の合理化に努め、今後の競争に対処していくとともに、葉たばこ耕作者を含め、たばこ産業関係者全体が精いっぱいの自助努力をしていただくことによって、日本たばこ産業全体として健全な発展を遂げるための基盤は整備されたというふうに考えております。
  137. 清水勇

    清水委員 どうも提案理由を朗読されているような話でちょっと了解ができないのですけれども、いずれにしても、消費の伸びというものは期待ができない状況である、喫煙と健康といった社会的制約要件などもついて回ってくるだろう、したがって、たばこ産業の健全な発展を期するためには国際競争力を身につけて等々のお話が今あったわけです。  いずれにしても、私がどうしても腑に落ちないのは、将来にわたって消費が余り伸びそうもない、外国からたばこがどんどん入ってくることになる、そうすると我が国のたばこ産業を取り巻く環境というのは、いよいよ厳しい事態に追い込まれていくことはあっても、明るい展望は必ずしも持ち得ない、むしろ事態は電電などと違って斜陽化の感じがうかがわれるのじゃないかというふうに見ざるを得ないのですが、そういうときに、それは開放経済体制に対応してという大義名分があるにいたしましても、何で嗜好品にすぎない輸入たばこをどんどんと我が国のシェアに導入するという意味での輸入自由化の政策を積極的に進めるのか、この辺がどうも腑に落ちないものですから、少し聞かせていただきたい。その際、あわせて、例えば五年後あるいは十年後という短中期に分けて、輸入たばこがどういうシェアを占めるのか、予測があったらそれも聞かせていただきたい。
  138. 竹下登

    ○竹下国務大臣 最初のところは私からお答えすべきかと思います。  貿易自由化の原則というのは、要は地球上に生存する人類が、おのおのその地球上のどこからも、安価にして良質なものが自由に生活環境の中に取り入れられる環境、これが貿易自由化の原則ではなかろうかと思います。しかしながら、その中でどうしても除外されていく第一義的なものは、いわゆるナショナルセキュリティーに関する食糧とかそういう問題であろうと思います。第二義的なものは、いわゆる国境というものが存在する限りにおいては、そこにはいろいろな産業があって、その競争力がやや均衡を保つまではそれはでき得ないというとこうに関税がありましたり、あるいは俗称非関税障壁があったり、こういうことが大体世の中の移り変わりの一つの自然な姿かなと。  たばこは確かに、先生御認識なすっているように、日米の間ではある意味においてシンボリックな存在であったかもしれません。一番最初のシンボリックなものは何であったかといえば、向こうの方が工業力のなお強い時代は自動車とか工作機械とか、それがむしろシンボリックな存在であったかもしれません。しかし、我が国はそれにはまさに大変な競争力がついた。そうすると、二番目には今度は、これは誤解に基づくものとも言われましたが、アメリカの新聞等において一番象徴的に議論されたものは金属バットであったと思います。金属バットは、確かにあれはアメリカの方が最初だったそうでございますけれども、身長、体重も違いますし、それで日本人が器用でございますから、金属バットで、球のはね返る力の強い、しかもカーンという音の非常にいいものを巧みにつくってしまった。しかも、高校とか中学でいろいろな基準をつくった。アメリカは基準はわかりませんから、大きいものを持ってくれば売れるわけはございません。そういうところから、その辺でまた大変象徴的なものとして金属バット問題というのがあった。金目にすれば、それはほんのわずかな話でございます。  そうして、農産品は別にとりますと、次、ややシンボリックなものがたばこだなという感じを私は率直に受けとめました。時には、もう日本に対して何にも勝つものはないじゃないか、たばこならまだ日本に勝てるぞというところから、日本たばこ産業に国際競争力がつかない前に大いにそのシェアを拡大するという、あるいは産業には企業責任者としてそういう意図があるかもしらぬ。しかし、なかなかそうはまいらぬと言いつつも、やはり自由化の中において関税を徐々に下げてまいりました。  その次何をしたかというと、販売店を少し数をふやしたり、そういうことで対応してきた。そうして、おっしゃいますように、たばこは嗜好品で、食糧ではないわけでございますから、最終的にはナショナルセキュリティーとは必ずしも言えない。そこでこれの開放体制を決めた。しかし、いずれにしても財政物資であるということから、従来の販売店というものの存在が我が国財政にも大変いい税の取り次ぎ機能も果たしておる。だから、ロッテだ、あるいはコカ・コーラだで売るわけにはいきませんよ、いわば水際から上がるまでは自由化いたしましょうというのが今度の考え方ではないかなと。  この間来私も承っておりますと、シェアがあるいは五%ぐらいまではなるかもしらぬ、なってもということで、これから新しい形態の中でそれに対する競争力の血みどろの努力がなされていくであろう、これから私ども会社に対してそれを期待をしておるというのが偽らざる今日までの状態であります。
  139. 長岡實

    長岡説明員 輸入自由化後における外国品、いわゆる輸入品のシェアがどのくらいになるか、五年後、十年後にはどの程度のシェアを占めるかという御質問でございましたが、これは私前にもお答えを申し上げておりますけれども、率直に申し上げまして、何年後に何%になるという具体的な数字の見通しを立てることは極めて困難でございます。  と申しますのは、見通しを立てる場合に、やはりどうしても楽観論と悲観論とあり得るわけでございますが、楽観論の方から申し上げますと、実は輸入が自由化されたときの前例といたしまして、フランスやイタリー等の話がよく出ます。フランスやイタリーにおきましては、アメリカのたばこ中心とする外国たばこ輸入がどんどん自由化されて、間もなく国内のマーケットにおける輸入品のシェアが三割前後になった。これは大変な数字でございます。ただそれは、私どもが見ますと、殊にフランスでございますが、フランスの専売公社がつくっておりましたたばこが非常に特殊なもので、黒だばこという種類の、率直に言って非常に辛いような感じでございますけれども、フランスの公社は、フランス国民は伝統的にこういう味のたばこしか吸わないということを頭から決め込んで、今のアメリカ式の非常にマイルドなたばこの製造に取り組む姿勢に欠けておった。それが結局輸入をしてみたところが、若い方の方が主でございましょうけれども、そのアメリカたばこに対する嗜好が非常に強かったということだろうと思うのでございます。  こういう点からいたしますと、私どもはもう何年も前から、アメリカたばこの傾向に合致するような、すなわち世界的な傾向として、最近の喫煙者の方々が好まれる軽い、やわらかい、ニコチン、タールの量も少ないといったような傾向のたばこ開発しておりまして、現在日本国内で消費されているたばこの四二%がマイルドセブンというたった一つの銘柄で占められておりますけれども、マイルドセブンなどもそういう傾向のたばこでございます。そういったような商品開発も怠りなく現在までやってきておりますので、輸入が自由化されても、それほど食われることはないんじゃないかという楽観的な見方もあり得るわけでございます。  ただ、一方において悲観的な見方といたしましては、現在まで輸入が自由化されていない今日におきましても、ここ数年間の実績を見ますと、国産品は頭打ちもしくは値上げの年には若干落ち込むというのに対しまして、輸入品の方は着実に伸びております。これが輸入が自由化されました場合に、一体外国の業者、なかんずくアメリカの巨大資本がどのような手を打ってくるかは、私どもまだわからないわけでございます。何と申しましても百戦錬磨の、殊に国際たばこ市場において各地に進出していって競争している企業でございますから、あの手この手といろいろ打ってくる可能性がある。率直に申しまして、これはまだこれから先の問題でございますので、一体どんな手を打ってくるか、それによってどの程度食われるかという見通しが立ちにくいというのが率直なお答えでございます。ただ、大臣からも先ほど申し上げましたように、新しい制度になる以上は、何年とはっきり申し上げられませんが、数年の間に今の一・八とか一・九%というシェアが五%ぐらいになることは覚悟の上で、今後の経営計画を進めていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  140. 清水勇

    清水委員 実は総裁、私が一カ月ほど前でしたか、公社の方からちょうだいをした一つの見通しのデータがあるのですけれども、例えば昭和六十二年度には輸入品のシェアは回ないし六%ぐらいになるであろう、その五年後の六十七年には一一ないし一五%、こういう数字が出ているのですね。しかも注釈があって、どうもこの数字はいささか過小評価ではないかと思うけれども、総合的に判断をするとアバウトでこんなものだろう、こういうふうな話があるわけですね。ところが、今の総裁のお話は多少楽観的な見方の方が強いのかどうか。まあ五%くらいなことは覚悟しなければならないがという程度で言われていて、どうもちょっと数字の上に乖離があり過ぎるんだけれども、これはどうですか。
  141. 長岡實

    長岡説明員 公社といたしまして、公的な見解と申しますか公式な見解として、何年後にどのくらいになるという数字はまだございません。ただ、当然のことながら、公社の各部局におきまして、将来に備えていろいろの推計をしていることは事実でございます。恐らく今お読み上げになりました数値もその中の一つであろうと存じますが、私が先ほど、数年後に五%ぐらいになることを当然覚悟して取り組んでいかなければならないと思うと申し上げましたのは、今おっしゃいました六十二年度ごろには回ないし六になるだろう、その辺までは私ども公社全体として覚悟しながら進めている。ただ、その先は率直に申し上げましていろいろな考え方があって、まだ決断がつきかねておるといった状態でございます。
  142. 清水勇

    清水委員 これは政府側に聞いた方がいいのだろうと思うのだけれども事業法の第一条に、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって」云々と書いてあるわけですが、第一条にこれを明記する以上は、少なくても輸入たばこの我が国におけるシェアを含めて一体どういう将来が予測をされ、どういう事態を展望せざるを得ないかという前提がなければならぬと思うのです。そうでしょう。例えば今総裁が言うように、数年後五、六%ぐらいはシェアが占められるかもしれない。しかし、一%といえば三十億本でしょう。五、六%といえば百五十ないし八十。例えば年間百億本ぐらいの工場であれば二つくらいは要らなくなる。当然それに付随して耕作面積の減反というようなことも必要になってこざるを得ない。「健全な発展」という観点から見ると、これは非常なおもしになるはずなんですね。  しかも、さっき私がちょっと紹介をした数字では、六十七年、これは予測だけれども、一一ないし一五%くらいのシェアになった場合、国産紙巻きたばこの数量は二千三百億本ないし二千八百億本ぐらいになってしまう、こういうわけですね。仮に二千三百億本にも落ち込むなんということがあれば、そのもたらす影響というのは甚大だと思うのですね。だから、数年後はなるほど五、六%で済むかもしれない。しかし、さらにその数年後は一体どうなるのか。少なくても中期的な見通しに立って、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、」こということが、公社から新組織へ移行するというこの機会にきちっと展望されていなければならない課題じゃないのか、こう思うのです。これは公社の方へは聞きません。政府の側でどういうふうな判断を持っておられるのか。
  143. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も専門家じゃございませんから、足らざるは政府委員からお答えすることになろうかと思いますが、今おっしゃいました三十億本として百五十億本ないし百八十億本、その辺までは私も実は総裁答弁を聞いて感じた数字で、私が勉強した数字ではございません。  しかし、私自身は、このたび開放経済下に立って、それを志向する我が国としてここまで踏み切るということになりますと、いわば耕作者の方あるいは販売店の方、組合の方等ともいろいろ御協議もいたしましたが、まずそれ以前に、これはデータに基づくものではございませんけれども、とにかくフランスの例がよくとられますが、今一番労使の関係がうまくいっておる国は先進国の中で日本であり、そして一番まずくいっているのがフランスであるかもしれません。が、そういう相違、それから今日までの各種産業における自己努力の経過を見れば、あるいは先般輸出会社も認めたところでございますけれども、それこそ血のにじむような双方の努力の中でそれに対応する、いわゆるたばこと健康という問題の世界的な問題はちょっと右に置いて、産業そのものとして考えた場合、今日のいわゆる数量とか規模とかということからは世界三番目と言われておる専売公社が、より競争原理の上に立ってできるような体制と知能を集めたならば、私は対応できるようにならねばならぬという期待感というものは十分持っておるつもりでございます。ただし、期待感と申しましたので、中長期的に、例えば五%があと何年で何%になるとか、そういう推定を置いたものではございません。
  144. 清水勇

    清水委員 監理官、何か補足ありますか。
  145. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの大臣の御答弁で尽きておると思うのでございますけれども、あえてつけ加えますならば、たばこというのは嗜好品でございますし、先ほど総裁から御説明がございましたように、四二%がマイルドセブンであるというような状況からいたしまして、現在の国産たばこというのは、日本人である国民の喫煙者の嗜好に合っておると申しますか、それなりに喫煙者の心をとらえておるものだというふうに考えております。今後とも会社といたしまして、より国民の嗜好に合った製品を開発する、そういう努力を重ねていきますことによって、外国品のシェアの上昇をできる限り食いとめていくというような営業努力は当然あってしかるべきであると存じますし、また一方、今回の改革によりまして、目的達成業務と申しますか、新しい事業への展開というのも大いに予想されるところでございますので、そういういろいろな手段を総合的に駆使しながら、新しい事態に十分対応していけるのではないかというふうに考えております。
  146. 清水勇

    清水委員 どうもはっきりしないので、必ずしも得心がいかないのですけれども、正直言ってマイルドセブンに代表されるような、いわゆるマイルドなたばこのシェアが今日四二%も占めているように、いわゆるアメリカンタイプのたばこも現に開発をし国産をしておる、だからアメリカたばこが入ってきたってそれほどの影響はないと思うんだ、こういうようなことを総裁も言われたし、また、そういう努力を通じて国際競争力をつけていけば、それほど心配はないんじゃないかと大臣も言われる。  そううまくいけば、これにこしたことはないわけなんですけれども、事態の予測というのは必ずしも楽観的な見方だけで片づけられることではなしに、一面では、BATを含めて世界三大企業なんというのは虎視たんたんと日本の巨大シェアをねらっているわけなんですから、そういう中で図らざるも結果として輸入たばこのシェアが広がる、それが我が国のたばこ産業への影響となってあらわれる、こういうことになりますと、それが先ほど来大臣が心配をしていただいている葉たばこ耕作者の生活の安定というものに直ちに動揺を来すということにもつながるし、小売店にも影響がある。ですから、この辺のところは、少なくとも新組織に移行するという今日の時点で、あらゆるタイプの予測を一つのモデルとして基本的に持ちながら、この場合にはこういう対応をしていくといったようなものが政府の間できちっとなされている必要があるのではないか。これは意見ですから、それ以上のことは言いません。  さてそこで、いずれにしても私の本題に入るのですけれども、今後過剰在庫の処理というのが、先ほど来の葉たばこ問題という言葉にあらわれるように、非常に重要な柱になるんじゃないか。具体的な処理方法というものを、政府は今どういうふうに考えているのですか。
  147. 長岡實

    長岡説明員 葉たばこの過剰在庫問題でございますが、まずその現状を御説明申し上げますと、昭和五十三年以降在庫調整に努めてまいりまして、五十六年までの四年間で累計約五千五百ヘクタールの耕作面積を縮小しておりますが、一年分の過剰在庫がございます上、なお年々の生産量が使用量を上回る状況にございましたために、五十七年作、これは五十六年八月のたばこ耕作審議会答申に基づくわけでございますが、五十七年作について単年度の使用量と生産量が見合うところまでの面積ということで、約五千ヘクタールという大幅な面積の縮小をお願いをしたところでございます。  しかしながら、その後今日に至るまで、依然として約一年分に及ぶ過剰在庫が存在しておりまして、公社といたしましては、今後この過剰在庫を圧縮するためにあらゆる手だてを講じなければならない。具体的に申しますと、葉たばこの生産の面においては、結局国内産葉たばこ品質及び生産性の向上を積極的に推進していかなければならないと思いますし、葉たばこを使う使用の面から申しますと、シガレットをつくる場合の葉組みでどれだけ国産の葉たばこをうまく使っていけるかといったような問題、加工技術改善していくといったような問題、そういうようなことを通じまして国内産の葉たばこの使用拡大を図ってまいらなければならないということで、今真剣に取り組んでいる段階でございますし、葉たばこ状態での輸出につきましても、これは率直に申しまして、国際的な比較を申しますと価格面で割高になっておるものですから、おのずから限界がございますし、若干の赤字を伴うような輸出が多いわけでございますけれども、これもやらざるを得ないということで、最近は相当力を入れておるわけでございます。  こういうような努力を今後とも懸命に続けてまいるつもりでございますけれども輸入自由化後の価格品質両面にわたります国際競争の激化を展望いたしますと、これら公社の過剰在庫圧縮努力にもおのずから限界があって、今後のたばこ産業全体の維持発展を図るという観点から考えますと、これは葉たばこ耕作農家にだけしわ寄せするつもりは毛頭ございませんけれども、私ども公社自体の企業努力と、あわせて耕作農家にもその辺の事情の理解を求めながら、応分の協力をお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  148. 清水勇

    清水委員 これまでいろいろ努力をされているという経過を私も承知しております。ただ問題は、今せっかく在庫調整を進めておられるわけでありますけれども、一面では輸入葉が入ってきているわけですね。この辺は大臣にもよく承知をしておいていただかなければならないことなんですが、他の農畜産物等の場合、えてして過剰基調という状況になっている。そこで、国内では生産調整が年々行われる。けれども、相次いで海外からの輸入農産物の量が増大をする。二回に減らない。そこで国内におけるせっかくの在庫調整努力をしても、あるいは生産調整努力をしても、輸入との見合いで、輸入の量のいかんによっては再びまた過剰基調になるという事態があり得るわけですね。  ですから、どうしても輸入葉の使用割合というものについて一定の歯どめを持たなければ、今総裁が言われる、先ほど来大臣が言われるような、国内の葉たばこ耕作というものを安定的に確保していくということにはならないのじゃないか。ですから、この際具体的に、現在の製造たばこにおける輸入葉、国産葉の使用割合というのは、大ざっぱにいって三対七だとか、もうちょっと細かい数字でいえば六七%くらいが国産葉じゃないか、こう言われているのですけれども、この使用割合というものは少なくとも将来にわたって維持をしていく、こういうものがないと、いわゆる過剰在庫の調整という形であれこれ努力をされても、輸入葉が逆にふえてしまうということがあったのでは、これは自給率も下げるし、安定度も欠くということになりはしないか。これは総裁から聞いた方がいいかもしれませんが、その辺いかがでしょう。
  149. 長岡實

    長岡説明員 お答え申し上げます。  現在の輸入の葉たばこは、もちろん御承知のことでございますけれども、大きく分けますと、性格的にいえば二つあると思います。一つはアメリカのいい葉っぱ、あるいはオリエントの葉っぱのようにたばこの味つけに、香喫味原料と申しておりますが、これは必要欠くことのできないものがございます。それからもう一つは、ニコチン、タールの量などが少ない緩和補充料と言っておりますけれども、これは東南アジアとかあるいは中南米、アフリカといったようなところでつくっている葉っぱがございます。そこで、御指摘のとおり、国産葉の方が過剰基調であるということで、仮に耕作農家の御協力を得てある程度の減反ができても、輸入の葉っぱがふえてしまったのでは何にもならぬのではないかというのは、それはまさに御指摘のとおりでございます。非常に率直に言わせていただきますと、国際競争力を持つためには、実は輸入葉の方が安いわけでございますから、安い葉っぱをたくさん使いたいという気持ちが全然ないと申し上げればうそになると思いますけれども、一方において、国産の葉たばこ農業を維持していくのが私どもの役割でございますから、そういった国産の葉たばこ農業にしわ寄せをして輸入葉がふえていくというようなことは絶対にしないつもりでおります。  先ほど申し上げました国産葉の使い込みあるいは国産葉の輸出といったようなことで過剰在庫の解消に現在努めておりますし、今後も懸命の努力をいたしますけれども、その過程におきましては、緩和補充料的な、東南アジアとか中南米とかいったようなところから輸入している葉っぱはむしろ減るというふうにお考えいただいて結構でございます。ただ長期的に見ました場合に、国産葉の率と外葉の率の一定率を常にコンスタントに維持していくということのお約束はなかなか難しくてできないと思うのでございますが、現在のように、我が国の国内でたばこをつくる場合に国産葉が主原料であるというこの方針だけは、将来ともに貫いてまいりたいというふうに考えております。
  150. 清水勇

    清水委員 国産葉が主原料であるという立場は将来ともに貫いていく、言外に言わんとされることを感じ取れないことはありませんけれども、ただ、せっかくの機会ですから——耕作者がそれなりに先行きに懸念と不安を抱いているわけなんですね、正直言って。ですから少なくても当分の間は、現在の使用割合の水準というものを維持していくのだというぐらいなことをやはり言っておいてもらわぬと、これは困ると思うんだな。
  151. 長岡實

    長岡説明員 過剰在庫の解消策について今鋭意詰めておりますけれども、これは私の個人的な見通しとしてお聞きいただきたいのですが、その過程においては、むしろ国産葉率が一時ふえることもあろうかと存じます。ですから、そういう意味で、私どもの仕事の取り組みの姿勢から、耕作農家の方々に将来にわたる不安なお気持ちを抱かせないように、最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  152. 清水勇

    清水委員 それではこの点、大臣もひとつ念頭に置いて、将来にわたって対処をしていただきたい、こういうことを希望をいたしておきます。(「大臣もうなずいた」と呼ぶ者あり)今委員の方から言われるように、大臣もうなずいたということをひとつ速記録に……。  さてそこで、いずれにしても今の総裁の所信を承っていて、私の抱いていることは杞憂であり、懸念であるかもしれませんが、これは意見として聞いてほしいのですけれども、いずれにしても今日の過剰在庫の調整に当たっては、耕作者の皆さんに激変という感じを与えることのないような安定的な方法でこれを進めていく、こういうことをひとつこの際しっかり踏まえていただくようにお願いをしておきたいと思います。  さて、そこで次に全量買い取り制のことについてお尋ねをしたいのでありますが、今度の新法人への移行を図ろうという中で、公社の事前の説明では、全量買い取り制というものは維持されるのである、こういうふうに言われているのだけれども、耕作者はなかなかそうは受け取れない。それは法律上の許可制から契約制になった、表現が変わったからということを必ずしも言っているわけじゃありませんが、そういう点も含めて一定の不安を抱いているわけなのでありますが、現行同様な全量買い取り制という建前は不変であるというふうに言い切れるのかどうか、お聞かせをいただきたい。
  153. 生平幸立

    ○生平説明員 お答えいたします。  現在、たばこ専売法におきましては、耕作者に葉たばこの納付義務を課しております。一方、公社に対しましても、納付に適さない葉たばこを除き、公社がすべて買い取るというふうに規定しているところでございますが、具体的には、葉たばこの等級標本をあらかじめ設けまして、その最低等級に達しないものを除いて、すべて買い入れの対象にしているところでございます。新しい制度のもとにおきましても、現在の全量買い取り制と同様に、最低等級の標本に及ばないものを除きまして、すべて買い取る仕組みを維持する考えでございます。  なお、この標本でございますが、このように買い入れの基準となる大変重要なものでございますので、耕作者側それから買い取る会社側、両当事者の代表によって決定される制度を考えているところでございます。
  154. 清水勇

    清水委員 今お答えのように、法案の三条四項で「原料の用に適さないものを除き、すべて買い入れるものとする。」こういうふうに書かれていることは、私もよく承知をしている。その表現はまことに耳ざわりもいいし、一定の安心感を与えてくれているように感じられないことはないのでありますが、問題は、最低の等級に達しないものを除きと、こういうお話が今あったけれども、いずれにしても原料に適するか否かという判断をされるのは、耕作者じゃなくて買い入れ側ですね。会社側でしょう。そこから問題は、買い入れ側がそのときの、つまりさっきも総裁から、単年度収支というふうな話がありましたけれども、過剰在庫の調整というようなことを念頭に置いてやってきているが、なかなかうまくいかない、こう言って敷衍をされているけれども、そういう立場から、例えば買い入れ側が一方的に、あるいは恣意的に、これは買い入れることができないと判断をする、買い入れられない範囲を、そうした判断を通じて拡大をするというようなことがあったのでは、これはなかなか困るのでありまして、この辺は、ただ言葉の上でそういうふうに言われただけではなかなか安心ができない。だから、現在のように、ごく限られた、一部の廃棄を命ぜられたもの以外は全部買い取っている、そういう現状と変わるのか、変わらないのが、この点をひとつ聞かしてください。
  155. 生平幸立

    ○生平説明員 結論的に申し上げますと、現状と変わらないと言ってよろしいと思います。現在の買い方では、あらかじ目標たばこというものを等級別につくっているわけでございますが、現在は、耕作の代表の意見を聞いてつくっているということでございます。新しい制度におきましては、今までの専売制度のもとにおきますように、納付とか収納とかいうことじゃございませんで、買い取り、売買ということになりますので、生産代表、会社代表両方の標本委員が合議をいたしまして、あらかじめ納得の上で標本葉たばこというものを設定するわけでございます。その標本葉たばこに基づきまして、これと比べまして買い入れる、そういうことでございます。したがいまして、むしろ今までよりも、そういう意味では生産側にとりましては安心ということが言えるのではないかと思いますが、結論的には従来と変わるということはないと言ってよろしいと思います。
  156. 清水勇

    清水委員 先ほどから標本という話が出たから、僕は順序としてちょっと先で聞くつもりでいたけれども、この際ただしておきたいと思うのですが、いずれにしても買い入れに当たって標本の決定をどうするか、これは非常に重要なことですから、それなりに耕作者も、民主的なルールでそういう品位等を定める標本を決定をする、こういう手続が踏まれることを期待をしているわけですね。それで、これは法案によると省令をもって定める、こういうことですね。この際、予定をしている省令の内容を聞かしていただけませんか。
  157. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  御質問の省令でございますが、たばこ事業法の第三条の五項「前項に規定する買入れに際しての葉たばこの品位に係る決定の方法については、大蔵省令で定める。」ということになっておるわけでございますが、ただいま公社からも説明がございましたように、基本的には、会社及びたばこ耕作者の双方にとって、公平かつ客観的であって円滑な買い入れが行われることを旨とした内容であることが必要であると考えております。  大蔵省令の内容は今後具体的に詰めていくこととなるわけでございますけれども、現在のところでは、品位の鑑定の基準となる標本葉たばこの決定のためには標本委員会というものをつくるわけでございますけれども会社及び耕作組合中央会から選出された同数の委員によりこの委員会を構成し、この設置された委員会において標本葉たばこの決定をするということをまず考えておるわけでございます。次に、その基準となる標本葉たばこに基づく鑑定といたしましては、会社の専門職がおるわけでございますので、この会社の専門職員が行います。第三に、鑑定に関する不服であるとかあるいは苦情を処理するための協議機関を設置する。この三つの柱で現在考えているところでございます。
  158. 清水勇

    清水委員 今までの標本葉たばこ委員会というのは、中央及び地方の耕作者の代表をもって組織をしているのじゃないですか。
  159. 生平幸立

    ○生平説明員 そのとおりでございます。中央とそれから地方の委員ということで構成しております。
  160. 清水勇

    清水委員 どうして今度は地方の耕作者代表を含めようとしないのか。いやしくも今まで標本葉たばこ委員会というのは、全国の耕作者の代表の総意をできるだけ反映をさせよう、そういう民主的なルールというものが前提になって委員会が構成をされ、役割を果たしてきている。ところが、今度は会社の代表と中央会の代表だけで構成をして、今までと同じようなことをやると言ったって、同じようなことはできないのじゃないですか。
  161. 生平幸立

    ○生平説明員 標本委員の選び方につきましては、従来と同じように地方からも代表を選んでやっていくという考えでございます。
  162. 清水勇

    清水委員 監理官、そうするとあなたのさっきの説明は違いますか。
  163. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど会社及び耕作組合中央会から選出された同数の委員より構成と申し上げましたけれども、具体的にどういう方が選出されるかについては、中央会の方でいろいろ御相談になることだと思っております。
  164. 清水勇

    清水委員 生平さんですか、従来どおり中央及び地方の耕作者の代表にも加わっていただく、こういう話があったが、その点はどちらの説明が正しいんだね。それは中央会にお任せしているから、中央会があるいは地方の代表も入れるようになるかもしれないというようなことで理事が言っているんだとすれば、私の先ほど言うたこととちょっと意味が違うんだ。やはり標本葉たばこ委員会というものは、従来中央の耕作者代表、地方の耕作者代表、これが委員会を構成して一つのルールというものを民主的に決めてきた。実にうまくいってきたわけでしょう。だから、それをやめるのか、やめないのか。
  165. 生平幸立

    ○生平説明員 従来のやり方をやめるということはございません。現在ありますように、地方の標本委員というものもありますが、新しい制度におきましては、リストをつくりましてそれぞれ適任者を選んでいただきまして、中央会の方から推薦していただく、こういうようなことになるわけでございますから、実体的には全く従来のやり方を引き継いでやっていくという方針でございます。
  166. 清水勇

    清水委員 くどいようですけれども、じゃその点は従来どおりであるというふうに理解をしてよろしゅうございますね。  それでは、今監理官があわせて鑑定について話をされているんだが、私もよく承知しているのですけれども、従来は公社職員二名が甲鑑、乙鑑というような格好でそれぞれ鑑定に当たってきているわけですが、これは引き続き同じような方法で鑑定をされることになりますか。
  167. 生平幸立

    ○生平説明員 鑑定して買い入れる、いわゆる鑑定につきましては、従来と同じように会社の職員が鑑定して買い入れるというふうに考えております。
  168. 清水勇

    清水委員 私の聞いているのは、くどいようですけれども、従来は甲鑑、乙鑑で鑑定をして、非常に公正にやっていてくれたと思いますね。だから、そういう従来の方法というものが、新会社に移行しても同様に維持をされていきますか、こういうことなんです。イエスかノーかでいいです。
  169. 生平幸立

    ○生平説明員 そのとおりでございます。
  170. 清水勇

    清水委員 それから、監理官の先ほどの話に出てきた苦情の問題、これをどう処理するか。従来鑑定官が誠実に鑑定をなすっているに違いないんだが、人間の目ですから、時には苦情の対象になるようなことが起こるわけですね。そこで迅速かつ適切に苦情処理が行われる。これはこれからも必要だと思うのですが、具体的には、私の仄聞するところでは、省令によって調停委員会の設置を検討するというような動きがあるというのですけれども、あるんですか、ないんですか。
  171. 小野博義

    小野(博)政府委員 先ほど鑑定に関する不服及び苦情を処理するための協議機関と申し上げたわけでございますけれども、名称はともかくといたしまして、新会社と耕作組合中央会から選出されました同数の委員による苦情処理機関、これはまだ具体的に詰まっておるわけではございませんが、一応複数段階で苦情処理機関を設けまして苦情処理をしていくというふうに考えております。
  172. 清水勇

    清水委員 いずれにしても苦情の処理ということは非常に重要なテーマですから、耕作者の意が十分反映されるような、そういう機関として構成されるように検討していただきたい。よろしいですね。
  173. 小野博義

    小野(博)政府委員 先ほども申し上げましたように、品位の決定につきまして、円滑に買い入れが行われることを旨として定めるべきものと考えておりますので、公社、耕作者とよく相談して決定いたしたいと思っております。
  174. 清水勇

    清水委員 さて、そこでもう一回前に戻るのですけれども、そういう品位を定める標本によって鑑定をして買い入れる、こういうことであります。先ほど来全量買い取り制ということについては従来と同じである、こういうことが明らかにされたわけでありますが、例えば具体的に買い入れられない葉というものはこれこれであるというようなことを省令か何かで定めるのですか。
  175. 生平幸立

    ○生平説明員 買い入れない葉たばこにつきましては、標本を作成する段階で耕作代表の委員と協議して決めるということになろうかと思います。
  176. 清水勇

    清水委員 それはつまり、買い入れられない範囲というものについて、耕作組合中央会と会社の方と相談して、品位を決める標本を定める際に云々と今言われたのだけれども、その際に具体的にこの範囲の葉っぱは買い入れることはできないといったようなものを省令か何かで例示をするというようなことはするのですか、しないのですか。
  177. 生平幸立

    ○生平説明員 省令に書くということは難しいかと思いますが、そういう葉たばこにつきましては、従来から一つの確立されたルールといいますか、現に標本葉たばこで買い取りをずっとやってきておりますので、新しい種類でも開発して導入されるというときには、またいろいろ協議を新たに尽くさなければならないということがございますけれども、現在栽培しております種類につきましては今までの標本というものがございますから、それと大体前の年、そういうものに比準してまた標本をつくっていくということになると思いますので、そんなに大きな意見の食い違いというものは生じないでやれるのではないかというふうに考えているところでございます。
  178. 清水勇

    清水委員 そうすると、こういう聞き方をしておきますが、現行制度のもとで廃棄を命ずるものがありますね。それと同じことだという理解でいいですか。
  179. 生平幸立

    ○生平説明員 そのように考えております。
  180. 清水勇

    清水委員 今、廃棄ということをお尋ねをしたので、廃棄に関連をしてちょっと聞きますが、今度の法案の中では現行制度のような廃棄という処分はないわけですね。いわゆる買い上げられないものを除きすべて買い入れる。では、買い上げられないものはどうなるのですか。
  181. 生平幸立

    ○生平説明員 廃棄という言葉はございませんけれども、現在の専売法のもとにおきましては収納する、あるいは耕作者側にとりましては納付するというような表現でございまして、それとの一連の関連のある表現だと思いますが、買い入れないものは公社の許可を受けて廃棄させる、こういう一方的といいますか、そういう表現になっているわけでございます。新しい制度におきましては、原料の用に適さないものを除き買い入れるということになりますから、したがいまして買い入れない葉たばこについては、行為としましては従来と同じように廃棄といいますか、捨てていただくというようなことは従来どおり起こると思います。ただ、表現の上では廃棄という言葉を使わなかったというふうに理解しております。
  182. 清水勇

    清水委員 あなたの今言っていることはちょっと強行解釈過ぎるのであって、現実の問題として、買い入れられないものを除きすべて買い入れるということは規定されているけれども、買い入れられない葉っぱの処理はどうするかというのは何もないわけです。だから、今度は殊に許可制ではなしに契約制なんだから、幸か不幸か、ある葉っぱが買い上げられなかった、手元に残った、そこで、せめて自分で吸う分ぐらいたばこをつくってもいいか、こういう議論だって当然出てきていいのじゃないですか。買い上げられない葉っぱで自家用は許される、こういうことでいいのですか。
  183. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど公社から御説明がございましたように、現在の制度のもとでございますと、葉たばこはすべて収納する、したがって、収納に適しないものは公社の許可を受けなければ全く処分できないという格好でございますけれども、今回は耕作者と会社との間で面積について契約をして、その面積からとれたものについては、製造たばこの原料に適しないものを除き買い入れるということだけを規定しているわけでございまして、残ったものについては処分されるか、どうされるかは耕作農家の御自由ではございます。ただし、その葉たばこをもって自分でたばこを製造されますと、それはたばこ事業法に言う製造独占違反ということになりまして、罰則の対象になるわけでございます。
  184. 清水勇

    清水委員 今の監理官の私に対する回答と、さっきの生平理事の回答は違うんだな。つまり、今度の法案には廃棄というようなことについては何も触れてないけれども、実は中身としては同じように取り扱っていただくのだ、こう言っている。だけど、文言に何もないのをそういうふうに読めというのだから、これは余りにも強行解釈じゃないか、こう言って聞いたのだが、今監理官は、処分は耕作者の自由だ、ただし、たばこをつくって吸っちゃいけない、こう言っておどかしたわけなんだけど、その辺はどっちかはっきりしてくださいよ。何も私は密造を奨励しているというんじゃないんだよ。
  185. 生平幸立

    ○生平説明員 原料の用に適さないということで会社が買わない葉たばこでありますから、多分実際にそれをまた原料にして吸うとかそういうことはないのではないかと思いまして、現在でも廃棄しているような非常に悪い葉たばこでありますので、同じように廃棄するようなことになるのではないかというふうに申し上げたわけでございます。専売制度のもとでは持っていることもいけないわけでありますから、公社の許可を受けて廃棄する、こういうことだったわけですが、今度は専売制度がなくなりますから、持っている、あるいは製造たばこの原料として会社に売る目的で契約をしたところが買い入れの対象になるわけでございますから、それ以外の形で持っているというようなことは、それは自由といいますか、あるわけでございますけれども、原料として不適だということで買わない原料ですから、捨てることになるのではないかというふうに考えて申し上げたわけでございます。
  186. 長岡實

    長岡説明員 今回の制度改正で今までと違うことになりましたその基本を御説明申し上げないと、御理解いただけないと思うのでございますが、今回は葉たばこ専売ではなくなります。それで、製造たばこの用に供する葉たばこについて契約をして、そして製造たばこの用に供し得るものを全量買い上げするという仕組みでございますね。そうしますと、そこに残りますものは、製造たばこの用に供する目的のもとに契約をして栽培をしていただいたけれども、いざ収穫の段階になったときに、従来のような標本に照らしてみたときに、最下等級以下と申しますか、そういうもので、たばこの製造には使えないというものが一つ残ります。観念的には、それ以外に、製造たばこの用に供する以外の目的で葉たばこをつくることができるわけでございます。  これは、実は私どもがまだ歯切れのいいお答えができないのでなかなか御理解がいただけないのですが、例えば農薬用とか薬品用とか、あるいは花を吹かせて観賞するたばことか、そういう種類のものは新しい会社と契約しないで自由に栽培ができることになる。それをどうするかという問題は残っておりますけれども、観念的には、契約をしてつくっていただいたたばこの中で、収穫の時期になって葉たばこの用には供し得ないということで買い上げの対象にならなかったものは、たばこ以外の目的でつくった葉たばこと同じグループになるわけでございますね。したがって、すべて廃棄するものだと申し上げるのは、本当は正確ではない。ただし、現実には恐らく大変質の悪いものが残るわけでございますから、果たしてそれがほかの目的、いわゆる製造たばこ以外の目的にも使えるかどうかわからないので、現実問題としては従来と同じように廃棄されると考えるのが自然ではなかろうか、こういう感じだと思います。
  187. 清水勇

    清水委員 そうすると、私流に解釈をすると、いずれにしても、契約をしてたばこの原料としてつくった葉っぱについては、よほどのものでない限り全部買い上げる、したがって、買い上げられないようなものは、とても吸うにたえるようなたばこなんというものはつくれないだろう、こういうことですか。イエスかノーかでいいのですよ。
  188. 長岡實

    長岡説明員 そうお考えいただいてよろしいと存じます。
  189. 清水勇

    清水委員 時間の関係もありますから、この程度にしておきます。  次に、買い取り価格のことでお尋ねをいたしますが、現行法では五条三項で「耕作者に適正な収益を得させることを旨として」価格を決める、ところが今出されている法案の四条二項では「再生産を確保することを旨として」決める、こういう表現になっているわけでありますが、これは単なる表現上の相違なのであって、実体としては今までと同じなのですか、違うのですか。
  190. 生平幸立

    ○生平説明員 葉たばこ収納価格は、現在、原料葉たばこの合理的生産を前提としまして、葉たばこ生産費を初め物価、労賃、需給事情その他各般の経済事情を参酌して決定するといういわゆる生産費補償方式がとられているところでございます。この価格によって、たばこ耕作者に適正な収益が与えられ、また葉たばこの生産が確保されることを意図しているものでございます。新しいたばこ事業法案の第四条第二項は、現行と同様の趣旨であるというふうに理解しておりまして、今後とも価格決定方式は基本的には変わるものではないというふうに考えております。
  191. 清水勇

    清水委員 いずれにしても、生産費及び所得補償方式を貫いて今後ともやっていくのである、こういうことでいいわけですな。——うなずいておられるから、そういうふうに確認をしておきましょう。  さてそこで、いずれにしても葉たばこ価格の決定は、葉たばこというものが天候に左右される農産物である、また仮に大きな災害を受けても、その中から立ち上がって、再生産に立ち向かっていく農民心理というものを酌み取って、あるいは反映をして、価格に配慮をしなければならない、私はそういう性質を持っていると思うのですね。ですから、先ほども大臣が言われているわけでありますが、私は、今後とも農政負担分を加味するなど一定の保護政策をとっていかざるを得ない、そういう性質のものであると思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  192. 生平幸立

    ○生平説明員 現在、国内の葉たばこにつきましては、価格の面でさらに生産性の向上を図らなければいけないという点が一つございます。それから、品質の向上も図っていかなければならないということで、国際的な価格面でできるだけ価格差を小さくするように努力していかなければならないわけでございます。そのためには、主産地の形成というようなこと、生産性向上のための高能率の機械の導入あるいは施設をつくっていただくというような、いろいろな施策が必要かと考えております。それを推進するために、従来一定の助成をやってきたわけですが、やはりそういうような考え方が必要であるというふうに考えております。
  193. 清水勇

    清水委員 ちょっとどうも私の質問を取り違えているんだけれども、今理事から答弁されたことも、当然私の方からただしておかなきゃならない事柄ですから、それはそれで結構なんですけれども、私が今お尋ねをしたのは、葉たばこ価格の決定に際して、つまり、天候に左右される農産物であるということは異論がありませんわな。それから、微妙な農民の心理というものも当然勘案をされる、これも問題ないと思うのです。だから、今後ともそういう点を配慮しながら、一定の農政負担分を加味するなど、保護政策というものを価格の決定の中で加味していかざるを得ないのじゃなかろうか、こういうことをお尋ねしたのです。おっしゃるとおりだと言っていただけばいいので、私は別に難しいことを聞いたわけじゃない。いかがですか。
  194. 長岡實

    長岡説明員 問題は、現在までの価格の決定の仕方なり、また決定された価格が農政負担分を含んだものであると観念するかどうかということになるんだろうと思います。たばこは競争商品でございますから、葉たばこを使う、製造して販売する立場からすれば、国際的に見て高い葉たばこはもっと安くしてもらわなければならない、にもかかわらず現在の価格で決めているのは農政的な配慮があるからではないか、そういうふうにおっしゃられれば、それはある意味での農政負担かもしれません。そういったような考え方は今後も変わらないとお考えいただいてよろしいかと存じます。  また、決定の方式についても、耕作審議会に諮って、その意見を聞いた上で決めるわけでございますから、その決められる方式も変わらない。ただ、現行制度のもとにおきましても、私どもは、価格の決定の段階では、需給事情その他も耕作代表の方々に十分御説明をしながら、お互いに意見の交換をし合いながら結論に到達しておるのが現状でございまして、そういった考え方は今後も貫いていくことになろうかというふうに考えております。
  195. 清水勇

    清水委員 さて、それはそれで結構ですから先へ進めますが、さっき生平理事が触れられたことなんですけれども、一面で今のような配慮を価格の決定に当たって加えられると同時に、例えば品質改善であるとか生産性の向上であるとかいった面で、現在公社が行っている技術指導、こういうものは新会社になっても当然引き続き進めていくべきことだと私は思うのです。  そこで、具体的に申し上げると、今公社が支出している生産助成対策費といったような補助事業を新会社においても継続をされる、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  196. 生平幸立

    ○生平説明員 先ほどちょっと申し上げましたけれども、現在、品質の向上あるいは生産性の向上というようなことで、そういう助成というものをやっておりますが、新しい会社になりましても、引き続きそのような生産性の向上、品質の向上というようなことは必要であると考えておりますので、そういう必要なものについて引き続いてやっていく考えでございます。
  197. 清水勇

    清水委員 そこで、大蔵大臣にちょっとお伺いをしたいのですけれども、例えば新会社に移行をする、国際競争力に耐え得るような体質の改善等も一面では進めていかざるを得ない、そうしたことについての一定の負担も当然予想せざるを得ない、しかし一面では、今議論をしたような農政負担分等も見ていかざるを得ない、こういうことになっていきますと、時には必要に応じて国が新会社の行う農政負担分等の支出について一定の配慮を払わざるを得ない、こういうことが必要になってくるのじゃないかと私は思うのですが、その辺はどのように御認識をいただいておりましょうか。
  198. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる農政負担分というと、両面から考えられるかな。一つは、農林省が葉たばこ栽培を農政の分野でとらえて、これの基盤整備でございますとか各種金融でございますとか、そういうことをかなり私どもは丁寧にしていただいておるというふうな理解の上に立っております。そういう農政の部分は、これは私からお答えすべき筋ではございませんが、これは農林水産省で当然念頭に置いておられる重要課題の一つだと思います。  それからもう一面は、まさに我が方の所管であります価格政策そのもの。その場合には今日まで、言ってみれば生産費所得補償方式等、あるいは一方、需給事情等と相談の上でできておるものが国際価格よりも上回っておるということにつきましては、広義における農政の範囲内のものではないかということには、そのとおりであるとお答えすべきでございましょう。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  また、今後のこの価格決定のあり方から見ますと、まさにいわゆる新法人と耕作者の契約によって定まることになりますが、新会社が一方的に買い入れ価格を決定することがないように、新会社内に葉たばこ審議会を設置して、新会社は契約に当たり当該葉たばこ審議会の意見を尊重しなければならないという規定の中で、私はこれはそれなりに、今の総裁のお答えをも含めて、価格政策の中で広義な意味における農政負担分が入っておるというふうに理解していただいていいのではないか。  さて、次の問題は、端的に言えば、いわゆる新会社に対する国費等による新たな助成措置ということになろうかと思うのでございますが、そもそも今次改革において、専売公社を合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改組しますとともに、国内産葉たばこ現状を考慮して、当該特殊会社に製造独占をさせる、そういう措置によって輸入の自由化後に国際競争力に耐え抜こう、こういう趣旨でございますから、いわばそういうものに耐え得る基盤を整備したということで御審議をいただいておるわけです。そういう競争力の基盤を整備したという前提で御審議いただいている法律に対して、あらかじめ新会社に新たな財政負担をしてもいいと言うことは、やはりお答えの外に置いておくべきではないか、こういうふうに考えます。私も委員と同じような地域に住んでおりますので、おっしゃる趣旨は概念としては極めて理解しますが、法律を提案し、御審議をいただいておる今日の建前からすれば、いわば新たな助成措置を前提としておるものではない、こういうお答えをすべきが正直であろうと思います。
  199. 清水勇

    清水委員 今いみじくも大臣からこの問題について建前と本音を御披瀝いただいたわけでありますし、これ以上のことをお尋ねすることもやぼだと思いますからつけ加えませんが、いずれにしても葉たばこ耕作をめぐるシビアな環境に対応して、葉たばこのことは全部新会社に任せてしまうという発想ではなしに、政府が生みの親であるはずなんですから、先行き必要に応じて必要な手だては講ぜざるを得ないだろう、こういうようなことを言外に言われているわけでありますから、それをもって先へ進めることにしたいと思います。  さてそこで、面積について聞きたいのですが、だんだん時間もなくなってきましたから、私も簡潔に聞きますから答弁の方も明快にお答えをしていただきたいと思います。  率直に言って、葉たばこの耕作というのは単に原料の葉っぱをつくるという視点だけではなしに、地域経済への貢献であるとか影響、あるいはオーバーに言えば国土保全というようなこともありましょうが、自然環境の保全という観点、さらには雇用確保というような面、一つ一つ見ていきますと、かなり多面的に評価をされるべきものだ、こう思うのです。そうした意味を持つ葉たばこの耕作について、政府は新会社への移行を契機に、この際大幅に耕作面積を減反するという動きがあるのではないかという懸念が耕作者の間にある。私もいろいろ資料を持っていますし、新聞のコピーなどもお見せしてもいいのだが、こんなことは皆さんも百も御存じのことだから、私は一々示しません。  そこで、先ほどの説明にもあったように、現在の面積は五十六年度の審議会に諮って、五十七年度から五十九年度まで、単年度均衡がとれるようにという思惑で一定の面積を決めて今日まで来ている。ところが来年度の分は未定なんですね。しかも、いみじくもこの六十年度という年は、仮にこの法案が成立するとすれば、公社から新会社へ移行する時期なんです。そういうときに、さっきも生平理事が言われているけれども、主産地形成等に現に努めている、しかし、需給調整であるとか合理化計画を進めるとか、そういう観点から、主産地形成を進める過程で不経済な産地を整理するとか、小規模耕作者を整理をする、こういったある種の切り捨て政策ともいったようなものが動きとして感じられる。ですから、それやこれや総合して、この期に大幅減反があるいは行われはしないかという懸念が耕作者の間にある。新しい組織の出発に当たって、そういう波乱の船出をするのではなしに、耕作者に一定の安心感を与える、そうした中で品質改善であるとか生産性の向上にもお互いに努めていくといったような方向を展望しながら、とにもかくにも面積については現状の水準を維持しながらいくべきではないか、こういう意見を持つものなのですが、この辺はどうなのですか。
  200. 長岡實

    長岡説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、現状において葉たばこ需給事情を見ますと、約一年分の過剰在庫を抱えておる段階でございまして、需要面で国産葉を非常にたくさん使えるような事情があればともかくといたしまして、需給事情は大変タイトと申しますか、厳しい状況にございます。  私どもといたしましては、制度改正の有無にかかわらず、まず最初に公社としてやるべきことは、いかにして過剰在庫の解消を図るかということでございまして、これは一生懸命に今後も努力を続けてまいるつもりでございますけれども、率直に申し上げますと、現状の面積をそのまま維持できるかという点については、私は現状面積では無理ではなかろうか、若干の面積減反について御協力をいただかざるを得ないのではなかろうかと考えております。ただ、五十六年の審議会に諮って、五十七年作から大幅減反をお願いした後でございますので、耕作者のお立場からすれば、将来を見越してあらゆるしわを葉たばこ耕作農業に寄せるということではとても納得ができない、こういうふうにお考えになるのは当然だと思います。したがいまして、これはこの夏の耕作審議会に向けまして私どもが勉強して準備をして、耕作審議会議論をしていただく問題でございますけれども、将来展望あるいは公社みずからもどれだけの合理化をしてぜい肉を切り落としていくかといったようなことまで含めて、でき得る限り詳細な御説明をしながら、耕作者の方々にも御理解を得て、ある程度の面積の調整についての御協力をお願いせざるを得ないのではないかと考えておる次第でございます。  ただ、現時点においてそれが一体どのくらいの面積になるのだろうか、それは大幅に過ぎないかといったような点につきましては、まだ率直に申し上げましてめどが立っておりません。これから夏に向けて鋭意詰めていくべき問題だと考えております。
  201. 清水勇

    清水委員 これは率直に言って、たばこの耕作地はもう御承知のとおり、なかなか他の転作がきかないというような地勢のところが多いのです。だから、小規模ならざるを得ない事情もそういうところから現にあるわけですから、例えば不経済であるとか小規模であるとかということから主産地形成のらち外にそういうところは置いて、また一面では公社自身が取扱所の統廃合、これは新会社へ移行後もやるのかもしれないけれども、そういうことを通してだんだんぜい肉を切る、国際競争力をつけるという言い方の中で、結果においては、葉たばこ耕作者の安定に寄与することを含めてたばこ産業の発展を図ると言いながら、これを犠牲に供していくというようなことになったのではまずいのではないか。  なるほど自然減反というのも年々少しずつはあるわけです。私もさっきちょっと触れている、何か耕作者に激変が起きる、大きなショックが起こるというようなことのない安定的な生産調整というか過剰調整というか、これを進めるべきではないか。そうしますと先ほど言われて、今になるとどうも少しお願いせざるを得ないみたいな話なので、私はこの点は十分慎重を期してもらいたいと思いますが……。
  202. 長岡實

    長岡説明員 面積調整の御協力を耕作者にお願いする場合におきましても、耕作者の御理解が得られなければできないと思います。そういう意味において、私どもがどの程度まで御理解が得られる説明をつけ得るかというのを、これから八月未の審議会に向けて鋭意努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  203. 清水勇

    清水委員 それでは次に、今度の法案の中で新会社が葉たばこの種類別総面積について審議会の意見を尊重して決める、この点は私も理解ができる。しかし種類別面積の地域的配分は、中央会の意見を聞いてその内訳を定めるという点はどうもよくわからない。この際、端的に聞きますが、それでは個別農家に対する耕作面積の配分というのはどうするのですか。
  204. 生平幸立

    ○生平説明員 総面積につきましては中央会と約定するわけでございますが、地区別の面積につきましては、その中央会と約定する際にいろいろ相談いたしまして、専売公社には地方局あるいは支社というような地方組織もございますので、そういう地方の組織ごとに面積を配分するわけでございます。私どもは支部局と申しておりますが、その支部局では県連の意見も聞きましたりして、最終的には会社と個々の耕作者とが契約をするわけでございます。個々の耕作者を選びます場合には、経験のある者あるいは今までの耕作成績、品質のいいものをつくる、あるいは今後安定的につくっていただける耕作者であるとか、そういうことを考えながら選びまして契約をしていくということに考えております。
  205. 清水勇

    清水委員 そうすると地域別の内訳について、いずれにしても会社が中央会の意見を聞きながら一方的に決めていくわけですね。個別農家、耕作者と契約をしていく。その際にはこれまでのあれこれの経過等踏まえながら、こういうことなんです。  そこでまた一つ心配の種が出てしまうわけなんですが、その際に耕作者の利益が損なわれるような心配はないか。例えが耕作者を選別したり不合理な排除をするというようなことはないか。つまり、いい品質をつくってきた者だとか将来にわたって安定的に耕作をしていく見通しのある者だとか、いろいろなことをあなたが言うから、そうするとあなた方が一方的に判断をなすって、あれこれの耕作者の選別とか排除とかいうようなことが起こるのではないかというようなことがありますが、そういうことはないと理解をしてよろしゅうございますか。
  206. 生平幸立

    ○生平説明員 契約をするに当たりまして、耕作者の方の耕作希望が非常に強い場合を考えて申し上げたわけでありますけれども、実際に面積の配分といいますか、契約をする場合には、会社の組織と対応する耕作組合と十分協議をして、納得の上でその配分をやっていくと考えております。これは、現在でもそういうやり方でやっておりますので、新しい制度になりましても、特にそのことによって大きな混乱というものはないのではないかと思います。しかし、そういう混乱のないようにやるということについては十分留意してまいりたいと考えております。
  207. 清水勇

    清水委員 耕作組合中央会の御納得を得て行うので心配ないと言われるのだけれども、最終的には個々の耕作者との契約になるわけですから、そういう既存の耕作者の納得が得られるような努力をするということが前提になっていかなければいけないのじゃないかと思いますが、その点はそういうふうに理解してよろしいですか。
  208. 生平幸立

    ○生平説明員 私どももそのように考えております。
  209. 清水勇

    清水委員 そこで、従来は耕作を希望する農家が公社に申請をして許可を受けて耕作をする、こういう仕方だったわけですね。ところが、新しい制度というものは、耕作組合の組合員たる耕作者の委託を受けた中央会と会社が約定する、こうなっているわけですが、そもそもこういう契約の方法に変えなければならなかった理由はどこにあるのですか。
  210. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  葉たばこ買い入れ契約の基本的事項につきまして、新会社と組合員たる耕作者の委託を受けた中央会との間で約定するというふうにしたわけでございますけれども、葉たばこ買い入れ契約自体は会社たばこの耕作者との間で締結されるものでございます。したがいまして、当該契約の内容につきましては、会社と各耕作者との間で協議が行われ、確定されることが原則なわけでございますけれども一つには、国内産葉たばこの買い手というのは事実上一社と申しますか、会社のみなわけでございます。  第二といたしまして、専売制度のもとにおきましては、本来公社が耕作者から葉たばこを買い入れる条件に該当する者、こういう事項が法律により定められておりまして、これによって耕作者の経営の安定が図られていたという事情がございます。したがいまして、今次改革において葉たばこの調達制度が許可制度から契約制度に改められるわけでございますけれども、その契約事項について全く契約自由の原則にゆだねると、会社と個々の耕作者と一対一の契約自由の原則にゆだねるということには、耕作者の経営の安定上いささか問題があろうかという判断があったわけでございます。そこで、新制度下において会社が葉たばこの買い入れ契約を締結しようとする際に、当該契約のうち葉たばこ価格であるとかその他基本的事項、いわば全耕作者に共通する事項のようなものでございますけれども、そういう事項については、組合員たる耕作者からたばこ耕作組合中央会に約定の委託があった場合は、会社が中央会を相手方としてそれらの基本的事項について約定する、約定することによって経営者の安定に資そう、こういうわけでございます。  なお、つけ加えて申しますならば、本制度は、会社にとりましても葉たばこ買い入れ契約の事務の簡素化に資するという副次的な面もあろうかと思います。
  211. 清水勇

    清水委員 そういう説明ならば、必ずしも会社が基本的事項の約定の相手方として中央会だけを限定するということでなく、例えば県段階でも約定して差し支えがあるというふうには私は思えないし、むしろ地方の実態、実情をよく心得ているわけですから、その方があるいはベターかもしれない。にもかかわらず、中央会だけに約定の相手方を限定したということは、何か意味があるのですか。
  212. 小野博義

    小野(博)政府委員 会社が基本的事項について約定することを義務づける相手方としてたばこ耕作組合中央会を選んだということにつきましては、たばこ耕作組合、単協やその他を含めてでございますけれども、耕作組合法にございますように、たばこの耕作者に関し、協同組織の発達を促進し、その経済的社会的地位を向上すること等を目的とするたばこ耕作組合という目的をもって設立されているわけでございまして、その趣旨に沿って活動を続けているわけでございます。また中央会は、同法に基づく全国を区域とする中央組織でございまして、実体的にはすべての耕作者が直接間接これに加入しているということになっております。そういうことから唯一最適なものだと判断したわけでございますけれども、なお、中央会と約定する基本的事項と申しますものは、災害補償であるとか代金の支払い方法であるとか、全国の耕作者に共通して適用されるのが相当と思われる事項を選んでおるわけでございます。したがいまして、このような契約の基本的事項につきましては、全国の耕作者にとって同一の条件となることが公平であり望ましいことである。そういう意味から、県段階ではなくて中央会で約定することとしたものでございます。
  213. 清水勇

    清水委員 さて、それでは、今の答弁にも出ているわけですが、いわゆる基本的事項、約定する内容に触れて若干ただしておきたいと思います。  一つは、災害補償関係。これは言うまでもなく、現行制度は公社が耕作者に補償するという法定事項になっているわけですね。これを、新会社移行後は中央会との約定事項にするというわけなんですが、これまでの法定事項として取り扱われてきた災害補償関係は、現行制度というものがそのまま維持されていくのかどうか、この点まず一つ聞かしてください。
  214. 生平幸立

    ○生平説明員 現行の災害補償制度の内容は、実質的に新制度でも引き続いてやっていく考えでございます。
  215. 清水勇

    清水委員 補償制度は変わらない、引き続きやっていく。そうすると、ここで私はお願いをしたいんだけれども、今予定をしている中央会と約定する災害補償のひな形というのか考え方というのか、どんなものですか、示してもらえませんか、ひな形みたいなものを構想されていたら。
  216. 生平幸立

    ○生平説明員 現在まだそういうひな形を検討するところまで参っておりませんので、現在まだお示しすることができない状況であるわけでございます。
  217. 清水勇

    清水委員 こういうことは、少なくともこれは重要案件の一つですから、法案審議の際に大体の輪郭ぐらいのものは準備しておくということでなければいかぬと私は思うのです。ただ、基本的にこれまでの法定事項として進めてきた災害補償の制度を引き続き新会社においても続けていく、そのとおり続けていくと言明をされたから、あえて百歩譲るつもりで、勘弁できないんだけれども、本当はひな形みたいなものを示してもらいたいところなんだけれども、今ここで準備していなければ仕方がないんで、これはその約定する内容を、予定しているものを早急に出すようにしてくれませんか。いいですか。
  218. 生平幸立

    ○生平説明員 新しい制度におきましても、現在の災害補償制度を実質的に引き継いでやっていくという考えでございますので、現在その契約のひな形というのはまだないのですけれども、早急にそういうものを検討しまして努力したいと思います。
  219. 清水勇

    清水委員 それじゃ早急に検討して出してもらいたいということについて、努力すると言っておりますから、委員長の方で留意しておいてください。
  220. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 はい。
  221. 清水勇

    清水委員 さて、次に法案の六条、つまり約定事項の中で「代金の支払方法その他」ということも規定をされているわけなんでありますが、率直に聞きますが、代金の支払いについては、従来公社が実施をしてきたような概算払いを行う、こういうことですか。
  222. 生平幸立

    ○生平説明員 現在やっておりますやり方と、新しい制度におきましても同じように考えております。
  223. 清水勇

    清水委員 あわせて、葉たばこを納品する場合、従来でいえば収納する場合の運搬費はどうなりますか。
  224. 生平幸立

    ○生平説明員 運搬費の支払いについても現在と同様に考えております。
  225. 清水勇

    清水委員 考えているというんじゃちょっと弱いんだけれども、現在同様実施をする、やっていく、こういうふうに承ってよろしいですか。
  226. 生平幸立

    ○生平説明員 さようでございます。
  227. 清水勇

    清水委員 さてそこで、これは最後の段階になるのですけれども、葉たばこ審議会のことについてちょっとお聞きをしたいと思います。これは大臣の認可事項にもなっているわけですけれども、まず基本的に言って、この審議会が公正な第三者機関としての機能の発揮が確保されるというものでなければならぬと私は思うのです。最近米価審議会を含め多くの審議会の傾向を見ておりますと、どうも審議会それ自体が官庁機構の隠れみのみたいな形になっていたり、審議の内容あるいは結論が形骸化をしていると指摘をされるような状況がしばしばあるわけですが、そういうことのないように、審議会の公正なる設置と運営を確保するということが私は必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  228. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  葉たばこ審議会につきましては、法律にございますように、「原料用国内産葉たばこの生産及び買入れに関する重要事項を調査審議するため」に会社に設置するものでございます。先生ただいまおっしゃいましたように、委員の委嘱に当たりましては、制度本来の趣旨に沿って公正に関係者の意見が反映されるような人選とすべきであるというふうに考えておりますし、大蔵大臣の認可はかかる見地から行われることとなると考えております。
  229. 清水勇

    清水委員 私流の言葉で言えば、葉たばこ審議会が民主的に運営をされていく、運営の過程では十分に全耕作者の総意といったようなものが反映をされる、これにはやはりそれにふさわしい委員の人選といいましょうか、メンバーの構成といいましょうか、そういうものが必要だと思うのですけれども、今どういうふうに構成メンバーを考えているんでしょうか。
  230. 長岡實

    長岡説明員 葉たばこ審議会委員の構成でございますが、現行たばこ耕作審議会と同様に、耕作者を代表する者及び学識経験のある者十一人以内で組織するということになっております。先ほど御指摘がございましたように、会社は買い入れ機関でございますから、公正なる第三者機関的な意味を担保する意味におきまして、会社の代表者が委員を委嘱する場合には、ただいま申し上げました耕作者代表及び学識経験者のうちから大蔵大臣の認可を受けて委嘱するということによって公正性を確保しておるという仕組みになっております。
  231. 清水勇

    清水委員 そこで、大蔵大臣の認可を得て公正性を確保する、担保するということだというんですが、例えば耕作者なら耕作者、学識経験者なら学識経験者、わずか十一名の中へ全部はめ込まなければならぬわけですけれども、やはり、より公正を期する意味では、その人選に当たっては幅広く配慮が行われるということがどうしても必要だと思うんですね。そこで、大蔵大臣の認可基準というのは何かあるんですか。
  232. 小野博義

    小野(博)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、会社が委嘱された委員のメンバーにつきまして、制度本来の趣旨に沿って公正に関係者の意見が反映されるような人選とすべきであるということでございまして、例えば一般的にございます、何か処罰を受けた者だとかの欠格条項のようなものは、将来において検討する必要があろうかと思いますけれども現行において認可基準は特段考えておりません。
  233. 清水勇

    清水委員 こういう場ですから、余り細かいことまで触れるわけにまいりませんが、冒頭に申し上げたような点を十分配慮して公正に当たってもらい、かつ運営の万全を期してもらいたい。  さて、そこで四条に返ってみますと、「審議会の意見を尊重する」ということが出ているわけです。私は、現行制度は単に審議会の意見を尊重するという米審並みのものではなしに、どちらかというと答申を遵守をするという立場が明瞭に貫かれており、例えば価格なら価格について答申即決定、こういう性格になっているんだろうと思うんですが、今度の審議会では意見の尊重だ、こういうふうに言われているわけですが、何か質的にダウンをするんでしょうか。
  234. 長岡實

    長岡説明員 現在の制度では、「たばこ耕作審議会にはかり、」ことたしかなっておったと思います。それが今度は「葉たばこ審議会の意見を尊重する」という表現になったわけでございますから、そういう意味においては審議会の意見を尊重するという規定が新たに入ったわけでございます。これにつきましては、やはり要するに会社に置かれる審議会でございますから、先ほどの委員の委嘱の際に大蔵大臣の認可を受ける等によって第三者機関としての公正性を確保するということも、そういう趣旨から出ておりますけれども、やはり会社が単に買い手側に偏らないようにといったようなことで、従来同様に耕作審議会の意見を十分に聞いた上で結論を出すようにという趣旨で、今回の法律には「審議会の意見を尊重する」という規定が入ったものと理解をいたしております。
  235. 清水勇

    清水委員 これはいずれにしても、確かに現行法では「はかり」となっていますね。しかし実体としては、審議会答申については即これを決定とするような、何というか、審議会の結論を単に尊重するというよりも、これを具現化するというような性質を持っていると思いますから、引き続きやっぱりそういう方向で審議会を大事にしてもらう、こういう点を注文として申し添えておきたいと思います。  最後に、これは大蔵大臣にお聞きをする事項であるかもしれませんが、先ほども冒頭のところで、関税率の問題で五十五年の十一月でありましたか、九〇から三五に落とし、アメリカ側の強い要求があって、これを一年半か二年後に今の二〇に落とす、ほっときゃゼロにしろみたいなことまで言われかねない状況もあったわけでありますが、これはいずれにしても当時の泉総裁も言っているように、嗜好品であるたばこの関税率をゼロにするなんというようなことはあり得ないことだ、こういう説もありますし、同時に、例えば一面で納税負担分等の財源問題等々も考えて、一定の配慮もしてしかるべきではないかというような気がするわけなんで、私はやっぱり関税率二〇%というものは引き続き維持をしていくべきものではないか、こう思うのでありますが、その御見解だけ承って終わりにしたいと思います。
  236. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに、今おっしゃいました五十五年、ちょうど私が大蔵大臣をやめる直前くらいから問題が起こって、それでやめた直後であったと思います。それから今度は五十七年の暮れでございましたが、今度はまた私が大蔵大臣に就任いたしまして間もなくのことでございました、三五から二〇というのは。そのときもいわゆる財政物資であるということ、そしてもちろん嗜好品である、いろんな角度から議論いたしましたが、私は今の二〇%というのは適当な税率である、こういうふうな考え方の上に立っております。
  237. 清水勇

    清水委員 終わります。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  238. 瓦力

    ○瓦委員長 柴田弘君。
  239. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 専売公社改革法案審議をするためにいろいろと質問をするわけでありますけれども、今回の改革法案、ざっと見てみました。それから今回のこの法案審議に当たりまして、私どもといたしましても、横浜の中央研究所を初めとして各工場へできる限り視察に行かせていただきました。先般は福島県の方に参りまして、郡山工場、あるいはまた耕作者の代表の皆さん、あるいはまた小売の代表の皆さん方とも懇談をいたしました。いろいろと調査を重ねてきたわけであります。  私は、率直に申しまして感じましたのは、一つは、現在の公社で働いていらっしゃる皆さん方が、新会社設立後の動向について本当に真剣に心配をなされている。一体どうなるのであろうか。意欲満々であるということは私も理解をし、非常に感銘を受けて帰ってきたわけであります。また同時に、先ほど来議論がありましたように、耕作者を初めとする関連団体の皆さん方も、その将来に大きな不安を持っていらっしゃる、こういうふうに思うわけであります。  そこで、今回のこの審議を通しまして感じますのは、そういった中において本当に大切なことが余り明確になっていないのじゃないかという考えを私は持っております。  一つは、最大のネックと言われておりますところの葉たばこ問題、価格品質面において国際的に劣位であると言われておりますこの葉たばこ問題、過剰在庫解消の問題を含めまして一体本当に将来どうするのだ、どうなっていくのだ、この辺の具体的な計画というものも、正直に申しまして明らかにされていない。  それから二つ目には、今回、開放経済体制を志向する中において、大臣が言われましたように保護貿易主義の台頭を抑えていくのだ、こういったことが専売公社改革関連法案の提出理由であるわけでありますが、しからば外国商品に対して公社自体が一体どういった合理化を図り、経営の効率化、そして企業の自主性というものを発揮していくかということもまだまだ具体的に明確にされていないのじゃないかというふうな考えを私は持っております。  それから第三点は、事業の拡大といいますか、業務範囲の拡大、目的達成事業、これも大臣認可になっているわけでありますが、どういった目的達成事業、そして業務範囲の拡大というものを図っていくかということもまだはっきりされていないのじゃないかというふうに思います。  それから第四点は、海外市場。もう既に外国製品に席巻をされております。特にビッグスリーでありますが、今回輸出会社を設立をされたということでありますけれども、そういった海外市場に対する日本製品の戦略といいますか、輸出ということについてもどういった具体的な取り組みをしていくかということもまだ明らかにされていない。  それから第五点といたしましては、資本金の問題は、先般来上限が千五百三十億ということを申されましたが、それじゃ中長期の展望を踏まえて、一体売り上げがどうなるか、あるいは利益はどうなるか、こういった問題も明らかにされていないのではないか。しかも、今度法人税を初めとする新税を払っていかなければならない。株式の配当も行っていかなければならない。果たして収支計画というのはどういったものであるのか、こういうことも明らかにされていないと思います。  それから第六点は、この新会社発足に伴って、喫煙と健康の関係において本当に国民の信頼に足り得るデータを提供をしていく、こういったことが、今までは公共企業体ですから、公社の研究を充実すればよかったわけでありますが、これも厚生省を初めとする政府機関でしっかりとした調査研究を行って国民の信頼にこたえていかなければいけない、こういったことを私は考えているわけでありますが、これについても明確な御答弁はなかったように私は思います。  総体的に今言いました以上の六点、私の今回の法案審議に当たっての率直な感想を申し上げたわけでありますが、まず総裁、どうでしょうか、どのようにあなたはお考えになっていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
  240. 長岡實

    長岡説明員 制度改正に向けての公社の基本姿勢といったようなものについて私から申し上げたいと存じますが、御指摘のように、現在たばこ事業を取り巻く情勢は、需要の停滞傾向あるいは喫煙と健康問題、それから外国たばことの競争関係の急速な進展等、どれを考えましても極めて厳しい状態にあると考えております。加えまして、今回の制度改正に伴う輸入自由化によりまして、市場競争の一層の激化が想定される厳しい経営環境の中で、公社といたしましては、従来に比して一層の合理的な企業経営を行う必要があると考えております。  そのような基本的認識のもとで、経営全般にわたる諸施策を鋭意真剣に検討を行っているところでございます。現在のところ、その具体的な内容について一つ一つ明らかにお答え申し上げることができないのはまことに遺憾でございますけれども、御質問の中で、我々の考えていることを可能な限り御説明申し上げるように努力いたしたいと存じます。
  241. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 各論に入るわけでありますが、その前に、今六点申しました。大臣、お聞きになっていたと思いますけれども、この提案者は大臣であるわけであります。やはりこういった問題について、ひとつお約束をいただきたい。いろいろと大臣にも質問をさせていただきますけれども、今総裁から可能な限りお答えをしたいという率直な御答弁があったわけでありまするが、この六点について、これは一番大事な問題じゃないかと私は思います。本当に八十年来の専売制度の大改革、そして、新会社発足ということであれば、やはりこういった諸問題をしっかりと議論して明確にして、そして新会社の出発をすべきである、こんなふうにずっとこの法案審議を聞きながら率直に私は感じ取ったわけでありまするが、この辺もひとつ大臣の御見解をまずお伺いしておきたいと思います。
  242. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今専売公社総裁からもお答えがあっておりましたが、実際問題として、我々が一番最初この問題に対応するときに、さて、国産葉の過剰在庫対策は一体どうしたらいいのか、あるいは経営合理化等もろもろの問題にはどう対応したらいいかという問題、大変な関心をお持ちいただく問題でもあるし、我々も関心を持っておるべき課題であるという理解は共通しておると思っております。  したがって、目下専売公社において検討を重ねておられるところでありますが、輸入自由化後の新会社事業規模あるいは葉たばこ農業の規模等、現段階ではっきりした見通しをつけがたい状況にある。したがって、御指摘の点については、まさに具体案を得るには残念ながらいまだ至ってはいない。が、いずれにしても、今後の厳しい市場環境のもとにおいて、新会社たばこ産業関係者——関係者といえばまさに耕作者であり、小売店の方々であり、あるいは新会社当事者対労働組合等に一応分類できるんじゃないかと思うわけでございますが、十分な協議を重ねながら、たばこ産業の効率化、合理化に真剣に取り組んでいかなければ、まさに今度の法案の趣旨自体にも沿うことにはならないということで、大蔵大臣といたしましても、新会社合理化計画等の具体的内容について深い関心を持っておるのは当然でありますが、経営の自主性を損なわない限りにおいて、私どもとしても、今後必要があれば、いわゆる指導するという立場には立っておると思うわけでありますので、経営の自主性ということを尊重しながら、十分関心を払っていかなきゃならぬ問題だと思っております。  それから喫煙と健康問題、これはまさに信頼し得るに足るデータの収集に努めなければならないと考えております。そういう観点から、新会社も、これは当然のこととしてそういう方向で対応していかれることであろう。私自身も、喫煙と健康というのは、本当は自分自身もたばこを吸いながらその問題の問答に答えていくという、非常な矛盾を感じながら、重要さの度合いの認識は十分ありますが、今正確なデータを持っておるわけではございませんけれども、新会社——御議了いただいたという前提の上に立ちますならば、そういう重大な関心で新会社の方で十分対応されるし、我々もそういう関心で、可能な限りの指導というもの、これはある意味においては自主性を越えても指導していい問題かもしらぬというふうな事実認識は持っておるつもりでございます。
  243. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大体私の六点の指摘に対しまして御賛成をいただいたようでありますので、ひとつできるだけ率直に御答弁していただきたい、こう思うのです。  一つは、やはり厳しい環境のもとで国内需要の停滞の中、そして海外からのビッグスリーを中心とする製品の輸入自由化、しかも先ほど来申し上げましたように、最大のネックと言われておる国産葉たばこの問題を抱えている。将来を展望した場合、五十七年、五十八年をベースにした場合に、新会社が設立されたとして、五十九年度のいわゆる収支計画というのは果たして一体どういうふうに考えていらっしゃるのか。一体売り上げは幾らになって、利益はどうなるか。会社経営の見通し。やはり一つは新税を払っていかなければならない。国税、地方税あるいは法人税等の利益に課せられる税金も払っていかなければなりませんね。それから労災保険料とか雇用保険料の法定福利費あるいはまた資本に見合うだけの配当もしていかなければならぬ。しかも内部留保をしていかなければなりませんね。そういったことで、新会社を設立される以上は、一つ収支計画、数字的な問題でありまするが、こういったものがやはりある程度展望されていなければならないのではないか、私はこんなふうに思います。これはどうでしょうか。
  244. 遠藤泰

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございました、新制度のもとにおきますこれからの財務の見通しと申しますか、こういうものにつきましては、その基本になりますものといたしまして、新しい会社のもとでの事業規模、具体的に申し上げますと販売の数量等がどうなっていくかということでございますが、こういうものにつきましても、輸入品のシェアとの関係においてこれをどう見込むかという問題等がございますし、また、事業にとりまして大変重要な問題でございますが、葉たばこ農業の規模といたしまして耕作面積あたりをどういうふうに見込んだらいいものか。また、新会社におきます合理化等の問題につきましても現在鋭意検討中でございまして、このようなことから、的確な数字を見込むということは、率直なところ、極めて難しいという状況にございます。  ただ、先生から御指摘がございましたように、新しい会社になりますと諸税等がかかってまいること、さらに法定福利費等の負担、また利益配当というようないろいろな問題もあるのではないかということでございます。この点に関連をいたしまして、仮に五十八年度の決算をもとにいたしまして、新しい会社化後におきます財務の変化が、今申しましたようないろいろな要因がございますので、こういうものとの関係でどうなるであろうかということでごく大まかに試算をいたしてみますと、五十八年度の決算上の利益、八百七十億円でございますが、会社化後におきましては、納付金の消費税化によります支払い利子の負担等が約百億円ぐらいふえるのではないか。それから、新規の諸税負担ということで今お話がございましたけれども、法定福利費等を含めましてこの辺の負担が約百億円、さらに法人税等利益課税としまして約三百七十億円程度が見込まれる、これらを合計いたしますと五百七十億円程度かと考えられます。こういうものが新たに負担となるわけでございまして、これを差し引きました税引き後の利益、この中には配当を含むわけでございますけれども、これは約三百億ぐらいになるのではないかというふうに、五十八年度の決算をもとに粗い試算をしてみますとこんな感じの数字になるわけでございます。  仮にでございますけれども、ではこの程度の利益水準について一体どう考えたらいいんであろうかということで、私どもも、大変事務的ではございますけれども、検討してもみたわけでございますが、輸入の自由化後におきまして巨大外国たばこ企業と競争していく上におきまして、私どもとしましては、相当の合理化努力によってコストアップを抑制しつつ、なお一方におきましてはこれからの事業範囲の拡大に向けての必要な投資原資も確保しなければなりませんし、こういったふうなこと等から、仮に三百億円程度の税引き後の利益というものをどう考えるかということから見ますと、必ずしも満足すべき水準ではないのではなかろうかということが一応ございます。  一方、最近におきます民間企業においての利益水準というふうなものも調べてみますと、売上高、利益率というような一つの指標から見た場合には、この程度の水準は民間の製造業なり全産業の平均とほぼ同じぐらいの水準だというふうにも見られる点もあろうと思います。いずれにしましても、これからの厳しい競争の中ではあらゆる合理化努力を通じ、また事業の拡大ということに向けましてより強力な経営財務基盤というものをつくっていく必要は当然あるのではなかろうかというふうに考えております。
  245. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今具体的な御説明を賜りました。税引き後利益が三百億ぐらいになるであろう、これはもちろん配当が支払われていないという段階だと思いますね。私考えますけれども、確かにおっしゃったように、民間利益に比べればまあまあだ、しかし満足すべきものじゃない、こういうお答えでありますけれども、やはり先ほど来議論がありましたように、今後のより一層厳しい情勢というものを考えていけば、より一層の合理化というものが必要になってくるであろう、私はこのように考えております。  そこで、この問題についてお聞きをしたいわけでありますが、やはり今日の需要停滞下におきまして公社、今度は新会社になりますけれども、新会社製品と外国の輸入品との激しい競争、これはもう激しいシェア争いになるのではないか。数年間で五%ぐらい食われるんじゃないかという話もあったわけでありますが、新会社の製品が売れるかどうかというのは、ひいては我が国葉たばこ産業の問題にもなってまいりますし、同時にまた、たばこ産業の発展のかぎでもある、これは当然のことであります。言うならば、今その成否というのはまさしく国際競争力であるというふうに思うわけであります。この国際競争力というのは、結論的にいえばコストの競争力ということなんですね。私はそういう認識をしております。このコスト競争力の強化という問題につきましては、基本的にまず公社としては、総裁、どのように御認識になっていらっしゃるのでしょうか。
  246. 長岡實

    長岡説明員 国際競争力を考えましたときに、製品の品質の競争力等もございましょうが、せんじ詰めてまいりますと、最後の問題はコスト競争力ではなかろうかというふうに考えます。現在輸入シガレットの定価は、公社の製品と比較いたしまして一箱当たり六十円から八十円高くなっておりますが、これは公社に比べて高い利益率と、それから製品関税によるものでございまして、製造原価では大手外国企業が優位に立っておるという認識でございます。今後大手外国企業は、輸入品のシェアの拡大を目指しまして、公社製品との価格差の縮小を図ってくるものと想定をいたしておりますので、公社といたしましても、新会社を含めましてでございますけれどもコスト競争力の改善には厳しく取り組まなければならないというふうに考えております。
  247. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 コスト競争力の強化ということには大変な御認識をいただいているわけであります。今も総裁から御答弁がありましたように、外国の巨大企業との競争ということになるわけですね。しからば、このコスト競争力の実態というのは今どうなっているかということですね。いわゆる原料の段階、製造原価の中に占める原料、これがどれだけ外国製品に比べて高いのか、あるいは人件費その他材料費等の経費、外国製品と比べて価格の実態、製造原価の実態というのは一体どうなっているか。  公社から事前に資料をいただきました。「製造原価の内訳(昭和五十七年度)」、公社製品は原料費が六〇%ですね、材料費が二〇%、人件費が一一%、その他九%、こういう製造原価の内訳でございます。それから葉たばこの「生産者価格の国際比較」、これは日本がキログラム当たり六ドル八十五七セント、アメリカが三ドル九十四セント、ブラジルに至っては一ドル七セントあるいは韓国は三ドル六十七セント、タイは一ドル七十四セント。外国葉たばこ輸入というものも今議論がありました。あるいは国産葉使用というものも、この程度使用しておるということであれば、製造原価の中に占める原料費と材料費、人件費というものが果たしてビッグスリーの中でもアメリカ企業に対してはどの程度高いのかというのは、まさしくそれが、先ほど来申しておりますいわゆる合理化一つ目標にもなってくるであろう、それが国際競争力をつけていく一つ目標であり、目的になってくるであろう、私はこのような考え方をしておるわけでございまして、その辺、どうでしょうか、そういった製造原価の内訳に対するアメリカと我が国との比較というものは何かありませんでしょうか。
  248. 丹生守夫

    ○丹生説明員 お答えを申し上げます。  外国たばこ企業と国産品の製造原価の比較ということでございますが、外国のたばこ企業コストを調べますことは、いわばそれぞれの企業の秘密というようなこともございまして、実は大変得がたいわけでございます。私どもの方として推定はいろいろやっておるのでございますが、大変微妙なことで、やはり公表ということでお答え申し上げられないんですが……。
  249. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どう言ったらいいか、要するに私考えますのは、やはり総裁の御認識としては国際競争力、コストの競争力というものをつけていかなければならない。しかも、今回の法案というのは、まさしく外国製品の輸入自由化にどう対応していくかという法案でしょう。これはあなたの方に積算していらっしゃるものがあって、この委員会の場で公表すると、やはりそれは企業秘密だからいかぬとおっしゃるかもしれません、率直に申し上げまして。だけれども、私の言いたいのは、わかってくださいよね、やはりそれが一つ目標になってくるんじゃないか。その目標は達成できぬかもわかりませんよ。だけれども、やはり公共企業体から少なくとも特殊会社といっても株式会社システムにする以上は、そういった競争相手はもうわかっているわけなんですよね。そういった目標というものに対して、一つはどれだけ企業内の努力ができるか、あるいはまた耕作者を含めての合理化というものができるかということが、まさしく計画をされて実行されなければならない、こういった趣旨で申し上げているわけであります。どうでしょうか、私の考え方は。間違っていますか。
  250. 丹生守夫

    ○丹生説明員 お答え申し上げます。  これは非公開ということでお願いできればという前提で申し上げさせていただきたいと思いますけれども……。
  251. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どうぞゆっくり相談してください、無理に申しませんから。  総裁、私の言っている趣旨がわかっていただければいいわけですよ。とにかくアメリカのたばこより製造原価が高いわけなんですね。それはもうわかっていらっしゃる。私が言っているのは、まさしくコストダウンというものが必要であるというならば、やはりそこら辺までは、アメリカまではいけないにしても、一つ目標があるじゃないか。それに対して、企業内努力をどう進めるんですか。あるいは葉たばこ問題を含めて、そういった問題をどう解決をしていくんですかというところに議論の焦点があるんではないですかということ。そういうことをいわゆる基本論としてお答えいただければ、数字は結構ですよ。
  252. 長岡實

    長岡説明員 お説のとおりでございまして、日米両国の製造原価の比較を数字に基づいて御説明申し上げることができないのは大変恐縮でございますけれども、先ほど丹生理事から申し上げましたように、外国の製造原価もはっきりしたものはなかなか出ておりませんけれども、私どももいろいろと推計をしながら、大体この辺ではなかろうかという見当をつけまして、それと比較して我が方のコストを一体どの辺まで下げられるか。完全なイコールフッティングまでということは非常に難しいとは思いますけれども、それにいたしましてもある程度のめどをつけて、それに到達するように各般の努力をしていかなければならないというふうに考えております。  もちろん、公社公社自身の製造コストの低減を図るためにいろいろと合理化の努力を払っていくこと、これが最大の眼目であろうと存じますけれども、原料の葉たばこにつきましても、葉たばこ耕作者と十分にお話し合いをした上で、まだまだ生産合理化によるコストダウンの余地がないわけではございませんので、その辺も今後詰めてまいりたいというふうに考えております。
  253. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこでその後が問題でありまして、やはり製造原価内訳、これは確かにアメリカたばこよりも高い。それを一つ目標にしてどこまで合理化を図り、コストダウンをして、そして安くておいしいたばこがつくれるか、日本たばこ産業株式会社の将来がまさしくそこにあるんじゃないかというふうに私は思っているんですね。  それで、一つ企業内努力。この委員会におきましてもいろいろ議論がありました。それから二つ目には国産葉たばこの問題。これは生産性の向上の問題、品質の向上の問題、あるいはまた過剰在庫解消の問題、こういったいろいろな難問題があるわけでありますけれども、具体的にどうしていかれるのか。私が言いたいのは、やはりそういった大きな根本的な問題について、もういろんな委員から、いろんな角度から質問が今までありました。私もじっと聞いておりまして、これは口ではいろいろとこういうふうにやっていく、ああいうふうにやっていくとおっしゃっているのだけれども、それじゃ新会社設立以降、あるいは一つ展望を踏まえて、いつまでに、何を、どういうふうにやっていくんだということが具体的にされてないというのに私は大きな不満を、正直に言いまして感じております。だから、それなくして専売改革審議してくれ、こう言っても、根本的な問題がここで提示されてないのに、審議のしようがないじゃないか、私はこういうふうに思っております。  そこで、具体的にお尋ねをしてまいります。  一つ企業内努力の問題。やはりこれは今後のコストダウンにも関連をいたしまして、経営の自主性、当事者能力の付与及び業務範囲の拡大を通じ、労使一体となってできる限りの経営の効率化、合理化というものが必要であると私は今思っております。そこで、組織の簡素化という問題についてはどう考えていらっしゃるのか。二つ目には、間接部門合理化という問題はどう考えていらっしゃるのか。三つ目には、直接部門における生産性向上施策の実施、こういうことも必要であると思いますが、こういった問題について、具体的な計画というのは一体どこにあるか、どういうふうに考えていらっしゃるかということをひとつここでしっかりと提示をしていただきたいと思います。いかがでしょう。
  254. 丹生守夫

    ○丹生説明員 新会社に向けまして現在鋭意作業をやっているところでございまして、この段階で具体的に成案を得ておりませんこと、まことに申しわけないと思いますが、私ども目標としておりますのは、先ほど具体的な数字を申し述べられませんで大変恐縮でございましたけれども、日米の原価差の縮小ということを大きい目標に掲げて、作業を今やっているところでございます。したがいまして、これはコスト削減策というのが大きい要素になってまいります。  先生指摘の組織の簡素化なり間接部門の要員の削減につきましても、私ども全面的な業務の洗い直しをやりながら、業務の改善と兼ねながら実行していきたいと考えておりまして、例えば製造部門につきましては、これまでもやっておりました以上に設備、機械の高速化なり自動化を進めますとともに、工場の統廃合も含めました改善案を考えたいという作業をやっております。  それから原料貯蔵部門につきましては、過剰在庫の問題も一つございます。この生産調整をどうするかというような問題も一つございますが、同時に片方では、組織に関係をいたしまして、第一線の事業所、それから葉たばこの取扱所の統廃合の考え方を今固めつつございます。  それから営業部門につきましても、たくさんの大小の事業所がございますが、この事業所を、昨今の経済事情の変化等に合わせながら統合をしていく、こういったようなことを含めまして、改善策を今鋭意検討しているところでございます。  本日時点で具体的にお示しできませんのはまことに申しわけなく存じますけれども、いずれにいたしましても来年四月以降となりますことを想定いたしまして、現在できるだけ速やかに具体的な計画ができますように、作業を続けているところでございます。
  255. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それ以上の答弁はできないのじゃないかと思います。  先般当委員会議論があったときに、生首ははねないというような話もありまして、私も安心をしておるわけでありますが、まさしく今公社で働いている職員の皆さん方は、この新会社への移行に伴って一体どうなるのだろうかと、経済の環境といいますか、たばこを取り巻く環境が非常にいいときであればいいのですが、やはり環境が、今日の需要停滞感、年々伸び率が減ってくる、マイナスになってくる、しかも海外の製品が入ってくる、こういったところで、今総裁もおっしゃったように、公社自体の合理化というものをまずやっていくのだということであれば、一体我々の立場はどうなるのだろうかというふうに、職員の皆さん方は非常に不安な気持ちでおみえになるということは、これは当然のことであるわけですね。ですから、そういった中において、一体それがどうなっていくのだ、これはもう本当に当委員会で示していただきたいわけでありますが、先ほど御答弁がありましたので、具体的に何人どうするのだというようなところまでは聞きませんが、どうかひとつ速やかにそういった具体的な計画案をきちっと策定をしていただいて、職員の皆様方の理解と納得を得る方向へひとつ進んでいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  念のために聞いておきますが、公社は、今現在間接部門がアメリカ企業に対して多い、こんなことも仄聞をしておるわけでありますが、実態はそのとおりですか、どうですか。
  256. 丹生守夫

    ○丹生説明員 実は、間接部門の定義が私どもの方と外国企業と必ずしも同じではございませんで、なかなか比較が難しいのでございます。一般的には間接部門が多いのではないかというような御指摘もいただいたことがございますが、私ども、現在の人員が完全に過剰であるというぐあいには必ずしも思っておりません。事業量の変化がこれからございますことを見込みまして、業務の改善とあわせながら、今後適正な人員計画を立てていきたい、こういうことでございます。
  257. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それじゃ、生産部門といいますか、直接部門ですか、これの労働生産性の比較というのは、何かデータありますか。あるいはまた、我が国の一般企業との労働生産性の比較というのはありますか、どうですか。
  258. 岡島和男

    ○岡島説明員 まず、私どもたばこ事業と他産業との労働生産性の比較でございますが、指数の基準年次をいつにとるかということは、いろいろとり方がございますけれども昭和四十五年を一〇〇にいたしますと、全産業が、五十七年は二一〇ぐらいでございます。製造業も大体同じでございます。たばこは一八七という数字が出ております。ただ、食品製造業になりますと一三〇ということでございます。私どもの生産性は、五十四、五年ぐらいまでは上がっておったわけでございますが、その後大体消費量が頭打ちになってきた関係もございますものですから、そこから伸びがやや鈍化したという感じになっておりまして、現在のところは、全産業と製造業に比べまして、昭和四十五年を基準にいたしますと、五十五年以降少し私どもの方の伸びが落ちている、こんな感じでございます。  それから、労働生産性をたばこだけで比較をしてみるわけでございますが、アメリカの方と公社の方と比べてみますと、昭和四十年代の初めごろ、あるいは四十年代の後半に至るまでは、アメリカのたばこ製造業に比べまして、私どもの方の一億本当たりの人員というのは、かなり遜色がございました。しかしながら、その後私どもの方で鋭意生産性の向上に努めました結果、現在、五十六年、七年あたりでは、アメリカのたばこ製造業の平均とは、一億本当たりの人員は私どもの方が若干少ないというぐらいでございまして、私どもの方が少し高いのじゃないか、こういう認識を持っております。
  259. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 間接部門を比較するデータがないとおっしゃった。確かにそのとおりじゃないかと思いまして、それは了といたしますが、やはり合理化目標というのは、先ほど来答弁いただきましたように、間接部門というところにもひとつ切り込んでいかなければならないと思いますし、労働生産性の問題も、聞くところによりますと、アメリカのフィリップ・モリスなんかは、一億本を生産するのに最新鋭工場だと三人、日本の場合は、公社昭和五十七年度四・三人、五十八年度が四・○人、こういうことで、ちょっと多いわけですね。それから、他産業との労働生産性の比較を見てみましても、食品製造業に比べれば確かにたばこ産業は労働生産性が高いわけでありますが、全産業の比率あるいはまた製造業から見れば労働生産性が低い。やはりここら辺のところにまた一つ合理化目標というものがあってもいいと私は思います。  総裁、この合理化の問題をお伺いしておきますけれども、どうですか、仮りに法案が通るとすれば、新会社発足は六十年の四月一日でございますか、ぴちっとしたそういったものが出るのかどうか、そして、それをもとに、新会社発足と同時にその合理化案に沿って公社コストダウンに励んでいかれるのかどうか、その辺だけひとつお聞きいたしたいと思いますが、どうでしょうか。
  260. 長岡實

    長岡説明員 現在の私どもの心構えといたしましては、新会社発足までにどこまでその合理化計画を詰め得るかということを、今真剣に検討している最中でございます。すべてを新会社発足後にゆだねるということではなくて、現在から詰めるものを詰めてまいりませんと、それだけ合理化の実施がおくれるわけでございますから、現体制のもとにおいてどこまで合理化計画が詰められるかというのを現在真剣に詰めておりまして、これは申すまでもなく労使間で十分に協議をしなければ結論が出ませんけれども、それも含めて、新会社発足までに最大限の努力を積み重ねたいというふうに考えております。
  261. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、もう一つこの合理化の問題で簡単にお尋ねしますけれども、今約三万七千人でございますか、それで平均年齢が五十歳近い。これは本当かどうかわかりませんが、要するに、先般も私工場見学をさしていただいたときに、高速巻き上げ機が、今四千回転ぐらいですかな、あれも全部行き渡っておるというわけじゃないのですけれども、将来は八千回転にするんだ、こうなりますと、そこで働いていらっしゃる方は女子の労働者の皆さん方ですね。そうすると、やっぱり設備更新をして、そういった新しい機械をどんどん導入した場合に、そこで人が余ってくるんじゃないかなということを、素人考えで正直言って思ったわけなんですね。だから、ここら辺のところは、こういう女子の方たちの主力による何か関連会社というのか、関連企業というのですかね、ちょっと難しいかもわからぬけれども、そういった労働力をどう吸収していくかということも、やっぱり後で、目的達成事業事業範囲の拡大というところでちょっとお話をしたいと思っておるのですけれども、私は素人だものですからわかりませんけれども、率直にそんな考え方を持っておるわけなんですが、将来そういった高速の新鋭機械が入ってきた場合に、やっぱり労働力の吸収という問題、これは女子労働者だけでないのですが、どんなふうなお考え方で進んでいかれるか、ひとつこの辺もちょっと心配ですので、念のためにお聞きをしておきたい、
  262. 長岡實

    長岡説明員 最初に私から総論的なことを申し上げまして、製造本部長から補足的に説明をいたさせますけれども、基本的には、おっしゃるとおり、将来に向けての合理化計画を考えます場合に、ある程度人を減らしていくということも考えざるを得ないと思います。ただ、現実問題といたしまして、ここ三年間、予算定員を千名以上ずつ減らしてきておりますけれども、これは私どもの職員の平均年齢が高いというところから、自然退職者が比較的多い。自然退職者が多い場合には、当然のことながら、職場としては退職者のあとを補充してくれという要望が出るのは当然でございますけれども、その辺で労使間の協議等を詰めまして、できるだけあとの補充を抑えることによって、人の減らし方を工夫してやってきております。  将来におきましても、その方針は続けなければならないと思いますが、それに加えまして、新会社発足後は業務範囲を拡大をしていただいて、その拡大された業務の中で、また労働力を吸収していくということも当然考えなければならないというふうに思っております。
  263. 西村忠弘

    ○西村説明員 ただいまの御質問に対して、関連で補足をさせていただきますが、御指摘のように、現在巻き上げ機、たばこを巻く機械は四千回転への切りかえを鋭意進めているところでございますけれども、来年の後半には八千回転の開発が一応完了する見込みでございます。確かに高速化がどんどん進んでいきますと、人員が余るという計算になるわけでございますけれども、たまたま幸いに、昭和六十年、六十一年ぐらいのところが退職年齢のピークになっておりまして、比較的その面では、今高速機への切りかえの一つのチャンスが来ていると思っております。  ただ、ここ十年ばかり、高速化の置きかえを主にして進めてまいりましたので、大変年齢が高齢化をしておりまして、四十歳、五十歳になってから新しい技術の習得をしなければならないという面で、従業員には大変難しい仕事への挑戦をしてもらっているわけでございますけれども、御指摘のとおり、企業としては、そういう面とあわせて、平均年齢の若返り、断層のギャップを減らしていくという努力も必要でございますので、今後この法案を通していただいた上では、できるだけ関連部門事業の拡大というものでそういうものの吸収を図りながら、調和のとれた発展を図っていくように考えていきたいと思っております。
  264. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 とにかくお聞きしますと、今、自然退職者が年間千五百人程度いらっしゃる。新規採用者が三百人から四百人ぐらい。今御説明があったように自然退職者が多いものですから、あとの補充さえしていかなければだんだん人は減っていく。ただ高齢化という問題が一つ出てくるわけですね。やっぱりここら辺のところも、当然わかっていらっしゃると思いますが、どうかひとつよくお考えになった合理化ですね。  それから、やっぱり根本的には、しばしば本委員会議論が出ておりますように、絶対生首ははねない、こういった方向での合理化をお願いをしてまいりたい。一言で結構ですから、その辺……。
  265. 長岡實

    長岡説明員 その方針で今後も進めてまいりたいと考えます。
  266. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 次は、時間の関係もありますので、また後でゆっくりと次回に聞かせていただきたい、こう思っておるわけですけれども、簡単に、国産葉たばこの問題です。まさしくコストダウンのもう一つ目標が、この国産葉たばこの問題をどう改善していくかという問題じゃないかというふうに私は思います。  それで、一つは生産性の向上。これ、いろいろと公社の方からいただいた資料を見ましても、機械化の推進だとか効率的な利用ですとか、あるいは面積の重点配分、あるいはまた標本体系の改善、生産性向上の目標というのを昭和六十五年度に置いて、十アール当たり投下労働時間を四割程度低減をする、第二次生産費、これを二割程度低減をする、こういうことでありまするが、どの程度までこの生産性の向上を図って、この国産葉たばこ収納価格が本当にダウンできるのかどうか。私は、どうも難しいような感じがしているわけでありますけれども、本当に国際価格までにするというのは夢のような話でありまして、だけれどもやはり一つ目標を持ったコストダウンというものをここで図っていかなければならない。やはりこの具体的な一つの計画というものがどうなされているかという問題。この辺、御答弁のできる範囲で結構でございますから、ひとつお願いをしたい、こう思いますけれども、どうでしょうか。
  267. 生平幸立

    ○生平説明員 お答えいたします。  生産性の向上策につきましては、全国に百九十カ所展示農場というものを設けてございまして、これを拠点として高能率な作業体系の普及を推進しているところでございます。  その中で重点的な施策としまして、協業化というようなことが中心でございますが、生産組織化を図りながら、産地の条件に適合した施設とか機械の導入を図るということが第一点。二番目としまして、選別作業の簡易化を推進する。現在この選別作業に大変多くの労働時間を費やしておりますので、これをできるだけ簡単にするということでございます。三番目としまして、在来種、ハーレー種の幹干し乾燥と黄色種の共同乾燥、こういうようなところを推進しているところでございます。こうした施策を推進することによりまして、先ほど先生もおっしゃっておりましたけれども、六十五年には労働時間で四割、生産費で二割程度の節減を図るということを目標にしているところでございます。  品質の向上につきましても、いろいろ圃地の選定とか、施肥の適正化とか、乾燥を適正にやるというようなことによりまして、できるだけ品質の向上を図っていく。それとあわせまして、新品種につきましても開発をするということで、積極的に検討しているところでございます。
  268. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこら辺は資料もいただいておりますから、よくわかっているわけでありますけれども、とにかく生産費所得補償価格である、それから法案によれば、再生産をできる価格である、収納価格はこういうようになっていますね。そういった中でこういった生産性の向上をどんどん図っていかれて、もちろん経済的な動向というものも加味していかなければならない。本当に今の国産葉の価格コストダウンしてくるのかどうかということですね。この辺がどうも素人——素人と言ってはいけませんが、まさしく素人ですから私聞かせていただきたい。国民的なサイドに立って御質問申し上げておるのですが、どの程度まで現在の国産葉たばこコストダウンができるか。できないならできないでおっしゃっていただければいいのですが、これは本当にどの程度までできるのですか。難しい質問ですかね、これは。どうですか。
  269. 長岡實

    長岡説明員 長期的には、先ほど申し上げましたように昭和六十五年を目標といたしまして労働時間を四割減らす、第二次生産費を二割程度減らすということを目標に進めてまいりたいと考えておりますが、具体的に各年度の価格の決定の際にどの程度引き下げ得るかという問題になりますと、御指摘のとおり大変難しい問題がいろいろあろうかと存じます。しかしながら、基本的な考え方といたしまして、柴田委員も御承知のように、葉たばこは米と比べましたときに、年間の労働力の投入時間が、全国平均でも六倍もしくはそれを超えるぐらいでございますから、何とかその労働時間を減らすことによってそれを価格に反映させていくということは、着実に実施していきたいというふうに考えております。  問題は、それがもしできたときに浮いてきた労働時間をどうするのだという問題が、これは日本農業の一つの宿命と申しますか、そういった問題として残るのだろうと存じますけれども、その点につきましても、私どもといたしましては、葉たばこ作を中心としながら残った労働時間、殊に合理化によって生み出された余剰労働時間をどのように使っていくかというような営農体系その他についても、農林省とも御相談申し上げながら検討をしておる段階でございます。
  270. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 この葉たばこ問題のもう一つの問題、過剰在庫の解消の問題について触れてみたいと思います。  この問題については、私も機会あるごとに当委員会質問してまいりました。五十四年十二月のたばこ値上げ法案審議をしたときにも質問をいたしました。これは最初であります。前総裁でありました泉総裁も、私の指摘に対しまして、もっと早くからこの過乳在庫の問題を真剣に検討して対応していけばよかった、五十二年から減反をするようになったから、とにかく深く反省をして今後対応していきたい、過剰在庫をできるだけ少なく持っていきたい、こういうようにお話がありました。昨年の当委員会におきましても、私の質問に対しまして長岡総裁から、五十六年八月のたばこ耕作審議会審議を経て五十七年産の葉たばこの耕作面積を五千ヘクタール減反をやった、つまり需給均衡面積というものを求めて、その面積に至るまで農民の理解を得て減反を行った。つまり、これ以上在庫がふえないという減反だったですね。だから一向に解消されないわけであります。  とにかく具体的にどの程度までこの過剰在庫を減らしていけるかという点については、いろいろ難しい問題があって苦慮している段階である。私全くこのとおりであると思っていますけれども、それで大蔵大臣も、御記憶がないかもしれませんが、まあとにかく適切に対処するように指導監督をしていく、こうおっしゃっていた。  それで、ずっと過剰在庫のデータを見てまいりましても、先般もいろいろ質問がありましたが、五十七年度に比べて五十八年度も、数量で約四万トン、月数にして一カ月分、金額にして二千九百億円ですから約百億、この一年間でもふえておるわけですね。昭和四十五年から五十八年に至る数字的な資料もちょうだいをいたしておるわけでありますが、そのときそのときの答弁に比べて一向に解消されていないということなんですね。  だから、これは本当のことを言っていただきたいのですが、過剰在庫は解消できますか。今議論の中で総裁は、一つは国産葉を使用努力してどんどんやっていくんだ、あるいは赤字覚悟で輸出をしていくんだ、それから耕作者の皆さんの協力を得て減反といいますか、生産調整といいますか、そういうものをやっていくんだというふうな内容の御答弁をいただいているのですが、それでは今日まで来たこの過剰在庫を、新会社発足に伴って本当に解消しようという意欲があるならば、これこそまさしく年次計画というものを、五年かかるのか十年かかるのか二十年かかるのか、やはり本委員会に提案をしないで——もちろん耕作者の生活権を守るということも僕は大事だと思う。そういった点を含めて一体どうしていくんだというものをここで出さなければ、耕作農民の皆さん方の不安というものは解消されない。私はそんなふうに思っておるわけであります。基本的に私はそう考えております。いかがでしょう。
  271. 長岡實

    長岡説明員 過剰在庫の解消策については、私も再三お答え申し上げておりますように、あらゆる努力を払ってもおりますし、今後も払うつもりでおりますけれども、現在それでは何カ年計画で、どういう措置によってどの程度過剰在庫が減らせるかという具体的な数字の裏づけを持った御説明ができないのが大変申しわけないと思っております。  ただ、過剰在庫解消策の問題を考えますときに、現在既に発生しております過剰在庫をどうやって解消するかという問題と、それから将来にわたって過剰在庫が発生しないようにするのにはどうしたらいいかという二つの面があろうかと思いますけれども、これはやはりこの八月末を予定しております耕作審議会においては真剣に議論をしていただかなければならない問題だと考えておりますし、その時期までには、私どもといたしましても何とか五カ年なら五カ年で、どういう方法によってどの程度過剰在庫減らしを図る、しかしこれをやってもなおかつ完全な解消は図れないので、耕作者にも応分の御協力をお願い申し上げたいという説明方をしないと、なかなか御協力が得られないのじゃないか、またそういう説明をすべく努力をするつもりでおります。
  272. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間の関係もありますが、まだ質問時間が次の機会に残されておりますので、過剰在庫解消の問題については私まだまだ議論をさせていただきたいと思っておりますが、きょうのところはここでやめまして、次はちょっと新しい問題でいろいろと御質問をしていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。  東京専売病院の問題ですね。これは先般も視察をさせていただきました。CT装置ですとかICUの装置とか優秀な機械が入っておりますが、ベッドの稼働率も五〇%そこそこ、収支も年間約十三億ぐらいの赤字が出ている。私、昨年の三月の十八日にもこの問題で、いろいろと質問をいたしたわけでありますが、たしか昭和五十六年の二月、あなたの方が東京都へ保険医の指定申請をなされた。それからもう三年以上たったわけですね。私、これは今政府の対応も、こういった政府関係機関の直営病院の一般開放というのはもう時代の趨勢である、こういうふうに思っておりまして、このような優秀な設備を持った東京病院が、一方においては京都はとっくの昔に開放されておりまして、大きな社会的な損失でないか、私こんなふうに思っておるわけでありますけれども、大臣、どうでしょうか。政府の立場としてどのようにまずお考えになっているのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思っております。
  273. 竹下登

    ○竹下国務大臣 大平行革のときに、いわゆる一般開放していない国ないし政府関係機関関係の病院についての問題が提起されまして、そのときもその努力目標等を申し上げたことがございますが、確かに専売病院あるいは鉄道病院、それから逓信病院。それから一般開放しておりますのが、してないところが一つ残っておりましたが、国家公務員共済病院、それから警察病院。しているところは黒字で、してないところは赤字だ。我が方の造幣もございましたが、あれはたしか診療所に格落ちしたような気がいたします。それらの問題については、確かに地域の医師会との問題も、柴田委員百も御承知のように、ございます。  この間、実は私、参議院の委員会におりますときに、目がおかしくなりまして、ちょうど時間が時間で、専売病院へすぐ。そうしたら、まつげが一本入っておりまして、これはもうあっという間に終わりましたが、その際、またこの問題をお話をいたしました。これは、私はただ患者として行ったわけでございますから、大蔵大臣として話したわけではございませんが。要するに、いわゆる港区の医師会そのものは、言ってみれば東京都医師会へ話を、我々がよく言う上に上げたとでも申しましょうか、そういう姿勢だ。私がうれしかったのは、組合の皆さんが、我々も一般開放は賛成だ、地域医療として果たすべき役割の中に我々の労働がそれだけふえても、それは我々としては迎えるべき措置だ、こういうようなお話をなすっておるというお話を承りました。大変喜ばしいことだなと思ったわけであります。  確かにこの問題、各地域地域で同じような問題が残っておりますが、今、そういう組合を含めた当事者の気持ちと、そして東京都医師会、こういうことになったそうでございますけれども、それらの交渉の推移を期待を込めて見守っておるというのが偽らざる私の今日の心境でございます。
  274. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで、前の行政管理庁、今度は総務庁というのですか、先般、一年前に質問をいたしましたときにおっしゃっておりますね。「東京都内に所在する病院については全く一般開放が進んでいない。」こうおっしゃっている。厚生省に対して強く東京都を指導するように要請をする、この問題について、近い将来、各省においてその役とられた措置について御回答いただくという予定になっている、こういう御答弁がたしかあったと思うのです。一つは、全国的に申しまして、こういった直営病院の一般開放の実態というのはどうなっているかということですね。それから、これは一年間に対処していただいたと思いますが、対処をどういうふうにされておるか。それから、行政管理庁、総務庁の立場から見て、今回指定申請をしてから三年間も開放されてないというこの実態について、どういうふうにお考えになっているか。この三点を御説明を承りたいと思います。
  275. 藤井充

    藤井説明員 お答え申し上げます。  総務庁といたしましては、昭和五十六年に、国立医療機関等の業務運営に関する調査というのを実施しておりまして、その当時、三公社四現業の七十九の直営病院につきまして実態を調査いたしました。その結果を踏まえまして五十六年十二月に、直営病院の一部開放を含めまして、経営の合理化であるとかあるいは効率化につきまして、関係省庁に対して長官から通知をいたしております。  これにつきましての現在までの改善状況を申し上げますと、七十九病院のうち二十三の病院につきましては、合理化等によりまして診療所等になっております。それを差し引きました五十六の病院につきまして一般開放状況を申し上げますと、昭和五十六年十一月の時点では十四病院が一般開放いたしております。続きまして五十七年九月現在では二十五の病院が一般開放しております。五十九年六月現在では、五十六病院の約七〇%に相当いたします三十九病院が一般開放を実施している状況でございます。  その内訳を申し上げますと、現在残っておりますのが鉄道病院の十カ所、専売病院の一カ所、それから電電逓信病院の一カ所、それから郵政逓信病院の三カ所等、合計十七が未開放ということでございます、  そういったように、現在ではかなり進捗しているというふうに認識しておりますが、しかしながら先ほど先生が申されましたように、専売公社の病院等につきましてはまだ進捗してない状況にあります。総務庁といたしましては、一般開放の問題について、その後の進捗状況を絶えず関心を持ちながら見守っているところでございまして、今後とも一般開放の問題につきましては、厚生省を含めまして関係省庁に対してその促進方を要請していきたいと考えております。
  276. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 先ほど申しましたように、昭和五十六年二月十三日、公社としては東京都知事に指定申請をしたわけであります。これは三年以上たっているわけですね。本来ならば、指定申請をすればすぐ東京都なら東京都の社会保険医療協議会が開かれて、指定申請をしたその月か翌月には指定を行われる、こういうふうに私は考えておったのですが、とにかく三年間こんな状態であるということですね。だから、今大臣がおっしゃいましたように、一般開放することによって地域医療が崩壊してはいかぬと私は思っている。むしろ地域医療の発展——開業医もいらっしゃるわけですね、その経営というものが悪化をしてだめになってしまってもいけない。だから、医療法等々からいって法的には全然問題がないというふうに今お聞きをしていたわけでありますが、問題は地域医療の崩壊の問題。だから、むしろ健全な発展というものがなされなければいけない、こう考えておりますが、その辺についてはどうでしょうか。問題がないのかどうか、どんなような御判断をされているのか。
  277. 岡島和男

    ○岡島説明員 柴田先生指摘のように、東京病院の一般開放、なかなか難航いたしておるわけでございますけれども、私どもの方といたしましては港区医師会が言っております地域医療の問題という点につきまして、だんだん問題が絞られてきたというふうに現在認識をいたしております。地域医療に貢献する方法はないかという点が現在のところ一つのポイントになってきております。港区医師会とストレートに話し合っているということではなくて、実は港区医師会との話がなかなかうまくいかないんで東京都にいろいろお願いしておりましたところ、都の医師会の方が仲介と申しますか調整と申しますか、それに乗り出してきてくれまして、専売病院の役割分担を一体どうしたらいいかということで、現在そういう条件と申しますか、運営方法と申しますか、そういう点につきまして話をいたしておるわけでございます。  具体的に申しますと、どういう特殊専門医療に重点を置いていったら地域医療に貢献できるかという点につきまして、私どもの方が間に入っている都の医師会の理事の方に案を示し、それをまた港区医師会の方に通じまして、現在そういう中身についてまさに詰めを行っている最中、こんな感じで現在おるわけでございます。
  278. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 地域医療は崩壊をしない、またしない方向で今後とも話し合いをしてやっていくんだ、こういうふうな受けとめ方でよろしゅうございますね。
  279. 岡島和男

    ○岡島説明員 そういう方向で現在精力的に話をしているわけでございます。
  280. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それでこの問題、あちこち飛んで恐縮ですが、厚生省にお伺いしていきます。  昨年も質問をいたしました。それで早急に東京都の責任者を呼んで対応する、こう答弁いただいた。この一年間どのような対応をいただいたのでしょうか。それから、開放の見通しは感触として、厚生省としてどう御判断になっているのか。その二点をお伺いをいたしておきたいと思います。
  281. 寺松尚

    寺松説明員 お答えいたします。  昨年の三月でございますか、当委員会におきまして先生に御質問いただきました。私どもその後直ちに東京都の担当の部長を呼びまして、先生からの御質問の趣旨等、それからまた一般的な、私どもで助言できるようなことにつきましてお話をしたわけでございます。その後、東京都の方では、区の医師会あるいは都の医師会、あるいは先ほどもお話がございました専売公社の東京病院につきましていろいろとお話し合いの場を持つような努力をされまして、実は昨年の八月ごろから具体的な地域病院としての条件、そういうものの整備につきましての意見交換が始まったようでございます。今公社の方からお話ございましたように、具体的なお話につきまして、何を地域医療の中で公社の病院が担うかというようなところで今お話し合いが進んでいるようでございます。  それからまた地域の住民の方々も、四月に東京都の福祉局長でございますか、担当の局長に陳情がありまして、九月三十日までに一般開放の問題について決着してほしいというような御要望もいただいておるようでございます。その辺で、東京都としましても、これは何とか早期に解決をいたしたいということ、こういうことで今努力をしておる、私どもも助言とかアドバイスをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  282. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 なかなか大変だと思います。これは公社の方もよく御承知のように、最近に至りまして地域住民の皆さんが決議をなされた。前は約五千名十町内ということであったのですが、今回のこの決議というのは、ここで読み上げることはいたしませんが、十町内から十九町内の皆さん方が一般開放を望んで決議をなされている、つまり住民運動が拡大をされたわけです。  それから、甚だ僭越でありますが、私どもとしても先月これの署名運動をやりまして、わずか一週間の間に一万人の方の署名が集まったのですね。やはりこれは一つの大きな問題でありますから、東京都に対し、あるいはまた東京都議会に対してそれぞれ陳情と請願をいたした。こういう経緯がありまして、先ほど来申しましたように、地域医療の崩壊がないように医師会の人との協調を図りつつ、地域住民の皆さん方の要望にぜひともこたえていただきたい。  私が思いますのは、たまたまこの法案が通過をすれば、来年の四月一日からは新しい会社として発足する、こういった時期に今来ているということ、指定申請後三年たっているということですね。それから地域住民がますます要望を深めてきている、こういうことですね。こういったことで、開放に向けてのより一層の努力というものはしていかなければならない。むしろこういった法案審議のときに、こんな言い方をして申しわけないのだが、もう開放の見通しが立っているという状況であるのが一番いいなと私は思っているわけです。そこら辺のところも含めてしっかりと取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  283. 岡島和男

    ○岡島説明員 今、柴田委員から大変ありがたい御激励の言葉をいただきましたが、先ほども申しましたように、今折衝を続けてきております。私も病院長と一緒に港区の医師会長に会ったり、また東京都の医師会の仲介をしてくださる理事のところに足を運んだりして、現在鋭意その調整方をお願いしているところでございます。もうしばらく時間をおかしいただきたいということでございます。
  284. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 最後に一つだけ、これは大臣と総裁に今回の改革法案関連をしてお尋ねをしておきますが、とにかくたばこに関する貿易摩擦問題、これは関税の引き下げの問題がありました。それから小売店の外国製品の取扱店の拡大の問題がありました。それから今回のこの製品の輸入自由化の問題。それからもう一つ大事な視点で忘れられてはいけないのは、確かに今日の時点においては、製造独占というのは恒久措置であるというふうに大臣は答弁をなさっておみえになるわけであります。これはやむを得ない答弁かもしれませんが、世界経済の中でGNP第二位に位置する我が日本。しかも開放経済体制を志向し、保護貿易主義の台頭を抑えていく。そういった一つ考え方があるならば、私は当然将来の展望としては、これはまだ口に出して言うべきことじゃないかもしれませんが、新会社経営のいわゆる経営陣は、資本の自由化というものを腹に据えて、しっかりした経営の効率化、合理化をやる、あるいは政府側の経営の自主性というものをしっかりとやる。そういった中長期の展望を踏まえた新会社発足というものが必要ではないか、こういうふうに正直言いまして考えております。そこら辺の見通しを含めてひとつ総裁の御決意をお聞きしてまいりたいし、また同時に大臣の率直な御意見をお伺いをすればと、こういうふうに思っておりますけれども、いかがでしょう、総裁から。
  285. 長岡實

    長岡説明員 資本の自由化というのも一つの世界の流れのような感じを持たないわけでもございません。また、諸外国の中には、そういう完全自由化を望んでいる国もあることは承知いたしております。  ただ、私どもの立場から考えますと、我が国の抱えております葉たばこ問題、この問題の現状からいたしますれば、資本の自由化というのはそう簡単に踏み切れるものではない。どこの国でも、資本自由化の問題についての判断を下す場合に、やはり農業の問題が一番大きな課題として、判断の基礎に横たわっておるように聞いておりますが、我が国におきましても、葉たばこの問題を考えますと、そう簡単にその道に踏み切れるものでもないというふうに考えております。そういったような意味で、今度の制度改正で、専売公社政府出資の特殊会社で製造独占を与えられるということも、やはりこの葉たばこ問題との関連が十分にあるわけでございまして、こういう特殊会社という形態のもとに製造独占を維持しながら、私どもは葉たばこ農業を含めた日本たばこ産業の維持発展に努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  286. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる自由化という問題は、地球上の人類の人知が発達していくに呼応いたしまして、まず貿易の自由化。そして、その後それの重大なる媒体手段としての通貨問題、これが金融の自由化、国際化。そうなれば、その後資本の自由化、国際化、こういうのが一つの流れであるというふうに私も思っております。  ただ、我が国のたばこ産業そのものからいたしますと、今日の、今いみじくも御指摘いただきました第一、関税の引き下げ、そして店舗の拡大、そして三番目が今度の開放体制に対する新会社の設立について、目下のところむしろ大きく自由化を希求しておる国がこの踏み切り方に対して大変な評価をしておるという事実がございます。ただし、それはその法律が通って初めてその評価が実るわけでございますので、今日の時点においてはそのことが現実として一番大事なことではなかろうか。  資本の自由化という問題になりますと、これはたばこ産業に限らず、世界全体の中で——きょうも私は柴田さんの質問に答える資料と思って急につくってみましたが、今日世界に四十五億人間がおるとしまして、まだ一人当たりの所得五百ドル以下がちょうど半分の二十三億でございました。そういう状態で、五千ドル以上にしてやっと八億とかというような世界の人口構造の中で考えてみて、完全自由化というのはなかなか至難な問題だ。また、我が国内の事情からすれば、たばこ産業等についてのいわゆる資本の自由化というのは、当面希望は持っておっても、だれすら、国家というものが存立する限りにおいては、外圧として出てくる要素は今日の時点ではない。むしろ、今の法案に対しての評価を与え、それが通ることを、それらの国々も含めて、私も含めてこいねがっておるというのが現実であろうかと思っております。
  287. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、あと喫煙と健康の問題、それから経営の自主性の問題、葉たばこを含めた過剰在庫解消の問題、業務拡大の問題について、また次回にお願いをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。それで、文部省に来ていただいて、非常に申しわけございませんが、どうかお許しをいただきたいと思います。  どうもありがとうございました。終わります。
  288. 瓦力

    ○瓦委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま議題となっております各案について、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 瓦力

    ○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五分散会