○堀
委員 大変正直ですけれ
ども、
大蔵大臣は
一つの哲学をきちっと持って、事務当局にこの
方向でやれと言って指示をしないと、今のお話を聞いていると、桜田
財政審会長、確かに偉い人ではあります、偉い人ではありますけれ
ども、これは諮問機関の長でして、決定権は
大蔵大臣なんですよ。
私はかつて、あなたが大臣に就任されたときに、
田中大蔵大臣の話をしましたね。というのは、
大蔵大臣で大事なのは
政治決断ができる、これが
大蔵大臣の値打ちだと私は思うのです。きょうこれからいろいろ問題を提起しますから、これについてひとつ
政治家竹下登が答弁をしてもらいたいと思うのです。
昭和三十八年だったかと思いますが、例の証取法の問題について、私は
田中大蔵大臣との間に
質疑をいたしました。そうして、少なくとも証取審ももう答申しておることだから免許制にすべきだということを強く迫りました。最後に、
政治家田中角榮はどうするのか、ひとつ答えてくれ、こう言いましたら、当時加治木さんが証券部長で、そばにいて、大臣、ひとつ慎重にお願いしますと、見ていてわかるようなあれでした。そうしたら、堀さん、事務当局は賛成ではありませんけれ
ども、私は
政治家としてあなたの御提案に賛成です、今
内閣委員会に証券局設置法をお願いしておりますが、この
法律が通って証券局ができましたら、その最初の仕事に、今堀さん御提案の証取法の改正案を出すようにいたします、こういう決断で実は証取法の改正が決まったわけですね。その作業が進んでおりましたから、例の
昭和四十年の証券恐慌の際には、証取法の改正というのはほぼでき上がるところまで来ていた。私
どもはそういう
意味で、
大蔵大臣の決断というものは非常に大きなものがあった、こう見ておるのです。
結局、
経済というのはずっとだんだん流れているわけですね。今私は明治三十九年の話から繰り起こし、さらに
昭和四十年、五十年と、
一つの節目節目で問題が起きていることを申し上げておるのは、今度は六十年というのが
一つの節目になるわけですね、
国債管理
政策としては。大量な
国債の借りかえが求められる
段階にやってくる、こういうことなんです。そうするとこの大量の
国債借りかえというものが、これまでのシステムでうまくやれるというふうには私は思っていないわけです。
五十六年の二月十日に、当時、渡辺
大蔵大臣が就任をした最初の
委員会で、私はその問題について触れたわけであります。そのことも、
会議録の中で申し上げた方がわかりやすいと思いますから……
そこで、まず
国債特別会計という発想をちょっと御説明しますと、いまの
国債整理基金というものを
国債特別会計というものに改めたい。そうして
国債の発行、償還その他の
国債に関するすべての仕事をこの特別会計が一手に取り仕切るということにしたらどうかというんです。たとえば
昭和五十六年度
予算で十二兆二千七百億かの
国債発行を
一般会計が予定をした、そうしたら
一般会計は
国債特別会計に対して、十二兆二千七百億円の資金を調達して
一般会計へ入れなさい、こういう処理ができる。同時にしかし、
一般会計は
国債費を国費特別会計へ入れる。この年度の
国債費は六兆六千五百四十二億円でありますが、
国債の
利払いその他。だから、
国債に関することは全部この特別会計でやらせるということにして、その
国債の発行パターンは
国債特別会計へ一任して、別に十年債を出そうと五年債を出そうと三年債を出そうと、それは
国債特別会計がそのときの市場の情勢を判断しながら出せるということにしたらどうかということが
一つ。
もう
一つは、限度は設けておかなければなりませんけれ
ども、ここでひとつ
国債証券、短期
国債です。これは公募によるところの短期
国債の発行、言うなればアメリカのTBのようなものをこの
国債特別会計で発行させる。いま特別会計は、食糧特別会計も外為特別会計も資金の必要があるときは証券が発行できる、それは一年以内、こういうふうに
法律に書いてある。だから
国債特別会計も一年以内と限度を限って短期
国債の発行ができる。一年以内ということは年度とは別なんですから。発行したところから一年ということですからね。ただし、一年は長過ぎるから、そこで六カ月
程度の
国債証券を発行させて、これは市中公募で、要するにアメリカのTBのようなかっこうにしてしまう。
ということを実は提案をしたわけであります。
これに対して
大蔵大臣の答弁もあるのですけれ
ども、やはりこのときの渡辺喜一理財
局長が、
私
どもも余り
考えつかないような非常にユニークな構想でございますので、実はいまここでいろいろ申し上げる用意はないわけでございますが、私
どものいままでの経験からいたしますと非常にメリットがあることは事実でございます。実は、いままでわれわれの
国債発行というのはどういう銘柄を幾らの量出すかということがすべてもう国会で決められておりまして、これを自由に変更するのにはなかなかいろいろ手続が要るので、そう弾力的に動かせない。そういうことになりますと、市中はもう年度の初めからわかっておる。十年債は幾ら出る、二年債は幾ら出るとこうわかっておるわけでございますので、仮に公募入札をしてみても本当にフリーな値段というのはつかない、どうしても利回りが高目になってしまう、こういうのが現実でございまして、本来発行当局としてはどういう銘柄をどういう期間のものをどのくらいの量出すかということについてのフリーハンドがなければ本当の
意味の管理ができないのじゃないかというふうなことをつくづく経験から
感じておるわけでございますが、そういう点を勘案いたしますと、いまのお話は大変結構な話だろうと思います。
それからもう
一つは、六十年度から大量の償還あるいは借りかえが始まるわけでございますが、その場合を
考えてみますと、借りかえのときに償還する時期と借りかえる時期とが常に同じ時期にやるというのがなかなかむずかしい。量が多くなります。したがって、ある
意味では先に借
換債を発行して資金を用意しておいてそれで償還するとか、あるいは逆に先に償還しておいて後で借
換債を発行して資金を穴埋めするとか、いろいろなそういう弾力的な方法をとらなければうまくワークしないのじゃないかというふうなことをいま
考えておるわけでございますが、そういう場合にどうしても償還する金の出る時期と借
換債を発行して金の入る時期と、そこの
ずれのつなぎが要るのじゃなかろうか。そのためには、そのつなぎ資金として整理基金で短期のものを発行することも
考えざるを得ないかなというようなことも実は検討
課題になっているわけでございます。
そういう
意味で、大変私
どもの参考になるサセストであったわけでございますが、一方いま大臣が申し上げましたように、これは単に
国債管理という面のみならず、
財政制度そのものに関連してくる非常に大きな問題だろうと思います。そういう
意味で、こういう
制度が本当にわが国の現在の
状態のもとにおいて採用し得るのかどうか、その辺は相当深く突っ込んで検討いたしませんとどうも結論が出ないのじゃなかろうか、こういう
感じがいたしておる次第でございます。
こういうふうに当時の渡辺理財
局長が答弁しているわけですね。
私がこの問題に触れておるのは、要するに、市場実勢で
国債が発行されるということは非常に重要なことなんですが、今の
予算総則では償還規定がちゃんとあります。幾らが幾らというのがずっと実は全部
予算総則の中へ出てきますから、今渡辺さんが言っておるように、シンジケート側は事前にいろいろなディーリングをやる過程を通じて、それなりの価格を買い手の側がコントロールできる、売り手の方はコントロールできないという一方通行になっておるのが
現状なんですね。
これからさらに、さっき私が申し上げたように特例債についても、私の
考えでは、徐々には減るでありましょうけれ
ども、相当長期間にわたって特例債を出さざるを得ないというのが、日本の
財政の今日置かれておる
状態ではないか。こう
考えますと、この
国債発行について、大量の
国債を発行する場合に一番大事なのは何か、金利コストだと思うのですね。いかにして安いコストで
国債が発行できるか。そのことは今度は、今第二臨調がいろいろ問題を出していますけれ
ども、私に言わせると、一番肝心な国のことに余り触れていないのですが、国の百十兆になる
国債をもし一%安い金利で調達できるようになれば、ともかく一兆円以上
財政が節約できるのですね。だから、そこで節約ができたもので
国債発行を減らせるわけです。
国債費の
負担が軽くなれば
国債費は減らせるわけですから、あらゆる
意味で一番安いコストでまず
国債が発行できる道をどうするかということが、これからの
国債管理
政策の一番大きな問題ではないか、私はこういうふうに第一に思うのですね。
二番目は、アメリカから非常に強く要求されておりますけれ
ども、実は私が当
委員会で何回もやってきたオープン・マーケット・オペレーションの問題。
大蔵省はどうしても、なかなか
大蔵省の蔵券はそういうTB市場の対象にはしたくない、これは単なる
財政資金の調整
手段です、こうなっていますからね。しかし、この新しい
制度で、特にこの間参考人の方に来ていただいたときに申し上げたのですが、アメリカは現在
国債発行の大体七〇%から八〇%がTBになっているわけでして、だからここらを参考にすれば、これは単に国内問題だけでなくて、
国際的にも適切な市場がつくれるのではないかとか、そういう
意味ではこの問題は、単に私が言っておる借りかえの問題ということだけではなく、非常に大きなその他の問題を含んでおるわけであります。
そこで、まずこの問題について
大蔵大臣の基本的なお
考えを少し伺って、今の問題にもう少し深く入っていきたいと思います。